JP2013166821A - ディップ成形用組成物及びディップ成形品 - Google Patents

ディップ成形用組成物及びディップ成形品 Download PDF

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Toshihito Aihara
俊仁 相原
Tetsuya Akaha
徹也 赤羽
Naohiro Igari
直広 伊賀利
Akira Kitagawa
昌 北川
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Abstract

【課題】
引張強度や伸びなどの機械的特性が良好で、かつ、帯電防止効果に優れたディップ成形品を与えることのできるディップ成形用組成物を提供することを目的とする。
【解決手段】
エピハロヒドリン重合体(A)及びニトリル基含有共重合体ゴム(B)を含有してなるディップ成形用組成物を提供する。
この場合において、エピハロヒドリン重合体(A)が、エピハロヒドリン、アルキレンオキシド及び不飽和エポキシドの共重合体、又は、エピハロヒドリンと不飽和エポキシドの共重合体であることが好ましい。
【選択図】なし

Description

本発明は、ディップ成形用組成物及びディップ成形品に関する。更に詳しくは、クリーンルーム内で使用される手袋等の用途に好適な、機械的強度及び帯電防止性に優れたディップ成形品及びこれを得るためのディップ成形用組成物に関する。
精密電子部品に対する各種要求性能が厳しくなるにつれ、これらを製造し又は使用するクリーンルーム内で使用する各種用品に対しても、要求される清浄度や帯電防止性等のレベルが更に高まっている。
クリーンルーム内で作業者が電子部品を扱う際に使用する手袋としては、従来、天然ゴムやアクリロニトリル−ブタジエン共重合体のラテックスをディップ成形したゴム手袋を、純水や超純水で洗浄して、ゴミや埃等を取り除いた手袋が用いられている。
しかしながら、天然ゴムやアクリロニトリル−ブタジエン共重合体は、本質的に高い電気絶縁性を有する上、純水や超純水で洗浄することにより、帯電防止効果のあるイオン性の物質が除去される。このため、これらの重合体で作製された手袋は、作業中に帯電し静電気を発生して精密電子部品や半導体部品に悪影響を及ぼすという問題がある。
この帯電防止効果の向上のため、特許文献1には、エピクロロヒドリン−エチレンオキシド−アリルグリシジルエーテル共重合体や、エピクロロヒドリン−アリルグリシジルエーテル共重合体からなるディップ成形用組成物が開示されている。
しかしながら、これらのディップ成形用組成物から得られるディップ成形品は、表面電気抵抗率が低く、帯電防止効果は改善されるものの、引張強度や伸びなどの機械的特性が十分ではないという問題があった。
特開2008−231136号公報
本発明は、引張強度や伸びなどの機械的特性が良好で、かつ、帯電防止効果に優れたディップ成形品を与えることのできるディップ成形用組成物を提供することを目的とする。また、本発明は、このようなディップ成形用組成物をディップ成形して得られるディップ成形品を提供することも目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、エピハロヒドリン重合体と、ニトリル基含有共重合体ゴムとを含有してなるディップ成形用組成物により、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明によれば、エピハロヒドリン重合体(A)及びニトリル基含有共重合体ゴム(B)を含有してなるディップ成形用組成物が提供される。
そして、前記エピハロヒドリン重合体(A)が、エピハロヒドリン、アルキレンオキシド及び不飽和エポキシドの共重合体、又は、エピハロヒドリンと不飽和エポキシドの共重合体であることが好ましい。
さらに、上記アルキレンオキシドが、エチレンオキシドであることが好ましい。
なお、上記エピハロヒドリンがエピクロロヒドリンであることが好ましい。
そして、上記ニトリル基含有共重合体ゴム(B)が、エチレン性不飽和ニトリル単量体、共役ジエン単量体及びエチレン性不飽和酸単量体との共重合体であることが好ましい。
また、本発明のディップ成形用組成物は、更に、架橋剤を含有してなることが好ましい。
そして、本発明のディップ成形品は、上記のディップ成形用組成物を、ディップ成形してなる。
本発明によれば、引張強度や伸びなどの機械的特性が良好で、かつ、帯電防止効果に優れたディップ成形品を与えるディップ成形用組成物を提供することができる。また、本発明によれば、このようなディップ成形用組成物をディップ成形して得られるディップ成形品を提供することができる。
本発明のディップ成形用組成物は、エピハロヒドリン重合体(A)及びニトリル基含有共重合体ゴム(B)を含有してなる。
エピハロヒドリン重合体(A)
本発明で用いるエピハロヒドリン重合体(A)は、エピハロヒドリン単位を必須構成単量体単位として含有する重合体であり、エピハロヒドリンの単独重合体若しくは共重合体又はエピハロヒドリンとこれと共重合可能な単量体との共重合体である。
エピハロヒドリンとしては、エピクロロヒドリン、エピブロモヒドリン、エピヨードヒドリン、2−メチルエピクロロヒドリン、2−メチルエピブロモヒドリン、2−エチルエピクロロヒドリン等が挙げられるが、本発明の効果がより一層顕著になることから、エピクロロヒドリンが好ましい。これらのエピハロヒドリンは、1種単独でも、2種以上を併用してもよい。
エピハロヒドリンと共重合可能な単量体としては、アルキレンオキシド及び不飽和エポキシドが好ましい。アルキレンオキシド及び不飽和エポキシドは、ハロゲン原子等の置換基を有するものであってもよい。
アルキレンオキシドの具体例としては、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、1,2−エポキシブタン、1,2−エポキシ−4−クロロペンタン、1,2−エポキシヘキサン、1,2−エポキシオクタン、1,2−エポキシデカン、1,2−エポキシオクタデカン、1,2−エポキシエイコサン、1,2−エポキシイソブタン、2,3−エポキシイソブタン等の直鎖又は分岐鎖状アルキレンオキシド;1,2−エポキシクロロペンタン、1,2−エポキシシクロヘキサン、1,2−エポキシシクロドデカン等の環状アルキレンオキシド;等が挙げられるが、本発明の効果がより一層顕著になることから、直鎖又は分岐鎖状アルキレンオキシドが好ましく、エチレンオキシド及びプロピレンオキシドがより好ましく、エチレンオキシドが特に好ましい。
これらのアルキレンオキシドは、1種単独でも、2種以上を併用してもよい。
不飽和エポキシドの具体例としては、ビニルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、o−アリルフェニルグリシジルエーテル等の不飽和グリシジルエーテル;ブタジエンエポキシド、クロロプレンエポキシド、4,5−エポキシ−2−ペンテン、エポキシ−1−ビニルシクロヘキセン、1,2−エポキシ−5,9−シクロドデカジエン等のジエンモノエポキシド;グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、グリシジルクロトネート、グリシジル−4−ヘプテネート、グリシジルソルベート、グリシジルリノレート、3−シクロヘキセンカルボン酸グリシジルエステル、4−メチル−3−シクロヘキセンカルボン酸グリシジルエステル、グリシジル−4−メチル−3−ペンテネート等のエチレン性不飽和カルボン酸のグリシジルエステル;等が挙げられるが、本発明の効果がより一層顕著になることから、不飽和グリシジルエーテルが好ましく、アリルグリシジルエーテルが特に好ましい。これらの不飽和エポキシドは、1種単独でも、2種以上を併用してもよい。
また、本発明で用いるエピハロヒドリン重合体(A)は、本発明の効果がより一層顕著になることから、エピハロヒドリン、アルキレンオキシド及び不飽和エポキシドの共重合体(以下、「GECO」と略すことがある。)、又は、エピハロヒドリンと不飽和エポキシドの共重合体(以下、「GCO」と略すことがある。)が好ましい。なお、GECOとGCOは併用して用いても良い。
エピハロヒドリン重合体(A)において、これを構成する全単量体単位に対するエピハロヒドリン単量体単位の含有比率は、特に限定されないが、好ましくは20〜100重量%、より好ましくは30〜87重量%、特に好ましくは40〜80重量%である。エピハロヒドリン単量体単位含有量が少なすぎると、この重合体を用いて得られるディップ成形品の吸湿性が高くなり、ディップ成形品として適さなくなる恐れがある。
エピハロヒドリン重合体(A)において、これを構成する全単量体単位に対するアルキレンオキシド単量体単位の含有比率は、特に限定されないが、好ましくは0〜80重量%、より好ましくは10〜60重量%、特に好ましくは15〜50重量%である。アルキレンオキシド単量体単位含有量を上記範囲内とすることにより、表面電気抵抗率と吸湿性とのバランスに優れるディップ成形品が得られ易い。
エピハロヒドリン重合体(A)において、これを構成する全単量体単位に対する不飽和エポキシド単量体単位の含有比率は、特に限定されないが、好ましくは0〜30重量%、より好ましくは3〜25重量%、特に好ましくは5〜20重量%である。不飽和エポキシド単量体単位含有量を上記範囲内とすることにより、強度と伸びのバランスに優れるディップ成形品が得られ易い。
エピハロヒドリン重合体(A)のムーニー粘度(ML1+4,100℃)は、10〜200が好ましく、20〜150が特に好ましい。
ムーニー粘度が低すぎると、ディップ成形品の強度が低くなる場合があり、逆に高すぎると、溶解した時の粘度が高くなり、操作性が落ちる恐れがある。
エピハロヒドリン重合体(A)の製造方法は、特に限定されず、特公昭35−15797号公報や特公昭56−51171号公報に記載されているような、均一系触媒を用いた方法や、特公昭43−2945号公報や特公昭45−7751号公報に記載されているような不均一系の触媒を用いた方法等を用いることができる。
また、エピハロヒドリン重合体(A)としては、市販されているものを使用することもできる
ニトリル基含有共重合体ゴム(B)
本発明で用いるニトリル基含有共重合体ゴム(B)は、共役ジエン単量体、エチレン性不飽和ニトリル単量体、および、所望により、これらと共重合可能なエチレン性不飽和酸単量体および/またはその他のエチレン性不飽和単量体を共重合して得られる共重合体ゴムである。
共役ジエン単量体は、特に限定されず、例えば、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−エチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエンおよびクロロプレンなどを挙げることができるが、1,3−ブタジエン及びイソプレンが好ましく、1,3−ブタジエンが特に好ましい。これらの共役ジエン単量体は、1種単独でも、2種以上を併用してもよい。
共役ジエン単量体の使用量は、共重合に使用する全単量体合計量の30〜90重量%が好ましく、40〜79重量%が特に好ましい。共役ジエン単量体の使用量が少なすぎるとディップ成形品の風合いが硬くなり易く、逆に多すぎるとディップ成形品の耐油性が悪くなるとともに、引張強度及び引裂強度が低下する傾向がある。
エチレン性不飽和ニトリル単量体は、特に限定されず、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、フマロニトリル、α−クロロアクリロニトリル、α−シアノエチルアクリロニトリルなどを挙げることができるが、アクリロニトリルが好ましい。これらのエチレン性不飽和ニトリル単量体は、1種単独でも、2種以上を併用してもよい。
エチレン性不飽和ニトリル単量体の使用量は、共重合に使用する全単量体合計量の10〜50重量%が好ましく、20〜50重量%が特に好ましい。エチレン性不飽和ニトリル単量体の使用量が少なすぎるとディップ成形品の耐油性が悪くなり易く、逆に多すぎるとディップ成形品の風合いが硬くなる傾向がある。
本発明で用いるニトリル基含有共重合体ゴム(B)は、本発明の効果がより一層顕著になることから、共役ジエン単量体、エチレン性不飽和ニトリル単量体、及び、これらと共重合可能なエチレン性不飽和酸単量体の共重合体であることが好ましい。
エチレン性不飽和酸単量体としては、カルボキシル基、スルホン酸基、酸無水物基などの酸性基を含有するエチレン性不飽和酸単量体が挙げられる。
その具体例としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸などのエチレン性不飽和カルボン酸単量体;無水マレイン酸、無水シトラコン酸などの不飽和多価カルボン酸の無水物;スチレンスルホン酸などのエチレン性不飽和スルホン酸単量体;フマル酸モノブチル、マレイン酸モノブチル、マレイン酸モノ2−ヒドロキシプロピルなどのエチレン性不飽和多価カルボン酸部分エステル単量体;などを挙げることができるが、本発明の効果がより一層顕著になることから、エチレン性不飽和カルボン酸単量体が好ましく、アクリル酸及びメタクリル酸がより好ましく、メタクリル酸が特に好ましい。これらのエチレン性不飽和酸単量体は1種単独でも、2種以上を併用してもよい。
なお、これらのエチレン性不飽和酸単量体はアルカリ金属塩またはアンモニウム塩として用いることもできる。
エチレン性不飽和酸単量体の使用量は、共重合に使用する全単量体合計量の0〜20重量%が好ましく、1〜10重量%が特に好ましい。エチレン性不飽和酸単量体の使用量が多すぎると、ディップ成形品の引裂強度が低くなるとともに、風合いが硬くなる傾向がある。一方、エチレン性不飽和酸単量体の使用量が少なすぎると、ディップ成形用組成物の保存安定性が低下する可能性がある。
所望により用いられる、その他のエチレン性不飽和単量体としては、例えば、スチレン、メチルスチレン、ビニルナフタレンなどのビニル芳香族単量体;(メタ)アクリル酸メチル(「アクリル酸メチル及びメタクリル酸メチル」を表す。以下、同様。)、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸トリフルオロエチル、(メタ)アクリル酸テトラフルオロプロピル、マレイン酸ジブチル、フマル酸ジブチル、マレイン酸ジエチル、(メタ)アクリル酸メトキシメチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチル、(メタ)アクリル酸メトキシエトキシエチル、(メタ)アクリル酸シアノメチル、(メタ)アクリル酸2−シアノエチル、(メタ)アクリル酸1−シアノプロピル、(メタ)アクリル酸2−エチル−6−シアノヘキシル、(メタ)アクリル酸3−シアノプロビル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、グリシジル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートなどのエチレン性不飽和カルボン酸エステル単量体(エチレン性不飽和酸単量体を除く。);フルオロエチルビニルエーテルなどのフルオロアルキルビニルエーテル;(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチロール(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−プロポキシメチル(メタ)アクリルアミドなどのエチレン性不飽和アミド単量体;ビニルピリジン;ビニルノルボルネン、ジシクロペンタジエン、1,4−ヘキサジエンなどの非共役ジエン単量体;などを挙げることができる。これらのエチレン性不飽和単量体は1種単独で、または2種以上を併用しても良い。
所望により用いられる、その他のエチレン性不飽和単量体の使用量は、通常、共重合に使用する全単量体合計量の20重量%以下であり、好ましくは10重量%以下である。
本発明で用いるニトリル基含有共重合体ゴム(B)の分子量は格別限定されないが、ポリスチレン換算重量平均分子量(以下、単に「分子量」という。)として50,000〜500,000であることが好ましく、より好ましくは80,000〜200,000である。重量平均分子量が小さ過ぎるとディップ成形品の引張強度が低くなる傾向があり、逆に大き過ぎるとディップ成形品の風合いが硬くなる場合がある。
本発明で用いるニトリル基含有共重合体ゴム(B)の製造は、好ましくは、従来公知の乳化重合法で行われる。乳化重合する際の重合温度は限定されないが、特に40℃以下で行うとニトリル基含有共重合体ゴム(B)のラテックスを安定に製造することができ、しかも、機械的強度が高く、風合いが柔らかなディップ成形品が得られ易いので好ましい。
乳化重合に際して、単量体を添加する方法は特に限定されず、単量体混合物を重合反応器に一括して仕込む方法、単量体混合物を重合反応器に連続的に供給する方法、単量体混合物の一部を重合反応器に仕込み、残りの単量体を重合反応器に連続的に供給する方法などのいずれを採用してもよい。
乳化重合に使用される乳化剤は、従来公知のものを用いれば良い。その具体例としては、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムなどのアニオン性乳化剤;ポリオキシエチレンアルキルエーテルなどの非イオン性乳化剤;トリメチルアンモニウムクロライドなどのカチオン性乳化剤;などを挙げることができ、アニオン性乳化剤が好適に用いられる。
乳化剤の使用量は、使用する単量体混合物の全量に対して、0.1〜10重量%であることが好ましく、0.5〜5重量%であることが特に好ましい。
乳化重合に使用される重合開始剤は、例えば、過硫酸カリウム、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド等の従来公知の過酸化物を用いることができる。
重合開始剤の使用量は、単量体混合物に対して、0.01〜0.6重量%であることが好ましい。
乳化重合においては、ニトリル基含有共重合体ゴムの分子量を制御するために、t−ドデシルメルカプタン等の従来公知の連鎖移動剤を用いることが好ましい。
連鎖移動剤の使用量は、単量体混合物に対して、0.1〜1重量%であることが好ましい。
乳化重合においては、所定の転化率に達したときに重合停止剤を加えて重合を停止する。使用される重合停止剤は格別限定されるものではなく、従来から常用されているヒドロキシルアミン、ジメチルジチオカルバミン酸ナトリウムなどのアミン構造を有する停止剤を使用することができる。停止剤の使用量は格別限定されないが、通常は使用する単量体混合物の全量に対して0.1〜10重量部である。
重合を停止した後、所望により、加熱蒸留、減圧蒸留、水蒸気蒸留などの公知の方法を用いて未反応の単量体を除去することにより、ラテックス状態のニトリル基含有共重合体ゴム(B)を得ることができる。
また、ラテックス状態のニトリル基含有共重合体ゴム(B)の固形分濃度は、好ましくは10〜60重量%、特に好ましくは20〜50重量%である。
なお、ラテックス状態のニトリル基含有共重合体ゴム(B)から、ニトリル基含有共重合体ゴム(B)を取り出すには、ラテックス状態のニトリル基含有共重合体ゴム(B)と、塩化カルシウム等の従来公知の凝固剤を含む凝固液とを接触させることにより凝固させ、ろ過、洗浄、次いで乾燥することにより、ニトリル基含有共重合体ゴム(B)を得ることができる。
ディップ成形用組成物
本発明のディップ成形用組成物は、エピハロヒドリン重合体(A)及びニトリル基含有共重合体ゴム(B)を含有してなる。
ディップ成形用組成物中の、エピハロヒドリン重合体(A)及びニトリル基含有共重合体ゴム(B)の合計含有量は、本発明の効果がより一層顕著になることから、好ましくは10〜70重量%、特に好ましくは20〜50重量%である。
本発明のディップ成形用組成物中のエピハロヒドリン重合体(A)及びニトリル基含有共重合体ゴム(B)の含有割合は、重量比で、(エピハロヒドリン重合体(A)):(ニトリル基含有共重合体ゴム(B))=1:5〜5:1が好ましく、1:2〜2:1が特に好ましい。エピハロヒドリン重合体(A)及びニトリル基含有共重合体ゴム(B)の含有割合が上記範囲にある場合に、引張強度や伸びなどの機械的特性が良好で、かつ、帯電防止効果に優れたディップ成形品が得られやすい。
本発明のディップ成形用組成物は、エピハロヒドリン重合体(A)及びニトリル基含有共重合体ゴム(B)のほかに、架橋剤を含有することが好ましい。架橋剤を含有することにより、引張強度や伸びなどの機械的特性が良好なディップ成形品が得られ易くなる。
架橋剤は、エピハロヒドリン重合体(A)及び/又はニトリル基含有共重合体ゴム(B)を架橋できるものであれば特に限定されないが、その具体例としては、硫黄化合物、ジアジンチオール化合物、トリアジンチオール化合物等が挙げられる。
硫黄化合物の具体例としては、粉末硫黄、硫黄華、沈降硫黄、コロイド硫黄、表面処理硫黄、不溶性硫黄等が挙げられる。これらの硫黄化合物は、1種単独でも、2種以上を併用してもよい。
ジアジンチオール化合物の具体例としては、1,2−ジアジン−3,6−ジチオール、1,3−ジアジン−5,6−ジチオール、1,4−ジアジン−2,3−ジチオール、メチルアミノ−1,4−ジアジン−2,3−ジチオール、S,S−6−メチルキノキサリン−2,3−ジイルジチオカーボネート等が挙げられる。これらのジアジンチオール化合物は、1種単独でも、2種以上を併用してもよい。
トリアジンチオール化合物としては、1,3,5−トリアジンチオールの誘導体を挙げることができる。その具体例としては、1,3,5−トリアジンチオール、6−アニリノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジチオール、6−メチルアミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジチオール、6−プロピルアミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジチオール、6−ブチルアミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジチオール、6−ジブチルアミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジチオール、6−ヘキシルアミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジチオール、6−オクチルアミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジチオール、6−デシルアミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジチオール等が挙げられる。これらのトリアジンチオール化合物は、1種単独でも、2種以上を併用してもよい。
本発明のディップ成形用組成物において、架橋剤の含有量は、特に限定されないが、ディップ成形用組成物中のエピハロヒドリン重合体(A)及びニトリル基含有共重合体ゴム(B)の合計量に対して、好ましくは0.1〜10重量%、より好ましくは0.2〜5重量%である。
本発明のディップ成形用組成物は、架橋剤のほかに、必要に応じて、架橋促進剤(カルバミン酸化合物及びその亜鉛塩、ベンゾチアゾール化合物等)、架橋助剤(酸化亜鉛、ステアリン酸及びその亜鉛塩等)、架橋遅延剤(チオイミド化合物、多価カルボン酸化合物等)、老化防止剤(ベンズイミダゾール類、ジブチルジチオカルバミン酸ニッケル等)等を含有していてもよい。
架橋促進剤の含有量は、ディップ成形用組成物中のエピハロヒドリン重合体(A)及びニトリル基含有共重合体ゴム(B)の合計量に対して、好ましくは0.1〜5重量%、より好ましくは0.1〜3重量%である。
架橋助剤の含有量は、ディップ成形用組成物中のエピハロヒドリン重合体(A)及びニトリル基含有共重合体ゴム(B)の合計量に対して、好ましくは0.1〜3重量%、より好ましくは0.2〜2.5重量%である。
架橋遅延剤の含有量は、ディップ成形用組成物中のエピハロヒドリン重合体(A)及びニトリル基含有共重合体ゴム(B)の合計量に対して、好ましくは0〜1重量%である。
老化防止剤の含有量は、ディップ成形用組成物中のエピハロヒドリン重合体(A)及びニトリル基含有共重合体ゴム(B)の合計量に対して、好ましくは0〜1重量%である。
本発明のディップ成形用組成物は、溶液の状態であっても、ラテックスの状態であってもよいが、本発明の効果がより一層顕著になることから、ラテックスの状態が好ましい。
ディップ成形用組成物が溶液の状態である場合の溶媒としては、特に限定されないが、その具体例としては、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;n−ペンタン、n−ヘキサン等の直鎖状飽和炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン等の脂環式炭化水素;等を挙げることができる。これらのうち、芳香族溶媒が好ましく、中でもトルエンが好ましい。
溶液状態のディップ成形用組成物は、エピハロヒドリン重合体(A)及びニトリル基含有共重合体ゴム(B)を溶媒に溶解し、必要に応じて用いる各種配合剤をその溶液に溶解又は分散させることによって得ることができる。
また、溶液重合法で得られたエピハロヒドリン重合体(A)の溶液に、溶媒に溶解したニトリル基含有共重合体ゴム(B)を混合し、必要に応じて用いる各種配合剤を溶解又は分散させることによって得ることもできる。
ラテックスの状態のディップ成形用組成物は、エピハロヒドリン重合体(A)を溶媒に溶解して得た溶液を公知の一般的な乳化法、例えば強制乳化法、転相乳化法、膜乳化法等により乳化することによってエピハロヒドリン重合体(A)のラテックスを得た後、上述の乳化重合で得られたラテックス状態のニトリル基含有共重合体ゴム(B)と混合し、必要に応じて各種配合剤を添加することによって得ることが好ましい。
エピハロヒドリン重合体(A)のラテックスを得る方法の具体例としては、エピハロヒドリン重合体(A)を溶媒に溶解して得た溶液に、水及び乳化剤を添加し、強攪拌下にエピハロヒドリン重合体(A)を乳化させ、次いで、必要に応じて、溶媒を水蒸気蒸留等の方法によって除去する方法が挙げられる。
乳化剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンソルビタンアルキルエステル等のノニオン性乳化剤;ミリスチン酸、パルミチン酸、オレイン酸、リノレン酸の如き脂肪酸の塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキルベンゼンスルホン酸塩、高級アルコール硫酸エステル塩、アルキルスルホコハク酸塩等のアニオン性乳化剤;アルキルトリメチルアンモニウムクロライド、ジアルキルアンモニウムクロライド、ベンジルアンモニウムクロライド等のカチオン性乳化剤;等が挙げられる。なかでも、アニオン性乳化剤が好適に用いられる。また、その中でも、アルキルベンゼンスルホン酸塩が好ましい。これらの乳化剤は、1種単独でも、2種以上を併用してもよい。
エピハロヒドリン重合体(A)の乳化に用いる乳化剤の量は、エピハロヒドリン重合体(A)100重量部に対して、通常、0.1〜15重量部、好ましくは0.3〜10重量部、より好ましくは0.5〜8重量部である。この量が少なすぎると安定な乳化液を得ることができず、多すぎると得られた乳化液が激しく発泡したり、得られるディップ成形品の強度が低下したりするので好ましくない。
ディップ成形品
本発明のディップ成形品は、上述のディップ成形用組成物をディップ成形して得られる成形品である。
ディップ成形の方法は、特に限定されないが、ディップ成形用組成物に型を浸漬し、型の表面にディップ成形用組成物を沈着させ、次にその型をディップ成形用組成物から引き上げ、必要に応じて乾燥したうえ、膜状のディップ成形品を型から剥離することが好ましい。
浸漬方法において、型をディップ成形用組成物に浸漬する前または型をディップ成形用組成物から引き上げた後、必要に応じて凝固剤を使用することができる。
具体例としては、(i)浸漬前の型を凝固剤の溶液に浸漬して型に凝固剤を付着させた後に、ディップ成形用組成物に浸漬する方法、(ii)ディップ成形用組成物に型を浸漬してディップ成形用組成物を型に付着させた後に、凝固剤の溶液に浸漬する方法、などが挙げられるが、上記(i)の方法が好ましい。
上記の場合において、型は浸漬前に予熱しておくことができる。
また、ディップ成形用組成物を付着させた後に、必要に応じて温水処理または熱処理を行うことができる。
温水処理または熱処理の方法は特に限定されず、例えば、ディップ成形用組成物を沈着させた型を温水に浸漬する方法、ディップ成形用組成物を沈着させた型をオーブンなどの中で温風を吹き当てる方法、ディップ成形用組成物を沈着させた型に赤外線を照射する方法などを挙げることができる。
また、ディップ成形に際して、ディップ成形用の型上に第一のディップ成形用組成物の層を形成させ、その上に更に第二のディップ成形用組成物の層を形成させてもよい。このとき、第一のディップ成形用組成物と第二のディップ成形用組成物とは、同一であっても異なっていてもよい。またディップ成形用組成物の層は、3層以上であってもよい。
本発明のディップ成形品の厚さは特に限定されないが、0.03〜5mmが好ましく、0.05〜3mmがより好ましい。
なお、ディップ成形用の型は、磁器製、陶器製、金属製、ガラス製及びプラスチック製等のいずれでもよい。
また、ディップ成形品が手袋である場合、型は人の手の輪郭に対応する形状を有するものであり、製造しようとする手袋の使用目的に応じて、手首から指先までの形状を有するもの、肘から指先までの形状のもの等、種々の形状のものを用いることができる。
本発明のディップ成形品の具体例としては、例えば、哺乳瓶用乳首;スポイト、水枕等の医療用品;風船、人形、ボール等の玩具や運動具;加圧成形用バッグ、ガス貯蔵用バッグ等の工業用品;手術用、家庭用、農業用、漁業用及び工業用のアンサポート型手袋やサポート型手袋;指サック;等が挙げられる。
本発明のディップ成形品は、表面電気抵抗率が低く、機械的強度に優れるので、上記ディップ成形品の中でも、精密電子部品製造用及び半導体部品製造用の手袋として好適に使用でき、とりわけクリーンルームで使用する手袋として好適である。
以下、本発明を、さらに詳細な実施例に基づき説明するが、本発明は、これら実施例に限定されない。なお、以下において、「部」及び「%」は、特に断りのない限り重量基準である。また、試験、評価は下記によった。
平均粒子径
固形分濃度30重量%の状態で、レーザー回折式粒度分布測定装置(商品名「SALD−2200」、島津製作所社製)を用いて、体積平均粒子径として求めた。
粘度
固形分濃度30重量%の状態で、25℃にした後、B型粘度計(ブルックフィールド社製)にて測定した。
乳化液安定性
固形分濃度30重量%の状態で、エピハロヒドリン重合体の乳化液をASTM標準ふるい(200メッシュ)を用いてろ過し、ふるい上の残渣を水洗後、乾燥して残渣分の重量を秤量した。乳化に供したエピハロヒドリン重合体に対する、残渣分の割合を重量百分率で求めた。
残渣分の割合が少ないほど、安定性に優れている。
成膜性
ディップ成形により得られたフィルムを、縦10cm、横10cmの正方形に切り抜き、これを比抵抗が18.3MΩ・cmの超純水500mlに65℃で5分間浸漬した後、70℃で乾燥することにより、正方形フィルム状の試験片を得た。
そして、このフィルム状の試験片の表面を目視で観察し、下記の条件で判定を行った。
× 亀裂、スジ状凹凸が複数個所発生している。
△ 亀裂、スジ状凹凸が一箇所発生している。
○ 亀裂、スジ状凹凸が全く発生していない。
表面電気抵抗率
上記「成膜性」の場合と同様にして得られた正方形フィルム状の試験片を、温度20℃、相対湿度65%の恒温恒湿室で24時間以上放置し、この試験片の表面電気抵抗率を、ASTM D−257−93に準じて、測定装置(商品名「ハイレスターMCP−HT250」、三菱油化社製)を用いて測定した。
引張強度及び伸び
上記「成膜性」の場合と同様にして得られた正方形フィルム状の試験片を、ASTM D−412に準じて打ち抜き、ダンベル形状の試験片を作成した。次に、この試験片を用い、引張速度500mm/分で引っ張り、破断時の引張強度(MPa)及び破断時の伸び(%)を測定した。
製造例1(ラテックス状態のGECO(1)の製造)
エピクロロヒドリン−エチレンオキシド−アリルグリシジルエーテル共重合体(GECO)(商品名「ゼクロン3106」、塩素原子含有量21.4%、日本ゼオン社製)100部を、トルエン1620部に溶解し、GECOのトルエン溶液(y)を調整した。得られたGECOのトルエン溶液(y)に、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム4.5部とイオン交換水1750部を加えて混合し、攪拌して混合物を得た。
得られた混合物を、ローターステーター型乳化機(商品名「マイルダー303V」、太平洋機工社製)を用い、12,000rpmで10回循環して乳化液の状態にした。この乳化液を、減圧下(ゲージ圧で、−0.01〜−0.08MPa)で、80〜90℃に加熱し、トルエンを留去した後、さらに濃縮を行って、ラテックス状態のGECO(1)(固形分濃度40重量%)を得た。
製造例2(ラテックス状態のGECO(2)の製造)
製造例1と同様にして得られたGECOのトルエン溶液(y)に、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム6部とイオン交換水1750部を加えて混合し、攪拌して混合物を得た。
得られた混合物を、12,000rpmで15回循環して乳化液の状態にする以外は、製造例1と同様にしてラテックス状態のGECO(2)(固形分濃度40重量%)を得た。
製造例3(ラテックス状態のGCOの製造)
エピクロロヒドリン−エチレンオキシド−アリルグリシジルエーテル共重合体(GECO)に代えて、エピクロロヒドリン−アリルグリシジルエーテル共重合体(GCO)(商品名「ゼクロン1100」、塩素原子含量35.5%、日本ゼオン社製)を用いた以外は、製造例1と同様にしてラテックス状態のGCO(固形分濃度40重量%)を得た。
製造例4(ラテックス状態のニトリル基含有共重合体ゴム(1)の製造)
重合反応器に、アクリロニトリル37部、1、3−ブタジエン59.5部、メタクリル酸3.5部、t-ドデシルメルカプタン0.4部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム1部、β−ナフタリンスルホン酸ホルマリン縮合物ナトリウム塩1部、イオン交換水101部、過硫酸カリウム0.3部、およびエチレンジアミン四酢酸ナトリウム塩0.05部を仕込み、攪拌しながら36℃に保持して重合反応を開始した。
重合転化率が60%になった時点でt−ドデシルメルカプタン0.2部を添加して42℃に昇温し、重合転化率が80%になった時点で、t−ドデシルメルカプタン0.2部を添加して47℃に昇温し、重合転化率が95%になるまで重合反応を行った。次いで、アンモニア0.3部、ジメチルジチオカルバミン酸ナトリウム0.2部を添加して、重合反応を停止した。
重合反応停止後、減圧下で未反応単量体を除去した後、さらに溶媒(イオン交換水)の一部を留去し、濃度調整のためにイオン交換水を加え、ラテックス状態のニトリル基含有共重合体ゴム(1)(固形分濃度40重量%、pH=8.5)を得た。
製造例5(ラテックス状態のニトリル基含有共重合体ゴム(2)の製造)
重合反応器に仕込む単量体を、アクリロニトリル37部、1、3−ブタジエン59.5部、メタクリル酸3.5部に代えて、アクリロニトリル31部、1、3−ブタジエン65.5部、メタクリル酸3.5部とした以外は、製造例4と同様にして、ラテックス状態のニトリル基含有共重合体ゴム(2)(固形分濃度40重量%、pH=8.5)を得た。
実施例1
(ディップ成形用組成物)
製造例1で得られたラテックス状態のGECO(1)50部と、製造例4で得られたラテックス状態のニトリル基含有共重合体ゴム(1)50部を混合・攪拌してラテックス状態の混合液とし、次に、硫黄1部、酸化亜鉛1.5部、ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛1部、老化防止剤(商品名「Wingstay L」、グッドイヤー社製)0.265部を、それぞれ水分散液の状態で添加した。
そして、水酸化カリウム水溶液、およびイオン交換水をさらに添加して、固形分濃度30重量%で、pHが10.5のディップ成形用組成物を得た。
次に、このディップ成形用組成物を、30℃で48時間熟成して、熟成後のディップ成形用組成物(z1)を得、その粘度を測定した。結果を表1に示す。
なお、製造例1で得られたラテックス状態のGECO(1)の一部をサンプリングし、イオン交換水を加えて固形分濃度30重量%に調整し、上記の方法で、平均粒子径、粘度及び乳化安定性を測定した。その結果も表1に示す。
(ディップ成形品)
表面がすり加工されたガラス型(直径5cm、すり部長さ15cm)を洗浄し、70℃のオーブン内で予備加熱した後、硝酸カルシウムを18重量%、ポリオキシエチレンラウリルエーテル(商品名「エマルゲン109P」、花王社製)を0.05重量%の割合で含有する凝固剤水溶液に、5秒間浸漬した後に取り出し、70℃のオーブン内で乾燥することにより、凝固剤で被覆されたガラス型を得た。
そして、この凝固剤で被覆されたガラス型を、25℃のディップ成形用組成物(z1)に3秒間浸漬してから取り出し、23℃で60分間乾燥し、フィルムで被覆されたガラス型を得た。
次に、このフィルムで被覆されたガラス型をオーブン内に置き、50℃から60℃まで25分間で昇温して予備乾燥した後、70℃のオーブン内に10分間置いて更に乾燥した。そして、フィルムで被覆されたガラス型を60℃の温水中に2分間浸漬した後、23℃で10分間風乾した。
その後、フィルムで被覆されたガラス型をオーブン内に置き、120℃で30分間加硫を行った。加硫されたフィルムで被覆されたガラス型を23℃まで冷却し、タルクを散布した後、当該フィルムをガラス型から剥離してフィルム(ディップ成形品)を得た。
このフィルムについて、成膜性、表面電気抵抗率、引張強度及び伸びを測定した。その結果を表1に示す。
実施例2
製造例1で得られたラテックス状態のGECO(1)50部に代えて製造例3で得られたラテックス状態のGCO60部を用い、製造例4で得られたラテックス状態のニトリル基含有共重合体ゴム(1)50部に代えて製造例5で得られたラテックス状態のニトリル基含有共重合体ゴム(2)40部を用いた以外は、実施例1と同様にしてディップ成形用組成物及びディップ成形品を得、実施例1と同様に測定を行った。結果を表1に示す。
実施例3
製造例1で得られたラテックス状態のGECO(1)50部に代えて製造例2で得られたラテックス状態のGECO(2)40部を用い、製造例4で得られたラテックス状態のニトリル基含有共重合体ゴム(1)50部に代えて製造例4で得られたラテックス状態のニトリル基含有共重合体ゴム(1)60部を用いた以外は、実施例1と同様にしてディップ成形用組成物及びディップ成形品を得、実施例1と同様に測定を行った。結果を表1に示す。
比較例1
エピクロロヒドリン−エチレンオキシド−アリルグリシジルエーテル共重合体(GECO)(商品名「ゼクロン3106」、塩素原子含有量21.4%、日本ゼオン社製)を固形分濃度が20重量%となるようにトルエンに溶解して、溶液状態のディップ成形用組成物を得た。
表面がすり加工されたガラス型(直径5cm、すり部長さ15cm)を、このディップ成形用組成物中に浸漬してから取り出し、120℃の雰囲気下に30分間放置してトルエンを除いた後に、ガラス型を23℃まで冷却してフィルムで被覆されたガラス型を得た。次に、このフィルムで被覆されたガラス型にタルクを散布した後、当該フィルムをガラス型から剥離してフィルム(ディップ成形品)を得た。
このフィルムについて、成膜性、表面電気抵抗率、引張強度及び伸びを測定した。 その結果を表1に示す。
比較例2
製造例1で得られたラテックス状態のGECO(1)50部に代えて製造例1で得られたラテックス状態のGECO(1)100部を用い、製造例4で得られたラテックス状態のニトリル基含有共重合体ゴム(1)50部を使用しなかった以外は、実施例1と同様にしてディップ成形用組成物及びディップ成形品を得ようとしたが、強度が不十分なためフィルム(ディップ成形品)をガラス型から剥離するとき、均一な皮膜として剥すことができず(ところどころ切れてしまった。)、測定に必要な縦10cm、横10cmの正方形のフィルムを得ることができなかった。
Figure 2013166821
表1に示すように、エピハロヒドリン重合体とニトリル基含有共重合体ゴムを含有してなる本発明のディップ成形用組成物から得られるフィルム(ディップ成形品)は、機械的強度及び帯電防止性能に優れていた(実施例1〜3)。
これに対して、ニトリル基含有共重合体ゴムを含有しないために本発明の要件を満たさないディップ成形用組成物を用いた場合には、機械的強度が劣っていた(比較例1及び2)。

Claims (7)

  1. エピハロヒドリン重合体(A)及びニトリル基含有共重合体ゴム(B)を含有してなるディップ成形用組成物。
  2. 前記エピハロヒドリン重合体(A)が、エピハロヒドリン、アルキレンオキシド及び不飽和エポキシドの共重合体、又は、エピハロヒドリンと不飽和エポキシドの共重合体である請求項1に記載のディップ成形用組成物。
  3. 前記アルキレンオキシドが、エチレンオキシドである請求項2に記載のディップ成形用組成物。
  4. 前記エピハロヒドリンがエピクロロヒドリンである請求項1〜3のいずれか1項に記載のディップ成形用組成物。
  5. 前記ニトリル基含有共重合体ゴム(B)が、エチレン性不飽和ニトリル単量体、共役ジエン単量体及びエチレン性不飽和酸単量体との共重合体である請求項1〜4のいずれか1項に記載のディップ成形用組成物。
  6. 更に、架橋剤を含有してなる請求項1〜5のいずれか1項に記載のディップ成形用組成物。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載のディップ成形用組成物を、ディップ成形してなるディップ成形品。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPWO2015147052A1 (ja) * 2014-03-27 2017-04-13 日本ゼオン株式会社 ニトリル基含有共重合体ゴム、架橋性ゴム組成物およびゴム架橋物

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