JPWO2009107808A1 - 基板型光導波路素子、波長分散補償素子およびその設計方法、光フィルタおよびその設計方法、ならびに光共振器およびその設計方法 - Google Patents
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Abstract
Description
本願は、2008年2月29日に、日本に出願された特願2008−049840号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
特許文献1には、導波路中にブラッググレーティングパターンを有する分散補償素子が記載されている。特許文献1の分散補償素子は、複数個の波長チャンネルに対する波長分散を補償するよう、周期が空間的に変化したブラッググレーティングの要素を複数個有し、導波路の光軸に沿った方向での複数個の要素からなるブラッググレーティングの屈折率分布n(z)は次式のような正弦波的な変化(zは光伝搬軸上の点の位置)を示す。
特許文献1の技術においては、デバイス構造例として光ファイバを用いたブラッググレーティングを形成する場合のみが記載されている。すなわちこの技術は、光ファイバブラッググレーティングを主な対象としている。光ファイバの断面は円形であり、その光学特性は伝搬する光の偏光方向には依存しない。そのため、偏光依存性を低減するための光導波路設計に関する技術の提供は一切ない。偏光依存性を考慮した設計では、基板面に平行な偏光と垂直な偏光おのおのに対し実効屈折率を独立に定義して、両実効屈折率が一致するように導波路構造を最適化することが必要になる。しかし、この文献では前式のように偏光にかかわりなく単一の実効屈折率n(z)が定義されている。したがって、この文献の技術を、基板上の偏光依存性を低減した高屈折率光導波路からなる波長分散補償素子の設計に応用することは不可能である。
特許文献2には、特許文献1と同様に偏光依存性を考慮した設計に関する記載がない。したがって、この文献の技術を、基板上の偏光依存性を低減した高屈折率光導波路からなる波長分散補償素子の設計に応用することは不可能である。
この文献では、主としてグレーティングの位相サンプリングに基づき、グレーティング導波路を設計するという方針が採用されている。これは、この文献が光ファイバのように屈折率が1.4〜1.5の範囲にある低屈折率光導波路を対象としていて、光導波路の実効屈折率を変化できる範囲が狭いという制約のためである。特許文献2には、その技術が基板上の導波路にも適用できると記載されているが、あくまで同様の低屈折率光導波路に適するだけである。したがって、特許文献2の技術は、反射型の光導波路において実効屈折率を大幅に変化させることにより、反射率を低減することなくグレーティング長を出来る限り短縮して小型化するという目的には適さない。
さらに、特許文献2には、位相サンプリングパターンは、グレーティング構造を作製するときボイドによる性能劣化を回避するのに有効であるという趣旨の記載がある。これは、この文献が光ファイバグレーティングの作製を念頭として、紫外線照射で光ファイバにグレーティングパターンを焼き付けるという製造方法を対象としているからである。基板上の高屈折率光導波路を対象とするのであれば、ボイドによる性能劣化という制約はないはずである。
特許文献3には、偏光依存性を低減する技術の記載はない。この文献の光導波路単体では、分散スロープを補償することのみが可能であり、波長分散を補償することはできない。波長分散を補償するためには別の光素子を当該光導波路に接続した構成とする必要があるため、この文献の技術で小型化を達成することは不可能である。
特許文献4には、偏光依存性を低減する技術の記載はない。この文献の波長分散補償素子では位相特性が原点に関して反対称になることから、隣接するスペクトル領域での波長分散が反転してしまう。よって、この波長分散補償素子は、ある限定されたスペクトル領域、すなわち特定のスペクトル領域チャンネルのみを対象とした波長分散補償には用いることができるが、波長多重光ファイバ通信への応用を目的として複数のチャンネルの波長分散を補償する用途には利用できない。
特許文献5の技術は、波長の広い帯域での波長分散補償が可能であるが、多チャンネル化には対応していない。そのため、その波長分散値は大きくない。よって、波長多重光ファイバ通信への応用を目的として、長距離(例えば40km)の光ファイバ伝送路の波長分散を補償する用途には利用できない。
特許文献6の技術は、振幅サンプリングされたグレーティングであり、振幅ゼロすなわち周期構造が存在しない領域がある。その結果、複数のグレーティングが間隔をあけて直列に配置した構造と見える。また、超周期構造グレーティングは位相シフト型であると記述されている。よって、超周期構造グレーティングとは位相サンプリングされたグレーティングである。サイドローブを抑圧し光フィルタとしての消光比を上げるため、サンプリングパターンにアポダイゼーションの効果を取り入れている。グレーティング導波路は、InP・InGaAs・InGaAsPなどInP系膜を基板上に積層した構成を有する。この構成により、単一の波長帯、複数の周期的波長帯で光を反射する波長フィルタを構成する。電流注入によりキャリア密度を変化させて屈折率を制御し、フィルタの波長を可変する。
また、コア層の下まで垂直にエッチングしたハイメサ導波路構造とすることにより、偏波依存性を解消している。ハイメサ導波路構造として境界面を空気とにより形成し、更に導波路幅を適当に選択することで、基板に水平方向と垂直方向とで等価屈折率を等しくすることができる。この結果、偏波依存性を解消することができる。なお、この実施例ではグレーティングパターンは水平面に形成したものとなる。
特許文献7の技術において、超周期グレーティングとは、周期が徐々に変化する(チャープする)ブラッググレーティング導波路を複数個直列接続したものである。波長多重光通信に用いるには、複数波長チャンネル間で波長を変化させる必要がある。この場合、チャンネル数分だけグレーティング導波路を接続する必要があり、チャンネル数に比例して超周期グレーティングの長さが増大するという問題があり、小型化に対応できない。導波路長の増大と同時に、光損失が増すという問題も生ずる。また、特許文献7の技術では、超周期グレーティングに代わりサンプルドグレーティングでもよい、としている。しかし、サンプルドグレーティングでは、各ブラッググレーティング領域の間に、グレーティングの振幅が連続してゼロとなる領域が存在するため、ブラッググレーティングの反射効率を増すには、ゼロとなる領域の分だけ導波路長を長くする必要があり、小型化は困難である。
また、特許文献7の技術では、矩形断面の導波路を用いて超周期グレーティングを構成しているが、偏光依存性を低減するための設計および構造に関する記載がない。よって、偏光依存性の解消することはできない。
また、特許文献7の技術では、光通信用半導体レーザに典型的に用いられるInP系化合物用いた高屈折率光導波路を用いている。この場合、製造プロセスにおいて生ずる導波路側壁の荒れの影響を受けてしまう。
非特許文献1の技術は、特許文献2と同様の問題がある。
平板基板上に形成されたブラッググレーティング光導波路であるが、光導波路コアの上部のクラッド領域にのみグレーティングパターンが形成されている。よって、基板面に対して平行もしくは垂直な方向に直線偏光した光に対して、それぞれ光導波路の実効屈折率は異なる。このため、波長分散の性能は偏光状態により大きく異なってしまう。この文献での実験は、Ti:サファイアレーザを光源として実施されている。Ti:サファイアレーザは通常直線偏光した光を出射する。この文献には偏光状態に関する記載がなく、偏光の相違による実効屈折率の差をどのようにして解消するのか考慮されていない。したがって、この文献の技術を、基板上の偏光依存性を低減した高屈折率光導波路からなる波長分散補償素子の設計に応用することは不可能である。
すなわち、
(1)本発明の一態様の基板型光導波路素子は、光導波路のコアと;このコアに設けられる第1および第2のブラッググレーティングパターンと;を備え、前記第1および第2のブラッググレーティングパターンは、光の導波方向に沿って並列している。
(2)前記第1のブラッググレーティングパターンは、前記光の導波方向に沿って前記光導波路のコアの両側壁に形成される凹凸であり;前記第2のブラッググレーティングパターンは、前記コアの幅方向中央かつ前記光の導波方向に対して垂直かつ前記幅方向に対して垂直な垂直方向において上部に形成された突起および/または溝である;ことが好ましい。
(4)前記第1および第2のブラッググレーティングパターンの前記凹凸の周期が互いに一致していることが好ましい。
(5)前記光の導波方向に沿って見た場合、前記第1のブラッググレーティングパターンにおけるコア幅の広い部分と前記第2のブラッググレーティングパターンにおける溝幅の狭い部分とが対応し、かつ前記第1のブラッググレーティングパターンのコア幅の狭い部分と前記第2のブラッググレーティングパターンの溝幅の広い部分とが対応していることが好ましい。
(7)前記第1および第2のブラッググレーティングパターンの局所周期は、3通り以上の離散値をとり;各離散値をとる局所周期が光導波路全長にわたってそれぞれ複数箇所に存在し;すべての離散値のうちで最も分布頻度の高い値をM、このMよりも大きい値のうちで前記Mに最も近い値をA、前記Mよりも小さい値のうちで前記Mに最も近い値をBとするとき、A−Mで表される差が、M−Bで表される差に等しい;ことが好ましい。
(9)前記内側コアは、その幅方向の中央に、光の導波方向に沿って前記内側コアよりも屈折率が低い材料からなるギャップ部と、前記ギャップ部により分離された2つの領域を備え、単一のモードが前記2つの領域にまたがって伝搬されるシングルモード光導波路を構成していることが好ましい。
(12)前記ブラッググレーティングパターン設計工程において、座標軸の離散化の分解能を反射帯の幅の半値に対応するピッチ変化分以上に、言い換えると、チャープトブラッググレーティングにおけるピッチの中心値からの変化分の最大値以上に取る粗視化工程を有することにより、ブラッググレーティングの振幅の包絡線の勾配の符号が反転する孤立した単一の座標点を複数個含む光導波路が構成されることが好ましい。
(14)本発明の一態様の光フィルタの設計方法は、上述の光フィルタの設計方法であって、前記第1および第2のブラッググレーティングパターンとなる二つの領域の前記光の導波方向と直交する断面における寸法を変化させて、前記光導波路に導波される互いに独立な二つの偏光に対する光導波路の実効屈折率を等化して、この実効屈折率を両偏光に対する共通の実効屈折率として求めることによって、前記二つの領域の寸法と前記共通の実効屈折率との関係を求める光導波路断面構造設計工程と;パラメータとして反射率および位相を指定して所定の複素反射率スペクトルを算出した後、前記複素反射率スペクトルと所望の光導波路の長さとから、前記光導波路の前記光の導波方向に沿う実効屈折率の形状分布を得るブラッググレーティングパターン設計工程と;前記光導波路断面構造設計工程で求めた前記二つの領域の寸法と前記共通の実効屈折率との関係に基づいて、前記ブラッググレーティングパターン設計工程で得た前記実効屈折率の形状分布を、前記二つの領域の寸法の形状分布に変換することにより、前記二つの領域の寸法の変化からなる前記第1および第2のブラッググレーティングパターンを得る光フィルタ設計工程と;を有する。
(15)前記ブラッググレーティングパターン設計工程において、座標軸の離散化の分解能を反射帯の幅の半値に対応するピッチ変化分以上に、言い換えると、チャープトブラッググレーティングにおけるピッチの中心値からの変化分の最大値以上に取る粗視化工程を有することにより、ブラッググレーティングの振幅の包絡線の勾配の符号が反転する孤立した単一の座標点を複数個含む光導波路が構成されることが好ましい。
(17)本発明の一態様の光共振器の設計方法は、上述の光共振器の設計方法であって、前記第1および第2のブラッググレーティングパターンとなる二つの領域の前記光の導波方向と直交する断面における寸法を変化させて、前記光導波路に導波される互いに独立な二つの偏光に対する光導波路の実効屈折率を等化して、この実効屈折率を両偏光に対する共通の実効屈折率として求めることによって、前記二つの領域の寸法と前記共通の実効屈折率との関係を求める光導波路断面構造設計工程と;パラメータとして反射率および位相を指定して所定の複素反射率スペクトルを算出した後、前記複素反射率スペクトルと所望の光導波路の長さとから、前記光導波路の前記光の導波方向に沿う実効屈折率の形状分布を得るブラッググレーティングパターン設計工程と;前記光導波路断面構造設計工程で求めた前記二つの領域の寸法と前記共通の実効屈折率との関係に基づいて、前記ブラッググレーティングパターン設計工程で得た前記実効屈折率の形状分布を、前記二つの領域の寸法の形状分布に変換することにより、前記二つの領域の寸法の変化からなる前記第1および第2のブラッググレーティングパターンを得る反射ミラー設計工程と;を有する。
(18)前記ブラッググレーティングパターン設計工程において、座標軸の離散化の分解能を反射帯の幅の半値に対応するピッチ変化分以上に、言い換えると、チャープトブラッググレーティングにおけるピッチの中心値からの変化分の最大値以上に取る粗視化工程を有することにより、ブラッググレーティングの振幅の包絡線の勾配の符号が反転する孤立した単一の座標点を複数個含む光導波路が構成されることが好ましい。
上記(2)に記載の発明によれば、任意の実効屈折率を実現可能な構造とすることができ、所望の精度でブラッググレーティングパターンを形成することができる。
上記(3)に記載の発明によれば、コア上部のブラッググレーティングパターンをさらに容易に実現することができる。
上記(4)および上記(5)に記載の発明によれば、光の導波方向の各位置において厳密に実効屈折率を一致されることができるので、二通りのブラッググレーティングパターンを有する基板型光導波路素子をより精密に実現できる。
上記(6)に記載の発明によれば、サンプルドグレーティングよりも導波路長を短縮することができる。
上記(7)に記載の発明によれば、徐々にピッチが変化する従来のチャープ型グレーティングと比較して、製造プロセスにおける公差管理が容易になり、製造歩留まりの向上に寄与する。
上記(8)に記載の発明によれば、高屈折率材料からなるコアとクラッドの2種類のみからなる従来の高比屈折率差埋め込み型光導波路と比較して、高屈折率材料からなる内側コアへの光の閉じ込めが弱くなるため、製造プロセスにおいて生じる不可避の内側コア側壁の荒れが光学特性に与える影響(散乱損失)を抑制することができる。
上記(9)に記載の発明によれば、基本モードのモードフィールド径が広がるため、製造プロセスにおいて生じる不可避の内側コア側壁の荒れが光学特性に与える影響(散乱損失)を抑制することができる。
上記(11)に記載の発明によれば、二通りのブラッググレーティングパターンを有する波長分散補償素子の設計を容易に実現することが可能になる。
上記(12)に記載の発明によれば、さらに小型化した波長分散補償素子を設計することが可能になる。
上記(13)に記載の発明によれば、光フィルタの偏光依存性を低減することができる。
上記(14)に記載の発明によれば、二通りのブラッググレーティングパターンを有する光フィルタの設計を容易に実現することが可能になる。
上記(15)に記載の発明によれば、さらに小型化した光フィルタを設計することが可能になる。
上記(16)に記載の発明によれば、光共振器の偏光依存性を低減することができる。
上記(17)に記載の発明によれば、二通りのブラッググレーティングパターンを有する光共振器の設計を容易に実現することが可能になる。
上記(18)に記載の発明によれば、さらに小型化した光共振器を設計することが可能になる。
12,42…側壁
12a,42a…凹部(コア幅の狭い部分)
12b,42b…凸部(コア幅の広い部分)
13,43…溝
13a,43a…凹部(溝幅の広い部分)
13b,43b…凸部(溝幅の狭い部分)
15…突起、15a…凹部(突起幅の狭い部分)
15b…凸部(突起幅の広い部分)
20,30…基板型光導波路素子
21,31…内側コアの第1のリブ
22,32…内側コアの第2のリブ
23…中央ギャップ
24,34…外側コア
25,35…基板
26,36…下部クラッド
27,37…上部クラッド
40…波長分散補償素子(チャープ型)
101…波長分散補償素子
102…光サーキュレータ
200…光共振器
201…第1の光導波路(反射ミラー)
202…第2の光導波路(反射ミラー)
203…第3の光導波路。
<基板型光導波路素子の第1形態例>
図1A〜1Cに、本発明の基板型光導波路素子の第1形態例を模式的に示す。光導波路において光の伝搬方向に導波路の幅または厚みを周期的に変化させると、光導波路の実効屈折率が周期的に変化し、ブラッググレーティングを構成することができる。図1A〜1Cではコア10のみを図示し、クラッドの図示を省略したが、実際はクラッドがコア10の周囲を囲んでいる。また、クラッドの下には基板(図示せず)が存在し、コア10の底面14は基板面に平行である。水平方向とは基板面に平行な方向をいい、垂直方向とは基板面に垂直な方向をいう。
また、二通りのブラッググレーティングパターンが、光の導波方向に沿って並列した領域に形成されている。すなわちそれぞれのブラッググレーティングパターンが中心軸Cに沿って存在する範囲は、同一である。
これにより、第1のブラッググレーティングパターンと第2のブラッググレーティングパターンとの組み合わせによって、TE型偏光への作用とTM型偏光への作用を等化し、偏光依存性を低減することができる。
まず、基板上に下部クラッドとなる材料を一面に成膜する。次にコアを構成する材料を下部クラッド上に成膜し、ブラッググレーティングの形状に加工する。その後、上部クラッドとなる材料を、下部クラッドおよびコアの上に成膜し、コアが断面の周囲を下部クラッドおよび上部クラッドで取り囲まれるようにする。
図1A〜1Cおよび図3A〜3Cに示す溝13および突起15は、光の導波方向につながったものであるが、局所周期ごとに凹部および/または凸部を形成することによっても、コアの高さ方向に周期的変化を与えることができる。コア10の上面11に形成された溝13および突起15は、コア10の幅方向中央の一部に形成されたものであるが、コア10の厚み自体を変化させても構わない。
コア下部および上部に位置するクラッドの厚みは、ともに2μmである。tinは0.1μm、toutは1.4μmである。mode1がTE型偏光、mode2がTM型偏光を表す。図4Bのようにwinとwoutとの関係を与えると、図4Aのように導波路の実効屈折率の偏波依存性を低減できる。TE偏光での実効屈折率を導波路の実効屈折率とみなして、実効屈折率とwinおよびwoutとの対応を計算しプロットすると、図5に示す関係となる。
偏光依存性を低減したブラッググレーティング光導波路の構造として、図6のような断面構造を有する光導波路が挙げられる。偏光依存性を低減する原理の簡単な説明のために、図1A〜1Cおよび図3A〜3Cの基板型光導波路素子ではコア10の断面構造は一様とした。しかし、光導波路の寸法を変えて実効屈折率を変化させる場合、実効屈折率の精度を上げるためには、図6に示すような複合コア構造を有する光導波路が好ましい。
図6の断面構造を有する基板型光導波路素子20のコアは、内側コア21,22と外側コア24の2領域からなる複合コアである。
t1、t2、w1、w2の例としては、t1=250nm、t2=50nm、w1=280nm、w2=160nmが挙げられるが、特にこれに限定されない。
なお、第1のリブ21および第2のリブ22に極性(P型またはN型)が反対の導電性を付与すること、および電圧を印加する電極パッドを設けることは本形態例において必須の構成ではなく、内側コア21,22に外部電圧を印加しないで利用することも可能である。
tout、tinの例としては、tout=600nm、tin=100nmが挙げられるが、特にこれに限定されない。win、woutは周期的に変化する。
なお、図6に示す例では、上面24aのブラッググレーティングパターンは溝24cから構成されているが、上述したように、突起15(図3A〜3C参照)を採用しても良い。
なお、以下に示す具体例は、次の<波長分散補償素子の実施例1>におけるステップ[1]に対応する。
図7Bのようにwinとwoutとの関係を与えると、図7Aのように導波路の実効屈折率の偏波依存性を低減できる。TE偏光での実効屈折率を導波路の実効屈折率とみなして、実効屈折率とwinおよびwoutとの対応を計算しプロットすると、図8に示す関係となる。
次に、光導波路素子の第2形態例で示した導波路に基づき、偏光依存性を低減したブラッググレーティング光導波路を用いた波長分散補償素子の設計において、本発明で新たに提案する手順を説明する。この手順による設計の流れの概要を箇条書きで記載すると、以下のステップになる。
[2]所望の波長分散特性および反射特性を指定し、光導波路の構造決定に必要なデータを準備する。
[3]光導波路長を与えておき、逆散乱問題解法により上記[2]の波長分散特性および反射特性から、光導波路の中心軸Cに沿う方向での実効屈折率の形状分布(プロファイル)を導出する。
[4]上記[1]で得た実効屈折率と光導波路寸法との対応関係に基づき、[3]で得た実効屈折率の形状分布からブラッググレーティング光導波路の形状(光導波路の中心軸Cに沿う方向での光導波路寸法のプロファイル)を決定する。
なお、ステップ[1]は、ステップ[4]の前に完了していれば良いから、各ステップを[1]→[2]→[3]→[4]の順序で行なっても、[2]→[3]→[1]→[4]の順序で行なっても、[2]→[1]→[3]→[4]の順序で行なっても、[1]と[2]および[3]をそれぞれ並行して行っても、構わないのは勿論である。
すなわち、本設計方法は、ステップ[1]からなる光導波路断面構造設計工程(a)と、ステップ[2]および[3]からなるブラッググレーティングパターン設計工程(b)と、ステップ[4]からなる波長分散補償素子設計工程(c)を有するものであって、工程(a)と工程(b)の順序は限定されない。
なお、本発明の設計方法が、図1A〜1Cおよび図3A〜3Cのように一様コアを有する光導波路構造に対しても適用可能であるのは言うまでもない。
本実施例の場合、「断面構造を決めるための光導波路寸法」とは、側壁24bに形成した凹凸による第1のブラッググレーティングパターンに対してはwout、上面24aの溝24cに形成した第2のブラッググレーティングパターンに対してはwinを指す。そこで、woutおよびwinを指定して固有モードの電界分布をフィルムモードマッチング法(FMM法)、有限要素法もしくはビーム伝搬法により計算し、固有モードに対応する実効屈折率を求める。その結果、woutおよびwinと実効屈折率の対応関係が得られる。
なお、ここではmode1の実効屈折率を以下の設計手順で用いることとしたが、neff TEとneff TMとの差が誤差未満であるから、代わりに、mode2の実効屈折率を光導波路の実効屈折率neffとしたり、mode1・2両モードの実効屈折率の平均を光導波路の実効屈折率neffとしたりしても構わない。
波長分散補償素子に求められる波長分散特性は、対象とする光ファイバ伝送路の波長分散を打ち消すべく、光ファイバ伝送路の波長分散とは符号が逆で、絶対値は等しいものである。本実施例では、伝送する光信号の波長帯域はLバンド領域(1566.31〜1612.65nm)にあり、光伝送路が長さ40kmの分散シフトファイバ(G653)により構成されているとして、波長分散補償素子に課すべき波長分散を規定することにする。また、対象とする光伝送路では、周波数間隔100GHz(波長間隔に換算すると約0.84nm)のLバンドITUグリッド50チャンネル分の光信号が伝送されるものとする。伝送する光信号のビットレートは40Gbit/s、各チャンネルの使用帯域は80GHzとし、使用帯域外では遅延時間は一定値と規定する。
本発明では、ブラッググレーティングの振幅が変化して位相は振幅に従属して変化するという振幅変調型のブラッググレーティングを用いた設計を、後述する粗視化という処理を用いて行なう。粗視化を容易にするため、設計の入力データとして用いる複素反射率スペクトルにおいては、周波数の原点すなわち0Hzから所定の群遅延時間特性が求められる周波数領域をすべて含める。
このステップでは、ステップ[2]で得た所定の複素反射率スペクトルから、ブラッググレーティング光導波路の中心軸Cに沿う方向での実効屈折率プロファイルを導出する。以下、その導出過程について説明する。
式10および式15のポテンシャルq(z)は実数とする。その結果、複素反射率スペクトルR(k)からインパルス応答(言い換えると「時間応答」)を与えるr(z)へと変換するための演算は実数型となり、振幅が変化して位相が振幅に従属して変化する。
振幅変調の例を示すため、図10の実効屈折率分布の一部を拡大して、ブラッググレーティング振幅の包絡線(点線)とともに図12に示す。包絡線は振幅の極大値に対してのみ表示してある。振幅の極小値に対する包絡線に対しても、極大値に対する包絡線と同一の点で符号が反転するため、極大値に対する包絡線を考慮するだけで十分である。矢印が包絡線の勾配の符号が反転する導波路の座標点を示す。符号の反転は孤立した単一の座標点で生じるという階段的な急峻性あるいは不連続性を示す。
これに対し、サンプルドブラッググレーティングでは、符号の反転が生ずる場合、それは二点を介して発生し、階段的な急峻性あるいは不連続性は現れない。さらに、その二点間では振幅が連続的にゼロになる導波路領域が存在する。本実施例の振幅変調型グレーティングでは、包絡線の勾配の符号が反転する孤立した座標点で包絡線振幅はゼロとならず、振幅が連続的にゼロとなる領域は存在しない。よって、サンプルドブラッグレーティングよりも導波路長を短縮することができる。
包絡線の勾配の符号が反転する孤立した座標点は導波路上で複数個存在する。おのおのの座標点では、付随的に位相の不連続変化をともなう。位相が不連続変化すると局所周期(ピッチ)が変化するため、ピッチが当該座標点で中心波長(1590.83nm)をnavで除した値の半分とは異なる値をとる。包絡線の勾配の符号が反転する座標点を特定する精度は、横軸にとっている導波路の座標zの離散化刻みによる。その刻みをΔPとすると、座標点を特定する精度は±ΔPの範囲にある。このように、本発明の振幅変調型ブラッググレーティングには、ブラッググレーティングの振幅の包絡線の勾配の符号が反転し、その結果、ピッチが離散的に変化する座標点が存在する。
本発明では、他の実施例すべてを含めて、座標zの離散化の分解能は座標zの離散化の刻みΔPを意味する。
ピッチの離散的変化は、チャープトブラッググレーティングには見られない特徴である。チャープトブラッググレーティングでは、ピッチは光導波方向に沿って連続的に変化する。チャープトブラッググレーティングでは、ブラッググレーティングの振幅も同時に変化するが、振幅の変化はアポダイズのような副次的特性の実現に利用されるにとどまり、フィルタの反射スペクトルのチャンネル数・位相特性などの主要な特性はブラッググレーティングの周波数を光の導波方向に沿って変化させることによって達成される。本ステップでは、チャープトブラッググレーティングを構成することはできない。チャープトブラッググレーティングを構成するには、複素反射率スペクトルR(ν)から時間応答(インパルス応答)への変換を複素数型へと切り替える必要がある。その結果、式15により得られるq(z)は複素数となる。q(z)が複素数であると、q(z)からneff(z)を求めるにあたり、neff(z)は実数であるため、q(z)の実部のみをとることが必要である。よって、振幅変調型ブラッググレーティングとチャープトブラッググレーティングとは設計方法を異にし、互いに異なる範疇に分類される。振幅変調型に相対することから、チャープトブラッググレーティングは、いわば、周波数変調型に分類される。
このとき、次の二つの条件を満足させることが好ましい。(I)指定するスペクトル特性の周波数範囲を原点(周波数ゼロ)から該当するスペクトルチャンネルの存在する領域まですべてを含める。(II)上述の複素反射率スペクトルからインパルス応答への変換において実数型を選択する。
ここで、(I)は粗視化を容易にするため、(II)はチャープトブラッググレーティングが対象でないので、処理が複雑になる複素数型を選択する必要がないためである。
ステップ[1]で用意した光導波路寸法と実効屈折率との対応関係に基づき、ステップ[3]で求めた実効屈折率プロファイルを、光導波路寸法の分布データ(プロファイル)へと変換する。実効屈折率を与えると、決めるべき寸法パラメータであるwoutおよびwinが求まる。よって、座標zの各点での実効屈折率とwoutおよびwinを対応づけることにより、光導波路寸法woutおよびwinの分布データが得られる。
(2)正弦波的形状のブラッググレーティングパターンがカバーするコア面積と一致するように矩形波的形状のラインの振幅を調整する。
本実施例に記載したブラッググレーティング光導波路は、他の波長領域の波長分散補償にも利用できる。他の波長帯での波長分散補償素子の例として、他の実施例でCバンド領域を対象とした事例を提供する。
図16に、本形態例の基板型光導波路素子の断面構造を示す。図16に示した断面を有する基板型光導波路素子30のコアは、内側コア31,32と外側コア34の2領域からなる複合コアである。本形態例は、内側コア31,32が中央ギャップを有しない点が異なる以外は、図6に示す第2形態例と同様である。外側コア34、外側コア34の側壁34bに形成される第1のブラッググレーティングパターン、上面34aの溝34cに形成される第2のブラッググレーティングパターン、基板35、下部クラッド36、上部クラッド37の構成は、図6に示す第2形態例と同様である。
なお、第1のリブ31および第2のリブ32に極性(P型またはN型)が反対の導電性を付与すること、および電圧を印加する電極パッドを設けることは本形態例において必須の構成ではなく、内側コア31,32に外部電圧を印加しないで利用することも可能である。
また、第1のリブ31および第2のリブ32が添加物の有無も含めて同一の材料から構成されても良い。この場合は中央の接合部33が存在せず、2つのリブ31,32が一体化された層として内側コアを構成することができる。
本実施例は、波長分散補償素子に関する実施例2として、図16の複合コア(中央ギャップなし)を有する光導波路構造において、第1および第2のリブ31,32をSi、外側コア34をSixNy、基板35をSi、下部クラッド36をSiO2、上部クラッド37をSiO2で構成し、t1=250nm、t2=50nm、w1=100nm、w2=160nm、tout=600nm、tin=100nm、下部クラッド36の厚みを2000nm、上部クラッド37の最大厚みを2000nmとした場合で算出したものである。
次に、実施例3として、実施例1と同様に図6に記載の断面構造を有するブラッググレーティング光導波路を用いて、実施例1のステップ[2]から[4]にしたがい、Cバンド(1528.77〜1577.03nm)内で周波数間隔100GHzのITUグリッド40チャンネルの波長分散補償素子の設計例について記述する。
次に、実施例4として、実施例1と同様に図6に記載の断面構造を有するブラッググレーティング光導波路を用いて、実施例1のステップ[2]から[4]にしたがい、Lバンドの単一の波長チャンネルに対する波長分散補償素子の設計例について記述する。
図28は、本発明の波長分散補償素子の実施例5を模式的に示す上面図である。なお、始端および終端を省略し、光の導波方向に沿う中間の一部を抜粋して示してある。
本形態例の波長分散補償素子40は、光導波路のコア41の両側壁42に凹部42aと凸部42bからなる第1のブラッググレーティングパターンが設けられるとともに、コア41の上部(紙面の手前側)に溝43が設けられ、溝43の内側壁に凹部43aと凸部43bからなる第2のブラッググレーティングパターンが設けている点では、図1A〜1Cと同様である。
実施例1ないし5の波長分散補償素子では、ブラッググレーティング光導波路から出射した光信号は、入射した光信号の経路を逆方向に伝搬する。つまり、出射信号光が入射信号光と同一の経路上を伝搬するため、出射信号光を入射信号光から分離する手段が必要になる。本実施例では、図29に示すように、波長分散補償素子101に光サーキュレータ102を接続して、入射信号光を波長分散補償素子に入射するポートと、出射信号光を波長分散補償素子から取り出すポートを有する波長分散補償素子の構成について説明する。
上述の基板型光導波路素子の第1形態例にある基板型光導波路を用いて、10個の異なる波長チャンネルに反射帯を有する光フィルタを構成する。光フィルタの設計方法は、以下のステップ[1]〜[4]からなる。
[2]光フィルタとして所望の反射特性を指定し、光導波路の構造決定に必要なデータを得る。反射特性として指定するのは、各波長での反射率および位相である。周波数範囲には、原点(周波数ゼロ)から所望の反射特性を含む周波数領域すべてを含める。
[3]光導波路長を与えておき、逆散乱問題解法によりステップ[2]で得た複素電界反射率スペクトルから光導波路の導波方向に沿う実効屈折率の形状分布を導出する。本ステップには、複素電界反射スペクトルを時間応答に変換する計算過程が含まれるが、それは実数型の変換とする。
ステップ[2]および[3]は、ブラッググレーティングパターン設計工程となる。
[4]ステップ[1]で得た実効屈折率を光導波路コアの断面寸法との対応関係に基づき、ステップ[3]で得た実効屈折率の形状分布からブラッググレーティング光導波路の光導波方向に沿う形状を決定する。このステップは、光フィルタ設計工程となる。
なお、上述した波長分散補償素子の設計ステップにならい、ステップの順序を入れ替えることができる。
導波路の断面構造は図4Bの挿入図のとおりである。斜線部がコアで、その上下および側面をクラッドが取り囲む。コア下部および上部に位置するクラッドの厚みは、ともに2μmである。tinは0.1μmであり、toutは1.4μmである。図4Bのようにwinとwoutとの関係を与えると、図4Aのように導波路の実効屈折率の偏波依存性を低減できる。
TE偏光での実効屈折率を導波路の実効屈折率とみなして、実効屈折率とwinおよびwoutとの対応を計算しプロットすると、図5となる。
10個の異なる波長チャンネルに反射帯を有する光フィルタの光学特性を指定する。光通信では、波長の代わりに周波数を用いてスペクトル領域を区別する場合が多い。本実施例では、以下、周波数の関数として光フィルタのスペクトル特性を論ずる。各周波数での反射率および位相より複素電界反射率スペクトルR(ν)を計算する。直交座標系ではR(ν)は実数成分と虚数成分とから構成されるが、極座標系に座標変換して、複素電界反射率を電界反射率の絶対値と位相に分離した方が光フィルタの特性を取り扱う上で便利である。そこで、次の式Aのように極座標表示で複素電界反射率を表現する。
本実施例の光フィルタでは、各チャンネルの反射帯での波長分散はゼロと設定する。波長分散がゼロの場合、位相は周波数に対して線形な関数となる。以上より、本実施例の光フィルタに対して指定する光学特性を図示すると、図30のようになる。図30では、左の縦軸に電界反射率の絶対値|R(ν)|、右の縦軸に位相φ(ν)をとり、それぞれ実線および破線でプロットしてある。横軸は単位をTHzとした周波数νであり、192.6THzから193.6THzまで0.1THz間隔で10個のチャンネルに等分割して光学特性を指定している。中心周波数は193.1THzである。中心波長に換算すると、1552.52nmとなる。各チャンネルでの反射帯のスペクトル幅は0.01THzであり、その範囲内で位相が線形変化していることがわかる。
図30には、反射帯が存在するチャンネル付近の周波数帯のみを表示してある。所望の光学特性として逆散乱解法の対象とする光学特性では、原点(0THz)から反射チャンネルが存在する周波数帯すべてを含める。ただし、図30以外の周波数領域では、反射チャンネルは存在しないので電界反射率の値はゼロである。
逆散乱問題解法に基づき、光フィルタを構成する光導波路の導波方向での実効屈折率分布を導出する。その手順は、上述した波長分散補償素子の設計方向におけるステップ[3]で説明したとおりである。
その結果、上述の式15により得られるq(z)も実数となり、ブラッググレーティングの振幅が変化して位相は振幅に付随して変化する振幅変調型ブラッググレーティングの実効屈折率分布が得られる。本発明での振幅変調の定義は後で述べる。
符号の反転は孤立した単一の座標点で生じるという階段的な急峻性あるいは不連続性を示し、符号が反転する二点間で振幅が連続的にゼロになる導波路領域が介在するという、サンプルドブラッググレーティングが有する特性は現れない。本発明の振幅変調型グレーティングでは包絡線の勾配の符号が反転する孤立した座標点でのみ振幅ゼロとなるため、実質的に振幅がゼロとなる領域は存在しない。よって、サンプルドブラッグレーティングよりも導波路長を短縮することができる。
ステップ[1]で用意した光導波路寸法winおよびwoutと実効屈折率neffとの対応関係に基づき、ステップ[3]で得た実効屈折率分布neff(z)をwinおよびwoutの分布データ(プロファイル)に変換する。図4Aおよび4Bに示した対応関係より、実効屈折率を与えると決めるべき寸法パラメータであるwinおよびwoutが求められる。図32のように実効屈折率分布におけるブラッググレーティングパターンは正弦波的形状を有する。
光学マスクを用いた描画およびドライエッチングによるパターン転写プロセスでは、一定の幅の線(ライン)と幅とがピッチに応じて変化する空白(スペース)の組み合わせが繰り返し配列される矩形波的形状を採用すると、ドライエッチング後の形状の揺らぎが少ない。そこで、実効屈折率のプロファイルから光導波路寸法woutおよびwinのプロファイルデータを得た後、矩形波的形状のプロファイルに変換する。ただし、矩形波的形状への変換の際、次の2つの制限を課すことにする。
(2)正弦波的形状のブラッググレーティングパターンがカバーするコア面積と一致するよう矩形波形状のライン振幅を調節する。
本実施例の光フィルタの用途は、例えば、光増幅器を経た後、波長多重されたチャンネルの信号光のみを偏光によらず反射光として取り出し、信号光周辺の波長領域に存在する自然放出光ノイズを除去することに用いることができる。なお、チャンネル数、チャンネル間隔、反射帯のスペクトル幅は本実施例の数値に限定されるものではなく、用途に応じて最適の数値を指定し設計することができる。
本実施例は、電力反射率が約40%のビームスプリッタの設計例である。ビームスプリッタは、各チャンネルの信号光を二経路に分岐する用途に使用することができる。
このビームスプリッタの設計方法は、電力反射率のパラメータを変更するほかは、実施例1の光フィルタと同様に実施される。
本実施例は、単一の反射帯を有する光フィルタの設計例である。設計のステップは実施例1および2と同様である。反射帯の電力反射率は約90%とする。実効屈折率とwinおよびwoutとの対応関係は実施例1および2と同一である。指定する光学特性は図38に示される。反射帯のスペクトル幅は0.01THzである。
この光学特性を用いて逆散乱問題解法に基づき導出される実効屈折率分布を図39および図40に示す。実効屈折率を矩形波的形状のプロファイルに変換した結果を図41に示す。本実施例の光フィルタは、特定の単一チャンネルの信号光を反射光として取り出すことに用いることができる。
なお、反射帯のスペクトル幅は0.01THzに制限されることはない、任意の幅を指定して設計することができる。
本実施例は、0.1THz間隔の波長チャンネルに対するインターリーバの設計例である。本実施例においては、チャンネル間隔を0.2THzとして、各チャンネルの反射帯の幅を0.1THzとして光フィルタを設計する。指定する光学特性は図42に示される。この光学特性を用いて逆散乱問題解法に基づき導出される実効屈折率分布を図43および図44に示す。実効屈折率を矩形波的形状のプロファイルに変換した結果を図45に示す。
本実施例の光フィルタ(インターリーバ)は、0.1THz間隔の各チャンネルに対して、信号光を奇数番号・偶数番号チャンネルの二経路に分岐することができる。
本実施例は、上述した基板型光導波路素子の第2形態例にある基板型光導波路(図6参照)を用いて、光フィルタの実施例1に記載した光学特性(図30参照)を有する光フィルタを設計したものである。本実施例では、光導波路の実効屈折率とwinおよびwoutとの対応関係は、図7A、7Bおよび図8に示される。
本実施例の光導波路では、加工誤差による実効屈折率の精度劣化を低減することができるため、加工誤差による偏波依存性を低減することができ、波長多重されたチャンネルの信号光のみを偏光によらず反射光として取り出すことができる。さらに、内側コアに電圧を印加することにより、反射帯の波長を可変することができる。
なお、基板型光導波路素子の第2形態例(図6参照)は、実施例2〜4の光学特性を実現する光フィルタに適用することも可能である。
本実施例は、上述した基板型光導波路素子の第2形態例にある基板型光導波路(図6参照)を用いて、光フィルタの実施例4に記載した光学特性(図42参照)を有する光フィルタ(インターリーバ)を設計したものである。この光学特性を用いて逆散乱問題解法に基づき導出される実効屈折率分布を図49に示す。実効屈折率を矩形波的形状のプロファイルに変換した結果を図50に示す。
本実施例の光フィルタ(インターリーバ)は、電圧をかけて偶数番号と奇数番号の取り出し方向(透過・反射)を切り替え(方向逆転)可能にする。
本実施例は、上述した基板型光導波路素子の第3形態例にある基板型光導波路(図16参照)を用いて、光フィルタの実施例1に記載した光学特性(図30参照)を有する光フィルタを設計したものである。本実施例では、光導波路の実効屈折率とwinおよびwoutとの対応関係は、図17に示される。
ステップ[3]においてnav=2.22252とするほかは光フィルタの実施例1と同様にして、実効屈折率分布を導出する。この光学特性を用いて逆散乱問題解法に基づき導出される実効屈折率分布を図51に示す。実効屈折率を矩形波的形状のプロファイルに変換した結果を図52に示す。
図53に示すように、光共振器200は、両端に反射ミラー201,202となる光導波路(第1の光導波路201および第2の光導波路202)を配置し、これら反射ミラー201,202の間に、光共振器媒質を含む第3の光導波路203が挟まれた構成となる。本発明では、第1の光導波路201と第3の光導波路203と第2の光導波路202が直列に接続されて単一の基板型光導波路として形成され、その両端の反射ミラー201,202には、ブラッググレーティングパターンを有し反射機能を有する光導波路を用いる。そして、反射機能を有する光導波路の設計は、所望の反射特性を設定することで、上述した光フィルタの設計方法に従って実施可能である。光共振器媒質となる第3の光導波路203は、反射ミラー201,202間で光が共振するための、所定の光路長を有するものであれば良い。
光共振器は、複数の波長チャンネルのいずれかを選択する機能を有するように設計する。複数の波長チャンネルの例は、例えば、周波数間隔100GHzで並んだITUグリッドである。かかる機能を有する光共振器の構成要素の光学特性について、図54および図55に基づいて説明する。図54の下側のグラフに、第1の反射ミラーの電力反射スペクトル(実線)および第2の反射ミラーの電力反射スペクトル(破線)を示す。
第1および第2の反射ミラーの電力反射スペクトルの積として得られたスペクトルを図54の上側のグラフに示す。第1および第2の反射ミラーの反射帯の電力反射率を0.9(90%)とする。光共振器中で共鳴する光の波長は、双方のスペクトルの反射域が重なる領域に制限される。これは、一般にバーニア機能と呼ばれ、互いに異なる櫛型の電力反射スペクトルを有する光フィルタを二つ組み合わせて、特定の波長成分を抽出する用途に用い、さらに、一方の光フィルタの特性を可変することにより、抽出する波長成分を可変することに用いられる。
選択した波長チャンネルでの共鳴電力を最大にするには、光共振器媒質である第3の光導波路を伝搬する際に生ずる位相シフト、すなわち第3の光導波路の実効屈折率を調節すればよい。図55の上側のグラフでは、位相シフトは0.477πとしてある。
本実施例での第1の反射ミラーの設計方法は、以下のステップ[1]〜[4]からなる。
[2]反射ミラーとして所望の反射特性を指定し、光導波路の構造決定に必要なデータを得る。反射特性として指定するのは、各波長での反射率および位相である。周波数範囲には、原点(周波数ゼロ)から所望の反射特性を含む周波数領域すべてを含める。
[3]光導波路長を与えておき、逆散乱問題解法によりステップ[2]で得た複素電界反射率スペクトルから光導波路の導波方向に沿う実効屈折率の形状分布を導出する。本ステップには、複素電界反射スペクトルを時間応答に変換する計算過程が含まれるが、それは実数型の変換とする。
ステップ[2]および[3]は、ブラッググレーティングパターン設計工程となる。
[4]ステップ[1]で得た実効屈折率を光導波路コアの断面寸法との対応関係に基づき、ステップ[3]で得た実効屈折率の形状分布からブラッググレーティング光導波路の光導波方向に沿う形状を決定する。このステップは、反射ミラー設計工程となる。
なお、上述した波長分散補償素子の設計ステップにならい、ステップの順序を入れ替えることができる。
導波路の断面構造は図4Bの挿入図のとおりである。斜線部がコアで、その上下および側面をクラッドが取り囲む。コア下部および上部に位置するクラッドの厚みは、ともに2μmである。tinは0.1μmであり、toutは1.4μmである。図4Bのようにwinとwoutとの関係を与えると、図4Aのように導波路の実効屈折率の偏波依存性を低減できる。
TE偏光での実効屈折率を導波路の実効屈折率とみなして、実効屈折率とwinおよびwoutとの対応を計算しプロットすると、図5となる。
図54の下側のグラフにある電力反射スペクトルと所望の位相特性より、グレーティング光導波路の複素電界反射率スペクトルR(ν)を計算する。直交座標系ではR(ν)は実数成分と虚数成分とから構成されるが、極座標系に座標変換して、複素電界反射率を電界反射率の絶対値と位相に分離した方が反射ミラーの特性を取り扱う上で便利である。そこで、上述した式Aのように極座標表示で複素電界反射率を表現する。
本実施例の反射ミラーでは、各チャンネルの反射帯での波長分散はゼロと設定する。波長分散がゼロの場合、位相は周波数に対して線形な関数となる。以上より、本実施例の反射ミラーに対して指定する光学特性を図示すると、図30のようになる。図30では、左の縦軸に電界反射率の絶対値|R(ν)|、右の縦軸に位相φ(ν)をとり、それぞれ実線および破線でプロットしてある。横軸は単位をTHzとした周波数νであり、192.6THzから193.6THzまで0.1THz間隔で10個のチャンネルに等分割して光学特性を指定している。中心周波数は193.1THzである。中心波長に換算すると、1552.52nmとなる。各チャンネルでの反射帯のスペクトル幅は0.01THzであり、その範囲内で位相が線形変化していることがわかる。
図30には、反射帯が存在するチャンネル付近の周波数帯のみを表示してある。所望の光学特性として逆散乱解法の対象とする光学特性では、原点(0THz)から反射チャンネルが存在する周波数帯すべてを含める。ただし、図30以外の周波数領域では、反射チャンネルは存在しないので電界反射率の値はゼロである。
逆散乱問題解法に基づき、反射ミラーを構成する光導波路の導波方向での実効屈折率分布を導出する。その手順は、上述した波長分散補償素子の設計方向におけるステップ[3]で説明したとおりである。
その結果、上述の式15により得られるq(z)も実数となり、ブラッググレーティングの振幅が変化して位相は振幅に付随して変化する振幅変調型ブラッググレーティングの実効屈折率分布が得られる。本発明での振幅変調の定義は後で述べる。
ステップ[1]で用意した光導波路寸法winおよびwoutと実効屈折率neffとの対応関係に基づき、ステップ[3]で得た実効屈折率分布neff(z)をwinおよびwoutの分布データ(プロファイル)に変換する。図4Aおよび4Bに示した対応関係より、実効屈折率を与えると決めるべき寸法パラメータであるwinおよびwoutが求められる。図32のように実効屈折率分布におけるブラッググレーティングパターンは正弦波的形状を有する。
光学マスクを用いた描画およびドライエッチングによるパターン転写プロセスでは、一定の幅の線(ライン)と幅とがピッチに応じて変化する空白(スペース)の組み合わせが繰り返し配列される矩形波的形状を採用すると、ドライエッチング後の形状の揺らぎが少ない。そこで、実効屈折率のプロファイルから光導波路寸法woutおよびwinのプロファイルデータを得た後、矩形波的形状のプロファイルに変換する。ただし、矩形波的形状への変換の際、次の2つの制限を課すことにする。
(2)正弦波的形状のブラッググレーティングパターンがカバーするコア面積と一致するよう矩形波形状のライン振幅を調節する。
第3の光導波路は、第1の光導波路と第2の光導波路との間に直列に接続する。第3の光導波路の長さは前述のとおりである。基板上の光導波路を用いる場合には、第1、第3及び第2の光導波路が直列接続された光導波路を光学マスク上に定義することができる。
本実施例は、上述した基板型光導波路素子の第2形態例にある基板型光導波路(図6参照)を用いて、光共振器の実施例1に記載した光学特性(図54、図55参照)を有する第1の反射ミラーを設計したものである。本実施例では、光導波路の実効屈折率とwinおよびwoutとの対応関係は、図7A、7Bおよび図8に示される。
ステップ[3]においてnav=2.348とするほかは光共振器の実施例1と同様にして、実効屈折率分布を導出する。この光学特性を用いて逆散乱問題解法に基づき導出される実効屈折率分布を図46および図47に示す。実効屈折率を矩形波的形状のプロファイルに変換した結果を図48に示す。なお、これら図46〜図48は、上述の光フィルタの実施例5で示したものと同一である。
本実施例の光導波路では、加工誤差による実効屈折率の精度劣化を低減することができるため、加工誤差による偏波依存性を低減することができ、波長多重されたチャンネルの信号光のみを偏光によらず反射光として取り出すことができる。さらに、内側コアに電圧を印加することにより、反射帯の波長を可変することができる。
本実施例は、上述した基板型光導波路素子の第3形態例にある基板型光導波路(図16参照)を用いて、光共振器の実施例1に記載した光学特性(図54、図55参照)を有する第1の反射ミラーを設計したものである。本実施例では、光導波路の実効屈折率とwinおよびwoutとの対応関係は、図17に示される。
ステップ[3]においてnav=2.22252とするほかは光共振器の実施例1と同様にして、実効屈折率分布を導出する。この光学特性を用いて逆散乱問題解法に基づき導出される実効屈折率分布を図51に示す。実効屈折率を矩形波的形状のプロファイルに変換した結果を図52に示す。なお、これら図51〜図52は、上述の光フィルタの実施例7で示したものと同一である。
上記の説明では、本発明による振幅変調型のブラッググレーティングは、チャープトブラッググレーティングとは異なるものとしている。一方、以下に述べる標本化定理(sampling theorem)によると、ブラッググレーティングパターンは一義的に定義され、振幅変調型やチャープトブラッググレーティングという相異は現れない。ただし、それは連続的な実効屈折率分布に対して適用されるのであって、粗視化(coarse graining)した離散的な実効屈折率分布には適用されない。その点について、以下補足する。
Claims (18)
- 光導波路のコアと;
このコアに設けられる第1および第2のブラッググレーティングパターンと;を備え、
前記第1および第2のブラッググレーティングパターンは、光の導波方向に沿って並列している
ことを特徴とする基板型光導波路素子。 - 前記第1のブラッググレーティングパターンは、前記光の導波方向に沿って前記光導波路のコアの両側壁に形成される凹凸であり;
前記第2のブラッググレーティングパターンは、前記コアの幅方向中央かつ前記光の導波方向に対して垂直かつ前記幅方向に対して垂直な垂直方向において上部に形成された突起および/または溝である;
ことを特徴とする請求項1に記載の基板型光導波路素子。 - 前記第2のブラッググレーティングパターンは、前記コアの幅方向中央かつ前記垂直方向において上部に形成された溝であり、この溝の両側壁には前記光の導波方向に沿って凹凸が形成されていることを特徴とする請求項2に記載の基板型光導波路素子。
- 前記第1および第2のブラッググレーティングパターンの前記凹凸の周期が互いに一致していることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の基板型光導波路素子。
- 前記光の導波方向に沿って見た場合、前記第1のブラッググレーティングパターンにおけるコア幅の広い部分と前記第2のブラッググレーティングパターンにおける溝幅の狭い部分とが対応し、かつ前記第1のブラッググレーティングパターンのコア幅の狭い部分と前記第2のブラッググレーティングパターンの溝幅の広い部分とが対応していることを特徴とする請求項3に記載の基板型光導波路素子。
- 前記第1および第2のブラッググレーティングパターンは、おのおの、ブラッググレーティングの振幅の包絡線の勾配の符号が反転する孤立した単一の座標点を複数個含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の基板型光導波路素子。
- 前記第1および第2のブラッググレーティングパターンの局所周期は、3通り以上の離散値をとり;
各離散値をとる局所周期が光導波路の全長にわたってそれぞれ複数箇所に存在し;
すべての離散値のうちで最も分布頻度の高い値をM、このMよりも大きい値のうちで前記Mに最も近い値をA、前記Mよりも小さい値のうちで前記Mに最も近い値をBとするとき、A−Mで表される差が、M−Bで表される差に等しい;
ことを特徴とする請求項6に記載の基板型光導波路素子。 - 前記光導波路のコアが、リブ構造からなる内側コアと、前記内側コアの上側において前記リブ構造の凸部の三方向を被覆する外側コアとからなり;
前記外側コアは、前記内側コアの平均屈折率よりも屈折率が低い材料からなり;
前記第1および第2のブラッググレーティングパターンが前記外側コアに設けられている;
ことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の基板型光導波路素子。 - 前記内側コアは、その幅方向の中央に、光の導波方向に沿って前記内側コアよりも屈折率が低い材料からなるギャップ部と、前記ギャップ部により分離された2つの領域を備え、単一のモードが前記2つの領域にまたがって伝搬されるシングルモード光導波路を構成していることを特徴とする請求項8に記載の基板型光導波路素子。
- 複数の波長チャンネルに対して、信号光が光導波路に入射してから反射するまでに前記光導波路を伝搬する距離が波長に応じて異なることにより、光伝送路における波長分散および分散スロープを補償する波長分散補償素子であって、
前記波長分散補償素子が、請求項1〜9のいずれかに記載の基板型光導波路素子からなることを特徴とする波長分散補償素子。 - 請求項10に記載の波長分散補償素子の設計方法であって、
前記第1および第2のブラッググレーティングパターンとなる二つの領域の前記光の導波方向と直交する断面における寸法を変化させて、前記光導波路に導波される互いに独立な二つの偏光に対する光導波路の実効屈折率を等化して、この実効屈折率を両偏光に対する共通の実効屈折率として求めることによって、前記二つの領域の寸法と前記共通の実効屈折率との関係を求める光導波路断面構造設計工程と;
パラメータとして波長分散、分散スロープおよび反射率を指定して所定の複素反射率スペクトルを算出した後、前記複素反射率スペクトルと所望の光導波路の長さとから、前記光導波路の前記光の導波方向に沿う実効屈折率の形状分布を得るブラッググレーティングパターン設計工程と;
前記光導波路断面構造設計工程で求めた前記二つの領域の寸法と前記共通の実効屈折率との関係に基づいて、前記ブラッググレーティングパターン設計工程で得た前記実効屈折率の形状分布を、前記二つの領域の寸法の形状分布に変換することにより、前記二つの領域の寸法の変化からなる前記第1および第2のブラッググレーティングパターンを得る波長分散補償素子設計工程と;
を有することを特徴とする波長分散補償素子の設計方法。 - 前記ブラッググレーティングパターン設計工程において、座標軸の離散化の分解能を反射帯の幅の半値に対応するピッチ変化分以上に取る粗視化工程を有することにより、ブラッググレーティングの振幅の包絡線の勾配の符号が反転する孤立した単一の座標点を複数個含む光導波路が構成されることを特徴とする請求項11に記載の波長分散補償素子の設計方法。
- 請求項1〜9のいずれかに記載の基板型光導波路素子からなることを特徴とする光フィルタ。
- 請求項13に記載の光フィルタの設計方法であって、
前記第1および第2のブラッググレーティングパターンとなる二つの領域の前記光の導波方向と直交する断面における寸法を変化させて、前記光導波路に導波される互いに独立な二つの偏光に対する光導波路の実効屈折率を等化して、この実効屈折率を両偏光に対する共通の実効屈折率として求めることによって、前記二つの領域の寸法と前記共通の実効屈折率との関係を求める光導波路断面構造設計工程と;
パラメータとして反射率および位相を指定して所定の複素反射率スペクトルを算出した後、前記複素反射率スペクトルと所望の光導波路の長さとから、前記光導波路の前記光の導波方向に沿う実効屈折率の形状分布を得るブラッググレーティングパターン設計工程と;
前記光導波路断面構造設計工程で求めた前記二つの領域の寸法と前記共通の実効屈折率との関係に基づいて、前記ブラッググレーティングパターン設計工程で得た前記実効屈折率の形状分布を、前記二つの領域の寸法の形状分布に変換することにより、前記二つの領域の寸法の変化からなる前記第1および第2のブラッググレーティングパターンを得る光フィルタ設計工程と;
を有することを特徴とする光フィルタの設計方法。 - 前記ブラッググレーティングパターン設計工程において、座標軸の離散化の分解能を反射帯の幅の半値に対応するピッチ変化分以上に取る粗視化工程を有することにより、ブラッググレーティングの振幅の包絡線の勾配の符号が反転する孤立した単一の座標点を複数個含む光導波路が構成されることを特徴とする請求項14に記載の光フィルタの設計方法。
- 第1の反射ミラーとなる第1の光導波路と、第2の反射ミラーとなる第2の光導波路と、前記第1の光導波路と前記第2の光導波路との間に挟まれた第3の光導波路とを有し、前記第1の光導波路と前記第3の光導波路と前記第2の光導波路が直列に接続されて単一の基板型光導波路として形成された光共振器であって、
前記第1の光導波路および前記第2の光導波路が、請求項1〜9のいずれかに記載の基板型光導波路素子からなることを特徴とする光共振器。 - 請求項16に記載の光共振器の設計方法であって、
前記第1および第2のブラッググレーティングパターンとなる二つの領域の前記光の導波方向と直交する断面における寸法を変化させて、前記光導波路に導波される互いに独立な二つの偏光に対する光導波路の実効屈折率を等化して、この実効屈折率を両偏光に対する共通の実効屈折率として求めることによって、前記二つの領域の寸法と前記共通の実効屈折率との関係を求める光導波路断面構造設計工程と;
パラメータとして反射率および位相を指定して所定の複素反射率スペクトルを算出した後、前記複素反射率スペクトルと所望の光導波路の長さとから、前記光導波路の前記光の導波方向に沿う実効屈折率の形状分布を得るブラッググレーティングパターン設計工程と;
前記光導波路断面構造設計工程で求めた前記二つの領域の寸法と前記共通の実効屈折率との関係に基づいて、前記ブラッググレーティングパターン設計工程で得た前記実効屈折率の形状分布を、前記二つの領域の寸法の形状分布に変換することにより、前記二つの領域の寸法の変化からなる前記第1および第2のブラッググレーティングパターンを得る反射ミラー設計工程と;
を有することを特徴とする光共振器の設計方法。 - 前記ブラッググレーティングパターン設計工程において、座標軸の離散化の分解能を反射帯の幅の半値に対応するピッチ変化分以上に取る粗視化工程を有することにより、ブラッググレーティングの振幅の包絡線の勾配の符号が反転する孤立した単一の座標点を複数個含む光導波路が構成されることを特徴とする請求項17に記載の光共振器の設計方法。
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