JP5689628B2 - 架橋性化合物 - Google Patents
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これらの架橋性化合物は、ラジカル付加重合機構、酸化重合機構の違いによってそれぞれ特徴を有し、その特徴を生かして各種分野において用いられることになる。
すなわち、ラジカル付加重合機構によって硬化する多官能(メタ)アクリル系化合物においては、一般にラジカル硬化が酸素による重合阻害を受けるため、表面硬化性、薄膜硬化性に課題があった。また、酸化重合機構によって硬化する多官能アリルエーテル化合物においては、硬化に酸素を必要とすることから表面硬化性、薄膜硬化性に優れる半面、アルキルアリルエーテル基から生じるアリルラジカルや酸化物ラジカル、過酸化物ラジカルは付加重合性が非常に低いため、ラジカル付加重合に比べると遅い酸化重合のみで硬化することになる。そのため、硬化速度が遅く、また酸素の届きにくい内部の硬化性に課題があった。
さらに、上述のα−アリルオキシメチルアクリル酸エチル、α−アリルオキシメチルアクリル酸メチル等は、基本的に単官能性の単量体としての挙動を示す化合物であり、特に、メカニズム上、複数のアリルエーテル基を必須とする酸化重合機構による硬化は、起こりえない。なお、上述の先行技術文献においては、α−アリルオキシメチルアクリロイル基を同一分子内に2個以上有する化合物の記載はなく、当該化合物が有用な硬化特性などを示すことが従来技術において認識されていたとするものはない。
更に、α−アリルオキシメチルアクリロイル基を同一分子内に2個以上有することによって、該官能基を1個有する化合物では発現し得ない酸素硬化性を発現することができる。式(1)で表される官能基を2個以上有する化合物が、空気中など酸素を含む雰囲気下での高いラジカル付加重合性や酸素硬化性を有すること、及び当該化合物を用いて得られた架橋体の密着性や機械物性が格段に向上することは従来において知られていなかったことであり、当該技術分野において予測できなかったことであったが本発明においてこれらのことが見出されたものである。
そして、該化合物が硬化特性に優れ、その硬化物が密着性、機械物性に優れることから、コーティング材、接着剤、封止材、粘着剤、塗料、インク、レジスト、歯科材料、レンズ、成型材料等の各種用途に好適に用いることができることに想到し、本発明に到達したものである。
以下に本発明を詳述する。
なお、本発明の架橋性化合物は、技術的用語としては「硬化性化合物」ということもできる。
通常、ラジカル硬化は酸素により硬化阻害を受ける一方で、酸素硬化は酸素を必要とするため、ラジカル硬化性と酸素硬化性は両立し難い性質であるが、多官能AMA化合物は、この2つの性質を高いレベルで併せ持つ。この理由を、以下に、(1)AMA基のラジカル硬化機構と、(2)AMA基の酸素硬化機構に分けて説明する。
AMA基が、退化的連鎖移動を起こし易い(アリルラジカルを生じ易い)アリルエーテル構造を含み、かつカルボニル基と共役している二重結合のα位が立体的に込み合っているにもかかわらず、(メタ)アクリロイル基より、むしろ高いラジカル硬化性を示すのは驚くべきことである。これは、AMA基が、アリルラジカルを生じにくく、生長ラジカルとして重合活性の高いメチレンラジカルを生じる上に、通常の(メタ)アクリロイル基のラジカル付加重合で見られる酸素硬化阻害を起こしにくいためと考えられる。この機構を、図1及び図2に示す概念図とともに詳細に説明する。
ここに説明する反応機構は、AMA基が有する高い硬化特性、硬化物物性から推察したものであり、そのような反応機構を取るものであればもちろん本発明の技術的範囲内であると言える。一方で、そのような反応機構を取らないものであっても、AMA基を同一分子内に2個以上有するという特異な構造を有する化合物である限り本発明の技術的範囲内であり、本発明の有利な効果を奏するものであれば尚更本発明の技術的範囲内であると言える。
一方で、もし、(II)の方を攻撃すれば、直ちにアリルラジカルが生じ重合が失活してしまう(退化的連鎖移動)。X・の(I)への攻撃により生じたラジカルは、2種類の付加重合が可能であり、それぞれ生成する構造が異なる。経路(a)は、環化反応の後、分子間生長反応が起こる機構であり、アリルラジカルを生じることはない。経路(b)は、直ちに分子間生長反応が起こり、アリルエーテル構造が残存する機構であり、残存したアリルエーテル構造は、退化的連鎖移動、すなわち、重合失活の原因となる。経路(a)の最初のステップ(環化反応)は分子内反応であり、分子間反応である生長反応より非常に速く、また、2つの経路の生長ラジカルを比較すると、経路(a)の生長ラジカルは立体的に混み合っていないメチレンラジカルであり、経路(b)の生長ラジカル(α位がアリルオキシメチル基で置換されている、立体的に混み合った3級ラジカル)より重合活性が高いため、2ステップではあるが、経路(a)が優先すると考えられる。このように、AMA基のラジカル付加重合反応においては、アリルラジカルを生じない機構(X・の二重結合(I)への攻撃→経路(a)の環化重合)が優先するため、アリルラジカルが生じにくく、また生長ラジカルとして重合活性の高いメチレンラジカルが生じると考えられる。
多官能性のアルキルアリルエーテル化合物の実際の酸素硬化機構はかなり複雑であると推察されるが、図3はその硬化機構を簡略化した概念図である。図3に示すように、通常のアルキルアリルエーテル基は、活性酸素と反応して各種ラジカルを生じ、これらのラジカルどうしがカップリングする。アルキルアリルエーテル化合物が多官能性の場合、このカップリング反応により架橋することになる(酸化重合)。AMA基は、活性酸素の存在下で、基本的に同様の機構で酸化重合すると考えられる。ただ、多官能AMA化合物は、一般的な酸素硬化(酸化重合)条件で比較すると、通常の多官能アリルエーテル化合物よりも硬化速度が非常に速いことから、図3に示した機構以外の重合反応が起きている可能性が考えられる。例えば、通常の(メタ)アクリル系化合物では考えにくいが、酸素硬化条件下でも、AMA基は上述のラジカル付加重合反応を起こしている可能性が考えられる。
なお、式(1)で表される官能基が結合する原子や原子団が通常考えられる原子や原子団であれば当該官能基の硬化特性を大きく損なうなどの不具合はなく、本発明の作用効果が発揮されるものと考えられる。また、本発明の架橋性化合物は、後述するようにいくつかの合成経路によって調製することが可能であり、特に好ましくは、反応性基を2個以上持つ化合物(多価反応性化合物)に、多価反応性化合物の反応性基と反応し得る官能基とAMA基とを1つずつ持つ化合物(単官能AMA化合物)を反応させることによってAMA基が2個以上導入された化合物とする合成経路を用いて調製することが可能である。従って、本発明の架橋性化合物は、式(1)で表される官能基以外の部分において種々の形態が考えられるものであるが、本発明の構成と効果との関連性が明確であると考えられ、また、実施することが可能である、すなわち調製することが可能であると言えるものである。
上記式(2)中、nは、2以上であれば特に制限されないが、合成の容易さや保存安定性の点で、2〜100であることが好ましく、より好ましくは2〜50である。該架橋性化合物が、反応性希釈剤のような低粘度を要する用途に用いられる場合には、更に好ましくは2〜10、最も好ましくは2〜6である。また、塗料やインキのバインダー樹脂のような塗膜形成性を要する用途に用いられる場合には、更に好ましくは5〜50、最も好ましくはl0〜50である。
上記Zは、少なくとも骨格部分Qを含み、更にAMA基とQとを結合する2価の連結基X、2つ以上の骨格部分Qを結合する2価以上の連結基Y、骨格部分Qに直接結合する1価の置換基Wを含む場合もある。n価の連結基Zにおいて、骨格部分Qの中のn個の水素原子はAMA基又はXに置換され、残りの水素原子はY及び/又はWに置換される場合もある。
AMA基を2個有する架橋性化合物を例にとると、本発明の架橋性化合物は、例えば、下記構造式群(4)のように表すことができる。
なお、簡便のため、式中、AMA基はAで表しており、また、構造例は一部の例であり、これらに限定されるものではない。
更に、AMA基を2個有する架橋性化合物において、Qがシクロヘキサン骨格、Xが酸素原子、Yがウレタン結合、Wがフッ素原子であるような場合を例にとると、下記構造式群(5)に示すような化合物が具体的に挙げられる。
なお、構造式群(5)に示した化合物は、そのような化合物群の一部の例であり、全ての例を示したものではない。構造式群(5)に示されるように、シクロヘキサン骨格の水素原子のうち、2個がAMA基又はXに置換され、残りの水素原子は、Y及び/又はWに置換される場合もある。
上記骨格部分Qは、骨格を形成する原子が2個以上であり、その骨格にAMA基及び/又はXが結合し得るものであればよい。Qの構造を化合物として示せば、骨格を形成する原子が2個以上であり、その骨格を形成する原子に水素原子(すなわち、AMA基及び/又はXと置換され得る水素原子)が2個以上結合している化合物として示され、当該水素原子がAMA基及び/又はXと置換された形態においてZの骨格部分となり得るものであれば特に限定されるものではない。例えば、骨格部分Qの構造を化合物として示せば下記のようになる。
エタン、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、トリデカン、テトラデカン、ペンタデカン、ヘキサデカン、ヘプタデカン、オクタデカン、ノナデカン、エイコサンなどの飽和炭化水素構造;エチレン、プロペン、ブテン、ペンテン、ヘキセン、ノネン、デセン、ウンデセン、ドデセン、トリデセン、テトラデセン、ペンタデセン、ヘキサデセン、ヘプタデセン、オクタデセン、ノナデセン、エイコセンなどの炭化水素系モノエン構造;アレン、ブタジエン、ペンタジエン、ヘキサジエン、ノナジエン、デカジエン、ウンデカジエン、ドデカジエン、トリデカジエン、テトラデカジエン、ペンタデカジエン、ヘキサデカジエン、ヘプタデカジエン、オクタデカジエン、ノナデカジエン、エイコサジエンなどの炭化水素系ジエン構造;ヘプタデカトリエン、ヘプタデカテトラエン、オクタデカトリエン、オクタデカテトラエンなどの炭化水素系ポリエン構造;アセチレン、メチルアセチレン、ヘキサジインなどのアセチレン系構造;シクロペンタン、シクロペンテン、シクロペンタジエン、シクロヘキサン、シクロヘキセン、シクロヘキサジエン、ノルボルナン、ノルボルネン、ノルボルナジエン、シクロデカン、ジシクロペンタジエン、アダマンタン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、シクロオクタノン、下記化学式群(6)に示される各種化合物などの脂環式構造;
また、エチレン、プロピレン、スチレン、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、酢酸ビニル、などの非環式エチレン性化合物の(共)重合により得られる下記式(10)で示されるポリエチレン骨格;
これらの中では、合成の容易さ、化学的安定性などから、Xは酸素原子、硫黄原子、1置換窒素原子、又は、2置換炭素原子が好ましく、酸素原子、又は、1置換窒素原子がより好ましい。すなわち、A−Xの結合が、エステル結合、又は、アミド結合となることがより好ましい。なお、XがZ中に2個以上存在する場合は、1種であっても2種以上であってもよい。
これらの中では、合成の容易さ、化学的安定性などから、エーテル結合、チオエーテル結合、2〜4価の炭素原子による結合、ケトン性の結合、エステル結合、アミド結合、ウレタン結合、又は、ケイ酸エステル結合が好ましく、特にエーテル結合、2〜4価の炭素原子による結合、エステル結合、アミド結合、又は、ウレタン結合がより好ましい。なお、YがZ中に2個以上存在する場合は、1種であっても2種以上であってもよい。
上記Wを例示すれば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などの周期表17族の原子;メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、s−ブチル、t−ブチル、n−アミル、s−アミル、t−アミル、n−ヘキシル、s−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、s−オクチル、t−オクチル、2−エチルヘキシル、カプリル、ノニル、デシル、ウンデシル、ラウリル、トリデシル、ミリスチル、ペンタデシル、セチル、ヘプタデシル、ステアリル、ノナデシル、エイコシル、セリル、メリシルなどの飽和炭化水素基;ビニル、アリル、メタリル、クロチル、プロパギルなどの不飽和炭化水素基;シクロペンチル、シクロヘキシル、4−メチルシクロヘキシル、4−t−ブチルシクロヘキシル、トリシクロデカニル、イソボルニル、アダマンチル、ジシクロペンタジエニルなどの脂環式炭化水素基;フェニル、メチルフェニル、ジメチルフェニル、トリメチルフェニル、4−t−ブチルフェニル、ナフチル、アントラニルなどの芳香族炭化水素基;ヒドロキシ基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、フェノキシ基、ナフトキシ基などのアルコキシ基;アミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、メチルエチルアミノ基、メチルフェニルアミノ基などのアミノ基;(メタ)アクリロイル基、メルカプト基、チオアルコキシ基、シアノ基、ニトロ基、イソシアナト基、チオシアナト基、アミノ基の4級アンモニウム塩基、カルボキシル基或いはその塩、スルホン酸基或いはその塩、スルフィン酸基或いはその塩、リン酸基或いはその塩などが挙げられる。これらは、用途に応じて使い分ければよい。
なお本明細書中においては、上記多価反応性単官能AMA化合物、及び、上記1価反応性単官能AMA化合物を共に、単に「単官能AMA化合物」ともいう。
なお、多価反応性化合物の反応性基は同一多価反応性化合物内に複数存在することとなるが、単官能AMA化合物の有するAMA基ではない反応性基と反応し得る基であれば、それらは同一であってもよく、異なっていてもよい。
多価反応性化合物が単官能AMA化合物と反応する反応性基以外にエステル結合を含んでいる場合に、反応の進行と共に架橋体が生じる例としては、例えば、下記式(15)のような化合物とα−アリルオキシメチルアクリル酸メチルとをエステル交換させる例が挙げられる。
なお、上記Zにおいて、AMA基との結合部位に−O−結合を有する場合、この結合とAMA基内にあるZとの結合部位の−CO−結合とによってエステル結合が構成されることとなるが、このエステル結合は上記した架橋体を生じさせることになる骨格部分中のエステル結合ではない、すなわち、上記Zが有するエステル結合ではない。
例えば、多価水酸基含有化合物とα−アリルオキシメチルアクリル酸アルキルエステルとを反応させ、未反応の水酸基に多塩基酸無水物を反応させてカルボン酸基に変換したり、多価エポキシ基含有化合物とα−アリルオキシメチルアクリル酸とを反応させ、未反応のエポキシ基にアクリル酸を付加させたり、多価イソシアネート基含有化合物とα−アリルオキシメチルアクリル酸とを反応させ、未反応のイソシアネート基を水で処理して不活性化させたりしてもよい。なお、これらは未反応の反応性基をさらなる反応に利用するほんの一例であり、これらに限定されるものではない。
上記多価カルボン酸無水物基含有化合物としては、ナフタレンカルボン酸無水物、無水マレイン酸(共)重合体などが挙げられ、用途に応じて適宜使い分ければよい。
上記α−アリルオキシメチルアクリル酸を得る方法としては、例えば、α−アリルオキシメチルアクリル酸メチルなどのα−アリルオキシメチルアクリル酸アルキルエステルを、塩基性触媒存在下で加水分解してカルボン酸塩とした後、酸で処理してα−アリルオキシメチルアクリル酸とする方法が挙げられる。
上記α−アリルオキシメチルアクリル酸グリシジルなどのエポキシ基を有するα−アリルオキシメチルアクリル酸化合物を得る方法としては、例えば、α−アリルオキシメチルアクリル酸メチルなどのα−アリルオキシメチルアクリル酸アルキルエステルを、塩基性触媒存在下で加水分解してカルボン酸塩とした後、好ましくは4級アンモニウム塩を触媒として用いてα−アリルオキシメチルアクリル酸塩とエピクロロヒドリンとを脱塩酸させる方法や、α−アリルオキシメチルアクリル酸メチルなどのα−アリルオキシメチルアクリル酸アルキルエステルとグリシドールとをエステル交換触媒存在下でエステル交換させる方法が挙げられる。
上記α−アリルオキシメチルアクリル酸2−ヒドロキシエチルなどの水酸基を有するα−アリルオキシメチルアクリル酸化合物を得る方法としては、例えば、α−アリルオキシメチルアクリル酸にエチレンオキサイドなどのアルキレンオキサイドを付加する方法が挙げられる。
また、重合禁止剤を添加して取り扱うことが好ましく、重合禁止剤とともに分子状酸素含有ガスを共存させることがより望ましい。
上記分子状酸素含有ガスとしては、通常、窒素等の不活性ガスで希釈された空気或いは酸素ガスが用いられ、取扱い設備内に吹き込まれる。酸素ガスの濃度としては、設備内が爆発範囲とならないよう、使用する原料(溶媒等)に応じて適宜設定すればよいが、通常、1〜20容量%であることが好ましい。より好ましくは、2〜15容量%であり、更に好ましくは、3〜10容量%である。
これらの重合禁止剤は、単独で使用しても、2種類以上混合して使用してもよい。
上記(1)の場合は、上述したように塩基性触媒を用いることが好適である。上記(2)の場合は、エステル交換反応、脱水エステル化反応、酸の多価エポキシ化合物への付加反応などそれぞれの反応に応じて、それぞれ通常用いられる触媒を使用することができる。
これらの反応において、触媒の使用量としては、通常用いられる量を用いることができる。
このような添加剤としては特に限定されないが、硬化促進剤、溶剤、反応性希釈剤、安定剤、バインダー樹脂、フィラー、色材、分散剤、などが挙げられる。中でも、ラジカル開始剤、ドライヤーなどの硬化促進剤は、本発明の架橋性化合物の性能をより引き出すことができるため、添加することが好ましい成分である。本発明の硬化性組成物の好ましい形態としては、更に、ラジカル開始剤及び/又はドライヤーを含む形態が挙げられる。
以下に(A)ラジカル開始剤、(B)ドライヤー、(C)その他添加剤に分けて説明する。
本発明の架橋性化合物は、加熱及び/又は電磁波や電子線などの活性エネルギー線の照射によりラジカル重合を開始し、硬化させることができるが、ラジカル開始剤を併用することにより、より効果的に硬化させることができる。
上記ラジカル開始剤としては、加熱によりラジカルを発生する熱ラジカル開始剤と、活性エネルギー線の照射によりラジカルを発生する光ラジカル開始剤とがあり、通常ラジカル開始剤として用いられるものを1種又は2種以上使用できる。
また、必要に応じて通常用いられるラジカル重合促進剤、光増感剤等を1種又は2種以上添加することも好ましい。
メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、メチルシクロヘキサノンパーオキサイド、メチルアセトアセテートパーオキサイド、アセチルアセテートパーオキサイド、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−2−メチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロドデカン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、p−メンタンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、t−ヘキシルハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、α,α′−ビス(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、イソブチリルパーオキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ステアロイルパーオキサイド、スクシン酸パーオキサイド、m−トルオイルベンゾイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシエチルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシヘキシルパーオキシジカーボネート、ジ−3−メトキシブチルパーオキシジカーボネート、ジ−s−ブチルパーオキシジカーボネート、ジ(3−メチル−3−メトキシブチル)パーオキシジカーボネート、α,α′−ビス(ネオデカノイルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、クミルパーオキシネオデカノエート、1,1,3,3,−テトラメチルブチルパーオキシネオデカノエート、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルパーオキシネオデカノエート、t−ヘキシルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ヘキシルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシピバレート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(2−エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサノエート、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシマレート、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシ−m−トルイルベンゾエート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ビス(t−ブチルパーオキシ)イソフタレート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(m−トルイルパーオキシ)ヘキサン、t−ヘキシルパーオキシベンゾエート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシアリルモノカーボネート、t−ブチルトリメチルシリルパーオキサイド、3,3′,4,4′−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、2,3−ジメチル−2,3−ジフェニルブタン等の有機過酸化物系開始剤。
2,2−ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシー2−フェニルアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−〔4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル〕−2−ヒドロキシー2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−1−{4−〔4−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオニル)ベンジル〕フェニル}−2−メチルプロパン−1−オン、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、2−(ジメチルアミノ)−2−〔(4−メチルフェニル)メチル〕−1−〔4−(4−モルホリニル)フェニル〕−1−ブタノン等のアルキルフェノン系化合物;ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、2−カルボキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物;ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテ等のベンゾイン系化合物;チオキサントン、2−エチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン等のチオキサントン系化合物;2−(4−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−エトキシナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−エトキシカルボキニルナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン等のハロメチル化トリアジン系化合物。
ドライヤーは、過酸化物の分解促進作用を有する化合物、すなわち、レドックス作用により過酸化物を分解して酸化物ラジカル、或いは過酸化物ラジカルを発生させる化合物であり、通常ドライヤーとして用いられるものを1種又は2種以上使用できる。
このようなドライヤーとしては、特に限定されないが、例えば、コバルト、銅、錫、亜鉛、マンガン、鉄、ジルコニウム、クロム、バナジウム、カルシウム、カリウム、セリウム、サマリウム等の金属の有機塩、無機塩、酸化物、或いは金属錯体;1級、2級、3級のアミン化合物;4級アンモニウム塩;チオ尿素化合物;ケトン化合物等が挙げられ、具体的には、例えば、オクチル酸コバルト、ナフテン酸コバルト、オクチル酸銅、ナフテン酸銅、オクチル酸マンガン、ナフテン酸マンガン、オクチル酸バナジウム、ナフテン酸バナジウム、ジメチルアニリン、トリエタノールアミン、トリエチルベンジルアンモニウムクロライド、ジ(2−ヒドロキシエチル)p−トルイジン、エチレンチオ尿素、アセチルアセトン、アセト酢酸メチル等が挙げられる。
上記(A)ラジカル開始剤、(B)ドライヤー以外の添加剤としては、特に限定されないが、例えば、ラジカル開始剤及びドライヤー以外の硬化促進剤、溶剤、反応性希釈剤、安定剤、バインダー樹脂、色材(顔料、染料)、分散剤、フィラー、密着性向上剤、離型剤、可塑剤、紫外線吸収剤、艶消し剤、消泡剤、レベリング剤、帯電防止剤、スリップ剤、表面改質剤、シラン系やアルミニウム系、チタン系などのカップリング剤、酸発生剤などが挙げられる。以下に主だったものについて説明する。
ラジカル開始剤及びドライヤー以外の硬化促進剤としては、多官能チオールが挙げられる。多官能チオールは、ラジカル硬化において多官能性連鎖移動剤として作用でき、また、アリルエーテル基とのエン−チオール反応機構に基づく架橋剤としても作用できるため、本発明の硬化性組成物の硬化性を向上することができる。このような多官能チオールとしては、メルカプト基を同一分子内に2個以上有する化合物であれば、特に限定されないが、例えば、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3−メルカプトプロピオネート)、1,4−ビス(3−メルカプトブチリルオキシ)ブタン、1,3,5−トリス(3−メルカブトブチルオキシエチル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオンなどが挙げられる。これらは単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
上記ラジカル開始剤及びドライヤー以外の硬化促進剤は、硬化性組成物の必須成分ではなく、用途や硬化条件などに応じて添加しない方がよい場合もあるため、0質量%であってもよい。
溶剤は、希釈による低粘度化、塗布膜厚の調整、硬化性組成物中の各成分の均一混合/分散、等のために使用される。このような溶剤としては、硬化性組成物中の各成分を溶解、或いは分散できる低粘度の有機溶媒或いは水であればよく、硬化性組成物に通常用いられるものが使用でき、特に限定されるものではない。例えば、下記するものなどを挙げることができる。
メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、s−ブタノール等のモノアルコール類;エチレングリコール、プロピレングリコール等のグリコール類;テトラヒドロフラン,ジオキサン等の環状エーテル類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、3−メトキシブタノール等のグリコールモノエーテル類;エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールエチルメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル等のグリコールエーテル類;エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、3−メトキシブチルアセテート等のグリコールモノエーテルのエステル類。
これらは単独で用いても、2種以上を併用してもよく、また、目的、用途に応じて適宜選択すればよい。
上記溶剤は、硬化性組成物の必須成分ではなく、用途や硬化条件などに応じて添加しない方がよい場合もあるため、0質量%であってもよい。
反応性希釈剤は、加熱、又は活性エネルギー線の照射等により重合しうる重合性基を有する低分子化合物であり、特に常温で液状・低粘度のものは粘度調整機能も有するため溶剤の代わりに用いることもでき、無溶剤用途に好ましく用いられる。このような反応性希釈剤としては、炭素−炭素不飽和結合のようなラジカル重合性基を有する化合物や、エポキシ基、オキセタニル基、ビニルエーテル基のようなカチオン重合性基を有する化合物、ラジカル重合性基とカチオン重合性基の両方を有するハイブリッド型化合物が、一般に用いられる。本発明の硬化性組成物が反応性希釈剤を含む場合、通常用いられる反応性希釈剤を使用することができ、目的、用途に応じて1種又は2種以上を適宜選択すればよく特に限定はされないが、本発明の架橋性化合物はラジカル重合性を有するため、反応性希釈剤としては、同じ機構で硬化することができるラジカル重合性基を有する反応性希釈剤が、相乗効果を得られやすく好ましい。
このようなラジカル重合性の反応性希釈剤としては、ラジカル重合性不飽和基を同一分子内にひとつだけ有する単官能性のラジカル重合性単量体と、2個以上有する多官能性のラジカル重合性単量体に分類することができる。
(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸i−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸s−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸n−アミル、(メタ)アクリル酸s−アミル、(メタ)アクリル酸t−アミル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシルメチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸アダマンチル、(メタ)アクリル酸トリシクロデカニル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−エトキシエチル、(メタ)アクリル酸フェノキシエチル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸β−メチルグリシジル、(メタ)アクリル酸β−エチルグリシジル、(メタ)アクリル酸(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチル、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル、α−ヒドロキシメチルアクリル酸メチル、α−ヒドロキシメチルアクリル酸エチル等の(メタ)アクリル酸エステル類;
エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、シクロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAアルキレンオキシドジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールFアルキレンオキシドジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド付加トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド付加ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド付加ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド付加ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド付加トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド付加ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド付加ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド付加ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ε−カプロラクトン付加トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ε−カプロラクトン付加ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ε−カプロラクトン付加ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ε−カプロラクトン付加ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレート類。
上記反応性希釈剤は、硬化性組成物の必須成分ではなく、用途や硬化条件などに応じて添加しない方がよい場合もあるため、0質量%であってもよい。
安定剤は、取扱い性や貯蔵安定性を向上するために、ラジカル重合や酸化重合を防止する機能を持つ化合物であり、通常用いられる重合禁止剤、酸化防止剤を1種又は2種以上使用でき、特に限定されるものではない。
このような化合物としては、例えば、フェノール系化合物、有機酸銅塩、フェノチアジン類、ホスファイト類、チオエーテル類、ヒンダードアミン系化合物、アスコルビン酸類、チオシアン酸塩類、チオ尿素誘導体、亜硝酸塩、亜硫酸塩、チオ硫酸塩、ヒドロキシルアミン誘導体などを挙げることができる。これらの中では、着色や相溶性などの点でフェノール系化合物が好ましく、具体的には、ハイドロキノン、メチルハイドロキノン、トリメチルハイドロキノン、t−ブチルハイドロキノン、p−メトキシフェノール、6−t−ブチル−2,4−キシレノール、2,6−ジ−t−ブチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−メトキシフェノール、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)などが挙げられる。
バインダー樹脂は、塗膜形成性付与/向上、型崩れ防止などの充填剤的な役割をするオリゴマー或いは重合体であり、目的や用途に応じて、更に、アルカリ現像性、色材分散性、耐熱性など、様々な機能を付与する。このようなバインダー樹脂としては、通常バインダー樹脂として用いられる様々なオリゴマー、或いは重合体を1種又は2種以上使用でき、特に限定されるものではない。
上記バインダー樹脂としては、例えば、カルボキシル基変成ビニルエステル樹脂や(メタ)アクリル酸共重合体などのアルカリ可溶性のオリゴマー、或いは重合体をバインダー樹脂に用いると、本発明の硬化性組成物を、ソルダーレジスト、カラーフィルター用レジスト、保護膜レジストなどのアルカリ現像型の永久レジスト用途に適用できる。また、(メタ)アクリル酸エステル重合体など、適度なガラス転移温度と、色材や分散剤との相溶性を有する重合体をバインダー樹脂に用いると、本発明の硬化性組成物を、塗料やインキ用途に適用することができる。
上記バインダー樹脂の添加量総量としては、目的、用途に応じて、上記機能性を考慮して適宜設定すればよく、特に限定されないが、本発明の架橋性化合物100質量%に対して0〜1000質量%とすることが好ましい。より好ましくは、0〜800質量%、更に好ましくは0〜500質量%である。
上記バインダー樹脂は、硬化性組成物の必須成分ではなく、用途や硬化条件などに応じて添加しない方がよい場合もあるため、0質量%であってもよい。
本発明はまた、AMA基を2個以上有する上記架橋性化合物、又は、該化合物を含んでなる上記硬化性組成物中の架橋性化合物を硬化させる方法であって、上記硬化方法は、加熱、活性エネルギー線の照射、及び、酸素を含む雰囲気下への曝露からなる群より選択される少なくとも1種の方法により硬化させる工程を含む架橋性化合物の硬化方法でもある。
硬化促進剤を併用する場合には、併用しない場合よりも低い温度で硬化させることができ、0〜400℃が好ましく、より好ましくは10〜350℃、更に好ましくは20〜350℃である。
加熱による硬化は、1段階で行ってもよく、2段階以上に分けて行ってもよく、また活性エネルギー線の照射及び/又は酸素を含む雰囲気下への曝露による硬化の前に行っても、後に行ってもよい。例えば、低温での加熱や、短時間の活性エネルギー線照射などにより、一旦ある程度架橋させてから現像などの処理を行った後に、好ましくは、150℃以上、より好ましくは180℃、更に好ましくは200℃以上の高温で硬化させる工程は、ポストベーク、或いはポストキュアとも呼ばれ、より架橋反応を進行させることができ、好ましい。
また、上記加熱による硬化方法及び/又は活性エネルギー線の照射による硬化方法と併用してもよい。特に、空気中で加熱、及び/又は活性エネルギー線の照射を行う硬化方法は、簡易に併用できる硬化方法として好ましい硬化方法である。
上記硬化性については、上述した硬化機構に示されるように、基本的にはラジカルによる硬化反応による特性が優れることである。ラジカル硬化性が優れるとは、加熱及び/又は活性エネルギー線の照射によるラジカルによる硬化特性に優れることである。また、酸素硬化性が優れるとは、これも基本的にはラジカルによる硬化特性に優れることであるが、特に酸素を含む雰囲気下への曝露による硬化特性、すなわち酸素が関与したラジカルによる硬化特性に優れることである。
上記硬化物の機械物性、密着性については、主にラジカル硬化機構により生じる繰り返し単位の構造(テトラヒドロフラン環の両隣にメチレン基がある構造)に起因して発揮されると推測される特性であり、機械物性に優れるとは、上述の硬化方法により得られた硬化物が、高靭性である(硬く、粘り強い)、ということである。また、密着性に優れるとは、上述の硬化方法により得られた硬化物が、基材(例えば、ガラス、樹脂、金属など)によく密着し剥がれにくい、ということである。
例えば、ラジカル硬化性であれば、架橋性化合物又は硬化性組成物を基板に塗布して、UVを照射し、その表面が硬化するために必要なUV照射量を測定した時にその照射量が少ないほどラジカル硬化性(この場合は特にUV硬化性)に優れている。また、酸素硬化性であれば、架橋性化合物又は硬化性組成物を基板に塗布して、遮光状態、室温などの温度において空気雰囲気中に放置した時に、その表面が硬化するまでの日数が短いほど酸素硬化性に優れている。上記硬化物の機械物性については、破断エネルギーや弾性率によって表すことができ、これらの値が高いほど高靭性であり、硬くて粘り強い硬化物となる。上記硬化物の密着性については、クロスカット試験法における密着しているマス目の割合や、基材と基材を上記硬化物で張り合わせたものを剥がす時に必要な引張強度などによって表すことができ、これらの値が高いほど密着性に優れていると言える。
上記硬化性や機械物性などの特性は、各種用途に応じて硬化条件や測定条件を種々設定することができ、それによって種々の値を取ることになるが、架橋性化合物又は硬化性組成物を評価する際は、例えば、後述する実施例における条件を適用して比較すればその性能を把握することができる。本発明の架橋性化合物、硬化性組成物及びそれらの硬化方法は、上記性能において、AMA基を同一分子内に2個以上有することに起因する特性を発揮し得るものであり、各種の用途に好適に適用することができる。例えば、コーティング材、接着剤、封止材、粘着剤、塗料、インク、レジスト、歯科材料、レンズ、成型材料等、種々の技術分野・用途においては、上記硬化性や機械物性などの特性が要求されるものであり、それらの特性を向上することができれば、当該技術分野において際立って優れた作用効果を奏すると評価され得る。従って、上述した硬化機構により硬化し得るAMA基を2個以上有することによって上記特性に優れる本発明の架橋性化合物、硬化性組成物及びそれらの硬化方法は、種々の技術分野・用途において好適に適用することができ、際立って優れた作用効果を奏することができるものである。
(原料の合成)
架橋性化合物の原料であるα−アリルオキシメチルアクリル酸メチル(AMA−M)は、特開平10−226669号公報に準じて、触媒として1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタンを用い、α−ヒドロキシメチルアクリル酸メチルとアリルアルコールとから合成した。
(触媒の合成)
触媒である1−クロロ−3−メトキシ−テトラメチルジスタノキサン(CMDS、下記式(19)に示す化合物)は、Rokuro Okawara、Masanori Wada、Journal of Organometallic Chemistry、1963年、第1巻、p.81−88に記載の方法により合成した。
反応溶液を、下記希釈溶媒で希釈し、下記高速液体クロマトグラフィ(HPLC)装置、及び条件で分析し、ピークの面積比を元にして生成した化合物の割合を計算した。
HPLC装置:DGU−20A5、LC−20AD、SIL−20A、SPD−20A、CTO−20A(いずれも島津製作所社製)の組み合わせ
希釈溶媒:アセトニトリル/メタノール=2/1(質量比)
溶出溶媒:0.5mol%リン酸水溶液/アセトニトリル/メタノール混合溶媒
分離カラム:CAPCELL PACK C18 TYPE:AQ (資生堂社製)
(1H−NMR測定)
試料200mgを、テトラメチルシラン(TMS)を含有する重ジメチルスルホキシド(d−DMSO)3gに溶解し、核磁気共鳴装置(400MHz、Varian社製)により測定した。
[実施例1−1]
攪拌装置、温度センサー、ガス導入管、トの字管、冷却管、溜出液受器を付した反応器に、トリメチロールプロパン(TMP)を50.0部、AMA−Mを350.0部、CMDSを12.7部、p−メトキシフェノール(MEHQ)を3.8部仕込み、攪拌しながら、酸素/窒素混合ガス(酸素濃度8%)を通じつつ、105℃まで昇温した。反応系が均一透明になってから、反応器内の圧力が40kPaになるよう徐々に減圧し、エステル交換反応により生じたメタノールの溜出を開始した。温度105〜110℃、圧力40kPaとなるよう調節し、反応液を2時間おきにサンプリング、HPLCで反応生成物を追跡しながら、メタノールの溜出を続けた。HPLCによる分析で、TMPの3つの水酸基のうち、1つだけAMA基にエステル交換された化合物(TMP−1AMA)のピークが消え、TMPの3つの水酸基のうち、2つがAMA基にエステル交換された化合物(TMP−2AMA)のピークの面積が、TMPの3つの水酸基が3つともAMA基にエステル交換された化合物(TMP−3AMA)のピークの面積の1/10以下になったのを確認した後、1kPaまで減圧し、40分間その圧力を維持して過剰のAMA−Mを溜出させた。その後、冷却、解圧した。
反応液を分液漏斗に入れ、シクロヘキサンで希釈し、10%水酸化ナトリウム水溶液を加えてよく振とうした後、静置、下層の水層を除去した。これを3回繰り返し、CMDS、残存AMA−M、MEHQを除去した。上層の有機層を取り出し、アルカリ吸着剤(キョーワード700SL、協和化学工業社製)を20.0部添加して、3時間室温で攪拌した後、濾過した。濾液とMEHQ 0.04部を、攪拌装置、温度センサー、ガス導入管、トの字管、冷却管、溜出液受器を付した反応器に仕込み、攪拌しながら、酸素/窒素混合ガス(酸素濃度8%)を通じつつ、減圧してシクロヘキサンを除去した。温度が25〜30℃になるよう加温しながら、圧力が1kPaになるまでゆっくり減圧し、1kPaに到達した後、解圧して、目的の化合物である、TMPのα−アリルオキシメチルアクリル酸エステル(TMP−AMA)を120部得た。得られたTMP−AMAをHPLCで分析したところ、TMP−3AMAとTMP−2AMAの面積比は98.9/1.1であり、TMP−1AMA及びAMA−Mは確認できなかった。また、得られたTMP−AMAをNMR装置で分析した。その1H−NMRチャート及び帰属させた図を図4に示す。
反応器に仕込む原料として、ネオペンチルグリコール(NPG)を45.0部、AMA−Mを405.0部、CMDSを4.9部、MEHQを3.0部用いたこと以外は、実施例1−1と同様にしてエステル交換反応を行った。NPGの2つの水酸基のうち、1つだけAMA基にエステル交換された化合物(NPG−1AMA)のピークの面積が、NPGの2つの水酸基が2つともAMA基にエステル交換された化合物(NPG−2AMA)のピークの面積の1/10以下になったのを確認した後、1kPaまで減圧し、40分間その圧力を維持して過剰のAMA−Mを溜出させた。その後、冷却、解圧した。その後、キョーワード700SLを20.0部、濾液に加えるMEHQを0.04部としたこと以外は、実施例1−1と同様に精製処理を行い、NPGのα−アリルオキシメチルアクリル酸エステル(NPG−AMA)を132部得た。得られたNPG−AMAをHPLCで分析したところ、NPG−2AMAとAMA−Mの面積比は99.8/0.2であった。なお、NPG−1AMAは確認できなかった。また、得られたNPG−AMAをNMR装置で分析した。その1H−NMRチャート及び帰属させた図を図7に示す。
実施例1−2と同様にしてエステル交換反応を開始し、HXD−1AMAのピークの面積とHXD−2AMAのピークの面積の比が1/2になったのを確認した後、解圧して室温まで冷却した。下記式(20)に示す化合物を主成分とする多官能イソシアネート化合物(製品名:デスモジュールN3200、住化バイエルウレタン社製;イソシアネート基含有量23%)24.1部をトルエン50部で希釈し、反応器に1時間かけて滴下した。滴下終了後、1時間攪拌を続け、さらに40℃に昇温して1時間攪拌してから冷却した。
[実施例2−1]
架橋性化合物として、実施例1−1で得たTMP−AMA2.5部と、光開始剤として2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン(製品名:ダロキュア1173、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製)0.1部を攪拌混合し、バーコーター(No.20)を用いてガラス板に塗布した。これを下記UV照射装置を用いてUVを照射し、表面がタックレスとなる必要最小限のUV照射量[mJ/cm2]を確認した。結果を表1に示す。
UV照射装置:
次の各ユニット(いずれも商品名、ウシオ電機社製)の組み合わせからなるUV照射装置で、15mW/cm2の照度を有する。
ランプハウス:MPL−25131
超高圧水銀灯:USH−250BY
ランプ電源:HB−25103BY−C
照射光学ユニット:PM25C−100
架橋性化合物として、TMP−AMAの代わりに、表1に示す化合物を用いた以外は、実施例2−1と同様にしてUV硬化性を評価した。なお、3000[mJ/cm2]照射しても表面が液状(未硬化)の場合は×、硬化はするもののタックレスとはならない場合は△とした。結果を表1に示す。
架橋性化合物として表1に示す化合物2.5部、光開始剤としてダロキュア1173を0.2部用いたこと以外は、実施例2−1、比較例2−1〜2−6と同様にしてUV硬化性を評価した。結果を表1に示す。
[実施例3−1]
架橋性化合物として、実施例1−1で得たTMP−AMA2.5部と、ドライヤーとしてオクチル酸コバルトのミネラルスピリット溶液(金属分8%)0.13部を攪拌混合し、バーコーター(No.20)を用いてガラス板に塗布した。これをバットに入れてアルミホイルを被せ遮光状態とし、そのまま室温、空気雰囲気中に放置し、表面が硬化するまでの日数を確認した。結果を表1に示す。
架橋性化合物として、TMP−AMAの代わりに、表1に示す化合物を用いた以外は、実施例3−1と同様にして酸素硬化性を評価した。なお、10日放置しても表面が硬化しない場合は×とした。結果を表1に示す。
[実施例4−1]
架橋性化合物として、実施例1−1で得たTMP−AMA5.0部、熱ラジカル開始剤としてt−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート(製品名:パーブチルO、日油社製、以下PBOと表す)0.08部、及びt−ヘキシルパーオキシネオデカノエート(製品名:パーヘキシルND、日油社製、以下PHNDと表す)0.02部を攪拌混合し、スピンコーターを用いてガラス板に膜厚が5μmとなるように塗布した。これを熱風乾燥器に入れ、50℃、60℃、90℃、120℃の順に、1時間ずつ加熱し、硬化させた。この硬化膜の密着性を、JIS K 5600−5−6(クロスカット法)に従い、0〜5の6段階に評価した。結果を表1に示す。また、表1中の密着性レベルの分類についての一覧を表2に示す。
架橋性化合物として、TMP−AMAの代わりに、表1に示す化合物を用いた以外は、実施例4−1と同様にして密着性を評価した。結果を表1に示す。
[実施例5−1]
架橋性化合物として、実施例1−1で得たTMP−AMA 20.0部、熱ラジカル開始剤としてPBO 0.32部及びPHND 0.08部を攪拌混合したものを、1mm幅の注型に流し込んだ。これを恒温水槽に入れ、50℃、60℃、70℃の順に1時間ずつ加熱した。更に熱風乾燥器に入れ、90℃で1時間、110℃で2時間加熱して硬化させた。室温まで冷却してから注型をはずし、1mm厚の板状硬化物を得た。この硬化物をカッターで切り出し、更にサンドペーパーで側面を磨いて図8のような形状に加工し、引張試験用サンプルを合計7個得た。このサンプルを下記引張試験機(インストロン社製)及び試験条件にて引張試験を行い、7サンプルの平均値として、弾性率[GPa]、最大荷重[N]、伸び[%]、破断エネルギー(破壊靭性値、あるいは単に靭性値ともいう)[mJ]の各機械物性値を得た。結果を表1に示す。
(引張試験機)
本体型式:55R1185
コントローラ型式:5500
制御ソフト:BlueHill2(バージョン2.6.440)
(試験条件)
チャック間距離:40mm
クロスヘッド速度:5mm/min
架橋性化合物として、TMP−AMAの代わりに、表1に示す化合物を用いた以外は、実施例5−1と同様にして機械物性を評価した。結果を表1に示す。
なお、表1中の略号は、表3に示す通りである。
表1に示すように、多官能AMA化合物は、同一骨格のアクリレートよりも優れたUV硬化性を示し(実施例2−1と比較例2−1、実施例2−2と比較例2−7、実施例2−4と比較例2−9の対比)、超速硬性で知られる類似のエチレンオキサイド付加骨格を有するアクリレートと同等である(実施例2−1と比較例2−2、実施例2−3と比較例2−8の対比)。さらに、多官能AMA化合物は同じ官能基数のアリルエーテル化合物よりも優れた酸素硬化性を示す(実施例3−1と比較例3−5、実施例3−2〜3−4と比較例3−11の対比)。単にアクリレートとアリルエーテル化合物を混合するだけでは、UV硬化性も酸素硬化性も却って低下し、多官能AMA化合物が特異的であることが分かる(実施例2−1、3−1および比較例2−6、3−6の比較)。
表1に示すように、多官能AMA化合物の硬化物は、同一骨格のアクリレートやメタクリレートの硬化物よりも、非常に優れた密着性を有することが分かる。
(機械物性に関する効果)
表1に示すように、多官能AMA化合物の硬化物は、硬くて(弾性率および最大荷重が大きく)、伸びが大きいため、破断エネルギーが大きい。すなわち、硬いのに粘り強い、非常に優れた機械物性を有することが分かる。
なお、上記実施例においては、架橋性化合物としてTMP−AMAを始め数種類の多官能AMA化合物が用いられているが、空気中など酸素を含む雰囲気下でのラジカル付加重合性や酸素硬化性を有し、それによって、重合体の密着性や機械物性が顕著に向上することとなる機構は、式(1)で表される官能基を同一分子内に2個以上有する化合物であれば全て同様である。従って、上記実施例、比較例の結果から、本発明の技術的範囲全般において、また、本明細書において開示した種々の形態において本発明が適用でき、有利な作用効果を発揮することができると言える。
Claims (6)
- 請求項1又は2記載の架橋性化合物を含んでなることを特徴とする硬化性組成物。
- 前記硬化性組成物は、更に、ラジカル開始剤及び/又はドライヤーを含むことを特徴とする請求項3記載の硬化性組成物。
- 請求項1若しくは2に記載の架橋性化合物、又は、請求項3若しくは4に記載の硬化性組成物中の架橋性化合物を硬化させる方法であって、
該硬化方法は、加熱、活性エネルギー線の照射、及び、酸素を含む雰囲気下への曝露からなる群より選択される少なくとも1種の方法により硬化させる工程を含むことを特徴とする架橋性化合物の硬化方法。 - 請求項5記載の硬化方法により硬化させて得られることを特徴とする硬化物。
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