JPWO2011148903A1 - α位置換アクリル酸エステル類及びそれを含む組成物、並びに、それらの製造方法 - Google Patents

α位置換アクリル酸エステル類及びそれを含む組成物、並びに、それらの製造方法 Download PDF

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Abstract

α位置換アクリル酸エステル類の製造方法であって、装置腐食の問題や廃棄物無毒化の必要がなく、より短時間でかつ高収率に反応を行うことができるために、α位置換アクリル酸エステル類の製造方法として工業的に好適に用いることのできる製造方法を提供する。特定の構造を有する化合物と活性水素含有化合物とを、3級アミンと、酸及び/又はその塩とが共存した条件下で反応させる工程を含むα位置換アクリル酸エステルの製造方法。

Description

本発明は、α位置換アクリル酸エステル類の製造方法及びそれによって得られるα位置換アクリル酸エステル類に関する。より詳しくは、光学材料や塗料、反応性希釈剤、界面活性剤原料、医農薬製造用の中間体、レジスト用原料等の他、様々な用途に有用なα位置換アクリル酸エステル類の製造方法及びそれによって得られるα位置換アクリル酸エステル類に関する。
α位置換アクリル酸エステル類は、光学材料や塗料、反応性希釈剤、界面活性剤原料、医農薬製造用の中間体、レジスト用原料等の他、様々な用途に有用なものであることから注目を集めている化合物群である。このようなα位置換アクリル酸エステル類については、活発に研究が進められており、その合成方法においても、これまでに種々の方法が試みられている。
従来のα位置換アクリル酸エステル類の製造方法としては、例えば、α−(ブロモメチル)アクリル酸メチルとアルコールとを、トリエチルアミン存在下に反応させて、対応するα−(アルコキシメチル)アクリル酸メチルを製造する方法が開示されている(例えば、非特許文献1参照。)。また、α−(ヒドロキシメチル)アクリル酸エステル類と、ヒドロキシ基含有化合物とを、酸触媒の存在下に反応させて、対応するα−(アルコキシメチル)アクリル酸エステル類を製造する方法(例えば、特許文献1参照。)や、α−(ヒドロキシメチル)アクリル酸エチルとエタノールとを、濃硫酸の存在下に反応させて、α−(エトキシメチル)アクリル酸エチルを製造する方法(例えば、非特許文献2参照。)、更にはα−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチルとアルコールとを、固体酸であるモンモリロナイトの存在下に反応させて、対応するα−(アルコキシメチル)アクリル酸エチルを製造する方法が開示されている(例えば、非特許文献3参照。)。その他、アクリル酸メチルとホルムアルデヒドとを、トリエチレンジアミン存在下に反応させて、対応するα−(アルコキシメチル)アクリル酸メチルを製造する方法(例えば、特許文献2参照。)や、α−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチルとアルコールとを、3級アミンの存在下に反応させて、対応するα−(アルコキシメチル)アクリル酸エチルを製造する方法が開示されている(例えば、特許文献3参照。)。
特許第3907738号公報(第1−2頁) 米国特許第4889948号明細書 特許第3943180号公報(第1−2頁)
ブンイチロウ・ヤマダ(Bunichiro Yamada)、外2名、「マクロモレキュラー ケミー(Makromolekulare Chemie)」、1991年、第192巻、p.2713−2722 バルドウィン(M.G.Baldwin)、外1名、「ジャーナル オブ ポリマー サイエンス:パート A(Journal of Polymer Science:Part A)」、1963年、第1巻、p.1919−1926 ポヌサミー・シャムガン(Ponnusamy Shanmugam)、外1名、「ケミストリー レターズ(Chemistry Letters)」、2002年、第31巻、p.1212−1213
上述のように、様々なα位置換アクリル酸エステル類の製造方法が開示されているが、反応速度、反応収率等の面において、更に効率的な反応とするための工夫の余地があった。上記非特許文献1の方法は、原料として反応性の高いハロメチルアクリル酸エステルを用いる方法であり、高収率でα位置換アクリル酸エステル類が得られる製造方法である。しかしながら、ハロメチルアクリル酸エステルは高価であり入手するのが困難であることから、工業的な製造を行うには経済的に課題があった。更には、副生成物として大量のハロゲン化水素又はそのアンモニウム塩が生じるために、それによって装置の腐食が進行するという問題や、廃棄物を無毒化しなければならないという問題もあった。
また、特許文献1、非特許文献2のように、α−(ヒドロキシメチル)アクリル酸エステル類と、ヒドロキシ基含有化合物とを、酸触媒の存在下に反応させる場合には、生成物であるα−(アルコキシメチル)アクリル酸エステル類の生成と同時に、α−(アルコキシメチル)アクリル酸エステル類の加水分解反応も進行してしまうために、反応収率が低くなり効率的な反応とは言い難いものであった。更には、α−(アルコキシメチル)アクリル酸エステル類の生成反応の副反応としてエステル交換反応が進行するために、エステル置換基の構造とヒドロキシ基含有化合物のヒドロキシ基以外の部分の構造とが異なる場合には、生成物の生成選択性が低くなってしまうものであった。また、非特許文献3においては、触媒として固体酸であるモンモリロナイトを用いており、この場合には、固体酸が反応原料の60質量%と多量に必要となり、工業的な製造方法としては課題のあるものであった。
そして、特許文献2、特許文献3のように、α−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチルを原料に、3級アミンを触媒として用いる場合には、上記同様、生成物の生成反応と共にエステル交換反応が進行し、更には、反応時間が長く必要であり、原料の転化率及び生成物の収率も低いものであった。
このように、従来α位置換アクリル酸エステル類の製造方法として提案されている方法は、工業的な製造方法としてより好適なものとなるよう工夫する余地があった。
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、α位置換アクリル酸エステル類の製造方法であって、装置腐食の問題や廃棄物無毒化の必要がなく、より安価な原料から短時間でかつ高収率に反応を行うことができるために、α位置換アクリル酸エステル類の製造方法として工業的に好適に用いることのできる製造方法を提供することを目的とする。
本発明者等は、α位置換アクリル酸エステル類の製造方法について種々検討し、特定の構造を有する化合物を反応原料とした時の、反応時に用いられる触媒系に着目した。そして、3級アミンを触媒として用いる際に、酸も共存させるようにすると、反応をより短時間に、かつ、より高収率で行うことが可能となることを見出し、これによって上記課題を見事に解決することができることに想到し、本発明に到達したものである。なお、3級アミンという塩基性物質を触媒として用いる系において酸を共存させることは、3級アミンの触媒活性の低下を予想させるものであるにもかかわらず、そのようにすることによって反応がより効率的に進行するという効果は、予想に反する意外な効果であるといえ、このような効果が得られる製造方法を見出した点に本発明の技術的意義がある。
本発明者等はまた、本発明の製造方法及び従来知られた製造方法によって得られるα位置換アクリル酸エステル類には、反応の過程で生成してくる副生物が含まれることを見出し、本発明の製造方法によって製造されるα位置換アクリル酸エステル類は、当該副生物の含有量が従来知られた製造方法で製造したα位置換アクリル酸エステル類よりも少ないことをも見出した。このことから、本発明の製造方法により得られるα位置換アクリル酸エステル類は工程安定性、保存安定性に優れるものとなり、上述した各種用途により好適に適用することができるものといえる。
すなわち本発明は、下記一般式(1);
Figure 2011148903
(式中、R、R及びRは、同一若しくは異なって、水素原子又は炭素数1〜200の有機基を表す。Xは、ルイス塩基性官能基を表す。)で表される化合物と活性水素含有化合物とを反応させて得られる下記一般式(2);
Figure 2011148903
(式中、R、R及びRは、前記一般式(1)と同様である。Yは、活性水素含有化合物の残基を表す。)で表されるα位置換アクリル酸エステル類を製造する方法であって、該製造方法は、3級アミンと、酸及び/又はその塩とが共存した条件下で反応を行う工程を含み、一般式(1)で表される化合物におけるルイス塩基性官能基を脱離させて活性水素含有化合物の残基に交換する反応を必須とするα位置換アクリル酸エステル類の製造方法である。
以下に本発明を詳述する。
本発明のα位置換アクリル酸エステル類の製造方法においては、一般式(1)で表される化合物におけるルイス塩基性官能基を脱離させて活性水素含有化合物の残基に交換する反応を必須とするものである。
上記反応は、図1のような反応機構によって進行すると考えられる。すなわち、触媒の3級アミン(NQ)がS2’機構により一般式(1)で表される化合物の二重結合部分を求核攻撃することで反応中間体を生じ、続いて、活性水素含有化合物(Y−H)が該反応中間体と反応して、一般式(2)で表される化合物を生成する。ここで、本発明の酸及び/又はその塩としてルイス酸([M])が共存すると、一般式(1)で表される化合物の二重結合部分が求電子性を増し、上記機構による反応が促進される。また、本発明の酸及び/又はその塩としてブレンステッド酸(A−H)が共存すると、該ブレンステッド酸の共役塩基(A)をカウンターアニオンとする、安定で塩基性の低い反応中間体を経由することになる。このため、反応中間体の生成がより促進されるとともに、エステル交換反応や加水分解反応等の塩基によって促進される副反応が起こりにくくなる。このような推定反応機構により反応が進行するために、反応性の低い基質を原料にした場合においても、速やかに反応が進行し、かつ、高収率・高選択率が得られるものと考えられる。更には、本発明者等は、本発明の酸及び/又はその塩を共存させることで、3級アミン触媒の失活反応が抑制されることをも見出しており、このことも短時間で高収率が得られる一因と考えられる。
なお、図1中、R、R及びRは、同一若しくは異なって、水素原子又は炭素数1〜200の有機基を表す。Xは、ルイス塩基性官能基を表す。X−Hは、ルイス塩基性官能基Xが脱離後にプロトン化された副生成物を表す。NQは、3級アミンを表す。A−H及び[M]は、いずれも本発明の酸及び/又はその塩を表すものであり、A−Hはブレンステッド酸を表し、Aは該ブレンステッド酸A−Hの共役塩基を表し、[M]はルイス酸を表す。Y−Hは、活性水素含有化合物を表す。Yは、活性水素含有化合物の残基を表す。
本発明のα位置換アクリル酸エステル類の製造方法は、下記一般式(1);
Figure 2011148903
(式中、R、R及びRは、同一若しくは異なって、水素原子又は炭素数1〜200の有機基を表す。Xは、ルイス塩基性官能基を表す。)で表される化合物と活性水素含有化合物とを、3級アミンと、酸及び/又はその塩とが共存した条件下で反応させる工程を含むものであるが、一般式(1)で表される化合物、活性水素含有化合物、3級アミン、並びに、酸及び/又はその塩はそれぞれ1種用いてもよく、2種以上を用いてもよい。また、本発明の製造方法においては、一般式(1)で表される化合物、活性水素含有化合物、3級アミン、並びに、酸及び/又はその塩を用いて行われる限り、その他の成分を含んで行われてもよく、一般式(1)で表される化合物と活性水素含有化合物とを、3級アミンと、酸及び/又はその塩とが共存した条件下で反応させる工程を含む限り、その他の工程を含んでいてもよい。
本発明の製造方法においては、一般式(1)で表される化合物と活性水素含有化合物とを3級アミンと、酸及び/又はその塩とが共存した条件下で反応させることになるが、一般式(1)で表される化合物と活性水素含有化合物との反応のいずれかの時点で3級アミンと、酸及び/又はその塩とが共存した条件となっていればよいが、3級アミンと、酸及び/又はその塩とが共存した条件下で反応が行われる時間が長いほうが好ましく、反応の開始から終了まで3級アミンと、酸及び/又はその塩とが共存した条件下で行われることが最も好ましい。
上記3級アミンと酸及び/又はその塩とは、それぞれ反応開始時に一括添加してもよく、反応を行いながら逐次添加してもよいが、反応開始時に一括添加することが好ましい。反応開始時に一括添加することで、上記中間体の生成を促進し、反応を速やかに進行させ、生成物の収率を高めることができる。
また、3級アミンと酸及び/又はその塩とを反応開始時に一括添加する場合、これらを別々に添加してもよく、予め混合して添加してもよい。
上記一般式(1)で表される化合物におけるXは、ルイス塩基性官能基を表すが、該ルイス塩基性官能基としては、ヒドロキシ基、アルキルオキシ基、アルケニルオキシ基、アリールオキシ基、アシルアリールアミノ基、アロイルアリールアミノ基、ジアシルアミノ基、ジアロイルアミノ基、アシルアロイルアミノ基、アルキルスルホニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基、ジアルキルホスホニル基、ジアルキルホスフィニルオキシ基、ジアリールホスホニル基、ジアリールホスフィニルオキシ基等が挙げられる。より好ましくは、ヒドロキシ基、アルキルオキシ基、アルケニルオキシ基、アリールオキシ基であり、特に好ましくは、ヒドロキシ基である。すなわち、上記一般式(1)で表される化合物におけるXが、ヒドロキシ基であることもまた、本発明の好適な実施形態の1つである。
上記アルキルオキシ基としては、具体的には、メチルオキシ基、エチルオキシ基、n−又はi−プロピルオキシ基、n−、i−又はt−ブチルオキシ基、n−、s−又はt−アミルオキシ基、ネオペンチルオキシ基、n−又はs−ヘキシルオキシ基、n−ヘプチルオキシ基、n−、s−又はt−オクチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、カプリルオキシ基、ノニルオキシ基、デシルオキシ基、ウンデシルオキシ基、ラウリルオキシ基、トリデシルオキシ基、ミリスチルオキシ基、ペンタデシルオキシ基、セチルオキシ基、ヘプタデシルオキシ基、ステアリルオキシ基、ノナデシルオキシ基、エイコシルオキシ基、セリルオキシ基、メリシルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロペンチルメチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、シクロヘキシルメチルオキシ基、4−メチルシクロヘキシルオキシ基、4−t−ブチルシクロヘキシルオキシ基、トリシクロデカニルオキシ基、イソボルニルオキシ基、アダマンチルオキシ基、ジシクロペンタニルオキシ基等が挙げられる。これらのうちでも、メチルオキシ基、エチルオキシ基がより好ましい。
上記アルケニルオキシ基としては、具体的には、ビニルオキシ基、アリルオキシ基、メタリルオキシ基、ベンジルオキシ基、ジシクロペンテニルオキシ基、クロチルオキシ基、1,1−ジメチル−2−プロペニルオキシ基、2−メチル−ブテニルオキシ基、3−メチル−2−ブテニルオキシ基、3−メチル−3−ブテニルオキシ基、2−メチル−3−ブテニルオキシ基、オレイルオキシ基、リノールオキシ基、リノレンオキシ基等が挙げられる。これらのうちでも、ビニルオキシ基、アリルオキシ基、メタリルオキシ基、ベンジルオキシ基、クロチルオキシ基がより好ましい。
上記アリールオキシ基としては、具体的には、フェノキシ基、o−、m−、p−の各種トリルオキシ基、o−、m−、p−の各種メトキシフェニルオキシ基、o−、m−、p−の各種キシリルオキシ基、クメニルオキシ基,メシチルオキシ基、ペンタメチルフェニルオキシ基、エチルフェニルオキシ基,スチリルオキシ基、ビフェニルオキシ基、p−テルフェニルオキシ基,ジフェニルメチルフェニルオキシ基、フェノキシフェニルオキシ基、ビベンジリルオキシ基、スチルベニルオキシ基、インデニルオキシ基、ナフチルオキシ基、アントリルオキシ基、フェナントリルオキシ基等が挙げられる。これらのうちでも、フェノキシ基、o−、m−、p−の各種トリルオキシ基、o−、m−、p−の各種メトキシフェニルオキシ基がより好ましい。
また、上記Xが、一般式(1)におけるX以外の部分の構造に酸素原子が結合した構造である場合には、一般式(1)で表される化合物は、下記一般式(3);
Figure 2011148903
(式中、R、R及びRは、一般式(1)と同様である。)で表されるエーテル二量体の形態となる。このように、上記Xが、一般式(1)におけるX以外の部分の構造に酸素原子が結合した構造であることもまた、本発明の好適な実施形態の1つである。
上記一般式(1)で表される化合物におけるR、R及びRは、同一若しくは異なって、水素原子又は炭素数1〜200の有機基を表す。該R、R及びRとしては、特に制限されないが、例えば、水素原子;炭素数1〜30の直鎖状又は分岐状アルキル基;炭素数3〜30の環状アルキル基;炭素数2〜30の直鎖状又は分岐状アルケニル基;炭素数3〜30の環状アルケニル基;炭素数2〜30の直鎖状又は分岐状アルキニル基;炭素数6〜30のアリール基;炭素数4〜200のオキシアルキレン基を繰り返し単位とするポリアルキレングリコール構造;ヒドロキシ基によって置換された炭素数1〜30のアルキル基、アルケニル基又はアリール基;炭素数1〜30のアルコキシ基、アルケニルオキシ基又はアリールオキシ基によって置換された炭素数1〜30のアルキル基、アルケニル基又はアリール基;炭素数1〜30のアルキルカルボニルオキシ基、アルケニルカルボニルオキシ基又はアリールカルボニルオキシ基によって置換された炭素数1〜30のアルキル基、アルケニル基又はアリール基;炭素数1〜30のアルキルオキシカルボニル基、アルケニルオキシカルボニル基又はアリールオキシカルボニル基によって置換された炭素数1〜30のアルキル基、アルケニル基又はアリール基;炭素数1〜30のアルキルカルボニル基、アルケニルカルボニル基又はアリールカルボニル基によって置換された炭素数1〜30のアルキル基、アルケニル基又はアリール基;シアノ基によって置換された炭素数1〜30のアルキル基、アルケニル基又はアリール基;炭素数1〜30のアルキル基、アルケニル基又はアリール基によって置換されたカルボニル基;炭素数1〜30のアルキル基、アルケニル基又はアリール基によって置換されたオキシカルボニル基等が挙げられる。これらの中でも、水素原子、炭素数1〜30の直鎖状又は分岐状アルキル基、炭素数3〜30の環状アルキル基、炭素数2〜30の直鎖状又は分岐状アルケニル基、炭素数6〜30のアリール基が好ましい。
上記アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−又はi−プロピル基、n−、i−又はt−ブチル基、n−、s−又はt−アミル基、ネオペンチル基、n−、s−又はt−ヘキシル基、n−、s−又はt−ヘプチル基、n−、s−又はt−オクチル基、2−エチルヘキシル基、カプリル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ラウリル基、トリデシル基、ミリスチル基、ペンタデシル基、セチル基、ヘプタデシル基、ステアリル基、ノナデシル基、エイコシル基、セリル基、メリシル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロペンチルメチル基、シクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基、4−メチルシクロヘキシル基、4−t−ブチルシクロヘキシル基、トリシクロデカニル基、イソボルニル基、アダマンチル基、ジシクロペンタニル基等が挙げられる。
上記アルケニル基としては、ビニル基、アリル基、メタリル基、ベンジル基、クロチル基、1,1−ジメチル−2−プロペニル基、2−メチル−ブテニル基、3−メチル−2−ブテニル基、3−メチル−3−ブテニル基、2−メチル−3−ブテニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基、ウンデセニル基、ドデセニル基、トリデセニル基、テトラデセニル基、ペンタデセニル基、ヘキサデセニル基、ヘプタデセニル基、オレイル基、リノール基、リノレン基、シクロペンテニル基、シクロペンテニルメチル基、シクロヘキセニル基、シクロヘキセニルメチル基、4−メチルシクロヘキセニル基、4−t−ブチルシクロヘキセニル基、シクロオクテニル基、ジシクロペンテニル基等が挙げられる。
上記アリール基としては、フェニル基、o−、m−、p−の各種トリル基、o−、m−、p−の各種メトキシフェニル基、o−、m−、p−の各種キシリル基、ヘミメリチル基、クメニル基,プソイドクメニル基、メシチル基、ジュニル基、ペンタフェニメチル基、エチルフェニル基,クメニル基、スチリル基、ビフェニル基、p−テルフェニル基,ジフェニルメチルフェニル基、フェノキシフェニル基、ビベンジリル基、スチルベニル基、インデニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、フリル基、チエニル基等が挙げられる。
上記R及びRとしては、これらの中でも、水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−アミル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、カプリル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ラウリル基、トリデシル基、ミリスチル基、ペンタデシル基、セチル基、ヘプタデシル基、ステアリル基、ノナデシル基、エイコシル基、セリル基、メリシル基、フェニル基、トリル基、o−、m−、p−の各種キシリル基、ビフェニル基、テルフェニル基,フェノキシフェニル基、ビベンジリル基、インデニル基、ナフチル基、アントリル基であることが好ましい。より好ましくは、水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、フェニル基であり、最も好ましくは、R、Rが共に、水素原子であることである。
また、上記Rとしては、上述したものの中でも、水素原子、メチル基、エチル基、n−又はi−プロピル基、n−、i−又はt−ブチル基、n−、s−又はt−アミル基、ネオペンチル基、n−、s−又はt−ヘキシル基、n−、s−又はt−ヘプチル基、n−、s−又はt−オクチル基、2−エチルヘキシル基、カプリル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ラウリル基、トリデシル基、ミリスチル基、ペンタデシル基、セチル基、ヘプタデシル基、ステアリル基、ノナデシル基、エイコシル基、セリル基、メリシル基、ビニル基、アリル基、メタリル基、クロチル基、1,1−ジメチル−2−プロペニル基、2−メチルブテニル基、3−メチル−2−ブテニル基、3−メチル−3−ブテニル基、2−メチル−3−ブテニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基、ウンデセニル基、ドデセニル基、トリデセニル基、テトラデセニル基、ペンタデセニル基、ヘキサデセニル基、ヘプタデセニル基、オレイル基、リノール基、リノレン基、シクロペンチル基、シクロペンチルメチル基、シクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基、4−メチルシクロヘキシル基、4−t−ブチルシクロヘキシル基、トリシクロデカニル基、イソボルニル基、アダマンチル基、ジシクロペンタニル基、ジシクロペンテニル基、フェニル基、メチルフェニル基、ジメチルフェニル基、トリメチルフェニル基、4−t−ブチルフェニル基、ベンジル基、ジフェニルメチル基、ジフェニルエチル基、トリフェニルメチル基、シンナミル基、ナフチル基、アントラニル基、メトキシエチル基、メトキシエトキシエチル基、メトキシエトシキエトキシエチル基、3−メトキシブチル基、エトキシエチル基、エトキシエトキシエチル基、シクロペントキシエチル基、シクロヘキシルオキシエチル基、シクロペントキシエトキシエチル基、シクロヘキシルオキシエトキシエチル基、ジシクロペンテニルオキシエチル基、フェノキシエチル基、フェノキシエトキシエチル基、グリシジル基、β−メチルグリシジル基、β−エチルグリシジル基、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル基、2−オキセタンメチル基、3−メチル−3−オキセタンメチル基、3−エチル−3−オキセタンメチル基、テトラヒドロフラニル基、テトラヒドロフルフリル基、テトラヒドロピラニル基、ジオキサゾラニル基、ジオキサニル基であることが好ましい。より好ましくはメチル基、エチル基、n−ブチル基、2−エチルヘキシル基であり、最も好ましくはメチル基、エチル基である。
本発明における活性水素含有化合物としては、その構造内に活性水素を含有する化合物であれば、特に制限されないが、アルコール系ヒドロキシ基含有化合物、フェノール系ヒドロキシ基含有化合物、メルカプト基含有化合物、ホスフィニド基含有化合物、カルボキシル基含有化合物、メチレンビスカルボニル基含有化合物、ニトロ基含有化合物、シアノ基含有化合物、メチレンビスシアノ基含有化合物、アジ基含有化合物等が挙げられる。すなわち、活性水素含有化合物が、アルコール系ヒドロキシ基含有化合物、フェノール系ヒドロキシ基含有化合物、メルカプト基含有化合物、ホスフィニド基含有化合物、カルボキシル基含有化合物、メチレンビスカルボニル基含有化合物、ニトロ基含有化合物、シアノ基含有化合物、メチレンビスシアノ基含有化合物、及び、アジ基含有化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物であることもまた、本発明の好適な実施形態の1つである。
更に、アルコール系ヒドロキシ基含有化合物及び/又はフェノール系ヒドロキシ基含有化合物を用いることもまた本発明の好適な実施形態の1つである。
上記アルコール系ヒドロキシ基含有化合物は、下記一般式(4);
Figure 2011148903
(式中、Yは、炭素数1〜200の有機基を表す。)で表すことができる。なお、該Yは、上記一般式(1)におけるR、R及びRの炭素数1〜200の有機基と同様である。
上記一般式(4)で表されるアルコール系ヒドロキシ基含有化合物としては、具体的には、メタノール、エタノール、プロパノール、n−ブタノール、t−ブタノール、2−エチルヘキサノール等のアルキルアルコール類;シクロペンタノール、シクロヘキサノール等のシクロアルキルアルコール類、ベンジルアルコール等のアリールアルコール類;アリルアルコール、メタリルアルコール、クロチルアルコール、プロパルギルアルコール等の不飽和アルコール類;ジメチルアミノエタノール、ジエチルアミノエタノールなどのアミノアルコール類;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、メチル 2−(ヒドロキシメチル)アクリレート、エチル 2−(ヒドロキシメチル)アクリレート等の重合性基含有アルコール類、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、ブチルセルソルブ、カルビトール、ポリエチレングリコールモノメトキシエーテル、ポリプロピレングリコールモノエトキシエーテル等の、アルキレングリコールモノアルキルエーテル類、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のアルキレングリコール類、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなどの多価アルコール類、グルコース、マントースなどの糖類、およびこれら化合物のハロゲン置換体等が挙げられる。これらの中でも、メタノール、エタノール、プロパノール、n−ブタノール、2−エチルヘキサノール、アリルアルコール、メタリルアルコール、クロチルアルコールがより好ましい。特に好ましくはアリルアルコール、メタリルアルコール、クロチルアルコールである。
上記フェノール系ヒドロキシ基含有化合物は、上記一般式(4)で表される化合物のうち、ベンゼン環に置換したヒドロキシ基を有する化合物である。
フェノール系ヒドロキシ基含有化合物としては、具体的には、フェノール、o−、m−、p−の各種クレゾール、o−、m−、p−の各種メトキシフェノール、2,3−ジメチルフェノール、2,4−ジメチルフェノール、2,5−ジメチルフェノール、2,6−ジメチルフェノール、3,4−ジメチルフェノール、3,5−ジメチルフェノール、トリメチルフェノール、o−、m−、p−の各種t−ブチルフェノール、o−、m−、p−の各種s−ブチルフェノール、メチル−t−ブチルフェノール、o−、m−、p−の各種シクロヘキシルフェノール、o−、m−、p−の各種フェニルフェノール、1−又は2−ナフトール、アントロールが挙げられる。これらの中でも、フェノール、o−、m−、p−の各種クレゾール、2,3−ジメチルフェノール、2,4−ジメチルフェノール、2,5−ジメチルフェノール、2,6−ジメチルフェノール、3,4−ジメチルフェノール、3,5−ジメチルフェノール、トリメチルフェノール、o−、m−、p−の各種t−ブチルフェノール、o−、m−、p−の各種フェニルフェノール、1−又は2−ナフトール、アントロールがより好ましい。
上記メルカプト基含有化合物は、下記一般式(5);
Figure 2011148903
(式中、Yは、炭素数1〜200の有機基を表す。)で表すことができる。なお、該Yは、上記一般式(1)におけるR、R及びRの炭素数1〜200の有機基と同様である。
上記一般式(5)で表されるメルカプト基含有化合物としては、具体的には、メチルメルカプタン、エチルメルカプタン、n−又はi−プロピルメルカプタン、n−、i−又はt−ブチルメルカプタン、チオフェノール等が挙げられる。これらの中でも、メチルメルカプタン、エチルメルカプタン、n−又はi−プロピルメルカプタン、n−、i−又はt−ブチルメルカプタン、チオフェノールがより好ましい。
上記ホスフィニド基含有化合物は、下記一般式(6);
Figure 2011148903
(式中、Y及びYは、同一若しくは異なって、炭素数1〜200の有機基を表す。)で表すことができる。なお、該Y及びYは、上記一般式(1)におけるR、R及びRの炭素数1〜200の有機基と同様である。
上記一般式(6)で表されるホスフィニド基含有化合物としては、ジアリールホスフィン、アルキルアリールホスフィン、ジアルキルホスフィン、ジシクロアルキルホスフィン、アリールシクロアルキルホスフィン、アルキルシクロアルキルホスフィン等がある。具体的には、ジフェニルホスフィン、ジ(3−メチルフェニル)ホスフィン、ジ(4−メチルフェニル)ホスフィン、ビス(2,4−ジメチルフェニル)ホスフィン、ビス(3,5−ジメチルフェニル)ホスフィン、ビス(2,6−ジメチルフェニル)ホスフィン、ビス(2,4,6−トリメチルフェニル)ホスフィン、ビス(3,4,5−トリメチルフェニル)ホスフィン、ジ(4−t−ブチルフェニル)ホスフィン、ビス(3,5−ジ−t−ブチルフェニル)ホスフィン、ジ(3−メトキシフェニル)ホスフィン、ジ(4−メトキシフェニル)ホスフィン、ビス(2,4−ジメトキシフェニル)ホスフィン、ビス(3,5−ジメトキシフェニル)ホスフィン、ビス(2,6−ジメトキシフェニル)ホスフィン、ビス(2,4,6−トリメトキシフェニル)ホスフィン、ビス(3,4,5−トリメトキシフェニル)ホスフィン、ビス(3,5−ジメチル−4−メトキシフェニル)ホスフィン、ジ(3−クロロフェニル)ホスフィン、ジ(4−クロロフェニル)ホスフィン、ビス(2,4−ジクロロフェニル)ホスフィン、ビス(3,5−ジクロロフェニル)ホスフィン、ビス(2,6−ジクロロフェニル)ホスフィン、ビス(2,4,6−トリクロロフェニル)ホスフィン、ビス(3,4,5−トリクロロフェニル)ホスフィン、ジ(3−フルオロフェニル)ホスフィン、ジ(4−フルオロフェニル)ホスフィン、ビス(2,4−ジフルオロフェニル)ホスフィン、ビス(3,5−ジフルオロフェニル)ホスフィン、ビス(2,6−ジフルオロフェニル)ホスフィン、ビス(2,4,6−トリフルオロフェニル)ホスフィン、ビス(3,4,5−トリフルオロフェニル)ホスフィン、ジ(3−トリフルオロメチルフェニル)ホスフィン、ジ(4−トリフルオロメチルフェニル)ホスフィン、ビス(2,4−ビストリフルオロメチルフェニル)ホスフィン、ビス(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)ホスフィン、ビス(2,6−ビストリフルオロメチルフェニル)ホスフィン、ビス(2,4,6−トリストリフルオロメチルフェニル)ホスフィン、ビス(3,4,5−トリストリフルオロメチルフェニル)ホスフィン、ジ(3−ジメチルアミノフェニル)ホスフィン、ジ(4−ジメチルアミノフェニル)ホスフィン、ビス(2,4−ビスジメチルアミノフェニル)ホスフィン、ビス(3,5−ビスジメチルアミノフェニル)ホスフィン、ビス(2,6−ビスジメチルアミノフェニル)ホスフィン、ビス(2,4,6−トリスジメチルアミノフェニル)ホスフィン、ビス(3,4,5−トリスジメチルアミノフェニル)ホスフィン、ジ(3−ビフェニル)ホスフィン、ジ(4−ビフェニル)ホスフィン、ビス(2,4−ジフェニルフェニル)ホスフィン、ビス(3,5−ジフェニルフェニル)ホスフィン、ビス(2,6−ジフェニルフェニル)ホスフィン、ビス(2,4,6−トリフェニルフェニル)ホスフィン、ビス(3,4,5−トリフェニルフェニル)ホスフィン、ジ(α−ナフチル)ホスフィン、ジ(β−ナフチル)ホスフィン、ジ(6−メトキシ−α−ナフチル)ホスフィン、ジ(6−メトキシ−β−ナフチル)ホスフィン、ジ(3,4−メチレンジオキシフェニル)ホスフィン、ジメチルホスフィン、ジエチルホスフィン、ジイソプロピルホスフィン、ジ−t−ブチルホスフィン、ジシクロプロピルホスフィン、ジシクロペンチルホスフィン、ジシクロヘキシルホスフィン、ジシクロオクチルホスフィン、ジシクロデシルホスフィン、ジシクロドデシルホスフィン、及びシクロヘキシルフェニルホスフィン等が挙げられる。これらの中でも、ジフェニルホスフィン、ジメチルホスフィン、ジエチルホスフィン、ジイソプロピルホスフィン、ジ−t−ブチルホスフィン、ジシクロプロピルホスフィン、ジシクロペンチルホスフィン、ジシクロヘキシルホスフィン、ジシクロオクチルホスフィン、ジシクロデシルホスフィン、ジシクロドデシルホスフィンがより好ましい。
上記カルボキシル基含有化合物は、下記一般式(7);
Figure 2011148903
(式中、Yは、炭素数1〜200の有機基を表す。)で表すことができる。なお、該Yは、上記一般式(1)におけるR、R及びRの炭素数1〜200の有機基と同様である。
上記一般式(7)で表されるカルボキシル基含有化合物としては、具体的には、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、マレイン酸、フマル酸、安息香酸、フタル酸、1,2,3−ベンゼントリカルボン酸、グリコール酸、乳酸、リンゴ酸、クエン酸、サリチル酸、(メタ)アクリル酸等が挙げられる。これらの中でも、蟻酸、酢酸、酪酸、シュウ酸、マレイン酸、フマル酸、安息香酸、フタル酸、アクリル酸、メタクリル酸がより好ましい。
上記メチレンビスカルボニル基含有化合物は、下記一般式(8);
Figure 2011148903
(式中、Y、Y及びYは、同一若しくは異なって、炭素数1〜200の有機基を表す。)で表すことができる。なお、該Y、Y及びYは、上記一般式(1)におけるR、R及びRの炭素数1〜200の有機基と同様である。
上記一般式(8)で表されるメチレンビスカルボニル基含有化合物としては、具体的には、2,4−ペンタジオン、3,5−ヘプタジオン、1,3−ジフェニルプロパンジオン、マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、マロン酸ジプロピル、マロン酸ジイソプロピル、マロン酸ジブチル、2−メチルマロン酸等が挙げられる。これらの中でも、2,4−ペンタジオン、3,5−ヘプタジオン、1,3−ジフェニルプロパンジオン、マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、2−メチルマロン酸ジメチル、2−メチルマロン酸ジエチルがより好ましい。
上記ニトロ基含有化合物は、下記一般式(9);
Figure 2011148903
(式中、Y及びY10は、同一若しくは異なって、炭素数1〜200の有機基を表す。)で表すことができる。なお、該Y及びY10は、上記一般式(1)におけるR、R及びRの炭素数1〜200の有機基と同様である。
上記一般式(9)で表されるニトロ基含有化合物としては、具体的には、ニトロメタン、ニトロエタン、ニトロプロパン、ニトロ酢酸メチル、ニトロ酢酸エチル、ニトロ酢酸プロピル、ニトロ酢酸ブチル、ニトロメチルフェニルスルホン等が挙げられる。これらの中でも、ニトロメタン、ニトロエタン、ニトロプロパンがより好ましい。
上記シアノ基含有化合物としては、シアン化水素、下記一般式(10);
Figure 2011148903
(式中、Y11及びY12は、同一若しくは異なって、炭素数1〜200の有機基を表す。)で表すことができる化合物が挙げられる。なお、該Y11及びY12は、上記一般式(1)におけるR、R及びRの炭素数1〜200の有機基と同様である。
上記一般式(10)で表されるシアノ基含有化合物としては、具体的には、シアノメタン、シアノエタン、シアノ酢酸メチル、シアノ酢酸エチル、シアノ酢酸プロピル、シアノ酢酸ブチル等が挙げられる。
上記シアノ基含有化合物の中でも、シアン化水素、シアノ酢酸メチル、シアノ酢酸エチルがより好ましい。
上記メチレンビスシアノ基含有化合物は、下記一般式(11);
Figure 2011148903
(式中、Y13は、炭素数1〜200の有機基を表す。)で表すことができる。なお、該Y13は、上記一般式(1)におけるR、R及びRの炭素数1〜200の有機基と同様である。
上記一般式(11)で表されるメチレンビスシアノ基含有化合物としては、具体的には、マロノニトリル、2−メチルマロノニトリル、2−エチルマロノニトリル等が挙げられる。これらの中でも、マロノニトリル、2−メチルマロノニトリルがより好ましい。
上記アジ基含有化合物としては、アジ化水素が挙げられる。
活性水素含有化合物として、一般式(4)で表されるアルコール系ヒドロキシ基含有化合物、フェノール系ヒドロキシ基含有化合物及び/又は一般式(5)で表されるメルカプト基含有化合物を用いる場合には、特許文献1や非特許文献2のように酸を触媒として反応を行うと、エステル交換反応やチオエステル化反応といった副反応が進行してしまう。そのため、一般式(1)で表される化合物のエステル置換基、すなわち、一般式(1)におけるRと、一般式(4)におけるY及び/又は一般式(5)におけるYとが異なっていると、反応生成物の選択率が低下する結果となってしまう。更には、生成物の生成反応と同時に加水分解反応も進行してしまうために、反応収率も低くなってしまうものであった。しかしながら、本発明の製造方法のように触媒として3級アミンと酸及び/又はその塩とを共存させて反応させた場合には、上述したように、活性水素含有化合物として、アルコール系ヒドロキシ基含有化合物、フェノール系ヒドロキシ基含有化合物及び/又はメルカプト基含有化合物を用いたとしても、副反応や加水分解反応が充分に抑制されることとなる。これは、図1に示したような機構によって反応が進行するためであると推定される。
したがって、反応原料として、一般式(1)で表される化合物とアルコール系ヒドロキシ基含有化合物、フェノール系ヒドロキシ基含有化合物及び/又はメルカプト基含有化合物とを用いる場合において、一般式(1)で表される化合物のエステル置換基部分の構造とヒドロキシ基含有化合物のヒドロキシ基以外の部分及び/又はメルカプト基含有化合物のメルカプト基以外の部分の構造とが異なる時に、本発明の製造方法の優位性がより顕著に発揮されることとなる。すなわち特に、活性水素含有化合物は、Y−OH(Yは、炭素数1〜200の有機基を表す。)で表されるアルコール系ヒドロキシ基含有化合物及び/又はフェノール系ヒドロキシ基含有化合物を用いる場合、YがRとは異なる化合物であることもまた、本発明の好適な実施形態の1つである。
また、上記活性水素含有化合物として、一般式(4)で表されるアルコール系ヒドロキシ基含有化合物を用いる場合において、Yの構造を一般式(1)におけるX以外の部分と同一の構造とすると、α位置換アクリル酸エステル類のエーテル二量体を合成することができる。このように、本発明の製造方法は、α位置換アクリル酸エステル類のエーテル二量体の合成にも好適に用いることができる。
本発明における3級アミンとしては、下記一般式(12);
Figure 2011148903
(式中、R、R及びRは、同一若しくは異なって、炭素数1〜12の直鎖状又は分岐状アルキル基、若しくは、炭素数5〜8のシクロアルキル基である)で表される3級アミン化合物;下記一般式(13);
Figure 2011148903
(式中、R、R、R及びR10は、同一若しくは異なって、炭素数1〜12の直鎖状又は分岐状アルキル基、若しくは、炭素数5〜8のシクロアルキル基であり、R11は水素原子又はメチル基であり、nは1〜8の整数である)で表される3級アミン化合物;炭素数3〜15の環状3級アミン化合物;3級アミンを交換基に有するイオン交換樹脂;3級アミンを有する重合体等が挙げられる。
上記一般式(12)で表される3級アミン化合物としては、具体的には、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリn−プロピルアミン、トリn−ブチルアミン、トリイソブチルアミン、N,N−ジエチルメチルアミン、N,N−ジメチルエチルアミン、N,N−ジメチルプロピルアミン、N,N−ジメチルイソプロピルアミン、N,N−ジメチルブチルアミン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、N,N−ジメチル(2−エチルヘキシル)アミン、N,N−ジメチルラウリルアミン等を挙げることができる。
上記一般式(13)で表される3級アミン化合物としては、具体的には、N,N,N’,N’−テトラメチルジアミノメタン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,3−ジアミノプロパン、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,3−ジアミノブタン、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,4−ジアミノブタン、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,6−ヘキサンジアミン等を挙げることができる。
上記環状3級アミン化合物としては、具体的には、1−アザビシクロ[2,2,1]ヘプタン、1−アザビシクロ[3,2,1]オクタン、1−アザビシクロ[3,3,1]ノナン、1−アザビシクロ[2,3,2]ノナン、1−アザビシクロ[3,3,0]オクタン、1−アザビシクロ[4,3,0]ノナン、キヌクリジン、ピロリジン、ピロコリジン、ルピナン、キヌクリジノン、3−ヒドロキシキヌクリジン、キノリジン,N−メチルピロリジン、N−メチルピロリン、N−メチルピペリジン、N,N’−ジメチルピペラジン、N−(2−ジメチルアミノエチル)−N’−メチルピペラジン、トリエチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、N−メチルイミダゾール、アニシジン、トルイジン、ピリジン、2,6−ジメチルピリジン、3,5−ジメチルピリジン、N,N−ジメチル−4−ピリジン、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデカ−7−エン、1,5−ジアザビシクロ[4,3,0]ノナ−5−エン等を挙げることができる。
上記3級アミンを交換基に有するイオン交換樹脂としては、具体的には、ローム・アンド・ハース社製のアンバーライトA−21、アンバーライトIRA−68、アンバーライトIRA−93ZU、アンバーライントIRA−35およびアンバーライトIRA−99;三菱化学(株)製のダイヤイオンWA−10、ダイヤイオンWA−11およびダイヤイオンWA−30;ダウ・ケミカル社製のダウエックスMWA−1、ダウエックス66およびダウエックスD−3;住友化学(株)製のデュオライトA−368、デュオライトA−561、デュオライトA−340、デュオライトA−375およびデュオライト−378;等を挙げることができる。
上記3級アミンを有する重合体としては、具体的には、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミドなどの三級アミン基を有する重合性モノマーを重合して得られる重合体であり、単独重合体あるいはアルキル(メタ)アクリレート、アルキル(メタ)アクリルアミド、スチレンなどの重合性モノマーとの共重合体、またはそれら重合体の架橋物などを挙げることができる。
上記3級アミンの中でも、トリメチルアミン、N,N−ジメチルエチルアミン、N,N−ジメチルプロピルアミン、N,N−ジメチルブチルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,3−ジアミノプロパン、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,3−ジアミノブタン、トリエチレンジアミン、キヌクリジン、ピロコリジン、N−メチルイミダゾール、N,N−ジメチル−4−ピリジン、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデカ−7−エン、1,5−ジアザビシクロ[4,3,0]ノナ−5−エン等の窒素原子上が嵩高くない3級アミンが好ましい。より好ましくは、トリメチルアミン、トリエチレンジアミン、キヌクリジン、ピロコリジンであり、更に好ましくは、トリエチレンジアミン、キヌクリジン、ピロコリジンである。
本発明における酸及び/又はその塩としては、ブレンステッド酸性又はルイス酸性を有しており、反応溶液中において全体として酸として働いて、一般式(1)で表される化合物からルイス塩基性官能基を脱離させて活性水素含有化合物の残基に交換する反応を促進するものであり、かつ、共存する3級アミンと塩を形成してその求核性を著しく阻害するものでなければ特に制限されないが、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、シュウ酸、安息香酸、テレフタル酸、フタル酸、マレイン酸、フェノール類、ペンタフルオロフェノール、トリクロロフェノール(TCP)類、ジクロロフェノール、パラメトキシフェノール、p−トルエンスルフィン酸、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸等の有機酸;塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、ホウ酸、バナジン酸、タングステン酸、モリブデン酸等の無機酸;該有機酸又は無機酸とアミン類との塩若しくは混合物;ホウ酸エステル類、ボロン酸類、ボロン酸エステル類、ハロゲン化ホウ素類、トリアリールボラン類等のホウ素化合物;酢酸亜鉛、亜鉛トリフラート、亜鉛アセチルアセトナート、酢酸マグネシウム、酢酸ランタン、ランタントリフラート、酢酸アルミニウム、アルミニウムトリフラート、酢酸鉄、鉄トリフラート等のルイス酸性金属塩;タングストリン酸、モリブドリン酸、タングストケイ酸、モリブドケイ酸等のヘテロポリ酸;酸性イオン交換樹脂等のブレンステッド酸;等が挙げられる。なお、有機酸又は無機酸とアミン類との塩若しくは混合物におけるアミン類としては、上述した3級アミンと同様のものを用いることができる。
これらの中でも、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、安息香酸、テレフタル酸、フタル酸、マレイン酸、ペンタフルオロフェノール、トリクロロフェノール類、ジクロロフェノール、p−トルエンスルフィン酸等のpKaが3〜8の有機酸;ホウ酸、リン酸等の無機酸;蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、安息香酸、テレフタル酸、フタル酸、マレイン酸、ペンタフルオロフェノール、トリクロロフェノール類、ジクロロフェノール、シュウ酸、p−トルエンスルホン酸等の有機酸又は塩酸、ホウ酸、リン酸、硫酸、硝酸、バナジン酸、タングステン酸、モリブデン酸等の無機酸とトリメチルアミン、トリエチルアミン、N−メチルイミダゾール、アニシジン、トルイジン、ピリジン、2,6−ジメチルピリジン、3,5−ジメチルピリジン、N,N−ジメチル−4−ピリジン、トリエチレンジアミン、キヌクリジン、ピロコリジンのアミン類との塩若しくは混合物;ホウ酸エステル類、ボロン酸類、ボロン酸エステル類、ハロゲン化ホウ素類、トリアリールボラン類等のホウ素化合物;酢酸亜鉛、亜鉛トリフラート、亜鉛アセチルアセトナート、酢酸マグネシウム、酢酸ランタン、ランタントリフラート、酢酸アルミニウム、アルミニウムトリフラートのルイス酸性金属塩が好ましい。より好ましくは、酢酸、安息香酸、ペンタフルオロフェノール、トリクロロフェノール類、ホウ酸、ホウ酸エステル、トリアリールボラン類、酢酸亜鉛、亜鉛トリフラート、これらの酸とトリメチルアミン、トリエチルアミン、アニシジン、トルイジン、ピリジン、トリエチレンジアミンとの塩若しくは混合物であり、更に好ましくは、酢酸、安息香酸、トリクロロフェノール類、ホウ酸、酢酸亜鉛、亜鉛トリフラートである。特に好ましくは、酢酸、酢酸亜鉛である。
本発明の反応工程における、上記一般式(1)で表される化合物と活性水素含有化合物との配合割合は、一般式(1)で表される化合物及び活性水素含有化合物の種類の組み合わせにより適宜設定することができるが、一般式(1)で表される化合物と活性水素含有化合物とのモル比が、10/1〜1/50であることが好ましい。このような範囲の配合割合であると、円滑な反応の進行が望める。より好ましくは、5/1〜1/10であり、更に好ましくは、2/1〜1/5である。
本発明の反応工程における、3級アミンの使用量としては、一般式(1)で表される化合物100モル%に対して、0.1〜50モル%であることが好ましい。3級アミンの使用量が0.1モル%より少ないと、充分に触媒活性を示すことが難しくなる恐れがあり、50モル%より多いと、副反応が進行してしまう恐れがある。より好ましくは、0.5〜20モル%であり、更に好ましくは、1〜10モル%である。
本発明の反応工程における、酸及び/又はその塩の使用量としては、一般式(1)で表される化合物100モル%に対して、0.01〜50モル%であることが好ましい。酸及び/又はその塩の使用量がこのような範囲であると、反応促進作用を十分に示すことが期待される。より好ましくは、0.1〜20モル%であり、更に好ましくは、0.1〜10モル%である。
本発明の反応工程における、3級アミンと、酸及び/又はその塩との配合割合は、3級アミン、並びに、酸及び/又はその塩の種類の組み合わせにより適宜設定することができ、3級アミンと、酸及び/又はその塩とのモル比が、10000/1〜1/10000の範囲で用いることができる。中でも、3級アミンと、酸及び/又はその塩とのモル比が、1000/1〜1/100の範囲であることが好ましい。より好ましくは、100/1〜1/10であり、更に好ましくは、20/1〜1/5である。
なお、酸及び/又はその塩として、シュウ酸、p−トルエンスルホン酸、塩酸、リン酸、硫酸、硝酸、バナジン酸、タングステン酸、モリブデン酸等のpKaが3未満のブレンステッド酸を用いる場合には、3級アミンと、酸及び/又はその塩とのモル比は、20/1〜1/1であることが特に好ましい。酸及び/又はその塩として、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、安息香酸、テレフタル酸、フタル酸、マレイン酸、ペンタフルオロフェノール、トリクロロフェノール類、ジクロロフェノール等のpKaが3〜8のブレンステッド酸を用いる場合には、3級アミンと、酸及び/又はその塩とのモル比は、10/1〜1/5であることが特に好ましい。酸及び/又はその塩として、ホウ酸、パラメトキシフェノール等のpKaが8より大きいブレンステッド酸を用いる場合には、3級アミンと、酸及び/又はその塩とのモル比は、10/1〜1/10であることが特に好ましい。酸及び/又はその塩として、上記有機酸又は無機酸とアミン類との塩若しくは混合物を用いる場合には、3級アミンと、酸及び/又はその塩とのモル比は、5/1〜1/10であることが特に好ましい。また、酸及び/又はその塩として、ホウ酸エステル、トリアリールボラン類等のホウ素化合物や、酢酸亜鉛、亜鉛トリフラート等のルイス酸性金属塩等のルイス酸を用いる場合には、3級アミンと、酸及び/又はその塩とのモル比は、20/1〜1/2であることが特に好ましい。
上記反応工程における反応条件は、特に制限されないが、反応原料である一般式(1)で表される化合物、及び、生成物である一般式(2)で表されるα位置換アクリル酸エステル類は共に、重合し易いことから、上記反応工程中に重合反応が進行してしまうのを防ぐために、反応系中に、重合禁止剤及び/又は分子状酸素を添加して反応工程を行うことが好ましい。
上記重合禁止剤としては、例えば、ヒドロキノン、ヒドロキノンモノメチルエーテル、p−ベンゾキノン、t−ブチルカテコール、t−ブチルヒドロキノン、2,6−ジ(t−ブチル)ー4−メチルフェノール、フェノチアジン、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル等が挙げられる。これら重合防止剤は、単独で用いてもよく、二種類以上を併用してもよい。また、重合防止剤の添加量としては、特に制限されず、適宜設定することができるが、例えば、一般式(1)で表される化合物100質量%に対して、0.001〜10質量%であることが好ましい。より好ましくは、0.01〜5質量%である。
上記分子状酸素としては、例えば、分子状酸素;分子状酸素と、窒素、アルゴン等の不活性ガスとの混合ガス;空気を用いることができる。分子状酸素の導入方法としては、反応系中に溶存させる、又は、吹き込む(いわゆる、バブリング)ことにより導入することができる。
また、分子状酸素の供給量としては、特に制限されないが、反応系の気相部の酸素濃度が0.01〜10容量%となるように供給することが好ましい。
なお、上記反応工程中の重合反応を充分に抑制するためには、重合禁止剤と分子状酸素とを併用することが好ましい。
上記反応工程は、溶媒中で行ってもよい。上記溶媒としては、反応を阻害するものでなければ特に制限されないが、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルアミルケトン、メチルシクロヘキシルケトン、ジエチルケトン、エチルブチルケトン、トリメチルノナノン、アセトニトリルアセトン、ジメチルオキシド、ホロン、シクロヘキサノン等のケトン類;ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジアミルエーテル、ジエチルアセタール、ジヘキシルエーテル、t−ブチルメチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、トリオキサン、ジオキサン等のエーテル類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸i-プロピル、酢酸t-ブチル等のエステル類;ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン等の芳香族炭化水素類;シクロヘキサン、ヘキサン、メチルシクロヘキサン、ヘプタン、オクタン等の脂肪族炭化水素類;水、等が挙げられる。これらの中でも、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、ジオキサン、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、ヘキサン、メチルシクロヘキサン、ヘプタン、オクタンを用いることが好ましい。これら溶媒は、単独で用いてもよく、二種類以上を併用してもよい。
上記溶媒の使用量としては、特に制限されないが、一般式(1)で表される化合物100質量%に対して、10000〜0質量%であることが好ましい。より好ましくは、1000〜0質量%であり、更に好ましくは、100〜0質量%である。
上記反応工程における反応温度は、0〜150℃であることが好ましい。反応温度が0℃よりも低いと、反応時間が長くなり過ぎて反応を効率的に行うことが困難になる恐れがある。一方、反応温度が150℃よりも高いと、上記重合反応を充分に抑制することができなくなる恐れがある。反応温度としてより好ましくは、50〜120℃である。反応時間は、上記反応工程における反応が完了するよう、反応温度、一般式(1)で表される化合物、活性水素含有化合物、3級アミン、酸及び/又はその塩、並びに、溶媒の種類や組み合わせ、使用量等に応じて適宜設定することができる。また、反応圧力は、特に制限されず、常圧(大気圧)下、減圧下、加圧下いずれの条件下で行ってもよい。
上記反応工程においては、一般式(1)で表される化合物のルイス塩基性官能基が脱離したのちにプロトン化されることにより生じる副生成物(図1のX−H)を速やかに反応系外へ除去(留去)することが好ましい。上記反応工程において進行する反応は平衡反応であるため、このように副生成物(図1のX−H)を反応系外へ除去することによって、反応の平衡を生成系に傾かせ反応を促進することができ、反応の収率及び原料の転化率をより向上させることができる。
特に、一般式(1)で表される化合物のルイス塩基性官能基がヒドロキシ基である場合には、上記反応工程が脱水反応となるため、反応により生成する水を速やかに反応系内から除去することが好ましい。
上記副生成物を反応系外に除去する方法としては特に制限されないが、例えば常圧下又は減圧下での留去、活性水素含有化合物及び/又は溶媒との共沸による除去、膜分離による除去、吸着による除去、抽出による除去、ろ過による除去などが挙げられる。これらの中でも、活性水素含有化合物及び/又は溶媒との共沸によって除去する方法が好ましい。
上記活性水素含有化合物及び/又は溶媒との共沸によって除去する方法においては、活性水素含有化合物及び/又は溶媒がそれ自体の働きに加えて、共沸剤としても働くこととなる。また、反応系に活性水素含有化合物、溶媒として添加されている化合物に加えて、活性水素含有化合物又は溶媒として例示されている化合物を共沸剤として更に添加し、副生成物の除去を行ってもよい。ただし、活性水素含有化合物及び/又は溶媒が共沸剤としても働けば、別途共沸剤を添加する必要が無くなることから、活性水素含有化合物及び/又は溶媒と共沸蒸留することで副生成物を留去することが好ましい。
上記共沸剤は、留去したい成分(副生成物)と極小共沸混合物を形成することで、通常の蒸留では分離できない二成分(副生成物と活性水素含有化合物など)の分離を可能とするものである。
上記共沸剤としては、上記活性水素含有化合物又は溶媒として例示されている化合物を用いることができ、反応に用いる反応原料、活性水素含有化合物、溶媒等の種類に応じて適宜選択することができるが、それらの中でも、ジイソプロピルエーテル、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、ジオキサン、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、ヘキサン、メチルシクロヘキサン、ヘプタン、オクタンを用いることが好ましい。より好ましくは、ジイソプロピルエーテル、トルエン、シクロヘキサンである。特に、活性水素含有化合物としてアリルアルコールを用いる場合には、共沸剤としてジイソプロピルエーテルを用いることが好ましい。
上述のように、反応系に活性水素含有化合物、溶媒として添加されている化合物に加えて、共沸剤を更に添加して副生成物の除去を行う場合、共沸剤の添加量としては、活性水素含有化合物100質量%に対して、1〜100質量%であることが好ましい。より好ましくは、10〜50質量%である。
後述するように、一般式(1)で表される化合物の合成原料と、本発明で用いられる活性水素含有化合物、3級アミン、並びに、酸及び/又はその塩を一度に反応系に仕込むこと、又は、一般式(1)で表される化合物を合成した後に、一旦精製することなく、反応系中に引き続いて、本発明で用いられる活性水素含有化合物、3級アミン、並びに、酸及び/又はその塩を添加することによって、一般式(2)で表されるα位置換アクリル酸エステル類を合成することが可能な場合があるが、このようなα位置換アクリル酸エステル類の合成においても、中間体として一般式(1)で表される化合物が生成されており、このように、一般式(1)で表される化合物の合成から、一般式(2)で表されるα位置換アクリル酸エステル類の合成までの間に一般式(1)で表される化合物を取り出さずに、直接一般式(2)で表されるα位置換アクリル酸エステル類の合成を行うこともまた、本発明の製造方法の範囲内である。そのような反応の形式としては、一般式(1)で表される化合物の合成原料としてアクリル酸メチルとホルムアルデヒドを、活性水素含有化合物としてエタノールを用いた場合を例にして図示すると、例えば、図2のような反応経路が挙げられる。反応式(I)においては、アクリル酸エステルとアルデヒドから一段階で合成する経路が示されており、反応式(II)においては、中間体として、ヒドロキシメチルアクリル酸メチルが合成される合成経路が示されている。また、反応式(III)においては、中間体として、ヒドロキシメチルアクリル酸メチルのエーテル二量体が合成される合成経路が示されている。
本発明の製造方法により得られるα位置換アクリル酸エステル類は、下記式(2);
Figure 2011148903
(式中、R、R及びRは、前記一般式(1)と同様である。Yは、活性水素含有化合物の残基を表す。)で表されるものである。
ここで、Yは、活性水素含有化合物の残基を表すものであるが、これは、具体的には、次のように表される。
上記活性水素含有化合物が、アルコール系ヒドロキシ基含有化合物、又は、フェノール系ヒドロキシ基含有化合物である場合には、下記一般式(14);
Figure 2011148903
(式中、Yは、一般式(4)のYと同様である。cは、一般式(2)におけるR、R及びYが結合している炭素原子に該当する。)と表される。上記活性水素含有化合物が、メルカプト基含有化合物である場合には、下記一般式(15);
Figure 2011148903
(式中、Yは、一般式(5)のYと同様である。cは、一般式(2)におけるR、R及びYが結合している炭素原子に該当する。)と表される。
以下、同様に、活性水素含有化合物が、ホスフィニド基含有化合物である場合、カルボキシル基含有化合物である場合、メチレンビスカルボニル基含有化合物である場合、ニトロ基含有化合物である場合、シアノ基含有化合物である場合、メチレンビスシアノ基含有化合物である場合、アジ基含有化合物である場合については、それぞれ下記一般式(16)〜(22)のように表される。なお、一般式(16)〜(21)におけるY〜Y13は、上記一般式(6)〜(11)のY〜Y13と同様である。cは、上記(14)、(15)と同様に、一般式(2)におけるR、R及びYが結合している炭素原子に該当する。
Figure 2011148903
本発明における反応原料である一般式(1)で表される化合物は、例えば、アクリル酸エステル類が、求電子性化合物に付加する森田・ベイリス・ヒルマン反応により合成することができる。より具体的には、一般式(1)のR及びRが水素原子、Rがメチル基、Xがヒドロキシ基である化合物を合成する場合には、アクリル酸メチルを、ホルムアルデヒドに付加させることによって合成することができるものである。
上記アクリル酸エステル類としては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸i−プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸n−アミル、アクリル酸s−アミル、アクリル酸t−アミル、アクリル酸ネオペンチル、アクリル酸n−ヘキシル、アクリル酸s−ヘキシル、アクリル酸n−ヘプチル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸s−オクチル、アクリル酸t−オクチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸カプリル、アクリル酸ノニル、アクリル酸デシル、アクリル酸ウンデシル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸トリデシル、アクリル酸ミリスチル、アクリル酸ペンタデシル、アクリル酸セチル、アクリル酸ヘプタデシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸ノナデシル、アクリル酸エイコシル、アクリル酸セリル、アクリル酸メリシル、アクリル酸ビニル、アクリル酸アリル、アクリル酸メタリル、アクリル酸クロチル、アクリル酸1,1−ジメチル−2−プロペニル、アクリル酸2−メチルブテニル、アクリル酸3−メチル−2−ブテニル、アクリル酸3−メチル−3−ブテニル、アクリル酸2−メチル−3−ブテニル、アクリル酸オレイル、アクリル酸リノール、アクリル酸リノレン、アクリル酸シクロプロピル、アクリル酸シクロペンチル、アクリル酸シクロペンチルメチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸シクロヘキシルメチル、アクリル酸4−メチルシクロヘキシル、アクリル酸4−t−ブチルシクロヘキシル、アクリル酸トリシクロデカニル、アクリル酸イソボルニル、アクリル酸アダマンチル、アクリル酸ジシクロペンタニル、アクリル酸ジシクロペンテニル、アクリル酸フェニル、アクリル酸メチルフェニル、アクリル酸ジメチルフェニル、アクリル酸トリメチルフェニル、アクリル酸4−t−ブチルフェニル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸ジフェニルメチル、アクリル酸ジフェニルエチル、アクリル酸トリフェニルメチル、アクリル酸シンナミル、アクリル酸ナフチル、アクリル酸アントラニル、アクリル酸メトキシエチル、アクリル酸メトキシエトキシエチル、アクリル酸メトキシエトシキエトキシエチル、アクリル酸3−メトキシブチル、アクリル酸エトキシエチル、アクリル酸エトキシエトキシエチル、アクリル酸シクロペントキシエチル、アクリル酸シクロヘキシルオキシエチル、アクリル酸シクロペントキシエトキシエチル、アクリル酸シクロヘキシルオキシエトキシエチル、アクリル酸ジシクロペンテニルオキシエチル、アクリル酸フェノキシエチル、アクリル酸フェノキシエトキシエチル、アクリル酸グリシジル、アクリル酸β−メチルグリシジル、アクリル酸β−エチルグリシジル、アクリル酸3,4−エポキシシクロヘキシルメチル、アクリル酸2−オキセタンメチル、アクリル酸3−メチル−3−オキセタンメチル、アクリル酸3−エチル−3−オキセタンメチル、アクリル酸テトラヒドロフラニル、アクリル酸テトラヒドロフルフリル、アクリル酸テトラヒドロピラニル、アクリル酸ジオキサゾラニル、アクリル酸ジオキサニル等が挙げられる。これらの中でも、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸i−プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸n−アミル、アクリル酸s−アミル、アクリル酸t−アミル、アクリル酸ネオペンチル、アクリル酸n−ヘキシル、アクリル酸s−ヘキシル、アクリル酸n−ヘプチル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸s−オクチル、アクリル酸t−オクチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸カプリル、アクリル酸ノニル、アクリル酸デシル、アクリル酸ウンデシル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸トリデシル、アクリル酸ミリスチル、アクリル酸ペンタデシル、アクリル酸セチル、アクリル酸ヘプタデシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸ノナデシル、アクリル酸エイコシル、アクリル酸セリル、アクリル酸メリシル、アクリル酸ビニル、アクリル酸アリル、アクリル酸メタリル、アクリル酸クロチルが好ましい。これらアクリル酸エステル類は、1種用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
上記求電子性化合物としては、例えば、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、トリオキサン、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、トリメチルアセトアルデヒド、アクロレイン、クロトンアルデヒド、シクロヘキサンアルデヒド、フルフラール、フリルアクロレイン、ベンズアルデヒド、テレフタルアルデヒド、フェニルアセトアルデヒド、α−フェニルプロピルアルデヒド、β−フェニルプロピルアルデヒド、o−ヒドロキシベンズアルデヒド、m−ヒドロキシベンズアルデヒド、p−ヒドロキシベンズアルデヒド、o−メチルベンズアルデヒド、m−メチルベンズアルデヒド、p−メチルベンズアルデヒド、o−クロロベンズアルデヒド、m−クロロベンズアルデヒド、p−クロロベンズアルデヒド、ケイ皮酸アルデヒド等が挙げられる。これらの中でも、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、トリオキサン、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、ベンズアルデヒド、が好ましい。より好ましくは、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、トリオキサン、ベンズアルデヒドであり、更に好ましくは、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、トリオキサンである。これら求電子性化合物は、1種用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
上記一般式(1)で表される化合物を森田・ベイリス・ヒルマン反応によって合成する場合、アクリル酸エステル類と求電子性化合物との配合割合は、アクリル酸エステル類100質量%に対して、求電子性化合物を1000〜10質量%とすることが好ましい。このような配合割合とすることによって、一般式(1)で表される化合物を適切に合成することが可能となる。より好ましくは、500〜20質量%であり、更に好ましくは、200〜50質量%である。
上記一般式(1)で表される化合物の合成反応においては、触媒を用いてもよく、用いられる触媒としては、下記文献に示される森田・ベイリス・ヒルマン反応に用いることができる触媒であれば特に制限されるものではないが、例えば、上述の3級アミン等の窒素含有化合物;トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリブチルホスフィン等のリン化合物;酸素化合物;硫黄化合物;セレン化合物;フッ素化合物;塩素化合物;臭素化合物;ヨウ素化合物等が挙げられる。
これらの中でも、トリメチルアミン、トリエチレンジアミン、キヌクリジン、ピロコリジン等の3級アミンを用いた場合には、本発明で用いられる活性水素含有化合物、並びに、酸及び/又はその塩も同時に仕込むことによって、一段階で一般式(2)で表されるα位置換アクリル酸エステル類を合成することが可能となり、又、上記一般式(1)で表される化合物の合成反応後に、反応混合物中に本発明で用いられる活性水素含有化合物、並びに、酸及び/又はその塩を添加することによって、一旦精製工程を経ることなく、上記一般式(2)で表されるα位置換アクリル酸エステル類を合成することが可能となるため好ましい。
Deevi Basavaiah、外2名、「ケミカル レビュー(Chemical Review)」、2003年、第103巻、p.811−891
上記一般式(1)で表される化合物の合成反応時における、触媒の使用量としては、アクリル酸エステル類100質量%に対して、50〜0.1質量%であることが好ましい。このような配合割合とすることによって、一般式(1)で表される化合物を適切に合成することが可能となる。より好ましくは、20〜0.5質量%であり、更に好ましくは、10〜1質量%である。
上記一般式(1)で表される化合物の合成反応においては、溶媒中で行ってもよく、用いられる溶媒としては、上述した本発明のα位置換アクリル酸エステル類を合成する際の反応において用いられる溶媒と同様のものを用いることができる。それらの中でも、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、ジオキサン、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、ヘキサン、メチルシクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、水が好ましい。これら溶媒は、単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
上記一般式(1)で表される化合物の合成反応時における、溶媒の使用量としては、アクリル酸エステル類100質量%に対して、10000〜0質量%であることが好ましい。このような配合割合とすることによって、一般式(1)で表される化合物を適切に合成することが可能となる。より好ましくは、1000〜0質量%であり、更に好ましくは、100〜0質量%である。
本発明はまた、上記製造方法によって得られたα位置換アクリル酸エステル類であって、一般式(1)で表される化合物におけるルイス塩基性官能基を脱離させて活性水素含有化合物の残基に交換する反応が、−COORの部位におけるエステル交換反応よりも主体となって得られた生成物であるα位置換アクリル酸エステル類でもある。
上記主体となって得られるとは、反応後の生成物混合物中において、一般式(1)で表される化合物におけるルイス塩基性官能基を脱離させて活性水素含有化合物の残基に交換する反応によって得られた化合物(目的生成物)の方が、一般式(1)で表される化合物の−COORの部位におけるエステル交換反応によって得られた化合物(副生成物)よりも多くなっていることを表している。本発明のα位置換アクリル酸エステル類は、上記本発明の製造方法によって得られたものであることから、従来の製造方法によって得られたα位置換アクリル酸エステル類に比べて一般式(1)で表される化合物の−COORの部位におけるエステル交換反応によって得られた化合物の含有割合が少なく、上述した各種用途により好適に適用できるものであるといえる。
上記反応後の生成物混合物中における、目的生成物と一般式(1)で表される化合物の−COORの部位におけるエステル交換反応によって得られた化合物(副生成物)との割合としては、100/0〜3/2であることが好ましい。このような範囲であると、充分に選択性の高い生成物として用いることができ、蒸留等の精製工程も容易になるため工業的に望ましい。より好ましくは、100/0〜2/1であり、更に好ましくは、100/0〜5/1である。
また、一般式(1)におけるRが炭素数1〜200の有機基であり、活性水素含有化合物がアルコール系ヒドロキシ基含有化合物及び/又はフェノール系ヒドロキシ基含有化合物である場合、本発明の製造方法及び従来知られた製造方法によって得られるα位置換アクリル酸エステル類には、一般式(1)で表される化合物におけるルイス塩基性官能基以外の部分がエーテル結合を介して上記Rで表される有機基と結合した副生物、すなわち、一般式(1)で表される化合物におけるルイス塩基性官能基(X)が−ORに置き換わった化合物(後述する一般式(23)で表される化合物)、が含まれる。ただし、本発明の製造方法によって製造されたα位置換アクリル酸エステル類は、該副生物の含有量が従来知られた製造方法で製造したα位置換アクリル酸エステル類よりも少なくなる。
上記α位置換アクリル酸エステル類に含まれる、一般式(23)で表される化合物(副生物)の含有量としては、α位置換アクリル酸エステル類100質量%に対して、0.001質量%〜0.5質量%であることが好ましい。より好ましくは0.01質量%〜0.45質量%であり、最も好ましくは0.05質量%〜0.4質量%である。
このように、下記一般式(2´);
Figure 2011148903
(式中、R及びRは、同一若しくは異なって、水素原子又は炭素数1〜200の有機基を表す。R´は、炭素数1〜200の有機基を表す。Yは、活性水素含有化合物の残基を表す。)で表されるα位置換アクリル酸エステル類を含む組成物であって、上記組成物は、下記一般式(23);
Figure 2011148903
(式中、R、R及びR´は、前記一般式(2´)と同様である。)で表される化合物を含み、上記組成物は、一般式(23)で表される化合物を、一般式(2´)で表されるα位置換アクリル酸エステル類100質量%に対して、0.001〜0.5質量%含むα位置換アクリル酸エステル類含有組成物もまた、本発明の一つである。
上記α位置換アクリル酸エステル類含有組成物は、下記一般式(1´);
Figure 2011148903
(式中、R及びRは、同一若しくは異なって、水素原子又は炭素数1〜200の有機基を表す。R´は、炭素数1〜200の有機基を表す。Xは、ルイス塩基性官能基を表す。)で表される化合物を、一般式(2´)で表されるα位置換アクリル酸エステル類100質量%に対して、10〜0.01質量%含むことが好ましい。α位置換アクリル酸エステル類の製造後において、未反応原料である一般式(1´)で表される化合物の組成物中における含有量がこのような範囲であることにより、製造後における未反応原料が少ないものと言え、当該未反応原料は精製して除去するのが困難なものであることが知られており、よって、純度の高いα位置換アクリル酸エステル類を得るうえで有利となる。一般式(1´)で表される化合物の組成物中における含有量としてより好ましくは、5〜0.01質量%であり、更に好ましくは、2〜0.01質量%である。
本発明のα位置換アクリル酸エステル類の製造方法は、上述の構成よりなり、より短時間でかつ高収率に反応を行うことができるために、α位置換アクリル酸エステル類の製造方法として工業的に好適に用いることのできるものである。より詳しくは、一般式(1)で表される化合物におけるルイス塩基性官能基を脱離させて活性水素含有化合物の残基に交換する反応中、本発明の酸及び/又はその塩が共存すると、一般式(1)で表される化合物の二重結合部分が活性化され、より容易に上記活性水素含有化合物と反応するようになる。また、より安定で塩基性の低い反応中間体を経由するため、該反応中間体の生成が促進されるとともに、エステル交換反応や加水分解反応等の塩基によって促進される副反応が起こりにくくなる。更には、3級アミン触媒の失活反応が抑制されるようになり、多量の触媒を添加せずとも、短時間で上記反応が進行するようになるものである。これらの結果、反応性の低い安価な基質を原料にでき、かつ、短時間で高収率・高選択率を達成することが可能となり、ハロメチルアクリル酸エステル等の高活性な原料を用いた場合に生じるような、原料コスト、装置腐食の問題や、廃棄物無毒化の必要が無い、工業的に好適な製造方法の提供が可能となる。尚、これらの効果は、一般式(1)で表される化合物におけるルイス塩基性官能基を脱離させて活性水素含有化合物の残基に交換する反応に共通した触媒サイクルの改良の結果であり、上記反応を行うかぎりにおいては、同じ効果が得られるものと考えられる。
図1は、本発明のα位置換アクリル酸エステル類の製造方法において進行していると推定される反応機構を模式的に表した図である。 図2は、一般式(1)で表される化合物の合成から、一般式(2)で表されるα位置換アクリル酸エステル類の合成までの反応経路のいくつかを例示した模式図である。 図3は、実施例28において用いられる反応装置の概略を表す模式図である。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は「重量部」を、「%」は「質量%」を意味するものとする。
以下の実施例及び比較例において、原料転化率、収率及び選択率は次のようにして測定し、求めた。
原料転化率と収率は、ガスクロマトグラフ(製品名「AT−6850」、アジレント・テクノロジー社製、キャピラリーカラム:DB−WAX(商品名、アジレント・テクノロジー社製、長さ:30m、内径:0.25mm、膜厚:0.25μm))を使用して測定し、事前に作成した検量線を用いて定量した。
選択率は、以下の式により求めた。
選択率=収率(mol%)/原料転化率(mol%)
(比較例1)
ねじ口試験管(20ml)に、α−ヒドロキシメチルアクリル酸メチル 2.3g、アリルアルコール 1.7g(1.5当量)、触媒の3級アミンとしてトリエチレンジアミン(DABCO)0.2g(0.1当量)、重合禁止剤としてヒドロキノンモノメチルエーテル 0.001g、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル 0.001gを仕込んだ。密閉した後、反応液を80℃に昇温し、16時間反応を行った。
4、8、16時間後の反応液を上記方法で分析し、α−ヒドロキシメチルアクリル酸メチルの転化率、α−ヒドロキシメチルアクリル酸メチルに対するα−アリルオキシメチルアクリル酸メチルの収率及び反応の選択率を求めた。また、α−ヒドロキシメチルアクリル酸メチルに対する、副生成物であるα−ヒドロキシメチルアクリル酸メチルのエステル交換体の収率及び反応の選択率を求めた。結果を表1に示す。
(実施例1〜25)
触媒を表1の通りにした以外は、比較例1と同様の方法で反応及び分析を行った。結果を表1に示す。なお、表1中、3級アミンの使用量、酸の使用量、原料転化率及び収率の値は、α−ヒドロキシメチルアクリル酸メチル100モル%に対するモル割合で表されている。3級アミン及び酸については、括弧内の数値が使用量を表している。また、表1中の略号は、以下の通りである。
DABCO:トリエチレンジアミン
TMA:トリメチルアミン
AcOH:酢酸
PhCOH:安息香酸
(COH):シュウ酸
TCP:2,4,6−トリクロロフェノール
MQ:パラメトキシフェノール
TolSOH:p−トルエンスルフィン酸
B(OH):ホウ酸
Zn(OAc):酢酸亜鉛
Zn(acac):亜鉛アセチルアセトナート
Zn(OTf):亜鉛トリフラート
Mg(OAc):酢酸マグネシウム
La(OAc):酢酸ランタン
Al(OTf):アルミニウムトリフラート
TMAHCl:トリメチルアミン塩酸塩
HClaq.、TEA:塩酸とトリエチルアミンとの混合物
AcOH、TEA:酢酸とトリエチルアミンとの混合物
B(OH)、TEA:ホウ酸とトリエチルアミンとの混合物
TsOH、TEA:p−トルエンスルホン酸とトリエチルアミンとの混合物
PO、TEA:リン酸とトリエチルアミンとの混合物
SO、TEA:硫酸とトリエチルアミンとの混合物
B(OH)、Pyridine:ホウ酸とピリジンとの混合物
PO:リン酸
AMA:α−アリルオキシメチルアクリル酸メチル
エステル交換体:α−ヒドロキシメチルアクリル酸メチルのエステル交換体
Figure 2011148903
(実施例26)
丸底フラスコ(500ml)に、α−ヒドロキシメチルアクリル酸メチル 203.2g、触媒の3級アミンとしてトリエチレンジアミン(DABCO)9.8g(0.1当量)、酸としてホウ酸 10.9g、重合禁止剤としてヒドロキノンモノメチルエーテル 0.1g、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル 0.1gを仕込んだ。7%の酸素を含む窒素を毎分5ml吹き込みながら、反応液を100℃に昇温した。10kPaに減圧したのち、発生する水分を留去しながら2時間反応を行った。常圧へと戻し、反応液を上記方法で分析すると、α−ヒドロキシメチルアクリル酸メチルの転化率は89mol%、α−ヒドロキシメチルアクリル酸メチルに対するエーテル二量体の収率は81mol%であった。続いて、トリエチレンジアミン(DABCO)9.8gとアリルアルコール 152.5g(1.5当量)を含む混合液を反応液を100℃で2時間かけて滴下した。その後、100℃で12時間熟成し、熟成後の反応液を上記方法で分析するとα−ヒドロキシメチルアクリル酸メチルの転化率は92mol%、α−ヒドロキシメチルアクリル酸メチルに対するα−アリルオキシメチルアクリル酸メチルの収率は65mol%であった。上記反応により得た反応液を水洗、蒸留したのちに得られたα−アリルオキシメチルアクリル酸メチルはα−メトキシメチルアクリル酸メチルを0.2wt%含有するものであった。
(比較例2)
丸底フラスコ(500ml)に、α−ヒドロキシメチルアクリル酸メチル 203.2g、アリルアルコール 152.5g、触媒の3級アミンとしてトリエチレンジアミン(DABCO)19.6g(0.1当量)、重合禁止剤としてヒドロキノンモノメチルエーテル 0.1g、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル 0.1gを仕込んだ。7%の酸素を含む窒素を毎分5ml吹き込みながら、反応液を100℃に昇温した。α−ヒドロキシメチルアクリル酸メチルの転化率、α−ヒドロキシメチルアクリル酸メチルに対するα−アリルオキシメチルアクリル酸メチルの収率、α−アリルオキシメチルアクリル酸メチルの選択率、α−メトキシメチルアクリル酸メチルの収率、及びDABCOの残存率を表2に示す。上記反応により得た反応液を水洗、蒸留したのちに得られたα−アリルオキシメチルアクリル酸メチルはα−メトキシメチルアクリル酸メチルを0.6wt%含有するものであった。蒸留塔内にはα−メトキシメチルアクリル酸メチルに由来するポリマー成分が生じ、繰り返しの蒸留操作が困難であった。
(実施例27)
丸底フラスコ(500ml)に、α−ヒドロキシメチルアクリル酸メチル 203.2g、アリルアルコール 152.5g、触媒の3級アミンとしてトリエチレンジアミン(DABCO)9.8g(0.05当量)、ブレンステッド酸として酢酸 10.6g(0.1当量)、重合禁止剤としてヒドロキノンモノメチルエーテル 0.1g、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル 0.1gを仕込んだ。7%の酸素を含む窒素を毎分5ml吹き込みながら、反応液を100℃に昇温した。α−ヒドロキシメチルアクリル酸メチルの転化率、α−ヒドロキシメチルアクリル酸メチルに対するα−アリルオキシメチルアクリル酸メチルの収率、α−アリルオキシメチルアクリル酸メチルの選択率、α−メトキシメチルアクリル酸メチルの収率、及びDABCOの残存率を表2に示す。上記反応により得た反応液を水洗、蒸留したのちに得られたα−アリルオキシメチルアクリル酸メチルはα−メトキシメチルアクリル酸メチルを0.05wt%含有するものであった。
(実施例28)
蒸留塔1、相分離器2、還流ポンプ3等を備えた図3に示す丸底フラスコ(容量5L)に、α−ヒドロキシメチルアクリル酸メチル 1625.7g、アリルアルコール 1219.7g(1.5当量)、触媒の3級アミンとしてトリエチレンジアミン(DABCO)78.5g(0.05当量)、ブレンステッド酸として酢酸 84.9g(0.1当量)、ルイス酸として酢酸亜鉛二水和物 30.7g(0.01当量)、水分の共沸剤としてジイソプロピルエーテル 429.1g(0.3当量)、重合禁止剤としてヒドロキノンモノメチルエーテル 0.8g、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル 0.8gを仕込んだ。7%の酸素を含む窒素ガス6を毎分5ml吹き込みながら、常圧で反応液を90℃に昇温した。塔頂液は相分離器2で油相9と水相10に分け、油相9を還流液11として塔頂へ返すとともに水相10を抜き出した。α−ヒドロキシメチルアクリル酸メチルの転化率、α−ヒドロキシメチルアクリル酸メチルに対するα−アリルオキシメチルアクリル酸メチルの収率、α−アリルオキシメチルアクリル酸メチルの選択率、α−メトキシメチルアクリル酸メチルの収率、及びDABCOの残存率を表2に示す。上記反応により得た反応液を水洗、蒸留したのちに得られたα−アリルオキシメチルアクリル酸メチルはα−メトキシメチルアクリル酸メチルを0.02wt%含有するものであった。
なお、表2中の略号は、以下の通りである。
AMA:α−アリルオキシメチルアクリル酸メチル
メチルエーテル:α−メトキシメチルアクリル酸メチル
DABCO:トリエチレンジアミン
Figure 2011148903
上記実施例及び比較例の結果から、一般式(1)で表される化合物と活性水素含有化合物とを反応させて一般式(2)で表されるα位置換アクリル酸エステル類を製造する際に、3級アミンと、酸及び/又はその塩とが共存した条件下で反応を行うことによって、3級アミンの存在下に反応を行った場合に比べて、短時間の反応で、α位置換アクリル酸エステル類を高収率、高選択率で得ることができることが分かった。
実施例の中でも、特に短時間でα位置換アクリル酸エステル類が高収率で得られる実施例8、10及び23においては、長時間反応を行うとむしろ、3級アミンの存在下に反応を行った比較例1よりも、α−アリルオキシメチルアクリル酸メチルに対する、副生成物であるα−ヒドロキシメチルアクリル酸メチルのエステル交換体の割合が高くなってしまっているが、これは、本発明の製造方法においては、α−アリルオキシメチルアクリル酸メチルが特に短時間で優先的に生成する場合には、それから更に反応を続けると副生成物の割合が増えてきてしまう場合があることを示している。
なお、上記実施例においては、特定の一般式(1)で表される化合物、活性水素含有化合物が用いられているが、一般式(1)で表される化合物と活性水素含有化合物とが反応する際に、触媒として3級アミンと酸及び/又はその塩とを共存させることによって進行すると考えられる反応機構は図1に示した通りであり、3級アミンと、酸及び/又はその塩とが共存した条件下で反応を行った場合には、全て同様の反応機構となる。
従って、上記実施例、比較例の結果から、本発明の技術的範囲全般において、また、本明細書において開示した種々の形態において本発明が適用でき、有利な作用効果を発揮することができると言える。
1:蒸留塔
2:相分離器
3:還流ポンプ
4、5:冷却管
6:ガス
7、8:温度計
9:油相
10:水相
11:還流液

Claims (7)

  1. 下記一般式(1);
    Figure 2011148903
    (式中、R、R及びRは、同一若しくは異なって、水素原子又は炭素数1〜200の有機基を表す。Xは、ルイス塩基性官能基を表す。)で表される化合物と活性水素含有化合物とを反応させて得られる下記一般式(2);
    Figure 2011148903
    (式中、R、R及びRは、前記一般式(1)と同様である。Yは、活性水素含有化合物の残基を表す。)で表されるα位置換アクリル酸エステル類を製造する方法であって、該製造方法は、3級アミンと、酸及び/又はその塩とが共存した条件下で反応を行う工程を含み、一般式(1)で表される化合物におけるルイス塩基性官能基を脱離させて活性水素含有化合物の残基に交換する反応を必須とすることを特徴とするα位置換アクリル酸エステル類の製造方法。
  2. 前記反応工程は、3級アミンと、酸及び/又はその塩とのモル比が10000/1〜1/10000であることを特徴とする請求項1に記載のα位置換アクリル酸エステル類の製造方法。
  3. 前記活性水素含有化合物は、アルコール系ヒドロキシ基含有化合物、フェノール系ヒドロキシ基含有化合物、メルカプト基含有化合物、ホスフィニド基含有化合物、カルボキシル基含有化合物、メチレンビスカルボニル基含有化合物、ニトロ基含有化合物、シアノ基含有化合物、メチレンビスシアノ基含有化合物、及び、アジ基含有化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物であることを特徴とする請求項1又は2に記載のα位置換アクリル酸エステル類の製造方法。
  4. 前記活性水素含有化合物は、Y−OH(Yは、炭素数1〜200の有機基を表す。)で表されるアルコール系ヒドロキシ基含有化合物及び/又はフェノール系ヒドロキシ基含有化合物を用いる場合、YがRとは異なる化合物であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のα位置換アクリル酸エステル類の製造方法。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法によって得られたα位置換アクリル酸エステル類であって、一般式(1)で表される化合物におけるルイス塩基性官能基を脱離させて活性水素含有化合物の残基に交換する反応が、−COORの部位におけるエステル交換反応よりも主体となって得られた生成物であることを特徴とするα位置換アクリル酸エステル類。
  6. 下記一般式(2´);
    Figure 2011148903
    (式中、R及びRは、同一若しくは異なって、水素原子又は炭素数1〜200の有機基を表す。R´は、炭素数1〜200の有機基を表す。Yは、活性水素含有化合物の残基を表す。)で表されるα位置換アクリル酸エステル類を含む組成物であって、
    該組成物は、下記一般式(23);
    Figure 2011148903
    (式中、R、R及びR´は、前記一般式(2´)と同様である。)で表される化合物を含み、
    該組成物は、一般式(23)で表される化合物を、一般式(2´)で表されるα位置換アクリル酸エステル類100質量%に対して、0.001〜0.5質量%含むことを特徴とするα位置換アクリル酸エステル類含有組成物。
  7. 前記組成物は、下記一般式(1´);
    Figure 2011148903
    (式中、R及びRは、同一若しくは異なって、水素原子又は炭素数1〜200の有機基を表す。R´は、炭素数1〜200の有機基を表す。Xは、ルイス塩基性官能基を表す。)で表される化合物を、一般式(2´)で表されるα位置換アクリル酸エステル類100質量%に対して、10〜0.01質量%含むことを特徴とする請求項6に記載のα位置換アクリル酸エステル類含有組成物。
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