以下、本明細書で開示する光半導体集積素子の好ましい第1実施形態を、図を参照して説明する。但し、本発明の技術範囲はそれらの実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された発明とその均等物に及ぶものである。
図3は、本明細書に開示する光半導体集積素子の第1実施形態を示す図である。図4は、図3のA1−A1線拡大断面図である。図5は、図3のA2−A2線拡大断面図である。図6は、図3のA3−A3線拡大断面図である。図7は、図3のA4−A4線拡大断面図である。図8は、図3のスポットサイズ変換部を示す図である。
本実施形態の光半導体集積素子10は、(100)面を有する半導体の基板20と、基板20の(100)面上に配置され、外部からの光のスポットサイズを変換して入力する入力部11とを備える。また、光半導体集積素子10は、入力部11からの光を伝搬する導波路部12と、導波路部12を伝搬した光を入力する光検出部13とを備える。導波路部12及び光検出部13も、基板20の(100)面上に配置される。
導波路部12は、メサ部12a及びメサ部12aを埋め込む半導体である第1の埋め込み層29を有している。メサ部12aは、[011]方向に延びている。
光検出部13は、メサ部13a及びメサ部13aを埋め込む第1の埋め込み層29を有している。メサ部13aは、[011]方向に延びている。第1の埋め込み層29は、導波路部12及び光検出部13に跨って形成される。
本明細書において、本来「1バー」で表す面指数を「−1」で表す。また、[0−11]方向は、[0−11]方向と結晶学的に等価な[01−1]方向を含む意味である。また、[011]方向は、[011]方向と結晶学的に等価な[0−1−1]方向を含む意味である。
入力部11は、光ファイバ等を伝搬する光を外部から入力し、光のスポットサイズを小さい寸法に変換して、導波路部12のメサ部12aに光を出力する。光ファイバを伝搬する光のスポットサイズは、導波路部12のメサ部12aを伝搬する光のスポットサイズよりも大きい。そこで、入力部11は、外部から入力する光のスポットサイズを縮小して、導波路部12のメサ部12aに光を伝搬する。
なお、光半導体集積素子10は、入力部11と共にレンズを用いて、光のスポットサイズの変換を行っても良い。
入力部11は、メサ部12aとの間で光を伝搬するスポットサイズ変換部11aと、スポットサイズ変換部11aを挟んで対向する一対のテラス部11bとを有する。
図5に示すように、スポットサイズ変換部11aは、導波路部12のメサ部12aとの間で光を伝搬するメサ部11dと、メサ部11dの両側及び上方を埋め込む半導体である第2の埋め込み層24とを有する。メサ部11dは、[011]方向に延びている。図3及び図4に示すように、スポットサイズ変換部11aのメサ部11dは、導波路部12のメサ部12aと一体に形成される。
図3に示すように、メサ部11dの幅は、光半導体集積素子10の端面側から導波路部12側に向かってテーパ状に増大している。メサ部11dの幅が拡がるのと共に、導波モードの電界強度分布が狭まるので、光のスポットサイズはメサ部11dを伝搬するにつれて縮小していく。
本明細書では、光の径であるスポットサイズは、光のモードフィールド径(mode field diameter : MFD)を意味するとしても良い。光のモードフィールド径は、光の伝搬方向と直交する向きの電界の拡がりの程度を表しており、光の電界強度がピークの位置から1/e2だけ下がった距離で定義される。
一対のテラス部11bにおけるスポットサイズ変換部11aを挟んで対向する対向部11cそれぞれは、[011]方向に対して[0−11]方向に向かって傾斜した向きの部分を有している。本実施形態では、一対のテラス部11bは、対向部11c同士の間隔が拡大及び縮小を周期的に繰り返している。
図3に示す例では、対向部11cは、[011]方向から[0−11]方向に向かって45°の向きを有する面30aと、[011]方向から[0−11]方向に向かって135°の向きを有する面30bと、を有する。対向部11cは、面30aと面30bとが交互に配置されて形成されおり、三角波状のパターンを有する。また、対向部11c同士では、三角波状のパターンにおける凸の位置と凹の位置とが一致している。
対向部11cが、[011]方向に対して傾斜した向きの部分を有する理由は、図4に示すように、入力部11の第2の埋め込み層24の上端の位置を、導波路部12のメサ部12aの上端の位置よりも高く形成するためである。
光半導体集積素子10では、スポットサイズ変換部11aにおけるコア層22の上に第1上クラッド層23と共に厚い第2の埋め込み層24を配置することにより、端面付近における光のスポットサイズを拡大している。そして、この第2の埋め込み層24は、導波路部12のメサ部12aを埋め込む第1の埋め込み層29を形成する際に第1の埋め込み層29と共に、入力部11のメサ部11dの両側及び上方に成長させて形成される。
第1の埋め込み層29および第2の埋め込み層24は、導波路部12のメサ部12aを埋め込む第1の埋め込み層29がメサ部12aの上方に被さるように成長することを抑制するためにプロセスガスに塩素を含むガスを加えて形成される。ここで、対向部11cが、 [011]方向に対して傾斜した向きの部分を含んでいると、対向部11cには塩素を含むガスにより厚さ方向の成長を抑制されない結晶面で成長する部分が現れるので、対向部11cそれぞれから上方に盛り上がって成長した後に、対向する方向に向かって成長し合体するので、第2の埋め込み層24が厚く形成される。このようにしてスポットサイズ変換部11aのメサ部11dを埋め込む第2の埋め込み層24を形成すると共に、図6に示すように、導波路部12のメサ部12aを埋め込む第1の埋め込み層29が形成される。
この際、対向部11c同士の凸の位置が一致していると、対向部11c間の距離が短くなるので、横方向に成長した第2の埋め込み層24が合体するのに要する時間を低減することができる。
対向部11cは、[011]方向に対して[0−11]方向に向かって傾斜した向きの部分を有していれば良く、非周期的な形状を有していても良い。
また、一対のテラス部11bの間隔は変化していれば良く、対向部11cは、図3に示すような形状を有していなくてもよい。例えば、対向部11cは、正弦波状のパターンを有していても良い。
また、対向部11cの間隔は、単調減少又は単調増加していても良い。
対向部11cの間隔は、入力部11を伝搬する光のモードフィールド径よりも大きいことが、伝搬する光の損失を抑制する観点から好ましい。
次に、光半導体集積素子10の具体的な構造を、以下に更に説明する。
図4に示すように、光半導体集積素子10は、基板20上に配置された下クラッド層21を有する。下クラッド層21は、入力部11及び導波路部12及び光検出部13に亘って配置される。
まず、入力部11の構造について、以下に説明する。
図4及び図5に示すように、入力部11のメサ部11dでは、下クラッド層21上にコア層22が配置され、コア層22上には第1上クラッド層23が配置される。入力部11のメサ部11dは、コア層22及び第1上クラッド層23によって形成される。また、図3に示すように、コア層22は、スポットサイズ変換部11a内で、導波路部12側から光半導体集積素子10の入力端面の方向に向かって幅が狭まりながら延びている。また、コア層22は、スポットサイズ変換部11a内で、導波路部12側から光半導体集積素子10の入力端面まで延びている。
メサ部11dの両側及び上方は、第2の埋め込み層24によって埋め込まれている。第2の埋め込み層24は、メサ部11dを埋め込んだ状態で、下クラッド層21上に配置される。
下クラッド層21及び第1上クラッド層23及び第2の埋め込み層24の屈折率は、コア層22の屈折率よりも小さいことが、伝搬する光をコア層23に閉じ込める上で好ましい。
スポットサイズ変換部11aの両側それぞれにも、下クラッド層21上にコア層23及び第1上クラッド層23が順番に配置されており、この積層構造によって一対のテラス部11bが形成される。テラス部11bの上端の位置は、導波路部12のメサ部12aの上端の位置と一致している。
図5に示すように、スポットサイズ変換部11aの上端の位置は、テラス部11bの上端の位置よりも高くなっている。また、図8に示すように、スポットサイズ変換部11aにおけるテラス部11bよりも高い部分は、対向部11cにおける[011]方向に対して[0−11]方向に傾斜した向きの部分30a、30bに対応する形状を有している。具体的には、スポットサイズ変換部11aのテラス部11bよりも高い部分は、三角波状のパターンに対応した凹凸形状を有している。
スポットサイズ変換部11aの上端の位置は、光半導体集積素子10の端面における光のスポットサイズの上端より高い位置にすることが光の結合損失を低減する上で好ましい。
次に、導波路部12の構造について、以下に説明する。
図4及び図6に示すように、導波路部12のメサ部12aでは、下クラッド層21上にコア層22が配置され、コア層22上には第1上クラッド層23が配置される。導波路部12のメサ部12aは、コア層22及び第1上クラッド層23によって形成される。メサ部12aのコア層22は、入力部11におけるメサ部11dのコア層と一体に形成される。即ち、導波路部12のコア層22は、スポットサイズ変換部11a内に延びている。入力部11に入力された光は、コア層22を伝搬して、光検出部13に入力される。
メサ部12aの両側は、第1の埋め込み層29によって埋め込まれている。第1の埋め込み層29は、メサ部12aの両脇の一定の距離ではメサ部12aと同じ厚さで形成され、メサ部12aから一定の距離を離れると厚さが薄くなる。メサ部12aの上には、第1の埋め込み層29は形成されない。メサ部12aと第1の埋め込み層29とにより、光導波路34が形成される。スポットサイズ変換部11aは、この光導波路34との間で伝搬される光の径を変換する。
次に、光検出部13の構造について、以下に説明する。
図4及び図7に示すように、光検出部13のメサ部13aでは、下クラッド層21上に光吸収層25が配置され、光吸収層25上には第3上クラッド層26が配置される。第3上クラッド層26上にはコンタクト層27が配置され、コンタクト層27上には第1電極28aが配置される。光検出部13のメサ部13aは、光吸収層25及び第3上クラッド層26及びコンタクト層27によって形成される。また、メサ部13aは、コア層22及び第1上クラッド層23の積層された部分を有する。
図7に示すように、メサ部13aの両側は、第1の埋め込み層29によって埋め込まれている。第1の埋め込み層29は、メサ部13aの両脇の一定の距離ではメサ部13aと同じ厚さで形成され、メサ部13aから一定の距離を離れると厚さが薄くなる。メサ部13aの上には、第1の埋め込み層29は形成されない。また、第1の埋め込み層29の一部が除去されており、この除去された部分には、第2電極28bが下クラッド層21上に配置される。
光検出部13の光吸収層25には、導波路部12のコア層22を伝搬した光が入力する。光が入力された光吸収層25では、光を吸収して電子・ホール対を発生する。そして、第1電極28a及び第2電極28bに印加された電圧によって、吸収層25には電界が印加されており、光の吸収により発生した電子又はホールを第1電極28a及び第2電極28bから引き出して、電流の変化として光が検出される。このような光を検出する領域は、メサ部13aの下クラッド層22及び光吸収層25及び第1上クラッド層26及びコンタクト層27の部分により形成される。
第1の埋め込み層29の電気絶縁性は、メサ部13aに電流が閉じ込められるように高いことが好ましい。従って、第1の埋め込み層29と一緒に形成される第2の埋め込み層24の抵抗率は、第1上クラッド層26及びコンタクト層27の抵抗率よりも高くなることが好ましい。
本出願人は本発明の基礎となる研究において、テラス部における対向部の[011]方向に対する[0−11]方向への傾斜角と、光導波路34の上端の位置とスポットサイズ変換部の上端の位置との間の距離との関係を調べるために、以下の実験を行った。長手方向に延びる向きが[110]方向から[0−11]方向に様々な角度で傾斜したメサ部を作成し、MOVPD法によりプロセスガスに有機塩素系原料を添加して、半導体である埋め込み層をメサ部の両側に形成する実験を行なった。図9は、埋め込み層の上端の位置とメサ部の上端の位置との間の距離と、メサ部の長手方向に延びる向きとの関係を調べた結果を示す。ここで、メサ部の長手方向に延びる向きは、[011]方向に対する[0−11]方向への傾斜角で表される。図9の縦軸である埋め込み層の上端の位置は、埋め込み層の上端の位置とメサ構造の上端の位置との間の距離を意味する。
図9は、メサ部の長手方向の向きを[011]方向から[0−11]方向に向かって傾斜する角度を0°〜90°の範囲で変化させて、埋め込み層の上端の位置とメサ部の上端の位置との差の距離を測定したものである。
図9に示すデータは、以下の実験により測定された。メサ構造の幅は45μmであり、高さは3μmであった。プロセスガスとしては、埋め込み層の形成材料として、トリメチルインジウム、フォスフィン及びフェロセンを用い、塩素を含むガスとして1,2−ジクロロエチレンを用いた。そして、埋め込み層をMOVPE法により形成した。
図9に示すように、埋め込み層の上端の位置を高くするには、一対のテラス部11bにおけるスポットサイズ変換部11aを挟んで対向する対向部11cそれぞれが、[011]方向から[0−11]方向に向かって、30度〜85度の間に傾斜した部分を有することが好ましい。特に、対向部11cそれぞれは、[011]方向から[0−11]方向に向かって、40度〜50度の間に傾斜した部分を有することが好ましい。更には、対向部11cそれぞれは、[011]方向から[0−11]方向に向かって、45度に傾斜した部分を有することが好ましい。ここで、[011]方向から[0−11]方向に向かって、30度〜85度の間に傾斜した部分には、[011]方向から[0−11]方向に向かって、+30度〜+85度に傾斜した部分と、[011]方向から[0−11]方向に向かって、−30度〜−85度に傾斜した部分とが含まれる。このことは、他の角度に対しても適用される。
次に、上述した光半導体集積素子10が、スポットサイズの相違に起因した光の結合損失を抑制することを、図面を参照して、以下に更に説明する。
図10は、図3に示す光半導体集積素子を伝搬する光を示す図である。図11は、テラス部より上の第2の埋め込み層の部分が除かれた光半導体集積素子を伝搬する光を示す図である。
図10において、円Fは、光半導体集積素子10の入力部11を伝搬する光のモードフィールド径を示している。円Fの一部は、テラス部11bの上端を超えているが、第2の埋め込み層24の内部には収まっている。従って、入力部11を伝搬する光は、モードフィールド径の部分が光半導体集積素子10の内部を伝搬している。
一方、図11に示す例では、円Fの鎖線で示された部分が、光半導体集積素子の外にはみ出しているので、伝搬する光の一部が失われる。従って、光ファイバから受け取った光の一部が光半導体集積素子に結合せずに失われる。
次に、光ファイバから光半導体集積素子に入力される光の結合損失を定量的に調べた結果を図12に示す。
図12は、コア層の端面の幅と結合損失との関係を示す図である。図13は、図12に示す関係の計算を説明する図である。
図12は、図10に対応する光半導体集積素子におけるコア層の端面の幅と結合損失との関係を表すカーブC1と、図11に対応する光半導体集積素子におけるコア層の端面の幅と結合損失との関係を表すカーブC2とを示す。
図12に示す結合損失は、図13に示すモデルを用いて計算された。モデルでは、入力部11のコア層22が、n型の導電性を有するn−InP内に配置されるとした。コア層22は、組成波長1.05μmのInGaAsP導波路とした。光ファイバとコア層22とは、直径5μmのモード径のレンズを介して結合するとした。コア層の屈折率は3.25であり、n−InPの屈折率は3.17であった。コア層22の上に位置するn−InPの厚さは、3μm(カーブC1)と、1μm(カーブC2)とした。そして、モード直径5μmのガウシアンモードの入射光を、コア層22の端面に入射し、テーパ状のコア層22を伝搬して、幅が2.5μmの導波路の基本モードに結合する際の結合損失が、3次元BPM(beam propagation method:ビーム伝搬法)を用いて計算された。コア層22の端面の幅は、0.3μm〜1.0μmの範囲で変化させた。
図12に示すように、カーブC1では、結合損失が最小で−0.5dBであるのに対して、カーブC2では、結合損失が最小でも−1.3dBと増大することが分かる。
上述した光半導体集積素子10は、例えば、III−V族化合物半導体を用いて形成され得る。III−V族化合物半導体としては、具体的には、InP又はGaAsを用いることができる。
次に、上述した光半導体集積素子10の好ましい製造方法の一実施形態を、図面を参照して、以下に説明する。
まず、図14に示すように、下クラッド層21と、光吸収層25と、第3上クラッド層26と、コンタクト層27とが、(100)面を有する半導体の基板20上に順番に形成される。本実施形態では、MOVPE法を用いて、結晶性の各層の形成を行った。基板20としては、n−InPを用いた。下クラッド層21は、n型の導電性を有するn−InPを用いて形成され、厚さは1.0μmであった。光吸収層25は、アンドープのi−InGaAsを用いて形成され、厚さは0.3μmであった。第3上クラッド層26は、p型の導電性を有するp−InPを用いて形成され、厚さは0.9μmであった。コンタクト層27は、p−InGaAsを用いて形成され、厚さは0.3μmであった。また、図14には、将来、入力部11が形成される領域がJ1で示され、導波路部12が形成される領域がJ2で示され、光検出部13が形成される領域がJ3で示されている。
次に、図15に示すように、領域J3の光を検出する領域が形成されるコンタクト層27の部分の上にマスク31が形成される。マスク31は、マスクパターニング技術を用いて形成され得る。マスク31の形成材料としては、例えば、酸化ケイ素を用いることができる。
次に、図16に示すように、マスク31を用いて、コンタクト層27と、第3上クラッド層26と、光吸収層25とがエッチングされて、領域J1,J2及び領域J3の一部において下クラッド層21が露出する。エッチング法としては、例えば、ウェットエッチングを用いることができる。また、プラズマエッチング等のドライエッチングを用いてもよい。
次に、図17に示すように、領域J1,J2及び領域J3の一部において、コア層22と、第1上クラッド層23とが、順番に下クラッド層21上に形成される。本実施形態では、MOVPE法を用いて、各層の形成を行った。コア層22は、ノンドープのi−InGaAsPを用いて形成され、厚さは0.5μmであった。第1上クラッド層23は、ノンドープのi−InPを用いて形成され、厚さは1.0μmであった。コア層22及び第1上クラッド層23は、下クラッド層21上に形成され、コア層22と光吸収層25とは、突き合わせ接合する。コア層22及び第1上クラッド層23はマスク31上には成長しない。
次に、図18〜図22に示すように、入力部11のメサ部11d及び導波路12のメサ部12a及び光検出部13のメサ部13aが形成される。また、これらのメサ部11d、12a、13aが形成されるのと共に、メサ部12aを伝搬する光の導波方向に位置するメサ部11dを含む領域Vを挟んで一対のテラス部11bが形成される。領域Vは、一対の対向部11cによって挟まれた空間である。一対のテラス部11bは、その間隔が一定ではなく変化するように形成される。このようにして、一方向に延びる形状を有するメサ部13aと、メサ部13aからメサ部13aとは反対の方向に向かってメサ部13aの長手方向に沿って延びる領域を挟んだ一対のテラス部11bとが形成される。
ここで、図19は、図18のB1−B1線拡大断面図である。図20は、図18のB2−B2線拡大断面図である。図21は、図18のB3−B3線拡大断面図である。図22は、図18のB4−B4線拡大断面図である。
具体的には、一対のテラス部11bが形成される第1上クラッド層23の部分の上にマスク32が形成されるのと共に、メサ部11d、12a、13aが形成される第1上クラッド層23及びコンタクト層27の部分の上にマスク33が形成される。マスク33は、メサ部11dが一対のテラス部11bに挟まれた領域V内に延びるよう形成される。マスク32,33の形成材料としては、例えば、酸化ケイ素を用いることができる。
そして、マスク32,33を用いて、第1上クラッド層23及びコア層22及びコンタクト層27及び第3上クラッド層26及び光吸収層25がエッチングされて、下クラッド層21が露出する。この際、下クラッド層21の表面の一部もエッチングにより除去しても良い。例えば、下クラッド層21の表面側を0.3μm程エッチングにより除去しても良い。
マスク32は、図3で説明したように、領域Vが形成される部分に面して、基板20の[011]方向に対して[0−11]方向に傾斜した向きの部分を有する。具体的には、マスク32は、図3で説明したように、 [011]方向から[0−11]方向に向かって45°の向きの部分と、 [011]方向から[0−11]方向に向かって135°の向きの部分とを有する。
このようなマスク32を用いて形成される一対の対向部11cは、[011]方向から[0−11]方向に向かって傾斜した向きの部分を有する。具体的には、対向部11cは、図3で説明したように、面30aと面30bとが交互に配置されて形成されおり、三角波状のパターンを有する。テラス部11bの[011]方向の長さは200μmであった。対向部11cにおける三角波状のパターンにおける[0−11]方向の幅は、3μmであった。また、対向部11cとメサ部11dとの最短の距離Lは、5μmであった。対向部11c間の最短の距離と、第2の埋め込み層24の厚さとの関係については、更に後述する。
次に、図23〜図25に示すように、一対のテラス部11bに挟まれた領域のメサ部11d上のマスク32が除去される。また、一対のテラス部11bにおける対向部11c側の領域上にマスク32を残して、その他のテラス部11bの領域上のマスク32が除去される。即ち、一対のテラス部11bにおける対向部11c側の所定の範囲を除いて、マスク32が除去される。本実施形態では、テラス部11bにおいて、対向部11c側から[0−11]方向の距離W内の範囲のマスク32が残されている。
ここで、図24は、図23のC1−C1線拡大断面図である。図25は、図23のC2−C2線拡大断面図である。
このように、一対のテラス部11bにおける対向部11c側の領域上にマスク32を残す理由を以下に説明する。第2の埋め込み層23を形成する半導体層は、選択成長によりマスク32の部分には堆積せずに、テラス部11b上を拡散して領域Vに堆積する。そこで、マスク32がなければテラス部11b上に堆積する半導体層の原料を、マスク32を残すことにより、領域Vの部分に拡散させて、第2の埋め込み層23の成長速度を高めている。このマスク32の幅Wと第2の埋め込み層23の厚さとの関係については、更に後述する。
そして、一対のテラス部11bの間の領域Vにおいてメサ部11dを内部に埋め込むように半導体である第2の埋め込み層24を成長させてスポットサイズ変換部11aを形成すると共に、メサ部12a、13aの少なくとも一部の両側を埋め込むように半導体である第1の埋め込み層29が形成される。本実施形態では、第1の埋め込み層29は、メサ部12a、13aの長手方向の全体に亘って、それらの両側を埋め込むように形成された。第2の埋め込み層24は、対向部11cそれぞれから、上方に盛り上がって成長した後に、対向する方向に向かって成長し合体するので、スポットサイズ変換部11aの第2の埋め込み層24の上端の位置は、導波路部12のメサ部12aの上端の位置よりも高く形成される。
一方、第1の埋め込み層29は、メサ部12a、13aの両側をメサ部の上端の位置とほぼ一致する高さで形成される。また、第1の埋め込み層29は、メサ部12a、13aの両脇の一定の距離ではメサ部12a、13aと同じ厚さで形成され、メサ部12a、13aから一定の距離を離れると厚さが薄くなるように形成される。
本実施形態では、MOVPE法を用いて、結晶性の第2の埋め込み層24及び第1の埋め込み層29の形成を行った。なお、ウェットエッチングにより結晶性の第2の埋め込み層24及び第1の埋め込み層29を形成する前にドライエッチングのダメージ層除去工程を行ってもよい。第2の埋め込み層24及び第1の埋め込み層29は、同時に形成される。第2の埋め込み層24及び第1の埋め込み層29は、半絶縁性半導体のFeを添加したInPを用いて形成された。第2の埋め込み層24の上端の位置は、導波路部12におけるメサ部12aの上端の位置よりも2μm高く形成された。なお、導波路部12のメサ部12aの上端の位置は、光検出部13のメサ部13aの上端の位置と一致している。
また、本実施形態のMOVPE法では、塩素を含むガスを用いて、第2の埋め込み層24及び第1の埋め込み層29が形成された。具体的には、第2の埋め込み層24及び第1の埋め込み層29を形成するプロセスガスとしては、半絶縁性半導体のInPを形成する原料としてのトリメチルインジウム及びフォスフィン及びフェロセンとを用い、塩素系ガスの原料としての1,2−ジクロロエチレンを用いた。
そして、マスク32及びマスク33等が除去される。また、リソグラフィー技術及びエッチング技術を用いて、光検出部13のメサ部13aから横に距離5μm離れた部分の第1の埋め込み層29の部分が除去されて、下クラッド層21上に第2電極28bが形成される。また、金属蒸着又はメッキ技術を用いて、光検出部13におけるメサ部13aのコンタクト層27上に、第1電極28aが形成される。そして、第1電極28a及び第2電極28b以外の部分が、誘電体等により形成されるパッシベーション膜(図示せず)で覆われる。このようにして、図3〜図7に示す光半導体集積素子が得られる。
次に、一対の対向部11c間の最短の距離と第4上クラッド層の厚さとの関係について、図面を参照して、以下に説明する。ここで、第4上クラッド層26aは、第1上クラッド層23と第2の埋め込み層24とが積層された層である(図5参照)。図5において、第4上クラッド層26aは、第1上クラッド層23の下端から第2の埋め込み層24の上端までの間の部分を示している。
図26は、一対の対向部11c間の最短の距離と、コア層から上の第4上クラッド層の厚さとの関係を示す図である。
具体的には、図26は、一対のテラス部11b間の最短の距離を変化させて、コア層22から上の第4上クラッド層26aの厚さを調べた結果である。
図26に示すデータは、以下の実験により測定された。テラス部11bの[011]方向の長さは400μmであった。対向部11cにおける三角波状のパターンの[0−11]方向の幅は、3μmであった。テラス部11bにおいて、対向部11c側から距離Wとして100μm内の範囲のマスク32が残された。また、一対のテラス部11bに挟まれた領域のメサ部11d上のマスクは除去された。ドライエッチングのダメージ層を除去する工程として、ウェットエッチングによりメサ部の側面および底面を0.2μmエッチングした。このとき、一対の対向部11cに挟まれた領域のメサ部11d上はマスクで覆われていないので第1上クラッド層23もエッチングされる。エッチング後の第1上クラッド層23の厚さは0.8μmであった。そして、MOVPE法を用いて、結晶性の第2の埋め込み層24が形成された。第2の埋め込み層24を形成するプロセスガスとしては、半絶縁性半導体のInPを形成する原料としてのトリメチルインジウム及びフォスフィン及びフェロセンと、塩素系ガスの原料としての1,2−ジクロロエチレンとを用いた。
図26に示すように、一対の対向部11c間の最短の距離が減少するのと共に、コア層22から上の第4上クラッド層の厚さが増加することが分かる。特に、一対のテラス部11bにおける対向部11cの間の最短の距離が20μm以下であることが、第4上クラッド層26aの厚さを増加する上で好ましい。
このように、一対の対向部11c間の最短の距離を変化させることにより、第2の埋め込み層24の成長速度を調整することができる。
以上が、一対の対向部11c間の最短の距離と第4上クラッド層26aの厚さとの関係についての説明である。
次に、テラス部11b上のマスク32の幅W(図23参照)と第4上クラッド層26aの厚さとの関係について、図面を参照して、以下に説明する。
図27は、テラス部11b上のマスクの幅と、第4上クラッド層26aの厚さとの関係を示す図である。
図27は、テラス部11b上のマスクの幅W(図23参照)を変化させて第2の埋め込み層24を形成した時に、コア層22から上の第4上クラッド層26aの厚さを調べた結果である。
図27に示すデータは、以下の実験により測定された。テラス部11bの対向部11cは、図23及び図25で説明したのと同様の形状を有する。即ち、テラス部11bの[011]方向の長さは200μmであった。対向部11cにおける三角波状のパターンの[0−11]方向の幅は、3μmであった。また、一対の対向部11c間の最短の距離は、12.5μmであった。また、一対の対向部11cに挟まれた領域のメサ部11d上のマスク32は除去された。ドライエッチングのダメージ層除去工程として、ウェットエッチングによりメサ部11dの側面および底面を0.2μmエッチングした。このとき、一対の対向部11cに挟まれた領域のメサ部11d上はマスクで覆われていないので第1上クラッド層23もエッチングされる。エッチング後の第1上クラッド層23の厚さは0.8μmであった。そして、MOVPE法を用いて、結晶性の第2の埋め込み層24が形成された。第2の埋め込み層24を形成するプロセスガスとしては、半絶縁性のInPを形成する原料としてのトリメチルインジウム及びフォスフィン及びフェロセンと、有機塩素系原料としての1,2−ジクロロエチレンとを用いた。
図27に示すように、テラス部11b上のマスクの幅Wが増加するのと共に、第4上クラッド層26aの厚さが増加した。これは、マスクの幅Wの増加と共に、選択成長効果によりマスク32上を拡散して領域Vに到達する原料の量が増加し第2の埋め込み層24の厚さが増加するためと考えられる。
このように、テラス部11b上のマスクの幅Wを変化させると、第2の埋め込み層24の成長速度を調整することができる。
なお、テラス部11b上のマスクの幅Wが、テラス部11b上を拡散する原料の拡散長よりも大きくなると、第2の埋め込み層24の厚さの増加率は減少すると考えられる。
上述した本実施形態の光半導体集積素子10によれば、第2の埋め込み層24の上端の位置が導波路部12のメサ部12aの上端の位置よりも高いので、光半導体集積素子10の外部から入力された光のスポットサイズと、導波路部12の光のスポットサイズとの相違に起因した光の結合損失が抑制される。
また、上述した本実施形態の光半導体集積素子の製造方法によれば、第1の埋め込み層29及び第2の埋め込み層24を形成するプロセスガスに塩素を含むガスを加えてメサ部を埋め込む工程で、入力部11のメサ部11dの両側及び上方を埋め込む第2の埋め込み層24を導波路部12のメサ部12aの上端の位置よりも高く形成できる。従って、スポットサイズの相違に起因した光の結合損失を抑制する光半導体集積素子10が得られる。
一方、スポットサイズ変換部のメサ部上のマスクを除去した後に、塩素を含まないプロセスガスを用いてメサ部を埋め込む埋め込み層を形成した場合には、スポットサイズ変換部におけるメサ部上にクラッド層を形成することができるものの、スポットサイズ変換部のメサ部の長手方向の向きが[011]方向に限定され、かつ、メサ部の長手方向が素子のへき開位置まで伸びている配置に限定され、設計の自由度が制限されてしまう問題が生じる。本実施形態の光半導体集積素子の製造方法を用いれば、このような問題が解決される。
上述した実施形態では、入力部11のコア層22を有するメサ部11d及び導波路部12のメサ部12aの長手方向の向きは、[011]方向と一致していたが、コア層22を有するメサ部11d、又は導波路部12のメサ部12aの長手方向に延びる向きは、[011]方向成分及び[0−11]方向成分を有していても良い。即ち、メサ部11d及又はメサ部12aは、[011]方向から[0−11]方向に向かって傾斜する方向成分を有する向きに延びていても良い。
また、上述した実施形態では、光検出部13のメサ部13aの長手方向の向きは、[011]方向と一致していたが、メサ部12aの長手方向の向きは、[011]方向成分及び[0−11]方向成分を有していても良い。
次に、上述した光半導体集積素子の第2実施形態を、図28〜図33を参照しながら以下に説明する。第2実施形態について特に説明しない点については、上述の第1実施形態に関して詳述した説明が適宜適用される。
図28は、本明細書に開示する光半導体集積素子の第2実施形態を示す図である。図29は、図28のD1−D1線拡大断面図である。図30Aは、図28の領域R1の拡大図である。図30Bは、図28の領域R2の拡大図である。図31Aは、図30のE1−E1線拡大断面図である。図31Bは、図30のE3−E3線拡大断面図である。図32は、図32のE2−E2線拡大断面図である。図33は、図28のD2−D2線拡大断面図である。
本実施形態の光半導体集積素子40は、8×1チャネルの半導体光スイッチである。光半導体集積素子40は、一方の端面に8つの入力チャネルを有しており、他方の端面には1つの出力チャネルを有する。
光半導体集積素子40は、外部からの光のスポットサイズを変換して入力する入力部41を備える。入力部41は、8つの入力チャネルを有する。各入力チャネルは、光ファイバ等を伝搬する光を外部から入力し、光のスポットサイズを小さな寸法に変換する。
また、光半導体集積素子40は、入力部41から入力した光を増幅する第1光増幅部42を備える。第1光増幅部42は、入力部41の8つの入力チャネルそれぞれと光学的に接続する光導波路70を備える。光導波路70は、メサ部42a及びメサ部42の両側を埋め込む半導体の埋め込み層60を有する。電流が供給されていないメサ部42aは光を吸収する。従って、第1光増幅部42では、8つのメサ部42aの内、光を伝搬させるチャネルのメサ部42aのみに電流を供給することにより、電流が供給されたチャネルのメサ部42aに入力された光のみが増幅されて伝搬していく。
図28及び図30Aに示すように、第1光増幅部42のメサ部42aは、基板50の[011]方向成分及び[0−11]方向成分を有する向きに延びている。即ち、メサ部42aの長手方向の向きは、基板50の[011]方向成分と共に[0−11]方向成分を有している。具体的には、第1光増幅部42のメサ部42aの長手方向の向きは、基板50の[011]方向から[0−11]方向に向かって−10°傾斜している。
また、光半導体集積素子40は、第1光増幅部42の8つのチャネルのメサ部42aを伝搬する光を結合して出力する光結合器部43を備える。光結合器部43は、第1光増幅部42の各チャネルのメサ部42に接続し光を伝搬する光導波路43aと、各光導波路43aを伝搬する光を結合して出力する結合器本体部43bと、結合器本体部43bから入力した光を伝搬する1つの光導波路43cとを有する。光導波路43a及び結合器本体部43b及び光導波路43cは同様のメサ構造を有する。
図28に示すように、光結合器部43の光導波路43aは、[011]方向成分及び[0−11]方向成分を有する向きに延びている。即ち、光導波路43aの長手方向の向きは、[011]方向成分と共に[0−11]方向成分を有している。また、光結合器部43の入力側は[0−11]方向を有している。
また、光半導体集積素子40は、光結合器部43の光導波路43aから入力した光を増幅する第2光増幅部44を備える。第2光増幅部44は、光導波路43cに接続した光導波路71を備える。光導波路71は、メサ部44a及びメサ部44aの両側を埋め込む半導体の埋め込み層60を有する。メサ部44aには、電流が常に供給されており、光導波路43cから入力した光を増幅して出力する。第2光増幅部44の光導波路71は、出力部45と光学的に接続する。
図30Bに示すように、第2光増幅部44の光導波路71は、[011]方向成分及び[0−11]方向成分を有する向きに延びている。即ち、メサ部44aの長手方向の向きは、[011]方向成分と共に[0−11]方向成分を有している。具体的には、第2光増幅部44のメサ部44aの長手方向の向きは、[011]方向から[0−11]方向に向かって−10°傾斜している。
更に、光半導体集積素子40は、第2光増幅部44から入力した光のスポットサイズを大きな寸法に変換して外部へ出力する出力部45を備える。
次に、光半導体集積素子40の具体的な構造を、以下に更に説明する。
図29に示すように、光半導体集積素子40は、(100)面を有する半導体の基板50を備える。光半導体集積素子40では、入力部41及び第1光増幅部42及び光結合器部43及び第2光増幅部44及び出力部45は、基板50の(100)面上に配置される。
まず、入力部41の構造について、以下に説明する。
図30Aに示すように、入力部41は、第1光増幅部42のメサ部42aと光学的に接続した第1スポットサイズ変換部41aと、第1スポットサイズ変換部41aを挟んで対向する一対のテラス部41bと、を有する。
第1スポットサイズ変換部41aは、第1光増幅部42のメサ部42aが第1スポットサイズ変換部41a内に延びたメサ部41dと、メサ部41dを埋め込む埋め込み半導体層41eとを有する。メサ部41dの長手方向の向きは、第1光増幅部42のメサ部42aの長手方向の向きと一致している。また、第1光増幅部42のメサ部42aの入力端は[0−11]方向を有している。
一対のテラス部41bにおける第1スポットサイズ変換部41aを挟んで対向する対向部41cそれぞれは、[011]方向に対して傾斜した向きの部分を有している。
図30Aに示す例では、対向部41cは、[011]方向から[0−11]方向に向かって55°の向きを有する面61aと、[011]方向から[0−11]方向に向かって145°の向きを有する面61bと、を有する。対向部41cは、面61aと面61bとが交互に配置されて形成されおり、三角波状のパターンを有する。また、対向部41c同士では、三角波状のパターンにおける凸の位置と凹の位置とが一致している。
図29及び図31Aに示すように、第1スポットサイズ変換部41aは、基板50上に配置される。第1スポットサイズ変換部41aのメサ部41dでは、基板50上に下クラッド層51が配置され、下クラッド層51上にはコア層58が配置され、コア層58上には第3上クラッド層59が配置される。また、第3上クラッド層59上には第2上クラッド層56が配置され、第2上クラッド層56上にはコンタクト層57が配置される。コア層58は、光導波路70側の端部の幅が光導波路70とは反対側の端部の幅よりも広い。具体的には、コア層58を有するメサ部41dは、第1スポットサイズ変換部41a内で、光導波路70側から第1スポットサイズ変換部41aの光導波路70側とは反対の方向に向かって幅が狭まりながら延びている。メサ部41dは、第1スポットサイズ変換部41aの光導波路70側とは反対の方向の端部には到達しておらず、第1スポットサイズ変換部41a内の途中の位置まで延びている。
テラス部41bでは、基板50上に下クラッド層51が配置され、下クラッド層51上にはコア層58が配置され、コア層58上には第3上クラッド層59が配置される。また、第3上クラッド層59上には第2上クラッド層56が配置され、第2上クラッド層56上にはコンタクト層57が配置される。
テラス部41bの側面は、埋め込み層60により埋め込まれている。埋め込み層60は、対向部41c以外の部分ではテラス部41bの両脇の一定の距離ではテラス部41bと同じ厚さで形成され、テラス部41bから一定の距離を離れると厚さが薄くなる。テラス部41bの上には、埋め込み層60は形成されない。
図30B及び図31Bに示すように、出力部45は、第2スポットサイズ変換部45a及び第2スポットサイズ変換部45aを挟んで対向する一対のテラス部45bを有する。第2スポットサイズ変換部45aは、一対のテラス部45b間に埋め込まれた埋め込み半導体層45eにより形成される。一対のテラス部45bにおける第2スポットサイズ変換部45aを挟んで対向する対向部45cそれぞれは、[011]方向に対して傾斜した向きの部分を有している。これらの構造は、上述した入力部41と同様の構造を有する。一方、第2スポットサイズ変換部45aには、コア層を有するメサ部が配置されていない。即ち、第2スポットサイズ変換部45aには、光を閉じ込めて伝搬するためのコア層は配置されていない。第2光増幅部44から第2スポットサイズ変換部45aに入力した光は、第2スポットサイズ変換部45a内を自由伝搬して、光のスポットサイズが大きく変換されて外部へ出力される。
次に、第2スポットサイズ変換部45aにコア層を有するメサ部が配置されていない理由を以下に説明する。これは、第2スポットサイズ変換部45aの端面で反射した光が再び第2光増幅部44に入力される戻り光を低減するためである。第2スポットサイズ変換部45aがコア層を有していると、第2スポットサイズ変換部45aの端面の反射による戻り光が多くなる。コア層がなくても第2スポットサイズ変換部45aの端面からの光の反射は起きるが、反射した光は拡がりながら第2光増幅部44に向かって伝搬するので、第2光増幅部44への戻り光を低減できる。
出力部45は、メサ部及びチャネルの数を除いては、入力部41と同様の構造を有する。従って、上述した入力部41に関する説明は、出力部45に対しても適宜適用される。
次に、第1光増幅部42の構造について、以下に説明する。
図32に示すように、第1光増幅部42のメサ部42aでは、基板50上に下クラッド層51が配置され、下クラッド層51上には下SCH(Separate Confinement Heterostructure)層52が配置される。下SCH層52上には活性層53が配置され、活性層53上には上SCH層54が配置され、上SCH層54上には第1上クラッド層55が配置される。第1上クラッド層55上には第2上クラッド層56が配置され、第2上クラッド層56上にはコンタクト層57が配置される。
メサ部42aの両側は、埋め込み層60により埋め込まれている。埋め込み層60は、メサ部42aの両脇の一定の距離ではメサ部42aと同じ厚さで形成され、メサ部42aから一定の距離を離れると厚さが薄くなる。メサ部42aの上には、埋め込み層60は形成されない。メサ部42aと埋め込み層60とにより、光導波路70が形成される。
外部からの光のスポットサイズを変換する入力部41の第1スポットサイズ変換部41aを伝搬した光は、光導波路70を経て第1光増幅部42におけるメサ部42aの活性層53に伝搬する。
メサ部42aでは、図示しない電極により電流が供給された活性層53は、入力した光を増幅して出力する。一方、電流が供給されないメサ部42aの活性層53では、入力した光が吸収されて出力されない。
第1光増幅部42は、8つのメサ部42aの内の何れか1つ又は複数に電流を供給することにより、電流が供給されたチャネルを伝搬する光のみが光結合器部43に出力される。
第2光増幅部44は、チャネルの数を除いては、第1光増幅部42と同様の構造を有する。従って、上述した第1光増幅部42に関する説明は、第2光増幅部44に対しても適宜適用される。
次に、光結合器部43の構造について、以下に説明する。
光結合器部43における8つの光導波路43a及び結合器本体部43b及び1つの光導波路43cは、同様のメサ構造を有する。そこで、光導波路43cを例にして、その構造を以下に説明する。
図33に示すように、光導波路43cは、基板50上に下クラッド層51が配置され、下クラッド層51上にはコア層58が配置され、コア層58上には第3上クラッド層59が配置される。また、第3上クラッド層59上には第2上クラッド層56が配置され、第2上クラッド層56上にはコンタクト層57が配置される。
光導波路43cの両側は、埋め込み層60により埋め込まれている。埋め込み層60は、光導波路43cの両脇の一定の距離では光導波路43cと同じ厚さで形成され、光導波路43cから一定の距離を離れると厚さが薄くなる。光導波路43cの上には、埋め込み層60は形成されない。
第1光増幅部42のメサ部42aを伝搬した光は、光導波路43aのコア層58に入力される。結合器本体部43bのコア層58には、8つの光導波路43aの内の何れか1つ又は複数から光が入力され、入力した光が光導波路43cのコア層58に出力される。結合器本体部43bとしては、例えば、FFC(Fieid Flattened Coupler)又は多モード干渉カプラを用いることができる。
次に、上述した光半導体集積素子40の好ましい製造方法の一実施形態を、図面を参照して、以下に説明する。
まず、下クラッド層51と、下SCH層52と、活性層53と、上SCH層54と、第1上クラッド層55とが、(100)面を有する半導体の基板50上に順番に形成される。本実施形態では、MOVPE法を用いて、半導体結晶の各層の形成を行った。基板50としては、n−InPを用いた。下クラッド層51は、n型の導電性を有するn−InPを用いて形成され、厚さは0.3μmであった。下SCH層52は、組成波長1.1μmのn型の導電性を有するn−InGaAsPを用いて形成され、厚さは0.03μmであった。
活性層53としては、量子井戸構造を用いた。量子井戸構造は、アンドープのi−InGaAsP井戸層、及び、アンドープのi−InGaAsPバリア層を用いて形成された。ここで、i−InGaAsP井戸層は、組成波長1.55μm、厚さ5nmとした。また、i−InGaAsPバリア層は、組成波長1.2μm、厚さ6nmとした。量子井戸構造の積層数は4層とした。上SCH層54は、組成波長1.1μmのp型の導電性を有するp−InGaAsPを用いて形成され、厚さは0.03μmであった。第1上クラッド層55は、p−InPを用いて形成され、厚さは0.05μmであった。
また、図34には、将来、入力部41が形成される領域がK1で示され、第1光増幅部42が形成される領域がK2で示され、光結合器部43が形成される領域がK3で示され、第2光増幅部44が形成される領域がK4で示され、出力部45が形成される領域がK5で示されている。
次に、図35に示すように、領域K2及び領域K4の第1上クラッド層55の上にマスク62が形成される。マスク62は、マスクパターニング技術を用いて形成され得る。マスク62の形成材料としては、例えば、酸化ケイ素を用いることができる。そして、マスク62を用いて、第1上クラッド層55と、上SCH層54と、活性層53と、下SCH層52とがエッチングされて、領域K1、K3、K5における下クラッド層51が露出する。エッチング法としては、例えば、ウェットエッチングやプラズマエッチング等のドライエッチングを用いることができる。
次に、図36に示すように、領域K1、K3、K5において、コア層58と、第3上クラッド層59とが、順番に下クラッド層51上に形成される。本実施形態では、MOVPE法を用いて、半導体結晶の各層の形成を行った。コア層58は、組成波長1.3μmのi−InGaAsPを用いて形成され、厚さは0.11μmであった。第3上クラッド層59は、i−InPを用いて形成され、厚さは0.05μmであった。コア層58及び第3上クラッド層59は選択成長により、下クラッド層51上に形成されるので、マスク62上には成長しない。コア層58と活性層53とは、突合せ接合する。そして、マスク62が除去される。
次に、図37に示すように、領域K1〜K5に亘って、第2上クラッド層56と、コンタクト層57とが順番に形成される。本実施形態では、MOVPE法を用いて、半導体結晶の各層の形成を行った。第2上クラッド層56は、p−InPを用いて形成され、厚さは1.95μmであった。コンタクト層57は、p−InGaAsを用いて形成され、厚さは0.3μmであった。
次に、図38〜図40に示すように、第1光増幅部42のメサ部42a及びメサ部42aを伝搬する光の導波方向に位置する領域Vを挟んだ入力部41の一対のテラス部41bが形成される。一対のテラス部41bは、その間隔が一定ではなく変化するように形成される。また、メサ部42a及び一対のテラス部41bと共に、光結合器部43の光導波路43a及び結合器本体部43b及び光導波路43cと、第2光増幅部44のメサ部44aと、出力部45の一対のテラス部とが形成される。このようにして、一方向に延びる形状を有するメサ部42aと、メサ部42aからメサ部42aとは反対の方向に向かってメサ部42aの長手方向に沿って延びる領域を挟んだ一対のテラス部41bとが形成される。
ここで、図39Aは、図38AのF1−F1線拡大断面図である。図40は、図38のF2−F2線拡大断面図である。また、図39Bは、図38BのF3−F3線拡大断面図である。
具体的には、領域K1及び領域K2では、図38A及び図39Aに示すように、一対のテラス部41bが形成されるコンタクト層57の部分の上にマスク63が形成されるのと共に、メサ部41d及びメサ部42aが形成されるコンタクト層57の部分の上にマスク64が形成される。マスク63,64の形成材料としては、例えば、酸化ケイ素を用いることができる。同様に、光結合器部43の光導波路43a及び結合器本体部43b及び光導波路43cの上にマスク(図示せず)が形成される。また、領域K4及びK5では、図38B及び図39Bに示すように、第2光増幅部44のメサ部44aが形成されるコンタクト層57の部分の上にマスク66が形成され、出力部45の一対のテラス部が形成されるコンタクト層57の部分の上にマスク65が形成される。
そして、領域K1及び領域K2ではマスク63,64等を用いて、コンタクト層57及び第2上クラッド層56及び第3上クラッド層59及びコア層58及び上SCH層54及び活性層53及び下SCH層52及び下クラッド層51がエッチングされて、基板50が露出する。
マスク63は、図30Aで説明したように、領域Vが形成される部分に面して、[011]方向に対して傾斜した向きの部分を有する。具体的には、マスク63は、図30で説明したように、[011]方向から[0−11]方向に向かって55°の向きの部分と、[011]方向から[0−11]方向に向かって145°の向きの部分とを有する。
このようなマスク63を用いて形成される一対のテラス部41bは、領域Vを挟んで対向する対向部41cが、[011]方向に対して傾斜した向きの部分を有する。具体的には、対向部41cは、図30Aで説明したように、面61aと面61bとが交互に配置されて形成されおり、三角波状のパターンを有する。テラス部41bの基板50の[011]方向の長さは100μmであった。対向部41cにおける三角波状のパターンの深さは、2μmであった。また、対向部41c同士の間の最短の距離は、10μmであった。
出力部45の一対のテラス部も、上述した入力部41の一対のテラス部41bと同様に形成された。
次に、図41〜図43に示すように、領域K1及び領域K2では、一対のテラス部41bにおける対向部41c側の領域上にマスク63を残して、その他のテラス部41dの領域上のマスク63が除去される。このように、一対のテラス部41bにおける対向部41c側の所定の範囲を除いてマスク63が除去される。同様に、領域K4及び領域K5でも、一対のテラス部45bにおける対向部45c側の所定の範囲を除いてマスク65が除去される。
ここで、図42Aは、図41AのG1−G1線拡大断面図である。図43は、図41のG2−G2線拡大断面図である。また、図42Bは、図41BのG3−G3線拡大断面図である。
そして、一対のテラス部41bの間のメサ部41dを含む領域Vを埋め込むように埋め込み半導体層41eを形成すると共に、第1光増幅部42におけるメサ部42aの両側に半導体の埋め込み層60が形成される。埋め込み半導体層41eは、対向部41cそれぞれから上方に盛り上がって成長した後に、対向する方向に向かって成長し合体するので、第1スポットサイズ変換部41aの上端の位置は、第1光増幅部42のメサ部42aの上端の位置よりも高く形成される。
また、埋め込み層60は、メサ部42aの両側をメサ部42aの両脇の一定の距離ではメサ部42aと同じ厚さで形成され、メサ部42aから一定の距離を離れると厚さが薄くなるように形成される。埋め込み層60は、テラス部41bの外側の側面を埋め込むようにも形成される。
本実施形態では、MOVPE法を用いて、半導体結晶の埋め込み半導体層41e及び埋め込み層60の形成を行った。埋め込み半導体層41e及び埋め込み層60は、同時に形成される。埋め込み半導体層41e及び埋め込み層60は、半絶縁性半導体のFeを添加したInPを用いて形成された。埋め込み半導体層41eの上端の位置は、第1光増幅部42のメサ部42aの上端の位置よりも3μm高く形成された。なお、第1光増幅部42のメサ部42aの上端の位置は、光結合器部43のメサ構造及び第2光増幅部44のメサ部44aの上端の位置と一致している。
また、本実施形態のMOVPE法では、塩素を含むプロセスガスを用いて、埋め込み半導体層41e及び埋め込み層60が形成された。具体的には、埋め込み半導体層41e及び埋め込み層60を形成するプロセスガスとしては、塩素を含むガスの原料としての1,2−ジクロロエチレンと、半絶縁性半導体のInPを形成する原料としてのトリメチルインジウム(TMI)及びフォスフィン及びフェロセンとを用いた。
同様に、領域K5では、出力部45の第2スポットサイズ変換部45aを形成する埋め込み半導体層45eが、上述した入力部41の第1スポットサイズ変換部41aに形成する埋め込み半導体層41eと同時に同様に形成される。ここで、埋め込み半導体層41eと埋め込み半導体層45eとは、同じ半導体を用いて形成される。また、光結合器部43の光導波路43a及び結合器本体部43b及び光導波路43c並びに第2光増幅部44のメサ部44aそれぞれの両側が、埋め込み層60によって埋め込まれる。そして、マスク63〜66等が除去される。
そして、金属蒸着又はメッキ技術を用いて、第1光増幅部42のメサ部42a及び第2光増幅部44のメサ部44aのコンタクト層57上に、第1電極(図示せず)が形成される。また、基板50の裏面に第2電極(図示せず)が形成される。そして、第1電極以外の部分が、誘電体等により形成されるパッシベーション膜(図示せず)で覆われる。このようにして、図28〜図33に示す光半導体集積素子が得られる。
上述した本実施形態の光半導体集積素子40によれば、光を外部から入力する入力部41では、第1スポットサイズ変換部41aの上端の位置が第1光増幅部42のメサ部42aの上端の位置よりも高いので、光半導体集積素子40の外部から入力された光のスポットサイズと、第1光増幅部42の光のスポットサイズとの相違に起因した光の結合損失が抑制される。同様に、光を外部に出力する出力部45では、光半導体集積素子40の外部に出力される光のスポットサイズと、第2光増幅部44の光のスポットサイズとの相違に起因した光の結合損失が抑制される。
また、上述した本実施形態の光半導体集積素子の製造方法によれば、塩素系ガスを含むプロセスガスを用いて、入力部41の埋め込み半導体層41e及び出力部45の埋め込み半導体層45eを形成できる。このようにして、スポットサイズの相違に起因した光の結合損失を抑制する光半導体集積素子40が得られる。
また、上述した本実施形態の光半導体集積素子の製造方法によれば、メサ構造の長手方向の向きが、[011]方向成分及び[0−11]方向成分を有していても、埋め込み層60が、メサ構造の両側からメサ構造のコンタクト層の上方に被さるように形成されることはない。従って、本実施形態の光半導体集積素子の製造方法によれば、光半導体集積素子の設計の自由度を制限することがない。
このような製造方法を用いれば、光ファイバとの光の結合損失を低減するスポットサイズ変換部を光半導体集積素子にモノリシック集積することが可能である。
次に、上述した第2実施形態の光半導体集積素子の変型例を、図面を参照して、以下に説明する。同一の要素は、同一の符号で示されている。
図44は、本明細書に開示する光半導体集積素子の製造方法の第2実施形態の変型例を示す図である。図45は、図44のH−H線拡大断面図である。
本変型例の光半導体集積素子40aは、光結合器部43のメサ構造が、埋め込み層によって埋め込まれていない点が、上述した第2実施形態とは異なっている。
図45に示すように、光結合器部43の光導波路43cは、埋め込み層によって埋め込まれていない。光導波路43cは、空気によって埋め込まれている。上述した第2実施形態では、図33に示すように、光結合器部43の光導波路43cは、埋め込み層60により埋め込まれていた。
本変型例の光半導体集積素子40aでは、光導波路43cと同様に、光導波路43a及び結合器本体部43bも空気によって埋め込まれている。
本変型例の光半導体集積素子40aでは、光結合器部43のメサ構造が、空気によって埋め込まれているので、光結合器部43のコア層58と空気との大きな屈折率の差によって、光を光結合器部43のコア層58に閉じ込めることができる。そのため、光結合器部43のメサ構造の寸法を小さくすることが可能である。
なお、光結合器部43のメサ構造を、空気の代わりに低誘電率の有機材料を用いて埋め込んでも、同様の効果が得られる。また、光導波路43aにおける第1光増幅部42のメサ部42a側の一部分が半導体の埋め込み層60によって埋め込まれていても良い。また、光導波路43cにおける第2光増幅部44のメサ部44aの一部分が半導体の埋め込み層60によって埋め込まれていても良い。
本発明では、上述した光半導体素子及び光半導体素子の製造方法は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更が可能である。また、一の実施形態が有する構成要件は、他の実施形態にも適宜適用することができる。
例えば、上述したスポットサイズ変換部を備えた光半導体集積素子は、光検出部又は光増幅部と共にパッシブ光導波路が集積されていたが、光半導体集積素子は、スポットサイズ変換部と共にパッシブ光導波路のみが集積されていても良い。
また、スポットサイズ変換部を備えた光半導体集積素子は、半導体レーザ又は半導体光変調器を有する光機能素子等をモノリシックに集積していても良い。
また、上述した光半導体集積素子では、スポットサイズ変換部又は埋め込み層が、Feを添加した半絶縁性半導体のInPを用いて形成されており、電子を捕獲する半絶縁性半導体を用いていた。しかし、スポットサイズ変換部又は埋め込み層は、RuドープInP、TiドープInP等の正孔を捕獲する半絶縁性半導体を用いて形成しても良い。
また、上述した光半導体集積素子の製造方法では、有機塩素系原料として1,2−ジクロロエチレンを用いた説明を行ったが、有機塩素系原料としては、例えば、塩化メチル、塩化エチル、1,2−ジクロロエタン、1,2−ジクロロプロパン等の他の有機塩素系原料を用いても良い。
更に、光半導体集積素子を形成する化合物半導体としては、上述した材料以外にも、AlGaInAs,AlGaInP,InGaP,InGaAs,InGaAsN,InGaAsSb等の混晶半導体を用いても良い。
ここで述べられた全ての例及び条件付きの言葉は、読者が、発明者によって寄与された発明及び概念を技術を深めて理解することを助けるための教育的な目的を意図する。ここで述べられた全ての例及び条件付きの言葉は、そのような具体的に述べられた例及び条件に限定されることなく解釈されるべきである。また、明細書のそのような例示の機構は、本発明の優越性及び劣等性を示すこととは関係しない。本発明の実施形態は詳細に説明されているが、その様々な変更、置き換え又は修正が本発明の精神及び範囲を逸脱しない限り行われ得ることが理解されるべきである。
以上の上述した各実施形態に関し、更に以下の付記を開示する。
(付記1)
(100)面を有する半導体基板上に形成され、光を伝搬するコア層を有する導波路部と、
前記半導体基板上に形成され、前記導波路部と光学的に接続しており、伝搬する光の径を変換するスポットサイズ変換部と、
前記半導体基板上に形成され、前記スポットサイズ変換部を対向して挟む一対のテラス部と、
を備え、
前記一対のテラス部における前記スポットサイズ変換部を挟んで対向する対向部は、その間隔が変化しており、且つ[011]方向に対して[0−11]方向に傾斜した向きの部分を有しており、
前記スポットサイズ変換部の上端の位置は、前記導波路部の上端の位置よりも高くなっている光半導体素子。
(付記2)
前記一対のテラス部の間隔が拡大及び縮小を繰り返している付記1に記載の光半導体素子。
(付記3)
前記スポットサイズ変換部における前記導波路部の上端よりも高い部分が、前記対向部における[011]方向に対して[0−11]方向に傾斜した向きの部分に対応する形状を有している付記1又は2に記載の光半導体素子。
(付記4)
前記一対のテラス部の前記対向部は、[011]方向から[0−11]方向に向かって、30度〜85度の間に傾斜した部分を有する付記1〜3の何れか一項に記載の光半導体素子。
(付記5)
前記一対のテラス部の前記対向部は、[011]方向から[0−11]方向に向かって、40度〜50度の間に傾斜した部分を有する付記4に記載の光半導体素子。
(付記6)
前記一対のテラス部の前記対向部は、[011]方向から[0−11]方向に向かって、45度に傾斜した部分を有する付記4又は5に記載の光半導体素子。
(付記7)
前記スポットサイズ変換部は、前記コア層が延びた第2のコア層を有している付記1〜6の何れか一項に記載の光半導体素子。
(付記8)
前記第2のコア層は、前記導波路部側の端部の幅が前記導波路部とは反対側の端部の幅よりも広い付記7に記載の光半導体素子。
(付記9)
前記第2のコア層は、前記スポットサイズ変換内で、前記導波路部側から前記スポットサイズ変換部の前記導波路部側とは反対の方向の端まで延びている付記7又は8に記載の光半導体素子。
(付記10)
前記一対のテラス部における前記対向部の間の最短の距離が、20μm以下である付記1〜9の何れか一項に記載の光半導体素子。
(付記11)
前記コア層の延びる向きは、[011]方向成分及び[0−11]方向成分を有する付記1〜10の何れか一項に記載の光半導体素子。
(付記12)
(100)面を有する半導体基板上に、一方向に延びる形状を有するメサ部と、前記メサ部から前記メサ部とは反対の方向に向かって前記メサ部の長手方向に沿って延びる領域を挟んだ一対のテラス部とを形成する工程であって、前記一対のテラス部における前記領域を挟んで対向する対向部が、[011]方向に対して[0−11]方向に傾斜した向きの部分を有するように、メサ部と一対のテラス部とを形成する工程と、
前記一対のテラス部の間の前記領域に第1半導体層を形成すると共に、前記メサ部の少なくとも一部の両側に前記メサ部を埋め込む第2半導体層を形成する工程であって、前記第1半導体層の上端の位置を前記メサ部の上端の位置よりも高く形成する、第1及び第2半導体層を形成する工程と、
を備える光半導体素子の製造方法。
(付記13)
前記メサ部と前記一対のテラス部とを形成する工程では、前記対向部の間隔が変化するように前記一対のテラス部を形成する付記12に記載の光半導体素子の製造方法。
(付記14)
前記メサ部と前記一対のテラス部とを形成する工程では、前記メサ部及び前記一対のテラス部の上にマスクを形成し且つ前記メサ部が前記領域内に延びるように、マスクを用いて前記メサ部及び前記一対のテラス部を形成し、
更に、前記メサ部と前記一対のテラス部とを形成する工程と、前記第1及び第2半導体層を形成する工程との間に、前記領域内に延びる前記メサ部の部分の上のマスクを除去する工程を備える付記12又は13に記載の光半導体素子の製造方法。
(付記15)
更に、前記メサ部と前記一対のテラス部とを形成する工程と、前記第1及び第2半導体層を形成する工程との間に、前記一対のテラス部における前記対向部側の所定の範囲を除いてマスクを除去する工程を備える付記12〜14の何れか一項に記載の光半導体素子の製造方法。
(付記16)
前記第1及び第2半導体層を形成する工程では、塩素を含むガスを用いて前記第1半導体層及び前記第2半導体層を形成する付記12〜15の何れか一項に記載の光半導体素子の製造方法。