JPWO2010038611A1 - 内燃機関用スパークプラグ - Google Patents

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Abstract

接地電極に貴金属チップを設けることなく構成したスパークプラグにおいて、着火性の向上を図りつつ、長寿命化を実現し、さらには、接地電極の十分な強度を確保可能なスパークプラグを提供する。スパークプラグ1は、中心電極5と、絶縁碍子2と、主体金具3と、接地電極27とを備え、中心電極5及び接地電極27間に形成された火花放電間隙33で、軸線CL1方向にほぼ沿って火花放電が行われる。接地電極は、中心電極5の先端面5Fの外径よりも幅が狭く、略一定の幅の幅狭部42と、幅狭部42よりも幅の広い幅広部41とを有する。軸線CL1方向の先端側から見たとき、幅狭部42の基端部は、中心電極5の先端面5Fよりも接地電極27の根元側に位置し、幅狭部42の基端部は、火花放電間隙33の中心よりも軸線CL1方向の先端側に位置する。

Description

本発明は、内燃機関に使用するスパークプラグに関する。
自動車エンジン等の内燃機関に使用されるスパークプラグは、例えば軸線方向に延びる中心電極と、その外側に設けられた絶縁体と、当該絶縁体の外側に設けられた円筒状の主体金具と、基端部が前記主体金具の先端部に接合された接地電極とを備える。また、接地電極は、その先端部が前記中心電極の先端部と対向するように曲げ返して配置され、これにより中心電極の先端部及び接地電極の先端部の間に火花放電間隙が形成される。また、前記接地電極のうち前記火花放電間隙を形成する部位に、ボリュームの比較的小さな貴金属チップを設けることで、火炎核の熱が接地電極から引かれてしまうこと(消炎作用)を抑制し、着火性の向上を図る技術が知られている。
ところで、近年、資源不足による貴金属チップの材料価格の高騰等に伴い、接地電極に貴金属チップを設けることなく、スパークプラグを構成する要請が高まっている。そこで、接地電極に貴金属チップを設けなくとも、着火性を十分に向上させるという観点から、接地電極のうち中心電極に対向する部位を中心電極側へと突出する断面台形状に形成するとともに、接地電極先端部の両側面を、接地電極の先端側に向けて先細るテーパ状とする手法が提案されている(例えば、特許文献1等参照)。当該技術によれば、消炎作用を抑制することができるため、着火性の向上を期待できる。
ところが、上記技術を用いた場合には、接地電極の先端部分を除いた部分についてはテーパ状に形成されていない、すなわち、接地電極のうち屈曲部分や根元側の部分については比較的幅の広い状態となっている。そのため、ほぼ同一の幅を有するようにして形成された接地電極の場合と同様に、接地電極の屈曲部分と中心電極との間において不正常な火花放電が発生しやすく、着火性の向上効果が十分に発揮されないおそれがある。
そこで、接地電極の先端部を中心電極の先端面側へと倒し、接地電極の先端の角部を中心電極の先端面に対向させることで、接地電極の先端角部と中心電極との間での火花放電(正常位置での火花放電)を生じやすくさせ、これにより、着火性を向上させる技術が提案されている(例えば、特許文献2等参照)。
しかしながら、当該技術を用いた場合には、着火性の向上を図ることができるものの、接地電極の先端角部や、中心電極のうち前記接地電極の先端角部と対向する部位において局所的な消耗が進んでしまいやすい。そのため、火花放電間隙の急速な拡大を招いてしまい、比較的早い段階で正常な火花放電が行えなくなってしまうおそれがある。
これに対して、接地電極のうち、少なくとも中心電極側の反対側の面を湾曲面状に形成することで、火花放電間隙へと混合気を流入しやすくし、寿命の低減を招くことなく、着火性の向上を図る技術が提案されている(例えば、特許文献3等参照)。
特許第3461637号公報 特開2004−87464号公報 特開2007−250344号公報
ところが、火花放電間隙へと混合気を流入しやすくするためには、接地電極をある程度幅狭に形成する(例えば、小径化する)必要がある。そのため、接地電極の強度が低下してしまい、特に内燃機関の動作に伴う振動等による応力が集中しやすい接地電極の屈曲部分においては、その折損等の不具合が懸念される。
本発明は、上記事情を鑑みてなされたものであり、その目的は、接地電極に貴金属チップを設けることなく構成したスパークプラグにおいて、着火性の向上を図りつつ、長寿命化を実現し、さらには、接地電極の十分な強度を確保することができる内燃機関用スパークプラグを提供することにある。
以下、上記目的を解決するのに適した各構成につき、項分けして説明する。なお、必要に応じて対応する構成に特有の作用効果を付記する。
構成1.本構成の内燃機関用スパークプラグは、軸線方向に延びる棒状の中心電極と、
前記軸線方向に延びる軸孔を有するとともに、前記中心電極を前記軸孔に備えた筒状の絶縁体と、
前記絶縁体の外周に備えられた筒状の主体金具と、
前記主体金具の先端部から延び、先端が前記中心電極に向けて曲げられて配置された接地電極とを備え、
前記中心電極の先端部と前記接地電極の先端部との間に形成された間隙において、前記軸線方向にほぼ沿って火花放電が行われる内燃機関用スパークプラグであって、
前記接地電極の先端部には、前記中心電極の先端面の外径よりも幅が狭く、かつ、略一定の幅を有する幅狭部が形成されるとともに、前記接地電極のうち、その基端部から前記幅狭部までの間の部位は、前記幅狭部よりも幅の広い幅広部とされており、
前記軸線方向の先端側から見たとき、前記幅狭部の基端は、前記中心電極の先端面よりも前記接地電極の根元側にあり、かつ、
前記幅狭部の基端は、前記間隙の中心よりも前記軸線方向の先端側にあることを特徴とする。
上記構成1によれば、接地電極の先端部(中心電極の先端面と対向する部分)は基端部側と比較して幅の狭い幅狭部とされている。このため、火花放電により生じた火炎核の熱が接地電極によって引かれてしまうこと、及び、火炎核の成長(伝播)が接地電極によって阻害されてしまうことを抑制することができる。これにより、火炎伝播性の向上を図ることができ、優れた着火性を実現することができる。
さらに、接地電極の幅方向中心部分と中心電極との間にて火花放電した場合には、火炎核が接地電極に覆われるような位置で生じてしまうため、火炎核の広がりが接地電極によって阻害されてしまいやすいが、本構成1によれば、幅狭部の幅が、中心電極の先端面の外径よりも小さくなるように設定されている。そのため、エッジ部分については、電界強度が比較的高く、火花放電が生じやすいことから、中心電極の先端エッジ部と、幅狭部のうち中心電極側に形成されたエッジ部分(側方エッジ部)との間で、すなわち、接地電極に覆われてない位置において火花放電が発生しやすくなる。そのため、接地電極の先端部が幅狭に形成されていることと相俟って、接地電極による火炎核の成長の阻害を効果的に抑制することができ、着火性の一層の向上を図ることができる。
加えて、幅狭部の幅を中心電極の先端面の外径よりも大きく設定した場合には、中心電極の先端エッジ部の各部位によって、幅狭部の側方エッジ部との間の距離が比較的大きく相違してしまい、ひいては先端エッジ部のうち、前記側方エッジ部との間の距離が比較的小さい部位において火花放電が集中して発生してしまうおそれがある。この点、本構成1によれば、幅狭部の幅が中心電極の先端面の外径よりも小さくされているため、中心電極の先端エッジ部の各部位について、幅狭部の側方エッジ部との間の距離に大きな差が生じてしまうことを防止することができる。その結果、中心電極の各部分をほぼ均等に消耗させることができ、長寿命化を図ることができる。
併せて、幅狭部は、その基端が前記間隙の中心よりも軸線方向の先端側に位置するように形成されている。換言すれば、接地電極のうち、少なくとも前記間隙の中心よりも軸線方向後端側の部位は幅広部とされている。そのため、接地電極の屈曲部分が比較的幅広に形成されることとなり、接地電極の強度を十分確保することができる。
尚、特開2001−307858号公報の図5Aに示すように、接地電極の先端部に略一定の幅を有する幅狭部を設ける技術が提案されている。ところが、当該技術においては、幅狭部の幅が中心電極の先端面の外径よりも大きなものとされているため、接地電極により火炎核の成長が阻害されてしまいやすい。この点、本構成1によれば、上述の通り、幅狭部の幅は中心電極の先端面の外径よりも小さくされているため、火炎核の成長阻害を効果的に抑制することができる。そのため、本件発明によれば、上記従来技術と比較して、着火性の著しい向上を図ることができる。
構成2.本構成の内燃機関用スパークプラグは、上記構成1において、前記幅狭部のうち、前記中心電極と対向する対向面、及び、当該対向面と隣合う側面の間に形成された側方エッジ部と、
前記中心電極の先端面、及び、前記中心電極の外周面の間に形成された先端エッジ部のうち、前記軸線方向の先端側から見て前記側方エッジ部の間の部位である内側エッジ部と、
の間の前記幅狭部の中心軸と直交する方向に沿った最大距離をFとし、
前記軸線方向に沿った前記間隙の大きさをGとしたとき、
F≦1.25G
を満たすことを特徴とする。
上記構成2によれば、幅狭部の側方エッジ部と中心電極の内側エッジ部との距離が比較的小さくなるように、すなわち、幅狭部の幅が十分に小さなものとなるように構成されている。これにより、接地電極による火炎核の成長阻害等をより確実に防止することができ、着火性のより一層の向上を図ることができる。
また、中心電極の内側エッジ部と幅狭部の側方エッジ部との間の距離が比較的大きい場合には、中心電極の内側エッジ部と幅狭部との間で距離が比較的小さい部分、すなわち、幅狭部のうち中心電極の先端面と対向する対向面の中心部分(接地電極の先端面側から見た場合において、前記対向面の中心に位置する部位)、或いは、その近傍において火花放電が発生しやすくなってしまう。そのため、接地電極によって火炎核の成長が妨げられやすくなってしまい、着火性の向上が十分に図れないおそれがある。この点、本構成2によれば、中心電極の内側エッジ部と幅狭部の側方エッジ部との間において積極的な火花放電がなされることとなり、上述の作用効果と併せて、着火性の更なる向上を図ることができる。
構成3.本構成の内燃機関用スパークプラグは、上記構成1又は2において、前記幅狭部のうち、前記中心電極と対向する対向面、及び、当該対向面と隣合う側面の間に形成された側方エッジ部と、
前記中心電極の先端面、及び、前記中心電極の外周面の間に形成された先端エッジ部のうち、前記軸線方向の先端側から見て前記側方エッジ部の間の部位である内側エッジ部と、
の間の前記幅狭部の中心軸と直交する方向に沿った最大距離をFとし、
前記側方エッジ部と、
前記中心電極の先端エッジ部のうち、前記内側エッジ部以外の部位である外側エッジ部との間の、前記幅狭部の中心軸と直交する方向に沿った最大距離をHとしたとき、
0mm≦F−H≦0.3mm
を満たすことを特徴とする。
上記構成3によれば、0mm≦F−Hとされているため、接地電極の先端面側から見て中心電極の先端面の中心と、外側エッジ部のうち、前記中心から最も離間する部位との中央部分よりも外周側の部位に対して幅狭部の側方エッジ部が対向している。つまり、幅狭部は十分に大きさの幅を持つように構成されている。これにより、幅狭部について十分な強度を確保することができるとともに、中心電極の内側エッジ部と幅狭部の側方エッジ部との距離が小さくなりすぎてしまうことを防止できる。一方で、F−H≦0.3mmとされることで、中心電極の外側エッジ部と幅狭部の側方エッジ部との距離が小さくなりすぎてしまうことを防止できる。すなわち、0mm≦F−H≦0.3mmとすることで、幅狭部の強度を確保しつつ、中心電極の先端エッジ部の各部位について、幅狭部の側方エッジ部との間の距離に大きな差が生じてしまうことを一層確実に防止することができ、中心電極のより均等な消耗を図ることができる。その結果、耐久性の一層の向上、ひいては更なる長寿命化を図ることができる
構成4.本構成の内燃機関用スパークプラグは、上記構成1乃至3のいずれかにおいて、前記中心電極の先端面のうちの前記接地電極の根元に最も近接する部位と、前記幅狭部の基端との間の、前記幅狭部の中心軸に沿った距離をDとしたとき、
D≧0.3mm
を満たすことを特徴とする。
上記構成4によれば、前記幅狭部の中心軸に沿った、幅狭部の基端から中心電極の先端面までの最短距離Dが0.3mm以上とされている。すなわち、火炎核の成長を阻害し得る幅広部が、火炎核の発生予定位置からより離間した位置に配置されることとなる。これにより、火炎核の成長が阻害されてしまうことをより確実に抑制することができ、着火性の更なる向上を図ることができる。
尚、Dの上限については、幅狭部の基端が、火花放電間隙の中心よりも軸線方向の先端側に位置することを満たすようにして設定されることとなる。
構成5.本構成の内燃機関用スパークプラグは、上記構成1乃至4のいずれかにおいて、前記中心電極の先端面のうちの前記接地電極の根元から最も離間する部位と、前記幅狭部の先端までの間の、前記幅狭部の中心軸に沿った距離Eについて、
前記中心電極の先端面のうちの前記接地電極の根元から最も離間する部位を基準とし、前記軸線方向の先端側から見て、前記接地電極の根元側に接近する方向を−方向、前記接地電極の根元側から離間する方向を+方向としたとき、
−0.4mm≦E≦+0.5mm
を満たすことを特徴とする。
上記構成5によれば、軸線方向の先端側から見たときに、前記幅狭部の先端が、中心電極の先端面のうち接地電極の根元から最も離間する部位より突き出すように構成された場合であっても、その突き出し量の幅狭部の中心軸に沿った大きさは、0.5mm以下とされている。従って、接地電極による火炎核の広がりの阻害をより確実に抑制することができ、着火性の更なる向上を図ることができる。一方で、軸線方向の先端側から見たときに、前記幅狭部の先端が、中心電極の先端面のうち接地電極の根元から最も離間する部位より引っ込むように構成された場合であっても、その引っ込み量の幅狭部の中心軸に沿った大きさは、0.4mm以下とされている。そのため、接地電極(幅狭部)の先端部と、中心電極の先端面のうち接地電極の根元から最も離間する部位との間における火花放電を生じやすくすることができ、ひいては中心電極をより一層均等に消耗させることができる。すなわち、−0.4mm≦E≦+0.5mmとすることで、着火性及び耐久性の更なる向上を図ることができる。
本実施形態のスパークプラグの構成を示す一部破断正面図である。 (a)は、スパークプラグ先端部の構成を示す一部破断正面図であり、(b)は、中心電極及び幅狭部の位置関係を説明するための部分拡大正面図である。 (a)は、スパークプラグの先端部の構成を示す拡大側面図であり、(b)は、中心電極及び幅狭部の位置関係を説明するための部分拡大側面図である。 (a)は、スパークプラグの先端部の構成を示す拡大平面図であり、(b)は、中心電極及び幅狭部の位置関係を説明するための部分拡大平面図である。 内側エッジ部距離を間隙距離で除算した値の異なる複数のサンプルについての、着火性評価試験の結果を示すグラフである。 電極消耗量の測定位置を説明するための平面模式図である。 内側エッジ部距離から外側エッジ部距離を減算した値の異なる複数のサンプルについての、耐久性評価試験における各測定対象位置の電極消耗量を示すグラフである。 基端距離の異なる各サンプルについての、着火性評価試験の結果を示すグラフである。 先端距離の異なる各サンプルについての、着火性評価試験の結果を示すグラフである。 先端距離の異なる各サンプルについての、耐久性評価試験における最遠エッジ部の電極消耗量を示すグラフである。 (a),(b)は、別の実施形態における中心電極の構成を示す部分拡大平面図である。 (a),(b)は、別の実施形態における中心電極の構成を示す部分拡大平面図である。 別の実施形態における接地電極の構成を示す部分拡大側面図である。 (a),(b)は、別の実施形態における接地電極の断面形状を示すための部分拡大側面図である。
以下に、一実施形態について図面を参照して説明する。図1は、内燃機関用スパークプラグ(以下、「スパークプラグ」と称す)1を示す一部破断正面図である。尚、図1等では、スパークプラグ1の軸線CL1方向を図面における上下方向とし、下側をスパークプラグ1の先端側、上側を後端側として説明する。
スパークプラグ1は、筒状をなす絶縁体としての絶縁碍子2、これを保持する筒状の主体金具3などから構成されるものである。
絶縁碍子2は、周知のようにアルミナ等を焼成して形成されており、その外形部において、後端側に形成された後端側胴部10と、当該後端側胴部10よりも先端側において径方向外向きに突出形成された大径部11と、当該大径部11よりも先端側においてこれよりも細径に形成された中胴部12と、当該中胴部12よりも先端側においてこれより細径に形成された脚長部13とを備えている。絶縁碍子2のうち、大径部11、中胴部12、及び、大部分の脚長部13は、主体金具3の内部に収容されている。そして、脚長部13と中胴部12との連接部にはテーパ状の段部14が形成されており、当該段部14にて絶縁碍子2が主体金具3に係止されている。
さらに、絶縁碍子2には、軸線CL1に沿って延びる軸孔4が貫通形成されており、当該軸孔4の先端側には中心電極5が挿入、固定されている。当該中心電極5は、全体として棒状(円柱状)をなし、その先端面5Fが平坦状に形成されるとともに、絶縁碍子2の先端から突出している。また、中心電極5は、銅又は銅合金からなる内層5Aと、ニッケル(Ni)を主成分とするNi合金からなる外層5Bとを備えている。尚、本実施形態では、中心電極5の先端面の外径が1.3mm以上とされている。
また、軸孔4の後端側には、絶縁碍子2の後端から突出した状態で端子電極6が挿入、固定されている。
さらに、軸孔4の中心電極5と端子電極6との間には、円柱状の抵抗体7が配設されている。当該抵抗体7の両端部は、導電性のガラスシール層8,9を介して、中心電極5と端子電極6とにそれぞれ電気的に接続されている。
加えて、前記主体金具3は、低炭素鋼等の金属により筒状に形成されており、その外周面にはスパークプラグ1を内燃機関のエンジンヘッド(図示せず)に取付けるためのねじ部(雄ねじ部)15が形成されている。また、ねじ部15の後端側の外周面には座部16が形成され、ねじ部15後端のねじ首17にはリング状のガスケット18が嵌め込まれている。さらに、主体金具3の後端側には、主体金具3を前記エンジンヘッドに取付ける際にレンチ等の工具を係合させるための断面六角形状の工具係合部19が設けられるとともに、その後端側において絶縁碍子2を保持するための加締め部20が設けられている。
また、主体金具3の内周面には、絶縁碍子2を係止するためのテーパ状の段部21が設けられている。そして、絶縁碍子2は、主体金具3の後端側から先端側に向かって挿入され、自身の段部14が主体金具3の段部21に係止された状態で、主体金具3の後端側の開口部を径方向内側に加締めること、つまり上記加締め部20を形成することによって固定される。尚、絶縁碍子2及び主体金具3双方の段部14,21間には、円環状の板パッキン22が介在されている。これにより、燃焼室内の気密性を保持し、燃焼室内に晒される絶縁碍子2の脚長部13と主体金具3の内周面との隙間に入り込む燃料空気が外部に漏れないようになっている。
さらに、加締めによる密閉をより完全なものとするため、主体金具3の後端側においては、主体金具3と絶縁碍子2との間に環状のリング部材23,24が介在され、リング部材23,24間にはタルク(滑石)25の粉末が充填されている。すなわち、主体金具3は、板パッキン22、リング部材23,24及びタルク25を介して絶縁碍子2を保持している。
また、主体金具3の先端部26の先端面に対して、Ni合金等で構成された接地電極27が接合されている。当該接地電極27は、外層27A及び内層27Bからなる2層構造となっている。より詳しくは、前記外層27AはNi合金〔例えば、インコネル600やインコネル601(いずれも登録商標)〕によって構成されている。一方、前記内層27Bは、前記Ni合金よりも良熱導電性金属である銅合金又は純銅によって構成されている。また、当該接地電極27は、先端側が曲げ返されることで、その先端部の中心電極5側の面が中心電極5の先端面5Fと対向するように構成されている。これにより、中心電極5の先端面5F及び接地電極27の中心電極5側の面の間には、間隙としての火花放電間隙33が形成され、前記軸線CL1にほぼ沿った方向で火花放電が行われることとなる。
さらに、本実施形態では、図2(a)、図3(a)、及び、図4(a)に示すように、接地電極27は、中心電極5の先端面5Fの外径よりも幅の広い幅広部41と、前記中心電極5の先端面5Fの外径よりも幅の狭い幅狭部42とを備えている。前記幅広部41は、前記主体金具3の先端部から延び、前記中心電極5の上方の手前まで延出している。また、前記幅狭部42は、前記幅広部41の先端から延び、前記中心電極5の先端面5Fの少なくとも中央部分を覆うようにして形成されている。さらに、幅狭部42の基端42Bは、前記火花放電間隙33の中心Pよりも軸線CL1方向先端側に位置している。
また、本実施形態においては、図3(b)及び図4(b)に示すように、前記幅狭部42のうち、前記中心電極5の先端面5Fと対向する対向面42C及び当該対向面42Cに隣合う幅狭部42の両側面の間に形成された側方エッジ部42Eと、中心電極5の先端面5F及び中心電極5の外周面の間に形成された環状の先端エッジ部5Eのうち、軸線CL1方向の先端側から見て前記側方エッジ部42Eに挟まれる部位である内側エッジ部51Eとの間の、前記幅狭部42の中心軸CL2と直交する方向に沿った最大距離(「内側エッジ部距離」と称す)をFとし、前記軸線CL1方向に沿った火花放電間隙33の大きさ(「間隙距離」と称す)をGとしたとき、F≦1.25Gを満たすように、幅狭部42の幅等が設定されている。
さらに、前記側方エッジ部42Eと、前記中心電極5の先端エッジ部5Eのうち、前記内側エッジ部51E以外の部位である外側エッジ部52Eとの間の、前記幅狭部42の中心軸CL2と直交する方向に沿った最大距離(「外側エッジ部距離」と称す)をHとしたとき、内側エッジ部距離から外側エッジ部距離を減算した値(F−H)が0mm以上0.3mm以下となるように設定されている。
加えて、図2(b)、及び、図4(b)に示すように、幅狭部42の中心軸CL2に沿った、前記幅狭部42の基端42Bと、前記中心電極5の先端面5Fのうち接地電極27の根元(接合部分)に最も近接する部位(最近エッジ部)NEとの間の距離をDとしたとき、D≧0.3mmとされている。
併せて、軸線CL1方向の先端側から見た際において、前記幅狭部42の先端42Fは、中心電極5の先端面5Fのうち接地電極27の根元(接合部分)から最も離間する部位(最遠エッジ部)FEよりも接地電極27の根元から離間する側へと突き出すように構成されている。但し、その突き出し量は比較的小さな値とされており、本実施形態においては、当該突き出し量の幅狭部42の中心軸CL2に沿った大きさ(「先端距離」と称す)をEとしたとき、E≦0.5mmとされている。
尚、本実施形態においては、軸線CL1方向の先端側から見たとき、幅狭部42の先端42Fが、前記最遠エッジ部FEよりも接地電極27から離間する方向へと突き出すように構成されているが、軸線CL1方向の先端側から見たとき、幅狭部42の先端42Fが前記最遠エッジ部FEよりも接地電極27側へと引っ込んだ位置に配置されるように構成することとしてもよい。但し、この場合において、その引っ込み量については、前記中心軸CL2に沿った大きさが0.4mm以下となるように設定することが好ましい。従って、前記先端距離Eについては、前記最遠エッジ部FEを基準点とした上で、軸線CL1方向の先端側から見て、接地電極27の根元側から離間する方向を+方向、接地電極27の根元側へと接近する方向を−方向としたとき、−0.4mm≦E≦+0.5mmを満たすように設定される。
以上詳述したように、本実施形態によれば、接地電極27の先端部のうち中心電極5の先端面5Fと対向する部分は、その基端部(幅広部41)と比較して幅の狭い幅狭部42とされている。そのため、火花放電により生じた火炎核の熱が接地電極27によって引かれてしまうこと、及び、火炎核の成長(伝播)が接地電極によって阻害されてしまうことを抑制することができる。これにより、火炎伝播性の向上を図ることができ、優れた着火性を実現することができる。
さらに、幅狭部42の幅が、中心電極5の先端面5Fの外径よりも小さくなるように設定されている。そのため、火花放電が、中心電極5の先端エッジ部5Eと、幅狭部42の側方エッジ部42Eとの間で、すなわち、接地電極27に覆われてない位置において発生しやすくなる。そのため、接地電極27の先端部が幅狭に形成されていることと相俟って、接地電極27による火炎核の成長の阻害を効果的に抑制することができ、着火性の一層の向上を図ることができる。
加えて、幅狭部42の幅が中心電極5の先端面5Fの外径よりも小さくされているため、中心電極5の先端エッジ部5Eの各部位について、幅狭部42の側方エッジ部42Eとの間の距離に大きな差が生じてしまうことを防止することができる。その結果、中心電極5の各部分をほぼ均等に消耗させることができ、長寿命化を図ることができる。
併せて、幅狭部42は、その基端42Bが前記火花放電間隙33の中心Pよりも軸線CL1方向の先端側に位置するように形成されている。換言すれば、接地電極27のうち、少なくとも前記火花放電間隙33の中心Pよりも軸線CL1方向後端側の部位は幅広部41とされている。そのため、接地電極27の屈曲部分が比較的幅広に形成されることとなり、接地電極27の強度を十分確保することができる。
また、F≦1.25Gと設定され、幅狭部42の側方エッジ部42Eと中心電極5の内側エッジ部51Eとの距離が比較的小さくなるように、すなわち、幅狭部42の幅が十分に小さなものとなるように構成されている。これにより、接地電極27による火炎核の成長阻害等をより確実に防止することができ、着火性のより一層の向上を図ることができる。さらに、幅狭部42の側方エッジ部42Eと中心電極5の内側エッジ部51Eとの距離を比較的小さくすることで、中心電極5の内側エッジ部51Eと幅狭部42の側方エッジ部42Eとの間において積極的な火花放電がなされることとなり、着火性の更なる向上を図ることができる。
一方で、0mm≦F−Hとされているため、接地電極27の先端面側から見て中心電極5の先端面5Fの中心と、外側エッジ部52Eのうち、前記中心から最も離間する部位との中央部分よりも外周側の部位に対して幅狭部42の側方エッジ部42Eが対向しており、幅狭部42は十分に大きさの幅を持つように構成されている。これにより、幅狭部42について十分な強度を確保することができるとともに、中心電極5の内側エッジ部51Eと幅狭部42の側方エッジ部42Eとの距離が小さくなりすぎてしまうことを防止できる。一方で、F−H≦0.3mmとされることで、中心電極5の外側エッジ部52Eと幅狭部42の側方エッジ部42Eとの距離が小さくなりすぎてしまうことを防止できる。すなわち、0mm≦F−H≦0.3mmとすることで、幅狭部42の強度を確保しつつ、中心電極5の先端エッジ部5Eの各部位について、幅狭部42の側方エッジ部42Eとの間の距離に大きな差が生じてしまうことを一層確実に防止することができ、中心電極5のより均等な消耗を図ることができる。その結果、耐久性の一層の向上、ひいては更なる長寿命化を図ることができる
加えて、本実施形態においては、前記幅狭部42の中心軸CL2に沿った、幅狭部42の基端42Bから中心電極5の先端面5Fまでの最短距離Dが0.3mm以上とされている。すなわち、火炎核の成長を阻害し得る幅広部41が、火炎核の発生予定位置から比較的離間した位置に配置されることとなる。これにより、火炎核の成長が阻害されてしまうことをより一層確実に抑制することができ、着火性の更なる向上を図ることができる。
併せて、軸線CL1方向の先端側から見たときに、前記幅狭部42の先端42Fが、中心電極5の最遠エッジ部FEよりも突き出すように構成されている。そのため、幅狭部42の先端部と、中心電極5の先端面5Fのうち接地電極27の根元から離間する部位との間における火花放電を生じやすくすることができ、ひいては中心電極5をより一層均等に消耗させることができる。一方で、前記突き出し量の幅狭部42の中心軸CL2に沿った大きさは0.5mm以下とされている。従って、接地電極27による火炎核の広がりの阻害をより確実に抑制することができ、着火性の更なる向上を図ることができる。
加えて、中心電極5の外径が1.3mm以上と十分に大きくされている。そのため、0mm≦F−H≦0.3mmとされることにより、中心電極5がより均等に消耗されることと相俟って、耐久性の更なる向上を図ることができる。
次に、本実施形態における作用効果を確認すべく、着火性評価試験を行った。着火性評価試験の概要は次の通りである。すなわち、中心電極の外径や内側エッジ部距離等を種々変更した複数のスパークプラグのサンプルを作製し、当該サンプルを4気筒、1.5Lのエンジンに装着した上で、エンジン回転数を800rpm、吸引負圧を−540mmHg、吸引混合気の空燃比を14.5とした条件にて運転させ、点火進角量を徐々に進めて、平均燃焼圧の変動率が20%に達したときの点火角度(変動率20%到達角度)を求めた。図5に、中心電極の外径の異なるサンプルごとに、内側エッジ部距離を間隙距離で除算した値(F/G)と、変動率20%到達角度との関係を表すグラフを示す。尚、図5においては、中心電極の外径を1.3mmとしたサンプルの変動率20%到達角度を黒菱形でプロットし、中心電極の外径を1.7mmとしたサンプルの変動率20%到達角度を黒三角でプロットし、中心電極の外径を2.1mmとしたサンプルの変動率20%到達角度を黒丸でプロットした。また、各サンプルともに、基端距離、及び、先端距離を0.3mmとした。
図5に示すように、各サンプルは中心電極の外径の種々異なるものであったが、内側エッジ部距離を間隙距離で除算した値(F/G)が1.25以下とされた(すなわち、F≦1.25Gとされた)サンプルについては、着火性が飛躍的に向上することが明らかとなった。これは、内側エッジ部距離を間隙距離で除算した値が1.25以下とされたことで、幅狭部の幅が十分に小さなものとなり、接地電極による火炎核の成長阻害が効果的に抑制されたことによると考えられる。
次いで、内側エッジ部距離や外側エッジ部距離を変更することで、内側エッジ部距離から外側エッジ部距離を減算した値(F−H)を種々変更した複数のスパークプラグのサンプルを作製し、各サンプルについて、耐久性評価試験を行った。耐久性評価試験の概要は次の通りである。すなわち、放電間隔60Hz(1秒間に60回の割合)で、100時間に亘って各サンプルを火花放電させた。そして放電終了後、所定の測定対象位置における電極消耗量を測定した。尚、「所定の測定対象位置」とあるのは、図6に示すように、中心電極の先端エッジ部のうち接地電極の根元に最も近接する部位を0°(360°)とした上で、中心電極の先端面の中心を回転中心として45°ずつ回転させた先端エッジ部の各位置(同図において、黒丸を付した部位)をいう。また、電極消耗量は、試験前のサンプルの中心電極の先端面に対する、試験後のサンプルの中心電極の先端面の軸線方向に沿った消耗量を測定することにより求めた。図7に、各サンプルについての各測定対象位置における電極消耗量を表すグラフを示す。また、表1に、各測定対象位置における電極消耗量のうち、その最大値からその最小値を減算した値(消耗差)を各サンプルごとに示す。尚、図7においては、「F−H」を−0.1mmとしたサンプルの電極消耗量を白抜き正方形で示し、「F−H」を0mmとしたサンプルの電極消耗量を黒菱形で示し、「F−H」を0.1mmとしたサンプルの電極消耗量を黒三角で示し、「F−H」を0.2mmとしたサンプルの電極消耗量を黒丸で示し、「F−H」を0.3mmとしたサンプルの電極消耗量を黒正方形で示し、「F−H」を0.4mmとしたサンプルの電極消耗量を白抜き三角で示した。
Figure 2010038611
図7、及び、表1に示すように、「F−H」を0mm以上0.3mm以下に設定したサンプルについては、消耗差が0.1mm以下となり、先端エッジ部の各部位において電極消耗量のばらつきが非常に小さい、すなわち偏消耗を効果的に抑制できることがわかった。これは、中心電極の先端エッジ部の各部位と、幅狭部の側方エッジ部との間の距離のばらつきが比較的小さくされたことで、先端エッジ部の各部位においてほぼ均等な回数の火花放電が発生したことに起因すると考えられる。
次に、基端距離を種々変更したスパークプラグのサンプルについて、上述の着火性評価試験を行った。尚、当該試験における各サンプルについては、中心電極の外径を1.7mm、内側エッジ部距離を間隙距離で除算した値(F/G)を1.1、先端距離を0.3mmとした。図8に、基端距離と、変動率20%到達角度との関係を表すグラフを示す。
図8に示すように、基端距離が0mm以上とされたサンプル、すなわち、軸線方向の先端側から見たとき、幅狭部の基端が、中心電極の先端面よりも接地電極の根元側に位置するように設定されたサンプルについては、変動率20%到達角度が50°BTDCを超え、優れた着火性を実現できることが明らかとなった。これは、接地電極のうち、少なくとも中心電極と対向する部位が幅狭に形成されたことで、火花放電により生じた火炎核の熱が接地電極によって引かれてしまうこと、及び、火炎核の成長(伝播)が接地電極によって阻害されてしまうことが効果的に抑制されたことによると考えられる。
また、基端距離を0.3mm以上としたサンプルについては、着火性のより一層の向上が認められた。これは、火炎核の成長を阻害し得る接地電極の幅広部が、正常放電時における火花放電の発生予定位置からより離間した位置に配置されることとなったため、火炎核がより成長しやすくなったことに起因すると考えられる。尚、上述の試験結果より、着火性の向上を図るためには、基端距離を0.3mm以上とすることが好ましいといえるが、接地電極の屈曲部分の強度を十分に確保するという観点から、幅狭部の基端部が火花放電間隙の中心よりも軸線方向の先端側に位置するように構成することが必要である。従って、基端距離については、この条件を満たすような範囲内において設定することが必要であるといえる。
次いで、接地電極の長さを種々変更することで、先端距離(軸線方向の先端側から見たときの、最遠エッジ部から幅狭部の先端までの幅狭部の中心軸に沿った距離であって、接地電極の基端部から離間する方向を+方向、接地電極の基端部に接近する方向を−方向として表したもの)を種々変更したスパークプラグのサンプルを作製し、各サンプルについて、上述の着火性評価試験、及び、耐久性評価試験を行った。図9に、先端距離と変動率20%到達角度との関係を表すグラフを示し、図10に、先端距離と最遠エッジ部における電極消耗量との関係を表すグラフを示す。尚、各サンプルともに、中心電極の外径を1.7mm、内側エッジ部距離から外側エッジ部距離を減算した値(F−H)を0mm、後端距離を0.3mmとなるように構成した。
図9に示すように、先端距離を+0.5mm以下としたサンプルについては、優れた着火性を実現できることが明らかとなった。これは、接地電極の突き出し量を比較的小さくしたことで、接地電極による火炎核の広がりの阻害がより確実に抑制されたことによると考えられる。一方で、図10に示すように、先端距離を−0.4mm以上としたサンプルについては、最遠エッジ部の電極消耗量が比較的多くなり、最遠エッジ部が消耗されずに偏消耗が発生してしまうといった事態を防止できることがわかった。これは、最遠エッジ部の近傍に幅狭部の先端部が位置することとなったため、幅狭部の先端部と中心電極の最遠エッジ部との間における火花放電が生じやすくなったことに起因すると考えられる。
以上、各評価試験の結果を総合的に判断すると、着火性の向上を図るという観点から、内側エッジ部距離を間隙距離で除算した値が1.25以下、すなわち、E≦1.25Gとすることや、基端距離Dを0mm以上(より好ましくは、0.3mm以上)とすること、或いは、先端距離Eを+0.5mm以下とすることが好ましいといえる。また、長寿命化を図るという観点から、内側エッジ部距離から外側エッジ部距離を減算した値(F−H)を0mm以上0.3mm以下とすることや、先端距離Eを−0.4mm以上とすることが好ましいといえる。
尚、上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。勿論、以下において例示しない他の応用例、変更例も当然可能である。
(a)上記実施形態において、中心電極5の先端面5Fは平坦状に形成されており、中心電極5の最近エッジ部NEや最遠エッジ部FEと接地電極27との間で火花放電が生じ得る構成とされているが、前記最近エッジ部NEや最遠エッジ部FEとの間で生じた火炎は、その伝播が接地電極27によって若干阻害されやすい。そのため、図11(a),(b)に示すように、中心電極5の先端面5Fのうち最近エッジ部NEや最遠エッジ部FEに対応する部位に切り欠き部53,54を設けたり、図12(a),(b)に示すように、最近エッジ部NE及び最遠エッジ部FEに対応する部位を通る溝部55,56を設けたりすることによって、接地電極27によって火炎の伝播が阻害されやすい部位における火花放電の発生を抑制することとしてもよい。この場合には、火炎伝播性のより一層の向上を図ることができる。尚、前記切り欠き53,54や溝部55,56と、中心電極5の先端面5Fとの間に形成される角部について面取り加工を施したり、または当該角部を湾曲形状に加工したりすることとしてもよい。この場合には、前記角部と接地電極27との間における火花放電の発生を抑制することができ、火炎伝播性の更なる向上を図ることができる。
(b)上記実施形態では、幅狭部42のうち、中心電極5の先端面5Fと対向する対向面42Cは平坦状に形成されているが、図13に示すように、当該対向面42Cに対して幅狭部42の中心軸CL2に沿って延びる溝部61を設けることとしてもよい。この場合には、中心電極5と幅狭部42の中央部分との間、すなわち接地電極27によって火炎の伝播が若干阻害されてしまいやすい部位における火花放電の発生を抑制することができ、着火性の一層の向上を図ることができる。尚、前記幅狭部42の対向面42Cと前記溝部61との間に形成された角部については、上記(a)と同様に、面取り加工を施したり、湾曲面状に加工したりすることとしてもよい。
(c)上記実施形態では、接地電極27として、断面矩形状をなすものが例示されているが、図14(a)に示すように、接地電極57を、中心電極5の先端面5Fと対向する対向面57Cに隣合う側面が外側へと膨出するように湾曲面状に形成された、断面半円形状をなすように構成することとしてもよい。また、同図(b)に示すように、接地電極67を、中心電極5の先端面5Fと対向する対向面67Cの少なくとも背面を外側へと膨出する湾曲面状に形成することとしてもよい。この場合には、接地電極57,67の背面側から混合気が供給されたときであっても、火花放電間隙33に対して混合気を流入させやすくすることができ、着火性のより一層の向上を図ることができる。
(d)上記実施形態では、中心電極5の先端面5Fと接地電極27(幅狭部42)との間に火花放電間隙33が形成されているが、中心電極5の先端にPt合金やIr合金等からなる貴金属チップを設け、当該貴金属チップと接地電極27(幅狭部42)との間に火花放電間隙33を形成することとしてもよい。この場合には、耐久性の一層の向上を図ることができる。
(e)上記実施形態において、接地電極27は、外層27A及び内層27Bよりなる二層構造とされているが、接地電極27の構成はこれに限定されるものではない。従って、接地電極27については、例えば、前記内層27Bを省略して構成することとしてもよいし、3層構造或いは4層以上の多層構造をなすこととしてもよい。
(f)上記実施形態では、主体金具3の先端部26の先端面に、接地電極27が接合される場合について具体化しているが、主体金具の一部(又は、主体金具に予め溶接してある先端金具の一部)を削り出すようにして接地電極を形成する場合についても適用可能である(例えば、特開2006−236906号公報等)。また、主体金具3の先端部26の側面に接地電極27を接合することとしてもよい。
(g)上記実施形態では、工具係合部19は断面六角形状とされているが、工具係合部19の形状に関しては、このような形状に限定されるものではない。例えば、Bi−HEX(変形12角)形状〔ISO22977:2005(E)〕等とされていてもよい。
1…スパークプラグ(内燃機関用スパークプラグ)
2…絶縁碍子(絶縁体)
3…主体金具
4…軸孔
5…中心電極
5E…先端エッジ部
5F…(中心電極の)先端面
27…接地電極
33…火花放電間隙(間隙)
41…幅広部
42…幅狭部
42B…幅狭部の基端
42C…対向面
42E…側面エッジ部
51E…内側エッジ部
52E…外側エッジ部
57…接地電極
57C…対向面
67…接地電極
67C…対向面
CL1…軸線
CL2…幅狭部の中心軸
FE…最遠エッジ部
NE…最近エッジ部

Claims (5)

  1. 軸線方向に延びる棒状の中心電極と、
    前記軸線方向に延びる軸孔を有するとともに、前記中心電極を前記軸孔に備えた筒状の絶縁体と、
    前記絶縁体の外周に備えられた筒状の主体金具と、
    前記主体金具の先端部から延び、先端が前記中心電極に向けて曲げられて配置された接地電極とを備え、
    前記中心電極の先端部と前記接地電極の先端部との間に形成された間隙において、前記軸線方向にほぼ沿って火花放電が行われる内燃機関用スパークプラグであって、
    前記接地電極の先端部には、前記中心電極の先端面の外径よりも幅が狭く、かつ、略一定の幅を有する幅狭部が形成されるとともに、前記接地電極のうち、その基端部から前記幅狭部までの間の部位は、前記幅狭部よりも幅の広い幅広部とされており、
    前記軸線方向の先端側から見たとき、前記幅狭部の基端は、前記中心電極の先端面よりも前記接地電極の根元側にあり、かつ、
    前記幅狭部の基端は、前記間隙の中心よりも前記軸線方向の先端側にあることを特徴とする内燃機関用スパークプラグ。
  2. 前記幅狭部のうち、前記中心電極と対向する対向面、及び、当該対向面と隣合う側面の間に形成された側方エッジ部と、
    前記中心電極の先端面、及び、前記中心電極の外周面の間に形成された先端エッジ部のうち、前記軸線方向の先端側から見て前記側方エッジ部の間の部位である内側エッジ部と、
    の間の前記幅狭部の中心軸と直交する方向に沿った最大距離をFとし、
    前記軸線方向に沿った前記間隙の大きさをGとしたとき、
    F≦1.25G
    を満たすことを特徴とする請求項1に記載の内燃機関用スパークプラグ。
  3. 前記幅狭部のうち、前記中心電極と対向する対向面、及び、当該対向面と隣合う側面の間に形成された側方エッジ部と、
    前記中心電極の先端面、及び、前記中心電極の外周面の間に形成された先端エッジ部のうち、前記軸線方向の先端側から見て前記側方エッジ部の間の部位である内側エッジ部と、
    の間の前記幅狭部の中心軸と直交する方向に沿った最大距離をFとし、
    前記側方エッジ部と、
    前記中心電極の先端エッジ部のうち、前記内側エッジ部以外の部位である外側エッジ部との間の、前記幅狭部の中心軸と直交する方向に沿った最大距離をHとしたとき、
    0mm≦F−H≦0.3mm
    を満たすことを特徴とする請求項1又は2に記載の内燃機関用スパークプラグ。
  4. 前記中心電極の先端面のうちの前記接地電極の根元に最も近接する部位と、前記幅狭部の基端との間の、前記幅狭部の中心軸に沿った距離をDとしたとき、
    D≧0.3mm
    を満たすことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の内燃機関用スパークプラグ。
  5. 前記中心電極の先端面のうちの前記接地電極の根元から最も離間する部位と、前記幅狭部の先端までの間の、前記幅狭部の中心軸に沿った距離Eについて、
    前記中心電極の先端面のうちの前記接地電極の根元から最も離間する部位を基準とし、前記軸線方向の先端側から見て、前記接地電極の根元側に接近する方向を−方向、前記接地電極の根元側から離間する方向を+方向としたとき、
    −0.4mm≦E≦+0.5mm
    を満たすことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の内燃機関用スパークプラグ。
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