JP2012177700A - 光学積層体の防汚剤ブリードアウトの抑制状態の評価方法 - Google Patents

光学積層体の防汚剤ブリードアウトの抑制状態の評価方法 Download PDF

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Abstract

【課題】防眩性に優れるとともに、高精細化ディスプレイに適用した場合であっても、白茶けやシンチレーションの発生を充分に抑制でき、更に、偏光素子との貼合工程や液晶セル組立工程の途上でのクラックの発生や、防眩性の経時変化を充分に抑制することができる防眩性フィルムを提供する。
【解決手段】光透過性基材と、該光透過性基材の少なくとも一方の面上に形成され、表面に凹凸形状を有する拡散層とを有する防眩性フィルムであって、上記拡散層は、有機微粒子(A)、及び、(メタ)アクリレートモノマーを必須成分として含む放射線硬化型バインダーを含有する塗液を、上記光透過性基材の少なくとも一方の面上に塗布し、乾燥して塗膜を形成し、該塗膜を硬化させてなるものであり、上記拡散層中の上記有機微粒子(A)は、上記放射線硬化型バインダーが含浸した含浸層を有し、上記含浸層は、平均厚さが0.01〜1.0μmであることを特徴とする防眩性フィルム。
【選択図】なし

Description

本発明は、光学積層体、偏光板、及び、画像表示装置に関するものである。
陰極線管表示装置(CRT)、液晶ディスプレイ(LCD)、プラズマディスプレイ(PDP)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)等の画像表示装置においては、一般に最表面に光透過性基材上に機能層、例えば、ハードコート層、帯電防止層、防眩層等が積層された光学積層体が設けられている。例えば、光透過性基材上に防眩層が積層された光学積層体(反射防止用光学積層体)は、光の散乱や干渉によって、像の写り込みを抑制したり反射率を低減したりするものである。
このような光学積層体は、画像表示装置の最表面に設けられるため、指紋等が付着して汚れやすいものであった。表面に汚れが付着すると、その部分において反射干渉色が変化することにより一層汚れが目立ってしまうという問題があった。このため、光学積層体には、高い防汚性、特に優れた指紋拭き取り性の表面であることが求められていた。
光学積層体の表面の防汚性を向上させる方法としては、例えば、防汚剤を添加した樹脂組成物を使用して機能層を形成することが従来から行われており、防汚剤としては、シリコーン系材料や、フッ素材料等の撥水性材料が多く用いられてきた。
例えば、特許文献1には、シラン化合物、アクリルモノマー等、ジメチルポリシロキサンとポリアルキレンオキサイドが交互に繰り返し結合した直鎖状シリコーン及びパーフルオロアルキルシラザンを含んだコーテイング材料を用いることで、防汚性とその永続性に優れた塗膜が得られることが開示されている。
また、例えば、特許文献2には、メラミン系合成樹脂、アクリル系合成樹脂、シリコーン樹脂、及び、ポリエチレン樹脂から選択された1以上の合成樹脂を含有する球状有機パウダー、分子量が1000〜10万であるポリテトラフルオロエチレン、シリコーンオイル、炭化水素系溶剤、及び、ワックス類を含有し、ポリテトラフルオロエチレンと球状有機パウダーとが石油系溶剤中に分散してなる撥水防汚処理剤が開示されている。
しかしながら、これらの防汚剤を使用した場合、所望の防汚性を発揮するためには、防汚剤を比較的多量に添加する必要があり、光学積層体中から防汚剤がブリードアウトしやすいという問題があった。
また、光学積層体は、通常、ロール状に巻き取られて原反とされ、他の機能層の形成や画像表示装置への利用等される。しかしながら、防汚剤のブリードアウトが生じると、ロール状に巻き取ったときにブリードアウトした防汚剤の裏移りが発生し、光学積層体の裏面加工性が損なわれるという問題があった。
特開2001−49236号公報 特開2000−212547号公報
本発明の目的は、良好な防汚性を保ちつつ、防汚剤のブリードアウトを防止し、ロール状に巻き取った場合であっても裏移りの生じない光学積層体を提供することにある。
本発明は、光透過性基材と、防汚剤を含有する機能層とを有する光学積層体の上記光透過性基材と反対側の表面から100nmまでの領域における単位面積あたりの上記防汚剤由来の光吸収強度(A100)と、上記光透過性基材と反対側の表面から50nmまでの領域における単位面積あたりの上記防汚剤由来の光吸収強度(A50)とを光導波路分光光度計を用いて測定し、上記防汚剤由来の光吸収強度(A100)と(A50)との比(A50/A100)が、0.6〜0.9か否かを調べて、評価することを特徴とする光学積層体の防汚剤ブリードアウトの抑制状態の評価方法である。
上記防汚剤由来の光吸収強度(A100)及び防汚剤由来の光吸収強度(A50)の測定は、上記光学積層体の光透過性基材と反対側の表面と、上記光導波路分光光度計の合成石英光導波路基板とを、固定治具により空隙なく密着させ、エバネッセント波しみ込み深さを、予め50nm、100nmになるよう角度調整した光学系にて行うことが好ましい。
上記防汚剤は、フッ素系防汚剤又はシリコーン系防汚剤であり、上記防汚剤がフッ素系防汚剤の場合は、フッ素基由来の1200cm−1における吸収強度(A100)及び(A50)を測定し、上記シリコーン系防汚剤の場合は、シリコーン由来の970cm−1における吸収強度(A100)及び(A50)を測定することが好ましい。
以下に、本発明を詳細に説明する。
以下、本発明において使用する基材、組成物を具体的に説明する。なお、本発明では、特別な記載がない限り、モノマー、オリゴマー、プレポリマー等の硬化性樹脂前駆体を、“樹脂”と記載する。
本発明者らは、光透過性基材と、防汚剤を含有する機能層とを有する光学積層体として、上記機能層の防汚剤由来の光吸収強度が所定の関係を満たすよう調整されたものは、充分な防汚性を発揮しつつ、防汚剤のブリードアウトを生じないことを見出し、本発明を完成するに至った。より具体的には、機能層の表面から100nmまでの領域における単位面積あたりの防汚剤由来の光吸収強度と、該機能層の表面から50nmまでの領域における単位面積あたりの防汚剤由来の光吸収強度とが所定の関係を満たすように調整されることで、上記効果を奏することを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明の光学積層体は、光透過性基材と機能層とを有するものである。
上記機能層は、防汚剤を含有する機能層形成用組成物を塗布することで形成された樹脂層であり、例えば、ハードコート層、帯電防止層、低屈折率層、防眩層等の光学積層体において形成される任意の層であってよい。ただし、上記機能層は、防汚性を得ることを目的とすることから、最表面層であることが好ましい。
上記機能層形成用組成物は、防汚剤を含有するものである。
上記防汚剤としては、本発明の光学積層体の機能層に防汚性能を付与できる物質であれば特に限定されず、例えば、反応性フッ素化合物、特にエチレン性不飽和結合を有するフッ素含有モノマーを広く用いることができる。より具体的には、フルオロオレフィン類(例えばフルオロエチレン、ビニリデンフルオライド、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロブタジエン、パーフルオロ−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソール等)が挙げられる。
また、例えば、2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル(メタ)アクリレート、2−(パーフルオロブチル)エチル(メタ)アクリレート、2−(パーフルオロヘキシル)エチル(メタ)アクリレート、2−(パーフルオロオクチル)エチル(メタ)アクリレート、2−(パーフルオロデシル)エチル(メタ)アクリレート、α−トリフルオロ(メタ)アクリル酸メチル等の分子中にフッ素原子を有する(メタ)アクリレート化合物;分子中にフッ素原子を少なくとも3個持つ炭素数1〜14の、フルオロアルキル基、フルオロシクロアルキル基又はフルオロアルキレン基と、少なくとも2個の(メタ)アクリロイルオキシ基とを有する含フッ素多官能(メタ)アクリル酸エステル化合物等も挙げられる。
更にまた、主鎖にフッ素化アルキレン基を有するフッ素ポリマー、オリゴマーや、主鎖及び側鎖にフッ素化アルキレン基、フッ素化アルキル基を有するフッ素化ポリマー、オリゴマー等も挙げられる。これらの中でも、特に、主鎖及び側鎖にフッ素化アルキレン基、フッ素化アルキル基を有するフッ素化ポリマーは、機能層からのブリードアウトの問題が生じにくいことから特に好適に用いられる。
また、上記防汚剤としては、例えば、シリコーン系化合物、反応性シリコーン化合物も使用することができる。
具体的な化合物としては、例えば、(ポリ)ジメチルシロキサン、(ポリ)ジエチルシロキサン、(ポリ)ジフェニルシロキサン、(ポリ)メチルフェニルシロキサン、アルキル変性(ポリ)ジメチルシロキサン、アゾ基含有(ポリ)ジメチルシロキサン、ジメチルシリコーン、フェニルメチルシリコーン、アルキル・アラルキル変性シリコーン、フルオロシリコーン、ポリエーテル変性シリコーン、脂肪酸エステル変性シリコーン、メチル水素シリコーン、シラノール基含有シリコーン、アルコキシ基含有シリコーン、フェノール基含有シリコーン、メタクリル変性シリコーン、アクリル変性シリコーン、アミノ変性シリコーン、カルボン酸変性シリコーン、カルビノール変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、メルカプト変性シリコーン、フッ素変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン等が挙げられる。なかでも、ジメチルシロキサン構造を有するものは、機能層からのブリードアウトの問題が生じにくいことから特に好適に用いられる。
上記機能層形成用組成物において、上記防汚剤の含有量としては、目的とする機能層の防汚性能により適宜決定されるが、後述する機能層形成用組成物に含まれる樹脂成分100質量部に対して、好ましくは0.1〜5.0質量部である。0.1質量部未満であると、形成する機能層に充分な防汚性を付与することができない場合があり、5.0質量部を超えると、本発明の光学積層体に防汚剤のブリードアウトの問題が発生することがある。より好ましい下限は0.3質量部、より好ましい上限は1.0質量部である。
上記機能層形成用組成物は、例えば、熱及び/又は電離放射線によって硬化可能な樹脂成分を含有することが好ましい。
上記熱及び/又は電離放射線によって硬化可能な樹脂成分としては、例えば、紫外線又は電子線により硬化する樹脂である電離放射線硬化型樹脂、及び、熱硬化型樹脂を挙げることができる。好ましくは電離放射線硬化型樹脂である。
上記電離放射線硬化型樹脂としては、例えば、アクリレート系の官能基を有する化合物等の1又は2以上の不飽和結合を有する化合物等が挙げられる。
上記1の不飽和結合を有する化合物としては、例えば、エチル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、スチレン、メチルスチレン、N−ビニルピロリドン等が挙げられる。
また、上記2以上の不飽和結合を有する化合物としては、例えば、ポリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート等の多官能化合物と(メタ)アクリレート等の反応生成物(例えば、多価アルコールのポリ(メタ)アクリレートエステル)等が挙げられる。なお、本明細書において「(メタ)アクリレート」は、メタクリレート及びアクリレートを指すものである。
上記化合物のほかに、不飽和二重結合を有する比較的低分子量のポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アルキッド樹脂、スピロアセタール樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリチオールポリエン樹脂等も上記電離放射線硬化型樹脂として使用することができる。
上記電離放射線硬化型樹脂は、溶剤乾燥型樹脂(塗工時に固形分を調整するために添加した溶剤を乾燥させるだけで、被膜となるような樹脂)と併用して使用することもできる。溶剤乾燥型樹脂を併用することによって、塗布面の被膜欠陥を有効に防止することができ、これによってより優れた艶黒感を得ることができる。上記電離放射線硬化型樹脂と併用して使用することができる溶剤乾燥型樹脂としては特に限定されず、一般に、熱可塑性樹脂を使用することができる。
上記熱可塑性樹脂としては特に限定されず、例えば、スチレン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、ビニルエーテル系樹脂、ハロゲン含有樹脂、脂環式オレフィン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、セルロース誘導体、シリコーン系樹脂及びゴム又はエラストマー等が挙げられる。
上記熱可塑性樹脂は、非結晶性でかつ有機溶媒(特に複数のポリマーや硬化性化合物を溶解可能な共通溶媒)に可溶であることが好ましい。特に、製膜性、透明性や耐候性という観点から、スチレン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、脂環式オレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、セルロース誘導体(セルロースエステル類等)等が好ましい。
本発明の光学積層体において、例えば、上記光透過性基材の材料が後述するトリアセチルセルロース(TAC)等のセルロース系樹脂の場合、上記熱可塑性樹脂の好ましい具体例としては、セルロース系樹脂、例えば、ニトロセルロース、アセチルセルロース、セルロースアセテートプロピオネート、エチルヒドロキシエチルセルロース、アセチルブチルセルロース、エチルセルロース、メチルセルロース等のセルロース誘導体等が挙げられる。
上記セルロース系樹脂を用いることにより、上記光透過性基材や任意で形成する他の層との密着性と透明性とを向上させることができる。更に、上述のセルロース系樹脂の他に、酢酸ビニル及びその共重合体、塩化ビニル及びその共重合体、塩化ビニリデン及びその共重合体等のビニル系樹脂、ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラール等のアセタール樹脂、アクリル樹脂及びその共重合体、メタアクリル樹脂及びその共重合体等のアクリル系樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂等を使用することもできる。
上記熱硬化型樹脂としては、例えば、フェノール樹脂、尿素樹脂、ジアリルフタレート樹脂、メラニン樹脂、グアナミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アミノアルキッド樹脂、メラミン−尿素共縮合樹脂、ケイ素樹脂、ポリシロキサン樹脂等が挙げられる。
本発明において、上記機能層形成用組成物に含まれる防汚剤及び樹脂成分の好適な組み合わせとしては、例えば、ブリード性低減に有効な、主鎖及び側鎖にフッ素化アルキレン基、フッ素化アルキル基を有するフッ素化ポリマーより構成される防汚剤と、不飽和二重結合を有するウレタン樹脂との組み合わせが挙げられる。
また、例えば、上記防汚剤と樹脂成分とは、混合時に、白濁や、溶液増粘が起こらない組み合わせを選ぶ必要がある。これらの現象が現れた場合、相溶性が低いため、各成分が均一に混合せずに分離してしまい、ブリード性を悪化させてしまう他、膜硬度等の諸特性に悪影響を与える可能性があるからである。例えば、防汚剤と樹脂成分との組み合わせを上述のようにすることで、後述するように機能層中で防汚剤を偏在するように含ませることができる。
上記機能層形成用組成物は、更に、帯電防止剤、防眩剤又は低屈折率剤を含んでいてもよい。上記機能層形成用組成物が、帯電防止剤、防眩剤又は低屈折率剤等を併せて含んでいることで、形成する機能層が優れた防汚性とともに帯電防止性、防眩性又は低反射性等の所望の性能を有するものとなる。
上記帯電防止剤としては特に限定されず、光学積層体の分野において公知のものを使用することができる。なかでも、光透過性が高いという点で、導電性高分子であることが好ましい。
上記帯電防止剤としては特に限定されず、光学積層体の分野において公知のものを使用することができる。なかでも、光透過性が高いという点で、導電性高分子であることが好ましい。
上記低屈折率剤としては、空隙を有する微粒子であることが好ましい。上記「空隙を有する微粒子」は、微粒子の内部に気体が充填された構造及び/又は気体を含む多孔質構造体を形成し、微粒子本来の屈折率に比べて微粒子中の気体の占有率に反比例して屈折率が低下する微粒子を意味する。また、本発明にあっては、微粒子の形態、構造、凝集状態、被膜内部での微粒子の分散状態により、内部、及び/又は表面の少なくとも一部にナノポーラス構造の形成が可能な微粒子も含まれる。この微粒子を使用した低屈折率層は、屈折率を1.30〜1.45に調節することが可能である。
空隙を有する無機系の微粒子としては、例えば、特開2001−233611号公報、特開平7−133105、特開2002−79616号公報、特開2006−106714号公報等に記載された製法によって得られるシリカ微粒子が挙げられる。空隙を有するシリカ微粒子は、製造が容易でそれ自身の硬度が高いため、樹脂と混合して低屈折率層を形成した際、その層強度が向上され、かつ、屈折率を1.20〜1.45程度の範囲内に調製することを可能とする。特に、空隙を有する有機系の微粒子の具体例としては、特開2002−80503号公報で開示されている技術を用いて調製した中空ポリマー微粒子が好ましく挙げられる。
被膜の内部及び/又は表面の少なくとも一部にナノポーラス構造の形成が可能な微粒子としては先のシリカ微粒子に加え、比表面積を大きくすることを目的として製造された多孔質微粒子又は断熱材や低誘電材に組み込むことを目的とする中空微粒子の分散体や凝集体が挙げられる。そのような具体的としては、市販品として日本シリカ工業社製の商品名NipsilやNipgelの中から多孔質シリカ微粒子の集合体、日産化学工業社製のシリカ微粒子が鎖状に繋がった構造を有するコロイダルシリカUPシリーズ(商品名)から、本発明の好ましい粒子径の範囲内のものを利用することが可能である。
上記「空隙を有する微粒子」の平均粒子径は、5nm以上300nm以下であることが好ましく、8nm以上100nm以下であることがより好ましく、10nm以上80nm以下であることが更に好ましい。上記平均粒子径がこの範囲内にあることにより、低屈折率層に優れた透明性を付与することが可能となる。なお、上記平均粒子径は、動的光散乱法等によって測定した値である。
上記「空隙を有する微粒子」の含有量は、樹脂固形分100質量部に対して、0.1〜500質量部であることが好ましく、10〜200質量部であることがより好ましい。
上記機能層形成用組成物は、上述した成分の他に、必要に応じて、その他の成分を含んでいてもよい。その他の成分としては、例えば、光重合開始剤、レベリング剤、架橋剤、硬化剤、重合促進剤、粘度調整剤等が挙げられる。
上記光重合開始剤としては、例えば、アセトフェノン類(例えば、商品名イルガキュア184、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製の1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、商品名イルガキュア907、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製の2−メチル−1〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モリフォリノプロパン−1−オン)、ベンゾフェノン類、チオキサントン類、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族スルホニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、メタロセン化合物、ベンゾインスルホン酸エステル等が挙げられる。これらは、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記光重合開始剤の添加量としては、樹脂固形分100質量部に対して、0.1〜10質量部であることが好ましい。
また、上記レベリング剤、架橋剤、硬化剤、重合促進剤、粘度調整剤は、公知のものを使用することができる。
また、上記機能層形成用組成物は、ケイ素のアルコキシド若しくはシランカップリング剤、有機チタン化合物(チタネートカップリング剤)、又は、有機アルミニウム化合物の有機金属化合物を含んでいてもよい。これらを含むことにより、得られる樹脂硬化物の強度を向上させることができる。
上記ケイ素のアルコキシド若しくはシランカップリング剤としては、例えば、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
上記有機チタン化合物としては、例えば、テトラメトキシチタン、テトラエトキシチタン等が挙げられる。
上記有機金属化合物の添加量としては、樹脂固形分100質量部に対して、1〜20質量部であることが好ましい。
上記機能層形成用組成物は、上述した防汚剤、硬化性樹脂等の樹脂成分及びその他の成分を溶媒に混合分散することで得ることができる。
上記溶媒としては特に限定されず、例えば、アルコール(例、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、ベンジルアルコール)、ケトン(例、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン)、エステル(例、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、蟻酸メチル、蟻酸エチル、蟻酸プロピル、蟻酸ブチル)、脂肪族炭化水素(例、ヘキサン、シクロヘキサン)、ハロゲン化炭化水素(例、メチレンクロライド、クロロホルム、四塩化炭素)、芳香族炭化水素(例、ベンゼン、トルエン、キシレン)、アミド(例、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、n−メチルピロリドン)、エーテル(例、ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、ハイドロフルオロエーテル)、エーテルアルコール(例、1−メトキシ−2−プロパノール)等が挙げられる。なかでも、分散性、分散安定性、安全性の点において、ケトン系溶剤であることが好ましい。
上述した防汚剤、樹脂成分及びその他の成分を上記溶媒に混合分散して機能層形成用組成物を得る方法としては、公知の方法が挙げられ、例えば、ペイントシェーカー又はビーズミル、ディスゾルバー等を使用する方法が挙げられる。
上記機能層形成用組成物が塗布されて形成された機能層は、上記光透過性基材と反対側の表面から100nmまでの領域における単位面積あたりの上記防汚剤由来の光吸収強度(A100)に対する、上記光透過性基材と反対側の表面から50nmまでの領域における単位面積あたりの上記防汚剤由来の光吸収強度(A50)の比(A50/A100)が、0.6〜0.9である。これは、本発明の光学積層体の上記機能層は、最表面部分に防汚剤が偏在して含まれていることを意味する。上記(A50/A100)が0.6未満であると、本発明の光学積層体に防汚性が不充分となり、また、充分な防汚性を得るために防汚剤の添加量を膨大にすると防汚剤のブリードアウトの問題が生じてしまう。上記(A50/A100)が0.9を超えると、防汚剤のブリードアウトの問題が生じてしまう。上記(A50/A100)の好ましい下限は0.65、好ましい上限は0.85であり、より好ましい下限は0.7、より好ましい上限は0.8である。
本発明の光学積層体において、上記機能層の光吸収強度を測定する方法としては、公知の光導波路分光法を用いて測定する方法が挙げられる。より詳細には、例えば、特許第3968425号に記載の光導波路分光装置を用いることで、極薄膜における光吸収特性を容易に調べることができる。
次に、上述した方法で得られた機能層形成用組成物を用いて上記防汚剤が偏在して含まれる機能層を形成する方法について説明する。
上記機能層を形成するには、まず、上記機能層形成用組成物を光透過性基材上に塗布して塗膜を形成する。
上記光透過性基材としては特に限定されないが、平滑性、耐熱性を備え、機械的強度に優れたものが好ましい。
上記光透過性基材を形成する材料の具体例としては、例えば、ポリエステル、トリアセチルセルロース(TAC)、セルロースジアセテート、セルロースアセテートブチレート、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテルスルフォン、ポリスルフォン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアセタール、ポリエーテルケトン、ポリメタクリル酸メチル、ポリカーボネート、又はポリウレタン等の熱可塑性樹脂が挙げられ、好ましくはポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート)、トリアセチルセルロースが挙げられ、より好ましくはトリアセチルセルロースである。
その他、上記光透過性基材としては、脂環構造を有した非晶質オレフィンポリマー(Cyclo−Olefin−Polymer:COP)フィルムを挙げることができる。これは、ノルボルネン系重合体、単環の環状オレフィン系重合体、環状共役ジエン系重合体、ビニル脂環式炭化水素系重合体等が用いられる基材で、例えば、日本ゼオン社製のゼオネックスやゼオノア(ノルボルネン系樹脂)、住友ベークライト社製のスミライトFS−1700、JSR社製のアートン(変性ノルボルネン系樹脂)、三井化学社製のアペル(環状オレフィン共重合体)、Ticona社製のTopas(環状オレフィン共重合体)、日立化成社製のオプトレッツOZ−1000シリーズ(脂環式アクリル樹脂)等が挙げられる。
また、トリアセチルセルロースの代替基材として旭化成ケミカルズ社製のFVシリーズ(低複屈折率、低光弾性率フィルム)も好ましい。
上記光透過性基材は、上記熱可塑性樹脂を柔軟性に富んだフィルム状体として使用することが好ましいが、硬化性が要求される使用態様に応じて、これら熱可塑性樹脂の板を使用することも可能であり、又は、ガラス板の板状体のものを使用してもよい。
上記光透過性基材の厚さは、下限が20μm、上限が300μmであることが好ましく、より好ましくは下限が30μmであり、上限が200μmである。ただし、上記光透過性基材が板状体の場合にはこれらの厚さを超える厚さであってもよい。上記光透過性基材は、その上に上記内部散乱層や、後述する帯電防止層等を形成するのに際して、接着性向上のために、コロナ放電処理、酸化処理等の物理的な処理のほか、アンカー剤若しくはプライマーと呼ばれる塗料の塗布を予め行ってもよい。
ここで、本発明の光学積層体は、上記光透過性基材上に上記機能層を形成するものであってもよいが、上記光透過性基材と機能層との層間に、例えば、ハードコート層、帯電防止層、防眩層、高屈折率層又は中屈折率層等を形成するものであってもよい。
上記ハードコート層は、JIS K−5600−5−4(1999)で規定される鉛筆硬度試験で「H」以上の硬度を示すものである。上記ハードコート層の形成は、上記電離放射線型樹脂及び/又は熱硬化性樹脂や溶剤等の公知の材料を用いて、例えば、上記光透過性基材の上に公知の方法で形成することができる。
上記帯電防止層、防眩層、高屈折率層、中屈折率層は、一般に使用される帯電防止剤、防眩剤、防汚染剤、高屈折率剤、中屈折率剤又は樹脂等を添加した組成物を調製し、上記光透過性基材等の上にそれぞれの層を公知の方法により形成するとよい。
上記光透過性基材上等に上記機能層形成用組成物を塗布する方法としては特に限定されず、公知の方法を用いることができる。具体的には、例えば、ロールコート法、ミヤバーコート法、グラビアコート法等が挙げられる。
上記機能層形成用組成物は、例えば、ハードコート層形成用樹脂組成物として、光透過性基材上に塗布してハードコート層を形成することができる。また、上述した低屈折率剤を含むことにより低屈折率層形成用組成物として、上記ハードコート層の上に塗布して低屈折率層を形成することができる。
なお、上記低屈折率層としては、例えば、1)シリカ又はフッ化マグネシウムを含有する材料、2)低屈折率樹脂であるフッ素系材料、3)シリカ又はフッ化マグネシウムを含有するフッ素系材料、4)シリカ又はフッ化マグネシウムの薄膜等のいずれかで構成されていてもよい。
上記機能層形成用組成物の塗布膜厚としては、形成する層に応じて適宜決めればよく、例えば、ハードコート層を形成する場合は、一般に、1〜10μmであり、更に3〜6μmであることが好ましい。
次に、上記光透過性基材上に形成した塗膜を乾燥させる。
上記塗膜の乾燥は公知の乾燥機を用いて行うことができるが、乾燥機内に熱風の対流が起こらないよう、無風加温状態にて乾燥させることが好ましい。熱風による対流下で上記塗膜を加温乾燥した場合、上記塗膜の極表面の溶剤の揮発が促進され、防汚剤の最表面への移動が充分に完了しないうちに乾燥が完了してしまい、所望の防汚性が発現せず、不完全な状態で成膜が完了してしまうこととなり、保管時に防汚性成分が移動、ブリードを起こす可能性が高まってしまうからである。このような条件で塗膜を乾燥させることで、乾燥させた塗膜中で防汚剤を上述したように偏在させることができ、その結果、製造する機能層中の防汚剤を、上述した条件を満たすように偏在させることができる。
更に、上記塗膜の乾燥条件としては、具体的には、上記機能層形成用組成物に添加された防汚剤や、電離放射線型樹脂及び/又は熱硬化性樹脂や溶剤等の種類を考慮して適宜決定されるが、好ましくは、乾燥温度が50〜100℃、乾燥時間が10〜90秒である。このような乾燥条件で、上述した無風加温状態にて上記塗膜の乾燥を行うことで、好適に塗膜中で防汚剤を偏在させることができる。
そして、乾燥後の塗膜を加熱又は活性エネルギー線照射により硬化させることで、上記光透過性基材上に上述した条件で防汚層が偏在して含まれた機能層を形成することができる。
上記活性エネルギー線照射としては、紫外線又は電子線による照射が挙げられる。紫外線源の具体例としては、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク灯、ブラックライト蛍光灯、メタルハライドランプ灯等の光源が挙げられる。紫外線の波長としては、190〜380nmの波長域を使用することができる。電子線源の具体例としては、コッククロフトワルト型、バンデグラフト型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、又は直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器が挙げられる。
このようにして得られた機能層は、含まれる防汚剤が上述した条件を満たすように偏在しており、高い防汚性を示すとともに、ブリードアウトの問題が生じることもない。
また、帯電防止剤、防眩剤、低屈折率剤等のその他の機能成分を含んでいても、それぞれの機能も充分に発現することができる。
上記機能層は、JIS K−5600−5−4(1999)で規定される鉛筆硬度試験で「H」以上の硬度を示すものであることが好ましい。
上記機能層を有する本発明の光学積層体は、全光線透過率が95%以上であることが好ましい。95%未満であると、ディスプレイ表面に装着した場合において、色再現性を損なうおそれがある。上記全光線透過率は、98%以上であることがより好ましい。
本発明の光学積層体は、全体ヘイズ値が35%以下であることが好ましい。35%を超えると、ディスプレイ表面に装着した場合において、色再現性を損なうおそれがある。より鮮やかな色再現性を実現するには、好ましくは15%以下であり、更に好ましくは5%以下であり、3%以下であることが最も好ましい。
なお、本明細書において「全体ヘイズ値」等の各ヘイズ値は、JIS K−7136に従って塗工面を光源に向けて測定して得られた値である。測定に使用する機器としては、反射・透過率計HM−150(村上色彩技術研究所)が挙げられる。
また、本発明の光学積層体は、優れた反射防止性能を有することとなることから、表面に凹凸が形成されていることが好ましい。この場合、ディスプレイ表面に装着した場合において、色再現性を損なうおそれがあるため、表面の凹凸によるヘイズ(表面ヘイズ値)は15%以下であることが好ましく、より好ましくは10%以下であり、更に好ましくは5%以下である。
本発明の光学積層体において、全体ヘイズと表面ヘイズとは、ほぼ同じ値であるか、又は、表面ヘイズ値が必ず全ヘイズより小さな値となる。例えば、全体ヘイズが5%以下である場合には、表面ヘイズ値は5%以下であることが好ましく、全体ヘイズが3%以下である場合には、表面ヘイズ値は3%以下であることが好ましい。なお、本明細書において「表面ヘイズ値」とは、後述する方法で測定した内部ヘイズ値を、上記全体ヘイズ値から差し引いた値である。
内部ヘイズ値の測定方法としては、光学積層体の最表層(例えば、低屈折率層)の凹凸上にペンタエリスリトールトリアクリレート等の樹脂(モノマー又はオリゴマー等の樹脂成分を包含する)をトルエンなどで希釈し、固形分60%としたものをワイヤーバーで乾燥膜厚が8μmとなるように塗布する。これによって、最表層の表面凹凸がつぶれ、平坦な層となる。ただし、この最表層を形成する組成物中にレベリング剤等が入っていることで、リコート剤がはじきやすく濡れにくいような場合は、予め防眩フィルムをケン化処理(2mol/LのNaOH(又はKOH)溶液 55度 3分浸した後、水洗し、キムワイプ(登録商標)で水滴を完全に除去した後、50度オーブンで1分乾燥)により、親水処理を施すとよい。この表面を平坦にしたフィルムは、表面凹凸によるヘイズをもたない、内部ヘイズだけを持つ状態となっている。このヘイズを、内部ヘイズ値として求めることができる。
上記表面に凹凸形状を設ける方法としては、例えば、エンボス加工を施す方法、機能層中に粒子を添加する方法、機能層の相分離を利用した方法等が挙げられる。
上記機能層中に粒子を添加する方法において、添加する粒子としては、例えば、ポリスチレンビーズ、メラミンビーズ、アクリル(ポリメチルメタクリレート等)ビーズ、アクリル−スチレンビーズ、ベンゾグアナミン−ホルムアルデヒドビーズ、ポリカーボネートビーズ、ポリエチレンビーズ等のプラスチックビーズや、シリカビーズ等の粒子が好適に用いられる。
上記粒子の粒径としては好ましくは1〜10μmであり、上記粒子の添加量としては、機能層中の樹脂成分100質量部に対し、3〜30質量部が好ましく、材質や粒子形状、粒子径が異なる粒子を複数用いてもよい。
以下に、本発明の光学積層体の一態様について、図を用いて説明する。
図1及び図2は、本発明の光学積層体の一態様を模式的に示す断面図である。
図1は、上から順に、ハードコート層として機能する機能層1、光透過性基材2を備えてなる光学積層体を示す。図2は、上から順に、低屈折率層として機能する機能層3、ハードコート層4、光透過性基材5を備えてなる光学積層体を示す。
このように本発明の光学積層体は、目的に応じて任意の層からなるものであってもよく、上述した態様に限定されないものである。なかでも、高い防汚性を発揮させるために、本発明の光学積層体は、上記機能層が、光学積層体の最表面に位置することが好ましい。
本発明の光学積層体を、偏光素子の表面に、該光学積層体の光透過性基材に対して機能層が存在する面と反対側の面に設けることによって、偏光板とすることができる。このような偏光板も、本発明の一つである。
上記偏光素子としては特に限定されず、例えば、ヨウ素等により染色し、延伸したポリビニルアルコールフィルム、ポリビニルホルマールフィルム、ポリビニルアセタールフィルム、エチレン−酢酸ビニル共重合体系ケン化フィルム等を使用することができる。
上記偏光素子と本発明の光学積層体とのラミネート処理においては、光透過性基材にケン化処理を行うことが好ましい。ケン化処理によって、接着性が良好になり帯電防止効果も得ることができる。
本発明は、最表面に上記光学積層体又は上記偏光板を備えてなる画像表示装置でもある。上記画像表示装置は、LCD等の非自発光型画像表示装置であっても、PDP、FED、ELD(有機EL、無機EL)、CRT等の自発光型画像表示装置であってもよい。
上記非自発光型の代表的な例であるLCDは、透過性表示体と、上記透過性表示体を背面から照射する光源装置とを備えてなるものである。本発明の画像表示装置がLCDである場合、この透過性表示体の表面に、本発明の光学積層体又は本発明の偏光板が形成されてなるものである。
本発明が上記光学積層体を有する液晶表示装置の場合、光源装置の光源は光学積層体の下側から照射される。なお、STN型の液晶表示装置には、液晶表示素子と偏光板との間に、位相差板が挿入されてよい。この液晶表示装置の各層間には必要に応じて接着剤層が設けられてよい。
上記自発光型画像表示装置であるPDPは、表面ガラス基板と当該表面ガラス基板に対向して間に放電ガスが封入されて配置された背面ガラス基板とを備えてなるものである。本発明の画像表示装置がPDPである場合、上記表面ガラス基板の表面、又はその前面板(ガラス基板又はフィルム基板)に上述した光学積層体を備えるものでもある。
上記自発光型画像表示装置は、電圧をかけると発光する硫化亜鉛、ジアミン類物質:発光体をガラス基板に蒸着し、基板にかける電圧を制御して表示を行うELD装置、又は、電気信号を光に変換し、人間の目に見える像を発生させるCRTなどの画像表示装置であってもよい。この場合、上記のような各表示装置の最表面又はその前面板の表面に上述した光学積層体を備えるものである。
本発明の光学積層体は、いずれの場合も、テレビジョン、コンピュータ、ワードプロセッサなどのディスプレイ表示に使用することができる。特に、CRT、液晶パネル、PDP、ELDなどの高精細画像用ディスプレイの表面に好適に使用することができる。
本発明の光学積層体は、上述した構成からなる機能層を有するものであるため、良好な防汚性を保ちつつ、防汚剤のブリードアウトを防止し、ロール状に巻き取った場合であっても裏移りが生じることがない。
上から順に、ハードコート層として機能する機能層1、光透過性基材2を備えてなる光学積層体である。 上から順に、低屈折率層として機能する機能層3、ハードコート層4、光透過性基材5を備えてなる光学積層体である。
以下に実施例及び比較例を示し、本発明の特徴をより具体的に説明する。ただし、本発明の範囲は、実施例に限定されない。
(製造例1)機能層形成用組成物1(ハードコート機能膜形成組成物)の調製
下記成分を均一に溶解させて機能層形成用組成物1を調製した。各成分を混合した際に、白化や、大幅な増粘は確認されなかった。
ウレタンアクリレート(UV1700B;日本合成社製) 5重量部
ポリエステルアクリレート(M9050;東亞合成社製) 5重量部
重合開始剤(イルガキュア369;チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)
0.5重量部
フッ素系防汚剤(オプツールDAC;ダイキン工業社製)固形分 0.03重量部
溶剤(ハイドロフルオロエーテル、住友スリーエム社製) 10重量部
(製造例2)機能層形成用組成物2(製造例1の比較例組成物)の調製
製造例1記載の組成中の溶剤を、同量のメチルイソブチルケトンに変えた他は、製造例1と同様に均一に溶解させて機能層形成用組成物2を調製した。各成分を混合した際に、白濁を確認したが、大幅な増粘は確認されなかった。
(製造例3)機能層形成用組成物3の調製
製造例1記載の組成中の防汚剤を、0.008質量部(固形分に対し0.08%添加量)のオプツールDAC(ダイキン工業社製)に変えた他は、製造例1と同様に均一に溶解させて機能層形成用組成物3を調製した。各成分を混合した際に、白化や、大幅な増粘は確認されなかった。
(製造例4)機能層形成用組成物4の調製
製造例1記載の組成中の防汚剤を、0.7質量部(固形分に対し6.7%添加量)のオプツールDAC(ダイキン工業社製)に変えた他は、製造例1と同様に均一に溶解させて機能層形成用組成物4を調製した。各成分を混合した際に、白化や、大幅な増粘は確認されなかった。
(製造例5)機能層用組成物5(低反射率機能層形成組成物)の調製
処理シリカゾル含有溶液(シリカゾル固形分20重量%「空隙を有する微粒子、溶液;メチルイソブチルケトン 14.3重量部
ペンタエリスリトールトリアクリレート(PETA) 1.95重量部
重合開始剤(イルガキュア127;チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)
0.1重量部
フッ素系防汚剤(オプツールDAC;ダイキン工業社製、固形分) 0.07重量部
溶剤(ハイドロフルオロエーテル;住友スリーエム社製) 83重量部
(製造例6)機能層用組成物6(ハードコート機能膜形成組成物2)の調製
ウレタンアクリレート(UV1700B;日本合成社製) 5重量部
ポリエステルアクリレート(M9050;東亞合成社製) 5重量部
重合開始剤(イルガキュア369;チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)
0.5重量部
溶剤(メチルイソブチルケトン、東京化成工業社製) 10重量部
(製造例7)機能層用組成物7(ハードコート機能膜形成組成物3)の調製
ウレタンアクリレート(UV1700B;日本合成社製) 5重量部
ポリエステルアクリレート(M9050;東亞合成社製) 5重量部
重合開始剤(イルガキュア369;チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)
0.5重量部
シリコーン系防汚剤(BYK−377;ビックケミー社製)固形分 0.05重量部
溶剤(ハイドロフルオロエーテル、住友スリーエム社製) 10重量部
(実施例1)
光透過性基材(富士写真フィルム社製、商品名「TF80UL」、トリアセチルセルロース樹脂フィルム、厚み80μm)を準備し、フィルムの片面に、機能層形成用組成物1をバーコーティングにより塗布し、厚さ約4μmの塗膜を形成した。
次に、形成した塗膜を、前述の通り、50℃の無風加温状態のオーブンにおいて、1分間加温させることで、乾燥させた。
その後、紫外線を積算光量が200mJ/cmになるように照射して塗膜を硬化させて、厚み4μm(乾燥時)の機能層1を成膜し、光学積層体1を作製した。上記光学積層体1の層構成は、TAC基材/機能層1である。
(実施例2)
機能層形成用組成物1に代えて、機能層形成用組成物6を用い、積算露光量を50mJ/cm2に変え、乾燥条件を、50℃の送風オーブン(内部ファンによりオーブン内に熱風を循環させている状態)中にて行った他は実施例1と同様にしてTAC/機能層6を形成した。その後、機能層6上に、機能層形成用組成物5をバーコートにて積層させ、50℃の無風加温状態のオーブンにおいて、1分間加温させることで、乾燥させた。更に、紫外線を積算光量が180mJ/cmになるように照射して塗膜を硬化させて、厚み約100nm(乾燥時)の機能層2を積層し、光学積層体2を作製した。上記光学積層体2の層構成は、TAC基材/機能層6/機能層5である。
(実施例3)
機能層形成用組成物1に代えて、機能層形成用組成物7を用いた以外は、実施例1と同様にして機能層7を形成し、光学積層体3を作製した。上記光学積層体3の層構成は、TAC基材/機能層7である。
(比較例1)
機能層形成用組成物1に代えて、機能層形成用組成物2を用いた以外は、実施例1と同様にして機能層2を形成し、光学積層体4を作製した。上記光学積層体4の層構成は、TAC基材/機能層2である。
(比較例2)
機能層形成用組成物1に代えて、機能層形成用組成物3を用いた以外は、実施例1と同様にして機能層3を形成し、光学積層体5を作製した。上記光学積層体5の層構成は、TAC基材/機能層3である。
(比較例3)
機能層形成用組成物1に代えて、機能層形成用組成物4を用いた以外は、実施例1と同様にして機能層4を形成し、光学積層体6を作製した。上記光学積層体6の層構成は、TAC基材/機能層4である。
(比較例4)
乾燥条件を、無風加温状態から、送風状態(内部ファンにより乾燥器内に熱風を循環させている状態)に変えた以外は、実施例1と同様にして機能層1’を形成し、光学積層体7を作製した。上記光学積層体7の層構成は、TAC基材/機能層1’である。
(評価)
得られた光学積層体について、機能層の光吸収強度比(A50/A100)、ブリードアウトの有無、塗布性、防汚性について、下記の方法にて評価した。結果を表1に示す。
(光吸収強度比)
実施例及び比較例で製造した光学積層体の機能層の光透過性基材が設けられた側の反対側面から100nmまでの防汚剤由来の光吸収係数(A100)と、該反対側面から50nmまでの防汚剤由来の光吸収係数(A50)とをシステムインスツルメンツ社製、SIS−50型光導波路分光光度計を用いて測定した。具体的な測定方法としては、積層体の光透過性基材と反対側の表面と、合成石英光導波路基板を、固定治具により空隙なく密着させたサンプルに対し、エバネッセント波しみ込み深さを、予め50nm、100nmになるよう角度調整した光学系にて、フッ素系防汚剤の場合は、フッ素基由来の1200cm−1における吸収強度、シリコーン系防汚剤の場合は、シリコーン由来の970cm−1を測定した。そして、これらの比(A50/A100)を算出した。
(ブリードアウト)
製造した光学積層体の表面に、光透過性基材(富士写真フィルム社製、商品名「TF80UL」、トリアセチルセルロース樹脂フィルム、厚み80μm)を合わせ、1kgの荷重を加え、80℃無風オーブン内にて2日間エージングさせた後、光透過性基材を剥がし、表面に防汚成分の移行(ブリード)があったかどうかを、KRATOS社製ESCA−3400型X線光電子分光分析装置により解析し、以下の評価基準により評価した。
○:防汚剤成分(フッ素またはシリコーン成分)の移行がない。
×:防汚剤成分(フッ素またはシリコーン成分)の移行がある。
(防汚性)
光学積層体の表面に、指紋を付着させた後、日本製紙クレシア製キムワイプ(登録商標)を、30往復させて拭き取り、拭き取り性(指紋の残り具合)を、目視にて下記の基準にて評価した。
○:指紋が残らない
×:指紋が残っている
Figure 2012177700
表1より、本発明の光学積層体は、良好な防汚性を保ちつつ、防汚剤のブリードアウトを防止できるものであり、よって、ロール状に巻き取った場合であっても裏移りの生じないことが示された。
本発明の光学積層体は、陰極線管表示装置(CRT)、液晶ディスプレイ(LCD)、プラズマディスプレイ(PDP)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)等に好適に適用することができる。
1、3 機能層
2、5 光透過性基材
4 ハードコート層

Claims (3)

  1. 光透過性基材と、防汚剤を含有する機能層とを有する光学積層体の前記光透過性基材と反対側の表面から100nmまでの領域における単位面積あたりの前記防汚剤由来の光吸収強度(A100)と、前記光透過性基材と反対側の表面から50nmまでの領域における単位面積あたりの前記防汚剤由来の光吸収強度(A50)とを光導波路分光光度計を用いて測定し、
    前記防汚剤由来の光吸収強度(A100)と(A50)との比(A50/A100)が、0.6〜0.9か否かを調べて、評価することを特徴とする光学積層体の防汚剤ブリードアウトの抑制状態の評価方法。
  2. 前記防汚剤由来の光吸収強度(A100)及び防汚剤由来の光吸収強度(A50)の測定は、光学積層体の光透過性基材と反対側の表面と、光導波路分光光度計の合成石英光導波路基板とを、固定治具により空隙なく密着させ、エバネッセント波しみ込み深さを、予め50nm、100nmになるよう角度調整した光学系にて行う請求項1記載の光学積層体の防汚剤ブリードアウトの抑制状態の評価方法。
  3. 防汚剤は、フッ素系防汚剤又はシリコーン系防汚剤であり、
    前記防汚剤がフッ素系防汚剤の場合は、フッ素基由来の1200cm−1における吸収強度(A100)及び(A50)を測定し、前記シリコーン系防汚剤の場合は、シリコーン由来の970cm−1における吸収強度(A100)及び(A50)を測定する請求項1又は2記載の光学積層体の防汚剤ブリードアウトの抑制状態の評価方法。
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