JP5098571B2 - 光学積層体、偏光板及び画像表示装置 - Google Patents

光学積層体、偏光板及び画像表示装置 Download PDF

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Description

本発明は、光学積層体、偏光板及び画像表示装置に関する。
陰極線管表示装置(CRT)、液晶ディスプレイ(LCD)、プラズマディスプレイ(PDP)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)等の画像表示装置の最表面には、種々の機能を有する機能層からなる光学積層体が設けられている。
そのような機能層の一つとして、画像表示面への外光からの反射による像の映り込みや、界面反射による視認性の低下を改善する防眩層について、内部光散乱特性と表面形状制御とに注目して研究がなされている。特に表面形状制御に関しては、凹凸形状の算術平均粗さ、凹凸の高低差、及び、凹凸平均間隔等を指標に、より高い防眩性を目指して検討がなされていた(例えば、特許文献1、2、3及び4等参照)。
しかしながら、従来検討がなされていた指標では、高い防眩性を発現できる光学積層体を製造することができるが、一方でディスプレイパネル等に貼り合わせた場合に、特に黒色を表示する際に白くぼやけてしまい、本来の黒色表示が不充分となり、その結果画質の深みが損なわれる現象(以下、白ボケと称する)が発生し、良好な性能を得ることができないという問題があった。
特開平01−019301号公報 特開2005−195819号公報 特開2005−227407号公報 特開2007−249191号公報
本発明は、上記現状に鑑みて、高い防眩性能を有するとともに、白ボケの発生を抑制することができる光学積層体、偏光板、及び、画像表示装置を提供することを目的とするものである。
本発明は、光透過性基材と、表面に凹凸形状を有する防眩層とを有する光学積層体であって、表面ヘイズが0.2〜5%であり、上記防眩層の凹凸形状は、防眩剤を含有することにより形成されたものであり、上記凹凸形状は、尖度(Rku)が1.5〜2.8、表面の歪度(Rsk)の絶対値が0.01〜0.5、10ポイント高さ(Rz値)が0.5〜5.0μm、平均頂間距離(Sm)が20〜100μm、平均傾斜角度(θa)が0.3〜0.6°であることを特徴とする光学積層体である
本発明はまた、最表面に上述の光学積層体を備えることを特徴とする自発光型画像表示装置でもある。
本発明はまた、偏光素子を備えてなる偏光板であって、上記偏光板は、偏光素子表面に上述の光学積層体を備えることを特徴とする偏光板でもある。
本発明はまた、最表面に上述の光学積層体、又は、上述の偏光板を備えることを特徴とする非自発光型画像表示装置でもある。
本発明はまた、バインダー樹脂と防眩剤と溶媒とを含有する防眩層用組成物を用いて、光透過性基材上に表面に凹凸形状を有する防眩層を形成する光学積層体の製造方法であって、上記防眩層用組成物を上記光透過性基材上に塗布し、形成した塗膜を乾燥させる工程を有し、上記乾燥工程は、送風を伴わない乾燥装置内で上記塗膜の乾燥を、乾燥温度40〜60℃、乾燥時間30〜60秒の条件で乾燥させた後、乾燥温度70〜90℃、乾燥時間30〜60秒の条件で行うものであり、上記光学積層体は、表面ヘイズが0.2〜5%であり、上記防眩層の凹凸形状は、尖度(Rku)が1.5〜2.8、歪度(Rsk)の絶対値が0.01〜0.5、10ポイント高さ(Rz値)が0.5〜5.0μm、平均頂間距離(Sm)が20〜100μm、平均傾斜角度(θa)が0.3〜0.6°であることを特徴とする光学積層体の製造方法でもある。
本発明はまた、光透過性基材と、表面に防眩剤を含有することにより形成された凹凸形状を有する防眩層とを有する光学積層体の防眩性及び白ボケの評価方法であって、表面ヘイズが0.2〜5%であり、上記凹凸形状は、尖度(Rku)が1.5〜2.8、歪度(Rsk)の絶対値が0.01〜0.5、10ポイント高さ(Rz値)が0.5〜5.0μm、平均頂間距離(Sm)が20〜100μm、平均傾斜角度(θa)が0.3〜0.6°であるか否かを調べて、評価することを特徴とする光学積層体の防眩性及び白ボケの評価方法でもある。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明者らは、表面に凹凸形状を有する防眩層が形成された光学積層体において、表面凹凸形状制御に関して検討がなされていた指標(例えば、凹凸形状の算術平均粗さ、凹凸の高低差、及び、凹凸平均間隔等)は、防眩性を発現させるための指標としては、ある程度満足できるものであるが、白ボケの発生を抑制するためには、より詳細な表面凹凸形状の制御に関する指標が必要であることに想到した。すなわち、光学積層体の表面に形成された凹凸形状を、その尖度(Rku)と歪度(Rsk)とが特定の範囲内となるように極めて高度に制御することで、優れた防眩性と白ボケの発生の抑制性とを兼ね備えた光学積層体となることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、光透過性基材と、表面に凹凸形状を有する防眩層とを有する光学積層体である。
上記防眩層は、画像表示面への外光反射や、像の映りこみ、他の層との界面で生じる光干渉による反射色むら等による視認性の悪化を防止する目的で、表面に凹凸形状を有するものである。
本発明の光学積層体において、上記防眩層は、表面の尖度(Rku)が3以下である。
ここで、上記尖度(Rku)とは、凹凸形状の凸状部分の形状を規定するパラメータであり、この尖度(Rku)の値が大きい程、凹凸形状の凸状部分の形状は、針のように尖った形状であることとなる。従来の光学積層体は、その防眩性能を充分に担保するために、防眩層の表面に比較的尖った形状の凹凸形状が形成されており、通常、その凸状部分の尖度(Rku)は3を超えるものであり、それ故に白ボケが発生していた。これに対し、本発明の光学積層体は、防眩層の表面に形成された凹凸形状の凸状部分の尖度(Rku)が3以下である。そのため、本発明の光学積層体は、充分な防眩性能を発揮するとともに、白ボケが発生することを抑制できる。上記尖度(Rku)が3を超えると、防眩性能は担保できるものの、白ボケの発生を充分に抑制できなくなる。好ましい下限は1.5、好ましい上限は2.8である。
なお、上記防眩層の表面凹凸形状の尖度(Rku)は、表面形状計測装置を用いて計測できる。該表面形状計測装置としては、例えば、白色干渉式光学顕微鏡(例えば、Zygo社製NewView6300型)、原子間力顕微鏡(例えば、島津製作所社製SPM−9500型)等が挙げられる。
また、本発明の光学積層体において、上記防眩層は、表面の歪度(Rsk)の絶対値が1以下である。
ここで、上記歪度(Rsk)とは、凹凸形状の平均面に対する凸状部分と凹状部分との割合を示すパラメータであり、凹凸形状が、平均面に対して凸状部分が多いとプラスに大きな値となり、平均面に対して凹状部分が多いとマイナスに大きな値となる。従来の光学積層体は、上述のとおり、防眩性能を充分に担保するために防眩層の表面に比較的尖った形状の凹凸形状が形成されており、通常、その歪度(Rsk)は、絶対値で1を超えるものであり、それ故に白ボケが発生していた。これに対し、本発明の光学積層体は、防眩層の表面に形成された凹凸形状の歪度(Rsk)の絶対値が1以下であるため、充分な防眩性能を発揮するとともに、白ボケが発生することを抑制できる。上記歪度(Rsk)の絶対値が1を超えると、白ボケの発生を抑制できなくなる。好ましい下限は絶対値で0.01であり、好ましい上限は絶対値で0.5である。
なお、上記防眩層の表面凹凸形状の歪度(Rsk)は、表面形状計測装置を用いて計測できる。該表面形状計測装置としては、例えば、白色干渉式光学顕微鏡(例えば、Zygo社製NewView6300型)、原子間力顕微鏡(例えば、島津製作所社製SPM−9500型)等が挙げられる。
本発明の光学積層体において、上記防眩層は、表面の10ポイント高さ(Rz値)が0.5〜5.0μmであることが好ましい。このような10ポイント高さが0.5μmであると、本発明の光学積層体の防眩性能が不充分となることがある。5.0μm未満を超えると、本発明の光学積層体に白ボケが発生することを充分に抑制できないことがある。なお、本明細書において、上記10ポイント高さ(Rz値)とは、JIS B0601(1994)に準拠した値であり、上記防眩層表面の平均平面から見て最も高いピーク上位5点と、最も低いバレー上位5点の平均距離である。上記Rz値のより好ましい下限は1.0μm、より好ましい上限は3.0μmである。
上記防眩層は、単層構造であることが好ましく、その層厚み(乾燥時)は、2〜15μmであることが好ましい。2μm未満であるとギラツキ防止の充分な効果が得られないおそれがある。15μmを超えると、生産性が低い、乾燥工程等において強いカールを発生する恐れがある。上記層厚みのより好ましい下限は、3μm、より好ましい上限は14μmである。
なお、上記層厚みは、レーザー顕微鏡、SEM、TEMによる断面観察で測定することができる。例えば、レーザー顕微鏡での膜厚測定方法としては、共焦点レーザー顕微鏡(LeicaTCS−NT:ライカ社製:倍率 200〜1000倍)を用いて、防眩層の断面を透過観察する。例えば具体的には、ハレーションのない鮮明な画像を得るため、共焦点レーザー顕微鏡に湿式の対物レンズを使用し、かつ、対物レンズと防眩層断面との間の空気層を消失させるために防眩層断面の上に屈折率1.518のオイルを約2mL乗せて観察することができる。そして、顕微鏡の観察1画面につき 凹凸のMax部、Min部の膜を1点ずつ、計2点測定する。5画面分、計10点測定値し、平均値を算出することにより、平均膜厚を求めることができる。SEM、TEMの断面観察においても、上記のように5画面分観察し、平均値を求めることができる。
上記防眩層は、JIS K5600−5−4(1999)で規定される鉛筆硬度試験で「H」以上の硬度を示すものであることが好ましい。上記硬度を有する防眩層である場合、光学積層体にハード性も付与することができる。ハード性を付与する場合は、層厚みは、1〜3μmであることが好ましい。
上記防眩層は、防眩剤を含有していることが好ましい。上記防眩剤を含有することで、上述した表面凹凸形状を有するものとすることができる。
上記防眩剤としては特に限定されず、無機系材料からなるもの、有機系材料からなるもの等を使用することができる。
上記有機系材料からなる防眩剤としては、例えば、プラスチックビーズが挙げられる。上記プラスチックビーズとしては、具体的には、例えば、スチレンビーズ(屈折率1.60)、メラミンビーズ(屈折率1.57)、アクリルビーズ(屈折率1.50〜1.53)、アクリル−スチレンビーズ(屈折率1.54〜1.58)、ベンゾグアナミンビーズ、ベンゾグアナミン・ホルムアルデヒド縮合ビーズ、ポリカーボネートビーズ、ポリエチレンビーズ等が挙げられる。また、上記プラスチックビーズは、その表面に疎水性基を有することが好ましく、このようなプラスチックビーズとしては、例えば、スチレンビーズが挙げられる。
上記無機系材料からなる防眩剤としては、例えば、不定形シリカ、無機シリカビーズ等が挙げられる。
上記防眩剤の含有量としては、防眩層を形成する際に使用される防眩層用組成物の固形分100質量部に対して2〜10質量部であることが好ましい。この範囲外であると、上述した表面凹凸形状を形成できないおそれがある。上記含有量のより好ましい下限は3.5質量部、より好ましい上限は8.5質量部である。
上記防眩層は、内部散乱粒子を含有していてもよい。上記内部散乱粒子は、内部ヘイズを付与し、面ギラ(シンチレーション)等を抑制し得るものである。
上記内部散乱粒子としては、防眩層を構成するバインダー樹脂との屈折率の差が比較的大きい有機粒子が挙げられ、例えば、アクリルビーズ(屈折率1.49〜1.53)、ポリエチレンビーズ(屈折率1.50)、ポリスチレンビーズ(屈折率1.60)、スチレン−アクリル共重合体ビーズ(屈折率1.54〜1.55)、ポリカーボネートビーズ(屈折率1.57)、ポリ塩化ビニルビーズ(屈折率1.60)、メラミンビーズ(屈折率1.57)、メラミン−ホルムアルデヒド縮合体ビーズ(屈折率1.66)、ベンゾグアナミン−ホルムアルデヒド縮合体ビーズ(屈折率1.66)等の単分散真球粒子等のプラスチックビーズ等が挙げられる。
上記内部散乱粒子の平均粒径は、1〜20μmであることが好ましい。1μm未満であると、粒子の凝集性が向上するおそれがある。一方、20μmを超えると、粒子の凝集性が向上するおそれがある。上記平均粒径のより好ましい下限は1.5μm、より好ましい上限は5μmである。
上記内部散乱粒子の含有量は、防眩層を形成する際に使用される防眩層用組成物の固形分100質量部に対して0.5〜20質量部であることが好ましい。0.5質量部未満であると、内部ヘイズ付与の充分な効果が得られないおそれがある。20質量部を超えると、粒子の凝集性が向上する、又は、光学特性が低下するおそれがある。上記含有量のより好ましい下限は3質量部、より好ましい上限は10質量部である。
上記防眩層は、バインダー樹脂を含有する。
上記防眩層に使用することのできるバインダー樹脂としては、透明性のものが好ましく、例えば、紫外線又は電子線により硬化する樹脂である電離放射線硬化型樹脂、電離放射線硬化型樹脂と溶剤乾燥型樹脂(熱可塑性樹脂等、塗工時に固形分を調整するために添加した溶剤を乾燥させるだけで、被膜となるような樹脂)との混合物、又は、熱硬化型樹脂を挙げることができる。より好ましくは電離放射線硬化型樹脂である。なお、本明細書において、「樹脂」は、モノマー、オリゴマー等の樹脂成分も包含する概念である。
上記電離放射線硬化型樹脂としては、例えば、アクリレート系の官能基を有する化合物等の1又は2以上の不飽和結合を有する化合物を挙げることができる。1の不飽和結合を有する化合物としては、例えば、エチル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、スチレン、メチルスチレン、N−ビニルピロリドン等を挙げることができる。2以上の不飽和結合を有する化合物としては、例えば、ポリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート等の多官能化合物と(メタ)アルリレート等の反応生成物(例えば多価アルコールのポリ(メタ)アクリレートエステル)、等を挙げることができる。なお、本明細書において「(メタ)アクリレート」は、メタクリレート及びアクリレートを指すものである。
上記化合物のほかに、不飽和二重結合を有する比較的低分子量のポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アルキッド樹脂、スピロアセタール樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリチオールポリエン樹脂等も上記電離放射線硬化型樹脂として使用することができる。
上記電離放射線硬化型樹脂は、溶剤乾燥型樹脂と併用して使用することもできる。溶剤乾燥型樹脂を併用することによって、塗布面の被膜欠陥を有効に防止することができ、これによってより優れた艶黒感を得ることができる。上記電離放射線硬化型樹脂と併用して使用することができる溶剤乾燥型樹脂としては特に限定されず、一般に、熱可塑性樹脂を使用することができる。
上記熱可塑性樹脂としては特に限定されず、例えば、スチレン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、ビニルエーテル系樹脂、ハロゲン含有樹脂、脂環式オレフィン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、セルロース誘導体、シリコーン系樹脂及びゴム又はエラストマー等を挙げることができる。上記熱可塑性樹脂は、非結晶性で、かつ有機溶媒(特に複数のポリマーや硬化性化合物を溶解可能な共通溶媒)に可溶であることが好ましい。特に、製膜性、透明性や耐候性のという観点から、スチレン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、脂環式オレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、セルロース誘導体(セルロースエステル類等)等が好ましい。
本発明の光学積層体において、上記光透過性基材の材料がトリアセチルセルロース(TAC)等のセルロース系樹脂の場合、上記熱可塑性樹脂の好ましい具体例として、セルロース系樹脂、例えば、ニトロセルロース、アセチルセルロース、セルロースアセテートプロピオネート、エチルヒドロキシエチルセルロース、アセチルブチルセルロース、エチルセルロース、メチルセルロース等のセルロース誘導体等が挙げられる。セルロース系樹脂を用いることにより、光透過性基材や所望により形成する帯電防止層との密着性と透明性とを向上させることができる。更に、上述のセルロース系樹脂の他に、酢酸ビニル及びその共重合体、塩化ビニル及びその共重合体、塩化ビニリデン及びその共重合体等のビニル系樹脂、ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラール等のアセタール樹脂、アクリル樹脂及びその共重合体、メタアクリル樹脂及びその共重合体等のアクリル系樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂等が挙げられる。
上記バインダー樹脂として使用できる熱硬化性樹脂としては、フェノール樹脂、尿素樹脂、ジアリルフタレート樹脂、メラニン樹脂、グアナミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アミノアルキッド樹脂、メラミン−尿素共縮合樹脂、ケイ素樹脂、ポリシロキサン樹脂等を挙げることができる。
上記防眩層は、上述した成分の他に、必要に応じて、その他の成分を含んでいてもよい。上記その他の成分としては、光重合開始剤、レベリング剤、架橋剤、硬化剤、重合促進剤、粘度調整剤等を挙げることができる。
上記光重合開始剤としては、アセトフェノン類(例えば、商品名イルガキュア184、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製の1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、商品名イルガキュア907、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製の2−メチル−1〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モリフォリノプロパン−1−オン)、ベンゾフェノン類、チオキサントン類、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族スルホニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、メタセロン化合物、ベンゾインスルホン酸エステル等を挙げることができる。これらは、単独で使用するか又は2種以上を併用してもよい。
上記光重合開始剤の添加量は、上記電離放射線硬化型樹脂固形分100質量部に対して、0.1〜10質量部であることが好ましい。
上記レベリング剤、架橋剤、硬化剤、重合促進剤、粘度調整剤は、公知のものを使用するとよい。
上記防眩層は、上述したバインダー樹脂、内部散乱粒子等の成分を溶媒と混合して分散処理することにより得られる防眩層用組成物を用いて形成することができる。混合分散には、ペイントシェーカー又はビーズミル等を使用するとよい。
上記溶媒としては、水、アルコール(例、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、ベンジルアルコール)、ケトン(例、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン)、エステル(例、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、蟻酸メチル、蟻酸エチル、蟻酸プロピル、蟻酸ブチル)、脂肪族炭化水素(例、ヘキサン、シクロヘキサン)、ハロゲン化炭化水素(例、メチレンクロライド、クロロホルム、四塩化炭素)、芳香族炭化水素(例、ベンゼン、トルエン、キシレン)、アミド(例、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、n−メチルピロリドン)、エーテル(例、ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン)、エーテルアルコール(例、1−メトキシ−2−プロパノール)等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。なかでも、分散性、分散安定性、安全性の点において、ケトン系溶剤であることが好ましい。
本発明の光学積層体は、光透過性基材を有するものである。
上記光透過性基材としては、透明性、平滑性、耐熱性を備え、機械的強度とに優れたものであることが好ましい。上記光透過性基材を形成する材料の具体例としては、アクリル(ポリメチルメタクリレート等)、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンナフタレート)、トリアセチルセルロース(TAC)、セルロースジアセテート、セルロースアセテートブチレート、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテルスルフォン、ポリスルフォン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアセタール、ポリエーテルケトン、ポリメタクリル酸メチル、ポリカーボネート、又は、ポリウレタン等の熱可塑性樹脂が挙げられ、好ましくはポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート)、トリアセチルセルロースが挙げられる。
上記光透過性基材としては、また、脂環構造を有した非晶質オレフィンポリマー(Cyclo−Olefin−Polymer:COP)フィルムも使用することができる。これは、ノルボルネン系重合体、単環の環状オレフィン系重合体、環状共役ジエン系重合体、ビニル脂環式炭化水素系重合体樹脂等が用いられている基材であり、例えば、日本ゼオン(株)製のゼオネックスやゼオノア(ノルボルネン系樹脂)、住友ベークライト(株)製 スミライトFS−1700、JSR(株)製 アートン(変性ノルボルネン系樹脂)、三井化学(株)製 アペル(環状オレフィン共重合体)、Ticona社製の Topas(環状オレフィン共重合体)、日立化成(株)製 オプトレッツOZ−1000シリーズ(脂環式アクリル樹脂)等が挙げられる。また、トリアセチルセルロースの代替基材として旭化成ケミカルズ(株)製のFVシリーズ(低複屈折率、低光弾性率フィルム)も好ましい。
上記光透過性基材は、上記熱可塑性樹脂を柔軟性に富んだフィルム状体として使用することが好ましいが、硬化性が要求される使用態様に応じて、これら熱可塑性樹脂の板を使用することも可能であり、又は、ガラス板の板状体のものを使用してもよい。
上記光透過性基材の厚みは、20〜300μmであることが好ましく、30〜200μmであることがより好ましい。光透過性基材が板状体の場合にはこれらの厚さを超える厚さ300μm〜5000μmであってもよい。基材は、その上に帯電防止層等を形成するのに際して、接着性向上のために、コロナ放電処理、酸化処理等の物理的な処理のほか、アンカー剤もしくはプライマーと呼ばれる塗料の塗布を予め行ってもよい。
本発明の光学積層体は、上述した防眩層用組成物を用いて上記光透過性基材上に上述した表面凹凸形状を有する防眩層を形成することで製造することができる。なお、以下の説明においては、上記防眩層用組成物中のバインダー樹脂として上述した電離放射線硬化型樹脂を用いた場合について説明する。
本発明の光学積層体を製造する方法としては、例えば、少なくとも、光透過性基材の表面に防眩層用組成物を塗布し、塗膜を形成する塗布工程、形成した塗膜を乾燥させる乾燥工程、及び、乾燥させた塗膜に活性エネルギー線を照射し、塗膜を硬化させる硬化工程を有する方法が好適に用いられる。
このような本発明の光学積層体の製造方法もまた、本発明の一つである。
上記防眩層用組成物を用いて防眩層を形成するには、まず、上記防眩層形成用組成物を、後述する光透過性基材上に塗布し、塗膜を形成する塗布工程を行う。
上記防眩層形成用組成物を塗布する方法としては、ロールコート法、ミヤバーコート法、グラビアコート法等の塗布方法が挙げられる。
なお、後述する帯電防止層が上記光透過性基材上に形成されている場合、本工程において、上記防眩層用組成物を帯電防止層上に塗布する。
上記塗膜の厚さとしては特に限定されず、目的とする防眩層の厚さ、及び、表面に形成する凹凸形状を考慮して適宜決定される。好ましくは1.0〜7.5μm程度である。
次に、上記塗膜を乾燥させる乾燥工程を行う。
本乾燥工程において、上記塗膜の乾燥は、公知の乾燥装置内で、上記光透過性基材が変形しない温度、かつ、上記塗膜の表面が乱れない程度の送風条件下で行うことが好ましい。また、送風を伴わない乾燥装置内で上記塗膜の乾燥を行ってもよい。ただし、この場合上記送風条件下と条件で乾燥を行うと、上記塗膜中の溶媒の揮発が遅れ、上記塗膜を構成する防眩層用組成物中の防眩剤や内部散乱粒子等の凝集が進む結果となり、得られる光学積層体の表面の凹凸形状を上述した範囲に制御することが困難となり、製造する光学積層体に高い防眩性能を付与するとともに、白ボケの発生を抑制することが困難となることがある。従って、送風を伴わない条件で乾燥を行う場合、上記送風条件とは異なり、かつ、好ましくは後述する範囲内で、乾燥温度、時間を適宜調整する必要がある。
上記塗膜の乾燥方法としては、該塗膜を構成する防眩層用組成物の組成や粘度等の物性等により適宜調整され、特に限定されないが、例えば、40〜60℃の温度範囲で、30〜60秒乾燥させた後、70〜90℃の温度範囲で、30〜60秒乾燥させることが好ましい。このような多段回で乾燥させることで、上記塗膜の表面凹凸形状を乱すことなく乾燥させることができる。
また、上記乾燥方法は、乾燥温度毎に異なる乾燥機内で行う方法であってもよいが、異なる乾燥機内で乾燥する場合、乾燥器間の移行時に温度変化を伴い、上記塗膜の表面凹凸形状に悪影響を及ぼす可能性がある。従って、同一乾燥機内、又は、各乾燥機が連続した乾燥ゾーンにて行う方法が、所定の表面凹凸形状を有する防眩層を安定的に製造しやすく、また、製造効率に優れることから好ましい。
上記塗膜乾燥時の送風条件としては特に限定されず、上記塗膜を構成する防眩層用組成物の組成や粘度等の物性等に合わせて上記塗膜の表面に乱れが生じない範囲で適宜調整される。
次に、上記乾燥させた塗膜に活性エネルギー線を照射し、上記塗膜を硬化させる硬化工程を行う。
本硬化工程を行うことで、上述した表面凹凸形状を有する防眩層を形成することができる。
上記活性エネルギー線照射としては、紫外線又は電子線による照射を挙げることができる。紫外線源の具体例としては、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク灯、ブラックライト蛍光灯、メタルハライドランプ灯等の光源が挙げられる。紫外線の波長としては、190〜380nmの波長域を使用することができる。電子線源の具体例としては、コッククロフトワルト型、バンデグラフト型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、又は直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器が挙げられる。
本発明の光学積層体は、帯電防止層を有するものであることが好ましい。この場合、本発明の光学積層体は、上記光透過性基材上に上記帯電防止層及び防眩層が順に備えられてなることが好ましい。
上記帯電防止層は、帯電防止剤、樹脂及び溶剤を含んでなる帯電防止層形成用組成物を用いて形成することができる。上記帯電防止層の厚さは、30nm〜1μm程度であることが好ましい。
上記帯電防止剤としては、例えば、第4級アンモニウム塩、ピリジニウム塩、第1〜第3アミノ基等のカチオン性基を有する各種のカチオン性化合物、スルホン酸塩基、硫酸エステル塩基、リン酸エステル塩基、ホスホン酸塩基などのアニオン性基を有するアニオン性化合物、アミノ酸系、アミノ硫酸エステル系などの両性化合物、アミノアルコール系、グリセリン系、ポリエチレングリコール系などのノニオン性化合物、スズ及びチタンのアルコキシドのような有機金属化合物及びそれらのアセチルアセトナート塩のような金属キレート化合物等が挙げられ、さらに上記に列記した化合物を高分子量化した化合物が挙げられる。また、第3級アミノ基、第4級アンモニウム基、または金属キレート部を有し、かつ、電離放射線により重合可能なモノマーまたはオリゴマー、或いは電離放射線により重合可能な重合可能な官能基を有するカップリング剤のような有機金属化合物等の重合性化合物もまた帯電防止剤として使用できる。
上記帯電防止剤としてはまた、導電性超微粒子が挙げられる。導電性微粒子の具体例としては、金属酸化物からなるのものを挙げることができる。そのような金属酸化物としては、ZnO(屈折率1.90、以下、カッコ内の数値は屈折率を表す。)、CeO(1.95)、Sb(1.71)、SnO(1.997)、ITOと略して呼ばれることの多い酸化インジウム錫(1.95)、In(2.00)、Al(1.63)、アンチモンドープ酸化錫(略称;ATO、2.0)、アルミニウムドープ酸化亜鉛(略称;AZO、2.0)等を挙げることができる。微粒子とは、1ミクロン以下の、いわゆるサブミクロンの大きさのものを指し、好ましくは、平均粒径が0.1nm〜0.1μmのものである。また、本発明の好ましい態様によれば、微粒子の一次粒径は30〜70nm程度であり、二次粒径は200nm以下程度が好ましい。
また、上記帯電防止剤として、有機導電性組成物を利用することもでき、例えば、高分子型導電性組成物が挙げられ、上記した有機化合物以外に、例えば、脂肪族共役系のポリアセチレン、芳香族共役系のポリ(パラフェニレン)、複素環式共役系のポリピロール、ポリチオフェン、含ヘテロ原子共役系のポリアニリン、混合型共役系のポリ(フェニレンビニレン)が挙げられる。更に、分子中に複数の共役鎖を持つ共役系である複鎖型共役系、前述の共役高分子鎖を飽和高分子にグラフトまたはブロック共重合した高分子である導電性複合体等を挙げることができる。
上記樹脂としては、上記防眩層に使用することのできるバインダー樹脂と同様のものを使用することができる。
上記溶媒としては、上記防眩層に使用することのできる溶媒と同様のものを使用することができる。
上記帯電防止層は、上述した成分の他に、本発明の効果に影響を与えない程度において、必要に応じてその他の成分を添加することができる。上記その他の成分としては、上述した以外の樹脂、防眩剤、界面活性剤、カップリング剤、増粘剤、着色防止剤、顔料又は染料等の着色剤、消泡剤、レベリング剤、難燃剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、接着付与剤、重合禁止剤、酸化防止剤、表面改質剤等を挙げることができる。これらは、帯電防止層に通常使用される公知のものを使用することができる。
上記帯電防止層は、上記帯電防止層形成用樹脂組成物を光透過性基材上に塗布して、必要に応じて乾燥し、活性エネルギー線照射することにより硬化させて形成するとよい。上記硬化方法は、上記防眩層と同様の方法を挙げることができる。
上記帯電防止層は、表面抵抗率が1013Ω/□以下であることが好ましい。上記範囲内の値でないと、充分な帯電防止性能を発揮することができないおそれがある。上記表面抵抗率は、1010Ω/□以下であることがより好ましい。
本発明の光学積層体は、更に、低屈折率層を有するものであることが好ましい。
上記低屈折率層は、防眩層の表面に形成されてなり、その屈折率が防眩層より低いものである。本発明の好ましい態様によれば、防眩層の屈折率が1.5以上であり、低屈折率層の屈折率が1.5未満であり、好ましくは1.45以下で構成されてなるものが好ましい。なお、本発明の光学積層体が上記低屈折率層を有する場合、該低屈折率層の表面に上述した条件を満たす凹凸形状が形成されていることが必要である。
低屈折率層は、1)シリカ又はフッ化マグネシウムを含有する材料、2)低屈折率樹脂であるフッ素系材料、3)シリカ又はフッ化マグネシウムを含有するフッ素系材料、4)シリカ又はフッ化マグネシウムの薄膜等のいずれかで構成されていてもよい。
上記フッ素系材料とは、少なくとも分子中にフッ素原子を含む重合性化合物又はその重合体である。重合性化合物は、特に限定されないが、例えば、電離放射線で硬化する官能基(電離放射線硬化性基)や熱で硬化する極性基(熱硬化極性基)等の硬化反応性の基を有するものが好ましい。また、これらの反応性の基を同時に併せ持つ化合物でもよい。
フッ素原子を含有する電離放射線硬化性基を有する重合性化合物としては、エチレン性不飽和結合を有するフッ素含有モノマーを広く用いることができる。より具体的には、フルオロオレフィン類(例えばフルオロエチレン、ビニリデンフルオライド、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロブタジエン、パーフルオロ‐2,2‐ジメチル‐1,3‐ジオキソールなど)を例示することができる。(メタ)アクリロイルオキシ基を有するものとして、2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル(メタ)アクリレート、2−(パーフルオロブチル)エチル(メタ)アクリレート、2−(パーフルオロヘキシル)エチル(メタ)アクリレート、2−(パーフルオロオクチル)エチル(メタ)アクリレート、2−(パーフルオロデシル)エチル(メタ)アクリレート、α−トリフルオロメタクリル酸メチル、α−トリフルオロメタクリル酸エチルのような、分子中にフッ素原子を有する(メタ)アクリレート化合物;分子中に、フッ素原子を少なくとも3個持つ炭素数1〜14のフルオロアルキル基、フルオロシクロアルキル基又はフルオロアルキレン基と、少なくとも2個の(メタ)アクリロイルオキシ基とを有する含フッ素多官能(メタ)アクリル酸エステル化合物などもある。
フッ素原子を含有する熱硬化性極性基を有する重合性化合物としては、例えば、4−フルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体;フルオロエチレン−炭化水素系ビニルエーテル共重合体;エポキシ、ポリウレタン、セルロース、フェノール、ポリイミド等の各樹脂のフッ素変性品などを例示することができる。上記熱硬化性極性基としては、例えば、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、エポキシ基等の水素結合形成基が好ましく挙げられる。これらは、塗膜との密着性だけでなく、シリカなどの無機超微粒子との親和性にも優れている。
電離放射線硬化性基と熱硬化性極性基とを併せ持つ重合性化合物(フッ素系樹脂)としては、アクリル又はメタクリル酸の部分及び完全フッ素化アルキル、アルケニル、アリールエステル類、完全又は部分フッ素化ビニルエーテル類、完全又は部分フッ素化ビニルエステル類、完全又は部分フッ素化ビニルケトン類等を例示することができる。
フッ素原子を含有する上記重合性化合物の重合体としては、例えば、上記電離放射線硬化性基を有する重合性化合物の含フッ素(メタ)アクリレート化合物を少なくとも1種類含むモノマー又はモノマー混合物の重合体;含フッ素(メタ)アクリレート化合物の少なくとも1種類と、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートの如き分子中にフッ素原子を含まない(メタ)アクリレート化合物との共重合体;フルオロエチレン、フッ化ビニリデン、トリフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、3,3,3−トリフルオロプロピレン、1,1,2−トリクロロ−3,3,3−トリフルオロプロピレン、ヘキサフルオロプロピレンのような含フッ素モノマーの単独重合体又は共重合体;などが挙げられる。
また、これらの共重合体にシリコーン成分を含有させたシリコーン含有フッ化ビニリデン共重合体も、上記重合性化合物の重合体として用いることができる。この場合のシリコーン成分としては、(ポリ)ジメチルシロキサン、(ポリ)ジエチルシロキサン、(ポリ)ジフェニルシロキサン、(ポリ)メチルフェニルシロキサン、アルキル変性(ポリ)ジメチルシロキサン、アゾ基含有(ポリ)ジメチルシロキサンや、ジメチルシリコーン、フェニルメチルシリコーン、アルキル・アラルキル変性シリコーン、フルオロシリコーン、ポリエーテル変性シリコーン、脂肪酸エステル変性シリコーン、メチル水素シリコーン、シラノール基含有シリコーン、アルコキシ基含有シリコーン、フェノール基含有シリコーン、メタクリル変性シリコーン、アクリル変性シリコーン、アミノ変性シリコーン、カルボン酸変性シリコーン、カルビノール変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、メルカプト変性シリコーン、フッ素変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーンなどが例示できる。中でもジメチルシロキサン構造を有するものが好ましい。
上記したほか、さらには、分子中に少なくとも1個のイソシアナト基を有する含フッ素化合物と、アミノ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基等のイソシアナト基と反応する官能基を分子中に少なくとも1個有する化合物とを反応させて得られる化合物;フッ素含有ポリエーテルポリオール、フッ素含有アルキルポリオール、フッ素含有ポリエステルポリオール、フッ素含有ε−カプロラクトン変性ポリオール等のフッ素含有ポリオールと、イソシアナト基を有する化合物とを反応させて得られる化合物;なども、フッ素系樹脂として用いることができる。
低屈折率層の形成にあっては、例えば原料成分を含む組成物(屈折率層形成用組成物)を用いて形成することができる。より具体的には、原料成分(樹脂等)及び必要に応じて添加剤(例えば、後述の「空隙を有する微粒子」、重合開始剤、帯電防止剤、防眩剤等)を溶剤に溶解又は分散してなる溶液又は分散液を、低屈折率層形成用組成物として用い、上記組成物による塗膜を形成し、上記塗膜を硬化させることにより低屈折率層を得ることができる。なお、重合開始剤、帯電防止剤、防眩剤等の添加剤は、例えば、防眩層で上述したものが挙げられる。
溶剤も防眩層で上述したものが挙げられ、好ましくは、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、イソプロピルアルコール(IPA)、n−ブタノール、t−ブタノール、ジエチルケトン、PGME等である。
上記組成物の調製方法は、成分を均一に混合できれば良く、公知の方法に従って実施すれば良い。例えば、防眩層の形成で上述した公知の装置を使用して混合することができる。
塗膜の形成方法は、公知の方法に従えば良い。例えば、防眩層の形成で上述した各種方法を用いることができる。
得られた塗膜の硬化方法は、組成物の内容等に応じて適宜選択すれば良い。例えば、紫外線硬化型であれば、塗膜に紫外線を照射することにより硬化させれば良い。
上記低屈折率層においては、低屈折率剤として、「空隙を有する微粒子」を利用することが好ましい。「空隙を有する微粒子」は防眩層の層強度を保持しつつ、その屈折率を下げることができる。本発明において、「空隙を有する微粒子」とは、微粒子の内部に気体が充填された構造及び/又は気体を含む多孔質構造体を形成し、微粒子本来の屈折率に比べて微粒子中の気体の占有率に反比例して屈折率が低下する微粒子を意味する。また、本発明にあっては、微粒子の形態、構造、凝集状態、被膜内部での微粒子の分散状態により、内部、及び/又は表面の少なくとも一部にナノポーラス構造の形成が可能な微粒子も含まれる。この微粒子を使用した低屈折率層は、屈折率を1.30〜1.45に調節することが可能である。
空隙を有する無機系の微粒子としては、例えば、特開2001−233611号公報に記載された方法によって調製されたシリカ微粒子を挙げることができる。特開平7−133105、特開2002−79616号公報、特開2006−106714号公報等に記載された製法によって得られるシリカ微粒子であってよい。空隙を有するシリカ微粒子は製造が容易でそれ自身の硬度が高いため、バインダーと混合して低屈折率層を形成した際、その層強度が向上され、かつ、屈折率を1.20〜1.45程度の範囲内に調製することを可能とする。特に、空隙を有する有機系の微粒子の具体例としては、特開2002−80503号公報で開示されている技術を用いて調製した中空ポリマー微粒子が好ましく挙げられる。
被膜の内部及び/又は表面の少なくとも一部にナノポーラス構造の形成が可能な微粒子としては先のシリカ微粒子に加え、比表面積を大きくすることを目的として製造され、充填用のカラム及び表面の多孔質部に各種化学物質を吸着させる除放材、触媒固定用に使用される多孔質微粒子又は断熱材や低誘電材に組み込むことを目的とする中空微粒子の分散体や凝集体を挙げることができる。そのような具体的としては、市販品として日本シリカ工業株式会社製の商品名NipsilやNipgelの中から多孔質シリカ微粒子の集合体、日産化学工業(株)製のシリカ微粒子が鎖状に繋がった構造を有するコロイダルシリカUPシリーズ(商品名)から、本発明の好ましい粒子径の範囲内のものを利用することが可能である。
「空隙を有する微粒子」の平均粒子径は、5nm以上300nm以下であり、好ましくは下限が8nm以上であり上限が100nm以下であり、より好ましくは下限が10nm以上であり上限が80nm以下である。微粒子の平均粒子径がこの範囲内にあることにより、防眩層に優れた透明性を付与することが可能となる。なお、上記平均粒子径は、動的光散乱法などという方法によって測定した値である。「空隙を有する微粒子」は、上記低屈折率層中にマトリックス樹脂100質量部に対して、通常0.1〜500質量部程度、好ましくは10〜200質量部程度とするのが好ましい。
低屈折率層の形成においては、上記低屈折率層形成用組成物の粘度を好ましい塗布性が得られる0.5〜5cps(25℃)、好ましくは0.7〜3cps(25℃)の範囲のものとすることが好ましい。可視光線の優れた反射防止膜を実現でき、かつ、均一で塗布ムラのない薄膜を形成することができ、かつ基材に対する密着性に特に優れた低屈折率層を形成することができる。
樹脂の硬化手段は、防眩層の項で説明したのと同様であってよい。硬化処理のために加熱手段が利用される場合には、加熱により、例えばラジカルを発生して重合性化合物の重合を開始させる熱重合開始剤がフッ素系樹脂組成物に添加されることが好ましい。
低屈折率層の膜厚(nm)dは、下記式(I):
=mλ/(4n) (I)
(上記式中、
は低屈折率層の屈折率を表し、
mは正の奇数を表し、好ましくは1を表し、
λは波長であり、好ましくは480〜580nmの範囲の値である)
を満たすものが好ましい。
また、本発明にあっては、低屈折率層は下記数式(II):
120<n<145 (II)
を満たすことが低反射率化の点で好ましい。
本発明の光学積層体は、光透過性基材及び防眩層を有するものであるが、上述した帯電防止層及び低屈折率層の他にも必要に応じて、任意の層として防汚染層、高屈折率層又は中屈折率層等を備えているものであってよい。上記防汚染層、高屈折率層、中屈折率層は、一般に使用される防汚染剤、高屈折率剤、中屈折率剤、帯電防止剤又は樹脂等を添加した組成物を調製し、それぞれの層を公知の方法により形成するとよい。なお、本発明の光学積層体がこれらの各層を有する場合、最表面に設けられた層が上述した条件を満たす表面凹凸形状を有することが必要である。
また、本発明の光学積層体は、上記防眩層の表面に表面調整層を有してもよい。なお、上記表面調整層を有する場合、上述した表面凹凸形状を有する防眩層を「下地凹凸層」と言うこととし、該「下地凹凸層」と「表面調整層」とを合わせて「防眩層」ということとする。上記表面調整層を有することで、本発明の光学積層体における防眩層の表面の凹凸形状をより好適に上述した範囲に調整することが可能となる。
上記表面調整層は、樹脂バインダーを含有するものである。上記樹脂バインダーとしては特に限定されないが、透明性のものが好ましく、例えば、上述したバインダー樹脂と同様のものが挙げられる。
また、上記表面調整層は、必要に応じて上述した光重合開始剤、架橋剤、硬化剤、重合促進剤、粘度調整剤等を含有していてもよい。
また、上記表面調整層は、上述したような凹凸形状の調整のほかに、帯電防止、屈折率調整、高硬度化、防汚染性等を付与する機能を有するものであってもよい。この場合、上記表面調整層は、必要に応じて帯電防止剤、高屈折率剤、中屈折率剤、低屈折率剤等の屈折率調整剤、防汚染剤等のその他の添加剤を含有する表面調整層用組成物によって形成することができる。上記帯電防止剤、屈折率調整剤としては、上述したものと同様のものが挙げられる。
上記防汚染剤は、光学積層体の最表面の汚れ防止を主目的とし、更に光学積層体の耐擦傷性を付与することが可能となる。
上記防汚染剤としては、撥水性、撥油性、指紋拭き取り性を発現するような添加剤が有効であり、例えば、フッ素系化合物、ケイ素系化合物又はこれらの混合化合物が挙げられる。上記ケイ素系化合物としては、2−パーフロロオクチルエチルトリアミノシラン等のフロロアルキル基を有するシランカップリング剤等が挙げられ、特に、アミノ基を有するものが好ましい。
上記表面調整層用組成物は、更に、フッ素系又はシリコーン系等のレベリング剤を含有するものであってもよい。レベリング剤を添加した表面調整層用組成物は、塗工面を良好にし、かつ、耐擦傷性の効果を付与できる点で好ましい。
上記表面調整層の形成方法としては特に限定されず、例えば、上記したバインダー樹脂(モノマー、オリゴマー等の樹脂成分を包含する)、溶剤及び必要に応じて使用する任意成分を混合して得た表面調整層用組成物を下地凹凸層(上述した表面凹凸形状を有する防眩層)上に塗布することによって形成することができる。
上記溶剤としては、イソプロピルアルコール、メタノール、エタノール等のアルコール類;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;ハロゲン化炭化水素;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)又はこれらの混合物が挙げられ、好ましくは、ケトン類、エステル類が挙げられる。
上記表面調整層用組成物は、ミヤバーコート法、ロールコート法、グラビアコート法等の公知の塗布方法によって塗布することができる。表面調整層用組成物の塗布後に、必要に応じて乾燥と硬化を行う。上記表面調整層の形成においては、上記樹脂バインダーとして紫外線硬化型樹脂を使用し、紫外線によって硬化を行うことが好ましい。紫外線によって硬化を行う場合、190〜380nmの波長域の紫外線を使用することが好ましい。紫外線による硬化は、例えば、メタルハライドランプ灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、ブラックライト蛍光灯等によって行うことができる。電子線源の具体例としては、コッククロフトワルト型、バンデグラフト型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器が挙げることができる。
表面調整層の膜厚(硬化時)は0.01〜50μmであることが好ましく、より好ましくは下限が0.02μmであり、更に好ましい下限は0.07μmであり、より好ましい上限は20μmであり、更に好ましい上限は10μmである。なお、上記表面調整層の厚みは、上述した層厚みの測定方法で下地凹凸層の厚みAを測定した後、表面調整層を形成した下地凹凸層+表面調整層の厚みBを測定し、このBからAの値を差し引いて算出した値である(下地凹凸層と、表面調整層のバインダー樹脂に屈折率差がある場合には、完成した製品の上記Bを測定した後に、Aを測定して算出も可能である。両者に屈折率差がない場合には、前述したSEMやTEMによる方法で算出できる。)。上記膜厚が0.01μm未満であると、防眩性は良好であるが、艶黒感が改善しない場合がある。膜厚が50μmを超えると、艶黒感は非常に優れるが、防眩層の表面凹凸形状が上述した条件を満たさないことがある。
本発明の光学積層体は、可視光透過率が90%以上であることが好ましい。90%未満であると、ディスプレイ表面に装着した場合において、色再現性を損なうおそれがある。上記可視光透過率は、95%以上であることがより好ましく、98%以上であることが更に好ましい。
上記光学積層体は、表面ヘイズ値が10%以下であることが好ましい。10%を超えると、ディスプレイ表面に装着した場合において、色再現性を損なうおそれがある。上記ヘイズは、0.2〜5%であることがより好ましい。上記ヘイズ値は、JIS K7136に従って、反射・透過率計HM−150(村上色彩技術研究所製)により測定して得られた値である。
上記光学積層体は、内部ヘイズ値が0〜70%以下であることが好ましい。上記内部ヘイズ値が上記範囲内にあると、本発明の光学積層体をLCD用等に使用する場合の面ギラ(シンチレーション)を改善する効果が得られる。
上記表面ヘイズ値及び内部ヘイズ値は、後述する方法によって得られる値である。
すなわち、光学積層体の最表層の凹凸上にペンタエリスリトールトリアクリレート等の樹脂(モノマー又はオリゴマー等の樹脂成分を包含する)をトルエン等で希釈し、固形分60%としたものをワイヤーバーで乾燥膜厚が8μmとなるように塗布する。これによって、最表層の表面凹凸がつぶれ、平坦な層となる。ただし、この最表層を形成する組成物中にレベリング剤などが入っていることで、リコート剤がはじきやすく濡れにくいような場合は、あらかじめ防眩フィルムをケン化処理(2mol/LのNaOH(又はKOH)溶液 55度 3分浸した後、水洗し、水滴を完全に除去した後、50度オーブンで1分乾燥)により、親水処理を施すとよい。この表面を平坦にしたフィルムは、表面凹凸によるヘイズをもたない、内部ヘイズだけを持つ状態となっている。このヘイズを、内部ヘイズとして求めることができる。そして、内部ヘイズを、元の光学積層体のヘイズ(全体ヘイズ)から差し引いた値が、表面凹凸だけに起因するヘイズ(表面ヘイズ)として求められる。
偏光素子の表面に、本発明による光学積層体を、上記光学積層体における防眩層が存在する面と反対の面に設けることによって、偏光板とすることができる。このような偏光板も、本発明の一つである。
上記偏光素子としては特に限定されず、例えば、ヨウ素等により染色し、延伸したポリビニルアルコールフィルム、ポリビニルホルマールフィルム、ポリビニルアセタールフィルム、エチレン−酢酸ビニル共重合体系ケン化フィルム等を使用することができる。上記偏光素子と本発明の光学積層体とのラミネート処理においては、光透過性基材にケン化処理を行うことが好ましい。ケン化処理によって、接着性が良好になり帯電防止効果も得ることができる。
本発明は、最表面に上記光学積層体又は上記偏光板を備えてなる画像表示装置でもある。上記画像表示装置は、LCD等の非自発光型画像表示装置であっても、PDP、FED、ELD(有機EL、無機EL)、CRT等の自発光型画像表示装置であってもよい。
上記非自発光型の代表的な例であるLCDは、透過性表示体と、上記透過性表示体を背面から照射する光源装置とを備えてなるものである。本発明の画像表示装置がLCDである場合、この透過性表示体の表面に、本発明の光学積層体又は本発明の偏光板が形成されてなるものである。
本発明が上記光学積層体を有する液晶表示装置の場合、光源装置の光源は光学積層体の下側から照射される。なお、STN型の液晶表示装置には、液晶表示素子と偏光板との間に、位相差板が挿入されてよい。この液晶表示装置の各層間には必要に応じて接着剤層が設けられてよい。
上記自発光型画像表示装置であるPDPは、表面ガラス基板と当該表面ガラス基板に対向して間に放電ガスが封入されて配置された背面ガラス基板とを備えてなるものである。本発明の画像表示装置がPDPである場合、上記表面ガラス基板の表面、又はその前面板(ガラス基板又はフィルム基板)に上述した光学積層体を備えるものでもある。
上記自発光型画像表示装置は、電圧をかけると発光する硫化亜鉛、ジアミン類物質:発光体をガラス基板に蒸着し、基板にかける電圧を制御して表示を行うELD装置、又は、電気信号を光に変換し、人間の目に見える像を発生させるCRTなどの画像表示装置であってもよい。この場合、上記のような各表示装置の最表面又はその前面板の表面に上述した光学積層体を備えるものである。
本発明の光学積層体は、いずれの場合も、テレビジョン、コンピュータ、ワードプロセッサなどのディスプレイ表示に使用することができる。特に、CRT、液晶パネル、PDP、ELDなどの高精細画像用ディスプレイの表面に好適に使用することができる。
本発明の光学積層体は、上述した構成からなるものであるため、表面に所定範囲の尖度(Rku)及び歪度(Rsk)を有するの凹凸形状が形成されており、防眩性に優れるとともに、白ボケの発生を抑制することができる。このため、陰極線管表示装置(CRT)、液晶ディスプレイ(LCD)、プラズマディスプレイ(PDP)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)等に好適に適用することができる。
以下、本発明を実施例に基づいて更に詳細に説明するが、本発明の内容はこれらの実施態様に限定して解釈されるものではない。特別に断りの無い限り、「部」及び「%」は質量基準である。
(防眩層用組成物の調製)
下記材料を充分混合し、固形分40.5%の組成物として調製した。この組成物を孔径30μmのポリプロピレン製フィルターで濾過して防眩層用組成物を調製した。
防眩層用組成物の調製
(紫外線硬化型樹脂)
ペンタエリスリトールトリアクリレート(PETA)(屈折率1.51) 20質量部
セルロースアセテートブチレート(平均分子量3万) 0.3質量部
(光硬化開始剤)
イルガキュア184(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製) 1.2質量部
イルガキュア907(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製) 0.2質量部
(防眩剤)
不定形シリカ(平均粒径1μm、表面処理品) 1.24質量部
(レベリング剤)
シリコーン系レベリング剤 0.02質量部
(溶剤)
トルエン 35.5質量部
シクロペンタノン 7.0質量部
(表面調整層用組成物の調製)
下記材料を充分混合し、固形分40.5%の組成物として調製した。この組成物を孔径10μmのポリプロピレン製フィルターで濾過して表面調整層用組成物を調製した。
表面調整層用組成物の調製
(紫外線硬化型樹脂)
多官能ウレタンアクリレート(UV1700B、(日本合成化学工業(株)製、屈折率1.51) 30.7質量部
イソシアヌル酸トリアクリレート(アロニックスM315、(東亜合成(株)製)
9.98質量部
(光硬化開始剤)
イルガキュア184(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製) 1.5質量部
イルガキュア907(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製) 0.5質量部
(防汚剤)
UT−3971(日本合成化学工業(株)製) 2.0質量部
(溶剤)
トルエン 508.76質量部
シクロペンタノン 67.24質量部
(実施例1)
80μmの厚さのトリアセチルセルロースフィルム(TD80U、富士写真フィルム社製)を光透過性基材として用い、調製した防眩層用組成物を、フィルム上にコーティング用巻線ロッド(メイヤーズバー)#6を用いて塗布して厚さ約6μmの塗膜を形成した。
次に、形成した塗膜を乾燥器内の送風により塗工面が乱れないよう、乾燥台に固定して送風乾燥させ、器内温度50℃の乾燥器にて30秒乾燥させた後、同様に設定した器内温度70℃の乾燥器にて30秒間乾燥させる条件で乾燥した。
その後、窒素パージ下(酸素濃度200ppm以下)で、紫外線を照射線量が30mJになるよう照射して塗膜を硬化させた(下地凹凸層)。
更に、硬化させた塗膜上に、調製した表面調整層用組成物を、コーティング用巻線ロッド(メイヤーズバー)#12を用いて塗布して厚さ約6μmの塗膜を形成した。形成した塗膜を乾燥器内の送風により塗工面が乱れないよう、乾燥台に固定して送風乾燥させ、器内温度50℃の乾燥器にて30秒乾燥させた後、同様に設定した器内温度70℃の乾燥器にて30秒間乾燥させる条件で乾燥した。その後、窒素パージ下(酸素濃度200ppm以下)で、紫外線を照射線量が200mJになるよう照射して塗膜を硬化させ、下地凹凸層上に表面調整層とが積層された防眩層を備える光学積層体を製造した。なお、形成した防眩層の総厚は約8μmであった。
(実施例2)
下地凹凸層となる塗膜の乾燥条件を、送風のない60℃の乾燥器内にて30秒、80℃の乾燥器内にて30秒乾燥させることとした以外は、実施例1と同様にして防眩層を形成し、光学積層体を製造した。なお、形成した防眩層の総厚は約12μmであった。
(実施例3)
下地凹凸層となる塗膜の乾燥条件を、送風のない50℃の乾燥器内にて60秒、70℃の乾燥器内にて30秒乾燥させることとした以外は、実施例1と同様にして防眩層を形成し、光学積層体を製造した。なお、形成した防眩層の総厚は約12μmであった。
(比較例1)
下地凹凸層用塗膜の乾燥条件を、送風のない50℃の乾燥器内にて30秒、70℃の乾燥器内にて30秒乾燥させることとした以外は、実施例1と同様にして防眩層を形成し、光学積層体を製造した。なお、形成した防眩層の総厚は約12μmであった。
(比較例2)
下地凹凸層用塗膜の乾燥条件を、乾燥器内の送風により塗工面が乱れないよう、乾燥台に固定して送風乾燥させ、器内温度100℃の乾燥器にて60秒乾燥させることとした以外は、実施例1と同様にして防眩層を形成し、光学積層体を製造した。なお、形成した防眩層の総厚は約12μmであった。
(評価)
得られた光学積層体について、下記に示す方法で各評価した。結果を表1に示す。
(尖度(Rku))
Zygo社製白色干渉式光学顕微鏡NewView6300型を用い、以下の条件で光学積層体表面の尖度(Rku)を測定した。
観察視野:0.55mm□
対物レンズ:10倍
Zoomレンズ:2倍
(歪度(Rsk))
Zygo社製白色干渉式光学顕微鏡NewView6300型を用い、以下の条件で光学積層体表面の歪度(Rsk)を測定した。
観察視野:0.55mm□
対物レンズ:10倍
Zoomレンズ:2倍
(10ポイント高さ(Rz値))
Zygo社製白色干渉式光学顕微鏡NewView6300型を用い、以下の条件で光学積層体表面の10ポイント高さ(Rz値)を測定した。
観察視野:0.55mm□
対物レンズ:10倍
Zoomレンズ:2倍
(平均頂間距離(Sm)及び平均傾斜角度(θa)
得られた光学積層体の表面の凹凸の凸部の平均頂間距離(Sm)は、JIS B0601に準拠して測定した。Smは、20〜100μmが好適な範囲である。
得られた光学積層体の凹凸の平均傾斜角(θa)は、ISO−4288−1985に記載された粗さ測定法により測定した。θaは、0.5〜2.0°が好適な範囲である。
(ヘイズ値)
反射・透過率計HM−150(村上色彩技術研究所製)を用い、JIS K−7136規格に従い、内部ヘイズ及び表面ヘイズ値(%)を求めた。
(防眩性評価試験)
実施例及び比較例で得られた光学積層体の裏面を粘着処理し、黒アクリル板に貼付したものを評価用サンプルとした。幅20mmの白黒ストライプ板を用意し、上記サンプル(サンプル面は、30度くらい上方に傾ける)にこのストライプをサンプル面法線から20度の角度で写り込ませ、観察した。このときサンプル面の照度は250lx(ルクス)で、ストライプの輝度(白)は65cd/mとした。またストライプ板とサンプルの距離は1.5mで、サンプルと観察者の距離は1mとした。これを観察者が見たときのストライプの見え方により次のように定義し評価した。
評価基準
○:ストライプが認識できない
×:ストライプが認識できる
(透過鮮明性試験)
写像性測定器(スガ試験機(株)、品番「ICM−1DP」)を用いて、JIS K7105に準拠し、4種類の光学櫛(0.125mm、0.5mm、1mm及び2mm)で測定した数値の合計をもって評価した。
評価基準
○:数値200以上で、透過鮮明性が高い
×:数値200以下で、透過鮮明性が低い
(白ボケ評価)
明室環境下で白ボケがない状態を以下のように評価した。
実施例と比較例の光学積層体のフィルム面と反対側に黒のアクリル板を、光学用粘着剤(日立化成工業株式会社製、アクリル系粘着剤「DA−1000」)で張り合わせた後、高さ40cmからの三波長蛍光灯下で100cm上方、サンプルから30cmはなれた所(サンプルの法線から45°くらいの角度)からの目視官能評価を行って、白ボケがなく、黒色再現性(黒が、艶のある黒に見えるか)があるかどうかを下記基準によって詳細に評価した。
艶のある黒色のリファレンスとしては、実施例、比較例で使用している透明基材を、上記光学積層体の代わりに黒アクリル板に張り合わせたものを使用し、各サンプルと比較した。
(評価基準)
○:白ボケがなく、リファレンスと同等の黒色再現性がある。
×:白ボケがあり、黒色再現性がない。
表1に示したとおり、実施例で製造した光学積層体は、良好な防眩性能を示すとともに、白ボケの発生も抑制されていたのに対し、比較例で製造した光学積層体は、防眩性は良好な防眩性を示すものの、白ボケが発生していた。
また、図1に実施例1で製造した光学積層体の防眩層の表面の電子顕微鏡写真を示し、図2に比較例1で製造した光学積層体表面の電子顕微鏡写真を示す。図1に示すように、実施例1で製造した光学積層体表面に形成された凹凸形状は、比較的なだらかな凸状部分を有するのに対し、比較例1で製造した光学積層体表面に形成された凹凸形状は、かなり尖った凸状部分を有するものであった。
本発明の光学積層体は、陰極線管表示装置(CRT)、液晶ディスプレイ(LCD)、プラズマディスプレイ(PDP)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)等に好適に適用することができる。
実施例1で製造した光学積層体表面のZygo社製白色干渉式光学顕微鏡NewView6300型観察写真。 比較例1で製造した光学積層体表面のZygo社製白色干渉式光学顕微鏡NewView6300型観察写真。

Claims (6)

  1. 光透過性基材と、表面に凹凸形状を有する防眩層とを有する光学積層体であって、
    表面ヘイズが0.2〜5%であり、
    前記防眩層の凹凸形状は、防眩剤を含有することにより形成されたものであり、
    前記凹凸形状は、尖度(Rku)が1.5〜2.8、歪度(Rsk)の絶対値が0.01〜0.5、10ポイント高さ(Rz値)が0.5〜5.0μm、平均頂間距離(Sm)が20〜100μm、平均傾斜角度(θa)が0.3〜0.6°である
    ことを特徴とする光学積層体。
  2. 最表面に請求項記載の光学積層体を備えることを特徴とする自発光型画像表示装置。
  3. 偏光素子を備えてなる偏光板であって、
    上記偏光板は、偏光素子表面に請求項記載の光学積層体を備えることを特徴とする偏光板。
  4. 最表面に請求項記載の光学積層体、又は、請求項記載の偏光板を備えることを特徴とする非自発光型画像表示装置。
  5. バインダー樹脂と防眩剤と溶媒とを含有する防眩層用組成物を用いて、光透過性基材上に表面に凹凸形状を有する防眩層を形成する光学積層体の製造方法であって、
    前記防眩層用組成物を前記光透過性基材上に塗布し、形成した塗膜を乾燥させる工程を有し、
    前記乾燥工程は、送風を伴わない乾燥装置内で前記塗膜の乾燥を、乾燥温度40〜60℃、乾燥時間30〜60秒の条件で乾燥させた後、乾燥温度70〜90℃、乾燥時間30〜60秒の条件で行うものであり、
    前記光学積層体は、表面ヘイズが0.2〜5%であり、
    前記防眩層の凹凸形状は、尖度(Rku)が1.5〜2.8、歪度(Rsk)の絶対値が0.01〜0.5、10ポイント高さ(Rz値)が0.5〜5.0μm、平均頂間距離(Sm)が20〜100μm、平均傾斜角度(θa)が0.3〜0.6°である
    ことを特徴とする光学積層体の製造方法。
  6. 光透過性基材と、表面に防眩剤を含有することにより形成された凹凸形状を有する防眩層とを有する光学積層体の防眩性及び白ボケの評価方法であって、
    表面ヘイズが0.2〜5%であり、
    前記凹凸形状は、尖度(Rku)が1.5〜2.8、歪度(Rsk)の絶対値が0.01〜0.5、10ポイント高さ(Rz値)が0.5〜5.0μm、平均頂間距離(Sm)が20〜100μm、平均傾斜角度(θa)が0.3〜0.6°であるか否かを調べて、評価する
    ことを特徴とする光学積層体の防眩性及び白ボケの評価方法。
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