JPWO2010103773A1 - 複合粒子及び複合粒子の製造方法 - Google Patents

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Abstract

本発明は、分散媒中における十分な分散性を有する複合粒子の提供、及びこの複合粒子をより確実に得ることのできる複合粒子の製造方法の提供を目的として、蛍光体粒子と、前記蛍光体粒子の表面の少なくとも一部に形成されており、金属酸化物を含む被覆層と、を含み、式(1)の条件を満たす構成を有する複合粒子を提供する。0.53≦(ρ/ρ0) ・・・(1)式(1)中、ρはJIS−R−1628に規定の測定方法に基づく前記複合粒子のかさ密度の測定値、ρ0は定容積膨張法による乾式密度測定方法に基づく前記複合粒子の真密度の測定値、をそれぞれ示す。

Description

本発明は、蛍光性を有する複合粒子及びその複合粒子の製造方法に関する。より詳しくは、本発明は、例えば、種々の表示デバイスや発光デバイスに使用される材料に、蛍光性を付与するために使用される複合粒子及びその複合粒子の製造方法に関する。
従来から、蛍光性を有する複合粒子は、例えば、発光ダイオード、ブラウン管、蛍光灯、プラズマディスプレイ、フィールドエミッションディスプレイ、蛍光表示管、冷陰極管、レーザー、エレクトロルミネッセンスディスプレイ等の種々の表示デバイスや発光デバイスに蛍光性を付与する目的で使用されている。
上記のような蛍光体粒子を含む膜(蛍光膜)が上記のようなデバイスにおいて使用される際、蛍光体粒子の励起源に使用される電圧、電流又は光源等の影響を受けたり、蛍光体粒子そのものの発光に伴う熱や周囲からの熱、水分又は酸素等の影響を受けたりすることによって、蛍光体粒子が劣化して発光強度が低下することがある。
このような問題を解消すべく、蛍光体粒子を中心として、その表面の少なくとも一部に金属酸化物を含む被覆層を形成した複合粒子が知られており、かかる複合粒子を含有することによって蛍光性を付与された材料(以下、「複合粒子含有材料」という。)として、例えば、複合粒子を分散媒へ分散させたスラリーを塗布、加熱して得られる蛍光膜等が開発されている(例えば特許文献1)。
この複合粒子は、一般に、主成分となる蛍光体粒子を分散媒へ分散させた液、スラリー、又は、ペーストを得る分散処理工程と、この工程で得られた液、スラリー、又は、ペーストに無機化合物を添加してアルコキシド法又はゾルゲル法で被覆層を形成する被覆層形成工程を経て製造されている(例えば特許文献2及び3等)。
しかしながら、粒子サイズがミクロンサイズ以下の蛍光体粒子は、表面積が大きく表面活性が高いため分散処理工程において凝集が生じ易くなる。一旦凝集してしまった凝集粒子の凝集状態を解くには大きなせん断力を要する。また、凝集粒子の凝集状態を解いても、再凝集が生じやすい。
このように凝集した蛍光体粒子に被覆層を形成して複合粒子を製造しても、一般に、蛍光体粒子に被覆層を十分な強度で結合させることが困難である。そのため、被覆層を形成する際や、複合粒子を用いて熱処理等により複合粒子含有材料を製造する際に、蛍光体粒子の表面から被覆層が剥がれてしまうこともある。これに対し、蛍光体粒子に要求される蛍光性を維持しつつ、蛍光体粒子の表面を改質してこの蛍光体粒子の凝集を防止するための検討がなされている(下記の特許文献4等)。
例えば、特許文献4には、水分劣化が生じず、輝度が高く発光寿命が長い被覆発光体を提供することを意図して(特許文献4の段落番号[0004]等を参照)、(I)発光体を被覆材料によって被覆する工程;(II)被覆した発光体を溶媒中に分散させた分散液を得る工程;(III)該分散液を固相と液相に分離する工程;を包含し、該液相の電気伝導度が100μS/cm以下になるまで工程(II)及び(III)を繰り返すことにより、被覆材料によって発光体を被覆する方法が提案されている。
特開平10−121039号公報 特開昭60−115683号公報 特開平1−284583号公報 特開2007−23221号公報
しかしながら、上述の従来技術であっても、複合粒子の蛍光体粒子と被覆層との結合性を十分に確保することができておらず、被覆層を形成する際や、複合粒子含有材料を製造するときの熱処理等の際に、蛍光体粒子の表面からの被覆層の剥離を十分に防止できていないことを本発明者らは見出した。そのため、分散媒中における十分な分散性、ひいては複合粒子含有材料中における十分な分散性を有する複合粒子を得るという観点からは、未だ改善の余地があった。
そこで、本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、分散媒中における十分な分散性、ひいては複合粒子含有材料中における十分な分散性を有する複合粒子を提供することを目的とする。また、本発明は、上述の本発明の複合粒子をより確実に得ることのできる複合粒子の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、複合粒子の蛍光体粒子と被覆層との結合性を十分に確保して分散媒中における分散性を十分に確保するためには、複合粒子を下記の式(1)で表わされる条件を同時に満たす構成とすることが、上記目的を達成する上で極めて有効であることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、
蛍光体粒子と、
前記蛍光体粒子の表面の少なくとも一部に形成されており、金属酸化物を含む被覆層と、
を含んでおり、
下記式(1)の条件を満たす構成を有している、
複合粒子を提供する。
0.53≦(ρ/ρ0) ・・・(1)
[式(1)中、ρはJIS−R−1628に規定の測定方法に基づく前記複合粒子のかさ密度の測定値、ρ0は定容積膨張法による乾式密度測定方法に基づく前記複合粒子の真密度の測定値、をそれぞれ示す。]
本発明の複合粒子は、式(1)で表わされる条件を同時に満たす構成を有するため、蛍光体粒子と被覆層との結合性を十分に確保することができる。そして、本発明の複合粒子は、分散媒中における十分な分散性、ひいては複合粒子含有材料中における十分な分散性を有することとなる。また、本発明の複合粒子は、金属酸化物が化学的に安定で、前記蛍光体粒子と複合化合物を形成しにくいため、前記蛍光体粒子の性質を損なうことなく被覆が形成されるという観点から有効である。また、前記蛍光体粒子が周囲からの熱、水分又は酸素等の影響を受けにくく、劣化しにくく発光強度も低下しにくい。
ここで、本発明において、式(1)に示す(ρ/ρ0)が0.53以上であると分散媒中において良好な複合粒子の分散性が得られ、0.53未満であると分散媒中において複合粒子の分散性が低下し、複合粒子の凝集が進行し易くなる。本発明者らはこの複合粒子の溶媒中での分散性が向上したことを確認している。
一方、式(1)に示す(ρ/ρ0)の値はなるべく大きい方が好ましいが、理論上の上限値は1.0である。また、粒径が同一である真球の最大充填率は理論上0.74であるが、実際の粒子は、粒径に分布を持つことと、完全な真球でなくいびつな形状であること、同じ材質の粒子であれば同じような表面電位を持つため、粒子同士が近づくと反発力が大きくなること、等の理由によって、理論上の最大充填率を得ることは容易ではなく、せいぜい0.5程度の値になる。
(ρ/ρ0)の値をさらに大きくするためには、例えば、大きな粒子の隙間に小さな粒子を充填し、さらにその隙間にさらに小さな粒子を充填するような概念で、最適な粒度分布を選択する。このような粒度分布の選択は、一般的には、2つまたは3つ程度の異なるサイズに粒度分布のピークを持つ粒子を混合することで行われる。このように最適な粒度分布を選択し、粒子が変形するような理想的な圧力を実現できれば、最大充填率を0.74又はそれ以上(例えば1.0)にすることができるが、実際には非常に困難である。
但し、粒度分布を広くすると別のデメリットを生じる場合がある。例えば、複合粒子を含む導電性ペーストを用いて塗膜を形成し、熱処理して導体膜を製造する際等には、大きな粒子に比べて小さな粒子ではより低い温度で粒子間の融着が開始する。そのため、熱処理時に広い温度範囲に亘って粒子間の融着が生じることになり、決定すべき熱処理条件が複雑になったり、先に融着した部分とこれから融着する部分とで物性差が生じるため、構造欠陥等が生じたりする。また、粒径1μm以下の微粒子になると発光効率が低下するため、この見地からも粒径の小さい方向に粒度分布を広げるのは好ましくない。したがって、(ρ/ρ0)の値は1.0以下ではあるが、上述のようなデメリットを防止するためにより好ましい(ρ/ρ0)の上限値は0.74であり、更には0.66である(本願発明の実施例)。
上述のように、本発明において、ρはJIS−R−1628に規定の測定方法に基づく複合粒子のかさ密度の測定値を示す。具体的には、例えばタッピング法を用いた手作業により測定することができる。
「かさ密度」とは、一定容積の測定容器に複合粒子を充填し、その内容積を体積としたときの密度を示す。この体積には、以下の5種類の体積が含まれる。すなわち、(I)複合粒子自身の体積、(II)複合粒子内の閉細孔の体積、(III)複合粒子の表面の凹凸部の空間の体積、(IV)複合粒子と複合粒子との間隙の体積、(V)複合粒子と測定容器との間隙の体積である。
また、本発明において、ρ0は定容積膨張法による乾式密度測定方法に基づく複合粒子の真密度の測定値を示す。より好ましくは、本発明において、ρ0は(株)島津製作所製の乾式自動密度計「アキュピック1330」により測定した複合粒子の真密度の測定値を示す。
なお、「真密度」とは、複合粒子自身が占める体積だけを密度算定用の体積として用いて得られる密度を示す。ただし、複合粒子(蛍光体粒子又は被覆層)の内部に、外部とつながっていない空間(閉細孔)がある場合には、その内部空間には測定に使用するガスが到達できないため、測定値はいわゆる「見かけ密度」に相当する場合がある。そのため、本発明において用いる「真密度」は「見かけ密度」を含む概念である。
また、本発明の複合粒子は、前記式(1)に加えて、下記式(2)の条件を更に同時に満たす構成を有していることが好ましい。
W≦0.14 ・・・(2)
[式(2)中、WはCuKα特性X線を用いた粉末X線回折スペクトル測定により得られる回折ピークのうち、ピーク強度の大きさが1位〜3位の3本の回折ピークの半値幅の相加平均値を示す。単位はdegである。]
ここで、本発明において、式(2)に示すWが0.14以下であると蛍光体粒子表面の結晶格子の乱れがより少なく、蛍光体子元来の性質をより損なうことなく被覆層が形成されており、好ましい。一方、蛍光体粒子について実際に得られる測定値等から判断して、式(2)に示すWが0.085以上であれば、更には0.095以上であれば、蛍光体粒子の凝集や結合等による大粒子化も生じておらず好ましい。本発明の効果をより確実に得る観点からは、Wは0.10以上であることがより好ましい。
また、本発明において、CuKα特性X線を用いた粉末X線回折スペクトル測定により得られる回折ピークは、好ましくは、(株)リガク製の粉末X線回折スペクトル測定装置「ULTIMA−III」を用いて、以下の条件で測定されたピークを示す。すなわち、X線管球(Cu、管電圧:40kV、管電流:40mA)、測定条件(ブラッグ角度2θ/度の測定角度範囲:10−90度、サンプリング幅:0.01度、スキャンスピード:4度/分、発散スリット:1/2度、発散縦スリット:10mm、散乱スリット:1/2度、受光スリット:0.3mm)である。なお、1個のピークだけを用いて得られる半値幅は、正確さに欠ける場合があるため、半値幅は、ピーク強度の高い回折ピーク3本の相加平均値として求めるのが好ましい。該当する回折ピークが隣接する回折ピークと重なったりして正確な半値幅を求めにくい場合には、その回折ピークを除外して計算してもよい。また、CuKα2線に由来するピークを除き、CuKα1線に由来するピークのみで解析した値で解析する必要がある。このような処理は(株)リガク製のソフトウエア(商品名:JADE)を用いて簡単に行うことができる。
更に、本発明の複合粒子においては、前記金属酸化物はシリカであることが好ましい。このような複合粒子は、金属酸化物の中でもシリカが比較的流通量が多く安価で簡易な方法により形成することができるという観点から、有効である。
また、本発明の複合粒子においては、前記蛍光体粒子はイオウ原子を含む蛍光体粒子であるのが好ましい。イオウ原子を含む蛍光体粒子を用いれば、複合粒子含有材料に蛍光性をより確実に付与できる複合粒子をより確実に得ることができ、紫外線〜青色領域の光で励起させたときに高い発光効率を示すという特徴がある。
また、本発明は、
蛍光体粒子と、前記蛍光体粒子の表面の少なくとも一部に形成される被覆層と、を含む複合粒子の製造方法であって、
蛍光体粒子と、アルカリ触媒と、を含む蛍光体分散液を調製する蛍光体分散液調製工程と、
被覆層の材料となる金属を含む化学種を溶媒に溶解させた被覆成分用溶液を調整する被覆成分用溶液調整工程と、
前記蛍光体分散液に前記被覆成分用溶液を添加して、前記蛍光体粒子の表面に前記金属の酸化物を含む被覆層を形成する被覆層形成工程と、
を含んでおり、
前記被覆成分用溶液調製工程では、前記被覆層形成工程における前記金属を含む化学種の量が、前記蛍光体粒子に対して前記金属の酸化物換算値で0.001質量%以上となるように、前記金属を含む化学種の添加量を予め調節し、かつ、
少なくとも前記被覆層形成工程を不活性ガス雰囲気下において行うことにより、
下記式(1)の条件を同時に満たす構成を有する複合粒子を調製する、
複合粒子の製造方法を提供する。
0.53≦(ρ/ρ0) ・・・(1)
[式(1)中、ρはJIS−R−1628に規定の測定方法に基づく前記複合粒子のかさ密度の測定値、ρ0は前記複合粒子の真密度の測定値、をそれぞれ示す。]
なお、前記被覆層形成工程はいわゆるアルコキシド法又はゾルゲル法で実施することができ、前記金属を含む化学種の添加量の上限は、前記被覆層形成工程における前記金属を含む化学種の量が、前記蛍光体粒子に対して前記金属の酸化物換算値で60質量%程度であればよい。
本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、前記被覆成分用溶液調製工程での金属を含む化学種の添加量を上述の範囲に調節し、かつ、少なくとも前記アルカリ被覆層形成工程を不活性ガス雰囲気下において行うことが、上述の本発明の複合粒子をより確実に得るため極めて有効であることを見出した。
ここで、本発明において「被覆層形成工程における前記金属を含む化学種の量が、前記蛍光体粒子に対して前記金属の酸化物換算値で0.001質量%以上である」ことについて説明する。すなわち、「金属の酸化物(金属酸化物)換算値」とは、前記金属を含む化学種の質量を、当該化学種に含まれる前記金属と同じ化学当量の金属を含む酸化物(金属酸化物)の質量に換算し、得られた金属酸化物の質量を蛍光体粒子の質量に対する割合として表現した値である。
例えば、前記蛍光体粒子が銅・アルミニウムドープ硫化亜鉛粒子で、前記金属がシリコン(Si)の場合、後述する実施例1の複合粒子の製造の際に使用するテトラエトキシシラン等のようなシリコン(Si)源となる化学種の質量(X1)又は被覆後の複合粒子を真密度測定することにより求めた二酸化シリコン(SiO2)の質量(x2)を複合粒子全体の質量(Y)に対する割合として表現した値{(X1/Y)×100又は(x2/Y)×100}である。なお、具体的には複合粒子、複合化前(被覆層形成前)の蛍光体粒子、及び被覆層単独での真密度をそれぞれ定容積膨張法による乾式密度測定方法で測定し、計算することによりこの質量が求められる。
このように被覆成分用溶液調製工程においては、被覆層形成工程において前記蛍光体分散液と前記被覆成分用溶液を混合した際に、得られる混合液のなかで金属を含む化学種の量が上述の範囲となるように予め計算した上で、金属を含む化学種の添加量を定めて前記被覆成分用溶液を調製するのである。
金属を含む化学種の量を上述の範囲とすることにより、上述の本発明の複合粒子をより確実に得ることができるようになる。また、金属を含む化学種の量を上述の範囲とすることにより、多孔質の被覆層であっても比較的厚さを薄くし、多孔質とすることによる比表面積の増大の影響を十分に抑制した状態で蛍光体粒子の表面上に強固に被覆層を形成できる。そのため、本発明の複合粒子の製造方法により得られる複合粒子は、少量の分散媒であっても十分な分散性を確保することが可能となり、分散処理にかかる負荷を低減できる。
金属を含む化学種の量が蛍光体粒子に対して前記金属の酸化物換算値で0.001質量%以上であると、複合粒子の被覆による凝集防止の効果が確実に得られ、0.001質量%未満であると、被覆量が少なく複合粒子の凝集防止の効果が確実には得られない。一方、金属を含む化学種の量が蛍光体粒子に対して前記金属の酸化物換算値で概ね60質量%以下であると、蛍光体粒子の蛍光性が確実に複合粒子に付与されるが、概ね60質量%を超えると、蛍光体粒子に対する被覆層の質量分率が大きくなり過ぎ、蛍光体粒子の蛍光性が確実には複合粒子に付与されないおそれがある。更に、本発明の効果をより確実に得る観点からは、上述の金属を含む化学種の量は、蛍光体分散液中における蛍光体粒子に対して前記金属の酸化物換算値で0.01質量%以上かつ40質量%以下であることがより好ましい。
ここで、本発明において、「不活性ガス」とは、希ガス及び窒素ガスを示す。また、本発明において、「不活性ガス雰囲気」とは、当該不活性ガス雰囲気中の酸素の濃度が蛍光体粒子の表面の酸化状態を進行させない程度である雰囲気(実質的に酸素が含まれていない雰囲気)を示す。不活性ガス雰囲気中の酸素の濃度は、0.1体積%以下であることが好ましく、0.01体積%以下であることがより好ましい。すなわち、不活性ガスの濃度は99.9体積%以上であることが好ましく、99.99体積%以上であることがより好ましい。
また、この「不活性ガス雰囲気」は、例えば、ドライルーム、グローブボックス又はセパラブルフラスコ等の容器等の「不活性ガス雰囲気形成手段」を用いて行なうことができる。セパラブルフラスコ等の容器を用いる場合は、当該容器に入れた溶液又は懸濁液を不活性ガスで長時間バブリングして溶存酸素を除去すること等により実現することができる。なお、「不活性ガス」は1〜3体積%程度の水素ガスを含んでいてもよい。水素ガスは還元性を有するため、酸化し易い蛍光体(例えば、二価のユーロピウムや二価のマンガンを付活剤とする蛍光体)を取り扱う場合に酸化を抑制することができより好ましい。
更に、本発明の複合粒子の製造方法によれば、不活性ガス雰囲気下で少なくとも被覆層形成工程を行うので、蛍光体粒子の蛍光性を損なうことなく複合粒子を製造することができる。このような効果が得られることについての詳細なメカニズムは明確には解明されていない。
しかし、本発明者らは、不活性ガス雰囲気下で少なくとも被覆層形成工程を行うことにより、蛍光体粒子の表面が被覆層形成するための液(溶存酸素が十分に除去されている液)に浸かっても蛍光体粒子の表面の結晶性の変化が防止され、蛍光体粒子の蛍光性を維持することができていると推察している。また、本発明者らは、従来、蛍光体粒子に被覆層を液中で形成する際には、蛍光体粒子の表面が液(溶存酸素を含む液)に浸かることによって、蛍光体粒子の表面の結晶性が変化して、蛍光体粒子の蛍光性が損なわれることがあったと推察している。
また、本発明の効果をより確実に得る観点から、本発明の複合粒子の製造方法においては、すべての工程を不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。
更に、本発明の複合粒子の製造方法においては、前記被覆層形成工程の後に、前記被覆層を有する前記蛍光体粒子を、カップリング剤を分散媒に含有させた分散液を用いて表面処理する、表面処理工程を更に含んでいる、ことが好ましい。なお、本発明の効果をより確実に得る観点から、この表面処理工程も不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。
このように被覆層形成工程の後に、蛍光体粒子をカップリング剤を用いて表面処理すると、得られた複合粒子を分散させる分散媒の種類に応じて、当該複合粒子の表面のゼータ電位、疎水性又は撥水性を調整することができ、分散性をより向上させることができ、好ましい。
本発明によれば、分散媒(又は溶媒)中における十分な分散性、ひいては複合粒子含有材料中における十分な分散性を有する複合粒子を提供することができる。また、本発明によれば、分散媒中における十分な分散性、ひいては複合粒子含有材料中における十分な分散性を有する上記の本発明の複合粒子をより確実に得ることのできる複合粒子の製造方法を提供することができる。
以下、本発明の複合粒子の好適な一実施形態、及び、本発明の複合粒子の製造方法の好適な一実施形態について詳細に説明する。なお、以下の説明では重複する説明は省略することがある。
[複合粒子]
まず、本発明の複合粒子の好適な実施形態について説明する。本実施形態の複合粒子は、主として、蛍光体粒子と、この蛍光体粒子の表面の少なくとも一部に形成されており、金属アルコキシド法により得られる金属酸化物を含む被覆層とを含む構成を有している。そして、本実施形態の複合粒子は、更に、先に述べた下記式(1)の条件を同時に満たす構成を有している。
0.53≦(ρ/ρ0) ・・・(1)
ここで、式(1)中、ρはJIS−R−1628に規定の測定方法に基づく前記複合粒子のかさ密度の測定値、ρ0は定容積膨張法による乾式密度測定方法に基づく前記複合粒子の真密度の測定値、をそれぞれ示す。
本実施形態の複合粒子は、式(1)で表わされる条件を同時に満たす構成を有するため、蛍光体粒子と被覆層との結合性を十分に確保することができる。そのため、本実施形態の複合粒子は、分散媒中における十分な分散性、ひいては複合粒子含有材料中における十分な分散性を有することとなる。なお、分散媒としては、水や、有機分散媒、ポリマー(高分子)又はバインダー等の有機物が挙げられる。
ここで、従来の複合粒子の場合、被覆層が多孔質であると、比表面積が大きいため多量の溶媒、樹脂が必要となっていた。また、従来の複合粒子の場合、被覆層が多孔質であると複合粒子のかさ密度が被覆前の蛍光体粒子のかさ密度よりも小さくなり、分散媒に分散できる量が比較的少量となってしまっていた。そのため、分散媒に多量に分散させるためには多量の分散媒が必要となっていた。
これに対し、本実施形態の複合粒子は、式(1)で表わされる条件を満たす構成を有するので、多孔質の被覆層であっても比較的厚さを薄くすることができ、また、多孔質とすることによる比表面積の増大の影響を十分に抑制した状態で蛍光体粒子の表面上に強固に被覆層を形成できる構成を採用可能である。そのため、本実施形態の複合粒子は、比表面積及び密度のバランスに優れ、従来の複合粒子に比較して少量の分散媒であっても十分な分散性を確保することが可能となる。
例えば、本発明者らは、光散乱式粒度分布計(堀場製作所(株)製の光散乱式粒度分布計「LB−550」)を用いた観察により、従来の複合粒子の粒度分布に比較して、本実施形態の複合粒子(より具体的には後述する実施例1の複合粒子)の粒度分布が複数の種類の分散媒(水又はエタノール)において、中心となる金属粒子の1次粒子の粒度分布に、より近い状態となることを確認している。また、本発明者らは、光散乱式粒度分布計(堀場製作所(株)製の光散乱式粒度分布計「LB−550」)を用いた観察により、従来の複合粒子に比較して、本実施形態の複合粒子(具体的には後述する実施例1の複合粒子)は、ポリマー(日新化成(株)製のECビヒクル(エチルセルロース系ポリマー)に良好に分散することを確認している。
更に、本実施形態の複合粒子は、式(1)に加えて、先に述べた下記式(2)の条件を更に同時に満たす構成を有している。
W≦0.14 ・・・(2)
ここで、式(2)中、WはCuKα特性X線を用いた粉末X線回折スペクトル測定により得られる回折ピークのうち、ピーク強度の大きさが1位〜3位の3本の回折ピークの半値幅の相加平均値を示す。単位はdegである。
[蛍光体粒子]
次に、本実施形態の複合粒子を構成する蛍光体粒子について説明する。この蛍光体粒子は、種々の蛍光体粒子を用いることができるが、複合粒子含有材料に蛍光性を確実に有する複合粒子を確実に得ることができるという観点から、紫外線〜青色領域の励起光で高い発光効率を示す蛍光体粒子を用いるのが好ましい。紫外線〜青色領域の励起光で高い発光効率を示す蛍光体粒子としては、例えば、Y23、Y3Al512、BaMgAl1017、Zn2SiO4、Ba2SiO4、Sr2SiO4、Ca2SiO4、Ca8MgSi416、LaPO4、CaWO4等の酸化物、LaSi35、Ba2Si58、Ca2Si58、Sr2Si58、CaAlSiN3、SrAlSiN3等の窒化物、SiAlON系材料、SrSiON系材料、BaSiON系材料、CaAlSiON系材料、LiSiAlON系材料、MgAlSiON系材料、CaAlSiON系材料、SrAlSiON系材料、BaAlSiON系材料、ZnAlSiON系材料等の酸窒化物、硫化亜鉛(ZnS)、硫化カルシウム(CaS)、硫化ストロンチウム(SrS)等の他、SrGa24、CaGa24、BaGa24、SrAl24、CaAl24、BaAl24、Sr2SiS4、Ca2SiS4、Ba2ZnS3、Ba2SiS4、Y22S、Gd22S等のイオウ原子を含む化合物等が挙げられる。
更に、複合粒子含有材料に蛍光性をより確実に有する複合粒子をより確実に得ることができるという観点から、硫化亜鉛(ZnS)、硫化カルシウム(CaS)、硫化ストロンチウム(SrS)等の他、SrGa24、CaGa24、BaGa24、SrAl24、CaAl24、BaAl24、Sr2SiS4、Ca2SiS4、Ba2ZnS3、Ba2SiS4、Y22S、Gd22S等のイオウ原子を含む化合物からなる蛍光体粒子を用いるのがさらに好ましい。
本実施形態においては、これらの蛍光体粒子は単一物である必要はなく、発光色を調節するために、2種類以上の蛍光体粒子を混合して用いてもよい。また、蛍光体粒子を構成するSr、Mg、Ca、Ba、Zn等の元素の一部が、例えばMg、Ca、Ba、Zn、Sr等のうちの1種又は2種以上の異なる元素で置換されていてもよい。蛍光体粒子を構成するY、Al等の元素の一部が、例えばGa、Gd、C等のうちの1種又は2種以上の異なる元素で置換されていてもよく、Si等の元素の一部が、例えばGe、Ti等のうちの1種又は2種以上の異なる元素で置換されていてもよい。
また、これらの蛍光体粒子には、多色化や高輝度化を目的として、銅、銀、金、アルミニウム、マンガン、ユーロピウム、テルビウム、セリウム、プラセオジウム、スカンジウム、ツリウム、イッテルビウム、イットリウム、ランタン、ネオジム、サマリウム、ガドリニウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ルテチウム、ほう素、塩素、臭素等のハロゲン、ランタノイド等の種々の付活剤及び/又は共付活剤が添加(ドープ)されていてもよい。これらの付活剤及び/又は共付活剤は任意の1種以上を用いることができる。なお、銅およびアルミニウムをドープした硫化亜鉛やユーロピウムをドープしたSrGa24は黄緑色の発光を示し、白色LEDに用いることができるため好ましい。
蛍光体粒子の形状としては、針状、棒状、板状、鱗片状、球状、粒状、楕円状、立方形状等の種々の形状が挙げられ、本発明において適用することができるが、充填密度を高めるという観点から、可能な限り棒状、球状、粒状、楕円状、立方形状であることが好ましく、球状ないし粒状であることがさらに好ましい。
また、蛍光体粒子は、形状が本来的に歪であって広い粒径分布を示し易いため、例えばベックマンコールター社製のコールターカウンターを用いて測定される体積平均粒子径が、0.01〜100μmであればよく、0.1〜50μmであることがより好ましい。
なお、本実施形態の複合粒子を構成する蛍光体粒子が銅・アルミニウムをドープした硫化亜鉛の場合には、先に述べた式(2)の条件を出す際の回折ピークは、(111)面(28.53度)、(220)面(47.45度)、(311)面(56.31度)に帰属される回折ピークであることが好ましい。このような複合粒子は、十分な結晶性を有しており、複合粒子含有材料に蛍光性をより確実に付与する観点から有効である。ユーロピウム付活SrGa24の場合には(422)面(24.10度)、(062)面(29.97度)、(444)面(38.42度)に帰属される回折ピークであることが好ましい。
[被覆層]
次に、蛍光体粒子の表面の少なくとも一部に形成される被覆層について説明する。
本実施形態における被覆層は金属酸化物を含む層である。被覆層が多孔質の構成を有する場合であっても、その厚さを薄くして多孔質とすることによる比表面積の増大の影響を十分に抑制しつつ、被覆層を蛍光体粒子の表面上に強固に形成する観点から、被覆層は金属酸化物を主成分として含んでいることが好ましく、被覆層は金属酸化物からなることがより好ましい。これにより、本実施形態の複合粒子は、蛍光性をより確実に保持しつつ、従来の複合粒子に比較して少量の分散媒であっても十分な分散性を確保することが可能となる。
この金属酸化物としては、本実施形態の複合粒子を用いた複合粒子含有材料の蛍光性を損なわないように、使用する波長域の光に対するある程度の透過性を有する材料であればよく、例えば、シリカ、チタニア、セリア、イットリア、アルミナ、マグネシア、ジルコニア等の金属の酸化物であることが好ましい。シリカ又はアルミナであることがより好ましく、シリカであることがさらに好ましい。また、このような酸化物の多くは、多様な結晶形態を有し得るものであり、構造の異なるいくつかの結晶形のほか、非晶質形(アモルファス)を取り得る。屈折率、誘電率、機械的特性及び化学的特性等の観点から、所望の結晶形態を有する酸化物を用いることができる。また、被覆層は一層で構成されていても二層以上で構成されていてもよい。被覆層が二層以上で構成されている場合は、それぞれの層が同じ金属酸化物を含んでいても異なる金属酸化物を含んでいてもよい。
[複合粒子の製造方法]
次に、本発明の複合粒子の製造方法の一実施形態について説明する。
本実施形態の複合粒子の製造方法は、主として、蛍光体分散液調製工程と、被覆層形成工程とを含んでいる。より詳しくは、本実施形態の複合粒子の製造方法は、(a)蛍光体分散液調製工程と、(b)被覆成分用溶液調製工程と、(c)溶存酸素パージ工程と、(d)金属アルコキシド法による被覆層形成工程と、(e)複合粒子抽出工程と、を含んでいる。
そして、本実施形態の複合粒子の製造方法は、被覆成分用溶液調製工程でのシリコンを含む化学種の添加量を先に述べた範囲に調節し、かつ、少なくとも被覆層形成工程を不活性ガス雰囲気下において行う。これにより、本実施形態の複合粒子の製造方法で先に述べた式(1)の条件を同時に満たす本実施形態の複合粒子をより確実に得ることができるようになる。以下、本実施形態の複合粒子の製造方法の各工程について説明する。
(a)蛍光体分散液調製工程
蛍光体分散液調製工程は、蛍光体粒子を分散媒及びアルカリ触媒(塩基)に分散させて蛍光体分散液を調製する工程である。この工程で使用する分散媒としては、蛍光体粒子が溶解せず、後述する(b)被覆成分用溶液調製工程にて説明する金属アルコキシド法に適したものであれば特に限定されず、例えば、水及び/又はアルコールが挙げられる。金属アルコキシド法については、例えばT. Sugimoto (Ed.), Fine Particles, Marcel Dekker (New York), 2000等の文献に詳しく記載されており、これらを本実施形態に用いることができる。
また、本工程において用いるアルカリ触媒としては、OH基を有し反応溶媒のpHを上げるというものであれば特に限定されない。例えば、アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムが挙げられる。また、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、尿素のように加水分解によりアンモニアを発生させ、液のpHを上昇させる化合物であってもよい。
この工程により、水酸基が金属微粒子の表面に結合された状態となる。このことは、CuKα特性X線を用いた粉末X線回折スペクトル測定で確認することができる。本発明者らは、蛍光体粒子の表面に結合した水酸基が後述する被覆層形成工程において蛍光体粒子の表面に形成される被覆層と蛍光体粒子の表面との結合を向上させることに寄与していると推察している。なお、蛍光体粒子の表面の特性(蛍光性、結晶性)をより確実に維持する観点から、この被覆成分用溶液調製工程も先に述べた不活性ガス雰囲気下で行ってもよい。
蛍光体粒子の凝集を防止する観点から、この工程において、蛍光体粒子を超音波ホモジナイザー、ボールミル等を用いて攪拌し蛍光体粒子の凝集を予め解いて行うことが好ましい。また、蛍光体分散液を保持する際にも、蛍光体粒子を超音波ホモジナイザー、ボールミル等を用いて攪拌しておくことが好ましい。
(b)被覆成分用溶液調製工程
被覆成分用溶液調製工程は、被覆層の材料となる金属を含む化学種を溶媒に溶解させた被覆成分用溶液を調整する工程である。この被覆成分用溶液調製工程では、先に述べたように、後述する被覆層形成工程における混合物における前記金属を含む化学種の量が、前記蛍光体粒子に対して前記金属の酸化物換算値で0.001質量%以上(及び60質量%程度以下)となるように、好ましくは0.01質量%以上かつ40質量%以下となるように、金属を含む化学種の添加量を予め調節する。
この工程で使用される金属を含む化学種としては、被覆層を構成する金属酸化物の種類によって異なる。例えば、被覆層にシリカを用いる場合は、金属であるシリコンを含むテトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−i−プロポキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン等が挙げられ、被覆層にチタニアを用いる場合は、金属であるチタニウムを含むテトラメトキシチタン、テトラエトキシチタン、テトラ−i−プロポキシチタン、テトラ−n−プロポキシチタン等が挙げられる。
また、被覆層にジルコニアを用いる場合は、金属であるジルコニウムを含むテトラメトキシジルコニウム、テトラエトキシジルコニウム、テトラ−i−プロポキシジルコニウム、テトラ−n−プロポキシジルコニウム等が挙げられ、被覆層にイットリアを用いる場合は、金属であるイットリウムを含むトリエトキシイットリウム、トリ−i−プロポキシイットリウム、トリ−n−ブトキシイットリウム等が挙げられ、被覆層にセリアを用いる場合は、金属であるセリウムを含むトリ−i−プロポキシセリウム等が挙げられる。被覆層にアルミナを用いる場合は、金属アルミニウムを含むトリメトキシアルミニウム、トリエトキシアルミニウム、トリ−n−プロポキシアルミニウム、トリ−i−プロポキシアルミニウム等が挙げられ、被覆層に酸化マグネシウムを用いる場合は、金属マグネシウムを含むジメトキシマグネシウム、ジエトキシマグネシウム、ジ−n−プロポキシマグネシウム、ジ−i−プロポキシマグネシウム等が挙げられる。
この工程で被覆成分用溶液を調製するために使用する溶媒としては、前記金属を含む化学種が溶解し、上記の蛍光体粒子が溶解しないものであれば特に制限はなく、例えば、水及び/又はアルコールが挙げられる。アルコールとしては、例えば、エタノール、メタノール、イソプロピルアルコール等が挙げられる。また、前記金属を含む化学種が溶解しにくい場合には、例えば、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアルデヒド、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、トルエン等を用いればよい。
また、この工程でも被覆成分用溶液中の成分を十分に攪拌する観点から、超音波ホモジナイザー等を用いて被覆成分用溶液に超音波を照射しながら攪拌してもよい。なお、蛍光体粒子の表面の特性(蛍光性、結晶性)をより確実に維持する観点から、この被覆成分用溶液調製工程も先に述べた不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。
(c)溶存酸素パージ工程
溶存酸素パージ工程は、蛍光体分散液調製工程(a)を経て得られる蛍光体分散液中の溶存酸素と、及び、被覆用成分溶液調製工程(b)を経て得られる被覆成分用溶液中の溶存酸素と、を、不活性ガスでパージする工程である。このパージは、従来公知の方法で、希ガス又は窒素ガスを蛍光体分散液中及び被覆用成分溶液中にバブリングさせることによって行うことができる。また、それぞれ蛍光体分散液調製工程(a)及び被覆用成分溶液調製工程(b)の最中に、溶存酸素パージ工程を実施しても構わない。具体的には、前記蛍光体分散液又は前記被覆用成分溶液を不活性ガスで、30分間程バブリングすればよい。
(d)被覆層形成工程
被覆層形成工程は、蛍光体分散液調製工程(a)を経て得られる蛍光体分散液に、被覆用成分溶液調製工程(b)を経て得られる被覆成分用溶液を添加して、蛍光体粒子の表面に金属酸化物を含む被覆層を形成する工程である。そしてこの被覆層形成工程は溶存酸素濃度が好ましくは1mg/L以下の不活性ガス雰囲気下において行われる。被覆層形成工程においても、蛍光体分散液と被覆用成分溶液との反応混合液中の成分を十分に攪拌する観点から、超音波ホモジナイザー等を用いて反応混合液に超音波を照射しながら攪拌することが好ましい。
この工程では、被覆層の形成を促進するためや、蛍光体粒子または複合粒子の凝集を一層抑制するために、添加剤を更に添加してもよい。このような添加剤としては、種々の界面活性剤(アニオン系、カチオン系、ノニオン系)等を用いることができる。例えば、添加剤として、ビス(2−エチルヘキシル)スルホこはく酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウラート(例えば東京化成工業(株)製のTween−20)、ポリ(オキシエチレン)−オクチルフェニルエーテル(例えばコスモ・バイオ(株)製のTriton X−100)等を使用してもよい。
前記反応混合液における反応温度は、5〜80℃であるのが好ましく、さらには、10〜40℃であるのが好ましい。温度が低いと反応速度が遅くなり過ぎ、温度が高いと溶媒の揮発やアルカリ触媒(特にアンモニア)の蒸発等の問題が生じる傾向にある。水に対する酸素の溶解度が、水温の上昇とともに低下するため、この点からも低い温度は好ましくない。
(e)複合粒子抽出工程
複合粒子抽出工程は、被覆層形成工程の後の反応混合液から固液分離法により複合粒子を抽出する工程である。この固液分離は、従来公知の方法で、被覆層形成工程後の複合粒子を含む上記反応混合液をデカンテーション、遠心分離、吸引ろ過、透析、限外ろ過等によって行うことができる。その後、得られた固体成分を例えば電気炉等で乾燥することによって本発明の複合粒子を得ることができる。さらに、所望の結晶形を得るために、得られた固体成分を例えば電気炉で焼成してもよい。
また、未反応のアルコキシドやアルカリ触媒を除去するために、抽出した複合粒子を洗浄するのが好ましい。複合粒子の洗浄は、水及び/又はアルコールを用いて繰返し行うのが好ましい。この複合粒子の洗浄には限外ろ過を用いても構わない。
上記工程(a)〜(e)によって、本実施形態の複合粒子が得られるが、前記被覆層形成工程の反応中、反応終了後(反応直後)、又は複合粒子抽出後(洗浄後)に、前記被覆層を有する前記蛍光体粒子を、カップリング剤を分散媒に含有させた分散液を用いて表面処理する、表面処理工程(f)を更に含んでいてもよい。なお、本発明の効果をより確実に得る観点から、この表面処理工程も不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。
このように被覆層形成工程の後に、蛍光体粒子をカップリング剤を用いて表面処理すると、得られた複合粒子を分散させる分散媒の種類に応じて、当該複合粒子の表面のゼータ電位、疎水性又は撥水性を調整し、分散性や密着性をより向上させることができる。上記のような表面処理は従来公知の方法によって実施することができ、表面処理の度合いはカップリング剤の使用量によってコントロールすればよい。
シリカ等の金属酸化物のゼータ電位をマイナスからプラスに変換するためには、例えば、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルジエトキシメチルシラン等の、アミノ基を有するカップリング剤を用いればよい。
また、親水性であるシリカ等の金属酸化物の表面を疎水性に変換するためには、例えば、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン等を用いればよい。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明の複合粒子及び本発明の複合粒子の製造方法について更に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
≪実施例1≫
(1)蛍光体分散液調製工程及び溶存酸素パージ工程
まず、蛍光体粒子である銅・アルミニウムドープ硫化亜鉛粒子((株)東芝製のSPD−500A−M、平均粒子径:11.7μm)20gを、エタノール(和光純薬工業(株)製)100ml及びイオン交換水5mlと混合して分散液とし、三つ口フラスコ中で攪拌させながら、チッ素ガス(梅本産業(株)製、純度:99.99%)を30分間バブリング(パージ)し、28%アンモニア水(和光純薬(株)製)7mlを添加し、更に前記チッ素ガスで5分間バブリング(パージ)した。これにより、蛍光体分散液を調製した。
なお、蛍光体粒子の半値幅は、CuKα特性X線を用いた粉末X線回折スペクトル測定で確認した。より詳しくは、(株)リガク製の粉末X線回折スペクトル測定装置「ULTIMA−III」を用いて、以下の測定条件で測定した。すなわち、X線管球(Cu、管電圧:40kV、管電流:40mA)、測定条件(ブラッグ角度2θ/度の測定角度範囲:10−90度、サンプリング幅:0.01度、スキャンスピード:4度/分、発散スリット:1/2度、発散縦スリット:10mm、散乱スリット:1/2度、受光スリット:0.3mm)である。
そして、この測定条件のもとで得られた回折パターンから、ZnS(JCPDS no.77−2100)に帰属されるピークである(111)面及び(220)面等のピークより、蛍光体粒子の半値幅を確認した。なお、実施例1〜4及び比較例1においてSiO2に帰属されるピークは確認できなかった。また、蛍光体粒子径は、ベックマンコールター社製のコールターカウンターを用いて測定した値である。
(2)被覆成分用溶液調製工程及び溶存酸素パージ工程
一方で、テトラエトキシシラン(和光純薬(株)製)0.5gを、エタノール50mlに溶解させて被覆成分用溶液とし、攪拌させながら、チッ素ガス(梅本産業(株)製、純度:99.99%)を30分間バブリング(パージ)した。
なお、テトラエトキシシランの添加量は、後述する被覆層形成工程における反応混合液において、蛍光体粒子に対して、テトラエトキシシランが二酸化ケイ素換算値で0.1質量%含まれるように調節した。ここで、「二酸化ケイ素換算値」とは、テトラエトキシシランの質量を当該二酸化ケイ素に含まれるシリコンと同じ化学当量のシリコンを含む二酸化ケイ素(SiO2)の質量に換算し、得られた二酸化ケイ素(SiO2)の質量を蛍光体粒子の質量に対する割合として表現した値である。
(3)被覆層形成工程
上記のようにして調製及び溶存酸素パージをして得られた蛍光体分散液と被覆成分用溶液とを攪拌しながら混合して反応混合液とし、チッ素気流中で4時間反応させた。この際、反応混合液を特に加熱又は冷却しなかったが、当該反応混合液の温度は18〜22℃の範囲であった。
(4)複合粒子抽出工程
次に、反応終了後の反応混合液について、久保田商事(株)製の8420型遠心分離器を用いて、3000rpmで10分間遠心分離を行い、上澄み液を除去して得られた沈殿物をメタノール(和光純薬工業(株)製)150mlに添加して充分に懸濁させた後、再度遠心分離を行った。
この一連の操作を3回繰返した後の沈殿物を、ダイアフラム型の真空ポンプを用いて減圧容器中で約15時間真空乾燥し、電気オーブンを用いて80℃及び6時間の条件で乾燥した。これによって蛍光体粒子(銅・アルミニウムドープ硫化亜鉛粒子)の表面に金属酸化物(シリカ)を主成分として含む被覆層を形成した複合粒子を得た。
(5)複合粒子の被覆層の化学組成分析
得られた複合粒子の被覆層の化学組成は、エネルギー分散型X線を用いた元素分析によりSiとOの存在を確認した。また、FT−IRを用いた分析結果からSi−O−Si結合(1080cm-1付近)とO−Si−O結合(1200cm-1付近)のピークの存在を確認し、シリカであると同定された。
≪実施例2≫
実施例1と同様にして得られた複合粒子(沈殿物)5gを、酢酸(和光純薬工業(株)製)でpH4に調整したイオン交換水20mlに分散させた。得られた分散液を、ガラス製のサンプル瓶中で、マグネティックスターラーを用いて攪拌し、3−アミノプロピルトリエトキシシラン(信越シリコーン(株)製)0.5gを添加し、1時間強く攪拌させながら混合した。このときの前記分散液の温度は18〜22℃であった。
その後、前記分散液について、久保田商事(株)製の8420型遠心分離器を用いて、3000rpmで10分間遠心分離を行い、上澄み液を除去して得られた沈殿物をメタノール(和光純薬工業(株)製)20mlに添加して充分に懸濁させた後、再度遠心分離を行った。
この操作を行った後の沈殿物を、ダイアフラム型の真空ポンプを用いて減圧容器中で約15時間真空乾燥し、電気オーブンを用いて80℃及び6時間の条件で乾燥した。これによって蛍光体粒子(銅・アルミニウムドープ硫化亜鉛粒子)の表面に金属酸化物(シリカ)を主成分として含む被覆層を形成し、さらに表面にアミノ基が導入された複合粒子を得た。このアミノ基の存在は、以下の方法により確認した。
ホウ酸ナトリウム(和光純薬工業(株)製)5.03gを500mLのイオン交換水に溶解し、pH=9.3、50mMホウ酸バッファー溶液を調製した。次に、トリニトロベンゼンスルホン酸(TNBS、東京化成工業(株)製)133.7mgをホウ酸バッファー溶液100mLに溶解し、4mM−TNBS溶液を調製した。上記のようにアミノ基を導入した複合粒子5mgに、ホウ酸バッファー溶液2mL、TNBS溶液2mLを添加し、複合粒子を良く分散させ、25℃の恒温槽に浸けた。15分後に複合粒子を恒温槽から取り出し、遠心分離により上澄みを回収した。回収した上澄み溶液を、(株)日立製作所製自記分光光度計U−3500を用いて425nmのピークの発現を確認することによってアミノ基の存在を確認した。
≪実施例3≫
蛍光体粒子としてユーロピウム付活SrGa24(三井金属鉱業(株)製)用いた以外は、実施例1と同様にして、被覆層を有する複合粒子を得た。なお、蛍光体粒子の半値幅は、SrGa24(JCPDS no.25−0895)に帰属されるピークである(422)面及び(062)面、(444)面のピークから確認した。
≪実施例4≫
実施例3と同じ蛍光体を用い、被覆成分用溶液調製工程及び溶存酸素パージ工程において用いたテトラエトキシシラン(和光純薬(株)製)の量を2gとした以外は、実施例3と同様にして、被覆層を有する複合粒子を得た。
≪比較例1≫
実施例1における「溶存酸素パージ工程」を行わず、その他は実施例1と同様に「(1)蛍光体分散液調製工程」、「(2)被覆成分用溶液調製工程」、「(3)被覆層形成工程」、及び「(4)複合粒子抽出工程」を行なうことにより、比較例1の複合粒子を得た。
≪比較例2≫
また、実施例1における蛍光体粒子蛍光体粒子である銅・アルミニウムドープ硫化亜鉛粒子(SPD−500A−M、平均粒子径:11.7μm)を、比較例2の粒子(被覆層無し)として用いた。
[粒径測定]
複合粒子の体積平均粒子径はベックマンコールター社製のコールターカウンターで測定した。実施例1〜実施例4、比較例1で得た試料(複合粒子)又は比較例2の試料(粒子)約0.1gを、イオン交換水約100mLに分散させ、十分に撹拌した状態で、体積平均粒子径を測定した。
[分散媒への分散性評価試験]
分散性は、沈降試験によって評価した。試料約0.2gをイオン交換水約30mLに加え、超音波ホモジナイザーを用いて良く分散させた。そして、大きさの等しいメスシリンダーに移し替え、複合粒子の沈降の様子を観察した。評価基準は、複合粒子の大部分が直ぐに沈降すれば「2」、徐々に沈降すれば「1」とした。
[ゼータ電位測定]
また、実施例1〜実施例4、比較例1で得た試料(複合粒子)又は比較例2の試料(粒子)について、イオン交換水に懸濁させ、マルバーン社製のゼータ電位計(商品名:ゼータサイザーナノ)を用いて、表面電位を測定した。
Figure 2010103773
表1に示した結果から明らかなように、先に述べた式(1)〜式(2)の条件を満たさない比較例1の複合粒子に比較して、式(1)〜式(2)の条件を同時に満たす実施例1〜実施例4の複合粒子は、良好な分散性を有することが確認された。
例えば、実施例1〜実施例4の複合粒子は、そのd及びd1の数値からも明らかなように、分散媒をイオン交換水とした場合において、複合粒子の粒度分布が、これを構成する一次粒子の粒度分布(d0)に、より近くなっている。また、実施例1〜実施例4の複合粒子は、エチルセルロース系ポリマーへの分散性も良好であった。
また、実施例2においては、複合粒子の表面にアミノ基を導入することにより、ゼータ電位をマイナスからプラスへ変換できることが確認された。これにより、例えば、ポリアクリル酸系樹脂を含む分散媒への分散性が向上する。
本発明により得られる複合粒子は、水やポリマー等の溶媒に混合させて使用する際に凝集が少なく分散が容易であり、かつ複合粒子を構成する蛍光体粒子の特性を損なわないという特徴を有する。そのため、本発明の複合粒子は、例えば、発光ダイオード、ブラウン管、蛍光灯、プラズマディスプレイ、フィールドエミッションディスプレイ、蛍光表示管、冷陰極管、レーザー、エレクトロルミネッセンスディスプレイ等の種々の表示デバイスや発光デバイスに好適に利用することができる。また、本発明により得られる複合粒子の製造方法は、上記の複合粒子を好適に製造するために利用することができる。
すなわち、本発明は、
体積平均粒子径が0.01〜100μmの蛍光体粒子と、
前記蛍光体粒子の表面の少なくとも一部に形成されており、金属酸化物を含む被覆層と、
を含んでおり、
下記式(1)の条件を満たす構成を有している、
複合粒子を提供する。
0.53≦(ρ/ρ≦0.74 ・・・(1)
[式(1)中、ρはJIS−R−1628に規定の測定方法に基づく前記複合粒子のかさ密度の測定値、ρは定容積膨張法による乾式密度測定方法に基づく前記複合粒子の真密度の測定値、をそれぞれ示す。]
また、本発明は、
体積平均粒子径が0.01〜100μmの蛍光体粒子と、前記蛍光体粒子の表面の少なくとも一部に形成される被覆層と、を含む複合粒子の製造方法であって、
蛍光体粒子と、アルカリ触媒と、を含む蛍光体分散液を調製する蛍光体分散液調製工程と、
被覆層の材料となる金属を含む化学種を溶媒に溶解させた被覆成分用溶液を調整する被覆成分用溶液調整工程と、
前記蛍光体分散液に前記被覆成分用溶液を添加して、前記蛍光体粒子の表面に前記金属の酸化物を含む被覆層を形成する被覆層形成工程と、
を含んでおり、
前記被覆成分用溶液調製工程では、前記被覆層形成工程における前記金属を含む化学種の量が、前記蛍光体粒子に対して前記金属の酸化物換算値で0.001質量%以上となるように、前記金属を含む化学種の添加量を予め調節し、かつ、
添加前の前記蛍光体分散液及び前記被覆成分用溶液に溶存酸素パージを行い、前記被覆層形成工程を不活性ガス雰囲気下において行うことにより、
下記式(1)の条件を同時に満たす構成を有する複合粒子を調製する、
複合粒子の製造方法を提供する。
0.53≦(ρ/ρ≦0.74 ・・・(1)
[式(1)中、ρはJIS−R−1628に規定の測定方法に基づく前記複合粒子のかさ密度の測定値、ρは前記複合粒子の真密度の測定値、をそれぞれ示す。]
なお、前記被覆層形成工程はいわゆるアルコキシド法又はゾルゲル法で実施することができ、前記金属を含む化学種の添加量の上限は、前記被覆層形成工程における前記金属を含む化学種の量が、前記蛍光体粒子に対して前記金属の酸化物換算値で60質量%程度であればよい。
すなわち、本発明は、
体積平均粒子径が0.01〜100μmの蛍光体粒子と、
前記蛍光体粒子の表面の少なくとも一部に形成されており、金属酸化物を含む被覆層と、
を含んでおり、
下記式(1)の条件を満たす構成を有している、
複合粒子を提供する。
0.53≦(ρ/ρ)≦0.66 ・・・(1)
[式(1)中、ρはJIS−R−1628に規定の測定方法に基づく前記複合粒子のかさ密度の測定値、ρは定容積膨張法による乾式密度測定方法に基づく前記複合粒子の真密度の測定値、をそれぞれ示す。]を得るための製造方法に関する。
発明は、
体積平均粒子径が0.01〜100μmの蛍光体粒子と、前記蛍光体粒子の表面の少なくとも一部に形成される被覆層と、を含む複合粒子の製造方法であって、
蛍光体粒子と、アルカリ触媒と、を含む蛍光体分散液を調製する蛍光体分散液調製工程と、
被覆層の材料となる金属を含む化学種を溶媒に溶解させた被覆成分用溶液を調整する被覆成分用溶液調整工程と、
前記蛍光体分散液に前記被覆成分用溶液を添加して、前記蛍光体粒子の表面に前記金属の酸化物を含む被覆層を形成する被覆層形成工程と、
を含んでおり、
前記被覆成分用溶液調製工程では、前記被覆層形成工程における前記金属を含む化学種の量が、前記蛍光体粒子に対して前記金属の酸化物換算値で0.001質量%以上となるように、前記金属を含む化学種の添加量を予め調節し、かつ、
添加前の前記蛍光体分散液及び前記被覆成分用溶液に溶存酸素パージを行い、前記被覆層形成工程を不活性ガス雰囲気下において行うことにより、
下記式(1)の条件を同時に満たす構成を有する複合粒子を調製する、
複合粒子の製造方法を提供する。
0.53≦(ρ/ρ)≦0.66 ・・・(1)
[式(1)中、ρはJIS−R−1628に規定の測定方法に基づく前記複合粒子のかさ密度の測定値、ρは前記複合粒子の真密度の測定値、をそれぞれ示す。]
なお、前記被覆層形成工程はいわゆるアルコキシド法又はゾルゲル法で実施することができ、前記金属を含む化学種の添加量の上限は、前記被覆層形成工程における前記金属を含む化学種の量が、前記蛍光体粒子に対して前記金属の酸化物換算値で60質量%程度であればよい。

Claims (6)

  1. 蛍光体粒子と、
    前記蛍光体粒子の表面の少なくとも一部に形成されており、金属酸化物を含む被覆層と、
    を含んでおり、
    下記式(1)の条件を満たす構成を有している、
    複合粒子。
    0.53≦(ρ/ρ0) ・・・(1)
    [式(1)中、ρはJIS−R−1628に規定の測定方法に基づく前記複合粒子のかさ密度の測定値、ρ0は定容積膨張法による乾式密度測定方法に基づく前記複合粒子の真密度の測定値、をそれぞれ示す。]
  2. 前記式(1)に加えて、下記式(2)の条件を更に同時に満たす構成を有している、請求項1に記載の複合粒子。
    W≦0.14 ・・・(2)
    [式(2)中、WはCuKα特性X線を用いた粉末X線回折スペクトル測定により得られる回折ピークのうち、ピーク強度の大きさが1位〜3位の3本の回折ピークの半値幅の相加平均値を示す。単位はdegである。]
  3. 前記金属酸化物は、シリカである、請求項1又は2に記載の複合粒子。
  4. 前記蛍光体粒子は、イオウ原子を含む蛍光体粒子である、請求項1〜3のうちのいずれかに記載の複合粒子。
  5. 蛍光体粒子と、前記蛍光体粒子の表面の少なくとも一部に形成される被覆層と、を含む複合粒子の製造方法であって、
    蛍光体粒子と、アルカリ触媒と、を含む蛍光体分散液を調製する蛍光体分散液調製工程と、
    被覆層の材料となる金属を含む化学種を溶媒に溶解させた被覆成分用溶液を調整する被覆成分用溶液調整工程と、
    前記蛍光体分散液に前記被覆成分用溶液を添加して、前記蛍光体粒子の表面に前記金属の酸化物を含む被覆層を形成する被覆層形成工程と、
    を含んでおり、
    前記被覆成分用溶液調製工程では、前記被覆層形成工程における前記金属を含む化学種の量が、前記蛍光体粒子に対して前記金属の酸化物換算値で0.001質量%以上となるように、前記金属を含む化学種の添加量を予め調節し、かつ、
    少なくとも前記被覆層形成工程を不活性ガス雰囲気下において行うことにより、
    下記式(1)の条件を同時に満たす構成を有する複合粒子を調製する、
    複合粒子の製造方法。
    0.53≦(ρ/ρ0) ・・・(1)
    [式(1)中、ρはJIS−R−1628に規定の測定方法に基づく前記複合粒子のかさ密度の測定値、ρ0は前記複合粒子の真密度の測定値、をそれぞれ示す。]
  6. 前記被覆層形成工程の後に、前記被覆層を有する前記蛍光体粒子を、カップリング剤を分散媒に含有させた分散液を用いて表面処理する、表面処理工程を更に含んでいる、
    請求項5に記載の複合粒子の製造方法。
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