JP7089961B2 - 成型体の製造方法 - Google Patents

成型体の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP7089961B2
JP7089961B2 JP2018120826A JP2018120826A JP7089961B2 JP 7089961 B2 JP7089961 B2 JP 7089961B2 JP 2018120826 A JP2018120826 A JP 2018120826A JP 2018120826 A JP2018120826 A JP 2018120826A JP 7089961 B2 JP7089961 B2 JP 7089961B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
oxygen atom
metal
anion
diene
rubber
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2018120826A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2020002201A (ja
Inventor
知正 金子
稔 浦田
旭隼 的埜
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Shokubai Co Ltd
Original Assignee
Nippon Shokubai Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Shokubai Co Ltd filed Critical Nippon Shokubai Co Ltd
Priority to JP2018120826A priority Critical patent/JP7089961B2/ja
Publication of JP2020002201A publication Critical patent/JP2020002201A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7089961B2 publication Critical patent/JP7089961B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Processes Of Treating Macromolecular Substances (AREA)
  • Manufacture Of Macromolecular Shaped Articles (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Description

本発明は、成型体の製造方法に関する。より詳しくは、金属イオン結合による架橋構造を有する樹脂の成型体の製造方法であり、得られる成型体が機械強度、金属との密着性及び外観均一性においていずれもバランス良く優れた性能を発揮する成型体の製造方法に関する。
原料ゴムや熱可塑性樹脂等の原料樹脂を架橋することにより、機械強度や耐熱性、耐久性、耐油性等に優れたゴムやプラスチック等の非熱可塑性樹脂が得られる。このようなゴムやプラスチック等を得る方法として、例えば、ラジカルで架橋可能な樹脂について、ラジカルを発生させて多官能ビニル化合物により架橋する方法が知られている。このような方法について、特許文献1には、特定の水素化ニトリルゴムを多官能(メタ)アクリレートを用いて架橋して機械強度や耐油性、耐摩耗性を向上させた高耐久性ゴムを製造する方法が開示されている。特許文献2には、未加硫フッ素ゴムコンパウンドをトリアリルイソシアヌレートを用いて、活性エネルギー線の照射と加熱により架橋してフッ素ゴム成形体を製造する方法が開示されている。特許文献3には、エチレン・極性モノマー共重合体をトリアリルイソシアヌレートを用いて架橋することでゲル分率を向上させて絶縁性能を向上した絶縁電力ケーブルを製造する方法が開示されている。特許文献4には、ポリオレフィンをマレイミド基を2つ以上有する化合物を用いて押出被覆後、架橋することで電力ケーブルの絶縁体層とする方法が開示されている。
また、得られる非熱可塑性樹脂の機械強度、耐油性、密着性等を向上させるために、多官能ビニル化合物の中でも不飽和金属塩を用いて原料樹脂を架橋する技術が開発されている。例えば、特許文献5には、天然ゴム、ブタジエンゴム、SBR、EPDMを(メタ)アクリル酸亜鉛を用いて架橋して耐熱性や耐久性を改良する方法が開示されている。特許文献6には、難接着性のシリコーンゴムを(メタ)アクリル酸亜鉛を用いて架橋することで接着性を向上する方法が開示されているが、より充分な接着性を発現するには(メタ)アクリル酸亜鉛と多官能ラジカル反応性化合物と併用して架橋する必要があることが示されている。特許文献7には、ブタジエンゴムをアクリル酸亜鉛とステアリン酸亜鉛を用いて架橋することで硬度を向上する方法が開示されているが、充分に良好な分散状態とするには被覆用ゴムで被覆したアクリル酸亜鉛とステアリン酸亜鉛を混合する必要があることが示されている。非特許文献1には、各種原料ゴムの主な特徴と用途や各種ゴム配合剤の目的と種類が開示され、更に、加硫後しばらく放置した加硫ゴム表面にはステアリン酸亜鉛等がブルームしていることがある旨が開示されている。
ところで、特許文献8、9には、特定の構造のジエン系カルボン酸イオン及びこれを含む組成物やこれらの硬化物が開示されている。
特開2006-131700号公報 特開2004-160902号公報 特開2006-36876号公報 特開2006-66110号公報 特開2011-57776号公報 特開2016-79347号公報 特開2005-179522号公報 特開2012-107208号公報 特開2013-231164号公報
日本ゴム協会誌,第88巻,第6号,2015年,pp192-197
上述のとおり、成型体の製造方法として、例えば(メタ)アクリル酸金属塩を用いて種々の樹脂を架橋する方法が開示されているが、(メタ)アクリル酸金属塩を用いる従来の製法では、得られる成型体の機械強度、金属との密着性及び外観均一性のバランスにおいて充分ではなかった。
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、(メタ)アクリル酸金属塩を用いる従来の製法よりも、得られる成型体が機械強度、金属との密着性及び外観均一性においていずれもバランス良く優れた性能を発揮する成型体の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、成型体の製造方法について種々検討したところ、特定の構造のアニオンと金属含有カチオンとを含む塩及び/又はこのような塩を生じさせる化合物とラジカルで架橋可能な樹脂とを含む組成物を混練する工程と、混練工程後の組成物にラジカルを発生させて架橋処理を施す工程と、架橋処理前の組成物及び/又は架橋処理後の架橋体を成型する工程とを行うことにより、(メタ)アクリル酸金属塩を用いる従来の製法よりも、得られる成型体が機械強度、金属との密着性及び外観均一性においていずれもバランス良く優れた性能を発揮することを見いだした。
具体的には、上記特定の構造の塩及び/又は塩を生じさせる化合物が組成物中の樹脂と混ざりやすく、反応性(重合活性)が高いことに起因して、樹脂を効率よく架橋することができることを見出した。更にこのような組成物を架橋処理することにより、上記塩が環化重合し、架橋構造中に環構造と金属イオン結合とを有するものとなるため、得られる成型体が機械強度、金属との密着性及び外観均一性においていずれもバランス良く優れた性能を発揮することを見いだした。これにより、上記課題をみごとに解決することができることに想到し、本発明に到達したものである。
すなわち本発明は、下記式(1);
Figure 0007089961000001
(式中、Rは水素原子、又は、メチル基を表す。X、Y及びZは、同一若しくは異なって、置換基を有していてもよいメチレン基、又は、酸素原子を表す。ただし、X、Y及びZのうち、少なくとも1つは、酸素原子である。点線及び実線で表される酸素原子-炭素原子-酸素原子の結合は、この結合中に含まれる2つの炭素原子-酸素原子結合が等価であり、酸素原子-炭素原子-酸素原子の結合全体で1価のアニオンとなっていることを表す。)で表されるアニオンと金属含有カチオンとを含む塩、及び/又は、該アニオンを生じさせる化合物及び該金属含有カチオンを生じさせる化合物と、ラジカルにより構造中に架橋可能な活性点が生じる樹脂とを含む組成物を混練する工程と、上記混練工程後の組成物にラジカルを発生させて架橋処理を施す工程と、上記架橋処理前の組成物及び/又は架橋処理後の架橋体を成型する工程とを含む成型体の製造方法である。
本発明はまた、下記式(1);
Figure 0007089961000002
(式中、Rは水素原子、又は、メチル基を表す。X、Y及びZは、同一若しくは異なって、置換基を有していてもよいメチレン基、又は、酸素原子を表す。ただし、X、Y及びZのうち、少なくとも1つは、酸素原子である。点線及び実線で表される酸素原子-炭素原子-酸素原子の結合は、この結合中に含まれる2つの炭素原子-酸素原子結合が等価であり、酸素原子-炭素原子-酸素原子の結合全体で1価のアニオンとなっていることを表す。)で表されるアニオンと金属含有カチオンとを含む塩、及び/又は、該アニオンを生じさせる化合物及び該金属含有カチオンを生じさせる化合物と、ラジカルにより構造中に架橋可能な活性点が生じる樹脂とを含む組成物でもある。
更に本発明は、下記式(2)及び/又は式(3);
Figure 0007089961000003
(式中、Rは水素原子、又は、メチル基を表す。X、Y及びZは、同一若しくは異なって、置換基を有していてもよいメチレン基、又は、酸素原子を表す。ただし、X、Y及びZのうち、少なくとも1つは、酸素原子である。Mは、金属含有カチオンを表す。)で表される構造単位と、ラジカルにより構造中に架橋可能な活性点が生じるものであって、式(2)及び(3)で表される構造単位を有しない樹脂に由来する構造単位とを有する成型体でもある。
本発明の成型体の製造方法は、上述の構成を含み、得られる成型体が機械強度、金属との密着性及び外観均一性においていずれもバランス良く優れた性能を発揮するため、種々の用途に好適に用いることができる。
図1は、式(1)で表されるアニオンが環化重合する機構の概略を示す概念図である。
以下に本発明の好ましい形態について具体的に説明するが、本発明は以下の記載のみに限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において適宜変更して適用することができる。なお、以下に記載される本発明の個々の好ましい形態を2又は3以上組み合わせた形態も、本発明の好ましい形態に該当する。
1、成型体の製造方法
本発明の成型体の製造方法は、上記式(1)で表されるアニオンと金属含有カチオンとを含む塩(以下、ジエン系カルボン酸塩ともいう。)、及び/又は、該アニオンを生じさせる化合物及び該金属含有カチオンを生じさせる化合物と、ラジカルにより構造中に架橋可能な活性点が生じる樹脂(以下、ラジカルで架橋可能な樹脂ともいう。)とを含む組成物を混練する工程と、混練工程後の組成物にラジカルを発生させて架橋処理を施す工程と、架橋処理前の組成物及び/又は架橋処理後の架橋体を成型する工程とを含む。
上記成型工程は、混練工程と同時、又は、混練工程の後で且つ架橋処理工程の前に行ってもよく、この場合、架橋処理前の組成物を成型することになる。また、上記成型工程は、混練工程の後に成型工程と架橋処理工程を同時、又は、架橋処理工程後に行ってもよい。成型工程と架橋処理工程を同時に行う場合、架橋処理前の組成物及び/又は架橋処理後の架橋体を成型することとなり、架橋処理工程後に成型工程を行う場合、架橋処理後の架橋体を成型することとなる。
本発明の成型体の製造方法は、これらの工程を含む限りその他の工程を含んでいてもよい。
≪混練工程≫
上記混練工程は、ジエン系カルボン酸塩、及び/又は、式(1)で表されるアニオンを生じさせる化合物及び金属含有カチオンを生じさせる化合物と、ラジカルで架橋可能な樹脂とを含む組成物(以下、原料組成物ともいう。)中の成分を、架橋反応を抑制しながら混合、分散させる限り特に制限されない。
上記混練工程は、上記組成物中にジエン系カルボン酸塩を含んでいても、式(1)で表されるアニオンを生じさせる化合物及び金属含有カチオンを生じさせる化合物を含んでいてもよく、該アニオンを生じさせる化合物及び金属含有カチオンを生じさせる化合物を含む場合、これらの化合物を含む組成物についての混錬、成型、架橋処理工程中に、式(1)で表されるアニオン及び金属含有カチオンが生じることになる。すなわち、上記組成物中にジエン系カルボン酸塩を含まない場合であっても、これらの化合物を含む組成物についての混錬、成型、架橋処理工程中に、式(1)で表されるアニオン及び金属含有カチオンが生じる限り、得られる成型体が式(1)で表されるアニオン及び金属含有カチオンに由来する金属架橋構造を有することとなり、本発明の効果を奏することとなる。上記組成物中にアニオンを生じさせる化合物及び金属含有カチオンを生じさせる化合物を含む場合、混錬、成型、架橋処理工程の中でも、混練工程中に式(1)で表されるアニオン及び金属含有カチオンが生じることが好ましい。
以下では上記混練工程における原料組成物に含まれる必須成分(ジエン系カルボン酸塩及び/又は、式(1)で表されるアニオンを生じさせる化合物及び金属含有カチオンを生じさせる化合物、並びに、ラジカルで架橋可能な樹脂)及び任意成分(ジエン系カルボン酸塩及びラジカルで架橋可能な樹脂以外のその他の成分)について説明する。
<ジエン系カルボン酸塩、及び/又は、該アニオンを生じさせる化合物及び該金属含有カチオンを生じさせる化合物>
(1)ジエン系カルボン酸塩におけるアニオン(ジエン系カルボン酸陰イオン)
本願のジエン系カルボン酸塩におけるアニオンは、式(1)で表される1,6-ジエン-2-カルボン酸陰イオンである。式(1)の置換基を有していてもよいメチレン基の置換基としては、炭素数1~6のアルキル基等が挙げられる。置換基として好ましくは、メチル基である。上記メチレン基としては置換基を有しないものであることが好ましい。
上記ジエン系カルボン酸陰イオンは、上記式(1)に示すように、酸素原子-炭素原子-酸素原子の結合全体で1価の陰イオンとなっている構造をとる。
上記ジエン系カルボン酸陰イオンは、配位構造としては複数の異なる構造を取ってもよく、複数の配位構造の混合物であってもよい。
配位構造は、例えば、単座(unidentate)配位子、二座(bidentate)配位子、架橋性(bridging)配位子などが挙げられるが、かかる例示に限定されるものではない。また、同一の化学式であれば、異なる配位構造のものを、同一のものとして扱ってもよい。
例えば、上記ジエン系カルボン酸陰イオンは、(1)で表されるジエン系カルボン酸陰イオン以外のその他の陰イオンと複合していてもよい。
上記ジエン系カルボン酸陰イオンは、図1に示すような環化重合が可能であるため、電離状態にかかわらず、極めて優れた重合性を有する。
よって、幅広い種類の樹脂を効率よく変性することが可能であり、得られる成型体は環構造を有することから、該環構造の適度な柔軟性に起因して、機械強度や密着性に優れるものとなる。
上記ジエン系カルボン酸陰イオンとして好ましくは、X=Z=メチレン基、Y=酸素原子である場合であり、該ジエン系カルボン酸陰イオンが下記式(4)で表される2-((メタ)アリルオキシメチル)アクリル酸の陰イオンである場合である。すなわち、ジエン系カルボン酸塩としては、2-((メタ)アリルオキシメチル)アクリル酸塩である形態が好ましい。
Figure 0007089961000004
式中、Rは、水素原子、またはメチル基を表す。点線および実線で表される酸素原子-炭素原子-酸素原子の結合は、この結合中に含まれる2つの炭素原子-酸素原子結合が等価であり、酸素原子-炭素原子-酸素原子の結合全体で1価の陰イオンとなっていることを表す。
(2)ジエン系カルボン酸塩における対カチオン
本願のジエン系カルボン酸塩におけるカチオン(以下、対カチオンともいう。)としては、金属含有カチオンであれば特に制限されず、金属原子と非金属原子の両方を含む原子団であっても、金属原子あるいは金属原子のみからなる原子団であってもよい。なお、上記対カチオンが、金属原子と非金属原子の両方を含む原子団である場合は、金属原子と非金属原子を含む原子団全体を1つのカチオンとして捉えてもよいし金属原子あるいは金属原子のみからなる原子団がカチオンであって、それ以外の部分は陰イオンと捉えてもよい。(例えば、[ZrO]2+はZr4+とO2-、[(CO)Al]2+はAl3+とC、[(n-CSn-O-Sn(n-C2+はSn4+2個とO2-とn-C 2個)。
上記対カチオンは、金属原子または金属原子を含む原子団であるカチオンであるため、上記ジエン系カルボン酸塩由来の構造を有する成型体にイオン結合に由来する特性だけでなく、金属そのものに由来する特性も付与されることがある。上記ジエン系カルボン酸塩における対カチオンは、好ましくは金属イオンである。
対カチオンに含まれる金属としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属、周期表12~16族の典型金属、周期表3~11族の遷移金属が挙げられる。架橋性の観点から、2価以上の価数を取れる金属が好ましい。金属の入手性や、合成の容易さを考慮すれば、更に好ましくは、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、スカンジウム、イットリウム、ランタノイド、チタン、ジルコニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデン、タングステン、マンガン、鉄、ルテニウム、コバルト、ロジウム、イリジウム、ニッケル、パラジウム、白金、銅、銀、金、亜鉛、アルミニウム、ガリウム、インジウム、ケイ素、ゲルマニウム、スズ、鉛、アンチモン、ビスマスが挙げられる。クロム、マンガン、鉄、コバルト等、遷移金属元素は着色する場合が多いため、できるだけ着色させたくない場合は、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、亜鉛、アルミニウム、ガリウム、インジウム、ゲルマニウム、スズ、鉛、アンチモン、ビスマス等の典型金属、イットリウム、ランタンなどの3族、チタン、ジルコニウム等の4族の遷移金属が一層好ましく使用できる。特に好ましくは、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、亜鉛、アルミニウム、ガリウム、インジウム、ゲルマニウム、スズ、鉛、アンチモン、ビスマス等の典型金属であり、生体安全性の観点から更に好ましくは、マグネシウム、カルシウム、亜鉛、アルミニウムであり、最も好ましくは亜鉛である。
(3)ジエン系カルボン酸塩
本発明のジエン系カルボン酸塩は、上述のカルボン酸陰イオンと上述の対カチオンとを含む。
上記ジエン系カルボン酸塩は、通常のカルボン酸陰イオンと同様に、水などの高極性溶媒中の場合は、溶媒分子で溶媒和され電離した状態(いわゆる電解質溶液となっている状態)、低極性溶媒や貧溶媒中、或いは無溶媒の場合は、対カチオンとイオン結合で結合した塩の状態で存在する。上記原料組成物において、当量のジエン系カルボン酸陰イオンと金属含有カチオンとが含まれ、全体として電気的に中性であれば、該ジエン系カルボン酸陰イオンと対カチオンとは結合していてもよいし、電離した状態であってもよい。
上記ジエン系カルボン酸塩において、アニオン部が陰イオンの状態で存在することを確認するには、通常のカルボン酸陰イオンの同定に適用される方法と同様の方法で確認できるが、各種スペクトルによる同定や、各種クロマトグラフィー技術を用いて分析することが好ましい。
上記ジエン系カルボン酸陰イオンは、原料組成物中に電解質液を含む場合、電解質液中で電離した状態であってもよいが、低極性溶媒や貧溶媒中、或いは無溶媒の場合、塩の状態で存在する傾向にある。
また、上記ジエン系カルボン酸塩は、ジエン系カルボン酸陰イオンと同様、同一の化学式で表される塩であれば、複数の異なる配位構造を含んでいてもよい。
上記ジエン系カルボン酸塩は、上述のジエン系カルボン酸陰イオンと上述の対カチオン以外の構造を含んでもよく、対カチオンの価数のうち少なくとも1価が上記ジエン系カルボン酸陰イオンで占められていればよく、残りの価数はジエン系カルボン酸以外のその他の陰イオンや中性分子型配位子等で占められてもよい。
また、対カチオンの価数や取り得る配位数に応じて、ただ1種類だけ含んでもよいし、異なる種類のものを複数種類、複数個持ってもよい。その他の陰イオンとしては、例えば、酸化物イオン(O2-)、ハロゲンイオン、水酸化物イオン、アルコキシドイオン、ジエン系カルボン酸陰イオン以外のカルボン酸陰イオン、アセチルアセトナートイオン、炭酸イオン、炭酸水素イオン、硝酸イオン、亜硝酸イオン、硫酸イオン、亜硫酸イオン、亜硫酸水素イオン、リン酸イオン、ケイ酸イオン、ホウ酸イオンなどを挙げることができる。中性分子型配位子としては、水、アルコール類、アンモニア、アミン類、ホスフィン類、β-ケトエステル類、シクロペンタジエン類などを挙げることができる。
以上より、上記ジエン系カルボン酸塩は、ジエン系カルボン酸塩を構成する成分(カルボン酸陰イオン、対カチオン、その他陰イオン、中性子分子型配位子等)を表す化学式から表される。
上記ジエン系カルボン酸塩の性状は特に制限されず、液状であっても固体であってもよく、例えばジエン系カルボン酸塩の性状に応じて混練装置、条件を選択して樹脂等の成分となじませることが好ましい。
ジエン系カルボン酸陰イオンが多くの有機基を含む場合、常温で液状となる傾向にあるが、特に、ジエン系カルボン酸陰イオンが式(1)で表される構造において、X、Zが同一、もしくは異なって置換基を有していてもよいメチレン基、Y=酸素原子である場合、常温で液状となる傾向にある。
また、ジエン系カルボン酸塩は、上述のとおり、対カチオンとして金属原子又は金属原子を含む原子団を有するため、該塩におけるジエン系カルボン酸陰イオンと金属イオンとの金属イオン結合に由来する性質に基づき、得られる成型体は、機械強度や密着性により優れるものとなる。
本発明のジエン系カルボン酸塩におけるジエン系カルボン酸陰イオンと対カチオンとの好ましい組合せとしては、式(4)で表される2-((メタ)アリルオキシメチル)アクリル酸の陰イオンと金属イオンとの組合せである。
以下にジエン系カルボン酸塩の好ましい形態を、例を挙げて説明する。ここで、ジエン系カルボン酸陰イオンとしては、前述の通り、2-((メタ)アリルオキシメチル)アクリル酸陰イオンが好ましく、2-(アリルオキシメチル)アクリル酸陰イオン(以下、AOMAイオン)が最も好ましい形態である。よって、以下のジエン系カルボン酸塩の好ましい形態においては、ジエン系カルボン酸陰イオンとしてAOMAイオンを含む場合のみを列挙するが、かかる例示に限定されるわけではなく、他のジエン系カルボン酸陰イオンを含む場合、あるいは、複数種のジエン系カルボン酸陰イオンを含む場合を否定するものではない。また、以下の例示において、(CHNはテトラメチルアンモニウムイオン、(Ph)Pテトラフェニルホスホニウムイオンを表し、さらに、各イオンの正負および価数は省略する。
AOMAイオンと1種類の対カチオンのみとからなる例をとしては、Li(AOMA),Na(AOMA),K(AOMA),(CHN(AOMA),(Ph)P(AOMA),Mg(AOMA),Ca(AOMA),Sr(AOMA),Ba(AOMA),Y(AOMA),La(AOMA),Ti(AOMA),Zr(AOMA),Cr(AOMA),Mn(AOMA),Fe(AOMA),Co(AOMA),Ni(AOMA),Cu(AOMA),Ag(AOMA),Zn(AOMA),Al(AOMA),In(AOMA),Bi(AOMA)が挙げられる。
陰イオンとして、AOMAイオン以外に酸化物陰イオンと複合している例としては、Zr(O)(AOMA),V(O)(AOMA)等が挙げられる。
陰イオンとして、AOMAイオン以外に、酢酸陰イオン(以下、Ac)、アクリル酸陰イオン(以下、AA)、メタクリル酸陰イオン(以下、MAA)等のカルボン酸陰イオンと複合している例としては、
Ca(AOMA)(Ac),Ba(AOMA)(AA),Zr(AOMA)(MAA),Zn(AOMA)(AA),In(AOMA)(MAA)等が挙げられる。
陰イオンとして、AOMAイオン以外にn-ブチル陰イオン(以下、n-C)などの炭素陰イオンと複合している例としては、(n-CSn(AOMA),(n-CPb(AOMA)等が挙げられる。
陰イオンとして、AOMAイオン以外に、酸化物陰イオン、炭素陰イオンと複合している例としては、(CHSn(O)(AOMA)等が挙げられる。
対カチオンとして、複数の種類が複合している例としては、(La)(Cu)(AOMA),((CNH)(Ag)(AOMA)等が挙げられる。
カルボン酸以外の陰イオン性配位子として、水酸化物イオン、あるいはアルコキシドイオン,ハロゲンイオンが含まれる例としては、
(Ph)Sn(OH)(AOMA),(n-CO)Ti(AOMA),Y(Cl)(AOMA)等が挙げられる。
中性分子型配位子として、水、メタノール、2,2´-ビピリジン(以下、bpy)が配位している例としては(HO)Zn(AOMA),(HO)(CHOH)Zn(AOMA),(bpy)Sm(AOMA)等が挙げられる。
なお、水、メタノール、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランなどのような溶媒として一般的に使用し得るものは、塩中に中性分子型配位子として含まれているのか、単に塩と残存溶媒との混合物であるのかを区別するものではない。
(4)ジエン系カルボン酸塩の製造方法
上記ジエン系カルボン酸塩の製造方法としては、(i)ジエン系カルボン酸またはジエン系カルボン酸の無水物を、塩基性物質、及び/又は両性物質と反応させる方法(以下、直接法)、(ii)ジエン系カルボン酸エステルまたはジエン系カルボン酸ニトリルを塩基性物質で加水分解してジエン系カルボン酸塩とした後、必要に応じてさらに別のカチオンに交換する方法(以下、複分解法)等が挙げられる。また、上記ジエン系カルボン酸塩電解質液中で製造すると、電離した状態のジエン系カルボン酸陰イオンが得ることができ、非電解質液中で行ったり、電解質液中で行った後に溶媒除去、溶媒交換、抽出などの操作を行うと、ジエン系カルボン酸塩の状態を得ることができるが、上記ジエン系カルボン酸塩は、電離した状態で得ても、電離していない状態で得てもよい。
上記製造方法において、塩基性物質とは、水と反応させることで(加熱してもよい)水酸化物イオンを発生しうる物質を示し、例えば、アンモニア、アミン類などの有機塩基や、種々の金属単体、金属酸化物、金属水酸化物や金属アルコキシドが挙げられる。両性物質とは、酸とも塩基とも反応することができる物質を示し、例えば、アルミニウム、亜鉛、錫、鉛などの元素を含有する金属単体、金属酸化物、金属水酸化物や金属アルコキシドが挙げられる。
上記塩基性物質、両性物質に含まれる金属としては、上述の対カチオンに含まれる金属が好ましい。
上記直接法、複分解法の上記以外の点については、特許文献8に記載の方法を参照することができる。
(5)式(1)で表されるアニオンを生じさせる化合物及び金属含有カチオンを生じさせる化合物
上記混練工程における原料組成物は、式(1)で表されるアニオンを生じさせる化合物及び上記金属含有カチオンを生じさせる化合物を含んでいてもよい。
式(1)で表されるアニオンを生じさせる化合物としては、混錬、成型、架橋処理工程中に該アニオンを生じさせるものであれば特に制限されないが、式(1)で表されるアニオンをプロトン化させた酸等が挙げられる。
上記金属含有カチオンを生じさせる化合物としては、混錬、成型、架橋処理工程中に該カチオンを生じさせるものであれば特に制限されず、例えば、上記金属含有カチオンと式(1)で表されるアニオン以外のアニオンとを含む塩等が挙げられる。
上記金属含有カチオンの具体例及び好ましい例については、上記ジエン系カルボン酸塩において述べたとおりである。
上記式(1)で表されるアニオン以外のアニオンとしては、特に制限されないが、酸化物イオン(O2-)、ハロゲンイオン、水酸化物イオン、アルコキシドイオン、ジエン系カルボン酸陰イオン以外のカルボン酸陰イオン、アセチルアセトナートイオン、炭酸イオン、炭酸水素イオン、硝酸イオン、亜硝酸イオン、硫酸イオン、亜硫酸イオン、亜硫酸水素イオン、リン酸イオン、ケイ酸イオン、ホウ酸イオンなどを挙げることができる。
式(1)で表されるアニオン以外のアニオンとして好ましくは酸化物イオン、水酸化物イオン、ジエン系カルボン酸陰イオン以外のカルボン酸陰イオン、炭酸イオン、炭酸水素イオンである。金属含有カチオンを生じさせる化合物として好ましくは、金属酸化物、金属水酸化物、金属アルコキシド、ジエン系カルボン酸陰イオン以外のカルボン酸金属塩、炭酸塩、炭酸水素塩であり、より好ましくは金属酸化物、金属水酸化物であり、特に好ましくは酸化亜鉛である。
(6)原料組成物中のジエン系カルボン酸塩、並びに、式(1)で表されるアニオンを生じさせる化合物及び金属含有カチオンを生じさせる化合物の含有割合
上記混練工程における原料組成物中のジエン系カルボン酸塩、並びに、式(1)で表されるアニオンを生じさせる化合物及び金属含有カチオンを生じさせる化合物の合計の含有割合としては、特に制限されないが、ラジカルで架橋可能な樹脂100質量%に対して、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは1質量%以上、さらに好ましくは2質量%以上である。また70質量%以下であることが好ましく、より好ましくは60質量%以下、さらに好ましくは50質量%以下であることが好ましい。上記好ましい範囲とすることにより、本発明の作用効果をより充分に発揮することが可能となる。
なお、上記割合を算出する際に、式(1)で表されるアニオンを生じさせる化合物及び金属含有カチオンを生じさせる化合物については、式(1)で表されるアニオン及び金属含有カチオンに換算して、上記割合を算出することとする。例えば、式(1)で表されるアニオンを生じさせる化合物及び金属含有カチオンを生じさせる化合物として、2-(アリルオキシメチル)アクリル酸と酸化亜鉛とを含む場合、2-(アリルオキシメチル)アクリル酸陰イオンと亜鉛イオンとして上記割合を算出する。
また、上記原料組成物がジエン系カルボン酸塩を含む形態は、本発明の好ましい実施形態であり、原料組成物中のジエン系カルボン酸塩の含有割合としては、特に制限されないが、ラジカルで架橋可能な樹脂100質量%に対して、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは1質量%以上、さらに好ましくは2質量%以上である。また70質量%以下であることが好ましく、より好ましくは60質量%以下、さらに好ましくは50質量%以下である。
<ラジカルにより構造中に架橋可能な活性点が生じる樹脂>
上記混練工程における原料組成物に含まれる樹脂は、ラジカルにより構造中に架橋可能な活性点が生じるものであり、架橋処理工程において架橋されるものである。上記樹脂としては、例えば、ゴムや熱可塑性樹脂(熱可塑性プラスチック、熱可塑性エラストマー)、ゴムにも熱可塑性樹脂にも分類され得るもの等が挙げられる。
上記ゴムは、未加硫の原料ゴムであっても、加硫ゴムであってもよい。
上記ゴムとして好ましくは未加硫の原料ゴムである。
原料ゴムとしては、例えばJIS K 6397:2005に記載されたものが挙げられる。具体的には、Mグループ(ポリメチレンタイプの飽和主鎖をもつゴム)に属するものとして、アクリル酸エチル又は他のアクリル酸エステル類と加硫を可能にする少量の単量体とのゴム状共重合体(アクリルゴム:ACM)、アクリル酸エチル又は他のアクリル酸エステル類とエチレンとのゴム状共重合体(AEM)、アクリル酸エチル又は他のアクリル酸エステル類とアクリロニトリルとのゴム状共重合体(ANM)、塩素化ポリエチレン(CM)、クロロスルホン化ポリエチレン(CSM)、エチレンとブテンとのゴム状共重合体(EBM)、エチレンとオクテンとのゴム状共重合体(EOM)、エチレンとプロピレンとジエンとのゴム状共重合体(EPDM)、エチレンとプロピレンとのゴム状共重合体(EPM)、エチレンと酢酸ビニルとのゴム状共重合体(EVM)、四ふっ化エチレンとプロピレンとのゴム状共重合体(FEPM)、すべての側鎖がフルオロ及びパーフルオロアルキル又はパーフルオロアルコキシ基であるゴム状共重合体(FFKM)、フルオロ及びパーフルオロアルキル又はパーフルオロアルコキシ基を側鎖にもつゴム状共重合体(FKM)、ポリイソブテン(IM)、主鎖が完全水素化されたアクリロニトリルとブタジエンとのゴム状共重合体(NBM)、スチレンとエチレンとブテンとのゴム状共重合体(SEBM)、スチレンとエチレンとプロピレンとのゴム状共重合体(SEPM);
Oグループ(主鎖に炭素及び酸素をもつゴム)に属するものとして、ポリクロロメチルオキシラン(エピクロロヒドリンゴム;CO)、エチレンオキシドとエピクロロヒドリンとのゴム状共重合体(ECO)、エピクロロヒドリンとアリルグリシジルエーテルとのゴム状共重合体(GCO)、エチレンオキシドとエピクロロヒドリンとアリルグリシジルエーテルとのゴム状共重合体(GECO)、プロピレンオキシドとアリルグリシジルエーテルとのゴム状共重合体(GPO);
Qグループ(主鎖にけい素及び酸素をもつゴム)に属するものとして、ポリマー鎖にメチル置換基とフルオロ置換基とをもつシリコーンゴム(FMQ)、ポリマー鎖にメチル置換基とビニル置換基とフルオロ置換基とをもつシリコーンゴム(FVMQ)、ポリマー鎖にメチル置換基をもつシリコーンゴム(ポリジメチルシロキサン:MQ)、ポリマー鎖にメチル置換基とフェニル置換基とをもつシリコーンゴム(PMQ)、ポリマー鎖にメチル置換基とビニル置換基とフェニル置換基とをもつシリコーンゴム(PVMQ)、ポリマー鎖にメチル置換基とビニル置換基とをもつシリコーンゴム(VMQ);
Rグループ(主鎖に不飽和炭素結合をもつゴム)に属するものとして、アクリレートブタジエンゴム(ABR)、ブタジエンゴム(BR)、クロロプレンゴム(CR)、エポキシ化天然ゴム(ENR)、水素化されたアクリロニトリルとブタジエンとのゴム状共重合体(HNBR)、イソプレンゴム(合成天然ゴム:IR)、α-メチルスチレンとブタジエンとのゴム状共重合体(MSBR)、アクリロニトリルとブタジエンとイソプレンとのゴム状共重合体(NBIR)、アクリロニトリルとブタジエンとのゴム状共重合体(ニトリルゴム:NBR)、アクリロニトリルとイソプレンとのゴム状共重合体(NIR)、天然ゴム(NR)、ノルボルネンゴム(NOR)、ビニルピリジンとブタジエンとのゴム状共重合体(PBR)、ビニルピリジンとスチレンとブタジエンとのゴム状共重合体(PSBR)、スチレンとブタジエンとのゴム状共重合体(SBR)、乳化重合で合成されたスチレンとブタジエンとのゴム状共重合体(E-SBR)、溶液重合で合成されたスチレンとブタジエンとのゴム状共重合体(S-SBR)、スチレンとイソプレンとブタジエンとのゴム状共重合体(SIBR)、カルボキシル化されたブタジエンゴム(XBR)、カルボキシル化されたクロロプレンゴム(XCR)、カルボキシル化されたアクリロニトリルとブタジエンとのゴム状共重合体(XNBR)、カルボキシル化されたスチレンとブタジエンとのゴム状共重合体(XSBR);
Tグループ(主鎖に炭素,酸素及び硫黄をもつゴム)に属するものとして、ポリマー鎖のポリスルフィド結合の間に-CH-CH-O-CH-O-CH-CH-基か又はR基(Rは脂肪族炭化水素)のいずれかをもち、通常-CH-CH-基をもたないゴム(OT)、ポリマー鎖のポリスルフィド結合の間に-CH-CH-O-CH-O-CH-CH-基及び通常-CH-CH-基(場合によっては他の脂肪族基)をもつゴム(EOT);
Uグループ(主鎖に炭素、酸素及び窒素をもつゴム)に属するものとして、四ふっ化エチレンと三ふっ化ニトロソメタンとニトロソパーフルオロ酪酸とのゴム状共重合体(AFMU)、ポリエステルウレタン(AU)、ポリエーテルウレタン(EU);
Zグループ(主鎖にりん及び窒素をもつゴム)に属するものとして、=N-鎖をもち連鎖中のりん原子に結合したフルオロアルコキシ基をもつゴム(FZ-P)、=N-鎖をもち連鎖中のりん原子に結合したアリロキシ(フェノキシ及び置換フェノキシ)をもつゴム(PZ-P)が挙げられる。
耐久性に優れた成型体が得られる理由から、上記原料ゴムとして好ましくは上記Mグループ(ポリメチレンタイプの飽和主鎖をもつゴム)、Rグループ(主鎖に不飽和炭素結合をもつゴム)、Qグループ(主鎖にけい素及び酸素をもつゴム)に属するものであり、より好ましくはMグループ、Rグループに属するものである。
Mグループの中でも、ACM、EPM,EPDM,EVM,FEPM,EOM,EBM等のオレフィン系ゴムが好ましく、EPM、EPDMがより好ましい。
Rグループの中でも、BR,IR,NR,NBR,SBR,HNBR等のブタジエン系ゴムあるいはイソプレン系ゴムが好ましく、HNBR、NBRがより好ましい。
上記熱可塑性プラスチックとしては、例えば、JIS K 6899-1:2015に記載されているプラスチックの中で熱可塑性のものが挙げられる。具体的には、アクリロニトリル-ブタジエンプラスチック(AB)、アクリロニトリル-ブタジエン-アクリル酸エステルプラスチック(ABAK)アクリロニトリル-ブタジエン-スチレンプラスチック(ABS)、アクリロニトリル-塩素化ポリエチレン-スチレン(ACS)、アクリロニトリル-(エチレン-プロピレン-ジエン)-スチレンプラスチック(AEPDS)、アクリロニトリル-メタクリル酸メチルプラスチック(AMMA)、アクリロニトリル-スチレン-アクリル酸エステルプラスチック(ASA)、酢酸セルロース(CA)、 酢酸酪酸セルロース(CAB)、酢酸プロピオン酸セルロース(CAP)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、硝酸セルロース(CN)、シクロオレフィンコポリマー(COC)、プロピオン酸セルロース(CP)、三酢酸セルロース(CTA)、エチレン-アクリル酸プラスチック(EAA)エチレン-アクリル酸ブチルプラスチック(EBAK)、エチルセルロース(EC)、エチレン-アクリル酸エチルプラスチック(EEAK)、エチレン-メタクリル酸プラスチック(EMA)、エチレン-プロピレンプラスチック(E/P)、エチレン-テトラフルオロエチレンプラスチック(ETFE)、エチレン-酢酸ビニルプラスチック(EVAC)、エチレン-ビニルアルコールプラスチック(EVOH)、ペルフルオロ(エチレン-プロピレン)プラスチック(FEP);
ポリ[(3-ヒドロキシブチレート)-co-(3-ヒドロキシバレレート)](HBV)、液晶ポリマー(LCP)、メタクリル酸メチル-アクリロニトリル-ブタジエン-スチレンプラスチック(MABS)、メタクリル酸メチル-ブタジエン-スチレンプラスチック(MBS)、メチルセルロース(MC)、α-メチルスチレン-アクリロニトリルプラスチック(MSAN)、ポリアミド(PA)、ポリアクリル酸(PAA)、ポリアリールエーテルケトン(PAEK)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリアクリル酸エステル(PAK)、ポリアクリロニトリル(PAN) 、ポリアリレート(PAR)、ポリアリールアミド(PARA)、ポリブテン(PB)、ポリアクリル酸ブチル(PBAK)、 1,2- ポリブタジエン(PBD)、ポリブチレンナフタレート(PBN)、ポリブチレンスクシネート(PBS)、ポリブチレンスクシネート=アジペート(PBSA)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリカーボネート(PC)、ポリシクロヘキシレンジメチレン=シクロヘキサンジカルボキシレート(PCCE)、ポリシクロオレフィン(PCO)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリシクロヘキシレンジメチレン=テレフタレート(PCT)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、;
ポリエチレン(PE)、 ポリエチレン,塩素化(PE-C)、ポリエチレン,高密度(PE-HD)、ポリエチレン,低密度(PE-LD)、ポリエチレン,直鎖状低密度(PE-LLD)、ポリエチレン,中密度(PE-MD)、ポリエチレン,超高分子量(PE-UHMW)、ポリエチレン,極低密度(PE-VLD)、ポリエステルカーボネート(PEC)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルエステル(PEEST)、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエチレンオキシド(PEOX)、ポリエチレンスクシネート(PES)、ポリエーテルスルホン(PESU)、 ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエーテルウレタン(PEUR)、ペルフルオロ(アルキルビニルエーテル)-テトラフルオロエチレンプラスチック(PFA)、ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)、ポリ(3-ヒドロキシブチレート) (PHB)、ポリイソブチレン(PIB)、ポリケトン(PK)、ポリ乳酸(PLA)、ポリメタクリルイミド(PMI)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリ(N-メチルメタクリルイミド)(PMMI)、ポリ(4-メチルペンタ-1-エン)(PMP)、ポリ(α-メチルスチレン)(PMS)、ポリオキシメチレン,ポリアセタール,ポリホルムアルデヒド(POM)、ポリプロピレン(PP)、ポリプロピレン,衝撃性(PP-HI)、ポリプロピレン,発泡性(PP-E)、ポリフェニレンエーテル(PPE)、ポリプロピレンオキシド(PPOX)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリフェニレンスルホン(PPSU);
ポリスチレン(PS)、ポリスチレン,発泡性(PS-E)、ポリスチレン,耐衝撃性(PS-HI)、ポリスチレン,スルホン化(PS-S)、ポリスチレン,シンジオタクチック(PS-ST)、ポリスルホン(PSU)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、ポリ酢酸ビニル(PVAC)、ポリビニルアルコール(PVAL)、ポリビニルブチラール(PVB)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニル,塩素化(PVC-C)、ポリ塩化ビニル,無可塑(PVC-U)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリフッ化ビニル(PVF)、ポリビニルホルマール(PVFM)、ポリ(N-ビニルカルバゾール)(PVK)、ポリ(N-ビニルピロリドン)(PVP)、スチレン-アクリロニトリルプラスチック(SAN)、スチレン-ブタジエンプラスチック(SB)、スチレン-無水マレイン酸プラスチック(SMAH)、スチレン-α-メチルスチレンプラスチック(SMS)、塩化ビニル-エチレンプラスチック(VCE)、塩化ビニル-エチレン-アクリル酸メチルプラスチック(VCEMAK)、塩化ビニル-エチレン-酢酸ビニルプラスチック(VCEVAC)、塩化ビニル-アクリル酸メチルプラスチック(VCMAK)、塩化ビニル-メタクリル酸メチルプラスチック(VCMMA)、塩化ビニル-アクリル酸オクチルプラスチック(VCOAK)、塩化ビニル-酢酸ビニルプラスチック(VCVAC)、塩化ビニル-塩化ビニリデンプラスチック(VCVDC)等が挙げられる。
上記熱可塑性エラストマーとしては、例えば、JIS K 6418:2007に記載されてものが挙げられる。具体的には、アミド系熱可塑性エラストマー(TPA:ハードブロックはアミド結合から、ソフトブロックはエーテル及び/又はエステル結合からできており、かつ、交互にハードセグメント及びソフトセグメントからなるブロック共重合体で構成するもの);エステル系熱可塑性エラストマー(TPC:主鎖のハードブロックはエステル結合から、ソフトブロックはエーテル及び/又はエステル結合からできており、かつ、交互にハードセグメント及びソフトセグメントからなるブロック共重合体で構成するもの);オレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO:ポリオレフィンと通常のゴムとのブレンドからなり、かつ、ブレンド物のゴム相は架橋点がないか又はほとんどないもの);スチレン系熱可塑性エラストマー(TPS:スチレンと特定のジエンとからなる、少なくとも3ブロックの共重合体であり、かつ、両端の2個のブロック(ハードブロック)はポリスチレンであり、内部ブロック(一つ又は複数のソフトブロック)は、ポリジエン又は水素化ポリジエンからなるもの);ウレタン系熱可塑性エラストマー(TPU:ハードブロックはウレタン結合から、ソフトブロックはエーテル、エステル、又はカーボネート結合、若しくはそれらの混合からできており、かつ、交互にハードセグメント及びソフトセグメントからなるブロック共重合体で構成するもの);熱可塑性ゴム架橋体(TPV:熱可塑性樹脂と,通常のゴムのブレンド物であり、かつ、このゴムは,ブレンド又は混練過程で動的加硫によって架橋しているもの);その他の熱可塑性エラストマー(TPZ:TPA、TPC、TPO、TPS、TPU及びTPVの分類に入らない組成又は構造のもの)が挙げられる。
上記熱可塑性樹脂の中でも、軟化点が低いものが好ましく、例えば、PE、E/P、EVAC、EEAKなどのポリオレフィン系熱可塑性樹脂が好ましい。
熱可塑性樹脂の軟化点としては、作業性の観点から室温よりも高温が好ましく、より好ましくは30℃以上であり、更に好ましくは40℃以上であり、特に好ましくは50℃以上である。また、上記軟化点は、架橋抑制の容易性の観点から、150℃以下が好ましく、より好ましくは130℃以下であり、さらに好ましくは110℃以下である。
上記ゴムや熱可塑性樹脂の具体例以外にも、例えば、フッ素ゴム;エチレンと上述した以外の(メタ)アクリル酸エステル、テトラシクロドデセン等のコモノマーとを共重合させたポリエチレン系共重合体、ポリブテン-1、ポリメチルペンテン等のその他のポリオレフィン樹脂;ヒドロキシ安息香酸ポリエステル等のその他のポリエステル樹脂;ポリメタクリルスチレン;等が挙げられる。
上記ラジカルで架橋可能な樹脂は2種以上のブレンドゴムやブレンド樹脂であってもよく、1種又は2種以上のゴム及び/又は樹脂を用いることができる。
上記原料組成物中のラジカルで架橋可能な樹脂の含有量は、原料組成物100質量%に対して10~99質量%であることが好ましい。より好ましくは20~90質量%であり、更に好ましくは30~80質量%である。
<その他の成分(任意成分)>
上記原料組成物は、ジエン系カルボン酸塩、及び/又は、式(1)で表されるアニオンを生じさせる化合物及び金属含有カチオンを生じさせる化合物並びにラジカルで架橋可能な樹脂に加え、必要に応じ、(1)ラジカル発生剤(ゴム分野では架橋剤と称されることが多い)、(2)ラジカル発生剤以外の架橋剤、架橋促進剤、架橋促進助剤、(3)ジエン系カルボン酸塩以外のビニル化合物(ゴム分野では共架橋剤と称されることが多い)、(4)充填剤(フィラー)、(5)軟化剤・可塑剤・溶剤等の加工助剤、(6)老化防止剤・酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤や(7)その他の添加剤等を含んでいてもよい。なお、これらは、それぞれ1種又は2種以上を用いることができる。
(1)ラジカル発生剤
上記原料組成物は、更にラジカル発生剤を含むことが好ましい。上記原料組成物が、ジエン系カルボン酸塩、及び/又は、式(1)で表されるアニオンを生じさせる化合物及び金属含有カチオンを生じさせる化合物並びにラジカルで架橋可能な樹脂と、ラジカル発生剤とを含む形態もまた、本発明の好ましい実施形態の1つである。
上記ラジカル発生剤(ゴム分野では架橋剤と称されることが多い)は、架橋処理工程において自己分解などにより、自らの構造中にラジカルを発生するものであれば特に制限されない。
本発明の成型体の製造方法において、原料組成物がラジカル発生剤を含む場合、ラジカル発生剤から発生したラジカルが、樹脂中から水素引抜くことで樹脂上にラジカルが生成し、続いてジエン系カルボン酸塩やその他の多官能ビニル化合物と反応することにより、及び/又は、樹脂中に生じたラジカルどうしがカップリングすること等により架橋構造を形成することが好ましい。
ラジカル発生剤としては例えば加熱によりラジカルを発生する熱ラジカル発生剤、活性エネルギー線の照射によりラジカルを発生する光ラジカル発生剤等が挙げられる。
上記熱ラジカル発生剤としては、混練温度よりも高い温度でラジカルを発生するものが好ましい。例えば、熱ラジカル発生剤の1分間半減期温度としては80℃以上が好ましく、より好ましくは100℃以上であり、さらに好ましくは120℃以上である。また、上記熱ラジカル発生剤の1分間半減期温度としては270℃以下が好ましく、より好ましくは260℃以下であり、さらに好ましくは250℃以下である。
上記熱ラジカル発生剤として具体的には有機過酸化物;硫黄;二塩化硫黄等のハロゲン化硫黄;アゾ化合物等が挙げられる。
これらのラジカル発生剤の1種を単独でまたは2種以上を併用して使用することができる。
上記有機過酸化物としては、例えば、メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、メチルシクロヘキサノンパーオキサイド、メチルアセトアセテートパーオキサイド、アセチルアセテートパーオキサイド、1,1-ビス(t-ヘキシルパーオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、1,1-ビス(t-ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)-2-メチルシクロヘキサン、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)シクロドデカン、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)ブタン、2,2-ビス(4,4-ジ-t-ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、p-メンタンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、1,1,3,3-テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、t-ヘキシルハイドロパーオキサイド、t-ブチルハイドロパーオキサイド、α,α′-ビス(t-ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、ジクミルパーオキサイド、2,5-ジメチル-2,5-ビス(t-ブチルパーオキシ)ヘキサン、t-ブチルクミルパーオキサイド、ジ-t-ブチルパーオキサイド、2,5-ジメチル-2,5-ビス(t-ブチルパーオキシ)ヘキシン-3、イソブチリルパーオキサイド、3,5,5-トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ステアロイルパーオキサイド、スクシン酸パーオキサイド、m-トルオイルベンゾイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ジ-n-プロピルパーオキシジカーボネート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ビス(4-t-ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ-2-エトキシエチルパーオキシジカーボネート、ジ-2-エトキシヘキシルパーオキシジカーボネート、ジ-3-メトキシブチルパーオキシジカーボネート、ジ-s-ブチルパーオキシジカーボネート、ジ(3-メチル-3-メトキシブチル)パーオキシジカーボネート、α,α′-ビス(ネオデカノイルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、クミルパーオキシネオデカノエート、1,1,3,3,-テトラメチルブチルパーオキシネオデカノエート、1-シクロヘキシル-1-メチルエチルパーオキシネオデカノエート、t-ヘキシルパーオキシネオデカノエート、t-ブチルパーオキシネオデカノエート、t-ヘキシルパーオキシピバレート、t-ブチルパーオキシピバレート、1,1,3,3-テトラメチルブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、2,5-ジメチル-2,5-ビス(2-エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサノエート、1-シクロヘキシル-1-メチルエチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、t-ヘキシルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、t-ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t-ブチルパーオキシイソブチレート、t-ブチルパーオキシマレート、t-ブチルパーオキシ-3,5,5-トリメチルヘキサノエート、t-ブチルパーオキシラウレート、t-ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキシルモノカーボネート、t-ブチルパーオキシアセテート、t-ブチルパーオキシ-m-トルイルベンゾエート、t-ブチルパーオキシベンゾエート、ビス(t-ブチルパーオキシ)イソフタレート、2,5-ジメチル-2,5-ビス(m-トルイルパーオキシ)ヘキサン、t-ヘキシルパーオキシベンゾエート、2,5-ジメチル-2,5-ビス(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t-ブチルパーオキシアリルモノカーボネート、t-ブチルトリメチルシリルパーオキサイド、3,3′,4,4′-テトラ(t-ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、2,3-ジメチル-2,3-ジフェニルブタン等が挙げられる。
上記アゾ化合物としては、2-フェニルアゾ-4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル、1-[(1-シアノ-1-メチルエチル)アゾ]ホルムアミド、1,1′-アゾビス(シクロヘキサン-1-カルボニトリル)、2,2′-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)、2,2′-アゾビスイソブチロニトリル、2,2′-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2′-アゾビス(2,4-ジメチル-4-メトキシバレロニトリル)、2,2′-アゾビス(2-メチルプロピオンアミジン)ジヒドロクロリド、2,2′-アゾビス(2-メチル-N-フェニルプロピオンアミジン)ジヒドロクロリド、2,2′-アゾビス[N-(4-クロロフェニル)-2-メチルプロピオンアミジン]ジヒドロクロリド、2,2′-アゾビス[N-(4-ヒドロフェニル)-2-メチルプロピオンアミジン]ジヒドロクロリド、2,2′-アゾビス[2-メチル-N-(フェニルメチル)プロピオンアミジン]ジヒドロクロリド、2,2′-アゾビス[2-メチル-N-(2-プロペニル)プロピオンアミジン]ジヒドロクロリド、2,2′-アゾビス[N-(2-ヒドロキシエチル)-2-メチルプロピオンアミジン]ジヒドロクロリド、2,2′-アゾビス[2-(5-メチル-2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]ジヒドロクロリド、2,2′-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]ジヒドロクロリド、2,2′-アゾビス[2-(4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-1,3-ジアゼピン-2-イル)プロパン]ジヒドロクロリド、2,2′-アゾビス[2-(3,4,5,6-テトラヒドロピリミジン-2-イル)プロパン]ジヒドロクロリド、2,2′-アゾビス[2-(5-ヒドロキシ-3,4,5,6-テトラヒドロピリミジン-2-イル)プロパン]ジヒドロクロリド、2,2′-アゾビス{2-[1-(2-ヒドロキシエチル)-2-イミダゾリン-2-イル]プロパン}ジヒドロクロリド、2,2′-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]、2,2′-アゾビス{2-メチル-N-[1,1-ビス(ヒドロキシメチル)-2-ヒドロキシエチル]プロピオンアミド}、2,2′-アゾビス{2-メチル-N-[1,1-ビス(ヒドロキシメチル)エチル]プロピオンアミド}、2,2′-アゾビス[2-メチル-N-(2-ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]、2,2′-アゾビス(2-メチルプロピオンアミド)、2,2′-アゾビス(2,4,4-トリメチルペンタン)、2,2′-アゾビス(2-メチルプロパン)、ジメチル-2,2-アゾビス(2-メチルプロピオネート)、4,4′-アゾビス(4-シアノペンタン酸)、2,2′-アゾビス[2-(ヒドロキシメチル)プロピオニトリル]等が挙げられる。
上記活性エネルギー線の照射によりラジカルを発生するラジカル発生剤としては、アルキルフェノン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾイン系化合物、チオキサントン系化合物、ハロメチル化トリアジン系化合物、ハロメチル化オキサジアゾール系化合物、ビイミダゾール系化合物、オキシムエステル系化合物、チタノセン系化合物、安息香酸エステル系化合物、アクリジン系化合物等が挙げられる。
上記アルキルフェノン系化合物としては、2,2-ジエトキシアセトフェノン、2,2-ジメトキシー2-フェニルアセトフェノン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、1-〔4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル〕-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン、2-ヒドロキシ-1-{4-〔4-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオニル)ベンジル〕フェニル}-2-メチルプロパン-1-オン、2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル)-2-モルフォリノプロパン1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタノン-1、2-(ジメチルアミノ)-2-〔(4-メチルフェニル)メチル〕-1-〔4-(4-モルホリニル)フェニル〕-1-ブタノン等が挙げられる。
上記ベンゾフェノン系化合物としては、ベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、2-カルボキシベンゾフェノン等が挙げられる。
上記ベンゾイン系化合物としては、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテ等が挙げられる。
上記チオキサントン系化合物としては、チオキサントン、2-エチルチオキサントン、2-イソプロピルチオキサントン、2-クロロチオキサントン、2,4-ジメチルチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン等が挙げられる。
上記ハロメチル化トリアジン系化合物としては、2-(4-メトキシフェニル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(4-メトキシナフチル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(4-エトキシナフチル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(4-エトキシカルボキニルナフチル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン等が挙げられる。
上記ハロメチル化オキサジアゾール系化合物としては、2-トリクロロメチル-5-(2’-ベンゾフリル)-1,3,4-オキサジアゾール、2-トリクロロメチル-5-〔β-(2’-ベンゾフリル)ビニル〕-1,3,4-オキサジアゾール、4-オキサジアゾール、2-トリクロロメチル-5-フリル-1,3,4-オキサジアゾール等が挙げられる。
上記ビイミダゾール系化合物としては、2,2’-ビス(2-クロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニル-1,2’-ビイミダゾール、2,2’-ビス(2,4-ジクロロフェニル)-4,4’,5,5’ -テトラフェニル-1,2’-ビイミダゾール、2,2’-ビス(2,4,6-トリクロロフェニル)-4,4’,5,5’ -テトラフェニル-1,2’-ビイミダゾール等が挙げられる。
上記オキシムエステル系化合物としては、1,2-オクタンジオン,1-〔4-(フェニルチオ)-,2-(O-ベンゾイルオキシム)〕、エタノン,1-〔9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル〕-,1-(O-アセチルオキシム)等が挙げられる。
上記チタノセン系化合物としては、ビス(η5-2,4-シクロペンタジエン-1-イル)-ビス(2,6-ジフルオロ-3-(1H-ピロール-1-イル)-フェニル)チタニウム等のチタノセン系化合物;p-ジメチルアミノ安息香酸、p-ジエチルアミノ安息香酸等の安息香酸エステル系化合物;9-フェニルアクリジン等が挙げられる。
上記ラジカル発生剤として好ましくは有機過酸化物、硫黄であり、より好ましくは有機過酸化物であり、有機過酸化物の中でも更に好ましくはジクミルパーオキサイド、1,1-ジ(t-ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1-ジ(t-ヘキシルパーオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、1,1-ジ(t-ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、n-ブチル-4,4-ジ-(t-ブチルパーオキシ)バレレート、1,1-ジ(t-ブチルパーオキシ)-2-メチルシクロヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジ(2-t-ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、t-ブチルクミルパーオキサイド、ジ-t-ヘキシルパーオキサイド、ジ-t-ブチルパーオキサイド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキシン-3、ジ(3-メチルベンゾイル)パーオキサイド、ベンゾイル(3-メチルベンゾイル)パーオキサイド、ジベンゾイルパーオキサイド、ジ(4-メチルベンゾイル)パーオキサイド、2,5-ジ-メチル-2,5-ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t-ヘキシルパーオキシベンゾエート、t-ブチルパーオキシベンゾエート、ジ(2-メチルベンゾイル)パーオキサイドであり、特に好ましくはジクミルパーオキサイドである。
上記原料組成物中のラジカル発生剤の含有割合としては、上記ラジカルで架橋可能な樹脂100質量%に対して、0質量%以上、70質量%以下であることが好ましい。
上記原料組成物中に有機過酸化物を含む場合の有機過酸化物の含有割合としては、上記ラジカルで架橋可能な樹脂100質量%に対して、0質量%以上であることが好ましく、より好ましくは0.1質量%以上であり、さらに好ましくは0.5質量%以上である。また、上記原料組成物中の有機過酸化物の含有割合としては、上記ラジカルで架橋可能な樹脂100%に対して、15質量%以下であることが好ましい。より好ましくは12質量%以下であり、更に好ましくは10質量%以下である。
(2)ラジカル発生剤以外の架橋剤、架橋促進剤、架橋促進助剤
上記ラジカル発生剤以外の架橋剤としては、特に制限されないが、例えば、p-キノンジオキシム、p,p’-ジベンゾイルキノンジオキシム、テトラクロロ-p-ベンゾキノン、ポリ-p-ジニトロベンゼン等のキノイド類;アルキルフェノール・ホルムアルデヒド樹脂、メラミンーホルムアルデヒド縮合物、トリアジン-ホルムアルデヒド縮合物、オクチルフェノール・ホルムアルデヒド樹脂、アルキルフェノール・スルフィド樹脂、ヘキサメトキシメチル・メラミン樹脂等の樹脂;ヘキサメチレンジアミンカルバメ-ト、ヘキサメチレンジアミン、トリエチレン・テトラミン、テトラエチレン・ペンタミン、4,4’-メチレンビス(シクロヘキシルアミン)カルバメ-ト、N,N’-ジシンナミリデン-1,6-ヘキサンジアミン、アンモニウムベンゾエ-ト等のアミン類;酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化鉛、酸化カルシウム等の金属酸化物;2,4,6-トリメルカプト-s-トリアジン、2-ジ-n-ブチルアミノ-4,6-ジメルカプト-s-トリアジン等のトリアジンチオール類;ビスフェノ-ルA、ビスフェノ-ルAF、ハイドロキノン、ペンタエリトリト-ル等のポリオール類等が挙げられる。
上記架橋促進剤としては、通常用いられるものを使用することができ、具体的には、N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアジルスルフェンアミド、N-t-ブチル-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N-オキシエチレン-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N-オキシエチレン-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N,N’-ジイソプロピル-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミドなどのスルフェンアミド系加硫促進剤;ジフェニルグアニジン、ジオルトトリルグアニジン、オルトトリルビグアニジンなどのグアニジン系加硫促進剤;チオウレア系加硫促進剤;チアゾール系加硫促進剤;チウラム系加硫促進剤;ジチオカルバミン酸系加硫促進剤;キサントゲン酸系加硫促進剤等が挙げられる。
上記架橋促進助剤としては、通常用いられるものを使用することができ、具体的には、酸化亜鉛、ステアリン酸、ステアリン酸亜鉛等が挙げられる
上記原料組成物中のラジカル発生剤以外の架橋剤、架橋促進剤及び架橋促進助剤の合計の含有割合としては、上記ラジカルで架橋可能な樹脂100質量%に対して、0~15質量%であることが好ましい。より好ましくは1~10質量%である。
(3)ジエン系カルボン酸塩以外のビニル化合物
ジエン系カルボン酸塩以外のビニル化合物としては、特に制限されないが、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、マレイン酸、クロトン酸等の不飽和カルボン酸及びこれらの亜鉛、マグネシウム等の金属塩;ジビニルベンゼンやジビニルナフタレン等の多官能芳香族ビニル化合物;トリアリルイソシアヌレート、トリメタリルイソシアヌレートなどのイソシアヌレート類;トリアリルシアヌレート等のシアヌレート類;N,N'‐m‐フェニレンジマレイミド等のマレイミド類;ジアリルフタレート、ジアリルイソフタレート、ジアリルマレエート、ジアリルフマレート、ジアリルセバケート、トリアリルホスフェート等のポリアリルエステル;ジエチレングリコールビスアリルカーボネート;エチレングリコールジアリルエーテル、トリメチロールプロパンをアリル化してなるトリアリルエーテル、ペンタエリスリトールを部分的にアリル化してなるアリルエーテル等のポリアリルエーテル類;トリメチロールプロパントリメタクリレートやトリメチロールプロパントリアクリレート等の多官能(メタ)アクリレート化合物等が挙げられる。
上記原料組成物中のジエン系カルボン酸塩以外のビニル化合物の含有割合としては、上記ラジカルで架橋可能な樹脂100質量%に対して、0~5質量%であることが好ましい。より好ましくは0~3質量%であり、最も好ましくは0~1質量%である。
(4)充填剤(フィラー)
上記フィラーとしては、通常用いられるものを使用することができ、具体的には、カーボンブラック、シリカ等の補強性フィラー;炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、硫酸バリウム、タルク、マイカ等の非補強性フィラーが挙げられる。
その他にも、石膏繊維、ガラスバルン、シリカバルン、ハイドロタルサイト、フライアシュバルン、シラスバルン、カーボン系バルン、アルミナ、硫酸バリウム、硫酸アルミニウム、硫酸カルシウム、二硫化モリブデン、ガラス繊維、カットファイバー、ロックファイバー、ミクロファイバー、炭素繊維、芳香族ポリアミド繊維、チタン酸カリウム繊維、再生ゴム、ゴム粉末、エボナイト粉末、セラック、木粉、セルロースナノファイバー等を挙げることができる。
上記原料組成物中のフィラーの含有割合としては、上記ラジカルで架橋可能な樹脂100質量%に対して、0~500質量%であることが好ましい。より好ましくは5~300質量%であり、更に好ましくは30~200質量%である。
(5)軟化剤・可塑剤・溶剤等の加工助剤
上記原料組成物中の成分の混合・分散や加工性を向上させるために、軟化剤・可塑剤・溶剤・加工助剤を用いてもよい。
上記軟化剤・可塑剤としては、通常用いられるものを使用することができ、具体的には、プロセスオイル、潤滑油、パラフィン、流動パラフィン、ワセリン等の石油系軟化剤、ヒマシ油、アマニ油、ナタネ油、ヤシ油等の脂肪油系軟化剤、トール油、サブ、蜜ロウ、カルナバロウ、ラノリン等のワックス類、リノール酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ラウリン酸、フタル酸エステル系化合物、ポリエステル化合物、(メタ)アクリルオリゴマー等が挙げられる。
上記溶剤としては、通常用いられるものを使用することができ、具体的には、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、シクロヘキサン、トリメチルシクロヘキサン、メチルイソブチルケトン等が挙げられる。
上記原料組成物中の軟化剤・可塑剤・溶剤等の加工助剤の合計の含有割合としては、上記ラジカルで架橋可能な樹脂100質量%に対して、0~100質量%であることが好ましい。より好ましくは5~50質量%であり、更に好ましくは10~30質量%である。
(6)老化防止剤・酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤
本発明の製造方法により得られる成型体の劣化等をより充分に防止するために、老化防止剤・酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤を用いてもよい。
老化防止剤・酸化防止剤として、例えば各種ヒンダードフェノール系やホスファイト系のものが挙げられる。
光安定剤としては、例えばヒンダードアミン系のものが挙げられる。
紫外線吸収剤としては例えばベンゾフエノン系、のベンゾトリアゾール系、サリチル酸エステル系のもの等が挙げられる。
上記原料組成物中の老化防止剤・酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤の合計の含有割合としては、上記ラジカルで架橋可能な樹脂100質量%に対して、0~10質量%であることが好ましい。より好ましくは0~5質量%であり、更に好ましくは0~0.53質量%である。
(7)その他の添加剤
その他の添加剤としては、通常用いられるものを使用することができ、例えば、しゃく解剤、滑材、スコーチ防止剤、着色剤、離型剤、分散剤、発泡剤、発泡助剤、難燃剤、粘着付与剤、接着増進剤、ワックス、カップリング剤、導電剤、受酸剤、上述のラジカルで架橋可能な樹脂以外の樹脂等が挙げられる。
<混練条件>
本発明の混練工程では、上記原料組成物中の全ての成分を一度に配合して混練してもよいし、2段階以上に分けて配合・混練を行ってもよい。また、樹脂の種類等に応じて、樹脂を素練りする工程を行ってもよい。
上記混練工程では、混練機として、原料の形態や得られる成型体の用途等に応じて混合ロール、ミキサー、ニーダー、押出機等を用いることが好ましい(用いてもよい)。
上記混練工程では、多量にラジカルが発生しない温度、すなわち、ラジカルで架橋可能な樹脂において架橋反応が生じないような温度で混練されることが好ましい。上記原料組成物がラジカル発生剤を含む場合には、ラジカル発生剤が反応しない温度で混練されることが好ましい。混練温度としては樹脂の種類(融点やムーニー粘度)に応じて設定すればよいが、200℃以下であることがより好ましく、より好ましくは180℃以下であり、更に好ましくは160℃以下である。また、混練温度は通常30℃以上であることが好ましく、さらに好ましくは50℃以上である。
上記混練温度の制御は、例えば、混練する装置のロールの回転数、混練用の羽の回転数、冷却水などを制御することにより行うことが好ましい。
≪成型工程≫
本発明の成型体の製造方法は、架橋処理前の組成物及び/又は架橋処理後の架橋体を成型する工程を含む。
ここで、成型とは、形状を整えることを意味し、上記成型工程では、混練工程で得られた混練組成物を、例えば、シート状、フィルム状、ペレット状、層状、棒状、球状、粒子状、紛体状、各種用途の部材状、等の形状に加工することを意味する。
上記成型工程において上記組成物及び/又は架橋体の成型方法は特に制限されないが、例えば、押出、射出、加圧、圧延、離型処理、切断、切削、研磨することにより、所望の形状に加工してもよい。
上記成型には、例えば押出成型機、射出成型機、加圧成型機等の通常用いられる成型機や、金型等を用いてもよい。
≪架橋処理工程≫
本発明の成型体の製造方法は、上記混練工程後の組成物にラジカルを発生させて架橋処理を施す工程を含む。架橋処理を施す組成物は、混練工程後の組成物であれば、成型工程前の組成物であっても成型工程後の組成物であってもよい。
上記架橋処理工程において、ラジカルを発生させる方法は特に制限されず、例えば、加熱、活性エネルギー線の照射等が挙げられる。また、上記ラジカルの発生は、上述のラジカル発生剤を使用せずに、活性エネルギー線の照射のみで行ってもよい。混練工程においてラジカル発生剤を使用する場合、使用するラジカル発生剤に応じて、適宜選択すればよく、上記の方法を併用してもよい。
上記活性エネルギー線としては、通常用いられるものを使用することができ、ガンマ線、X線、紫外線、可視光線、赤外線等の電磁波や、電子線、中性子線、陽子線等の粒子線等が挙げられる。
上記架橋処理工程において、ラジカルを発生させる方法として好ましくは加熱による方法である。
上記加熱温度は、ラジカルを発生させる限り特に制限されないが、100℃以上であることが好ましい。より好ましくは120℃以上であり、更に好ましくは140℃以上である。また、300℃以下であることが好ましく、より好ましくは260℃以下である。
上記加熱による架橋処理は、1段階で行ってもよく、加熱温度を変化させて2段階以上に分けて行ってもよい。
上記加熱時間は、特に制限されないが、例えば、10秒~100時間であることが好ましい。より好ましくは1分間~24時間である。
また、JIS K 6300-2:2001に準拠して、90%加硫時間を求め、これに基づき加熱時間を設定してもよい。
上記架橋処理工程は、上述のとおり、成型工程と同時に行われてもよく、例えば、成型工程において成型機により成型を行いながら加熱をすることにより、成型と架橋処理とを同時に行うことになる。
2、ジエン系カルボン酸塩、及び/又は、式(1)で表されるアニオンを生じさせる化合物及び金属含有カチオンを生じさせる化合物、並びに、ラジカルにより構造中に架橋可能な活性点が生じる樹脂を含む組成物
本発明はまた、上記式(1)で表されるアニオンと金属含有カチオンとを含む塩(ジエン系カルボン酸塩)、及び/又は、上記アニオンを生じさせる化合物及び上記金属含有カチオンを生じさせる化合物と、ラジカルにより構造中に架橋可能な活性点が生じる樹脂とを含む組成物でもある。
上記組成物は、ジエン系カルボン酸塩、上記アニオンを生じさせる化合物及び上記金属含有カチオンを生じさせる化合物、並びに、上記樹脂以外のその他の成分を含んでいてもよく、更にラジカル発生剤を含むことが好ましい。
上記組成物中の各成分については、成型体の製造方法の混練工程における原料組成物において述べたとおりである。また上記組成物中の各成分の好ましい割合についても、上記原料組成物中の各成分の好ましい割合と同様である。
3、成型体(架橋体)
本発明はまた、上記式(2)及び/又は式(3)で表される構造単位と、ラジカルにより構造中に架橋可能な活性点が生じるものであって、式(2)及び(3)で表される構造単位を有しない樹脂に由来する構造単位とを有する成型体(架橋体)でもある。
ここで架橋体とは、樹脂が三次元的に架橋されたゴム又は樹脂をいう。
上記式(2)及び/又は式(3)で表される構造単位は、式(1)で表されるアニオンと金属含有カチオンとを含む塩(ジエン系カルボン酸塩)に由来する構造単位であり、ジエン系カルボン酸塩が重合して形成される構造と同じ構造を有する構造単位である。
ただし、ジエン系カルボン酸塩に由来する構造単位は、実際にジエン系カルボン酸塩が重合して形成された構造単位に限定されない。ジエン系カルボン酸塩が重合して形成される構造と同じ構造を有すれば、他の方法により形成させた構造単位も、ジエン系カルボン酸塩に由来する構造単位に含まれる。
上記ジエン系カルボン酸塩は、成型体の製造方法において述べたとおりである。
例えば、上記ジエン系カルボン酸塩が2-((メタ)アリルオキシメチル)アクリル酸塩である場合、該塩に由来する構造単位は、下記式(5)及び/又は(6);
Figure 0007089961000005
(式中、Mは、金属含有カチオンである。)で表される。
ラジカルにより構造中に架橋可能な活性点が生じるものであって、式(2)及び(3)で表される構造単位(上記ジエン系カルボン酸塩由来の構造単位)を有しない樹脂としては、成型体の製造方法において述べたゴムや熱可塑性樹脂等が挙げられる。具体例及び好ましい例は、上述のとおりである。
上記架橋体において、上記式(2)及び/又は式(3)で表される構造単位の割合は、ラジカルにより構造中に架橋可能な活性点が生じるものであって、式(2)及び(3)で表される構造単位(上記ジエン系カルボン酸塩由来の構造単位)を有しない樹脂に由来する構造単位100質量%に対して、0.5質量%以上であることが好ましい。また、70質量%以下であることが好ましい。これにより、上記架橋体の外観均一性、機械強度及び密着性がより向上することとなる。より好ましくは2質量%以上である。また、より好ましくは60質量%以下であり、更に好ましくは50質量%以下であり、一層好ましくは40質量%以下であり、より一層好ましくは30質量%以下であり、特に好ましくは20質量%以下である。
上記架橋体は、式(2)及び/又は式(3)で表される構造単位及びラジカルにより構造中に架橋可能な活性点が生じるものであって、式(2)及び(3)で表される構造単位を有しない樹脂に由来する構造単位以外のその他の構造単位を有していてもよい。
その他の構造単位としては、特に制限されないが、例えば、上記成型体の製造方法におけるラジカル発生剤に由来する構造単位、ラジカル発生剤以外の架橋剤に由来する構造単位、ジエン系カルボン酸塩以外のビニル化合物に由来する構造単位等が挙げられる。
上記架橋体において、上記その他の構造単位の割合は、ラジカルにより構造中に架橋可能な活性点が生じるものであって、式(2)及び(3)で表される構造単位を有しない樹脂に由来する構造単位100質量%に対して、0~1000質量%であることが好ましい。より好ましくは0~500質量%であり、更に好ましくは0~100質量%であり、一層好ましくは0~50質量%であり、特に好ましくは0~10質量%であり、最も好ましくは0質量%である。
上記架橋体の製造方法は、特に制限されないが、上述の成型体の製造方法により製造することが好ましい。すなわち、上記架橋体は、本発明の製造方法により得られた成型体であることが好ましい。
本発明の架橋体及び本発明の製造方法により得られた成型体は、種々の用途に用いることができ、例えば、電気絶縁材、封止材、シール材、防振ゴム、自動車等の構造部材、等の工業用途に好適に使用される。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は「質量部」を、「%」は「質量%」を意味するものとする。
<合成例1>
2-(アリルオキシメチル)アクリル酸イオン(AOMA)と亜鉛イオン(Zn2+
との塩(2-(アリルオキシメチル)アクリル酸亜鉛:AOMA-Zn)
[2-(アリルオキシメチル)アクリル酸ナトリウム水溶液の合成]
反応液中のメタノール濃度が3%を超えないよう、計84.0部の2-(アリルオキシメチル)アクリル酸メチル(AOMA-M)及び計21.3部のNaOHを12回に分割して投入し、且つメタノールを除去しながら加水分解を行った。
攪拌装置、温度センサー、ガス導入管、トの字管、冷却管、留出受器を付した反応器に、イオン交換水100.0部を仕込み、攪拌しながら、酸素/窒素混合ガス(酸素濃度7%、体積/体積)を通じつつ、オイルバスにより40℃まで昇温させた。
(1分割目の加水分解)
AOMA-M7.0部、48%NaOH水溶液3.7部(AOMA-Mに対して0.99当量)を順に投入し、5分間撹拌した後、反応器内の圧力が6.7kPaになるよう徐々に減圧し、内温が40~45℃になるようにオイルバスによる加熱を調整しながらメタノールを含む水を留出させた。留出受器の液量がおよそ27部となったところで解圧し、オイルバスを下げ加熱を中断し、留出液量を秤量した。
(2分割目の加水分解)
48%NaOH水溶液3.7部を、1分割目の留出液量と同重量のNaOH水溶液となるようにイオン交換水で希釈した。AOMA-M7.0部、NaOH水溶液を順に投入し、5分間撹拌した後、反応器内の圧力が6.7kPaになるまで徐々に減圧し、内温が40~45℃になるようにオイルバスによる加熱を調整しながらメタノールを含む水を留出させた。留出量がおよそ27部となったところで解圧し、オイルバスを下げ加熱を中断し、留出液量を秤量した。
(3分割目~12分割目の加水分解)
2分割目の加水分解と同様に操作した。
[2-(アリルオキシメチル)アクリル酸の合成]
12分割目の操作が終了した反応液を室温まで冷却し、水浴で冷却しながら硫酸27.0部を1時間かけて滴下した。滴下終了後、分液漏斗に内容液を移し1時間静置した。下層の水層を捨て、上層の有機層(水を含む2-(アリルオキシメチル)アクリル酸)を分離した。
[2-(アリルオキシメチル)アクリル酸亜鉛の合成]
温度計を付した反応容器に、撹拌子、分離した有機層、酢酸エチル220.0部、6-t-ブチル-2,4-キシレノール0.05部を入れ、マグネチックスターラーで撹拌した。水浴で冷却しながら、内温が40℃を超えないように酸化亜鉛粉末21.7部を少しずつ添加した。全ての酸化亜鉛粉末を添加した後、2時間撹拌した。反応液を孔径0.45μmのフィルターで濾過し、濾液を攪拌装置、温度センサー、ガス導入管、トの字管、冷却管、留出受器を付した容器に入れ、内温が50℃を超えないよう用に加熱しながら減圧し、酢酸エチルおよび水を留去した。粘稠な内容物を温かいうちにポリ容器に移し、80.0部の2-(アリルオキシメチル)アクリル酸亜鉛を得た。
<実施例1~3、比較例1~3>
樹脂としてEPDM(JIS K 6397:2005におけるMグループ(ポリメチレンタイプの飽和主鎖を持つ原料ゴム)に分類される)を用い、下記のとおり架橋性樹脂組成物の調製、混練、成型、架橋処理を行い、成型体を得た。
(架橋性樹脂組成物の調製及び混錬)
原料の合計質量が600部となるよう、表1に示す配合比で各原料を用意し、オープンロール機(高室鉄工所社製、ロールサイズ:直径8インチ×幅18インチ)を用い、前ロール回転数18rpm、前後ロール回転比1:1.25で混練した。
(加硫シート(成型体)の作製(成型及び架橋))
JIS K 6300-2:2001「未加硫ゴム-物理特性-第2部:振動式加硫試験機による加硫特性の求め方」に準拠して、ダイ加硫試験A法(試験温度:160℃,振幅角度:±1°,振動数:1.67Hz)により、架橋性樹脂組成物の90%加硫時間を求め、これを加硫時間とした。結果を表1に示す。
設定した加硫時間、160℃でプレス成型し、15cm角、2mm厚の加硫シートを作製した。
得られた成型体の外観均一性、機械強度、密着性について下記の方法により評価した。
(外観均一性の評価)
加硫シートの表面を目視で観察し、下記基準で外観均一性を評価した。結果を表1に示す。
○:全面的に均一で光沢あり
△:表面に白化が見られるが、光沢は部分的に残っている
×:全面的に白化が見られ、光沢がない
(機械強度の評価)
・デュロメータ硬さ
JIS K 6253-3:2012「加硫ゴム及び熱可塑性ゴム-硬さの求め方-第3部:デュロメータ硬さ」に準拠して、加硫シートを打抜き加工して得たダンベル状3号形のダンベル試験片を3枚積層し、タイプAデュロメータを用いてデュロメータ硬さを測定した。結果を表1に示す。
・引張強さ,切断時伸び
JIS K 6251:2010「加硫ゴム及び熱可塑性ゴム-引張特性の求め方」に準拠し、加硫シートを打抜き加工してダンベル状3号形のダンベル試験片を作製し、引張試験機を用いて引張強さ、切断時伸びを測定した。結果を表1に示す。
・引裂強さ
JIS K 6252-1:2015「加硫ゴム及び熱可塑性ゴム-引裂強さの求め方-第1部:トラウザ形,アングル形及びクレセント形試験片を用いる方法」に準拠し、加硫シートを打抜き加工して切込みなしアングル形試験片を作製し、引張試験機を用いて引裂強さを測定した。結果を表1に示す。
(密着性の評価)
JIS K 6256-2:2013「加硫ゴム及び熱可塑性ゴム-接着性の求め方-第2部:剛板との90°剥離強さ」に準拠し、架橋性樹脂組成物を金属板に加硫接着(直接接着)させて試験片を作製し、引張試験機で剥離強さを測定した。加硫接着は、加硫シート作製と同じ温度・時間で行った。金属板としては、アルミ板(A1050P)、ステンレス板(SUS304)、圧延鋼板(SS400)の3種類について評価を行った。結果を表1に示す。なお、加硫接着で金属板に全く密着せず、試験片を作製できなかったものについては「試験不能」とした。
<実施例4~5、比較例4~7>
樹脂としてNBR(JIS K 6397:2005におけるRグループ(主鎖に不飽和炭素結合を持つ原料ゴム)に分類される)を用い、下記のとおり架橋性樹脂組成物の調製、混練、成型、架橋処理を行い、成型体を得た。
(架橋性樹脂組成物の調製及び混錬)
原料の合計質量が600部となるよう、表2に示す配合比で各原料を用意した。ニーダー(ナニワ機械製造社製)を用い、架橋剤と共架橋剤と加硫促進剤以外の原料を前ブレード回転数50rpm、前後ブレード回転比1.6:1.3、缶体温度110℃、混練時間20分の条件で混練した。次にオープンロール機(池田機械工業社製、ロールサイズ:直径6インチ×幅15インチ)を用い、ニーダーで混練した樹脂組成物、架橋剤、共架橋剤を、前ロール回転数19rpm、前後ロール回転比1:1.25で混練した。
(加硫シート(成型体)の作製(成型及び架橋)
上記実施例1~3、比較例1~3と同様にして加硫シートの作製を行った。
(物性評価)
得られた成型体について、上記実施例1~3、比較例1~3と同様にして外観均一性、機械強度、密着性を評価した。結果を表2に示す。
下記表1及び2に記載の各成分の詳細は、以下のとおりである。
樹脂:
エチレン・プロピレン・ジエンゴム(EPDM)、JSR社製、EP21(中ENB)
中高ニトリルNBR(中高NBR)、JSR社製、N230S(中高ニトリル)
低ニトリルNBR(低NBR)、JSR社製、N250S(低ニトリル)
充填剤:
カーボンブラック(CB)、旭カーボン社製、HAFカーボンブラック
シリカ(SiO)、東ソー・シリカ社製
軟化・可塑剤:
ナフテン系オイル(NOL)、JXTGエネルギー社製
フタル酸ジ2-エチルヘキシル(DOP)、新日本理化社製
架橋剤:
ジクミルパーオキサイド(DCPO)、日油社製、パークミルD-40
架橋促進・促進助剤:
酸化亜鉛II種(ZnO)、ハクスイテック社製
ステアリン酸(STA)、日油社製
共架橋剤:
合成例1で得られたジエン系カルボン酸塩(AOMA-Zn)
アクリル酸亜鉛(ZnDA)、日触テクノファインケミカル社製
メタクリル酸亜鉛(ZnDMA)、日触テクノファインケミカル社製
Figure 0007089961000006
比較例1及び2と比較例3との対比から分かるとおり、ZnDA及びZnDMAを添加することにより硬さ、引張強さ、引裂強さが向上し、金属板に対するする密着性が発現する。しかしながら、ZnDAを添加することにより密着性が向上するものの切断時伸びの低下が著しく、硬脆い機械強度特性となるとともに外観均一性に著しく劣ることとなる。また、ZnDMAを添加した場合、バランスの良い機械強度を示すが、密着性が充分とはいえない。これに対して、AOMA-Znを添加することにより、硬さと切断時伸びとを両立し、引裂強さも強く優れた機械強度を有するとともに、密着性、外観均一性も良好となる。特にAOMA-Zn添加量を増やした実施例3においては、非常に高い密着性を発揮しながらも共架橋剤無添加(比較例3)と同等の高い伸びを示す。このような結果は、AOMA-Znが原料樹脂となじみやすく且つ重合活性が高く、また重合で主鎖に環構造が生じることによるものと考えられる。
Figure 0007089961000007
比較例4及び5と比較例6との対比から、ZnDAおよびZnDMAを添加することにより硬さと引張強さが向上するものの伸びが大幅に低下しており、特にZnDAでは伸びの低下が著しいことが分かる。これに対し、AOMA-Zn(実施例4)は、高い硬さと引張強さを示しながら、高い伸びも示し、バランスの良い機械強度を有する。さらに実施例5と比較例7との対比から、ニトリル含有量が低く低極性の原料樹脂(低NBR)を用いた場合でも、AOMA-Znを添加することにより良好な外観一性を発揮することが分かる。このような結果は、AOMA-Znが低極性の原料樹脂にもよくなじむことを示唆していると考えられる。

Claims (7)

  1. 下記式(1);
    Figure 0007089961000008
    (式中、Rは水素原子、又は、メチル基を表す。X、Y及びZは、同一若しくは異なって、置換基を有していてもよいメチレン基、又は、酸素原子を表す。ただし、X、Y及びZのうち、少なくとも1つは、酸素原子である。点線及び実線で表される酸素原子-炭素原子-酸素原子の結合は、この結合中に含まれる2つの炭素原子-酸素原子結合が等価であり、酸素原子-炭素原子-酸素原子の結合全体で1価のアニオンとなっていることを表す。)で表されるアニオンと金属含有カチオンとを含む塩、及び/又は、該アニオンを生じさせる化合物及び該金属含有カチオンを生じさせる化合物と、ラジカルにより構造中に架橋可能な活性点が生じる樹脂とを含む組成物を混練する工程と、
    該混練工程後の組成物にラジカルを発生させて架橋処理を施す工程と、
    該架橋処理前の組成物及び/又は架橋処理後の架橋体を成型する工程とを含むことを特徴とする成型体の製造方法。
  2. 前記組成物は、更にラジカル発生剤を含むものであることを特徴とする請求項1に記載の成型体の製造方法。
  3. 前記樹脂は、ゴム及び/又は熱可塑性樹脂を含むものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の成型体の製造方法。
  4. 前記金属含有カチオンは、金属イオンであることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の成型体の製造方法。
  5. 下記式(1);
    Figure 0007089961000009
    (式中、Rは水素原子、又は、メチル基を表す。X、Y及びZは、同一若しくは異なって、置換基を有していてもよいメチレン基、又は、酸素原子を表す。ただし、X、Y及びZのうち、少なくとも1つは、酸素原子である。点線及び実線で表される酸素原子-炭素原子-酸素原子の結合は、この結合中に含まれる2つの炭素原子-酸素原子結合が等価であり、酸素原子-炭素原子-酸素原子の結合全体で1価のアニオンとなっていることを表す。)で表されるアニオンと金属含有カチオンとを含む塩、及び/又は、該アニオンを生じさせる化合物及び該金属含有カチオンを生じさせる化合物と、ラジカルにより構造中に架橋可能な活性点が生じる樹脂とを含むことを特徴とする組成物(但し、N-ビニルピロリドンを必須成分として含むモノマー成分を重合させてなる重合体及びポリビニルアルコールからなる群より選択される少なくとも1種を含むものを除く)
  6. 前記組成物は、更にラジカル発生剤を含むものであることを特徴とする請求項5に記載の組成物。
  7. 下記式(2)及び/又は式(3);
    Figure 0007089961000010
    (式中、Rは水素原子、又は、メチル基を表す。X、Y及びZは、同一若しくは異なって、置換基を有していてもよいメチレン基、又は、酸素原子を表す。ただし、X、Y及びZのうち、少なくとも1つは、酸素原子である。Mは、金属含有カチオンを表す。)で表される構造単位と、ラジカルにより構造中に架橋可能な活性点が生じるものであって、式(2)及び(3)で表される構造単位を有しない樹脂に由来する構造単位とを有することを特徴とする成型体(但し、N-ビニルピロリドンを必須成分として含むモノマー成分を重合させてなる重合体及びポリビニルアルコールからなる群より選択される少なくとも1種に由来する構造単位を有するものを除く)
JP2018120826A 2018-06-26 2018-06-26 成型体の製造方法 Active JP7089961B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018120826A JP7089961B2 (ja) 2018-06-26 2018-06-26 成型体の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018120826A JP7089961B2 (ja) 2018-06-26 2018-06-26 成型体の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2020002201A JP2020002201A (ja) 2020-01-09
JP7089961B2 true JP7089961B2 (ja) 2022-06-23

Family

ID=69098709

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2018120826A Active JP7089961B2 (ja) 2018-06-26 2018-06-26 成型体の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7089961B2 (ja)

Families Citing this family (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2020184054A1 (ja) * 2019-03-11 2020-09-17 株式会社日本触媒 (メタ)アクリル酸金属塩含有組成物および(メタ)アクリル酸金属塩含有液
JP7338062B2 (ja) * 2020-06-02 2023-09-04 株式会社日本触媒 活性エネルギー線硬化性樹脂組成物、及び、その硬化物
JP7488715B2 (ja) 2020-08-04 2024-05-22 マクセル株式会社 金属-ゴム複合部材及びその製造方法
JP2023048437A (ja) * 2021-09-28 2023-04-07 株式会社オートネットワーク技術研究所 絶縁電線、ワイヤーハーネス、および絶縁電線の製造方法
WO2023167186A1 (ja) * 2022-03-02 2023-09-07 株式会社日本触媒 重合性組成物

Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011057776A (ja) 2009-09-08 2011-03-24 Bridgestone Corp 防振ゴム組成物及び防振ゴム
JP2011074068A (ja) 2009-09-04 2011-04-14 Nippon Shokubai Co Ltd 架橋性化合物
JP2013216737A (ja) 2012-04-05 2013-10-24 Nippon Shokubai Co Ltd 重合性組成物
JP2013249412A (ja) 2012-06-01 2013-12-12 Nippon Shokubai Co Ltd 樹脂組成物
WO2016027822A1 (ja) 2014-08-20 2016-02-25 日本ゼオン株式会社 架橋性ニトリルゴム組成物およびゴム架橋物
JP2016166233A (ja) 2010-10-06 2016-09-15 株式会社日本触媒 ジエン系カルボン酸陰イオンとその塩、およびその重合または硬化性組成物
JP2018035310A (ja) 2016-09-02 2018-03-08 株式会社日本触媒 硬化性組成物およびこれを用いたバリア性フィルム

Family Cites Families (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH05311008A (ja) * 1992-05-13 1993-11-22 Sumitomo Chem Co Ltd 加硫接着用ゴム組成物、加硫接着方法及び金属−ゴム接着物品

Patent Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011074068A (ja) 2009-09-04 2011-04-14 Nippon Shokubai Co Ltd 架橋性化合物
JP2011057776A (ja) 2009-09-08 2011-03-24 Bridgestone Corp 防振ゴム組成物及び防振ゴム
JP2016166233A (ja) 2010-10-06 2016-09-15 株式会社日本触媒 ジエン系カルボン酸陰イオンとその塩、およびその重合または硬化性組成物
JP2013216737A (ja) 2012-04-05 2013-10-24 Nippon Shokubai Co Ltd 重合性組成物
JP2013249412A (ja) 2012-06-01 2013-12-12 Nippon Shokubai Co Ltd 樹脂組成物
WO2016027822A1 (ja) 2014-08-20 2016-02-25 日本ゼオン株式会社 架橋性ニトリルゴム組成物およびゴム架橋物
JP2018035310A (ja) 2016-09-02 2018-03-08 株式会社日本触媒 硬化性組成物およびこれを用いたバリア性フィルム

Also Published As

Publication number Publication date
JP2020002201A (ja) 2020-01-09

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP7089961B2 (ja) 成型体の製造方法
EP2089462B1 (en) Aqueous process for making a stable fluoropolymer dispersion
US7074857B2 (en) Curable thermoplastic elastomeric blend, method of manufacture, and use thereof
JP4511670B2 (ja) フルオロエラストマー組成物類
EP1891153B1 (en) Aqueous process for making fluoropolymers
JP4527830B2 (ja) フルオロエラストマー組成物
JPH11240997A (ja) フッ素化熱可塑性エラストマー
JP4824311B2 (ja) 低温特性および耐溶剤性を有するフルオロエラストマー
EP2655441B1 (en) Low viscosity fluoroelastomers
WO2015098776A1 (ja) 樹脂組成物
US20220259348A1 (en) Acrylic rubber bale excellent in strength properties and processability
WO2018117037A1 (ja) アクリルゴム、アクリルゴム組成物、アクリルゴム架橋物、及びアクリルゴムの製造方法
KR102710577B1 (ko) 보존 안정성과 가공성이 우수한 아크릴 고무 베일
US20220251265A1 (en) Acrylic rubber bale excellent in processability and water resistance
JP7195845B2 (ja) 変性樹脂の製造方法
JP7104850B2 (ja) (メタ)アクリル酸金属塩含有組成物および(メタ)アクリル酸金属塩含有液
KR102710576B1 (ko) 내수성이 우수한 아크릴 고무 시트
JP4851254B2 (ja) フッ化ビニリデン系樹脂組成物およびその製造方法
JP3975002B2 (ja) 熱可塑性エラストマー樹脂組成物
JP2016124909A (ja) 含フッ素樹脂架橋体の製造方法、成形体の製造方法および含フッ素樹脂組成物
KR102717542B1 (ko) 보존 안정성과 가공성이 우수한 아크릴 고무 베일
KR102721541B1 (ko) 보존 안정성이나 내수성이 우수한 아크릴 고무 베일
KR102717541B1 (ko) 가공성과 내수성이 우수한 아크릴 고무 베일
WO2021014788A1 (ja) 耐水性に優れるアクリルゴム
JP2006037025A (ja) 含フッ素エラストマーおよびその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20210305

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20211222

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20220104

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20220304

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20220607

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20220613

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7089961

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150