JP5861266B2 - 電子デバイス基材用積層フィルム - Google Patents

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本発明は、走行性、耐熱性、熱寸法安定性に優れ、フレキシブルデバイスを初めとする各種電子デバイスの製造工程における加工適性や表面特性に優れた電子デバイス基材用積層フィルムに関するものである。
本発明の積層フィルムは、それらの中でも、特に、ロールツーロール法を用いて製造されるフレキシブルタイプの有機ELディスプレイ、電子ペーパー、有機EL照明、有機太陽電池および色素増感型太陽電池の基材フィルムとして用いた際に、各種加工工程での寸法変化やカールが小さく、走行耐久性、表面平滑性にも優れているため加工適性の優れた基材フィルムを得ることができる。
二軸配向ポリエステルフィルムはその優れた熱特性、寸法安定性、機械特性および表面形態の制御のし易さから各種用途に使用されており、特に各種工業材料用途の支持体としての有用性がよく知られている。
近年、液晶を始めとする各種ディスプレイや携帯電話等の電子デバイスにおいては、軽薄短小化の動きが加速しており、それに伴って従来用いられてきたガラス基板をプラスチックフィルムに代替する研究が盛んに行われている。プラスチックフィルムは軽くかつフレキシビリティに優れているため、プラスチックフィルムを、例えば、液晶表示素子、有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、有機EL素子と略称する)、無機分散型エレクトロルミネッセンス素子(以下、分散型EL素子と略称する)、電子ペーパー素子、太陽電池、タッチパネル等に適用できれば、軽量でかつフレキシブルな機能性素子を得ることが可能となる。
上記いずれの機能性素子においても、それらの素子のフレキシブル化を図るための一般な製造方法としては、スパッタリング法、あるいはイオンプレーティング法等の物理的成膜法を用い、インジウム錫酸化物(以下、ITOと略称する)の透明導電層(以下、スパッタリングITO層と略称する)が形成されたプラスチックフィルム(以下、スパッタリングITOフィルムと略称する)上に、液晶層、発光層、表示層等の機能性層を形成し、背面電極層で挟み込むように形成する方法が広く行われている。
例えば、上記スパッタリングITOフィルムは、ベースフィルムとしてのポリエチレンテレフタレート(以下、PETと略すことがある)、ポリエチレンナフタレート(以下、PENと略すことがある)等の透明プラスチックフィルムの上に無機成分であるITO単独層を上記物理的成膜法で厚さ20〜50nm程度となるように形成したものであり、これにより、表面抵抗値100〜300Ω/□程度の低抵抗な透明導電層を得ることが可能となる。
しかし、上記スパッタリングITO層は、無機成分の薄膜であって脆いため、基本的にマイクロクラック(割れ)を生じやすいという問題がある。また、従来のガラス基板と異なり、透明プラスチックフィルム表面に形成された微細な突起が、プラスチックフィルム上に設けられる各種の機能性薄膜層を貫通することによって、ピンホールとなったり、基材フィルムの表面平滑性が不十分なために、機能性薄膜層の粒塊が不均一となりクラックや基材との剥離が発生するため、機能層が十分に機能しないという問題がある。
高透明でかつ色斑の少ないハードコート層が設けられた表面保護用透明積層フィルムが提案されている(特許文献1)。しかし、フィルムの製造工程において、走行性と平滑性の両立が不十分であり、機能性素子の製造工程においても、易滑性付与の積層膜の耐久性が不十分であることから、粒子が削れることによって工程内を汚染するといった問題やさらにはハードコート層上に各種機能性薄膜層を設けることについては全く検討されていないため、ハードコート層表面の平滑性が不十分なために各種機能性薄膜層の加工適性が悪いといった問題もある。
また、ハードコート層上に滑り層を有したフィルム(特許文献2)も提案されている。しかし、該フィルムはプライマ−層や滑り層がオフラインで塗設されるため、コスト面の不安やハードコート層上に各種機能性薄膜層を設けること、また透明基材フィルムの熱寸法安定性については全く検討されていない。
さらに、熱収縮率や表面粗さを改良した電子ペーパー用ポリエステルフィルムも提案されている(特許文献3)が、走行耐久性や平滑性が未だ不十分である。
特開2004−299101号公報 特開2002−156505号公報 特開2007−45025号公報
本発明の目的は、上記の問題を解決し、走行性、表面平滑性、走行耐久性、熱寸法安定性、透明性に優れ、特にフレキシブルデバイス用基材として用いたときの機能性薄膜層との加工適性に優れた、ポリエステルを用いてなる、電子デバイス基材用フィルムを得ることにある。
上記課題を解決するための本発明は、次の(1)〜()を特徴とするものである。
(1)少なくともA層、B層、C層およびH層をその順に有する積層フィルムにおいて、
該A層およびB層が二軸配向ポリエステルフィルムであり、
該A層は、平均粒径が0.1〜2μmの粒子を含有し、A層表面の中心線表面粗さRaが3〜18nmであり、
該B層上には、水溶性高分子を主成分とするC層が積層され、
さらに該C層上のH層がハードコート層からなり、
該H層の表面粗さRzが3〜20nmであり、
B層が粒子を含有しないか、平均粒径が10〜100nmの粒子を0.1質量%未満含有する
電子デバイス基材用積層フィルム。
(2)B層厚みがフィルム全体の50〜95%であり、B層厚みが25〜200μmである電子デバイス基材用積層フィルム。
(3)A層厚みが0.5〜12μmであり、A層の粒子含有量が0.05〜1質量%である電子デバイス基材用積層フィルム。
)H層の表面粗さRaが0.1nm〜2nmである電子デバイス基材用積層フィルム。
)H層厚みが1〜5μmである電子デバイス基材用積層フィルム。
)200℃で30分間処理した後のフィルムの幅方向の熱収縮率が1%以下である電子デバイス基材用積層フィルム。
)フィルムの厚みが30〜200μmである電子デバイス基材用積層フィルム。
本発明によれば、走行性、走行耐久性、熱寸法安定性、表面平滑性、透明性に優れたフィルムを得ることができ、各種電子デバイスの製造工程における加工適性に優れた電子デバイス基材用積層フィルムを得ることができる。
本発明のA層およびB層に用いるポリエステルとしては、例えば、芳香族ジカルボン酸、脂環族ジカルボン酸または脂肪族ジカルボン酸などの酸成分とジオール成分を構成単位(重合単位)とするポリマーを用いることができる。
芳香族ジカルボン酸成分としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルスルホンジカルボン酸等を用いることができ、なかでも好ましくは、テレフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸を用いることができる。脂環族ジカルボン酸成分としては、例えば、シクロヘキサンジカルボン酸等を用いることができる。脂肪族ジカルボン酸成分としては、例えば、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸等を用いることができる。これらの酸成分は一種のみを用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
ジオール成分としては、例えば、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリアルキレングリコール、2,2’−ビス(4’−β−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン等を用いることができ、なかでも、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール等を好ましく用いることができ、特に好ましくは、エチレングリコール等を用いることができる。これらのジオール成分は一種のみを用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
ポリエステルには、ラウリルアルコール、イソシアン酸フェニル等の単官能化合物が共重合されていてもよいし、トリメリット酸、ピロメリット酸、グリセロール、ペンタエリスリトール、2,4−ジオキシ安息香酸、等の3官能化合物などが、過度に分枝や架橋をせずポリマーが実質的に線状である範囲内で共重合されていてもよい。さらに酸成分、ジオール成分以外に、p−ヒドロキシ安息香酸、m−ヒドロキシ安息香酸、2,6−ヒドロキシナフトエ酸などの芳香族ヒドロキシカルボン酸およびp−アミノフェノール、p−アミノ安息香酸などを本発明の効果が損なわれない程度の少量であればさらに共重合せしめることができる。
ポリマの共重合割合はNMR法(核磁気共鳴法)や顕微FT−IR法(フーリエ変換顕微赤外分光法)を用いて調べることができる。
ポリエステルは、二軸延伸を施せること、および、熱寸法安定性などの本発明の効果を発現するために、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート(ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート)が好ましい。また、これらの共重合体や変性体でもよく、他の熱可塑性樹脂とのポリマーアロイでもよい。ここでいうポリマーアロイとは高分子多成分系のことであり、共重合によるブロックコポリマーであってもよいし、混合などによるポリマーブレンドでもよい。本発明においては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート(ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート)の少なくとも1種を含んでいることが好ましい。
本発明にて用いられる二軸配向ポリエステルフィルムは、少なくともA層/B層の2層以上の積層構成を有する。A層あるいはB層のみの単膜フィルムでは、良好な走行性や走行耐久性、さらには表面平滑性と透明性を満足することが困難となる。2層以上であれば3層でも構わないが、片面の最表面がA層となるように積層されたフィルム構成をとることは本発明の走行性、走行耐久性、平滑性、透明性の両立の点で有効である。
二軸配向ポリエステルフィルムのA層は、平均粒径が0.1〜2μmの粒子を含有しており、好ましくは平均粒径が0.1〜1.5μm、さらに好ましくは0.3〜1μmである。粒子の平均粒径が本発明の範囲外であると、フィルムの製膜時やH層積層工程あるいは機能性薄膜層の加工工程での走行性が不十分となったり、粒子が脱落しやすい場合があるため、A層の走行耐久性が低下し好ましくない。また、透明性が不十分となり、電子デバイスとして用いた場合に輝度や視認性の確保が困難となる。
A層に含有される粒子の含有量は、使用する粒子の粒径にもよっても異なるが、一般に0.05〜1質量%であり、好ましくは0.1〜0.6質量%、さらに好ましくは0.1〜0.3質量%であると、走行性、走行耐久性、透明性に優れたフィルムとなり好ましい。
A層に使用する粒子の種類は、無機粒子でも有機粒子でも構わないが、不定形の粒子ではなく球形の粒子が好ましい。本発明で言う球形とは、例えば、粒子の長径と短径の比(長径/短径)が1〜1.4の範囲の粒子である。
好ましく例示される粒子としては、例えば、酸化チタン、炭酸カルシウム、コロイダルシリカ、ケイ酸アルミニウム粒子、リン酸カルシウム、硫酸バリウムなどの無機粒子、架橋ポリスチレン、シリコーン、ポリイミドなどの有機粒子などがあるがこれらに限定されるものではない。また、含有粒子は1種類でも良いが2種類以上併用しても構わない。
A層表面の中心線表面粗さRaは、3〜15nmが好ましく、特に好ましくは3〜10nmである。また、A層表面の10点平均粗さRzは、30〜300nmであり、好ましくは40〜250nm、さらに好ましくは50〜200nmである。A層表面の中心線表面粗さRaを、A層に含有されている粒子の平均粒径と含有量によって上記範囲内に制御することで走行性が良好となり、走行耐久性に優れたフィルムが得られる。
A層の積層厚みは、特に限定されないが0.5〜12μm、好ましくは1〜10μm、さらに好ましくは2〜10μmである。A層の積層厚みを上記の範囲内に限定することで製造工程や加工工程内の走行耐久性に優れたフィルムを得ることが出来る。
二軸配向ポリエステルフィルムのB層は、表面平滑性、透明性の観点から、粒子を含有しない方が好ましいが、平均粒径が10〜100nmの粒子を0.1質量%未満、好ましくは0.08質量%以下であれば含有していても構わない。含有粒子としては、上記A層と同様の粒子の他に突起形成能力に乏しい凝集粒子も好ましく用いることが出来る。好ましい粒子としては、例えばカーボンブラック、アルミナおよびジルコニア等の凝集粒子などがある。凝集粒子の平均1次粒子径は、5〜50nmの凝集粒子であることが好ましい。より好ましくは、8〜40nmであり、さらに好ましくは、10〜30nmである。B層に含有される粒子の平均粒径が上記範囲外であるとH層の表面粗さRzやRaを特定の範囲内とすることが困難となり、電子デバイス基材用フィルムとして用いたときにH層上に設ける機能性薄膜層の粒塊が乱れクラックが入りやすくなる。また、透明性が不十分となり、電子デバイスとして用いた場合に輝度や視認性の確保が困難となる。
B層の厚みは、フィルム全体の50〜95%とすることが本発明の表面平滑性および透明性の観点から好ましい。好ましい厚みとしては25〜200μm、さらに好ましくは30〜180μmである。B層厚みが下限以下であると、例えば、電子デバイス用基材として用いたときに基板フィルムとして十分な強度が保持できない。
本発明では、二軸配向ポリエステルフィルムのB層上には、B層表面の粗さや傷を低減し、ハードコート層の表面粗さを本発明の範囲内とする目的で水溶性高分子を主成分とするC層がコーティングによって積層される。水溶性高分子としては、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアクリル、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアミド、ポリオレフィンなどのイオン変性ポリマーまたはその塩、トラガンゴム、ゼラチン、セルロースおよびそれらの変性体を水に溶解したものであり、それらのブレンド体も使用できる。
例えば、ポリエステルとしては、全ジカルボン酸成分中の0.5〜15モル%をスルホン酸金属塩基含有ジカルボン酸としたジカルボン酸と多価アルコールとからなるポリエステル共重合体を挙げることができる。該スルホン酸金属塩基含有ジカボン酸としては、スルホテレフタル酸、5−スルホイソフタル酸、4−スルホフタル酸、4−スルホナフタレン−2,7−ジカルボン酸、5[4−スルホフェノキシ]イソフタル酸等の金属塩が挙げられ、特に好ましいのは、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、ナトリウムスルホテレフタル酸である。あるいは、分子内に遊離カルボン酸およびカルボン酸塩基を少なくとも一種有する水性ポリエステル樹脂と2個以上のエポキシ基を有する架橋剤、および、必要に応じて、反応促進化合物を含むものを挙げることができる。この水性ポリエステル樹脂の分子内にカルボン酸基を導入するためには、例えば無水トリメリット酸、トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ピロメリット酸、トリメシン酸、シクロブタンテトラカルボン酸、ジメチロールプロピオン酸等の多価化合物をポリマ製造原料の一つとして用いることが好ましい。また、カルボン酸塩はポリマ中に導入されたカルボン酸基をアミノ化合物、アンモニア、アルカリ金属等で中和することによって導入することができる。
ウレタンとしては、特に限定されないが、カルボン酸塩基、スルホン酸塩基または硫酸半エステル塩基により水への親和性が高められたポリウレタンを挙げることができる。ただし、カルボン酸塩基、スルホン酸塩基または硫酸半エステル塩基等の塩基の量は0.5〜15重量%が望ましい。あるいは、アニオン性基を有するポリウレタン系樹脂あるいはそれらに準じたポリウレタン系樹脂を用いることができる。ここでポリウレタン形成成分の主要な構成成分は、ポリイソシアネート、ポリオール、鎖長延長剤、架橋剤等である。また、分子量300〜20000のポリオール、ポリイソシアネート、反応性水素原子を有する鎖長延長剤およびイソシアネート基と反応する基、およびアニオン性基を少なくとも1個有する化合物からなる樹脂が好ましい。ポリウレタン系樹脂中のアニオン性基は、好ましくは−SO3 H、−SO2 H −COOHおよびこれらのアンモニウム塩、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩あるいはマグネシウム塩として用いられる。ポリウレタン系樹脂中のアニオン性基の量は0.05〜8重量%が望ましい。
ポリアクリルとしては、40%のアクリルおよび/またはメタクリルモノマと、その他の官能基含有モノマ0.1〜20モル%と一種またはそれ以上のハロゲン非含有エチレン性不飽和モノマ約0〜49.9モル%とコポリマ、あるいは少なくとも25モル%のアクリル酸、メタクリル酸またはアクリル酸メタクリル酸のアルキルエステルの中から選ばれたコモノマと1〜50モル%のビニルスルホン酸およびp−スチレンスルホン酸ならびにこれらの酸の中から選ばれたコモノマから導かれる共重合体が望ましい。
これら水溶液における固形分濃度は0.1〜3重量%、特に0.3〜2重量%であることが好ましい。
また、本発明のH層の10点平均粗さRzを阻害しない範囲内であれば、C層中に平均粒径が5〜30nm、より好ましくは10〜20nmの粒子を含有しても構わない。好ましい粒子としては、シリカ、アルミナ、ジルコニア、ポリアクリル粒子、ポリスチレン粒子等が例示できるが、これらに限定されない。粒子の含有量は、0.02〜0.3質量%が好ましく例示できる。
C層の厚みは、特に限定されないが、5〜30mg/m、より好ましくは7〜20mg/mの範囲であることが、表面平滑性の点から好ましい。C層の厚みが上記範囲外であるとH層の表面粗さを所定の範囲内に制御することが困難となったり、C層に粒子が含有された場合では、粒子と水溶性高分子との密着性が脆弱になり粒子脱落が生じやすい。
本発明では、C層上に、ハードコート層(以下、H層とも言う)が設けられる。二軸配向ポリエステルフィルムのB層側にC層を介してH層を設けることによって、本発明の表面平滑性を満足することができ、電子デバイス基材用フィルムとして用いたときにH層上に設ける機能性薄膜層との加工適性が極めて良好となる。また、フィルム表面の平滑性が増すことで透明性が向上する。
本発明の積層フィルムの好ましい積層構成は、A層/B層/C層/H層である。さらに、200℃にて30分間熱処理したときの幅方向の熱収縮率を本発明の範囲内とするためには、H層/A層/B層/C層/H層の5層積層構成が好ましく例示できる。H層/A層/B層/C層やA層/B層/H層、B層/A層/C層/H層等の積層構成では、本発明の走行性と表面平滑性を満足できない。H層はC層を介してB層側に積層されたフィルム構成とすることで、フィルムの製造工程や機能性薄膜の加工工程内でのフィルムの走行性と表面平滑性および透明性の両立が可能となる。
本発明のH層としては、アクリル系、ウレタン系、メラミン系、有機シリケート、シリコーン系などの樹脂や化合物から構成され、H層の表面平滑性の観点から、H層は、アクリル系、ウレタン系、メラミン系、有機シリケートおよびシリコーン系からなる群から選ばれる1以上の樹脂や化合物を用いてなることが好ましい。これらの樹脂や化合物を用いることにより、H層に高い硬度と、優れた表権平滑性を付与することができる。中でも、電子デバイス用基材として用いたときの基板フィルムとしての耐久性の観点からシリコーン系、アクリル系が好ましく、特に活性線硬化型アクリル系が好ましい。
活性線硬化型アクリル系とは、活性線重合成分としてアクリルオリゴマと反応性希釈剤を含むものであり、その他に必要に応じて光開始剤、光増感剤、改質剤を含有しているものを用いてもよい。アクリルオリゴマとは、アクリル系樹脂骨格に反応性のアクリル基が結合されたものを始めとして、ポリエステルアクリル、ウレタンアクリル、エポキシアクリル、ポリエーテルアクリルなどであり、またメラミンやイソシアヌール酸などの剛直な骨格にアクリル基を結合したものなどを用い得るが、これらに限定されるものではない。反応性希釈剤とは、塗布剤の媒体として塗布工程での溶剤の機能を担うと共に、それ自体が一官能性あるいは多官能性のアクリルオリゴマと反応する基を有し、塗膜の共重合成分となるものである。また、特に紫外線による架橋の場合には、光エネルギが小さいため、光エネルギの変換や開始の助長のため光重合開始剤および/または増感剤を添加することが好ましい。
これらのアクリルオリゴマ、反応性希釈剤、光重合開始剤、増感剤、架橋装置などの具体例は、山下晋三、金子東助編、「架橋剤ハンドブック」、大成社1981年発行、第267頁−第275頁、第562頁−第593頁を参考とすることができるが、これらに限定されるものではない。市販品として多官能アクリル系紫外線硬化塗料として三菱レイヨン(株)、藤倉化成(株)、大日精化工業(株)、大日本インキ化学工業(株)、東亜合成化学工業(株)、日東化成(株)、日本化薬(株)などの製品を利用することができるがこれらに限定されるものではない。
H層の改質剤として、塗布性改良剤、消泡剤、増粘剤、帯電防止剤、無機系粒子、有機系粒子、有機系潤滑剤、有機高分子、染料、顔料、安定剤などを用いることができ、これらは活性線による反応を損なわない範囲で塗布層の組成物として使用され、用途に応じてH層の特性を改良することができる。
活性線硬化性組成物の塗布手段としては、刷毛塗り、浸漬塗り、ナイフ塗り、ロール塗り、スプレー塗り、グラビアコート、バーコート、回転塗り(スピンナー、ホエラーなど)などの通常行われている塗布方法を用いることができる。各々の方式には特徴があり、積層体の要求特性、使用用途などにより、塗布方法を適宜選択するとよい。
本発明に用いる活性線硬化性組成物には、塗工時の作業性の向上、塗工膜厚のコントロールを目的として、本発明の効果が損なわれない範囲において、有機溶剤を配合することもできる。
有機溶剤としては、沸点が50〜150℃のものが、塗工時の作業性、硬化前後の乾燥性の点から用いやすい。具体的な例としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコールなどのアルコール系溶剤、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチルなどの酢酸エステル系溶剤、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン系溶剤、トルエンなどの芳香族系溶剤、ジオキサンなどの環状エーテル系溶剤などを用いることができ、これらの溶剤は単独あるいは2種以上を混合して用いることもできる。
本発明に用いる活性線硬化性組成物には、本発明の効果が損なわれない範囲で、各種の添加剤を必要に応じて配合することができる。例えば、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤などの安定剤、界面活性剤、レベリング剤、帯電防止剤などを用いることができる。
本発明のH層の10点平均粗さRzは、3〜20nmであり、好ましくは3〜15nm、さらに好ましくは3〜10nmである。Rzが20nm以上であると電子デバイス基材用フィルムとして用いたときにH層上にスパッタリングあるいは蒸着によって設ける機能性薄膜層にピンホールが発生したり、粒塊が不揃いとなり機能性薄膜層にクラックが入りやすくなり、さらに、フィルムの透明性が低下する場合があり好ましくない。
H層の中心線平均粗さRaは0.1〜2nmであり、好ましくは0.3〜1.5nm、さらに好ましくは0.5〜1nmである。H層の表面粗さが2nmを超えるとH層上にスパッタリングあるいは蒸着によって設ける機能性薄膜層にピンホールが発生したり、粒塊が不揃いとなり機能性薄膜層にクラックが入りやすくなり好ましくない。
また、A層上にもH層を積層した両面にH層を有する積層構成(H層/A層/B層/C層/H層)の二軸配向フィルムにおいては、少なくとも片面が上記の特徴面であるH層のRzおよびRaを有する。
H層の厚さは用途に応じて決定すればよいが、通常は0.5μm〜10μmの範囲が好ましく、より好ましくは1μm〜5μmである。表面硬度化層の厚さが0.5μm未満の場合には、表面平滑性や熱寸法安定性が不十分となり、10μmを越える場合には、フィルムのカールやH層自体が脆くなりやすく、フレキシブルデバイス基材フィルムとして用いたときに硬化膜にクラックが入りやすくなって好ましくない。粒子が含有されたA層上のH層(以下Ha層と言う)の積層厚みは走行性の観点から0.5〜1μmが好ましく例示される。Ha層の積層厚みが1μmを超えると、本発明のμkが大きくなり、走行性が不良となり好ましくない。また、0.5μm未満では、200℃における熱寸法安定性が不良となるため、ロールツーロール法を用いる加工工程で、カールが発生する場合がある。
Ha層の中心線表面粗さRaは、走行性の観点より3〜15nmが好ましく、特に好ましくは3〜10nmである。Ha層表面の中心線表面粗さRaを上記範囲内に制御することで走行性が良好となり、走行耐久性に優れたフィルムが得られる。
本発明の積層フィルムの200℃で30分間熱処理した後のフィルムの幅方向の熱収縮率は、1%以下である。熱収縮率が0%未満の場合、フィルムが収縮ではなく膨張することを示し、各種工程の熱などによりフィルムの寸法が大きく変わり、機能性薄膜層とフィルムの寸法変化率の差異によりカールや機能性薄膜層の剥離などの問題が起こりやすい。また、上記の熱収縮率が1%よりも大きいと、ロールツーロール法を用いて機能性薄膜層を形成する工程において、長手方向は定張下であるが、幅方向は把持されないため弛緩状態となるため、加工工程の熱などによりフィルムの寸法が大きく変わり、機能性薄膜層の加工適性が悪化しフィルムがカールしたり、機能性薄膜層にクラックが入りやすくなり、機能性薄膜層との剥離などの問題が起こりやすい。200℃の温度における幅方向の熱収縮率はより好ましくは0.1〜0.8%であり、さらに好ましくは0.1〜0.6%である。熱収縮率は製膜条件で制御することができるが特に熱処理条件とアニール条件で制御することができる。本発明では製法を工夫することにより、アニールによる配向緩和を抑制することで、熱収縮率を1%にすることができる。
本発明の積層フィルムの厚みは用途により異なるが、30〜200μmの範囲で適宜選択できる。
本発明の積層フィルムの長手方向または幅方向の少なくとも一方向の熱膨張係数(50〜200℃)は0〜25ppm/℃が好ましい。さらに好ましくは0〜20ppm/℃である。熱膨張係数を0ppm/℃未満にするためには、フィルムの延伸倍率を極度に高める必要がある。その結果、フィルム製膜時に延伸破れが頻発して生産性が低下する。また、得られた二軸配向フィルムは、破断伸度が非常に小さいため破断しやすくなり、走行性が低下し加工適性が低下する。一方、熱膨張係数が25ppm/℃を超えると各種工程の熱などによりフィルムの寸法が大きく変わり、歩留まりが悪化し、またカールや機能性薄膜層との剥離、機能性薄膜層が変形しクラック発生などの問題が起こる。長手方向・幅方向ともに50〜200℃の温度における熱膨張係数は、より好ましくは、0〜22ppm/℃であり、さらに好ましくは0〜20ppm/℃である。熱膨張係数は製膜条件で制御することができるが特に熱処理条件とアニール条件で制御することができる。本発明では製法を工夫することにより、アニールによる配向緩和を抑制することで、熱膨張係数を0〜25ppm/℃にすることができる。
本発明の積層フィルムは、ヘイズ値が0〜2%であることが好ましい。ヘイズ値が2%よりも大きいと透明性が低くなり、特に有機ELや薄膜太陽電池の効率が落ちる問題が起こりやすい。ヘイズ値はより好ましくは0〜1.5%であり、さらに好ましくは0〜1%である。ヘイズ値は、A層の粒子の含有濃度や平均粒子径、H層の厚みや表面粗さRzやRaによって制御することができる。
本発明の積層フィルムは、全光線透過率が85%以上、好ましくは90%以上である。全光線透過率が、下限に満たない場合は、フィルムの透明性が低下するため輝度を確保できなくなる場合があり、電子デバイス用基材として用いることが困難となる。
本発明にかかる電子デバイス基材用とは、各種電子デバイスに用いることができるが、一般にガラスを基板材料とするリジットタイプと、フィルムを基板材料とするフレキシブルタイプがあるなかで、本発明の電子デバイス基材用積層フィルムは、特に、ロールツーロール法を用いて製造されるフレキシブルタイプの有機ELディスプレイ、電子ペーパー、有機EL照明、有機太陽電池および色素増感型太陽電池の基材フィルムとして特に有用である。
上記したような本発明の積層フィルムは、例えば、次のようにして製造される。
まず、ポリエチレンテレフタレートを準備する。ポリエチレンテレフタレートは、次のいずれかのプロセスで製造される。すなわち、(1)テレフタル酸とエチレングリコールを原料とし、直接エステル化反応によって低分子量のPETまたはオリゴマーを得、さらにその後の三酸化アンチモンやチタン化合物を触媒に用いた重縮合反応によってポリマーを得るプロセス、および(2)ジメチルテレフタレートとエチレングリコールを原料とし、エステル交換反応によって低分子量体を得、さらにその後の三酸化アンチモンやチタン化合物を触媒に用いた重縮合反応によってポリマーを得るプロセスである。
ここで、エステル化は無触媒でも反応は進行するが、エステル交換反応においては、通常、マンガン、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、リチウムおよびチタン等の化合物を触媒に用いて進行させ、またエステル交換反応が実質的に完結した後に、該反応に用いた触媒を不活性化する目的でリン化合物を添加する場合もある。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムの構成成分として、PETを例に説明する。PETに粒子を含有させる場合には、エチレングリコールに粒子を所定割合でスラリーの形で分散させ、このエチレングリコールを重合時に添加する方法が好ましい。粒子を添加する際には、例えば、粒子の合成時に得られる水ゾルやアルコールゾル状態の粒子を一旦乾燥させることなく添加すると粒子の分散性がよい。また、粒子の水スラリーを直接PETペレットと混合し、ベント式二軸混練押出機を用いて、PETに練り込む方法も有効である。粒子の含有量を調節する方法としては、上記方法で高濃度の粒子のマスターペレットを作っておき、それを製膜時に粒子を実質的に含有しないPETで希釈して粒子の含有量を調節する方法が有効である。
次に、得られた上記のペレットと原料PETチップを180℃の温度で3時間以上減圧乾燥した後、固有粘度が低下しないように窒素気流下あるいは減圧下で、270〜320℃の温度に加熱された押出機にフィルム組成となるように供給し、スリット状のダイから押出し、キャスティングロール上で冷却して未延伸フィルムを得る。この際、異物や変質ポリマーを除去するために各種のフィルター、例えば、焼結金属、多孔性セラミック、サンドおよび金網などの素材からなるフィルターを用いることが好ましい。また、必要に応じて、定量供給性を向上させるためにギアポンプを設けてもよい。フィルムを積層する場合には、2台以上の押出機およびマニホールドまたは合流ブロックを用いて、複数の異なるポリマーを溶融積層する。この場合、積層構成としては、A層/B層の積層構成が好ましく例示でき、各ポリマ層をポリマ管あるいは口金の段階でB層を構成するポリマがキャスティングロール面になるよう積層し、スリット状の口金から2層のシートを押し出す。この場合、合流断面が矩形の合流ブロックを用いて積層する方法が、A層およびB層表面の表面平滑性の点で有効である。
原料PETチップはフィルムIVが好ましい範囲になるように、0.5〜1.5dl/gであることが好ましい。
さらに、本発明の効果を阻害しない範囲内であれば、各種添加剤、例えば、相溶化剤、可塑剤、耐候剤、酸化防止剤、熱安定剤、滑剤、帯電防止剤、増白剤、着色剤、導電剤、紫外線吸収剤、難燃剤、難燃助剤、顔料および染料などが添加されてもよい。
続いて、上記のようにして成形されたシート状物を二軸延伸する。長手方向と幅方向の二軸に延伸して、熱処理する。
延伸形式としては、長手方向に延伸した後に幅方向に延伸を行うなどの逐次二軸延伸法や、同時二軸テンター等を用いて長手方向と幅方向を同時に延伸する同時二軸延伸法、さらに、逐次二軸延伸法と同時二軸延伸法を組み合わせた方法などが例示される。延伸工程後の熱処理は、熱膨張係数や熱収縮率を本発明の範囲に制御するには、過度な熱処理による分子鎖配向の緩和を起こさず、効果的に熱処理を施すことが望ましい。
未延伸フィルムを、数本のロールの配置された縦延伸機を用いて、ロールの周速差を利用して縦方向に延伸し(MD延伸)、続いてステンターにより横延伸を行う(TD延伸)という二軸延伸方法についてさらに詳しく説明する。
まず、未延伸フィルムをMD延伸する。延伸温度は、好ましくは(Tg)〜(Tg+40)℃の範囲、より好ましくは(Tg+5)〜(Tg+30)℃の範囲、さらに好ましくは(Tg+10)〜(Tg+20)の範囲にある加熱ロール群で加熱し、長手方向に好ましくは3.0〜6.0倍、より好ましくは3.5〜5.5倍、さらに好ましくは3.8〜5.0倍に延伸し、延伸後、20〜50℃の温度の冷却ロール群で冷却することが好ましい。
次に、ステンターを用いて、幅方向に延伸する。まず、延伸前に予熱ゾーンを設け、MD延伸後のフィルムの冷結晶化温度よりも高温でフィルムを予熱し結晶化を促進させることが好ましい。予熱温度は、好ましくは(MD延伸後のフィルムの冷結晶化温度+2)〜(MD延伸後のフィルムの冷結晶化温度+10)である。次に延伸温度は、予熱温度よりも低いことが好ましく、好ましくは(予熱温度−5)〜(予熱温度−20)℃の範囲であり、さらに好ましくは(予熱温度−5)〜(予熱温度−15)℃の範囲である。延伸倍率は好ましくは3.0〜6.0倍であり、より好ましくは3.5〜5.5倍であり、さらに好ましくは3.8〜5.0倍である。
続いて、この延伸フィルムを緊張下または幅方向に弛緩しながら熱固定処理する。熱固定温度(以下、Thsと略すことがある。)は、好ましくは180〜230℃であり、さらに好ましくは185〜220℃の温度で熱固定処理する。Thsが180℃より低すぎると構造固定が不十分であり、熱収縮率が大きくなる。Thsが230℃より高すぎると過度の配向緩和が起こり、熱膨張係数が悪化する。熱固定時間は0.5〜10秒の範囲で行うことが好ましい。さらにこのフィルムを50〜150℃の範囲内で幅方向に1〜3%の割合で弛緩しながら冷却するのが熱収縮率を本発明の範囲内とするために有効である。熱固定処理での弛緩率(以下、Rxhsと略すことがある。)は、次に行う弛緩アニール処理の弛緩率(以下、Rxaと略すことがある。)の3倍以内が好ましい。弛緩率とは処理前の幅を基準にして、処理後の幅との差に対する割合の値であり、例えば、弛緩率2%は、処理前が100mmの場合、2%の2mmを弛緩して処理後は98mmになることを示す。Rxaに対するRxhsが3倍を超えると配向緩和が進行しすぎて熱膨張係数が悪化する。Rxhsは0〜9%であることが好ましい。
その後、例えば25℃の温度に冷却後、フィルムエッジを除去しコア上に巻き取る。さらに、熱寸法安定性を高めるために、巻き取られた二軸延伸PETフィルムは、好ましくは一定の温度条件下で張力をかけて搬送され、分子構造の歪みを取り除き熱収縮率を低減させるために、弛緩アニール処理を行う。弛緩アニール処理温度(以下、Taと略すことがある。)は熱固定温度(Ths)よりも低いことが好ましく、160〜230℃が好ましく、より好ましくは165〜225℃である。Taが230℃よりも高いと、熱固定処理により固定した構造が再度緩和されやすく、熱膨張係数が悪化しやすい。Taが160℃より低いと、アニール処理による分子構造の歪み除去が不完全となり熱収縮が低減できない。弛緩アニール処理時間は、1〜120秒が好ましく、より好ましくは5〜90秒であり、さらに好ましくは20〜60秒である。弛緩アニール処理での弛緩率(Rxa)は好ましくは0.1〜3%である。Rxaが0.1%より小さいと弛緩の効果が現れず、分子構造の歪み除去が不完全となり熱収縮が低減できない。Rxaが3%より大きいと配向緩和が進行しすぎて熱膨張係数が悪化する。フィルムを速度10〜300m/minで搬送しながらアニール処理する。
本発明においては、PETフィルムやそのPETフィルムロールに、必要に応じて、熱処理、成形、表面処理、ラミネート、コーティング、印刷、エンボス加工およびエッチングなどの任意の加工を行ってもよい。
上記で得られた2層積層フィルムにC層を塗設する方法としては、上記フィルム製造過程で逐次二軸延伸方法を採用する場合は、最初に縦方向の延伸が完了した後、幅方向に延伸開始する前にB層上に所定の濃度の水溶性高分子をバーコートによりコーティングしてC層を積層することが好ましい。また、同時二軸延伸方法を用いる場合は、同時二軸延伸前に塗設することが好ましい。いずれの延伸方法を用いても問題ないが、コロナ放電処理を施した後にコーティングすることが好ましい。塗布後、フィルムの端部をクリップで把持してテンターに導き、幅方向に所定の倍率に延伸し熱固定する。このように連続製造工程中でC層をコーティングすることはコスト的に有利となる。
次にH層の形成方法としては、上記のとおり得られた、A層/B層/C層の積層構成を有するフィルムのC層面に活性線硬化性組成物をオフラインにて塗布し、必要に応じて乾燥を施した後、活性線で硬化させることにより形成できる。H層の塗設工程において、粒子が含有されたA層が工程内の走行性を安定化させるため、H層の厚み斑や表面欠点の無い超平滑な表面を形成できる。
(物性の測定方法ならびに効果の評価方法)
本発明における特性値の測定方法並びに効果の評価方法は次の通りである。
(1)表面粗さRa、10点平均粗さRz
原子間力顕微鏡を用いて、場所を変えて10視野測定を行った。サンプルセットは、カンチレバーの走査方向に対して垂直方向(Y軸方向)がサンプルフィルムの長手方向(長手方向とは、フィルムの製造工程においてフィルムが走行する方向)となるようにサンプルをピエゾにセットして測定する。得られた画像について、三次元面粗さをOff-Line機能のRoughness Analysisにて算出し、SRa、SRzを測定した。条件は下記のとおりである。なお、下記の測定装置では、得られた画像のX軸方向がカンチレバー走査方向となり、フィルムの幅方向に相当しY軸方向がフィルムの長手方向に相当する。
測定装置 :NanoScope III AFM(Digital Instruments社製)
カンチレバー:シリコン単結晶
走査モード :タッピングモード
走査範囲 :30μm□
走査速度 :0.5Hz
Flatten Auto :オーダー3。
(2)積層された各層の厚み
以下の条件にて断面観察を場所を変えて10視野行い、得られた厚み[nm]の平均値を算出しA層の厚み[nm]とする。
測定装置:透過型電子顕微鏡(TEM) 日立製H−7100FA型
測定条件:加速電圧 100kV
測定倍率:1万倍
試料調整:超薄膜切片法
観察面 :TD−ZD断面(TD:幅方向、ZD:厚み方向)
測定回数:1視野につき3点、10視野を測定する。
(3)粒子の平均粒径および凝集粒子の平均1次粒子径
フィルム断面を透過型電子顕微鏡(TEM)を用い、1万倍で観察する。この時、写真上で1cm以下の粒子が確認できた場合はTEM観察倍率を5万倍に変えて観察する。TEMの切片厚さは約100nmとし、場所を変えて100視野測定し、写真に撮影された分散した粒子全てについて等価円相当径をもとめ、横軸に等価円相当径を、縦軸に粒子の個数として粒子の個数分布をプロットし、そのピーク値の等価円相当径を粒子の平均粒径とした。ここで、1万倍で観察した写真上に凝集粒子が確認できた場合は上記プロットに含めない。フィルム中に組成の異なる2種類以上の粒子が存在する場合、上記等価円相当径の個数分布は2個以上のピークを有する分布となる。この場合は、それぞれのピーク値をそれぞれの粒子の平均粒径とする。
凝集粒子の平均1次粒子径は、上記の装置を用いて20万倍で観察する。凝集粒子100個について、凝集粒子を構成する個々の1次粒子の等価円相当径をもとめ、上記と同様の方法でプロットし、ピーク値の等価円相当径を凝集粒子の平均1次粒子径とする。
(4)粒子の含有量
ポリマー1gを1N−KOHメタノール溶液200mlに投入して加熱還流し、ポリマーを溶解した。溶解が終了した該溶液に200mlの水を加え、ついで該液体を遠心分離器にかけて粒子を沈降させ、上澄み液を取り除いた。粒子にはさらに水を加えて洗浄、遠心分離を2回繰り返した。このようにして得られた粒子を乾燥させ、その質量を量ることで粒子の含有量を算出した。
(5)熱収縮率
下記装置および条件で、熱収縮率測定を行った。
・測長装置 :万能投影機
・資料サイズ :試長150m×幅10mm
・熱処理装置 :ギアオーブン
・熱処理条件 :200℃、30分
・荷重 :3g
・算出方法
熱処理前にサンプルに100mmの間隔で標線を描き、上記の条件(おもり3g、200℃、30分)で熱処理を行い、熱処理後の標線間距離を測定し、加熱前後の標線間距離の変化から熱収縮率を算出し、熱寸法安定性の指標とした。測定は、各フィルムとも長手方向および幅方向に5サンプル実施して平均値で評価を行った。
(6)温度膨張係数
フィルムの幅方向、長手方向それぞれについて下記条件にて測定を行い、3回の測定結果の平均値を本発明における長手方向と幅方向の熱膨張係数とした。
・測定装置 :セイコーインスツルメンツ社製“TMA/SS6000”
・試料サイズ:幅4mm、長さ20mm
・温度条件 :5℃/minで30℃から215℃に昇温し、10分間保持
・さらに5℃/minで215℃から40℃まで降温して20分保持
・荷重条件 :29.4mN一定
ここで、熱膨張係数の測定範囲温度は、降温時の150℃から50℃である。熱膨張係数は、下記式から算出した。
温度50〜200℃のフィルム長さ方向の寸法変化量ΔL(mm)を測定する。
温度膨張係数(ppm/℃)=10×{(ΔL/20)/(150−50)}。
(7)カール性
フィルムから10cm×10cmの試料を切り出して温度200℃で30分間オーブンに静置した。その後、温度23℃、65%RHの条件で30分放置してから、4隅のカール状態を観測し、4隅の反り量(mm)の平均値を求めて、下記の基準に従って評価した。カールは熱膨張係数と熱収縮率の両方が小さいほど良好となる。◎と○と△が合格である。
◎:反り量が2.5mm未満である。
○:反り量が2.5mm以上、5mm未満である。
△:反り量が5mm以上、8mm未満である。
×:反り量が8mm以上である。
(8)走行性
フィルムを幅10mmのテープ状にスリットしたものをテープ走行試験機SFT−700型((株)横浜システム研究所製)を使用し、25℃、60%RH雰囲気で走行させ摩擦係数を下記の式より求めた。
μk=2/πln(T/T
ここで、Tは入側張力、Tは出側張力である。ステンレス製ガイドピン(表面粗度:Raで40nm、外径6mmφ)に接触する面がA層となるようにセットして、巻き付け角は90゜、走行速度は3.3cm/秒、走行距離100mm、荷重500g(入側張力)とした。この測定によって得られたμkを下記の基準に従って評価した。
○:μkが0.4以下
×:μkが0.4を超える。
(9)走行耐久性
フィルムを幅10mmのテープ状にスリットし、テープ走行試験機SFT−700型((株)横浜システム研究所製)を用いてステンレス製ガイドピン(表面粗度:Raで40nm、外径6mmφ)に接触する面がA層となるようにセットして走行させる(走行速度3.3cm/秒、巻き付け角90゜、出側張力500g、走行距離100mm、走行回数50往復)。初期のμkと50回走行後のμk50の差(Δμk)を次の基準で判定を行った。
Δμk=|μk−μk50
◎:Δμk ≦ 0.05
○:0.05< Δμk ≦ 0.1
△:0.1< Δμk ≦ 0.15
×:0.15< Δμk。
(10)全光線透過率、ヘイズ
JIS−K 7361−1(1997年)およびJIS−K 7136(2000年)に準拠し、下記測定装置を用いて測定する。支持体中央部について長手方向に5箇所透過率を測定し測定結果の平均値を本発明における全光線透過率およびヘイズとする。
測定装置:濁度計(NDH−5000) 日本電色工業株式会社製
測定環境:温度23℃湿度65%RH
測定回数:5回測定する。
なお、透明性については、下記の判断基準で判断した。
◎ :全光線透過率が90%以上、かつ、ヘイズが1%以下
○ :全光線透過率が85〜90%未満、あるいは、ヘイズが2%以下
× :全光線透過率が85%未満、あるいは、ヘイズが2%を超える。
(11)機能性薄膜層の加工適性(ロールツロール法による透明導電膜形成)
本発明のRzを有するH層上にAl/SUS層を蒸着し、さらにCVD法でアモルファスシリコン層を堆積させた後、エポキシ樹脂層をスクリーン印刷法にて設け、次に透明電極層として酸化インジウム・スズ(ITO)層をスパッタリング法によって形成した。すなわちプラズマの放電前にチャンバー内を5×10−4Paまで排気した後、チャンバー内にアルゴンと酸素を導入して圧力を0.3Pa(酸素分圧は3.7mPa)としターゲットとして酸化スズを36質量%含有した酸化インジウム(住友金属鉱山社製、密度6.9g/cm3)に用いて2W/cm2の電力密度で電力を印加して直流マグネトロンスパッタリング法により、膜厚260nmのITOからなる透明導電層を形成した。下記の基準に従って評価した。◎と○と△が合格である。
◎:表面抵抗率が30Ω/□未満で問題なく透明導電層が形成された
○:表面抵抗率が30Ω/□以上、100Ω/未満でやや欠陥を含む透明導電層が形成された
△:表面抵抗率が100Ω/□以上で欠陥の多い透明導電層が形成された
×:フィルムのカールや幅縮みや表面突起などで透明導電層が形成できなかった
次の実施例に基づき、本発明の実施形態を説明する。
(実施例1)
(1)PETペレットの作製
テレフタル酸ジメチル194質量部とエチレングリコール124質量部とをエステル交換反応装置に仕込み、内容物を140℃に加熱して溶解した。その後、内容物を撹拌しながら酢酸マグネシウム四水和物0.3質量部および三酸化アンチモン0.05質量部を加え、140〜230℃でメタノールを留出しつつエステル交換反応を行った。次いで、リン酸トリメチルの5質量%エチレングリコール溶液を1質量部(リン酸トリメチルとして0.05質量部)添加した。
トリメチルリン酸のエチレングリコール溶液を添加すると反応内容物の温度が低下する。そこで余剰のエチレングリコールを留出させながら反応内容物の温度が230℃に復帰するまで撹拌を継続した。このようにしてエステル交換反応装置内の反応内容物の温度が230℃に達した後、反応内容物を重合装置へ移行した。
移行後、反応系を230℃から290℃まで徐々に昇温するとともに、圧力を0.1kPaまで下げた。最終温度、最終圧力到達までの時間はともに60分とした。最終温度、最終圧力に到達した後、2時間(重合を始めて3時間)反応させたところ、重合装置の撹拌トルクが所定の値(重合装置の仕様によって具体的な値は異なるが、本重合装置にて固有粘度0.62のポリエチレンテレフタレートが示す値を所定の値とした)を示した。そこで反応系を窒素パージし常圧に戻して重縮合反応を停止し、冷水にストランド状に吐出、直ちにカッティングして固有粘度0.62のポリエチレンテレフタレートのPETペレットを得た(原料−1)。
(2−a)粒子含有PETペレットの作製
280℃に加熱された同方向回転タイプのベント式2軸混練押出機に、上述のPETペレット(原料−1)を99質量部と平均粒径0.6μmの架橋ポリスチレン粒子の10質量%水スラリーを10質量部(架橋ポリスチレン粒子として1質量部)を供給し、ベント孔を1kPa以下の減圧度に保持し水分を除去し、架橋ポリスチレン粒子を1質量%含有する固有粘度0.62の粒子含有ペレット(原料−2)を得た。
(2−b)粒子含有PETペレットの作製
280℃に加熱された同方向回転タイプのベント式2軸混練押出機に、上述のPETペレット(原料−1)を98質量部と平均粒径0.3μmのコロイダルシリカ粒子の10質量%水スラリーを20質量部(コロイダルシリカ粒子として2質量部)を供給し、ベント孔を1kPa以下の減圧度に保持し水分を除去し、架橋ポリスチレン粒子を2質量%含有する固有粘度0.62の粒子含有ペレット(原料−2b)を得た。
(2−c)粒子含有PETペレットの作製
280℃に加熱された同方向回転タイプのベント式2軸混練押出機に、上述のPETペレット(原料−1)を98質量部と平均粒径100nmのコロイダルシリカ粒子の10質量%水スラリーを20質量部(コロイダルシリカ粒子として2質量部)を供給し、ベント孔を1kPa以下の減圧度に保持し水分を除去し、コロイダルシリカ粒子を2質量%含有する固有粘度0.62の粒子含有ペレット(原料−2c)を得た。
(2−d)粒子含有PETペレットの作製
280℃に加熱された同方向回転タイプのベント式2軸混練押出機に、上述のPETペレット(原料−1)を98質量部と平均粒径1.8μmの架橋ポリスチレン粒子の10質量%水スラリーを20質量部(架橋ポリスチレン粒子として2質量部)を供給し、ベント孔を1kPa以下の減圧度に保持し水分を除去し、架橋ポリスチレン粒子を2質量%含有する固有粘度0.62の粒子含有ペレット(原料−2d)を得た。
(2−e)粒子含有PETペレットの作製
280℃に加熱された同方向回転タイプのベント式2軸混練押出機に、上述のPETペレット(原料−1)を98質量部と平均粒径1.2μmの架橋ポリスチレン粒子の10質量%水スラリーを20質量部(架橋ポリスチレン粒子として2質量部)を供給し、ベント孔を1kPa以下の減圧度に保持し水分を除去し、架橋ポリスチレン粒子を2質量%含有する固有粘度0.62の粒子含有ペレット(原料−2e)を得た。
(2−f)粒子含有PETペレットの作製
280℃に加熱された同方向回転タイプのベント式2軸混練押出機に、上述のPETペレット(原料−1)を98質量部と平均粒径60nmのコロイダルシリカ粒子の10質量%水スラリーを20質量部(コロイダルシリカ粒子として2質量部)を供給し、ベント孔を1kPa以下の減圧度に保持し水分を除去し、コロイダルシリカ粒子を2質量%含有する固有粘度0.62の粒子含有ペレット(原料−2f)を得た。
(2−g)粒子含有PETペレットの作製
280℃に加熱された同方向回転タイプのベント式2軸混練押出機に、上述のPETペレット(原料−1)を98質量部と平均粒径3μmのシリカ粒子の10質量%水スラリーを20質量部(シリカ粒子として2質量部)を供給し、ベント孔を1kPa以下の減圧度に保持し水分を除去し、シリカ粒子を2質量%含有する固有粘度0.62の粒子含有ペレット(原料−2g)を得た。
押出機E1、E2の2台を用い、280℃に加熱された押出機E1には、A層原料として、PETペレット(原料−1)90質量部、粒子含有ペレット(原料−2a)10質量部を180℃で3時間減圧乾燥した後に供給した。同じく280℃に加熱された押出機E2には、B層原料として、原料−1を配合し、180℃で3時間減圧乾燥した後に供給した。これらを2層積層するべくTダイ中で積層厚み比(A層/B層)=1/10とし、B層側がキャストドラム面側になるように合流させ、表面温度25℃のキャストドラムに静電荷を印加させながら密着冷却固化し、積層未延伸フィルムを作製した。
この積層未延伸フィルムをロール式延伸機にて88℃で長手方向に4倍延伸した。この延伸は2組ずつのロールの周速差を利用して行った。この一軸延伸フィルムのB層上にコロナ放電を施し、次の水溶液を塗布しC層を積層した。
メチルセルロース 0.25質量部
水溶性ポリエステル 0.65質量部
(テレフタル酸70モル%、5−ナトリウムスルホイソフタル酸30モル%の酸成分とエチレングリコールとの1:1の共重合体)
アミノエチルシランカップリング剤 0.01質量部
エポキシ化ポリジメチルシロキサン(固形分20質量%)0.2質量部
固形分塗布濃度 7mg/m
さらに、テンターを用いて、幅方向に予熱温度95℃、延伸温度90℃にて4.2倍延伸し、定張下で温度220℃で6秒間熱処理後、冷却ゾーンにて150℃で3秒間、さらに100℃で2秒間処理した後、厚さ55μmの二軸配向ポリエステルフィルムを作製した。
次に、この二軸配向ポリエステルフィルムを206℃の雰囲気下で5秒間アニール処理を実施した後、C層およびA層上に、次の塗剤を塗布しハードコート層を積層した。
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート 14質量部
N−ビニルピロリドン 6質量部
1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン 1質量部
希釈溶剤(メチルエチルケトン) 100質量部
を撹拌混合して得られた組成物を、バーコータを用いて硬化後の膜厚をH層が1.5μm、Ha層が0.5μmとなるように均一に塗布し、90℃にて1分間乾燥した。これを、塗布面より9cmの高さにセットした高圧水銀灯で、紫外線を5秒間照射し、硬化させ、両面にハードコート層を有する二軸配向ポリエステルフィルムを得た。尚、この時の照射強度は400mJ/cmであった。得られた積層フィルムを評価したところ、表1に示すように優れた特性を有していた。
(実施例2)
表の通りA層およびB層の積層厚み、H層の厚みを変更した。また、C層の塗液を以下の通りに変更した以外は実施例1と同様にして積層フィルムを得た。
メチルセルロース 0.25質量部
水溶性ポリエステル 0.65質量部
(テレフタル酸70モル%、5−ナトリウムスルホイソフタル酸30モル%の酸成分とエチレングリコールとの1:1の共重合体)
アミノエチルシランカップリング剤 0.01質量部
エポキシ化ポリジメチルシロキサン(固形分20質量%)0.2質量部
平均粒径12nmのコロイダルシリカ 0.1質量部
固形分塗布濃度 14mg/m
(実施例3)
A層の粒子含有ペレット原料−2bに変更し、含有量が0.5質量%となるよう調整し、さらに、C層の塗液を以下の通りに変更した。また、H層の厚みは1μmとした以外は実施例1と同様にして積層フィルムを得た。
メチルセルロース 0.25質量部
水溶性ポリエステル 0.65質量部
(テレフタル酸70モル%、5−ナトリウムスルホイソフタル酸30モル%の酸成分とエチレングリコールとの1:1の共重合体)
アミノエチルシランカップリング剤 0.01質量部
エポキシ化ポリジメチルシロキサン(固形分20質量%)0.2質量部
平均粒径18nmのコロイダルシリカ 0.1質量部
固形分塗布濃度 28mg/m
(実施例4)
A層の粒子含有ペレット原料−2cに変更し、含有量が0.3質量%となるよう調整した。さらに、B層原料をPETペレット(原料−1)99質量部、粒子含有ペレット(原料−2f)1質量部とした。A層の積層厚みと粒子径、粒子含有量、B層およびH層の積層厚みを表の通りに変更する以外は実施例3と同様にして積層フィルムを得た。
(実施例5)
A層の粒子含有ペレット原料−2dとし、A層、B層の積層厚み、粒子含有量、H層、Ha層の積層厚み、さらに、C層の固形分塗布濃度を表の通りに変更する以外は実施例4と同様にして積層フィルムを得た。
(実施例6)
A層の粒子含有ペレット原料−2cに変更し、粒子含有量、A層およびH層、Ha層の積層厚みを表の通りに変更した以外は実施例1と同様にして積層フィルムを得た。
(実施例7)
A層の粒子含有ペレット原料−2eとし、A層、B層およびH層の積層厚み、粒子含有量を表の通りに変更する以外は実施例3と同様にして積層フィルムを得た。
(実施例8)
C層の塗液を以下の通りに変更した以外は実施例1と同様にして積層フィルムを得た。なお、Ha層は塗布しなかった。
水溶性ポリエステル 0.7質量部
(テレフタル酸70モル%、5−ナトリウムスルホイソフタル酸30モル%の酸成分とエチレングリコールとの1:1の共重合体)
アミノエチルシランカップリング剤 0.01質量部
エポキシ化ポリジメチルシロキサン(固形分20質量%)0.2質量部
メチロール化メラミン樹脂 0.04質量部
平均粒径18nmのコロイダルシリカ 0.1質量部
固形分塗布濃度 28mg/m
(実施例9)
C層の塗液を以下の通りに変更した以外は実施例8と同様にして積層フィルムを得た。
メチルセルロース 0.4質量部
アミノエチルシランカップリング剤 0.05質量部
エポキシ化ポリジメチルシロキサン(固形分20質量%)0.3質量部
平均粒径12nmのコロイダルシリカ 0.1質量部
固形分塗布濃度 14mg/m
(比較例1)
水溶液組成を下記の通りに変更し、B層のみの単層フィルムとする以外は実施例1と同様にして積層フィルムを作成した。なお、Ha層は塗布しなかった。
メチルセルロース 0.25質量部
水溶性ポリエステル 0.65質量部
(テレフタル酸70モル%、5−ナトリウムスルホイソフタル酸30モル%の酸成分とエチレングリコールとの1:1の共重合体)
アミノエチルシランカップリング剤 0.01質量部
平均粒径25nmのコロイダルシリカ 0.1質量部
エポキシ化ポリジメチルシロキサン(固形分20質量%)0.2質量部
固形分塗布濃度 30mg/m
(比較例2)
C層を塗設しない以外は、実施例1と同様にして積層フィルムを得た。
(比較例3)
A層の粒子含有ペレット原料−2gに変更した以外は実施例1と同様にして積層フィルムを得た。なお、Ha層は塗布しなかった。
(比較例4)
A層のみの単層フィルムとし、表の通りA層の積層厚みを変更する以外は、実施例1と同様にして積層フィルムを得た。
(比較例5)
H層を塗設しないこと以外は、実施例1と同様にして積層フィルムを得た。
(比較例6)
A層の原料を原料1とし、B層の原料を実施例1で使用したA層原料として、A層、B層、H層の積層厚みを表の通りに変更した。またC層の水溶液は実施例3と同様にし塗布厚みを50mg/mに変更し、以下の条件で積層フィルムを作成した。
押出機E1、E2の2台を用い、280℃に加熱された押出機E1には、A層原料として、PETペレット(原料−1)を180℃で3時間減圧乾燥した後に供給した。同じく280℃に加熱された押出機E2には、B層原料として、原料−1を90質量部、粒子含有ペレット(原料−2a)10質量部を配合し、180℃で3時間減圧乾燥した後に供給した。これらを2層積層するべくTダイ中で積層厚み比(A層/B層)=10/1とし、B層側がキャストドラム面側になるように合流させ、表面温度25℃のキャストドラムに静電荷を印加させながら密着冷却固化し、積層未延伸フィルムを作製した。
この積層未延伸フィルムをロール式延伸機にて88℃で長手方向に4倍延伸した。この延伸は2組ずつのロールの周速差を利用して行った。この一軸延伸フィルムのB層上にコロナ放電を施し、実施例3で用いた水溶液を塗布しC層を積層した。
さらに、テンターを用いて、幅方向に温度95℃にて4.2倍延伸し、定張下で温度175℃で10秒間熱処理を施し、厚さ55μmの二軸配向ポリエステルフィルムを作製した。
次に、この二軸配向ポリエステルフィルムのC層上に、実施例1で用いた塗剤を塗布しハードコート層を積層した。なお、Ha層は塗布しなかった。
(比較例7)
A層の原料を原料1、および粒子含有ペレットとして原料−2fを用いた。B層の原料は原料1とした。C層の水溶液は実施例1と同様にし、A層およびB層の積層厚み、粒子含有量を表の通りに変更する以外は比較例6と同様にして積層フィルムを得た。
Figure 0005861266

Claims (7)

  1. 少なくともA層、B層、C層およびH層をその順に有する積層フィルムにおいて、
    該A層およびB層が二軸配向ポリエステルフィルムであり、
    該A層は、平均粒径が0.1〜2μmの粒子を含有し、A層表面の中心線表面粗さRaが3〜18nmであり、
    該B層上には、水溶性高分子を主成分とするC層が積層され、
    さらに該C層上のH層がハードコート層からなり、
    該H層の表面粗さRzが3〜20nmであり、
    B層が粒子を含有しないか、平均粒径が10〜100nmの粒子を0.1質量%未満含有する
    ことを特徴とする電子デバイス基材用積層フィルム。
  2. B層厚みがフィルム全体の50〜95%であり、B層厚みが25〜200μmである請求項1に記載の電子デバイス基材用積層フィルム。
  3. A層厚みが0.5〜12μmであり、A層の粒子含有量が0.05〜1質量%である請求項1または2に記載の電子デバイス基材用積層フィルム。
  4. H層の表面粗さRaが0.1nm〜2nmである請求項1〜のいずれかに記載の電子デバイス基材用積層フィルム。
  5. H層厚みが1〜5μmである請求項1〜のいずれかに記載の電子デバイス基材用積層フィルム。
  6. 200℃で30分間処理した後のフィルムの幅方向の熱収縮率が1%以下である請求項1〜のいずれかに記載の電子デバイス基材用積層フィルム。
  7. フィルムの厚みが30〜200μmである請求項1〜のいずれかに記載の電子デバイス基材用積層フィルム。
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