JP2011068799A - セルロース材料およびその積層体 - Google Patents
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Abstract
【課題】酸素通過度が低く、ガスバリア性に優れた積層材料を提供することを目的とする。
【解決手段】酸化反応によりカルボキシル基およびアルデヒド基が導入されたセルロースであって、前記カルボキシル基含有量が0.1mmol/g以上2mmol/g以下であり、前記アルデヒド基含有量が0.01mmol/g以上0.5mmol/g以下であることを特徴とする酸化セルロース材料を提供する。この酸化セルロース材料からなる被膜を、基材上に形成することにより、酸素通過度が低く、ガスバリア性に優れた積層材料を提供する。
【選択図】なし
【解決手段】酸化反応によりカルボキシル基およびアルデヒド基が導入されたセルロースであって、前記カルボキシル基含有量が0.1mmol/g以上2mmol/g以下であり、前記アルデヒド基含有量が0.01mmol/g以上0.5mmol/g以下であることを特徴とする酸化セルロース材料を提供する。この酸化セルロース材料からなる被膜を、基材上に形成することにより、酸素通過度が低く、ガスバリア性に優れた積層材料を提供する。
【選択図】なし
Description
本発明は、セルロース材料およびセルロース材料を用いたガスバリア性積層材料に関する。
近年、環境問題への関心が高まる中、従来の石油系樹脂に対し、天然由来の澱粉やセルロース、キチンキトサンなどの各種天然多糖類とその誘導体が、バイオマス材料として注目されている。また、環境中で水と二酸化炭素にまで分解される生分解性樹脂からなる基材も注目され、市販されている。具体的には、微生物によって産生される脂肪族ポリエステルや、天然由来の澱粉やセルロース、キチンキトサンなどの各種多糖類とその誘導体、完全に化学合成により得られる生分解性樹脂や澱粉などを原料として得られた乳酸を重合してえられるポリ乳酸などが挙げられる。
これらの中でも、石油系の資源を原料とせず、天然の植物などを原料する多糖類やポリ乳酸は、生分解性のみならず、バイオマス由来の材料として注目されている。
バイオマス材料を利用した例として、例えば特許文献1に微細セルロース繊維が記載されている。特許文献1では微細セルロース繊維をゲル化剤、コーティング材、乳化剤、分散安定剤として使用できる可能性を示唆しているが、具体的な効果についての記載はない。
また、特許文献2には、セルロース繊維懸濁液をガスバリア用材料として用いる例が記載されている。しかしながら、特許文献2のガスバリア材料は、特許文献2の段落番号[0055]に記載されているとおり、耐湿性が低いため、高湿度条件下ではガスバリア性が著しく低下する問題があった。
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、天然資源を有効利用し、且つ、優れたガスバリア性を有するガスバリア材料を提供するものである。
本発明において上記課題を達成するために、請求項1に係る発明は、酸化反応によりカルボキシル基およびアルデヒド基が導入されたセルロースであって、カルボキシル基含有量が0.1mmol/g以上2mmol/g以下であり、アルデヒド基含有量が0.01mmol/g以上0.5mmol/g以下であることを特徴とする酸化セルロース材料としたものである。
また請求項2に係る発明は、酸化反応がニトロキシラジカル誘導体および酸化剤を含む水溶媒中で行われることを特徴とする請求項1に記載の酸化セルロース材料としたものである。
また請求項3に係る発明は、ニトロキシラジカル誘導体が2,2,6,6−テトラメチルピペリジノオキシラジカルまたは4−アセトアミド−2,2,6,6−テトラメチルピペリジノオキシラジカルであることを特徴とする請求項2記載の酸化セルロース材料としたものである。
また請求項4に係る発明は、酸化剤が、亜塩素酸ナトリウムおよび/または次亜塩素酸ナトリウムであることを特徴とする請求項2または3に記載の酸化セルロース材料としたものである。
また請求項5に係る発明は、カルボキシル基およびアルデヒド基を有するセルロースの重合度が100以上であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の酸化セルロース材料としたものである。
また請求項6に係る発明は、基材上の少なくとも片面に請求項1乃至5のいずれかに記載の酸化セルロース材料からなる被膜を形成したことを特徴とする積層材料としたものである。
また請求項7に係る発明は、基材が、ポリ乳酸系もしくはポリエステル系の生分解性樹脂材料、バイオマス由来材料、または紙材料からなることを特徴とする請求項6に記載の積層材料としたものである。
また請求項8に係る発明は、基材が、アミノ基、エポキシ基、または水酸基のうちいずれかのアルデヒド基と反応する官能基を含む材料からなることを特徴とする請求項6または7に記載の積層材料としたものである。
また請求項9に係る発明は、添加剤としてアミノ基、エポキシ基、または水酸基のうちいずれかのアルデヒド基と反応する官能基を有する化合物を添加して被膜を形成することを特徴とする請求項6乃至8のいずれかに記載の積層材料としたものである。
また請求項10に係る発明は、被膜は、さらに無機層状化合物を含むことを特徴とする請求項6乃至9のいずれかに記載の積層材料としたものである。
また請求項11に係る発明は、基材および被膜からなる層の間、または基材もしくは被膜の少なくとも片側に、更にセラミック蒸着層を有することを特徴とする請求項6乃至10に記載の積層材料としたものである。
また請求項12に係る発明は、セラミック蒸着層を構成するセラミックが、酸化ケイ素又は酸化アルミニウムからなることを特徴とする請求項11に記載の積層材料としたものである。
本発明によれば、上述の構成により、再生可能な天然資源である多糖類を有効に利用することができ、さらに、殆どの天然資源は石油由来のプラスチックより燃焼熱が低い上に、生分解性もあり土に戻すことができるため、廃棄処理における環境負荷を小さくすることができる。且つ、本発明によれば、酸素通過度が低く優れたガスバリア性を有する積層材料を得ることができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の酸化セルロース材料は、例えば次の方法で製造することができる。
まず、原料となるセルロース繊維に水を加え膨潤させ解繊処理を施すことにより微細化させる。
原料としては天然由来のセルロースを用いることができる。原料となる天然由来のセルロースとしては、木材パルプ、非木材パルプ、綿パルプ、バクテリアセルロースなどを用いることができる。
解繊処理の方法としては叩解やミキサーにかけるなどの方法があり、繊維を微細化し表面積を大きくすることで酸化反応の効率を上げることができる。
セルロースの酸化方法としては、一般的に知られている水酸基からアルデヒドを経てカルボン酸に酸化する方法から適宜選択することができるが、中でもニトロキシラジカル誘導体、特にTEMPO(2,2,6,6−テトラメチルピペリジノオキシラジカル)または4−アセトアミドTEMPO(4−アセトアミド−2,2,6,6−テトラメチルピペリジノオキシラジカル)を触媒とし、次亜塩素酸ナトリウムおよび/または亜塩素酸ナトリウムを酸化剤とし、臭化ナトリウムを含む水溶媒中で行われるTEMPO酸化法が好適である。TEMPOまたは4−アセトアミドTEMPOと亜塩素酸ナトリウムおよび/または次亜塩素酸ナトリウムを用いることにより、短時間に温和な条件下で再現性よく安価に酸化セルロースを得ることが可能である。TEMPO酸化においては、ピラノース環(グルコース)の第6位水酸基が選択的に酸化され、アルデヒド基およびカルボキシル基を導入することができる。カルボキシル基はカルボン酸またはカルボン酸の金属塩となっていてもよい。第2位、第3位の水酸基が酸化されケトンが生成すると、後述の水への分散処理の際に分散しにくくなるため好ましくない。
TEMPO酸化に用いる試薬類は市販のものを容易に入手可能である。反応温度は0℃以上60℃以下が好適であり、3時間以上72時間以下程度で水への分散およびガスバリア性を示すのに十分な量の官能基を導入できる。
TEMPO類および臭化ナトリウムは、反応の際に触媒量を用いればよく、反応後に回収することも可能である。また、上記の反応系では理論上の副生成物は塩化ナトリウムのみであり、クロム酸や過マンガン酸を用いた他の酸化反応に比べ廃液の処理が容易である。
アルデヒド基およびカルボキシル基の量はTEMPO酸化条件を適宜設定することにより調整可能である。例えば、酸化剤として主に亜塩素酸ナトリウムを用いるとカルボキシル基の生成が進みアルデヒド基の生成が少なくなる。セルロース繊維は、カルボキシル基の電気的反発力により水中に分散することから、カルボキシル基の含有量が少なすぎると安定的に水中に分散させることができないので、0.1mmol/g以上とすることが好ましい。また、カルボキシル基の含有量が2mmol/gより多いと水への親和性が増し耐水性が低下することから、カルボキシル基の含有量は、好ましくは、0.1mmol/g以上2mmol/g以下であり、さらに好ましくは0.6mmol/g以上2mmol/g以下である。アルデヒド基は、非常に反応性に富む官能基で、常温常圧など温和な条件下で様々な官能基と反応させることが可能である。アルデヒド基含有量は少なすぎると反応点が減少し酸化セルロース内および基材−酸化セルロース被膜間で十分に結合が形成されないので、酸素透過度が高くなる。よって、酸素透過度の低い積層材料を形成するためには、アルデヒド基含有量は0.01mmol/g以上とすることが好ましい。また、アルデヒド基含有量が0.5mmol/gより多いと水への分散性が低下するため、アルデヒド基の含有量は好ましくは0.01mmol/g以上0.5mmol/g以下であり、さらに好ましくは0.1mmol/g以上0.3mmol/g以下である。なお、アルデヒド基含有量を好ましくは0.01mmol/g以上0.5mmol/g以下、さらに好ましくは0.1mmol/g以上0.3mmol/g以下とすることにより、後述する添加剤が分散しやすくなる。
酸化反応によりカルボキシル基およびアルデヒド基が導入されたセルロースは、それ自体を成型あるいは他の材料と組み合わせて使用することにより、酸素、水蒸気、その他内容物を変質させる気体の透過を抑制することが可能である。
また、得られる酸化セルロースの分子量は、高分子量であるほど機械的強度と熱安定性に優れる。好ましくは重合度(DP)が100以上、さらに好ましくは200以上である。上記酸化方法によれば高分子量の酸化セルロースを得ることが可能であるが、より好ましくはpH3〜5の酸性条件下で酸化反応を行うと良い。アルカリ性条件下では、セルロースがβ脱離反応を起こし低分子量化が進むのに対し、酸性条件下では脱離分解が起こり難いためである。
酸化セルロースは水中に分散処理しナノファイバー分散液とした後、成型材、塗液として使用される。水への分散処理の方法としては、既に知られている各種分散処理が可能であり、具体的にはホモミキサー処理、高圧ホモジナイザー処理、超音波分散処理、ディスク型レファイナー処理、コニカル型レファイナー処理、ダブルディスク型レファイナー処理、グラインダー処理などがある。
酸化セルロースのナノファイバー分散液は、例えばディッピング法、ロールコート法、スリットコート法、スクリーン印刷法、スプレー法など公知の塗工方法によって基材上に塗工することができる。この際、塗液には、塗膜の表面張力を抑えるため、または乾燥エネルギーを低下させるために、アルコールなどの溶媒を添加しても良い。また、基材との密着性を高めるため、コロナ放電処理やプラズマ処理、紫外線照射などの表面改質処理を予め基材に施してもよい。塗膜をオーブン等により乾燥させることにより基材上に酸化セルロースの被膜が形成できる。基材上に酸化セルロース材料を被膜として形成することにより、酸化セルロース材料により耐水性を付与することができる。
被膜を基材の片面に形成する場合には、乾燥後の複合被膜の厚さが約0.01μm以上100μm以下となるようにコーティングすることが好ましく、特に、0.01μm以上50μm以下とすることが好ましい。被膜が薄すぎると塗膜が形成されにくく、反対に被膜が厚すぎるとコストが高くなり不利である。なお、被膜を基材の両面に形成する場合、被膜の厚さは、0.01μm以上20μm以下とすることが好ましい。
基材となる材料は、用途に応じて適宜選ぶことが可能であり、例えばポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリ乳酸(PLA)などの各種ポリエステル、ナイロンなどの各種ポリアミド、などのプラスチック類のほか、紙材料などが挙げられる。また、基材をポリ乳酸系もしくはポリエステル系の生分解性樹脂材料、バイオマス由来材料、または紙材料とした場合には、より環境負荷の小さいガスバリア性材料を提供することができる。
基材の厚みは、要求特性によって任意に選択することができ、また複数の基材を組み合わせて用いることも可能である。また、基材を、アミノ基、エポキシ基、水酸基などアルデヒド基と反応し得る官能基を含む材料とすると、被膜と基材との間に化学結合が形成され、被膜と基材との密着強度を向上させることができる。
本発明の積層材料の被膜形成の際には、添加剤としてアミノ基、エポキシ基、水酸基などの官能基を有する化合物を酸化セルロースの塗液に添加しても用いてもよい。これらの添加剤は、アルデヒド基と反応し被膜の各性能、特に膜強度、耐水性、耐湿性の向上に効果がある。さらにカルボジイミド基、エポキシ基、ポリエチレンイミン、イソシアネートなどの反応性官能基を2つ以上有する化合物を添加してもよく、これらの添加剤も被膜の膜強度、耐水性、耐湿性、基材との密着性の向上に効果がある。
また、本発明において、被膜の形成に無機層状化合物を添加して使用してもよい。無機層状化合物とは、層状構造を有する結晶性の無機化合物をいい、例えば、カオリナイト族、スメクタイト族、マイカ族等に代表される粘土鉱物をあげることができる。無機層状化合物である限り、その種類、粒径、アスペクト比等は、その要求特性に応じて適宜選択することができ、特に限定されない。一般的には、スメクタイト族の無機層状化合物として、モンモリロナイト、ヘクトライト、サポナイト等をあげることができ、これらの中でも、塗液中の安定性や、塗工性等の点から好ましいものとしてモンモリロナイトをあげることができる。なお、被膜中に無機層状化合物を添加することで、ガスバリア性をさらに向上させることができる。
この他、本発明の効果を阻害しないレベルで、顔料、染料、分散剤等の添加剤等を配合してもよい。
積層材料のガスバリア性をいっそう向上させる場合、基材および被膜からなる層の間、または基材もしくは被膜の少なくとも片側にセラミック蒸着層を設けてもよい。真空蒸着法、スパッタリング法、プラズマ気相成長法(CVD法)等の真空プロセスにより、酸化ケイ素、酸化アルミニウム等の無機物の蒸着膜を形成し使用してもよい。セラミック蒸着層を酸化ケイ素又は酸化アルミニウムから形成した場合、安価にセラミック蒸着層を形成することができ、生産性を高めることができる。
蒸着膜の好ましい膜厚は、当該積層材料の用途や蒸着膜の膜組成等に応じて異なるが、通常、数nm以上500nm以下の範囲が好ましく、5nm以上300nm以下がより好ましい。この蒸着膜が薄すぎるとピンホール等が生じて蒸着膜の連続性が維持されなくなり、反対に厚すぎると可撓性が低下し、クラックが発生しやすくなる。
さらに、必要に応じて、上述の基材及び複合被膜の他、さらにヒートシールを可能とする熱可塑性樹脂層、印刷層、保護層等を積層してもよい。この場合、積層する各層は、溶融押出により積層してもよく、接着剤を用いて積層してもよい。
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、下記実施例に限定されるものではない。
(酸化セルロースの調製方法)
セルロースとして汎用的に入手可能な針葉樹漂白パルプを用いた。
セルロースとして汎用的に入手可能な針葉樹漂白パルプを用いた。
セルロース30g(絶乾質量換算)を蒸留水600gに加え撹拌し、膨潤させた後ミキサーにより解繊した。ここに蒸留水1200gと、予め蒸留水200gに溶解させたTEMPOを0.3g、臭化ナトリウム3gの溶液を加え、2mol/L濃度の次亜塩素酸ナトリウム水溶液86gを滴下により添加し、酸化反応を開始した。反応温度は常に20℃以下に維持した。反応中は系内のpHが低下するが、0.5NのNaOH水溶液を逐次添加し、pH10に調整した。そして、3時間反応させた時点で、エタノール30gを添加し、反応を停止した。続いて反応溶液に0.5NのHClを滴下しpHを2まで低下させた。ナイロンメッシュを用いてこの溶液をろ過し、固形分をさらに水で数回洗浄し、反応試薬や副生成物を除去し、固形分濃度7%の水を含有した酸化セルロースを得た。
(官能基の導入量の測定)
絶乾質量換算で0.2gの湿潤酸化セルロースをビーカーに量りとり蒸留水を加えて60gとした。0.1MのNaCl水溶液を0.5mL加え、0.5Mの塩酸でpHを3とした後0.5MのNaOH水溶液を滴下して伝導度測定を行った。測定はpHが11程度になるまで続けた。弱酸の中和段階に相当する部分がカルボキシル基量となるので、得られた伝導度曲線からNaOHの添加量を読み取ると、カルボキシル基量は1.6mmol/gであった。
絶乾質量換算で0.2gの湿潤酸化セルロースをビーカーに量りとり蒸留水を加えて60gとした。0.1MのNaCl水溶液を0.5mL加え、0.5Mの塩酸でpHを3とした後0.5MのNaOH水溶液を滴下して伝導度測定を行った。測定はpHが11程度になるまで続けた。弱酸の中和段階に相当する部分がカルボキシル基量となるので、得られた伝導度曲線からNaOHの添加量を読み取ると、カルボキシル基量は1.6mmol/gであった。
次に、絶乾質量換算で2g湿潤酸化セルロースに0.5Mの酢酸20mLと蒸留水60mLと亜塩素酸ナトリウム1.8gを加えpH4に調整し48時間反応させた。上記と同様の手法でカルボキシル基量を測定したところ1.8mmol/gであった。これによりアルデヒド基量は0.2mmol/gと算出できた。
(分子量測定)
粘度法により酸化セルロースの分子量測定を行った。
粘度法により酸化セルロースの分子量測定を行った。
乾燥酸化セルロースをそれぞれ10mg、20mg、40mg精秤し0.05Mの銅エチレンジアミン水溶液10mLに溶解させた。キャノンフェンスケ型粘度計を用い25℃で溶媒とそれぞれのセルロース溶液の流出時間を3回測定しその平均値を求めた。溶媒の流出時間と溶液の流出時間からそれぞれの濃度における比粘度ηspを算出した。比粘度ηspと濃度cの比ηsp/cを溶液の濃度cに対しプロットした結果、グラフより溶液の濃度0に外挿した極限値、極限濃度[η]は1.91であった。これより得られた酸化セルロースの粘度平均分子量および重合度を算出すると、粘度平均分子量は54000、重合度は336であった。
(ガスバリア性積層材料)
基材として、厚さ25μmの2軸延伸ポリ乳酸フィルムを用いた。基材上に上記酸化セルロース(カルボキシル基量1.6mmol/g、アルデヒド基量0.2mmol/g)の水分散液(固形分濃度1%程度)を#20のバーコーターを用いて基材上に塗工し、120℃のオーブンで10分間乾燥させ、乾燥膜厚0.5μmの被膜を形成した。
基材として、厚さ25μmの2軸延伸ポリ乳酸フィルムを用いた。基材上に上記酸化セルロース(カルボキシル基量1.6mmol/g、アルデヒド基量0.2mmol/g)の水分散液(固形分濃度1%程度)を#20のバーコーターを用いて基材上に塗工し、120℃のオーブンで10分間乾燥させ、乾燥膜厚0.5μmの被膜を形成した。
(酸素通過度測定)
酸素通過度測定装置(モダンコントロール社製、OXTRAN 10/50A)を用いて30℃、40%RH雰囲気下で測定したところ酸素透過度は15cc/m2・day・atmであった。
酸素通過度測定装置(モダンコントロール社製、OXTRAN 10/50A)を用いて30℃、40%RH雰囲気下で測定したところ酸素透過度は15cc/m2・day・atmであった。
(密着性)
セロハンテープ密着試験(クロスカット試験)を行い、塗膜の密着性を評価した結果、剥離は見られなかった。
セロハンテープ密着試験(クロスカット試験)を行い、塗膜の密着性を評価した結果、剥離は見られなかった。
<比較例>
(酸化セルロースの調製方法)
セルロース18g(絶乾質量換算)をpH4.8の酢酸ナトリウム緩衝液700gに加え撹拌し、膨潤させた後ミキサーにより解繊した。ここに緩衝液560gと、4−アセトアミドTEMPOを1.8gと亜塩素酸ナトリウム15.3gを加え、0.16mol/L濃度の次亜塩素酸ナトリウム水溶液63gを添加し、60℃で48h酸化反応を行った。その後、エタノール10gを添加し、反応を停止した。続いて反応溶液に0.5NのHClを滴下しpHを2まで低下させた。ナイロンメッシュを用いてこの溶液をろ過し、固形分をさらに水で数回洗浄し、反応試薬や副生成物を除去し、固形分濃度4%の水を含有した酸化セルロースを得た。
(酸化セルロースの調製方法)
セルロース18g(絶乾質量換算)をpH4.8の酢酸ナトリウム緩衝液700gに加え撹拌し、膨潤させた後ミキサーにより解繊した。ここに緩衝液560gと、4−アセトアミドTEMPOを1.8gと亜塩素酸ナトリウム15.3gを加え、0.16mol/L濃度の次亜塩素酸ナトリウム水溶液63gを添加し、60℃で48h酸化反応を行った。その後、エタノール10gを添加し、反応を停止した。続いて反応溶液に0.5NのHClを滴下しpHを2まで低下させた。ナイロンメッシュを用いてこの溶液をろ過し、固形分をさらに水で数回洗浄し、反応試薬や副生成物を除去し、固形分濃度4%の水を含有した酸化セルロースを得た。
(官能基の導入量の測定)
実施例と同様にして官能基導入量の測定を行った結果、カルボキシル基量は1.6mmol/g、アルデヒド基量は0.008mmol/gであった。
実施例と同様にして官能基導入量の測定を行った結果、カルボキシル基量は1.6mmol/g、アルデヒド基量は0.008mmol/gであった。
(分子量測定)
実施例と同様にして粘度法により酸化セルロースの分子量測定を行った結果、粘度平均分子量は72000、重合度は445であった。
実施例と同様にして粘度法により酸化セルロースの分子量測定を行った結果、粘度平均分子量は72000、重合度は445であった。
(ガスバリア性積層材料)
基材として、厚さ25μmの2軸延伸ポリ乳酸フィルムを用いた。基材上に上記酸化セルロース(カルボキシル基量1.6mmol/g、アルデヒド基量0.008mmol/g)の水分散液(固形分濃度1%程度)を#20のバーコーターを用いて基材上に塗工し、120℃のオーブンで10分間乾燥させ、乾燥膜厚0.5μmの被膜を形成した。
基材として、厚さ25μmの2軸延伸ポリ乳酸フィルムを用いた。基材上に上記酸化セルロース(カルボキシル基量1.6mmol/g、アルデヒド基量0.008mmol/g)の水分散液(固形分濃度1%程度)を#20のバーコーターを用いて基材上に塗工し、120℃のオーブンで10分間乾燥させ、乾燥膜厚0.5μmの被膜を形成した。
(酸素通過度測定)
酸素通過度測定装置(モダンコントロール社製、OXTRAN 10/50A)を用いて30℃、40%RH雰囲気下で測定したところ酸素透過度は17cc/m2・day・atmであった。
酸素通過度測定装置(モダンコントロール社製、OXTRAN 10/50A)を用いて30℃、40%RH雰囲気下で測定したところ酸素透過度は17cc/m2・day・atmであった。
(密着性)
セロハンテープ密着試験(クロスカット試験)を行い、塗膜の密着性を評価した結果、50%以上の剥離が見られた。
セロハンテープ密着試験(クロスカット試験)を行い、塗膜の密着性を評価した結果、50%以上の剥離が見られた。
以上より、本発明に係る実施例によれば、カルボキシル基含有量が0.1mmol/g以上2mmol/g以下で、アルデヒド基含有量が0.01mmol/g以上0.5mmol/g以下の酸化セルロースからなる積層材料を形成しており、比較例よりも酸化セルロースのアルデヒド基含有量を多くすることにより、酸化セルロース内および基材−酸化セルロース被膜間で十分な結合を形成することができるため、酸素透過度が低く、被膜の密着性の高い、ガスバリア性に優れた積層材料を得ることができた。
本発明に係るセルロース材料及びその積層体は、新規なナノファイバー膜の原料や複合化材料用のナノフィラーとして適用し得るだけでなく、コーティング基材、各種機能性添加剤(ゲル化剤、乳化剤等)としても好適に利用できる。
Claims (12)
- 酸化反応によりカルボキシル基およびアルデヒド基が導入されたセルロースであって、前記カルボキシル基含有量が0.1mmol/g以上2mmol/g以下であり、前記アルデヒド基含有量が0.01mmol/g以上0.5mmol/g以下であることを特徴とする酸化セルロース材料。
- 前記酸化反応がニトロキシラジカル誘導体および酸化剤を含む水溶媒中で行われることを特徴とする請求項1に記載の酸化セルロース材料。
- 前記ニトロキシラジカル誘導体は、2,2,6,6−テトラメチルピペリジノオキシラジカルまたは4−アセトアミド−2,2,6,6−テトラメチルピペリジノオキシラジカルであることを特徴とする請求項2に記載の酸化セルロース材料。
- 前記酸化剤が、亜塩素酸ナトリウムおよび/または次亜塩素酸ナトリウムであることを特徴とする請求項2または3に記載の酸化セルロース材料。
- 前記カルボキシル基および前記アルデヒド基を有する前記セルロースの重合度が100以上であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の酸化セルロース材料。
- 基材上の少なくとも片面に請求項1乃至5のいずれかに記載の前記酸化セルロース材料からなる被膜を形成したことを特徴とするガスバリア性積層材料。
- 前記基材は、ポリ乳酸系もしくはポリエステル系の生分解性樹脂材料、バイオマス由来材料、または紙材料からなることを特徴とする請求項6に記載のガスバリア性積層材料。
- 前記基材は、アミノ基、エポキシ基、または水酸基のうちいずれかのアルデヒド基と反応する官能基を含む材料からなることを特徴とする請求項6または7に記載のガスバリア性積層材料。
- 添加剤としてアミノ基、エポキシ基、または水酸基のうちいずれかのアルデヒド基と反応する官能基を有する化合物を添加して前記被膜を形成することを特徴とする請求項6乃至8のいずれかに記載のガスバリア性積層材料。
- 前記被膜は、さらに無機層状化合物を含むことを特徴とする請求項6乃至9のいずれかに記載のガスバリア性積層材料。
- 前記基材および前記被膜からなる層の間、または前記基材もしくは前記被膜の少なくとも片側に、更にセラミック蒸着層を有することを特徴とする請求項6乃至10のいずれかに記載のガスバリア性積層材料。
- 前記セラミック蒸着層を構成するセラミックが、酸化ケイ素又は酸化アルミニウムからなることを特徴とする請求項11に記載のガスバリア性積層材料。
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