JP2003079331A - 乾燥発芽玄米及びその製造方法並びに加工食品 - Google Patents

乾燥発芽玄米及びその製造方法並びに加工食品

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JP2003079331A
JP2003079331A JP2001272927A JP2001272927A JP2003079331A JP 2003079331 A JP2003079331 A JP 2003079331A JP 2001272927 A JP2001272927 A JP 2001272927A JP 2001272927 A JP2001272927 A JP 2001272927A JP 2003079331 A JP2003079331 A JP 2003079331A
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rice
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germinated
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Hiroyuki Kayama
浩之 加山
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CI FOODS SYSTEMS CO Ltd
NATURAL LIFE KK
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CI FOODS SYSTEMS CO Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 加工後の安全性及び食味に優れた乾燥発芽玄
米及びその製造方法並びに加工食品を提供する。 【構成】 (A)澱粉のα化度60〜100%、最終水分16〜8
%、一般生細菌104/g以下に調整したことを特徴とする乾
燥発芽玄米。(B)発芽水槽の水温を35〜45℃に保持し、
流水攪拌させながら、水中発芽させることを特徴とす
る、発芽玄米の製造方法。(C)発芽完了後、発芽水槽の
浸漬水に対して有機酸を酢酸酸度換算で0.1%〜0.05%、
pH3.8以下になるように添加し、よく混合して、玄米
を1〜2時間浸漬した後、速やかに水切りし、蒸気加熱
することを特徴とする、発芽玄米の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、加工後の安全性及
び食味に優れた乾燥発芽玄米及びその製造方法並びに加
工食品に関する。
【0002】
【従来の技術とその問題点】玄米は、精米した白米に比
べ栄養価に富んでいることは広く知られているが、外層
部が堅牢で水分の吸水を妨げ、通常の加熱では、硬くて
食べることができない。柔らかくする為には、加圧釜な
どの高温高圧加熱装置を必要とするが、そうすることに
よって、熱に弱い栄養素は破壊されるなどの欠点があ
る。
【0003】玄米を普通の炊飯釜で炊く方法として、20
〜40℃の水温で適当な時間浸漬して発芽させた発芽玄米
とすることが知られている。発芽玄米は、発芽中に自己
代謝機能により玄米の堅牢な部分が軟らかくなり、普通
の炊飯方法や蒸気加熱によっても軟らかく美味しい炊飯
米が得られる。
【0004】しかし、20〜40℃の水浴中に長時間浸漬す
ることが原因で、玄米に付着している細菌の増殖によ
り、発酵臭や腐敗臭などの異臭が発生し、発芽玄米にそ
の異臭が残留するという欠点があった。
【0005】この問題点を解決するために、特開2000-1
57192では、玄米発芽水槽(以下、「発芽水槽」とい
う)内に、殺菌剤や、電解水、紫外線ランプを用いる方
法を開示しており、特開2000-093097では、流水や温水
を定期的に交換する方法を開示している。
【0006】殺菌剤や電解水、紫外線ランプは、直接、
細菌を殺菌し細菌の増殖を抑制する方法であるが、最終
製品への残留や、機械及び光熱費などの経済的な費用が
かかる等の問題がある。
【0007】流水や温水を定期的に交換する方法は、発
芽時間が24〜48時間かかり、水及びエネルギーの無駄に
つながる。
【0008】また、既存発芽玄米では、ストアー等が炊
飯米として利用する為の規格である「炊飯後の発芽玄米
を35℃で48時間保存した後の細菌数が105/g以下」とす
る規格に外れることが多い。原因は、発芽玄米の表皮に
付着する耐熱性細菌胞子の殺菌が困難であるからであ
る。ここで耐熱性細菌胞子とは、耐熱性細菌と呼ばれる
細菌群が形成する胞子をいう。これらの胞子は環境が整
うと発芽し生菌として活動する。これら耐熱胞子を形成
する細菌群にバチルス属、クロストリデューム属が挙げ
られる。バチルス属にはバチルスセレウスという食中毒
細菌が含まれ、耐熱性細菌胞子の残存は食中毒の危険を
孕む。耐熱性胞子は100℃以下の熱に熱耐性を有してい
るものが多い。
【0009】この解決方法として、特開2000-217520で
は、熱水または蒸気処理及び加熱処理後アルコールを加
える方法を提案しているが、それでも上記規格を満足す
ることは困難であり、これに合格する為の細菌抑制方法
が望まれている。
【0010】さらに、既存の発芽玄米は、発芽後の処理
方法として、 真空包装し熱水または蒸気処理後、冷凍保存流通する
方法、 熱水または蒸気処理後、真空包装し、冷蔵保存流通す
る方法(特開2000-217520)、 熱水または蒸気処理後、真空包装するとともに高温高
圧殺菌し、常温保存流通する方法、 発芽後、熱風乾燥して常温保存流通する方法、 のいずれかを採用している。
【0011】しかし、の冷凍保存流通する方法は冷凍
施設や解凍施設が必要で、保存流通コストが大きくな
る。、の冷蔵または常温保存流通する方法は、保存
流通コストは大きくないが、袋のピンホールやシール不
良で細菌の増殖の危険があり、玄米粒が加熱により強固
に付着し塊となり、容易にほぐせない為に大量炊飯や加
工では扱いが大変で、使用しづらい。の乾燥品は、常
温保存流通で流通コストも安価で、ピンホールやシール
不良による細菌汚染の危険もなく、玄米が1粒1粒とな
っており、精白米との混米も容易で、大量炊飯や加工で
は扱いが容易であるが、乾燥中に米粒に複数の亀裂が入
る胴割れ現象が起きる。米粒に複数の亀裂が入る為に流
通や加工中の衝撃で簡単に細かく砕ける欠点がある。ま
た、炊飯中の吸水が、、に比べ遅く、炊飯後の食味
は硬く不味いという問題点がある。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、炊飯
加工後も微生物汚染の心配のない安全で、異臭がなく、
取り扱いの容易な乾燥発芽玄米を提供することである。
本発明の他の目的は、効率的な乾燥発芽玄米の製造方法
を提供することである。更に、食味的にも軟らかく美味
しい、栄養価に富む当該発芽玄米及びこれを加工した加
工食品を提供することを目的としている。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記の課題
を解決すべく鋭意検討した結果、飽和溶存酸素溶液下
で、35〜40℃の水温と、流動化による米粒への水圧
の均一化撹拌を容易にする容積比、を条件とする発芽
方法を見いだした。上記、、、を満たす発芽を
行えば、従来の温度管理だけによる発芽よりも6〜8時間
早い発芽時間16〜18時間の高速発芽が可能となる。それ
により、流水の欠点である水及びエネルギーの無駄を大
幅に抑え、コストダウンをはかることができる。
【0014】更に、有機酸溶液に浸漬し、蒸気加熱処理
を行い乾燥することにより胴割れや異臭がなく、炊飯加
工後も微生物汚染の心配がなく安全で、栄養価、食味も
優れた取り扱いの容易な乾燥発芽玄米を得られることを
見いだし、本発明に到達した。
【0015】本発明は、様々な観点からとらえることが
できる。
【0016】第1の観点(請求項1)では、澱粉のα化
度60〜100%、最終水分16〜8%、に調整したことを特徴と
する乾燥発芽玄米である。
【0017】第2の観点(請求項2)では、発芽水槽の
水温を35〜45℃に保持し、流水攪拌させながら、水中発
芽させることを特徴とする、発芽玄米の製造方法であ
る。
【0018】第3の観点(請求項7)では、発芽完了
後、発芽水槽の浸漬水に対して有機酸を酢酸酸度換算で
0.1%〜0.05%、pH3.8以下になるように添加し、よく混
合して、玄米を1〜2時間浸漬した後、速やかに水切り
し、蒸気加熱することを特徴とする、発芽玄米の製造方
法である。
【0019】第4の観点(請求項10)では、澱粉のα
化度が60〜100%になるように蒸した後、70〜120℃で熱
風乾燥し、最終水分16〜8%、に調整したことを特徴とす
る乾燥発芽玄米の製造方法である。
【0020】第5の観点(請求項11)では、請求項1
記載の発芽玄米を加工して得られる加工食品である。
【0021】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施態様を詳し
く説明する。
【0022】本発明第1の観点(請求項1)に関して述
べると、α化度は、従来のように、発芽後、加熱乾燥し
た場合も表面のα化が乾燥中に起こるが、α化が60%以
上になる事はない。そのような従来の方法で玄米を乾燥
した場合に、胴割れ現象が起き、加工中に細かく砕け
る。又、加熱吸水速度が乾燥により遅くなる等により品
質的にも食味的にも問題がある。本発明は、このような
問題を改善し、更に細菌の増殖が起きないように乾燥に
より水分調整をした乾燥発芽玄米である。
【0023】本発明第2の観点(請求項2)に関して述
べると、従来の発芽方法にみられる温度制御だけの条件
で静置発芽させると、発芽時間としては24〜25時間を要
し、細菌増殖による異臭の発生は防止できない。又、飽
和酸素状態の水中下で発芽させると、玄米の自己代謝作
用が促進される為に温度だけの静置発芽よりも発芽時間
は2〜3時間早まる。このことは農業施設学会1994〜19
97「発芽玄米の食品に関する研究」献筑波大学 鈴木啓
太郎等の報告が見られる。
【0024】この温度と酸素濃度だけでも従来の方法よ
りも発芽が早まるが、それだけではまだ不十分である。
水中発芽の場合、水圧による発芽抑制効果があるからで
ある。本発明者は水深30cm以上になると発芽状態は水深
が深くなるに従い、発芽時間は著しく遅れることを発見
した。このことから、温度と飽和酸素濃度だけでなく、
水圧を均等に受けさせるために流動化させなければ16〜
18時間の均一な高速発芽は実現できないことが分かっ
た。
【0025】流動化の方法として、飽和酸素濃度を維持
することも同時に行える空気による曝気撹拌(請求項
4)が最も優れている。節水型の流水の循環方法(請求
項5)を採る場合は、水と空気曝気の両方で流動化させ
ると経済的に好ましい。又、循環方法の場合、循環時に
循環水が、加熱、精密濾過、紫外線などによる殺菌や除
菌がなされている事が必要である。
【0026】流動化を容易にするには、玄米容積と水槽
容積との間で水槽容積が大きくなる程、流動化が容易に
なる。玄米の流動化には水槽容積と玄米容積の比率は1.
0:0.7以下であることが好ましい(請求項6)。流水に
よる容積置換率は細菌の増殖を抑える為には、ほぼ50%/
h以上、好適には100%/hであることが好ましい(請求項
3)。
【0027】発芽時間の短縮は、エネルギーの節約と、
細菌汚染をうける危険を減ずる効果が期待できる。
【0028】このようにして発芽した玄米は、流水下で
発芽させても、玄米表皮や、水槽内に細菌が残存してい
る。細菌は、100℃以下で死滅する乳酸菌などの細菌も
多いが、耐熱性細菌胞子も残存している。これら一般生
菌数は105〜106個/gあり、その内、耐熱性細菌胞子は10
2〜103個/gある。その為に、次工程で加熱殺菌を行って
も、100℃以上の加熱をしないと耐熱性細菌胞子は残存
し、好適な環境になると成長して、食中毒や腐敗の危険
を伴う。
【0029】実際に、次工程で100℃以下の低温殺菌を
行った後、炊飯し、37℃、48時間の保存を行うと48時間
で一般生菌数は108個/gとなる。ストアーやコンビニな
どの流通業者が販売するには、製造からのシェルフライ
フ(消費時間)を48時間と見るため、48時間の保存で厚
生省が定めた食品の衛生基準である105個/g以下でなけ
ればならず、このことは、この方法が業務用の炊飯では
使用できないことを意味する。
【0030】この課題を解決する方法として、前記本発
明第3の観点(請求項7)の方法を提案する。この方法
において、有機酸の中でも酢酸の殺菌作用は高く、次い
で乳酸、クエン酸の順番で殺菌作用は弱くなる。玄米の
浸漬水に添加する有機酸は、殺菌を目的とするなら酢酸
が最も優れているが酢酸臭があり、乾燥後も残存する可
能性がある。その為に乳酸やクエン酸等の臭いの少ない
有機酸を混合することが酢酸臭を抑える為に好ましい
(請求項8)。最も適した有機酸溶液は、醸造酢と発酵
乳酸の組み合わせがよく、酸度で混合比率を表すと、醸
造酢0.6:発酵乳酸0.4である。また、浸漬水のpHが3.9
以下であれば、他の有機酸であっても有効である。この
有機酸を添加した浸漬水中で玄米表皮層に浸透させる。
耐熱性細菌胞子は玄米表皮表面及び表皮層内に存在して
いる。浸透時間は1時間以上あればよい。
【0031】浸漬後、十分水切りして蒸気加熱を行う。
蒸気が玄米と接触する蒸気温度は98℃であれば、圧力は
あまり関係がなく、玄米層全体に十分熱が加わればよ
い。蒸し時間は、殺菌だけであれば、玄米層の中心温度
が98℃以上になる時間でよく、その時間は実験による
と、玄米層の厚みは、50mm〜100mmで、20分以上必要で
ある。このようにして蒸気加熱した玄米は、有機酸の香
りと酸味は、加熱による揮発と玄米成分による緩衝作用
により消失するので、有機酸による炊飯後の香りや酸味
はない。この蒸気加熱した発芽玄米を冷却後炊飯し、37
℃48時間の保存を行った結果、一般細菌数は103個/g以
下となり、目的を達成することができた。ここで言う一
般細菌は、大部分が耐熱性胞子から発芽した耐熱性細菌
である。
【0032】この耐熱性細菌胞子が死滅する原理は、19
80年に缶詰時報掲載の犬飼、松田等の報告に準じてい
る。この報告によると、耐熱性細菌胞子の熱抵抗性はp
Hが5.5以下になると顕著でpHの低下に伴い指数対数
的に殺菌時間が短縮されることが報告されている。この
松田等の実験では、耐熱性細菌胞子の殺菌温度を100℃
以上に設定して実験を行っている。従って、発明者等の
殺菌条件である蒸気加熱は大気圧下である為、95℃の〜
100℃までの温度にしかならず、この加熱温度域でpH
との相乗効果で耐熱性細菌胞子が死滅することは確認さ
れていない。従って、発明者等の実験結果から、95℃の
〜100℃までの温度域でもpHが低いと耐熱性細菌胞子
が熱抵抗性を失い死滅することを発見したことになる。
【0033】蒸気加熱による別の作用として、玄米のα
化による乾燥玄米の炊飯後の食味改善効果がある。前工
程で加熱によるα化をしない場合、発芽玄米は原料の玄
米と同じように吸水性が悪く、炊飯後に硬くなり、違和
感のある不味い飯になる。また、一度水分を含んだ米
を、未加熱で乾燥すると、米組織に歪みが起き亀裂が入
る。この状態を「胴割れ」といい、僅かな衝撃で細かく
砕け、品質の悪い発芽玄米となる。特開2000-217520に
見られるように、食味改善と発芽の停止の為に蒸気加熱
する方法は、水分を玄米浸漬時と同等の量含んでいる
為、美味しい玄米飯となるが、耐熱性細菌胞子は生存し
ている為、保管する際に5℃以下の保存が必要である。
また、常温保管する為には耐熱性細菌胞子を殺菌する必
要があり、包装後、高温高圧殺菌を行わなければならな
い。また、どちらの場合も、熱により玄米表面が糊状と
なり、米粒同士が付着して塊となり、開封後に塊をほぐ
して使用しなければならない不便さがある。更に、開封
後は保存がきかないという欠点もある。乾燥発芽玄米
は、乾燥することによりそのままでも細菌の増殖はな
く、乾燥によって米粒同士の付着がなく、一般の精白米
のように使用できる。また、精白米との混米も可能であ
る。
【0034】乾燥した発芽玄米を製造する場合は、上記
特開2000-217520の加熱条件では、一部の玄米に胴割れ
が発生したり、玄米の吸水が不完全となったりして、軟
らかく美味しい発芽玄米にはなりにくい。本発明第4の
観点(請求項10)に関連して、本発明者が見いだした
条件は、60〜100%(好ましくは91%〜100%)のα化度にな
るように蒸気加熱することである。このα化度は完全に
飯の状態になることであり、一度飯になった玄米を70〜
120℃で熱風乾燥した製品は水分が16〜8%に調整されて
いる為、保存中のα化度は全く変化しない。(玄米中の
水分が乾燥により30%以下になると老化は起きにくくな
る。)また、α化により組織が糊状になっている為、乾
燥しても亀裂は起きず胴割れは発生しない。その為、洗
米せずに直ちに炊飯ができるという早炊き米としての効
果も期待できる。
【0035】このようにα化度が飯と同等となるまで加
熱する為には玄米層が50mm〜100mmの厚みのとき、約30
分が好適である。この乾燥発芽玄米は保存性があり、早
炊き効果もあり、炊飯しても軟らかく美味しい。
【0036】本発明第5の観点(請求項11)における
加工食品とは、例えば、せんべい、その他の米菓子、パ
ン類、ビーフン等の麺類が代表的なものである。これら
は、製造過程において本発明の発芽玄米(請求項1)の
適量を加えることにより得られる。
【0037】
【実施例】以下、本発明を実施例で詳しく説明するが、
本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0038】株式会社AiHOの20型連続釜炊飯機の浸
漬充填装置(容積500リットル)を発芽玄米の発芽装置
10として改造した(図1参照)。即ち温水槽20内で
加熱源として蒸気を使用して、サーモスタット19で温
度調整を行った。更に、水槽11下部側面から空気を吹
き込めるようにコンプレッサー17から配管した。水
は、装置の上部から入るように配管した。
【0039】この発芽装置10に洗米後の玄米(こしひ
かり)300kgを投入し、温度38±2℃に制御し、コンプレ
ッサー17の空気圧を5kg/cm2に調整し、更に、空気調
整バルブ16で槽内の玄米が均一に流動化するように調
整した。また、水を1時間500リットルになるように水
量調整バルブ22で調整した。水槽から溢れる水は上部
のオーバーフロー配管23から外部に排出した。
【0040】この条件で発芽させると、18時間後に一斉
に発芽する。発芽率は100粒中98粒で、98%あった。高速
発芽を検証する為に、対照として、温度38±2℃に制御
して、空気による流動化を行うことなく静置発芽を行っ
た。結果は玄米層の上部と下部で発芽状態が異なり、上
層部は発芽速度が速かった。実施例と同じ方法で発芽率
89%になる発芽時間は上層部では24時間であったが、下
層部は26時間かかり、発芽状態にバラツキがあった。
【0041】発芽完了後、流水を停止し、醸造酢と乳酸
の混合液(酸度10%)を発芽水槽11内の浸漬水に対し
1.0%添加した。そのときのpHは3.8であった。空気で
流動化させながら1時間放置した。対照として、有機酸
を無添加のものを実施例に従い1時間浸漬し、水切り30
分間蒸気加熱後、水分14%まで定温乾燥機で乾燥した発
芽玄米を、3合炊きの電気炊飯釜で炊飯し、無菌袋に入
れて37℃48時間保存して一般生菌数と耐熱性細菌数を測
定した。一般生細菌数は標準寒天に塗沫して、測定し
た。耐熱性細菌数は無菌的に摩砕した発芽玄米飯を試験
管にとり、80℃で5分加熱し、標準寒天培地に塗沫して
測定した。
【0042】
【表1】 第1表から明らかなように、有機酸無添加のものは、耐
熱性細菌胞子が生き残り腐敗初期の状態になる。48時間
保存で105個/g以下にする為には、実施例に示す本発明
がよいことが分かる。
【0043】発芽完了後、流水を停止し、醸造酢と乳酸
の混合液(酸度10%)を浸漬水に対し1.0%添加し、空気
で流動化させながら1時間放置した後、装置底部から水
切升14、水切りコンベア15で水切りし玄米容器21
に計量して図2に示した手作り蒸煮・乾燥装置30に移
した。蒸煮・乾燥装置の構造は、縦横100cm高さ100cm
で、底から50cmの高さに米粒が落ちないようにステンレ
ス製の網36を張り下部から蒸気や、熱風が吹き出すよ
うな構造となっている。蒸煮・乾燥装置30に水切り後
の米を132kgずつ入れ玄米層を平坦にならし更に水切り
を完全なものにした。この時、玄米層の厚みは60mmであ
った。この蒸煮乾燥装置30の下部にある蒸気噴出管3
6から蒸気を噴出させ蒸気加熱を行った。蒸気圧1.0kg/
cm2で蒸し上げた。蒸し時間は10〜40分であった。蒸し
終わった玄米を熱風で乾燥した。電気を熱源とするドラ
イヤー31を使用し、得られた熱風を装置横の配管39
で導入した。風圧は0.2kg/cm2、風量1.0m3/分、ドライ
ヤーの温度は最高370℃で、装置の網から吹きあがる空
気の温度を100℃になるようにドライヤーの温度を調整
した。この方法で3時間かけて乾燥させた。乾燥が均一
に進むように乾燥機内の玄米を、時々かき混ぜ乾燥し
た。
【0044】発芽玄米の乾燥度合いは、ケット製の穀物
簡易水分計の水分値を補正して使用した。
【0045】また、30分毎に玄米を100g取り出し、定温
乾燥器を使用した乾燥法により水分を測定した。完成し
た乾燥発芽玄米の重量は98kgで水分14.0%であった。
【0046】対照として、蒸気加熱しない玄米も乾燥機
で乾燥し水分を14%に調整した。この乾燥発芽玄米を3合
炊きの電気炊飯釜で炊飯した。
【0047】乾燥した発芽玄米は外観を観察。α化度は
プルラナーゼ法によりα化度を測定した。
【0048】炊飯後の飯の硬さは、炊飯後の飯をサン科
学のレオメーターで飯粒を5g容器に入れ測定した。対照
として、実施例で使用した玄米を精米し同様に炊飯した
飯を使用した。また、10名で試食を行い美味しさについ
て評価をおこなった。
【0049】
【表2】 第2表から明らかなように、20分以下であれば、粒は胴
割れした玄米を含んでいる。
【0050】これは、玄米層の中心部が加熱不足である
ことを示している。また、α化度が進んでいないことを
示している。レオメーターでの測定では蒸気加熱を20分
行った玄米から硬さは精白米の硬さに近似であった。
尚、レオメーターで、普通の精白米を炊飯した飯の硬さ
は580〜520(g/mm2)の範囲にある。官能検査は、実際
に喫食し、外観、香り、味、食感、の総合評価を、好ま
しい。普通。好ましくない。の3点評価を行ってもらっ
た。その結果も蒸気加熱を20分以上行った玄米から好ま
しいと評価した人の数が増えた。また、レオメーターで
は、差は確認できなかったが、30分以降、蒸気加熱時間
を長くしても、軟らかさに差がないと感じた人が多かっ
た。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例で使用した発芽装置の概略図
である。
【図2】 本発明の実施例で使用した蒸煮・乾燥装置の
概略図である。
【符号の説明】
20 発芽装置 30 蒸煮・乾燥装置
フロントページの続き Fターム(参考) 4B023 LC08 LE01 LG03 LK04 LP05 LP08 LP14 LP20 4B025 LB15 LG02 LG23 LP01 LP03 LP13 LP15 LP19

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 澱粉のα化度60〜100%、最終水分16〜8.
    0%、に調整したことを特徴とする乾燥発芽玄米。
  2. 【請求項2】 発芽水槽の水温を35〜45℃に保持し、流
    水攪拌させながら、水中発芽させることを特徴とする、
    発芽玄米の製造方法。
  3. 【請求項3】 流水による容積置換率がほぼ100%/hであ
    る請求項2記載の方法
  4. 【請求項4】 流水攪拌させるため、圧縮空気を使用す
    る請求項2または3記載の方法。
  5. 【請求項5】 流水攪拌させるため、循環水を使用する
    請求項2または3記載の方法。
  6. 【請求項6】 発芽装置の玄米浸漬槽容積と浸漬する玄
    米の容積比が1.0:0.7以下である請求項2〜5のいずれ
    かに記載の方法。
  7. 【請求項7】 発芽完了後、発芽水槽の浸漬水に対して
    有機酸を酢酸酸度換算で0.1%〜0.05%、pH3.8以下にな
    るように添加し、よく混合して、玄米を1〜2時間浸漬
    した後、速やかに水切りし、蒸気加熱することを特徴と
    する、発芽玄米の製造方法。
  8. 【請求項8】 有機酸の種類が酢酸を主成分とし、1種
    類または2種類以上の有機酸を混合して行う請求項7記
    載の方法。
  9. 【請求項9】 玄米の中心温度が95℃以上で澱粉のα化
    度80%以上になるように、均一に蒸し上げることにより
    行う請求項7または8記載の方法。
  10. 【請求項10】 澱粉のα化度が60〜100%になるように
    蒸した後、60〜120℃で熱風乾燥し、最終水分16〜8%に
    調整したことにより行う請求項1記載の方法。
  11. 【請求項11】 請求項1記載の発芽玄米を加工して得
    られる加工食品。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR102184850B1 (ko) * 2019-11-15 2020-12-01 청원생명농협쌀조합공동사업법인 발아현미 파보일드 라이스 생산 시스템
CN114903145A (zh) * 2022-04-29 2022-08-16 湖南省农产品加工研究所 预熟化发芽糙米及其制备方法

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