JPWO2010018814A1 - 非水電解液及びそれを用いたリチウム電池 - Google Patents

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Abstract

非水溶媒に電解質塩が溶解されている非水電解液において、下記一般式(I)で表されるニトリル化合物を非水電解液中に0.01〜5質量%含有することを特徴とする非水電解液、それを含むリチウム電池、及びそれらに用いられる新規なニトリル化合物である。N≡C−R1−X−R2(I)(式中、Xは、−S(=O)2−(スルホン構造)、−O−S(=O)−O−(サルファイト構造)、又は−O−C(=O)−C(=O)−O−(オキサレート構造)を示し、R1は、炭素数1〜4の直鎖又は分枝のアルキレン基を示し、R2は、総炭素数2〜5の直鎖又は分枝のシアノアルキル基、炭素数3〜5の直鎖又は分枝の2−アルキニル基、又は炭素数1〜6の直鎖又は分枝のアルキル基を示す。)

Description

本発明は、電池を高電圧で使用した際の高温保存特性等の電池特性に優れた非水電解液及びそれを用いたリチウム電池に関する。
近年、リチウム二次電池は、携帯電話やノート型パソコン等の小型電子機器等の駆動用電源や、電気自動車や電力貯蔵用の電源として広く使用されている。
リチウム二次電池は、主にリチウムを吸蔵放出可能な材料を含む正極及び負極、リチウム塩を含む非水電解液から構成されている。その非水電解液としては、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)等のカーボネート類が使用されている。
リチウム二次電池の負極としては、リチウム金属、リチウムを吸蔵及び放出可能な金属化合物(金属単体、酸化物、リチウムとの合金等)、炭素材料が知られている。特に、炭素材料のうち、例えばコークス、黒鉛(人造黒鉛、天然黒鉛)等のリチウムを吸蔵・放出することが可能な炭素材料を用いた非水系電解液二次電池が広く実用化されている。
上記の負極材料はリチウム金属と同等の低い電位でリチウムと電子を貯蔵・放出するために、特に高温下において、多くの溶媒が還元分解を受ける可能性を有しており、負極材料の種類に拠らず負極上で電解液中の溶媒が一部還元分解してしまい、分解物が負極の表面に沈着して抵抗を増大させたり溶媒の分解によりガスが発生して電池を膨れさせたりすることによりリチウムイオンの移動が妨げられ、高温保存特性等の電池特性を低下させるという問題があった。
一方、正極材料として用いられるLiCoO2、LiMn24、LiNiO2、LiFePO4等のリチウムを吸蔵及び放出可能な材料は、リチウム基準で3.5V以上の高い電圧でリチウムと電子を貯蔵及び放出するために、多くの溶媒が酸化分解を受ける可能性を有している。また、正極材料の種類に拠らず、正極上で電解液中の溶媒が一部酸化分解してしまい、分解物が正極の表面に沈着して抵抗を増大させたり、溶媒の分解によりガスが発生して電池を膨れさせたりすることによりリチウムイオンの移動が妨げられ、高温保存特性等の電池特性を低下させるという問題があった。
また、リチウム一次電池として、例えば、二酸化マンガンやフッ化黒鉛を正極とし、リチウム金属を負極とするリチウム一次電池が知られており、高いエネルギー密度であることから広く使用されているが、長期保存中の内部抵抗の増加を抑制し、高温での長期保存性能を向上させることが求められている。
更に、近年、電気自動車用又はハイブリッド電気自動車用の新しい電源として、出力密度の点から、活性炭等を電極に用いる電気二重層キャパシタ、エネルギー密度と出力密度の両立の観点から、リチウムイオン二次電池と電気二重層キャパシタの蓄電原理を組み合わせた、ハイブリッドキャパシタ(リチウムの吸蔵・放出による容量と電気二重層容量の両方を活用する非対称型キャパシタ)と呼ばれる蓄電装置の開発が行われ、高温保存特性等の電池性能の向上が求められている。
特許文献1には、メチル2−シアノエチルエステル(酢酸2−シアノエチル)、ビス(2−シアノエチル)カーボネート、ビス2−シアノエチルエーテル等のシアノエトキシ化合物を添加した非水電解液を用いた非水電解質二次電池が開示され、低温特性等に優れることが開示されている。
特開2000−77096号公報
本発明は、電池を高電圧で使用した際の高温保存特性等の電池特性に優れた非水電解液及びそれを用いたリチウム電池を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記従来技術の非水電解液の性能について詳細に検討した。その結果、特許文献1で開示されている非水電解液では、充電状態で高温保存した後の電池の内部抵抗の増加による放電電圧の低下に関して満足のいくものではないことが分かった。
そこで発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ね、特定のニトリル化合物を非水電解液に特定量含有させることにより、高温保存特性等の電池特性に優れた非水電解液が得られることを見出し、さらにはそれを用いたリチウム電池が得られることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、下記の(1)〜(3)を提供するものである。
(1)非水溶媒に電解質塩が溶解されている非水電解液において、下記一般式(I)で表されるニトリル化合物を非水電解液中に0.01〜5質量%含有することを特徴とする非水電解液。
N≡C−R1−X−R2 (I)
(式中、Xは、−S(=O)2−(スルホン構造)、−O−S(=O)−O−(サルファイト構造)、又は−O−C(=O)−C(=O)−O−(オキサレート構造)を示し、R1は、炭素数1〜4の直鎖又は分枝のアルキレン基を示し、R2は、総炭素数2〜5の直鎖又は分枝のシアノアルキル基、炭素数3〜5の直鎖又は分枝の2−アルキニル基、又は炭素数1〜6の直鎖又は分枝のアルキル基を示す。)
(2)正極、負極及び非水溶媒に電解質塩が溶解されている非水電解液からなるリチウム電池において、前記一般式(I)で表されるニトリル化合物を非水電解液中に0.01〜5質量%含有することを特徴とするリチウム電池。
(3)下記一般式(II)
で表されるニトリル化合物。
N≡C−R3−X−R4 (II)
(式中、Xは、−O−S(=O)−O−(サルファイト構造)又は−O−C(=O)−C(=O)−O−(オキサレート構造)を示し、R3は、炭素数1〜4の直鎖又は分枝のアルキレン基を示し、R4は、総炭素数2〜5の直鎖又は分枝のシアノアルキル基、炭素数3〜5の直鎖又は分枝の2−アルキニル基、又は炭素数1〜6の直鎖又は分枝のアルキル基を示す。ただし、Xが−O−C(=O)−C(=O)−O−の場合は、R4は炭素数3〜5の直鎖又は分枝の2−アルキニル基、又は炭素数1〜6の直鎖又は分枝のアルキル基を示す。)
本発明によれば、高温保存特性等の電池特性に優れた非水電解液及びリチウム電池を提供することができる。
〔非水電解液〕
本発明の非水電解液は、非水溶媒に電解質塩が溶解されている非水電解液において、特定のニトリル化合物を該非水電解液の質量に対して0.01〜5質量%含有することを特徴とする。
〔ニトリル化合物〕
本発明の非水電解液に含まれるニトリル化合物は、下記一般式(I)で表される。
N≡C−R1−X−R2 (I)
一般式(I)において、Xは、−S(=O)2−(スルホン構造)、−O−S(=O)−O−(サルファイト構造)、又は−O−C(=O)−C(=O)−O−(オキサレート構造)を示す。
1は、炭素数1〜4の直鎖又は分枝のアルキレン基を示す。その具体例としては、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、エチリデン基(分枝)、プロピリデン基(分枝)、1−メチルエチレン基(分枝)、2−メチルエチレン基(分枝)、1−メチルエチリデン基等のアルキレン基が挙げられる。これらの中でも、総炭素数が2〜4の直鎖又は分枝のアルキレン基が好ましく、エチレン基、1−メチルエチリデン基が特に好ましい。
2は総炭素数2〜5の直鎖又は分枝のシアノアルキル基、炭素数3〜5の直鎖又は分枝の2−アルキニル基、又は炭素数1〜6の直鎖又は分枝のアルキル基を示す。
総炭素数2〜5の直鎖又は分枝のシアノアルキル基の具体例としては、シアノメチル基、2−シアノエチル基、3−シアノプロピル基、4−シアノブチル基、1−シアノエチル基、2−シアノ−1−メチルエチル基、2−シアノ−2−メチルエチル基、1,1−ジメチルシアノメチル基等が挙げられる。
炭素数3〜5の直鎖又は分枝の2−アルキニル基の具体例としては、2−プロピニル基、1−メチル−2−プロピニル基、1,1−ジメチル−2−プロピニル基等が挙げられる。
炭素数1〜6の直鎖又は分枝のアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基等が挙げられる。
前記のR2の中でも、高温保存特性等の電池特性を改善する効果の点から、2−シアノエチル基、1,1−ジメチルシアノメチル基等の前記シアノアルキル基、2−プロピニル基等の前記2−アルキニル基、メチル基、エチル基等の前記アルキル基が好ましく、前記シアノアルキル基、前記2−アルキニル基がより好ましく、2−シアノエチル基、1,1−ジメチルシアノメチル基、1,1−ジメチルシアノエチル基、2−プロピニル基が更に好ましい。
前記一般式(I)で表されるニトリル化合物において、(i)Xが−S(=O)2−(スルホン構造)の場合、(ii)Xが−O−S(=O)−O−(サルファイト構造)の場合、及び(iii)Xが−R1−O−C(=O)C(=O)−O−R2−(オキサレート構造)の場合についての具体例は以下のとおりである。
(i)Xが−S(=O)2−(スルホン構造)の場合の具体例としては、ビス(シアノアルキル)スルホン類、シアノアルキル−2−プロピニルスルホン類、シアノアルキルスルホン類等が挙げられる。
ビス(シアノアルキル)スルホン類としては、ビス(シアノメチル)スルホン、ビス(2−シアノエチル)スルホン、ビス(3−シアノプロピル)スルホン、ビス(4−シアノブチル)スルホン、ビス(1−シアノエチル)スルホン、ビス(2−シアノ−1−メチルエチル)スルホン、ビス(2−シアノ−2−メチルエチル)スルホン等が挙げられる。
シアノアルキル−2−プロピニルスルホン類としては、シアノメチル−2−プロピニルスルホン、2−シアノエチル−2−プロピニルスルホン、3−シアノプロピル−2−プロピニルスルホン、4−シアノブチル−2−プロピニルスルホン、1−シアノエチル−2−プロピニルスルホン、2−シアノ−1−メチルエチル−2−プロピニルスルホン、2−シアノ−2−メチルエチル−2−プロピニルスルホン等が挙げられる。
シアノアルキルスルホン類としては、シアノメチルメチルスルホン、2−シアノエチルメチルスルホン、3−シアノプロピルメチルスルホン、4−シアノブチルメチルスルホン、1−シアノエチルメチルスルホン、2−シアノ−1−メチルエチルメチルスルホン、2−シアノ−2−メチルエチルメチルスルホン、シアノメチルエチルスルホン、2−シアノエチルエチルスルホン、3−シアノプロピルエチルスルホン、4−シアノブチルエチルスルホン、1−シアノエチルエチルスルホン、2−シアノ−1−メチルエチルエチルスルホン、2−シアノ−2−メチルエチルエチルスルホン、2−シアノエチル−n−プロピルスルホン、2−シアノエチル−n−ブチルスルホン等が挙げられる。
これらの中では、ビス(2−シアノエチル)スルホン、2−シアノエチル−2−プロピニルスルホン、2−シアノエチルメチルスルホン、及び2−シアノエチルエチルスルホンが好ましく、ビス(2−シアノエチル)スルホン及び2−シアノエチル−2−プロピニルスルホンが特に好ましい。
(ii)Xが−O−S(=O)−O−(サルファイト構造)の場合の具体例としては、ビス(シアノアルキル)サルファイト類、シアノアルキル−2−プロピニルサルファイト類、シアノアルキルサルファイト類等が挙げられる。
ビス(シアノアルキル)サルファイト類としては、ビス(シアノメチル)サルファイト、ビス(2−シアノエチル)サルファイト、ビス(3−シアノプロピル)サルファイト、ビス(4−シアノブチル)サルファイト、ビス(1−シアノエチル)サルファイト、ビス(2−シアノ−1,1−ジメチルエチル)サルファイト、ビス(1,1−ジメチルシアノメチル)サルファイト等が挙げられる。
シアノアルキル−2−プロピニルサルファイト類としては、シアノメチル−2−プロピニルサルファイト、2−シアノエチル−2−プロピニルサルファイト、3−シアノプロピル−2−プロピニルサルファイト、4−シアノブチル−2−プロピニルサルファイト、1−シアノエチル−2−プロピニルサルファイト、2−シアノ−1,1−ジメチルエチル−2−プロピニルサルファイト、1,1−ジメチルシアノメチル−2−プロピニルサルファイト、2−シアノエチル−1−メチル−2−プロピニルサルファイト、2−シアノエチル−1,1−ジメチル−2−プロピニルサルファイト等が挙げられる。
シアノアルキルサルファイト類としては、シアノメチルメチルサルファイト、2−シアノエチルメチルサルファイト、3−シアノプロピルメチルサルファイト、4−シアノブチルメチルサルファイト、1−シアノエチルメチルサルファイト、2−シアノ−1,1−ジメチルエチルメチルサルファイト、1,1−ジメチルシアノメチルメチルサルファイト、シアノメチルエチルサルファイト、2−シアノエチルエチルサルファイト、3−シアノプロピルエチルサルファイト、4−シアノブチルエチルサルファイト、1−シアノエチルエチルサルファイト、2−シアノ−1,1−ジメチルエチルエチルサルファイト、1,1−ジメチルシアノメチルエチルサルファイト、2−シアノエチル−n−プロピルサルファイト、2−シアノエチル−n−ブチルサルファイト等が挙げられる。
これらの中では、ビス(2−シアノエチル)サルファイト、ビス(1,1−ジメチルシアノメチル)サルファイト、2−シアノエチル−2−プロピニルサルファイト、1,1−ジメチルシアノメチル−2−プロピニルサルファイト、2−シアノエチルメチルサルファイト、及び2−シアノエチルエチルサルファイトが好ましく、ビス(2−シアノエチル)サルファイト及び2−シアノエチル2−プロピニルサルファイトが特に好ましい。
(iii)Xが−R1−O−C(=O)C(=O)−O−R2−(オキサレート構造)の場合の具体例としては、ビス(シアノアルキル)オキサレート類、シアノアルキル−2−プロピニルオキサレート類、シアノアルキルオキサレート類等が挙げられる。
ビス(シアノアルキル)オキサレート類としては、ビス(シアノメチル)オキサレート、ビス(2−シアノエチル)オキサレート、ビス(3−シアノプロピル)オキサレート、ビス(4−シアノブチル)オキサレート、ビス(1−シアノエチル)オキサレート、ビス(2−シアノ−1,1−ジメチルエチル)オキサレート、ビス(1,1−ジメチルシアノメチル)オキサレート等が挙げられる。
シアノアルキル−2−プロピニルオキサレート類としては、シアノメチル−2−プロピニルオキサレート、2−シアノエチル−2−プロピニルオキサレート、3−シアノプロピル−2−プロピニルオキサレート、4−シアノブチル−2−プロピニルオキサレート、1−シアノエチル−2−プロピニルオキサレート、2−シアノ−1,1−ジメチルエチル−2−プロピニルオキサレート、1,1−ジメチルシアノメチル−2−プロピニルオキサレート、2−シアノエチル−1−メチル−2−プロピニルオキサレート、2−シアノエチル−1,1−ジメチル−2−プロピニルオキサレート等が挙げられる。
シアノアルキルオキサレート類としては、シアノメチルメチルオキサレート、2−シアノエチルメチルオキサレート、3−シアノプロピルメチルオキサレート、4−シアノブチルメチルオキサレート、1−シアノエチルメチルオキサレート、2−シアノ−1,1−ジメチルエチルメチルオキサレート、1,1−ジメチルシアノメチルメチルオキサレート、シアノメチルエチルオキサレート、2−シアノエチルエチルオキサレート、3−シアノプロピルエチルオキサレート、4−シアノブチルエチルオキサレート、1−シアノエチルエチルオキサレート、2−シアノ−1,1−ジメチルエチルエチルオキサレート、1,1−ジメチルシアノメチルエチルオキサレート、2−シアノエチル−n−プロピルオキサレート、2−シアノエチル−n−ブチルオキサレート等が挙げられる。
これらの中では、ビス(2−シアノエチル)オキサレート、ビス(1,1−ジメチルシアノメチル)オキサレート、2−シアノエチル−2−プロピニルオキサレート、1,1−ジメチルシアノメチル−2−プロピニルオキサレート、2−シアノエチルメチルオキサレート、及び2−シアノエチルエチルオキサレートが好ましく、ビス(2−シアノエチル)オキサレート及び2−シアノエチル−2−プロピニルオキサレートが特に好ましい。
前記一般式(I)で表されるニトリル化合物の中では、高温保存特性等の電池特性を改善する効果の点から、(i)Xが−S(=O)2−(スルホン構造)の場合、及び(ii)Xが−O−S(=O)−O−(サルファイト構造)の場合がより好ましく、(ii)Xが−O−S(=O)−O−(サルファイト構造)である場合が更に好ましい。
前記のニトリル化合物は、1種単独で、又は2種以上を混合して用いることができる。
前記のニトリル化合物が、高温保存特性等の電池特性を改善する効果が高い理由は必ずしも明らかではないが、以下の理由によると考えられる。
前記のニトリル化合物は、少なくとも一つの極性の高いシアノアルキル基と(i)−S(=O)2−(スルホン構造)、(ii)−O−S(=O)−O−(サルファイト構造)、又は(iii)−O−C(=O)−C(=O)−O−(オキサレート構造)を有している。これらの構造は、−O−C(=O)−(エステル構造)、−O−C(=O)−O−(カーボネート構造)、又は−O−(エーテル構造)と比べて、電気化学的に分解しやすくなり、更に、一般式(I)においてR2がシアノアルキル基や2−プロピニル基を含む場合は、正極及び負極上に特に優れた緻密な被膜を容易に形成することができるのではないかと推定される。それにより、非水電解液の分解を抑制するとともに、被膜中をリチウムイオンが移動しやすくなるものと考えられる。
〔ニトリル化合物の含有量〕
本発明の非水電解液において、非水電解液中に含有される前記一般式(I)で表されるニトリル化合物の含有量は、5質量%を超えると、電極上に過度に被膜が形成されるため、高温保存特性等の電池特性が低下する場合があり、また、0.01質量%に満たないと被膜の形成が十分でないために、高温保存特性等の電池特性を改善する効果が得られなくなる場合がある。したがって、該ニトリル化合物の含有量は、非水電解液の質量中に0.01質量%以上であり、0.1質量%以上が好ましく、0.5質量%以上がより好ましい。また、その上限は5質量%以下であり、3質量%以下が好ましく、2質量%以下がより好ましい。
該ニトリル化合物を2種以上併用する場合は、その総量が上記の範囲であることが好ましい。
本発明の非水電解液において、非水電解液中に含有される前記一般式(I)で表されるニトリル化合物は、単独で用いても、高温保存特性等の電池特性は向上するが、以下に述べる非水溶媒、電解質塩、更にその他の添加剤を組み合わせることにより、高温保存特性等の電池特性が相乗的に向上するという特異な効果を発現する。その理由は、必ずしも明らかではないが、前記ニトリル化合物と、これらの非水溶媒、電解質塩、更にその他の添加剤の構成元素を含有するイオン伝導性の高い混合被膜が形成されるためと考えられる。
〔非水溶媒〕
本発明の非水電解液に使用される非水溶媒としては、環状カーボネート類、鎖状カーボネート類、鎖状エステル類、エーテル類、アミド類、リン酸エステル類、スルホン類、ラクトン類、S=O結合含有化合物、環状過酸化物、芳香族化合物等が挙げられる。
環状カーボネート類としては、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ブチレンカーボネート(BC)、4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン(FEC)、トランス又はシス−4,5−ジフルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン(以下、両者を総称して「DFEC」という)、ビニレンカーボネート(VC)、ビニルエチレンカーボネート(VEC)等が挙げられる。これらの中でも、EC、PC、及び二重結合又はフッ素を含有する環状カーボネートから選ばれる1種以上を含む環状カーボネートが好ましく、EC及び/又はPCと、二重結合又はフッ素を含有する環状カーボネートを1種以上を使用すると高温保存特性等の電池特性が一段と向上するのでより好ましく、EC及び/又はPCと、二重結合を含む環状カーボネートとフッ素を含有する環状カーボネートを両方含むことが特に好ましい。二重結合を含有する環状カーボネートとしては、VC、VECが好ましく、フッ素を含有する環状カーボネートとしては、FEC、DFECが好ましい。
これらの溶媒は1種類で使用してもよいが、2種類以上を組み合わせて使用した場合は、高温保存特性等の電池特性を改善する効果が更に向上するので好ましく、3種類以上の組合せが特に好ましい。これらの環状カーボネートの好適な組合せとしては、ECとPC、ECとVC、ECとVEC、PCとVC、FECとVC、FECとEC、FECとPC、FECとDFEC、DFECとEC、DFECとPC、DFECとVC、DFECとVEC、ECとPCとVC、ECとFECとPC、ECとFECとVC、ECとVCとVEC、FECとPCとVC、DFECとECとVC、DFECとPCとVC、FECとECとPCとVC、DFECとECとPCとVC等が挙げられる。前記の組合せのうち、より好ましくはECとVC、FECとPC、DFECとPC、ECとFECとPC、ECとFECとVC、ECとVCとVEC等の組合せが挙げられる。
環状カーボネートの含有量は、特に制限されないが、非水溶媒の総容量の10〜40容量%の範囲で用いるのが好ましい。該含有量が10容量%未満であると電解液の電気伝導度が低下し、電池の内部抵抗が増加する傾向があり、40容量%を超えると高温保存特性等の電池特性が低下する傾向がある。
鎖状カーボネート類としては、メチルエチルカーボネート(MEC)、メチルプロピルカーボネート、メチルイソプロピルカーボネート、メチルブチルカーボネート、エチルプロピルカーボネート等の非対称鎖状カーボネート、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、ジプロピルカーボネート、ジブチルカーボネート等の対称鎖状カーボネートが挙げられる。特に非対称鎖状カーボネートを含むと高温保存特性等の電池特性が向上する傾向があるので好ましく、非対称鎖状カーボネートと対称鎖状カーボネートを併用することがより好ましい。また、鎖状カーボネートに含まれる非対称鎖状カーボネートの割合が50容量%以上であることが好ましい。非対称鎖状カーボネートとしては、メチル基を有するものが好ましく、MECが最も好ましい。
これらの鎖状カーボネート類は1種類で使用してもよいが、2種類以上を組み合わせて使用すると、高温保存特性やサイクル特性等の電池特性が向上するので好ましい。
鎖状カーボネートの含有量は、特に制限されないが、非水溶媒の総容量の60〜90容量%の範囲で用いるのが好ましい。該含有量が60容量%未満であると電解液の粘度が上昇し、90容量%を超えると電解液の電気伝導度が低下し、高温保存特性等の電池特性が低下する傾向があるので上記範囲であることが好ましい。
環状カーボネート類と鎖状カーボネート類の割合は、高温保存特性等の電池特性を向上させる観点から、環状カーボネート類:鎖状カーボネート類(容量比)が10:90〜40:60が好ましく、15:85〜35:65がより好ましく、20:80〜30:70が特に好ましい。
また、鎖状エステル類としては、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、ピバリン酸メチル、ピバリン酸ブチル、ピバリン酸ヘキシル、ピバリン酸オクチル、シュウ酸ジメチル、シュウ酸エチルメチル、シュウ酸ジエチル等が挙げられ、エーテル類としては、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、1,3−ジオキサン、1,4−ジオキサン等の環状エーテル、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、1,2−ジブトキシエタン等の鎖状エーテル等が挙げられる。
アミド類としては、ジメチルホルムアミド等が挙げられ、リン酸エステル類としては、リン酸トリメチル、リン酸トリブチル、リン酸トリオクチル等が挙げられ、スルホン類としては、スルホラン等が挙げられ、ラクトン類としては、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、α−アンゲリカラクトン等が挙げられる。
S=O結合含有化合物としては、1,3−プロパンスルトン、1,3−ブタンスルトン、1,4−ブタンスルトン等のスルトン化合物、エチレンサルファイト、ヘキサヒドロベンゾ[1,3,2]ジオキサチオラン−2−オキシド(1,2−シクロヘキサンジオールサイクリックサルファイトともいう)、5−ビニル−ヘキサヒドロ1,3,2−ベンゾジオキサチオール−2−オキシド等の環状サルファイト化合物、1,4−ブタンジオールジメタンスルホネート、1,3−ブタンジオールジメタンスルホネート等のジスルホン酸ジエステル化合物、ジビニルスルホン、1,2−ビス(ビニルスルホニル)エタン、ビス(2−ビニルスルホニルエチル)エーテル等のビニルスルホン化合物等が挙げられる。
環状過酸化物としては、7,8,15,16−テトラオキサジスピロ[5.2.5.2]ヘキサデカン、14,15−ジオキサ−7−アザジスピロ[5.1.5.2]ペンタデカン等が挙げられる。
芳香族化合物としては、シクロヘキシルベンゼン、フルオロシクロヘキシルベンゼン化合物(1−フルオロ−2−シクロヘキシルベンゼン、1−フルオロ−3−シクロヘキシルベンゼン、1−フルオロ−4−シクロヘキシルベンゼン)、tert−ブチルベンゼン、tert−アミルベンゼン、1−フルオロ−4−tert−ブチルベンゼン、1,3−ジ−tert−ブチルベンゼン等の分枝アルキル基を有する芳香族化合物や、ビフェニル、ターフェニル(o−、m−、p−体)、ジフェニルエーテル、フルオロベンゼン、ジフルオロベンゼン(o−、m−、p−体)、2,4−ジフルオロアニソール、ターフェニルの部分水素化物(1,2−ジシクロヘキシルベンゼン、2−フェニルビシクロヘキシル、1,2−ジフェニルシクロヘキサン、o−シクロヘキシルビフェニル)等の芳香族化合物が挙げられる。
上記の非水溶媒のうち、特に環状エーテル類、S=O結合含有化合物、環状過酸化物、分枝アルキル基を有する芳香族化合物から選ばれる1種以上を、一般式(I)で表されるニトリル化合物と併用すると、高温保存特性等の電池特性が向上するので好ましい。特に好ましくは、7,8,15,16−テトラオキサジスピロ[5.2.5.2]ヘキサデカン、14,15−ジオキサ−7−アザジスピロ[5.1.5.2]ペンタデカン等の環状過酸化物又は環状サルファイト化合物である。一般式(I)で表されるニトリル化合物と併用するこれらの化合物の添加量は、5質量%を超えると充電状態での高温保存特性を改善する効果が得られない場合があり、また、0.05質量%に満たないと高温保存特性等の電池特性を改善する効果が十分に得られない場合がある。したがって、該含有量は、非水電解液の質量中に0.05質量%以上含むことが好ましく、0.5質量%以上がより好ましい。また、その上限は5質量%以下が好ましく、3質量%以下がより好ましい。
上記の非水溶媒は通常、適切な物性を達成するために、混合して使用される。その組合せとしては、例えば、環状カーボネート類と鎖状カーボネート類の組合せ、環状カーボネート類と鎖状カーボネート類とラクトン類との組合せ、環状カーボネート類と鎖状カーボネート類と鎖状エステル類との組合せ、環状カーボネート類と鎖状カーボネート類とエーテル類の組合せ、環状カーボネート類と鎖状カーボネート類とS=O結合含有化合物との組合せ等が挙げられる。
これらの中でも、少なくとも環状カーボネート類と鎖状カーボネート類を組合せた非水溶媒を用いると、高温保存特性等の電池特性を改善する効果を向上するために好ましい。より具体的には、EC、PC、VC、FECから選ばれる1種以上の環状カーボネート類と、DMC、MEC、DECから選ばれる1種以上の鎖状カーボネート類との組合せが挙げられる。
〔電解質塩〕
本発明に使用される電解質塩としては、LiPF6、LiBF4、LiClO4等のリチウム塩、LiN(SO2CF32、LiN(SO2252、LiCF3SO3、LiC(SO2CF33、LiPF4(CF32、LiPF3(C253、LiPF3(CF33、LiPF3(iso−C373、LiPF5(iso−C37)等の鎖状のフッ化アルキル基を含有するリチウム塩や、(CF22(SO22NLi、(CF23(SO22NLi等の環状のフッ化アルキレン鎖を含有するリチウム塩、ビス[オキサレート−O,O’]ホウ酸リチウムやジフルオロ[オキサレート−O,O’]ホウ酸リチウム等のオキサレート錯体をアニオンとするリチウム塩等が挙げられる。これらの中でも、特に好ましい電解質塩は、LiPF6、LiBF4、LiN(SO2CF32、LiN(SO2252であり、最も好ましい電解質塩はLiPF6、LiBF4及びLiN(SO2CF32である。これらの電解質塩は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
これらの電解質塩の好適な組合せとしては、LiPF6を含み、更にLiBF4、LiN(SO2CF32及びLiN(SO2252から選ばれる少なくとも1種を含む組合せが挙げられる。好ましくは、LiPF6とLiBF4との組合せ、LiPF6とLiN(SO2CF32との組合せ、LiPF6とLiN(SO2252との組合せ等が挙げられる。
(LiPF6:LiBF4、LiN(SO2CF32、及びLiN(SO2252から選ばれる電解質塩)のモル比がが70:30よりもLiPF6の割合が低い場合、及び99:1よりもLiPF6の割合が高い場合には高温保存特性が低下する場合がある。したがって、(LiPF6:LiBF4、LiN(SO2CF32、及びLiN(SO2252から選ばれる電解質塩)のモル比は、70:30〜99:1の範囲が好ましく、80:20〜98:2の範囲がより好ましい。上記範囲の組合せで使用することにより、高温保存特性等の電池特性を改善する効果を更に向上させることができる。
電解質塩は任意の割合で混合することができるが、LiPF6と組み合わせて使用する場合のLiBF4、LiN(SO2CF32及びLiN(SO2252を除く他の電解質塩が全電解質塩に占める割合(モル分率)は、0.01%に満たないと高温保存特性の向上効果が乏しく、45%を超えると高温保存特性が低下する場合がある。したがって、その割合(モル分率)は、好ましくは0.01〜45%、より好ましくは0.03〜20%、更に好ましくは0.05〜10%、最も好ましくは0.05〜5%である。
これら全電解質塩が溶解されて使用される濃度は、前記の非水溶媒に対して、通常0.3M以上が好ましく、0.5M以上がより好ましく、0.7M以上が最も好ましい。またその上限は、2.5M以下が好ましく、2.0M以下がより好ましく、1.5M以下が更に好ましく、1.2M以下が最も好ましい。
電気二重層キャパシタ(コンデンサ)用電解質としては、テトラエチルアンモニウムテトラフルオロボレート、トリエチルメチルアンモニウムテトラフルオロボレート、テトラエチルアンモニウムヘキサフルオロホスフェート等の公知の4級アンモニウム塩を用いることができる。
〔非水電解液の製造〕
本発明の非水電解液は、例えば、前記の非水溶媒を混合し、これに前記の電解質塩を加え、更に前記一般式(I)で表されるニトリル化合物を該非水電解液中に0.01〜5質量%含有させるように添加して調製することができる。
この際、用いる非水溶媒及び電解液に加える化合物は、生産性を著しく低下させない範囲内で、予め精製して、不純物が極力少ないものを用いることが好ましい。
本発明の非水電解液には、例えば二酸化炭素や空気を含ませることにより、電池特性を向上させることができる。特に高温における充放電特性向上の観点から、二酸化炭素を溶解させた非水電解液を用いることが好ましい。二酸化炭素の溶解量は、非水電解液の質量に対して0.001質量%以上が好ましく、0.05質量%以上がより好ましく、0.2質量%以上が更に好ましく、二酸化炭素を飽和するまで溶解させることが最も好ましい。
本発明の非水電解液は、リチウム一次電池及びリチウム二次電池用電解液として好適に使用することができる。更に、本発明の非水電解液は、電気二重層キャパシタ用電解液やハイブリッドキャパシタ用電解液としても使用できる。これらの中でも、本発明の非水電解液は、リチウム二次電池用として用いることが最も適している。
〔リチウム電池〕
本発明のリチウム電池は、リチウム一次電池及びリチウム二次電池を総称するものであって、正極、負極及び非水溶媒に電解質塩が溶解されている非水電解液からなるリチウム電池において、下記一般式(I)で表されるニトリル化合物を非水電解液中に0.01〜5質量%含有することを特徴とする。該非水電解液中の該ニトリル化合物の含有量は、好ましく0.1〜5質量%、より好ましくは0.5〜3質量%、更に好ましくは0.5〜2質量%である。
本発明のリチウム電池においては、非水電解液以外の正極、負極等の構成部材は特に制限なく使用できる。
例えば、リチウム二次電池用正極活物質としては、コバルト、マンガン、及びニッケルから選ばれる1種以上を含有するリチウム複合金属酸化物が使用される。これらの正極活物質は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
このようなリチウム複合金属酸化物としては、例えば、LiCoO2、LiMn24、LiNiO2、LiCo1-xNix2(0.01<x<1)、LiCo1/3Ni1/3Mn1/32、LiNi1/2Mn3/24、LiCo0.98Mg0.022等が挙げられる。また、LiCoO2とLiMn24、LiCoO2とLiNiO2、LiMn24とLiNiO2のように併用してもよい。
また、過充電時の安全性やサイクル特性を向上したり、4.3V以上の充電電位での使用を可能にするために、リチウム複合金属酸化物の一部は他元素で置換してもよい。例えば、コバルト、マンガン、ニッケルの一部をSn、Mg、Fe、Ti、Al、Zr、Cr、V、Ga、Zn、Cu、Bi、Mo、La等から選ばれる1種以上の元素で置換したり、Oの一部をSやFで置換したり、又はこれらの他元素を含有する化合物を被覆することもできる。
これらの中では、LiCoO2、LiMn24、LiNiO2のような満充電状態における正極の充電電位がLi基準で4.3V以上で使用可能なリチウム複合金属酸化物が好ましく、LiCo1-xx2(但し、MはSn、Mg、Fe、Ti、Al、Zr、Cr、V、Ga、Zn、Cuから選ばれる1種以上の元素を示す。0.001≦x≦0.05)、LiCo1/3Ni1/3Mn1/32、LiNi1/2Mn3/24のような4.4V以上で使用可能なリチウム複合金属酸化物がより好ましい。高充電電圧のリチウム複合金属酸化物を使用すると、充電時における非水電解液との反応により、高温保存特性等の電池特性が低下しやすいが、本発明に係るリチウム二次電池ではこれらの電池特性の低下を抑制することができる。
更に、正極活物質として、リチウム含有オリビン型リン酸塩を用いることもできる。特にFe、Co、Ni及びMnから選ばれる1種以上含むリチウム含有オリビン型リン酸塩が好ましい。その具体例としては、LiFePO4、LiCoPO4、LiNiPO4、LiMnPO4等が挙げられる。
これらのリチウム含有オリビン型リン酸塩の一部は他元素で置換してもよく、鉄、コバルト、ニッケル、マンガンの一部をCo、Mn、Ni、Mg、Al、B、Ti、V、Nb、Cu、Zn、Mo、Ca、Sr、W及びZr等から選ばれる1種以上の元素で置換したり、又はこれらの他元素を含有する化合物や炭素材料で被覆することもできる。これらの中では、LiFePO4又はLiMnPO4が好ましい。
また、リチウム含有オリビン型リン酸塩は、例えば前記の正極活物質と混合して用いることもできる。
正極の導電剤は、化学変化を起こさない電子伝導材料であれば特に制限はない。例えば、天然黒鉛(鱗片状黒鉛等)、人造黒鉛等のグラファイト類、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラック等のカーボンブラック類等が挙げられる。また、グラファイト類とカーボンブラック類を適宜混合して用いてもよい。導電剤の正極合剤への添加量は、1〜10質量%が好ましく、特に2〜5質量%が好ましい。
正極は、前記の正極活物質をアセチレンブラック、カーボンブラック等の導電剤、及びポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、スチレンとブタジエンの共重合体(SBR)、アクリロニトリルとブタジエンの共重合体(NBR)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、エチレンプロピレンジエンターポリマー等の結着剤と混合し、これに1−メチル−2−ピロリドン等の高沸点溶剤を加えて混練して正極合剤とした後、この正極合剤を集電体のアルミニウム箔やステンレス製のラス板等に塗布して、乾燥、加圧成型した後、50℃〜250℃程度の温度で2時間程度真空下で加熱処理することにより作製することができる。
正極の集電体を除く部分の密度は、通常は1.5g/cm3以上であり、電池の容量を更に高めるため、好ましくは2g/cm3以上であり、より好ましくは3g/cm3以上であり、更に好ましくは3.6g/cm3以上である。またその上限は、4.0g/cm3を超えると実質上作製が困難となる場合があるため、4.0g/cm3以下が好ましい。
また、リチウム一次電池用の正極としては、CuO、Cu2O、Ag2O、Ag2CrO4、CuS、CuSO4、TiO2、TiS2、SiO2、SnO、V25、V612、VOx、Nb25、Bi23、Bi2Pb25,Sb23、CrO3、Cr23、MoO3、WO3、SeO2、MnO2、Mn23、Fe23、FeO、Fe34、Ni23、NiO、CoO3、CoO等の、一種又は二種以上の金属元素の酸化物又はカルコゲン化合物、SO2、SOCl2等の硫黄化合物、一般式(CFxnで表されるフッ化炭素(フッ化黒鉛)等が挙げられる。これらの中では、MnO2、V25、フッ化黒鉛等が好ましい。
リチウム二次電池用負極活物質としては、リチウム金属やリチウム合金、及びリチウムを吸蔵及び放出することが可能な炭素材料(人造黒鉛や天然黒鉛等のグラファイト類)、リチウムを吸蔵及び放出可能な金属化合物等を1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
これらの中では、リチウムイオンの吸蔵及び放出能力において、人造黒鉛や天然黒鉛等の高結晶性の炭素材料を使用することが好ましく、格子面(002)の面間隔(d002)が0.340nm(ナノメータ)以下、特に0.335〜0.337nmである黒鉛型結晶構造を有する炭素材料を使用することが特に好ましい。高結晶性の炭素材料を使用すると、充電時において非水電解液と反応しやすく、高温保存特性やサイクル特性等の電池特性が低下する傾向があるが、本発明に係るリチウム二次電池では非水電解液との反応を抑制することができる。また、高結晶性の炭素材料が低結晶性の炭素材料によって被膜されていると、非水電解液の分解が一段と抑制されるので好ましい。
また、負極活物質としてのリチウムを吸蔵及び放出可能な金属化合物としては、Si、Ge、Sn、Pb、P、Sb、Bi、Al、Ga、In、Ti、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ag、Mg、Sr、Ba等の金属元素を少なくとも1種含有する化合物が挙げられる。これらの金属化合物は単体、合金、酸化物、窒化物、硫化物、硼化物、リチウムとの合金等、何れの形態で用いてもよいが、単体、合金、酸化物、リチウムとの合金の何れかが高容量化できるので好ましい。中でも、Si、Ge及びSnから選ばれる少なくとも1種の元素を含有するものが好ましく、Si及びSnから選ばれる少なくとも1種の元素を含むものが電池を高容量化できるので特に好ましい。
負極は、上記の正極の作製と同様な導電剤、結着剤、高沸点溶剤を用いて混練して負極合剤とした後、この負極合剤を集電体の銅箔等に塗布して、乾燥、加圧成型した後、50℃〜250℃程度の温度で2時間程度真空下で加熱処理することにより作製することができる。
負極活物質に黒鉛を用いた場合、負極の集電体を除く部分の密度は、通常は1.4g/cm3以上であり、電池の容量を更に高めるため、好ましくは、1.6g/cm3以上であり、特に好ましくは1.7g/cm3以上である。その上限は、2.0g/cm3を超えると実質上作製が困難となる場合があるため、2.0g/cm3以下が好ましい。
また、リチウム一次電池用の負極活物質としては、リチウム金属又はリチウム合金が挙げられる。
リチウム二次電池の構造には特に限定はなく、単層又は複層のセパレータを有するコイン型電池、円筒型電池、角型電池、ラミネート式電池等を適用できる。
電池用セパレータは特に制限されず、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィンの単層又は積層の多孔性フィルム、織布、不織布等を使用できる。
本発明におけるリチウム二次電池は、充電終止電圧が4.2V以上、特に4.3V以上の場合にも高温保存特性等の電池特性に優れており、更に、4.4Vにおいても高温保存特性は良好である。放電終止電圧は、通常2.8V以上、更には2.5V以上とすることができるが、本発明におけるリチウム二次電池は、2.0V以上とすることができる。電流値については特に限定されないが、通常0.1〜3Cの定電流放電で使用される。また、本発明におけるリチウム二次電池は、−40〜100℃、好ましくは0〜80℃で充放電することができる。
本発明においては、リチウム二次電池の内圧上昇の対策として、電池蓋に安全弁を設けたり、電池缶やガスケット等の部材に切り込みを入れる方法も採用することができる。また、過充電防止の安全対策として、電池の内圧を感知して電流を遮断する電流遮断機構を電池蓋に設けることができる。
〔ニトリル化合物〕
本発明のニトリル化合物は下記の一般式(II)で表される。
N≡C−R3−X−R4 (II)
一般式(II)において、Xは、−O−S(=O)−O−(サルファイト構造)又は−O−C(=O)−C(=O)−O−(オキサレート構造)を示し、R3は、炭素数1〜4の直鎖又は分枝のアルキレン基を示し、R4は、総炭素数2〜5の直鎖又は分枝のシアノアルキル基、炭素数3〜5の直鎖又は分枝の2−アルキニル基、又は炭素数1〜6の直鎖又は分枝のアルキル基を示す。
すなわち、一般式(II)におけるR3は、前記一般式(I)におけるR1と同じであり、一般式(II)におけるR4は、前記一般式(I)におけるR2と同じである。ただし、Xが−O−C(=O)−C(=O)−O−の場合は、R4は炭素数3〜5の直鎖又は分枝の2−アルキニル基、又は炭素数1〜6の直鎖又は分枝のアルキル基を示す。
一般式(II)で表されるニトリル化合物の具体例は、重複記載を避けるため省略するが、前記一般式(I)で表される化合物で例示された化合物のうち、一般式(II)に該当する化合物全てが挙げられる。
一般式(II)で表されるニトリル化合物の製造方法に特に制限はない。例えば、溶媒中又は無溶媒で、塩基存在下、総炭素数1〜5のシアノアルコールとハロゲン化チオニルを反応させて前記ニトリル化合物を得た後、蒸留、晶析、又はカラムクロマトグラフィー等の通常の精製方法を適用することができる。
以下、新規なニトリル化合物の合成例、本発明の非水電解液を用いた実施例を示すが、本発明はこれらの合成例、実施例に限定されるものではない。
合成例1〔ビス(2−シアノエチル)サルファイトの合成〕
2−シアノエタノール25.00g(0.352mol)とピリジン27.81g(0.352mol)をトルエン300mLに溶解し、塩化チオニル21.35g(0.17mol)を5℃で20分かけて滴下した後、25℃で2時間攪拌して反応を行った。反応液中に析出するピリジン塩酸塩をろ別した後、ろ液を濃縮後、精製し、透明液体状のビス(2−シアノエチル)サルファイトを25.5g(80%収率)得た。
得られたビス(2−シアノエチル)サルファイトについて、1H−NMR、13C−NMR(日本電子株式会社製、「AL300」使用)、IR(米国バリアン社製、「FTS7000E」使用)及び質量分析(株式会社日立製作所製、「M80B」使用)の測定を行い、その構造を確認した。結果を以下に示す。
(1)1H−NMR(300MHz, CDCl3):δ=4.33-4.21 (m, 4H) , 2.82-2.77 (m, 4H).
(2)13C−NMR(75MHz, CDCl3):δ=116.60, 57.21, 19.19.
(3)IR(液膜法): 2972, 2945, 2256, 1414, 1206, 1022, 976, 868, 711 cm-1
(4)質量分析: MS(CI) M+1 = 189.
合成例2〔2−シアノエチル−2−プロピニルサルファイトの合成〕
2−シアノエタノール11.69g(0.166mol)、プロパルギルアルコール9.22g(0.166mol)とトリエチルアミン33.29g(0.329mol)をトルエン400mLに溶解し、塩化チオニル19.00g(0.160mol)を10℃で20分かけて滴下した後、25℃で2時間攪拌して反応を行った。反応液中に析出するトリエチルアミン塩酸塩をろ別した後、ろ液を濃縮後、精製し、透明液体状の2−シアノエチル−2−プロピニルサルファイトを4.0g(14%収率)得た。
得られた2−シアノエチル−2−プロピニルサルファイトについて、1H−NMR、13C−NMR及び質量分析の測定を行い、その構造を確認した。結果を以下に示す。
(1)1H−NMR(300 MHz, CDCl3):δ=4.74 (dd, J = 15.9x2.4 Hz, 1 H), 4.61 (dd, J = 15.9x2.4 Hz, 1 H), 4.33 (td, J = 6.4x4.4 Hz, 1 H), 4.22 (td, J = 6.4x4.4 Hz, 1 H), 2.78 (t, J = 6.4Hz, 2 H), 2.62 (t, J = 2.4Hz, 1 H).
(2)13C−NMR(75 MHz, CDCl3):δ=116.35, 76.99, 76.53, 56.50, 50.51, 19.10.
(3)質量分析: MS(CI) M+1 = 174.
合成例3〔2−シアノエチル−2−プロピニルオキサレートの合成〕
2−シアノエタノール11.69g(0.166mol)、プロパルギルアルコール9.22g(0.166mol)とトリエチルアミン33.29g(0.329mol)をトルエン400mLに溶解し、塩化オキサリル20.27g(0.160mol)を10℃で20分かけて滴下した後、25℃で2時間攪拌して反応を行った。反応液中に析出するトリエチルアミン塩酸塩をろ別した後、ろ液を濃縮後、精製し、融点51℃の白色粉末状2−シアノエチル−2−プロピニルオキサレートを3.8g(13%収率)得た。
得られた2−シアノエチル−2−プロピニルオキサレートについて、1H−NMR、13C−NMR及び質量分析の測定を行い、その構造を確認した。結果を以下に示す。
(1)1H−NMR(300 MHz, CDCl3):δ=4.90 (d, J = 2.4 Hz, 2 H), 4.52 (t, J = 6.4 Hz, 2 H), 2.86 (t, J = 6.4 Hz, 2 H), 2.61 (t, J = 2.4 Hz, 1 H).
(2)13C−NMR(75 MHz, CDCl3):δ=156.34, 155.97, 115.98, 76.84, 75.64, 61.16, 54.49, 17.71.
(3)質量分析: MS(CI) M+1 = 182.
実施例1〜12、及び比較例1〜4
〔リチウムイオン二次電池の作製〕
LiCoO2(正極活物質);93質量%、アセチレンブラック(導電剤);3質量%を混合し、予めポリフッ化ビニリデン(結着剤);4質量%を1−メチル−2−ピロリドンに溶解させておいた溶液に加えて混合し、正極合剤ペーストを調製した。この正極合剤ペーストをアルミニウム箔(集電体)上の両面に塗布し、乾燥、加圧処理して所定の大きさに裁断し、帯状の正極シートを作製した。正極の集電体を除く部分の密度は3.6g/cm3であった。また、低結晶性炭素を被膜した人造黒鉛(d002=0.335nm、負極活物質)95質量%を、予めポリフッ化ビニリデン(結着剤)5質量%を1−メチル2−ピロリドンに溶解させておいた溶液に加えて混合し、負極合剤ペーストを調製した。この負極合剤ペーストを銅箔(集電体)上の両面に塗布し、乾燥、加圧処理して所定の大きさに裁断し、帯状の負極シートを作製した。負極の集電体を除く部分の密度は1.7g/cm3であった。そして、正極シート、微孔性ポリエチレンフィルム製セパレータ、負極シート及びセパレータの順に積層し、これを渦巻き状に巻回した。この巻回体を負極端子を兼ねるニッケルメッキを施した鉄製の円筒型電池缶に収納した。さらに、表1に記載の化合物を所定量添加して調製した非水電解液を注入し、正極端子を有する電池蓋をガスケットを介してかしめて、18650型円筒電池を作製した。なお正極端子は正極シートとアルミニウムのリードタブを用いて、負極缶は負極シートとニッケルのリードタブを用いて予め電池内部で接続した。
得られた電池の高温保存特性を以下の方法で評価した。
〔高温保存特性の評価〕
上記と同じ組成の非水電解液を使用した別の円筒電池を用いて、25℃の恒温槽中1Cの定電流及び定電圧で終止電圧4.3Vまで3時間充電し、次に1Cの定電流下、終止電圧3.0Vまで放電した。この放電時の平均の放電電圧を「保存前の平均放電電圧」とした。
再び1Cの定電流及び定電圧で終止電圧4.3Vまで3時間充電し、60℃の恒温槽に入れ、4.3Vに保持した状態で3日間保存した。その後、25℃の恒温槽に入れ、一旦1Cの定電流下、終止電圧3.0Vまで放電し、再び1Cの定電流及び定電圧で終止電圧4.3Vまで3時間充電し、次に1Cの定電流下、終止電圧3.0Vまで放電した。この放電時の平均の放電電圧を「保存後の平均放電電圧」とした。
そして、非水電解液に一般式(I)で表されるニトリル化合物を加えなかったこと以外は実施例と同様に円筒電池を作製し電池特性を評価した比較例1を基準とし、以下の式により、高温保存後の「平均放電電圧低下率(%)」を求めた。
平均放電電圧低下率(相対値)(%)=(保存前の平均放電電圧−保存後の平均放電電圧)/(比較例1の保存前の平均放電電圧−比較例1の保存後の平均放電電圧)×100
円筒電池の作製条件及び電池特性を表1に示す。
Figure 2010018814
なお、表1中の電解液成分の詳細は以下のとおりである。
(環状カーボネート)
EC:エチレンカーボネート
VC:ビニレンカーボネート
FEC:4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン
(鎖状カーボネート)
MEC:メチルエチルカーボネート
DMC:ジメチルカーボネート
実施例13、及び比較例5
実施例2、及び比較例1で用いた正極活物質LiCoO2をLiFePO4に変えて、正極シートを作製した。LiFePO4;90質量%、アセチレンブラック(導電剤);5質量%を混合し、予めポリフッ化ビニリデン(結着剤);5質量%を1−メチル−2−ピロリドンに溶解させておいた溶液に加えて混合し、正極合剤ペーストを調製した。この正極合剤ペーストをアルミニウム箔(集電体)上に塗布し、乾燥、加圧処理して所定の大きさに裁断し、帯状の正極シートを作製したこと、充電終止電圧を3.6V、放電終止電圧を2.0Vとしたことの他は、実施例2、及び比較例1と同様に円筒電池を作製し、電池評価を行った。結果を表2に示す。
Figure 2010018814
実施例14、及び比較例6
実施例2、及び比較例1で用いた負極活物質である低結晶性炭素を被膜した人造黒鉛をSiに変えて、負極シートを作製した。Si;80質量%、アセチレンブラック(導電剤);15質量%を混合し、予めポリフッ化ビニリデン(結着剤);5質量%を1−メチル−2−ピロリドンに溶解させておいた溶液に加えて混合し、負極合剤ペーストを調製した。この負極合剤ペーストを銅箔(集電体)上に塗布し、乾燥、加圧処理して所定の大きさに裁断し、帯状の負極シートを作製したことの他は、実施例2、及び比較例1と同様に円筒電池を作製し、電池評価を行った。結果を表3に示す。
Figure 2010018814
表1から、実施例1〜12のリチウム二次電池は何れも、比較例1(ニトリル化合物を添加せず)、及び比較例2〜4(本発明のニトリル化合物以外のニトリル化合物を添加)のリチウム二次電池に比べ、高温保存特性が顕著に向上していることが分かる。
表2に示す実施例13と比較例5の対比から、正極にリチウム含有オリビン型リン酸鉄塩を用いた場合にも同様な効果がみられることが分かる。
また、表3に示す実施例14と比較例6の対比から、負極にSiを用いた場合にも同様な効果がみられることが分かる。
従って、本発明の効果は、特定の正極や負極に依存した効果でないことが明らかである。
更に、本発明の非水電解液は、リチウム一次電池の高温保存特性を改善する効果も有する。
本発明の非水電解液を用いたリチウム電池は、高温保存特性等の電池特性に優れているため、極めて有用である。

Claims (13)

  1. 非水溶媒に電解質塩が溶解されている非水電解液において、下記一般式(I)で表されるニトリル化合物を非水電解液中に0.01〜5質量%含有することを特徴とする非水電解液。
    N≡C−R1−X−R2 (I)
    (式中、Xは、−S(=O)2−(スルホン構造)、−O−S(=O)−O−(サルファイト構造)、又は−O−C(=O)−C(=O)−O−(オキサレート構造)を示し、R1は、炭素数1〜4の直鎖又は分枝のアルキレン基を示し、R2は、総炭素数2〜5の直鎖又は分枝のシアノアルキル基、炭素数3〜5の直鎖又は分枝の2−アルキニル基、又は炭素数1〜6の直鎖又は分枝のアルキル基を示す。)
  2. 一般式(I)におけるR2が、2−シアノエチル基、1,1−ジメチルシアノメチル基、1,1−ジメチルシアノエチル基、又は2−プロピニル基である請求項1に記載の非水電解液。
  3. 一般式(I)で表されるニトリル化合物が、ビス(2−シアノエチル)スルホン、2−シアノエチル−2−プロピニルスルホン、2−シアノエチルメチルスルホン、又は2−シアノエチルエチルスルホンである請求項1又は2に記載の非水電解液。
  4. 一般式(I)で表されるニトリル化合物が、ビス(2−シアノエチル)サルファイト、ビス(1,1−ジメチルシアノメチル)サルファイト、2−シアノエチル−2−プロピニルサルファイト、1,1−ジメチルシアノメチル−2−プロピニルサルファイト、2−シアノエチルメチルサルファイト、又は2−シアノエチルエチルサルファイトである請求項1又は2に記載の非水電解液。
  5. 一般式(I)で表されるニトリル化合物が、ビス(2−シアノエチル)オキサレート、ビス(1,1−ジメチルシアノメチル)オキサレート、2−シアノエチル−2−プロピニルオキサレート、1,1−ジメチルシアノメチル−2−プロピニルオキサレート、2−シアノエチルメチルオキサレート、又は2−シアノエチルエチルオキサレートである請求項1又は2に記載の非水電解液。
  6. 電解質塩が、LiPF6、LiBF4、LiN(SO2CF32、及びLiN(SO2252から選ばれる少なくとも1種である請求項1に記載の非水電解液。
  7. 電解質塩がLiPF6を含み、かつ(LiPF6:LiBF4、LiN(SO2CF32、及びLiN(SO2252から選ばれる電解質塩)のモル比が、70:30〜99:1の範囲である請求項6に記載の非水電解液。
  8. 非水溶媒が環状カーボネート及び鎖状カーボネートを含む請求項1に記載の非水電解液。
  9. 環状カーボネート類:鎖状カーボネート類の容量比が10:90〜40:60である請求項1に記載の非水電解液。
  10. 正極、負極及び非水溶媒に電解質塩が溶解されている非水電解液からなるリチウム電池において、下記一般式(I)で表されるニトリル化合物を非水電解液中に0.01〜5質量%含有することを特徴とするリチウム電池。
    N≡C−R1−X−R2 (I)
    (式中、R1、R2及びXは前記と同じである。)
  11. 前記正極が、リチウム複合金属酸化物及びリチウム含有オリビン型リン酸塩から選ばれる1種以上の化合物を含む正極活物質を含む請求項10に記載のリチウム電池。
  12. 前記負極が、リチウム金属、リチウム合金、リチウムを吸蔵及び放出することが可能な炭素材料、並びにリチウムを吸蔵及び放出可能な金属化合物から選ばれる1種以上の化合物を含む負極活物質を含む請求項10に記載のリチウム電池。
  13. 下記一般式(II)で表されるニトリル化合物。
    N≡C−R3−X−R4 (II)
    (式中、Xは、−O−S(=O)−O−(サルファイト構造)又は−O−C(=O)−C(=O)−O−(オキサレート構造)を示し、R3は、炭素数1〜4の直鎖又は分枝のアルキレン基を示し、R4は、総炭素数2〜5の直鎖又は分枝のシアノアルキル基、炭素数3〜5の直鎖又は分枝の2−アルキニル基、又は炭素数1〜6の直鎖又は分枝のアルキル基を示す。ただし、Xが−O−C(=O)−C(=O)−O−の場合は、R4は炭素数3〜5の直鎖又は分枝の2−アルキニル基、又は炭素数1〜6の直鎖又は分枝のアルキル基を示す。)
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