JPWO2015147052A1 - ニトリル基含有共重合体ゴム、架橋性ゴム組成物およびゴム架橋物 - Google Patents

ニトリル基含有共重合体ゴム、架橋性ゴム組成物およびゴム架橋物 Download PDF

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α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体単位を10〜60重量%の割合で含有し、重量平均慣性半径が10〜100nmの範囲であることを特徴とするニトリル基含有共重合体ゴムを提供する。本発明によれば、加工性に優れ、かつ、常態物性に優れたゴム架橋物を与えることができるニトリル基含有共重合体ゴムを提供することができる。

Description

本発明は、加工性に優れ、かつ、常態物性に優れたゴム架橋物を与えることができるニトリル基含有共重合体ゴム、ならびに、該ニトリル基含有共重合体ゴムを用いて得られる架橋性ゴム組成物およびゴム架橋物に関する。
従来から、ニトリルゴム(アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム)は、耐油性、機械的特性、耐薬品性等を活かして、ホースやベルト、チューブなどの自動車用ゴム部品の材料として使用されており、また、ニトリルゴムのポリマー主鎖中の炭素−炭素二重結合を水素化などにより飽和化して得られる高飽和ニトリルゴムはさらに耐熱性に優れるため、シール、ベルト、ホース、ダイアフラム等のゴム部品に使用されている。
このような状況に対して、特許文献1は、流動性などの加工性を改善するために、ニトリル基含有共重合体ゴムを、メタセシス触媒の存在下でメタセシス反応させることにより、低分子量化されたニトリル基含有共重合体ゴムを得る方法が開示されている。
しかしながら、この特許文献1の技術では、低分子量化により、得られるニトリル基含有共重合体ゴムの流動性は向上するものの、ゴム架橋物とした場合における常態物性などの機械的特性が十分ではなく、そのため、加工性(流動性)に優れるのみならず、得られるゴム架橋物の機械的特性を向上させることが求められていた。
国際公開第02/100941号
本発明は、加工性に優れ、かつ、常態物性(機械的特性)に優れたゴム架橋物を与えることができるニトリル基含有共重合体ゴム、ならびに、該ニトリル基含有共重合体ゴムを用いて得られる架橋性ゴム組成物およびゴム架橋物を提供することを目的とする。
本発明者等は、上記目的を達成するために鋭意研究した結果、α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体単位を10〜60重量%の割合で含有するニトリル基含有共重合体ゴムにおいて、重量平均慣性半径が、10〜100nmの範囲となるように制御されたものによれば、流動性が高く、これにより加工性に優れ、しかも、ゴム架橋物とした場合における常態物性にも優れたものとなることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明によれば、α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体単位を10〜60重量%の割合で含有し、重量平均慣性半径が10〜100nmの範囲であることを特徴とするニトリル基含有共重合体ゴムが提供される。
本発明のニトリル基含有共重合体ゴムにおいて、重量平均分子量が10,000〜5,000,000であることが好ましい。
なお、本発明のニトリル基含有共重合体ゴムのヨウ素価は120以下であることが好ましい。
また、本発明によれば、上記ニトリル基含有共重合体ゴムと、架橋剤とを含有してなる架橋性ゴム組成物、および該架橋性ゴム組成物を架橋してなるゴム架橋物が提供される。
さらに、本発明によれば、上記ニトリル基含有共重合体ゴムを製造する方法であって、α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体を含む単量体を、分子量調整剤の存在下で重合する工程と、前記重合において、重合転化率が10〜80%となった段階で、分子量調整剤を追加添加する工程と、を備えるニトリル基含有共重合体ゴムの製造方法が提供される。
本発明の製造方法において、重合開始時における分子量調整剤の添加量と、中途添加による分子量調整剤の添加量との比率が、「重合開始時の分子量調整剤の添加量:中途添加による分子量調整剤の添加量」の重量比で、0.5:1〜1:0.1であることが好ましい。
本発明によれば、加工性に優れ、かつ、常態物性(機械的特性)に優れたゴム架橋物を与えることができるニトリル基含有共重合体ゴム、ならびに、該ニトリル基含有共重合体ゴムを用いて得られる架橋性ゴム組成物およびゴム架橋物を提供することができる。
ニトリル基含有共重合体ゴム
本発明のニトリル基含有共重合体ゴムは、α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体単位を10〜60重量%の割合で含有し、かつ、重量平均慣性半径が10〜100nmの範囲であることを特徴とするゴムである。
本発明のニトリル基含有共重合体ゴム中に含有される、α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体単位を形成するα,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体は、特に限定されないが、炭素数3〜18のものが好ましく、炭素数3〜9のものが特に好ましい。その具体例としてはアクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−クロロアクリロニトリル等が挙げられ、なかでもアクリロニトリルが好ましい。これらのα,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体は一種を単独で用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
本発明のニトリル基含有共重合体ゴム中における、α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体単位の含有量は、10〜60重量%であり、好ましくは20〜50重量%、より好ましくは25〜45重量%である。α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体単位の含有量が少なすぎると、得られる架橋物が耐油性に劣るものとなるおそれがあり、逆に多すぎると耐寒性が低下する可能性がある。
また、本発明のニトリル基含有共重合体ゴムは、ゴム弾性による機械的特性の向上の観点から、ジエン単量体単位および/またはα−オレフィン単量体単位をさらに含有していることが好ましい。
ジエン単量体単位を形成するジエン単量体としては、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン等の炭素数が4以上の共役ジエン;1,4−ペンタジエン、1,4−ヘキサジエン等の炭素数が5〜12の非共役ジエンが挙げられる。これらの中では共役ジエンが好ましく、1,3−ブタジエンがより好ましい。α−オレフィン単量体単位を形成するα−オレフィン単量体としては、好ましくは炭素数が2〜12のものであり、エチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン等が例示される。
本発明のニトリル基含有共重合体ゴム中における、ジエン単量体単位および/またはα−オレフィン単量体単位の含有量は、好ましくは40〜90重量%、より好ましくは50〜80重量%、さらに好ましくは55〜75重量%である。ジエン単量体単位および/またはα−オレフィン単量体単位の含有量が少なすぎると、得られるゴム架橋物のゴム弾性が不十分となるおそれがあり、一方、多すぎると、耐熱老化性や耐化学的安定性が損なわれる可能性がある。
また、本発明のニトリル基含有共重合体ゴムは、α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体単位、ならびに、ジエン単量体単位および/またはα−オレフィン単量体単位に加えて、これらの単量体と共重合可能なその他の単量体の単位を含有するものであってもよい。このようなその他の単量体としては、非共役ジエン単量体、芳香族ビニル単量体、α,β−エチレン性不飽和モノカルボン酸およびそのエステル、α,β−エチレン性不飽和多価カルボン酸ならびにそのモノエステル、多価エステルおよび無水物、架橋性単量体、共重合性老化防止剤などが挙げられる。
非共役ジエン単量体としては、炭素数が5〜12のものが好ましく、たとえば、1,4−ペンタジエン、1,4−ヘキサジエン、ビニルノルボルネン、ジシクロペンタジエンなどが挙げられる。
芳香族ビニル単量体としては、たとえば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルピリジンなどが挙げられる。
α,β−エチレン性不飽和モノカルボン酸としては、たとえば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、ケイ皮酸などが好ましく挙げられる。
α,β−エチレン性不飽和モノカルボン酸エステルとしては、たとえば、(メタ)アクリル酸エチル(アクリル酸エチル及びメタクリル酸エチルの意。以下同様。)、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸2−メトキシエチルなどが挙げられる。
α,β−エチレン性不飽和多価カルボン酸としては、たとえば、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸などが挙げられる。
α,β−エチレン性不飽和多価カルボン酸モノエステルとしては、たとえば、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、マレイン酸モノプロピル、マレイン酸モノn−ブチルなどのマレイン酸モノアルキルエステル;フマル酸モノメチル、フマル酸モノエチル、フマル酸モノプロピル、フマル酸モノn−ブチルなどのフマル酸モノアルキルエステル;シトラコン酸モノメチル、シトラコン酸モノエチル、シトラコン酸モノプロピル、シトラコン酸モノn−ブチルなどのシトラコン酸モノアルキルエステル;イタコン酸モノメチル、イタコン酸モノエチル、イタコン酸モノプロピル、イタコン酸モノn−ブチルなどのイタコン酸モノアルキルエステル;などが挙げられる。
α,β−エチレン性不飽和多価カルボン酸多価エステルとしては、たとえば、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジn−ブチル、フマル酸ジメチル、フマル酸ジn−ブチル、イタコン酸ジメチル、イタコン酸ジn−ブチルなどが挙げられる。
α,β−エチレン性不飽和多価カルボン酸無水物としては、たとえば、無水マレイン酸、無水イタコン酸などが挙げられる。
架橋性単量体としては、たとえば、ジビニルベンゼンなどのジビニル化合物;エチレンジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレートなどのジ(メタ)アクリル酸エステル類;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートなどのトリメタクリル酸エステル類;などの多官能エチレン性不飽和単量体のほか、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N,N’−ジメチロール(メタ)アクリルアミドなどの自己架橋性単量体などが挙げられる。
共重合性老化防止剤としては、たとえば、N−(4−アニリノフェニル)アクリルアミド、N−(4−アニリノフェニル)メタクリルアミド、N−(4−アニリノフェニル)シンナムアミド、N−(4−アニリノフェニル)クロトンアミド、 N−フェニル−4−(3−ビニルベンジルオキシ)アニリン、N−フェニル−4−(4−ビニルベンジルオキシ)アニリンなどが挙げられる。
これらの共重合可能なその他の単量体は、複数種類を併用してもよい。本発明のニトリル基含有共重合体ゴム中における、その他の単量体の単位の含有量は、好ましくは50重量%以下、より好ましくは30重量%以下、さらに好ましくは10重量%以下である。
また、本発明のニトリル基含有共重合体ゴムは、重量平均慣性半径が10〜100nmの範囲に制御されたものであり、好ましくは20〜90nmの範囲、より好ましくは30〜80nmの範囲に制御されたものである。本発明においては、重量平均慣性半径を上記範囲に制御することにより、ニトリル基含有共重合体ゴムを流動性が高く、加工性に優れたものとすることができ、しかも、該ゴムを架橋して得られるゴム架橋物を常態物性に優れたものとすることができるものである。重量平均慣性半径が小さすぎても、あるいは大きすぎても、流動性が低下し、加工性に劣るものとなるとともに、ゴム架橋物とした場合における常態物性にも劣るものとなってしまう。
なお、重量平均慣性半径とは、分子鎖の重心からの広がりを示す指標であり、たとえば、本発明のニトリル基含有共重合体ゴムを可溶な溶媒(たとえば、クロロホルムやテトラヒドロフラン)に溶解することにより調製されたニトリル基含有共重合体ゴムの溶液について、GPC多角度光散乱法を用いて測定することができる。具体的には、ニトリル基含有共重合体ゴムを溶媒に溶解し、得られたニトリル基含有共重合体ゴムの溶液を、多角度光散乱検出器(Multi Angle Light Scattering:MALS)および示差屈折計が備えられたゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)を用いて、重量平均絶対分子量、および重量平均慣性半径を測定する。この場合において、多角度光散乱検出器から得られる測定値と、示差屈折計で測定した濃度の値から、Zimmの式を用い、Debyeプロットを行えば良い。
なお、dn/dc値(屈折率の濃度増分:溶質の濃度変化に対して、その重合体溶液の屈折率がどの程度変化するかを表した値)も重量平均絶対分子量、および重量平均慣性半径を求める際に必要であるが、上記GPCでの測定とは別に、ゴム濃度の異なる複数のニトリル基含有共重合体ゴムの溶液(たとえば、4種類の濃度の溶液)を調製し、これらの溶液について、屈折率測定器を用いて、dn/dc値を測定しておけば良い。
なお、本発明において、重量平均慣性半径を上記範囲とする方法としては、特に限定されないが、ニトリル基含有共重合体ゴムを構成する単量体を乳化重合法等により重合する際において、分子量調整剤の添加タイミングおよび添加量を調整する方法が挙げられる。また、ニトリル基含有共重合体ゴムの共重合組成を調整する方法、重合反応を停止する時点の重合転化率を制御する方法、分子量調整剤の種類を変更する方法、複分解反応により制御する方法、RAFT重合による連鎖移動剤の種類を選択する方法および重合により得られたニトリル基含有共重合体ゴムに老化防止剤の存在下で高せん断力を付与して調整する方法(老化防止剤の種類や量、せん断条件等により調整)等が挙げられる。特に、ニトリル基含有共重合体ゴムを構成する単量体を乳化重合法等により重合する場合において、分子量調整剤の添加タイミングおよび添加量を調整する方法が好ましい。具体的には、分子量調整剤を、乳化重合開始時に加えて、乳化重合の途中にも添加するような態様とし、かつ、これらの添加量を所定の範囲とする方法が好ましい。
また、本発明のニトリル基含有共重合体ゴムは、重量平均絶対分子量(Mw)が10,000〜5,000,000であることが好ましく、より好ましくは50,000〜3,000,000、さらに好ましくは100,000〜1,500,000である。重量平均絶対分子量(Mw)を上記範囲とすることにより、本発明のニトリル基含有共重合体ゴムを、より流動性が高く、加工性がより向上されたものとすることができ、さらには、ゴム架橋物とした場合における常態物性もより高めることができる。なお、重量平均絶対分子量(Mw)は、上述したGPC多角度光散乱法を用いて測定することができる。
なお、本発明のニトリル基含有共重合体ゴムのムーニー粘度(ML1+4、100℃)は、好ましくは10〜150、より好ましくは30〜110、特に好ましくは40〜80であり、ムーニー粘度を上記範囲とすることにより、本発明の作用効果をより一層顕著なものとすることができる。
また、本発明のニトリル基含有共重合体ゴムのヨウ素価は、特に限定されないが、耐熱老化性や耐オゾン性をより高めることができるという点より、好ましく120以下、より好ましくは80以下、さらに好ましくは60以下、特に好ましくは30以下である。
本発明のニトリル基含有共重合体ゴムの製造方法は、特に限定されないが、上述した単量体を共重合し、必要に応じて、得られる共重合体中の炭素−炭素二重結合を水素化することによって得られる。重合方法は、特に限定されず公知の乳化重合法や溶液重合法によればよいが、工業的生産性の観点から乳化重合法が好ましい。乳化重合に際しては、乳化剤、重合開始剤、分子量調整剤等の通常用いられる重合副資材を使用することができる。
乳化剤としては、特に限定されないが、たとえば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンソルビタンアルキルエステル等の非イオン性乳化剤;ミリスチン酸、パルミチン酸、オレイン酸及びリノレン酸等の脂肪酸の塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキルベンゼンスルホン酸塩、高級アルコール硫酸エステル塩、アルキルスルホコハク酸塩等のアニオン性乳化剤;α,β−不飽和カルボン酸のスルホエステル、α,β−不飽和カルボン酸のサルフェートエステル、スルホアルキルアリールエーテル等の共重合性乳化剤;などが挙げられる。乳化剤の添加量は、重合に用いる単量体100重量部に対して、好ましくは0.1〜10重量部、より好ましくは0.5〜5重量部である。
重合開始剤としては、ラジカル開始剤であれば特に限定されないが、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム、過リン酸カリウム、過酸化水素等の無機過酸化物;t−ブチルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、p−メンタンハイドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、イソブチリルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、ジベンゾイルパーオキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシイソブチレート等の有機過酸化物;アゾビスイソブチロニトリル、アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル、アゾビスイソ酪酸メチル等のアゾ化合物;等を挙げることができる。これらの重合開始剤は、単独でまたは2種類以上を組み合わせて使用することができる。重合開始剤としては、無機または有機の過酸化物が好ましい。重合開始剤として過酸化物を用いる場合には、重亜硫酸ナトリウム、硫酸第一鉄等の還元剤と組み合わせて、レドックス系重合開始剤として使用することもできる。重合開始剤の添加量は、重合に用いる単量体100重量部に対して、好ましくは0.01〜2重量部である。
分子量調整剤としては、特に限定されないが、t−ドデシルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、オクチルメルカプタン等のメルカプタン類;四塩化炭素、塩化メチレン、臭化メチレン等のハロゲン化炭化水素;α−メチルスチレンダイマー;テトラエチルチウラムダイサルファイド、ジペンタメチレンチウラムダイサルファイド、ジイソプロピルキサントゲンダイサルファイド等の含硫黄化合物等が挙げられる。これらは単独で、または2種類以上を組み合わせて使用することができる。なかでも、メルカプタン類が好ましく、t−ドデシルメルカプタンがより好ましい。
なお、本発明のニトリル基含有共重合体ゴムを製造する際には、重合に用いる単量体、および、上述した乳化剤、重合開始剤、分子量調整剤等の通常用いられる重合副資材は、通常、重合開始時に重合系に配合し、重合を行うものであるが、一方、これらの重合副資材のうち、分子量調整剤については、次のような態様で添加することが好ましい。すなわち、重合に用いる分子量調整剤のうち、一部を重合開始時に重合系に添加して乳化重合を開始した後、所定の重合転化率となった段階で、残部を添加するような態様とすることが好ましい。
すなわち、たとえば、本発明のニトリル基含有共重合体ゴムを、α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体単位、ならびに、ジエン単量体単位および/またはα−オレフィン単量体単位を含有するものとする場合には、α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体と、ジエン単量体および/またはα−オレフィン単量体とを含有する単量体混合物について、重合に使用する分子量調整剤のうち、一部を重合開始時に重合系に添加して乳化重合を開始し、次いで、後述する所定の重合転化率となった段階で、重合に使用する分子量調整剤のうち、残部を重合系に添加して乳化重合を継続するような態様とすることが好ましい。
分子量調整剤を中途添加するタイミングとしては、乳化重合を開始した後、重合転化率が10〜80%となった段階とすることが好ましく、20〜65%となった段階とすることがより好ましい。なお、分子量調整剤を中途添加する際における、添加方法としては特に限定されず、中途添加する分子量調整剤を一括で添加する方法としてもよいし、あるいは、複数回に分けて添加する方法としてもよい。
分子量調整剤の添加量は、重合開始時における添加量が、重合に用いる単量体100重量部に対して、好ましくは0.01〜2重量部、より好ましくは0.05〜1重量部、さらに好ましくは0.1〜1重量部であり、中途添加による添加量が、重合に用いる単量体100重量部に対して、好ましくは0.01〜1重量部、より好ましくは0.05〜1重量部、さらに好ましくは0.05〜0.5重量部である。このように、本発明のニトリル基含有共重合体ゴムを製造する際に、分子量調整剤の中途添加のタイミング、および、重合開始時の添加量と、中途添加による添加量とを調整することにより、重量平均絶対分子量における慣性半径を制御することができる。
また、本発明のニトリル基含有共重合体ゴムを製造する際においては、上述したように、分子量調整剤を中途添加する際には、重合に用いる単量体のうち、少なくとも一部とともに中途添加するような態様としてもよい。すなわち、重合に用いる全単量体のうち、一部を重合開始時に仕込み、残部を分子量調整剤とともに中途添加するような態様としてもよい。この場合における、中途添加する単量体の割合は、中途添加する分子量調整剤の量などに応じて適宜決定すればよいが、重合に用いる全単量体に対し、好ましくは1〜20重量%、より好ましくは5〜15重量%である。また、重合に用いる単量体として複数種類の単量体を用いる場合には、複数種類の単量体のうち、全種類について、その一部を中途添加するような態様としてもよいし、あるいは、全種類のうち一部の種類について、その一部を中途添加するような態様としてもよい。
なお、本発明のニトリル基含有共重合体ゴムを製造する際における、分子量調整剤の重合開始時の添加量と、中途添加による添加量との比率は、「重合開始時の添加量:中途添加による添加量」の重量比で、好ましくは0.5:1〜1:0.1、より好ましくは1:1〜1:0.1、特に好ましくは1:0.7〜1:0.1である。また、重合に用いる分子量調整剤の合計量(すなわち、重合開始時の添加量と、中途添加による添加量との合計量)は、重合に用いる単量体100重量部に対して、好ましくは0.02〜3重量部、より好ましくは0.1〜2重量部、さらに好ましくは0.15〜1.5重量部である。
乳化重合の媒体には、通常、水が使用される。水の量は、重合に用いる単量体100重量部に対して、好ましくは80〜500重量部、より好ましくは80〜300重量部である。
乳化重合に際しては、さらに、必要に応じて安定剤、分散剤、pH調整剤、脱酸素剤、粒子径調整剤等の重合副資材を用いることができる。これらを用いる場合においては、その種類、使用量とも特に限定されない。
また、得られた共重合体について、必要に応じて、共重合体の水素化(水素添加反応)を行ってもよい。この場合における、水素化の方法は特に限定されず、公知の方法を採用すればよい。
なお、乳化重合の温度は、好ましくは0〜70℃、より好ましくは0〜30℃である。
架橋性ゴム組成物
本発明の架橋性ゴム組成物は、上述したニトリル基含有共重合体ゴムに、架橋剤を添加してなるニトリル基含有共重合体ゴムの組成物である。架橋剤としては、特に限定されず、硫黄系架橋剤、有機過酸化物系架橋剤が挙げられるが、ニトリル基含有共重合体ゴムが、カルボキシル基を有する単量体単位を有する場合には、ポリアミン架橋剤を用いることもできる。
硫黄系架橋剤としては、粉末硫黄、硫黄華、沈降性硫黄、コロイド硫黄、表面処理硫黄、不溶性硫黄などの硫黄;塩化硫黄、二塩化硫黄、モルホリンジスルフィド、アルキルフェノールジスルフィド、ジベンゾチアジルジスルフィド、N,N’−ジチオ−ビス(ヘキサヒドロ−2H−アゼノピン−2)、含リンポリスルフィド、高分子多硫化物などの含硫黄化合物;テトラメチルチウラムジスルフィド、ジメチルジチオカルバミン酸セレン、2−(4’−モルホリノジチオ)ベンゾチアゾールなどの硫黄供与性化合物;などが挙げられる。これらは一種単独でまたは複数種併せて用いることができる。
有機過酸化物架橋剤としては、ジクミルペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、t−ブチルクミルペルオキシド、パラメンタンヒドロペルオキシド、ジ−t−ブチルペルオキシド、1,3−ビス(t−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、1,4−ビス(t−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、1,1−ジ−t−ブチルペルオキシ−3,3−トリメチルシクロヘキサン、4,4−ビス−(t−ブチル−ペルオキシ)−n−ブチルバレレート、2,5−ジメチル−2,5−ジ−t−ブチルペルオキシヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ−t−ブチルペルオキシヘキシン−3、1,1−ジ−t−ブチルペルオキシ−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン、p−クロロベンゾイルペルオキシド、t−ブチルペルオキシイソプロピルカーボネート、t−ブチルペルオキシベンゾエート等が挙げられる。これらは一種単独でまたは複数種併せて用いることができる。
ポリアミン系架橋剤としては、2つ以上のアミノ基を有する化合物、または、架橋時に2つ以上のアミノ基を有する化合物の形態になるもの、であれば特に限定されないが、脂肪族炭化水素や芳香族炭化水素の複数の水素原子が、アミノ基またはヒドラジド構造(−CONHNHで表される構造、COはカルボニル基を表す。)で置換された化合物および架橋時にその化合物の形態になるものが好ましい。その具体例としては、ヘキサメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンカルバメート、テトラメチレンペンタミン、ヘキサメチレンジアミンシンナムアルデヒド付加物、ヘキサメチレンジアミンジベンゾエート塩などの脂肪族多価アミン類;2,2−ビス{4−(4−アミノフェノキシ)フェニル}プロパン、4,4’−メチレンジアニリン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、4,4’−メチレンビス(o−クロロアニリン)などの芳香族多価アミン類;イソフタル酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジドなどのヒドラジド構造を2つ以上有する化合物などが挙げられる。これらは一種単独でまたは複数種併せて用いることができる。
本発明の架橋性ゴム組成物中における、架橋剤の含有量は特に限定されないが、ニトリル共重合体ゴム100重量部に対して、好ましくは0.1〜10重量部、より好ましくは0.2〜5重量部である。
また、本発明の架橋性ゴム組成物には、ニトリル基含有共重合体ゴムおよび架橋剤に加えて、ゴム加工分野において通常使用されるその他の配合剤を配合してもよい。このような配合剤としては、たとえば、補強剤、充填材、光安定剤、スコーチ防止剤、可塑剤、加工助剤、滑剤、粘着剤、潤滑剤、難燃剤、受酸剤、防黴剤、帯電防止剤、着色剤、シランカップリング剤、架橋助剤、共架橋剤、架橋促進剤、架橋遅延剤、発泡剤などが挙げられる。これらの配合剤の配合量は、配合目的に応じた量を適宜採用することができる。
さらに、本発明の架橋性ゴム組成物には、本発明の効果を阻害しない範囲で、上述した本発明のニトリル基含有共重合体ゴム以外のゴムを配合してもよい。
このようなゴムとしては、アクリルゴム、エチレン−アクリル酸共重合体ゴム、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム、ポリブタジエンゴム、エチレン−プロピレン共重合体ゴム、エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体ゴム、エピクロロヒドリンゴム、フッ素ゴム、ウレタンゴム、クロロプレンゴム、シリコーンゴム、天然ゴム、ポリイソプレンゴムなどが挙げられる。
本発明のニトリル基含有共重合体ゴム以外のゴムを配合する場合における、架橋性ゴム組成物中の配合量は、ニトリル基含有共重合体ゴム100重量部に対して、好ましくは30重量部以下、より好ましくは20重量部以下、さらに好ましくは10重量部以下である。
また、本発明の架橋性ゴム組成物は、上記各成分を好ましくは非水系で混合することで調製される。本発明の架橋性ゴム組成物を調製する方法に限定はないが、通常、架橋剤および熱に不安定な共架橋剤などを除いた成分を、バンバリーミキサ、インターミキサ、ニーダなどの混合機で一次混練した後、オープンロールなどに移して架橋剤や熱に不安定な共架橋剤などを加えて二次混練することにより調製できる。なお、一次混練は、通常、10〜200℃、好ましくは30〜180℃の温度で、1分間〜1時間、好ましくは1分間〜30分間行い、二次混練は、通常、10〜90℃、好ましくは20〜60℃の温度で、1分間〜1時間、好ましくは1分間〜30分間行う。
このようにして得られる本発明の架橋性ゴム組成物は、コンパウンドムーニー粘度(ML1+4、100℃)が、好ましくは10〜200、より好ましくは40〜140、さらに好ましくは50〜100であり、加工性に優れるものである。
ゴム架橋物
本発明のゴム架橋物は、上述した本発明の架橋性ゴム組成物を架橋してなるものである。
本発明のゴム架橋物は、本発明の架橋性ゴム組成物を用い、所望の形状に対応した成形機、たとえば、押出機、射出成形機、圧縮機、ロールなどにより成形を行い、加熱することにより架橋反応を行い、架橋物として形状を固定化することにより製造することができる。この場合においては、予め成形した後に架橋しても、成形と同時に架橋を行ってもよい。成形温度は、通常、10〜200℃、好ましくは25〜120℃である。架橋温度は、通常、100〜200℃、好ましくは130〜190℃であり、架橋時間は、通常、1分〜24時間、好ましくは2分〜1時間である。
また、架橋物の形状、大きさなどによっては、表面が架橋していても内部まで十分に架橋していない場合があるので、さらに加熱して二次架橋を行ってもよい。
加熱方法としては、プレス加熱、スチーム加熱、オーブン加熱、熱風加熱などのゴムの架橋に用いられる一般的な方法を適宜選択すればよい。
このようにして得られる本発明のゴム架橋物は、上述した本発明のニトリル基含有共重合体ゴムを含有する架橋性ゴム組成物を架橋して得られるものであり、常態物性に優れるものである。また、上述した本発明のニトリル基含有共重合体ゴムは、流動性が高く、加工性に優れるものであるため、本発明によれば、このような常態物性に優れたゴム架橋物を良好に得ることができるものである。
このため、本発明のゴム架橋物は、このような特性を活かし、O−リング、パッキン、ダイアフラム、オイルシール、シャフトシール、ベアリングシール、ウェルヘッドシール、空気圧機器用シール、エアコンディショナの冷却装置や空調装置の冷凍機用コンプレッサに使用されるフロン若しくはフルオロ炭化水素または二酸化炭素の密封用シール、精密洗浄の洗浄媒体に使用される超臨界二酸化炭素または亜臨界二酸化炭素の密封用シール、転動装置(転がり軸受、自動車用ハブユニット、自動車用ウォーターポンプ、リニアガイド装置およびボールねじ等)用のシール、バルブおよびバルブシート、BOP(Blow Out Preventar)、プラターなどの各種シール材;インテークマニホールドとシリンダヘッドとの連接部に装着されるインテークマニホールドガスケット、シリンダブロックとシリンダヘッドとの連接部に装着されるシリンダヘッドガスケット、ロッカーカバーとシリンダヘッドとの連接部に装着されるロッカーカバーガスケット、オイルパンとシリンダブロックあるいはトランスミッションケースとの連接部に装着されるオイルパンガスケット、正極、電解質板および負極を備えた単位セルを挟み込む一対のハウジング間に装着される燃料電池セパレーター用ガスケット、ハードディスクドライブのトップカバー用ガスケットなどの各種ガスケット;印刷用ロール、製鉄用ロール、製紙用ロール、工業用ロール、事務機用ロールなどの各種ロール;平ベルト(フィルムコア平ベルト、コード平ベルト、積層式平ベルト、単体式平ベルト等)、Vベルト(ラップドVベルト、ローエッジVベルト等)、Vリブドベルト(シングルVリブドベルト、ダブルVリブドベルト、ラップドVリブドベルト、背面ゴムVリブドベルト、上コグVリブドベルト等)、CVT用ベルト、タイミングベルト、歯付ベルト、コンベアーベルト、などの各種ベルト;燃料ホース、ターボエアーホース、オイルホース、ラジェターホース、ヒーターホース、ウォーターホース、バキュームブレーキホース、コントロールホース、エアコンホース、ブレーキホース、パワーステアリングホース、エアーホース、マリンホース、ライザー、フローラインなどの各種ホース;CVJブーツ、プロペラシャフトブーツ、等速ジョイントブーツ、ラックアンドピニオンブーツなどの各種ブーツ;クッション材、ダイナミックダンパ、ゴムカップリング、空気バネ、防振材、クラッチフェーシング材などの減衰材ゴム部品;ダストカバー、自動車内装部材、タイヤ、被覆ケーブル、靴底、電磁波シールド、フレキシブルプリント基板用接着剤等の接着剤、燃料電池セパレーターの他、エレクトロニクス分野など幅広い用途に使用することができる。
以下、本発明を、さらに詳細な実施例に基づき説明するが、本発明は、これら実施例に限定されない。なお、以下において、「部」は、特に断りのない限り重量基準である。また、試験および評価は下記によった。
ヨウ素価
ニトリル基含有高飽和共重合体ゴムのヨウ素価は、JIS K 6235に準じて測定した。
重量平均絶対分子量(Mw)、重量平均慣性半径
ニトリル基含有高飽和共重合体ゴムの重量平均絶対分子量(Mw)、および重量平均慣性半径を、GPC多角度光散乱法を用いて測定した。具体的には、ニトリル基含有高飽和共重合体ゴムをクロロホルムに溶解し、得られたニトリル基含有高飽和共重合体ゴムのクロロホルム溶液を、メンブレンフィルター(孔径0.5μm)を通した後、多角度光散乱検出器(Multi Angle Light Scattering:MALS)および示差屈折計が備えられたゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)を用いて、重量平均絶対分子量、および重量平均慣性半径を測定した。なお、測定は、以下の条件にしたがって行った。
装置:商品名「HLC−8220」(東ソー社製)
分離カラム:商品名「GMH−HR−H」、商品名「GMH−HR−H」および商品名「G3000H−HR」(いずれも、東ソー社製)を直列に接続。
カラム温度:40℃
溶離液:クロロホルム
測定器1:多角度光散乱検出器 商品名「Wyatt DAWN HELEOS−II」(Wyatt Technology社製)
測定器2:示差屈折「HLC−8220(東ソー社製)用のRIユニット」
また、GPC多角度光散乱法による測定により、重量平均絶対分子量、および重量平均慣性半径を決定する際には、dn/dc値(屈折率の濃度増分)を求める必要があるが、本測定においては、ニトリル基含有高飽和共重合体ゴムのクロロホルム溶液として、濃度の異なる4種類の溶液を調製し、屈折率測定器 商品名「Wyatt Optilab rEX」(Wyatt Technology社製)を用いて、dn/dc値を測定した。
加工性(流動性)
架橋性ゴム組成物について、ゴム用キャピラリーレオメータ(商品名「Rubber Capillary Rheometer」、Goettfert社製)を用いて、流動性の評価を行った。具体的には、ピストン温度100℃、チャンバー温度100℃に設定し、架橋性ゴム組成物を投入し、3分間余熱した後、ピストンにより200barの圧力で押し出し、70秒後の押出量(mm)を測定した。この量が多いほど、加工性(流動性)に優れると判断できる。
常態物性(引張強度、100%引張応力、伸び)
架橋性ゴム組成物を、縦15cm、横15cm、深さ0.2cmの金型に入れ、プレス圧10MPaで加圧しながら170℃で20分間プレス成形してシート状のゴム架橋物を得た。得られたシート状のゴム架橋物を3号形ダンベルで打ち抜いて試験片を作製した。そして、得られた試験片を用いて、JIS K6251に従い、ゴム架橋物の引張強度、100%引張応力、および伸びをそれぞれ測定した。
製造例1(ニトリル基含有高飽和共重合体ゴム(A1)の製造)
反応器内に、イオン交換水200部、脂肪酸カリウム石鹸(脂肪酸のカリウム塩)2.25部を添加して石鹸水溶液を調製した。そして、この石鹸水溶液に、アクリロニトリル19部、およびt−ドデシルメルカプタン(分子量調整剤)0.35部をこの順に仕込み、内部の気体を窒素で3回置換した後、1,3−ブタジエン68部を仕込んだ。次いで、反応器内を5℃に保ち、クメンハイドロパーオキサイド(重合開始剤)0.1部を仕込み、攪拌しながら1段目の重合反応を開始した。そして、仕込み単量体に対する重合転化率が40%に達した時点でアクリロニトリル7部、およびt−ドデシルメルカプタン(分子量調整剤)0.07部を追加添加して2段目の重合反応を行った。その後、仕込み単量体に対する重合転化率が60%に達した時点でアクリロニトリル6部、およびt−ドデシルメルカプタン(分子量調整剤)0.05部を追加添加して3段目の重合反応を行った。その後、仕込み単量体に対する重合転化率が90%に達した時点で濃度10%のハイドロキノン(重合停止剤)水溶液0.1部を加えて重合反応を停止した。重合反応を停止後、水温60℃のロータリーエバポレ−タを用いて残留単量体を除去して、ニトリル基含有共重合体ゴム(a1)のラテックス(固形分濃度約25重量%)を得た。
次いで、上記にて得られた、ニトリル基含有共重合体ゴム(a1)のラテックスを、そのゴム分に対して3重量%となる量の硫酸アルミニウムの水溶液に加えて撹拌してラテックスを凝固し、水で洗浄しつつ濾別した後、60℃で12時間真空乾燥してニトリル基含有共重合体ゴム(a1)を得た。そして、得られたニトリル基含有共重合体ゴム(a1)を、濃度12%となるようにアセトンに溶解し、これをオートクレーブに入れ、パラジウム・シリカ触媒をニトリル基含有共重合体ゴム(a1)に対して500重量ppm加え、水素圧3MPa、温度50℃で水素添加反応を行なった。水素添加反応終了後、大量の水中に注いで凝固させ、濾別および乾燥を行なってニトリル基含有高飽和共重合体ゴム(A1)を得た。得られたニトリル基含有高飽和共重合体ゴム(A1)の組成は、アクリロニトリル単位32.3重量%、1,3−ブタジエン単位(水素化された部分を含む)67.7重量%であり、ヨウ素価は5.8であった。また、上記方法にしたがって、重量平均絶対分子量(Mw)、重量平均慣性半径を測定した結果を表1に示す。
製造例2(ニトリル基含有高飽和共重合体ゴム(A2)の製造)
反応器内に、イオン交換水200部、脂肪酸カリウム石鹸(脂肪酸のカリウム塩)2.25部を添加して石鹸水溶液を調製した。そして、この石鹸水溶液に、アクリロニトリル55部、およびt−ドデシルメルカプタン(分子量調整剤)0.55部をこの順に仕込み、内部の気体を窒素で3回置換した後、1,3−ブタジエン34部を仕込んだ。次いで、反応器内を5℃に保ち、クメンハイドロパーオキサイド(重合開始剤)0.1部を仕込み、攪拌しながら1段目の重合反応を開始した。そして、仕込み単量体に対する重合転化率が40%に達した時点で1,3−ブタジエン6部、およびt−ドデシルメルカプタン(分子量調整剤)0.07部を追加添加して2段目の重合反応を行った。その後、仕込み単量体に対する重合転化率が60%に達した時点で1,3−ブタジエン5部、およびt−ドデシルメルカプタン(分子量調整剤)0.05部を追加添加して3段目の重合反応を行った。その後、仕込み単量体に対する重合転化率が90%に達した時点で濃度10%のハイドロキノン(重合停止剤)水溶液0.1部を加えて重合反応を停止した。重合反応を停止後、水温60℃のロータリーエバポレ−タを用いて残留単量体を除去して、ニトリル基含有共重合体ゴム(a2)のラテックス(固形分濃度約25重量%)を得た。
そして、製造例1と同様にして、水素添加反応を行うことにより、ニトリル基含有高飽和共重合体ゴム(A2)を得た。得られたニトリル基含有高飽和共重合体ゴム(A2)の組成は、アクリロニトリル単位44.3重量%、1,3−ブタジエン単位(水素化された部分を含む)55.7重量%であり、ヨウ素価は6.4であった。また、上記方法にしたがって、重量平均絶対分子量(Mw)、重量平均慣性半径を測定した結果を表1に示す。
製造例3(ニトリル基含有高飽和共重合体ゴム(A3)の製造)
反応器内に、イオン交換水200部、脂肪酸カリウム石鹸(脂肪酸のカリウム塩)2.25部を添加して石鹸水溶液を調製した。そして、この石鹸水溶液に、アクリロニトリル26部、およびt−ドデシルメルカプタン(分子量調整剤)0.75部をこの順に仕込み、内部の気体を窒素で3回置換した後、1,3−ブタジエン63部を仕込んだ。次いで、反応器内を5℃に保ち、クメンハイドロパーオキサイド(重合開始剤)0.1部を仕込み、攪拌しながら1段目の重合反応を開始した。そして、仕込み単量体に対する重合転化率が35%に達した時点でアクリロニトリル6部、およびt−ドデシルメルカプタン(分子量調整剤)0.07部を追加添加して2段目の重合反応を行った。その後、仕込み単量体に対する重合転化率が55%に達した時点でアクリロニトリル5部、およびt−ドデシルメルカプタン(分子量調整剤)0.05部を追加添加して3段目の重合反応を行った。その後、仕込み単量体に対する重合転化率が90%に達した時点で濃度10%のハイドロキノン(重合停止剤)水溶液0.1部を加えて重合反応を停止した。重合反応を停止後、水温60℃のロータリーエバポレ−タを用いて残留単量体を除去して、ニトリル基含有共重合体ゴム(a3)のラテックス(固形分濃度約25重量%)を得た。
そして、製造例1と同様にして、水素添加反応を行うことにより、ニトリル基含有高飽和共重合体ゴム(A3)を得た。得られたニトリル基含有高飽和共重合体ゴム(A3)の組成は、アクリロニトリル単位36.1重量%、1,3−ブタジエン単位(水素化された部分を含む)63.9重量%であり、ヨウ素価は6.9であった。また、上記方法にしたがって、重量平均絶対分子量(Mw)、重量平均慣性半径を測定した結果を表1に示す。
製造例4(ニトリル基含有高飽和共重合体ゴム(A4)の製造)
製造例3において、重合開始時に配合するt−ドデシルメルカプタン(分子量調整剤)の配合量を0.75部から0.45部に変更した以外は製造例3と同様にして、ニトリル基含有高飽和共重合体ゴム(A4)を得た。得られたニトリル基含有高飽和共重合体ゴム(A4)の組成は、アクリロニトリル単位36.4重量%、1,3−ブタジエン単位(水素化された部分を含む)63.6重量%であり、ヨウ素価は6.7であった。また、上記方法にしたがって、重量平均絶対分子量(Mw)、重量平均慣性半径を測定した結果を表1に示す。
製造例5(ニトリル基含有高飽和共重合体ゴム(A5)の製造)
製造例3において、重合開始時に配合するt−ドデシルメルカプタン(分子量調整剤)の配合量を0.75部から0.20部に変更した以外は製造例3と同様にして、ニトリル基含有高飽和共重合体ゴム(A5)を得た。得られたニトリル基含有高飽和共重合体ゴム(A5)の組成は、アクリロニトリル単位36.2重量%、1,3−ブタジエン単位(水素化された部分を含む)63.8重量%であり、ヨウ素価は6.8であった。また、上記方法にしたがって、重量平均絶対分子量(Mw)、重量平均慣性半径を測定した結果を表1に示す。
製造例6(ニトリル基含有高飽和共重合体ゴム(A6)の製造)
反応器内に、イオン交換水200部、脂肪酸カリウム石鹸(脂肪酸のカリウム塩)2.25部を添加して石鹸水溶液を調製した。そして、この石鹸水溶液に、アクリロニトリル26部、およびt−ドデシルメルカプタン(分子量調整剤)0.40部をこの順に仕込み、内部の気体を窒素で3回置換した後、1,3−ブタジエン63部を仕込んだ。次いで、反応器内を5℃に保ち、クメンハイドロパーオキサイド(重合開始剤)0.1部を仕込み、攪拌しながら1段目の重合反応を開始した。そして、仕込み単量体に対する重合転化率が30%に達した時点でアクリロニトリル6部、およびt−ドデシルメルカプタン(分子量調整剤)0.07部を追加添加して2段目の重合反応を行った。その後、仕込み単量体に対する重合転化率が50%に達した時点でアクリロニトリル5部、およびt−ドデシルメルカプタン(分子量調整剤)0.05部を追加添加して3段目の重合反応を行った。その後、仕込み単量体に対する重合転化率が80%に達した時点で濃度10%のハイドロキノン(重合停止剤)水溶液0.1部を加えて重合反応を停止した。重合反応を停止後、水温60℃のロータリーエバポレ−タを用いて残留単量体を除去して、ニトリル基含有共重合体ゴム(a6)のラテックス(固形分濃度約25重量%)を得た。
そして、製造例1と同様にして、水素添加反応を行うことにより、ニトリル基含有高飽和共重合体ゴム(A6)を得た。得られたニトリル基含有高飽和共重合体ゴム(A6)の組成は、アクリロニトリル単位36.3重量%、1,3−ブタジエン単位(水素化された部分を含む)63.7重量%であり、ヨウ素価は6.8であった。また、上記方法にしたがって、重量平均絶対分子量(Mw)、重量平均慣性半径を測定した結果を表1に示す。
製造例7(ニトリル基含有高飽和共重合体ゴム(A7)の製造)
製造例4において、水素添加反応を行う際に使用するパラジウム・シリカ触媒の使用量をゴムに対して500重量ppmから、200重量ppmに変更した以外は製造例4と同様にして、ニトリル基含有高飽和共重合体ゴム(A7)を得た。得られたニトリル基含有高飽和共重合体ゴム(A7)の組成は、アクリロニトリル単位36.5重量%、1,3−ブタジエン単位(水素化された部分を含む)63.5重量%であり、ヨウ素価は29.5であった。また、上記方法にしたがって、重量平均絶対分子量(Mw)、重量平均慣性半径を測定した結果を表1に示す。
製造例8(ニトリル基含有高飽和共重合体ゴム(A8)の製造)
製造例4において、水素添加反応を行う際に使用するパラジウム・シリカ触媒の使用量をゴムに対して500重量ppmから、100重量ppmに変更した以外は製造例4と同様にして、ニトリル基含有高飽和共重合体ゴム(A8)を得た。得られたニトリル基含有高飽和共重合体ゴム(A8)の組成は、アクリロニトリル単位36.7重量%、1,3−ブタジエン単位(水素化された部分を含む)63.3重量%であり、ヨウ素価は58.2であった。また、上記方法にしたがって、重量平均絶対分子量(Mw)、重量平均慣性半径を測定した結果を表1に示す。
製造例9(ニトリル基含有高飽共重合体ゴム(A9)の製造)
反応器内に、イオン交換水200部、脂肪酸カリウム石鹸(脂肪酸のカリウム塩)2.25部を添加して石鹸水溶液を調製した。そして、この石鹸水溶液に、アクリロニトリル15部、およびt−ドデシルメルカプタン(分子量調整剤)0.30部をこの順に仕込み、内部の気体を窒素で3回置換した後、1,3−ブタジエン85部を仕込んだ。次いで、反応器内を5℃に保ち、クメンハイドロパーオキサイド(重合開始剤)0.1部を仕込み、攪拌しながら1段目の重合反応を開始した。そして、仕込み単量体に対する重合転化率が30%に達した時点でt−ドデシルメルカプタン(分子量調整剤)0.07部を追加添加して2段目の重合反応を行った。その後、仕込み単量体に対する重合転化率が50%に達した時点でt−ドデシルメルカプタン(分子量調整剤)0.05部を追加添加して3段目の重合反応を行った。その後、仕込み単量体に対する重合転化率が70%に達した時点で濃度10%のハイドロキノン(重合停止剤)水溶液0.1部を加えて重合反応を停止した。重合反応を停止後、水温60℃のロータリーエバポレ−タを用いて残留単量体を除去して、ニトリル基含有共重合体ゴム(a9)のラテックス(固形分濃度約25重量%)を得た。
そして、製造例1と同様にして、水素添加反応を行うことにより、ニトリル基含有高飽和共重合体ゴム(A9)を得た。得られたニトリル基含有高飽和共重合体ゴム(A9)の組成は、アクリロニトリル単位12.3重量%、1,3−ブタジエン単位(水素化された部分を含む)87.7重量%であり、ヨウ素価は20であった。また、上記方法にしたがって、重量平均絶対分子量(Mw)、重量平均慣性半径を測定した結果を表1に示す。
製造例10(ニトリル基含有高飽和共重合体ゴム(B1)の製造)
反応器内に、イオン交換水200部、脂肪酸カリウム石鹸(脂肪酸のカリウム塩)2.25部を添加して石鹸水溶液を調製した。そして、この石鹸水溶液に、アクリロニトリル37部、およびt−ドデシルメルカプタン(分子量調整剤)0.75部をこの順に仕込み、内部の気体を窒素で3回置換した後、1,3−ブタジエン63部を仕込んだ。次いで、反応器内を5℃に保ち、クメンハイドロパーオキサイド(重合開始剤)0.1部を仕込み、攪拌しながら重合反応を開始した。その後、仕込み単量体に対する重合転化率が90%に達した時点で濃度10%のハイドロキノン(重合停止剤)水溶液0.1部を加えて重合反応を停止した。重合反応を停止後、水温60℃のロータリーエバポレ−タを用いて残留単量体を除去してニトリル基含有共重合体ゴム(b1)のラテックス(固形分濃度約25重量%)を得た。
そして、製造例1と同様にして、水素添加反応を行うことにより、ニトリル基含有高飽和共重合体ゴム(B1)を得た。得られたニトリル基含有高飽和共重合体ゴム(B1)の組成は、アクリロニトリル単位36.1重量%、1,3−ブタジエン単位(水素化された部分を含む)63.9重量%であり、ヨウ素価は6.1であった。また、上記方法にしたがって、重量平均絶対分子量(Mw)、重量平均慣性半径を測定した結果を表1に示す。
製造例11(ニトリル基含有高飽和共重合体ゴム(B2)の製造)
製造例10において、重合開始時に配合するt−ドデシルメルカプタン(分子量調整剤)の配合量を0.75部から0.43部に変更した以外は製造例10と同様にして、ニトリル基含有高飽和共重合体ゴム(B2)を得た。得られたニトリル基含有高飽和共重合体ゴム(B2)の組成は、アクリロニトリル単位36.4重量%、1,3−ブタジエン単位(水素化された部分を含む)63.6重量%であり、ヨウ素価は6.4であった。また、上記方法にしたがって、重量平均絶対分子量(Mw)、重量平均慣性半径を測定した結果を表1に示す。
製造例12(ニトリル基含有高飽和共重合体ゴム(B3)の製造)
製造例10において、重合開始時に配合するt−ドデシルメルカプタン(分子量調整剤)の配合量を0.75部から0.20部に変更した以外は製造例10と同様にして、ニトリル基含有高飽和共重合体ゴム(B3)を得た。得られたニトリル基含有高飽和共重合体ゴム(B3)の組成は、アクリロニトリル単位36.2重量%、1,3−ブタジエン単位(水素化された部分を含む)63.8重量%であり、ヨウ素価は6.4であった。また、上記方法にしたがって、重量平均絶対分子量(Mw)、重量平均慣性半径を測定した結果を表1に示す。
実施例1
バンバリーミキサを用いて、製造例1で得られたニトリル基含有高飽和共重合体ゴム(A1)100部、N774カーボンブラック(商品名「シーストS」、東海カーボン社製)50部、4,4’−ジ−(α,α−ジメチルベンジル)ジフェニルアミン(商品名「ノクラックCD」、大内振興化学社製、老化防止剤)1.5部、トリメリット酸トリ−2−エチルヘキシル(商品名「アデカサイザーC−8」、ADEKA社製、可塑剤)5部を混練した。次いで、混合物をオープンロールに移して、1,3−ビス(t−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン40%品(商品名「Vul Cup 40KE」、GEO Specialty Chemicals Inc製、有機過酸化物架橋剤)8部を配合し、混練することで、架橋性ゴム組成物を得た。
実施例2〜9
製造例1で得られたニトリル基含有高飽和共重合体ゴム(A1)100部に代えて、製造例2〜9で得られたニトリル基含有高飽和共重合体ゴム(A2)〜(A9)100部を、それぞれ使用した以外は、実施例1と同様にして、架橋性ゴム組成物を得た。
比較例1〜3
製造例1で得られたニトリル基含有高飽和共重合体ゴム(A1)100部に代えて、製造例10〜12で得られたニトリル基含有高飽和共重合体ゴム(B1)〜(B3)100部を、それぞれ使用した以外は、実施例1と同様にして、架橋性ゴム組成物を得た。
Figure 2015147052
表1に示すように、α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体単位を10〜60重量%の割合で含有し、重量平均慣性半径が10〜100nmの範囲にあるニトリル基含有共重合体ゴムは、加工性に優れ(70秒後押出量が多く)、また、該ニトリル基含有共重合体ゴムを用いて得られるゴム架橋物は、常態物性(引張強度、100%引張応力、および伸び)に優れるものであった(実施例1〜9)。
一方、重量平均慣性半径が10nm未満であるニトリル基含有共重合体ゴム、および重量平均慣性半径が100nm超であるニトリル基含有共重合体ゴムは、加工性に劣り(70秒後押出量が少なく)、また、該ニトリル基含有共重合体ゴムを用いて得られるゴム架橋物は、常態物性(引張強度、100%引張応力、および伸び)に劣るものであった(比較例1〜3)。

Claims (7)

  1. α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体単位を10〜60重量%の割合で含有し、重量平均慣性半径が10〜100nmの範囲であることを特徴とするニトリル基含有共重合体ゴム。
  2. 重量平均絶対分子量が10,000〜5,000,000である請求項1に記載のニトリル基含有共重合体ゴム。
  3. 前記ニトリル基含有共重合体ゴムのヨウ素価が120以下である請求項1または2に記載のニトリル基含有共重合体ゴム。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載のニトリル基含有共重合体ゴムと、架橋剤とを含有してなる架橋性ゴム組成物。
  5. 請求項4に記載の架橋性ゴム組成物を架橋してなるゴム架橋物。
  6. 請求項1〜3のいずれかに記載のニトリル基含有共重合体ゴムを製造する方法であって、
    α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体を含む単量体を、分子量調整剤の存在下で重合する工程と、
    前記重合において、重合転化率が10〜80%となった段階で、分子量調整剤を追加添加する工程と、を備えるニトリル基含有共重合体ゴムの製造方法。
  7. 重合開始時における分子量調整剤の添加量と、中途添加による分子量調整剤の添加量との比率が、「重合開始時の分子量調整剤の添加量:中途添加による分子量調整剤の添加量」の重量比で、0.5:1〜1:0.1である請求項6に記載のニトリル基含有共重合体ゴムの製造方法。
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