JPWO2010021280A1 - ベクトル合成型移相器、光トランシーバおよび制御回路 - Google Patents

ベクトル合成型移相器、光トランシーバおよび制御回路 Download PDF

Info

Publication number
JPWO2010021280A1
JPWO2010021280A1 JP2010525672A JP2010525672A JPWO2010021280A1 JP WO2010021280 A1 JPWO2010021280 A1 JP WO2010021280A1 JP 2010525672 A JP2010525672 A JP 2010525672A JP 2010525672 A JP2010525672 A JP 2010525672A JP WO2010021280 A1 JPWO2010021280 A1 JP WO2010021280A1
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
voltage
signal
differential amplifier
control
phase shifter
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2010525672A
Other languages
English (en)
Other versions
JP5266325B2 (ja
Inventor
秀之 野坂
秀之 野坂
宗彦 長谷
宗彦 長谷
祥吾 山中
祥吾 山中
佐野 公一
公一 佐野
村田 浩一
浩一 村田
小野寺 清光
清光 小野寺
榎木 孝知
孝知 榎木
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Telegraph and Telephone Corp
Original Assignee
Nippon Telegraph and Telephone Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Telegraph and Telephone Corp filed Critical Nippon Telegraph and Telephone Corp
Priority to JP2010525672A priority Critical patent/JP5266325B2/ja
Publication of JPWO2010021280A1 publication Critical patent/JPWO2010021280A1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5266325B2 publication Critical patent/JP5266325B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • HELECTRICITY
    • H03ELECTRONIC CIRCUITRY
    • H03HIMPEDANCE NETWORKS, e.g. RESONANT CIRCUITS; RESONATORS
    • H03H11/00Networks using active elements
    • H03H11/02Multiple-port networks
    • H03H11/16Networks for phase shifting
    • H03H11/20Two-port phase shifters providing an adjustable phase shift
    • HELECTRICITY
    • H04ELECTRIC COMMUNICATION TECHNIQUE
    • H04BTRANSMISSION
    • H04B10/00Transmission systems employing electromagnetic waves other than radio-waves, e.g. infrared, visible or ultraviolet light, or employing corpuscular radiation, e.g. quantum communication
    • H04B10/50Transmitters
    • H04B10/501Structural aspects
    • H04B10/503Laser transmitters
    • H04B10/505Laser transmitters using external modulation
    • HELECTRICITY
    • H03ELECTRONIC CIRCUITRY
    • H03HIMPEDANCE NETWORKS, e.g. RESONANT CIRCUITS; RESONATORS
    • H03H7/00Multiple-port networks comprising only passive electrical elements as network components
    • H03H7/01Frequency selective two-port networks
    • H03H2007/0192Complex filters
    • HELECTRICITY
    • H03ELECTRONIC CIRCUITRY
    • H03HIMPEDANCE NETWORKS, e.g. RESONANT CIRCUITS; RESONATORS
    • H03H11/00Networks using active elements
    • H03H11/02Multiple-port networks
    • H03H11/04Frequency selective two-port networks
    • H03H2011/0494Complex filters
    • HELECTRICITY
    • H04ELECTRIC COMMUNICATION TECHNIQUE
    • H04BTRANSMISSION
    • H04B2210/00Indexing scheme relating to optical transmission systems
    • H04B2210/517Optical NRZ to RZ conversion, or vice versa

Abstract

ベクトル合成型移相器は、入力信号VINから同相信号VINIと直交信号VINQを生成する90°移相器1と、制御信号CIに応じて同相信号VINIの振幅を変化させる四象限乗算器2Iと、制御信号CQに応じて直交信号VINQの振幅を変化させる四象限乗算器2Qと、同相信号VXIと直交信号VXQを合成する合成器3と、制御回路4とを備える。制御回路4は、参照電圧を発生する電圧発生器と、制御電圧VCと参照電圧との差信号を制御信号CI,CQとして出力する差動増幅器とを備え、差動増幅器は、制御電圧VCを正弦波または余弦波に類似する制御信号CI,CQへ変換するアナログ演算を行う。

Description

本発明は、信号振幅を調整する可変利得増幅器または四象限乗算器と制御回路とを用いて入力信号の位相を任意に変更して出力するベクトル合成型移相器、ベクトル合成型移相器をNRZ−RZ変換におけるクロックのタイミング調整に使用する光トランシーバ、および可変利得増幅器または四象限乗算器等の手段に対して制御信号を出力する制御回路に関するものである。
図41はベクトル合成型移相器の従来例の構成を示すブロック図、図42A〜図42Dは図41のベクトル合成型移相器の各部の信号を平面上にコンスタレーション表示した図である。
従来のベクトル合成型移相器は、90°移相器1000と、2つの符号反転器1001I,1001Qと、2つの可変利得増幅器1002I,1002Qと、合成器1003と、制御回路1004とから構成されている。このベクトル合成型移相器は、文献「Kwang-Jin Koh,et al.,“0.13-μm CMOS Phase Shifters for X-,Ku-,and K-Band Phased Arrays”,IEEE Journal of Solid-State Circuits,vol.42,no.11,Nov.2007,p.2535-2546」に開示されている。
以下、入力信号VINが理想的な正弦波であるとして図41のベクトル合成型移相器の動作を説明する。図42Aは入力信号VINを表す。90°移相器1000は、入力信号VINを入力し、同相信号VINIと、これに対して位相が90°ずれた直交信号VINQとを出力する。同相成分(I)を横軸、直交成分(Q)を縦軸とするコンスタレーション表示では、図42Bに示すように、同相信号VINIは同相成分(I)のみで表すことができ、直交信号VINQは直交成分(Q)のみで表すことができる。この2つの信号VINI,VINQを仮に合成した場合には、図42Bの220(角度45°、振幅21/2)に相当する信号を得ることができる。
同相信号VINIと直交信号VINQは、一対の符号反転器1001I,1001Qにそれぞれ入力される。符号反転器1001I,1001Qは、それぞれ制御信号SI,SQのレベルに応じて、入力信号をそのまま出力するか、電圧符号を反転して出力するかを切り替える。コンスタレーション表示では、図42Cに示すように、同相信号VINIは同相成分(I)の信号または同相成分(I)が180°回転した信号のどちらかとなり、直交信号VINQは直交成分(Q)の信号または直交成分(Q)が180°回転した信号のどちらかとなる。この2つの信号VINI,VINQを仮に合成した場合には、図42Cの221,222,223,224(角度45°、角度135°、角度225°、角度225°、振幅はいずれも21/2)のいずれかに相当する信号を得ることができる。
さらに細かい移相角度を得るために、一対の符号反転器1001I,1001Qの出力信号は、一対の可変利得増幅器1002I,1002Qにそれぞれ入力される。可変利得増幅器1002I,1002Qは、それぞれ制御信号DAI,DAQのレベルに応じて利得を変化させ、その結果として入力信号の振幅を変化させて出力する。一対の可変利得増幅器1002I,1002Qから出力される同相信号VXIと直交信号VXQは合成器1003でベクトル合成され、移相器出力VOUTとして外部へ出力される。
例えば同相信号側の利得を1、直交信号側の利得を0と設定した場合、コンスタレーション表示では、移相器出力VOUTとして図42Dの225(角度0°、振幅1)の信号を得ることができる。同様に、同相信号側の利得をcos(22.5°)≒0.92、直交信号側の利得をsin(22.5°)≒0.38と設定した場合には、移相器出力VOUTとして図42Dの226(角度22.5°、振幅(0.922+0.3821/2=1)の信号を得ることができ、同相信号側の利得をcos(45°)≒0.71、直交信号側の利得をsin(45°)≒0.71と設定した場合には、移相器出力VOUTとして図42Dの227(角度45°、振幅(0.712+0.7121/2=1)の信号を得ることができる。
上記の3つの設定例は、第一象限(0°〜90°)での動作例を取り上げたが、一対の符号反転器1001I,1001Qを制御することにより、四象限(0°〜360°)にわたる任意位相でかつ振幅1(位相によらず一定)の信号を得ることができる。すなわち、同相信号側の利得をcos(φ)、直交信号側の利得をsin(φ)とすると、移相器出力VOUTとして角度φ、振幅1の信号を得ることができる。
以上のベクトル合成型移相器の動作のために、制御回路1004は、出力させたい位相φの情報を含むディジタル信号DGTLを入力とし、一対の符号反転器1001I,1001Qのための制御信号SI,SQと、一対の可変利得増幅器1002I,1002Qのための制御信号DAI,DAQとを発生する。制御回路1004は、各制御信号を発生するためにcos、sinの演算(またはメモリ参照)を行うディジタル信号処理回路(DSP)1005と、DSP1005で生成された信号を具体的な制御信号SI,SQ,DAI,DAQに変換するエンコーダ1006と、可変利得増幅器1002I,1002Qの制御のためにDAI,DAQのディジタルデータをアナログ信号に変換する複数のディジタルアナログ変換器(DAC)1007I,1007Qとから構成される。
なお、符号反転器1001I,1001Qと可変利得増幅器1002I,1002Qとの組み合わせと同じ機能を、四象限乗算器(例えば、ギルバ−トセル)で実現することもできる(特開2004−32446号公報、特許第3063093号公報参照)。この場合のベクトル合成型移相器の構成を図43に示す。図43のベクトル合成型移相器は、90°移相器2000と、2つの四象限乗算器2001I,2001Qと、合成器2002と、制御回路2003とから構成されている。
90°移相器2000の動作は90°移相器1000と同じであり、90°移相器2000から出力される同相信号VINIと直交信号VINQとをコンスタレーション表示すると、図42Bに示したようになる。
四象限乗算器2001I,2001Qは、それぞれ制御信号CI,CQの符号とレベルに応じて出力の符号と利得とを変化させ、結果として同相信号VINI、直交信号VINQの振幅を変化させて出力する。
一対の四象限乗算器2001I,2001Qから出力される同相信号VXIと直交信号VXQは合成器2002でベクトル合成され、移相器出力VOUTとして外部へ出力される。この移相器出力VOUTをコンスタレーション表示すると、図42Dに示したようになる。
制御回路2003は、出力させたい位相φの情報を含むディジタル信号DGTLを入力とし、一対の四象限乗算器2001I,2001Qのための制御信号CI,CQを発生する。制御回路2003は、DSP2004と、エンコーダ2005と、DAC2006I,2006Qとから構成される。図43の構成の場合には、制御回路2003内のDAC2006I,2006Qとして差動アナログ出力タイプを利用する必要がある。
従来のベクトル合成型移相器は、大規模なディジタル回路やDACを含む制御回路を利用するため、回路規模と消費電力が大きくなるという問題点があった。このような回路規模と消費電力の増大は、ベクトル合成型移相器を搭載する光通信のトランシーバのサイズおよびコストの増大を招くことになる。
また、従来のベクトル合成型移相器は、その制御帯域(位相を制御できる最高速度)が制御回路の帯域に制限されるという問題点があった。このため、光通信のトランシーバにおけるNRZ(Non Return to Zero)−RZ(Return to Zero)変換にベクトル合成型移相器を利用する場合に、環境変化による擾乱(電源電圧変動等)による位相変動耐性を十分に高くすることができず、NRZ−RZ変換の位相位置をフィードバック制御しようとしたときに、十分に高い制御帯域を実現できないという問題が発生する。
従来のベクトル合成型移相器の制御回路を削除し、可変利得増幅器の制御信号DAIまたはDAQのどちらか一方(あるいは制御信号CIまたはCQのどちらか一方)のアナログレベル(電圧または電流)を外部から直接与える方法をとれば、前述の制御帯域の問題は解決できる。しかしながら、この方法では、可変な位相φが0°〜180°の範囲に限定されるという問題、および出力振幅が位相によって大きく変動するという問題(例えば、CQ=0.5に固定してCIを−1から1まで変化させると、出力振幅は最大値(51/2)/2から最小値1/2の間で変化する)という問題が発生する。
本発明の目的は、ディジタル回路とDACを用いることなく制御信号を発生させる制御回路を提供し、従来技術で発生する問題を解消し、小回路規模、低消費電力、広制御帯域、広移相範囲、出力振幅の変動抑圧を同時に達成するベクトル合成型移相器を提供することにある。
本発明のベクトル合成型移相器は、入力信号から同相信号とこの同相信号に対して位相が90°ずれた直交信号とを生成する90°移相器と、同相信号側の第1の制御信号に応じて前記同相信号の振幅を変化させて出力する第1の四象限乗算器と、直交信号側の第2の制御信号に応じて前記直交信号の振幅を変化させて出力する第2の四象限乗算器と、前記第1、第2の四象限乗算器から出力される同相信号と直交信号とを合成して出力する合成器と、前記第1、第2の制御信号を出力する制御回路とを備え、前記制御回路は、参照電圧を発生する電圧発生器と、外部から入力される制御電圧と前記参照電圧との差信号を前記第1、第2の制御信号として出力する差動増幅器とを備え、前記差動増幅器は、前記制御電圧が前記参照電圧の近傍にあるときに、前記制御電圧を正弦波または余弦波に類似する前記第1、第2の制御信号へ変換するアナログ演算を行うことを特徴とするものである。
また、本発明の光トランシーバは、連続光を出力するレーザと、送信したいシリアルデータとクロックとを出力するシリアライザと、前記レーザから入力される連続光を位相変調または振幅変調してNRZ信号光を出力する第1のマッハツェンダ変調器と、前記シリアルデータに応じて前記第1のマッハツェンダ変調器を駆動する第1の変調器ドライバと、前記第1のマッハツェンダ変調器から入力されるNRZ信号光を振幅変調してRZ信号光を出力する第2のマッハツェンダ変調器と、前記クロックを入力とするベクトル合成型移相器と、このベクトル合成型移相器によって位相調整されたクロックに応じて前記第2のマッハツェンダ変調器を駆動する第2の変調器ドライバと、前記ベクトル合成型移相器の移相量に対応する制御電圧を出力する位相制御回路とを備え、前記ベクトル合成型移相器は、前記クロックから同相信号とこの同相信号に対して位相が90°ずれた直交信号とを生成する90°移相器と、同相信号側の第1の制御信号に応じて前記同相信号の振幅を変化させて出力する第1の四象限乗算器と、直交信号側の第2の制御信号に応じて前記直交信号の振幅を変化させて出力する第2の四象限乗算器と、前記第1、第2の四象限乗算器から出力される同相信号と直交信号とを合成し、この合成後の信号を位相調整したクロックとして出力する合成器と、前記第1、第2の制御信号を出力する制御回路とを備え、前記制御回路は、参照電圧を発生する電圧発生器と、前記制御電圧と前記参照電圧との差信号を前記第1、第2の制御信号として出力する差動増幅器とを備え、前記差動増幅器は、前記制御電圧が前記参照電圧の近傍にあるときに、前記制御電圧を正弦波または余弦波に類似する前記第1、第2の制御信号へ変換するアナログ演算を行うことを特徴とするものである。
また、本発明の制御回路は、参照電圧を発生する電圧発生器と、外部から入力される制御電圧と前記参照電圧との差信号を制御信号として出力する差動増幅器とを備え、前記差動増幅器は、前記制御電圧が前記参照電圧の近傍にあるときに、前記制御電圧を正弦波または余弦波に類似する前記制御信号へ変換するアナログ演算を行うことを特徴とするものである。
以上説明したように、本発明によれば、差動増幅器の正弦波または余弦波に類似した出力特性を利用することにより、ディジタル回路とDACとを用いずにアナログの差動増幅器を用いて、四象限乗算器の制御信号を発生させる制御回路を提供することができる。したがって、本発明の制御回路をベクトル合成型移相器に適用することにより、小回路規模、低消費電力、広制御帯域、広移相範囲、出力振幅の変動抑圧を同時に達成するベクトル合成型移相器を提供することができる。
図1は、本発明の第1実施例に係るベクトル合成型移相器の構成を示すブロック図である。 図2A−図2Cは、図1のベクトル合成型移相器の各部の信号を平面上にコンスタレーション表示した図である。 図3は、本発明の第1実施例に係る90°移相器の構成例を示すブロック図である。 図4は、本発明の第1実施例に係る四象限乗算器の構成例を示すブロック図である。 図5は、本発明の第1実施例に係る合成器の構成例を示すブロック図である。 図6は、本発明の第1実施例に係る制御回路の構成例を示すブロック図である。 図7A−図7Cは、本発明の第1実施例に係る差動増幅器対の構成要素となる差動増幅器の回路構成と動作を示す図である。 図8A−図8Cは、本発明の第1実施例に係る差動増幅器対の回路構成と動作を示す図である。 図9A−図9Cは、本発明の第1実施例に係る差動増幅器対の入出力特性を示す図である。 図10A−図10Cは、本発明の第1実施例に係る制御回路の入出力特性と理想的な入出力特性とを示す図である。 図11は、本発明の第1実施例において差動増幅器の差信号の理想的な正弦波からのかい離の2乗値を示す図である。 図12は、本発明の第1実施例に係る制御回路の詳細な実現例を示すブロック図である。 図13は、図12の同相信号側の差動増幅器対および差動増幅器の構成例を示す回路図である。 図14は、本発明の第1実施例に係る制御回路の入出力特性を示す図である。 図15は、本発明の第1実施例に係るベクトル合成型移相器における制御電圧と出力信号の移相量との関係を示す図である。 図16は、差動増幅器の構成として図12、図13に示した構成を用いた場合の制御回路の入出力特性を、トランジスタのモデルでシミュレーションした結果を示す図である。 図17A−図17Bは、本発明の第1実施例に係る差動増幅器対の構成要素となる差動増幅器の別の回路構成と動作を示す図である。 図18は、図12の同相信号側の差動増幅器対および差動増幅器の別の構成例を示す回路図である。 図19は、本発明の第2実施例に係る制御回路の詳細な実現例を示すブロック図である。 図20は、本発明の第3実施例に係るベクトル合成型移相器の制御回路の構成を示すブロック図である。 図21は、本発明の第3実施例に係る制御回路の詳細な実現例を示すブロック図である。 図22は、本発明の第3実施例に係る制御回路の入出力特性を示す図である。 図23は、本発明の第3実施例に係るベクトル合成型移相器における制御電圧と出力信号の移相量との関係を示す図である。 図24は、本発明の第4実施例に係る光トランシーバの送信器の構成を示すブロック図である。 図25は、本発明の第5実施例に係る90°移相器の構成を示す回路図である。 図26は、本発明の第6実施例に係る90°移相器の構成を示す回路図である。 図27は、本発明の第6実施例に係る高利得差動増幅器の構成例を示す回路図である。 図28は、本発明の第7実施例に係る制御回路の構成例を示すブロック図である。 図29は、本発明の第8実施例に係る制御回路の構成例を示すブロック図である。 図30は、本発明の第9実施例に係る制御回路の構成例を示すブロック図である。 図31は、本発明の第10実施例に係る制御回路の構成例を示すブロック図である。 図32は、本発明の第11実施例に係る制御回路の構成例を示すブロック図である。 図33は、本発明の第12実施例に係る制御回路の構成例を示すブロック図である。 図34は、本発明の第13実施例に係る制御回路の構成例を示すブロック図である。 図35は、本発明の第14実施例に係る制御回路の構成例を示すブロック図である。 図36は、本発明の第14実施例に係る制御回路を用いたベクトル合成型移相器における制御電圧と出力信号の移相量との関係の温度依存性を示す図である。 図37は、本発明の第14実施例に係る制御回路を用いたベクトル合成型移相器における制御電圧と出力信号の移相量との関係の電源電圧依存性を示す図である。 図38は、本発明の第14実施例に係る制御回路を用いたベクトル合成型移相器における制御電圧と出力振幅との関係を示す図である。 図39は、本発明の第15実施例に係る制御回路の構成例を示すブロック図である。 図40は、本発明の第16実施例に係る制御回路の構成例を示すブロック図である。 図41は、従来のベクトル合成型移相器の構成を示すブロック図である。 図42A−図42Dは、図41のベクトル合成型移相器の各部の信号を平面上にコンスタレーション表示した図である。 図43は、従来のベクトル合成型移相器の別の構成を示すブロック図である。
[第1実施例]
以下、本発明の実施例について図面を参照して説明する。図1は本発明の第1実施例に係るベクトル合成型移相器の構成を示すブロック図であり、図2は図1のベクトル合成型移相器の各部の信号を平面上にコンスタレーション表示した図である。
図1のベクトル合成型移相器は、90°移相器1と、2つの四象限乗算器2I,2Qと、合成器3と、制御回路4とから構成される。
以下、入力信号VINが理想的な正弦波であるとして図1のベクトル合成型移相器の動作を説明する。図2Aは入力信号VINを表す。
90°移相器1は、入力信号VINを入力し、同相信号VINIと、これに対して位相が90°ずれた直交信号VINQとを出力する。同相成分(I)を横軸、直交成分(Q)を縦軸とするコンスタレーション表示では、図2Bに示すように、同相信号VINIは同相成分(I)のみで表すことができ、直交信号VINQは直交成分(Q)のみで表すことができる。この2つの信号VINI,VINQを仮に合成した場合には、図2Bの20(角度45°、振幅21/2)に相当する信号を得ることができる。
同相信号VINIと直交信号VINQは、一対の四象限乗算器2I,2Qにそれぞれ入力される。四象限乗算器2I,2Qは、符号反転器と可変利得増幅器の組み合わせと同等の機能を有する。四象限乗算器2I,2Qは、それぞれ制御信号CI,CQの符号とレベルに応じて出力の符号と利得とを変化させ、結果として同相信号VINI、直交信号VINQの振幅を変化させて出力する。一対の四象限乗算器2I,2Qから出力される同相信号VXIと直交信号VXQは合成器3でベクトル合成され、移相器出力VOUTとして外部へ出力される。
例えば同相信号側の利得を1、直交信号側の利得を0と設定した場合、コンスタレーション表示では、移相器出力VOUTとして図2Cの21(角度0°、振幅1)の信号を得ることができる。同様に、同相信号側の利得をcos(22.5°)≒0.92、直交信号側の利得をsin(22.5°)≒0.38と設定した場合には、移相器出力VOUTとして図2Cの22(角度22.5°、振幅(0.922+0.3821/2=1)の信号を得ることができ、同相信号側の利得をcos(45°)≒0.71、直交信号側の利得をsin(45°)≒0.71と設定した場合には、移相器出力VOUTとして図2Cの23(角度45°、振幅(0.712+0.7121/2=1)の信号を得ることができる。
上記の3つの設定例は、第一象限(0°〜90°)での動作例を取り上げたが、一対の四象限乗算器2I,2Qの制御信号CI,CQの符号を変化させることにより、四象限(0°〜360°)にわたる任意位相の信号を得ることができる。すなわち、同相信号側の利得をcos(φ)、直交信号側の利得をsin(φ)と設定することにより、移相器出力VOUTとして角度φ、振幅1の信号を得ることができる。
以上のベクトル合成型移相器の動作のために、制御回路4は、出力させたい位相φに対応(例えば比例)した制御電圧VCと、外部参照電圧VRT,VRBとを入力とし、一対の四象限乗算器2I,2Qのための制御信号CI,CQを発生する。制御電圧VCと外部参照電圧VRT,VRBとは、図示しない位相制御回路から入力される。制御回路4は、制御信号CI,CQを発生するためにcos、sinの演算を行うアナログ回路から構成される。具体的には、制御回路4は、複数の参照電圧を発生する電圧発生器と、制御信号および2つの参照電圧を入力し制御信号が2つの参照電圧の範囲内にあるか範囲外にあるかを検出する差動増幅器対とを構成要素として実現される。
以降、ベクトル合成型移相器の各要素を詳細に説明する。図3は90°移相器1の構成例を示すブロック図である。なお、図3では、すべての信号が差動信号である場合について記載しており、補信号にはバーを付記して区別している。
90°移相器1は、3つの差動増幅器100,101,102から構成されている。図3の構成では、入力信号VIN,バーVINを2つの差動増幅器100,101で分配する。一方の信号は、差動増幅器100からそのまま出力され、同相信号VINI,バーVINIとなる。他方の信号は、差動増幅器101から差動増幅器102に入力され、差動増幅器102で遅延が加えられることにより、同相信号VINI,バーVINIに対して位相が90°ずれた直交信号VINQ,バーVINQとなる。
差動増幅器102の遅延時間は、入力周波数をf(Hz)とすると1/(4・f)秒とすればよい。例えば入力周波数が25GHzの場合には、差動増幅器102の遅延時間は10ピコ秒に設計する。
90°移相器1は、図3の構成に限られるものではなく、90°ハイブリッドを利用する構成、異なる接地の一対のトランジスタを利用する構成、線路長の異なる一対の伝送線路を利用する構成、一対のローパスフィルタとハイパスフィルタとを利用する構成、ポリフェーズフィルタを利用する構成、などから適切に選択すればよい。ポリフェーズフィルタは、同相信号側出力の振幅と直交信号側出力の振幅を容易に一致させることができ、かつ広帯域にわたって90°移相動作を実現することができるので、ベクトル合成型移相器の90°移相器として適している。また、同相の電力分配器と分配機能のない90°移相器の組み合わせで実現してもよい。
図4は四象限乗算器2I,2Qの構成例を示すブロック図である。四象限乗算器2Iは、ベースに制御信号CI,バーCIが入力されるトランジスタ200,201からなる差動回路と、同様にベースに制御信号CI,バーCIが入力されるトランジスタ202,203からなる差動回路と、ベースに同相信号VINIが入力され、コレクタがトランジスタ200,201のエミッタに接続されたトランジスタ204と、ベースに同相信号バーVINIが入力され、コレクタがトランジスタ202,203のエミッタに接続されたトランジスタ205と、一端がトランジスタ204,205のエミッタに接続され、他端に電源電圧VEEが与えられる電流源206と、一端がトランジスタ201,202のコレクタに接続され、他端に電源電圧VCCが与えられる負荷抵抗207と、一端がトランジスタ200,203のコレクタに接続され、他端に電源電圧VCCが与えられる負荷抵抗208とから構成されている。同相信号VXIは、トランジスタ201,202のコレクタと負荷抵抗207との接続点から出力され、同相信号バーVXIは、トランジスタ200,203のコレクタと負荷抵抗208との接続点から出力される。
図4では四象限乗算器2Iの構成を示しているが、四象限乗算器2Qも同様の構成である。すなわち、図4の制御信号CI,バーCIをCQ,バーCQに置き換え、同相信号VINI,バーVINIをVINQ,バーVINQに置き換え、同相信号VXI,バーVXIをVXQ,バーVXQに置き換えればよい。
図4に示した四象限乗算器2I,2Qは、ギルバ−トセル、または単に変調器と呼ばれる一般的に知られた回路である。この回路では、同相信号VINI,バーVINI(または直交信号VINQ,バーVINQ)を入力とし、この入力に同相信号側の制御信号CI,バーCI(または直交信号側の制御信号CQ,バーCQ)を乗算して、同相信号側の出力VXI,バーVXI(または直交信号側の出力VXQ,バーVXQ)を出力する。
四象限乗算器2I,2Qは、図4の構成に限られるものではなく、従来例で説明したように符号反転器と可変利得増幅器の機能に分離して実現してもよい。また、図4では、バイポーラトランジスタを用いているが、電界効果トランジスタ(FET)を用いてもよい。また、入出力の線形性を向上させる等のために、各トランジスタのエミッタに抵抗器を挿入してもよい。
図5は合成器3の構成例を示すブロック図である。合成器3は、ベースに同相信号VXI,バーVXIが入力されるトランジスタ300,301からなる差動回路と、ベースに直交信号VXQ,バーVXQが入力されるトランジスタ302,303からなる差動回路と、一端がトランジスタ300,301のエミッタに接続され、他端に電源電圧VEEが与えられる電流源304と、一端がトランジスタ302,303のエミッタに接続され、他端に電源電圧VEEが与えられる電流源305と、一端がトランジスタ301,303のコレクタに接続され、他端に電源電圧VCCが与えられる負荷抵抗306と、一端がトランジスタ300,302のコレクタに接続され、他端に電源電圧VCCが与えられる負荷抵抗307とから構成されている。出力信号VOUTは、トランジスタ301,303のコレクタと負荷抵抗306との接続点から出力され、出力信号バーVOUTは、トランジスタ300,302のコレクタと負荷抵抗307との接続点から出力される。
合成器3は、四象限乗算器2I,2Qから出力された同相信号VXI,バーVXIと直交信号VXQ,バーVXQとをベクトル合成する機能を実現するもので、直交する2信号(同相成分と直交成分)の合成であるので、単純に電圧加算または電流加算をすればよい。図5の回路では、同相信号VXI,バーVXIと直交信号VXQ,バーVXQを電流加算した結果を電圧に変換して、出力信号VOUT,バーVOUTを得る。
合成器3は、図5の構成に限られるものではなく、ウィルキンソン型等の電力合成器を用いてもよい。
図6は制御回路4の構成例を示すブロック図である。制御回路4は、出力させたい位相φに対応した制御電圧VCを入力とし、一対の四象限乗算器2I,2Qのための制御信号CI,CQを発生する。このために制御回路4は、入力される制御電圧VCから、制御信号CI=cos(VC)、CQ=sin(VC)への変換をリアルタイムで行うアナログ演算回路で構成される。具体的には、制御回路4は、複数の参照電圧を発生する電圧発生器400と、制御電圧VCおよび2つの参照電圧を入力とし制御電圧VCが2つの参照電圧の範囲内にあるか範囲外にあるかを検出する差動増幅器対401I,401Q,402I,402Qとを構成要素として実現される。
電圧発生器400は、2つの外部参照電圧VRT,VRBを入力とし、複数の参照電圧V1〜V10を発生する。電圧発生器400は、例えば抵抗ラダーで実現することができる。必要な参照電圧の数N(Nは2以上の整数)は、ベクトル合成型移相器の必要な総移相量Δφから次式により計算できる。
N=4×(Δφ−90°)/360°+2 ・・・(1)
図6では、総移相量Δφ=810°を実現するために参照電圧の数Nを10としている。
差動増幅器対401I,401Q,402I,402Qは、制御電圧VCおよび2つの参照電圧Vm,Vnを入力とし、制御電圧VCが2つの参照電圧Vm,Vnの範囲内にあるか範囲外にあるかを検出する。本実施例において差動増幅器対401I,401Q,402I,402Qに求められる機能は、制御電圧VCが2つの参照電圧の範囲内にあるか範囲外にあるか単純に2状態を検出することではなく、入力される制御電圧VCから制御信号CI=cos(VC)、CQ=sin(VC)への変換をアナログ演算することである。そこで、差動増幅器対401I,401Q,402I,402Qの構成要素となる差動増幅器のアナログ動作を説明する。
図7A〜図7Cは差動増幅器の回路構成とその動作を示す図であり、図7Aは差動増幅器の回路図、図7Bは図7Aの差動増幅器の記号を示す図、図7Cは図7Aの差動増幅器の入出力特性(VC−CI特性)を示す図である。
差動増幅器は、図7Aに示すように、ベースに制御電圧VCが入力されるトランジスタ410と、ベースに参照電圧Vmが入力されるトランジスタ411と、一端がトランジスタ410,411のエミッタに接続され、他端に電源電圧VEEが与えられる電流源412と、一端がトランジスタ411のコレクタに接続され、他端に電源電圧VCCが与えられる負荷抵抗413と、一端がトランジスタ410のコレクタに接続され、他端に電源電圧VCCが与えられる負荷抵抗414とから構成されている。制御信号CIは、トランジスタ411のコレクタと負荷抵抗413との接続点から出力され、制御信号バーCIは、トランジスタ410のコレクタと負荷抵抗414との接続点から出力される。この差動増幅器を記号で表すと、図7Bのようになる。
バイポーラトランジスタのベース接地の電流増幅率をα、電流源412の電流値をIEE、負荷抵抗413,414の抵抗値をRL、VTを定数(VT=kT/q=26mVであり、kはボルツマン定数、Tは絶対温度、qは電子の電荷)とすると、差動増幅器の出力電圧である制御信号CIは次式により計算できる。
CI=RL・α・IEE/(1+exp((−VC+Vm)/VT)) ・・(2)
制御電圧VCの極値を考えると、VC→∞の場合には、制御信号CIはVH=RL・α・IEEに収束し、VC→−∞の場合には、制御信号CIはVL=0に収束する。一方、制御電圧VCが参照電圧Vmの近傍の場合には、制御信号CIはVHとVLの中間的なレベルとなる。本実施例では、制御電圧VCを参照電圧Vmの近傍の値にして、この中間的なレベルを利用することで、制御電圧VCからcos(VC)に擬似的な制御信号CIをアナログ演算する。図7A〜図7Cの例では、制御信号CIを演算する構成について示しているが、制御信号CQを演算する構成も同様であり、制御電圧VCからsin(VC)に擬似的な制御信号CQをアナログ演算することができる。
図8A〜図8Cは差動増幅器対401Iの回路構成とその動作を示す図であり、図8Aは差動増幅器対401Iの回路図、図8Bは図8Aの差動増幅器対401Iの記号を示す図、図8Cは図8Aの差動増幅器対401Iの入出力特性(VC−CI特性)を示す図である。
差動増幅器対401Iは、図8Aに示すように、ベースに制御電圧VC、参照電圧Vmが入力されるトランジスタ415,416からなる差動回路と、ベースに制御電圧VC、参照電圧Vnが入力されるトランジスタ417,418からなる差動回路と、一端がトランジスタ415,416のエミッタに接続され、他端に電源電圧VEEが与えられる電流源419と、一端がトランジスタ417,418のエミッタに接続され、他端に電源電圧VEEが与えられる電流源420と、一端がトランジスタ416,417のコレクタに接続され、他端に電源電圧VCCが与えられる負荷抵抗421と、一端がトランジスタ415,418のコレクタに接続され、他端に電源電圧VCCが与えられる負荷抵抗422とから構成されている。このように、差動増幅器対401Iは、2つの差動増幅器から構成され、一方の差動増幅器には制御電圧VCと参照電圧Vmが入力され、他方の差動増幅器には制御電圧VCと参照電圧Vnが入力される。
2つの差動増幅器の出力は逆相で接続される。制御信号CIは、トランジスタ416,417のコレクタと負荷抵抗421との接続点から出力され、制御信号バーCIは、トランジスタ415,418のコレクタと負荷抵抗422との接続点から出力される。この差動増幅器を記号で表すと、図8Bのようになる。なお、入力を逆相で接続して出力を正相で接続してもよい。
差動増幅器対401Iの出力電圧である制御信号CIは次式により計算できる。
CI=RL・α・IEE/(1+exp((−VC+Vn)/VT))
+RL・α・IEE/(1+exp((VC−Vm)/VT)) ・・(3)
制御電圧VCの極値を考えると、VC→∞の場合には、式(3)の第1項がVH=RL・α・IEEに収束し、第2項がVL=0に収束するので、制御信号CIはVH=RL・α・IEEに収束する。また、VC→−∞の場合には、式(3)の第1項がVL=0に収束し、第2項がVH=RL・α・IEEに収束するので、制御信号CIはVH=RL・α・IEEに収束する。一方、制御電圧VCが参照電圧Vmの近傍または参照電圧Vnの近傍の場合には、制御信号CIはVHとVLの中間的なレベルとなる。本実施例では、制御電圧VCを参照電圧Vmの近傍の値または参照電圧Vnの近傍の値にして、この中間的なレベルを利用する。
図9A〜図9Cは差動増幅器の入出力特性(VC−CI特性)を示す図であり、図9Aは参照電圧VmとVnとの差が定数VTと比較して十分に大きい場合(|Vm−Vn|>>8VT)の入出力特性を示す図、図9Bは参照電圧VmとVnとの差が定数VTの8倍程度である場合(|Vm−Vn|≒8VT)の入出力特性を示す図、図9Cは参照電圧VmとVnとの差が定数VTと比較して十分に小さい場合(|Vm−Vn|<<8VT)の入出力特性を示す図である。
一般に、制御電圧VCが参照電圧VmとVnの中間電圧となったときに制御信号CIは最小となるが、参照電圧VmとVnの電圧差と定数VTとの大小関係によりその振る舞いは変化する。参照電圧VmとVnとの差が定数VTと比較して十分に大きい場合には、制御信号CIは、図9Aに示すように広い制御電圧VCの範囲でVL=0に張り付く。反対に、参照電圧VmとVnとの差が定数VTと比較して十分に小さい場合には、図9Cに示すように制御電圧VCが参照電圧VmとVnの中間電圧となったときに制御信号CIは最小となるが、制御信号Cの電圧値はVLまで下がらない。
参照電圧VmとVnとの電圧差と、定数VTとの関係を適切に(例えば、参照電圧VmとVnとの電圧差を定数VTの8倍程度)に選択すると、図9Bに示すように制御電圧VCが参照電圧VmとVnの中間電圧となったときに、制御信号CIはVL=0近傍まで下がり、かつcos波形またはsin波形に似た極小値を持つことになる。
このように、参照電圧VmとVnとの電圧差と、定数VTとの関係を適切に選択すると、制御電圧VCに対する制御信号CIの変化の特性をcos(VC)またはsin(VC)に類似させることができる。さらに、制御電圧VCの変化に対して制御信号CIが大きく変化しており、雑音の影響を受けにくいことから、制御信号CIは制御信号として適している。
参照電圧VmとVnとの電圧差が定数VTの2倍未満または定数VTの12倍よりも大きいときには、制御信号CIは正弦波、余弦波から外れた波形になる。このように、制御信号CIを正弦波、余弦波に類似した波形にするには、参照電圧VmとVnの電圧差を定数VTの2倍以上12倍以下程度に設定すると有効である。
本実施例は、差動増幅器の出力の擬似的なcos特性、sin特性を四象限乗算器の制御に利用することを最も主要な特徴とする。
制御回路の入出力特性は、制御電圧VCが何れかの参照電圧Vn(nは整数)の近傍の場合には、一つの差動増幅器の遷移関数で表すことができる。そこで、差動増幅器の出力が正弦波または余弦波に近い特性を有することについて説明する。一般的な差動増幅器の差信号の入出力特性はy=tanh(x)の形式で記述できる(文献「Paul R.Gray,Robert G.Meyer,“Analysis and design of analog integrated circuits”,John Wiley & Sons,Inc.,1977,P.227-231」参照)。これによれば、Vc近傍の差動増幅器の差信号Voの遷移関数は次式で表される。
Figure 2010021280
tanh(x)をx=0近傍でテイラー展開した式は以下のようになる。
Figure 2010021280
一方、sin(x)をx=0近傍でテイラー展開した式は以下のようになる。
Figure 2010021280
tanh(x)をx=0近傍でテイラー展開した式(5)とsin(x)をx=0近傍でテイラー展開した式(6)とを比較すると、第1項は一致しており、第2項は係数が異なるのみであり、両式は類似している。
このように、x=0(本実施例においてはVC=Vn、VC=Vmに相当)近傍において、差動増幅器の差信号の入出力特性(tanh波形)は正弦(sin)波形に類似していることが分かる。
次に、もう少し広い領域の制御回路の入出力特性の正弦波、余弦波との類似性について述べる。VC=VnからVC=V(n+1)を経由してVC=V(n+2)=Vmまでの制御回路の入出力特性は、隣り合う2つの差動増幅器の入出力特性の合成として記述できる。
Vo=RL・α・IEE[tanh[(VC−Vn)/(2・VT)]
+tanh[(V(n+2)−VC)/(2・VT)]−1] ・・・(7)
制御回路出力CI,CQの十分に大きい振幅を得るためには、VC=V(n+1)において、隣り合う2つの差動増幅器が両方ともほとんどオンまたはオフになる必要がある。2つの差動増幅器が両方ともほとんどオンまたはオフになるためには、(V(n+2)−Vn)がVT(=kT/q)よりも十分に大きい必要がある。一方で、(V(n+2)−Vn)が過度に大きすぎると、CI,CQの特性は図9Aに示したような形状となり、式(8)に記載の理想的な正弦波の形状からかい離する。
Videal=RL・α・IEEsin[(VC−Vn)・π/VT] ・・(8)
Videalは差動増幅器の差信号Voの理想値を表す。CI,CQ特性の理想的な正弦波の形状からのかい離は、移相動作の線形性の悪化や、出力振幅の一定性の悪化をもたらす。式(7)に示した制御回路の入出力特性と式(8)に示した理想的な入出力特性とを計算した結果を図10A〜図10Bに示す。図10A〜図10Bの縦軸は出力電圧、横軸は制御電圧VCである。図10AはV(n+2)−Vnが4.6VTの場合を示し、図10BはV(n+2)−Vnが7.7VTの場合を示し、図10CはV(n+2)−Vnが15.4VTの場合を示している。
差動増幅器の差信号Voの理想的な正弦波からのかい離の2乗値(Vo−Videal)2をVC=VnからVC=V(n+2)まで21ポイント合計した値Δ(任意単位)は、図11に示すように、(V(n+2)−Vn)が196mV、すなわち7.5・VT(周囲温度が300Kの場合)の場合に最小になる。
すなわち、参照電圧VmとVnの電圧差が定数VTの8倍程度(上記の図10A〜図10Bの例によれば厳密には7.5倍程度)の場合に、制御回路の広い範囲の入出力特性が正弦波、余弦波と類似性が高くなることが分かる。また、制御回路の入出力特性を正弦波、余弦波と見なせる特性にするには、参照電圧VmとVnの電圧差を、定数VTの2倍以上12倍以下程度に設定すると好ましいと見積もることができる。この理由は以下のとおりである。
まず、参照電圧VmとVnの電圧差の上限は、差動増幅器の差信号Voの理想的な正弦波からのかい離|Vo−Videal|の最大値が理想的な正弦波の最大振幅の25%以内である条件から決定した。Vm−Vnを196mV(=7.5・VT)から増大させていくと、Vm−Vn=303mV(=11.7・VT)のときに、|Vo−Videal|の最大値が理想的な正弦波の最大振幅の25%に達する。したがって、参照電圧VmとVnの電圧差の上限は、定数VTの12倍程度と見積もることができる。
次に、参照電圧VmとVnの電圧差の下限は、以下の(A)、(B)を考慮して見積もった。
(A)参照電圧VmとVnの電圧差Vm−Vnを196mV(=7.5・VT)から減少させると、CI,CQの振幅が小さくなり、計算上は理想からかい離するものの、波形自体は正弦波、余弦波に近い形状を保つ(図10A参照)。そこで、下限については、差動増幅器の差信号Voの理想的な正弦波からのかい離|Vo−Videal|の最大値が理想的な正弦波の最大振幅の25%以内との条件を緩和し、かい離|Vo−Videal|の最大値が理想的な正弦波の最大振幅の50%以内との条件から決定した。具体的には、Vm−Vnを196mV(=7.5・VT)から減少させていくと、Vm−Vn=102mV(=3.9・VT)のときに、|Vo−Videal|の最大値が理想的な正弦波の最大振幅の50%に達する。
(B)差動増幅器を2段の差動増幅器の縦続接続により実現する場合、参照電圧VmとVnの電圧差Vm−Vnを概ね半分にすることができる。この場合も考慮すると、参照電圧VmとVnの電圧差の下限をさらに半分にする必要がある。具体的には、Vm−Vn=51mV(=2・VT)が下限となる。したがって、参照電圧VmとVnの電圧差の下限は、定数VTの2倍程度と見積もることができる。
以上の理由により、制御回路の入出力特性を正弦波、余弦波と見なせる特性にするには、参照電圧VmとVnの電圧差を、定数VTの2倍以上12倍以下程度に設定すると好ましい。
なお、差動増幅器対を構成する差動増幅器に負帰還回路を付加すると、差動増幅器の利得を調整することができ、差動増幅器対の入出力(VC−CI)特性を変化させることができる。例えば各トランジスタのエミッタに抵抗を挿入することにより負帰還を付加することができる。負帰還回路の付加により、Vm、Vn、VTの条件を変えずに差動増幅器対の入出力特性を調整し、擬似cos特性、擬似sin特性を向上させる設計が可能となる。
また、図7〜図9では、制御信号CI,バーCIを生成する差動増幅器対について説明しているが、制御信号CQ,バーCQを生成する差動増幅器対も同様の構成で実現することができる。
図12は、制御回路4のより詳細な実現例を示すブロック図である。電圧発生器400は、抵抗430〜438からなる抵抗ラダーによって構成されている。差動増幅器対401Iは、差動増幅器440I,441Iによって構成され、差動増幅器対402Iは、差動増幅器442I,443Iによって構成されている。同様に、差動増幅器対401Qは、差動増幅器440Q,441Qによって構成され、差動増幅器対402Qは、差動増幅器442Q,443Qによって構成されている。同相信号側の差動増幅器440I〜444Iは第1の差動増幅器グループを構成し、直交信号側の差動増幅器440Q〜444Qは第2の差動増幅器グループを構成している。
参照電圧の数N(Nは2以上の整数)は、ベクトル合成型移相器の必要な総移相量を得るために任意の整数から選択することが可能であり、図12ではN=10の場合を記載している。第1の差動増幅器グループに含まれる差動増幅器の個数と第2の差動増幅器グループに含まれる差動増幅器の個数との総和は、Nである。したがって、N=9を実現する場合は図12の構成から差動増幅器444Iを削除すればよく、N=8を実現する場合は差動増幅器444I,444Qを削除すればよい。
これまでの説明では、差動増幅器対をひとつの機能を実現する単位として捉えて説明してきたが、擬似的なcos特性もしくはsin特性を発生する機能を実現する最小単位は差動増幅器である。1個の差動増幅器対(すなわち、2個の差動増幅器)でcos特性、sin特性の360°に相当する特性を実現できるが、差動増幅器の単位で特性の追加または削除が可能であり、この追加または削除は、cos特性、sin特性の180°に相当する特性の追加または削除に相当する。
図12では、同相信号側の制御信号CIの発生に差動増幅器を5個(差動増幅器対が2個と差動増幅器1個)、直交信号側の制御信号CQの発生に差動増幅器を5個(差動増幅器対が2個と差動増幅器1個)利用している。したがって、同相信号側と直交信号側のそれぞれで180°×5=900°のcos特性およびsin特性が得られる。ただし、制御信号CIとCQで90°に相当する位相分動作がずれているので、ベクトル合成型移相器としては、900°−90°=810°の移相量が得られる。
図13は図12に示した同相信号側の差動増幅器対401I,402Iおよび差動増幅器444Iの構成例を示す回路図である。差動増幅器440Iは、トランジスタ450,451と、電流源454と、負荷抵抗465,466とから構成され、差動増幅器441Iは、トランジスタ452,453と、電流源455と、負荷抵抗465,466とから構成され、差動増幅器442Iは、トランジスタ456,457と、電流源460と、負荷抵抗465,466とから構成され、差動増幅器443Iは、トランジスタ458,459と、電流源461と、負荷抵抗465,466とから構成され、差動増幅器444Iは、トランジスタ462,463と、電流源464と、負荷抵抗465,466とから構成されている。
図14は制御回路4の入出力特性を示す図である。動作を大局的に捉えるために、図6に示した制御回路4の構成と図9に示した差動増幅器対の入出力特性とを用いて制御回路4全体の動作を説明する。
まず、参照電圧Vmとして電圧V9が入力され、参照電圧Vnとして電圧V7が入力される差動増幅器対401Iに注目して動作を説明する。制御電圧VCが電圧V6よりも大きく、電圧V10よりも小さい領域では、制御信号CIは図9Bと同様な特性となっている。すなわち、電圧V6を位相の基準(0°)と考えると、制御信号CIのレベルは擬似的に、VC=V6においてcos(0°)、VC=Vn=V7においてcos(90°)、VC=V8においてcos(180°)、VC=Vm=V9においてcos(270°)と理解することができる。図9Bによれば、cos(0°)の電圧値はVH、cos(180°)の電圧値はVL、cos(90°)、cos(270°)の電圧値はVHとVLの中間の値である。本実施例では、図14に示すようにVHを「1」、VLを「−1」、VHとVLの中間の値を「0」としている。
さらに、参照電圧Vmとして電圧V5が入力され、参照電圧Vnとして電圧V3が入力される差動増幅器対402Iに注目して動作を説明する。制御電圧VCが電圧V2よりも大きく、電圧V6よりも小さい領域では、制御信号CIは図9Bと同様な特性となっている。すなわち、電圧V2を位相の基準(0°)と考えると、制御信号CIのレベルは擬似的に、VC=V2においてcos(0°)、VC=Vn=V3においてcos(90°)、VC=V4においてcos(180°)、VC=Vm=V5においてcos(270°)と理解することができる。
以上説明した2つの差動増幅器対401I,402Iにより、制御電圧VCが電圧V2からV10の領域で720°分に相当する疑似的なcos特性が得られることが分かる。さらに、電圧V1が入力される差動増幅器(図12の差動増幅器444I)が設けられることにより、制御信号CIは電圧V1においてcos(270°)に相当する値となる。2つの差動増幅器対401I,402Iと差動増幅器444Iとを合わせると、制御電圧VCが電圧V1からV10の領域で810°分に相当する疑似的なcos特性が得られることになる。
次に、参照電圧Vmとして電圧V10が入力され、参照電圧Vnとして電圧V8が入力される差動増幅器対401Qに注目して動作を説明する。制御電圧VCが電圧V7よりも大きい領域では、制御信号CQは図9Bの制御信号CIと同様な特性となっている。90°基準をずらして考えて、V6を位相の基準(0°)と考えると、制御信号CQのレベルは擬似的に、VC=V6においてsin(0°)、VC=V7においてsin(90°)、VC=Vn=V8においてsin(180°)、VC=V9においてsin(270°)と理解することができる。
さらに、参照電圧Vmとして電圧V6が入力され、参照電圧Vnとして電圧V4が入力される差動増幅器対402Qに注目して動作を説明する。制御電圧VCが電圧V3よりも大きく、電圧V7よりも小さい領域では、制御信号CQは図9Bの制御信号CIと同様な特性となっている。90°基準をずらして考えて、V2を位相の基準(0°)と考えると、制御信号CQのレベルは擬似的に、VC=V2においてsin(0°)、VC=V3においてsin(90°)、VC=Vn=V4においてsin(180°)、VC=V5においてsin(270°)と理解することができる。
以上説明した2つの差動増幅器対401Q,402Qにより、制御電圧VCが電圧V2からV10の領域で720°分に相当する疑似的なsin特性が得られることが分かる。さらに、電圧V2が入力される差動増幅器(図12の差動増幅器444Q)が設けられることにより、制御信号CQはVC=V2においてsin(0°)、VC=V1においてsin(270°)に相当する値となる。2つの差動増幅器対401Q,402Qと差動増幅器444Qとを合わせると、制御電圧VCが電圧V1からV10の領域で810°分に相当する疑似的なsin特性が得られることになる。
このように、本実施例の制御回路4は、入力される制御電圧VCから、制御信号CI=cos(VC)、CQ=sin(VC)への変換をリアルタイムで行うアナログ演算回路となっている。同相信号側の制御信号CIと直交信号側の制御信号CQを同時に得ることができるのは、制御回路4内の電圧発生器400が発生する複数の参照電圧を、同相信号側の演算を行う差動増幅器対と直交信号側の演算を行う差動増幅器対に交互に入力するからであり、この接続方法は本実施例を特徴づける主要な要素である。例えば図12の例では、電圧V9,V7,V5,V3,V1を同相信号側の演算に使用し、電圧V10,V8,V6,V4,V2を直交信号側の演算に使用している。
入力される制御電圧VCから、制御信号CI=cos(VC)、CQ=sin(VC)への変換のアナログ演算が理想的に誤差なく実現される場合には、制御電圧VCを変化させ、ベクトル合成型移相器の出力信号の移相量φが変化したときでも、ベクトル合成型移相器の出力振幅を一定に保つことができる。ただし、本実施例の制御回路4は擬似的なcos特性、sin特性を発生させることを目的としており、現実には設計誤差や外部環境変動による誤差も存在するので、厳密に出力振幅を一定に保つことはできない。本実施例のベクトル合成型移相器の設計にあたっては、出力振幅の一定性の要求条件から、必要とされるアナログ演算の設計精度を決定すればよい。
図15は本実施例のベクトル合成型移相器の制御電圧VCと出力信号の移相量φとの関係を示す図である。制御電圧VCを電圧V1からV10まで変化させることにより、ベクトル合成型移相器の出力信号VOUTの位相を0°から810°にわたって変化させることができる。
図16は差動増幅器の構成として図12、図13に示した構成を用いた場合の制御回路4の入出力特性を、現実のトランジスタのモデルでシミュレーションした結果を示す図である。図16によれば、図14とほぼ一致する疑似的なcos特性、sin特性が得られることが分かる。
図17A〜図17Bは図7Aに示した差動増幅器の別の回路構成とその動作を示す図であり、図17Aは差動増幅器の回路図、図17Bは図17Aの差動増幅器の入出力特性(VC−CI特性)を示す図である。図17Bにおいて、150は図7Aに示した差動増幅器の入出力特性、151は図17Aの差動増幅器の入出力特性を示している。
差動増幅器は、図17Aに示すように、ベースに制御電圧VCが入力されるトランジスタ500と、ベースに参照電圧Vmが入力されるトランジスタ501と、一端に電源電圧VEEが与えられる電流源502と、一端に電源電圧VCCが与えられるレベルシフト用抵抗503と、一端がトランジスタ500のコレクタに接続され、他端がレベルシフト用抵抗503の他端に接続される負荷抵抗504と、一端がトランジスタ501のコレクタに接続され、他端がレベルシフト用抵抗503の他端に接続される負荷抵抗505と、一端がトランジスタ500のエミッタに接続され、他端が電流源502の他端に接続される負帰還抵抗506と、一端がトランジスタ501のエミッタに接続され、他端が電流源502の他端に接続される負帰還抵抗507と、ベースがトランジスタ500のコレクタに接続されるトランジスタ508と、ベースがトランジスタ501のコレクタに接続されるトランジスタ509と、一端に電源電圧VEEが与えられる電流源510と、一端がトランジスタ508のコレクタに接続され、他端に電源電圧VCCが与えられる負荷抵抗511と、一端がトランジスタ509のコレクタに接続され、他端に電源電圧VCCが与えられる負荷抵抗512と、一端がトランジスタ508のエミッタに接続され、他端が電流源510の他端に接続される負帰還抵抗513と、一端がトランジスタ509のエミッタに接続され、他端が電流源510の他端に接続される負帰還抵抗514とから構成されている。制御信号CIは、トランジスタ508のコレクタと負荷抵抗511との接続点から出力され、制御信号バーCIは、トランジスタ509のコレクタと負荷抵抗512との接続点から出力される。
図7Aの回路では、参照電圧VmとVnとの電圧差が定数VTの8倍程度必要であり、周囲温度が300Kのときに定数VTが26mVであるので、結果として外部参照電圧VRTとVRBとの電圧差が8VT・4.5≒1V程度に決まってしまい、設計の自由度が少ない。また、図7Aの回路では、上記のとおり負帰還抵抗(各トランジスタのエミッタに付加する抵抗)により差動増幅器の入出力特性を調整できるが、外部参照電圧VRTとVRBとの電圧差が大きくなる方向にしか調整することができない。
これに対して、図17Aの回路では、複数の差動増幅器を縦続接続することにより、図17Bに示すように図7Aの差動増幅器よりも急峻な入出力特性(VC−CI特性)が得られるので、外部参照電圧VRTとVRBとの電圧差を小さく(例えば0.5V程度に)設計することができる。例えば図14において参照電圧V1が外部参照電圧VRTに相当し、参照電圧V10が外部参照電圧VRBに相当するとすれば、VC−CI特性の正弦波曲線が急峻であればV1−V10(VRT−VRB)間の電位差が小さくなる。さらに、負帰還抵抗により外部参照電圧VRTとVRBとの電圧差を大きくすることもでき、設計の自由度を増やすことができる。また、図17Aの回路では、レベルシフト用抵抗503を設けることにより、エミッタフォロアを用いることなく複数の差動増幅器を縦続接続しており、回路規模の縮小、低消費電力に効果がある。
図18は図12に示した同相信号側の差動増幅器対401I,402Iおよび差動増幅器444Iの別の構成例を示す回路図である。差動増幅器440Iは、トランジスタ470,471,476と、電流源474と、抵抗478とから構成され、差動増幅器441Iは、トランジスタ472,473,477と、電流源475と、抵抗479とから構成され、差動増幅器442Iは、トランジスタ480,481,486と、電流源484と、抵抗488とから構成され、差動増幅器443Iは、トランジスタ482,483,487と、電流源485と、抵抗489とから構成され、差動増幅器444Iは、トランジスタ490,491,493と、電流源492と、抵抗494とから構成されている。図18の回路によれば、図13の回路と同様の入出力特性を得ることができる。なお、直交信号側の差動増幅器対401Q,402Qおよび差動増幅器444Qについても、図18と同様に実現できることは言うまでもない。
[第2実施例]
次に、本発明の第2実施例について説明する。図19は本発明の第2実施例における制御回路4の詳細な実現例を示すブロック図であり、図12に示した制御回路4の他の実現例を示すブロック図である。電圧発生器は、2つの外部参照電圧VRT,VRBを入力とし、複数の参照電圧V1〜V10を発生する。図12に示した第1実施例の構成では、電圧発生器400は単一の抵抗ラダーにより構成されていたが、本実施例では、同相信号側の電圧発生器400Iと直交信号側の電圧発生器400Qとを別々に抵抗ラダーで構成している点が異なる。
同相信号側の電圧発生器400Iは、抵抗520〜524からなる抵抗ラダーによって構成され、直交信号側の電圧発生器400Qは、抵抗525〜529からなる抵抗ラダーによって構成されている。2つの抵抗ラダー内で使用される抵抗値は2種類である。抵抗520,529の抵抗値をRとすると、抵抗521〜528の抵抗値は2Rとなる。つまり、例えばV10とV9との間や、V2とV1との間のように隣接する参照電圧間に設けられる抵抗については抵抗値をRとし、V10とV8との間や、V9とV7との間のように1つおきの参照電圧間に設けられる抵抗については抵抗値を2Rとする。これにより、同相信号側の電圧発生器400Iが発生する参照電圧V1,V3,V5,V7,V9と直交信号側の電圧発生器400Qが発生する参照電圧V2,V4,V6,V8,V10とが交互に等間隔の電圧レベルになるようにする(V10−V9=V9−V8=V8−V7=・・・=V2−V1=一定)。
本実施例によれば、同相信号側の電圧発生器400Iと直交信号側の電圧発生器400Qを別々に抵抗ラダーで構成することにより、電圧発生器400Iから同相信号側の差動増幅器440I〜444Iへの配線と、電圧発生器400Qから直交信号側の差動増幅器440Q〜444Qへの配線とを等長にすることができ、結果として配線寄生を同相信号側と直交信号側で同一にできるため、同相信号側の参照電圧と直交信号側の参照電圧を精度良く各差動増幅器に与えることができ、同相信号側と直交信号側の動作が不平衡になることを防止できる。
[第3実施例]
次に、本発明の第3実施例について説明する。図20は本発明の第3実施例に係る制御回路4aの構成を示すブロック図であり、図6と同様の構成には同一の符号を付してある。ベクトル合成型移相器全体の構成は、第1実施例と同じである。
本実施例は、ベクトル合成型移相器の総移相量Δφが630°となるように、参照電圧の数Nを8とした例である。したがって、同相信号側の第1の差動増幅器グループに含まれる差動増幅器と直交信号側の第2の差動増幅器グループに含まれる差動増幅器を4個ずつにすればよい。
図21は制御回路4aのより詳細な実現例を示すブロック図である。電圧発生器400aは、抵抗430〜436からなる抵抗ラダーによって構成されている。差動増幅器対401Iは、差動増幅器440I,441Iによって構成され、差動増幅器対402Iは、差動増幅器442I,443Iによって構成されている。同様に、差動増幅器対401Qは、差動増幅器440Q,441Qによって構成され、差動増幅器対402Qは、差動増幅器442Q,443Qによって構成されている。
図22は制御回路4aの入出力特性を示す図である。図20に示した制御回路4aの構成と図9に示した差動増幅器対の入出力特性とを用いて制御回路4a全体の動作を説明する。
まず、参照電圧Vmとして電圧V9が入力され、参照電圧Vnとして電圧V7が入力される差動増幅器対401Iに注目して動作を説明する。制御電圧VCが電圧V6よりも大きく、電圧V10よりも小さい領域では、制御信号CIは図9Bと同様な特性となっている。すなわち、電圧V6を位相の基準(0°)と考えると、制御信号CIのレベルは擬似的に、VC=V6においてcos(0°)、VC=Vn=V7においてcos(90°)、VC=V8においてcos(180°)、VC=Vm=V9においてcos(270°)と理解することができる。
さらに、参照電圧Vmとして電圧V5が入力され、参照電圧Vnとして電圧V3が入力される差動増幅器対402Iに注目して動作を説明する。制御電圧VCが電圧V2よりも大きく、電圧V6よりも小さい領域では、制御信号CIは図9Bと同様な特性となっている。すなわち、電圧V2を位相の基準(0°)と考えると、制御信号CIのレベルは擬似的に、VC=V2においてcos(0°)、VC=Vn=V3においてcos(90°)、VC=V4においてcos(180°)、VC=Vm=V5においてcos(270°)と理解することができる。
以上説明した2つの差動増幅器対401I,402Iにより、制御電圧VCが電圧V2からV10の領域で720°分に相当(電圧V3からV10の領域で630°分に相当)する疑似的なcos特性が得られることが分かる。
次に、参照電圧Vmとして電圧V10が入力され、参照電圧Vnとして電圧V8が入力される差動増幅器対401Qに注目して動作を説明する。制御電圧VCが電圧V7よりも大きい領域では、制御信号CQは図9Bの制御信号CIと同様な特性となっている。90°基準をずらして考えて、V6を位相の基準(0°)と考えると、制御信号CQのレベルは擬似的に、VC=V6においてsin(0°)、VC=V7においてsin(90°)、VC=Vn=V8においてsin(180°)、VC=V9においてsin(270°)と理解することができる。
さらに、参照電圧Vmとして電圧V6が入力され、参照電圧Vnとして電圧V4が入力される差動増幅器対402Qに注目して動作を説明する。制御電圧VCが電圧V3よりも大きく、電圧V7よりも小さい領域では、制御信号CQは図9Bの制御信号CIと同様な特性となっている。90°基準をずらして考えて、V2を位相の基準(0°)と考えると、制御信号CQのレベルは擬似的に、VC=V2においてsin(0°)、VC=V3においてsin(90°)、VC=Vn=V4においてsin(180°)、VC=V5においてsin(270°)と理解することができる。
以上説明した2つの差動増幅器対401Q,402Qにより、制御電圧VCが電圧V3からV10の領域で630°分に相当する疑似的なsin特性が得られることが分かる。
このように、本実施例の制御回路4aは、入力される制御電圧VCから、制御信号CI=cos(VC)、CQ=sin(VC)への変換をリアルタイムで行うアナログ演算回路となっている。同相信号側の制御信号CIと直交信号側の制御信号CQを同時に得ることができるのは、制御回路4a内の電圧発生器400aが発生する複数の参照電圧を、同相信号側の演算を行う差動増幅器対と直交信号側の演算を行う差動増幅器対に交互に入力するからであり、この接続方法は本実施例を特徴づける主要な要素である。例えば図20の例では、電圧V9,V7,V5,V3を同相信号側の演算に使用し、電圧V10,V8,V6,V4を直交信号側の演算に使用している。
図23は本実施例のベクトル合成型移相器の制御電圧VCと出力信号の移相量φとの関係を示す図である。制御電圧VCを電圧V3からV10まで変化させることにより、ベクトル合成型移相器の出力信号VOUTの位相を0°から630°にわたって変化させることができる。
なお、第1〜第3実施例では、同相信号側と直交信号側にそれぞれ複数の差動増幅器対を配置する構成を示したが、同相信号側と直交信号側にそれぞれ1つの差動増幅器対を配置する構成を用いても、第1〜第3実施例の制御回路4,4aの動作(入力される制御電圧から正弦波または余弦波に類似する制御信号への変換をアナログ演算する)を実現することができる。
また、同相信号側と直交信号側にそれぞれ1つの差動増幅器を配置する構成を用いても、第1〜第3実施例の制御回路4,4aの動作を実現することができる。
また、第1〜第3実施例では、電圧発生器400,400aに入力される参照電圧VRT,VRBを外部から入力されるものとしているが、これに限るものではなく、制御回路4,4aの内部で参照電圧VRT,VRBを生成するようにしてもよい。
[第4実施例]
次に、本発明の第4実施例について説明する。図24は本発明の第4実施例に係る光トランシーバの送信器の構成を示すブロック図である。本実施例は、第1〜第3実施例のベクトル合成型移相器を光トランシーバのNRZ−RZ変換回路に適用したものである。
光トランシーバの送信器は、レーザ10と、マッハツェンダ変調器11と、シリアライザ12と、変調器ドライバ13と、NRZ−RZ変換回路14とを有する。
NRZ−RZ変換回路14は、マッハツェンダ変調器15と、ベクトル合成型移相器16と、位相制御回路17と、変調器ドライバ18とから構成されている。
シリアライザ12は、低速のパラレルデータを入力とし、高速のシリアルデータを出力する。シリアライザ12の出力データは、変調方式が例えばOOK(On-Off Keying)、DPSK(Differential Phase Shift Keying)の場合は1本(差動信号の場合は2本)であり、変調方式がDQPSK(Differential Quadrature Phase Shift Keying)の場合は2本(差動信号の場合は4本)である。
シリアライザ12の出力データは、変調器ドライバ13によってマッハツェンダ変調器11を駆動できる電圧振幅に増幅される。
マッハツェンダ変調器11は、レーザ10から入力される連続光を、変調器ドライバ13の出力信号に応じて位相変調または振幅変調し、NRZ信号光を出力する。
NRZ−RZ変換回路14は、NRZ信号光とクロックとを入力とし、NRZ信号光をRZ信号光に変換して出力する。
シリアライザ12からNRZ−RZ変換回路14に入力されるクロックは、ベクトル合成型移相器16によって最適位相に調整され、変調器ドライバ18によってマッハツェンダ変調器15を駆動できる電圧振幅に増幅される。なお、最適位相とは、マッハツェンダ変調器15に入力されるNRZ信号光とクロックとの位相関係が最も適切な位相関係のことであり、一般にはNRZ信号光が最も安定している位相をクロックでRZ信号に切り取る位相関係のことである。
マッハツェンダ変調器15は、入力されたNRZ信号光を、変調器ドライバ18の出力信号に応じて切り取る(すなわち、振幅変調する)ことでRZ信号光を出力する。
ここで、クロックの最適位相の調整は、位相制御回路17が例えばベクトル合成型移相器16の出力波形をモニタして、ベクトル合成型移相器16を制御することにより行われる。クロック位相の最適位相からのずれは、例えば電圧情報として検出される。位相制御回路17は、この情報に基づいてクロックが最適位相になるように制御電圧VCを出力し、ベクトル合成型移相器16を制御する。
本実施例では、第1〜第3実施例のベクトル合成型移相器を光トランシーバに適用することにより、サイズおよびコスト低下を実現することができる。特に、第1〜第3実施例のベクトル合成型移相器を、光トランシーバにおけるNRZ−RZ変換に利用すれば、制御帯域を広くとることができるため、環境変化による擾乱(電源電圧変動等)による位相変動耐性を高くすることができる。また、アナログレベルによる位相制御が可能になる。また、本実施例では、外部からアナログによる広帯域制御を行う場合、移相可能な範囲を従来の180°から大幅に(例えば810°に)拡大することができる。この際に、出力振幅の変動を抑えることができる。
なお、本実施例では、第1〜第3実施例のベクトル合成型移相器を、光トランシーバの送信器のNRZ−RZ変換回路に適用しているが、これに限るものではなく、ベクトル合成型移相器を任意波形発生器やパルスパタンジェネレータなどの測定器にも利用することが可能である。
[第5実施例]
次に、本発明の第5実施例について説明する。図25は本発明の第5実施例に係る90°移相器の構成を示す回路図である。本実施例は、第1〜第3実施例のベクトル合成型移相器における90°移相器1をポリフェーズフィルタで実現するものである。
ポリフェーズフィルタは、一端が入力信号VINの入力端子に接続され、他端が同相信号VINIの出力端子に接続された抵抗600と、一端が入力信号VINの入力端子に接続され、他端が直交信号VINQの出力端子に接続された抵抗601と、一端が入力信号バーVINの入力端子に接続され、他端が同相信号バーVINIの出力端子に接続された抵抗602と、一端が入力信号バーVINの入力端子に接続され、他端が直交信号バーVINQの出力端子に接続された抵抗603と、一端が入力信号VINの入力端子に接続され、他端が直交信号VINQの出力端子に接続された容量604と、一端が入力信号VINの入力端子に接続され、他端が同相信号バーVINIの出力端子に接続された容量605と、一端が入力信号バーVINの入力端子に接続され、他端が直交信号バーVINQの出力端子に接続された容量606と、一端が入力信号バーVINの入力端子に接続され、他端が同相信号VINIの出力端子に接続された容量607とから構成される。
抵抗600〜603の抵抗値をRp、容量604〜607の容量値をCpとし、ポリフェーズフィルタに入力信号VIN,バーVINとして角周波数ω=1/(RpCp)の差動信号を入力すると、ポリフェーズフィルタは、抵抗600と容量607の接続点から位相が0°の単相信号を出力し、抵抗601と容量604の接続点から位相が90°の単相信号を出力し、抵抗602と容量605の接続点から位相が180°の単相信号を出力し、抵抗603と容量606の接続点から位相が270°の単相信号を出力する。これらの単相信号のうち、位相が0°と180°の信号を同相信号VINI,バーVINIとし、位相が90°と270°の信号を直交信号VINQ,バーVINQとすると、同相信号VINI,バーVINIと、同相信号VINI,バーVINIに対して位相が90°ずれた直交信号VINQ,バーVINQとを得ることができる。
なお、図25では省略されているが、ポリフェーズフィルタの入力に差動増幅器を設けると、差動増幅器がシングルバランス(単相差動)変換器として機能するので、外部から入力される入力信号VINが単相信号であっても、ポリフェーズフィルタに差動信号を入力することができ、同相信号VINI,バーVINI、直交信号VINQ,バーVINQを得ることができる。また、ポリフェーズフィルタの別の構成例として、抵抗と容量の接続が図25と異なるものや、抵抗と容量を多段に接続するものがある。
[第6実施例]
次に、本発明の第6実施例について説明する。図26は本発明の第6実施例に係る90°移相器の構成を示す回路図である。本実施例は、第1〜第3実施例のベクトル合成型移相器における90°移相器1をポリフェーズフィルタで実現するものであり、第5実施例とは別の構成例を示すものである。
本実施例のポリフェーズフィルタは、図25に示した第5実施例の構成に対して、抵抗600と容量607の接続点から出力される信号を非反転入力信号PPSIとし、抵抗602と容量605の接続点から出力される信号を反転入力信号バーPPSIとする高利得差動増幅器608と、抵抗601と容量604の接続点から出力される信号を非反転入力信号PPSQとし、抵抗603と容量606の接続点から出力される信号を反転入力信号バーPPSQとする高利得差動増幅器609とを追加したものである。高利得差動増幅器608の出力が同相信号VINI,バーVINIとなり、高利得差動増幅器609の出力が直交信号VINQ,バーVINQとなる。高利得差動増幅器608,609の利得は概ね2以上である。
第5実施例の構成はパッシブフィルタであるため伝送損失があり、入力信号の振幅に対して出力信号の振幅は大幅に(概ね1/2以下に)減少する。ベクトル合成型移相器において、振幅が小さい同相信号VINI,バーVINIおよび直交信号VINQ,バーVINQを四象限乗算器に入力すると、ベクトル合成型移相器の出力振幅が小さくなるだけでなく、出力信号の波形劣化・ジッタ増大を招く。2つの高利得差動増幅器608,609は、この伝送損失を補い、適切な振幅の同相信号VINI,バーVINIおよび直交信号VINQ,バーVINQを四象限乗算器に入力するために挿入されている。また、本実施例では、図25に示した構成で発生する同相の雑音を除去することができる。
図27は高利得差動増幅器608の構成例を示す回路図である。高利得差動増幅器608は、トランジスタ700〜707と、抵抗708〜716と、電流源717〜720とから構成される。図27に示した構成は、Cherry Hooper型または全帰還型と呼ばれるものである。図27に示した構成は、高帯域と高利得を両立するのに適した回路であり、第5実施例の構成で発生する伝送損失を補うことができる。なお、図27では高利得差動増幅器608の例で説明しているが、高利得差動増幅器609にも図27に示した構成を適用できることは言うまでもない。
[第7実施例]
次に、本発明の第7実施例について説明する。図28は本発明の第7実施例に係る制御回路の構成例を示すブロック図である。本実施例は、第1実施例のベクトル合成型移相器における電圧発生器400の別の構成例を示すものである。制御回路は、複数の参照電圧を発生する電圧発生器400と、制御電圧VCおよび参照電圧を入力とする差動増幅器440I〜444I,440Q〜444Qとを構成要素として実現される。
電圧発生器400は、抵抗4000〜4008からなる抵抗ラダーによって構成されている。第1実施例の電圧発生器では、参照電圧VRT,VRBを外部から与えていたが、本実施例では、電源電圧VCCと電圧VRTとの間に抵抗4009を設け、電源電圧VEEと電圧VRBとの間に抵抗4010を設けることにより、第1実施例の電圧発生器で必要であった参照電圧VRT,VRBを内部で発生させることができる。抵抗ラダー内で使用される抵抗値は1種類である。つまり、抵抗4000〜4008を同じ抵抗値Rとすることで、電圧発生器400が発生する参照電圧V1,V2,V3,V4,V5,V6,V7,V8,V9,V10を等間隔にすることができる。
抵抗ラダー内の抵抗4000〜4008の合成抵抗値をRTL、抵抗4009の抵抗値をRT、抵抗4010の抵抗値をRBとし、差動増幅器440I〜444I,440Q〜444Qの入力への電流の流れこみを無視すると、抵抗4009,4010に流れる電流は(VCC−VEE)/(RT+RTL+RB)となる。これにより、電圧VRTはVRT=VCC−RT×(VCC−VEE)/(RT+RTL+RB)と表すことができ、電圧VRBはVRB=VEE+RB×(VCC−VEE)/(RT+RTL+RB)と表すことができる。したがって、抵抗4009,4010の抵抗値RT,RBを適切に設計することにより、電圧VRTとVRBを任意の電圧レベルに設定することができる。
以上のように、本実施例によれば、第1実施例の電圧発生器で必要であった外部参照電圧VRT,VRBを電圧発生器400の内部で発生させることができ、外部からの電圧印加を不要にすることができる。また、本実施例では、参照電圧の発生を抵抗分圧で実現しているので、抵抗値が温度依存性を有していても、電圧発生器が出力する参照電圧V1〜V10が温度依存性を持たないという利点がある。前述のように、参照電圧VRT,VRBは抵抗値で決定される。抵抗値RTL,RT,RBが同じ温度係数を持つと仮定すると、抵抗値RTL,RT,RBが温度依存性を有していても、分数の分子分母でキャンセルされる結果、参照電圧VRT,VRBは一定に保たれる。例えば、温度変化で抵抗値が1.1倍になったと想定する。RTを1.1×RT、RTLを1.1×RTL、RBを1.1×RBとしてVRT=VCC−RT×(VCC−VEE)/(RT+RTL+RB)、VRB=VEE+RB×(VCC−VEE)/(RT+RTL+RB)の式に代入しても、参照電圧VRT,VRBは変化しない。したがって、抵抗値が温度依存性を有していても、電圧発生器が出力する参照電圧V1〜V10が温度依存性を持たないことが分かる。
[第8実施例]
次に、本発明の第8実施例について説明する。図29は本発明の第8実施例に係る制御回路の構成例を示すブロック図であり、図28と同様の構成には同一の符号を付してある。第7実施例では、電圧発生器400は単一の抵抗ラダーにより構成されていたが、本実施例では、第2実施例と同様に、同相信号側の電圧発生器400Iと直交信号側の電圧発生器400Qとを別々に抵抗ラダーで構成している点が異なる。
同相信号側の電圧発生器400Iは、抵抗4011〜4015からなる抵抗ラダーによって構成され、直交信号側の電圧発生器400Qは、抵抗4016〜4020からなる抵抗ラダーによって構成されている。同相信号側の抵抗ラダーと直交信号側の抵抗ラダーに参照電圧VRT,VRBを共通に与える。第2実施例の電圧発生器では、参照電圧VRT,VRBを外部から与えていたが、本実施例では、電源電圧VCCと電圧VRTとの間に抵抗4009を設け、電源電圧VEEと電圧VRBとの間に抵抗4010を設けることにより、第2実施例の電圧発生器で必要であった参照電圧VRT,VRBを内部で発生させることができる。
2つの抵抗ラダー内で使用される抵抗値は2種類である。抵抗4011,4020の抵抗値をRとすると、抵抗4012〜4019の抵抗値は2Rとなる。つまり、例えばV10とV9との間や、V2とV1との間のように隣接する参照電圧間に設けられる抵抗については抵抗値をRとし、V10とV8との間や、V9とV7との間のように1つおきの参照電圧間に設けられる抵抗については抵抗値を2Rとする。これにより、同相信号側の電圧発生器400Iが発生する参照電圧V1,V3,V5,V7,V9と直交信号側の電圧発生器400Qが発生する参照電圧V2,V4,V6,V8,V10とが交互に等間隔の電圧レベルになるようにする(V10−V9=V9−V8=V8−V7=・・・=V2−V1=一定)。
本実施例によれば、第7実施例と同様の効果を得ることができる。また、本実施例では、同相信号側の電圧発生器400Iと直交信号側の電圧発生器400Qを別々に抵抗ラダーで構成することにより、電圧発生器400Iから同相信号側の差動増幅器440I〜444Iへの配線と、電圧発生器400Qから直交信号側の差動増幅器440Q〜444Qへの配線とを等長にすることができ、結果として配線寄生を同相信号側と直交信号側で同一にできるため、同相信号側の参照電圧と直交信号側の参照電圧を精度良く各差動増幅器に与えることができ、同相信号側と直交信号側の動作が不平衡になることを防止できる。
[第9実施例]
次に、本発明の第9実施例について説明する。図30は本発明の第9実施例に係る制御回路の構成例を示すブロック図であり、図28と同様の構成には同一の符号を付してある。第7実施例と同様に、電圧発生器400bは、抵抗4000〜4008からなる抵抗ラダーによって構成されている。さらに、本実施例では、電源電圧VCCと電圧VRTとの間に抵抗4009を設け、電源電圧VEEと電圧VRBとの間に定電流源4021を設けることにより、第1実施例の電圧発生器で必要であった参照電圧VRT,VRBを内部で発生させることができる。
定電流源4021の電流値をI、抵抗ラダー内の抵抗4000〜4008の合成抵抗値をRTL、抵抗4009の抵抗値をRTとし、差動増幅器440I〜444I,440Q〜444Qの入力への電流の流れこみを無視すると、電圧VRTはVRT=VCC−RT×Iと表すことができ、電圧VRBはVRB=VCC−(RT+RTL)×Iと表すことができる。したがって、抵抗4009の抵抗値RTと定電流源4021の定電流値Iとを適切に設計することにより、電圧VRTとVRBを任意の電圧レベルに設定することができる。
本実施例によれば、第1実施例の電圧発生器で必要であった外部参照電圧VRT,VRBを電圧発生器400bの内部で発生させることができ、外部からの電圧印加を不要にすることができる。また、本実施例では、定電流源4021の定電流値Iが電源電圧VEE依存性を持たないものと仮定すると、電圧発生器400bが発生する参照電圧V1〜V10が電源電圧VEE依存性を持たないという利点がある。
[第10実施例]
次に、本発明の第10実施例について説明する。図31は本発明の第10実施例に係る制御回路の構成例を示すブロック図であり、図28〜図30と同様の構成には同一の符号を付してある。第9実施例では、電圧発生器400bは単一の抵抗ラダーにより構成されていたが、本実施例では、第2実施例と同様に、同相信号側の電圧発生器400Ibと直交信号側の電圧発生器400Qbとを別々に抵抗ラダーで構成している点が異なる。
同相信号側の電圧発生器400Ibは、抵抗4011〜4015からなる抵抗ラダーによって構成され、直交信号側の電圧発生器400Qbは、抵抗4016〜4020からなる抵抗ラダーによって構成されている。同相信号側の抵抗ラダーと直交信号側の抵抗ラダーに参照電圧VRT,VRBを共通に与える。本実施例では、電源電圧VCCと電圧VRTとの間に抵抗4009を設け、電源電圧VEEと電圧VRBとの間に定電流源4021を設けることにより、第2実施例の電圧発生器で必要であった参照電圧VRT,VRBを内部で発生させることができる。
本実施例によれば、第9実施例と同様の効果を得ることができる。また、本実施例では、同相信号側の電圧発生器400Ibと直交信号側の電圧発生器400Qbを別々に抵抗ラダーで構成することにより、配線寄生を同相信号側と直交信号側で同一にできるため、同相信号側の参照電圧と直交信号側の参照電圧を精度良く各差動増幅器に与えることができ、同相信号側と直交信号側の動作が不平衡になることを防止できる。
[第11実施例]
次に、本発明の第11実施例について説明する。図32は本発明の第11実施例に係る制御回路の構成例を示すブロック図であり、図28〜図31と同様の構成には同一の符号を付してある。第7実施例と同様に、電圧発生器400cは、抵抗4000〜4008からなる抵抗ラダーによって構成されている。さらに、本実施例では、電源電圧VCCと電圧VRTとの間にレベルシフトダイオード4022,4023および電圧レベルの微調整用の抵抗4024を設け、電源電圧VEEと電圧VRBとの間に定電流源4021を設けることにより、第1実施例の電圧発生器で必要であった参照電圧VRT,VRBを内部で発生させることができる。
レベルシフトダイオード4022,4023の1個あたりの電圧降下をVLS、定電流源4021の電流値をI、抵抗ラダー内の抵抗4000〜4008の合成抵抗値をRTL、抵抗4024の抵抗値をRRとし、差動増幅器440I〜444I,440Q〜444Qの入力への電流の流れこみを無視すると、電圧VRTはVRT=VCC−2×VLS−RR×Iと表すことができ、電圧VRBはVRB=VCC−2×VLS−(RR+RTL)×Iと表すことができる。したがって、レベルシフトダイオード4022,4023の段数と抵抗4024の抵抗値RRと定電流源4021の電流値Iとを適切に設計することにより、電圧VRTとVRBを任意の電圧レベルに設定することができる。
本実施例によれば、第1実施例の電圧発生器で必要であった外部参照電圧VRT,VRBを電圧発生器400cの内部で発生させることができ、外部からの電圧印加を不要にすることができる。また、本実施例では、定電流源4021の定電流値Iが電源電圧VEE依存性を持たないものと仮定すると、電圧発生器400cが発生する参照電圧V1〜V10が電源電圧VEE依存性を持たないという利点がある。さらに、本実施例では、定電流値Iが電源電圧VEE依存性を持つ場合であっても、一般にレベルシフトダイオードの電圧降下の電流依存性は抵抗の電圧降下の電流依存性(オームの法則)よりも小さいので、電圧発生器400cが出力する参照電圧V1〜V10の電源電圧VEE依存性を抑圧することができる。
なお、電圧発生器400cにおいて電圧レベル微調整用の抵抗4024は必須の構成要素ではなく、RR=0としてもよい。
[第12実施例]
次に、本発明の第12実施例について説明する。図33は本発明の第12実施例に係る制御回路の構成例を示すブロック図であり、図28〜図32と同様の構成には同一の符号を付してある。第11実施例では、電圧発生器400cは単一の抵抗ラダーにより構成されていたが、本実施例では、第2実施例と同様に、同相信号側の電圧発生器400Icと直交信号側の電圧発生器400Qcとを別々に抵抗ラダーで構成している点が異なる。
同相信号側の電圧発生器400Icは、抵抗4011〜4015からなる抵抗ラダーによって構成され、直交信号側の電圧発生器400Qcは、抵抗4016〜4020からなる抵抗ラダーによって構成されている。同相信号側の抵抗ラダーと直交信号側の抵抗ラダーに参照電圧VRT,VRBを共通に与える。本実施例では、電源電圧VCCと電圧VRTとの間にレベルシフトダイオード4022,4023および抵抗4024を設け、電源電圧VEEと電圧VRBとの間に定電流源4021を設けることにより、第2実施例の電圧発生器で必要であった参照電圧VRT,VRBを内部で発生させることができる。
本実施例によれば、第11実施例と同様の効果を得ることができる。また、本実施例では、同相信号側の電圧発生器400Icと直交信号側の電圧発生器400Qcを別々に抵抗ラダーで構成することにより、配線寄生を同相信号側と直交信号側で同一にできるため、同相信号側の参照電圧と直交信号側の参照電圧を精度良く各差動増幅器に与えることができ、同相信号側と直交信号側の動作が不平衡になることを防止できる。
[第13実施例]
次に、本発明の第13実施例について説明する。図34は本発明の第13実施例に係る制御回路の構成例を示すブロック図であり、図28〜図33と同様の構成には同一の符号を付してある。本実施例は、第11実施例にPVT補償回路800を付加している点が異なる。PVT補償回路800は、トランジスタ8000、レベルシフトダイオード8001,抵抗8002,8003、および定電流源8004から構成される。
PVT補償回路800は、制御電圧VCのレベルをシフトするエミッタフォロアであり、以下の回路定数を電圧発生器400cと一致させる。まず、PVT補償回路800のエミッタフォロア(トランジスタ8000)とレベルシフトダイオード8001の合計の段数を、電圧発生器400cのレベルシフトダイオード4022,4023の段数と一致させる。また、PVT補償回路800の抵抗8002の抵抗値を、電圧発生器400cの電圧レベル微調整用の抵抗4024の抵抗値RRと一致させる。さらに、PVT補償回路800の定電流源8004の定電流値を、電圧発生器400cの定電流源4021の定電流値Iと一致させる。PVT補償回路800の抵抗8003の抵抗値RTDLは、任意に選ぶことができる。例えば抵抗値RTDLを、電圧発生器400cの抵抗ラダー内の抵抗4000〜4008の合成抵抗値RTLと一致させてもよいし、合成抵抗値RTLの半分としてもよい。
なお、電圧発生器400cにおいてレベルシフトダイオードの段数を4022のみの1段とした場合には、PVT補償回路800のレベルシフトダイオード8001は不要となる。また、電圧発生器400cにおいて電圧レベル微調整用の抵抗4024を用いない場合(RR=0)には、PVT補償回路800の抵抗8002は不要となる。
本実施例の電圧発生器400cでは、レベルシフトダイオード4022,4023の1個あたりの電圧降下をVLS、定電流源4021の電流値をI、抵抗ラダー内の抵抗4000〜4008の合成抵抗値をRTL、抵抗4024の抵抗値をRRとし、差動増幅器440I〜444I,440Q〜444Qの入力への電流の流れこみを無視すると、電圧VRTはVRT=VCC−2×VLS−RR×Iと表すことができ、電圧VRBはVRB=VCC−2×VLS−(RR+RTL)×Iと表すことができる。したがって、レベルシフトダイオード4022,4023の段数と抵抗4024の抵抗値RRと定電流源4021の電流値Iとを適切に設計することにより、電圧VRTとVRBを任意の電圧レベルに設定することができる。
一方、本実施例のPVT補償回路800では、制御電圧VCは、エミッタフォロアのトランジスタ8000とレベルシフトダイオード8001と抵抗8002により電圧レベルがシフトされる。トランジスタ8000のベース−エミッタ間電圧がレベルシフトダイオード4022,4023,8001の1個あたりの電圧降下VLSと同一と仮定すると、差動増幅器440I〜444I,440Q〜444Qに送られるレベルシフト後の制御電圧VCLSは、VCLS=VC−2×VLS−RR×Iとなる。
以上により、VRT−VCLS=VCC−VC、VCLS−VRB=RTL×I−(VCC−VC)となり、電圧VRTとVCLS間の電圧差および電圧VCLSとVRB間の電圧差は、(VCC−VC)の関数で表すことができる。
本実施例によれば、第1実施例の電圧発生器で必要であった外部参照電圧VRT,VRBを電圧発生器400cの内部で発生させることができ、外部からの電圧印加を不要にすることができる。また、本実施例では、定電流源4021の定電流値Iが電源電圧VEE依存性を持たないものと仮定すると、電圧発生器400cが出力する参照電圧V1〜V10が電源電圧VEE依存性を持たないという利点がある。また、電圧VRTとVCLSはそれぞれ電源電圧VEEに対する依存性を持つが、電源電圧VEEに依存して電圧VRTとVCLSが同様に変化するため、電圧VRTとVCLS間の電圧差としては電源電圧VEEに依存しないことになる。したがって、定電流値Iが電源電圧VEE依存性を持つ場合であっても、電圧VRTとVCLS間の電圧差は(VCC−VC)となり、電源電圧VEEに依存しないことから、PVT補償回路800を付加しない場合と比較して制御回路としての電源電圧VEE依存性を抑圧することができる。
また、レベルシフトダイオード4022,4023,8001の1個あたりのレベルシフト電圧VLSや抵抗4024,8002の抵抗値RRに温度依存性が存在しても、電圧VRTとVCLS間の電圧差には影響しないので、制御回路の温度依存性を抑圧することができる。同様に、レベルシフトダイオード4022,4023,8001の1個あたりのレベルシフト電圧VLSや抵抗4024,8002の抵抗値RRにプロセス間ばらつきが存在しても、電圧VRTとVCLS間の電圧差には影響しない。したがって、本実施例では、電圧発生器400cが出力する参照電圧V1〜V10がPVTに依存して変動したとしても、PVT補償回路800が制御電圧VCを同様に変動させることにより、PVTに依存する制御回路出力の変動を低く抑えることができる。さらに、制御電圧VCの電圧範囲を電源電圧VCCの近傍にすることができるので、電源電圧VCCを接地(=0V)した場合には、雑音耐性に優れるという利点が得られる。
なお、本実施例では、PVT補償回路800にバイポーラトランジスタ8000からなるエミッタフォロアを用いているが、電界効果トランジスタからなるソースフォロアを用いてもよい。
[第14実施例]
次に、本発明の第14実施例について説明する。図35は本発明の第14実施例に係る制御回路の構成例を示すブロック図であり、図28〜図34と同様の構成には同一の符号を付してある。第13実施例では、電圧発生器400cは単一の抵抗ラダーにより構成されていたが、本実施例では、第11実施例と同様に、同相信号側の電圧発生器400Icと直交信号側の電圧発生器400Qcとを別々に抵抗ラダーで構成している点が異なる。
本実施例によれば、第13実施例と同様の効果を得ることができる。また、本実施例では、同相信号側の電圧発生器400Icと直交信号側の電圧発生器400Qcを別々に抵抗ラダーで構成することにより、配線寄生を同相信号側と直交信号側で同一にできるため、同相信号側の参照電圧と直交信号側の参照電圧を精度良く各差動増幅器に与えることができ、同相信号側と直交信号側の動作が不平衡になることを防止できる。
図36は、第14実施例の制御回路を用いたベクトル合成型移相器をInP HBT(Heterojunction Bipolar Transistor)により集積化したICにおける制御電圧VCと出力信号の移相量φとの関係の温度依存性を示す図である。ベクトル合成型移相器への入力信号は21.5GHzの正弦波である。図36によれば、制御電圧VCを変化させることにより、0°から810°までの広大な移相が実現されていることが分かる。また、図17Aに示す差動増幅器の採用により、制御電圧VCの範囲を0.5Vという小さい値で実現することができる。また、図35に示した制御回路の採用により、25℃から80℃までの温度変化に対して、40°以下の小さい位相変動に抑制可能なことが分かる。
図37は、第14実施例の制御回路を用いたベクトル合成型移相器をInP HBTにより集積化したICにおける制御電圧VCと出力信号の移相量φとの関係の電源電圧依存性を示す図である。ベクトル合成型移相器への入力信号は21.5GHzの正弦波である。ここでは、電源電圧VCCを接地電位としている。図35に示した制御回路の採用により、電源電圧VEEが−5.20Vから+5%変動した場合(−4.94V)、あるいは−5%変動した場合(−5.46V)でも、40°以下の小さい位相変動に抑制可能なことが分かる。
図38は、第14実施例の制御回路を用いたベクトル合成型移相器をInP HBTにより集積化したICにおける制御電圧VCと出力振幅との関係を示す図である。ベクトル合成型移相器への入力信号は21.5GHzの正弦波である。図35に示した回路の採用により、制御回路は理想的な正弦波、余弦波に近い制御信号CI,CQを発生することができる。この結果、制御電圧VCの可変範囲(−0.5V〜0V)において、ベクトル合成型移相器の平均出力振幅360mVに対して振幅変動分は±11mVであり、3%程度の小さい振幅変動に抑制可能なことが分かる。
[第15実施例]
次に、本発明の第15実施例について説明する。図39は本発明の第15実施例に係る制御回路の構成例を示すブロック図であり、図28〜図35と同様の構成には同一の符号を付してある。本実施例は、第13実施例に制御利得調整回路900を付加している点が異なる。制御利得調整回路900は、抵抗9000,9001から構成される。
第13実施例で説明したとおり、制御電圧VCとVCLSとの関係はVRT−VCLS=VCC−VCで表されるので、レベルシフト後の制御電圧VCLSの最高値がVRTであることを考慮すると、制御電圧VCの最高値はVCCとなる。例えばVRT−VRBを0.5Vに設計し、電源電圧VCCを接地(=0V)した場合には、VCに入力できる電圧範囲は、最高電圧VCC=0V、最低電圧VCC−0.5V=−0.5Vの範囲内、すなわち−0.5V〜0Vとなる。図39の例のように、制御回路内に差動増幅器440I〜444I,440Q〜444Qを10個使用する場合には、後述するベクトル合成型移相器の総移相量が810°となるので、移相量を制御電圧の傾きで割った値である、制御電圧の利得は810°/0.5V=1620°/Vとなる。
装置の仕様や制御電圧VCのノイズ耐性やPVT耐性を向上させるために制御電圧VCの利得を任意に設計する要求があり、制御利得調整回路900はこのような要求に応えるために挿入されている。制御利得調整回路900の抵抗9000,9001の抵抗値をそれぞれR1,R2とすると、制御利得調整回路900を挿入していない第14実施例と比較して、制御利得をR1/(R1+R2)に低減することができる。抵抗2個で制御利得調整回路900が実現できるのは、制御回路にPVT補償回路800が採用されており、制御電圧VCの最高電圧がVCCで固定されているためである。なお、抵抗9001を可変抵抗器としてもよく、抵抗9000と9001をポテンショメータで実現してもよい。本実施例によれば、制御回路の制御利得を任意に調整することができる。
[第16実施例]
次に、本発明の第16実施例について説明する。図40は本発明の第16実施例に係る制御回路の構成例を示すブロック図であり、図28〜図39と同様の構成には同一の符号を付してある。第15実施例では、電圧発生器400cは単一の抵抗ラダーにより構成されていたが、本実施例では、第11実施例と同様に、同相信号側の電圧発生器400Icと直交信号側の電圧発生器400Qcとを別々に抵抗ラダーで構成している点が異なる。
本実施例によれば、第15実施例と同様の効果を得ることができる。また、本実施例では、同相信号側の電圧発生器400Icと直交信号側の電圧発生器400Qcを別々に抵抗ラダーで構成することにより、配線寄生を同相信号側と直交信号側で同一にできるため、同相信号側の参照電圧と直交信号側の参照電圧を精度良く各差動増幅器に与えることができ、同相信号側と直交信号側の動作が不平衡になることを防止できる。
本発明は、信号振幅を調整する可変利得増幅器または四象限乗算器と制御回路とを用いるベクトル合成型移相器、ベクトル合成型移相器を用いる光トランシーバ、可変利得増幅器または四象限乗算器等の手段に対して制御信号を出力する制御回路に適用することができる。

Claims (14)

  1. 入力信号から同相信号とこの同相信号に対して位相が90°ずれた直交信号とを生成する90°移相器と、
    同相信号側の第1の制御信号に応じて前記同相信号の振幅を変化させて出力する第1の四象限乗算器と、
    直交信号側の第2の制御信号に応じて前記直交信号の振幅を変化させて出力する第2の四象限乗算器と、
    前記第1、第2の四象限乗算器から出力される同相信号と直交信号とを合成して出力する合成器と、
    前記第1、第2の制御信号を出力する制御回路とを備え、
    前記制御回路は、
    参照電圧を発生する電圧発生器と、
    外部から入力される制御電圧と前記参照電圧との差信号を前記第1、第2の制御信号として出力する差動増幅器とを備え、
    前記差動増幅器は、前記制御電圧が前記参照電圧の近傍にあるときに、前記制御電圧を正弦波または余弦波に類似する前記第1、第2の制御信号へ変換するアナログ演算を行うことを特徴とするベクトル合成型移相器。
  2. 請求項1記載のベクトル合成型移相器において、
    前記差動増幅器は、複数の差動増幅器を縦続接続したことを特徴とするベクトル合成型移相器。
  3. 請求項1記載のベクトル合成型移相器において、
    前記差動増幅器として、前記制御電圧と前記参照電圧とを入力とし前記第1の制御信号を出力する第1の差動増幅器グループと、前記制御電圧と前記参照電圧とを入力とし前記第2の制御信号を出力する第2の差動増幅器グループとを備え、
    前記第1の差動増幅器グループと前記第2の差動増幅器グループとは、それぞれ少なくとも1つずつの差動増幅器を備えることを特徴とするベクトル合成型移相器。
  4. 請求項3記載のベクトル合成型移相器において、
    前記電圧発生器は、電圧を分圧して複数の前記参照電圧を生成し、この複数の参照電圧を前記第1の差動増幅器グループと前記第2の差動増幅器グループに交互に1つずつ入力することを特徴とするベクトル合成型移相器。
  5. 請求項3記載のベクトル合成型移相器において、
    前記電圧発生器は、前記差動増幅器グループ毎に分割配置される第1、第2の抵抗ラダーによって構成され、
    前記第1の抵抗ラダーは、生成した参照電圧を前記第1の差動増幅器グループのみに1つずつ入力し、
    前記第2の抵抗ラダーは、生成した参照電圧を前記第2の差動増幅器グループのみに1つずつ入力し、
    前記第1の抵抗ラダーが生成する参照電圧と前記第2の抵抗ラダーが生成する参照電圧とを交互に並べたときに各参照電圧間の電圧レベルが一定であることを特徴とするベクトル合成型移相器。
  6. 請求項3記載のベクトル合成型移相器において、
    前記電圧発生器は、N(Nは2以上の整数)個の前記参照電圧を生成し、
    前記第1の差動増幅器グループに含まれる差動増幅器の個数と前記第2の差動増幅器グループに含まれる差動増幅器の個数との総和は、Nであることを特徴とするベクトル合成型移相器。
  7. 請求項3記載のベクトル合成型移相器において、
    前記第1の差動増幅器グループに含まれる隣接する2つの差動増幅器の出力は逆相で接続され、
    前記第2の差動増幅器グループに含まれる隣接する2つの差動増幅器の出力は逆相で接続されることを特徴とするベクトル合成型移相器。
  8. 請求項3記載のベクトル合成型移相器において、
    前記参照電圧Vmと1つおきの前記参照電圧Vnとは、前記第1の差動増幅器グループに含まれる隣接する2つの差動増幅器または前記第2の差動増幅器グループに含まれる隣接する2つの差動増幅器に入力され、
    前記参照電圧Vmと前記参照電圧Vnとの電圧差は、定数VT=kT/q(kはボルツマン定数、Tは絶対温度、qは電子の電荷)の2倍以上12倍以下であることを特徴とするベクトル合成型移相器。
  9. 請求項1記載のベクトル合成型移相器において、
    前記90°移相器は、ポリフェーズフィルタであることを特徴とするベクトル合成型移相器。
  10. 請求項9記載のベクトル合成型移相器において、
    前記90°移相器は、さらに、前記ポリフェーズフィルタの後段に高利得差動増幅器を備えることを特徴とするベクトル合成型移相器。
  11. 請求項10記載のベクトル合成型移相器において、
    前記高利得差動増幅器は、Cherry Hooper型の高利得差動増幅器であることを特徴とするベクトル合成型移相器。
  12. 連続光を出力するレーザと、
    送信したいシリアルデータとクロックとを出力するシリアライザと、
    前記レーザから入力される連続光を位相変調または振幅変調してNRZ信号光を出力する第1のマッハツェンダ変調器と、
    前記シリアルデータに応じて前記第1のマッハツェンダ変調器を駆動する第1の変調器ドライバと、
    前記第1のマッハツェンダ変調器から入力されるNRZ信号光を振幅変調してRZ信号光を出力する第2のマッハツェンダ変調器と、
    前記クロックを入力とするベクトル合成型移相器と、
    このベクトル合成型移相器によって位相調整されたクロックに応じて前記第2のマッハツェンダ変調器を駆動する第2の変調器ドライバと、
    前記ベクトル合成型移相器の移相量に対応する制御電圧を出力する位相制御回路とを備え、
    前記ベクトル合成型移相器は、
    前記クロックから同相信号とこの同相信号に対して位相が90°ずれた直交信号とを生成する90°移相器と、
    同相信号側の第1の制御信号に応じて前記同相信号の振幅を変化させて出力する第1の四象限乗算器と、
    直交信号側の第2の制御信号に応じて前記直交信号の振幅を変化させて出力する第2の四象限乗算器と、
    前記第1、第2の四象限乗算器から出力される同相信号と直交信号とを合成し、この合成後の信号を位相調整したクロックとして出力する合成器と、
    前記第1、第2の制御信号を出力する制御回路とを備え、
    前記制御回路は、
    参照電圧を発生する電圧発生器と、
    前記制御電圧と前記参照電圧との差信号を前記第1、第2の制御信号として出力する差動増幅器とを備え、
    前記差動増幅器は、前記制御電圧が前記参照電圧の近傍にあるときに、前記制御電圧を正弦波または余弦波に類似する前記第1、第2の制御信号へ変換するアナログ演算を行うことを特徴とする光トランシーバ。
  13. 請求項12記載の光トランシーバにおいて、
    前記位相制御回路は、前記ベクトル合成型移相器から出力されるクロックが最適位相になるように前記制御電圧を生成することを特徴とする光トランシーバ。
  14. 信号振幅を調整する手段に対して制御信号を出力する制御回路であって、
    参照電圧を発生する電圧発生器と、
    外部から入力される制御電圧と前記参照電圧との差信号を制御信号として出力する差動増幅器とを備え、
    前記差動増幅器は、前記制御電圧が前記参照電圧の近傍にあるときに、前記制御電圧を正弦波または余弦波に類似する前記制御信号へ変換するアナログ演算を行うことを特徴とする制御回路。
JP2010525672A 2008-08-18 2009-08-12 ベクトル合成型移相器、光トランシーバおよび制御回路 Active JP5266325B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2010525672A JP5266325B2 (ja) 2008-08-18 2009-08-12 ベクトル合成型移相器、光トランシーバおよび制御回路

Applications Claiming Priority (6)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008209682 2008-08-18
JP2008209682 2008-08-18
JP2008309463 2008-12-04
JP2008309463 2008-12-04
JP2010525672A JP5266325B2 (ja) 2008-08-18 2009-08-12 ベクトル合成型移相器、光トランシーバおよび制御回路
PCT/JP2009/064237 WO2010021280A1 (ja) 2008-08-18 2009-08-12 ベクトル合成型移相器、光トランシーバおよび制御回路

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPWO2010021280A1 true JPWO2010021280A1 (ja) 2012-01-26
JP5266325B2 JP5266325B2 (ja) 2013-08-21

Family

ID=41707158

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2010525672A Active JP5266325B2 (ja) 2008-08-18 2009-08-12 ベクトル合成型移相器、光トランシーバおよび制御回路

Country Status (5)

Country Link
US (1) US8687968B2 (ja)
EP (1) EP2326002B1 (ja)
JP (1) JP5266325B2 (ja)
CN (1) CN102124649B (ja)
WO (1) WO2010021280A1 (ja)

Families Citing this family (83)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP2365413B1 (en) * 2008-12-09 2014-07-02 Nippon Telegraph And Telephone Corporation Voltage generator, control circuit, vector synthesis type phase shifter and optical transceiver
US8395456B2 (en) * 2009-02-04 2013-03-12 Sand 9, Inc. Variable phase amplifier circuit and method of use
US9288089B2 (en) 2010-04-30 2016-03-15 Ecole Polytechnique Federale De Lausanne (Epfl) Orthogonal differential vector signaling
US8593305B1 (en) 2011-07-05 2013-11-26 Kandou Labs, S.A. Efficient processing and detection of balanced codes
US9288082B1 (en) * 2010-05-20 2016-03-15 Kandou Labs, S.A. Circuits for efficient detection of vector signaling codes for chip-to-chip communication using sums of differences
US9251873B1 (en) 2010-05-20 2016-02-02 Kandou Labs, S.A. Methods and systems for pin-efficient memory controller interface using vector signaling codes for chip-to-chip communications
US9077386B1 (en) 2010-05-20 2015-07-07 Kandou Labs, S.A. Methods and systems for selection of unions of vector signaling codes for power and pin efficient chip-to-chip communication
US9985634B2 (en) 2010-05-20 2018-05-29 Kandou Labs, S.A. Data-driven voltage regulator
WO2011151469A1 (en) 2010-06-04 2011-12-08 Ecole Polytechnique Federale De Lausanne Error control coding for orthogonal differential vector signaling
JP2013118554A (ja) * 2011-12-05 2013-06-13 Nippon Telegr & Teleph Corp <Ntt> 位相変調器
JP2013118555A (ja) * 2011-12-05 2013-06-13 Nippon Telegr & Teleph Corp <Ntt> 制御回路および位相変調器
CN102891658A (zh) * 2012-11-02 2013-01-23 长沙景嘉微电子股份有限公司 一种带正交相位校正的可编程增益放大器电路
JP6028550B2 (ja) * 2012-11-30 2016-11-16 富士通株式会社 可変位相装置、半導体集積回路及び位相可変方法
WO2014113727A1 (en) 2013-01-17 2014-07-24 Kandou Labs, S.A. Methods and systems for chip-to-chip communication with reduced simultaneous switching noise
CN105122758B (zh) 2013-02-11 2018-07-10 康杜实验室公司 高带宽芯片间通信接口方法和系统
EP2979388B1 (en) 2013-04-16 2020-02-12 Kandou Labs, S.A. Methods and systems for high bandwidth communications interface
EP2997704B1 (en) 2013-06-25 2020-12-16 Kandou Labs S.A. Vector signaling with reduced receiver complexity
US9806761B1 (en) 2014-01-31 2017-10-31 Kandou Labs, S.A. Methods and systems for reduction of nearest-neighbor crosstalk
EP3100424B1 (en) 2014-02-02 2023-06-07 Kandou Labs S.A. Method and apparatus for low power chip-to-chip communications with constrained isi ratio
CN106105123B (zh) 2014-02-28 2019-06-28 康杜实验室公司 用于发送时钟嵌入式向量信令码的方法和系统
US11240076B2 (en) 2014-05-13 2022-02-01 Kandou Labs, S.A. Vector signaling code with improved noise margin
US9509437B2 (en) 2014-05-13 2016-11-29 Kandou Labs, S.A. Vector signaling code with improved noise margin
US9148087B1 (en) 2014-05-16 2015-09-29 Kandou Labs, S.A. Symmetric is linear equalization circuit with increased gain
JP6372166B2 (ja) * 2014-05-27 2018-08-15 富士通株式会社 位相補間器
US9852806B2 (en) 2014-06-20 2017-12-26 Kandou Labs, S.A. System for generating a test pattern to detect and isolate stuck faults for an interface using transition coding
US9112550B1 (en) 2014-06-25 2015-08-18 Kandou Labs, SA Multilevel driver for high speed chip-to-chip communications
CN106797352B (zh) 2014-07-10 2020-04-07 康杜实验室公司 高信噪特性向量信令码
US9432082B2 (en) 2014-07-17 2016-08-30 Kandou Labs, S.A. Bus reversable orthogonal differential vector signaling codes
US9444654B2 (en) 2014-07-21 2016-09-13 Kandou Labs, S.A. Multidrop data transfer
KR101949964B1 (ko) 2014-08-01 2019-02-20 칸도우 랩스 에스에이 임베딩된 클록을 갖는 직교 차동 벡터 시그널링 코드
US9674014B2 (en) 2014-10-22 2017-06-06 Kandou Labs, S.A. Method and apparatus for high speed chip-to-chip communications
CN104639080A (zh) * 2014-12-12 2015-05-20 长沙景嘉微电子股份有限公司 一种正交相位校正电路
EP3314835B1 (en) 2015-06-26 2020-04-08 Kandou Labs S.A. High speed communications system
JP6227217B2 (ja) * 2015-10-29 2017-11-08 三菱電機株式会社 トランスコンダクタンス増幅器及び移相器
US10055372B2 (en) 2015-11-25 2018-08-21 Kandou Labs, S.A. Orthogonal differential vector signaling codes with embedded clock
TWI570389B (zh) * 2015-12-08 2017-02-11 財團法人工業技術研究院 振幅校正電路及其應用的信號校正電路
EP3408935B1 (en) 2016-01-25 2023-09-27 Kandou Labs S.A. Voltage sampler driver with enhanced high-frequency gain
JP6271101B1 (ja) * 2016-03-02 2018-01-31 三菱電機株式会社 移相精度校正回路、ベクトル合成型移相器及び無線通信機
CN115085727A (zh) 2016-04-22 2022-09-20 康杜实验室公司 高性能锁相环
US10242749B2 (en) 2016-04-22 2019-03-26 Kandou Labs, S.A. Calibration apparatus and method for sampler with adjustable high frequency gain
US10003454B2 (en) 2016-04-22 2018-06-19 Kandou Labs, S.A. Sampler with low input kickback
CN109313622B (zh) 2016-04-28 2022-04-15 康杜实验室公司 用于密集路由线组的向量信令码
US10153591B2 (en) 2016-04-28 2018-12-11 Kandou Labs, S.A. Skew-resistant multi-wire channel
WO2017190102A1 (en) 2016-04-28 2017-11-02 Kandou Labs, S.A. Low power multilevel driver
US9906358B1 (en) 2016-08-31 2018-02-27 Kandou Labs, S.A. Lock detector for phase lock loop
US10411922B2 (en) 2016-09-16 2019-09-10 Kandou Labs, S.A. Data-driven phase detector element for phase locked loops
US10200188B2 (en) 2016-10-21 2019-02-05 Kandou Labs, S.A. Quadrature and duty cycle error correction in matrix phase lock loop
US10200218B2 (en) 2016-10-24 2019-02-05 Kandou Labs, S.A. Multi-stage sampler with increased gain
US10372665B2 (en) 2016-10-24 2019-08-06 Kandou Labs, S.A. Multiphase data receiver with distributed DFE
CN107124154B (zh) * 2017-03-30 2021-09-17 复旦大学 一种宽带高精度有源移相器
US10666297B2 (en) 2017-04-14 2020-05-26 Kandou Labs, S.A. Pipelined forward error correction for vector signaling code channel
CN110945830B (zh) 2017-05-22 2022-09-09 康杜实验室公司 多模式数据驱动型时钟恢复电路
US10116468B1 (en) 2017-06-28 2018-10-30 Kandou Labs, S.A. Low power chip-to-chip bidirectional communications
US10686583B2 (en) 2017-07-04 2020-06-16 Kandou Labs, S.A. Method for measuring and correcting multi-wire skew
US10693587B2 (en) 2017-07-10 2020-06-23 Kandou Labs, S.A. Multi-wire permuted forward error correction
US10203226B1 (en) 2017-08-11 2019-02-12 Kandou Labs, S.A. Phase interpolation circuit
CN107707252A (zh) * 2017-09-30 2018-02-16 武汉资联虹康科技股份有限公司 一种fpga锁相放大系统及方法
US10467177B2 (en) 2017-12-08 2019-11-05 Kandou Labs, S.A. High speed memory interface
US10326623B1 (en) 2017-12-08 2019-06-18 Kandou Labs, S.A. Methods and systems for providing multi-stage distributed decision feedback equalization
CN111684772B (zh) 2017-12-28 2023-06-16 康杜实验室公司 同步切换多输入解调比较器
US10432207B2 (en) * 2017-12-29 2019-10-01 Lockheed Martin Corporation Clock generator
US10554380B2 (en) 2018-01-26 2020-02-04 Kandou Labs, S.A. Dynamically weighted exclusive or gate having weighted output segments for phase detection and phase interpolation
CN110048692A (zh) * 2018-03-14 2019-07-23 平湖市奥特模星电子有限公司 一种矢量相加移相器跨象限移相方法与电路
US10931249B2 (en) 2018-06-12 2021-02-23 Kandou Labs, S.A. Amplifier with adjustable high-frequency gain using varactor diodes
WO2019241081A1 (en) 2018-06-12 2019-12-19 Kandou Labs, S.A. Passive multi-input comparator for orthogonal codes on a multi-wire bus
US11183983B2 (en) 2018-09-10 2021-11-23 Kandou Labs, S.A. Programmable continuous time linear equalizer having stabilized high-frequency peaking for controlling operating current of a slicer
US11128383B2 (en) * 2018-11-13 2021-09-21 Indian Institute Of Technology Bombay Receiver of coherent optical communication link and method of compensating carrier phase offset in receiver
US10574487B1 (en) 2019-04-08 2020-02-25 Kandou Labs, S.A. Sampler offset calibration during operation
US10680634B1 (en) 2019-04-08 2020-06-09 Kandou Labs, S.A. Dynamic integration time adjustment of a clocked data sampler using a static analog calibration circuit
US10721106B1 (en) 2019-04-08 2020-07-21 Kandou Labs, S.A. Adaptive continuous time linear equalization and channel bandwidth control
US10608849B1 (en) 2019-04-08 2020-03-31 Kandou Labs, S.A. Variable gain amplifier and sampler offset calibration without clock recovery
US11545950B2 (en) 2019-06-03 2023-01-03 Analog Devices, Inc. Apparatus and methods for vector modulator phase shifters
CN111525896A (zh) * 2020-04-20 2020-08-11 西安交通大学 一种高增益高带宽的可变增益放大器及放大器芯片
KR102457465B1 (ko) 2020-05-22 2022-10-21 한국전자통신연구원 빔의 부엽 제어 기능을 갖는 위상 변환 회로 및 그 동작 방법
US11303484B1 (en) 2021-04-02 2022-04-12 Kandou Labs SA Continuous time linear equalization and bandwidth adaptation using asynchronous sampling
US11374800B1 (en) 2021-04-14 2022-06-28 Kandou Labs SA Continuous time linear equalization and bandwidth adaptation using peak detector
US11177932B1 (en) * 2021-04-20 2021-11-16 Faraday Technology Corp. System for generating multi phase clocks across wide frequency band using tunable passive polyphase filters
US11456708B1 (en) 2021-04-30 2022-09-27 Kandou Labs SA Reference generation circuit for maintaining temperature-tracked linearity in amplifier with adjustable high-frequency gain
RU208079U1 (ru) * 2021-05-04 2021-12-01 Евгений Борисович Колесников Управляемый фазовращатель
CN113835674A (zh) * 2021-08-06 2021-12-24 国网浙江省电力有限公司营销服务中心 一种可变速率的电能表计量用四象限乘法器
CN113884949B (zh) * 2021-09-23 2023-10-10 国网山东省电力公司淄博供电公司 一种适用于变压器双分支供电的六角图测试矢量合成方法
WO2024018888A1 (ja) * 2022-07-20 2024-01-25 学校法人立命館 信号生成回路
WO2024049482A1 (en) 2022-08-30 2024-03-07 Kandou Labs SA Pre-scaler for orthogonal differential vector signalling

Family Cites Families (19)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS58191048A (ja) 1982-04-30 1983-11-08 Nec Corp 符号化回路
JPH0628513B2 (ja) * 1982-08-10 1994-04-13 ヤマハ株式会社 交流電圧歪除去回路
JPS62135009A (ja) * 1985-12-06 1987-06-18 Sony Corp 周波数特性補償回路
JPS6482305A (en) * 1987-09-24 1989-03-28 Seiko Epson Corp Signal reproducing circuit for magnetic disk device
JP3063093B2 (ja) 1989-07-20 2000-07-12 日本電気株式会社 無限移相器
JPH0779131A (ja) * 1993-09-08 1995-03-20 Nec Corp 移相器
DE69711312T2 (de) * 1996-10-02 2002-11-14 Koninkl Philips Electronics Nv Programmierbarer digitaler Phasenschieber und Analog-Digital-Umsetzer damit
JPH10256884A (ja) * 1997-03-12 1998-09-25 Mitsubishi Electric Corp 電圧比較器及びa/dコンバータ
JP2003008399A (ja) * 2001-04-20 2003-01-10 Nec Microsystems Ltd 移相器
JP2004032446A (ja) 2002-06-26 2004-01-29 Nec Saitama Ltd 局部発振信号生成回路、及びそれを用いた無線装置
FR2849330A1 (fr) 2002-12-18 2004-06-25 Koninkl Philips Electronics Nv Convertisseur numerique de frequence d'echantillonnage
CA2415917A1 (en) 2003-01-08 2004-07-08 Sirific Wireless Corporation Regenerative divider used for up-conversion and down conversion
JP4149298B2 (ja) * 2003-03-27 2008-09-10 富士通株式会社 光変調器の制御装置
DE10360899A1 (de) 2003-12-23 2005-07-21 BSH Bosch und Siemens Hausgeräte GmbH Kältegerät mit ultraschallverschweißtem Saug- und Drosselrohr
US7734194B2 (en) * 2004-03-17 2010-06-08 Nippon Telegraph And Telephone Corporation Optical transmission system, optical transmitter for optical transmission system, and optical receiver for optical transmission system
JP4563944B2 (ja) * 2006-01-31 2010-10-20 富士通株式会社 光送信器
JP2008028681A (ja) * 2006-07-20 2008-02-07 Sony Corp 移相器、および移相方法
JP2008066849A (ja) * 2006-09-05 2008-03-21 Fujitsu Ltd 光送信機およびその駆動方法
EP2365413B1 (en) * 2008-12-09 2014-07-02 Nippon Telegraph And Telephone Corporation Voltage generator, control circuit, vector synthesis type phase shifter and optical transceiver

Also Published As

Publication number Publication date
CN102124649B (zh) 2014-12-10
JP5266325B2 (ja) 2013-08-21
CN102124649A (zh) 2011-07-13
US8687968B2 (en) 2014-04-01
WO2010021280A1 (ja) 2010-02-25
EP2326002A4 (en) 2013-11-13
US20110150495A1 (en) 2011-06-23
EP2326002A1 (en) 2011-05-25
EP2326002B1 (en) 2015-07-29

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5266325B2 (ja) ベクトル合成型移相器、光トランシーバおよび制御回路
JP5260680B2 (ja) 電圧発生器、制御回路、ベクトル合成型移相器および光トランシーバ
WO2012078733A1 (en) Digital to analog converter circuits and methods
JP2010226234A (ja) 増幅回路及び磁気センサ
JP5144672B2 (ja) 電力増幅回路ならびにそれを用いた送信機および無線通信機
US7262650B2 (en) Amplitude adjusting circuit
CN102007687B (zh) 振幅控制电路、极化调制发送电路以及极化调制方法
EP0892495A2 (en) Balance-to-single signal converting circuit
EP3223433A1 (en) Dc offset cancellation method and device
US9425777B2 (en) Phase interpolator
US4395642A (en) Sine-shaping circuit
JP2013118555A (ja) 制御回路および位相変調器
JP4926761B2 (ja) デジタルアナログ変換回路
JP2005535215A (ja) 変換直線性の改善手段を備えたデジタル・アナログ変換器
TWI650937B (zh) 驅動電路
JP7432567B2 (ja) 信号発生装置及び信号発生方法
JP2013118554A (ja) 位相変調器
Naguib Impedance Characterization of a Return-to-Zero (RZ) Current Steering Digital-to-Analog Converters
Widmann et al. Analog Multiplexer for Performance Enhancement of Digital-to-Analog Converters and Experimental 2-to-1 Time Interleaving in 28-nm FD-SOI CMOS
JP3108366B2 (ja) アナログ信号のレベルシフト回路及びこれを用いた信号波形発生装置
JP5538462B2 (ja) デジタル−アナログ変換器
JP2016058834A (ja) 位相検出器、位相調整回路、受信器及び送信器
US6943643B2 (en) Controllable two-phase network with amplitude compensation
JP2010113483A (ja) 加算器並びにそれを用いた電力合成器、直交変調器、直交復調器、電力増幅器、送信機、及び無線通信機
JP2001156553A (ja) 歪み信号発生回路

Legal Events

Date Code Title Description
RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

Effective date: 20120214

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20120214

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20121218

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20130214

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20130430

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20130502

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5266325

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350