JP5583378B2 - α−(アルコキシアルキル)アクリレートの製造方法 - Google Patents
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Description
α−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチルを反応に用いた場合、反応に使用した当該α−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチルのすべてが目的生成物に転化されるわけではないため、この反応で得られる反応生成物(粗製物)中には、α−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチルと、目的物であるα−(アリルオキシメチル)アクリル酸メチルとが含まれることになる。
なお、上記メカニズムは、α位にヒドロキシアルキル基を有するアクリレートを反応に使用してα−(アルコキシアルキル)アクリレートを得る場合に特有の現象といえ、他のα位にヒドロキシアルキル基を有するアクリレートを用いた場合や、他のα−(アルコキシアルキル)アクリレートを得る場合にも同様のメカニズムから、高純度のα−(アルコキシアルキル)アクリレートを容易に得ることができると考えられる。
以下に本発明を詳述する。
上記α位にヒドロキシアルキル基を有するアクリレートを経由してα−(アルコキシアルキル)アクリレートを合成して製造する方法の具体的態様については、後に詳述する。
上記製造方法においては、α位にヒドロキシアルキル基を有するアクリレートを原料として合成するか、他の原料を用いてα位にヒドロキシアルキル基を有するアクリレートを中間体として生成させて合成するか、又は、これらを組み合わせて合成することになる。
上記α位にヒドロキシアルキル基を有するアクリレートとして好ましくは、R1、R2が水素原子であるα−(ヒドロキシメチル)アクリレートである。
上記粗製物中のα位にヒドロキシアルキル基を有するアクリレートの含有量は特に限定されないが、通常は、α位にヒドロキシアルキル基を有するアクリレートと、α−(アルコキシアルキル)アクリレートとの合計量100質量%に対し、3質量%以上である。また、本発明が奏する当該効果からすれば、含有量の上限値は特に限定されるものではないが、例えば、30質量%以下が好適である。
この際、本発明の製造方法においては、反応により得られた粗製物(反応溶液)を無機アルカリを用いて処理することになる。なお、本発明の効果が特に際立って発揮されるのは、α位にヒドロキシアルキル基を有するアクリレートとして、α−(ヒドロキシメチル)アクリレートを用いる場合である。
また使用目的に応じて、更に高純度のα−(アルコキシアルキル)アクリレートを得るために、無機アルカリを用いた処理工程を行いα位にヒドロキシアルキル基を有するアクリレートを除去した後に蒸留精製を行つてもよい。本発明の効果が特に際立って発揮されるのは、原料であるα−(ヒドロキシアルキル)アクリレートと生成物であるα−(アルコキシアルキル)アクリレートとの沸点差が小さい場合であるが、沸点差が大きい場合でも無機アルカリを含むアルカリで処理することにより蒸留精製を簡便化できるため本発明の効果を発揮できる。このようにアルカリ処理後に蒸留精製を行い更に高純度のα−(アルコキシアルキル)アクリレートを得る製造方法もまた、本発明の好ましい形態の1つである。
なお、本発明では、必要に応じて強アルカリと弱アルカリとを使い分けることも好ましく、これらを併用してもよい。また、アルカリの強度によって添加量を適宜設定したり、処理回数を2回以上としたりすることも好適である。例えば、強アルカリ(金属の水酸化物等)を用いる場合は、添加量が多すぎると、生成されたα−(アルコキシアルキル)アクリレートが分解する可能性があるのに対し、弱アルカリ(金属の炭酸塩や炭酸水素塩、有機アルカリ等)を用いる場合は、添加量が多くても分解しにくいため、これらアルカリの強度に応じて、添加量を設定したり、また分解を抑制しながら効率よく純度を高めるために、強アルカリの添加量を少なくして2回以上処理したり、強アルカリで処理して、ある程度α位にヒドロキシアルキル基を有するアクリレートの量を低減した後に、弱アルカリで処理する等、強アルカリと弱アルカリとを組み合わせて用いてもよい。
上記アルカリとして強アルカリを用いる場合は特に、処理1回あたりのアルカリ使用量を3モル以下とすることが好適であり、より好ましくは2モル以下である。また、強アルカリを用いる場合には、処理回数を2回以上とし、各処理工程でのアルカリ使用量を少なく設定することが好適である。これによって、生成物の分解を充分に抑制しつつ、より高純度のα−(アルコキシアルキル)アクリレートを得ることが可能になる。
本発明のα−(アルコキシアルキル)アクリレートの製法としては、α位にヒドロキシアルキル基を有するアクリレートとアルコールとを反応させて、α−(アルコキシアルキル)アクリレートを得る形態であることが好適である。中でも、α位にヒドロキシアルキル基を有するアクリレートと不飽和基含有アルコールとを反応させて、α−(不飽和アルコキシアルキル)アクリレートを得る形態であることがより好ましい。この形態としては、例えば、α位にヒドロキシアルキル基を有するアクリレートとして、下記一般式(1)で表されるα−(ヒドロキシメチル)アクリレートを用い、これと、不飽和基含有アルコールとして下記一般式(2)で表されるアリルアルコールとを反応させ、α−(不飽和アルコキシアルキル)アクリレートとして下記一般式(3)で表されるα−(アリルオキシメチル)アクリレートを得る形態が好ましく挙げられる。
(1)アクリル酸エステルとパラホルムアルデヒドとを反応させて、α−(ヒドロキシメチル)アクリレートを得る工程。
(2)α−(ヒドロキシメチル)アクリレートから、2,2′−〔オキシビス(メチレン)〕ビスアクリレートを得る工程。
(3)2,2′−〔オキシビス(メチレン)〕ビスアクリレートにアルコールを反応させて、α−(アルコキシアルキル)アクリレートとα−(ヒドロキシメチル)アクリレートとを含む粗製物を得る工程。
上記反応工程(1)に関して、アクリル酸エステルとパラホルムアルデヒドとのモル比(アクリル酸エステル/パラホルムアルデヒド)としては、0.05〜20モルとすることが好適である。反応温度としては、アクリル酸エステルや、α−(ヒドロキシメチル)アクリレートの重合反応を抑制するために、10〜150℃が好適である。反応時間は、反応の進行速度によって適宜設定すればよい。
上記反応工程(2)に関して、反応温度としては、10〜150℃が好適である。
なお、反応原料や生成物の重合を抑制するために、重合禁止剤や分子状酸素を用いることが好ましい。
また鎖状飽和炭化水素基を構成する炭素原子に結合する水素原子の少なくとも一部をアルコキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子等で置換したものであってもよく、例えば、アルコキシ基置換鎖状飽和炭化水素基、ヒドロキシ置換鎖状飽和炭化水素基、ハロゲン置換鎖状飽和炭化水素基等が好適なものとして挙げられる。
α−アリルオキシメチルアクリル酸メチル、α−アリルオキシメチルアクリル酸エチル、α−アリルオキシメチルアクリル酸n−プロピル、α−アリルオキシメチルアクリル酸i−プロピル、α−アリルオキシメチルアクリル酸n−ブチル、α−アリルオキシメチルアクリル酸s−ブチル、α−アリルオキシメチルアクリル酸t−ブチル、α−アリルオキシメチルアクリル酸n−アミル、α−アリルオキシメチルアクリル酸s−アミル、α−アリルオキシメチルアクリル酸t−アミル、α−アリルオキシメチルアクリル酸n−ヘキシル、α−アリルオキシメチルアクリル酸s−ヘキシル、α−アリルオキシメチルアクリル酸n−ヘプチル、α−アリルオキシメチルアクリル酸n−オクチル、α−アリルオキシメチルアクリル酸s−オクチル、α−アリルオキシメチルアクリル酸t−オクチル、α−アリルオキシメチルアクリル酸2−エチルヘキシル、α−アリルオキシメチルアクリル酸カプリル、α−アリルオキシメチルアクリル酸ノニル、α−アリルオキシメチルアクリル酸デシル、α−アリルオキシメチルアクリル酸ウンデシル、α−アリルオキシメチルアクリル酸ラウリル、α−アリルオキシメチルアクリル酸トリデシル、α−アリルオキシメチルアクリル酸ミリスチル、α−アリルオキシメチルアクリル酸ペンタデシル、α−アリルオキシメチルアクリル酸セチル、α−アリルオキシメチルアクリル酸ヘプタデシル、α−アリルオキシメチルアクリル酸ステアリル、α−アリルオキシメチルアクリル酸ノナデシル、α−アリルオキシメチルアクリル酸エイコシル、α−アリルオキシメチルアクリル酸セリル、α−アリルオキシメチルアクリル酸メリシル等の鎖状飽和炭化水素基含有α−(アリルオキシメチル)アクリレート。
なお、本発明の製造方法で好適に得られるα−(アリルオキシメチル)アクリレートとしては、1種のα−(アリルオキシメチル)アクリレートだけを含むものであってもよく、複数種のα−(アリルオキシメチル)アクリレートを含むものであってもよい。
この反応式は、α−(ヒドロキシメチル)アクリレートとして、R3がメチル基である、α−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチルを使用し、また、アルコールとして不飽和基含有アルコールの一種であるアリルアルコールを反応に使用し、α−(アルコキシアルキル)アクリレートとしてα−(アリルオキシメチル)アクリル酸メチルを得た例である。また、アミン系触媒として、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(本明細書中、ジアザビシクロオクタン、又は、DABCOともいう。)を用いた例である。
上記環化重合の具体的な態様として、例えば、α−(アリルオキシメチル)アクリレートの場合は、下記反応式で表されるように主鎖等に5員環及び/又は6員環構造を有する重合体を与えることになる。
なお、反応の転化率、収率及び純度については、ガスクロマトグラフ(6890N(商品名)、Agilent Technologies製、キャピラリーカラム DB−WAX(商品名);長さ30m×内径0.25mm、膜厚0.5μm)を使用して測定し、事前に作成した検量線を使用して求めた。
また下記の例において、「α−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチルのα−(アリルオキシメチル)アクリル酸メチルに対する割合」とは、α−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチルとα−(アリルオキシメチル)アクリル酸メチルとの合計量100質量%に対する、α−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチルの割合(質量%)を意味する。
またα−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチルの減少率(質量%)とは、以下の式により計算される値である。
攪拌機、冷却管、温度計、ガス吹き込み管、減圧装置を備えた5Lの4つロフラスコに、α−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル2032.1g、触媒として1,4−ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン98.9g、重合禁止剤としてヒドロキノンモノメチルエーテル1.02g、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル1.02gを仕込んだ。その後、反応液に酸素7vol%(体積%)、窒素93vol%の混合ガスを吹き込みながら、10kPaの減圧下、反応液を100℃に昇温し、生成する水を留去しながら2時間反応させた。解圧して、常圧下、100℃でアリルアルコール1523.0gに1,4−ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン98.0gを溶解させた液を2時間かけて滴下し、更に12時間反応させた。反応後、ガスクロマトグラフィーを用いて測定したところ、α−(アリルオキシメチル)アクリル酸メチルの収率がα−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチルに対し59モル%、α−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチルの転化率が89モル%であった。次に残存しているアリルアルコールを減圧下(操作圧力7kPa)、単蒸留で留出させて、反応液2778.1gを得た。この反応液にはα−(アリルオキシメチル)アクリル酸メチルが56.4質量%、α−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチルが5.7質量%含まれており、α−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチルのα−(アリルオキシメチル)アクリル酸メチルに対する割合は9.2質量%であった。
上記製造例1より得られた反応液300g(α−(アリルオキシメチル)アクリル酸メチル:169.2g、α−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル:17.2g)に10質量%水酸化ナトリウム水溶液100gを加え室温で30分攪拌した後30分静置し、油水分離して有機相を223.4g得た。得られた有機相中のα−(アリルオキシメチル)アクリル酸メチルは163.5gであり、96.6質量%で回収され、α−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチルは1.96gであり減少率は88.6質量%であった。また、α−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチルのα−(アリルオキシメチル)アクリル酸メチルに対する割合は1.1質量%まで低減していた。
15質量%水酸化ナトリウムを用いたこと以外は実施例1と同様に行った。油水分離後、得られた有機相は205.84gであり、α−(アリルオキシメチル)アクリル酸メチルが148.8g含まれ(回収率:87.9質量%)、α−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチルは0.92g(減少率:94.6質量%)であった。
また、α−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチルのα−(アリルオキシメチル)アクリル酸メチルに対する割合は0.6質量%まで低減していた。
15質量%水酸化ナトリウム水溶液の量を100gから66gに減らしたこと以外は実施例2と同様に行った。油水分離後、得られた有機相は222.69gであり、α−(アリルオキシメチル)アクリル酸メチルが160.1g含まれ(回収率:94.6質量%)、α−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチルは2.10g(減少率:87.8質量%)であった。また、α−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチルのα−(アリルオキシメチル)アクリル酸メチルに対する割合は1.3質量%まで低減していた。
製造例1と同様の方法でα−(アリルオキシメチル)アクリル酸メチルを56.1質量%、α−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチルを7.6質量%含む反応液を2776.6g得た。α−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチルのα−(アリルオキシメチル)アクリル酸メチルに対する割合は11.9質量%であった。
上記製造例2より得られた反応液300g(α−(アリルオキシメチル)アクリル酸メチル:168.3g、α−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル:22.8g)に12質量%水酸化ナトリウム水溶液100gを加え室温で30分攪拌した後30分静置し、油水分離して有機相を221.8g得た。得られた有機相中のα−(アリルオキシメチル)アクリル酸メチルは159.5gであり94.8質量%で回収され、α−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチルは2.30gであり減少率は89.9質量%であった。また、α−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチルのα−(アリルオキシメチル)アクリル酸メチルに対する割合は1.4質量%まで低減していた。
アルカリの種類と量を10質量%炭酸ナトリウム水溶液193gにしたこと以外は実施例4と同様に行った。油水分離後、得られた有機相は243.4gであり、α−(アリルオキシメチル)アクリル酸メチルは168.3g含まれ(回収率:100質量%)、α−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチルは10.8g(減少率:52.6質量%)であった。また、α−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチルのα−(アリルオキシメチル)アクリル酸メチルに対する割合は6質量%であった。
アルカリの種類と量を10質量%水酸化カリウム水溶液141gにしたこと以外は実施例4と同様に行った。油水分離後、得られた有機層は222.8gであり、α−(アリルオキシメチル)アクリル酸メチルは162.5g含まれ(回収率:96.6質量%)、α−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチルは3.95g(減少率:82.7質量%)であった。また、α−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチルのα−(アリルオキシメチル)アクリル酸メチルに対する割合は2.4質量%であった。
アルカリの種類と量を10質量%炭酸カリウム水溶液173gにしたこと以外は実施例4と同様に行った。油水分離後、得られた有機層は236.2gであり、α−(アリルオキシメチル)アクリル酸メチルは165.4g含まれ(回収率:98.3質量%)、α−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチルは13.35g(減少率:41.4質量%)であった。また、α−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチルのα−(アリルオキシメチル)アクリル酸メチルに対する割合は7.5質量%であった。
実施例1〜7より、α−(アリルオキシメチル)アクリル酸メチルに対してα−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチルが9〜12質量%含まれる反応液(粗製物)を各種無機アルカリ水溶液で処理したところ、α−(アリルオキシメチル)アクリル酸メチルを高い回収率で回収でき、α−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチルのみが選択的に加水分解され、α−(アリルオキシメチル)アクリル酸メチルに対するα−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチルの含有量を充分に低減することができた。結果に若干の差はあるものの、各種の無機アルカリが使用可能であることが分かる。ただし、実施例2より、強アルカリである水酸化ナトリウムを用いた場合には、アルカリの量(モル数)が多いと、α−(アリルオキシメチル)アクリル酸メチルの分解が発生する可能性があることが分かった。また、実施例1と実施例3とは、アルカリの水溶液濃度を変更したこと以外は同じ条件で行った例であるが、この結果はほぼ同等であるともいえるため、実施例2の結果も併せて考慮すると、アルカリの濃度ではなく、アルカリの絶対量が関係していると推測される。
製造例1と同様の方法でα−(アリルオキシメチル)アクリル酸メチルを55.9質量%(1552.9g、9.94モル)、α−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチルを7.1質量%(197.2g、1.70モル)含む反応液を2778.0g得た。α−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチルのα−(アリルオキシメチル)アクリル酸メチルに対する割合は11.3質量%であった。
この反応液に8質量%水酸化ナトリウム溶液919.5g(水酸化ナトリウム:73.6g、1.84モル)を加え室温で30分撹拌した後30分静置し、油水分離して有機相を2101.3g得た。加えた水酸化ナトリウムのα−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル1モルに対するモル数は1.08モルであった。得られた有機相中のα−(アリルオキシメチル)アクリル酸メチルは1507.9g(9.65モル)であり、97.1質量%で回収され、α−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチルは38.9g(0.33モル)であり減少率は80.3質量%であった。また、α−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチルのα−(アリルオキシメチル)アクリル酸メチルに対する割合は2.5質量%であった。
更にこの有機相に8質量%水酸化ナトリウム溶液231.3g(水酸化ナトリウム:18.5g、0.46モル)を加え室温で30分撹拌した後30分静置し、油水分離して有機相を2017.7g得た。加えた水酸化ナトリウムのα−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル1モルに対するモル数は1.39モルであった。得られた有機相中のα−(アリルオキシメチル)アクリル酸メチルは1478.5g(9.47モル)であり、98.1質量%で回収され、α−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチルは13.0g(0.11モル)であり減少率は66.6質量%であった。また、α−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチルのα−(アリルオキシメチル)アクリル酸メチルに対する割合は0.9質量%まで低下していた。
引き続き、得られた有機相を5質量%芒硝水溶液で洗浄し油水分離を行った。この操作をもう一度行った後、得られた有機相は1900.7gであり、有機相中のα−(アリルオキシメチル)アクリル酸メチルは1464.6g(9.38モル)であり、α−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチルは6.3g(0.05モル)であった。また、α−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチルのα−(アリルオキシメチル)アクリル酸メチルに対する割合は0.4質量%であった。この有機相を2kPaの減圧下、充填塔を用いて蒸留し、純度99.5質量%のα−(アリルオキシメチル)アクリル酸メチルを1337.3g得た。
撹拌機、冷却管、温度計、ガス吹き込み管を備えた1Lの4つ口フラスコに、α−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル406.4g、触媒として1,4−ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン39.3g、重合禁止剤としてヒドロキノンモノメチルエーテル0.41g、t−ブチルヒドロキノン0.41g、亜リン酸トリフェニル0.41gを仕込んだ。反応液に酸素7vol%(体積%)、窒素93vol%の混合ガスを吹き込みながら100℃に昇温し、100℃到達から1時間後、アリルアルコール305.0gを2時間かけて滴下し、更に13時間反応させた。反応後、ガスクロマトグラフィーを用いて測定したところα−(アリルオキシメチル)アクリル酸メチルの収率はα−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチルに対して56モル%、α−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチルの転化率は87モル%であった。次に残存しているアリルアルコールを減圧下(操作圧力7kPa)、単蒸留で留出させて、反応液556.6gを得た。この反応液中にはα−(アリルオキシメチル)アクリル酸メチルが52.9質量%(294.4g、1.89モル)、α−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチルが8.8質量%(49.0g、0.42モル)含まれており、α−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチルのα−(アリルオキシメチル)アクリル酸メチルに対する割合は14.3質量%であった。
製造例3より得られた反応液279.0g(α−(アリルオキシメチル)アクリル酸メチル:147.5g、α−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル:24.6g)に蒸留水を38g加え室温で30分撹拌した後、30分静置し、油水分離して有機相を232.5g得た。得られた有機相中のα−(アリルオキシメチル)アクリル酸メチルは145.7g(0.93モル)であり、98.8質量%で回収され、α−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチルは18.8g(0.16モル)であり減少率は23.6質量%であった。また、α−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチルのα−(アリルオキシメチル)アクリル酸メチルに対する割合は11.4質量%であった(1回目の水洗)。
更に、得られた有機相に蒸留水38gを加え室温で30分撹拌した後30分静置し、油水分離して有機相223.8gを得た。得られた有機相中のα−(アリルオキシメチル)アクリル酸メチルは142.0g(0.91モル)であり、97.5質量%で回収され、α−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチルは16.4g(0.14モル)であり減少率は12.8質量%であった。また、α−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチルのα−(アリルオキシメチル)アクリル酸メチルに対する割合は10.4質量%であった(2回目の水洗)。
同様の水のみによる洗浄を3回行い、合計5回水洗を行った有機相を179.4g得た。得られた有機相中のα−(アリルオキシメチル)アクリル酸メチルは122.1g(0.78モル)であり、α−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチルは9.4g(0.08モル)あった。また、α−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチルのα−(アリルオキシメチル)アクリル酸メチルに対する割合は7.1質量%であった。
比較例1での5回洗浄を行った結果を下記表2に示す。
比較例1より、水のみによる洗浄でも、水洗回数が多ければα−(アリルオキシメチル)アクリル酸メチルに対するα−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチルの含有量を僅かに低減することができることが分かる。しかし、5回水洗した後でも、α−(アリルオキシメチル)アクリル酸メチルに対するα−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチルの含有量は7.1質量%程度と依然高く、また、α−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチルの減少率も非常に低い。この結果と実施例1〜8の結果とを比較すると、無機アルカリを用いた処理によって、その処理回数が少なくても、著しく高純度、かつ高収率(高い回収率)でα−(アリルオキシメチル)アクリル酸メチルを得ることができることが分かる。
撹拌様、冷却管、温度計、ガス吹き込み管、減圧装置を備えた500mLの4つ口フラスコに、α−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル232.2g、触媒として1,4−ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン11.22g、重合禁止剤としてヒドロキノンモノメチルエーテル0.12g、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル0.12gを仕込んだ。反応液に酸素7vol%、董素93vol%の混合ガスを吹き込みながら90℃に昇温し、90℃到達から1.5時問後、76℃まで冷却した後、メタノール103.6gに1,4−ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン22.4gを溶解させた液を2時間かけて滴下し、76℃で更に14時問反応させた。反応後、ガスクロマトグラフィーを用いて測定したところα−(メトキシメチル)アクリル酸メチルの収率はα−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチルに対して72モル%、α−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチルの転化率は87モル%であった。得られた反応液の重量は369.4gで、この反応液中にはα−(メトキシメチル)アクリル酸メチルが50.8質量%(187.6g、1.44モル)、α−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチルが8.1質量%(29.9g、0.26モル)含まれており、α−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチルのα−(メトキシメチル)アクリル酸メチルに対する割合は13.7質量%であった。
次に得られた反応液に10質量%水酸化ナトリウム水溶液176g(水酸化ナトリウム:17.6g、0.44モル)を加え室温で30分撹拌した後30分静置し、油水分離して有機相を253.0g得た。加えた水酸化ナトリウムのα−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル1モルに対するモル数は1.7モルであった。得られた有機相中のα−(メトキシメチル)アクリル酸メチルは178.4g(1.37モル)であり、95.1質量%で回収され、α−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチルは3.3g(0.03モル)であり減少率は89.0質量%であった。また、α−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチルのα−(メトキシメチル)アクリル酸メチルに対する割合は1.8質量%まで低下していた。
α−(アリルオキシメチル)アクリル酸メチルを66.2質量%(290.5g、1.86モル)、α−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチルを7.7質量%(33.7g、0.29モル)含む粗AMA溶液438.0gを2kPaの減圧下、充填塔を用いて蒸留精製を行った。精製前のα−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチルのα−(アリルオキシメチル)アクリル酸メチルに対する割合は10.4質量%であった。蒸留後、α−(アリルオキシメチル)アクリル酸メチルが88.5質量%(200.3g、1.28モル)、α−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチルが10.1質量%(22.8g、0.20モル)含まれた液を226.4g得た。得られた液のα−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチルのα−(アリルオキシメチル)アクリル酸メチルに対する割合は10.2質量%であり、α−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチルのα−(アリルオキシメチル)アクリル酸メチルに対する割合は、蒸留前とほとんど変化がなかった。この比較例2の結果から、蒸留精製では、α−(アリルオキシメチル)アクリル酸メチルとα−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチルとの分離が困難であることが分かる。
Claims (5)
- α位にヒドロキシアルキル基を有するアクリレートを反応に使用して、α−(アルコキシアルキル)アクリレートを製造する方法であって、
該製造方法は、アミン系触媒の存在下でα位にヒドロキシアルキル基を有するアクリレートとアルコールとを反応させた後、該反応により得られた、α位にヒドロキシアルキル基を有するアクリレートを含有するα−(アルコキシアルキル)アクリレート粗製物を、無機アルカリを用いて処理することによって、該α位にヒドロキシアルキル基を有するアクリレートを取り除く操作を行うことを特徴とするα−(アルコキシアルキル)アクリレートの製造方法。 - 前記製造方法は、α−(不飽和アルコキシアルキル)アクリレートを製造する方法であることを特徴とする請求項1に記載のα−(アルコキシアルキル)アクリレートの製造方法。
- α−(アルコキシアルキル)アクリレートとα位にヒドロキシアルキル基を有するアクリレートとを含むα−(アルコキシアルキル)アクリレート含有組成物であって、
該組成物中における、α−(アルコキシアルキル)アクリレートとα位にヒドロキシアルキル基を有するアクリレートとの合計量100質量%に対する、α位にヒドロキシアルキル基を有するアクリレートの割合が0.6〜7.5質量%であり、
該α−(アルコキシアルキル)アクリレートは、下記一般式(3’):
該有機基は、鎖状飽和炭化水素基、アルコキシ置換鎖状飽和炭化水素基、ヒドロキシ置換鎖状飽和炭化水素基、ハロゲン置換鎖状飽和炭化水素基、脂環式炭化水素基、又は、芳香族炭化水素基であることを特徴とするα−(アルコキシアルキル)アクリレート含有組成物(但し、下記一般式(a)で表されるα−(不飽和アルコキシアルキル)アクリレートと、下記一般式(b)で表されるα−(ヒドロキシメチル)アクリレートとを含み、該組成物全体に対するα−(ヒドロキシメチル)アクリレートの含有割合が0.1〜2.7質量%である組成物を除く。)
- 前記アミン系触媒の使用量は、前記α位にヒドロキシアルキル基を有するアクリレート100モル%に対し、0.01〜50モル%であることを特徴とする請求項1又は2に記載のα−(アルコキシアルキル)アクリレートの製造方法。
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