JP6696486B2 - 防眩膜付基体、防眩膜形成用液状組成物及び防眩膜付基体の製造方法 - Google Patents
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(1) 透明基体と、前記透明基体上に設けられた防眩膜を有し、前記防眩膜は、シリカを主成分とし、CF3(CH2)n−基(ただし、nは1〜6の整数である。)を含み、前記防眩膜表面の粗さ曲線のスキューネスRskが1.3以下であり、かつ、算術平均粗さRaが0.01μm以上である防眩膜付基体。
(3) トリフルオロプロピルトリメトキシシランと、鱗片状シリカ粒子と、液状媒体とを含む防眩膜形成用液状組成物を、透明基体上にスプレーコート法により塗布して塗膜を形成し、前記塗膜を焼成することで、シリカを主成分とし、CF3(CH2)n−基(ただし、nは1〜6の整数である。)を含み、表面の粗さ曲線のスキューネスRskが1.3以下であり、かつ、算術平均粗さRaが0.01μm以上である防眩膜を前記透明基体上に形成して、防眩膜付基体を製造する防眩膜付基体の製造方法。
「シリカ前駆体」とは、ネットワーク結合に関与する成分としてシリカを主成分とするマトリックスを形成し得る物質を意味する。
「シリカを主成分とする」とは、SiO2を50質量%以上含むことを意味する。
「ケイ素原子に結合した加水分解性基」とは、加水分解によって、ケイ素原子に結合したOH基に変換し得る基を意味する。
「鱗片状粒子」とは、扁平な形状を有する粒子を意味する。粒子の形状は、透過型電子顕微鏡(以下、TEMとも記す。)を用いて確認できる。
鱗片状粒子の「平均粒子径」は、体積基準で求めた粒度(最長長さ)分布の全体積を100%とした累積体積分布曲線において50%となる点の粒子径、すなわち体積基準累積50%径(D50)を意味する。粒度分布は、レーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置で測定した頻度分布及び累積体積分布曲線で求められる。
「アスペクト比」は、粒子の厚さに対する粒子径の比(最長長さ/厚さ)を意味し、「平均アスペクト比」は、無作為に選択された50個の粒子のアスペクト比の平均値である。粒子の厚さは、原子間力顕微鏡(以下、AFMとも記す。)によって測定され、最長長さは、TEMによって測定される。
本発明によれば、優れた防眩性を有するとともに、ヘイズを低くした防眩膜付基体を得るための防眩膜形成用液状組成物及び防眩膜付基体の製造方法を提供できる。
(第1の実施形態)
図1は、本発明の実施形態に係る防眩膜付基体を表す断面模式図である。図1に示す防眩膜付基体1は、透明基体2と、透明基体2上に設けられた、防眩膜3とを有する。
透明基体2は、防眩膜による防眩性の付与が求められている透明な材料からなるものであれば、特に限定されず、例えば、ガラス、樹脂、又はそれらの組み合わせ(複合材料、積層材料等)からなるものが好ましく使用される。ガラスとしては、例えばソーダライムガラス、ホウケイ酸ガラス、アルミノシリケートガラス、無アルカリガラス等が挙げられる。樹脂としては、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、トリアセチルセルロース、ポリメタクリル酸メチル等が挙げられる。
防眩膜3は表面に凹凸構造を有し、透明基体2に照射される外光を乱反射させて、外光の表面反射を抑制する。例えば、液晶ディスプレイ(LCD)、プラズマディスプレイ(PDP)等の各種画像表示装置においては、一般に、室内照明(蛍光灯等)、太陽光等の外光が表示面に映り込むと、反射像によって視認性が低下する。これに対して、防眩膜3を透明基体2に設け、外光を乱反射させることで、反射像による視認性の低下を抑制できる。
{(全反射光の輝度−45゜反射光の輝度)/(全反射光の輝度)} 式(1)
防眩膜3は防眩膜形成用液状組成物を用いて形成できる。防眩膜形成用液状組成物は、CF3(CH2)n−基を含むシリカ前駆体(A)と鱗片状粒子(B)と液状媒体(C)とを含む。防眩膜形成用液状組成物は含フッ素シリカ前駆体(A)、鱗片状粒子(B)及び液状媒体(C)以外に、得られる防眩膜3の特性を損なわない限り、その他の成分を含有してもよい。その他の成分としてシリカ以外の金属酸化物前駆体(金属としてはチタン、ジルコニウム等)や、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂等からなるバインダが挙げられる。以下、防眩膜形成用液状組成物に含まれる各成分について説明する。
含フッ素シリカ前駆体(A)は、加水分解縮合反応によりシリカを主成分としCF3(CH2)n−基(ただし、nは1〜6の整数である。)を含むマトリックスを形成する。
{CF3(CH2)n}q−Si−R(4−p―q)Lp ・・・(I)
式(I)中、Lは、加水分解性基である。加水分解性基は上述したものが挙げられ、好ましい態様も同様である。Rは、水素原子又は1価の炭化水素基である。1価の炭化水素としては、上述したものが挙げられる。
鱗片状粒子(B)は、単独で、又は含フッ素シリカ前駆体(A)に由来するマトリックス中に含有されることで防眩膜3を構成する。なお、鱗片状粒子(B)は、単独で鱗片状粒子(B)となるものに加え、本実施形態の鱗片状粒子(B)における好ましい平均粒子径、1次粒子の厚さ、2次粒子の厚さ、アスペクト比等を満たす形状となるように、その他の形状の粒子等を適宜組み合わされたものも含む。
液状媒体(C)は、含フッ素シリカ前駆体(A)を溶解する溶媒、又は分散する分散媒としての機能と、鱗片状粒子(B)を分散する分散媒としての機能を有する。液状媒体(C)は1種を単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
防眩膜形成用液状組成物が、含フッ素シラン化合物(A1)及びその加水分解縮合物のいずれか一方又は両方と、テトラアルコキシシラン及びその加水分解縮合物のいずれか一方又は両方と、の両者を含む場合、含フッ素シリカ前駆体(A)のSiO2換算固形分の全量(100質量%)に対し、含フッ素シラン化合物(A1)及びその加水分解縮合物のいずれか一方又は両方の割合が3〜50質量%(より好ましくは5〜30質量%)で、テトラアルコキシシラン及びその加水分解縮合物のいずれか一方又は両方の割合が50〜97質量%(より好ましくは70〜90質量%)が好ましい。含フッ素シラン化合物(A1)及びその加水分解縮合物のいずれか一方又は両方の含有量が前記範囲の上限値以下であれば、防眩膜3と透明基体2との充分な密着強度が得られる。含フッ素シラン化合物(A1)及びその加水分解縮合物のいずれか一方又は両方の含有量が前記範囲の下限値以上であれば、防眩膜3の膜厚が厚くても防眩膜3のクラックや膜剥がれが充分に抑えられる。
本実施形態の防眩膜付基体の製造方法は、前記で説明した防眩膜形成用液状組成物を、透明基体2上にスプレーコート法により塗布して塗膜を形成し、その塗膜を焼成することにより防眩膜3を形成して、防眩膜付基体1を得る方法である。前記の製造方法は、必要に応じて、防眩膜3の形成前に、透明基体2本体の表面に機能層を形成する工程を有してよい。また、防眩膜3の形成後に、その他の後加工を施す工程を有してよい。
防眩膜形成用液状組成物は、例えば、含フッ素シラン前駆体(A)が液体媒体(C)に溶解した溶液を調製し、これに、鱗片状粒子(B)の分散液と、必要に応じて追加の液状媒体(C)とを混合して調製できる。
前記の防眩膜形成用液状組成物を、スプレーコート法により透明基体2上に塗布する。これは、例えば、回転霧化頭を備える静電塗装ガンを備える静電塗装装置を用いて、防眩膜形成用液状組成物を帯電させ、透明基体2に向けて噴霧して行われる。これにより透明基体2上に防眩膜形成用液状組成物の塗膜が形成される。静電塗装装置はガン本体と回転霧化頭とを備え、回転霧化頭を回転駆動し回転霧化頭に供給された防眩膜形成用液状組成物を遠心力により霧化して放出し、透明基体2に向けて噴霧する。
次いで、透明基体2上に形成された、防眩膜形成用液状組成物の塗膜を焼成する。
これにより、塗膜中の液状媒体(C)が揮発して除去され、塗膜中に残存する含フッ素シリカ前駆体(A)のシリカ系マトリクスへの転化が進行する(例えば、含フッ素シリカ前駆体(A)が、ケイ素原子に結合した加水分解性基を有するシラン化合物である場合に、加水分解性基がほぼ分解し、加水分解物の縮合が進行する)とともに膜が緻密化して、防眩膜3が形成される。
図2は、本実施形態の防眩膜付基体10を示す模式断面図である。図3は、防眩膜付基体10を示す模式底面図である。図2及び図3に示す防眩膜付基体10は、図1に示す防眩膜付基体1の防眩膜3上に、低反射膜4と、防汚膜5とを備え、防眩膜付基体1の防眩膜3と反対の面の周縁部に印刷層6を備える点で、防眩膜付基体1と異なっているが、その他の構成は共通する。そのため防眩膜付基体10において、防眩膜付基体1に対応する構成には同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。なお、低反射膜4、防汚膜5及び印刷層6のすべてを備えなくてもよく、何れか1種又は2種を備えていてもよい。
低反射膜4は防眩膜3上に備えられ、透明基体2への入射光の反射自体を抑え、反射像を不鮮明にする膜である。低反射膜4の構成として、例えば、波長550nmでの屈折率が1.9以上の高屈折率層と、波長550nmでの屈折率が1.6以下の低屈折率層とを積層した構成とできる。低反射膜4は光の反射を抑制できる構成であれば限定されない。
防汚膜5は、低反射膜4上に備えられる。防汚膜5は、表面への有機物、無機物の付着を抑制する膜、又は、表面に有機物、無機物が付着した場合においても、ふき取り等のクリーニングにより付着物が容易に除去できる効果をもたらす膜である。
印刷層6は、例えば、表示の視認性と美観を高める目的で、携帯機器等の画像表示装置の外周近傍に配置された配線回路や、携帯機器の筺体と防眩膜付基体10の接着部等を隠ぺいするように必要に応じて備えられる。ここで、周縁部とは、外周から中央部に向かって、所定の幅を有する帯状領域を意味する。印刷層6は、透明基体2の主面の反対側の面の周縁全周に備えられてもよく、周縁一部に備えられてもよい。
本発明の防眩膜付基体の用途は、例えば、車両用透明部品(ヘッドライトカバー、サイドミラー、フロント透明基板、サイド透明基板、リア透明基板、インスツルメントパネル表面等)、メータ、建築窓、ショーウインドウ、ディスプレイ(ノート型パソコン、モニタ、LCD、PDP、ELD、CRT、PDA等)、LCDカラーフィルタ、タッチパネル用基板、ピックアップレンズ、光学レンズ、眼鏡レンズ、カメラ部品、ビデオ部品、CCD用カバー基板、光ファイバ端面、プロジェクタ部品、複写機部品、太陽電池用透明基板(カバーガラス等)、携帯電話窓、バックライトユニット部品(導光板、冷陰極管等)、バックライトユニット部品液晶輝度向上フィルム(プリズム、半透過フィルム等)、液晶輝度向上フィルム、有機EL発光素子部品、無機EL発光素子部品、蛍光体発光素子部品、光学フィルタ、光学部品の端面、照明ランプ、照明器具のカバー、増幅レーザー光源、反射防止フィルム、偏光フィルム、農業用フィルム等である。
各例で使用した評価方法及び材料を以下に示す。
(粗さ曲線のスキューネスRsk、算術平均粗さRa、粗さ曲線の要素平均長さRSm)
防眩膜の表面の、粗さ曲線のスキューネスRsk、算術平均粗さRa、粗さ曲線の要素の平均長さRSmを、それぞれ、東京精密社製SURFCOM1500SD3−12を用いてJIS B0601−2001に規定されている方法に従って測定した。
防眩膜の膜厚を次のように測定した。集束イオンビーム加工により処理した防眩膜断面を1万〜10万倍の倍率でSEM観察し、ガラスと防眩膜の界面から防眩膜の表面までの厚みを撮影範囲全体にわたり測定した。撮影範囲全体にわたる膜厚は、デジタルデータ上で防眩膜の断面全体のピクセル数をカウントし、スケールバー及び膜厚と垂直な方向のピクセル数から算出できる。また、市販の画像処理ソフトを用いて算出してもよい。SEM観察は膜厚と垂直な方向に70μmの視野以上の観察を行い、平均値を平均膜厚とした。
防眩膜中のF量は、以下の方法によって測定した。フッ素(F)を1.0質量%含む比重2.48のガラスを標準サンプルとした。リガク社製ZSX100eを用い、測定径30mm、測定線F−Kα、フィルタOUT、スリットStd.、分光結晶RX35、検出器PC、PHA100−300、ピーク角度38.794deg.(20sec)、B.G.角度43.000deg.(10sec)の条件で、測定対象膜中のフッ素含有量(質量%)と、標準サンプル中のフッ素含有量(質量%)をそれぞれ測定した。上記で測定された測定対象膜中のフッ素含有量の測定値を標準サンプルのフッ素含有量の測定値で除して、F量を算出した。
防眩膜付基体のヘイズ(%)は、ヘイズメーター(村上色彩研究所社製HR−100型)を用いて、JIS K7136:2000に規定されている方法に従って測定した。
防眩膜付基体の表面の光沢度として60゜鏡面光沢度(%)を測定した。60゜鏡面光沢度は、JIS Z8741:1997の60゜鏡面光沢度に規定されている方法で、オールインワン光沢度計(ローポイントインスツルメンツ社製、Rhоpоint IQ)を用い、裏面(主面と反対側の面)側に黒色フェルトを敷いて、防眩膜付基体の裏面反射を消し、防眩膜のほぼ中央部で測定した。
眩膜付基体の防眩性指標値の測定は、日本電色工業株式会社製変角光度計、GC5000Lを用いて、以下の手順で行った。
液晶ディスプレイ(i−Phone4、アップルインコーポレイテッド社製、ピクセル密度326ppi)の表示面の上に防眩膜付基体を、防眩膜の形成された主面(凹凸を有する表面)が上になるように置き、アイシステム社製アイスケールISC−Aを用いてぎらつき指標値を測定した。
防眩膜の耐久性は、ヒートショック試験(−40℃で30分と90℃で30分の条件を交互に繰り返す処理を、500サイクル)において、試験前後のヘイズ変化が0.5%以上であったものを「不良」、0.5%未満であったものを「良」とした。
防眩膜形成溶液状組成物を噴霧する静電塗装ガン(後述の静電自動ガン)の中心部の最下端から透明基体表面までの距離をガン高さとして表記した。
(シリカ前駆体)
シリカ前駆体(A)として、テトラエトキシシラン及び有機シランを用いた。
有機シランは、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、ビストリメトキシシリルエタン、プロピルトリメトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン(いずれも信越シリコーン社製)のいずれか1種を用いた。
鱗片状粒子分散液としてSLV液(AGCエスアイテック社製、サンラブリーLFS HN150を解砕し、水に分散させた鱗片状シリカ粒子の分散液)を用いた。SLV液中の鱗片状シリカ粒子の平均粒子径:175nm、平均アスペクト比(平均粒子径/平均厚み):80、鱗片状シリカ粒子濃度5質量%である。
液状媒体として、ソルミックス(登録商標)AP−11(日本アルコール販売社製)に、ジアセトンアルコール又はプロピレングリコールを混合したものを用いた。ソルミックスAP−11は、エタノール85質量%、イソプロピルアルコール10質量%、メタノール5質量%の混合溶媒である。
テトラエトキシシランと、有機シランとしてトリフルオロプロピルトリメトキシシラン、SLV液を、含フッ素シリカ前駆体(テトラエトキシシラン、有機シラン、SLV粒子)のSiO2換算固形分濃度が3.11質量%であり、各成分の固形分の全量に対する量が表2の割合となるように調合した。このとき、前記液状媒体を用いて、液状媒体を、マグネチックスターラーを用いて撹拌しながら、これに、テトラエトキシシラン、有機シラン、SLV液を添加し、25℃にて30分間混合した。その後、濃度60質量%の硝酸水溶液を、前記のテトラエトキシシラン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、SLV液及び液状媒体の混合液の量に対して0.54質量%滴下し、さらに、60℃で60分間混合して、防眩膜形成用液状組成物の前駆体液を得た。
有機シランの種類および量、テトラエトキシシラン及びSLV液の量、各成分の固形分の全量に対する量が表2の割合となるように調合した他は例1と同様の操作によって、各例の防眩膜形成用液状組成物を得た。得られた防眩膜形成用液状組成物を用いて、表2のガン高さとし、例1と同様に、防眩膜付基体を製造し、得られた防眩膜付基体について、前記の評価を行った。結果を表3に示す。例16のみは、防眩膜形成用液状組成物の塗布回数を1回とした。
スプレー種類:回転霧化式静電自動ガン
ガン高さ:基板表面からカップ先端まで235mm
測定位置:ガラス基体表面からの高さ60mmで、回転霧化式静電自動ガンのカップ中心の真下から水平方向に測定位置をずらして測定したときに、防眩膜形成用液状組成物の液滴の飛来頻度が最大となる位置
測定粒子数:1000個
平均粒径の算出:1000個測定した粒径につきザウター平均粒径を算出した。
各測定位置における測定領域:2623μm(高さ)×1475μm(幅)×1795μm(奥行)
例1〜28のうち、ガン高さ235mmの例において、基板表面からの高さ60mmで、ガンのカップ中心から水平方向に測定位置をずらして測定したときにザウター平均粒径が最大となる位置でのザウター平均粒径は、いずれも10.7μm±1μmであった。
油脂拭取り性は以下のようにして実施した。清浄な防眩膜付基体の防眩膜に、油脂として花王株式会社製ニベアクリーム0.05gを乗せた。次にその上に1kgの荷重を乗せた底面がφ15mmのシリコン栓を乗せることで、シリコン栓に油脂を転写した。続いて油脂を転写した1kgの荷重を乗せたシリコン栓を、紙ウェスに80秒間乗せ、余剰な油脂を除去した。続いて、1kgの荷重を乗せたシリコン栓をサンプル表面に乗せ、サンプル表面に油脂を転写し、評価サンプルとした。
評価サンプルの油脂上を、底面積が20mm×20mmで100gの荷重を乗せた短冊状にカットした拭取り布(東レ株式会社製トレシーMK MK24H−CPMK)に転写させ油脂が視認できなくなるまでに要する回数をカウントした。拭取り布の油脂に触れた部分は再利用せず、常に清浄な箇所が油脂にあたるように拭取りを実施した。20回以内に拭取れれば拭き取り性良好として「良」、10回以内であれば非常に良好として「優良」とした。拭取りに21回以上要した場合には「不良」とし、その結果を表4に示した。
耐擦傷性サンプル表面を、底面積が20mm×20mmの圧子にカナキン3号(日本規格協会JIS L 0803準拠 試験用添付白布 綿)を取り付け、1kgの荷重をかけた状態で、擦動速度毎分80往復、擦動距離40mmで100,000回往復擦動させた。擦動後のサンプル表面が、目視で全く変化がなければ耐擦傷性が非常に良好として「優良」、幅0.8mm以下のキズが3本以内であれば耐擦傷性が良好として「良」とした。幅0.8mm以上のキズが確認されたり、幅0.8mm以下のキズが4本以上確認される場合には、耐擦傷性が不良として「不良」とし、その結果を表4に示した。
Claims (17)
- 透明基体と、前記透明基体上に設けられた防眩膜を有し、
前記防眩膜は、シリカを主成分とし、CF3(CH2)n−基(ただし、nは1〜6の整数である。)を含み、
前記防眩膜表面の粗さ曲線のスキューネスRskが1.3以下であり、
前記防眩膜表面の粗さ曲線の要素の平均長さRSmが10μm以上20.2μm以下であり、かつ、
算術平均粗さRaが0.01μm以上であることを特徴とする防眩膜付基体。 - 前記防眩膜は、平均膜厚が15〜1500nmである請求項1に記載の防眩膜付基体。
- 前記防眩膜は、平均膜厚が50〜1500nmである請求項1又は2に記載の防眩膜付基体。
- 前記防眩膜は、前記透明基体の一部が露出するように備えられている請求項1〜3のいずれか1項に記載の防眩膜付基体。
- 前記防眩膜表面の粗さ曲線の要素の平均長さRSmが18μm以下である請求項1〜4のいずれか1項に記載の防眩膜付基体。
- 前記防眩膜表面の粗さ曲線のスキューネスRskが1.05以下である請求項1〜5のいずれか1項に記載の防眩膜付基体。
- 前記防眩膜表面の算術平均粗さRaが0.1μm以下である請求項1〜6のいずれか1項に記載の防眩膜付基体。
- 前記防眩膜表面の、粗さ曲線の要素の平均長さRSmが11μm以上である請求項1〜7のいずれか1項に記載の防眩膜付基体。
- フッ素を1.0質量%含む比重2.48のガラスを標準サンプルとしたときに、前記防眩膜のフッ素含有量の測定値を前記標準サンプルのフッ素測定値で除した値(F量)が、0.23〜2.5である請求項1〜8のいずれか1項に記載の防眩膜付基体。
- 前記CF3(CH2)n−基は、CF3CH2CH2−基である請求項1〜9のいずれか1項に記載の防眩膜付基体。
- 前記防眩膜表面における60゜鏡面光沢度が135%以下である請求項1〜10のいずれか1項に記載の防眩膜付基体。
- 前記透明基体がガラス基体からなる、請求項1〜11のいずれか1項に記載の防眩膜付基体。
- 前記透明基体が化学強化ガラス基体からなる、請求項1〜11のいずれか1項に記載の防眩膜付基体。
- 前記透明基体が曲面を有する、請求項1〜13のいずれか1項に基材の防眩膜付基体。
- 前記透明基体の厚さが0.1〜5mmである、請求項1〜14のいずれか1項に記載の防眩膜付基体。
- トリフルオロプロピルトリメトキシシランと、鱗片状シリカ粒子と、液状媒体とを含む防眩膜形成用液状組成物を、透明基体上にスプレーコート法により塗布して塗膜を形成し、前記塗膜を焼成することで、
シリカを主成分とし、CF3(CH2)n−基(ただし、nは1〜6の整数である。)を含み、表面の粗さ曲線のスキューネスRskが1.3以下であり、表面の粗さ曲線の要素の平均長さRSmが10μm以上20.2μm以下であり、かつ、算術平均粗さRaが0.01μm以上である防眩膜を前記透明基体上に形成して、防眩膜付基体を製造する防眩膜付基体の製造方法。 - 前記防眩膜形成用液状組成物は、静電スプレーコート法により前記透明基体上に塗布される請求項16に記載の防眩膜付基体の製造方法。
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