JP2014128773A - ウイルス吸着剤およびそれを用いたウイルス吸着性部材 - Google Patents

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Abstract

【課題】ウイルスの吸着力に優れたウイルス吸着剤を提供する。
【解決手段】比表面積が20m/g以上、250m/g未満であり、かつ、純水中で測定されたゼータ電位が40mV以上であることを特徴とするウイルス吸着剤。また、前記ウイルス吸着剤が、無機酸化物からなることを特徴とする前記ウイルス吸着剤。前記無機酸化物が少なくとも酸化ジルコニウムおよび/または酸化セリウムを含むことを特徴とする前記ウイルス吸着剤。また、前記いずれかに記載のウイルス吸着剤を基材に固定したウイルス吸着性部材。
【選択図】図1

Description

本発明は、高いウイルス吸着能を有し、また様々な部材へも適用可能なウイルス吸着剤と、それを用いたウイルス吸着性部材に関する。
近年、新型インフルエンザウイルスやノロウイルスなど、ウイルス感染による感染症の研究が進められており、今までの常識では考えられなかった新しい現象が次々と判明し、不安が広がっている。特に現在、交通の発達や、ウイルスの突然変異により、世界中にウイルス感染が広がる「パンデミック(感染爆発)」の危機に直面しており、緊急の対策が必要とされている。このような事態に対応するために、ワクチンによる抗ウイルス剤の開発も急がれているが、ワクチンの場合、その特異性により感染を防ぐことができるのは特定のウイルスに限定される。したがって、様々なウイルスから人々を守るウイルス除去、不活化効果を有するウイルス対応製品の開発が望まれている。
このようなウイルスを吸着、除去するための材料として、従来から有害物質の除去に使用されている活性炭の粒径を40μm以下に制御することで、ウイルスへの吸着性を高めたウイルス吸着剤や(特許文献1)、比表面積を制御する事で、ウイルスへの吸着性を高めた活性炭や、それを用いた部材が開示されている(特許文献2)。
特開2008−273914号公報 特開2012−187571号公報
しかしながら、従来のように活性炭をウイルス吸着剤として用いる場合、物理的な吸着となるため、吸着したウイルスが脱離する、など充分ではない。また、バインダーなどを用いて基材に固定させた場合、バインダーで埋まってしまった部分は仕事をしなくなるため、効果が落ちるという問題がある。さらに黒色の粉体であるため、基材の色を変化させてしまうという問題もある。
そこで本発明は、上記課題を解決するために、ウイルスの吸着力に優れたウイルス吸着剤を提供することを目的とする。
すなわち第1の発明は、比表面積が20m/g以上、250m/g未満であり、かつ、純水中で測定されたゼータ電位が40mV以上であることを特徴とするウイルス吸着剤である。
また第2の発明は、上記第1の発明において、前記ウイルス吸着剤が、無機酸化物からなることを特徴とするウイルス吸着剤である。
さらにまた第3の発明は、上記第1または第2の発明において、前記無機酸化物が少なくとも酸化ジルコニウム、酸化セリウム、γ−アルミナ、あるいはこれらの混合物を含むことを特徴とするウイルス吸着剤である。
さらにまた第4の発明は、上記第1から第3のいずれかの発明におけるウイルス吸着剤を基材に固定したウイルス吸着性部材である。
本発明によれば、ウイルス吸着剤は、多孔質部材のように物理的な吸着だけでなく、ゼータ電位の差を利用した電気的吸着作用もあるため、吸着力が非常に高い。さらにバインダーなどで基材に固定しても効果が落ちにくい。
実施例の部材の色の変化の比較試験結果の画像である。
以下、本発明に係るウイルス吸着剤の実施形態について詳述する。本実施形態のウイルス吸着剤は、比表面積が20m/g以上、250m/g未満であり、さらに純水中で測定されたゼータ電位が40mV以上である物質、特に無機酸化物を有効成分として含むものである。
本実施形態のウイルス吸着剤のウイルスを吸着する機構については現在のところ、必ずしも明確ではないが、ウイルス表面はタンパク質やリン脂質に覆われており、その表面にはアニオン性の官能基が多く存在する。そのため、ウイルス表面のゼータ電位はマイナスであり、プラスのゼータ電位を持つ物質に引き寄せられ吸着するものと考えられる。ゼータ電位が40mV以上であれば、ウイルスを効果的に吸着することができる。なお、ゼータ電位はより高ければウイルス吸着効果がより高まるので、上限値は特に限定されない。
本実施形態のウイルス吸着剤としては、比表面積とゼータ電位の範囲が上記に該当するものであれば適宜利用できるが、物質が安定であり、経時的な劣化や耐候性に優れているという理由により無機酸化物が好適に用いられ、中でもゼータ電位の高い、酸化セリウム、α−酸化鉄(III)、酸化ジルコニウム、酸化銅、酸化亜鉛、酸化ニッケル、γ−アルミナ、酸化インジウム、酸化マグネシウムなどが好適に用いられる。これはウイルス表面のゼータ電位との差が大きければ大きいほど吸着能が高くなるからである。
さらに前記無機酸化物の表面に、公知の方法により、カチオン性官能基を導入することで、さらにゼータ電位をプラス方向に引き上げることができる。こうすることにより、ウイルス表面のゼータ電位の差がさらに大きくなることから、ウイルス吸着能を向上させることができる。
公知の方法により導入できるカチオン性官能基としては、アミノ基やアンモニウム基、スルホニウム基、ホスホニウム基などが挙げられるが、生産性、電荷量、導入のしやすさなどの点からアミノ基が特に好ましい。
また本実施形態のウイルス吸着剤は、その吸着能が電気的吸着に依存するため、粒子表面を完全に覆わなければ、他の物質と混合することが可能である。すなわち、本実施形態のウイルス吸着剤は、従来の活性炭などのウイルス吸着剤と比較して、より自由な組成物の設計が可能となる。
具体的には、抗ウイルス剤、抗菌・殺菌性組成物、防カビ組成物、抗アレルゲン組成物などが挙げられる。特に、ウイルスを不活化する作用を有する無機抗ウイルス剤や、光触媒を本実施形態のウイルス吸着剤と併用することにより、吸着したウイルスを不活化できるため有効である。その際、抗ウイルス剤とウイルス吸着剤は単に混合してもよいし、抗ウイルス剤表面にウイルス吸着能を有するウイルス吸着剤の層を形成してもよい。
さらに、本実施形態の比表面積はBET法にて測定した値が、20m/g以上、250m/g未満であることが好ましい。これは、20m/g以下になると、ウイルスが吸着する面積が少なくなり、単位重量あたりのウイルス吸着力が不十分となるためであり、比表面積が250m/g以上となると、多孔質体でない粉体では比重の軽い有機ポリマー粒子であっても粒子径が50nm以下となり、ウイルスよりも小さくなってしまうからである。
本実施形態のウイルス吸着剤の大きさは特に限定されないが、吸着する面積が増えることから、500μm以下の微粒子とすることが好ましい。また、基材表面に固定化する場合には、固定化力の強度を考慮すると、固定化力が十分に得られる1μm以下であることが好ましい。さらに基材への透明性を考慮すると、50nm以上、600nm以下であることが好ましい。これは50nm未満になると、ウイルスよりも小さくなるため吸着力が落ち、600nm以上になると、可視光以上の波長になるため、透明性が劣るからである。
本実施形態のウイルス吸着剤は、混合ガスや分散媒に混合してスプレーとして用いることもできる。スプレー剤として用いることで、空気中に浮遊しているウイルスや、床に付着しているウイルスを吸着することができるため、たとえば、掃除前にスプレーをし、その後、掃除機などで吸引することで、ウイルスを除去することができる。
続いて、本実施形態のウイルス吸着剤を基材に固定したウイルス吸着性部材について詳述する。
本実施形態のウイルス吸着性部材は、上述のウイルス吸着剤を基材に固定したものである。ウイルス吸着剤を基材に固定する方法としては特に限定されず、当業者が適宜設定できる。たとえば、上述のウイルス吸着剤を一般的なバインダーと混合してスラリーを作成し、ウイルス吸着性を付与したい基材表面に、当該スラリーを塗布する方法が挙げられる。スラリーを塗布する方法としては、浸漬法、スプレー法、ロールコーター法、バーコーター法、スピンコート法、グラビア印刷法、オフセット印刷法、スクリーン印刷法、インクジェット印刷法などの方法で塗布する方法が挙げられる。
上記バインダーとしては、基材との密着性がよいものであれば特に限定されず、例えば合成樹脂や、天然樹脂を挙げることができる。合成樹脂では、ポリエステル樹脂、アミノ樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、水溶性樹脂、ビニル系樹脂、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、繊維素系樹脂、フェノール樹脂、キシレン樹脂、トルエン樹脂などを用いることができる。また、天然繊維としては、ひまし油、亜麻仁油、桐油などの乾性油などを用いることができる。
また、上述のウイルス吸着剤をグラフト重合によって基材に固定するようにしてもよい。例えば、まずシランモノマーを表面に化学結合させたウイルス吸着剤を溶剤と混合してスラリーを作成し、そのスラリーをウイルス吸着性を付与したい基材表面に塗布する。続いて、加熱乾燥によるグラフト重合や、赤外線、紫外線、電子線、γ線などの放射線照射によるグラフト重合により、基材表面とウイルス吸着剤に結合したシランモノマーを化学結合させることにより、ウイルス吸着剤を基材に固定する。シランモノマーは分子量が低いため、ウイルス吸着剤全体を覆ってしまうということがなく、ウイルスを吸着するウイルス吸着剤のゼータ電位が維持され、かつ、ウイルス吸着剤と、ウイルスとの接触が阻害されにくくなるため好適である。
上記シランモノマーの一例としては、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(ビニルベンジル)−2−アミノエチル−3−アミノプロピルトリメトキシシランの塩酸塩、2−(3、4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1、3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、特殊アミノシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン、ヘキシルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、加水分解性基含有シロキサン、フロロアルキル基含有オリゴマー、メチルハイドロジェンシロキサン、シリコーン第四級アンモニウム塩などが挙げられる。
また、熱可塑性樹脂や、反応性ホットメルト接着剤や、紫外線や電子線などの粒子線で反応硬化する樹脂により構成される基材にウイルス接着剤を固定させるようにしてもよい。例えば、熱可塑性樹脂、反応性ホットメルト接着剤、または、紫外線や電子線などの粒子線で反応硬化する樹脂をノズルより繊維状に吐出し、吐出して形成した繊維の表面が粘着性を有している間に、前記ウイルス吸着剤を接触させる。その後、ホットメルト接着剤を用いる場合は、室温に戻して固着させる。また、反応性ホットメルト接着剤を用いる場合は、空気中の水分で反応硬化させる。また、紫外線や電子線で架橋する樹脂を用いる場合は、紫外線や電子線を照射して反応硬化させることにより固定させる。
基材を構成する熱可塑性樹脂としては、低密度ポリエチレン、直鎖低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン酢酸ビニル共重合樹脂、エチレン−メチルメタクリレート共重合体樹脂、エチレン−アクリル酸エチル共重合樹脂などを主成分とする熱可塑性樹脂が挙げられる。また反応性ホットメルト接着剤としては、ウレタンプレポリマーを主体とする反応性ホットメルト接着剤が挙げられる。さらに、紫外線や電子線などの粒子線で反応硬化する樹脂としては、ポリウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート樹脂などを主成分とする、紫外線や電子線の照射処理によって架橋される樹脂などが挙げられる。
上記ウイルス吸着剤を固定する基材としては、合成樹脂や天然樹脂の他、無機材料も用いられる。
樹脂の具体例としては、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ABS樹脂、AS樹脂、EVA樹脂、ポリメチルペンテン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリアクリル酸メチル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリメタクリロ酸樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリフッ化ビニリデン樹脂、ベクトラン(登録商標)、ケブラー(登録商標)、PTFE(polytetrafluoroethylene)などの熱可塑性樹脂、ポリ乳酸樹脂、ポリヒドロキシブチレート樹脂、修飾でんぷん樹脂、ポリカプロラクト樹脂、ポリブチレンサクシネート樹脂、ポリブチレンアジペートテレフタレート樹脂、ポリブチレンサクシネートテレフタレート樹脂、ポリエチレンサクシネート樹脂などの生分解性樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、エポキシ樹脂、エポキシアクリレート樹脂、ケイ素樹脂、アクリルウレタン樹脂、ウレタン樹脂などの熱硬化性樹脂、シリコーン樹脂、ポリスチレンエラストマー、ポリエチレンエラストマー、ポリプロピレンエラストマー、ポリウレタンエラストマーなどのエラストマーおよびレーヨン、キュプラ、テンセル、ポリノジック、アセテート、トリアセテート、綿、麻、羊毛、絹、竹、漆などが挙げられる。
また基材に、アルミニウムやステンレス、鉄などの金属材料、ガラスおよびセラミックスなどの無機材料を用いる場合、例えば、樹脂基体の場合と同様に、前述のグラフト重合によりシランモノマーの不飽和結合部や反応性官能基と金属表面の水酸基等とを反応させて化学結合を形成することにより、ウイルス吸着剤を固定できるが、基材表面に化学結合が可能な官能基をシランモノマーやチタンモノマーなどで導入することで、さらにウイルス吸着剤を強固に固定することができる。基材表面に導入されるシランモノマー由来の官能基としては、ビニル基、エポキシ基、スチリル基、メタクリロ基、アクリロキシ基、イソシアネート基およびチオール基などが挙げられる。
また本実施形態のウイルス吸着性部材に用いる基材の形態についても、特に限定されず、当業者が適宜選択できる。
例えば、本実施形態のウイルス吸着性部材の基材は、繊維により構成することができ、より具体的には、シート状の織物や編物、不織布などとすることができる。したがって、本実施形態のウイルス吸着性部材は、マスク、キャップ、シューズカバー、エアコン用フィルター、空気清浄機用フィルター、掃除機用フィルター、換気扇用フィルター、車両用フィルター、空調用フィルター、カーテン、衣類、寝具、網戸用ネット、鶏舎用ネット、蚊帳などのネット類、などを構成することができる。
また別の例として、本実施形態のウイルス吸着性部材の基材を、フィルムやシートなど、通気性のないものを用いることもできる。したがって、本実施形態のウイルス吸着性部材は、壁紙やブラインド、デスクマット、キーボードカバー、タッチパネル、タッチパネルカバー、病院などのビル用内装材、電車や自動車などの内装材、車両用シート、椅子やソファーのカバー、ウイルスを扱う設備、ドアや床板の防汚シートなど、様々な分野に利用できる。
以上説明した本実施形態の吸着剤は、ウイルスであればどのような種類でも吸着可能である。たとえばエンベロープの有無に関わらず、上述のように通常、ウイルスのゼータ電位はマイナスであるため、本実施形態のゼータ電位が40mV以上のウイルス吸着剤であれば、ウイルスを確実に吸着することができる。
本実施形態によれば、ウイルスを吸着する吸着力の高い吸着剤を提供することができる。さらに、本実施形態によれば、基材等に固定した場合にも脱落しにくく、耐久性に優れた吸着部材を実現できるという効果が得られる。
次に、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。ただし、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
本実施形態のウイルス吸着剤として、無機酸化物について、ゼータ電位とウイルス吸着性を測定した。実施例1として、酸化ジルコニウム(比表面積33m/g 、日本電工株式会社製、PCS)を、実施例2として、酸化セリウム(比表面積164m/g、信越化学工業株式会社製)を、実施例3として、γアルミナ(比表面積234m/g、大明化学工業株式会社製)をサンプルとして準備した。また、比較例1として、酸化チタン(比表面積6.8m/g、テイカ株式会社製)を、比較例2として、酸化アルミニウム(比表面積260m/g、DK Fine株式会社製)を、比較例3として、酸化ケイ素(比表面積300m/g、富士シリシア化学株式会社製、サイシリア310)、比較例4として、活性炭(比表面積1030m/g、日本エンバイロケミカルズ株式会社製)比較例5として、酸化ジルコニウム(比表面積2.5m/g、第一稀元素化学工業株式会社製)、比較例6として、酸化チタン(比表面積80m/g、石原産業株式会社製、TTO-55)を準備した。
(ウイルス吸着性試験)
次に、各サンプルについて、インフルエンザウイルスに対するウイルス吸着性を評価した。実施例1〜3、比較例1〜6の各サンプル粉体を、それぞれPBS(phosphate buffer serine)に1質量%になるように加え、ホモジナイザを用いて懸濁した。それぞれの懸濁液、及びブランク(PBS)250μlに、PBSに懸濁された約1×106virus/mlのインフルエンザウイルス液を250μl加え、室温25℃で60分間振とうさせた。その後、20,000×gにて15分間遠心分離を行い、上清を分取した。各上清液を適宜PBSにて希釈を行い、MDCK(Madin-Darby canine kidney)細胞に100μl、反応後のサンプル液を接種した。サンプル液接種1時間後、0.7%寒天MEM培地を重層し、48時間、34℃、5%CO2インキュベータにて培養し、プラーク数をカウントして、ウイルスの感染価(PFU:plaque-forming units)を算出した。その後、下記計算式にてウイルス残存率を算出した。3回測定し、平均値を求めた。その結果を表1に示す。
ウイルス残存率(%)=
100×((各サンプルのウイルス感染価)/(ブランクのウイルス感染価))
(ゼータ電位測定)
各サンプルについて、純水中におけるゼータ電位を測定した。まず、各サンプル粉体を、電気抵抗が15MΩ・cm以上の超純水に1質量%になるように加え、ホモジナイザを用いて懸濁した。懸濁後、得られたサンプルをゼータ電位測定装置(大塚電子株式会社製、ELS-Z)にて3回測定し、平均値を求めた。その結果を表1に示す。
表1の結果より、全ての実施例において、ウイルス残存率が0.1〜0.2%という高いウイルス吸着能を確認することができた。また、本発明において設定される、比表面積が20m/g以上250m/g未満、ゼータ電位が40mV以上という基準範囲に対して、比表面積、ゼータ電位が共に低い比較例1や、比表面積が高いがゼータ電位が低い比較例3では、ウイルス吸着率が低いことが確認された。また比較例4のように比表面積が高く、ゼータ電位が低いものや、比較例5のように比表面積が低く、ゼータ電位が高いもの(40mV以上)や、比表面積は上記基準を満たすがゼータ電位は低い比較例6についても、ウイルス吸着能はあるものの、実施例のレベルには到達しない事が確認された。
(ウイルス吸着性部材の作製)
(実施例4)
実施例1の酸化ジルコニウム粉体をメタノールに対して10質量%加え、ビーズミルにより、平均粒子径18nmになるまで粉砕分散した。ここに3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランを酸化ジルコニウムに対して5質量%加えてpHを4.0になるように塩酸で調整した後、室温で60分間、攪拌し続けた。その後、遠心分離により固液分離して、沈殿を120℃で加熱した後、酸化ジルコニウム粉体の表面に、シランモノマーを、脱水縮合反応により結合させた。シランモノマーで被覆された酸化ジルコニウムをメタノールに3質量%となるように加え、ビーズミルにより平均粒子径16nmに再度、粉砕分散した。その後、ポリプロピレン製不織布(旭化成せんい株式会社製、P03020、20g/m)に、シランモノマー被覆酸化ジルコニウム分散液を浸漬し、110℃で1分間乾燥させた後、電子線照射装置(岩崎電気株式会社製、エレクトロカーテン型CB250/15/180L)を用い、電子線を200kVの加速電圧で5Mrad照射し、実施例4のサンプルを得た。
(実施例5)
実施例1の酸化ジルコニウム粉体を実施例2の酸化セリウムに変えた以外は同様の方法で、実施例5のサンプルを得た。この時の平均粒子径は23nmであった。
(比較例7)
実施例1の酸化ジルコニウム粉体が、比較例4の活性炭に変わった以外は同様の方法で、比較例7のサンプルを得た。
(比較例8)
実施例4や5で用いたポリプロピレン製不織布(旭化成せんい株式会社製、P03020、20g/m)を比較例8のサンプルとした(本実施形態のウイルス吸着剤無し)。
(基材に対する色の影響)
実施例4、5のサンプルと、比較例7のサンプルを並べて表面の色の変化を見た。その写真を図1に示す。
(ウイルス吸着性部材のウイルス吸着性測定)
実施例4、5、比較例7、8の各サンプルについて、インフルエンザウイルスに対するウイルス吸着性を評価した。各不織布0.1gに対しMEM培地に懸濁された約1×106virus/mlのインフルエンザウイルス液10μlを滴下し、室温で60分間、静置した。60分後、PBSを1990μl加え、激しく振とうした。その後、液を分取し、適宜PBSにて希釈を行い、MDCK細胞に100μl、反応後のサンプル液を接種した。サンプル液接種1時間後、0.7%寒天MEM培地を重層し、48時間、34℃、5%CO2インキュベータにて培養し、プラーク数をカウントして、ウイルス液の感染価を算出した。その後、上記数式にてウイルス残存率を算出した。これを3回繰り返し、平均値を求めた。その結果を表2に示す。
表2の結果より、実施例4、5について、基材に固定してもそのウイルス吸着能は、粉体の場合と比較して、多少の効果は落ちるものの、高い吸着性が維持されていることがわかった。また、ウイルス吸着剤を微細な粒子分散液、またはその前駆体水溶液とすることで、不織布のような複雑な構造を有する基材にも加工することが可能であることが確認できた。さらに図1の写真で確認できるように、活性炭を用いた比較例7では不織布が黒く着色しているのに対し、実施例4、5では色の変化がなく、基材の色調を損ねることがなかった。これらの結果より、本発明によれば、使用目的にあった様々な基材、形態とすることが可能であることが確認できた。

Claims (4)

  1. 比表面積が20m/g以上、250m/g未満であり、かつ、純水中で測定されたゼータ電位が40mV以上であることを特徴とするウイルス吸着剤。
  2. 前記ウイルス吸着剤が、無機酸化物からなることを特徴とする請求項1に記載のウイルス吸着剤。
  3. 前記無機酸化物が少なくとも酸化ジルコニウム、酸化セリウム、γ−アルミナ、あるいはこれらの混合物を含むことを特徴とする請求項2に記載のウイルス吸着剤。
  4. 請求項1から3のいずれかに記載のウイルス吸着剤を基材に固定したウイルス吸着性部材。
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