JPWO2016038868A1 - 液晶ディスプレイ保護板の製造方法 - Google Patents

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Abstract

本発明は、面内のレターデーション値が所定の範囲に制御された液晶ディスプレイ保護板の製造方法を提供する。該製造方法は、ポリカーボネート樹脂層の少なくとも片面にメタクリル樹脂層が積層された熱可塑性樹脂積層体を溶融状態でTダイ(11)から押出し、第1冷却ロール(12)と第2冷却ロール(13)との間にバンクを形成しながら熱可塑性樹脂積層体を挟み込み、第2冷却ロール(13)、第3冷却ロール(14)に巻きかけて冷却し、熱可塑性樹脂積層体を引き取りロール(15)で引き取り樹脂板(16)を形成する。その後樹脂板(16)を50℃以上の温度で1分以上加熱する工程を経て液晶ディスプレイ保護板を製造する。液晶ディスプレイ保護板の面内のレターデーション値が50〜210nmであり、加熱する前の樹脂板(16)の面内のレターデーション値に対する、液晶ディスプレイ保護板の面内のレターデーション値の低下率が5%以上である。

Description

本発明は樹脂板を用いた液晶ディスプレイ保護板の製造方法に関する。より詳細には、樹脂板を高温で加工する工程を含み、面内のレターデーション値が好適な範囲に制御された液晶ディスプレイ保護板の製造方法に関する。
液晶ディスプレイは表面の傷付き防止などのためその前面側に保護板が設けられる場合がある。保護板として各種機能性膜が形成されてなる樹脂板を用いることが検討されている。各種機能製膜としては、樹脂板の少なくとも一方の面に設けられた、耐擦傷性(ハードコート性)や低反射性の硬化被膜、ギラツキを抑制するための防眩膜、汚れの付着を防止あるいは目立ちにくくする防汚膜、ほこりの付着を防止する帯電防止膜、タッチパネルに要求される透明導電膜などがある。
例えば、特許文献1には、メタクリル樹脂板を基板とし、その少なくとも一方の面に硬化被膜を形成して、液晶方式の携帯型情報端末の表示窓保護板として用いることが開示されている。
また、特許文献2には、ポリカーボネート樹脂層の一方の面にメタクリル樹脂層を積層してなる積層板を基板とし、そのメタクリル樹脂層上に硬化被膜を形成して、液晶ディスプレイカバーに用いることが開示されている。
上述した機能性膜の形成方法としては、特許文献1、2のような紫外線硬化性樹脂を基板に積層後に硬化する方法のほか、予め機能性膜を表面に設けたPETフィルム(ポリエチレンテレフタレートフィルム)を接着材や粘着材で貼り合せる方法、水や有機溶媒に分散、溶解した液を塗布後、乾燥する方法、熱硬化性樹脂を基板に積層後に硬化する方法などが公知である。
樹脂板の製造方法としては射出成形法、押出成形法などが公知である。
液晶ディスプレイ保護板は、液晶ディスプレイの前面側(視認者側)に設置される。視認者は、液晶ディスプレイ保護板を通して液晶ディスプレイの画面を見ることになる。従来の液晶ディスプレイ保護板は、偏光である液晶ディスプレイからの出射光の偏光性をほとんど変化させない。このため、偏光サングラスをかけて画面を見ると、出射光の偏光軸と偏光サングラスの透過軸とがなす角度によっては、画面が暗く画像が見えにくくなる場合があった。そこで、偏光サングラスなどの偏光性フィルターを通して液晶ディスプレイの画面を見る場合の画像の視認性の低下を抑制しうる液晶ディスプレイ保護板が検討されている。
例えば、特許文献3に面内のレターデーション値を85〜300nmとする事が開示されている。ところが液晶ディスプレイ保護板に用いられる樹脂板は、レターデーション値のほか、外観品位や厚さの均一性、加熱時の収縮性、反りの方向やその大小など、さまざまな要求性能を満たさねばならない。例えば押出成形法においては、上記要求性能を満たすべく、成形中の樹脂の温度、複数の冷却ロールの周速度比、バンクと呼ばれる第1冷却ロールと第2冷却ロールとの間隙に形成される樹脂溜りの大きさなど、各種製造条件を調整して製造される。しかしながら、上記要求性能を全て満たすことが困難な場合も多い。
また液晶ディスプレイ保護板に用いられる樹脂板は、反りの状態などを調整するため、乾燥工程を経る場合や、反り形状付与のため湾曲した板に挟んで加熱される場合がある。
特開2004−299199号公報 特開2006−103169号公報 特開2010−085978号公報
樹脂板の面内のレターデーション値及び上述した他の要求性能を満たす製造条件により押出樹脂板を製造し、その後、例えば反りの状態を調整するため加熱処理が施されると、樹脂板の面内のレターデーション値の低下が生じることがある。また上記加熱処理が施されても樹脂板の面内のレターデーション値の低下が生じないよう押出樹脂板を製造すると、レターデーション値以外の上述したほかの要求性能を満たさない場合があった。
本発明の目的は、面内のレターデーション値が所定の範囲に制御された液晶ディスプレイ保護板の製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成するために検討した結果、以下の態様を包含する本発明を見出した。
すなわち、本発明は、以下の態様を包含する。本発明に係る樹脂板からなる液晶ディスプレイ保護板の製造方法の一態様は、以下の工程を少なくとも備える。
ポリカーボネート樹脂層の少なくとも片面にメタクリル樹脂層が積層された熱可塑性樹脂積層体を溶融状態でTダイから押出す工程。
第1冷却ロールと第2冷却ロールとの間にバンクを形成しながら前記熱可塑性樹脂積層体を挟み込む工程。
前記熱可塑性樹脂積層体を前記第2冷却ロールに巻きかけた後、第3冷却ロールに巻きかけることにより冷却する工程。
その後前記熱可塑性樹脂積層体を引き取りロールで引き取ることにより前記樹脂板を形成する工程。
その後前記樹脂板を50℃以上の温度で1分以上加熱する工程を経て液晶ディスプレイ保護板を製造する工程。
加えて、前記液晶ディスプレイ保護板の面内のレターデーション値が50〜210nmであり、加熱する工程を経る前の前記樹脂板の面内のレターデーション値に対する、前記液晶ディスプレイ保護板の面内のレターデーション値の低下率が5%以上である。
上述した液晶ディスプレイ保護板の一態様は、偏光サングラスを通して液晶ディスプレイを視認するときに適切な面内レターデーションを有することができる。言い換えると、本発明の液晶ディスプレイ保護板は、液晶ディスプレイ保護板用の基板として、面内のレターデーション値が所望の範囲に収まらない樹脂板であっても、当該樹脂板に対し特定の加熱工程を施して製造することにより液晶ディスプレイ保護板として好適に使用可能であることを見出したものである。これにより、レターデーション値以外の特性を優先して製造条件の調整を行うことが可能になる。
また、本発明に係る液晶ディスプレイ保護板の製造方法の一態様において、前記低下率が15%以上であることが好ましい。
さらに、本発明に係る液晶ディスプレイ保護板の製造方法の一態様において、前記第2冷却ロールの周速度をV2、第3冷却ロールの周速度をV3としたとき、V3/V2の値が1.000以上である事が好ましい。さらに加えて、前記引き取りロールの周速度をV4としたとき、V4/V2の値が1.000以上である事が好ましい。
以降では、説明を容易にするため、樹脂板は、熱可塑性樹脂積層体を押し出して製造したものであり、特に明記しない場合には、加熱工程を施す前の樹脂板をいう。また、液晶ディスプレイ保護板は、製造した樹脂板に加熱工程を加えたものとして説明する。より具体的には、樹脂板は、押し出した後、各種工程を経る前の基板であり、ディスプレイ保護板は、この基板に塗布、貼り合わせ、反り矯正などの各種工程のいくつかを経て、保護板に加工されるものである。各種工程の少なくとも一つでは、基板に加熱が施される。言い換えると、ディスプレイ保護板は、樹脂板が上述した各種工程を経て適切なレターデーション値になったものである。
本発明の液晶ディスプレイ保護板の製造方法は、偏光サングラスを通して液晶ディスプレイ視認する際における適切な面内のレターデーション値を有する液晶ディスプレイ保護板を提供することができる。
本発明の一実施形態にかかる共押出による樹脂板の製造方法を示す図である。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。説明の明確化のため、以下の記載及び図面は、適宜、省略、及び簡略化がなされている。各図面において同一の構成または機能を有する構成要素および相当部分には、同一の符号を付し、その説明は省略する。
実施の形態1
本発明の液晶ディスプレイ保護板に使用される樹脂板はポリカーボネート樹脂層の少なくとも一方の面にメタクリル樹脂層が積層される。ポリカーボネート樹脂層にメタクリル樹脂層が積層されていることにより、板の透明性、耐衝撃性、耐擦傷性が優れる。
樹脂板は押出成形法で製造される事により生産効率が優れる。
なお、以降適宜、「樹脂板」を「押出樹脂板」と記載することもある。
本発明の一実施形態においてメタクリル樹脂層を構成するメタクリル樹脂は、メタクリル酸エステルに由来する構造単位を含有するものである。
メタクリル酸エステルに由来する構造単位の含有量は50質量%以上が好ましく、より好ましくは80質量%以上、さらにより好ましくは90質量%以上が好ましい。メタクリル酸エステルに由来する構造単位の含有量は、100質量%であってもよい。メタクリル酸エステルに由来する構造単位の含有量が上記範囲内にある場合には、透明性が良好である。
メタクリル酸エステルとしては、例えばメタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル等が挙げられる。なかでもメタクリル酸メチルを50質量%以上含有することが透明性の点で好ましい。
また、メタクリル酸メチルと共重合し得る単量体との共重合体であってもよい。メタクリル酸メチルと共重合し得る単量体としては、メタクリル酸メチル以外のメタクリル酸エステル類も挙げられる。かかるメタクリル酸エステル類としては、例えばメタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル等が挙げられる。また、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸シクロペンチル、メタクリル酸シクロへプチルなどのメタクリル酸単環脂肪族炭化水素エステル;2‐ノルボルニルメタクリレート、2−メチル−2−ノルボルニルメタクリレート、2−エチル−2−ノルボルニルメタクリレート、2−イソボルニルメタクリレート、2−メチル−2−イソボルニルメタクリレート、2−エチル−2−イソボルニルメタクリレート、8−トリシクロ[5.2.1.02,6]デカニルメタクリレート、8−メチル−8−トリシクロ[5.2.1.02,6]デカニルメタクリレート、8−エチル−8−トリシクロ[5.2.1.02,6]デカニルメタクリレート、2−アダマンチルメタクリレート、2−メチル−2−アダマンチルメタクリレート、2−エチル−2−アダマンチルメタクリレート、1−アダマンチルメタクリレート、2−フェンキルメタクリレート、2−メチル−2−フェンキルメタクリレートまたは2−エチル−2−フェンキルメタクリレートなどのメタクリル酸多環脂肪族炭化水素エステル;などが挙げられる。
また、メタクリル酸メチルと共重合し得る単量体としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸フェニル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル等のアクリル酸エステル類、スチレン類、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、無水マレイン酸、フェニルマレイミド、シクロヘキシルマレイミド等も挙げられる。かかる単量体は、1種を用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
メタクリル樹脂がメタクリル酸メチルとアクリル酸メチルとの共重合体であると透明性に優れる。この場合の好ましい単量体組成は、単量体の合計を100質量%として、メタクリル酸メチルが80質量%以上であることが好ましく、85質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることがさらにより好ましい。メタクリル酸メチルが100質量%であってもよい。
本発明の一実施形態に用いられるメタクリル樹脂は、IS0−1133に準じて測定するメルトボリュームフローレイト(MVR)が、好ましくは0.5〜20(cm/10分、230℃、37.3N)である。MVRがこの範囲にあると、押出成形の安定性が良好である。
本発明の一実施形態に用いられるメタクリル樹脂には、耐衝撃性、耐光性などを向上させるために、公知の添加剤が含まれていてもよい。添加剤としては、酸化防止剤、熱劣化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、滑剤、離型剤、高分子加工助剤、帯電防止剤、難燃剤、染顔料、光拡散剤、有機色素、艶消し剤、耐衝撃性改質剤、蛍光体などが挙げられる。
本発明の一実施形態に用いられるポリカーボネート樹脂は特に制限はないが、ISO―1133に準じて測定するメルトボリュームフローレイト(MVR)が、好ましくは1〜20(cm/10分、300℃、11.8N)である。MVRがこの範囲にあると、押出成形の安定性が良好である。
本発明の一実施形態に用いられるポリカーボネート樹脂には、耐光性などを向上させるために、公知の添加剤が含まれていてもよい。添加剤としては、酸化防止剤、熱劣化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、滑剤、離型剤、高分子加工助剤、帯電防止剤、難燃剤、染顔料、光拡散剤、有機色素、艶消し剤、耐衝撃性改質剤、蛍光体などが挙げられる。
本発明の一実施形態における樹脂板はポリカーボネート樹脂層の両面にメタクリル樹脂層が積層されることで、耐擦傷性に優れる点、および湿度変化による反りが発生しにくい点で好ましい。
本発明の一実施形態における樹脂板は、その厚さが、好ましくは0.4〜2mm、より好ましくは0.5〜1.5mmである。薄すぎると剛性が不十分となる傾向がある。厚すぎると液晶表示装置などの軽量化の妨げになる傾向がある。
本発明の一実施形態における樹脂板のメタクリル樹脂層の厚さは、好ましくは20〜200μmである。この範囲であると、耐擦傷性と耐衝撃性のバランスが優れる。より好ましくは25〜150μm、さらに好ましくは30〜100μmである。
本発明の一実施形態により得られる樹脂板には、その少なくとも一方の面に硬化被膜を設けても良い。硬化被膜を設けることで耐擦傷性、低反射性などの機能を付与することができる。
例えば耐擦傷性(ハードコート性)硬化被膜の厚さは、好ましくは2〜30μmであり、より好ましくは3〜10μmである。薄すぎると表面硬度が不十分となり、厚すぎると製造工程中の折り曲げによりクラックが発生する可能性がある。
また、例えば低反射性の硬化被膜の厚さは、好ましくは80〜200nmであり、より好ましくは100〜150nmである。薄すぎても厚すぎても低反射性能が不十分となるためである。
本発明の一実施形態における樹脂板は共押出しで製造される。ポリカーボネート樹脂およびメタクリル樹脂は加熱溶融され、Tダイといわれる幅広形状の吐出口から押出され、第1冷却ロールおよび第2冷却ロールからなる一対のロールにより挟まれてシート状の熱可塑性樹脂積層体に形成される。熱可塑性樹脂積層体はその後さらに、第2冷却ロールに巻きかけた後、第3冷却ロールに巻きかけることにより冷却される。また熱可塑性樹脂積層体はその後さらに、それ以上の冷却ロールで冷却される場合がある。その後、熱可塑性樹脂積層体を引き取りロールで引き取ることにより樹脂板を形成する。このような工程で、樹脂板は、ポリカーボネート樹脂層の少なくとも片面にメタクリル樹脂層が積層された熱可塑性樹脂積層体を溶融状態でTダイから押出して製造される。
製造された樹脂板は、さらに加熱工程が施され、液晶ディスプレイ保護板が製造される。加熱工程については後述する。
図1には一実施形態としてTダイ11、第1〜第3冷却ロール12〜14、及び引き取りロール15からなる共押出装置による樹脂板の製造方法の概要を示した。Tダイ11から押し出された樹脂が、第1冷却ロール12及び第2冷却ロール13からなる一対のロールで挟んでシート状の熱可塑性樹脂積層体に形成される。その後さらに、熱可塑性樹脂積層体が第3冷却ロール14で冷却され、一対のロールからなる引き取りロール15により引き取られ、樹脂板16が形成される。なお、本発明はこの形態に限られるものではない。
Tダイ11はシングルマニホールド型、マルチマニホールド型の両方を用いることができるが、各層の厚さ精度が優れる点でマルチマニホールド型が好ましい。
冷却ロールとしては金属剛体ロール、金属弾性ロールの両方を用いることができる。
レターデーションとは、分子主鎖方向の光とそれに垂直な方向の光の位相差の事である。高分子は一般に加熱成形されることで任意の形状を得ることができるが、その加熱、冷却過程において一定の応力が発生し、分子が配向してレターデーションが発生することが知られている。そこで、レターデーションを制御するためには分子の配向を制御する必要がある。分子の配向は、例えば高分子のガラス転移温度近傍での成形時の応力により発生している。
押出成形では製造条件を種々調整する事により、樹脂板の面内のレターデーション値、外観品位や厚さの均一性、反りの方向やその大小などを制御する。以下に、製造条件の制御に関係する要素として、バンクの影響、周速度比の影響、樹脂板の厚さの影響、加熱工程に分けて説明する。また、説明を容易にするため、適宜、図1に示す構成を用いる。
* バンクの影響について
バンクとは第1冷却ロール12と第2冷却ロール13との間隙に形成される樹脂溜りである。
そしてバンク量と面内のレターデーション値の関係を評価した結果、バンク量が大きいほど面内のレターデーション値が増すことが分かった。
その理由は、溶融樹脂が樹脂溜まりの発生している位置から第1冷却ロール12と第2冷却ロール13の最小隙間に流れる際に樹脂の冷却と共に樹脂内部の流速差が生じることで分子が配向するためと思われる。
ロールへの樹脂供給量を上げること、もしくはロールの速度を下げることで、バンクは大きくなるものであり、調整が可能である。なお、後述する実施例では、バンク量は、樹脂供給量を変化させることで調整し、量の大小は目視により評価した。
* 周速度比の影響について
周速度比とは第2冷却ロール13に対するそれ以外の任意の冷却ロール及び引取りロールの周速度の比である。
第2冷却ロール13に対する第3冷却ロール14の周速度比と、面内のレターデーション値の関係を評価した結果、その周速度比が大きいほど面内のレターデーション値が増すことが分かった。
その理由は、樹脂が第3冷却ロール14に接触する際の樹脂温度がポリカーボネートのガラス転移温度近傍である場合、第3冷却ロール14の周速度比が大きくて熱可塑性樹脂積層体に大きな引っ張り応力が掛かる際に、樹脂の分子が配向するためと思われる。
そして第2冷却ロール13に対する引き取りロール15の周速度比と、面内のレターデーション値の関係を評価した結果、その周速度比が大きいほど面内のレターデーション値が増すことが分かった。
その理由は、樹脂が第3冷却ロール14から剥離する際の樹脂温度がポリカーボネートのガラス転移温度近傍より+5℃から−40℃程度の範囲である場合、引き取りロール15の周速度比が大きくてより大きな引っ張り応力が掛かる際に、樹脂の分子が配向するためと思われる。
また、第2冷却ロール13と引き取りロール15の周速度比は、0.98以上であることが好ましく、1.000以上である事がさらに好ましい。その理由は、第2冷却ロール13と引き取りロール15の周速度比が0.98未満の場合は熱可塑性樹脂積層体の張力が不足し、第3冷却ロール14に接触している熱可塑性樹脂積層体が密着状態を維持できなくなってロールから剥離し、綺麗な面状が保てない可能性が生じるからである。
さらに、第3冷却ロール14から剥離する温度はポリカーボネートのガラス転移温度近傍より+5℃から−40℃の範囲が良い。その理由は、ガラス転移温度近傍より高すぎても低すぎても綺麗な面状を得ることができないためである。
次に押出樹脂板を加熱した時の面内のレターデーション値が低下する程度を検討した。
周速度比一定でバンク量を徐々に大きくした場合は、面内のレターデーション値が徐々に大きくなるが、加熱後の面内のレターデーション値の低下率は徐々に小さくなることが分かった。
バンク量一定で第2冷却ロール13と第3冷却ロール14の周速度比を徐々に大きくした場合は、面内のレターデーション値が徐々に大きくなり、加熱時の面内のレターデーション値の低下量も徐々に大きくなることが分かった。
また、バンク量一定で第2冷却ロール13と引き取りロール15の周速度比を徐々に大きくした場合も面内のレターデーション値が徐々に大きくなるが、加熱後の面内のレターデーション値の低下率は非常に大きくなることが分った。
以降では説明を容易にするため、第2冷却ロールの周速度をV2、第3冷却ロールの周速度をV3、引取りロールの周速度をV4とし、第3冷却ロールと第2冷却ロールとの周速度比を(V3/V2)、引取りロールと第2冷却ロールとの周速度比を(V4/V2)と記載することがある。
次に第2冷却ロール13として金属剛体ロールまたは金属弾性ロールを使用した場合の面内のレターデーション値への影響を評価した結果、金属弾性ロールを使用した方が面内のレターデーション値が小さいことが分かった。その理由は、金属弾性ロールでは一般的にバンク量を小さくする場合が多く、バンク成形による分子配向が小さいためと思われる。そこで、金属弾性ロールで適正な面内のレターデーションを制御するためには第2冷却ロール13と第3冷却ロール14の周速度比を調整する必要があることが分った。
* 厚さの影響について
押出成形における押し出し方向に直交する幅方向の厚さ制御は、一般的に第1冷却ロール12と第2冷却ロール13の隙間、樹脂供給量に伴う押し出し量、第2冷却ロールの周速度、バンク量によって制御される。
ここで、一般的にバンク量が大きいほど第1冷却ロール12と第2冷却ロール13への押し付け圧力が増大し、冷却ロールが押し曲げられる事になる。そのためバンク量の増大と共に流れ方向と直交する幅方向の厚さ分布は、太鼓状に中央付近が厚く両端部が薄くなる傾向がある。
幅方向の厚さ分布を平坦にする手法として、例えば、幅方向の両端のバンク量を中央付近のバンク量より大きくすることがある。その場合、幅方向の両端部のレターデーション値は大きくなる。
そこで、幅方向のレターデーション値のバラツキとレターデーション値の低下率を適正な値に制御するためには幅方向の厚さ分布を適正化する必要がある。
この事から、押し出し方向と直交する幅方向の有効範囲内の両端の平均厚さ(TS)と中央付近の平均厚さ(TC)との厚さ比(TC/TS)が1.0を超え1.05以下とする事が好ましいことが分った。中央付近の平均厚さ(TC)は樹脂板16の押し出し方向と直交する幅方向の中央100mmにおいて算出すればよく、両端の平均厚さ(TS)は押し出し方向と直交する幅方向の一方の端部から100mm離れた位置から200mm離れた位置までの100mm分の平均厚さを一方の端部の厚さとし、他方の端部から100mm離れた位置から200mm離れた位置までの100mm分の平均厚さを他方の端部の厚さとし、その両端100mmずつの平均厚さ(合計200mmの平均厚さ)をもって算出すればよい。
ここで幅方向は、樹脂板が押出装置において搬送される方向と直交する方向であり、幅方向の一部とは、樹脂板の幅の任意の長さを含む領域をいう。
このような手順で選択した箇所を測定した結果、加熱後の面内のレターデーション値が50〜210nmであり、かつ、加熱前後での面内のレターデーション値の低下率が5%以上であれば、得られた樹脂板は本願の効果を奏するため好ましい。加えて、加熱前後での面内のレターデーション値の低下率が15%以上であることがより好ましい。ここで、加熱前後での面内のレターデーション値の低下率は、加熱工程前の樹脂板の面内のレターデーション値に対する、液晶ディスプレイ保護板の面内のレターデーション値の低下率であるということができる。
尚、厚さ比(TC/TS)が1.05を超えた場合は、バンク量が大きくなりすぎるため安定的に製造出来ない場合があり、1.0以下の場合は、バンク量が少なすぎるため面内のレターデーション値が小さな値となる。
上述したような厚さの影響を発見したため、押出樹脂板の製造工程において、製造された押出樹脂板の厚さ比が1.00より大きく、1.05以下の数値範囲になるように、バンクの形成(バンク量)を制御することが好ましい。厚さの制御が不十分であると、例えば、押出樹脂板の幅方向の端にレターデーション値が意図した数値範囲から外れる領域が形成され、製品として適さない場合が生じ得る。そのため、安定して良好な製品を製造するためにも、樹脂板の厚さを制御することが好ましい。
本発明の一実施形態による樹脂板(押出樹脂板)は、加熱工程における面内のレターデーション値の低下率が5%以上である。5%未満に調整しようとすると、例えばバンク量を大きくすることが考えられる。しかし、バンク量をあまり大きくしすぎると樹脂板のレターデーション値が大きくなりすぎる、という問題が生じる場合がある。また例えばロールの周速度比V3/V2またはV4/V2を小さくすることが考えられるが、あまり小さくしすぎると冷却ロールと溶融樹脂とがスムーズに離型せず、離型マークと呼ばれる微細な表面凹凸が生じ、樹脂板の表面性が劣る、という問題が生じる場合がある。
加熱工程における面内のレターデーション値の低下率が10%以上、特に15%以上であると、上記問題の発生を抑制する事ができる。
加熱工程における面内のレターデーション値の低下率は90%以下であることが好ましい。これより大きいと、樹脂板を加熱した際の収縮率が大きくなる傾向があり、例えば光硬化性樹脂などを積層、硬化する工程の加熱により、積層した樹脂層にしわが発生する、あるいは加熱前後の寸法変化が大きくなりすぎ、板の搬送、固定など取り扱い易さが劣る、などの問題が生じる場合がある。また例えばバンク量を小さくすることが考えられる。しかし、あまり小さくしすぎるとバンクのわずかな温度ムラなどによって一時的にバンクが形成されない場合があり、第1冷却ロールまたは第2冷却ロールと溶融樹脂とが密着せず、樹脂板の表面性が劣る、あるいは厚さムラが大きくなる、という問題が生じる場合がある。また、レターデーション値の低下率は85%以下であることがより好ましく、80%以下であることがさらにより好ましい。
* 加熱工程について
本発明の一実施形態における加熱工程は樹脂板を50℃以上かつ1分以上加熱するものである。加熱工程としては、例えば、以下のような工程が含まれる。
樹脂板表面に塗布した液を乾燥させるため、50℃以上に加熱したオーブン内に樹脂板を1分以上静置する工程。
樹脂板表面に積層した熱硬化性樹脂を熱硬化させるため、50℃以上に加熱したオーブン内に樹脂板を1分以上静置する工程。
50℃以上に加熱した1対の同じ方向に同程度湾曲した金属板の間に樹脂板を挟み、樹脂板のそり形状を調整する工程。
樹脂板の成形歪を軽減するため、50℃以上に加熱した1対の平坦な金属板の間に樹脂板を挟むアニール工程。
樹脂板の成形歪を軽減するため、樹脂板の1辺を治具により保持して吊り下げ、50℃以上に加熱した加熱炉内に1分以上静置する、樹脂板アニール工程。
樹脂板表面に積層した光硬化性樹脂を硬化させるため、キセノンランプなどにより光を照射する工程において、ランプから放射される光線に含まれる赤外線による加熱や、光硬化性樹脂の反応による熱により、樹脂板表面が50℃以上となる時間が1分以上となる工程。
上述した工程は、樹脂板をディスプレイ保護板に加工するために実施する工程の一例であり、上述した工程以外であっても、50℃以上かつ1分以上加熱する工程であれば、一実施形態の加熱工程に含まれる。
一実施形態の樹脂板の製造方法では、加熱工程を含む。加熱工程は、例えば、上述した工程のうちの一つまたは複数の工程を実施する。
なお、加熱時間の長さは、上述した各工程に応じて決定されるものであり、各工程の効果が生じる時間加熱することが好ましい。
尚、液晶ディスプレイ保護板の面内のレターデーション値が210nmを超えた場合は、偏光サングラスなどの偏光フィルターを通して見た場合に可視光範囲の各波長の透過率の差が大きくなるためさまざまな色が見え視認しづらくなる。一方、50nm未満の場合は、可視光範囲の全波長での透過率が大きく減下し真っ黒な画像となり視認が困難となる。50nm〜210nmの範囲内では、値が大きいほど明るい画像となり、値が小さいほど色が軽減する。特に、面内のレターデーション値を60nm〜200nmとした場合に明るさと色のバランスが良好で視認性に優れ、80nm〜180nmとした場合がさらに好ましく、100nm〜150nmとした場合がさらにより好ましい。
以上説明した通り、本発明の液晶ディスプレイ保護板の一態様は、液晶ディスプレイ保護板用の基板としては必ずしも適切とは言えない面内のレターデーション値である樹脂板であっても、樹脂板に対し特定の加熱工程を経て製造される場合には、液晶ディスプレイ保護板として好適に使用可能であることを見出したものである。
一実施形態の液晶ディスプレイ保護板の製造方法によれば、樹脂板はその面内のレターデーション値が所定範囲より大きくても、加熱処理を施すことにより、適切な範囲のレターデーション値を有する液晶ディスプレイを提供することができる。そのため、一実施形態の液晶ディスプレイの製造用法及び製造された液晶ディスプレイ保護板は、外観品位や厚さの均一性、反りの方向やその大小など、レターデーション値以外の特性を優先して製造条件の調整を行えるため、各種特性や生産性に優れる。
以下、実施例を示し、本発明をより詳細に説明する。但し、本発明はかかる実施例により何ら限定されるものではない。
樹脂および樹脂板の物性を以下の方法にて測定した。
〔MVR〕
メルトインデクサー(「TAKARA L241−153」、株式会社テクノ・セブン製)を使用し、ISO−1133に準じて測定した。
〔メタクリル樹脂〕
株式会社クラレ製「パラペット(登録商標) HR」(MVR:2.0cm/10分)をメタクリル樹脂として用意した。
〔ポリカーボネート樹脂〕
住化スタイロンポリカーボネート株式会社製「SDポリカ(登録商標) PCX」(MVR:8cm/10分、ガラス転移温度:151℃)をポリカーボネート樹脂として用意した。
〔樹脂板の厚さ測定および幅方向の厚さムラの評価〕
樹脂板の押し出し方向と直交する幅方向の中央100mmの平均厚さを中央部の厚さ(TC)とし、一方の端部から100mm離れた位置から200mm離れた位置までの100mm分の平均厚さを一方の端部の厚さとし、他方の端部から100mm離れた位置から200mm離れた位置までの100mm分の平均厚さを他方の端部の厚さとし、その両端100mmずつの平均厚さの平均値を端部の厚さ(TS)とした。そして端部の厚さ(TS)と中央部の厚さ(TC)との厚さ比(TC/TS)を幅方向の厚さムラの指標とした。厚さの測定はマイクロメータを用いた。
〔レターデーション値の測定〕
樹脂板または液晶ディスプレイ保護板の試験片は、ランニングソーにより切断し、100mm四方のものを作製した。レターデーション値は、試験片を25℃±3℃の環境下に10分以上放置し株式会社フォトニックラティス製 WPA−100(−L)により測定した。測定位置は、試験片の中央付近を測定した。
また、レターデーション値の低下率は、以下の式で得られる値とした。
(レターデーション値の低下率)
={(樹脂板のレターデーション値)−(液晶ディスプレイ保護板のレターデーション値)}/(樹脂板のレターデーション値)×100(%)
〔偏光サングラス装着時の目視評価方法〕
液晶ディスプレイ保護板の試験片は、ランニングソーにより切断し、100mm四方のものを作製した。
次に目から35cm離れた位置に液晶表示装置を配置して画像を表示した。そして実施例および比較例にかかる試験片を液晶表示装置と目の間の、目から30cm離れた位置に表示装置の画面と平行に配置した。
まず偏光サングラスを装着せずに、試験片の厚さ方向に通して、画像を目視した。
次に、偏光サングラスを装着して、顔を画像に向けたまま左右に首を傾けて、上記と同様に画像を目視した。
○:画像の見え方は偏光サングラスの装着有無によって顕著な変化がなく、画像は問題なく視認できた。
×:画像の見え方は、偏光サングラスを装着しない場合に比べ、装着した場合は首をある角度に傾けた時に暗い映像となったか、あるいは濃い着色が見られ、画像が見えにくかった。
〔樹脂板の外観評価方法〕
樹脂板の表面を目視により評価した。評価は樹脂板表面に反射した室内の照明光源の像を観察し、その像のゆらぎの有無、大小で判定した。
樹脂板の配置:樹脂板のメタアクリル樹脂側の表面を上側にして床面に平行に配置
照明光源:直管型40W白色蛍光灯
照明の配置:樹脂板から上方へ約2m、水平方向へ約2m離間
照明の角度:樹脂板表面に対し上方約45°となる方向
照明の方向:樹脂板の表面に移り込む蛍光灯の長手方向と樹脂板の押出し方向とが約45°となる方向
○:ゆらぎはなく、良好。
△:わずかにゆらぎはあるが、目立たない。
×:ゆらぎがあり、目立つ。
[実施例1]
(樹脂板の製造方法)
メタクリル樹脂を150mmφ一軸押出機[東芝機械株式会社製]で、ポリカーボネート樹脂を150mmφ一軸押出機[東芝機械株式会社製]でそれぞれ溶融し、両者を、マルチマニホールド型ダイスを介して、一方の面からメタクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、メタクリル樹脂の順で3層に積層した。積層した樹脂(熱可塑性樹脂積層体)を、図1で示すような第1冷却ロール12と第2冷却ロール13に挟み込んで、樹脂板の製造を行った。ここで、第1冷却ロール12と第2冷却ロール13と第3冷却ロール14は全て金属剛性ロールとした。
また、バンク量は小さい状態に保ち、第2冷却ロール13と第3冷却ロール14の周速度比(V3/V2)を1.000に調整し、第2冷却ロール13と引き取りロール15の周速度比(V4/V2)を1.011に調整した。また、第3冷却ロール14から剥離する位置において熱可塑性樹脂積層体全体の温度を赤外線放射温度計で測定した結果が130℃であった。また、各層の厚さは一方のメタクリル樹脂層が75μm、ポリカーボネート樹脂層が850μm、もう一方のメタクリル樹脂層が75μmであった。積層体全体の厚さは、中央付近の平均厚さ(TC)が厚さ1mmとなるように成形、冷却した。得られた樹脂板の幅はおよそ1500mmであった。
得られた樹脂板を押し出し方向1000mmに切断し、幅方向両端部それぞれ100mmを切断除去しておよそ1000mm×1300mmの長方形の樹脂板を得た。
そりを矯正するため、得られた長方形の樹脂板を100℃±3℃に管理されたオーブン内に5時間投入した後取り出し、加熱処理後の長方形の樹脂板を液晶ディスプレイ保護板とした。オーブン内では長方形の樹脂板は短辺側を上にして紐で吊り下げた状態とした。紐は上側短辺を3等分する位置の端部2箇所にそれぞれ固定された2つのクリップに結ばれた。また紐は垂直になるよう吊具に固定された。
製造条件及び得られた樹脂板および液晶ディスプレイ保護板の評価結果を表1に示す。
[実施例2〜5]
第2冷却ロールの種類、バンク量、第2冷却ロール13と第3冷却ロール14の周速度比(V3/V2)、第2冷却ロール13と引き取りロール15の周速度比(V4/V2)を表1に従って変更した以外は実施例1と同様に樹脂板および液晶ディスプレイ保護板を製造した。得られた樹脂板および液晶ディスプレイ保護板の評価結果を表1に示す。
[比較例1〜4]
第2冷却ロールの種類、バンク量、第2冷却ロール13と第3冷却ロール14の周速度比(V3/V2)、第2冷却ロール13と引き取りロール15の周速度比(V4/V2)を表1に従って変更した以外は実施例1と同様に樹脂板および液晶ディスプレイ保護板を製造した。得られた樹脂板および液晶ディスプレイ保護板の評価結果を表1に示す。
Figure 2016038868
表1の実施例および比較例の比較から、本発明の液晶ディスプレイ保護板は樹脂板に対するレターデーション値の低下率が大きくても、保護板としてのレターデーション値が適正であるため、偏光サングラスを装着した状態での画像の視認性に優れる。
特に実施例1,3,4は樹脂板のレターデーション値が適切なレターデーション値の範囲に比べて大きな値である。しかし、加熱工程を経ることによって、偏光サングラスを装着した状態での画像の視認性に優れる樹脂板を製造することができた。
また、比較例1はレターデーション値の低下率が0%であり、加熱前後でレターデーション値を満たす樹脂板を製造している。これは、加熱処理の前後でレターデーション値を満たす樹脂板を製造する例を示したものである。比較例1は、偏光サングラスを装着した状態での画像の視認性に優れる。一方、TC/TSの値が1.05であり、幅方向の厚さムラが大きい事が分かる。また、照明光源の像のゆらぎが目立ち、外観も優れない。従って、液晶ディスプレイ保護板としては十分でなく、レターデーション値の要件を満たしつつ、他の要件を調整することの困難性を示している。
本発明の液晶ディスプレイ保護板は、例えば、車載用表示装置、携帯電話、スマートフォン、パソコン、テレビなどに用いられる液晶ディスプレイ保護板として好適である。
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
この出願は、2014年9月8日に出願された日本出願特願2014−181902を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。
11 Tダイ
12 第1冷却ロール
13 第2冷却ロール
14 第3冷却ロール
15 引き取りロール
16 樹脂板

Claims (4)

  1. 樹脂板からなる液晶ディスプレイ保護板の製造方法であって、
    ポリカーボネート樹脂層の少なくとも片面にメタクリル樹脂層が積層された熱可塑性樹脂積層体を溶融状態でTダイから押出し、
    第1冷却ロールと第2冷却ロールとの間にバンクを形成しながら前記熱可塑性樹脂積層体を挟み込み、
    前記熱可塑性樹脂積層体を前記第2冷却ロールに巻きかけた後、第3冷却ロールに巻きかけることにより冷却し、
    その後前記熱可塑性樹脂積層体を引き取りロールで引き取ることにより前記樹脂板を形成し、
    その後前記樹脂板を50℃以上の温度で1分以上加熱する工程を経て、前記液晶ディスプレイ保護板を製造し、
    前記液晶ディスプレイ保護板の面内のレターデーション値が50〜210nmであり、
    加熱する工程を経る前の前記樹脂板の面内のレターデーション値に対する、前記液晶ディスプレイ保護板の面内のレターデーション値の低下率が5%以上である液晶ディスプレイ保護板の製造方法。
  2. 前記低下率が15%以上である請求項1の液晶ディスプレイ保護板の製造方法。
  3. 前記第2冷却ロールの周速度をV2、前記第3冷却ロールの周速度をV3としたとき、V3/V2の値が1.000以上である事を特徴とする請求項1または2の液晶ディスプレイ保護板の製造方法。
  4. 前記第2冷却ロールの周速度をV2、前記引き取りロールの周速度をV4としたとき、V4/V2の値が1.000以上である事を特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の液晶ディスプレイ保護板の製造方法。
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