JPWO2010116821A1 - 組成物および積層体 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、塗膜を形成する組成物および塗膜を有する積層体に関し、特に、塗膜に機能を付加しつつ、表面硬度に優れる塗膜を形成することができる組成物およびそれを用いた積層体に関する。
表面硬度に優れる塗膜として、硬化型樹脂を用いた塗膜が知られている。このような硬化型樹脂のなかでも電離放射線硬化型を用いたものが、特に表面硬度に優れており、よく用いられている。
また、塗膜に新しい機能を付加するために、硬化型樹脂に金属酸化物粒子を加える方法も知られている。
しかしながら、金属酸化物粒子を硬化型樹脂に含有させた塗膜では、金属酸化物粒子と硬化型樹脂との界面に結合が図れないため、硬化型樹脂として電離放射線硬化型樹脂を用いた場合でも、表面硬度を低下させないことは難しく、表面硬度の低下が発生した。
このような問題を解決するために、金属酸化物粒子と電離放射線硬化型樹脂とを結合させる分散剤としてカップリング剤を使用することが考えられている(特許文献1)。
しかしながら、金属酸化物粒子、特に金属酸化物ナノ粒子へのカップリング剤による均一な表面修飾は、溶液のpHや温度コントロールで大きな違いがでる。その為、表面修飾の制御や、分散安定性を保持することが難しいことなどの問題が発生する。また、表面修飾の制御や、分散安定性を保持することができたとしても、結果的に表面硬度を低下させるといった問題が発生した。
そこで本発明は、電離放射線硬化型樹脂と新しい機能を付加しうる金属酸化物粒子を含む塗膜の表面硬度を、電離放射線硬化型樹脂のみの塗膜の表面硬度より低下させない塗膜とすることができる組成物およびそれを用いた積層体を提供することを目的とする。
本発明者らは、金属酸化物粒子と電離放射線硬化型樹脂に一般的なカップリング剤を配合した組成物から得られる塗膜の表面硬度が、電離放射線硬化型樹脂のみの塗膜と比較して低下するメカニズムを検討してみた。その結果、添加した一般的なカップリング剤は、金属酸化物粒子の表面を完全に修飾できず、その結果、該粒子表面から遊離し、その遊離したカップリング剤が、電離放射線硬化型樹脂の重合を阻害することによって架橋密度を低下させるため、得られる塗膜の表面硬度が低下するとの知見を得た。そしてさらに検討を進め、上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、特定の分散剤を用いることにより上記課題を解決するに至った。
即ち、本発明の組成物は、電離放射線硬化型樹脂と、金属酸化物粒子と、多分岐構造を有する多官能(メタ)アクリレートとを含むことを特徴とするものである。
好ましくは、前記多分岐構造を有する多官能(メタ)アクリレートは、カルボキシル基、アミノ基、カルボニル基、アクリル基又はメタクリル基を有する。
好ましくは、前記多分岐構造を有する多官能(メタ)アクリレートは、分岐構造を多数有するデンドリマー構造、ハイパーブランチ構造又はスターポリマー構造を有する。
好ましくは、前記多分岐構造を有する多官能(メタ)アクリレートは、エチレンオキサイド基を含有し、末端に(メタ)アクリレート官能基を有する。
好ましくは、前記多分岐構造を有する多官能(メタ)アクリレートの(メタ)アクリレート官能基の個数は、3〜10である。
好ましくは、前記多分岐構造を有する多官能(メタ)アクリレートは、重量平均分子量が500〜30000である。
好ましくは、前記多分岐構造を有する多官能(メタ)アクリレートは、前記組成物の全固形分の5〜20重量%含まれる。
好ましくは、前記電離放射線硬化型樹脂は、線状の(メタ)アクリレートオリゴマー、(メタ)アクリル系モノマー及びポリチオールモノマーの少なくとも何れかを含む。より好ましくは、前記電離放射線硬化型樹脂は、少なくともポリチオールモノマーを含む。
好ましくは、前記電離放射線硬化型樹脂は、前記組成物の全固形分の40〜80重量%含まれる。
好ましくは、前記金属酸化物粒子は、動的散乱法による分散液中のメジアン径が5nm〜15μmである。
好ましくは、前記金属酸化物粒子は、前記組成物の全固形分の10〜50重量%含まれる。
また、本発明の積層体は、基材上に、電離放射線硬化型樹脂と、金属酸化物粒子と、多分岐構造を有する多官能(メタ)アクリレートとを含む組成物より形成された塗膜が設けられたことを特徴とするものである。
好ましくは、前記塗膜は、3〜20μmの厚みで形成されている。
このように、多分岐構造を有する多官能(メタ)アクリレートを分散剤として用いることで、電離放射線硬化型樹脂の重合を阻害せず、金属酸化物粒子表面のアクリル基の密度を高くすることができる。また、多分岐構造を有する多官能(メタ)アクリレートを用いることで、電離放射線硬化型樹脂と金属酸化物粒子との相溶性もあがり、電離放射線硬化型樹脂に金属酸化物粒子を、分散度合を安定させたまま、混合することができる。
また、多分岐構造を有する多官能(メタ)アクリレートが、金属酸化物粒子と電離放射線硬化型樹脂との間に傾斜機能をもたせ、硬化収縮差を緩和でき、金属酸化物粒子を添加することによる表面硬度の低下や金属酸化物粒子界面からの劣化を低下させることができる。
本発明の組成物は、電離放射線硬化型樹脂と新しい機能を付加しうる金属酸化物粒子を含む塗膜の表面硬度を、電離放射線硬化型樹脂のみの塗膜の表面硬度より低下させない塗膜とすることができる。
また、本発明の積層体とすることで、電離放射線硬化型樹脂と新しい機能を付加しうる金属酸化物粒子を含む塗膜の表面硬度を、電離放射線硬化型樹脂のみの塗膜の表面硬度より低下させない塗膜を有するものができる。
本発明の組成物の実施の形態について説明する。本発明の組成物は、電離放射線硬化型樹脂と、金属酸化物粒子と、多分岐構造を有する多官能(メタ)アクリレート(以下、「多分岐型多官能(メタ)アクリレート」という場合もある)とを含むものである。
本発明の組成物を構成する電離放射線硬化型樹脂は、少なくとも電離放射線(紫外線若しくは電子線)の照射によって架橋硬化することができるものである。このような電離放射線硬化型樹脂としては、光カチオン重合可能な光カチオン重合性樹脂や、光ラジカル重合可能な光重合性プレポリマー若しくは光重合性モノマー、などの1種又は2種以上を混合したものを使用することができる。
特に、後述する多分岐型多官能(メタ)アクリレートとの反応を良好にすることができるため、不飽和性二重結合を有するものが好ましい。不飽和性二重結合を有する電離放射線硬化型樹脂としては、多分岐型多官能(メタ)アクリレートを除くもの、例えば、線状の(メタ)アクリレートオリゴマー、(メタ)アクリル系モノマー、ポリチオールモノマーなどを用いることができる。
(メタ)アクリレートオリゴマーとしては、エステル(メタ)アクリレート、エーテル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、アミノ樹脂(メタ)アクリレート、アクリル樹脂(メタ)アクリレート、メラミン(メタ)アクリレート、ポリフルオロアルキル(メタ)アクリレート、シリコーン(メタ)アクリレート等を用いることができる。また、これらの(メタ)アクリレートオリゴマーは単独でも使用可能であるが、塗膜の表面硬度や、硬化収縮の調整等、種々の性能を付与するために、2種類以上を混合して用いることもできる。
また、(メタ)アクリル系モノマーとしては、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸エステルネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート等の2官能(メタ)アクリルモノマー、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリメチルプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリルモノマー等の1種若しくは2種以上が使用される。
また、ポリチオールモノマーとしては、トリメチロールプロパントリス−3−メルカプトプロピオネート、ペンタエリストールテトラキス−3−メルカプトプロピオネート、ジペンタエリスリトールヘキサ−3−メルカプトプロピオネート、トリス−(エチル−3−メルカプトプロピオネート)イソシアヌレート等を用いることができる。また、これらのポリチオールモノマーは単独でも使用可能であるが、2種類以上を混合して用いることもできる。
本実施形態では、不飽和性二重結合を有する電離放射線硬化型樹脂として、ポリチオールモノマーを含めて使用することが好ましい。ポリチオールモノマーは、線状の(メタ)アクリレートオリゴマーや(メタ)アクリル系モノマーと比較して、塗膜にした場合に、該塗膜の硬化収縮を少なくすることができる。その結果、金属酸化物粒子を含めた場合の塗膜の表面硬度の低下防止により一層寄与することができる。すなわち金属酸化物粒子を含めた場合の塗膜の表面硬度の低下防止に一層寄与しうる点で、ポリチオールモノマーを含む電離放射線硬化型樹脂を用いることが好ましい。
ポリチオールモノマーは、電離放射線硬化型樹脂中の10%以下とすることが好ましい。
10%以下とするのは、表面硬度の低下を起こし難くするためである。
ただし、本発明は、塗膜にした場合の硬化収縮が比較的大きいアクリレート系のオリゴマーやモノマーを電離放射線硬化型樹脂に用いた場合でも、金属酸化物粒子を含めた場合の塗膜の表面硬度低下を防止することができるものであり、ポリチオールモノマーを含まず、線状の(メタ)アクリレートオリゴマーや(メタ)アクリル系モノマーのみで電離放射線硬化型樹脂を構成する態様も当然に含む。
電離放射線硬化型樹脂は、組成物の全固形分の40〜80重量%含まれることが好ましい。40重量%以上とすることにより、塗膜の表面硬度の低下をより防止することができ、80重量%以下とすることにより、金属酸化物による機能を塗膜に付加することができる。
また、本発明の組成物を紫外線照射によって硬化させて使用する場合には、(メタ)アクリレートオリゴマー及び(メタ)アクリル系モノマーの他、光重合開始剤や光重合促進剤等の添加剤を用いることが好ましい。
光重合開始剤としては、アセトフェノン、ベンゾフェノン、ミヒラーケトン、ベンゾイン、ベンジルメチルケタール、ベンゾイルベンゾエート、α−アシルオキシムエステル、チオキサンソン類等があげられる。
また、光重合促進剤は、硬化時の空気による重合障害を軽減させ硬化速度を速めることができるものであり、例えば、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル、p−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステルなどがあげられる。
金属酸化物粒子は、金属酸化物粒子を組成物に加えることで、金属酸化物粒子がもつ機能を塗膜に付与するためのものである。金属酸化物粒子としては、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化アルミニウム、酸化コバルト、酸化マグネシウム、酸化鉄、酸化珪素、酸化セリウム、酸化インジウム、チタン酸バリウム、クレイ及びこれらナノ粒子の格子中に異種金属をドーピングしたもの並びに表面改質を施したものなどを用いることができる。その中でも、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化珪素は、粒子表面に水酸基が多く存在することで、粒子表面へ、後述する多分岐型多官能(メタ)アクリレートが比較的容易に吸着することができるため好ましい。このような金属酸化物粒子は、気相法又は液相法により作製したもの、また必要に応じて、焼成して微結晶化したものを用いることもできる。
金属酸化物粒子は、比表面積径が2nm〜10μmのものを用いることができる。
また、金属酸化物粒子は、動的散乱法による分散液中のメジアン径で、5nm〜15μmの範囲となるものを用いることができ、好ましくは、下限が10nm以上の範囲であり、上限としては、好ましくは300nm以下、更に好ましくは、100nm以下、より好ましくは50nm以下の範囲である。
分散液中のメジアン径を5nm以上とすることにより、分散安定性を得ることができる。
一方、分散液中のメジアン径を15μm以下とすることにより、塗膜表面に金属酸化物粒子が突出することを少なくすることができ、外部ヘーズによる透明性の低下を防止することができる。また、300nm以下の金属酸化物粒子を用いることで、分散液とした場合に、金属酸化物粒子が沈降することを防止するために、分散液の粘度を高くする必要がなくなり、ビーズミル分散の場合に、ビーズと分散液の分離が難しくなることを防止することができる。
そして、分散液中のメジアン径が比較的小さい100nm以下の金属酸化物粒子を用い、電離放射線硬化型樹脂と金属酸化物粒子との屈折率差を調整することで、内部ヘーズによる透明性の低下を防止することができる。さらに、分散液中のメジアン径の小さい50nm以下の金属酸化物粒子を用いることで、金属酸化物粒子による散乱光を少なくすることができるため、さらに透明性に優れた塗膜とすることができる。
金属酸化物粒子は、組成物の全固形分の10〜50重量%含まれることが好ましい。10重量%以上とすることにより、金属酸化物粒子による機能を塗膜に付加することや、塗膜の表面硬度を向上させることができ、50重量%以下とすることにより、塗膜の表面硬度が低下することをより防止することができる。
このような金属酸化物粒子は、一次粒子が強固な凝集体を形成しているため、その凝集体を一次粒子として再分散するための開砕には、超音波、ホモジナイザー、オムニミキサー、ビーズミル、ジェットミル等の公知の手段を用いることができる。
次に、多分岐構造を有する多官能(メタ)アクリレートは、電離放射線硬化型樹脂と金属酸化物粒子とを結合する分散剤としての役割を担うものである。多分岐型多官能(メタ)アクリレートが、金属酸化物粒子表面の水酸基により吸着され、金属酸化物粒子を覆うことによって、金属酸化物粒子同士が凝集することを防ぐことができる。そのため、多分岐構造を有する多官能(メタ)アクリレートは、金属酸化物粒子と吸着し易い、カルボキシル基、アミノ基、カルボニル基、アクリル基、メタクリル基などの表面修飾相に存在する水酸基に吸着され易い基を有することが好ましい。
このように、多分岐構造を有する多官能(メタ)アクリレートを分散剤として用いることで、電離放射線硬化型樹脂の重合を阻害せず、金属酸化物粒子表面のアクリル基の密度を高くすることができる。また、多分岐構造を有する多官能(メタ)アクリレートを用いることで、電離放射線硬化型樹脂と金属酸化物粒子との相溶性もあがり、電離放射線硬化型樹脂に金属酸化物粒子を、分散度合を安定させたまま、混合することができる。
また、分散剤として、多分岐構造を有する多官能(メタ)アクリレートを用いることによって、金属酸化物粒子と、電離放射線硬化型樹脂とを含有する塗膜の表面硬度の低下を防止し、表面硬度を向上させることができる。このように表面硬度を低下させない理由は、金属酸化物粒子を添加することによる表面硬度の向上効果と共に、多分岐構造を有する多官能(メタ)アクリレートが、金属酸化物粒子と電離放射線硬化型樹脂との間に傾斜機能をもたせ、硬化収縮差を緩和することができるため、金属酸化物粒子界面と、多分岐構造を有する多官能(メタ)アクリレートとの間に微細なクラックによる表面硬度の低下が起こらないためと考えられる。
また、金属酸化物粒子表面に吸着した多分岐型多官能(メタ)アクリレートが、電離放射線硬化型樹脂と末端のアクリロイル基との間で化学結合することができることで、金属酸化物粒子表面から遊離した多分岐型多官能(メタ)アクリレート自身が重合することができるため、電離放射線硬化型樹脂の重合を阻害することなく、架橋密度を低下させることがないためとも考えられる。
一方、線状の多官能(メタ)アクリレートを分散剤として電離放射線硬化型樹脂に混合した場合には、線状の多官能(メタ)アクリレートが硬化収縮を起こしやすいため、金属酸化物粒子と、線状の多官能(メタ)アクリレートとの間で硬化収縮差が生じ、金属酸化物粒子界面と、線状の多官能(メタ)アクリレートとの間に、微細なクラックが生じる。その結果として、金属酸化物粒子を添加することによる表面硬度の向上効果と、微細なクラックによる表面硬度の低下との相互作用により、表面硬度を向上させることができないと考えられる。
このような多分岐構造を有する多官能(メタ)アクリレートとしては、主鎖の化学結合が三次元構造を有するものであり、モノマーが枝分かれしながら重合し、積極的に分岐構造を有し放射状に広がった形状のデンドリマー構造や、ハイパーブランチ構造、スターポリマー構造、櫛形構造などを有するものを用いることができ、分岐構造を多数有するデンドリマー構造、ハイパーブランチ構造、スターポリマー構造を有するものが好ましい。
具体的には、アミノ基、水酸基、カルボキシル基、フェニル基、エチレンオキサイド基、ビニル基、プロピレンオキサイド基などの官能基を有し、末端に(メタ)アクリレート官能基を有するものである。なかでも溶媒への溶解性や取扱性および電離放射線硬化型樹脂との相溶性等の観点から、エチレンオキサイド基を含有し、末端に(メタ)アクリレート官能基を有するものが好ましい。
多分岐型多官能(メタ)アクリレートの(メタ)アクリレート官能基の個数は、電離放射線硬化型樹脂との結合を多くするため、好ましくは3〜10、より好ましくは5〜8である。また、多分岐型多官能(メタ)アクリレートの重量平均分子量は、組成物中の金属酸化物粒子のメジアン径に左右されるため、一概には言えないが、500〜30000の範囲のものを用いることができ、メジアン径が300nm以下の金属酸化物粒子を用いた場合には、分散安定性を得るために、500〜3000の範囲のものが好ましく、より好ましくは、1000〜3000の範囲である。
多分岐構造を有する多官能(メタ)アクリレートは、組成物の全固形分の5〜20重量%含まれることが好ましい。5重量%以上とすることにより、塗膜の表面硬度を向上させることができる。また、多分岐構造を有する多官能(メタ)アクリレートは、硬化収縮が少なく、塗膜にクラックなどを生じさせ難いが、多分岐構造を有する多官能(メタ)アクリレートだけでは、塗膜の表面硬度が得られない。そのため、20重量%以下とすることにより、塗膜の表面硬度の低下を防止することができる。
このような多分岐型多官能(メタ)アクリレートは、線状の多官能(メタ)アクリレートとは異なり、高い相溶性を示す。そのため、金属酸化物粒子表面を、このような分岐型多官能(メタ)アクリレートで修飾することにより、金属酸化物粒子自体の相溶性を向上させることが出来る。その結果、金属酸化物粒子が高濃度の状態でも、線状の多官能(メタ)アクリレート分散剤を使った場合以上に、ソルベントショックが少ない組成物を作成することが出来る。
また、分散剤として多分岐型多官能(メタ)アクリレートを使用した場合、線状の多官能(メタ)アクリレートに比べ、低い粘度の分散体を作ることができ、微小ビーズを使用したナノレベルの分散に好適である。
このような電離放射線硬化型樹脂と、金属酸化物粒子と、多分岐構造を有する多官能(メタ)アクリレートとを含む組成物は、金属酸化物粒子と、多分岐型多官能(メタ)アクリレートとを、適当な分散媒中で分散した後、電離放射線硬化型樹脂を加えることもできる。また、分散媒として、電離放射線硬化型樹脂を用いることもできる。
また、本発明の組成物は、適宜溶媒などに溶解し塗布液として、公知の塗工法により塗布し、乾燥・硬化させることによって、塗膜を形成することができる。
本発明の積層体の実施の形態について説明する。本発明の積層体は、基材上に、電離放射線硬化型樹脂と、金属酸化物粒子と、多分岐構造を有する多官能(メタ)アクリレートとを含む組成物より形成された塗膜が設けられたものである。
基材としては、ポリエステル、ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン)、ポリスチレン、ポリカーボネート、アクリル、ポリオレフィン、セルロース樹脂、ポリスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリイミドなどの合成樹脂からなる成形品を用いることができ、各種形状のものを使用することができる。その中でもフィルム状やシート状の平面性に優れるものが好適に用いられ、特に延伸加工、二軸延伸加工されたポリエステルフィルムが機械的強度、寸法安定性に優れ、さらに腰が強いため好ましい。
このようなシート状またはフィルム状の成形品の厚みは、6〜250μmが好ましい。本発明の組成物により形成された塗膜は、塗膜収縮によるカールが生じ難いため、3〜20μmといった厚みの薄い基材へも、適用することができる。
また、このような基材は、透明なものはもちろん、不透明の成形品、例えば、発泡シートや、カーボンブラックなどの黒色顔料や他の顔料を含有させたシートを使用することもできる。
このような基材上に、前述の組成物を適宜溶媒などに溶解し塗布液として、塗布、乾燥、電離放射線を照射し硬化することにより塗膜を形成することにより、表面硬度が高い塗膜が形成され、基材の表面硬度が向上すると同時に、金属酸化物粒子による新たな機能が付加される。例えば、金属酸化物粒子として、酸化亜鉛を用いた場合には、塗膜に紫外線カット機能を付与することができ、酸化珪素を用いた場合には、塗膜の複屈折を少なくし、高透明な塗膜とすることができ、酸化チタンを用いた場合には、紫外線カット機能と共に、高屈折率な塗膜とすることができる。
このような塗膜の厚みとしては、3〜20μmが好ましく、更に好ましくは、4〜15μmである。3μm以上とすることで、塗膜の表面硬度を向上させることができ、20μm以下とすることで、透明性の低下を防止することができる。
以上のような積層体とすることで、基材表面の表面硬度を高くすることができ、また、金属酸化物粒子による新たな機能を積層体へ付与することができる。
以下、実施例により本発明を更に説明する。なお、「部」、「%」は特に示さない限り、重量基準とする。
[実施例1]
プロピレングリコールモノメチルエーテル15.32gに、酸化ジルコニウムの凝集体(PCS:日本電工社、比表面積33.6m2/g、比表面積径29.5nm)を7.59g、デンドリマー構造を有する多分岐型多官能アクリレート(V#1020:大阪有機化学社、分子量:1000〜3000)を5.00g添加し、室温で約1時間攪拌させた。
上述のプレミックス液を、粒子径0.3mm〜0.05mmのジルコニアビーズを使用し、滞留時間120分としてビーズミル分散機により、開砕及び分散処理を行い、実施例1の酸化ジルコニウム分散液を得た。酸化ジルコニウム分散液中の酸化ジルコニウム粒子のメジアン径は、40nmであった。
実施例1の酸化ジルコニウム分散液5gに対して、プロピレングリコールモノメチルエーテル5g、電離放射線硬化型樹脂(ビームセット575:荒川化学工業社、固形分100%、(メタ)アクリレート系のオリゴマー)4.16g、開始剤(イルガキュア184:チバ・ジャパン社)0.448gを加え、実施例1の組成物を得た。
50μmのポリエステルフィルム(コスモシャインA4300:東洋紡績社)に、実施例1の組成物を塗布、乾燥した後、紫外線を10秒間(1000mJ/cm2)照射して厚み約10μmの塗膜を形成し、実施例1の積層体を作製した。
[実施例2]
実施例1に用いた酸化ジルコニウムを、酸化ジルコニウム(HP:日本電工社、比表面積1.2m2/g、比表面積径831nm)を7.59gに変更し、多分岐型多官能アクリレートを、スターポリマー構造を有する多分岐型多官能アクリレート(STAR-501:大阪有機化学社、分子量:15000〜21000)に変更した以外は、実施例1と同様に実施例2の組成物を得た。
さらに、実施例2の組成物を用いて、厚み約15μmの塗膜を形成した以外は、実施例1と同様にして実施例2の積層体を作製した。酸化ジルコニウム分散液中の酸化ジルコニウム粒子のメジアン径は、1μmであった。
[実施例3]
実施例1に用いた電離放射線硬化型樹脂(ビームセット575:荒川化学工業社、固形分100%、(メタ)アクリレート系のオリゴマー)4.16gを、電離放射線硬化型樹脂(ビームセット575:荒川化学工業社)3.87gと電離放射線硬化型樹脂(PEMP:SC有機化学社、ポリチオールモノマー)0.29gに変更した以外は、実施例1と同様に実施例3の組成物を得た。
50μmのポリエステルフィルム(コスモシャインA4300:東洋紡績社)に、実施例3の組成物を塗布、乾燥した後、紫外線を10秒間(1000mJ/cm2)照射して厚み約10μmの塗膜を形成し、実施例3の積層体を作製した。
[比較例1]
プロピレングリコールモノメチルエーテル5gに、電離放射線硬化型樹脂(ビームセット575:荒川化学工業社、固形分100%)4.16g、デンドリマー構造を有する多分岐型多官能アクリレート(V#1020:大阪有機化学社、分子量:1000〜3000)5.00g、開始剤(イルガキュア184:チバ・ジャパン社)0.448gを加え、比較例1の組成物を得た。
50μmのポリエステルフィルム(コスモシャインA4300:東洋紡績社)に、比較例1の組成物を塗布、乾燥した後、紫外線を10秒間(1000mJ/cm2)照射して厚み約10μmの塗膜を形成し、比較例1の積層体を作製した。
[比較例2]
プロピレングリコールモノメチルエーテル15.32gに、酸化ジルコニウムの凝集体(PCS:日本電工社、比表面積33.6m2/g、比表面積径29.5nm)を7.59g添加し、室温で約1時間攪拌させた。
上述のプレミックス液を、粒子径0.3mm〜0.05mmのジルコニアビーズを使用し、滞留時間120分としてビーズミル分散機により、開砕及び分散処理を行い、比較例2の酸化ジルコニウム分散液を得た。酸化ジルコニウム分散液中の酸化ジルコニウム粒子のメジアン径は、510nmであった。
比較例2の酸化ジルコニウム分散液5gに対して、プロピレングリコールモノメチルエーテル5g、電離放射線硬化型樹脂(ビームセット575:荒川化学工業社、固形分100%)4.16g、開始剤(イルガキュア184:チバ・ジャパン社)0.448gを加え、比較例2の組成物を得た。
50μmのポリエステルフィルム(コスモシャインA4300:東洋紡績社)に、比較例2の組成物を塗布、乾燥した後、紫外線を10秒間(1000mJ/cm2)照射して厚み約10μmの塗膜を形成し、比較例2の積層体を作製した。
[比較例3]
プロピレングリコールモノメチルエーテル15.32gに、酸化ジルコニウムの凝集体(PCS:日本電工社、比表面積33.6m2/g、比表面積径29.5nm)を7.59g、線状の多官能アクリレート(NKエステル A-DPH:新中村化学社、分子量:626)を5.00g添加し、室温で約1時間攪拌させた。
上述のプレミックス液を、粒子径0.3mm〜0.05mmのジルコニアビーズを使用し、滞留時間120分としてビーズミル分散機により、開砕及び分散処理を行い、比較例3の酸化ジルコニウム分散液を得た。酸化ジルコニウム分散液中の酸化ジルコニウム粒子のメジアン径は、42nmであった。
比較例3の酸化ジルコニウム分散液5gに対して、プロピレングリコールモノメチルエーテル5g、電離放射線硬化型樹脂(ビームセット575:荒川化学工業社、固形分100%)4.16g、開始剤(イルガキュア184:チバ・ジャパン社)0.448gを加え、比較例3の組成物を得た。
50μmのポリエステルフィルム(コスモシャインA4300:東洋紡績社)に、比較例3の組成物を塗布、乾燥した後、紫外線を10秒間(1000mJ/cm2)照射して厚み約10μmの塗膜を形成し、比較例3の積層体を作製した。
[参考例]
プロピレングリコールモノメチルエーテル5gに、電離放射線硬化型樹脂(ビームセット575:荒川化学工業社、固形分100%)4.16g、開始剤(イルガキュア184:チバ・ジャパン社)0.448gを加え、参考例の組成物を得た。
50μmのポリエステルフィルム(コスモシャインA4300:東洋紡績社)に、参考例の組成物を塗布、乾燥した後、紫外線を10秒間(1000mJ/cm2)照射して厚み約10μmの塗膜を形成し、参考例の積層体を作製した。
実施例1〜3、比較例1〜3、参考例で得られた積層体について、下記項目の評価を行った。結果を表1に示す。
[表面硬度]
JIS K5600−5−4:1999に従い、実施例1〜3、比較例1〜3、参考例の積層体の塗膜面の鉛筆硬度を測定した。結果を表1に示す。
[透明性(全光線透過率)の評価]
JIS−K7361−1:2000に基づいて、ヘーズメーター(NDH2000:日本電飾社)を用いて全光線透過率を測定した。全光線透過率が90%以上であったものを「○」、80%以上90%未満のものを「△」、80%未満のものを「×」とした。なお、光を入射させる面は塗膜を有する面とした。結果を表1に示す。
実施例1〜3の積層体は、酸化ジルコニウム表面に吸着した多分岐型多官能アクリレートが、電離放射線硬化型樹脂と末端のアクリロイル基との間で化学結合し、酸化ジルコニウムと電離放射線硬化型樹脂との間に結合を図ることができ、電離放射線硬化型樹脂の重合を阻害することがなかったため、参考例の電離放射線硬化型樹脂のみの場合と比べて鉛筆硬度が低下しないものであった。
また、金属酸化物粒子と電離放射線硬化型樹脂との間に多分岐型多官能アクリレートが介在し、金属酸化物粒子と電離放射線硬化型樹脂との硬化収縮差を小さくすることができたため、金属酸化物粒子界面の微細なクラックによる表面硬度の低下が生じることなく、酸化ジルコニウムを加えたことによる表面硬度向上効果 を得ることができ、塗膜の表面硬度が向上するものであった。
さらに、実施例1及び3の積層体は、酸化ジルコニウムによる屈折率向上効果を得ることができ、さらに、分散液の酸化ジルコニウムのメジアン径を40nmとすることができたため、塗膜中の酸化ジルコニウムによる散乱光を少なくすることができ、大変透明性に優れたものとなった。
実施例2の積層体は、酸化ジルコニウムによる屈折率向上効果を得ることができたが、分散液の酸化ジルコニウムのメジアン径が1μmであったため、実施例1の積層体に比べて、酸化ジルコニウムによる散乱光を少なくすることができず、透明性に若干劣るものとなった。
実施例3の積層体は、電離放射線硬化型樹脂としてポリチオールモノマーを含むものであるため、実施例1の積層体に比べ、スチールウールによる耐擦傷性が向上し、フレキシブル性も向上した。
比較例1の積層体は、酸化ジルコニウムが存在しないものである。電離放射線硬化型樹脂と多分岐型多官能アクリレートとの間に結合を図ることができ、電離放射線硬化型樹脂の重合を阻害することがなかったため、表面硬度が、参考例の電離放射線硬化型樹脂のみの場合と比べて、低下しないものとなった。しかし、酸化ジルコニウムを添加していないため、酸化ジルコニウムによる屈折率向上効果や表面硬度向上効果を得ることができないものとなった。
比較例2の積層体は、酸化ジルコニウム表面に吸着する多官能アクリレートが存在しないものである。酸化ジルコニウムと電離放射線硬化型樹脂との相溶性を得ることができないものであった。また、酸化ジルコニウムと電離放射線硬化型樹脂との硬化収縮差が大きく、酸化ジルコニウム界面の微細なクラックが生じたため、表面硬度が、参考例の電離放射線硬化型樹脂のみの場合と比べて、かなり低下するものとなった。また、酸化ジルコニウムと電離放射線硬化型樹脂との相溶性が悪いため、透明性にも劣るものとなった。
比較例3の積層体は、多分岐型多官能アクリレートではない線状の多官能アクリレートを分散剤として使用したものである。電離放射線硬化型樹脂と末端のアクリロイル基との間で化学結合し、電離放射線硬化型樹脂の重合を阻害することがなかったため、表面硬度が、参考例の電離放射線硬化型樹脂のみの場合と比べて低下しないものであった。
しかし、金属酸化物粒子と線状の多官能アクリレートとの間で硬化収縮差が生じ、金属酸化物粒子界面と、線状の多官能アクリレートとの間に、微細なクラックが生じたため、金属酸化物粒子を添加することによる表面硬度の向上効果と、微細なクラックによる表面硬度の低下との相互作用により、塗膜の表面硬度を向上させることはできなかった。
また、実施例1の酸化ジルコニウム分散液は、酸化ジルコニウムの比表面積径が29.5nmであり、多分岐型多官能アクリレートの分子量が1000〜3000の多分岐型多官能アクリレートを用いているため、メジアン径を40nmとすることができた。また、一週間経過後の分散液は、保存安定性も得られるものであった。
実施例2の酸化ジルコニウム分散液は、酸化ジルコニウムの比表面積径が831nmであり、多分岐型多官能アクリレートとして、分子量が15000〜21000の多分岐型多官能アクリレートを用いているため、メジアン径を1μmとすることができた。しかし、酸化ジルコニウムの粒子径が大きいため、一週間経過後の分散液に沈降が見られた。分散液は、再分散することで、良好な分散状態にもどるものであった。
比較例2の酸化ジルコニウム分散液は、多分岐型多官能アクリレートを用いないで分散を行ったものである。分散剤として機能するものがないため、一週間経過後の分散液は、ゲル化・凝集がみられ、保存安定性が得られるものではなかった。
Claims (13)
- 電離放射線硬化型樹脂と、金属酸化物粒子と、多分岐構造を有する多官能(メタ)アクリレートとを含むことを特徴とする組成物。
- 前記多分岐構造を有する多官能(メタ)アクリレートは、カルボキシル基、アミノ基、カルボニル基、アクリル基又はメタクリル基を有することを特徴とする請求項1記載の組成物。
- 前記多分岐構造を有する多官能(メタ)アクリレートは、分岐構造を多数有するデンドリマー構造、ハイパーブランチ構造又はスターポリマー構造を有することを特徴とする請求項1又は2記載の組成物。
- 前記多分岐構造を有する多官能(メタ)アクリレートは、エチレンオキサイド基を含有し、末端に(メタ)アクリレート官能基を有することを特徴とする請求項3記載の組成物。
- 前記多分岐構造を有する多官能(メタ)アクリレートの(メタ)アクリレート官能基の個数は、3〜10であることを特徴とする請求項1〜4の何れか一項記載の組成物。
- 前記多分岐構造を有する多官能(メタ)アクリレートは、重量平均分子量が500〜30000であることを特徴とする請求項1〜5の何れか一項記載の組成物。
- 前記多分岐構造を有する多官能(メタ)アクリレートは、前記組成物の全固形分の5〜20重量%含まれることを特徴とすることを特徴とする請求項1〜6の何れか一項記載の組成物。
- 前記電離放射線硬化型樹脂は、線状の(メタ)アクリレートオリゴマー、(メタ)アクリル系モノマー及びポリチオールモノマーの少なくとも何れかを含むことを特徴とする請求項1〜7の何れか一項記載の組成物。
- 前記電離放射線硬化型樹脂は、前記組成物の全固形分の40〜80重量%含まれることを特徴とする請求項1〜8の何れか一項記載の組成物。
- 前記金属酸化物粒子は、動的散乱法による分散液中のメジアン径が5nm〜15μmであることを特徴とする請求項1〜9の何れか一項記載の組成物。
- 前記金属酸化物粒子は、前記組成物の全固形分の10〜50重量%含まれることを特徴とする請求項1〜10の何れか一項記載の組成物。
- 基材上に、電離放射線硬化型樹脂と、金属酸化物粒子と、多分岐構造を有する多官能(メタ)アクリレートとを含む組成物より形成された塗膜が設けられたことを特徴とする積層体。
- 前記塗膜は、3〜20μmの厚みで形成されていることを特徴とする請求項12記載の積層体。
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