JP2007326948A - フィルムおよびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 機械強度、寸法安定性に優れたフィルムおよびフィルムの製造方法を提供する。
【解決手段】平均短径(ASP)が50nm以下であり、平均長径(ALP)との粒径比(ALP/ASP)が20〜1,000である、アルミニウム元素を30〜52重量%含む粒子を1〜90重量部含有するアクリル系樹脂からなる厚さ0.1〜20μmの塗布層を、ポリエステルフィルムの少なくとも片面に有してなることを特徴とするフィルム。
【選択図】 なし

Description

本発明は、フィルムおよびその製造方法に関するものである。さらに詳しくは、機械強度、寸法安定性に優れたポリエステルフィルムに関するものである。
一般に熱可塑性ポリエステル、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)は優れた力学特性、光学特性を有しており、フィルム、繊維などの成形品として広く用いられている。
しかしながら、近年、汎用品では問題ないが、成形品、例えば高性能磁気テープ用フィルムに用いる場合、機械強度の要求が厳しくなり、PETフィルムそのものをそのまま用いることが難しくなってきている。機械的強度、弾性率や寸法安定性の改善としては従来から様々な対策が行われてきた。PETにガラス繊維を加え、さらに非繊維状無機物を加える技術(特許文献1参照)、PETにガラス繊維とマイカを組み合わせる技術(特許文献2参照)などガラス繊維と他の無機充填剤を組み合わせる方法が挙げられる。しかしながら、これらの添加量を増やすと磁気テープの表面性および走行性が悪くなり、磁気記録の抜け(ドロップ・アウト)などを引き起こす。また、ポリエーテル化合物で処理された非常に微細な層状化合物の併用は確かにガラス繊維の使用量を減少させることを可能にし、樹脂の機械強度を上昇させることに寄与するが(特許文献3参照)、層状化合物が剥がれやすいという欠点があった。
特開昭54−74852号公報 特開昭62−59661号公報 特開2003−41097号公報
本発明の目的は前記課題を解決するものであり、機械的強度および寸法安定性に優れたポリエステルフィルムを提供することにある。
本発明の前記目的は、平均短径(ASP)が50nm以下であり、平均長径(ALP)との粒径比(ALP/ASP)が20〜1,000である、アルミニウム元素を30〜52重量%含む粒子を1〜90重量部含有するアクリル系樹脂からなる厚さ0.1〜20μmの塗布層を、ポリエステルフィルムの少なくとも片面に有してなることを特徴とするフィルムにより達成できる。
本発明のフィルムは、機械的強度、寸法安定性に優れており、広範な用途に応用が可能で、特に磁気記録媒体用途などに好適である。
本発明に使用するポリエステルとは、ジオールとジカルボン酸あるいはそのエステル形成性誘導体の縮重合により得られるポリマーを少なくとも80重量%含有するポリマーである。ここでジカルボン酸とは、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸、セバチン酸などで代表されるものである。また、これらのエステル形成性誘導体とは、テレフタル酸ジメチル、イソフタル酸ジメチル、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル等に代表される化合物である。また、ジオールとは、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、シクロヘキサンジメタノールなどで代表されるものである。
具体的なポリマーとしては、例えば、ポリメチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリテトラメチレンテレフタレート、ポリエチレン−p−オキシベンゾエート、ポリ−1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレートなどを使用することができる。
勿論、これらのポリエステルは、ホモポリマーであっても、コポリマーであってもよく、コポリマーの場合、共重合成分として、例えば、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ポリアルキレングリコールなどのジオール成分、アジピン酸、セバチン酸、フタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸などのジカルボン酸成分、ヒドロキシ安息香酸、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸などのヒドロキシカルボン酸成分を含有していても良い。ただし、共重合量はフィルムの機械的特性や耐熱性を損なわない範囲内であることが好ましく、具体的には、ポリエステルを構成する全カルボン酸成分および全ジオール成分のうち、80モル%以上はエチレンテレフタレート単位やエチレンナフタレート単位など単一の構造で構成されていることが好ましく、より好ましくは90モル%以上が単一成分で構成されていることが好ましい。
中でも本発明の場合、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレートおよびこれらの共重合体および変成体の1種以上が好ましく使用される。
本発明におけるポリエステルの製造方法は特に制限がなく、種々の製造法により製造することが出来る。すなわち、直接重合法でもエステル交換反応法でも製造することができ、バッチ式でも連続重合法でも製造することができる。
また、得られたポリエステルを、さらに133Pa以下の減圧下あるいは窒素等の不活性ガス雰囲気下において、結晶化温度以上融点以下の温度で加熱処理することにより固相重合を行ってもよい。この温度は、例えばポリエステルがポリエチレンテレフタレートである場合には180〜250℃が好ましく、より好ましくは200〜240℃の範囲である。
本発明のポリエステルの製造触媒は、特に限定されるものではなく、種々の触媒を用いることができる。エステル交換反応に有効な触媒としては、酢酸カルシウム、酢酸マグネシウム、酢酸リチウム、酢酸ナトリウムなどのアルカリ金属またはアルカリ土類金属化合物の他、酢酸マンガン、酢酸コバルト、酢酸亜鉛、酢酸スズ、アルコキシドチタンなどを用いることができる。また、重合触媒としては、3酸化2アンチモン、2酸化ゲルマニウム、アルコキシドチタンなどの他、アルミニウムやシリカの複合酸化物などを用いることができる。また、安定剤として、リン酸、亜リン酸、ジメチトリメチルホスフェートなどの各種リン化合物を添加することが好ましい。該リン化合物の添加時期は、エステル化反応後あるいはエステル交換反応後から重縮合反応の初期に添加することが好ましい。
本発明におけるポリエステルは、フィルムに易滑性を与える目的で各種不活性粒子を含有することができる。これら不活性粒子としては、湿式あるいは乾式シリカ、コロイダルシリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、珪酸アルミニウム、酸化亜鉛、酸化銅、などの酸化物無機粒子、金、銀、銅、鉄、白金等の無機金属粒子、架橋ポリスチレン、架橋ジビニルベンゼンなどに代表される有機粒子、その他炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、ヒドロキシアパタイト、硫酸バリウムなどの粒子を挙げることができる。これら粒子は、ポリエステルの重縮合における任意の工程、好ましくはオリゴマーから重縮合工程に移行する前に反応系に添加されることが分散性向上の観点から好ましい。また、粒子は、水あるいはエチレングリコールなどのポリエステルモノマー化合物を分散媒として添加されることが好ましい。また、これら粒子を、ベント孔つき二軸押出機を用いて、あらかじめ得られたポリエステルに混練分散しても構わない。また、ポリエステルの重縮合触媒に起因して重縮合過程において生成する、いわゆる内部粒子を含有しても構わない。
また、本発明のポリエステル(a)は、酸化防止剤、紫外線吸収剤、難燃剤、易滑剤、着色剤などの各種添加剤を、ポリエステルおよび本発明のフィルムの物性を損なわない範囲で添加することができる。
本発明の塗布層に含まれる粒子は、その平均短径(ASP)が50nm以下であることが好ましい。より好ましくは30nm以下、さらに好ましくは20nm以下である。かかる範囲まで平均短径(ASP)が小さくなることにより樹脂の透明性がより良くなり、粗大異物になりにくいだけでなく、樹脂との界面(接触面積)が格段に増大するために機械強度が一段と向上する。なお、平均短径(ASP)が1nm未満の粒子は、品質の安定した製造が困難である。また、平均短径(ASP)が50nmを超えてしまうと、成形時に粗大異物になり、表面が重要となるフィルムなどの用途では使用しにくい。
なお、針状粒子と繊維状粒子の違いについて述べると、針状粒子は屈曲部分のない直線的形状の粒子であり、繊維状粒子とは、アスペクト比が大きく細長い形状であるものの、屈曲点があるものを指す。本願においては、針状粒子の方が好ましく用いられる。
また、塗布層に含まれる粒子の平均長径(ALP)と平均短径(ASP)の粒径比(ALP/ASP)は20〜1,000であることが好ましい。この粒径比が20未満の場合は、機械特性向上効果が十分に得られず、また、1,000を超える粒子は、品質の安定した製造が困難である。粒径比の値は、好ましくは30〜500、より好ましくは50〜200である。
粒子は、アルミニウム元素を含有し、その粒子中の含有量が30〜52重量%である。かかる範囲であることにより粒子自体の強度が向上するとともに塗布層樹脂との親和性が増大し、塗布層およびフィルムの強度が向上する。この含有量の好ましい範囲30〜50重量%であり、30〜45重量%であることがより好ましい。
本発明の塗布層を構成するアクリル樹脂は、その樹脂のうち1〜80重量部がアクリル酸化合物で構成されていることが好ましく、より好ましくは10〜70重量部である。アクリル酸化合物の量が1重量部未満であると、粒子の分散性十分でなく、70重量部を超えると耐湿熱性に劣る。
塗布層を構成するアクリル系樹脂の形成方法としては、大きく分けて以下の二つの方法をとることができる。
(1)アクリル系樹脂を溶媒に溶解させ、必要に応じて粒子を均一に分散させるための分散剤を添加して塗布液を調整し、ポリエステルフィルム製膜の任意の工程において塗布・乾燥して塗布層を得る方法。
(2)アクリルモノマーあるいはオリゴマーに粒子、必要に応じて光重合開始剤あるいは熱重合開始剤、溶媒、さらに必要に応じて粒子を均一に分散させるための分散剤などを添加して塗布液を調整し、ポリエステルフィルムに任意の工程で塗布・乾燥した後に反応させることにより塗布層を得る方法。
アクリル系樹脂とは、例えば下記のモノマー群より構成されるホモポリマーあるいはコポリマーである。アクリル酸、メタクリル酸などのアクリル酸化合物、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、2−エチルへキシルメタクリレート、イソデシルメタクリレート、n−ラウリルメタクリレート、トリデシルメタクリレート、n−ステアリルメタクリレート、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、イソボルニルメタクリレートなどのアクリレート化合物、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレートなどのヒドロキシアクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレートなどのアミノメタクリレート化合物、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ブタンジオールジメタクリレートなどのジメタクリレート化合物などが挙げられる。
また、活性線硬化型のアクリル系樹脂、または熱硬化型のアクリル系樹脂のモノマーあるいはオリゴマーを成分として含んでも良い。
活性線硬化型のアクリル系樹脂または熱硬化型のアクリル系樹脂とは、重合硬化成分として多官能アクリレート、アクリルオリゴマーあるいは反応性希釈剤を含む組成物である。その他に必要に応じて光開始剤、光増感剤、熱重合開始剤あるいは改質剤等を含有しているものを用いてもよい。
アクリルオリゴマーとは、アクリル系樹脂骨格に反応性のアクリル基が結合されたものを始めとして、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、ポリエーテルアクリレートなどであり、また、メラミンやイソシアヌール酸などの剛直な骨格にアクリル基を結合したものなども用いられ得る。
また、反応性希釈剤とは、塗布剤の媒体として塗布工程での溶剤の機能を担うと共に、それ自体が一官能性あるいは多官能性のアクリルオリゴマーと反応する基を有し、塗膜の共重合成分となるものである。
これらのアクリルオリゴマー、反応性希釈剤、光重合開始剤、光増感剤、熱重合開始剤、架橋装置などの具体例は、山下晋三、金子東助編、「架橋剤ハンドブック」、大成社1981年発行、第267頁から第275頁、第562頁から第593頁を参考とすることができるが、本発明ではこれらに限定されるものではない。
また、市販されている多官能アクリル系硬化塗料としては、三菱レイヨン株式会社;(商品名“ダイヤビーム(登録商標)”シリーズなど)、長瀬産業株式会社;(商品名“デナコール(登録商標)”シリーズなど)、新中村株式会社;(商品名“NKエステル”シリーズなど)、大日本インキ化学工業株式会社;(商品名“UNIDIC(登録商標)”シリーズなど)、東亜合成化学工業株式会社;(商品名“アロニックス(登録商標)”シリーズなど)、日本油脂株式会社;(商品名“ブレンマー(登録商標)”シリーズなど)、日本化薬株式会社;(商品名“KAYARAD(登録商標)”シリーズなど)、共栄社化学株式会社;(商品名“ライトエステル”シリーズ、“ライトアクリレート”シリーズなど)などの製品を利用することができる。
これらのうちでも、1分子中に3個以上、より好ましくは4個以上、さらに好ましくは5個以上の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する単量体およびプレポリマーの少なくとも1種と、1分子中に1〜2個のエチレン性不飽和二重結合を有する単量体の少なくとも1種とからなる混合物を主たる構成成分とし、活性線硬化または熱硬化によって得られる層が、硬度、耐摩耗性および可撓性に優れている点で好ましく用いられる。(メタ)アクリロイルオキシ基が多すぎる場合には、単量体は高粘度となり取り扱いし難くなり、また、高分子量とならざるを得なくなって塗布液として用いることが困難となるので、1分子中の(メタ)アクリロイルオキシ基は好ましくは10個以下である。
なお、本明細書において「・・・(メタ)アクリ・・・」とは、「・・・アクリ・・・または・・・メタアクリ・・・」を略して表示したものである。
1分子中に3個以上の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する単量体およびプレポリマーとしては、1分子中に3個以上のアルコール性水酸基を有する多価アルコールの該水酸基が、3個以上の(メタ)アクリル酸のエステル化物となっている化合物などを挙げることができる。
具体的な例としては、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレートヘキサメチレンジイソシアネートウレタンプレポリマー、ペンタエリスリトールトリアクリレートトルエンジイソシアネートウレタンプレポリマー、ペンタエリスリトールトリアクリレートイソホロンジイソシアネートウレタンプレポリマーなどを用いることができる。これらの単量体およびプレポリマーは、1種または2種以上を混合して使用することができる。特にこれらの内、少なくともひとつの水酸基を有する多官能アクリレート化合物は、後述するイソシアネートとの併用により、塗布層と基材フィルム の接着性を向上させることができるので特に好ましい。
次に、1分子中に1〜2個のエチレン性不飽和二重結合を有する単量体としては、ラジカル重合性のある通常の単量体ならば特に限定されずに使用することができる。
また、分子内に2個のエチレン性不飽和二重結合を有する化合物としては、下記(a)〜(f)の(メタ)アクリレート等を用いることができる。すなわち、
(a)炭素数2〜12のアルキレングリコールの(メタ)アクリル 酸ジエステル類:エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレートなど;
(b)ポリオキシアルキレングリコールの(メタ)アクリレート酸ジエステル類:ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレートなど;
(c)多価アルコールの(メタ)アクリル 酸ジエステル類:ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレートなど;
(d)ビスフェノールAあるいはビスフェノールAの水素化物のエチレンオキシドおよびプロピレンオキシド付加物の(メタ)アクリル 酸ジエステル類:2,2’−ビス(4−アクリロキシエトキシフェニル)プロパン、2,2’−ビス(4−アクリロキシプロポキシフェニル)プロパンなど;
(e)ジイソシアネート化合物と2個以上のアルコール性水酸基含有化合物を予め反応させて得られる末端イソシアネート基含有化合物に、さらにアルコール性水酸基含有(メタ)アクリレートを反応させて得られる分子内に2個以上の(メタ)アクリロイルオキシ基を有するウレタン(メタ)アクリレート類など、および;
(f)分子内に2個以上のエポキシ基を有する化合物にアクリル 酸またはメタクリル酸を反応させて得られる分子内に2個以上の(メタ)アクリロイルオキシ基を有するエポキシ(メタ)アクリレート類など。
分子内に1個のエチレン性不飽和二重結合を有する化合物としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−およびi−プロピル(メタ)アクリレート、n−、sec−、およびt−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、N−ヒドロキシエチル(メタ)アクリル アミド、N−ビニルピロリドン、N−ビニル−3−メチルピロリドン、N−ビニル−5−メチルピロリドンなどを用いることができる。これらの単量体は、1種または2種以上混合して使用してもよい。
これらの1分子中に1〜2個のエチレン性不飽和二重結合を有する単量体の使用割合は、塗布層構成樹脂成分総量に対して10〜50重量%が好ましく、より好ましくは20〜40重量%である。単量体の使用割合が50重量%を超える場合には、十分な耐摩耗性を有する硬化被膜が得られにくくなる場合がある。また、その使用割合が10重量%未満の場合には、被膜の可撓性が低下したり、基材フィルム上に設けた積層膜との接着性が低下する場合がある。
本発明において、塗布層形成樹脂組成物を硬化させる方法としては、例えば、活性線として紫外線を照射する方法や高温加熱法等を用いることができる。これらの方法を用いる場合には、前記塗布層組成物に、光重合開始剤または熱重合開始剤等を加えることが望ましい。
光重合開始剤の具体的な例としては、アセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、p−ジメチルアセトフェノン、p−ジメチルアミノプロピオフェノン、ベンゾフェノン、2−クロロベンゾフェノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、4,4’−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、ミヒラーケトン、ベンジル、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、メチルベンゾイルフォルメート、p−イソプロピル−α−ヒドロキシイソブチルフェノン、α−ヒドロキシイソブチルフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンなどのカルボニル化合物、テトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントンなどの硫黄化合物などを用いることができる。これらの光重合開始剤は単独で使用してもよいし、2種以上組み合せて用いてもよい。また、熱重合開始剤としては、ベンゾイルパーオキサイドまたはジ−t−ブチルパーオキサイドなどのパーオキサイド化合物などを用いることができる。
光重合開始剤または熱重合開始剤の使用量は、塗布層形成樹脂組成物100重量部に対して、0.01〜10重量部が適当である。電子線またはガンマ線を硬化手段とする場合には、必ずしも重合開始剤を添加する必要はない。また220℃以上の高温で熱硬化させる場合には、熱重合開始剤の添加は必ずしも必要ではない。
本発明で用いられる塗布層形成樹脂組成物には、製造時の熱重合や貯蔵中の暗反応を防止するために、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテルまたは2,5−t−ブチルハイドロキノンなどの熱重合防止剤を加えることが望ましい。熱重合防止剤の添加量は、ハードコート層形成組成物総重量に対し、0.005〜0.05重量%が好ましい。
本発明で述べる塗布層中には、本発明の効果が損なわれない範囲で、さらに各種の添加剤を必要に応じて配合することができる。例えば、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤などの安定剤、界面活性剤、レベリング剤および帯電防止剤などを用いることができる。
塗布層形成は、任意の段階で実施することができるが、ポリエステルフィルムを製膜後に溶媒塗液を塗布し、厚さ0.1〜20μmの塗布層を形成させる。このとき厚さが0.1μm未満では塗布層の十分な強度が得られず、20μmを超えると均一な膜が形成されにくく、また、ブロッキングを起こしたり、ヘイズの上昇する可能性がある。好ましくは0.2μm〜10μmであり、さらに好ましくは0.5μm〜5μmである。概範囲では十分な機械特性向上効果が発揮できるとともにブロッキングなどの問題も起こりにくい。
上記の粒子は針状または繊維状であることが好ましい。同一組成・同一重量の粒子を含有している場合でも、粒子形状が針状または繊維状であることにより、理由は定かではないが、機械特性向上効果は向上する。層状の形態であっても、本発明において規定する粒子のASP、ALP、ALP/ASPが所定の範囲内であれば効果を発揮するが、針状や繊維状であることがより有利である。なお、ASP、ALP、ALP/ASPの測定方法については後述する。
また、上記の粒子は酸素元素を含有し、その粒子中の含有量が50〜70重量%であることが好ましい。かかる範囲であることにより粒子自体の強度が向上し、塗布層樹脂との親和性が向上する。望ましくは55〜70重量%、さらに望ましくは55〜65重量%とすることが好ましい。この酸素元素を含み、かつアルミニウム元素の含有量を上記の範囲とすることにより塗布層樹脂との親和性が大きく向上し、塗布層およびポリエステルフィルムの機械強度が大きく向上せしめることを可能にする。
塗布層中での上記粒子の含有量は1〜90重量%であることが好ましい。1重量%未満では塗布層の寸法安定性が得られにくく、90重量%を超えてしまうとポリマーの特徴である柔軟性が損なわれてしまう。含有量の好ましい範囲は7〜40重量%であり、さらに好ましくは10〜30重量%である。かかる範囲では寸法安定性の向上効果が大きく、かつ柔軟性も保持することができる。
次に、本発明のフィルムの製造方法の一例について説明するが、これに限定されるものではない。
平均粒子経0.3μmのシリカ粒子を0.2重量%含有するPETペレット(極限粘度0.62dl/g)を、180℃で約2時間真空乾燥して十分に水分を除去した後、押し出し機に供給し、260〜300℃の温度で溶融押し出しし、T字型の口金からシート状に成形する。このようにして得られたシート状物を、鏡面の冷却ドラム上で冷却固化して未延伸シートを得る。このときキャストドラムとの密着性を向上させる目的で静電印加法を用いることが好ましい。その後、得られた未延伸シートを、70〜120℃に加熱したロール群で長手方向に2〜5倍の延伸を行なう。長手方向の延伸は結晶配向を低く、かつ熱結晶化を進行させる条件が好ましく、延伸時にラジエーションヒーターで加熱しつつ延伸する方法が好ましい。次いで、このようにして1軸に延伸されたフィルム の表面に、塗布層層形成組成物を塗布し、その後、フィルム の両端をクリップで把持しつつテンターに導く。テンター内で予熱後、幅方向に約2〜5倍延伸する。幅方向に延伸された積層フィルム は、さらに3〜10%の弛緩処理を行いつつ、基材フィルム の結晶配向と塗膜硬化を完了させる熱処理(おおよそ、樹脂のガラス転移温度〜融点の温度、PETの場合では200〜245℃)を行なうと、カールが著しく改良されるので特に好ましい。
塗布層形成組成物の塗布手段としては、各種の塗布方法、例えば、ロールコート法、リバースコート法、グラビアコート法、ロールブラッシュ法、エアーナイフコート法、ロッドコート法、バーコート法、ダイコート法、スプレーコート法、含浸法、カーテンコート法などを用いることができる。なお、塗布層は、必要に応じ、フィルムの片面のみに形成してもよいし、両面に形成してもよい。
本発明で用いられる活性線としては、紫外線、電子線および放射線(α線、β線、γ線など)などアクリル 系のビニル基を重合させる電磁波が挙げられ、実用的には、紫外線が簡便であり好ましい。紫外線源としては、紫外線蛍光灯、低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、キセノン灯、炭素アーク灯などを用いることができる。また、活性線を照射するときに、低酸素濃度下で照射を行なうと、効率よく硬化させることができる。またさらに、電子線方式は、装置が高価で不活性気体下での操作が必要ではあるが、塗布層中に光重合開始剤や光増感剤などを含有させなくてもよい点で有利である。
本発明で用いられる熱硬化に必要な熱としては、スチームヒーター、電気ヒーター、赤外線ヒーターあるいは遠赤外線ヒーターなどを用いて温度を少なくとも140℃以上に加温された空気、不活性ガスを、スリットノズルを用いて基材、塗膜に吹きあてることにより与えられる熱が挙げられ、中でも200℃以上に加温された空気による熱が好ましく、さらに好ましくは200℃以上に加温された窒素による熱であることが、硬化速度が早いので好ましい。
塗液をポリエステルフィルムに塗布する際には、塗布性を向上させるための予備処理としてフィルム表面にコロナ表面処理、火炎処理、プラズマ処理等の物理処理を施すか、あるいはこれと化学的に不活性な界面活性剤を併用することが好ましい。かかる界面活性剤は、ポリエステルフィルムへの水性塗液の濡れを促進するものであり、例えば、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン―脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、脂肪酸金属石鹸、アルキル硫酸塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩等のアニオン型、ノニオン型界面活性剤を挙げることができる。界面活性剤は、塗膜を形成する組成物中に、1〜10重量%含まれていることが好ましい。
また、本発明の効果が損なわれない範囲において、塗布層の最外層に図柄などの印刷層を設けてもよい。
また、得られた塗布層を、各種の方法で各種機能フィルムなどと貼り合わせて用いることもできるし、他方の面に粘着層を積層したり、導電層を設けたりすることもできる。
これらの溶媒としては例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、2−メチル−1−ブタノール、イソペンチルアルコール、tert−ペンチルアルコール、1−ヘキサノール、2−メチル1−ペンタノール、4−メチル−2−ペンタノール、2−エチルブタノール、1−ヘプタノール、2−ヘプタノール、3−ヘプタノール、2−オクタノール、2−エチル1−ヘキサノール、ベンジルアルコール、シクロヘキサノールの如きアルコール類;メチルセロソルブ、セロソルブ、イソプロピルセロソルブ、ブチルセロソルブ、ジエチレンブリコールモノブチルエーテルの如きエーテルアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンの如きケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸エチル、セロソルブアセテートの如きエステル類;ペンタン、2−メチルブタン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、2−メチルペンタン、2、2−ジメチルブタン、2、3−ジメチルブタン、ヘプタン、n−オクタン、イソオクタン、2、2、3−トリメチルペンタン、デカン、ノナン、シクロペンタン、メチルシクロペンタン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、p−メンタン、ビシクロヘキシル、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼンの如き脂肪族又は芳香族炭化水素類;四塩化炭素;トリクロロエチレン、クロロベンゼン、テトラプロムエタンの如きハロゲン化炭化水素類;エチルエーテル、ジメチルエーテル、トリオキサンテトラヒドロフランの如きエーテル類、メチラール、ジエチルアセタールの如きアセタール類;ギ酸、酢酸、プロピオン酸の如き脂肪酸類;ニトロプロペン、ニトロベンゼン、ジメチルアミン、モノエタノールアミン、ピリジン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドの如き硫黄;窒素含有有機化合物類;及び水;を挙げることができる。
ポリエステルは、前述のようにどのようなものでも構わないが、特にポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2、6−ナフタレンジカルボキシレートが粒子との親和性、機械強度向上の観点から好ましい。
本発明に用いられる粒子は種々の方法で生成することが可能であるが、具体的には、例えば、少なくともいずれか一方にアルミニウムイオンを含むアルカリ性水溶液と酸性水溶液とを中和反応させることにより製造することができる。好ましくは、両方ともアルミニウムイオンを含むアルカリ性水溶液と酸性水溶液、例えばアルミン酸アルカリ水溶液とアルミニウム塩水溶液(酸性アルミニウム)との中和反応により製造することができる。アルミン酸アルカリとしては、アルミン酸ナトリウム、アルミン酸カリウム等の任意のアルミン酸アルカリを用いることができる。アルミニウム塩は、硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム、硝酸アルミニウム等の種々の任意のアルミニウム塩を用いることができる。中和反応は、アルミニウム塩溶液及びアルミン酸アルカリ溶液の両者を同時に添加する方法が望ましく、また、中和による沈殿形成時にはpH7〜12の範囲内、反応槽内の中和溶液の温度は常温〜300℃、また、沈澱形成後に中和溶液を熱成して結晶性を向上させると好ましい。生成した粒子をそのまま用いても良いし、ろ過により液体と分離し、洗浄した後、スラリー状にして用いてもよい。さらに乾燥させてから用いても良い。
なお、粒子の形状を制御するためには、上記の工程中に各種の塩を添加することにより行うことができる。たとえば、針状粒子を製造するためには、上記の中和工程にてマグネシウム、ニッケル、マンガン、コバルトなどの酢酸塩、蟻酸塩、プロピオン酸塩、硫酸塩、硝酸塩を添加するとよい。また、板状や層状の粒子を製造する場合には、上記の中和工程にてナトリウム、カリウム、カルシウム、バリウム、ストロンチウム、ランタノイド、イットリウムなどの塩を添加するとよい。
粒子の塗布液への分散方法については水などの溶媒に分散させた後に、せん断応力、ずり応力のかかるホモミキサー、ジェットアジター、ボールミル、ニーダー、サンドミル、3本ロールなどの装置を用いて機械的な強制分散処理を行う方法が好ましく用いられる。ホモミキサー、ジェットアジターなどが用いられる場合には回転数が1000rpm以上で行うことがさらに好ましい。
本発明のフィルムは、優れた温度膨張係数および湿度膨張係数を達成する。本発明のフィルムの幅方向の温度膨張係数は0〜8ppm/℃であることが好ましく、0〜5ppm/℃であることがより好ましい。温度膨張係数が8ppmを超えたり、0ppm未満であると、保管中および製品に加工されてからの季節による温度変化により寸法が変化するため、ディスプレイの保護フィルムとして用いた場合には剥離が生じたり、デジタル磁気記録媒体として用いた場合にはデータの読み出しが困難になる。また、幅方向の湿度膨張係数は0〜5(ppm/%RH)であることが好ましく、0〜3ppmの範囲であることがより好ましい。湿度膨張係数が0ppm未満あるいは5ppmを越えると、やはり使用環境の変化により同様の問題が生じる。
本発明のポリエステルフィルムの形態としては、片面のみ塗布した積層構成(積層フィルム)としてもよいが、両面を塗布した3層積層フィルムにすると機械特性が向上するためさらに好ましい。
また、積層フィルムの層構成を少なくとも3層とした場合、中心層の少なくとも一部にフィルム製造工程で発生する回収ポリマーを用いるとコストダウンの点で好ましい。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に発明する。実施例中に使用した各特性値は次の測定方法により求めた。
A.固有粘度(IV)
オルトクロロフェノール中、25℃で測定した溶液粘度から、下式で求めた。
ηsp/C=[η]+K[η]2・C
ここで、ηsp=(溶液粘度/溶媒粘度)−1であり、Cは、溶媒100mlあたりの溶解ポリマー重量(g/100ml、通常1.2)、Kはハギンス定数(0.343とする)である。
また、溶液粘度、溶媒粘度はオストワルド粘度計を用いて測定した。単位は[dl/g]で示す。
B.粒子特性
[平均短径、平均長径の測定]
粒子をポリエステルに配合し、0.2μm厚みの超薄切片にカッティング後、透過型電子顕微鏡(日本電子株式会社 JEM−2100F)を用いて一枚の試料を−60°〜+60°(2.5°刻み、計49枚)、10〜50万倍で撮影して、取得した試料の透過像データに基づいて信号処理によりCT法を実行して3次元再構成を行う。前記信号処理は、試料を一定の角度ごとに傾斜させて得られる一連の透過像から、リファレンス画像との二次元相関処理によって、同一視野を選択して切り出すことにより、試料の位置ずれを補正することにより行った。3次元形状として把握される粒子に対して直方体を外接させたとき、その直方体の最大の一辺の長さを長径(LP)、最小の一辺の長さを短径(SP)とする。この長径と短径について100個の粒子について観察し、下記式により平均短径(ASP)、平均長径(ALP)、粒径比(APR)を算出した。
Figure 2007326948
C.積層フィルムの積層厚みまたは塗布層厚み
[積層厚みが3μm以下かつ積層フィルムが粒子を含有している場合]
2次イオン質量分析装置(SIMS)を用いて、表層から深さ3,000nmの範囲のフィルム中の粒子のうち最も高濃度の粒子に起因する元素とポリエステルの炭素元素の濃度比(M+/C-)を粒子濃度とし、表面から深さ3,000nmまでの厚さ方向の分析を行なう。表層では表面という界面のために粒子濃度は低く表面から遠ざかるにつれて粒子濃度は高くなる。本発明のフィルムの場合は、一旦極大値となった粒子濃度がまた減少し始める。この濃度分布曲線をもとに表層粒子濃度が極大値の1/2となる深さ(この深さは極大値となる深さよりも深い)を求め、これを積層厚みとした。条件は次の通りである。
測定装置:
2次イオン質分析装置(SIMS)、ATOMIKA社製 A−DIDA3000
測定条件:
1次イオン種:O2 +
1次イオン加速電圧:12kV
1次イオン電流:200nA
ラスター領域:400μm
分析領域:ゲート30%
測定真空度:6.0×10-9Torr
E−GUN:0.5kV−3.0A
なお、表層から深さ3,000nmの範囲に最も多く含有する粒子が有機高分子粒子の場合は、SIMSでは測定が難しいので、表層からエッチングしながらXPS(X線光電子分光法)、IR(赤外分光法)などで上記同様のデプスプロファイルを測定し積層厚みを求めてもよい。
[積層厚みが3μm以上または粒子を含有していない場合]
フィルム試料の厚み方向の断面が取れるように0.2μm厚みの超薄切片にカッティング後、透過型電子顕微鏡(日本電子株式会社製 JEM−2100F)を用いて断面観察を行い、ポリマーの違いに起因するコントラストの差から界面を判定し積層厚みを求めた。
D.フィルムのヤング率
ASTM−D882に規定された方法に従って、インストロンタイプの引張試験機を用いて測定した。測定は下記の条件とした。
測定装置:オリエンテック(株)製フィルム強伸度自動測定装置“テンシロン”AMF/RTA−100
試料サイズ:幅10mm×試長間100mm
引張り速度:200mm/分
測定環境:温度23℃、湿度65%RH
幅方向の測定値を評価基準とした。
E.温度膨張係数(幅方向)(/℃)
フィルムを幅4mmに幅方向にサンプリングし、試長15mmになるように、真空理工(株)製TMA TM−3000および加熱制御部TA−1500にセットした。0.5gの荷重をフィルムにかけて、温度を室温(23℃)から50℃まで上昇させた後、一旦、室温まで温度を戻した。その後、再度温度を室温から50℃まで上昇させた。その時の、30℃から40℃までのフィルムの変位量絶対値(ΔLμm)を測定し、次式から温度膨張係数を算出した。
温度膨張係数(ppm/℃)={ΔL/(15×1000)}/(40−30)×10
8ppm/℃未満が合格レベルである。
F.湿度膨張係数(幅方向)(/%RH)
フィルムを幅10mmで幅方向にサンプリングし、試長200mmになるように、大倉インダストリー製のテープ伸び試験器にセットし、温度30℃、湿度40%RHに30分保持し、その後10g荷重下で80%RHまで変化させ30分保持した後、変位量(ΔLmm)を測定し、次式
湿度膨張係数(ppm/%RH)=(ΔL/200)/(80−40)×10
の絶対値から湿度膨張係数を算出した。
5ppm/%RHが合格レベルである。
以下に本発明を実施例に基づき説明するが、本発明はかかる実施例に限定されるものではない。
実施例1
(繊維状酸化物粒子(FP1)の合成)
硫酸アルミニウムと水酸化アルミニウム、酢酸マグネシウムの混合割合がモル比で硫酸アルミニウム1に対し水酸化アルミニウムが4、酢酸マグネシウムが0.2となるように、硫酸アルミニウム、水酸化アルミニウム、酢酸マグネシウムおよび水をオートクレーブ内に充填して中和し、水熱合成した。水熱合成は、静置下で、昇温速度80℃/時間で205℃まで加熱し、その温度及び圧力を10時間保持することにより行った。反応終了後、反応液を自然冷却し、濾過することにより反応生成物を得た。この反応生成物を水洗し、105℃の温度で乾燥させることにより粒子を得た。外粒子は平均短径(ASP)10nm、平均長径(ALP)500nm、アルミニウム重量が35%であった。
(塗剤の調整方法)
<粒子含有塗剤(A)>
上記で得られた繊維状酸化物粒子(FP1)50重量部を、メタクリル酸(関東化学)15重量部、メタクリル酸メチル(関東化学)25重量部、ポリエステルアクリレート(M−7100:東亞合成株式会社製)2.5重量部、ポリイソシアネート(スミジュール(登録商標)N3300:住化バイエルウレタン株式会社製)5重量部、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート2.5重量部を加えて均一溶解し、粒子含有塗剤(A)を作成した。
他方、0.3μmのシリカ粒子を0.2重量%含有する極限粘度0.6のポリエチレンテレフタレートを十分に乾燥した後、押し出し機に供給して290℃で溶融し、T型口金よりシート状に押し出し、30℃の冷却ドラムで冷却固化せしめ、未延伸フィルムを得た。ついで、未延伸フィルムを95℃に加熱して縦方向に3.4倍延伸し、一軸延伸フィルムとした。さらに、この一軸延伸フィルムの片面に上記で得た粒子含有塗剤(A)の水溶液を二軸延伸後において塗布厚みが1μmとなるようにグラビアコート方式で塗布した。続いて100℃に加熱して横方向に3.5倍延伸し、200℃で熱処理して塗布層を有する厚さ7μmの二軸延伸ポリエステルフィルム(P)を得た。
このフィルムを評価したところ、ヤング率5.7GPa、温度膨張係数3ppm/℃、湿度膨張係数1ppm/%RHであり、非常に良好な機械特性・寸法安定性を示した。
実施例2〜10
塗布液(A)の組成物比率、粒子の平均短径(ASP)、平均長径(ALP)、含有量などを変更し、実施例1と同様の方法で二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムの評価結果を表1、表2に示した。
なお、実施例2,3において用いた粒子は、硫酸アルミニウム、水酸化アルミニウムおよび酢酸マグネシウムの使用割合(モル比)をそれぞれ以下の如く調整した他は、実施例1の繊維状酸化物粒子(FP1)と同様にして得たものである。
実施例2 1:4:0.4
実施例3 1:4:0.8
また、実施例4で用いた粒子は、酢酸マグネシウムの代わりに酢酸ナトリウムを同モル用いた他は実施例1と同様にして得たものである。
これらのフィルムは概ね良好な機械特性および寸法安定性を有していたが、実施例3、4、5、7、8、9では、他の実施例に比べてヤング率および温度膨張係数・湿度膨張係数が劣るフィルムであった。実施例4では、形状が層状であることが影響していると考えられ、実施例6および8では、粒子の均一分散性が劣るためと考えられる。また、実施例7ではアクリル酸に起因するカルボン酸濃度が高いことが湿度膨張係数に影響していると考えられ、実施例9では塗布厚みが薄いことが影響していると考えられる。実施例8では、アセトンに予めポリメチルメタクリレートを10重量%溶液として調整後、繊維状粒子を分散させて塗布したが、フィルム特性はやや劣るものであった。
実施例11
実施例1における粒子の水熱合成において205℃における反応時間を3時間に変更したところ、平均短径(ASP)5nm、平均長径(ALP)100nm、アルミニウム重量が32%である繊維状酸化物粒子(FP3)を得た。これを実施例1と同様の方法で粒子含有塗剤(B)を調整し、さらに同様の方法でこれを塗布した延伸フィルムを得た。結果を表1に示す。
実施例12、13
実施例1における粒子の水熱合成において205℃における反応時間を30時間、50に変更したところ、平均短径(ASP)25nm、平均長径(ALP)12500nm、アルミニウム重量が38%である繊維状酸化物粒子(FP3)、および平均短径(ASP)30nm、平均長径(ALP)30000nm、アルミニウム重量が35%である繊維状酸化物粒子(FP4)を得た。これを実施例1と同様の方法で粒子含有塗剤(C)を調整し、さらに同様の方法でこれを塗布した延伸フィルムを得た。結果を表1に示す。これらは機械特性は満足であるものの、表面が明らかに粗く、用途はかなり限定されるフィルムであった。
実施例14,15
FP1を用いて、塗布剤の調製条件を表中の値とする他は、実施例1と同様の方法でフィルムを得た。実施例13では寸法安定性がやや低下し、ヤング率の低下も見られた。実施例14では、粒子が高濃度となるため、フィルム表面は目視でやや不透明であったが、機械的特性は良い結果を示した。
実施例16
メタクリル酸を塗布剤成分として全く用いない代わりに、メタクリル酸メチルを増量して用いるほかは、請求項1と同様の方法でフィルムを得た。メタクリル酸成分を用いないため、若干粒子の分散性が悪いためか、ヤング率、寸法安定性ともにやや劣るフィルムではあったが、合格レベルであった。
実施例17
実施例1において酢酸マグネシウムを用いずに得られた粒子を1200℃で焼成し、粒子中のAl濃度が52%の粒子を得た。これを用いて実施例と同様にフィルムを得た。結果を表2に示す。
比較例1
塗布層を設けない以外は、実施例1と同様の方法でフィルムを得た。ヤング率、温度膨張係数・湿度膨張係数ともに不良であった。
比較例2
繊維状粒子(FP1)の変わりに平均粒子径30nmのコロイダルシリカ粒子を用いるほかは、実施例1と同様の方法でフィルムを得た。フィルム特性は
ヤング率、温度膨張係数・湿度膨張係数とも満足なレベルではなかった。
比較例3
FP1を遠心沈降法により分級して、ASP=1μm、ALP=50μmの粒子を準備し、これを用いるほかは実施例1と同様の方法でフィルムを得た、ASPが大きいため、満足のいくフィルム特性は得られなかった。
比較例4
ポリビニルアルコールの2.5%水溶液を調整し、ここに繊維状粒子(FP1)を2.5重量部となるように分散させて塗布液を調整し、コーティング・乾燥工程を経てフィルムを得た。機械強度の大きな向上は確認されたが、ポリアクリル酸を用いていないため、寸法安定性については向上効果が見られなかった。
比較例5
塗布剤中の粒子濃度を95%とする他は、請求項1と同様の方法でフィルムを得た。粒子の塗布性が悪いため、ムラがあり、不透明なフィルムで、粒子の脱落も若干見られた。温度膨張係数・湿度膨張係数も満足なレベルではなかった。
比較例6
塗布厚みを25μm以上とするべく、実施例1で用いた塗布溶液の塗布量を増量したが、充分かつ均一な反応が困難であり、評価に耐えうるフィルムを得ることはできなかった。
Figure 2007326948
Figure 2007326948

Claims (8)

  1. 平均短径(ASP)が50nm以下であり、平均長径(ALP)との粒径比(ALP/ASP)が20〜1,000である、アルミニウム元素を30〜52重量%含む粒子を1〜90重量部含有するアクリル系樹脂からなる厚さ0.1〜20μmの塗布層を、ポリエステルフィルムの少なくとも片面に有してなることを特徴とするフィルム。
  2. 粒子が針状または繊維状である、請求項1記載のフィルム。
  3. 塗布層を形成するアクリルポリマーの構成成分のうち、1〜80重量部がアクリル酸化合物構造単位であることを特徴とする請求項1または2に記載のフィルム。
  4. 粒子が酸化物粒子である請求項1〜3のいずれか1項に記載のフィルム。
  5. ポリエステルが、ポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートである、請求項1〜4のいずれか1項に記載のフィルム。
  6. フィルム幅方向の湿度膨張係数が0〜8ppmであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のフィルム。
  7. フィルム幅方向の温度膨張係数が0〜5ppmであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のフィルム。
  8. アクリルモノマー、オリゴマー、あるいはポリマーと粒子の混合物をポリエステルフィルムに任意の工程で塗布した後に反応させることにより塗布層が形成されることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のフィルムの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2017170659A (ja) * 2016-03-19 2017-09-28 三菱ケミカル株式会社 積層ポリエステルフィルム
JP2017185777A (ja) * 2016-03-31 2017-10-12 三菱ケミカル株式会社 積層ポリエステルフィルムおよびその製造方法
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