JP2005343793A - 不飽和カルボン酸ハライドの製造方法及びこの不飽和カルボン酸ハライドを用いたアダマンタン化合物の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 反応中にカルボン酸の不飽和結合を損なうことなく、かつ精製操作を行うことなく、高収率でカルボン酸ハライドが得られる製造方法、及びこの不飽和カルボン酸ハライドのうちの(メタ)アクリル酸クロライドを用いた、(メタ)アクリロイル基含有アダマンタン化合物の製造方法を提供すること。
【解決手段】 不飽和カルボン酸塩とハロゲン化剤とを反応させる不飽和カルボン酸ハライドの製造方法、及び(メタ)アクリル酸アルカリ金属と塩化チオニルとを反応させて得られた(メタ)アクリル酸クロライドと、アダマンタン化合物とを反応させる(メタ)アクリロイル基含有アダマンタン化合物の製造方法である。
【選択図】 なし
【解決手段】 不飽和カルボン酸塩とハロゲン化剤とを反応させる不飽和カルボン酸ハライドの製造方法、及び(メタ)アクリル酸アルカリ金属と塩化チオニルとを反応させて得られた(メタ)アクリル酸クロライドと、アダマンタン化合物とを反応させる(メタ)アクリロイル基含有アダマンタン化合物の製造方法である。
【選択図】 なし
Description
本発明は、不飽和カルボン酸ハライドの製造方法及びこの不飽和カルボン酸ハライドを用いたアダマンタン化合物の製造方法に関し、詳しくは、不飽和カルボン酸塩とハロゲン化剤から、高収率、高純度で不飽和カルボン酸ハライドを製造する方法、及びこの製造方法により得られた不飽和カルボン酸ハライドを用いた、(メタ)アクリロイル基含有アダマンタン化合物の製造方法に関する。
不飽和カルボン酸ハライドは、医薬品や、農薬、電子材料等の合成において用いる原料又は合成中間体として有用である。例えば、(メタ)アクリロイル基含有アダマンタン化合物の合成用原料として、特に(メタ)アクリル酸クロライドが有用である。
従来、不飽和カルボン酸ハライドの製造方法としては、通常、遊離の不飽和カルボン酸に、ハロゲン化剤、例えば、ホスゲン、塩化チオニル、オキシ塩化リン、五塩化リンなどを反応させる方法が用いられている。しかしながら、これらの反応においては、生成するハロゲン化水素の不飽和結合への付加反応が生じ、従って、目的化合物である不飽和カルボン酸ハライドの収率が低い上、このハライドを高純度で得るためには、反応後、蒸留などの精製処理を行う必要がある。
この蒸留による精製処理においては、例えば(メタ)アクリル酸のような重合し易い不飽和カルボン酸の場合には、蒸留操作中に重合が生じるので、一般にフェノチアジン、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、t−ブチルカテコールなどの重合禁止剤を添加して蒸留を行うが、それでも重合による収率低下を免れることができず、不飽和カルボン酸ハライドのトータル収率は極めて低いものとなる。
また、テレフタル酸などにハロゲン化剤を反応させて得られた高沸点酸ハライドと、不飽和カルボン酸とを反応させた後、蒸留処理して不飽和カルボン酸ハライドを得る方法が知られている。この反応においては、上述したようなハロゲン化水素の不飽和結合への付加反応が起こらず、収率は比較的良いが、二段階反応であり、かつ蒸留操作が必要であって、(メタ)アクリル酸のような重合し易い不飽和カルボン酸の場合、不飽和カルボン酸ハライドの収率は満足し得るものではない。
一方、シュウ酸モノメチルエステルのカリウム塩と塩化チオニルとを水浴で加熱し、シュウ酸モノメチルエステルクロライドを製造する方法が報告されている(例えば、非特許文献1参照)。この方法においては、収率は65%であるが、不飽和カルボン酸塩を用いて、不飽和カルボン酸ハライドを製造する方法ではない。
従来、不飽和カルボン酸ハライドの製造方法としては、通常、遊離の不飽和カルボン酸に、ハロゲン化剤、例えば、ホスゲン、塩化チオニル、オキシ塩化リン、五塩化リンなどを反応させる方法が用いられている。しかしながら、これらの反応においては、生成するハロゲン化水素の不飽和結合への付加反応が生じ、従って、目的化合物である不飽和カルボン酸ハライドの収率が低い上、このハライドを高純度で得るためには、反応後、蒸留などの精製処理を行う必要がある。
この蒸留による精製処理においては、例えば(メタ)アクリル酸のような重合し易い不飽和カルボン酸の場合には、蒸留操作中に重合が生じるので、一般にフェノチアジン、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、t−ブチルカテコールなどの重合禁止剤を添加して蒸留を行うが、それでも重合による収率低下を免れることができず、不飽和カルボン酸ハライドのトータル収率は極めて低いものとなる。
また、テレフタル酸などにハロゲン化剤を反応させて得られた高沸点酸ハライドと、不飽和カルボン酸とを反応させた後、蒸留処理して不飽和カルボン酸ハライドを得る方法が知られている。この反応においては、上述したようなハロゲン化水素の不飽和結合への付加反応が起こらず、収率は比較的良いが、二段階反応であり、かつ蒸留操作が必要であって、(メタ)アクリル酸のような重合し易い不飽和カルボン酸の場合、不飽和カルボン酸ハライドの収率は満足し得るものではない。
一方、シュウ酸モノメチルエステルのカリウム塩と塩化チオニルとを水浴で加熱し、シュウ酸モノメチルエステルクロライドを製造する方法が報告されている(例えば、非特許文献1参照)。この方法においては、収率は65%であるが、不飽和カルボン酸塩を用いて、不飽和カルボン酸ハライドを製造する方法ではない。
「J.Am.Chem.Soc.」、第71巻、第2532頁(1949年)
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、不飽和カルボン酸の酸ハライドを製造するに際し、反応中にカルボン酸の不飽和結合を損なうことなく、かつ精製操作を行うことなく、高収率で不飽和カルボン酸ハライドが得られる製造方法、及びこの不飽和カルボン酸ハライドのうちの(メタ)アクリル酸クロライドを用いた、(メタ)アクリロイル基含有アダマンタン化合物の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、不飽和カルボン酸塩とハロゲン化剤とを反応させることにより、上記目的に適合した不飽和カルボン酸ハライドが得られ、この不飽和カルボン酸ハライドのうちの(メタ)アクリル酸クロライドは、(メタ)アクリロイル基含有アダマンタン化合物の合成原料として好適であることを見出した。本発明はかかる知見に基づいて完成したものである。
すなわち、本発明は、以下の製造方法を提供するものである。
1. 不飽和カルボン酸塩とハロゲン化剤とを反応させることを特徴とする不飽和カルボン酸ハライドの製造方法。
2. 不飽和カルボン酸塩が不飽和モノカルボン酸塩である上記1に記載の不飽和カルボン酸ハライドの製造方法。
3. 不飽和カルボン酸塩とハロゲン化剤との反応を10℃以下で行う上記1又は2に記載の不飽和カルボン酸ハライドの製造方法。
4. 不飽和カルボン酸塩が(メタ)アクリル酸アルカリ化金属塩で、ハロゲン化剤が塩化チオニルであり、不飽和カルボン酸ハライドが(メタ)アクリル酸クロライドである上記2又は3に記載の不飽和カルボン酸ハライドの製造方法。
5. (メタ)アクリル酸金属塩がアクリル酸ナトリウムであり、(メタ)アクリル酸クロライドがアクリル酸クロライドである上記4に記載の飽和カルボン酸ハライドの製造方法。
6. 上記4又は5に記載の製造方法で得られた(メタ)アクリル酸クロライドと、アダマンタン化合物とを反応させることを特徴とする(メタ)アクリロイル基を有するアダマンタン化合物の製造方法。
7. (メタ)アクリル酸アルカリ金属塩と塩化チオニルとを反応させて得られた反応液から、副生するアルカリ金属塩化物を除去してなる(メタ)アクリル酸クロライドを含む反応液を、(メタ)アクリル酸クロライド試薬として用いる上記6に記載の(メタ)アクリロイル基を有するアダマンタン化合物の製造方法。
8. (メタ)アクリル酸クロライドがアクリル酸クロライドであり、(メタ)アクリルロイル基を有するアダマンタン化合物がアクリロイル基を有するアダマンタン化合物である上記6又は7に記載の(メタ)アクリロイル基を有するアダマンタン化合物の製造方法。
すなわち、本発明は、以下の製造方法を提供するものである。
1. 不飽和カルボン酸塩とハロゲン化剤とを反応させることを特徴とする不飽和カルボン酸ハライドの製造方法。
2. 不飽和カルボン酸塩が不飽和モノカルボン酸塩である上記1に記載の不飽和カルボン酸ハライドの製造方法。
3. 不飽和カルボン酸塩とハロゲン化剤との反応を10℃以下で行う上記1又は2に記載の不飽和カルボン酸ハライドの製造方法。
4. 不飽和カルボン酸塩が(メタ)アクリル酸アルカリ化金属塩で、ハロゲン化剤が塩化チオニルであり、不飽和カルボン酸ハライドが(メタ)アクリル酸クロライドである上記2又は3に記載の不飽和カルボン酸ハライドの製造方法。
5. (メタ)アクリル酸金属塩がアクリル酸ナトリウムであり、(メタ)アクリル酸クロライドがアクリル酸クロライドである上記4に記載の飽和カルボン酸ハライドの製造方法。
6. 上記4又は5に記載の製造方法で得られた(メタ)アクリル酸クロライドと、アダマンタン化合物とを反応させることを特徴とする(メタ)アクリロイル基を有するアダマンタン化合物の製造方法。
7. (メタ)アクリル酸アルカリ金属塩と塩化チオニルとを反応させて得られた反応液から、副生するアルカリ金属塩化物を除去してなる(メタ)アクリル酸クロライドを含む反応液を、(メタ)アクリル酸クロライド試薬として用いる上記6に記載の(メタ)アクリロイル基を有するアダマンタン化合物の製造方法。
8. (メタ)アクリル酸クロライドがアクリル酸クロライドであり、(メタ)アクリルロイル基を有するアダマンタン化合物がアクリロイル基を有するアダマンタン化合物である上記6又は7に記載の(メタ)アクリロイル基を有するアダマンタン化合物の製造方法。
本発明によれば、不飽和カルボン酸の不飽和結合を損なうことなく、かつ精製操作を行うことなく、高純度かつ高収率で不飽和カルボン酸ハライドを製造することができ、この不飽和カルボン酸ハライドのうちの(メタ)アクリル酸クロライドは、(メタ)アクリロイル基含有アダマンタン化合物の合成原料として好適である。
本発明で用いる不飽和カルボン酸塩は、不飽和カルボン酸と塩基とを反応させることにより得ることができる。不飽和カルボン酸としては、一塩基酸、多塩基酸のいずれでもよく、アクリル酸、メタクリル酸、プロピオル酸、クロトン酸、イソクロトン酸、オレイン酸、エライジン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸及びシトラコン酸等の不飽和脂肪族カルボン酸、桂皮酸等の炭素環式不飽和カルボン酸などが挙げられる。塩基としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化マグネシウム及び水酸化カルシウム等の無機塩基、アルキルピリジニウムハイドロオキサイド等の四級芳香族塩基水酸化物塩、三級アミン、テトラアルキルアンモニウムハイドロオキサイドなどが挙げられ、これらの一種を単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明においては、上記不飽和カルボン酸塩とハロゲン化剤とを反応させることにより、不飽和カルボン酸ハライドを製造する。ハロゲン化剤としては、カルボキシル基をハロゲン化することができる反応試剤であればよく、例えば、塩化チオニル、臭化チオニル、ホスゲン、オキシ塩化リン及び五塩化リンなどが挙げられる。
本発明に不飽和カルボン酸塩としては、不飽和モノカルボン酸塩好ましく、より好ましくは(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩である。(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩としては、(メタ)アクリル酸のカリウム塩、ナトリウム塩、リチウム塩などが挙げられる。これらの中で、ナトリウム塩が好ましく、特にアクリル酸ナトリウムが好適である。また、ハロゲン化剤としては、塩化チオニルが好適である。
本発明に不飽和カルボン酸塩としては、不飽和モノカルボン酸塩好ましく、より好ましくは(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩である。(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩としては、(メタ)アクリル酸のカリウム塩、ナトリウム塩、リチウム塩などが挙げられる。これらの中で、ナトリウム塩が好ましく、特にアクリル酸ナトリウムが好適である。また、ハロゲン化剤としては、塩化チオニルが好適である。
不飽和結合を損なうことなく、不飽和カルボン酸ハライドを高純度、かつ高収率で得る効果をさらに向上させるために、反応温度は10℃以下が好ましく、より好ましくは 5℃以下、特に好ましくは0℃付近である。反応は、無溶媒において行ってもよく、有機溶媒中で行ってもよい。有機溶媒としては、ヒドロキシル基を有する溶媒(例えばアルコール)以外のものであればよい。例えば、炭化水素類(例えば、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン)、エーテル類(例えばジエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル)、ハロゲン化炭化水素(例えば四塩化炭素、クロロホルム、ジクロロエタン)、芳香族溶媒(例えばベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン)、ケトン類(例えばアセトン、メチルエチルケトン)、非プロトン性極性溶媒(例えばジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド)などが挙げられる。これらは一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の製造方法により得られる不飽和カルボン酸ハライドは、例えば、下記式一般式(I)
本発明の製造方法により得られる不飽和カルボン酸ハライドは、例えば、下記式一般式(I)
で表されるアダマンタン化合物と反応させて、不飽和アシル基を有するアダマンタン化合物を得るための合成原料として好適である。特に、上記不飽和カルボン酸塩とハロゲン化剤とを反応させて得られる不飽和カルボン酸ハライドのうち、不飽和カルボン酸塩として(メタ)アクリル酸ナトリウムを用い、ハロゲン化剤として塩化チオニルを用いて得られる(メタ)アクリル酸クロライドは、(メタ)アクリロイル基を有するアダマンタン化合物の合成に好適である。
本発明の(メタ)アクリロイル基を有するアダマンタン化合物の製造において、(メタ)アクリロイル基を有するアダマンタン化合物は、例えば、下記合成経路により製造される。
本発明の(メタ)アクリロイル基を有するアダマンタン化合物の製造において、(メタ)アクリロイル基を有するアダマンタン化合物は、例えば、下記合成経路により製造される。
上記(メタ)アクリロイル基を有するアダマンタン化合物の合成において、本発明の方法により得られる(メタ)アクリル酸クロライドは、反応溶液から単離することなく用いることができる。すなわち、(メタ)アクリル酸アルカリ金属塩と塩化チオニルとの反応により生成した(メタ)アクリル酸クロライド及びアルカリ金属塩化物を含む反応液から、アルカリ金属塩化物を除去した状態の反応溶液をそのまま用いることができる。
本発明の製造方法により得られた(メタ)アクリル酸クロライドは、高純度であるため蒸留などの方法により精製する必要がなく、また、(メタ)アクリル酸クロライドは重合性の化合物であるため、蒸留等の方法により(メタ)アクリル酸クロライドを単離しようとすると、収率の低下を招いてしまうが、本発明に係る(メタ)アクリル酸クロライドは精製することなく反応溶液のまま用いても、単離したものと同等の純度(メタ)アクリロイル基を有するアダマンタン化合物の製造に好適に使用される。他の不飽和アシル基を有するアダマンタン化合物の合成に用いる不飽和カルボン酸ハライドについても、上記(メタ)アクリル酸クロライドと同様に、反応液のまま用いることができる。
上記の(メタ)アクリルロイル基を有するアダマンタン化合物の製造方法は、特にアクリル酸クロライドを用いて、アクリロイル基を有するアダマンタン化合物を製造するのに好適に用いられる。
本発明の製造方法により得られた(メタ)アクリル酸クロライドは、高純度であるため蒸留などの方法により精製する必要がなく、また、(メタ)アクリル酸クロライドは重合性の化合物であるため、蒸留等の方法により(メタ)アクリル酸クロライドを単離しようとすると、収率の低下を招いてしまうが、本発明に係る(メタ)アクリル酸クロライドは精製することなく反応溶液のまま用いても、単離したものと同等の純度(メタ)アクリロイル基を有するアダマンタン化合物の製造に好適に使用される。他の不飽和アシル基を有するアダマンタン化合物の合成に用いる不飽和カルボン酸ハライドについても、上記(メタ)アクリル酸クロライドと同様に、反応液のまま用いることができる。
上記の(メタ)アクリルロイル基を有するアダマンタン化合物の製造方法は、特にアクリル酸クロライドを用いて、アクリロイル基を有するアダマンタン化合物を製造するのに好適に用いられる。
次に、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるものではない。
実施例1
カルボン酸塩としてアクリル酸ナトリウムを用い、塩素化剤として塩化チオニルを用いてアクリル酸クロライドを合成した。内容積100mlの攪拌装置付き三口フラスコにアクリル酸ナトリウム10.34g(0.110mol)及びヘプタン30gを投入し、ここに塩化チオニル11.90g(0.100mol)を滴下した。この際、三口フラスコ中の内容物の温度が0℃となるように、三口フラスコを氷冷すると共に、塩化チオニルの滴下速度を調節し、30分間かけて滴下した。塩化チオニルの滴下が終了した後、さらに1時間、0℃で反応させた。
次に、トルエン11.90g(0.129mol)を反応液に加えて攪拌した。得られた反応生成液0.9gを直径5mmのNMR試料管に入れ、CDCl3(NMRロック用)0.1gを加え、NMR測定を行った。結果を図1に示す。図1において、Aはトルエン、Bはアクリル酸クロライド、Cはトルエンのシグナルを示す。
トルエンと生成したアクリル酸クロライドのNMRシグナルの積分値と、プロトン比から、下記計算式によりアクリル酸クロライドの生成量を算出した。結果を表1に示す。
実施例1
カルボン酸塩としてアクリル酸ナトリウムを用い、塩素化剤として塩化チオニルを用いてアクリル酸クロライドを合成した。内容積100mlの攪拌装置付き三口フラスコにアクリル酸ナトリウム10.34g(0.110mol)及びヘプタン30gを投入し、ここに塩化チオニル11.90g(0.100mol)を滴下した。この際、三口フラスコ中の内容物の温度が0℃となるように、三口フラスコを氷冷すると共に、塩化チオニルの滴下速度を調節し、30分間かけて滴下した。塩化チオニルの滴下が終了した後、さらに1時間、0℃で反応させた。
次に、トルエン11.90g(0.129mol)を反応液に加えて攪拌した。得られた反応生成液0.9gを直径5mmのNMR試料管に入れ、CDCl3(NMRロック用)0.1gを加え、NMR測定を行った。結果を図1に示す。図1において、Aはトルエン、Bはアクリル酸クロライド、Cはトルエンのシグナルを示す。
トルエンと生成したアクリル酸クロライドのNMRシグナルの積分値と、プロトン比から、下記計算式によりアクリル酸クロライドの生成量を算出した。結果を表1に示す。
アクリル酸クロライド及びトルエンのメチル基は共にプロトン数が3なので、
アクリル酸クロライド(mol)
=(アクリル酸クロライド積分値/内標トルエンメチル基積分値)×トルエンモル数(mol)
=(3.00/4.08)×0.129=0095(mol)
塩化チオニル基準のアクリル酸クロライド収率
=アクリル酸クロライド(mol)/塩化チオニル仕込量(mol)
=0.095/0.100=0.95=95%
アクリル酸クロライド(mol)
=(アクリル酸クロライド積分値/内標トルエンメチル基積分値)×トルエンモル数(mol)
=(3.00/4.08)×0.129=0095(mol)
塩化チオニル基準のアクリル酸クロライド収率
=アクリル酸クロライド(mol)/塩化チオニル仕込量(mol)
=0.095/0.100=0.95=95%
比較例1
不飽和カルボン酸としてアクリル酸を用い、塩素化剤として塩化チオニルを用い、生成する塩化水素等を捕捉させることなく酸ハロゲン化物を合成した。実施例1と同様の三口フラスコに、アクリル酸7.20g(0.100mol)及びヘプタン20g投入し、塩化チオニル11.54g(0.097mol)を滴下した。この際、三口フラスコ中の内容物の温度が0℃となるように、三口フラスコを氷冷すると共に、塩化チオニルの滴下速度を調節し、30分間かけて滴下した。塩化チオニルの滴下が終了した後、さらに1時間、0℃で反応させた。
次に、トルエン7.08g(0.075mol)を反応液に加えて攪拌した。得られた反応生成液0.9gを直径5mmのNMR試料管に入れ、CDCl3(NMRロック用)0.1gを加え、NMR測定を行った。結果を図2に示す。図2において、Aは下記式(1)における2つのOH、B及びEはトルエン、Cは下記式(2)における2つのCH2=C、Dは下記式(3)における2つのCH2CH2 のシグナルを示す。
不飽和カルボン酸としてアクリル酸を用い、塩素化剤として塩化チオニルを用い、生成する塩化水素等を捕捉させることなく酸ハロゲン化物を合成した。実施例1と同様の三口フラスコに、アクリル酸7.20g(0.100mol)及びヘプタン20g投入し、塩化チオニル11.54g(0.097mol)を滴下した。この際、三口フラスコ中の内容物の温度が0℃となるように、三口フラスコを氷冷すると共に、塩化チオニルの滴下速度を調節し、30分間かけて滴下した。塩化チオニルの滴下が終了した後、さらに1時間、0℃で反応させた。
次に、トルエン7.08g(0.075mol)を反応液に加えて攪拌した。得られた反応生成液0.9gを直径5mmのNMR試料管に入れ、CDCl3(NMRロック用)0.1gを加え、NMR測定を行った。結果を図2に示す。図2において、Aは下記式(1)における2つのOH、B及びEはトルエン、Cは下記式(2)における2つのCH2=C、Dは下記式(3)における2つのCH2CH2 のシグナルを示す。
NMRスペクトル解析結果から、系内には2−クロロプロピオン酸、2−クロロプロピオン酸クロライドが存在していることがわかった。また、アクリル酸と塩化チオニルとの反応では、反応性が悪く、アクリル酸も残ってしまうことがわかった。各成分の含有量を内標トルエンを基準として定量した。また、下記計算式により、アクリル酸クロライド生成率及び不純物濃度を算出した。結果を表1に示す。
アクリル酸クロライド生成率=アクリル酸クロライド(mol)/塩化チオニル仕込量(mol)
不純物濃度=(2−クロロプロピオン酸+2−クロロプロピオン酸クロライド)(mol)/(2−クロロプロピオン酸+2−クロロプロピオン酸クロライド+アクリル酸クロライド)(mol)
不純物濃度=(2−クロロプロピオン酸+2−クロロプロピオン酸クロライド)(mol)/(2−クロロプロピオン酸+2−クロロプロピオン酸クロライド+アクリル酸クロライド)(mol)
表1から、実施例1におけるアクリル酸クロライドの生成率は、比較例1と比べると著しく高く、また、不純物濃度も実施例1と比較例1とでは顕著に異なることがわかる。これらの結果から、本発明の製造方法アクリル酸クロライドを製造すると、高収率、高純度でアクリル酸クロライドを得ることができることがわかる。
実施例2
下記式(II)で示すアダマンタン化合物15.22g(0.100mol)と実施例1で合成したアクリル酸クロライド9.50g(0.105mol)とを温度0℃で 分間反応させ、下記式(III)で示すアクリロイル基を有するアダマンタン化合物を製造した。なお、アクリル酸クロライドとしては、反応溶液から塩化ナトリウムを取り除いた反応溶液をそのまま用いた。
下記式(II)で示すアダマンタン化合物15.22g(0.100mol)と実施例1で合成したアクリル酸クロライド9.50g(0.105mol)とを温度0℃で 分間反応させ、下記式(III)で示すアクリロイル基を有するアダマンタン化合物を製造した。なお、アクリル酸クロライドとしては、反応溶液から塩化ナトリウムを取り除いた反応溶液をそのまま用いた。
本発明によれば、不飽和カルボン酸の不飽和結合を損なうことなく、高純度かつ高収率で不飽和カルボン酸ハライドを製造することができる。この不飽和カルボン酸ハライドのうちの(メタ)アクリル酸クロライドは、反応溶液から単離することなく反応に供することができ、(メタ)アクリロイル基含有アダマンタン化合物の合成原料として好適である。
Claims (8)
- 不飽和カルボン酸塩とハロゲン化剤とを反応させることを特徴とする不飽和カルボン酸ハライドの製造方法。
- 不飽和カルボン酸塩が不飽和モノカルボン酸塩である請求項1に記載の不飽和カルボン酸ハライドの製造方法。
- 不飽和カルボン酸塩とハロゲン化剤との反応を10℃以下で行う請求項1又は2に記載の不飽和カルボン酸ハライドの製造方法。
- 不飽和カルボン酸塩が(メタ)アクリル酸アルカリ化金属塩で、ハロゲン化剤が塩化チオニルであり、不飽和カルボン酸ハライドが(メタ)アクリル酸クロライドである請求項2又は3に記載の不飽和カルボン酸ハライドの製造方法。
- (メタ)アクリル酸金属塩がアクリル酸ナトリウムであり、(メタ)アクリル酸クロライドがアクリル酸クロライドである請求項4に記載の飽和カルボン酸ハライドの製造方法。
- 請求項4又は5に記載の製造方法で得られた(メタ)アクリル酸クロライドと、アダマンタン化合物とを反応させることを特徴とする(メタ)アクリロイル基を有するアダマンタン化合物の製造方法。
- (メタ)アクリル酸アルカリ金属塩と塩化チオニルとを反応させて得られた反応液から、副生するアルカリ金属塩化物を除去してなる(メタ)アクリル酸クロライドを含む反応液を、(メタ)アクリル酸クロライド試薬として用いる請求項6に記載の(メタ)アクリロイル基を有するアダマンタン化合物の製造方法。
- (メタ)アクリル酸クロライドがアクリル酸クロライドであり、(メタ)アクリルロイル基を有するアダマンタン化合物がアクリロイル基を有するアダマンタン化合物である請求項6又は7に記載の(メタ)アクリロイル基を有するアダマンタン化合物の製造方法。
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