JP6034220B2 - α位置換アクリル酸エステル類の製造方法 - Google Patents
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Description
また、特許文献1、非特許文献2のように、α−(ヒドロキシメチル)アクリル酸エステル類と、ヒドロキシ基含有化合物とを、酸触媒の存在下に反応させる場合には、生成物であるα−(アルコキシメチル)アクリル酸エステル類の生成と同時に、α−(アルコキシメチル)アクリル酸エステル類の加水分解反応も進行してしまうために、反応収率が低くなり効率的な反応とは言い難いものであった。更には、α−(アルコキシメチル)アクリル酸エステル類の生成反応の副反応としてエステル交換反応が進行するために、エステル置換基の構造とヒドロキシ基含有化合物のヒドロキシ基以外の部分の構造とが異なる場合には、生成物の生成選択性が低くなってしまうものであった。また、非特許文献3においては、触媒として固体酸であるモンモリロナイトを用いており、この場合には、固体酸が反応原料の60質量%と多量に必要となり、工業的な製造方法としては課題のあるものであった。
そして、特許文献2、特許文献3のように、α−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチルを原料に、3級アミンを触媒として用いる場合には、上記同様、生成物の生成反応と共にエステル交換反応が進行し、更には、反応時間が長く必要であり、原料の転化率及び生成物の収率も低いものであった。
また、特許文献4の方法は、α位置換アクリル酸エステル類を短時間かつ高収率で得ることができる方法であるが、更に高い収率でα位置換アクリル酸エステル類を製造することができる方法を開発する工夫の余地があった。
このように、従来α位置換アクリル酸エステル類の製造方法として提案されている方法は、いずれも工業的な製造方法としてより好適なものとなるよう工夫する余地があった。
上記製造方法は、下記一般式(3);
以下に本発明を詳述する。
なお、以下において記載する本発明の個々の好ましい形態を2つ以上組み合わせたものもまた、本発明の好ましい形態である。
本発明において、精製工程には、反応液中の水や第1の工程の反応で副生するアルコール類等を除く工程が含まれ、後述する一般式(3)で表されるアクリル酸エステル類を共沸剤として用いて、反応液中の水を留去する工程は精製工程に含まれる。
精製工程における精製方法は特に制限されないが、蒸留や相分離(抽出)を含む方法が好ましい。
第1の工程の反応に供される一般式(3)で表されるアクリル酸エステル類とアルデヒド類とのモル比は、1.1:1〜5:1であることが好ましい。より好ましくは、1.5:1〜3:1である。
これらの中でも、トリメチルアミン、トリエチレンジアミン、キヌクリジン、ピロコリジン等の3級アミンは、第2の工程の触媒としても作用するものであるため特に好ましい。
Deevi Basavaiah、外2名、「ケミカル レビュー(Chemical Review)」、2003年、第103巻、p.811−891
また、分子状酸素の供給量としては、特に制限されないが、反応系の気相部の酸素濃度が0.01〜10容量%となるように供給することが好ましい。
なお、上記反応工程中の重合反応を充分に抑制するためには、重合禁止剤と分子状酸素とを併用することが好ましい。
これらの中でも、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、ジオキサン、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、ヘキサン、メチルシクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、水が好ましい。これら溶媒は、単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
また反応時間は、反応原料や触媒の種類や量、反応温度に応じて適宜設定することができるが、1〜30時間であることが好ましい。より好ましくは、5〜20時間である。
反応圧力は特に制限されず、常圧(大気圧)下、減圧下、加圧下のいずれの条件下で行ってもよい。
本発明の第2の工程は、第1の工程の反応で得られた上記一般式(1)で表される化合物と、ヒドロキシ基含有化合物とを反応させて上記一般式(2)で表されるα位置換アクリル酸エステル類を製造する反応である。この第2の工程の反応では水が副生する。また、第1の工程の反応において溶媒として水が使用された場合には、第1の工程で得られた、一般式(1)で表される化合物を含む反応液は水を含んでいる。
第2の工程の反応は平衡反応であり、α位置換アクリル酸エステル類の収率を上げるためには、反応系中に存在する水を留去することが重要である。水を充分に留去するためには共沸剤を用いて反応液を蒸留することが好ましいが、共沸剤の種類によっては水だけでなく、一般式(1)で表される化合物と反応するヒドロキシ基含有化合物も一緒に留去してしまい、α位置換アクリル酸エステル類を高い収率で得ることができない場合がある。しかし、一般式(3)で表されるアクリル酸エステル類は、水を留去し、ヒドロキシ基含有化合物は留去しにくい共沸剤としてはたらくものであることから、一般式(3)で表されるアクリル酸エステル類を共沸剤として用いて、反応液中の水を留去することで、α位置換アクリル酸エステル類の生成を促進し、収率を上げることができる。
好ましくは、第1の工程の反応に原料として供給されたアルデヒド類の一般式(1)で表される化合物への転化率が50モル%以上となった後に上記一般式(3)で表されるアクリル酸エステル類を共沸剤として用いて、反応液中の水を留去する工程を行うことである。
アルデヒド類の一般式(1)で表される化合物への転化率は、反応液をサンプリングしてクロマトグラフィーによりアルデヒドやアルデヒド由来の誘導体を定量することにより確認することができる。
本発明の第1の工程において、一般式(3)で表されるアクリル酸エステルとして、R3が炭素数1〜10のアルキル基であるものを用いた場合、メタノール等の低級アルコール類が副生することになる。本発明の第1の工程の反応の副生物であるアルコール類を含む反応液を第2の工程で使用すると、第2の工程で当該副生したアルコール類と一般式(1)で表される化合物とが反応する副反応がおこり、目的物であるα位置換アクリル酸エステル類の収率が低下する原因となるため、副生物であるアルコール類を除去することが好ましい。これらの低級アルコール類を除去する方法として相分離を用いる方法が好適であるが、これらの低級アルコール類は相分離時の油層にも水層にも溶解するため、相分離槽内でのアルコール類濃度が上がると、油層と水層とが混ざって均一層になる。本発明において共沸剤として用いるアクリル酸エステル類は、極性が高く、水とも混ざりやすいため、油層と水層との分離が充分でない相分離槽で相分離を行うと、反応液に共沸剤としての機能を発揮するだけの充分な量のアクリル酸エステル類が残存しないおそれがある。
上記のように相分離槽内の水とアルコール類との質量比を1:0〜1:2に保持すれば、油層と水層とが分離した状態が保持され、相分離した油層を回収した反応液に充分な量のアクリル酸エステル類を残存させることができる。また、油層と水層との分離が充分であると、反応液からの水の除去も充分に行うこともできる。
上記特許文献4等においては、本発明の第2の工程と同様の反応において、共沸剤としてジイソプロピルエーテル等が用いられているが、ジイソプロピルエーテル等は、層分離しやすいため、このような水とアルコール類との質量比の管理は必要とならない。このような水とアルコール類との質量比の特定は、アルコール類が副生する第1の工程の反応で得られた反応液を第2の工程で用い、更に、極性が高く、水とも混ざりやすいアクリル酸エステル類を共沸剤として用いる本発明の製造方法において特に技術的意義があるといえる。
相分離槽の水とアルコール類との質量比は、より好ましくは、1:0〜1:0.5であり、更に好ましくは、1:0〜1:0.2である。
相分離槽内の水とアルコール類との質量比は、相分離槽内を組成分析し、必要により水相を抜き出すことにより管理することができる。
上述したとおり、目的物であるα位置換アクリル酸エステル類の収率を高くするためには、第1の工程の反応で副生するアルコール類を除去することと、第2の工程において反応液中の水を除去することが重要である。
このため、第1の工程の反応で得られた反応液や第2の工程の反応で得られた反応液を蒸留して第1の工程の副生物であるアルコール類や水を除去することが考えられるが、蒸留した場合、アルコール類や水とともに一般式(3)で表されるアクリル酸エステル類も共沸剤として塔頂液に留出することになる。しかし、反応液中のアルコール類や水を蒸留により充分に取り除くためには、反応液中に一般式(3)で表されるアクリル酸エステル類が存在することが必要である。このため、蒸留によって得られた塔頂液を相分離して、不要なアルコール類や水と、一般式(3)で表されるアクリル酸エステル類とを分離し、一般式(3)で表されるアクリル酸エステル類を回収して反応液に戻すことが好適となる。このようにすることで、反応液中の一般式(3)で表されるアクリル酸エステル類の減少を抑制し、副生するアルコール類や水等の不純物の除去を充分に行って、α位置換アクリル酸エステル類をより高い収率で製造することができる。
第1の工程の反応では、アルコールが副生することになる。第1の工程を反応蒸留により行って、副生するアルコールを除去しながら反応をすすめることで、第1の工程で生成する上記一般式(1)で表される化合物と副生するアルコールとのエステル交換反応による副生成物の生成を効果的に抑制することができる。また上記のように、第2の工程の反応は平衡反応であるため、反応系中の水を蒸留により除去しながら反応を行うことで、α位置換アクリル酸エステル類の収率を高くすることができる。
本発明の製造方法における第1の工程、第2の工程のいずれか一方を反応蒸留で行ってもよく、両方を反応蒸留で行ってもよいが、求められる構造のα位置換アクリル酸エステル類の収率を高くする点からは、第1の工程、第2の工程の両方を反応蒸留で行うことが最も好ましい。
第1の工程で得られた反応液が、第1の工程と第2の工程との間に精製工程を経る場合、酸及び/又はその塩は、当該精製工程を経た後の反応液に対して供給されることが好ましい。
なお、ここでいう第1の工程で得られた反応液とは、第1の工程を終了し、第2の工程に供給される反応液を意味する。
第1の工程の反応で用いられるアルデヒド類は、酸及び/又はその塩を失活させるおそれがあるため、酸及び/又はその塩の供給は、アルデヒド類の濃度が反応液全量に対して0.01〜10質量%に低下した反応液に対して行うことが好ましい。アルデヒド類の濃度が充分に低下した反応液に酸及び/又はその塩を供給し、第2の工程の反応を行うことで触媒である酸及び/又はその塩の作用により第2の工程の反応を促進し、α位置換アクリル酸エステル類の収率を高める効果を充分に発揮させることができる。
酸及び/又はその塩を供給する際のアルデヒド類の反応液全量に対する濃度は、より好ましくは、0.01〜7質量%であり、更に好ましくは、0.01〜5質量%であり、特に好ましくは、0.01〜3質量%である。
反応液中のアルデヒド類の濃度は、反応液をサンプリングしてクロマトグラフィーによりアルデヒドやアルデヒド由来の誘導体を定量することで確認できる。
これらの中でも、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、安息香酸、テレフタル酸、フタル酸、マレイン酸、ペンタフルオロフェノール、トリクロロフェノール類、ジクロロフェノール、p−トルエンスルフィン酸等のpKaが3〜8の有機酸;ホウ酸、リン酸等の無機酸;蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、安息香酸、テレフタル酸、フタル酸、マレイン酸、ペンタフルオロフェノール、トリクロロフェノール類、ジクロロフェノール、シュウ酸、p−トルエンスルホン酸等の有機酸又は塩酸、ホウ酸、リン酸、硫酸、硝酸、バナジン酸、タングステン酸、モリブデン酸等の無機酸とトリメチルアミン、トリエチルアミン、N−メチルイミダゾール、アニシジン、トルイジン、ピリジン、2,6−ジメチルピリジン、3,5−ジメチルピリジン、N,N−ジメチル−4−ピリジン、トリエチレンジアミン、キヌクリジン、ピロコリジンのアミン類との塩若しくは混合物;ホウ酸エステル類、ボロン酸類、ボロン酸エステル類、ハロゲン化ホウ素類、トリアリールボラン類等のホウ素化合物;酢酸亜鉛、亜鉛トリフラート、亜鉛アセチルアセトナート、酢酸マグネシウム、酢酸ランタン、ランタントリフラート、酢酸アルミニウム、アルミニウムトリフラートのルイス酸性金属塩が好ましい。より好ましくは、酢酸、安息香酸、ペンタフルオロフェノール、トリクロロフェノール類、ホウ酸、ホウ酸エステル、トリアリールボラン類、酢酸亜鉛、亜鉛トリフラート、これらの酸とトリメチルアミン、トリエチルアミン、アニシジン、トルイジン、ピリジン、トリエチレンジアミンとの塩若しくは混合物であり、更に好ましくは、酢酸、安息香酸、トリクロロフェノール類、ホウ酸、酢酸亜鉛、亜鉛トリフラートである。特に好ましくは、酢酸、酢酸亜鉛である。
酸及び/又はその塩に加え、3級アミンを用いて反応を行うことで、目的とするα位置換アクリル酸エステル類の収率を更に高くすることができる。また、第2の工程の反応を酸を触媒として行うと、エステル交換反応が進行し、一般式(1)におけるR3と、ヒドロキシ基含有化合物の後述する式(7)におけるY1がことなる構造であると、反応生成物の選択率が低下する結果となる。しかし、上記酸及び/又はその塩に加え、3級アミンを用いると、エステル交換反応の進行が抑制され、一般式(1)におけるR3と、ヒドロキシ基含有化合物の後述する式(7)におけるY1がことなる構造である場合でも、高い選択率で目的とする生成物を得ることができる。
上述したように3級アミンは、第1の工程の反応の触媒としても好ましいものであるため、第1の工程の反応において3級アミンを触媒として用いることで、第1の工程の反応、及び、第2の工程の反応の両方の反応を促進することができる。
なお、酸及び/又はその塩として、シュウ酸、p−トルエンスルホン酸、塩酸、リン酸、硫酸、硝酸、バナジン酸、タングステン酸、モリブデン酸等のpKaが3未満のブレンステッド酸を用いる場合には、3級アミンと、酸及び/又はその塩とのモル比は、20/1〜1/1であることが特に好ましい。酸及び/又はその塩として、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、安息香酸、テレフタル酸、フタル酸、マレイン酸、ペンタフルオロフェノール、トリクロロフェノール類、ジクロロフェノール等のpKaが3〜8のブレンステッド酸を用いる場合には、3級アミンと、酸及び/又はその塩とのモル比は、10/1〜1/5であることが特に好ましい。酸及び/又はその塩として、ホウ酸、パラメトキシフェノール等のpKaが8より大きいブレンステッド酸を用いる場合には、3級アミンと、酸及び/又はその塩とのモル比は、10/1〜1/10であることが特に好ましい。酸及び/又はその塩として、上記有機酸又は無機酸とアミン類との塩若しくは混合物を用いる場合には、3級アミンと、酸及び/又はその塩とのモル比は、5/1〜1/10であることが特に好ましい。また、酸及び/又はその塩として、ホウ酸エステル、トリアリールボラン類等のホウ素化合物や、酢酸亜鉛、亜鉛トリフラート等のルイス酸性金属塩等のルイス酸を用いる場合には、3級アミンと、酸及び/又はその塩とのモル比は、20/1〜1/2であることが特に好ましい。
重合防止剤の添加量としては、特に制限されず、適宜設定することができるが、例えば、一般式(1)で表される化合物100質量%に対して、0.001〜10質量%であることが好ましい。より好ましくは、0.01〜5質量%である。
分子状酸素の供給量は、上述した第1の工程における場合と同様である。
本発明のα位置換アクリル酸エステル類の製造方法において、一般式(1)で表される化合物は、一般式(3)で表されるアクリル酸エステル類とアルデヒドとの反応により製造されるものであり、一般式(1)におけるR2は、水素原子又は炭素数1〜30の有機基を表す。
上記アルケニル基としては、ビニル基、アリル基、メタリル基、ベンジル基、クロチル基、1,1−ジメチル−2−プロペニル基、2−メチル−ブテニル基、3−メチル−2−ブテニル基、3−メチル−3−ブテニル基、2−メチル−3−ブテニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基、ウンデセニル基、ドデセニル基、トリデセニル基、テトラデセニル基、ペンタデセニル基、ヘキサデセニル基、ヘプタデセニル基、オレイル基、リノール基、リノレン基、シクロペンテニル基、シクロペンテニルメチル基、シクロヘキセニル基、シクロヘキセニルメチル基、4−メチルシクロヘキセニル基、4−t−ブチルシクロヘキセニル基、シクロオクテニル基、ジシクロペンテニル基等が挙げられる。
上記アリール基としては、フェニル基、o−、m−、p−の各種トリル基、o−、m−、p−の各種メトキシフェニル基、o−、m−、p−の各種キシリル基、ヘミメリチル基、クメニル基,プソイドクメニル基、メシチル基、ジュニル基、ペンタフェニメチル基、エチルフェニル基,クメニル基、スチリル基、ビフェニル基、p−テルフェニル基,ジフェニルメチルフェニル基、フェノキシフェニル基、ビベンジリル基、スチルベニル基、インデニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、フリル基、チエニル基等が挙げられる。
R3がメチル基やエチル基である場合、第1の工程の反応で副生するアルコール類が、相分離工程において油層、水層のいずれにも溶解するメタノール又はエタノールとなるため、上述した相分離工程において、相分離槽での水とアルコール類との質量比を上述した範囲とすることの技術的意義が大きくなる。
アルコール系ヒドロキシ基含有化合物は、下記一般式(7);
フェノール系ヒドロキシ基含有化合物としては、具体的には、フェノール、o−、m−、p−の各種クレゾール、o−、m−、p−の各種メトキシフェノール、2,3−ジメチルフェノール、2,4−ジメチルフェノール、2,5−ジメチルフェノール、2,6−ジメチルフェノール、3,4−ジメチルフェノール、3,5−ジメチルフェノール、トリメチルフェノール、o−、m−、p−の各種t−ブチルフェノール、o−、m−、p−の各種s−ブチルフェノール、メチル−t−ブチルフェノール、o−、m−、p−の各種シクロヘキシルフェノール、o−、m−、p−の各種フェニルフェノール、1−又は2−ナフトール、アントロールが挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。これらの中でも、α位置換アクリル酸エステル類を高い収率で得る効果がより充分に発揮されるという点からは、フェノール、o−、m−、p−の各種クレゾール、2,3−ジメチルフェノール、2,4−ジメチルフェノール、2,5−ジメチルフェノール、2,6−ジメチルフェノール、3,4−ジメチルフェノール、3,5−ジメチルフェノール、トリメチルフェノール、o−、m−、p−の各種t−ブチルフェノール、o−、m−、p−の各種フェニルフェノール、1−又は2−ナフトール、アントロールがより好ましい。
本発明の製造方法の第1の工程においては、一般式(3)で表されるアクリル酸エステル類、及び、一般式(8)で表されるアルデヒドをそれぞれ1種用いてもよく、2種以上用いてもよい。
分留管、冷却管及び相分離槽(還流ホルダー)を備えた500ml容のガラス製反応容器にアクリル酸メチル(AM)237g、92%パラホルムアルデヒド(PFA)45g、1,4−ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン(DABCO)7.73g、水 6.2g、及び重合禁止剤としてヒドロキノンモノメチルエーテル(MEHQ)0.12g、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル(4H−TEMPO)0.12gを仕込んだ。この混合液を80℃で4時間攪拌した後、沸点まで昇温し、塔頂液の水相を相分離槽に溜めて油相のみを還流させる反応蒸留操作に切り替えた。さらに4時間攪拌を続けた後、還流状態を保ったままアリルアルコール 120g、DABCO 7.73g、酢酸 16.7gから成る混合溶液を30分かけて滴下し、滴下終了時からさらに11.5時間、上記反応蒸留操作を続けた。反応開始から20時間後のα−アリルオキシメチルアクリル酸メチルの収率は仕込んだパラホルムアルデヒドに対し73.3モル%、反応液の水分は0.4%であった。また滴下操作開始時の反応液中のアルデヒド分は3質量%であり、相分離槽の水:メタノールの質量比は工程を通して1:0〜1:0.2の範囲内であった。
相分離槽の水相を連続的に抜き出しながら反応蒸留操作を行った点以外は実施例1と同様に行った。工程終了時のα−アリルオキシメチルアクリル酸メチルの収率は仕込んだパラホルムアルデヒドに対し54.9モル%、反応液の水分は3.4%であった。また滴下操作開始時の反応液中のアルデヒド分は10質量%であり、相分離槽の水:メタノールの質量比は工程を通して1:0〜1:1の範囲内であった。
反応開始から4時間後までの温度を70℃とした点以外は実施例1と同様に行った。工程終了時のα−アリルオキシメチルアクリル酸メチルの収率は仕込んだパラホルムアルデヒドに対し58.5モル%であった。また滴下操作開始時の反応液中のアルデヒド分は5質量%であり、相分離槽の水:メタノールの質量比は工程を通して1:0〜1:0.14の範囲内であった。
攪拌機、冷却管、温度計、ガス吹き込み管および油浴を備えた500mlの4つ口フラスコに、92%PFA 45g、触媒としてDABCO 15.46g、助触媒として酢酸16.7g、重合禁止剤としてヒドロキノンモノメチルエーテル(MEHQ)0.12g、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル(4H−TEMPO)0.12g、AM 237g、水 6.2g、アリルアルコール 120gを仕込んだ。常圧下、反応液に空気を吹き込みながら、反応液を85℃に昇温し16時間反応させた。α−アリルオキシメチルアクリル酸メチルの収率は仕込んだPFAに対し14.4モル%であった。酢酸添加時点のアルデヒド分の濃度は10.2質量%であった。
助触媒の酢酸を入れなかった点以外は比較例1と同様に行った。α−アリルオキシメチルアクリル酸メチルの収率は仕込んだPFAに対し31.0モル%であった。
AMを118gにした(AM:PFAのモル比=1:1)こと以外は、比較例1と同様に行った。α−アリルオキシメチルアクリル酸メチルの収率は仕込んだPFAに対し15.2モル%であった。酢酸添加時点のアルデヒド分の濃度は14質量%であった。
AMを118gにした(AM:PFAのモル比=1:1)こと以外は実施例1と同様に行った。α−アリルオキシメチルアクリル酸メチルの収率は仕込んだPFAに対して57.8モル%あった。酢酸添加時のアルデヒド分の濃度は13質量%であった。
また実施例1と比較例4との比較から、アクリル酸メチルとパラホルムアルデヒドとのモル比を所定の範囲にすることで、高い収率でα−アリルオキシメチルアクリル酸メチルを得ることが可能となることが確認された。
更に、実施例1〜3の比較から、相分離槽内の水:アルコール比、酸触媒添加時のアルデヒド類濃度がα−アリルオキシメチルアクリル酸メチルの収率に影響することが確認された。
2:相分離槽
3:還流ポンプ
4、5:冷却管
6、7:温度計
8:油相
9:水相
10、11:還流液(油相)
Claims (4)
- 下記一般式(1);
該製造方法は、下記一般式(3);
該第1の工程で得られた反応液を一般式(7)で表されるヒドロキシ基含有化合物と反応させる第2の工程、及び、一般式(3)で表されるアクリル酸エステルを共沸剤として用いて、反応液中の水を留去する工程を含む
ことを特徴とするα位置換アクリル酸エステルの製造方法。 - 前記製造方法は、水と、前記アクリル酸エステルと前記アルデヒドとの反応で副生するアルコールとの質量比を1:0〜1:2に保持した相分離槽で共沸剤と水とを相分離することを特徴とする請求項1に記載のα位置換アクリル酸エステルの製造方法。
- 前記製造方法は、第1の工程で得られた反応液に、酸及び/又はその塩を供給する工程を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載のα位置換アクリル酸エステルの製造方法。
- 前記第1の工程で得られた反応液に、酸及び/又はその塩を供給する工程は、アルデヒドの濃度が反応液全量に対して0.01〜10質量%である、第1の工程で得られた反応液に対して、酸及び/又はその塩を供給する工程であることを特徴とする請求項3に記載のα位置換アクリル酸エステルの製造方法。
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