JP2008256747A - 偏光板用保護フィルム、及びその製造方法、偏光板、並びに液晶表示装置 - Google Patents

偏光板用保護フィルム、及びその製造方法、偏光板、並びに液晶表示装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2008256747A
JP2008256747A JP2007095625A JP2007095625A JP2008256747A JP 2008256747 A JP2008256747 A JP 2008256747A JP 2007095625 A JP2007095625 A JP 2007095625A JP 2007095625 A JP2007095625 A JP 2007095625A JP 2008256747 A JP2008256747 A JP 2008256747A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
film
layer
coating
preferable
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2007095625A
Other languages
English (en)
Inventor
Katsumi Inoue
克己 井上
Tokuki Oikawa
徳樹 及川
Masaaki Suzuki
雅明 鈴木
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujifilm Corp
Original Assignee
Fujifilm Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fujifilm Corp filed Critical Fujifilm Corp
Priority to JP2007095625A priority Critical patent/JP2008256747A/ja
Publication of JP2008256747A publication Critical patent/JP2008256747A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Polarising Elements (AREA)
  • Liquid Crystal (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)

Abstract

【課題】、優れた低透湿性、及び層間密着性を有し、偏光板加工時に乾燥負荷の小さな偏光板用保護フィルム、耐久性が高い偏光板、及び高湿環境、低湿環境のどちらの環境においても、表示画像品質を、長期にわたり高品位に保つことができる液晶表示装置の提供。
【解決手段】透明基材上に低透湿性を有する被覆層が少なくとも複数層形成されており、前記複数の被覆層は、界面において混合領域を形成し、60℃、95%相対湿度(WVTR95)での透湿度が30g/m・日以上450g/m・日以下であり、60℃40%相対湿度(WVTR40)における透湿度が30g/m・日以下であることを特徴とする偏光板用保護フィルム等である。
【選択図】なし

Description

本発明は、低透湿性を実現するための被覆層を備えた偏光板用保護フィルム、及びその製造方法、該偏光板用保護フィルムを用いた偏光板、並びに該偏光板を用いた液晶表示装置に関する。
最近、液晶表示装置(以下、LCD)が、薄型で、軽量であり、また消費電力が小さいことからCRTの代わりに広く使用されるようになっている。偏光板は、LCDの普及に伴いその需要が急増している。その使用分野も、従来の電卓や時計などの小型品から、自動車用計器、PCのモニタ、テレビといった大型品へ拡大されつつある。
偏光板は、一般に偏光能を有する偏光子の両面又は片面に、接着剤層を介して偏光板用保護フィルム(以下、保護フィルム、又は保護層ということがある)が貼り合わせられている。
偏光子の素材としては、ポリビニルアルコール(以下、PVAということがある。)が主に用いられており、PVAフィルムを一軸延伸してから、ヨウ素又は二色性染料で染色するか、あるいは染色してから延伸し、更にホウ素化合物で架橋することにより偏光子が形成される。
保護フィルムとしては、光学的に透明で複屈折性が小さいこと、表面が平滑であること、鹸化処理によりPVAからなる偏光子との接着性に優れること等から、主にセルローストリアセテート(以下、TACということがある)が用いられている。
ここで、セルローストリアセテートを保護層として用いた場合、長期使用時に、温度や湿度の変化による偏光子のサイズ変化が原因で、表示画像のムラが発生する場合があり、改善が望まれている。
一方、液晶表示装置においても、常時長時間に亘って使用状態にあることが多いので、偏光板は、温湿度変化を有する環境下での長期使用でもLCDの画像品質が劣化しないような、長期の耐久性が要求されるようになってきた。特に、液晶表示装置の輝度向上に伴うバックライトからの発光強度の向上や、バックライトからの温度上昇にも耐えなければならない。
即ち、液晶表示装置の用途の拡大に伴って、より高温や高湿となるような過酷な条件での耐久性が要求されるようになってきた。
偏光板の耐久性に関しては、透湿度の低いフィルムを偏光板用保護フィルムとして使用するという提案(特許文献1参照)や、低透湿性を有する層をセルロースアシレート上に設ける等の提案がなされてきた(特許文献2参照)が、それらの文献には表示ムラの解消に関する記載はない。
また、これらの文献には、透湿度に関しての記載が充分になされておらず、様々な温湿度環境条件下で発生する表示ムラに対して、必ずしも改良効果が充分ではないことが分かった。また、高湿条件に曝された際に発生する光漏れを改良するための透湿度の範囲と、低湿条件に曝された際に発生する光漏れを改良するための透湿度の範囲は異なり、両者の光漏れを改良するために保護フィルムの透湿度を必要以上に下げた場合、偏光板加工時の乾燥負荷が増加し、生産性が著しく低下してしまうことが分かった。
以上のような問題を解決するためには、低透湿性の被覆層を2層以上積層し、好ましい低透湿性を付与することが必要であることを見出した。また、複数の層の内の少なくとも2層の透湿性の被覆層の透湿度の湿度依存性が異なることが特に好ましいことを見出した。
しかし、低透湿性を有する層はポリマーでその分子自体は電離放射線又は熱硬化で架橋可能な基を有さない、又は、架橋可能な基が少なく、かつ、低透湿性を有する2種類の層を形成する場合、その2層は互いに相溶性が異なり、層間の密着性が取りづらいという問題があり、2層間に両方の層と密着性のよい易接着層を設けることも可能であるが、層数が増えると、生産性が悪化する問題がある。
特開平10−101907号公報 特開昭62−161103号公報
本発明は、従来における前記問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、優れた低透湿性、及び層間密着性を有する偏光板用保護フィルムを高い生産性で提供することを目的とする。
また、本発明は、偏光板加工時に乾燥負荷の小さな偏光板用保護フィルムを提供することを目的とする。
また、本発明は加工時の乾燥負荷が小さく、液晶表示装置に適用することで、液晶表示装置を長期にわたり高品質に保つことができ、偏光板自体の耐久性がよい偏光板を提供することを目的とする。
また、本発明は、高湿環境、低湿環境のどちらの環境においても、表示画像品質を、長期にわたり高品位に保つことができる液晶表示装置を提供することを目的とする。
前記課題を解決するための手段は以下の通りである。即ち、
<1> 透明基材上に低透湿性を有する被覆層が少なくとも複数層形成されており、前記複数の被覆層は、界面において混合領域を形成し、60℃、95%相対湿度(WVTR95)での透湿度が20g/m・日以上450g/m・日以下であり、60℃40%相対湿度(WVTR40)における透湿度が30g/m・日以下であることを特徴とするである。
<2> 複数の被覆層の60℃、95%相対湿度での透湿度(WVTR95)に対して、60℃40%相対湿度における透湿度(WVTR40)が、5倍以上である前記<1>に記載の偏光板用保護フィルムである。
<3> 複数の被覆層のうちの1層が、分子量10,000以上の樹脂を含む前記<1>から<2>のいずれかに記載の偏光板用保護フィルムである。
<4> 複数の被覆層の少なくとも一方の被覆層には、他方の被覆層に含まれる少なくとも1つの成分と、架橋可能な添加剤とが含まれる前記<1>から<3>のいずれかに記載の偏光板用保護フィルムである。
<5> 塩素含有ビニル単量体から誘導される繰り返し単位を含む樹脂が、複数の被覆層の少なくとも一方に含まれる前記<1>から<5>のいずれかに記載の偏光板用保護フィルムである。
<6> ポリビニルアルコール、及びその変性体の少なくともいずれかを含む樹脂が、複数の被覆層の少なくとも一方に含まれる前記<1>から<6>のいずれかに記載の偏光板用保護フィルムである。
<7> 被覆層を形成する成分と、溶剤とを含有する被覆層用組成物を透明基材上に塗布し、その後、前記溶剤を乾燥して、前記透明基材上に被覆層を形成する被覆層形成工程を含み、同じ溶剤を用いて複数の被覆層を前記透明基材上に形成することを特徴とする偏光板用保護フィルムの製造方法である。
<8> 塗布溶剤が水である前記<7>に記載の偏光板用保護フィルムの製造方法である。
<9> 複数の被覆層のうち、少なくとも一方の被覆層用塗布組成物の粘度が、10cp以上である前記<7>から<8>のいずれかに記載の偏光板用保護フィルムの製造方法である。
<10> 複数の被覆層のうち、少なくとも一方の被覆層用塗布組成物が、水分散性ラテックスである前記<7>から<9>のいずれかに記載の偏光板用保護フィルムの製造方法である。
<11> 被覆層形成工程が、複数の被覆層用組成物を透明基材上に同時に塗布した後に、乾燥し、複数の被覆層を同時に形成する前記<7>から<10>のいずれかに記載の偏光板用保護フィルムの製造方法である。
<12> 前記<7>から<11>のいずれかに記載の保護フィルムの製造方法によって製造されたことを特徴とする偏光板用保護フィルムである。
<13> 前記<1>から<6>、及び<12>のいずれかに記載の偏光板用保護フィルムと、偏光子とを有することを特徴とする偏光板である。
<14> 前記<13>に記載の偏光板と、液晶セルとを有することを特徴とする液晶表示装置である。
本発明によると、優れた低透湿性、及び層間密着性を有する偏光板用保護フィルムを高い生産性で提供することができる。
また、本発明によれば、偏光板加工時に乾燥負荷の小さな偏光板用保護フィルムを提供することができる。
また、本発明によれば、加工時の乾燥負荷が小さく、液晶表示装置に適用することで、液晶表示装置を長期にわたり高品質に保つことができ、偏光板自体の耐久性がよい偏光板を提供することができる。
また、本発明によれば、高湿環境、低湿環境のどちらの環境においても、表示画像品質を、長期にわたり高品位に保つことができる液晶表示装置を提供することができる。
以下に、本発明に係る偏光板用保護フィルム、偏光板及び液晶表示装置について詳細に説明する。
なお、本実施形態の説明において、「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
また、本実施形態の説明において、「45゜」、「平行」あるいは「直交」とは、厳密な角度±5゜未満の範囲内であることを意味する。厳密な角度との誤差は、4゜未満であることが好ましく、3゜未満であることがより好ましい。また、角度について、「+」は時計周り方向を意味し、「−」は反時計周り方向を意味するものとする。また、「遅相軸」は、屈折率が最大となる方向を意味する。また、「可視光領域」とは、380〜780nmのことをいう。更に、屈折率の測定波長は、特別な記述がない限り、可視光域(λ=550nm)での値である。
また、本実施形態の説明において「偏光板」とは、特別な記述がない限り、長尺の偏光板、及び液晶装置に組み込まれる大きさに裁断された偏光板の両者を含む意味で用いている。なお、ここでいう「裁断」には、「打ち抜き」及び「切り出し」等も含むものとする。
また、本実施形態の説明では、「偏光膜」と「偏光板」とを区別して用いるが、「偏光板」は「偏光膜」の少なくとも片面に該偏光膜を保護する透明保護膜を有する積層体のことを意味するものとする。
本発明の偏光板用保護フィルムについて好適な一実施形態の基本的な構成を、図面を参照しながら説明する。
ここで、図1A〜Bは、本発明の偏光板用保護フィルムの好ましい一実施形態を模式的に示す断面図であるが、本発明の偏光板用保護フィルムはこの形態に限るものではない。
図1Aに示す本発明の偏光板用保護フィルム1は、透明基材フィルム2と、低透湿性を有する被覆層3−1、3−2(以下、被覆層3と記載する場合もある)からなる。
図1Bに示すように、被覆層3の上に第2の層4を設けてもよい。
第2の層4としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択され、ハードコート性を有する層(以下、ハードコート層と記載する場合もある)や反射防止層、又は被覆層3とは異なる被覆層など各種機能層が挙げられる。
第2の層4として好ましくは、ハードコート性を有する層であり、図1Bは代表して第2の層としてハードコート性を有する層を用いた場合を表している。
また、ハードコート性を有する層に内部散乱性や表面散乱性を加えることも好ましい。
更に、表面の反射率を低減する目的から、ハードコート性を有する層の上に反射防止層を設けることも好ましい。
図2A〜Bは本発明の偏光板用保護フィルムを用いた偏光板の一実施形態における構成を示す断面図である。
図2A〜Bに示すように、本発明の偏光板5は、本発明の偏光板用保護フィルム1と、偏光子6と、反対側の偏光板用保護フィルム7とからなる。
図2A〜Bの態様を取る場合には、本発明の偏光板5は、被覆層3−1、3−2と反対の面が偏光子6と貼り合わせられる。
ただし、例えば被覆層3−2が、ポリビニルアルコール、及びその変性体の少なくともいずれかを含む樹脂のような親水的な化合物を含有する場合は、被覆層3−1、3−2側の面が偏光子6と張り合わせられる形態を取るのも好ましく、また、被覆層3−2と偏光子6の間に両方の層に易接着層を設ければ、被覆層3−2の種類に関係なく偏光子6と貼り合せることが可能である。被覆層3−1、3−2側の面が偏光子6と張り合わせられる場合は、ハードコート性を有する層を透明基材フィルム2に対して被覆層3−1、3−2と反対側に設けるのが好ましく、更に、表面の反射率を低減する目的から、ハードコート性を有する層の上に反射防止層を設けることも好ましい。
反対側の偏光板用保護フィルム4は特に制限はなく、セルロースアシレート類からなる基材フィルムやシクロオレフィン系フィルム、ポリカーボネート系フィルム、ラクトン環含有重合体を含む熱可塑性樹脂フィルムなどの各種基材フィルムを用いることができる。生産性の観点からは、低透湿性を有する被覆層のないセルロースアシレート類からなる基材フィルムであることが好ましい。
図3は本発明の偏光板を用いた本発明の画像表示装置の一実施形態における構成を示す断面図である。
図3に示す本発明の画像表示装置8は、本発明の偏光板5と、液晶セル9とからなる。本発明の偏光板5を図3のように両側に用いるのが好ましいが、片側でも効果がある。
本発明の偏光板5は、反対側の保護フィルム7側を、粘着剤を介して液晶セル9に貼り付けるのが好ましい。
ハードコート性を有する層は画像表示装置の鑑賞者側の表面のみに用いられてもよいが、温湿度変化時のセル全体のカールバランスを取るためには両側に用いるのが特に好ましい。
画像の視認性向上、画質の向上のためには、少なくとも鑑賞者側の表面に用いられる偏光板用保護フィルムのハードコート性を有する層へは、散乱性の付与及び/又はその上へ低屈折率層の付与が好ましく、カールバランスの点では、画像表示装置の両側の偏光板用保護フィルムのハードコート性を有する層に対して、散乱性の付与及び/又はその上へ反射防止層の付与も好ましく用いられる。
本発明の偏光板の反対側の保護フィルム4としては、各種液晶モードの正面方向や視野角を変化させた時のコントラストや色味を改善することができる光学補償フィルムも好ましく用いられ、光学補償フィルムが基材フィルムの上に光学補償層を形成した基材フィルムであることも好ましい。また、反対側の保護フィルムの上に粘着剤を介して光学補償フィルムを貼り付けて用いることももう一つの好ましい形態である。
(偏光板用保護フィルム)
<透湿度>
本発明の偏光板用保護フィルムは、60℃、40%相対湿度における透湿度(WVTR40)が30g/m・日以下であり、60℃、95%相対湿度における透湿度(WVTR95)が20g/m・日以上、450g/m・日以下であることが好ましい。
また、前記透湿度(WVTR40)は、20g/m・日以下であることがより好ましく、15g/m・日以下であることが更に好ましく、5g/m・日以下であることが特に好ましく、2g以下であることが最も好ましい。
また、前記透湿度(WVTR95)は、25g/m・日以上、350g/m・日以下であることがより好ましく、30g/m・日以上、300g/m・日以下であることが特に好ましい。
前記透湿度(WVTR40)が30g/m・日よりも高いと低湿環境下で発生する光漏れの改良効果が充分でなく、前記透湿度(WVTR95)が、450g/m・日よりも高いと高湿環境下で発生する光漏れの改良効果が充分でない。
また、前記透湿度(WVTR95)が、30g/m・日よりも低いと、偏光板加工適性を低下させ、結果として、低湿高温下の耐久性が劣る。
<透湿度の測定方法>
次に、透湿度の測定方法につき詳述する。
透湿度の測定法は、「高分子の物性II」(高分子実験講座4 共立出版)の285頁〜294頁:蒸気透過量の測定(質量法、温度計法、蒸気圧法、吸着量法)に記載の方法を適用することができ、本発明にかかるフィルム試料70mmφを60℃、95%RHでそれぞれ24時間調湿し、調湿前後の質量差より、JIS Z−0208に従って、単位面積あたりの水分量を算出(g/m)した。
この際、恒温恒湿装置にいれたカップを適当な時間間隔で取り出して秤量する操作を繰り返し、二つの連続する秤量で、それぞれ単位時間あたりの質量増加を求め、それが5%以内で一定になるまで評価を続けた。また、試料の吸湿等による影響を除外するため、吸湿剤の入れていないブランクのカップを測定し、透湿度の値を補正した。
なお、本発明において、透明基材フィルム上に少なくとも一層の被覆層が形成された偏光板用保護フィルムの透湿度を測定する際には、前記被覆層が前記透明基材フィルムよりもカップ側になる様にサンプルをカップに設置し、前記透明基材フィルムにおいて、前記被覆層とは反対側から透湿度を測定した。
また、被覆層を透明支持体の両側に設けた際は、両側から透湿度を測定し、透湿度が低い方の値を採用した。
<被覆層>
本発明の偏光板用保護フィルムは、前述の透湿度の湿度依存性を達成するために、透湿度の湿度依存性の異なる少なくとも2層の被覆層を積層して用いる。
具体的には、高湿環境下では充分な低透湿性が得られなくても、低湿環境下で充分な低透湿性を有する第1の被覆層と、第1の被覆層の高湿環境下での低透湿性の不足分を補うための、高湿環境下で低透湿性を有する第2の被覆層を用いる。
したがって、被覆層の60℃、95%相対湿度での透湿度(WVTR95)と、60℃40%相対湿度における透湿度(WVTR40)との比をR(95/40)としたとき、被覆層のうちの少なくとも2層のR(95/40)が5倍以上異なることが好ましく、10倍以上がより好ましく、15倍以上が特に好ましい。なお、ここでは、2層それぞれの透湿度はそれぞれの層を別々に同じ透明基材上に形成して測定した透湿度のことと定義する。
なお、前述の透湿度を有するのであれば、第1の被覆層、第2の被覆層以外の低透湿性を有する被覆層を積層して用いてもよい。なお、第1、第2というのは本発明の説明のために便宜的につけた序数であって、透明基材に対する積層順を意味するものではない。
第1の被覆層と、第2の被覆層とは互いに接して形成される。互いに異なる低透湿性を有する第1の被覆層と、第2の被覆層とは主な樹脂成分が異なり、直接積層しても密着性が低くなる。両方の被覆層に接着性の高い中間層を設けることも可能であるが、層数が増えることで生産性が低くなり好ましくない。第1被覆層と、第2の被覆層とを接着させるために、本発明では第1の被覆層と、第2の被覆層との界面に混合領域を形成する。
本発明の偏光板用保護フィルムは、複数の被覆層間に混合領域が形成されていることが好ましい。前記混合領域の存在は断面解析で確認することができる。
具体的には、被覆層の断面を走査型顕微鏡に附属のエネルギー分散型X線分光器(SEM−EDX)やTOF−SIMS(飛行時間型2次イオン質量分析法)を用いて分析し、一方の層の樹脂成分のが、他方の層まで浸漬していることが確認できたことをもって混合領域が存在すると規定することができる。
ここで、前記樹脂成分とは、第1の被覆層、第2の被覆層それぞれに含まれる樹脂成分であれば特に限定は無いが、樹脂成分中で最大量の成分である主成分であることが好ましく、本発明では、具体的には、塩素含有ビニル単量体から誘導される繰り返し単位を含む樹脂や、ポリビニルアルコール、及びその変性体の少なくともいずれかを含む樹脂などであれば特に好ましい。
本発明では第1の被覆層と第2の被覆層は混合が大きすぎても低透湿性に悪影響を及ぼすため好ましくない。
本発明における2層の被覆層は、混合層を介するものの、2層間は完全に混ざることなく、界面が存在する。該界面の存在は、断面SEMで観察することで簡便に観察することができる。また、屈折率が異なる2層を積層する場合は、干渉膜厚計(例えば、大塚電子製FE−3000)にて、反射率が異なる2層の干渉が生じることで光学的に2層の界面が存在していることを確認することができる。
すなわち、本発明では、第1の被覆層と、第2の被覆層とが界面を有して積層されており、かつ、その界面で第1の被覆層、及び第2の被覆層の両側または片側に層間の混合領域が存在している状態が特に好ましい。
<<偏光板用保護フィルムの物性>>
本発明の偏光板用保護フィルムとしては、上記の透湿度の条件を満たし、透過率が80%以上であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、透過率が90%以上であることがより好ましい。
また、本発明の偏光板用保護フィルムは、実質的に無色であることが好ましい。
ここで、「実質的に無色」であるとは、L*、a*、b*表色系で表したa*,b*の絶対値が3.0以下であることをいう。前記絶対値は、2.5以下がより好ましく、2以下が更に好ましい。実質的に無色であることで、偏光板としたときに色味がニュートラルグレーを示し、カラー表示において支障をきたすなどの不具合を生じないので好ましい。
また、本発明の偏光板用保護フィルムの内部ヘイズ(全ヘイズから表面ヘイズを引いた値)は、2%以下であることが好ましく、1.5%以下がより好ましく、1%以下が更に好ましい。
<<透明支持体(基材層)>>
前記偏光板用保護フィルムに用いられる透明支持体(以下、透明基材フィルム、基材層ということがある。)は、特に限定されるものではなく、公知の透明基材フィルムの中から適宜選択して用いることができる。
このようなフィルムを形成するための透明樹脂としては、例えば、セルロースアシレート系樹脂、ラクトン環含有重合体を含有する樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、シンジオタクチックポリスチレン等のスチレン系樹脂、ポリアリレート系樹脂が好ましく挙げられるが、これらの中でも、セルロースアシレート系樹脂、ラクトン環含有重合体を含有する樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂が好ましく、セルロースアシレート系樹脂が特に好ましい。
[透明支持体の厚さ]
前記透明基材フィルムの厚みは、30〜120μmが好ましく、40〜80μmがより好ましい。透明基材フィルムの厚みが30μm以上であれば、フィルム強度が弱くなるなどの問題が生じにくく、120μm以下であれば、質量が増加しすぎて、特に20インチ以上の大型テレビに用いた場合に不利になるなどの弊害が生じにくいので好ましい。
[セルロースアシレート系フィルム]
第1の保護フィルムの基材層としては、光学的に均一なこと、表面が平滑なこと、偏光板を作製する上での二次加工性がよいことから、セルロースアシレート系フィルムが使用されることが好ましい。
第1の保護フィルムに用いられるセルロースアシレートは、炭素数2〜22程度の脂肪族カルボン酸エステル、又は芳香族カルボン酸エステルであり、セルロースの低級脂肪酸エステルであることが特に好ましい。
なお、セルロースの低級脂肪酸エステルにおける低級脂肪酸とは、炭素原子数が6以下の脂肪酸を意味し、例えば、セルロースアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースブチレート、セルロースアセテートフタレート等や、特開平10−45804号公報、特開平8−231761号公報、米国特許第2319052号明細書等に記載されているようなセルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート等の混合脂肪酸エステル、或いは、特開2002−179701号公報、特開2002−265639号公報、特開2002−265638号公報に記載の芳香族カルボン酸とセルロースとのエステルが好ましく用いられる。
上記記載の中でも、特に好ましく用いられるセルロースの低級脂肪酸エステルは、セルローストリアセテートと後述するセルロースアセテートプロピオネートである。これらのセルロースエステルは混合して用いることもできる。
セルロースアシレートの置換度(DS)は、セルロースの構成単位(β1→4グリコシド結合しているグルコース)に存在している三つの水酸基がアシル化されている割合を意味する。
置換度は、セルロースの構成単位質量当りの結合脂肪酸量を測定して算出することができる。測定方法は、ASTM−D817−91に準じて実施する。
前記セルロースアシレートは、アシル基の疎水性と水酸基の親水性を適度にバランスさせることにより、レターデーションの湿度依存性と寸度安定性を両立させるものである。
即ち、アシル基中のアルキル鎖が平均的に短すぎたり、水酸基比率が高すぎるとレターデーションの湿度依存性は大きくなってしまう。
また、アシル基中のアルキル鎖が平均的に長すぎたり、水酸基比率が高すぎるとTgが低下し、寸度安定性が悪化してしまう。
したがって、本発明で好ましく用いられるセルローストリアセテートは、アセチル化度が2.83以上2.91以下で炭素数3以上の他のアシル基を有しないものが好ましく、アセチル化度は2.84以上2.89以下がより好ましい。
また、セルローストリアセテート以外で好ましいセルロースエステルは、炭素原子数2〜4のアシル基を置換基として有し、アセチル基の置換度をXとし、プロピオニル基の置換度をYとしたとき、下記数式(a)、及び数式(b)を同時に満たすセルロースエステルである。
2.6≦X+Y≦2.9・・・・・・・・・・・・・数式(a)
0≦X≦2.5・・・・・・・・・・・・・・・・・数式(b)
ここで、上記数式(a)、及び数式(b)を同時に満たすセルロースエステルの中でも、1.9≦X≦2.5、0.1≦Y≦0.9のセルロースアセテートプロピオネート(総アシル基置換度=X+Y)が好ましい。アシル基で置換されていない部分は通常水酸基として存在している。これらは公知の方法で合成することができる。
[ラクトン環含有重合体を含有する樹脂]
前記透明支持体に用いられるラクトン環含有重合体を含有する樹脂フィルムは、特開2006−96960号公報、特開2000−230016号公報、特開2001−151814号公報、特開2002−120326号公報、及び特開2002−254544号公報に示されるような方法で作製することができる。
また、本発明のラクトン環含有重合体を含有する樹脂フィルムは、ラクトン環含有重合体を主成分として含むが、ラクトン環含有重合体以外のその他の重合体を含んでいてもよい。
その他の重合体としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、ポリ(4−メチル−1−ペンテン)等のオレフィン系ポリマー;塩化ビニル、塩素化ビニル樹脂等の含ハロゲン系ポリマー;ポリメタクリル酸メチル等のアクリル系ポリマー;ポリスチレン、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンブロック共重合体等のスチレン系ポリマー;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル;ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610等のポリアミド;ポリアセタール;ポリカーボネート;ポリフェニレンオキシド;ポリフェニレンスルフィド;ポリエーテルエーテルケトン;ポリサルホン;ポリエーテルサルホン;ポリオキシベンジレン;ポリアミドイミド;ポリブタジエン系ゴム、アクリル系ゴムを配合したABS樹脂やASA樹脂等のゴム質重合体;などが挙げられる。
また、ラクトン環含有重合体の製造方法については、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択されるが、例えば、重合工程によって分子鎖中に水酸基とエステル基とを有する重合体を得た後に、得られた重合体を加熱処理することにより、ラクトン環構造を重合体に導入するラクトン環化縮合工程を行うことによって得る方法が好ましい。
[ポリエステル系樹脂]
前記ポリエステル系樹脂としては特に構造的な限定はなく、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンナフタレート等が挙げられる。
これらの中でも、コストや機械的強度の観点から、ポリエチレンテレフタレートを用いることが好ましい。その中でも、芳香族系ジカルボン酸と、脂肪族系グリコールを用い縮重合させて得られる樹脂が特に好ましい。
前記芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸の他、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸などが挙げられ、また、これらの低級アルキルエステル(無水物、低級アルキルエステル等のエステル形成可能な誘導体)を使用することができる。
前記脂肪族系グリコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール、p−キシリレングリコールなどがある。これらの中でも、テレフタル酸とエチレングリコールの反応により得られたポリエチレンテレフタレートを主成分とすることが好ましい。
ここで、主成分がポリエチレンテレフタレートであるとは、ポリエチレンテレフタレートの繰返し単位が80モル%以上の共重合体、あるいはブレンドされている場合は、ポリエチレンテレフタレートを80質量%以上含有していることをいう。
本発明に用いられるポリエステルは、例えば安息香酸、ベンゾイル安息香酸、ベンジルオキシ安息香酸、メトキシポリアルキレングリコールなどの1官能性化合物によって末端の水酸基、及び/又はカルボキシル基を封鎖したものであってもよく、あるいは、例えばごく少量のグリセリン、ペンタエリスリトールの如き3官能、4官能エステル形成化合物で実質的に線状の共重合体が得られる範囲内で変性されたものでもよい。
また、前記透明支持体として用いられるポリエステルには、フィルムの耐熱性を向上する目的で、ビスフェノール系化合物、ナフタレン環、又はシクロヘキサン環を有する化合物を共重合することができる。
また、前記透明支持体として用いられるポリエステルは、ガラス転移温度(Tg)が80℃以上であることが好ましく、90℃以上であることがより好ましい。80℃未満では得られたフィルムの高温高湿下での寸法安定性に劣る場合がある。
また、前記ポリエステルフィルムは、二軸延伸製膜されたポリエステルフィルムであることが好ましい。上記ポリエステルフィルムを得るには、特に制限はなく、従来公知の方法で行うことができ、例えば以下のような方法で行うことができる。なお、下記において、縦方向とは、フィルムの製膜方向(長手方向)を、横方向とはフィルムの製膜方向と直角方向のことをいう。
まず、原料のポリエステルをペレット状に成型し、熱風乾燥又は真空乾燥した後、溶融押出し、Tダイよりシート状に押出して、静電印加法等により冷却ドラムに密着させ、冷却固化させ、未延伸シートを得る。
次いで、得られた未延伸シートを複数のロール群、及び/又は赤外線ヒーター等の加熱装置を介してポリエステルのガラス転移温度(Tg)からTg+100℃の範囲内に加熱し、一段又は多段縦延伸する方法である。
次に、上記のようにして得られた縦方向に延伸されたポリエステルフィルムを、Tg〜Tm(融点)の温度範囲内で、横延伸し次いで熱固定する。
熱固定されたフィルムは通常Tg以下まで冷却され、フィルム両端のクリップ把持部分をカットし巻き取られる。この際、最終熱固定温度以下、Tg以上の温度範囲内で、横方向、及び/又は縦方向に0.1〜10%弛緩処理することが好ましい。
なお、冷却、弛緩処理する手段は特に限定はなく、従来公知の手段で行えるが、特に複数の温度領域で順次冷却しながら、これらの処理を行うことが、フィルムの寸法安定性向上の点で好ましい。
これら熱固定条件、冷却、弛緩処理条件のより最適な条件は、フィルムを構成するポリエステルにより異なるので、得られた延伸フィルムの物性を測定し、好ましい特性を有するように適宜調整して決定すればよい。
また、上記フィルム製造に際し、延伸の前、及び/又は延伸の後で帯電防止層、易滑性層、接着層、バリアー層等の機能性層を塗設してもよい。この際、コロナ放電処理、大気圧プラズマ処理、薬液処理等の各種表面処理を必要に応じて施すことができる。
[ポリカーボネート系樹脂]
前記透明支持体として用いられるポリカーボネート系樹脂とは、炭酸とグリコール、又は2価フェノールとのポリエステルであり、炭酸と2、2’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−プロパン(通称ビスフェノール−A)とを構造単位とする芳香族ポリカーボネートはもちろんのこと、本発明ではこれに限定されるわけではなく、例えば1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−アルキルシクロアルカン、1,1−ビス(3−置換−4−ヒドロキシフェニル)−アルキルシクロアルカン、1、1−ビス(3,5−置換−4−ヒドロキシフェニル)−アルキルシクロアルカン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン類からなる群から選択される少なくとも1種の2価フェノールをモノマー成分とするホモ又は共重合ポリカーボネート、上記2価フェノールとビスフェノールAをモノマー成分とするポリカーボネートとの混合物、上記2価フェノールとビスフェノールAとをモノマー成分とする共重合ポリカーボネートが挙げられる。
ここで、前記1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−アルキルシクロアルカンの具体例としては、1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3−ジメチル−5,5−ジメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3−ジメチル−5−メチルシクロペンタン等が挙げられる。
また、前記1,1−ビス(3−置換−4−ヒドロキシフェニル)−アルキルシクロアルカンとしては、炭素数1〜12のアルキル基、ハロゲン基で置換された1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−アルキルシクロアルカン、例えば、1,1−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(3−エチル−4−ヒドロキシフェニル)−3,3−ジメチル−5,5−ジメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)−3,3−ジメチル−4−メチルシクロヘキサン、1,1−ビス(3−ブロモ−4−ヒドロキシフェニル)−3,3−ジメチル−5−メチルシクロペンタン等が挙げられる。
また、前記1、1−ビス(3,5−置換−4−ヒドロキシフェニル)−アルキルシクロアルカンとしては、炭素数1〜12のアルキル基、ハロゲン基で置換された1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−アルキルシクロアルカン、例えば、1,1−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェニル)−3,3−ジメチル−5−メチルシクロヘキサン、1,1−ビス(3−エチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−3,3−ジメチル−5−メチルシクロペンタン等が挙げられる。
また、前記9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン類としては、例えば、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(3−エチル−4−ヒドロキシフェニル)フルオレン等が挙げられる。
更に、他のビスフェノール成分として、2,2’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノール−A)、4,4’−(α−メチルベンジリデン)ビスフェノール、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、2,2’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、3,3’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、4,4’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘブタン、4,4’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)2,5−ジメチルヘブタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メチルフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、2,2’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)4−フルオロフェニルメタン、2,2’−ビス(3−フルオロー4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(3,5−ジメチル−4ヒドロキシフェニル)メタン、2,2’−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)フェニルエタン、ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン等が挙げられ、これらは単独で又は2種類以上混合して用いることができる。
上記ポリカーボネートは、上記ビスフェノール成分の他に、酸成分のコモノマーとして少量の脂肪族、芳香族ジカルボン酸を用いたポリエステルカーボネートを含む。
前記芳香族ジカルボン酸としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、p−キシレングリコール、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−メタン、1、1’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−エタン、1,1’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−ブタン、2、2’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−ブタン等が挙げられる。これらの中では、テレフタル酸、及びイソフタル酸が好ましい。
前記ポリカーボネートの分子量は、2,000〜100,000の粘度平均分子量を有するものであることが好ましく、5,000〜70,000の粘度平均分子量を有するものであることがより好ましく、7,000〜50,000の粘度平均分子量を有するものであることが更に好ましい。
また、濃度0.7g/dlの塩化メチレン溶液にして20℃で測定した比粘度で表して0.07〜2.70が好ましく、0.15〜1.80がより好ましく、0.20〜1.30を示すものが更に好ましい。粘度平均分子量が2,000未満のものでは、得られるフィルムが脆くなるので適当でなく、100,000以上のものでは、フィルムへの加工性が困難になるために好ましくない。
前記ポリカーボネート系樹脂は、ポリエステル系樹脂と同様に、必要に応じて紫外線吸収剤を添加することもできる。また、偏光子との接着性強化のために、ドライ処理、易接着処理を施すことができる。
前記ポリカーボネート系樹脂からフィルムを製造する方法としては、例えば溶液キャスト法、溶融押出法、カレンダー法等が挙げられるが、厚み均一性に優れ、ゲル、ブツ、フィッシュアイ、スクラッチ等の光学欠点の生じない方法が好ましい。
[ポリスチレン系樹脂]
本発明のポリスチレン系樹脂は、シンジオタクチック構造でも、アイソタクチック構造でも、アタクチック構造でもよい。これらの中でも、シンジオタクチック構造が、力学強度が高く、熱収縮率も小さく特に優れている。
以下に、シンジオタクチック構造のポリスチレン系樹脂を例示して説明する。
シンジオタクチック−ポリスチレン系重合体とは、炭素−炭素結合から形成される主鎖に対して側鎖であるフェニル基やその誘導体が交互に反対方向に位置する立体構造を有するものであり、その立体規則性(タクティシティー)は同位炭素による核磁気共鳴法(13C−NMR法)により定量されるのが一般的でかつ精度に優れる。
この13C−NMR法により測定される立体規則性は、連続する複数個の構成単位の存在割合、例えば2個の場合はダイアッド、3個の場合はトライアッド、5個の場合はペンダッドによって示すことができる。
前記シンジオタクチック構造を有するスチレン系重合体とは、ラセミダイアッドで75%以上、100%以下の立体規則性を有することが好ましく、85%以上、100%以下の立体規則性を有することがより好ましい。また、ラセミペンタヘッドで30%以上、100%以下の立体規則性を有することが好ましく、50%以上、100%以下の立体規則性を有することがより好ましい。
前記シンジオタクチック構造を有するスチレン系重合体としては、具体的には、立体規則性のポリスチレン、ポリ(アルキルスチレン)、ポリ(ハロゲン化スチレン)、ポリ(ハロゲン化アルキルスチレン)、ポリ(アルコキシスチレン)、ポリ(ビニル安息香酸エステル)が挙げられる。
ここで、ポリ(アルキルスチレン)としては、ポリ(メチルスチレン)、ポリ(エチルスチレン)、ポリ(プロピルスチレン)、ポリ(ブチルスチレン)、ポリ(フェニルスチレン)、ポリ(ビニルナフタレン)、ポリ(ビニルスチレン)、ポリ(アセナフチン)などが挙げられる。
また、ポリ(ハロゲン化スチレン)としては、ポリ(クロロスチレン)、ポリ(ブロモスチレン)、ポリ(フルオロスチレン)などが挙げられる。
また、ポリ(アルコキシスチレン)としては、ポリ(メトキシスチレン)、ポリ(エトキシスチレン)などが挙げられる。
これらの中でも、ポリ(スチレン)、及びポリ(メチルスチレン)がより好ましく、ポリ(スチレン)が特に好ましい。
これらのシンジオタクチック−ポリスチレン系重合体は、上述のようなホモポリマー以外にも、共重合体であってもよい。
共重合体のコモノマー成分としては、上述のスチレン系重合体を構成するモノマーの他、エチレン、プロピレン、ブテン、ヘキセン、オクテン等のオレフィンモノマー、ブタジエン、イソブレン等のジエンモノマー、環状オレフィンモノマー、環状ジエンモノマーやメタクリル酸メチル、無水マレイン酸、アクリロニトリル等の極性ビニルモノマー等が挙げられる。
これらの中でも、スチレンを主成分として、これに、アルキルスチレン、水素化スチレン、ハロゲン化スチレンを共重合したものがより好ましく、これらの中でも、p−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−ターシャリーブチルスチレン、p−クロロスチレン、m−クロロスチレン、p−フルオロスチレン、水素化スチレンが更に好ましく、これらの中でも、p−メチルスチレンが特に好ましい。
これらの添加量は、ポリマー全体の0質量%以上、30質量%以下が好ましく、1質量%以上、20質量%以下がより好ましく、3質量%以上、10質量%以下が更に好ましい。これらの共重合により、結晶化速度を遅くし、球晶の生成を抑制する。この結果、透明性が高く、耐折強度の高いシンジオタクチック−ポリスチレン系フィルムを達成することができる。
また、シンジオタクチック−ポリスチレン系重合体と、他のポリマーとをブレンドして使用してもよい。
好ましいポリマーブレンド成分としては、上述のようなシンジオタクチック構造を有するスチレン系重合体や、アタクチック構造を有するスチレン系重合体が相溶性の観点から好ましい。
これらの中でも特に好ましいのが、シンジオタクチック構造を有するポリスチレンを主成分とし、これに、p−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−ターシャリーブチルスチレン、p−クロロスチレン、m−クロロスチレン、p−フルオロスチレン、水素化スチレンなどを構成成分としてなるシンジオタクチック構造、あるいはアタクチック構造のホモポリマー、及び/又はこれらのモノマーの少なくとも一種とスチレンからなるシンジオタクチック構造、あるいはアタクチック構造を有するコポリマーをブレンドするのが好ましい。
シンジオタクチック構造を有するp−メチルスチレンやシンジオタクチック構造を有するp−メチルスチレンとスチレンの共重合体を、シンジオタクチック構造を有するポリスチレンとブレンドしたものが特に好ましい。
これらのブレンドするポリマーの添加量は、ポリマーの合計量の0質量%以上、30質量%以下が好ましく、1質量%以上,20質量%以下がより好ましく、3質量%以上、10質量%以下が更に好ましい。このブレンドにより、結晶化速度を遅くし、球晶の生成が抑制される。この結果、透明性が高く、耐折強度の高いシンジオタクチック−ポリスチレン系フィルムを達成することができる。
このような中で好ましいポリマー組成を下記に示す。なお、下記において、「syn」はシンジオタクチックを示し、「atc」はアタクチックを示し、「iso」はアイソタクチックを示す。
(1)ホモポリマー
P−1:syn−ポリ(スチレン)
P−2:syn−ポリ(p−メチルスチレン)
P−3:syn−ポリ(p−クロロスチレン)
P−4:syn−ポリ(水素化スチレン)
P−5:iso−ポリ(スチレン)
P−6:ato−ポリ(スチレン)
(2)コポリマー、及び質量比
P−7:syn−ポリ(スチレン/p−メチルスチレン)、(95/5)
P−8:syn−ポリ(スチレン/p−メチルスチレン)、(85/15)
P−9:syn−ポリ(スチレン/p−クロロスチレン)、(95/5)
P−10:syn−ポリ(スチレン/p−クロロスチレン)、(85/15)
P−11:syn−ポリ(スチレン/水素化スチレン)、(95/5)
P−12:syn−ポリ(スチレン/水素化スチレン)、(85/15)
P−13:syn−ポリ(スチレン/水素化スチレン/p−メチルスチレン)、(95/ 5/5)
(3)ポリマーブレンド、及び質量比
P−14:snd−ポリ(スチレン)+syn−ポリ(p−メチルスチレン)、(95/5)
P−15:snd−ポリ(スチレン)+syn−ポリ(p−メチルスチレン)、(85/15)
P−16:snd−ポリ(スチレン)+syn−ポリ(p−クロロスチレン)、(95/5)
P−17:snd−ポリ(スチレン)+syn−ポリ(p−クロロスチレン)、(85/15)
P−18:snd−ポリ(スチレン)+syn−ポリ(水素化スチレン)、(95/5)
P−19:snd−ポリ(スチレン)+syn−ポリ(水素化スチレン)、(85/15)
P−20:snd−ポリ(スチレン)+atc−ポリ(スチレン)、(95/5)
P−21:snd−ポリ(スチレン)+atc−ポリ(スチレン)、(85/15)
P−22:snd−ポリ(スチレン)+iso−ポリ(スチレン)、(95/5)
P−23:snd−ポリ(スチレン)+iso−ポリ(スチレン)、(85/15)
P−24:snd−ポリ(スチレン)+atc−ポリ(p−メチルスチレン)、(95/5)
P−25:snd−ポリ(スチレン)+atc−ポリ(p−メチルスチレン)、(85/15)
P−26:snd−ポリ(スチレン)+atc−ポリ(水素化スチレン)、(95/5)
P−27:snd−ポリ(スチレン)+atc−ポリ(水素化スチレン)、(85/15)
P−28:snd−ポリ(スチレン)+atc−ポリ(スチレン)+syn−ポリ(p−メチルスチレン)、(95/5/5)
P−29:snd−ポリ(スチレン)+syn−ポリ(p−メチルスチレン+スチレン共重合体(モル比=10:90))、(70/30)
P−30:snd−ポリ(スチレン)+syn−ポリ(p−メチルスチレン+スチレン共重合体(モル比=10:90))、(50/50)
P−31:snd−ポリ(スチレン)+syn−ポリ(p−メチルスチレン+スチレン共重合体(モル比=5:95))、(70/30)
P−32:snd−ポリ(スチレン)+syn−ポリ(p−メチルスチレン+スチレン共重合体(モル比=30:70))、(90/10)
これらのスチレン系重合体の分子量は、質量平均分子量が10万以上80万以下のものが好ましく、20万以上60万以下のものが特に好ましい。
更に、分子量分布は、質量平均分子(Mw)/数平均分子量(Mn)が1.5以上、5以下が好ましく、2以上4以下がより好ましい。
このようなシンジオタクチック−ポリスチレン系重合体は、例えば、不活性炭化水素溶媒中、又は溶媒の不存在下に、チタン化合物、及び水とトリアルキルアルミニウムの縮合生成物を触媒として、スチレン系単量体(上記スチレン系重合体の構成成分に対応する単量体)を重合することにより製造することができる(特開昭62−187708号公報参照)。
また、特開平4−249504号公報に開示されたように、チタン化合物、及びカチオンと複数の基が元素に結合したアニオンとからなる化合物を触媒として重合することにより製造することができる。
更に、本発明の目的を妨げない範囲で、シリカ、タルク、チタニア、アルミナ、炭酸カルシウム、酸化カルシウム、塩化カルシウム等、及びこれらの混合物等の無機微粒子、架橋ポリスチレン、架橋ポリメチルメタクリレート等の有機微粒子、及び酸化防止剤、帯電防止剤、色素等を配合することができる。
更に、本発明において製膜中のモノマー析出防止のためには、スチレン系重合体、あるいはその組成物中の残量スチレン単量体が7,000ppm以下であることが好ましい。
前記スチレン系重合体、あるいは該重合体を含む組成物を素材として、フィルムを製膜する。製膜は熔融製膜、溶液製膜いずれを用いてもよい。
また、本発明の正面、厚み方向のレターデーション、熱収縮率、全光透過性、耐折強度を達成するためには、以下に述べる製膜法がポイントとなる。即ち、平面内、厚み方向に均一な、かつ無配向な膜を作ることにある。熔融製膜を行なう場合は、加熱熔融して押し出し、冷却、固化させて製膜する。
熔融押出しは、250℃〜330℃、より好ましくは270℃〜320℃で熔融するが、一軸押し出し機、二軸押し出し機のいずれを用いてもよい。この後に二次凝集粒子を粉砕、除去、あるいはゴミ、異物除去のためにメッシュフィルターを使用することが好ましい。
この後に250℃〜330℃、より好ましくは270℃〜320℃に加熱したT−ダイを通して押し出し冷却ドラム上でフィルムに成形する。
本発明では、このT−ダイの上側リップより下側リップの温度を2℃以上30℃以下の範囲で高くすることが好ましく、3℃以上20℃以下だけ高くすることがより好ましい。
これは下側リップ側が冷却ドラムに接触し急冷されるのに対し、上側リップ側は空気側のため冷却速度が遅い。このため、予め下側リップ側の温度を高くすることで両面の冷却速度のバランスを取り厚み方向分布を均一にすることができる。
<<被覆層>>
[第1の被覆層]
−ビニルアルコール系重合体を含む被覆層−
本発明の偏光板用保護フィルムの透湿度特性を有するためには、第1の被覆層として、ビニルアルコール系重合体を含む樹脂層を、上記透明支持体上に設けることが好ましい。
ビニルアルコール系重合体を含む樹脂層は、水素結合によって分子鎖同士が密にパッキングしているため、低湿条件下で非常に優れた低透湿性を発揮するが、その一方で、高湿条件下では分子鎖が可塑化され、透湿性が著しく劣化することが知られている。
前記ビニルアルコール系重合体としては、例えば、ポリビニルアルコールなどの単独重合体や、エチレン−ビニルアルコール共重合体などが例示できる。また、これらのビニルアルコール系重合体は、単独、又は二種以上組み合わせて使用することもできる。
ビニルアルコール系重合体の鹸化度は、80モル%以上の範囲から選択できるが、95モル%以上が好ましい。また、ビニルアルコール系重合体の重合度は、透湿度、塗布性の点から、100〜5,000が好ましく、200〜4,000がより好ましく、300〜3,000程度が更に好ましい。
―第1の被覆層の厚さ―
第1の被覆層の厚みは1〜10μmが好ましく、2〜8μmがより好ましく、3〜7μmが更に好ましい。第1の被覆層の厚みが1μm未満であれば、光漏れの改良効果が充分でなく好ましくない。
また、第1の被覆層の厚みが10μmを超えると、脆性が悪化し、好ましくない。
―層状無機化合物―
透湿性を向上させるため、上記樹脂層中に層状無機化合物を分散させることが好ましい。本発明における層状無機化合物とは、単位結晶層が積層した構造を有し、層間に溶媒を配位又は吸収することにより膨潤又はヘキ開する性質を示す無機化合物である。
このような無機化合物としては、膨潤性の含水ケイ酸塩、例えば、スメクタイト群粘土鉱物(モンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト、ソーコナイト、スチブンサイトなど)、バーミキュライト群粘土鉱物(バーミキュライトなど)、カオリン型鉱物(ハロイサイト、カオリナイト、エンデライト、ディッカイトなど)、フィロケイ酸塩(タルク、パイロフィライト、マイカ、マーガライト、白雲母、金雲母、テトラシリリックマイカ、テニオライトなど)、ジャモン石群鉱物(アンチゴライトなど)、緑泥石群鉱物(クロライト、クックアイト、ナンタイトなど)などが例示できる。これらの膨潤性層状無機化合物は、天然物でも合成物でもよい。
また、かかる層状無機化合物は、上記の如き層状無機化合物に有機化処理を施したものであってもよい。有機化処理にはオニウムイオンを持つ化合物を層状無機化合物に含有させることで有機化させることができ、具体的には、有機オニウムイオンからなる有機化剤を層状無機化合物に添加し処理することにより行われるのである。上記有機オニウムイオンについては特に限定されるものではないが、モノアルキルの1級〜4級のアンモニウムイオン、ジアルキルの2級〜3級のアンモニウムイオン、トリアルキルの3級〜4級のアンモニウムイオン、テトラアルキルアンモニウムイオン等を挙げることができ、アルキル鎖長としては炭素数が4〜30のものが好ましく、更に、は6〜20、特には8〜18が好ましい。アルキル鎖以外にも、エチレンオキサイドを構成単位とする、ポリエチレングリコール鎖を持つ1級〜4級のアンモニウムイオン(モノエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコールのアンモニウムイオンでもよい。)でもよく、或いは高級脂肪酸の1〜4級のアンモニウムイオン、高級脂肪酸エステルの1〜4級のアンモニウムイオン、高級アルコールの1〜4級のアンモニウムイオンでもよい。又、これらの複数種の分子鎖を持つものでもよい。更に、は脂肪酸アシドにこれらの分子鎖を付加させた2〜4級のアンモニウムイオンでもよい。
また、これらの層状無機化合物は、単独で又は二種以上組み合わせても使用できる。
膨潤性層状無機化合物は、ガスバリア性と基材−ガスバリア層間の密着性とを両立させる点から、微粒子化処理されているのが好ましい。微粒子化処理された膨潤性層状無機化合物は、通常、板状又は扁平状であり、平面形状は特に制限されず、無定形状などであってもよい。
微粒子化処理された膨潤性層状無機化合物の平均粒子径(光散乱法等で測定される平面形状の平均粒子径)は、例えば、0.1〜10μmが好ましく、0.5〜8μmがより好ましく、0.8〜6μmが特に好ましい。本範囲より粒径が小さいと透湿度低減効果が充分でなく、粒径が大きいと、ヘイズ値の増加、表面粗さの増加などが好ましくない。
層状無機化合物の濃度は、3〜60質量%が好ましく、3〜50質量%がより好ましく、3〜40質量%が更に好ましい。層状無機化合物の濃度が、上記範囲より少ないと透湿度低減効果が充分でなく、多いと、ヘイズ値の増加、脆性の悪化などが生じ、好ましくない。
層状無機化合物は、層間がきちんとヘキ開した状態でバインダー中に分散することにより、水分子、又はクラスターの拡散経路長を長くして透湿度を減少させる。
したがって、層状無機化合物の各層間がきちんとヘキ開された状態を得るための分散処理が非常に重要である。分散処理は、溶液中で複数回高圧分散処理されるのが好ましい。処理圧力は10MPa以上がよく、より好ましくは20Mpa以上である。
溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択されるが、有機化処理していない層状無機化合物に関しては、水又は水溶性溶媒(メタノール、エタノール、イソプロピルアルコールなどの低級アルコールやアセトンなど)が例示でき、水が特に好ましい。
また、消泡性を付与するために、水と低級アルコールの混合溶媒も好ましく用いることができる。また、シリコン・エマルジョン、PEO−PPOブロックポリマー、オクチルアルコール、メタノール等の各種消泡剤も好ましく用いられる。
高圧分散の処理方法としては、例えば、膨潤性層状無機化合物を溶媒に膨潤させた後、高圧ホモジナイザーにより攪拌することにより、高圧分散する方法が挙げられる。塗布液の調整方法は特に限定されないが、前述の被覆層のバインダー成分を溶媒に均一に溶解させた後に層状粒子を均一に分散させた溶媒と混合する方法が有効に用いられる。
また、溶液作製後は不溶解物を除去するため、層状無機化合物の最大粒径よりも大きい網目を有するフィルターを用いて濾過することが好ましい。
本発明においては、樹脂組成物の成分として、PVA系重合体、及び層状無機化合物に更に、PVA系重合体の架橋剤を添加することができ、これにより接着層の耐水性を向上させることができる。この目的に使用できる架橋剤としては特に制限なく、公知のいずれの架橋剤も好ましく使用することができる。架橋剤の例としては、フェノール樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、ポリアミドポリ尿素、ジメチロール尿素、ジメチロールメラミン、多価エポキシ化合物、ジアルデヒド化合物、多価イソシアネート樹脂、アジリジン化合物、ポリアミドアミンエピクロルヒドリン化合物、活性化ビニル化合物、ジカーボネート化合物、ヒドラジノ基含有化合物、コロイダルシリカ、ジルコニウム塩、多価金属塩、ホウ酸、リン酸、ポリアクリル酸、ジカルボン酸、アジピン酸無水物、コハク酸無水物、テトライソプロピルチタネート、ジイソプロポキシビス(アセチルアセトン)チタネートなどのチタン化合物等を挙げることができ、このほか、3−グリシドプロピルメトキシシラン等のカップリング剤、パーオキサイド等のラジカル発生剤等の使用も可能である。
上記した架橋剤の中でも、活性化ビニル化合物、ジカーボネート化合物、コロイダルシリカ、ジルコニウム塩、多価金属塩、ホウ酸、リン酸、ポリアクリル酸、ジカルボン酸、アジピン酸無水物、コハク酸無水物、テトライソプロピルチタネート、ジイソプロポキシビス(アセチルアセトン)チタネートなどのチタン化合物は粘度と接着強度などのバランスに優れており、最適である。
架橋剤の添加量は、(架橋剤/(PVA系重合体+架橋剤))で0.5質量%以上であることが好ましく、1質量%以上がより好ましく、2質量%以上が特に好ましい。PVA系重合体と架橋剤の両者に対する架橋剤の質量比率が0.5質量%未満の場合には、架橋剤を添加したことにより効果が発現しない。また、PVA系重合体と架橋剤の両者に対する架橋剤の質量比率は50質量%以下であることが好ましく、40質量%以下がより好ましく、30質量%以下が特に好ましい。架橋剤の質量比率が50質量%を越えると、樹脂組成物から形成される接着層の透明性、及び耐水性などが低下する傾向がある。
塗布液の調整方法は特に限定されないが、ビニルアルコール系重合体を溶解させた溶液に、予め溶媒に分散させておいた層状無機化合物を加え、その後高圧分散する方法。又は、層状無機化合物の分散液中にビニルアルコール系重合体を入れ、その後ビニルアルコール系重合体溶解する方法等を有効に用いることができる。
[第2の被覆層]
本発明の透湿度の範囲を満たすためには、上記ビニルアルコール系重合体を主成分にしてなる第1の被覆層の他に、高湿下での透湿度を低下させる目的で、第2の被覆層をもう一層設ける。第1、第2の被覆層の積層方法や積層順序は限定されるものではなく、透明基材の同じ側に直接接する形で設けられれば、どちらが先に形成されてもよい。
本発明では、第1の被覆層を形成する塗布溶剤と第2の被覆層を形成する塗布組成物の主溶剤が同じであるのが好ましい。主溶剤が同じであることで、両層の積層時に後から形成される被覆層が先に形成された被覆層を溶解し、界面に混合層を作ることで良好な密着性を得ることができる。また、2層を同時に塗布して同時に形成することで界面に混合層を形成することも可能となる。両層に共通の主溶媒に関しては特に制限はないが、第1の被覆層として好ましいビニルアルコール系重合体を主成分にしてなる層は水を主溶剤とする塗布組成物を用いて形成されるのが好ましいため、第2の被覆層も水を主溶媒にすることが好ましい。
本発明では、透湿度の観点から、第1の被覆層と第2の被覆層は界面を有する程度に混合を抑制する必要がある。混合を抑制するためには、両層を形成する樹脂成分の主成分は少なくとも片方は高分子樹脂であることが好ましく、両方が高分子樹脂であることがより好ましい。両層の分子量は5,000以上が好ましく、10,000以上がより好ましく、30,000以上が特に好ましい。
層混合を防ぐもう一つの物性として、両層を形成する樹脂成分の主成分の溶解性パラメーター(SP値)が5以上異なることが好ましく、8以上異なることが好ましく、10以上異なることが更に好ましい。であることが好ましい。
なお、前記溶解性パラメーターδは、下記式(x)で算出することができる。
δ=(E/V)1/2・・・・・・・・・・式(x)
なお、上記式(x)において、Eは、凝集エネルギー(モル蒸発エネルギー)を示し、Vは、分子容(モル体積)を示す。
また、この溶解性パラメーターについては、例えば、J.Brandrup、E.Hなどの「PolymerHandbook(4th.edition)、VII/671〜VII/714」に記載されているが、上記好ましい範囲はFedorsの方式で計算を行った。
水を主溶媒として形成する被覆層としては、水分散性ラテックスから形成した、塩素含有ビニル単量体から誘導される繰り返し単位を含む重合体を主成分にしてなる層、ウレタン系重合体を主成分とする層、オレフィン系重合体を主成分にしてなる層などが挙げられる。
また、水を主溶媒とするアルコキキシランからなる化合物、アルコキシシランからなる化合物と、水酸基又はアルコキシル基と反応する官能基を有する化合物、及び/又はシランカップリング剤を含有する塗布膜等を組み合わせて用いることができる。
これらの中でも、高分子樹脂成分を分散させた水系ラテックスから形成した塩素含有ビニル単量体から誘導される繰り返し単位を含む重合体を主成分にしてなる層、ウレタン系重合体を主成分とする層、オレフィン系重合体を主成分にしてなる層が好ましく、低透湿性の点から、水系ラテックスから形成した塩素含有ビニル塩素含有ビニル単量体から誘導される繰り返し単位を含む重合体を主成分にしてなる層が特に好ましい。
[塩素含有ビニル単量体と共重合可能な単量体]
共重合可能な単量体としては、オレフィン類、スチレン類、アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、アクリルアミド類、メタアクリルアミド類、イタコン酸ジエステル類、マレイン酸エステル類、フマル酸ジエステル類、N−アルキルマレイミド類、無水マレイン酸、アクリロニトリル、ビニルエーテル類、ビニルエステル類、ビニルケトン類、ビニル異節環化合物、グリシジルエステル類、不飽和ニトリル類、不飽和カルボン酸類等から選ばれる単量体が挙げられる。
オレフィン類の例としては、ジシクロペンタジエン、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、イソプレン、クロロプレン、ブタジエン、2,3−ジメチルブタジエン等が挙げられる。
スチレン類としては、例えば、スチレン、メチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、クロルメチルスチレン、メトキシスチレン、アセトキシスチレン、クロルスチレン、ジクロルスチレン、ブロムスチレン、トリフルオロメチルスチレン、ビニル安息香酸メチルエステルなどが挙げられる。
アクリル酸エステル類及びメタクリル酸エステルの具体例としては、以下のものが挙げられる。
メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、ブチルアクリレート、アミルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、オクチルアクリレート、t−オクチルアクリレート、2−メトキシエチルアクリレート、2−ブトキシエチルアクリレート、2−フェノキシエチルアクリレート、クロルエチルアクリレート、シアノエチルアクリレート、ジメチルアミノエチルアクリレート、ベンジルアクリレート、メトキシベンジルアクリレート、フルフリルアクリレート、フェニルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、ブチルメタクリレート、アミルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、オクチルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、シアノアセトキシエチルメタクリレート、クロルベンジルメタクリレート、スルホプロピルメタクリレート、N−エチル−N−フェニルアミノエチルメタクリレート、2−メトキシエチルメタクリレート、2−(3−フェニルプロピルオキシ)エチルメタクリレート、ジメチルアミノフェノキシエチルメタクリレート、フルフリルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、フェニルメタクリレート、クレジルメタクリレート、ナフチルメタクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2,2−ジメチルヒドロキシプロピルアクリレート、5−ヒドロキシペンチルアクリレート、ジエチレングリコールモノアクリレート、トリメチロールプロパンモノアクリレート、ペンタエリスリトールモノアクリレート、2,2−ジメチル−3−ヒドロキシプロピルメタクリレート、5−ヒドロキシプロピルメタクリレート、ジエチレングリコールモノメタクリレート、トリメチロールプロパンモノメタクリレート、ペンタエリスリトールモノメタクリレート。
ビニルエーテル類の具体例としては、以下のものが挙げられる。
メチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、ヘキシルビニルエーテル、オクチルビニルエーテル、デシルビニルエーテル、エチルヘキシルビニルエーテル、メトキシエチルビニルエーテル、エトキシエチルビニルエーテル、クロルエチルビニルエーテル、1−メチル−2,2−ジメチルプロピルビニルエーテル、2−エチルブチルエーテル、ジメチルアミノエチルビニルエーテル、ジエチルアミノエチルビニルエーテル、ブチルアミノエチルビニルエーテル、ベンジルビニルエーテル、テトラヒドロフルフリルビニルエーテル、ビニルフェニルエーテル、ビニルトリルエーテル、ビニルクロルフェニルエーテル、ビニル−2,4−ジクロルフェニルエーテル、ビニルナフチルエーテル、ビニルアントラニルエーテル。
ビニルエステル類の具体例としては、以下のものが挙げられる。
ビニルアセテート、ビニルプロピオネート、ビニルブチレート、ビニルイソブチレート、ビニルジメチルプロピオネート、ビニルエチルブチレート、ビニルバレレート、ビニルカプロエート、ビニルクロルアセテート、ビニルジクロルアセテート、ビニルメトキシアセテート、ビニルブトキシアセトアセテート、ビニルフェニルアセテート、ビニルアセトアセテート、ビニルラクテート、ビニル−β−フェニルブチレート、ビニルシクロヘキシルカルボキシレート、安息香酸ビニル、サリチル酸ビニル、クロル安息香酸ビニル、テトラクロル安息香酸ビニル、ナフトエ酸ビニル。
アクリルアミド類としては、アクリルアミド、メチルアクリルアミド、エチルアクリルアミド、プロピルアクリルアミド、ブチルアクリルアミド、t−ブチルアクリルアミド、シクロヘキシルアクリルアミド、ベンジルアクリルアミド、ヒドロキシメチルアクリルアミド、メトキシエチルアクリルアミド、ジメチルアミノエチルアクリルアミド、フェニルアクリルアミド、ジメチルアクリルアミド、ジエチルアクリルアミド、β−シアノエチルアクリルアミド、N−(2−アセトアセトキシエチル)アクリルアミドなどが挙げられる。
メタクリルアミド類としては、例えば、メタクリルアミド、メチルメタクリルアミド、エチルメタクリルアミド、プロピルメタクリルアミド、ブチルメタクリルアミド、t−ブチルメタクリルアミド、シクロヘキシルメタクリルアミド、ベンジルメタクリルアミド、ヒドロキシメチルメタクリルアミド、メトキシエチルメタクリルアミド、ジメチルアミノエチルメタクリルアミド、フェニルメタクリルアミド、ジメチルメタクリルアミド、ジエチルメタクリルアミド、β−シアノエチルメタクリルアミド、N−(2−アセトアセトキシエチル)メタクリルアミドなどが挙げられる。
また、ヒドロキシル基を有するアクリルアミド類も用いることができ、これらの例としては、N−ヒドロキシメチル−N−(1,1−ジメチル−3−オキソ−ブチル)アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N−エチル−N−メチロールアクリルアミド、N,N−ジメチロールアクリルアミド、N−エタノールアクリルアミド、N−プロパノールアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド等が挙げられる。
イタコン酸ジエステル類としては、例えば、イタコン酸ジメチル、イタコン酸ジエチル、イタコン酸ジブチルなどが挙げられる。マレイン酸ジエステル類としては、例えば、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジブチルなどが挙げられる。フマル酸ジエステル類としては、例えば、フマル酸ジエチル、フマル酸ジメチル、フマル酸ジブチルなどが挙げられる。
ビニルケトン類としては、例えば、メチルビニルケトン、フェニルビニルケトン、メトキシエチルビニルケトンなどが挙げられる。ビニル異節環化合物としては、例えば、ビニルピリジン、N−ビニルイミダゾール、N−ビニルオキサゾリドン、N−ビニルトリアゾール、N−ビニルピロリドンなどが挙げられる。グリシジルエステル類としては、例えば、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレートなどが挙げられる。不飽和ニトリル類としては、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどが挙げられる。N−アルキルマレイミド類としては、N−エチルマレイミド、N−ブチルマレイミド等が挙げられる。
不飽和カルボン酸類としては、例えばアクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸等が挙げられ、更に、フマル酸、イタコン酸、マレイン酸等の無水物等が挙げられる。
これら共重合可能な単量体は2種類以上用いてもよい。
本発明における塩素含有重合体としては、特開昭53−58553号公報、特開昭55−43185号公報、特開昭57−139109号公報、特開昭57−139136号公報、特開昭60−235818号公報、特開昭61−108650号公報、特開昭62−256871号公報、特開昭62−280207号公報、特開昭63−256665号公報などに記載がある。
塩素含有重合体における、塩素含有ビニル単量体の割合は、50〜99質量%が好ましく、60〜98質量%がより好ましく、70〜97質量%が更に好ましい。塩素含有ビニル単量体の割合が50%以上であれば、透湿性が悪化するなどの不具合が生ずることがなく、また99%以下であれば、種々の溶剤への溶解性が得られるので好ましい。
塩素含有重合体は、旭化成ケミカルズ(株)、呉羽化学(株)から入手できる。旭化成ケミカルズ(株)から入手可能なものとしては以下のものが挙げられる。
「サランレジンR241C」、「サランレジンF216」、「サランレジンR204」、「サランラテックスL502」、「サランラテックスL529B」、「サランラテックスL536B」、「サランラテックスL544D」、「サランラテックスL549B」、「サランラテックスL551B」、「サランラテックスL557」、「サランラテックスL561A」、「サランラテックスL116A」、「サランラテックスL411A」、「サランラテックスL120」、「サランラテックスL123D」、「サランラテックスL106C」、「サランラテックスL131A」、「サランラテックスL111」、「サランラテックスL232A」、「サランラテックスL321B」。
本発明では、第1の被覆層と主溶媒を同じにすることが好ましいが、本発明で好ましくは第1の被覆層にビニルアルコール系重合体を主成分にしてなる層を用い、主溶媒が水であることが好ましく、したがって、第2の被覆層も主溶媒が水であることが好ましい。したがって、塩素含有重合体としては、サランラテックスが特に好ましく、低透湿性の観点からは、「サランラテックスL536B」、「サランラテックスL544D」、「サランラテックスL549B」、「サランラテックスL551B」、「サランラテックスL557」、「サランラテックスL561A」が更に好ましい。
―第2の被覆層の厚さ―
第2の被覆層の厚みは0.3〜10μmが好ましく、0.5〜5μmがより好ましく、0.7〜2μmが更に好ましい。第2の被覆層の厚みが0.3μm未満であれば、透湿性が充分に低下しないため、光漏れの改良効果が充分でなく、好ましくない。
また、第2の被覆層の厚みが10μmを超えると、フィルムの黄変等の問題が生じ好ましくない。
本発明では、塩素含有重合体が塩化ビニリデンである場合は水を主溶剤にもちいることが好ましいが、第2の被覆層を透明基材表面に直接形成する場合は、基材との密着性を良かするために、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、n−メチルピロリドンなどを少量添加することも好ましい。添加量は全溶剤量の20質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましく、5質量%以下が特に好ましい。溶剤量が多すぎると水分散物の安定性が悪化するなどで好ましくない。
また、塩素含有重合体がラテックス分散物として供給される場合は、主溶剤としては水が好ましく用いられる。ラテックス分散物の場合は、界面活性剤や増粘剤などが併用されることが好ましい。
塩素含有重合体を含む被覆層を透明基材フィルム上に塗布する場合に、耐ブロッキング性の改良のため、サイリシア(富士シリシア製)、ミズカシール(水澤化学工業製)、二ップシール(日本シリカ工業製)などのシリカ粉末やポリスチレンやアクリル系の有機樹脂粒子を、塩素含有重合体に対して0.2〜1.0部添加したり、有機溶剤系で塗布する場合に限り、パラフィンワックス(日本精蝋製)、ベヘニン酸(日本油脂製)、ステアリン酸(日本油脂製)などのワックスエマルジョンを0.2〜5.0部添加して用いることも好ましい。また、特開平9−143419号公報の段落[0012]〜[0016]記載のように変性ワックスを用いることも好ましい。
塩素含有重合体は、熱、光、紫外線によって分解され、着色するため、安定剤として、鉛、亜鉛、バリウムなどのステアリン酸や銀塩類、酸化マグネシウムなどが共に用いられることが好ましい。また特開2004−359819号公報の段落[0013]〜[0020]記載のような酸化防止剤を用いてもよい。
−その他の水分散性ラテックス−
第2の被覆層として、透湿度の要求を満たすのであれば、その他の水分散性ラテックスを用いることもできる。ポリウレタンラテックス、ウレタンアクリレートラテックス、アクリルエステル系ラテックス、塩素化酢酸ビニル系ラテックス、塩化ビニル系ラテックス、フッ素系ポリマーラテックスなどが挙げられる。
−シリカ系塗布膜より形成された被覆層−
前記シリカ系塗布膜は、セルロースアシレート類からなる透明基材フィルムの少なくとも片面に設けられ、目的の透湿度を達成し、かつ、保護フィルムとしての実用に耐えるため、緻密性と柔軟性を両立する必要がある。
したがって、アルコキシシランに触媒、水を添加して加水分解縮合して作られる加水分解物であるシリカ膜のみでは、柔軟性が不十分で本発明には適さず、本発明ではアルコキキシランからなる化合物と、水酸基又はアルコキシル基と反応する官能基を有する化合物及び/又はシランカップリング剤を含有する塗布膜が好ましく用いられ、アルコキキシランからなる化合物と、水酸基又はアルコキシル基と反応する官能基を有する化合物とシランカップリング剤を全て含有するのが特に好ましい。
−−アルコキシシランからなる化合物−−
本発明で用いられるアルコキシシランからなる化合物としては、例えば、下記一般式(1)で表される。なお、下記一般式(1)中、Rは水素原子、アルキル基又はアシル基を示し、Rは水素原子、アルキル基、芳香族基を示し、nは2〜4の数を示す。
上記一般式(1)において、Rで示されるアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等を挙げることができ、アシル基としてはアセチル基、プロピオニル基等が挙げられる。この中でもメチル基、エチル基、プロピル基が特に好ましく、最も好ましくはエチル基である。nは2〜4が好ましく、3〜4がより好ましく、4が更に好ましい。
したがって、テトラアルコキシシランが好ましく、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシランが特に好ましく、テトラエトキシシランが特に好ましい。nが2及び3の場合は、Rで示されるアルキル基としては、炭素数1〜18、好ましくは1〜5のアルキル基等を挙げることができ、芳香族基としてはフェニル基等が挙げられる。
−−水酸基又はアルコキシル基と反応する官能基を有する化合物−−
本発明では、水酸基又はアルコキシ基と反応する官能基を有する化合物が用いられる。
水酸基又はアルコキシル基と反応する官能基を有するモノマー、オリゴマー、ポリマーがより好ましく用いられ、水酸基又はアルコキシル基と反応する官能基をもつものであれば特に制限されることなく用いることができる。
例えば、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂、メラミン系樹脂のなかから選ばれる熱硬化性、電離硬化性、又は湿気硬化性の樹脂等が用いられる水酸基を有するモノマー、オリゴマー、ポリマーがより好ましく、水酸基を有するポリマーが特に好ましく、ビニルアルコール系重合体、例えば、ポリビニルアルコール(PVA)の単独重合体や、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)が更に好ましく用いられ、ポリビニルアルコール(PVA)の単独重合体が特に好ましく用いられる。
また、これらのビニルアルコール系重合体の一部がカルボニル基等で変性されたものや、その一部にジアセトンアクリルアミド単位等を含む共重合体などを用いることも可能である。また、各種のビニルアルコール系重合体を単独で又は二種以上組み合わせて使用することもできる。
水酸基、又はアルコキシル基と反応する官能基を有する化合物として好ましく用いられるビニルアルコール系重合体としては、ビニルアルコール系重合体の鹸化度は、80モル%以上の範囲から選択できるが、96モル%以上が好ましく、98モル%以上がより好ましい。ビニルアルコール系重合体の重合度は、透湿度、塗布性の点から、200〜5,000が好ましく、400〜5,000がより好ましく、500〜3,000程度が更に好ましい。
−−シランカップリング剤−−
本発明では、シランカップリング剤が用いられる。シランカップリング剤としては、末端にアルコキシシランを有する化合物であれば特に制限されないが、同時にビニル基、エポキシ基、アクリル基又はメタクリル基、アミン基、メルカプト基、水酸基、イソシアネート基、カルボキシル基、酸無水物基を有するものがより好ましく、エポキシ基、アミン基、アクリル基又はメタクリル基を有するものが更により好ましい。
ビニル基を有するシランカップリング剤としては、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン等が好ましく用いられる。
エポキシ基を有するシランカップリング剤としては、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等が好ましく用いられる。
アクリル基、又はメタクリル基を有するシランカップリング剤としては、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン等が好ましく用いられる。
アミン基を有するシランカップリング剤としては、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等が好ましく用いられる。
メルカプト基を有するシランカップリング剤としては、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン等が好ましく用いられる。
イソシアネート基を有するシランカップリング剤としては、γ−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン等が好ましく用いられる。
本発明において、シランカップリング剤は、水酸基又はアルコキシル基と反応する官能基を有する化合物と同時に用いられる場合があるため、水酸基又はアルコキシル基と反応する官能基を有する化合物と架橋するためにはエポキシ基を有するシランカップリング剤を用いるのが好ましい。
また、本発明において、シランカップリング剤は、アルコキシシランからなる化合物と同時に用いられるため、アルコキシシランの脱水重縮合の反応速度を上げるという観点からはアミン基を有するシランカップリング剤を用いるのが好ましい。
また、本発明では被覆層の上にハードコート性を有する層を設けることが好ましく、ハードコート性を有する層との層間密着を向上させるためには、アクリル基又はメタクリル基を有するシランカップリング剤を用いるのが特に好ましい。
本発明で用いることができるシランカップリング剤のもう1つの好ましい態様は、両末端にアルコキシシランを有するシランカップリング剤である。
両末端にアルコキシシランを有するシランカップリング剤は、アルコキシシランからなる化合物との架橋ができる点で望ましく、化合物の例としては、特開2000−326448に記載の有機鎖含有両末端官能性シランモノマーなどが好ましく用いられる。
本発明では、シランカップリング剤の加水分解物、シランカップリング剤の加水分解物の部分縮合物も好ましく用いられる。本発明でシランカップリング剤という場合は、シランカップリング剤の加水分解物、シランカップリング剤の加水分解物の部分縮合物を含むこととする。
エポキシ基、アミン基、アクリル基、又はメタクリル基を有するシランカップリング剤はそれぞれ単独で用いてもよいが、2種以上を併用することがより好ましく、3種を併用することが特に好ましい。反応速度を上げるための重縮合触媒として有機溶媒に可溶な第3アミンなどを用い、エポキシ基を有するシランカップリング剤とアクリル基又はメタクリル基を有するシランカップリング剤の2種を同時に用いるのが更に好ましい。
アルコキキシランからなる化合物と水酸基又はアルコキシル基と反応する官能基を有する化合物とシランカップリング剤の含有率をそれぞれa質量%、b質量%、c質量%としたとき(この場合アルコキキシランからなる化合物の含有率は理想的に縮合した場合の重縮合後の計算値より算出する)、アルコキキシランからなる化合物と水酸基又はアルコキシル基と反応する官能基を有する化合物の2種を用いる場合は、a/bは10/90〜90/10が好ましく、20/80〜80/20がより好ましく、40/60〜80/20が特に好ましい。アルコキキシランからなる化合物とシランカップリング剤の2種を用いる場合は、a/bは40/60〜95/5が好ましく、50/50〜90/10がより好ましい。
アルコキキシランからなる化合物と水酸基又はアルコキシル基と反応する官能基を有する化合物とシランカップリング剤の3種類を同時に用いる場合はa/(b+c)は、10/90〜90/10が好ましく、20/80〜80/20がより好ましく、40/60〜80/20が特に好ましい。その場合のb/cは、10/90〜90/10が好ましく、20/80〜80/20がより好ましく、40/60〜80/20が更に好ましい。
−−その他の成分−−
本発明では、上記の如くアルコキキシランからなる化合物の重縮合反応を進めるために、触媒、水が用いられる。
硬化触媒としては塩酸、硝酸、酢酸、シュウ酸、マレイン酸、フマル酸等の酸、有機溶媒に可溶なN,N−ジメチルベンジルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリペンチルアミンなどの第3アミン、有機金属、金属アルコキシド等が用いられる。
添加量は、アルコキキシランからなる化合物100質量部に対して1〜10質量%が好ましく、1〜5質量部が更に好ましい。
また、水添加については部分加水分解物が理論上100%加水分解し得る量以上の量が好ましく、110〜300%相当量がより好ましく。120〜200%相当量を添加するのが更に好ましい。
更に本発明では、必要に応じて被覆層中に紫外線吸収剤を含有することもできる。
また、アクリル基又はメタクリル基を有するシランカップリング剤を用いる場合は、後述のハードコート層の項に記載の光開始剤をシランカップリング剤含有量の0.5〜5質量%程度含有することも好ましい。
−−塗布溶媒−−
本発明の被覆層としてのシリカ系の塗布膜を形成するための塗布組成物の溶媒としては、水、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、イソブタノール、オクタノールを1種又は2種以上混合して使用するのが好ましい。溶媒量は固形分濃度が15〜60質量%になるように調整するのが好ましい。
――架橋剤――
本発明では、低透湿性を有する第1の被覆層と第2の被覆層の2層被覆層のうち、少なくとも1方に他層に含有される少なくとも1つの成分と架橋可能な添加剤を含有することが好ましい。架橋可能な添加剤としては、シリカ系塗布膜より形成された被覆層のところで記載した前述の各種シランカップリング剤、イソシアネート系硬化剤などが挙げられる。
前記イソシアネート系硬化剤としては、有機溶剤系であれば、コロネートL(日本ポリウレタン製)、タケネートA−3(武田薬品工業)などが好ましく用いられるが、本発明で特に好ましい水系の場合は、水分散性イソシアネート系硬化剤が特に好ましく、商品としては、バーノックDNW−5000(大日本インキ化学工業製)などが挙げられる。架橋剤は塩素含有重合体に対して、0.1〜2.0質量%添加することも好ましく、0.3〜1.2質量%添加することがより好ましい。
[被覆層の積層方法]
本発明では、第1の被覆層と、第2の被覆層の少なくとも2層を積層して用いる。これら2層の被覆層はお互いに接して形成さえていれば、特に形成の順序に関する制限はない。
被覆層2層の塗布組成物を一層ずつ逐次塗布する場合は、ディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法やエクストルージョンコート法(ダイコート法)(米国特許2681294号明細書参照)、マイクログラビアコート法等の公知の方法が用いられ、その中でもマイクログラビアコート法、ダイコート法が特に好ましい。また、被覆層とセルロースアシレート基板との密着性の点から透明支持体を予め鹸化処理、コロナ処理等の表面処理を施しておくこと、又は基板上に易接着層を付与しておくことが好ましい。透明基材上に直接ビニルアルコール系重合体を含む被覆層を形成する場合は、特に透明支持体を予め鹸化処理、コロナ処理等の表面処理を施しておくことが好ましい。
被覆層2層を逐次塗布する場合は、最初にビニルアルコール系重合体を含む第1の被覆層を形成した後に第2の被覆層を形成するのが特に好ましい。水に可溶なビニルアルコール系重合体が、水を主溶媒に用いる第2の被覆層を形成する時に表面が溶解され、界面混合層が形成され、良好な密着性が得られ、好ましい。反対に、最初に第2の被覆層を形成すると、塩化ビニリデンラテックスを用いる場合は、塗膜形成した後は結晶性が高く、水に不溶解であったり、シリカ系の塗布膜の場合は縮合反応後で水に不溶解などの状態になり、その上に水を主溶媒に用いるビニルアルコール系重合体を含む第1の被覆層を形成しても界面混合層が形成されず密着性が悪いなどの問題が生じる。
本発明で被覆層2層を形成する時は、被覆層2層を形成するために用いる塗布組成物を透明基材上に同時に塗布した後に、乾燥し、2層を同時に形成するのが生産性の観点から好ましい。また、2層間に混合層を形成し、密着性を高める上でも好ましい。2層を同時に形成するには、2層のスロットダイを有するもの、スロットダイの上にスライド型の塗布ヘッドを並べたダイなどが好ましく用いられる。
被覆層2層を同時に形成する場合は、被覆層2層を形成するために用いる塗布組成物を透明基材上に同時に塗布した後の溶液の過度な混合を抑えるために、粘度をコントロールすることが好ましい。少なくとも、透明基材に近い位置に塗布される層の粘度が10Cp以上が好ましく、20Cp以上がより好ましい、特に好ましくは30Cp以上である。
また、本発明の偏光板用保護フィルムの被覆層には、必要に応じ熱安定剤、光安定剤、滑剤等の添加剤を使用することも可能である。
<<ハードコート層>>
本発明の第1の保護フィルムには、当該保護フィルムの物理的強度を付与するために、透明基材フィルムの一方の面にハードコート性を有する層(以下、ハードコート層ということがある)が設けられることが好ましい。
ハードコート性を有する層の塗設面は特に限定されるものではないが、塗布適性を考慮すると、基材層に直接(基材層を介して被覆層とは逆側に)付与することが好ましい。
また、ハードコート層上に低屈折率層が設けられることがより好ましく、ハードコート層と低屈折率層の間に中屈折率層、高屈折率層が設けられ、反射防止フィルムが構成されることが更に好ましい。また、ハードコート層は、二層以上の積層から構成されてもよい。
本発明におけるハードコート層の屈折率は、反射防止性のフィルムを得るための光学設計から、1.48〜2.00であることが好ましく、1.49〜1.90であることがより好ましく、1.50〜1.80であることが更に好ましい。
本発明では、ハードコート層の上に低屈折率層が少なくとも1層設けられているので、屈折率がこの範囲より小さ過ぎると、反射防止性が低下し、大き過ぎると反射光の色味が強くなる傾向がある。
ハードコート層の厚さは、フィルムに充分な耐久性、耐衝撃性を付与する観点から、0.5μm〜50μm程度が好ましく、1〜20μmがより好ましく、2〜15μmが更に好ましく、3〜10μmが特に好ましい。
また、ハードコート層の強度は、鉛筆硬度試験で、H以上であることが好ましく、2H以上であることがより好ましく、3H以上であることが更に好ましい。
特に、JIS K5400に従うテーバー試験で、試験前後の試験片の摩耗量が少ないほど好ましい。
ハードコート層は、電離放射線硬化性化合物の架橋反応、又は、重合反応により形成されることが好ましい。例えば、電離放射線硬化性の多官能モノマーや多官能オリゴマーを含む塗布組成物を透明基材フィルム上に塗布し、多官能モノマーや多官能オリゴマーを架橋反応、又は、重合反応させることにより形成することができる。
電離放射線硬化性の多官能モノマーや多官能オリゴマーの官能基としては、光、電子線、放射線重合性のものが好ましく、中でも光重合性官能基が好ましい。
光重合性官能基としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、スチリル基、アリル基等の不飽和の重合性官能基等が挙げられ、中でも、(メタ)アクリロイル基が好ましい。
また、上記の重合性不飽和基を有するモノマーの代わり、又はそれに加えて、架橋性の官能基をバインダーに導入してもよい。
架橋性官能基の例には、イソシアネート基、エポキシ基、アジリジン基、オキサゾリン基、アルデヒド基、カルボニル基、ヒドラジン基、カルボキシル基、メチロール基及び活性メチレン基が含まれる。
また、ビニルスルホン酸、酸無水物、シアノアクリレート誘導体、メラミン、エーテル化メチロール、エステル及びウレタン、テトラメトキシシランのような金属アルコキシドも、架橋構造を有するモノマーとして利用できる。
ブロックイソシアネート基のように、分解反応の結果として架橋性を示す官能基を用いてもよい。
即ち、本発明において架橋性官能基は、すぐには反応を示すものではなくとも、分解した結果反応性を示すものであってもよい。
これら架橋性官能基を有するバインダーは塗布後、加熱することによって架橋構造を形成することができる。
ハードコート層には、内部散乱性付与の目的で、平均粒径が1.0〜10.0μm、好ましくは1.5〜7.0μmのマット粒子、例えば無機化合物の粒子、又は樹脂粒子を含有してもよい。
ハードコート層のバインダーには、ハードコート層の屈折率を制御する目的で、高屈折率モノマー、又は無機粒子、或いは両者を加えることができる。無機粒子には屈折率を制御する効果に加えて、架橋反応による硬化収縮を抑える効果もある。
本発明では、ハードコート層形成後において、前記多官能モノマー及び/又は高屈折率モノマー等が重合して生成した重合体、その中に分散された無機粒子を含んでバインダーと称する。
ハードコート層のヘイズは、反射防止フィルムに付与させる機能によって異なる。
画像の鮮明性を維持し、表面の反射率を抑えて、ハードコート層の内部及び表面にて光散乱機能を付与しない場合は、ヘイズ値は低い程よく、具体的には10%以下が好ましく、5%以下がより好ましく、2%以下が更に好ましい。
一方、表面の反射率を抑える機能に加えて、ハードコート層の表面散乱にて、防眩機能を付与する場合は、表面ヘイズが5〜15%であることが好ましく、5〜10%であることがより好ましい。
また、ハードコート層の内部散乱により液晶パネルの模様や色ムラ、輝度ムラ、ギラツキなどを見難くしたり、散乱により視野角を拡大する機能を付与する場合は、内部ヘイズ値(全ヘイズ値から表面ヘイズ値を引いた値)は、10〜90%であることが好ましく、15〜70%であることがより好ましく、20〜50%であることが更に好ましい。
本発明のフィルムは、目的に応じて、表面ヘイズ、及び内部ヘイズを自由に設定可能である。
また、ハードコート層の表面凹凸形状については、画像の鮮明性を維持する目的で、クリアな表面を得るためには、表面粗さを示す特性のうち、例えば中心線平均粗さ(Ra)を0.10μm以下とすることが好ましく、0.09μm以下とすることがより好ましく、0.08μm以下とすることが更に好ましい。
本発明のフィルムにおいては、フィルムの表面凹凸にはハードコート層の表面凹凸が支配的であり、ハードコート層の中心線平均粗さを調節することにより、反射防止フィルムの中心線平均粗さを上記範囲とすることができる。
画像の鮮明性を維持する目的では、表面の凹凸形状を調整することに加えて、透過画像鮮明度を調整することが好ましい。クリアな反射防止フィルムの透過画像鮮明度は60%以上が好ましい。
透過画像鮮明度は、一般にフィルムを透過して映す画像の呆け具合を示す指標であり、この値が大きい程、フィルムを通して見る画像が鮮明で良好であることを示す。透過画像鮮明度は、70%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましい。
本発明の偏光板用保護フィルムが液晶表示装置の表面に用いられる場合に、周辺の物体の反射像が表面に映り込んで、表示画像の視認性を低下させることがあり、これを防ぐためには、ハードコート層の表面に凹凸を付け、光を表面で散乱する性能(防眩性)を付与することが好ましい。
ハードコート層としては、表面及び/又は内部に光散乱性を付与した、光散乱性層とすることが好ましい(表面に散乱性を付与した場合は、防眩層ということがある)。
[ハードコート層の溶剤]
本発明のハードコート層は、被覆層の上にウエット塗布されるケースが多いため、特に塗布組成物に用いる溶媒は重要な要因となる。溶媒の要件としては、上記透光性樹脂等の各種溶質を充分に溶解すること、上記透光性微粒子を溶解しないこと、塗布〜乾燥過程で塗布ムラ、乾燥ムラを発生しにくいことが挙げられる。
また、下層の溶解性が高すぎないこと(平面性悪化、白化等の故障防止に必要)、逆に最低限の程度には被覆層を溶解・膨潤させること(密着性に必要)、等も好ましい特性である。
溶剤は1種でもよいが、2種以上の溶剤を用いて、被覆層の溶解性、膨潤性、素材の溶解性、乾燥特性、粒子の凝集性などを調整することが特に好ましい。また、被覆層の膨潤性の低い主溶媒に対して、膨潤性の高い少量溶媒を添加することにより、他の性能、面状を悪化させることなく、被覆層との密着性を向上させることができる。
具体例としては、溶媒として各種ケトン(メチルエチルケトン、アセトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等)、各種セロソルブ(エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル等)、が好ましく用いられる。
その他として、各種アルコール類(プロピレングリコール、エチレングリコール、エタノール、メタノール、イソプロピルアルコール、1−ブタノール、2−ブタノール等)、トルエンなどが好ましく用いられる。
本発明では、被覆層の上にハードコート層を直接塗布する場合、被覆層を溶解・膨潤可能な溶剤を用いることが好ましい。特に、被覆層が塩化ビニリデンである場合、テトラヒドロフランを添加することが好ましい。また、前記被覆層に塩化ビニリデンの共重合体を選択することで、トルエン、ケトン系溶剤などに溶解可能とし、テトラヒドロフランを用いずに、トルエン、ケトン系溶剤を用いることがより好ましい。また、被覆層用塗布液とハードコート層用塗布液に、両溶質を可溶の溶媒を選択し、使用することで、被覆層とハードコート層の密着性は著しく向上し、好ましい。
[低屈折率層]
本発明の偏光板用保護フィルムが画像表示装置の表面に用いられる場合に、映り込みを防ぐ方法として、ハードコート層の表面に低屈折率層を形成することも好ましく用いられる。以下に本発明に好ましく用いることができる低屈折率層について説明する。
本発明で用いられる低屈折率層は、フッ素原子を35〜80質量%の範囲で含み且つ架橋性若しくは重合性の官能基を含む含フッ素化合物を主としてなる熱硬化性及び/又は光硬化性を有する組成物を塗布して形成されることが好ましい。
本発明の防眩性反射防止フィルムにおける低屈折率層の屈折率は、1.45以下であることが好ましく、1.30以上1.40以下がより好ましく、1.33以上1.37以下が更に好ましい。
更に、低屈折率層は下記数式(1)を満たすことが低反射率化の点で好ましい。
(m/4)×0.7<n×d<(m/4)×1.3・・・・・・数式(1)
数式(1)中、mは正の奇数であり、nは低屈折率層の屈折率であり、そして、dは低屈折率層の膜厚(nm)である。また、λは波長であり、500〜550nmの範囲の値である。
なお、前記数式(1)を満たすとは、前記波長の範囲において数式(1)を満たすm(正の奇数、通常1である)が存在することを意味している。
低屈折率層は、例えば含フッ素化合物を主成分とする硬化性組成物を塗布、乾燥、硬化して形成される硬化膜である。
低屈折率層を形成する際に使用される硬化性組成物は、(A)含フッ素化合物、(B)無機微粒子、及び(C)オルガノシラン化合物のうちの少なくとも2種を含有してなるのが好ましく、3種全てを含有することが特に好ましい。
含フッ素化合物としては、屈折率の低い含フッ素ポリマー、あるいは含フッ素ゾルゲル素材などを用いることが好ましい。
含フッ素ポリマーあるいは含フッ素ゾルゲルとしては、熱又は電離放射線により架橋し、形成される低屈折率層表面の動摩擦係数が、0.03〜0.30であり、水に対する接触角が、85〜120°となる素材が好ましい。
−低屈折率層用含フッ素ポリマー−
次に、低屈折率層を形成する素材について以下に説明する。
前記含フッ素ポリマーは、硬化被膜にした場合の被膜の動摩擦係数が0.03〜0.20、水に対する接触角が90〜120°、純水の滑落角が70°以下であり、熱又は電離放射線により架橋するポリマーであるのが、ロールフィルムをウェブ搬送しながら塗布、硬化する場合などにおいて生産性向上の点で好ましい。
また、本発明の防眩性フィルム又は防眩性反射防止フィルムを画像表示装置に装着した時、市販の接着テープとの剥離力が低いほどシールやメモを貼り付けた後に剥がれ易くなるので、剥離力は、500gf(4.9N)以下が好ましく、300gf(2.9N)以下がより好ましく、100gf(0.98N)以下が更に好ましい。また、微小硬度計で測定した表面硬度が高いほど、傷がつき難いので、該表面硬度が、0.3GPa以上が好ましく、0.5GPa以上がより好ましい。
低屈折率層に用いられる含フッ素ポリマーは、フッ素原子を35〜80質量%の範囲で含有し、且つ架橋性もしくは重合性の官能基を含む含フッ素ポリマーであることが好ましく、例えば、パーフルオロアルキル基含有シラン化合物[例えば(ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロデシル)トリエトキシシラン]の加水分解物や脱水縮合物の他、含フッ素モノマー単位と架橋反応性単位とを構成単位とする含フッ素共重合体が挙げられる。含フッ素共重合体の場合、主鎖は、炭素原子のみからなるのが好ましい。すなわち、主鎖骨格に酸素原子や窒素原子などを有しないのが好ましい。
前記含フッ素モノマー単位の具体例としては、例えばフルオロオレフィン類(例えばフルオロエチレン、ビニリデンフルオライド、テトラフルオロエチレン、パーフルオロオクチルエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロ−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソール等)、(メタ)アクリル酸の部分又は完全フッ素化アルキルエステル誘導体類(例えばビスコート6FM(大阪有機化学製)やM−2020(ダイキン製)等)、完全又は部分フッ素化ビニルエーテル類等が挙げられるが、パーフルオロオレフィン類が好ましく、屈折率、溶解性、透明性、入手性等の観点からヘキサフルオロプロピレンがより好ましい。
前記架橋反応性単位としては、グリシジル(メタ)アクリレート、グリシジルビニルエーテルのように分子内にあらかじめ自己架橋性官能基を有するモノマーの重合によって得られる構成単位;カルボキシル基やヒドロキシ基、アミノ基、スルホ基等を有するモノマー[例えば(メタ)アクリル酸、メチロール(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、アリルアクリレート、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、マレイン酸、クロトン酸等]の重合によって得られる構成単位に高分子反応によって(メタ)アクリルロイル基等の架橋反応性基を導入した構成単位(例えばヒドロキシ基に対してアクリル酸クロリドを作用させる等の手法で導入できる)が挙げられる。
また、前記含フッ素モノマー単位及び前記架橋反応性単位以外に溶剤への溶解性、皮膜の透明性等の観点から、適宜フッ素原子を含有しないモノマーを共重合させて、他の重合単位を導入することもできる。
併用可能なモノマー単位には特に限定はなく、例えばオレフィン類[エチレン、プロピレン、イソプレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン等]、アクリル酸エステル類[アクリル酸メチル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸2−エチルヘキシル]、メタクリル酸エステル類[メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、エチレングリコールジメタクリレート等]、スチレン誘導体[スチレン、ジビニルベンゼン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン等]、ビニルエーテル類[メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル等]、ビニルエステル類[酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、桂皮酸ビニル等]、アクリルアミド類[N−tertブチルアクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミド等]、メタクリルアミド類、アクリロ二トリル誘導体等が挙げられる。
前記含フッ素ポリマーについては、特開平10−25388号公報、及び特開平10−147739号各公報に記載の硬化剤を適宜併用してもよい。
本発明で特に有用な含フッ素ポリマーは、パーフルオロオレフィンとビニルエーテル類又はビニルエステル類とのランダム共重合体である。
特に、単独で架橋反応可能な基[(メタ)アクリロイル基等のラジカル反応性基、エポキシ基、オキセタニル基等の開環重合性基等]を有していることが好ましい。
これらの架橋反応性基含有重合単位はポリマーの全重合単位の5〜70mol%を占めていることが好ましく、30〜60mol%を占めていることがより好ましい。
本発明に用いられる低屈折率層用含フッ素ポリマーの好ましい形態としては、下記一般式(2)で表される共重合体が挙げられる。
一般式(2)中、Lは炭素数1〜10の連結基を表すことが好ましく、炭素数1〜6の連結基を表すことがより好ましく、2〜4の連結基を表すことが更に好ましく、直鎖であっても分岐構造を有していてもよく、環構造を有していてもよく、O、N及びSから選ばれるヘテロ原子を有していてもよい。
Lの例としては、*−(CH−O−**、*−(CH−NH−**、*−(CH−O−**、*−(CH−O−**、*−(CH−O−(CH−O−**、*−CONH−(CH−O−**、*−CHCH(OH)CH−O−**、*−CHCHOCONH(CH−O−**(*はポリマー主鎖側の連結部位を表し、**は(メタ)アクリロイル基側の連結部位を表す。)等が挙げられる。mは0又は1を表わす。
また、一般式(2)中、Xは、水素原子、又はメチル基を表す。硬化反応性の観点から、水素原子であることが好ましい。
一般式(2)中、Aは任意のビニルモノマーから導かれる繰返し単位を表わし、ヘキサフルオロプロピレンと共重合可能な単量体の構成成分であれば特に制限はなく、基材への密着性、ポリマーのTg(皮膜硬度に寄与する)、溶剤への溶解性、透明性、滑り性、防塵・防汚性等種々の観点から適宜選択することができ、目的に応じて単一あるいは複数のビニルモノマーによって構成されていてもよい。
前記ビニルモノマーの例としては、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、t−ブチルビニルエーテル、シクロへキシルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、グリシジルビニルエーテル、アリルビニルエーテル等のビニルエーテル類、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル等のビニルエステル類、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジルメタアクリレート、アリル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン等の(メタ)アクリレート類、スチレン、p−ヒドロキシメチルスチレン等のスチレン誘導体、クロトン酸、マレイン酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸及びその誘導体等が挙げられるが、ビニルエーテル誘導体、ビニルエステル誘導体であることが好ましく、ビニルエーテル誘導体であることがより好ましい。
x、y、zはそれぞれの構成成分のモル%を表わし、30≦x≦60、5≦y≦70、0≦z≦65が好ましく、35≦x≦55、30≦y≦60、0≦z≦20がより好ましく、40≦x≦55、40≦y≦55、0≦z≦10が更に好ましい。ただし、x+y+z=100である。
本発明に用いられる共重合体の特に好ましい形態として、下記一般式(3)が挙げられる。
一般式(3)において、Xは一般式(2)と同じ意味を表わし、好ましい範囲も同じである。
nは2≦n≦10の整数を表わし、2≦n≦6であることが好ましく、2≦n≦4であることが特に好ましい。
Bは、任意のビニルモノマーから導かれる繰返し単位を表わし、単一組成であっても複数の組成によって構成されていてもよい。例としては、前記一般式(2)におけるAの例として説明したものが当てはまる。
x、y、z1、及びz2は、それぞれの繰返し単位のmol%を表わし、x及びyは、それぞれ30≦x≦60、5≦y≦70を満たすのが好ましく、35≦x≦55、30≦y≦60の場合がより好ましく、40≦x≦55、40≦y≦55が更に好ましい。z1及びz2については、0≦z1≦65、0≦z2≦65を満たすのが好ましく、0≦z1≦30、0≦z2≦10であることがより好ましく、0≦z1≦10、0≦z2≦5であることが更に好ましい。ただし、x+y+z1+z2=100である。
一般式(2)、及び一般式(3)で表わされる共重合体は、例えば、ヘキサフルオロプロピレン成分と、ヒドロキシアルキルビニルエーテル成分とを含んでなる共重合体に前記のいずれかの手法により(メタ)アクリロイル基を導入することにより合成できる。この際用いられる再沈殿溶媒としては、イソプロパノール、ヘキサン、メタノール等が好ましい。
一般式(2)、及び一般式(3)で表わされる共重合体の好ましい具体例としては、特開2004−45462号公報の[0035]〜[0047]に記載されたものを挙げることができ、該公報に記載の方法により合成することができる。
−低屈折率層用無機微粒子−
無機微粒子の配合量は、1mg/m〜100mg/mが好ましく、5mg/m〜80mg/mがより好ましく、10mg/m〜60mg/mが更に好ましい。少なすぎると、耐擦傷性の改良効果が減り、多すぎると、低屈折率層表面に微細な凹凸ができ、黒の締まりなどの外観や積分反射率が悪化する場合があるので、上述の範囲内とするのが好ましい。
該無機微粒子は、低屈折率層に含有させることから、低屈折率であることが望ましい。例えば、フッ化マグネシウムや酸化珪素(シリカ)の微粒子が挙げられる。特に、屈折率、分散安定性、コストの点で、シリカ微粒子が好ましい。
無機微粒子の平均粒径は、低屈折率層の厚みの例えば10%以上100%以下、30%以上100%以下が好ましく、35%以上80%以下がより好ましく、40%以上60%以下が更に好ましい。即ち、低屈折率層の厚みが100nmであれば、シリカ微粒子の粒径は30nm以上100nm以下が好ましく、35nm以上80nm以下がより好ましく、40nm以上60nm以下が更に好ましい。
前記無機微粒子の粒径が小さすぎると、耐擦傷性の改良効果が少なくなり、大きすぎると低屈折率層表面に微細な凹凸ができ、黒の締まりといった外観、積分反射率が悪化する場合があるので、上述の範囲内とするのが好ましい。無機微粒子は、結晶質でも、アモルファスのいずれでもよく、また単分散粒子でも、所定の粒径を満たすならば凝集粒子でも構わない。形状は、球径が最も好ましいが、不定形であっても問題ない。
ここで、無機微粒子の平均粒径はコールターカウンターにより測定される。
低屈折率層の屈折率上昇をより一層少なくするために、前記無機微粒子は、中空構造であるのが好ましく、また、無機微粒子の屈折率は1.17〜1.40が好ましく、1.17〜1.35がより好ましく、1.17〜1.30が更に好ましい。ここでの屈折率は粒子全体としての屈折率を表し、中空構造の無機微粒子の場合に外殻の無機質のみの屈折率を表すものではない。この時、粒子内の空腔の半径をa、粒子外殻の半径をbとすると、空隙率xは下記数式(2)で表される。
x=(4πa/3)/(4πb/3)×100・・・・数式(2)
空隙率xは、10〜60%が好ましく、20〜60%がより好ましく、30〜60%が更に好ましい。
中空の無機微粒子の屈折率をより低屈折率に、より空隙率を大きくしようとすると、外殻の厚みが薄くなり、粒子の強度としては弱くなるため、耐擦傷性の観点からは屈折率1.17未満の低屈折率の粒子は成り立たない。
なお、無機微粒子の屈折率は、アッベ屈折率計(アタゴ(株)製)にて測定できる。
また、平均粒径が低屈折率層の厚みの25%未満である無機微粒子(以下「小サイズ無機微粒子」と称す)の少なくとも1種を前記の好ましい範囲内の粒径の無機微粒子(以下「大サイズ無機微粒子」と称す)と併用してもよい。
小サイズ無機微粒子は、大サイズ無機微粒子同士の隙間に存在することができるため、大サイズ無機微粒子の保持剤として寄与することができる。
小サイズ無機微粒子の平均粒径は、低屈折率層が100nmの場合、1nm以上20nm以下が好ましく、5nm以上15nm以下がより好ましく、10nm以上15nm以下が更に好ましい。このような無機微粒子を用いると、原料コスト及び保持剤効果の点で好ましい。
上述のように前記無機微粒子としては、平均粒径が上述のように低屈折率層の厚みの30〜100%であり、中空構造からなり、屈折率が上述のように1.17〜1.40であるものが特に好ましく用いられる。
無機微粒子は、分散液中あるいは塗布液中で、分散安定化を図るために、あるいはバインダー成分との親和性、結合性を高めるために、プラズマ放電処理やコロナ放電処理のような物理的表面処理、界面活性剤やカップリング剤等による化学的表面処理がなされていてもよい。中でもカップリング剤の使用が特に好ましい。
カップリング剤としては、アルコキシメタル化合物(例、チタンカップリング剤、シランカップリング剤)が好ましく用いられる。なかでも、シランカップリング処理が特に有効である。
前記カップリング剤は、低屈折率層の無機微粒子の表面処理剤として該層塗布液調製以前にあらかじめ表面処理を施すために用いられるが、該層塗布液調製時に更に添加剤として添加して該層に含有させることが好ましい。
無機微粒子は、表面処理前に、媒体中に予め分散されていることが、表面処理の負荷軽減のために好ましい。
−低屈折率層用オルガノシラン化合物−
次に、(C)オルガノシラン化合物について説明する。
前記硬化性組成物には、オルガノシラン化合物、該オルガノシランの加水分解物、該オルガノシランの加水分解物の部分縮合物(以下、得られた反応溶液を「ゾル成分」とも称する)、の中から選ばれる少なくとも一種を含有させることが、耐擦傷性の点で、特に反射防止能と耐擦傷性とを両立させる点で、好ましい。
これらの成分は、前記硬化性組成物を塗布後、乾燥、加熱工程で縮合して硬化物を形成することにより低屈折率層のバインダーとして機能する。また、本発明においては、含フッ素化合物として、好ましくは前記含フッ素ポリマーを有するので、活性光線の照射により3次元構造を有するバインダーが形成される。
前記オルガノシラン化合物は、下記一般式(4)で表されるものが好ましい。
前記一般式(4)において、R10は置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基を表す。アルキル基としてはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ヘキシル、デシル、ヘキサデシル等が挙げられる。
アルキル基としては、炭素数1〜30のものが好ましく、炭素数1〜16のものがより好ましく、炭素数1〜6のものが更に好ましい。アリール基としては、フェニル、ナフチル等が挙げられ、好ましくはフェニル基である。
Xは、水酸基又は加水分解可能な基を表し、例えばアルコキシ基(炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましい。例えばメトキシ基、エトキシ基等が挙げられる)、ハロゲン原子(例えばCl、Br、I等)、及びRCOO(Rは水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基が好ましい。例えばCHCOO、CCOO等が挙げられる)で表される基が挙げられ、アルコキシ基であることが好ましく、メトキシ基、又はエトキシ基であることがより好ましい。また、mは1〜3の整数を表し、1又は2が好ましく、1がより好ましい。
10あるいはXが複数存在するとき、複数のR10あるいはXはそれぞれ同じであっても異なっていてもよい。
10に含まれる置換基としては特に制限はないが、ハロゲン原子(フッ素、塩素、臭素等)、水酸基、メルカプト基、カルボキシル基、エポキシ基、アルキル基(メチル、エチル、i−プロピル、プロピル、t−ブチル等)、アリール基(フェニル、ナフチル等)、芳香族ヘテロ環基(フリル、ピラゾリル、ピリジル等)、アルコキシ基(メトキシ、エトキシ、i−プロポキシ、ヘキシルオキシ等)、アリールオキシ(フェノキシ等)、アルキルチオ基(メチルチオ、エチルチオ等)、アリールチオ基(フェニルチオ等)、アルケニル基(ビニル、1−プロペニル等)、アシルオキシ基(アセトキシ、アクリロイルオキシ、メタクリロイルオキシ等)、アルコキシカルボニル基(メトキシカルボニル、エトキシカルボニル等)、アリールオキシカルボニル基(フェノキシカルボニル等)、カルバモイル基(カルバモイル、N−メチルカルバモイル、N,N−ジメチルカルバモイル、N−メチル−N−オクチルカルバモイル等)、アシルアミノ基(アセチルアミノ、ベンゾイルアミノ、アクリルアミノ、メタクリルアミノ等)等が挙げられ、これら置換基は更に置換されていてもよい。
10が複数ある場合は、少なくとも一つが置換アルキル基もしくは置換アリール基であることが好ましい。
前記一般式(4)で表されるオルガノシラン化合物の中でも、下記一般式(5)で表されるビニル重合性の置換基を有するオルガノシラン化合物が好ましい。
前記一般式(5)において、R1は水素原子、メチル基、メトキシ基、アルコキシカルボニル基、シアノ基、フッ素原子、又は塩素原子を表す。アルコキシカルボニル基としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基などが挙げられる。水素原子、メチル基、メトキシ基、メトキシカルボニル基、シアノ基、フッ素原子、及び塩素原子が好ましく、水素原子、メチル基、メトキシカルボニル基、フッ素原子、及び塩素原子が更に好ましく、水素原子及びメチル基が特に好ましい。
Yは、単結合、もしくは、*−COO−**、*−CONH−**、又は*−O−**を表し、単結合、*−COO−**、及び*−CONH−**が好ましく、単結合、及び*−COO−**が更に好ましく、*−COO−**が特に好ましい。*は、=C(R)−に結合する位置を、**は、Lに結合する位置を表す。
また、前記一般式(5)において、Lは2価の連結鎖を表す。具体的には、置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のアリーレン基、内部に連結基(例えば、エーテル、エステル、アミドなど)を有する置換もしくは無置換のアルキレン基、内部に連結基を有する置換もしくは無置換のアリーレン基が挙げられ、置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のアリーレン基、内部に連結基を有するアルキレン基が好ましく、無置換のアルキレン基、無置換のアリーレン基、内部にエーテルあるいはエステル連結基を有するアルキレン基が更に好ましく、無置換のアルキレン基、内部にエーテルあるいはエステル連結基を有するアルキレン基が特に好ましい。置換基は、ハロゲン、水酸基、メルカプト基、カルボキシル基、エポキシ基、アルキル基、アリール基等が挙げられ、これら置換基は更に置換されていてもよい。
また、前記一般式(5)において、nは0又は1を表す。Xが複数存在するとき、複数のXはそれぞれ同じであっても異なっていてもよい。nとして好ましくは0である。
また、前記一般式(5)において、R10は、一般式(4)と同義であり、置換もしくは無置換のアルキル基、無置換のアリール基が好ましく、無置換のアルキル基、無置換のアリール基が更に好ましい。
また、前記一般式(5)において、Xは、一般式(4)と同義であり、ハロゲン原子、水酸基、無置換のアルコキシ基が好ましく、塩素原子、水酸基、無置換の炭素数1〜6のアルコキシ基が更に好ましく、水酸基、炭素数1〜3のアルコキシ基が更に好ましく、メトキシ基が特に好ましい。
一般式(4)、及び一般式(5)の化合物は2種類以上を併用してもよい。以下に一般式(4)、及び一般式(5)で表される化合物の具体例を示すが、以下の化合物に限定されるものではない。
上記(M−1)〜(M−10)のうち、(M−1)、(M−2)、及び(M−5)が特に好ましい。
そして、前記オルガノシラン化合物の加水分解物及び/又は部分縮合物は、一般に前記オルガノシラン化合物を触媒の存在下で処理して製造されるものである。
触媒としては、塩酸、硫酸、硝酸等の無機酸類;シュウ酸、酢酸、ギ酸、メタンスルホン酸、トルエンスルホン酸等の有機酸類;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア等の無機塩基類;トリエチルアミン、ピリジン等の有機塩基類;トリイソプロポキシアルミニウム、テトラブトキシジルコニウム等の金属アルコキシド類;Zr、Ti又はAlなどの金属を中心金属とする金属キレート化合物等が挙げられる。
本発明においては、金属キレート化合物、無機酸類及び有機酸類の酸触媒を用いるのが好ましい。無機酸では、塩酸、硫酸が好ましく、有機酸では、水中での酸解離定数(pKa値(25℃))が4.5以下のものが好ましく、塩酸、硫酸、水中での酸解離定数が3.0以下の有機酸がより好ましく、塩酸、硫酸、水中での酸解離定数が2.5以下の有機酸が更に好ましく、水中での酸解離定数が2.5以下の有機酸が特に好ましい。具体的には、メタンスルホン酸、シュウ酸、フタル酸、マロン酸が好ましく、その中でも、シュウ酸が特に好ましい。
金属キレート化合物としては、一般式ROH(式中、Rは炭素数1〜10のアルキル基を示す)で表されるアルコールとRCOCHCOR(式中、Rは炭素数1〜10のアルキル基、Rは炭素数1〜10のアルキル基又は炭素数1〜10のアルコキシ基を示す)で表される化合物とを配位子とした、Zr、Ti、Alから選ばれる金属を中心金属とするものであれば特に制限なく好適に用いることができる。この範疇であれば、2種以上の金属キレート化合物を併用してもよい。
本発明に用いられる金属キレート化合物は、一般式Zr(OR)p(RCOCHCOR)p、Ti(OR)q(RCOCHCOR)q、及びAl(OR)r(RCOCHCOR)rで表される化合物群から選ばれるものが好ましく、前記オルガノシラン化合物の加水分解物及び/又は部分縮合物の縮合反応を促進する作用をなす。
金属キレート化合物中のR及びRは、同一又は異なってもよく、炭素数1〜10のアルキル基、具体的にはエチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、フェニル基などである。
また、Rは、前記と同様の炭素数1〜10のアルキル基のほか、炭素数1〜10のアルコキシ基、例えばメトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、t−ブトキシ基などである。
また、金属キレート化合物中のp、p、q、q、r、及びrは、それぞれp+p=4、q+q=4、r+r=3となる様に決定される整数を表す。
これらの金属キレート化合物の具体例としては、トリ−n−ブトキシエチルアセトアセテートジルコニウム、ジ−n−ブトキシビス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、n−ブトキシトリス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス(n−プロピルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス(アセチルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス(エチルアセトアセテート)ジルコニウムなどのジルコニウムキレート化合物;ジイソプロポキシ・ビス(エチルアセトアセテート)チタニウム、ジイソプロポキシ・ビス(アセチルアセテート)チタニウム、ジイソプロポキシ・ビス(アセチルアセトン)チタニウムなどのチタニウムキレート化合物;ジイソプロポキシエチルアセトアセテートアルミニウム、ジイソプロポキシアセチルアセトナートアルミニウム、イソプロポキシビス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、イソプロポキシビス(アセチルアセトナート)アルミニウム、トリス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、トリス(アセチルアセトナート)アルミニウム、モノアセチルアセトナート・ビス(エチルアセトアセテート)アルミニウムなどのアルミニウムキレート化合物などが挙げられる。
これらの金属キレート化合物のうち好ましいものは、トリ−n−ブトキシエチルアセトアセテートジルコニウム、ジイソプロポキシビス(アセチルアセトナート)チタニウム、ジイソプロポキシエチルアセトアセテートアルミニウム、トリス(エチルアセトアセテート)アルミニウムである。これらの金属キレート化合物は、1種単独であるいは2種以上混合して使用することができる。また、これらの金属キレート化合物の部分加水分解物を使用することもできる。
また、本発明においては、前記硬化性組成物に、更にβ−ジケトン化合物及び/又はβ−ケトエステル化合物が添加されることが好ましい。以下に更に説明する。
本発明で使用されるのは、一般式RCOCHCORで表されるβ−ジケトン化合物及び/又はβ−ケトエステル化合物であり、本発明に用いられる硬化性組成物の安定性向上剤として作用するものである。
ここで、Rは炭素数1〜10のアルキル基、Rは炭素数1〜10のアルキル基又は炭素数1〜10のアルコキシ基を表す。すなわち、前記金属キレート化合物(ジルコニウム、チタニウム及び/又はアルミニウム化合物)中の金属原子に配位することにより、これらの金属キレート化合物によるオルガノシラン化合物の加水分解物及び/又は部分縮合物の縮合反応を促進する作用を抑制し、得られる組成物の保存安定性を向上させる作用をなすものと考えられる。β−ジケトン化合物及び/又はβ−ケトエステル化合物を構成するR及びRは、前記金属キレート化合物を構成するR及びRと同様である。
このβ−ジケトン化合物及び/又はβ−ケトエステル化合物の具体例としては、アセチルアセトン、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸−n−プロピル、アセト酢酸−i−プロピル、アセト酢酸−n−ブチル、アセト酢酸−sec−ブチル、アセト酢酸−t−ブチル、2,4−ヘキサン−ジオン、2,4−ヘプタン−ジオン、3,5−ヘプタン−ジオン、2,4−オクタン−ジオン、2,4−ノナン−ジオン、5−メチル−ヘキサン−ジオンなどが挙げられる。これらのうち、アセト酢酸エチル及びアセチルアセトンが好ましく、特にアセチルアセトンが好ましい。これらのβ−ジケトン化合物及び/又はβ−ケトエステル化合物は、1種単独で又は2種以上を混合して使用することもできる。
本発明において、β−ジケトン化合物及び/又はβ−ケトエステル化合物は、金属キレート化合物1モルに対し2モル以上が好ましく、3〜20モル用いられることがより好ましい。上記範囲内において、良好な保存安定性が得られる。
前記オルガノシラン化合物の配合量は、低屈折率層の全固形分の0.1〜50質量%が好ましく、0.5〜20質量%がより好ましく、1〜10質量%が更に好ましい。
前記オルガノシラン化合物は硬化性組成物(防眩層用、低屈折率層用等の塗布液)に直接添加してもよいが、前記オルガノシラン化合物をあらかじめ触媒の存在下に処理して前記オルガノシラン化合物の加水分解物及び/又は部分縮合物を調製し、得られた反応溶液(ゾル液)を用いて前記硬化性組成物を調製するのが好ましく、本発明においてはまず前記オルガノシラン化合物の加水分解物及び/又は部分縮合物及び金属キレート化合物を含有する組成物を調製し、これにβ−ジケトン化合物及び/又はβ−ケトエステル化合物を添加した液を防眩層もしくは低屈折率層の少なくとも1層の塗布液に含有せしめて塗設することが好ましい。
本発明においては、前記防眩層及び前記低屈折率層の両方が、前記一般式(4)で表されるオルガノシランの加水分解物及び/又はその部分縮合物を含有する硬化性塗布組成物を塗布し硬化して形成される硬化膜であることが好ましい。
低屈折率層における、含フッ素ポリマーに対するオルガノシランのゾル成分の使用量は、5〜100質量%が好ましく、5〜40質量%がより好ましく、8〜35質量%が更に好ましく、10〜30質量%が特に好ましい。使用量が少ないと本発明の効果が得にくく、使用量が多すぎると屈折率が増加したり、膜の形状・面状が悪化したりするので好ましくない。
前記硬化性組成物には、上述した無機微粒子以外の無機フィラーを本発明の所望の効果を損なわない範囲の添加量で添加することもできる。無機フィラーとしては、防眩層用で記載した無機微粒子が好ましく、特にインジウムや錫、アンチモンのような導電性を付与できるものを屈折率に大きく影響しない範囲内で添加するのが好ましい。
−ゾルゲル素材−
低屈折率層用の素材として、各種ゾルゲル素材を用いることもできる。このようなゾルゲル素材としては、金属アルコレート(シラン、チタン、アルミニウム、ジルコニウム等のアルコレート)、オルガノアルコキシ金属化合物、及びその加水分解物を用いることができる。特に、アルコキシシラン、オルガノアルコキシシラン及びその加水分解物が好ましい。これらの例としては、テトラアルコキシシラン(テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン等)、アルキルトリアルコキシシラン(メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン等)、アリールトリアルコキシシラン(フェニルトリメトキシシラン等)、ジアルキルジアルコキシシラン、ジアリールジアルコキシシラン等が挙げられる。また、各種の官能基を有するオルガノアルコキシシラン(ビニルトリアルコキシシラン、メチルビニルジアルコキシシラン、γ−グリシジルオキシプロピルトリアルコキシシラン、γ−グリシジルオキシプロピルメチルジアルコキシシラン、β−(3,4−エポキジシクロヘキシル)エチルトリアルコキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリアルコキシシラン、γ−アミノプロピルトリアルコキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリアルコキシシラン、γ−クロロプロピルトリアルコキシシラン等)、パーフルオロアルキル基含有シラン化合物(例えば(ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラデシル)トリエトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン等)を用いることも好ましい。特にフッ素含有のシラン化合物を用いることは、層の低屈折率化及び撥水・撥油性付与の点で好ましく、前述の(A)含フッ素化合物として含有させることも好ましい。
−低屈折率層用硬化性組成物に含まれるその他の物質−
前記硬化性組成物は、前述の(A)含フッ素化合物、(B)無機微粒子及び(C)オルガノシラン化合物に、必要に応じて各種添加剤及びラジカル重合開始剤、カチオン重合開始剤を添加し、更にこれらを適当な溶剤に溶解して作製される。この際固形分の濃度は、用途に応じて適宜選択されるが、一般的には、0.01〜60質量%程度が好ましく、0.5〜50質量%がより好ましく、1〜20質量%程度が更に好ましい。
低屈折率層と直接接する下層との界面密着性等の観点からは、多官能(メタ)アクリレート化合物、多官能エポキシ化合物、ポリイソシアネート化合物、アミノプラスト、多塩基酸又はその無水物等の硬化剤を少量添加することもできる。これらを添加する場合には低屈折率層皮膜の全固形分に対して30質量%以下の範囲とすることが好ましく、20質量%以下の範囲とすることがより好ましく、10質量%以下の範囲とすることが特に好ましい。
また、防汚性、耐水性、耐薬品性、滑り性等の特性を付与する目的で、公知のシリコーン系化合物あるいはフッ素系化合物の防汚剤、滑り剤等を適宜添加することもできる。これらの添加剤を添加する場合には低屈折率層全固形分の0.01〜20質量%の範囲で添加されることが好ましく、0.05〜10質量%の範囲で添加されることがより好ましく、0.1〜5質量%の範囲で添加されることが更に好ましい。
シリコーン系化合物の好ましい例としてはジメチルシリルオキシ単位を繰り返し単位として複数個含む化合物鎖の末端及び/又は側鎖に置換基を有するものが挙げられる。ジメチルシリルオキシを繰り返し単位として含む化合物鎖中にはジメチルシリルオキシ以外の構造単位を含んでもよい。置換基は同一であっても異なっていてもよく、複数個あることが好ましい。好ましい置換基の例としてはアクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、アリール基、シンナモイル基、エポキシ基、オキセタニル基、水酸基、フルオロアルキル基、ポリオキシアルキレン基、カルボキシル基、アミノ基などを含む基が挙げられる。分子量に特に制限はないが、10万以下であることが好ましく、5万以下であることがより好ましく、3,000〜30,000であることが更に好ましい。シリコーン系化合物のシリコーン原子含有量には特に制限はないが18.0質量%以上であることが好ましく、25.0〜37.8質量%であることがより好ましく、30.0〜37.0質量%であることが更に好ましい。
好ましいシリコーン系化合物の例としては信越化学(株)製、X−22−174DX、X−22−2426、X−22−164B、X22−164C、X−22−170DX、X−22−176D、X−22−1821(以上商品名)やチッソ(株)製、FM−0725、FM−7725、FM−4421、FM−5521、FM6621、FM−1121やGelest製DMS−U22、RMS−033、RMS−083、UMS−182、DMS−H21、DMS−H31、HMS−301、FMS121、FMS123、FMS131、FMS141、FMS221(以上商品名)などが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
フッ素系化合物としては、フルオロアルキル基を有する化合物が好ましい。該フルオロアルキル基は炭素数1〜20であることが好ましく、1〜10がより好ましく、直鎖(例えば、−CFCF、−CH(CFH、−CH(CFCF、−CHCH(CFH等)であっても、分岐構造(例えば−CH(CF、−CHCF(CF、−CH(CH)CFCF、−CH(CH)(CFCFH等)であっても、脂環式構造(好ましくは5員環又は6員環、例えば、パーフルオロシクロへキシル基、パーフルオロシクロペンチル基又はこれらで置換されたアルキル基等)であってもよく、エーテル結合を有していてもよい(例えば、−CHOCHCFCF、−CHCHOCHH、−CHCHOCHCH17、−CHCHOCFCFOCFCFH等)。該フルオロアルキル基は同一分子中に複数含まれていてもよい。
フッ素系化合物は、更に低屈折率層皮膜との結合形成あるいは相溶性に寄与する置換基を有していることが好ましい。該置換基は同一であっても異なっていてもよく、複数個あることが好ましい。
好ましい置換基の例としては、アクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、アリール基、シンナモイル基、エポキシ基、オキセタニル基、水酸基、ポリオキシアルキレン基、カルボキシル基、アミノ基などが挙げられる。
フッ素系化合物はフッ素原子を含まない化合物とのポリマーであってもオリゴマーであってもよく、分子量に特に制限はない。
フッ素系化合物のフッ素原子含有量には特に制限はないが20質量%以上であることが好ましく、30〜70質量%であることがより好ましく、40〜70質量%であることが更に好ましい。
好ましいフッ素系化合物の例としては、ダイキン化学工業(株)製、R−2020、M−2020、R−3833、M−3833(以上商品名)、大日本インキ(株)製、メガファックF−171、F−172、F−179A、ディフェンサMCF−300(以上商品名)などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
また、防汚性、耐水性、耐薬品性、滑り性等の特性を付与する目的で適宜添加することのできる、前述のシリコーン系化合物あるいはフッ素系化合物は、その分子構造を低屈折率層用の硬化性組成物中の(A)含フッ素化合物の分子構造中に含むことも好ましい。つまり、前述の含フッ素ポリマーや含フッ素ゾルゲルの分子構造中にブロック又はグラフとの形態で含有することが望ましい。
防塵性、帯電防止等の特性を付与する目的で、公知のカチオン系界面活性剤あるいはポリオキシアルキレン系化合物のような防塵剤、帯電防止剤等を適宜添加することもできる。これら防塵剤、帯電防止剤は前述したシリコーン系化合物やフッ素系化合物にその構造単位が機能の一部として含まれていてもよい。これらを添加剤として添加する場合には低n層全固形分の0.01〜20質量%の範囲で添加されることが好ましく、0.05〜10質量%の範囲で添加されることがより好ましく、0.1〜5質量%の範囲で添加されることが更に好ましい。好ましい化合物の例としては大日本インキ(株)製、メガファックF−150(商品名)、東レダウコーニング(株)製、SH−3748(商品名)などが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
−低屈折率層用の溶剤−
本発明の低屈折率層を形成するための塗布組成物に用いられる溶剤としては、各成分を溶解又は分散可能であること、塗布工程、乾燥工程において均一な面状となり易いこと、液保存性が確保できること、適度な飽和蒸気圧を有すること、等の観点で選ばれる各種の溶剤が使用できる。乾燥負荷の観点からは、常圧、室温における沸点が100℃以下の溶剤を主成分とすることが好ましく、乾燥速度の調整のために沸点が100℃以上の溶剤を少量含有することが更に好ましい。
沸点が100℃以下の溶剤としては、例えば、ヘキサン(沸点68.7℃)、ヘプタン(98.4℃)、シクロヘキサン(80.7℃)、ベンゼン(80.1℃)などの炭化水素類、ジクロロメタン(39.8℃)、クロロホルム(61.2℃)、四塩化炭素(76.8℃)、1,2−ジクロロエタン(83.5℃)、トリクロロエチレン(87.2℃)などのハロゲン化炭化水素類、ジエチルエーテル(34.6℃)、ジイソプロピルエーテル(68.5℃)、ジプロピルエーテル(90.5℃)、テトラヒドロフラン(66℃)などのエーテル類、ギ酸エチル(54.2℃)、酢酸メチル(57.8℃)、酢酸エチル(77.1℃)、酢酸イソプロピル(89℃)などのエステル類、アセトン(56.1℃)、2−ブタノン(メチルエチルケトンと同じ、79.6℃)などのケトン類、メタノール(64.5℃)、エタノール(78.3℃)、2−プロパノール(82.4℃)、1−プロパノール(97.2℃)などのアルコール類、アセトニトリル(81.6℃)、プロピオニトリル(97.4℃)などのシアノ化合物類、二硫化炭素(46.2℃)などがある。このうちケトン類、エステル類が好ましく、ケトン類がより好ましい。ケトン類の中では2−ブタノンが特に好ましい。
沸点が100℃を以上の溶剤としては、例えば、オクタン(125.7℃)、トルエン(110.6℃)、キシレン(138℃)、テトラクロロエチレン(121.2℃)、クロロベンゼン(131.7℃)、ジオキサン(101.3℃)、ジブチルエーテル(142.4℃)、酢酸イソブチル(118℃)、シクロヘキサノン(155.7℃)、2−メチル−4−ペンタノン(MIBKと同じ、115.9℃)、1−ブタノール(117.7℃)、N,N−ジメチルホルムアミド(153℃)、N,N−ジメチルアセトアミド(166℃)、ジメチルスルホキシド(189℃)などがある。これらの中でも、シクロヘキサノン、2−メチル−4−ペンタノンが好ましい。
<<防眩層>>
防眩層は、表面散乱による防眩性と、好ましくはフィルムの耐擦傷性を向上するためのハードコート性をフィルムに寄与する目的で形成される。したがって、本発明ではハードコート層の一実施態様として用いることができる。
防眩性を形成する方法としては、特開平6−16851号公報記載のような表面に微細な凹凸を有するマット状の賦型フィルムをラミネートして形成する方法、特開2000−206317号公報に記載されているように、電離放射線照射量の差による電離放射線硬化型樹脂の硬化収縮により形成する方法、特開2000−338310号公報に記載されたように乾燥にて透光性樹脂に対する良溶媒の質量比が減少することにより透光性微粒子及び透光性樹脂とをゲル化させつつ固化させて塗膜表面に凹凸を形成する方法、特開2000−275404号公報に記載されたように外部からの圧力により表面凹凸を付与する方法、特開2005−195819号記載のように複数のポリマーの混合溶液から溶媒が蒸発する過程で相分離することを利用して表面凹凸を形成する方法などが知られており、これら公知の方法を利用することができる。
本発明で用いることができる防眩層の1つの好ましい形態はハードコート性を付与することのできるバインダー、防眩性を付与するための透光性粒子、及び溶媒を必須成分として含有し、透光性粒子自体の突起あるいは複数の粒子の集合体で形成される突起によって表面の凹凸を形成されるものである。
防眩性を有する防眩層は、防眩性とハードコート性を兼ね備えていることが好ましい。
−紫外線吸収剤−
前記透明基材フィルム、被覆層、易接着層、及びハードコート層のいずれかには、下記一般式(6)で表される紫外線吸収剤を2種類以上含有することが好ましい。
なお、下記一般式(6)中、R、R、R、R及びRはそれぞれ独立に水素原子又は一価の有機基を表し、R、R及びRの少なくとも1つは総炭素数4〜20の無置換の分岐又は直鎖のアルキル基を表し、R、R及びRはそれぞれ互いに異なる。
また、該紫外線吸収剤に関する下記数式(c)で表されるオクタノール/水分配係数(以下、logPということがある。)の平均値(以下、平均logPということがある。)と、セルロースアシレートのアシル化度DSとが、下記数式(d)の関係を満たすセルロースアシレートフィルムが透明基材フィルムとして用いられることがより好ましい。
ここで、下記数式(c)において、Wnは、n番目の紫外線吸収剤の質量分率を表し、(logP)nは、n番目の紫外線吸収剤の「logP」を表す。
5.0×DS−6.7≦平均logP≦5.0×DS−5.1・・・・・・数式(d)
前記紫外線吸収剤のlogPの平均値は、(5.0×DS−6.7)以上、(5.0×DS−5.1)以下が好ましく、(5.0×DS−6.5)以上、(5.0×DS−5.2)以下がより好ましい。
logPの平均値が大きすぎると、面状が悪化し、logPの平均値が小さすぎると、高温高湿下での紫外線吸収剤の保留性が悪化する。
また、一般式(6)で表される化合物は、330〜360nmの波長範囲に吸収極大を有するものである。
−−logP値−−
ここで、オクタノール−水分配係数(logP値)の測定は、JIS日本工業規格Z7260−107(2000)に記載のフラスコ浸とう法により実施することができる。
また、オクタノール−水分配係数(logP値)は実測に代わって、計算化学的手法あるいは経験的方法により見積もることも可能である。
計算方法としては、Crippen’s fragmentation法(J.Chem.Inf.Comput.Sci.,27,21(1987))、Viswanadhan’s fragmentation法(J.Chem.Inf.Comput.Sci.,29,163(1989))、Broto’s fragmentation法(Eur.J.Med.Chem.−Chim.Theor.,19,71(1984))などが好ましく用いられるが、Crippen’s fragmentation法(J.Chem.Inf.Comput.Sci.,27,21(1987))がより好ましい。
ある化合物のlogPの値が、測定方法あるいは計算方法により異なる場合に、該化合物が本発明の範囲内であるかどうかは、Crippen’s fragmentation法により判断することが好ましい。
前記紫外線吸収剤は、揮散性の観点から分子量が250〜1,000であることが好ましく、260〜800であることがより好ましく、270〜800であることが更に好ましく、300〜800であることが特に好ましい。
これらの分子量の範囲であれば、特定のモノマー構造であってもよいし、そのモノマーユニットが複数結合したオリゴマー構造、ポリマー構造でもよい。
また、前記紫外線吸収剤は、セルロースアシレートフィルム作製のドープ流延、乾燥の過程で揮散しないことが好ましい。
−−紫外線吸収剤の添加量−−
前記紫外線吸収剤の添加量は、セルロースアシレートに対して、0.01〜10質量%であることが好ましく、0.1〜5質量%であることがより好ましく、0.2〜3質量%であることが更に好ましい。
−−紫外線吸収剤の添加方法−−
また、これら紫外線吸収剤を添加する時期は、ドープ作製工程中の何れであってもよく、ドープ調製工程の最後に行ってもよい。
次に、一般式(6)で表される前記紫外線吸収剤について詳しく説明する。
、R、R、R、及びRはそれぞれ独立に水素原子、又は一価の有機基を表し、R、R、及びRの少なくとも1つは、総炭素数4〜20の無置換の分岐、又は直鎖のアルキル基を表し、R、R、及びRはそれぞれ互いに異なる。
置換基としては、例えばアルキル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜8であり、例えばメチル、エチル、iso−プロピル、tert−ブチル、n−オクチル、n−デシル、n−ヘキサデシル、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどが挙げられる。)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8であり、例えばビニル、アリル、2−ブテニル、3−ペンテニルなどが挙げられる。)、アルキニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8であり、例えばプロパルギル、3−ペンチニルなどが挙げられる。)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニル、p−メチルフェニル、ナフチルなどが挙げられる。)、置換又は未置換のアミノ基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは炭素数0〜10、特に好ましくは炭素数0〜6であり、例えばアミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジベンジルアミノなどが挙げられる。)などが挙げられる。
また、前記置換基として他には、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜8であり、例えばメトキシ、エトキシ、ブトキシなどが挙げられる。)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜16、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルオキシ、2−ナフチルオキシなどが挙げられる。)、アシル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばアセチル、ベンゾイル、ホルミル、ピバロイルなどが挙げられる。)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばメトキシカルボニル、エトキシカルボニルなどが挙げられる。)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭素数7〜20、より好ましくは炭素数7〜16、特に好ましくは炭素数7〜10であり、例えばフェニルオキシカルボニルなどが挙げられる。)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばアセトキシ、ベンゾイルオキシなどが挙げられる。)、アシルアミノ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばアセチルアミノ、ベンゾイルアミノなどが挙げられる。)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばメトキシカルボニルアミノなどが挙げられる。)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数7〜20、より好ましくは炭素数7〜16、特に好ましくは炭素数7〜12であり、例えばフェニルオキシカルボニルアミノなどが挙げられる。)、スルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタンスルホニルアミノ、ベンゼンスルホニルアミノなどが挙げられる。)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは炭素数0〜16、特に好ましくは炭素数0〜12であり、例えばスルファモイル、メチルスルファモイル、ジメチルスルファモイル、フェニルスルファモイルなどが挙げられる。)、カルバモイル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばカルバモイル、メチルカルバモイル、ジエチルカルバモイル、フェニルカルバモイルなどが挙げられる。)、アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメチルチオ、エチルチオなどが挙げられる。)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜16、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルチオなどが挙げられる。)、スルホニル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメシル、トシルなどが挙げられる。)、スルフィニル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタンスルフィニル、ベンゼンスルフィニルなどが挙げられる。)、ウレイド基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばウレイド、メチルウレイド、フェニルウレイドなどが挙げられる。)、リン酸アミド基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばジエチルリン酸アミド、フェニルリン酸アミドなどが挙げられる。)、ヒドロキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、ヒドロキサム酸基、スルフィノ基、ヒドラジノ基、イミノ基、ヘテロ環基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは1〜12であり、ヘテロ原子としては、例えば窒素原子、酸素原子、硫黄原子、具体的には例えばイミダゾリル、ピリジル、キノリル、フリル、ピペリジル、モルホリノ、ベンゾオキサゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンズチアゾリルなどが挙げられる。)、シリル基(好ましくは、炭素数3〜40、より好ましくは炭素数3〜30、特に好ましくは、炭素数3〜24であり、例えば、トリメチルシリル、トリフェニルシリルなどが挙げられる)などが挙げられる。これらの置換基は更に置換されてもよい。
また、置換基が二つ以上ある場合は、同じでも異なってもよく、可能な場合には互いに連結して環を形成してもよいが、R、R及びRの少なくとも1つは総炭素数4〜20の無置換の分岐又は直鎖のアルキル基を表し、R、R、及びRはそれぞれ互いに異なる。
及びRとしては、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、置換又は無置換のアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子が好ましく、水素原子、アルキル基、アリール基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、ハロゲン原子がより好ましく、水素原子、炭素1〜12アルキル基が更に好ましく、炭素数1〜12のアルキル基(好ましくは炭素数4〜12)が特に好ましい。
としては、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、置換、又は無置換のアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子が好ましく、水素原子、アルキル基、アリール基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、ハロゲン原子がより好ましく、水素原子、炭素1〜12アルキル基が更に好ましく、水素原子、メチル基が特に好ましく、水素原子が最も好ましい。
及びRとしては、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、置換、又は無置換のアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子が好ましく、水素原子、アルキル基、アリール基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、ハロゲン原子がより好ましく、水素原子、ハロゲン原子が更に好ましく、水素原子、塩素原子が特に好ましい。
以下に、一般式(6)で表される化合物の具体例を挙げるが、本発明は下記具体例に何ら限定されるものではない。
<<層の形成>>
本発明に用いられる被覆層、ハードコート層、低屈折率層、及びその他の層は、塗布液を透明基材フィルム上に塗布し、加熱・乾燥し、その後、必要に応じて、光照射及び/又は加熱して、各層を形成するためのモノマーや硬化性樹脂を硬化する。これにより各層が形成される。
本発明のフィルムの各層の塗布方法は特に制限されないが、ディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法やエクストルージョンコート法(ダイコート法)(米国特許2681294号明細書参照)、マイクログラビアコート法等の公知の方法が用いられ、その中でもマイクログラビアコート法、ダイコート法が好ましく、高い生産性で供給するために、ダイコート法が好ましく用いられる。
また、本発明の2層の被覆層を同時に形成する場合は、スロットダイの上にスライド型の塗布ヘッドを並べたダイを用いることが好ましい。なお、スロットダイ及びスライドは2層以上あってもよい。
また、スロットダイのみ複数有するダイや、スライド面のみ複数有するダイを用いることもできる。2層同時に形成することで高い生産性が得られ、かつ、各層間の密着性を向上することができ、好ましい。本発明のように2層の塗布組成物に同じ主溶媒を用いることで、均一な層が形成でき、特に好ましい。
乾燥は、塗布した液膜中の有機溶媒濃度が、乾燥後に5質量%以下になる条件が好ましく、2質量%以下がより好ましく、1質量%以下が更に好ましい。
乾燥条件は、基材の熱的強度や搬送速度、乾燥工程の長さなどの影響を受けるが、できるだけ有機溶媒の含有率の低いほうが膜硬度や接着防止の点で好ましい。なお、有機溶媒を含有しない場合には、乾燥工程を省略し塗布後すぐに紫外線照射することもできる。
前記被覆層は、結晶化度を高めるために熱処理を施してもよい。
このときの好ましい熱処理温度は、40〜130℃であり熱処理時間は必要とする結晶化度に応じ適宜決定することができるが通常5分〜48時間程度である。
更に、透明基材フィルムと被覆層の密着性を向上させる目的で、所望により透明基材フィルムの片面又は両面に、酸化法や凹凸化法等により表面処理を施すことができる。上記酸化法としては、例えばコロナ放電処理、グロー放電処理、クロム酸処理(湿式)、火炎処理、熱風処理、オゾン・紫外線照射処理等が挙げられる。
<<下塗り層>>
透明基材フィルムと、被覆層との密着性を高めるために、透明基材フィルムと被覆層との間に、下塗り層を形成することも好ましく用いられる。具体的には、複数層で構成された被覆層の両側、又は片側に下塗り層が設けられる。該下塗り層は1層で構成されていてもよく、2層以上で構成されていてもよい。本発明においては、透明基材フィルムと、被覆層との間に下記のような2層構成の下塗り層が設けられることが好ましい。
[下塗り層の組成]
一層目:水分散性あるいは水溶性合成樹脂、及びカルボジイミド化合物、
導電性金属酸化物粒子を必須成分とした帯電防止層
二層目:水分散性あるいは水溶性合成樹脂、及び架橋剤を必須成分とした表面層
下塗り層は、透明基材フィルム上に帯電防止層と表面層がこの順で設けられる。本発明の帯電防止層においては、透明基材フィルム上に帯電防止層を設けて得られる低帯電性基材フィルムのヘイズが3%以下にあり、そして得られる感材の表面層の表面電気抵抗が1×10〜1×1011Ωの範囲にあるように、導電性が付与されている。帯電防止層を付与することで、プラスチック支持体をハンドリングする製造プロセスにおいて発生する静電気起因のゴミ付き故障の発生を抑制することができる。
(偏光板)
本発明の偏光板は、偏光子と、該偏光板の少なくとも一方の面に設置される偏光板用保護フィルムとを有する。
また、偏光子の一方の面に、本発明の偏光板用保護フィルムが設置されると共に、該偏光子の他方の面の保護フィルムとして、光学補償フィルムが設置されてもよく、該光学補償フィルムが基材フィルムの上に光学補償層を形成した基材フィルムとされていてもよい。
また、反対側の保護フィルムの上に粘着剤を介して光学補償フィルムを貼り付けて用いてもよい。
<偏光子>
前記偏光子は、ポリビニルアルコール(以下、PVAということがある。)と二色性分子から構成することが好ましいが、特開平11−248937に記載されているように、PVAやポリ塩化ビニルを脱水、及び脱塩素することによりポリエン構造を生成し、これを配向させたポリビニレン系偏光子を使用してもよい。
PVAは、ポリ酢酸ビニルを鹸化したポリマー素材であるが、例えば不飽和カルボン酸、不飽和スルホン酸、オレフィン類、ビニルエーテル類のような酢酸ビニルと共重合可能な成分を含有してもよい。また、アセトアセチル基、スルホン酸基、カルボキシル基、オキシアルキレン基等を含有する変性PVAを用いてもよい。
PVAの鹸化度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、溶解性等の観点から、80〜100mol%が好ましく、90〜100mol%がより好ましい。
また、PVAの重合度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、1,000〜10,000が好ましく、1,500〜5,000がより好ましい。
PVAのシンジオタクティシティーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、特許第2978219号公報に記載されているように、耐久性を改良するため55%以上が好ましいが、特許第3317494号公報に記載されているように、45〜52.5%も好ましく用いることができる。PVAはフィルム化した後、二色性分子を導入して偏光子を構成することが好ましい。
PVAフィルムの製造方法としては、PVA系樹脂を水又は有機溶媒に溶解した原液を流延して成膜する方法が一般に好ましく用いられる。原液中のポリビニルアルコール系樹脂の濃度は、通常5〜20質量%であり、この原液を流延法により製膜することによって、膜厚10〜200μmのPVAフィルムを製造できる。
PVAフィルムの製造は、特許第3342516号公報、特開平09−328593号公報、特開2001−302817号公報、及び特開2002−144401号公報に記載の製造方法を参考にして行うことができる。
PVAフィルムの結晶化度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、特許第3251073号公報に記載されている平均結晶化度(Xc)50〜75質量%のPVAフィルムや、面内の色相バラツキを低減させるため、特開2002−236214号公報に記載されている結晶化度38%以下のPVAフィルムを用いてもよい。
PVAフィルムの複屈折(△n)は、小さいことが好ましく、特許第3342516号公報に記載されている複屈折が1.0×10−3以下のPVAフィルムを好ましく用いることができる。
但し、特開2002−228835号に記載されているように、PVAフィルムの延伸時の切断を回避しながら高偏光度を得るため、PVAフィルムの複屈折を0.02以上0.01以下としてもよいし、特開2002−060505号に記載されているように、(nx+ny)/2−nzの値を、0.0003以上0.01以下としてもよい。
PVAフィルムの面内レターデーションReは、0nm以上100nm以下が好ましく、0nm以上50nm以下がより好ましい。
また、PVAフィルムの(膜)厚さ方向のレターデーションRthは、0nm以上500nm以下が好ましく、0nm以上300nm以下がより好ましい。
この他、本発明の偏光板としては、特許3021494号公報に記載されている1、2−グリコール結合量が1.5モル%以下のPVAフィルム、特開2001−316492号公報に記載されている5μm以上の光学的異物が100cm2当たり500個以下であるPVAフィルム、特開2002−030163号公報に記載されているフィルムのTD方向の熱水切断温度斑が1.5℃以下であるPVAフィルム、更にグリセリンなどの3〜6価の多価アルコ−ルを1〜100質量部あたり、特開平06−289225号公報に記載されている可塑剤を15質量%以上混合した溶液から製膜したPVAフィルムが好ましく用いられる。
PVAフィルムの延伸前のフィルム膜厚としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、フィルム保持の安定性、延伸の均質性の観点から、1μm〜1mmが好ましく、20〜200μmがより好ましい。
また、特開2002−236212号公報に記載されているように、水中において4倍から6倍の延伸を行った時に発生する応力が10N以下となるような薄いPVAフィルムを使用してもよい。
二色性分子はI やI などの高次のヨウ素イオン、もしくは二色性染料が好ましく使用される。その中でも、本発明では高次のヨウ素イオンが特に好ましく使用される。高次のヨウ素イオンは、「偏光板の応用」永田良編、CMC出版や工業材料、第28巻、第7号、p39〜p45に記載されているようにヨウ素をヨウ化カリウム水溶液に溶解した液及び/もしくはホウ酸水溶液にPVAを浸漬し、PVAに吸着・配向した状態で生成することができる。
二色性分子として二色性染料を用いる場合は、アゾ系色素が好ましく、その中でもビスアゾ系とトリスアゾ系色素がより好ましい。二色性染料は水溶性のものが好ましく、このため二色性分子にスルホン酸基、アミノ基、水酸基などの親水性置換基が導入され、遊離酸、あるいはアルカリ金属塩、アンモニウム塩、アミン類の塩として好ましく用いられる。
このような二色性染料の具体例としては、例えば、C.I.DirectRed37、CongoRed(C.I.DirectRed28)、C.I.DirectViolet12、C.I.DirectBlue90、C.I.DirectBlue22、C.I.DirectBlue1、C.I.DirectBlue151、C.I.DirectGreen1等のベンジジン系、C.I.DirectYellow44、C.I.DirectRed23、C.I.DirectRed79等のジフェニル尿素系、C.I.DirectYellow12等のスチルベン系、C.I.DirectRed31等のジナフチルアミン系、C.I.DirectRed81、C.I.DirectViolet9、C.I.DirectBlue78等のJ酸系が挙げられる。
これら以外にも、C.I.DirectYellow8、C.I.DirectYellow28、C.I.DirectYellow86、C.I.DirectYellow87、C.I.DirectYellow142、C.I.DirectOrange26、C.I.DirectOrange39、C.I.DirectOrange72、C.I.DirectOrange106、C.I.DirectOrange107、C.I.DirectRed2、C.I.DirectRed39、C.I.DirectRed83、C.I.DirectRed89、C.I.DirectRed240、C.I.DirectRed242、C.I.DirectRed247、C.I.DirectViolet48、C.I.DirectViolet51、C.I.DirectViolet98、C.I.DirectBlue15、C.I.DirectBlue67、C.I.DirectBlue71、C.I.DirectBlue98、C.I.DirectBlue168、C.I.DirectBlue202、C.I.DirectBlue236、C.I.DirectBlue249、C.I.DirectBlue270、C.I.DirectGreen59、C.I.DirectGreen85、C.I.DirectBrown44、C.I.DirectBrown106、C.I.DirectBrown195、C.I.DirectBrown210、C.I.DirectBrown223、C.I.DirectBrown224、C.I.DirectBlack1、C.I.DirectBlack17、C.I.DirectBlack19、C.I.DirectBlack54等が好ましく使用される。更には、特開昭62−70802号公報、特開平1−161202号公報、特開平1−172906号公報、特開平1−172907号公報、特開平1−183602号公報、特開平1−248105号公報、特開平1−265205号公報、及び特開平7−261024号公報に記載の二色性染料等が好ましく使用される。
ここで、各種の色相を有する二色性分子を製造するため、これらの二色性染料は2種以上を配合してもよい。二色性染料を用いる場合、特開2002−082222号公報に記載されているように、吸着厚みが4μm以上であってもよい。
PVAフィルム中の該二色性分子の含有量は、少なすぎると偏光度が低く、また、多すぎても単板透過率が低下することから通常、フィルムのマトリックスを構成するポリビニルアルコール系重合体に対して、0.01質量%から5質量%の範囲に調整される。
偏光子の好ましい膜厚としては、5〜40μmが好ましく、10〜30μmがより好ましい。また、特開2002−174727号に記載されているように、偏光子の厚さ(A)と、後述する保護膜の厚さ(B)との比(A/B)を、0.01≦A/B≦0.8の範囲とすることも好ましい。
<第2の保護フィルム>
本発明に用いる第2の保護フィルムは、偏光板を構成する要素として、偏光膜と液晶セルの間に位置するように設けられ、偏光板の保護フィルムとしての機能の他、好ましくは光学補償の機能を併せ持つために所望の位相差を有し、また光学的な弊害のないフィルムであればよく、一般に使用される種々の熱可塑性高分子フィルムを好適に用いることができる。
<<光学補償フィルムとしての機能>>
本発明における第2の保護フィルムは、偏光板を構成する偏光子の少なくとも一方の面を保護するフィルムであると同時に、光学補償機能として位相差特性を有した光学補償フィルムとして機能することが好ましい。
その光学補償フィルムとしての面内位相差値(Re値)、及び厚み方向位相差値(Rth値)は、それぞれ下記数式(e)、及び数式(f)で表される。
Re=(nx−ny)×d・・・・・・・・・・・・・・・・数式(e)
Rth=((nx+ny)/2−nz)×d・・・・・・・・数式(f)
なお、上記数式(e)、及び数式(f)中、nx、ny、nzはフィルムの三次元屈折率であり、それぞれフィルム面内におけるx軸方向、y軸方向、フィルムに垂直なz軸方向の屈折率である。また、dはフィルムの厚み(nm)である。
ここで、nx、ny、nzはフィルムの光学異方性を表す指標である。特に本発明におけるフィルムの場合には以下のように定義する。
nx:フィルム面内における最大屈折率
ny:フィルム面内における最大屈折率を示す方向に直交する方位の屈折率
nz:フィルム法線方向の屈折率
ここで、本発明では高分子フィルムを一軸延伸した場合には延伸方向、二軸延伸の場合にはより配向度が上がるように延伸した方向、即ち化学構造的に言えば高分子主鎖の配向方向の屈折率が最大となるときを光学異方性が正、かかる配向方向の屈折率が最小となるときを光学異方性が負であると呼ぶ。
本発明では高分子フィルムの光学異方性を屈折率楕円体と見なして公知の屈折率楕円体の式により求める方法によりこの三次元屈折率を求めている。
この三次元屈折率は使用する光源の波長依存性があるので、使用する光源波長で定義することが好ましく、本発明において特に波長の指定がない場合は550nmでの値とする。
<<光学補償フィルムとしての製造方法>>
得られたフィルムに目的に応じた位相差特性を持たせるために、延伸処理などがなされる場合が多い。
延伸方法の例としては、ロール速度差を利用するロール縦一軸延伸方法、フィルム幅方向端部をピンあるいはクリップにより把持し、把持した部分を幅方向に広げるテンター横一軸延伸法、把持した部分のフィルム流れ方向速度差及び/又は走行距離差を利用するテンター斜め一軸延伸法、厚み方向に引張応力をかける特殊Z軸延伸方法、面内に圧縮応力をかける特殊Z軸延伸方法等の連続延伸方法が挙げられる。
更に、上述したような一軸延伸法を繰り返す逐次二軸延伸法、フィルム流れ方向に速度差のついたテンターを幅方向に広げる同時二軸延伸法、更にはこのような延伸を数回繰り返す多段延伸法等が挙げられる。
位相差を与えるフィルムを得るための連続延伸法の例をいくつか挙げたが、本発明の高分子フィルムの延伸方法はこれらに限定されるものではなく、生産性の観点から連続延伸が好ましいが、特に連続延伸である必要はない。
本発明の第2の保護フィルムに位相差を与える別の方法として、フィルム表面に光学異方性層を設けてもよい。光学異方性層は特に限定されるものではないが、例えば熱可塑性高分子フィルム上に直接又は下引き層を設けた上に更に配向層を形成し、その上に液晶性化合物を配向固化させて形成することができる。また、配向層単独で光学異方性層とすることもできる。
光学異方性層は、偏光子を接着する面、偏光子を接着しない面のいずれの面に設けてもよいが、偏光子を接着しない面に設けることが好ましい。
[配向層]
前記配向層は、熱可塑性高分子フィルム上に配置され、後述する光学異方性層に隣接して、光学異方性層中の液晶化合物を配向するために用いられる。
配向層を構成する具体的な材料としては、例えば、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリアミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトン、ポリケトンサルファイド、ポリエーテルスルフォン、ポリスルフォン、ポリフェニレンサルファイド、ポリフェニレンオキサイド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリアリレート、アクリル樹脂、ポリビニルアルコール、ポリプロピレン、ポリビニルピロリドン、セルロース系プラスチックス、エポキシ樹脂、フェノール樹脂等が挙げられるがこれらに限定されない。
配向処理は、公知の方法が用いられるが、ラビング処理等のLCDの液晶配向処理工程として広く採用されている処理方法を利用することができ、また、公知の光配向層を用いることもできる。
[光学異方性層]
前記光学異方性層は、液晶表示素子の視野角特性を改良するため、光学異方性層の厚さはそれを構成する液晶化合物の複屈折の大きさ、及び液晶化合物の配向状態によって異なるが、概ね、その膜厚は、0.1〜10μmが好ましく、0.2〜5μmがより好ましい。
光学異方性層は、1つの熱可塑性高分子フィルムに対して複数層設置することもできるが、生産性の観点から1層であることが好ましい。
―液晶化合物―
液晶化合物は、配向できるものであれば特に限定されるものではなく、ディスコチック化合物又は棒状の液晶化合物が挙げられ、数種類の液晶化合物の混合物でもよく、化学反応又は温度差を利用した処理により、配向を固定化できるものである。
また、液晶化合物と有機溶媒を含む溶液を調製し、その溶液を塗布、乾燥して光学異方性層を作製する場合、液晶転移温度以上に加熱しなくても該温度以下で液晶化合物の配向処理をすることも可能である。
液晶化合物を含む溶液を塗布した場合、塗布後、溶媒を乾燥して除去し、膜厚が均一な液晶層を得ることができる。液晶層は、熱又は光エネルギーの作用、又は熱と光エネルギーの併用で化学反応によって、液晶の配向を固定化することができる。
また、液晶化合物が高分子液晶である場合、上記化学反応による硬化反応を用いて液晶の配向を固定しなくてもよい。
例えば高分子液晶をガラス転移点温度以上で熱処理し、ガラス転移温度以下に放冷することで配向を固定化することができる。
高分子液晶のガラス転移点温度が熱可塑性高分子フィルムの耐熱性温度よりも高い場合は、熱可塑性高分子フィルム上に前記配向膜を設置し高分子液晶を塗布後、高分子液晶のガラス転移点温度以上に加熱し配向させることができる。
また、別の支持体上に配向固化させた後、熱可塑性高分子フィルムに接着剤を用いて転写して光学異方体を作製することもできる。
目的に応じた位相差特性を持たせるために、延伸処理と光学異方性層を設ける方法を挙げたが、これらの方法を組み合わせて用いてもよい。
特に、面内位相差と厚み方向位相差それぞれに異なる波長依存性を持たせたい場合には、それぞれ異なる位相差波長依存性を有する熱可塑性高分子フィルム上に光学異方性層を設ける場合がある。
例えば、VA型液晶などには位相差が短波長ほど小さい特性を有する熱可塑性高分子フィルム上に位相差が短波長ほど大きい特性を有する光学異方性層を設ける場合がある。
一方で、特殊Z軸延伸などのように生産性の悪い延伸処理が必要な場合には、生産性のよい延伸処理がされた熱可塑性高分子フィルム上に光学異方性層を設け、全体として目的とする位相差特性とする場合がある。
例えば、IPS型液晶、円偏光板などには、一軸延伸処理がされた正の光学異方性を有する熱可塑性高分子フィルム上に厚み方向位相差が負となるような光学異方性層を設ける。
一方で、一軸延伸処理がされた負の光学異方性を有する熱可塑性高分子フィルム上に厚み方向位相差が正となるような光学異方性層を設けることもできる。
更には、二軸延伸処理された負の光学異方性を有する熱可塑性高分子フィルム上に面内に光学軸を有する正の一軸性光学異方性層を設けるなどして、全体として目的とする位相差特性とする場合がある。
<<第2の保護フィルムの接着性>>
前記熱可塑性高分子フィルムからなる第2の保護フィルムは、該フィルム上に層を形成したり、また、偏光子との接着性を向上させる目的で表面処理を施すことが好ましい。
表面処理としては、鹸化処理、コロナ放電処理、紫外線照射処理、易接着層の積層などが挙げられ、フィルム面の水滴の接触角で65°以下が好ましく、60°以下がより好ましく、40°以下の表面状態にするのが更に好ましい。
<偏光板の作製方法>
本発明の偏光板用保護フィルム(第1の保護フィルム)は、偏光子の少なくとも一方の面に貼り合わせることで偏光板を構成する。偏光子の他方の面は、透湿度が700〜3,000g/m・日の第2の保護フィルムを貼り合わせることが好ましく、透湿度が1,000〜1,700g/m・日の偏光板用保護フィルムを貼り合わせられることがより好ましい。通常、第2の保護フィルムとしては、TAC(セルローストリアセテート)フィルムが好適に用いられる。
ここで、第2の保護フィルムとしては、通常のセルロースアセテートフィルムを用いてもよいが、溶液製膜法で製造され、且つ10〜100%の延伸倍率でロールフィルム形態における巾方向に延伸したセルロースアセテートフィルムを用いてもよい。
更には、本発明の偏光板において、片面が本発明の偏光板用保護フィルムであるのに対して他方の保護フィルムが液晶性化合物からなる光学異方性層を有する光学補償フィルムであってもよい。
また、本発明の偏光板において、片面が本発明の偏光板用保護フィルムであるのに対して他方の保護フィルムの面内レターデーションReが0〜10nm、厚さ方向のレターデーションRthが−20〜20nmであるフィルム(例えば、特開2005−301227号公報段落番号[0095]参照)であってもよい。
偏光子には、ヨウ素系偏光膜、二色性染料を用いる染料系偏光膜やポリエン系偏光膜がある。ヨウ素系偏光膜及び染料系偏光膜は、一般にポリビニルアルコール系フィルムを用いて製造する。
偏光子に設置される2枚の保護フィルムのうち、本発明の偏光板用保護フィルム(第1の保護フィルム)以外の偏光板用保護フィルム(第2の保護フィルム)が、光学異方性層を含んでなる光学補償層を有する光学補償フィルムであることも好ましい。
光学補償フィルム(位相差フィルム)は、液晶表示画面の視野角特性を改良することができる。
光学補償フィルムとしては、公知のものを用いることができるが、視野角を広げるという点では、特開2001−100042号公報に記載されている光学補償フィルムが好ましい。
本発明の偏光板用保護フィルムは、液晶表示装置等とともに用いられる際には、液晶セルと反対側の視認側に配置されることが好ましい。
(液晶表示装置)
本発明のフィルム、偏光板は、液晶表示装置等の画像表示装置に有利に用いることができ、ディスプレイの最表層に用いることが好ましい。
液晶表示装置は、液晶セル、及びその両側に配置された二枚の偏光板を有し、液晶セルは、二枚の電極基板の間に液晶を担持している。更に、光学異方性層が、液晶セルと一方の偏光板との間に一枚配置されるか、あるいは液晶セルと双方の偏光板との間に二枚配置されることもある。
液晶セルは、TN(Twisted Nematic)モード、VA(vertically Aligned)モード、OCB(Optically Compensated Bend)モード、IPS(In−Plane Switching)モード、及びECB(Electrically Controlled Birefringence)モードのいずれかであることが好ましい。
<TNモード>
TNモードの液晶セルでは、電圧無印加時に棒状液晶性分子が実質的に水平配向し、更に60〜120゜にねじれ配向している。
TNモードの液晶セルは、カラーTFT液晶表示装置として特に多く利用されており、多数の文献に記載がある。
<VAモード>
VAモードの液晶セルでは、電圧無印加時に棒状液晶性分子が実質的に垂直に配向している。
VAモードの液晶セルには、(1)棒状液晶性分子を電圧無印加時に実質的に垂直に配向させ、電圧印加時に実質的に水平に配向させる狭義のVAモードの液晶セル(特開平2−176625号公報に記載)に加えて、(2)視野角拡大のため、VAモードをマルチドメイン化した(MVAモードの)液晶セル(SID97、Digest of Tech. Papers(予稿集)28(1997)845記載)、(3)棒状液晶性分子を電圧無印加時に実質的に垂直配向させ、電圧印加時にねじれマルチドメイン配向させるモード(n−ASMモード)の液晶セル(日本液晶討論会の予稿集58〜59(1998)記載)及び(4)SURVAIVALモードの液晶セル(LCDインターナショナル98で発表)が含まれる。
<OCBモード>
OCBモードの液晶セルは、棒状液晶性分子を液晶セルの上部と下部とで実質的に逆の方向に(対称的に)配向させるベンド配向モードの液晶セルであり、米国特許第4583825号、同5410422号の各明細書に開示されている。棒状液晶性分子が液晶セルの上部と下部とで対称的に配向しているため、ベンド配向モードの液晶セルは、自己光学補償機能を有する。そのため、この液晶モードは、OCB(Optically Compensatory Bend)液晶モードと呼ばれる。ベンド配向モードの液晶表示装置は、応答速度が速いとの利点がある。
<IPSモード>
IPSモードの液晶セルは、ネマチック液晶に横電界をかけてスイッチングする方式であり、詳しくはProc.IDRC(Asia Display ’95),p.577−580、及び同p.707−710に記載されている。
<ECBモード>
ECBモードの液晶セルは、電圧無印加時に棒状液晶性分子が実質的に水平配向している。ECBモードは、最も単純な構造を有する液晶表示モードの一つであって、例えば特開平5−203946号公報に詳細が記載されている。
<タッチパネル>
本発明の保護フィルムは、特開平5−127822号公報、及び特開2002−48913号公報等に記載されるタッチパネルなどに応用することができる。
<有機EL素子>
本発明の保護フィルムは、有機EL素子等の基板(透明基材フィルム)や保護フィルムとして用いることができる。
本発明の保護フィルムを有機EL素子等に用いる場合には、特開平11−335661号公報、特開平11−335368号公報、特開2001−192651号公報、特開2001−192652号公報、特開2001−192653号公報、特開2001−335776号公報、特開2001−247859号公報、特開2001−181616号公報、特開2001−181617号公報、特開2002−181816号公報、特開2002−181617号公報、特開2002−056976号公報等に記載の内容を応用することができる。また、特開2001−148291号公報、特開2001−221916号公報、及び特開2001−231443号公報に記載の内容と併せて用いることが好ましい。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の実施態様はこれらに限定されるものではない。
(測定法)
以下、本明細書に記載のある各種性能を測定する方法について説明する。
[透湿度]
透湿度の測定法は、「高分子の物性II」(高分子実験講座4 共立出版)の285頁〜294頁:蒸気透過量の測定(質量法、温度計法、蒸気圧法、吸着量法)に記載の方法を適用することができ、本発明にかかるフィルム試料70mmφを60℃、95%RHでそれぞれ24時間調湿し、調湿前後の質量差より、JIS Z−0208に従って、単位面積あたりの水分量を算出(g/m)した。
この際、恒温恒湿装置にいれたカップを適当な時間間隔で取り出して秤量する操作を繰り返し、二つの連続する秤量で、それぞれ単位時間あたりの質量増加を求め、それが5%以内で一定になるまで評価を続けた。また、試料の吸湿等による影響を除外するため、吸湿剤の入れていないブランクのカップを測定し、透湿度の値を補正した。
なお、本発明において、透明基材フィルム上に少なくとも一層の被覆層が形成された偏光板用保護フィルムの透湿度を測定する際には、前記被覆層が前記透明基材フィルムよりもカップ側になる様にサンプルをカップに設置し、前記透明基材フィルムにおいて、前記被覆層とは反対側から透湿度を測定した。
[密着性評価]
フィルムの層間、あるいは支持体と塗布層との密着性は以下の方法により評価した。
塗布層を有する側に、ニチバン製のセロファンテープ#405を圧着し、引き剥がし、剥がれの有無を下記評価基準に基づき、目視で評価した。
[評価基準]
○:剥がれがない
○△:よく見るとカッティングラインのエッジに細かな剥がれが見える
△:一部に剥がれがあるが実用上で問題がない
△×:剥がれが目立つ
×:全面に剥がれがある
[膜厚]
干渉膜厚計(FE−3000、大塚電子(株)製)を用いて、被覆層の膜厚を測定した。
[混合領域]
被覆層をミクロトームで切削し、断面サンプルを作製し、走査型顕微鏡に附属のエネルギー分散型X線分光器(SEM−EDX)を用いて分析し、片方の層の樹脂成分の主成分が他方の層まで浸漬していっているか否かを確認した。被覆層の片側に塩化ビニリデンを用いている場合は塩素原子を分析対象とした。多官能モノマーを用いている場合は、残存二重結合をオスミウム染色し、オスミウムを分析対象とした。
[界面]
大塚電子製干渉膜厚計FE−3000にて、反射率が異なる2層の干渉が生じるか否かによって光学的に2層の界面が存在していることを確認することができる。
[硬度]
<鉛筆硬度>
本発明のフィルムの硬度は、JIS―K5400に従う鉛筆硬度試験で評価した。
[積分反射率]
フィルムの裏面をサンドペーパーで粗面化した後に黒色インクで処理し、裏面反射をなくした状態で、表面側を、分光光度計(日本分光(株)製)を用いて、380〜780nmの波長領域において、入射角5°における積分分光反射率を測定した。結果には450〜650nmの積分反射率の算術平均値を用いた。
[鏡面反射率]
フィルムの裏面をサンドペーパーで粗面化した後に黒色インクで処理し、裏面反射をなくした状態で、表面側を、分光光度計(日本分光(株)製)を用いて、380〜780nmの波長領域において、入射角5°における鏡面分光反射率を測定した。結果には450〜650nmの鏡面反射率の算術平均値を用いた。
[防眩性]
得られた液晶テレビにルーバーなしのむき出し蛍光灯(8,000cd/m)を10度の角度から映し、−10度の方向から観察した際の蛍光灯の映り込みの程度を以下の基準で評価した。
○:蛍光灯の輪郭がぼやけ気にならない
×:蛍光灯の輪郭が映り込み、気になる
<被覆層用塗布液の調製>
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、攪拌して各成分を混合した。その後、塗布液を孔径20μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して、被覆層用塗布液を調製した。被覆層用塗布液1−1、2、4、5、6については下記の調整方法を用いた。
[被覆層用塗布液1−1の組成]
・ビニルアルコール系重合体PVA103((株)クラレ製)・・・・・・・・・11g
・水中高圧分散済マイカMEB−3(平均粒子半径1〜3μm、固形分比8質量%、コープケミカル製)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6.9g
・水・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・82g
[被覆層用塗布液1−2の組成]
・ビニルアルコール系重合体PVA103((株)クラレ製)・・・・・・・・11g
・水中高圧分散済マイカMEB−3(平均粒子半径1〜3μm、固形分比8質量%、コープケミカル製)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6.9g
・水・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・82g
・水分散性ポリイソシアネート バーノックDNW−5000(固形分比80質量%、大日本インキ化学工業製)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・0.4g
[被覆層用塗布液1−3の組成]
・R684・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・45g
・メチルエチルケトン・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・20g
・メチルイソブチルケトン・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・30g
・イルガキュア184[チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製]・・・・1.4g
[被覆層用塗布液1−4の組成]
・ビニルアルコール系重合体PVA103((株)クラレ製)・・・・・・・・6.7g
・水中高圧分散済マイカMEB−3(平均粒子半径1〜3μm、固形分比8質量%、コープケミカル製)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4.2g
・水・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・89g
[被覆層用塗布液1−5の組成]
・ビニルアルコール系重合体PVA103((株)クラレ製)・・・・・・・・・・4g
・水中高圧分散済マイカMEB−3(平均粒子半径1〜3μm、固形分比8質量%、コープケミカル製)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2.5g
・水・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・94g
[被覆層用塗布液1−6の組成]
・ビニルアルコール系重合体PVA103((株)クラレ製)・・・・・・・・・11g
・水中高圧分散済マイカMEB−3(平均粒子半径1〜3μm、固形分比8質量%、コープケミカル製)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6.9g
・水・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・82g
・L551B(49% 溶媒:水)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・100g
[被覆層用塗布液2−1の組成]
・L536B(49% 溶媒:水)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・100g
{旭化成ライフ&リビング(株)製「サランラテックスL536B」}
[被覆層用塗布液2−2の組成]
・L551B(49% 溶媒:水)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・100g
{旭化成ライフ&リビング(株)製「サランラテックスL551B」}
[被覆層用塗布液2−3の組成]
・L551B(49% 溶媒:水)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・100g
{旭化成ライフ&リビング(株)製「サランラテックスL551B」}
・水分散性ポリイソシアネート バーノックDNW−5000(固形分比80質量%、大日本インキ化学工業製)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・0.4g
[被覆層用塗布液2−4の組成]
・塩素含有重合体:R204・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・10g
{旭化成ライフ&リビング(株)製「サランレジンR204」}
・テトラヒドロフラン・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・77g
・トルエン・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・13g
[被覆層用塗布液2−5の組成]
・DPHA(ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物、日本化薬(株)製]・・・・・・・・・・・・・・・・45g
・メチルエチルケトン・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・20g
・メチルイソブチルケトン・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・30g
・イルガキュア184[チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製]・・・・1.4g
<被覆層用塗布液1−1、2、4、5、6の調製>
被覆層用塗布液1−1、2、4、5は水とMEB−3を混合し、PVA103を添加後95℃で2時間攪拌した。その後、塗布液を孔径100μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して被覆層用塗布液1−1〜5を調製した。被覆層用塗布液1−6に関しては、水とMEB−3を混合し、PVA103を添加後95℃で2時間攪拌した。温度を室温まで下げた後に、L551Bを攪拌しながら添加した。塗布液を孔径100μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して被覆層用塗布液1−6を調製した。
(実施例1〜12、比較例1〜9)
<偏光板用保護フィルム1〜13、21の作製>
以下の方法で被覆層を形成した。各偏光板用保護フィルムの基材、塗布液、層構成、膜厚に関しては、表1に示すとおりとした。2層以上形成する場合は、1層ずつ逐次形成した。
<鹸化TACフィルムの作製>
80μmの厚さのトリアセチルセルロースフィルム(TAC−TD80U、富士フイルム(株)製))を55℃の1.5mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液中に120秒間浸漬した後、水洗乾燥した。
<易接着層用塗布液の調製>
PVA124を水に添加後95℃で2時間攪拌した。温度を室温まで下げた後に、L536Bを攪拌しながら添加した。塗布液を孔径100μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して易接着層用塗布液を調製した。
[易接着層用塗布液の組成]
[易接着層用塗布液]
・蒸留水 44.7g
・L536B(49%) 6.5g
・PVA124 0.4g
易接着層用塗布液にそれぞれ使用した化合物を以下に示す。
L536B:塩化ビニリデン共重合体ラテックス[旭化成ライフ&リビング(株)製]
PVA124:ポリビニルアルコール樹脂(鹸化度98〜99%、重合度2,400)[(株)クラレ製]
<易接着層付きTACフィルムの作製>
80μmの厚さのトリアセチルセルロースフィルム(TAC−T80UZ、富士フイルム(株)製)に、易接着層用塗布液を乾燥後の膜厚が0.4μmになるように搬送速度30m/分の条件で、リバースマイクログラビア法で塗布し、110℃2分間乾燥して巻き取った。
(被覆層の塗設−1)
被覆層用塗布液1−1、1−2、1−4〜6については、以下の方法で被覆層を形成した。スロットダイを有するコーターを用いて、搬送速度30m/分の条件で、鹸化TACフィルムの任意の面又は易接着層付きTACフィルムの易接着層塗設面に、塗布液を直接押し出して塗布した後、100℃で2分間乾燥して巻き取った。
(被覆層の塗設−2)
被覆層用塗布液1−3については、以下の方法で被覆層を形成した。スロットダイを有するコーターを用いて、搬送速度30m/分の条件で、鹸化TACフィルムの片面に、塗布液を直接押し出して塗布した後、100で2分間乾燥の後、更に窒素パージ下で160W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照射量90mJ/cmの紫外線を照射して塗布層を硬化させて、巻き取った。
(被覆層の塗設−3)
被覆層用塗布液2−1、2−2、2−3については、以下の方法で被覆層を形成した。スロットダイを有するコーターを用いて、搬送速度30m/分の条件で、被覆層付きTACフィルムの被覆層塗設面、又は鹸化TACフィルムの任意の面、又は易接着層付きTACフィルムの易接着層塗設面に、塗布液を直接押し出して塗布した後、100℃で2分間乾燥して巻き取った。
(被覆層の塗設−4)
被覆層用塗布液2−4については、以下の方法で被覆層を形成した。スロットダイを有するコーターを用いて、搬送速度30m/分の条件で、鹸化TACフィルムの片面に、塗布液を直接押し出して塗布した後、100℃で1分間乾燥して巻き取った。
(被覆層の塗設−5)
被覆層用塗布液2−5については、以下の方法で被覆層を形成した。スロットダイを有するコーターを用いて、搬送速度30m/分の条件で、鹸化TACフィルムの片面に、塗布液を直接押し出して塗布した後、100℃で2分間乾燥の後、更に窒素パージ下で160W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照射量90mJ/cmの紫外線を照射して塗布層を硬化させて、巻き取った。
<偏光板用保護フィルム14〜20の作製>
(被覆層の塗設−6)
表1に示す1層目の塗布液と、2層目の塗布液とを用い、スロットダイの上にスライド型の塗布ヘッドを並べたダイを用い、搬送速度30m/分の条件で、鹸化TACフィルムの鹸化されている任意の面、又は易接着層付きTACフィルムの易接着層塗設面に、2層の塗布組成物を同時に押し出し、塗布した後、100℃で2分間乾燥して2層を同時に形成して巻き取った。
得られた偏光板用保護フィルムの評価結果を表2にまとめる。実施例1〜12の偏光板用保護フィルムは低湿環境下でも、高湿環境下でも透湿度が低く、密着性に優れる。
また、比較例8の偏光板用保護フィルム(偏光板用保護フィルム19)は、2層目が海島状に偏在し、均一に形成できず、性能評価を行わなかった。
また、被覆層を塗布しない80μmの厚さのトリアセチルセルロースフィルム(TAC−TD80U、富士フイルム(株)製)は透湿度低湿環境下、高湿環境化とも実施例1〜12の偏光板用保護フィルムが必要な透湿度の上限以上であった。
(実施例13〜24)
以下に記載の方法でハードコート層付き偏光板用保護フィルム、及び低屈折率層付き偏光板用保護フィルムを作製した。
<ハードコート層の塗設>
被覆層を塗設した偏光板用保護フィルム1〜3、5〜7、13〜18、20をロール形態で巻き出して、スロットダイを有するコーターを用いて、ハードコート層用塗布液1をバックアップロール上の偏光板用保護フィルムの下塗り層2上に直接押し出して塗布した。搬送速度30m/分の条件で塗布し、30℃で15秒間、90℃で20秒間乾燥の後、更に窒素パージ下で160W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照射量90mJ/cmの紫外線を照射して塗布層を硬化させ、厚さ9.0μmの防眩性を有するハードコート層を形成し、巻き取りハードコート層付き偏光板用保護フィルム1〜3、5〜7、13〜18、20を作製した。
<低屈折率層の塗設>
ハードコート層付き偏光板用保護フィルム1〜3、5〜7、13〜18、20を、ロール形態で巻き出して、スロットダイを有するコーターを用いて、低屈折率層用塗布液1をバックアップロール上の偏光板用保護フィルムのハードコート層を塗布してある面上に直接押し出して塗布した。120℃で150秒乾燥の後、更に140℃で8分乾燥させてから窒素パージにより酸素濃度0.1%の雰囲気下で240W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照射量300mJ/cmの紫外線を照射し、厚さ100nmの低屈折率層を形成し、巻き取り、低屈折率層付き偏光板用保護フィルム1〜3、5〜7、13〜18、20を作製した。
得られた偏光板用保護フィルムの評価結果を表3、4にまとめる。実施例13〜24のハードコート層付き偏光板用保護フィルムは、透湿度が低く、密着性が良好で、かつ、防眩性、硬度に優れる。
また、実施例13〜24の低屈折率層付き偏光板用保護フィルムは、更に反射防止性能も優れる。
したがって、本発明のハードコート層付き偏光板用保護フィルム及び低屈折率層付き偏光板用保護フィルムは、画像表示装置の外側に用いるのに好ましい性能を有する。
(実施例25〜36、比較例11)
<偏光板の作製>
以下に記載の方法で偏光板1〜3、5〜7、13〜18、20、及び22を作製した。
[偏光子の作製]
厚さ120μmのポリビニルアルコールフィルムを沃素1質量部、沃化カリウム2質量部、ホウ酸4質量部を含む水溶液に浸漬し、50℃で4倍に延伸し、偏光子を作製した。
(鹸化処理)
本発明の偏光板用保護フィルム1〜3、5〜7、13〜18、及び20と80μmの厚さのトリアセチルセルロースフィルム(TAC−TD80U、富士フイルム(株)製)と光学異方性層が塗布されているWVフィルム(富士フイルム(株)製)を55℃の1.5mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液中に120秒間浸漬した後、水洗乾燥した。
[偏光板の作成]
上記鹸化処理した本発明の偏光板用保護フィルム1〜3、5〜7、13〜18、及び20の被覆層が塗布されていない面と上記鹸化処理したWVフィルムの光学異方性層が塗布されていない面に、上記偏光子を、完全鹸化型ポリビニルアルコール5%水溶液を接着剤として貼合し、偏光板1〜3、5〜7、13〜18、及び20を作製した。
上記鹸化処理した本発明の偏光板用保護フィルムの代わりに上記鹸化処理した80μmの厚さのトリアセチルセルロースフィルムを用いた以外は偏光板1と同じ方法で、偏光板22を作製した。
<偏光板の評価>
本発明の偏光板1〜3、5〜7、13〜18、20、及び22につき、下記の偏光板評価を行った。
[偏光度]
上記のようにして得られた偏光板を、60℃、95%RHの環境下、1,000時間放置したのち偏光度を測定した。なお偏光度は下記数式(5)より求められる。(波長550nm)
[評価基準]
○:偏光度99%以上で問題ない。
△:偏光度98%以上、99%未満。
×:偏光度98%未満。
[着色]
偏光板用保護フィルムを目視観察し、着色(黄変)の程度を判定した。
[評価基準]
○:ほとんど着色がないレベル。
△:ごく薄く着色があるものの、事実上問題のないレベル。
×:着色が問題のレベル。
[偏光板の耐久性1]
得られた偏光板を60℃90%RH条件で500時間処理した後の偏光度を評価した。評価基準は偏光度と同じとした。
[偏光板の耐久性2]
得られた偏光板を105℃DRY条件で500時間処理した後の偏光度を評価した。評価基準は偏光度と同じとした。
得られた偏光板の評価結果を表5にまとめる。実施例25〜36の偏光板は偏光度、耐久性に優れる。
(実施例37〜48、比較例12〜18)
以下に記載の方法で本発明の偏光板用保護フィルムより作製した偏光板を用いた液晶表示装置の性能を評価した。
TN型液晶セルを使用した液晶表示装置(MRT−191S、三菱電機製)に設けられている偏光板を剥がし、代わりに本発明の偏光板1〜3、5〜7、13〜18、20、22を、被覆層が外側(空気界面側)に、且つ偏光板の透過軸が製品に貼られていた偏光板と一致するように粘着剤を介して貼り付けた。暗室にて、液晶表示装置を表示して、目視により以下の特性を評価した。
<高湿及び低湿処理後の光漏れ評価(周辺ムラ評価)>
液晶表示装置を下記の条件で処理した後に、液晶表示装置を黒表示させ、正面からの光漏れを複数の観察者により目視評価して、周辺ムラを評価した。
周辺ムラ1:60℃90%50時間処理した後、25℃60%の環境下で1時間放置
周辺ムラ2:600℃10%50時間、処理した後、25℃60%の環境下で2時間放置
[評価基準]
◎:光漏れは観察されなかった
○:光漏れがわずかに観察された
△:光漏れがあるが問題のないレベルであった
×:光漏れがはっきり観察された
[液晶表示装置の性能]
得られた液晶表示装置の評価結果を表6にまとめる。実施例1〜12の偏光板用保護フィルムより作製した偏光板(実施例25〜36)を用いた液晶表示装置(実施例37〜48)は周辺ムラが発生しない優れた特性を示した。
偏光板作製時に本発明の偏光板用保護フィルム1〜3、5〜7、13〜18、20の代わりに、本発明のハードコート層付き偏光板用保護フィルム1〜3、5〜7、13〜18、20を用いると、偏光板性能、液晶表示装置の周辺ムラ発生防止性能を損なわずに、表面硬度、防眩性を付与でき、液晶表示装置の外側に用いた時に、傷つきづらく、表面への反射像の映り込みが低減された、より優れた性能を示した。
偏光板作製時に本発明の偏光板用保護フィルム1〜3、5〜7、13〜18、20の代わりに、本発明の低屈折率層付き偏光板用保護フィルム1〜3、5〜7、13〜18、20を用いると、偏光板性能、液晶表示装置の周辺ムラ発生防止性能を損なわずに、表面硬度、防眩性、反射防止性能を付与でき、液晶表示装置の外側に用いた時に、傷つきづらく、表面への反射像の映り込みが更に低減された、特に優れた性能を示した。
本発明の偏光板用保護フィルムを用いて、IPS用、VA用、OCB用偏光板を作成し、各液晶ディスプレイに用いたところ、表示性能を悪化させることなく、光漏れを改善することができた。
図1Aは、本発明の偏光板用保護フィルムの一実施形態における構成を示す断面図である。 図1Bは、本発明の偏光板用保護フィルムの一実施形態における構成を示す断面図である。 図2Aは、本発明の偏光板の一実施形態における構成を示す断面図である。 図2Bは、本発明の偏光板の一実施形態における構成を示す断面図である。 図3は、本発明の液晶表示装置の一実施形態における構成を示す断面図である。
符号の説明
1 偏光板用保護フィルム
2 透明基材フィルム
3 被覆層
4 ハードコート層
5 偏光板
6 偏光子
7 偏光板用保護フィルム
8 液晶表示装置
9 液晶セル

Claims (14)

  1. 透明基材上に低透湿性を有する被覆層が少なくとも複数層形成されており、前記複数の被覆層は、界面において混合領域を形成し、60℃、95%相対湿度(WVTR95)での透湿度が20g/m・日以上450g/m・日以下であり、60℃40%相対湿度(WVTR40)における透湿度が30g/m・日以下であることを特徴とする偏光板用保護フィルム。
  2. 複数の被覆層の60℃、95%相対湿度での透湿度(WVTR95)に対して、60℃40%相対湿度における透湿度(WVTR40)が、5倍以上である請求項1に記載の偏光板用保護フィルム。
  3. 複数の被覆層のうちの1層が、分子量10,000以上の樹脂を含む請求項1から2のいずれかに記載の偏光板用保護フィルム。
  4. 複数の被覆層の少なくとも一方の被覆層には、他方の被覆層に含まれる少なくとも1つの成分と、架橋可能な添加剤とが含まれる請求項1から3のいずれかに記載の偏光板用保護フィルム。
  5. 塩素含有ビニル単量体から誘導される繰り返し単位を含む樹脂が、複数の被覆層の少なくとも一方に含まれる請求項1から4のいずれかに記載の偏光板用保護フィルム。
  6. ポリビニルアルコール、及びその変性体の少なくともいずれかを含む樹脂が、複数の被覆層の少なくとも一方に含まれる請求項1から5のいずれかに記載の偏光板用保護フィルム。
  7. 被覆層を形成する成分と、溶剤とを含有する被覆層用組成物を透明基材上に塗布し、その後、前記溶剤を乾燥して、前記透明基材上に被覆層を形成する被覆層形成工程を含み、同じ溶剤を用いて複数の被覆層を前記透明基材上に形成することを特徴とする偏光板用保護フィルムの製造方法。
  8. 溶剤が水である請求項7に記載の偏光板用保護フィルムの製造方法。
  9. 複数の被覆層のうち、少なくとも一方の被覆層用塗布組成物の粘度が、10cp以上である請求項7から8のいずれかに記載の偏光板用保護フィルムの製造方法。
  10. 複数の被覆層のうち、少なくとも一方の被覆層用塗布組成物が、水分散性ラテックスである請求項7から9のいずれかに記載の偏光板用保護フィルムの製造方法。
  11. 被覆層形成工程が、複数の被覆層用組成物を透明基材上に同時に塗布した後に、乾燥し、複数の被覆層を同時に形成する請求項7から10のいずれかに記載の偏光板用保護フィルムの製造方法。
  12. 請求項7から11のいずれかに記載の保護フィルムの製造方法によって製造されたことを特徴とする偏光板用保護フィルム。
  13. 請求項1から6、及び請求項12のいずれかに記載の偏光板用保護フィルムと、偏光子とを有することを特徴とする偏光板。
  14. 請求項13に記載の偏光板と、液晶セルとを有することを特徴とする液晶表示装置。
JP2007095625A 2007-03-30 2007-03-30 偏光板用保護フィルム、及びその製造方法、偏光板、並びに液晶表示装置 Pending JP2008256747A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007095625A JP2008256747A (ja) 2007-03-30 2007-03-30 偏光板用保護フィルム、及びその製造方法、偏光板、並びに液晶表示装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007095625A JP2008256747A (ja) 2007-03-30 2007-03-30 偏光板用保護フィルム、及びその製造方法、偏光板、並びに液晶表示装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2008256747A true JP2008256747A (ja) 2008-10-23

Family

ID=39980407

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2007095625A Pending JP2008256747A (ja) 2007-03-30 2007-03-30 偏光板用保護フィルム、及びその製造方法、偏光板、並びに液晶表示装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2008256747A (ja)

Cited By (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010122315A (ja) 2008-11-17 2010-06-03 Dainippon Printing Co Ltd 光学積層体
WO2013021965A1 (ja) * 2011-08-11 2013-02-14 東レ株式会社 積層体、透明導電性積層体、タッチパネル、および積層体の製造方法
CN104175670A (zh) * 2013-05-22 2014-12-03 富士胶片株式会社 功能性膜及其制造方法
JPWO2015037527A1 (ja) * 2013-09-10 2017-03-02 東洋紡株式会社 液晶表示装置、偏光板及び偏光子保護フィルム
JP2017142489A (ja) * 2016-02-05 2017-08-17 富士フイルム株式会社 偏光板の製造方法
US10175494B2 (en) 2011-05-18 2019-01-08 Toyobo Co., Ltd. Polarizing plate suitable for liquid crystal display device capable of displaying three-dimensional images, and liquid crystal display device
US10180597B2 (en) 2011-05-18 2019-01-15 Toyobo Co., Ltd. Liquid crystal display device, polarizing plate, and polarizer protection film
US10503016B2 (en) 2010-06-22 2019-12-10 Toyobo Co., Ltd. Liquid crystal display device, polarizer and protective film
US10948764B2 (en) 2009-11-12 2021-03-16 Keio University Method for improving visibility of liquid crystal display device, and liquid crystal display device using the same
WO2022163655A1 (ja) * 2021-01-27 2022-08-04 日東電工株式会社 空隙層、積層体、空隙層の製造方法、光学部材および光学装置

Cited By (14)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010122315A (ja) 2008-11-17 2010-06-03 Dainippon Printing Co Ltd 光学積層体
US10948764B2 (en) 2009-11-12 2021-03-16 Keio University Method for improving visibility of liquid crystal display device, and liquid crystal display device using the same
US10503016B2 (en) 2010-06-22 2019-12-10 Toyobo Co., Ltd. Liquid crystal display device, polarizer and protective film
US10175494B2 (en) 2011-05-18 2019-01-08 Toyobo Co., Ltd. Polarizing plate suitable for liquid crystal display device capable of displaying three-dimensional images, and liquid crystal display device
US10180597B2 (en) 2011-05-18 2019-01-15 Toyobo Co., Ltd. Liquid crystal display device, polarizing plate, and polarizer protection film
JPWO2013021965A1 (ja) * 2011-08-11 2015-03-05 東レ株式会社 積層体、透明導電性積層体、タッチパネル、および積層体の製造方法
WO2013021965A1 (ja) * 2011-08-11 2013-02-14 東レ株式会社 積層体、透明導電性積層体、タッチパネル、および積層体の製造方法
CN104175670B (zh) * 2013-05-22 2017-08-29 富士胶片株式会社 功能性膜及其制造方法
CN104175670A (zh) * 2013-05-22 2014-12-03 富士胶片株式会社 功能性膜及其制造方法
JPWO2015037527A1 (ja) * 2013-09-10 2017-03-02 東洋紡株式会社 液晶表示装置、偏光板及び偏光子保護フィルム
KR20180097716A (ko) 2016-02-05 2018-08-31 후지필름 가부시키가이샤 편광판의 제조 방법
JP2017142489A (ja) * 2016-02-05 2017-08-17 富士フイルム株式会社 偏光板の製造方法
KR102101687B1 (ko) 2016-02-05 2020-04-17 후지필름 가부시키가이샤 편광판의 제조 방법
WO2022163655A1 (ja) * 2021-01-27 2022-08-04 日東電工株式会社 空隙層、積層体、空隙層の製造方法、光学部材および光学装置

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US7847887B2 (en) Protective film for polarizing plate, polarizing plate, and liquid crystal display device
JP2008256747A (ja) 偏光板用保護フィルム、及びその製造方法、偏光板、並びに液晶表示装置
JP4905799B2 (ja) 偏光板用保護フィルム、偏光板及び液晶表示装置
US20060233972A1 (en) Optical functional film, production method thereof, and polarizing plate and image display device using the same
US20060215079A1 (en) Liquid crystal display device
US20060153979A1 (en) Anti-glare and anti-reflection film, polarizing plate using the anti-glare and anti-reflection film, and liquid crystal display device using the polarizing plate
JP2008015500A (ja) 偏光板用保護フィルム
JP2008268938A (ja) 保護フィルム、偏光板、及び液晶表示装置
JP2008003580A (ja) 偏光板用保護フィルム、偏光板及び液晶表示装置
JP2008107499A (ja) 偏光板及び液晶表示装置
JP2006276839A (ja) 光学機能フィルム、その製造方法、並びにそれを用いた偏光板及び画像表示装置
WO2006016592A1 (en) Anti-reflection film
WO2014119487A1 (ja) 光学フィルム及びその製造方法、偏光板並びに液晶表示装置
JP4682886B2 (ja) 液晶表示用偏光板並びに液晶表示装置
JP5479258B2 (ja) セルロースアシレートフィルム及びその製造方法、並びにそれを用いた偏光板及び液晶表示装置
JP2007133350A (ja) 画像表示装置
KR20070118029A (ko) 편광판용 보호 필름
JP2007102208A (ja) 光学フィルム、反射防止フィルム、並びに該光学フィルムまたは該反射防止フィルムを用いた偏光板および画像表示装置
JP2007041514A (ja) 液晶表示装置
JP2007193017A (ja) 偏光板及び液晶表示装置
JP4682897B2 (ja) 液晶表示用偏光板及び液晶表示装置
JP2009169306A (ja) 偏光板用保護フィルムおよび偏光板
JP2006215096A (ja) 反射防止フィルム、それを用いた偏光板および画像表示装置
US9766378B2 (en) Optical film, polarizing plate equipped with the optical film, liquid crystal display device, and method for producing an optical film
JP2007034213A (ja) 反射防止フィルム、それを用いた偏光板及びディスプレイ装置