JPWO2011078061A1 - 線路変換構造およびそれを用いたアンテナ - Google Patents

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Abstract

線路変換構造において、スロット線路(5)は、グランド層(4)に誘電体層(2)を貫通する貫通導体(6)で接続されたスロットグランド導体(7)と、スロット信号導体(8)と、スロットグランド導体(7)とスロット信号導体(8)との間に配置されたスロット(9)とを含む。マイクロストリップ線路(1)の信号導体(3)は、スロットグランド導体(7)との間に間隙を設けてスロットグランド導体(7)およびスロット(9)と直交し、先端がスロット信号導体(8)に接続されており、スロットグランド導体(7)の間隙を挟んで信号導体(3)に平行な部分の長さLが、マイクロストリップ線路(1)を伝送する信号の波長の0.25倍以下である。

Description

本発明は、誘電体層に形成された高周波伝送線路をスロット線路に変換する線路変換構造に関するものであって、特に、マイクロ波帯からミリ波帯領域の高周波用半導体素子を収納あるいは搭載するのに好適な半導体素子収納用パッケ−ジあるいは配線基板において、伝送線路の層間接続、アンテナとの接続、導波管との接続等に適した線路変換構造およびそれを用いたアンテナに関するものである。
近年、高度情報化時代を迎え、情報伝達に用いられる電波は1GHz〜30GHzのマイクロ波領域から、更に30GHz〜300GHzのミリ波領域の周波数まで活用することが検討されており、例えば、60GHzを用いた家庭内高速無線伝送システム(無線PAN:Personal Area Network)のような応用システムも提案されるようになっている。
このような応用システム等に用いられる高周波用半導体素子(以下、単に高周波素子という)を収納あるいは搭載する配線基板では、従来、伝送線路の層間接続や、アンテナへの接続等はスロット線路を介して行なわれることが多い。
スロット線路を介した伝送線路の接続を用いた配線基板として、特許文献1に開示される配線基板が知られている。この配線基板において、上側の誘電体層に構成されるマイクロストリップ線路と、下側の誘電体層に構成される出力用マイクロストリップ線路とが、各誘電体層間に設けられるスロットを介して電磁結合によって高周波的に接続されている。
このような配線基板におけるマイクロストリップ線路とスロットとの間の電磁結合の特性は、各マイクロストリップ線路の開放端からスロットの中心までの長さであるスタブ長さと、スロット長さとにより変化するものである。このような配線基板を印刷、積層技術を用いて製造する場合には、スロット長さのばらつきは印刷の寸法ばらつきだけで決まるため、比較的小さいものとなる。一方、スタブ長さのばらつきは、各マイクロストリップ線路を形成する際の印刷位置ばらつき、スロットを形成する際の印刷位置ばらつき、および上下の誘電体層を積層する際の積層ずれによって大きいものとなりやすいので、マイクロストリップ線路とスロットとの間の電磁結合の特性がばらついてしまうという問題があった。
また、高周波を伝送する線路をスロット線路に変換する線路変換構造として、特許文献2に開示される配線基板が知られている。この例は、コプレーナ線路を同一面上に形成されたスロットを介して誘電体導波管に接続するための配線基板である。この場合、コプレーナ線路とスロットとが同一面上に形成されていることから、上記のような印刷位置ずれや積層ずれに影響を受けず、印刷の寸法ばらつきだけに依存するので、スタブ長さのばらつきは、比較的小さいものとなり、コプレーナ線路からスロットへの変換特性ばらつきは小さくなる。
さらに、マイクロストリップ線路をコプレーナ線路に変換する線路変換構造として、特許文献3に開示される配線基板が知られている。この例は、マイクロストリップ線路を構成する信号導体の幅を狭くしながら、信号導体の両側に信号導体と間隔をあけてグランド導体を形成し、その間隔をインピーダンスが一定になるように狭くしてコプレーナ線路に変換する配線基板である。このような配線基板では、信号導体とその両側のグランド導体との間隔をインピーダンスが一定になるように狭くする設計は容易ではなかった。
特開平3−129903号公報 特開2002−26611号公報 特開平6−303010号公報
本発明の目的は、変換特性のばらつきが小さく、かつ変換損失が小さい、高周波伝送線路をスロット線路に変換する線路変換構造を提供することにある。
本発明の実施の一態様において、線路変換構造は、高周波伝送線路をスロット線路に変換する線路変換構造である。前記高周波伝送線路は、誘電体層と該誘電体層の上面に配置された信号導体と前記誘電体層の下面に配置されたグランド層とを含む。前記スロット線路は、スロットグランド導体と、スロット信号導体と、スロットとを含む。スロットグランド導体は、前記誘電体層の上面に配置され、前記グランド層に前記誘電体層を貫通する貫通導体で接続される。スロット信号導体は、前記誘電体層の上面に配置される。スロットは、前記スロットグランド導体と前記スロット信号導体との間に配置される。前記高周波伝送線路の前記信号導体は、前記スロットグランド導体との間に間隙を設けて前記スロットグランド導体および前記スロットと直交し、先端が前記スロット信号導体に接続されている。前記スロットグランド導体の前記間隙を挟んで前記信号導体に平行な部分の長さが、前記高周波伝送線路を伝送する信号の波長の0.25倍以下である。
本発明の実施の一態様において、アンテナは、前記スロットの両方の端部が閉じている上記の線路変換構造と、下側誘電体層と、下側グランド層と、第1の開口と、第2の開口と、複数のシールド導体とを含む。下側誘電体層は、前記誘電体層の下面に形成される。下側グランド層は、該下側誘電体層の下面に形成される。第1の開口は、前記グランド層の前記スロットに対向する部分に形成される。第2の開口は、前記下側グランド層の前記スロットに対向する部分に形成される。複数のシールド導体は、平面視で前記第1の開口および前記第2の開口を囲むように配列され、前記グランド層および前記下側グランド層を接続する。
本発明の実施の一態様によれば、線路変換構造において、高周波伝送線路の信号導体は、スロットグランド導体との間に間隙を設けてスロットグランド導体およびスロットと直交し、先端がスロット信号導体に接続されており、スロットグランド導体の間隙を挟んで信号導体に平行な部分の長さが、高周波伝送線路を伝送する信号の波長の0.25倍以下である。したがって、信号導体がスロットグランド導体との間に間隙を設けてスロットグランド導体と直交する部分ではコプレーナ線路の伝送モードとはならず、高周波伝送線路をスロット線路に直接変換することができるとともに、共振が発生しないので、変換損失の小さい線路変換構造となる。
本発明の実施の一態様によれば、アンテナは、上述のように、スロットの両方の端部が閉じている本発明の実施の一態様の線路変換構造と、下側誘電体層と、下側グランド層と、第1の開口と、第2の開口と、複数のシールド導体とを含む。したがって、このようなアンテナでは、高周波伝送線路を伝送してきた信号はスロット線路に信号エネルギーとして効率よく蓄えられ、スロットの下側に配置された下側誘電体層のシールド導体で囲まれた部分がスロットと下側誘電体層の下側に位置する空間との高周波的な整合をとる誘電体整合器として作用して、第1の開口および第2の開口を通って低損失(高効率)に信号を空間に放射することができる。
本発明の目的、特色、および利点は、下記の詳細な説明と図面とからより明確になるであろう。
本発明の線路変換構造の実施の形態の一例を説明するための概略斜視図である。 本発明の線路変換構造の実施の形態の一例を説明するための概略平面図である。 本発明の線路変換構造の実施の形態の一例を説明するための、図1Aの切断面線A−Aから見た概略断面図である。 本発明の線路変換構造の実施の形態の一例を説明するための、図1Aの切断面線B−Bから見た概略断面図である。 本発明の線路変換構造の実施の形態の他の例を説明するための概略斜視図である。 本発明の線路変換構造の実施の形態の他の例を説明するための概略平面図である。 本発明の線路変換構造の実施の形態の他の例を説明するための、図2Aの切断面線A−Aから見た概略断面図である。 本発明の線路変換構造の実施の形態のさらに他の例を説明するための概略斜視図である。 本発明の線路変換構造の実施の形態のさらに他の例を説明するための概略平面図である。 本発明の線路変換構造の実施の形態のさらに他の例を説明するための、図3Bの切断面線A−Aから見た概略断面図である。 本発明の線路変換構造の実施の形態のさらに他の例を説明するための概略斜視図である。 本発明の線路変換構造の実施の形態のさらに他の例を説明するための概略平面図である。 本発明の線路変換構造の実施の形態のさらに他の例を説明するための、図4Aの切断面線A−Aから見た概略断面図である。 本発明の線路変換構造の実施の形態のさらに他の例を説明するための概略平面図である。 本発明の線路変換構造の実施の形態のさらに他の例を説明するための、図5Aの切断面線A−Aから見た概略断面図である。 本発明の線路変換構造の実施の形態のさらに他の例を説明するための、図5Aの切断面線B−Bから見た概略断面図である。 本発明のアンテナの実施の形態の一例を説明するための概略平面図である。 本発明のアンテナの実施の形態の一例を説明するための、図6Aの切断面線A−Aから見た概略断面図である。 本発明のアンテナの実施の形態の一例を説明するための概略底面図である。 本発明のアンテナの実施の形態の他の例を説明するための概略平面図である。 本発明のアンテナの実施の形態の他の例を説明するための、図7Aの切断面線A−Aから見た概略断面図である。 本発明のアンテナの実施の形態の他の例を説明するための、図7Aの切断面線B−Bから見た概略断面図である。 本実施形態の線路変換構造の効果を確認するためのシミュレーション結果の、マイクロストリップ線路から出力用マイクロストリップ線路までの損失の周波数特性を示すグラフである。 本実施形態の線路変換構造の効果を確認するためのシミュレーション結果の、損失とスロットグランド導体の間隙を挟んで信号導体に平行な部分の長さの関係を示すグラフである。 本実施形態の線路変換構造の効果を確認するためのシミュレーション結果の、損失と、信号導体と貫通導体との間隔の関係を示すグラフである。 本実施形態のアンテナの反射のシミュレーション結果を示すグラフである。 グランド強化導体が形成されていない場合における、アンテナのゲインとスロットパターン幅との関係を示すグラフである。 試験例1のアンテナのゲインのシミュレーション結果を示すグラフである。 試験例3のアンテナのゲインのシミュレーション結果を示すグラフである。 試験例5のアンテナのゲインのシミュレーション結果を示すグラフである。 アンテナのゲインとグランド強化導体のスロット端部からの離間距離との関係を示すグラフである。 試験例6のアンテナのゲインのシミュレーション結果を示すグラフである。 試験例7のアンテナのゲインのシミュレーション結果を示すグラフである。 試験例8のアンテナのゲインのシミュレーション結果を示すグラフである。 試験例11のアンテナのゲインのシミュレーション結果を示すグラフである。
本発明の線路変換構造の実施の形態について、添付図面を参照しつつ以下に詳細に説明する。図1A〜図1D、図2A〜図2C、図3A〜図3C、図4A〜図4Cおよび図5A〜図5Cにおいて、高周波伝送線路であるマイクロストリップ線路1、誘電体層2、下側誘電体層2a、信号導体3、グランド層4、第1の開口4a、スロット線路5、貫通導体6、グランド強化導体6a、上側グランド強化導体6b、スロットグランド導体7、スロット信号導体8、スロット9、スロットパターン導体9a、上側誘電体層10,16、上側グランド層11,17、出力用信号導体12、出力用マイクロストリップ線路13、および高周波伝送線路であるストリップ線路18が示されている。なお、図1A〜図5Cにおいて、その構造がわかりやすいように誘電体層2、下側誘電体層2aおよび上側誘電体層10,16は透視して示している。また、図1Bの一点鎖線は、スロット9の幅方向の中心線である。
図1A〜図1Dは、本発明の線路変換構造の実施の形態の一例を説明するための概略図であり、図1Aは斜視図、図1Bは平面図、図1Cは図1Aの切断面線A−Aから見た断面図、図1Dは図1Aの切断面線B−Bから見た断面図である。本実施形態の高周波伝送線路であるマイクロストリップ線路1をスロット線路5に変換する線路変換構造では、図1A〜図1Dに示す例のように、マイクロストリップ線路1は、誘電体層2と誘電体層2の上面に配置された信号導体3と誘電体層2の下面に配置されたグランド層4とを含む。スロット線路5は、スロットグランド導体7と、スロット信号導体8と、スロット9とを含む。スロットグランド導体7は、誘電体層2の上面に配置され、グランド層4に誘電体層2を貫通する貫通導体6で接続される。スロット信号導体8は、誘電体層2の上面に配置される。スロット9は、スロットグランド導体7とスロット信号導体8との間に配置される。マイクロストリップ線路1の信号導体3は、スロットグランド導体7との間に間隙を設けてスロットグランド導体7およびスロット9と直交し、先端がスロット信号導体8に接続されている。このような構成によれば、信号導体3とスロット9は同じ誘電体層2上に形成されるのでスロット線路5への変換特性の因子であるスタブ長さ(図1Bに示すMLであり、この例の場合はスロット9の幅の半分の長さとなる。)は、製造時の印刷位置ずれや積層ずれに影響を受けず、印刷の寸法ばらつきだけに依存するのでばらつきは小さくなり、マイクロストリップ線路1からスロット線路5への変換特性ばらつきは小さくなる。そして、スロットグランド導体7の間隙を挟んで信号導体3に平行な部分の長さ(図1Bに示すL)が、マイクロストリップ線路1を伝送する信号の波長の0.25倍以下である。したがって、信号導体3がスロットグランド導体7との間に間隙を設けてスロットグランド導体7と直交する部分ではコプレーナ線路の伝送モードとはならず、マイクロストリップ線路1をスロット線路5に直接変換することができるとともに、共振が発生しないので、変換損失の小さい線路変換構造となる。
また、上記構成において、スロットグランド導体7の間隙を挟んで信号導体3に平行な部分に最も近接している貫通導体6と信号導体3との間隔(図1Bに示すD)が、マイクロストリップ線路1を伝送する信号の波長の0.13倍以下であるときには、マイクロストリップ線路1の信号導体3の直下のグランド層4から貫通導体6を通ってスロットグランド導体7までの距離が十分に短い。したがって、マイクロストリップ線路1のグランド電位をスロットグランド導体7に遅れなく伝達することができるので、マイクロストリップ線路1からスロット線路5への変換損失をさらに小さくすることができる。
図2A〜図2Cは、本発明の線路変換構造の実施の形態の他の例を説明するための概略図であり、図2Aは斜視図、図2Bは平面図、図2Cは図2Aの切断面線A−Aから見た断面図である。図2A〜図2Cに示す例では、図1A〜図1Dに示す例に比べてスロットグランド導体7の幅が広く、スロットグランド導体7とグランド層4とを接続する貫通導体6の径が大きくなっている。これにより、マイクロストリップ線路1のグランド電位をスロットグランド導体7に伝達する際、貫通導体6のインダクタンスによるグランド電位の伝播遅延を小さくすることができ、スロットグランド導体7のグランド電位の遅れが小さくなる。したがって、マイクロストリップ線路1からスロット線路5への変換損失を、さらに小さくすることができる。貫通導体6の径を大きくするだけでもこのような効果は得られるが、それによって貫通導体6がスロットグランド導体7からはみ出して、貫通導体6の端面が誘電体層2の表面に露出することになる。そうなると、配線基板の製造工程あるいは配線基板へ素子を実装する工程において、例えばめっき工程や、素子の実装後の洗浄工程等において、貫通導体6と誘電体層2との間のわずかな隙間からめっき液や洗浄液等の液体が浸入してしまい、それによって貫通導体6が腐食して導通抵抗が増加したり、液体の乾燥工程において、液体の膨張、気化による応力によって配線基板にクラックが発生して断線や絶縁不良などが起こったりする場合がある。そのため、スロットグランド導体7の幅を貫通導体6の径より大きくするのが好ましい。このような場合は、スロットグランド導体7の間隙を挟んで信号導体3に平行な部分の長さLのみをマイクロストリップ線路1を伝送する信号の波長の0.25倍以下とすればよく、図2A〜図2Cに示す例のように、スロットグランド導体7の幅は、間隙から離れた部分ではスロットグランド導体7の間隙を挟んで信号導体3に平行な部分よりも広いものとなる。
図3A〜図3Cは、本発明の線路変換構造の実施の形態のさらに他の例を説明するための概略図であり、図3Aは斜視図、図3Bは平面図、図3Cは図3Bの切断面線A−Aから見た断面図である。本実施形態の線路変換構造は、図3A〜図3Cに示す例のように、誘電体層2の上に上側誘電体層10を介して信号線路3のスロット線路5と直交する部分および間隙ならびにスロット線路5の間隙とスロット信号導体8との間の部分すなわち線路変換部を覆うように上側グランド層11が形成されているのが好ましい。このような構成とすると、線路変換部と外部とをシールドすることができ、変換部から外部への信号放射や、外部から線路変換部へのノイズ入射を抑制することができる。本実施形態の線路変換構造の線路変換部は、マイクロストリップ線路1を伝送する信号の電磁場モードを、スロット線路5を伝送する信号の電磁場モードに直接変換する部分であり、単純な伝送線路を伝送する信号の電磁場モードより複雑になっており、外部への放射あるいは外部からの入射の影響を受けやすい構造となっている。したがってこの線路変換部を上側グランド層11で覆うことにより外部への放射、あるいは外部からの入射の影響を効果的に抑制することができる。
図3A〜図3Cに示す例では、線路変換部の上部のみに上側グランド層11を形成しているが、平面視で線路変換部より大きめの上側グランド層11を形成すると、上記のシールド効果がより高まるとともに、本実施形態の線路変換構造を有する配線基板等を作製する際には、上側グランド層11の多少の位置ずれがあっても確実に線路変換部を覆うことができるので好ましい。さらには、誘電体層2の上面の全面を上側誘電体層10を介して上側グランド層11で覆うようにすると、線路変換部は上方の上側グランド層11および下方のグランド層4によって上下方向に完全にシールドされ、上下方向の外部への放射あるいは外部からの入射を完全に抑制することができる。また、グリーンシート積層法により本実施形態の線路変換構造を有する配線基板等を作製する場合は、上側誘電体層10の形成も容易となる。
また、図2A〜図2Cに示す例のように、貫通導体6はスロットグランド導体7の長さ方向(間隙から離れる方向)に複数並べて設けてもよい。このようにすると、貫通導体6が誘電体層2を通って外部からスロット9および線路変換部へのノイズ入射を抑制することができる。
また、誘電体層2の上面に、スロット9の少なくとも一方の端部を閉じるようにスロットパターン導体9aが配置されているときには、信号の伝送方向を所望の方向へ変えることができる。例えば、図2A〜図2Cに示す例のように、スロット9の一方の端部だけを閉じるスロットパターン導体9aが配置されている場合であれば、信号はその閉じた端部で全反射してスロット9の他方の端部側へ伝送するので、マイクロストリップ線路1を伝送してきた信号をスロット9の所望の一方の端部側へ伝送することができる。
図4A〜図4Cは、本発明の線路変換構造の実施の形態のさらに他の例を説明するための概略図であり、図4Aは斜視図、図4Bは平面図、図4Cは図4Aの切断面線A−Aから見た断面図である。図4A〜図4Cに示す例のように、スロット9の両方の端部を閉じるように2つのスロットパターン導体9aが配置されている場合であれば、マイクロストリップ線路1を伝送してきた信号はスロット線路5にエネルギーとして一旦蓄えられ、例えば、誘電体層2の下面のグランド層4の第1の開口4aを通って、グランド層4、さらにその下に形成された下側誘電体層2aおよび下側誘電体層2aの下面に形成された出力用信号導体12からなる出力用マイクロストリップ線路13等の別の伝送線路や、スロットの上下方向に配置されたアンテナあるいは導波管等へ伝送されるので、信号をスロット線路5を介して外部の素子に電磁結合により伝送することができる。
図5A〜図5Cは、本発明の線路変換構造の実施の形態のさらに他の例を説明するための概略図であり、図5Aは平面図、図5Bは図5Aの切断面線A−Aから見た断面図、図5Cは図5Aの切断面線B−Bから見た断面図である。図5A〜図5Cに示す例の線路変換構造は、高周波伝送線路であるストリップ線路18をスロット線路5に変換する。図5A〜図5Cに示す例では、ストリップ線路18は、上側誘電体層16と、上側誘電体層16の上面に配置された上側グランド層17と、誘電体層2と、誘電体層2の上面に配置された信号導体3と、誘電体層2の下面に配置されたグランド層4とを含む。スロット線路5は、スロットグランド導体7と、スロット信号導体8と、スロット9とを含む。スロットグランド導体7は、誘電体層2の上面に配置され、グランド層4に誘電体層2を貫通する貫通導体6で接続される。スロット信号導体8は、誘電体層2の上面に配置される。スロット9は、スロットグランド導体7とスロット信号導体8との間に配置される。ストリップ線路18の信号導体3は、スロットグランド導体7との間に間隙を設けてスロットグランド導体7およびスロット9と直交し、先端がスロット信号導体8に接続されている。
そして、図5A〜図5Cに示す例の線路変換構造では、スロット9の両方の端部を閉じるように、2つのスロットパターン導体9aが誘電体層2の上面に配置され、スロットパターン導体9aの信号導体3に垂直な部分の長さ(スロットパターン幅SW)が、ストリップ線路18を伝送する信号の波長の0.25倍以下である。このようにスロットパターン導体9aの信号導体3に垂直な部分の長さ(スロットパターン幅SW)が短い場合に、スロット9の端部から信号導体3に離反する方向に、ストリップ線路18を伝送する信号の波長の0.25倍以内の領域に、誘電体層2を貫通し、スロットグランド導体7とグランド層4とを接続するグランド強化導体6aが形成されている。すなわち、グランド強化導体6aは、スロット9の端部からの離間距離Gが、ストリップ線路18を伝送する信号の波長の0.25倍以下となるように設けられている。これによって、スロット9の端部のスロットグランド導体7側の電位をグランド電位に近くすることができる。したがって、スロット信号導体8の電位とスロットグランド導体7のグランド電位がスロット9の端部でショートされて各導体に流れる電流分布が対称となり、電流分布による電磁界が対称となって信号の不要な放射が抑制され、アンテナとした場合のゲインが低下するのを抑制することができる。
また、図5A〜図5Cに示す例の線路変換構造では、ストリップ線路18が上側グランド層17を有するので、上側グランド層17により上側からの外部への信号の放射が抑制され、アンテナとした場合のゲインが低下するのを抑制することができる。
また、上記構成において、上側誘電体層16を貫通し、スロットグランド導体7と上側グランド層17とを接続する上側グランド強化導体6bが設けられることが好ましい。このように上側グランド強化導体6bが設けられる場合には、スロット9の端部のスロットグランド導体7側の電位をグランド電位により近くすることができるので、ゲインが低下するのをより抑制することができる。
また、図5A〜図5Cに示す例のように、スロット9の両方の端部を閉じるように2つのスロットパターン導体9aが配置されている場合であれば、ストリップ線路18を伝送してきた信号はスロット線路5にエネルギーとして一旦蓄えられ、例えば、誘電体層2の下面のグランド層4の第1の開口4aを通って、グランド層4、さらにその下に形成された下側誘電体層2aおよび下側誘電体層2aの下面に形成された出力用信号導体12からなる出力用マイクロストリップ線路13等の別の伝送線路や、スロット9の上下方向に配置されたアンテナあるいは導波管等へ伝送されるので、信号をスロット線路5を介して外部の素子に電磁結合により伝送することができる。
このような構成の本実施形態の線路変換構造を用いることで、低損失なアンテナを構成することができる。
図6A〜図6Cは、本発明のアンテナの実施の形態の一例を説明するための概略図であり、図6Aは平面図、図6Bは図6Aの切断面線A−Aから見た断面図、図6Cは底面図である。図6A〜図6Cにおいて、下側グランド層14、下側グランド層14に形成された第2の開口14a、およびシールド導体15が示されており、その他の符号は図1A〜図5Cに付したのと同じ部位を示す。また、図6A〜図6Cでは、図1A〜図5Cと同様に、その構造がわかりやすいように誘電体層2および下側誘電体層2aは透視して示している。
図6A〜図6Cに示す例のアンテナは、スロット9の両方の端部が閉じている図1A〜図4Cに示した構成のいずれかの線路変換構造と、下側誘電体層2aと、下側グランド層14と、第1の開口4aと、第2の開口14aと、複数のシールド導体15とを含む。下側誘電体層2aは誘電体層2の下面に形成される。下側グランド層14は、下側誘電体層2aの下面に形成される。第1の開口4aは、グランド層4のスロット9に対向する部分に形成される。第2の開口14aは、下側グランド層14のスロット9に対向する部分に形成される。複数のシールド導体15は、平面視で第1の開口4aおよび第2の開口14aを囲むように配列され、グランド層4および下側グランド層14を接続する。このような構成のアンテナでは、マイクロストリップ線路1を伝送してきた信号はスロット線路5に信号エネルギーとして効率よく蓄えられ、スロット9の下側に配置された下側誘電体層2aのシールド導体15で囲まれた部分がスロット9と下側誘電体層2aの下側に位置する空間との高周波的な整合をとる誘電体整合器として作用して、第1の開口4aおよび第2の開口14aを通って低損失(高効率)に信号を空間に放射することができる。
アンテナが備える線路変換構造が上記したようなより低損失となる構造であれば、アンテナもより低損失(高効率)なものとなる。線路変換構造におけるスロットグランド導体7の間隙を挟んで信号導体3に平行な部分の長さ(図1Bに示すL)が、マイクロストリップ線路1を伝送する信号の波長の0.25倍以下であるとともに、スロットグランド導体7の間隙を挟んで信号導体3に平行な部分に最も近接している貫通導体6と信号導体3との間隔(図1Bに示すD)が、マイクロストリップ線路1を伝送する信号の波長の0.13倍以下であるときには、マイクロストリップ線路1からスロット線路5への変換損失がさらに小さくなる。したがって、このような構成のアンテナは、高周波信号を効率よく放射することのできるアンテナとなる。また、図6A〜図6Cに示す例のアンテナにおいて、図3A〜図3Cに示す例のように、誘電体層2の上に上側誘電体層10を介して信号導体3のスロット線路5と直交する部分および間隙ならびにスロット線路5の間隙とスロット信号導体8との間の部分すなわち線路変換部を覆うように上側グランド層11が形成されていると、線路変換部と外部とをシールドすることができ、線路変換部から外部への信号放射や、外部から線路変換部へのノイズ入射を抑制することができる。したがって、このような構成のアンテナは、より低損失(高効率)なアンテナ、あるいはノイズに強いアンテナとなる。
また、本実施形態のアンテナは、上記構成において、図6A〜図6Cに示す例のように、第1の開口4aが第2の開口14aよりも信号導体3に平行な方向の長さが短いときには、グランド層4の第2の開口14aと重なる部分によって線路変換部の乱れた電磁場モードが複数のシールド導体15で囲まれた領域(誘電体整合器)に漏れるのを抑制することができる。したがって、このような構成のアンテナは、乱れた電磁場モードによる誘電体整合器内での不要な共振の発生を抑制でき、より高効率なアンテナとなる。
下側誘電体層2aのシールド導体15で囲まれた部分が、下側誘電体層2aの下側に位置する信号が放射される空間と、スロット9との間のインピーダンス整合をとる誘電体整合器として作用するように、下側誘電体層2aの厚みは、下側誘電体層2a内における信号の波長の1/4の厚みとする。下側誘電体層2a内における信号の波長は、マイクロストリップ線路1を伝送する信号の周波数および下側誘電体層2aの比誘電率により変動するので、これらに応じて下側誘電体層2aの厚みを設定する。
複数のシールド導体15は、平面視で第1の開口4aおよび第2の開口14aを囲むように配列されて下側誘電体層2a内に形成される。それぞれのシールド導体15がグランド層4と下側グランド層14とを接続する。シールド導体15を第2の開口に近接させて外側に配列するのが好ましい。第1の開口4aを通った信号はシールド導体15で囲まれた部分を通るので、シールド導体15の内側に位置する下側グランド層14が小さくなると、この部分で信号の放射を妨げることが抑えられる。より好ましくは、シールド導体15を第2の開口14aに接するようにして外側に配列すると、シールド導体15の内側には下側グランド層14がほとんど存在せず、下側グランド層14によって信号の放射が妨げられることがない。
また、複数のシールド導体15の間隔は、高周波信号が隣接するシールド導体15間から漏れないように、誘電体整合器を伝送する信号の波長の1/4以下にするのが好ましい。
スロット9、第1の開口4aおよび第2の開口14aは、互いに対向するように、即ち平面視で重なるように配置されている。スロット9から下側誘電体層2aへの放射をグランド層4が妨げないように、第1の開口4aはスロット9よりも一回り大きく、第1の開口4aとスロット9とはそれぞれの中心を合わせて配置される。また、第1の開口4aを通った信号の下側誘電体層2aの下側の空間への放射を下側グランド層14が妨げないように、第2の開口14aは第1の開口4aよりも一回り大きく、第1の開口4aと第2の開口14aとはそれぞれの中心を合わせて配置される。このような、スロット9、第1の開口4aおよび第2の開口14aの大きさおよび配置によって、スロット9から第1の開口および第2の開口を通ってその下の空間へ良好に信号を放射することができる。
また、第1の開口4aと第2の開口14aとの大きさの関係については、特に、上述したように第1の開口4aが第2の開口14aよりも信号導体3に平行な方向の長さが短いのが好ましい。このようにすることにより、信号導体3の周りに発生する磁界、特に信号が変換される、信号導体3のスロットグランド導体7に挟まれた部分に発生する乱れた磁界によって励起されて誘電体整合器内の不要共振の磁界が発生するのを抑えることができる。誘電体整合器内の不要共振の磁界は、誘電体整合器の外周部(シールド導体15に近接した領域)に沿って発生しやすく、信号導体3の周りに発生する磁界、即ち平面視で信号導体3に対して垂直な方向の磁界によって励起されて不要共振の磁界が発生するので、誘電体整合器の外周部のうちの信号導体3に対して垂直な方向に延びる部分に発生しやすい。第1の開口4aが第2の開口14aよりも信号導体3に平行な方向の長さが短いと、この不要共振の磁界が発生しやすい部分と信号導体3との間にグランド層4が存在することとなり、グランド層4によって信号導体3の周りに発生する磁界をシールドすることができるので、不要共振の磁界が発生するのを抑えることができる。不要共振の磁界は、シールド導体15から誘電体整合器の中心までの間における、シールド導体15からこれらの間の距離の1/4までの領域に集中しやすので、第1の開口4aの信号導体3に平行な方向の長さ(図6Cに示すOL1)が第2の開口14aの信号導体3に平行な方向の長さ(図6Cに示すOL2)の1/2より短いのがよい。上述したように第1の開口4aと第2の開口14aとをその中心を合わせて配置して、第1の開口4aの信号導体3に平行な方向の長さOL1を第2の開口14aの信号導体3に平行な方向の長さOL2の1/2より短くすると、誘電体整合器内の不要共振の磁界が集中しやすい領域の上にグランド層4の第1の開口4aの周囲の部分が位置するようになる。この部分によって、信号導体3の周りに発生する磁界がより効果的にシールドされ、誘電体整合器内での不要な共振の発生を抑制する効果を高めることができる。
図7A〜図7Cは、本発明のアンテナの実施の形態の他の例を説明するための概略図であり、図7Aは平面図、図7Bは図7Aの切断面線A−Aから見た断面図、図7Cは図7Aの切断面線B−Bから見た断面図である。図7A〜図7Cでは、図1A〜図6Cと同様に、その構造がわかりやすいように誘電体層2、下側誘電体層2aおよび上側誘電体層16は透視して示している。図7A〜図7Cに示す例のアンテナは、線路変換構造として図5A〜図5Cに示した線路変換構造を用いたこと以外は、図6A〜図6Cに示したアンテナと同様に構成される。具体的には、図7A〜図7Cに示す例のアンテナは、スロット9の両方の端部が閉じている図5A〜図5Cに示した線路変換構造と、下側誘電体層2aと、下側グランド層14と、第1の開口4aと、第2の開口14aと、複数のシールド導体15とを含む。下側誘電体層2aは、誘電体層2の下面に形成される。下側グランド層14は、下側誘電体層2aの下面に形成される。第1の開口4aは、グランド層4のスロット9に対向する部分に形成される。第2の開口14aは、下側グランド層14のスロット9に対向する部分に形成される。複数のシールド導体15は、平面視で第1の開口4aおよび第2の開口14aを囲むように配列され、グランド層4および下側グランド層14を接続する。このような構成のアンテナでは、ストリップ線路18を伝送してきた信号はスロット線路5に信号エネルギーとして効率よく蓄えられ、スロット9の下側に配置された下側誘電体層2aのシールド導体15で囲まれた部分がスロット9と下側誘電体層2aの下側に位置する空間との高周波的な整合をとる誘電体整合器として作用して、第1の開口4aおよび第2の開口14aを通って低損失(高効率)に信号を空間に放射することができる。さらに、アンテナが備える線路変換構造が上記したような損失を抑制可能な構造であれば、アンテナもゲインの低下が抑制されたものとなる。
誘電体層2、上側誘電体層10,16および下側誘電体層2aは、セラミックスまたは有機樹脂、あるいはそれらの複合体からなる。セラミックスとしては、例えば、アルミナ(Al)質焼結体,窒化アルミニウム(AlN)質焼結体,窒化ケイ素(Si)質焼結体等のセラミック材料や、ガラス材料、あるいはガラスとAl、SiO、MgOなどの無機質フィラーとの複合体からなるガラスセラミック材料が挙げられる。有機樹脂としては、例えば、四フッ化エチレン樹脂(ポリテトラフルオロエチレン:PTFE),四フッ化エチレン−エチレン共重合樹脂(テトラフルオロエチレン−エチレン共重合樹脂:ETFE),四フッ化エチレン−パーフルオロアルコキシエチレン共重合樹脂(テトラフルオロエチレン−パーフルテロアルキルビニルエーテル共重合樹脂:PFA)等のフッ素樹脂やエポキシ樹脂,ガラスエポキシ樹脂,ポリイミド等が挙げられる。セラミック材料の場合は、より高周波の信号を伝送することが可能な、Au,Ag,Cu等の低抵抗金属からなる導体材料と同時焼成が可能なガラスセラミック材料が好ましい。これらの材料による誘電体層2厚みは、使用される周波数や用途等に応じて設定される。
信号導体3、グランド層4、スロットグランド導体7、スロット信号導体8、スロットパターン導体9a、上側グランド層11,17および下側グランド層14は、誘電体層2がセラミック材料からなる場合は、W,Mo,Mo−Mn,Au,Ag,Cu等の金属を主成分とするメタライズ層により形成される。また、誘電体層2が有機樹脂からなる場合は、厚膜印刷法、各種の薄膜形成方法、めっき法あるいは箔転写法等によって形成した金属層や、このような金属層上にめっき層を形成したもの、例えばCu層、Cr−Cu合金層またはCr−Cu合金層上にNiめっき層およびAuめっき層を被着させたもの、TaN層上にNi−Cr合金層およびAuめっき層を被着させたもの、Ti層上にPt層およびAuめっき層を被着させたもの、Ni−Cr合金層上にPt層およびAuめっき層を被着させたもの等が挙げられる。その厚みや幅は、伝送される高周波信号の周波数や用途等に応じて設定される。
信号導体3、グランド層4、スロットグランド導体7、スロット信号導体8、スロットパターン導体9a、上側グランド層11,17および下側グランド層14の形成は、周知の方法を用いればよい。例えば誘電体層2がガラスセラミックスから成る場合であれば、まずそれら誘電体層2となるガラスセラミックスのグリーンシートを準備し、グリーンシート上にスクリーン印刷法によってAg等の導体ペーストを所定形状で印刷塗布して、信号導体3、グランド層4、スロットグランド導体7、スロット信号導体8、スロットパターン導体9a、上側グランド層11,17および下側グランド層14の各導体パターンを形成する。このとき、信号導体3、スロットグランド導体7、スロット信号導体8、スロットパターン導体9aは同じグリーンシート上に同時に形成される。次に、これらの導体パターンが形成されたグリーンシートを重ねて圧着するなどして積層体を作製し、この積層体を850〜1000℃で焼成することによって形成する。その後、外表面に露出している導体上には、NiめっきおよびAuめっき等のめっき皮膜を形成する。誘電体層2が有機樹脂材料から成る場合であれば、例えば有機樹脂シート上に信号導体3、グランド層4、スロットグランド導体7、スロット信号導体8、スロットパターン導体9a、上側グランド層11,17および下側グランド層14の各導体パターン形状に加工したCu箔を転写し、Cu箔が転写された有機樹脂シートを積層して接着剤で接着することによって形成する。
貫通導体6、グランド強化導体6aおよび上側グランド強化導体6bは、誘電体層2がガラスセラミックス等のセラミックスから成る場合には、例えば前述の製造方法において信号導体3、グランド層4、スロットグランド導体7、スロット信号導体8、スロットパターン導体9a、上側グランド層11,17および下側グランド層14の各導体パターンを形成する前に、グリーンシートに金型加工やレーザー加工によってあらかじめ形成しておいた貫通孔内に同様の導体ペーストを印刷法等によって充填することで形成することができる。誘電体層2が有機樹脂から成る場合も同様に、グリーンシートに代えて有機樹脂シートを用い、導体ペーストの印刷やめっきによって貫通孔内に貫通導体を形成したりすればよい。また、シールド導体15も、貫通導体6、グランド強化導体6aおよび上側グランド強化導体6bと同様にして形成すればよい。
(実施例1)
本発明の線路変換構造の効果を確認するためのシミュレーションを図4A〜図4Cに示す例をシミュレーションモデルとして用いて行なった。マイクロストリップ線路1から入力した信号が、誘電体層2下面の出力用マイクロストリップ線路13に出力されるまでの損失をシミュレーションすることにより、マイクロストリップ線路1からスロット線路5への変換損失を見積もった。誘電体層2内部のグランド層4には、スロット線路5と出力用マイクロストリップ線路13との結合のために第1の開口4aが設けられている。誘電体層2としてアルミナを想定して比誘電率を8.6に、導体の導電率を6.6×10(S/m)に、信号周波数を60GHzにそれぞれ設定した。誘電体層2および下側誘電体層2aの厚さは0.15mmとし、マイクロストリップ線路1および出力用マイクロストリップ線路13のインピーダンスを50Ωにするために、信号導体3および出力用信号導体12の幅は0.14mmとした。この場合、マイクロストリップ線路1と出力用マイクロストリップ線路13の実効誘電率は6.3となり、60GHzにおける信号の波長は2.0mmとなった。貫通導体6の直径は0.1mmとした。スロット9はその幅(スロットグランド導体7とスロット信号導体8との間隔)を0.1mmとし、長さSLを1.4mmとした。また、出力用マイクロストリップ線路13のスタブ長さMLは0.4mmとした。第1の開口4aは、1.8mm×0.35mmの長方形とし、上面視でスロット9が第1の開口4a内の中心に位置するように配置した。
そして、スロットグランド導体7の間隙を挟んで信号導体3に平行な部分の長さL(以下、平行部長さLという。)はマイクロストリップ線路1を伝送する信号の波長の0.25倍(0.5mm)に設定し、信号導体3と貫通導体6の間隔Dを信号の波長の0.13倍(0.26mm)に設定した。
上記シミュレーションモデルを使った損失のシミュレーション結果を図8に示す。図8はシミュレーションモデルのマイクロストリップ線路1から出力用マイクロストリップ線路13までの損失の周波数特性を示すグラフであり、縦軸は損失を示し、横軸は周波数を示す。図8より、約50GHzから70GHzの範囲で信号が透過しており、60GHz帯でマイクロストリップ線路1から出力用マイクロストリップ線路13への電磁結合が良好になされ、そのことからマイクロストリップ線路1からスロット線路5への変換が良好になされていることが分かる。60GHzにおける損失は1.1dBであった。
上記シミュレーションモデルの平行部長さLを、信号の波長の0.125倍(0.25mm)、0.188倍(0.375mm)、0.375倍(0.75mm)、0.5倍(1.0mm)、0.75倍(1.5mm)および1.0倍(2.0mm)としてシミュレーションを行なった。その結果をまとめて図9に示す。図9は、60GHzにおける損失と平行部長さLとの関係を示すグラフである。平行部長さLは、マイクロストリップ線路1を伝送する60GHz信号の波長で規格化して(平行部長さLと波長の比率にして)示している。図9より、平行部長さLが波長の0.25倍以下の場合、損失は約1.1dBと小さいが、平行部長さLが波長の0.25倍を越えると損失が急激に大きくなることが分かる。また、平行部長さLが波長の0.5倍のとき特に損失が大きくなっているが、これは共振の影響によるものである。平行部長さLが波長の0.75倍のときは共振の影響はないが、損失は約2.1dBと、平行部長さLが波長の0.25倍以下の場合よりも1dB程度大きくなっている。これはマイクロストリップ線路1からスロット線路5に変換するに当たり、マイクロストリップ線路からコプレーナ線路への線路変換構造と、コプレーナ線路からスロット線路への線路変換構造の2つの線路変換構造を経ることにより、それぞれの線路変換構造で損失を生じ、それらが累積されるためである。平行部長さLが波長の1.0倍のときは共振の影響によって再び損失が大きくなっており、1.0倍以上においても平行部長さLが波長の0.5n倍(nは正の整数)のときは同様に共振の影響によって損失が大きくなる。
(実施例2)
上記シミュレーションモデルの信号導体3に平行な部分に最も近接している貫通導体6と信号導体3との間隔D(以下、単に間隔Dという)を、信号の波長の0.075倍(0.15mm)、0.1倍(0.2mm)、0.188倍(0.375mm)、0.25倍(0.5mm)および0.375倍(0.75mm)としてシミュレーションを行なった。その結果をまとめて図10に示す。図10は、60GHzにおける損失と、信号導体3と貫通導体6との間隔Dの関係を示すグラフである。信号導体3と貫通導体6との間隔Dは、マイクロストリップ線路1を伝送する60GHz信号の波長で規格化して(間隔Dと波長の比率にして)示している。図10より、間隔Dが波長の0.13倍以下の場合、損失は約1.1dBと小さいが、間隔Dが波長の0.13倍を越えると、損失が急激に大きくなることが分かる。間隔Dが波長の0.25倍のとき特に損失が大きくなっているのは、上記と同様に共振の影響であり、同様に0.25n倍(nは正の整数)のときは共振の影響によって損失が大きくなる。間隔Dが波長の0.38倍のときは共振の影響はないが、損失は約2.1dBと、間隔Dが波長の0.13倍以下の場合より1dB程度大きくなっている。これはマイクロストリップ線路1の信号導体3の直下のグランド層4の電位が貫通導体6を通ってスロットグランド導体7に伝送するにあたり、その伝送経路の長さが増すことによる損失のためと考えられる。
(実施例3)
本発明のアンテナの効果を確認するためのシミュレーションを、図6A〜図6Cに示す例をシミュレーションモデルとして用いて行なった。マイクロストリップ線路1から入力した信号の反射特性からアンテナの帯域を見積もった。誘電体層2下面のグランド層4には、スロット線路5と誘電体整合器との結合のために第1の開口4aが設けられている。誘電体層2、下側誘電体層2aとしてアルミナを想定して比誘電率を8.6に、導体の導電率を6.6×10(S/m)に、信号周波数を60GHzにそれぞれ設定した。誘電体層2の厚さは0.15mm、下側誘電体層2aの厚さは0.4mmとし、マイクロストリップ線路1のインピーダンスを50Ωにするために、信号導体3の幅は0.14mmとした。貫通導体6およびシールド導体15の直径は0.1mmとした。スロット9はその幅(スロットグランド導体7とスロット信号導体8との間隔)を0.1mmとし、長さSLを1.4mmとした。第1の開口4aは、1.8mm×0.35mmの長方形とし、上面視でスロット9が第1の開口4a内の中心に位置するように配置した。シールド導体15は3.6mm×1.5mmの長方形の辺上に中心位置がくるように0.3mmピッチで配列した。第2の開口14aも3.6mm×1.5mmの長方形とした。シールド導体15を結ぶ長方形および第2の開口14aの中心も第1の開口4aの中心に合わせて配置した。
上記シミュレーションモデルを使った反射のシミュレーション結果を図11に示す。図11はシミュレーションモデルのマイクロストリップ線路1から入力した高周波信号の反射の周波数特性を示すグラフであり、縦軸は反射を示し、横軸は周波数を示す。図11より、約57GHzから75GHzの範囲で反射が−10dB以下と小さく、広い帯域にわたってアンテナとして高周波信号を空間に放射していることが分かる。
[アンテナのゲインの低下抑制効果を確認するための試験]
アンテナのゲインの低下抑制効果を確認するためのシミュレーションを、図7A〜図7Cに示す例をシミュレーションモデルとして用いて行った。
<アンテナのゲインとスロットパターン幅との関係>
(試験例1)
誘電体層2下面のグランド層4には、スロット線路5と誘電体整合器との結合のために第1の開口4aが設けられている。上側誘電体層16、誘電体層2および下側誘電体層2aとしてアルミナを想定して比誘電率を9.2に、導体の導電率をタングステンメタライズを想定して6.6×10(S/m)に、信号周波数を60GHzにそれぞれ設定した。上側誘電体層16および誘電体層2の厚さは0.125mm、下側誘電体層2aの厚さは0.4mmとし、ストリップ線路18の信号導体3の幅は0.1mmとした。スロットグランド導体7と信号導体3との間隙は0.1mmとした。貫通導体6およびシールド導体15の直径は0.1mm、貫通導体6と信号導体3との間隔Dは0.23mmとした。スロット9はその幅(スロットグランド導体7とスロット信号導体8との間隔)を0.1mmとし、長さSLを0.8mmとした。またスロット信号導体8の幅は0.205mmとした。そして、スロット9の両方の端部を閉じるように、2つのスロットパターン導体9aを誘電体層2の上面に配置し、スロットパターン導体9aの信号導体3に垂直な部分の長さ(スロットパターン幅SW)は、ストリップ線路18を伝送する信号の波長の0.35倍(0.577mm)とした。なお、試験例1では、グランド強化導体6aおよび上側グランド強化導体6bが形成されていないものとしてシミュレーションを行った。
(試験例2)
スロットパターン導体9aの信号導体3に垂直な部分の長さ(スロットパターン幅SW)を、ストリップ線路18を伝送する信号の波長の0.3倍(0.495mm)としたこと以外は試験例1と同様にして、試験例2のシミュレーションを行った。
(試験例3)
スロットパターン導体9aの信号導体3に垂直な部分の長さ(スロットパターン幅SW)を、ストリップ線路18を伝送する信号の波長の0.25倍(0.412mm)としたこと以外は試験例1と同様にして、試験例3のシミュレーションを行った。
(試験例4)
スロットパターン導体9aの信号導体3に垂直な部分の長さ(スロットパターン幅SW)を、ストリップ線路18を伝送する信号の波長の0.2倍(0.33mm)としたこと以外は試験例1と同様にして、試験例4のシミュレーションを行った。
(試験例5)
スロットパターン導体9aの信号導体3に垂直な部分の長さ(スロットパターン幅SW)を、ストリップ線路18を伝送する信号の波長の0.15倍(0.247mm)としたこと以外は試験例1と同様にして、試験例5のシミュレーションを行った。
上記試験例1〜5のシミュレーションモデルを使ったゲインのシミュレーション結果を表1、図12および図13A〜図13Cに示す。図12は、グランド強化導体が形成されていない場合における、アンテナのゲインとスロットパターン幅との関係を示すグラフである。図12において、縦軸はゲイン(dBi)を示し、横軸は波長に対するスロットパターン幅を示す。図13A〜図13Cは、試験例1,3,5のアンテナのゲインのシミュレーション結果を示すグラフである。図13A〜図13Cにおいて、図13Aは試験例1、図13Bは試験例3、図13Cは試験例5のシミュレーション結果を示し、縦軸はゲイン(dBi)を示し、横軸はAngle(deg)を示す。また、図13A〜図13Cにおいて、実線Aは、信号導体3に平行で、かつ誘電体層2に垂直な面におけるアンテナのゲインを示し、破線Bは、信号導体3に垂直で、かつ誘電体層2に垂直な面におけるアンテナのゲインを示す。
Figure 2011078061
表1、図12および図13A〜図13Cより、スロットパターン導体9aのスロットパターン幅が信号の波長の0.3倍以上である場合には、顕著なゲインの低下は見られないが、スロットパターン幅が信号の波長の0.25倍以下である場合には、ゲインの大幅な低下が見られる。
<アンテナのゲインとグランド強化導体のスロット端部からの離間距離との関係>
(試験例6)
スロットパターン導体9aの信号導体3に垂直な部分の長さ(スロットパターン幅SW)を、ストリップ線路18を伝送する信号の波長の0.25倍(0.412mm)とし、スロット9の各端部から信号導体3にそれぞれ離反する方向に、ストリップ線路18を伝送する信号の波長の0.25倍(スロット9の端部からの離間距離が波長の0.25倍)の位置に、スロット9の各端部にそれぞれ対応してグランド強化導体6aを配置したこと以外は試験例1と同様にして、試験例6のシミュレーションを行った。なお、試験例6では、上側グランド強化導体6bが形成されていないものとしてシミュレーションを行った。
(試験例7)
グランド強化導体6aのスロット9の端部からの離間距離が波長の0.125倍としたこと以外は試験例6と同様にして、試験例7のシミュレーションを行った。
(試験例8)
グランド強化導体6aのスロット9の端部からの離間距離が波長の0倍、すなわち、グランド強化導体6aの中心位置がスロット9の端部位置に一致するようにしたこと以外は試験例6と同様にして、試験例8のシミュレーションを行った。
(試験例9)
スロットパターン導体9aの信号導体3に垂直な部分の長さ(スロットパターン幅SW)を、ストリップ線路18を伝送する信号の波長の0.15倍(0.247mm)とし、グランド強化導体6aのスロット9の端部からの離間距離が波長の0.15倍としたこと以外は試験例6と同様にして、試験例9のシミュレーションを行った。
(試験例10)
スロットパターン導体9aの信号導体3に垂直な部分の長さ(スロットパターン幅SW)を、ストリップ線路18を伝送する信号の波長の0.15倍(0.247mm)とし、グランド強化導体6aのスロット9の端部からの離間距離が波長の0倍、すなわち、グランド強化導体6aの中心位置がスロット9の端部位置に一致するようにしたこと以外は試験例6と同様にして、試験例10のシミュレーションを行った。
上記試験例6〜10のシミュレーションモデルを使ったゲインのシミュレーション結果を表2、図14および図15A〜図15Cに示す。図14は、アンテナのゲインとグランド強化導体のスロット端部からの離間距離との関係を示すグラフである。図14において、縦軸はゲイン(dBi)を示し、横軸は波長に対するグランド強化導体のスロット端部からの離間距離を示す。なお、図14において、「λ」は、ストリップ線路18を伝送する信号の波長を示す。図15A〜図15Cは、試験例6,7,8のアンテナのゲインのシミュレーション結果を示すグラフである。図15A〜図15Cにおいて、図15Aは試験例6、図15Bは試験例7、図15Cは試験例8のシミュレーション結果を示し、縦軸はゲイン(dBi)を示し、横軸はAngle(deg)を示す。また、図15A〜図15Cにおいて、実線Aは、信号導体3に平行で、かつ誘電体層2に垂直な面におけるアンテナのゲインを示し、破線Bは、信号導体3に垂直で、かつ誘電体層2に垂直な面におけるアンテナのゲインを示す。
Figure 2011078061
表2、図14および図15A〜図15Cより、スロット9の端部から信号の波長の0.25倍以内の領域にグランド強化導体6aを形成することによって、グランド強化導体6aが形成されていない上記試験例3,5に比べて、ゲインの低下が抑制されていることが分かる。
<グランド強化導体の配置位置>
(試験例11)
スロットパターン導体9aの信号導体3に垂直な部分の長さ(スロットパターン幅SW)を、ストリップ線路18を伝送する信号の波長の0.25倍(0.412mm)とし、グランド強化導体6aがスロット信号導体8とグランド層4とを接続するように、グランド強化導体6aを信号導体3の延長線上に設けたこと以外は試験例1と同様にして、試験例11のシミュレーションを行った。
上記試験例11のシミュレーションモデルを使ったゲインのシミュレーション結果を図16に示す。図16は、試験例11のアンテナのゲインのシミュレーション結果を示すグラフである。図16において、縦軸はゲイン(dBi)を示し、横軸はAngle(deg)を示す。また、図16において、実線Aは、信号導体3に平行で、かつ誘電体層2に垂直な面におけるアンテナのゲインを示し、破線Bは、信号導体3に垂直で、かつ誘電体層2に垂直な面におけるアンテナのゲインを示す。図16より、グランド強化導体6aがスロット信号導体8とグランド層4とを接続するように設けられた場合には、ゲインの低下抑制効果が発揮されないことが分かる。
<グランド強化導体の配置数>
(試験例12)
スロットパターン導体9aの信号導体3に垂直な部分の長さ(スロットパターン幅SW)を、ストリップ線路18を伝送する信号の波長の0.15倍(0.247mm)とし、スロット9の一方の端部から信号導体3に離反する方向に、ストリップ線路18を伝送する信号の波長の0.15倍(スロット9の端部からの離間距離が波長の0.15倍)の位置に、スロット9の一方の端部のみに対応してグランド強化導体6aを配置したこと以外は試験例1と同様にして、試験例12のシミュレーションを行った。
上記試験例12のシミュレーションモデルを使ったゲインのシミュレーション結果を表3に示す。
Figure 2011078061
表3より、グランド強化導体6aがスロット9の一方の端部のみに対応して設けられた場合であっても、グランド強化導体6aが形成されていない試験例5に比べて、ゲインの低下が抑制されていることが分かる。
<2つのグランド強化導体の配置位置の対称性>
(試験例13)
スロットパターン導体9aの信号導体3に垂直な部分の長さ(スロットパターン幅SW)を、ストリップ線路18を伝送する信号の波長の0.15倍(0.247mm)とし、スロット9の一方の端部から信号の波長の0.15倍(スロット9の端部からの離間距離が波長の0.15倍)の位置、スロット9の他方の端部から信号の波長の0倍(グランド強化導体6aの中心位置がスロット9の端部位置に一致)の位置に、2つのグランド強化導体6aを配置したこと以外は試験例1と同様にして、試験例13のシミュレーションを行った。すなわち、試験例13では、2つのグランド強化導体6aの配置位置は、信号導体3に関して非対称である。
上記試験例13のシミュレーションモデルを使ったゲインのシミュレーション結果を表4に示す。
Figure 2011078061
表4より、2つのグランド強化導体6aの配置位置が非対称である場合には、配置位置が対称である試験例9に比べてゲインの低下抑制効果が低いものの、グランド強化導体6aが形成されていない試験例5に比べて、ゲインの低下が抑制されていることが分かる。
<上側グランド強化導体のゲイン低下抑制効果>
(試験例14)
スロットパターン導体9aの信号導体3に垂直な部分の長さ(スロットパターン幅SW)を、ストリップ線路18を伝送する信号の波長の0.15倍(0.247mm)とし、スロット9の各端部から信号導体3にそれぞれ離反する方向に、信号の波長の0.15倍(スロット9の端部からの離間距離が波長の0.15倍)の位置に、スロット9の各端部にそれぞれ対応してグランド強化導体6aを配置し、さらに、スロット9の各端部から信号導体3にそれぞれ離反する方向に、信号の波長の0.15倍(スロット9の端部からの離間距離が波長の0.15倍)の位置に、スロット9の各端部にそれぞれ対応して上側グランド強化導体6bを配置したこと以外は試験例1と同様にして、試験例14のシミュレーションを行った。
(試験例15)
上側グランド強化導体6bを、スロット9の各端部から信号導体3にそれぞれ離反する方向に、信号の波長の0倍(上側グランド強化導体6bの中心位置がスロット9の端部位置に一致)の位置に、スロット9の各端部にそれぞれ対応して上側グランド強化導体6bを配置したこと以外は試験例14と同様にして、試験例15のシミュレーションを行った。すなわち、試験例15では、上側グランド強化導体6bは、グランド強化導体6aに対してずれた位置に配置されている。
上記試験例14,15のシミュレーションモデルを使ったゲインのシミュレーション結果を表5に示す。
Figure 2011078061
表5より、上側グランド強化導体6bを設けることによって、上側グランド強化導体6bが設けられていない試験例9に比べて、ゲインの低下がさらに抑制されていることが分かる。また、試験例14と試験例15との比較により、上側グランド強化導体6bを、グランド強化導体6aに対してずれた位置に配置しない方が、よりゲインの低下が抑制されていることが分かる。
本発明は、その精神または主要な特徴から逸脱することなく、他のいろいろな形態で実施できる。したがって、前述の実施形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、本発明の範囲は特許請求の範囲に示すものであって、明細書本文には何ら拘束されない。さらに、特許請求の範囲に属する変形や変更は全て本発明の範囲内のものである。
1 マイクロストリップ線路
2 誘電体層
2a 下側誘電体層
3 信号導体
4 グランド層
4a 第1の開口
5 スロット線路
6 貫通導体
6a グランド強化導体
6b 上側グランド強化導体
7 スロットグランド導体
8 スロット信号導体
9 スロット
9a スロットパターン導体
10,16 上側誘電体層
11,17 上側グランド層
12 出力用信号導体
13 出力用マイクロストリップ線路
14 下側グランド層
14a 第2の開口
15 シールド導体
18 ストリップ線路

Claims (9)

  1. 高周波伝送線路をスロット線路に変換する線路変換構造であって、
    誘電体層と該誘電体層の上面に配置された信号導体と前記誘電体層の下面に配置されたグランド層とを含む、高周波伝送線路と、
    前記誘電体層の上面に配置され、前記グランド層に前記誘電体層を貫通する貫通導体で接続されたスロットグランド導体と、前記誘電体層の上面に配置されたスロット信号導体と、前記スロットグランド導体と前記スロット信号導体との間に配置されたスロットとを含む、スロット線路とを含み、
    前記高周波伝送線路の前記信号導体は、前記スロットグランド導体との間に間隙を設けて前記スロットグランド導体および前記スロットと直交し、先端が前記スロット信号導体に接続されており、
    前記スロットグランド導体の前記間隙を挟んで前記信号導体に平行な部分の長さが、前記高周波伝送線路を伝送する信号の波長の0.25倍以下であることを特徴とする線路変換構造。
  2. 前記スロットグランド導体の前記間隙を挟んで前記信号導体に平行な部分に最も近接している前記貫通導体と前記信号導体との間隔が、前記高周波伝送線路を伝送する信号の波長の0.13倍以下であることを特徴とする請求項1記載の線路変換構造。
  3. 前記信号導体の前記スロット線路と直交する部分および前記間隙ならびに前記スロット線路の前記間隙と前記スロット信号導体との間の部分を覆うように、上側誘電体層を介して上側グランド層が形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の線路変換構造。
  4. 前記誘電体層の上面に、前記スロットの少なくとも一方の端部を閉じるスロットパターン導体が配置されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の線路変換構造。
  5. 前記スロットの両方の端部を閉じるように、2つの前記スロットパターン導体が前記誘電体層の上面に配置され、
    前記スロットパターン導体の前記信号導体に垂直な部分の長さが、前記高周波伝送線路を伝送する信号の波長の0.25倍以下であり、
    前記スロットの端部から前記信号導体に離反する方向に、前記高周波伝送線路を伝送する信号の波長の0.25倍以内の領域に、前記誘電体層を貫通し、前記スロットグランド導体と前記グランド層とを接続するグランド強化導体が形成されていることを特徴とする請求項4に記載の線路変換構造。
  6. 前記高周波伝送線路は、前記誘電体層と、前記信号導体と、前記グランド層と、前記誘電体層の上面に形成された上側誘電体層と、前記上側誘電体層の上面に形成された上側グランド層とを含むことを特徴とする請求項5に記載の線路変換構造。
  7. 前記グランド強化導体は、前記上側誘電体層を貫通し、前記スロットグランド導体と前記上側グランド層とを接続するように設けられることを特徴とする請求項6に記載の線路変換構造。
  8. 前記スロットの両方の端部が閉じている請求項1〜7のいずれか1つに記載の線路変換構造と、
    前記誘電体層の下面に形成された下側誘電体層と、
    該下側誘電体層の下面に形成された下側グランド層と、
    前記グランド層の前記スロットに対向する部分に形成された第1の開口と、
    前記下側グランド層の前記スロットに対向する部分に形成された第2の開口と、
    平面視で前記第1の開口および前記第2の開口を囲むように配列され、前記グランド層および前記下側グランド層を接続する複数のシールド導体とを含むことを特徴とするアンテナ。
  9. 前記第1の開口は前記第2の開口よりも前記信号導体に平行な方向の長さが短いことを特徴とする請求項8に記載のアンテナ。
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