JP6696486B2 - 防眩膜付基体、防眩膜形成用液状組成物及び防眩膜付基体の製造方法 - Google Patents

防眩膜付基体、防眩膜形成用液状組成物及び防眩膜付基体の製造方法 Download PDF

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本発明は、防眩膜付基体、防眩膜形成用液状組成物及び防眩膜付基体の製造方法に関する。
各種機器(例えば、テレビ、パーソナルコンピュータ、スマートフォン、携帯電話、車両等に備えられた画像表示装置(例えば、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、プラズマディスプレイ等))においては、蛍光灯などの室内照明や太陽光等の外光が表示面に映り込むと、反射像によって視認性が低下する。
外光の映り込みを抑制する方法として、防眩膜を画像表示装置の表示面側に配置する方法がある。防眩膜は、表面に凹凸を有しており、外光を拡散反射させることで、反射像を不鮮明にするものである。このような防眩膜は、例えば、シリカ前駆体として、アルコキシシランの加水分解縮合物などの加水分解性有機ケイ素化合物を含む塗布液を、スプレー法にて基材表面に塗布し、その後、焼成して形成される(例えば、特許文献1参照。)。
また、画像表示装置の表示面に低反射膜を配置し、透明基体への入射光の反射自体を抑えて、反射像を不鮮明にする方法もある。低反射膜としては、低屈折率材料からなる単層膜、低屈折率材料からなる層と高屈折率材料からなる層とを組み合わせた多層膜が知られている。また、低反射膜として、含フッ素加水分解性有機ケイ素化合物から形成される膜も知られている(例えば、特許文献2〜5参照。)。
国際公開2016/021560号 特開昭64−1527号公報 特開2003−344608号公報 特開2002−79616号公報 国際公開2005/121265号
画像表示装置の表示面に防眩膜を配置することで、外光が表示面に映り込むことによる画像の視認性の低下を抑制できる。しかし同時に、防眩膜は、防眩性が高いほど、ヘイズが高くなりやすい。
画像表示装置の前面板には、視認側に防眩膜を形成するとともに、防眩膜が設けられていない非視認側の面の周辺部に、意匠性や美観を向上させる目的で、黒色印刷層のような光遮蔽部を設けることが行われている。このとき、防眩膜のヘイズが高いと、防眩膜を介して黒色印刷層を見た際に、白濁が視認されることがあり、美観を損なう問題があった。
本発明は、優れた防眩性を有するとともに、ヘイズを低くした防眩膜付基体、該防眩膜を形成するための防眩膜形成用液状組成物及び防眩膜付基体の製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、以下の態様を有する。
(1) 透明基体と、前記透明基体上に設けられた防眩膜を有し、前記防眩膜は、シリカを主成分とし、CF(CH−基(ただし、nは1〜6の整数である。)を含み、前記防眩膜表面の粗さ曲線のスキューネスRskが1.3以下であり、かつ、算術平均粗さRaが0.01μm以上である防眩膜付基体。
(2) トリフルオロプロピルトリメトキシシランと、鱗片状シリカ粒子と、液状媒体とを含む防眩膜形成用液状組成物。
(3) トリフルオロプロピルトリメトキシシランと、鱗片状シリカ粒子と、液状媒体とを含む防眩膜形成用液状組成物を、透明基体上にスプレーコート法により塗布して塗膜を形成し、前記塗膜を焼成することで、シリカを主成分とし、CF(CH−基(ただし、nは1〜6の整数である。)を含み、表面の粗さ曲線のスキューネスRskが1.3以下であり、かつ、算術平均粗さRaが0.01μm以上である防眩膜を前記透明基体上に形成して、防眩膜付基体を製造する防眩膜付基体の製造方法。
なお、以下の用語の定義は、本明細書及び特許請求の範囲にわたって適用される。
「シリカ前駆体」とは、ネットワーク結合に関与する成分としてシリカを主成分とするマトリックスを形成し得る物質を意味する。
「シリカを主成分とする」とは、SiOを50質量%以上含むことを意味する。
「ケイ素原子に結合した加水分解性基」とは、加水分解によって、ケイ素原子に結合したOH基に変換し得る基を意味する。
「鱗片状粒子」とは、扁平な形状を有する粒子を意味する。粒子の形状は、透過型電子顕微鏡(以下、TEMとも記す。)を用いて確認できる。
鱗片状粒子の「平均粒子径」は、体積基準で求めた粒度(最長長さ)分布の全体積を100%とした累積体積分布曲線において50%となる点の粒子径、すなわち体積基準累積50%径(D50)を意味する。粒度分布は、レーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置で測定した頻度分布及び累積体積分布曲線で求められる。
「アスペクト比」は、粒子の厚さに対する粒子径の比(最長長さ/厚さ)を意味し、「平均アスペクト比」は、無作為に選択された50個の粒子のアスペクト比の平均値である。粒子の厚さは、原子間力顕微鏡(以下、AFMとも記す。)によって測定され、最長長さは、TEMによって測定される。
本発明によれば、優れた防眩性を有するとともに、ヘイズを低くした防眩膜付基体を得られる。
本発明によれば、優れた防眩性を有するとともに、ヘイズを低くした防眩膜付基体を得るための防眩膜形成用液状組成物及び防眩膜付基体の製造方法を提供できる。
第1の実施形態に係る防眩膜付基体を表す断面模式図である。 第2の実施形態に係る防眩膜付基体を表す断面模式図である。 図2の防眩膜付基体の底面模式図である。
以下、図面を参照して、実施形態を詳細に説明する。
(第1の実施形態)
図1は、本発明の実施形態に係る防眩膜付基体を表す断面模式図である。図1に示す防眩膜付基体1は、透明基体2と、透明基体2上に設けられた、防眩膜3とを有する。
防眩膜付基体1において、防眩膜3はシリカを主成分とし、CF(CH−基(ただし、nは1〜6の整数である。以下も同様。)を含む。また防眩膜3表面の、粗さ曲線のスキューネスRskが1.3以下であり、かつ、算術平均粗さRaが0.01μm以上である。防眩膜付基体1は、防眩膜3が上記特性を有することで、優れた防眩性を有するとともに、ヘイズを低くして、例えば、防眩膜付基体1を通して黒色印刷層を見た際に、白濁が視認されるのを抑えられる。以下、防眩膜付基体1の各構成について説明する。
(透明基体2)
透明基体2は、防眩膜による防眩性の付与が求められている透明な材料からなるものであれば、特に限定されず、例えば、ガラス、樹脂、又はそれらの組み合わせ(複合材料、積層材料等)からなるものが好ましく使用される。ガラスとしては、例えばソーダライムガラス、ホウケイ酸ガラス、アルミノシリケートガラス、無アルカリガラス等が挙げられる。樹脂としては、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、トリアセチルセルロース、ポリメタクリル酸メチル等が挙げられる。
また、透明基体2の形態についても特に限定されず、例えば、剛性を有する板状、柔軟性を有するフィルム状等とできる。
透明基体2の防眩膜3の形成される表面(以下「主面」ともいう。)は、平滑でもよく、凹凸を有してもよい。防眩膜3を設けることの有用性の点(所望の光学特性を得られる点)では、平滑が好ましい。なお、透明基体2上に設けられる防眩膜3は透明基体2の主面全面にわたって形成されていなくても構わない。すなわち、防眩膜3は、透明基体2の主面において、防眩性の付与される所定の領域に形成されていればよく、その他の領域に形成されていなくてもよい。
透明基体2の形状は、図示するような平坦な形状のみでなく、曲面を有する形状であってもよい。この場合、全体が曲面で構成されてもよく、曲面である部分と平坦である部分とから構成されてもよい。最近では、画像表示装置を備える各種機器(テレビ、パーソナルコンピュータ、スマートフォン、カーナビゲーション等)において、画像表示装置の表示面が曲面とされたものが登場している。透明基体2が曲面を有する形状である防眩膜付基体1は、このような画像表示装置の用途に有用である。
透明基体2としては、ガラス基体が好ましい。ガラス基体の製造方法は特に限定されない。ガラス基体は、所望のガラス原料を溶融炉に投入し、加熱溶融し清澄した後、成形装置に供給して溶融ガラスを成形し、徐冷することにより製造できる。なお、ガラス基体の成形方法は特に限定されず、例えば、フロート法、フュージョン法、ダウンドロー法等により成形されたガラス基体を使用できる。
透明基体2の厚さは、用途に応じて適宜選択でき、透明基体2としてガラス基体を用いる場合、その厚さは0.1〜5mmが好ましく、0.2〜2.5mmがより好ましい。
透明基体2としてガラス基体を用いる場合、ガラス基体の主面に強化処理がなされたガラス基体が好ましい。強化処理でガラスの強度が向上し、例えば強度を維持しながら厚みを削減できる。未強化ガラス基体上に防眩膜を形成し、その後、強化処理をしてもよい。
強化処理としては、風冷強化法(物理強化法)や化学強化法により、ガラス板表面に圧縮応力層を形成させる処理が挙げられる。ガラス基体表面の圧縮応力層が、傷や衝撃に対するガラス基体の強度を向上させる。このうちガラス基体の厚みが薄く(例えば2mm未満)なった場合にも、ガラス基体を十分に強化できることから、化学強化法が好ましい。
化学強化法では、ガラスの歪点温度以下の温度でガラス板を溶融塩に浸漬して、ガラス板表層のイオン(例えばナトリウムイオン)を、より大きなイオン半径のイオン(例えばカリウムイオン)へと交換する。これにより、ガラス板表層に圧縮応力が生じる。
化学強化されたガラス基体(化学強化ガラス基体)は、例えば表面圧縮応力(CS)が450MPa〜1200MPa、応力層深さ(DOL)が10μm〜50μmである。
防眩膜付基体1は、透明基体2と防眩膜3の間に、アンダーコート層、密着改善層、保護層等の機能層を有していてもよい。アンダーコート層は、アルカリバリア層やワイドバンドの低屈折率層としての機能を有する。アンダーコート層としては、アルコキシシランの加水分解物(ゾルゲルシリカ)を含むアンダーコート用形成用組成物を透明基体2に塗布することによって形成される層が好ましい。
(防眩膜)
防眩膜3は表面に凹凸構造を有し、透明基体2に照射される外光を乱反射させて、外光の表面反射を抑制する。例えば、液晶ディスプレイ(LCD)、プラズマディスプレイ(PDP)等の各種画像表示装置においては、一般に、室内照明(蛍光灯等)、太陽光等の外光が表示面に映り込むと、反射像によって視認性が低下する。これに対して、防眩膜3を透明基体2に設け、外光を乱反射させることで、反射像による視認性の低下を抑制できる。
防眩膜3は、シリカを主成分とし、CF(CH−基を含む。また、防眩膜3表面の、粗さ曲線のスキューネスRskが1.3以下であり、かつ、算術平均粗さRaが0.01μm以上である。
防眩膜3は、例えば、CF(CH−基を含有するシリカ前駆体(含フッ素シリカ前駆体)(A)と、鱗片状粒子(B)と、液状媒体(C)とを含む防眩膜形成用液状組成物を用いて形成される。この場合、含フッ素シリカ前駆体(A)がシリカを主成分とし、CF(CH−基を含有するマトリックスを形成する。そして、このマトリックス中に、鱗片状粒子(C)が分散して防眩膜3が形成される。このような防眩膜形成用液状組成物を用いた防眩膜3の形成方法については後で詳しく説明する。
防眩膜3に含有されるCF(CH−基は、フッ素原子を有するために、加熱時に燃焼しにくい。そのため、この防眩膜形成用液状組成物を焼成して得られる防眩膜3の多孔質化を抑えられる。また、防眩膜3は、膜内部に、フッ素原子を有するCF(CH−基を含むことで、優れた耐薬品性及び耐湿性を発揮する。
防眩膜3中のCF(CH−基は、防眩膜3を透明基体2から削り取り、削り取った防眩膜3を用いて作成した粉末試料を、核磁気共鳴分光法(NMR)、赤外分光法(IR)等で分析することにより、同定できる。防眩膜3表面に後述する防汚膜が形成されている場合、当該防汚膜を除去してから上記分析できる。防汚膜は、コロナ処理やプラズマ処理により除去できる。防汚膜を除去した後の表面の、水の接触角が約20°以下であれば防汚膜が除去されたと判断できる。
防眩膜3の表面の算術平均粗さRaは、0.01μm以上である。算術平均粗さRaは、基準面上にとった基準長さに含まれる粗さ曲線において、基準面からの絶対値偏差を平均した値である。算術平均粗さRaが0.01μm以上であることで、防眩膜3は、優れた防眩性を発揮する。また、防眩膜3は、算術平均粗さRaが0.1μm以下が好ましい。算術平均粗さRaが0.1μm以下であることが、ヘイズが高くなりすぎず、防眩膜3によって優れた防眩性と低いヘイズの両立を可能とするための一要因である。
防眩膜3の表面の粗さ曲線のスキューネスRskが1.3以下である。ここで、粗さ曲線のスキューネスRskは、二乗平均平方根高さ(Zq)の三乗によって無次元化した基準長さにおける高さZ(x)の三乗平均を表し、凹凸形状の平均線に対する偏りを表わす指標である。粗さ曲線のスキューネスRskの値がプラス(Rsk>0)の方が、凹凸形状が凹側に偏って突形状が鋭くなり、マイナス(Rsk<0)の方が、凹凸形状が凸側に偏って突形状が鈍くなる傾向である。粗さ曲線の突形状が鈍い方が、鋭いものよりもヘイズは低くなる。
防眩膜3の表面の粗さ曲線のスキューネスRskは1.3以下が、優れた防眩性を維持しヘイズを低くできるための一要因である。加えて防眩膜付基体1を介して黒色印刷部を見た際に白濁が視認されるのを抑えられる。防眩膜3表面の粗さ曲線のスキューネスRskは、優れた防眩性を維持しヘイズをより低くするために1.05以下がより好ましい。
防眩膜3の表面の粗さ曲線の要素の平均長さRSmは18μm以下が好ましく、17.8μm以下がより好ましく、17.5μm以下がさらに好ましい。また、RSmは10μm以上が好ましく、11μm以上がより好ましく、14μm以上がさらに好ましい。粗さ曲線の要素の平均長さRSmは、大きすぎると防眩膜付基体1のヘイズ及びぎらつき指標値(Sparkle)が大きくなり易く、小さすぎると防眩性が低下し易いためである。
防眩膜3の表面の、算術平均粗さRa、粗さ曲線のスキューネスRsk及び粗さ曲線の要素の平均長さRSmは、防眩膜3形成時の、防眩膜形成用液状組成物の組成(固形分濃度、鱗片状粒子の一次粒子径、二次粒子径及び各成分の含有量等)、透明基体2への防眩膜形成用液状組成物の塗布条件(例えば、スプレー法で塗布する場合には、防眩膜形成用液状組成物のスプレー圧、液量、透明基体の温度、塗布回数等)によって調整できる。
防眩膜3の表面の算術平均粗さRa、粗さ曲線のスキューネスRsk及び粗さ曲線の要素の平均長さRSmは、東京精密社製SURFCOM1500SD3−12を用いてJIS B0601−2001に規定されている方法に従って測定できる。
防眩膜3は、平均膜厚は15〜1500nmが好ましい。防眩膜3の平均膜厚が15〜50nmの場合はヘイズを低くしたりぎらつき指標値を下げたりしやすい。防眩膜3の平均膜厚が50nm以上で、防眩膜付基体1に十分な防眩性を付与できるためより好ましい。防眩膜3の平均膜厚は1500nm以下が、防眩性指標値やヘイズ等の光学特性を良好な範囲で両立させるための一要因である。ここで、防眩膜3の平均膜厚は、防眩膜3の断面を、集束イオンビーム加工により処理した後、走査型顕微鏡(SEM)によって、例えば、1万倍の倍率で観察し、撮影範囲全体にわたり透明基体2と防眩膜3の界面から防眩膜3の表面までの厚みを測定することで計測できる。膜厚は、SEMによる撮影のデジタルデータや画像処理ソフトを用いて算出できる。
防眩膜3は、透明基体2の主面全体(または、主面において、防眩性の付与される領域)を隙間なく覆って形成されていてもよく、例えば、後述の好ましい防眩性指標値及びヘイズを得られる限り、透明基体2の主面(または、上記領域)の一部が、防眩膜が形成されず露出した態様で、例えば、防眩膜3が島状に形成されていてもよい。防眩膜3の厚さが、例えば300nm以下になると、透明基体2の主面上に、防眩膜3が不連続に形成され、透明基体2の主面の一部に防眩膜が形成されず透明基体2が露出することがある。
防眩膜3は直径が1μm以上の第一の凸部と直径が1μm未満の第二の凸部から構成されてもよく、また、第一の凸部どうし、または第二の凸部どうし、または第一の凸部と第二の凸部が重複した構造でもよい。このような表面構造はレーザー顕微鏡測定データを画像処理ソフトで解析して観測できる。
防眩膜3の膜厚は、透明基体2への防眩膜形成用液状組成物の塗布条件(例えば、スプレー法で塗布する場合には、防眩膜形成用液状組成物の液量や塗布回数など)や、防眩膜形成用液状組成物の組成(固形分濃度や各成分の含有量など)等によって調整できる。
防眩膜3中のフッ素含有量は、フッ素(F)を1.0質量%含む比重2.48のガラスを標準サンプルとし、防眩膜3のフッ素測定値を標準サンプルのフッ素測定値で除した値(F量)として表し、このフッ素含有量は2.5以下が好ましく、2.2以下がより好ましく、1.8%以下がさらに好ましい。これはRSm増大を抑制するためである。F量は0.23以上が好ましく、0.3以上がより好ましく、0.4以上がさらに好ましい。これは温度・湿度耐久性のためである。上記F量は、例えば以下の方法で測定できる。リガク社製ZSX100eを用い、測定径30mm、測定線F−Kα、フィルタOUT、スリットStd.、分光結晶RX35、検出器PC、PHA100−300、ピーク角度38.794deg.(20sec)、B.G.角度43.000deg.(10sec)の条件で、測定対象膜のフッ素含有量(質量%)と標準サンプル中のフッ素含有量をそれぞれ測定する。測定対象膜のフッ素含有量測定値を標準サンプルのフッ素含有量測定値で除して、F量が算出される。
防眩膜3表面に後述の防汚膜が形成されている場合、防汚膜を除去後に防眩膜3中のF量を測定する。防汚膜はコロナ処理やプラズマ処理により除去できる。なお、防汚膜除去後の表面の、水の接触角が約20°以下であれば防汚膜が除去できていると判断できる。
防眩膜3中のF量は、防眩膜形成用液状組成物の組成や、防眩膜形成用液状組成物中のCF(CH−基の量、含フッ素シリカ前駆体(A)の種類や、含フッ素シリカ前駆体(A)の有するCF(CH−基の量などによって調整できる。
防眩膜付基体1のヘイズ(Haze)は8以下が好ましく、6.8以下がより好ましい。ヘイズが8以下であると防眩膜付基体1が防眩膜3と反対面に黒色印刷部を有する場合、黒色印刷部に白濁が視認されるのを抑制し、美観に優れた防眩膜付基体1を得られる。
防眩膜付基体1の表面の光沢は、60゜鏡面光沢度(%)(Gloss)が135%以下が好ましく、130%以下がより好ましく、120%以下がさらに好ましい。60゜鏡面光沢度(%)(Gloss)は50%以上が好ましく、60%以上がより好ましく、70%以上がさらに好ましい。ここで、防眩膜付基体1の60゜鏡面光沢度は、例えば、JIS Z8741:1997の60゜鏡面光沢度に規定されている方法で、オールインワン光沢度計(ローポイントインスツルメンツ社製、Rhоpоint IQ)を用い、裏面側に黒色フェルトを敷いて、防眩膜付基体1の裏面反射を消し、防眩膜3の平面略中央部で測定した値である。
防眩膜付基体1の表面の防眩性指標値(Diffusion)は、0.05以上が好ましく、0.1以上がより好ましく、0.2以上がさらに好ましい。防眩膜付基体1表面の防眩性指標値は、0.05以上であることで、画像表示装置に用いた場合に、優れた防眩性を発揮する。
防眩膜付基体1表面の防眩性指標値の測定は、日本電色工業株式会社製変角光度計、GC5000Lを用いて、以下の手順で実施できる。先ず、防眩膜付基体1の厚さ方向と平行な方向を角度0゜とする。このとき、防眩膜付基体1の主面側において、角度θ=−45゜±0.5゜の方向(以下「角度−45°の方向」ともいう。)から、防眩膜付基体1の主面に、第1の光を照射する。第1の光は、防眩膜付基体1の主面で反射される。防眩膜付基体1の主面から角度45°の方向に反射された45゜反射光の輝度を測定して、「45゜反射光の輝度」とする。
次に、防眩膜付基体1の主面で反射された光の輝度を測定する角度θを、5゜〜85゜の範囲で変化させ、同様の操作を実施し、防眩膜付基体1の主面で反射される5゜〜85゜の範囲における反射光の輝度分布を測定して合計し、「全反射光の輝度」とする。
次に、以下の式(1)から、防眩性指標値(Diffusion)を算定する。
防眩性指標値=
{(全反射光の輝度−45゜反射光の輝度)/(全反射光の輝度)} 式(1)
防眩性指標値は、観察者の目視による防眩性の判断結果と相関し、人の視感に近い挙動を示すことが確認されている。例えば、防眩性指標値が小さな(0に近い)値を示す防眩膜付基体は防眩性が劣り、逆に防眩性指標値が大きな値を示す防眩膜付基体は、良好な防眩性を有する。
防眩膜付基体1の表面のぎらつき指標値(Sparkle)は90以下が好ましく、80以下がより好ましく、70以下がさらに好ましい。ぎらつき指標値は、液晶ディスプレイの表示面の上に防眩膜付基体を、防眩膜形成面(凹凸を有する表面)が上になるように置き、アイシステム社製アイスケールISC−Aを用いて測定できる。ぎらつき指標値は値が大きいほどぎらつきの大きいことを表わす。なお、ぎらつきとは、防眩膜付き基体1をピクセルマトリックスタイプの表示素子に用いた場合、防眩膜付き基体1表面に、ピクセルマトリックスよりも大きな周期を持つ光の粒が多く観察され、視認性を阻害する度合いを意味し、低ぎらつきであるほど光の粒が観察されにくく、視認性が向上する。
防眩膜付基体1のヘイズ、60゜鏡面光沢度、防眩性指標値、ぎらつき指標値は、上記したように、防眩膜3の表面の粗さ曲線のスキューネスRsk、算術平均粗さRa、粗さ曲線の要素の平均長さRSmなどによって調整できる。
<防眩膜形成用液状組成物>
防眩膜3は防眩膜形成用液状組成物を用いて形成できる。防眩膜形成用液状組成物は、CF(CH−基を含むシリカ前駆体(A)と鱗片状粒子(B)と液状媒体(C)とを含む。防眩膜形成用液状組成物は含フッ素シリカ前駆体(A)、鱗片状粒子(B)及び液状媒体(C)以外に、得られる防眩膜3の特性を損なわない限り、その他の成分を含有してもよい。その他の成分としてシリカ以外の金属酸化物前駆体(金属としてはチタン、ジルコニウム等)や、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂等からなるバインダが挙げられる。以下、防眩膜形成用液状組成物に含まれる各成分について説明する。
(含フッ素シリカ前駆体(A))
含フッ素シリカ前駆体(A)は、加水分解縮合反応によりシリカを主成分としCF(CH−基(ただし、nは1〜6の整数である。)を含むマトリックスを形成する。
上記マトリックスを形成し得る含フッ素シリカ前駆体(A)としては、例えば、ケイ素原子に結合した、CF(CH−基と加水分解性基とを有する含フッ素シラン化合物(A1)及びその加水分解縮合物が挙げられ、さらに、アルコキシシラン及びその加水分解縮合物(ゾルゲルシリカ)、シラザン等を含有していてもよい。含フッ素シラン化合物(A1)は、さらに、ケイ素原子に結合した炭化水素基を有していてもよい。含フッ素シリカ前駆体(A)は1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
より具体的には、含フッ素シリカ前駆体(A)は、含フッ素シラン化合物(A1)及びその加水分解縮合物のいずれか一方又は両方からなってもよいし、含フッ素シラン化合物(A1)及びその加水分解縮合物のいずれか一方又は両方と、アルコキシシラン及びその加水分解縮合物のいずれか一方又は両方とを含んでもよい。防眩膜3のクラックや膜剥がれを防止する観点から、含フッ素シリカ前駆体(A)は、含フッ素シラン化合物(A1)及びその加水分解縮合物のいずれか一方又は両方と、アルコキシシラン及びその加水分解縮合物のいずれか一方又は両方と、を含むことが好ましい。
含フッ素シラン化合物(A1)において、ケイ素原子に結合した加水分解性基としては、アルコキシ基、アシロキシ基、ケトオキシム基、アルケニルオキシ基、アミノ基、アミノキシ基、アミド基、イソシアネート基、ハロゲン原子等が挙げられる。これらの中では、含フッ素シラン化合物(A1)の安定性と加水分解のしやすさとのバランスの点から、メトキシ基やエトキシ基などのアルコキシ基、イソシアネート基及びハロゲン原子(特に塩素原子)が好ましい。含フッ素シラン化合物(A1)中に加水分解性基が複数存在する場合、加水分解性基は同じでも異なる基でもよく、同じ基が入手しやすさの点で好ましい。
含フッ素シラン化合物(A1)がケイ素原子に結合した炭化水素基を有する場合、当該炭化水素基は、1つのケイ素原子に結合した1価の炭化水素基でもよく、2つのケイ素原子に結合した2価の炭化水素基でもよい。1価の炭化水素基としては、アルキル基、アルケニル基、アリール基等が挙げられる。2価の炭化水素基としては、アルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基等が挙げられる。さらに、含フッ素シラン化合物(A1)は、この炭化水素基の代わりに、炭化水素基の炭素原子間に−O−、−S−、−CO−及びNR’−(ただしR’は水素原子又は1価の炭化水素基である。)から選ばれる1つ又は2つ以上が挿入された基を有してもよい。
含フッ素シラン化合物(A1)が、CF(CH−基中にフッ素原子を有することで、フッ素原子を有しない場合に比べて、防眩膜形成用液状組成物の表面張力が低下する。このため、これを焼成して得られる防眩膜3の粗さ曲線のスキューネスRskを下げ、防眩膜付基体1のヘイズを低くできる。
また、CF(CH−基は、フッ素原子を有することで、加熱時に燃焼しにくい。そのため、この防眩膜形成用液状組成物を焼成して得られる防眩膜3の多孔質化を抑えられる。また、CF(CH−基がフッ素原子を含むことで、防眩膜3に優れた耐薬品性及び耐湿性を付与できる。
含フッ素シラン化合物(A1)の有するCF(CH−基において、nは1〜6の整数であり、好ましくは1〜3の整数である。CF(CH−基は、特に好ましくはnが2のトリフルオロプロピル基である。防眩膜形成用液状組成物が2種以上の含フッ素シラン化合物(A1)を含む場合、CF(CH−基におけるnの値は、それぞれ同一でも、異なってもよい。
含フッ素シラン化合物(A1)としては、下式(I)で表される化合物が好ましい。
{CF(CH−Si−R(4−p―q) ・・・(I)
式(I)中、Lは、加水分解性基である。加水分解性基は上述したものが挙げられ、好ましい態様も同様である。Rは、水素原子又は1価の炭化水素基である。1価の炭化水素としては、上述したものが挙げられる。
式(I)中、p及びqは、p+q≦4を満たす数である。pは1〜3の整数である。pは密着性を上げる点から3又は2が好ましく、3が特に好ましい。qは1又は2である。qは複数あると反応性低下を引き起こす場合があるため、密着性を確保する点から1が好ましい。
アルコキシシランは、ケイ素原子に結合したアルコキシ基を有するシラン化合物である。アルコキシシランとしては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン等のテトラアルコキシシランが挙げられる。
含フッ素シリカ前駆体(A)は、上記の含フッ素シラン化合物(A1)及びその加水分解縮合物の一方又は両方と、アルコキシシラン及びその加水分解縮合物の一方又は両方以外に、本発明の効果を損なわない範囲でマトリックスを形成し得るその他のシラン化合物を含んでよい。その他のシラン化合物はビニル基を有するアルコキシシラン(ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等)、エポキシ基を有するアルコキシシラン(2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等)、アクリロイルオキシ基を有するアルコキシシラン(3−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン等)等が挙げられる。
含フッ素シラン化合物(A1)及びアルコキシシランの加水分解縮合反応は、公知の方法により実施できる。例えば、アルコキシシランとしてテトラアルコキシシランを用いる場合、テトラアルコキシシランにテトラアルコキシシランの4倍モル以上の水、及び触媒として酸又はアルカリを添加して行う。
触媒として使用される酸としては、例えば、硝酸、硫酸、塩酸等の無機酸やギ酸、シュウ酸、モノクロル酢酸、ジクロル酢酸、トリクロル酢酸等の有機酸が挙げられる。触媒として使用されるアルカリとしては、アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられる。触媒としては、含フッ素シラン化合物(A1)の加水分解縮合物の長期保存性の点では、酸が好ましい。
(鱗片状粒子(B))
鱗片状粒子(B)は、単独で、又は含フッ素シリカ前駆体(A)に由来するマトリックス中に含有されることで防眩膜3を構成する。なお、鱗片状粒子(B)は、単独で鱗片状粒子(B)となるものに加え、本実施形態の鱗片状粒子(B)における好ましい平均粒子径、1次粒子の厚さ、2次粒子の厚さ、アスペクト比等を満たす形状となるように、その他の形状の粒子等を適宜組み合わされたものも含む。
鱗片状粒子(B)の平均粒子径は、0.08〜0.42μmが好ましく、0.17〜0.21μmがより好ましい。鱗片状粒子(B)の平均粒子径が0.08μm以上であれば、膜厚が厚くても防眩膜3のクラックや膜剥がれが充分に抑えられる。鱗片状粒子(B)の平均粒子径が0.42μm以下であれば、防眩膜形成用液状組成物中における分散安定性が良好となる。
鱗片状粒子(B)としては、鱗片状シリカ粒子、鱗片状アルミナ粒子、鱗片状チタニア粒子、鱗片状ジルコニア粒子等が挙げられる。なかでも、防眩膜3に優れた防眩性を付与する点から、鱗片状シリカ粒子が好ましい。
鱗片状シリカ粒子は、例えば、薄片状のシリカ1次粒子と複数枚の薄片状のシリカ1次粒子が、互いに面間が平行的に配向し重なって形成されるシリカ2次粒子からなる。シリカ2次粒子は、通常、積層構造の粒子形態を有する。鱗片状シリカ粒子はシリカ1次粒子とシリカ2次粒子のいずれか一方のみからなるものでもよい。
シリカ1次粒子の厚さは、0.001〜0.1μmが好ましい。シリカ1次粒子の厚さが前記範囲内であれば、互いに面間が平行的に配向して1枚又は複数枚重なった鱗片状のシリカ2次粒子を形成できる。シリカ1次粒子のアスペクト比は、2以上が好ましく、5以上がより好ましく、10以上がさらに好ましい。
シリカ2次粒子の厚さは、0.001〜1μmが好ましく、0.005〜0.5μmがより好ましい。シリカ2次粒子の厚さに対するアスペクト比は、2以上が好ましく、5以上がより好ましく、10以上がさらに好ましい。シリカ2次粒子は、融着することなく互いに独立に存在していることが好ましい。
防眩膜形成用液状組成物の調製には、複数の鱗片状シリカ粒子の集合体である粉体、又は該粉体を液状媒体に分散させた分散液が用いられる。分散液中のシリカ粒子濃度は、1〜80質量%が好ましい。
(液状媒体(C))
液状媒体(C)は、含フッ素シリカ前駆体(A)を溶解する溶媒、又は分散する分散媒としての機能と、鱗片状粒子(B)を分散する分散媒としての機能を有する。液状媒体(C)は1種を単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
液状媒体(C)は、少なくとも、沸点160℃以下の液状媒体(C1)と、沸点が160℃よりも高い液状媒体(C2)を含むことが好ましい。
液状媒体(C1)の沸点が160℃以下であれば、防眩膜形成用液状組成物を、回転霧化頭を備える静電塗装ガンを備える静電塗装装置を用いて透明基体2上に塗布した後、焼成して形成される防眩膜3がより優れた防眩性を有する。液状媒体(C1)の沸点は、50〜150℃が好ましく、55〜140℃がより好ましい。液状媒体(C1)の沸点が前記範囲の下限値以上であれば、防眩膜形成用液状組成物の液滴が透明基体2上に付着した後、基板上で液滴が濡れ広がり、均一な膜を形成しやすい。液状媒体(C1)の沸点が前記範囲の上限値以下であれば、凹凸構造を形成しやすい。
液状媒体(C1)としては、例えば、水や、沸点160℃以下の、アルコール類(メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、1−ペンタノール等)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等)、エーテル類(テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等)、セロソルブ類(メチルセロソルブ、エチルセロソルブ等)、エステル類(酢酸メチル、酢酸エチル等)、グリコールエーテル類(エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル等)等を使用できる。
液状媒体(C2)の沸点が160℃よりも高いと、防眩膜形成用液状組成物が液状媒体(C2)を含む場合に、防眩膜3の粗さ曲線のスキューネスRskを下げられ、優れた防眩性と低いヘイズを両立し易い。
液状媒体(C2)としては、例えば、沸点160℃超の、アルコール類、ケトン類、エーテル類、セロソルブ類、エステル類、グリコールエーテル類、含窒素化合物、含硫黄化合物等が挙げられる。アルコール類としては、ジアセトンアルコール、1−ヘキサノール、エチレングリコール、プロピレングリコール等が挙げられる。含窒素化合物としては、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等が挙げられる。グリコールエーテル類としては、エチレングリコールモノブチルエーテル等が挙げられる。含硫黄化合物としては、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。
液状媒体(C)の全量に対する液状媒体(C1)の含有割合は、80〜99.9質量%が好ましく、液状媒体(C2)の含有割合は、0.01〜20質量%が好ましい。
含フッ素シリカ前駆体(A)におけるアルコキシシラン等の加水分解に水が必要となる。このため、液状媒体(C)は液状媒体(C1)として少なくとも水を含むことが好ましい。この場合、液状媒体(C)は、水のみでもよく、水以外の液状媒体(C1)及び液状媒体(C2)のうち1種以上を含んでもよい。水以外の液状媒体(C1)としては、アルコール類が好ましく、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノールが特に好ましい。また、液状媒体(C)が水を含む場合、液状媒体(C)に含有される液状媒体(C2)としては、ジアセトンアルコール、プロピレングリコールが好ましい。
(組成)
防眩膜形成用液状組成物が、含フッ素シラン化合物(A1)及びその加水分解縮合物のいずれか一方又は両方と、テトラアルコキシシラン及びその加水分解縮合物のいずれか一方又は両方と、の両者を含む場合、含フッ素シリカ前駆体(A)のSiO換算固形分の全量(100質量%)に対し、含フッ素シラン化合物(A1)及びその加水分解縮合物のいずれか一方又は両方の割合が3〜50質量%(より好ましくは5〜30質量%)で、テトラアルコキシシラン及びその加水分解縮合物のいずれか一方又は両方の割合が50〜97質量%(より好ましくは70〜90質量%)が好ましい。含フッ素シラン化合物(A1)及びその加水分解縮合物のいずれか一方又は両方の含有量が前記範囲の上限値以下であれば、防眩膜3と透明基体2との充分な密着強度が得られる。含フッ素シラン化合物(A1)及びその加水分解縮合物のいずれか一方又は両方の含有量が前記範囲の下限値以上であれば、防眩膜3の膜厚が厚くても防眩膜3のクラックや膜剥がれが充分に抑えられる。
防眩膜形成用液状組成物中の鱗片状粒子(B)の含有量は、防眩膜形成用液状組成物中の固形分の全量(100質量%)に対して、3〜15質量%が好ましく、5〜10質量%がより好ましい。鱗片状粒子(B)の含有量が前記範囲の下限値以上であれば、防眩膜付基体1によって優れた防眩性が発揮される。また、膜のクラック発生を防止できる。鱗片状粒子(B)の含有量が前記範囲の上限値以下であれば、優れた防眩性を維持しつつ、ヘイズを低くできる。
防眩膜形成用液状組成物中の液状媒体(C)の含有量は、防眩膜形成用液状組成物の固形分濃度に応じた量とされる。防眩膜形成用液状組成物の固形分濃度は、防眩膜形成用液状組成物の全量(100質量%)に対して、0.1〜8質量%が好ましく、0.2〜1質量%がより好ましい。固形分濃度が前記範囲の下限値以上であれば、防眩膜形成用液状組成物の液量を少なくできる。固形分濃度が前記範囲の上限値以下であれば、防眩膜の膜厚の均一性が向上する。
防眩膜形成用液状組成物の固形分濃度は、防眩膜形成用液状組成物中の、液状媒体(C)以外の全成分の含有量の合計である。ただし、本明細書において、特に断らない限り、防眩膜形成用液状組成物の固形分濃度を算出する際の、含フッ素シリカ前駆体(A)の含有量は、SiO換算である。
防眩膜形成用液状組成物中の含フッ素シリカ前駆体(A)と鱗片状粒子(B)との合計の含有量は、防眩膜形成用液状組成物中の固形分の全量(100質量%)に対して、30〜100質量%が好ましく、40〜100質量%がより好ましい。含フッ素シリカ前駆体(A)と鱗片状粒子(B)との合計の含有量が前記範囲の下限値以上であれば、得られる防眩膜3は、透明基体2との密着性に優れる。含フッ素シリカ前駆体(A)と鱗片状粒子(B)との合計の含有量が前記範囲の上限値以下であれば、防眩膜3のクラックや膜はがれが抑えられる。
含フッ素シリカ前駆体(A)がテトラアルコキシシランの加水分解縮合物を含む場合は、所望の性能を有する防眩膜3を高いレベルで再現性よく製造できる点から、テトラアルコキシシランの溶液、又はテトラアルコキシシラン及びその加水分解縮合物の混合物の溶液と、鱗片状粒子(B)の分散液とを混合した後、鱗片状粒子(B)の存在下でテトラアルコキシシランを加水分解し、縮合させることが好ましい。
<防眩膜付基体の製造方法>
本実施形態の防眩膜付基体の製造方法は、前記で説明した防眩膜形成用液状組成物を、透明基体2上にスプレーコート法により塗布して塗膜を形成し、その塗膜を焼成することにより防眩膜3を形成して、防眩膜付基体1を得る方法である。前記の製造方法は、必要に応じて、防眩膜3の形成前に、透明基体2本体の表面に機能層を形成する工程を有してよい。また、防眩膜3の形成後に、その他の後加工を施す工程を有してよい。
(防眩膜形成用液状組成物の調製)
防眩膜形成用液状組成物は、例えば、含フッ素シラン前駆体(A)が液体媒体(C)に溶解した溶液を調製し、これに、鱗片状粒子(B)の分散液と、必要に応じて追加の液状媒体(C)とを混合して調製できる。
(塗布)
前記の防眩膜形成用液状組成物を、スプレーコート法により透明基体2上に塗布する。これは、例えば、回転霧化頭を備える静電塗装ガンを備える静電塗装装置を用いて、防眩膜形成用液状組成物を帯電させ、透明基体2に向けて噴霧して行われる。これにより透明基体2上に防眩膜形成用液状組成物の塗膜が形成される。静電塗装装置はガン本体と回転霧化頭とを備え、回転霧化頭を回転駆動し回転霧化頭に供給された防眩膜形成用液状組成物を遠心力により霧化して放出し、透明基体2に向けて噴霧する。
防眩膜形成用液状組成物を透明基体2に塗布する際の、静電塗装ガンのノズル先端(すなわち、防眩膜形成用液状組成物の噴霧方向における回転霧化頭の前端)から透明基体2までの距離(以下「ガン高さ」ともいう。)は、透明基体2の幅、透明基体2上に塗布される防眩膜形成用液状組成物の膜厚等に応じて適宜調整される。
ガン高さは、150〜280mmが好ましく、180〜240mmがより好ましく、230〜240mmがさらに好ましい。透明基体2までの距離を近づけ過ぎると、防眩膜付基体1のヘイズが上昇し易く、さらに近づきすぎると放電を起こす可能性が高くなる。一方、透明基体2までの距離が離れ過ぎると塗布効率が低下するほか、粗さ曲線のスキューネスRskが高くなりすぎて、防眩性が低下し易い。
またこの際の、静電塗装装置から噴霧された防眩膜形成用液状組成物の液滴の粒径(吐出粒径)は、ザウター平均粒径で12μm以下が好ましく、10μm以下がより好ましい。ザウター平均粒径が12μm以下であることで、防眩膜3が優れた防眩性を発揮する。
ここでザウター(Sauter)平均粒径は、液滴の表面積の合計と体積の合計が等しいと仮定し、計測した液滴の体積の総和と表面積の総和の比から求めた値となる。ザウター平均粒径は、xを粒径、nを粒径xの粒子数とし、次式(2)であらわされる。
Figure 0006696486
ザウター平均粒径は、透明基体表面からの高さ60mmで、静電塗装ガンのカップ中心から水平方向に測定位置をずらして測定したときにザウター平均粒径が最大となる位置における値として測定できる。
(焼成)
次いで、透明基体2上に形成された、防眩膜形成用液状組成物の塗膜を焼成する。
これにより、塗膜中の液状媒体(C)が揮発して除去され、塗膜中に残存する含フッ素シリカ前駆体(A)のシリカ系マトリクスへの転化が進行する(例えば、含フッ素シリカ前駆体(A)が、ケイ素原子に結合した加水分解性基を有するシラン化合物である場合に、加水分解性基がほぼ分解し、加水分解物の縮合が進行する)とともに膜が緻密化して、防眩膜3が形成される。
塗膜の焼成は、防眩膜形成用液状組成物を透明基体2に塗布する際に、透明基体2を加熱して塗布と同時でもよく、防眩膜形成用液状組成物を透明基体2に塗布した後、塗膜を加熱してもよい。焼成温度は、30℃以上が好ましく、例えば透明基体2がガラスの場合は100〜750℃がより好ましく、150〜550℃がさらに好ましい。
防眩膜形成用液状組成物を塗布する際の透明基体2の表面温度は、60℃以下が好ましく、15〜50℃が好ましく、20〜40℃がより好ましい。透明基体2の表面温度が前記範囲の下限値以上であれば、防眩膜形成用液状組成物に含有される液状媒体(C)がすばやく蒸発するため、所望の凹凸を形成しやすい。透明基体2の表面温度が前記範囲の上限値以下であれば、透明基体2と防眩膜3との密着性が良好となる。なお、静電塗装ガンから噴霧される防眩膜形成用液状組成物の温度(塗布温度)も前記と同様である。
以上で説明した実施形態の製造方法によれば、防眩膜形成用液状組成物を、好ましくは、回転霧化頭を備える静電塗装装置を用いて噴霧することで、優れた防眩性を有する防眩膜3を形成できる。これは、防眩膜形成用液状組成物の液滴が、静電塗装装置以外の従来汎用されているスプレー法(例えば、二流体ノズルを用いる方法)を適用した場合に比べて、緩やかな速度で透明基体2上に付着し、また、付着した液滴中の液状媒体(C)が迅速に揮発することで、液滴が透明基体2上で広がりにくく、付着した時点の形状を充分に保った状態で成膜されるためと考えられる。
また、前記で説明した実施形態の製造方法にあっては、防眩膜形成用液状組成物の粘度、塗布条件、焼成温度等によって、形成される防眩膜3の表面形状を制御できる。
(第2の実施形態)
図2は、本実施形態の防眩膜付基体10を示す模式断面図である。図3は、防眩膜付基体10を示す模式底面図である。図2及び図3に示す防眩膜付基体10は、図1に示す防眩膜付基体1の防眩膜3上に、低反射膜4と、防汚膜5とを備え、防眩膜付基体1の防眩膜3と反対の面の周縁部に印刷層6を備える点で、防眩膜付基体1と異なっているが、その他の構成は共通する。そのため防眩膜付基体10において、防眩膜付基体1に対応する構成には同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。なお、低反射膜4、防汚膜5及び印刷層6のすべてを備えなくてもよく、何れか1種又は2種を備えていてもよい。
(低反射膜)
低反射膜4は防眩膜3上に備えられ、透明基体2への入射光の反射自体を抑え、反射像を不鮮明にする膜である。低反射膜4の構成として、例えば、波長550nmでの屈折率が1.9以上の高屈折率層と、波長550nmでの屈折率が1.6以下の低屈折率層とを積層した構成とできる。低反射膜4は光の反射を抑制できる構成であれば限定されない。
低反射膜4が、高屈折率層と、低屈折率層とを積層した構成である場合、低反射膜における高屈折率層と低屈折率層とは、それぞれ1層ずつ含む形態でよいが、それぞれ2層以上含む構成でもよい。高屈折率層と低屈折率層とをそれぞれ2層以上含む場合に、高屈折率層と低屈折率層とを交互に積層した形態が好ましい。
高屈折率層、低屈折率層の材料は特に限定されず、要求される低反射性の程度や生産性等を考慮して適宜選択できる。高屈折率層を構成する材料として、例えば酸化ニオブ(Nb)、酸化チタン(TiO)、酸化ジルコニウム(ZrO)、酸化タンタル(Ta)、窒化ケイ素(Si)から選択された1種以上を好ましく使用できる。低屈折率層を構成する材料としては、酸化ケイ素(SiO)、SiとSnとの混合酸化物を含む材料、SiとZrとの混合酸化物を含む材料、SiとAlとの混合酸化物を含む材料から選択された1種以上を好ましく使用できる。
低反射膜4は、生産性や屈折率の観点から、高屈折率層が酸化ニオブ、酸化タンタル、窒化ケイ素から選択される1種からなる層であり、低屈折率層が酸化ケイ素からなる層である構成が好ましい。
低反射膜4を構成する各層を成膜する方法は特に限定されず、例えば、真空蒸着法、イオンビームアシスト蒸着法、イオンプレート法、スパッタリング法、プラズマCVD法等を使用できる。これらの成膜方法のなかで、スパッタリング法を用いることで、緻密で耐久性の高い膜を形成できるので好ましい。特に、パルススパッタリング法、ACスパッタリング法、デジタルスパッタリング法等のスパッタリング法が好ましい。
例えば、パルススパッタリング法により成膜する場合は、不活性ガスと酸素ガスとの混合ガス雰囲気のチャンバ内に、透明基体2を配置し、密着層形成材料として、所望の組成となるようにターゲットを選択して成膜する。このとき、チャンバ内の不活性ガスのガス種は特に限定されるものではなく、アルゴンやヘリウム等、各種不活性ガスを使用できる。パルススパッタリング法により高屈折率層及び低屈折率層を成膜する場合、各層の層厚の調整は、例えば、放電電力の調整、成膜時間の調整等により可能である。
本実施形態の防眩膜付基体10においては、防眩膜3がシリカを主成分とし、防眩膜3上に、高屈折率層と低屈折率層からなる低反射膜4を形成した場合に、高防眩性、低ヘイズ率に加えて、優れた低反射性を実現できる。
(防汚膜)
防汚膜5は、低反射膜4上に備えられる。防汚膜5は、表面への有機物、無機物の付着を抑制する膜、又は、表面に有機物、無機物が付着した場合においても、ふき取り等のクリーニングにより付着物が容易に除去できる効果をもたらす膜である。
防汚膜5としては、例えば、撥水・撥油性を有し、得られる防眩膜付基体10に防汚性を付与できれば限定されないが、含フッ素有機ケイ素化合物を加水分解縮合反応により硬化させて得られる、含フッ素有機ケイ素化合物被膜からなることが好ましい。
また、防汚膜5の厚さは、例えば、防汚膜5が含フッ素有機ケイ素化合物被膜からなる場合、2〜30nmが好ましく、5〜20nmがより好ましい。防汚膜5の膜厚が2nm以上であれば、防汚性の他、防汚膜5の耐擦り性に優れるものとなる。また、防汚膜5の膜厚が30nm以下であれば、防汚膜5が形成された状態での防眩膜付基体10の防眩性やヘイズ等の光学特性が良好である。
含フッ素有機ケイ素化合物被膜を形成する方法としては、パーフルオロアルキル基;パーフルオロ(ポリオキシアルキレン)鎖を含むフルオロアルキル基等のフルオロアルキル基を有するシランカップリング剤の組成物を、低反射膜4の表面に、スピンコート法、ディップコート法、キャスト法、スリットコート法、スプレーコート法等により塗布後必要に応じて加熱処理する方法、又は含フッ素有機ケイ素化合物を低反射膜4の表面に気相蒸着後、必要に応じて加熱処理する真空蒸着法等が挙げられる。密着性の高い含フッ素有機ケイ素化合物被膜を得るには、真空蒸着法が好ましい。真空蒸着法による含フッ素有機ケイ素化合物被膜の形成は、含フッ素加水分解性ケイ素化合物を含有する被膜形成用組成物を用いて行うことが好ましい。
被膜形成用組成物は、含フッ素加水分解性ケイ素化合物を含有する組成物であって、真空蒸着法による被膜形成が可能な組成物であれば制限ない。加水分解性ケイ素化合物は、化合物自体に加えて部分加水分解縮合物や部分加水分解共縮合物を含んでもよい。
本実施形態の含フッ素有機ケイ素化合物被膜の形成に用いる含フッ素加水分解性ケイ素化合物として、具体的には、パーフルオロポリエーテル基、パーフルオロアルキレン基及びパーフルオロアルキル基からなる群から選ばれる1つ以上の基を有する含フッ素加水分解性ケイ素化合物が挙げられる。これらの基は加水分解性シリル基のケイ素原子に連結基を介して又は直接結合する含フッ素有機基として存在する。
このような含フッ素加水分解性ケイ素化合物を含む被膜形成用組成物を、低反射膜4表面に付着させ反応させ、含フッ素有機ケイ素化合物被膜が得られる。なお、具体的な真空蒸着方法、反応条件については従来公知の方法、条件等が適用できる。
このとき、防眩膜3の表面に、低反射膜4を形成せず、直接、防汚膜5を形成してもよい。この場合、前記のように、防眩膜3は、CF(CH)n−基を膜内部に含むことで、多孔質化が抑制され、多孔質に被膜形成用組成物がしみ込むという現象が生じない。そのため、防眩膜3との密着性に優れ、優れた防汚性を有する防汚膜5を得られる。
防汚膜5は、例えば、公知のスプレー装置等を用いて被膜形成用組成物を塗布して成膜できる。スプレー装置のノズルを防眩膜付基体1に対し一方の端部から他方の端部に向けた第1の方向に平行移動させて被膜形成用組成物を塗布する。他方の端部に到達したノズルを所定の間隔(以下、ピッチと称する。)だけ第1の方向に対して垂直な第2の方向に平行移動させる。他方の端部から一方の端部に向けて再度ノズルを平行移動させる。これを繰り返し、塗布領域が防眩膜付基体1の全面に亘るように塗布する。
ピッチが小さい場合は、ピッチが大きい場合と比較してノズルが防眩膜付基体1上を往復する回数が多いためノズルの移動速度を早くすることで単位面積当たりへの吐出量を一定にできると考えられる。表1にノズルの移動速度とピッチによる基板上のF原子の量の測定結果を示す。
Figure 0006696486
表1の結果より、単位面積当たりへの吐出量を一定とした場合であっても、ノズルの移動速度を遅くしてピッチを大きくするよりも、ノズルの移動速度を早くしてピッチを小さくする方が被膜形成用組成物の塗着効率が良いことが分かる。特に、ピッチを12mm以下とすることで被膜形成用組成物の塗着効率が良くなるため好ましい。表1の結果は防眩膜を成膜していないガラス板に対して被膜形成用組成物を塗布し、F原子の量を測定したものであるが、防眩膜付基体1に対しても同様の傾向となる。
(印刷層)
印刷層6は、例えば、表示の視認性と美観を高める目的で、携帯機器等の画像表示装置の外周近傍に配置された配線回路や、携帯機器の筺体と防眩膜付基体10の接着部等を隠ぺいするように必要に応じて備えられる。ここで、周縁部とは、外周から中央部に向かって、所定の幅を有する帯状領域を意味する。印刷層6は、透明基体2の主面の反対側の面の周縁全周に備えられてもよく、周縁一部に備えられてもよい。
印刷層6は、例えば、前記配線回路や接着部を隠ぺい可能な幅で、目的に応じて所望の色で形成される。印刷層6は、例えば、インクを用いて形成される。
インクとしては、例えば、セラミックス焼成体等を含む無機系インク、染料又は顔料のような色料と有機樹脂を含む有機系インクが挙げられる。例えば、印刷層6を黒色で形成する場合、黒色の無機系インクに含有されるセラミックスとしては、酸化クロム、酸化鉄などの酸化物、炭化クロム、炭化タングステン等の炭化物、カーボンブラック、雲母等が挙げられる。黒色の印刷層6は、前記セラミックスとシリカからなるインクを溶融し、所望のパターンで印刷した後、乾燥して得られる。この無機系インクは、溶融、乾燥工程を必要とし、一般にガラス専用インクとして用いられている。
有機系インクは、所望の色の染料又は顔料と有機系樹脂を含む組成物である。有機系樹脂としては、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルサルフォン、ポリアリレート、ポリカーボネート、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)樹脂、フェノール樹脂、透明ABS樹脂、ポリウレタン、ポリメタクリル酸メチル、ポリビニル、ポリビニルブチラール、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリイミド等のホモポリマー、及びこれらの樹脂のモノマーと共重合可能なモノマーとのコポリマーからなる樹脂が挙げられる。
前記無機系インク及び有機系インクのなかでは、乾燥温度が低いことから、有機系インクの使用が好ましい。また、耐薬品性の観点から、顔料を含む有機系インクが好ましい。
印刷層6は、透明基体2の主面と反対の面の所定の箇所に前記インクが印刷されて形成される。印刷法としては、バーコート法、リバースコート法、グラビアコート法、ダイコート法、ロールコート法、スクリーン法、インクジェット法等があるが、簡便に印刷できるうえ、種々の基材に所望のサイズで印刷できるため、スクリーン印刷法が好ましい。印刷層6は複数の層を積層した複層からなってもよく、単一の層からなってもよい。印刷層6が複層からなる場合、印刷層6は、前記インクの印刷、乾燥を繰り返し形成できる。
印刷層6の備えられた防眩膜付基体10を画像表示装置等の前面板として用いる場合、印刷層側が、画像表示装置側に配置されるように、防眩膜付基体10が画像表示装置の視認側(前面)に設けられる。防眩膜付基体10の設けられた画像表示装置を、前面から視認すると、その周縁部に黒色印刷部が、周縁部の内側に表示部が、それぞれ、防眩膜3及び透明基体2を介して視認される。
このとき、前面板のヘイズが高いと黒色印刷部が白濁したように見えて、表示部が表示パネルに通電しない状態で黒色となる場合に黒色印刷部と、前面板を通して見られる表示部の黒色の間に境界が生じて美観を損ねることがある。本実施形態の防眩膜付基体10は、ヘイズを低くしているので、黒色印刷部と前面板を通して見られる表示部の黒色の間に境界が生じにくく、これらの境界なく連続的に視認されて、美観に優れたものとなる。
<防眩膜付基体の用途>
本発明の防眩膜付基体の用途は、例えば、車両用透明部品(ヘッドライトカバー、サイドミラー、フロント透明基板、サイド透明基板、リア透明基板、インスツルメントパネル表面等)、メータ、建築窓、ショーウインドウ、ディスプレイ(ノート型パソコン、モニタ、LCD、PDP、ELD、CRT、PDA等)、LCDカラーフィルタ、タッチパネル用基板、ピックアップレンズ、光学レンズ、眼鏡レンズ、カメラ部品、ビデオ部品、CCD用カバー基板、光ファイバ端面、プロジェクタ部品、複写機部品、太陽電池用透明基板(カバーガラス等)、携帯電話窓、バックライトユニット部品(導光板、冷陰極管等)、バックライトユニット部品液晶輝度向上フィルム(プリズム、半透過フィルム等)、液晶輝度向上フィルム、有機EL発光素子部品、無機EL発光素子部品、蛍光体発光素子部品、光学フィルタ、光学部品の端面、照明ランプ、照明器具のカバー、増幅レーザー光源、反射防止フィルム、偏光フィルム、農業用フィルム等である。
本発明の防眩膜付基体の用途は、高い水準で優れた防眩性と低いヘイズが両立出来る点から、輸送機の内装物品が好ましく、車載物品がさらに好ましい。車載物品は、画像表示装置を備える車載システム(カーナビゲーション、インストルメントパネル、ヘッドアップディスプレイ、ダッシュボード、センターコンソール、シフトノブ)が好ましい。
以下、実施例を示して本発明を詳細に説明するが、以下の実施例に限定されない。例1〜28のうち、例1〜17は実施例、例18〜28は比較例である。
各例で使用した評価方法及び材料を以下に示す。
<光学特性評価方法>
(粗さ曲線のスキューネスRsk、算術平均粗さRa、粗さ曲線の要素平均長さRSm)
防眩膜の表面の、粗さ曲線のスキューネスRsk、算術平均粗さRa、粗さ曲線の要素の平均長さRSmを、それぞれ、東京精密社製SURFCOM1500SD3−12を用いてJIS B0601−2001に規定されている方法に従って測定した。
(平均膜厚)
防眩膜の膜厚を次のように測定した。集束イオンビーム加工により処理した防眩膜断面を1万〜10万倍の倍率でSEM観察し、ガラスと防眩膜の界面から防眩膜の表面までの厚みを撮影範囲全体にわたり測定した。撮影範囲全体にわたる膜厚は、デジタルデータ上で防眩膜の断面全体のピクセル数をカウントし、スケールバー及び膜厚と垂直な方向のピクセル数から算出できる。また、市販の画像処理ソフトを用いて算出してもよい。SEM観察は膜厚と垂直な方向に70μmの視野以上の観察を行い、平均値を平均膜厚とした。
(F量)
防眩膜中のF量は、以下の方法によって測定した。フッ素(F)を1.0質量%含む比重2.48のガラスを標準サンプルとした。リガク社製ZSX100eを用い、測定径30mm、測定線F−Kα、フィルタOUT、スリットStd.、分光結晶RX35、検出器PC、PHA100−300、ピーク角度38.794deg.(20sec)、B.G.角度43.000deg.(10sec)の条件で、測定対象膜中のフッ素含有量(質量%)と、標準サンプル中のフッ素含有量(質量%)をそれぞれ測定した。上記で測定された測定対象膜中のフッ素含有量の測定値を標準サンプルのフッ素含有量の測定値で除して、F量を算出した。
(ヘイズ(Haze))
防眩膜付基体のヘイズ(%)は、ヘイズメーター(村上色彩研究所社製HR−100型)を用いて、JIS K7136:2000に規定されている方法に従って測定した。
(60°鏡面光沢度(Gloss))
防眩膜付基体の表面の光沢度として60゜鏡面光沢度(%)を測定した。60゜鏡面光沢度は、JIS Z8741:1997の60゜鏡面光沢度に規定されている方法で、オールインワン光沢度計(ローポイントインスツルメンツ社製、Rhоpоint IQ)を用い、裏面(主面と反対側の面)側に黒色フェルトを敷いて、防眩膜付基体の裏面反射を消し、防眩膜のほぼ中央部で測定した。
(防眩性指標値(Diffusion))
眩膜付基体の防眩性指標値の測定は、日本電色工業株式会社製変角光度計、GC5000Lを用いて、以下の手順で行った。
防眩膜付基体の厚さ方向と平行な方向を0゜とする。このとき、防眩膜付基体の主面側において、角度θ=−45゜±0.5゜の方向(以下「角度−45°の方向」ともいう。)から、防眩膜付基体の主面に、第1の光を照射する。第1の光は、防眩膜付基体の主面で反射される。防眩膜付基体の主面から角度45°の方向に反射された45゜反射光の輝度を測定して、「45゜反射光の輝度」とする。
次に、防眩膜付基体1の主面で反射された光の輝度を測定する角度θを、5゜〜85゜の範囲で変化させ、同様の操作を実施し、防眩膜付基体1の主面で反射される5゜〜85゜の範囲における反射光の輝度分布を測定して合計し、「全反射光の輝度」とする。
次に、前記の式(1)から、防眩性指標値(Diffusion)を算定する。
(ぎらつき指標値(Sparkle)測定)
液晶ディスプレイ(i−Phone4、アップルインコーポレイテッド社製、ピクセル密度326ppi)の表示面の上に防眩膜付基体を、防眩膜の形成された主面(凹凸を有する表面)が上になるように置き、アイシステム社製アイスケールISC−Aを用いてぎらつき指標値を測定した。
(温度耐久性)
防眩膜の耐久性は、ヒートショック試験(−40℃で30分と90℃で30分の条件を交互に繰り返す処理を、500サイクル)において、試験前後のヘイズ変化が0.5%以上であったものを「不良」、0.5%未満であったものを「良」とした。
(ガン高さ)
防眩膜形成溶液状組成物を噴霧する静電塗装ガン(後述の静電自動ガン)の中心部の最下端から透明基体表面までの距離をガン高さとして表記した。
<材料>
(シリカ前駆体)
シリカ前駆体(A)として、テトラエトキシシラン及び有機シランを用いた。
有機シランは、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、ビストリメトキシシリルエタン、プロピルトリメトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン(いずれも信越シリコーン社製)のいずれか1種を用いた。
(鱗片状粒子分散液)
鱗片状粒子分散液としてSLV液(AGCエスアイテック社製、サンラブリーLFS HN150を解砕し、水に分散させた鱗片状シリカ粒子の分散液)を用いた。SLV液中の鱗片状シリカ粒子の平均粒子径:175nm、平均アスペクト比(平均粒子径/平均厚み):80、鱗片状シリカ粒子濃度5質量%である。
(液状媒体)
液状媒体として、ソルミックス(登録商標)AP−11(日本アルコール販売社製)に、ジアセトンアルコール又はプロピレングリコールを混合したものを用いた。ソルミックスAP−11は、エタノール85質量%、イソプロピルアルコール10質量%、メタノール5質量%の混合溶媒である。
(例1)
テトラエトキシシランと、有機シランとしてトリフルオロプロピルトリメトキシシラン、SLV液を、含フッ素シリカ前駆体(テトラエトキシシラン、有機シラン、SLV粒子)のSiO換算固形分濃度が3.11質量%であり、各成分の固形分の全量に対する量が表2の割合となるように調合した。このとき、前記液状媒体を用いて、液状媒体を、マグネチックスターラーを用いて撹拌しながら、これに、テトラエトキシシラン、有機シラン、SLV液を添加し、25℃にて30分間混合した。その後、濃度60質量%の硝酸水溶液を、前記のテトラエトキシシラン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、SLV液及び液状媒体の混合液の量に対して0.54質量%滴下し、さらに、60℃で60分間混合して、防眩膜形成用液状組成物の前駆体液を得た。
前記で得られた前駆体液を、表2の固形分濃度となるように、AP−11で希釈することで防眩膜形成用液状組成物を得た。
透明基体としては、旭硝子社製化学強化用特殊ガラスDragontrail(登録商標)(サイズ:100mm×100mm、厚さ:1.1mm)に対して、KNO溶融塩を用いて、410℃で2.5時間の化学強化処理を施したガラス基体を使用した。化学強化処理の施されたガラス基体は、圧縮応力層深さが25μm、表面圧縮応力が750MPaであった。
前記化学強化処理の施されたガラス基体(透明基体)の表面を中性洗剤で洗浄し、その後、純水で洗浄して、乾燥させた。
前記で得られた防眩膜形成用液状組成物を、静電塗装装置(液体静電コーター、旭サナック社製)によって、洗浄、乾燥後の透明基体上に塗布して塗膜を形成した。静電塗装装置の静電塗装ガンとしては、回転霧化式静電自動ガン(旭サナック社製、サンベル、ESA120、カップ径70mm)を用いた。
静電塗装装置のコーティングブース内の温度を25±3℃の範囲内、湿度を50%±10%の範囲内に調節した。静電塗装装置のチェーンコンベア上に、あらかじめ30℃±3℃に加熱しておいた洗浄済みの透明基体を、ステンレス板を介して置いた。チェーンコンベアで3.0m/分で等速搬送しながら、ガラス基体のトップ面(フロート法による製造時に溶融スズに接した面の反対側の面)に、表2に示すガン高さによる静電塗装法によって、25±3℃の範囲内の温度の防眩膜形成用液状組成物を2回塗布した後、大気中、450℃で30分間焼成して防眩膜を形成し、防眩膜付基体を得た。得られた防眩膜付基体について、前記の評価を行った。結果を表3に示す。
(例2〜28)
有機シランの種類および量、テトラエトキシシラン及びSLV液の量、各成分の固形分の全量に対する量が表2の割合となるように調合した他は例1と同様の操作によって、各例の防眩膜形成用液状組成物を得た。得られた防眩膜形成用液状組成物を用いて、表2のガン高さとし、例1と同様に、防眩膜付基体を製造し、得られた防眩膜付基体について、前記の評価を行った。結果を表3に示す。例16のみは、防眩膜形成用液状組成物の塗布回数を1回とした。
また、前記静電塗装装置の回転霧化式静電自動ガンから吐出された防眩膜形成用液状組成物の液滴の粒径(吐出粒径)を、日本レーザー社製画像解析式粒度分布測定システムVisiSize6を用いて測定を行った。吐出粒径の測定条件は次のとおりである。
(測定条件)
スプレー種類:回転霧化式静電自動ガン
ガン高さ:基板表面からカップ先端まで235mm
測定位置:ガラス基体表面からの高さ60mmで、回転霧化式静電自動ガンのカップ中心の真下から水平方向に測定位置をずらして測定したときに、防眩膜形成用液状組成物の液滴の飛来頻度が最大となる位置
測定粒子数:1000個
平均粒径の算出:1000個測定した粒径につきザウター平均粒径を算出した。
各測定位置における測定領域:2623μm(高さ)×1475μm(幅)×1795μm(奥行)
(測定結果)
例1〜28のうち、ガン高さ235mmの例において、基板表面からの高さ60mmで、ガンのカップ中心から水平方向に測定位置をずらして測定したときにザウター平均粒径が最大となる位置でのザウター平均粒径は、いずれも10.7μm±1μmであった。
Figure 0006696486
Figure 0006696486
表2、3より、実施例の防眩膜付基体(例1〜17)では、防眩性指標値が、0.05以上で、ヘイズが8以下を得られており、優れた防眩性と低いヘイズが両立できることが分かる。比較例の防眩膜付基体(例18〜28)では、防眩性指標値が良好な結果となったが、ヘイズが高くなり視認性は悪化した。これは、Rskが1.3超となっていることが原因と考えられる。よって、本発明によると、優れた防眩性と低いヘイズが両立した防眩性付基体が得られることが分かった。
<油脂拭取り性評価試験>
油脂拭取り性は以下のようにして実施した。清浄な防眩膜付基体の防眩膜に、油脂として花王株式会社製ニベアクリーム0.05gを乗せた。次にその上に1kgの荷重を乗せた底面がφ15mmのシリコン栓を乗せることで、シリコン栓に油脂を転写した。続いて油脂を転写した1kgの荷重を乗せたシリコン栓を、紙ウェスに80秒間乗せ、余剰な油脂を除去した。続いて、1kgの荷重を乗せたシリコン栓をサンプル表面に乗せ、サンプル表面に油脂を転写し、評価サンプルとした。
評価サンプルの油脂上を、底面積が20mm×20mmで100gの荷重を乗せた短冊状にカットした拭取り布(東レ株式会社製トレシーMK MK24H−CPMK)に転写させ油脂が視認できなくなるまでに要する回数をカウントした。拭取り布の油脂に触れた部分は再利用せず、常に清浄な箇所が油脂にあたるように拭取りを実施した。20回以内に拭取れれば拭き取り性良好として「良」、10回以内であれば非常に良好として「優良」とした。拭取りに21回以上要した場合には「不良」とし、その結果を表4に示した。
<耐擦傷性試験>
耐擦傷性サンプル表面を、底面積が20mm×20mmの圧子にカナキン3号(日本規格協会JIS L 0803準拠 試験用添付白布 綿)を取り付け、1kgの荷重をかけた状態で、擦動速度毎分80往復、擦動距離40mmで100,000回往復擦動させた。擦動後のサンプル表面が、目視で全く変化がなければ耐擦傷性が非常に良好として「優良」、幅0.8mm以下のキズが3本以内であれば耐擦傷性が良好として「良」とした。幅0.8mm以上のキズが確認されたり、幅0.8mm以下のキズが4本以上確認される場合には、耐擦傷性が不良として「不良」とし、その結果を表4に示した。
Figure 0006696486
表4より、実施例のうち防眩膜付基体(例1〜17)では、油脂拭取り性、耐擦傷性についても良好であった。これは、Rskが関連すると考えており、Rskが大きすぎると防眩膜に由来する凹凸形状の凸形状が鋭くなるため、油脂が除去しにくく、また凸形状の先端が破壊されやすいため耐擦傷性が低くなると考えられる。本発明の防眩膜付基体では、Rskを1.3以下とすることで、良好な光学特性を得るのみならず、指紋の拭取りやすさに関連する油脂拭き取り性や、摩耗性に関連する耐擦傷性についても良好な結果が得られた。さらに、Rskを1.07未満とすることで、より良好な油脂拭き取り性や耐擦傷性が得られることも分かった。
1,10…防眩膜付基体、2…透明基体、3…防眩膜、4…低反射膜、5…防汚膜、6…印刷層

Claims (17)

  1. 透明基体と、前記透明基体上に設けられた防眩膜を有し、
    前記防眩膜は、シリカを主成分とし、CF(CH−基(ただし、nは1〜6の整数である。)を含み、
    前記防眩膜表面の粗さ曲線のスキューネスRskが1.3以下であり、
    前記防眩膜表面の粗さ曲線の要素の平均長さRSmが10μm以上20.2μm以下であり、かつ、
    算術平均粗さRaが0.01μm以上であることを特徴とする防眩膜付基体。
  2. 前記防眩膜は、平均膜厚が15〜1500nmである請求項1に記載の防眩膜付基体。
  3. 前記防眩膜は、平均膜厚が50〜1500nmである請求項1又は2に記載の防眩膜付基体。
  4. 前記防眩膜は、前記透明基体の一部が露出するように備えられている請求項1〜3のいずれか1項に記載の防眩膜付基体。
  5. 前記防眩膜表面の粗さ曲線の要素の平均長さRSmが18μm以下である請求項1〜4のいずれか1項に記載の防眩膜付基体。
  6. 前記防眩膜表面の粗さ曲線のスキューネスRskが1.05以下である請求項1〜5のいずれか1項に記載の防眩膜付基体。
  7. 前記防眩膜表面の算術平均粗さRaが0.1μm以下である請求項1〜6のいずれか1項に記載の防眩膜付基体。
  8. 前記防眩膜表面の、粗さ曲線の要素の平均長さRSmが11μm以上である請求項1〜7のいずれか1項に記載の防眩膜付基体。
  9. フッ素を1.0質量%含む比重2.48のガラスを標準サンプルとしたときに、前記防眩膜のフッ素含有量の測定値を前記標準サンプルのフッ素測定値で除した値(F量)が、0.23〜2.5である請求項1〜8のいずれか1項に記載の防眩膜付基体。
  10. 前記CF(CH−基は、CFCHCH−基である請求項1〜9のいずれか1項に記載の防眩膜付基体。
  11. 前記防眩膜表面における60゜鏡面光沢度が135%以下である請求項1〜10のいずれか1項に記載の防眩膜付基体。
  12. 前記透明基体がガラス基体からなる、請求項1〜11のいずれか1項に記載の防眩膜付基体。
  13. 前記透明基体が化学強化ガラス基体からなる、請求項1〜11のいずれか1項に記載の防眩膜付基体。
  14. 前記透明基体が曲面を有する、請求項1〜13のいずれか1項に基材の防眩膜付基体。
  15. 前記透明基体の厚さが0.1〜5mmである、請求項1〜14のいずれか1項に記載の防眩膜付基体。
  16. トリフルオロプロピルトリメトキシシランと、鱗片状シリカ粒子と、液状媒体とを含む防眩膜形成用液状組成物を、透明基体上にスプレーコート法により塗布して塗膜を形成し、前記塗膜を焼成することで、
    シリカを主成分とし、CF(CH−基(ただし、nは1〜6の整数である。)を含み、表面の粗さ曲線のスキューネスRskが1.3以下であり、表面の粗さ曲線の要素の平均長さRSmが10μm以上20.2μm以下であり、かつ、算術平均粗さRaが0.01μm以上である防眩膜を前記透明基体上に形成して、防眩膜付基体を製造する防眩膜付基体の製造方法。
  17. 前記防眩膜形成用液状組成物は、静電スプレーコート法により前記透明基体上に塗布される請求項16に記載の防眩膜付基体の製造方法。
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