JP4005009B2 - 電線被覆用シリコーンゴム組成物 - Google Patents
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即ち、本発明は、
(A)下記平均組成式:
R1 aSiO(4-a)/2
(式中、R1は非置換または置換の1価炭化水素基であり、aは 1.8〜2.3の正数である)で表され、かつ、1分子中にケイ素原子に結合したアルケニル基を少なくとも2個有するオルガノポリシロキサン生ゴム:100質量部、
(B)補強性充填剤:10〜100質量部、
(C)フェニル基含有シリコーンオイル:0.1〜5質量部、および
(D)有機過酸化物:0.1〜5質量部
を含有することを特徴とする電線被覆用シリコーンゴム組成物を提供するものである。
[(A)オルガノポリシロキサン生ゴム]
本発明組成物の主材である(A)成分のオルガノポリシロキサン生ゴムは、下記平均組成式:
R1 aSiO(4-a)/2
(式中、R1は非置換または置換の1価炭化水素基であり、aは 1.8〜2.3の正数である)
で表され、かつ、1分子中にケイ素原子に結合したアルケニル基を少なくとも2個有するものである。
この(A)成分のオルガノポリシロキサン生ゴムは、1種単独でも2種以上を組み合わせても使用することができる。
本発明組成物の(B)成分である補強性充填剤は、シリコーンゴムの機械的強度を上げるために配合されるものであり、従来から一般的に用いられているシリカ微粉末、例えば、湿式シリカ、煙霧質シリカ等が挙げられる。より具体的には、湿式シリカとしては、ニップシルVN-3(商品名、日本シリカ工業社製)等が、また、煙霧質シリカとしては、エアロジル130,200,300,380(商品名、日本エアロジル社製)、Cab-O-sil MS-5,MS-7,HS-5,HS-7(商品名、キャボット社製)等が挙げられる。
この(B)成分の補強性充填剤は、1種単独でも2種以上を組み合わせても使用することができる。
本発明組成物に配合される(C)成分のフェニル基含有シリコーンオイルは、本発明組成物を電線被覆用に用いる際に、芯線密着を防止し、本発明組成物から得られるシリコーンゴム被覆層に芯線から容易に剥離する性質(以下、「被覆剥離性」という)を付与するために配合される成分である。
なお、本発明において、この(C)成分は、ブリード成分として配合しているものではないが、加硫時にシリコーンゴムと芯線との界面に、この(C)成分が作用して被覆剥離性という本発明の効果が生じるものと推定される。
(式中、R2は独立に水酸基または非置換もしくは置換の炭素原子数1〜8の1価炭化水素基であり、R3は独立に非置換または置換の炭素原子数1〜8の1価炭化水素基であり、かつ全R3のうち5モル%以上 50モル%未満がフェニル基であり、mは2〜50の整数である)
前記一般式(1)で表されるフェニル基含有シリコーンオイルとして、より好ましくは下記式で表されるものが挙げられる。
(式中、R2は上記一般式(1)に関して定義のとおりであり、Phはフェニル基、Meはメチル基であり、R3'は独立にメチル基またはフェニル基であり、かつR2以外のケイ素原子に結合した全置換基のうち、5〜40モル%がフェニル基であり、cおよびdは各々0以上の整数であり、かつc+dの和は2〜50の整数である)
(なお、以下、「Ph」はフェニル基を、また、「Me」はメチル基を意味する。)
上記一般式(1)で表されるフェニル基含有シリコーンオイルの好適な具体例を下記に示す。
(上記各式中、m1+m2の和は2〜50の整数であり、かつ分子鎖両末端のメチル基2個または水酸基2個を除くケイ素原子に結合した全置換基のうち、5モル%以上 50モル%未満がフェニル基となる整数である)
上記一般式(2)で表されるフェニル基含有シリコーンオイルの好適な具体例を下記に示す。
本発明組成物に配合される(D)成分の有機過酸化物は、シリコーンゴム組成物の加熱硬化を促進するために通常使用されている硬化剤であり、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、モノクロルベンゾイルパーオキサイド、o-メチルベンゾイルパーオキサイド、p-メチルベンゾイルパーオキサイド、2,4-ジクロロベンゾイルパーオキサイド、2,4-ジメチルベンゾイルパーオキサイド、2,5-ビス(t-ブチルパーオキシ)-2,5-ジメチルヘキサン、t-ブチルパーベンゾエート、ジクミルパーオキサイド等が挙げられる。これらのうち常圧熱気加硫に適し、さらに非ハロゲン系の過酸化物でもある下記一般式(4)で表されるものが好ましい。
この(D)成分の有機過酸化物は、1種単独でも2種以上を組み合わせても使用することができる。
本発明の電線被覆用シリコーンゴム組成物は、上記(A)成分〜(D)成分を均一に混合することによって容易に製造できるが、上記(A)成分〜(D)成分に加えて、本発明の目的および効果を損ねない範囲で、必要に応じて更に他の成分を配合することは任意である。
本発明の電線被覆用シリコーンゴム組成物を用いて、被覆電線を製造する方法は、特に制限されず、公知の方法によればよい。その例を以下に示す。
(i)錫メッキ銅線、銅線等の導電体からなる芯線を用意する。
(ii)上記(A)〜(D)成分および必要に応じて配合される他の成分を均一に混合・混練してシリコーンゴム組成物を調製する。
(iii)芯線の導入口、並びに目的とする被覆電線の径および形状のダイを有する押出し成形機を用意し、前記芯線を前記導入口から前記ダイを通して配置する。
(iv)前記押出し成形機内に、前記シリコーンゴム組成物を仕込む。
(vi)次いで、前記線状体を、前記シリコーンゴム組成物の加硫温度、例えば、250〜400℃程度の加熱炉中を、前記線状体の特定部位が1〜10分間かけて通過するような速度で通過させて、前記シリコーンゴム組成物からなる被覆層を加硫する。
(vii)必要に応じて、加硫された前記被覆層を有する線状体を、更に、例えば、100〜200℃程度の別の加熱炉中を、前記線状体の特定部位が10分間〜1時間かけて通過するような速度で通過させて、二次加硫を施して、シリコーンゴム層で被覆された電線を得る。
(iV)表面に前記ガラス繊維からなる編組層を有する被覆電線を、シリコーンワニス浴に浸し、ディップコーティングにより、前記編組層にシリコーンワニスを含浸させる。
(V)引き続き、例えば、150〜200℃程度の加熱炉中を、前記ガラス繊維からなる編組層に前記シリコーンワニスを含浸して有する被覆電線の特定部位が1〜10分間程度かけて通過するような速度で通過させて、前記シリコーンワニスを硬化させる。
直径 1.5mmの芯線に、後記各シリコーンゴム組成物を、前記芯線を包む前記組成物の肉厚が 0.5mmであり、かつ均一な肉厚となるように押出し成形して、被覆させた後に、350℃の熱風炉中で 25秒間加熱処理して各シリコーンゴム組成物からなる被覆層を硬化・加硫させてシリコーンゴム被覆層を有する電線を得た。この被覆電線を、各種性能を評価するための試験体として用いた。
上記試験体を、150℃×4時間、200℃×4時間、250℃×4時間、および 80℃、湿度 90%×75時間の各々の条件下で劣化処理して、その後、室温にまで冷却した。次いで、前記各条件下で劣化処理を施した各試験体を用いて、ワイヤーストリッパーを使用してシリコーンゴム被覆層の剥離を試みた。被覆剥離性、即ち、シリコーンゴム被覆層が剥離できるか否か、また、芯線を露出させることができるか否かを目視により観察した。観察結果に基づき、この被覆剥離性の程度を下記の基準により評価した。評価結果を表1および表2に示す。
芯線上にシリコーンゴムの残存が全く認められないが、被覆剥離時にやや抵抗がある場合について、○で表示した。
芯線上にシリコーンゴムの残存がわずかに確認される場合について、△で表示した。
シリコーンゴムが芯線と密着しており、被覆の剥離ができない場合について、×で表示した。
上記試験体から芯線を引き抜いて除去し、得られたシリコーンゴム被覆物について絶縁破壊強さ(KV)を耐電圧試験機:TM-5031 AM(商品名、多摩電測社製)を用いて測定した。測定結果を表1および表2に示す。
上記と同様にして得られたシリコーンゴム被覆物について、Tensometer 10(Monsant 社製)を用いて引っ張り強さ(MPa)および切断時の伸び(%)を測定した。これを、初期値とする。
次いで、前記シリコーンゴム被覆物を 220℃の雰囲気下に 96時間放置した。その後、室温にまで冷却して、再度、前記引っ張り強さおよび切断時の伸び測定して、初期値と比較し、初期値を 100%とした残率を求めた。その結果を表1および表2に示す。
(A)ジメチルシロキサン単位:99.85モル%とメチルビニルシロキサン単位:0.15モル%からなり、分子鎖両末端がジメチルビニルシロキシ基で封鎖された重合度が約 7,000のメチルビニルポリシロキサン生ゴム 100部、(B)比表面積(BET法)200m2/gの煙霧質シリカであるエアロジル200(商品名、日本エアロジル社製)40部、および分子鎖両末端がシラノール基で封鎖された重合度約 10のジメチルポリシロキサン8部を、ニーダー中で均一に混合した後、170℃で2時間熱処理を行い、ベースコンパウンドを得た。
次に、このベースコンパウンド 100部に、(C1)下記構造式(5):
で表されるフェニル基含有シリコーンオイル(No.1)1部を加えて均一に混合した。更に、(D)p-メチルベンゾイルパーオキサイド 1.5部を混合して組成物Iを調製した。得られた組成物Iを用いて、上記方法によりシリコーンゴム被覆電線を調製し、上記評価手法によって、各種性能を評価した。
上記実施例1に記載のフェニル基含有シリコーンオイル(No.1)の配合量1部を3部に変更したこと以外は、実施例1と同様にして組成物IIを調製し、各種性能を評価した。
上記実施例1に記載のフェニル基含有シリコーンオイル(No.1)に代えて、(C2)下記構造式(6):
上記実施例1に記載のフェニル基含有シリコーンオイル(No.1)に代えて、(C3)下記構造式(7):
上記実施例1に記載のフェニル基含有シリコーンオイル(No.1)を配合しなかったこと以外は、実施例1と同様にして組成物Vを調製し、各種性能を評価した。
上記実施例1に記載のフェニル基含有シリコーンオイル(No.1)に代えて、ステアリン酸亜鉛を 0.3部を配合したこと以外は、実施例1と同様にして組成物VIを調製し、各種性能を評価した。
上記実施例1に記載のフェニル基含有シリコーンオイル(No.1)に代えて、ステアリン酸カルシウムを 0.3部を配合したこと以外は、実施例1と同様にして組成物VIIを調製し、各種性能を評価した。
上記実施例1に記載のフェニル基含有シリコーンオイル(No.1)に代えて、融点が 57℃のエステルワックスであるワックス220(商品名、花王社製)を 0.05部、0.3部または1部を配合したこと以外は、実施例1と同様にして組成物VIII〜組成物Xを調製し、各種性能を評価した。
Claims (7)
- (A)下記平均組成式:
R1 aSiO(4-a)/2
(式中、R1は非置換または置換の1価炭化水素基であり、aは 1.8〜2.3の正数である)で表され、かつ、1分子中にケイ素原子に結合したアルケニル基を少なくとも2個有するオルガノポリシロキサン生ゴム:100質量部、
(B)補強性充填剤:10〜100質量部、
(C)フェニル基含有シリコーンオイル:0.1〜5質量部、および
(D)有機過酸化物:0.1〜5質量部
を含有し、(A)成分と(B)成分とを混練してベースコンパウンドを得た後、(C)成分を配合したことを特徴とする電線被覆用シリコーンゴム組成物。 - (D)成分を(C)成分配合後に配合した請求項1記載の電線被覆用シリコーンゴム組成物。
- 前記有機過酸化物が、p-メチルベンゾイルパーオキサイドまたはo-メチルベンゾイルパーオキサイドである、請求項6に記載の組成物。
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