JP2012128064A - 反射防止フィルム、偏光板、及び画像表示装置 - Google Patents

反射防止フィルム、偏光板、及び画像表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明の目的は、反射防止フィルの良好な視認性を維持したまま、斑点状のムラ発生を改良し、更にハードコート層と反射防止層との層間密着の改良を図った反射防止フィルム、また、それが具備された偏光板、及び画像表示装置を提供することにある。
【解決手段】基材フィルム上にハードコート層及びハードコート層上に、直接または他の層を介して低屈折率層が積層された反射防止フィルムにおいて、該ハードコート層の算術平均粗さRaが2〜20nmの範囲内であり、かつ該算術平均粗さRaと凹凸の平均間隔Smとの比(Ra/Sm)が、5×10−5〜2×10−3の範囲内であることを特徴とする反射防止フィルム。
【選択図】なし

Description

本発明は、反射防止フィルム、偏光板、及び画像表示装置に関する。
近年、光学レンズ、プラズマディスプレイパネル(PDP)、陰極管表示装置(CRT)、コンピュータやワープロの液晶表示装置等の分野を中心に、透過率及びコントラストの向上、映り込み低減のために、表面反射を減少させる反射防止層を有した反射防止フィルムが提案されている。
反射防止層としては、光学干渉層として屈折率と光学膜厚が適当な値を有する層をいくつか積層することにより、積層体と空気界面における光反射を減少させることが有効である。光学干渉層としては、低屈折率層が少なくとも設けられている。
また、反射防止フィルムは、機械強度を付与するために、フィルム基材上に中間層としてハードコート層を形成し、ハードコート性が付与された反射防止フィルムが一般的である。
中間層のハードコート層は、反射防止効果を損なわず、優れた視認性を得るために、高い透明性や平滑性が要求される。
また、ハードコート性を有した反射防止フィルムは、生産性や取り扱い性の観点から、ハードコート層を塗布した後、ロール状に巻き取られ後、ロール状態から繰り出して、ハードコート層に反射防止層が塗設されるのが一般的である。
また、ハードコート層を形成したロール状のフィルムは、生産効率の観点から、ロール状態で数日〜数十日間保管される場合がある。
しかしながら、例えば、夏季のような高温、高湿の時期を想定して、ロール状のハードコート層を形成したフィルムを保管しておくと、面同士がくっつき(ブロッキングが発生)、ハードコート層表面にキズ等をつける問題やブロッキングしたハードコート層上に反射防止層を塗設して、反射防止フィルムを形成した場合、斑点状のムラが発生するといった問題があった。これらによって商品価値の低下を招いており、早急な解決が望まれていた。
ブロッキング防止として、例えば特許文献1に、第1成分と第2成分とを含む樹脂組成物を塗布し、第1成分の樹脂を相分離により析出させ、フィルムの表面に微細な凹凸を形成することにより耐ブロッキング性を得ることが開示されている。しかし、この技術では、第1成分の樹脂の相分離を制御することが難しく、微細な凹凸を安定して形成することが困難であった。また、高温、高湿の時期を想定したような耐久性試験後のブロッキング防止効果は不十分であり、相分離層上に反射防止層を形成すると斑点状のムラが発生した。また相分離により微細な凹凸を形成しているため、添加できる素材が限定され、相分離した層上に反射防止層をもうけたところ、反射防止層と相分離層との密着性が得られない問題も有った。
特開2010−163535号公報
本発明は、上記問題・状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、反射防止フィルの良好な視認性を維持したまま、斑点状のムラ発生を改良し、更にハードコート層と反射防止層との層間密着の改良を図った反射防止フィルム、また、それが具備された偏光板、及び画像表示装置を提供することにある。
本発明の上記目的は以下の構成により達成される。
1.基材フィルム上にハードコート層及びハードコート層上に、直接または他の層を介して低屈折率層が積層された反射防止フィルムにおいて、該ハードコート層の算術平均粗さRaが2〜20nmの範囲内であり、かつ該算術平均粗さRaと凹凸の平均間隔Smとの比(Ra/Sm)が、5×10−5〜2×10−3の範囲内であることを特徴とする反射防止フィルム。
2.前記ハードコート層の算術平均粗さRaが4〜20nmの範囲内であることを特徴とする前記1に記載の反射防止フィルム。
3.前記ハードコート層が突起を有し、かつ該突起の形状が長手方向に周期を持たない不規則な形状であることを特徴とする前記1または2に記載の反射防止フィルム。
4.前記ハードコート層が活性線硬化型樹脂を含有し、かつ当該活性線硬化型樹脂の粘度が、20〜2000mPa・sの範囲内であることを特徴とする前記1〜3までのいずれか1項に記載の反射防止フィルム。
5.前記1〜4のいずれか1項に記載の反射防止フィルムを一方の面に用いたことを特徴とする偏光板。
6.前記1〜4のいずれか1項に記載の反射防止フィルムを含むことを特徴とする画像表示装置。
7.前記5に記載の偏光板を液晶セルの少なくとも一方の面に備える液晶表示装置であることを特徴とする前記6に記載の画像表示装置。
8.前記画像表示装置がタッチパネルを含む液晶表示装置であることを特徴とする前記6または7に記載の画像表示装置。
本発明により、反射防止フィルの良好な視認性を維持したまま、斑点状のムラ発生を改良し、更にハードコート層と反射防止層との層間密着の改良を図った反射防止フィルム、また、それが具備された偏光板、及び画像表示装置を提供することができる。
本発明に係る突起形状の模式図である。 本発明に係る突起形状の説明図である。 導電性ハードコートフィルムの模式図である。 抵抗膜方式タッチパネルの概略図である。 実施例の光学フィルム1のハードコート層1表面を光学干渉式表面粗さ計で観察したものである。 偏光板の模式図である。
以下本発明を実施するための形態について詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討の結果、ハードコート層の算術平均粗さRaと平均間隔Smとの比(Ra/Sm)の比率と、ハードコート層の算術平均粗さRaを特定範囲にコントロールできる条件でハードコート層を塗設することで、安定してハードコート層表面に凹凸を形成でき、これによって、ハードコート層を形成したフィルムをロール状に巻き取り、高温、高湿状態で保管しておいてもブロッキングせず、ハードコート層上に反射防止層を設けても斑点状のムラが発生しない。また、ハードコート層表面の凹凸は微細な構造のため、ハードコート層の透明性や平滑性にも影響しない。このため、該ハードコート層に反射防止層を設けても反射防止フィルムの反射防止効果を損なわず、高い視認性が得られる。また、ハードコート層の表面に形成された、微細凹凸と反射防止層がアンカー効果の作用と推定する効果で、密着性が良好になることを見出し、本発明を成すに至った次第である。
以下、本発明を詳細に説明する。
<ハードコート層>
<ハードコート層の表面形状>
本発明の反射防止フィルムの一つの特徴であるハードコート層について説明する。
ハードコート層の算術平均粗さRaは2〜20nmの範囲内であり、かつ当該算術平均粗さRaと凹凸の平均間隔Smとの比(Ra/Sm)との比が、5×10−5〜2×10−3の範囲内であることを特徴とする。算術平均粗さRaは、JIS B0601:1994の規定に基づいて、非接触表面形状測定機(ZYGO社製 New View5030)で測定した値である。算術平均粗さRaは2〜20nmであり、本発明の目的効果から、より好ましくは4〜20nmである。また、凹凸の平均間隔Smも算術平均粗さRaと同様に、JIS B0601:1994の規定に基づいて、非接触表面形状測定(ZYGO社製New View5030)で測定した値である。Smは3〜80μmが好ましく、より好ましくは5〜70μmである。
上記のように測定した算術平均粗さRaと凹凸の平均間隔Smの比(Ra/Sm)を5×10−5〜2×10−3の範囲にコントロールすることで、本発明の目的効果が良好に発揮される。本発明に係るハードコート層は、上記範囲の算術平均粗さRa(以下、単に「Ra」ともいう。)とするため、ハードコート層に突起を有することが好ましい。突起形状の高さは、1nm〜1μm、好ましくは10nm〜0.5μmである。また幅は、50nm〜100μm、好ましくは、50nm〜50μmである。
また、突起の形状は、長手方向に周期を持たない不規則な形状であることが、フィルム同士が重なり有った場合でも突起形状が重なり合うことなく、ブロッキング防止の効果が良好に得られ、本発明の目的効果も良好に得られるため好ましい。「長手方向に周期を持たない不規則な突起形状」とは、表面凹凸がフィルムの幅手方向にも形や大きさが定まらない不規則な形状である。このため、例えば5cm程度の直径を持つロール形状で長手方向に凹凸構造を形成した場合に、15cm程度の周期を有するような表面転写ロールにより形成された長手方向に周期を持つ突起形状は含まれない。
具体的には、図1のハードコート層1の突起形状2のような凸形状が、不規則に配列されている。また、「不規則」とは、ランダム間隔で不規則に突起形状が配置され、等方的であっても、異方的であってもよいことをさす。
突起形状の高さ及び幅は、断面観察から求めることができる。具体的には図2に示されているように、断面観察の画像に中心線aを引き、山の麓を形成する線をb、cとして、中心線aと前記b、cとの2つの交点の距離から突起サイズ幅tを求めることができる。また、山頂と中心線aまでの距離を突起サイズの高さhとして求めることが出来る。
また、ハードコート層の突起数は、500〜200000個/mmが好ましい。具体的には下記の方法で測定できる。
突起数の測定は、ハードコート層を非接触表面形状測定機(ZYGO社製 New View5030)で測定し、この測定面積(100μm×100μm角)内の突起数を画像から読みとった。この一連の測定を10回行い、10回の平均値からハードコートフィルムのハードコート層の突起数を求めることができる。なお、突起数としては粗さ曲線の平均線から3nm以上の高さの突起をカウントするものとする。
突起形状を形成させる方法としては、微粒子を添加する方法、鋳型を押し当てて表面に突起を形成させる方法、ハードコート層塗布組成物の乾燥工程における減率乾燥区間の処理温度を高温条件に制御する方法などが挙げられる。
本発明では、突起形状を形成する方法としては、ハードコート層塗布組成物の乾燥工程における減率乾燥区間の処理温度を高温条件に制御する方法を用いることが、生産性、再現性の観点から好ましい。減率乾燥区間を高温状態で制御することで樹脂塗膜中に対流が生じ、不均一な表面状態となり、この不均一な表面状態のまま硬化し、塗膜が形成されるため、ハードコート層に表面凹凸が形成されるものと考えている。
<ハードコート層の構成成分>
本発明に係るハードコート層は、活性線硬化樹脂を含有し、紫外線や電子線のような活性線(活性エネルギー線ともいう)照射により、架橋反応を経て硬化する樹脂を主たる成分とする層であることが好ましい。活性線硬化樹脂としては、エチレン性不飽和二重結合を有するモノマーを含む成分が好ましく用いられ、紫外線や電子線のような活性線を照射することによって硬化させて活性線硬化樹脂層が形成される。活性線硬化樹脂としては紫外線硬化性樹脂や電子線硬化性樹脂等が代表的なものとして挙げられるが、紫外線照射によって硬化する樹脂が機械的膜強度(耐擦傷性、鉛筆硬度)に優れる点から好ましい。紫外線硬化性樹脂としては、例えば、紫外線硬化型ウレタンアクリレート系樹脂、紫外線硬化型ポリエステルアクリレート系樹脂、紫外線硬化型エポキシアクリレート系樹脂、紫外線硬化型ポリオールアクリレート系樹脂、又は紫外線硬化型エポキシ樹脂等が好ましく用いられる。中でも紫外線硬化型アクリレート系樹脂が好ましい。
紫外線硬化型アクリレート系樹脂としては、多官能アクリレートが好ましい。該多官能アクリレートとしては、ペンタエリスリトール多官能アクリレート、ジペンタエリスリトール多官能アクリレート、ペンタエリスリトール多官能メタクリレート、及びジペンタエリスリトール多官能メタクリレートよりなる群から選ばれることが好ましい。ここで、多官能アクリレートとは、分子中に2個以上のアクリロイルオキシ基又はメタクロイルオキシ基を有する化合物である。多官能アクリレートのモノマーとしては、例えばエチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、テトラメチロールメタントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、ペンタグリセロールトリアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、グリセリントリアクリレート、ジペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、トリス(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート、テトラメチロールメタントリメタクリレート、テトラメチロールメタンテトラメタクリレート、ペンタグリセロールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、グリセリントリメタクリレート、ジペンタエリスリトールトリメタクリレート、ジペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールペンタメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、等が好ましく挙げられる。これらの化合物は、それぞれ単独又は二種以上を混合して用いられる。また、上記モノマーの2量体、3量体等のオリゴマーであってもよい。
また、本発明に係るハードコート層は、単官能アクリレート含有しても良い。単官能アクリレートを用いる場合には、多官能アクリレートと単官能アクリレートの含有質量比で、多官能アクリレート:単官能アクリレート=80:20〜99:2が好ましい。
単官能アクリレートとしては、イソボルニルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、イソステアリルアクリレート、ベンジルアクリレート、エチルカルビトールアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、ラウリルアクリレート、イソオクチルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、ベヘニルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、シクロヘキシルアクリレートなどが挙げられる。単官能アクリレートとしては、新中村化学工業株式会社や大阪有機化学工業株式会社等から入手できる。本発明は、上記した多官能アクリレートや単官能アクリレート以外の活性線硬化樹脂を単独又は二種以上混合してもよい。単独又は二種以上混合した活性線硬化樹脂の25℃における粘度が、20mPa・s以上、2000mPa・s以下が好ましい。このような低粘度の樹脂を用いることで、乾燥工程において樹脂組成物の十分な流動性が得られるため、ハードコート層に突起形状を形成しやすい。また、20mPa・s以上の粘度の活性線硬化樹脂であれば、十分な硬化性が得られ、3000mPa・s以下の粘度の活性線硬化樹脂であれば、乾燥工程において樹脂組成物の十分な流動性が得られるために、ハードコート層表面に凹凸形状を形成しやすい。上記粘度は、B型粘度計を用いて25℃の条件にて測定した値である。低粘度樹脂としては、グリセリントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレートなどを挙げることができる。
このような低粘度の樹脂を用いることで、乾燥工程において樹脂組成物の十分な流動性が得られるため、ハードコート層に突起形状を形成しやすい。なお、上記粘度は、B型粘度計を用いて25℃の条件にて測定した値である。
ハードコート層には活性線硬化樹脂の硬化促進のため、光重合開始剤を含有することが好ましい。光重合開始剤量としては、質量比で、光重合開始剤:活性線硬化樹脂=20:100〜0.01:100で含有することが好ましい。
光重合開始剤としては、具体的には、アセトフェノン、ベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、ミヒラーケトン、α−アミロキシムエステル、チオキサントン等及び、これらの誘導体を挙げることができるが、特にこれらに限定されるものではない。
本発明に係るハードコート層は、無機化合物または有機化合物の微粒子を含んでも良い。
無機微粒子としては、酸化珪素、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化スズ、酸化インジウム、ITO、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、タルク、クレイ、焼成カオリン、焼成ケイ酸カルシウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウムおよびリン酸カルシウムを挙げることができる。特に、酸化珪素、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム等が好ましく用いられる。
これら無機微粒子は、ハードコート層の透明性を維持しつつ耐擦傷性が向上することから、表面の一部に反応性官能基を有する有機成分が被覆されたものが好ましい。表面の一部に反応性官能基を有する有機成分を被覆する方法としては、例えば、金属酸化物微粒子の表面に存在する水酸基にシランカップリング剤等の有機成分を含む化合物が反応して、表面の一部に有機成分が結合した態様、金属酸化物微粒子の表面に存在する水酸基に水素結合等の相互作用により有機成分を付着させた態様や、ポリマー粒子中に1個又は2個以上の無機微粒子を含有する態様などが挙げられる。
有機粒子としては、ポリメタアクリル酸メチルアクリレート樹脂粉末、アクリルスチレン系樹脂粉末、ポリメチルメタクリレート樹脂粉末、シリコン系樹脂粉末、ポリスチレン系樹脂粉末、ポリカーボネート樹脂粉末、ベンゾグアナミン系樹脂粉末、メラミン系樹脂粉末、ポリオレフィン系樹脂粉末、ポリエステル系樹脂粉末、ポリアミド系樹脂粉末、ポリイミド系樹脂粉末、またはポリ弗化エチレン系樹脂粉末等を添加することができる。
好ましい微粒子は、架橋ポリスチレン粒子(例えば、綜研化学製SX−130H、SX−200H、SX−350H)、ポリメチルメタクリレート系粒子(例えば、綜研化学製MX150、MX300)、フッ素含有アクリル樹脂微粒子が挙げられる。フッ素含有アクリル樹脂微粒子としては、例えば日本ペイント製:FS−701等の市販品が挙げられる。また、アクリル粒子として、例えば日本ペイント製:S−4000、アクリル−スチレン粒子として、例えば日本ペイント製:S−1200、MG−251等が挙げられる。
これら微粒子の平均粒子径は特に制限されないが、0.01〜5μmが好ましく、更には、0.01〜1.0μmであることが特に好ましい。また、粒径の異なる2種以上の微粒子を含有しても良い。微粒子の平均粒子径は、例えばレーザー回折式粒度分布測定装置により測定することができる。
紫外線硬化樹脂組成物と微粒子の割合は、樹脂組成物100質量部に対して、10〜400質量部となるように配合することが望ましく、更に望ましくは、50〜200質量部である。
また本発明に係るハードコート層は、基材フィルムを膨潤又は一部溶解をする溶剤で希釈したハードコート層塗布組成物を、以下の方法で基材フィルム上に塗布、乾燥、硬化して設けることが、ハードコート層に突起形状が得られやすい点から好ましい。基材フィルムを膨潤又は一部溶解する溶剤としては、ケトン及び/又は酢酸エステルを含む溶剤が好ましい。また、塗布量はウェット膜厚として0.1〜40μmが適当で、好ましくは、0.5〜30μmである。また、ドライ膜厚としては平均膜厚0.1〜30μm、好ましくは1〜20μm、特に好ましくは4〜15μmである。
ハードコート層は、グラビアコーター、ディップコーター、リバースコーター、ワイヤーバーコーター、ダイコーター、インクジェット法等公知の塗布方法を用いて、ハードコート層を形成するハードコート塗布組成物(以下、ハードコート層組成物とも言う)を塗布後、乾燥し、UV硬化処理、更に必要に応じて、UV硬化後に加熱処理することで形成できる。乾燥は、減率乾燥区間において95℃以上の高温処理を行うことが好ましい。特に好ましくは、減率乾燥区間の温度は95℃〜120℃の範囲である。該範囲で減率乾燥区間の温度を制御することで、ハードコート層の算術平均粗さRaが、本発明の範囲に制御しやすく、本発明の目的効果が良好に発揮される。減率乾燥区間を高温処理とすることで、積極的に樹脂塗膜中で対流を生じさせ、その結果ハードコート層表面に突起形状を形成させるものと推察される。
一般に乾燥プロセスは、乾燥が始まると、乾燥速度が一定の状態から徐々に減少する状態へと変化していくことが知られており、乾燥速度が一定の区間を恒率乾燥区間、乾燥速度が減少していく区間を減率乾燥区間と呼ぶ。恒率乾燥区間においては流入する熱量はすべて塗膜表面の溶媒蒸発に費やされており、塗膜表面の溶媒が少なくなると蒸発面が表面から内部に移動して減率乾燥区間に入る。これ以降は塗膜表面の温度が上昇し熱風温度に近づいていくため、紫外線硬化型樹脂組成物の温度が上昇し、樹脂粘度が低下して流動性が増すと考えられる。
UV硬化処理の光源としては、紫外線を発生する光源であれば制限なく使用できる。例えば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ等を用いることができる。
照射条件はそれぞれのランプによって異なるが、活性線の照射量は、通常50〜1000mJ/cm、好ましくは50〜500mJ/cmである。
また、活性線を照射する際には、フィルムの搬送方向に張力を付与しながら行うことが好ましく、更に好ましくは幅方向にも張力を付与しながら行うことである。付与する張力は30〜300N/mが好ましい。張力を付与する方法は特に限定されず、バックロール上で搬送方向に張力を付与してもよく、テンターにて幅方向、又は二軸方向に張力を付与してもよい。これによって更に平面性の優れたフィルムを得ることができる。
ハードコート層には、帯電防止性を付与するために導電剤を含んでも良く、好ましい導電剤としては、金属酸化物粒子又はπ共役系導電性ポリマーが挙げられる。また、イオン液体も導電性化合物として好ましく用いられる。また、ハードコート層には、塗布性の観点から、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、アクリル系界面活性剤、ポリオキシエーテル等の非イオン性界面活性剤、アニオン界面活性剤、又はフッ素−シロキサングラフトポリマーを含有しても良い。フッ素−シロキサングラフトポリマーとは、少なくともフッ素系樹脂に、シロキサン及び/又はオルガノシロキサン単体を含むポリシロキサン及び/又はオルガノポリシロキサンをグラフト化させて得られる共重合体のポリマーをいう。市販品としては、富士化成工業株式会社製のZX−022H、ZX−007C、ZX−049、ZX−047−D等を挙げることができる。シリコーン系界面活性剤は、シリコーンオイルのメチル基の一部を親水性基に置換した界面活性剤である。親水性基としては、ポリエーテル、ポリグリセリン、ピロリドン、ベタイン、硫酸塩、リン酸塩、4級塩等がある。シリコーン界面活性剤の具体的商品として、例えば、SH200、BY16−873、PRX413(ジメチルシリコーンオイル;東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)社製)、SH203、SH230、SF8416(アルキル変性シリコーンオイル;東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)社製)、SF8417、BY16−208、BY16−209、BY16−849、BY16−872、FZ−2222、FZ−2207(ジメチルポリシロキサン・ポリエチレンオキサイド直鎖状ブロックコポリマー;日本ユニカー(株)製のFZシリーズ)、KF−101、KF−102,KF−105(エポキシ変性シリコーンオイル;信越化学工業社製)、BYK−UV3500,BYK−UV3510、BYK−333、BYK−331、BYK−337(ポリエーテル変性シリコーンオイル、ビックケミ−ジャパン社製)等が挙げられるがこれらに限定されない。また、アクリル系界面活性剤としては、具体的にはアクリル系共重合物が好ましく用いられ、市販品としては例えば、BYK−350、BYK−352(ビックケミ−ジャパン社製)やZX−058−A(富士化成工業社製)等が挙げられるが、これらには限定されない。またこれら成分は、塗布液中の固形分成分に対し、0.01〜5質量%の範囲で添加することが好ましい。
ハードコート層は一層でも複数の層でもよい。ハードコート層のハードコート性、ヘイズ、算術表面粗さRaを制御し易くするために、二層以上に分割して設けても良い。
二層以上設ける場合の最上層の膜厚は、0.05〜2μmの範囲であることが好ましい。二層以上の積層は同時重層で形成しても良い。同時重層とは、乾燥工程を経ずに基材上に二層以上のハードコート層をwet on wetで塗布して、ハードコート層を形成することである。第1ハードコート層の上に乾燥工程を経ずに、第2ハードコート層をwet on wetで積層するには、押し出しコーターにより逐次重層するか、若しくは複数のスリットを有するスロットダイにて同時重層を行えばよい。
また、ハードコート層を形成した状態でのフィルムのヘイズ値は、クリア性から2%以下が好ましく、より好ましくは1%以下である。また、ハードコート層を形成したフィルムのヘイズ値(Hh)と基材フィルムのヘイズ値(Hf)との差の絶対値|Hh−Hf|を1%以下とすることが、大型化された液晶表示装置やデジタルサイネージ等の屋外で用いられる際の、十分な輝度や高いコントラストが得られやすい点から好ましい。また、ヘイズはJIS−K7105及びJIS−K7136に準じて測定することができる。
ハードコート層のヘイズ値を制御するには、ハードコート層を構成する樹脂、添加剤の種類や量、ハードコート層塗布組成物の樹脂や溶剤の含有質量比の調整、また乾燥工程の減率乾燥区間の処理温度条件で達成できる。また、ハードコート層の算術平均粗さRaも表面ヘイズとしてヘイズ値に影響するため、上記突起の形状、数などを制御することが有効である。
<反射防止層>
本発明の反射防止フィルムは、ハードコート層上に直接又は他の層を介して低屈折率層を有することを一つの特徴としている。低屈折率層からなる反射防止層は、低屈折率層のみの単層構成でもよいが、多層でも良い。具体的には、支持体よりも屈折率の高い高屈折率層と、支持体よりも屈折率の低い低屈折率層を組み合わせて構成したりできる。また、支持体側から屈折率の異なる3層を、中屈折率層(支持体又はハードコート層よりも屈折率が高く、高屈折率層よりも屈折率の低い層)/高屈折率層/低屈折率層の順に積層されても良い。更に、2層以上の高屈折率層と2層以上の低屈折率層とを交互に積層した4層以上の層構成の反射防止層も好ましく用いられる。反射防止層の好ましい層構成の例を下記に示す。ここで/は積層配置されていることを示している。
基材フィルム/ハードコート層/低屈折率層
基材フィルム/ハードコート層/高屈折率層/低屈折率層
基材フィルム/ハードコート層/中屈折率層/高屈折率層/低屈折率層
汚れや指紋のふき取りが容易となるように、最表面の低屈折率層の上に、更に防汚層を設けることもできる。防汚層としては、含フッ素有機化合物が好ましく用いられる。
光学干渉により反射率を低減できるものであれば、特にこれらの層構成のみに限定されるものではない。また、上記層構成では、適宜中間層を設けてもよく、例えば導電性ポリマー微粒子(例えば架橋カチオン微粒子)又は金属酸化物微粒子(例えば、SnO、ITO等)を含む帯電防止層等は好ましい。
〈低屈折率層〉
低屈折率層では、基材フィルムの屈折率より低い層を形成し、該屈折率は23℃、波長550nm測定で、屈折率が1.30〜1.45の範囲であることが好ましい。
また、低屈折率層の膜厚は、特に限定されるものではないが、5nm〜0.5μmであることが好ましく、10nm〜0.3μmであることが更に好ましく、30nm〜0.2μmであることが最も好ましい。また、低屈折率層は、中空球状シリカ系微粒子を用いることが屈折率調整や機械強度の点から好ましい。
(中空球状シリカ系微粒子)
中空球状微粒子は、(I)多孔質粒子と該多孔質粒子表面に設けられた被覆層とからなる複合粒子、又は(II)内部に空洞を有し、かつ内容物が溶媒、気体又は多孔質物質で充填された空洞粒子である。なお、低屈折率層には(I)複合粒子又は(II)空洞粒子のいずれかが含まれていればよく、また双方が含まれていてもよい。
なお、空洞粒子は内部に空洞を有する粒子であり、空洞は粒子壁で囲まれている。空洞内には、調製時に使用した溶媒、気体又は多孔質物質等の内容物で充填されている。このような中空球状微粒子の平均粒子径が5〜300nm、好ましくは10〜200nmの範囲にあることが望ましい。使用される中空球状微粒子は、形成される透明被膜の厚さに応じて適宜選択され、形成される低屈折率層等の透明被膜の膜厚の2/3〜1/10の範囲にあることが望ましい。これらの中空球状微粒子は、低屈折率層の形成のため、適当な媒体に分散した状態で使用することが好ましい。分散媒としては、水、アルコール(例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール)及びケトン(例えば、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン)、ケトンアルコール(例えばジアセトンアルコール)が好ましい。
複合粒子の被覆層の厚さ又は空洞粒子の粒子壁の厚さは、1〜20nm、好ましくは2〜15nmの範囲にあることが望ましい。複合粒子の場合、被覆層の厚さが1nm未満の場合は、粒子を完全に被覆することができないことがあり、後述する塗布液成分である重合度の低いケイ酸モノマー、オリゴマー等が容易に複合粒子の内部に進入して内部の多孔性が減少し、低屈折率の効果が十分得られないことがある。また、被覆層の厚さが20nmを越えると、前記ケイ酸モノマー、オリゴマーが内部に進入することはないが、複合粒子の多孔性(細孔容積)が低下し低屈折率の効果が十分得られなくなることがある。また空洞粒子の場合、粒子壁の厚さが1nm未満の場合は、粒子形状を維持出来ないことがあり、また厚さが20nmを越えても、低屈折率の効果が十分に現れないことがある。
複合粒子の被覆層又は空洞粒子の粒子壁は、シリカを主成分とすることが好ましい。また、シリカ以外の成分が含まれていてもよく、具体的には、Al、B、TiO、ZrO、SnO、CeO、P、Sb、MoO、ZnO、WO等が挙げられる。複合粒子を構成する多孔質粒子としては、シリカからなるもの、シリカとシリカ以外の無機化合物とからなるもの、CaF、NaF、NaAlF、MgF等からなるものが挙げられる。このうち特にシリカとシリカ以外の無機化合物との複合酸化物からなる多孔質粒子が好適である。シリカ以外の無機化合物としては、Al、B、TiO、ZrO、SnO、CeO、P、Sb、MoO、ZnO、WO等との一種又は二種以上を挙げることができる。このような多孔質粒子では、シリカをSiOで表し、シリカ以外の無機化合物を酸化物換算(MO)で表したときのモル比MO/SiOが、0.0001〜1.0、好ましくは0.001〜0.3の範囲にあることが望ましい。多孔質粒子のモル比MO/SiOが0.0001未満のものは得ることが困難であり、得られたとしても細孔容積が小さく、屈折率の低い粒子が得られない。また、多孔質粒子のモル比MO/SiOが、1.0を越えると、シリカの比率が少なくなるので、細孔容積が大きくなり、更に屈折率が低いものを得ることが難しいことがある。このような多孔質粒子の細孔容積は、0.1〜1.5ml/g、好ましくは0.2〜1.5ml/gの範囲であることが望ましい。細孔容積が0.1ml/g未満では、十分に屈折率の低下した粒子が得られず、1.5ml/gを越えると微粒子の強度が低下し、得られる被膜の強度が低下することがある。なお、このような多孔質粒子の細孔容積は水銀圧入法によって求めることができる。このような中空球状微粒子は、以下の第1〜第3工程から製造できる。
第1工程:多孔質粒子前駆体の調製
第1工程では、予め、シリカ原料とシリカ以外の無機化合物原料のアルカリ水溶液を個別に調製するか、又は、シリカ原料とシリカ以外の無機化合物原料との混合水溶液を調製しておき、この水溶液を目的とする複合酸化物の複合割合に応じて、pH10以上のアルカリ水溶液中に攪拌しながら徐々に添加して多孔質粒子前駆体を調製する。
シリカ原料としては、アルカリ金属、アンモニウム又は有機塩基のケイ酸塩を用いる。アルカリ金属のケイ酸塩としては、ケイ酸ナトリウム(水ガラス)やケイ酸カリウムが用いられる。有機塩基としては、テトラエチルアンモニウム塩等の第4級アンモニウム塩、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアミン類を挙げることができる。なお、アンモニウムのケイ酸塩又は有機塩基のケイ酸塩には、ケイ酸液にアンモニア、第4級アンモニウム水酸化物、アミン化合物等を添加したアルカリ性溶液も含まれる。
また、シリカ以外の無機化合物の原料としては、アルカリ可溶の無機化合物が用いられる。具体的には、Al、B、Ti、Zr、Sn、Ce、P、Sb、Mo、Zn、W等から選ばれる元素のオキソ酸、該オキソ酸のアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、第4級アンモニウム塩を挙げることができる。より具体的には、アルミン酸ナトリウム、四硼酸ナトリウム、炭酸ジルコニルアンモニウム、アンチモン酸カリウム、錫酸カリウム、アルミノケイ酸ナトリウム、モリブデン酸ナトリウム、硝酸セリウムアンモニウム、燐酸ナトリウムが適当である。
これらの水溶液の添加と同時に混合水溶液のpH値は変化するが、このpH値を所定の範囲に制御するような操作は特に必要ない。水溶液は、最終的に、無機酸化物の種類及びその混合割合によって定まるpH値となる。このときの水溶液の添加速度には特に制限はない。また、複合酸化物粒子の製造に際して、シード粒子の分散液を出発原料と使用することも可能である。当該シード粒子としては、特に制限はないが、SiO、Al、TiO又はZrO等の無機酸化物又はこれらの複合酸化物の微粒子が用いられ、通常、これらのゾルを用いることができる。更に前記の製造方法によって得られた多孔質粒子前駆体分散液をシード粒子分散液としてもよい。シード粒子分散液を使用する場合、シード粒子分散液のpHを10以上に調整した後、該シード粒子分散液中に前記化合物の水溶液を、上記したアルカリ水溶液中に攪拌しながら添加する。この場合も、必ずしも分散液のpH制御を行う必要はない。このようにしてシード粒子を用いると、調製する多孔質粒子の粒径コントロールが容易であり、粒度の揃ったものを得ることができる。
上記したシリカ原料及び無機化合物原料はアルカリ側で高い溶解度を有する。しかしながら、この溶解度の大きいpH領域で両者を混合すると、ケイ酸イオン及びアルミン酸イオン等のオキソ酸イオンの溶解度が低下し、これらの複合物が析出して微粒子に成長したり、又は、シード粒子上に析出して粒子成長が起る。従って、微粒子の析出、成長に際して、従来法のようなpH制御は必ずしも行う必要がない。
第1工程におけるシリカとシリカ以外の無機化合物との複合割合は、シリカに対する無機化合物を酸化物(MO)に換算し、MO/SiOのモル比が、0.05〜2.0、好ましくは0.2〜2.0の範囲内にあることが望ましい。この範囲内において、シリカの割合が少なくなる程、多孔質粒子の細孔容積が増大する。しかしながら、モル比が2.0を越えても、多孔質粒子の細孔の容積はほとんど増加しない。他方、モル比が0.05未満の場合は、細孔容積が小さくなる。空洞粒子を調製する場合、MO/SiOのモル比は、0.25〜2.0の範囲内にあることが望ましい。
第2工程:多孔質粒子からのシリカ以外の無機化合物の除去
第2工程では、前記第1工程で得られた多孔質粒子前駆体から、シリカ以外の無機化合物(珪素と酸素以外の元素)の少なくとも一部を選択的に除去する。具体的な除去方法としては、多孔質粒子前駆体中の無機化合物を鉱酸や有機酸を用いて溶解除去したり、又は、陽イオン交換樹脂と接触させてイオン交換除去する。
なお、第1工程で得られる多孔質粒子前駆体は、珪素と無機化合物構成元素が酸素を介して結合した網目構造の粒子である。このように多孔質粒子前駆体から無機化合物(珪素と酸素以外の元素)を除去することにより、一層多孔質で細孔容積の大きい多孔質粒子が得られる。また、多孔質粒子前駆体から無機酸化物(珪素と酸素以外の元素)を除去する量を多くすれば、空洞粒子を調製することができる。
また、多孔質粒子前駆体からシリカ以外の無機化合物を除去するに先立って、第1工程で得られる多孔質粒子前駆体分散液に、シリカのアルカリ金属塩を脱アルカリして得られる、フッ素置換アルキル基含有シラン化合物を含有するケイ酸液又は加水分解性の有機珪素化合物を添加してシリカ保護膜を形成することが好ましい。シリカ保護膜の厚さは0.5〜15nmの厚さであればよい。なおシリカ保護膜を形成しても、この工程での保護膜は多孔質であり厚さが薄いので、前記したシリカ以外の無機化合物を、多孔質粒子前駆体から除去することは可能である。
このようなシリカ保護膜を形成することによって、粒子形状を保持したまま、前記したシリカ以外の無機化合物を、多孔質粒子前駆体から除去することができる。また、後述するシリカ被覆層を形成する際に、多孔質粒子の細孔が被覆層によって閉塞されてしまうことがなく、このため細孔容積を低下させることなく後述するシリカ被覆層を形成することができる。なお、除去する無機化合物の量が少ない場合は粒子が壊れることがないので必ずしも保護膜を形成する必要はない。
また、空洞粒子を調製する場合は、このシリカ保護膜を形成しておくことが望ましい。空洞粒子を調製する際には、無機化合物を除去すると、シリカ保護膜と、該シリカ保護膜内の溶媒、未溶解の多孔質固形分とからなる空洞粒子の前駆体が得られ、該空洞粒子の前駆体に後述の被覆層を形成すると、形成された被覆層が、粒子壁となり空洞粒子が形成される。
上記シリカ保護膜形成のために添加するシリカ源の量は、粒子形状を保持できる範囲で少ないことが好ましい。シリカ源の量が多過ぎると、シリカ保護膜が厚くなり過ぎるので、多孔質粒子前駆体からシリカ以外の無機化合物を除去することが困難となることがある。シリカ保護膜形成用に使用される加水分解性の有機珪素化合物としては、一般式RSi(OR′)4−n〔R、R′:アルキル基、アリール基、ビニル基、アクリル基等の炭化水素基、n=0、1、2又は3〕で表されるアルコキシシランを用いることができる。特に、フッ素置換したテトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン等のテトラアルコキシシランが好ましく用いられる。
添加方法としては、これらのアルコキシシラン、純水、及びアルコールの混合溶液に触媒としての少量のアルカリ又は酸を添加した溶液を、前記多孔質粒子の分散液に加え、アルコキシシランを加水分解して生成したケイ酸重合物を無機酸化物粒子の表面に沈着させる。このとき、アルコキシシラン、アルコール、触媒を同時に分散液中に添加してもよい。アルカリ触媒としては、アンモニア、アルカリ金属の水酸化物、アミン類を用いることができる。また、酸触媒としては、各種の無機酸と有機酸を用いることができる。
多孔質粒子前駆体の分散媒が、水単独、又は有機溶媒に対する水の比率が高い場合には、ケイ酸液を用いてシリカ保護膜を形成することも可能である。ケイ酸液を用いる場合には、分散液中にケイ酸液を所定量添加し、同時にアルカリを加えてケイ酸液を多孔質粒子表面に沈着させる。なお、ケイ酸液と上記アルコキシシランを併用してシリカ保護膜を作製してもよい。
第3工程:シリカ被覆層の形成
第3工程では、第2工程で調製した多孔質粒子分散液(空洞粒子の場合は空洞粒子前駆体分散液)に、フッ素置換アルキル基含有シラン化合物を含有する加水分解性の有機珪素化合物又はケイ酸液等を加えることにより、粒子の表面を加水分解性有機珪素化合物又はケイ酸液等の重合物で被覆してシリカ被覆層を形成する。
シリカ被覆層形成用に使用される加水分解性の有機珪素化合物としては、前記したような一般式RSi(OR′)4−n〔R、R′:アルキル基、アリール基、ビニル基、アクリル基等の炭化水素基、n=0、1、2又は3〕で表されるアルコキシシランを用いることができる。特に、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン等のテトラアルコキシシランが好ましく用いられる。
添加方法としては、これらのアルコキシシラン、純水、及びアルコールの混合溶液に触媒としての少量のアルカリ又は酸を添加した溶液を、前記多孔質粒子(空洞粒子の場合は空洞粒子前駆体)分散液に加え、アルコキシシランを加水分解して生成したケイ酸重合物を多孔質粒子(空洞粒子の場合は空洞粒子前駆体)の表面に沈着させる。このとき、アルコキシシラン、アルコール、触媒を同時に分散液中に添加してもよい。アルカリ触媒としては、アンモニア、アルカリ金属の水酸化物、アミン類を用いることができる。また、酸触媒としては、各種の無機酸と有機酸を用いることができる。
多孔質粒子(空洞粒子の場合は空洞粒子前駆体)の分散媒が水単独、又は有機溶媒との混合溶媒であって、有機溶媒に対する水の比率が高い混合溶媒の場合には、ケイ酸液を用いて被覆層を形成してもよい。ケイ酸液とは、水ガラス等のアルカリ金属ケイ酸塩の水溶液をイオン交換処理して脱アルカリしたケイ酸の低重合物の水溶液である。
ケイ酸液は、多孔質粒子(空洞粒子の場合は空洞粒子前駆体)分散液中に添加され、同時にアルカリを加えてケイ酸低重合物を多孔質粒子(空洞粒子の場合は空洞粒子前駆体)表面に沈着させる。なお、ケイ酸液を上記アルコキシシランと併用して被覆層形成用に使用してもよい。被覆層形成用に使用される有機珪素化合物又はケイ酸液の添加量は、コロイド粒子の表面を十分被覆できる程度であればよく、最終的に得られるシリカ被覆層の厚さが1〜20nmとなるように量で、多孔質粒子(空洞粒子の場合は空洞粒子前駆体)分散液中で添加される。また前記シリカ保護膜を形成した場合はシリカ保護膜とシリカ被覆層の合計の厚さが1〜20nmの範囲となるような量で、有機珪素化合物又はケイ酸液は添加される。
次いで、被覆層が形成された粒子の分散液を加熱処理する。加熱処理によって、多孔質粒子の場合は、多孔質粒子表面を被覆したシリカ被覆層が緻密化し、多孔質粒子がシリカ被覆層によって被覆された複合粒子の分散液が得られる。また空洞粒子前駆体の場合、形成された被覆層が緻密化して空洞粒子壁となり、内部が溶媒、気体又は多孔質固形分で充填された空洞を有する空洞粒子の分散液が得られる。
このときの加熱処理温度は、シリカ被覆層の微細孔を閉塞できる程度であれば特に制限はなく、80〜300℃の範囲が好ましい。加熱処理温度が80℃未満ではシリカ被覆層の微細孔を完全に閉塞して緻密化できないことがあり、また処理時間に長時間を要してしまうことがある。また加熱処理温度が300℃を越えて長時間処理すると緻密な粒子となることがあり、低屈折率の効果が得られないことがある。
このようにして得られた無機微粒子の屈折率は、1.42未満と低い。このような無機微粒子は、多孔質粒子内部の多孔性が保持されているか、内部が空洞であるので、屈折率が低くなるものと推察される。また、市販の上記SiO微粒子を用いることができる。市販の粒子の具体例としては、触媒化成工業社製P−4等が挙げられる。
外殻層を有し、内部が多孔質又は空洞である中空球状シリカ系微粒子の低屈折率層塗布液中の含量(質量)は、10〜80質量%が好ましく、更に好ましくは20〜60質量%である。
(テトラアルコキシシラン化合物又はその加水分解物)
低屈折率層には、ゾルゲル素材としてテトラアルコキシシラン化合物又はその加水分解物が含有されることが好ましい。低屈折率層用の素材として、前記無機珪素酸化物以外に有機基を有する珪素酸化物を用いることも好ましい。これらは一般にゾルゲル素材と呼ばれるが、金属アルコレート、オルガノアルコキシ金属化合物及びその加水分解物を用いることができる。特に、アルコキシシラン、オルガノアルコキシシラン及びその加水分解物が好ましい。これらの例としては、テトラアルコキシシラン(テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン等)、アルキルトリアルコキシシラン(メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン等)、アリールトリアルコキシシラン(フェニルトリメトキシシラン等)、ジアルキルジアルコキシシラン、ジアリールジアルコキシシラン等が挙げられる。特にテトラアルコキシシラン及びその加水分解物が好ましい。
また、各種の官能基を有するオルガノアルコキシシラン(ビニルトリアルコキシシラン、メチルビニルジアルコキシシラン、γ−グリシジルオキシプロピルトリアルコキシシラン、γ−グリシジルオキシプロピルメチルジアルコキシシラン、β−(3,4−エポキジシクロヘキシル)エチルトリアルコキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリアルコキシシラン、γ−アミノプロピルトリアルコキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリアルコキシシラン、γ−クロロプロピルトリアルコキシシラン等)、パーフルオロアルキル基含有シラン化合物(例えば、(ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラデシル)トリエトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン等)を用いることも好ましい。特にフッ素含有のシラン化合物を用いることは、層の低屈折率化及び撥水・撥油性付与の点で好ましい。
上記テトラアルコキシシランを加水分解する際には、前記無機微粒子を混合することが膜強度を高める上で好ましい。低屈折率層は、前記珪素酸化物と下記シランカップリング剤を含むことが好ましい。
具体的なシランカップリング剤の例としては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシエトキシシラン、メチルトリアセトキシシラン、メチルトリブトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリメトキシエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリアセトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリエトキシシラン、γ−クロロプロピルトリアセトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシジルオキシプロピルトリエトキシシラン、γ−(β−グリシジルオキシエトキシ)プロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポシシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン及びβ−シアノエチルトリエトキシシランが挙げられる。また、珪素に対して2置換のアルキル基を持つシランカップリング剤の例として、ジメチルジメトキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルメチルジエトキシシラン、γ−グリシジルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシジルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシジルオキシプロピルフェニルジエトキシシラン、γ−クロロプロピルメチルジエトキシシラン、ジメチルジアセトキシシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、メチルビニルジメトキシシラン及びメチルビニルジエトキシシランが挙げられる。
これらのうち、分子内に二重結合を有するビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリメトキシエトキシシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン及びγ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、珪素に対して2置換のアルキル基を持つものとしてγ−アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、メチルビニルジメトキシシラン及びメチルビニルジエトキシシランが好ましく、γ−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン及びγ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン及びγ−メタクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシランが特に好ましい。
シランカップリング剤の具体例としては、信越化学工業株式会社製KBM−303、KBM−403、KBM−402、KBM−403、KBM−1403、KBM−502、KBM−503、KBE−502、KBE−503、KBM−603、KBE−603、KBM−903、KBE−903、KBE−9103、KBM−802、KBM−803等が挙げられる。
二種類以上のカップリング剤を併用してもよい。上記に示されるシランカップリング剤に加えて、他のシランカップリング剤を用いてもよい。他のシランカップリング剤には、オルトケイ酸のアルキルエステル(例えば、オルトケイ酸メチル、オルトケイ酸エチル、オルトケイ酸n−プロピル、オルトケイ酸i−プロピル、オルトケイ酸n−ブチル、オルトケイ酸sec−ブチル、オルトケイ酸t−ブチル)及びその加水分解物が挙げられる。
また低屈折率層は、5〜50質量%の量のポリマーを含むこともできる。ポリマーは、微粒子を接着し、空隙を含む低屈折率層の構造を維持する機能を有する。ポリマーの使用量は、空隙を充填することなく低屈折率層の強度を維持できるように調整する。ポリマーの量は、低屈折率層の全量の10〜30質量%であることが好ましい。ポリマーで微粒子を接着するためには、(1)微粒子の表面処理剤にポリマーを結合させるか、(2)微粒子をコアとして、その周囲にポリマーシェルを形成するか、或いは(3)微粒子間のバインダーとして、ポリマーを使用することが好ましい。(1)の表面処理剤に結合させるポリマーは、(2)のシェルポリマー又は(3)のバインダーポリマーであることが好ましい。(2)のポリマーは、低屈折率層の塗布液の調製前に、微粒子の周囲に重合反応により形成することが好ましい。(3)のポリマーは、低屈折率層の塗布液にモノマーを添加し、低屈折率層の塗布と同時又は塗布後に、重合反応により形成することが好ましい。上記(1)〜(3)のうちの二つ又は全てを組み合わせて実施することが好ましく、(1)と(3)の組み合わせ、又は(1)〜(3)全ての組み合わせで実施することが特に好ましい。(1)表面処理、(2)シェル及び(3)バインダーについて順次説明する。
(1)表面処理
微粒子(特に無機微粒子)には、表面処理を実施して、ポリマーとの親和性を改善することが好ましい。表面処理は、プラズマ放電処理やコロナ放電処理のような物理的表面処理と、カップリング剤を使用する化学的表面処理に分類できる。化学的表面処理のみ、又は物理的表面処理と化学的表面処理の組み合わせで実施することが好ましい。カップリング剤としては、オルガノアルコキシメタル化合物(例、チタンカップリング剤、シランカップリング剤)が好ましく用いられる。微粒子がSiOからなる場合は、前述のシランカップリング剤による表面処理が特に有効に実施できる。
カップリング剤による表面処理は、微粒子の分散物に、カップリング剤を加え、室温から60℃までの温度で、数時間から10日間分散物を放置することにより実施できる。表面処理反応を促進するため、無機酸(例えば、硫酸、塩酸、硝酸、クロム酸、次亜塩素酸、ホウ酸、オルトケイ酸、リン酸、炭酸)、有機酸(例えば、酢酸、ポリアクリル酸、ベンゼンスルホン酸、フェノール、ポリグルタミン酸)、又はこれらの塩(例えば、金属塩、アンモニウム塩)を、分散物に添加してもよい。
(2)シェル
シェルを形成するポリマーは、飽和炭化水素を主鎖として有するポリマーであることが好ましい。フッ素原子を主鎖又は側鎖に含むポリマーが好ましく、フッ素原子を側鎖に含むポリマーが更に好ましい。ポリアクリル酸エステル又はポリメタクリル酸エステルが好ましく、フッ素置換アルコールとポリアクリル酸又はポリメタクリル酸とのエステルが最も好ましい。シェルポリマーの屈折率は、ポリマー中のフッ素原子の含有量の増加に伴い低下する。低屈折率層の屈折率を低下させるため、シェルポリマーは35〜80質量%のフッ素原子を含むことが好ましく、45〜75質量%のフッ素原子を含むことが更に好ましい。フッ素原子を含むポリマーは、フッ素原子を含むエチレン性不飽和モノマーの重合反応により合成することが好ましい。フッ素原子を含むエチレン性不飽和モノマーの例としては、フルオロオレフィン(例えば、フルオロエチレン、ビニリデンフルオライド、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロ−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソール)、フッ素化ビニルエーテル及びフッ素置換アルコールとアクリル酸又はメタクリル酸とのエステルが挙げられる。
シェルを形成するポリマーは、フッ素原子を含む繰り返し単位とフッ素原子を含まない繰り返し単位からなるコポリマーであってもよい。フッ素原子を含まない繰り返し単位は、フッ素原子を含まないエチレン性不飽和モノマーの重合反応により得ることが好ましい。フッ素原子を含まないエチレン性不飽和モノマーの例としては、オレフィン(例えば、エチレン、プロピレン、イソプレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン)、アクリル酸エステル(例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸2−エチルヘキシル)、メタクリル酸エステル(例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、エチレングリコールジメタクリレート)、スチレン及びその誘導体(例えば、スチレン、ジビニルベンゼン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン)、ビニルエーテル(例えば、メチルビニルエーテル)、ビニルエステル(例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、桂皮酸ビニル)、アクリルアミド(例えば、N−tertブチルアクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミド)、メタクリルアミド及びアクリロニトリルが挙げられる。
後述する(3)のバインダーポリマーを併用する場合は、シェルポリマーに架橋性官能基を導入して、シェルポリマーとバインダーポリマーとを架橋により化学的に結合させてもよい。シェルポリマーは、結晶性を有していてもよい。シェルポリマーのガラス転移温度(Tg)が低屈折率層の形成時の温度よりも高いと、低屈折率層内のミクロボイドの維持が容易である。但し、Tgが低屈折率層の形成時の温度よりも高いと、微粒子が融着せず、低屈折率層が連続層として形成されない(その結果、強度が低下する)場合がある。その場合は、後述する(3)のバインダーポリマーを併用し、バインダーポリマーにより低屈折率層を連続層として形成することが望ましい。微粒子の周囲にポリマーシェルを形成して、コアシェル微粒子が得られる。コアシェル微粒子中に無機微粒子からなるコアが5〜90体積%含まれていることが好ましく、15〜80体積%含まれていることが更に好ましい。二種類以上のコアシェル微粒子を併用してもよい。また、シェルのない無機微粒子とコアシェル粒子とを併用してもよい。
(3)バインダー
バインダーポリマーは、飽和炭化水素又はポリエーテルを主鎖として有するポリマーであることが好ましく、飽和炭化水素を主鎖として有するポリマーであることが更に好ましい。バインダーポリマーは架橋していることが好ましい。飽和炭化水素を主鎖として有するポリマーは、エチレン性不飽和モノマーの重合反応により得ることが好ましい。架橋しているバインダーポリマーを得るためには、二以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーを用いることが好ましい。2以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーの例としては、多価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル(例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ジクロヘキサンジアクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,2,3−シクロヘキサンテトラメタクリレート、ポリウレタンポリアクリレート、ポリエステルポリアクリレート)、ビニルベンゼン及びその誘導体(例えば、1,4−ジビニルベンゼン、4−ビニル安息香酸−2−アクリロイルエチルエステル、1,4−ジビニルシクロヘキサノン)、ビニルスルホン(例えば、ジビニルスルホン)、アクリルアミド(例えば、メチレンビスアクリルアミド)及びメタクリルアミドが挙げられる。ポリエーテルを主鎖として有するポリマーは、多官能エポシキ化合物の開環重合反応により合成することが好ましい。2以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーの代わり又はそれに加えて、架橋性基の反応により、架橋構造をバインダーポリマーに導入してもよい。架橋性官能基の例としては、イソシアナート基、エポキシ基、アジリジン基、オキサゾリン基、アルデヒド基、カルボニル基、ヒドラジン基、カルボキシル基、メチロール基及び活性メチレン基が挙げられる。ビニルスルホン酸、酸無水物、シアノアクリレート誘導体、メラミン、エーテル化メチロール、エステル及びウレタンも、架橋構造を導入するためのモノマーとして利用できる。ブロックイソシアナート基のように、分解反応の結果として架橋性を示す官能基を用いてもよい。また、架橋基は、上記化合物に限らず上記官能基が分解した結果反応性を示すものであってもよい。バインダーポリマーの重合反応及び架橋反応に使用する重合開始剤は、熱重合開始剤や、光重合開始剤が用いられるが、光重合開始剤の方がより好ましい。光重合開始剤の例としては、アセトフェノン類、ベンゾイン類、ベンゾフェノン類、ホスフィンオキシド類、ケタール類、アントラキノン類、チオキサントン類、アゾ化合物、過酸化物類、2,3−ジアルキルジオン化合物類、ジスルフィド化合物類、フルオロアミン化合物類や芳香族スルホニウム類がある。アセトフェノン類の例としては、2,2−ジエトキシアセトフェノン、p−ジメチルアセトフェノン、1−ヒドロキシジメチルフェニルケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−4−メチルチオ−2−モルフォリノプロピオフェノン及び2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノンが挙げられる。ベンゾイン類の例としては、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル及びベンゾインイソプロピルエーテルが挙げられる。ベンゾフェノン類の例としては、ベンゾフェノン、2,4−ジクロロベンゾフェノン、4,4−ジクロロベンゾフェノン及びp−クロロベンゾフェノンが挙げられる。ホスフィンオキシド類の例としては、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシドが挙げられる。
バインダーポリマーは、低屈折率層の塗布液にモノマーを添加し、低屈折率層の塗布と同時又は塗布後に重合反応(必要ならば更に架橋反応)により形成することが好ましい。低屈折率層の塗布液に、少量のポリマー(例えば、ポリビニルアルコール、ポリオキシエチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリメチルアクリレート、ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース、ニトロセルロース、ポリエステル、アルキド樹脂)を添加してもよい。
また、低屈折率層が、熱又は電離放射線により架橋する含フッ素樹脂(以下、「架橋前の含フッ素樹脂」ともいう)の架橋からなる低屈折率層であってもよい。
架橋前の含フッ素樹脂としては、含フッ素ビニルモノマーと架橋性基付与のためのモノマーから形成される含フッ素共重合体を好ましく挙げることができる。上記含フッ素ビニルモノマー単位の具体例としては、例えばフルオロオレフィン類(例えば、フルオロエチレン、ビニリデンフルオライド、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロ−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソール等)、(メタ)アクリル酸の部分又は完全フッ素化アルキルエステル誘導体類(例えば、ビスコート6FM(大阪有機化学製)やM−2020(ダイキン製)等)、完全又は部分フッ素化ビニルエーテル類等が挙げられる。架橋性基付与のためのモノマーとしては、グリシジルメタクリレートや、ビニルトリメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルグリシジルエーテル等のように分子内に予め架橋性官能基を有するビニルモノマーの他、カルボキシル基やヒドロキシル基、アミノ基、スルホン酸基等を有するビニルモノマー(例えば、(メタ)アクリル酸、メチロール(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、アリルアクリレート、ヒドロキシアルキルビニルエーテル、ヒドロキシアルキルアリルエーテル等)が挙げられる。後者は共重合の後、ポリマー中の官能基と反応する基ともう1つ以上の反応性基を持つ化合物を加えることにより、架橋構造を導入できることが特開平10−25388号、同10−147739号に記載されている。架橋性基の例には、アクリロイル、メタクリロイル、イソシアナート、エポキシ、アジリジン、オキサゾリン、アルデヒド、カルボニル、ヒドラジン、カルボキシル、メチロール及び活性メチレン基等が挙げられる。含フッ素共重合体が、加熱により反応する架橋基、若しくは、エチレン性不飽和基と熱ラジカル発生剤若しくはエポキシ基と熱酸発生剤等の組み合わせにより、加熱により架橋する場合、熱硬化型であり、エチレン性不飽和基と光ラジカル発生剤若しくは、エポキシ基と光酸発生剤等の組み合わせにより、光(好ましくは紫外線、電子ビーム等)の照射により架橋する場合、電離放射線硬化型である。
また上記モノマーに加えて、含フッ素ビニルモノマー及び架橋性基付与のためのモノマー以外のモノマーを併用して形成された含フッ素共重合体を架橋前の含フッ素樹脂として用いてもよい。併用可能なモノマーには特に限定はなく、例えばオレフィン類(エチレン、プロピレン、イソプレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン等)、アクリル酸エステル類(アクリル酸メチル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸2−エチルヘキシル)、メタクリル酸エステル類(メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、エチレングリコールジメタクリレート等)、スチレン誘導体(スチレン、ジビニルベンゼン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン等)、ビニルエーテル類(メチルビニルエーテル等)、ビニルエステル類(酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、桂皮酸ビニル等)、アクリルアミド類(N−tertブチルアクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミド等)、メタクリルアミド類、アクリロニトリル誘導体等を挙げることができる。また、含フッ素共重合体中に、滑り性、防汚性付与のため、ポリオルガノシロキサン骨格や、パーフルオロポリエーテル骨格を導入することも好ましい。これは、例えば末端にアクリル基、メタクリル基、ビニルエーテル基、スチリル基等を持つポリオルガノシロキサンやパーフルオロポリエーテルと上記のモノマーとの重合、末端にラジカル発生基を持つポリオルガノシロキサンやパーフルオロポリエーテルによる上記モノマーの重合、官能基を持つポリオルガノシロキサンやパーフルオロポリエーテルと、含フッ素共重合体との反応等によって得られる。
架橋前の含フッ素共重合体を形成するために用いられる上記各モノマーの使用割合は、含フッ素ビニルモノマーが好ましくは20〜70モル%、より好ましくは40〜70モル%、架橋性基付与のためのモノマーが好ましくは1〜20モル%、より好ましくは5〜20モル%、併用されるその他のモノマーが好ましくは10〜70モル%、より好ましくは10〜50モル%の割合である。
含フッ素共重合体は、これらモノマーをラジカル重合開始剤の存在下で、溶液重合、塊状重合、乳化重合、懸濁重合法等の手段により重合することにより得ることができる。
架橋前の含フッ素樹脂は、市販されており使用することができる。市販されている架橋前の含フッ素樹脂の例としては、サイトップ(旭硝子製)、テフロン(登録商標)AF(デュポン製)、ポリフッ化ビニリデン、ルミフロン(旭硝子製)、オプスター(JSR製)等が挙げられる。
架橋した含フッ素樹脂を構成成分とする低屈折率層は、動摩擦係数が0.03〜0.15の範囲、水に対する接触角が90〜120度の範囲にあることが好ましい。
(カチオン重合性化合物)
低屈折率層は、バインダーとしてカチオン重合性化合物を含有しても良い。カチオン重合性化合物としては、エネルギー活性線照射や熱によってカチオン重合を起こして樹脂化するものであればいずれも使用できる。具体的には、エポキシ基、環状エーテル基、環状アセタール基、環状ラクトン基、環状チオエーテル基、スピロオルソエステル化合物、ビニルオキソ基等が挙げられる。中でもエポキシ基やビニルエーテル基などの官能基を有する化合物が本発明においては、好適に用いられる。エポキシ基またはビニルエーテル基を有するカチオン重合性化合物としては、例えば、フェニルグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、ビニルシクロヘキセンジオキサイド、リモネンジオキサイド、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、ビス−(6−メチル−3,4−エポキシシクロヘキシル)アジペート、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、ジエチレングリコールジビニルエーテル、ポリエチレングリコールジビニルエーテル、1,4−シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル等が挙げられる。また、オキセタン化合物も挙げる事ができる。オキセタン化合物としては、分子中に少なくとも1個のオキセタン環を有する化合物であればよい。
更に、必要に応じて水素結合形成基を有するモノマーを含む(共)重合体で、主鎖や側鎖にオキセタニル基を有する数平均分子量が2万以上の反応性ポリマーなども使用できる。上記したカチオン重合性化合物は、低屈折層塗布組成物中では固形分中の15質量%以上70質量%未満であることが、低屈折率層塗布組成物の安定性の点から、好ましい。
(カチオン重合促進剤)
カチオン重合性化合物の重合を促進する化合物として、公知の酸や光酸発生剤を挙げる事ができる。光酸発生剤としては、カチオン重合の光開始剤、色素類の光消色剤、光変色剤、或いは、マイクロレジスト等に使用されている公知の化合物及びそれらの混合物等が挙げられる。具体的には、例えば、オニウム化合物、有機ハロゲン化合物、ジスルホン化合物が挙げられ、好ましくは、オニウム化合物である。オニウム化合物としては、以下の各式に示されるジアゾニウム塩、スルホニウム塩、ヨードニウム塩などが好適に使用される。
ArN
(R)
(R)
式中、Arはアリール基を表し、Rはアリール基または炭素数1〜20のアルキル基を表し、一分子内にRが複数回現れる場合は、それぞれ同一でも異なっていてもよく、Zは非塩基性でかつ非求核性の陰イオンを表す。
上記各式において、ArまたはRで表されるアリール基も、典型的にはフェニルやナフチルであり、これらは適当な基で置換されていてもよい。また、Zで表される陰イオンとして具体的には、テトラフルオロボレートイオン(BF )、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートイオン(B(C )、ヘキサフルオロホスフェートイオン(PF )、ヘキサフルオロアーセネートイオン(AsF )、ヘキサフルオロアンチモネートイオン(SbF )、ヘキサクロロアンチモネートイオン(SbCl )、硫酸水素イオン(HSO )、過塩素酸イオン(ClO )などが挙げられる。
その他のオニウム化合物としては、アンモニウム塩、イミニウム塩、ホスホニウム塩、アルソニウム塩、セレノニウム塩、ホウ素塩等が挙げられる。
中でも、ジアゾニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、イミニウム塩が、化合物の素材安定性等の点から好ましい。
これら化合物の多くは市販されているので、そのような市販品を用いることができる。市販の開始剤としては、例えば、ダウケミカル日本(株)から販売されている“サイラキュアUVI−6990”(商品名)、各々(株)ADEKAから販売されている“アデカオプトマーSP−150”(商品名)、“アデカオプトマーSP−300”(商品名)、ローディアジャパン(株)から販売されている“RHODORSIL PHOTOINITIAOR2074”(商品名)などが挙げられる。
酸としては、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸等の無機酸、または酢酸、ギ酸、メタンスルホン酸、トリフロロメタンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸等の有機酸等のブレンステッド酸、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジオクテート、トリイソプロポキシアルミニウム、テトラブトキシジルコニウム、テトラブトキシチタネート等のルイス酸が挙げられる。
ピロメリット酸、無水ピロメリット酸、トリメリット酸、無水トリメリット酸、フタル酸、無水フタル酸などの芳香族多価カルボン酸またはその無水物やマレイン酸、無水マレイン酸、コハク酸、無水コハク酸などの脂肪族多価カルボン酸またはその無水物なども挙げられる。
酸としては、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの酸や光酸発生剤は、カチオン重合性化合物100質量部に対して、0.1〜20質量部の割合が好ましく、より好ましくは0.5〜15質量部の割合で添加することである。添加量が上記範囲において、硬化性組成物の安定性、重合反応性等から好ましい。
(ラジカル重合性化合物)
また低屈折率層は、バインダーとしてラジカル重合性化合物を含有することもできる。ラジカル重合性基としては、(メタ)アクリロイル基、ビニルオキシ基、スチリル基、アリル基等のエチレン性不飽和基等が挙げられ、中でも、(メタ)アクリロイル基を有する化合物が好ましい。また、ラジカル重合性化合物としては、分子内に2個以上のラジカル重合性基を含有する多官能モノマーを含有することが好ましい。多官能アクリレートとしては、ペンタエリスリトール多官能アクリレート、ジペンタエリスリトール多官能アクリレート、ペンタエリスリトール多官能メタクリレート、及びジペンタエリスリトール多官能メタクリレートよりなる群から選ばれることが好ましい。ラジカル重合性化合物の添加量は、低屈折層塗布組成物中では固形分中の15質量%以上70質量%未満であることが、低屈折層塗布組成物の安定性の点から、好ましい。
(ラジカル重合促進剤)
ラジカル重合性化合物の硬化促進のために、光重合開始剤をラジカル重合性化合物と併用して用いることが好ましい。光重合開始剤とラジカル重合性化合物とを併用して用いる場合には、光重合開始剤とラジカル重合性化合物とを質量比で20:100〜0.01:100含有することが好ましい。
光重合開始剤としては、具体的には、アセトフェノン、ベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、ミヒラーケトン、α−アミロキシムエステル、チオキサントン等及びこれらの誘導体を挙げることができるが、特にこれらに限定されるものではない。
低屈折率層は、グラビアコーター、ディップコーター、リバースコーター、ワイヤーバーコーター、ダイコーター、インクジェット法等公知の方法を用いて、低屈折率層を形成する上記塗布組成物を塗布し、塗布後、加熱乾燥し、必要に応じて硬化処理することで形成される。
塗布量は、ウェット膜厚として0.05〜100μmが適当で、好ましくは、0.1〜50μmである。また、ドライ膜厚が上記膜厚となるように塗布組成物の固形分濃度は調整される。
また、低屈折率層を形成後、温度50〜160℃で加熱処理を行う工程を含んでもよい。加熱処理の期間は、設定される温度によって適宜決定すればよく、例えば50℃であれば、好ましくは3日間以上30日未満の期間、160℃であれば10分以上1日以下の範囲が好ましい。硬化方法としては、加熱することによって熱硬化させる方法、紫外線等の光照射によって硬化させる方法などが挙げられる。熱硬化させる場合は、加熱温度は50〜300℃が好ましく、好ましくは60〜250℃、更に好ましくは80〜150℃である。光照射によって硬化させる場合は、照射光の露光量は10mJ/cm〜1J/cmであることが好ましく、80mJ/cm〜500mJ/cmがより好ましい。
ここで、照射される光の波長域としては特に限定されないが、紫外線領域の波長を有する光が好ましく用いられる。具体的には、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ等を用いることができる。
〈高屈折率層及び中屈折率層〉
高屈折率層及び中屈折率層には、金属酸化物微粒子が含有されることが好ましい。金属酸化物微粒子の種類は特に限定されるものではなく、Ti、Zr、Sn、Sb、Cu、Fe、Mn、Pb、Cd、As、Cr、Hg、Zn、Al、Mg、Si、P及びSから選択される少なくとも一種の元素を有する。
金属酸化物を用いることができ、これらの金属酸化物微粒子はAl、In、Sn、Sb、Nb、ハロゲン元素、Taなどの微量の原子をドープしてあってもよい。また、これらの混合物でもよい。中でも有機チタン化合物、酸化ジルコニウム、酸化アンチモン、酸化錫、酸化亜鉛、酸化インジウム−スズ(ITO)、アンチモンドープ酸化スズ(ATO)、及びアンチモン酸亜鉛から選ばれる少なくとも1種の金属酸化物微粒子を主成分として用いることが特に好ましい。特にアンチモン酸亜鉛粒子を含有することが好ましい。
これら金属酸化物微粒子の一次粒子の平均粒子径は10nm〜200nmの範囲であり、10〜150nmであることが特に好ましい。金属酸化物微粒子の平均粒子径は、走査電子顕微鏡(SEM)等による電子顕微鏡写真から計測することができる。動的光散乱法や静的光散乱法等を利用する粒度分布計等によって計測してもよい。粒径が小さ過ぎると凝集しやすくなり、分散性が劣化する。粒径が大き過ぎるとヘイズが著しく上昇し好ましくない。金属酸化物微粒子の形状は、米粒状、球形状、立方体状、紡錘形状、針状或いは不定形状であることが好ましい。
高屈折率層の屈折率は、具体的には、斜め延伸フィルムの屈折率より高く、23℃、波長550nm測定で、1.5〜2.3の範囲であることが好ましい。高屈折率層の屈折率を調整する手段は、金属酸化物微粒子の種類、添加量が支配的である為、金属酸化物微粒子の屈折率は1.80〜2.60であることが好ましく、1.85〜2.50であることが更に好ましい。
中屈折率層の屈折率は、斜め延伸フィルムの屈折率と高屈折率層の屈折率との中間の値となるように調整する。具体的には中屈折率層の屈折率は、1.55〜1.80であることが好ましい。
高屈折率層及び中屈折率層の厚さは、5nm〜1μmであることが好ましく、10nm〜0.2μmであることが更に好ましく、30nm〜100nmであることが最も好ましい。高屈折率層及び中屈折
高屈折率層及び中屈折率層は、微粒子として金属酸化物粒子を含み、更にバインダーポリマーを含むことが好ましい。
高屈折率層及び中屈折率層のバインダーポリマーとしては架橋ポリマーが好ましい。架橋ポリマーの例として、2個以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーが最も好ましいが、その例としては、多価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル(例、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ジクロヘキサンジアクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,2,3−シクロヘキサンテトラメタクリレート、ポリウレタンポリアクリレート、ポリエステルポリアクリレート)、ビニルベンゼン及びその誘導体(例、1,4−ジビニルベンゼン、4−ビニル安息香酸−2−アクリロイルエチルエステル、1,4−ジビニルシクロヘキサノン)、ビニルスルホン(例、ジビニルスルホン)、アクリルアミド(例、メチレンビスアクリルアミド)及びメタクリルアミド等が挙げられる。ポリマーの重合反応は、光重合反応又は熱重合反応を用いることができる。特に光重合反応が好ましい。重合反応のため、重合開始剤を使用することが好ましい。例えば、ハードコート層のバインダーポリマーを形成するために用いられる後述する熱重合開始剤、及び光重合開始剤が挙げられる。
重合開始剤として市販の重合開始剤を使用してもよい。重合開始剤に加えて、重合促進剤を使用してもよい。重合開始剤と重合促進剤の添加量は、モノマーの全量の0.2〜10質量%の範囲であることが好ましい。塗布液(モノマーを含む無機微粒子の分散液)を加熱して、モノマー(又はオリゴマー)の重合を促進してもよい。また、塗布後の光重合反応の後に加熱して、形成されたポリマーの熱硬化反応を追加処理してもよい。
中及び高屈折率層は、上記した中及び高屈折率層を形成する成分を、溶剤で希釈して塗布層組成物として、ハードコート層上に塗布、乾燥、硬化して設けることができる。
硬化の光源としては、紫外線を発生する光源であれば制限なく使用できる。例えば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ等を用いることができる。照射光量は20mJ/cm〜1J/cmが好ましく、更に好ましくは、80mJ/cm〜500mJ/cmである。
(反射防止層の反射率)
反射防止層は、450nm〜650nmにおける平均反射率が1.5%以下であることが好ましく、特に好ましくは1.2%以下である。また、この範囲における最低反射率は0.00〜0.5%にあることが好ましい。
反射防止層の屈折率と膜厚は、分光反射率の測定より計算して算出することができる。また、作製した反射防止層を有する光学フィルムの反射光学特性は、分光光度計を用い、5度正反射の条件にて反射率を測定することができる。この測定法において、反射防止層が塗布されていない側の裏面を粗面化した後、黒色のスプレーで光吸収処理を行う、或いは黒色アクリル板の貼り付け等して光吸収処理を行ってから、フィルム裏面光の反射を防止して、反射率が測定できる。測定に際しては、透過率550nmにおける透過率を分光光度計を用いて空気を参照として測定を行う。
また本発明の反射防止フィルムは、可視光の波長領域において平坦な形状の反射スペクトルを有することが好ましい。また反射色相は、反射防止層の設計上可視光領域において短波長域や長波長域の反射率が高くなることから赤や青に色づくことが多いが、反射光の色味は用途によって要望が異なり、画像表示装置等の表面に使用する場合は、ニュートラルな色調が好まれる。この場合、一般に好まれる反射色相範囲は、XYZ表色系(CIE1931表色系)上で0.17≦x≦0.27、0.07≦y≦0.17である。また、xy平面上の(x、y)=(0.31、0.31)の距離Δxyが、0.05以下となる範囲がより色味がないニュートラルに近いため好ましく、0.03以下が更に好ましい。色調は、各層の屈折率より、反射率、反射光の色味を考慮して膜厚を常法に従って計算できる。
<基材フィルム>
本発明に係る基材フィルムは、製造が容易であること、ハードコート層と接着し易いこと、光学的に等方性であることが好ましい。また、本発明では基材フィルムを偏光板保護フィルムとして使用する。
これらの性質を有していればいずれでもよく、例えば、トリアセチルセルロースフィルム、セルロースアセテートプロピオネートフィルム、セルロースジアセテートフィルム、セルロースアセテートブチレートフィルム等のセルロースエステル系フィルム、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系フィルム、ポリカーボネート系フィルム、ポリアリレート系フィルム、ポリスルホン(ポリエーテルスルホンも含む)系フィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、セロファン、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、エチレンビニルアルコールフィルム、シンジオタクティックポリスチレン系フィルム、ノルボルネン樹脂系フィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリエーテルケトンフィルム、ポリエーテルケトンイミドフィルム、ポリアミドフィルム、フッ素樹脂フィルム、ナイロンフィルム、シクロオレフィンポリマーフィルム、ポリメチルメタクリレートフィルム又はアクリルフィルム等を挙げることができる。
これらの内、セルロースエステルフィルム(例えば、コニカミノルタタックKC8UX、KC4UX、KC5UX、KC8UCR3、KC8UCR4、KC8UCR5、KC8UY、KC4UY、KC4UE、及びKC12UR(以上、コニカミノルタオプト(株)製))、ポリカーボネートフィルム、シクロオレフィンポリマーフィルム、ポリエステルフィルムが好ましく、本発明においては、特にセルロースエステルフィルムが製造上、コスト面、等方性、接着性(鹸化適性)から好ましい。
基材フィルムの屈折率は、1.30〜1.70であることが好ましく、1.40〜1.65であることがより好ましい。屈折率は、屈折率は、アタゴ社製 アッベ屈折率計2Tを用いてJIS K7142の方法で測定する。
〈セルロースエステルフィルム〉
次に基材フィルムとして好ましいセルロースエステルフィルムについて説明する。
セルロースエステルフィルムは、セルロースエステル樹脂(以下、「セルロースエステル」ともいう。)から構成され、この樹脂は、セルロースの低級脂肪酸エステルであることが好ましい。セルロースの低級脂肪酸エステルにおける低級脂肪酸とは炭素原子数が6以下の脂肪酸を意味し、例えば、セルロースアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースブチレート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート等の混合脂肪酸エステルを用いることができる。
特に好ましく用いられるセルロースの低級脂肪酸エステルは、セルローストリアセテート、セルロースアセテートプロピオネートである。これらのセルロースエステルは単独或いは混合して用いることができる。
セルローストリアセテートの場合には、平均酢化度(結合酢酸量)54.0〜62.5%のものが好ましく用いられ、更に好ましいのは、平均酢化度が58.0〜62.5%のセルローストリアセテートである。
平均酢化度が小さいと寸法変化が大きく、また偏光板の偏光度が低下する。平均酢化度が大きいと溶剤に対する溶解度が低下し生産性が下がる。
また、セルローストリアセテートとしては、アセチル基置換度が、2.80〜2.95であって数平均分子量(Mn)が125000以上、155000未満、重量平均分子量(Mw)は、265000以上310000未満、Mw/Mnが1.9〜2.1であるセルローストリアセテートA、アセチル基置換度が2.75〜2.90であって数平均分子量(Mn)が155000以上、180000未満、Mwは290000以上360000未満、Mw/Mnは、1.8〜2.0であるセルローストリアセテートBを含有することが好ましい。
さらに、セルローストリアセテートAとセルローストリアセテートBを併用する場合には、質量比でセルローストリアセテートA:セルローストリアセテートB=100:0〜20:80までの範囲であることが好ましい。
セルローストリアセテート以外で好ましいセルロースエステルは、炭素原子数2〜4のアシル基を置換基として有し、アセチル基の置換度をXとし、プロピオニル基又はブチリル基の置換度をYとした時、下記式(I)及び(II)を同時に満たすセルロースエステルを含むセルロースエステルである。
式(I) 2.6≦X+Y≦3.0
式(II) 0≦X≦2.5
特にセルロースアセテートプロピオネートが好ましく用いられ、中でも1.9≦X≦2.5、0.1≦Y≦0.9であることが好ましい。アシル置換度の測定方法は、ASTMのD−817−91に準じて実施することができる。
セルロースエステルの数平均分子量(Mn)及び分子量分布(Mw)は、高速液体クロマトグラフィーを用い測定できる。測定条件は以下の通りである。
溶媒:メチレンクロライド
カラム:Shodex K806、K805、K803G(昭和電工(株)製を3本接続して使用した)
カラム温度:25℃
試料濃度:0.1質量%
検出器:RI Model 504(GLサイエンス社製)
ポンプ:L6000(日立製作所(株)製)
流量:1.0ml/min
校正曲線:標準ポリスチレンSTK standard ポリスチレン(東ソー(株)製)
Mw=1000000〜500迄の13サンプルによる校正曲線を使用した。13サンプルは、ほぼ等間隔に用いることが好ましい。
〈アクリル系重合体〉
基材フィルムは、前記セルロースエステル樹脂とアクリル系重合体の混合物を用いてもよい。混合物として用いる場合には、アクリル系重合体とセルロースエステル樹脂との含有質量比が、アクリル系重合体:セルロースエステル樹脂=95:5〜50:50が好ましい。
アクリル系重合体は、(メタ)アクリル酸エステルを主成分として含有する単量体組成物を重合した樹脂であれば特には限定されない。また、2種類以上のアクリル系重合体を主成分とするものでもよい。上記(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、一般式(I);
(式中、RおよびRは、それぞれ独立に、水素原子または炭素数1〜20の有機残基を示す。)で表される構造を有する化合物(単量体)、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸ベンジルなどのアクリル酸エステル;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ベンジルなどのメタクリル酸エステルなどが挙げられ、これらは1種のみ用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも特に、耐熱性、透明性が優れる点から、上記一般式(2)で表される構造を有する化合物、メタクリル酸メチルがより好ましい。また、正の複屈折性(正の位相差)を大きくする点で、(メタ)アクリル酸ベンジルが好ましい。
尚、(メタ)アクリル酸ベンジル単量体構造単位を導入する場合には、アクリル系重合体における(メタ)アクリル酸ベンジル単量体構造単位の好ましい含有量は、5〜50質量%であり、より好ましくは10〜40質量%であり、更に好ましくは15〜30質量%である。
一般式(I)で表される構造を有する化合物としては、例えば、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸エチル、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸イソプロピル、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸ノルマルブチル、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸ターシャリーブチルなどが挙げられる。これらの中でも、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸エチルが好ましく、耐熱性向上効果が高い点で、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチルが特に好ましい。一般式(I)で表される化合物は、1種のみ用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記アクリル系重合体は、上述した(メタ)アクリル酸エステルを重合した構造以外の構造を有していてもよい。(メタ)アクリル酸エステルを重合した構造以外の構造としては、特には限定されないが、水酸基含有単量体、不飽和カルボン酸又は、下記一般式(II);
(式中、Rは水素原子またはメチル基を表し、Xは水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、アリール基、−OAc基、−CN基、−CO−R7基、または−C−O−R8基を表し、Ac基はアセチル基を表し、RおよびRは水素原子または炭素数1〜20の有機残基を表す。)で表される単量体から選ばれる少なくとも1種を重合して構築される重合体構造単位(繰り返し構造単位)が好ましい。水酸基含有単量体としては、一般式(I)で表される単量体以外の水酸基含有単量体であれば特に限定されないが、例えば、メタリルアルコール、アリルアルコール、2−ヒドロキシメチル−1−ブテンなどのアリルアルコール、α−ヒドロキシメチルスチレン、α−ヒドロキシエチルスチレン、2−(ヒドロキシエチル)アクリル酸メチルなどの2−(ヒドロキシアルキル)アクリル酸エステル;2−(ヒドロキシエチル)アクリル酸などの2−(ヒドロキシアルキル)アクリル酸;などが挙げられ、これらは1種のみ用いても良いし、2種以上を併用してもよい。
不飽和カルボン酸としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、α−置換アクリル酸、α−置換メタクリル酸などが挙げられ、これらは1種のみ用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも特に、本発明の効果を十分に発揮させる点で、アクリル酸、メタクリル酸が好ましい。
一般式(II)で表される化合物としては、例えば、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、アクリロニトリル、メチルビニルケトン、エチレン、プロピレン、酢酸ビニルなどが挙げられ、これらは1種のみ用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも特に、本発明の効果を十分に発揮させる点で、スチレン、α−メチルスチレンが好ましい。
重合方法は特に限定されず、公知の重合方法を用いることができる。使用する単量体(単量体組成物)の種類、使用比率等に応じて、適宜適した方法を採用すればよい。
本発明に用いられるアクリル系重合体は、ガラス転移温度(Tg)が、好ましくは110℃〜200℃、より好ましくは115℃〜200℃、さらに好ましくは120℃〜200℃、特に好ましくは125℃〜190℃、最も好ましくは130℃〜180℃である。
耐熱性を挙げる点で、フェニルマレイミド、シクロヘキシルマレイミド、メチルマレイミドなどのN−置換マレイミドを共重合してもよいし、分子鎖中(重合体の主骨格中、または主鎖中ともいう。)にラクトン環構造、グルタル酸無水物構造、グルタルイミド構造などを導入してもよい。中でも、フィルムの着色(黄変)し難さの点で、窒素原子を含まない単量体が好ましく、また、正の複屈折性(正の位相差)を発現させやすい点で、主鎖にラクトン環構造を持つものが好ましい。主鎖中のラクトン環構造に関しては、4〜8員環でもよいが、構造の安定性から5〜6員環の方がより好ましく、6員環が更に好ましい。また、主鎖中のラクトン環構造が6員環である場合、一般式(III)や特開2004−168882号公報で表される構造などが挙げられるが、主鎖にラクトン環構造を導入する前の重合体を合成する上において重合収率が高い点や、ラクトン環構造の含有割合の高い重合体を高い重合収率で得易い点や、メタクリル酸メチルなどの(メタ)アクリル酸エステルとの共重合性が良い点で、一般式(III)で表される構造であることが好ましい。
〈ラクトン環構造を有するアクリル系重合体〉
上記アクリル系重合体は、上記一般式(I)で表される構造を有する化合物を含有する単量体を重合した樹脂である場合、上記アクリル系重合体はラクトン環構造を有していることがより好ましい(以下、ラクトン環構造を有するアクリル系重合体を「ラクトン環含有重合体」と記す)について説明する。
ラクトン環含有重合については、例えば、下記一般式(III)で示される化合物を挙げることが出来る。
(式中、R、R、Rは、それぞれ独立に、水素原子または炭素数1〜20の有機残基を表す。なお、有機残基は酸素原子を含んでいてもよい。)
で表される構造が挙げられる。
なお、上記一般式(III)における有機残基は、炭素数が1〜20の範囲内であれば特には限定されないが、例えば、直鎖若しくは分岐状のアルキル基、直鎖若しくは分岐状のアルキレン基、アリール基、−OAc基、−CN基などが挙げられる。
上記アクリル系重合体中の上記ラクトン環構造の含有割合は、好ましくは5〜90質量%の範囲内、より好ましくは20〜90質量%の範囲内、さらに好ましくは30〜90質量%の範囲内、さらに好ましくは35〜90質量%の範囲内、特に好ましくは40〜80質量%の範囲内、最も好ましくは45〜75質量%の範囲内である。上記ラクトン環構造の含有割合が90質量%よりも多いと、成形加工性に乏しくなる。また、得られたフィルムの可撓性が低下する傾向があり、好ましくない。上記ラクトン環構造の含有割合が5質量%よりも少ないと、フィルムに成形したときに必要な位相差を得ることが難しく、また耐熱性、耐溶剤性、表面硬度が不十分になることがあり、好ましくない。
ラクトン環含有重合体において、一般式(III)で表されるラクトン環構造以外の構造の含有割合は、(メタ)アクリル酸エステルを重合して構築される重合体構造単位(繰り返し構造単位)の場合、好ましくは10〜95質量%の範囲内、より好ましくは10〜80質量%の範囲内、さらに好ましくは10〜65質量%の範囲内、特に好ましくは20〜60質量%の範囲内、最も好ましくは25〜55質量%の範囲内である。水酸基含有単量体を重合して構築される重合体構造単位(繰り返し構造単位)の場合、好ましくは0〜30質量%の範囲内、より好ましくは0〜20質量%の範囲内、さらに好ましくは0〜15質量%の範囲内、特に好ましくは0〜10質量%の範囲内である。不飽和カルボン酸を重合して構築される重合体構造単位(繰り返し構造単位)の場合、好ましくは0〜30質量%の範囲内、より好ましくは0〜20質量%の範囲内、さらに好ましくは0〜15質量%の範囲内、特に好ましくは0〜10質量%の範囲内である。一般式(III)で表される単量体を重合して構築される重合体構造単位(繰り返し構造単位)の場合、好ましくは0〜30質量%の範囲内、より好ましくは0〜20質量%の範囲内、さらに好ましくは0〜15質量%の範囲内、特に好ましくは0〜10質量%の範囲内である。
ラクトン環含有重合体の製造方法については、特に限定はされないが、好ましくは、重合工程によって分子鎖中に水酸基とエステル基とを有する重合体を得た後に、得られた重合体を加熱処理することによりラクトン環構造を重合体に導入するラクトン環化縮合工程を行うことによってラクトン環含有重合体を得ることができる。
〈脂環式ポリオレフィン樹脂〉
更に基材フィルムは、シクロオレフィンポリマーに代表される脂環式ポリオレフィン樹脂から構成されても良い。脂環式ポリオレフィン樹脂は、主鎖及び/または側鎖に脂環構造を有する非晶性の樹脂である。脂環式ポリオレフィン樹脂中の脂環構造としては、飽和脂環炭化水素(シクロアルカン)構造、不飽和脂環炭化水素(シクロアルケン)構造などが挙げられるが、機械強度、耐熱性などの観点から、シクロアルカン構造が好ましい。脂環構造を構成する炭素原子数には、格別な制限はないが、通常4〜30個、好ましくは5〜20個、より好ましくは5〜15個であるときに、機械強度、耐熱性、及びフィルムの成形性の特性が高度にバランスされ、好適である。
脂環式ポリオレフィン樹脂を構成する脂環構造を有する繰り返し単位の割合は、好ましくは55質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上、特に好ましくは90質量%以上である。脂環式ポリオレフィン樹脂中の脂環式構造を有する繰り返し単位の割合がこの範囲にあると透明性および耐熱性の観点から好ましい。
脂環式ポリオレフィン樹脂としては、ノルボルネン系樹脂、単環の環状オレフィン系樹脂、環状共役ジエン系樹脂、ビニル脂環式炭化水素系樹脂、及び、これらの水素化物等を挙げることができる。これらの中で、ノルボルネン系樹脂は、透明性と成形性が良好なため、好適に用いることができる。
ノルボルネン系樹脂としては、例えば、ノルボルネン構造を有する単量体の開環重合体若しくはノルボルネン構造を有する単量体と他の単量体との開環共重合体、又はそれらの水素化物;ノルボルネン構造を有する単量体の付加重合体若しくはノルボルネン構造を有する単量体と他の単量体との付加共重合体、又はそれらの水素化物等を挙げることができる。これらの中で、ノルボルネン構造を有する単量体の開環(共)重合体水素化物は、透明性、成形性、耐熱性、低吸湿性、寸法安定性、軽量性などの観点から、特に好適に用いることができる。
ノルボルネン構造を有する単量体としては、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン(慣用名:ノルボルネン)、トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3,7−ジエン(慣用名:ジシクロペンタジエン)、7,8−ベンゾトリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン(慣用名:メタノテトラヒドロフルオレン)、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン(慣用名:テトラシクロドデセン)、およびこれらの化合物の誘導体(例えば、環に置換基を有するもの)などを挙げることができる。ここで、置換基としては、例えばアルキル基、アルキレン基、極性基などを挙げることができる。また、これらの置換基は、同一または相異なって複数個が環に結合していてもよい。ノルボルネン構造を有する単量体は1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
極性基の種類としては、ヘテロ原子、またはヘテロ原子を有する原子団などが挙げられる。ヘテロ原子としては、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ケイ素原子、ハロゲン原子などが挙げられる。極性基の具体例としては、カルボキシル基、カルボニルオキシカルボニル基、エポキシ基、ヒドロキシル基、オキシ基、エステル基、シラノール基、シリル基、アミノ基、ニトリル基、スルホン基などが挙げられる。飽和吸水率の小さいフィルムを得るためには。極性基の量が少ない方が好ましく、極性基を持たない方がより好ましい。
ノルボルネン構造を有する単量体と開環共重合可能な他の単量体としては、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテンなどのモノ環状オレフィン類およびその誘導体;シクロヘキサジエン、シクロヘプタジエンなどの環状共役ジエンおよびその誘導体;などが挙げられる。
ノルボルネン構造を有する単量体の開環重合体およびノルボルネン構造を有する単量体と共重合可能な他の単量体との開環共重合体は、単量体を公知の開環重合触媒の存在下に(共)重合することにより得ることができる。
ノルボルネン構造を有する単量体と付加共重合可能な他の単量体としては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテンなどの炭素数2〜20のα−オレフィンおよびこれらの誘導体;シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセンなどのシクロオレフィンおよびこれらの誘導体;1,4−ヘキサジエン、4−メチル−1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジエンなどの非共役ジエンなどが挙げられる。これらの単量体は1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、α−オレフィンが好ましく、エチレンがより好ましい。
ノルボルネン構造を有する単量体の付加重合体およびノルボルネン構造を有する単量体と共重合可能な他の単量体との付加共重合体は、単量体を公知の付加重合触媒の存在下に重合することにより得ることができる。
ノルボルネン構造を有する単量体の開環重合体の水素化物、ノルボルネン構造を有する単量体とこれと開環共重合可能なその他の単量体との開環共重合体の水素化物、ノルボルネン構造を有する単量体の付加重合体の水素化物、およびノルボルネン構造を有する単量体とこれと付加共重合可能なその他の単量体との付加共重合体の水素化物は、これら開環(共)重合体又は付加(共)重合体の溶液に、ニッケル、パラジウムなどの遷移金属を含む公知の水素化触媒を添加し、水素を接触させて、炭素−炭素不飽和結合を好ましくは90%以上水素化することによって得ることができる。
ノルボルネン系樹脂の中でも、繰り返し単位として、X:ビシクロ[3.3.0]オクタン−2,4−ジイル−エチレン構造と、Y:トリシクロ[4.3.0.12,5]デカン−7,9−ジイル−エチレン構造とを有し、これらの繰り返し単位の含有量が、ノルボルネン系樹脂の繰り返し単位全体に対して90質量%以上であり、かつ、Xの含有割合とYの含有割合との比が、X:Yの質量比で100:0〜40:60であるものが好ましい。このような樹脂を用いることにより、長期的に寸法変化がなく、光学特性の安定性に優れたフィルムを得ることができる。
脂環式ポリオレフィン樹脂の分子量は、使用目的に応じて適宜選定されるが、溶媒としてシクロヘキサン(樹脂が溶解しない場合はトルエン)を用いるゲル・パーミエーション・クロマトグラフィーで測定したポリイソプレン(溶媒がトルエンのときは、ポリスチレン換算)の重量平均分子量(Mw)で、通常15,000〜50,000、好ましくは18,000〜45,000、より好ましくは20,000〜40,000である。重量平均分子量がこのような範囲にあるときに、フィルムの機械的強度および成形性が高度にバランスされ好適である。
脂環式ポリオレフィン樹脂の分子量分布(重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn))は特に制限されないが、通常1.0〜10.0、好ましくは1.1〜4.0、より好ましくは1.2〜3.5の範囲である。基材フィルムは、前記樹脂以外の樹脂や添加剤を含有して構成されていても良い。
〈アクリル粒子〉
基材フィルムは、脆性の改善に優れる点から、アクリル粒子を含有しても良い。アクリル粒子とは、前記熱可塑性アクリル樹脂及びセルロースエステル樹脂を相溶状態で含有する基材フィルム中に粒子の状態(非相溶状態ともいう)で存在するアクリル成分を表す。
アクリル粒子は特に限定されるものではないが、二層以上の層構造を有するアクリル粒子であることが好ましく、特に多層構造アクリル系粒状複合体であることが好ましい。多層構造重合体であるアクリル系粒状複合体の市販品の例としては、例えば、三菱レイヨン社製“メタブレン”、鐘淵化学工業社製“カネエース”、呉羽化学工業社製“パラロイド”、ロームアンドハース社製“アクリロイド”、ガンツ化成工業社製“スタフィロイド”及びクラレ社製“パラペットSA”などが挙げられ、これらは、単独ないし二種以上を用いることができる。
また、基材フィルムにアクリル粒子を添加する場合は、アクリル樹脂とセルロースエステル樹脂との混合物の屈折率とアクリル粒子の屈折率が近いことが、透明性が高いフィルムを得る点では好ましい。具体的には、アクリル粒子とアクリル樹脂の屈折率差が0.05以下であることが好ましく、より好ましくは0.02以下、とりわけ0.01以下であることが好ましい。
アクリル微粒子は、該基材フィルムを構成するアクリル樹脂とセルロースエステル樹脂の総質量に対して、含有質量比でアクリル微粒子:アクリル樹脂とセルロースエステル樹脂総質量=0.5:100〜30:100の範囲で含有させることで、目的効果がより良く発揮される点から好ましく、更に好ましくは、アクリル微粒子:アクリル樹脂とセルロースエステル樹脂の総質量=1.0:100〜15:100の範囲である。
〈その他の添加剤〉
基材フィルムには、組成物の流動性や柔軟性を向上するために、可塑剤を併用することもできる。可塑剤としては、フタル酸エステル系、脂肪酸エステル系、トリメリット酸エステル系、リン酸エステル系、ポリエステル系、あるいはエポキシ系等が挙げられる。この中で、ポリエステル系とフタル酸エステル系の可塑剤が好ましく用いられる。ポリエステル系可塑剤は、フタル酸ジオクチルなどのフタル酸エステル系の可塑剤に比べて非移行性や耐抽出性に優れる。用途に応じてこれらの可塑剤を選択、あるいは併用することによって、広範囲の用途に適用できる。
ポリエステル系可塑剤は、一価ないし四価のカルボン酸と一価ないし六価のアルコールとの反応物であるが、主に二価カルボン酸とグリコールとを反応させて得られたものが用いられる。代表的な二価カルボン酸としては、グルタル酸、イタコン酸、アジピン酸、フタル酸、アゼライン酸、セバシン酸などが挙げられる。またポリエステル系可塑剤の好ましくは、芳香族末端エステル系可塑剤である。芳香族末端エステル系可塑剤としては、フタル酸、アジピン酸、少なくとも一種のベンゼンモノカルボン酸及び少なくとも一種の炭素数2〜12のアルキレングリコールとを反応させた構造を有するエステル化合物が好ましく、最終的な化合物の構造としてアジピン酸残基及びフタル酸残基を有していればよく、エステル化合物を製造する際には、ジカルボン酸の酸無水物又はエステル化物として反応させてもよい。
ベンゼンモノカルボン酸成分としては、例えば、安息香酸、パラターシャリブチル安息香酸、オルソトルイル酸、メタトルイル酸、パラトルイル酸、ジメチル安息香酸、エチル安息香酸、ノルマルプロピル安息香酸、アミノ安息香酸、アセトキシ安息香酸等があり、安息香酸であることが最も好ましい。また、これらはそれぞれ一種又は二種以上の混合物として使用することができる。
炭素数2〜12のアルキレングリコール成分としては、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,2−プロパンジオール、2−メチル1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール(ネオペンチルグリコール)、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール(3,3−ジメチロールペンタン)、2−n−ブチル−2−エチル−1,3プロパンジオール(3,3−ジメチロールヘプタン)、3−メチル−1,5−ペンタンジオール1,6−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル1,3−ペンタンジオール、2−エチル1,3−ヘキサンジオール、2−メチル1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−オクタデカンジオール等が挙げられる。これらの中では特に1,2−プロピレングリコールが好ましい。これらのグリコールは、一種又は二種以上の混合物として使用してもよい。
芳香族末端エステル系可塑剤は、オリゴエステル、ポリエステルの型のいずれでもよく、分子量は100〜10000の範囲が良いが、好ましくは350〜3000の範囲である。また酸価は、1.5mgKOH/g以下、ヒドロキシル基(水酸基)価は25mgKOH/g以下、より好ましくは酸価0.5mgKOH/g以下、ヒドロキシル基(水酸基)価は15mgKOH/g以下のものである。可塑剤は基材フィルム100質量部に対して、0.5〜30質量部を添加するのが好ましい。具体的には以下に示す化合物などが挙げられるがこれらに限定されない。
更に、基材フィルムには、糖エステル化合物を含有しても良い。糖エステル化合物とは、下記単糖、二糖、三糖又はオリゴ糖などの糖のOH基のすべてもしくは一部をエステル化した化合物であり、具体的には一般式(1)で表わされる化合物などをあげることができる。
(式中、R〜Rは、置換又は無置換のアルキルカルボニル基、或いは、置換又は無置換のアリールカルボニル基を表し、R〜Rは、同じであっても、異なっていてもよい。)
以下に一般式(1)で示される化合物をより具体的(化合物1−1〜化合物1−23)に示すが、これらに限定はされない。なお、一般式(1)で表される化合物の好ましい具体例としては、下表に示す化合物が挙げられる。なお、下表中に記載のRは、R〜Rのうちのいずれかを表す。アルキルカルボニル基及びアリールカルボニル基の置換基としては、下表に示すアルキルカルボニル基及びアリールカルボニル基が有するフェニル基、アルコキシ基等の置換基が好ましい。
さらに、基材フィルムは、紫外線吸収剤を含有することが好まし。紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール系、2−ヒドロキシベンゾフェノン系又はサリチル酸フェニルエステル系のもの等が挙げられる。例えば、2−(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール等のトリアゾール類、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2,2′−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン類を例示することができる。ここで、紫外線吸収剤のうちでも、分子量が400以上の紫外線吸収剤は、高沸点で揮発しにくく、高温成形時にも飛散しにくいため、比較的少量の添加で効果的に耐候性を改良することができる。
分子量が400以上の紫外線吸収剤としては、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2−ベンゾトリアゾール、2,2−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]等のベンゾトリアゾール系、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート等のヒンダードアミン系、さらには2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)、1−[2−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]エチル]−4−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン等の分子内にヒンダードフェノールとヒンダードアミンの構造を共に有するハイブリッド系のものが挙げられ、これらは単独で、あるいは二種以上を併用して使用することができる。これらのうちでも、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2−ベンゾトリアゾールや2,2−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]が特に好ましい。さらに、基材フィルムには、成形加工時の熱分解性や熱着色性を改良するために各種の酸化防止剤を添加することもできる。また帯電防止剤を加えて、基材フィルムに帯電防止性能を与えることも可能である。
基材フィルムには、リン系難燃剤を配合した難燃アクリル系樹脂組成物を用いても良い。ここで用いられるリン系難燃剤としては、赤リン、トリアリールリン酸エステル、ジアリールリン酸エステル、モノアリールリン酸エステル、アリールホスホン酸化合物、アリールホスフィンオキシド化合物、縮合アリールリン酸エステル、ハロゲン化アルキルリン酸エステル、含ハロゲン縮合リン酸エステル、含ハロゲン縮合ホスホン酸エステル、含ハロゲン亜リン酸エステル等から選ばれる一種、あるいは二種以上の混合物を挙げることができる。
具体的な例としては、トリフェニルホスフェート、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナンスレン−10−オキシド、フェニルホスホン酸、トリス(β−クロロエチル)ホスフェート、トリス(ジクロロプロピル)ホスフェート、トリス(トリブロモネオペンチル)ホスフェート等が挙げられる。
また、液晶表示装置の偏光板用保護フィルムとして基材フィルムが用いられる場合は、吸湿による寸法変化によりムラや位相差値の変化が発生してしまい、コントラストの低下や色むらといった問題を発生させる。特に屋外で使用される液晶表示装置に用いられる偏光板保護フィルムであれば、上記の問題は顕著となる。このため、寸法変化率(%)は0.5%未満が好ましく、更に、0.3%未満であることが好ましい。
また、基材フィルムは、フィルム面内の直径5μm以上の欠点が1個/10cm四方以下であることが好ましい。更に好ましくは0.5個/10cm四方以下、一層好ましくは0.1個/10cm四方以下である。
ここで欠点の直径とは、欠点が円形の場合はその直径を示し、円形でない場合は欠点の範囲を下記方法により顕微鏡で観察して決定し、その最大径(外接円の直径)とする。
欠点の範囲は、欠点が気泡や異物の場合は、欠点を微分干渉顕微鏡の透過光で観察したときの影の大きさである。欠点が、ロール傷の転写や擦り傷など、表面形状の変化の場合は、欠点を微分干渉顕微鏡の反射光で観察して大きさを確認する。なお、反射光で観察する場合に、欠点の大きさが不明瞭であれば、表面にアルミや白金を蒸着して観察する。
かかる欠点頻度にて表される品位に優れたフィルムを生産性よく得るには、ポリマー溶液を流延直前に高精度濾過することや、流延機周辺のクリーン度を高くすること、また、流延後の乾燥条件を段階的に設定し、効率よくかつ発泡を抑えて乾燥させることが有効である。
欠点の個数が1個/10cm四方より多いと、例えば後工程での加工時などでフィルムに張力がかかると、欠点を基点としてフィルムが破断して生産性が低下する場合がある。また、欠点の直径が5μm以上になると、偏光板観察などにより目視で確認でき、光学部材として用いたとき輝点が生じる場合がある。
また、目視で確認できない場合でも、該フィルム上にハードコート層などを形成したときに、塗剤が均一に形成できず欠点(塗布抜け)となる場合がある。ここで、欠点とは、溶液製膜の乾燥工程において溶媒の急激な蒸発に起因して発生するフィルム中の空洞(発泡欠点)や、製膜原液中の異物や製膜中に混入する異物に起因するフィルム中の異物(異物欠点)をいう。
また、基材フィルムは、JIS−K7127−1999に準拠した測定において、少なくとも一方向の破断伸度が、10%以上であることが好ましく、より好ましくは20%以上である。
破断伸度の上限は特に限定されるものではないが、現実的には250%程度である。破断伸度を大きくするには異物や発泡に起因するフィルム中の欠点を抑制することが有効である。
基材フィルムの厚みは、20μm以上であることが好ましい。より好ましくは30μm以上である。
厚みの上限は特に限定される物ではないが、溶液製膜法でフィルム化する場合は、塗布性、発泡、溶媒乾燥などの観点から、上限は250μm程度である。なお、フィルムの厚みは用途により適宜選定することができる。
基材フィルムは、その全光線透過率が90%以上であることが好ましく、より好ましくは93%以上である。また、現実的な上限としては、99%程度である。かかる全光線透過率にて表される優れた透明性を達成するには、可視光を吸収する添加剤や共重合成分を導入しないようにすることや、ポリマー中の異物を高精度濾過により除去し、フィルム内部の光の拡散や吸収を低減させることが有効である。
また、製膜時のフィルム接触部(冷却ロール、カレンダーロール、ドラム、ベルト、溶液製膜における塗布基材、搬送ロールなど)の表面粗さを小さくしてフィルム表面の表面粗さを小さくすることや、アクリル樹脂の屈折率を小さくすることによりフィルム表面の光の拡散や反射を低減させることが有効である。
〈基材フィルムの製膜〉
基材フィルムの製膜方法の例を説明するが、これに限定されるものではない。基材フィルムの製膜方法としては、インフレーション法、T−ダイ法、カレンダー法、切削法、流延法、エマルジョン法、ホットプレス法等の製造法が使用できる。
セルロースエステル樹脂やアクリル樹脂を溶解に用いた溶媒の残留抑制の点からは溶融流延製膜法で作製する方法が好ましい。溶融流延によって形成される方法は、溶融押出成形法、プレス成形法、インフレーション法、射出成形法、ブロー成形法、延伸成形法などに分類できる。これらの中で、機械的強度及び表面精度などに優れるフィルムが得られる、溶融押出し法が好ましい。また、着色抑制、異物欠点の抑制、ダイラインなどの光学欠点の抑制などの観点からは流延法による溶液製膜が好ましい。また、フィルム形成材料が加熱されて、その流動性を発現させた後、ドラム上又はエンドレスベルト上に押出し製膜する方法も溶融流延製膜法として含まれる。
(有機溶媒)
基材フィルムを溶液流延法で製造する場合のドープを形成するのに有用な有機溶媒は、アクリル樹脂、セルロースエステル樹脂、その他の添加剤を同時に溶解するものであれば制限なく用いることができる。
例えば、塩素系有機溶媒としては、塩化メチレン、非塩素系有機溶媒としては、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸アミル、アセトン、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、1,4−ジオキサン、シクロヘキサノン、ギ酸エチル、2,2,2−トリフルオロエタノール、2,2,3,3−ヘキサフルオロ−1−プロパノール、1,3−ジフルオロ−2−プロパノール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−メチル−2−プロパノール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール、2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−1−プロパノール、ニトロエタン等を挙げることができ、塩化メチレン、酢酸メチル、酢酸エチル、アセトンを好ましく使用し得る。
ドープには、上記有機溶媒の他に、1〜40質量%の炭素原子数1〜4の直鎖又は分岐鎖状の脂肪族アルコールを含有させることが好ましい。ドープ中のアルコールの比率が高くなるとウェブがゲル化し、金属支持体からの剥離が容易になり、また、アルコールの割合が少ない時は非塩素系有機溶媒系でのアクリル樹脂、セルロースエステル樹脂の溶解を促進する役割もある。
特に、メチレンクロライド、及び炭素数1〜4の直鎖又は分岐鎖状の脂肪族アルコールを含有する溶媒に、アクリル樹脂と、セルロースエステル樹脂と、アクリル粒子の3種を、少なくとも計15〜45質量%溶解させたドープ組成物であることが好ましい。
炭素原子数1〜4の直鎖又は分岐鎖状の脂肪族アルコールとしては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノールを挙げることができる。これらの内ドープの安定性、沸点も比較的低く、乾燥性もよいこと等からエタノールが好ましい。
(溶液流延法)
基材フィルムは、溶液流延法によって製造することができる。溶液流延法では、樹脂及び添加剤を溶剤に溶解させてドープを調製する工程、ドープをベルト状もしくはドラム状の金属支持体上に流延する工程、流延したドープをウェブとして乾燥する工程、金属支持体から剥離する工程、延伸又は幅保持する工程、更に乾燥する工程、仕上がったフィルムを巻き取る工程により行われる。
ドープ中のセルロースエステル、及びセルロースエステル樹脂・アクリル樹脂の濃度は、濃度が高い方が金属支持体に流延した後の乾燥負荷が低減できて好ましいが、セルロースエステルの濃度が高過ぎると濾過時の負荷が増えて、濾過精度が悪くなる。これらを両立する濃度としては、10〜35質量%が好ましく、更に好ましくは、15〜25質量%である。
流延(キャスト)工程における金属支持体は、表面を鏡面仕上げしたものが好ましく、金属支持体としては、ステンレススティールベルト若しくは鋳物で表面をメッキ仕上げしたドラムが好ましく用いられる。キャストの幅は1〜4mとすることができる。流延工程の金属支持体の表面温度は−50℃〜溶剤が沸騰して発泡しない温度以下に設定される。温度が高い方がウェブの乾燥速度が速くできるので好ましいが、余り高すぎるとウェブが発泡したり、平面性が劣化する場合がある。
好ましい支持体温度としては0〜100℃で適宜決定され、5〜30℃が更に好ましい。又は、冷却することによってウェブをゲル化させて残留溶媒を多く含んだ状態でドラムから剥離することも好ましい方法である。
金属支持体の温度を制御する方法は特に制限されないが、温風又は冷風を吹きかける方法や、温水を金属支持体の裏側に接触させる方法がある。温水を用いる方が熱の伝達が効率的に行われるため、金属支持体の温度が一定になるまでの時間が短く好ましい。
温風を用いる場合は溶媒の蒸発潜熱によるウェブの温度低下を考慮して、溶媒の沸点以上の温風を使用しつつ、発泡も防ぎながら目的の温度よりも高い温度の風を使う場合がある。
特に、流延から剥離するまでの間で支持体の温度及び乾燥風の温度を変更し、効率的に乾燥を行うことが好ましい。
セルロースエステルフィルムが良好な平面性を示すためには、金属支持体からウェブを剥離する際の残留溶媒量は10〜150質量%が好ましく、更に好ましくは20〜40質量%又は60〜130質量%であり、特に好ましくは、20〜30質量%又は70〜120質量%である。
残留溶媒量は下記式で定義される。
残留溶媒量(質量%)={(M−N)/N}×100
なお、Mはウェブ又はフィルムを製造中又は製造後の任意の時点で採取した試料の質量で、NはMを115℃で1時間の加熱後の質量である。
また、セルロースエステルフィルム或いはセルロースエステル樹脂・アクリル樹脂フィルムの乾燥工程においては、ウェブを金属支持体より剥離し、更に乾燥し、残留溶媒量を1質量%以下にすることが好ましく、更に好ましくは0.1質量%以下であり、特に好ましくは0〜0.01質量%以下である。
フィルム乾燥工程では一般にロール乾燥方式(上下に配置した多数のロールにウェブを交互に通し乾燥させる方式)やテンター方式でウェブを搬送させながら乾燥する方式が採られる。
(延伸工程)
延伸工程では、フィルムの長手方向(MD方向)、及び幅手方向(TD方向)に対して、逐次又は同時に延伸することができる。互いに直交する二軸方向の延伸倍率は、それぞれ最終的にはMD方向に1.0〜2.0倍、TD方向に1.07〜2.0倍の範囲とすることが好ましく、MD方向に1.0〜1.5倍、TD方向に1.07〜2.0倍の範囲で行うことが好ましい。例えば、複数のロールに周速差をつけ、その間でロール周速差を利用してMD方向に延伸する方法、ウェブの両端をクリップやピンで固定し、クリップやピンの間隔を進行方向に広げてMD方向に延伸する方法、同様に横方向に広げてTD方向に延伸する方法、或いはMD/TD方向同時に広げてMD/TD両方向に延伸する方法などが挙げられる。
製膜工程のこれらの幅保持或いは幅手方向の延伸はテンターによって行うことが好ましく、ピンテンターでもクリップテンターでもよい。
テンター内などの製膜工程でのフィルム搬送張力は温度にもよるが、120N/m〜200N/mが好ましく、140N/m〜200N/mがさらに好ましい。140N/m〜160N/mが最も好ましい。延伸する際は、基材フィルムのガラス転移温度をTgとすると(Tg−30)〜(Tg+100)℃、より好ましくは(Tg−20)〜(Tg+80)℃、さらに好ましく(Tg−5)〜(Tg+20)℃である。
基材フィルムのTgは、フィルムを構成する材料種及び構成する材料の比率によって制御することができる。本発明の用途においてはフィルムの乾燥時のTgは110℃以上が好ましく、さらに120℃以上が好ましい。
従ってガラス転移温度は190℃以下、より好ましくは170℃以下であることが好ましい。このとき、フィルムのTgはJIS K7121に記載の方法などによって求めることができる。
延伸する際の温度は150℃以上、延伸倍率は1.15倍以上にすると、表面が適度に粗れるため好ましい。フィルム表面を粗らすことは、滑り性を向上させるのみでなく、表面加工性、特にハードコート層の密着性が向上するため好ましい。算術平均粗さRaは、好ましくは2.0nm〜4.0nm、より好ましくは2.5nm〜3.5nmである。
(溶融製膜法)
基材フィルムは、溶融製膜法によって製膜しても良い。溶融製膜法は、樹脂及び可塑剤などの添加剤を含む組成物を、流動性を示す温度まで加熱溶融し、その後、流動性のセルロースエステルを含む溶融物を流延することをいう。
加熱溶融する成形法は、更に詳細には、溶融押出成形法、プレス成形法、インフレーション法、射出成形法、ブロー成形法、延伸成形法などに分類できる。これらの成形法の中では、機械的強度及び表面精度などの点から、溶融押出し法が好ましい。溶融押出しに用いる複数の原材料は、通常予め混錬してペレット化しておくことが好ましい。
ペレット化は、公知の方法でよく、例えば、乾燥セルロースエステルや可塑剤、その他添加剤をフィーダーで押出し機に供給し一軸や二軸の押出し機を用いて混錬し、ダイからストランド状に押出し、水冷又は空冷し、カッティングすることでできる。
添加剤は、押出し機に供給する前に混合しておいてもよいし、それぞれ個別のフィーダーで供給してもよい。
粒子や酸化防止剤等少量の添加剤は、均一に混合するため、事前に混合しておくことが好ましい。
押出し機は、剪断力を抑え、樹脂が劣化(分子量低下、着色、ゲル生成等)しないようにペレット化可能でなるべく低温で加工することが好ましい。例えば、二軸押出し機の場合、深溝タイプのスクリューを用いて、同方向に回転させることが好ましい。混錬の均一性から、噛み合いタイプが好ましい。
以上のようにして得られたペレットを用いてフィルム製膜を行う。もちろんペレット化せず、原材料の粉末をそのままフィーダーで押出し機に供給し、そのままフィルム製膜することも可能である。
上記ペレットを一軸や二軸タイプの押出し機を用いて、押出す際の溶融温度を200〜300℃程度とし、リーフディスクタイプのフィルターなどで濾過し異物を除去した後、Tダイからフィルム状に流延し、冷却ロールと弾性タッチロールでフィルムをニップされ、冷却ロール上で固化させる。
供給ホッパーから押出し機へ導入する際は真空下又は減圧下や不活性ガス雰囲気下にして酸化分解等を防止することが好ましい。
押出し流量は、ギヤポンプを導入するなどして安定に行うことが好ましい。また、異物の除去に用いるフィルターは、ステンレス繊維焼結フィルターが好ましく用いられる。ステンレス繊維焼結フィルターは、ステンレス繊維体を複雑に絡み合った状態を作り出した上で圧縮し接触箇所を焼結し一体化したもので、その繊維の太さと圧縮量により密度を変え、濾過精度を調整できる。
可塑剤や粒子などの添加剤は、予め樹脂と混合しておいてもよいし、押出し機の途中で練り込んでもよい。均一に添加するために、スタチックミキサーなどの混合装置を用いることが好ましい。
冷却ロールと弾性タッチロールでフィルムをニップする際のタッチロール側のフィルム温度はフィルムのTg以上Tg+110℃以下にすることが好ましい。このような目的で使用する弾性体表面を有するロールは、公知のロールが使用できる。
弾性タッチロールは挟圧回転体ともいう。弾性タッチロールとしては、登録特許3194904号、登録特許3422798号、特開2002−36332号、特開2002−36333号などで開示されているタッチロールを好ましく用いることができる。これらは市販されているものを用いることもできる。冷却ロールからフィルムを剥離する際は、張力を制御してフィルムの変形を防止することが好ましい。また、上記のようにして得られたフィルムは、冷却ロールに接する工程を通過後、前記延伸操作により延伸することが好ましい。
延伸する方法は、公知のロール延伸機やテンターなどを好ましく用いることができる。延伸温度は、通常フィルムを構成する樹脂のTg〜Tg+60℃の温度範囲で行われることが好ましい。
巻き取る前に、製品となる幅に端部をスリットして裁ち落とし、巻き中の貼り付きやすり傷防止のために、ナール加工(エンボッシング加工)を両端に施してもよい。ナール加工の方法は凸凹のパターンを側面に有する金属リングを加熱や加圧により加工することができる。なお、フィルム両端部のクリップの把持部分は通常、フィルムが変形しており製品として使用できないので切除されて、再利用される。
<反射防止フィルムの物性>
(ヘイズ)
本発明の反射防止フィルムの内部散乱に起因するヘイズ(以後、内部ヘイズとも記載する)は、0〜1%であることが好ましい。内部散乱を良好に抑性することで、反射防止フィルムを画像表示装置に用いた場合、優れた視認性が得られる。内部ヘイズは、以下の手順で測定することができる。反射防止フィルムの表面および裏面にシリコーンオイルを数滴滴下し、厚さ1mmのガラス板(ミクロスライドガラス品番S 9111、MATSUNAMI製)2枚で、裏表より挟む。表裏をガラスで挟み込んだ反射防止フィルムを、完全に2枚のガラス板と光学的に密着させ、この状態でヘイズ(Ha)をJIS−K7105及びJIS K7136に準じて測定する。次に、ガラス板2枚の間にシリコーンオイルのみ数滴滴下して挟みこんでガラスヘイズ(Hb)を測定する。そして、反射防止フィルムをガラスで挟み込んだヘイズ(Ha)から、ガラスヘイズ(Hb)を引くことで、内部ヘイズ(Hi)は算出できる。また、反射防止フィルムのヘイズは、2%以下が視認性(クリア)性から好ましい。
(硬度)
本発明の反射防止フィルムは、硬度の指標で有る鉛筆硬度がH以上、より好ましくは3H以上である。3H以上であれば、液晶表示装置の偏光板化工程で、傷が付きにくいばかりではなく、屋外用途で用いられることが多い、大型の液晶表示装置や、デジタルサイネージ用液晶表示装置の表面保護フィルムとして用いた際も優れた機械特性を示す。鉛筆硬度は、作製した光学性フィルムを温度23℃、相対湿度55%の条件で2時間以上調湿した後、加重500g条件でJIS S 6006が規定する試験用鉛筆を用いて、ハードコート層又は反射防止層をJIS K5400が規定する鉛筆硬度評価方法に従い測定した値である。
<機能性層>
本発明の反射防止フィルムには、バックコート層等の機能性層を設けてもよい。
〈バックコート層〉
バックコート層は、基材フィルムのハードコート層を設けた側と反対側の面に、カールやくっつき防止のためにバックコート層を設けてもよい。
バックコート層に添加される粒子としては無機化合物の例として、二酸化珪素、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、炭酸カルシウム、タルク、クレイ、焼成カオリン、焼成ケイ酸カルシウム、酸化錫、酸化インジウム、酸化亜鉛、ITO、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム及びリン酸カルシウムを挙げることができる。
バックコート層に含まれる粒子は、バインダーに対して0.1〜50質量%が好ましい。バックコート層を設けた場合のヘイズの増加は1.5%以下であることが好ましく、0.5%以下であることが更に好ましく、特に0.1%以下であることが好ましい。バインダーとしては、ジアセチルセルロース等のセルロースエステル樹脂が好ましい。
<偏光板>
本発明の反射防止フィルムを用いた偏光板について述べる。本発明の偏光板は、液晶表示装置などの画像表示装置に用いることで、視認性に優れる。
偏光板は一般的な方法で作製することができる。本発明の反射防止フィルムの裏面側をアルカリ鹸化処理し、処理した反射防止フィルムを、ヨウ素溶液中に浸漬延伸して作製した偏光膜の少なくとも一方の面に、完全鹸化型ポリビニルアルコール水溶液を用いて貼り合わせることが好ましい。
もう一方の面に該反射防止フィルムを用いても、別の偏光板保護フィルムを用いてもよい。本発明の反射防止フィルムに対して、もう一方の面に用いられる偏光板保護フィルムは、前述した基材フィルムであるセルローストリアセテートフィルムや熱可塑性アクリル樹脂とセルロースエステル樹脂を含有し、該熱可塑性アクリル樹脂と該セルロースエステル樹脂の含有質量比が、熱可塑性アクリル樹脂:セルロースエステル樹脂=95:5〜50:50である保護フィルムを用いることが好ましい。構成の詳細は前述の通りであり、具体的には、特開2003−12859号記載のリターデーションRoが590nmで0〜5nm、Rtが−20〜+20nmの無配向フィルムが一例として挙げられる。
また、他に面内リターデーションRoが590nmで、20〜70nm、Rtが70〜400nmの位相差を有する光学補償フィルム(位相差フィルム)を用いて、視野角拡大可能な偏光板とすることもできる。これらは例えば、特開2002−71957号の方法で作製することができる。又は、更にディスコチック液晶等の液晶化合物を配向させて形成した光学異方層を有している光学補償フィルムを用いることが好ましい。例えば、特開2003−98348号記載の方法で光学異方性層を形成することができる。
また、好ましく用いられる市販の偏光板保護フィルムとしては、KC8UX2MW、KC4UX、KC5UX、KC4UY、KC8UY、KC12UR、KC4UEW、KC8UCR−3、KC8UCR−4、KC8UCR−5、KC4FR−1、KC4FR−2、KC8UE、KC4UE(コニカミノルタオプト(株)製)、ゼオノアフィルム(日本ゼオン(株)製)、アートンフィルム(JSR(株)製)等が挙げられる。
偏光板の主たる構成要素である偏光膜とは、一定方向の偏波面の光だけを通す素子であり、現在知られている代表的な偏光膜は、ポリビニルアルコール系偏光フィルムで、これはポリビニルアルコール系フィルムにヨウ素を染色させたものと二色性染料を染色させたものがあるがこれのみに限定されるものではない。
偏光膜は、ポリビニルアルコール水溶液を製膜し、これを一軸延伸させて染色するか、染色した後一軸延伸してから、好ましくはホウ素化合物で耐久性処理を行ったものが用いられている。偏光膜の膜厚は5〜30μm、好ましくは8〜15μmの偏光膜が好ましく用いられる。
該偏光膜の面上に、本発明の反射防止フィルムの片面を貼り合わせて偏光板を形成する。好ましくは完全鹸化ポリビニルアルコール等を主成分とする水系の接着剤によって貼り合わせる。
(粘着層)
液晶セルの基板と貼り合わせるために保護フィルムの片面に用いられる粘着剤層は、光学的に透明であることはもとより、適度な粘弾性や粘着特性を示すものが好ましい。具体的な粘着層としては、例えばアクリル系共重合体やエポキシ系樹脂、ポリウレタン、シリコーン系ポリマー、ポリエーテル、ブチラール系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、合成ゴムなどの接着剤もしくは粘着剤等のポリマーを用いて、乾燥法、化学硬化法、熱硬化法、熱熔融法、光硬化法等により膜形成させ、硬化せしめることができる。なかでも、アクリル系共重合体は、最も粘着物性を制御しやすく、かつ透明性や耐候性、耐久性などに優れていて好ましく用いることができる。
<画像表示装置>
本発明の反射防止フィルムは、画像表示装置に使用することで、視認性に優れた性能が発揮される。画像表示装置としては、反射型、透過型、半透過型液晶表示装置または、TN型、STN型、OCB型、VA型、IPS型、ECB型等の各種駆動方式の液晶表示装置、有機エレクトルミネッセンス素子を有する表示装置やプラズマディスプレイ、立体画像表示装置等が挙がられる。これら画像表示装置の中でも液晶表示装置が、前記特性を発揮しやすい点から液晶表示装置が好ましい。また、タッチパネルを含む液晶表示装置のタッチパネル用部材に本発明の反射防止フィルムを用いた場合文字ぼけや耐ペン摺動性に優れる点で好ましい。
(タッチパネル)
次に、本発明の反射防止フィルムをタッチパネルに用いた場合の一例を示す。先ず、図3に導電性膜付き反射防止フィルムの構成例を示す。導電性膜付き反射防止フィルム10は、反射防止フィルム6の反射防止層が設けられていない面にハードコート層7を形成し、更に該ハードコート層上に透明導電性薄膜8が形成されている。
次に、本発明の反射防止フィルムをタッチパネルに用いた抵抗膜方式タッチパネル液晶表示装置20の概略図を図4に示す。導電性膜付き反射防止フィルム10を、透明導電性薄膜24が形成されたガラス基板23と、透明導電性薄膜同士が向き合うように一定の間隔をあけて対向させることにより、抵抗膜方式のタッチパネル21を構成することができる。導電性膜付き反射防止フィルム10およびガラス基板23の端部には不図示の電極が配置されている。抵抗膜方式のタッチパネルは、導電性膜付き反射防止フィルム10をユーザが指やペン等で押下することにより、導電性膜付き反射防止フィルムの透明導電性薄膜が、ガラス基板23上の透明導電性薄膜24と接触する。この接触を端部の電極を介して電気的に検出することにより、押下された位置が検出される仕組みである。ガラス基板23の透明導電性薄膜24上には、必要に応じてドット状のスペーサー25が配置される。また、タッチパネル21をLCD(液晶表示パネル)22の上に搭載することにより、抵抗膜方式のタッチパネル付き液晶表示装置20を構成することができる。
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1
<基材フィルムの作製>
〈エステル化合物1の調製〉
1,2−プロピレングリコール251g、無水フタル酸278g、アジピン酸91g、安息香酸610g、エステル化触媒としてテトライソプロピルチタネート0.191gを、温度計、撹拌器、緩急冷却管を備えた2Lの四つ口フラスコに仕込み、窒素気流中230℃になるまで、撹拌しながら徐々に昇温する。15時間脱水縮合反応させ、反応終了後200℃で未反応の1,2−プロピレングリコールを減圧留去することにより、エステル化合物1を得た。酸価0.10、数平均分子量450であった。
〈基材フィルム1の作製〉
(二酸化珪素分散液)
アエロジルR812(日本アエロジル(株)製) 10質量部
(一次粒子の平均径7nm)
エタノール 90質量部
以上をディゾルバーで30分間撹拌混合した後、マントンゴーリンで分散を行った。二酸化珪素分散液に88質量部のメチレンクロライドを撹拌しながら投入し、ディゾルバーで30分間撹拌混合し、二酸化珪素分散希釈液を作製した。微粒子分散希釈液濾過器(アドバンテック東洋(株):ポリプロピレンワインドカートリッジフィルターTCW−PPS−1N)で濾過した。
(ドープ組成物)
セルローストリアセテート(リンター綿から合成されたセルローストリアセテート、アセチル基置換度2.88、Mn=140000) 90質量部
エステル化合物1 10質量部
チヌビン928(BASFジャパン(株)製) 2.5質量部
二酸化珪素分散希釈液 4質量部
メチレンクロライド 432質量部
エタノール 38質量部
以上を密閉容器に投入し、加熱し、撹拌しながら、完全に溶解し、安積濾紙(株)製の安積濾紙No.24を使用して濾過し、ドープ液を調製した。
次に、ベルト流延装置を用い、ステンレスバンド支持体に均一に流延した。ステンレスバンド支持体で、残留溶剤量が100%になるまで溶剤を蒸発させ、ステンレスバンド支持体上から剥離した。セルロースエステルフィルムのウェブを35℃で溶剤を蒸発させ、1.65m幅にスリットし、テンターでTD方向(フィルムの幅手方向)に1.3倍、MD方向(フィルムの流延方向)の延伸倍率は1.01倍で延伸しながら、160℃の乾燥温度で乾燥させた。乾燥を始めたときの残留溶剤量は20%であった。その後、120℃の乾燥装置内を多数のロールで搬送させながら15分間乾燥させた後、1.49m幅にスリットし、フィルム両端に幅10mm、高さ10μmのナーリング加工を施し、巻芯に巻き取り、基材フィルム1を得た。基材フィルムの残留溶剤量は0.2%であり、膜厚は40μm、巻数は5500mであった。
<反射防止フィルム1の作製>
(ハードコートフィルム1の作製)
上記作製した基材フィルム1上に、下記のハードコート層組成物1を孔径0.4μmのポリプロピレン製フィルターで濾過したものを、マイクログラビアコーターを用いてセルローストリアセテートフィルム1の表面に塗布し、恒率乾燥区間温度95℃、減率乾燥区間温度95℃で乾燥の後、紫外線ランプを用い照射部の照度が100mW/cmで、照射量を0.1J/cmとして塗布層を硬化させ、ドライ膜厚6.7μmのハードコート層1を形成し、巻き取り、ロール状のハードコートフィルム1を作製した。また、ハードコートフィルム1のハードコート層の表面を光学干渉式表面粗さ計(Zygo社製 New View 5030)で観察した結果、図5のように不規則な突起形状が不規則に長手方向及び幅方向に配列していることが分かった。
[ハードコート層組成物1]
下記材料を攪拌、混合しハードコート層組成物1とした。
(活性線硬化型樹脂)
ペンタエリスリトールトリ/テトラアクリレート(PETAと表記) 100質量部
(NKエステルA−TMM−3L、新中村化学工業(株)製)
(光重合開始剤)
イルガキュア184(BASFジャパン社製) 5質量部
(添加剤:レべリング剤)
ポリエーテル変性シリコーン(信越化学社製、商品名:KF−352)
1.5質量部
(溶剤)
プロピレングリコールモノメチルエーテル 10質量部
酢酸メチル 45質量部
メチルエチルケトン 45質量部
なお、表1の記載において、ペンタエリスリトールトリ/テトラアクリレートはPETTAと示した。
(ハードコートフィルム1の耐久性試験)
上記作製したロール状ハードコートフィルム1(5500m)をアルミ防湿シートに包み、70℃相対湿度90%の恒温恒湿槽で20日保存した。
(反射防止フィルム1の作製)
上記耐久性試験を実施したロール状ハードコートフィルムを再び繰り出して、ハードコート層表面上に下記のようにして高屈折率層、次いで、低屈折率層の順に反射防止層を塗布し、反射防止フィルム1を作製した。
(高屈折率層の塗布)
ハードコート層上に、下記高屈折率層塗布組成物をダイコートし、80℃で乾燥した後、酸素濃度が1.0体積%以下の雰囲気になるように窒素パージしながら、紫外線ランプを用い照射部の照度が100mW/cmで、照射量を0.2J/cmとして塗布層を硬化させ、硬化後の膜厚が120nmとなるように高屈折率層を設けた。屈折率は1.60であった。
[高屈折率層塗布組成物]
(粒子分散液Aの調製)
メタノール分散アンチモン複酸化物コロイド(固形分60%、日産化学工業(株)社製アンチモン酸亜鉛ゾル、商品名:セルナックスCX−Z610M−F2)6.0kgにイソプロピルアルコール12.0kgを攪拌しながら徐々に添加し、粒子分散液Aを調製した。
下記材料を攪拌、混合し高屈折率層塗布組成物とした。
PGME(プロピレングリコールモノメチルエーテル) 40質量部
イソプロピルアルコール 25質量部
メチルエチルケトン 25質量部
ペンタエリスリトールトリ/テトラアクリレート 1.9質量部
(NKエステルA−TMM−3L、新中村化学工業(株)製)
ウレタンアクリレート(商品名:U−4HA 新中村化学工業社製)
0.6質量部
粒子分散液A 20質量部
イルガキュア184(BASFジャパン社製) 1.5質量部
イルガキュア907(BASFジャパン社製) 0.2質量部
10%FZ−2207、プロピレングリコールモノメチルエーテル溶液
(日本ユニカー社製) 0.4質量部
(低屈折率層の塗布)
次いで、上記高屈折率層を形成後、巻き取らずに高屈折率層上に、下記の低屈折率層塗布組成物1をダイコートし、80℃で乾燥した後、紫外線ランプを用い照射部の照度が100mW/cmで、照射量を0.25J/cmとして照射して膜厚が85nmになるように低屈折率層1を設け、ロール状に巻き取った。次に、作製したロール状の反射防止フィルム1をアルミ防湿シートに包み、50℃で5日間エージング処理を行い、反射防止フィルム1を作製した。なお、低屈折率層1の屈折率は、1.37であった。
[低屈折率層塗布組成物1(ゾルゲルバインダー)]
(テトラエトキシシラン加水分解物Aの調製)
テトラエトキシシラン230g(商品名:KBE04、信越化学工業社製)とエタノール440gを混合し、これに2%酢酸水溶液120gを添加した後に、室温(25℃)にて26時間攪拌することでテトラエトキシシラン加水分解物Aを調製した。
下記材料を攪拌、混合し低屈折率層塗布組成物とした。
プロピレングリコールモノメチルエーテル 430質量部
イソプロピルアルコール 430質量部
テトラエトキシシラン加水分解物A 120質量部
γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(商品名:KBM503、信越化学工業社製) 3.0質量部
イソプロピルアルコール分散中空シリカゾル(固形分20%、触媒化成工業社製シリカゾル、商品名:ELCOM V−8209) 45.0質量部
アルミニウムエチルアセトアセテート・ジイソプロピレート 3.0質量部
(川研ファインケミカル社製ALCH)
10%FZ−2207、プロピレングリコールモノメチルエーテル溶液(日本ユニカー社製) 3.0質量部
<反射防止フィルム2の作製>
反射防止フィルム1の作製において、ハードコート層組成物1を下記ハードコート層組成物2に変更し、更にハードコート層の乾燥工程における減率乾燥区間温度を95℃に変更した以外は同様にして、ハードコートフィルムを作製し、次いで耐久性試験を実施後、反射防止層を形成し、反射防止フィルム2を作製した。
[ハードコート層組成物2]
下記材料を攪拌、混合しハードコート層組成物2とした。
(活性線硬化型樹脂)
トリメチロールプロパントリアクリレート 80質量部
(ライトアクリレートTMP−A、共栄社化学(株)製)
4−ヒドロキシブチルアクリレート 20質量部
(4−HBA、大阪有機化学工業(株)製)
(光重合開始剤)
イルガキュア184(BASFジャパン社製) 5質量部
(添加剤:レべリング剤)
ポリエーテル変性シリコーン(信越化学社製、商品名:KF−352)
1.5質量部
(溶剤)
プロピレングリコールモノメチルエーテル 10質量部
酢酸メチル 45質量部
メチルエチルケトン 45質量部
<反射防止フィルム3の作製>
反射防止フィルム2の作製において、ハードコート層の乾燥工程における減率乾燥区間温度を95℃に変更した以外は同様にして、ハードコートフィルムを作製し、次いで耐久性試験を実施後、反射防止層を形成し、反射防止フィルム3を作製した。
<反射防止フィルム4の作製>
反射防止フィルム1の作製において、ハードコート層組成物1を下記ハードコート層組成物3に変更し、更にハードコート層の乾燥工程における減率乾燥区間温度を100℃に変更した以外は同様にして、ハードコートフィルムを作製し、次いで耐久性試験を実施後、反射防止層を形成し、反射防止フィルム4を作製した。
[ハードコート層組成物3]
下記材料を攪拌、混合しハードコート層組成物3とした。
(活性線硬化型樹脂)
エトキシ化グリセリントリアクリレート 60質量部
(NKエステルA−GLY−9E、新中村化学工業(株)製)
エトキシ化イソシアヌル酸トリアクリレート 40質量部
(NKエステルA−9300、新中村化学工業(株)製)
(光重合開始剤)
イルガキュア184(BASFジャパン(株)製) 5質量部
(添加剤:レべリング剤)
ポリエーテル変性シリコーン(信越化学社製、商品名:KF−352)
1.5質量部
(溶剤)
プロピレングリコールモノメチルエーテル 10質量部
酢酸メチル 45質量部
メチルエチルケトン 45質量部
<反射防止フィルム5の作製>
反射防止フィルム4の作製において、ハードコート層の乾燥工程における減率乾燥区間温度を105℃に変更した以外は同様にして、ハードコートフィルムを作製し、次いで耐久性試験を実施後、反射防止層を形成し、反射防止フィルム5を作製した。
<反射防止フィルム6の作製>
反射防止フィルム1の作製において、ハードコート層のハードコート層組成物1を下記ハードコート層組成物4に変更し、更にハードコート層の乾燥工程における減率乾燥区間温度を90℃に変更した以外は同様にして、ハードコートフィルムを作製し、次いで耐久性試験を実施後、反射防止層を形成し、反射防止フィルム6を作製した。
[ハードコート層組成物4]
下記材料を攪拌、混合しハードコート層組成物4とした。
(活性線硬化型樹脂)
エトキシ化ペンタエリスリトールテトラアクリレート 50質量部
(NKエステルATM−4E、新中村化学工業(株)製)
ペンタエリスリトールトリ/テトラアクリレート 50質量部
(NKエステルA−TMM−3L、新中村化学工業(株)製)
(光重合開始剤)
イルガキュア184(BASFジャパン(株)製) 5質量部
(添加剤:レべリング剤)
ポリエーテル変性シリコーン(信越化学社製、商品名:KF−352)
1.5質量部
(溶剤)
プロピレングリコールモノメチルエーテル 10質量部
酢酸メチル 45質量部
メチルエチルケトン 45質量部
<反射防止フィルム7の作製>
反射防止フィルム1の作製において、ハードコート層のハードコート層組成物1を下記ハードコート層組成物5に変更し、更にハードコート層の乾燥工程における減率乾燥区間温度を100℃に変更した以外は同様にして、ハードコートフィルムを作製し、次いで耐久性試験を実施後、反射防止層を形成し、反射防止フィルム7を作製した。
[ハードコート層組成物5]
下記材料を攪拌、混合しハードコート層組成物5とした。
(活性線硬化型樹脂)
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート 100質量部
(NKエステルA−DPH、新中村化学工業(株)製)
(光重合開始剤)
イルガキュア184(BASFジャパン(株)製) 5質量部
(添加剤:レべリング剤)
ポリエーテル変性シリコーン(信越化学社製、商品名:KF−352)
1.5質量部
(溶剤)
プロピレングリコールモノメチルエーテル 10質量部
酢酸メチル 45質量部
メチルエチルケトン 45質量部
なお、表1の記載において、ジペンタエリスリトールペンタ/ヘキサアクリレートはDPHAと示した。
<反射防止フィルム8の作製>
反射防止フィルム1の作製において、ハードコート層のハードコート層組成物1を下記ハードコート組層成物6に変更し、更にハードコート層の乾燥工程における減率乾燥区間温度を120℃に変更した以外は同様にして、ハードコートフィルムを作製し、次いで耐久性試験を実施後、反射防止層を形成し、反射防止フィルム8を作製した。
[ハードコート層組成物6]
下記材料を攪拌、混合しハードコート層組成物6とした。
(活性線硬化型樹脂)
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート 50質量部
(NKエステルA−DPH、新中村化学工業(株)製)
ペンタエリスリトールトリ/テトラアクリレート 50質量部
(NKエステルA−TMM−3L、新中村化学工業(株)製)
(光重合開始剤)
イルガキュア184(BASFジャパン(株)製) 5質量部
(添加剤:レベリング剤)
ポリエーテル変性シリコーン(信越化学社製、商品名:KF−352)
1.5質量部
(溶剤)
プロピレングリコールモノメチルエーテル 10質量部
酢酸メチル 45質量部
メチルエチルケトン 45質量部
<反射防止フィルム9の作製>
反射防止フィルム1の作製において、ハードコート層のハードコート層組成物1を下記ハードコート層組成物7に変更した以外は同様にして、ハードコートフィルムを作製し、次いで耐久性試験を実施後、反射防止層を形成し、反射防止フィルム9を作製した。
[ハードコート層組成物7]
下記材料を攪拌、混合しハードコート層組成物7とした。
(活性線硬化型樹脂)
エトキシ化ペンタエリスリトールテトラアクリレート 50質量部
(NKエステルATM−4E、新中村化学工業(株)製)
4−ヒドロキシブチルアクリレート 50質量部
(4−HBA、大阪有機化学工業(株)製)
(光重合開始剤)
イルガキュア184(BASFジャパン(株)製) 5質量部
(添加剤:レベリング剤)
ポリエーテル変性シリコーン(信越化学社製、商品名:KF−352)
1.5質量部
(溶剤)
プロピレングリコールモノメチルエーテル 10質量部
酢酸メチル 45質量部
メチルエチルケトン 45質量部
<反射防止フィルム10の作製>
反射防止フィルム1の作製において、ハードコート層のハードコート層組成物1を下記ハードコート層組成物8に変更し、ハードコート層の乾燥工程における恒率乾燥区間温度と減率乾燥区間温度を80℃に変更し、紫外線ランプの照射量を0.3J/cmとして塗布層を硬化させた以外は同様にして、ハードコートフィルムを作製し、次いで耐久性試験を実施後、反射防止層を形成し、反射防止フィルム10を作製した。
[ハードコート層組成物8]
特開2010−163535号公報の調整例1及び実施例1を参考にして、ハードコート層組成物8を調整した。
(不飽和二重結合含有アクリル共重合体(I)の調製)
イソボロニルメタクリレート187.2g、メチルメタクリレート2.8g、メタクリル酸10.0gからなる混合物を混合した。この混合物を、攪拌羽根、窒素導入管、冷却管および滴下漏斗を備えた1000ml反応容器中の、窒素雰囲気下で110℃に加温したプロピレングリコールモノメチルエーテル360gにターシャリーブチルペルオキシ−2−エチルヘキサエート2gを含むプロピレングリコールモノメチルエーテルの80g溶液と同時に3時間かけて等速滴下し、その後、1時間、110℃で反応させた。その後、ターシャリーブチルペルオキシ−2−エチルヘキサエート0.2gを含むプロピレングリコールモノメチルエーテル17g溶液を滴下して、110℃で30分反応させた。
その反応溶液にテトラブチルアンモニウムブロマイド1.5gとハイドロキノン0.1gを含む6gのプロピレングリコールモノメチルエーテル溶液を加え、空気バブリングしながら、さらに4−ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテル24.4gとプロピレングリコールモノメチルエーテル5.0gの溶液を1時間かけて滴下し、その後5時間かけて更に反応させた。
数平均分子量5500、重量平均分子量(Mw)18000の不飽和二重結合含有アクリル共重合体を得た。この樹脂は、SP値:9.7、Tg:92℃であった。
下記材料を攪拌、混合しハードコート層組成物8とした。
(活性線硬化型樹脂)
トリエチレングリコール−トリメチロールプロパントリアクリレート(SP値:11.6) 20質量部
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(SP値:12.1)
39.25質量部
(NKエステルA−DPH、新中村化学工業(株)製)
ペンタエリスリトールトリアクリレート(SP値:12.7) 39.25質量部
不飽和二重結合含有アクリル共重合体(I)(SP値:9.7、Mw=18000)
1.5質量部
(光重合開始剤)
イルガキュア184(BASFジャパン(株)製) 5質量部
(溶剤)
メチルイソブチルケトン 105質量部
なお、表1の記載において、トリエチレングリコール−トリメチロールプロパントリアクリレートをTETPA、ペンタエリスリトールトリアクリレートをPETA、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートをDPHA、不飽和二重結合含有アクリル共重合体をアクリル共重合体と表記する。
<反射防止フィルム11の作製>
反射防止フィルム1の作製において、ハードコート層のハードコート層組成物1を下記ハードコート層組成物9に変更し、更にハードコート層の乾燥工程における減率乾燥区間温度を100℃に変更した以外は同様にして、ハードコートフィルムを作製し、次いで耐久性試験を実施後、反射防止層を形成し、反射防止フィルム11を作製した。
[ハードコート層組成物9]
下記材料を攪拌、混合しハードコート層組成物9とした。
(活性線硬化型樹脂)
ウレタンプレポリマーとペンタエリスリトールテトラアクリレートの混合物
(UA−306H、共栄社化学(株)製) 100質量部
(光重合開始剤)
イルガキュア184(BASFジャパン(株)製) 5質量部
(添加剤:レべリング剤)
ポリエーテル変性シリコーン(信越化学社製、商品名:KF−352)
1.5質量部
(溶剤)
プロピレングリコールモノメチルエーテル 10質量部
酢酸メチル 45質量部
メチルエチルケトン 45質量部
<反射防止フィルム12の作製>
反射防止フィルム1の作製において、ハードコート層のハードコート層組成物1を下記ハードコート層組成物10に変更し、ハードコート層の乾燥工程における恒率乾燥区間温度と減率乾燥区間温度を80℃に変更し、紫外線ランプの照射量を0.3J/cmとして塗布層を硬化させた以外は同様にして、ハードコートフィルムを作製し、次いで耐久性試験を実施後、反射防止層を形成し、反射防止フィルム12を作製した。
[ハードコート層組成物10]
(反応性シリカ粒子Xの調製)
メルカプトプロピルトリメトキシシラン23部、ジブチルスズジラウレート0.5部からなる溶液にイソホロンジイソシアネート60部を攪拌しながら50℃で1時間かけて滴下後、80℃で3時間攪拌した。これに新中村化学製NKエステルA−TMM−3LM−N(ペンタエリスリトールトリアクリレート60質量%とペンタエリスリトールテトラアクリレート40質量%とからなる溶液)202部を30℃で1時間かけて滴下後、60℃で3時間加熱攪拌することで特定有機化合物(S1)を得た。生成物の赤外吸収スペクトルは原料中のメルカプト基に特徴的な2550cm−1の吸収ピーク及びイソシアネート基に特徴的な2260cm−1の吸収ピークが消失し、新たに、[−O−C(=O)−NH−]基及び[−S−C(=O)−NH−]基中のカルボニルに特徴的な1660cm−1のピーク及びアクリロイル基に特徴的な1720cm−1のピークが観察され、重合性不飽和基としてのアクリロイル基と[−S−C(=O)−NH−]基、[−O−C(=O)−NH−]基を共に有する特定有機化合物が生成していることを示した。上記製造した組成物9.5部(重合性不飽和基を有する有機化合物を7.3部含む)、とメチルエチルケトン62.7部、シリカ粒子(平均粒子径:250nm、商品名:KEP−250(日本触媒社製))35.3部、イオン交換水0.13部、及びp−ヒドロキシフェニルモノメチルエーテル0.01部の混合液を、60℃、5時間攪拌後、オルト蟻酸メチルエステル1.45部を添加し、さらに1時間同一温度で加熱攪拌することで反応性シリカ粒子分散液Xを得た。
この分散液をアルミ皿に2g秤量後、175℃のホットプレート上で1時間乾燥、秤量して固形分含量を求めたところ、36%であった。またこのシリカ粒子の平均粒子径は300nmであった。
ここで、平均粒子径は透過型電子顕微鏡により測定した。
下記材料を攪拌、混合しハードコート層塗布組成物10とした。
(活性線硬化型樹脂)
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート 16.6質量部
(NKエステルA−DPH、新中村化学工業(株)製)
(光重合開始剤)
イルガキュア184(BASFジャパン(株)製) 0.85質量部
(添加剤:レべリング剤)
ポリエーテル変性シリコーン(信越化学社製、商品名:KF−352)
1.0質量部
(添加剤:微粒子)
反応性シリカ粒子分散液(反応性シリカ粒子(X)36%)
115質量部
(溶剤)
プロピレングリコールモノメチルエーテル 5質量部
<反射防止フィルム13の作製>
反射防止フィルム7の作製において、ハードコート層を塗布後、恒率乾燥区間温度と減率乾燥区間温度の乾燥温度を80℃に変更して乾燥後、特開2008−276198号公報の実施例を参考にして作製した鋳型ロールで型押し後、紫外線ランプを用いて硬化した以外は同様にして、ハードコートフィルムを作製し、次いで耐久性試験を実施後、反射防止層を形成し、反射防止フィルム13を作製した。
なお、反射防止フィルム13のハードコート層13の表面を非接触表面形状測定機(Zygo社製New View 5030)で観察した結果、長さ方向に周期を有する突起形状が配列されていた。
<反射防止フィルム14の作製>
反射防止フィルム1の作製において、高屈折率層を設けずに低屈折率層の塗布組成物1を低屈折率層の塗布組成物2に変更した以外は同様にして反射防止フィルム14を作製した。なお、低屈折率層の屈折率は1.37であった。
[低屈折率層用塗布組成物2(ラジカル重合性バインダー)]
(含フッ素ポリマー1の調製)
内容量100mlのステンレス製撹拌機付オートクレーブに、酢酸エチル40ml、ヒドロキシエチルビニルエーテル14.7g、および過酸化ジラウロイル0.55gを仕込み、反応系内を脱気して、窒素ガスで置換した。更にヘキサフルオロプロピレン(HFP)25gをオートクレーブ中に導入して、温度65℃まで昇温した。オートクレーブ内の温度が65℃に達した時点の圧力は、5.4kg/cmであった。オートクレーブ内の温度をそのまま保持し、8時間反応を続け、圧力が3.2kg/cmに達した時点で加熱をやめ、放冷した。室温まで内温が下がった時点で、未反応のモノマーを追い出し、オートクレーブを開放して、反応液を取り出した。
得られた反応液を、大過剰のヘキサンに投入し、デカンテーションにより溶剤を除去することにより、沈殿したポリマーを取り出した。更にこのポリマーを少量の酢酸エチルに溶解して、ヘキサンから2回再沈殿を行うことによって、残存モノマーを完全に除去し、乾燥し、ポリマーを28g得た。つぎに、該ポリマーの20gをN,N−ジメチルアセトアミド100mlに溶解、氷冷下アクリル酸クロライド11.4gを滴下した後、室温で10時間攪拌した。反応液に酢酸エチルを加え水洗、有機層を抽出後濃縮し、得られたポリマーをヘキサンで再沈殿させることにより、含フッ素ポリマー1を19g得た。
下記材料を攪拌、混合し低屈折率層用塗布組成物2とした。
(溶媒)
メチルエチルケトン 460質量部
シクロヘキサノン 300質量部
(ラジカル重合性化合物)
含フッ素ポリマー1 30質量部
ペンタエリスリトールトリアクリレート 20質量部
ペンタエリスリトールテトラアクリレート 14質量部
(光重合性開始剤)
イルガキュア907(BASFジャパン(株)製) 3質量部
(添加剤)
シリコーン化合物(FZ−2207、日本ユニカー株式会社製)の10%プロピレングリコールモノメチルエーテル液 6.5質量部
(微粒子)
イソプロピルアルコール分散中空シリカ微粒子ゾル 50質量部
(固形分20%、触媒化成工業社製シリカゾル、商品名:ELCOM V−8209)
<反射防止フィルム15の作製>
反射防止フィルム1の作製において、高屈折率層を設けずに低屈折率層の塗布組成物1を低屈折率層の塗布組成物3に変更した以外は同様にして反射防止フィルム15を作製した。なお、低屈折率層の屈折率は1.37であった。
[低屈折率層用塗布組成物3(カチオン重合性バインダー)]
(含フッ素エポキシ化合物1の調製)
1,3−ジヒドロキシヘキサフルオロイソプロピルベンゼン81.03gとエピクロロヒドリン185gを混合し、水酸化ナトリウム16.27gと水40mlを加え、撹拌下で加熱還流させた。130℃で3時間反応後、自然冷却し、生成した塩化ナトリウムを吸引濾過により除去した。得られた濾液をクロロホルム−水により抽出し、有機層を乾燥、濾過、濃縮することにより、含フッ素エポキシ化合物1を95.7g得た。
下記材料を攪拌、混合し低屈折率層用塗布組成物3とした。
(カチオン重合性化合物)
〔1−(3−エチル−3−オキセタニル)メチル〕エーテル 6.7質量部
3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチルカルボキシレート
0.3質量部
含フッ素エポキシ化合物1 2質量部
(カチオン重合性開始剤)
トリアリルスルフォニウムヘキサフルオロフォスフィン塩 0.2質量部
(微粒子)
イソプロピルアルコール分散中空シリカ微粒子ゾル 6.9質量部
(固形分20%、触媒化成工業社製シリカゾル、商品名:ELCOM V−8209)
(添加剤)
シリコーン化合物(FZ−2207、日本ユニカー株式会社製の10%プロピレングリコールモノメチルエーテル液) 0.9質量部
(溶媒)
メチルイソブチルケトン 80質量部
メチルエチルケトン 40質量部
《評価》
上記作製したハードコート層組成物1〜10、ハードコートフィルム1〜15、及び反射防止フィルム1〜15について下記の評価を行った。
1.ハードコート層組成物
a.樹脂粘度測定
ハードコート層組成物1〜10について、各組成物の活性線硬化型樹脂だけをディスパーにて撹拌混合して、25℃の条件にてB型粘度計を用いて粘度測定を行った。得られた結果を表1に示す。
2.ハードコートフィルム
a.算術平均粗さRa及び輪郭曲線要素の平均長さRSmの測定
上記作製した各ハードコートフィルムのハードコート層を非接触表面形状測定機(ZYGO社製 New View5030)を用いて10回測定し、その測定結果の平均から各ハードコート層の算術平均粗さRa、及び輪郭曲線要素の平均長さRSmを求めた。得られた結果を表2に示した。
3.反射防止フィルム
a.外観評価
上記作製した各反射防止フィルムを150cm×50cmサイズでカットし、裏面に黒色のスプレーを用いて光吸収処理を行い、表面から蛍光灯の反射を観察して、外観(斑点状のムラ)について以下の基準で目視にて評価した。得られた結果を表2に示す。
(外観:斑点状のムラ)
◎ 斑点状のムラが全く認められない。
○ 斑点状のムラが僅かに認められる。
△ 斑点状のムラがやや認められる。実用上問題がある。
× 斑点状のムラが認められる。
b.密着性
各反射防止フィルムを3cm×4cmサイズでカットし、オゾン10ppm、30℃、60%RHの環境下に200時間保管後、サイクルサーモ(−40℃・45分放置、次いで90℃・45分放置を交互)で500サイクル投入し、反射防止層を表面にして更に耐光試験機(アイスーパーUVテスター、岩崎電気株式会社製)にて、75時間光照射後、該反射防止層の表面に片刃のカミソリの刃を面に対して90°の角度で切り込みを1mm間隔で縦横に11本入れ、1mm角の碁盤目を100個作製した。この上に市販のセロハン製テープを貼り付け、その一端を手で持って垂直に力強く引っ張って剥がし、切り込み線からの貼られたテープ面積に対する薄膜が剥がされた面積の割合を目視で観察し、下記の基準で評価した。得られた結果を表2に示した。
◎ 全く剥離されなかった。
○ 剥離された面積割合が5%未満であった。
△ 剥離された面積割合が10%未満であった。実用上問題となるレベル。
× 剥離された面積割合が10%以上であった。
表2の結果から判るように、ハードコート層のRaが2〜20nmで、かつRaとSmとの比(Ra/Sm)が、5×10−5〜2×10−3の範囲内であるハードコート層から構成される本発明の反射防止フィルムは、比較例と比べて、斑点ムラ及び密着性に対して良好な性能を有していることが判る。本発明の中でもRaが4〜20nmであるハードコート層から構成される本発明の反射防止フィルムは、斑点ムラ及び密着性に対して特に優れた性能を有することが判る。また、突起形状が長手方向に不規則であるハードコート層から構成される本発明の反射防止フィルムは、型押しによって作製された突起形状が長手方向に規則性を有する構成からなる本発明の反射防止フィルムに比べて、斑点ムラ及び密着性がより優れていることが判る。また、ハードコート層の乾燥工程における減率乾燥区間の温度を95℃〜120℃の範囲で制御して形成したハードコート層を有する反射防止フィルムは、ハードコート層のRa及びRa/Smを本発明の範囲に良好にコントロールできるため、好ましいことが判る。また、粘度が20〜2000mPa・sの活性線硬化型樹脂で形成されるハードコート層から構成される反射防止フィルムは、ハードコート層のRa及びRa/Smを本発明の範囲に良好にコントロールできるため、好ましいことが判る。また、各反射防止フィルムのRaを非接触表面形状測定機(ZYGO社製 New View5030)を用いて測定したところ、ハードコート層のRaを良好に維持していた。反射防止フィルム1〜15ついて、バックコート面に粘着剤付きの黒色アクリル板を貼り付け、光吸収処理を行い、低屈折率層面から、CM−3700d(コニカミノルタセンシング株式会社製)を用いて反射率を測定した結果、本発明の反射防止フィルムの平均反射率は全て1.2%以下であり、良好な反射防止機能を有していた。また、反射防止フィルム1〜15について、JIS−S6006が規定する試験用鉛筆を用いて、JIS−K5400が規定する鉛筆硬度評価法に従い、500gのおもりを用いて各硬度の鉛筆で低屈折率層表面を5回繰り返し引っ掻き、鉛筆硬度を評価した結果、本発明の反射防止フィルムは全て3H以上であり、良好なハードコート性を有していた。
実施例2
<偏光板の作製>
実施例1で作製した反射防止フィルム1〜15と下記偏光子と裏面側に下記手順で作製した保護フィルム1とを長手方向を合わせるようにロール・トゥ・ロールで貼り合わせて偏光板を各々作製した。
偏光板の模式図を図6に示す。
(保護フィルム1の作製)
〈微粒子分散液1〉
微粒子(アエロジル R972V 日本アエロジル(株)製) 11質量部
エタノール 89質量部
以上をディゾルバーで50分間攪拌混合した後、マントンゴーリンで分散を行った。
〈微粒子添加液1〉
メチレンクロライドを入れた溶解タンクに十分攪拌しながら、微粒子分散液1をゆっくりと添加した。更に、二次粒子の粒径が所定の大きさとなるようにアトライターにて分散を行った。これを日本精線(株)製のファインメットNFで濾過し、微粒子添加液1を調製した。
メチレンクロライド 99質量部
微粒子分散液1 5質量部
下記組成の主ドープ液を調製した。まず加圧溶解タンクにメチレンクロライドとエタノールを添加した。溶剤の入った加圧溶解タンクにセルロースアセテートを攪拌しながら投入した。これを加熱し、攪拌しながら、完全に溶解し。これを安積濾紙(株)製の安積濾紙No.244を使用して濾過し、主ドープ液を調製した。
〈主ドープ液の組成〉
メチレンクロライド 340質量部
エタノール 64質量部
アセチル基置換度が2.4のセルロースアセテート 100質量部
糖エステル化合物 例示化合物1−3 10.0質量部
芳香族末端エステル 例示化合物B−2 2.5質量部
紫外線吸収剤(チヌビン928(BASFジャパン(株)製)) 2.3質量部
微粒子添加液1 1質量部
上記組成物を密閉容器に投入し、攪拌しながら溶解してドープ液を調製した。次いで、無端ベルト流延装置を用い、ドープ液を温度33℃、2000mm幅でステンレスベルト支持体上に均一に流延した。ステンレスベルトの温度は30℃に制御した。
ステンレスベルト支持体上で、流延(キャスト)したフィルム中の残留溶媒量が75%になるまで溶媒を蒸発させ、次いで剥離張力130N/mで、ステンレスベルト支持体上から剥離した。
その後170℃に設定されたテンターにより幅手方向に1.4倍の延伸を行い、次いで130℃に設定された乾燥ゾーンで30分間搬送させて乾燥を行い、両端部のトリミングを行い、かつ端部に幅1cm、高さ10μmのナーリングを有する膜厚40μmの光学フィルム1を作製し、幅1490mm、5500mで巻き取った。保護フィルム1の面内リターデーション値Ro、厚み方向リターデーションRtは、各々50nm、130nmであった。
〈偏光板の作製〉
厚さ120μmのポリビニルアルコールフィルムを一軸延伸(温度110℃、延伸倍率5倍)した。
これをヨウ素0.075g、ヨウ化カリウム5g、水100gからなる水溶液に60秒間浸漬し、次いでヨウ化カリウム6g、ホウ酸7.5g、水100gからなる68℃の水溶液に浸漬した。これを水洗、乾燥し偏光子を得た。
次いで、下記工程1〜5に従って偏光子と反射防止フィルム1〜15と裏面側に保護フィルム1を長手方向で合わせるようにして、ロール・トゥ・ロールで貼り合わせて偏光板を作製し、更に工程6で粘着層を貼り合わせた。
工程1:反射防止フィルム1〜15の反射防止層に保護フィルム(PET製)を張り付けた後、60℃の2モル/Lの水酸化ナトリウム溶液に90秒間浸漬し、次いで水洗し乾燥して、偏光子と貼合する側を鹸化した反射防止フィルム1〜15と保護フィルム1を得た。
工程2:前記偏光子を固形分2質量%のポリビニルアルコール接着剤槽中に1〜2秒浸漬した。
工程3:工程2で偏光子に付着した過剰の接着剤を軽く拭き除き、これを工程1で処理した反射防止フィルム1〜15と裏面側には保護フィルム1の上にのせて配置した。
工程4:工程3で積層した反射防止フィルム1〜15と、偏光子と保護フィルム1を圧力20〜30N/cm、搬送スピードは約2m/分で貼合した。
工程5:80℃の乾燥機中に工程4で作製した偏光子と反射防止フィルム1〜15と、保護フィルム1とを貼り合わせた試料を2分間乾燥し、ロール状に巻き取り偏光板を各々作製した。貼合後、反射防止フィルム1〜15の保護フィルム(PET製)をそれぞれ、剥がした。
工程6:工程5で作製した偏光板の保護フィルムに市販のアクリル系粘着剤を乾燥後の厚みが25μmとなるように塗布し、110℃のオーブンで5分間乾燥して粘着層を形成し、粘着層に剥離性の保護フィルムを張り付けた。この偏光を裁断(打ち抜き)し、偏光板1〜15を作製した。偏光板作製後、反射防止フィルム1〜15の保護フィルム(PET製)をそれぞれ、剥がした。
<液晶表示装置の作製>
液晶パネルを以下のようにして作製し、液晶表示装置としての視認性と正面コントラストを評価した。先ず、SONY製KDL−32EXの予め貼合されていた前面板を剥がして、パネル前面の偏光板と前面板の間にあった充填剤を除去し、予め貼合されていたパネル前側の偏光板を剥がして、上記作製した各偏光板1〜15の粘着層をそれぞれ液晶セルのガラス面の前面に貼合した。その際、その偏光板の貼合の向きは、反射防止フィルムの反射防止層表面が、視認側となるように、かつ、予め貼合されていた偏光板と同一の方向に吸収軸が向くように行い、液晶表示装置401〜415を各々作製した。
<液晶表示装置の評価>
a.視認性評価
上記作製した液晶表示装置401〜415について、床から80cmの高さの机上に配置した。次に、床から3mの高さの天井部に、昼色光直管蛍光灯(FLR40S・D/M−X パナソニック(株)製)40W×2本を1セットとして、1.5m間隔で10セット配置した。この場合、評価者が液晶表示パネルの表示面の正面にいるときに、評価者の頭上より後方に向けて天井部に蛍光灯がくるように配置した。次に、液晶表示装置101〜115の視認性を以下の基準で評価した。得られた結果を表3に示した。
◎:蛍光灯がはっきりと見える
○:蛍光灯が僅かに白っぽくぼけて見える
×:蛍光灯がぼけて白っぽく見える。
b.正面コントラスト
23℃55%RHの環境で、各々の液晶表示装置のバックライトを100時間連続点灯した後、測定を行った。測定にはELDIM社製EZ−Contrast160Dを用いて、液晶表示装置で白表示と黒表示の表示画面の法線方向からの輝度を測定し、その比を正面コントラストとした。
正面コントラスト=(表示装置の法線方向から測定した白表示の輝度)/(表示装置の法線方向から測定した黒表示の輝度)
液晶表示装置の任意の5点の正面コントラストを測定し、以下の基準にて評価した。
○:1100〜1200
△:1000〜1100未満
×:1000未満
表3の結果から判るように、本発明の反射防止フィルムは画像表示装置に用いた場合、優れた視認性や輝度(正面コントラスト)が得られることが判る。
実施例3
<導電性膜付き反射防止フィルム201の作製>
反射防止フィルム1の作製において、両面にハードコート層組成物1を塗設して、両面にハードコート層を設けた後、ハードコートフィルムの耐久性試験を実施した。次いで、両面ハードコート層の片面のみに反射防止層塗設した以外は、同様にして反射防止フィルム101を作製した。
反射防止フィルム101の反射防止層を設けていない、ハードコート層の片面に表面抵抗率が約400Ωである酸化インジウム錫(ITO)の透明導電性薄膜を、スパッタリング法を用いて設け、図3に示した導電性膜付き反射防止フィルム201を作製した。
<導電性膜付き反射防止フィルム202〜215の作製>
導電性膜付き反射防止フィルム201の作製と同様にして、反射防止フィルム2〜15の作製において、両面にハードコート層組成物を塗布し、両面にハードコート層を設けた後、ハードコートフィルムの耐久性試験を実施した。次いで、両面ハードコート層の片面のみに反射防止層塗設して、反射防止フィルム202〜215を作製した。
反射防止フィルム202〜215の反射防止層を設けていない、ハードコート層の片面に表面抵抗率が約400ΩであるITOの透明導電性薄膜を、スパッタリング法を用いて設け、導電性膜付き反射防止フィルム202〜215を作製した。
<抵抗膜方式タッチパネル液晶表示装置301の作製>
市販の抵抗膜方式タッチパネル液晶表示装置(型名:LCD−USB10XB−T、I−O DATA社製)の導電性光学フィルムを剥がし、上記作製した導電性膜付き反射防止フィルム201を図4のように反射防止層が視認側となるように貼合して、抵抗膜方式タッチパネル液晶表示装置301を作製した。
<抵抗膜方式タッチパネル液晶表示装置302〜315の作製>
抵抗膜方式タッチパネル液晶表示装置1の作製において導電性膜付き反射防止フィルム1を導電性膜付き反射防止フィルム202〜215に変更した以外は同様にして抵抗膜方式タッチパネル液晶表示装置302〜315を作製し、以下項目の文字呆け及び耐ペン摺動性について評価を行った。
《評価》
a.文字ぼけ
天井部に、昼色光直管蛍光灯(FLR40S・D/M−X パナソニック(株)製)40W×2本を1セットとして、1.5m間隔で10セット配置した室内で、抵抗膜方式タッチパネル液晶表示装置を様々な角度から観察し、文字ぼけを以下の基準で評価した。
○:蛍光灯の写り込みが気にならず、フォントの大きさ8以下の文字もはっきりと読める
×:蛍光灯の写り込みが気にならないが、フォントの大きさ8以下の文字がぼけ、読むのが困難である
b.耐ペン摺動性
抵抗膜方式タッチパネル液晶表示装置に用いた各導電性光学フィルムのハードコート層の表面上を先端部が0.08mmφのポリアセタール製のペンを使用し、荷重250g、ペン摺動速度100mm/秒で直線40mmを15万回往復後の摺動部におけるハードコート層の傷つきおよび剥れを目視により評価した。
評価の結果、本発明の導電性膜付き反射防止フィルムを使用した抵抗膜方式タッチパネル液晶表示装置は文字ぼけ及び耐ペン摺動性にも優れていた。
1 ハードコート層
2 突起形状
3 基材フィルム
4 ハードコート層1
5 反射防止層
6 反射防止フィルム
7 ハードコート層2
8 透明導電性薄膜(ITO層)
10 導電性膜付き反射防止フィルム
20 抵抗膜方式タッチパネル液晶表示装置
21 低硬膜方式タッチパネル
22 LCD(液晶表示パネル)
23 ガラス
24 透明導電性薄膜
25 スペーサー
30 偏光板
31 反射防止フィルム
32 反射防止層(反射防止層/ハードコート層)
34 偏光子
35 保護フィルム
36 粘着層

Claims (8)

  1. 基材フィルム上にハードコート層及びハードコート層上に、直接または他の層を介して低屈折率層が積層された反射防止フィルムにおいて、該ハードコート層の算術平均粗さRaが2〜20nmの範囲内であり、かつ該算術平均粗さRaと凹凸の平均間隔Smとの比(Ra/Sm)が、5×10−5〜2×10−3の範囲内であることを特徴とする反射防止フィルム。
  2. 前記ハードコート層の算術平均粗さRaが4〜20nmの範囲内であることを特徴とする請求項1に記載の反射防止フィルム。
  3. 前記ハードコート層が突起を有し、かつ該突起の形状が長手方向に周期を持たない不規則な形状であることを特徴とする請求項1または2に記載の反射防止フィルム。
  4. 前記ハードコート層が活性線硬化型樹脂を含有し、かつ当該活性線硬化型樹脂の粘度が、20〜2000mPa・sの範囲内であることを特徴とする請求項1〜3までのいずれか1項に記載の反射防止フィルム。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の反射防止フィルムを一方の面に用いたことを特徴とする偏光板。
  6. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の反射防止フィルムを含むことを特徴とする画像表示装置。
  7. 請求項5に記載の偏光板を液晶セルの少なくとも一方の面に備える液晶表示装置であることを特徴とする請求項6に記載の画像表示装置。
  8. 前記画像表示装置がタッチパネルを含む液晶表示装置であることを特徴とする請求項6または7に記載の画像表示装置。
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