JPWO2013015055A1 - 芳香族ジオールモノ(メタ)アクリレートの製造方法 - Google Patents

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Abstract

本発明は、着色、溶剤不溶解分が少なく、高純度の芳香族ジオールモノ(メタ)アクリレートを得る方法であって、経済的に有利な製造方法を提供することを目的とする。この目的を達成するために、本発明は、芳香族ジオールおよび(メタ)アクリル酸を、強酸の存在下にエステル化反応させて芳香族ジオールモノ(メタ)アクリレートを製造する方法であって、該方法が無溶剤又は非プロトン性有機溶剤の存在下で100から140℃で行われ、反応系内の水分を加熱減圧により除去しながらエステル化反応させる工程を含む、芳香族ジオールモノ(メタ)アクリレートを製造する方法を提供する。

Description

本発明は、着色、溶剤不溶解分が少なく、高純度の芳香族ジオールモノ(メタ)アクリレートを得る方法であって、経済的に有利な製造方法に関する。
芳香族ジオールモノ(メタ)アクリレートを製造する方法としては、芳香族ジオールと(メタ)アクリル酸無水物又は(メタ)アクリル酸クロライドを反応させる方法が知られている(例えば、特許文献1を参照)。
また、高純度の芳香族ジオールモノ(メタ)アクリレートを得る方法として、芳香族ジオールと(メタ)アクリル酸無水物とを反応させて、芳香族ジオールモノ(メタ)アクリレートと副生成物である芳香族ジオールジ(メタ)アクリレートとを含有する反応液を調製する工程、前記反応溶液中の未反応芳香族ジオールを水洗浄により除去して粗結晶を調製する工程、前記粗結晶を溶媒で溶解させて溶解液を調製する工程、及び前記溶解液を貧溶媒と接触させることにより前記溶解液中の前記芳香族ジオールジ(メタ)アクリレートを除去する工程を含む、高純度の芳香族ジオールモノ(メタ)アクリレートを得る方法が報告されている(特許文献2)。
さらに、芳香族ジオールを、疎水性溶剤中強酸触媒存在下(メタ)アクリル酸と加熱還流させ、溜出水を除去し、除去水の量が芳香族ジオールのモル数の40〜100%に達したとき終了する芳香族ジオールモノ(メタ)アクリレートの製造方法が報告されている(特許文献3)。
しかしながら、上記特許文献1の方法において(メタ)アクリル酸クロライドを使用する場合、反応容器を腐食する問題があり、また、ハロゲン化物を含有する廃液が大量に発生するので工業的に有利でないばかりか、ハロゲン化物を使用しているため、得られた芳香族ジオールモノ(メタ)アクリレート組成物は電気、電子部品の用途にはふさわしくない。また、芳香族ジオールが有する2個のフェノール性水酸基の双方が反応して多量の芳香族ジオールジ(メタ)アクリレートが生成し易い問題がある。一方、上記特許文献1の方法において(メタ)アクリル酸無水物を使用する場合、上記のようなハロゲン化物による問題は起こらないが、副生する芳香族ジオールジ(メタ)アクリレートを比較的多く含む純度の低い芳香族ジオールモノ(メタ)アクリレート組成物しか得ることができない。この芳香族ジオールジ(メタ)アクリレートは、重合時には架橋成分となることから、重合物の溶剤溶解性を低下させたり、場合によっては重合時にゲル化を引き起こしたりするという問題がある。
この問題は特許文献2の方法により解決されているが、高価な(メタ)アクリル酸無水物を使用するため、工業レベルでの生産を考えた時に経済的に有利な方法とは云えない。
経済的に有利な方法として、特許文献3の方法が報告されている。この方法は、芳香族ジオールを、疎水性溶剤中、強酸の存在下に(メタ)アクリル酸と共に加熱還流させ、還流温度110〜160℃にて溜出した水を分離除去しながら反応することで、ハロゲン化物を使用せずに、芳香族ジオールと(メタ)アクリル酸とを、直接、脱水エステル化反応することに成功している。また、除去された水の量を測定し、除去された水の量が、芳香族ジオールのモル数の40〜100%に相当する量に達した時に加熱還流を終了することで、芳香族ジオール(メタ)アクリレートを芳香族ジオールジ(メタ)アクリレートに比してはるかに高い比率で得ている。しかし、この方法をもってしても芳香族ジオールジ(メタ)アクリレートの副生量が多く、経済的に有利な方法としては不充分である。また、この方法で得られる芳香族ジオールモノ(メタ)アクリレートは特許文献2記載の方法で得られる物に比べて着色し、また溶剤不溶解分が発生する傾向にあり、純度の面で満足できるものではない。特に、合成した芳香族ジオールモノ(メタ)アクリレートをポリマー化して、フォトレジスト等に使用する際には、溶剤不溶解分が発生することは致命的である。
特公昭49−34667号公報 特開2007−204448号公報 特開2007−106749号公報
従って、本発明は、(メタ)アクリル酸クロライドを使用せず、芳香族ジオール(メタ)アクリレートを芳香族ジオールジ(メタ)アクリレートに比してはるかに高い比率で得ることで、経済的でかつ着色、溶剤不溶解分が少ない高純度の芳香族ジオールモノ(メタ)アクリレート提供することを目的とする。
そこで、本発明者らは、鋭意研究、開発を遂行した結果、芳香族ジオールおよび(メタ)アクリル酸を、強酸の存在下に、エステル化反応させて芳香族ジオールモノ(メタ)アクリレートを製造するにあたり、無溶剤又は非プロトン性有機溶剤の存在下で100℃から140℃で反応を行い、更に反応系内の水分を加熱減圧により除去しながらエステル化反応させることにより、上記のような課題を解決できることを見出した。
具体的に、本発明は、(1)芳香族ジオールおよび(メタ)アクリル酸を、強酸の存在下にエステル化反応させて芳香族ジオールモノ(メタ)アクリレートを製造する方法であって、該方法が無溶剤又は非プロトン性有機溶剤の存在下で100から140℃で行われ、反応系内の水分を加熱減圧により除去しながらエステル化反応させる工程を含む、芳香族ジオールモノ(メタ)アクリレートの製造方法、
(2)前記強酸は反応系内で液体である、(1)の芳香族ジオールモノ(メタ)アクリレートの製造方法、
(3)前記強酸が、p−トルエンスルホン酸、硫酸、またはメタンスルホン酸から選択される(2)の芳香族ジオールモノ(メタ)アクリレートの製造方法、
(4)芳香族ジオールと(メタ)アクリル酸とをエステル化反応させる際のモル比が、芳香族ジオール1.0モルに対し、(メタ)アクリル酸が3.0〜4.0モルである、請求項(1)〜(3)のいずれかに記載の芳香族ジオールモノ(メタ)アクリレートの製造方法、
(5)仕込みの芳香族ジオールに対する、芳香族ジオールモノ(メタ)アクリレートの生成率が40〜70モル%になった時点でエステル化反応を終了させる、(1)〜(4)のいずれかに記載の芳香族ジオールモノ(メタ)アクリレートの製造方法、
(6)前記加熱減圧は、前記エステル化反応と、反応系内の水分とエステル化物との加水分解反応が平衡状態となった後に開始する、(1)〜(5)のいずれかに記載の芳香族ジオールモノ(メタ)アクリレートの製造方法、
(7)空気を吹き込みながらエステル化反応させる(1)〜(6)のいずれかに記載の芳香族ジオールモノ(メタ)アクリレートの製造方法である。
本発明により、着色、溶剤不溶解分が少なく、高純度の芳香族ジオールモノ(メタ)アクリレートが、経済的に有利に製造可能となる。これにより、(メタ)アクリル酸クロライドを使用する場合に発生する、反応容器を腐食する問題、ハロゲン化物を含有する廃液の処理の問題を解決できる。また、(メタ)アクリル酸クロライド、及び(メタ)アクリル酸無水物を使用した際に多く副生する、芳香族ジオールジ(メタ)アクリレートの発生を抑制できる。不純物としての芳香族ジオールジ(メタ)アクリレートは、重合物の溶剤溶解性の低下、場合によっては重合時にゲル化を引き起こす問題となる。また、本発明は、高価な(メタ)アクリル酸無水物を使用しなくとも芳香族ジオールモノ(メタ)アクリレートを得ることができ、経済的にも有利な製造方法である。
実施例1および比較例3の生成物を精製して得られたヒドロキシフェニルメタクリレートを用いたポリマー(参考例1、比較参考例2)の透過率を表す図である。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
本発明による芳香族ジオールモノ(メタ)アクリレートの製造方法は、芳香族ジオールおよび(メタ)アクリル酸を、強酸の存在下に、無溶剤又は非プロトン性有機溶剤の存在下で100℃から140℃で反応を行い、更に反応系内の水分を加熱減圧により除去しながらエステル化反応させることを特徴とする。
本発明の方法において使用する「芳香族ジオール」は、1つのベンゼン環に2個のヒドロキシル基を有する化合物をいう。具体的にはヒドロキノン、レゾルシン、カテコールである。また、これらの化合物について、炭素数1〜4のアルキル基やアルコキシ基等の置換基を有していてもよい。具体的には、2−メチルヒドロキノン、2−エチルヒドロキノン、2−n−プロピルヒドロキノン、2−イソプロピルヒドロキノン、2−n−ブチルヒドロキノン、2−sec−ブチルヒドロキノン、2−tert−ブチルヒドロキノン、2−メチルレゾルシン、2−エチルレゾルシン、2−n−プロピルレゾルシン、2−イソプロピルレゾルシン、2−n−ブチルレゾルシン、2−sec−ブチルレゾルシン、2−tert−ブチルレゾルシン、4−メチルレゾルシン、4−エチルレゾルシン、4−n−プロピルレゾルシン、4−イソプロピルレゾルシン、4−n−ブチルレゾルシン、4−sec−ブチルレゾルシン、4−tert−ブチルレゾルシン、5−メチルレゾルシン、5−エチルレゾルシン、5−n−プロピルレゾルシン、5−イソプロピルレゾルシン、5−n−ブチルレゾルシン、5−sec−ブチルレゾルシン、5−tert−ブチルレゾルシン、3−メチルカテコール、3−エチルカテコール、3−n−プロピルカテコール、3−イソプロピルカテコール、3−n−ブチルカテコール、3−sec−ブチルカテコール、3−tert−ブチルカテコール、4−メチルカテコール、4−エチルカテコール、4−n−プロピルカテコール、4−イソプロピルカテコール、4−n−ブチルカテコール、4−tert−ブチルカテコール、メトキシカテコール、メトキシレゾルシン、メトキシハイドロキノン等が例示される。
本発明において用いられる(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸またはメタクリル酸である。
本発明において、芳香族ジオールと(メタ)アクリル酸とを反応させる際のモル比は、芳香族ジオール1.0モルに対し、(メタ)アクリル酸が1.0〜10.0モル、好ましくは2.0〜5.5モルである。更に好ましくは3.0〜4.0モルである。芳香族ジオール1.0モルに対し、(メタ)アクリル酸が1.0モル未満では、原料である芳香族ジオールの溶解性が乏しく、攪拌を均一に行う上で好ましくない。また、芳香族ジオールの溶解性が乏しい状態で反応を行うと副生成物の芳香族ジオールジ(メタ)アクリレートの発生量が多くなる傾向があり、不純物を除去した後の収量が低下して好ましくない。逆に(メタ)アクリル酸が10.0モルを超える場合は、仕込み量に対する収量の割合が低下し、生産効率が良くない。これらの観点から3.0〜4.0モルで反応させることが最適である。
反応の際には、ジオキサン、テトラヒドロフラン等の非プロトン性極性有機溶媒を使用することができる。溶媒として水を使用することは避けた方が良い。溶媒の使用量は芳香族ジオール100質量部に対して0〜500質量部程度、原料の芳香族ジオールの溶解性を向上する目的、又は反応温度の制御をし易くする目的で添加することが出来る。但し、トルエン、キシレン等の疎水性溶剤は使用しない。疎水性溶剤は、縮合水を除去する目的では有効であるが、芳香族ジオールの溶解性を低下させ、その結果、副生成物の芳香族ジオールジ(メタ)アクリレートの発生を増加させる傾向がある。また、最終的に得られる芳香族ジオールモノ(メタ)アクリレートに、溶剤不溶解分が発生する傾向がある。溶剤不溶解分は比較的分子量の大きい成分で、重合物である。
本発明において用いられる強酸は、例えば硫酸、p-トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、スルホン酸基を官能基としたスチレン・ジビニルベンゼン共重合体等のイオン交換樹脂等が挙げられる。強酸の使用量は(メタ)アクリル酸100質量部に対して1〜10質量部が好ましい。強酸の使用量が1質量部未満では、反応の進行が遅く好ましくない。10質量部を超えると、中和に必要な塩基性物質が多量に必要となり好ましくない。
なお、スチレン・ジビニルベンゼン共重合体等の強酸性イオン交換樹脂といった固形の強酸は、反応終了後の精製工程を行う前に、反応系内から濾過して除去する必要があり、反応工程が増えて経済的に好ましくない。反応終了時の組成によるが、凡そ90℃まで冷却すると、反応液から芳香族ジオールや、芳香族ジオールモノ(メタ)アクリレートが析出するため、固形の強酸を反応系内から濾過して除去する事が困難となる。その点から、濾過の工程が必要でない強酸、つまり、反応系内で液体である強酸が好ましい。この強酸として、硫酸、p-トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸が挙げられる。
反応は強酸の存在下、100〜140℃で、好ましくは110〜130℃で、1〜24時間程度で行うことが好ましい。反応温度が100℃未満では、反応の進行が遅く好ましくない。また、反応温度が140℃を超えると、極端に反応液が着色する問題がある。これは、着色に由来する不純物の副生が140℃を越えると促進されると考えられる。
芳香族ジオールと(メタ)アクリル酸とを強酸の存在下でエステル化反応を行うと縮合水が発生し、エステル化反応と加水分解反応で平衡状態となる。エステル化反応を優先させる、すなわち芳香族ジオールモノ(メタ)アクリレートの収率を向上させるためには、反応で発生した縮合水を除去する必要がある。そのためには、反応系内を減圧して縮合水を除去する必要がある。例えば温度が120℃の場合は、−75kPaから−85kPaで縮合水を除去することができる。−75kPaよりも圧力が高い場合、縮合水の除去効率が悪くエステル化反応が遅くなり、−85kPaよりも圧力を低くすると溶剤不溶解分が発生することがある。また、トルエン等の疎水性溶剤を用いて、縮合水と共に共沸させて縮合水を系外に除去する方法が一般的に知られているが、溶剤不溶解分が発生する問題に加えて、副生成物の芳香族ジオールジ(メタ)アクリレートの発生を増加させる傾向があるため、加熱減圧して縮合水を除去する方法が好ましい。反応系内の水分は、エステル化の反応率により異なるが、例えばエステル化が30%進行している場合、1.3質量%を超えると加水分解が優先する。反応系内の水分は0.5質量%以下に保つことが好ましい。なおこの場合の水分の濃度は、測定時の反応系内に存在する物質の総質量に対する濃度であり、反応に非プロトン極性有機溶媒を用いた場合はその溶媒の質量は考慮しない。
加熱減圧による縮合水の除去を開始する時期は特に限定はしないが、エステル化反応の開始と共に加熱減圧蒸留を行うと、溜出液の主成分は原料の(メタ)アクリル酸であり経済的ではない。その点で、エステル化が最初の平衡に達した後に開始するのが好ましい。
エステル化反応の初期段階は未反応の芳香族ジオールが大量に存在し、エステル化反応を継続して進行させると、副生成物として芳香族ジオールジ(メタ)アクリレートの発生量が増加する。未反応の芳香族ジオール、及び副生成物の芳香族ジオールジ(メタ)アクリレートは最終的には精製により除去することが必要である。この観点から、仕込みの芳香族ジオールに対する、芳香族ジオールモノ(メタ)アクリレートの生成率が30〜70モル%になった時点で反応を終えることが好ましく、より好ましくは、40〜70モル%である。
エステル化の反応中は重合を防止する目的で、空気等の酸素を含有するガスを吹き込んだり、重合禁止剤を適宜使用したりすることが好ましい。重合禁止剤は一般的に使用されるもので、反応を阻害しないものを選定するのがよい。重合禁止作用を有するガスを吹き込む方法としては、反応槽の気相に吹き込む方法や、液相に直接吹き込む方法が挙げられる。吹き込む流量は、重合を防止できる量であれば特に限定はしないが、例えば空気の場合は、1Lの反応液に対して、50mL/min以下の量で充分効果がある。
エステル化反応を終了した後は、強酸を塩基性物質で中和することが好ましい。中和は例えば、トリエチルアミン、トリブチルアミン、トリエタノールアミン等が使用できる。中和した反応溶液には、未反応の芳香族ジオール、芳香族ジオールモノ(メタ)アクリレート、及び副生成物である芳香族ジオールジ(メタ)アクリレートが含まれている。この反応溶液を水洗浄することで、未反応の芳香族ジオールの含有量を低減させることができる。充分に水洗浄を行って未反応芳香族ジオールを除去すると、水中では粗結晶が析出する。ここで、未反応芳香族ジオール、芳香族ジオールモノ(メタ)アクリレート及び芳香族ジオールジ(メタ)アクリレートの合計100モル%に対し、未反応の芳香族ジオールが1.0モル%以下になるまで水洗浄を繰り返すことが好ましい。未反応芳香族ジオールが1.0モル%を越えて残存した場合、最終的に得られる芳香族ジオールモノ(メタ)アクリレートの純度が低下し、これを原料として重合を行う際に、芳香族ジオールは重合禁止剤として作用することから好ましくない。
また、反応溶液を疎水性溶剤で洗浄することで芳香族ジオールジ(メタ)アクリレートを除去することができる。洗浄に用いる疎水性溶剤としては、具体的には、ヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、ヘプタン等が挙げられ、これらの少なくとも1種を使用することができる。ここでの疎水性溶剤は、芳香族ジオールジ(メタ)アクリレートに対しては溶媒であり、芳香族ジオールモノ(メタ)アクリレートに対する貧溶媒となる。従って、疎水性溶剤を加えることで芳香族ジオールモノ(メタ)アクリレートが粗結晶として析出して、これを採取する。また、未反応芳香族ジオール、芳香族ジオールモノ(メタ)アクリレート及び芳香族ジオールジ(メタ)アクリレートの合計100モル%に対し、芳香族ジオールジ(メタ)アクリレートを1.0モル%以下になるまで疎水性溶剤で洗浄を繰り返すことが好ましい。芳香族ジオールジ(メタ)アクリレートが1.0モル%を越えて残存した場合、最終的に得られる芳香族ジオールモノ(メタ)アクリレートの純度が低下し、これを原料として重合を行うと芳香族ジオールジ(メタ)アクリレートが架橋成分であるため、ポリマーの分子量が異常に大きくなったり、場合によってはゲル化を起こしたり、溶剤溶解性が悪くなる恐れがあるため好ましくない。
洗浄の順番は水洗浄、疎水性溶剤での洗浄のどちらを先に行ってもよいが、反応を終了した時の組成により最適な方法を選択できる。水洗浄を先に行った場合は、水洗浄終了後に、水中に析出した粗結晶を溶媒で溶解させることが好ましい。溶解に用いる溶媒としては、トルエン、キシレン又はこれらの混合物が挙げられる。これらは原料の芳香族ジオールに対しては貧溶媒であるが、水洗浄終了後の粗結晶に対しては溶媒となる。このような溶媒を使用することで、最終的に得られる芳香族ジオールモノ(メタ)アクリレート組成物の収率が向上する。粗結晶を溶媒で溶解させる際は、粗結晶100質量部に対して、好ましくは溶媒50〜300質量部、更に好ましくは100〜200質量部を使用して、必要により加熱して溶解させるのがよい。その際、粗結晶に含まれる水は、粗結晶を含む溶媒層と分離除去しておくことが好ましい。その後、溶媒層を前記疎水性溶剤で洗浄する。具体的な方法としては、粗結晶が溶解された溶媒層を前記疎水性溶剤中へ投入する方法、又は粗結晶が溶解された溶媒層に前記疎水性溶剤を添加する方法が挙げられる。このように、溶媒により粗結晶を溶解させ、この粗結晶が溶解した溶媒に疎水性溶剤を接触させることで芳香族ジオールモノ(メタ)アクリレートの結晶を析出させる。この方法により、最終的に得られる芳香族ジオールモノ(メタ)アクリレートの純度が向上する。
また、疎水性溶剤での洗浄を先に行った場合は、反応溶液と疎水性溶剤を接触させて、芳香族ジオールモノ(メタ)アクリレートおよび未反応の芳香族ジオールを含む粗結晶を生成させて、この粗結晶を水で洗浄することで、芳香族ジオールモノ(メタ)アクリレートの結晶を得る。
水洗浄、及び疎水性溶剤による洗浄を終了した後、脱液、乾燥させることで、着色、溶剤不溶解分が少なく、高純度の芳香族ジオールモノ(メタ)アクリレートが得られる。
本発明の製造方法で得られた芳香族ジオールモノ(メタ)アクリレートは、常温では固体であり、熱や光に対して比較的安定であり、且つ重合性は一般的な(メタ)アクリル酸エステルと同等であるという特長を有する。
本発明の製造方法で得られた芳香族ジオールモノ(メタ)アクリレートを使用してポリマーを合成すると、溶剤溶解性、アルカリ溶解性、透明性、耐熱変色性等に優れ、高Tg、高熱分解温度、高屈折率のポリマーが得られる。従って、半導体製造用、ディスプレイ部材、印刷製版材料等に使用するアルカリ現像型のフォトレジスト、透明性及び耐熱変色性が要求される保護膜等に応用することができる。また、エポキシ樹脂等の硬化剤としても有用である。
また、本発明の製造方法で得られた芳香族ジオールモノ(メタ)アクリレートは、単独重合体だけでなく、その他の不飽和基含有重合性化合物との共重合性も良好である。このような不飽和基含有重合性化合物の具体例としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、メサコン酸、イタコン酸、無水マレイン酸、無水フマル酸、無水シトラコン酸、無水メサコン酸、無水イタコン酸、ビニル安息香酸、o−カルボキシフェニル(メタ)アクリレート、m−カルボキシフェニル(メタ)アクリレート、p−カルボキシフェニル(メタ)アクリレート、o−カルボキシフェニル(メタ)アクリルアミド、m−カルボキシフェニル(メタ)アクリルアミド、p−カルボキシフェニル(メタ)アクリルアミド、コハク酸モノ〔2−(メタ)アクリロイロキシエチル〕、フタル酸モノ〔2−(メタ)アクリロイロキシエチル〕、ω−カルボキシポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート、5−カルボキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ジカルボキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−カルボキシ−5−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−カルボキシ−5−エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−カルボキシ−6−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−カルボキシ−6−エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ジカルボキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン無水物、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イル(メタ)アクリレート、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イルオキシエチル(メタ)アクリレート、
メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、n−ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、n−ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ヒドロキシメチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、2,3−ジヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイロキシエチルグリコサイド、
フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、o−メトキシフェニル(メタ)アクリレート、m−メトキシフェニル(メタ)アクリレート、p−メトキシフェニル(メタ)アクリレート、
マレイン酸ジエチル、フマル酸ジエチル、イタコン酸ジエチル、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メトキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−エトキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ジメトキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ジエトキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−t−ブトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−シクロヘキシルオキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−フェノキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ジ(t−ブトキシカルボニル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ジ(シクロヘキシルオキシカルボニル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−(2'−ヒドロキシエチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ジヒドロキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ジ(ヒドロキシメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ジ(2'−ヒドロキシエチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ヒドロキシ−5−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ヒドロキシ−5−エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ヒドロキシメチル−5−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、o−メトキシスチレン、m−メトキシスチレン、p−メトキシスチレン、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、アクリルアミド、メタクリルアミド、酢酸ビニル、o−ヒドロキシフェニル(メタ)アクリルアミド、m−ヒドロキシフェニル(メタ)アクリルアミド、p−ヒドロキシフェニル(メタ)アクリルアミド、3,5−ジメチル−4−ヒドロキシベンジル(メタ)アクリルアミド、フェニルマレイミド、ヒドロキシフェニルマレイミド、シクロヘキシルマレイミド、ベンジルマレイミド、トリフルオロメチル(メタ)アクリレート、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、α−エチルアクリル酸グリシジル、アクリル酸−3,4−エポキシブチル、メタクリル酸−3,4−エポキシブチル、α−エチルアクリル酸−3,4−エポキシブチル、アクリル酸−6,7−エポキシヘプチル、メタクリル酸−6,7−エポキシヘプチル、α−エチルアクリル酸−6,7−エポキシヘプチル、ビニルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、イソプロペニルグリシジルエーテル、o−ビニルベンジルグリシジルエーテル、m−ビニルベンジルグリシジルエーテル、p−ビニルベンジルグリシジルエーテル、ビニルシクロヘキセンモノオキサイド、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルアクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレートなどを挙げることができる。
重合は、アゾビスイソブチロニトリルを代表とするアゾ系開始剤、ベンゾイルパーオキシドを代表とする有機過酸化物等を使用して、メタノール、エタノール、1−プロパノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、エチレングリコール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、トルエン、キシレン、エチルアセテート、イソプロピルアセテート、ノルマルプロピルアセテート、ブチルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、酢酸3−メトキシブチル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、3−メトキシブタノール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、乳酸エチルなどの有機溶媒中で行なうことができる。
以下に実施例、比較例、参考例及び比較参考例を示して、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の例に限定されるものではない。また、実施例、比較例、参考例における組成比、色相、濁度は以下の方法で測定した。
(組成比)
1H−NMR測定により、芳香族ジオール、芳香族ジオールモノ(メタ)アクリレート、及び芳香族ジオールジ(メタ)アクリレートの合計を100モル%として、各成分を算出した。
(色相)
反応終了時点での着色具合を目視で観察した。
○:僅かに着色、×:かなり着色
(濁度)
反応終了時点の反応液をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートにより4質量倍に希釈して目視で観察した。
○:透明、×:濁り
[実施例1]
4−ヒドロキシフェニルメタクリレートの合成
冷却器、温度計、攪拌羽を取り付けた1Lセパラブルフラスコにヒドロキノン100質量部、メタクリル酸235質量部、p−トルエンスルホン酸4質量部を仕込み、空気を吹き込みながら120℃で反応を開始した。反応が平衡に達し、生成物の組成が一定になったところで、系内の水分が0.2質量%以下を維持するように、−80kPaで減圧留去しながら反応を継続した。4−ヒドロキシフェニルメタクリレートの割合がヒドロキノンを仕込んだモル数の49.9%になったところで系内を常圧に戻し、冷却してエステル化反応を終了した。組成比、色相、濁度は表1に示すとおりである。
[実施例2]
4−ヒドロキシフェニルメタクリレートの合成
冷却器、温度計、攪拌羽を取り付けた1Lセパラブルフラスコにヒドロキノン100質量部、メタクリル酸235質量部、オルガノ(株)製強酸性イオン交換樹脂アンバーリスト15.DRY10質量部を仕込み、120℃で反応を開始した。反応が平衡に達し、生成物の組成が一定になったところで、系内の水分が0.2質量%以下を維持するように、−80kPaで減圧留去しながら反応を継続した。4−ヒドロキシフェニルメタクリレートの割合がヒドロキノンを仕込んだモル数の56.8%になったところで系内を常圧に戻し、冷却してエステル化反応を終了した。組成比、色相、濁度は表1に示すとおりである。
[実施例3]
4−ヒドロキシフェニルメタクリレートの合成
冷却器、温度計、攪拌羽を取り付けた1Lセパラブルフラスコにヒドロキノン100質量部、メタクリル酸86質量部、p−トルエンスルホン酸4質量部を仕込み、125℃で反応を開始した。反応が平衡に達し、生成物の組成が一定になったところで−80kPaで減圧留去しながら反応を継続した。4−ヒドロキシフェニルメタクリレートの割合がヒドロキノンを仕込んだモル数の34.4%になったところで系内を常圧に戻し、冷却してエステル化反応を終了した。組成比、色相、濁度は表1に示すとおりである。
[比較例1]
4−ヒドロキシフェニルメタクリレートの合成
還流冷却器、水分離器、温度計及び撹拌羽を取り付けた1Lセパラブルフラスコに、ヒドロキノン100質量部、メタクリル酸86質量部、p−トルエンスルホン酸4質量部、トルエン100質量部を仕込み、還流させて反応を行った。120℃でトルエンと水の共沸混合物の留出が始まり、水分離器で分離した水を系外へ除去しながら、120℃で5時間反応させた。4−ヒドロキシフェニルメタクリレートの割合がヒドロキノンを仕込んだモル数の37.0%になったところで系内を常圧に戻し、冷却してエステル化反応を終了した。組成比、色相、濁度は表1に示すとおりである。
[比較例2]
4−ヒドロキシフェニルメタクリレートの合成
還流冷却器、水分離器、温度計及び撹拌羽を取り付けた1Lセパラブルフラスコに、ヒドロキノン100質量部、メタクリル酸86質量部、オルガノ(株)製強酸性イオン交換樹脂アンバーリスト15.DRY10質量部、トルエン100質量部を仕込み、還流させて反応を行った。120℃でトルエンと水の共沸混合物の留出が始まり、水分離器で分離した水を系外へ除去しながら、120℃で16時間反応させた。4−ヒドロキシフェニルメタクリレートの割合がヒドロキノンを仕込んだモル数の51.3%になったところで、冷却してエステル化反応を終了した。組成比、色相、濁度は表1に示すとおりである。疎水性溶剤のトルエンを使用した場合、ヒドロキノンジメタクリレートの割合が多くなり、精製工程で大量の洗浄溶剤を必要とすることから経済的ではない。
[比較例3]
4−ヒドロキシフェニルメタクリレートの合成
冷却器、温度計、攪拌羽を取り付けた1Lセパラブルフラスコにヒドロキノン100質量部、メタクリル酸86質量部、p−トルエンスルホン酸4質量部を仕込み、145℃で1.5時間反応したところ、反応生成物の割合が一定になったため、−80kPaで減圧蒸留して系内の水分を除去した。再び、常圧下、145℃で1.5時間反応したところ、反応生成物の割合が一定になったため、−80kPaで減圧蒸留して系内の水分を除去した。この時、系内の水分は0.5〜1.0%質量%で推移した。この操作を繰り返し行い、4−ヒドロキシフェニルメタクリレートの割合がヒドロキノンを仕込んだモル数の35.1%になったところでエステル化反応を終了した。組成比、色相、濁度は表1に示すとおりである。
Figure 2013015055
[参考例1]
4−ヒドロキシフェニルメタクリレートの精製
実施例1で得た反応液をトリエチルアミンで中和して、メチルシクロヘキサンでの洗浄を繰り返し行い、p−フェニレンジメタクリレートのモル分率が0.1%になったところで、メチルシクロヘキサンでの洗浄を終了した。ここで、p−フェニレンジメタクリレートが除去された粗結晶が得られた。次に、水によるこの粗結晶の洗浄を繰り返し行い、未反応の芳香族ジオールのモル分率が0.2%になったところで、水洗浄を終了した。引き続き脱液、乾燥することで52.6質量部(収率:32.5%)の白色結晶を得た。
ヒドロキノン:4−ヒドロキシフェニルメタクリレート:p−フェニレンジメタクリレートのモル分率は、0.2:99.7:0.1であった。
4−ヒドロキシフェニルメタクリレートの重合
冷却器、温度計、攪拌羽を取り付けた1Lセパラブルフラスコに、得られた白色結晶100質量部、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート300質量部、アゾビスイソブチロニトリル4.0質量部を仕込み、70℃で6時間反応し、ポリマー溶液を得た。
ポリマーの透過率測定
得られたポリマー溶液を0.1μmのテフロン(登録商標)フィルターで濾過を行った。ガラス板に50μmのアプリケーターで塗布し、110℃のホットプレートで90秒、乾燥して膜厚3μmの塗膜を得た。更に230℃のオーブンで0、1、2、3時間加熱処理したときの波長400nmでの透過率を紫外可視分光光度計でそれぞれ測定した。結果を図1に示す。着色のないヒドロキシフェニルメタクリレートを原料に使用したポリマーは、加熱しても透過率の変化が少なく良好である。
[比較参考例1]
比較例1で得られた反応液を参考例1と同様に処理して精製を行い、褐色粉末を得た。得られた褐色粉末を用いて参考例1と同様に重合を行い、ポリマー溶液を得た。引き続き、得られたポリマー溶液を0.1μmのテフロン(登録商標)フィルターで濾過を試みたが、目詰まりのため濾過が出来なかった。これは、濁度が高いためと考えられる。
[比較参考例2]
比較例3で得られた反応液を参考例1と同様に処理して精製を行い、褐色粉末を得た。得られた褐色粉末を用いて参考例1と同様に重合を行い、ポリマー溶液を得た。引き続き、得られたポリマー溶液を用いて参考例1と同様に塗膜の透過率を測定した。結果を図1に示す。着色のあるヒドロキシフェニルメタクリレートを原料に使用したポリマーは、加熱すると透過率の変化が大きく、透明性を必要とする用途への適用が出来ない。

Claims (7)

  1. 芳香族ジオールおよび(メタ)アクリル酸を、強酸の存在下にエステル化反応させて芳香族ジオールモノ(メタ)アクリレートを製造する方法であって、該方法が無溶剤又は非プロトン性有機溶剤の存在下で100から140℃で行われ、反応系内の水分を加熱減圧により除去しながらエステル化反応させる工程を含む、芳香族ジオールモノ(メタ)アクリレートの製造方法。
  2. 前記強酸は反応系内で液体である、請求項1に記載の芳香族ジオールモノ(メタ)アクリレートの製造方法。
  3. 前記強酸が、p−トルエンスルホン酸、硫酸、またはメタンスルホン酸から選択される請求項2に記載の芳香族ジオールモノ(メタ)アクリレートの製造方法。
  4. 芳香族ジオールと(メタ)アクリル酸とをエステル化反応させる際のモル比が、芳香族ジオール1.0モルに対し、(メタ)アクリル酸が3.0〜4.0モルである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の芳香族ジオールモノ(メタ)アクリレートの製造方法。
  5. 仕込みの芳香族ジオールに対する、芳香族ジオールモノ(メタ)アクリレートの生成率が40〜70モル%になった時点でエステル化反応を終了させる、請求項1〜4のいずれか一項に記載の芳香族ジオールモノ(メタ)アクリレートの製造方法。
  6. 前記加熱減圧は、前記エステル化反応と、反応系内の水分とエステル化物との加水分解反応が平衡状態となった後に開始する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の芳香族ジオールモノ(メタ)アクリレートの製造方法。
  7. 空気を吹き込みながらエステル化反応させる請求項1〜6のいずれか一項に記載の芳香族ジオールモノ(メタ)アクリレートの製造方法。
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