JP2008015500A - 偏光板用保護フィルム - Google Patents

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雅明 鈴木
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克己 井上
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Abstract

【課題】液晶表示装置等の表示画像品質を、長期にわたり高品位に保つことができる、偏光膜の保護フィルムとして好適な偏光板用保護フィルムおよび偏光板、を提供すること。
【解決手段】塩素含有ビニル単量体から誘導される繰り返し単位を含む重合体を有する被覆層がセルロースアシレート類からなる透明基材フィルムの片面に形成され、60℃、95%相対湿度での透湿度が300g/m・日以下であることを特徴とする偏光板用保護フィルム。
【選択図】 なし

Description

本発明は、透明基材フィルム上に被覆層を有する偏光板用保護フィルムに関する。
最近、液晶表示装置(以下、LCD)が、薄型で、軽量であり、また消費電力が小さいことからCRTの代わりに広く使用されるようになっている。偏光板は、LCDの普及に伴いその需要が急増している。その使用分野も、従来の電卓や時計などの小型品から、自動車用計器、PCのモニター、テレビといった大型品へ拡大されつつある。
表示装置は、常時長時間に亘って使用状態にあることが多いので、偏光板は、温湿度変化を有する環境下での長期使用でもLCDの画像品質が劣化しないような、長期の耐久性が要求されるようになってきた。
偏光板は、一般に偏光能を有する偏光膜の両面又は片面に、接着剤層を介して偏光板用保護フィルム(以下、保護層と称することもある)が貼り合わせられている。偏光膜の素材としてはポリビニルアルコール(以下、PVAということもある)が主に用いられており、PVAフィルムを一軸延伸してから、ヨウ素又は二色性染料で染色するか、あるいは染色してから延伸し、さらにホウ素化合物で架橋することにより偏光膜が形成される。保護層としては、光学的に透明で複屈折性が小さいこと、表面が平滑であること等から、主にセルローストリアセテート(以下、TACということもある)が用いられている。
しかしながら、セルローストリアセテートを保護層として用いた場合、長期使用時に、温度や湿度の変化による偏光膜のサイズ変化が原因で、表示画像のムラが発生する場合があり、改善が望まれている。
これらの問題点を解決する技術として、ノルボルネン系樹脂からなるシートが偏光膜の保護フィルム(保護層)として有用であることが報告されている(特許文献1)。しかしながらノルボルネン系樹脂からなるシートは、透湿性は十分小さく、湿度の変化を受けずらいが、偏光膜との接着性が不十分、生産性が低いという課題がある。
またセルローストリアセテートフィルムの表面に、塩化ビニリデン共重合体、ポリビニルアルコール、エチレンポリビニルアルコール共重合体、無機層状化合物を分散させた樹脂成分、シリカ系組成物、その他の疎水的な化合物などを含有する層を設けた保護フィルムを用いる報告されている。
塩化ビニリデン共重合体を含有する層を設けた保護フィルムを用いることにより、偏光板の湿熱性が向上することが報告されている(特許文献2、3)。しかしながら、特許文献2、3では透湿度の記載がなく、それらの特許に記載の素材、膜厚では本発明で目的とする十分な透湿性低減効果が無い。また、表面硬度が低いためさらにハードコート処理が必要であるが、ハードコートに関する記載は十分でなく、塩化ビニリデン層の上にハードコート層を塗設する場合の面状、密着性などの課題の解決に関しての提案は未だなされていない。
また、一般に塩化ビニリデン共重合体は紫外線により着色しやすいという問題がある。セルローストリアセテートフィルムの表面に、塩化ビニリデン共重合体を含有する層を設けた保護フィルムは、塩化ビニリデン共重合体を含有する層と反対側を偏光膜に張り合わせた方が、従来の貼り合せ方法が使えるという面から、生産性、密着性の観点から都合がよいが、紫外線を直に受けるため、着色の問題あり、この構成での着色の問題に関する解決法も未だ提案されていない。
また、塩化ビニリデン共重合体は焼却時に低温で焼却されるとダイオキシンを発生するという環境上の課題もある。以上の面から塩化ビニリデン以外の被覆層への要求が強くなってきている。
他の特許文献では、ビニルアルコール系重合体からなる樹脂層成分中に無機層状化合物を分散した層を接着剤として用いることによって、偏光板の湿熱性が向上することが報告されている(特許文献4)。しかしながら、この場合には接着剤を1〜5μm程度塗設する必要があるために、偏光板の乾燥に時間が掛かり、生産性が低下してしまうという問題がある。また、該特許文献は水蒸気透過度に関しての記載が無いが、ビニルアルコール系重合体は高温で乾燥させることによって、樹脂の結晶化度を向上させることができ、それによって防湿性、耐水性が上昇する事が知られており、該特許文献のように、ビニルアルコール系重合体からなる樹脂層成分中に無機層状化合物を分散した層を接着剤として用いた場合には、偏光子の耐熱性の観点から樹脂層を充分な高温で乾燥できないという問題があるため、本発明で要求する高いレベルの透湿度を達成できないと想像される。
また、特許文献5では、親水性高分子化合物の溶媒溶液の塗布により形成された層を予め有する偏光板保護フィルムを用いることによって、偏光子と偏光板保護フィルムとの接着性を容易にし、偏光板加工時の生産性を向上させる提案がなされている。しかしながら、この場合には、生産性は向上するものの、本発明の目的の透湿度を達成するための要件である膜厚が充分に厚くなく、本発明で求めるレベルまで偏光板の湿熱性を向上させることができていないと考えられる。
他の特許文献では、シリカ系の塗布膜を設けたバリア性フィルムの報告がされている(特許文献6)。しかしながら、特許文献6ではセルローストリアセテートフィルムへ塗設する記載は無く、当特許の実施例に用いた二軸延伸PPフィルムでは偏光板に直接貼り合せることができない。また、セルローストリアセテートフィルム上にシリカ系塗布膜を形成する際の密着性向上に関する手段の記載もなく、更に、ディスプレイの鑑賞者側の偏光板保護フィルムとして用いる場合に必須となるハードコート性を有する層(以下ハードコート層)を更に設ける場合の塗布性、層間密着向上の手段に関する記載も無い。
また、シリカ系の塗布膜を設けた保護フィルムを用いることにより、偏光板の湿熱性が向上することが報告されている(特許文献7)。しかしながら、特許文献7では透湿度に関する記載が無く、また、セルローストリアセテートフィルム上にシリカ系塗布膜を形成する際の密着性向上に関する手段の記載もなく、更に、ハードコート性に関しては、シリカ系の塗布膜層にハードコート性を付与しており、このような場合は、本発明で目的とする透湿性、ディスプレイの鑑賞者側の偏光板保護フィルムとして用いる場合に必須となるハードコート性を充分に達成することができない。
他の特許文献では、疎水的な化合物を設けた保護フィルムを用いることにより、水蒸気透過性が減少することが報告されている(特許文献8)。特許文献8ではサーモトロピック液晶ポリマーを含有する液晶ポリマー層を設ける報告がされているが、セルローストリアセテートフィルム上に形成する報告はないこと、他の層との積層構造でかつ、塗布ではなく、溶融成膜で形成していることなどの面で、偏光板保護フィルム用途としては適さない。
特開平10−101907号公報 特開昭62−161103号公報 特開2001−215331号公報 特開2003−307623号公報 特開平6−118232号公報 特開2000−326448号公報 特開平10−128900号公報 特開2000−094613号公報
本発明の目的は、液晶表示装置等のディスプレイの表示画像品質を、長期にわたり高品位に保つことができる、偏光膜の保護フィルムとして好適な偏光板用保護フィルムを提供することである。
本発明者らは、鋭意検討の結果、以下の偏光板用保護フィルムにより前記課題が解決されることを見出し、本発明を完成させたものである。
すなわち本発明は、
(1)低透湿性を有する被覆層がセルロースアシレート類からなる透明基材フィルムの少なくとも片面に形成され、60℃、95%相対湿度での透湿度が300g/m・日以下であることを特徴とする偏光板用保護フィルム。
(2)透明基材フィルムの膜厚が、30〜120μmである(1)に記載の偏光板用保護フィルム。
(3)セルロースアシレート類が、セルロースアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、およびセルロースアセテートブチレートから選ばれる少なくとも一つである(1)または(2)に記載の偏光板用保護フィルム。
(4)被覆層がビニルアルコール系重合体を主成分にしてなることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の偏光板用保護フィルム。
(5)前記ビニルアルコール系重合体の鹸化度が、95モル%以上である(4)に記載の偏光板用保護フィルム。
(6)前記ビニルアルコール系重合体の重合度が、300以上1700以下である(4)または(5)記載の偏光板用保護フィルム。
(7)前記ビニルアルコール系重合体が、ジアルデヒド、ジイソシアネート、ポリアクリル酸、金属錯体、エポキシ化合物、及びそれらの組合せの群から選択される架橋剤で架橋されている事を特徴とする(4)〜(6)のいずれかに記載の偏光板用保護フィルム。
(8)被覆層がアルコキキシランからなる化合物と、水酸基又はアルコキシル基と反応する官能基を有する化合物およびシランカップリング剤の少なくとも一つを含有することを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の偏光板用保護フィルム。
(9)被覆層がポリシラザンを含有する塗布組成物から形成されたシリカを主成分とすることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の偏光板用保護フィルム。
(10)被覆層が疎水的な化合物を含有することを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の偏光板用保護フィルム。
(11)被覆層が糖類とホルミル基含有化合物からなる樹脂組成物を積層してなる層であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の偏光板用保護フィルム。
(12)被覆層がアミノ基含有高分子化合物とアミノ基反応性官能基含有かつシラノール基含有の有機シラン化合物からなる樹脂組成物を積層してなる層であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の偏光板用保護フィルム。
(13)被覆層中に粒子径が0.1〜10μmの無機層状化合物を含有することを特徴とする(1)〜(12)のいずれかに記載の偏光板用保護フィルム。
(14)前記無機層状化合物の粒子径が1〜5μmであることを特徴とする(13)に記載の偏光板用保護フィルム。
(15)前記無機層状化合物の含有量が15〜60重量%であることを特徴とする(13)または(14)に記載の偏光板用保護フィルム。
(16)前記無機層状化合物の含有量が25〜50重量%であることを特徴とする(15)に記載の偏光板用保護フィルム。
(17)被覆層上および被覆層の反対側の少なくとも一方に、少なくともハードコート性を有する層および反射防止層を有する層の内少なくとも一層を有する層を設けたことを特徴とする(1)〜(16)のいずれかに記載の偏光板用保護フィルム。
(18)被覆層の厚みが0.2μm以上40μm以下であることを特徴とする(1)〜(17)のいずれかに記載の偏光板用保護フィルム。
(19)被覆層の厚みが1μm以上10μm以下であることを特徴とする(18)に記載の偏光板用保護フィルム。
(20)透明基材フィルムと被覆層の間および被覆層とハードコート性を有する層の間の少なくとも一つに下塗り層を有することを特徴とする(1)〜(19)のいずれかに記載の偏光板用保護フィルム。
(21)透明基材フィルム表面および被覆層表面の少なくとも一方をコロナ放電処理およびグロー放電処理の少なくとも一つの処理をしたことを特徴とする(1)〜(20)のいずれかに記載の偏光板用保護フィルム。
(22)被覆層が少なくとも樹脂成分と塗布溶媒からなる塗布組成物を透明基材上に塗布することで形成されたことを特徴とする(1)〜(21)のいずれかに記載の偏光板用保護フィルム。
(23)塗布溶媒として、透明基材フィルムを膨潤または溶解可能な溶剤を少なくとも1種含有することを特徴とする(22)に記載の偏光板用保護フィルム。
(24)偏光膜と、(1)〜(23)のいずれかに記載の偏光板用保護フィルムとを有することを特徴とする偏光板。
(25)(24)に記載の偏光板を用いたことを特徴とする画像表示装置。
本発明の低透湿性を有する被覆層がセルロースアシレート類からなる透明基材フィルムの片面に形成され、60℃、95%相対湿度での透湿度が300g/m・日以下であることを特徴とする偏光板用保護フィルムは、低透湿性であり、偏光度が大きく、耐久性、画像品質に優れた偏光板を作製できる。また、着色が無く、透明基材との密着性に優れる。また、ハードコート性を有する層を設けることで、高鉛筆硬度で表面保護フィルムに使用することができる。本発明の偏光板保護フィルムを用いると、液晶表示装置等のディスプレイの表示画像品質を長期にわたり高品位に保つことができる。
以下、本発明の偏光板用保護フィルムについて詳細に説明する。
本発明の偏光板用保護フィルムについて好適な一実施形態の基本的な構成を図面を参照しながら説明する。
ここで、図1は、本発明の偏光板用保護フィルムの好ましい一実施形態を模式的に示す断面図であるが、本発明の偏光板用保護フィルムはこの形態に限るものではない。
図1の(1)に示す本発明の偏光板用保護フィルム1は、透明基材フィルム2と、低透湿性を有する被覆層3(以下、被覆層と記載する場合もある)からなる。図1の(2)のように被覆層3の上に更にハードコート性を有する層(以下、ハードコート層と記載する場合もある)4を設けるのがより好ましい。ハードコート性を有する層4に内部散乱性や表面散乱性を加えることも好ましく用いられる。またハードコート性を有する層4の上にさらに低屈折率層を設けることも、表面の反射率を低減する目的から好ましい。透明基材フィルム2と被覆層3の間、被覆層3とハードコート性を有する層4の間の少なくとも一方に下塗り層を有するのも層間の密着性の観点で好ましく、下塗り層が複数の層からなることも好ましい。また、下塗り層のいずれかの層を帯電防止性層とすることも好ましく用いられる。
図1の(3)はもう一つの好ましい一実施形態を模式的に示す断面図である。本態様ではハードコート性を有する層が被覆層と反対側に形成される。ハードコート性を有する層4に内部散乱性や表面散乱性を加えることも好ましく用いられる。またハードコート性を有する層4の上にさらに低屈折率層を設けることも、表面の反射率を低減する目的から好ましい。透明基材フィルム2と被覆層3の間、被覆層3の上の少なくとも一方に下塗り層を有するのも層間の密着性の観点で好ましく、下塗り層が複数の層からなることも好ましい。また、下塗り層のいずれかの層を帯電防止性層とすることも好ましく用いられる。被覆層の樹脂成分として、親水性の高いポリビニルアルコール、エチレンビニルアルコール共重合体、シリカ系塗布膜が用いられる場合には、被覆層上に下塗り層を設けなくても図1の(3)の態様を取ることが可能であり、ハードコート性を有する層と被覆層の間の密着性の問題を生じないことから好ましく用いられる場合がある。
図2は本発明の偏光板用保護フィルムを用いた本発明の偏光板の好ましい一実施形態を模式的に示す断面図であるが、本発明の偏光板はこの形態に限るものではない。
図2に示す本発明の偏光板5は、本発明の偏光板保護フィルム1と偏光子6と反対側の偏光板保護フィルム7からなる。図2の(1)および(2)の態様を取る場合には、本発明の偏光板5は被覆層3と反対の面が偏光子6と貼り合わせられる。また、図2の(3)および(4)の態様を取る場合には、本発明の偏光板5は被覆層3が偏光子6と貼り合わせられる。反対側の偏光板用保護フィルム4は特に制限は無いが、生産性の観点から、被覆層の無いセルロースアシレート類からなる基材フィルムであることが好ましい。
図3は本発明の偏光板を用いた本発明の画像表示装置の好ましい一実施形態を液晶表示装置を用いて模式的に示す断面図であるが、本発明の画像表示装置はこの形態に限るものではない。
図3に示す本発明の画像表示装置8は、本発明の偏光板5と液晶セル9からなる。本発明の偏光板5を図3のように両側に用いるのが好ましいが、片側でも効果がある。本発明の偏光板は反対側の保護フィルム7側を粘着剤を介して液晶セルに貼り付けるのが好ましい。
ハードコート性を有する層は画像表示装置の鑑賞者側の表面のみに用いられても良いが、温湿度変化時のセル全体のカールバランスを取るためには両側に用いるのが特に好ましい。画像の視認性向上、画質の向上のためには、少なくとも鑑賞者側の表面に用いられる偏光板保護フィルムのハードコート性を有する層へは、散乱性の付与および/またはその上へ低屈折率層の付与が好ましく、カールバランスの点では、画像表示装置の両側の偏光板保護フィルムのハードコート性を有する層に対して、散乱性の付与および/またはその上へ低屈折率層の付与も好ましく用いられる。
本発明の偏光板の反対側の保護フィルムとして光学補償フィルムも好ましく用いられ、光学補償フィルムが基材フィルムの上に光学補償層を形成した基材フィルムであることも好ましい。また、反対側の保護フィルムの上に粘着剤を介して光学補償フィルムを貼り付けて用いることも好ましい。
[被覆層]
本発明の被覆層は、60℃、95%相対湿度での透湿度が300g/m・日以下であることを特徴とし、ポリビニルアルコール、エチレンビニルアルコール共重合体、無機層状化合物を分散させた樹脂成分、シリカ系組成物、その他の疎水的な化合物などが用いられるが、それぞれを用いた場合について詳しく説明する。また、本発明で用いる透湿度の値は、ポリビニルアルコール、エチレンビニルアルコール共重合体、及びこれらの樹脂層に無機層状化合物を分散させた被覆層を有する偏光板保護フィルムを測定する場合には、セルロースアシレート類からなる透明基材フィルム側からの透湿度の値を用いる。一般にビニルアルコール系樹脂は、高湿下に樹脂層が直接晒されるとその防湿性が低下し、該樹脂層側からの透湿度の値は本発明記載の範囲に含まれない場合があるが、基材フィルム側からの透湿度の値が300g/m・日以下の範囲を満たしていれば偏光板の耐湿熱性向上に十分効果を発揮する。
1 ビニルアルコール系重合体からなる樹脂、または、ビニルアルコール系重合体組成物中に無機層状化合物を含有する樹脂より形成された被覆層
1−(1)ビニルアルコール系重合体
被覆層を構成するビニルアルコール系重合体としては、例えば、ポリビニルアルコール(PVA)などの単独重合体や、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)、などが例示できる。また、これらのビニルアルコール系重合体は、その一部がカルボニル変性、エポキシ変性、アセトアセチル変性、アミノ変性またはアンモニウム変性されたものを用いても良く、その一部にジアセトンアクリルアミド単位等を含む共重合体を用いても良い。また、各種のビニルアルコール系重合体を単独で又は二種以上組み合わせて使用することもできる。
上記、ポリビニルアルコールとしては、ビニルアルコール系重合体のケン化度は、80モル%以上の範囲から選択できるが、好ましくは95モル%以上であり、より好ましくは99モル%以上である。ビニルアルコール系重合体の重合度は、透湿度、塗布性の点から、200〜5000が良く、好ましくは300〜3000、さらに好ましくは300〜1700程度である。
次に、上記エチレン−ビニルアルコール系共重合体としては、エチレン−酢酸ビニル系共重合体をケン化して得られるものが使用できる。
上記エチレン−酢酸ビニル系共重合体をケン化して得られるものの具体例としては、エチレン及び酢酸ビニルを共重合して得られるエチレン−酢酸ビニル共重合体をケン化して得られるもの、並びに、エチレン並びに酢酸ビニルとともに、その他の単量体を共重合して得られるエチレン−酢酸ビニル系共重合体をケン化して得られるものが挙げられる。
ガスバリヤ層を設けるための材料としては、エチレン−酢酸ビニル系共重合体の共重合前の単量体におけるエチレン比率が60モル%以下であることが好ましい。エチレン比率が60モル%を超えると、ガスバリヤ性が低下してしまう。
上記エチレン−酢酸ビニル系共重合体は、透湿性の点から、酢酸ビニル成分のケン化度が95モル%以上のものが好ましい。また、上記エチレン−酢酸ビニル系共重合体は、過酸化物等により処理して低分子量化したものが、溶剤中での溶解安定性が良好となるという点でより好ましい。
1−(2)その他の成分
本発明においては、樹脂組成物の成分として、ビニルアルコール系重合体および後述する層状無機化合物にさらにビニルアルコール系重合体の架橋剤を添加することができ、これにより被覆層の耐水性を向上させることができる。この目的に使用できる架橋剤としては特に制限なく、公知のいずれの架橋剤も好ましく使用することができる。架橋剤の例としては、フェノール樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、ポリアミドポリ尿素、ジメチロール尿素、ジメチロールメラミン、多価エポキシ化合物、ジアルデヒド化合物、多価イソシアネート樹脂、アジリジン化合物、ポリアミドアミンエピクロルヒドリン化合物、活性化ビニル化合物、ジカーボネート化合物、ヒドラジノ基含有化合物(多価カルボン酸ポリヒドラジド化合物)、コロイダルシリカ、ジルコニウム塩、多価金属塩、ホウ酸、リン酸、ポリアクリル酸、ジカルボン酸、アジピン酸無水物、コハク酸無水物、テトライソプロピルチタネート、ジイソプロポキシビス(アセチルアセトン)チタネートなどのチタン化合物等を挙げることができ、このほか、3−グリシドプロピルメトキシシラン等のカップリング剤、パーオキサイド等のラジカル発生剤等の使用も可能である。これらのうち、ジアルデヒド、ジイソシアネート、ポリアクリル酸、金属錯体、エポキシ化合物が好ましい。また、架橋反応を促進するための触媒や添加剤を加えることも可能である。
架橋剤の添加量は、(架橋剤/(ビニルアルコール系重合体+架橋剤))で0.5重量%以上であることが好ましく、1重量%以上がより好ましく、2重量%以上が特に好ましい。PVA系重合体と架橋剤の両者に対する架橋剤の重量比率が0.5重量%未満の場合には、架橋剤を添加したことにより効果が発現しない。また、ビニルアルコール系重合体と架橋剤の両者に対する架橋剤の重量比率は50重量%以下であることが好ましく、40重量%以下がより好ましく、30重量%以下が特に好ましい。アルデヒド系化合物などの架橋剤の中には熱により黄色に変色するものもあるため、このような架橋剤についてはその添加量を小さくして変色を許容範囲内に抑制することが必要となる。
また、消泡性を付与するために、塗布液中にシリコン・エマルジョン、PEO−PPOブロックポリマー、PEO−PBOブロックポリマー、及びオクチルアルコール、メタノール等のアルコール類等を添加することも可能である。消泡剤の添加量は、塗布液に対して0.001%〜5%である事が好ましく、0.005%〜0.1%がさらに好ましい。添加量が0.001%以下だと消泡性が十分ではなく、5%以上だと被覆膜の面状が悪化してしまう場合がある。
1−(3)被覆層の形成
ビニルアルコール系重合体、または、ビニルアルコール系重合体と無機層状化合物からなる被覆層は、後述の塗布方式を用い透明基材フィルム上に形成することができる。この際、製膜時に塗工装置に対する液の粘度特性を最適とするために、増粘剤などの粘度調整剤を塗工液に添加して、塗布液の液粘度を調整する方法も用いることもできる。また、被覆層とセルロースアシレート基板との密着性の点から、基材層上に後述の下塗り層を設けてからその上に被覆層塗布膜を形成することも好ましく用いられるが、層数が増えることによる、生産性減少、コスト増加、層厚増加などの問題が生じるため、本発明においては基材フィルムの片面又は両面に、親水化処理、凹凸処理などの前処置を施すのがより好ましい。
前処理としては、コロナ放電処理、グロー放電処理、クロム酸処理(湿式)、鹸化処理(湿式)、火炎処理、熱風処理、オゾン・紫外線照射処理等が挙げられるが、コロナ放電処理、グロー放電処理、鹸化処理(湿式)が特に好ましく、鹸化処理が更に好ましい。
1−(4)被覆層の厚み、ヘイズ
被覆層の厚みは、1〜30μmの範囲が好ましく、さらに好ましくは3〜20μ m 程度である。また、作製した樹脂層のヘイズ値は50%以下が好ましく、より好ましくは30%以下、さらに好ましくは10%以下である。内部ヘイズ値は10%以下が好ましく、より好ましくは5%以下、さらに好ましくは1%以下である。
1−(5)構成
上記被覆層は偏光板構成図である図2(1)、(2)又は、図2(3)、(4)に示されている様に、偏光子と透明基材フィルムとの間、又は、偏光子とは透明基材フィルムを挟んで逆側に設けることができる。偏光子とは透明基材フィルムを挟んで逆側に該樹脂層を設けた場合にも、該樹脂層上に下記記載の易接着層を設けることによって、その上にさらにハードコート性を有する層等を設ける事が可能である。
2 シリカ系塗布膜より形成された被覆層
本発明で用いるシリカ系塗布膜は、セルロースアシレート類からなる透明基材フィルムの少なくとも片面に設けられ、目的の透湿度を達成し、かつ、偏光板用保護フィルムとしての実用に耐えるため、緻密性と柔軟性を両立する必要がある。したがって、アルコキシシランに触媒、水を添加して加水分解縮合して作られる加水分解物であるシリカ膜のみでは、柔軟性が不十分で本発明には適さず、本発明ではアルコキキシランからなる化合物と、水酸基又はアルコキシル基と反応する官能基を有する化合物および/またはシランカップリング剤を含有する塗布膜が好ましく用いられ、アルコキキシランからなる化合物と、水酸基又はアルコキシル基と反応する官能基を有する化合物とシランカップリング剤を全て含有するのが特に好ましい。
2−(1)アルコキシシランからなる化合物
本発明で用いられるアルコキシシランからなる化合物としては、例えば式(1)で表される。
(R4−nSi(OR 式(1)
(式中、Rは水素原子、アルキル基またはアシル基を示し、Rは水素原子、アルキル基、芳香族基を示し、nは2〜4の数を示す。)
で示されるアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等を挙げることができ、アシル基としてはアセチル基、プロピオニル基等を挙げることができる。メチル基、エチル基、プロピル基が特に好ましく、最も好ましくはエチル基である。nは2〜4が好ましく、3〜4が特に好ましく、4が最も好ましい。したがって、テトラアルコキシシランが好ましく、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシランが特に好ましく、テトラエトキシシランが特に好ましい。nが2および3の場合は、Rで示されるアルキル基としては、炭素数1〜18、好ましくは1〜5のアルキル基等を挙げることができ、芳香族基としてはフェニル基等を挙げることができる。
2−(2)水酸基又はアルコキシル基と反応する官能基を有する化合物
本発明では、水酸基またはアルコキシ基と反応する官能基を有する化合物を用いることができる。水酸基又はアルコキシル基と反応する官能基を有するモノマー、オリゴマー、ポリマーがより好ましく用いられ、水酸基又はアルコキシル基と反応する官能基をもつものであれば特に制限されることなく用いることができる。例えば、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂、メラミン系樹脂のなかから選ばれる熱硬化性あるいは電離硬化性あるいは湿気硬化性の樹脂等が用いられる水酸基を有するモノマー、オリゴマー、ポリマーがより好ましく、水酸基を有するポリマーが特に好ましく、ビニルアルコール系重合体、例えば、ポリビニルアルコール(PVA)の単独重合体や、エチレン− ビニルアルコール共重合体(EVOH)が更に好ましく用いられ、ポリビニルアルコール(PVA)の単独重合体が最も好ましく用いられる。また、これらのビニルアルコール系重合体の一部がカルボニル基等で変性されたものや、その一部にジアセトンアクリルアミド単位等を含む共重合体などを用いることも可能である。また、各種のビニルアルコール系重合体を単独で又は二種以上組み合わせて使用することもできる。
水酸基又はアルコキシル基と反応する官能基を有する化合物として好ましく用いることができるビニルアルコール系重合体としては、ビニルアルコール系重合体のケン化度は、80モル%以上の範囲から選択できるが、好ましくは96モル%以上であり、より好ましくは98モル%以上である。ビニルアルコール系重合体の重合度は、透湿度、塗布性の点から、200〜5000が良く、好ましくは400〜5000、さらに好ましくは500〜3000程度である。
2−(3)シランカップリング剤
本発明では、シランカップリング剤を用いることができる。シランカップリング剤としては、末端にアルコキシシランを有する化合物であれば特に制限されないが、同時にビニル基、エポキシ基、アクリル基またはメタクリル基、アミン基、メルカプト基、水酸基、イソシアネート基、カルボキシル基、酸無水物基を有するものがより好ましく、エポキシ基、アミン基、アクリル基またはメタクリル基を有するものが更により好ましい。
ビニル基を有するシランカップリング剤としては、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン等が好ましく用いることができる。
エポキシ基を有するシランカップリング剤としては、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等が好ましく用いることができる。
アクリル基またはメタクリル基を有するシランカップリング剤としては、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン等が好ましく用いることができる。
アミン基を有するシランカップリング剤としては、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等が好ましく用いることができる。
メルカプト基を有するシランカップリング剤としては、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン等が好ましく用いることができる。
イソシアネート基を有するシランカップリング剤としては、γ−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン等が好ましく用いることができる。
本発明ではシランカップリング剤は水酸基又はアルコキシル基と反応する官能基を有する化合物と同時に用いられる場合があるため、水酸基又はアルコキシル基と反応する官能基を有する化合物と架橋するためにはエポキシ基を有するシランカップリング剤を用いるのが好ましい。
また、本発明ではシランカップリング剤はアルコキシシランからなる化合物と同時に用いられるため、アルコキシシランの脱水重縮合の反応速度を上げるという観点からはアミン基を有するシランカップリング剤を用いるのが好ましい。
また、本発明では被覆層の上にハードコート性を有する層を設けることが好ましく、ハードコート性を有する層との層間密着を向上させるためには、アクリル基またはメタクリル基を有するシランカップリング剤を用いるのが特に好ましい。
本発明で用いることができるシランカップリング剤のもう1つの好ましい態様は両末端
にアルコキシシランを有するシランカップリング剤である。両末端にアルコキシシランを有するシランカップリング剤はアルコキシシランからなる化合物との架橋ができる点で望ましく、化合物の例としては、特開2000−326448に記載の有機鎖含有両末端官能性シランモノマーなどが好ましく用いられる。
本発明ではシランカップリング剤の加水分解物、シランカップリング剤の加水分解物の部分縮合物も好ましく用いることができる。本発明でシランカップリング剤という場合はシランカップリング剤の加水分解物、シランカップリング剤の加水分解物の部分縮合物を含むこととする。
エポキシ基、アミン基、アクリル基またはメタクリル基を有するシランカップリング剤はそれぞれ単独で用いてもよいが、2種以上を併用することがより好ましく、3種を併用することが特に好ましい。反応速度を上げるための重縮合触媒として有機溶媒に可溶な第3アミンなどを用い、エポキシ基を有するシランカップリング剤とアクリル基またはメタクリル基を有するシランカップリング剤の2種を同時に用いるのが更に好ましい。
アルコキキシランからなる化合物と水酸基又はアルコキシル基と反応する官能基を有する化合物とシランカップリング剤の含有率をそれぞれa質量%、b質量%、c質量%とした時(この場合アルコキキシランからなる化合物の含有率は理想的に縮合した場合の重縮合後の計算値より算出する)、アルコキキシランからなる化合物と水酸基又はアルコキシル基と反応する官能基を有する化合物の2種を用いる場合は、a/bは10/90〜90/10が好ましく、20/80〜80/20がより好ましく、40/60〜80/20が特に好ましい。アルコキキシランからなる化合物とシランカップリング剤の2種を用いる場合は、a/bは40/60〜95/5が好ましく、50/50〜90/10がより好ましい。アルコキキシランからなる化合物と水酸基又はアルコキシル基と反応する官能基を有する化合物とシランカップリング剤の3種類を同時に用いる場合はa/(b+c)は10/90〜90/10が好ましく、20/80〜80/20がより好ましく、40/60〜80/20が特に好ましい。その場合のb/cは10/90〜90/10が好ましく、20/80〜80/20がより好ましく、40/60〜80/20が更に好ましい。
2−(4)その他の成分
本発明では、上記の如くアルコキキシランからなる化合物の重縮合反応を進めるために、触媒、水が用いられる。硬化触媒としては塩酸、硝酸、酢酸、シュウ酸、マレイン酸、フマル酸等の酸、有機溶媒に可溶なN,N−ジメチルベンジルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリペンチルアミンなどの第3アミン、有機金属、金属アルコキシド等が用いられる。添加量はアルコキキシランからなる化合物100重量部に対して1〜10質量%が好ましく、1〜5重量部が更に好ましい。又、水添加については部分加水分解物が理論上100%加水分解し得る量以上の量が好ましく、110〜300%相当量がより好ましく。120〜200%相当量を添加するのが更に好ましい。更に本発明では、必要に応じて被覆層中に紫外線吸収剤を含有することもできる。また、アクリル基またはメタクリル基を有するシランカップリング剤を用いる場合は、後述のハードコート層の項に記載の光開始剤をシランカップリング剤含有量の0.5〜5重量%程度含有することも好ましい。
2−(5)塗布溶媒
本発明の被覆層としてのシリカ系の塗布膜を形成するための塗布組成物の溶媒としては、水、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、イソブタノール、オクタノールを1種又は2種以上混合して使用するのが好ましい。溶媒量は固形分濃度が15〜60質量%になるように調整するのが好ましい。
2−(6)ポリシラザン
本発明の被覆層としてのシリカ系の塗布膜のもう1つの好ましい素材としては、ポリシラザンを含有する塗布組成物の硬化物が挙げられ、用いられるポリシラザンとしては特開平11−240103に記載の段落番号0097から0104に記載されたポリシラザンが好ましく挙げられる。ポリシラザン単体で用いることも可能であるが、前述のアルコキキシランからなる化合物の代りに用いることも可能である。
2−(7)基材との密着性
本発明の被服膜としてシリカ系の塗布膜を用いる場合は、透明基材フィルムとの密着性が課題となる。密着性を向上させるためには、透明基材フィルム上に後述の下塗り層を設けてからその上にシリカ系塗布膜を形成することも好ましく用いられるが、層数が増えることによる、生産性減少、コスト増加、層厚増加などの問題が生じるため、本発明においては基材フィルムの片面又は両面に、親水化処理、凹凸処理などの前処置を施すのがより好ましい。前処理としては、コロナ放電処理、グロー放電処理、クロム酸処理(湿式)、ケン化処理(湿式)、火炎処理、熱風処理、オゾン・紫外線照射処理等が挙げられるが、コロナ放電処理、グロー放電処理、ケン化処理(湿式)が特に好ましく、ケン化処理が更に好ましい。
2−(8)ハードコート層との密着性
本発明の被服膜としてシリカ系の塗布膜を用いる場合は、ハードコート層との密着性がもう1つの課題となる。ハードコートとの密着性を向上させるために有効な手段の1つはシリカ系塗布膜および/またはハードコート層にシランカップリング剤を含有することを含有させることが好ましく、シリカ系塗布膜にシランカップリング剤を含有させることがより好ましく、シリカ系塗布膜およびハードコート層の両方に同じ官能基を有するシランカップリング剤を含有させることがより特に好ましい。ハードコート層の樹脂成分には一般に多官能アクリレートまたはメタクリレートモノマー、オリゴマー、ポリマーを用いることが多いため、シランカップリング剤がアクリル基またはメタクリル基を有するシランカップリング剤であることが更に好ましい。
本発明の被服膜としてシリカ系の塗布膜を用いる場合のハードコート層との密着性を向上させるもう1つの好ましい手段は、被覆層とハードコート層の間に中間層を設けることである。密着層としては後述の下塗り層を設けることができるが、より好ましくは、シランカップリング剤を含有する層を設けることが好ましく、アクリル基またはメタクリル基を有するシランカップリング剤を含有する層を設けることがより好ましく、シランカップリング剤と多官能の多官能アクリレートまたはメタクリレートモノマー、オリゴマー、ポリマーを同時に含有する層を設けることが特に好ましい。シランカップリング剤を含有する層を設ける場合は、シランカップリング剤の加水分解物、シランカップリング剤の加水分解物の部分縮合物が特に好ましい。中間層の膜厚は0.05〜2μmが好ましい。
2−(9)被覆層の厚み
本発明の被服膜としてシリカ系の塗布膜を用いる場合の被覆層の厚みは0.2〜40μmの厚さが好ましく、0.3〜20μmの厚さがより好ましく、1〜10μmの厚みが特に好ましい。厚みが0.2μm以下であると防湿性が劣り、逆に厚みが40μm以上であると、脆い膜になってしまったり、カールが強くなるなど偏光板保護フィルムとして適していない。被覆層のヘイズは50%以下であることが好ましく、30%以下であることがより好ましく、10%以下であることが最も好ましい。表面ヘイズと内部ヘイズの比は任意で良いが、表面ヘイズは1%以下であることがより好ましい。
2−(10)構成
本発明の被服膜としてシリカ系の塗布膜を用いる場合の、偏光板構成図である図2(1)、(2)又は、図2(3)、(4)に示されている様に、偏光子と透明基材フィルムとの間、又は、偏光子とは透明基材フィルムを挟んで逆側に設けることができる。また、これら両方の側に設けることもできるが、図2(1)、(2)のように、偏光子とは透明基材フィルムを挟んで逆側に設ける方が、偏光子との密着性、偏光板の加工適性の面で好ましい。図2(2)のようにハードコート層を表面に有する構成が、耐擦傷性、被覆層へのクラックの入りにくさの観点から特に好ましい。
4 疎水的な化合物からなる被覆層
4−(1)疎水的な化合物
本発明の低透湿性を有する被覆層は、層を構成するマトリクスの主成分を疎水的な化合物から構成することにより形成することができる。疎水的な化合物を主成分とする疎水性層を形成することにより、特に水分子の膜表面への吸着、膜中への溶解、膜中の通過、を抑制することができ、透湿性を低減することができる。また、さらにマトリクスを形成する化合物間の分子間相互作用やその他の相互作用を大きくするか、または架橋をより緻密に行うことで、マトリクス分子の膜中での運動の自由度を低減し、透湿性をさらに低減することができる。
これらの目的を達成する疎水的なマトリクスを構成するバインダー系としては、疎水的モノマーからなる系、疎水的モノマーと多官能モノマー(架橋剤)からなる系、疎水的ポリマーの系、疎水的ポリマーと架橋剤からなる系、等があげられる。さらに化合物間の相互作用が大きいバインダーとしては、液晶性モノマーの系、液晶性モノマーと架橋剤からなる系、液晶性ポリマー、液晶性ポリマーと架橋剤からなる系等があげられる。
これらのバインダーとしては、疎水性と溶解性や製膜性等の取り扱い性の観点でlogP値が1.0以上12.0以下であることが好ましく、2.0以上11.5以下であることがより好ましく、3.0以上11.0以下であることがさらに好ましい。
(logP値)
オクタノール−水分配係数(logP値)の測定は、JIS日本工業規格Z7260−107(2000)に記載のフラスコ浸とう法により実施することができる。また、オクタノール−水分配係数(logP値)は実測に代わって、計算化学的手法あるいは経験的方法により見積もることも可能である。計算方法としては、Crippen’s fragmentation法(J.Chem.Inf.Comput.Sci.,27,21(1987))、Viswanadhan’s fragmentation法(J.Chem.Inf.Comput.Sci.,29,163(1989))、Broto’s fragmentation法(Eur.J.Med.Chem.−Chim.Theor.,19,71(1984))などが好ましく用いられるが、Crippen’s fragmentation法(J.Chem.Inf.Comput.Sci.,27,21(1987))がより好ましい。ある化合物のlogPの値が測定方法あるいは計算方法により異なる場合に、該化合物が本発明の範囲内であるかどうかは、Crippen’s fragmentation法により判断することが好ましい。
疎水的モノマーとしては、具体的にはフッ素系モノマー、シクロオレフィン系モノマー、芳香族を含有するモノマー等を使用することができる。フッ素系モノマーとしては、後述する架橋性若しくは重合性の官能基を有する含フッ素化合物、特開平9−5519に記載の化合物、特開2000−159840に記載の化合物、等を使用することができる。またシクロオレフィン系モノマーとしては、例えば特開2006−83225、特開平5−51542、特開平6−313056、特開平6−340849に記載の化合物を使用することができる。
また、疎水的ポリマーとしては、具体的にはフッ素系のポリマー、シクロオレフィン系ポリマー、芳香族を含有するポリマー等を使用することができ、フッ素系のポリマーとしては、特公昭63−18964に記載の化合物、特開平7−70107に記載の化合物、Reports Res. Lab. Asahi Glass Co., Ltd., 55(2005) P47〜51に記載の化合物、を使用
することができる。またシクロオレフィン系ポリマーとしては、特開平7−228673、特開平8−259784等に記載の樹脂組成物等を使用することができる。
本発明の疎水性層には、前記疎水性のバインダー(モノマー、ポリマー)に加えて、膜の緻密性を向上し、透湿性の低減、および脆性やカール等の膜物性をより向上させる目的で、多官能の重合性モノマー、または架橋性モノマーを併用することができる。併用できるモノマーとしては、後述の[ハードコート層]において記載されている多官能モノマーや多官能オリゴマー等を使用することができる。
本発明の前記疎水性層の主成分がモノマーや重合性の化合物の場合は、重合により硬化し製膜することができる。この場合に使用する重合開始剤としては、後述の光開始剤を使用することができる。重合開始剤を使用する場合は、重合開始剤の使用量としては、モノマーや重合性の化合物に対して、0.01重量%〜10.0重量%の範囲で使用することが好ましく、0.1重量%〜7.0重量%の範囲であることがより好ましく、0.5重量%〜5.0重量%の範囲であることがさらに好ましい。
以上は有機溶媒系塗布での疎水性バインダーであるが、水系塗布用の素材として、特開2003−165188に記載の水分散性ポリエステル等を使用することもできる。
4−(3)疎水性層の厚み、ヘイズ
本発明における疎水性層の厚みは、透湿性を低減する効果と、脆性やカール等の膜物性、および生産性とコストの観点から、0.5μm以上40μm以下であることが好ましい。より好ましくは、1.0μm以上30μm以下であり、2.0μm以上25μm以下であることが最も好ましい。また、本発明における疎水性層のヘイズは、光学フィルムとして取り扱うことから低いほうが良く、5.0%以下であることが好ましく、3.0%以下であることがより好ましく、1.0%以下であることがさらに好ましい。但し、後述するハードコート層、または防眩層を兼ねる場合は、それぞれ後述する記載の範囲となることが好ましい。
4−(4)混合領域の形成
本発明の疎水性層においては、透湿性の低減と膜の強度や耐久性の維持のために親水的なセルロース系の基材フィルムと疎水的な化合物からなる疎水性層との密着性を確保する目的で、疎水性層とセルロース系の基材フィルムとの界面において、両者の樹脂が混合した混合領域を形成することが好ましい。混合領域を形成することで干渉ムラを抑制でき、かつ通常は相溶性の低い親水性の基材フィルムと疎水性層との密着性を確保して透湿性の低減と膜の強度や耐久性を維持することができる。
混合領域の層の厚みとしては、0.2〜10μmの範囲にあることが好ましく、より好ましくは0.3〜7μmであり、更に好ましくは0.5〜5μmである。混合領域の層の厚さがこの範囲より小さいと干渉ムラの抑制効果と密着性への効果が小さく、この範囲より大きいと、透湿性を低減する効果が目減りする傾向がある。混合領域の層の厚さは、反射防止フィルムの断面をミクロトームを用いて切削し、断面から走査型電子顕微鏡(日立製作所製、S−570)を用いて反射電子モードで観察し、撮影された写真より混合領域の層の厚さを求めることができる。
本発明においては、疎水性層を形成するための塗布液の溶剤として、前記の混合領域を形成する為に、支持体を溶解または膨潤させる性質を持った溶剤を選択する必要がある。これは、塗布液にそのような溶剤を用いれば、塗布直後から支持体を溶解あるいは膨潤しつつ疎水性層を形成する為に、基材フィルムと疎水性層の界面が不明確になると同時に、疎水性層の樹脂成分と基材フィルムの樹脂成分が混合した領域の層が形成される。
また、疎水性層の透湿度を低減する機能を維持するため、基材フィルム(例えばトリアセチルセルロース支持体)を溶解しない溶剤を、少なくとも一種類以上混合するのが好ましい。より好ましくは、基材フィルムを溶解する溶剤のうちの少なくとも一種類が、基材フィルムを溶解しない溶剤のうちの少なくとも一種類よりも高沸点であることが好ましい。
また、本発明の疎水性層の主成分は、疎水性な化合物であることから、基材フィルムを溶解または膨潤させる溶剤への溶解性は十分でないことが考えられる。このため、基材フィルムを溶解または膨潤する溶剤か、もしくは溶解しない溶剤のうち少なくとも一方の溶剤が、本発明の疎水性化合物の溶解性が十分な溶剤であることが好ましい。この場合、特にフッ素系のバインダーに対しては、フッ素系の溶剤を好ましく用いることもできる。
支持体がセルロースアシレートフィルムの場合、前記の支持体を溶解または膨潤させる性質を持った溶剤としては、
炭素子数が3〜12のエーテル類:具体的には、ジブチルエーテル、ジメトキシメタン、ジメトキシエタン、ジエトキシエタン、プロピレンオキシド、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、1,3,5−トリオキサン、テトラヒドロフラン、アニソールおよびフェネトール等、
炭素数が3〜12のケトン類:具体的には、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、ジプロピルケトン、ジイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、およびメチルシクロヘキサノン等、
炭素数が3〜12のエステル類:具体的には、蟻酸エチル、蟻酸プロピル、蟻酸n−ペンチル、酢酸メチル、酢酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン醸エチル、酢酸n−ペンチル、およびγ−ブチロラクトン等、
2種類以上の官能基を有する有機溶媒:具体的には、2−メトキシ酢酸メチル、2−エトキシ酢酸メチル、2−エトキシ酢酸エチル、2−エトキシプロピオン酸エチル、2−メトキシエタノール、2−プロポキシエタノール、2−ブトキシエタノール、1,2−ジアセトキシアセトン、アセチルアセトン、ジアセトンアルコール、アセト酢酸メチル、およびアセト酢酸エチル等
含塩素系溶剤:メチレンクロライド、クロロホルム、
が挙げられる。
これらは1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。基材フィルムを溶解する溶剤としてはケトン系溶剤が好ましく、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンが特に好ましい。
基材フィルム(好ましくはトリアセチルセルロース)を溶解しない溶剤として、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、tert−ブタノール、1−ペンタノール、2−メチル−2−ブタノール、シクロヘキサノール、酢酸イソブチル、メチルイソブチルケトン、2−オクタノン、2−ペンタノン、2−ヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ペンタノン、3−ヘプタノン、4−ヘプタノン、トルエンが挙げられる。
これらは1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、フッ素系のバインダーを溶解するその他の溶剤としては、パーフルオロペンタン、パーフルオロプロパン、パーフルオルヘキサン、パーフルオロメタノール、パーフルオルエタノール、等の含フッ素溶剤があげられる。
基材フィルムを溶解する溶剤の総量(A)と基材フィルムを溶解しない溶剤の総量(B)の質量割合(A/B)は、10/90〜100/0が好ましく、より好ましくは20/80〜100/0であり、さらに好ましく30/70〜100/0である。
4−(5)他層との密着性
本発明における疎水性層は、後述する構成例で使用されるように、更にハードコート層、防眩層、反射防止層を積層することが好ましく、そのため他層との密着性を保持することが好ましい。この場合、疎水性層上に直接形成することもできるが、別の方法としては後述する[下塗り層]と同様の層を別に設けることで、密着性と低透湿性を両立することができる。
4−(6)構成
本発明における疎水性層による低透湿層の構成は、偏光板構成図である図2(1)、(2)又は、図2(3)、(4)に示されている様に、偏光子と基材フィルムとの間、又は、偏光子とは基材フィルムを挟んで逆側に設けることができる。また、これら両方の側に設けることもできるが、図2(1)、(2)のように、偏光子とは基材フィルムを挟んで逆側に設ける方が、偏光子との密着性、偏光板の加工適性の面で好ましい。
また、本発明における疎水性層は、ハードコート層を兼ねても良い。この場合、膜の性能としては、別項目に記載のハードコート層の性能と同等であれば良い。
5.親水性の多官能性化合物と架橋剤を用いた被覆層
本発明において使用できる低透湿性の被覆層としては、緻密な膜を形成することにより透湿性を低減するという観点で、親水性の多官能性化合物と架橋剤の組合せからなる層を用いることができる。具体的には、(A)糖類とホルミル基含有化合物からなる樹脂組成物を積層してなる層による方法、または(B)アミノ基含有高分子化合物とアミノ基反応性官能基含有かつシラノール基含有の有機シラン化合物からなる樹脂組成物を積層してなる層による方法、等を使用することができる。これらの架橋性化合物、または反応性化合物を併用することで、膜を緻密にする効果と、更に親水性の官能基と反応することで高湿条件での低透湿性の維持を達成することができる。
本発明においては、親水性の高いセルロース系の透明基材に対してこれらの親水性基を含有する化合物を主成分とする被覆層を低透湿層として形成することで、さらに基材との密着性を十分に確保することができ、透湿性を更に低減でき、かつ低透湿性の耐久性にも優れる低透湿層を形成することができる。
5−(1)親水性の多官能性化合物と架橋剤の組成物
本発明における(A)糖類とホルミル基含有化合物からなる樹脂組成物としては、特開2003−238827、特開2003−238734に記載の樹脂組成物を用いることができる。
本発明における(B)アミノ基含有高分子化合物とアミノ基反応性官能基含有かつシラノール基含有の有機シラン化合物からなる樹脂組成物としては、特開2004−255601に記載の樹脂組成物を使用することができる。
5−(2)基材の表面処理
本発明においては、親水性の多官能性化合物と架橋剤を用いた被覆層と基材との密着性を十分に確保する目的で、被覆層を積層する前に基材フィルムの表面処理を行うことが好ましい。セルロースアシレートからなる基材の表面処理の一般的な方法としては、偏光板用の保護フィルムとしてPVAからなる偏光子との密着性を向上させる目的や、セルロースアシレートフィルム上にPVAに代表される配向膜を形成した上に液晶化合物等の配向層を形成した光学フィルムを作成する目的で、基材表面に鹸化処理を行うことが知られており、この場合、鹸化処理により表面に露出または新たに形成した水酸基とPVAの水酸基との水素結合により密着性を確保しており、高湿条件での耐久性等において、水素結合が水分により阻害され密着性が低下することが懸念される。
これに対し、本発明においては、基材フィルムの表面処理を行うことで前記(A)の樹脂組成物中に含まれるホルミル基含有化合物、または(B)の樹脂組成物中に含まれる有機シラン化合物と基材フィルム表面との架橋形成により高湿条件での耐久性も十分確保され、さらに架橋をより高密度にすることで密着性を十分確保することができる。表面処理の方法としては、コロナ処理、プラズマ処理等の火炎処理、ケン化処理等の公知の方法を選択することができるが、生産性と密着性の安定性の観点で、後述する[鹸化処理]に記載の方法によることが好ましく、特にアルカリ液を塗布する方法によることがより好ましい。
表面処理後の基材の表面接触角としては、水の接触角が50度以下であることが好ましく、45度以下であることがより好ましく、40度以下であることが最も好ましい。
また、更に基材との密着性をさらに向上する目的で、樹脂組成物中に更にカップリング剤を併用することも好ましい。カップリング剤としては、(A)の樹脂組成物に対しては水酸基反応性官能基を複数含有する化合物、ホルミル基反応性官能基と水酸基反応性官能基とを含有する化合物、(B)の樹脂組成物に対してはシラノール基と水酸基反応性官能基とを含有する化合物、アミノ基反応性官能基と水酸基反応性官能基とを含有する化合物、アミノ基と水酸基反応性官能基とを含有する化合物、等を用いることができる。
ここで、水酸基と反応性の官能基としては、イソシアネート基、エポキシ基、ホルミル基等があげられ、ホルミル基反応性の官能基としては水酸基、アミノ基、チオール基等があげられ、アミノ基反応性の官能基としてはイソシアネート基、エポキシ基、ホルミル基、等があげられる。
5−(3)他層との密着性
本発明の親水性の多官能性化合物と架橋剤を用いた被覆層は、更に後述のハードコート層、防眩層、反射防止層等の機能性層を積層することが好ましい。この場合、機能性層との密着性を確保する観点で、親水性の多官能性化合物と架橋剤を用いた被覆層中に、カップリング剤を併用することが好ましい。カップリング剤としては、ホルミル基と重合性基を含有する化合物、重合性基とアルコキシシランからなるシランカップリング剤等が好ましく用いられる。ここで重合性基としてはアクリロイル基、メタクリロイル基、アリル基等の二重結合性基、およびエポキシ基、等が好ましい。
シランカップリング剤の例としては、前述のシランカップリング剤に記載の化合物があげられるが、特にエポキシ基を有するシランカップリング剤、およびアクリル基またはメタクリル基を有するシランカップリング剤が好ましい。
シランカップリング剤の使用量としては、被覆組成物中の固形分中の含量で、0.01重量%〜10.0重量%の範囲で使用することが好ましく、0.1重量%〜7.0重量%の範囲であることがより好ましく、0.5重量%〜5.0重量%の範囲であることがさら
に好ましい。
5−(4)親水性の多官能性化合物と架橋剤を用いた被覆層の厚み、ヘイズ
本発明の親水性の多官能性化合物と架橋剤を用いた被覆層の厚みとしては、透湿性を低減する効果と、脆性やカール等の膜物性、および生産性とコストの観点から、0.5μm以上40μm以下であることが好ましい。より好ましくは、1.0μm以上30μm以下であり、1.5μm以上25μm以下であることが最も好ましい。また、親水性の多官能性化合物と架橋剤を用いた被覆層のヘイズは、光学フィルムとして取り扱うことから低いほうが良く、5.0%以下であることが好ましく、3.0%以下であることがより好ましく、1.0%以下であることがさらに好ましい。
5−(5)構成
本発明における親水性の多官能性化合物と架橋剤を用いた被覆層による低透湿層の構成は、偏光板構成図である図2(1)、(2)又は、図2(3)、(4)に示されている様に、偏光子と基材フィルムとの間、又は、偏光子とは基材フィルムを挟んで逆側に設けることができる。また、これら両方の側に設けることもできるが、図2(1)、(2)のように、偏光子とは基材フィルムを挟んで逆側に設ける方が、偏光子との密着性、偏光板の加工適性の面で好ましい。
6 無機層状化合物を含有する被覆層
本発明の被覆層の透湿度を更に低減するためには、上述の被覆層に用いることが可能なバインダー中に無機層状化合物を分散することがより好ましい。無機層状化合物は親水性の表面を有するため、水溶性バインダー中に分散して用いるのが好ましく、上述のビニルアルコール系重合体からなる被覆層中、または、シリカ系塗布膜からなる被覆層中に分散するのが好ましく、ビニルアルコール系重合体からなる被覆層中に分散するのがより好ましい。上述の好ましいビニルアルコール系重合体と組み合わせることで最も好ましい性能を発揮することができる。一方、無機層状化合物を有機化処理することにより、親水性の低いバインダー中にも分散し、透湿度を下げることが可能である。
6−(1)無機層状化合物
本発明における無機層状化合物とは、単位結晶層が積層した構造を有し、層間に溶媒を配位又は吸収することにより膨潤又はヘキ開する性質を示す無機化合物である。このような無機化合物としては、膨潤性の含水ケイ酸塩、例えば、スメクタイト群粘土鉱物(モンモリロナイト、サポナイト、ヘクトライト等)、パームキュライト群粘土鉱物、カオリナイト群粘土鉱物、フィロケイ酸塩(マイカ等) などが例示できる。また、合成無機層状
化合物も好ましく用いられ、合成無機層状化合物としては、合成スメクタイト(ヘクトライト、サポナイト、スティブンサイトなど)、合成マイカなどが挙げられ、スメクタイト、モンモリロナイト、マイカが好ましく、モンモリロナイト、マイカがより好ましい。市販品として使用できる無機層状化合物としては、MEB−3(コープケミカル(株)製合成マイカ水分散液)、ME−100(コープケミカル(株)製合成マイカ)、S1ME(コープケミカル(株)製合成マイカ)、SWN(コープケミカル(株)製合成スメクタイト)、SWF(コープケミカル(株)製合成スメクタイト)、クニピアF(クニミネ化学工業(株)製精製ベントナイト)、ベンゲル(ホージュン(株)製精製ベントナイト)、ベンゲルHV(ホージュン(株)製精製ベントナイト)、ベンゲルFW(ホージュン(株)製精製ベントナイト)、ベンゲル ブライト11(ホージュン(株)製精製ベントナイト)、ベンゲル ブライト23(ホージュン(株)製精製ベントナイト)、ベンゲル ブライト25(ホージュン(株)製精製ベントナイト)、ベンゲル A(ホージュン(株)製精製ベントナイト)、ベンゲル 2M(ホージュン(株)製精製ベントナイト)等を用いることができる。
また、かかる無機層状化合物は、これら無機層状化合物に有機化処理を施したものであってもよい。
膨潤性層状無機化合物は、ガスバリア性と基材−ガスバリア層間の密着性とを両立させる点から、微粒子化処理されているのが好ましい。微粒子化処理された膨潤性層状無機化合物は、通常、板状又は扁平状であり、平面形状は特に制限されず、無定形状などであってもよい。微粒子化処理された膨潤性層状無機化合物の平均粒子径(平面形状の平均粒子径) は、例えば、0.1〜10μmが好ましく、0.1〜8μmがより好ましく、0.1〜6μm特に好ましい。平均粒子径とは、一般的な粒度分布計、例えば、光散乱方式の粒度分布計(日機装社製「マイクロトラックUPA」)で測定される粒子径分布値の内、その値を有する粒子数が最も多い粒子径である。本範囲より粒径が小さいと透湿度低減効果が充分でなく、粒径が大きいと、ヘイズ値の増加、表面粗さの増加などが好ましくない。無機化合物の濃度は、3〜60重量%、好ましくは15〜60重量%、さらに好ましくは25〜50重量%である。本範囲より少ないと透湿度低減効果が充分でなく、多いと、ヘイズ値の増加、脆性の悪化などが好ましくない。
6−(2)無機層状化合物の分散処理
無機層状化合物は層間がきちんとヘキ開した状態でバインダー中に分散することにより、透湿経路長を長くして透湿度を減少させる。したがって、無機層状化合物の各層間がきちんとヘキ開された状態を得るための分散処理が非常に重要である。分散処理は、溶液中で複数回高圧分散処理されるのが好ましい。処理圧力は10MPa以上が良く、より好ましくは20Mpa以上である。溶媒としては、特に指定はないが、有機化処理していない無機層状化合物に関しては、水又は水溶性溶媒(メタノールやエタノール、イソプロピルアルコールなどの低級アルコールやアセトンなど)が例示でき、水が特に好ましい。また、水と低級アルコールの混合溶媒も好ましく用いることができる。高圧分散の処理方法としては、例えば、膨潤性層状無機化合物を溶媒に膨潤させた後、高圧ホモジナイザーにより攪拌することにより、高圧分散する方法が挙げられる。塗布液の調整方法は特に限定されないが、前述の被覆層のバインダー成分を溶媒に均一に溶解させた後に層状粒子を均一に分散させた溶媒と混合する方法が有効に用いられる。
6−(3)有機化処理した無機層状化合物
無機層状化合物を親水性の低い化合物中に分散させる場合、有機溶媒に分散可能な無機層状化合物を用いることが好ましく、有機化処理してある無機層状化合物が好ましい。これらの無機層状化合物の例としては、アルキルアミン等の有機化剤により有機化処理した層状化合物である。また、被覆層の強度をより強固にし、かつ透湿性をより低減する目的では、重合性基を含有した有機化剤により有機化処理することが好ましい。市販品として使用できる有機化処理した無機層状化合物としては、ソマシフMAE・MTE・MEE・MPE(いずれもコープケミカル(株)製合成マイカ)、ルーセンタイトSAN、STN、SEN、SPN(いずれもコープケミカル(株)製合成スメクタイト)、エスベン・エスベンC・E・W・WX・N−400・NX・NX80・NZ・NZ70・NE・NEZ・NO12S・NO12(ホージュン(株)製有機化ベントナイト)、オルガナイト・オルガナイトD・オルガナイトT(ホージュン(株)製有機化ベントナイト)等を用いることができる。
また、有機化していない無機層状化合物、例えば市販品であれば、ルーセンタイトME−100コープケミカル(株)製合成マイカ)、ルーセンタイトSWN(コープケミカル(株)製合成スメクタイト)を有機化処理することも好ましい。有機化剤としては、級アンモニウム塩が好ましく、特に限定はないが、式(1)で表される4級アンモニウム塩がより好ましい。
式(1) (N(Ra)4-n(Rb)n)+A
(式中、Raは(CH)mHまたは(CH)mRcH又は(CHRc)mHで示され、mは2以上の整数、Rcは任意の構造または無くてもよく、RbはCH、nは0又は1〜3の整数を表す。A-はCl-またはBr-を表す。)
nは0〜3が好ましく、0〜2が好ましく、0〜1が特に好ましい。nが多いと分散性が悪化し好ましくない。Raに関しては、全ての基が同じ構造であっても、異なる構造をとっても構わない。mは2以上であり、Raのうちの少なくとも1つの基はmが4以上が特に好ましく、8以上が更に好ましく、8〜30が特に好ましい。mが大きいほど分散性がよくなり好ましいが、大きすぎると無機層状化合物に対する有機物の割合が大きくなりすぎて好ましくない。
Raは中に、分子間の相互作用が大きくなる構造を有することも好ましい。分子間の相互作用が大きくなる構造としては−OH、―CHCHO−、−CHO(CH)−などが挙げられる。有機化処理に用いる4級アンモニウム塩として、例えば、ジメチルジオクタデシルアンモニウムブロミド、トリメチルオクタデシルアンモニウムクロリド、ベンジルトリメチルアンモニウムクロリド、ジメチルベンジルオクタデシルアンモニウムブロミド、トリオクチルメチルアンモニウムクロリド、ポリオキシプロピレントリメチルアンモニウムクロリド、ジ(ポリオキシプロピレン)ジメチルアンモニウムクロリド、ジ(ポリオキシエチレン)ドデシルメチルアンモニウムクロリド、トリ(ポリオキシプロピレン)メチルアンモニウムクロリド、トリ(ポリオキシプロピレン)メチルアンモニウムブロミド等が挙げられる。
有機化処理された無機層状化合物を用いる方法としては、層状化合物を有機溶媒中に十分に分散しておき、疎水性バインダーを溶媒中に溶解および/または分散させたの溶液を添加する方法のほか、疎水性バインダーの溶液中へ、上記の分散した有機化処理された無機層状化合物溶液を添加する方法等を用いることができる。また疎水性バインダーに無機層状化合物を直接添加する方法として、疎水性バインダーの溶融状態で無機層状化合物を添加し、混練等の方法により疎水性バインダー中へ分散しながら添加する方法も用いることができる。
[透明基材フィルム]
本発明に用いられる透明基材フィルムは、光学的に均一なこと、表面が平滑なこと、偏光板を作製する上での二次加工性がよいことから、セルロースアシレート系フィルムが使用される。
本発明に用いられるセルロースアシレートは、炭素数2〜22程度の脂肪族カルボン酸エステルまたは芳香族カルボン酸エステルであり、特にセルロースの低級脂肪酸エステルであることが好ましい。セルロースの低級脂肪酸エステルにおける低級脂肪酸とは炭素原子数が6以下の脂肪酸を意味し、例えば、セルロースアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースブチレート、セルロースアセテートフタレート等や、特開平10−45804号公報、同8−231761号公報、米国特許第2,319,052号等に記載されているようなセルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート等の混合脂肪酸エステルを用いることが出来る。或いは、特開2002−179701号公報、特開2002−265639号公報、特開2002−265638号公報に記載の芳香族カルボン酸とセルロースとのエステルも好ましく用いられる。上記記載の中でも、特に好ましく用いられるセルロースの低級脂肪酸エステルは、セルローストリアセテートと後述するセルロースアセテートプロピオネートである。これらのセルロースエステルは混合して用いることも出来る。
セルロースアシレートの置換度(DS)は、セルロースの構成単位(β1→4グリコシド結合しているグルコース)に存在している三つの水酸基がアシル化されている割合を意味する。置換度は、セルロースの構成単位重量当りの結合脂肪酸量を測定して算出することができる。測定方法は、ASTM-D817-91に準じて実施する。
本発明のセルロースアシレートはアシル基の疎水性と水酸基の親水性を適度にバランスさせることにより、レターデーションの湿度依存性と寸度安定性を両立させるものである。すなわち、アシル基中のアルキル鎖が平均的に短かすぎる、及び/あるいは水酸基比率が高すぎるとレターデーションの湿度依存性は大きくなってしまう。また、アシル基中のアルキル鎖が平均的に長すぎる、及び/あるいは水酸基比率が高すぎるとTgが低下し、寸度安定性が悪化してしまう。
したがって、本発明で好ましく用いられるセルローストリアセテートはアセチル化度が2.83以上2.91以下で炭素数3以上の他のアシル基を有しないものが好ましい。アセチル化度は2.84以上2.89以下がさらに好ましい。
また、セルローストリアセテート以外で好ましいセルロースエステルは、炭素原子数2〜4のアシル基を置換基として有し、アセチル基の置換度をXとし、プロピオニル基の置換度をYとした時、下記式(a)及び(b)を同時に満たすセルロースエステルである。
式(a) 2.6≦X+Y≦2.9
式(b) 0≦X≦2.5
中でも1.9≦X≦2.5、0.1≦Y≦0.9のセルロースアセテートプロピオネート(総アシル基置換度=X+Y)が好ましい。アシル基で置換されていない部分は通常水酸基として存在している。これらは公知の方法で合成することが出来る。
透明基材フィルムの厚みは30〜120μmが好ましく、40〜80μmがより好ましい。基材フィルムの厚みが該下限値以上であれば、フィルム強度が弱くなるなどの問題が生じにくく、該上限値以下であれば、重量が増加しすぎて、特に20インチ以上の大型テレビに用いた場合に不利になるなどの弊害が生じにくいので好ましい。
[紫外線吸収剤]
本発明の透明基材フィルム、防湿層、下塗り層、ハードコート層のいずれかに、下記一般式(1)で表される紫外線吸収剤を2種類以上含有することが好ましい。
また、該紫外線吸収剤に関する下記式(A)で表されるオクタノール/水分配係数(以下logP)の平均値(以下平均logP)とセルロースアシレートのアシル化度DSが下記式(B)の関係を満たすセルロースアシレートフィルムが透明基材フィルムとして用いられることがより好ましい。
Figure 2008015500
(式中、R、R、R、RおよびRはそれぞれ独立に水素原子または一価の有機基を表し、R、RおよびRの少なくとも1つは総炭素数4〜20の無置換の分岐または直鎖のアルキル基を表し、R、RおよびRはそれぞれ互いに異なる。)
Figure 2008015500
5.0×DS−6.7≦平均logP≦5.0×DS−5.1 式(B)
本発明に用いられる前記紫外線吸収剤のlogPの平均値は(5.0×DS−6.7)以上(5.0×DS−5.1)以下であり、(5.0×DS−6.5)以上(5.0×DS−5.2)以下が好ましい。logPの平均値が大きすぎると面状が悪化し、logPの平均値が小さすぎると高温高湿下での紫外線吸収剤の保留性が悪化する。また、一般式(1)で表される化合物は330〜360nmの波長範囲に吸収極大を有するものである。
本発明に用いられる紫外線吸収剤は揮散性の観点から分子量が250〜1000であることが好ましい。より好ましくは260〜800であり、更に好ましくは270〜800であり、特に好ましくは300〜800である。これらの分子量の範囲であれば、特定のモノマー構造であっても良いし、そのモノマーユニットが複数結合したオリゴマー構造、ポリマー構造でも良い。
紫外線吸収剤は、セルロースアシレートフイルム作製のドープ流延、乾燥の過程で揮散しないことが好ましい。
(化合物添加量)
上述した本発明において用いられる紫外線吸収剤の添加量は、セルロースアシレートに対して、0.01〜10質量%であることが好ましく、0.1〜5質量%であることがより好ましく、0.2〜3質量%であることが特に好ましい。
(化合物添加の方法)
またこれら紫外線吸収剤を添加する時期はドープ作製工程中の何れであってもよく、ドープ調製工程の最後に行ってもよい。
次に一般式(1)で表される紫外線吸収剤について詳しく説明する。
、R、R、RおよびRはそれぞれ独立に水素原子または一価の有機基を表し、R、RおよびRの少なくとも1つは総炭素数4〜20の無置換の分岐または直鎖のアルキル基を表し、R、RおよびRはそれぞれ互いに異なる。置換基としては例えばアルキル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜8であり、例えばメチル、エチル、iso−プロピル、tert−ブチル、n−オクチル、n−デシル、n−ヘキサデシル、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどが挙げられる。)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8であり、例えばビニル、アリル、2−ブテニル、3−ペンテニルなどが挙げられる。)、アルキニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8であり、例えばプロパルギル、3−ペンチニルなどが挙げられる。)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニル、p−メチルフェニル、ナフチルなどが挙げられる。)、置換又は未置換のアミノ基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは炭素数0〜10、特に好ましくは炭素数0〜6であり、例えばアミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジベンジルアミノなどが挙げられる。)、
アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜8であり、例えばメトキシ、エトキシ、ブトキシなどが挙げられる。)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜16、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルオキシ、2−ナフチルオキシなどが挙げられる。)、アシル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばアセチル、ベンゾイル、ホルミル、ピバロイルなどが挙げられる。)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばメトキシカルボニル、エトキシカルボニルなどが挙げられる。)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭素数7〜20、より好ましくは炭素数7〜16、特に好ましくは炭素数7〜10であり、例えばフェニルオキシカルボニルなどが挙げられる。)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばアセトキシ、ベンゾイルオキシなどが挙げられる。)、アシルアミノ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばアセチルアミノ、ベンゾイルアミノなどが挙げられる。)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばメトキシカルボニルアミノなどが挙げられる。)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数7〜20、より好ましくは炭素数7〜16、特に好ましくは炭素数7〜12であり、例えばフェニルオキシカルボニルアミノなどが挙げられる。)、スルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタンスルホニルアミノ、ベンゼンスルホニルアミノなどが挙げられる。)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは炭素数0〜16、特に好ましくは炭素数0〜12であり、例えばスルファモイル、メチルスルファモイル、ジメチルスルファモイル、フェニルスルファモイルなどが挙げられる。)、カルバモイル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばカルバモイル、メチルカルバモイル、ジエチルカルバモイル、フェニルカルバモイルなどが挙げられる。)、アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメチルチオ、エチルチオなどが挙げられる。)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜16、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルチオなどが挙げられる。)、スルホニル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメシル、トシルなどが挙げられる。)、スルフィニル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタンスルフィニル、ベンゼンスルフィニルなどが挙げられる。)、ウレイド基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばウレイド、メチルウレイド、フェニルウレイドなどが挙げられる。)、リン酸アミド基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばジエチルリン酸アミド、フェニルリン酸アミドなどが挙げられる。)、ヒドロキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、ヒドロキサム酸基、スルフィノ基、ヒドラジノ基、イミノ基、ヘテロ環基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは1〜12であり、ヘテロ原子としては、例えば窒素原子、酸素原子、硫黄原子、具体的には例えばイミダゾリル、ピリジル、キノリル、フリル、ピペリジル、モルホリノ、ベンゾオキサゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンズチアゾリルなどが挙げられる。)、シリル基(好ましくは、炭素数3〜40、より好ましくは炭素数3〜30、特に好ましくは、炭素数3〜24であり、例えば、トリメチルシリル、トリフェニルシリルなどが挙げられる)などが挙げられる。これらの置換基は更に置換されてもよい。
また、置換基が二つ以上ある場合は、同じでも異なってもよく、可能な場合には互いに連結して環を形成してもよいが、R、RおよびRの少なくとも1つは総炭素数4〜20の無置換の分岐または直鎖のアルキル基を表し、R、RおよびRはそれぞれ互いに異なる。
1およびR3として好ましくは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、置換または無置換のアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子であり、より好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、ハロゲン原子であり、更に好ましくは水素原子、炭素1〜12アルキル基であり、特に好ましくは炭素数1〜12のアルキル基(好ましくは炭素数4〜12)である。
2として好ましくは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、置換または無置換のアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子であり、より好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、ハロゲン原子であり、更に好ましくは水素原子、炭素1〜12アルキル基であり、特に好ましくは水素原子、メチル基であり、最も好ましくは水素原子である。
4およびR5として好ましくは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、置換または無置換のアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子であり、より好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、ハロゲン原子であり、更に好ましくは水素原子、ハロゲン原子であり、特に好ましくは水素原子、塩素原子である。
以下に一般式(I)で表される化合物の具体例を挙げるが、本発明は下記具体例に何ら限定されるものではない。
Figure 2008015500
[可塑剤]
本発明の透明基材フィルムに用いることのできる可塑剤としては、例えば多価アルコールエステル系可塑剤、グリコレート系可塑剤、リン酸エステル系可塑剤、フタル酸エステル系可塑剤等を用いることができが、特に好ましくは多価アルコール系可塑剤、グリコレート系可塑剤である。また、リン酸エステル系可塑剤の添加量はフィルムに対して16質量%以下とすることが好ましく、10質量%以下とすることがより好ましく、6質量%以下とすることが最も好ましい。
多価アルコールエステルは2価以上の脂肪族多価アルコールとモノカルボン酸のエステルよりなり、分子内に芳香環またはシクロアルキル環を有することが好ましい。
本発明に用いられる多価アルコールは次の一般式(1)で表される。
一般式(1) R1−(OH)n
(ただし、R1はn価の有機基、nは2以上の正の整数、OH基はアルコール性、及び/またはフェノール性水酸基を表す)
好ましい多価アルコールの例としては、例えば以下のようなものをあげることができるが、本発明はこれらに限定されるものではない。アドニトール、アラビトール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ジブチレングリコール、1,2,4−ブタントリオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ヘキサントリオール、ガラクチトール、マンニトール、3−メチルペンタン−1,3,5−トリオール、ピナコール、ソルビトール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、キシリトール等を挙げることができる。特に、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ソルビトール、トリメチロールプロパン、キシリトールが好ましい。
本発明の多価アルコールエステルに用いられるモノカルボン酸としては、特に制限はなく、公知の脂肪族モノカルボン酸、脂環族モノカルボン酸、芳香族モノカルボン酸等を用いることができる。脂環族モノカルボン酸、芳香族モノカルボン酸を用いると透湿性、保留性を向上させる点で好ましい。
好ましいモノカルボン酸の例としては以下のようなものを挙げることができるが、本発明はこれに限定されるものではない。
脂肪族モノカルボン酸としては、炭素数1〜32の直鎖または側鎖を有する脂肪酸を好ましく用いることができる。炭素数は1〜20であることが更に好ましく、1〜10であることが特に好ましい。酢酸を含有させるとセルロースエステルとの相溶性が増すため好ましく、酢酸と他のモノカルボン酸を混合して用いることも好ましい。
好ましい脂肪族モノカルボン酸としては、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、2−エチル−ヘキサンカルボン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、ヘプタデシル酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、ヘプタコサン酸、モンタン酸、メリシン酸、ラクセル酸等の飽和脂肪酸、ウンデシレン酸、オレイン酸、ソルビン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸等の不飽和脂肪酸等を挙げることができる。
好ましい脂環族モノカルボン酸の例としては、シクロペンタンカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸、シクロオクタンカルボン酸、またはそれらの誘導体を挙げることができる。
好ましい芳香族モノカルボン酸の例としては、安息香酸、トルイル酸等の安息香酸のベンゼン環にアルキル基を導入したもの、ビフェニルカルボン酸、ナフタリンカルボン酸、テトラリンカルボン酸等のベンゼン環を2個以上有する芳香族モノカルボン酸、またはそれらの誘導体を挙げることができる。特に安息香酸が好ましい。
多価アルコールエステルの分子量は特に制限はないが、300〜1500であることが好ましく、350〜750であることが更に好ましい。分子量が大きい方が揮発し難くなるため好ましく、透湿性、セルロースエステルとの相溶性の点では小さい方が好ましい。
多価アルコールエステルに用いられるカルボン酸は1種類でもよいし、2種以上の混合であってもよい。また、多価アルコール中のOH基は、全てエステル化してもよいし、一部をOH基のままで残してもよい。
以下に、多価アルコールエステルの具体的化合物を示す。
Figure 2008015500
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Figure 2008015500
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グリコレート系可塑剤は特に限定されないが、分子内に芳香環またはシクロアルキル環を有するグリコレート系可塑剤を好ましく用いることができる。好ましいグリコレート系可塑剤としては、例えばブチルフタリルブチルグリコレート、エチルフタリルエチルグリコレート、メチルフタリルエチルグリコレート等を用いることができる。
リン酸エステル系可塑剤では、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェート、ジフェニルビフェニルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリブチルホスフェート等、フタル酸エステル系可塑剤では、フタル酸エステル系では、ジエチルフタレート、ジメトキシエチルフタレート、ジメチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジブチルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルフタレート、ブチルベンジルフタレート、ジベンジルフタレート、ブチルフタリルブチルグリコレート、エチルフタリルエチルグリコレート、メチルフタリルエチルグリコレート等、クエン酸エステル系可塑剤として、トリエチルシトレート、トリ−n−ブチルシトレート、アセチルトリエチルシトレート、アセチルトリ−n−ブチルシトレート、アセチルトリ−n−(2−エチルヘキシル)シトレート等を用いることができる。
これらの可塑剤は単独あるいは2種以上混合して用いることができる。可塑剤の使用量は、セルロースエステルに対して4〜20質量%が好ましく、6〜16質量%が更に好ましく、特に好ましくは8〜13質量%である。可塑剤の添加量が多すぎるとフィルムが柔らかくなりすぎるため吸水弾性率が低下し、添加量が少なすぎるとフィルムの透湿性が低下する。
本発明の透明基材フィルムには、前記の可塑剤の他に、基材の耐久性や透湿性、弾性率等のフィルム物性、および光学特性値を制御する目的で種々の添加剤を使用することができ、例えば下記特許文献9、特許文献10、特許文献11、特許文献12、特許文献13に記載の化合物を使用することができる。
〔特許文献9〕特開2006−30937(0054〜0134)
〔特許文献10〕特開2003−12859
〔特許文献11〕特開2002−20410
〔特許文献12〕特開2003−222723(0031〜0044)
〔特許文献13〕特開2002−22956(0045〜0058)
〔偏光板用保護フィルム〕
本発明の偏光板用保護フィルムは、被覆層が透明基材フィルム上に形成されており、被覆層の厚みは上述のように被覆層の種類により好適な範囲が異なる。被覆層の厚みが該上限値以下であれば、優れた低透湿度を有すると共に、カールが大きくなるなどの弊害が生じないので好ましい。カールが大きくなりすぎると、その後の偏光板を作製する工程、例えば偏光膜との接着工程、ハンドリングにおいて支障をきたす。また作製工程のみならず、偏光板としてもカールが残存することはLCDに表示ムラ等を発生させ好ましくない。従ってカールが発生しないか、又は実用上問題ない程度に小さくするには、被覆層の膜厚上限は上記範囲とすることが好ましい。一方膜厚の下限は透水性より好ましい範囲が規定され、上記範囲とすることで本発明の効果が十分に発現できる。被覆層は少なくとも1層からなるものであり、2層以上の形態も可能である。本発明の被覆層のうち異なる2種類以上の被覆層を同時に用いることは透湿度低減の観点からは特に好ましい。
次に透湿性につき詳述する。
透湿度の測定法は、「高分子の物性II」(高分子実験講座4 共立出版)の285頁〜294頁:蒸気透過量の測定(質量法、温度計法、蒸気圧法、吸着量法)に記載の方法を適用することができ、本発明にかかるフィルム試料70mmφを60℃、95%RHでそれぞれ24時間調湿し、調湿前後の質量差より、JIS Z−0208に従って、単位面積あたりの水分量を算出(g/m2)した。この際、恒温恒湿装置にいれたカップを適当な時間間隔で取り出して秤量する操作を繰り返し、二つの連続する秤量で、それぞれ単位時間あたりの質量増加を求め、それが5%以内で一定になるまで評価を続けた。また、試料の吸湿等による影響を除外するため、吸湿剤の入れていないブランクのカップを測定し、透湿度の値を補正した。
なお、本発明で用いる透湿度の値は、ポリビニルアルコール、エチレンビニルアルコール共重合体、及びこれらの樹脂層に層状無機化合物を分散させた被覆層を有する保護フィルムを測定する場合、基材層側からの透湿度の値を用いた。
上記測定法で測定した市販されているセルロースアセテートフイルムの透湿度は、一般に、厚さ80μmで上記条件での透湿度が1400〜1500g/m2・日である。本発明の偏光板保護フィルムの透湿度の上限は300g/m2・日以下であることが好ましく、200g/m2・日以下であることがより好ましく、150g/m2・日以下であることが特に好ましい。上記上限値より透湿度が高いと、長期使用時に、温度や湿度の変化による偏光膜のサイズ変化が原因での表示画像のムラが発生低減の効果が低い。下限は特に制限はないが、偏光板加工時の生産性の観点からは20g/m2・日以上が好ましく、30g/m2・日以上がより好ましい。この範囲であれば、偏光板としての性能(偏光度、単板透過率)が悪化することがなく、長期使用時に、温度や湿度の変化による偏光膜のサイズ変化が原因で、表示画像のムラが発生することが抑制できる。
硬化した被覆層は、単層でも複数層から構成されていてもよいが、製造工程上簡便な単層であることが好ましい。この場合の単層とは同一の組成物で形成される被覆層を指し、塗布、乾燥後の組成が、同一組成のものであれば、複数回の塗布で形成されていてもよい。一方、複数層とは組成の異なる複数の組成物で形成されることを指す。
また本発明では、被覆層形成用塗布液中に微粒子を添加してもよい。微粒子を添加することで硬度向上、透明基材フィルムとの密着性向上、透湿度低減などの効果が得ることができる。
[微粒子]
微粒子としては、無機微粒子、有機微粒子、有機−無機複合微粒子のいずれも使用できる。無機微粒子としては、例えば、二酸化ケイ素粒子、二酸化チタン粒子、酸化ジルコニウム粒子、酸化アルミニウム粒子、酸化アンチモン粒子、酸化インジウム粒子などが挙げられる。
一般に、無機微粒子は、単に混合するだけでは凝集体を形成したり、硬化後の被覆層にひび割れが生じたりしやすくなる場合がある。本発明では無機微粒子と有機成分との親和性を増すため、無機微粒子表面を、有機セグメントを含む表面修飾剤で処理することができる。
微粒子の充填量は、充填後の被覆層の体積に対して、2〜40体積%が好ましく、3〜30体積%がより好ましく、5〜30体積%が最も好ましい。
被覆層形成用塗布液中に、無機の層状化合物を上述の内容のように添加することもできる。層状化合物としては、合成雲母、合成スメクタイト、モンモリロナイトが好ましく用いられる。
本発明の偏光板用保護フィルムのヘイズは、50%以下であることが好ましく、30%以下がさらに好ましく、10%以下が最も好ましい。また本発明の偏光板用保護フィルムは実質的に無色であることが好ましい。「実質的に無色」であるとは、L*,a*,b*表色系で表したa*,b*の絶対値が3.0以下であることを言う。2.5以下が更に好ましく、2以下が特に好ましい。実質的に無色であることで、偏光板としたときに色味がニュートラルグレーを示し、カラー表示において支障をきたすなどの不具合を生じないので好ましい。
本発明における偏光板用保護フィルムは、カールを以下の数式(2)で表したときの値が、−15〜+15の範囲に入っていることが好ましく、−12〜+12の範囲がより好ましく、さらに好ましくは−10〜+10である。このときのカールの試料内測定方向は、ウェッブ形態での塗布の場合、基材の搬送方向について測ったものである。
数式(2):カール=1/R
ここでRは曲率半径(m)を表す。
カール値が前記範囲にあり、カールが小さいことが好ましい。上記の範囲内であれば、被覆層を有するフィルムの製造、加工、市場での取り扱いで、ひび割れ、膜はがれが起きず、好ましい。上記範囲にカールを小さくすることと表面硬度を高くすることは、硬化前後の体積収縮率を15%以下とすることによって可能である。カールの測定は、JIS K−7619−1988の「写真フィルムのカールの測定法」中の、方法Aのカール測定用型板を用いて行われる。測定条件は25℃、湿度60%RH、調湿時間10時間である。ここで、カールがプラスとはフィルムの被覆層塗設側が湾曲の内側になるカールをいい、マイナスとは塗設側が湾曲の外側になるカールをいう。
また、本発明の偏光板用保護フィルムは、上記カール測定法に基づいて湿度のみを80%RHから10%RHに変更したとき、各カール値の差の絶対値が24〜0、さらには15〜0、特には8〜0の範囲であることが好ましい。これは、さまざまな湿度下で偏光板用保護フィルムを貼り付けたときの、ハンドリング性や剥がれ、ひび割れに関係する特性である。
本発明の偏光板用保護フィルムの耐ひび割れ性は、被覆層塗設側を外側にして丸めたときに、ひび割れが発生する曲率半径が、30mm以下であることが好ましく、25mm以下がより好ましく、20mm以下が最も好ましい。エッジ部のひび割れについては、ひび割れがないか、ひび割れの長さが平均で1mm未満であることが好ましい。この耐ひび割れ性は、被覆層を有したフィルムの塗布、加工、裁断、貼りつけ等のハンドリングで割れ欠陥を出さないための重要な特性である。
本発明の偏光板用保護フィルムの被覆層には、必要に応じ熱安定剤、光安定剤、滑剤等の添加剤を使用することも可能である。
[ハードコート性を有する層および/または反射防止層]
本発明のフィルムには、フィルムの物理的強度を付与するために、好ましくは透明支持体の一方の面にハードコート性を有する層(以下、ハードコート層と記載する場合がある)が設けられる。ハードコート層としては、表面および/または内部に光散乱性を付与した、光散乱性層とすることが好ましい(表面に散乱性を付与した場合は防眩層と記載する場合もある)。また、ハードコート層の上に反射防止層として少なくとも低屈折率層が設けられ、反射率を低減することが好ましく。更に好ましくはハードコート層の上に中屈折率層および/または高屈折率層が設けられた上に更に低屈折率層が設けられた複数の層からなる反射防止層が設けられるのが、反射率低減の面から好ましい。ハードコート層を設けずに反射防止層を設けることもできるが、フィルムの物理的強度向上のために、ハードコート層を設けることが好ましい。ハードコート層は、2層以上の積層から構成されてもよい。
以下本発明に用いることのできるハードコート層および反射防止層について説明する。本発明では被覆層としてさまざまな種類の層を設けることができ、被覆層の種類によってハードコート層に対する要求が異なる場合があり、個別の記載は被覆層に関する説明の中に記載するが、以下に共通の内容を記載する。
〔ハードコート層および反射防止層の層構成〕
好ましい一つの態様としては、透明基材フィルム上または被覆層上にハードコート層を設けた上に光学干渉によって反射率が減少するように屈折率、膜厚、層の数、層順等を考慮して積層された構成を挙げることができる。反射防止層の最も単純な構成は、ハードコート層上に低屈折率層のみを塗設した構成である。更に反射率を低下させるには、反射防止層を、透明基材フィルムよりも屈折率の高い高屈折率層と、透明基材フィルムよりも屈折率の低い低屈折率層を組み合わせて構成することが好ましい。構成例としては、透明基材フィルム側から高屈折率層/低屈折率層の2層のものや、屈折率の異なる3層を、中屈折率層(透明基材フィルム又はハードコート層よりも屈折率が高く、高屈折率層よりも屈折率の低い層)/高屈折率層/低屈折率層の順に積層されているもの等があり、更に多くの反射防止層を積層するものも提案されている。中でも、耐久性、光学特性、コストや生産性等から、ハードコート層を有する透明基材フィルム上に、中屈折率層/高屈折率層/低屈折率層の順に塗布することが好ましく、例えば、特開平8−122504号公報、同8−110401号公報、同10−300902号公報、特開2002−243906号公報、特開2000−111706号公報等に記載の構成が挙げられる。
また、各層に他の機能を付与させてもよく、例えば、防汚性の低屈折率層、帯電防止性の高屈折率層としたもの(例、特開平10−206603号公報、特開2002−243906号公報等)等が挙げられる。
本発明のハードコート層および反射防止層の好ましい層構成の例を下記に示す。本発明の反射防止フィルムは、光学干渉により反射率を低減できるものであれば、特にこれらの層構成のみに限定されるものではない。下記の構成では透明基材フィルムはハードコート層および/または反射防止層の側かあるいは反対側の少なくとも1方に被覆層が形成されており、被覆層まで含めて透明基材フィルムとする。下記の構成において、防眩層は基本的にハードコート性を有するのが好ましいが、ハードコート層と積層して用いる場合はハードコート性がなくてもよい。ハードコート性の向上、表面形態の制御のためにハードコート性を有する防眩層とハードコート層を積層して用いるのも好ましい。
・透明基材フィルム/低屈折率層
・透明基材フィルム/帯電防止層/低屈折率層
・透明基材フィルム/防眩層/低屈折率層
・透明基材フィルム/防眩層/帯電防止層/低屈折率層
・透明基材フィルム/ハードコート層/防眩層/低屈折率層
・透明基材フィルム/ハードコート層/防眩層/帯電防止層/低屈折率層
・透明基材フィルム/ハードコート層/帯電防止層/防眩層/低屈折率層
・透明基材フィルム/ハードコート層/高屈折率層/低屈折率層
・透明基材フィルム/ハードコート層/帯電防止層/高屈折率層/低屈折率層
・透明基材フィルム/ハードコート層/中屈折率層/高屈折率層/低屈折率層
・透明基材フィルム/防眩層/高屈折率層/低屈折率層
・透明基材フィルム/防眩層/中屈折率層/高屈折率層/低屈折率層
・透明基材フィルム/帯電防止層/ハードコート層/中屈折率層/高屈折率層/低屈折率層
・帯電防止層/透明基材フィルム/ハードコート層/中屈折率層/高屈折率層/低屈折率層
・透明基材フィルム/帯電防止層/防眩層/中屈折率層/高屈折率層/低屈折率層
・帯電防止層/透明基材フィルム/防眩層/中屈折率層/高屈折率層/低屈折率層
・帯電防止層/透明基材フィルム/防眩層/高屈折率層/低屈折率層/高屈折率層/低屈折率層
また、別の態様として、光学干渉を積極的には用いずに、ハードコート性、防汚性などの付与の目的のために必要な層を設けた態様も好ましい。
上記態様のフィルムの好ましい層構成の例を下記に示す。下記の構成では透明基材フィルムはハードコート層および/または反射防止層の側かあるいは反対側の少なくとも1方に防湿層が形成されており、被覆層まで含めて透明基材フィルムとする。下記の構成において、防眩層は基本的にハードコート性を有するのが好ましいが、ハードコート層と積層して用いる場合はハードコート性がなくてもよい。ハードコート性の向上、表面形態の制御のためにハードコート性を有する防眩層とハードコート層を積層して用いるのも好ましい。
・透明基材フィルム/ハードコート層
・透明基材フィルム/ハードコート層/ハードコート層
・透明基材フィルム/防眩層
・透明基材フィルム/防眩層/防眩層
・透明基材フィルム/ハードコート層/防眩層
・透明基材フィルム/防眩層/ハードコート層
・透明基材フィルム/帯電防止層
・透明基材フィルム/帯電防止層/ハードコート層
・透明基材フィルム/ハードコート層/防汚層
・帯電防止層/透明基材フィルム/ハードコート層
・帯電防止層/透明基材フィルム/防眩層
・防眩層/透明基材フィルム/帯電防止層
これらの層は、蒸着、大気圧プラズマ、塗布などの方法により形成することができる。生産性の観点からは、塗布により形成することが好ましい。
以下各構成層について説明する。
〔ハードコート層〕
本発明におけるハードコート層の屈折率は、反射防止性のフィルムを得るための光学設計からは、屈折率が1.48〜2.00の範囲にあることが好ましく、より好ましくは1.49〜1.90であり、更に好ましくは1.50〜1.80である。本発明の好ましい態様である、ハードコート層の上に低屈折率層が少なくとも1層ある態様では、屈折率がこの範囲より小さ過ぎると反射防止性が低下し、大き過ぎると反射光の色味が強くなる傾向がある。
ハードコート層の厚さは、フィルムに充分な耐久性、耐衝撃性を付与する観点から、通常0.5μm〜50μm程度とし、好ましくは1μm〜20μm、さらに好ましくは2μm〜15μm、最も好ましくは3μm〜12μmである。
また、ハードコート層の強度は、鉛筆硬度試験で、H以上であることが好ましく、2H以上であることがさらに好ましく、3H以上であることが最も好ましい。
さらに、JIS K5400に従うテーバー試験で、試験前後の試験片の摩耗量が少ないほど好ましい。
ハードコート層は、電離放射線硬化性化合物の架橋反応、又は、重合反応により形成されることが好ましい。例えば、電離放射線硬化性の多官能モノマーや多官能オリゴマーを含む塗布組成物を透明支持体上に塗布し、多官能モノマーや多官能オリゴマーを架橋反応、又は、重合反応させることにより形成することができる。
電離放射線硬化性の多官能モノマーや多官能オリゴマーの官能基としては、光、電子線、放射線重合性のものが好ましく、中でも光重合性官能基が好ましい。
光重合性官能基としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、スチリル基、アリル基等の不飽和の重合性官能基等が挙げられ、中でも、(メタ)アクリロイル基が好ましい。
上記の重合性不飽和基を有するモノマーの代わりまたはそれに加えて、架橋性の官能基をバインダーに導入してもよい。架橋性官能基の例には、イソシアナート基、エポキシ基、アジリジン基、オキサゾリン基、アルデヒド基、カルボニル基、ヒドラジン基、カルボキシル基、メチロール基および活性メチレン基が含まれる。ビニルスルホン酸、酸無水物、シアノアクリレート誘導体、メラミン、エーテル化メチロール、エステルおよびウレタン、テトラメトキシシランのような金属アルコキシドも、架橋構造を有するモノマーとして利用できる。ブロックイソシアナート基のように、分解反応の結果として架橋性を示す官能基を用いてもよい。すなわち、本発明において架橋性官能基は、すぐには反応を示すものではなくとも、分解した結果反応性を示すものであってもよい。これら架橋性官能基を有するバインダーは塗布後、加熱することによって架橋構造を形成することができる。
ハードコート層には、内部散乱性付与の目的で、平均粒径が1.0〜15.0μm、好ましくは1.5〜10.0μmのマット粒子、例えば無機化合物の粒子または樹脂粒子を含有してもよい。
ハードコート層のバインダーには、ハードコート層の屈折率を制御する目的で、高屈折率モノマーまたは無機粒子、或いは両者を加えることができる。無機粒子には屈折率を制御する効果に加えて、架橋反応による硬化収縮を抑える効果もある。本発明では、ハードコート層形成後において、前記多官能モノマーおよび/又は高屈折率モノマー等が重合して生成した重合体、その中に分散された無機粒子を含んでバインダーと称する。
ハードコート層のヘイズは、偏光板用保護フィルムに付与させる機能によって異なる。
画像の鮮明性を維持し、表面の反射率を抑えて、ハードコート層の内部及び表面にて光散乱機能を付与しない場合は、ヘイズ値は低い程良く、具体的には10%以下が好ましく、更に好ましくは5%以下であり、最も好ましくは2%以下である。
一方、ハードコート層の表面散乱にて、防眩機能を付与する場合は、表面ヘイズが0.5%〜15%であることが好ましく、1%〜10%であることがより好ましい。
また、ハードコート層の内部散乱により液晶パネルの模様や色ムラ、輝度ムラ、ギラツキなどを見難くしたり、散乱により視野角を拡大する機能を付与する場合は、内部ヘイズ値(全ヘイズ値から表面ヘイズ値を引いた値)は10%〜90%であることが好ましく、更に好ましくは15%〜80%であり、最も好ましくは20%〜70%である。
本発明のフィルムは、目的に応じて、表面ヘイズ及び内部ヘイズを自由に設定可能である。
また、ハードコート層の表面凹凸形状については、画像の鮮明性を維持する目的で、クリアな表面を得る為には、表面粗さを示す特性のうち、例えば中心線平均粗さ(Ra)を0.08μm以下とすることが好ましい。Raは、より好ましくは0.07μm以下であり、更に好ましくは0.06μm以下である。本発明のフィルムにおいては、フィルムの表面凹凸にはハードコート層の表面凹凸が支配的であり、ハードコート層の中心線平均粗さを調節することにより、反射防止フィルムの中心線平均粗さを上記範囲とすることができる。
画像の鮮明性を維持する目的では、表面の凹凸形状を調整することに加えて、透過画像鮮明度を調整することが好ましい。クリアな反射防止フィルムの透過画像鮮明度は60%以上が好ましい。透過画像鮮明度は、一般にフィルムを透過して映す画像の呆け具合を示す指標であり、この値が大きい程、フィルムを通して見る画像が鮮明で良好であることを示す。透過画像鮮明度は好ましくは70%以上であり、更に好ましくは80%以上である。
[光開始剤]
光ラジカル重合開始剤としては、アセトフェノン類、ベンゾイン類、ベンゾフェノン類、ホスフィンオキシド類、ケタール類、アントラキノン類、チオキサントン類、アゾ化合物、過酸化物類(特開2001−139663号等)、2,3−ジアルキルジオン化合物類、ジスルフィド化合物類、フルオロアミン化合物類、芳香族スルホニウム類、ロフィンダイマー類、オニウム塩類、ボレート塩類、活性エステル類、活性ハロゲン類、無機錯体、クマリン類などが挙げられる。
これらの開始剤は単独でも混合して用いても良い。
「最新UV硬化技術」,(株)技術情報協会,1991年,p.159、及び、「紫外線硬化システム」 加藤清視著、平成元年、総合技術センター発行、p.65〜148にも種々の例が記載されており本発明に有用である。
市販の光ラジカル重合開始剤としては、日本化薬(株)製のKAYACURE(DETX−S,BP−100,BDMK,CTX,BMS,2−EAQ,ABQ,CPTX,EPD,ITX,QTX,BTC,MCAなど)、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製のイルガキュア(651,184,500,819,907,369,1173,1870,2959,4265,4263など)、サートマー社製のEsacure(KIP100F,KB1,EB3,BP,X33,KT046,KT37,KIP150,TZT)等およびそれらの組み合わせが好ましい例として挙げられる。
光重合開始剤は、多官能モノマー100質量部に対して、0.1〜15質量部の範囲で使用することが好ましく、より好ましくは1〜10質量部の範囲である。
[面状改良剤]
支持体上のいずれかの層を作製するのに用いる塗布液には、面状故障(塗布ムラ、乾燥ムラ、点欠陥など)を改良するために、フッ素系及びシリコーン系の少なくともいずれかの面状改良剤を添加することが好ましい。
面状改良剤は、塗布液の表面張力を1mN/m以上変化させることが好ましい。ここで、塗布液の表面張力が1mN/m以上変化するとは、面状改良剤を添加後の塗布液の表面張力が、塗布/乾燥時での濃縮過程を含めて、面状改良剤を添加してない塗布液の表面張力と比較して、1mN/m以上変化することを意味する。好ましくは、塗布液の表面張力を1mN/m以上下げる効果がある面状改良剤であり、更に好ましく2mN/m以上下げる面状改良剤、特に好ましくは3mN/m以上下げる面状改良剤である。
フッ素系の面状改良剤の好ましい例としては、フルオロ脂肪族基を含有する化合物が挙げられる。好ましい化合物の例は、特開2005−115359号、特開2005−221963号、特開2005−234476号に記載の化合物を挙げることができる。
〔防眩層〕
防眩層は、表面散乱による防眩性と、好ましくはフィルムの耐擦傷性を向上するためのハードコート性をフィルムに寄与する目的で形成される。したがって、本発明ではハードコート層の一実施態様として用いることができる。
防眩性を付与する方法としては、特開平6−16851号記載のような表面に微細な凹凸を有するマット状の賦型フィルムをラミネートして形成する方法、特開2000−206317号記載のように電離放射線照射量の差による電離放射線硬化型樹脂の硬化収縮により形成する方法、特開2000−338310号記載のように乾燥にて透光性樹脂に対する良溶媒の重量比が減少することにより透光性微粒子および透光性樹脂とをゲル化させつつ固化させて塗膜表面に凹凸を形成する方法、特開2000−275404号記載のように外部からの圧力により表面凹凸を付与する方法、特開2000−275404号記載のように外部からの圧力により表面凹凸を付与する方法、特開2005−195819号記載のように複数のポリマーの混合溶液から溶媒が蒸発する過程で相分離することを利用して表面凹凸を形成する方法、などが知られており、これら公知の方法を利用することができる。
[透光性粒子使用]
本発明で用いることができる防眩層の1つの好ましい態様は、ハードコート性を付与することのできるバインダー、防眩性を付与するための透光性粒子、および溶媒を必須成分として含有し、透光性粒子自体の突起あるいは複数の粒子の集合体で形成される突起によって表面の凹凸を形成されるものである。防眩性を有する防眩層は、防眩性とハードコート性を兼ね備えていることが好ましい。
上記透光性粒子の具体例としては、例えばシリカ粒子、TiO粒子等の無機化合物の粒子;アクリル粒子、架橋アクリル粒子、ポリスチレン粒子、架橋スチレン粒子、メラミン樹脂粒子、ベンゾグアナミン樹脂粒子等の樹脂粒子が好ましく挙げられる。なかでも架橋スチレン粒子、架橋アクリル粒子、シリカ粒子が好ましい。マット粒子の形状は、球形あるいは不定形のいずれも使用できる。
また、粒子径の異なる2種以上のマット粒子を併用して用いてもよい。より大きな粒子径のマット粒子で防眩性を付与し、より小さな粒子径のマット粒子で別の光学特性を付与することが可能である。例えば、133ppi以上の高精細ディスプレイに防眩性反射防止フィルムを貼り付けた場合に、「ギラツキ」と呼ばれる表示画像品位上の不具合が発生する場合がある。「ギラツキ」は、防眩性反射防止防止フィルム表面に存在する凹凸により、画素が拡大もしくは縮小され、輝度の均一性を失うことに由来するが、防眩性を付与するマット粒子よりも小さな粒子径で、バインダーの屈折率と異なるマット粒子を併用することにより大きく改善することができる。
上記マット粒子は、形成された防眩性ハードコート層中のマット粒子量が好ましくは10〜1000mg/m、より好ましくは100〜700mg/mとなるように防眩層に含有される。
防眩層の膜厚は、1〜20μmが好ましく、2〜10μmがより好ましい。前記範囲内とすることで、ハードコート性、カール、脆性を満足することができる。
一方、防眩層の中心線平均粗さ(Ra)を0.09〜0.40μmの範囲が好ましい。0.40μmを超えると、ギラツキや外光が反射した際の表面の白化等の問題が発生する。また、透過画像鮮明度の値は、5〜60%とするのが好ましい。
防眩層の強度は、鉛筆硬度試験で、H以上であることが好ましく、2H以上であることがさらに好ましく、3H以上であることが最も好ましい。
[相分離]
本発明で用いることができる透光性粒子を使用して防眩性を発現する以外の防眩性を付与する手法の一例として、複数のポリマーのスピノーダル分解により塗膜の表面に凹凸を形成する手法が挙げられる。また、特に相分離した相の屈折率に差を与えることで、良好な光拡散性を付与することが可能となる。スピノーダル分解により作成される光散乱層は、互いに屈折率の異なる複数のポリマーで構成され、通常、使用雰囲気(特に、約10〜30℃程度の室温下)において、少なくとも共連続相構造を有する相分離構造を形成している。そして、前記共連続相構造は、複数のポリマーを含む液相(常温で液相、例えば、混合液又は溶液)からのスピノーダル分解により形成されている。前記共連続相構造は、通常、複数のポリマーを含み、かつ常温で液相を形成する組成物(例えば、混合液又は溶液)を用い、溶媒の蒸発を経たスピノーダル分解により形成されている。このような光散乱層は、液相から形成されるため、均一で微細な共連続相構造を有している。このような透過型光散乱シートを用いると、入射光が実質的に等方的に散乱し、かつ透過散乱光に指向性を付与できる。そのため、高い光散乱性と指向性とを両立できる。
光散乱性を高めるため、複数のポリマーは、屈折率の差が、例えば、0.01〜0.2程度、好ましくは0.1〜0.15程度となるように組み合わせて使用できる。屈折率の差が0.01未満では透過散乱光の強度が低下し、屈折率の差が0.2より大きいと透過散乱光に高い指向性を付与できない。
複数のポリマーは、例えば、スチレン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ビニルエステル系樹脂、ビニルエーテル系樹脂、ハロゲン含有樹脂、オレフィン系樹脂(脂環式オレフィン系樹脂を含む)、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、熱可塑性ポリウレタン樹脂、ポリスルホン系樹脂(ポリエーテルスルホン、ポリスルホンなど)、ポリフェニレンエーテル系樹脂(2,6−キシレノールの重合体など)、セルロース誘導体(セルロースエステル類、セルロースカーバメート類、セルロースエーテル類など)、シリコーン樹脂(ポリジメチルシロキサン、ポリメチルフェニルシロキサンなど)、ゴム又はエラストマー(ポリブタジエン、ポリイソプレンなどのジエン系ゴム、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、アクリルゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴムなど)などから適当に組み合わせて選択できる。
好ましいポリマーには、例えば、スチレン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ビニルエステル系樹脂、ビニルエーテル系樹脂、ハロゲン含有樹脂、脂環式オレフィン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、セルロース誘導体、シリコーン系樹脂、及びゴム又はエラストマーなどが含まれる。複数のポリマーとしては、通常、非結晶性であり、かつ有機溶媒(特に複数のポリマーを溶解可能な共通溶媒)に可溶な樹脂が使用される。特に、成形性又は製膜性、透明性や耐候性の高い樹脂、例えば、スチレン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、脂環式オレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、セルロース誘導体(セルロースエステル類など)などが好ましい。
これらの複数のポリマーは適当に組み合わせて使用できる。例えば、複数のポリマーの組合せにおいて、少なくとも1つのポリマーを、セルロース誘導体、特にセルロースエステル類(例えば、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレートなどのセルロースC2-4アルキルカルボン酸エステル類)とし、他のポリマーと組み合わせてもよい。
ポリマーのガラス転移温度は、例えば、−100℃〜250℃、好ましくは−50〜230℃、さらに好ましくは0〜200℃程度(例えば、50〜180℃程度)の範囲から選択できる。なお、シートの強度や剛性の点から、構成ポリマーのうち少なくとも1つのポリマーのガラス転移温度は、50℃以上(例えば、70〜200℃程度)、好ましくは100℃以上(例えば、100〜170℃程度)であるのが有利である。ポリマーの重量平均分子量は、例えば、1,000,000以下(10,000〜1,000,000程度)、好ましくは10,000〜700,000程度の範囲から選択できる。
本発明では複数のポリマーを含む液相から溶媒を蒸発させてスピノーダル分解する湿式法を採用するため、原理的には複数のポリマーの相溶性の如何にかかわらず、実質的に等方性の共連続相構造を有する光散乱層を形成できる。そのため、互いに相溶性の複数のポリマーを組み合わせて構成してもよいが、通常、スピノーダル分解により相分離構造を容易に制御し、効率よく共連続相構造を形成するため、非相溶性(相分離性)の複数のポリマーを組み合わせる場合が多い。
複数のポリマーは、第1のポリマーと第2のポリマーとの組み合わにより構成でき、第1のポリマー及び第2のポリマーは、それぞれ単一の樹脂で構成してもよく複数の樹脂で構成してもよい。第1のポリマーと第2のポリマーとの組み合わせは特に制限されない。例えば、第1のポリマーがセルロース誘導体(例えば、セルロースアセテートプロピオネートなどのセルロースエステル類)である場合、第2のポリマーは、スチレン系樹脂(ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体など)、(メタ)アクリル系樹脂(ポリメタクリル酸メチルなど)、脂環式オレフィン系樹脂(ノルボルネンを単量体とする重合体など)、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂(前記ポリC2-4アルキレンアリレート系コポリエステルなど)などであってもよい。
第1のポリマーと第2のポリマーとの割合は、例えば、前者/後者=10/90〜90/10(重量比)程度、好ましくは20/80〜80/20(重量比)程度、さらに好ましくは30/70〜70/30(重量比)程度、特に40/60〜60/40(重量比)程度である。一方のポリマーの割合が多すぎると、分離した相間の体積比が偏るため、散乱光の強度が低下する。なお、3以上の複数のポリマーでシートを形成する場合、各ポリマーの含有量は、通常、1〜90重量%(例えば、1〜70重量%、好ましくは5〜70重量%、さらに好ましくは10〜70重量%)程度の範囲から選択できる。
本発明の光散乱シートを構成する光散乱層は、少なくとも共連続相構造を有している。共連続相構造とは、共連続構造や三次元的に連続又は繋がった構造と称される場合があり、少なくとも2種の構成ポリマー相が連続している構造(例えば、網目構造)を意味する。前記光散乱層は、少なくとも共連続相構造を有していればよく、共連続相構造と液滴相構造(独立又は孤立した相構造)とが混在した構造を有していてもよい。なお、スピノーダル分解において、相分離の進行に伴って共連続相構造を形成し、さらに相分離を進行させると、連続相が自らの表面張力により非連続化し、液滴相構造(球状、真球状などの独立相の海島構造)となる。従って、相分離の程度によって、共連続相構造と液滴相構造との中間的構造、すなわち、上記共連続相から液滴相に移行する過程の相構造も形成できる。本発明では、上記中間的構造も共連続相構造という。なお、相分離構造が共連続相構造と液滴構造との混在構造である場合、液滴相(独立ポリマー相)の割合は、例えば、30%以下(体積比)、好ましくは10%以下(体積比)であってもよい。共連続相構造の形状は特に制限されず、ネットワーク状、特にランダムなネットワーク状であってもよい。
前記共連続相構造は、通常、層又はシート面内において異方性が低減されており、実質的に等方性である。なお、等方性とは、シート面内のどの方向に対しても共連続相構造の平均相間距離が実質的に等しいことを意味する。
共連続相構造は、通常、相間距離(同一相間の距離)に規則性を有する。そのため、シートに入射した光はブラッグ反射により透過散乱光が特定方向に指向する。従って、反射型液晶表示装置に装着しても、透過した散乱光を一定の方向に指向させることができ、表示画面を高度に明るくすることができ、従来の粒子分散型の透過型光散乱シートでは解決できなかった問題点、すなわち、パネルへの光源(例えば、蛍光灯など)の映りを回避できる。
光散乱シートにおいて共連続相の平均相間距離は、例えば、0.5〜20μm(例えば、1〜20μm)、好ましくは1〜15μm(例えば、1〜10μm)程度である。平均相間距離が小さすぎると、高い散乱光強度を得ることが困難であり、平均相間距離が大きすぎると、透過散乱光の指向性が低下する。
なお、共連続層の平均相間距離は、光散乱層又は光散乱シートの顕微鏡写真(透過型顕微鏡、位相差顕微鏡、共焦点レーザー顕微鏡など)から算出することができる。また、後述する散乱光の指向性の評価法と同様の方法により、散乱光強度が極大になる散乱角度θを測定し、下記のブラッグ反射条件の式より共連続相の平均相間距離dを算出してもよい。
2d・sin(θ/2)=λ
(式中、dは共連続相の平均相間距離、θは散乱角度、λは光の波長を示す)
[エンボス]
光散乱層の作成手法として、透光性粒子を使用して防眩性を発現する以外の手法の一例として、エンボス法により光散乱層を作成する手法が挙げられる。
エンボス法により作成される光散乱層とは、透明基板上に、表面が微細な凹凸を有するマット状の賦型フィルムで賦形された電離放射線硬化型樹脂組成物、または熱硬化型樹脂組成物から本質的に構成される光拡散層が形成されたものである。
上記光散乱層の製造方法は、樹脂が電離放射線硬化型樹脂組成物の場合には、透明基板上に電離放射線硬化型樹脂組成物を塗工し、次に塗工された電離放射線硬化型樹脂組成物の未硬化状態の塗膜上に表面に微細な凹凸を有するマット状の賦型フィルムをラミネートし、次に前記賦型フィルムがラミネートされた塗膜上に電離放射線を照射することにより前記電離放射線硬化型樹脂組成物の塗膜を硬化させ、次に硬化した電離放射線硬化型樹脂の塗膜から賦型フィルムを剥離する製造方法で製造することが好ましい。
また、樹脂が熱硬化型樹脂組成物の場合には、透明基板上に熱硬化型樹脂組成物を塗工し、次に塗工された熱硬化型樹脂組成物の未硬化状態の塗膜上に表面に微細な凹凸を有するマット状の賦型フィルムをラミネートし、次に前記賦型フィルムがラミネートされた前記塗膜を加熱して硬化させ、次に硬化した熱硬化型樹脂組成物の塗膜から賦型フィルムを剥離する製造方法で製造することが好ましい。
賦型フィルムを未硬化の電離放射線硬化型樹脂組成物の塗膜上にラミネートする際には、塗工した樹脂が溶剤希釈系のものであれば、溶剤を乾燥した後にラミネートを行い、また、塗工した樹脂が無溶剤系のものであれば、そのままラミネートを行う。
エンボス法の光拡散層に用いられる電離放射線硬化型樹脂組成物の皮膜形成成分は、好ましくは、アクリレート系の官能基を有するもの、例えば、比較的低分子量のポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アルキッド樹脂、スピロアセタール樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリチオールポリエン樹脂、多価アルコール等の多官能化合物の(メタ)アクリレート等のオリゴマーまたはプレポリマーおよび反応性希釈剤としてエチル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、スチレン、メチルスチレン、N−ビニルピロリドン等の単官能モノマー並びに多官能モノマー、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1、6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート等を比較的多量に含有するものが使用できる。
特に好適には、ポリエステルアクリレートとポリウレタンアクリレートの混合物が用いられる。その理由は、ポリエステルアクリレートは塗膜が非常に硬くてハードコートを得るのに適しているが、ポリエステルアクリレート単独ではその塗膜は衝撃性が低く、脆くなるので、塗膜に耐衝撃性及び柔軟性を与えるためにポリウレタンアクリレートを併用する。ポリエステルアクリレート100重量部に対するポリウレタンアクリレートの配合割合は30重量部以下とする。この値を越えると塗膜が柔らかすぎてハード性がなくなってしまうからである。
さらに、上記の電離放射線硬化型樹脂組成物を紫外線硬化型樹脂組成物とするには、この中に光重合開始剤として、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ミヒラーベンゾイルベンゾエート、α−アミロキシムエステル、テトラメチルチウラムモノサルファイド、チオキサントン類や、光増感剤としてn−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリーn−ブチルホスフィン等を混合して用いることができる。特に本発明では、オリゴマーとしてウレタンアクリレート、モノマーとしてジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等を混合するのが好ましい。
〔高屈折率層、中屈折率層〕
本発明のフィルムには、高屈折率層、中屈折率層を設け、後述の低屈折率層とともに光学干渉を利用すると反射防止性を高めることができる。
以下の本明細書では、この高屈折率層と中屈折率層を高屈折率層と総称して呼ぶことがある。なお、本発明において、高屈折率層、中屈折率層、低屈折率層の「高」、「中」、「低」とは層相互の相対的な屈折率の大小関係を表す。また、透明支持体との関係で言えば屈性率は、透明支持体>低屈折率層、高屈折率層>透明支持体の関係を満たすことが好ましい。
また、本明細書では高屈折率層、中屈折率層、低屈折率層を総称して反射防止層と総称して呼ぶことがある。
高屈折率層の上に低屈折率層を構築して、反射防止層を作製するためには、高屈折率層の屈折率は1.55〜2.40であることが好ましく、より好ましくは1.60〜2.20、更に好ましくは、1.65〜2.10、最も好ましくは1.80〜2.00である。
支持体から近い順に中屈折率層、高屈折率層、低屈折率層を塗設し、反射防止フィルムを作成する場合、高屈折率層の屈折率は、1.65乃至2.40であることが好ましく、1.70乃至2.20であることがさらに好ましい。中屈折率層の屈折率は、低屈折率層の屈折率と高屈折率層の屈折率との間の値となるように調整する。中屈折率層の屈折率は、1.55乃至1.80であることが好ましい。
高屈折率層および中屈折率層に用いられる無機粒子の具体例としては、TiO2、Zr
2、Al23、In23、ZnO、SnO2、Sb23、ITOとSiO2等が挙げられる。TiO2及びZrO2が高屈折率化の点で特に好ましい。該無機フィラーは、表面をシランカップリング処理又はチタンカップリング処理されることも好ましく、フィラー表面にバインダー種と反応できる官能基を有する表面処理剤が好ましく用いられる。
高屈折率層における無機粒子の含有量は、高屈折率層の質量に対し10〜90質量%であることが好ましく、より好ましくは15〜80質量%、特に好ましくは15〜75質量%である。無機粒子は高屈折率層内で二種類以上を併用してもよい。
高屈折率層の上に低屈折率層を有する場合、高屈折率層の屈折率は透明支持体の屈折率より高いことが好ましい。
高屈折率層に、芳香環を含む電離放射線硬化性化合物、フッ素以外のハロゲン化元素(例えば、Br,I,Cl等)を含む電離放射線硬化性化合物、S,N,P等の原子を含む電離放射線硬化性化合物などの架橋又は重合反応で得られるバインダーも好ましく用いることができる。
高屈折率層の膜厚は用途により適切に設計することができる。高屈折率層を後述する光学干渉層として用いる場合、30〜200nmが好ましく、より好ましくは50〜170nm、特に好ましくは60〜150nmである。
高屈折率層のヘイズは、防眩機能を付与する粒子を含有しない場合、低いほど好ましい。5%以下であることが好ましく、さらに好ましくは3%以下、特に好ましくは1%以下である。高屈折率層は、前記透明支持体上に直接、又は、他の層を介して構築することが好ましい。
2−(4)低屈折率層
本発明のフィルムの反射率を低減するため、低屈折率層を用いることが好ましい。
低屈折率層の屈折率は、1.20〜1.46であることが好ましく、1.25〜1.46であることがより好ましく、1.30〜1.40であることが特に好ましい。
低屈折率層の厚さは、50〜200nmであることが好ましく、70〜100nmであることがさらに好ましい。低屈折率層のヘイズは、3%以下であることが好ましく、2%以下であることがさらに好ましく、1%以下であることが最も好ましい。具体的な低屈折率層の強度は、500g荷重の鉛筆硬度試験でH以上であることが好ましく、2H以上であることがさらに好ましく、3H以上であることが最も好ましい。
また、偏光板用保護フィルムの防汚性能を改良するために、表面の水に対する接触角が90度以上であることが好ましい。更に好ましくは95度以上であり、特に好ましくは100度以上である。
好ましい硬化物組成の態様としては、(1)架橋性若しくは重合性の官能基を有する含フッ素ポリマーを含有する組成物、(2)含フッ素のオルガノシラン材料の加水分解縮合物を主成分とする組成物、(3)2個以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーと中空構造を有する無機微粒子を含有する組成物、が挙げられる。
(1)架橋性若しくは重合性の官能基を有する含フッ素化合物
架橋性若しくは重合性の官能基を有する含フッ素化合物としては、含フッ素モノマーと架橋性または重合性の官能基を有するモノマーの共重合体を挙げることができる。含フッ素モノマーとしては、例えばフルオロオレフィン類(例えばフルオロエチレン、ビニリデンフルオライド、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロ−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソール等)、(メタ)アクリル酸の部分または完全フッ素化アルキルエステル誘導体類(例えばビスコート6FM(大阪有機化学製)やM−2020(ダイキン製)等)、完全または部分フッ素化ビニルエーテル類等である。
架橋性基付与のためのモノマーとしては、1つの態様としては、グリシジルメタクリレートのように分子内にあらかじめ架橋性官能基を有する(メタ)アクリレートモノマーを挙げることができる。又別の態様としては、水酸基等の官能基を有するモノマーを用い含フッ素共重合体を合成後、さらにそれら置換基を修飾して架橋性若しくは重合性の官能基を導入するモノマーを使用する方法である。これらモノマーとしては、カルボキシル基、ヒドロキシル基、アミノ基、スルホン酸基等を有する(メタ)アクリレートモノマー(例えば(メタ)アクリル酸、メチロール(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、アリルアクリレート等)が挙げられる。後者の態様は特開平10−25388号公報および特開平10−147739号公報により開示されている。
上記含フッ素共重合体には、溶解性、分散性、塗布性、防汚性、帯電防止性などの観点から、適宜共重合可能な成分を含むことができる。特に防汚性・滑り性付与のためには、シリコーンを導入することが好ましく、主鎖にも側鎖にも導入することができる。
主鎖へのポリシロキサン部分構造導入方法は、例えば特開平6−93100号公報に記載のアゾ基含有ポリシロキサンアミド(市販のものではVPS-0501、1001(商品名;ワコー純薬工業(株)社製))等のポリマー型開始剤を用いる方法が挙げられる。
また、側鎖に導入する方法は、例えばJ.Appl.Polym.Sci.2000,78,1955、特開昭56−28219号公報等に記載のごとく、反応性基を片末端に有するポリシロキサン(例えばサイラプレーンシリーズ(チッソ株式会社製)など)を高分子反応によって導入する方法、ポリシロキサン含有シリコンマクロマーを重合させる方法によって合成することができ、どちらの方法も好ましく用いることができる。
上記のポリマーに対しては特開2000−17028号公報に記載のごとく適宜重合性不飽和基を有する硬化剤を併用してもよい。また、特開2002−145952号に記載のごとく含フッ素の多官能の重合性不飽和基を有する化合物との併用も好ましい。多官能の重合性不飽和基を有する化合物の例としては、上記の2個以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーを挙げることができる。また、特開2004−170901号公報に記載のオルガノランの加水分解縮合物も好ましく、特に(メタ)アクリロイル基を含有するオルガノシランの加水分解縮合物が好ましい。
これら化合物は、特にポリマー本体に重合性不飽和基を有する化合物を用いた場合に耐擦傷性改良に対する併用効果が大きく好ましい。
ポリマー自身が単独で十分な硬化性を有しない場合には、架橋性化合物を配合することにより、必要な硬化性を付与することができる。例えばポリマー本体に水酸基含有する場合には、各種アミノ化合物を硬化剤として用いることが好ましい。架橋性化合物として用いられるアミノ化合物は、例えば、ヒドロキシアルキルアミノ基及びアルコキシアルキルアミノ基のいずれか一方又は両方を合計で2個以上含有する化合物であり、具体的には、例えば、メラミン系化合物、尿素系化合物、ベンゾグアナミン系化合物、グリコールウリル系化合物等を挙げることができる。これら化合物の硬化には、有機酸又はその塩を用いるのが好ましい。
これら含フッ素ポリマーの具体例は、特開2003−222702号公報、特開2003−183322号公報等に記載されている。
(2)含フッ素のオルガノシラン材料の加水分解縮合物
含フッ素のオルガノシラン化合物の加水分解縮合物を主成分とする組成物も屈折率が低く、塗膜表面の硬度が高く好ましい。フッ素化アルキル基に対して片末端又は両末端に加水分解性のシラノールを含有する化合物とテトラアルコキシシランの縮合物が好ましい。具体的組成物は、特開2002−265866号公報、317152号公報に記載されている。
(3)2個以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーと中空構造を有する無機微粒子を含有する組成物
更に別の好ましい態様として、低屈折率の粒子とバインダーからなる低屈折率層が挙げられる。低屈折率粒子としては、有機でも無機でも良いが、内部に空孔を有する粒子が好ましい。中空粒子の具体例は、特開2002−79616号公報に記載のシリカ系粒子に記載されている。粒子屈折率は1.15〜1.40が好ましく、1.20〜1.30が更に好ましい。バインダーとしては、上記光拡散層の頁で述べた二個以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーを挙げることができる。
本発明の低屈折率層には、上記の光散乱層の頁で述べた重合開始剤を添加することが好ましい。ラジカル重合性化合物を含有する場合には、該化合物に対して1〜10質量部、好ましくは1〜5質量部の重合開始剤を使用できる。
本発明の低屈折層には、無機粒子を併用することができる。耐擦傷性を付与するために、低屈折率層の厚みの15%〜150%、好ましくは30%〜100%、更に好ましくは45%〜60%の粒径を有する微粒子を使用することができる。
本発明の低屈折率層には、防汚性、耐水性、耐薬品性、滑り性等の特性を付与する目的で、公知のポリシロキサン系あるいはフッ素系の防汚剤、滑り剤等を適宜添加することができる。
〔帯電防止層〕
本発明においては、帯電防止層を設けることがフイルム表面での静電気防止の点で好ましい。帯電防止層を形成する方法は、例えば、導電性微粒子と反応性硬化樹脂を含む導電性塗工液を塗工する方法、或いは透明膜を形成する金属や金属酸化物等を蒸着やスパッタリングして導電性薄膜を形成する方法等の従来公知の方法を挙げることができる。導電性層 は、支持体に直接又は支持体との接着を強固にするプライマー層を介して形成することができる。また、帯電防止層を反射防止膜の一部として使用することもできる。この場合、最表層から近い層で使用する場合には、膜の厚さが薄くても十分に帯電防止性を得ることができる
帯電防止層の厚さは、0.01〜10μmが好ましく、0.03〜7μmであることがより好ましく、0.05〜5μmであることがさらに好ましい。帯電防止層の表面抵抗は、10〜1012Ω/sqであることが好ましく、10〜10Ω/sqであることがさらに好ましく、10〜10Ω/sqであることが最も好ましい。帯電防止層の表面抵抗は、四探針法により測定することができる。
帯電防止層は、実質的に透明であることが好ましい。具体的には、帯電防止層のヘイズが、10%以下であることが好ましく、5%以下であることがより好ましく、3%以下であることがさらに好ましく、1%以下であることが最も好ましい。波長550nmの光の透過率が、50%以上であることが好ましく、60%以上であることがより好ましく、65%以上であることがさらに好ましく、70%以上であることが最も好ましい。
本発明の帯電防止層は、強度が優れており、具体的な帯電防止層の強度は、1kg荷重の鉛筆硬度で、H以上であることが好ましく、2H以上であることがより好ましく、3H以上であることがさらに好ましく、4H以上であることが最も好ましい。
[塗布溶媒]
上記各構成層のうち、透明基材フィルムに隣接して塗布される層には、透明基材フィルムを溶解する少なくとも一種類以上の溶剤と、透明基材フィルムを溶解しない少なくとも一種類以上の溶剤を含有することが好ましい。このような態様にすることで、透明基材フィルムへの隣接層成分の過剰な染み込み防止と、隣接層と透明基材フィルムとの密着性確保の両立を図ることができる。また、透明基材フィルムを溶解する溶剤のうちの少なくとも一種類が、透明基材フィルムを溶解しない溶剤のうちの少なくとも一種類よりも高沸点であることがより好ましい。さらに好ましくは、透明基材フィルムを溶解する溶剤のうち最も沸点の高い溶剤と、透明基材フィルムを溶解しない溶剤のうち、最も沸点の高い溶剤との沸点温度差が30℃以上であることであり、最も好ましくは40℃以上であることである。
透明透明基材フィルムを溶解する溶剤の総量(A)と透明透明基材フィルムを溶解しない溶剤の総量(B)の質量割合(A/B)は、5/95〜50/50が好ましく、より好ましくは10/90〜40/60であり、さらに好ましく15/85〜30/70である。
〔層の形成〕
本発明に用いられる被覆層、および必要に応じてハードコート層、低屈折率層またはその他の層は、塗布液を透明支持体上に塗布し、加熱・乾燥し、その後、必要に応じて、光照射および/または加熱して、各層を形成するためのモノマーや硬化性樹脂を硬化する。これにより各層が形成される。
本発明のフィルムの各層の塗布方法は特に制限されないが、ディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法やエクストルージョンコート法(ダイコート法)(米国特許2681294号明細書参照)、マイクログラビアコート法等の公知の方法が用いられ、その中でもマイクログラビアコート法、ダイコート法が高い生産性、塗膜の均一性の観点で好ましく用いられる。
乾燥は、塗布した液膜中の有機溶媒濃度が、乾燥後に5質量%以下になる条件が好ましく、2質量%以下がより好ましく、1質量%以下がさらに好ましい。乾燥条件は、透明基材フィルムの熱的強度や搬送速度、乾燥工程の長さなどの影響を受けるが、できるだけ有機溶媒の含有率の低いほうが膜硬度や接着防止の点で好ましい。有機溶媒を含有しない場合には、乾燥工程を省略し塗布後すぐに紫外線照射することもできる。
本発明の被覆層は、結晶化度を高めるために熱処理を施してもよい。好ましい熱処理温度は、40℃〜130℃であり熱処理時間は必要とする結晶化度に応じ適宜決定することができるが通常5分から48時間程度である。
さらに、透明基材フィルムと被覆層の密着性を向上させる目的で、所望により透明基材フィルムの片面又は両面に、親水化処理、凹凸処理などの前処置を施すのがより好ましい。前処理としては、コロナ放電処理、グロー放電処理、クロム酸処理(湿式)、ケン化処理(湿式)、火炎処理、熱風処理、オゾン・紫外線照射処理等が挙げられるが、コロナ放電処理、グロー放電処理、ケン化処理(湿式)が特に好ましい。
[下塗り層]
本発明で被覆層の両側もしくは片側に下塗り層を有することについて説明する。下塗り層は1層で構成されていてもよく、2層以上で構成されていてもよい。本発明において、透明支持体/被覆層の間に下記のような二層構成の下塗り層を設けることがより好ましい。
(組成)
一層目:水分散性あるいは水溶性合成樹脂、およびカルボジイミド化合物、
導電性金属酸化物粒子を必須成分とした帯電防止層
二層目:水分散性あるいは水溶性合成樹脂、および架橋剤を必須成分とした表面層
下塗り層は、支持体上に帯電防止層と表面層がこの順で設けられる。本発明の帯電防止層においては、支持体上に帯電防止層を設けて得られる低帯電性支持体のヘイズが3%以下にあり、そして得られる感材の表面層の表面電気抵抗が1×106 〜1×1011 Ωの範囲にあるように、導電性が付与されている。帯電防止層を付与することで、プラスチック支持体をハンドリングする製造プロセスにおいて発生する静電気起因のゴミ付き故障の発生を抑制することができる。
上記帯電防止層は、導電性金属酸化物粒子を含む層であり、一般に更に結合剤を含んでいる。上記導電性金属酸化物粒子としては、針状粒子であり、その短軸に対する長軸の比(長軸/短軸)が3〜50の範囲にあるものを使用することが好ましい。特に長軸/短軸が10〜50の範囲のものが好ましい。このような針状粒子の短軸は、0.001〜0.1μmの範囲にあることが好ましく、特に0.01〜0.02μmの範囲にあることが好ましい。またその長軸は、0.1〜5.0μmの範囲にあることが好ましく、特に0.1〜2.0μmの範囲にあることが好ましい。
上記導電性金属酸化物粒子の材料としては、ZnO、TiO2 、SnO2 、Al23 、In23、MgO、BaO及びMoO3 及びこれらの複合酸化物、そしてこれらの金属酸化物に更に異種原子を含む金属酸化物を挙げることができる。金属酸化物としては、SnO2、ZnO、Al23 、TiO2 、In23、及びMgOが好ましく、さらにSnO2 、ZnO、In22 及びTiO2が好ましく、SnO2が特に好ましい。異種原子を少量含む例としては、ZnOに対してAlあるいはIn、TiO2 に対してNbあるいはTa、In23に対してSn、及びSnO2 に対してSb、Nbあるいはハロゲン元素などの異種元素を0.01〜30モル%(好ましくは0.1〜10モル%)ドープしたものを挙げることができる。異種元素の添加量が、0.01モル%未満の場合は酸化物または複合酸化物に充分な導電性を付与することができず、30モル%を超えると粒子の黒化度が増し、帯電防止層が黒ずむため偏光板保護フィルムとしては適さない。従って、本発明では導電性金属酸化物粒子の材料としては、金属酸化物または複合金属酸化物に対し異種元素を少量含むものが好ましい。また結晶構造中に酸素欠陥を含むものも好ましい。上記異種原子を少量含む導電性金属酸化物粒子としては、アンチモンがドープされたSnO2粒子が好ましく、特にアンチモンが0.2〜2.0モル%ドープされたSnO2 粒子が好ましい。従って、本発明では前記短軸、長軸の寸法を有するアンチモンドープSnO2等の金属酸化物粒子を使用することが、透明で、良好な導電性を有する帯電防止層を形成するのに有利である。これにより低帯電性支持体を有し、表面層の表面電気抵抗が1×106〜1×1011Ωの範囲にある偏光板保護フィルムを容易に得ることができる。
前記短軸、長軸の寸法を有する針状の金属酸化物粒子(例、アンチモンドープSnO2 )を使用することにより、透明で、良好な導電性を有する帯電防止層を有利に形成できる理由については、次のように考えられる。上記針状の金属酸化物粒子は、帯電防止層内では、長軸方向が帯電防止層の表面に平行に、長く伸びているが、層の厚さ方向には短軸の径の長さ分だけ占めているに過ぎない。このような針状の金属酸化物粒子は、上記のように長軸方向に長いため、通常の球状の粒子に比べて、互いに接触し易く、少ない量でも高い導電性が得られる。従って、透明性を損なうことなく、表面電気抵抗を低下させることができる。また、上記針状の金属酸化物粒子では、短軸の径は、通常、帯電防止層の厚さより小さいか、ほぼ同じであり、表面に突出することは少なく、仮に突出してもその突出部分はわずかなため、帯電防止層上に設けられる表面層によりほぼ完全に覆われることになる。従って、偏光板保護フィルムの搬送中、層より突出部分の脱離である粉落ちの発生がほとんどないとの優位性も得られる。
本発明の帯電防止層は、導電性金属酸化物粒子を分散、支持する結合剤を、一般に含んでいる。結合剤の材料としては、アクリル樹脂、ビニル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂等の種々のポリマーを使用することができる。粉落ちを防止する観点から、ポリマー(好ましくは、アクリル樹脂、ビニル樹脂、ポリウレタン樹脂又はポリエステル樹脂)とカルボジイミド化合物との硬化物であることが好ましい。本発明では、良好な作業環境の維持、及び大気汚染防止の観点から、ポリマーもカルボジイミド化合物も、水溶性のものを使用するか、あるいはエマルジョン等の水分散状態で使用することが好ましい。また、ポリマーは、カルボジイミド化合物との架橋反応が可能なように、メチロール基、水酸基、カルボキシル基及びアミノ基のいずれかの基を有する。水酸基及びカルボキシル基が好ましく、特にカルボキシル基が好ましい。ポリマー中の水酸基又はカルボキシル基の含有量は、0.0001〜1当量/1kgが好ましく、特に0.001〜1当量/1kgが好ましい。
アクリル樹脂としては、アクリル酸、アクリル酸アルキル等のアクリル酸エステル類、アクリルアミド、アクリロニトリル、メタクリル酸、メタクリル酸アルキル等のメタクリル酸エステル類、メタクリルアミド及びメタクリロニトリルのいずれかのモノマーの単独重合体又はこれらのモノマー2種以上の重合により得られる共重合体を挙げることができる。これらの中では、アクリル酸アルキル等のアクリル酸エステル類、及びメタクリル酸アルキル等のメタクリル酸エステル類のいずれかのモノマーの単独重合体又はこれらのモノマー2種以上の重合により得られる共重合体が好ましい。例えば、炭素原子数1〜6のアルキル基を有するアクリル酸エステル類及びメタクリル酸エステル類のいずれかのモノマーの単独重合体又はこれらのモノマー2種以上の重合により得られる共重合体を挙げることができる。上記アクリル樹脂は、上記組成を主成分とし、カルボジイミド化合物との架橋反応が可能なように、例えば、メチロール基、水酸基、カルボキシル基及びアミノ基のいずれかの基を有するモノマーを一部使用して得られるポリマーである。
上記ビニル樹脂としては、ポリビニルアルコール、酸変性ポリビニルアルコール、ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラール、ポリビニルメチルエーテル、ポリオレフィン、エチレン/ブタジエン共重合体、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル/(メタ)アクリル酸エステル共重合体及びエチレン/酢酸ビニル系共重合体(好ましくはエチレン/酢酸ビニル/(メタ)アクリル酸エステル共重合体)を挙げることができる。これらの中で、ポリビニルアルコール、酸変性ポリビニルアルコール、ポリビニルホリマール、ポリオレフィン、エチレン/ブタジエン共重合体及びエチレン/酢酸ビニル系共重合体(好ましくは、エチレン/酢酸ビニル/アクリル酸エステル共重合体)が好ましい。上記ビニル樹脂は、カルボジイミド化合物との架橋反応が可能なように、ポリビニルアルコール、酸変性ポリビニルアルコール、ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラール、ポリビニルメチルエーテル及びポリ酢酸ビニルでは、例えば、ビニルアルコール単位をポリマー中に残すことにより水酸基を有するポリマーとし、他のポリマーについては、例えば、メチロール基、水酸基、カルボキシル基及びアミノ基のいずれかの基を有するモノマーを一部使用することにより架橋可能なポリマーとする。
上記ポリウレタン樹脂としては、ポリヒドロキシ化合物(例、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン)、ポリヒドロキシ化合物と多塩基酸との反応により得られる脂肪族ポリエステル系ポリオール、ポリエーテルポリオール(例、ポリ(オキシプロピレンエーテル)ポリオール、ポリ(オキシエチレン−プロピレンエーテル)ポリオール)、ポリカーボネート系ポリオール、及びポリエチレンテレフタレートポリオールのいずれか一種、あるいはこれらの混合物とポリイソシアネートから誘導されるポリウレタンを挙げることができる。上記ポリウレタン樹脂では、例えば、ポリオールとポリイソシアネートとの反応後、未反応として残った水酸基をカルボジイミド化合物との架橋反応が可能な官能基として利用することができる。
上記ポリエステル樹脂としては、一般にポリヒドロキシ化合物(例、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン)と多塩基酸との反応により得られるポリマーが使用される。上記ポリエステル樹脂では、例えば、ポリオールと多塩基酸との反応終了後、未反応として残った水酸基、カルボキシル基をカルボジイミド化合物との架橋反応が可能な官能基として利用することができる。勿論、水酸基等の官能基を有する第三成分を添加しても良い。
上記ポリマーの中で、アクリル樹脂及びポリウレタン樹脂が好ましく、特にアクリル樹脂が好ましい。
本発明で使用されるカルボジイミド化合物としては、分子内にカルボジエミド構造を複数有する化合部を使用することが好ましい。
ポリカルボジイミドは、通常、有機ジイソシアネートの縮合反応により合成される。ここで分子内にカルボジイミド構造を複数有する化合物の合成に用いられる有機ジイソシアネートの有機基は特に限定されず、芳香族系、脂肪族系のいずれか、あるいはそれらの混合系も使用可能であるが、反応性の観点から脂肪族系が特に好ましい。
合成原料としては、有機イソシアネート、有機ジイソシアネート、有機トリイソシアネート等が使用される。
有機イソシアネートの例としては、芳香族イソシアネート、脂肪族イソシアネート、及び、それらの混合物が使用可能である。
具体的には、4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4−ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、4,4'−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート等が用いられ、また、有機モノイソシアネートとしては、イソホロンイソシアネート、フェニルイソシアネート、シクロヘキシルイソシアネート、ブチルイソシアネート、ナフチルイソシアネート等が使用される。
また、本発明に用いうるカルボジイミド系化合物は、例えば、カルボジライトV−02−L2(商品名:日清紡社製)などの市販品としても入手可能である。
本発明のカルボジイミド系化合物はバインダーに対して1〜200質量%、より好ましくは5〜100質量%の範囲で添加することが好ましい。
本発明の帯電防止層の形成するには、まず、例えば前記導電性金属酸化物粒子をそのままあるいは水等の溶媒(必要に応じて分散剤、結合剤を含む)に分散させた分散液を、上記結合剤(例、ポリマー、カルボジイミド化合物及び適当な添加剤)を含む水分散液あるいは水溶液に、添加、混合(必要に応じて分散)して帯電防止層形成用塗布液を調製する。上記帯電防止層は、上記帯電防止層形成用塗布液をポリエステル等のプラスチックフィルムの表面(感光層が設けられない側)に一般によく知られた塗布方法、例えばディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法、エクストルージョンコート法などにより塗布することができる。塗布されるポリエステル等のプラスチックフィルムは、逐次二軸延伸前、同時二軸延伸前、一軸延伸後で再延伸前、あるいは二軸延伸後のいずれであっても良い。帯電防止層形成用塗布液を塗布するプラスチック支持体の表面は、あらかじめ紫外線処理、コロナ処理、グロー放電処理などの表面処理を施しておくことが好ましい。
本発明の帯電防止層の層厚は、0.01〜1μmの範囲が好ましく、さらに0.01〜0.2μmの範囲が好ましい。0.01μm未満では塗布剤を均一に塗布しにくいため製品に塗布むらが生じやすく、1μmを超える場合は、帯電防止性能や耐傷性が劣る場合がある。導電性金属酸化物粒子は、帯電防止層中に、結合剤(例、上記ポリマー及びカルボジイミド化合物の合計)に対して10〜1000重量%の範囲で含まれていることが好ましく、更に100〜500重量%の範囲が好ましい。10重量%未満の場合は、充分な帯電防止性が得られず、1000重量%を超えた場合はヘイズが高くなり過ぎる。
本発明の帯電防止層および下記の表面層には必要に応じて、マット剤、界面活性剤、滑り剤などの添加剤を併用して使用することができる。マット剤としては、0.001〜10μmの粒径をもつ酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウムなどの酸化物の粒子や、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン等の重合体あるいは共重合体等の粒子をあげることができる。界面活性剤としては公知のアニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、両性系界面活性剤、非イオン系界面活性剤等があげることができる。滑り剤としては、カルナバワックス等の天然ワックス、炭素数8〜22の高級アルコールのリン酸エステルもしくはそのアミノ塩;パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸およびそのエステル類;及びシリコーン系化合物等を挙げることができる。
本発明においては、帯電防止層の上には、表面層が設けられる。表面層は、主として接着剤層との接着性付与、及び帯電防止層の導電性金属酸化物粒子の脱離防止機能を補助するために設けられる。表面層の材料には、一般にアクリル樹脂、ビニル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂等の種々のポリマーを使用することができ、上記帯電防止層中の結合剤として記載したポリマーが好ましい。
表面層に用いられる架橋剤は、エポキシ化合物が好ましい。
エポキシ化合物としては、1,4−ビス(2’,3’−エポキシプロピルオキシ)ブタン、1,3,5−トリグリシジルイソシアヌレート、1,3−ジクリシジル−5−(γ−アセトキシ−β−オキシプロピル)イソシヌレート、ソルビトールポリグリシジルエーテル類、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル類、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル類、ジグリセロ−ルポリグルシジルエーテル、1,3,5−トリグリシジル(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、グリセロールポリグリセロールエーテル類およびトリメチロ−ルプロパンポリグリシジルエーテル類等のエポキシ化合物が好ましく、その具体的な市販品としては、例えばデナコールEX−521やEX−614B(ナガセ化成工業(株)製)などを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
また、光学特性に影響を与えない添加量の範囲では、他の化合物との併用も可能であり、例えばC.E.K.Meers およびT.H.James著「The Theory of the Photographic Process」第3版(1966年)、米国特許第3316095号、同3232764号、同3288775号、同2732303号、同3635718号、同3232763号、同2732316号、同2586168号、同3103437号、同3017280号、同2983611号、同2725294号、同2725295号、同3100704号、同3091537号、同3321313号、同3543292号及び同3125449号、及び英国特許994869号及び同1167207号等に記載されている硬化剤などがあげられる。
代表的な例としては、二個以上(好ましくは三個以上)のメチロール基および/またはアルコキシメチル基を含有するメラミン化合物およびそれらの縮重合体であるメラミン樹脂あるいはメラミン・ユリア樹脂、ムコクロル酸、ムコブロム酸、ムコフェノキシクロル酸、ムコフェノキシプロム酸、ホルムアルデヒド、グリオキザール、モノメチルギリオキザール、2,3−ジヒドロキシ−1,4−ジオキサン、2,3−ジヒドロキシ−5−メチル−1,4−ジオキサンサクシンアルデヒド、2,5−ジメトキシテトラヒドロフラン及びグルタルアルデヒド等のアルデヒド系化合物およびその誘導体;ジビニルスルホン−N,N’−エチレンビス(ビニルスルホニルアセトアミド)、1,3−ビス(ビニルスルホニル)−2−プロパノール、メチレンビスマレイミド、5−アセチル−1,3−ジアクリロイル−ヘキサヒドロ−s−トリアジン、1,3,5−トリアクリロイル−ヘサヒドロ−s−トリアジン及び1,3,5−トリビニルスルホニル−ヘキサヒドロ−s−トリアジンなどの活性ビニル系化合物;2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−s−トリアジンナトリウム塩、2,4−ジクロロ−6−(4−スルホアニリノ)−s−トリアジンナトリウム塩、2,4−ジクロロ−6−(2−スルホエチルアミノ)−s−トリアジン及びN,N’−ビス(2−クロロエチルカルバミル)ピペラジン等の活性ハロゲン系化合物;ビス(2,3−エポキシプロピル)メチルプロピルアンモニウム・p−トルエンスルホン酸塩、2,4,6−トリエチレン−s−トリアジン、1,6−ヘキサメチレン−N,N’−ビスエチレン尿素およびビス−β−エチレンイミノエチルチオエーテル等のエチレンイミン系化合物;1,2−ジ(メタンスルホンオキシ)エタン、1,4−ジ(メタンスルホンオキシ)ブタン及び1,5−ジ(メタンスルホンオキシ)ペンタン等のメタンスルホン酸エステル系化合物;ジシクロヘキシルカルボジイミド及び1−ジシクロヘキシル−3−(3−トリメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩等のカルボジイミド化合物;2,5−ジメチルイソオキサゾール等のイソオキサゾール系化合物;クロム明ばん及び酢酸クロム等の無機系化合物;N−カルボエトキシ−2−イソプロポキシ−1,2−ジヒドロキノリン及びN−(1−モルホリノカルボキシ)−4−メチルピリジウムクロリド等の脱水縮合型ペプチド試薬;N,N’−アジポイルジオキシジサクシンイミド及びN,N’−テレフタロイルジオキシジサクシンイミド等の活性エステル系化合物:トルエン−2,4−ジイソシアネート及び1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート等のイソシアネート類;及びポリアミド−ポリアミン−エピクロルヒドリン反応物等のエピクロルヒドリン系化合物を挙げることができるが、これに限定されるものではない。
本発明の表面層の形成するには、まず、例えば水等の溶媒(必要に応じて分散剤、結合剤を含む)に上記ポリマー、エポキシ化合物、及び適当な添加剤を添加、混合(必要に応じて分散)して表面層塗布液を調製する。
上記表面層は、本発明の帯電防止層上に一般によく知られた塗布方法、例えばディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法、エクストルージョンコート法などにより上記表面層塗布液を塗布することにより形成することができる。上記表面層の層厚は、0.01〜1μmの範囲が好ましく、さらに0.01〜0.2μmの範囲が好ましい。0.01μm未満では帯電防止層の導電性金属酸化物粒子の脱離防止機能が不十分で、1μmを超える場合は、塗布剤を均一に塗布しにくいため製品に塗布むらが生じやすい。
本発明では、形成したこれら被覆層、ハードコート層に防汚剤を含有させること、又は、フッ素及び/もしくはケイ素を含有した低表面エネルギー性の硬化性樹脂を含む、紫外線の照射により硬化する硬化性組成物を主体とする防汚性層を積層することにより、防汚性被覆層とすることができる。
本発明に用いられる防汚剤は、被覆層に撥水性、撥油性等の防汚性を付与するもので、そのようなものとしては、被覆層形成用塗布液の調製及び透明記基材フィルム上に塗布する際に不都合が無く、かつ防汚性被覆層形成時に、防汚性被覆層表面で撥水性、撥油性を発現するものであればいかなるものであってもよい。そのようなものとしてはフッ素及び/又はケイ素を含有する硬化樹脂があげられる。
[フッ素及び/又はケイ素を含有する硬化性樹脂]
本発明で用いられる被覆層又は防汚性層に含有されるフッ素及び/又はケイ素を含有する硬化性樹脂としては、公知のフッ素硬化性樹脂やケイ素硬化性樹脂、又はフッ素及びケイ素含有部を含むブロックを有する硬化性樹脂が挙げられ、さらに樹脂又は金属酸化物等と相溶性のよいセグメントと、フッ素又はケイ素を含有するセグメントとを含有する硬化性樹脂が好ましく、被覆層又は防汚性層へ添加することで、表面にフッ素又はケイ素を偏在させることができる。
これらの具体的な硬化性樹脂としては、フッ素又はケイ素を含有するモノマーと、他の親水性又は親油性のモノマーとのブロック共重合体、あるいはグラフト共重合体が挙げられる。フッ素含有モノマーとしてはヘキサフルオロイソプロピルアクリレート、ヘプタデカフルオロデシルアクリレート、パーフルオロアルキルスルホンアミドエチルアクリレート、パーフルオロアルキルアミドエチルアクリレート等に代表される、パーフルオロアルキル基含有(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。ケイ素含有モノマーとしてはポリジメチルシロキサンと(メタ)アクリル酸等の反応によるシロキサン基を有するモノマーが挙げられる。親水性又は親油性のモノマーとしては、メチルアクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル、末端に水酸基含有ポリエステルと(メタ)アクリル酸のエステル、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールの(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられる。
市販の硬化性樹脂としては、パーフルオロアルキル鎖のミクロドメイン構造を有するアクリル系オリゴマーの「デフェンサMCF−300」、「デフェンサMCF−312」、「デフェンサMCF−323」等、パーフルオロアルキル基・親油性基含有オリゴマーの「メガファックF−170」、「メガファックF−173」、「メガファックF−175」等、パーフルオロアルキル基・親水性基含有オリゴマーの「メガファックF−171」等{以上、大日本インキ化学(株)製}や、表面移行性に優れたセグメントと樹脂に相溶するセグメントよりなるビニルモノマーのブロックポリマーであるフッ化アルキル系の「モディパーF−200」、「モディパーF−220」、「モディパーF−600」、「モディパーF−820」等、シリコン系の「モディパーFS−700」、「モディパーFS−710」等{以上、日本油脂(株)製}が挙げられる。
被覆層の上に防汚性層を設けるには、フッ素原子を含有した低表面エネルギー性の硬化性樹脂が好ましく、具体的には、特開昭57−34526号公報、特開平2−19801号公報、特開平3−17901号公報等に記載のフッ化炭化水素基を含有するシリコン硬化性樹脂、フッ化炭化水素基含有ポリマー等が挙げられる。
本発明の偏光板用保護フィルムを2枚の偏光膜の表面保護フィルムの内の少なくとも一方として用いて偏光板を作成する際には、前記の偏光板用保護フィルムを、被覆層とは反対側の透明基材フィルムの表面、すなわち偏光膜と貼り合わせる側の表面を親水化することで、接着面における接着性を改良することが好ましい。親水化された表面は、ポリビニルアルコールを主成分とする接着層との接着性を改良するのに有効である。親水化処理としては、下記の鹸化処理を行うことが好ましい。また、本発明で被覆層を形成する前の前処理としてケン化処理を行う場合も以下の方法を用いることが好ましい。
[鹸化処理]
(1)アルカリ液に浸漬する法
アルカリ液の中に偏光板用保護フィルムを適切な条件で浸漬して、フィルム全表面のアルカリと反応性を有する全ての面を鹸化処理する手法であり、特別な設備を必要としないため、コストの観点で好ましい。アルカリ液は、水酸化ナトリウム水溶液であることが好ましい。好ましい濃度は0.5〜3mol/Lであり、特に好ましくは1〜2mol/Lである。好ましいアルカリ液の液温は30〜75℃、特に好ましくは40〜60℃である。
前記の鹸化条件の組合せは比較的穏和な条件同士の組合せであることが好ましいが、光散乱フィルムや反射防止フィルムの素材や構成、目標とする接触角によって設定することができる。
アルカリ液に浸漬した後は、フィルムの中にアルカリ成分が残留しないように、水で十分に水洗したり、希薄な酸に浸漬してアルカリ成分を中和することが好ましい。
鹸化処理することにより、透明支持体の防眩層や反射防止層を有する表面と反対の表面が親水化される。 偏光板用保護フィルムは、透明支持体の親水化された表面を偏光膜と接着させて使用する。
親水化された表面は、ポリビニルアルコールを主成分とする接着層との接着性を改良するのに有効である。
鹸化処理は、防眩層や低屈折率層を有する側とは反対側の透明支持体の表面の水に対する接触角が低いほど、偏光膜との接着性の観点では好ましいが、一方、浸漬法では同時に防眩層や低屈折率層を有する表面から内部までアルカリによるダメージを受ける為、必要最小限の反応条件とすることが重要となる。アルカリによる各層の受けるダメージの指標として、反対側の表面の透明支持体の水に対する接触角を用いた場合、特に透明支持体がトリアセチルセルロースであれば、好ましくは10度〜50度、より好ましくは30度〜50度、さらに好ましくは40度〜50度となる。50度以上では、偏光膜との接着性に問題が生じる為、好ましくない。一方、10度未満では、該ダメージが大きすぎる為、物理強度を損ない、好ましくない。
(2)アルカリ液を塗布する方法
上述の浸漬法における各膜へのダメージを回避する手段として、適切な条件でアルカリ液を防眩層や低屈折率層を有する表面と反対側の表面のみに塗布、加熱、水洗、乾燥するアルカリ液塗布法が好ましく用いられる。なお、この場合の塗布とは、鹸化を行う面に対してのみアルカリ液などを接触させることを意味し、塗布以外にも噴霧、液を含んだベルト等に接触させる、などによって行われることも含む。これらの方法を採ることにより、別途、アルカリ液を塗布する設備、工程が必要となるため、コストの観点では(1)の浸漬法に劣る。一方で、鹸化処理を施す面にのみアルカリ液が接触するため、反対側の面にはアルカリ液に弱い素材を用いた層を有することができる。例えば、蒸着膜やゾル−ゲル膜では、アルカリ液によって、腐食、溶解、剥離など様々な影響が起こるため、浸漬法では設けることが望ましくないが、この塗布法では液と接触しないため問題なく使用することが可能である。
前記(1)、(2)のどちらの鹸化方法においても、ロール状の支持体から巻き出して各層を形成後に行うことができるため、前述の防眩性反射防止フィルム製造工程の後に加えて一連の操作で行っても良い。さらに、同様に巻き出した支持体からなる偏光板との張り合わせ工程もあわせて連続で行うことにより、枚葉で同様の操作をするよりもより効率良く偏光板を作成することができる。
(3)防眩層や反射防止層をラミネートフィルムで保護して鹸化する方法
前記(2)と同様に、防眩層および/または低屈折率層がアルカリ液に対する耐性が不足している場合に、最終層まで形成した後に該最終層を形成した面にラミネートフィルムを貼り合せてからアルカリ液に浸漬することで最終層を形成した面とは反対側のトリアセチルセルロース面だけを親水化し、然る後にラミネートフィルムを剥離することができる。この方法でも、防眩層、低屈折率層へのダメージなしに偏光板保護フィルムとして必要なだけの親水化処理をトリアセチルセルロースフィルムの最終層を形成した面とは反対の面だけに施すことができる。前記(2)の方法と比較して、ラミネートフィルムが廃棄物として発生する半面、特別なアルカリ液を塗布する装置が不要である利点がある。
(4)防眩層まで形成後にアルカリ液に浸漬する方法
防眩層まではアルカリ液に対する耐性があるが、低屈折率層がアルカリ液に対する耐性不足である場合には、防眩層まで形成後にアルカリ液に浸漬して両面を親水化処理し、然る後に防眩層上に低屈折率層を形成することもできる。製造工程が煩雑になるが、特に低屈折率層がフッ素含有ゾル−ゲル膜等、親水基を有する場合には防眩層と低屈折率層との層間密着性が向上する利点がある。
(5)予め鹸化済のトリアセチルセルロースフィルムに被覆を形成する方法
トリアセチルセルロースフィルムを予めアルカリ液に浸漬するなどして鹸化し、何れか一方の面に直接または他の層を介して被覆層を形成してもよい。アルカリ液に浸漬して鹸化する場合には、被覆層と鹸化により親水化されたトリアセチルセルロース面との層間密着性が悪化することがある。そのような場合には、鹸化後、被覆層を形成する面だけにコロナ放電、グロー放電等の処理をすることで親水化面を除去してから防眩層または他の層を形成することで対処できる。また、防眩層または他の層が親水性基を有する場合には層間密着が良好なこともある。
以下に、本発明の偏光板用保護フィルムを用いた偏光板及び該偏光板を用いた液晶表示装置について説明する。
〔偏光膜の作製〕
本発明の偏光板保護フィルム(偏光板用保護フィルム)は、偏光子の少なくとも1面に張り合わせることで偏光板を構成する。偏光子の他の面は、透湿度が700〜3000g/m2・dayの偏光板保護フィルムを張り合わる事が好ましく、さらに好ましくは1000〜1700g/m2・dayである。通常使用されているTACは好適に用いられる。
通常のセルロースアセテートフィルムを用いてもよいが、溶液製膜法で製造され、且つ10〜100%の延伸倍率でロールフィルム形態における巾方向に延伸したセルロースアセテートフィルムを用いるても良い。
更には、本発明の偏光板において、片面が本発明の偏光板保護フィルムであるのに対して他方の保護フィルムが液晶性化合物からなる光学異方性層を有する光学補償フィルムであっても良い。
また、本発明の偏光板において、片面が本発明の偏光板保護フィルムであるのに対して他方の保護フィルムがReが0〜10nm、Rthが−20〜20nmであるフィルム(たとえば、特開2005−301227号公報段落番号[0095]参照)であっても良い。
偏光膜には、ヨウ素系偏光膜、二色性染料を用いる染料系偏光膜やポリエン系偏光膜がある。ヨウ素系偏光膜および染料系偏光膜は、一般にポリビニルアルコール系フィルムを用いて製造する。
偏光子の2枚の保護フィルムのうち、本発明の偏光板保護フィルム以外のフィルムが、光学異方層を含んでなる光学補償層を有する光学補償フィルムであることも好ましい。光学補償フィルム(位相差フィルム)は、液晶表示画面の視野角特性を改良することができる。
光学補償フィルムとしては、公知のものを用いることができるが、視野角を広げるという点では、特開2001−100042号公報に記載されている光学補償フィルムが好ましい。
本発明の偏光板保護膜は、液晶表示装置等とともに用いられる際には、液晶セルと反対側の視認側に配置することが好ましい。
《液晶表示装置》
本発明のフィルム、偏光板は、液晶表示装置等の画像表示装置に有利に用いることができ、ディスプレイの最表層に用いることが好ましい。
液晶表示装置は、液晶セルおよびその両側に配置された二枚の偏光板を有し、液晶セルは、二枚の電極基板の間に液晶を担持している。さらに、光学異方性層が、液晶セルと一方の偏光板との間に一枚配置されるか、あるいは液晶セルと双方の偏光板との間に二枚配置されることもある。
液晶セルは、TNモード、VAモード、OCBモード、IPSモードまたはECBモードであることが好ましい。
<TNモード>
TNモードの液晶セルでは、電圧無印加時に棒状液晶性分子が実質的に水平配向し、さらに60〜120゜にねじれ配向している。
TNモードの液晶セルは、カラーTFT液晶表示装置として最も多く利用されており、多数の文献に記載がある。
<VAモード>
VAモードの液晶セルでは、電圧無印加時に棒状液晶性分子が実質的に垂直に配向している。
VAモードの液晶セルには、(1)棒状液晶性分子を電圧無印加時に実質的に垂直に配向させ、電圧印加時に実質的に水平に配向させる狭義のVAモードの液晶セル(特開平2−176625号公報記載)に加えて、(2)視野角拡大のため、VAモードをマルチドメイン化した(MVAモードの)液晶セル(SID97、Digest of Tech. Papers(予稿集)28(1997)845記載)、(3)棒状液晶性分子を電圧無印加時に実質的に垂直配向させ、電圧印加時にねじれマルチドメイン配向させるモード(n−ASMモード)の液晶セル(日本液晶討論会の予稿集58〜59(1998)記載)および(4)SURVAIVALモードの液晶セル(LCDインターナショナル98で発表)が含まれる。
<OCBモード>
OCBモードの液晶セルは、棒状液晶性分子を液晶セルの上部と下部とで実質的に逆の方向に(対称的に)配向させるベンド配向モードの液晶セルであり、米国特許第4583825号、同5410422号の各明細書に開示されている。棒状液晶性分子が液晶セルの上部と下部とで対称的に配向しているため、ベンド配向モードの液晶セルは、自己光学補償機能を有する。そのため、この液晶モードは、OCB(Optically Compensatory Bend)液晶モードと呼ばれる。ベンド配向モードの液晶表示装置は、応答速度が速いとの利点がある。
<IPSモード>
IPSモードの液晶セルは、ネマチック液晶に横電界をかけてスイッチングする方式であり、詳しくはProc.IDRC(Asia Display ’95),p.577−580及び同p.707−710に記載されている。
<ECBモード>
ECBモードの液晶セルは、電圧無印加時に棒状液晶性分子が実質的に水平配向している。ECBモードは、最も単純な構造を有する液晶表示モードの一つであって、例えば特開平5−203946号公報に詳細が記載されている。
<輝度向上フィルム>
輝度向上フィルムとしては、光源(バックライト)からの出射光を透過偏光と反射偏光または散乱偏光に分離するような機能を有する偏光変換素子が用いられる。かかる輝度向上フィルムは、反射偏光または散乱偏光のバックライトからの再帰光を利用して、直線偏光の出射効率を向上できる。
たとえば、異方性反射偏光子があげられる。異方性反射偏光子としては、一方の振動方向の直線偏光を透過し、他方の振動方向の直線偏光を反射する異方性多重薄膜があげられる。異方性多重薄膜としては、たとえば、3M製のDBEFがあげられる(たとえば、特開平4−268505号公報等参照。)。また異方性反射偏光子としては、コレステリック液晶層とλ/4板の複合体があげられる。かかる複合体としては、日東電工製のPCFがあげられる(特開平11−231130号公報等参照。)。また異方性反射偏光子としては、反射グリッド偏光子があげられる。反射グリッド偏光子としては、金属に微細加工を施し可視光領域でも反射偏光を出すような金属格子反射偏光子(米国特許第6288840号明細書等参照。)、金属の微粒子を高分子マトリック中に入れて延伸したようなもの(特開平8−184701号公報等参照。)があげられる。
また、異方性散乱偏光子があげられる。異方性散乱偏光子としては、3M製のDRPがあげられる(米国特許第5825543号明細書参照)。
さらに、ワンパスで偏光変換できるような偏光素子があげられる。たとえば、スメクテイックC を用いたものなどがあげられる(特開2001−201635号公報等参照
。)。異方性回折格子を用いることができる。
本発明の偏光板は輝度向上フィルムといっしょに用いることができる。輝度向上フィルムを用いる場合には、偏光板と輝度向上フィルムを密着することが偏光板への水分の浸入を防ぎ光漏れを抑制するためより好ましい。偏光板と輝度向上フィルムとは貼り合わせる接着剤としては特に制限されない。例えばアクリル系重合体、シリコーン系ポリマー、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、ポリビニルエーテル、酢酸ビニル/塩化ビニルコポリマー、変性ポリオレフィン、エポキシ系、フッ素系、天然ゴム、合成ゴム等のゴム系などのポリマーをベースポリマーとするものを適宜に選択して用いることができる。特に、光学的透明性に優れ、適度な濡れ性と凝集性と接着性の粘着特性を示して、耐候性や耐熱性などに優れるものが好ましく用いうる。
<タッチパネル>
本発明のフィルムは、特開平5−127822号公報、特開2002−48913号公報等に記載されるタッチパネルなどに応用することができる。
<有機EL素子>
本発明のフィルムは、有機EL素子等の基板(基材フィルム)や保護フィルムとして用いることができる。
本発明のフィルムを有機EL素子等に用いる場合には、特開平11−335661号、特開平11−335368号、特開2001−192651号、特開2001−192652号、特開2001−192653号、特開2001−335776号、特開2001−247859号、特開2001−181616号、特開2001−181617号、特開2002−181816号、特開2002−181617号、特開2002−056976号等の各公報記載の内容を応用することができる。また、特開2001−148291号、特開2001−221916号、特開2001−231443号の各公報記載の内容と併せて用いることが好ましい。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の実施態様はこれらに限定されるものではない。
《測定法》
以下、本明細書に記載のある各種性能を測定する方法について、説明する。
〔透湿度〕
透湿度の測定法は、「高分子の物性II」(高分子実験講座4 共立出版)の285頁〜294頁:蒸気透過量の測定(質量法、温度計法、蒸気圧法、吸着量法)に記載の方法を適用することができ、本発明にかかるフィルム試料70mmφを60℃、95%RHでそれぞれ24時間調湿し、JIS Z−0208に従って、透湿度=調湿後質量−調湿前質量で単位面積あたりの水分量(g/m2)を算出した。この際、恒温恒湿装置にいれたカップを適当な時間間隔で取り出して秤量する操作を繰り返し、二つの連続する秤量で、それぞれ単位時間あたりの質量増加を求め、それが5%以内で一定になるまで評価を続けた。また、試料の吸湿等による影響を除外するため、吸湿剤の入れていないブランクのカップを測定し、透湿度の値を補正した。
なお、本発明で用いる透湿度の値は、ポリビニルアルコール、エチレンビニルアルコール共重合体、及びこれらの樹脂層に層状無機化合物を分散させた被覆層を有する保護フィルムを測定する場合、基材層側からの透湿度の値を用いた。
〔硬度〕
<鉛筆硬度>
本発明のフィルムの強度は、JIS―K5400に従う鉛筆硬度試験で評価した。
〔スチールウール耐傷性評価〕
ラビングテスターを用いて、以下の条件でこすりテストを行った。
評価環境条件:25℃、60%RH
こすり材:試料と接触するテスターのこすり先端部(1cm×1cm)にスチールウール((株)日本スチールウール製、No.0000)を巻いて、動かないようバンド固定し
た。その上で下記条件の往復こすり運動を与えた。
移動距離(片道):13cm、こすり速度:13cm/秒、
荷重:500g/cm2、先端部接触面積:1cm×1cm、
こすり回数:10往復。
こすり終えた試料の裏側に油性黒インキを塗り、反射光で目視観察して、こすり部分の傷を、以下の基準で評価した。
○:一見傷が見えない。
△:よく見ると傷が見える
×:はっきりとした傷が見える
〔ヘイズ〕
以下の測定により、得られたフィルムの全ヘイズ、内部ヘイズ、表面ヘイズを測定した。
1.JIS−K7136に準じて得られたフィルムの全ヘイズ値を測定する。
2.得られたフィルムの低屈折率層側の表面および裏面にシリコーンオイルを数滴添加し、厚さ1mmのガラス板(ミクロスライドガラス品番S 9111、MATSUNAMI製)を2枚用いて裏表より挟んで、完全に2枚のガラス板と得られたフィルムを光学的に密着し、表面ヘイズを除去した状態でヘイズを測定し、別途測定したガラス板2枚の間にシリコーンオイルのみを挟みこんで測定したヘイズを引いた値をフィルムの内部ヘイズとして算出した。
3.上記1で測定した全ヘイズから上記2で算出した内部ヘイズを引いた値をフィルムの表面ヘイズとして算出した。
〔積分反射率〕
フィルムの裏面をサンドペーパーで祖面化した後に黒色インクで処理し、裏面反射をなくした状態で、表面側を、分光光度計(日本分光(株)製)を用いて、380〜780nmの波長領域において、入射角5°における積分分光反射率を測定した。結果には450〜650nmの積分反射率の算術平均値を用いた。
〔鏡面反射率〕
フィルムの裏面をサンドペーパーで祖面化した後に黒色インクで処理し、裏面反射をなくした状態で、表面側を、分光光度計(日本分光(株)製)を用いて、380〜780nmの波長領域において、入射角5°における鏡面分光反射率を測定した。結果には450〜650nmの鏡面反射率の算術平均値を用いた。
〔防塵性〕
偏光板加工したサンプルを硝子板に貼り付け、一般室に1時間放置後の表面の埃のつき方を目視で確認した。
○:埃がほとんど付いていない
△:埃が少し付いていて多少気になる
×:埃が付いていて気になる
〔偏光度〕
上記のようにして得られた偏光板を、60℃、95%RHの環境下1000時間放置したのち偏光度を測定した。なお偏光度は下記数式(3)より求められる。(波長550nm)
Figure 2008015500
偏光度の評価
○:偏光度99%以上で問題ない。
△:偏光度98%以上、99%未満で実用上問題ない。
×:偏光度98%未満であり問題である。
〔着色〕
偏光板用保護フィルムを目視観察し、着色(黄変)の程度を判定した。
○:ほとんど着色がないレベル。
△:ごく薄く着色があるものの、事実上問題の無いレベル
×:着色が問題のレベル。
〔共通で使用する塗布液の調整〕
被覆層としてポリビニルアルコール、エチレンポリビニルアルコール共重合体および無機層状化合物を分散させた樹脂成分を含有する層を用いた実施例(実施例1)、シリカ系組成物を用いた実施例(実施例2)、その他の疎水的な化合物を用いた実施例(実施例3)に共通で使用する塗布液を下記の通りに調整した。
<下塗り層用塗布液S1>
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
スチレンブタジエンラテックス(固形分43%) 300g
2,4−ジクロロ−6ヒドロキシ−s−トリアジンナトリウム塩(8%) 49g
蒸留水 1600g
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
<下塗り層用塗布液S2>
(1層目塗布液 (帯電防止層用))
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
蒸留水 781.7重量部
ポリアクリル樹脂(ジュリマーET-410:日本純薬製、固形分30%) 30.9重量部
針状構造酸化スズ粒子(FS-10D:石原産業製、固形分20%) 131.1重量部
カルボジイミド化合物 6.4重量部
(カルボジライトV-02-L2:日清紡製、固形分40%)
界面活性剤(サンデットBL:三洋化成工業製 固形分44.6%) 1.4重量部
界面活性剤(ナロアクティーHN-100:三洋化成工業製 固形分100%) 0.7重量部
シリカ微粒子分散液 5.0重量部
(シーホスターKE-W30:日本触媒製 0.3μm 固形分20%)
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
(2層目塗布液 (表面層用))
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
蒸留水 941.0重量部
ポリアクリル樹脂(ジュリマーET-410:日本純薬製、固形分30%) 57.3重量部
エポキシ化合物(デナコールEX-521:ナガセ化成工業製、固形分100%) 1.2重量部
界面活性剤(サンデットBL:三洋化成工業製 固形分44.6%) 0.5重量部
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
<下塗り層用塗布液S3>
(1層目塗布液)
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
蒸留水 823.0重量部
スチレン−ブタジエン共重合体ラテックス
(Nipol Latex LX407C5:日本ゼオン製 固形分40%) 151.5重量部
2,4−シ゛クロル−6−ヒト゛ロキシ−s−トリアシ゛ンナトリウム塩
(H-232:三協化学製 固形分8%) 25.0重量部
ポリスチレン微粒子(平均粒径2μ)
(Nipol UFN1008:日本ゼオン製 固形分10%) 0.5重量部
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
(2層目塗布液)
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
蒸留水 982.4重量部
ゼラチン(アルカリ処理) 14.8重量部
メチルセルロース(TC-5:信越化学工業製) 0.46重量部
化合物(Cpd-21) 0.33重量部
プロキセル(Cpd-22 固形分3.5%) 2.0重量部
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
Figure 2008015500
<ハードコート層用塗布液の調製>
(ゾル液aの調製)
温度計、窒素導入管、滴下ロートを備えた1,000mlの反応容器に、アクリロキシオキシプロピルトリメトキシシラン187g(0.80mol)、メチルトリメトキシシラン27.2g(0.20mol)、メタノール320g(10mol)とKF0.06g(0.001mol)を仕込み、攪拌下室温で水15.1g(0.86mol)をゆっくり滴下した。滴下終了後室温で3時間攪拌した後、メタノール還溜下2時間加熱攪拌した。この後、低沸分を減圧留去し、更にろ過することによりゾル液a−2を120g得た。このようにして得た物質をGPC測定した結果、質量平均分子量は1500であり、オリゴマー成分以上の成分のうち、分子量が1000〜20000の成分は30%であった。
また1H−NMRの測定結果から、得られた物質の構造は、以下の一般式で表される構
造であった。
Figure 2008015500
更に、29Si−NMR測定による縮合率αは0.56であった。この分析結果から、本シランカップリング剤ゾルは直鎖状構造部分が大部分であることが分かった。
また、ガスクロマトグラフィー分析から、原料のアクリロキシプロピルトリメトキシシランは5%以下の残存率であった。
(1)ハードコート層用塗布液の調製
───────────────────────────────────
ハードコート層用塗布液1の組成
───────────────────────────────────
PET−30 40.0g
DPHA 10.0g
イルガキュア184 2.0g
SX−350(30%) 2.0g
架橋アクリルースチレン粒子(30%) 13.0g
FP−13 0.06g
ゾル液(a) 11.0g
トルエン 38.5g
───────────────────────────────────
───────────────────────────────────
ハードコート層用塗布液2の組成
───────────────────────────────────
PET−30 28.0g
DPHA 12.0g
凝集性シリカ(2次凝集径1.5μm) 5.0g
イルガキュア184 1.0g
イルガキュア907 0.2g
FP−13 0.08g
メチルイソブチルケトン 40.0g
シクロヘキサノン 15.0g
───────────────────────────────────
───────────────────────────────────
ハードコート層用塗布液3の組成
───────────────────────────────────
PET−30 46.0g
イルガキュア184 1.7g
MX−600(30%) 28.6g
FP−13 0.06g
ゾル液(a) 7.0g
MiBK(メチルイソブチルケトン) 13.0g
MEK(メチルエチルケトン) 6.0g
───────────────────────────────────
───────────────────────────────────
ハードコート層用塗布液4の組成
───────────────────────────────────
PET−30 46.0g
DPHA 10.0g
イルガキュア184 2.0g
FP−13 0.06g
ゾル液(a) 7.0g
MiBK 13.0g
MEK 6.0g
───────────────────────────────────────
───────────────────────────────────────
ハードコート層用塗布液5の組成
───────────────────────────────────────
デソライトZ7404 100.0g
DPHA 31.0g
KBM−5103 10.0g
KE−P150 8.9g
MXS−300 3.4g
MEK 29.0g
MIBK 13.0g
───────────────────────────────────────
───────────────────────────────────────
ハードコート層用塗布液6の組成
───────────────────────────────────────
CAP482−20 2.4g
サイクロマーP 13.4g
DPHA 16.3g
イルガキュア184 1.2g
MEK 51.0g
ブタノール 14.0g
プロピレングリコールモノメチルエーテル 3.5g
───────────────────────────────────────
───────────────────────────────────────
ハードコート層用塗布液7の組成
───────────────────────────────────────
CAP482−20 2.4g
サイクロマーP 13.4g
DPHA 13.3g
KBM−5103 3.3g
イルガキュア184 1.2g
MEK 51.0g
ブタノール 14.0g
プロピレングリコールモノメチルエーテル 3.5g
───────────────────────────────────────
上記塗布液を孔径30μmのポリプロピレン製フィルターでろ過してハードコート層用塗布液1〜6を調製した。
それぞれ使用した化合物を以下に示す。
・DPHA:ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物[日本化薬(株)製]
・PET−30:ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレートの混合物[日本化薬(株)製]
・イルガキュア184:重合開始剤[チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製]
・イルガキュア907:重合開始剤[チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製]
・SX−350:平均粒径3.5μm架橋ポリスチレン粒子[屈折率1.60、綜研化学(株)製、30%トルエン分散液、ポリトロン分散機にて10000rpmで20分分散後使用]
・架橋アクリル−スチレン粒子:平均粒径3.5μm[屈折率1.55、綜研化学(株)製、30%トルエン分散液、ポリトロン分散機にて10000rpmで20分分散後使用]
・FP−13フッ素系表面改質剤
Figure 2008015500
・MX−600:
平均粒径6μmPMMA粒子[屈折率1.49、綜研化学(株)製、30%MIBK分散液、ポリトロン分散機にて10000rpmで20分分散後使用]
・凝集性シリカ:2次凝集径1.5μm(1次粒径数十nm)、[日本シリカ(株)製]
・デソライトZ7404:ジルコニア微粒子含有光重合性ハードコート組成液[JSR(株)製]
・KBM−5103:γアクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン[信越化学工業(株)製]
・KE−P150:1.5μmシリカ粒子[日本触媒(株)製]
MXS−300:3μm架橋PMMA粒子[綜研化学(株)製]
CAP482−20:酢酸プロピオン酸セルロースエステル[イーストマンケミカル社製]
サイクロマーP:反応性オリゴマー[ダイセル・ユーシービー(UCB)(株)製]
(低屈折率用塗布液の調整)
(パーフルオロオレフィン共重合体(1)の合成)
Figure 2008015500
内容量100mlのステンレス製撹拌機付オートクレーブに酢酸エチル40ml、ヒドロキシエチルビニルエーテル14.7gおよび過酸化ジラウロイル0.55gを仕込み、系内を脱気して窒素ガスで置換した。さらにヘキサフルオロプロピレン(HFP)25gをオートクレーブ中に導入して65℃まで昇温した。オートクレーブ内の温度が65℃に達した時点の圧力は0.53Mpa(5.4kg/cm2)であった。該温度を保持し8時間反応を続け、圧力が0.31MPa(3.2kg/cm2)に達した時点で加熱をやめ放冷した。室温まで内温が下がった時点で未反応のモノマーを追い出し、オートクレーブを開放して反応液を取り出した。得られた反応液を大過剰のヘキサンに投入し、デカンテーションにより溶剤を除去することにより沈殿したポリマーを取り出した。さらにこのポリマーを少量の酢酸エチルに溶解してヘキサンから2回再沈殿を行うことによって残存モノマーを完全に除去した。乾燥後ポリマー28gを得た。次に該ポリマーの20gをN,N−ジメチルアセトアミド100mlに溶解、氷冷下アクリル酸クロライド11.4gを滴下した後、室温で10時間攪拌した。反応液に酢酸エチルを加え水洗、有機層を抽出後濃縮し、得られたポリマーをヘキサンで再沈殿させることによりパーフルオロオレフィン共重合体(1)を19g得た。得られたポリマーの屈折率は1.421であった。
(ゾル液bの調製)
攪拌機、還流冷却器を備えた反応器、メチルエチルケトン120部、アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン(KBM−5103、信越化学工業(株)製)100部、ジイソプロポキシアルミニウムエチルアセトアセテート3部を加え混合したのち、イオン交換水30部を加え、60℃で4時間反応させたのち、室温まで冷却し、ゾル液aを得た。質量平均分子量は1600であり、オリゴマー成分以上の成分のうち、分子量が1000〜20000の成分は100%であった。また、ガスクロマトグラフィー分析から、原料のアクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランは全く残存していなかった。
(分散液Aの調製)
中空シリカ微粒子ゾル(イソプロピルアルコールシリカゾル、平均粒子径60nm、シェル厚み10nm、シリカ濃度20質量%、シリカ粒子の屈折率1.31、特開2002−79616の調製例4に準じサイズを変更して作成)500gに、アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業(株)製)30g、およびジイソプロポキシアルミニウムエチルアセテート1.5g加え混合した後に、イオン交換水を9gを加えた。60℃で8時間反応させた後に室温まで冷却し、アセチルアセトン1.8gを添加した。この分散液500gにほぼシリカの含量一定となるようにシクロヘキサノンを添加しながら、減圧蒸留による溶媒置換を行った。分散液に異物の発生はなく、固形分濃度をシクロヘキサノンで調整し20質量%にしたときの粘度は25℃で5mPa・sであった。得られた分散液Aのイソプロピルアルコールの残存量をガスクロマトグラフィーで分析したところ、1.5%であった。
(低屈折率層用塗布液1の調整)
ポリシロキサンおよび水酸基を含有する屈折率1.44の熱架橋性含フッ素ポリマー(JTA113、固形分濃度6%、JSR(株)製)13g、コロイダルシリカ分散液MEK−ST−L(商品名、平均粒径45nm、固形分濃度30%、日産化学(株)製)1.3g、前記ゾル液b0.65g、およびメチルエチルケトン4.4g、シクロヘキサノン1.2gを添加、攪拌の後、孔径1μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して、低屈折率層塗布液1を調製した。この塗布液により形成される層の屈折率は、1.45であった。
(低屈折率層用塗布液2の調整)
熱架橋性含フッ素ポリマー(特開平11−189621公報実施例1に記載の含フッ素含シリコーン熱硬化ポリマー)37.6g、硬化剤(サイメル303;商品名、日本サイテックインダストリーズ(株)製)9.40g、硬化触媒(キャタリスト4050;商品名、日本サイテックインダストリーズ(株)製)0.92gをメチルエチルケトン500gに溶解し、更に、分散液Aを195質量部(シリカ+表面処理剤固形分として39.0質量部)、コロイダルシリカ分散物(シリカ、MEK−STの粒子径違い品、平均粒径45nm、固形分濃度30%、日産化学(株)製)30.0質量部(固形分として9.0質量部)、ゾル液b17.0質量部(固形分として5.0質量部)、PM980M(光重合開始剤、和光純薬製)0.3質量部を添加した。塗布液全体の固形分濃度が6質量%になり、シクロヘキサンとメチルエチルケトンの比率が8対92になるようにシクロヘキサン、メチルエチルケトンで希釈して低屈折率用塗布液2を調製した。この塗布液により形成される層の屈折率は、1.38であった。
(低屈折率層用塗布液3の調製)
パーフルオロオレフィン共重合体(1)15.4g、中空シリカゾル(屈折率1.31、平均粒径60nm、固形分濃度20%)2.2g、反応性シリコーンX−22−164C(商品名;信越化学工業社製)0.3g、ゾル液b 7.3g、光重合開始剤(イルガキュア907(商品名)、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)0.76g、メチルエチルケトン298g、シクロヘキサノン12.0gを添加、攪拌の後、孔径5μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して、低屈折率層用塗布液3を調製した。この塗布液により形成される層の屈折率は、1.40であった。
(低屈折率層用塗布液4の調製)
エチレン性不飽和基含有含フッ素ポリマー(特開2005−89536公報製造例3に記載のフッ素ポリマー(A−1))固形分として45.0gをメチルイソブチルケトン500gに溶解し、更に、分散液Aを195質量部(シリカ+表面処理剤固形分として39.0質量部)、コロイダルシリカ分散物(シリカ、MEK−STの粒子径違い品、平均粒径45nm、固形分濃度30%、日産化学(株)製)30.0質量部(固形分として9.0質量部)、ゾル液b17.0質量部(固形分として5.0質量部)、PM980M(光重合開始剤、和光純薬製)2.0質量部を添加した。塗布液全体の固形分濃度が6質量%になるようにメチルエチルケトンで希釈して低屈折率用塗布液4を調製した。この塗布液により形成される層の屈折率は、1.38であった。
(低屈折率層用塗布液5の調製)
ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物(DPHA、日本化薬(株)製)2.65g、シリカ分散液A(中空シリカ分散液、固形分濃度20%)30.0g、ゾル液b2.93g、反応性シリコーンX−22−164C(商品名;信越化学工業社製)0.15g、含フッ素化合物F3035(商品名;日本油脂株式会社製、固形分濃度30%)0.15g、光重合開始剤(イルガキュア907(商品名)、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)0.20g、およびメチルエチルケトン103g、シクロヘキサノン3.5gを添加、攪拌の後、孔径1μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して、低屈折率層用塗布液L−5を調製した。
(低屈折率層用塗布液6の調製)
フルオロアルキル基およびポリシロキサン構造を有するフッ素化合物としてオプスターJTA105(JSR株式会社製、固形分:5重量%)100重量部、オプスターJTA105A(JSR株式会社製、固形分:5重量%)1重量部、酢酸ブチル151.5重量部、及びシロキサンオリゴマーとしてコルコートN103X(コルコート株式会社製、エチレングリコール換算による数平均分子量950、固形分:2重量%)164.0重量部を混合した。更に、中空シリカ微粒子ゾル(イソプロピルアルコールシリカゾル、平均粒子径60nm、シェル厚み10nm、シリカ濃度20質量%、シリカ粒子の屈折率1.31、特開2002−79616の調製例4に準じサイズを変更して作成)42.5gを加えて、低屈折率層用塗布液L−6を調整した。
<<実施例1>>
〔被覆層用塗布液の調整〕
下記で用いる無機層状化合物は所望の濃度になるように水と混合し、その後、高圧分散機を用いて30Mpaで3回高圧分散処理を行い、水中に分散させた。
<被覆層用塗布液1−1>
――――――――――――――――――――――――――――――――――
HR―3010 5質量部
水 95質量部
――――――――――――――――――――――――――――――――――
<被覆層用塗布液1−2>
――――――――――――――――――――――――――――――――――
HR―3010 5質量部
水中高圧分散済ME−100(固形分比5重量%) 40質量部
水 75質量部
――――――――――――――――――――――――――――――――――
<被覆層用塗布液1−3>
――――――――――――――――――――――――――――――――――
GFZ200 5質量部
水中高圧分散済ME−100(固形分比5重量%) 40質量部
架橋剤(グリオキザール) 5質量部
水 75質量部
――――――――――――――――――――――――――――――――――
<被覆層用塗布液1−4>
――――――――――――――――――――――――――――――――――
DF−05 5質量部
水中高圧分散済クニピア−F (固形分比5重量%) 20質量部
アジピンサンジヒドラジド 2質量部
水 75質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
<被覆層用塗布液1−5>
――――――――――――――――――――――――――――――――――
PVA103 4質量部
MEB−3 (固形分比8重量%) 33質量部
水 126質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
<被覆層用塗布液1−6>
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
PVA103 4質量部
MEB−3 (固形分比8重量%) 33質量部
水 126質量部
消泡剤(化合物A) 0.01質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
Figure 2008015500
<被覆層用塗布液1−7>
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
PVA103 5質量部
MEB−3 (固形分比8重量%) 13質量部
水中高圧分散済クニピア−F (固形分比5重量%) 21質量部
水 103質量部
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
<被覆層用塗布液1−8>
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
PVA103 5質量部
水中高圧分散済ベンゲル (固形分比5重量%) 67質量部
水 85質量部
メタノール 10質量部
消泡剤(上記化合物A) 0.01質量部
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
<被覆層用塗布液1−9>
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
PVA103 5質量部
水中高圧分散済ベンゲルHV (固形分比5重量%) 67質量部
水 85質量部
メタノール 10質量部
消泡剤(上記化合物A) 0.01質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
<被覆層用塗布液1−10>
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
PVA103 5質量部
水中高圧分散済ベンゲルA (固形分比5重量%) 67質量部
水 95質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
<被覆層用塗布液1−11>
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
PVA103 5質量部
水中高圧分散済ベンゲル (固形分比5重量%) 67質量部
水 85質量部
デナコールEX212L 0.5質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
<被覆層用塗布液1−12>
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
PVA103 5質量部
水中高圧分散済ベンゲル (固形分比5重量%) 67質量部
水 85質量部
グルタルアルデヒド 0.5質量部
パラトルエンスルホン酸 0.05質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
<被覆層用塗布液1−13>
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
ソアノールD−2908(30%溶液) 4質量部
水中高圧分散済クニピア−F (固形分比5重量%) 36質量部
水 30質量部
iso−プロピルアルコール 30質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
精製水50%、iso−プロピルアルコール(IPA)50%を含む混合溶媒60部に、EVOH(日本合成化学社製 ソアノールD−2908、商品名)30部を加え、更に30%の過酸化水素水10部を添加して攪拌下で80℃に加温し、約2時間反応させた。その後冷却して カタラーゼを3000ppmになるように添加し、残存過酸化水素を除去した。
無機層状化合物であるモンモリロナイト(商品名、クニピアFクニミネ工業社製)5部を精製水95部中に攪拌しながら添加し、高速攪拌機にて充分に分散した。その後、40℃にて1日間保温した。その後、精製水50%、IPA50%の混合溶媒60部に、先のエチレンビニルアルコール液を4部添加し、充分に攪拌混合した。更にこの溶液を高速攪拌を行いながら、モンモリロナイト水分散液36部を添加し、高圧分散装置にて圧力50MPaの設定で分散処理を行なった。これにより得られた分散液は均一で安定な溶液であった。エチレン−ビニルアルコール系共重合体4質量部に対して、無機層状化合物6質量部含まれる塗布液を作製した。
<被覆層用塗布液1−14>
素材の混合比を下記の様に変更した以外は、被覆層用塗布液1−13と同様にして被覆層用塗布液1−14を作製した。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
ソアノールD−2908(30%溶液) 4質量部
水中高圧分散済クニピアーF (固形分比5重量%) 6質量部
水 30質量部
iso−プロピルアルコール 30質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
<被覆層用塗布液1−15>
素材の混合比、素材を下記の様に変更した以外は、被覆層用塗布液1−13と同様にして被覆層用塗布液1−15を作製した。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
ソアノールD−2908(30%溶液) 4質量部
水中高圧分散済ME−100(固形分比5重量%) 6質量部
水 30質量部
iso−プロピルアルコール 30質量部
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
<被覆層用塗布液1−16>
素材の混合比、素材を下記の様に変更した以外は、被覆層用塗布液1−13と同様にして被覆層用塗布液1−16を作製した。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
ソアノールD−2908(30%溶液) 4質量部
PVA103(10%水溶液) 12質量部
水中高圧分散済ME−100(固形分比5重量%) 36質量部
水 30質量部
iso−プロピルアルコール 30質量部
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
<被覆層用塗布液1−17>
――――――――――――――――――――――――――――――――――
PVA403 ((株)クラレ製) 5質量部
水中高圧分散済ME−100(固形分比5重量%) 5質量部
水 75質量部
――――――――――――――――――――――――――――――――――
<被覆層用塗布液1−18>
――――――――――――――――――――――――――――――――――
HR―3010((株)クラレ製) 5質量部
水中高圧分散済SWN(固形分比5重量%) 20質量部
水 75質量部
――――――――――――――――――――――――――――――――――
<被覆層用塗布液1−19>
――――――――――――――――――――――――――――――――――
PVA203((株)クラレ製) 10質量部
水 90質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
<被覆層用塗布液1−20>
――――――――――――――――――――――――――――――――――
HR―3010 5質量部
グルタルアルデヒド 0.5質量部
水 75質量部
――――――――――――――――――――――――――――――――――
<被覆層用塗布液1−21>
――――――――――――――――――――――――――――――――――
PVA105((株)クラレ製) 5質量部
水中高圧分散済ME−100(固形分比5重量%) 9質量部
水 75質量部
――――――――――――――――――――――――――――――――――
<被覆層用塗布液1−22>
――――――――――――――――――――――――――――――――――
PVA103((株)クラレ製) 5質量部
水中高圧分散済ME−100(固形分比5重量%) 60質量部
水 75質量部
アセトン 10質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
ビニルアルコール系 ケン化度 重合度 製造元
重合体
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HR−3010 99.0〜99.6% (株)クラレ
GFZ200 99%〜 1200 日本合成化学(株)
PVA403 78.5〜81.5% 300 (株)クラレ
PVA105 98.0%〜99.0% 500 (株)クラレ
PVA103 98.0%〜99.0% 300 (株)クラレ
DF−05 日本酢ビポバール(株)(酢酸ビニル−ダイアセトンアクリルアミド共重合体)
ソアノールD−2908 日本合成化学工業(株)
PVA203 87.0%〜89.0% 300 (株)クラレ
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
無機層状化合物 種類 粒子径 製造元
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クニピア−F モンモリロナイト 0.1〜0.5μm クニミネ工業(株)
ME−100 合成マイカ 5〜7μm コープケミカル(株)
SWN 合成スメクタイト 0.05μm コープケミカル(株)
MEB−3 合成マイカ 5〜7μm コープケミカル(株)
(8%水分散液)
ベンゲル ベントナイト 2μm (株)ホージュン
ベンゲルHV ベントナイト 2μm (株)ホージュン
ベンゲルA モンモリロナイト 0.1〜0.5μm (株)ホージュン
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
架橋剤 種類 製造
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グリオキザール 和光純薬工業(株)
グルタルアルデヒド 和光純薬工業(株)
デナコールEX212L 水溶性エポキシ化合物 ナガセケムテックス(株)
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(実施例1−1の偏光板用保護フィルムの作製)
(被覆層の塗設)
トリアセチルセルロース(TAC−TD80U、富士フイルム(株)製)の被覆層を設ける側を1mol/Lのアルカリ溶液、50℃で鹸化処理を施した。その後、トリアセチルセルロースフィルムのけんか処理面上にスロットルダイを有するコーターを用いて、被覆層用塗布液1−1を乾燥後の膜厚が20μmになるように塗布した。その後、搬送速度30m/分の条件で塗布し、130℃5分間乾燥して、巻き取った。
(ハードコート層の塗設)
被覆層1−1を塗設した80μmの厚さのトリアセチルセルロースフィルム(TAC−TD80U、富士フイルム(株)製)をロール形態で巻き出して、スロットルダイを有するコーターを用いて、ハードコート層用塗布液1−1をバックアップロール上の偏光板保護フィルムの被覆層を設けていない面上に直接押し出して塗布した。搬送速度30m/分の条件で塗布し、30℃で15秒間、90℃で20秒間乾燥の後、さらに窒素パージ下で160W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照射量90mJ/cm2の紫外線を照射して塗布層を硬化させ、厚さ6μmの防眩性を有する防眩層を形成し、巻き取り、実施例1−1の偏光板用保護フィルムを作製した。
(実施例1−2〜1−5、比較例1−1〜1−4の偏光板用保護フィルムの作製)
各層の有無、塗布液の種類、膜厚を表2に示す通りに変化させた以外は実施例1−1と同じ方法で実施例1−2〜1−5、比較例1−1〜1−4の偏光板用保護フィルムを作製した。
(実施例1−6の偏光板保護フィルムの作製)
実施例1−2の偏光板用保護フィルムをロール形態で巻き出して、スロットルダイを有するコーターを用いて、低屈折率層用塗布液1をバックアップロール上の偏光板保護フィルムのハードコート層を塗布してある面上に直接押し出して塗布した。120℃で150秒乾燥の後、更に140℃で8分乾燥させてから窒素パージにより酸素濃度0.1%の雰囲気下で240W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照射量300mJ/cm2の紫外線を照射し、厚さ100nmの低屈折率層を形成し、巻き取っり、実施例1−6の偏光板用保護フィルムを作製した。
(実施例1−7の偏光板保護フィルムの作製)
(被覆層の塗設)
トリアセチルセルロース(TAC−TD80U、富士フイルム(株)製)の被覆層を設ける側を1mol/Lのアルカリ溶液、50℃で鹸化処理を施した。その後、トリアセチルセルロースフィルムのけんか処理面上にスロットルダイを有するコーターを用いて、被覆層用塗布液1−1を乾燥後の膜厚が20μmになるように塗布した。その後、搬送速度30m/分の条件で塗布し、130℃5分間乾燥して、巻き取った。
(下塗り層の塗設)
被覆層を塗設した80μmの厚さのトリアセチルセルロースフィルム(TAC−TD80U、富士フイルム(株)製)をロール形態で巻き出して、被覆層の上に下塗り層用塗布液S1を乾燥膜厚が90nmとなるように塗布した。
(ハードコート層の塗設)
被覆層1−1、下塗り層S1を塗設した80μmの厚さのトリアセチルセルロースフィルム(TAC−TD80U、富士フイルム(株)製)をロール形態で巻き出して、スロットルダイを有するコーターを用いて、ハードコート層用塗布液1−5をバックアップロール上の偏光板保護フィルムの下塗り層上に直接押し出して塗布した。搬送速度30m/分の条件で塗布し、30℃で15秒間、90℃で20秒間乾燥の後、さらに窒素パージ下で160W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照射量90mJ/cm2の紫外線を照射して塗布層を硬化させ、厚さ6μmの防眩性を有する防眩層を形成し、巻き取り、実施例1−7の偏光板用保護フィルムを作製した。
(実施例1−8〜1−25、比較例1−5の偏光板用保護フィルムの作製)
各層の有無、塗布液の種類、膜厚を表2に示す通りに変化させた以外は実施例1−7と同じ方法で実施例1−8〜1−25、比較例1−5の偏光板用保護フィルムを作製した。
この際、被覆層の厚みを10μm以上にした場合には、乾燥は130℃で20分行った。
(実施例1−26の偏光板用保護フィルムの作製)
使用するトリアセチルセルロースフィルムにけん化処理を施さずに、塗布液1−22を塗布した以外は、実施例1−7と同じ方法で、実施例1−26の偏光板用保護フィルムを作製した。作製した偏光板用保護フィルムの密着性は実用上問題ないレベルであった。
(実施例1−27の偏光板用保護フィルムの作製)
使用するトリアセチルセルロースフィルムにけん化処理を施さずに、搬送速度105m/分で搬送した状態で、727J/mの条件で該支持体表面にコロナ放電処理を行い、塗布液1−2を塗布した以外は、実施例1−7と同じ方法で、実施例1−27の偏光板用保護フィルムを作製した。作製した偏光板用保護フィルムの密着性は実用上問題ないレベルであった。
(比較例1−6偏光板保護フィルムの作製)
比較例1−6では、WVフィルム、及び、被覆層を設けていない偏光板用保護フィルムとを、塗布液1−1を接着剤として用い、接着剤層の厚みが3μmになるようにして偏光子と偏光板用保護フィルムを張り合わせた。その後、作製した偏光板は50℃で15分間乾燥させた。
(比較例1−7の偏光板用保護フィルムの作製)
樹脂層の乾燥温度を50℃10分間にした以外は実施例1−1と同様にして、比較例1−7の偏光板保護フィルムを作製した。
〔液晶表示装置の性能〕
TN型液晶セルを使用した液晶表示装置(MRT−191S、三菱電機 製)に設けられている偏光板を剥がし、代わりに本発明の偏光板を、本発明の偏光板保護フィルムを貼りあわせた面が外側(空気界面側)に、且つ偏光板の透過軸が製品に貼られていた偏光板と一致するように粘着剤を介して貼り付けた。暗室にて、液晶表示装置を表示して、目視により以下の特性を評価した。
<高湿および低湿処理後の光漏れ評価(周辺ムラ評価)>
液晶表示装置を60℃90%50時間処理後に、25℃60%の環境下で24時間放置した後、または70℃10%50時間処理後に、25℃60%の環境下で2時間放置した後、液晶表示装置を黒表示させ、正面からの光漏れを複数の観察者により目視評価する。
◎ 光漏れは全く観察されなかった
○ 光漏れは殆ど観察されなかった
△ 光漏れがあるが問題の無いレベルであった
× 光漏れがはっきり観察された
得られた偏光板用保護フィルム、偏光板、液晶表示装置の評価結果を表2にまとめる。本発明の偏光板は偏光度、着色の問題が無く、周辺ムラを抑制でき、実用上で好ましい性能を示した。また、耐擦傷性、防塵性が良好で、低反射率、表面散乱性による映り込みも低減できる、画像表示装置の表面に用いるのに好ましい性能を示した。実施例1−8は耐擦傷性が劣るものの、それ以外の性能は良好であり、画像表示装置の内側(視認者側から見て液晶セルの裏側)に用いるのには十分な性能を示した。
Figure 2008015500
Figure 2008015500
(実施例1−28〜35)
ハードコート層、低屈折率層を表3に示す通りに変化させた以外は実施例1−2と同じ方法で実施例1−28〜35の偏光板用保護フィルム、偏光板、液晶表示装置を作成し、評価した結果、他の性能を悪化させずに、表4に示すように反射性能が変化し、各種アプリケーションに合せた偏光板保護フィルムの選択が可能になった。
Figure 2008015500
(偏光板T1)
WVフィルムを通常のTAC(TD80 富士フイルム(株)製)とした以外は実施例1−2と全く同様にして偏光板T1を作成した。
(偏光板Z1)
WVフィルムを低レターデーションTAC(Z−TAC 富士フイルム(株)製。Re=1nm、Rth=-3nm)とした以外は実施例1−2と全く同様にして偏光板Z1を作成した。
〔液晶表示装置の性能〕
さらに、VA型液晶表示装置(LC−26GD3 シャープ製)に設けられている偏光板を位相差膜を残したまま剥がし、代わりに本発明の偏光板T1を偏光板の透過軸が製品に貼られていた偏光板と一致するように貼り付けた。
IPS型液晶表示装置(Th−26LX300 松下製)に設けられている偏光板を剥がし、代わりに本発明の偏光板Z1を偏光板の透過軸が製品に貼られていた偏光板と一致するように貼り付けた。
また、IPS型液晶表示装置(32LC100 東芝製)に設けられている偏光板を表側の位相差膜を残し、裏側の位相差膜は剥がし、代わりに本発明の偏光板Z1を偏光板の透過軸が製品に貼られていた偏光板と一致するように貼り付けた。
いずれも被覆層が塗設してある側が外側になるように貼り付けた。
いずれの液晶表示装置も、本発明の偏光板を用いることで、周辺ムラが有意に低減できることが確認できた。また、画像表示装置の表面に用いるのに十分な耐擦傷性、反射率であった。
また、実施例1−1〜29の装置については、バックライト側の偏光板だけを偏光板T1に替え、さらにバックライト側に輝度向上フィルム(DBEF 3M製)を入れた液晶表示装置を作製し、周辺ムラ他の性能を悪化させることが無く、ディスプレイの輝度が向上した。
さらに、輝度向上フィルムを用いた装置において、輝度向上フィルムと接する偏光板保護フィルムにレターデーションのきわめて小さいZ-TACを用いた装置では視野角の色味変化が小さいことが認められた。
また、輝度向上フィルムを入れた液晶表示装置で、輝度向上フィルムを偏光板を粘着剤によって密着させたフィルムでは、更に過酷な条件下でも周辺ムラが発生しないことが判った。
透明基材フィルムとして上記の実施例に用いたTD80−ULの代りに、下記の通りに作成したセルロースアシレートフィルムを用いた以外は上記の実施例1−1〜29と同じ方法で偏光板保護フィルム、偏光板、画像表示装置を作成して評価した結果、他の性能に影響を及ぼさずに、偏光板耐久性がさらに向上した。
(セルロースアシレート溶液の調製)
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、攪拌して各成分を溶解し、セルロースアシレート溶液Aを調製した。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
セルロースアシレート溶液A組成
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
セルローストリアセテート(アセチル置換度2.86) 100.0質量部
トリフェニルフォスフェート(可塑剤1) 6.0質量部
ビフェニルフォスフェート(可塑剤2) 3.0質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 402.0質量部
メタノール(第2溶媒) 60.0質量部
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
(マット剤溶液の調製)
下記の組成物を分散機に投入し、攪拌して各成分を溶解し、マット剤溶液Aを調製した。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
マット剤溶液A組成
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
平均粒径16nmのシリカ粒子
(AEROSIL R972、日本アエロジル(株)製 2.2質量部
セルローストリアセテート(アセチル置換度2.88) 2.0質量部
トリフェニルフォスフェート(可塑剤1) 0.2質量部
ビフェニルフォスフェート(可塑剤2) 0.1質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 83.5質量部
メタノール(第2溶媒) 12.0質量部
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
(紫外線吸収剤溶液の調製)
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、加熱しながら攪拌して、各成分を溶解し、紫外線吸収剤溶液Aを調製した。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
紫外線吸収剤溶液A組成
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
UV−1(紫外線吸収剤1) 3.0質量部
UV−10(紫外線吸収剤2) 12.0質量部
セルローストリアセテート(アセチル置換度2.86) 4.4質量部
トリフェニルフォスフェート(可塑剤1) 0.4質量部
ビフェニルフォスフェート(可塑剤2) 0.2質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 70.0質量部
メタノール(第2溶媒) 10.0質量部
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
(セルロースアシレートフィルム1の作製)
セルロースアシレート溶液Aを97.4質量部、マット剤溶液Aを1.3質量部、紫外線吸収剤溶液A1.3質量部それぞれを濾過後に混合し、バンド流延機を用いて流延した。残留溶剤が60%でフィルムをバンドから剥離し、100℃の条件でフィルムをクリップテンターを用いて幅を保持し、5%延伸後の幅のまま130℃で30秒間保持した。その後、クリップを外して130℃で40分間乾燥させ(乾燥(1))、セルロースアシレートフィルムを製造した。出来あがったセルロースアシレートフィルムの残留溶剤量は0.2%であり、膜厚は80μmであった。
透明基材フィルムとして上記の実施例に用いたTD80−ULの代りに、下記の通りに作成したセルロースアシレートフィルムを用いた以外は上記の実施例1−1〜16と同じ方法で偏光板保護フィルム、偏光板、画像表示装置を作成して評価した結果、他の性能に影響を及ぼさずに、厚みを変化させることができ、偏光板保護フィルムの厚みの選択肢を増やすことができた。
[ドープの調整]
下記組成の各ドープ組成物、マット剤溶液Bを耐圧密閉タンクに攪拌しながら投入した後、80℃にて3時間加熱を行ってドープを完全に溶解した後、さらに濾過を行い、ドープ組成物を調整した。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
ドープA−1
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セルロースアセテート (アセチル置換度 2.88) 100質量部
トリフェニルホスフィン 9質量部
エチルフタリルエチルグリコレート 3質量部
UV−1 0.4質量部
UV−6 0.8質量部
UV−8 0.8質量部
メチレンクロライド 475質量部
エタノール 50質量部
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
ドープA−2
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セルロースアセテート (アセチル置換度 2.88) 100質量部
トリフェニルホスフィン 11質量部
UV−1 0.8質量部
UV−11 0.8質量部
メチレンクロライド 475質量部
エタノール 50質量部
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
但し、UV−11:2−(2‘−ヒドロキシ−3’,5‘−ジーt−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
ドープA−3
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
セルロースアセテート (アセチル置換度 2.88) 100質量部
化合物16 6質量部
エチルフタリルエチルグリコレート 12質量部
UV−1 0質量部
UV−6 4質量部
UV−8 2質量部
メチレンクロライド 475質量部
エタノール 50質量部
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
ドープA−4
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セルロースアセテートプロピオネート
(アセチル置換度1.9、プロピオニル置換度0.8) 100質量部
トリフェニルホスフィン 9質量部
エチルフタリルエチルグリコレート 3質量部
UV−1 0.4質量部
UV−6 0.8質量部
UV−8 0.8質量部
メチレンクロライド 475質量部
エタノール 50質量部
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
マット剤溶液B組成
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
平均粒径16nmのシリカ粒子
(AEROSIL R972、日本アエロジル(株)製 2.2質量部
セルローストリアセテート(アセチル置換度2.88) 2.0質量部
トリフェニルフォスフェート(可塑剤1) 0.2質量部
ビフェニルフォスフェート(可塑剤2) 0.1質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 85.5質量部
エタノール(第2溶媒) 10.0質量部
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
[流延製膜]
(セルロースエステルフィルムB−1の作製)
ドープA01(98.7重量部)およびマット剤溶液B(1.3重量部)を混合したドープを35℃に温度調整し、ダイスに送液して、ダイスリットからエンドレスステンレスベルトからなる金属支持体上に均一に流延した。エンドレスステンレスベルトの流延部は裏面から35℃の温水で循環した金属ロールを内側から内接し、加熱した。流延後、支持体上のドープ膜(ステンレスベルトに流延以降はウェブということにする)に44℃の温風をあてて乾燥させ、流延から90秒後に剥離残留溶媒量を40質量%として剥離し、多数のロールで搬送させながら乾燥させた。剥離部のエンドレスステンレスベルトの温度は10℃とした。剥離されたウェブは、50℃に設定された第1乾燥ゾーンを1分間搬送させた後、第2乾燥ゾーン入り口にて80℃としてテンターでウェブ端部を把持し、90℃で幅手方向に1.1倍に延伸した。延伸後、その幅を維持したまま数秒間保持した後、幅保持を解放し、更に125℃に設定された第3乾燥ゾーンで20分間搬送させて、乾燥を行い、膜厚80μmのセルロースエステルフィルム試料B01を得た。
ドープA01のかわりに用いるドープの種類、および流延後のフィルム試料の膜厚が下記の表に記載の値となるほかは、セルロースフィルム試料A01と同様の方法により流延製膜を行い、セルロースフィルム試料フィルム試料B02〜B05を作製した。
フィルム試料 ドープ 膜厚
B−1 A−1 80μm
B−2 A−1 40μm
B−3 A−2 60μm
B−4 A−3 80μm
B−5 A−4 80μm
B−6 A−4 40μm
<<実施例2>>
〔被覆層用塗布液の調整〕
<被覆層用塗布液2−1>
(PVA(4%))
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
純水 375g
イソプロピルアルコール 202g
PVA124C 24g
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
純水とイソプロピルアルコールを70℃に昇温し、攪拌しながらPVA124Cを少しずつ添加し、PVA124Cが溶解するまで攪拌を続けた。PVA124C溶解後、室温に戻し、重量減少分の溶媒量を補正した。
(被覆層用塗布液2−1)
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
イソプロピルアルコール 19g
純水 47g
テトラエトキシシラン 27g
0.1N−HCl 1.3g
PVA(4%) 106g
N,N−ジメチルベンジルアミン 0.002g
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
<被覆層用塗布液2−2>
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
純水 47g
エタノール 19g
テトラエトキシシラン 29g
0.1N−HCl 1.3g
γ―アクリロキシプロピルトリメトキシシラン 2.22g
N,N−ジメチルベンジルアミン 0.002g
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
<被覆層用塗布液2−3>
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
純水 47g
エタノール 19g
テトラエトキシシラン 29g
0.1N−HCl 1.3g
γ−アミノプロピルトリメトキシシラン 2.22g
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
<被覆層用塗布液2−4>
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
純水 47g
エタノール 19g
テトラエトキシシラン 28g
0.1N−HCl 1.3g
γ―アクリロキシプロピルトリメトキシシラン 1.52g
γ−アミノプロピルトリメトキシシラン 1.52g
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
<被覆層用塗布液2−5>
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
イソプロピルアルコール 19g
純水 47g
テトラエトキシシラン 24.78g
0.1N−HCl 1.3g
PVA(4%) 106g
γ―アクリロキシプロピルトリメトキシシラン 2.22g
N,N−ジメチルベンジルアミン 0.002g
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
<被覆層用塗布液2−6>
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
イソプロピルアルコール 19g
純水 47g
テトラエトキシシラン 24.78g
0.1N−HCl 1.3g
PVA(4%) 106g
γ−アミノプロピルトリメトキシシラン 2.22g
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
<被覆層用塗布液2−7>
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
イソプロピルアルコール 19g
純水 47g
テトラエトキシシラン 24.78g
0.1N−HCl 1.3g
PVA(4%) 106g
γ―アクリロキシプロピルトリメトキシシラン 1.11g
γ−アミノプロピルトリメトキシシラン 1.11g
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
<被覆層用塗布液2−8>
(両末端トリエトキシシラン化合物Aの合成)
γ−アミノプロピルトリメトキシシラン1molとレゾルシノールジグリシジルエーテル0.5molを、メタノール溶媒中、60℃で5時間反応させて、両末端トリエトキシシラン化合物Aを得た。
(被覆層用塗布液2−8)
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
メタノール 23g
純水 40g
テトラメトキシシラン 5g
0.1N−HCl 0.3g
両末端トリエトキシシラン化合物A 2g
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
(被覆層用塗布液2−9)
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
メタノール 23g
純水 40g
テトラメトキシシラン 5g
0.1N−HCl 0.3g
両末端トリエトキシシラン化合物A 1.5g
γ―アクリロキシプロピルトリメトキシシラン 0.5g
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
<被覆層用塗布液2−10>
(両末端トリエトキシシラン化合物Bの合成)
γ−アミノプロピルトリメトキシシラン1molとビスフェノールAジグリシジルエーテル0.5molとを、メタノール溶媒中で、60℃で5時間反応させて、両末端トリエトキシシラン化合物Bを得た。
(被覆層用塗布液2−10)
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
メタノール 23g
純水 40g
テトラメトキシシラン 5g
0.1N−HCl 0.3g
両末端トリエトキシシラン化合物B 2g
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
(実施例2−1の偏光板用保護フィルムの作製)
(コロナ放電処理)
80μmの厚さのトリアセチルセルロースフィルム(TAC−TD80U、富士フイルム(株)製)をロール形態で巻き出して、搬送速度105m/分で搬送した状態で、727J/mの条件で概支持体表面にコロナ放電処理を行った。
(被覆層の塗設)
コロナ放電処理済の80μmの厚さのトリアセチルセルロースフィルムをロール形態で巻き出して、マイクログラビアコーターを用いて、被覆層用塗布液2−1をコロナ放電処理をしてある面上に塗布し、120℃で10分乾燥して、巻き取った。被覆層の乾燥膜厚は1.2μmであった。
(ハードコート層の塗設)
被覆層を塗設した80μmの厚さのトリアセチルセルロースフィルムをロール形態で巻き出して、マイクログラビアコーターを用いて、ハードコート層用塗布液1を偏光板保護フィルムの下塗り層2上に塗布した。搬送速度30m/分の条件で塗布し、30℃で15秒間、90℃で20秒間乾燥の後、さらに窒素パージ下で160W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照射量90mJ/cm2の紫外
線を照射して塗布層を硬化させ、厚さ6μmの防眩性を有するハードコート層を形成した。
(低屈折率層の塗設)
被覆層およびハードコート層を塗設した80μmの厚さのトリアセチルセルロースフィルムをロール形態で巻き出して、マイクログラビアコーターを用いて、低屈折率層用塗布液1をハードコート層を塗布してある面上に塗布した。120℃で150秒乾燥の後、更に140℃で8分乾燥させてから窒素パージにより酸素濃度0.1%の雰囲気下で240W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照射量300mJ/cm2の紫外線を照射し、厚さ100nmの低屈折率層を形成し、巻き取り、実施例2−1の偏光板用保護フィルムを作製した。
(実施例2−2〜15、比較例2−1〜4の偏光板用保護フィルムの作製)
前処理、下塗り層1、被覆層、下塗り層2、ハードコート層、低屈折率層の前処理、各層の有無、塗布液の種類、膜厚を表5に示す通りに変化させた以外は実施例2−1と同じ方法で実施例2−2〜15、比較例2−1〜4の偏光板用保護フィルムを作製した。ケン化処理、下塗り層の塗設は下記の通りに行った。
(ケン化処理)
80μmの厚さのトリアセチルセルロースフィルム(TAC−TD80U、富士フイルム(株)製)をロール形態で巻き出して、1.5mol/L、55℃のNaOH水溶液中に2分間浸漬したあと、中和、水洗し、ケン化処理済トリアセチルセルロースフィルムを作成した。
(下塗り層1の塗設)
80μmの厚さのトリアセチルセルロースフィルム(TAC−TD80U、富士フイルム(株)製)をロール形態で巻き出して、一方の面(ハードコート層との接着界面となる面)に、下塗り層用塗布液S1を乾燥膜厚が90nmとなるように塗布、乾燥した。
(下塗り層2の塗設)
被覆層を塗設した80μmの厚さのトリアセチルセルロースフィルムをロール形態で巻き出して、被覆層の上に下塗り層用塗布液S1を乾燥膜厚が90nmとなるように塗布、乾燥した。
(下塗り層2の塗設 ゾルb液を用いる場合)
被覆層を塗設した80μmの厚さのトリアセチルセルロースフィルムをロール形態で巻き出して、被覆層の上にゾルb液S1を乾燥膜厚が100nmとなるように塗布し、70℃で120秒間乾燥の後、さらに窒素パージ下で160W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照射量90mJ/cm2の紫外線を照射して塗布層を硬化させた。
(ハードコート層用塗布液6、7を用いた、ハードコート層の形成)
ハードコート層用塗布液6、7のみは、ハードコート層の形成条件を次のように変更した。被覆層を塗設した80μmの厚さのトリアセチルセルロースフィルムをロール形態で巻き出して、リバースグラビアコーターを用いて、ハードコート層用塗布液を被覆層上に塗布し、70℃で180秒間乾燥の後、さらに窒素パージ下で160W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照射量90mJ/cm2の紫外線を照射して塗布層を硬化させ、厚さ6μmの防眩性を有するハードコート層を形成した。
(低屈折率層用塗布液4を用いた、低屈折率層の形成)
低屈折率層用塗布液4は、低屈折率層の形成条件を次のように変更した。被覆層を塗設した80μmの厚さのトリアセチルセルロースフィルムをロール形態で巻き出して、マイクログラビアコーターを用いて、低屈折率層用塗布液4をハードコート層を塗布してある面上に塗布した。90℃で60秒乾燥させてから、窒素パージにより酸素濃度0.1%の雰囲気下で240W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照射量900mJ/cm2の紫外線を照射し、厚さ100nmの低屈折率層を形成した。なお、低屈折率層用塗布液3、5を用いる場合も同じ形成法を用い、低屈折率層用塗布液2は低屈折率用塗布液1と同じ形成法を用いた。
〔偏光子の作製〕
厚さ120μmのポリビニルアルコールフィルムを沃素1質量部、沃化カリウム2質量部、ホウ酸4質量部を含む水溶液に浸漬し50℃で4倍に延伸し偏光子を作製した。
(他の偏光板保護フィルム)
光学異方性層が塗布されているWVフィルム(富士フイルム(株)製)を55℃の1.5mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液中に2分間浸漬したあと、中和、水洗、乾燥した。
〔偏光板の作製〕
偏光板保護フィルム2−1〜15、比較例1−1〜4の被覆層が塗布されていない面と上記鹸化したWVフィルムの光学異方性層が塗布されていない面に、上記偏光子を完全鹸化型ポリビニルアルコール5%水溶液を接着剤として貼合し偏光板を作製した。
〔液晶表示装置の性能〕
TN型液晶セルを使用した液晶表示装置(MRT−191S、三菱電機 製)に設けられている偏光板を剥がし、代わりに本発明の偏光板を、本発明の偏光板保護フィルムを貼りあわせた面が外側(空気界面側)に、且つ偏光板の透過軸が製品に貼られていた偏光板と一致するように粘着剤を介して貼り付けた。暗室にて、液晶表示装置を表示して、目視により以下の特性を評価した。
<高湿および低湿処理後の光漏れ評価(周辺ムラ評価)>
液晶表示装置を60℃90%50時間、または70℃10%50時間処理後に、25℃60%の環境下で2時間放置した後、液晶表示装置を黒表示させ、正面からの光漏れを複数の観察者により目視評価する。
◎ 光漏れは観察されなかった
△ 光漏れがあるが問題の無いレベルであった
× 光漏れがはっきり観察された
得られた偏光板用保護フィルム、偏光板、液晶表示装置の評価結果を表6にまとめる。本発明の偏光板は偏光度、着色の問題が無く、周辺ムラを抑制でき、実用上で好ましい性能を示した。また、耐擦傷性、防塵性が良好で、低反射率、表面散乱性による映り込みも低減できる、画像表示装置の表面に用いるのに好ましい性能を示した。
Figure 2008015500
Figure 2008015500
(実施例2−16)
下塗り層1、2を下記の通りに変更する以外は実施例2−14と同じ方法で実施例2−16の偏光板用保護フィルム、偏光板、液晶表示装置を作成し、評価した結果、防塵性、偏光板性能の耐光性が向上した。
下塗り層S2、S3は下記に示すように塗設を行った。
(下塗り層S2の塗設)
80μmの厚さのトリアセチルセルロースフィルム(TAC−TD80U、富士フイルム(株)製)をロール形態で巻き出して、ハードコート層を塗設する面に下記の方法で二層塗布した。
搬送速度105m/分条件で搬送した状態で、下塗り層用塗布液S2の1層目塗布液をバーコート法により塗布した。塗布量は、7.1cc/mとし、エアー浮上乾燥ゾーンで180℃1分乾燥することで帯電防止層を得た。
続いて、搬送速度105m/分を保ったまま、下塗り層S2の1層目の上に下塗り層用塗布液S2の2層目塗布液をバーコート法により塗布した。塗布量は、5.05cc/mとし、エアー浮上乾燥ゾーンで160℃1分乾燥することで2層構成の下塗り層S2を得た。
(下塗り層S3の塗設)
被覆層付きの80μmの厚さのトリアセチルセルロースフィルムをロール形態で巻き出して、被覆層上に下記の方法で二層塗布した。
搬送速度105m/分条件で搬送した状態で、下塗り層用塗布液S3の1層目塗布液をバーコート法により塗布した。塗布量は、5.05cc/mとし、エアー浮上乾燥ゾーンで180℃1分乾燥することで下塗り層1層目を得た。
続いて、搬送速度105m/分を保ったまま、下塗り層S3の1層目上に下塗り層用塗布液S3の2層目塗布液をバーコート法により塗布した。塗布量は、8.7cc/mとし、エアー浮上乾燥ゾーンで160℃1分乾燥することで2層構成の下塗り層S3を得た。
(実施例2−17〜22)
ハードコート層、低屈折率層を表7に示す通りに変化させた以外は実施例2−1と同じ方法で実施例2−17〜22の偏光板用保護フィルム、偏光板、液晶表示装置を作成し、評価した結果、他の性能を悪化させずに、表8に示すように反射性能が変化し、各種アプリケーションに合せた偏光板保護フィルムの選択が可能になった。
実施例2−17および実施例2−19はクリア感がある面では優れているものの、他の実施例と比較すると、干渉ムラが多少ある面で劣っていた。本発明の表面保護フィルムは干渉ムラの観点で、表面散乱を付与することが好ましいことが判った。また、実施例17と19を比較すると、干渉ムラの観点からは、両者間で実施例17の方が優れていることが判った。偏光板保護フィルムに内部散乱を付与するのは、干渉ムラ低減の観点で好ましいことが判った。
Figure 2008015500
(実施例2−23)
ハードコート層および低屈折率層を設けない以外は実施例2−1と同じ方法で実施例2−23を作製した。実施例2−23は耐擦傷性、防塵性が劣るものの、それ以外の性能は良好であり、画像表示装置の内側(視認者側から見て液晶セルの裏側)に用いるのには十分な性能を示した。
(実施例2−24)
被覆層用塗布液2−10に代えた以外は実施例2−12と同じ方法で実施例2−24の偏光板用保護フィルム、偏光板、液晶表示装置を作成し、評価した結果、実施例2−12とほぼ同様の性能が得られた。
(偏光板T2)
WVフィルムを通常のTAC(TD80 富士フィルム(株)製)とした以外は実施例2−3と全く同様にして偏光板T2を作成した。
(偏光板Z2)
WVフィルムを低レターデーションTAC(Z−TAC 富士フィルム(株)製。Re=1nm、Rth=-3nm)とした以外は実施例2−3と全く同様にして偏光板Z2を作成した。
〔液晶表示装置の性能〕
さらに、VA型液晶表示装置(LC−26GD3 シャープ製)に設けられている偏光板を位相差膜を残したまま剥がし、代わりに本発明の偏光板T2を偏光板の透過軸が製品に貼られていた偏光板と一致するように貼り付けた。
IPS型液晶表示装置(Th−26LX300 松下製)に設けられている偏光板を剥がし、代わりに本発明の偏光板Z2を偏光板の透過軸が製品に貼られていた偏光板と一致するように貼り付けた。
また、IPS型液晶表示装置(32LC100 東芝製)に設けられている偏光板を表側の位相差膜を残し、裏側の位相差膜は剥がし、代わりに本発明の偏光板Z2を偏光板の透過軸が製品に貼られていた偏光板と一致するように貼り付けた。
いずれも被覆層が塗設してある側が外側になるように貼り付けた。
いずれの液晶表示装置も、本発明の偏光板を用いることで、周辺ムラが有意に低減できることが確認できた。また、画像表示装置の表面に用いるのに十分な耐擦傷性、反射率であった。
また、実施例2−1〜24の装置については、バックライト側の偏光板だけを偏光板T2に替え、さらにバックライト側に輝度向上フィルム(DBEF 3M製)を入れた液晶表示装置を作製し、周辺ムラ他の性能を悪化させることが無く、ディスプレイの輝度が向上した。
さらに、輝度向上フィルムを用いた装置において、輝度向上フィルムと接する偏光板保護フィルムにレターデーションのきわめて小さいZ-TACを用いた装置では視野角の色味変化が小さいことが認められた。
また、輝度向上フィルムを入れた液晶表示装置で、輝度向上フィルムを偏光板を粘着剤によって密着させたフィルムでは、更に過酷な条件下でも周辺ムラが発生しないことが判った。
透明基材フィルムとして上記の実施例に用いたTD80−ULの代りに、下記の通りに作成したセルロースアシレートフィルムを用いた以外は上記の実施例2−1〜24と同じ方法で偏光板保護フィルム、偏光板、画像表示装置を作成して評価した結果、他の性能に影響を及ぼさずに、偏光板耐久性がさらに向上した。
(セルロースアシレート溶液の調製)
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、攪拌して各成分を溶解し、セルロースアシレート溶液Aを調製した。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
セルロースアシレート溶液A組成
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
セルローストリアセテート(アセチル置換度2.86) 100.0質量部
トリフェニルフォスフェート(可塑剤1) 6.0質量部
ビフェニルフォスフェート(可塑剤2) 3.0質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 402.0質量部
メタノール(第2溶媒) 60.0質量部
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
(マット剤溶液の調製)
下記の組成物を分散機に投入し、攪拌して各成分を溶解し、マット剤溶液Aを調製した。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
マット剤溶液A組成
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
平均粒径16nmのシリカ粒子
(AEROSIL R972、日本アエロジル(株)製 2.2質量部
セルローストリアセテート(アセチル置換度2.88) 2.0質量部
トリフェニルフォスフェート(可塑剤1) 0.2質量部
ビフェニルフォスフェート(可塑剤2) 0.1質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 83.5質量部
メタノール(第2溶媒) 12.0質量部
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
(紫外線吸収剤溶液の調製)
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、加熱しながら攪拌して、各成分を溶解し、紫外線吸収剤溶液Aを調製した。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
紫外線吸収剤溶液A組成
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
UV−1(紫外線吸収剤1) 3.0質量部
UV−10(紫外線吸収剤2) 12.0質量部
セルローストリアセテート(アセチル置換度2.86) 4.4質量部
トリフェニルフォスフェート(可塑剤1) 0.4質量部
ビフェニルフォスフェート(可塑剤2) 0.2質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 70.0質量部
メタノール(第2溶媒) 10.0質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
(セルロースアシレートフィルム1の作製)
セルロースアシレート溶液Aを97.4質量部、マット剤溶液Aを1.3質量部、紫外線吸収剤溶液A1.3質量部それぞれを濾過後に混合し、バンド流延機を用いて流延した。残留溶剤が60%でフィルムをバンドから剥離し、100℃の条件でフィルムをクリップテンターを用いて幅を保持し、5%延伸後の幅のまま130℃で30秒間保持した。その後、クリップを外して130℃で40分間乾燥させ(乾燥(1))、セルロースアシレートフィルムを製造した。出来あがったセルロースアシレートフィルムの残留溶剤量は0.2%であり、膜厚は80μmであった。
透明基材フィルムとして上記の実施例に用いたTD80−ULの代りに、下記の通りに作成したセルロースアシレートフィルムを用いた以外は上記の実施例1−1〜16と同じ方法で偏光板保護フィルム、偏光板、画像表示装置を作成して評価した結果、他の性能に影響を及ぼさずに、厚みを変化させることができ、偏光板保護フィルムの厚みの選択肢を増やすことができた。。
[ドープの調整]
下記組成の各ドープ組成物、マット剤溶液Bを耐圧密閉タンクに攪拌しながら投入した後、80℃にて3時間加熱を行ってドープを完全に溶解した後、さらに濾過を行い、ドープ組成物を調整した。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
ドープA−1
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
セルロースアセテート (アセチル置換度 2.88) 100質量部
トリフェニルホスフィン 9質量部
エチルフタリルエチルグリコレート 3質量部
UV−1 0.4質量部
UV−6 0.8質量部
UV−8 0.8質量部
メチレンクロライド 475質量部
エタノール 50質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
ドープA−2
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
セルロースアセテート (アセチル置換度 2.88) 100質量部
トリフェニルホスフィン 11質量部
UV−1 0.8質量部
UV−11 0.8質量部
メチレンクロライド 475質量部
エタノール 50質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
但し、UV−11:2−(2‘−ヒドロキシ−3’,5‘−ジーt−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
ドープA−3
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
セルロースアセテート (アセチル置換度 2.88) 100質量部
化合物16 6質量部
エチルフタリルエチルグリコレート 12質量部
UV−1 0質量部
UV−6 4質量部
UV−8 2質量部
メチレンクロライド 475質量部
エタノール 50質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
ドープA−4
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
セルロースアセテートプロピオネート
(アセチル置換度1.9、プロピオニル置換度0.8) 100質量部
トリフェニルホスフィン 9質量部
エチルフタリルエチルグリコレート 3質量部
UV−1 0.4質量部
UV−6 0.8質量部
UV−8 0.8質量部
メチレンクロライド 475質量部
エタノール 50質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
マット剤溶液B組成
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
平均粒径16nmのシリカ粒子
(AEROSIL R972、日本アエロジル(株)製 2.2質量部
セルローストリアセテート(アセチル置換度2.88) 2.0質量部
トリフェニルフォスフェート(可塑剤1) 0.2質量部
ビフェニルフォスフェート(可塑剤2) 0.1質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 85.5質量部
エタノール(第2溶媒) 10.0質量部
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
[流延製膜]
(セルロースエステルフィルムB−1の作製)
ドープA01(98.7重量部)およびマット剤溶液B(1.3重量部)を混合したドープを35℃に温度調整し、ダイスに送液して、ダイスリットからエンドレスステンレスベルトからなる金属支持体上に均一に流延した。エンドレスステンレスベルトの流延部は裏面から35℃の温水で循環した金属ロールを内側から内接し、加熱した。流延後、支持体上のドープ膜(ステンレスベルトに流延以降はウェブということにする)に44℃の温風をあてて乾燥させ、流延から90秒後に剥離残留溶媒量を40質量%として剥離し、多数のロールで搬送させながら乾燥させた。剥離部のエンドレスステンレスベルトの温度は10℃とした。剥離されたウェブは、50℃に設定された第1乾燥ゾーンを1分間搬送させた後、第2乾燥ゾーン入り口にて80℃としてテンターでウェブ端部を把持し、90℃で幅手方向に1.1倍に延伸した。延伸後、その幅を維持したまま数秒間保持した後、幅保持を解放し、更に125℃に設定された第3乾燥ゾーンで20分間搬送させて、乾燥を行い、膜厚80μmのセルロースエステルフィルム試料B01を得た。
ドープA01のかわりに用いるドープの種類、および流延後のフィルム試料の膜厚が下記の表に記載の値となるほかは、セルロースフィルム試料A01と同様の方法により流延製膜を行い、セルロースフィルム試料フィルム試料B02〜B05を作製した
フィルム試料 ドープ 膜厚
B−1 A−1 80μm
B−2 A−1 40μm
B−3 A−2 60μm
B−4 A−3 80μm
B−5 A−4 80μm
B−6 A−4 40μm
<<実施例4>>
〔被覆層用塗布液の調整〕
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、室温にて1時間攪拌攪拌することで被服層用塗布液4−1〜4−4、4−6〜4−10を調整した。
<被覆層用塗布液4−1>
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
化合物4−1 90重量部
DPHA 10重量部
グリシジルメタクリレート 5重量部
Irg.907 3重量部
MEK 90重量部
MIBK 60重量部
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
<被覆層用塗布液4−2>
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
化合物4−1 100重量部
Irg.907 3重量部
MEK 90重量部
MIBK 60重量部
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
<被覆層用塗布液4−3>
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
化合物4−1 90重量部
DPHA 10重量部
Irg.907 3重量部
MEK 90重量部
MIBK 60重量部
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
<被覆層用塗布液4−4>
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
化合物4−1 90重量部
DPHA 10重量部
グリシジルメタクリレート 5重量部
Irg.907 3重量部
MIBK 150重量部
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
<被覆層用塗布液4−6>
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
DPHA 100重量部
Irg.907 3重量部
MEK 90重量部
MIBK 60重量部
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
<被覆層用塗布液4−7>
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
化合物4−2 90重量部
DPHA 10重量部
Irg.907 3重量部
MEK 90重量部
MIBK 60重量部
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
<被覆層用塗布液4−8>
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
化合物4−2 90重量部
DPHA 10重量部
グリシジルメタクリレート 5重量部
Irg.907 3重量部
MEK 90重量部
MIBK 60重量部
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
<被覆層用塗布液4−9>
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
化合物4−3 90重量部
DPHA 10重量部
Irg.907 3重量部
MEK 90重量部
MIBK 60重量部
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
<被覆層用塗布液4−10>
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
化合物4−3 90重量部
DPHA 10重量部
グリシジルメタクリレート 5重量部
Irg.907 3重量部
MEK 90重量部
MIBK 60重量部
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
<被覆層用塗布液4−5>
ミキシングタンクにMIBK(60重量部)とMEK(90重量部)を入れた後、攪拌しながらソマシフMPE(コープケミカル社製)10重量部を添加した。添加した後、US分散装置にて4℃の冷水で冷却しながら10分間分散処理を行った。分散処理を行った後、更に化合物4−1(90重量部)、DPHA(10重量部)、グリシジルメタクリレート(3重量部)を投入した後、攪拌を行い4℃の冷水で冷却しながらUS分散処理を更に30分行うことで、被覆層用塗布液4−5を作成した。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
ソマシフ MPE 10重量部
化合物4−1 90重量部
DPHA 10重量部
グリシジルメタクリレート 5重量部
Irg.907 3重量部
MEK 90重量部
MIBK 60重量部
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
<被覆層用塗布液4−11>
被覆層用塗布液4−5と同様の方法により被服層用塗布液4−11を作成した。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
ソマシフMPE 10重量部
化合物4−3 90重量部
DPHA 10重量部
グリシジルメタクリレート 5重量部
Irg.907 3重量部
MEK 90重量部
MIBK 60重量部
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
<被覆層用塗布液4−12>
ミキシングタンクにH2O(810重量部)を入れ、攪拌しながらP−10(90重量部)を添加して完全に溶解するまで1時間攪拌した。更に、ジアルデヒドデンプン(10重量部)、p−トルエンスルホン酸(0.2重量部)を攪拌しながら添加したのち、更に30分攪拌することで、被覆層用塗布液4−12を作成した。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
P−10 90重量部
H2O 810重量部
ジアルデヒドデンプン 18重量部
p−トルエンスルホン酸 0.2重量部
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
<被覆層用塗布液4−13>
被覆層用塗布液4−12と同様の方法により被覆層用塗布液4−13を作成した。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
P−10 90重量部
H2O 810重量部
ジアルデヒドデンプン 18重量部
DENACOL EX−321 5重量部
p−トルエンスルホン酸 0.2重量部
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
<被覆層用塗布液4−14>
ミキシングタンクにH2O(810重量部)を入れ、攪拌しながらP−10(90重量部)を添加して完全に溶解するまで1時間攪拌した。更に、攪拌しながらソマシフME−100(コープケミカル社製)10重量部を添加した。添加した後、US分散装置にて4℃の冷水で冷却しながら10分間分散処理を行った。分散処理を行った後、更にジアルデヒドデンプン(18重量部)、DENACOL EX−321(3重量部)、を投入した後、攪拌を行い4℃の冷水で冷却しながらUS分散処理を更に30分行い、その後、攪拌しながらp−トルエンスルホン酸(0.2重量部)を添加し、更に30分攪拌することで、被覆層用塗布液4−14を作成した。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
P−10 90重量部
H2O 810重量部
ソマシフ ME−100 10重量部
ジアルデヒドデンプン 18重量部
DENACOL EX−321 5重量部
p−トルエンスルホン酸 0.2重量部
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
<被覆層用塗布液4−15>
ミキシングタンク内を窒素雰囲気にしたのち、メタノール(150重量部)を入れ、攪拌しながらエポミンSP−003(40重量部)、γ―グリコシドキシプロピルトリメトキシシラン(60重量部)を入れ、更に窒素雰囲気下、65℃にて3時間攪拌した。更にTMOS(400重量部)、メタノール(60重量部)を添加した後、1時間攪拌することで、被覆層用塗布液4−15を作成した。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
エポミンSP−003 40重量部
γ―グリコシドキシプロピルトリメトキシシラン 60重量部
メタノール 150重量部
TMOS 400重量部
メタノール 60重量部
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
<オーバーコート用塗布液4−15B>
また、別のミキシングタンクにMEK(200重量部)を入れた後、攪拌しながらコロネートL(30重量部)、ニッポラン(150重量部)を添加した後1時間攪拌して完全に溶解させ、オーバーコート用塗布液4−15Bを作成した。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
コロネートL 40重量部
ニッポラン 150重量部
MEK 200重量部
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
<被覆層用塗布液4−16>
被覆層用塗布液4−15と同様にして、4−16を作成した。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
エポミンSP−003 40重量部
γ―グリコシドキシプロピルトリメトキシシラン 60重量部
メタノール 150重量部
TMOS 400重量部
DENACOL EX−321 20重量部
メタノール 60重量部
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
<被覆層用塗布液4−17>
ミキシングタンク内を窒素雰囲気にしたのち、メタノール(150重量部)を入れ、攪拌しながらエポミンSP−003(40重量部)、γ―グリコシドキシプロピルトリメトキシシラン(60重量部)を入れ、更に窒素雰囲気下、65℃にて3時間攪拌した。更にTMOS(400重量部)、DENACOL EX−321(5重量部)、メタノール(60重量部)を添加した後、完全に溶解するまで1時間攪拌した。更に、攪拌しながらソマシフMPE(コープケミカル社製)10重量部を添加した。添加した後、攪拌とUS分散装置にて4℃の冷水で冷却しながら30分間分散処理を行い被覆層用塗布液4−17を作成した。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
エポミンSP−003 40重量部
γ―グリコシドキシプロピルトリメトキシシラン 60重量部
メタノール 150重量部
TMOS 400重量部
DENACOL EX−321 20重量部
メタノール 60重量部
ソマシフ MPE 10重量部
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
化合物4−1:トリシクロデカンジイルジメタジアクリレート
化合物4−2:ジアクリル酸−2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,9−ヘプタデカフルオロノニルエチレングリコール
化合物4−3:パーフルオロオレフィン共重合体(1)
PO−10:デンプン系オリゴ糖、東和化成工業(株)製
ジアルデヒドデンプン:シグマケミカル社製
エポミンSP−003:ポリエチレンイミン、日本触媒(株)製
ニッポラン1100:ポリオール含有塗料、日本ポリウレタン工業(株)製
コロネートL:イソシアネート含有塗料、日本ポリウレタン工業(株)製
Irg.907:イルガキュア907(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)
DPHA:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート
作成した塗布液を表9に示す。
Figure 2008015500
(実施例4−2の偏光板用保護フィルムの作製)
(被覆層の塗設)
トリアセチルセルロース(TAC−TD80U、富士フイルム(株)製)の表面にバーコーターをロール形態で巻き出して、被覆層用塗布液4−1を乾燥後の膜厚が4μmとなるように片方の表面に塗設し、80℃にて2分間乾燥させた後、窒素パージ下で160W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照射量60mJ/cm2の紫外線を照射して硬化処理を行い、被覆層付フィルム試料4−2を作成した。
(ハードコート層の塗設)
被覆層付フィルム試料4−2をロール形態で巻き出して、スロットルダイを有するコーターを用いて、ハードコート層用塗布液1をバックアップロール上の偏光板保護フィルムの下塗り層2上に直接押し出して塗布した。搬送速度30m/分の条件で塗布し、30℃で15秒間、90℃で20秒間乾燥の後、さらに窒素パージ下で160W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照射量90mJ/cm2
の紫外線を照射して塗布層を硬化させ、厚さ6μmの防眩性を有するハードコート層を形成した。
(低屈折率層の塗設)
ハードコート層および被覆層付フィルム試料4−2をロール形態で巻き出して、マイクログラビアコーターを用いて、低屈折率層用塗布液1をハードコート層を塗布してある面上に塗布した。120℃で150秒乾燥の後、更に140℃で8分乾燥させてから窒素パージにより酸素濃度0.1%の雰囲気下で240W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照射量300mJ/cm2の紫外線を照射し、厚さ100nmの低屈折率層を形成し、巻き取り、反射防止層付フィルム試料4−2の偏光板用保護フィルムを作製した。
(実施例4−1、4−3〜4−14の偏光板用保護フィルムの作製)
鹸化処理、被覆層、ハードコート層、低屈折率層、塗布液の種類、膜厚を表9に示す通りに変化させた以外は実施例4−2と同じ方法で実施例4−1、4−3〜4−14の偏光板用保護フィルムを作製した。
(鹸化処理)
80μmの厚さのトリアセチルセルロースフィルム(TAC−TD80U、富士フイルム(株)製)をロール形態で巻き出して、2.0mol/L、60℃のNaOH水溶液中に30秒間浸漬したあと、中和、水洗し、鹸化処理済トリアセチルセルロースフィルムを作成した。鹸化処理を施した後の表面の水の接触角は20°だった。
(実施例4−15の〜17偏光板用保護フィルムの作製)
(被覆層4−12の塗設)
鹸化済みトリアセチルセルロースの表面にバーコーターをロール形態で巻き出して、被覆層用塗布液4−12を乾燥後の膜厚が2μmとなるように片方の表面に塗設し、100℃にて2分間乾燥させた後、更に50℃にて20時間エージング処理を行い、被覆層付フィルム試料4−15を作成した。
(被覆層4−13〜14の塗設)
被覆層用塗布液4−12の替わりに、被覆層用塗布液4−13〜14を用いる以外は被覆層4−12と同様の方法にて、被覆層4−13、4−14を塗設した被覆層付フィルム試料4−16〜17を作成した。
(偏光板用保護フィルムの作製)
被覆層付フィルム試料4−15〜4−17を用い、ハードコート層、低屈折率層、塗布液の種類、膜厚を表9に示す通りに変化させた以外は実施例4−2と同じ方法で実施例4−15〜4−17の偏光板用保護フィルムを作製した。
(実施例4−18の〜20偏光板用保護フィルムの作製)
(被覆層4−15の塗設)
鹸化済みトリアセチルセルロースの表面にバーコーターをロール形態で巻き出して、被覆層用塗布液4−15を乾燥後の膜厚が1.5μmとなるように片方の表面に塗設し、80℃にて30秒乾燥させた後、更に40℃60%にて100時間エージング処理を行った後、更にオーバーコート用塗布液4−15Bを乾燥膜厚として0.2μmとなるように塗設した後、100℃にて15秒乾燥させた後、40℃にて100時間エージング処理を行い、被覆層付フィルム試料4−18を作成した。
(被覆層4−16〜17の塗設)
被覆層用塗布液4−15の替わりに、被覆層用塗布液4−16〜4−17を用いる以外は被覆層4−15と同様の方法にて、被覆層4−16、4−17を塗設した被覆層付フィルム試料4−19〜20を作成した。
(偏光板用保護フィルムの作製)
被覆層付フィルム試料4−18〜4−20を用い、ハードコート層、低屈折率層、各層の有無、塗布液の種類、膜厚を表9に示す通りに変化させた以外は実施例4−2と同じ方法で実施例4−18〜4−20の偏光板用保護フィルムを作製した。
作成した偏光板用保護フィルムを表10に示す。
Figure 2008015500
作成した被覆層付フィルム試料4−1〜4−20について、透湿度、密着性、および60℃95%RHにおける50時間のサーモ処理後の密着性(耐久性密着)を評価し、また実施例4−1〜4−20の偏光板用保護フィルムについて、膜質評価、光学特性の評価を行った。その結果を表11に示す。
〔偏光子の作製〕
厚さ120μmのポリビニルアルコールフィルムを沃素1質量部、沃化カリウム2質量部、ホウ酸4質量部を含む水溶液に浸漬し50℃で4倍に延伸し偏光子を作製した。
(他の偏光板保護フィルム)
光学異方性層が塗布されているWVフィルム(富士フイルム(株)製)を55℃の1.5mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液中に2分間浸漬したあと、中和、水洗、乾燥した。
〔偏光板の作製〕
偏光板保護フィルム4−1〜17の被覆層が塗布されていない面と上記鹸化したWVフィルムの光学異方性層が塗布されていない面に、上記偏光子を完全鹸化型ポリビニルアルコール5%水溶液を接着剤として貼合し偏光板を作製した。
〔液晶表示装置の性能〕
TN型液晶セルを使用した液晶表示装置(MRT−191S、三菱電機 製)に設けられている偏光板を剥がし、代わりに本発明の偏光板を、本発明において設置した被覆層が外側(空気界面側)となるように、且つ偏光板の透過軸が製品に貼られていた偏光板と一致するように粘着剤を介して貼り付けた。暗室にて、液晶表示装置を表示して、目視により以下の特性を評価した。
<高湿および低湿処理後の光漏れ評価(周辺ムラ評価)>
液晶表示装置を60℃90%50時間、または70℃10%50時間処理後に、25℃60%の環境下で2時間放置した後、液晶表示装置を黒表示させ、正面からの光漏れを複数の観察者により目視評価する。
◎ 光漏れは観察されなかった
△ 光漏れがあるが問題の無いレベルであった
× 光漏れがはっきり観察された
得られた偏光板用保護フィルム、偏光板、液晶表示装置の評価結果を表11にまとめる。本発明の偏光板は偏光度、着色の問題が無く、周辺ムラを抑制でき、実用上で好ましい性能を示した。また、耐擦傷性、防塵性が良好で、低反射率、表面散乱性による映り込みも低減できる、画像表示装置の表面に用いるのに好ましい性能を示した。
Figure 2008015500
(実施例4−21〜36)
被覆層付フィルム試料として4−2、4−13、4−16を使用し、ハードコート層、低屈折率層を表12に示す通りに変化させた以外は実施例4−2と同じ方法で実施例4−21〜36の偏光板用保護フィルム、偏光板、液晶表示装置を作成し、評価した結果、他の性能を悪化させずに、表13に示すように反射性能が変化し、各種アプリケーションに合せた偏光板保護フィルムの選択が可能になった。
Figure 2008015500
実施例4−21、4−23、4−29、4−31はクリア感がある面では優れているものの、他の実施例と比較すると、干渉ムラが多少ある面で劣っていた。本発明の表面保護フィルムは干渉ムラの観点で、表面散乱を付与することが好ましいことが判った。また、実施例4−21、4−29と4−23、4−31を比較すると、干渉ムラの観点からは、両者間で実施例4−21、4−29の方が優れていることが判った。偏光板保護フィルムに内部散乱を付与するのは、干渉ムラ低減の観点で好ましいことが判った。
(偏光板T4)
WVフィルムを通常のTAC(TD80 富士フィルム(株)製)とした以外は実施例4−2と全く同様にして偏光板T4を作成した。
(偏光板Z4)
WVフィルムを低レターデーションTAC(Z−TAC 富士フィルム(株)製。Re=1nm、Rth=-3nm)とした以外は実施例4−2と全く同様にして偏光板Z4を作成した。
〔液晶表示装置の性能〕
さらに、VA型液晶表示装置(LC−26GD3 シャープ製)に設けられている偏光板を位相差膜を残したまま剥がし、代わりに本発明の偏光板T4を偏光板の透過軸が製品に貼られていた偏光板と一致するように貼り付けた。
IPS型液晶表示装置(Th−26LX300 松下製)に設けられている偏光板を剥がし、代わりに本発明の偏光板Z4を偏光板の透過軸が製品に貼られていた偏光板と一致するように貼り付けた。
また、IPS型液晶表示装置(32LC100 東芝製)に設けられている偏光板を表側の位相差膜を残し、裏側の位相差膜は剥がし、代わりに本発明の偏光板Z4を偏光板の透過軸が製品に貼られていた偏光板と一致するように貼り付けた。
いずれも被覆層が塗設してある側が外側になるように貼り付けた。
いずれの液晶表示装置も、本発明の偏光板を用いることで、周辺ムラが有意に低減できることが確認できた。また、画像表示装置の表面に用いるのに十分な耐擦傷性、反射率であった。
また、実施例4−2〜4−6、4−8、4−10〜4−14、4−16〜4−18、4−20〜4−22の装置については、バックライト側の偏光板だけを偏光板T4に替え、さらにバックライト側に輝度向上フィルム(DBEF 3M製)を入れた液晶表示装置を作製し、周辺ムラ他の性能を悪化させることが無く、ディスプレイの輝度が向上した。
さらに、輝度向上フィルムを用いた装置において、輝度向上フィルムと接する偏光板保護フィルムにレターデーションのきわめて小さいZ-TACを用いた装置では視野角の色味変化が小さいことが認められた。
また、輝度向上フィルムを入れた液晶表示装置で、輝度向上フィルムを偏光板を粘着剤によって密着させたフィルムでは、更に過酷な条件下でも周辺ムラが発生しないことが判った。
透明基材フィルムとして上記の実施例に用いたTD80−ULの代りに、実施例2にて作成したセルロースアシレートフィルム1を用いた以外は上記の実施例4−2〜4−6、4−8、4−10〜4−14、4−16〜4−18、4−20〜4−22と同じ方法で偏光板保護フィルム、偏光板、画像表示装置を作成して評価した結果、他の性能に影響を及ぼさずに、偏光板耐久性がさらに向上した。
また、透明基材フィルムとして上記の実施例に用いたTD80−ULの代りに、実施例2にて作成したセルロースアシレートフィルム試料B−1〜B−6を用いた以外は上記の実施例4−2〜4−6、4−8、4−10〜4−14、4−16〜4−18、4−20〜4−22と同じ方法で偏光板保護フィルム、偏光板、画像表示装置を作成して評価した結果、他の性能に影響を及ぼさずに、厚みを変化させることができ、偏光板保護フィルムの厚みの選択肢を増やすことができた。
本発明の偏光板保護フィルムを用いた各実施例では、周辺ムラ改善効果は顕著であり、実用上で問題の無いレベルに十分に改善された。着色も実用上で問題無く、好ましい性能を示した。また、耐擦傷性、防塵性が良好で、低反射率、表面散乱性による映り込みも低減できる、画像表示装置の表面に用いるのに好ましい性能を示した。
本発明の偏光板用保護フィルムの好ましい一実施形態を模式的に示す断面図である。 本発明の偏光板の好ましい一実施形態を模式的に示す断面図である。 本発明の画像表示装置の好ましい一実施形態を模式的に示す断面図である。
符号の説明
1 偏光板用保護フィルム
2 透明基材フィルム
3 被覆層
4 ハードコート性を有する層
5 偏光板
6 偏光子
7 反対側の偏光板用保護フィルム
8 液晶表示装置
9 液晶セル

Claims (25)

  1. 低透湿性を有する被覆層がセルロースアシレート類からなる透明基材フィルムの少なくとも片面に形成され、60℃、95%相対湿度での透湿度が300g/m・日以下であることを特徴とする偏光板用保護フィルム。
  2. 透明基材フィルムの膜厚が、30〜120μmである請求項1に記載の偏光板用保護フィルム。
  3. セルロースアシレート類が、セルロースアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、およびセルロースアセテートブチレートから選ばれる少なくとも一つである請求項1または2に記載の偏光板用保護フィルム。
  4. 被覆層がビニルアルコール系重合体を主成分にしてなることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の偏光板用保護フィルム。
  5. 前記ビニルアルコール系重合体の鹸化度が、95モル%以上である請求項4記載の偏光板用保護フィルム。
  6. 前記ビニルアルコール系重合体の重合度が、300以上1700以下である請求項4または5記載の偏光板用保護フィルム。
  7. 前記ビニルアルコール系重合体が、ジアルデヒド、ジイソシアネート、ポリアクリル酸、金属錯体、エポキシ化合物、及びそれらの組合せの群から選択される架橋剤で架橋されている事を特徴とする請求項4〜6のいずれかに記載の偏光板用保護フィルム。
  8. 被覆層がアルコキキシランからなる化合物と、水酸基又はアルコキシル基と反応する官能基を有する化合物およびシランカップリング剤の少なくとも一つを含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の偏光板用保護フィルム。
  9. 被覆層がポリシラザンを含有する塗布組成物から形成されたシリカを主成分とすることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の偏光板用保護フィルム。
  10. 被覆層が疎水的な化合物を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の偏光板用保護フィルム。
  11. 被覆層が糖類とホルミル基含有化合物からなる樹脂組成物を積層してなる層であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の偏光板用保護フィルム。
  12. 被覆層がアミノ基含有高分子化合物とアミノ基反応性官能基含有かつシラノール基含有の有機シラン化合物からなる樹脂組成物を積層してなる層であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の偏光板用保護フィルム。
  13. 被覆層中に粒子径が0.1〜10μmの無機層状化合物を含有することを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載の偏光板用保護フィルム。
  14. 前記無機層状化合物の粒子径が1〜5μmであることを特徴とする請求項13に記載の偏光板用保護フィルム。
  15. 前記無機層状化合物の含有量が15〜60重量%であることを特徴とする請求項13または14に記載の偏光板用保護フィルム。
  16. 前記無機層状化合物の含有量が25〜50重量%であることを特徴とする請求項15に記載の偏光板用保護フィルム。
  17. 被覆層上および被覆層の反対側の少なくとも一方に、少なくともハードコート性を有する層および反射防止層を有する層の内少なくとも一層を有する層を設けたことを特徴とする請求項1〜16のいずれかに記載の偏光板用保護フィルム。
  18. 被覆層の厚みが0.2μm以上40μm以下であることを特徴とする請求項1〜17のいずれかに記載の偏光板用保護フィルム。
  19. 被覆層の厚みが1μm以上10μm以下であることを特徴とする請求項18に記載の偏光板用保護フィルム。
  20. 透明基材フィルムと被覆層の間および被覆層とハードコート性を有する層の間の少なくとも一つに下塗り層を有することを特徴とする請求項1〜19のいずれかに記載の偏光板用保護フィルム。
  21. 透明基材フィルム表面および被覆層表面の少なくとも一方をコロナ放電処理およびグロー放電処理の少なくとも一つの処理をしたことを特徴とする請求項1〜20のいずれかに記載の偏光板用保護フィルム。
  22. 被覆層が少なくとも樹脂成分と塗布溶媒からなる塗布組成物を透明基材上に塗布することで形成されたことを特徴とする請求項1〜21のいずれかに記載の偏光板用保護フィルム。
  23. 塗布溶媒として、透明基材フィルムを膨潤または溶解可能な溶剤を少なくとも1種含有することを特徴とする請求項22に記載の偏光板用保護フィルム。
  24. 偏光膜と、請求項1〜23のいずれかに記載の偏光板用保護フィルムとを有することを特徴とする偏光板。
  25. 請求項24に記載の偏光板を用いたことを特徴とする画像表示装置。
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