JP5996163B2 - 光学フィルムの製造方法、偏光板及び画像表示装置 - Google Patents

光学フィルムの製造方法、偏光板及び画像表示装置 Download PDF

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Description

本発明は、光学フィルム、光学フィルムの製造方法、偏光板及び画像表示装置に関する。
樹脂を延伸してなる延伸フィルムは、その光学異方性を利用して、ディスプレイ装置の構成要素等の光学材料として用いられている。例えば、液晶表示装置において、該延伸フィルムを着色防止、視野角拡大などの光学補償のための位相差フィルムとして用いたり、該延伸フィルムと偏光子とを貼り合わせて偏光板として用いたりすることが知られている。
一般的に、液晶表示装置などの画像表示装置に用いられる偏光板及び位相差フィルムは、長方形状で用いられるが、用途によってはそれを構成する延伸フィルムがその長方形の辺に対して傾斜した方向に面内の遅相軸を有することが求められる場合がある。
このような液晶表示装置などの画像表示装置では、位相差フィルムの面内遅相軸と偏光子の透過軸とが所望の角度となるように配置させる必要がある。所望の角度となるように斜め方向にフィルムを延伸し、遅相軸がフィルムの長さ方向に対し、0°でも90°でもない角度に制御された位相差フィルムは、例えば特許文献1〜3に記載の方法で製造することできる。
また最近、液晶表示装置を応用した立体(3D)画像表示装置には、観賞時に首を傾けた際のクロストークや色味変化の低減目的から、該立体(3D)画像表示装置表面に、所望の角度で斜め方向に延伸し、遅相軸がフィルムの長さ方向に対し、0°でも90°でもない角度に制御された位相差フィルムが設けられている。
一方、液晶表示装置などの画像表示装置の表面には、物理的な損傷を受け易く、損傷を受けると画像品質を損なうため、ハードコート性を有し、機械強度に優れたフィルム(ハードコートフィルム)が設けられている。更にハードコートフィルムは、屋外での使用や輸送等の長期保管を想定して、耐久性試験後も性能劣化が生じないことが求められている。
ハードコートフィルムを液晶表示装置に用いる場合、液晶部材である偏光膜と積層して用いられる。また偏光板は、輸送適性や生産性向上のため、長尺フィルム同士をロール・トウ・ロールで貼合して作製される。
しかしながら、斜め延伸し、遅相軸が傾斜したフィルム(以下、斜め延伸フィルムとも言う)上にハードコート層を有する光学フィルムについて、高温高湿環境による耐久試験を実施し、耐久試験後の光学フィルムを用いて偏光板を作製し、この偏光板を液晶表示装置に用いたところ、視認性(ムラ)や輝度(正面コントラスト)の低下が発生した。
前記課題に対して検討したところ、斜め延伸フィルム上にハードコート層を有する光学フィルムの耐久試験後の可とう性(フィルムのフレキシブル性)とフィルムとハードコート層との密着性の劣化が該視認性(ムラ)や輝度(正面コントラスト)の低下に影響していることを突き止めた。即ち、耐久試験後に発生する光学フィルムの部分剥がれや微小クラックが該光学フィルムを表示装置に用いた場合、その影響で視認性(ムラ)や輝度(正面コントラスト)の低下を引き起こすものと推定される。
上記特許文献1〜3の斜め延伸フィルムは、延伸後の引き取り張力を制御することで長さ方向の膜厚、位相差値を制御しながら、斜め方向に延伸してフィルムを作製する。このため、フィルムの幅方向で弾性率にムラが発生し、この弾性率ムラにより、斜め延伸フィルムとハードコート層との密着性にムラが生じ、耐久試験後に密着性が劣化するものと推定している。また、耐久試験によって、光学フィルムの弾性率が、初期の弾性率ムラをきっかけに拡大する為、可とう性も劣化するものと推定している。
斜め延伸フィルムは、上記特許文献1〜3によれば、延伸前に幅方向(左右)で厚み勾配を設けて、延伸によりフィルムの厚みを均一化しているが、幅方向で厚みが異なるフィルムを延伸条件により厚みの均一化を図っている為、従来の長手方向に対して平行または直交する方向に延伸したフィルムと比べて、幅方向で延伸率のムラが生じ易く、この影響でフィルムの幅方向に弾性ムラが生じると推定している。
特許文献4には、斜め延伸により作製した遅相軸が傾斜した位相差フィルムに、ハードコート性および紫外線カット性を有する紫外線硬化型アクリル樹脂の硬化層を設ける技術が開示されている。
前記技術は、サングラス越しに表示面を見た場合の視認性を改善する技術である。前記技術には、斜め延伸により作製した遅相軸が傾斜した位相差フィルム上にハードコート層を設けることは開示されているものの、画像表示装置の課題である視認性の低下や黒表示した際のムラの改善については言及しておらず、示唆もない。
特開2008−80674号公報 特開2009−78474号公報 特開2010−173261号公報 特開2010−151910号公報
従って本発明の目的は、斜め延伸フィルム上にハードコート層を有する光学フィルムにおいて、耐久試験後の可とう性に優れ、フィルムとハードコート層との密着性に優れる光学フィルムを提供することにある。更に、該光学フィルムを用いた視認性やコントラストに優れる画像表示装置、クロストークが改善された立体画像表示装置、入力時のペン摺動による表面の傷つきや剥がれに優れるタッチパネルを含む画像表示装置を提供するものである。
本発明の上記目的は以下の構成により達成される。
1.熱可塑性樹脂からなるフィルムを、フィルムの長手方向に対して斜交する方向に該フィルムを延伸させることにより作製された斜め延伸フィルム上に活性線硬化型樹脂を含有するハードコート層を有する光学フィルムにおいて、該ハードコート層が長手方向に周期を持たない不規則な突起形状を有し、かつ当該ハードコート層が微粒子及び前記活性線硬化型樹脂に対し非相溶性である樹脂を実質的に含有しないことを特徴とする光学フィルム。
2.前記熱可塑性樹脂が、セルロースエステル樹脂、セルロースエステル樹脂とアクリル系重合体の混合物を含有することを特徴とする前記1に記載の光学フィルム。
3.前記活性線硬化型樹脂の25℃における粘度が20〜3000mPa・sの範囲内であることを特徴とする前記1または2に記載の光学フィルム。
4.前記ハードコート層上に、直接または他の層を介して低屈折率層が積層されていることを特徴とする前記1〜3項のいずれか1項に記載の光学フィルム。
5.前記1〜4のいずれか1項に記載の光学フィルムを製造する光学フィルムの製造方法であって、前記25℃における粘度が20〜3000mPa・sの範囲内にある活性線硬化型樹脂を含有するハードコート層を、少なくとも塗布工程、乾燥工程及び硬化工程を経由して形成し、かつ該乾燥工程における減率乾燥区間の温度を90〜160℃の範囲内に維持した条件下で乾燥することを特徴とする光学フィルムの製造方法。
6.前記1〜4のいずれか1項に記載の光学フィルムを一方の面に用いたことを特徴とする偏光板。
7.前記1〜4のいずれか1項に記載の光学フィルムを含むことを特徴とする画像表示装置。
8.前記画像表示装置が、前記6に記載の偏光板を液晶セルの少なくとも一方の面に備えることを特徴とする前記7に記載の画像表示装置。
9.前記画像表示装置が立体画像表示装置であることを特徴とする前記8に記載の画像表示装置。
10.前記画像表示装置がタッチパネル付き画像表示装置であって、該タッチパネルの構成部材に前記1〜4のいずれか1項に記載の光学フィルムが用いられていることを特徴とする前記7に記載の画像表示装置。
本発明によれば、斜め延伸フィルム上にハードコート層を有する光学フィルムにおいて、耐久試験後の可とう性に優れ、フィルムとハードコート層との密着性に優れる光学フィルムを提供することができる。更に、該光学フィルムを用いた視認性やコントラストに優れる画像表示装置、クロストークが改善された立体画像表示装置、入力時のペン摺動による表面の傷つきや剥がれに優れるタッチパネルを含む画像表示装置を提供することができる。
本発明に係る突起形状の模式図である。 本発明に係る突起形状の説明図である。 本発明に用いる斜め延伸テンターの模式図である。 本発明の製造方法に用いるテンターのレールの軌道(レールパターン)を示す概略図である。 実施例で用いた延伸装置の模式図である。 実施例で用いた延伸装置の模式図である。 立体映像表示装置(メガネの偏光板が一枚の方式)の模式図。 立体映像表示装置(メガネの偏光板が二枚の方式)の模式図。 タッチパネル用導電性光学フィルムの模式図である。 抵抗膜方式タッチパネル液晶表示装置の概略図である。 実施例の光学フィルム1のハードコート層1表面を光学干渉式表面粗さ計で観察したものである。 偏光板の模式図である。
以下本発明を実施するための形態について詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明者は、斜め延伸フィルム上にハードコート層を有する光学フィルムにおいて、耐久試験後の可とう性に優れ、フィルムとハードコート層との密着性に優れる光学フィルムを提供する検討をした結果、斜め延伸フィルム上に微粒子及び前記活性線硬化型樹脂に対し非相溶性である樹脂を実質的に含有せず、かつ長さ方向に周期をもたない不規則な突起形状が得られるような条件でハードコート層を形成することで達成できることを見出した。これは幅方向に弾性ムラを有した斜め延伸フィルム上にハードコート層を形成しても該ハードコート層と斜め延伸フィルムとの相溶性が向上し(親和性が高くなり)、アンカー効果が働くことで、良好な密着性が得られるものと推察している。
また、耐久試験後も光学フィルムとしてフィルム弾性が変化しないため、良好な可とう性が得られると推定している。このため、本発明の光学フィルムを偏光板に用いることで、偏光板が耐久試験後に劣化せず、更に該偏光板を用いることで、本発明の課題である画像表示装置の視認性や輝度(正面コントラスト)の低下が改良されることが判り、本発明に至った次第である。
以下本発明を詳細に説明する。
<ハードコート層>
最初に、本発明の光学フィルムの特徴であるハードコート層について説明する。本発明に係るハードコート層は、活性線硬化型樹脂を含有し、該ハードコート層の表面が長手方向に周期をもたない不規則な突起形状を有し、かつ該ハードコート層が微粒子及び前記活性線硬化型樹脂に対し非相溶性である樹脂を実質的に含有していないことを特徴とする。
なお、本発明において、「非相溶性」とは、二種類以上の樹脂の溶融混合物の融解温度Tm又はガラス転移点Tgを測定・観察したときに、当該溶融混合物を構成する樹脂それぞれ単独のピークが観察されるものをいう。また、透過型電子顕微鏡観察においてそれぞれの相が実質的に観察されるものをいう。一方、「相溶性」とは、同種又は二種類以上の樹脂の溶融混合物の融解温度Tm又はガラス転移点Tgを測定・観察したときに、当該溶融混合物のピークが1個以下観察されるものをいう。前記樹脂のTgやTmは、DSC測定のTgやTmに基づくベースラインが偏奇し始める温度である。
なお、本願において、「実質的に含有しない」とは、微粒子や非相溶性である樹脂の種類・性質によって異なるが、ハードコート層中の含有量が、フィルム基材からの抽出物成分を除き、0.01質量%以下であることをいい、より好ましくは全く含有しないことである。
本発明において、活性線硬化型樹脂(詳細は後述する。)に対し非相溶性である樹脂としては、(メタ)アクリル系やアクリル系の単量体を重合又は共重合して得られる樹脂やポリエステル樹脂、更に、後述する基材フィルムにおいて用いられる熱可塑性アクリル樹脂、セルロースエステル樹脂などが挙げられる。
微粒子としては、無機微粒子や有機微粒子といった微粒子が挙げられ、具体的には無機微粒子としては、酸化珪素、酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、などを挙げることができる。また、有機粒子としては、ポリメタアクリル酸メチルアクリレート樹脂粉末、アクリルスチレン系樹脂粉末、ポリメチルメタクリレート樹脂粉末、ポリスチレン系樹脂粉末、またはメラミン系樹脂粉末等を添加することができる。次に突起形状について説明する。
(表面形状)
本発明の構成で得られる突起は、長手方向に周期を持たない不規則な形状の突起をしている。本発明の「長手方向に周期を持たない不規則な形状の突起」とは、表面凹凸がフィルムの幅手方向に形や大きさが定まらない不規則な形状であり、更にフィルムの長手方向にも周期を持たない形状の突起をさす。具体的には、図1に示すような機能性層21の突起形状22のような突起が、不規則に配列されている。また、「不規則」とは、ランダム間隔で不規則に突起形状が配置され、等方的であっても、異方的であってもよいことをさす。
長手方向に周期を持たない不規則な突起形状を有する条件でハードコート層を形成することで、弾性率のムラを有する斜め延伸フィルム上にハードコート層を形成してもハードコート層と該フィルムとの相溶性が向上し(親和性が高くなり)、良好な密着性が得られる。また、前記条件で作製した光学フィルムは、耐久試験後も光学フィルムの弾性率が変化しないため、良好な可とう性が得られる。このため、例えば幅方向には、不規則な突起形状を形成できるが、長さ方向は一定の周期を有する突起形状しか得られない表面転写ロールを押し当てて表面に突起を形成させる方法では、良好な密着性や可とう性は得られない。また、突起形状を付与する方法としては、化学エッチングなどで粗面化処理する方法、樹脂層中に微粒子を分散含有させる方法、又はSP値(溶解度パラメーター)が異なる樹脂を混ぜて、相分離で突起形状を形成させる方法などあるが、これらいずれの方法も、特に幅方向に弾性率のムラを有する斜め延伸フィルム上にハードコート層を形成しても、耐久試験後の良好な密着性や可とう性は得られ難い。
ハードコート層の算術平均粗さRa(JIS B0601:1994)は、1500nm以下が一般的であり、500nm以下が好ましい。この算術平均粗さRaとするための突起形状の高さは、2nm〜4μm、が好ましい。また突起形状の幅は50nm〜300μm、好ましくは、50nm〜100μmである。上記突起形状の高さ、及び幅は断面観察から求めることができる。よりわかりやすくするために、図2に突起の説明図を示した。図2に示されているように、断面観察の画像に中心線aを引き、山の麓を形成する線b、cと中心線aとの2つの交点の距離を、突起サイズの幅をtとして求めることができ、山頂と中心線aまでの距離を突起サイズの高さはhとして求めることができる。
ハードコート層の10点平均粗さRzは、中心線平均粗さRaの10倍以下、凹凸の平均間隔Smは5〜150μmが好ましく、より好ましくは20〜100μm、凹凸最深部からの凸部高さの標準偏差は0.5μm以下、中心線を基準とした平均山谷距離Smの標準偏差が20μm以下、傾斜角0〜5度の面は10%以上が好ましい。前記した算術平均粗さRa、Sm、Rzは、JIS B0601:1994に準じて光学干渉式表面粗さ計(たとえば、RST/PLUS、WYKO社製)で測定できる。
また、ハードコート層の尖度(Rku)は3以下が好ましい。尖度(Rku)とは、凹凸形状の凸状部分の形状を規定するパラメータであり、この尖度(Rku)の値が大きい程、凹凸形状の凸状部分の形状は、針のように尖った形状であることとなる。尖度(Rku)3を超えるものは、白ボケが発生しやすい。ハードコート層の尖度(Rku)は、更に好ましくは1.5〜2.8である。また、表面の歪度(Rsk)の絶対値は1以下であることが好ましい。前記歪度(Rsk)は、凹凸形状の平均面に対する凸状部分と凹状部分との割合を示すパラメータであり、凹凸形状が、平均面に対して凸状部分が多いとプラスに大きな値となり、平均面に対して凹状部分が多いとマイナスに大きな値となる。歪度(Rsk)の絶対値が1を超えるものは、白ボケが発生しやすい。歪度(Rsk)の絶対値は、好ましくは0.01〜0.5である。なお、尖度(Rku)及び歪度(Rsk)は、上記光学干渉式表面粗さ計を用いて計測できる。また、ハードコート層は防眩性を有しても良い。防眩性とは、表面に反射した像の輪郭をぼかす作用を言う。
上述したような特徴を有するハードコート層の詳細は後述するが、上記突起形状(表面凹凸)は、例えば、ハードコート層塗布組成物の乾燥工程における減率乾燥区間の処理温度を高温制御し、樹脂の塗膜対流を発生させ、ハードコート層表面に不均一な状態を作り、この不均一な表面状態で硬化し、塗膜を形成する方法などによって得ることができる。このような方法で塗膜を形成することで、ハードコート層の膜強度が向上する。また、ハードコート層塗布組成物の乾燥工程における減率乾燥区間の処理温度を高温条件に制御する方法は、生産性にも優れる点で好ましい。
(ハードコート層)
ハードコート層は活性線硬化樹脂を含有する。すなわち、紫外線や電子線のような活性線(活性エネルギー線ともいう)照射により、架橋反応を経て硬化する樹脂を主たる成分とする層である。活性線硬化樹脂としては、エチレン性不飽和二重結合を有するモノマーを含む成分が好ましく用いられ、紫外線や電子線のような活性線を照射することによって硬化させて活性線硬化樹脂層が形成される。活性線硬化樹脂としては紫外線硬化性樹脂や電子線硬化性樹脂等が代表的なものとして挙げられるが、紫外線照射によって硬化する樹脂が機械的膜強度(耐擦傷性、鉛筆硬度)に優れる点から好ましい。紫外線硬化性樹脂としては、例えば、紫外線硬化型アクリレート系樹脂、紫外線硬化型ウレタンアクリレート系樹脂、紫外線硬化型ポリエステルアクリレート系樹脂、紫外線硬化型エポキシアクリレート系樹脂、紫外線硬化型ポリオールアクリレート系樹脂、または紫外線硬化型エポキシ樹脂等が好ましく用いられる。中でも紫外線硬化型アクリレート系樹脂が好ましい。
紫外線硬化型アクリレート系樹脂としては、多官能アクリレートが好ましい。該多官能アクリレートとしては、ペンタエリスリトール多官能アクリレート、ジペンタエリスリトール多官能アクリレート、ペンタエリスリトール多官能メタクリレート、およびジペンタエリスリトール多官能メタクリレートよりなる群から選ばれることが好ましい。ここで、多官能アクリレートとは、分子中に2個以上のアクリロイルオキシ基またはメタクロイルオキシ基を有する化合物である。多官能アクリレートのモノマーとしては、例えばエチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、テトラメチロールメタントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、ペンタグリセロールトリアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールトリ/テトラアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、グリセリントリアクリレート、ジペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、トリス(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート、テトラメチロールメタントリメタクリレート、テトラメチロールメタンテトラメタクリレート、ペンタグリセロールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、グリセリントリメタクリレート、ジペンタエリスリトールトリメタクリレート、ジペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールペンタメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、活性エネルギー線硬化型のイソシアヌレート誘導体等が好ましく挙げられる。
活性エネルギー線硬化型のイソシアヌレート誘導体としては、イソシアヌル酸骨格に1個以上のエチレン性不飽和基が結合した構造を有する化合物であればよく、特に制限はないが、同一分子内に3個以上のエチレン性不飽和基及び1個以上のイソシアヌレート環を有する化合物が好ましい。
これらの市販品としては、アデカオプトマーNシリーズ((株)ADEKA製);サンラッドH−601、RC−750、RC−700、RC−600、RC−500、RC−611、RC−612(三洋化成工業(株)製);SP−1509、SP−1507、アロニックスM−6100、M−8030、M−8060、アロニックスM−215、アロニックスM−315、アロニックスM−313、アロニックスM−327(東亞合成(株)製)、NK−エステルA−TMM−3L、NK−エステルAD−TMP、NK−エステルATM−35E、NK−エステルATM−4E、NKエステルA−DOG、NKエステルA−IBD−2E、A−9300、A−9300−1CL(新中村化学工業(株))、ライトアクリレートTMP−A、PE−3A(共栄社化学)などが挙げられる。
また、上記活性線硬化樹脂を単独または2種以上混合しても良い。また、活性線硬化型樹脂の25℃における粘度は、好ましくは20mPa・s以上、3000mPa・s以下である。このような低粘度の樹脂を用いることで、前述した突起形状が得られやすく、本発明の目的効果を好適に得られる。また、樹脂の粘度が20mPa・s以上の粘度であれば高官能数のモノマーを用いることができて、十分高い硬化性が得られ、3000mPa・s以下の粘度であれば、乾燥工程において活性線硬化型樹脂の十分な流動性が得られやすい。
また、単官能アクリレートを用いても良い。単官能アクリレートとしては、イソボロニルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、イソステアリルアクリレート、ベンジルアクリレート、エチルカルビトールアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、ラウリルアクリレート、イソオクチルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、ベヘニルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、シクロヘキシルアクリレートなどが挙げられる。このような単官能アクリレートは、日本化成工業株式会社、新中村化学工業株式会社、大阪有機化学工業株式会社等から入手できる。
上記活性線硬化樹脂の粘度は、B型粘度計を用いて25℃の条件にて測定した値である。
単官能アクリレートを用いる場合には、多官能アクリレートと単官能アクリレートの含有質量比で、多官能アクリレート:単官能アクリレート=70:30〜98:2で含有することが好ましい。
また、ハードコート層には活性線硬化樹脂の硬化促進のため、光重合開始剤を含有することが好ましい。光重合開始剤量としては、質量比で、光重合開始剤:活性線硬化樹脂=20:100〜0.01:100で含有することが好ましい。光重合開始剤としては、具体的には、具体的には、アルキルフェノン系、アセトフェノン、ベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、ミヒラーケトン、α−アミロキシムエステル、チオキサントン等および、これらの誘導体を挙げることができるが、特にこれらに限定されるものではない。
このような光重合開始剤は市販品を用いてもよく、例えば、例えば、BASFジャパン(株)製のイルガキュア184、イルガキュア907、イルガキュア651などが好ましい例示として挙げられる。
ハードコート層には、帯電防止性を付与するために導電剤が含まれていても良い。好ましい導電剤としては、π共役系導電性ポリマーが挙げられる。また、イオン液体も導電性化合物として好ましく用いられる。
ハードコート層には、塗布性の観点から、アクリル共重合物、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、アニオン界面活性剤、及びフッ素−シロキサングラフト化合物を含有させても良い。またハードコート層は HLB値が3〜18の化合物を含有しても良い。HLB値が3〜18の化合物について説明する。HLB値とは、Hydrophile−Lipophile−Balance、親水性−親油性−バランスのことであり、化合物の親水性又は親油性の大きさを示す値である。HLB値が小さいほど親油性が高く、値が大きいほど親水性が高くなる。また、HLB値は以下のような計算式によって求めることができる。
HLB=7+11.7Log(Mw/Mo)
式中、Mwは親水基の分子量、Moは親油基の分子量を表し、Mw+Mo=M(化合物の分子量)である。或いはグリフィン法によれば、HLB値=20×親水部の式量の総和/分子量(J.Soc.Cosmetic Chem.,5(1954),294)等が挙げられる。HLB値が3〜18の化合物の具体的化合物を下記に挙げるが、本発明はこれに限定されるものでない。( )内はHLB値を示す。花王株式会社製:エマルゲン102KG(6.3)、エマルゲン103(8.1)、エマルゲン104P(9.6)、エマルゲン105(9.7)、エマルゲン106(10.5)、エマルゲン108(12.1)、エマルゲン109P(13.6)、エマルゲン120(15.3)、エマルゲン123P(16.9)、エマルゲン147(16.3)、エマルゲン210P(10.7)、エマルゲン220(14.2)、エマルゲン306P(9.4)、エマルゲン320P(13.9)、エマルゲン404(8.8)、エマルゲン408(10.0)、エマルゲン409PV(12.0)、エマルゲン420(13.6)、エマルゲン430(16.2)、エマルゲン705(10.5)、エマルゲン707(12.1)、エマルゲン709(13.3)、エマルゲン1108(13.5)、エマルゲン1118S−70(16.4)、エマルゲン1135S−70(17.9)、エマルゲン2020G−HA(13.0)、エマルゲン2025G(15.7)、エマルゲンLS−106(12.5)、エマルゲンLS−110(13.4)、エマルゲンLS−114(14.0)、日信化学工業株式会社製:サーフィノール104E(4)、サーフィノール104H(4)、サーフィノール104A(4)、サーフィノール104BC(4)、サーフィノール104DPM(4)、サーフィノール104PA(4)、サーフィノール104PG−50(4)、サーフィノール104S(4)、サーフィノール420(4)、サーフィノール440(8)、サーフィノール465(13)、サーフィノール485(17)、サーフィノールSE(6)、信越化学工業株式会社製:X−22−4272(7)、X−22−6266(8)、KF−351(12)、KF−352(7)、KF−353(10)、KF−354L(16)、KF−355A(12)、KF−615A(10)、KF−945(4)、KF−618(11)、KF−6011(12)、KF−6015(4)、KF−6004(5)。シリコーン系界面活性剤としては、ポリエーテル変性シリコーンなどを挙げることができ、上記信越化学工業社製のKFシリーズなどを挙げることが出来る。アクリル共重合物としては、ビックケミー・ジャパン社製のBYK−350、BYK−352などの市販品化合物を挙げるこよが出来る。フッ素系界面活性剤としては、DIC株式会社製のメガファック RSシリーズ、メガファックF−444メガファックF−556などを挙げることが出来る。
フッ素−シロキサングラフト化合物とは、少なくともフッ素系樹脂に、シロキサン及び/またはオルガノシロキサン単体を含むポリシロキサン及び/またはオルガノポリシロキサンをグラフト化させて得られる共重合体の化合物をいう。このようなフッ素−シロキサングラフト化合物は、後述の実施例に記載されているような方法で調製することができる。あるいは、市販品としては、富士化成工業株式会社製のZX−022H、ZX−007C、ZX−049、ZX−047−D等を挙げることができる。またこれら成分は、塗布液中の固形分成分に対し、0.005質量%以上、5質量%以下の範囲で添加することが好ましい。また、ハードコート層は、前述した紫外線吸収剤を含有しても良い。紫外線吸収剤を含有する場合のフィルムの構成としては、ハードコート層が2層以上で構成され、かつ斜め延伸フィルムと接するハードコート層に紫外線吸収剤を含有することが好ましい。紫外線吸収剤の含有量としては、質量比で紫外線吸収剤:活性線硬化型樹脂=0.01:100〜10:100で含有することが好ましい。2層以上設ける場合、基材フィルムと接するハードコート層の膜厚は、0.05〜2μmの範囲であることが好ましい。2層以上の積層は同時重層で形成しても良い。同時重層とは、乾燥工程を経ずに基材上に2層以上のハードコート層をwet on wetで塗布して、ハードコート層を形成することである。第1ハードコート層の上に乾燥工程を経ずに、第2ハードコート層をwet on wetで積層するには、押し出しコーターにより逐次重層するか、若しくは複数のスリットを有するスロットダイにて同時重層を行えばよい。
ハードコート層は、上記したハードコート層を形成する成分を、溶剤で希釈してハードコート層組成物(以下、ハードコート層塗布組成物とも言う)として、このハードコート層組成物を、斜め延伸フィルム上に塗布、乾燥、硬化してハードコート層を設けることが好ましい。
溶剤としては、ケトン類(メチルエチルケトン、アセトン、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトンなど)、エステル類(酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸プロピル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなど)、アルコール類(エタノール、メタノール、ブタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ジアセトンアルコール)、炭化水素類(トルエン、キシレン、ベンゼン、シクロヘキサン)、グリコールエーテル類(プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテルなど)などを好ましく用いることが出来る。また、これら溶剤の中でもケトン類、エステル類、グリコールエーテル類或いはアルコール類が好ましく、より好ましくはグリコールエーテル類或いはアルコール類である。前記活性線硬化樹脂100質量部に対して、20〜200質量部の範囲で、これら好ましい溶剤を用いることで、ハードコート層塗布組成物を基材フィルムに塗布後、ハードコート層塗布組成物の溶剤が蒸発しながら、ハードコート層を形成していく過程で、樹脂の対流が生じやすく、その結果、ハードコート層で、不規則な表面粗れが発現しやすく、前記算術平均粗さRaを制御しやすいため好ましい。
ハードコート層の塗布量はウェット膜厚として0.1〜40μmが適当で、好ましくは、0.5〜30μmである。また、ドライ膜厚としては平均膜厚0.05〜20μm、好ましくは1〜10μmである。ハードコート層の塗布方法は、グラビアコーター、ディップコーター、リバースコーター、ワイヤーバーコーター、ダイコーター、インクジェット法等の公知の方法を用いることができる。これら塗布方法を用いてハードコート層を形成するハードコート層組成物を塗布し、塗布後、乾燥し、活性線を照射(UV硬化処理とも言う)し、更に必要に応じて、UV硬化後に加熱処理することで形成できる。UV硬化後の加熱処理温度としては80℃以上が好ましく、更に好ましくは100℃以上であり、特に好ましくは120℃以上である。このような高温でUV硬化後の加熱処理を行うことで、膜強度に優れたハードコート層を得ることができる。
乾燥は、減率乾燥区間の温度を90℃以上の高温処理で行うことが好ましい。更に好ましくは、減率乾燥区間の温度は90℃以上、160℃以下である。減率乾燥区間の温度を高温処理とすることで、ハードコート層の形成時に塗膜樹脂中で対流が生じるため、その結果、ハードコート層表面に不規則な表面粗れが発現しやすい。この結果、前記した算術平均粗さRaに制御しやすく、かつ本発明の目的効果が良好に得られるため好ましい。
一般に乾燥プロセスは、乾燥が始まると、乾燥速度が一定の状態から徐々に減少する状態へと変化していくことが知られており、乾燥速度が一定の区間を恒率乾燥区間、乾燥速度が減少していく区間を減率乾燥区間と呼ぶ。恒率乾燥区間においては流入する熱量はすべて塗膜表面の溶媒蒸発に費やされており、塗膜表面の溶媒が少なくなると蒸発面が表面から内部に移動して減率乾燥区間に入る。これ以降は塗膜表面の温度が上昇し熱風温度に近づいていくため、活性線硬化型樹脂組成物の温度が上昇し、樹脂粘度が低下して流動性が増すと考えられる。
UV硬化処理の光源としては、紫外線を発生する光源であれば制限なく使用できる。例えば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ等を用いることができる。
照射条件はそれぞれのランプによって異なるが、活性線の照射量は、通常50〜1000mJ/cm、好ましくは50〜500mJ/cmである。
活性線を照射する際には、フィルムの搬送方向に張力を付与しながら行うことが好ましく、更に好ましくは幅方向にも張力を付与しながら行うことである。付与する張力は30〜300N/mが好ましい。張力を付与する方法は特に限定されず、バックロール上で搬送方向に張力を付与してもよく、テンターにて幅方向、または2軸方向に張力を付与してもよい。これによって更に平面性の優れたフィルムを得ることができる。
<斜め延伸フィルム>
次に、本発明に係る斜め延伸フィルムについて説明する。
本発明に係る斜め延伸フィルムは、熱可塑性樹脂からなるフィルムを斜め延伸することによって、フィルムの長手方向に対して任意の角度に面内遅相軸が付与された延伸フィルムである。斜め延伸前のフィルムを本発明では、以降未延伸フィルムと呼称する。また、本発明に係る斜め延伸フィルムは長尺であることが好ましい。
ここで長尺とは、フィルムの幅に対し、少なくとも5倍程度以上の長さを有するものをいい、好ましくは10倍もしくはそれ以上の長さを有し、具体的にはロール状に巻かれて保管または運搬される程度の長さを有するもの(フィルムロール)である。長尺フィルムの製造方法は、フィルムを連続的に製造することにより、所望の任意の長さにフィルムを製造しうる。なお、延伸フィルムの製造方法は、製膜後一度巻芯に巻き取り、巻回体にしてから斜め延伸工程に供給するようにしてもよいし、製膜後フィルムを巻き取ることなく、製膜工程から連続して斜め延伸工程に供給してもよい。製膜工程と斜め延伸工程を連続して行うことは、延伸後の膜厚や光学値の結果をフィードバックして製膜条件を変更し、所望の延伸フィルムを得ることができるので好ましい。
斜め延伸フィルムの製造方法は、フィルムの延長方向に対して0°を超え90°未満の角度に遅相軸を有する延伸フィルムを製造する。ここで、フィルムの延長方向に対する角度とは、フィルム面内における角度である。遅相軸は、通常延伸方向又は延伸方向に直角な方向に発現するので、本発明の製造方法では、フィルムの延長方向に対して0°を超え90°未満の角度で延伸を行うことにより、かかる遅相軸を有する延伸フィルムを製造しうる。
フィルムの延長方向と遅相軸とがなす角度(配向角θ)は、0°を超え90°未満の範囲で、所望の角度に任意に設定することができるが、より好ましくは10°〜80°、更に好ましくは40°〜50°であり、具体例としては45°とすることができる。
前記未延伸フィルムは、公知の方法、例えば、溶液キャスト成形法、押出成形法、インフレーション成形法などによって得ることができる。これらのうち溶液キャスト成形法はフィルムの平面性、透明度に優れ、押出成形法は斜め延伸後の厚み方向のリターデーションRtを小さくすることが容易となり、残留揮発性成分量が少なくフィルムの寸法安定性にも優れるので好ましい。この未延伸フィルムは、単層若しくは2層以上の積層フィルムであってもよい。積層フィルムは共押出成形法、共流延成形法、フィルムラミネイション法、塗布法などの公知の方法で得ることができる。これらのうち共押出成形法、共流延成形法が好ましい。
延伸に供される長尺の未延伸フィルムの流れ方向の厚みムラσmは、後述する斜め延伸テンター入口でのフィルムの引取張力を一定に保ち、フィルム幅手方向のマルテンス硬さを均一化する観点から、0.30μm未満、好ましくは0.25μm未満、さらに好ましくは0.20μm未満である。
長尺の未延伸フィルムの流れ方向の厚みムラσmを上記範囲とするためには、押出成形法の場合は、特開2004−233604号公報に記載されているような、冷却ドラムに密着させる時の溶融状態の熱可塑性樹脂を安定な状態に保つ方法により達成可能である。具体的には、1)溶融押出法で未延伸フィルムを製造する際に、ダイスから押し出されたシート状の熱可塑性樹脂を50kPa以下の圧力下で冷却ドラムに密着させて引き取る方法;2)溶融押出法で未延伸フィルムを製造する際に、ダイス開口部から最初に密着する冷却ドラムまでを囲い部材で覆い、囲い部材からダイス開口部又は最初に密着する冷却ドラムまでの距離を100mm以下とする方法;3)溶融押出法で未延伸フィルムを製造する際に、ダイス開口部から押し出されたシート状の熱可塑性樹脂より10mm以内の雰囲気の温度を特定の温度に加温する方法;関係を満たすようにダイスから押し出されたシート状の熱可塑性樹脂を50kPa以下の圧力下で冷却ドラムに密着させて引き取る方法;4)溶融押出法で未延伸フィルムを製造する際に、ダイス開口部から押し出されたシート状の熱可塑性樹脂に、最初に密着する冷却ドラムの引取速度との速度差が0.2m/s以下の風を吹き付ける方法;が挙げられる。
また、未延伸フィルムとして、幅手方向の厚み勾配を有するフィルムが供給されてもよい。延伸が完了した位置におけるフィルム厚みを最も均一なものとしうるような未延伸フィルムの厚みの勾配は、実験的に厚み勾配を様々に変化させたフィルムを延伸することにより、経験的に求めることができる。未延伸フィルムの厚みの勾配は、例えば、厚みの厚い側の端部の厚みが、厚みの薄い側の端部よりも0.5〜3%程度厚くなるように調整することができる。
未延伸フィルムの幅は、特に限定されないが、500〜4000mm、好ましくは1000〜2000mmとすることができる。また、フィルムの総厚さは、特に限定されないが、20〜400μm、好ましくは20〜200μmの範囲内であることが好ましい。
未延伸フィルムの斜め延伸時の延伸温度での好ましい弾性率は、ヤング率で表して、0.01MPa以上5000MPa以下、更に好ましくは0.1MPa以上500MPa以下である。弾性率が低すぎると延伸時・延伸後の収縮率が低くなり、シワが消えにくくなり、また高すぎると延伸時にかかる張力が大きくなり、フィルムの両側縁部を保持する部分の強度を高くする必要が生じ、テンターに対する負荷が大きくなる。
<斜め延伸テンターによる延伸>
未延伸フィルムに配向を付与するためには、斜め延伸装置(斜め延伸テンター)を用いる。斜め延伸テンターはレールパターンを多様に変化させることにより、フィルムの配向角を自在に設定でき、さらに、フィルムの配向軸をフィルム幅手方向に渡って左右均等に高精度に配向させることができ、かつ、高精度でフィルム厚みやリターデーションを制御できるフィルム延伸装置であることが好ましい。
図3は、本発明の斜め延伸フィルムの製造方法に用いられる斜め延伸可能なテンターの模式図である。但し、これは一例であって本発明はこれに限定されるものではない。
テンター入り口側のガイドロール8−1によって方向を制御された未延伸フィルム1は、右側のフィルム保持開始点2−1、左側のフィルム保持開始点2−2の位置で把持具(クリップつかみ部ともいう)によって担持され、テンター4にて右側のフィルム保持手段の軌跡3−1、左側のフィルム保持手段の軌跡3−2で示される斜め方向に搬送、延伸され、右側のフィルム保持終了点5−1、左側のフィルム保持終了点5−2によって把持を解放され、テンター出口側のガイドロール8−2によって搬送を制御されて斜め延伸フィルム6が形成される。図中、未延伸フィルムは、フィルムの送り方向7−1に対して、フィルムの延伸方向9の角度(配向角θ)で斜め延伸される。
斜め延伸テンターの入口部に最も近いガイドロール8−1の主軸位置と斜め延伸テンターの入り口部の把持具との距離X1、X2は、20〜100cmであることが好ましく、該距離を保つことによってフィルムをつかむ際にフィルムの平面を保ち、長手方向の配向角θやリターデーションといった光学特性を安定させることができる。好ましくは20〜60cm、さらに好ましくは20〜40cmである。ここで、X1は、ガイドロール8−1の主軸位置と右側のフィルム保持開始点2−1にある把持具(クリップつかみ部)の距離であり、X2は、ガイドロール8−1の主軸位置と左側のフィルム保持開始点2−2にある把持具(クリップつかみ部)の距離である。
X1,X2はX1=X2でも、X1≠X2でもどちらでもよいが、好ましくはX1=X2である。本発明では、X1、X2は共に上記20〜100cmの範囲内にあることが好ましい。
斜め延伸テンターの入口部に最も近いガイドロール8−1の主軸位置と斜め延伸テンターの入り口部の把持具との距離が100cm以内であると、斜め延伸フィルムのマルテンス硬さの均一性が向上する。
斜め延伸テンターの入口部に最も近いガイドロール8−1の主軸位置と斜め延伸テンターの把持具との距離を上記範囲とするためには、ガイドロール及びクリップつかみ部を位置調整が可能な機構とすること、把持具の搬送方向の長さを1〜5インチ(1インチは2.54cm)とすること、斜め延伸テンターの入口部に最も近いガイドロール8−1の直径を1〜20cmとすること、斜め延伸テンターの入口部近傍に更にロールを設置可能な機構とすること、等が挙げられる。
本発明の斜め延伸フィルムの製造は、上記斜め延伸可能なテンターを用いて行うことが好ましいが、このテンターは、長尺フィルムを、オーブンによる加熱環境下で、その進行方向(フィルム幅方向の中点の移動方向)に対して斜め方向に拡幅する装置である。このテンターは、オーブンと、フィルムを搬送するための把持具が走行する左右で一対のレールと、該レール上を走行する多数の把持具とを備えている。フィルムロールから繰り出され、テンターの入口部に順次供給されるフィルムの両端を、把持具で把持し、オーブン内にフィルムを導き、テンターの出口部で把持具からフィルムを開放する。把持具から開放されたフィルムは巻芯に巻き取られる。一対のレールは、それぞれ無端状の連続軌道を有し、テンターの出口部でフィルムの把持を開放した把持具は、外側を走行して順次入口部に戻されるようになっている。
なお、テンターのレール形状は、製造すべき延伸フィルムに与える配向角θ、延伸倍率等に応じて、左右で非対称な形状となっており、手動で又は自動で微調整できるようになっている。本発明においては、長尺の熱可塑性樹脂フィルムを延伸し、配向角θが延伸後の巻取り方向に対して、好ましくは10°〜80°の範囲内で任意の角度に設定できるようになっている。本発明において、テンターの把持具は、前後の把持具と一定間隔を保って、一定速度で走行するようになっている。
把持具の走行速度は適宜選択できるが、通常、10〜100m/分である。左右一対の把持具の走行速度の差は、走行速度の通常1%以下、好ましくは0.5%以下、より好ましくは0.1%以下である。これは、延伸工程出口でフィルムの左右に進行速度差があると、延伸工程出口におけるシワ、寄りが発生するため、左右の把持具の速度差は、実質的に同速度であることが求められるためである。一般的なテンター装置等では、チェーンを駆動するスプロケットの歯の周期、駆動モータの周波数等に応じ、秒以下のオーダーで発生する速度ムラがあり、しばしば数%のムラを生ずるが、これらは本発明で述べる速度差には該当しない。
また、斜め延伸テンターでは、各レール部及びレール連結部の位置を自由に設定できることが好ましく、したがって、任意の入り口幅及び出口幅を設定すると、これに応じた延伸倍率にすることができる。(下記、図4の○部は連結部の一例である。)
本発明に用いられる斜め延伸テンターにおいて、把持具の軌跡を規制するレールには、しばしば大きい屈曲率が求められる。急激な屈曲による把持具同士の干渉、あるいは局所的な応力集中を避ける目的から、屈曲部では把持具の軌跡が円弧を描くようにすることが望ましい。
図4は、テンターのレールの軌道(レールパターン)を示している。未延伸フィルムのテンター入口での進行方向DR1は、延伸後のフィルムのテンター出側での進行方向DR2と異なっており、これにより、比較的大きな配向角θをもつ延伸フィルムにおいても広幅で均一な光学特性を得ることが可能となっている。繰出し角度θiは、テンター入口での進行方向D1と延伸後のフィルムのテンター出側での進行方向DR2とのなす角度である。本発明においては、上述のように好ましくは10°〜80°の配向角θを持つフィルムを製造するため、繰出し角度θiは、10°<θi<60°、好ましくは15°<θi<50°で設定される。繰出し角度θiを前記範囲とすることにより、得られるフィルムの幅手方向の光学特性のバラツキが良好となる(小さくなる)。
長尺フィルムは、テンター入口(符号aの位置)において、その両端(両側)を左右の把持具によって順次把持されて、把持具の走行に伴い走行される。テンター入口(符号aの位置)で、フィルム進行方向(DR1)に対して略垂直な方向に相対している左右の把持具CL,CRは、左右非対称なレール上を走行し、予熱ゾーン、延伸ゾーン、冷却ゾーンを有するオーブンを通過する。ここで、略垂直とは、前述の向かい合う把持具CL,CR同士を結んだ直線とフィルム繰出し方向DR1とがなす角度が、90±1°以内にあることを示す。
斜め延伸フィルムの延伸後のフィルムにおいて、延伸ゾーンにおける斜め延伸時のフィルム温度が幅手方向に勾配を持つように調整する方法や、予熱ゾーンにおける予熱温度または延伸ゾーンにおける保持温度が幅手方向に勾配を持つように調整する方法をとることがフィルムの弾性率を制御しやすい点で、好ましい。
予熱ゾーンとは、オーブン入口部において、両端を把持した把持具の間隔が一定の間隔を保ったまま走行する区間をさす。延伸ゾーンとは、両端を把持した把持具の間隔が開きだし、再び一定となるまでの区間をさす。また、冷却ゾーンとは、延伸ゾーンより後の把持具の間隔が再び一定となる期間において、ゾーン内の温度がフィルムを構成する熱可塑性樹脂のガラス転移温度Tg℃以下に設定される区間をさす。
各ゾーンの温度は、熱可塑性樹脂のガラス転移温度Tgに対し、予熱ゾーンの温度はTg〜Tg+30℃、延伸ゾーンの温度はTg〜Tg+30℃、冷却ゾーンの温度はTg−30〜Tg℃に設定することが好ましい。
なお、フィルム温度が幅手方向に勾配を持つようにするには、予熱ゾーン、または延伸ゾーンにおいて温風を恒温室内に送り込むノズルの開度を幅手方向で差を付けるように調整する方法や、ヒーターを幅手方向に並べて加熱制御するなどの公知の手法を用いることができる。
延伸ゾーンにおける斜め延伸時のフィルム温度の幅手方向への勾配は、好ましくは0.5℃〜10.0℃、より好ましくは1.0℃〜5.0℃、最も好ましくは1.5℃〜3.0である。0.5℃より小さい場合は、温度勾配の効果が小さく、フィルム幅手方向のマルテンス硬さを均一にする効果が得られず、10.0℃より大きい場合はフィルム幅手方向に均一なRoが得られない。
予熱ゾーンにおける予熱温度または延伸ゾーンにおける保持温度の幅手方向への勾配は、好ましくは0.5℃〜10.0℃、より好ましくは1.0℃〜5.0℃、最も好ましくは1.5℃〜3.0である。0.5℃より小さい場合は、温度勾配の効果が小さく、フィルム幅手方向のマルテンス硬さを均一にする効果が得られず、10.0℃より大きい場合はフィルム幅手方向に均一なRoが得られない。
また、マルテンス硬さを均一にする効果を得るには、本発明に係る斜め延伸をする前に別の延伸(例えば幅手方向)を行う場合、フィルム残留溶媒を幅手方向へ勾配を持つように調整する方法や、延伸温度を幅手方向へ勾配を持つように調整する方法を採用することが好ましい。
上記フィルム残留溶媒の幅手方向への勾配は、好ましくは0.5〜20.0質量%、より好ましくは2.0〜15.0質量%、最も好ましくは4.0〜12質量%の範囲の差を設けることである。0.5質量%より小さい場合は、残量溶媒の勾配の効果が小さく、フィルム幅手方向のマルテンス硬さを均一にする効果が得られず、20.0質量%より大きい場合はフィルム幅手方向に均一なRoが得られない。
また、上記延伸温度の幅手方向への勾配は、好ましくは0.5℃〜10.0℃、より好ましくは1.0℃〜5.0℃、最も好ましくは1.5℃〜3.0の範囲の差を設けることである。上記0.5℃〜10℃の範囲では、温度勾配の効果が発現し、フィルム幅手方向のマルテンス硬さを均一にしたり、フィルム幅手方向に均一なRoが得られ好ましい。
上記残留溶媒量は下記式で定義される。
残留溶媒量(質量%)={(M−N)/N}×100
なお、Mはウェブ又はフィルムの延伸前の時点で採取した試料の質量で、NはMを115℃で1時間の加熱後の質量である。
予熱ゾーン、延伸ゾーン及び冷却ゾーンの長さは適宜選択でき、延伸ゾーンの長さに対して、予熱ゾーンの長さが通常100〜150%、固定ゾーンの長さが通常50〜100%である。
さらに、前記延伸フィルムのシワ、寄りの発生を解決するために、延伸時にフィルムの支持性を保ち、揮発分率が5体積%以上の状態を存在させて延伸した後、収縮させながら揮発分率を低下させることも好ましい。フィルムの支持性を保つとは、フィルムの膜性を損なうことなく両側縁を把持することを意味する。揮発分率については、延伸操作工程において常に5体積%以上の状態を維持していてもよいし、延伸操作工程の一部の区間に限って揮発分率が5体積%以上の状態を維持してもよい。後者の場合、入り口位置を起算点として全延伸区間の50%以上の区間、揮発分率が12体積%以上の状態となっていることが好ましい。いずれにせよ、延伸前に揮発分率が12体積%以上の状態を存在させておくことが好ましい。ここで、揮発分率(単位;体積%)とは、フィルムの単位体積あたりに含まれる揮発成分の体積を表し、揮発成分体積をフィルム体積で除した値とする。
延伸工程における延伸倍率R(W/W0)は、好ましくは1.3〜3.0、より好ましくは1.5〜2.5である。延伸倍率がこの範囲にあると幅手方向厚みムラが小さくなるので好ましい。斜め延伸テンターの延伸ゾーンにおいて、幅手方向で延伸温度に差を付けると幅手方向厚みムラをさらに良好なレベルにすることが可能になる。なお、W0は延伸前のフィルムの幅、Wは延伸後のフィルムの幅をあらわす。
テンターの入口に最も近いガイドロールは、フィルムの走行を案内する従動ロールであり、不図示の軸受部を介してそれぞれ回転自在に軸支されている。ロールの材質は公知のものを用いることが可能であるが、フィルムの傷つきを防止するためにセラミックコートを施したり、アルミニウム等の軽金属にクロームメッキを施す等、軽量化を図るのが好適である。このロールは、フィルムの走行時の軌道を安定させるために設けられるものである。
また、このロールの上流側のロールのうちの1本は、ゴムロールを圧接させてニップすることが好ましい。このようなニップロールにすることで、フィルムの流れ方向における繰出張力の変動を抑えることが可能だからである。
テンターの入口に最も近いガイドロールの両端(左右)の一対の軸受部には、当該ロールにおいてフィルムに生じている張力を検出するための第1張力検出装置、第2フィルム張力検出装置がそれぞれ設けられている。フィルム張力検出装置としては、例えばロードセルを用いることができる。ロードセルとしては、引張または圧縮型の公知のものを用いることができる。ロードセルは、着力点に作用する荷重を起歪体に取り付けられた歪ゲージにより電気信号に変換して検出する装置である。
ロードセルは斜め延伸テンターの入口に最も近いガイドロールの左右の軸受部に設置されることにより、走行中のフィルムがロールに及ぼす力、即ちフィルムの両側縁近傍に生じているフィルム進行方向における張力を左右独立に検出するものである。なお、ロールの軸受部を構成する支持体に歪ゲージを直接取り付けて、該支持体に生じる歪に基づいて荷重、即ちフィルム張力を検出するようにしてもよい。発生する歪とフィルム張力との関係は、予め計測され、既知であるものとする。
上述したようなフィルム張力検出装置を設けて、斜め延伸テンターの入口に最も近いガイドロールにおけるフィルムの両側縁近傍の張力を検出するようにしたのは、フィルムの位置及び方向が、フィルム延伸装置の入口部の位置及び方向に対してズレが生じている場合、このズレ量に応じて、斜め延伸テンターの入口に最も近いガイドロールにおけるフィルムの両側縁近傍の張力に差を生じることになるため、この張力差を検出することによって、当該ズレの程度を判別するためである。フィルムの位置及び方向が、フィルム延伸装置の入口部の位置及び方向との関係で適正であれば、ロールに作用する荷重は左右で粗均等になり、互いの位置がズレていれば左右のフィルム張力に差が生じるのである。
従って、斜め延伸テンターの入口に最も近いガイドロールにおける左右のフィルム張力差が等しくなるように、フィルムの位置及び角度を、適切に調整すれば、フィルム延伸装置の入口部における把持具による把持が安定し、把持具外れ等の障害の発生を少なくでき、更に、フィルム延伸装置による斜め延伸後のフィルムの幅手方向における物性を安定させることができる。
配向角の微調整や製品バリエーションに対応するために斜め延伸テンター入口でのフィルム進行方向と斜め延伸テンター出口でのフィルム進行方向とがなす角度の調整が必要となる。その際、製膜および斜め延伸を連続して行うことが、生産性や収率の点で好ましい。製膜工程、斜め延伸工程、巻取工程を連続して行う場合、製膜工程と巻取工程でのフィルムの進行方向が一致していることが、工程の幅を小さくできる点で好ましい。そのような工程とするには、製膜したフィルムを斜め延伸テンター入口に導くためにフィルムの搬送方向を変更する、及び/または斜め延伸テンター出口から出たフィルムを巻取装置方向に戻すためにフィルムの搬送方向を変更する方法が必要となる。フィルムの搬送方向を変更する装置としては、エアーフローロールなどを用いるなど公知の方法を実施することができる。斜め延伸テンター出口以降の装置(ワインダー装置、アキューム装置、ドライブ装置など)は横方向にスライドできる構造が好ましい。
上記種々の斜め延伸の製造パターンについて、図5、図6に示した。
図中、フィルム繰り出し装置10、搬送方向変更装置11、巻き取り装置12、製膜装置13を各々示した。
フィルム繰り出し装置10、は、斜め延伸テンター入口に対して所定角度で前記フィルムを送り出せるように、スライドおよび旋回可能となっているか、フィルム繰り出し装置10はスライド可能となっており、搬送方向変更装置11により斜め延伸テンター入口に前記フィルムを送り出せるようになっていることが好ましい。前記フィルム繰り出し装置、搬送方向変更装置をこのような構成とすることにより、より製造装置全体の幅を狭くすることが可能となるほか、フィルムの送り出し位置および角度を細かく制御することが可能となり、膜厚、光学値のバラツキが小さく、かつフィルムの弾性率の均一性に優れた斜め延伸フィルムを得ることが可能となる。また、前記フィルム繰り出し装置、搬送方向変更装置を移動可能とすることにより、前記左右のクリップのフィルムへの噛込み不良を有効に防止することができる。
巻き取り装置12は、斜め延伸テンター出口に対して所定角度でフィルムを引き取れるように形成することにより、フィルムの引き取り位置および角度を細かく制御することが可能となり、膜厚、光学値のバラツキが小さく、かつフィルムの弾性率の均一性に優れた斜め延伸フィルムを得ることが可能となる。そのため、フィルムのシワの発生を有効に防止することができるとともに、フィルムの巻き取り性が向上するため、フィルムを長尺で巻き取ることが可能となる。延伸後のフィルムの引取り張力T(N/m)は、100N/m<T<300N/m、好ましくは150N/m<T<250N/mの間で調整する必要がある。
前記引取張力が100N/m以下ではフィルムのたるみや皺が発生しやすく、リターデーション、配向軸の幅手方向のプロファイルが劣化する。逆に引取張力が300N/m以上となると幅手方向の配向角のバラツキが悪化し、幅収率(幅方向の取り効率)を悪化させてしまう。
上記引取張力Tの変動を±5%未満、好ましくは±3%未満の精度で制御する必要がある。上記引取張力Tの変動が±5%以上であると、幅手方向及び流れ方向の光学特性のバラツキ、フィルムの弾性率の不均一性が大きくなる。上記引取張力Tの変動を上記範囲内に制御する方法としては、テンター出口部の最初のロールにかかる荷重、すなわちフィルムの張力を測定し、その値を一定とするように、一般的なPID制御方式により引取ロールの回転速度を制御する方法が挙げられる。前記荷重を測定する方法としては、ロールの軸受部にロードセルを取り付け、ロールに加わる荷重、すなわちフィルムの張力を測定する方法が挙げられる。ロードセルとしては、引張型や圧縮型の公知のものを用いることができる。
延伸後のフィルムは、把持具による把持が開放され、テンター出口から排出され、フィルムの両端(両側)がトリミングされた後に、順次巻芯(巻取りロール)に巻き取られて、延伸フィルムの巻回体にすることができる。
また、必要に応じて、巻取ロールに巻き取る前に、テンターの把持具で把持されていたフィルムの両端をトリミングしてもよい。また、巻き取る前に、フィルム同士のブロッキングを防止する目的で、マスキングフィルムを重ねて同時に巻き取ってもよいし、延伸フィルムの少なくとも一方、好ましくは両方の端にテープ等を張り合わせながら巻き取ってもよい。マスキングフィルムとしては、上記フィルムを保護することができるものであれば特に制限されず、例えばポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルムなどがあげられる。
本発明に係る斜め延伸フィルムは、配向角θが巻取り方向に対して、例えば10°〜80°の範囲に傾斜しており、少なくとも1300mmの幅において、幅手方向の、面内リターデーションRoのバラツキが4nm以下、配向角θのバラツキが1.0°以下であることが好ましい。
本発明に係る斜め延伸フィルムの面内リターデーションRoのバラツキは、幅手方向の少なくとも1300mmにおいて、4nm以下、好ましくは3nm以下である。面内リターデーションRoのバラツキを、上記範囲にすることにより、液晶表示装置用の位相差フィルムとして用いた場合に表示品質を良好なものにすることが可能になる。
本発明に係る斜め延伸フィルムの配向角θのバラツキは、幅手方向の少なくとも1300mmにおいて、1.0°以下、好ましくは0.80°以下である。配向角θのバラツキが1.0°を超える延伸フィルムを偏光板と貼り合せて円偏光板を得、これを液晶表示装置に据え付けると、光漏れが生じ、コントラストを低下させることがある。
本発明に係る斜め延伸フィルムの面内リターデーションRoは、用いられる表示装置の設計によって最適値が選択される。なお、前記Roは、面内遅相軸方向の屈折率nxと面内で前記遅相軸に直交する方向の屈折率nyとの差にフィルムの平均厚みdを乗算した値(Ro=(nx−ny)×d)である。
本発明に係る斜め延伸フィルムの平均厚みは、機械的強度などの観点から、好ましくは20〜80μm、さらに好ましくは30〜60μm、特に好ましくは30〜40μmである。
また、幅手方向の厚みムラは、フィルム弾性率の均一性や巻取りの可否に影響を与えるため、3μm以下であることが好ましく、2μm以下であることがより好ましい。
<フィルム原料>
フィルムの原料としては、主として熱可塑性樹脂が用いられる。ここで、「熱可塑性樹脂」とは、ガラス転移温度又は融点まで加熱することによって軟らかくなり、目的の形に成形できる樹脂のことをいう。一般的な光学フィルム用樹脂としてのポリカーボネート、ポリエステル、ポリエーテルスルホン、ポリアリレート、ポリイミド、ポリオレフィン等を用いることができる。また、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、ポリメチルメタクリレート、ポリスルホン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、脂環式ポリオレフィン樹脂、アクリル系ポリマー、ラクトン環を有するアクリル系重合体ポリマー、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、セルロースアセテートプロピオネートなどのセルロースエステル等を用いてもよい。特にセルロースジアセテート、セルローストリアセテート、セルロースアセテートプロピオネート等のセルロースエステル、セルロースエステル樹脂とアクリル系重合体の混合物がハードコート層で上記した突形状が得られやすい事、製造性、コスト面から好ましい。これらの原料は単独で用いても良いし、異なる熱可塑性樹脂を混合して用いてもよい。
また、フィルムをコア層とスキン層を重ねる積層型のフィルムにして、その各々の層に異なった熱可塑性樹脂を用いることも好ましい。
透明樹脂は、顔料や染料のごとき着色剤、蛍光増白剤、分散剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、酸化防止剤、滑剤、溶剤などの配合剤が適宜配合されたものであってもよい。
なお、フィルムは、単層フィルムであっても、多層フィルムであってもよい。
フィルムとしては、主として未延伸フィルムが用いられるが、既に縦延伸、横延伸、斜め延伸のいずれかを単独で、あるいは複数回実施したフィルムであっても構わない。
<セルロースエステル>
斜め延伸フィルムは、種々の樹脂基材を用いて作製することができるが、セルロースエステルを含有することが、光学フィルムの耐久性が向上し、本発明の目的効果がより良好に発揮される点から好ましい(以下、本発明に係る斜め延伸フィルムをセルロースエステルフィルムという場合がある。)。セルロースエステルは、セルロース(ジ、トリ)アセテート、セルロースプロピオネート、セルロースブチレート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートフタレート、及びセルロースフタレートから選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
これらの中で特に好ましいセルロースエステルは、セルローストリアセテート、セルロースジアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースブチレート、セルロースアセテートプロピオネートやセルロースアセテートブチレートが挙げられる。
混合脂肪酸エステルの置換度として、炭素原子数2〜4のアシル基を置換基として有している場合、アセチル基の置換度をXとし、プロピオニル基又はブチリル基の置換度をYとした時、下記式(I)及び(II)を同時に満たすセルロースエステルであることが好ましい。
式(I) 2.0≦X+Y≦3.0
式(II) 0≦X≦2.5
なお、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基等のアシル基の置換度の測定方法はASTM−D817−96の規定に準じて測定することができる。
さらに、セルロースエステルは、重量平均分子量Mw/数平均分子量Mn比が1.5〜5.5のものが好ましく用いられ、特に好ましくは2.0〜5.0であり、さらに好ましくは2.5〜5.0であり、さらに好ましくは3.0〜5.0のセルロースエステルが好ましく用いられる。
セルロースエステルの平均分子量及び分子量分布は、高速液体クロマトグラフィーを用いて公知の方法で測定することが出来る。これを用いて数平均分子量、重量平均分子量を算出する。
測定条件は以下の通りである。
溶媒:メチレンクロライド
カラム:Shodex K806、K805、K803G(昭和電工(株)製を3本接続して使用した)
カラム温度:25℃
試料濃度:0.1質量%
検出器:RI Model 504(GLサイエンス社製)
ポンプ:L6000(日立製作所(株)製)
流量:1.0ml/min
校正曲線:標準ポリスチレンSTK standard ポリスチレン(東ソー(株)製)Mw=1000000〜500迄の13サンプルによる校正曲線を使用した。13サンプルは、ほぼ等間隔に用いることが好ましい。
本発明で用いられるセルロースエステルの原料セルロースは、木材パルプでも綿花リンターでもよく、木材パルプは針葉樹でも広葉樹でもよいが、針葉樹の方がより好ましい。製膜の際の剥離性の点からは綿花リンターが好ましく用いられる。これらから作られたセルロースエステルは適宜混合して、或いは単独で使用することができる。
例えば、綿花リンター由来セルロースエステル:木材パルプ(針葉樹)由来セルロースエステル:木材パルプ(広葉樹)由来セルロースエステルの比率が100:0:0、90:10:0、85:15:0、50:50:0、20:80:0、10:90:0、0:100:0、0:0:100、80:10:10、85:0:15、40:30:30で用いることができる。
本発明において、セルロースエステルは、20mlの純水(電気伝導度0.1μS/cm以下、pH6.8)に1g投入し、25℃、1hr、窒素雰囲気下にて攪拌した時のpHが6〜7、電気伝導度が1〜100μS/cmであることが好ましい。
なお、本発明の斜め延伸フィルムには、セルロースアセテート以外の熱可塑性樹脂を併用しても良い。
熱可塑性樹脂としては、一般的汎用樹脂としては、ポリエチレン(PE)、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン(PS)、ポリ酢酸ビニル(PVAc)、テフロン(登録商標)(ポリテトラフルオロエチレン、PTFE)、ABS樹脂(アクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂)、AS樹脂、アクリル樹脂(PMMA)等を用いることができる。
また、強度や壊れにくさを特に要求される場合、ポリアミド(PA)、ナイロン、ポリアセタール(POM)、ポリカーボネート(PC)、変性ポリフェニレンエーテル(m−PPE、変性PPE、PPO)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、グラスファイバー強化ポリエチレンテレフタレート(GF−PET)、環状ポリオレフィン(COP)等を用いることができる。
さらに、高い熱変形温度と長期使用できる特性を要求される場合は、ポリフェニレンスルファイド(PPS)、ポリテトラフロロエチレン(PTFE)、ポリスルホン、ポリエーテルサルフォン、非晶ポリアリレート、液晶ポリマー、ポリエーテルエーテルケトン、熱可塑性ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)等を用いることができる。なお、用途にそって樹脂の種類、分子量の組み合わせを行うことが可能である。
また、工業的にはセルロースエステルは硫酸を触媒として合成されているが、この硫酸は完全には除去されておらず、残留する硫酸が溶融製膜時に各種の分解反応を引き起こし、得られるセルロースエステルフィルムの品質に影響を与えるため、本発明に用いられるセルロースエステル中の残留硫酸含有量は、硫黄元素換算で0.1〜40ppmの範囲であることが好ましい。これらは塩の形で含有していると考えられる。残留硫酸含有量が40ppmを超えると熱溶融時のダイリップ部の付着物が増加するため好ましくない。また、熱延伸時や熱延伸後でのスリッティングの際に破断しやすくなるため好ましくない。少ない方が好ましいが、0.1未満とするにはセルロースエステルの洗浄工程の負担が大きくなり過ぎるため好ましくないだけでなく、逆に破断しやすくなることがあり好ましくない。これは洗浄回数が増えることが樹脂に影響を与えているのかもしれないがよく分かっていない。更に0.1〜30ppmの範囲が好ましい。残留硫酸含有量は、同様にASTM−D817−96により測定することができる。
また、その他(酢酸等)の残留酸を含めたトータル残留酸量は1000ppm以下が好ましく、500ppm以下が更に好ましく、100ppm以下がより好ましい。
セルロースエステルの洗浄は、水に加えて、メタノール、エタノールのような貧溶媒、或いは結果として貧溶媒であれば貧溶媒と良溶媒の混合溶媒を用いることができ、残留酸以外の無機物、低分子の有機不純物を除去することができる。
また、セルロースエステルの耐熱性、機械物性、光学物性等を向上させるため、セルロースエステルの良溶媒に溶解後、貧溶媒中に再沈殿させ、セルロースエステルの低分子量成分、その他不純物を除去することができる。更に、セルロースエステルの再沈殿処理の後、別のポリマー或いは低分子化合物を添加してもよい。
また、セルロースエステルはフィルムにした時の輝点異物が少ないものであることが好ましい。輝点異物とは、二枚の偏光板を直交に配置し(クロスニコル)、この間にセルロースエステルフィルムを配置して、一方の面から光源の光を当てて、もう一方の面からセルロースエステルフィルムを観察した時に、光源の光が漏れて見える点のことである。このとき評価に用いる偏光板は輝点異物がない保護フィルムで構成されたものであることが望ましく、偏光子の保護にガラス板を使用したものが好ましく用いられる。輝点異物はセルロースエステルに含まれる未酢化もしくは低酢化度のセルロースがその原因の1つと考えられ、輝点異物の少ないセルロースエステルを用いることと、溶融したセルロースエステルもしくはセルロースエステル溶液を濾過すること、或いはセルロースエステルの合成後期の過程や沈殿物を得る過程の少なくともいずれかにおいて、一度溶液状態として同様に濾過工程を経由して輝点異物を除去することもできる。溶融樹脂は粘度が高いため、後者の方法のほうが効率がよい。
本発明の斜め延伸フィルムは後述するセルロースエステル以外の高分子成分を適宜混合したものでもよい。混合される高分子成分はセルロースエステルと相溶性に優れるものが好ましく、フィルムにした時の透過率が80%以上、更に好ましくは90%以上、更に好ましくは92%以上であることが好ましい。
<セルロースエステルと共に用いられる添加剤>
セルロースエステルドープ中に添加される添加剤としては、可塑剤、紫外線吸収剤、リターデーション調整剤、酸化防止剤、劣化防止剤、剥離助剤、界面活性剤、染料、微粒子等がある。本発明において、微粒子以外の添加剤についてはセルロースエステル溶液の調製の際に添加してもよいし、微粒子分散液の調製の際に添加してもよい。液晶画像表示装置に使用する偏光板には耐熱耐湿性を付与する可塑剤、酸化防止剤や紫外線吸収剤等を添加することが好ましい。以下に添加剤を説明する。
(一般式A(1)で表される化合物)
本発明に好ましく用いられる下記一般式A(1)で表される化合物、及び参考化合物を、以下に記載するが本発明はこれらに限定されない。一般式A(1)で表される化合物を糖エステル化合物という場合がある。
一般式A(1)中、R〜Rは、各々独立に、置換又は無置換のアルキルカルボニル基、若しくは、置換又は無置換のアリールカルボニル基を表し、R〜Rは相互に同じであっても、異なっていてもよい。なお、下表中に記載のRは、R〜Rのうちのいずれかを表す。アルキルカルボニル基及びアリールカルボニル基の置換基としては、下表に示すアルキルカルボニル基及びアリールカルボニル基が有するフェニル基、アルコキシ基等の置換基が好ましい。
撹拌装置、還流冷却器、温度計及び窒素ガス導入管を備えた四頭コルベンに、ショ糖34.2g(0.1モル)、無水安息香酸180.8g(0.8モル)、ピリジン379.7g(4.8モル)を仕込み、撹拌下に窒素ガス導入管から窒素ガスをバブリングさせながら昇温し、70℃で5時間エステル化反応を行った。次に、コルベン内を4×10Pa以下に減圧し、60℃で過剰のピリジンを留去した後に、コルベン内を1.3×10Pa以下に減圧し、120℃まで昇温させ、無水安息香酸、生成した安息香酸の大部分を留去した。そして、次にトルエン1L、0.5質量%の炭酸ナトリウム水溶液300gを添加し、50℃で30分間撹拌後、静置して、トルエン層を分取した。最後に、分取したトルエン層に水100gを添加し、常温で30分間水洗後、トルエン層を分取し、減圧下(4×10Pa以下)、60℃でトルエンを留去させ、化合物A−1、A−2、A−3、A−4及びA−5の混合物を得た。得られた混合物をHPLC及びLC−MASSで解析したところ、A−1が7質量%、A−2が58質量%、A−3が23質量%、A−4が9質量%、A−5が3質量%であった。なお、得られた混合物の一部をシリカゲルを用いたカラムクロマトグラフィーにより精製することで、それぞれ純度100%のA−1、A−2、A−3、A−4及びA−5を得た。
本発明に係るセルロースエステルフィルムに添加される、一般式A(1)で表される化合物の総平均置換度は6.1〜6.9であることが好ましいが、当該置換度の範囲は4.0〜8.0であることが好ましい。置換度分布は、エステル化反応時間の調節、又は置換度違いの化合物を混合することにより目的の置換度に調整してもよい。
(可塑剤)
セルロースエステルフィルムには、所謂可塑剤として知られる化合物を、機械的性質向上、柔軟性を付与、耐吸水性付与、水蒸気透過率低減、リターデーション調整等の目的で添加することが好ましく、例えばリン酸エステルやカルボン酸エステルが好ましく用いられる。
可塑剤はセルロースエステルフィルム中に1〜40質量%、特に1〜30質量%含有することが好ましい。
リン酸エステルとしては、例えばトリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、フェニルジフェニルホスフェート等を挙げることができる。
カルボン酸エステルとしては、フタル酸エステル及びクエン酸エステル等、フタル酸エステルとしては、例えばジメチルフタレート、ジエチルホスフェート、ジオクチルフタレート及びジエチルヘキシルフタレート等、またクエン酸エステルとしてはクエン酸アセチルトリエチル及びクエン酸アセチルトリブチルを挙げることができる。またその他、オレイン酸ブチル、リシノール酸メチルアセチル、セバチン酸ジブチル、トリアセチン等も挙げられる。アルキルフタリルアルキルグリコレートもこの目的で好ましく用いられる。アルキルフタリルアルキルグリコレートのアルキルは炭素原子数1〜8のアルキル基である。アルキルフタリルアルキルグリコレートとしてはメチルフタリルメチルグリコレート、エチルフタリルエチルグリコレート、プロピルフタリルプロピルグリコレート、ブチルフタリルブチルグリコレート、オクチルフタリルオクチルグリコレート、メチルフタリルエチルグリコレート、エチルフタリルメチルグリコレート、エチルフタリルプロピルグリコレート、プロピルフタリルエチルグリコレート、メチルフタリルプロピルグリコレート、メチルフタリルブチルグリコレート、エチルフタリルブチルグリコレート、ブチルフタリルメチルグリコレート、ブチルフタリルエチルグリコレート、プロピルフタリルブチルグリコレート、ブチルフタリルプロピルグリコレート、メチルフタリルオクチルグリコレート、エチルフタリルオクチルグリコレート、オクチルフタリルメチルグリコレート、オクチルフタリルエチルグリコレート等を挙げることができ、メチルフタリルメチルグリコレート、エチルフタリルエチルグリコレート、プロピルフタリルプロピルグリコレート、ブチルフタリルブチルグリコレート、オクチルフタリルオクチルグリコレートが好ましく用いられる。またこれらアルキルフタリルアルキルグリコレートを二種以上混合して使用してもよい。
また、可塑剤として特許第3793184号公報記載の下記一般式(1)〜(3)で表されるクエン酸エステル系可塑剤を用いることも好ましい。
また、多価アルコールエステルも好ましく用いられる。
本発明に係るセルロースエステルフィルムに用いられる多価アルコールは次の一般式(4)で表される。
一般式(4):R−(OH)n
但し、Rはn価の有機基、nは2以上の正の整数、OH基はアルコール性、及び/又はフェノール性ヒドロキシル基(水酸基)を表す。
多価アルコールエステル系可塑剤は2価以上の脂肪族多価アルコールとモノカルボン酸のエステルよりなる可塑剤であり、分子内に芳香環又はシクロアルキル環を有することが好ましい。好ましくは2〜20価の脂肪族多価アルコールエステルである。
好ましい多価アルコールの例としては、例えば以下のようなものを挙げることができるが、本発明はこれらに限定されるものではない。アドニトール、アラビトール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ジブチレングリコール、1,2,4−ブタントリオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ヘキサントリオール、ガラクチトール、マンニトール、3−メチルペンタン−1,3,5−トリオール、ピナコール、ソルビトール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、キシリトール等を挙げることができる。特に、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ソルビトール、トリメチロールプロパン、キシリトールが好ましい。
多価アルコールエステルに用いられるモノカルボン酸としては、特に制限はなく、公知の脂肪族モノカルボン酸、脂環族モノカルボン酸、芳香族モノカルボン酸等を用いることができる。脂環族モノカルボン酸、芳香族モノカルボン酸を用いると透湿性、保留性を向上させる点で好ましい。
好ましいモノカルボン酸の例としては以下のようなものを挙げることができるが、本発明はこれに限定されるものではない。
脂肪族モノカルボン酸としては、炭素数1〜32の直鎖又は側鎖を有する脂肪酸を好ましく用いることができる。炭素数は1〜20であることが更に好ましく、1〜10であることが特に好ましい。酢酸を含有させるとセルロースエステルとの相溶性が増すため好ましく、酢酸と他のモノカルボン酸を混合して用いることも好ましい。
好ましい脂肪族モノカルボン酸としては、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、2−エチル−ヘキサン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、ヘプタデシル酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、ヘプタコサン酸、モンタン酸、メリシン酸、ラクセル酸等の飽和脂肪酸、ウンデシレン酸、オレイン酸、ソルビン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸等の不飽和脂肪酸等を挙げることができる。
好ましい脂環族モノカルボン酸の例としては、シクロペンタンカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸、シクロオクタンカルボン酸、又はそれらの誘導体を挙げることができる。
好ましい芳香族モノカルボン酸の例としては、安息香酸、トルイル酸等の安息香酸のベンゼン環にアルキル基を導入したもの、ビフェニルカルボン酸、ナフタレンカルボン酸、テトラリンカルボン酸等のベンゼン環を2個以上有する芳香族モノカルボン酸、又はそれらの誘導体を挙げることができる。特に安息香酸が好ましい。
多価アルコールエステルの分子量は特に制限はないが、300〜1500であることが好ましく、350〜750であることが更に好ましい。分子量が大きい方が揮発し難くなるため好ましく、透湿性、セルロースエステルとの相溶性の点では小さい方が好ましい。
多価アルコールエステルに用いられるカルボン酸は一種類でもよいし、二種以上の混合であってもよい。また、多価アルコール中のOH基は、全てエステル化してもよいし、一部をOH基のままで残してもよい。
以下に、多価アルコールエステル系可塑剤の具体的化合物を示すが、本発明はこれに限定されない。
これらの化合物は、セルロースエステルに対して1〜30質量%、好ましくは1〜20質量%となるように含まれていることが好ましい。また、延伸及び乾燥中のブリードアウト等を抑制させるため、200℃における蒸気圧が1400Pa以下の化合物であることが好ましい。
これらの化合物は、セルロースエステル溶液の調製の際に、セルロースエステルや溶媒と共に添加してもよいし、溶液調製中や調製後に添加してもよい。
更に下記一般式(5)で表される芳香族末端エステル系可塑剤を用いることが好ましい。
一般式(5):B−(G−A)n−G−B
(式中、Bはベンゼンモノカルボン酸残基、Gは炭素数2〜12のアルキレングリコール残基又は炭素数6〜12のアリールグリコール残基又は炭素数が4〜12のオキシアルキレングリコール残基、Aは炭素数4〜12のアルキレンジカルボン酸残基又は炭素数6〜12のアリールジカルボン酸残基を表し、またnは1以上の整数を表す。)
一般式(5)中、Bで示されるベンゼンモノカルボン酸残基とGで示されるアルキレングリコール残基又はオキシアルキレングリコール残基又はアリールグリコール残基、Aで示されるアルキレンジカルボン酸残基又はアリールジカルボン酸残基とから構成されるものであり、通常のポリエステル系可塑剤と同様の反応により得られる。
芳香族末端エステル系可塑剤のベンゼンモノカルボン酸成分としては、例えば、安息香酸、パラターシャリブチル安息香酸、オルソトルイル酸、メタトルイル酸、パラトルイル酸、ジメチル安息香酸、エチル安息香酸、ノルマルプロピル安息香酸、アミノ安息香酸、アセトキシ安息香酸等があり、これらはそれぞれ一種又は二種以上の混合物として使用することができる。
本発明に用いられる芳香族末端エステル系可塑剤の炭素数2〜12のアルキレングリコール成分としては、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、2−メチル1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール(ネオペンチルグリコール)、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール(3,3−ジメチロ−ルペンタン)、2−n−ブチル−2−エチル−1,3プロパンジオール(3,3−ジメチロールヘプタン)、3−メチル−1,5−ペンタンジオール1,6−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル1,3−ペンタンジオール、2−エチル1,3−ヘキサンジオール、2−メチル1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−オクタデカンジオール等があり、これらのグリコールは、一種又は二種以上の混合物として使用される。
また、芳香族末端エステルの炭素数4〜12のオキシアルキレングリコール成分としては、例えば、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール等があり、これらのグリコールは、一種又は二種以上の混合物として使用できる。
また、芳香族末端エステルの炭素数6〜12のアリールグリコール成分としては、例えば、ハイドロキノン、レゾルシン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノール等があり、これらのグリコールは、一種又は二種以上の混合物として使用できる。
芳香族末端エステルの炭素数4〜12のアルキレンジカルボン酸成分としては、例えば、コハク酸、マレイン酸、フマール酸、グルタール酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸等があり、これらは、それぞれ一種又は二種以上の混合物として使用される。炭素数6〜12のアリールジカルボン酸成分としては、フタル酸、テレフタル酸、1,5ナフタレンジカルボン酸、1,4ナフタレンジカルボン酸等がある。
芳香族末端エステル系可塑剤は、数平均分子量が、好ましくは300〜2000、より好ましくは500〜1500の範囲が好適である。また、その酸価は、0.5mgKOH/g以下、ヒドロキシル(水酸基)価は25mgKOH/g以下、より好ましくは酸価0.3mgKOH/g以下、ヒドロキシル(水酸基)価は15mgKOH/g以下のものが好適である。
〈芳香族末端エステルの酸価、ヒドロキシル(水酸基)価〉
酸価とは、試料1g中に含まれる酸(分子末端に存在するカルボキシル基)を中和するために必要な水酸化カリウムのミリグラム数をいう。酸価及びヒドロキシル(水酸基)価はJIS K0070(1992)に準拠して測定したものである。
以下、芳香族末端エステル系可塑剤の合成例を示す。
〈サンプルNo.1(芳香族末端エステルサンプル)〉
反応容器に、フタル酸820部(5モル)、1,2−プロピレングリコール608部(8モル)、安息香酸610部(5モル)及び触媒としてテトライソプロピルチタネート0.30部を一括して仕込み窒素気流中で攪拌下、還流凝縮器を付して過剰の1価アルコールを還流させながら、酸価が2以下になるまで130〜250℃で加熱を続け生成する水を連続的に除去した。次いで200〜230℃で6.65×10Pa〜最終的に4×10Pa以下の減圧下、留出分を除去し、この後濾過して次の性状を有する芳香族末端エステルを得た。
粘度(25℃、mPa・s);19815
酸価 ;0.4
〈サンプルNo.2(芳香族末端エステルサンプル)〉
反応容器に、アジピン酸500部(3.5モル)、安息香酸305部(2.5モル)、ジエチレングリコール583部(5.5モル)及び触媒としてテトライソプロピルチタネート0.45部を用いる以外はサンプルNo.1と全く同様にして次の性状を有する芳香族末端エステルを得た。
粘度(25℃、mPa・s);90
酸価 ;0.05
〈サンプルNo.3(芳香族末端エステルサンプル)〉
反応容器にフタル酸410部(2.5モル)、安息香酸610部(5モル)、ジプロピレングリコール737部(5.5モル)及び触媒としてテトライソプロピルチタネート0.40部を用いる以外はサンプルNo.1と全く同様にして次の性状を有する芳香族末端エステル系可塑剤を得た。
粘度(25℃、mPa・s);43400
酸価 ;0.2
以下に、芳香族末端エステル系可塑剤の具体的化合物を示すが、本発明はこれに限定されない。
芳香族末端エステル系可塑剤の含有量は、セルロースエステルフィルム中に1〜20質量%含有することが好ましく、特に3〜11質量%含有することが好ましい。
(ポリエステルポリオール)
ポリエステルポリオールは、二塩基酸又はこれらのエステル形成性誘導体とグリコールとの縮合反応により得ることができる末端がヒドロキシル基(水酸基)となる重合体である。ここで言うエステル形成性誘導体とは、二塩基酸のエステル化物、二塩基酸クロライド、二塩基酸の無水物のことである。
前記ポリエステルポリオールは、芳香族二塩基酸とグリコールとの脱水縮合反応、芳香族無水二塩基酸へのグリコールの付加及び脱水縮合反応、又は芳香族二塩基酸のエステル化物とグリコールとの脱アルコールによる縮合反応により得ることができる。
前記芳香族二塩基酸又はこれらのエステル形成性誘導体として、単独で10〜16個の炭素原子を有する芳香族ジカルボン酸又はそのエステル形成性誘導体を使用できるが、例えばベンゼン環構造、ナフタレン環構造、アントラセン環構造等の芳香族環式構造を有するジカルボン酸やそのエステル形成性誘導体を使用することができ、例えば置換基を有するオルソフタル酸、置換基を有するイソフタル酸、置換基を有するテレフタル酸、置換基を有する無水フタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、2,3−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、1,8−ナフタレンジカルボン酸、2,6−アントラセンジカルボン酸等やこれらのエステル化物、及び酸塩化物、1,8−ナフタレンジカルボン酸の酸無水物等を挙げることができ、これらは芳香族環に置換基を有していても良く、これらを単独で使用又は2種以上併用できる。好ましくは、1,4−ナフタレンジカルボン酸、2,3−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、1,8−ナフタレンジカルボン酸及びそのエステル化物であり、更に好ましくは、2,3−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸及びそのエステル化物であり、特に好ましくは、2,6−ナフタレンジカルボン酸及びそのエステル化物である。
前記ポリエステルポリオールの二塩基酸の炭素数の平均とは、単一の二塩基酸を用いてポリエステルポリオールを重合する場合は該二塩基酸の炭素数を意味するが、2種以上の二塩基酸を用いてポリエステルポリオールを重合する場合、それぞれの二塩基酸の炭素数とその二塩基酸のモル分率の積の合計を意味する。
ポリエステルポリオールの原料として使用する二塩基酸の炭素数の平均が10〜16の範囲であることが重要である。かかる二塩基酸の炭素数の平均が10以上であれば、リターデーションの発現性に優れ、炭素数の平均が16以下であれば、セルロースエステルとの相溶性が著しく優れる。二塩基酸として、好ましくは炭素数の平均が10〜14であり、更に好ましくは炭素数の平均が10〜12である。
前記炭素数の平均が10〜16であれば、前記10〜16個の炭素原子を有する芳香族二塩基酸とそれ以外の二塩基酸を併用することができる。
併用できる二塩基酸として、4〜9個の炭素原子を有するジカルボン酸又はそのエステル形成性誘導体が好ましく、例えば、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、マレイン酸、無水コハク酸、無水マレイン酸、オルソフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、無水フタル酸等やこれらのエステル化物、及び酸塩化物を挙げることができる。
前記グリコールとしては、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、2−メチル1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,2−シクロペンタンジオール、1,3−シクロペンタンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール等を単独で使用又は2種以上併用することができ、なかでもエチレングリコール、ジエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、2−メチル1,3−プロパンジオールが好ましく、更に好ましくは、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,2−プロピレングリコールである。
ポリエステルポリオールは、前記二塩基酸又はそれらのエステル形成性誘導体とグリコールを必要に応じてエステル化触媒の存在下で、例えば、180〜250℃の温度範囲内で、10〜25時間、周知慣用の方法でエステル化反応させることによって製造することができる。
エステル化反応を行う際に、トルエン、キシレン等の溶媒を用いても良いが、無溶媒若しくは原料として使用するグリコールを溶媒として用いる方法が好ましい。
前記エステル化触媒としては、例えばテトライソプロピルチタネート、テトラブチルチタネート、p−トルエンスルホン酸、ジブチル錫オキサイド等を使用することができる。前記エステル化触媒は、二塩基酸又はそれらのエステル形成性誘導体の全量100質量部に対して0.01〜0.5質量部使用することが好ましい。
二塩基酸又はそれらのエステル形成性誘導体とグリコールを反応させる際のモル比は、ポリエステルの末端基がヒドロキシル基(水酸基)となるモル比でなければならず、そのため二塩基酸又はそれらのエステル形成性誘導体1モルに対してグリコールは1.1〜10モルである。好ましくは、二塩基酸又はそれらのエステル形成性誘導体1モルに対して、グリコールが1.5〜7モルであり、更に好ましくは、二塩基酸又はそれらのエステル形成性誘導体1モルに対して、グリコールが2〜5モルである。
一方、前記ポリエステルポリオール中に於けるカルボキシル基末端は、湿度安定性を低下させるため、その含有量は低い方が好ましい。具体的には、酸価5.0以下が好ましく、更に好ましくは1.0以下であり、特に好ましくは0.5以下である。
ここで言う酸価とは、試料1g中に含まれる酸(試料中に存在するカルボキシル基)を中和するために必要な水酸化カリウムのミリグラム数をいう。酸価はJIS K0070に準拠して測定したものである。
前記ポリエステルポリオールは、ヒドロキシル(水酸基)価(OHV)が35mg/g〜220mg/gの範囲であることが好ましい。ここで言うヒドロキシル(水酸基)価とは、試料1g中に含まれるOH基をアセチル化したときに、ヒドロキシル基(水酸基)と結合した酢酸を中和するために要する水酸化カリウムのミリグラム数をいう。無水酢酸を用いて試料中のOH基をアセチル化し、使われなかった酢酸を水酸化カリウム溶液で滴定し、初期の無水酢酸の滴定値との差より求める。
前記ポリエステルポリオールのヒドロキシル基(水酸基)含有量は、70%以上であることが好ましい。ヒドロキシル基(水酸基)含有量が少ない場合、ポリエステルポリオールとセルロースエステルとの相溶性が低下する。このため、ヒドロキシル基(水酸基)含有量は、70%以上が好ましく、更に好ましくは90%以上であり、最も好ましくは99%以上である。
本発明において、水酸基含有量が50%以下の化合物は、末端基の一方が水酸基以外の基で置換されているためヒドロキシル基(水酸基)ポリエステルポリオールには含まれない。
前記ヒドロキシル基(水酸基)含有量は、下記の式(A)により求めることができる。
式(A):Y/X×100=ヒドロキシル基(水酸基)含有量(%)
X:前記ポリエステルポリオールのヒドロキシル(水酸基)価(OHV)
Y:1/(数平均分子量(Mn))×56×2×1000
前記ポリエステルポリオールは、300〜3000の範囲内の数平均分子量を有することが好ましく、350〜2000の数平均分子量を有することがより好ましい。
また、本発明に用いられるポリエステルポリオールの分子量の分散度は1.0〜3.0であることが好ましく、1.0〜2.0であることが更に好ましい。分散度が上記範囲以内であれば、セルロースエステルとの相溶性に優れたポリエステルポリオールを得ることができる。また、前記ポリエステルポリオールは、分子量が300〜1800の成分を50%以上含有することが好ましい。数平均分子量を前記範囲とすることにより、相溶性を大幅に向上させることができる。
数平均分子量、分散度及び成分含有率を上記の好ましい範囲に制御する方法として、二塩基酸又はそれらのエステル形成性誘導体1モルに対してグリコールを2〜5モル使用し、未反応のグリコールを減圧留去する方法が好ましい。減圧留去する温度は、100〜200℃が好ましく、更に好ましくは120〜180℃であり、特に好ましくは130〜170℃が好ましい。減圧留去する際の減圧度は、0.01〜67kPa(0.1〜500Torr)が好ましく、更に好ましくは0.06〜27kPa(0.5〜200Torr)であり、最も好ましくは0.13〜13kPa(1〜100Torr)である。
ポリエステルポリオール数平均分子量(Mn)及び分散度は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて測定することができる。
測定条件の一例は以下の通りであるが、これに限られることはなく、同等の測定方法を用いることも可能である。
溶媒: テトラヒドロフラン(THF)
カラム: TSKgel G2000HXL(東ソー(株)製を2本接続して使用する。)
カラム温度:40℃
試料濃度: 0.1質量%
装置: HLC−8220(東ソー(株)製)
流量: 1.0ml/min
校正曲線: PStQuick F(東ソー(株)製)による校正曲線を使用する。
本発明の効果を得る上で、ポリエステルポリオールをフィルム中に5〜30質量%含有することが好ましい。より好ましくは5〜20質量%である。
以下に、炭素数が10〜16である二塩基酸の具体例を示すが、本発明はこれに限定されない。
(1)2,6−ナフタレンジカルボン酸
(2)2,3−ナフタレンジカルボン酸
(3)2,6−アントラセンジカルボン酸
(4)2,6−ナフタレンジカルボン酸:コハク酸(75:25〜99:1 モル比)
(5)2,6−ナフタレンジカルボン酸:テレフタル酸(50:50〜99:1 モル比)
(6)2,3−ナフタレンジカルボン酸:コハク酸(75:25〜99:1 モル比)
(7)2,3−ナフタレンジカルボン酸:テレフタル酸(50:50〜99:1 モル比)
(8)2,6−アントラセンジカルボン酸:コハク酸(50:50〜99:1 モル比)
(9)2,6−アントラセンジカルボン酸:テレフタル酸(25:75〜99:1 モル比)
(10)2,6−ナフタレンジカルボン酸:アジピン酸(67:33〜99:1 モル比)
(11)2,3−ナフタレンジカルボン酸:アジピン酸(67:33〜99:1 モル比)
(12)2,6−アントラセンジカルボン酸:アジピン酸(40:60〜99:1 モル比)
(紫外線吸収剤)
セルロースエステルフィルムには、紫外線吸収剤を含有させることができる。使用し得る紫外線吸収剤としては、例えば、オキシベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物、トリアジン系化合物等を挙げることができるが、着色の少ないベンゾトリアゾール系化合物が好ましい。また、特開平10−182621号、同8−337574号、特開2001−72782号記載の紫外線吸収剤、特開平6−148430号、特開2002−31715号、同2002−169020号、同2002−47357号、同2002−363420号、同2003−113317号記載の高分子紫外線吸収剤も好ましく用いられる。紫外線吸収剤としては、偏光子や液晶の劣化防止の観点から、波長370nm以下の紫外線の吸収能に優れており、かつ、液晶表示性の観点から、波長400nm以上の可視光の吸収が少ないものが好ましい。紫外線吸収剤の具体例として、2−(2′−ヒドロキシ−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′−tert−ブチル−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′−(3″,4″,5″,6″−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2−メチレンビス(4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール)、2−(2′−ヒドロキシ−3′−tert−ブチル−5′−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−(直鎖及び側鎖ドデシル)−4−メチルフェノール、オクチル−3−〔3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−(クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェニル〕プロピオネートと2−エチルヘキシル−3−〔3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェニル〕プロピオネートの混合物等を挙げることができるが、これらに限定されない。また、市販品として、チヌビン(TINUVIN)109、チヌビン(TINUVIN)171、チヌビン(TINUVIN)326(何れもBASFジャパン社製)を好ましく使用できる。高分子紫外線吸収剤としては、大塚化学社製の反応型紫外線吸収剤RUVA−93を例として挙げることができる。
ベンゾフェノン系化合物の具体例として、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2′−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホベンゾフェノン、ビス(2−メトキシ−4−ヒドロキシ−5−ベンゾイルフェニルメタン)等を挙げることができるが、これらに限定されない。
上記記載の紫外線吸収剤は、透明性が高く、偏光板や液晶素子の劣化を防ぐ効果に優れたベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤やベンゾフェノン系紫外線吸収剤が好ましく、不要な着色がより少ないベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤が特に好ましく用いられる。
紫外線吸収剤のドープへの添加方法は、ドープ中で紫外線吸収剤を溶解するようなものであれば制限なく使用できるが、本発明においては紫外線吸収剤をメチレンクロライド、酢酸メチル、ジオキソラン等のセルロースエステルに対する良溶媒、又は良溶媒と低級脂肪族アルコール(メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等)のような貧溶媒との混合有機溶媒に溶解し紫外線吸収剤溶液としてセルロースエステル溶液に添加してドープとする方法が好ましい。この場合できるだけドープ溶媒組成と紫外線吸収剤溶液の溶媒組成とを同じとするか近づけることが好ましい。紫外線吸収剤の含有量は0.01〜5質量%、特に0.5〜3質量%である。
(酸化防止剤)
酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール系の化合物が好ましく用いられ、例えば、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、1,6−ヘキサンジオール−ビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、2,2−チオ−ジエチレンビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、N,N′−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマミド)、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレイト等が挙げられる。特に2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕が好ましい。また例えば、N,N′−ビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル〕ヒドラジン等のヒドラジン系の金属不活性剤やトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト等のリン系加工安定剤を併用してもよい。
これらの化合物の添加量は、セルロースエステルに対して質量割合で1ppm〜1.0%が好ましく、10〜1000ppmが更に好ましい。
また、下記一般式(L)で表される化合物を用いることも好ましい。
〔式中、R〜Rは、各々、互いに独立して水素原子又は置換基を表し、Rは水素原子又は置換基を表し、nは1又は2を表す。nが1であるとき、Rは置換基を表し、nが2であるとき、Rは2価の連結基を表す。〕
前記一般式(L)において、R〜Rはおのおの互いに独立して水素原子又は置換基を表す。R〜Rで表される置換基は、特に制限はないが、例えば、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基、トリフルオロメチル基等)、シクロアルキル基(例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等)、アリール基(例えば、フェニル基、ナフチル基等)、アシルアミノ基(例えば、アセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基等)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ基、エチルチオ基等)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ基、ナフチルチオ基等)、アルケニル基(例えば、ビニル基、2−プロペニル基、3−ブテニル基、1−メチル−3−プロペニル基、3−ペンテニル基、1−メチル−3−ブテニル基、4−ヘキセニル基、シクロヘキセニル基等)、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、沃素原子等)、アルキニル基(例えば、プロパルギル基等)、複素環基(例えば、ピリジル基、チアゾリル基、オキサゾリル基、イミダゾリル基等)、アルキルスルホニル基(例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基等)、アリールスルホニル基(例えば、フェニルスルホニル基、ナフチルスルホニル基等)、アルキルスルフィニル基(例えば、メチルスルフィニル基等)、アリールスルフィニル基(例えば、フェニルスルフィニル基等)、ホスホノ基、アシル基(例えば、アセチル基、ピバロイル基、ベンゾイル基等)、カルバモイル基(例えば、アミノカルボニル基、メチルアミノカルボニル基、ジメチルアミノカルボニル基、ブチルアミノカルボニル基、シクロヘキシルアミノカルボニル基、フェニルアミノカルボニル基、2−ピリジルアミノカルボニル基等)、スルファモイル基(例えば、アミノスルホニル基、メチルアミノスルホニル基、ジメチルアミノスルホニル基、ブチルアミノスルホニル基、ヘキシルアミノスルホニル基、シクロヘキシルアミノスルホニル基、オクチルアミノスルホニル基、ドデシルアミノスルホニル基、フェニルアミノスルホニル基、ナフチルアミノスルホニル基、2−ピリジルアミノスルホニル基等)、スルホンアミド基(例えば、メタンスルホンアミド基、ベンゼンスルホンアミド基等)、シアノ基、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基、ナフチルオキシ基等)、複素環オキシ基、シロキシ基、アシルオキシ基(例えば、アセチルオキシ基、ベンゾイルオキシ基等)、スルホン酸基、スルホン酸の塩、アミノカルボニルオキシ基、アミノ基(例えば、アミノ基、エチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ブチルアミノ基、シクロペンチルアミノ基、2−エチルヘキシルアミノ基、ドデシルアミノ基等)、アニリノ基(例えば、フェニルアミノ基、クロロフェニルアミノ基、トルイジノ基、アニシジノ基、ナフチルアミノ基、2−ピリジルアミノ基等)、イミド基、ウレイド基(例えば、メチルウレイド基、エチルウレイド基、ペンチルウレイド基、シクロヘキシルウレイド基、オクチルウレイド基、ドデシルウレイド基、フェニルウレイド基、ナフチルウレイド基、2−ピリジルアミノウレイド基等)、アルコキシカルボニルアミノ基(例えば、メトキシカルボニルアミノ基、フェノキシカルボニルアミノ基等)、アルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、フェノキシカルボニル等)、アリールオキシカルボニル基(例えば、フェノキシカルボニル基等)、複素環チオ基、チオウレイド基、カルボキシル基、カルボン酸の塩、ヒドロキシル基、メルカプト基、ニトロ基等の各基が挙げられる。これらの置換基は同様の置換基によって更に置換されていてもよい。
前記一般式(L)において、R〜Rは、水素原子又はアルキル基が好ましい。
前記一般式(L)において、Rは水素原子又は置換基を表し、Rで表される置換基は、R〜Rが表す置換基と同様な基を挙げることができる。
前記一般式(L)において、Rは水素原子が好ましい。
前記一般式(L)において、nは1又は2を表す。
前記一般式(L)において、nが1であるとき、Rは置換基を表し、nが2であるとき、Rは2価の連結基を表す。Rが置換基を表すとき、置換基としては、R〜Rが表す置換基と同様な基を挙げることができる。Rは2価の連結基を表すとき、2価の連結基として例えば、置換基を有しても良いアルキレン基、置換基を有しても良いアリーレン基、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、或いはこれらの連結基の組み合わせを挙げることができる。
前記一般式(L)において、nは1が好ましく、その時のRは置換又は無置換のフェニル基が好ましく、アルキル基が置換したフェニル基が更に好ましい。
次に、本発明における前記一般式(L)で表される化合物の具体例を示すが、本発明は以下の具体例によって限定されるものではない。
これらの化合物は、それぞれ一種或いは二種以上組み合わせて用いることができ、その配合量は本発明の目的を損なわない範囲で適宜選択されるが、セルロースエステル100質量部に対して、通常0.001〜10.0質量部、好ましくは0.01〜5.0質量部、更に好ましくは、0.1〜3.0質量部である。
(リターデーション調整剤)
リターデーションを調整するために添加する化合物は、欧州特許911,656A2号明細書に記載されているような、二つ以上の芳香族環を有する芳香族化合物を使用することができる。
また、二種類以上の芳香族化合物を併用してもよい。該芳香族化合物の芳香族環には、芳香族炭化水素環に加えて、芳香族性ヘテロ環を含む。芳香族性ヘテロ環であることが特に好ましく、芳香族性ヘテロ環は一般に、不飽和ヘテロ環である。中でも1,3,5−トリアジン環が特に好ましい。
芳香族化合物が有する芳香族環の数は2〜20であることが好ましく、2〜12であることがより好ましく、2〜8であることが更に好ましく、3〜6であることが最も好ましい。二つの芳香族環の結合関係は、(a)縮合環を形成する場合、(b)単結合で直結する場合及び(c)連結基を介して結合する場合に分類できる(芳香族環のため、スピロ結合は形成出来ない)。結合関係は、(a)〜(c)のいずれでもよい。
(a)の縮合環(二つ以上の芳香族環の縮合環)の例には、インデン環、ナフタレン環、アズレン環、フルオレン環、フェナントレン環、アントラセン環、アセナフチレン環、ナフタセン環、ピレン環、インドール環、イソインドール環、ベンゾフラン環、ベンゾチオフェン環、インドリジン環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾトリアゾール環、プリン環、インダゾール環、クロメン環、キノリン環、イソキノリン環、キノリジン環、キナゾリン環、シンノリン環、キノキサリン環、フタラジン環、プテリジン環、カルバゾール環、アクリジン環、フェナントリジン環、キサンテン環、フェナジン環、フェノチアジン環、フェノキサチイン環、フェノキサジン環及びチアントレン環が含まれる。ナフタレン環、アズレン環、インドール環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾトリアゾール環及びキノリン環が好ましい。
(b)の単結合は、二つの芳香族環の炭素原子間の結合であることが好ましい。二以上の単結合で二つの芳香族環を結合して、二つの芳香族環の間に脂肪族環又は非芳香族性複素環を形成してもよい。
(c)の連結基も二つの芳香族環の炭素原子と結合することが好ましい。連結基は、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、−CO−、−O−、−NH−、−S−又はそれらの組み合わせであることが好ましい。組み合わせからなる連結基の例を以下に示す。なお、以下の連結基の例の左右の関係は、逆になってもよい。
−CO−O−、−CO−NH−、−アルキレン−O−、−NH−CO−NH−、−NH−CO−O−、−O−CO−O−、−O−アルキレン−O−、−CO−アルケニレン−、−CO−アルケニレン−NH−、−CO−アルケニレン−O−、−アルキレン−CO−O−アルキレン−O−CO−アルキレン−、−O−アルキレン−CO−O−アルキレン−O−CO−アルキレン−O−、−O−CO−アルキレン−CO−O−、−NH−CO−アルケニレン−、−O−CO−アルケニレン−。
芳香族環及び連結基は置換基を有していてもよい。置換基の例には、ハロゲン原子(F、Cl、Br、I)、ヒドロキシル、カルボキシル、シアノ、アミノ、ニトロ、スルホ、カルバモイル、スルファモイル、ウレイド、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、脂肪族アシル基、脂肪族アシルオキシ基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アルコキシカルボニルアミノ基、アルキルチオ基、アルキルスルホニル基、脂肪族アミド基、脂肪族スルホンアミド基、脂肪族置換アミノ基、脂肪族置換カルバモイル基、脂肪族置換スルファモイル基、脂肪族置換ウレイド基及び非芳香族性複素環基が含まれる。
アルキル基の炭素原子数は1〜8であることが好ましい。環状アルキル基よりも鎖状アルキル基の方が好ましく、直鎖状アルキル基が特に好ましい。アルキル基は、更に置換基(例、ヒドロキシ、カルボキシ、アルコキシ基、アルキル置換アミノ基)を有していてもよい。アルキル基の(置換アルキル基を含む)例には、メチル、エチル、n−ブチル、n−ヘキシル、2−ヒドロキシエチル、4−カルボキシブチル、2−メトキシエチル及び2−ジエチルアミノエチルが含まれる。アルケニル基の炭素原子数は、2〜8であることが好ましい。環状アルケニル基よりも鎖状アルケニル基の方が好ましく、直鎖状アルケニル基が特に好ましい。アルケニル基は、更に置換基を有していてもよい。アルケニル基の例には、ビニル、アリル及び1−ヘキセニルが含まれる。アルキニル基の炭素原子数は、2〜8であることが好ましい。環状アルキニル基よりも鎖状アルキニル基の方が好ましく、直鎖状アルキニル基が特に好ましい。アルキニル基は、更に置換基を有していてもよい。アルキニル基の例には、エチニル、1−ブチニル及び1−ヘキシニルが含まれる。
脂肪族アシル基の炭素原子数は1〜10であることが好ましい。脂肪族アシル基の例には、アセチル、プロパノイル及びブタノイルが含まれる。脂肪族アシルオキシ基の炭素原子数は、1〜10であることが好ましい。脂肪族アシルオキシ基の例には、アセトキシが含まれる。アルコキシ基の炭素原子数は1〜8であることが好ましい。アルコキシ基は、更に置換基(例、アルコキシ基)を有していてもよい。アルコキシ基の(置換アルコキシ基を含む)例には、メトキシ、エトキシ、ブトキシ及びメトキシエトキシが含まれる。アルコキシカルボニル基の炭素原子数は2〜10であることが好ましい。アルコキシカルボニル基の例には、メトキシカルボニル及びエトキシカルボニルが含まれる。アルコキシカルボニルアミノ基の炭素原子数は、2〜10であることが好ましい。アルコキシカルボニルアミノ基の例には、メトキシカルボニルアミノ及びエトキシカルボニルアミノが含まれる。
アルキルチオ基の炭素原子数は1〜12であることが好ましい。アルキルチオ基の例には、メチルチオ、エチルチオ及びオクチルチオが含まれる。アルキルスルホニル基の炭素原子数は、1〜8であることが好ましい。アルキルスルホニル基の例には、メタンスルホニル及びエタンスルホニルが含まれる。脂肪族アミド基の炭素原子数は、1〜10であることが好ましい。脂肪族アミド基の例には、アセトアミドが含まれる。脂肪族スルホンアミド基の炭素原子数は、1〜8であることが好ましい。脂肪族スルホンアミド基の例には、メタンスルホンアミド、ブタンスルホンアミド及びn−オクタンスルホンアミドが含まれる。脂肪族置換アミノ基の炭素原子数は、1〜10であることが好ましい。脂肪族置換アミノ基の例には、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ及び2−カルボキシエチルアミノが含まれる。脂肪族置換カルバモイル基の炭素原子数は2〜10であることが好ましい。脂肪族置換カルバモイル基の例には、メチルカルバモイル及びジエチルカルバモイルが含まれる。脂肪族置換スルファモイル基の炭素原子数は、1〜8であることが好ましい。脂肪族置換スルファモイル基の例には、メチルスルファモイル及びジエチルスルファモイルが含まれる。脂肪族置換ウレイド基の炭素原子数は、2〜10であることが好ましい。脂肪族置換ウレイド基の例には、メチルウレイドが含まれる。非芳香族性複素環基の例には、ピペリジノ及びモルホリノが含まれる。
リターデーション調整剤の分子量は、300以上800以下であることが好ましい。これは、使用時及び偏光板加工時における流出抑制の観点から、任意に分子構造の極性を選択することができる。
1,3,5−トリアジン環を有する化合物は、中でも、下記一般式(R)で表される化合物が好ましい。
一般式(R)において、Xは、単結合、−NR−、−O−又は−S−であり;Xは単結合、−NR−、−O−又は−S−であり;Xは単結合、−NR−、−O−または−S−であり;R、R及びRはアルキル基、アルケニル基、アリール基又は複素環基であり;そして、R、R及びRは、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基又は複素環基である。一般式(R)で表される化合物は、メラミン化合物であることが特に好ましい。
メラミン化合物では、一般式(R)において、X、X及びXが、それぞれ、−NR−、−NR−及び−NR−であるか、或いは、X、X及びXが単結合であり、かつ、R、R及びRが窒素原子に遊離原子価を持つ複素環基である。−X−R、−X−R及び−X−Rは、同一の置換基であることが好ましい。R、R及びRは、アリール基であることが特に好ましい。R、R及びRは、水素原子であることが特に好ましい。
上記アルキル基は、環状アルキル基よりも鎖状アルキル基である方が好ましい。分岐を有する鎖状アルキル基よりも、直鎖状アルキル基の方が好ましい。
アルキル基の炭素原子数は、1〜30であることが好ましく、1〜20であることがより好ましく、1〜10であることが更に好ましく、1〜8であることが更にまた好ましく、1〜6であることが最も好ましい。アルキル基は置換基を有していてもよい。
置換基の具体例としては、例えばハロゲン原子、アルコキシ基(例えばメトキシ、エトキシ、エポキシエチルオキシ等の各基)及びアシルオキシ基(例えば、アクリロイルオキシ、メタクリロイルオキシ)等が挙げられる。上記アルケニル基は、環状アルケニル基よりも鎖状アルケニル基である方が好ましい。分岐を有する鎖状アルケニル基よりも、直鎖状アルケニル基の方が好ましい。アルケニル基の炭素原子数は、2〜30であることが好ましく、2〜20であることがより好ましく、2〜10であることが更に好ましく、2〜8であることが更にまた好ましく、2〜6であることが最も好ましい。アルケニル基は、置換基を有していてもよい。
置換基の具体例としては、ハロゲン原子、アルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、エポキシエチルオキシ等の各基)又はアシルオキシ基(例えば、アクリロイルオキシ、メタクリロイルオキシ等の各基)が挙げられる。
上記アリール基は、フェニル基又はナフチル基であることが好ましく、フェニル基であることが特に好ましい。アリール基は置換基を有していてもよい。
置換基の具体例としては、例えば、ハロゲン原子、ヒドロキシル、シアノ、ニトロ、カルボキシル、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アルコキシ基、アルケニルオキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニル基、アルケニルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、スルファモイル、アルキル置換スルファモイル基、アルケニル置換スルファモイル基、アリール置換スルファモイル基、スルホンアミド基、カルバモイル、アルキル置換カルバモイル基、アルケニル置換カルバモイル基、アリール置換カルバモイル基、アミド基、アルキルチオ基、アルケニルチオ基、アリールチオ基及びアシル基が含まれる。上記アルキル基は、前述したアルキル基と同義である。
アルコキシ基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニル基、アルキル置換スルファモイル基、スルホンアミド基、アルキル置換カルバモイル基、アミド基、アルキルチオ基とアシル基のアルキル部分も、前述したアルキル基と同義である。
上記アルケニル基は、前述したアルケニル基と同義である。
アルケニルオキシ基、アシルオキシ基、アルケニルオキシカルボニル基、アルケニル置換スルファモイル基、スルホンアミド基、アルケニル置換カルバモイル基、アミド基、アルケニルチオ基及びアシル基のアルケニル部分も、前述したアルケニル基と同義である。
上記アリール基の具体例としては、例えば、フェニル、α−ナフチル、β−ナフチル、4−メトキシフェニル、3,4−ジエトキシフェニル、4−オクチルオキシフェニル又は4−ドデシルオキシフェニル等の各基が挙げられる。
アリールオキシ基、アシルオキシ基、アリールオキシカルボニル基、アリール置換スルファモイル基、スルホンアミド基、アリール置換カルバモイル基、アミド基、アリールチオ基及びアシル基の部分の例は、上記アリール基と同義である。
、X又はXが−NR−、−O−又は−S−である場合の複素環基は、芳香族性を有することが好ましい。
芳香族性を有する複素環基中の複素環としては、一般に不飽和複素環であり、好ましくは最多の二重結合を有する複素環である。複素環は、5員環、6員環又は7員環であることが好ましく、5員環又は6員環であることが更に好ましく、6員環であることが最も好ましい。
複素環中のヘテロ原子は、N、S又はO等の各原子であることが好ましく、N原子であることが特に好ましい。
芳香族性を有する複素環としては、ピリジン環(複素環基としては、例えば、2−ピリジル又は4−ピリジル等の各基)が特に好ましい。複素環基は、置換基を有していてもよい。複素環基の置換基の例は、上記アリール部分の置換基の例と同様である。
、X又はXが単結合である場合の複素環基は、窒素原子に遊離原子価を持つ複素環基であることが好ましい。窒素原子に遊離原子価を持つ複素環基は、5員環、6員環又は7員環であることが好ましく、5員環又は6員環であることが更に好ましく、5員環であることが最も好ましい。複素環基は、複数の窒素原子を有していてもよい。
また、複素環基中のヘテロ原子は、窒素原子以外のヘテロ原子(例えば、O原子、S原子)を有していてもよい。複素環基は、置換基を有していてもよい。複素環基の置換基の具体例は、上記アリール部分の置換基の具体例と同義である。
以下に、窒素原子に遊離原子価を持つ複素環基の具体例を示す。
以下に、1,3,5−トリアジン環を有する化合物の具体例を示す。
なお、以下に示す複数のRは同一の基を表す。
(1)ブチル
(2)2−メトキシ−2−エトキシエチル
(3)5−ウンデセニル
(4)フェニル
(5)4−エトキシカルボニルフェニル
(6)4−ブトキシフェニル
(7)p−ビフェニリル
(8)4−ピリジル
(9)2−ナフチル
(10)2−メチルフェニル
(11)3,4−ジメトキシフェニル
(12)2−フリル
(14)フェニル
(15)3−エトキシカルボニルフェニル
(16)3−ブトキシフェニル
(17)m−ビフェニリル
(18)3−フェニルチオフェニル
(19)3−クロロフェニル
(20)3−ベンゾイルフェニル
(21)3−アセトキシフェニル
(22)3−ベンゾイルオキシフェニル
(23)3−フェノキシカルボニルフェニル
(24)3−メトキシフェニル
(25)3−アニリノフェニル
(26)3−イソブチリルアミノフェニル
(27)3−フェノキシカルボニルアミノフェニル
(28)3−(3−エチルウレイド)フェニル
(29)3−(3,3−ジエチルウレイド)フェニル
(30)3−メチルフェニル
(31)3−フェノキシフェニル
(32)3−ヒドロキシフェニル
(33)4−エトキシカルボニルフェニル
(34)4−ブトキシフェニル
(35)p−ビフェニリル
(36)4−フェニルチオフェニル
(37)4−クロロフェニル
(38)4−ベンゾイルフェニル
(39)4−アセトキシフェニル
(40)4−ベンゾイルオキシフェニル
(41)4−フェノキシカルボニルフェニル
(42)4−メトキシフェニル
(43)4−アニリノフェニル
(44)4−イソブチリルアミノフェニル
(45)4−フェノキシカルボニルアミノフェニル
(46)4−(3−エチルウレイド)フェニル
(47)4−(3,3−ジエチルウレイド)フェニル
(48)4−メチルフェニル
(49)4−フェノキシフェニル
(50)4−ヒドロキシフェニル
(51)3,4−ジエトキシカルボニルフェニル
(52)3,4−ジブトキシフェニル
(53)3,4−ジフェニルフェニル
(54)3,4−ジフェニルチオフェニル
(55)3,4−ジクロロフェニル
(56)3,4−ジベンゾイルフェニル
(57)3,4−ジアセトキシフェニル
(58)3,4−ジベンゾイルオキシフェニル
(59)3,4−ジフェノキシカルボニルフェニル
(60)3,4−ジメトキシフェニル
(61)3,4−ジアニリノフェニル
(62)3,4−ジメチルフェニル
(63)3,4−ジフェノキシフェニル
(64)3,4−ジヒドロキシフェニル
(65)2−ナフチル
(66)3,4,5−トリエトキシカルボニルフェニル
(67)3,4,5−トリブトキシフェニル
(68)3,4,5−トリフェニルフェニル
(69)3,4,5−トリフェニルチオフェニル
(70)3,4,5−トリクロロフェニル
(71)3,4,5−トリベンゾイルフェニル
(72)3,4,5−トリアセトキシフェニル
(73)3,4,5−トリベンゾイルオキシフェニル
(74)3,4,5−トリフェノキシカルボニルフェニル
(75)3,4,5−トリメトキシフェニル
(76)3,4,5−トリアニリノフェニル
(77)3,4,5−トリメチルフェニル
(78)3,4,5−トリフェノキシフェニル
(79)3,4,5−トリヒドロキシフェニル
(80)フェニル
(81)3−エトキシカルボニルフェニル
(82)3−ブトキシフェニル
(83)m−ビフェニリル
(84)3−フェニルチオフェニル
(85)3−クロロフェニル
(86)3−ベンゾイルフェニル
(87)3−アセトキシフェニル
(88)3−ベンゾイルオキシフェニル
(89)3−フェノキシカルボニルフェニル
(90)3−メトキシフェニル
(91)3−アニリノフェニル
(92)3−イソブチリルアミノフェニル
(93)3−フェノキシカルボニルアミノフェニル
(94)3−(3−エチルウレイド)フェニル
(95)3−(3,3−ジエチルウレイド)フェニル
(96)3−メチルフェニル
(97)3−フェノキシフェニル
(98)3−ヒドロキシフェニル
(99)4−エトキシカルボニルフェニル
(100)4−ブトキシフェニル
(101)p−ビフェニリル
(102)4−フェニルチオフェニル
(103)4−クロロフェニル
(104)4−ベンゾイルフェニル
(105)4−アセトキシフェニル
(106)4−ベンゾイルオキシフェニル
(107)4−フェノキシカルボニルフェニル
(108)4−メトキシフェニル
(109)4−アニリノフェニル
(110)4−イソブチリルアミノフェニル
(111)4−フェノキシカルボニルアミノフェニル
(112)4−(3−エチルウレイド)フェニル
(113)4−(3,3−ジエチルウレイド)フェニル
(114)4−メチルフェニル
(115)4−フェノキシフェニル
(116)4−ヒドロキシフェニル
(117)3,4−ジエトキシカルボニルフェニル
(118)3,4−ジブトキシフェニル
(119)3,4−ジフェニルフェニル
(120)3,4−ジフェニルチオフェニル
(121)3,4−ジクロロフェニル
(122)3,4−ジベンゾイルフェニル
(123)3,4−ジアセトキシフェニル
(124)3,4−ジベンゾイルオキシフェニル
(125)3,4−ジフェノキシカルボニルフェニル
(126)3,4−ジメトキシフェニル
(127)3,4−ジアニリノフェニル
(128)3,4−ジメチルフェニル
(129)3,4−ジフェノキシフェニル
(130)3,4−ジヒドロキシフェニル
(131)2−ナフチル
(132)3,4,5−トリエトキシカルボニルフェニル
(133)3,4,5−トリブトキシフェニル
(134)3,4,5−トリフェニルフェニル
(135)3,4,5−トリフェニルチオフェニル
(136)3,4,5−トリクロロフェニル
(137)3,4,5−トリベンゾイルフェニル
(138)3,4,5−トリアセトキシフェニル
(139)3,4,5−トリベンゾイルオキシフェニル
(140)3,4,5−トリフェノキシカルボニルフェニル
(141)3,4,5−トリメトキシフェニル
(142)3,4,5−トリアニリノフェニル
(143)3,4,5−トリメチルフェニル
(144)3,4,5−トリフェノキシフェニル
(145)3,4,5−トリヒドロキシフェニル
(146)フェニル
(147)4−エトキシカルボニルフェニル
(148)4−ブトキシフェニル
(149)p−ビフェニリル
(150)4−フェニルチオフェニル
(151)4−クロロフェニル
(152)4−ベンゾイルフェニル
(153)4−アセトキシフェニル
(154)4−ベンゾイルオキシフェニル
(155)4−フェノキシカルボニルフェニル
(156)4−メトキシフェニル
(157)4−アニリノフェニル
(158)4−イソブチリルアミノフェニル
(159)4−フェノキシカルボニルアミノフェニル
(160)4−(3−エチルウレイド)フェニル
(161)4−(3,3−ジエチルウレイド)フェニル
(162)4−メチルフェニル
(163)4−フェノキシフェニル
(164)4−ヒドロキシフェニル
(165)フェニル
(166)4−エトキシカルボニルフェニル
(167)4−ブトキシフェニル
(168)p−ビフェニリル
(169)4−フェニルチオフェニル
(170)4−クロロフェニル
(171)4−ベンゾイルフェニル
(172)4−アセトキシフェニル
(173)4−ベンゾイルオキシフェニル
(174)4−フェノキシカルボニルフェニル
(175)4−メトキシフェニル
(176)4−アニリノフェニル
(177)4−イソブチリルアミノフェニル
(178)4−フェノキシカルボニルアミノフェニル
(179)4−(3−エチルウレイド)フェニル
(180)4−(3,3−ジエチルウレイド)フェニル
(181)4−メチルフェニル
(182)4−フェノキシフェニル
(183)4−ヒドロキシフェニル
(184)フェニル
(185)4−エトキシカルボニルフェニル
(186)4−ブトキシフェニル
(187)p−ビフェニリル
(188)4−フェニルチオフェニル
(189)4−クロロフェニル
(190)4−ベンゾイルフェニル
(191)4−アセトキシフェニル
(192)4−ベンゾイルオキシフェニル
(193)4−フェノキシカルボニルフェニル
(194)4−メトキシフェニル
(195)4−アニリノフェニル
(196)4−イソブチリルアミノフェニル
(197)4−フェノキシカルボニルアミノフェニル
(198)4−(3−エチルウレイド)フェニル
(199)4−(3,3−ジエチルウレイド)フェニル
(200)4−メチルフェニル
(201)4−フェノキシフェニル
(202)4−ヒドロキシフェニル
(203)フェニル
(204)4−エトキシカルボニルフェニル
(205)4−ブトキシフェニル
(206)p−ビフェニリル
(207)4−フェニルチオフェニル
(208)4−クロロフェニル
(209)4−ベンゾイルフェニル
(210)4−アセトキシフェニル
(211)4−ベンゾイルオキシフェニル
(212)4−フェノキシカルボニルフェニル
(213)4−メトキシフェニル
(214)4−アニリノフェニル
(215)4−イソブチリルアミノフェニル
(216)4−フェノキシカルボニルアミノフェニル
(217)4−(3−エチルウレイド)フェニル
(218)4−(3,3−ジエチルウレイド)フェニル
(219)4−メチルフェニル
(220)4−フェノキシフェニル
(221)4−ヒドロキシフェニル
(222)フェニル
(223)4−ブチルフェニル
(224)4−(2−メトキシ−2−エトキシエチル)フェニル
(225)4−(5−ノネニル)フェニル
(226)p−ビフェニリル
(227)4−エトキシカルボニルフェニル
(228)4−ブトキシフェニル
(229)4−メチルフェニル
(230)4−クロロフェニル
(231)4−フェニルチオフェニル
(232)4−ベンゾイルフェニル
(233)4−アセトキシフェニル
(234)4−ベンゾイルオキシフェニル
(235)4−フェノキシカルボニルフェニル
(236)4−メトキシフェニル
(237)4−アニリノフェニル
(238)4−イソブチリルアミノフェニル
(239)4−フェノキシカルボニルアミノフェニル
(240)4−(3−エチルウレイド)フェニル
(241)4−(3,3−ジエチルウレイド)フェニル
(242)4−フェノキシフェニル
(243)4−ヒドロキシフェニル
(244)3−ブチルフェニル
(245)3−(2−メトキシ−2−エトキシエチル)フェニル
(246)3−(5−ノネニル)フェニル
(247)m−ビフェニリル
(248)3−エトキシカルボニルフェニル
(249)3−ブトキシフェニル
(250)3−メチルフェニル
(251)3−クロロフェニル
(252)3−フェニルチオフェニル
(253)3−ベンゾイルフェニル
(254)3−アセトキシフェニル
(255)3−ベンゾイルオキシフェニル
(256)3−フェノキシカルボニルフェニル
(257)3−メトキシフェニル
(258)3−アニリノフェニル
(259)3−イソブチリルアミノフェニル
(260)3−フェノキシカルボニルアミノフェニル
(261)3−(3−エチルウレイド)フェニル
(262)3−(3,3−ジエチルウレイド)フェニル
(263)3−フェノキシフェニル
(264)3−ヒドロキシフェニル
(265)2−ブチルフェニル
(266)2−(2−メトキシ−2−エトキシエチル)フェニル
(267)2−(5−ノネニル)フェニル
(268)o−ビフェニリル
(269)2−エトキシカルボニルフェニル
(270)2−ブトキシフェニル
(271)2−メチルフェニル
(272)2−クロロフェニル
(273)2−フェニルチオフェニル
(274)2−ベンゾイルフェニル
(275)2−アセトキシフェニル
(276)2−ベンゾイルオキシフェニル
(277)2−フェノキシカルボニルフェニル
(278)2−メトキシフェニル
(279)2−アニリノフェニル
(280)2−イソブチリルアミノフェニル
(281)2−フェノキシカルボニルアミノフェニル
(282)2−(3−エチルウレイド)フェニル
(283)2−(3,3−ジエチルウレイド)フェニル
(284)2−フェノキシフェニル
(285)2−ヒドロキシフェニル
(286)3,4−ジブチルフェニル
(287)3,4−ジ(2−メトキシ−2−エトキシエチル)フェニル
(288)3,4−ジフェニルフェニル
(289)3,4−ジエトキシカルボニルフェニル
(290)3,4−ジドデシルオキシフェニル
(291)3,4−ジメチルフェニル
(292)3,4−ジクロロフェニル
(293)3,4−ジベンゾイルフェニル
(294)3,4−ジアセトキシフェニル
(295)3,4−ジメトキシフェニル
(296)3,4−ジ−N−メチルアミノフェニル
(297)3,4−ジイソブチリルアミノフェニル
(298)3,4−ジフェノキシフェニル
(299)3,4−ジヒドロキシフェニル
(300)3,5−ジブチルフェニル
(301)3,5−ジ(2−メトキシ−2−エトキシエチル)フェニル
(302)3,5−ジフェニルフェニル
(303)3,5−ジエトキシカルボニルフェニル
(304)3,5−ジドデシルオキシフェニル
(305)3,5−ジメチルフェニル
(306)3,5−ジクロロフェニル
(307)3,5−ジベンゾイルフェニル
(308)3,5−ジアセトキシフェニル
(309)3,5−ジメトキシフェニル
(310)3,5−ジ−N−メチルアミノフェニル
(311)3,5−ジイソブチリルアミノフェニル
(312)3,5−ジフェノキシフェニル
(313)3,5−ジヒドロキシフェニル
(314)2,4−ジブチルフェニル
(315)2,4−ジ(2−メトキシ−2−エトキシエチル)フェニル
(316)2,4−ジフェニルフェニル
(317)2,4−ジエトキシカルボニルフェニル
(318)2,4−ジドデシルオキシフェニル
(319)2,4−ジメチルフェニル
(320)2,4−ジクロロフェニル
(321)2,4−ジベンゾイルフェニル
(322)2,4−ジアセトキシフェニル
(323)2,4−ジメトキシフェニル
(324)2,4−ジ−N−メチルアミノフェニル
(325)2,4−ジイソブチリルアミノフェニル
(326)2,4−ジフェノキシフェニル
(327)2,4−ジヒドロキシフェニル
(328)2,3−ジブチルフェニル
(329)2,3−ジ(2−メトキシ−2−エトキシエチル)フェニル
(330)2,3−ジフェニルフェニル
(331)2,3−ジエトキシカルボニルフェニル
(332)2,3−ジドデシルオキシフェニル
(333)2,3−ジメチルフェニル
(334)2,3−ジクロロフェニル
(335)2,3−ジベンゾイルフェニル
(336)2,3−ジアセトキシフェニル
(337)2,3−ジメトキシフェニル
(338)2,3−ジ−N−メチルアミノフェニル
(339)2,3−ジイソブチリルアミノフェニル
(340)2,3−ジフェノキシフェニル
(341)2,3−ジヒドロキシフェニル
(342)2,6−ジブチルフェニル
(343)2,6−ジ(2−メトキシ−2−エトキシエチル)フェニル
(344)2,6−ジフェニルフェニル
(345)2,6−ジエトキシカルボニルフェニル
(346)2,6−ジドデシルオキシフェニル
(347)2,6−ジメチルフェニル
(348)2,6−ジクロロフェニル
(349)2,6−ジベンゾイルフェニル
(350)2,6−ジアセトキシフェニル
(351)2,6−ジメトキシフェニル
(352)2,6−ジ−N−メチルアミノフェニル
(353)2,6−ジイソブチリルアミノフェニル
(354)2,6−ジフェノキシフェニル
(355)2,6−ジヒドロキシフェニル
(356)3,4,5−トリブチルフェニル
(357)3,4,5−トリ(2−メトキシ−2−エトキシエチル)フェニル
(358)3,4,5−トリフェニルフェニル
(359)3,4,5−トリエトキシカルボニルフェニル
(360)3,4,5−トリドデシルオキシフェニル
(361)3,4,5−トリメチルフェニル
(362)3,4,5−トリクロロフェニル
(363)3,4,5−トリベンゾイルフェニル
(364)3,4,5−トリアセトキシフェニル
(365)3,4,5−トリメトキシフェニル
(366)3,4,5−トリ−N−メチルアミノフェニル
(367)3,4,5−トリイソブチリルアミノフェニル
(368)3,4,5−トリフェノキシフェニル
(369)3,4,5−トリヒドロキシフェニル
(370)2,4,6−トリブチルフェニル
(371)2,4,6−トリ(2−メトキシ−2−エトキシエチル)フェニル
(372)2,4,6−トリフェニルフェニル
(373)2,4,6−トリエトキシカルボニルフェニル
(374)2,4,6−トリドデシルオキシフェニル
(375)2,4,6−トリメチルフェニル
(376)2,4,6−トリクロロフェニル
(377)2,4,6−トリベンゾイルフェニル
(378)2,4,6−トリアセトキシフェニル
(379)2,4,6−トリメトキシフェニル
(380)2,4,6−トリ−N−メチルアミノフェニル
(381)2,4,6−トリイソブチリルアミノフェニル
(382)2,4,6−トリフェノキシフェニル
(383)2,4,6−トリヒドロキシフェニル
(384)ペンタフルオロフェニル
(385)ペンタクロロフェニル
(386)ペンタメトキシフェニル
(387)6−N−メチルスルファモイル−8−メトキシ−2−ナフチル
(388)5−N−メチルスルファモイル−2−ナフチル
(389)6−N−フェニルスルファモイル−2−ナフチル
(390)5−エトキシ−7−N−メチルスルファモイル−2−ナフチル
(391)3−メトキシ−2−ナフチル
(392)1−エトキシ−2−ナフチル
(393)6−N−フェニルスルファモイル−8−メトキシ−2−ナフチル
(394)5−メトキシ−7−N−フェニルスルファモイル−2−ナフチル
(395)1−(4−メチルフェニル)−2−ナフチル
(396)6,8−ジ−N−メチルスルファモイル−2−ナフチル
(397)6−N−2−アセトキシエチルスルファモイル−8−メトキシ−2−ナフチル
(398)5−アセトキシ−7−N−フェニルスルファモイル−2−ナフチル
(399)3−ベンゾイルオキシ−2−ナフチル
(400)5−アセチルアミノ−1−ナフチル
(401)2−メトキシ−1−ナフチル
(402)4−フェノキシ−1−ナフチル
(403)5−N−メチルスルファモイル−1−ナフチル
(404)3−N−メチルカルバモイル−4−ヒドロキシ−1−ナフチル
(405)5−メトキシ−6−N−エチルスルファモイル−1−ナフチル
(406)7−テトラデシルオキシ−1−ナフチル
(407)4−(4−メチルフェノキシ)−1−ナフチル
(408)6−N−メチルスルファモイル−1−ナフチル
(409)3−N,N−ジメチルカルバモイル−4−メトキシ−1−ナフチル
(410)5−メトキシ−6−N−ベンジルスルファモイル−1−ナフチル
(411)3,6−ジ−N−フェニルスルファモイル−1−ナフチル
(412)メチル
(413)エチル
(414)ブチル
(415)オクチル
(416)ドデシル
(417)2−ブトキシ−2−エトキシエチル
(418)ベンジル
(419)4−メトキシベンジル
(424)メチル
(425)フェニル
(426)ブチル
(430)メチル
(431)エチル
(432)ブチル
(433)オクチル
(434)ドデシル
(435)2−ブトキシ−2−エトキシエチル
(436)ベンジル
(437)4−メトキシベンジル
1,3,5−トリアジン環を有する化合物として、メラミンポリマーを用いてもよい。メラミンポリマーは、下記一般式(M)で示すメラミン化合物とカルボニル化合物との重合反応により合成することが好ましい。
上記合成反応スキームにおいて、R11、R12、R13、R14、R15及びR16は、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基又は複素環基である。
上記アルキル基、アルケニル基、アリール基及び複素環基及びこれらの置換基は前記一般式(R)で説明した各基、それらの置換基と同義である。
メラミン化合物とカルボニル化合物との重合反応は、通常のメラミン樹脂(例えば、メラミンホルムアルデヒド樹脂等)の合成方法と同様である。また、市販のメラミンポリマー(メラミン樹脂)を用いてもよい。
メラミンポリマーの分子量は、2千〜40万であることが好ましい。メラミンポリマーの繰り返し単位の具体例を以下に示す。
MP−1:R13、R14、R15、R16:CHOH
MP−2:R13、R14、R15、R16:CHOCH
MP−3:R13、R14、R15、R16:CHO−i−C
MP−4:R13、R14、R15、R16:CHO−n−C
MP−5:R13、R14、R15、R16:CHNHCOCH=CH
MP−6:R13、R14、R15、R16:CHNHCO(CHCH=CH(CHCH
MP−7:R13、R14、R15:CHOH;R16:CHOCH
MP−8:R13、R14、R16:CHOH;R15:CHOCH
MP−9:R13、R14:CHOH;R15、R16:CHOCH
MP−10:R13、R16:CHOH;R14、R15:CHOCH
MP−11:R13:CHOH;R14、R15、R16:CHOCH
MP−12:R13、R14、R16:CHOCH;R15:CHOH
MP−13:R13、R16:CHOCH;R14、R15:CHOH
MP−14:R13、R14、R15:CHOH;R16:CHO−i−C
MP−15:R13、R14、R16:CHOH;R15:CHO−i−C
MP−16:R13、R14:CHOH;R15、R16:CHO−i−C
MP−17:R13、R16:CHOH;R14、R15:CHO−i−C
MP−18:R13:CHOH;R14、R15、R16:CHO−i−C
MP−19:R13、R14、R16:CHO−i−C;R15:CHOH
MP−20:R13、R16:CHO−i−C;R14、R15:CHOH
MP−21:R13、R14、R15:CHOH;R16:CHO−n−C
MP−22:R13、R14、R16:CHOH;R15:CHO−n−C
MP−23:R13、R14:CHOH;R15、R16:CHO−n−C
MP−24:R13、R16:CHOH;R14、R15:CHO−n−C
MP−25:R13:CHOH;R14、R15、R16:CHO−n−C
MP−26:R13、R14、R16:CHO−n−C;R15:CHOH
MP−27:R13、R16:CHO−n−C;R14、R15:CHOH
MP−28:R13、R14:CHOH;R15:CHOCH;R16:CHO−n−C
MP−29:R13、R14:CHOH;R15:CHO−n−C;R16:CHOCH
MP−30:R13、R16:CHOH;R14:CHOCH;R15:CH
O−n−C
MP−31:R13:CHOH;R14、R15:CHOCH;R16:CHO−n−C
MP−32:R13:CHOH;R14、R16:CHOCH;R15:CHO−n−C
MP−33:R13:CHOH;R14:CHOCH;R15、R16:CHO−n−C
MP−34:R13:CHOH;R14、R15:CHO−n−C;R16:CHOCH
MP−35:R13、R14:CHOCH;R15:CHOH;R16:CHO−n−C
MP−36:R13、R16:CHOCH;R14:CHOH;R15:CHO−n−C
MP−37:R13:CHOCH;R14、R15:CHOH;R16:CHO−n−C
MP−38:R13、R16:CHO−n−C;R14:CHOCH;R15:CHOH
MP−39:R13:CHOH;R14:CHOCH;R15:CHO−n−C;R16:CHNHCOCH=CH
MP−40:R13:CHOH;R14:CHOCH;R15:CHNHCOCH=CH;R16:CHO−n−C
MP−41:R13:CHOH;R14:CHO−n−C;R15:CHNHCOCH=CH;R16:CHOCH
MP−42:R13:CHOCH;R14:CHOH;R15:CHO−n−C;R16:CHNHCOCH=CH
MP−43:R13:CHOCH;R14:CHOH;R15:CHNHCOCH=CH;R16:CHO−n−C
MP−44:R13:CHO−n−C;R14:CHOCH;R15:CHOH;R16:CHNHCOCH=CH
MP−45:R13:CHOH;R14:CHOCH;R15:CHNHCO(CHCH=CH(CHCH;R16:CHNHCOCH=CH
MP−46:R13:CHOH;R14:CHOCH;R15:CHNHCOCH=CH;R16:CHNHCO(CHCH=CH(CHCH
MP−47:R13:CHOH;R14:CHNHCO(CHCH=CH(CHCH;R15:CHNHCOCH=CH;R16:CHOCH
MP−48:R13:CHOCH;R14:CHOH;R15:CHNHCO(CHCH=CH(CHCH;R16:CHNHCOCH=CH
MP−49:R13:CHOCH;R14:CHOH;R15:CHNHCOCH=CH;R16:CHNHCO(CHCH=CH(CHCH
MP−50:R13:CHNHCO(CHCH=CH(CHCH;R14:CHOCH;R15:CHOH;R16:CHNHCOCH=CH
MP−51:R13、R14、R15、R16:CHOH
MP−52:R13、R14、R15、R16:CHOCH
MP−53:R13、R14、R15、R16:CHO−i−C
MP−54:R13、R14、R15、R16:CHO−n−C
MP−55:R13、R14、R15、R16:CHNHCOCH=CH
MP−56:R13、R14、R15、R16:CHNHCO(CHCH=CH(CHCH
MP−57:R13、R14、R15:CHOH;R16:CHOCH
MP−58:R13、R14、R16:CHOH;R15:CHOCH
MP−59:R13、R14:CHOH;R15、R16:CHOCH
MP−60:R13、R16:CHOH;R14、R15:CHOCH
MP−61:R13:CHOH;R14、R15、R16:CHOCH
MP−62:R13、R14、R16:CHOCH;R15:CHOH
MP−63:R13、R16:CHOCH;R14、R15:CHOH
MP−64:R13、R14、R15:CHOH;R16:CHO−i−C
MP−65:R13、R14、R16:CHOH;R15:CHO−i−C
MP−66:R13、R14:CHOH;R15、R16:CHO−i−C
MP−67:R13、R16:CHOH;R14、R15:CHO−i−C
MP−68:R13:CHOH;R14、R15、R16:CHO−i−C
MP−69:R13、R14、R16:CHO−i−C;R15:CHOH
MP−70:R13、R16:CHO−i−C;R14、R15:CHOH
MP−71:R13、R14、R15:CHOH;R16:CHO−n−C
MP−72:R13、R14、R16:CHOH;R15:CHO−n−C
MP−73:R13、R14:CHOH;R15、R16:CHO−n−C
MP−74:R13、R16:CHOH;R14、R15:CHO−n−C
MP−75:R13:CHOH;R14、R15、R16:CHO−n−C
MP−76:R13、R14、R16:CHO−n−C;R15:CHOH
MP−77:R13、R16:CHO−n−C;R14、R15:CHOH
MP−78:R13、R14:CHOH;R15:CHOCH;R16:CHO−n−C
MP−79:R13、R14:CHOH;R15:CHO−n−C;R16:CHOCH
MP−80:R13、R16:CHOH;R14:CHOCH;R15:CH
O−n−C
MP−81:R13:CHOH;R14、R15:CHOCH;R16:CHO−n−C
MP−82:R13:CHOH;R14、R16:CHOCH;R15:CHO−n−C
MP−83:R13:CHOH;R14:CHOCH;R15、R16:CHO−n−C
MP−84:R13:CHOH;R14、R15:CHO−n−C;R16:CHOCH
MP−85:R13、R14:CHOCH;R15:CHOH;R16:CHO−n−C
MP−86:R13、R16:CHOCH;R14:CHOH;R15:CHO−n−C
MP−87:R13:CHOCH;R14、R15:CHOH;R16:CHO−n−C
MP−88:R13、R16:CHO−n−C;R14:CHOCH;R15:CHOH
MP−89:R13:CHOH;R14:CHOCH;R15:CHO−n−C;R16:CHNHCOCH=CH
MP−90:R13:CHOH;R14:CHOCH;R15:CHNHCOCH=CH;R16:CHO−n−C
MP−91:R13:CHOH;R14:CHO−n−C;R15:CHNHCOCH=CH;R16:CHOCH
MP−92:R13:CHOCH;R14:CHOH;R15:CHO−n−C;R16:CHNHCOCH=CH
MP−93:R13:CHOCH;R14:CHOH;R15:CHNHCOCH=CH;R16:CHO−n−C
MP−94:R13:CHO−n−C;R14:CHOCH;R15:CHOH;R16:CHNHCOCH=CH
MP−95:R13:CHOH;R14:CHOCH;R15:CHNHCO(CHCH=CH(CHCH;R16:CHNHCOCH=CH
MP−96:R13:CHOH;R14:CHOCH;R15:CHNHCOCH=CH;R16:CHNHCO(CHCH=CH(CHCH
MP−97:R13:CHOH;R14:CHNHCO(CHCH=CH(CHCH;R15:CHNHCOCH=CH;R16:CHOCH
MP−98:R13:CHOCH;R14:CHOH;R15:CHNHCO(CHCH=CH(CHCH;R16:CHNHCOCH=CH
MP−99:R13:CHOCH;R14:CHOH;R15:CHNHCOCH=CH;R16:CHNHCO(CHCH=CH(CHCH
MP−100:R13:CHNHCO(CHCH=CH(CHCH;R14:CHOCH;R15:CHOH;R16:CHNHCOCH=CH
MP−101:R13、R14、R15、R16:CHOH
MP−102:R13、R14、R15、R16:CHOCH
MP−103:R13、R14、R15、R16:CHO−i−C
MP−104:R13、R14、R15、R16:CHO−n−C
MP−105:R13、R14、R15、R16:CHNHCOCH=CH
MP−106:R13、R14、R15、R16:CHNHCO(CHCH=CH(CHCH
MP−107:R13、R14、R15:CHOH;R16:CHOCH
MP−108:R13、R14、R16:CHOH;R15:CHOCH
MP−109:R13、R14:CHOH;R15、R16:CHOCH
MP−110:R13、R16:CHOH;R14、R15:CHOCH
MP−111:R13:CHOH;R14、R15、R16:CHOCH
MP−112:R13、R14、R16:CHOCH;R15:CHOH
MP−113:R13、R16:CHOCH;R14、R15:CHOH
MP−114:R13、R14、R15:CHOH;R16:CHO−i−C
MP−115:R13、R14、R16:CHOH;R15:CHO−i−C
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MP−117:R13、R16:CHOH;R14、R15:CHO−i−C
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MP−146:R13:CHOH;R14:CHOCH;R15:CHNHCOCH=CH;R16:CHNHCO(CHCH=CH(CHCH
MP−147:R13:CHOH;R14:CHNHCO(CHCH=CH(CHCH;R15:CHNHCOCH=CH;R16:CHOCH
MP−148:R13:CHOCH;R14:CHOH;R15:CHNHC
O(CHCH=CH(CHCH;R16:CHNHCOCH=CH
MP−149:R13:CHOCH;R14:CHOH;R15:CHNHCOCH=CH;R16:CHNHCO(CHCH=CH(CHCH
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MP−153:R13、R14、R15、R16:CHO−i−C
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MP−169:R13、R14、R16:CHO−i−C;R15:CHOH
MP−170:R13、R16:CHO−i−C;R14、R15:CHOH
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MP−179:R13、R14:CHOH;R15:CHO−n−C;R16:CHOCH
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MP−181:R13:CHOH;R14、R15:CHOCH;R16:CHO−n−C
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MP−184:R13:CHOH;R14、R15:CHO−n−C;R16:CHOCH
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MP−187:R13:CHOCH;R14、R15:CHOH;R16:CHO−n−C
MP−188:R13、R16:CHO−n−C;R14:CHOCH;R15:CHOH
MP−189:R13:CHOH;R14:CHOCH;R15:CHO−n−C;R16:CHNHCOCH=CH
MP−190:R13:CHOH;R14:CHOCH;R15:CHNHCOCH=CH;R16:CHO−n−C
MP−191:R13:CHOH;R14:CHO−n−C;R15:CHNHCOCH=CH;R16:CHOCH
MP−192:R13:CHOCH;R14:CHOH;R15:CHO−n−C;R16:CHNHCOCH=CH
MP−193:R13:CHOCH;R14:CHOH;R15:CHNHCOCH=CH;R16:CHO−n−C
MP−194:R13:CHO−n−C;R14:CHOCH;R15:CHOH;R16:CHNHCOCH=CH
MP−195:R13:CHOH;R14:CHOCH;R15:CHNHC
O(CHCH=CH(CHCH;R16:CHNHCOCH=CH
MP−196:R13:CHOH;R14:CHOCH;R15:CHNHCOCH=CH;R16:CHNHCO(CHCH=CH(CHCH
MP−197:R13:CHOH;R14:CHNHCO(CHCH=CH(CHCH;R15:CHNHCOCH=CH;R16:CHOCH
MP−198:R13:CHOCH;R14:CHOH;R15:CHNHCO(CHCH=CH(CHCH;R16:CHNHCOCH=CH
MP−199:R13:CHOCH;R14:CHOH;R15:CHNHCOCH=CH;R16:CHNHCO(CHCH=CH(CHCH
MP−200:R13:CHNHCO(CHCH=CH(CHCH;R14:CHOCH;R15:CHOH;R16:CHNHCOCH=CH
上記繰り返し単位を二種類以上組み合わせたコポリマーを用いてもよい。二種類以上のホモポリマー又はコポリマーを併用してもよい。
また、二種類以上の1,3,5−トリアジン環を有する化合物を併用してもよい。二種類以上の円盤状化合物(例えば、1,3,5−トリアジン環を有する化合物とポルフィリン骨格を有する化合物)を併用してもよい。
安息香酸フェニルエステル化合物の少なくとも一種をリターデーション調整剤として用いることが好ましく、中でも下記一般式(6)で示される安息香酸フェニルエステル化合物をセルロースエステルに添加することが好ましい。
(式中、R、R、R、R、R、R、R、R及びR10は、それぞれ独立に、水素原子又は置換基を表し、R、R、R、R及びRのうち少なくとも1つは電子供与性基を表す。Rは、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数2〜6のアルケニル基、炭素数2〜6のアルキニル基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数6〜12のアリールオキシ基、炭素数2〜12のアルコキシカルボニル基、炭素数2〜12のアシルアミノ基、シアノ基又はハロゲン原子を表す。)
一般式(6)の式中、R、R、R、R、R、R、R、R及びR10は、それぞれ独立に、水素原子、又は置換基を表し、置換基は後述の置換基Tが適用できる。
、R、R、R及びRのうち少なくとも1つは電子供与性基を表す。好ましくはR、R又はRのうちの1つが電子供与性基であり、Rが電子供与性基であることがより好ましい。
電子供与性基とは、Hammetのσp値がO以下のものを表し、Chem.Rev.,91,165(1991)記載のHammetのσp値がO以下のものが好ましく適用でき、より好ましくは、−0.85〜0のものが用いられる。例えば、アルキル基、アルコキシ基、アミノ基、ヒドロキシル基(水酸基)などが挙げられる。
電子供与性基として好ましくは、アルキル基、アルコキシ基であり、より好ましくはアルコキシ基(好ましくは炭素数1〜12、より好ましくは炭素数1〜8、更に好ましくは炭素数1〜6特に好ましくは炭素数1〜4である)である。
として、好ましくは、水素原子又は電子供与性基であり、より好ましくはアルキル基、アルコキシ基、アミノ基、ヒドロキシル基(水酸基)であり、更に好ましくは、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜12のアルコキシ基であり、特に好ましくはアルコキシ基(好ましくは炭素数1〜12、より好ましくは炭素数1〜8、更に好ましくは炭素数1〜6、特に好ましくは炭素数1〜4)であり、最も好ましくはメトキシ基である。
として、好ましくは、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アミノ基、ヒドロキシル基(水酸基)であり、より好ましくは、水素原子、アルキル基、アルコキシ基であり、更に好ましくは水素原子、アルキル基(好ましくは炭素数1〜4、より好ましくはメチル基である。)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜12、より好ましくは炭素数1〜8、更に好ましくは炭素数1〜6、特に好ましくは炭素数1〜4)である。特に好ましくは水素原子、メチル基、メトキシ基である。
として、好ましくは、水素原子又は電子供与性基であり、より好ましくは水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アミノ基、ヒドロキシル基(水酸基)であり、更に好ましくは、アルキル基、アルコキシ基であり、特に好ましくはアルコキシ基(好ましくは炭素数1〜12、より好ましくは炭素数1〜8、更に好ましくは炭素数1〜6、特に好ましくは炭素数1〜4)である。最も好ましくはn−プロポキシ基、エトキシ基、メトキシ基である。
として、好ましくは、水素原子又は電子供与性基であり、より好ましくは水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アミノ基、ヒドロキシル基(水酸基)であり、更に好ましくは、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜12のアルコキシ基(好ましくは炭素数1〜12、より好ましくは炭素数1〜8、更に好ましくは炭素数1〜6、特に好ましくは炭素数1〜4)であり、特に好ましくは水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基であり、最も好ましくは水素原子、メチル基、メトキシ基である。
として、好ましくは、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アミノ基、ヒドロキシル基(水酸基)であり、より好ましくは、水素原子、アルキル基、アルコキシ基であり、更に好ましくは水素原子、アルキル基(好ましくは炭素数1〜4、より好ましくはメチル基)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜12、より好ましくは炭素数1〜8、更に好ましくは炭素数1〜6特に好ましくは炭素数1〜4)である。特に好ましくは水素原子、メチル基、メトキシ基である。
、R、R及びR10として、好ましくは水素原子、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルコキシ基、ハロゲン原子であり、より好ましくは、水素原子、ハロゲン原子であり、更に好ましくは水素原子である。
は、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数2〜6のアルキニル基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数6〜12のアリールオキシ基、炭素数2〜12のアルコキシカルボニル基、炭素数2〜12のアシルアミノ基、シアノ基又はハロゲン原子を表し、可能な場合には置換基を有してもよく、置換基としては後述の置換基Tが適用できる。また、置換基が更に置換してもよい。
として、好ましくは炭素数1〜4のアルキル基、炭素数2〜6のアルキニル基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数2〜12のアルコキシカルボニル基、シアノ基であり、より好ましくは炭素数6〜12のアリール基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数2〜12のアルコキシカルボニル基、シアノ基であり、更に好ましくは、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数2〜6のアルコキシカルボニル基、シアノ基であり、特に好ましくは、炭素数1〜4のアルコキシ基、フェニル基、p−シアノフェニル基、p−メトキシフェニル基、炭素数2〜4のアルコキシカルボニル基、シアノ基である。
一般式(6)で表される化合物のうち、より好ましい化合物は下記一般式(6−A)で表される化合物である。
一般式(6−A)中、R、R、R、R、R、R、R、R及びR10は、それぞれ一般式(6)におけるそれらと同義であり、また好ましい範囲も同様である。
11は、炭素数1〜12のアルキル基を表す。R11で表されるアルキル基は直鎖でも分岐があってもよく、また更に置換基を有してもよいが、好ましくは炭素数1〜12のアルキル基、より好ましくは炭素数1〜8アルキル基、更に好ましくは炭素数1〜6アルキル基、特に好ましくは炭素数1〜4のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、tert−ブチル基などが挙げられる)を表す。
一般式(6)で表される化合物のうち、更に好ましい化合物は下記一般式(6−B)で表される化合物である。
一般式(6−B)中、R、R、R、R、R、R、R、R10は一般式(6)におけるそれらと同義であり、また好ましい範囲も同様である。
11は、一般式(6−A)におけるそれと同義であり、また好ましい範囲も同様である。
Xは、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数2〜6のアルキニル基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数6〜12のアリールオキシ基、炭素数2〜12のアルコキシカルボニル基、炭素数2〜12のアシルアミノ基、シアノ基又はハロゲン原子を表す。
、R、R、Rがすべて水素原子の場合には、Xとして好ましくはアルキル基、アルキニル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基であり、より好ましくは、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基であり、更に好ましくはアルコキシ基(好ましくは炭素数1〜12、より好ましくは炭素数1〜8、更に好ましくは炭素数1〜6、特に好ましくは炭素数1〜4である。)であり、特に好ましくは、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基である。
、R、R、Rのうち少なくとも1つが置換基の場合には、Xとして好ましくはアルキニル基、アリール基、アルコキシカルボニル基、シアノ基、であり、より好ましくはアリール基(好ましくは炭素数6〜12)、シアノ基、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜12)であり、更に好ましくはアリール基(好ましくは炭素数6〜12のアリール基であり、より好ましくはフェニル基、p−シアノフェニル基、p−メトキシフェニルである)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素2〜12、より好ましくは炭素数2〜6、更に好ましくは炭素数2〜4、特に好ましくはメトキシカルボニル、エトキシカルボニル、n−プロポキシカルボニルである)、シアノ基であり、特に好ましくは、フェニル基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−プロポキシカルボニル基、シアノ基である。
一般式(6)で表される化合物のうち、更に好ましい化合物は下記一般式(6−C)で表される化合物である。
一般式(6−C)中、R、R、R、R、R11及びXは、一般式(6−B)におけるそれらと同義であり、また好ましい範囲も同様である。
一般式(6)で表される化合物の中で、特に好ましい化合物は下記一般式(6−D)で表される化合物である。
一般式(6−D)中、R、R及びRは、一般式(6−C)におけるそれらと同義であり、また好ましい範囲も同様である。R21、R22は、それぞれ独立に、炭素数1〜4のアルキル基を表す。X1は、炭素数6〜12のアリール基、炭素数2〜12のアルコキシカルボニル基、又はシアノ基を表す。
21は、炭素数1〜4のアルキル基を表し、好ましくは炭素数1〜3のアルキル基であり、より好ましくはエチル基、メチル基である。
22は、炭素数1〜4のアルキル基を表し、好ましくは炭素数1〜3のアルキル基であり、より好ましくはエチル基、メチル基であり、更に好ましくはメチル基である。
は、炭素数6〜12のアリール基、炭素2〜12アルコキシカルボニル基、又はシアノ基であり、好ましくは炭素数6〜10のアリール基、炭素数2〜6アルコキシカルボニル基、シアノ基であり、より好ましくはフェニル基、p−シアノフェニル基、p−メトキシフェニル基、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、n−プロポキシカルボニル、シアノ基であり、更に好ましくは、フェニル基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−プロポキシカルボニル基、シアノ基である。
一般式(6)で表される化合物のうち、最も好ましい化合物は下記一般式(6−E)で表される化合物である。
一般式(6−E)中、R、R及びRは一般式(6−D)におけるそれらと同義であり、また好ましい範囲も同様である。但し、いずれか1つは−OR13で表される基である。ここで、R13は炭素数1〜4のアルキル基である。R21、R22、Xは一般式(6−D)におけるそれらと同義であり、また好ましい範囲も同様である。
好ましくは、R及びRの少なくともいずれかが−OR13で表される基であり、より好ましくはRが−OR13で表される基であることである。
13は炭素数1〜4のアルキル基を表し、好ましくは炭素数1〜3のアルキル基であり、より好ましくはエチル基、メチル基であり、更に好ましくはメチル基である。
以下において、前述の置換基Tについて説明する。
置換基Tとしては、例えば、アルキル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜8であり、例えばメチル、エチル、iso−プロピル、tert−ブチル、n−オクチル、n−デシル、n−ヘキサデシル、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどが挙げられる。)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8であり、例えば、ビニル、アリル、2−ブテニル、3−ペンテニルなどが挙げられる。)、アルキニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8であり、例えばプロパルギル、3−ペンチニルなどが挙げられる。)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニル、p−メチルフェニル、ナフチルなどが挙げられる。)、置換又は未置換のアミノ基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは炭素数0〜10、特に好ましくは炭素数0〜6であり、例えばアミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジベンジルアミノなどが挙げられる。)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜8であり、例えばメトキシ、エトキシ、ブトキシなどが挙げられる。)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜16、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルオキシ、2−ナフチルオキシなどが挙げられる。)、アシル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばアセチル、ベンゾイル、ホルミル、ピバロイルなどが挙げられる。)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばメトキシカルボニル、エトキシカルボニルなどが挙げられる。)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭素数7〜20、より好ましくは炭素数7〜16、特に好ましくは炭素数7〜10であり、例えばフェニルオキシカルボニルなどが挙げられる。)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばアセトキシ、ベンゾイルオキシなどが挙げられる。)、アシルアミノ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばアセチルアミノ、ベンゾイルアミノなどが挙げられる。)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばメトキシカルボニルアミノなどが挙げられる。)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数7〜20、より好ましくは炭素数7〜16、特に好ましくは炭素数7〜12であり、例えばフェニルオキシカルボニルアミノなどが挙げられる。)、スルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタンスルホニルアミノ、ベンゼンスルホニルアミノなどが挙げられる。)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは炭素数0〜16、特に好ましくは炭素数0〜12であり、例えばスルファモイル、メチルスルファモイル、ジメチルスルファモイル、フェニルスルファモイルなどが挙げられる。)、カルバモイル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばカルバモイル、メチルカルバモイル、ジエチルカルバモイル、フェニルカルバモイルなどが挙げられる。)、アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメチルチオ、エチルチオなどが挙げられる。)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜16、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルチオなどが挙げられる。)、スルホニル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメシル、トシルなどが挙げられる。)、スルフィニル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタンスルフィニル、ベンゼンスルフィニルなどが挙げられる。)、ウレイド基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばウレイド、メチルウレイド、フェニルウレイドなどが挙げられる。)、リン酸アミド基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばジエチルリン酸アミド、フェニルリン酸アミドなどが挙げられる。)、ヒドロキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、ヒドロキサム酸基、スルフィノ基、ヒドラジノ基、イミノ基、ヘテロ環基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは1〜12であり、ヘテロ原子としては、例えば窒素原子、酸素原子、硫黄原子、具体的には例えばイミダゾリル、ピリジル、キノリル、フリル、ピペリジル、モルホリノ、ベンゾオキサゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンズチアゾリルなどが挙げられる。)、シリル基(好ましくは、炭素数3〜40、より好ましくは炭素数3〜30、特に好ましくは、炭素数3〜24であり、例えば、トリメチルシリル、トリフェニルシリルなどが挙げられる)などが挙げられる。これらの置換基は更に置換されてもよい。
また、置換基が二つ以上ある場合は、同じでも異なってもよい。また、可能な場合には互いに連結して環を形成してもよい。
以下に一般式(6)で表される化合物に関して具体例をあげて詳細に説明するが、何ら限定されることはない。
一般式(6)で表される化合物は、置換安息香酸とフェノール誘導体の一般的なエステル反応によって合成でき、エステル結合形成反応であればどのような反応を用いてもよい。例えば、置換安息香酸を酸ハロゲン化物に官能基変換した後、フェノールと縮合する方法、縮合剤或いは触媒を用いて置換安息香酸とフェノール誘導体を脱水縮合する方法など挙げられる。
製造プロセス等を考慮すると置換安息香酸を酸ハロゲン化物に官能基変換した後、フェノールと縮合する方法が好ましい。
反応溶媒としては、炭化水素系溶媒(好ましくはトルエン、キシレンが挙げられる。)、エーテル系溶媒(好ましくはジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどが挙げられる。)、ケトン系溶媒、エステル系溶媒、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどを用いることができる。これらの溶媒は単独でも数種を混合して用いてもよく、反応溶媒として好ましくはトルエン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドである。
反応温度は、好ましくは0〜150℃、より好ましくは0〜100℃、更に好ましくは0〜90℃であり、特に好ましくは20℃〜90℃である。
塩基を用いないのが好ましく、塩基を用いる場合には有機塩基、無機塩基のどちらでもよく、好ましくは有機塩基であり、ピリジン、3級アルキルアミン(好ましくはトリエチルアミン、エチルジイソプルピルアミンなどが挙げられる)である。
更に、本発明の斜め延伸フィルムは、溶液の紫外線吸収スペクトルの最大吸収波長(λmax)が250nmより短波長である棒状化合物をリターデーション調整剤として含有することが好ましい。
リターデーション調整剤の機能の観点では、棒状化合物は、少なくとも一つの芳香族環を有することが好ましく、少なくとも二つの芳香族環を有することが更に好ましい。棒状化合物は、直線的な分子構造を有することが好ましい。直線的な分子構造とは、熱力学的に最も安定な構造において棒状化合物の分子構造が直線的であることを意味する。熱力学的に最も安定な構造は、結晶構造解析又は分子軌道計算によって求めることができる。例えば、分子軌道計算ソフト(例、WinMOPAC2000、富士通(株)製)を用いて分子軌道計算を行い、化合物の生成熱が最も小さくなるような分子の構造を求めることができる。分子構造が直線的であるとは、上記のように計算して求められる熱力学的に最も安定な構造において、分子構造の角度が140度以上であることを意味する。棒状化合物は、液晶性を示すことが好ましい。棒状化合物は、加熱により液晶性を示す(サーモトロピック液晶性を有する)ことが更に好ましい。液晶相は、ネマティック相又はスメクティック相が好ましい。
棒状化合物としては、下記一般式(7)で表されるトランス−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸エステル化合物が好ましい。
一般式(7):Ar−L−Ar
一般式(7)において、Ar及びArは、それぞれ独立に、芳香族基である。本明細書において、芳香族基は、アリール基(芳香族性炭化水素基)、置換アリール基、芳香族性ヘテロ環基及び置換芳香族性ヘテロ環基を含む。アリール基及び置換アリール基の方が、芳香族性ヘテロ環基及び置換芳香族性ヘテロ環基よりも好ましい。芳香族性ヘテロ環基のヘテロ環は、一般には不飽和である。芳香族性ヘテロ環は、5員環、6員環又は7員環であることが好ましく、5員環又は6員環であることが更に好ましい。芳香族性ヘテロ環は一般に最多の二重結合を有する。ヘテロ原子としては、窒素原子、酸素原子又は硫黄原子が好ましく、窒素原子又は硫黄原子が更に好ましい。芳香族性ヘテロ環の例には、フラン環、チオフェン環、ピロール環、オキサゾール環、イソオキサゾール環、チアゾール環、イソチアゾール環、イミダゾール環、ピラゾール環、フラザン環、トリアゾール環、ピラン環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、及び1,3,5−トリアジン環が含まれる。芳香族基の芳香族環としては、ベンゼン環、フラン環、チオフェン環、ピロール環、オキサゾール環、チアゾール環、イミダゾール環、トリアゾール環、ピリジン環、ピリミジン環及びピラジン環が好ましく、ベンゼン環が特に好ましい。
置換アリール基及び置換芳香族性ヘテロ環基の置換基の例には、ハロゲン原子(F、Cl、Br、I)、ヒドロキシル、カルボキシル、シアノ、アミノ、アルキルアミノ基(例、メチルアミノ、エチルアミノ、ブチルアミノ、ジメチルアミノ)、ニトロ、スルホ、カルバモイル、アルキルカルバモイル基(例、N−メチルカルバモイル、N−エチルカルバモイル、N,N−ジメチルカルバモイル)、スルファモイル、アルキルスルファモイル基(例、N−メチルスルファモイル、N−エチルスルファモイル、N,N−ジメチルスルファモイル)、ウレイド、アルキルウレイド基(例、N−メチルウレイド、N,N−ジメチルウレイド、N,N,N′−トリメチルウレイド)、アルキル基(例、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘプチル、オクチル、イソプロピル、s−ブチル、t−アミル、シクロヘキシル、シクロペンチル)、アルケニル基(例、ビニル、アリル、ヘキセニル)、アルキニル基(例、エチニル、ブチニル)、アシル基(例、ホルミル、アセチル、ブチリル、ヘキサノイル、ラウリル)、アシルオキシ基(例、アセトキシ、ブチリルオキシ、ヘキサノイルオキシ、ラウリルオキシ)、アルコキシ基(例、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘプチルオキシ、オクチルオキシ)、アリールオキシ基(例、フェノキシ)、アルコキシカルボニル基(例、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル、ペンチルオキシカルボニル、ヘプチルオキシカルボニル)、アリールオキシカルボニル基(例、フェノキシカルボニル)、アルコキシカルボニルアミノ基(例、ブトキシカルボニルアミノ、ヘキシルオキシカルボニルアミノ)、アルキルチオ基(例、メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、ブチルチオ、ペンチルチオ、ヘプチルチオ、オクチルチオ)、アリールチオ基(例、フェニルチオ)、アルキルスルホニル基(例、メチルスルホニル、エチルスルホニル、プロピルスルホニル、ブチルスルホニル、ペンチルスルホニル、ヘプチルスルホニル、オクチルスルホニル)、アミド基(例、アセトアミド、ブチルアミド基、ヘキシルアミド、ラウリルアミド)及び非芳香族性複素環基(例、モルホリル、ピラジニル)が含まれる。
置換アリール基及び置換芳香族性ヘテロ環基の置換基としては、ハロゲン原子、シアノ、カルボキシル、ヒドロキシル、アミノ、アルキル置換アミノ基、アシル基、アシルオキシ基、アミド基、アルコキシカルボニル基、アルコキシ基、アルキルチオ基及びアルキル基が好ましい。アルキルアミノ基、アルコキシカルボニル基、アルコキシ基及びアルキルチオ基のアルキル部分とアルキル基とは、更に置換基を有していてもよい。アルキル部分及びアルキル基の置換基の例には、ハロゲン原子、ヒドロキシル、カルボキシル、シアノ、アミノ、アルキルアミノ基、ニトロ、スルホ、カルバモイル、アルキルカルバモイル基、スルファモイル、アルキルスルファモイル基、ウレイド、アルキルウレイド基、アルケニル基、アルキニル基、アシル基、アシルオキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニルアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルスルホニル基、アミド基及び非芳香族性複素環基が含まれる。アルキル部分及びアルキル基の置換基としては、ハロゲン原子、ヒドロキシル、アミノ、アルキルアミノ基、アシル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、アルコキシカルボニル基及びアルコキシ基が好ましい。
一般式(7)において、Lは、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、二価の飽和ヘテロ環基、−O−、−CO−及びそれらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基である。アルキレン基は、環状構造を有していてもよい。環状アルキレン基としては、シクロヘキシレンが好ましく、1,4−シクロヘキシレンが特に好ましい。鎖状アルキレン基としては、直鎖状アルキレン基の方が分岐を有するアルキレン基よりも好ましい。アルキレン基の炭素原子数は、1〜20であることが好ましく、1〜15であることがより好ましく、1〜10であることが更に好ましく、1〜8であることが更にまた好ましく、1〜6であることが最も好ましい。
アルケニレン基及びアルキニレン基は、環状構造よりも鎖状構造を有することが好ましく、分岐を有する鎖状構造よりも直鎖状構造を有することが更に好ましい。アルケニレン基及びアルキニレン基の炭素原子数は、2〜10であることが好ましく、2〜8であることがより好ましく、2〜6であることが更に好ましく、2〜4であることが更にまた好ましく、2(ビニレン又はエチニレン)であることが最も好ましい。二価の飽和ヘテロ環基は、3員〜9員のヘテロ環を有することが好ましい。ヘテロ環のヘテロ原子は、酸素原子、窒素原子、ホウ素原子、硫黄原子、ケイ素原子、リン原子又はゲルマニウム原子が好ましい。飽和ヘテロ環の例には、ピペリジン環、ピペラジン環、モルホリン環、ピロリジン環、イミダゾリジン環、テトラヒドロフラン環、テトラヒドロピラン環、1,3−ジオキサン環、1,4−ジオキサン環、テトラヒドロチオフェン環、1,3−チアゾリジン環、1,3−オキサゾリジン環、1,3−ジオキソラン環、1,3−ジチオラン環及び1,3,2−ジオキサボロランが含まれる。特に好ましい二価の飽和ヘテロ環基は、ピペラジン−1,4−ジイレン、1,3−ジオキサン−2,5−ジイレン及び1,3,2−ジオキサボロラン−2,5−ジイレンである。
組み合わせからなる二価の連結基の例を示す。
L−1:−O−CO−アルキレン基−CO−O−
L−2:−CO−O−アルキレン基−O−CO−
L−3:−O−CO−アルケニレン基−CO−O−
L−4:−CO−O−アルケニレン基−O−CO−
L−5:−O−CO−アルキニレン基−CO−O−
L−6:−CO−O−アルキニレン基−O−CO−
L−7:−O−CO−二価の飽和ヘテロ環基−CO−O−
L−8:−CO−O−二価の飽和ヘテロ環基−O−CO−
一般式(7)の分子構造において、Lを挟んで、ArとArとが形成する角度は、140度以上であることが好ましい。棒状化合物としては、下記一般式(8)で表される化合物が更に好ましい。
一般式(8):Ar−L−X−L−Ar
一般式(8)において、Ar及びArは、それぞれ独立に、芳香族基である。芳香族基の定義及び例は、一般式(7)のAr及びArと同様である。
一般式(8)において、L及びLは、それぞれ独立に、アルキレン基、−O−、−CO−及びそれらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基である。アルキレン基は、環状構造よりも鎖状構造を有することが好ましく、分岐を有する鎖状構造よりも直鎖状構造を有することが更に好ましい。アルキレン基の炭素原子数は、1〜10であることが好ましく、1〜8であることがより好ましく、1〜6であることが更に好ましく、1〜4であることが更にまた好ましく、1又は2(メチレン又はエチレン)であることが最も好ましい。L及びLは、−O−CO−又は−CO−O−であることが特に好ましい。
一般式(8)において、Xは、1,4−シクロヘキシレン、ビニレン又はエチニレンである。以下に、一般式(7)で表される化合物の具体例を示す。
具体例(1)〜(34)、(41)、(42)、(46)、(47)、(52)、(53)は、シクロヘキサン環の1位と4位とに二つの不斉炭素原子を有する。但し、具体例(1)、(4)〜(34)、(41)、(42)、(46)、(47)、(52)、(53)は、対称なメソ型の分子構造を有するため光学異性体(光学活性)はなく、幾何異性体(トランス型とシス型)のみ存在する。具体例(1)のトランス型(1−trans)とシス型(1−cis)とを、以下に示す。
前述したように、棒状化合物は直線的な分子構造を有することが好ましい。そのため、トランス型の方がシス型よりも好ましい。具体例(2)及び(3)は、幾何異性体に加えて光学異性体(合計4種の異性体)を有する。幾何異性体については、同様にトランス型の方がシス型よりも好ましい。光学異性体については、特に優劣はなく、D、L或いはラセミ体のいずれでもよい。具体例(43)〜(45)では、中心のビニレン結合にトランス型とシス型とがある。上記と同様の理由で、トランス型の方がシス型よりも好ましい。
溶液の紫外線吸収スペクトルにおいて最大吸収波長(λmax)が250nmより短波長である棒状化合物を、二種類以上併用してもよい。棒状化合物は、文献記載の方法を参照して合成できる。文献としては、Mol.Cryst.Liq.Cryst.,53巻、229頁(1979年)、同89巻、93頁(1982年)、同145巻、111頁(1987年)、同170巻、43頁(1989年)、J.Am.Chem.Soc.,113巻、1349頁(1991年)、同118巻、5346頁(1996年)、同92巻、1582頁(1970年)、J.Org.Chem.,40巻、420頁(1975年)、Tetrahedron、48巻16号、3437頁(1992年)を挙げることができる。
(ポリマー又はオリゴマー)
本発明に係る斜め延伸フィルムは、セルロースエステルと、カルボキシル基、ヒドロキシル基、アミノ基、アミド基、及びスルホン酸基から選ばれる置換基を有しかつ重量平均分子量が500〜200,000の範囲内であるビニル系化合物のポリマー又はオリゴマーとを含有することが好ましい。当該セルロースエステルと、当該ポリマー又はオリゴマーとの含有量の質量比が、95:5〜50:50の範囲内であることが好ましい。
以下において、ポリマー又はオリゴマーについて説明する。
前記カルボキシル基は−COO−の構造を有する基である。アミノ基は−NR1、R2の構造を有する基であり、R1,R2は各々水素原子、アルキル基、フェニル基等の置換基を表す。アミド基は−NHCO−の構造を有する基であり、アルキル基、フェニル基等の置換基が連結していても良い。
本発明に用いられる前記ポリマー及びオリゴマーとしては、例えば下記のアクリル系ポリマー及びオリゴマー等が挙げられる。
これらの化合物は、セルロースエステルに対し5〜50質量%の範囲内で使用し、また相溶性に優れるものが好ましく、フィルムにしたときの全可視域(400nm〜800nm)に渡り透過率が80%以上、好ましくは90%以上、さらに好ましくは92%以上が得られるようにする。
(アクリル系ポリマー及びオリゴマー)
アクリル系ポリマー及びオリゴマーとしては、特に構造が限定されるものではないが、エチレン性不飽和モノマーを重合して得られた重量平均分子量が500以上200,000以下である重合体であることが好ましい。
アクリル系ポリマー及びオリゴマーは、単一のモノマーから構成されていても複数種のモノマーから構成されていてもかまわない。モノマーはアクリル酸エステルもしくはメタクリル酸エステルから選択されることが好ましいが、作製するフィルムのリターデーション特性、波長分散特性、耐熱性に応じて適宜他のモノマー、例えば無水マレイン酸、スチレン等を含んでいてもかまわない。
以下、アクリル系ポリマー及びオリゴマーをポリマーXとして説明する。
(ポリマーX)
ポリマーXは分子内に芳香環と極性基を有しないエチレン性不飽和モノマーXaと分子内に芳香環を有せず、極性基を有するエチレン性不飽和モノマーXbとを共重合して得られた重量平均分子量500以上200,000以下の下記一般式(X−1)で表されるポリマーであることが好ましい。更に30℃下にて固体であるか、もしくはガラス転移温度が35℃以上であることが好ましい。
重量平均分子量は、500以上、200,000以下であるとセルロースエステルとの相溶性と透明性に優れる。
一般式(X−1)
−[Xa]m−[Xb]n−
(mおよびnは、モル組成比を表し、m+n=100である。)
ポリマーXを構成するモノマー単位としてのモノマーを下記に挙げるがこれに限定されない。
分子内に芳香環と極性基を有しないエチレン性不飽和モノマーXaは、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル(i−、n−)、アクリル酸ブチル(n−、i−、s−、t−)、アクリル酸ペンチル(n−、i−、s−)、アクリル酸ヘキシル(n−、i−)、アクリル酸ヘプチル(n−、i−)、アクリル酸オクチル(n−、i−)、アクリル酸ノニル(n−、i−)、アクリル酸ミリスチル(n−、i−)、アクリル酸(2−エチルヘキシル)、アクリル酸(ε−カプロラクトン)、アクリル酸(2−ヒドロキシエチル)、アクリル酸(2−エトキシエチル)等、または上記アクリル酸エステルをメタクリル酸エステルに変えたものを挙げることができる。中でも、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル(i−、n−)であることが好ましい。
分子内に芳香環を有せず、極性基を有するエチレン性不飽和モノマーXbは、水酸基を有するモノマー単位として、アクリル酸またはメタクリル酸エステルが好ましく、例えば、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸6−ヒドロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸8−ヒドロキシオクチル、(メタ)アクリル酸10−ヒドロキシデシル、(メタ)アクリル酸12−ヒドロキシラウリルや(4−ヒドロキシメチルシクロヘキシル)−メチルアクリレートなどのヒドロキシル基含有モノマー;(メタ)アクリル酸、カルボキシエチル(メタ)アクリレート、カルボキシペンチル(メタ)アクリレート、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸などのカルボキシル基含有モノマー;無水マレイン酸、無水イタコン酸などの酸無水物基含有モノマー;アクリル酸のカプロラクトン付加物;スチレンスルホン酸やアリルスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、(メタ)アクリルアミドプロパンスルホン酸、スルホプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルオキシナフタレンスルホン酸などのスルホン酸基含有モノマー;2−ヒドロキシエチルアクリロイルホスフェートなどの燐酸基含有モノマーなどがあげられる。
また、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブチル(メタ)アクリルアミドやN−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メチロールプロパン(メタ)アクリルアミドなどの(N−置換)アミド系モノマー;(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸t−ブチルアミノエチルなどの(メタ)アクリル酸アルキルアミノアルキル系モノマー;(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチルなどの(メタ)アクリル酸アルコキシアルキル系モノマー;N−(メタ)アクリロイルオキシメチレンスクシンイミドやN−(メタ)アクリロイル−6−オキシヘキサメチレンスクシンイミド、N−(メタ)アクリロイル−8−オキシオクタメチレンスクシンイミド、N−アクリロイルモルホリンなどのスクシンイミド系モノマーなども改質目的のモノマー例としてあげられる。
さらに、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、N−ビニルピロリドン、メチルビニルピロリドン、ビニルピリジン、ビニルピペリドン、ビニルピリミジン、ビニルピペラジン、ビニルピラジン、ビニルピロール、ビニルイミダゾール、ビニルオキサゾール、ビニルモルホリン、N−ビニルカルボン酸アミド類、スチレン、α−メチルスチレン、N−ビニルカプロラクタムなどのビニル系モノマー;アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのシアノアクリレート系モノマー;(メタ)アクリル酸グリシジルなどのエポキシ基含有アクリル系モノマー;(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸ポリプロピレングリコール、(メタ)アクリル酸メトキシエチレングリコール、(メタ)アクリル酸メトキシポリプロピレングリコールなどのグリコール系アクリルエステルモノマー;(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル、フッ素(メタ)アクリレート、シリコーン(メタ)アクリレートや2−メトキシエチルアクリレートなどのアクリル酸エステル系モノマーなども使用することができる。
本発明では、上記疎水性モノマーXaと極性モノマーXbを用いて共重合によりポリマーXを合成する。また上記に記載した疎水性モノマー、又は極性モノマーをモノマーXcとして三元共重合体とすることもできる。
疎水性モノマーXaと極性モノマーXbの合成時の使用比率は99:1〜50:50の範囲が好ましく、更に好ましくは95:5〜60:40の範囲である。疎水性モノマーXaの使用比率が多いとセルロースエステルとの相溶性が低下するが、位相差値の環境湿度に対する変動を低減させる効果が高い。極性モノマーXbの使用比率が多いとセルロースエステルとの相溶性が良化するが位相差値の環境湿度に対する変動が大きくなる。また、極性モノマーXbの使用比率が上記範囲を超えると製膜時にヘイズが出る為好ましくない。
このようなポリマーを合成するには、通常の重合では分子量のコントロールが難しく、分子量をあまり大きくしない方法で、できるだけ分子量を揃えることのできる方法を用いることが望ましい。かかる重合方法としては、クメンペルオキシドやt−ブチルヒドロペルオキシドのような過酸化物重合開始剤を使用する方法、重合開始剤を通常の重合より多量に使用する方法、重合開始剤の他にメルカプト化合物や四塩化炭素等の連鎖移動剤を使用する方法、重合開始剤の他にベンゾキノンやジニトロベンゼンのような重合停止剤を使用する方法、更に特開2000−128911号または同2000−344823号公報にあるような一つのチオール基と2級の水酸基とを有する化合物、或いは、該化合物と有機金属化合物を併用した重合触媒を用いて塊状重合する方法等を挙げることが出来、何れも本発明において好ましく用いられる。ポリマーXの重量平均分子量は、公知の分子量調節方法で調整することができる。そのような分子量調節方法としては、例えば四塩化炭素、ラウリルメルカプタン、チオグリコール酸オクチル等の連鎖移動剤を添加する方法等が挙げられる。また、重合温度は通常室温から130℃、好ましくは50℃から100℃で行われるが、この温度または重合反応時間を調整することで可能である。
重量平均分子量の測定方法は前記分子量測定方法によることができる。
ポリマーXの添加量は、フィルムに所望の性能を持たせるために適宜調製される。光弾性係数、位相差値の環境湿度に対する変動を低減させるためには添加し、位相差性能を大きくするためには少量添加すればよいが、少な過ぎると位相差フィルムとして液晶テレビに用いた場合、画面のコーナー部の色が変わるコーナームラや、さらには位相差値が製造当初設定した値から変化してしまうことによる視野角の変動、色味の変化が生じてしまい、多過ぎると必要な位相差性能が得られないため、5質量%以上50質量%以下が好ましい。
<マット剤>
マット剤として微粒子を斜め延伸フィルム中に含有させることができ、これによって、斜め延伸フィルムが長尺フィルムの場合、搬送や巻き取りをしやすくすることができる。
マット剤の粒径は10nm〜0.1μmの1次粒子もしくは2次粒子であることが好ましい。1次粒子の針状比は1.1以下の略球状のマット剤が好ましく用いられる。
微粒子としては、ケイ素を含むものが好ましく、特に二酸化珪素が好ましい。本発明に好ましい二酸化珪素の微粒子としては、例えば、日本アエロジル(株)製のアエロジルR972、R972V、R974、R812、200、200V、300、R202、OX50、TT600(以上日本アエロジル(株)製)の商品名で市販されているものを挙げることができ、アエロジル200V、R972、R972V、R974、R202、R812を好ましく用いることができる。ポリマーの微粒子の例として、シリコーン樹脂、弗素樹脂及びアクリル樹脂を挙げることができる。シリコーン樹脂が好ましく、特に三次元の網状構造を有するものが好ましく、例えば、トスパール103、同105、同108、同120、同145、同3120及び同240(東芝シリコーン(株)製)を挙げることができる。
二酸化珪素の微粒子は、1次平均粒子径が20nm以下であり、かつ見かけ比重が70g/L以上であるものが好ましい。1次粒子の平均径が5〜16nmがより好ましく、5〜12nmが更に好ましい。1次粒子の平均径が小さい方がヘイズが低く好ましい。見かけ比重は90〜200g/L以上が好ましく、100〜200g/L以上がより好ましい。見かけ比重が大きい程、高濃度の微粒子分散液を作ることが可能になり、ヘイズ、凝集物が発生せず好ましい。
マット剤の添加量は、斜め延伸フィルム1m当たり0.01〜1.0gが好ましく、0.03〜0.3gがより好ましく、0.08〜0.16gが更に好ましい。
(その他の添加剤)
この他、カオリン、タルク、ケイソウ土、石英、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化チタン、アルミナ等の無機微粒子、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属の塩等の熱安定剤を加えてもよい。更に界面活性剤、剥離促進剤、帯電防止剤、難燃剤、滑剤、油剤等も加えてもよい。
<セルロースエステルフィルムの製造>
セルロースエステルフィルムは、溶液流延法、溶融流延法のいずれの方法で製造されてもよい。以下溶液流延法について説明する。セルロースエステルフィルムの製造は、セルロースエステル及び前記可塑剤などの添加剤を溶剤に溶解させてドープを調製する工程、ドープをベルト状若しくはドラム状の金属支持体上に流延する工程、流延したドープをウェブとして乾燥する工程、金属支持体から剥離する工程、延伸する工程、更に乾燥する工程、必要であれば得られたフィルムを更に熱処理する工程、冷却後巻き取る工程により行われる。本発明のセルロースエステルフィルムは固形分中に好ましくはセルロースエステルを60〜95質量%含有するものである。
ドープを調製する工程について述べる。ドープ中のセルロースエステルの濃度は、濃度が高い方が金属支持体に流延した後の乾燥負荷が低減出来て好ましいが、セルロースエステルの濃度が高過ぎると濾過時の負荷が増えて、濾過精度が悪くなる。これらを両立する濃度としては、10〜35質量%が好ましく、更に好ましくは、15〜25質量%である。
セルロースエステルを溶解しセルロースエステル溶液又はドープ形成に有用な有機溶媒としては、塩素系有機溶媒と非塩素系有機溶媒がある。塩素系の有機溶媒としてメチレンクロライド(塩化メチレン)を挙げることができ、セルロースエステル、特にセルローストリアセテートの溶解に適している。昨今の環境問題から非塩素系有機溶媒の使用が検討されている。非塩素系有機溶媒としては、例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸アミル、アセトン、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、1,4−ジオキサン、シクロヘキサノン、ギ酸エチル、2,2,2−トリフルオロエタノール、2,2,3,3−ヘキサフルオロ−1−プロパノール、1,3−ジフルオロ−2−プロパノール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−メチル−2−プロパノール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール、2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−1−プロパノール、ニトロエタン等を挙げることができる。これらの有機溶媒をセルローストリアセテートに対して使用する場合には、常温での溶解方法も使用可能であるが、高温溶解方法、冷却溶解方法、高圧溶解方法等の溶解方法を用いることにより不溶解物を少なくすることができるので好ましい。セルローストリアセテート以外のセルロースエステルに対しては、メチレンクロライドを用いることはできるが、酢酸メチル、酢酸エチル、アセトンが好ましく使用される。特に酢酸メチルが好ましい。本発明において、上記セルロースエステルに対して良好な溶解性を有する有機溶媒を良溶媒といい、また溶解に主たる効果を示し、その中で大量に使用する有機溶媒を主(有機)溶媒又は主たる(有機)溶媒という。
本発明に用いられるドープには、上記有機溶媒の他に、1〜40質量%の炭素原子数1〜4のアルコールを含有させることが好ましい。これらはドープを金属支持体に流延後溶媒が蒸発をし始めアルコールの比率が多くなるとドープ膜(ウェブ)がゲル化し、ウェブを丈夫にし金属支持体から剥離することを容易にするゲル化溶媒として用いられたり、これらの割合が少ない時は非塩素系有機溶媒のセルロースエステルの溶解を促進する役割もある。炭素原子数1〜4のアルコールとしては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノールを挙げることができる。これらのうちドープの安定性に優れ、沸点も比較的低く、乾燥性もよいこと等からエタノールが好ましい。これらの有機溶媒は単独ではセルロースエステルに対して溶解性を有していないので貧溶媒という。
ドープ中のセルロースエステルの濃度は15〜30質量%、ドープ粘度は100〜500Pa・sの範囲に調製されることが良好なフィルム面品質を得る上で好ましい。
上記記載のドープを調製する時の、セルロースエステルの溶解方法としては、一般的な方法を用いることができる。加熱と加圧を組み合わせると常圧における沸点以上に加熱できる。溶剤の常圧での沸点以上でかつ加圧下で溶剤が沸騰しない範囲の温度で加熱しながら攪拌溶解すると、ゲルやママコと呼ばれる塊状未溶解物の発生を防止するため好ましい。また、セルロースエステルを貧溶剤と混合して湿潤或いは膨潤させた後、更に良溶剤を添加して溶解する方法も好ましく用いられる。
加圧は窒素ガス等の不活性気体を圧入する方法や、加熱によって溶剤の蒸気圧を上昇させる方法によって行ってもよい。加熱は外部から行うことが好ましく、例えばジャケットタイプのものは温度コントロールが容易で好ましい。
溶剤を添加しての加熱温度は、高い方がセルロースエステルの溶解性の観点から好ましいが、加熱温度が高過ぎると必要とされる圧力が大きくなり生産性が悪くなる。好ましい加熱温度は45〜120℃であり、60〜110℃がより好ましく、70℃〜105℃が更に好ましい。また、圧力は設定温度で溶剤が沸騰しないように調整される。
若しくは冷却溶解法も好ましく用いられ、これによって酢酸メチルなどの溶媒にセルロースエステルを溶解させることができる。
次に、このセルロースエステル溶液を濾紙等の適当な濾過材を用いて濾過する。濾過材としては、不溶物等を除去するために絶対濾過精度が小さい方が好ましいが、絶対濾過精度が小さ過ぎると濾過材の目詰まりが発生しやすいという問題がある。このため絶対濾過精度0.008mm以下の濾材が好ましく、0.001〜0.008mmの濾材がより好ましく、0.003〜0.006mmの濾材が更に好ましい。
濾材の材質は特に制限はなく、通常の濾材を使用することができるが、ポリプロピレン、テフロン(登録商標)等のプラスチック製の濾材や、ステンレススティール等の金属製の濾材が繊維の脱落等がなく好ましい。濾過により、原料のセルロースエステルに含まれていた不純物、特に輝点異物を除去、低減することが好ましい。
輝点異物とは、二枚の偏光板をクロスニコル状態にして配置し、その間にセルロースエステルフィルムを置き、一方の偏光板の側から光を当てて、他方の偏光板の側から観察した時に反対側からの光が漏れて見える点(異物)のことであり、径が0.01mm以上である輝点数が200個/cm以下であることが好ましい。より好ましくは100個/cm以下であり、更に好ましくは50個/m以下であり、更に好ましくは0〜10個/cm以下である。また、0.01mm以下の輝点も少ない方が好ましい。
ドープの濾過は通常の方法で行うことができるが、溶剤の常圧での沸点以上で、かつ加圧下で溶剤が沸騰しない範囲の温度で加熱しながら濾過する方法が、濾過前後の濾圧の差(差圧という)の上昇が小さく、好ましい。好ましい温度は45〜120℃であり、45〜70℃がより好ましく、45〜55℃であることが更に好ましい。
濾圧は小さい方が好ましい。濾圧は1.6MPa以下であることが好ましく、1.2MPa以下であることがより好ましく、1.0MPa以下であることが更に好ましい。
ここで、ドープの流延について説明する。
流延(キャスト)工程における金属支持体は、表面を鏡面仕上げしたものが好ましく、金属支持体としては、ステンレススティールベルト若しくは鋳物で表面をメッキ仕上げしたドラムが好ましく用いられる。キャストの幅は1〜4mとすることができる。流延工程の金属支持体の表面温度は−50℃〜溶剤が沸騰して発泡しない温度以下に設定される。温度が高い方がウェブの乾燥速度が速くできるので好ましいが、余り高過ぎるとウェブが発泡したり、平面性が劣化する場合がある。好ましい支持体温度としては0〜100℃で適宜決定され、5〜30℃が更に好ましい。或いは、冷却することによってウェブをゲル化させて残留溶媒を多く含んだ状態でドラムから剥離することも好ましい方法である。金属支持体の温度を制御する方法は特に制限されないが、温風又は冷風を吹きかける方法や、温水を金属支持体の裏側に接触させる方法がある。温水を用いる方が熱の伝達が効率的に行われるため、金属支持体の温度が一定になるまでの時間が短く好ましい。温風を用いる場合は溶媒の蒸発潜熱によるウェブの温度低下を考慮して、溶媒の沸点以上の温風を使用しつつ、発泡も防ぎながら目的の温度よりも高い温度の風を使う場合がある。特に、流延から剥離するまでの間で支持体の温度及び乾燥風の温度を変更し、効率的に乾燥を行うことが好ましい。
セルロースエステルフィルムが良好な平面性を示すためには、金属支持体からウェブを剥離する際の残留溶媒量は10〜150質量%が好ましく、更に好ましくは20〜40質量%又は60〜130質量%であり、特に好ましくは、20〜30質量%又は70〜120質量%である。また、該金属支持体上の剥離位置における温度を−50〜40℃とするのが好ましく、10〜40℃がより好ましく、15〜30℃とするのが最も好ましい。
本発明においては、残留溶媒量は下記式で定義される。
残留溶媒量(質量%)={(M−N)/N}×100
なお、Mはウェブ又はフィルムを製造中又は製造後の任意の時点で採取した試料の質量で、NはMを115℃で1時間の加熱後の質量である。
また、セルロースエステルフィルムの乾燥工程においては、ウェブを金属支持体より剥離し、更に乾燥し、残留溶媒量が0.5質量%以下となるまで乾燥される。
フィルム乾燥工程では一般にロール乾燥方式(上下に配置した多数のロールをウェブを交互に通し乾燥させる方式)やテンター方式でウェブを搬送させながら乾燥する方式が採られる。
前記金属支持体から剥離する際に、剥離張力及びその後の搬送張力によってウェブは縦方向に延伸する為、本発明においては流延支持体からウェブを剥離する際は剥離及び搬送張力をできるだけ下げた状態で行うことが好ましい。具体的には、例えば50〜170N/m以下にすることが効果的である。その際、20℃以下の冷風を当て、ウェブを急速に固定化することが好ましい。
次いで、上記乾燥したフィルムを未延伸フィルムとして、前述の本発明に用いられる斜め延伸テンターにより所望の角度に延伸を行い斜め延伸フィルムとすることができる。
<アクリル系重合体>
本発明に係る斜め延伸フィルムは熱可塑性樹脂として、セルロースエステル樹脂とアクリル系重合体の混合物を用いることが、光学フィルムの耐久性が向上し、本発明の目的効果がより良好に発揮される点から好ましい。
アクリル系重合体は、(メタ)アクリル酸エステルを主成分として含有する単量体組成物を重合した樹脂であれば特には限定されない。また、2種類以上のアクリル系重合体を主成分とするものでもよい。上記(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、下記一般式(I)
(式中、RおよびRは、それぞれ独立に、水素原子または炭素数1〜20の有機残基を示す。)
で表される構造を有する化合物(単量体)、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸ベンジルなどのアクリル酸エステル;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ベンジルなどのメタクリル酸エステル;などが挙げられ、これらは1種のみ用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも特に、耐熱性、透明性が優れる点から、メタクリル酸メチルがより好ましい。また、正の複屈折性(正の位相差)を大きくする点で、(メタ)アクリル酸ベンジルが好ましい。
尚、(メタ)アクリル酸ベンジル単量体構造単位を導入する場合には、アクリル系重合体における(メタ)アクリル酸ベンジル単量体構造単位の好ましい含有量は、5〜50質量%であり、より好ましくは10〜40質量%であり、更に好ましくは15〜30質量%である。
一般式(I)で表される構造を有する化合物としては、例えば、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸エチル、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸イソプロピル、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸ノルマルブチル、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸ターシャリーブチルなどが挙げられる。これらの中でも、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸エチルが好ましく、耐熱性向上効果が高い点で、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチルが特に好ましい。一般式(I)で表される化合物は、1種のみ用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記アクリル系重合体は、上述した(メタ)アクリル酸エステルを重合した構造以外の構造を有していてもよい。(メタ)アクリル酸エステルを重合した構造以外の構造としては、特には限定されないが、水酸基含有単量体、不飽和カルボン酸、下記一般式(II)
(式中、Rは水素原子またはメチル基を表し、Xは水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、アリール基、−OAc基、−CN基、−CO−R基、または−C−O−R基を表し、Ac基はアセチル基を表し、RおよびRは水素原子または炭素数1〜20の有機残基を表す。)
で表される単量体から選ばれる少なくとも1種を重合して構築される重合体構造単位(繰り返し構造単位)が好ましい。
水酸基含有単量体としては、一般式(I)で表される単量体以外の水酸基含有単量体であれば特に限定されないが、例えば、メタリルアルコール、アリルアルコール、2−ヒドロキシメチル−1−ブテンなどのアリルアルコール、α−ヒドロキシメチルスチレン、α−ヒドロキシエチルスチレン、2−(ヒドロキシエチル)アクリル酸メチルなどの2−(ヒドロキシアルキル)アクリル酸エステル;2−(ヒドロキシエチル)アクリル酸などの2−(ヒドロキシアルキル)アクリル酸;などが挙げられ、これらは1種のみ用いても良いし、2種以上を併用してもよい。
不飽和カルボン酸としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、α−置換アクリル酸、α−置換メタクリル酸などが挙げられ、これらは1種のみ用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも特に、本発明の効果を十分に発揮させる点で、アクリル酸、メタクリル酸が好ましい。
一般式(II)で表される化合物としては、例えば、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、アクリロニトリル、メチルビニルケトン、エチレン、プロピレン、酢酸ビニルなどが挙げられ、これらは1種のみ用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも特に、本発明の効果を十分に発揮させる点で、スチレン、α−メチルスチレンが好ましい。
重合方法は特に限定されず、公知の重合方法を用いることができる。使用する単量体(単量体組成物)の種類、使用比率等に応じて、適宜適した方法を採用すればよい。
本発明に用いられるアクリル系重合体は、ガラス転移温度(Tg)が、好ましくは110℃〜200℃、より好ましくは115℃〜200℃、さらに好ましくは120℃〜200℃、特に好ましくは125℃〜190℃、最も好ましくは130℃〜180℃である。
耐熱性を挙げる点で、フェニルマレイミド、シクロヘキシルマレイミド、メチルマレイミドなどのN−置換マレイミドを共重合してもよいし、分子鎖中(重合体の主骨格中、または主鎖中ともいう。)にラクトン環構造、グルタル酸無水物構造、グルタルイミド構造などを導入してもよい。中でも、フィルムの着色(黄変)し難さの点で、窒素原子を含まない単量体が好ましく、また、正の複屈折性(正の位相差)を発現させやすい点で、主鎖にラクトン環構造を持つものが好ましい。主鎖中のラクトン環構造に関しては、4〜8員環でもよいが、構造の安定性から5〜6員環の方がより好ましく、6員環が更に好ましい。また、主鎖中のラクトン環構造が6員環である場合、一般式(III)や特開2004−168882号公報で表される構造などが挙げられるが、主鎖にラクトン環構造を導入する前の重合体を合成する上において重合収率が高い点や、ラクトン環構造の含有割合の高い重合体を高い重合収率で得易い点や、メタクリル酸メチルなどの(メタ)アクリル酸エステルとの共重合性が良い点で、一般式(III)で表される構造であることが好ましい。
<ラクトン環構造を有するアクリル系重合体>
上記アクリル系重合体が、上記一般式(I)で表される構造を有する化合物を含有する単量体を重合した樹脂である場合、上記アクリル系重合体はラクトン環構造を有していることがより好ましい(以下、ラクトン環構造を有するアクリル系重合体を「ラクトン環含有重合体」と記す)を本発明の光学フィルムに用いる事で、光学フィルムの耐久性が向上し、本発明の目的効果がより良好に発揮される点から好ましい。以下、ラクトン環含有重合体について説明する。
ラクトン環含有重合については、例えば、下記一般式(III)で示される化合物を挙げる事ができる。
(式中、R、R、Rは、それぞれ独立に、水素原子または炭素数1〜20の有機残基を表す。なお、有機残基は酸素原子を含んでいてもよい。)
なお、上記一般式(III)における有機残基は、炭素数が1〜20の範囲内であれば特には限定されないが、例えば、直鎖若しくは分岐状のアルキル基、直鎖若しくは分岐状のアルキレン基、アリール基、−OAc基、−CN基などが挙げられる。
上記アクリル系重合体中の上記ラクトン環構造の含有割合は、好ましくは5〜90質量%の範囲内、より好ましくは20〜90質量%の範囲内、さらに好ましくは30〜90質量%の範囲内、さらに好ましくは35〜90質量%の範囲内、特に好ましくは40〜80質量%の範囲内、最も好ましくは45〜75質量%の範囲内である。上記ラクトン環構造の含有割合が90質量%よりも多いと、成形加工性に乏しくなる。また、得られたフィルムの可撓性が低下する傾向があり、好ましくない。上記ラクトン環構造の含有割合が5質量%よりも少ないと、フィルムに成形したときに必要な位相差を得ることが難しく、また耐熱性、耐溶剤性、表面硬度が不十分になることがあり、好ましくない。
ラクトン環含有重合体において、一般式(III)で表されるラクトン環構造以外の構造の含有割合は、(メタ)アクリル酸エステルを重合して構築される重合体構造単位(繰り返し構造単位)の場合、好ましくは10〜95質量%の範囲内、より好ましくは10〜80質量%の範囲内、さらに好ましくは10〜65質量%の範囲内、特に好ましくは20〜60質量%の範囲内、最も好ましくは25〜55質量%の範囲内である。水酸基含有単量体を重合して構築される重合体構造単位(繰り返し構造単位)の場合、好ましくは0〜30質量%の範囲内、より好ましくは0〜20質量%の範囲内、さらに好ましくは0〜15質量%の範囲内、特に好ましくは0〜10質量%の範囲内である。不飽和カルボン酸を重合して構築される重合体構造単位(繰り返し構造単位)の場合、好ましくは0〜30質量%の範囲内、より好ましくは0〜20質量%の範囲内、さらに好ましくは0〜15質量%の範囲内、特に好ましくは0〜10質量%の範囲内である。一般式(III)で表される単量体を重合して構築される重合体構造単位(繰り返し構造単位)の場合、好ましくは0〜30質量%の範囲内、より好ましくは0〜20質量%の範囲内、さらに好ましくは0〜15質量%の範囲内、特に好ましくは0〜10質量%の範囲内である。
ラクトン環含有重合体の製造方法については、特に限定はされないが、好ましくは、重合工程によって分子鎖中に水酸基とエステル基とを有する重合体を得た後に、得られた重合体を加熱処理することによりラクトン環構造を重合体に導入するラクトン環化縮合工程を行うことによってラクトン環含有重合体を得ることができる。
<脂環式ポリオレフィン樹脂>
本発明に係る斜め延伸フィルムに用いられる熱可塑性樹脂としては、脂環式ポリオレフィン樹脂を用いても良い。
脂環式ポリオレフィン樹脂は、主鎖及び/または側鎖に脂環構造を有する非晶性の樹脂である。脂環式ポリオレフィン樹脂中の脂環構造としては、飽和脂環炭化水素(シクロアルカン)構造、不飽和脂環炭化水素(シクロアルケン)構造などが挙げられるが、機械強度、耐熱性などの観点から、シクロアルカン構造が好ましい。脂環構造を構成する炭素原子数には、格別な制限はないが、通常4〜30個、好ましくは5〜20個、より好ましくは5〜15個であるときに、機械強度、耐熱性、及びフィルムの成形性の特性が高度にバランスされ、好適である。
脂環式ポリオレフィン樹脂を構成する脂環構造を有する繰り返し単位の割合は、好ましくは55質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上、特に好ましくは90質量%以上である。脂環式ポリオレフィン樹脂中の脂環式構造を有する繰り返し単位の割合がこの範囲にあると透明性および耐熱性の観点から好ましい。
脂環式ポリオレフィン樹脂としては、ノルボルネン系樹脂、単環の環状オレフィン系樹脂、環状共役ジエン系樹脂、ビニル脂環式炭化水素系樹脂、及び、これらの水素化物等を挙げることができる。これらの中で、ノルボルネン系樹脂は、透明性と成形性が良好なため、好適に用いることができる。
ノルボルネン系樹脂としては、例えば、ノルボルネン構造を有する単量体の開環重合体若しくはノルボルネン構造を有する単量体と他の単量体との開環共重合体、又はそれらの水素化物;ノルボルネン構造を有する単量体の付加重合体若しくはノルボルネン構造を有する単量体と他の単量体との付加共重合体、又はそれらの水素化物等を挙げることができる。これらの中で、ノルボルネン構造を有する単量体の開環(共)重合体水素化物は、透明性、成形性、耐熱性、低吸湿性、寸法安定性、軽量性などの観点から、特に好適に用いることができる。
ノルボルネン構造を有する単量体としては、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン(慣用名:ノルボルネン)、トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3,7−ジエン(慣用名:ジシクロペンタジエン)、7,8−ベンゾトリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン(慣用名:メタノテトラヒドロフルオレン)、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン(慣用名:テトラシクロドデセン)、およびこれらの化合物の誘導体(例えば、環に置換基を有するもの)などを挙げることができる。ここで、置換基としては、例えばアルキル基、アルキレン基、極性基などを挙げることができる。また、これらの置換基は、同一または相異なって複数個が環に結合していてもよい。ノルボルネン構造を有する単量体は1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
極性基の種類としては、ヘテロ原子、またはヘテロ原子を有する原子団などが挙げられる。ヘテロ原子としては、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ケイ素原子、ハロゲン原子などが挙げられる。極性基の具体例としては、カルボキシル基、カルボニルオキシカルボニル基、エポキシ基、ヒドロキシル基、オキシ基、エステル基、シラノール基、シリル基、アミノ基、ニトリル基、スルホン基などが挙げられる。飽和吸水率の小さいフィルムを得るためには。極性基の量が少ない方が好ましく、極性基を持たない方がより好ましい。
ノルボルネン構造を有する単量体と開環共重合可能な他の単量体としては、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテンなどのモノ環状オレフィン類およびその誘導体;シクロヘキサジエン、シクロヘプタジエンなどの環状共役ジエンおよびその誘導体;などが挙げられる。
ノルボルネン構造を有する単量体の開環重合体およびノルボルネン構造を有する単量体と共重合可能な他の単量体との開環共重合体は、単量体を公知の開環重合触媒の存在下に(共)重合することにより得ることができる。
ノルボルネン構造を有する単量体と付加共重合可能な他の単量体としては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテンなどの炭素数2〜20のα−オレフィンおよびこれらの誘導体;シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセンなどのシクロオレフィンおよびこれらの誘導体;1,4−ヘキサジエン、4−メチル−1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジエンなどの非共役ジエンなどが挙げられる。これらの単量体は1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、α−オレフィンが好ましく、エチレンがより好ましい。
ノルボルネン構造を有する単量体の付加重合体およびノルボルネン構造を有する単量体と共重合可能な他の単量体との付加共重合体は、単量体を公知の付加重合触媒の存在下に重合することにより得ることができる。
ノルボルネン構造を有する単量体の開環重合体の水素化物、ノルボルネン構造を有する単量体とこれと開環共重合可能なその他の単量体との開環共重合体の水素化物、ノルボルネン構造を有する単量体の付加重合体の水素化物、およびノルボルネン構造を有する単量体とこれと付加共重合可能なその他の単量体との付加共重合体の水素化物は、これら開環(共)重合体又は付加(共)重合体の溶液に、ニッケル、パラジウムなどの遷移金属を含む公知の水素化触媒を添加し、水素を接触させて、炭素−炭素不飽和結合を好ましくは90%以上水素化することによって得ることができる。
ノルボルネン系樹脂の中でも、繰り返し単位として、X:ビシクロ[3.3.0]オクタン−2,4−ジイル−エチレン構造と、Y:トリシクロ[4.3.0.12,5]デカン−7,9−ジイル−エチレン構造とを有し、これらの繰り返し単位の含有量が、ノルボルネン系樹脂の繰り返し単位全体に対して90質量%以上であり、かつ、Xの含有割合とYの含有割合との比が、X:Yの質量比で100:0〜40:60であるものが好ましい。このような樹脂を用いることにより、長期的に寸法変化がなく、光学特性の安定性に優れる光学フィルムを得ることができる。
脂環式ポリオレフィン樹脂の分子量は、使用目的に応じて適宜選定されるが、溶媒としてシクロヘキサン(樹脂が溶解しない場合はトルエン)を用いるゲル・パーミエーション・クロマトグラフィーで測定したポリイソプレン(溶媒がトルエンのときは、ポリスチレン換算)の重量平均分子量(Mw)で、通常15,000〜50,000、好ましくは18,000〜45,000、より好ましくは20,000〜40,000である。重量平均分子量がこのような範囲にあるときに、フィルムの機械的強度および成形性が高度にバランスされ好適である。
脂環式ポリオレフィン樹脂の分子量分布(重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn))は特に制限されないが、通常1.0〜10.0、好ましくは1.1〜4.0、より好ましくは1.2〜3.5の範囲である。
斜め延伸フィルムは、上記脂環式ポリオレフィン樹脂をセルロースエステルと同様に溶液流延法、または溶融流延法によって製膜し、斜め延伸することで得ることができる。
<他の熱可塑性樹脂>
他の熱可塑性樹脂の好ましい使用例として、斜め延伸フィルムがコア層とスキン層を有し、コア層がスチレン系樹脂からなり、スキン層がゴム粒子を含有する(メタ)アクリル系樹脂組成物からなる積層型フィルムであることも好ましい態様である。
コア層を構成するスチレン系樹脂は、スチレンまたはその誘導体の単独重合体であることができるほか、スチレン若しくはその誘導体と他の共重合性モノマーとの、二元またはそれ以上の共重合体であることもできる。ここで、スチレン誘導体とは、スチレンに他の基が結合した化合物であって、たとえば、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、o−エチルスチレン、p−エチルスチレンのようなアルキルスチレン;および、ヒドロキシスチレン、tert−ブトキシスチレン、ビニル安息香酸、o−クロロスチレン、p−クロロスチレンのような、スチレンのベンゼン核に水酸基、アルコキシ基、カルボキシル基、ハロゲン等が導入された置換スチレン等が挙げられる。スチレン系樹脂は、スチレンまたはスチレン誘導体と、アクリロニトリル、無水マレイン酸、メチルメタクリレートおよびブタジエンから選ばれる少なくとも1種のモノマーとの共重合体であることが好ましい。コア層を構成するスチレン系樹脂は、コア層の耐熱性を向上させるために、そのガラス転移温度Tgは100℃以上であることが好ましく、より好ましくは、120℃以上である。
スチレン系樹脂からなるコア層は、その厚み(膜厚)が10〜100μmとなるように設定することが望ましい。その厚みが10μm未満では、延伸によって十分なリターデーション値が発現しにくいことがある。一方、その厚みが100μmを超えると、フィルムの衝撃強度が弱くなりやすいとともに、外部応力によるリターデーション変化が大きくなる傾向にあり、液晶表示装置に適用したときに白抜け等が発生しやすくなり、表示性能が低下しやすい。
前記のスチレン系樹脂からなるコア層の両面に配置されるスキン層は、(メタ)アクリル系樹脂にゴム粒子が配合されている(メタ)アクリル系樹脂組成物からなる。ゴム粒子を配合することにより、耐衝撃性やハンドリング性が向上する。(メタ)アクリル系樹脂としては、たとえば、メタクリル酸アルキルエステルまたはアクリル酸アルキルエステルの単独重合体や、メタクリル酸アルキルエステルとアクリル酸アルキルエステルとの共重合体等が挙げられる。メタクリル酸アルキルエステルとして具体的には、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル等が、またアクリル酸アルキルエステルとして具体的には、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル等が挙げられる。このような(メタ)アクリル系樹脂には、汎用の(メタ)アクリル系樹脂として市販されているものが使用できる。なお、(メタ)アクリル系樹脂の中には、耐衝撃(メタ)アクリル系樹脂と呼ばれるもの、また、主鎖中にグルタル酸無水物構造やラクトン環構造を有する高耐熱(メタ)アクリル系樹脂と呼ばれるものも含まれる。
(メタ)アクリル系樹脂に配合されるゴム粒子は、アクリル系のものが好ましい。アクリル系ゴム粒子とは、アクリル酸ブチルおよびアクリル酸2−エチルヘキシル等のアクリル酸アルキルエステルを主な単量体成分とし、多官能モノマーの存在下に重合させて得られるゴム弾性を有する粒子である。ゴム粒子は、このようなゴム弾性を有する粒子が単層で形成されたものでもよいし、ゴム弾性層を少なくとも1層有する多層構造体であってもよい。多層構造のアクリル系ゴム粒子としては、上記のようなゴム弾性を有する粒子を核とし、その周りを硬質のメタクリル酸アルキルエステル系重合体で覆ったもの、硬質のメタクリル酸アルキルエステル系重合体を核とし、その周りを上記のようなゴム弾性を有するアクリル系重合体で覆ったもの、また硬質の核の周りを、ゴム弾性を有するアクリル系重合体で覆い、さらにその周りを硬質のメタクリル酸アルキルエステル系重合体で覆ったもの等が挙げられる。これらのゴム粒子は、弾性層で形成される粒子の平均直径が通常50〜400nm程度の範囲にある。
スキン層を構成する(メタ)アクリル系樹脂組成物における上記ゴム粒子の含有量は、(メタ)アクリル系樹脂100質量部あたり、通常5〜50質量部程度である。(メタ)アクリル系樹脂およびアクリル系ゴム粒子は、それらを混合した状態で市販されているので、その市販品を用いることができる。アクリル系ゴム粒子が配合された(メタ)アクリル系樹脂の市販品の例として、HT55X(住友化学(株)製)およびテクノロイ(登録商標)S001(住友化学(株)製)等が挙げられる。このようなアクリル系ゴム粒子含有(メタ)アクリル系樹脂組成物は、一般に160℃以下のTgを有するが、その好ましいTgは120℃以下、さらには110℃以下である。
ゴム粒子、好ましくはアクリル系ゴム粒子、が配合された(メタ)アクリル系樹脂組成物からなるスキン層は、その厚みが10〜100μmとなるようにすることが望ましい。
その厚みを10μm未満にしようとすると、製膜が難しくなる傾向にある。一方、厚みが100μmを超えると、この(メタ)アクリル系樹脂層(スキン層)のリターデーションが無視できなくなる傾向にある。
上記のとおり、本発明の斜め延伸フィルムにおいて、スチレン系樹脂からなるコア層は、そのTgが120℃以上であるのが好ましく、一方、ゴム粒子が配合された(メタ)アクリル系樹脂組成物からなるスキン層は、そのTgが120℃以下、さらには110℃以下であるのが好ましい。延伸時に、スチレン系樹脂からなるコア層は、その高分子主鎖を積極的に配向させ、選択的に異方性を発現させる一方で、スキン層は光学的のみならず力学的な観点からも高分子鎖を極力配向させずに、より等方的な構造に近づけるのが好ましいことから、両者のTgが重ならず、スチレン系樹脂からなるコア層のほうが、ゴム粒子が配合された(メタ)アクリル系樹脂組成物からなるスキン層よりも高いTgを有するようにするのが好ましい。
斜め延伸フィルムを製造するには、たとえば、スチレン系樹脂と、ゴム粒子が配合された(メタ)アクリル系樹脂組成物とを共押出し、その後延伸すればよい。その他、それぞれ単層のフィルムを作製した後で、ヒートラミネーションにより熱融着させ、それを延伸する方法も可能である。
斜め延伸フィルムは、スチレン系樹脂からなるコア層の両面に、ゴム粒子が配合された(メタ)アクリル系樹脂組成物からなるスキン層が形成された3層構造とされることが好ましい。この3層構造において、両面に配置されるスキン層は通常、ほぼ同じ厚みとされる。このように3層構造とすることにより、ゴム粒子が配合された(メタ)アクリル系樹脂組成物からなるスキン層が保護層として働き、機械強度や耐薬品性に優れたものとなる。
<反射防止層>
本発明の光学フィルムは、ハードコート層上に直接又は他の層を介して低屈折率層を有することが、本発明の目的効果が良好に発揮される点から好ましい。低屈折率層からなる反射防止層は、低屈折率層のみの単層構成でもよいが、多層でも良い。具体的には、支持体よりも屈折率の高い高屈折率層と、支持体よりも屈折率の低い低屈折率層を組み合わせて構成したりできる。また、支持体側から屈折率の異なる3層を、中屈折率層(支持体又はハードコート層よりも屈折率が高く、高屈折率層よりも屈折率の低い層)/高屈折率層/低屈折率層の順に積層されても良い。更に、2層以上の高屈折率層と2層以上の低屈折率層とを交互に積層した4層以上の層構成の反射防止層も好ましく用いられる。反射防止層の好ましい層構成の例を下記に示す。ここで/は積層配置されていることを示している。
斜め延伸フィルム/ハードコート層/低屈折率層
斜め延伸フィルム/ハードコート層/高屈折率層/低屈折率層
斜め延伸フィルム/ハードコート層/中屈折率層/高屈折率層/低屈折率層
汚れや指紋のふき取りが容易となるように、最表面の低屈折率層の上に、更に防汚層を設けることもできる。防汚層としては、含フッ素有機化合物が好ましく用いられる。
光学干渉により反射率を低減できるものであれば、特にこれらの層構成のみに限定されるものではない。また、上記層構成では、適宜中間層を設けてもよく、例えば導電性ポリマー微粒子(例えば架橋カチオン微粒子)又は金属酸化物微粒子(例えば、SnO、ITO等)を含む帯電防止層等は好ましい。
〈低屈折率層〉
低屈折率層では、斜め延伸フィルムの屈折率より低い層を形成し、該屈折率は23℃、波長550nm測定で、屈折率が1.30〜1.45の範囲であることが好ましい。
また、低屈折率層の膜厚は、特に限定されるものではないが、5nm〜0.5μmであることが好ましく、10nm〜0.3μmであることが更に好ましく、30nm〜0.2μmであることが最も好ましい。また、低屈折率層は、中空球状シリカ系微粒子を用いる事が屈折率調整や機械強度の点から好ましい。
(中空球状シリカ系微粒子)
中空球状微粒子は、(I)多孔質粒子と該多孔質粒子表面に設けられた被覆層とからなる複合粒子、又は(II)内部に空洞を有し、かつ内容物が溶媒、気体又は多孔質物質で充填された空洞粒子である。なお、低屈折率層には(I)複合粒子又は(II)空洞粒子のいずれかが含まれていればよく、また双方が含まれていてもよい。
なお、空洞粒子は内部に空洞を有する粒子であり、空洞は粒子壁で囲まれている。空洞内には、調製時に使用した溶媒、気体又は多孔質物質等の内容物で充填されている。このような中空球状微粒子の平均粒子径が5〜300nm、好ましくは10〜200nmの範囲にあることが望ましい。使用される中空球状微粒子は、形成される透明被膜の厚さに応じて適宜選択され、形成される低屈折率層等の透明被膜の膜厚の2/3〜1/10の範囲にあることが望ましい。これらの中空球状微粒子は、低屈折率層の形成のため、適当な媒体に分散した状態で使用することが好ましい。分散媒としては、水、アルコール(例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール)及びケトン(例えば、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン)、ケトンアルコール(例えばジアセトンアルコール)が好ましい。
複合粒子の被覆層の厚さ又は空洞粒子の粒子壁の厚さは、1〜20nm、好ましくは2〜15nmの範囲にあることが望ましい。複合粒子の場合、被覆層の厚さが1nm未満の場合は、粒子を完全に被覆することができないことがあり、後述する塗布液成分である重合度の低いケイ酸モノマー、オリゴマー等が容易に複合粒子の内部に進入して内部の多孔性が減少し、低屈折率の効果が十分得られないことがある。また、被覆層の厚さが20nmを越えると、前記ケイ酸モノマー、オリゴマーが内部に進入することはないが、複合粒子の多孔性(細孔容積)が低下し低屈折率の効果が十分得られなくなることがある。また空洞粒子の場合、粒子壁の厚さが1nm未満の場合は、粒子形状を維持出来ないことがあり、また厚さが20nmを越えても、低屈折率の効果が十分に現れないことがある。
複合粒子の被覆層又は空洞粒子の粒子壁は、シリカを主成分とすることが好ましい。また、シリカ以外の成分が含まれていてもよく、具体的には、Al、B、TiO、ZrO、SnO、CeO、P、Sb、MoO、ZnO、WO等が挙げられる。複合粒子を構成する多孔質粒子としては、シリカからなるもの、シリカとシリカ以外の無機化合物とからなるもの、CaF、NaF、NaAlF、MgF等からなるものが挙げられる。このうち特にシリカとシリカ以外の無機化合物との複合酸化物からなる多孔質粒子が好適である。シリカ以外の無機化合物としては、Al、B、TiO、ZrO、SnO、CeO、P、Sb、MoO、ZnO、WO等との一種又は二種以上を挙げることができる。このような多孔質粒子では、シリカをSiOで表し、シリカ以外の無機化合物を酸化物換算(MO)で表したときのモル比MO/SiOが、0.0001〜1.0、好ましくは0.001〜0.3の範囲にあることが望ましい。多孔質粒子のモル比MO/SiOが0.0001未満のものは得ることが困難であり、得られたとしても細孔容積が小さく、屈折率の低い粒子が得られない。また、多孔質粒子のモル比MO/SiOが、1.0を越えると、シリカの比率が少なくなるので、細孔容積が大きくなり、更に屈折率が低いものを得ることが難しいことがある。このような多孔質粒子の細孔容積は、0.1〜1.5ml/g、好ましくは0.2〜1.5ml/gの範囲であることが望ましい。細孔容積が0.1ml/g未満では、十分に屈折率の低下した粒子が得られず、1.5ml/gを越えると微粒子の強度が低下し、得られる被膜の強度が低下することがある。なお、このような多孔質粒子の細孔容積は水銀圧入法によって求めることができる。このような中空球状微粒子は、以下の第1〜第3工程から製造できる。
第1工程:多孔質粒子前駆体の調製
第1工程では、予め、シリカ原料とシリカ以外の無機化合物原料のアルカリ水溶液を個別に調製するか、又は、シリカ原料とシリカ以外の無機化合物原料との混合水溶液を調製しておき、この水溶液を目的とする複合酸化物の複合割合に応じて、pH10以上のアルカリ水溶液中に攪拌しながら徐々に添加して多孔質粒子前駆体を調製する。
シリカ原料としては、アルカリ金属、アンモニウム又は有機塩基のケイ酸塩を用いる。アルカリ金属のケイ酸塩としては、ケイ酸ナトリウム(水ガラス)やケイ酸カリウムが用いられる。有機塩基としては、テトラエチルアンモニウム塩等の第4級アンモニウム塩、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアミン類を挙げることができる。なお、アンモニウムのケイ酸塩又は有機塩基のケイ酸塩には、ケイ酸液にアンモニア、第4級アンモニウム水酸化物、アミン化合物等を添加したアルカリ性溶液も含まれる。
また、シリカ以外の無機化合物の原料としては、アルカリ可溶の無機化合物が用いられる。具体的には、Al、B、Ti、Zr、Sn、Ce、P、Sb、Mo、Zn、W等から選ばれる元素のオキソ酸、該オキソ酸のアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、第4級アンモニウム塩を挙げることができる。より具体的には、アルミン酸ナトリウム、四硼酸ナトリウム、炭酸ジルコニルアンモニウム、アンチモン酸カリウム、錫酸カリウム、アルミノケイ酸ナトリウム、モリブデン酸ナトリウム、硝酸セリウムアンモニウム、燐酸ナトリウムが適当である。
これらの水溶液の添加と同時に混合水溶液のpH値は変化するが、このpH値を所定の範囲に制御するような操作は特に必要ない。水溶液は、最終的に、無機酸化物の種類及びその混合割合によって定まるpH値となる。このときの水溶液の添加速度には特に制限はない。また、複合酸化物粒子の製造に際して、シード粒子の分散液を出発原料と使用することも可能である。当該シード粒子としては、特に制限はないが、SiO、Al、TiO又はZrO等の無機酸化物又はこれらの複合酸化物の微粒子が用いられ、通常、これらのゾルを用いることができる。更に前記の製造方法によって得られた多孔質粒子前駆体分散液をシード粒子分散液としてもよい。シード粒子分散液を使用する場合、シード粒子分散液のpHを10以上に調整した後、該シード粒子分散液中に前記化合物の水溶液を、上記したアルカリ水溶液中に攪拌しながら添加する。この場合も、必ずしも分散液のpH制御を行う必要はない。このようにしてシード粒子を用いると、調製する多孔質粒子の粒径コントロールが容易であり、粒度の揃ったものを得ることができる。
上記したシリカ原料及び無機化合物原料はアルカリ側で高い溶解度を有する。しかしながら、この溶解度の大きいpH領域で両者を混合すると、ケイ酸イオン及びアルミン酸イオン等のオキソ酸イオンの溶解度が低下し、これらの複合物が析出して微粒子に成長したり、又は、シード粒子上に析出して粒子成長が起る。従って、微粒子の析出、成長に際して、従来法のようなpH制御は必ずしも行う必要がない。
第1工程におけるシリカとシリカ以外の無機化合物との複合割合は、シリカに対する無機化合物を酸化物(MO)に換算し、MO/SiOのモル比が、0.05〜2.0、好ましくは0.2〜2.0の範囲内にあることが望ましい。この範囲内において、シリカの割合が少なくなる程、多孔質粒子の細孔容積が増大する。しかしながら、モル比が2.0を越えても、多孔質粒子の細孔の容積はほとんど増加しない。他方、モル比が0.05未満の場合は、細孔容積が小さくなる。空洞粒子を調製する場合、MO/SiOのモル比は、0.25〜2.0の範囲内にあることが望ましい。
第2工程:多孔質粒子からのシリカ以外の無機化合物の除去
第2工程では、前記第1工程で得られた多孔質粒子前駆体から、シリカ以外の無機化合物(珪素と酸素以外の元素)の少なくとも一部を選択的に除去する。具体的な除去方法としては、多孔質粒子前駆体中の無機化合物を鉱酸や有機酸を用いて溶解除去したり、又は、陽イオン交換樹脂と接触させてイオン交換除去する。
なお、第1工程で得られる多孔質粒子前駆体は、珪素と無機化合物構成元素が酸素を介して結合した網目構造の粒子である。このように多孔質粒子前駆体から無機化合物(珪素と酸素以外の元素)を除去することにより、一層多孔質で細孔容積の大きい多孔質粒子が得られる。また、多孔質粒子前駆体から無機酸化物(珪素と酸素以外の元素)を除去する量を多くすれば、空洞粒子を調製することができる。
また、多孔質粒子前駆体からシリカ以外の無機化合物を除去するに先立って、第1工程で得られる多孔質粒子前駆体分散液に、シリカのアルカリ金属塩を脱アルカリして得られる、フッ素置換アルキル基含有シラン化合物を含有するケイ酸液又は加水分解性の有機珪素化合物を添加してシリカ保護膜を形成することが好ましい。シリカ保護膜の厚さは0.5〜15nmの厚さであればよい。なおシリカ保護膜を形成しても、この工程での保護膜は多孔質であり厚さが薄いので、前記したシリカ以外の無機化合物を、多孔質粒子前駆体から除去することは可能である。
このようなシリカ保護膜を形成することによって、粒子形状を保持したまま、前記したシリカ以外の無機化合物を、多孔質粒子前駆体から除去することができる。また、後述するシリカ被覆層を形成する際に、多孔質粒子の細孔が被覆層によって閉塞されてしまうことがなく、このため細孔容積を低下させることなく後述するシリカ被覆層を形成することができる。なお、除去する無機化合物の量が少ない場合は粒子が壊れることがないので必ずしも保護膜を形成する必要はない。
また、空洞粒子を調製する場合は、このシリカ保護膜を形成しておくことが望ましい。空洞粒子を調製する際には、無機化合物を除去すると、シリカ保護膜と、該シリカ保護膜内の溶媒、未溶解の多孔質固形分とからなる空洞粒子の前駆体が得られ、該空洞粒子の前駆体に後述の被覆層を形成すると、形成された被覆層が、粒子壁となり空洞粒子が形成される。
上記シリカ保護膜形成のために添加するシリカ源の量は、粒子形状を保持できる範囲で少ないことが好ましい。シリカ源の量が多過ぎると、シリカ保護膜が厚くなり過ぎるので、多孔質粒子前駆体からシリカ以外の無機化合物を除去することが困難となることがある。シリカ保護膜形成用に使用される加水分解性の有機珪素化合物としては、一般式RSi(OR′)4−n〔R、R′:アルキル基、アリール基、ビニル基、アクリル基等の炭化水素基、n=0、1、2又は3〕で表されるアルコキシシランを用いることができる。特に、フッ素置換したテトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン等のテトラアルコキシシランが好ましく用いられる。
添加方法としては、これらのアルコキシシラン、純水、及びアルコールの混合溶液に触媒としての少量のアルカリ又は酸を添加した溶液を、前記多孔質粒子の分散液に加え、アルコキシシランを加水分解して生成したケイ酸重合物を無機酸化物粒子の表面に沈着させる。このとき、アルコキシシラン、アルコール、触媒を同時に分散液中に添加してもよい。アルカリ触媒としては、アンモニア、アルカリ金属の水酸化物、アミン類を用いることができる。また、酸触媒としては、各種の無機酸と有機酸を用いることができる。
多孔質粒子前駆体の分散媒が、水単独、又は有機溶媒に対する水の比率が高い場合には、ケイ酸液を用いてシリカ保護膜を形成することも可能である。ケイ酸液を用いる場合には、分散液中にケイ酸液を所定量添加し、同時にアルカリを加えてケイ酸液を多孔質粒子表面に沈着させる。なお、ケイ酸液と上記アルコキシシランを併用してシリカ保護膜を作製してもよい。
第3工程:シリカ被覆層の形成
第3工程では、第2工程で調製した多孔質粒子分散液(空洞粒子の場合は空洞粒子前駆体分散液)に、フッ素置換アルキル基含有シラン化合物を含有する加水分解性の有機珪素化合物又はケイ酸液等を加えることにより、粒子の表面を加水分解性有機珪素化合物又はケイ酸液等の重合物で被覆してシリカ被覆層を形成する。
シリカ被覆層形成用に使用される加水分解性の有機珪素化合物としては、前記したような一般式RSi(OR′)4−n〔R、R′:アルキル基、アリール基、ビニル基、アクリル基等の炭化水素基、n=0、1、2又は3〕で表されるアルコキシシランを用いることができる。特に、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン等のテトラアルコキシシランが好ましく用いられる。
添加方法としては、これらのアルコキシシラン、純水、及びアルコールの混合溶液に触媒としての少量のアルカリ又は酸を添加した溶液を、前記多孔質粒子(空洞粒子の場合は空洞粒子前駆体)分散液に加え、アルコキシシランを加水分解して生成したケイ酸重合物を多孔質粒子(空洞粒子の場合は空洞粒子前駆体)の表面に沈着させる。このとき、アルコキシシラン、アルコール、触媒を同時に分散液中に添加してもよい。アルカリ触媒としては、アンモニア、アルカリ金属の水酸化物、アミン類を用いることができる。また、酸触媒としては、各種の無機酸と有機酸を用いることができる。
多孔質粒子(空洞粒子の場合は空洞粒子前駆体)の分散媒が水単独、又は有機溶媒との混合溶媒であって、有機溶媒に対する水の比率が高い混合溶媒の場合には、ケイ酸液を用いて被覆層を形成してもよい。ケイ酸液とは、水ガラス等のアルカリ金属ケイ酸塩の水溶液をイオン交換処理して脱アルカリしたケイ酸の低重合物の水溶液である。
ケイ酸液は、多孔質粒子(空洞粒子の場合は空洞粒子前駆体)分散液中に添加され、同時にアルカリを加えてケイ酸低重合物を多孔質粒子(空洞粒子の場合は空洞粒子前駆体)表面に沈着させる。なお、ケイ酸液を上記アルコキシシランと併用して被覆層形成用に使用してもよい。被覆層形成用に使用される有機珪素化合物又はケイ酸液の添加量は、コロイド粒子の表面を十分被覆できる程度であればよく、最終的に得られるシリカ被覆層の厚さが1〜20nmとなるように量で、多孔質粒子(空洞粒子の場合は空洞粒子前駆体)分散液中で添加される。また前記シリカ保護膜を形成した場合はシリカ保護膜とシリカ被覆層の合計の厚さが1〜20nmの範囲となるような量で、有機珪素化合物又はケイ酸液は添加される。
次いで、被覆層が形成された粒子の分散液を加熱処理する。加熱処理によって、多孔質粒子の場合は、多孔質粒子表面を被覆したシリカ被覆層が緻密化し、多孔質粒子がシリカ被覆層によって被覆された複合粒子の分散液が得られる。また空洞粒子前駆体の場合、形成された被覆層が緻密化して空洞粒子壁となり、内部が溶媒、気体又は多孔質固形分で充填された空洞を有する空洞粒子の分散液が得られる。
このときの加熱処理温度は、シリカ被覆層の微細孔を閉塞できる程度であれば特に制限はなく、80〜300℃の範囲が好ましい。加熱処理温度が80℃未満ではシリカ被覆層の微細孔を完全に閉塞して緻密化できないことがあり、また処理時間に長時間を要してしまうことがある。また加熱処理温度が300℃を越えて長時間処理すると緻密な粒子となることがあり、低屈折率の効果が得られないことがある。
このようにして得られた無機微粒子の屈折率は、1.42未満と低い。このような無機微粒子は、多孔質粒子内部の多孔性が保持されているか、内部が空洞であるので、屈折率が低くなるものと推察される。また、市販の上記SiO微粒子を用いることができる。市販の粒子の具体例としては、触媒化成工業社製P−4等が挙げられる。
外殻層を有し、内部が多孔質又は空洞である中空球状シリカ系微粒子Aの低屈折率層塗布液中の含量(質量)は、10〜80質量%が好ましく、更に好ましくは20〜60質量%である。
(テトラアルコキシシラン化合物又はその加水分解物)
低屈折率層には、ゾルゲル素材としてテトラアルコキシシラン化合物又はその加水分解物が含有されることが好ましい。低屈折率層用の素材として、前記無機珪素酸化物以外に有機基を有する珪素酸化物を用いることも好ましい。これらは一般にゾルゲル素材と呼ばれるが、金属アルコレート、オルガノアルコキシ金属化合物及びその加水分解物を用いることができる。特に、アルコキシシラン、オルガノアルコキシシラン及びその加水分解物が好ましい。これらの例としては、テトラアルコキシシラン(テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン等)、アルキルトリアルコキシシラン(メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン等)、アリールトリアルコキシシラン(フェニルトリメトキシシラン等)、ジアルキルジアルコキシシラン、ジアリールジアルコキシシラン等が挙げられる。特にテトラアルコキシシラン及びその加水分解物が好ましい。
また、各種の官能基を有するオルガノアルコキシシラン(ビニルトリアルコキシシラン、メチルビニルジアルコキシシラン、γ−グリシジルオキシプロピルトリアルコキシシラン、γ−グリシジルオキシプロピルメチルジアルコキシシラン、β−(3,4−エポキジシクロヘキシル)エチルトリアルコキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリアルコキシシラン、γ−アミノプロピルトリアルコキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリアルコキシシラン、γ−クロロプロピルトリアルコキシシラン等)、パーフルオロアルキル基含有シラン化合物(例えば、(ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラデシル)トリエトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン等)を用いることも好ましい。特にフッ素含有のシラン化合物を用いることは、層の低屈折率化及び撥水・撥油性付与の点で好ましい。
上記テトラアルコキシシランを加水分解する際には、前記無機微粒子を混合することが膜強度を高める上で好ましい。低屈折率層は、前記珪素酸化物と下記シランカップリング剤を含むことが好ましい。
具体的なシランカップリング剤の例としては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシエトキシシラン、メチルトリアセトキシシラン、メチルトリブトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリメトキシエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリアセトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリエトキシシラン、γ−クロロプロピルトリアセトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシジルオキシプロピルトリエトキシシラン、γ−(β−グリシジルオキシエトキシ)プロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポシシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン及びβ−シアノエチルトリエトキシシランが挙げられる。
また、珪素に対して2置換のアルキル基を持つシランカップリング剤の例として、ジメチルジメトキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルメチルジエトキシシラン、γ−グリシジルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシジルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシジルオキシプロピルフェニルジエトキシシラン、γ−クロロプロピルメチルジエトキシシラン、ジメチルジアセトキシシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、メチルビニルジメトキシシラン及びメチルビニルジエトキシシランが挙げられる。
これらのうち、分子内に二重結合を有するビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリメトキシエトキシシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン及びγ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、珪素に対して2置換のアルキル基を持つものとしてγ−アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、メチルビニルジメトキシシラン及びメチルビニルジエトキシシランが好ましく、γ−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン及びγ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン及びγ−メタクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシランが特に好ましい。
シランカップリング剤の具体例としては、信越化学工業株式会社製KBM−303、KBM−403、KBM−402、KBM−403、KBM−1403、KBM−502、KBM−503、KBE−502、KBE−503、KBM−603、KBE−603、KBM−903、KBE−903、KBE−9103、KBM−802、KBM−803等が挙げられる。
二種類以上のカップリング剤を併用してもよい。上記に示されるシランカップリング剤に加えて、他のシランカップリング剤を用いてもよい。他のシランカップリング剤には、オルトケイ酸のアルキルエステル(例えば、オルトケイ酸メチル、オルトケイ酸エチル、オルトケイ酸n−プロピル、オルトケイ酸i−プロピル、オルトケイ酸n−ブチル、オルトケイ酸sec−ブチル、オルトケイ酸t−ブチル)及びその加水分解物が挙げられる。
また低屈折率層は、5〜50質量%の量のポリマーを含むこともできる。ポリマーは、微粒子を接着し、空隙を含む低屈折率層の構造を維持する機能を有する。ポリマーの使用量は、空隙を充填することなく低屈折率層の強度を維持できるように調整する。ポリマーの量は、低屈折率層の全量の10〜30質量%であることが好ましい。ポリマーで微粒子を接着するためには、(1)微粒子の表面処理剤にポリマーを結合させるか、(2)微粒子をコアとして、その周囲にポリマーシェルを形成するか、或いは(3)微粒子間のバインダーとして、ポリマーを使用することが好ましい。(1)の表面処理剤に結合させるポリマーは、(2)のシェルポリマー又は(3)のバインダーポリマーであることが好ましい。(2)のポリマーは、低屈折率層の塗布液の調製前に、微粒子の周囲に重合反応により形成することが好ましい。(3)のポリマーは、低屈折率層の塗布液にモノマーを添加し、低屈折率層の塗布と同時又は塗布後に、重合反応により形成することが好ましい。上記(1)〜(3)のうちの二つ又は全てを組み合わせて実施することが好ましく、(1)と(3)の組み合わせ、又は(1)〜(3)全ての組み合わせで実施することが特に好ましい。(1)表面処理、(2)シェル及び(3)バインダーについて順次説明する。
(1)表面処理
微粒子(特に無機微粒子)には、表面処理を実施して、ポリマーとの親和性を改善することが好ましい。表面処理は、プラズマ放電処理やコロナ放電処理のような物理的表面処理と、カップリング剤を使用する化学的表面処理に分類できる。化学的表面処理のみ、又は物理的表面処理と化学的表面処理の組み合わせで実施することが好ましい。カップリング剤としては、オルガノアルコキシメタル化合物(例、チタンカップリング剤、シランカップリング剤)が好ましく用いられる。微粒子がSiOからなる場合は、前述のシランカップリング剤による表面処理が特に有効に実施できる。
カップリング剤による表面処理は、微粒子の分散物に、カップリング剤を加え、室温から60℃までの温度で、数時間から10日間分散物を放置することにより実施できる。表面処理反応を促進するため、無機酸(例えば、硫酸、塩酸、硝酸、クロム酸、次亜塩素酸、ホウ酸、オルトケイ酸、リン酸、炭酸)、有機酸(例えば、酢酸、ポリアクリル酸、ベンゼンスルホン酸、フェノール、ポリグルタミン酸)、又はこれらの塩(例えば、金属塩、アンモニウム塩)を、分散物に添加してもよい。
(2)シェル
シェルを形成するポリマーは、飽和炭化水素を主鎖として有するポリマーであることが好ましい。フッ素原子を主鎖又は側鎖に含むポリマーが好ましく、フッ素原子を側鎖に含むポリマーが更に好ましい。ポリアクリル酸エステル又はポリメタクリル酸エステルが好ましく、フッ素置換アルコールとポリアクリル酸又はポリメタクリル酸とのエステルが最も好ましい。シェルポリマーの屈折率は、ポリマー中のフッ素原子の含有量の増加に伴い低下する。低屈折率層の屈折率を低下させるため、シェルポリマーは35〜80質量%のフッ素原子を含むことが好ましく、45〜75質量%のフッ素原子を含むことが更に好ましい。フッ素原子を含むポリマーは、フッ素原子を含むエチレン性不飽和モノマーの重合反応により合成することが好ましい。フッ素原子を含むエチレン性不飽和モノマーの例としては、フルオロオレフィン(例えば、フルオロエチレン、ビニリデンフルオライド、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロ−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソール)、フッ素化ビニルエーテル及びフッ素置換アルコールとアクリル酸又はメタクリル酸とのエステルが挙げられる。
シェルを形成するポリマーは、フッ素原子を含む繰り返し単位とフッ素原子を含まない繰り返し単位からなるコポリマーであってもよい。フッ素原子を含まない繰り返し単位は、フッ素原子を含まないエチレン性不飽和モノマーの重合反応により得ることが好ましい。フッ素原子を含まないエチレン性不飽和モノマーの例としては、オレフィン(例えば、エチレン、プロピレン、イソプレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン)、アクリル酸エステル(例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸2−エチルヘキシル)、メタクリル酸エステル(例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、エチレングリコールジメタクリレート)、スチレン及びその誘導体(例えば、スチレン、ジビニルベンゼン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン)、ビニルエーテル(例えば、メチルビニルエーテル)、ビニルエステル(例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、桂皮酸ビニル)、アクリルアミド(例えば、N−tertブチルアクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミド)、メタクリルアミド及びアクリロニトリルが挙げられる。
後述する(3)のバインダーポリマーを併用する場合は、シェルポリマーに架橋性官能基を導入して、シェルポリマーとバインダーポリマーとを架橋により化学的に結合させてもよい。シェルポリマーは、結晶性を有していてもよい。シェルポリマーのガラス転移温度(Tg)が低屈折率層の形成時の温度よりも高いと、低屈折率層内のミクロボイドの維持が容易である。但し、Tgが低屈折率層の形成時の温度よりも高いと、微粒子が融着せず、低屈折率層が連続層として形成されない(その結果、強度が低下する)場合がある。その場合は、後述する(3)のバインダーポリマーを併用し、バインダーポリマーにより低屈折率層を連続層として形成することが望ましい。微粒子の周囲にポリマーシェルを形成して、コアシェル微粒子が得られる。コアシェル微粒子中に無機微粒子からなるコアが5〜90体積%含まれていることが好ましく、15〜80体積%含まれていることが更に好ましい。二種類以上のコアシェル微粒子を併用してもよい。また、シェルのない無機微粒子とコアシェル粒子とを併用してもよい。
(3)バインダー
バインダーポリマーは、飽和炭化水素又はポリエーテルを主鎖として有するポリマーであることが好ましく、飽和炭化水素を主鎖として有するポリマーであることが更に好ましい。バインダーポリマーは架橋していることが好ましい。飽和炭化水素を主鎖として有するポリマーは、エチレン性不飽和モノマーの重合反応により得ることが好ましい。架橋しているバインダーポリマーを得るためには、二以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーを用いることが好ましい。2以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーの例としては、多価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル(例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ジクロヘキサンジアクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,2,3−シクロヘキサンテトラメタクリレート、ポリウレタンポリアクリレート、ポリエステルポリアクリレート)、ビニルベンゼン及びその誘導体(例えば、1,4−ジビニルベンゼン、4−ビニル安息香酸−2−アクリロイルエチルエステル、1,4−ジビニルシクロヘキサノン)、ビニルスルホン(例えば、ジビニルスルホン)、アクリルアミド(例えば、メチレンビスアクリルアミド)及びメタクリルアミドが挙げられる。ポリエーテルを主鎖として有するポリマーは、多官能エポシキ化合物の開環重合反応により合成することが好ましい。2以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーの代わり又はそれに加えて、架橋性基の反応により、架橋構造をバインダーポリマーに導入してもよい。架橋性官能基の例としては、イソシアナート基、エポキシ基、アジリジン基、オキサゾリン基、アルデヒド基、カルボニル基、ヒドラジン基、カルボキシル基、メチロール基及び活性メチレン基が挙げられる。ビニルスルホン酸、酸無水物、シアノアクリレート誘導体、メラミン、エーテル化メチロール、エステル及びウレタンも、架橋構造を導入するためのモノマーとして利用できる。ブロックイソシアナート基のように、分解反応の結果として架橋性を示す官能基を用いてもよい。また、架橋基は、上記化合物に限らず上記官能基が分解した結果反応性を示すものであってもよい。バインダーポリマーの重合反応及び架橋反応に使用する重合開始剤は、熱重合開始剤や、光重合開始剤が用いられるが、光重合開始剤の方がより好ましい。光重合開始剤の例としては、アセトフェノン類、ベンゾイン類、ベンゾフェノン類、ホスフィンオキシド類、ケタール類、アントラキノン類、チオキサントン類、アゾ化合物、過酸化物類、2,3−ジアルキルジオン化合物類、ジスルフィド化合物類、フルオロアミン化合物類や芳香族スルホニウム類がある。アセトフェノン類の例としては、2,2−ジエトキシアセトフェノン、p−ジメチルアセトフェノン、1−ヒドロキシジメチルフェニルケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−4−メチルチオ−2−モルフォリノプロピオフェノン及び2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノンが挙げられる。ベンゾイン類の例としては、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル及びベンゾインイソプロピルエーテルが挙げられる。ベンゾフェノン類の例としては、ベンゾフェノン、2,4−ジクロロベンゾフェノン、4,4−ジクロロベンゾフェノン及びp−クロロベンゾフェノンが挙げられる。ホスフィンオキシド類の例としては、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシドが挙げられる。
バインダーポリマーは、低屈折率層の塗布液にモノマーを添加し、低屈折率層の塗布と同時又は塗布後に重合反応(必要ならば更に架橋反応)により形成することが好ましい。低屈折率層の塗布液に、少量のポリマー(例えば、ポリビニルアルコール、ポリオキシエチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリメチルアクリレート、ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース、ニトロセルロース、ポリエステル、アルキド樹脂)を添加してもよい。
また、低屈折率層が、熱又は電離放射線により架橋する含フッ素樹脂(以下、「架橋前の含フッ素樹脂」ともいう)の架橋からなる低屈折率層であってもよい。
架橋前の含フッ素樹脂としては、含フッ素ビニルモノマーと架橋性基付与のためのモノマーから形成される含フッ素共重合体を好ましく挙げることができる。上記含フッ素ビニルモノマー単位の具体例としては、例えばフルオロオレフィン類(例えば、フルオロエチレン、ビニリデンフルオライド、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロ−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソール等)、(メタ)アクリル酸の部分又は完全フッ素化アルキルエステル誘導体類(例えば、ビスコート6FM(大阪有機化学製)やM−2020(ダイキン製)等)、完全又は部分フッ素化ビニルエーテル類等が挙げられる。架橋性基付与のためのモノマーとしては、グリシジルメタクリレートや、ビニルトリメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルグリシジルエーテル等のように分子内に予め架橋性官能基を有するビニルモノマーの他、カルボキシル基やヒドロキシル基、アミノ基、スルホン酸基等を有するビニルモノマー(例えば、(メタ)アクリル酸、メチロール(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、アリルアクリレート、ヒドロキシアルキルビニルエーテル、ヒドロキシアルキルアリルエーテル等)が挙げられる。後者は共重合の後、ポリマー中の官能基と反応する基ともう1つ以上の反応性基を持つ化合物を加えることにより、架橋構造を導入できることが特開平10−25388号、同10−147739号に記載されている。架橋性基の例には、アクリロイル、メタクリロイル、イソシアナート、エポキシ、アジリジン、オキサゾリン、アルデヒド、カルボニル、ヒドラジン、カルボキシル、メチロール及び活性メチレン基等が挙げられる。含フッ素共重合体が、加熱により反応する架橋基、若しくは、エチレン性不飽和基と熱ラジカル発生剤若しくはエポキシ基と熱酸発生剤等の組み合わせにより、加熱により架橋する場合、熱硬化型であり、エチレン性不飽和基と光ラジカル発生剤若しくは、エポキシ基と光酸発生剤等の組み合わせにより、光(好ましくは紫外線、電子ビーム等)の照射により架橋する場合、電離放射線硬化型である。
また上記モノマーに加えて、含フッ素ビニルモノマー及び架橋性基付与のためのモノマー以外のモノマーを併用して形成された含フッ素共重合体を架橋前の含フッ素樹脂として用いてもよい。併用可能なモノマーには特に限定はなく、例えばオレフィン類(エチレン、プロピレン、イソプレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン等)、アクリル酸エステル類(アクリル酸メチル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸2−エチルヘキシル)、メタクリル酸エステル類(メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、エチレングリコールジメタクリレート等)、スチレン誘導体(スチレン、ジビニルベンゼン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン等)、ビニルエーテル類(メチルビニルエーテル等)、ビニルエステル類(酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、桂皮酸ビニル等)、アクリルアミド類(N−tertブチルアクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミド等)、メタクリルアミド類、アクリロニトリル誘導体等を挙げることができる。また、含フッ素共重合体中に、滑り性、防汚性付与のため、ポリオルガノシロキサン骨格や、パーフルオロポリエーテル骨格を導入することも好ましい。これは、例えば末端にアクリル基、メタクリル基、ビニルエーテル基、スチリル基等を持つポリオルガノシロキサンやパーフルオロポリエーテルと上記のモノマーとの重合、末端にラジカル発生基を持つポリオルガノシロキサンやパーフルオロポリエーテルによる上記モノマーの重合、官能基を持つポリオルガノシロキサンやパーフルオロポリエーテルと、含フッ素共重合体との反応等によって得られる。
架橋前の含フッ素共重合体を形成するために用いられる上記各モノマーの使用割合は、含フッ素ビニルモノマーが好ましくは20〜70モル%、より好ましくは40〜70モル%、架橋性基付与のためのモノマーが好ましくは1〜20モル%、より好ましくは5〜20モル%、併用されるその他のモノマーが好ましくは10〜70モル%、より好ましくは10〜50モル%の割合である。
含フッ素共重合体は、これらモノマーをラジカル重合開始剤の存在下で、溶液重合、塊状重合、乳化重合、懸濁重合法等の手段により重合することにより得ることができる。
架橋前の含フッ素樹脂は、市販されており使用することができる。市販されている架橋前の含フッ素樹脂の例としては、サイトップ(旭硝子製)、テフロン(登録商標)AF(デュポン製)、ポリフッ化ビニリデン、ルミフロン(旭硝子製)、オプスター(JSR製)等が挙げられる。
架橋した含フッ素樹脂を構成成分とする低屈折率層は、動摩擦係数が0.03〜0.15の範囲、水に対する接触角が90〜120度の範囲にあることが好ましい。
(カチオン重合性化合物)
低屈折率層は、バインダーとしてカチオン重合性化合物を含有しても良い。カチオン重合性化合物としては、エネルギー活性線照射や熱によってカチオン重合を起こして樹脂化するものであればいずれも使用できる。具体的には、エポキシ基、環状エーテル基、環状アセタール基、環状ラクトン基、環状チオエーテル基、スピロオルソエステル化合物、ビニルオキソ基等が挙げられる。中でもエポキシ基やビニルエーテル基などの官能基を有する化合物が本発明においては、好適に用いられる。エポキシ基またはビニルエーテル基を有するカチオン重合性化合物としては、例えば、フェニルグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、ビニルシクロヘキセンジオキサイド、リモネンジオキサイド、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3′,4′−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、ビス−(6−メチル−3,4−エポキシシクロヘキシル)アジペート、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、ジエチレングリコールジビニルエーテル、ポリエチレングリコールジビニルエーテル、1,4−シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル等が挙げられる。
また、オキセタン化合物も挙げる事ができる。オキセタン化合物としては、分子中に少なくとも1個のオキセタン環を有する化合物であればよい。
更に、必要に応じて水素結合形成基を有するモノマーを含む(共)重合体で、主鎖や側鎖にオキセタニル基を有する数平均分子量が2万以上の反応性ポリマーなども使用できる。上記したカチオン重合性化合物は、低屈折層塗布組成物中では固形分中の15質量%以上70質量%未満であることが、低屈折率層塗布組成物の安定性の点から、好ましい。
(カチオン重合促進剤)
カチオン重合性化合物の重合を促進する化合物として、公知の酸や光酸発生剤を挙げる事ができる。光酸発生剤としては、カチオン重合の光開始剤、色素類の光消色剤、光変色剤、或いは、マイクロレジスト等に使用されている公知の化合物及びそれらの混合物等が挙げられる。具体的には、例えば、オニウム化合物、有機ハロゲン化合物、ジスルホン化合物が挙げられ、好ましくは、オニウム化合物である。オニウム化合物としては、以下の各式に示されるジアゾニウム塩、スルホニウム塩、ヨードニウム塩などが好適に使用される。
ArN
(R)
(R)
式中、Arはアリール基を表し、Rはアリール基または炭素数1〜20のアルキル基を表し、一分子内にRが複数回現れる場合は、それぞれ同一でも異なっていてもよく、Zは非塩基性でかつ非求核性の陰イオンを表す。
上記各式において、ArまたはRで表されるアリール基も、典型的にはフェニルやナフチルであり、これらは適当な基で置換されていてもよい。また、Zで表される陰イオンとして具体的には、テトラフルオロボレートイオン(BF )、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートイオン(B(C )、ヘキサフルオロホスフェートイオン(PF )、ヘキサフルオロアーセネートイオン(AsF )、ヘキサフルオロアンチモネートイオン(SbF )、ヘキサクロロアンチモネートイオン(SbCl )、硫酸水素イオン(HSO )、過塩素酸イオン(ClO )などが挙げられる。
その他のオニウム化合物としては、アンモニウム塩、イミニウム塩、ホスホニウム塩、アルソニウム塩、セレノニウム塩、ホウ素塩等が挙げられる。
中でも、ジアゾニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、イミニウム塩が、化合物の素材安定性等の点から好ましい。
これら化合物の多くは市販されているので、そのような市販品を用いることができる。市販の開始剤としては、例えば、ダウケミカル日本(株)から販売されている“サイラキュアUVI−6990”(商品名)、各々(株)ADEKAから販売されている“アデカオプトマーSP−150”(商品名)、“アデカオプトマーSP−300”(商品名)、ローディアジャパン(株)から販売されている“RHODORSIL PHOTOINITIAOR2074”(商品名)などが挙げられる。
酸としては、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸等の無機酸、または酢酸、ギ酸、メタンスルホン酸、トリフロロメタンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸等の有機酸等のブレンステッド酸、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジオクテート、トリイソプロポキシアルミニウム、テトラブトキシジルコニウム、テトラブトキシチタネート等のルイス酸が挙げられる。
ピロメリット酸、無水ピロメリット酸、トリメリット酸、無水トリメリット酸、フタル酸、無水フタル酸などの芳香族多価カルボン酸またはその無水物やマレイン酸、無水マレイン酸、コハク酸、無水コハク酸などの脂肪族多価カルボン酸またはその無水物なども挙げられる。
酸としては、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの酸や光酸発生剤は、カチオン重合性化合物100質量部に対して、0.1〜20質量部の割合が好ましく、より好ましくは0.5〜15質量部の割合で添加することである。添加量が上記範囲において、硬化性組成物の安定性、重合反応性等から好ましい。
(ラジカル重合性化合物)
また低屈折率層は、バインダーとしてラジカル重合性化合物を含有することもできる。ラジカル重合性基としては、(メタ)アクリロイル基、ビニルオキシ基、スチリル基、アリル基等のエチレン性不飽和基等が挙げられ、中でも、(メタ)アクリロイル基を有する化合物が好ましい。また、ラジカル重合性化合物としては、分子内に2個以上のラジカル重合性基を含有する多官能モノマーを含有することが好ましい。多官能アクリレートとしては、ペンタエリスリトール多官能アクリレート、ジペンタエリスリトール多官能アクリレート、ペンタエリスリトール多官能メタクリレート、及びジペンタエリスリトール多官能メタクリレートよりなる群から選ばれることが好ましい。ラジカル重合性化合物の添加量は、低屈折層塗布組成物中では固形分中の15質量%以上70質量%未満であることが、低屈折層塗布組成物の安定性の点から、好ましい。
(ラジカル重合促進剤)
ラジカル重合性化合物の硬化促進のために、光重合開始剤をラジカル重合性化合物と併用して用いることが好ましい。光重合開始剤とラジカル重合性化合物とを併用して用いる場合には、光重合開始剤とラジカル重合性化合物とを質量比で20:100〜0.01:100含有することが好ましい。
光重合開始剤としては、具体的には、アセトフェノン、ベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、ミヒラーケトン、α−アミロキシムエステル、チオキサントン等及びこれらの誘導体を挙げることができるが、特にこれらに限定されるものではない。
低屈折率層は、グラビアコーター、ディップコーター、リバースコーター、ワイヤーバーコーター、ダイコーター、インクジェット法等公知の方法を用いて、低屈折率層を形成する上記塗布組成物を塗布し、塗布後、加熱乾燥し、必要に応じて硬化処理することで形成される。
塗布量は、ウェット膜厚として0.05〜100μmが適当で、好ましくは、0.1〜50μmである。また、ドライ膜厚が上記膜厚となるように塗布組成物の固形分濃度は調整される。
また、低屈折率層を形成後、温度50〜160℃で加熱処理を行う工程を含んでもよい。加熱処理の期間は、設定される温度によって適宜決定すればよく、例えば50℃であれば、好ましくは3日間以上30日未満の期間、160℃であれば10分以上1日以下の範囲が好ましい。硬化方法としては、加熱することによって熱硬化させる方法、紫外線等の光照射によって硬化させる方法などが挙げられる。熱硬化させる場合は、加熱温度は50〜300℃が好ましく、好ましくは60〜250℃、更に好ましくは80〜150℃である。光照射によって硬化させる場合は、照射光の露光量は10mJ/cm〜1J/cmであることが好ましく、100mJ/cm〜500mJ/cmがより好ましい。
ここで、照射される光の波長域としては特に限定されないが、紫外線領域の波長を有する光が好ましく用いられる。具体的には、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ等を用いることができる。
〈高屈折率層及び中屈折率層〉
高屈折率層及び中屈折率層には、金属酸化物微粒子が含有されることが好ましい。金属酸化物微粒子の種類は特に限定されるものではなく、Ti、Zr、Sn、Sb、Cu、Fe、Mn、Pb、Cd、As、Cr、Hg、Zn、Al、Mg、Si、P及びSから選択される少なくとも一種の元素を有する。
金属酸化物を用いることができ、これらの金属酸化物微粒子はAl、In、Sn、Sb、Nb、ハロゲン元素、Taなどの微量の原子をドープしてあってもよい。また、これらの混合物でもよい。中でも有機チタン化合物、酸化ジルコニウム、酸化アンチモン、酸化錫、酸化亜鉛、酸化インジウム−スズ(ITO)、アンチモンドープ酸化スズ(ATO)、及びアンチモン酸亜鉛から選ばれる少なくとも1種の金属酸化物微粒子を主成分として用いることが特に好ましい。特にアンチモン酸亜鉛粒子を含有することが好ましい。
これら金属酸化物微粒子の一次粒子の平均粒子径は10nm〜200nmの範囲であり、10〜150nmであることが特に好ましい。金属酸化物微粒子の平均粒子径は、走査電子顕微鏡(SEM)等による電子顕微鏡写真から計測することができる。動的光散乱法や静的光散乱法等を利用する粒度分布計等によって計測してもよい。粒径が小さ過ぎると凝集しやすくなり、分散性が劣化する。粒径が大き過ぎるとヘイズが著しく上昇し好ましくない。金属酸化物微粒子の形状は、米粒状、球形状、立方体状、紡錘形状、針状或いは不定形状であることが好ましい。
高屈折率層の屈折率は、具体的には、斜め延伸フィルムの屈折率より高く、23℃、波長550nm測定で、1.5〜2.3の範囲であることが好ましい。高屈折率層の屈折率を調整する手段は、金属酸化物微粒子の種類、添加量が支配的である為、金属酸化物微粒子の屈折率は1.80〜2.60であることが好ましく、1.85〜2.50であることが更に好ましい。
中屈折率層の屈折率は、斜め延伸フィルムの屈折率と高屈折率層の屈折率との中間の値となるように調整する。具体的には中屈折率層の屈折率は、1.55〜1.80であることが好ましい。
高屈折率層及び中屈折率層の厚さは、5nm〜1μmであることが好ましく、10nm〜0.2μmであることが更に好ましく、30nm〜100nmであることが最も好ましい。
高屈折率層及び中屈折率層は、微粒子として金属酸化物粒子を含み、更にバインダーポリマーを含むことが好ましい。
高屈折率層及び中屈折率層のバインダーポリマーとしては架橋ポリマーが好ましい。架橋ポリマーの例として、2個以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーが最も好ましいが、その例としては、多価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル(例、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ジクロヘキサンジアクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,2,3−シクロヘキサンテトラメタクリレート、ポリウレタンポリアクリレート、ポリエステルポリアクリレート)、ビニルベンゼン及びその誘導体(例、1,4−ジビニルベンゼン、4−ビニル安息香酸−2−アクリロイルエチルエステル、1,4−ジビニルシクロヘキサノン)、ビニルスルホン(例、ジビニルスルホン)、アクリルアミド(例、メチレンビスアクリルアミド)及びメタクリルアミド等が挙げられる。ポリマーの重合反応は、光重合反応又は熱重合反応を用いることができる。特に光重合反応が好ましい。重合反応のため、重合開始剤を使用することが好ましい。例えば、ハードコート層のバインダーポリマーを形成するために用いられる後述する熱重合開始剤、及び光重合開始剤が挙げられる。
重合開始剤として市販の重合開始剤を使用してもよい。重合開始剤に加えて、重合促進剤を使用してもよい。重合開始剤と重合促進剤の添加量は、モノマーの全量の0.2〜10質量%の範囲であることが好ましい。塗布液(モノマーを含む無機微粒子の分散液)を加熱して、モノマー(又はオリゴマー)の重合を促進してもよい。また、塗布後の光重合反応の後に加熱して、形成されたポリマーの熱硬化反応を追加処理してもよい。
中及び高屈折率層は、上記した中及び高屈折率層を形成する成分を、溶剤で希釈して塗布層組成物として、ハードコート層上に塗布、乾燥、硬化して設けることができる。
硬化の光源としては、紫外線を発生する光源であれば制限なく使用できる。例えば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ等を用いることができる。照射光量は20mJ/cm〜1J/cmが好ましく、更に好ましくは、100mJ/cm〜500mJ/cmである。
(反射防止層の反射率)
反射防止層は、450nm〜650nmにおける平均反射率が1.5%以下であることが好ましく、特に好ましくは1%以下である。また、この範囲における最低反射率は0.00〜0.5%にあることが好ましい。
反射防止層の屈折率と膜厚は、分光反射率の測定より計算して算出することができる。また、作製した反射防止層を有する光学フィルムの反射光学特性は、分光光度計を用い、5度正反射の条件にて反射率を測定することができる。この測定法において、反射防止層が塗布されていない側の裏面を粗面化した後、黒色のスプレーで光吸収処理を行う、或いは黒色アクリル板の貼り付け等して光吸収処理を行ってから、フィルム裏面光の反射を防止して、反射率が測定できる。測定に際しては、透過率550nmにおける透過率を分光光度計を用いて空気を参照として測定を行う。
また本発明の反射防止層を有する光学フィルムは、可視光の波長領域において平坦な形状の反射スペクトルを有することが好ましい。また反射色相は、反射防止層の設計上可視光領域において短波長域や長波長域の反射率が高くなることから赤や青に色づくことが多いが、反射光の色味は用途によって要望が異なり、画像表示装置等の表面に使用する場合は、ニュートラルな色調が好まれる。この場合、一般に好まれる反射色相範囲は、XYZ表色系(CIE1931表色系)上で0.17≦x≦0.27、0.07≦y≦0.17である。また、xy平面上の(x、y)=(0.31、0.31)の距離Δxyが、0.05以下となる範囲がより色味がないニュートラルに近いため好ましく、0.03以下が更に好ましい。色調は、各層の屈折率より、反射率、反射光の色味を考慮して膜厚を常法に従って計算できる。
<光学フィルムの物性>
(ヘイズ)
本発明の光学フィルムの内部散乱に起因するヘイズ(以後、内部ヘイズとも記載する)は、0〜1%であることが好ましい。内部散乱を良好に抑性することで、本発明に係る光学フィルムを画像表示装置に用いた場合、優れた視認性が得られる。内部ヘイズは、以下の手順で測定することができる。光学フィルムの表面および裏面にシリコーンオイルを数滴滴下し、厚さ1mmのガラス板(ミクロスライドガラス品番S 9111、MATSUNAMI製)2枚で、裏表より挟む。表裏をガラスで挟み込んだ光学フィルムを、完全に2枚のガラス板と光学的に密着させ、この状態でヘイズ(Ha)をJIS K7136に準じて測定する。次に、ガラス板2枚の間にシリコーンオイルのみ数滴滴下して挟みこんでガラスヘイズ(Hb)を測定する。そして、光学フィルムをガラスで挟み込んだヘイズ(Ha)から、ガラスヘイズ(Hb)を引くことで、内部ヘイズ(Hi)は算出できる。また、光学フィルムのヘイズは0.2〜20%であることが好ましい。
(硬度)
本発明の光学フィルムは、硬度の指標で有る鉛筆硬度がH以上、より好ましくは3H以上である。3H以上であれば、液晶表示装置の偏光板化工程で、傷が付きにくいばかりではなく、屋外用途で用いられることが多い、大型の液晶表示装置や、デジタルサイネージ用液晶表示装置の表面保護フィルムとして用いた際も優れた機械特性を示す。鉛筆硬度は、作製した光学性フィルムを温度23℃、相対湿度55%の条件で2時間以上調湿した後、加重500g条件でJIS S 6006が規定する試験用鉛筆を用いて、ハードコート層又は反射防止層をJIS K5400が規定する鉛筆硬度評価方法に従い測定した値である。
<λ/4板>
本発明の光学フィルムは、下記特徴を有するλ/4板であることが好ましい。
λ/4板とは、ある特定の波長の直線偏光を円偏光に(または、円偏光を直線偏光に)変換する機能を有するものをいう。λ/4板は、所定の光の波長(通常、可視光領域)に対して、層の面内のリターデーション値Roが約1/4となるように設計されている。波長550nmで測定したリターデーション値Ro(550)が100〜160nmの範囲であることが好ましく、120〜150nmであることがより好ましい。
また、λ/4板は、可視光の波長の範囲においてほぼ完全な円偏光を得るため、可視光の波長の範囲において概ね波長の1/4のリターデーションを有する位相差板であることが好ましい。
「可視光の波長の範囲において概ね1/4のリターデーション」とは、波長400から700nmにおいて長波長ほどリターデーションが大きく、波長450nmで測定した下記式(i)で表されるリターデーション値であるRo(450)と波長590nmで測定したリターデーション値であるRo(590)が、1<Ro(590)/Ro(450)≦1.6を満たすことが好ましい。さらにλ/4板として有効に機能するためには、Ro(450)が100〜125nmの範囲内であり、波長550nmで測定したリターデーション値Ro(550)が125〜142nmの範囲内であり、Ro(590)が130〜152nmの範囲内の位相差フィルムであることがより好ましい。
式(i):Ro=(nx−ny)×d
式(ii):Rt={(nx+ny)/2−nz}×d
式中、nx、nyは、23℃・55%RH、450nm、550nm、590nmの各々における屈折率nx(フィルムの面内の最大の屈折率、遅相軸方向の屈折率ともいう。)、ny(フィルム面内で遅相軸に直交する方向の屈折率)であり、dはフィルムの厚さ(nm)である。
Ro、Rtは自動複屈折率計を用いて測定することができる。自動複屈折率計KOBRA−21ADH(王子計測機器(株)製)を用いて、23℃、55%RHの環境下で、各波長での複屈折率測定によりRoを算出する。
λ/4板の遅相軸と後述する偏光子の透過軸との角度が実質的に45°になるように積層すると円偏光板が得られる。「実質的に45°」とは、40〜50°であることを意味する。λ/4板の面内の遅相軸と偏光子の透過軸との角度は、41〜49°であることが好ましく、42〜48°であることがより好ましく、43〜47°であることが更に好ましく、44〜46°であることが最も好ましい。
<偏光板>
本発明の偏光板は、偏光子としてヨウ素、又は二色性染料をドープしたポリビニルアルコールを延伸したものを使用し、本発明の光学フィルムであるλ/4板/偏光子/保護フィルムの構成で貼合して製造することができる。立体映像表示装置である液晶表示装置に本発明の偏光板を使用する場合、上記λ/4板は視認側に貼合する。
前記保護フィルムは、ポリマーフィルムであることが好ましく、製造が容易であること、光学的に均一性であること、光学的に透明性であることが好ましい。これらの性質を有していれば何れでもよく、例えば、セルロースエステル系フィルム、ポリエステル系フィルム、ポリカーボネート系フィルム、ポリアリレート系フィルム、ポリスルホン(ポリエーテルスルホンも含む)系フィルム、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステルフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、セロファン、セルロースジアセテートフィルム、セルロースアセテートブチレートフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、エチレンビニルアルコールフィルム、シンジオタクティックポリスチレン系フィルム,ポリカーボネートフィルム、ノルボルネン樹脂系フィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリエーテルケトンフィルム、ポリエーテルケトンイミドフィルム、ポリアミドフィルム、フッ素樹脂フィルム、ナイロンフィルム、シクロオレフィンポリマーフィルム、ポリビニルアセタール系樹脂フィルム、ポリメチルメタクリレートフィルム又はアクリルフィルム等を挙げることができるが、これらに限定されるわけではない。
セルロースエステル系フィルムの場合は、前述の斜め延伸フィルムで用いられるセルロースアセテート、可塑剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、リターデーション調整剤、マット剤、劣化防止剤、剥離助剤、界面活性剤等を好ましく用いることができる。
偏光子に対して前記λ/4板を貼合した面と反対側の面に貼合される光学フィルムは、上記式で定義されるリターデーション値Ro、Rtが各々20〜150nm、70〜400nmである光学フィルム、又は0nm≦Ro≦2nm、かつ−15nm≦Rt≦15nmであることが好ましい。
上記光学フィルムとして、例えば、負の一軸性を有する化合物であるディスコティック液晶性化合物を支持体上に担持させる方法(例えば、特開平7−325221号公報参照。)、正の光学異方性を有するネマティック型高分子液晶性化合物を深さ方向に液晶分子のプレチルト角が変化するハイブリッド配向をさせたものを支持体上に担持させる方法(例えば、特開平10−186356号公報参照。)、正の光学異方性を有するネマティック型液晶性化合物を支持体上に2層構成にして各々の層の配向方向を略90°とすることにより擬似的に負の一軸性類似の光学特性を付与させる方法(例えば、特開平8−15681号公報参照。)等による光学異方性層を支持体上に設けた光学フィルム、又は、従来のTACフィルムの代わりにセルロース誘導体フィルムを延伸により位相差を発現させ、これをケン化処理してPVA偏光子をラミネートすることにより位相差フィルムの機能を併せ持つ光学フィルム(例えば、特開2003−270442号公報参照。)、セルロースエステルフィルムにリターデーション調整剤を添加し、位相差フィルムを得る方法(例えば、特開2000−275434号公報、特開2003−344655号公報参照。)等による光学補償フィルムが挙げられるが、これらに限定されるものではない。市販のセルロースエステルフィルムとして、コニカミノルタタック KC8UX、KC4UX、KC5UX、KC8UCR3、KC8UCR4、KC8UCR5、KC8UY、KC4UY、KC12UR、KC16UR、KC4UE、KC8UE、KC4FR−1、KC4FR−2(以上コニカミノルタオプト(株)製)なども好ましく用いられる。偏光子の膜厚は5〜40μm、好ましくは5〜30μmであり、特に好ましくは5〜20μmである。
偏光板は一般的な方法で作製することができる。アルカリ鹸化処理した本発明の斜め延伸フィルムは、ポリビニルアルコール系フィルムをヨウ素溶液中に浸漬延伸して作製した偏光子の少なくとも一方の面に、完全鹸化型ポリビニルアルコール水溶液を用いて貼り合わせることが好ましい。もう一方の面には、前記光学フィルムを貼合することが好ましい。
偏光板は、更に該偏光板の一方の面にプロテクトフィルムを、反対面にセパレートフィルムを貼合して構成することができる。プロテクトフィルム及びセパレートフィルムは偏光板出荷時、製品検査時等において偏光板を保護する目的で用いられる。
<画像表示装置>
本発明の光学フィルムは、画像表示装置に使用することで、視認性やコントラストに優れた性能が発揮される。画像表示装置としては、反射型、透過型、半透過型液晶表示装置または、TN型、STN型、OCB型、VA型、IPS型、ECB型等の各種駆動方式の液晶表示装置、有機エレクトルミネッセンス素子を有する表示装置やプラズマディスプレイ等が挙げられる。これら画像表示装置の中でも液晶表示装置に本発明の光学フィルムを用いることで、前記特性が発揮されやすい点から好ましい。また、タッチパネル付き画像表示装置のタッチパネル用部材に本発明の光学フィルムを用いた場合、文字呆けやペン入力に対する耐久性(摺動による傷等)に優れる点で好ましい。
また、本発明の光学フィルムから構成される偏光板はλ/4板としても用いることが出来る。λ/4板機能を有する本発明の光学フィルムから構成される偏光板は、立体画像表示装置において、前記特性を良好に発揮し、更に画像観賞時に首を傾けた際のクロストークに優れる点から好ましい。立体画像表示装置としては、例えば液晶表示装置と液晶シャッタメガネとからなる立体画像表示装置であって、当該液晶シャッタメガネが、(1)偏光板(λ/4板)、液晶セル、及び偏光子がこの順に設けられている(図7)、又は(2)偏光板(λ/4板)、偏光子、液晶セル、及び偏光子がこの順に設けられている(図8)液晶シャッタメガネの立体画像表示装置において用いることができる。
なお、いずれの態様の場合も、液晶表示装置の前側偏光板は、偏光板(λ/4板)、偏光子、及び光学フィルムセル、及び偏光子がこの順に設けられている構成になっている。
<粘着層>
液晶セルの基板と貼り合わせるために保護フィルムの片面に用いられる粘着剤層は、光学的に透明であることはもとより、適度な粘弾性や粘着特性を示すものが好ましい。具体的な粘着層としては、例えばアクリル系共重合体やエポキシ系樹脂、ポリウレタン、シリコーン系ポリマー、ポリエーテル、ブチラール系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、合成ゴムなどの接着剤もしくは粘着剤等のポリマーを用いて、乾燥法、化学硬化法、熱硬化法、熱熔融法、光硬化法等により膜形成させ、硬化せしめることができる。なかでも、アクリル系共重合体は、最も粘着物性を制御しやすく、かつ透明性や耐候性、耐久性などに優れていて好ましく用いることができる。
<タッチパネル>
次に、本発明の光学フィルムをタッチパネル付き画像表示装置に用いた場合の一例を示す。先ず、図9にタッチパネル用導電性光学フィルム30の概略図を示す。タッチパネル用導電性光学フィルムは、光学フィルム34の両面にハードコート層が設けられた光学フィルム34の少なくとも一方のハードコート面に透明導電性薄膜35が形成されている。
次に、抵抗膜方式タッチパネル液晶表示装置40の概略図を図10に示す。導電性光学フィルム30を透明導電性薄膜44が形成されたガラス基板43と、透明導電性薄膜同士が向き合うように一定の間隔をあけて対向させることにより、抵抗膜方式のタッチパネル41を構成することができる。導電性光学フィルム30、及びガラス基板43の端部には不図示の電極が配置されている。抵抗膜方式のタッチパネルは、ユーザが導電性光学フィルム30を指やペン等で押下することにより、導電性光学フィルム30の透明導電性薄膜が、ガラス基板43上の透明導電性薄膜44と接触する。この接触を端部の電極を介して電気的に検出することにより、押下された位置が検出される仕組みである。ガラス基板43の透明導電性薄膜44上には、必要に応じてドット状のスペーサ45が配置される。また、タッチパネル30をLCD(液晶表示装置)42上に搭載することにより、タッチパネル付き液晶表示装置40を構成することができる。
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
なお、フィルムのリターデーションの測定及びハードコート層組成物の樹脂粘度測定、光学フィルムの算術平均粗さRaの測定は以下の方法で行った。
<フィルムのリターデーションの測定>
面内方向リターデーションRo、厚み方向リターデーションRtは、位相差測定装置(王子計測社製、KOBRA−WXK)を用いて測定した。また、フィルム流れ方向5m毎に幅方向にフィルムの50mmの間隔でリターデーション値を測定し、平均値をRoとRtとした。また、全測定値の最大値−最小値の値をバラツキとして評価した。
Ro=(nx−ny)×d
Rt={(nx+ny)/2−nz}×d
式中、nx、nyは、23℃・55%RH、590nmにおける屈折率nx(フィルムの面内の最大の屈折率、遅相軸方向の屈折率ともいう。)、ny(フィルム面内で遅相軸に直交する方向の屈折率)であり、dはフィルムの厚さ(nm)である。
<ハードコート層組成物の樹脂粘度測定>
ハードコート層組成物の樹脂成分だけをディスパーにて撹拌混合して、25℃の条件にてB型粘度計を用いて粘度測定を行った。得られた結果を表1及び2に示した。
<光学フィルム>
a.ハードコート層の算術平均粗さRaの測定
光学フィルムのハードコート層を光学干渉式表面粗さ計(Zygo社製 New View 5030)を用いて10回測定し、その測定結果の平均からハードコート層の算術平均粗さRaを求めた。
得られた結果を表1及び2に示した。
実施例1
<長尺フィルムAの作製>
(ポリエステルAの作製)
窒素雰囲気下、テレフタル酸ジメチル4.85g、1,2−プロピレングリコール4.4g、p−トルイル酸6.8g、テトライソプロピルチタネート10mgを混合し、140℃で2時間攪拌を行った後、更に210℃で16時間攪拌を行った。次に、170℃まで降温し、未反応物の1,2−プロピレングリコールを減圧留去することにより、ポリエステルAを得た。
酸価 :0.1
数平均分子量:490
分散度 :1.4
分子量300〜1800の成分含有率:90%
ヒドロキシル(水酸基)価:0.1
水酸基含有量:0.04%
ポリエステルAはジカルボン酸に対してモノカルボン酸が2倍モル使用されているので末端がトルイル酸エステルになっている。
〈微粒子分散液1〉
微粒子(アエロジル R812 日本アエロジル(株)製) 11質量部
エタノール 89質量部
以上をディゾルバーで50分間攪拌混合した後、マントンゴーリンで分散を行った。
〈微粒子添加液1〉
メチレンクロライドを入れた溶解タンクに十分攪拌しながら、微粒子分散液1をゆっくりと添加した。更に、二次粒子の粒径が所定の大きさとなるようにアトライターにて分散を行った。これを日本精線(株)製のファインメットNFで濾過し、微粒子添加液1を調製した。
メチレンクロライド 99質量部
微粒子分散液1 5質量部
下記組成の主ドープ液を調製した。まず加圧溶解タンクにメチレンクロライドとエタノールを添加した。溶剤の入った加圧溶解タンクにセルロースエステル、糖エステル化合物、ポリエステルA、TINUVIN928、微粒子添加液1を攪拌しながら投入した。これを加熱し、攪拌しながら、完全に溶解し。これを安積濾紙(株)製の安積濾紙No.244を使用して濾過し、主ドープ液を調製した。
〈主ドープ液の組成〉
メチレンクロライド 340質量部
エタノール 64質量部
セルロースエステル(セルロースアセテートプロピオネート:アセチル基置換度1.5、プロピオニル基置換度0.9、総置換度2.4、Mn80000) 100質量部
糖エステル化合物(1−22) 7.0質量部
ポリエステルA 2.5質量部
TINUVIN928(BASFジャパン社製) 1.5質量部
微粒子添加液1 1.0質量部
以上を密閉容器に投入し、攪拌しながら溶解してドープ液を調製した。次いで、無端ベルト流延装置を用い、ドープ液を温度33℃、2000mm幅でステンレスベルト支持体上に均一に流延した。ステンレスベルトの温度は30℃に制御した。
ステンレスベルト支持体上で、流延(キャスト)したフィルム中の残留溶媒量が75%になるまで溶媒を蒸発させ、次いで剥離張力110N/mで、ステンレスベルト支持体上から剥離した。
剥離したセルロースエステルフィルムを、160℃の熱をかけながらテンターを用いて幅手方向に5%延伸した。その際、予め予熱温度をフィルム幅手方向で異なるように分布を持たせるように付与し、延伸開始時の残留溶媒量を幅手方向で異なる分布を持つようにした。延伸開始時の残留溶媒量は一方の端部は15質量%であり、もう一方の端部は10質量%であった。
次いで、乾燥ゾーンを多数のロールで搬送させながら乾燥を終了させた。乾燥温度は130℃で、搬送張力は100N/mとした。フィルム両端に幅10mm、高さ5μmのナーリング加工を施して巻き取り、膜厚75μm、幅2000mm、長さ5200mのロール状の長尺フィルムAを得た。得られた長尺フィルムAの長手及び幅手方向の厚みムラは0.15μmであった。面内リターデーションは前述の方法で測定したところ、Roは10nm、Roバラツキは1nm、Rtは120nmであった。
<長尺フィルムB(ラクトン環アクリルフィルム)の作製>
攪拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入管を付した30L反応釜に、メタクリル酸メチル(MMA)7000g、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル(MHMA)3000g、トルエン12000gを仕込み、これに窒素を通じつつ、105℃まで昇温し、還流したところで、開始剤としてt−アミルパーオキシイソノナノエート(ルパゾール570、アトフィナ吉富(株)製)6.0gを添加すると同時に、t−アミルパーオキシイソノナノエート12.0g及びトルエン100gからなる溶液を2時間かけて滴下しながら、還流下(約105〜110℃)で溶液重合を行い、さらに4時間かけて熟成を行った。重合の反応率は92.9%、重合体中のMHMAの含有率(質量比)は30.2%であった。
得られた重合体溶液に、リン酸オクチル/リン酸ジオクチル混合物(堺化学製、商品名:PhoslexA−8)20gを加え、還流下(約80〜105℃)で2時間、環化縮合反応を行い、メチルエチルケトン4000gを添加し、希釈した。さらに、240℃の熱媒を用いてオートクレーブ中で加圧下(ゲージ圧が最高約2MPa)で1.5時間環化縮合反応を行った。
次いで、上記環化縮合反応で得られた重合体溶液を、メチルエチルケトンで希釈し、オクチル酸亜鉛(ニッカオクチックス亜鉛18%、日本化学産業(株)製)26.5g、酸化防止剤としてIRGANOX1010(BASFジャパン(株)製)2.2g、及びアデカスタブAO−412S((株)ADEKA製)2.2g、トルエン61.6gからなる溶液を20g/時間の速度で投入したこと、及びバレル温度を250℃にしたこと以外は、製造例1と同様にベントタイプスクリュー二軸押出し機内で環化縮合反応と脱揮とを行い、押出すことにより、透明なペレットを得た。
得られたペレットについて、ダイナミックTGの測定を行ったところ、0.21質量%の質量減少を検知した。また、ペレットの重量平均分子量は110000であり、メルトフローレートは8.7g/10分、ガラス転移温度は142℃であった。続いて、ペレットを、シリンダー径が20mmの単軸押出し機を用いて、右記条件、シリンダー温度:280℃ダイ:コートハンガータイプ、温度290℃キャスティング:つや付き2本ロール、第一ロール及び第二ロール共に130℃で押出し成形し、フィルム両端に幅10mm、高さ5μmのナーリング加工を施し、厚み75μm、幅2000mm、長さ5200mのロール状の長尺フィルムBを作製した。得られた長尺フィルムBの長手方向の厚みムラは0.15μm、幅手方向の厚みムラは0.15μmであった。Roは5nm、Roバラツキは1nm、厚み方向リターデーションRtは3nmであった。
<斜め延伸フィルム1の作製>
ロール状の長尺フィルムAを、図5(a)の装置のスライド可能な繰出装置にセットし、角度θi=47°となるようにレールパターンが設定された斜め延伸機にA−1a側が内回り側になるように供給した。そのとき、斜め延伸装置の入口部に最も近いガイドロールの主軸と斜め延伸装置の把持具(クリップつかみ部)との距離を30cmとした。クリップは搬送方向の長さが1インチ(1インチは2.54cm)のものを、上記ガイドロールは直径5cmのものを使用した。斜め延伸テンターで延伸温度175℃、延伸倍率1.5倍で斜め延伸を行い、テンター出口における引取張力200N/m、配向角θが45°となるように斜め方向に延伸を行った。延伸後のフィルムは、斜め延伸テンター出口側第一ロールで測定した張力の変動を引取モーター回転数に反映させるフィードバック制御を行って、引取張力の変動が3%未満となるように制御した。その後、フィルム両端をトリミング後、エアーフローロールからなる搬送方向変更装置で搬送方向を変更し、フィルム両端に幅10mm、高さ5μmのナーリング加工を施して、スライド可能な巻取装置で巻き取り、厚み50μm、幅2000mm、長さ5200mの斜め延伸フィルム1を得た。得られた斜め延伸フィルム1の面内リターデーション(Ro)は135nm、面内リターデーションのバラツキは3nm、厚み方向リターデーションRtは140nm、配向角(θ)は45°であった。
なお、加熱および延伸する際におけるフィルム移動速度は20m/分とした。また、予熱ゾーンの温度を175℃、冷却ゾーンの温度を160℃とした。フィルムを加熱および延伸する際には、いわゆる「ボーイング現象」を解消するとともに、配向角が45°になるように、最適なレールパターンを組んで延伸を行った。
<斜め延伸フィルム2の作製>
長尺フィルムBを、図6(a)の装置の製膜装置で斜め延伸フィルム1の作製と同様にして、角度θi=47°となるようにレールパターンが設定された斜め延伸テンターに供給した。そのとき、斜め延伸テンターの入口部に最も近いガイドロールと斜め延伸テンターの把持具(クリップつかみ部)との距離を30cmとした。クリップは搬送方向の長さが1インチのものを、上記ガイドロールは直径5cmのものを使用した。斜め延伸テンターで内回り側の延伸温度を156℃、外回り側の延伸温度を154℃とし、延伸倍率1.5倍で斜め延伸を行い、テンター出口における引取張力200N/m、配向角θが45°となるように斜め方向に延伸を行った。延伸後のフィルムは、斜め延伸テンター出口側第一ロールで測定した張力の変動を引取モーター回転数に反映させるフィードバック制御を行って、引取張力の変動が3%未満となるように制御した。その後、フィルム両端をトリミングして、エアーフローロールからなる搬送方向変更装置で搬送方向を変更し、フィルム両端に幅10mm、高さ5μmのナーリング加工を施して、スライド可能な巻取装置で巻き取り、膜厚50μm、幅2000mm、長さ5200mのロール状の斜め延伸フィルム2を得た。得られた斜め延伸フィルム2の面内リターデーション(Ro)は140nm、面内リターデーションのバラツキは2nm、厚み方向リターデーションRtは80nm、配向角(θ)は45°であった。
なお、加熱および延伸する際におけるフィルム移動速度は20m/分とした。また、予熱ゾーンの温度を内回り側を151℃、外回り側を149℃、冷却ゾーンの温度を140℃とした。フィルムを加熱および延伸する際には、いわゆる「ボーイング現象」を解消するとともに、配向角が45°になるように、最適なレールパターンを組んで延伸を行った。
<光学フィルム1の作製>
上記作製した斜め延伸フィルム1上に、下記のハードコート層組成物1を孔径0.2μmのポリプロピレン製フィルターで濾過したものを、減圧押出しコーターを用いて斜め延伸フィルム1上に塗布し、恒率乾燥区間温度105℃、減率乾燥区間温度105℃で乾燥の後、酸素濃度が1.0体積%以下の雰囲気になるように窒素パージしながら、紫外線ランプを用い照射部の照度が100mW/cmで、照射量を0.3J/cmとして塗布層を硬化させ、ドライ膜厚7.5μmのハードコート層1を形成し、ロール状に巻き取り光学フィルム1を作製した。光学フィルム1のハードコート層の表面を光学干渉式表面粗さ計(Zygo社製 New View 5030)で観察した結果、図11のように不規則な突起形状が不規則に長手方向及び幅方向に配列していることが分かった。
[ハードコート層組成物1]
下記材料を攪拌、混合しハードコート層組成物1とした。
(活性線硬化型樹脂)
ペンタエリスリトールトリ/テトラアクリレート
(NKエステルA−TMM−3L、新中村化学工業(株)製) 100質量部
(光重合開始剤)
イルガキュア184(BASFジャパン(株)製) 5質量部
(レベリング剤)
ポリエーテル変性シリコーン(信越化学社製、商品名:KF−352)
1.5質量部
(溶剤)
プロピレングリコールモノメチルエーテル 60質量部
酢酸メチル 20質量部
メチルエチルケトン 20質量部
なお、表1の記載において、多官能アクリレートであるペンタエリスリトールトリ/テトラアクリレートはPETAと示した。
<光学フィルム2の作製>
光学フィルム1の作製において、ハードコート層組成物1を下記ハードコート層組成物2に変更し、減率乾燥区間温度を90℃に変更した以外は同様にして、光学フィルム2を作製した。
[ハードコート層組成物2]
下記材料を攪拌、混合しハードコート層組成物2とした。
(活性線硬化型樹脂)
トリメチロールプロパントリアクリレート
(ライトアクリレートTMP−A、共栄社化学(株)製) 80質量部
4−ヒドロキシブチルアクリレート(4−HBA、大阪有機化学工業(株)製)
20質量部
(光重合開始剤)
イルガキュア184(BASFジャパン(株)製) 5質量部
(レベリング剤)
ポリエーテル変性シリコーン(信越化学社製、商品名:KF−352)
1.5質量部
(溶剤)
プロピレングリコールモノメチルエーテル 60質量部
酢酸メチル 20質量部
メチルエチルケトン 20質量部
<光学フィルム3の作製>
光学フィルム1の作製において、ハードコート層組成物1を下記ハードコート層組成物3に変更し、減率乾燥区間温度を110℃に変更した以外は同様にして、光学フィルム3を作製した。
[ハードコート層組成物3]
下記材料を攪拌、混合しハードコート層組成物3とした。
(活性線硬化型樹脂)
ペンタエリスリトールトリ/テトラアクリレート
(NKエステルA−TMM−3L、新中村化学工業(株)製) 80質量部
イソシアヌル酸EO変性ジアクリレート
(アロニックスM−215、東亞合成(株)製) 20質量部
(光重合開始剤)
イルガキュア184(BASFジャパン(株)製) 5質量部
(レベリング剤)
ポリエーテル変性シリコーン(信越化学社製、商品名:KF−352)
1.5質量部
(溶剤)
プロピレングリコールモノメチルエーテル 60質量部
酢酸メチル 20質量部
メチルエチルケトン 20質量部
<光学フィルム4の作製>
光学フィルム1の作製において、ハードコート層組成物1を下記ハードコート層組成物4に変更し、減率乾燥区間温度を100℃に変更した以外は、同様にして、光学フィルム4を作製した。
[ハードコート層組成物4]
下記材料を攪拌、混合しハードコート層組成物4とした。
(活性線硬化型樹脂)
エトキシ化ペンタエリスリトールテトラアクリレート
(NKエステルATM−35E、新中村化学工業(株)製) 100質量部
(光重合開始剤)
イルガキュア184(BASFジャパン(株)製) 5質量部
(レベリング剤)
ポリエーテル変性シリコーン(信越化学社製、商品名:KF−352)
1.5質量部
(溶剤)
プロピレングリコールモノメチルエーテル 60質量部
酢酸メチル 20質量部
メチルエチルケトン 20質量部
<光学フィルム5の作製>
光学フィルム1の作製において、ハードコート層組成物1を下記ハードコート層組成物5に変更し、減率乾燥区間温度を120℃に変更した以外は、同様にして、光学フィルム5を作製した。
[ハードコート層組成物5]
下記材料を攪拌、混合しハードコート層組成物5とした。
(活性線硬化型樹脂)
ジペンタエリスリトールペンタ/ヘキサアクリレート(DPHA)
(NKエステルA−DPH、新中村化学工業(株)製) 25質量部
ペンタエリスリトールトリ/テトラアクリレート(PETA)
(NKエステルA−TMM−3L、新中村化学工業(株)製) 75質量部
(光重合開始剤)
イルガキュア184(BASFジャパン(株)製) 5質量部
(レベリング剤)
ポリエーテル変性シリコーン(信越化学社製、商品名:KF−352)
1.5質量部
(溶剤)
プロピレングリコールモノメチルエーテル 60質量部
酢酸メチル 20質量部
メチルエチルケトン 20質量部
<光学フィルム6の作製>
光学フィルム1の作製において、ハードコート層組成物1を下記ハードコート層組成物6に変更し、減率乾燥区間温度を95℃に変更した以外は、同様にして、光学フィルム6を作製した。
[ハードコート層組成物6]
下記材料を攪拌、混合しハードコート層組成物6とした。
(活性線硬化型樹脂)
エトキシ化ペンタエリスリトールテトラアクリレート
(NKエステルATM−35E、新中村化学工業(株)製) 50質量部
4−ヒドロキシブチルアクリレート
(4−HBA、大阪有機化学工業(株)製) 50質量部
(光重合開始剤)
イルガキュア184(BASFジャパン(株)製) 5質量部
(レベリング剤)
ポリエーテル変性シリコーン(信越化学社製、商品名:KF−352)
1.5質量部
(溶剤)
プロピレングリコールモノメチルエーテル 60質量部
酢酸メチル 20質量部
メチルエチルケトン 20質量部
<光学フィルム7の作製>
光学フィルム1の作製において、ハードコート層組成物1を特開2008−225195号公報の実施例1を参考にして調整したハードコート層組成物7に変更し、更に乾燥温度を特開2008−225195号公報の実施例1と同じ70℃とした以外は同様にして、光学性フィルム7を作製した。
[ハードコート層組成物7]
下記材料を攪拌、混合しハードコート層組成物7とした。
(活性線硬化型樹脂)
サイクロマーP(ACA)Z320
(不飽和基含有アクリル樹脂混合物、ダイセル化学工業(株)製) 5.65質量部
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート
(DPHA、ダイセル・サイテック(株)製) 6.3質量部
(添加剤:非相溶性樹脂)
ポリメタクリル酸メチル
(重量平均分子量480000;三菱レイヨン(株)製、BR88) 0.9質量部
(光重合開始剤)
イルガキュア184(BASFジャパン(株)製) 0.5質量部
(溶剤)
メチルエチルケトン(MEK) 0.1質量部
1−ブタノール 5.4質量部
1−メトキシ−2−プロパノール 1.89質量部
なお、表1の記載において、サイクロマーP(ACA)Z320をACA、ポリメタクリル酸メチルをMMAと示した。
<光学フィルム8の作製>
光学フィルム1の作製において、ハードコート層組成物1を特開2007−58204号公報の実施例3を参考にして調整したハードコート層組成物8に変更し、更に乾燥温度を特開2007−58204号公報の実施例3と同じ80℃に変更した以外は同様にして、光学フィルム8を作製した。
[ハードコート層組成物8]
下記材料を攪拌、混合しハードコート層組成物8とした。
(活性線硬化型樹脂)
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート
(DPHA、ダイセル・サイテック(株)製) 92質量部
(添加剤:非相溶性樹脂)
メタアクリレート共重合ポリマー(サフトマーST3600,三菱化学株式会社)
15質量部
(光重合開始剤)
イルガキュア184(BASFジャパン(株)製) 4質量部
(溶剤)
エタノール 45質量部
トルエン 15質量部
なお、表1の記載において、メタアクリレート共重合ポリマーをACPと示した。
<光学フィルム9の作製>
光学フィルム1の作製において、ハードコート層組成物1を特開2007−182519号公報の実施例5を参考にして調整したハードコート層組成物9に変更し、更に乾燥温度を特開2007−182519号公報の実施例5と同じ80℃に変更した以外は同様にして、光学フィルム9を作製した。
[ハードコート層組成物9]
(不飽和二重結合含有アクリル共重合体の調製)
イソボロニルメタクリレート187.2g、メチルメタクリレート2.8g、メタクリル酸10.0gからなる混合物を混合した。この混合物を、攪拌羽根、窒素導入管、冷却管および滴下漏斗を備えた1000ml反応容器中の、窒素雰囲気下で110℃に加温したプロピレングリコールモノメチルエーテル360gにターシャリーブチルペルオキシ−2−エチルヘキサエート2.0gを含むプロピレングリコールモノメチルエーテルの80.0g溶液と同時に3時間かけて等速滴下し、その後、1時間、110℃で反応させた。
その後、ターシャリーブチルペルオキシ−2−エチルヘキサエート0.2gを含むプロピレングリコールモノメチルエーテル17g溶液を滴下して、110℃で30分反応させた。その反応溶液にテトラブチルアンモニウムブロマイド1.5gとハイドロキノン0.1gを含む6gのプロピレングリコールモノメチルエーテル溶液を加え、空気バブリングしながら、さらに4−ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテル24.4gとプロピレングリコールモノメチルエーテル5.0gの溶液を1時間かけて滴下し、その後5時間かけて更に反応させ、数平均分子量5500、重量平均分子量18000の不飽和結合含有アクリル共重合体を得た。
下記材料を攪拌、混合しハードコート層組成物9とした。
(活性線硬化型樹脂)
ペンタエリスリトールトリ/テトラアクリレート(SP値:12.7)
98.5質量部
不飽和結合含有アクリル共重合体(SP値:9.7、Mw=18000)
1.5質量部
(添加剤:微粒子)
オルガノシリカゾル(MIBK−ST:シリカ粒子径20nm、シリカ濃度30%、
日産化学工業株式会社製) 10質量部
(光重合開始剤)
イルガキュア907(BASFジャパン(株)製) 7質量部
(溶剤)
メチルイソブチルケトン 114質量部
なお、表1の記載において、不飽和結合含有アクリル共重合体はACOPと示した。
<光学フィルム10の作製>
特開2006−53371号公報の実施例1を参考にして凹凸付きロールを作製した。次に、特開2006−53371号公報の実施例1を参考にして、基材フィルム1上にハードコート層組成物1を塗布後、恒率乾燥区間温度60℃、減率乾燥区間温度60℃で乾燥の後、更にハードコート層表面にロールの凹凸を押し当て、ハードコート層とロールを密着させた。この密着した状態で、酸素濃度が1.0体積%以下の雰囲気になるように窒素パージしながら、紫外線ランプを用い照射部の照度が100mW/cmで、照射量を0.3J/cmとして塗布層を硬化させ、ドライ膜厚6.5μmのハードコート層10を形成した、ロール状に巻き取り、光学フィルム10を作製した。光学フィルム10のハードコート層10の表面を光学干渉式表面粗さ計(Zygo社製 New View 5030)で観察した結果、長さ方向に周期を有する突起形状が配列されていた。
<光学フィルム11の作製>
特開2010−241937号公報の製造例1を参考にフッ素処理したシリカ微粒子分散液を調整した。前記調整したシリカ微粒子分散液と反応性基含有樹脂とを撹拌して混合し、ハードコート層組成物11を調整した。次に、ハードコート層組成物11を用いて、乾燥温度を特開2010−241937の実施例3と同じ70℃に変更した以外は光学フィルム1の作製と同様にして、光学フィルム11を得た。
[ハードコート層組成物11]
(フッ素処理したシリカ微粒子分散液の調製)
シリカ微粒子SP−03F(扶桑化学(株)製、粒径0.2−0.3μm)3.00gにKBM7103(信越化学(株)製、フルオロアルキルアルコキシシラン)0.15g、MIBK26.85gを混合した。この混合成分と粒径0.1mmのジルコニアビーズとを混ぜて、3時間分散したのち、ジルコニアビーズを取り除き、更に分散液を50℃で1時間加熱処理することで、フッ素処理したシリカ微粒子分散液を得た。
下記材料を攪拌、混合しハードコート層組成物11とした。
(活性線硬化型樹脂)
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート
(NKエステルA−DPH、新中村化学工業(株)製) 30質量部
(光重合開始剤)
イルガキュア184(BASFジャパン(株)製) 0.02質量部
(添加剤:微粒子)
アクリロイル基を有するシリカ微粒子(シリカ微粒子30質量部、MIBK分散液、
粒径40nm) 66質量部
フッ素処理したシリカ微粒子分散液(シリカ微粒子濃度10.9%) 5.5質量部
(溶剤)
メチルイソブチルケトン 5質量部
<光学フィルム12の作製>
光学フィルム1の作製において、斜め延伸フィルム1を斜め延伸フィルム2に変更した以外は、同様にして光学フィルム12を作製した。
<光学フィルム13の作製>
光学フィルム1の作製において、ハードコート層組成物1を下記ハードコート層組成物13に変更し、減率乾燥区間温度を130℃に変更した以外は、同様にして、光学フィルム13を作製した。
[ハードコート層組成物13]
下記材料を攪拌、混合しハードコート層組成物13とした。
(活性線硬化型樹脂)
ジペンタエリスリトールポリアクリレート
(NKエステルA−9550、新中村化学工業(株)製) 35質量部
ペンタエリスリトールトリ/テトラアクリレート(PETA)
(NKエステルA−TMM−3L、新中村化学工業(株)製) 65質量部
(光重合開始剤)
イルガキュア184(BASFジャパン(株)製) 5質量部
(レベリング剤)
ポリエーテル変性シリコーン(信越化学社製、商品名:KF−352)
1.5質量部
(溶剤)
プロピレングリコールモノメチルエーテル 60質量部
酢酸メチル 20質量部
メチルエチルケトン 20質量部
《光学フィルムの耐久性試験》
上記作製したロール状光学フィルム1〜13を、アルミ防湿シートに包み、長期輸送を想定して60℃相対湿度90%の恒温恒湿槽で50日保存した。
<偏光板の作製>
次いで、耐久試験後の各光学フィルム1〜13と下記偏光子と裏面側に下記手順で作製した保護フィルム1とを長手方向を合わせるようにロール・トゥ・ロールで貼り合わせて偏光板を各々作製した。
偏光板の概略図を図12に示す。
(保護フィルム1の作製)
〈微粒子分散液1〉
微粒子(アエロジル R972V 日本アエロジル(株)製) 11質量部
エタノール 89質量部
以上をディゾルバーで50分間攪拌混合した後、マントンゴーリンで分散を行った。
〈微粒子添加液1〉
メチレンクロライドを入れた溶解タンクに十分攪拌しながら、微粒子分散液1をゆっくりと添加した。更に、二次粒子の粒径が所定の大きさとなるようにアトライターにて分散を行った。これを日本精線(株)製のファインメットNFで濾過し、微粒子添加液1を調製した。
メチレンクロライド 99質量部
微粒子分散液1 5質量部
下記組成の主ドープ液を調製した。まず加圧溶解タンクにメチレンクロライドとエタノールを添加した。溶剤の入った加圧溶解タンクにセルロースアセテートを攪拌しながら投入した。これを加熱し、攪拌しながら、完全に溶解し。これを安積濾紙(株)製の安積濾紙No.244を使用して濾過し、主ドープ液を調製した。
〈主ドープ液の組成〉
メチレンクロライド 340質量部
エタノール 64質量部
アセチル基置換度が2.4のセルロースアセテート(Mn80000)
100質量部
糖エステル化合物(例示化合物1−7) 10.0質量部
ポリエステル(芳香族末端エステル例示化合物3) 2.5質量部
紫外線吸収剤(チヌビン928(BASFジャパン(株)製)) 2.3質量部
微粒子添加液1 1.0質量部
上記組成物を密閉容器に投入し、攪拌しながら溶解してドープ液を調製した。次いで、無端ベルト流延装置を用い、ドープ液を温度33℃、2000mm幅でステンレスベルト支持体上に均一に流延した。ステンレスベルトの温度は30℃に制御した。
ステンレスベルト支持体上で、流延(キャスト)したフィルム中の残留溶媒量が75%になるまで溶媒を蒸発させ、次いで剥離張力130N/mで、ステンレスベルト支持体上から剥離した。
その後170℃に設定されたテンターにより幅手方向に1.4倍の延伸を行い、次いで130℃に設定された乾燥ゾーンで30分間搬送させて乾燥を行い、両端部のトリミングを行い、かつ端部に幅1cm、高さ8μmのナーリングを有する膜厚40μmの保護フィルム1を作製し、幅2000mm、5000mで巻き取った。
保護フィルム1の面内リターデーション値Ro、厚み方向リターデーションRtは、各々50nm、130nmであった。
〈偏光板の作製〉
厚さ120μmのポリビニルアルコールフィルムを一軸延伸(温度110℃、延伸倍率5倍)した。
これをヨウ素0.075g、ヨウ化カリウム5g、水100gからなる水溶液に60秒間浸漬し、次いでヨウ化カリウム6g、ホウ酸7.5g、水100gからなる68℃の水溶液に浸漬した。これを水洗、乾燥し偏光子を得た。
次いで、下記工程1〜5に従って偏光子と各光学フィルム1〜13と裏面側に保護フィルム1を長手方向で合わせるようにして、ロール・トゥ・ロールで貼り合わせて偏光板を作製し、更に工程6で粘着層を貼り合わせた。
工程1:60℃の2モル/Lの水酸化ナトリウム溶液に90秒間浸漬し、次いで水洗し乾燥して、偏光子と貼合する側を鹸化した各光学フィルム1〜13と保護フィルム1を得た。
工程2:前記偏光子を固形分2質量%のポリビニルアルコール接着剤槽中に1〜2秒浸漬した。
工程3:工程2で偏光子に付着した過剰の接着剤を軽く拭き除き、これを工程1で処理した光学フィルム1〜13と裏面側には光学フィルム1をのせて配置した。
工程4:工程3で積層したフィルムを圧力20〜30N/cm、搬送スピードは約2m/分で貼合した。
工程5:80℃の乾燥機中に工程4で作製した偏光子と光学フィルム1〜13と、保護フィルム1とを貼り合わせた各試料を2分間乾燥し、ロール状に巻き取り偏光板を各々作製した。
工程6:工程5で作製した偏光板の保護フィルムに市販のアクリル系粘着剤を乾燥後の厚みが25μmとなるように塗布し、110℃のオーブンで5分間乾燥して粘着層を形成し、粘着層に剥離性の保護フィルムを張り付けた。この偏光板を裁断(打ち抜き)し、偏光板1〜13を作製した。
<液晶表示装置の作製>
液晶パネルを以下のようにして作製し、液晶表示装置としてのムラ(視認性)と正面コントラストを評価した。先ず、SONY製60型ディスプレイBRAVIA LX900の予め貼合されていた前面板を剥がして、パネル前面の偏光板と前面板の間にあった充填剤を除去し、予め貼合されていたパネル前側の偏光板を剥がして、上記作製した各偏光板の粘着層をそれぞれ液晶セルのガラス面の前面に貼合した。その際、その偏光板の貼合の向きは、光学フィルムのハードコート層表面が、視認側となるように、かつ、予め貼合されていた偏光板と同一の方向に吸収軸が向くように行い、液晶表示装置を各々作製した。
<液晶表示装置の評価>
a.ムラ評価
上記作製した各液晶表示装置について、90℃の高温サーモにて、500時間保存した後、23℃、55%RHに戻した。次に以下の基準で視認性を評価した。
◎:ムラが全く認められない
○:わずかにムラが認められる
△:細かなムラが認められる
×:ムラが認められる。
b.正面コントラスト
23℃55%RHの環境で、各々の液晶表示装置のバックライトを100時間連続点灯した後、測定を行った。測定にはELDIM社製EZ−Contrast160Dを用いて、液晶表示装置で白表示と黒表示の表示画面の法線方向からの輝度を測定し、その比を正面コントラストとした。
正面コントラスト=(表示装置の法線方向から測定した白表示の輝度)/(表示装置の法線方向から測定した黒表示の輝度)
液晶表示装置の任意の5点の正面コントラストを測定し、以下の基準にて評価した。
○:1100〜1200
△:1000〜1100未満
×:1000未満
表1の結果から判るように、斜め延伸フィルム上にハードコート層を有する光学フィルムにおいて、ハードコート層が長手方向に周期を持たない不規則な突起形状を有し、かつ微粒子及び活性線硬化型樹脂に対し非相溶性である樹脂を実質的に含有しない構成とすることで、耐久試験後の光学フィルムを画像表示装置に用いた場合も、優れた視認性(ムラ)や輝度(正面コントラスト)が得られることが判る。また、ハードコート層が活性線硬化型樹脂を含有し、かつ活性線硬化型樹脂の粘度を20〜2000mPa・sの範囲とすることで、ハードコート層上に不規則な突起形状が良好に形成され、該構成で作製した光学フィルムを用いることで、画像表示装置に用いた場合、優れた視認性(ムラ)や輝度(正面コントラスト)が得られるため好ましい構成であることが判る。
光学フィルムをJIS−S6006が規定する試験用鉛筆を用いて、JIS−K5400が規定する鉛筆硬度評価法に従い、500gのおもりを用いて各硬度の鉛筆でハードコート層表面を5回繰り返し引っ掻き、鉛筆硬度を評価した結果、本発明の光学フィルムは全て2H以上であり、良好なハードコート性を有していた。
実施例2
<光学フィルム14〜16の作製>
実施例1の光学フィルム1の作製において、減率乾燥区間の温度と斜め延伸フィルム1を表2に記載したように変化した以外は、同様にして光学フィルム14〜16を作製した。またそれに用いる下記斜め延伸フィルム3〜5については、以下の方法で作製した。
<斜め延伸フィルム3の作製>
(アクリル系ポリマーAの合成)
攪拌機、2個の滴下ロート、ガス導入管及び温度計の付いたガラスフラスコに、メチルメタクリレート28g、N−ビニルピロリドン12g、連鎖移動剤のメルカプトプロピオン酸2g及びトルエン30gを仕込み、90℃に昇温した。その後、一方の滴下ロートから、メチルメタクリレート42gとN−ビニルピロリドン18gの混合液60gを3時間かけて滴下すると共に、同時にもう一方のロートからトルエン14gに溶解したアゾビスイソブチロニトリル0.4gを3時間かけて滴下した。その後さらに、トルエン56gに溶解したアゾビスイソブチロニトリル0.6gを2時間かけて滴下した後、さらに2時間反応を継続させ、ポリマーを得た。得られたポリマーは常温で固体であった。次いで連鎖移動剤のメルカプトプロピオン酸の添加量、アゾビスイソブチロニトリルの添加速度を変更して分子量の異なるポリマーを作製した。当該ポリマーの重量平均分子量は下記測定法により10000であった。
重合体の重量平均分子量は、GPCのポリスチレン換算により求めた。
(長尺フィルムCの作製)
(ドープ液の調製)
セルロースアセテートプロピオネート:アセチル基置換度0.05、プロピオニル基
置換度1.89、総置換度1.94:Mn=110000) 70質量部
アクリル系ポリマーA 30質量部
TINUVIN928(BASFジャパン(株)製) 1.5質量部
酸化ケイ素微粒子(アエロジルR972V(日本アエロジル株式会社製))
0.1質量部
メチレンクロライド 300質量部
エタノール 40質量部
上記組成のドープ液を作製し次いで日本精線(株)製のファインメットNF濾過し、ベルト流延装置を用い、温度22℃、2m幅でステンレスバンド支持体に均一に流延した。ステンレスバンド支持体で、残留溶剤量が100%になるまで溶媒を蒸発させ、剥離張力162N/mでステンレスバンド支持体上から剥離した。剥離したセルロースエステルのウェブを35℃で溶媒を蒸発させ、1.6m幅にスリットし、その後、テンターで幅手方向に1.05倍に延伸しながら、135℃の乾燥温度で乾燥させた。このときテンターで延伸を始めたときの残留溶剤量は10%であった。テンターで延伸後130℃で5分間緩和を行った後、120℃、130℃の乾燥ゾーンを多数のロールで搬送させながら乾燥を終了させ、2000mm幅にスリットし、フィルム両端に幅10mm高さ5μmのナーリング加工を施し、ロール状の長尺フィルムCを得た。ステンレスバンド支持体の回転速度とテンターの運転速度から算出されるMD方向の延伸倍率は1.01倍であった。ロール状の長尺フィルムCは、膜厚75μm、幅は2000mm、巻長さ5200mであった。得られた長尺フィルムCのRoは10nm、Roバラツキは1nm、厚み方向リターデーションRtは115nmであった。
(斜め延伸フィルム3の作製)
長尺フィルムCを、図6(a)の装置の製膜装置で斜め延伸フィルム2の作製と同様にして、角度θi=47°となるようにレールパターンが設定された斜め延伸テンターに供給した。そのとき、斜め延伸テンターの入口部に最も近いガイドロールと斜め延伸テンターの把持具(クリップつかみ部)との距離を30cmとした。クリップは搬送方向の長さが1インチのものを、上記ガイドロールは直径5cmのものを使用した。斜め延伸テンターで内回り側の延伸温度を146℃、外回り側の延伸温度を144℃とし、延伸倍率1.5倍で斜め延伸を行い、テンター出口における引取張力200N/m、配向角θが45°となるように斜め方向に延伸を行った。延伸後のフィルムは、斜め延伸テンター出口側第一ロールで測定した張力の変動を引取モーター回転数に反映させるフィードバック制御を行って、引取張力の変動が3%未満となるように制御した。その後、フィルム両端をトリミングして、エアーフローロールからなる搬送方向変更装置で搬送方向を変更し、フィルム両端に幅10mm、高さ5μmのナーリング加工を施して、スライド可能な巻取装置で巻き取り、厚み50μm、幅2000mm、長さ5200mのロール状の斜め延伸フィルム3を得た。得られた斜め延伸フィルム3の面内リターデーション(Ro)は140nm、面内リターデーションのバラツキは2nm、厚み方向リターデーションRtは130nm、配向角(θ)は45°であった。
なお、加熱および延伸する際におけるフィルム移動速度は20m/分とした。また、予熱ゾーンの温度を145℃、保持ゾーンの温度を内回り側を146℃、外回り側を144℃とし、冷却ゾーンの温度を130℃とした。フィルムを加熱および延伸する際には、いわゆる「ボーイング現象」を解消するとともに、配向角が45°になるように、最適なレールパターンを組んで延伸を行った。
<斜め延伸フィルム4の作製>
(長尺フィルムDの作製)
ノルボルネン系樹脂(ZEONOR1420、日本ゼオン社製)のペレットを100℃で5時間乾燥した。該ペレットを押出機に供給し、押出機内で溶融させ、ポリマーパイプ及びポリマーフィルターを経て、Tダイから冷却ドラム上にシート状に押出し、冷却し、フィルム両端に幅10mm、高さ5μmのナーリング加工を施して巻き取り、膜厚75μm、幅2000mm、長さ5200mのロール状の長尺フィルムDを得た。
得られた長尺フィルムDの長手及び幅手方向の厚みムラは0.15μmであった。面内リターデーションは前述の方法で測定したところ、Roは8nm、Roバラツキは1nm、Rtは125nmであった。
なお、その際、Tダイとして、ダイスリップエッジ部及び樹脂ランド面における深さ又は高さ0.3μm以上,かつ最大径40μm以上の凹部又は凸部の個数の合計5個、ダイスリップエッジのRが0.001mm、ダイスリップの表面粗さRaで0.01±0.005μm、剥離強度が15Nのダイスを用いた。また、溶融状態のノルボルネン系樹脂の冷却ドラムへのキャストは、Tダイから冷却ドラムまでを圧力容器に入れ、30kPa以下の圧力下で行った。
(斜め延伸フィルム4の作製)
上記作製した長尺フィルムDを、図6(a)の装置の製膜装置で斜め延伸フィルム2の作製と同様にして、角度θi=47°となるようにレールパターンが設定された斜め延伸テンターに供給した。そのとき、斜め延伸テンターの入口部に最も近いガイドロールと斜め延伸テンターの把持具(クリップつかみ部)との距離を30cmとした。クリップは搬送方向の長さが1インチのものを、上記ガイドロールは直径5cmのものを使用した。斜め延伸テンターで内回り側の延伸温度を146℃、外回り側の延伸温度を144℃とし、延伸倍率2.0倍で斜め延伸を行い、テンター出口における引取張力200N/m、配向角θが45°となるように斜め方向に延伸を行った。延伸後のフィルムは、斜め延伸テンター出口側第一ロールで測定した張力の変動を引取モーター回転数に反映させるフィードバック制御を行って、引取張力の変動が3%未満となるように制御した。その後、フィルム両端をトリミングして、エアーフローロールからなる搬送方向変更装置で搬送方向を変更し、フィルム両端に幅10mm、高さ5μmのナーリング加工を施して、スライド可能な巻取装置で巻き取り、厚み50μm、幅2000mm、長さ5200mのロール状の斜め延伸フィルム4を得た。得られた斜め延伸フィルム4の面内リターデーション(Ro)は140nm、面内リターデーションのバラツキは2nm、厚み方向リターデーションRtは85nm、配向角(θ)は45°であった。
なお、加熱および延伸する際におけるフィルム移動速度は20m/分とした。また、予熱ゾーンの温度を145℃、冷却ゾーンの温度を130℃とした。
<斜め延伸フィルム5の作製>
(長尺フィルムEの作製)
内層樹脂としてのポリスチレン樹脂(ノバケミカル製、商品名「ダイラークD332」、無水マレイン酸共重合物)と、外層樹脂としてのアクリル樹脂(住友化学製、製品名「スミペックスHT55Z」)とを、溶融状態でTダイからシート状に押出して冷却し、フィルム両端に幅10mm、高さ5μmのナーリング加工を施して巻き取り、膜厚75μm、幅2000mm、長さ5200mのロール状の長尺フィルムEを得た。長尺フィルムEは、内層樹脂が外層樹脂に挟まれた、2種3層の多層フィルムである。得られた長尺フィルムEの長手及び幅手方向の厚みムラは0.15μmであった。面内リターデーションは前述の方法で測定したところ、Roは5nm、Roバラツキは1nm、Rtは−5nmであった。
(斜め延伸フィルム5の作製)
上記作製した長尺フィルムEを、図6(a)の装置の製膜装置で延伸フィルム3の作製と同様にして、角度θi=47°となるようにレールパターンが設定された斜め延伸テンターに供給した。そのとき、斜め延伸テンターの入口部に最も近いガイドロールと斜め延伸テンターの把持具(クリップつかみ部)との距離を30cmとした。クリップは搬送方向の長さが1インチのものを、上記ガイドロールは直径5cmのものを使用した。斜め延伸テンターで内回り側の延伸温度を146℃、外回り側の延伸温度を144℃とし、延伸倍率1.8倍で斜め延伸を行い、テンター出口における引取張力200N/m、配向角θが45°となるように斜め方向に延伸を行った。延伸後のフィルムは、斜め延伸テンター出口側第一ロールで測定した張力の変動を引取モーター回転数に反映させるフィードバック制御を行って、引取張力の変動が3%未満となるように制御した。その後、フィルム両端をトリミングして、エアーフローロールからなる搬送方向変更装置で搬送方向を変更し、フィルム両端に幅10mm、高さ5μmのナーリング加工を施して、スライド可能な巻取装置で巻き取り、厚み50μm、幅2000mm、長さ5200mのロール状の斜め延伸フィルム5を得た。得られた斜め延伸フィルム5の面内リターデーション(Ro)は140nm、面内リターデーションのバラツキは2nm、厚み方向リターデーションRtは−85nm、配向角(θ)は45°であった。
なお、加熱および延伸する際におけるフィルム移動速度は20m/分とした。また、予熱ゾーンの温度を145℃、冷却ゾーンの温度を内回り側を132℃、外回り側を128℃とした。
《光学フィルムの耐久性試験》
上記作製したロール状光学フィルム14〜16と実施例1で作製した光学フィルム1及び12をアルミ防湿シートに包み、より過酷な長期輸送を想定して70℃相対湿度90%の恒温恒湿槽で70日保存した。
<偏光板の作製>
実施例1と同様にして、耐久試験後の各光学フィルム14〜16と実施例1で作製した光学フィルム1及び12と下記偏光子と裏面側に実施例1で作製した保護フィルム1とを長手方向を合わせるようにロール・トゥ・ロールで貼り合わせて偏光板を各々作製した。
<液晶表示装置の作製>
実施例1と同様にして、液晶表示パネルを作製し、実施例1と同様にして視認性と正面コントラストを評価した。得られた結果を表2に示した。
表2の結果から判るように、斜め延伸フィルムにセルロースエステル樹脂、セルロースエステル樹脂とアクリル系重合体の混合物を用いた本発明の光学フィルムをから構成される液晶表示装置は、光学フィルムがより過酷な耐久性試験を実施後に液晶表示装置に用いた場合も、優れた視認性(ムラ)や輝度(コントラスト)が得られることが判る。
実施例3
<反射防止層の塗設>
実施例1で作製した光学フィルム1〜13のハードコート層上に、下記低屈折率層から構成される反射防止層を設け、反射防止層付き光学フィルム101〜113を作製し、実施例1の光学フィルムの耐久性試験と同条件で、耐久性試験を実施した。
<反射防止層の塗布>
(中屈折率層の塗布)
ハードコート層表面上に、下記中屈折率層塗布液をダイコートし、80℃で乾燥した後、120mJ/cmの紫外線を高圧水銀灯で照射して、硬化後の膜厚が110nmとなるように中屈折率層を設けた。屈折率は1.60であった。
〈中屈折率層塗布液〉
〈粒子分散液Aの作製〉
メタノール分散アンチモン複酸化物コロイド(固形分60%、日産化学工業(株)製アンチモン酸亜鉛ゾル、商品名:セルナックスCX−Z610M−F2)6.0kgにイソプロピルアルコール12.0kgを攪拌しながら徐々に添加し、粒子分散液Aを調整した。
PGME(プロピレングリコールモノメチルエーテル) 40質量部
イソプロピルアルコール 25質量部
メチルエチルケトン 25質量部
ペンタエリスリトールトリアクリレート 0.9質量部
ペンタエリスリトールテトラアクリレート 1.0質量部
ウレタンアクリレート(商品名:U−4HA 新中村化学工業社製) 0.6質量部
粒子分散液A 20質量部
イルガキュア184(BASFジャパン社製) 0.4質量部
イルガキュア907(BASFジャパン社製) 0.2質量部
10%FZ−2207、プロピレングリコールモノメチルエーテル溶液
(日本ユニカー社製) 0.4質量部
(低屈折率層の塗布)
上記中屈折率層上に、下記の低屈折率層塗布液をダイコートし、80℃で乾燥した後、120mJ/cmの紫外線を高圧水銀灯で照射して膜厚が92nmになるように低屈折率層を設け、反射防止層を作製した。屈折率は1.38であった。
(低屈折率層塗布液)
〈テトラエトキシシラン加水分解物Aの調製〉
テトラエトキシシラン230g(商品名:KBE04、信越化学工業社製)とエタノール440gを混合し、これに2%酢酸水溶液120gを添加した後に、室温(25℃)にて26時間攪拌することでテトラエトキシシラン加水分解物Aを調製した。
プロピレングリコールモノメチルエーテル 430質量部
イソプロピルアルコール 430質量部
テトラエトキシシラン加水分解物A 120質量部
γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン
(商品名:KBM503、信越化学工業社製) 3.0質量部
イソプロピルアルコール分散中空シリカゾル(固形分20%、触媒化成工業社製シリカゾル、商品名:ELCOM V−8209) 40質量部
アルミニウムエチルアセトアセテート・ジイソプロピレート
(川研ファインケミカル社製) 3.0質量部
10%FZ−2207、プロピレングリコールモノメチルエーテル溶液
(日本ユニカー社製) 3.0質量部
<偏光板の作製>
実施例1と同様に、偏光子と耐久試験後の反射防止層付き光学フィルム101〜113と、裏面側には上記保護フィルム1を長手方向を合わせるようにロール・トゥ・ロールで貼り合わせて偏光板を各々作製した。なお、反射防止層には保護フィルム(PET製)を張り付けてアルカリ処理を実施し、アルカリ処理後に保護フィルム(PET製)を剥がした。
<液晶表示装置の作製>
実施例1と同様にして、SONY製60型ディスプレイBRAVIA LX900の予め貼合されていた前面板を剥がして、パネル前面の偏光板と前面板の間にあった充填剤を除去し、予め貼合されていたパネル前側の偏光板を剥がして、上記作製した各偏光板の粘着層をそれぞれ液晶セルのガラス面の前面に貼合した。
その際、その偏光板の貼合の向きは、光学フィルムのハードコート層が、視認側となるように、かつ、予め貼合されていた偏光板と同一の方向に吸収軸が向くように行い、液晶表示装置を各々作製した。各液晶表示装置について、実施例1と同様にしてムラと正面コントラストを評価し、更に以下の条件でクロストークについても評価した。
<クロストーク評価>
(3Dメガネ)
SONY製3DメガネTDG−BR100のパネル側に上記作製した耐久試験後の反射防止層付き光学フィルム101〜113を貼合した。作製した液晶表示装置について3D映像視聴時の首を傾けた際のクロストークについて評価した。
(3D映像視聴時の首を傾けた際のクロストークの評価)
23℃・55%RHの環境で、各々の液晶表示装置のバックライトを点灯させた直後、3Dメガネをかけて、寝そべった状態でメガネが80°傾いた状態になるよう首を傾けた状態で3D映像を視聴し、クロストークを下記基準で評価した。
◎:クロストークがまったくない
○:非常に弱いクロストークが見える
△:弱いクロストークが見える
×:クロストークがはっきり見える
表3結果から判るように、低屈折率層から構成される反射防止層を有する本発明の光学フィルムは、耐久試験後に立体画像表示装置に用いた場合でも、視認性や正面コントラストに優れ、更にクロストークにも優れた表示装置が得られることが分かる。なお、各反射防止層付き光学フィルムのRaを、非接触表面形状測定機(ZYGO社製 New View5030)を用いて測定したところ、ハードコート層のRaを良好に維持していた。また、各反射防止層付き光学フィルムのバックコート面に粘着剤付きの黒色アクリル板を貼り付け、光吸収処理を行い、低屈折率層面から、CM−3700d(コニカミノルタセンシング株式会社製)を用いて反射率を測定した結果、本発明の反射防止フィルムの平均反射率は全て1.2%以下であり、良好な反射防止機能を有していた。
実施例4
<導電性光学フィルム301の作製>
光学フィルム1の作製において、両面にハードコート層組成物1を塗布した以外は、同様にして光学フィルム201を作製した。次いで、両面にハードコート層を有する光学フィルム201を実施例1の光学フィルムの耐久性試験と同条件で、耐久性試験を実施した。
耐久試験を実施した光学フィルム201のハードコート層の片面に表面抵抗率が約400Ωである酸化インジウム錫(ITO)の透明導電性薄膜を、スパッタリング法を用いて設け、図9に示した導電性光学フィルム301を作製した。
<導電性光学フィルム302〜313の作製>
光学フィルム2〜13の作製において、両面に各ハードコート層組成物を塗布した以外は同様にして、光学フィルム202〜213を作製した。次いで、両面にハードコート層を有する光学フィルム202〜213を実施例1の光学フィルムの耐久性試験と同条件で、耐久性試験を実施した。耐久性試験を実施した光学フィルム201〜213の片面に表面抵抗率が約400ΩであるITOの透明導電性薄膜を、スパッタリング法を用いて設け、導電性光学フィルム302〜313を作製した。
<抵抗膜方式タッチパネル付き液晶表示装置101の作製>
市販の抵抗膜方式タッチパネル付き液晶表示装置(型名:LCD−USB10XB−T、I−O DATA社製)の導電性光学フィルムを剥がし、上記作製した導電性光学フィルム301を図10のようにハードコート層が視認側となるように貼合して、抵抗膜方式タッチパネル付き液晶表示装置101を作製した。
<抵抗膜方式タッチパネル付き液晶表示装置102〜113の作製>
抵抗膜方式タッチパネル付き液晶表示装置1の作製において導電性光学フィルム301を導電性光学フィルム302〜313に変更した以外は同様にして抵抗膜方式タッチパネル付き液晶表示装置102〜113を作製し、実施例1と同様にして、視認性を評価し、更に以下項目の文字呆け及び耐ペン摺動性について評価を行った。
《評価》
a.文字ボケ
天井部に、昼色光直管蛍光灯(FLR40S・D/M−X パナソニック(株)製)40W×2本を1セットとして、1.5m間隔で10セット配置した室内で、抵抗膜方式タッチパネル液晶表示装置を様々な角度から観察し、文字ボケを以下の基準で評価した。
○:蛍光灯の写り込みが気にならず、フォントの大きさ8以下の文字もはっきりと読める
×:蛍光灯の写り込みが気にならないが、フォントの大きさ8以下の文字がボケ、読むのが困難である
b.耐ペン摺動性
抵抗膜方式タッチパネル付き液晶表示装置に用いた各導電性光学フィルムのハードコート層の表面上を先端部が0.08mmφのポリアセタール製のペンを使用し、荷重250g、ペン摺動速度100mm/秒で直線40mmを15万回往復後の摺動部におけるハードコート層の傷つきおよび剥れを目視により評価した。

評価の結果、本発明の導電性光学フィルムを使用した抵抗膜方式のタッチパネル付き液晶表示装置は視認性に加えて、文字呆け及び耐ペン摺動性にも優れていた。
1 未延伸フィルム
2−1 右側のフィルム保持開始点
2−2 左側のフィルム保持開始点
3−1 右側のフィルム保持手段の軌跡
3−2 左側のフィルム保持手段の軌跡
4 テンター
5−1 右側のフィルム保持終了点
5−2 左側のフィルム保持終了点
6 斜め延伸フィルム
7−1 フィルムの送り方向
8−1 テンター入り口側のガイドロール
8−2 テンター出口側のガイドロール
9 フィルムの延伸方向
DR1 繰出し方向
DR2 巻取り方向
θi 繰出し角度(繰出し方向と巻取り方向のなす角度)
CR,CL 把持具
Wo 延伸前のフィルムの幅
W 延伸後のフィルムの幅
A 液晶シャッタメガネ
A1、A4 偏光子
A2 液晶セル
A3 λ/4板
B 液晶表示装置(例えばテレビジョン(TV))
C 偏光板
C1 λ/4板
C2 偏光子
C3 光学フィルム
C4 偏光子保護フィルム
D 液晶セル
E 偏光板
F バックライト
HC ハードコート層
AR 反射防止層
a 吸収軸
b 遅相軸
21 ハードコート層
22 突起形状
30 (タッチパネル用)導電性光学フィルム
31 斜め延伸フィルム
32 ハードコート層1
33 光学フィルム
34 ハードコート層2
35 透明導電性薄膜(ITO層)
40 抵抗膜方式タッチパネル液晶表示装置
41 低硬膜方式タッチパネル
42 LCD(液晶表示パネル)
43 ガラス
44 透明導電性薄膜
45 スペーサ
50 偏光板
51 光学フィルム
52 ハードコート層
53 斜め延伸フィルム
54 偏光子
55 保護フィルム
56 粘着層

Claims (3)

  1. 熱可塑性樹脂からなるフィルムを、フィルムの長手方向に対して斜交する方向に該フィルムを延伸させることにより作製された平面の斜め延伸フィルム上に活性線硬化型樹脂を含有するハードコート層を有し、該ハードコート層が長手方向に周期を持たない不規則な突起形状を有し、かつ当該ハードコート層が微粒子及び前記活性線硬化型樹脂に対し非相溶性である樹脂を実質的に含有しない光学フィルムを製造する光学フィルムの製造方法であって、
    前記25℃における粘度が600〜3000mPa・sの範囲内にある活性線硬化型樹脂を含有するハードコート層を、少なくとも塗布工程、乾燥工程及び硬化工程を経由して形成し、かつ該乾燥工程における減率乾燥区間の温度を105〜160℃の範囲内に維持した条件下で乾燥することを特徴とする光学フィルムの製造方法。
  2. 前記熱可塑性樹脂が、セルロースエステル樹脂、セルロースエステル樹脂とアクリル系重合体の混合物を含有することを特徴とする請求項1に記載の光学フィルムの製造方法。
  3. 前記ハードコート層上に、直接または他の層を介して低屈折率層が積層されていることを特徴とする請求項1または2に記載の光学フィルムの製造方法。
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