JP2020084162A - 混合ゴムおよびその製造方法、架橋性ゴム組成物ならびにゴム架橋物 - Google Patents

混合ゴムおよびその製造方法、架橋性ゴム組成物ならびにゴム架橋物 Download PDF

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【課題】常態物性および耐油性に優れるゴム架橋物を得ることができ、劣化しにくいゴム混合物を提供すること。【解決手段】α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体および共役ジエン単量体を含有するニトリルゴム(A)と、芳香族ビニル単量体単位および共役ジエン単量体単位を含有する共役ジエンゴム(B)と、を含有し、ニトリルゴム(A)および共役ジエンゴム(B)を構成する全単量体単位に対して、芳香族ビニル単量体単位の含有割合が、0.01〜1.00重量%である混合ゴムを提供する。【選択図】なし

Description

本発明は、混合ゴムおよびその製造方法、架橋性ゴム組成物ならびにゴム架橋物に関し、さらに詳しくは、常態物性および耐油性に優れるゴム架橋物を得ることができ、劣化しにくいゴム混合物およびその製造方法、そのようなゴム混合物を含有する架橋性ゴム組成物、ならびに、架橋性ゴム組成物から得られるゴム架橋物に関する。
従来から、α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体単位、および、共役ジエン単量体単位を含有するゴム(ニトリルゴム)は、耐油性に優れるゴムとして知られており、その加硫物は主にホース、ベルト、ガスケット、パッキン、シール、ロールなど産業用・自動車用の各種油類まわりのゴム製品の材料として用いられている。
また、ニトリルゴムは、低発熱性が求められるタイヤの材料としても用いられている。たとえば、特許文献1では、ブタジエンとアクリロニトリル、あるいはブタジエンとスチレンとアクリロニトリルを重合して得られる共重合体であって、該共重合体中にアクリロニトリルが1〜45重量%導入されているジエン系ゴムをゴム成分中に10重量%以上含有し、かつ該ゴム成分100重量部に対してシリカを10〜200重量部含有してなることを特徴とするタイヤ用ゴム組成物が提案されている。
特開平9−118783号公報
従来のニトリルゴムは、上述のとおり耐油性に優れるものの、高温で保管した場合に変色したり、ムーニー粘度が上昇したりする問題があった。したがって、ニトリルゴムに通常期待される常態物性や耐油性を維持したまま、ゴムの劣化を抑制できる技術の開発が望まれている。
本発明は、このような実状に鑑みてなされたものであり、常態物性および耐油性に優れるゴム架橋物を得ることができ、劣化しにくいゴム混合物を提供することを目的とする。
本発明者は、上記目的を達成するために鋭意研究した結果、α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体および共役ジエン単量体を含有するニトリルゴム(A)と、芳香族ビニル単量体単位および共役ジエン単量体単位を含有する共役ジエンゴム(B)とを、芳香族ビニル単量体単位の含有割合が特定の範囲内になるように混合すると、劣化しにくい混合ゴムが得られるとともに、このような混合ゴムを用いて得られるゴム架橋物が、従来のニトリルゴムと比べても遜色のない常態物性および耐油性を示すことを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明によれば、α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体単位および共役ジエン単量体単位を含有するニトリルゴム(A)と、芳香族ビニル単量体単位および共役ジエン単量体単位を含有する共役ジエンゴム(B)と、を含有し、ニトリルゴム(A)および共役ジエンゴム(B)を構成する全単量体単位に対して、芳香族ビニル単量体単位の含有割合が、0.01〜1.00重量%である混合ゴムが提供される。
また、本発明によれば、上記の混合ゴムおよび架橋剤を含有する架橋性ゴム組成物が提供される。
また、本発明によれば、上記の架橋性ゴム組成物を架橋して得られるゴム架橋物が提供される。
また、本発明によれば、上記の混合ゴムの製造方法であって、前記ニトリルゴム(A)を含有するラテックスおよび前記共役ジエンゴム(B)を含有するラテックスを混合することにより、ラテックス混合物を得る工程と、前記ラテックス混合物中の前記ニトリルゴム(A)および前記共役ジエンゴム(B)を凝固させることにより、前記混合ゴムを得る工程と、を含む製造方法が提供される。
本発明によれば、常態物性および耐油性に優れるゴム架橋物を得ることができ、劣化しにくいゴム混合物を提供することができる。
<混合ゴム>
本発明の混合ゴムは、ニトリルゴム(A)と共役ジエンゴム(B)とを含有し、さらに、混合ゴム中の芳香族ビニル単量体単位の含有割合が、ニトリルゴム(A)および共役ジエンゴム(B)を構成する全単量体単位に対して、0.01〜1.00重量%である。混合ゴム中の芳香族ビニル単量体単位の含有割合が少なすぎると、混合ゴムの劣化を十分に抑制することができず、混合ゴム中の芳香族ビニル単量体単位の含有割合が多すぎると、得られるゴム架橋物の常態物性および耐油性が低下してしまう。
混合ゴム中の芳香族ビニル単量体単位の含有割合としては、混合ゴムの劣化をより一層抑制することができ、常態物性および耐油性に一層優れるゴム架橋物を得ることができることから、好ましくは0.02〜0.90重量%、より好ましくは0.03〜0.80重量%、さらに好ましくは0.05〜0.75重量%である。
本発明の混合ゴムは、混合ゴムの劣化をより一層抑制することができ、常態物性および耐油性に一層優れるゴム架橋物を得ることができることから、混合ゴム中のα,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体単位の含有割合が、好ましくは15.00〜55.00重量%、より好ましくは25.00〜45.00重量%、さらに好ましくは30.00〜40.00重量%、特に好ましくは30.00〜35.00重量%である。
本発明の混合ゴムは、混合ゴムの劣化をより一層抑制することができ、常態物性および耐油性に一層優れるゴム架橋物を得ることができることから、混合ゴム中の共役ジエン単量体単位の含有割合が、好ましくは44.00〜84.99重量%、より好ましくは54.10〜74.98重量%、さらに好ましくは59.97〜69.20重量%、特に好ましくは64.25〜69.95重量%である。
混合ゴム中の芳香族ビニル単量体単位などの各単量体単位の含有割合は、ゴム混合物に含有されるニトリルゴム(A)を構成する全単量体単位、および、ゴム混合物に含有される共役ジエンゴム(B)を構成する全単量体単位の合計量を100重量%とした場合の、各単量体単位の含有割合である。各単量体単位の含有割合は、調製に用いたニトリルゴム(A)および共役ジエンゴム(B)の単量体組成および混合重量比に基づいて算出することができる。また、各単量体単位の含有割合を、混合ゴムの熱分解ガスクロマトグラフィー分析により測定してもよい。
ニトリルゴム(A)は、α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体単位および共役ジエン単量体単位を含有する。
α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体としては、特に限定されないが、ニトリル基を有し、炭素数が、好ましくは3〜18であるエチレン性不飽和化合物を用いることができる。このようなα,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体としては、たとえば、アクリロニトリル;α−クロロアクリロニトリル、α−ブロモアクリロニトリルなどのα−ハロゲノアクリロニトリル;メタクリロニトリル、エタクリロニトリルなどのα−アルキルアクリロニトリル;などが挙げられる。これらのなかでも、アクリロニトリルおよびメタクリロニトリルが好ましく、アクリロニトリルが特に好ましい。なお、これらのα,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ニトリルゴム(A)における、α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体単位の含有割合は、最終的に得られる混合ゴムの組成に応じて適宜決定すればよいが、好ましくは15〜55重量%、より好ましくは25〜45重量%、特に好ましくは30〜35重量%である。α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体単位の含有割合を上記範囲とすることにより、混合ゴムの劣化をより一層抑制することができ、得られるゴム架橋物の常態物性および耐油性をより高めることができ、さらに耐寒性と両立することができる。
共役ジエン単量体としては、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、クロロプレンなどの炭素数4〜6の共役ジエン単量体が好ましく、1,3−ブタジエンおよびイソプレンがより好ましく、1,3−ブタジエンが特に好ましい。なお、これらの共役ジエン単量体は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ニトリルゴム(A)における、共役ジエン単量体単位の含有割合は、最終的に得られる混合ゴムの組成に応じて適宜決定すればよいが、好ましくは45〜85重量%、より好ましくは55〜75重量%、特に好ましくは65〜70重量%である。共役ジエン単量体単位の含有割合を上記範囲とすることにより、混合ゴムの劣化をより一層抑制することができ、得られるゴム架橋物の常態物性および耐油性をより高めることができ、さらに耐寒性と両立することができる。
また、ニトリルゴム(A)は、α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体単位および共役ジエン単量体単位に加えて、これらの単量体と共重合可能なその他の単量体の単位を含むものであってもよい。
このようなその他の単量体としては、α−オレフィン単量体、非共役ジエン単量体、芳香族ビニル単量体、α,β−エチレン性不飽和モノカルボン酸およびそのエステル、α,β−エチレン性不飽和多価カルボン酸ならびにそのモノエステル、多価エステルおよび無水物、架橋性単量体、フッ素含有ビニル単量体、共重合性老化防止剤などが挙げられる。
α−オレフィン単量体としては、好ましくは炭素数が2〜12のものであり、エチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテンなどが例示される。
非共役ジエン単量体としては、炭素数が5〜12のものが好ましく、たとえば、1,4−ペンタジエン、1,4−ヘキサジエン、ビニルノルボルネン、ジシクロペンタジエンなどが挙げられる。
芳香族ビニル単量体としては、たとえば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルピリジンなどが挙げられる。
α,β−エチレン性不飽和モノカルボン酸としては、たとえば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、ケイ皮酸などが好ましく挙げられる。
α,β−エチレン性不飽和モノカルボン酸エステルとしては、たとえば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−ドデシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチルなどの炭素数1〜18のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル(「メタクリル酸エステルおよびアクリル酸エステル」の略記。以下同様。);アクリル酸メトキシメチル、アクリル酸メトキシエチル、アクリル酸エトキシプロピル、アクリル酸メトキシブチル、アクリル酸エトキシドデシル、メタクリル酸メトキシエチル、メタクリル酸メトキシブチル、メタクリル酸エトキシペンチルなどの炭素数2〜18のアルコキシアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル;アクリル酸α−シアノエチル、メタクリル酸α−シアノエチル、メタクリル酸シアノブチルなどの炭素数2〜12のシアノアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル;アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチルなどの炭素数1〜12のヒドロキシアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル;アクリル酸トリフルオロエチル、メタクリル酸テトラフルオロプロピルなどの炭素数1〜12のフルオロアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル;などが挙げられる。
α,β−エチレン性不飽和多価カルボン酸としては、たとえば、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸などが挙げられる。
α,β−エチレン性不飽和多価カルボン酸モノエステルとしては、たとえば、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、マレイン酸モノプロピル、マレイン酸モノn−ブチルなどのマレイン酸モノアルキルエステル;マレイン酸モノシクロペンチル、マレイン酸モノシクロヘキシル、マレイン酸モノシクロヘプチルなどのマレイン酸モノシクロアルキルエステル;マレイン酸モノメチルシクロペンチル、マレイン酸モノエチルシクロヘキシルなどのマレイン酸モノアルキルシクロアルキルエステル;フマル酸モノメチル、フマル酸モノエチル、フマル酸モノプロピル、フマル酸モノn−ブチルなどのフマル酸モノアルキルエステル;フマル酸モノシクロペンチル、フマル酸モノシクロヘキシル、フマル酸モノシクロヘプチルなどのフマル酸モノシクロアルキルエステル;フマル酸モノメチルシクロペンチル、フマル酸モノエチルシクロヘキシルなどのフマル酸モノアルキルシクロアルキルエステル;シトラコン酸モノメチル、シトラコン酸モノエチル、シトラコン酸モノプロピル、シトラコン酸モノn−ブチルなどのシトラコン酸モノアルキルエステル;シトラコン酸モノシクロペンチル、シトラコン酸モノシクロヘキシル、シトラコン酸モノシクロヘプチルなどのシトラコン酸モノシクロアルキルエステル;シトラコン酸モノメチルシクロペンチル、シトラコン酸モノエチルシクロヘキシルなどのシトラコン酸モノアルキルシクロアルキルエステル;イタコン酸モノメチル、イタコン酸モノエチル、イタコン酸モノプロピル、イタコン酸モノn−ブチルなどのイタコン酸モノアルキルエステル;イタコン酸モノシクロペンチル、イタコン酸モノシクロヘキシル、イタコン酸モノシクロヘプチルなどのイタコン酸モノシクロアルキルエステル;イタコン酸モノメチルシクロペンチル、イタコン酸モノエチルシクロヘキシルなどのイタコン酸モノアルキルシクロアルキルエステル;などが挙げられる。
α,β−エチレン性不飽和多価カルボン酸多価エステルとしては、たとえば、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジn−ブチル、フマル酸ジメチル、フマル酸ジn−ブチル、イタコン酸ジメチル、イタコン酸ジn−ブチルなどが挙げられる。
α,β−エチレン性不飽和多価カルボン酸無水物としては、たとえば、無水マレイン酸、無水イタコン酸などが挙げられる。
架橋性単量体としては、たとえば、ジビニルベンゼンなどのジビニル化合物;エチレンジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレートなどのジ(メタ)アクリル酸エステル類;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートなどのトリメタクリル酸エステル類;などの多官能エチレン性不飽和単量体のほか、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N,N’−ジメチロール(メタ)アクリルアミドなどの自己架橋性単量体などが挙げられる。
フッ素含有ビニル単量体としては、フルオロエチルビニルエーテル、フルオロプロピルビニルエーテル、o−トリフルオロメチルスチレン、ペンタフルオロ安息香酸ビニル、ジフルオロエチレン、テトラフルオロエチレンなどが挙げられる。
共重合性老化防止剤としては、たとえば、N−(4−アニリノフェニル)アクリルアミド、N−(4−アニリノフェニル)メタクリルアミド、N−(4−アニリノフェニル)シンナムアミド、N−(4−アニリノフェニル)クロトンアミド、 N−フェニル−4−(3−ビニルベンジルオキシ)アニリン、N−フェニル−4−(4−ビニルベンジルオキシ)アニリンなどが挙げられる。
これらの共重合可能なその他の単量体として、複数種類を併用してもよい。
ニトリルゴム(A)における、共重合可能なその他の単量体の含有割合は、最終的に得られる混合ゴムの組成に応じて適宜決定すればよいが、好ましくは50重量%以下、より好ましくは30重量%以下、特に好ましくは10重量%以下の量である。
共役ジエンゴム(B)は、芳香族ビニル単量体単位および共役ジエン単量体単位を含有する。
芳香族ビニル単量体としては、たとえば、スチレン、α−メチルスチレン、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、2−エチルスチレン、3−エチルスチレン、4−エチルスチレン、2,4−ジイソプロピルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、4−t−ブチルスチレン、5−t−ブチル−2−メチルスチレン、ビニルナフタレン、ジメチルアミノメチルスチレン、ジメチルアミノエチルスチレン等を挙げることができる。これらの中でも、スチレン、α−メチルスチレン、4−メチルスチレンが好ましく、スチレンがより好ましい。これらの芳香族ビニル単量体は、それぞれ単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
共役ジエンゴム(B)における、芳香族ビニル単量体単位の含有割合は、最終的に得られる混合ゴムの組成に応じて適宜決定すればよいが、好ましくは20〜50重量%、より好ましくは21〜40重量%、特に好ましくは22〜25重量%である。芳香族ビニル単量体単位の含有割合を上記範囲とすることにより、混合ゴムの劣化をより一層抑制することができ、得られるゴム架橋物の常態物性および耐油性をより高めることができる。
共役ジエン単量体としては、たとえば、1,3−ブタジエン、イソプレン(2−メチル−1,3−ブタジエン)、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−クロロ−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン等が挙げられる。これらの中でも、1,3−ブタジエン、イソプレンが好ましく、1,3−ブタジエンがより好ましい。これらの共役ジエン単量体は、それぞれ単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
共役ジエンゴム(B)における、共役ジエン単量体単位の含有割合は、最終的に得られる混合ゴムの組成に応じて適宜決定すればよいが、好ましくは50〜80重量%、より好ましくは60〜79重量%、特に好ましくは75〜78重量%である。共役ジエン単量体単位の含有割合を上記範囲とすることにより、混合ゴムの劣化をより一層抑制することができ、得られるゴム架橋物の常態物性および耐油性をより高めることができる。
共役ジエンゴム(B)は、芳香族ビニル単量体単位および共役ジエン単量体単位に加えて、これらの単量体と共重合可能なその他の単量体の単位を含むものであってもよい。
このようなその他の単量体としては、たとえば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のα,β−不飽和ニトリル;メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル等の不飽和カルボン酸エステル;1,5−ヘキサジエン、1,6−ヘプタジエン、1,7−オクタジエン、ジシクロペンタジエン、5−エチリデン−2−ノルボルネン等の非共役ジエン;グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、グリシジルクロトネート、グリシジル−4−ヘプテノエート、グリシジルソルベート、グリシジルリノレート、3−シクロヘキセンカルボン酸のグリシジルエステル、4−メチル−3−シクロヘキセンカルボン酸のグリシジルエステル、グリシジル−4−メチル−3−ペンテノエートなどのグリシジルエステル基を有する化合物;等を挙げることができる。これらの共重合可能なその他の単量体として、複数種類を併用してもよい。
共役ジエンゴム(B)における、共重合可能なその他の単量体の含有割合は、最終的に得られる混合ゴムの組成に応じて適宜決定すればよいが、好ましくは50重量%以下、より好ましくは30重量%以下、特に好ましくは10重量%以下の量である。
共役ジエンゴム(B)は、乳化重合により得られるものであることが好ましい。
本発明の混合ゴムにおける、ニトリルゴム(A)と共役ジエンゴム(B)との含有割合としては、ニトリルゴム(A)と共役ジエンゴム(B)との重量比[ニトリルゴム(A):共役ジエンゴム(B)]で、好ましくは99.99:0.01〜96:4、より好ましくは99.95:0.05〜97:3、特に好ましくは99.8:0.2〜98:2である。ニトリルゴム(A)と共役ジエンゴム(B)との含有割合を上記範囲とすることにより、混合ゴムの劣化をより一層抑制することができ、得られるゴム架橋物の常態物性および耐油性をより高めることができる。
本発明のゴム混合物のムーニー粘度(ML1+4,100℃)としては、混合ゴムの成形性をより高めることができ、常態物性および耐油性に一層優れるゴム架橋物を得ることができることから、好ましくは10〜200、より好ましくは20〜150、特に好ましくは25〜120である。本発明のゴム混合物は、劣化しにくいことから、高温(たとえば85℃以上)で保管した場合であっても、上記の範囲内のムーニー粘度を維持することができる。ムーニー粘度(ML1+4,100℃)は、JIS K6300に従って測定できる。
本発明のゴム混合物のガラス転移温度(Tg)としては、混合ゴムの耐寒性をより高めることができ、常態物性および耐油性に一層優れるゴム架橋物を得ることができることから、好ましくは20℃以下、より好ましくは0℃以下、特に好ましくは−20℃以下であり、−60℃以上であってよい。ガラス転移温度(Tg)は、示差走査熱量測定(DSC)を用いて、昇温速度10℃/分で測定できる。
本発明の混合ゴムは、混合ゴムの劣化をより一層抑制できることから、老化防止剤を含有してもよい。老化防止剤としては特に限定されないが、2,6−ジ−t−ブチル−4−クレゾール、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)スルフィド、ペンタエリスリトールテトラキス〔3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、オクタデシル3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、イソオクチル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ヘキサメチレンビス〔3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、4,6−ビス(オクチルチオメチル)−o−クレゾールなどを用いることができる。
本発明のゴム混合物における老化防止剤の含有量は、混合ゴムの劣化をより一層抑制することができることから、ニトリルゴム(A)および共役ジエンゴム(B)の合計100重量部に対して、好ましくは0.01〜5重量部、より好ましくは0.1〜3重量部、さらに好ましくは0.2〜2重量部である。
<混合ゴムの製造方法>
本発明の混合ゴムは、ニトリルゴム(A)を含有するラテックスおよび共役ジエンゴム(B)を含有するラテックスを混合することにより、ラテックス混合物を得る工程と、ラテックス混合物中のニトリルゴム(A)および共役ジエンゴム(B)を凝固させることにより、混合ゴムを得る工程と、を含む製造方法により、製造することができる。
ニトリルゴム(A)を含有するラテックスは、乳化重合法により、α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体および共役ジエン単量体を含む単量体混合物を共重合させることにより、製造することができる。
乳化重合に際しては、乳化剤、重合開始剤、分子量調整剤に加えて、通常用いられる重合副資材を使用することができる。
乳化剤としては、特に限定されないが、たとえば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンソルビタンアルキルエステルなどの非イオン性乳化剤;ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノレン酸などの脂肪酸の塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムなどのアルキルベンゼンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸塩とホルマリンとの重縮合物、高級アルコール硫酸エステル塩、アルキルスルホコハク酸塩などのアニオン性乳化剤;α,β−不飽和カルボン酸のスルホエステル、α,β−不飽和カルボン酸のサルフェートエステル、スルホアルキルアリールエーテルなどの共重合性乳化剤;などが挙げられる。これらの乳化剤は、単独でまたは2種類以上を組み合わせて使用することができる。なかでも、脂肪酸の塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩およびナフタレンスルホン酸塩とホルマリンとの重縮合物が好ましく、アルキルベンゼンスルホン酸塩およびナフタレンスルホン酸塩とホルマリンとの重縮合物が特に好ましい。乳化剤の添加量は、重合に用いる単量体混合物100重量部に対して、好ましくは0.1〜10重量部、より好ましくは0.5〜5重量部、特に好ましくは2〜4重量部である。
重合開始剤としては、ラジカル開始剤であれば特に限定されないが、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム、過リン酸カリウム、過酸化水素などの無機過酸化物;クメンハイドロパーオキサイド、p−メンタンハイドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、イソブチリルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、ジベンゾイルパーオキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシイソブチレート、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイドなどの有機過酸化物;アゾビスイソブチロニトリル、アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル、アゾビスイソ酪酸メチルなどのアゾ化合物;などを挙げることができる。これらの重合開始剤は、単独でまたは2種類以上を組み合わせて使用することができる。重合開始剤としては、無機または有機の過酸化物が好ましい。重合開始剤として過酸化物を用いる場合には、重亜硫酸ナトリウム、硫酸第一鉄、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレートとエチレンジアミン四酢酸鉄ナトリウムなどの還元剤と組み合わせて、レドックス系重合開始剤として使用することもできる。更に、エチレンジアミン四酢酸鉄ナトリウム四水塩などのキレート剤、炭酸ナトリウムや硫酸ナトリウムなどのビルダーを併用することもできる。重合開始剤の添加量は、重合に用いる単量体混合物100重量部に対して、好ましくは0.01〜2重量部、より好ましくは0.01〜0.5重量部、特に好ましくは0.01〜0.05重量部である。
分子量調整剤としては、特に限定されないが、t−ドデシルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、オクチルメルカプタンなどのメルカプタン類;四塩化炭素、塩化メチレン、臭化メチレンなどのハロゲン化炭化水素;α−メチルスチレンダイマー;テトラエチルチウラムダイサルファイド、ジペンタメチレンチウラムダイサルファイド、ジイソプロピルキサントゲンダイサルファイドなどの含硫黄化合物などが挙げられる。これらは単独で、または2種類以上を組み合わせて使用することができる。なかでも、メルカプタン類が好ましく、t−ドデシルメルカプタンがより好ましい。分子量調整剤の使用量は、単量体混合物100重量部に対して、好ましくは0.1〜1.0重量部、より好ましくは0.2〜0.8重量部、特に好ましくは0.3〜0.6重量部である。
乳化重合の媒体には、通常、水が使用される。水の量は、重合に用いる単量体100重量部に対して、好ましくは80〜500重量部、より好ましくは80〜400重量部である。
乳化重合に際しては、さらに、必要に応じて安定剤、分散剤、pH調整剤、脱酸素剤、粒子径調整剤などの重合副資材を用いることができる。これらを用いる場合においては、その種類、使用量とも特に限定されない。
なお、乳化重合の温度は、好ましくは0〜70℃、より好ましくは5〜30℃、特に好ましくは5〜15℃である。
また、乳化重合の重合転化率は、好ましくは40〜98%、より好ましくは50〜95%、特に好ましくは60〜90%である。転化率が低すぎると、未反応の単量体が多量に残存するため、その分離・除去に多大な時間、エネルギーを要すなど生産性の低下を招くおそれがある。重合転化率が高すぎると、反応時間が大幅に伸びることによって生産性の低下を招くおそれがあるとともに、分子鎖の分岐が増加するため、所望のゴム物性が得られなくなるおそれがある。
以上のように単量体混合物を乳化重合し、上記の重合転化率に達した時点で、重合停止剤を添加したり、空気または酸素を導入したり、重合系を冷却したりして、重合反応を停止する。
重合停止剤としては、特に限定されないが、たとえば、ヒドロキシルアミン、ヒドロキシアミン硫酸塩、ジエチルヒドロキシルアミン、ヒドロキシアミンスルホン酸およびそのアルカリ金属塩、ジメチルジチオカルバミン酸ナトリウム、ハイドロキノンや2,5−ジ−tert−アミルヒドロキノンなどのハイドロキノン誘導体、亜硝酸カリウム、亜硝酸ナトリウムなどの亜硝酸塩、カテコール誘導体、ならびに、ヒドロキシジメチルベンゼンチオカルボン酸、ヒドロキシジエチルベンゼンジチオカルボン酸、ヒドロキシジブチルベンゼンジチオカルボン酸などの芳香族ヒドロキシジチオカルボン酸およびこれらのアルカリ金属塩、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシルなどの安定なフリーラジカルを含む化合物などが挙げられる。重合停止剤の使用量は、単量体混合物100重量部に対して、好ましくは0.01〜2重量部である。
共役ジエンゴム(B)を含有するラテックスは、乳化重合法により、芳香族ビニル単量体および共役ジエン単量体を含む単量体混合物を共重合させることにより、製造することができる。
乳化重合法は、通常の乳化重合手法を用いればよく、たとえば、所定量の上記単量体を乳化剤の存在下に水性媒体中に乳化分散し、ラジカル重合開始剤により乳化重合する方法が挙げられる。
乳化剤としては、たとえば、炭素数10以上の長鎖脂肪酸塩および/またはロジン酸塩が用いられる。具体的には、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、オレイン酸、ステアリン酸、トール油脂肪酸などのカリウム塩またはナトリウム塩などが例示される。乳化剤の添加量は、重合に用いる単量体混合物100重量部に対して、好ましくは0.1〜10重量部、より好ましくは0.5〜5重量部、特に好ましくは2〜4重量部である。
ラジカル重合開始剤としては、たとえば、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウムなどのような過硫酸塩;過硫酸アンモニウムと硫酸第一鉄との組み合わせ、有機過酸化物(ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド等)と硫酸第一鉄との組み合わせ、過酸化水素と硫酸第一鉄との組み合わせなどのようなレドックス系開始剤;などが用いられる。また、レドックス系開始剤を用いる場合には、ソディウム・ホルムアルデヒド・スルホキシレート等の還元剤や、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム等のキレート剤を併用してもよい。ラジカル重合開始剤の添加量は、重合に用いる単量体混合物100重量部に対して、好ましくは0.01〜2重量部、より好ましくは0.01〜0.5重量部、特に好ましくは0.02〜0.08重量部である。
また、乳化重合に際しては、得られる重合体の分子量を調節するために、分子量調整剤を添加してもよい。分子量調整剤としては、たとえば、t−ドデシルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタンなどのメルカプタン類;α−メチルスチレンダイマー、四塩化炭素、チオグリコール酸、ジテルペン、ターピノーレン、γ−テルビネン類などを用いることができる。分子量調整剤の使用量は、単量体混合物100重量部に対して、好ましくは0.1〜0.8重量部、より好ましくは0.1〜0.6重量部、特に好ましくは0.1〜0.4重量部である。
乳化重合の媒体には、通常、水が使用される。水の量は、重合に用いる単量体100重量部に対して、好ましくは80〜500重量部、より好ましくは80〜300重量部である。
乳化重合に際しては、さらに、必要に応じて安定剤、分散剤、pH調整剤、脱酸素剤、粒子径調整剤などの重合副資材を用いることができる。これらを用いる場合においては、その種類、使用量とも特に限定されない。
乳化重合の温度は、用いられるラジカル重合開始剤の種類によって適宜選択することができるが、通常、0〜100℃、好ましくは0〜60℃である。重合様式は、連続重合、回分重合等のいずれでもよい。
乳化重合の重合転化率は、好ましくは40〜98%、より好ましくは50〜95%、特に好ましくは60〜90%である。転化率が低すぎると、未反応の単量体が多量に残存するため、その分離・除去に多大な時間、エネルギーを要すなど生産性の低下を招くおそれがある。重合転化率が高すぎると、反応時間が大幅に伸びることによって生産性の低下を招くおそれがあるとともに、分子鎖の分岐が増加するため、所望のゴム物性が得られなくなるおそれがある。
以上のように単量体混合物を乳化重合し、上記の重合転化率に達した時点で、重合反応を停止する。重合反応の停止は、通常、所定の転化率に達した時点で、重合系に重合停止剤を添加することによって行われる。重合停止剤としては、たとえば、ジエチルヒドロキシルアミンやヒドロキシルアミンなどのようなアミン系化合物、ヒドロキノンやベンゾキノンなどのようなキノン系化合物、亜硝酸ナトリウム、ソジウムジチオカーバメートなどが用いられる。
このようにして得られたニトリルゴム(A)を含有するラテックスおよび共役ジエンゴム(B)を含有するラテックスを混合することにより、ラテックス混合物を得る。ラテックスの混合方法としては、特に限定されず、常法により混合することができる。
このようにして得られたラテックス混合物について、メタノールやイソプロピルアルコールなどのアルコールまたは塩析による凝固、水洗、濾別を行い、これにより得られた含水クラムを乾燥することにより、本発明の混合ゴムを得ることができる。塩析による凝固には、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、硫酸アルミニウム、硫酸マグネシウムなど公知の凝固剤を使用することができる。また場合によっては、遠心脱水をおこなってもよい。理由は明らかではないが、本発明の製造方法によれば、通常よりも少量の凝固剤を用いた場合であっても、ニトリルゴム(A)および共役ジエンゴム(B)を十分に凝固させることができる。
また、凝固前のラテックス混合物に上述した老化防止剤を加えることもできる。さらに、本発明の製造方法においては、重合停止後に、各ラテックスまたはラテックス混合物から、未反応モノマーを除去してもよい。
<架橋性ゴム組成物>
本発明の架橋性ゴム組成物は、混合ゴムおよび架橋剤を含有する。架橋剤としては、特に限定されず、硫黄系架橋剤、有機過酸化物系架橋剤が挙げられるが、混合ゴムがカルボキシル基を有する単量体単位を有する場合には、ポリアミン系架橋剤を用いることもできる。
硫黄系架橋剤としては、粉末硫黄、硫黄華、沈降性硫黄、コロイド硫黄、表面処理硫黄、不溶性硫黄などの硫黄;塩化硫黄、二塩化硫黄、モルホリンジスルフィド、アルキルフェノールジスルフィド、ジベンゾチアジルジスルフィド、N,N’−ジチオ−ビス(ヘキサヒドロ−2H−アゼピノン−2)、含リンポリスルフィド、高分子多硫化物などの含硫黄化合物;テトラメチルチウラムジスルフィド、ジメチルジチオカルバミン酸セレン、2−(4’−モルホリノジチオ)ベンゾチアゾールなどの硫黄供与性化合物;などが挙げられる。これらは一種単独でまたは複数種併せて用いることができる。
有機過酸化物系架橋剤としては、ジクミルペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、t−ブチルクミルペルオキシド、パラメンタンヒドロペルオキシド、ジ−t−ブチルペルオキシド、1,3−ビス(t−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、1,4−ビス(t−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、1,1−ジ−t−ブチルペルオキシ−3,3−トリメチルシクロヘキサン、4,4−ビス−(t−ブチル−ペルオキシ)−n−ブチルバレレート、2,5−ジメチル−2,5−ジ−t−ブチルペルオキシヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ−t−ブチルペルオキシヘキシン−3、1,1−ジ−t−ブチルペルオキシ−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン、p−クロロベンゾイルペルオキシド、t−ブチルペルオキシイソプロピルカーボネート、t−ブチルペルオキシベンゾエートなどが挙げられる。これらは一種単独でまたは複数種併せて用いることができる。
ポリアミン系架橋剤としては、2つ以上のアミノ基を有する化合物、または、架橋時に2つ以上のアミノ基を有する化合物の形態になるもの、であれば特に限定されないが、脂肪族炭化水素や芳香族炭化水素の複数の水素原子が、アミノ基またはヒドラジド構造(−CONHNHで表される構造、COはカルボニル基を表す。)で置換された化合物および架橋時にその化合物の形態になるものが好ましい。その具体例としては、ヘキサメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンカルバメート、テトラメチレンペンタミン、ヘキサメチレンジアミンシンナムアルデヒド付加物、ヘキサメチレンジアミンジベンゾエート塩などの脂肪族多価アミン類;2,2−ビス{4−(4−アミノフェノキシ)フェニル}プロパン、4,4’−メチレンジアニリン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、4,4’−メチレンビス(o−クロロアニリン)などの芳香族多価アミン類;イソフタル酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジドなどのヒドラジド構造を2つ以上有する化合物などが挙げられる。これらは一種単独でまたは複数種併せて用いることができる。
本発明の架橋性ゴム組成物中における、架橋剤の含有量は特に限定されないが、混合ゴム100重量部に対して、好ましくは0.1〜10重量部、より好ましくは0.2〜5重量部である。
架橋剤として硫黄系架橋剤を使用する場合は、架橋助剤として、亜鉛華、グアニジン系架橋促進剤、チアゾール系架橋促進剤、チウラム系架橋促進剤、ジチオカルバミン酸塩系架橋促進剤などを併用することが好ましい。
また、架橋剤として有機過酸化物系架橋剤を使用する場合は、架橋助剤として、トリアリルシアヌレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、N,N’−m−フェニレンビスマレイミドなどを併用することが好ましい。
また、架橋剤としてポリアミン系架橋剤を使用する場合は、架橋助剤として、下記一般式(1)で表される化合物や、環状アミジン構造を有する塩基性架橋促進剤、グアニジン系塩基性架橋促進剤、アルデヒドアミン系塩基性架橋促進剤などの塩基性架橋促進剤を併用することが好ましい。
−NH−R (1)
(上記一般式(1)中、RおよびRは、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい炭素数1〜12のアルキル基、または、置換基を有していてもよい炭素数5〜12のシクロアルキル基である。)
架橋助剤は、単独で使用してもよいし、また、複数種を併用してもよく、クレイ、炭酸カルシウム、シリカなどに分散させ、ゴム組成物の加工性を改良したものを使用してもよい。架橋助剤の使用量は特に限定されず、ゴム架橋物の用途、要求性能、架橋剤の種類、架橋助剤の種類などに応じて決めればよい。
また、本発明の架橋性ゴム組成物には、混合ゴムおよび架橋剤に加えて、ゴム分野において通常使用される配合剤、たとえば、カーボンブラックやシリカなどの補強剤、炭酸カルシウム、タルクやクレイなどの充填材、酸化亜鉛や酸化マグネシウムなどの金属酸化物、メタクリル酸亜鉛やアクリル酸亜鉛などのα,β−エチレン性不飽和カルボン酸金属塩、共架橋剤、架橋助剤、架橋遅延剤、酸化防止剤、光安定剤、一級アミンなどのスコーチ防止剤、ジエチレングリコールなどの活性剤、カップリング剤、可塑剤、加工助剤、滑剤、粘着剤、潤滑剤、難燃剤、防黴剤、受酸剤、帯電防止剤、顔料、発泡剤などを配合することができる。これらの配合剤の配合量は、本発明の目的や効果を阻害しない範囲であれば特に限定されず、配合目的に応じた量を配合することができる。カーボンブラックなどの補強剤の配合量は、混合ゴム100重量部に対して、好ましくは1〜200重量部、より好ましくは15〜150重量部、特に好ましくは30〜100重量部である。
カーボンブラックとしては、たとえば、ファーネスブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、チャンネルブラック、オースチンブラック、グラファイトなどが挙げられる。これらは1種または複数種併せて用いることができる。
シリカとしては、石英粉末、珪石粉末などの天然シリカ;無水珪酸(シリカゲル、アエロジルなど)、含水珪酸などの合成シリカ;などが挙げられ、これらの中でも、合成シリカが好ましい。またこれらシリカはカップリング剤等で表面処理されたものであってもよい。
可塑剤としては、特に限定されないが、トリメリット酸系可塑剤、ピロメリット酸系可塑剤、エーテルエステル系可塑剤、ポリエステル系可塑剤、フタル酸系可塑剤、アジピン酸エステル系可塑剤、リン酸エステル系可塑剤、セバシン酸エステル系可塑剤、アルキルスルホン酸エステル化合物類可塑剤、エポキシ化植物油系可塑剤などを用いることができる。具体例としては、トリメリット酸トリ−2−エチルヘキシル、トリメリット酸イソノニルエステル、トリメリット酸混合直鎖アルキルエステル、ジペンタエリスリトールエステル、ピロメリット酸2−エチルヘキシルエステル、ポリエーテルエステル(分子量300〜5000程度)、アジピン酸ビス[2−(2−ブトキシエトキシ)エチル]、アジピン酸ジオクチル、アジピン酸系のポリエステル(分子量300〜5000程度)、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジイソノニル、フタル酸ジブチル、リン酸トリクレシル、セバシン酸ジブチル、アルキルスルホン酸フェニルエステル、エポキシ化大豆油、ジヘプタノエート、ジ−2−エチルヘキサノエート、ジデカノエートなどが挙げられる。これらは1種または複数種併せて用いることができる。
本発明の架橋性ゴム組成物には、混合ゴム以外のゴムを配合してもよい。
このようなゴムとしては、アクリルゴム、エチレン−アクリル酸共重合体ゴム、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム、ポリブタジエンゴム、エチレン−プロピレン共重合体ゴム、エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体ゴム、エピクロロヒドリンゴム、フッ素ゴム、ウレタンゴム、クロロプレンゴム、シリコーンゴム、天然ゴム、ポリイソプレンゴムなどが挙げられる。
混合ゴム以外のゴムを配合する場合における、架橋性ゴム組成物中の配合量は、混合ゴム100重量部に対して、好ましくは30重量部以下、より好ましくは20重量部以下、さらに好ましくは10重量部以下である。
また、本発明の架橋性ゴム組成物は、上記各成分を好ましくは非水系で混合することで調製される。本発明の架橋性ゴム組成物を調製する方法に限定はないが、通常、架橋剤および熱に不安定な成分を除いた成分を、バンバリーミキサ、インターミキサ、ニーダなどの混合機で一次混練した後、オープンロールなどに移して架橋剤や熱に不安定な成分を加えて二次混練することにより調製できる。なお、一次混練は、通常、10〜200℃、好ましくは30〜180℃の温度で、1分間〜1時間、好ましくは1分間〜30分間行い、二次混練は、通常、10〜90℃、好ましくは20〜60℃の温度で、1分間〜1時間、好ましくは1分間〜30分間行う。
<ゴム架橋物>
本発明のゴム架橋物は、上述した本発明の架橋性ゴム組成物を架橋してなるものである。
本発明のゴム架橋物は、本発明の架橋性ゴム組成物を用い、所望の形状に対応した成形機、たとえば、押出機、射出成形機、圧縮機、ロールなどにより成形を行い、加熱することにより架橋反応を行い、架橋物として形状を固定化することにより製造することができる。この場合においては、予め成形した後に架橋しても、成形と同時に架橋を行ってもよい。成形温度は、通常、10〜200℃、好ましくは25〜120℃である。架橋温度は、通常、100〜200℃、好ましくは130〜190℃であり、架橋時間は、通常、1分〜24時間、好ましくは2分〜1時間である。
また、架橋物の形状、大きさなどによっては、表面が架橋していても内部まで十分に架橋していない場合があるので、さらに加熱して二次架橋を行ってもよい。
加熱方法としては、プレス加熱、スチーム加熱、オーブン加熱、熱風加熱などのゴムの架橋に用いられる一般的な方法を適宜選択すればよい。
このようにして得られる本発明のゴム架橋物は、上述した本発明の混合ゴムを含有する架橋性ゴム組成物を架橋して得られるものであり、常態物性に優れるものである。
このため、本発明のゴム架橋物は、このような特性を活かし、O−リング、パッキン、ダイアフラム、オイルシール、シャフトシール、ベアリングシール、ウェルヘッドシール、ショックアブソーバシール、ロングライフクーラント(LLC)など冷却液の密封用シールであるクーラントシールやオイルクーラントシール、空気圧機器用シール、エアコンディショナの冷却装置や空調装置の冷凍機用コンプレッサに使用されるフロン若しくはフルオロ炭化水素または二酸化炭素の密封用シール、精密洗浄の洗浄媒体に使用される超臨界二酸化炭素または亜臨界二酸化炭素の密封用シール、転動装置(転がり軸受、自動車用ハブユニット、自動車用ウォーターポンプ、リニアガイド装置およびボールねじ等)用のシール、バルブおよびバルブシート、BOP(Blow Out Preventer)、プラターなどの各種シール材;インテークマニホールドとシリンダヘッドとの連接部に装着されるインテークマニホールドガスケット、シリンダブロックとシリンダヘッドとの連接部に装着されるシリンダヘッドガスケット、ロッカーカバーとシリンダヘッドとの連接部に装着されるロッカーカバーガスケット、オイルパンとシリンダブロックあるいはトランスミッションケースとの連接部に装着されるオイルパンガスケット、正極、電解質板および負極を備えた単位セルを挟み込む一対のハウジング間に装着される燃料電池セパレーター用ガスケット、ハードディスクドライブのトップカバー用ガスケットなどの各種ガスケット;印刷用ロール、製鉄用ロール、製紙用ロール、工業用ロール、事務機用ロールなどの各種ロール;平ベルト(フィルムコア平ベルト、コード平ベルト、積層式平ベルト、単体式平ベルト等)、Vベルト(ラップドVベルト、ローエッジVベルト等)、Vリブドベルト(シングルVリブドベルト、ダブルVリブドベルト、ラップドVリブドベルト、背面ゴムVリブドベルト、上コグVリブドベルト等)、CVT用ベルト、タイミングベルト、歯付ベルト、コンベアーベルト、などの各種ベルト;燃料ホース、ターボエアーホース、オイルホース、ラジェターホース、ヒーターホース、ウォーターホース、バキュームブレーキホース、コントロールホース、エアコンホース、ブレーキホース、パワーステアリングホース、エアーホース、マリンホース、ライザー、フローラインなどの各種ホース;CVJブーツ、プロペラシャフトブーツ、等速ジョイントブーツ、ラックアンドピニオンブーツなどの各種ブーツ;クッション材、ダイナミックダンパ、ゴムカップリング、空気バネ、防振材、クラッチフェーシング材などの減衰材ゴム部品;ダストカバー、自動車内装部材、タイヤ、被覆ケーブル、靴底、電磁波シールド、フレキシブルプリント基板用接着剤等の接着剤、燃料電池セパレーターの他、エレクトロニクス分野など幅広い用途に使用することができる。これらの中でも、ロール、ベルト、ホースに好適に使用できる。
以下に、実施例および比較例を挙げて本発明を具体的に説明する。以下において、特記しない限り「部」は重量基準である。なお、試験、評価は以下によった。
(促進劣化試験)
実施例および比較例で得られた混合ゴム(比較例2の場合は乾燥された共重合体A)を、50℃の試験ロールに10回素通しして、ムーニー粘度測定用のシートを作成した。このシートを用いて、ムーニー粘度を測定した。また、表1に記載した各温度に保たれた空気循環式オーブンに、このシートを7日間保管し、再度50℃の試験ロールに10回素通しして、シートを作成し、このシートを用いて、ムーニー粘度を測定した。保管前後のムーニー粘度の差をΔMLとした。
また、ムーニー粘度測定用のシートを室温で7日間密封保管したものと、ムーニー粘度測定用のシートをオーブン中で7日間保管したものとを目視で観察し、促進劣化試験後の色調変化を評価した。
(常態物性の測定)
実施例および比較例で得られたシートを用いて、ダンベル状3号形の試験片を打ち抜き、これを用いてJIS K6251に準じて、引張速度500mm/分で、引張強さ(TS)、伸び(EB)および100%引張応力(M100)を測定した。
(耐油性の試験)
実施例および比較例で得られたシートを用いて、JIS K6258に従い、試験片を作成し、120℃の試験油IRM903に試験片を70時間浸せきした後、浸せき前後の体積の変化率(ΔV)を求めた。
(結合アクリロニトリル量の分析)
アクリロニトリル−ブタジエン共重合体(本明細書において、「NBR」ということがある)を酸素雰囲気下で完全燃焼させ、その後窒素酸化物を窒素ガスに還元し、熱伝導度検出器(TCD)ガスクロマトグラフにより生成窒素ガスを定量し、その量から結合アクリロニトリル量(B−VCN)を算出した。
(結合スチレン量の分析)
スチレン−ブタジエン共重合体(本明細書において、「SBR」ということがある)ラテックスをエタノールで凝固し、次いでポリマーを溶解、再凝固して精製したポリマーの屈折率を求め、結合スチレン量を算出した。屈折率はアッベ屈折率計を用いて測定した。
NBRラテックスAの製造
オートクレーブに、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム3.2部、イオン交換水270部、アクリロニトリル32部、t−ドデシルメルカプタン0.4部を順次仕込んだ。反応器内部を窒素で置換した後、1,3−ブタジエン68部を封入した。反応器を12℃に冷却して、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド0.01部、硫酸第一鉄0.01部を添加した。次に反応器を12℃に保ったまま撹拌し内容物をよく混合した。重合転化率50%に到達した段階でアクリロニトリル4部を追添加し更に反応を進行させた。反応開始から16時間後に、反応器内へ10%のN,N−ジエチルヒドロキシルアミン水溶液を5部添加して重合停止させた。重合転化率は79%であった。その重合反応液から未反応単量体を除去し、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体ラテックスAを得た。この共重合体の結合アクリロニトリル量は33.0重量%であった。したがって、この共重合体は、33.0重量%のアクリロニトリル単位と、67.0重量%の1,3−ブタジエン単位とを含有していた。
NBRラテックスBの製造
オートクレーブに、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム3.8部、イオン交換水300部、アクリロニトリル51部、t−ドデシルメルカプタン0.5部を順次仕込んだ。反応器内部を窒素で置換した後、1,3−ブタジエン49部を封入した。反応器を12℃に冷却して、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド0.01部、硫酸第一鉄0.01部を添加した。次に反応器を12℃に保ったまま撹拌し内容物をよく混合した。重合転化率60%に到達した段階で1,3−ブタジエン10部を追添加し更に反応を進行させた。反応開始から16時間後に、反応器内へ10%のN,N−ジエチルヒドロキシルアミン水溶液を5部添加して重合停止させた。重合転化率は84%であった。その重合反応液から未反応単量体を除去し、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体ラテックスBを得た。この共重合体の結合アクリロニトリル量は40.0重量%であった。したがって、この共重合体は、40.0重量%のアクリロニトリル単位と、60.0重量%の1,3−ブタジエン単位とを含有していた。
NBRラテックスCの製造
オートクレーブに、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム3.0部、イオン交換水270部、アクリロニトリル23.5部、t−ドデシルメルカプタン0.4部を順次仕込んだ。反応器内部を窒素で置換した後、1,3−ブタジエン76.5部を封入した。反応器を12℃に冷却して、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド0.01部、硫酸第一鉄0.01部を添加した。次に反応器を12℃に保ったまま撹拌し内容物をよく混合した。重合転化率40%に到達した段階でアクリロニトリル5部を追添加し更に反応を進行させた。反応開始から16時間後に、反応器内へ10%のN,N−ジエチルヒドロキシルアミン水溶液を5部添加して重合停止させた。重合転化率は78%であった。その重合反応液から未反応単量体を除去し、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体ラテックスCを得た。この共重合体の結合アクリロニトリル量は28.0重量%であった。したがって、この共重合体は、28.0重量%のアクリロニトリル単位と、72.0重量%の1,3−ブタジエン単位とを含有していた。
SBRラテックスの製造
オートクレーブに、トール油脂肪酸カリウム3.6部、イオン交換水170部、スチレン28.5部、t−ドデシルメルカプタン0.1部を順次仕込んだ。反応器内部を窒素で置換した後、1,3−ブタジエン71.5部を封入した。反応器を12℃に冷却して、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド0.06部、硫酸第一鉄0.01部を添加した。次に反応器を12℃に保ったまま撹拌し内容物をよく混合した。反応開始から14時間後に、反応器内へ10%のN,N−ジエチルヒドロキシルアミン水溶液を5部添加して重合停止させた。重合転化率は70%であった。その重合反応液から未反応単量体を除去し、スチレン−ブタジエン共重合体ラテックスを得た。この共重合体の結合スチレン量は23.5重量%であった。したがって、この共重合体は、23.5重量%のスチレン単位と、76.5重量%の1,3−ブタジエン単位とを含有していた。
実施例1
(ラテックスの凝固)
アクリロニトリル−ブタジエン共重合体ラテックスAとスチレン−ブタジエン共重合体ラテックスを、共重合体の組成比(固形分の重量比)で99.0:1.0の比率となるよう混合した。この混合ラテックスにヒンダートフェノール系酸化防止剤である4,6−ビス(オクチルチオメチル)−o−クレゾールを共重合体100部に対して0.33部となるよう添加し混合した。他方、軟水に塩化カルシウムを3.5%濃度で溶解した塩化カルシウム水溶液を用意し、水溶液を撹拌しながら、前記共重合体量が塩化カルシウムとの比で100:3.5となるように添加混合し、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体Aとスチレン−ブタジエン共重合体の混合凝固物を得た。
(凝固物の洗浄乾燥)
得られた凝固物を固液分離し、軟水で洗浄を行った後脱水し、機内温度が60℃に保たれた真空乾燥機で18時間乾燥し、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体Aとスチレン−ブタジエン共重合体の混合ゴムAを得た。混合ゴム中の共重合体の単量体組成を表1に示す。なお、混合ゴム中の共重合体の単量体組成は、混合ゴムの調製に用いた各共重合体の単量体組成から、計算により求めた。
(ゴム組成物の調製)
混合ゴムA100重量部、ステアリン酸1重量部、酸化亜鉛(亜鉛華1号、正同化学工業社製)5重量部、カーボンブラック(リーガルSRF、CABOT社製)60部、ジブチルジグリコールアジペート(アデカサイザーRS−107、アデカ社製、可塑剤)5部をバンバリーで、50℃に制御しながら5分間混練した。その後、硫黄(325メッシュ通過品)0.5部、テトラメチルチウラムジスルフィド(加硫促進剤)1.5部、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(加硫促進剤)0.2部を50℃でロール混練して、ゴム組成物を調製した。このゴム組成物を、160℃、20分、プレス圧10MPaでプレス加硫を行い、厚さ2mmのシートを得、各試験片を作製した後、各種物性を測定した。結果を表1に示す。
実施例2
(ラテックスの凝固)
未反応単量体を除去したアクリロニトリル−ブタジエン共重合体ラテックスAとスチレン−ブタジエン共重合体ラテックスを共重合体の組成比で99.9:0.1の比率となるよう混合した。この混合ラテックスにヒンダートフェノール系酸化防止剤である4,6−ビス(オクチルチオメチル)−o−クレゾールを共重合体100部に対して0.33部となるよう添加し混合した。他方、軟水に塩化カルシウムを3.5%濃度で溶解した塩化カルシウム水溶液を用意し、水溶液を撹拌しながら、前記共重合体量が塩化カルシウムとの比で100:3.5となるように添加混合し、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体Aとスチレン−ブタジエン共重合体の混合凝固物を得た。
(凝固物の洗浄乾燥)
得られた凝固物を固液分離し、軟水で洗浄を行った後脱水し、機内温度が60℃に保たれた真空乾燥機で18時間乾燥し、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体Aとスチレン−ブタジエン共重合体の混合ゴムBを得た。
(ゴム組成物の調製)
混合ゴムAに代えて、混合ゴムBを用いた以外は、実施例1と同様にして、ゴム組成物を調製し、実施例1と同様に評価した。結果を表1に示す。
実施例3
(ラテックスの凝固)
未反応単量体を除去したアクリロニトリル−ブタジエン共重合体ラテックスAとスチレン−ブタジエン共重合体ラテックスを共重合体の組成比で97.0:3.0の比率となるよう混合した。この混合ラテックスにヒンダートフェノール系酸化防止剤である4,6−ビス(オクチルチオメチル)−o−クレゾールを共重合体100部に対して0.33部となるよう添加し混合した。他方、軟水に塩化カルシウムを3.4%濃度で溶解した塩化カルシウム水溶液を用意し、水溶液を撹拌しながら、前記共重合体量が塩化カルシウムとの比で100:3.4となるように添加混合し、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体Aとスチレン−ブタジエン共重合体の混合凝固物を得た。
(凝固物の洗浄乾燥)
得られた凝固物を固液分離し、軟水で洗浄を行った後脱水し、機内温度が60℃に保たれた真空乾燥機で18時間乾燥し、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体Aとスチレン−ブタジエン共重合体の混合ゴムCを得た。
(ゴム組成物の調製)
混合ゴムAに代えて、混合ゴムCを用いた以外は、実施例1と同様にして、ゴム組成物を調製し、実施例1と同様に評価した。結果を表1に示す。
実施例4
(ラテックスの凝固)
未反応単量体を除去したアクリロニトリル−ブタジエン共重合体ラテックスBとスチレン−ブタジエン共重合体ラテックスを共重合体の組成比で97.0:3.0の比率となるよう混合した。この混合ラテックスにヒンダートフェノール系酸化防止剤である4,6−ビス(オクチルチオメチル)−o−クレゾールを共重合体100部に対して0.33部となるよう添加し混合した。他方、軟水に塩化カルシウムを3.4%濃度で溶解した塩化カルシウム水溶液を用意し、水溶液を撹拌しながら、前記共重合体量が塩化カルシウムとの比で100:3.4となるように添加混合し、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体Bとスチレン−ブタジエン共重合体の混合凝固物を得た。
(凝固物の洗浄乾燥)
得られた凝固物を固液分離し、軟水で洗浄を行った後脱水し、機内温度が60℃に保たれた真空乾燥機で18時間乾燥し、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体Bとスチレン−ブタジエン共重合体の混合ゴムDを得た。
(ゴム組成物の調製)
混合ゴムAに代えて、混合ゴムDを用いた以外は、実施例1と同様にして、ゴム組成物を調製し、実施例1と同様に評価した。結果を表1に示す。
実施例5
(ラテックスの凝固)
未反応単量体を除去したアクリロニトリル−ブタジエン共重合体ラテックスCとスチレン−ブタジエン共重合体ラテックスを共重合体の組成比で99.5:0.5の比率となるよう混合した。この混合ラテックスにヒンダートフェノール系酸化防止剤である4,6−ビス(オクチルチオメチル)−o−クレゾールを共重合体100部に対して0.33部となるよう添加し混合した。他方、軟水に塩化カルシウムを3.5%濃度で溶解した塩化カルシウム水溶液を用意し、水溶液を撹拌しながら、前記共重合体量が塩化カルシウムとの比で100:3.5となるように添加混合し、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体Cとスチレン−ブタジエン共重合体の混合凝固物を得た。
(凝固物の洗浄乾燥)
得られた凝固物を固液分離し、軟水で洗浄を行った後脱水し、機内温度が60℃に保たれた真空乾燥機で18時間乾燥し、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体Cとスチレン−ブタジエン共重合体の混合ゴムEを得た。
(ゴム組成物の調製)
混合ゴムAに代えて、混合ゴムEを用いた以外は、実施例1と同様にして、ゴム組成物を調製し、実施例1と同様に評価した。結果を表1に示す。
比較例1
(ラテックスの凝固)
未反応単量体を除去したアクリロニトリル−ブタジエン共重合体ラテックスAとスチレン−ブタジエン共重合体ラテックスを共重合体の組成比で95.0:5.0の比率となるよう混合した。この混合ラテックスにヒンダートフェノール系酸化防止剤である4,6−ビス(オクチルチオメチル)−o−クレゾールを共重合体100部に対して0.33部となるよう添加し混合した。他方、軟水に塩化カルシウムを3.5%濃度で溶解した塩化カルシウム水溶液を用意し、水溶液を撹拌しながら、前記共重合体量が塩化カルシウムとの比で100:3.5となるように添加混合し、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体Aとスチレン−ブタジエン共重合体の混合凝固物を得た。
(凝固物の洗浄乾燥)
得られた凝固物を固液分離し、軟水で洗浄を行った後脱水し、機内温度が60℃に保たれた真空乾燥機で18時間乾燥し、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体Aとスチレン−ブタジエン共重合体の混合ゴムFを得た。
(ゴム組成物の調製)
混合ゴムAに代えて、混合ゴムFを用いた以外は、実施例1と同様にして、ゴム組成物を調製し、実施例1と同様に評価した。結果を表1に示す。
比較例2
(ラテックスの凝固)
アクリロニトリル−ブタジエン共重合体ラテックスAに、ヒンダートフェノール系酸化防止剤である4,6−ビス(オクチルチオメチル)−o−クレゾールを共重合体100部に対して0.33部となるよう添加し混合した。他方、軟水に塩化カルシウムを3.5%濃度で溶解した塩化カルシウム水溶液を用意し、水溶液を撹拌しながら、前記共重合体量が塩化カルシウムとの比で100:3.5となるように添加混合し、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体Aの凝固物を得た。
(凝固物の洗浄乾燥)
得られた凝固物を固液分離し、軟水で洗浄を行った後脱水し、機内温度が60℃に保たれた真空乾燥機で18時間乾燥し、乾燥されたアクリロニトリル−ブタジエン共重合体Aを得た。
(ゴム組成物の調製)
混合ゴムAに代えて、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体Aを用いた以外は、実施例1と同様にして、ゴム組成物を調製し、実施例1と同様に評価した。結果を表1に示す。
Figure 2020084162
(表1中、「AN」は「アクリロニトリル単位」を表し、「ST」は「スチレン単位」を表し、「BD」は「1,3−ブタジエン単位」を表す。四捨五入により、各単量体単位の含有量の合計が100%にならないことがある。)
表1に記載の結果から、ニトリルゴム(A)および共役ジエンゴム(B)を含有する混合ゴムであって、芳香族ビニル単量体単位の含有割合が、混合ゴム中のニトリルゴム(A)および共役ジエンゴム(B)を構成する全単量体単位に対して、0.01〜1.00重量%である混合ゴムは、高温で保管した場合であっても、色調およびムーニー粘度が変化しておらず、劣化しにくいことが分かった。また、得られる架橋物は、常態物性および耐油性に優れることが分かった(実施例1〜5)。
一方、混合ゴム中の芳香族ビニル単量体単位の含有割合が多すぎる場合には、十分な引張強さおよび耐油性を有するゴム架橋物を得ることができないことが分かった(比較例1)。また、混合ゴム中の芳香族ビニル単量体単位の含有割合が少なすぎる場合には、混合ゴムを高温で保管することによって、色調およびムーニー粘度が大きく上昇することが分かった(比較例2)。

Claims (4)

  1. α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体単位および共役ジエン単量体単位を含有するニトリルゴム(A)と、芳香族ビニル単量体単位および共役ジエン単量体単位を含有する共役ジエンゴム(B)と、を含有し、
    ニトリルゴム(A)および共役ジエンゴム(B)を構成する全単量体単位に対して、芳香族ビニル単量体単位の含有割合が、0.01〜1.00重量%である混合ゴム。
  2. 請求項1に記載の混合ゴムおよび架橋剤を含有する架橋性ゴム組成物。
  3. 請求項2に記載の架橋性ゴム組成物を架橋して得られるゴム架橋物。
  4. 請求項1に記載の混合ゴムの製造方法であって、
    前記ニトリルゴム(A)を含有するラテックスおよび前記共役ジエンゴム(B)を含有するラテックスを混合することにより、ラテックス混合物を得る工程と、
    前記ラテックス混合物中の前記ニトリルゴム(A)および前記共役ジエンゴム(B)を凝固させることにより、前記混合ゴムを得る工程と、
    を含む製造方法。
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