JP7089961B2 - 成型体の製造方法 - Google Patents
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Description
また、得られる非熱可塑性樹脂の機械強度、耐油性、密着性等を向上させるために、多官能ビニル化合物の中でも不飽和金属塩を用いて原料樹脂を架橋する技術が開発されている。例えば、特許文献5には、天然ゴム、ブタジエンゴム、SBR、EPDMを(メタ)アクリル酸亜鉛を用いて架橋して耐熱性や耐久性を改良する方法が開示されている。特許文献6には、難接着性のシリコーンゴムを(メタ)アクリル酸亜鉛を用いて架橋することで接着性を向上する方法が開示されているが、より充分な接着性を発現するには(メタ)アクリル酸亜鉛と多官能ラジカル反応性化合物と併用して架橋する必要があることが示されている。特許文献7には、ブタジエンゴムをアクリル酸亜鉛とステアリン酸亜鉛を用いて架橋することで硬度を向上する方法が開示されているが、充分に良好な分散状態とするには被覆用ゴムで被覆したアクリル酸亜鉛とステアリン酸亜鉛を混合する必要があることが示されている。非特許文献1には、各種原料ゴムの主な特徴と用途や各種ゴム配合剤の目的と種類が開示され、更に、加硫後しばらく放置した加硫ゴム表面にはステアリン酸亜鉛等がブルームしていることがある旨が開示されている。
ところで、特許文献8、9には、特定の構造のジエン系カルボン酸イオン及びこれを含む組成物やこれらの硬化物が開示されている。
具体的には、上記特定の構造の塩及び/又は塩を生じさせる化合物が組成物中の樹脂と混ざりやすく、反応性(重合活性)が高いことに起因して、樹脂を効率よく架橋することができることを見出した。更にこのような組成物を架橋処理することにより、上記塩が環化重合し、架橋構造中に環構造と金属イオン結合とを有するものとなるため、得られる成型体が機械強度、金属との密着性及び外観均一性においていずれもバランス良く優れた性能を発揮することを見いだした。これにより、上記課題をみごとに解決することができることに想到し、本発明に到達したものである。
本発明の成型体の製造方法は、上記式(1)で表されるアニオンと金属含有カチオンとを含む塩(以下、ジエン系カルボン酸塩ともいう。)、及び/又は、該アニオンを生じさせる化合物及び該金属含有カチオンを生じさせる化合物と、ラジカルにより構造中に架橋可能な活性点が生じる樹脂(以下、ラジカルで架橋可能な樹脂ともいう。)とを含む組成物を混練する工程と、混練工程後の組成物にラジカルを発生させて架橋処理を施す工程と、架橋処理前の組成物及び/又は架橋処理後の架橋体を成型する工程とを含む。
上記成型工程は、混練工程と同時、又は、混練工程の後で且つ架橋処理工程の前に行ってもよく、この場合、架橋処理前の組成物を成型することになる。また、上記成型工程は、混練工程の後に成型工程と架橋処理工程を同時、又は、架橋処理工程後に行ってもよい。成型工程と架橋処理工程を同時に行う場合、架橋処理前の組成物及び/又は架橋処理後の架橋体を成型することとなり、架橋処理工程後に成型工程を行う場合、架橋処理後の架橋体を成型することとなる。
本発明の成型体の製造方法は、これらの工程を含む限りその他の工程を含んでいてもよい。
上記混練工程は、ジエン系カルボン酸塩、及び/又は、式(1)で表されるアニオンを生じさせる化合物及び金属含有カチオンを生じさせる化合物と、ラジカルで架橋可能な樹脂とを含む組成物(以下、原料組成物ともいう。)中の成分を、架橋反応を抑制しながら混合、分散させる限り特に制限されない。
上記混練工程は、上記組成物中にジエン系カルボン酸塩を含んでいても、式(1)で表されるアニオンを生じさせる化合物及び金属含有カチオンを生じさせる化合物を含んでいてもよく、該アニオンを生じさせる化合物及び金属含有カチオンを生じさせる化合物を含む場合、これらの化合物を含む組成物についての混錬、成型、架橋処理工程中に、式(1)で表されるアニオン及び金属含有カチオンが生じることになる。すなわち、上記組成物中にジエン系カルボン酸塩を含まない場合であっても、これらの化合物を含む組成物についての混錬、成型、架橋処理工程中に、式(1)で表されるアニオン及び金属含有カチオンが生じる限り、得られる成型体が式(1)で表されるアニオン及び金属含有カチオンに由来する金属架橋構造を有することとなり、本発明の効果を奏することとなる。上記組成物中にアニオンを生じさせる化合物及び金属含有カチオンを生じさせる化合物を含む場合、混錬、成型、架橋処理工程の中でも、混練工程中に式(1)で表されるアニオン及び金属含有カチオンが生じることが好ましい。
(1)ジエン系カルボン酸塩におけるアニオン(ジエン系カルボン酸陰イオン)
本願のジエン系カルボン酸塩におけるアニオンは、式(1)で表される1,6-ジエン-2-カルボン酸陰イオンである。式(1)の置換基を有していてもよいメチレン基の置換基としては、炭素数1~6のアルキル基等が挙げられる。置換基として好ましくは、メチル基である。上記メチレン基としては置換基を有しないものであることが好ましい。
上記ジエン系カルボン酸陰イオンは、上記式(1)に示すように、酸素原子-炭素原子-酸素原子の結合全体で1価の陰イオンとなっている構造をとる。
配位構造は、例えば、単座(unidentate)配位子、二座(bidentate)配位子、架橋性(bridging)配位子などが挙げられるが、かかる例示に限定されるものではない。また、同一の化学式であれば、異なる配位構造のものを、同一のものとして扱ってもよい。
例えば、上記ジエン系カルボン酸陰イオンは、(1)で表されるジエン系カルボン酸陰イオン以外のその他の陰イオンと複合していてもよい。
よって、幅広い種類の樹脂を効率よく変性することが可能であり、得られる成型体は環構造を有することから、該環構造の適度な柔軟性に起因して、機械強度や密着性に優れるものとなる。
本願のジエン系カルボン酸塩におけるカチオン(以下、対カチオンともいう。)としては、金属含有カチオンであれば特に制限されず、金属原子と非金属原子の両方を含む原子団であっても、金属原子あるいは金属原子のみからなる原子団であってもよい。なお、上記対カチオンが、金属原子と非金属原子の両方を含む原子団である場合は、金属原子と非金属原子を含む原子団全体を1つのカチオンとして捉えてもよいし金属原子あるいは金属原子のみからなる原子団がカチオンであって、それ以外の部分は陰イオンと捉えてもよい。(例えば、[ZrO]2+はZr4+とO2-、[(C2H5O)Al]2+はAl3+とC2H5O-、[(n-C4H9)2Sn-O-Sn(n-C4H9)2]2+はSn4+2個とO2-とn-C4H9 -2個)。
本発明のジエン系カルボン酸塩は、上述のカルボン酸陰イオンと上述の対カチオンとを含む。
上記ジエン系カルボン酸塩は、上述のジエン系カルボン酸陰イオンと上述の対カチオン以外の構造を含んでもよく、対カチオンの価数のうち少なくとも1価が上記ジエン系カルボン酸陰イオンで占められていればよく、残りの価数はジエン系カルボン酸以外のその他の陰イオンや中性分子型配位子等で占められてもよい。
また、対カチオンの価数や取り得る配位数に応じて、ただ1種類だけ含んでもよいし、異なる種類のものを複数種類、複数個持ってもよい。その他の陰イオンとしては、例えば、酸化物イオン(O2-)、ハロゲンイオン、水酸化物イオン、アルコキシドイオン、ジエン系カルボン酸陰イオン以外のカルボン酸陰イオン、アセチルアセトナートイオン、炭酸イオン、炭酸水素イオン、硝酸イオン、亜硝酸イオン、硫酸イオン、亜硫酸イオン、亜硫酸水素イオン、リン酸イオン、ケイ酸イオン、ホウ酸イオンなどを挙げることができる。中性分子型配位子としては、水、アルコール類、アンモニア、アミン類、ホスフィン類、β-ケトエステル類、シクロペンタジエン類などを挙げることができる。
以上より、上記ジエン系カルボン酸塩は、ジエン系カルボン酸塩を構成する成分(カルボン酸陰イオン、対カチオン、その他陰イオン、中性子分子型配位子等)を表す化学式から表される。
上記ジエン系カルボン酸塩の性状は特に制限されず、液状であっても固体であってもよく、例えばジエン系カルボン酸塩の性状に応じて混練装置、条件を選択して樹脂等の成分となじませることが好ましい。
ジエン系カルボン酸陰イオンが多くの有機基を含む場合、常温で液状となる傾向にあるが、特に、ジエン系カルボン酸陰イオンが式(1)で表される構造において、X1、Z1が同一、もしくは異なって置換基を有していてもよいメチレン基、Y1=酸素原子である場合、常温で液状となる傾向にある。
Ca(AOMA)1(Ac)1,Ba(AOMA)1(AA)1,Zr(AOMA)2(MAA)2,Zn(AOMA)1(AA)1,In(AOMA)2(MAA)1等が挙げられる。
カルボン酸以外の陰イオン性配位子として、水酸化物イオン、あるいはアルコキシドイオン,ハロゲンイオンが含まれる例としては、
(Ph)2Sn(OH)1(AOMA)1,(n-C4H9O)2Ti(AOMA)2,Y(Cl)(AOMA)2等が挙げられる。
中性分子型配位子として、水、メタノール、2,2´-ビピリジン(以下、bpy)が配位している例としては(H2O)2Zn(AOMA)2,(H2O)1(CH3OH)1Zn(AOMA)2,(bpy)2Sm(AOMA)3等が挙げられる。
なお、水、メタノール、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランなどのような溶媒として一般的に使用し得るものは、塩中に中性分子型配位子として含まれているのか、単に塩と残存溶媒との混合物であるのかを区別するものではない。
上記ジエン系カルボン酸塩の製造方法としては、(i)ジエン系カルボン酸またはジエン系カルボン酸の無水物を、塩基性物質、及び/又は両性物質と反応させる方法(以下、直接法)、(ii)ジエン系カルボン酸エステルまたはジエン系カルボン酸ニトリルを塩基性物質で加水分解してジエン系カルボン酸塩とした後、必要に応じてさらに別のカチオンに交換する方法(以下、複分解法)等が挙げられる。また、上記ジエン系カルボン酸塩電解質液中で製造すると、電離した状態のジエン系カルボン酸陰イオンが得ることができ、非電解質液中で行ったり、電解質液中で行った後に溶媒除去、溶媒交換、抽出などの操作を行うと、ジエン系カルボン酸塩の状態を得ることができるが、上記ジエン系カルボン酸塩は、電離した状態で得ても、電離していない状態で得てもよい。
上記製造方法において、塩基性物質とは、水と反応させることで(加熱してもよい)水酸化物イオンを発生しうる物質を示し、例えば、アンモニア、アミン類などの有機塩基や、種々の金属単体、金属酸化物、金属水酸化物や金属アルコキシドが挙げられる。両性物質とは、酸とも塩基とも反応することができる物質を示し、例えば、アルミニウム、亜鉛、錫、鉛などの元素を含有する金属単体、金属酸化物、金属水酸化物や金属アルコキシドが挙げられる。
上記塩基性物質、両性物質に含まれる金属としては、上述の対カチオンに含まれる金属が好ましい。
上記直接法、複分解法の上記以外の点については、特許文献8に記載の方法を参照することができる。
上記混練工程における原料組成物は、式(1)で表されるアニオンを生じさせる化合物及び上記金属含有カチオンを生じさせる化合物を含んでいてもよい。
式(1)で表されるアニオンを生じさせる化合物としては、混錬、成型、架橋処理工程中に該アニオンを生じさせるものであれば特に制限されないが、式(1)で表されるアニオンをプロトン化させた酸等が挙げられる。
上記金属含有カチオンを生じさせる化合物としては、混錬、成型、架橋処理工程中に該カチオンを生じさせるものであれば特に制限されず、例えば、上記金属含有カチオンと式(1)で表されるアニオン以外のアニオンとを含む塩等が挙げられる。
上記金属含有カチオンの具体例及び好ましい例については、上記ジエン系カルボン酸塩において述べたとおりである。
上記式(1)で表されるアニオン以外のアニオンとしては、特に制限されないが、酸化物イオン(O2-)、ハロゲンイオン、水酸化物イオン、アルコキシドイオン、ジエン系カルボン酸陰イオン以外のカルボン酸陰イオン、アセチルアセトナートイオン、炭酸イオン、炭酸水素イオン、硝酸イオン、亜硝酸イオン、硫酸イオン、亜硫酸イオン、亜硫酸水素イオン、リン酸イオン、ケイ酸イオン、ホウ酸イオンなどを挙げることができる。
式(1)で表されるアニオン以外のアニオンとして好ましくは酸化物イオン、水酸化物イオン、ジエン系カルボン酸陰イオン以外のカルボン酸陰イオン、炭酸イオン、炭酸水素イオンである。金属含有カチオンを生じさせる化合物として好ましくは、金属酸化物、金属水酸化物、金属アルコキシド、ジエン系カルボン酸陰イオン以外のカルボン酸金属塩、炭酸塩、炭酸水素塩であり、より好ましくは金属酸化物、金属水酸化物であり、特に好ましくは酸化亜鉛である。
上記混練工程における原料組成物中のジエン系カルボン酸塩、並びに、式(1)で表されるアニオンを生じさせる化合物及び金属含有カチオンを生じさせる化合物の合計の含有割合としては、特に制限されないが、ラジカルで架橋可能な樹脂100質量%に対して、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは1質量%以上、さらに好ましくは2質量%以上である。また70質量%以下であることが好ましく、より好ましくは60質量%以下、さらに好ましくは50質量%以下であることが好ましい。上記好ましい範囲とすることにより、本発明の作用効果をより充分に発揮することが可能となる。
なお、上記割合を算出する際に、式(1)で表されるアニオンを生じさせる化合物及び金属含有カチオンを生じさせる化合物については、式(1)で表されるアニオン及び金属含有カチオンに換算して、上記割合を算出することとする。例えば、式(1)で表されるアニオンを生じさせる化合物及び金属含有カチオンを生じさせる化合物として、2-(アリルオキシメチル)アクリル酸と酸化亜鉛とを含む場合、2-(アリルオキシメチル)アクリル酸陰イオンと亜鉛イオンとして上記割合を算出する。
また、上記原料組成物がジエン系カルボン酸塩を含む形態は、本発明の好ましい実施形態であり、原料組成物中のジエン系カルボン酸塩の含有割合としては、特に制限されないが、ラジカルで架橋可能な樹脂100質量%に対して、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは1質量%以上、さらに好ましくは2質量%以上である。また70質量%以下であることが好ましく、より好ましくは60質量%以下、さらに好ましくは50質量%以下である。
上記混練工程における原料組成物に含まれる樹脂は、ラジカルにより構造中に架橋可能な活性点が生じるものであり、架橋処理工程において架橋されるものである。上記樹脂としては、例えば、ゴムや熱可塑性樹脂(熱可塑性プラスチック、熱可塑性エラストマー)、ゴムにも熱可塑性樹脂にも分類され得るもの等が挙げられる。
上記ゴムは、未加硫の原料ゴムであっても、加硫ゴムであってもよい。
上記ゴムとして好ましくは未加硫の原料ゴムである。
Zグループ(主鎖にりん及び窒素をもつゴム)に属するものとして、=N-鎖をもち連鎖中のりん原子に結合したフルオロアルコキシ基をもつゴム(FZ-P)、=N-鎖をもち連鎖中のりん原子に結合したアリロキシ(フェノキシ及び置換フェノキシ)をもつゴム(PZ-P)が挙げられる。
Mグループの中でも、ACM、EPM,EPDM,EVM,FEPM,EOM,EBM等のオレフィン系ゴムが好ましく、EPM、EPDMがより好ましい。
Rグループの中でも、BR,IR,NR,NBR,SBR,HNBR等のブタジエン系ゴムあるいはイソプレン系ゴムが好ましく、HNBR、NBRがより好ましい。
熱可塑性樹脂の軟化点としては、作業性の観点から室温よりも高温が好ましく、より好ましくは30℃以上であり、更に好ましくは40℃以上であり、特に好ましくは50℃以上である。また、上記軟化点は、架橋抑制の容易性の観点から、150℃以下が好ましく、より好ましくは130℃以下であり、さらに好ましくは110℃以下である。
上記ラジカルで架橋可能な樹脂は2種以上のブレンドゴムやブレンド樹脂であってもよく、1種又は2種以上のゴム及び/又は樹脂を用いることができる。
上記原料組成物は、ジエン系カルボン酸塩、及び/又は、式(1)で表されるアニオンを生じさせる化合物及び金属含有カチオンを生じさせる化合物並びにラジカルで架橋可能な樹脂に加え、必要に応じ、(1)ラジカル発生剤(ゴム分野では架橋剤と称されることが多い)、(2)ラジカル発生剤以外の架橋剤、架橋促進剤、架橋促進助剤、(3)ジエン系カルボン酸塩以外のビニル化合物(ゴム分野では共架橋剤と称されることが多い)、(4)充填剤(フィラー)、(5)軟化剤・可塑剤・溶剤等の加工助剤、(6)老化防止剤・酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤や(7)その他の添加剤等を含んでいてもよい。なお、これらは、それぞれ1種又は2種以上を用いることができる。
上記原料組成物は、更にラジカル発生剤を含むことが好ましい。上記原料組成物が、ジエン系カルボン酸塩、及び/又は、式(1)で表されるアニオンを生じさせる化合物及び金属含有カチオンを生じさせる化合物並びにラジカルで架橋可能な樹脂と、ラジカル発生剤とを含む形態もまた、本発明の好ましい実施形態の1つである。
上記ラジカル発生剤(ゴム分野では架橋剤と称されることが多い)は、架橋処理工程において自己分解などにより、自らの構造中にラジカルを発生するものであれば特に制限されない。
本発明の成型体の製造方法において、原料組成物がラジカル発生剤を含む場合、ラジカル発生剤から発生したラジカルが、樹脂中から水素引抜くことで樹脂上にラジカルが生成し、続いてジエン系カルボン酸塩やその他の多官能ビニル化合物と反応することにより、及び/又は、樹脂中に生じたラジカルどうしがカップリングすること等により架橋構造を形成することが好ましい。
上記熱ラジカル発生剤としては、混練温度よりも高い温度でラジカルを発生するものが好ましい。例えば、熱ラジカル発生剤の1分間半減期温度としては80℃以上が好ましく、より好ましくは100℃以上であり、さらに好ましくは120℃以上である。また、上記熱ラジカル発生剤の1分間半減期温度としては270℃以下が好ましく、より好ましくは260℃以下であり、さらに好ましくは250℃以下である。
上記熱ラジカル発生剤として具体的には有機過酸化物;硫黄;二塩化硫黄等のハロゲン化硫黄;アゾ化合物等が挙げられる。
これらのラジカル発生剤の1種を単独でまたは2種以上を併用して使用することができる。
上記ベンゾイン系化合物としては、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテ等が挙げられる。
上記チオキサントン系化合物としては、チオキサントン、2-エチルチオキサントン、2-イソプロピルチオキサントン、2-クロロチオキサントン、2,4-ジメチルチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン等が挙げられる。
上記ハロメチル化トリアジン系化合物としては、2-(4-メトキシフェニル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(4-メトキシナフチル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(4-エトキシナフチル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(4-エトキシカルボキニルナフチル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン等が挙げられる。
上記ビイミダゾール系化合物としては、2,2’-ビス(2-クロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニル-1,2’-ビイミダゾール、2,2’-ビス(2,4-ジクロロフェニル)-4,4’,5,5’ -テトラフェニル-1,2’-ビイミダゾール、2,2’-ビス(2,4,6-トリクロロフェニル)-4,4’,5,5’ -テトラフェニル-1,2’-ビイミダゾール等が挙げられる。
上記オキシムエステル系化合物としては、1,2-オクタンジオン,1-〔4-(フェニルチオ)-,2-(O-ベンゾイルオキシム)〕、エタノン,1-〔9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル〕-,1-(O-アセチルオキシム)等が挙げられる。
上記チタノセン系化合物としては、ビス(η5-2,4-シクロペンタジエン-1-イル)-ビス(2,6-ジフルオロ-3-(1H-ピロール-1-イル)-フェニル)チタニウム等のチタノセン系化合物;p-ジメチルアミノ安息香酸、p-ジエチルアミノ安息香酸等の安息香酸エステル系化合物;9-フェニルアクリジン等が挙げられる。
上記原料組成物中に有機過酸化物を含む場合の有機過酸化物の含有割合としては、上記ラジカルで架橋可能な樹脂100質量%に対して、0質量%以上であることが好ましく、より好ましくは0.1質量%以上であり、さらに好ましくは0.5質量%以上である。また、上記原料組成物中の有機過酸化物の含有割合としては、上記ラジカルで架橋可能な樹脂100%に対して、15質量%以下であることが好ましい。より好ましくは12質量%以下であり、更に好ましくは10質量%以下である。
上記ラジカル発生剤以外の架橋剤としては、特に制限されないが、例えば、p-キノンジオキシム、p,p’-ジベンゾイルキノンジオキシム、テトラクロロ-p-ベンゾキノン、ポリ-p-ジニトロベンゼン等のキノイド類;アルキルフェノール・ホルムアルデヒド樹脂、メラミンーホルムアルデヒド縮合物、トリアジン-ホルムアルデヒド縮合物、オクチルフェノール・ホルムアルデヒド樹脂、アルキルフェノール・スルフィド樹脂、ヘキサメトキシメチル・メラミン樹脂等の樹脂;ヘキサメチレンジアミンカルバメ-ト、ヘキサメチレンジアミン、トリエチレン・テトラミン、テトラエチレン・ペンタミン、4,4’-メチレンビス(シクロヘキシルアミン)カルバメ-ト、N,N’-ジシンナミリデン-1,6-ヘキサンジアミン、アンモニウムベンゾエ-ト等のアミン類;酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化鉛、酸化カルシウム等の金属酸化物;2,4,6-トリメルカプト-s-トリアジン、2-ジ-n-ブチルアミノ-4,6-ジメルカプト-s-トリアジン等のトリアジンチオール類;ビスフェノ-ルA、ビスフェノ-ルAF、ハイドロキノン、ペンタエリトリト-ル等のポリオール類等が挙げられる。
上記架橋促進助剤としては、通常用いられるものを使用することができ、具体的には、酸化亜鉛、ステアリン酸、ステアリン酸亜鉛等が挙げられる
ジエン系カルボン酸塩以外のビニル化合物としては、特に制限されないが、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、マレイン酸、クロトン酸等の不飽和カルボン酸及びこれらの亜鉛、マグネシウム等の金属塩;ジビニルベンゼンやジビニルナフタレン等の多官能芳香族ビニル化合物;トリアリルイソシアヌレート、トリメタリルイソシアヌレートなどのイソシアヌレート類;トリアリルシアヌレート等のシアヌレート類;N,N'‐m‐フェニレンジマレイミド等のマレイミド類;ジアリルフタレート、ジアリルイソフタレート、ジアリルマレエート、ジアリルフマレート、ジアリルセバケート、トリアリルホスフェート等のポリアリルエステル;ジエチレングリコールビスアリルカーボネート;エチレングリコールジアリルエーテル、トリメチロールプロパンをアリル化してなるトリアリルエーテル、ペンタエリスリトールを部分的にアリル化してなるアリルエーテル等のポリアリルエーテル類;トリメチロールプロパントリメタクリレートやトリメチロールプロパントリアクリレート等の多官能(メタ)アクリレート化合物等が挙げられる。
上記フィラーとしては、通常用いられるものを使用することができ、具体的には、カーボンブラック、シリカ等の補強性フィラー;炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、硫酸バリウム、タルク、マイカ等の非補強性フィラーが挙げられる。
その他にも、石膏繊維、ガラスバルン、シリカバルン、ハイドロタルサイト、フライアシュバルン、シラスバルン、カーボン系バルン、アルミナ、硫酸バリウム、硫酸アルミニウム、硫酸カルシウム、二硫化モリブデン、ガラス繊維、カットファイバー、ロックファイバー、ミクロファイバー、炭素繊維、芳香族ポリアミド繊維、チタン酸カリウム繊維、再生ゴム、ゴム粉末、エボナイト粉末、セラック、木粉、セルロースナノファイバー等を挙げることができる。
上記原料組成物中のフィラーの含有割合としては、上記ラジカルで架橋可能な樹脂100質量%に対して、0~500質量%であることが好ましい。より好ましくは5~300質量%であり、更に好ましくは30~200質量%である。
上記原料組成物中の成分の混合・分散や加工性を向上させるために、軟化剤・可塑剤・溶剤・加工助剤を用いてもよい。
上記軟化剤・可塑剤としては、通常用いられるものを使用することができ、具体的には、プロセスオイル、潤滑油、パラフィン、流動パラフィン、ワセリン等の石油系軟化剤、ヒマシ油、アマニ油、ナタネ油、ヤシ油等の脂肪油系軟化剤、トール油、サブ、蜜ロウ、カルナバロウ、ラノリン等のワックス類、リノール酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ラウリン酸、フタル酸エステル系化合物、ポリエステル化合物、(メタ)アクリルオリゴマー等が挙げられる。
上記溶剤としては、通常用いられるものを使用することができ、具体的には、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、シクロヘキサン、トリメチルシクロヘキサン、メチルイソブチルケトン等が挙げられる。
上記原料組成物中の軟化剤・可塑剤・溶剤等の加工助剤の合計の含有割合としては、上記ラジカルで架橋可能な樹脂100質量%に対して、0~100質量%であることが好ましい。より好ましくは5~50質量%であり、更に好ましくは10~30質量%である。
本発明の製造方法により得られる成型体の劣化等をより充分に防止するために、老化防止剤・酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤を用いてもよい。
老化防止剤・酸化防止剤として、例えば各種ヒンダードフェノール系やホスファイト系のものが挙げられる。
光安定剤としては、例えばヒンダードアミン系のものが挙げられる。
紫外線吸収剤としては例えばベンゾフエノン系、のベンゾトリアゾール系、サリチル酸エステル系のもの等が挙げられる。
上記原料組成物中の老化防止剤・酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤の合計の含有割合としては、上記ラジカルで架橋可能な樹脂100質量%に対して、0~10質量%であることが好ましい。より好ましくは0~5質量%であり、更に好ましくは0~0.53質量%である。
(7)その他の添加剤
その他の添加剤としては、通常用いられるものを使用することができ、例えば、しゃく解剤、滑材、スコーチ防止剤、着色剤、離型剤、分散剤、発泡剤、発泡助剤、難燃剤、粘着付与剤、接着増進剤、ワックス、カップリング剤、導電剤、受酸剤、上述のラジカルで架橋可能な樹脂以外の樹脂等が挙げられる。
本発明の混練工程では、上記原料組成物中の全ての成分を一度に配合して混練してもよいし、2段階以上に分けて配合・混練を行ってもよい。また、樹脂の種類等に応じて、樹脂を素練りする工程を行ってもよい。
上記混練工程では、混練機として、原料の形態や得られる成型体の用途等に応じて混合ロール、ミキサー、ニーダー、押出機等を用いることが好ましい(用いてもよい)。
上記混練工程では、多量にラジカルが発生しない温度、すなわち、ラジカルで架橋可能な樹脂において架橋反応が生じないような温度で混練されることが好ましい。上記原料組成物がラジカル発生剤を含む場合には、ラジカル発生剤が反応しない温度で混練されることが好ましい。混練温度としては樹脂の種類(融点やムーニー粘度)に応じて設定すればよいが、200℃以下であることがより好ましく、より好ましくは180℃以下であり、更に好ましくは160℃以下である。また、混練温度は通常30℃以上であることが好ましく、さらに好ましくは50℃以上である。
上記混練温度の制御は、例えば、混練する装置のロールの回転数、混練用の羽の回転数、冷却水などを制御することにより行うことが好ましい。
本発明の成型体の製造方法は、架橋処理前の組成物及び/又は架橋処理後の架橋体を成型する工程を含む。
ここで、成型とは、形状を整えることを意味し、上記成型工程では、混練工程で得られた混練組成物を、例えば、シート状、フィルム状、ペレット状、層状、棒状、球状、粒子状、紛体状、各種用途の部材状、等の形状に加工することを意味する。
上記成型には、例えば押出成型機、射出成型機、加圧成型機等の通常用いられる成型機や、金型等を用いてもよい。
本発明の成型体の製造方法は、上記混練工程後の組成物にラジカルを発生させて架橋処理を施す工程を含む。架橋処理を施す組成物は、混練工程後の組成物であれば、成型工程前の組成物であっても成型工程後の組成物であってもよい。
上記架橋処理工程において、ラジカルを発生させる方法は特に制限されず、例えば、加熱、活性エネルギー線の照射等が挙げられる。また、上記ラジカルの発生は、上述のラジカル発生剤を使用せずに、活性エネルギー線の照射のみで行ってもよい。混練工程においてラジカル発生剤を使用する場合、使用するラジカル発生剤に応じて、適宜選択すればよく、上記の方法を併用してもよい。
上記加熱温度は、ラジカルを発生させる限り特に制限されないが、100℃以上であることが好ましい。より好ましくは120℃以上であり、更に好ましくは140℃以上である。また、300℃以下であることが好ましく、より好ましくは260℃以下である。
上記加熱による架橋処理は、1段階で行ってもよく、加熱温度を変化させて2段階以上に分けて行ってもよい。
上記加熱時間は、特に制限されないが、例えば、10秒~100時間であることが好ましい。より好ましくは1分間~24時間である。
また、JIS K 6300-2:2001に準拠して、90%加硫時間を求め、これに基づき加熱時間を設定してもよい。
本発明はまた、上記式(1)で表されるアニオンと金属含有カチオンとを含む塩(ジエン系カルボン酸塩)、及び/又は、上記アニオンを生じさせる化合物及び上記金属含有カチオンを生じさせる化合物と、ラジカルにより構造中に架橋可能な活性点が生じる樹脂とを含む組成物でもある。
上記組成物は、ジエン系カルボン酸塩、上記アニオンを生じさせる化合物及び上記金属含有カチオンを生じさせる化合物、並びに、上記樹脂以外のその他の成分を含んでいてもよく、更にラジカル発生剤を含むことが好ましい。
上記組成物中の各成分については、成型体の製造方法の混練工程における原料組成物において述べたとおりである。また上記組成物中の各成分の好ましい割合についても、上記原料組成物中の各成分の好ましい割合と同様である。
本発明はまた、上記式(2)及び/又は式(3)で表される構造単位と、ラジカルにより構造中に架橋可能な活性点が生じるものであって、式(2)及び(3)で表される構造単位を有しない樹脂に由来する構造単位とを有する成型体(架橋体)でもある。
ここで架橋体とは、樹脂が三次元的に架橋されたゴム又は樹脂をいう。
ただし、ジエン系カルボン酸塩に由来する構造単位は、実際にジエン系カルボン酸塩が重合して形成された構造単位に限定されない。ジエン系カルボン酸塩が重合して形成される構造と同じ構造を有すれば、他の方法により形成させた構造単位も、ジエン系カルボン酸塩に由来する構造単位に含まれる。
上記ジエン系カルボン酸塩は、成型体の製造方法において述べたとおりである。
例えば、上記ジエン系カルボン酸塩が2-((メタ)アリルオキシメチル)アクリル酸塩である場合、該塩に由来する構造単位は、下記式(5)及び/又は(6);
その他の構造単位としては、特に制限されないが、例えば、上記成型体の製造方法におけるラジカル発生剤に由来する構造単位、ラジカル発生剤以外の架橋剤に由来する構造単位、ジエン系カルボン酸塩以外のビニル化合物に由来する構造単位等が挙げられる。
2-(アリルオキシメチル)アクリル酸イオン(AOMA-)と亜鉛イオン(Zn2+)
との塩(2-(アリルオキシメチル)アクリル酸亜鉛:AOMA-Zn)
[2-(アリルオキシメチル)アクリル酸ナトリウム水溶液の合成]
反応液中のメタノール濃度が3%を超えないよう、計84.0部の2-(アリルオキシメチル)アクリル酸メチル(AOMA-M)及び計21.3部のNaOHを12回に分割して投入し、且つメタノールを除去しながら加水分解を行った。
攪拌装置、温度センサー、ガス導入管、トの字管、冷却管、留出受器を付した反応器に、イオン交換水100.0部を仕込み、攪拌しながら、酸素/窒素混合ガス(酸素濃度7%、体積/体積)を通じつつ、オイルバスにより40℃まで昇温させた。
(1分割目の加水分解)
AOMA-M7.0部、48%NaOH水溶液3.7部(AOMA-Mに対して0.99当量)を順に投入し、5分間撹拌した後、反応器内の圧力が6.7kPaになるよう徐々に減圧し、内温が40~45℃になるようにオイルバスによる加熱を調整しながらメタノールを含む水を留出させた。留出受器の液量がおよそ27部となったところで解圧し、オイルバスを下げ加熱を中断し、留出液量を秤量した。
(2分割目の加水分解)
48%NaOH水溶液3.7部を、1分割目の留出液量と同重量のNaOH水溶液となるようにイオン交換水で希釈した。AOMA-M7.0部、NaOH水溶液を順に投入し、5分間撹拌した後、反応器内の圧力が6.7kPaになるまで徐々に減圧し、内温が40~45℃になるようにオイルバスによる加熱を調整しながらメタノールを含む水を留出させた。留出量がおよそ27部となったところで解圧し、オイルバスを下げ加熱を中断し、留出液量を秤量した。
(3分割目~12分割目の加水分解)
2分割目の加水分解と同様に操作した。
12分割目の操作が終了した反応液を室温まで冷却し、水浴で冷却しながら硫酸27.0部を1時間かけて滴下した。滴下終了後、分液漏斗に内容液を移し1時間静置した。下層の水層を捨て、上層の有機層(水を含む2-(アリルオキシメチル)アクリル酸)を分離した。
[2-(アリルオキシメチル)アクリル酸亜鉛の合成]
温度計を付した反応容器に、撹拌子、分離した有機層、酢酸エチル220.0部、6-t-ブチル-2,4-キシレノール0.05部を入れ、マグネチックスターラーで撹拌した。水浴で冷却しながら、内温が40℃を超えないように酸化亜鉛粉末21.7部を少しずつ添加した。全ての酸化亜鉛粉末を添加した後、2時間撹拌した。反応液を孔径0.45μmのフィルターで濾過し、濾液を攪拌装置、温度センサー、ガス導入管、トの字管、冷却管、留出受器を付した容器に入れ、内温が50℃を超えないよう用に加熱しながら減圧し、酢酸エチルおよび水を留去した。粘稠な内容物を温かいうちにポリ容器に移し、80.0部の2-(アリルオキシメチル)アクリル酸亜鉛を得た。
樹脂としてEPDM(JIS K 6397:2005におけるMグループ(ポリメチレンタイプの飽和主鎖を持つ原料ゴム)に分類される)を用い、下記のとおり架橋性樹脂組成物の調製、混練、成型、架橋処理を行い、成型体を得た。
(架橋性樹脂組成物の調製及び混錬)
原料の合計質量が600部となるよう、表1に示す配合比で各原料を用意し、オープンロール機(高室鉄工所社製、ロールサイズ:直径8インチ×幅18インチ)を用い、前ロール回転数18rpm、前後ロール回転比1:1.25で混練した。
JIS K 6300-2:2001「未加硫ゴム-物理特性-第2部:振動式加硫試験機による加硫特性の求め方」に準拠して、ダイ加硫試験A法(試験温度:160℃,振幅角度:±1°,振動数:1.67Hz)により、架橋性樹脂組成物の90%加硫時間を求め、これを加硫時間とした。結果を表1に示す。
設定した加硫時間、160℃でプレス成型し、15cm角、2mm厚の加硫シートを作製した。
得られた成型体の外観均一性、機械強度、密着性について下記の方法により評価した。
加硫シートの表面を目視で観察し、下記基準で外観均一性を評価した。結果を表1に示す。
○:全面的に均一で光沢あり
△:表面に白化が見られるが、光沢は部分的に残っている
×:全面的に白化が見られ、光沢がない
・デュロメータ硬さ
JIS K 6253-3:2012「加硫ゴム及び熱可塑性ゴム-硬さの求め方-第3部:デュロメータ硬さ」に準拠して、加硫シートを打抜き加工して得たダンベル状3号形のダンベル試験片を3枚積層し、タイプAデュロメータを用いてデュロメータ硬さを測定した。結果を表1に示す。
・引張強さ,切断時伸び
JIS K 6251:2010「加硫ゴム及び熱可塑性ゴム-引張特性の求め方」に準拠し、加硫シートを打抜き加工してダンベル状3号形のダンベル試験片を作製し、引張試験機を用いて引張強さ、切断時伸びを測定した。結果を表1に示す。
・引裂強さ
JIS K 6252-1:2015「加硫ゴム及び熱可塑性ゴム-引裂強さの求め方-第1部:トラウザ形,アングル形及びクレセント形試験片を用いる方法」に準拠し、加硫シートを打抜き加工して切込みなしアングル形試験片を作製し、引張試験機を用いて引裂強さを測定した。結果を表1に示す。
JIS K 6256-2:2013「加硫ゴム及び熱可塑性ゴム-接着性の求め方-第2部:剛板との90°剥離強さ」に準拠し、架橋性樹脂組成物を金属板に加硫接着(直接接着)させて試験片を作製し、引張試験機で剥離強さを測定した。加硫接着は、加硫シート作製と同じ温度・時間で行った。金属板としては、アルミ板(A1050P)、ステンレス板(SUS304)、圧延鋼板(SS400)の3種類について評価を行った。結果を表1に示す。なお、加硫接着で金属板に全く密着せず、試験片を作製できなかったものについては「試験不能」とした。
樹脂としてNBR(JIS K 6397:2005におけるRグループ(主鎖に不飽和炭素結合を持つ原料ゴム)に分類される)を用い、下記のとおり架橋性樹脂組成物の調製、混練、成型、架橋処理を行い、成型体を得た。
(架橋性樹脂組成物の調製及び混錬)
原料の合計質量が600部となるよう、表2に示す配合比で各原料を用意した。ニーダー(ナニワ機械製造社製)を用い、架橋剤と共架橋剤と加硫促進剤以外の原料を前ブレード回転数50rpm、前後ブレード回転比1.6:1.3、缶体温度110℃、混練時間20分の条件で混練した。次にオープンロール機(池田機械工業社製、ロールサイズ:直径6インチ×幅15インチ)を用い、ニーダーで混練した樹脂組成物、架橋剤、共架橋剤を、前ロール回転数19rpm、前後ロール回転比1:1.25で混練した。
上記実施例1~3、比較例1~3と同様にして加硫シートの作製を行った。
(物性評価)
得られた成型体について、上記実施例1~3、比較例1~3と同様にして外観均一性、機械強度、密着性を評価した。結果を表2に示す。
樹脂:
エチレン・プロピレン・ジエンゴム(EPDM)、JSR社製、EP21(中ENB)
中高ニトリルNBR(中高NBR)、JSR社製、N230S(中高ニトリル)
低ニトリルNBR(低NBR)、JSR社製、N250S(低ニトリル)
充填剤:
カーボンブラック(CB)、旭カーボン社製、HAFカーボンブラック
シリカ(SiO2)、東ソー・シリカ社製
軟化・可塑剤:
ナフテン系オイル(NOL)、JXTGエネルギー社製
フタル酸ジ2-エチルヘキシル(DOP)、新日本理化社製
架橋剤:
ジクミルパーオキサイド(DCPO)、日油社製、パークミルD-40
架橋促進・促進助剤:
酸化亜鉛II種(ZnO)、ハクスイテック社製
ステアリン酸(STA)、日油社製
共架橋剤:
合成例1で得られたジエン系カルボン酸塩(AOMA-Zn)
アクリル酸亜鉛(ZnDA)、日触テクノファインケミカル社製
メタクリル酸亜鉛(ZnDMA)、日触テクノファインケミカル社製
Claims (7)
- 下記式(1);
該混練工程後の組成物にラジカルを発生させて架橋処理を施す工程と、
該架橋処理前の組成物及び/又は架橋処理後の架橋体を成型する工程とを含むことを特徴とする成型体の製造方法。 - 前記組成物は、更にラジカル発生剤を含むものであることを特徴とする請求項1に記載の成型体の製造方法。
- 前記樹脂は、ゴム及び/又は熱可塑性樹脂を含むものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の成型体の製造方法。
- 前記金属含有カチオンは、金属イオンであることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の成型体の製造方法。
- 下記式(1);
- 前記組成物は、更にラジカル発生剤を含むものであることを特徴とする請求項5に記載の組成物。
- 下記式(2)及び/又は式(3);
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