JPWO2010001665A1 - 自動変速機のライン圧制御装置 - Google Patents

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Abstract

作動油の温度によってマップ化データ(油圧制御特性)の低ライン圧領域を拡大することにより、車両の燃料経済性を向上させる。記憶部101には、エンジン負荷に基づいて、高圧/低圧領域のいずれかに設定されるライン圧のマップ化データが格納される。ATF温度センサ18により検出された作動油の温度に基づいて、判定部103は、低圧領域を拡大方向にマップ化データが遷移しているか否かを判定し、状態判断部104は、車両のスロットル開度THが全閉であるかまたはライン圧が現在低ライン圧であるかを判断する。低圧領域が拡大方向に遷移し、スロットル開度THが全閉または現在低ライン圧である場合には、領域変更部102は、記憶部101に格納されているマップ化データの低圧領域を拡大するように変更し、それ以外のときにはこのような変更を禁止する。

Description

本発明は、車両用の自動変速機のライン圧制御装置に関し、特に、作動油の温度に基づいてライン圧を2段階に切替可能な自動変速機のライン圧制御装置に関する。
従来、自動変速機を備えた車両の燃料経済性(燃費)を高めるために、自動変速機用の油圧制御装置において確立されるライン圧を低ライン圧と高ライン圧の2段階に切り替えることができる自動変速機のライン圧制御装置が知られている(例えば、特公平6−15900号公報(以下、「特許文献1」という)および特開2002−89680号公報(以下、「特許文献2」という)参照)。
特許文献1に開示される自動変速機のライン圧制御装置では、油温センサにより検出した自動変速機の作動油の温度に応じて、変速段の変速中におけるライン圧を制御している。具体的には、まず、変速時要求ライン圧が低温領域、高温領域、および低温領域と高温領域との間の遷移領域のいずれにあるかを判別する。そして、変速時要求ライン圧が特に遷移領域にある場合に、制御されるライン圧を低温用ライン圧値と高温用ライン圧値の間で徐々に(リニアに)変化させるように処理している。このライン圧制御装置は、このように構成することにより、ライン圧を徐々に変化させることとなる。これにより、ライン圧の急変を生ずることがなく、ライン圧制御による変速ショックを軽減することができるという効果を奏するものである。
また、特許文献2に開示される自動変速機のライン圧制御装置では、スロットル開度がステップ状に低下するときライン圧を高圧から低圧に切り替えるように判定がなされ、その判定がなされてから所定時間だけこの切り替えの開始を遅延させるようにライン圧を制御している。このライン圧制御装置は、このように構成することにより、エンジントルクの減少時におけるトルクの過渡的な変化状態に起因する摩擦係合要素のすべりを防止することができる。そのため、変速ショックを回避するとともに、摩擦係合要素の摩擦材の寿命が低下してしまうのを防止することができるという効果を奏するものである。
さらに、ライン圧の制御においては、例えば、図4に示すように、車両のスロットル開度(縦軸、スロットルの有効開度を8分割したときの割合)および車速(横軸)によりマップ化したデータを用いて低ライン圧領域と高ライン圧領域とを区分けすることも知られている。このようなマップ化データを用いる場合、低ライン圧領域は、クラッチ(摩擦係合要素)のトルク容量が任意のスロットル開度および車速においてエンジントルクを下回らないように設定される。
上記特許文献1および特許文献2の自動変速機のライン圧制御装置では、変速ショックを軽減または回避することができるものの、さらに車両の燃費(燃料経済性)を向上させたいというニーズには応えることができないという問題がある。
また、上記のマップ化データを用いる場合には、変速ショック等の要因を考慮して、クラッチのトルク容量に問題がない狭い領域でしか低ライン圧に設定することができず、スロットル開度と車速とに基づいてライン圧を設定するだけではやはり車両の燃費(燃料経済性)を向上させたいというニーズには応えることができないという問題もある。
本発明は上述の点に鑑みてなされたものであり、その目的は、作動油の温度によってマップ化データ(油圧制御特性)の低ライン圧領域を拡大し、あるいは複数のマップ化データを切り替えることにより、車両の燃料経済性を向上させることができる車両用の自動変速機のライン圧制御装置を提供することにある。また、本発明のさらなる目的は、低ライン圧領域の拡大方向に低ライン圧領域を変更したり、マップ化データを低ライン圧領域の拡大方向に切り替えたりすることにより、その遷移または切り替えのタイミングにクラッチおよびエンジンのトルク容量の差によりクラッチがすべることを効果的に防止することができる車両用の自動変速機のライン圧制御装置を提供することにある。
上記の課題を解決するために、本発明の一実施形態における自動変速機のライン圧制御装置(10)は、複数の摩擦係合要素(クラッチ)からいずれかを選択して係合することによって所定の変速段を設定する車両用の自動変速機(3、6)において、油圧源(61)からの油圧を調圧することにより、摩擦係合要素を作動制御させるための作動油の基圧となるライン圧(P)を制御する自動変速機のライン制御装置(10)であって、エンジン(1)の負荷に基づいて、高圧領域および低圧領域のいずれかに設定されるライン圧(P)の油圧制御特性(マップ化データ)を格納する記憶部(101)と、作動油の温度(TATF)を検出する作動油温度センサ(18)と、作動油温度センサ(18)により検出された作動油の温度(TATF)に基づいて、記憶部(101)に格納されているライン圧(P)の油圧制御特性における低圧領域を拡大するように変更する領域変更部(102)とを備えることを特徴とする。
本発明の一実施形態における自動変速機のライン圧制御装置によれば、例えば、作動油の温度TATFが低温のときには作動油の摩擦係数が増加するため、このような場合に油圧制御特性のライン圧の低圧領域を拡大させることにより、拡大された領域における車両の走行状態においては自動変速機全体のフリクショントルクを低減させることができる。これにより、車両の燃料経済性(燃費)を向上させることができる。
また、本発明の一実施形態における自動変速機のライン圧制御装置では、領域変更部(102)は、低圧領域を拡大させる方向に油圧制御特性(マップ化データ)が遷移しているか否かを判定する判定部(103)と、車両のスロットル開度(TH)が全閉になっているか、あるいはライン圧(P)が現在低圧であるかをそれぞれ判断する状態判断部(104)とを備え、低圧領域が拡大方向に遷移していると判定部(103)が判定した場合であって、スロットル開度(TH)が全閉であるか、あるいはライン圧(P)が現在低圧であると状態判断部(104)が判断したときには、領域変更部は、低圧領域の拡大方向への変更を許可し、それ以外のときには当該変更を禁止するように構成してもよい。これにより、車両の燃料経済性(燃費)を向上させつつ、ライン圧を高圧から低圧へ切り替えるときにエンジンのトルク容量とクラッチ(摩擦係合要素)のトルク容量との差に起因して発生し得るクラッチのすべりを効果的に防止することができる。なお、本発明では、スロットル開度(TH)の代わりに車両のアクセルペダルにおける開度(アクセルペダル開度APAT)を用いてもよい。
さらに、上記構成において、領域変更部(102)は、低圧領域を縮小させる方向に遷移していると判定部(103)が判定した場合には、状態判断部(104)による判断を行うことなく、当該変更を許可するように構成してもよい。これにより、クラッチ(摩擦係合要素)のすべりの心配がないときには、ライン圧制御装置(例えば、電子制御ユニット10)全体の処理負荷を軽減しつつ油圧制御特性におけるライン圧の低圧領域を拡大するように変更することができる。
また、上記の課題を解決するために、本発明の別の実施形態における自動変速機のライン圧制御装置(10)は、複数の摩擦係合要素(クラッチ)からいずれかを選択して係合することによって所定の変速段を設定する車両用の自動変速機(3、6)において、油圧源(61)からの油圧を調圧することにより、摩擦係合要素を作動制御させるための作動油の基圧となるライン(P)圧を制御する自動変速機のライン制御装置(10)であって、エンジン(1)の負荷に基づいて、高圧領域および低圧領域のいずれかに設定されるライン圧(P)の油圧制御特性(マップ化データ)を複数の温度領域(例えば、50℃、80℃および100℃により境界を分けられた複数の温度領域)に対応して複数格納する記憶部(101)と、作動油の温度(TATF)を検出する作動油温度センサ(18)と、作動油温度センサ(18)により検出された作動油の温度(TATF)に基づいて、記憶部(101)に格納されているライン圧(P)の複数の油圧制御特性を切り替える切替部(102)とを備えることを特徴とする。
本発明の別の実施形態における自動変速機のライン圧制御装置によれば、作動油の温度TATFが低温のときにライン圧の低圧領域を拡大させたマップ化データに切り替えることにより、自動変速機全体のフリクショントルクを低減させることができるので、車両の燃料経済性(燃費)を向上させることができる。
また、本発明の別の実施形態における自動変速機のライン圧制御装置では、切替部(102)は、作動油の温度(TATF)が複数の温度領域の高温側から低温側に遷移しているか否かを判定する判定部(103)と、車両のスロットル開度(TH)が全閉になっているか、あるいはライン圧(P)が現在低圧であるかをそれぞれ判断する状態判断部(104)とを備え、作動油の温度が温度領域の高温側から低温側に遷移していると判定部(103)が判定した場合であって、スロットル開度(TH)が全閉であるか、あるいはライン圧(P)が現在低圧であると状態判断部(104)が判断したときには、切替部は、油圧制御特性の切り替えを許可し、それ以外のときには当該切り替えを禁止するように構成してもよい。これにより、車両の燃料経済性(燃費)を向上させつつ、油圧制御特性の切替時にライン圧が高圧から低圧に切り替わってしまうことによるエンジンのトルク容量とクラッチのトルク容量の差に起因して発生し得るクラッチ(摩擦係合要素)のすべりを効果的に防止することができる。
なお、上記で括弧内に記した図面参照符号は、後述する実施形態における対応する構成要素を参考のために例示するものである。また、上記で括弧内に記した作動油の温度等も後述する実施形態に対応して例示したものである。
本発明によれば、作動油の温度が所定温度よりも低いときには、スロットル開度と車速とのマップ化データにおいて低ライン圧領域を拡大させることにより、その拡大された領域での自動変速機のフリクショントルクを高ライン圧時よりも低減することができ、それにより車両の燃料経済性を向上させることができる。
本発明の第1実施形態における自動変速機のライン圧制御装置を備えた車両の動力伝達系統および制御系統を概略的に示すブロック図である。 本発明の第1実施形態における自動変速機のライン圧制御装置において実行される低ライン圧領域検索・変更処理の制御系統を示すブロック図である。 本発明の第1実施形態における自動変速機のライン圧制御装置に適用される油圧回路の一部である。 記憶部に格納されているスロットル開度TH−車速Nvに対するライン圧のマップ化データ(100℃)を示すグラフである。 50℃および80℃におけるスロットル開度TH−車速Nvに対するライン圧のマップ化データを示すグラフである。 作動油の温度に対する摩擦係数の関係およびライン圧とフリクショントルクとの関係をそれぞれ示すグラフである。 低ライン圧領域を変更するか否かに対する車両の燃費向上率を示すグラフである。 本発明の第1実施形態に係る自動変速機のライン圧制御装置を備える車両のAT制御処理を示すフローチャートである。 本発明の第1実施形態における低ライン圧領域検索・変更処理を示すフローチャートである。 本発明の第2実施形態における低ライン圧領域検索・変更処理を示すフローチャートである。
以下、添付図面を参照して本発明の自動変速機のライン圧制御装置の好適な実施形態を詳細に説明する。
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態における自動変速機のライン圧制御装置を備えた車両の動力伝達系統および制御系統を概略的に示すブロック図である。車両の動力伝達系統は、動力源であるエンジン1と、エンジン1の回転出力を変速ギア機構3に伝達するための流体継手であるトルクコンバータ2と、トルクコンバータ2の回転出力を入力して設定された速度比で変速して出力する変速ギア機構3と、変速ギア機構3の回転出力を左右の車輪(例えば後輪)5に分配するディファレンシャルギア機構4とを含む。トルクコンバータ2および変速ギア機構3に付属して油圧制御装置6が設けられている。この油圧制御装置6は、トルクコンバータ2および変速ギア機構3内に設けられている油圧制御型の複数の摩擦係合要素(クラッチなど)を所定の組み合わせで締結または解放させるものである。これにより、油圧制御装置6は、トルクコンバータ2のロックアップや、変速ギア機構3における入出力速度比を所要の変速段に設定することを行う。車両の自動変速機は、これらのトルクコンバータ2、変速ギア機構3、油圧制御装置6などによって構成される。また、本実施形態のライン圧制御装置は、油圧制御装置6と後述する電子制御ユニット10とによって構成される。
車両の動力伝達系統を制御するための制御系統は、車両の各部に設けられたセンサと、該各センサの出力が入力される電子制御ユニット(ECU)10と、該電子制御ユニット10によって制御される油圧制御装置6などで構成される。回転センサ11はトルクコンバータ2の入力軸の回転数(エンジン回転数)Neを検出する。回転センサ12は変速ギア機構3の入力軸(すなわち、トルクコンバータ2の出力軸)の回転数Niを検出する。回転センサ13は変速ギア機構3の出力軸の回転数Noを検出する。車速センサ14は車両の走行速度(車速)Nvを検出する。なお、車速Nvを専用に検出する車速センサ14を設けることなく、入力軸回転数Niまたは出力軸回転数Noから車速Nvを算出するようにしてもよい。例えば、「Nv=Ni×変速レシオ×タイヤ周長」あるいは「Nv=No×タイヤ周長」のような関係式に基づいて車速Nvを検出(算出)することができる。シフトレバーポジションセンサ15は、運転者によって操作されるシフトレバーのポジションを検出する。シフトレバーのポジションには、公知のように、例えば、P(パーキング)、R(後進走行)、N(ニュートラル)、D(自動変速モードでの前進走行)などがある。さらに、3速、2速、1速等の特定の変速段を手動で指定するためのポジションが設けられてもよい。
ブレーキセンサ16は、運転者によりブレーキペダルが所定量以上踏み込まれるとブレーキがかけられたことを検出する。スロットルセンサ17は、アクセルペダルの踏み込みに応じて開度が設定されるエンジン1のスロットルの開度THを検出する。アクセルペダルセンサ21は、アクセルペダルの踏み込みに応じたアクセルペダル開度APATを検出する。ATF温度センサ18は、油圧制御装置6における作動油の温度(ATF油温)TATFを検出する。油圧センサ20は、油圧制御装置6において図示しないリニアソレノイドバルブにより調圧されたライン圧Pを検出する。冷却水温センサ19は、エンジン冷却液の温度(冷却水温)を検出する。
本実施形態における自動変速機のライン圧制御装置は、油圧源(後述するオイルポンプ61)からの油圧を後述するレギュレータバルブ62にて調圧することにより、摩擦係合要素(クラッチなど)を作動制御させるための作動油の基圧となるライン圧Pを制御するものである。また、ライン圧制御装置は、作動油の温度TATFに基づいて後述するライン圧Pの油圧制御特性(マップ化データ)の低圧領域を変更するものである。
図1に示した車両の動力伝達系統および制御系統の具体的構成は、公知の構成を適宜採用すればよい。本発明に係る自動変速機のライン圧制御装置は、電子制御ユニット10を含むものであり、該電子制御ユニット10が実現可能な種々の制御機能のうちの一つとして実施される。以下述べる実施形態においては、本発明に係る自動変速機のライン圧制御装置は、電子制御ユニット10が具備するコンピュータプログラムによって実行されるものとする。しかしながら、本発明に係る自動変速機のライン圧制御装置は、このようなコンピュータプログラムに限らず、専用の電子回路ハードウェアで構成することができるのは勿論である。
図2は、本発明の自動変速機のライン圧制御装置において実行される低ライン圧領域検索・変更処理の制御系統を示すブロック図である。図2に示すように、電子制御ユニット10は、記憶部101と、領域変更部102とを含む。記憶部101には、エンジン1の負荷に基づいて、スロットル開度TH−車速Nvのグラフ(ライン圧制御特性図)において高圧領域および低圧領域のいずれかに設定されるライン圧Pの油圧制御特性(詳細は後述する)がマップ化データとして格納される。領域変更部102は、ATF温度センサ18により検出された作動油の温度(ATF油温)TATFに基づいて、記憶部101に格納されているライン圧Pのマップ化データにおける低ライン圧領域を拡大するように変更するものである。領域変更部102は、判定部103と、状態判断部104とを含む。判定部103は、低ライン圧領域を拡大させる方向に油圧制御特性が遷移しているか否か、すなわち作動油の温度TATFが低温側に遷移しているか否かを判定するものである。状態判断部104は、車両のスロットル開度THが全閉になっているか、あるいはライン圧Pが現在低ライン圧であるかをそれぞれ判断するものである。
本発明の自動変速機のライン圧制御装置では、図3において後述するように、ライン圧Pを高ライン圧と低ライン圧との2段階で切替可能である。判定部103により低ライン圧領域が拡大方向に遷移していると判定された場合であって、スロットル開度THが全閉であるか、あるいはライン圧Pが現在低ライン圧であると状態判断部104により判断されたときには、領域変更部102は、このような低ライン圧領域の拡大方向への変更を許可する。領域変更部102は、それ以外のときには当該変更を禁止する。そして、電子制御ユニット10は、領域変更部102により低ライン圧領域が拡大変更されたマップ化データあるいは現在利用しているマップ化データと、現在の車両の走行状態とに基づいて、必要なライン圧Pを確立するように油圧制御装置6に指令を出力している。なお、本発明の特徴的な制御についてはフローチャートを用いて後述する。
次に、本実施形態における自動変速機のライン圧制御装置におけるライン圧Pを2段階に変更可能な油圧回路の構成を説明する。図3は、本発明の自動変速機のライン圧制御装置に適用される油圧回路の一部である。図3に示すように、この油圧回路は、油圧源となるオイルポンプ61と、レギュレータバルブ62と、ソレノイドバルブ63とを備えている。レギュレータバルブ62は、このオイルポンプ61から供給される基礎油圧を調圧して、クラッチなどの摩擦係合要素の係合作動油の基圧となるライン圧Pを生成する。ソレノイドバルブ63は、ライン圧Pを2段階に切り替えるためにレギュレータバルブ62に補助圧を供給するものである。このようにソレノイドバルブ63を設けたことにより、レギュレータバルブ62に段差を追加して、レギュレータバルブ62の受圧面積を切り替えて、高ライン圧と低ライン圧の2段階にライン圧Pを切り替えることができる。
オイルポンプ61は、図示しないオイルタンクから作動油を吸い上げて油路70に圧送する。この作動油は、レギュレータバルブ62により所定圧力に調圧された後、油路71および図示しないバルブを経てリニアソレノイドバルブを介して各クラッチに送られる。ここで、高い係合作動油圧が必要でない領域、すなわち図4のクラッチ容量OK領域になると、油圧制御装置6では、オイルポンプ61から供給される作動油圧を油路72から受けているソレノイドバルブ63が、電子制御ユニット10の制御により開放(ON)する。このソレノイドバルブ63の開放により油路75を経た作動油(低ライン圧の信号圧)と油路73を経た作動油によりレギュレータバルブ62が制御される。このようにレギュレータバルブ62の受圧面積を大きくすることにより、レギュレータバルブ62にて調圧されるライン圧Pを高圧から低圧に切り替える。
また、高い係合作動油圧が必要な領域、すなわち図4のクラッチ容量OK領域以外の領域(LC容量OK領域等)になると、油圧制御装置6は、ライン圧Pを低圧から高圧に切り替える動作を行う。この場合、電子制御ユニット10の制御によりソレノイドバルブ63を閉止(OFF)することにより、油路75には作動油(低ライン圧の信号圧)が供給されない。これにより、レギュレータバルブ62は油路73を経た作動油のみで制御される。このようにレギュレータバルブ62の受圧面積を小さくすることにより、ライン圧Pを低圧から高圧に切り替える。なお、本実施形態では、例えば、高ライン圧は9.5±0.25kg/cmに設定され、低ライン圧は6.0±0.25kg/cmに設定される。
図4は、記憶部101に格納されているスロットル開度TH−車速Nvに対するライン圧Pのマップ化データ(作動油の温度:100℃)を示すグラフである。なお、スロットル開度THは、全開時を8、全閉時を0として全領域を8分割したときの割合で示す。また、実線(太線)は、シフトアップ時のシフト間の境界線を示し、左側から1速(Low)→2速、2速→3速、3速→4速および4速→5速(Top)のシフトアップの境界線である。通常シフトダウン時のシフト間の境界線はシフトアップ時のシフト間の境界線とは異なる。しかしながら、本実施形態では、ライン圧Pの高圧・低圧の境界線と無関係であるので、シフトダウン時のシフト間の境界線は図示を省略する。なお、本実施形態では、エンジン1への負荷として、縦軸にスロットル開度THを用いているが、実質的に比例関係があると考えられるため、スロットル開度THに代えてアクセルペダル開度APATを用いてもよい。
本実施形態では、マップ化データは、ライン圧6kgf/cm、作動油の温度100℃におけるクラッチのトルク容量から低ライン圧領域を算出したものである。図4のグラフにおいて、斜線部分は、クラッチのトルク容量がエンジン1のトルク容量を下回らない領域(図では、クラッチ容量OK領域)を示す。また、スロットル開度THが4以下の領域でクラッチ容量OK領域以外の領域は、LC(ロックアップ)クラッチのトルク容量がエンジン1のトルク容量を下回らない領域(図では、LC容量OK領域)を示す。
従来のライン圧制御では、例えば、図4のマップ化データのみを用いて車両走行時のライン圧を設定していた。市場走行状態を想定したテストモード(5回平均値)では、このマップ化データを用いるとテスト走行中に低ライン圧での走行が85%程度をカバーする。これにより、図7に示すようにライン圧Pを高ライン圧と低ライン圧とでの切り替えを行わないものに比べ、0.26%燃費(燃料経済性)が向上している。
図5は、50℃および80℃におけるスロットル開度TH−車速Nvに対するライン圧Pのマップ化データを示すグラフである。図5(a)では、図4に示す油温100℃におけるマップ化データのクラッチ容量OK領域に対して拡大された低ライン圧領域が塗りつぶし領域で示される。このマップ化データは、例えば作動油の温度が80℃のときに用いられる。また、図5(b)では、図5に示す油温80℃におけるマップ化データのクラッチ容量OK領域に対して拡大された低ライン圧領域が塗りつぶし領域で示される。このマップ化データは、例えば作動油の温度が50℃のときに用いられる。本発明では、図4および図5のグラフに示すように、領域変更部102は、ATF温度センサ18により検出された作動油の油温TATFが高温から低温に変化するにつれて低ライン圧領域を段階的に拡大するように変更するものである。
このように作動油の温度(油温)50℃、80℃において低ライン圧領域を段階的に拡大することにより、上記と同様のテスト走行中に低ライン圧での走行が97%程度まで向上する。これにより、図7に示すようにライン圧の切り替えを行わないものに比べて0.30%燃費(燃料経済性)を向上させることができ、作動油の温度TATFに応じて低ライン圧領域を変更しないものに比べても0.04%燃費(燃料経済性)を向上させることができる。これは、図6(a)に示すように、作動油の温度TATFが下がるにつれて作動油の摩擦係数μが増加するとともに、図6(b)に示すように、設定されるライン圧Pが低いほどエンジン1の回転数Ne(rpm)に対する変速ギア機構3全体のフリクショントルクが低くなるからである。したがって、本発明の自動変速機のライン圧制御装置によれば、作動油の温度TATFが低温のときに図5に示すように低ライン圧領域を拡大させることにより、拡大された領域における車両の走行状態においては変速ギア機構3全体のフリクショントルクを低減させることができる。そのため、車両の燃料経済性を向上させることができる。
次に、本発明の第1実施形態における自動変速機のライン圧制御装置の動作を説明する。図8は、本発明に係る自動変速機のライン圧制御装置を備える車両のAT制御処理を示すフローチャートである。なお、AT制御処理では、ステップS8の低ライン圧領域検索・変更処理が本発明の特徴部分であるため、その他の処理についてはサブルーチンのフローチャートを省略し、図1を用いて処理の概要を簡単に説明するものとする。また、図8のフローチャートは、例えば10msec毎に繰り返し実行されるものとする。
AT制御処理において、電子制御ユニット10は、まず、自動変速機を全体として制御するための各種パラメータ算出処理を実行する(ステップS1)。ここでは、電子制御ユニット10は、例えば、各種回転センサ11〜13、車速センサ14、シフトレバーポジションセンサ15、スロットルセンサ17、アクセルペダルセンサ21、ATF温度センサ18、冷却水温センサ19、油圧センサ20等により検出された検出信号を取得し、それらの検出信号を用いて必要な各種パラメータを算出する。
次いで、電子制御ユニット10は、算出されたパラメータに基づいてシフト制御処理を実行する(ステップS2)。ここでは、電子制御ユニット10は、例えば、シフトレバーポジションセンサ15により検出されたシフトレバーのポジションに基づいてシフトモードを設定する。
次いで、電子制御ユニット10は、トルクコンバータ2のロックアップクラッチの係合制御を実行する(ステップS3)。ここでは、電子制御ユニット10は、車両の走行状態に応じてトルクコンバータ2内のロックアップクラッチ(図示せず)の締結制御やすべり制御を行う。
次いで、電子制御ユニット10は、油圧制御装置6内の図示しないリニアソレノイドバルブ群に対してリニソレ制御処理を実行するとともに(ステップS4)、シフトソレノイドバルブ群(図示せず)に対して出力指令を出すソレノイド出力指令処理を実行する(ステップS5)。ここでは、電子制御ユニット10は、シフトソレノイド群およびリニアソレノイド群を制御することにより油圧制御装置6内の油路を切り替え、シフトアップまたはシフトダウン指令に応じて変速クラッチの係合を制御する。
次いで、電子制御ユニット10は、ライン圧、潤滑制御処理を実行する(ステップS7)。ここでは、油圧制御装置6は、電子制御ユニット10の指令に基づいて、オイルポンプ61から供給される基礎油圧をレギュレータバルブ62により調圧してライン圧Pを生成し、車両の走行状態に応じて電子制御ユニット10から出力される指令に基づいて、ソレノイドバルブ63をON/OFF制御することによりライン圧Pを高ライン圧と低ライン圧とで切り替える。また、油圧制御装置6は、必要に応じて潤滑油路側に設けられた制御弁(リリーフ弁や切替弁)を開閉制御することにより、各種軸受やクラッチなどへの潤滑油の供給量を調整する。
次いで、電子制御ユニット10は、後述する低ライン圧領域検索・変更処理(第2実施形態では、マップ切替処理)を実行する(ステップS8)。そして、電子制御ユニット10は、これら一連の油圧制御処理に並行して、各種制御に関係するセンサやバルブ等の故障の有無を検知する故障検知処理を実行し(ステップS6)、このAT制御処理を終了する。
図9は、図8のフローチャートのステップS8において実行される低ライン圧領域検索・変更処理を示すフローチャートである。AT制御処理においてステップS8に移行すると、電子制御ユニット10は、この低ライン圧領域検索・変更処理のサブルーチンを実行する。
まず、領域変更部102は、ATF温度センサ18により検出された作動油の温度(油温)TATFを取得する(ステップS101)。そして、領域変更部102の判定部103は、この油温TATFが50℃以下であるか否か(ステップS102)、50℃より大きく80℃以下であるか否か(ステップS103)、80℃より大きく100℃以下であるか否か(ステップS104)を順次判定する。領域変更手段102は、その判定結果に基づいて、それぞれ領域1〜4を特定する(ステップS105〜S108)。なお、本実施形態では、例えば、領域1が上述の50℃におけるマップ化データのクラッチ容量OK領域全体(図5(a)参照)に対応し、領域2が上述の80℃におけるマップ化データのクラッチ容量OK領域全体(図5(b)参照)に対応し、領域3が上述の100℃におけるマップ化データのクラッチ容量OK領域全体(図4参照)に対応する。領域4は、図示を省略しているが、100℃におけるマップ化データのクラッチ容量OK領域(図4参照)よりもさらに縮小されたクラッチ容量OK領域を有するものであればよい。
次いで、領域変更部102は、電子制御ユニット10で現在指定されており、記憶部101に格納されているマップ化データの領域を読み出す(ステップS109)。そして、判定部103は、ステップS105〜S108において新たに特定された領域と現在指定されている領域とを比較し、新たに特定された領域が現在指定されている領域よりも大きいか否かを判定する(ステップS110)。
新たに特定された領域が現在指定されている領域よりも大きいと判定された場合には(ステップS110において「Yes」)、作動油の温度TATFが低温側に遷移したことを意味し、状態判断部104は、スロットル開度THが全閉になっているか、あるいはライン圧Pが現在低ライン圧であるかをそれぞれ判断する(ステップS112)。
そして、スロットル開度THが全閉になっているか、あるいは現在低ライン圧であると状態判断部104が判断した場合には、エンジン1のトルク容量とクラッチのトルク容量の差に起因するクラッチ(摩擦係合要素)のすべりの問題がない。そのため、領域変更部102は、新たに特定された低ライン圧領域の拡大方向への変更を許可し、低ライン圧領域をその特定領域に変更する(ステップS111)。すなわち、電子制御ユニット10は、新たに特定された領域を記憶部101に格納(保存)して、この低ライン圧領域検索・変更処理を終了する。また、ステップS112において、スロットル開度THが全閉になっていないとともに、現在高ライン圧であると状態判断部104が判断した場合には、領域変更部102は、当該変更を禁止し、現在指定されている領域を維持して(ステップS113)、電子制御ユニット10はこの低ライン圧領域検索・変更処理を終了する。
一方、新たに特定された領域が現在指定されている領域よりも小さいと判定された場合には(ステップS110において「No」)、作動油の温度TATFが高温側に遷移したことを意味する。このとき、低ライン圧領域が縮小する方向の変更であり、ライン圧Pが低ライン圧から高ライン圧に変更される領域があるものの、クラッチおよびエンジン1のトルク容量の差からクラッチがすべるという問題は生じない。そのため、状態判断部104によるステップS112の判断をすることなく、領域変更部102は、新たに特定された低ライン圧領域の拡大方向への変更を許可し、低ライン圧領域をその特定領域に変更する(ステップS111)。すなわち、電子制御ユニット10は、新たに特定された領域を記憶部101に格納(保存)して、この低ライン圧領域検索・変更処理を終了する。
(第2実施形態)
本発明の第2の実施形態における自動変速機のライン圧制御装置について説明する。ここでは、第1実施形態および第2実施形態に係る自動変速機のライン圧制御装置で異なる部分を詳細に説明し、同様の部分についてはその説明を省略する。本実施形態では、電子制御ユニット10は、第1実施形態における図2に示す領域変更部102の代わりに、切替部102を備えている。この切替部102は、温度領域の高温側から低温側に遷移していると判定部103が判定した場合であって、スロットル開度が全閉であるか、あるいはライン圧Pが現在低ライン圧であると状態判断部104が判断したときには、現在指定されているマップ化データ(記憶部101に格納されたもの)からATF温度センサ18により検出された作動油の油温TATFに基づいて特定されたマップ化データへの切り替えを許可する。一方、それ以外のときには、切替部102は当該切り替えを禁止する。また、記憶部101には、図4および図5に示すような作動油の温度TATFに対応して複数のマップ化データが格納されている。
次に、本発明の第2実施形態における自動変速機のライン圧制御装置の動作を説明する。なお、図8のフローチャートに示す全体的な動作(AT制御処理)は概ね同様であるため、その説明を省略する。図10は、本発明の第2実施形態におけるマップ切替処理を示すフローチャートである。第1実施形態の場合と同様に、AT制御処理においてステップS8に移行すると、電子制御ユニット10は、第1実施形態の低ライン圧領域検索・変更処理に代えて、このマップ切替処理のサブルーチンを実行する。
まず、切替部102は、ATF温度センサ18により検出された作動油の温度(油温)TATFを取得する(ステップS201)。そして、切替部102の判定部103は、この油温TATFが50℃以下であるか否か(ステップS202)、50℃より高く80℃以下であるか否か(ステップS203)、80℃より高く100℃以下であるか否か(ステップS204)を順次判定する。切替部102は、その判定結果に基づいて、それぞれマップ1〜4を特定する(ステップS205〜S208)。なお、本実施形態では、例えば、マップ1が上述の50℃におけるマップ化データに対応し、マップ2が上述の80℃におけるマップ化データに対応し、マップ3が上述の100℃におけるマップ化データに対応する。マップ4は、第1実施形態と同様に図示を省略しているが、100℃におけるマップ化データのクラッチ容量OK領域よりも縮小されたクラッチ容量OK領域を有するマップであればよい。
次いで、切替部102は、電子制御ユニット10で現在指定されており、記憶部101に格納されているマップ化データに対応する油温TATFを読み出す(ステップS209)。そして、判定部103は、ステップS205〜S208において新たに特定されたマップ化データに対応する油温TATFが現在指定されているマップ化データに対応すると油温TATF以上であるか否かを判定する(ステップS210)。
油温TATFが油温TATF以上であると判定された場合には(ステップS210において「Yes」)、作動油の温度TATFが高温側に遷移したことを意味し、切替部102は、現在指定されているマップ化データからステップS205〜S208において特定されたマップ化データに切り替えて(ステップS211)、電子制御ユニット10はこのマップ切替処理を終了する。
一方、油温TATFが油温TATFよりも低いと判定された場合には(ステップS210において「No」)、作動油の温度TATFが低温側に遷移したことを意味し、状態判断部104は、スロットル開度THが全閉になっているか、あるいはライン圧Pが現在低ライン圧であるかをそれぞれ判断する(ステップS212)。スロットル開度THが全閉になっているか、あるいは現在低ライン圧であると状態判断部104が判断した場合には、切替部102は、現在指定されているマップ化データからステップS205〜S208において特定されたマップ化データに切り替える(ステップS211)。そして、電子制御ユニット10は、新たに特定されたマップ化データを記憶部101に格納(保存)して、このマップ切替処理を終了する。また、ステップS212において、スロットル開度THが全閉になっていないとともに、現在高ライン圧であると状態判断部104が判断した場合には、切替部102は、当該切り替えを禁止し、現在指定されているマップを維持して(ステップS213)、電子制御ユニット10はこのマップ切替処理を終了する。
以上説明したように、本発明の第1実施形態における自動変速機のライン圧制御装置によれば、電子制御ユニット10の切替部102が、ATF温度センサ18により検出された作動油の温度TATFに基づいて、記憶部101に格納されているライン圧Pのマップ化データ(油圧制御特性)における低ライン圧領域を拡大するように変更することとした。したがって、作動油の温度TATFが低温のときに低ライン圧領域を拡大させることにより、拡大された領域の走行状態においては変速ギア機構3全体のフリクショントルクを低減させることができるので、車両の燃料経済性(燃費)を向上させることができる。
また、上記第1実施形態では、領域変更部102は、低ライン圧領域を拡大させる方向にマップ化データが遷移しているか否かを判定する判定部103と、車両のスロットル開度THが全閉になっているか、あるいはライン圧Pが現在低ライン圧であるかをそれぞれ判断する状態判断部104とを備え、低ライン圧領域が拡大方向に遷移していると判定部103が判定した場合であって、スロットル開度THが全閉であるか、あるいはライン圧Pが現在低ライン圧であると状態判断部104が判断したときには、領域変更部102は、低ライン圧領域の拡大方向への変更を許可し、それ以外のときには当該変更を禁止することとした。したがって、車両の燃料経済性(燃費)を向上させつつ、ライン圧Pを高ライン圧から低ライン圧へ切り替えるときにエンジン1のトルク容量とクラッチ(摩擦係合要素)のトルク容量との差に起因して発生し得るクラッチのすべりを効果的に防止することができる。
さらに、このような構成において、低ライン圧領域を縮小させる方向に遷移していると判定部103が判定した場合には、状態判断部104による判断を行うことなく、領域変更部102が当該変更を許可することとしたので、クラッチのすべりの心配がないときには電子制御ユニット10の処理負荷を軽減しつつマップ化データにおける低ライン圧領域を拡大するように変更することができる。
また、本発明の第2実施形態における自動変速機のライン圧制御装置によれば、電子制御ユニット10の切替部102が、ATF温度センサ18により検出された作動油の温度TATFに基づいて、記憶部101に格納されている複数のマップ化データを適宜切り替えることとした。したがって、作動油の温度TATFが低温のときに低ライン圧領域を拡大させたマップ化データに切り替えることにより、変速ギア機構3全体のフリクショントルクを低減させることができるので、車両の燃料経済性(燃費)を向上させることができる。
また、上記第2実施形態では、切替部102は、低ライン圧領域を拡大させる方向にマップ化データが遷移しているか否かを判定する判定部103と、車両のスロットル開度THが全閉になっているか、あるいはライン圧Pが現在低ライン圧であるかをそれぞれ判断する状態判断部104とを備え、低ライン圧領域が拡大方向に遷移していると判定部103が判定した場合であって、スロットル開度THが全閉であるか、あるいはライン圧Pが現在低ライン圧であると状態判断部104が判断したときには、切替部102は、マップ化データの切り替えを許可し、それ以外のときには当該切り替えを禁止することとした。したがって、車両の燃料経済性(燃費)を向上させつつ、マップ化データの切替時にライン圧Pが高ライン圧から低ライン圧に切り替わることによるエンジン1のトルク容量とクラッチのトルク容量の差に起因して発生し得るクラッチ(摩擦係合要素)のすべりを効果的に防止することができる。
以上、本発明の自動変速機のライン圧制御装置の実施形態を添付図面に基づいて詳細に説明したが、本発明は、これらの構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲、明細書および図面に記載された技術的思想の範囲内において種々の変形が可能である。なお、直接明細書および図面に記載のない形状・構造・機能を有するものであっても、本発明の作用・効果を奏する以上、本発明の技術的思想の範囲内である。すなわち、自動変速機のライン圧制御装置(電子制御ユニット10や油圧制御装置6を含む)を構成する各部は、同様の機能を発揮し得る任意の構成のものと置換することができる。また、任意の構成物が付加されていてもよい。
例えば、本発明では、油圧制御装置6の油圧回路は、図3に示す油圧回路に限定されるものではなく、ライン圧Pを高ライン圧と低ライン圧の2段階で切り替えることが可能なものであれば、どのような構成(バルブの種類、組み合わせとを含む)であってもよい。
なお、上述の実施形態では、ライン圧Pを高ライン圧と低ライン圧の2段階に切替可能な自動変速機のライン圧制御装置に本発明を適用した場合を説明したが、本発明は、このようなライン圧Pを2段階に切替可能なライン圧制御装置に限定されない。例えば、6.0kg/cm、7.5kg/cmおよび9.5kg/cmの3段階にライン圧Pを切り替えることができるライン圧制御装置に本発明を適用してもよい。この場合、2段階切替のライン圧制御装置と同様に、ATF温度センサ18により検出された作動油の温度TATFが低温側に遷移するとき、領域変更部(または切替部)102は、所定条件下(スロットル開度THが全閉あるいはライン圧Pが現在低ライン圧)で低ライン圧領域や中ライン圧領域を拡大させる方向にライン圧Pの油圧制御特性(マップ化データ)を変更し、あるいは切り替えればよい。
また、このような3段階に切替可能な場合には、判定部103は、中ライン圧領域を拡大させる方向に油圧制御特性が遷移しているか否かについて判定してもよい。この場合、領域変更部102は、この判定結果をも加味して、低ライン圧領域や中ライン圧領域の拡大方向への変更を許可するか否かを決定すればよい。

Claims (5)

  1. 複数の摩擦係合要素からいずれかを選択して係合することによって所定の変速段を設定する車両用の自動変速機において、油圧源からの油圧を調圧することにより、前記摩擦係合要素を作動制御させるための作動油の基圧となるライン圧を制御する自動変速機のライン制御装置であって、
    エンジン負荷に基づいて、高圧領域および低圧領域のいずれかに設定される前記ライン圧の油圧制御特性を格納する記憶部と、
    前記作動油の温度を検出する作動油温度センサと、
    前記作動油温度センサにより検出された前記作動油の温度に基づいて、前記記憶部に格納されている前記ライン圧の油圧制御特性における前記低圧領域を拡大するように変更する領域変更部と
    を備えることを特徴とする自動変速機のライン圧制御装置。
  2. 前記領域変更部は、
    前記低圧領域を拡大させる方向に前記油圧制御特性が遷移しているか否かを判定する判定部と、
    前記車両のスロットル開度が全閉になっているか、あるいは前記ライン圧が現在低圧であるかをそれぞれ判断する状態判断部と
    を備え、
    前記低圧領域が拡大方向に遷移していると前記判定部が判定した場合であって、前記スロットル開度が全閉であるか、あるいは前記ライン圧が現在低圧であると前記状態判断部が判断したときには、前記領域変更部は、前記低圧領域の拡大方向への変更を許可し、それ以外のときには当該変更を禁止することを特徴とする請求項1に記載の自動変速機のライン圧制御装置。
  3. 前記領域変更部は、前記低圧領域を縮小させる方向に遷移していると前記判定部が判定した場合には、前記状態判断部による判断を行うことなく、当該変更を許可することを特徴とする請求項2に記載の自動変速機のライン圧制御装置。
  4. 複数の摩擦係合要素からいずれかを選択して係合することによって所定の変速段を設定する車両用の自動変速機において、油圧源からの油圧を調圧することにより、前記摩擦係合要素を作動制御させるための作動油の基圧となるライン圧を制御する自動変速機のライン制御装置であって、
    エンジン負荷に基づいて、高圧領域および低圧領域のいずれかに設定される前記ライン圧の油圧制御特性を複数の温度領域に対応して複数格納する記憶部と、
    前記作動油の温度を検出する作動油温度センサと、
    前記作動油温度センサにより検出された前記作動油の温度に基づいて、前記記憶部に格納されている前記ライン圧の複数の油圧制御特性を切り替える切替部と
    を備えることを特徴とする自動変速機のライン圧制御装置。
  5. 前記切替部は、
    前記作動油の温度が前記複数の温度領域の高温側から低温側に遷移しているか否かを判定する判定部と、
    前記車両のスロットル開度が全閉になっているか、あるいは前記ライン圧が現在低圧であるかをそれぞれ判断する状態判断部と
    を備え、
    前記作動油の温度が前記温度領域の高温側から低温側に遷移していると前記判定部が判定した場合であって、前記スロットル開度が全閉であるか、あるいは前記ライン圧が現在低圧であると前記状態判断部が判断したときには、前記切替部は、前記油圧制御特性の切り替えを許可し、それ以外のときには当該切り替えを禁止することを特徴とする請求項4に記載の自動変速機のライン圧制御装置。
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