JP2023048437A - 絶縁電線、ワイヤーハーネス、および絶縁電線の製造方法 - Google Patents

絶縁電線、ワイヤーハーネス、および絶縁電線の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】シリコーン樹脂を含む材料より構成され、高い耐油性を有する絶縁被覆を備えた絶縁電線、およびそのような絶縁電線を含むワイヤーハーネス、またそのような絶縁電線の製造方法を提供する。【解決手段】電線導体2と、架橋高分子材料より構成され、前記電線導体2の外周を被覆する絶縁被覆3と、を有し、前記架橋高分子材料は、金属イオンと、前記金属イオンとイオン結合を形成可能な置換基を側鎖に含むシリコーン樹脂と、を含み、前記シリコーン樹脂は、前記置換基と前記金属イオンとの間のイオン結合によって架橋体を構成している、絶縁電線1とする。熱によって前記金属イオンが遊離する金属化合物と、前記シリコーン樹脂と、を含有する架橋性高分子組成物を、前記電線導体2の外周に配置したうえで、加熱によって、前記架橋性高分子組成物から前記架橋体を形成して、前記架橋高分子材料よりなる前記絶縁被覆3を作製し、前記絶縁電線1を製造する。【選択図】図1

Description

本開示は、絶縁電線、ワイヤーハーネス、および絶縁電線の製造方法に関する。
絶縁電線において、電線導体を被覆する絶縁被覆として、シリコーン樹脂が用いられる場合がある。シリコーン樹脂はしばしば高分子鎖間を架橋して用いられ、耐熱性、柔軟性等の特性に優れたものとなる。例えば、下記の特許文献1に、耐熱性等の特性に優れた絶縁電線として、架橋されたシリコーン樹脂を含む材料より構成された絶縁被覆を有するものが、開示されている。ここでは、シリコーン樹脂の架橋は、有機過酸化物等の架橋剤を用いて、形成されている。絶縁被覆が高い耐熱性を有することは、特に、自動車内部等、高温になりやすい環境に配置する絶縁電線において、重要となる。
特開2014-65777号公報 国際公開第2011/074620号 特開平6-41436号公報 特開2011-256253号公報 特開平7-11139号公報
上記のように、架橋されたシリコーン樹脂を含む材料より絶縁被覆を構成することで、耐熱性、柔軟性等、自動車用をはじめとする絶縁電線において望まれる特性を満たすことができる。しかし、従来一般の、有機過酸化物等の有機化合物によって架橋したシリコーン樹脂は、耐油性があまり高くなく、オイルやガソリン等の油に接触すると、膨潤を起こしやすい。自動車内等、オイルやガソリン等の油との接触が想定される箇所に使用される絶縁電線においては、高い耐油性を有することが、耐熱性等とともに望まれる。
以上に鑑み、シリコーン樹脂を含む材料より構成され、高い耐油性を有する絶縁被覆を備えた絶縁電線、およびそのような絶縁電線を含むワイヤーハーネス、またそのような絶縁電線の製造方法を提供することを課題とする。
本開示にかかる絶縁電線は、電線導体と、架橋高分子材料より構成され、前記電線導体の外周を被覆する絶縁被覆と、を有し、前記架橋高分子材料は、金属イオンと、前記金属イオンとイオン結合を形成可能な置換基を側鎖に含むシリコーン樹脂と、を含み、前記シリコーン樹脂は、前記置換基と前記金属イオンとの間のイオン結合によって架橋体を構成している。
本開示にかかるワイヤーハーネスは、前記絶縁電線を含む。
本開示にかかる絶縁電線の製造方法は、熱によって前記金属イオンが遊離する金属化合物と、前記シリコーン樹脂と、を含有する架橋性高分子組成物を、前記電線導体の外周に配置したうえで、加熱によって、前記架橋性高分子組成物から前記架橋体を形成して、前記架橋高分子材料よりなる前記絶縁被覆を作製し、前記絶縁電線を製造する。
本開示にかかる絶縁電線、ワイヤーハーネス、および絶縁電線の製造方法は、シリコーン樹脂を含む材料より構成され、高い耐油性を有する絶縁被覆を備えた絶縁電線、およびそのような絶縁電線を含むワイヤーハーネス、またそのような絶縁電線の製造方法となる。
図1は、本開示の一実施形態にかかる絶縁電線の構造を示す斜視図である。 図2は、本開示の一実施形態にかかるワイヤーハーネスの構造を示す側面図である。
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
本開示にかかる絶縁電線は、電線導体と、架橋高分子材料より構成され、前記電線導体の外周を被覆する絶縁被覆と、を有し、前記架橋高分子材料は、金属イオンと、前記金属イオンとイオン結合を形成可能な置換基を側鎖に含むシリコーン樹脂と、を含み、前記シリコーン樹脂は、前記置換基と前記金属イオンとの間のイオン結合によって架橋体を構成している。
本開示にかかる絶縁電線においては、絶縁被覆が、シリコーン樹脂の架橋体を含む架橋高分子材料より構成されている。従来一般の架橋シリコーン樹脂においては、シリコーン樹脂の高分子鎖が、有機過酸化物等、有機物より構成される架橋剤によって架橋されているため、油との親和性が高く、架橋体の網目に油成分が取り込まれやすい。これに対し、本実施形態にかかる絶縁電線においては、絶縁被覆を構成するシリコーン樹脂が、側鎖に金属イオンとイオン結合を形成可能な置換基を含み、この置換基と金属イオンとの間のイオン結合によって架橋されている。よって、架橋部位が、無機的性質を帯びたものとなり、油との親和性が低くなる。その結果、架橋体の網目に油成分が取り込まれにくくなり、絶縁被覆が高い耐油性を示すものとなる。この架橋高分子材料よりなる絶縁被覆は、シリコーン樹脂と、熱によって金属イオンを遊離する金属化合物とを含む組成物を、押出成等によって電線導体の外周に配置するとともに、加熱によって金属イオンを遊離させ、シリコーン樹脂の置換基との間にイオン結合を形成させて架橋体を構成することで、簡便に製造することができる。
ここで、前記架橋高分子材料は、前記架橋体に加えて、極性を有する微粒子を含んでいるとよい。非架橋の状態のシリコーン樹脂に極性を有する微粒子を添加することで、微粒子が成形助剤として機能する。その結果、非架橋のシリコーン樹脂が低粘度である場合でも、微粒子を添加することで、粘度が高められ、あるいはチキソトロピー性が付与され、押出成形等によって、シリコーン樹脂を電線導体の外周に配置する操作を行いやすくなる。
この場合に、前記微粒子は、シリカ、金属酸化物、粘土鉱物、セルロース、フッ素樹脂、カーボンの少なくとも1種を含有しているとよい。これらの微粒子は、成形助剤として高い機能を示す。
特に、前記微粒子は、ヒュームドシリカ微粒子であるとよい。ヒュームドシリカは、成形助剤としてシリコーン樹脂を含む組成物の粘度の向上に高い効果を示す。
前記微粒子の平均粒径は、5nm以上、100nm以下であるとよい。すると、微粒子が、シリコーン樹脂を含む組成物を、押出成形等による電線導体の外周への成形に適した粘度を有するものとしやすい。
前記架橋高分子材料は、前記シリコーン樹脂100質量部に対して、1質量部以上、100質量部以下の前記微粒子を含有しているとよい。すると、微粒子が、組成物の粘度の向上に高い効果を示すとともに、シリコーン樹脂の架橋を経て得られる架橋高分子材料において、多量の微粒子の含有による材料特性への影響が生じにくい。
前記シリコーン樹脂は、150℃以下に流動開始温度を有するとよい。すると、シリコーン樹脂を高温にまで加熱しなくても、金属イオン源となる金属化合物等とともに混練して、押出成形等により、電線導体の外周に配置可能な状態とできる。
前記シリコーン樹脂に含まれる前記置換基は、カルボン酸基、酸無水物基、リン酸基のうちの少なくとも1種より生じるアニオン性基であるとよい。これらの置換基は、金属イオンとイオン結合を形成しやすい。また、比較的極性の低い酸性基であることから、シリコーン樹脂の主鎖や側鎖に対して、相分離を起こしにくく、空間的均一性の高い架橋構造を形成することができる。
前記シリコーン樹脂において、前記置換基は、炭素数1以上のアルキル基またはアルキレン基を介して、主鎖に結合されているとよい。すると、架橋体の形成における主鎖の影響を低減し、架橋構造を、十分に、また均一に形成しやすくなる。
前記シリコーン樹脂は、主鎖中に金属イオンとイオン結合を形成可能な部位を含まないものであるとよい。すると、主鎖中のイオン結合を形成可能な部位との競合により、側鎖の置換基が金属イオンとイオン結合を形成するのを妨げられる事態が、起こらない。主鎖中の置換基は、金属イオンとの間に安定な架橋構造を形成しにくい。
前記シリコーン樹脂の主鎖は、オルガノポリシロキサン鎖であるとよい。すると、シリコーン樹脂の側鎖における架橋に、主鎖が影響を与えにくい。
前記金属イオンは、β-ジケトナト配位子またはアルコキシド配位子との間に、熱によって金属イオンとして遊離可能な状態で、金属錯体を構成しうるものであるとい。β-ジケトナト配位子およびアルコキシ配位子は、金属イオンを安定化する効果に優れる。よって、シリコーン樹脂を架橋させる前の段階で、金属イオンが遊離しない状態に金属錯体を安定に保持し、意図しない架橋の進行を抑制することができる。
この場合に、前記金属イオンは、50℃以上300℃以下での加熱で、前記金属錯体から金属イオンとして遊離可能であるとよい。すると、シリコーン樹脂と金属錯体を含む組成物中で、シリコーン樹脂を架橋させる前の状態において、金属イオンが遊離しない状態に金属錯体を安定に保持し、意図しない架橋の進行を抑制することができる。一方で、意図してシリコーン樹脂の架橋を行う際には、それほど高温にまで加熱しなくても、金属イオンを遊離させ、シリコーン樹脂を架橋させることができる。
前記金属イオンは、アルカリ土類金属、アルミニウム、亜鉛、チタン、ジルコニウムのうちの少なくとも1種のイオンであるとよい。これらの金属のイオンは、いずれも、シリコーン樹脂の高分子鎖の間に、安定な架橋構造を形成しやすく、架橋体を構成するための金属として適している。
前記金属イオンは、アルミニウムおよびジルコニウムの少なくとも1種のイオンであるとよい。それらの金属イオンは、シリコーン樹脂の置換基との間に特に安定な架橋構造を形成しやすい。また、架橋前の比較的低温の状態では、金属イオンとして遊離していない金属化合物の状態に、安定に保持されやすい。
前記架橋高分子材料は、前記シリコーン樹脂100質量部に対して、前記金属イオンを0.03質量部以上、10質量部以下含有するとよい。すると、十分な量の金属イオンが含有されることで、架橋密度が高くなり、耐熱性の向上等、シリコーン樹脂の架橋による特性向上の効果が高くなる。一方で、架橋前および架橋後の材料において、多量の金属成分が含有されることの影響を避けやすい。
前記架橋高分子材料は、不可避的成分を除いて、前記シリコーン樹脂が、前記置換基と前記金属イオンとの間のイオン結合を介さずに架橋された成分を含有しないとよい。すると、架橋高分子材料において、シリコーン樹脂の高分子鎖の間の架橋箇所を金属イオンとのイオン結合によって構成することによる耐油性向上効果を、顕著に得ることができる。
本開示にかかるワイヤーハーネスは、前記絶縁電線を含むものである。ワイヤーハーネスを構成する絶縁電線の絶縁被覆が、金属イオンとイオン結合を形成可能な置換基を側鎖に含むシリコーン樹脂が、その置換基と金属イオンとの間のイオン結合によって架橋された架橋体を含む架橋高分子材料より構成されていることにより、高い耐油性を有するものとなる。そのため、ワイヤーハーネスにおいても、その高い耐油性をワイヤーハーネスの特性として利用することができる。
本開示にかかる絶縁電線の製造方法においては、熱によって前記金属イオンが遊離する金属化合物と、前記シリコーン樹脂と、を含有する架橋性高分子組成物を、前記電線導体の外周に配置したうえで、加熱によって、前記架橋性高分子組成物から前記架橋体を形成して、前記架橋高分子材料よりなる前記絶縁被覆を作製し、前記絶縁電線を製造する。本製造方法においては、金属イオンとイオン結合を形成可能な置換基を側鎖に含むシリコーン樹脂を、金属イオンとのイオン結合を介して架橋するため、架橋箇所が無機的性質を帯び、油に対して高い親和性を示さないものとなり、高い耐油性を有する絶縁被覆を形成することができる。さらに、本製造方法においては、架橋のための金属イオンが、熱による金属化合物からの遊離によって供給されるため、未架橋の状態の架橋性高分子組成物の調製、また電線導体の外周への配置と、架橋体の形成の一連の工程を、簡便に行うことができる。
[本開示の実施形態の詳細]
本開示の実施形態にかかる絶縁電線、ワイヤーハーネスおよび絶縁電線の製造方法について、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本開示はこれらの実施形態に限定されるものではない。
<絶縁電線およびワイヤーハーネスの概略>
本開示の一実施形態にかかる絶縁電線1の構造を図1に示す。絶縁電線1は、電線導体2と、電線導体2の外周を被覆する絶縁被覆3と、を有している。絶縁被覆3は、後に説明する架橋高分子材料より構成されている。
絶縁電線1の電線導体2は、その導体径や材質などを特に限定されるものではなく、絶縁電線1の用途などに応じて適宜選択することができる。電線導体2を構成する材料としては例えば、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金などの金属材料が挙げられる。電線導体2は、単線より構成されてもよいが、柔軟性の確保等の観点から、複数の素線を撚り合わせた撚線として構成されることが好ましい。
本開示の実施形態にかかるワイヤーハーネスは、本開示の実施形態にかかる絶縁電線1を含むものであれば、特に具体的な構成を限定されるものではないが、一例となるワイヤーハーネス5の構造を図2に示す。図2に示すように、ワイヤーハーネス5は、絶縁電線51の端末部に、接続端子(不図示)を含んだコネクタ52が設けられたものである。ワイヤーハーネス5において、絶縁電線51が複数束ねられていてもよく、この場合に、絶縁電線51を束ねる外装材として、テープ53を用いることができる。ワイヤーハーネス5を構成する絶縁電線51の少なくとも1本、好ましくは全てが、本開示の実施形態にかかる絶縁電線1より構成される。
本開示の実施形態にかかる絶縁電線1およびワイヤーハーネス5の用途は、特に限定されるものではないが、自動車内に使用されることが好ましい。後に説明するように、本実施形態にかかる絶縁電線1の絶縁被覆3を構成する架橋高分子材料は、シリコーン樹脂が金属イオンによって架橋された架橋体を含んでおり、耐熱性や柔軟性、さらに耐油性に優れている。自動車内には、高温になる箇所が多く、さらにはガソリンやオイルとの接触も想定されるが、本実施形態にかかる絶縁電線1やワイヤーハーネス5をそのような環境に配置することで、絶縁被覆3を構成する架橋高分子材料が有する特性を、効果的に利用することができる。
<絶縁被覆の構成材料>
次に、本開示の実施形態にかかる絶縁電線1の絶縁被覆3を構成する架橋高分子材料について説明する。絶縁被覆3を構成する架橋高分子材料は、シリコーン樹脂と、金属イオンを含んでいる。シリコーン樹脂は、側鎖に、金属イオンとイオン結合を形成可能な置換基を含んでいる。本架橋高分子材料においては、シリコーン樹脂の側鎖の置換基と、金属イオンとの間にイオン結合が形成され、そのイオン結合によってシリコーン樹脂が架橋されて、架橋体を構成している。つまり、シリコーン樹脂の高分子鎖が、金属イオンを介して架橋されている。なお、本明細書において、金属イオンとの語は、遊離している金属イオンのみならず、金属イオンが負電荷を有する構造との間にイオン結合を形成している状態も指すものとする。本架橋高分子材料は、シリコーン樹脂と金属イオンから構成された架橋体に加えて、後に説明する極性微粒子等の添加成分を適宜含んでいてもよい。
本実施形態において、絶縁被覆3を構成する本架橋高分子材料は、シリコーン樹脂が架橋されて、三次元的な網目構造を形成しているものであることから、従来一般の架橋シリコーン樹脂と同様に、耐熱性、柔軟性等の特性に優れたものとなる。本架橋高分子材料においては、架橋構造が、共有結合ではなく、イオン結合を介して形成されているが、イオン結合による結合力は、架橋体の耐熱性や機械的な強靭性を向上させるのに十分なものであり、さらに、高い柔軟性を与えるものとなる。一方で、本架橋高分子材料は、シリコーン樹脂における架橋構造が、金属イオンを介したイオン結合によって構成されたものであることにより、従来一般の架橋シリコーン樹脂とは異なり、高い耐油性を示す。有機過酸化物等、有機化合物よりなる架橋剤によってシリコーン樹脂の高分子鎖が架橋された従来一般の架橋シリコーン樹脂においては、架橋部位の有機性が高いため、同じ有機物であるガソリンやオイル等の油との親和性が高くなり、長期間それらの物質と接触すると、架橋構造の網目構造に、油の分子が取り込まれやすい。これに対し、本架橋高分子材料においては、架橋箇所が、金属イオンを含むイオン結合で構成されており、無機的な性質を強く帯びているため、ガソリンやオイル等の油との親和性が低くなり、網目構造に油成分が取り込まれにくい。よって、本架橋高分子材料は、高い耐油性を示すものとなる。
本架橋高分子材料においては、十分な耐油性を確保する観点から、耐油体積膨張率が、60%以下、さらには40%以下、20%以下に抑えられていることが好ましい。また、耐燃料体積膨張率が、40%以下、さらには20%以下に抑えられていることが好ましい。ここで、耐油体積膨張率および耐燃料体積膨張率は、JIS K 6258に準拠した耐液性試験によって評価されるものであり、耐油体積膨張率については150℃のATFオイル(自動変速機用オイル)に72時間浸漬後、耐燃料体積膨張率についてはイソオクタンに24時間浸漬後の材料の体積膨張率を評価する。耐油体積膨張率および耐燃料体積膨張率には特に下限は設けられないが、現実的に得られる架橋高分子材料においては、いずれもおおむね1%以上である。
本架橋高分子材料の有すべき物性は、特に指定されるものではなく、用いるシリコーン樹脂や金属イオン、その他の添加成分の種類や含有量等を選択することで、絶縁電線の用途等に応じて、適宜設定すればよい。例えば、絶縁被覆として十分な機械的強度を確保する観点から、架橋高分子材料は、デュロメータA硬度で10以上、さらには20以上の硬度、また0.1MPa以上、さらには0.5MPa以上の引張弾性率を有するものであるとよい。一方で、絶縁電線として十分に高い柔軟性を確保する観点から、デュロメータA硬度で90以下、さらには80以下の硬度、また50MPa以下、さらには15MPa以下の引張弾性率を有するものであるとよい。
一般に、イオン結合は可逆性を有しており、イオン結合を介した架橋構造が形成された本架橋高分子材料が高温への加熱を受けると、イオン結合点の非局在化が起こって、架橋高分子材料が軟化または流動化し、絶縁被覆3において所定の物性や形状を維持できなくなる可能性がある。このような事態を避け、絶縁被覆3の耐熱性を高める観点から、架橋体の流動開始温度(融点または流動点)が、150℃以上、さらには180℃以上であることが好ましい。一方で、絶縁被覆3の再成形等、架橋高分子材料の軟化や流動化を積極的に利用したい場合には、架橋体の流動開始温度を300℃以下、さらには250℃以下としておけばよい。
本実施形態にかかる絶縁被覆3を有する絶縁電線1は、金属イオン源となる金属化合物と、側鎖に金属イオンとイオン結合を形成可能な置換基を含むシリコーン樹脂とを含む架橋性高分子組成物を、電線導体2の外周に配置したうえで、金属イオンによるシリコーン樹脂の架橋を進行させて、架橋性高分子組成物から架橋体を形成して、架橋高分子よりなる絶縁被覆3を作製することで、製造できる。ここで、金属化合物として、後に説明する金属錯体等、熱によって所望の金属イオンが遊離する金属化合物を用いれば、架橋性高分子組成物を加熱し、金属イオンを遊離させることで、簡便に架橋を進行させ、絶縁被覆3を形成することができる。なお、本明細書においては、架橋後の高分子材料を、架橋高分子材料と称し、架橋前の原料組成物を架橋性高分子組成物と称して区別している。
架橋性高分子組成物の加熱による架橋は、各成分を混合した架橋性高分子組成物を、押出成形等によって電線導体2の外周に配置する操作と並行して行っても、架橋性高分子組成物を未架橋の状態で電線導体2の外周に配置したうえで、行ってもよい。絶縁被覆3を形成する工程の簡素性の観点から、架橋性高分子組成物の電線導体2の外周への配置と並行して、架橋を進行させるとよい。加熱によって金属イオンを遊離させない状態では、架橋反応は進行しないので、金属化合物とシリコーン樹脂を含む架橋性高分子組成物を加熱せずに扱えば、意図しない架橋を避けて、組成物の調製や保存を安定に行うことができる。以下、架橋高分子材料の各構成成分について詳細に説明する。
(1)シリコーン樹脂
まず、本架橋高分子材料においてベース樹脂となるシリコーン樹脂について説明する。
本実施形態において、絶縁被覆3を構成する架橋高分子材料の主材料は、側鎖に金属イオンとイオン結合を形成可能な置換基を含むシリコーン樹脂である。置換基の種類としては、架橋高分子材料に含まれる金属イオンとイオン結合を形成可能なものであれば、特に限定されない。置換基は、架橋前のシリコーン樹脂においては中性基であり、架橋体においては、負電荷を帯びたアニオン性基となっていることが好ましい。特に好ましくは、置換基は、架橋前のシリコーン樹脂では中性の電子求引性基であり、架橋体においては、それら電子求引性基よりプロトンを放出して生じるアニオン性基であるとよい。電子求引性基(以下、アニオン性基となったものも含む)は、金属イオンとの間に、安定したイオン結合を形成することができ、シリコーン樹脂を金属イオンによって架橋させた際に、架橋構造が安定に形成され、架橋体が高い耐熱性および耐油性を示すものとなりやすい。
金属イオンとイオン結合を形成可能な電子求引性の置換基としては、カルボン酸基、酸無水物基、リン酸基など、水酸基以外の酸性基を、好適に例示することができる。特に、カルボン酸基および酸無水物基を好適に採用することができる。置換基は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、上記で列挙した置換基のうちの少なくとも1種であるとよい。上記で列挙した置換基は、金属イオンとイオン結合を形成しやすい点において優れている。また、上記で列挙した置換基はいずれも、比較的極性の低い酸性基であることから、シリコーン樹脂の主鎖や側鎖に対して、相分離を起こしにくく、シリコーン樹脂の組織の中で、均一性高く、架橋構造を形成することができる。例えばスルホン酸基も、金属イオンとイオン結合を形成しやすい電子求引性の置換基であるが、極性が高いため、相分離を起こしやすく、上記で好適なものとして列挙した置換基ほどは、シリコーン樹脂に含まれる置換基として好適に採用することができない。
シリコーン樹脂においては、上でも説明したとおり、金属イオンとイオン結合を形成する置換基が、高分子主鎖ではなく、側鎖に含まれることにより、架橋構造を形成した際に、無機的性質の強い架橋構造を、主鎖の影響を抑制して安定に形成することができ、架橋高分子材料において高い耐油性が得られやすくなる。また、側鎖に架橋構造が形成されることで、架橋箇所が高い運動の自由度を維持し、架橋体が柔軟性に優れた材料となる。側鎖の種類および長さは、特に限定されるものではないが、それらの効果を高める観点から、シリコーン樹脂は、有機側鎖に置換基が導入されたものであるとよい。つまり、金属イオンとイオン結合を形成可能な置換基を側鎖に有するオルガノポリシロキサンであるとよい。特に好ましくは、炭素数1以上のアルキル基またはアルキレン基を介して、置換基を主鎖に結合したものであるとよい。あるいは、酸素原子等のヘテロ原子を介して、置換基を主鎖に結合したものであってもよい。置換基は、側鎖の末端に導入されていても、中間部に導入されていてもよいが、架橋箇所の安定性および運動自由度を効果的に高める観点から、末端に導入されていることが好ましい。側鎖の炭素数の上限は特に限定されないが、主鎖による架橋箇所への影響を小さく抑える観点から、主鎖と置換基の間をつなぐ炭素の数が、4以下であるとよい。
シリコーン樹脂において、電子求引性置換基等、金属イオンとイオン結合を形成可能な部位は、側鎖にさえ含まれていれば、主鎖(末端部を含む;以下においても同様)にも含まれていても、主鎖には含まれていなくても、いずれでもかまわない。当該部位を含まない主鎖としては、-Si-O-構造のみを含むポリシロキサン鎖を好適に例示することができる。当該部位を含む主鎖としては、ポリシロキサン鎖よりなるユニットと、電子求引性基を有するモノマーを含む重合体よりなるユニットとを含んだブロック共重合体や、ポリシロキサン鎖の末端に電子求引性置換基を含む構造を例示することができる。しかし、主鎖には、金属イオンとイオン結合を形成可能な部位が含まれない方が好ましい。主鎖中にそのような部位が含まれると、側鎖の置換基が金属イオンとのイオン結合によって架橋構造を形成するのを妨げてしまう可能性があるからである。主鎖中にイオン結合を形成可能な部位が含まれていても、大きな立体障害を受けやすいため、金属イオンとのイオン結合の形成による架橋に有効に寄与しにくく、架橋によって、耐油性を高く保ちながら、耐熱性等の材料特性を向上させる効果に乏しい。さらに、金属イオンとのイオン結合を形成可能な部位が、カルボニル基のように、共鳴構造を形成しうるものである場合には、そのような部位が主鎖中に存在すると、共鳴に主鎖が関与するため、架橋体の均一性が低くなりやすい。
主鎖としては、-Si-O-構造のみを含むポリシロキサン鎖を採用することが最も好適であり、そのようなポリシロキサン鎖に側鎖として有機基が結合されたオルガノポリシロキサンに、さらに金属イオンとイオン結合を形成可能な置換基を側鎖に導入したものを、シリコーン樹脂として最も好適に採用することができる。主鎖がポリシロキサン鎖である場合には、主鎖が、側鎖における架橋点の形成に影響を与えにくく、側鎖における架橋によってもたらされる高い耐熱性や耐油性が、架橋体全体の特性として、顕著に現れることになる。
シリコーン樹脂において、金属イオンとの間にイオン結合を形成可能な置換基の含有量は、特に限定されるものではないが、架橋による物性確保などの観点から、シリコーン樹脂の全質量に対して、0.05質量%以上、10質量%以下であることが好ましい。より好ましくは0.1質量%以上、5質量%以下であるとよい。シリコーン樹脂における上記置換基の含有量は、赤外吸収スペクトルの置換基特有ピークの大きさを、含有量既知材料のスペクトルピークの大きさと比較することにより求めることができる。
シリコーン樹脂は、150℃以下に流動開始温度(融点または流動点)を有するものであることが好ましい。つまり、150℃以下で液状であることが好ましい。さらには、室温にて液状であるとよい。すると、シリコーン樹脂と金属イオン源としての金属化合物を含む架橋性高分子組成物を調製し、押出成形等によって電線導体2の外周に配置する際に、それほど高温まで加熱しなくても、各成分の混合、混練、および組成物の成形を簡便に行うことができる。また、架橋性高分子組成物中において、シリコーン樹脂の流動性が高くなった状態で、金属イオン源の金属化合物と混合することで、金属化合物がシリコーン樹脂中で良分散され、加熱による架橋を経て、架橋点が均一性高く分布した架橋体を形成できる。なお、シリコーン樹脂が流動開始温度を比較的低温に有することで、組成物を押出成形等によって成形する際に、組成物の粘度が低いことで、成形を円滑に行えない場合が生じうる。そのような場合には、後に説明する極性微粒子の添加等により、組成物の粘度を向上させておけばよい。
(2)金属成分
次に、本架橋高分子材料においてシリコーン樹脂を架橋する金属イオン、および架橋前の架橋性高分子組成物に含まれ、金属イオン源となる金属化合物について、説明する。
シリコーン樹脂の架橋に用いる金属イオンの金属種は、特に限定されるものではないが、アルカリ土類金属、アルミニウム、亜鉛、チタン、ジルコニウムなどを好適に用いることができる。用いる金属イオンは、これらの金属のうちの少なくとも1種のイオンであるとよい。これらの金属のイオンは2価以上の価数を有し、シリコーン樹脂の置換基との間にイオン結合を形成することで、シリコーン樹脂の高分子鎖の間に、安定な架橋構造を形成しやすい。さらに、上で列挙した金属は、HSAB則で硬い酸に属するとともに、イオン化傾向の比較的高い金属であることからも、シリコーン樹脂の置換基との間に安定な結合を形成するものとなり、架橋体を構成するための金属として適している。
上記で列挙した金属種の中でも、特にアルミニウムおよびジルコニウムが、架橋体を構成するための金属として適している。よって、用いる金属イオンは、アルミニウムおよびジルコニウムの少なくとも1種のイオンであるとよい。アルミニウムまたはジルコニウムを含む金属錯体等の金属化合物は、ある程度高い安定性を有し、架橋前の組成物において、金属イオン源として、シリコーン樹脂と混合した際に、容易には架橋構造の形成が進行せず、架橋前の組成物が、調製時や保存時の安定性の高いものとなる。一方で、それら金属化合物を加熱すれば、金属イオンが比較的簡単に遊離され、シリコーン樹脂と架橋体を構成する。金属化合物からの金属の遊離は、金属化合物の分解または相転移を伴って起こるが、例えば、後の実施例にも示すように、ジルコニウム(IV)アセチルアセトナート(Zr-AA)の相転移開始温度(示差走査熱量測定(DSC)によるベースライン変化開始温度)は、180℃と、各種のアセチルアセトナト錯体の中で、高温となっている。一方、アルミニウム(III)アセチルアセトナートについては、相転移開始温度は112℃とそれほど高くないが、この化合物は相転移開始からの熱量の変化がなだらかに起こるという特徴を有し、顕著な熱量の変化は170℃付近で起こる。つまり170℃付近の比較的高い温度になると、相転移、およびそれに伴う金属イオンの遊離が顕著に進行する。
さらに、金属イオンとして、アルミニウムおよびジルコニウムのイオンを用いた場合に、架橋体の流動開始温度が、例えばチタンを用いた場合よりも高くなり、架橋高分子材料が、耐熱性に優れたものとなる。アルミニウムおよびジルコニウムは、チタンのように容易には酸化されないため、酸化経路の存在によって架橋構造の形成および維持の効率が低下する事態が起こりにくいためである。さらに、アルミニウムおよびジルコニウムを用いる場合には、酸化により著しく安定化されるチタンとは異なり、架橋に関与できるイオン結合点合が多くなるため、架橋体における極性が高くなり、チタンを用いる場合よりも高い耐油性が得られる。また、カルシウム等のアルカリ土類金属と比較すると、アルミニウムおよびジルコニウムは、酸としての硬さが、アルカリ土類金属ほどは高くないため、シリコーン樹脂の中で均一性高く分散しやすい。さらに、亜鉛と比較すると、アルミニウムおよびジルコニウムの方が、金属錯体等の金属化合物の分解温度が高くなりやすく、組成物の調製時や保存時の安定性を高めるものとなる。
また、絶縁電線1において、絶縁被覆3を構成する架橋高分子材料中に含まれる金属種が、電線導体2の主成分である金属種と同一であれば、電線導体2と絶縁被覆3の間の界面において、絶縁被覆3における架橋構造の形成や安定保持に対して、電線導体2の存在によって生じる影響を小さく抑えやすい。例えば、電線導体2がアルミニウムまたはアルミニウム合金よりなる場合に、絶縁被覆3において、シリコーン樹脂の架橋に用いる金属イオンを、アルミニウムとしておけばよい。
アルミニウムおよびジルコニウムをはじめとして、上で好ましいものとして列挙した金属種に限らず、シリコーン樹脂の側鎖に含まれる置換基との間にイオン結合を形成することでシリコーン樹脂を架橋できるものであれば、任意の金属種を適用することができる。また、シリコーン樹脂の架橋に用いる金属イオンは、金属の単原子イオンである場合のみならず、金属原子と他の原子が結合してなる多原子イオン(含金属イオン)であってもよい。しかし、シリコーン樹脂の側鎖の置換基との間に安定なイオン結合を形成する観点から、金属の単原子イオンである方が好ましい。多原子イオンのうち、有機部を含むものは、架橋体の耐油性向上の観点から好ましくない。
シリコーン樹脂を架橋する金属イオンは、どのような形態および起源で、架橋高分子材料に導入されてもよいが、金属イオン源として、熱によって金属イオンが遊離する金属化合物の形で、架橋前の架橋性高分子組成物に含有されることが好ましい。ここで、熱によってとは、加熱することを想定したものであり、常温よりも高い温度を想定している。金属イオンが遊離するとは、金属化合物が分解あるいは相転移することで金属化合物から金属イオンが放出されることをいう。
金属イオン源となる金属化合物は、50℃以上での加熱により、金属イオンを遊離させるものであることが好ましい。つまり、金属化合物が、50℃以上に分解点または相転移点を有することが好ましい。すると、架橋性高分子組成物の調製時や架橋性高分子組成物の使用前(架橋前)には、金属化合物からの金属イオンの遊離が抑えられ、シリコーン樹脂の架橋の進行が抑えられることにより、架橋性高分子組成物が保存安定性に優れたものとなる。つまり、50℃未満等の低い温度で、金属化合物とシリコーン樹脂を混合して架橋性高分子組成物を調製する際や、調製した架橋性高分子組成物を保存する際、また押出成形等によって架橋性高分子組成物を電線導体2の外周に配置する際に、金属化合物からの意図しない金属イオンの遊離、およびそれに伴うシリコーン樹脂の架橋等、架橋性高分子組成物の品質劣化が起こりにくい。金属化合物が60℃以上、さらには70℃以上に分解点または相転移点を有すると、保存安定性向上の効果が、さらに高くなる。
一方、金属化合物は、300℃以下での加熱により、金属イオンを遊離させるものであることが好ましい。つまり、金属化合物が、300℃以下に分解点または相転移点を有することが好ましい。すると、金属化合物から金属イオンが遊離するよりも低い温度で、シリコーン樹脂が変質を起こす事態が生じにくく、変質のないシリコーン樹脂を金属イオンによって架橋しやすくなる。また、適度な温度の加熱で金属イオンが遊離することで、架橋性高分子組成物が架橋速度に優れたものとなる。それらの観点から、金属化合物は、250℃以下、さらには150℃以下、120℃以下に分解点または相転移点を有すると、より好ましい。なお、金属化合物の分解点または相転移点は、示差走査熱量測定(Differential scanning calorimetry:DSC)(測定温度範囲:25℃~200℃、大気中測定)によるベースライン変化開始温度で表される。なお、上記相転移点は、融点を含まないものであり、上記相転移は、融解を含まないものである。また、金属化合物が、相転移点と分解点をともに有する場合、あるいは相転移点を複数有する場合には、それらのうち低い方(最も低いもの)を、「分解点または相転移点」として扱うものとする。
金属イオン源となる金属化合物は、熱によって金属イオンを遊離させるものであれば、どのような化学種であっても構わないが、好適な化学種として、金属錯体を挙げることができる。金属錯体は、中心となる金属イオンに非共有電子対を持つ配位子が配位結合したもので構成される。金属錯体を用いる場合には、配位子による金属イオンの安定化の効果に優れ、架橋性高分子組成物の調製時や架橋性高分子組成物の使用前に、金属イオンの遊離が抑えられるとともに、シリコーン樹脂を架橋させる際には、熱によって金属イオンを遊離させやすい。
金属錯体を構成する配位子としては、配位部位が1か所である単座配位子、および配位部位が2か所以上である多座配位子が挙げられる。多座配位子によって生成する金属錯体は、キレート効果により、単座配位子によって生成する金属錯体よりも、安定性に優れる。また、配位子としては、1つの配位子が1つの金属イオンに配位する非架橋配位子と、1つの配位子が2つ以上の金属イオンに配位する架橋配位子がある。架橋配位子は、単座配位子で構成される場合もあり、多座配位子で構成される場合もある。
金属イオン源となる金属化合物は、多座配位子または架橋配位子を含む金属錯体であることが好ましい。多座配位子または架橋配位子による配位は、単座配位子による非架橋型の配位よりも配位子による金属イオンの安定化の効果に優れるため、架橋性高分子組成物の調製時や架橋性高分子組成物の使用前において、金属イオンの遊離がより抑えられるからである。
各種の金属錯体の中で、β-ジケトナト配位子(1,3-ジケトナト配位子)またはアルコキシド配位子を含む金属錯体を金属イオン源として用いることが好ましい。β-ジケトナト配位子およびアルコキシド配位子は、多座配位または架橋配位を形成しやすく、単座配位子による非架橋型の配位よりも配位子による金属イオンの安定化の効果に優れ、架橋性高分子組成物の調製時や架橋性高分子組成物の使用前において、金属イオンの遊離が効果的に抑えられるからである。特に、β-ジケトナト配位子を含む金属錯体を好適に用いることができる。
β-ジケトナト配位子は、下記の一般式(1)で表される。
Figure 2023048437000002
式(1)において、R,Rはそれぞれ独立して炭化水素基を示し、Rは水素原子または炭化水素基を表す。R,R,Rのうち少なくとも2つが、環構造によって相互に連結されている場合も含む。また、配位子は、共鳴構造により、式(1)の構造をとるものであってもよい。
式(1)において、R,R,Rは、脂肪族炭化水素基であってもよいし、芳香環を含む炭化水素基であってもよい。また、酸素原子等のヘテロ原子を含むものであってもよい。R,R,Rを構成する炭化水素基としては、アルキル基、アルコキシ基、芳香族基、縮合芳香族基を挙げることができる。R,R,Rの炭素数は、特に限定されないが、1以上8以下であることが好ましい。
具体的なβ-ジケトナト配位子としては、アセチルアセトナト配位子(acac)、2,2,6,6-テトラメチル-3,5-ヘプタンジオナト配位子(dpm)、3-メチル-2,4-ペンタジオナト配位子、3-エチル-2,4-ペンタジオナト配位子、3,5-ヘプタンジオナト配位子、2,6-ジメチル-3,5-ヘプタンジオナト配位子、1,3-ジフェニル-1,3-プロパンジオナト配位子などが挙げられる。これらの中では、構造の簡素性等の観点から、上記式(1)において、RおよびRがメチル基、Rが水素原子であるアセチルアセトナト配位子が特に好ましい。
アルコキシド配位子は、下記の一般式(2)で表される。
Figure 2023048437000003
式(2)において、Rは、炭化水素基を表す。Rは、脂肪族炭化水素基であっても、芳香環を含む炭化水素基であってもよい。Rは、炭素数1以上10以下の炭化水素基であるとよい。具体的なアルコキシド配位子としては、メトキシド配位子、エトキシド配位子、イソプロポキシド配位子、n-プロポキシド配位子、n-ブトキシド配位子などが挙げられる。
シリコーン樹脂の架橋に関与しうる金属成分の含有量は、シリコーン樹脂100質量部を基準として、架橋後の架橋高分子材料における金属イオンの含有量で、0.03質量部以上、さらには0.1質量部以上であるとよい。また、架橋前の架橋性高分子組成物における金属化合物の含有量で、0.1質量部以上、さらには1.0質量部以上であるとよい。すると、シリコーン樹脂に対して十分に多い量の金属イオンが含有されることで、架橋体において、架橋密度が高くなり、耐熱性および耐油性の向上に高い効果を発揮する。一方、上記金属成分の含有量は、架橋後の架橋高分子材料における金属イオンの含有量で、10質量部以下、さらには5質量部以下であるとよい。また、架橋前の架橋性高分子組成物における金属化合物の含有量で、20質量部以下、さらには10質量部以下であるとよい。すると、架橋前における金属成分の分離や沈殿、架橋後の絶縁被覆3の脆化や柔軟性の低下等、多量の金属成分が含有されることの影響を避けやすい。
(3)極性微粒子
絶縁電線1において絶縁被覆3を構成する架橋高分子材料は、原料として用いる架橋前のシリコーン樹脂が低粘度のものである場合をはじめとして、シリコーン樹脂を金属イオンで架橋した架橋体に加え、極性を有する微粒子を含有することが好ましい。極性を有する微粒子は、架橋前の架橋性高分子組成物において、成形助剤として寄与し、増粘効果やチキソトロピー性付与効果を発揮する。シリコーン樹脂が低粘度の液状である場合には、架橋性高分子組成物を電線導体2の外周に安定に配置するのが難しく、また、加熱によって金属イオンを介した架橋を進めながら、押出成形等による成形を行うとしても、特に架橋反応の初期において、スクリュー等、成形用の機器に印加されるトルクの不足や、機器からの組成物の流出が問題となり、成形を円滑に進めにくい。そこで、成形助剤として極性微粒子を添加して、組成物の粘度を高めておくことで、安定して成形を進めることができる。さらに、添加する微粒子が極性を有するものであることで、微粒子が吸油性を実質的に示さず、シリコーン樹脂の架橋体が有する耐油性を損ないにくい。
極性微粒子の種類は特に限定されるものではなく、粒子全体が極性材料より構成されるものであっても、無極性材料の粒子が極性材料によって表面処理されているものであってもよい。具体的な極性微粒子として、シリカ、酸化アルミニウムや酸化亜鉛等の金属酸化物、モンモリロナイトやセピオライト等の粘土鉱物、セルロース、テフロン(登録商標)等のフッ素樹脂、カーボンよりなる微粒子を例示することができる。それらのうち1種の微粒子を用いても、2種以上の微粒子を用いてもよい。特に好ましくは、極性微粒子として、ヒュームドシリカ微粒子を用いるとよい。ヒュームドシリカは、粒径の均一性に優れた微粒子を入手しやすいうえ、表面シラノール基の水素架橋結合の効果で、高い増粘効果やチキソトロピー性付与効果が得られるからである。
極性微粒子の粒径は、特に指定されるものではないが、粒径が小さい方が、比表面積が大きくなり、組成物全体において、均一性高く、増粘効果やチキソトロピー性付与効果を発揮する。その観点から、極性微粒子の粒径は、平均粒径で100nm以下、さらには50nm以下であることが好ましい。一方で、粒径が小さくなりすぎても、高次凝集体を形成して見かけの粒度分布が不均一になるため、極性微粒子の平均粒径は、5nm以上、さらには7nm以上であるとよい。また、極性微粒子の粒子形状も特に限定されるものではないが、球形である場合を、好適に例示することができる。
極性微粒子の含有量は、シリコーン樹脂100質量部に対して、1質量部以上、さらには10質量部以上であるとよい。すると、極性微粒子を添加することによる増粘効果やチキソトロピー性付与効果が、高くなる。一方、極性微粒子の含有量は、シリコーン樹脂100質量部に対して、100質量部以下、さらには60質量部以下に抑えておくとよい。すると、シリコーン樹脂中で極性微粒子を良分散させやすい。
(4)その他の成分
絶縁被覆3を構成する架橋高分子材料は、材料の機能を妨げない範囲において、上記で説明したシリコーン樹脂を金属イオンで架橋した架橋体、および任意に添加される極性微粒子に加え、難燃剤、銅害防止剤、酸化防止剤、着色剤などの添加剤を適宜含んでいてもよい。また、高分子成分として、シリコーン樹脂を金属イオンで架橋した架橋体以外の高分子を含有してもよいが、その含有量は、上記架橋体の含有量よりも少なく抑えておくことが好ましい。さらに好ましくは、架橋高分材料は、上記置換基を有するシリコーン樹脂のうち、架橋を受けなかった成分等、不可避的に含有される成分を除いて、高分子成分として、上記架橋体のみを含むことが好ましい。
架橋高分子材料に、不可避的成分を除いて含有されない方がよい高分子成分としては、金属イオンを介した架橋以外の架橋構造によって架橋されたシリコーン樹脂を挙げることができる。つまり、金属イオンとイオン結合を形成可能な置換基を側鎖に有するシリコーン樹脂、あるいはそれ以外のシリコーン樹脂が、置換基と金属イオンとの間のイオン結合を介さずに架橋された成分を挙げることができる。金属イオンを介した架橋以外の架橋構造としては、有機過酸化物、エポキシ化合物、アミン化合物等の有機架橋剤による架橋構造を挙げることができる。有機架橋剤を介した架橋構造が架橋高分子材料中に含まれると、耐油性の低下につながる。また、架橋の有無にかかわらず、金属イオンとイオン結合を形成可能な置換基を側鎖に有するシリコーン樹脂以外のシリコーン樹脂は、架橋高分子材料に含有されない方がよい。さらに、シリコーンゴムやその他の樹脂材料で、成形助剤として機能しうるものはあるが、それら有機系の成形助剤は、架橋高分子材料の耐油性を低下させる可能性があることから、含有されないことが好ましい。また、上記金属イオンとイオン結合を形成可能な置換基を側鎖に有するシリコーン樹脂よりも、未架橋の状態での流動開始温度が高い高分子成分は、含有されないことが好ましい。
高分子成分以外に、架橋高分子材料に含まれない方がよい成分として、耐油性向上のためのフィラーを挙げることができる。架橋高分子材料に、難燃剤等のフィラーが含有されることを妨げるものではないが、耐油性向上を主な目的としたフィラーは、含有させる必要がない。シリコーン樹脂が金属イオンを介して架橋された架橋体が高い耐油性を示すため、そのような耐油性向上のためのフィラーの添加は必要がない。さらに、架橋前の架橋性高分子組成物に含まれない方がよい添加剤として、(a)光ラジカル発生剤、熱ラジカル発生剤および(b)塩素化合物、臭素化合物を挙げることができる。(a)群の化合物が架橋性高分子組成物に含まれると、加熱時に、金属化合物から遊離した金属イオンを介した架橋反応とは別の反応によるシリコーン樹脂の架橋等、意図しない化学反応が生じる可能性がある。すると、耐熱性や耐油性等の特性を十分に発揮できる架橋高分子材料が得られなくなる場合がある。また、(b)群の化合物が架橋性高分子組成物に含まれると、加熱によって、着色や腐食性ガスの発生が起こる可能性がある。
以下に実施例を示す。本発明は、実施例により限定されるものではない。以下、特記しないかぎり、試料の作製および評価は、室温、大気中にて行った。
[1]架橋シリコーン樹脂の特性
まず、架橋シリコーン樹脂について、組成と特性との関係を調査した。
<試料の準備>
(1)シリコーン樹脂の準備
以下の4種のシリコーン樹脂を準備した。4種のシリコーン樹脂はいずれも、室温で液状のものである。
・変性シリコーンA
500mLのジエチルエーテルに、エポキシ変性シリコーン(信越シリコーン社製「KF-1001」;エポキシ当量3500g/mol)を10g(エポキシ基2.86mmol)溶解させ、30℃以下で激しくしながら、4-アミノ安息香酸(東京化成社製)0.4g(2.92mmol)を少量ずつ加えた。さらに、30℃以下での攪拌を3時間続けた。その後、不溶物をろ過によって除去したうえで、浴温40℃以下で、エバポレータにてろ液中のジエチルエーテルを留去して、微黄色澄明オイル状物を得た。この生成物は、シリコーン中のエポキシ基が安息香酸に変換されたカルボン酸変性シリコーン樹脂である(カルボン酸基当量3500g/mol)。これを変性シリコーンAとした。
・変性シリコーンB
500mLのジエチルエーテルに、エポキシ変性シリコーン(信越シリコーン社製「KF-1001」;エポキシ当量3500g/mol)を10g(エポキシ基2.86mmol)溶解させ、30℃以下で激しくしながら、5-アミノイソフタル(東京化成社製)0.55g(3.04mmol)を少量ずつ加えた。さらに、30℃以下での攪拌を48時間続けた。その後、不溶物をろ過によって除去したうえで、浴温40℃以下で、エバポレータにてろ液中のジエチルエーテルを留去して、微黄色澄明オイル状物を得た。この生成物は、シリコーン中のエポキシ基がイソフタル酸に変換されたカルボン酸変性シリコーン樹脂である(カルボン酸基当量1750g/mol)。これを変性シリコーンBとした。
・変性シリコーンC
・上記変性シリコーンBの合成方法中、5-アミノイソフタル酸0.55gの代わりに、4-アミノ-1-ヒドロキシブタン-1,1-ジホスホン酸(東京化成社製)0.8g (3.21mmol)を用いた以外は、変性シリコーンBと同様の合成方法を実施することで、微黄色澄明オイル状物を得た。この生成物は、シリコーン中のエポキシ基がジホスホン基に変換されたリン酸変性シリコーン樹脂である(リン酸基当量1750g/mol)。これを変性シリコーンCとした。
・未変性シリコーン
未変性のシリコーン(信越化学工業社製「KF-96-3万cs」)を合わせて準備した。
(2)試料の作製
上記で準備したシリコーン樹脂と、下に示す各種金属化合物または他の架橋剤を、表1に示す分量(単位は質量部)で、それらの合計質量の5倍量のキシレン中に投入し、80℃にて30分間激しく攪拌して、分散混合した。その後、混合物を真空乾燥したうえで、250℃にて10分間プレス成形し、2mm厚のサンプルシートを作製し、試料A1~A9,B2~B7とした。
また、試料B1として、シリコーンゴムを準備した。具体的には、旭化成ワッカー社製「ELASTOSIL EL 4500」を所定の硬化剤と混合して、2mm厚のサンプルシートに成形した後に、所定の条件で加熱硬化させて、シリコーンゴムとした。
試料A1~A9,B2~B7の作製において、金属化合物または他の架橋剤として用いた材料は以下のとおりである。以下では、材料種とともに、DSC測定より得られる分解点または相転移点を括弧書きにて示す。
(金属化合物)
・Zn-AA:亜鉛(II)アセチルアセトナート (105℃)
・Al-AA:アルミニウム(III)アセチルアセトナート (112℃)
・Zr-AA:ジルコニウム(IV)アセチルアセトナート (180℃)
・Al-IP:アルミニウム(III)トリイソプロポキシド (94℃)
・Ti-IP:チタン(IV)テトライソプロポキシド (85℃)
・ZnO:酸化亜鉛(II) (無し(>300℃))
・Al-st:ステアリン酸アルミニウム (125℃)
(他の架橋剤)
・エポキシ化合物:水添ビスフェノールAジグリシジルエーテル(エポキシ当量:215~245) 共栄社化学製「エポライト4000」
・アミン化合物(長鎖3級アミン):1,6-ビス(ジメチルアミノ)ヘキサン (東京化成製)
<評価方法>
(1)硬化
試料作製工程において、プレス成形後に、目視観察にて、試料に流動も糸引きもないものについては、硬化している「A」とみなした。一方、試料に流動または糸引きが起こっているものについては、硬化が不十分である「B」とみなした。
(2)耐油体積膨張率
JIS K 6258に準拠した耐液性試験によって、各試料の耐油体積膨張率を評価した。この際、150℃のATFオイル(自動変速機用オイル)に72時間浸漬した後の体積膨張率を測定した。この耐油体積膨張率が高いほど、材料の耐油性が高いことが示される。
(3)耐燃料体積膨張率
JIS K 6258に準拠した耐液性試験によって、各試料の耐燃料体積膨張率を評価した。この際、試験用燃料油として2,2,4-トリメチルペンタン(イソオクタン)を用い、40℃にて、24時間浸漬後の体積膨張率を測定した。この耐燃料体積膨張率が高いほど、材料の耐油性が高いことが示される。
(4)硬度
・各試料の硬度を、JIS K6253-3に基づいて評価した。硬度は、デュロメータ タイプA硬さとして計測した。硬度が低いほど、材料の柔軟性が高いことが示される。
(5)弾性率
各試料のサンプルシートを、長さ50mm×幅5mm×厚さ2mmの短冊状に切り出し、つかみ幅を10mmとし、10mm/分の速度で引張試験を行った。そして、引張荷重1N-2N間のひずみから換算して、弾性率(引張弾性率)を求めた。弾性率が低いほど、材料の柔軟性が高いことが示される。
<評価結果>
下の表1に、試料A1~A9,B1~B7について、各成分の含有量(単位:質量部)を上段に示すとともに、各評価の結果を下段に示す。
Figure 2023048437000004
表1によると、試料A1~A9はいずれも、変性シリコーン樹脂と、金属錯体とを原料として得られているものである。これらの試料においては、プレス成形を経て材料が十分に硬化している(硬化評価にて「A」)。これは、プレス成形時の加熱によって、金属錯体から金属イオンが遊離し、変性シリコーン樹脂の置換基との間にイオン結合を形成することで、架橋が進行したことに対応づけられる。これらの試料においては、架橋体の耐油体積膨張率および耐燃料体積膨張率がいずれも20%以下に抑えられており、高い耐油性を示している。これは、金属イオンを介した架橋箇所において、油成分に対して親和性が低くなっているためであると考えられる。さらに、各試料においては、試料B1のシリコーンゴムと比較して、タイプA硬度が1.5倍以下、弾性率が2倍以下に抑えられており、シリコーンゴムには劣るものの、比較的高い柔軟性を示すものとなっている。このことから、シリコーン樹脂における架橋構造が金属イオンを介したイオン結合によって形成されていても、架橋シリコーン樹脂が本来有する柔軟性が発揮され、耐油性と両立されると言える。
次に、試料B1~B7について検討する。試料B1は、シリコーンの高分子鎖間が有機鎖で架橋されたシリコーンゴムより構成されている。このことに対応して、耐油体積膨張率および耐燃料体積膨張率がいずれも50%を超える高い水準であり、耐油性が低くなっている。
試料B2においては、用いたシリコーン樹脂が未変性のものであり、金属イオンとイオン結合を形成可能な置換基を備えていない。試料B3では、シリコーン樹脂に対して架橋構造を形成しうる成分を含んでいない。また、試料B4,B5では、金属化合物として金属錯体ではなく、それぞれ、酸化亜鉛およびステアリン酸アルミニウムを用いている。これらの化合物は、加熱を受けても金属イオンを遊離させない。つまり、試料B3~B5はいずれも、金属イオン源を材料中に含まない。これら試料B2~B5においては、金属イオンとの間にイオン結合を形成可能な置換基、または金属イオンが欠如していることと対応して、シリコーン樹脂の架橋体が形成されず、十分に組成物が硬化していない(硬化評価にて「B」)。硬化体としての試料が得られなかったため、各種特性の評価も行えていない。
試料B6,B7では、架橋剤として、金属化合物ではなく、有機化合物を用いている。そのことと対応して、耐油体積膨張率および耐燃料体積膨張率が、試料B1のシリコーンゴムと同程度またはそれ以上に高くなっており、耐油性が悪い。これは、架橋箇所の有機性が高く、油および燃料によって膨潤するためである。特に、試料B7においては、架橋剤として塩基性分子であるアミン化合物を用いており、アミノ基の塩基性によって、変性シリコーン中のカルボン酸基が架橋されているが、金属イオンを介した架橋構造と比較して、有機性が高いため、油および燃料による膨潤を抑制することができない。また、アミン化合物の塩基性により、アミン化合物をシリコーン樹脂と混合すると、即座にゲル化が進行し、均一な硬化体が得られていない。
ここで、試料A1~A9を相互に比較する。試料A1~A5では、用いている金属錯体の種類が異なっているが、いずれにおいても、高い耐油性と柔軟性が両立されている。中でも、アルミニウムおよびジルコニウムのβ-ジケトナト錯体を用いている試料A2,A3では、特に高い耐油性と柔軟性が得られている。一方、チタンのアルコキシド錯体を用いている試料A5では、耐油性が若干低くなっている。
試料A1,A6,A7では、用いている変性シリコーン樹脂の種類が異なっている。これらを相互に比較すると、カルボン酸変性シリコーン樹脂を用いている試料A1,A6で、特に柔軟性が高くなっている。
試料A1,A8,A9では、金属錯体の添加が相互に異なっている。これらの評価結果を相互に比較すると、耐油性は、金属錯体の添加量が多いほど高くなり、柔軟性は、金属錯体の添加量が少ないほど高くなっている。これは、金属錯体の添加量が多くなると、シリコーン樹脂における架橋密度が高くなるためであると解釈される。
[2]極性微粒子添加時の成形性
次に、シリコーン樹脂と金属化合物を含む組成物に、極性微粒子を添加した場合について、成形性を評価した。
<試料の準備>
・上記試験[1]にて合成した変性シリコーンAを95質量部に、極性微粒子としてのヒュームドシリカ(日本アエロジル社製「アエロジル200」;平均粒径12nm)を40質量部と、Al-AAを5質量部添加し、混合混練機(プライミクス社製)で、室温にて混合、混練して成形原料を調製した。
<評価方法>
上記で得られた成形原料をキャピログラフ(東洋精機製作所製)のバレルに装入し、ピストンを押し下げて1mm孔のダイスから押し出した。バレルとダイスの温度は40℃に設定し、その他の条件はJIS K 7199に基づいたものとした。押し出された、ストランドの状態を観察することで、成形性を評価した。
さらに、上記で得られたストランドの一部を切り取り、80℃の恒温槽に5時間放置した。そして、さらに200℃の恒温槽に20分間放置して、架橋反応を完了させた。その後、目視にて、恒温槽放置前と比べて、試料の変形の有無を評価した。さらに、その試料を、190℃のホットプレート上に乗せ、溶融の有無を目視にて確認した。
<評価結果>
押し出し工程においてストランドを観察した結果としては、押し出されたストランドは、垂れや切れを起こすことなく、連続して押し出されていた。また、押し出されたストランドにおいては、十分に形状が維持されていた。このことから、極性微粒子を添加した成形原料は、高い成形性を示すことが確認される。
また、架橋反応完了後の観察によると、高温槽放置による架橋前と比較して、変形が起こっていないことが確認された。さらに、ホットプレートに乗せた際の目視観察によると、試料の溶融は起こっていなかった。これらの結果から、極性微粒子の添加によって、金属イオンによるシリコーン樹脂の架橋の進行が妨げられないこと、さらに架橋によって得られる架橋高分子材料の耐熱性も損なわれないことが、確認される。
以上、本開示の実施の形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
1 絶縁電線
2 電線導体
3 絶縁被覆
5 ワイヤーハーネス
51 絶縁電線
52 コネクタ
53 テープ

Claims (19)

  1. 電線導体と、
    架橋高分子材料より構成され、前記電線導体の外周を被覆する絶縁被覆と、を有し、
    前記架橋高分子材料は、金属イオンと、前記金属イオンとイオン結合を形成可能な置換基を側鎖に含むシリコーン樹脂と、を含み、
    前記シリコーン樹脂は、前記置換基と前記金属イオンとの間のイオン結合によって架橋体を構成している、絶縁電線。
  2. 前記架橋高分子材料は、前記架橋体に加えて、極性を有する微粒子を含んでいる、請求項1に記載の絶縁電線。
  3. 前記微粒子は、シリカ、金属酸化物、粘土鉱物、セルロース、フッ素樹脂、カーボンの少なくとも1種を含有している、請求項2に記載の絶縁電線。
  4. 前記微粒子は、ヒュームドシリカ微粒子である、請求項2または請求項3に記載の絶縁電線。
  5. 前記微粒子の平均粒径は、5nm以上、100nm以下である、請求項2から請求項4のいずれか1項に記載の絶縁電線。
  6. 前記架橋高分子材料は、前記シリコーン樹脂100質量部に対して、1質量部以上、100質量部以下の前記微粒子を含有している、請求項2から請求項5のいずれか1項に記載の絶縁電線。
  7. 前記シリコーン樹脂は、150℃以下に流動開始温度を有する、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の絶縁電線。
  8. 前記シリコーン樹脂に含まれる前記置換基は、カルボン酸基、酸無水物基、リン酸基のうちの少なくとも1種より生じるアニオン性基である、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の絶縁電線。
  9. 前記シリコーン樹脂において、前記置換基は、炭素数1以上のアルキル基またはアルキレン基を介して、主鎖に結合されている、請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の絶縁電線。
  10. 前記シリコーン樹脂は、主鎖中に金属イオンとイオン結合を形成可能な部位を含まない、請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の絶縁電線。
  11. 前記シリコーン樹脂の主鎖は、オルガノポリシロキサン鎖である、請求項10に記載の絶縁電線。
  12. 前記金属イオンは、β-ジケトナト配位子またはアルコキシド配位子との間に、熱によって金属イオンとして遊離可能な状態で、金属錯体を構成しうる、請求項1から請求項11のいずれか1項に記載の絶縁電線。
  13. 前記金属イオンは、50℃以上300℃以下での加熱で、前記金属錯体から金属イオンとして遊離可能である、請求項12に記載の絶縁電線。
  14. 前記金属イオンは、アルカリ土類金属、アルミニウム、亜鉛、チタン、ジルコニウムのうちの少なくとも1種のイオンである、請求項1から請求項13のいずれか1項に記載の絶縁電線。
  15. 前記金属イオンは、アルミニウムおよびジルコニウムの少なくとも1種のイオンである、請求項14に記載の絶縁電線。
  16. 前記架橋高分子材料は、前記シリコーン樹脂100質量部に対して、前記金属イオンを0.03質量部以上、10質量部以下含有する、請求項1から請求項15のいずれか1項に記載の絶縁電線。
  17. 前記架橋高分子材料は、不可避的成分を除いて、前記シリコーン樹脂が、前記置換基と前記金属イオンとの間のイオン結合を介さずに架橋された成分を含有しない、請求項1から請求項16に記載の絶縁電線。
  18. 請求項1から請求項17のいずれか1項に記載の絶縁電線を含む、ワイヤーハーネス。
  19. 熱によって前記金属イオンが遊離する金属化合物と、前記シリコーン樹脂と、を含有する架橋性高分子組成物を、前記電線導体の外周に配置したうえで、
    加熱によって、前記架橋性高分子組成物から前記架橋体を形成して、前記架橋高分子材料よりなる前記絶縁被覆を作製し、
    請求項1から請求項17のいずれか1項に記載の絶縁電線を製造する、絶縁電線の製造方法。
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