JP5191702B2 - N−オキシル化合物、その製造方法および重合防止方法 - Google Patents

N−オキシル化合物、その製造方法および重合防止方法 Download PDF

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Description

本発明は、N−オキシル化合物、その製造方法および重合防止方法に関する。
(メタ)アクリル酸エステルは、アルコールと(メタ)アクリル酸エステルとのエステル交換反応、アルコールと(メタ)アクリル酸との直接エステル化反応等によって製造され、塗料等の原料として用いられる。また、(メタ)アクリル酸エステルは、蒸留によって精製される。(メタ)アクリル酸エステルの製造、蒸留においては、(メタ)アクリル酸エステルの重合を抑えることが重要であり、通常、重合防止剤が用いられる。
重合防止剤としては、N−オキシルラジカル構造を有する化合物(以下、N−オキシル化合物と記す。)が知られている。N−オキシル化合物としては、例えば、下記の化合物が知られている。
(a)2,2,6,6−テトラメチル−4−ヒドロキシピペリジン−N−オキシル(特許文献1)。
(b)2,2,6,6−テトラメチル−4−ベンゾイルオキシピペリジン−N−オキシル(特許文献1)。
(c)4−アセチルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル(特許文献2)。
(d)ビス(2,2,6,6−テトラメチル−N−オキシルピペリジル)スクシネート(特許文献3)。
(e)1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチル−4−(2,3−ジヒドロキシプロポキシ)ピペリジン(特許文献4)。
(f)1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチル−4−グリシジルオキシピペリジン(特許文献4)。
(g)エステル結合を有する化合物(特許文献4)。
重合防止剤としては、製造時に安定であり、かつ蒸留時に(メタ)アクリル酸エステルと一緒に溜出しない高沸点の化合物が望まれている。
しかし、(a)、(e)、(f)の化合物は、分子量が小さいため、揮発または昇華して蒸留時に(メタ)アクリル酸エステルと一緒に溜出する可能性がある。
(b)、(c)、(d)、(g)の化合物は、エステル結合またはアミド結合を有するため、製造および蒸留時に、(メタ)アクリル酸またはそのエステルとエステル交換反応を起こし、4−(メタ)アクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル等の低沸点な化合物となり、蒸留時に(メタ)アクリル酸エステルと一緒に溜出する可能性がある。また、(メタ)アクリロイルオキシ基と置き換わった置換基は、対応するアルコールとなり、製品となる(メタ)アクリル酸エステルの純度低下の原因となる。
また、N−オキシル化合物は、製造に当たり、下記の問題を有する。
(i)N−オキシル化合物を製造する際に再結晶、洗浄、蒸留等の煩雑な精製工程が必要とされる。
(ii)該精製工程によって、母液、洗浄液、釜にN−オキシル化合物が残る等のロスが生じ、収率はあまり高くない。
(iii)N−オキシル化合物の製造に用いた触媒および原料が多く含まれたN−オキシル化合物を(メタ)アクリル酸エステルの製造に用いると、N−オキシル化合物の原料由来の(メタ)アクリル酸エステル等の副生物が生成し、(メタ)アクリル酸エステルの品質が低下する。
(iii)の問題が生じた場合、残存するN−オキシル化合物の原料および該原料由来の(メタ)アクリル酸エステルを取り除くための煩雑な精製工程が必要である。また、(メタ)アクリル酸エステルの精製によるロスが多く生じる。
特開昭56−38301号公報 特開平8−59524号公報 特許第3209607号公報 特表2002−520379号公報
よって、本発明の目的は、(メタ)アクリル酸エステルの重合を充分に抑え、化学的に安定であり、高沸点である化合物;(メタ)アクリル酸エステルの重合を充分に抑え、(メタ)アクリル酸エステルの製造時に安定であり、(メタ)アクリル酸エステルの蒸留時に(メタ)アクリル酸エステルと一緒に溜出しにくい重合防止剤、(メタ)アクリル酸エステルの重合を充分に抑え、副生成物の生成が少なく、蒸留によって高純度の(メタ)アクリル酸エステルが得られる混合物、および(メタ)アクリル酸エステルの重合を充分に抑えることのできる重合防止方法を提供することにある。
また、本発明の目的は、異なる(メタ)アクリル酸エステルの生成を抑える(メタ)アクリル酸エステルの混合物を提供することにある。
本発明の化合物は、下記式(1)で表される化合物である。
本発明の化合物の製造方法は、触媒の存在下、下記式(3)で表される化合物と(メタ)アクリル酸とを反応させて、下記式(1)で表される化合物を製造することを特徴とする。
触媒は、鉄化合物またはクロム化合物であることが好ましい。
本発明の重合防止方法は、本発明の化合物の製造方法にて下記式(1)で表される化合物を製造し、その化合物を2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートに共存させることを特徴とする。
Figure 0005191702
ただし、R11、R12のうち一方は、水素原子を表し、他方は、(メタ)アクリロイル基を表し、R13〜R15は、それぞれ独立に水素原子またはメチル基を表す。
本発明の重合防止剤は、下記式(1−1)で表される化合物もしくは下記式(1−2)で表される化合物、またはその両方を含むことを特徴とする。なお、式(1−1)および(1−2)で表される化合物は光学活性を有していてもよい。
Figure 0005191702
ただし、R11およびR12は、同じ基であり、かつ(メタ)アクリロイル基を表し、R13〜R15は、それぞれ独立に水素原子またはメチル基を表す。
本発明の混合物は、前記式(1−1)で表される化合物もしくは前記式(1−2)で表される化合物、またはその両方と、(メタ)アクリル酸エステルとを含むことを特徴とする。
本発明の重合防止方法は、(メタ)アクリル酸エステルに、前記式(1−1)で表される化合物もしくは前記式(1−2)で表される化合物、またはその両方を共存させることを特徴とする。
また、本発明の重合防止方法は、触媒の存在下、前記式(3)で表される化合物と(メタ)アクリル酸とを反応させて、前記式(1)で表される化合物を製造し、反応に使用した(メタ)アクリル酸が残存した状態で、前記式(1)で表される化合物を含む混合物を下記式(2)(R 21 は、炭素数6〜40のアルコール残基、またはフッ素原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子および塩素原子からなる群から選ばれる1種以上を含有する炭素数2〜40のアルコール残基を表し、R 22 は、水素原子またはメチル基を表す。)で表される化合物の製造時、蒸留時、貯蔵または輸送時に共存させることを特徴とする。
下記式(2)で表される化合物は、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートであることが好ましい。
触媒は、鉄化合物またはクロム化合物であることが好ましい。
Figure 0005191702
本発明の化合物は、(メタ)アクリル酸エステルの重合を充分に抑え、化学的に安定であり、高沸点である。
本発明の重合防止剤は、(メタ)アクリル酸エステルの重合を充分に抑え、(メタ)アクリル酸エステルの製造時に安定であり、(メタ)アクリル酸エステルの蒸留時に(メタ)アクリル酸エステルと一緒に溜出しにくい。
本発明の混合物によれば、(メタ)アクリル酸エステルの重合が充分に抑えられ、副生成物の生成が少なく、蒸留によって高純度の(メタ)アクリル酸エステルが得られる。
本発明の重合防止方法によれば、(メタ)アクリル酸エステルの重合を充分に抑えることができる。
以下、式(1)で表される化合物を化合物(1)と記す。他の式で表される化合物も同様に記す。
本明細書においては、(メタ)アクリル酸エステルは、メタクリル酸エステルまたはアクリル酸エステルを意味する。
本明細書においては、(メタ)アクリロイル基は、メタクリロイル基またはアクリロイル基を意味する。
本明細書においては、アルコール残基は、アルコールからヒドロキシ基を1つ除いた基を意味する。
<N−オキシル化合物>
本発明の化合物は、化合物(1)である。
Figure 0005191702
ただし、R11、R12のうち一方は、水素原子を表し、他方は、炭素数6〜40のアルコール残基、またはフッ素原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子および塩素原子からなる群から選ばれる1種以上を含有する炭素数2〜40のアルコール残基、または(メタ)アクリロイル基を表し、R13〜R15は、それぞれ独立に水素原子またはメチル基を表す。
炭素数6〜40のアルコール残基としては、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ラウリル基、セチル基、ステアリル基、ノナデシル基、エイコシル基、セリル基、メリシル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、クロチル基、プロパルギル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ノルボニル基、イソボルニル基、アダマンチル基、フェニル基、ベンジル基、フェネチル基、フェニルプロピル基、フェニルブチル基、フェニルペンチル基、フェニルヘキシル基、フェニルヘプチル基、フェニルオクチル基、フェニルノニル基、フェニルウンデシル基、フェニルドデシル基、ナフチルメチル基、ナフチルエチル基、ナフチルプロピル基、ナフチルブチル基、ナフチルペンチル基、ナフチルヘキシル基、ナフチルヘプチル基、ナフチルオクチル基、ビフェニルメチル基、ビフェニルエチル基、ビフェニルプロピル基、ビフェニルブチル基、ビフェニルヘキシル基、ビフェニルオクチル基、シンナミル基、メチルフェニルカルビル基、ビフェニル基、ナフチル基等が挙げられる。該アルコール残基は、分岐状のものであってもよい。
フッ素原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子および塩素原子からなる群から選ばれる1種以上を含有する炭素数2〜40のアルコール残基としては、炭素鎖中に酸素原子、硫黄原子、または窒素原子を含むアルコール残基;水素原子の一部が、フッ素原子、塩素原子、−OH、−COOH、−NH、−NO、−CN、−SH、−SOH、−SOH等の原子または置換基で置換されたアルコール残基が挙げられる。アルコール残基には、これらの原子または置換基が2種以上含有されていてもよく、同種の原子または置換基が2つ以上含有されていてもよい。
ベースとなる炭素数2〜40のアルコール残基としては、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ラウリル基、セチル基、ステアリル基、ノナデシル基、エイコシル基、セリル基、メリシル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、クロチル基、プロパルギル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ノルボニル基、イソボルニル基、アダマンチル基、フェニル基、ベンジル基、フェネチル基、フェニルプロピル基、フェニルブチル基、フェニルペンチル基、フェニルヘキシル基、フェニルヘプチル基、フェニルオクチル基、フェニルノニル基、フェニルウンデシル基、フェニルドデシル基、ナフチルメチル基、ナフチルエチル基、ナフチルプロピル基、ナフチルブチル基、ナフチルペンチル基、ナフチルヘキシル基、ナフチルヘプチル基、ナフチルオクチル基、ビフェニルメチル基、ビフェニルエチル基、ビフェニルプロピル基、ビフェニルブチル基、ビフェニルヘキシル基、ビフェニルオクチル基、シンナミル基、メチルフェニルカルビル基、ビフェニル基、ナフチル基等が挙げられる。該アルコール残基は、分岐状のものであってもよい。
フッ素原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子および塩素原子からなる群から選ばれる1種以上を含有する炭素数2〜40のアルコール残基の具体例としては、3−メチル−3−メトキシブチル基、2−メトキシエチル基、2−エトキシエチル基、2−ヒドロキシエチル基、3−ヒドロキシプロピル基、4−ヒドロキシブチル基、2−カルボキシエチル基、3−カルボキシプロピル基、4−カルボキシブチル基、テトラヒドロフルフリル基、フルフリル基、2−アミノエチル基、3−アミノプロピル基、4−アミノブチル基、2−シアノエチル基、3−シアノプロピル基、4−シアノブチル基等が挙げられる。
11、R12のうちの一方としては、蒸留時に(メタ)アクリル酸エステルと一緒に溜出しない点から、炭素数6〜40のアルコール残基またはフッ素原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子および塩素原子からなる群から選ばれる1種以上を含有する炭素数2〜40のアルコール残基が好ましく、化合物(1)の安定性の点から、炭素数6〜40のアルコール残基またはフッ素原子または酸素原子を含有する炭素数2〜40のアルコール残基がより好ましい。
<N−オキシル化合物の製造方法>
化合物(1)は、下記の方法によって製造できる。
(I)化合物(3)と、炭素数6〜40のアルコール、またはフッ素原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子および塩素原子からなる群から選ばれる1種以上を含有する炭素数2〜40のアルコールとを反応させる方法。
(II)化合物(3)と、メタクリル酸もしくはその誘導体、またはアクリル酸もしくはその誘導体を反応させる方法。
Figure 0005191702
ただし、R13〜R15は、それぞれ独立に水素原子またはメチル基を表す。
化合物(3)は、下記式(3a)で表される化合物(3a)を水酸化ナトリウム等の塩基性化合物の存在下、エピクロロヒドリンと反応させることによって得られる。
Figure 0005191702
ただし、R13〜R15は、式(3)と同義である。
塩基性化合物としては、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、アルカリ金属の炭酸塩、アルカリ金属のアルコキサイド、第三アミン、ピリジン、アニオン交換体等が挙げられ、収率および化合物(3a)の純度の点から、アルカリ金属水酸化物が特に好ましい。塩基性化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
エピクロロヒドリンの量は、化合物(3a)に対して、0.1〜10倍モルが好ましく、生産性の点から、0.3倍モル以上がより好ましく、0.5倍モル以上がさらに好ましい。エピクロロヒドリンの量は、副反応抑制および操作性の点から、化合物(3a)に対して8倍モル以下がより好ましく、5倍モル以下がさらに好ましい。
塩基性化合物の量は、化合物(3a)に対して、0.1〜10倍モルが好ましく、生産性の点から、0.3倍モル以上がより好ましく、0.5倍モル以上がさらに好ましい。塩基性化合物の量は、副反応抑制および操作性の点から、化合物(3a)に対して8倍モル以下がより好ましく、5倍モル以下がさらに好ましい。
反応の際には溶媒を用いてもよい。溶媒としては、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジオキサン、テトラヒドロフラン、ベンゼン、トルエン、キシレン、ジエチルエーテル、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等が挙げられる。
溶媒の量は、化合物(3a)に対して、0〜1000倍質量が好ましい。溶媒の量は、反応速度や廃溶媒量の点から、化合物(3a)に対して100倍質量以下がより好ましく、50倍質量以下がさらに好ましい。
反応液は、少量の水を含んでいてもよい。水の量は、化合物(3a)の選択性の点から、反応液に対して0.1倍質量以下が好ましく、0.02倍質量以下がより好ましい。該水の量としては、原料に含まれる水等も含まれる。
反応温度は、0℃以上反応液の沸点以下が好ましい。反応温度は、生産性の点から、10℃以上がより好ましく、20℃以上がさらに好ましく、40℃以上が特に好ましい。また、反応温度は、副生成物の生成を抑制する点から、120℃以下がより好ましく、100℃以下がさらに好ましく、80℃以下が特に好ましい。
反応時間は、2〜48時間程度が好ましい。
反応終了後、冷却、濃縮、抽出等の操作によって化合物(3)を回収し、必要に応じて蒸留等によって精製する。
抽出溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、ジエチルエーテル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等が挙げられる。
化合物(3)は、必要に応じて、水、有機溶媒等による洗浄、溶媒分別法、イオン交換クロマトグラフィー、再結晶法、電気透析法等の公知の方法により精製してもよい。
例えば、1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチル−4−グリシジルオキシピペリジンの場合、水酸化ナトリウム等の塩基性化合物の存在下、1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチル−4−ヒドロキシピペリジンとエピクロロヒドリンとを反応させて得られる。
(I)の方法:
アルコールの量は、化合物(3)に対して、通常0.1〜100倍モルである。アルコールの量は、収率の点から、化合物(3)に対して0.8倍モル以上が好ましく、1.5倍モル以上がより好ましい。アルコールの量は、生産性の点から、化合物(3)に対して50倍モル以下が好ましく、20倍モル以下がより好ましい。
(I)の方法における反応は、塩基性化合物の存在により円滑に進行する。
塩基性化合物としては、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、アルカリ金属の炭酸塩、アルカリ金属のアルコキサイド、第三アミン、ピリジン、アニオン交換体等が挙げられ、中でも、収率および化合物(1)の純度の点から、アニオン交換体が特に好ましい。塩基性化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
アニオン交換体としては、アニオン交換樹脂、アニオン交換膜等が挙げられ、アニオン交換樹脂が好ましい。アニオン交換樹脂としては、強塩基性アニオン交換樹脂、弱塩基性アニオン交換樹脂等が挙げられ、中でも、強塩基性アニオン交換樹脂が好ましい。アニオン交換樹脂としては、架橋度や多孔度に応じて、ゲル型、ポーラス型、ハイポーラス型等が挙げられ、ポーラス型、ハイポーラス型が好ましい。
アニオン交換樹脂の市販品としては、例えば、下記のものが挙げられる。
三菱化学社製:ダイヤイオンPA−306、ダイヤイオンPA−308、ダイヤイオンPA−312、ダイヤイオンPA−316、ダイヤイオンPA−318、ダイヤイオンPA−406、ダイヤイオンPA−408、ダイヤイオンPA−412、ダイヤイオンPA−416、ダイヤイオンPA−418。
ダウケミカル社製:ダウエックス1−X2、ダウエックスTG−550A。
オルガノ社製:アンバーライトIRA−45、アンバーライトIRA−94、アンバーライトIRA67、アンバーライトIRA96SB。
アニオン交換樹脂の市販品には、Cl型となっているものがある。該アニオン交換樹脂については、Cl型をOH基に置換してから用いる。置換方法としては、製造メーカーの推奨する方法等、公知の方法が挙げられる。アニオン交換樹脂としては、あらかじめCl型がOH基に置換されているものを用いてもよい。
アニオン交換樹脂は、繰り返し利用できる。再利用する場合、アニオン交換樹脂を再生することが好ましい。再生方法としては、公知の方法、例えば、酸の水溶液で処理し、水洗、アルコール洗浄等を行う方法が挙げられる。
塩基性化合物の量は、化合物(3)に対して、通常0.0001〜0.5倍モルである。塩基性化合物の量は、生産性の点から、化合物(3)に対して0.001倍モル以上が好ましく、0.01倍モル以上がより好ましい。塩基性化合物の量は、副反応抑制および操作性の点から、化合物(3)に対して0.1倍モル以下が好ましく、0.05倍モル以下がより好ましい。
アニオン交換体等、モル数で換算できない塩基性化合物の場合、塩基性化合物の量は、化合物(3)に対して、通常0.0001〜10倍質量である。塩基性化合物の量は、生産性の点から、化合物(3)に対して0.001倍質量以上が好ましく、0.01倍質量以上がより好ましい。塩基性化合物の量は、副反応抑制および操作性の点から、化合物(3)に対して1倍質量以下が好ましく、0.5倍質量モル以下がより好ましい。
(I)の方法においては、溶媒を用いてもよい。溶媒としては、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルフォキシド、ジオキサン、テトラヒドロフラン、ピリジン、スルホラン、ベンゼン、トルエン、キシレン、ジエチルエーテル、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等が挙げられる。
溶媒の量は、化合物(3)に対して、通常0〜1000倍質量である。溶媒の量は、反応速度や廃溶媒量の点から、化合物(3)に対して100倍質量以下が好ましく、50倍質量以下がより好ましい。
反応液は、少量の水を含んでいてもよい。水の量は、化合物(1)の選択性の点から、反応液に対して0.1倍質量以下が好ましく、0.02倍質量以下がより好ましい。該水の量としては、原料に含まれる水等も含まれる。
反応温度は、通常0℃以上反応液の沸点以下である。反応温度は、生産性の点から、10℃以上が好ましく、20℃以上がより好ましく、40℃以上が特に好ましい。反応温度は、副生成物の生成を抑制する点から、120℃以下が好ましく、100℃以下がより好ましく、80℃以下が特に好ましい。反応温度は、アニオン交換体を用いる場合、アニオン交換体の耐熱温度以下が好ましい。
反応時間は、通常2〜48時間程度である。
反応終了後、冷却、濃縮、抽出等の操作によって化合物(1)を回収し、必要に応じて蒸留等によって精製する。
抽出溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、ジエチルエーテル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等が挙げられる。
アニオン交換体等の不溶性の塩基性化合物を用いた場合、濃縮および蒸留のみを行えばよく、高純度の化合物(1)を得ることができる。
化合物(1)の製造に用いたアルコールと、(メタ)アクリル酸エステルの製造に用いたアルコールとが、同じであれば、アルコールが化合物(1)に残存していても構わないため、塩基性化合物を除くのみで、化合物(1)をそのまま(メタ)アクリル酸エステル用の重合防止剤として用いることができる。
化合物(1)は、必要に応じて、水、有機溶媒等による洗浄、溶媒分別法、イオン交換クロマトグラフィー、再結晶法、電気透析法等の公知の方法により精製してもよい。
(II)の方法:
メタクリル酸もしくはその誘導体、またはアクリル酸もしくはその誘導体(以下、(メタ)アクリル酸系原料と記す。)としては、副生成物が少なく、反応が円滑に進行する点から、メタクリル酸またはアクリル酸が好ましい。
(メタ)アクリル酸系原料の量は、化合物(3)に対して、通常0.1〜100倍モルである。(メタ)アクリル酸系原料の量は、収率の点から、化合物(3)に対して0.8倍モル以上が好ましく、1.5倍モル以上がより好ましい。(メタ)アクリル酸系原料の量は、生産性の点から、化合物(3)に対して50倍モル以下が好ましく、10倍モル以下がより好ましい。
(II)の方法における反応は、鉄化合物またはクロム化合物を触媒とすることにより円滑に進行する。
鉄化合物としては、金属鉄、酸化第一鉄、酸化第二鉄、四三酸化鉄、硝酸第一鉄、硝酸第二鉄、塩化第一鉄、塩化第二鉄、硫酸第一鉄、硫酸第二鉄、酢酸第一鉄、酢酸第二鉄、メタクリル酸第一鉄、メタクリル酸第二鉄、水酸化第一鉄、水酸化第二鉄、鉄アセチルアセトナート、フェロセン、メタクリル酸の三核錯体等の錯体が挙げられる。鉄化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
クロム化合物としては、金属クロム、酸化クロム、硝酸クロム、塩化クロム、硫酸クロム、酢酸クロム、メタクリル酸クロム、水酸化第一鉄、水酸化クロム、クロミウムアセチルアセトナート、メタクリル酸の三核錯体等の錯体が挙げられ、毒性が低い点から、三価のクロム化合物が好ましい。クロム化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
鉄化合物またはクロム化合物の量は、化合物(3)に対して、通常0.00001〜0.5倍モルである。鉄化合物またはクロム化合物の量は、生産性の点から、化合物(3)に対して0.00001倍モル以上が好ましく、0.0001倍モル以上がより好ましい。鉄化合物またはクロム化合物の量は、副反応抑制および操作性の点から、化合物(3)に対して0.1倍モル以下が好ましく、0.05倍モル以下がより好ましい。
(II)の方法においては、溶媒を用いてもよい。溶媒としては、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルフォキシド、ジオキサン、テトラヒドロフラン、ピリジン、スルホラン、ベンゼン、トルエン、キシレン、ジエチルエーテル、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等が挙げられる。
溶媒の量は、化合物(3)に対して、通常0〜1000倍質量である。溶媒の量は、反応速度や廃溶媒量の点から、化合物(3)に対して100倍質量以下が好ましく、50倍質量以下が好ましい。
反応液は、少量の水を含んでいてもよい。水の量は、化合物(1)の選択性の点から、反応液に対して0.1倍質量以下が好ましく、0.02倍質量以下がより好ましい。該水の量としては、原料に含まれる水等も含まれる。
反応温度は、通常0℃以上反応液の沸点以下である。反応温度は、生産性の点から、10℃以上が好ましく、20℃以上がより好ましく、40℃以上が特に好ましい。反応温度は、副生成物の生成を抑制する点から、120℃以下が好ましく、100℃以下がより好ましく、80℃以下が特に好ましい。反応温度は、アニオン交換体を用いる場合、アニオン交換体の耐熱温度以下が好ましい。
反応時間は、通常2〜48時間程度である。
反応終了後、冷却、濃縮、抽出等の操作によって化合物(1)を回収し、必要に応じて蒸留等によって精製する。
抽出溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、ジエチルエーテル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等が挙げられる。
化合物(1)の製造に用いた(メタ)アクリル酸系原料と、(メタ)アクリル酸エステルの製造に用いた(メタ)アクリル酸系原料とが、同じであれば、(メタ)アクリル酸系原料が化合物(1)に残存していても構わないため、塩基性化合物を除くのみで、化合物(1)をそのまま(メタ)アクリル酸エステル用の重合防止剤として用いることができる。
化合物(1)は、必要に応じて、水、有機溶媒等による洗浄、溶媒分別法、イオン交換クロマトグラフィー、再結晶法、電気透析法等の公知の方法により精製してもよい。
<重合防止剤>
本発明の重合防止剤は、前記化合物(1−1)もしくは前記化合物(1−2)、またはその両方を含むものである。
本発明の重合防止剤は、他の重合防止剤を含んでいてもよい。
他の重合防止剤としては、(メタ)アクリル酸エステルの製造時に安定であり、(メタ)アクリル酸エステルの蒸留時に熱的に安定であり、かつ(メタ)アクリル酸エステルと一緒に溜出しにくい重合防止剤が好ましい。
他の重合防止剤としては、例えば、ハイドロキノン、p−メトキシフェノール等のフェノール系化合物;N,N’−ジイソプロピル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N’−(1,3−ジメチルブチル)−p−フェニレンジアミン、フェノチアジン等のアミン系化合物;4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル、4−アセトアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル等のN−オキシル化合物等が挙げられる。他の重合防止剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
他の重合防止剤の含有量は、化合物(1−1)および化合物(1−2)の合計100質量部に対して、通常10000〜0.01質量部であり、8000〜0.02質量部が好ましく、7000〜0.03質量部がより好ましい。
<混合物>
本発明の混合物は、本発明の重合防止剤と、(メタ)アクリル酸エステルとを含む混合物である。
重合防止剤の含有量は、(メタ)アクリル酸エステル100質量部に対して、通常0.0001〜5質量部であり、0.0002〜4質量部が好ましく、0.0003〜3質量部がより好ましい。重合防止剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸2−エトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ブトキシエチル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル等が挙げられる。(メタ)アクリル酸エステルは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
化合物(1−1)のR11および化合物(1−2)のR12が、アルコール残基である場合、(メタ)アクリル酸エステルとしては、化合物(2)が好ましい。
Figure 0005191702
ただし、R21は、前記R11およびR12と同じアルコール残基を表し、R22は、水素原子またはメチル基を表す。
<重合防止方法>
本発明の重合防止方法は、(メタ)アクリル酸エステルに、本発明の重合防止剤を共存させる方法である。具体的には、以下の方法が挙げられる。
(A)(メタ)アクリル酸エステルの製造時に、重合防止剤を共存させる方法。
(B)(メタ)アクリル酸エステルの蒸留時に、重合防止剤を共存させる方法。
(C)(メタ)アクリル酸エステルの貯蔵または輸送時に、重合防止剤を共存させる方法。
(A)の方法としては、例えば、(メタ)アクリル酸エステルの原料に重合防止剤を添加する方法、(メタ)アクリル酸エステルの原料の反応中、反応器に重合防止剤を導入する方法等が挙げられる。
(B)の方法としては、例えば、あらかじめ化合物(1)に化合物(2)を添加しておく方法、蒸留工程における蒸留釜や精留塔などに重合防止剤を供給する方法等が挙げられる。
(C)の方法としては、(メタ)アクリル酸エステルの原料の反応生成物に重合防止剤を添加する方法、精製した(メタ)アクリル酸エステルに重合防止剤を添加する方法等が挙げられる。
(メタ)アクリル酸エステルとしては、前記(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。(メタ)アクリル酸エステルは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
化合物(1−1)のR11および化合物(1−2)のR12が、アルコール残基である場合、(メタ)アクリル酸エステルとしては、前記化合物(2)が好ましい。
重合防止剤の添加方法は、公知の方法の中から、適用する(メタ)アクリル酸エステル、適用する製造工程等に適した添加方法を選択すればよい。例えば、固体のまま添加する方法、溶媒に溶解させて添加する方法、原料に溶解させて添加する方法等が挙げられる。
(メタ)アクリル酸エステルに重合防止剤を共存させると同時に、エアーバブリングを行うことによって重合抑制効果が向上することがある。
以上説明した本発明の化合物にあっては、N−オキシルラジカル構造を有するため、(メタ)アクリル酸エステルの重合を充分に抑えることができる。また、エステル結合またはアミド結合を有さないため、(メタ)アクリル酸エステルの製造および蒸留時に、メタクリル酸エステルとエステル交換反応を起こすことがなく、化学的に安定である。また、化合物(1)のR11、R12のうちの一方が、炭素数6〜40のアルコール残基またはフッ素原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子および塩素原子からなる群から選ばれる1種以上を含有する炭素数2〜40のアルコール残基であるため、高沸点である。
また、以上説明した本発明の重合防止剤にあっては、(メタ)アクリル酸エステルの重合を充分に抑え、化学的に安定であり、高沸点である本発明の化合物を含んでいるため、(メタ)アクリル酸エステルの重合を充分に抑え、(メタ)アクリル酸エステルの製造時に安定であり、(メタ)アクリル酸エステルの蒸留時に(メタ)アクリル酸エステルと一緒に溜出しにくい。本発明の重合防止剤は、(メタ)アクリル酸エステルの製造時、蒸留時、貯蔵時、輸送時等において用いる重合防止剤として好適である。
また、以上説明した本発明の混合物にあっては、(メタ)アクリル酸エステルの重合を充分に抑え、(メタ)アクリル酸エステルの製造時に安定であり、(メタ)アクリル酸エステルの蒸留時に(メタ)アクリル酸エステルと一緒に溜出しにくい本発明の重合防止剤を含んでいるため、(メタ)アクリル酸エステルの重合を充分に抑え、副生成物の生成が少なく、蒸留によって高純度の(メタ)アクリル酸エステルが得られる。本発明の混合物とすることにより、(メタ)アクリル酸エステルの品質を低下させることなく、長期間の貯蔵が可能である。
また、以上説明した本発明の重合防止方法にあっては、(メタ)アクリル酸エステルの重合を充分に抑え、(メタ)アクリル酸エステルの製造時に安定であり、(メタ)アクリル酸エステルの蒸留時に(メタ)アクリル酸エステルと一緒に溜出しにくい本発明の重合防止剤を(メタ)アクリル酸エステルに共存させているため、(メタ)アクリル酸エステルの重合を充分に抑え、副生成物の生成が少なく、蒸留によって高純度の(メタ)アクリル酸エステルが得られる。
また、本発明の混合物および重合防止方法において、化合物(1−1)のR11および化合物(1−2)のR12がアルコール残基である場合、(メタ)アクリル酸エステルとして、前記R11およびR12と同じR21を有する化合物(2)を用いれば、異なる(メタ)アクリル酸エステルの生成を抑えることができる。この理由は以下の通りである。
化合物(1)(すなわち、化合物(1−1)および化合物(1−2))には、化合物(1)の製造時に用いた原料のアルコールが不純物として含まれる場合がある。化合物(1)を(メタ)アクリル酸エステルに共存させた場合、エステル交換反応によって、化合物(1)に含まれる不純物のアルコールの(メタ)アクリル酸エステルが副生し、該エステルを除くために煩雑な処理が必要な場合がある。
したがって、(メタ)アクリル酸エステルの製造に用いるアルコールと、化合物(1)の製造に用いるアルコールが同じであれば、前記問題は解決される。さらに、化合物(1)の精製が不要となり、エネルギー、溶媒等の使用量を削減できる。
また同様に、無溶媒でアニオン交換体等の除去が容易な触媒を用いて化合物(1)を製造すると、化合物(1)の精製が不要となり、エネルギーや溶媒などの使用量を削減できる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
〔合成例1〕
化合物(3−1)の合成:
Figure 0005191702
窒素置換した3つ口フラスコに、トルエン200g、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル172g(1.0モル)を入れ、70℃にて加熱攪拌した。これに、エピクロロヒドリン185g(2.0モル)を滴下し、1時間攪拌した後、60℃に温度を下げ、48%水酸化ナトリウム水溶液100g(1.2モル)を加えて、60℃にて4時間攪拌した。つぎに、反応系内に水300gを加え、分離した上層を水洗、乾燥した後、減圧濃縮した。このようにして得られた粗結晶をシクロヘキサンで再結晶することにより、化合物(3−1)(1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチル−4−グリシジルオキシピペリジン)169g(0.74モル)を得た。
参考例1〕
化合物(3−1)22.8g(0.10モル)を2−エチルヘキシルアルコール260g(2.0モル)に溶解させ、Cl型をOH基に置換したアニオン交換樹脂(三菱化学社製、ダイヤイオンPA−308)5.0gを加えた後、60℃で8時間攪拌した。反応後、化合物(3−1)は検出されなかった。室温に冷却した後、ろ過、濃縮(精製)することにより、化合物(11−1)および化合物(11−2)の混合物33.5gを得た。
Figure 0005191702
参考例2〕
2−エチルヘキシルアルコールをエチレングリコール248gに変更した以外は、参考例1と同様にして、化合物(12−1)および化合物(12−2)の混合物27.0gを得た。
Figure 0005191702
〔実施例3〕
2−エチルヘキシルアルコールをメタクリル酸に変更し、アニオン交換体を酢酸クロム1.4gに変更した以外は、参考例1と同様にして、化合物(13−1)および化合物(13−2)の混合物29.1gを得た。該混合物のH−NMRを測定し、化合物(13−1)および化合物(13−2)が得られていることを確認した。溶媒として重クロロホルムを用いた。該混合物のH−NMRチャートを図1に示す。
Figure 0005191702
参考例4〕
化合物(3−1)22.8g(0.10モル)を1−ヘキシルアルコール102g(2.0モル)に溶解させ、Cl型をOH基に置換したアニオン交換樹脂(三菱化学社製、ダイヤイオンPA−308)5.0gを加えた後、60℃で8時間攪拌した。反応後、化合物(3−1)は検出されなかった。室温に冷却した後、ろ過、濃縮(精製)することにより、化合物(14−1)および化合物(14−2)の混合物31.3gを得た。該混合物のH−NMRを測定し、化合物(14−1)および化合物(14−2)が得られていることを確認した。溶媒として重クロロホルムを用いた。該混合物のH−NMRチャートを図2に示す。
Figure 0005191702
参考例5〕
重合防止剤として化合物(11−1)および化合物(11−2)の混合物を100ppm添加した2−エチルヘキシルメタクリレート(以下、2−EHMAと記す。)をアンプル管に10g量り取り、アンプル管を密閉し、100℃のオイルバス中で振とう加熱処理を行い、重合が開始するまでの時間を計測した。重合の開始は目視にて判断した。結果を表1に示す。
〔比較例1〕
化合物(11−1)および化合物(11−2)の混合物を、p−メトキシフェノールに変更した以外は、参考例5と同様に試験した。結果を表1に示す。
参考例6〕
化合物(11−1)および化合物(11−2)の混合物を、化合物(12−1)および化合物(12−2)の混合物に変更し、2−EHMAを2−ヒドロキシエチルメタクリレート(以下、HEMAと記す。)に変更した以外は、参考例5と同様に試験した。結果を表1に示す。
〔実施例7〕
化合物(12−1)および化合物(12−2)の混合物を、化合物(13−1)および化合物(13−2)の混合物に変更した以外は、参考例6と同様に試験した。結果を表1に示す。
〔比較例2〕
化合物(12−1)および化合物(12−2)の混合物を、p−メトキシフェノールに変更し、2−EHMAをHEMAに変更した以外は、参考例6と同様に試験した。結果を表1に示す。
Figure 0005191702
参考例8〕
参考例1と同様にして化合物(11−1)および化合物(11−2)の混合物を得た。ただし、室温に冷却した後、ろ過してからは、濃縮(精製)することなく、そのまま容器に移して保管した。
参考例9〕
20段オルダーショウ蒸留塔を備えた還流装置に接続した、側管付き四つ口フラスコ(容積2L)に、メチルメタクリレート902g(9モル)、2−エチルヘキサノール675g(5.2モル)、テトラメトキシチタン0.45g(0.0026モル)および重合防止剤として参考例8の混合物2.3g(0.76mモル)をフラスコ内に仕込み、少量の空気をバブリングしながら攪拌して5時間エステル交換反応を行った。エステル交換反応の際、反応が進むにしたがって反応温度が上昇したが、反応温度が130℃を超えないように減圧しながら反応を行い、反応で生成したメタノールはメチルメタクリレートとの共沸で系外に除去した。
反応液をガスクロマトグラフィーによって分析したところ、転化率は98.6%であった。該反応液から常圧にて触媒を濾別した後、減圧下で蒸留し、純度99.0%の2−EHMA904gを得た。得られた2−EHMAを分析した結果、化合物(11−1)および化合物(11−2)、ならびにその誘導体は検出されず、フラスコおよび蒸留塔には重合物の残渣、付着は全くなかった。
本発明の化合物は、(メタ)アクリル酸エステルの重合防止剤として極めて有効である。本発明の重合防止剤は、(メタ)アクリル酸エステルの製造において化学的および熱的に安定であり、高沸点を有することで蒸留時に除去でき、(メタ)アクリル酸エステルの製造時から蒸留時まで使用可能である。
化合物(13−1)および化合物(13−2)の混合物のH−NMRチャートである。 化合物(14−1)および化合物(14−2)の混合物のH−NMRチャートである。

Claims (7)

  1. 下記式(1)で表される化合物。
    Figure 0005191702
    ただし、R11、R12のうち一方は、水素原子を表し、他方は、(メタ)アクリロイル基を表し、R13〜R15は、それぞれ独立に水素原子またはメチル基を表す。
  2. 触媒の存在下、下記式(3)で表される化合物
    Figure 0005191702
    (R 13 〜R 15 は、それぞれ独立に水素原子またはメチル基を表す。)
    と(メタ)アクリル酸とを反応させて、下記式(1)
    Figure 0005191702
    (R 11 、R 12 のうち一方は、水素原子を表し、他方は、(メタ)アクリロイル基を表し、R 13 〜R 15 は、式(3)と同じものを表す。)
    で表される化合物を製造する、化合物の製造方法。
  3. 触媒が、鉄化合物またはクロム化合物である請求項2に記載の化合物の製造方法。
  4. 請求項2または3に記載の化合物の製造方法にて前記式(1)で表される化合物を製造し、その化合物を2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートに共存させる重合防止方法。
  5. 触媒の存在下、下記式(3)で表される化合物
    Figure 0005191702
    (R13〜R15は、それぞれ独立に水素原子またはメチル基を表す。)
    と(メタ)アクリル酸とを反応させて、下記式(1)
    Figure 0005191702
    (R11、R12のうち一方は、水素原子を表し、他方は、(メタ)アクリロイル基を表し、R13〜R15は、式(3)と同じものを表す。)
    で表される化合物を製造し、反応に使用した(メタ)アクリル酸が残存した状態で、式(1)で表される化合物を含む混合物を下記式(2)
    Figure 0005191702
    (R21は、炭素数6〜40のアルコール残基、またはフッ素原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子および塩素原子からなる群から選ばれる1種以上を含有する炭素数2〜40のアルコール残基を表し、R22は、水素原子またはメチル基を表す。)
    で表される化合物の製造時、蒸留時、貯蔵または輸送時に共存させる重合防止方法。
  6. 式(2)で表される化合物が、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートである、請求項5に記載の重合防止方法。
  7. 触媒が、鉄化合物またはクロム化合物である請求項5または6に記載の重合防止方法。
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