JP2010254665A - α位置換アクリレートの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】高収率でα位置換アクリレートを製造する方法を提供するとともに、α位置換アクリレートの中でも、環化重合し、主鎖等に環構造を有する重合体を与えることができる有用な単量体であるα−(不飽和アルコキシメチル)アクリレートの製品を工業的製造方法によって高収率で製造する方法を提供する。
【解決手段】 本発明は、下記一般式(1);
[化1]
Figure 2010254665

(式中、R及びRは、同一又は異なって、炭素数1〜30の有機基を表す。)で表されるα−(アシルオキシメチル)アクリレートと活性水素含有化合物とを塩基性触媒の存在下で反応させてα位置換アクリレートを製造する方法であって、上記製造方法は、塩基性触媒として、トリメチルアミン及び/又は環状3級アミンを必須とするα位置換アクリレートの製造方法である。
【選択図】なし

Description

本発明は、α位置換アクリレートの製造方法に関する。より詳しくは、エンジニアリングプラスチック、光学材料、レジスト材料等の様々な分野において、硬化性樹脂組成物、色材分散組成物等の製造原料として好適に用いることができるα位置換アクリレートを製造する方法に関する。
α位置換アクリレートは、アクリロイル基の二重結合におけるα位の炭素原子に置換基が結合した構造を有するものであり、メタクリレート系単量体のようにα位にメチル基のみが結合したものではなく、α位のメチル基に炭素原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子などの特定の原子団が結合した構造を有するアクリレート単量体である。このようなα位置換アクリレートは様々な用途における重合体を形成する材料として用いたときに、置換基の種類によって種々の特性を重合体に付与することができ、光学材料、塗料、樹脂材料、反応性希釈剤、界面活性剤原料、医農薬製造用の中間体、レジスト用単量体のような用途に利用可能な有用な重合性単量体である。
このようなα位置換アクリレートとしては、例えば、置換基中に不飽和結合等の反応性基があれば、重合時や重合後にそのような反応性基を利用して新たな結合、構造を生じさせて有用な特性を与えることができることから、アクリレート部位以外にも不飽和結合を有する特殊な化合物として種々の技術分野における適用が期待されるところである。
上記のように、α位置換アクリレートは、メチル(メタ)アクリレート等の一般的な(メタ)アクリレート系単量体とは異なって、特別な単量体として位置づけられるものであり、特に、α位に不飽和結合をもつα−(不飽和アルコキシメチル)アクリレートは、環化重合して環構造を主鎖に有する重合体を形成する有用な単量体であり、一般的な付加重合反応だけによって重合体を形成する単量体とは異なる特別な単量体であると認識されている。
例えば、α位に−CH−O−CH−CH=CHが結合した構造を有するα−(アリルオキシメチル)アクリレートはアクリロイル基とアリルエーテル基との環化反応が重合中に生じ、環構造を有する重合体を生成することになる。環構造を主鎖等に有する重合体は、環構造に起因して耐久性、特に優れた耐熱性を発揮するため、そのような特性が要求される技術分野、例えば、エンジニアリングプラスチック、光学材料、レジスト材料等の様々な分野での利用が期待される有用な材料として注目されているところである。
このようにα位置換アクリレートは、化学製品の製造原料として有用なものであるため、その工業的な製法を確立することが重要であるが、その製法について開示されている先行文献は、下記に示した文献のみである。
すなわち、従来のα位置換アクリレートの製法としては、アクリル誘導体を、塩基性物質の存在下にグリシドールと反応させるエポキシ基含有アクリル誘導体の製造方法が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
またメチル(アセトキシメチル)アクリレートをジメチルアミノピリジン及びジクロロメタンの存在下で(E)−3,5−ヘキサジエン−1−オールとカップリングさせることにより、トリエンエステルを合成することが開示されている(例えば、非特許文献1参照)。
またα位置換アクリレートの製造方法としては次の(1)〜(6)のような方法が開示されている。
(1)α−(ヒドロキシメチル)アクリレートとアルコールとを3級アミン存在下反応させて対応するα−(アルコキシメチル)アクリレートを製造する方法(例えば、特許文献2参照)。
(2)2,2′−[オキシビス(メチレン)]ビスアクリレート類と活性水素含有化合物を反応させてα位置換アクリレート類を製造する方法(例えば、特許文献3参照)。
(3)ハロメチルアクリレートとアルコールを反応させて対応するα−(アルコキシメチル)アクリレートを製造する方法(例えば、非特許文献2参照)。
(4)α−アンモニウムメタクリル化合物とヒドロキシ基含有化合物を反応させてα位置換アクリレート類を製造する方法(例えば、特許文献4参照)。
(5)α−(ヒドロキシメチル)アクリレートとアルコールとを酸触媒存在下反応させて対応するα−(アルコキシメチル)アクリレートを製造する方法(例えば、特許文献5参照)。
(6)α−(ヒドロキシメチル)アクリレートとアルコールとをパラジウム触媒存在下反応させて対応するα−(アルコキシメチル)アクリレートを製造する方法(例えば、非特許文献3参照)。
これらの特許文献、非特許文献に開示された技術においては、アクリロイル基の二重結合における2位の炭素原子にメトキシメチル基、エトキシメチル基やアリルオキシメチル基等が結合した構造を有するα位置換アクリレートを製造することができる。
特開平11−158167号公報(第2、8頁) 特許第3943180号明細書(第1、2、11頁) 特開2005−239610号公報(第2、9頁) 特開2003−55305号公報(第2、41頁) 特開平8−325200号公報(第2、7頁)
ロバート・K・ベックマン,ジュニア(Robert K.Boeckman,Jr.)、他1名「ジャーナル オブ オーガニック ケミストリー(Journal of Organic Chemistry)」、(米国)、アメリカン ケミカル ソサイエティー(American Chemical Society)、1982年、第47巻、p.1792−1793 ロバート・D・トンプソン(Robert D. Thompson)他、「マクロモレキュールズ(Macromolecules)」、(米国)、アメリカン ケミカル ソサイエティー(American Chemical Society)、1992年、第25巻、p.6455−6459 タカヒロ・ホソカワ(Takahiro Hosokawa)「ジャーナル オブ オーガノメタリック ケミストリー(Journal of Organometallic Chemistry)」、(米国)、エルセビア サイエンス(Elsevier Science)、1994年、第470号、p.253−255
上述のようにα位置換アクリレートは、置換基の種類によって種々の特性を重合体に付与することができる有用な重合性単量体であり、その中のいくつかの化合物の製法が先行文献に記載されている。
しかしながら、従来におけるいずれの製法においても、工業的工程に適用するには、α位置換アクリレートを目的生成物とする場合に収率を高めるための工夫の余地があった。
すなわち、従来の技術においては、α位置換アクリレートの収率向上についての効果的な手法の検討はなされておらず、数ある反応例の中で、いくつかの特定のα位置換アクリレートについてだけ偶発的に開示されたに過ぎない。したがって、α位置換アクリレートを合成する反応系において、どのような反応条件が収率に与える影響が大きいのかについては、まったく検討されていなかったといえる。反応条件の一つに触媒の種類があるが、反応系によっては触媒の種類が顕著な影響を及ぼさないものもあることから、触媒種が収率に与える影響の大きさが見過ごされてきたといえる。
またα位置換アクリレートの中で、上述のように環化重合という特異的な重合をするα−(不飽和アルコキシメチル)アクリレートは、一般的なアクリル系単量体とは違った特殊な単量体であるがゆえに、その製法や特性を検討した文献はほとんど見当たらず、α−(不飽和アルコキシメチル)アクリレートを効率的に工業生産するための検討が待たれるところであった。
本発明は上記現状に鑑みてなされたものであり、高収率でα位置換アクリレートを製造する方法を提供することを目的とするものである。また、α位置換アクリレートの中でもα−(不飽和アルコキシメチル)アクリレートを製造する方法を提供することを目的とするものである。
本発明者等は、α位置換アクリレートの製法に関して、上述した課題を解決するための手段を種々検討したところ、従来におけるα位置換アクリレートのいくつかの合成においてはある種の触媒が用いられていたが、触媒の種類がα位置換アクリレートの収率向上に大いに影響し、トリメチルアミン及び/又は環状3級アミンという特定の触媒を用いることによって、高収率でα位置換アクリレートを製造することができることを見出し、上記課題をみごとに解決することができることに想到し、本発明に到達したものである。
また環化重合用原料単量体として用いることができるα−(不飽和アルコキシメチル)アクリレートを製造するということに関しては、このような単量体に関する文献がほとんど見当たらないという中で、特殊で有用な単量体であるα−(不飽和アルコキシメチル)アクリレートにとって有効な新たな製法を提供することになる。
これに対して、従来の技術水準を示す文献においては、例えば、エポキシ基含有アクリル誘導体の製造方法を示す特許文献1において、炭酸カリウムを触媒とした場合に収率が52モル%であり(実施例6)、また、トリエチルアミンを触媒とした場合に収率が37モル%であった(実施例7)ことが示されている。環状付加物を生成するトリエンエステルの合成を示す非特許文献1においては、N,N−ジメチルアミノピリジンを触媒としたことが示されているが、合成反応の収率は開示されていない。高収率ではなかったことは、まず間違いないものと推察される。
また上述のように(1)〜(6)の各手法が開示されているが、これらの文献によっては、触媒の種類が収率に多大な影響を及ぼすことの言及はまったくなく、高収率を実現する触媒を選定することを導くための要因となるような記載は、まったく見当たらない。
なお、上記従来技術のうち、(3)ハロメチルアクリレートからの合成については、一般的な手法であるが、製品中にハロゲンが混入することになり、(4)α−アンモニウムメタクリル化合物からの合成については、α位の置換基導入に2段階の工程を経なければならず、工業的手法としては煩雑となる。(5)α−(ヒドロキシメチル)アクリレートからの酸触媒を用いての合成については、酸触媒として、硫酸、リンタングステン酸、パラトルエンスルホン酸が開示されているが、更に性能が高く、有用な触媒が求められるところであった。更に、(6)α−(ヒドロキシメチル)アクリレートからのパラジウム触媒を用いての合成については、パラジウム(Pd)が高価であり、工業的工程には向かないものであった。
すなわち本発明は、下記一般式(1);
Figure 2010254665
(式中、R及びRは、同一又は異なって、炭素数1〜30の有機基を表す。)で表されるα−(アシルオキシメチル)アクリレートと活性水素含有化合物とを塩基性触媒の存在下で反応させてα位置換アクリレートを製造する方法であって、上記製造方法は、塩基性触媒として、トリメチルアミン及び/又は環状3級アミンを必須とするα位置換アクリレートの製造方法である。
以下に本発明を詳述する。
本発明のα位置換アクリレートの製造方法は、上記一般式(1)で表されるα−(アシルオキシメチル)アクリレートと活性水素含有化合物とを塩基性触媒の存在下で反応させてα位置換アクリレートを製造する方法である。
本発明の製造方法においては、目的生成物であるα位置換アクリレートの合成に際し、上記一般式(1)で表されるα−(アシルオキシメチル)アクリレートを原料としてα位置換アクリレートを合成するか、他の原料を用いてα−(アシルオキシメチル)アクリレートを中間体として生成させてα位置換アクリレートを合成するか、又は、これらを組み合わせて合成することになる。いずれにしても、α位置換アクリレートの合成においては、α−(アシルオキシメチル)アクリレートを経由する製法に本発明を適用することになる。α位置換アクリレートの製造において、α−(アシルオキシメチル)アクリレートを経由する方法は工業的に有用であるが、本発明はその際における収率を際立って優れたものにしようとするものである。なお、原料及び/又は中間体として用いるα−(アシルオキシメチル)アクリレートの合成、製造については、特に限定されるものではない。
上記α−(アシルオキシメチル)アクリレートと活性水素含有化合物とを触媒である3級アミンの存在下で反応させる反応機構の詳細は、下記機構が考えられる。
α−(アシルオキシメチル)アクリレートと触媒である3級アミンがマイケル付加し、下記中間体(括弧内の一般式で表される中間体)が生成する。その後、活性水素含有化合物が再度新たにできた二重結合にマイケル付加し、α位置換アクリレートが生成する。
本発明は、下記機構において、塩基性触媒(3級アミン)の種類としてトリメチルアミン及び/又は環状3級アミンを選択することにより、高収率な反応とすることが可能になると考えられる。
Figure 2010254665
したがって、本発明のα位置換アクリレートの製造においては、触媒の種類を選択することによって、他の触媒を用いるよりも工業的にみて際立って高いと評価される収率を実現することが可能となる。また、α−(不飽和アルコキシメチル)アクリレートの製法に関しては、合成反応自体が新規なものであると考えられ、新たな製造手法を提供するものとなる。
本発明において用いられる活性水素含有化合物は、アシル基との反応において活性水素原子が脱離して反応性を示すものであればよく、また、目的化合物であるα位置換アクリレートにおけるα位の置換基を構成することになるため、その機能等を考慮して適宜選択すればよい。
なお、本明細書中、アシルオキシメチル基は、アシルオキシ基が2価のメチレン基に結合した1価の基となっていることから、アシルオキシメチレン基と標記してもよいものであるが、メチル基にアシルオキシ基が結合したかたちで1価の基になっているとも考えられるため、アシルオキシメチル基と標記している。また、後述するアセトキシメチル基やアリルオキシメチル基についても、同様にこのように標記している。更に、不飽和アルコキシ基のアルコキシ基についても、アルコキシ基に不飽和結合が結合したかたちで1価の基になっているとも考えられるため、そのように標記している。
本発明の製造方法においては、上記反応を塩基性触媒の存在下で行うことになるが、塩基性触媒としては、トリメチルアミン及び/又は環状3級アミンを必須とすることになる。
トリメチルアミン又は環状3級アミンのいずれかを用いればよいが、両者ともに用いることを妨げるものではない。また環状3級アミンとしては、1種を用いてもよく、2種以上を用いてもよい。いずれにしても、本発明においては、α−(アシルオキシメチル)アクリレートと活性水素含有化合物との反応において、触媒としては塩基性触媒を必須とし、該塩基性触媒としてトリメチルアミン及び/又は環状3級アミンを必須とする。
上記塩基性触媒としてトリメチルアミン及び/又は環状3級アミンを必須とするとは、塩基性触媒の一部又は全部がトリメチルアミン及び/又は環状3級アミンであればよく、好ましくは、トリメチルアミン及び/又は環状3級アミンを塩基性触媒の主成分とすること、実質的に塩基性触媒としてトリメチルアミン及び/又は環状3級アミンだけを用いることである。本明細書中において必須とするとは、このような意味である。
上記塩基性触媒の使用量としては、α−(アシルオキシメチル)アクリレート100モル%に対して、0.01〜50モル%であることが好ましい。0.01モル%未満であると、触媒活性が十分発揮されず、反応時間が長くなり過ぎ、α位置換アクリレートを効率的に製造することができなくなるおそれがある。また、50モル%を超えると、触媒量の増加に比例した、反応時間短縮などの触媒効果の更なる向上は望めず、添加した触媒の一部が無駄になり、経済的に不利になるおそれがある。下限値に関しては、より好ましくは0.1モル%以上であり、更に好ましくは1モル%以上である。上限値に関しては、より好ましくは40モル%以下であり、更に好ましくは30モル%以下である。
上記環状3級アミンとしては、環状構造と3級アミン構造とを1つの分子中に有し、環状飽和炭化水素等の環状構造中に3級アミン構造を有する形態であることが好ましい。例えば、飽和モノアミン類、飽和トリアミン類、二環式飽和モノアミン類、二環式飽和ジアミン類及び不飽和アミン類からなる群から選択される少なくとも1つの化合物を用いることが好ましく、これらの中でも、二環式飽和ジアミン類を用いることが好ましい。
なお、本発明における環状3級アミンが有する3級アミン構造は、芳香環中の窒素原子、すなわち、窒素原子が有する3つの結合が芳香環の共役二重結合となっている構造とは異なるものである。すなわち、ピリジン等の含窒素芳香環を有するアミンであって、本発明における3級アミン構造を有さない化合物は、本発明における環状3級アミンに該当しないものである。本発明における環状3級アミンがその触媒効果を発揮するのは、環状飽和炭化水素等の環状構造中に3級アミン構造を有することに起因するものであると推察される。
上記環状3級アミンの化合物名としては、例えば、N−メチルピロリジン、N−メチルピペリジン、ルピナン等の飽和モノアミン類;N,N′−ジメチルピペラジン等の飽和ジアミン類、N−(2−ジメチルアミノエチル)−N′−メチルピペラジン等の飽和トリアミン類;1−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン、1−アザビシクロ[3.2.1]オクタン、1−アザビシクロ[3.3.1]ノナン、1−アザビシクロ[2.3.2]ノナン、1−アザビシクロ[3.3.0]オクタン、1−アザビシクロ[4.3.0]ノナン、キヌクリジン、キヌクリジノン、3−ヒドロキシキヌクリジン等の二環式飽和モノアミン類;1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)等の二環式飽和ジアミン類;N−メチルピロリン等の不飽和アミン類等が好適なものとして挙げられる。これら触媒は、一種類のみを用いてもよく、また二種類以上を適宜併用してもよい。
本発明のα位置換アクリレートの製造方法における好ましい形態としては、(1)上記活性水素含有化合物は、アルコール系水酸基含有化合物類、フェノール系水酸基含有化合物類、アミノ基含有化合物類、メルカプト基含有化合物類及びメチレンビスカルボニル基含有化合物類からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物である形態、(2)前記環状3級アミンは、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタンである形態、(3)α−(アシルオキシメチル)アクリレートとしてα−(アセトキシメチル)アクリレートと活性水素含有化合物としてアリルアルコールとを反応させ、α位置換アクリレートとしてα−(アリルオキシメチル)アクリレートを得る形態が挙げられる。
これらの好ましい形態(構成要件)は、いずれか一つの構成要件を満たすようにしてもよいし、2つ又はそれ以上の構成要件を組み合わせて満たすようにしてもよい。
以下では、これら好ましい形態について順に説明する。
上記(1)活性水素含有化合物が、アルコール系水酸基含有化合物類、フェノール系水酸基含有化合物類、アミノ基含有化合物類、メルカプト基含有化合物類及びメチレンビスカルボニル基含有化合物類からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物である形態においては、α−(アシルオキシメチル)アクリレートとの反応において好適であるとともに、これによって生成物であるα位置換アクリレートの構造も好ましい形態に特定されることになる。アルコール系水酸基含有化合物類においては、アルコール系水酸基の水素原子が活性水素となって反応し、フェノール系水酸基含有化合物類においては、フェノール系水酸基の水素原子が活性水素となって反応し、アミノ基含有化合物類においては、アミノ基を構成する窒素原子に結合する水素原子が活性水素となって反応し、メルカプト基含有化合物類においては、メルカプト基を構成する硫黄原子に結合する水素原子が活性水素となって反応し、メチレンビスカルボニル基含有化合物類においては、メチレンビスカルボニル基を構成する炭素原子に結合する水素原子が活性水素となって反応することになる。中でも、収率、転化率がより優れることから、活性水素含有化合物が、アルコール系水酸基含有化合物類、アミノ基含有化合物類、メルカプト基含有化合物類及びメチレンビスカルボニル基含有化合物類からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物であることがより好ましい。なお、上記アルコール系水酸基とは、脂肪族炭化水素基を構成する炭素原子に直接結合している水酸基をいい、上記フェノール系水酸基とは、芳香環を構成する炭素原子に直接結合している水酸基をいう。
またα位置換アクリレートとしてα位の置換基に不飽和結合を有する化合物を調製する場合、上記化合物としては、不飽和結合を有するものを選択することになる。
上記活性水素含有化合物は、一分子内で上記基のいずれか1つを含有する化合物だけでなく、上記基を複数含有する化合物を含むものである。例えば、一分子内でアルコール系水酸基とアミノ基との両方を含有する化合物や、一分子内でアミノ基とメルカプト基との両方を含有する化合物も含む。またこれらの化合物は、通常では一種のものを用いることになるが、これらを組み合わせて用いることを妨げるものではない。
上記アルコール系水酸基含有化合物類としては、不飽和アルコール系水酸基含有化合物類、飽和アルコール系水酸基含有化合物類又は芳香環を有するアルコール系水酸基含有化合物類が挙げられ、下記一般式(a);
α(OH) (a)
で表される化合物であることが好ましい。
上記一般式(a)中、Rαは、炭素数1〜200の有機基である。該有機基は、置換基を有していてもよい。nは、1〜18である。
上記有機基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、芳香族基、アミノ基、アルコキシル基やこれらの基を組み合わせてできる基等が挙げられる。また、上記一般式(a)で表される化合物が多価アルコール類や糖類となるような基であってもよい。これらの中でも、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アルコキシル基やこれらの基を組み合わせてできる基が好ましい。より好ましくは、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アルコキシル基やこれらの基を組み合わせてできる基である。上記有機基がアルコキシル基を含む基である場合、アルコキシル基又はアルコキシル基とアルキル基とを組み合わせた基が好ましい。
上記有機基が、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、芳香族基、アミノ基やこれらの基を組み合わせてできる基である場合、有機基の炭素数は、1〜30であることが好ましい。より好ましくは、1〜18であり、更に好ましくは1〜12である。
上記有機基がアルコキシル基、又は、アルコキシル基とアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、芳香族基、アミノ基のいずれかとを組み合わせてできる基である場合、有機基の炭素数は、1〜180であることが好ましい。より好ましくは、1〜160である。
上記Rαの有機基における置換基としては、例えばハロゲン原子、ジアルキル基、アミノ基、ニトロ基、カルボニル基、カルボキシル基、アルコキシ基、アセトキシ基、水酸基、メルカプト基、スルホン基、メチレンビスカルボニル基等が挙げられる。
上記一般式(a)中、nは、1〜12であることが好ましい。より好ましくは、1〜8である。
上記アルコール系水酸基含有化合物類は、アルキルアルコール類、シクロアルキルアルコール類、アリールアルコール類、不飽和アルコール類、アミノアルコール類、アルキレングリコールモノアルキルエーテル類、アルキレングリコール類、多価アルコール類、糖類及びこれら化合物のハロゲン置換体からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。具体的には、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、tert−ブタノール、2−エチルヘキサノールなどのアルキルアルコール類;シクロペンタノール、シクロヘキサノールなどのシクロアルキルアルコール類、ベンジルアルコールなどのアリールアルコール類;アリルアルコール、プロパルギルアルコールなどの不飽和アルコール類;ジメチルアミノエタノール、ジエチルアミノエタノール類などのアミノアルコール類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、ポリエチレングリコールモノエチルエーテル、ポリエチレングリコールモノブチルエーテル、ポリプロピレングリコールモノメチルエーテル、ポリプロピレングリコールモノエチルエーテル、ポリプロピレングリコールモノブチルエーテルなどのアルキレングリコールモノアルキルエーテル類、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどのアルキレングリコール類、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなどの多価アルコール類;グルコース、マントースなどの糖類、および、これら化合物のハロゲン置換体などが挙げられる。中でも、アルキルアルコール類、シクロアルキルアルコール類、アリールアルコール類、不飽和アルコール類、及び、アルキレングリコール類が好適である。より好ましくは、収率、転化率がより優れることから、アルキルアルコール類、アリールアルコール類、不飽和アルコール類、及び、アルキレングリコール類である。
また、α位置換アクリレートとしてα位の置換基に不飽和結合を有する化合物を調製するという点から、不飽和アルコール類が好ましい。
上記フェノール系水酸基含有化合物類は、下記一般式(b);
β(OH) (b)
で表される化合物であることが好ましい。
上記一般式(b)中、Rβは、炭素数6〜30のアリール基である。該アリール基は、置換基を有していてもよい。nは、1〜18である。
上記Rβのアリール基の炭素数は、6〜18であることが好ましく、6〜12であることがより好ましい。また上記アリール基は、例えばフェニル基、ナフチル基等が好ましい。
上記Rβのアリール基における置換基としては、例えばハロゲン原子、アルキル基、ジアルキル基、アミノ基、ニトロ基、カルボニル基、カルボキシル基、アルコキシ基、アセトキシ基、水酸基、メルカプト基、スルホン基、メチレンビスカルボニル基等が挙げられる。
上記一般式(b)中、nの好ましい形態等は、上記一般式(a)中のnの好ましい形態と同様である。
上記フェノール系水酸基含有化合物類は、1価フェノール類、2価フェノール類、3価フェノール類、1価ナフトール類、2価ナフトール類及びこれら化合物のハロゲン置換体からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。具体的には、フェノール、クレゾール、ナフトール等の1価フェノール類;カテコール、レゾルシノール、ヒドロキノン等の2価フェノール類;ピロガロール等の3価フェノール類、ナフトール等の1価ナフトール類、ナフタレンジオール等の2価ナフトール類、及び、これら化合物のハロゲン置換体などが挙げられる。中でも、1価フェノール類が好ましく、フェノールがより好ましい。
上記アミノ基含有化合物類としては、不飽和アミノ基含有化合物類、飽和アミノ基含有化合物類又は芳香環を有するアミノ基含有化合物類が挙げられ、下記一般式(c);
γ(NHRγ′) (c)
で表される化合物であることが好ましい。
上記一般式(c)中、Rγ及びRγ′は、同一又は異なって、水素原子又は炭素数が1〜30の有機基である。該有機基は、置換基を有していてもよい。nは、1〜18である。
なお、Rγ及びRγ′のいずれか一方が有機基であり、他方が水素原子である場合は、第1級アミンとなり、Rγ及びRγ′の両方が有機基である場合は、第2級アミンとなる。
上記有機基の炭素数は、同一若しくは異なって、1〜18であることが好ましく、1〜12であることがより好ましい。
上記Rγ及びRγ′の有機基における置換基としては、例えばハロゲン原子、ジアルキル基、アミノ基、ニトロ基、カルボニル基、カルボキシル基、アルコキシ基、アセトキシ基、水酸基、メルカプト基、スルホン基、メチレンビスカルボニル基等が挙げられる。
上記一般式(c)中、nの好ましい形態は、上記一般式(a)中のnの好ましい形態と同様である。
例えば、上記アミノ基含有化合物類としては、アンモニア、モノ脂肪族アミン類(脂肪族第1級アミンともいう)、ジ脂肪族アミン類(脂肪族第2級アミンともいう)、ジアミン類、環状アミン類及び芳香族アミン類からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。具体的には、アンモニア;モノメチルアミン、モノエチルアミン、アリルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、t−ブチルアミン、sec−ブチルアミン、2−エチルヘキシルアミン、シクロペンチルアミン、シクロヘキシルアミン等のモノ脂肪族アミン類;ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジアリルアミン、ジイソプロピルアミン、ジ−n−ブチルアミン、ジイソブチルアミン等のジ脂肪族アミン類;1,4−ジアミノシクロへキサン、1,3−ジアミノプロパン、エチルアミノエチルアミンなどのジアミン類;ピロリジン、ピペリジン、モルホリン、ピペラジン、コハクイミド、フタルイミド、カルバゾールなどの環状アミン類、アニリンなどの芳香族アミン類などが挙げられる。中でも、ジ脂肪族アミン類(脂肪族第2級アミン)、芳香族アミン類が好ましい。より好ましくは、収率、転化率がより優れることから、芳香族アミン類であり、特に好ましくは、アニリンである。
上記メルカプト基含有化合物類としては、不飽和メルカプト基含有化合物類、飽和メルカプト基含有化合物類又は芳香環を有するメルカプト基含有化合物類が挙げられ、下記一般式(d);
δ(SH) (d)
で表される化合物であることが好ましい。
上記一般式(d)中、Rδは、水素基又は炭素数が1〜30の有機基である。該有機基は、置換基を有していてもよい。nは、1〜18である。
上記有機基における炭素数、種類、置換基の好ましい形態は、上述したRγの有機基における炭素数、種類、置換基の好ましい形態と同様である。またnの好ましい形態は、上記一般式(a)中のnの好ましい形態と同様である。
例えば、上記メルカプト基含有化合物類は、脂肪族メルカプト基含有化合物類及び芳香族メルカプト基含有化合物類からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。具体的には、硫化水素、メタンチオール、エタンチオール、プロパンチオール、ブタンチオール、シクロヘキサンチオールなどの脂肪族チオール、ベンゼンチオールなどの芳香族チオールなどが挙げられる。中でも、脂肪族チオールが好ましい。特に好ましくは、シクロヘキサンチオールである。
上記メチレンビスカルボニル基含有化合物類は、下記一般式(e);
ε−CO−CH−CO−Rε′ (e)
で表される化合物であることが好ましい。
上記一般式(e)中、Rε、Rε′は、同一若しくは異なって、水素基又は炭素数が1〜30の有機基である。該有機基は、置換基を有していてもよい。
上記有機基の炭素数は、同一若しくは異なって、1〜18であることが好ましく、1〜12であることがより好ましい。該有機基は、アルキル基、アルケニル基、アリールアルキレン基、アリール基又はアルコキシ基が好ましい。中でも、アルコキシ基がより好ましい。上記有機基における置換基の好ましい形態は、上述したRγの有機基における置換基の好ましい形態と同様である。
上記メチレンビスカルボニル基含有化合物類としては、例えばマロン酸エステルが好ましい。具体的には、マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、マロン酸ジプロピル等が挙げられる。特に好ましくは、マロン酸ジメチルである。
上記(2)環状3級アミンが、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)である形態は、上述した環状3級アミンとして好適な二環式飽和ジアミン類の中で特定の化合物を選択した形態となる。
本発明においては、塩基性触媒としてトリメチルアミン及び/又は環状3級アミンを用いることになるが、トリメチルアミン及び/又は1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)を用いる形態においては、α−(アシルオキシメチル)アクリレートの転化率が優れたものとなり、高純度のα位置換アクリレートを得るという本発明の効果が充分に発揮されるとともに、これらの化合物が工業的に入手容易であるという点においても好ましい。
上記(3)α−(アシルオキシメチル)アクリレートとしてα−(アセトキシメチル)アクリレートと活性水素含有化合物としてアリルアルコールとを反応させ、α位置換アクリレートとしてα−(アリルオキシメチル)アクリレートを得る形態においては、α−(アセトキシメチル)アクリレートが反応原料及び/又は反応中間体として用いられ、それとアリルアルコールとが反応してα位置換アクリレートとしてα位の置換基に不飽和結合を有するα−(アリルオキシメチル)アクリレートを得ることになる。
中でも、本発明の製造方法の好ましい形態としては、上記α−(アシルオキシメチル)アクリレートとして下記一般式(2);
Figure 2010254665
(式中、Rは、同一又は異なって、炭素数1〜30の有機基を表す。)で表されるα−(アセトキシメチル)アクリレートと、上記活性水素含有化合物として下記一般式(3);
Figure 2010254665
で表されるアリルアルコールとを反応させ、上記α位置換アクリレートとして下記一般式(4);
Figure 2010254665
(式中、Rは、炭素数1〜30の有機基を表す。)で表されるα−(アリルオキシメチル)アクリレートを得る形態が挙げられる。
上記α−(アセトキシメチル)アクリレートと活性水素含有化合物との反応における反応条件については、使用原料のモル比、触媒の種類やモル比、反応温度や時間などを適宜設定すればよいが、好ましい反応条件の一例を示すと下記のようになる。
α−(アセトキシメチル)アクリレートに対する活性水素含有化合物のモル比としては、0.05〜50とすることが好適である。反応温度としては、10〜150℃が好ましく、20℃〜120℃がより好ましい。反応時間は、反応の進行速度によって適宜設定すればよいが、0.1〜48時間であることが好ましい。またアミン触媒量はα−(アセトキシメチル)アクリレートに対するモル比として、0.001〜2とすることが好適である。
なお、α−(アセトキシメチル)アクリレートや、生成物であるα位置換アクリレートの重合を抑制するために、重合禁止剤や分子状酸素を用いることが好ましい。
なお、原料のα−(アセトキシメチル)アクリレートはα−(ヒドロキシメチル)アクリレートを酸無水物や酸クロライドと反応させて合成する方法や、メタクリレートと酢酸とをパラジウム触媒存在下反応させて合成する方法などで製造することができる。
上記重合禁止剤としては、アクリル系単量体やビニル系単量体の重合禁止剤として用いられるものであればよく、例えば、o−メトキシフェノール、m−メトキシフェノール若しくはp−メトキシフェノール(メトキノン)等のメトキシフェノール、又は、該メトキシフェノールがメチル基、t−ブチル基若しくは水酸基等の1個若しくは2個以上の置換基を有するメトキシフェノール類;ヒドロキノン、ベンゾキノン、p−tert−ブチルカテコール等のキノン類;2,6−ジ−tert−ブチルフェノール、2,4−ジ−tert−ブチルフェノール、2−tert−ブチル−4,6−ジメチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、2,4,6−トリ−tert−ブチルフェノール等のアルキルフェノール類;アルキル化ジフェニルアミン、N,N′−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、フェノチアジン、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1,4−ジヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−ヒドロキシ−4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン等のアミン類;ジメチルジチオカルバミン酸銅、ジエチルジチオカルバミン酸銅、ジブチルジチオカルバミン酸銅等のジチオカルバミン酸銅類;2,2,6,6−テトラメチルピペリジン1−オキシル、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン1−オキシル、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン1−オキシル、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン1−オキシルのエステル等の1−オキシル類等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
上記重合禁止剤の使用量としては、収率、重合抑制、経済性の観点から、α−(アシルオキシメチル)アクリレート等の重合性をもつ原料及び/又は中間体の全量に対して、0.01ppm以上とすることが好ましく、0.1ppm以上がより好ましく、1ppm以上が更に好ましく、10ppm以上が特に好ましい。また、5000ppm以下とすることが好ましく、3000ppm以下がより好ましく、2000ppm以下が更に好ましく、1500ppm以下が特に好ましい。
上記反応工程に関しては、α−(アセトキシメチル)アクリレートおよび生成物であるα位置換アクリレートのそれぞれの全量に対して、上記の範囲とすることがより好ましい。
上記一般式(1)で表されるα−(アシルオキシメチル)アクリレート、一般式(2)で表されるα−(アセトキシメチル)アクリレート、一般式(4)で表されるα−(アリルオキシメチル)アクリレートにおけるRの好ましい形態、及び、一般式(1)で表されるα−(アシルオキシメチル)アクリレートにおけるRの好ましい形態について詳述する。
上記R及びRは、上記したように、同一又は異なって、炭素数1〜30の有機基を表す。これらは、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよく、また、環状であってもよい。好ましい炭素数としては、1〜18であり、より好ましくは、1〜12であり、更に好ましくは、1〜8である。
における有機基としては、例えば、鎖状飽和炭化水素基、脂環式炭化水素基又は芳香族炭化水素基であることが好ましい。これらの基は、置換基を有していてもよく、すなわち、これらの基を構成する炭素原子に結合する水素原子の少なくとも一部を置換基で置き換えた置換鎖状飽和炭化水素基、置換脂環式炭化水素基又は置換芳香族炭化水素基であってもよい。中でも、置換基を有していてもよい鎖状飽和炭化水素基が好ましい。
における有機基としては、Rがα−(アシルオキシメチル)アクリレートのアシル基を構成するものであることから、該アシル基と活性水素含有化合物との反応によってα位置換アクリレートを生成するものであればよいが、例えば、鎖状飽和炭化水素基又は芳香族炭化水素基であることが好ましい。
上記鎖状飽和炭化水素基としては、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、s−ブチル、t−ブチル、n−アミル、s−アミル、t−アミル、n−ヘキシル、s−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、s−オクチル、t−オクチル、2−エチルヘキシル、カプリル、ノニル、デシル、ウンデシル、ラウリル、トリデシル、ミリスチル、ペンタデシル、セチル、ヘプタデシル、ステアリル、ノナデシル、エイコシル、セリル、メリシル等の基が好適である。
また鎖状飽和炭化水素基を構成する炭素原子に結合する水素原子の少なくとも一部をアルコキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子等で置換したものであってもよく、例えば、アルコキシ基置換鎖状飽和炭化水素基、ヒドロキシ置換鎖状飽和炭化水素基、ハロゲン置換鎖状飽和炭化水素基等が好適なものとして挙げられる。
上記アルコキシ置換鎖状飽和炭化水素基としては、例えばメトキシエチル、メトキシエトキシエチル、メトキシエトキシエトキシエチル、3−メトキシブチル、エトキシエチル、エトキシエトキシエチル、フェノキシエチル、フェノキシエトキシエチル等の基が好適なものとして挙げられる。上記ヒドロキシ置換鎖状飽和炭化水素基としては、例えばヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル、ヒドロキシブチル等の基が好適なものとして挙げられる。上記ハロゲン置換鎖状飽和炭化水素基としては、ハロゲン原子がフッ素原子又は塩素原子であることが好ましく、例えばフルオロエチル、ジフルオロエチル、クロロエチル、ジクロロエチル、ブロモエチル、ジブロモエチル等の基が好適なものとして挙げられる。
上記脂環式炭化水素基としては、シクロペンチル、シクロヘキシル、4−メチルシクロヘキシル、4−t−ブチルシクロヘキシル、トリシクロデカニル、イソボルニル、アダマンチル、ジシクロペンタジエニル等の基が好適なものとして挙げられる。これについても、構成する炭素原子に結合する水素原子の少なくとも一部をアルコキシ基、ヒドロキシ基やハロゲン原子等で置き換えた置換脂環式炭化水素基であってもよい。
上記芳香族炭化水素基としては、フェニル、メチルフェニル、ジメチルフェニル、トリメチルフェニル、4−t−ブチルフェニル、ベンジル、ジフェニルメチル、ジフェニルエチル、トリフェニルメチル、シンナミル、ナフチル、アントラニル等の基が好適なものとして挙げられる。これについても、構成する炭素原子に結合する水素原子の少なくとも一部をアルコキシ基、ヒドロキシ基やハロゲン原子等で置き換えた置換芳香族炭化水素基であってもよい。
上述した置換基としては、他にも、カルボキシル基、カルボニル基、水酸基、アセトキシ基、アミノ基、ジアルキル基、ニトロ基、メルカプト基、スルホン基等が挙げられる。
本発明の製造方法は、触媒を除去するための精製工程を含むこともできる。中でも、上記反応工程の後に精製工程を含むことが製品の高純度化の点から特に好ましい。
この精製工程においては、通常では副生成物等の不純物も除去されるように操作することになる。触媒の除去工程は、例えば、蒸留、洗浄、抽出等の本発明の技術分野において通常用いられる手法が用いられる。
本発明のα位置換アクリレートの製造方法は、上述のような構成であり、高収率でα位置換アクリレートを製造することができる製造方法であり、α位置換アクリレートの中でもα−(不飽和アルコキシメチル)アクリレートを製造する方法として好適に用いることができる製造方法である。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は「重量部」を、「%」は「質量%」を意味するものとする。
[評価方法]
(反応転化率及び収率)
(1)ガスクロマトグラフィーを用いた分析方法
反応の転化率及び収率は、ガスクロマトグラフ(6890N(商品名)、Agilent Technologies製、キャピラリーカラム DB−WAX(商品名) 長さ30m×内径0.25mm、膜厚0.25μm)を使用して測定し、事前に作成した検量線を使用して求めた。
(2)高速液体クロマトグラフィーを用いた分析方法
以下の測定条件により測定した。
(使用カラム)Waters社製
Atlantis dC18 5μm 4.6×20mm guard column 1本
Atlantis dC18 5μm 4.6×250mm 2本
(溶離液)
酢酸52.5gと酢酸ナトリウム三水和物3.75gに水を加えて9000gにし、更にアセトニトリル6000gを加えたもの
(条件)
サンプル:サンプルを上記溶離液にて1.0%となるように調整したもの
サンプル打ち込み量:100μL
流速:1.0 mL/分
カラム温度:40℃
検出器:waters 2414 RI検出器
実施例1
20mL蓋付き試験管にα−(アセトキシメチル)アクリル酸メチル1.59g、活性水素含有化合物としてメタノール0.49g、触媒として1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン0.11g(α−(アセトキシメチル)アクリル酸メチルに対して10モル%)、重合禁止剤として4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン1−オキシル2.0mgを仕込んで攪拌した。上記反応液内を70℃に保ちながら5時間攪拌させて、反応を完了させた。反応終了後ガスクロマトグラフィーで分析したところα−(メトキシメチル)アクリル酸メチルの収率は90モル%で、原料であるα−(アセトキシメチル)アクリル酸メチルの転化率は93モル%であった。
実施例2
20mL蓋付き試験管にα−(アセトキシメチル)アクリル酸メチル1.60g、活性水素含有化合物としてアリルアルコールを0.90g、触媒として1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン0.11g(α−(アセトキシメチル)アクリル酸メチルに対して10モル%)、重合禁止剤として4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン1−オキシル2.0mgを仕込んで攪拌した。上記反応液内を80℃に保ちながら6時間攪拌させて、反応を完了させた。反応終了後ガスクロマトグラフィーで分析したところα−(アリルオキシメチル)アクリル酸メチルの収率は88モル%で、原料であるα−(アセトキシメチル)アクリル酸メチルの転化率は89モル%であった。
実施例3
20mL蓋付き試験管にα−(ベンゾイルオキシメチル)アクリル酸メチル2.20g、活性水素含有化合物としてアリルアルコールを0.90g、触媒として1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン0.11g(α−(ベンゾイルオキシメチル)アクリル酸メチルに対して10モル%)、重合禁止剤として4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン1−オキシル2.0mgを仕込んで攪拌した。上記反応液内を80℃に保ちながら6時間攪拌させて、反応を完了させた。反応終了後ガスクロマトグラフィーで分析したところα−(アリルオキシメチル)アクリル酸メチルの収率は82モル%で、原料であるα−(べンゾイルオキシメチル)アクリル酸メチルの転化率は83モル%であった。
実施例4
20mL蓋付き試験管にα−(アセトキシメチル)アクリル酸エチル1.72g、活性水素含有化合物としてアリルアルコールを0.90g、触媒として1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン0.11g(α−(アセトキシメチル)アクリル酸エチルに対して10モル%)、重合禁止剤として4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン1−オキシル2.0mgを仕込んで攪拌した。上記反応液内を80℃に保ちながら6時間攪拌させて、反応を完了させた。反応終了後ガスクロマトグラフィーで分析したところα−(アリルオキシメチル)アクリル酸エチルの収率は85モル%で、原料であるα−(アセトキシメチル)アクリル酸エチルの転化率は86モル%であった。
実施例5
触媒としてトリメチルアミン30%水溶液0.20g(α−(アセトキシメチル)アクリル酸メチルに対して10モル%)を用いた以外は実施例2と同様にして反応を行った。反応終了後ガスクロマトグラフィーで分析したところα−(アリルオキシメチル)アクリル酸メチルの収率は69モル%で、原料であるα−(アセトキシメチル)アクリル酸メチルの転化率は80モル%であった。
実施例6
20mL蓋付き試験管にα−(アセトキシメチル)アクリル酸メチル1.60g、活性水素含有化合物としてエタノールを0.71g、触媒として1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン0.11g(α−(アセトキシメチル)アクリル酸メチルに対して10モル%)、重合禁止剤として4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン1−オキシル2.0mgを仕込んで攪拌した。上記反応液内を80℃に保ちながら5時間攪拌させて、反応を完了させた。反応終了後ガスクロマトグラフィーで分析したところα−(エトキシメチル)アクリル酸メチルの収率は85モル%で、原料であるα−(アセトキシメチル)アクリル酸メチルの転化率は94モル%であった。
実施例7
20mL蓋付き試験管にα−(アセトキシメチル)アクリル酸メチル1.60g、活性水素含有化合物としてn−ブタノールを1.13g、触媒として1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン0.11g(α−(アセトキシメチル)アクリル酸メチルに対して10モル%)、重合禁止剤として4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン1−オキシル2.0mgを仕込んで攪拌した。上記反応液内を80℃に保ちながら5時間攪拌させて、反応を完了させた。反応終了後ガスクロマトグラフィーで分析したところα−(n−ブトキシメチル)アクリル酸メチルの収率は83モル%で、原料であるα−(アセトキシメチル)アクリル酸メチルの転化率は95モル%であった。
実施例8
20mL蓋付き試験管にα−(アセトキシメチル)アクリル酸メチル1.60g、活性水素含有化合物としてシクロへキサノールを1.52g、触媒として1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン0.11g(α−(アセトキシメチル)アクリル酸メチルに対して10モル%)、重合禁止剤として4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン1−オキシル2.0mgを仕込んで攪拌した。上記反応液内を80℃に保ちながら5時間攪拌させて、反応を完了させた。反応終了後ガスクロマトグラフィーで分析したところα−(シクロヘキシロキシメチル)アクリル酸メチルの収率は78モル%で、原料であるα−(アセトキシメチル)アクリル酸メチルの転化率は82モル%であった。
実施例9
20mL蓋付き試験管にα−(アセトキシメチル)アクリル酸メチル1.60g、活性水素含有化合物としてベンジルアルコールを1.65g、触媒として1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン0.11g(α−(アセトキシメチル)アクリル酸メチルに対して10モル%)、重合禁止剤として4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン1−オキシル2.0mgを仕込んで攪拌した。上記反応液内を80℃に保ちながら5時間攪拌させて、反応を完了させた。反応終了後ガスクロマトグラフィーで分析したところα−(ベンジロキシメチル)アクリル酸メチルの収率は89モル%で、原料であるα−(アセトキシメチル)アクリル酸メチルの転化率は93モル%であった。
実施例10
20mL蓋付き試験管にα−(アセトキシメチル)アクリル酸メチル1.60g、活性水素含有化合物としてフェノールを1.41g、触媒として1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン0.11g(α−(アセトキシメチル)アクリル酸メチルに対して10モル%)、重合禁止剤として4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン1−オキシル2.0mgを仕込んで攪拌した。上記反応液内を80℃に保ちながら5時間攪拌させて、反応を完了させた。反応終了後ガスクロマトグラフィーで分析したところα−(フェノキシメチル)アクリル酸メチルの収率は65モル%で、原料であるα−(アセトキシメチル)アクリル酸メチルの転化率は66モル%であった。
実施例11
20mL蓋付き試験管にα−(アセトキシメチル)アクリル酸メチル1.60g、活性水素含有化合物としてジ−n−プロピルアミンを1.52g、触媒として1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン0.11g(α−(アセトキシメチル)アクリル酸メチルに対して10モル%)、重合禁止剤として4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン1−オキシル2.0mgを仕込んで攪拌した。上記反応液内を60℃に保ちながら5時間攪拌させて、反応を完了させた。反応終了後ガスクロマトグラフィーで分析したところα−[(N,N−ジ−n−ジプロピルアミノ)メチル]アクリル酸メチルの収率は70モル%で、原料であるα−(アセトキシメチル)アクリル酸メチルの転化率は72モル%であった。
実施例12
20mL蓋付き試験管にα−(アセトキシメチル)アクリル酸メチル1.60g、活性水素含有化合物としてアニリンを1.40g、触媒として1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン0.11g(α−(アセトキシメチル)アクリル酸メチルに対して10モル%)、重合禁止剤として4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン1−オキシル2.0mgを仕込んで攪拌した。上記反応液内を60℃に保ちながら5時間攪拌させて、反応を完了させた。反応終了後ガスクロマトグラフィーで分析したところα−(フェニルアミノメチル)アクリル酸メチルの収率は98モル%で、原料であるα−(アセトキシメチル)アクリル酸メチルの転化率は99モル%であった。
実施例13
20mL蓋付き試験管にα−(アセトキシメチル)アクリル酸メチル1.60g、活性水素含有化合物としてシクロへキサンチオールを1.74g、触媒として1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン0.11g(α−(アセトキシメチル)アクリル酸メチルに対して10モル%)、重合禁止剤として4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン1−オキシル2.0mgを仕込んで攪拌した。上記反応液内を60℃に保ちながら5時間攪拌させて、反応を完了させた。反応終了後ガスクロマトグラフィーで分析したところα−(シクロへキシルチオメチル)アクリル酸メチルの収率は98モル%で、原料であるα−(アセトキシメチル)アクリル酸メチルの転化率は99モル%であった。
実施例14
20mL蓋付き試験管にα−(アセトキシメチル)アクリル酸メチル1.60g、活性水素含有化合物としてマロン酸ジメチルを1.98g、触媒として1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン0.11g(α−(アセトキシメチル)アクリル酸メチルに対して10モル%)、重合禁止剤として4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン1−オキシル2.0mgを仕込んで攪拌した。上記反応液内を60℃に保ちながら5時間攪拌させて、反応を完了させた。反応終了後ガスクロマトグラフィーで分析したところα−(2,2−ビス(カルボメトキシ)エチル)アクリル酸メチルの収率は78モル%で、原料であるα−(アセトキシメチル)アクリル酸メチルの転化率は79モル%であった。
実施例15
200mL4つ口フラスコにα−(アセトキシメチル)アクリル酸メチル4.77g、活性水素含有化合物としてポリエチレングリコールモノメチルエーテル(オキシエチレン基の平均付加モル数m=75)を100.65g、触媒として1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン0.70g(α−(アセトキシメチル)アクリル酸メチルに対して20モル%)、重合禁止剤として4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン1−オキシル5.0mgを仕込んで攪拌した。上記反応液内を80℃に保ちながら5時間攪拌させて、反応を完了させた。反応終了後高速液体クロマトグラフィーで分析したところ、目的生成物の収率は62モル%で、原料であるα−(アセトキシメチル)アクリル酸メチルの転化率は72モル%であった。
実施例16
100mL4つ口フラスコにα−(アセトキシメチル)アクリル酸メチル25.28g、活性水素含有化合物としてジエチレングリコールモノメチルエーテルを29.08g、触媒として1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン1.39g(α−(アセトキシメチル)アクリル酸メチルに対して8モル%)、重合禁止剤として4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン1−オキシル25.0mgを仕込んで攪拌した。上記反応液内を80℃に保ちながら3時間攪拌させて、反応を完了させた。反応終了後ガスクロマトグラフィーで分析したところ、目的生成物の収率は83モル%で、原料であるα−(アセトキシメチル)アクリル酸メチルの転化率は90モル%であった。
比較例1
触媒としてトリエチルアミン0.10g(α−(アセトキシメチル)アクリル酸メチルに対して10モル%)を用いた以外は実施例2と同様にして反応を行った。反応終了後ガスクロマトグラフィーで分析したところα−(アリルオキシメチル)アクリル酸メチルの収率は19モル%で、原料であるα−(アセトキシメチル)アクリル酸メチルの転化率は20モル%であった。
比較例2
触媒としてピリジン0.08g(α−(アセトキシメチル)アクリル酸メチルに対して10モル%)を用いた以外は実施例2と同様にして反応を行った。反応終了後ガスクロマトグラフィーで分析したところα−(アリルオキシメチル)アクリル酸メチルの収率は36モル%で、原料であるα−(アセトキシメチル)アクリル酸メチルの転化率は39モル%であった。
比較例3
触媒としてN,N−ジメチル−4−アミノピリジン0.12g(α−(アセトキシメチル)アクリル酸メチルに対して10モル%)を用いた以外は実施例2と同様にして反応を行った。反応終了後ガスクロマトグラフィーで分析したところα−(アリルオキシメチル)アクリル酸メチルの収率は37モル%で、原料であるα−(アセトキシメチル)アクリル酸メチルの転化率は44モル%であった。
比較例4
触媒として炭酸カリウム0.14g(α−(アセトキシメチル)アクリル酸メチルに対して10モル%)を用いた以外は実施例2と同様にして反応を行った。反応終了後ガスクロマトグラフィーで分析したところα−(アリルオキシメチル)アクリル酸メチルの収率は10モル%で、原料であるα−(アセトキシメチル)アクリル酸メチルの転化率は44モル%であった。
下記表1において、α−(アシルオキシメチル)アクリレートの欄に記載した略号「Me」は、メチル基を表す。「Et」は、エチル基を表す。「Ph」は、フェニル基を表す。また触媒の種類の欄に記載した略号「DABCO」は、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタンを意味する。
Figure 2010254665
上述した実施例及び比較例では、塩基性触媒(3級アミン)としてトリメチルアミン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)を用いているが、上記一般式(1)で表されるα−(アシルオキシメチル)アクリレートと活性水素含有化合物とを塩基性触媒(3級アミン)の存在下で反応させてα位置換アクリレートを製造する方法であって、該製造方法が、塩基性触媒としてトリメチルアミン及び/又は環状3級アミンを必須とする形態である限り、本発明の効果を生じさせる作用機構は同様である。すなわち、トリメチルアミン及び/又は環状3級アミンの存在下に反応させるところに本発明の本質的特徴があり、この触媒が同様の化学的特徴を有するものであれば、この実施例で示されるような効果を奏することになる。したがって、本発明における必須工程によって構成されるα位置換アクリレートの製法とすれば、本発明の有利な効果を発現することは確実であるといえる。
上述した実施例及び比較例においては、塩基性触媒としてトリメチルアミン、DABCOを用いる場合が示されているが、これによって本発明の有利な効果が立証され、また、明細書に記載された本発明の構成によって奏される作用機構を合わせて考えれば、本発明の技術的意義が裏付けられているといえる。

Claims (4)

  1. 下記一般式(1);
    Figure 2010254665
    (式中、R及びRは、同一又は異なって、炭素数1〜30の有機基を表す。)で表されるα−(アシルオキシメチル)アクリレートと活性水素含有化合物とを塩基性触媒の存在下で反応させてα位置換アクリレートを製造する方法であって、
    該製造方法は、塩基性触媒として、トリメチルアミン及び/又は環状3級アミンを必須とすることを特徴とするα位置換アクリレートの製造方法。
  2. 前記活性水素含有化合物は、アルコール系水酸基含有化合物類、フェノール系水酸基含有化合物類、アミノ基含有化合物類、メルカプト基含有化合物類及びメチレンビスカルボニル基含有化合物類からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物であることを特徴とする請求項1に記載のα位置換アクリレートの製造方法。
  3. 前記環状3級アミンは、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタンであることを特徴とする請求項1又は2に記載のα位置換アクリレートの製造方法。
  4. 前記製造方法は、α−(アシルオキシメチル)アクリレートとしてα−(アセトキシメチル)アクリレートと活性水素含有化合物としてアリルアルコールとを反応させ、α位置換アクリレートとしてα−(アリルオキシメチル)アクリレートを得ることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のα位置換アクリレートの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP5801296B2 (ja) * 2010-05-24 2015-10-28 株式会社日本触媒 α位置換アクリル酸エステル類及びそれを含む組成物、並びに、それらの製造方法
CN113731404A (zh) * 2021-08-31 2021-12-03 浙江工业大学 一种活性炭负载金属粒子催化剂及其制备方法和应用

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