JPWO2010116754A1 - 不揮発性記憶素子の駆動方法 - Google Patents

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Abstract

抵抗変化型の不揮発性素子に書き込んだ情報(抵抗値)の保持特性を向上させるための駆動方法を提供する。抵抗変化型の不揮発性記憶素子に、第1の極性の第1電圧を印加して第1の論理情報を表す低抵抗状態にする第1書き込み工程(S01)と、前記第1の極性とは異なる第2の極性の第2電圧を印加して第1高抵抗状態にする第2書き込み工程(S02)と、第2書き込み工程(S02)の後、第1の極性の第3電圧を印加して前記第1の論理情報とは異なる第2の論理情報を表す第2高抵抗状態にする書き戻し工程(S05)とを含む。ここで、第3電圧の絶対値は第1電圧の絶対値よりも小さく、第1高抵抗状態の抵抗値、第2高抵抗状態の抵抗値、および低抵抗状態の抵抗値は、この順に大きい。

Description

本発明は、不揮発性記憶素子に関し、特に、印加される電気的信号に応じて抵抗値が変化する抵抗変化型の不揮発性記憶素子の駆動方法に関する。
近年、デジタル技術の進展に伴い、携帯型情報機器および情報家電などの電子機器が、より一層高機能化している。そのため、不揮発性記憶素子の大容量化、書き込み電力の低減、書き込み/読み出し時間の高速化、および長寿命化の要求が高まっている。
こうした要求に対して、既存のフローティングゲートを用いたフラッシュメモリの微細化には限界があると言われている。そこで、最近、抵抗変化層を記憶部の材料として用いた新たな抵抗変化型の不揮発性記憶素子に注目が集まっている。
この抵抗変化型の不揮発性記憶素子は、下部電極と上部電極との間に、両電極と接するように抵抗変化層を設けた非常に単純な構造で構成される。そして、この上下の電極間にある閾値以上の大きさの電圧を有する所定の電気的パルスを与えるだけで、抵抗が高抵抗状態もしくは低抵抗状態に変化する。そして、これらの異なる抵抗状態と数値とを対応させて情報の記録を行うのである。抵抗変化型の不揮発性記憶素子はこのような構造上及び動作上の単純さから、さらなる微細化や低コスト化が可能であると期待されている。さらに、高抵抗と低抵抗との状態変化が100nsec以下のオーダーで起こる場合もある事から、高速動作という観点からも注目を集めており、種々の提案が成されている。
最近、特に、抵抗変化層に金属酸化物を使った抵抗変化型の不揮発性記憶素子に関する提案が多くなされている。このような金属酸化物を使った抵抗変化型の不揮発性記憶素子は、抵抗変化層に用いる材料によって大きく2種類に分類される。一つは、特許文献1等に開示されているペロブスカイト材料(Pr(1-x)CaxMnO3(PCMO)、LaSrMnO3(LSMO)、GdBaCoxy(GBCO)等)を抵抗変化層として用いた抵抗変化型の不揮発性記憶素子である。
もう一つは、遷移金属と酸素のみから構成された化合物である、2元系の遷移金属酸化物を用いた抵抗変化型の不揮発性記憶素子である。2元系の遷移金属酸化物は、上述のペロブスカイト材料と比較して、組成における構造が非常に単純であるため、製造時の組成制御および成膜が比較的容易である。その上、半導体製造プロセスとの整合性も比較的良好であるという利点もあり、最近、特に精力的に研究がなされている。
例えば、特許文献2では、抵抗変化材料として、ニッケル(Ni)、ニオブ(Nb)、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)、コバルト(Co)、鉄(Fe)、銅(Cu)、クロム(Cr)等の遷移金属の化学量論的組成の酸化物、及び、酸素が化学量論的組成から不足した酸化物(以下、酸素不足型の酸化物と呼ぶ)を抵抗変化材料として使った不揮発性記憶素子が開示されている。さらに、特許文献3では、酸素不足型のタンタル(Ta)の酸化物を抵抗変化材料として使った不揮発性記憶素子も開示されており、Ta酸化物層をTaOxと表した時、0.8≦x≦1.9(酸素濃度に換算して、44.4%から65.5%)を満足する範囲において抵抗変化現象が報告されている。
ここで酸素不足型の酸化物をもう少し詳しく説明する。例えば、Taの場合、化学量論的組成を有する酸化物として、Ta25が知られている。このTa25では、Ta原子とO原子が2:5の割合で含まれており、酸素含有率で表現すると71.4atm%である。この酸素含有率71.4atm%よりも酸素含有率が低くなった状態の酸化物を酸素不足型の酸化物と呼ぶ。なお、この例の場合、Taの酸化物であるので、酸素不足型のTa酸化物と表現できる。
特開2005−340806号公報 特開2006−140464号公報 国際公開第2008/059701号公報
不揮発性記憶素子は、情報を電気的に記憶した後、電源を切っても情報が消失(揮発)せず、保持されるような性質を有した素子である。それ故に、不揮発性記憶素子に要求される最も重要な特性の1つは高い情報の保持特性である。つまり、不揮発性記憶素子には、一旦書き込んだ情報が劣化する事無く、ある程度の長期間にわたって保持される能力が必要とされる。この情報の保持能力は高ければ高い程望ましい。しかしながら一般にどのような不揮発性記憶素子でも、ある有限の時間内に記憶情報が揮発してしまうのは避けられない。
本発明に関する抵抗変化型の不揮発性記憶素子も例外ではなく、一旦記憶させた情報が時間の経過とともに徐々に揮発してしまう性質がある。抵抗変化型の不揮発性素子おける情報の揮発は、設定した抵抗値の経時変化によって生じる。つまり、高抵抗状態が低抵抗状態へ、もしくは低抵抗状態が高抵抗状態へと変化する事で記憶情報が揮発する。特に、前者の高抵抗状態に設定した不揮発性記憶素子の抵抗値が時間の経過とともに、低下していくような情報の揮発現象が起こりやすい。
しかしながら、抵抗変化型の不揮発性記憶素子では、このような変化が起こる原因は解明されておらず、記憶させた情報の保持状態にある不揮発性記憶素子の抵抗状態の変化を抑制する方法についても開示されていないのが現状である。
本発明では、上記のような課題に鑑み、抵抗変化型の不揮発性素子の情報の保持特性を向上させる、情報の書き込み方法を提案することを目的とする。
本発明の不揮発性記憶素子の駆動方法は、第1電極と、第2電極と、前記第1及び第2電極間に介在させ、前記第1及び第2電極と接するように設けられた抵抗変化層とを有し、前記第1及び第2電極間に与えられる極性の異なる電気的信号に基づいて、前記抵抗変化層の抵抗状態が可逆的に変化し、前記抵抗変化層は酸素不足型の遷移金属酸化物層を含んでいる不揮発性記憶素子の駆動方法であって、前記第1及び第2電極間に第1の極性を有する第1電圧を印加することにより、前記抵抗変化層を、第1の論理情報を表す低抵抗状態にする第1書き込み工程と、前記第1及び第2電極間に前記第1の極性とは異なる第2の極性を有する第2電圧を印加することにより、前記抵抗変化層を前記低抵抗状態よりも抵抗値が高い第1高抵抗状態にする第2書き込み工程と、前記第2の書き込み工程の後、前記第1及び第2電極間に前記第1の極性を有しかつ電圧の絶対値が前記第1電圧より小さい第3電圧を印加することにより、前記抵抗変化層を、前記低抵抗状態よりも抵抗値が高くかつ前記第1高抵抗状態よりも抵抗値が低い、前記第1の論理情報とは異なる第2の論理情報を表す第2高抵抗状態にする書き戻し工程と、を含む。
また、前記書き戻し工程において、前記不揮発性記憶素子は負荷抵抗と直列に接続されて直列回路を構成し、前記直列回路に前記第1の極性を有する電圧を印加することにより、前記不揮発性記憶素子の前記第1及び第2電極間に前記第3電圧に相当する分圧を印加してもよい。
また、前記書き戻し工程において、前記不揮発性記憶素子は前記負荷抵抗としてのトランジスタのチャンネルと直列に接続されて前記直列回路を構成し、前記トランジスタのゲートに所定の電圧を印加することで前記トランジスタのチャンネル抵抗を所定の抵抗値にした状態で、前記直列回路に前記第1の極性を有する電圧を印加することにより、前記不揮発性素子の前記第1及び第2電極間に前記第2電圧に相当する分圧を印加してもよい。
また、本発明の不揮発性記憶装置は、第1電極と、第2電極と、前記第1及び第2電極間に介在させ、前記第1及び第2電極と接するように設けられた抵抗変化層とを有し、前記第1及び第2電極間に与えられる極性の異なる電気的信号に基づいて、前記抵抗変化層の抵抗状態が可逆的に変化し、前記抵抗変化層は酸素不足型の遷移金属酸化物層を含んでいる不揮発性記憶素子と、駆動回路と、を備え、前記駆動回路は、前記第1及び第2電極間に第1の極性を有する第1電圧を印加することにより、前記抵抗変化層を、第1前記第1及び第2電極間にを表す低抵抗状態にする第1書き込み工程と、前記第1及び第2電極間に前記第1の極性とは異なる第2の極性を有する第2電圧を印加することにより前記抵抗変化層を前記低抵抗状態よりも抵抗値が高い第1高抵抗状態にする第2書き込み工程と、前記第2書き込み工程の後、前記第1及び第2電極間に前記第1の極性を有しかつ電圧の絶対値が前記第1電圧より小さい第3電圧を印加することにより、前記抵抗変化層を、前記低抵抗状態よりも抵抗値が高くかつ前記第1高抵抗状態よりも抵抗値が低い、前記第1前記第1及び第2電極間にとは異なる第2前記第1及び第2電極間にを表す第2高抵抗状態にする書き戻し工程と、を行う。
また、前記第1電極と前記第2電極とは、第1配線と第2配線とにそれぞれ電気的に接続されており、前記駆動回路は、前記第1書き込み工程において前記第1及び第2電極間に前記第1電圧を印加するための電圧を前記第1及び第2配線間に供給する第1電源と、前記第2書き込み工程において前記第1及び第2電極間に前記第2電圧を印加するための電圧を前記第1及び第2配線間に供給する第2電源と、前記書き戻し工程において前記第1及び第2電極間に前記第3電圧を印加するための電圧を前記第1及び第2配線間に供給する第3電源と、を有してもよい。
前記第3電源は、前記不揮発性記憶素子と直列に接続された負荷抵抗素子を有していてもよい。前記負荷抵抗素子は前記不揮発性記憶素子と直列に接続されたトランジスタであってもよい。
前記抵抗変化層は、酸素濃度の異なる少なくとも2層の酸素不足型の遷移金属の酸化物層から形成されており、酸素濃度の高い酸素不足型の遷移金属の酸化物層が前記第1電極もしくは前記第2電極に接触していてもよい。
前記遷移金属はタンタルであってもよい。
前記駆動回路は、前記書き戻し工程を、前記第2書き込み工程に引き続いて毎回行ってもよい。
また、前記駆動回路は、不揮発性記憶装置に対する電源の遮断前またはスタンバイ状態への移行前もしくはその両方において、前記書き戻し工程を行ってもよい。
また、前記不揮発性記憶装置は、複数の不揮発性記憶素子を備え、前記駆動回路は、電源遮断前に、前記複数の不揮発性記憶素子の中から前記第1高抵抗状態にある不揮発性記憶素子を検出し、前記検出された不揮発性記憶素子に対して前記書き戻し工程を行ってもよい。
また、前記第1高抵抗状態にある不揮発性記憶素子の検出は、前記第1高抵抗状態の抵抗値と第2高抵抗状態の抵抗値との間にしきい値を定めておき、前記不揮発性記憶素子から読み出された抵抗値と前記しきい値との比較により検出するようにしてもよい。
また、前記駆動回路は、前記不揮発性記憶装置がアイドル状態の時、前記書き戻し工程を行ってもよい。
本発明に係る不揮発性記憶素子の駆動方法、および本発明に係る不揮発性記憶装置によれば、書き込んだ情報の保持能力が向上する。
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る不揮発性記憶素子の構成を示す断面模式図である。 図2(a)〜(c)は、本発明の第1の実施の形態に係る不揮発性記憶素子の抵抗値とパルス印加回数との関係を示す図である。 図3は、本発明の第1の実施の形態に係る不揮発性記憶素子の抵抗値の210℃における抵抗値の保持特性を示す図である。 図4(a)〜(c)は、本発明の第1の実施の形態に係る不揮発性記憶素子へ電気的パルスを印加した際の不揮発性記憶素子内部の状況を説明する仮説の模式図である。 図5は、本発明の第1の実施の形態に係る不揮発性記憶素子の抵抗値とパルス印加回数との関係を示す図である。 図6(a)、(b)は、本発明の第2の実施の形態に係る不揮発性記憶素子の抵抗値とパルス印加回数との関係を示す図である。 図7は、本発明の第2の実施の形態に係る不揮発性記憶素子へ電圧を印加する際の回路図である。 図8は、本発明の第2の実施の形態に係る不揮発性記憶素子の抵抗値の210℃における抵抗値の保持特性を示す図である。 図9は、本発明の第2の実施の形態に係る不揮発性記憶素子へ電圧を印加する際の回路の変形例を示す図である。 図10は、本発明の第3の実施の形態に係る不揮発性記憶装置の回路構成例を示す図である。 図11は、本発明の第3の実施の形態に係る不揮発性記憶装置の動作の一例を示すフローチャートである。
(第1の実施の形態)
本発明の第1の実施の形態に係る不揮発性記憶素子の駆動方法について、図面を参照しながら説明する。
[不揮発性記憶素子の構成]
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る駆動方法に従って駆動される不揮発性記憶素子の一構成例を示した断面図である。
図1に示すように、本実施の形態の不揮発性記憶素子100は、基板101と、その基板101上に形成された酸化物層102と、その酸化物層102上に形成された下部電極103と、第1の酸素不足型の遷移金属酸化物層104および第1の酸素不足型の遷移金属酸化物層104より高い酸素濃度を有する第2の酸素不足型の遷移金属酸化物層105からなる抵抗変化層106と、上部電極107とを備えている。この不揮発性記憶素子100を駆動する場合は、外部の電源によって所定の条件を満たす電圧を下部電極103と上部電極107との間に印加する。
以下の実施の形態においては、遷移金属酸化物としてタンタルを用いたタンタル酸化物層を遷移金属酸化物層として用いた例を説明する。なお、以下には、タンタル酸化物層をTa酸化物層と略記する。
[不揮発性記憶素子の製造方法]
次に、本実施の形態の不揮発性記憶素子100の製造方法について説明する。
まず、単結晶シリコンである基板101上に、厚さ200nmの酸化物層102を熱酸化法により形成した。そして、下部電極103としての厚さ40nmの窒化タンタル(TaN)をスパッタリング法により酸化物層102上に形成した。
次に、下部電極103上に、第1の酸素不足型のTa酸化物層104を50nm堆積した。ここで第1の酸素不足型のTa酸化物は、Taターゲットをアルゴン(Ar)と酸素ガス(O2ガス)中でスパッタリングする事で形成した。なお、酸素不足型のTa酸化物を堆積する時の具体的なスパッタリング条件は、スパッタリングを開始する前のスパッタリング装置内の真空度(背圧)が7×10-4Pa程度であり、スパッタ時のパワーは250W、アルゴンガスと酸素ガスとをあわせた全ガス圧力は3.3Pa、酸素ガスの全ガスに対する分圧比は3.8%、基板の設定温度は30℃、成膜時間は7分とした。これにより、酸素含有率が約58atm%の第1の酸素不足型のTa酸化物層104が50nm堆積された。なお、この酸素不足型のTa酸化物をTaOxと表現した場合、酸素含有率58atm%とは、xでは1.38となる。
次に、第1の酸素不足型のTa酸化物層104の表面をプラズマ酸化装置で酸化し、約8nmの第2の酸素不足型のTa酸化物層105を形成した(なお、第2の酸素不足型のTa酸化物層105は不揮発性記憶素子の初期動作を安定化させる目的で設けたものであるが、不揮発性記憶素子作製後に電圧印加にて事後的に形成することもできるため、不揮発性記憶形成時に必ずしも設ける必要はない)。なお、この第2の酸素不足型のTa酸化物層の酸素含有率は、71atm%であり、TaOyと表現した場合のyでは2.47となった。すなわち化学量論的組成であるTaO2.5(Ta25)より、若干の酸素が欠損した状態になっており、第1の酸素不足型のTa酸化物層104よりも高抵抗の状態にある。
その後、第2の酸素不足型のTa酸化物層105上に、上部電極107として、白金(Pt)薄膜層をスパッタリングによって形成する。本実施の形態では、このPt薄膜層の膜厚を80nm堆積した。
以上のプロセスにより、酸素不足型のTa酸化物を使った抵抗変化層106を下部電極103と上部電極107で挟み込んだ形の不揮発性記憶素子100を作製した。
[抵抗値の設定]
上記のようにして作製した不揮発性記憶素子の下部電極103と上部電極107との間にパルス状の電圧を印加して抵抗変化を起こさせ、抵抗値を測定した。
この測定では、上部電極107の大きさが0.5μm×0.5μmの不揮発性記憶素子を用いた。抵抗変化を起こさせるために、下部電極103と上部電極107との間に、所定の電圧値を有し、幅が100nsecの電気パルスを印加した。また、不揮発性記憶素子の抵抗値は、抵抗変化のための電気パルスを印加した後、抵抗変化が起こらない程度の50mVの小さな電圧をさらに印加して流れる電流を測定して求めた。
なお、以下では、下部電極103と上部電極107との間の電圧の正負は、下部電極103を基準にして表現する。すなわち、下部電極103の電圧よりも上部電極107の電圧が高い場合の電圧は正で表現し、逆に、下部電極103の電圧よりも上部電極107の電圧が低い場合の電圧を負で表現する。
本実施の形態では、不揮発性記憶素子構造は全く同じ3つの素子を用意した。以下、これらの不揮発性記憶素子を、素子A、素子B、素子Cと呼ぶ。まず、いずれの素子も、素子の状態を揃える目的で、+1.7Vと−1.3Vの電気パルスを下部電極103と上部電極107間に、交互に、それぞれ50回ずつ、計100回印加した。そうすると、いずれも、+1.7Vを印加した時に、下部電極103と上部電極107間の抵抗値は高抵抗化し、−1.3Vを印加した時には低抵抗化するような抵抗変化が起こった。これらの抵抗変化の様子を図2(a)〜(c)に示す(なお、ここでは、最終の電圧印加の様子を分かり易くするために、80回目以降の電気パルスの印加による抵抗変化のみを示している)。
素子Aでは、図2(a)に示すように、+1.7Vを印加した時の下部電極103と上部電極107間の抵抗値は約5kΩ、−1.3Vを印加した時は約100Ωとなり、100回目に+1.7Vを印加した時の抵抗値は、5720Ωであった。素子Bでは、図2(b)に示すように、+1.7Vを印加した時は約4kΩ、−1.3Vを印加した時は約100Ωとなっており、100回目の電気パルスの印加により、抵抗値は3850Ωとなった。そして、素子Cでは、図2(c)に示すように、+1.7Vを印加した時は約5kΩ、−1.3Vを印加した時は約200Ωであり、100回目の電気パルスの印加で4650Ωとなった。なお、これらの抵抗値の違いは、不揮発性記憶素子の単純なばらつきに起因するものである。
以上のように、素子A〜Cをそれぞれ100回動作させて、不揮発性記憶素子の状態を揃えた後、素子Bと素子Cにはさらに、異なる1つの電気パルスを印加した。素子Bには、図2(b)に示すように、101回目に−0.6Vを印加した。この時、抵抗値は3850Ωから4137Ωへと微増したが、不揮発性記憶素子の状態には基本的に変化は起こっていないと考えられる。一方で、素子Cには図2(c)に示すように、101回目に−0.7Vを印加した。すると、抵抗値は、4650Ωから3187Ωへと減少した。本実施の形態で使用した不揮発性記憶素子は、負の電圧を印加する事によって低抵抗化する性質があるので、素子Cは若干の低抵抗化が起こった状態であると考えられる。
なお、以下では、一旦ある極性の電圧を印加して抵抗値を設定した後、引き続いて、逆極性の電圧を印加する操作を「書き戻し」と表現する。上記の例では、素子Bおよび素子Cに対し、+1.7Vの電圧を印加して一旦高抵抗化させ、その後、負の小さな電圧(−0.6V及び−0.7V)を印加したが、この負の電圧を印加する事を「書き戻し」と称する。
より詳細には、上記の例において−1.3V(第1電圧)の電気パルスの印加により、素子A〜Cを100Ω程度の低抵抗状態にする操作が本発明の第1書き込み工程の一例であり、+1.7V(第2電圧)の電気パルスの印加により、素子A〜Cを数千Ω程度の第1高抵抗状態にする操作が本発明の第2書き込み工程の一例である。
そして、第2書き込み工程の後、−0.7V(第3電圧)の電気パルスの印加により、素子Cを前記低抵抗状態よりも抵抗値が高くかつ前記第1高抵抗状態よりも抵抗値が低い3187Ωの第2高抵抗状態にする操作が本発明の書き戻し工程の一例である。
[抵抗値の保持特性]
以上のようにして用意した素子A〜Cの抵抗値の保持特性の評価を行った。なお、素子A〜Cの抵抗値は室温程度の温度では、10年以上もほとんど劣化が見られないような特性を有している。そこで、不揮発性記憶素子を210℃の恒温槽中に保持し、劣化を加速させて、保持特性の評価を行った。なお、抵抗値の測定は恒温槽から不揮発性記憶素子を取り出して室温で行った。
つまり、恒温槽での保持と、室温での測定を繰り返し行う事により、保持特性の評価を行った。また、保持特性の評価では、不揮発性記憶素子に対して更なる書き込みは行わず(すなわち、上記にて設定された抵抗値状態を維持)、抵抗変化が起こらないような低い電圧を用いた読み出しのみを行った。
図3がその結果である。図3では、横軸は恒温槽での保持時間(累計)、縦軸は抵抗値である。いずれも対数でプロットしてある。
図3から分かるように、素子Aでは、恒温槽での保持時間が10分(0.17時間)で約4000Ωあった抵抗値が、100時間後には300Ω程度とほぼ1/10へと低下している。また、−0.6Vの電気パルスで書き戻しを行った素子Bも素子Aとほぼ同様の変化している。一方で、−0.7Vで書き戻した素子Cでは、恒温槽での10分間保持した時の抵抗値が約3000Ωと素子A及びBに比べ低いものの、抵抗値の低下が起こりにくい傾向がある事が分かる。そして、注目すべきは、恒温槽で保持時間が約1時間の付近で、素子A及びBの抵抗値に対して逆転が起こり、素子Aおよび素子Bよりも抵抗値が高くなることである。素子Cは、100時間後の抵抗値も約1kΩと、初期の抵抗に比較してほぼ1/3程度になっているだけであり、素子A及びBに比べ高い状態を保持している。すなわち、図3の結果は、−0.7Vの電圧で書き戻した素子Cの抵抗値(つまり記憶情報)の保持特性が素子B及びCに比べて非常に良いという事を示している。
ここで、上述の素子Cの抵抗設定時の抵抗変化を思い出してみると、−0.7Vを印加して書き戻した素子Cでは、−0.7Vの電圧を印加した際に、若干の抵抗値の減少が起こっていた。つまり、不揮発性記憶素子の中で状態の変化が起こっていたと考えられる。一方で、−0.6Vを印加して書き戻した素子Bでは、抵抗値はほとんど変化しておらず、不揮発性記憶素子の内部で状態はほとんど変化していなかったと考えられる。つまり、素子Aとほぼ同等の状態にあると考えられる。
これらの事実と図3の結果を踏まえると、次のような推論に到達する。すなわち、抵抗変化型の不揮発性記憶素子を第1高抵抗状態にする第2書き込み工程の後、第1高抵抗状態にするために第2書き込み工程で印加した電圧と逆極性であり、かつ、不揮発性記憶素子に若干の状態変化を生じさせる程度の大きさの電圧(本実施の形態では−0.7V)を続けて不揮発性記憶素子に印加することで第2高抵抗状態(低抵抗状態よりも抵抗値が高くかつ第1高抵抗状態よりも抵抗値が低い状態)へと変化させる書き戻し工程を実行する事で、不揮発性記憶素子の抵抗値の保持特性の改善が図れると考えられる。そして、この第2高抵抗状態と、低抵抗状態とに情報を関連付ける事で、保持特性の良好な2値の情報が記憶可能な不揮発性記憶素子が実現できる。
[書き戻しによるデータ保持特性改善のメカニズム]
次に、書き戻しを行って不揮発性記憶素子を第2高抵抗状態にする事で、データの保持特性がなぜ改善するかについて述べる。但し、現状では、上述の保持特性の改善のメカニズムについては確定的な結論を導出するまでには至っていないため、2つの可能性を述べるにとどめる。
まず最初に、本実施の形態で説明した抵抗変化型の不揮発性記憶素子の第1高抵抗状態と低抵抗状態の違いについて説明する。図4(a)は第1高抵抗状態、図4(b)は低抵抗状態の不揮発性記憶素子の断面模式図を示している。
まず、第1高抵抗状態というのは、図4(a)に示すように、第2の酸素不足型のTa酸化物層403中に、上部電極405と第1の酸素不足型のTa酸化物層402をつなぐような導通パスが存在していないような状態であると考えられる。上述のように、第2の酸素不足型のTa酸化物層403は、絶縁体であるTa25に近い組成を有しており、本来は抵抗が高い性質を持っている。それ故、下部電極401と上部電極405の間の抵抗は高くなる。
一方で低抵抗状態というのは、図4(b)に示すように、第2の酸素不足型のTa酸化物層403中に、微小導通パス(微小導通経路)406が存在し、上部電極405と第1の酸素不足型のTa酸化物層402が部分的にショートしたような状態になっていると考えられる。それ故に、下部電極401と上部電極405の間の抵抗は低くなる。おそらくこの微小導通パス406は、酸素が抜けた酸素空孔になっているか、還元によって金属的になった部分であると考えられる。
電気パルスの印加によって、図4(a)のような第1高抵抗状態と図4(b)のような低抵抗状態の間で遷移が起こるのは、酸素イオン404の移動に原因があると考えられる。
つまり、第1高抵抗状態から低抵抗状態へと変化する場合について考えると、この時は、図4(b)に示すように、上部電極405に下部電極401に対して負の電圧を印加する。すると、これによって生じる電界によって、第2の酸素不足型のTa酸化物層403から第1の酸素不足型のTa酸化物層402へと、酸素イオン404が引き抜かれ、その結果、微小導通パス406が形成されるのである。
逆に、低抵抗状態から第1高抵抗状態へと変化する場合は、図4(a)に示すように、上部電極405に下部電極401に対して正の電圧を印加するが、この時、電界によって、第1の酸素不足型のTa酸化物層402から第2の酸素不足型のTa酸化物層403へと、酸素イオン404が注入され、その一部が、微小導通パス406を酸化して、微小導通パス406が酸化されて消失し、その結果、高抵抗化するのである。
なお、微小導通パス406のサイズはそれほど大きくないと考えられ(断面を透過型電子顕微鏡で観察しても見えない程度の大きさ)、微小導通パスの酸化に消費される酸素イオンはそれほど多くないと考えられる。つまり、第1高抵抗状態において、第2の酸素不足型のTa酸化物層403には、過剰な酸素イオンが注入されたままになっていると考えられる。
以上のような抵抗変化のメカニズムに基づいて、本発明の書き戻しによる抵抗値の保持特性の向上のメカニズムを考えた。
まず、酸素イオンの存在に注目し、第2の酸素不足型のTa酸化物層403の状態を考察してみる。上述のように、図4(a)の第1高抵抗状態にある試料の第2の酸素不足型のTa酸化物層403内には、酸素イオン404が過剰に注入された状態にあると考えられる。この場合、第2の酸素不足型のTa酸化物層403を形成するTaOxの結合ボンドは過剰に注入された酸素イオン404によって歪んだ状態にあると考えられる、このような状態の結晶は一般的に熱に対してもろいと考えられる。それ故、加熱によって第2の酸素不足型のTa酸化物層403中に欠陥が形成されやすくなる。これが微小導通パス406となるのである。
しかしながら、下部電極401に正の電圧を印加し、上部電極405に負の電圧を印加して、書き戻しを行うと、図4(c)に示すように、この過剰な酸素イオンが電界によって第1の酸素不足型のTa酸化物層402へと吐き出され、第2高抵抗状態になる(このとき、部分的に不完全な微小導通パス407が形成されて抵抗は下がる)。すると、第2の酸素不足型のTa酸化物層403を形成するTaOxは安定化し、熱耐性が高い状態となる。すると、加熱によっても微小導通パスが形成されにくいと考えられる。
以上のような理由により、ただ単に第1高抵抗状態とした図4(a)の状態よりも、第2高抵抗状態まで書き戻しを行った図4(c)の状態の方が、データ保持特性(リテンション特性)が向上すると考えられる。
もう1つの可能性は、酸素イオン濃度の勾配の影響である。第1高抵抗状態である図4(a)では、第2の酸素不足型のTa酸化物層403の酸素イオン濃度が高く、第1の酸素不足型のTa酸化物層402の酸素濃度が低い状態になっている。このような状態で試料に熱をかけると、酸素イオン濃度の勾配によって、酸素イオンが第2の酸素不足型のTa酸化物層403から第2の酸素不足型のTa酸化物層402へと拡散し易い。すると、酸素イオンの離脱によって、微小導通パス406が形成され易い。
他方、書き戻しを行った図4(c)の第2高抵抗状態では、図4(a)の第1高抵抗状態に比べて、第2の酸素不足型のTa酸化物層403内の酸素イオン濃度が低く、第1の酸素不足型のTa酸化物層402の酸素濃度が高い状態になっている。このような状況では、酸素イオンの拡散が起こりにくく、当然ながら、微小導通パス406は形成されにくい。それ故、書き戻しを行った図4(c)の第2高抵抗状態の方が、データ保持特性が良いと考えられる。
本実施の形態で説明した不揮発性記憶素子は、酸素不足型のTa酸化物を抵抗変化層に用いた例を説明しているが、上述した書き戻しのメカニズムは、Ta以外の酸素不足型の酸化物を抵抗変化層に用い、酸素濃度が異なる少なくとも2層の酸素不足型の酸化物層を有する不揮発性記憶素子にも適用可能であると考えられる。
つまり、Ta以外の金属酸化物を抵抗変化層に用いた不揮発性記憶素子で、かつ、異なる極性の電気パルスを電極に印加して抵抗変化を起こすような不揮発性記憶素子でも、上記で説明したような、メカニズムで説明される書き戻しの効果があると考えられる。
例えば、ハフニウム酸化物(Hf酸化物)やジルコニウム酸化物(Zr酸化物)等である。Hf酸化物の場合は、第1の酸素不足型のHf酸化物(HfOx)及び第2の酸素不足型のHf酸化物(HfOy)を有し、0.9≦x≦1.6、かつ1.8<y<2.0の組成を有し、第2の酸素不足型のHf酸化物層の膜厚は3〜4nmが望ましい。また、Zr酸化物の場合は、第1の酸素不足型のZr酸化物(ZrOx)及び第2の酸素不足型のZr酸化物(ZrOy)を有し、0.9≦x≦1.4、かつ1.9<y<2.0の組成を有し、第2の酸素不足型のZr酸化物層の膜厚は1〜5nmが望ましい。
また、遷移金属酸化物層は2層の積層のみならず、3層以上であっても構わない。最も酸素濃度の高い酸素不足型の遷移金属酸化物層が上部電極もしくは下部電極に接続されるように配置すれば、上述した実施の形態と同様の作用効果が期待できる。
[比較例]
上記のようなメカニズムに依れば、本発明のように書き戻しを行わずに、高抵抗化時に印加する電圧の大きさを調整する事によって、図4(c)のような状態を作りだせば良いとも考えられる。つまり、上記の例の場合、高抵抗化時に+1.7Vよりも小さな正の電圧を印加することによって、低抵抗状態から直接、書き戻し後と同等の第2高抵抗状態へと不揮発性記憶素子を設定すれば良いということである。しかしながらこのような方法によって高抵抗状態を作り出した場合、高抵抗状態の書き込み不足により高抵抗状態の再現性が悪くなるという別の課題が生じた。
比較例として、素子A〜Cと同等の不揮発性記憶素子を、高抵抗化時に印加する電圧を途中から小さくして抵抗変化させる実験を行った。図5がその結果である。図5で、電気パルスの印加回数が100回目までは、図2の例と同じく、+1.7Vの電気パルスと−1.3Vの電気パルスとを交互に印加して抵抗変化をさせている。この間、それぞれの電圧を印加した時に、抵抗値は約4〜5kΩと約100Ωの間で比較的安定に動作している。
その後、101回目に−1.3Vの電圧を印加して不揮発性記憶素子を低抵抗化させた後、102回目に高抵抗化電圧として、+1.7Vより0.2V低い電圧である+1.5Vを印加した。すると、高抵抗状態の抵抗値は小さくなって、図2(c)と同様に書き戻しを行った時と類似した状態(つまり、低抵抗状態よりも抵抗値が高くかつ第1高抵抗状態よりも抵抗値が低い状態)になった。不揮発性記憶素子の内部では、図4(c)のような状態になっていると考えられる。
しかしながら、102回目以降、+1.5Vと−1.3Vの電圧を印加し続けると、図5で分かるように、高抵抗状態の値が安定せず、最終的には、抵抗変化が起こらなくなってしまった。これは、高抵抗化に要する電圧が不十分なため、高抵抗化しなくなったと考えられる。この結果から、高抵抗化する電圧を調整して、図4(b)のような状態を作り出して情報を記憶するのは困難である事が分かる。それ故、本発明のように、一旦高い電圧を不揮発性記憶素子に印加して、第1高抵抗状態にし(第2書き込み工程)、その後、書き戻しによって、第2高抵抗状態へと変化させる(書き戻し工程)という操作が必要になると考えられる。
なお、上記の実施の形態で説明したTa酸化物を使った抵抗変化型の不揮発性記憶素子では、第1の酸素不足型のTa酸化物層104の酸素含有率は58atm%であり、膜厚は約50nmとしたがこれに限定されない。また、第2の酸素不足型のTa酸化物層105の酸素含有率及び膜厚は上述の値に限定される事はない。また、本実施の形態では電極としてTaNとPtを用いたが、これに限定されず、金(Au)、イリジウム(Ir)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、銅(Cu)、タングステン(W)、ニッケル(Ni)等を用いてもよい。
さらに、この第2の酸素不足型のTa酸化物層105は、不揮発性記憶素子形成時に必ずしも設ける必要はなく、不揮発性記憶素子形成後に、強い電圧を下部電極103と上部電極107に印加する事で電気的に形成しても良い(フォーミングと呼ばれる操作)。
また、上記の実施の形態では、不揮発性記憶素子を低抵抗状態にする第1書き込み工程において不揮発性記憶素子に印加する第1電圧を−1.3V、不揮発性記憶素子を第1高抵抗状態にする第2書き込み工程において不揮発性記憶素子に印加する第2電圧を+1.7V、不揮発性記憶素子を第2高抵抗状態にする書き戻し工程において不揮発性記憶素子に印加する電圧を−0.7Vとしたが、これに限定されない。すなわち、これらの電圧値は、不揮発性記憶素子の構造等に依存して決定されるものである。
また、上記の結果では、合計100回の電気パルスを印加した後に書き戻しを行ったが、これはあくまで初期状態を揃えて評価するために行っただけであり、実際の不揮発性記憶素子の使用時には、1回の書き戻し工程の前に、必ず100回の第1及び第2書き込み工程を行う必要はない。
さらに、印加する電圧の極性もこれらに限定されない。すなわち、図1の不揮発性記憶素子において、第2の酸素不足型のTa酸化物層105を、下部電極103と第1の酸素不足型のTa酸化物層104の間に設けたような構造にすれば、上述の実施の形態で説明した電圧と逆極性の電圧印加で抵抗変化が起こる。すなわち、そのような構造の不揮発性記憶素子は、負電圧を印加して高抵抗化し、正電圧を印加して低抵抗化するような変化を示す。
この場合、第2高抵抗状態は、不揮発性記憶素子に負電圧を印加して一旦第1高抵抗状態にし、その後、引き続いて正電圧を印加する書き戻しにより設定される。そのようにして設定した第2高抵抗状態と、正電圧を印加することで設定した低抵抗化状態とを使って情報の記憶を行えば良い事になる。
(第2の実施の形態)
第1の実施の形態では、一旦、正の電圧を不揮発性記憶素子に印加して第1高抵抗状態に変化させた後、最適な状態に調整した大きさの負の電圧を不揮発性記憶素子に直接的に印加して書き戻す方法について説明した。本実施の形態では、この書き戻しを行う際に、不揮発性記憶素子に負荷抵抗を接続して電圧を印加する方法について説明する。なお、以下で説明する不揮発性記憶素子は、第1の実施の形態で用いたものと全く同じ方法で作製したものである。
[抵抗値の設定]
本実施の形態では、2つの不揮発性記憶素子を用意した。以下、これらの不揮発性記憶素子を、素子D及び素子E呼ぶ。第1の実施の形態と同じく、いずれの不揮発性記憶素子も、初期状態を揃える目的で、+1.7V(第2電圧)の電圧パルスの印加による第2書き込み工程と、−1.3V(第1電圧)の電気パルスの印加によるの第1書き込み工程を、交互に、それぞれ50回ずつ、計100回行った。このとき、電気パルスは不揮発性記憶素子に直接印加した。これの抵抗変化様子を図6(a)と(b)に示す(この図でも80回未満の変化の状態は省略している)。
図6(a)は素子Dの抵抗変化の様子であり、+1.7Vを印加した時に抵抗値は約10kΩとなり、−1.3Vを印加した時には約100Ωとなっている。他方、図6(b)に示した素子Eの抵抗値は、+1.7Vを印加した時に抵抗値は約5kΩであり、−1.3Vを印加した時には約200Ωであった。これらの素子Dと素子Eの抵抗値の違いは不揮発性記憶素子のばらつきを反映したものであり、基本的な特性は両者の間で違いはない。
そして、素子Dには、101回目に不揮発性記憶素子701に2.2kΩの大きさの負荷抵抗を直列に接続して、−1.3V(負荷抵抗を加えずに低抵抗化させる場合の電圧と同じ大きさ)の電圧を印加して書き戻しを行った。すると、抵抗値が11194Ωから1408Ω(この値及び図6(a)の101回目の点の抵抗値は、2.2kΩの負荷抵抗を差し引いた素子D単体の抵抗値である)へと減少した。また、素子Eでは、5kΩの負荷抵抗を直列に接続し、−1.3Vの電圧を印加して書き戻しを行った。この時、抵抗値は5650Ωから3187Ω(この値も負荷抵抗を差し引いた値)へと減少した。
上記の抵抗を設定する際の操作を、図7を使ってもう少し詳しく説明すると、100回目までの電気パルスを印加する際には端子705及び端子706を使って不揮発性記憶素子701に直接的に+1.7Vと−1.3Vを交互に印加し、101回目には端子703と端子704を使って負荷抵抗702と不揮発性記憶素子701に−1.3Vを印加した事に相当する。そして抵抗値の測定は、端子705と端子706の間に50mVの電圧を印加して測定を行った事に相当する。
[抵抗値の保持特性]
以上のような方法で抵抗値を設定した素子E及びDのデータ保持特性の評価を行った。
評価方法は第1の実施の形態で説明した方法と同様で、210℃の恒温槽に不揮発性記憶素子を保持してデータ保持特性の劣化を加速させて評価した。
図8にその結果を示す。なお、図8には、比較のために、+1.7Vを印加して高抵抗化させただけの素子Aの結果も同時に示している。この図を見ると、素子D及び素子Eの抵抗値は初期においては素子Aよりもかなり低いものの、恒温槽での保持時間が4〜5時間程度で、素子Aに対して逆転が起こり、素子Aよりも抵抗値が高くなっている。しかも、素子D及びEの抵抗値は、実験を行った時間の範囲ではほとんど抵抗値の劣化が生じていないことが見て取れる。すなわち、負荷抵抗を接続しつつ、負の電圧を印加して書き戻しを行った素子D及び素子Eは、素子Aに比べて抵抗値(つまり記憶情報)の保持特性が優れていると言える。
ここで、負荷抵抗を素子D及び素子Eに直列接続した状態で−1.3Vの電圧を印加した場合に、素子D及び素子Eにどの程度の電圧が印加されているかについて考えてみる。
まず、素子Dであるが、図6(a)に記入したように、100回目に負荷抵抗を接続せずに+1.7Vを印加した時の抵抗値が11.1kΩ(第1高抵抗状態)であった。この状態で2.2kΩの負荷抵抗を接続して、−1.3Vの電圧を印加した時、素子Dには約−1.1V(=−1.3V/(11.1kΩ+2.2kΩ)×11.1kΩ)の電圧が印加されていると見積もる事ができる。次に素子Dが抵抗変化を起こして1.4kΩ(第2高抵抗状態)になった時に、素子Dに印加されている電圧は約−0.5V(=−1.3V/(1.4kΩ+2.2kΩ)×1.4kΩ))と見積もる事ができる。すなわち、素子Dの抵抗値が高い場合には高い電圧が素子Dに印加され、抵抗が小さくなるに従って、素子Dに印加される電圧が低くなって、ある閾値(ここでは−0.5V)よりも小さくなった時点で抵抗変化が自動的に停止するような変化が起こっていたと考えられる。
このことから、本実施の形態の書き戻し工程で素子Dに印加された第3電圧は、−1.1V〜−0.5Vであることが分かる。
また、素子Eの場合は、−1.3Vを印加した時には約−0.7V(=−1.3V/(5.7kΩ+5.0kΩ)×5.7kΩ)が印加され、抵抗変化が終了した時には−0.5V(=−1.3V/(3.2kΩ+5.0kΩ)×3.2kΩ)で抵抗変化が終了したものと考えられる。
このことから、書き戻し工程で素子Eに印加された第3電圧は、−0.7V〜−0.5Vであることが分かる。
すなわち、素子D及びEでも、第1の実施の形態と同じく、第2電圧(+1.7V)の印加にて不揮発性記憶素子を第1高抵抗状態にさせる第2書き込み工程の直後に、第2電圧とは逆極性で、かつ、不揮発性記憶素子に抵抗変化を生じさせる程度の第3電圧(−1.1V〜−0.5V)の印加にて不揮発性記憶素子を第2高抵抗状態にする書き戻し工程を行う事によって、第2高抵抗状態によるデータ保持特性の向上が図れることがわかる。
加えて、負荷抵抗を不揮発性記憶素子と直列に接続することにより、書き戻し工程で印加する第3電圧の絶対値を大きめに設定しても、実際に不揮発性記憶素子に印加される電圧は、不揮発性記憶素子の抵抗値に応じて、自動的に調整され、過度の書き戻しによる読み出しマージンの減少を防止できる。
実際に不揮発性記憶素子として利用する場合には、上記の低抵抗状態と第2高抵抗状態とをそれぞれ"0"と"1"の論理情報に対応させれば良い。この時、端子705が図1の下部電極103に接続されており、端子706が上部電極107に接続されているとした時、不揮発性記憶素子701を低抵抗状態にするには、端子705を基準にして端子706に負の電圧を印加することにより不揮発性記憶素子を低抵抗状態の抵抗値に設定すれば良い。また、第2高抵抗状態にする場合は、端子705を基準にして端子706に正の電圧を印加することにより不揮発性記憶素子701を一旦第1高抵抗状態にした後、端子703を基準にして端子704に負の電圧を印加することにより不揮発性記憶素子701を第2高抵抗状態の抵抗値に設定すれば良い。なお、抵抗値の読み出しはいずれも端子705と端子706の間に、不揮発性記憶素子701の抵抗変化が起こらない程度の微小電圧を印加して行えば良い。
なお、上述の第2の実施の形態では、書き戻しを行う時に接続する負荷抵抗の大きさを5kΩと2.2kΩとしたが、これには限定されない。
さらに、書き戻しの方法は上記の第1及び第2の実施の形態で説明した方法だけに限定だれるものではない。本発明の最も重要なポイントは、一旦高抵抗化させた不揮発性記憶素子を逆極性の弱い電圧で書き戻すという操作にある。
例えば、図9のように不揮発性記憶素子901にトランジスタ902を接続したような回路において書き戻しを行っても良い。つまり、このトランジスタ902のゲート電圧を調整する事で、トランジスタ902の抵抗値を変化させ、結果として不揮発性記憶素子901への印加電圧を調整しても良い。
この場合、抵抗値の設定及び読み出しは次のようにして行う事ができる。まず不揮発性記憶素子901を低抵抗状態にする第1書き込み工程では、トランジスタ902を低抵抗(ON)状態にしておいた上で、端子903を基準にして端子904に第1の極性を有する電圧を印加するか、もしくは、端子905と端子906を使って不揮発性記憶素子901に直接的に第1電圧を印加する。
次に、不揮発性記憶素子901を第1高抵抗状態にする第2書き込み工程では、トランジスタ902を低抵抗状態にしておいた上で、端子903を基準にして端子904に第1の極性とは逆の第2の極性を有する電圧を印加するか、端子905と端子906を使って不揮発性記憶素子901に直接的に第2電圧を印加する。
その後、書き戻し工程では、トランジスタ902を高抵抗状態にして端子903を基準にして端子904に第1の極性を有する電圧を印加して、第2高抵抗状態を実現する。書き戻し工程において不揮発性記憶素子901とトランジスタ902とによる分圧として不揮発性記憶素子901に印加される第3電圧の大きさ(絶対値)は、第1書き込み工程において不揮発性記憶素子901に印加される第1電圧の大きさより小さい。
抵抗値の読み出しは、トランジスタ902を低抵抗状態にしておいた上で端子903と端子904間に微小電圧を印加して行うか、もしくは端子905と端子906間に微小電圧を印加して行う。
(第3の実施の形態)
次に、第1及び第2の実施の形態で説明した、第1書き込み工程、第2書き込み工程、及び書き戻し工程を含む不揮発性記憶素子の駆動方法を実行する不揮発性記憶装置について説明する。
図10はそのような不揮発性記憶装置の機能的な構成の一例をに示すブロック図である。図10に示されるように、不揮発性記憶装置200は、駆動回路201およびメモリセルアレイ202から構成される。
駆動回路201は、列選択回路203、センスアンプ204、データ入出力回路205、書き込み回路206、行ドライバ207、行選択回路208、アドレス入力回路209、制御回路210、及び書き込み用電源211を有している。
書き込み用電源211は、第1電源212、第2電源213、及び第3電源214を有している。
メモリセルアレイ202は、複数のメモリセルをマトリクス状に配列してなる。図10では、1つのメモリセルとして、1つの不揮発性記憶素子(R11〜R34、・・・)と1つの選択トランジスタ(N11〜N34、・・・)とを直列に接続してなる、いわゆる1T1R型のメモリセルが例示されているが、このメモリセルは1T1R型に限定されるものではなく、例えば1つの不揮発性記憶素子と1つのダイオードとが直列に接続されてなる、いわゆる1D1R型のメモリセルであってもよい。
不揮発性記憶素子(R11〜R34、・・・)には、第1または第2の実施の形態にて説明した不揮発性記憶素子を用いる。図10の回路図は、不揮発性記憶素子(R11〜R34、・・・)の上部電極及び下部電極のいずれか一方が、ビット線(BL0〜BL3、・・・)の対応する1つと電気的に接続されており、上部電極及び下部電極の他方が、選択トランジスタ(N11〜N34、・・・)を介してソース線(SL0、SL2、・・・)の対応する1つと電気的に接続されていることを表している。ここで、ソース線(SL0、SL2、・・・)が第1配線の一例であり、ビット線(BL1〜BL3、・・・)が第2配線の一例である。なお、隣接する2つのメモリセルの不揮発性記憶素子は、選択トランジスタを介して、同じソース線に電気的に接続されている。
列選択回路203は、アドレス入力回路209に入力されたアドレス信号に従って、選択されるべきメモリセルに接続されたビット線を選択する。
行選択回路208は、アドレス入力回路209に入力されたアドレス信号に従って、選択されるべきメモリセルに接続されたソース線を選択するとともに、選択されるべきメモリセルに接続されたワード線に選択トランジスタをオンさせるための活性化信号を供給する。
データ入出力回路205は、図示しない外部の回路から、不揮発性記憶素子に書き込むべきデータを表す入力データ信号を受け取り、また不揮発性記憶素子から読み出されたデータを表す出力データ信号を外部の回路へ出力する。
第1電源212は、選択されたメモリセルの不揮発性記憶素子の下部及び上部電極間に第1の極性の第1電圧を印加して不揮発性記憶素子を低抵抗状態にするために、選択されたビット線と選択されたソース線との間に供給されるべき電圧を生成する。
第2電源213は、選択されたメモリセルの不揮発性記憶素子の下部及び上部電極間に第2の極性の第2電圧を印加して不揮発性記憶素子を低抵抗状態よりも抵抗値が高い第1高抵抗状態にするために、選択されたソース線と選択されたビット線との間に供給されるべき電圧を生成する。
ここで、具体的に、不揮発性記憶素子の下部電極が選択トランジスタを介してソース線と電気的に接続され、上部電極がビット線と電気的に接続されている構成において、第1及び第2の実施の形態で述べたような電圧の印加を行う場合、第1の極性はソース線(下部電極)を基準としてビット線(上部電極)が負の電圧となる極性であり、第2の極性はソース線(下部電極)を基準としてビット線(上部電極)が正の電圧となる極性である。
第3電源214は、選択されたメモリセルの不揮発性記憶素子の下部及び上部電極間に第1の極性の第3電圧を印加して不揮発性記憶素子を第2高抵抗状態にするために、選択されたビット線と選択されたソース線との間に印加されるべき電圧を生成する。
第3電圧の絶対値は第1電圧の絶対値よりも小さく、第2高抵抗状態の抵抗値は低抵抗状態の抵抗値よりも大きくかつ第1高抵抗状態の抵抗値よりも小さい。
第3電源214には、第2の実施の形態の図7や図9にて説明したように、不揮発性記憶素子と直列に接続される負荷抵抗または抵抗調整用のトランジスタが挿入されていてもよい。第3電源214内で発生する電圧は、不揮発性記憶素子と負荷抵抗とを含む直列回路に印加される。
このような構成では、第3電源214内で大き目の書き戻し用の電圧を発生しても、実際に不揮発性記憶素子に印加される第3電圧は、第3電源214に挿入された負荷抵抗または抵抗調整用のトランジスタによって、不揮発性記憶素子の抵抗値に応じて、自動的に調整され、過度の書き戻しによる読み出しマージンの減少を防止できる。
制御回路210は、入力されるコントロール信号に応じて書き込み用電源211を制御し、第1電源212及び第2電源213は、それぞれ不揮発性記憶素子を低抵抗状態にするための電圧及び不揮発性記憶素子を第1高抵抗状態にするための電圧を生成する。生成された電圧は、書き込み回路206および列選択回路203と行ドライバ207とを介して、選択されたビット線と選択されたワード線との間に供給される。これにより、第1書き込み工程および第2書き込み工程が行われる。
なお、入力データ信号が複数のビットデータを表す場合、複数のビット線が同時に選択され、各選択されたビット線には、第1電源212で生成された電圧及び第2電源213で生成された電圧のうち、入力データ信号の対応するビットデータに応じた一方が供給されてもよい。この場合、書き込み動作をワード単位で行ってもよい。
制御回路210は、これに加えて、不揮発性記憶素子が第1高抵抗状態にあるメモリセルを選択し、選択されたメモリセルの不揮発性記憶素子を第2高抵抗状態にするための電圧を第3電源214に生成させる。生成された電圧は、書き込み回路206および列選択回路203と行ドライバ207とを介して、選択されたビット線と選択されたワード線との間に供給される。これにより、書き戻し工程が行われる。
なお、図10に示される書き込み用電源211の構成は、ソース線を基準にした電圧を明示するための模式的な一例である。書き込み用電源211は、書き込み回路206および列選択回路203と行ドライバ207とを介して、選択されたソース線と選択されたビット線との間に、第1書き込み工程、第2書き込み工程、及び書き戻し工程にそれぞれ対応する極性および大きさの電圧を印加できるものであればよく、具体的な回路構成は図10に限定されない。
このように構成された不揮発性記憶装置200によれば、不揮発性記憶素子の低抵抗状態を第1の論理情報に対応付け、不揮発性記憶素子の第2高抵抗状態を第2の論理情報に対応付けて情報を保持することができるので、保持特性の良好な2値の情報が記憶可能な不揮発性記憶素子が実現できる。
不揮発性記憶素子に保持されているデータ(抵抗状態)の読み出しは、図示しない読み出し用電源から、選択されたメモリセルへ、不揮発性記憶素子の抵抗状態を変化させない程度の小さな電圧を供給し、その際に流れる電流をセンスアンプ204で測定することにより行われる。
例えば、第2高抵抗状態と低抵抗状態との間の抵抗値に対応するしきい値電流を予め定めておき、測定された電流としきい値電流との比較により、不揮発性記憶素子に第1データ及び第2データのいずれが保持されているかを判定してもよい。
次に、書き戻し工程を実行するためのいくつかの方法を、詳細に例示する。
制御回路210は、書き戻し工程を、第2書き込み工程に引き続いて毎回行うように制御してもよいし、不揮発性記憶装置200への電源の遮断前あるいはスタンバイ状態(不揮発性記憶装置の一部の回路への電源供給が制限され、不揮発性記憶装置としては休止している状態)への移行前に不揮発性記憶素子が第1高抵抗状態にあるメモリセルに対して1回だけ行うように制御してもよい。なお、上記書き戻し工程は、不揮発性記憶装置200への電源の遮断前とスタンバイ状態への移行前の両方において、不揮発性記憶素子が第1高抵抗状態にあるメモリセルに対して1回だけ行うように制御してもよい。また、電源の遮断、あるいはスタンバイ状態への移行は、例えば、不揮発性記憶装置200を利用している外部の回路(例えば、図示しない中央処理装置)から、コントロール信号にて制御回路210へ通知されてもよい。
書き戻し工程を第2書き込み工程の後に毎回行う構成では、制御回路210が行う制御が簡単になり、チップサイズが小さくできるが、毎回の高抵抗化処理に要する時間は長くなる。この構成は、例えば、速度性能よりも小型化への要請が強い携帯機器用の不揮発性記憶装置に好適である。
他方、電源の遮断前あるいはスタンバイ状態に移行する前に1回だけ書き戻し工程を行うような構成では、毎回の第1書き込み工程に要する時間は増加せずに済むというメリットがある。この構成は、例えば、定期的に電源の遮断またはスタンバイ状態への移行が行われる家庭用コンピュータ用の不揮発性記憶装置に好適である。
また、制御回路210は、電源の遮断前あるいはスタンバイ状態に移行前に書き戻し工程を行う場合、第1高抵抗状態にある不揮発性記憶素子を検出して、検出された不揮発性記憶素子のみに対して書き戻し工程を行ってもよいし、全ての不揮発性記憶素子に対して抵抗状態に関係なく書き戻し工程を行ってもよい。低抵抗状態にある不揮発性記憶素子に対し書き戻し工程を行っても、抵抗状態は変わらず、信頼性も含めて悪影響がないことは確認済みである。
全ての不揮発性記憶素子に対して書き戻し工程動作を行うように制御回路210および周辺回路を設計する場合、制御回路210等は簡単化できるが、全体の書き戻し工程に要する時間は長くなる。一方、第1高抵抗状態の不揮発性記憶素子のみに書き戻し工程を行うに設計する場合、全体の書き戻し工程に要する時間を短くすることができる可能性がある。
さらに、制御回路210は、書き戻し工程を、不揮発性記憶装置200がアイドル状態(不揮発性記憶装置としては動作しているが、不揮発性記憶素子に対して書き込みも読み出しも行われていない状態)にあるときに実行してもよい。書き込み動作も読み出し動作も行われていない時間を利用して書き戻し工程を行うことにより、全体的に書き戻し工程を効率的に行うことができる。この構成は、例えば、常時電源の供給を受けて稼動し続けるサーバコンピュータ用の不揮発性記憶装置に好適である。
なお、不揮発性記憶装置200がアイドル状態にあることは、制御回路210が書き込み動作や読み出し動作の実行状況に基づいて判断できる。
上記のように構成された不揮発性記憶装置200の動作の一つの典型例として、制御回路210が、電源の遮断前あるいはスタンバイ状態に移行前に、第1高抵抗状態にある不揮発性記憶素子のみに書き戻し工程を行う場合を説明する。
図11は、不揮発性記憶装置200の動作の流れの一例を示すフローチャートである。図11に示されるように、不揮発性記憶装置200は、制御回路210の制御下で、第1書き込み工程と第2書き込み工程とを行う(S01、S02)。その後、制御回路210は、電源の遮断またはスタンバイ状態への移行を通知するコントロール信号を受信すると(S03)、第1高抵抗状態にある不揮発性記憶素子を検出して(S04)、検出された不揮発性記憶素子を対象として書き戻し工程を実行する(S05)。
ここで、第1高抵抗状態にある不揮発性記憶素子は、例えば、第1高抵抗状態の抵抗値と第2高抵抗状態の抵抗値との間にしきい値抵抗を定めておき、不揮発性記憶素子から読み出された抵抗値としきい値抵抗との比較により検出してもよい。また、第1高抵抗状態にある不揮発性記憶素子を検出するステップ(S04)を実行せずに全ビットに対して書き戻し工程(S05)を実行してもよい。
なお、上述した実施の形態においては、抵抗変化層としての遷移金属酸化物としては、タンタル酸化物、ハフニウム酸化物、ジルコニウム酸化物の場合について説明したが、上下電極間に挟まれる遷移金属酸化物層としては、抵抗変化を発現する主たる抵抗変化層として、タンタル、ハフニウム、ジルコニウム等の酸化物層が含まれていればよく、これ以外に例えば微量の他元素が含まれていても構わない。抵抗値の微調整等で、他元素を少量、意図的に含めることも可能であり、このような場合も本発明の範囲に含まれるものである。また、スパッタリングにて抵抗膜を形成した際に、残留ガスや真空容器壁からのガス放出などにより、意図しない微量の元素が抵抗膜に混入することがあるが、このような微量の元素が抵抗膜に混入した場合も本発明の範囲に含まれることは当然である。
本発明の不揮発性記憶素子の駆動方法は、デジタル家電、メモリカード、携帯型電話機、およびパーソナルコンピュータなどの種々の電子機器に用いられる不揮発性記憶素子へ応用が可能である。
100 不揮発性記憶素子
101 基板
102 酸化物層
103 下部電極
104 第1の酸素不足型Ta酸化物層
105 第2の酸素不足型Ta酸化物層
106 抵抗変化層
107 上部電極
200 不揮発性記憶装置
201 駆動回路
202 メモリセルアレイ
203 列選択回路
204 センスアンプ
205 データ入出力回路
206 書き込み回路
207 行ドライバ
208 行選択回路
209 アドレス入力回路
210 制御回路
211 書き込み用電源
212 第1(低抵抗状態設定用)電源
213 第2(第1高抵抗状態設定用)電源
214 第3(第2高抵抗状態設定用)電源
401 下部電極
402 第1の酸素不足型Ta酸化物層
403 第2の酸素不足型Ta酸化物層
404 酸素イオン
405 上部電極
406 微小導通パス
407 不完全な微小導通パス
701 不揮発性記憶素子
702 負荷抵抗
703〜706 端子
901 不揮発性記憶素子
902 トランジスタ
903〜906 端子
本発明は、不揮発性記憶素子に関し、特に、印加される電気的信号に応じて抵抗値が変化する抵抗変化型の不揮発性記憶素子の駆動方法に関する。
近年、デジタル技術の進展に伴い、携帯型情報機器および情報家電などの電子機器が、より一層高機能化している。そのため、不揮発性記憶素子の大容量化、書き込み電力の低減、書き込み/読み出し時間の高速化、および長寿命化の要求が高まっている。
こうした要求に対して、既存のフローティングゲートを用いたフラッシュメモリの微細化には限界があると言われている。そこで、最近、抵抗変化層を記憶部の材料として用いた新たな抵抗変化型の不揮発性記憶素子に注目が集まっている。
この抵抗変化型の不揮発性記憶素子は、下部電極と上部電極との間に、両電極と接するように抵抗変化層を設けた非常に単純な構造で構成される。そして、この上下の電極間にある閾値以上の大きさの電圧を有する所定の電気的パルスを与えるだけで、抵抗が高抵抗状態もしくは低抵抗状態に変化する。そして、これらの異なる抵抗状態と数値とを対応させて情報の記録を行うのである。抵抗変化型の不揮発性記憶素子はこのような構造上及び動作上の単純さから、さらなる微細化や低コスト化が可能であると期待されている。さらに、高抵抗と低抵抗との状態変化が100nsec以下のオーダーで起こる場合もある事から、高速動作という観点からも注目を集めており、種々の提案が成されている。
最近、特に、抵抗変化層に金属酸化物を使った抵抗変化型の不揮発性記憶素子に関する提案が多くなされている。このような金属酸化物を使った抵抗変化型の不揮発性記憶素子は、抵抗変化層に用いる材料によって大きく2種類に分類される。一つは、特許文献1等に開示されているペロブスカイト材料(Pr(1-x)CaxMnO3(PCMO)、LaSrMnO3(LSMO)、GdBaCoxy(GBCO)等)を抵抗変化層として用いた抵抗変化型の不揮発性記憶素子である。
もう一つは、遷移金属と酸素のみから構成された化合物である、2元系の遷移金属酸化物を用いた抵抗変化型の不揮発性記憶素子である。2元系の遷移金属酸化物は、上述のペロブスカイト材料と比較して、組成における構造が非常に単純であるため、製造時の組成制御および成膜が比較的容易である。その上、半導体製造プロセスとの整合性も比較的良好であるという利点もあり、最近、特に精力的に研究がなされている。
例えば、特許文献2では、抵抗変化材料として、ニッケル(Ni)、ニオブ(Nb)、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)、コバルト(Co)、鉄(Fe)、銅(Cu)、クロム(Cr)等の遷移金属の化学量論的組成の酸化物、及び、酸素が化学量論的組成から不足した酸化物(以下、酸素不足型の酸化物と呼ぶ)を抵抗変化材料として使った不揮発性記憶素子が開示されている。さらに、特許文献3では、酸素不足型のタンタル(Ta)の酸化物を抵抗変化材料として使った不揮発性記憶素子も開示されており、Ta酸化物層をTaOxと表した時、0.8≦x≦1.9(酸素濃度に換算して、44.4%から65.5%)を満足する範囲において抵抗変化現象が報告されている。
ここで酸素不足型の酸化物をもう少し詳しく説明する。例えば、Taの場合、化学量論的組成を有する酸化物として、Ta25が知られている。このTa25では、Ta原子とO原子が2:5の割合で含まれており、酸素含有率で表現すると71.4atm%である。この酸素含有率71.4atm%よりも酸素含有率が低くなった状態の酸化物を酸素不足型の酸化物と呼ぶ。なお、この例の場合、Taの酸化物であるので、酸素不足型のTa酸化物と表現できる。
特開2005−340806号公報 特開2006−140464号公報 国際公開第2008/059701号
不揮発性記憶素子は、情報を電気的に記憶した後、電源を切っても情報が消失(揮発)せず、保持されるような性質を有した素子である。それ故に、不揮発性記憶素子に要求される最も重要な特性の1つは高い情報の保持特性である。つまり、不揮発性記憶素子には、一旦書き込んだ情報が劣化する事無く、ある程度の長期間にわたって保持される能力が必要とされる。この情報の保持能力は高ければ高い程望ましい。しかしながら一般にどのような不揮発性記憶素子でも、ある有限の時間内に記憶情報が揮発してしまうのは避けられない。
本発明に関する抵抗変化型の不揮発性記憶素子も例外ではなく、一旦記憶させた情報が時間の経過とともに徐々に揮発してしまう性質がある。抵抗変化型の不揮発性素子おける情報の揮発は、設定した抵抗値の経時変化によって生じる。つまり、高抵抗状態が低抵抗状態へ、もしくは低抵抗状態が高抵抗状態へと変化する事で記憶情報が揮発する。特に、前者の高抵抗状態に設定した不揮発性記憶素子の抵抗値が時間の経過とともに、低下していくような情報の揮発現象が起こりやすい。
しかしながら、抵抗変化型の不揮発性記憶素子では、このような変化が起こる原因は解明されておらず、記憶させた情報の保持状態にある不揮発性記憶素子の抵抗状態の変化を抑制する方法についても開示されていないのが現状である。
本発明では、上記のような課題に鑑み、抵抗変化型の不揮発性素子の情報の保持特性を向上させる、情報の書き込み方法を提案することを目的とする。
本発明の不揮発性記憶素子の駆動方法は、第1電極と、第2電極と、前記第1及び第2電極間に介在させ、前記第1及び第2電極と接するように設けられた抵抗変化層とを有し、前記第1及び第2電極間に与えられる極性の異なる電気的信号に基づいて、前記抵抗変化層の抵抗状態が可逆的に変化し、前記抵抗変化層は酸素不足型の遷移金属酸化物層を含んでいる不揮発性記憶素子の駆動方法であって、前記第1及び第2電極間に第1の極性を有する第1電圧を印加することにより、前記抵抗変化層を、第1の論理情報を表す低抵抗状態にする第1書き込み工程と、前記第1及び第2電極間に前記第1の極性とは異なる第2の極性を有する第2電圧を印加することにより、前記抵抗変化層を前記低抵抗状態よりも抵抗値が高い第1高抵抗状態にする第2書き込み工程と、前記第2の書き込み工程の後、前記第1及び第2電極間に前記第1の極性を有しかつ電圧の絶対値が前記第1電圧より小さい第3電圧を印加することにより、前記抵抗変化層を、前記低抵抗状態よりも抵抗値が高くかつ前記第1高抵抗状態よりも抵抗値が低い、前記第1の論理情報とは異なる第2の論理情報を表す第2高抵抗状態にする書き戻し工程と、を含む。
また、前記書き戻し工程において、前記不揮発性記憶素子は負荷抵抗と直列に接続されて直列回路を構成し、前記直列回路に前記第1の極性を有する電圧を印加することにより、前記不揮発性記憶素子の前記第1及び第2電極間に前記第3電圧に相当する分圧を印加してもよい。
また、前記書き戻し工程において、前記不揮発性記憶素子は前記負荷抵抗としてのトランジスタのチャンネルと直列に接続されて前記直列回路を構成し、前記トランジスタのゲートに所定の電圧を印加することで前記トランジスタのチャンネル抵抗を所定の抵抗値にした状態で、前記直列回路に前記第1の極性を有する電圧を印加することにより、前記不揮発性素子の前記第1及び第2電極間に前記第2電圧に相当する分圧を印加してもよい。
また、本発明の不揮発性記憶装置は、第1電極と、第2電極と、前記第1及び第2電極間に介在させ、前記第1及び第2電極と接するように設けられた抵抗変化層とを有し、前記第1及び第2電極間に与えられる極性の異なる電気的信号に基づいて、前記抵抗変化層の抵抗状態が可逆的に変化し、前記抵抗変化層は酸素不足型の遷移金属酸化物層を含んでいる不揮発性記憶素子と、駆動回路と、を備え、前記駆動回路は、前記第1及び第2電極間に第1の極性を有する第1電圧を印加することにより、前記抵抗変化層を、第1前記第1及び第2電極間にを表す低抵抗状態にする第1書き込み工程と、前記第1及び第2電極間に前記第1の極性とは異なる第2の極性を有する第2電圧を印加することにより前記抵抗変化層を前記低抵抗状態よりも抵抗値が高い第1高抵抗状態にする第2書き込み工程と、前記第2書き込み工程の後、前記第1及び第2電極間に前記第1の極性を有しかつ電圧の絶対値が前記第1電圧より小さい第3電圧を印加することにより、前記抵抗変化層を、前記低抵抗状態よりも抵抗値が高くかつ前記第1高抵抗状態よりも抵抗値が低い、前記第1前記第1及び第2電極間にとは異なる第2前記第1及び第2電極間にを表す第2高抵抗状態にする書き戻し工程と、を行う。
また、前記第1電極と前記第2電極とは、第1配線と第2配線とにそれぞれ電気的に接続されており、前記駆動回路は、前記第1書き込み工程において前記第1及び第2電極間に前記第1電圧を印加するための電圧を前記第1及び第2配線間に供給する第1電源と、前記第2書き込み工程において前記第1及び第2電極間に前記第2電圧を印加するための電圧を前記第1及び第2配線間に供給する第2電源と、前記書き戻し工程において前記第1及び第2電極間に前記第3電圧を印加するための電圧を前記第1及び第2配線間に供給する第3電源と、を有してもよい。
前記第3電源は、前記不揮発性記憶素子と直列に接続された負荷抵抗素子を有していてもよい。前記負荷抵抗素子は前記不揮発性記憶素子と直列に接続されたトランジスタであってもよい。
前記抵抗変化層は、酸素濃度の異なる少なくとも2層の酸素不足型の遷移金属の酸化物層から形成されており、酸素濃度の高い酸素不足型の遷移金属の酸化物層が前記第1電極もしくは前記第2電極に接触していてもよい。
前記遷移金属はタンタルであってもよい。
前記駆動回路は、前記書き戻し工程を、前記第2書き込み工程に引き続いて毎回行ってもよい。
また、前記駆動回路は、不揮発性記憶装置に対する電源の遮断前またはスタンバイ状態への移行前もしくはその両方において、前記書き戻し工程を行ってもよい。
また、前記不揮発性記憶装置は、複数の不揮発性記憶素子を備え、前記駆動回路は、電源遮断前に、前記複数の不揮発性記憶素子の中から前記第1高抵抗状態にある不揮発性記憶素子を検出し、前記検出された不揮発性記憶素子に対して前記書き戻し工程を行ってもよい。
また、前記第1高抵抗状態にある不揮発性記憶素子の検出は、前記第1高抵抗状態の抵抗値と第2高抵抗状態の抵抗値との間にしきい値を定めておき、前記不揮発性記憶素子から読み出された抵抗値と前記しきい値との比較により検出するようにしてもよい。
また、前記駆動回路は、前記不揮発性記憶装置がアイドル状態の時、前記書き戻し工程を行ってもよい。
本発明に係る不揮発性記憶素子の駆動方法、および本発明に係る不揮発性記憶装置によれば、書き込んだ情報の保持能力が向上する。
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る不揮発性記憶素子の構成を示す断面模式図である。 図2(a)〜(c)は、本発明の第1の実施の形態に係る不揮発性記憶素子の抵抗値とパルス印加回数との関係を示す図である。 図3は、本発明の第1の実施の形態に係る不揮発性記憶素子の抵抗値の210℃における抵抗値の保持特性を示す図である。 図4(a)〜(c)は、本発明の第1の実施の形態に係る不揮発性記憶素子へ電気的パルスを印加した際の不揮発性記憶素子内部の状況を説明する仮説の模式図である。 図5は、本発明の第1の実施の形態に係る不揮発性記憶素子の抵抗値とパルス印加回数との関係を示す図である。 図6(a)、(b)は、本発明の第2の実施の形態に係る不揮発性記憶素子の抵抗値とパルス印加回数との関係を示す図である。 図7は、本発明の第2の実施の形態に係る不揮発性記憶素子へ電圧を印加する際の回路図である。 図8は、本発明の第2の実施の形態に係る不揮発性記憶素子の抵抗値の210℃における抵抗値の保持特性を示す図である。 図9は、本発明の第2の実施の形態に係る不揮発性記憶素子へ電圧を印加する際の回路の変形例を示す図である。 図10は、本発明の第3の実施の形態に係る不揮発性記憶装置の回路構成例を示す図である。 図11は、本発明の第3の実施の形態に係る不揮発性記憶装置の動作の一例を示すフローチャートである。
(第1の実施の形態)
本発明の第1の実施の形態に係る不揮発性記憶素子の駆動方法について、図面を参照しながら説明する。
[不揮発性記憶素子の構成]
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る駆動方法に従って駆動される不揮発性記憶素子の一構成例を示した断面図である。
図1に示すように、本実施の形態の不揮発性記憶素子100は、基板101と、その基板101上に形成された酸化物層102と、その酸化物層102上に形成された下部電極103と、第1の酸素不足型の遷移金属酸化物層104および第1の酸素不足型の遷移金属酸化物層104より高い酸素濃度を有する第2の酸素不足型の遷移金属酸化物層105からなる抵抗変化層106と、上部電極107とを備えている。この不揮発性記憶素子100を駆動する場合は、外部の電源によって所定の条件を満たす電圧を下部電極103と上部電極107との間に印加する。
以下の実施の形態においては、遷移金属酸化物としてタンタルを用いたタンタル酸化物層を遷移金属酸化物層として用いた例を説明する。なお、以下には、タンタル酸化物層をTa酸化物層と略記する。
[不揮発性記憶素子の製造方法]
次に、本実施の形態の不揮発性記憶素子100の製造方法について説明する。
まず、単結晶シリコンである基板101上に、厚さ200nmの酸化物層102を熱酸化法により形成した。そして、下部電極103としての厚さ40nmの窒化タンタル(TaN)をスパッタリング法により酸化物層102上に形成した。
次に、下部電極103上に、第1の酸素不足型のTa酸化物層104を50nm堆積した。ここで第1の酸素不足型のTa酸化物は、Taターゲットをアルゴン(Ar)と酸素ガス(O2ガス)中でスパッタリングする事で形成した。なお、酸素不足型のTa酸化物を堆積する時の具体的なスパッタリング条件は、スパッタリングを開始する前のスパッタリング装置内の真空度(背圧)が7×10-4Pa程度であり、スパッタ時のパワーは250W、アルゴンガスと酸素ガスとをあわせた全ガス圧力は3.3Pa、酸素ガスの全ガスに対する分圧比は3.8%、基板の設定温度は30℃、成膜時間は7分とした。これにより、酸素含有率が約58atm%の第1の酸素不足型のTa酸化物層104が50nm堆積された。なお、この酸素不足型のTa酸化物をTaOxと表現した場合、酸素含有率58atm%とは、xでは1.38となる。
次に、第1の酸素不足型のTa酸化物層104の表面をプラズマ酸化装置で酸化し、約8nmの第2の酸素不足型のTa酸化物層105を形成した(なお、第2の酸素不足型のTa酸化物層105は不揮発性記憶素子の初期動作を安定化させる目的で設けたものであるが、不揮発性記憶素子作製後に電圧印加にて事後的に形成することもできるため、不揮発性記憶形成時に必ずしも設ける必要はない)。なお、この第2の酸素不足型のTa酸化物層の酸素含有率は、71atm%であり、TaOyと表現した場合のyでは2.47となった。すなわち化学量論的組成であるTaO2.5(Ta25)より、若干の酸素が欠損した状態になっており、第1の酸素不足型のTa酸化物層104よりも高抵抗の状態にある。
その後、第2の酸素不足型のTa酸化物層105上に、上部電極107として、白金(Pt)薄膜層をスパッタリングによって形成する。本実施の形態では、このPt薄膜層の膜厚を80nm堆積した。
以上のプロセスにより、酸素不足型のTa酸化物を使った抵抗変化層106を下部電極103と上部電極107で挟み込んだ形の不揮発性記憶素子100を作製した。
[抵抗値の設定]
上記のようにして作製した不揮発性記憶素子の下部電極103と上部電極107との間にパルス状の電圧を印加して抵抗変化を起こさせ、抵抗値を測定した。
この測定では、上部電極107の大きさが0.5μm×0.5μmの不揮発性記憶素子を用いた。抵抗変化を起こさせるために、下部電極103と上部電極107との間に、所定の電圧値を有し、幅が100nsecの電気パルスを印加した。また、不揮発性記憶素子の抵抗値は、抵抗変化のための電気パルスを印加した後、抵抗変化が起こらない程度の50mVの小さな電圧をさらに印加して流れる電流を測定して求めた。
なお、以下では、下部電極103と上部電極107との間の電圧の正負は、下部電極103を基準にして表現する。すなわち、下部電極103の電圧よりも上部電極107の電圧が高い場合の電圧は正で表現し、逆に、下部電極103の電圧よりも上部電極107の電圧が低い場合の電圧を負で表現する。
本実施の形態では、不揮発性記憶素子構造は全く同じ3つの素子を用意した。以下、これらの不揮発性記憶素子を、素子A、素子B、素子Cと呼ぶ。まず、いずれの素子も、素子の状態を揃える目的で、+1.7Vと−1.3Vの電気パルスを下部電極103と上部電極107間に、交互に、それぞれ50回ずつ、計100回印加した。そうすると、いずれも、+1.7Vを印加した時に、下部電極103と上部電極107間の抵抗値は高抵抗化し、−1.3Vを印加した時には低抵抗化するような抵抗変化が起こった。これらの抵抗変化の様子を図2(a)〜(c)に示す(なお、ここでは、最終の電圧印加の様子を分かり易くするために、80回目以降の電気パルスの印加による抵抗変化のみを示している)。
素子Aでは、図2(a)に示すように、+1.7Vを印加した時の下部電極103と上部電極107間の抵抗値は約5kΩ、−1.3Vを印加した時は約100Ωとなり、100回目に+1.7Vを印加した時の抵抗値は、5720Ωであった。素子Bでは、図2(b)に示すように、+1.7Vを印加した時は約4kΩ、−1.3Vを印加した時は約100Ωとなっており、100回目の電気パルスの印加により、抵抗値は3850Ωとなった。そして、素子Cでは、図2(c)に示すように、+1.7Vを印加した時は約5kΩ、−1.3Vを印加した時は約200Ωであり、100回目の電気パルスの印加で4650Ωとなった。なお、これらの抵抗値の違いは、不揮発性記憶素子の単純なばらつきに起因するものである。
以上のように、素子A〜Cをそれぞれ100回動作させて、不揮発性記憶素子の状態を揃えた後、素子Bと素子Cにはさらに、異なる1つの電気パルスを印加した。素子Bには、図2(b)に示すように、101回目に−0.6Vを印加した。この時、抵抗値は3850Ωから4137Ωへと微増したが、不揮発性記憶素子の状態には基本的に変化は起こっていないと考えられる。一方で、素子Cには図2(c)に示すように、101回目に−0.7Vを印加した。すると、抵抗値は、4650Ωから3187Ωへと減少した。本実施の形態で使用した不揮発性記憶素子は、負の電圧を印加する事によって低抵抗化する性質があるので、素子Cは若干の低抵抗化が起こった状態であると考えられる。
なお、以下では、一旦ある極性の電圧を印加して抵抗値を設定した後、引き続いて、逆極性の電圧を印加する操作を「書き戻し」と表現する。上記の例では、素子Bおよび素子Cに対し、+1.7Vの電圧を印加して一旦高抵抗化させ、その後、負の小さな電圧(−0.6V及び−0.7V)を印加したが、この負の電圧を印加する事を「書き戻し」と称する。
より詳細には、上記の例において−1.3V(第1電圧)の電気パルスの印加により、素子A〜Cを100Ω程度の低抵抗状態にする操作が本発明の第1書き込み工程の一例であり、+1.7V(第2電圧)の電気パルスの印加により、素子A〜Cを数千Ω程度の第1高抵抗状態にする操作が本発明の第2書き込み工程の一例である。
そして、第2書き込み工程の後、−0.7V(第3電圧)の電気パルスの印加により、素子Cを前記低抵抗状態よりも抵抗値が高くかつ前記第1高抵抗状態よりも抵抗値が低い3187Ωの第2高抵抗状態にする操作が本発明の書き戻し工程の一例である。
[抵抗値の保持特性]
以上のようにして用意した素子A〜Cの抵抗値の保持特性の評価を行った。なお、素子A〜Cの抵抗値は室温程度の温度では、10年以上もほとんど劣化が見られないような特性を有している。そこで、不揮発性記憶素子を210℃の恒温槽中に保持し、劣化を加速させて、保持特性の評価を行った。なお、抵抗値の測定は恒温槽から不揮発性記憶素子を取り出して室温で行った。
つまり、恒温槽での保持と、室温での測定を繰り返し行う事により、保持特性の評価を行った。また、保持特性の評価では、不揮発性記憶素子に対して更なる書き込みは行わず(すなわち、上記にて設定された抵抗値状態を維持)、抵抗変化が起こらないような低い電圧を用いた読み出しのみを行った。
図3がその結果である。図3では、横軸は恒温槽での保持時間(累計)、縦軸は抵抗値である。いずれも対数でプロットしてある。
図3から分かるように、素子Aでは、恒温槽での保持時間が10分(0.17時間)で約4000Ωあった抵抗値が、100時間後には300Ω程度とほぼ1/10へと低下している。また、−0.6Vの電気パルスで書き戻しを行った素子Bも素子Aとほぼ同様の変化している。一方で、−0.7Vで書き戻した素子Cでは、恒温槽での10分間保持した時の抵抗値が約3000Ωと素子A及びBに比べ低いものの、抵抗値の低下が起こりにくい傾向がある事が分かる。そして、注目すべきは、恒温槽で保持時間が約1時間の付近で、素子A及びBの抵抗値に対して逆転が起こり、素子Aおよび素子Bよりも抵抗値が高くなることである。素子Cは、100時間後の抵抗値も約1kΩと、初期の抵抗に比較してほぼ1/3程度になっているだけであり、素子A及びBに比べ高い状態を保持している。すなわち、図3の結果は、−0.7Vの電圧で書き戻した素子Cの抵抗値(つまり記憶情報)の保持特性が素子B及びCに比べて非常に良いという事を示している。
ここで、上述の素子Cの抵抗設定時の抵抗変化を思い出してみると、−0.7Vを印加して書き戻した素子Cでは、−0.7Vの電圧を印加した際に、若干の抵抗値の減少が起こっていた。つまり、不揮発性記憶素子の中で状態の変化が起こっていたと考えられる。一方で、−0.6Vを印加して書き戻した素子Bでは、抵抗値はほとんど変化しておらず、不揮発性記憶素子の内部で状態はほとんど変化していなかったと考えられる。つまり、素子Aとほぼ同等の状態にあると考えられる。
これらの事実と図3の結果を踏まえると、次のような推論に到達する。すなわち、抵抗変化型の不揮発性記憶素子を第1高抵抗状態にする第2書き込み工程の後、第1高抵抗状態にするために第2書き込み工程で印加した電圧と逆極性であり、かつ、不揮発性記憶素子に若干の状態変化を生じさせる程度の大きさの電圧(本実施の形態では−0.7V)を続けて不揮発性記憶素子に印加することで第2高抵抗状態(低抵抗状態よりも抵抗値が高くかつ第1高抵抗状態よりも抵抗値が低い状態)へと変化させる書き戻し工程を実行する事で、不揮発性記憶素子の抵抗値の保持特性の改善が図れると考えられる。そして、この第2高抵抗状態と、低抵抗状態とに情報を関連付ける事で、保持特性の良好な2値の情報が記憶可能な不揮発性記憶素子が実現できる。
[書き戻しによるデータ保持特性改善のメカニズム]
次に、書き戻しを行って不揮発性記憶素子を第2高抵抗状態にする事で、データの保持特性がなぜ改善するかについて述べる。但し、現状では、上述の保持特性の改善のメカニズムについては確定的な結論を導出するまでには至っていないため、2つの可能性を述べるにとどめる。
まず最初に、本実施の形態で説明した抵抗変化型の不揮発性記憶素子の第1高抵抗状態と低抵抗状態の違いについて説明する。図4(a)は第1高抵抗状態、図4(b)は低抵抗状態の不揮発性記憶素子の断面模式図を示している。
まず、第1高抵抗状態というのは、図4(a)に示すように、第2の酸素不足型のTa酸化物層403中に、上部電極405と第1の酸素不足型のTa酸化物層402をつなぐような導通パスが存在していないような状態であると考えられる。上述のように、第2の酸素不足型のTa酸化物層403は、絶縁体であるTa25に近い組成を有しており、本来は抵抗が高い性質を持っている。それ故、下部電極401と上部電極405の間の抵抗は高くなる。
一方で低抵抗状態というのは、図4(b)に示すように、第2の酸素不足型のTa酸化物層403中に、微小導通パス(微小導通経路)406が存在し、上部電極405と第1の酸素不足型のTa酸化物層402が部分的にショートしたような状態になっていると考えられる。それ故に、下部電極401と上部電極405の間の抵抗は低くなる。おそらくこの微小導通パス406は、酸素が抜けた酸素空孔になっているか、還元によって金属的になった部分であると考えられる。
電気パルスの印加によって、図4(a)のような第1高抵抗状態と図4(b)のような低抵抗状態の間で遷移が起こるのは、酸素イオン404の移動に原因があると考えられる。
つまり、第1高抵抗状態から低抵抗状態へと変化する場合について考えると、この時は、図4(b)に示すように、上部電極405に下部電極401に対して負の電圧を印加する。すると、これによって生じる電界によって、第2の酸素不足型のTa酸化物層403から第1の酸素不足型のTa酸化物層402へと、酸素イオン404が引き抜かれ、その結果、微小導通パス406が形成されるのである。
逆に、低抵抗状態から第1高抵抗状態へと変化する場合は、図4(a)に示すように、上部電極405に下部電極401に対して正の電圧を印加するが、この時、電界によって、第1の酸素不足型のTa酸化物層402から第2の酸素不足型のTa酸化物層403へと、酸素イオン404が注入され、その一部が、微小導通パス406を酸化して、微小導通パス406が酸化されて消失し、その結果、高抵抗化するのである。
なお、微小導通パス406のサイズはそれほど大きくないと考えられ(断面を透過型電子顕微鏡で観察しても見えない程度の大きさ)、微小導通パスの酸化に消費される酸素イオンはそれほど多くないと考えられる。つまり、第1高抵抗状態において、第2の酸素不足型のTa酸化物層403には、過剰な酸素イオンが注入されたままになっていると考えられる。
以上のような抵抗変化のメカニズムに基づいて、本発明の書き戻しによる抵抗値の保持特性の向上のメカニズムを考えた。
まず、酸素イオンの存在に注目し、第2の酸素不足型のTa酸化物層403の状態を考察してみる。上述のように、図4(a)の第1高抵抗状態にある試料の第2の酸素不足型のTa酸化物層403内には、酸素イオン404が過剰に注入された状態にあると考えられる。この場合、第2の酸素不足型のTa酸化物層403を形成するTaOxの結合ボンドは過剰に注入された酸素イオン404によって歪んだ状態にあると考えられる、このような状態の結晶は一般的に熱に対してもろいと考えられる。それ故、加熱によって第2の酸素不足型のTa酸化物層403中に欠陥が形成されやすくなる。これが微小導通パス406となるのである。
しかしながら、下部電極401に正の電圧を印加し、上部電極405に負の電圧を印加して、書き戻しを行うと、図4(c)に示すように、この過剰な酸素イオンが電界によって第1の酸素不足型のTa酸化物層402へと吐き出され、第2高抵抗状態になる(このとき、部分的に不完全な微小導通パス407が形成されて抵抗は下がる)。すると、第2の酸素不足型のTa酸化物層403を形成するTaOxは安定化し、熱耐性が高い状態となる。すると、加熱によっても微小導通パスが形成されにくいと考えられる。
以上のような理由により、ただ単に第1高抵抗状態とした図4(a)の状態よりも、第2高抵抗状態まで書き戻しを行った図4(c)の状態の方が、データ保持特性(リテンション特性)が向上すると考えられる。
もう1つの可能性は、酸素イオン濃度の勾配の影響である。第1高抵抗状態である図4(a)では、第2の酸素不足型のTa酸化物層403の酸素イオン濃度が高く、第1の酸素不足型のTa酸化物層402の酸素濃度が低い状態になっている。このような状態で試料に熱をかけると、酸素イオン濃度の勾配によって、酸素イオンが第2の酸素不足型のTa酸化物層403から第2の酸素不足型のTa酸化物層402へと拡散し易い。すると、酸素イオンの離脱によって、微小導通パス406が形成され易い。
他方、書き戻しを行った図4(c)の第2高抵抗状態では、図4(a)の第1高抵抗状態に比べて、第2の酸素不足型のTa酸化物層403内の酸素イオン濃度が低く、第1の酸素不足型のTa酸化物層402の酸素濃度が高い状態になっている。このような状況では、酸素イオンの拡散が起こりにくく、当然ながら、微小導通パス406は形成されにくい。それ故、書き戻しを行った図4(c)の第2高抵抗状態の方が、データ保持特性が良いと考えられる。
本実施の形態で説明した不揮発性記憶素子は、酸素不足型のTa酸化物を抵抗変化層に用いた例を説明しているが、上述した書き戻しのメカニズムは、Ta以外の酸素不足型の酸化物を抵抗変化層に用い、酸素濃度が異なる少なくとも2層の酸素不足型の酸化物層を有する不揮発性記憶素子にも適用可能であると考えられる。
つまり、Ta以外の金属酸化物を抵抗変化層に用いた不揮発性記憶素子で、かつ、異なる極性の電気パルスを電極に印加して抵抗変化を起こすような不揮発性記憶素子でも、上記で説明したような、メカニズムで説明される書き戻しの効果があると考えられる。
例えば、ハフニウム酸化物(Hf酸化物)やジルコニウム酸化物(Zr酸化物)等である。Hf酸化物の場合は、第1の酸素不足型のHf酸化物(HfOx)及び第2の酸素不足型のHf酸化物(HfOy)を有し、0.9≦x≦1.6、かつ1.8<y<2.0の組成を有し、第2の酸素不足型のHf酸化物層の膜厚は3〜4nmが望ましい。また、Zr酸化物の場合は、第1の酸素不足型のZr酸化物(ZrOx)及び第2の酸素不足型のZr酸化物(ZrOy)を有し、0.9≦x≦1.4、かつ1.9<y<2.0の組成を有し、第2の酸素不足型のZr酸化物層の膜厚は1〜5nmが望ましい。
また、遷移金属酸化物層は2層の積層のみならず、3層以上であっても構わない。最も酸素濃度の高い酸素不足型の遷移金属酸化物層が上部電極もしくは下部電極に接続されるように配置すれば、上述した実施の形態と同様の作用効果が期待できる。
[比較例]
上記のようなメカニズムに依れば、本発明のように書き戻しを行わずに、高抵抗化時に印加する電圧の大きさを調整する事によって、図4(c)のような状態を作りだせば良いとも考えられる。つまり、上記の例の場合、高抵抗化時に+1.7Vよりも小さな正の電圧を印加することによって、低抵抗状態から直接、書き戻し後と同等の第2高抵抗状態へと不揮発性記憶素子を設定すれば良いということである。しかしながらこのような方法によって高抵抗状態を作り出した場合、高抵抗状態の書き込み不足により高抵抗状態の再現性が悪くなるという別の課題が生じた。
比較例として、素子A〜Cと同等の不揮発性記憶素子を、高抵抗化時に印加する電圧を途中から小さくして抵抗変化させる実験を行った。図5がその結果である。図5で、電気パルスの印加回数が100回目までは、図2の例と同じく、+1.7Vの電気パルスと−1.3Vの電気パルスとを交互に印加して抵抗変化をさせている。この間、それぞれの電圧を印加した時に、抵抗値は約4〜5kΩと約100Ωの間で比較的安定に動作している。
その後、101回目に−1.3Vの電圧を印加して不揮発性記憶素子を低抵抗化させた後、102回目に高抵抗化電圧として、+1.7Vより0.2V低い電圧である+1.5Vを印加した。すると、高抵抗状態の抵抗値は小さくなって、図2(c)と同様に書き戻しを行った時と類似した状態(つまり、低抵抗状態よりも抵抗値が高くかつ第1高抵抗状態よりも抵抗値が低い状態)になった。不揮発性記憶素子の内部では、図4(c)のような状態になっていると考えられる。
しかしながら、102回目以降、+1.5Vと−1.3Vの電圧を印加し続けると、図5で分かるように、高抵抗状態の値が安定せず、最終的には、抵抗変化が起こらなくなってしまった。これは、高抵抗化に要する電圧が不十分なため、高抵抗化しなくなったと考えられる。この結果から、高抵抗化する電圧を調整して、図4(b)のような状態を作り出して情報を記憶するのは困難である事が分かる。それ故、本発明のように、一旦高い電圧を不揮発性記憶素子に印加して、第1高抵抗状態にし(第2書き込み工程)、その後、書き戻しによって、第2高抵抗状態へと変化させる(書き戻し工程)という操作が必要になると考えられる。
なお、上記の実施の形態で説明したTa酸化物を使った抵抗変化型の不揮発性記憶素子では、第1の酸素不足型のTa酸化物層104の酸素含有率は58atm%であり、膜厚は約50nmとしたがこれに限定されない。また、第2の酸素不足型のTa酸化物層105の酸素含有率及び膜厚は上述の値に限定される事はない。また、本実施の形態では電極としてTaNとPtを用いたが、これに限定されず、金(Au)、イリジウム(Ir)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、銅(Cu)、タングステン(W)、ニッケル(Ni)等を用いてもよい。
さらに、この第2の酸素不足型のTa酸化物層105は、不揮発性記憶素子形成時に必ずしも設ける必要はなく、不揮発性記憶素子形成後に、強い電圧を下部電極103と上部電極107に印加する事で電気的に形成しても良い(フォーミングと呼ばれる操作)。
また、上記の実施の形態では、不揮発性記憶素子を低抵抗状態にする第1書き込み工程において不揮発性記憶素子に印加する第1電圧を−1.3V、不揮発性記憶素子を第1高抵抗状態にする第2書き込み工程において不揮発性記憶素子に印加する第2電圧を+1.7V、不揮発性記憶素子を第2高抵抗状態にする書き戻し工程において不揮発性記憶素子に印加する電圧を−0.7Vとしたが、これに限定されない。すなわち、これらの電圧値は、不揮発性記憶素子の構造等に依存して決定されるものである。
また、上記の結果では、合計100回の電気パルスを印加した後に書き戻しを行ったが、これはあくまで初期状態を揃えて評価するために行っただけであり、実際の不揮発性記憶素子の使用時には、1回の書き戻し工程の前に、必ず100回の第1及び第2書き込み工程を行う必要はない。
さらに、印加する電圧の極性もこれらに限定されない。すなわち、図1の不揮発性記憶素子において、第2の酸素不足型のTa酸化物層105を、下部電極103と第1の酸素不足型のTa酸化物層104の間に設けたような構造にすれば、上述の実施の形態で説明した電圧と逆極性の電圧印加で抵抗変化が起こる。すなわち、そのような構造の不揮発性記憶素子は、負電圧を印加して高抵抗化し、正電圧を印加して低抵抗化するような変化を示す。
この場合、第2高抵抗状態は、不揮発性記憶素子に負電圧を印加して一旦第1高抵抗状態にし、その後、引き続いて正電圧を印加する書き戻しにより設定される。そのようにして設定した第2高抵抗状態と、正電圧を印加することで設定した低抵抗化状態とを使って情報の記憶を行えば良い事になる。
(第2の実施の形態)
第1の実施の形態では、一旦、正の電圧を不揮発性記憶素子に印加して第1高抵抗状態に変化させた後、最適な状態に調整した大きさの負の電圧を不揮発性記憶素子に直接的に印加して書き戻す方法について説明した。本実施の形態では、この書き戻しを行う際に、不揮発性記憶素子に負荷抵抗を接続して電圧を印加する方法について説明する。なお、以下で説明する不揮発性記憶素子は、第1の実施の形態で用いたものと全く同じ方法で作製したものである。
[抵抗値の設定]
本実施の形態では、2つの不揮発性記憶素子を用意した。以下、これらの不揮発性記憶素子を、素子D及び素子E呼ぶ。第1の実施の形態と同じく、いずれの不揮発性記憶素子も、初期状態を揃える目的で、+1.7V(第2電圧)の電圧パルスの印加による第2書き込み工程と、−1.3V(第1電圧)の電気パルスの印加によるの第1書き込み工程を、交互に、それぞれ50回ずつ、計100回行った。このとき、電気パルスは不揮発性記憶素子に直接印加した。これの抵抗変化様子を図6(a)と(b)に示す(この図でも80回未満の変化の状態は省略している)。
図6(a)は素子Dの抵抗変化の様子であり、+1.7Vを印加した時に抵抗値は約10kΩとなり、−1.3Vを印加した時には約100Ωとなっている。他方、図6(b)に示した素子Eの抵抗値は、+1.7Vを印加した時に抵抗値は約5kΩであり、−1.3Vを印加した時には約200Ωであった。これらの素子Dと素子Eの抵抗値の違いは不揮発性記憶素子のばらつきを反映したものであり、基本的な特性は両者の間で違いはない。
そして、素子Dには、101回目に不揮発性記憶素子701に2.2kΩの大きさの負荷抵抗を直列に接続して、−1.3V(負荷抵抗を加えずに低抵抗化させる場合の電圧と同じ大きさ)の電圧を印加して書き戻しを行った。すると、抵抗値が11194Ωから1408Ω(この値及び図6(a)の101回目の点の抵抗値は、2.2kΩの負荷抵抗を差し引いた素子D単体の抵抗値である)へと減少した。また、素子Eでは、5kΩの負荷抵抗を直列に接続し、−1.3Vの電圧を印加して書き戻しを行った。この時、抵抗値は5650Ωから3187Ω(この値も負荷抵抗を差し引いた値)へと減少した。
上記の抵抗を設定する際の操作を、図7を使ってもう少し詳しく説明すると、100回目までの電気パルスを印加する際には端子705及び端子706を使って不揮発性記憶素子701に直接的に+1.7Vと−1.3Vを交互に印加し、101回目には端子703と端子704を使って負荷抵抗702と不揮発性記憶素子701に−1.3Vを印加した事に相当する。そして抵抗値の測定は、端子705と端子706の間に50mVの電圧を印加して測定を行った事に相当する。
[抵抗値の保持特性]
以上のような方法で抵抗値を設定した素子E及びDのデータ保持特性の評価を行った。
評価方法は第1の実施の形態で説明した方法と同様で、210℃の恒温槽に不揮発性記憶素子を保持してデータ保持特性の劣化を加速させて評価した。
図8にその結果を示す。なお、図8には、比較のために、+1.7Vを印加して高抵抗化させただけの素子Aの結果も同時に示している。この図を見ると、素子D及び素子Eの抵抗値は初期においては素子Aよりもかなり低いものの、恒温槽での保持時間が4〜5時間程度で、素子Aに対して逆転が起こり、素子Aよりも抵抗値が高くなっている。しかも、素子D及びEの抵抗値は、実験を行った時間の範囲ではほとんど抵抗値の劣化が生じていないことが見て取れる。すなわち、負荷抵抗を接続しつつ、負の電圧を印加して書き戻しを行った素子D及び素子Eは、素子Aに比べて抵抗値(つまり記憶情報)の保持特性が優れていると言える。
ここで、負荷抵抗を素子D及び素子Eに直列接続した状態で−1.3Vの電圧を印加した場合に、素子D及び素子Eにどの程度の電圧が印加されているかについて考えてみる。
まず、素子Dであるが、図6(a)に記入したように、100回目に負荷抵抗を接続せずに+1.7Vを印加した時の抵抗値が11.1kΩ(第1高抵抗状態)であった。この状態で2.2kΩの負荷抵抗を接続して、−1.3Vの電圧を印加した時、素子Dには約−1.1V(=−1.3V/(11.1kΩ+2.2kΩ)×11.1kΩ)の電圧が印加されていると見積もる事ができる。次に素子Dが抵抗変化を起こして1.4kΩ(第2高抵抗状態)になった時に、素子Dに印加されている電圧は約−0.5V(=−1.3V/(1.4kΩ+2.2kΩ)×1.4kΩ))と見積もる事ができる。すなわち、素子Dの抵抗値が高い場合には高い電圧が素子Dに印加され、抵抗が小さくなるに従って、素子Dに印加される電圧が低くなって、ある閾値(ここでは−0.5V)よりも小さくなった時点で抵抗変化が自動的に停止するような変化が起こっていたと考えられる。
このことから、本実施の形態の書き戻し工程で素子Dに印加された第3電圧は、−1.1V〜−0.5Vであることが分かる。
また、素子Eの場合は、−1.3Vを印加した時には約−0.7V(=−1.3V/(5.7kΩ+5.0kΩ)×5.7kΩ)が印加され、抵抗変化が終了した時には−0.5V(=−1.3V/(3.2kΩ+5.0kΩ)×3.2kΩ)で抵抗変化が終了したものと考えられる。
このことから、書き戻し工程で素子Eに印加された第3電圧は、−0.7V〜−0.5Vであることが分かる。
すなわち、素子D及びEでも、第1の実施の形態と同じく、第2電圧(+1.7V)の印加にて不揮発性記憶素子を第1高抵抗状態にさせる第2書き込み工程の直後に、第2電圧とは逆極性で、かつ、不揮発性記憶素子に抵抗変化を生じさせる程度の第3電圧(−1.1V〜−0.5V)の印加にて不揮発性記憶素子を第2高抵抗状態にする書き戻し工程を行う事によって、第2高抵抗状態によるデータ保持特性の向上が図れることがわかる。
加えて、負荷抵抗を不揮発性記憶素子と直列に接続することにより、書き戻し工程で印加する第3電圧の絶対値を大きめに設定しても、実際に不揮発性記憶素子に印加される電圧は、不揮発性記憶素子の抵抗値に応じて、自動的に調整され、過度の書き戻しによる読み出しマージンの減少を防止できる。
実際に不揮発性記憶素子として利用する場合には、上記の低抵抗状態と第2高抵抗状態とをそれぞれ"0"と"1"の論理情報に対応させれば良い。この時、端子705が図1の下部電極103に接続されており、端子706が上部電極107に接続されているとした時、不揮発性記憶素子701を低抵抗状態にするには、端子705を基準にして端子706に負の電圧を印加することにより不揮発性記憶素子を低抵抗状態の抵抗値に設定すれば良い。また、第2高抵抗状態にする場合は、端子705を基準にして端子706に正の電圧を印加することにより不揮発性記憶素子701を一旦第1高抵抗状態にした後、端子703を基準にして端子704に負の電圧を印加することにより不揮発性記憶素子701を第2高抵抗状態の抵抗値に設定すれば良い。なお、抵抗値の読み出しはいずれも端子705と端子706の間に、不揮発性記憶素子701の抵抗変化が起こらない程度の微小電圧を印加して行えば良い。
なお、上述の第2の実施の形態では、書き戻しを行う時に接続する負荷抵抗の大きさを5kΩと2.2kΩとしたが、これには限定されない。
さらに、書き戻しの方法は上記の第1及び第2の実施の形態で説明した方法だけに限定だれるものではない。本発明の最も重要なポイントは、一旦高抵抗化させた不揮発性記憶素子を逆極性の弱い電圧で書き戻すという操作にある。
例えば、図9のように不揮発性記憶素子901にトランジスタ902を接続したような回路において書き戻しを行っても良い。つまり、このトランジスタ902のゲート電圧を調整する事で、トランジスタ902の抵抗値を変化させ、結果として不揮発性記憶素子901への印加電圧を調整しても良い。
この場合、抵抗値の設定及び読み出しは次のようにして行う事ができる。まず不揮発性記憶素子901を低抵抗状態にする第1書き込み工程では、トランジスタ902を低抵抗(ON)状態にしておいた上で、端子903を基準にして端子904に第1の極性を有する電圧を印加するか、もしくは、端子905と端子906を使って不揮発性記憶素子901に直接的に第1電圧を印加する。
次に、不揮発性記憶素子901を第1高抵抗状態にする第2書き込み工程では、トランジスタ902を低抵抗状態にしておいた上で、端子903を基準にして端子904に第1の極性とは逆の第2の極性を有する電圧を印加するか、端子905と端子906を使って不揮発性記憶素子901に直接的に第2電圧を印加する。
その後、書き戻し工程では、トランジスタ902を高抵抗状態にして端子903を基準にして端子904に第1の極性を有する電圧を印加して、第2高抵抗状態を実現する。書き戻し工程において不揮発性記憶素子901とトランジスタ902とによる分圧として不揮発性記憶素子901に印加される第3電圧の大きさ(絶対値)は、第1書き込み工程において不揮発性記憶素子901に印加される第1電圧の大きさより小さい。
抵抗値の読み出しは、トランジスタ902を低抵抗状態にしておいた上で端子903と端子904間に微小電圧を印加して行うか、もしくは端子905と端子906間に微小電圧を印加して行う。
(第3の実施の形態)
次に、第1及び第2の実施の形態で説明した、第1書き込み工程、第2書き込み工程、及び書き戻し工程を含む不揮発性記憶素子の駆動方法を実行する不揮発性記憶装置について説明する。
図10はそのような不揮発性記憶装置の機能的な構成の一例をに示すブロック図である。図10に示されるように、不揮発性記憶装置200は、駆動回路201およびメモリセルアレイ202から構成される。
駆動回路201は、列選択回路203、センスアンプ204、データ入出力回路205、書き込み回路206、行ドライバ207、行選択回路208、アドレス入力回路209、制御回路210、及び書き込み用電源211を有している。
書き込み用電源211は、第1電源212、第2電源213、及び第3電源214を有している。
メモリセルアレイ202は、複数のメモリセルをマトリクス状に配列してなる。図10では、1つのメモリセルとして、1つの不揮発性記憶素子(R11〜R34、・・・)と1つの選択トランジスタ(N11〜N34、・・・)とを直列に接続してなる、いわゆる1T1R型のメモリセルが例示されているが、このメモリセルは1T1R型に限定されるものではなく、例えば1つの不揮発性記憶素子と1つのダイオードとが直列に接続されてなる、いわゆる1D1R型のメモリセルであってもよい。
不揮発性記憶素子(R11〜R34、・・・)には、第1または第2の実施の形態にて説明した不揮発性記憶素子を用いる。図10の回路図は、不揮発性記憶素子(R11〜R34、・・・)の上部電極及び下部電極のいずれか一方が、ビット線(BL0〜BL3、・・・)の対応する1つと電気的に接続されており、上部電極及び下部電極の他方が、選択トランジスタ(N11〜N34、・・・)を介してソース線(SL0、SL2、・・・)の対応する1つと電気的に接続されていることを表している。ここで、ソース線(SL0、SL2、・・・)が第1配線の一例であり、ビット線(BL1〜BL3、・・・)が第2配線の一例である。なお、隣接する2つのメモリセルの不揮発性記憶素子は、選択トランジスタを介して、同じソース線に電気的に接続されている。
列選択回路203は、アドレス入力回路209に入力されたアドレス信号に従って、選択されるべきメモリセルに接続されたビット線を選択する。
行選択回路208は、アドレス入力回路209に入力されたアドレス信号に従って、選択されるべきメモリセルに接続されたソース線を選択するとともに、選択されるべきメモリセルに接続されたワード線に選択トランジスタをオンさせるための活性化信号を供給する。
データ入出力回路205は、図示しない外部の回路から、不揮発性記憶素子に書き込むべきデータを表す入力データ信号を受け取り、また不揮発性記憶素子から読み出されたデータを表す出力データ信号を外部の回路へ出力する。
第1電源212は、選択されたメモリセルの不揮発性記憶素子の下部及び上部電極間に第1の極性の第1電圧を印加して不揮発性記憶素子を低抵抗状態にするために、選択されたビット線と選択されたソース線との間に供給されるべき電圧を生成する。
第2電源213は、選択されたメモリセルの不揮発性記憶素子の下部及び上部電極間に第2の極性の第2電圧を印加して不揮発性記憶素子を低抵抗状態よりも抵抗値が高い第1高抵抗状態にするために、選択されたソース線と選択されたビット線との間に供給されるべき電圧を生成する。
ここで、具体的に、不揮発性記憶素子の下部電極が選択トランジスタを介してソース線と電気的に接続され、上部電極がビット線と電気的に接続されている構成において、第1及び第2の実施の形態で述べたような電圧の印加を行う場合、第1の極性はソース線(下部電極)を基準としてビット線(上部電極)が負の電圧となる極性であり、第2の極性はソース線(下部電極)を基準としてビット線(上部電極)が正の電圧となる極性である。
第3電源214は、選択されたメモリセルの不揮発性記憶素子の下部及び上部電極間に第1の極性の第3電圧を印加して不揮発性記憶素子を第2高抵抗状態にするために、選択されたビット線と選択されたソース線との間に印加されるべき電圧を生成する。
第3電圧の絶対値は第1電圧の絶対値よりも小さく、第2高抵抗状態の抵抗値は低抵抗状態の抵抗値よりも大きくかつ第1高抵抗状態の抵抗値よりも小さい。
第3電源214には、第2の実施の形態の図7や図9にて説明したように、不揮発性記憶素子と直列に接続される負荷抵抗または抵抗調整用のトランジスタが挿入されていてもよい。第3電源214内で発生する電圧は、不揮発性記憶素子と負荷抵抗とを含む直列回路に印加される。
このような構成では、第3電源214内で大き目の書き戻し用の電圧を発生しても、実際に不揮発性記憶素子に印加される第3電圧は、第3電源214に挿入された負荷抵抗または抵抗調整用のトランジスタによって、不揮発性記憶素子の抵抗値に応じて、自動的に調整され、過度の書き戻しによる読み出しマージンの減少を防止できる。
制御回路210は、入力されるコントロール信号に応じて書き込み用電源211を制御し、第1電源212及び第2電源213は、それぞれ不揮発性記憶素子を低抵抗状態にするための電圧及び不揮発性記憶素子を第1高抵抗状態にするための電圧を生成する。生成された電圧は、書き込み回路206および列選択回路203と行ドライバ207とを介して、選択されたビット線と選択されたワード線との間に供給される。これにより、第1書き込み工程および第2書き込み工程が行われる。
なお、入力データ信号が複数のビットデータを表す場合、複数のビット線が同時に選択され、各選択されたビット線には、第1電源212で生成された電圧及び第2電源213で生成された電圧のうち、入力データ信号の対応するビットデータに応じた一方が供給されてもよい。この場合、書き込み動作をワード単位で行ってもよい。
制御回路210は、これに加えて、不揮発性記憶素子が第1高抵抗状態にあるメモリセルを選択し、選択されたメモリセルの不揮発性記憶素子を第2高抵抗状態にするための電圧を第3電源214に生成させる。生成された電圧は、書き込み回路206および列選択回路203と行ドライバ207とを介して、選択されたビット線と選択されたワード線との間に供給される。これにより、書き戻し工程が行われる。
なお、図10に示される書き込み用電源211の構成は、ソース線を基準にした電圧を明示するための模式的な一例である。書き込み用電源211は、書き込み回路206および列選択回路203と行ドライバ207とを介して、選択されたソース線と選択されたビット線との間に、第1書き込み工程、第2書き込み工程、及び書き戻し工程にそれぞれ対応する極性および大きさの電圧を印加できるものであればよく、具体的な回路構成は図10に限定されない。
このように構成された不揮発性記憶装置200によれば、不揮発性記憶素子の低抵抗状態を第1の論理情報に対応付け、不揮発性記憶素子の第2高抵抗状態を第2の論理情報に対応付けて情報を保持することができるので、保持特性の良好な2値の情報が記憶可能な不揮発性記憶素子が実現できる。
不揮発性記憶素子に保持されているデータ(抵抗状態)の読み出しは、図示しない読み出し用電源から、選択されたメモリセルへ、不揮発性記憶素子の抵抗状態を変化させない程度の小さな電圧を供給し、その際に流れる電流をセンスアンプ204で測定することにより行われる。
例えば、第2高抵抗状態と低抵抗状態との間の抵抗値に対応するしきい値電流を予め定めておき、測定された電流としきい値電流との比較により、不揮発性記憶素子に第1データ及び第2データのいずれが保持されているかを判定してもよい。
次に、書き戻し工程を実行するためのいくつかの方法を、詳細に例示する。
制御回路210は、書き戻し工程を、第2書き込み工程に引き続いて毎回行うように制御してもよいし、不揮発性記憶装置200への電源の遮断前あるいはスタンバイ状態(不揮発性記憶装置の一部の回路への電源供給が制限され、不揮発性記憶装置としては休止している状態)への移行前に不揮発性記憶素子が第1高抵抗状態にあるメモリセルに対して1回だけ行うように制御してもよい。なお、上記書き戻し工程は、不揮発性記憶装置200への電源の遮断前とスタンバイ状態への移行前の両方において、不揮発性記憶素子が第1高抵抗状態にあるメモリセルに対して1回だけ行うように制御してもよい。また、電源の遮断、あるいはスタンバイ状態への移行は、例えば、不揮発性記憶装置200を利用している外部の回路(例えば、図示しない中央処理装置)から、コントロール信号にて制御回路210へ通知されてもよい。
書き戻し工程を第2書き込み工程の後に毎回行う構成では、制御回路210が行う制御が簡単になり、チップサイズが小さくできるが、毎回の高抵抗化処理に要する時間は長くなる。この構成は、例えば、速度性能よりも小型化への要請が強い携帯機器用の不揮発性記憶装置に好適である。
他方、電源の遮断前あるいはスタンバイ状態に移行する前に1回だけ書き戻し工程を行うような構成では、毎回の第1書き込み工程に要する時間は増加せずに済むというメリットがある。この構成は、例えば、定期的に電源の遮断またはスタンバイ状態への移行が行われる家庭用コンピュータ用の不揮発性記憶装置に好適である。
また、制御回路210は、電源の遮断前あるいはスタンバイ状態に移行前に書き戻し工程を行う場合、第1高抵抗状態にある不揮発性記憶素子を検出して、検出された不揮発性記憶素子のみに対して書き戻し工程を行ってもよいし、全ての不揮発性記憶素子に対して抵抗状態に関係なく書き戻し工程を行ってもよい。低抵抗状態にある不揮発性記憶素子に対し書き戻し工程を行っても、抵抗状態は変わらず、信頼性も含めて悪影響がないことは確認済みである。
全ての不揮発性記憶素子に対して書き戻し工程動作を行うように制御回路210および周辺回路を設計する場合、制御回路210等は簡単化できるが、全体の書き戻し工程に要する時間は長くなる。一方、第1高抵抗状態の不揮発性記憶素子のみに書き戻し工程を行うに設計する場合、全体の書き戻し工程に要する時間を短くすることができる可能性がある。
さらに、制御回路210は、書き戻し工程を、不揮発性記憶装置200がアイドル状態(不揮発性記憶装置としては動作しているが、不揮発性記憶素子に対して書き込みも読み出しも行われていない状態)にあるときに実行してもよい。書き込み動作も読み出し動作も行われていない時間を利用して書き戻し工程を行うことにより、全体的に書き戻し工程を効率的に行うことができる。この構成は、例えば、常時電源の供給を受けて稼動し続けるサーバコンピュータ用の不揮発性記憶装置に好適である。
なお、不揮発性記憶装置200がアイドル状態にあることは、制御回路210が書き込み動作や読み出し動作の実行状況に基づいて判断できる。
上記のように構成された不揮発性記憶装置200の動作の一つの典型例として、制御回路210が、電源の遮断前あるいはスタンバイ状態に移行前に、第1高抵抗状態にある不揮発性記憶素子のみに書き戻し工程を行う場合を説明する。
図11は、不揮発性記憶装置200の動作の流れの一例を示すフローチャートである。図11に示されるように、不揮発性記憶装置200は、制御回路210の制御下で、第1書き込み工程と第2書き込み工程とを行う(S01、S02)。その後、制御回路210は、電源の遮断またはスタンバイ状態への移行を通知するコントロール信号を受信すると(S03)、第1高抵抗状態にある不揮発性記憶素子を検出して(S04)、検出された不揮発性記憶素子を対象として書き戻し工程を実行する(S05)。
ここで、第1高抵抗状態にある不揮発性記憶素子は、例えば、第1高抵抗状態の抵抗値と第2高抵抗状態の抵抗値との間にしきい値抵抗を定めておき、不揮発性記憶素子から読み出された抵抗値としきい値抵抗との比較により検出してもよい。また、第1高抵抗状態にある不揮発性記憶素子を検出するステップ(S04)を実行せずに全ビットに対して書き戻し工程(S05)を実行してもよい。
なお、上述した実施の形態においては、抵抗変化層としての遷移金属酸化物としては、タンタル酸化物、ハフニウム酸化物、ジルコニウム酸化物の場合について説明したが、上下電極間に挟まれる遷移金属酸化物層としては、抵抗変化を発現する主たる抵抗変化層として、タンタル、ハフニウム、ジルコニウム等の酸化物層が含まれていればよく、これ以外に例えば微量の他元素が含まれていても構わない。抵抗値の微調整等で、他元素を少量、意図的に含めることも可能であり、このような場合も本発明の範囲に含まれるものである。また、スパッタリングにて抵抗膜を形成した際に、残留ガスや真空容器壁からのガス放出などにより、意図しない微量の元素が抵抗膜に混入することがあるが、このような微量の元素が抵抗膜に混入した場合も本発明の範囲に含まれることは当然である。
本発明の不揮発性記憶素子の駆動方法は、デジタル家電、メモリカード、携帯型電話機、およびパーソナルコンピュータなどの種々の電子機器に用いられる不揮発性記憶素子へ応用が可能である。
100 不揮発性記憶素子
101 基板
102 酸化物層
103 下部電極
104 第1の酸素不足型Ta酸化物層
105 第2の酸素不足型Ta酸化物層
106 抵抗変化層
107 上部電極
200 不揮発性記憶装置
201 駆動回路
202 メモリセルアレイ
203 列選択回路
204 センスアンプ
205 データ入出力回路
206 書き込み回路
207 行ドライバ
208 行選択回路
209 アドレス入力回路
210 制御回路
211 書き込み用電源
212 第1(低抵抗状態設定用)電源
213 第2(第1高抵抗状態設定用)電源
214 第3(第2高抵抗状態設定用)電源
401 下部電極
402 第1の酸素不足型Ta酸化物層
403 第2の酸素不足型Ta酸化物層
404 酸素イオン
405 上部電極
406 微小導通パス
407 不完全な微小導通パス
701 不揮発性記憶素子
702 負荷抵抗
703〜706 端子
901 不揮発性記憶素子
902 トランジスタ
903〜906 端子

Claims (14)

  1. 第1電極と、第2電極と、前記第1及び第2電極間に介在させ、前記第1及び第2電極と接するように設けられた抵抗変化層とを有し、前記第1及び第2電極間に与えられる極性の異なる電気的信号に基づいて、前記抵抗変化層の抵抗状態が可逆的に変化し、前記抵抗変化層は酸素不足型の遷移金属酸化物層を含んでいる不揮発性記憶素子の駆動方法であって、
    前記第1及び第2電極間に第1の極性を有する第1電圧を印加することにより、前記抵抗変化層を、第1の論理情報を表す低抵抗状態にする第1書き込み工程と、
    前記第1及び第2電極間に前記第1の極性とは異なる第2の極性を有する第2電圧を印加することにより、前記抵抗変化層を前記低抵抗状態よりも抵抗値が高い第1高抵抗状態にする第2書き込み工程と、
    前記第2書き込み工程の後、前記第1及び第2電極間に前記第1の極性を有しかつ電圧の絶対値が前記第1電圧より小さい第3電圧を印加することにより、前記抵抗変化層を、前記低抵抗状態よりも抵抗値が高くかつ前記第1高抵抗状態よりも抵抗値が低い、前記第1の論理情報とは異なる第2の論理情報を表す第2高抵抗状態にする書き戻し工程と、
    を含む不揮発性記憶素子の駆動方法。
  2. 前記書き戻し工程において、前記不揮発性記憶素子は負荷抵抗と直列に接続されて直列回路を構成し、前記直列回路に前記第1の極性を有する電圧を印加することにより、前記不揮発性記憶素子の前記第1及び第2電極間に前記第3電圧に相当する分圧を印加する
    請求項1に記載の不揮発性記憶素子の駆動方法。
  3. 前記書き戻し工程において、前記不揮発性記憶素子は前記負荷抵抗としてのトランジスタのチャンネルと直列に接続されて前記直列回路を構成し、前記トランジスタのゲートに所定の電圧を印加することで前記トランジスタのチャンネル抵抗を所定の抵抗値にした状態で、前記直列回路に前記第1の極性を有する電圧を印加することにより、前記不揮発性記憶素子の前記第1及び第2電極間に前記第3電圧に相当する分圧を印加する
    請求項2に記載の不揮発性記憶素子の駆動方法。
  4. 第1電極と、第2電極と、前記第1及び第2電極間に介在させ、前記第1及び第2電極と接するように設けられた抵抗変化層とを有し、前記第1及び第2電極間に与えられる極性の異なる電気的信号に基づいて、前記抵抗変化層の抵抗状態が可逆的に変化し、前記抵抗変化層は酸素不足型の遷移金属酸化物層を含んでいる不揮発性記憶素子と、
    駆動回路と、を備え、
    前記駆動回路は、
    前記第1及び第2電極間に第1の極性を有する第1電圧を印加することにより、前記抵抗変化層を、第1の論理情報を表す低抵抗状態にする第1書き込み工程と、
    前記第1及び第2電極間に前記第1の極性とは異なる第2の極性を有する第2電圧を印加することにより前記抵抗変化層を前記低抵抗状態よりも抵抗値が高い第1高抵抗状態にする第2書き込み工程と、
    前記第2書き込み工程の後、前記第1及び第2電極間に前記第1の極性を有しかつ電圧の絶対値が前記第1電圧より小さい第3電圧を印加することにより、前記抵抗変化層を、前記低抵抗状態よりも抵抗値が高くかつ前記第1高抵抗状態よりも抵抗値が低い、前記第1の論理情報とは異なる第2の論理情報を表す第2高抵抗状態にする書き戻し工程と、を行う
    不揮発性記憶装置。
  5. 前記第1電極と前記第2電極とは、第1配線と第2配線とにそれぞれ電気的に接続されており、
    前記駆動回路は、
    前記第1書き込み工程において前記第1及び第2電極間に前記第1電圧を印加するための電圧を前記第1及び第2配線間に供給する第1電源と、
    前記第2書き込み工程において前記第1及び第2電極間に前記第2電圧を印加するための電圧を前記第1及び第2配線間に供給する第2電源と、
    前記書き戻し工程において前記第1及び第2電極間に前記第3電圧を印加するための電圧を前記第1及び第2配線間に供給する第3電源と、を有する
    請求項4に記載の不揮発性記憶装置。
  6. 前記第3電源は、前記不揮発性記憶素子と直列に接続された負荷抵抗素子を有する
    請求項5に記載の不揮発性記憶装置。
  7. 前記負荷抵抗素子は、前記不揮発性記憶素子と直列に接続されたトランジスタである
    請求項6に記載の不揮発性記憶装置。
  8. 前記抵抗変化層は、酸素濃度の異なる少なくとも2層の酸素不足型の遷移金属の酸化物層から形成されており、酸素濃度の高い酸素不足型の遷移金属の酸化物層が前記第1電極もしくは前記第2電極に接触している
    請求項4から7のいずれかに記載の不揮発性記憶装置。
  9. 前記遷移金属はタンタルである
    請求項4から8のいずれかに記載の不揮発性記憶装置。
  10. 前記駆動回路は、前記書き戻し工程を、前記第2書き込み工程に引き続いて毎回行う
    請求項4から9のいずれかに記載の不揮発性記憶装置。
  11. 前記駆動回路は、不揮発性記憶装置に対する電源の遮断前またはスタンバイ状態への移行前もしくはその両方において、前記書き戻し工程を行う
    請求項4から9のいずれかに記載の不揮発性記憶装置。
  12. 前記不揮発性記憶装置は、複数の不揮発性記憶素子をを備え、
    前記駆動回路は、電源遮断前に、前記複数の不揮発性記憶素子の中から前記第1高抵抗状態にある不揮発性記憶素子を検出し、前記検出された不揮発性記憶素子に対して前記書き戻し工程を行う
    請求項4から9のいずれかに記載の不揮発性記憶装置。
  13. 前記第1高抵抗状態にある不揮発性記憶素子の検出は、前記第1高抵抗状態の抵抗値と第2高抵抗状態の抵抗値との間にしきい値を定めておき、前記不揮発性記憶素子から読み出された抵抗値と前記しきい値との比較により検出する
    請求項12に記載の不揮発性記憶装置。
  14. 前記駆動回路は、前記不揮発性記憶装置がアイドル状態の時、前記書き戻し工程を行う
    請求項4から9のいずれかに記載の不揮発性記憶装置。
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