JP5056423B2 - 双方向光送受信モジュール、光送受信器、及び双方向光送受信モジュール製造方法 - Google Patents

双方向光送受信モジュール、光送受信器、及び双方向光送受信モジュール製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、双方向光送受信モジュール等に係り、特に低コストで高性能な分波特性を備えた双方向光送受信モジュール、光送受信器及びその製造方法及び双方向光送受信モジュール製造方法に関する。
一芯の光ファイバに相異なる2波長の光を双方向に伝送し、同時双方向通信を行なう双方向光送受信モジュールが提案されている。例えば、図16(特許文献1の図1に対応)に示す双方向光送受信モジュールは、光導波路基板101と、この光導波路基板101上にV字型に配設された第1の光導波路104及び第2の光導波路105と、この第1及び第2の光導波路104,105の交差部(図16の右端部)にほぼ垂直な切断面をなして設置された端面102と、この端面102に当接された多層膜光フィルタ103とを備えている。
更に、この双方向光送受信モジュールは、前記第2の光導波路105の外端面に光接続された光ファイバ107と、前記多層膜光フィルタ103に対向して配置された受光部(受光素子)106と、前記第1の光導波路104の外端面に光接続された発光素子108とを示す。符号111は光学樹脂層を示す。
この図16に示すモジュールでは、まず、第1の波長光Aに着目すると、発光素子108から第1の波長光Aが第1の光導波路104に射出されると、多層膜光フィルタ103で反射され第2の光導波路105を通り光ファイバ7へ送り出される。次に、第2の波長光Bが光ファイバ7を介して第2の光導波路105に入射されると、この第2の波長光Bの場合は、多層膜光フィルタ103を透過して受光部106に到達し電気信号に変換・検出される。
このようにして、波長の異なる二つの光を使って、1芯の光ファイバで双方向の通信を行なうことができる。このとき、第1の波長光Aは透過せずに反射し、第2の波長光Bは透過するが反射しないという波長の違いによる選択的な動作が多層膜光フィルタ103で実行される(多層膜光フィルタ103の分波特性)。この多層膜光フィルタ103の分波特性は、理想特性からずれると不必要な第1の波長光Aの透過等の送受信間の混信(漏話)を引き起こすので、このモジュールの性能にとって重要な特性となっている。
又、図17(特許文献2の図1に対応)に示す双方向光送受信モジュールでは、光導波路基板201上にクラッド層203を設け、その中央部内に前記光導波路基板201に沿ってV字型光導波路223が設置され、先端面に配置されるV字型光導波路223の交差部に当接して誘電体多層膜フィルタ214が装備され、これによって分波ユニット(図17(a))が構成されている。ここで、符号215は半田膜を示す。この図17(a)に開示された分波ユニットは、図17(b)上に積層されるようになっている。符号204は位置合わせマークを示す。
図17(b)は、前述した分波ユニットを保持するもう一方のユニット(図面右側)であり、これを組合せて双方向光送受信モジュールが構成されている。
この図17(b)では、マルチモード直線光導波路基板251上で、手前側に、前述した分波ユニットを設置する位置合わせ領域が設けられ、前記直線光導波路基板251上の奥側にオーバクラッド層233が積層され、その中に直線光導波路221aを収納装備され、前記オーバクラッド層233の奥側の端面に1310〔nm〕遮断多層膜フィルタ214aが設置されている。そして、この1310〔nm〕遮断多層膜フィルタ214aに対向して受信用フォトダイオード210とサブマウント252が順次積層された状態に組み立てられている。
この図17の例にあっては、実際には直線光導波路基板251の図17における手前側に直線光導波路基板251自身が延設され、この延設された領域に前記V字状光導波路223に係合する光ファイバーと発光素子が装備されるようになっている。即ち、この例では、光ファイバ固定用V溝を備えたもう一方のユニット(図面右側)を組合せて双方向光送受信モジュールが構成されるようになっている。そして、ここでも、上述した図16の例と同様に、波長の違いによる選択的な動作を行なう誘電体多層膜フィルタ214aが使用されている。ここで、符号207はダイシング溝を示し、符号212は凹みを示し、符号215aは半田膜を示し、符号204は位置合わせマークを示す。
特開2004−287186 特開2002−31748
上述した二つの関連する技術は、光送受信モジュールの構造は異なっているが、これら誘電体多層膜フィルタは、その形成方法が何ら具体的には開示されていないことから、光導波路基板を分離するためのダイシング面に直に形成されているものと解し得る。かかる場合、ダイシング面に形成された誘電体多層膜フィルタは、ダイシング時に生じるダイシング面の表面荒れの影響を回避することが困難な場合が多く、十分な分波特性を得ることが出来ないという不都合がある。
本発明の目的は、双方向光送受信モジュールの分離工程における切断面の荒れが分波特性に与える影響を回避し、所望の分波特性を簡素な構成と低コストな製作方法で安定的に得ることが出来る双方向光送受信モジュール、光送受信器、および光送受信モジュール製造方法を提供することにある。
前記目的を達成するため、本発明に係る双方向光送受信モジュールは、一芯光ファイバによる二波長光の同時双方向通信を行なうための発光素子と、前記発光素子に結合され、基板上に形成された双方向性光導波路と、前記光導波路の折返し構造の端面に形成され、前記発光素子からの送信光を反射する特性と外部からの受信光を透過させる特性とを備えた誘電体多層膜フィルタとを有し、
前記光導波路の折返し構造の端面は、前記基板の端面に対して内側に後退した位置に配置されていることを特徴とするものである。
本発明に係る双方向光送受信器は、双方向光送受信モジュールと、前記双方向光送受信モジュールへ光信号を入力する発光素子を外部から送信用電気信号をもって駆動制御する発光素子駆動制御手段と、前記双方向光送受信モジュールからの受信光信号を受信素子で光電変換した受信信号を外部へ向けて出力する受信信号出力手段とを有し、
前記双方向モジュールは、
一芯光ファイバによる二波長光の同時双方向通信を行なうための発光素子と、
前記発光素子に結合され、基板上に形成された双方性光導波路と、
前記光導波路の折返し構造の端面に形成され、前記発光素子からの送信光を反射する特性と外部からの受信光を透過させる特性とを備えた誘電体多層膜フィルタとを有し、
前記光導波路の折返し構造の端面は、前記基板の端面に対して内側に後退した位置に配置されていることを特徴するものである。
本発明に係る双方向光送受信モジュールの製造方法は、基板上に双方向性導波路を形成し、前記光導波路の折返し構造の位置に前記光導波路に対して垂直な端面を前記基板の端面から内側に後退させた位置に形成することを特徴とするものである。
本発明によると、滑らかな端面を形成できるので、その上に形成される誘電体多層膜のフィルタは高性能な分波特性を有し、送信光が受信光に混入しない高性能な双方向光送受信モジュールを、またこれを利用した双方向光送受信器を、更には簡素な構成と低コストな双方向光送受信モジュールの製造方法を安定的に提供することができる。
次に、本発明にかかる一実施形態を、図1に基づいて説明する。
図1において、本実施形態における双方向光送受信モジュールは、一芯光ファイバによる二波長光の同時双方向通信を行なうための発光素子である半導体レーザ4と、この半導体レーザ(発光素子)4に係合されたV字状光導波路2とが例えばSi基板1上に装備され、前記V字状光導波路2の交差部位置の端面12に敷設され前記半導体レーザ(発光素子)4からの送信光を反射する特性と外部からの受信光を透過させる特性とを備えた誘電体多層膜である誘電体多層膜フィルタ3とを備えている。
この双方向光送受信モジュールは、更に、前記V字状光導波路2の交差部に位置する前記端面12がエッチングで形成され、この端面12と同一の側面で当該端面12よりも外部に向けて突設した位置に前記基板1のダイシング面15が形成されている。なお、端面12とダイシング面15とは、段差1Aの幅寸法だけずれた位置に存在している。
このため、基板ダイシングと端面形成を同時に行なっていた方法とは異なり、端面12がエッチングによって滑らかに形成され、更に、基板ダイシング時にダイシング器具がその端面12に接触しないような段差1Aの構造を備えているので、ダイシング時にダイシング器具が前記端面12に接触するのを防止する。このため、加工時に端面12が荒れるのを有効に回避することができ、分波特性に与える悪影響を回避され、品質のよい誘電体多層膜(誘電体多層膜フィルタ3)が形成でき、簡素な構成と低コストな作成方法で所望の分波特性を安定的に得ることができる。
以下、これを更に詳述する。図1は、波長の異なる2つの光(1310nm、1490nm)を使って、1芯の光ファイバで双方向通信を行なう機能を備えた本双方向光送受信モジュールを模式的に示すものである。
符号1はSi基板を示す。このSi基板1上には、断面が矩形に形成されたV字状光導波路2が形成されている。そして、このV字状光導波路2,2の交差位置には、滑らかな端面12が形成され、端面12には、誘電体多層膜フィルタ3が形成されている。さらに、端面12は、基板1の端面15に対して距離Lだけ後退(引っ込んだ)した位置に配置されている。端面12に誘電体多層膜フィルタ3が形成される工程において、図1,図11及び図12に示すように、端面15に、誘電体多層膜フィルタ3と同材の誘電体膜3aが形成される。
一方のV字状光導波路2の一端には発光素子としての半導体レーザ(光源)4が光結合され、他方のV字状導波路2の他端には光ファイバ6が光結合されている。更に図1,図11及び図12に示すように、V字状光導波路2の交差部に形成された誘電体多層膜フィルタ3に対向させて、受光素子としてのフォトダイオード5が基板1の端面15の誘電体膜3aに取り付けられて基板1の端面15側に配置されている。
このV字状光導波路2は、Si基板1上に、少なくとも下部クラッド層(屈折率n1)、コア層(屈折率n2)、上部クラッド層(屈折率n3)を順次有し、横方向への光の伝播を抑えた断面矩形のV字状状の光導波路として構成されている。ここで、各層の屈折率の関係は、n1<n2で、且つn2>n3である。
誘電体多層膜フィルタ3は、波長の異なる2つの光の一方は反射し、他方は透過するという分波機能を備えるように、V字状光導波路2の交差部位置の垂直な端面12上に薄膜形成技術によって形成されている。このとき端面12に荒れがあると、この分波特性が劣化し、微弱な受信光に送信光が混入し、この双方向光送受信モジュールの受信S/N(信号対雑音比)特性が劣化してしまう。
そこで、本実施形態においては、関連する技術に見られるような光導波路端面形成工程と光送受信モジュール分離工程とを一つの分離(ダイシング)工程によって一体的に形成するのではなく、光導波路端面形成工程を光送受信モジュール分離工程とは別の独立した工程としている。
即ち、前述の光導波路が交差する位置に、ドライエッチングでなめらかな端面12を先ず形成し、その後、この端面12にダイシング器具が接触しないように光送受信モジュール基板1を分離する。すなわち、端面12は、基板1の端面15に対して距離Lだけ後退(引っ込んだ)した位置に配置されている。具体的には、端面12と基板1の分離(ダイシング)面である端面15との間には、少なくとも3〔μm〕程度(若しくはそれ以上)の段差1A(幅寸法L)が設けられている(図7参照)。この段差1Aを備えた構造によって、基板1のダイシング時にダイシング器具が前記端面12に接触し当該端面12が荒面となるのが防止されている。
次に、上記した双方向光送受信モジュールの動作を説明する。まず、送信光としての波長1310〔nm〕の光に着目すると、発光素子である半導体レーザ4から波長1310〔nm〕の光が一方のV字状光導波路2に射出されると、誘電体多層膜光フィルタ3で反射されて他方のV字状光導波路2を通り光ファイバ6へ送り出される。
次に、波長1490〔nm〕の光が、光ファイバ6を介して他方のV字状光導波路2に入射されると、誘電体多層膜光フィルタ3を透過して受光部であるフォトダイオード5に到達し電気信号に変換・検出される。このとき、誘電体多層膜光フィルタ3で波長1310〔nm〕の光が全反射せず、透過すると、本来の受信光である波長1490〔nm〕の光と共にフォトダイオード5に入り、妨害雑音となり、本光モジュールの特性を劣化させるので、上述したような本実施形態に特有の構成をもって高性能の分波特性を実現し、受信品質を維持している。
尚、通信相手方の光送受信器にも、上記双方向光送受信モジュールと同様のモジュールを利用できるが、そのときは、誘電体多層膜フィルタの分波特性が「逆の特性」、即ち、波長1310〔nm〕の光を透過し、波長1490〔nm〕の光を反射するという特性を備えている必要がある。
以上のような構成を備えた本双方向光送受信モジュールは、光送受信モジュール分離工程と光導波路交差部での端面形成工程とを分離し、段差を設ける、すなわち、V字状導波路2の交差部に位置する端面12を基板1の端面15に対して後退した位置に配置することで、基板1の端面15をダイシングする際にダイシングによる影響を端面12に与えないようにしたので、端面12に形成される誘電体多層膜フィルタの分波特性を格段に向上でき、双方向光送受信モジュールとして優れた特性を得ることができる。
(製造方法)
次に、図2乃至図13に基づいて本実施形態における双方向光送受信モジュールの製造方法について説明する。
図2は、双方向光送受信モジュールの製造方法における各工程を表したフローチャートである。又、図3乃至図12は、図2の各工程に対応した模式図である。
前述した双方向光送受信モジュールは、まず、基板(シリコン基板:Si基板)1上にV字状導波路2を形成する導波路形成工程と、この形成された前記V字状光導波路2の交差部位置に前記V字状光導波路2に対して垂直な端面12をエッチングで形成する端面形成工程と、この形成された端面12に対して当該端面12と同一の側面で且つ当該端面12よりも外部に向けて突設した位置にて前記基板1をダイシング加工するダイシング加工工程と、このダイシング加工後に、前記端面12に送信光波長を反射し且つ受信光波長を透過せしめる誘電体多層膜(誘電体多層膜フィルタ)3を形成する誘電体多層膜形成工程とを備えている。
これにより、基板ダイシングと端面形成を同時に行なっていた製作方法とは異なり、エッチングによって端面が形成されるのでその端面は滑らかであり、さらにその端面にダイシング器具が接触しないような段差構造をつくりダイシングしているので、切断面の荒れがあっても分波特性に与える影響が回避され、品質のよい誘電体多層膜が形成でき、簡素な構成と低コストで所望の分波特性を備えた光送受信モジュールを安定的に得ることができる。
ここで、上述したダイシング加工工程では、基板1を分離しない程度の浅いダイシング加工にとどめて置き、前記誘電体多層膜形成工程では、前記誘電体多層膜3の形成をウェハ一括処理で行なうようにすると共に、その後に、完全分離加工を実行するように構成してもよい(図13参照)。
又、この双方向光送受信モジュールの製造手順にあっては、上述した場合と同様に、まず、基板1上にV字状導波路2を形成する導波路形成工程と、この形成された前記V字型光導波路2の交差部位置に前記V字状光導波路2に対して垂直な端面12(図7の右側面)をエッチングで形成する端面形成工程と、前記端面12に送信光波長を反射し且つ受信光波長を透過せしめる誘電体多層膜3の形成をウェハ一括処理で行なう誘電体多層膜形成工程と、この形成された端面12に対して当該端面12と同一の側面で且つ当該端面12よりも外部に向けて突設した位置にて前記基板1をダイシング加工するダイシング加工工程と、を備えた構成としてもよい。
以下、これについて更に詳述する。
図2のステップS101からステップS103の手順によって、まず、V字状光導波路2が形成される(V字状光導波路形成工程A)。
即ち、図3に示すように、Si基板上1にPSG(リン添加シリカガラス)、GPSG(ゲルマニウム・リン添加ガラス)の順に堆積させ、下部クラッド層7(屈折率n1)、コア層8(屈折率n2)を形成し、さらに、コア断面矩形のV字状導波路2を形成すべき位置にレジストパターンA9を形成する(V字状導波路形成工程1:前工程、ステップS101)。
次に、図4に示す様にレジストパターンA9をマスクとしてドライエッチングによりV字状導波路2のコアにパターンを転写する(V字状導波路形成工程B:コア形成工程、ステップS102)。
次に、図5に示すように、PSG(リン添加シリカガラス)を堆積させて上部クラッド層10(屈折率n3)を形成し、その内部にV字状導波路2が形成される(V字型導波路形成工程C:上部クラッド層形成工程、ステップS103)。
次に、図6と図7に示すように、半導体レーザ4、及び光ファイバ6の設置予定位置に、各々V字状光導波路2との光接続を可能とするように上部クラッド層10に垂直端面を作成する。同時に、誘電体多層膜フィルタ3を形成するためV字状光導波路2の交差部にも垂直端面を作成する(端面形成工程)。
即ち、図6には、このためのエッチングマスク用のレジストパターンB11を形成する工程を示している(端面形成工程A―レジストパターン形成工程、ステップS104)。又、図7は、このレジストパターンB11をエッチングマスクとして用いて、上部クラッド層10をSi基板1の上面までドライエッチングし、前述した端面を作成する工程を示している(端面形成工程2―エッチング工程、ステップS105)。これによって、V字状光導波路2と半導体レーザ4及び光ファイバ6との光接続をする端面、更に、誘電体多層膜フィルタ3を形成すべき滑らかな端面12を得る。
次に、図8に示すようにレジストパターンB11を除去し、光ファイバ6が適切な位置に配置される様に断面V字型の溝13を形成する(断面V型溝形成工程、ステップS106)。この図8には、本実施形態に係る滑らかな端面12とSi基板1の切断面との段差を説明するために、Si基板の切断シロ14が明示されている。
次に、図9に示すように、ウェハ上に一括形成される双方向光送受信モジュールをV字状導波路の交差部に直角方向(ここでは「縦方向」と呼ぶ)に分離し、双方向光送受信モジュールが横方向に複数個つながったバーの状態にする。このとき、ダイシングにより前述した滑らかな端面12を傷つけないよう、少なくとも3〔μm〕以上の段差が形成されるような位置の切断面A15で分離する(光モジュール縦方向分離工程、ステップS107)。尚、この分離工程は約1〔mm〕の深さにまで及ぶ必要があり、ドライエッチングのみで行なう製法は生産性の点から現実的ではない。
次に、図10に示すように、滑らかな端面12上に誘電体多層膜フィルタ3を周知慣用されるスパッタにより形成する(誘電体多層膜形成工程、ステップS108)。通常、この工程は光モジュールが横方向に複数個並ぶバーの状態で行われるため、これを明示するために横隣の光モジュール16を図中に示した。端面12に誘電体多層膜フィルタ3がスパッタにより形成される工程において、図1及び図10に示すように、端面15には、誘電体多層膜フィルタ3と同材の誘電体膜3aが形成される。
次に、図11に示すように、光モジュールをバーの状態から、「横方向の」ダイシングにより、それぞれの光モジュールに分離する(光モジュール横方向ダイシング工程、ステップS109)。この時、切断面B17が誘電体多層膜フィルタ3と交差すると、誘電体多層膜フィルタ3のカケやハガレを誘発して製品の歩留り低下や信頼性低下を招くので、前述の滑らかな端面12がこの切断面B17と分離されていることが望ましい。このため、前述した端面形成のエッチング工程(ステップS105)において、横方向に隣接する光モジュールの境界の上部クラッド層等もエッチングしておくのが望ましい。
最終的に、図12に示す様に半導体レーザ4、フォトダイオード5、光ファイバ6が所定の位置に配置されることによって(素子配置工程、ステップS110)、本実施形態にかかる誘電体多層膜フィルタ3の分波特性を用いた双方向光送受信モジュールが完成する。本発明の趣旨とは異なるので上記半導体レーザ4、フォトダイオード5等に対する電気配線については詳細を省略するが、適宜、接続されるものとする。
又、図8において滑らかな端面12の形成時に十分に深いエッチングを行うか、若しくは端面12に平行なダイシングを適当な深さで停止することで、図13に示すようにウェハ18の状態のままで誘電体多層模様フィルタ3部分を、一括形成することも可能となっている。
上述した製造方法により、第1の効果は、光モジュールの縦方向分離工程とは別のドライエッチング工程で平滑性の高い端面および誘電体多層膜フィルタを形成することができ、分波特性の優れた双方向光送受信モジュールを提供することができる。
更に、横方向の光モジュール分離工程時に前述した誘電体多層膜フィルタにダイシングの切りシロが接触しないことで、誘電体多層膜フィルタ3のハガレや欠けによる信頼性の低下を防ぐことが可能となり、信頼度の高い双方向光送受信モジュールを高い歩留りで製造することが可能となった。
又、上述した説明では、誘電体多層膜フィルタ3の形成は、光モジュールが縦方向に分離されたバー状態で行なわれるものとして説明したが、図13(a),(b)に示すように、光導波路形成ウェハ18のままで誘電体多層膜フィルタ3を一括形成することも可能である。
そのためには、上述した製作工程において、図7に示す滑らかな端面12形成のエッチング時に、図13(a)に示すように、光導波路形成ウェハ18に端面12及び端面15を形成する際に十分深いエッチングEを行い、次に図13(b)に示すように、前記十分なエッチンングを行った前記ウェハ18を傾けた状態で多層膜原料フロー19を堆積させて誘電体多層膜フィルタ3を端面12及び端面15及びエッチング部Eに亘って形成し、図9に示すダイシング工程を行なわないか、若しくは、図9に示す「光モジュール縦方向分離工程(ステップS107)」において、端面12に平行なダイシングを適切な深さで停止するなどして、光モジュール基板1を分離しない状態で多層薄膜形成をウェハ一括でおこなってもよい。
これにより、ウェハの一括処理による誘電体多層薄膜フィルタの形成ができ、製作時のバー状の光モジュールの搬送、設定等が簡略化できるという効果を奏する。
(双方向光送受信器40について)
上述した双方向光送受信モジュール30は、実際には、図14に示す双方向光送受信器40として使用される。
この双方向光送受信器40、上述した双方向光送受信モジュール30と、この双方向光送受信モジュール30が備えている前記発光素子(半導体レーザ)4を外部から送信用電気信号をもって駆動制御する発光素子駆動制御手段41と、前記受信素子としてのフォトダイオード5にて光電変換された受信信号を外部へ向けて出力する受信信号出力手段42とを備えて構成されている。
このため、発光素子(半導体レーザ)4は、発光素子駆動制御手段41に制御されて差動し所定の通信用の送信光を前述したV字状光導波路2を介して光ファイバ6へ送り出すことが可能となる。一方、光ファイバ6を介して外部から受信した受信光は、V字状光導波路2を介して導入され誘電体多層膜フィルタ3を介して受光素子(フォトダイオード)5に送り込まれ電気信号に変換されて受信外部へ送り出され、これによって双方向光送受信が成立することとなる。
この双方向光送受信器40についても主体は双方向光送受信モジュール30であり、当該双方向光送受信モジュール30が改善されている。このため、双方向光送受信モジュール30が滑らかな端面を備えているので、その上に形成される誘電体多層膜のフィルタは高性能な分波特性を有し、送信光が受信光に混入しない高性能な双方向光送受信モジュールを、又、これを利用した双方向光送受信器は、更には簡素な構成と低コストな双方向光送受信モジュールの製造方法を安定的に提供することができる。
なお、以上の実施形態では、図1に示すように、双方向性光導波路2としてV字状光導波路を用い、その交差位置を折返し構造としてが、これに限られるものではない。なお、折返し構造とは、2波長の光信号を分波する機能を実行する構造を意味する。V字状光導波路2に代えて、図15(a)及び図15(b)に示すような双方向性光導波路2を用いてもよいものである。図15(a)に示す双方向性光導波路2は、多モード干渉型( MMI; Multi-Mode Interference )の光導波路を用いてもよいものである。図15(a)に示す多モード干渉型光導波路2は、折返し構造の端面12にフィルタ3を有し、折返し構造の端面12は、基板1の端面に対して内側に後退した位置に配置されている。図15(b)に示す双方向性光導波路2は、方向性結合型( DC; Directional Coupling )の光導波路を用いてもよいものである。図15(a)に示す方向性結合型光導波路2は、折返し構造の端面12にフィルタ3を有し、折返し構造の端面12は、基板1の端面に対して内側に後退した位置に配置されている。
さらに、本発明の他の実施形態にかかる双方向光送受信モジュールは、一芯光ファイバによる2波長光の同時双方向通信を行なうための発光素子と受光素子と基板上に形成されたV字状光導波路及びその交差部位置の端面に形成された前記発光素子からの光を反射すると共に受信光を透過し、前記受光素子に導く誘電体多層膜フィルタを備え、前記端面はエッチングで形成され、この端面と前記基板のダイシング面とはダイシング時にダイシング器具が前記端面に接触するのを防止するための段差を有し、前記端面に前記受光素子誘電体多層膜が形成された構成としてもよいものである。
このため、基板ダイシングと端面形成を同時に行なっていた方法とは異なり、端面がエッチングによって滑らかに形成され、さらに、基板ダイシング時にダイシング器具がその端面に接触しないような段差構造を備えているので、ダイシング時にダイシング器具が前記端面に接触するのを防止する。このため、加工時に端面が荒れるのを有効に回避することができ、分波特性に与える悪影響を回避され、品質のよい誘電体多層膜が形成でき、簡素な構成と低コストな作成方法で所望の分波特性を安定的に得ることができる。
本発明の他の実施形態にかかる双方向光送受信モジュールの製造方法は、基板上にV字状導波路を形成する工程と、前記V字状光導波路の交差部位置に前記V字状光導波路に対して垂直な端面をエッチングで形成する端面形成工程と、その端面とダイシング器具が接触するのを防止するための段差を隔てた位置で他の双方向光送受信モジュールの前記基板からのダイシングを行なうダイシング工程と、この端面に送信光波長を反射すると共に受信光波長を透過する誘電体多層膜を形成する誘電体多層膜形成工程とを備える構成としてもよいものである。
本発明の他の実施形態に係る双方向光送受信モジュールの製造方法は、基板上にV字状導波路を形成する導波路形成工程と、この形成された前記V字状光導波路の交差部位置に前記V字状光導波路に対して垂直な端面をエッチングで形成する端面形成工程と、前記端面に送信光波長を反射し且つ受信光波長を透過せしめる誘電体多層膜の形成をウェハ一括処理で行なう誘電体多層膜形成工程と、この形成された端面に対して当該端面と同一の側面で且つ当該端面よりも外部に向けて突設した位置にて前記基板をダイシング加工するダイシング加工工程とを備えた構成としてもよいものである。
これにより、ウェハの一括処理による誘電体多層薄膜フィルタの形成ができ、製作時のバー状の光送受信モジュールの搬送や設定等が簡略化できるという利点がある。前述したダイシング加工工程では、基板を分離しない程度の浅いダイシング加工にとどめて置き、前記誘電体多層膜形成工程では、前記誘電体多層膜の形成をウェハ一括処理で行なうようにすると共に、その後に、完全分離加工を実行するように構成してもよい。
本発明の一実施形態にかかる双方向光送受信モジュールを示す斜視図(模式図)である。 図1に開示した双方向光送受信モジュールの製造手順を示すフローチャートである。 図2に開示した双方向光送受信モジュールの製造手順を示す図で、前工程であるV字状導波路の形成工程1を示す説明図である。 図2に開示した双方向光送受信モジュールの製造手順を示す図で、V字状導波路の形成工程2(コア形成工程)を示す説明図である。 図2に開示した双方向光送受信モジュールの製造手順を示す図で、V字状導波路形成工程3(上部クラッド層形成工程)を示す説明図である。 図2に開示した双方向光送受信モジュールの製造手順を示す図で、端面形成工程1(レジストパターン形成工程)を示す説明図である。 図2に開示した双方向光送受信モジュールの製造手順を示す図で、端面形成工程2(エッチング工程)を示す説明図である。 図2に開示した双方向光送受信モジュールの製造手順を示す図で、断面V型溝形成工程を示す説明図である。 図2に開示した双方向光送受信モジュールの製造手順を示す図で、光モジュール縦方向分離工程を示す説明図である。 図2に開示した双方向光送受信モジュールの製造手順を示す図で、誘電体多層膜形成工程を示す説明図である。 図2に開示した双方向光送受信モジュールの製造手順を示す図で、光モジュール横方向分離工程を示す説明図である。 図2に開示した双方向光送受信モジュールの製造手順を示す図で、発光素子等の素子配置工程を示す説明図である。 図7,図8に開示した滑らかな端面に形成する誘電体多層膜をウェハのまま一括形成するようにした製造方法の例を示す説明図である。 双方向光送受信モジュールを主体とする光送受信器の一例を示す説明図である。 本発明の実施形態で用いる双方向性光導波路の他の例を示す平面図である。 関連する例を示す斜視図である。 他の関連する例を示す斜視図である。
符号の説明
1 基板(シリコン基板,Si基板)
1A 段差
2 V字状光導波路
3 誘電体多層膜フィルタ(誘電体多層膜)
4 発光素子(半導体レーザ)
5 受光素子(フォトダイオード)
6 光ファイバ
7 下部クラッド層
8 荒れた端面(コア層)
9 レジストパターンA
10 上部クラッド層
11 レジストパターンB
12 滑らかな端面
13 V溝
14 Si基板の切断シロ
15 切断面A
16 横隣の光モジュール
17 切断面B
18 光導波路形成ウェハ
19 多層膜原料フロー

Claims (6)

  1. 一芯光ファイバによる二波長光の同時双方向通信を行なうための発光素子と、
    前記発光素子に結合され、基板上に形成された双方向性光導波路と、
    前記光導波路の折返し構造の端面に形成され、前記発光素子からの送信光を反射する特性と外部からの受信光を透過させる特性とを備えた誘電体多層膜フィルタとを有し、
    前記光導波路の折返し構造の端面と前記基板の端面との間には段差が形成され、前記光導波路の折返し構造の端面は、前記段差により前記基板の端面に対して位置がずれており、
    さらに、前記光導波路の折返し構造の端面がエッチングにより形成され、前記基板の端面がダイシングにより形成されていることを特徴とする双方向光送受信モジュール。
  2. 双方向光送受信モジュールと、
    前記双方向光送受信モジュールへ光信号を入力する発光素子を外部から送信用電気信号をもって駆動制御する発光素子駆動制御手段と、
    前記双方向光送受信モジュールからの受信光信号を受信素子で光電変換した受信信号を外部へ向けて出力する受信信号出力手段とを有し、
    双方向光送受信モジュールは、
    一芯光ファイバによる二波長光の同時双方向通信を行なうための発光素子と、
    前記発光素子に結合され、基板上に形成された双方向性光導波路と、
    前記光導波路の折返し構造の端面に形成され、前記発光素子からの送信光を反射する特性と外部からの受信光を透過させる特性とを備えた誘電体多層膜フィルタとを有し、
    前記光導波路の折返し構造の端面と前記基板の端面との間には段差が形成され、前記光導波路の折返し構造の端面は、前記段差により前記基板の端面に対して位置がずれており、
    さらに、前記光導波路の折返し構造の端面がエッチングにより形成され、前記基板の端面がダイシングにより形成されていることを特徴とする双方向光送受信モジュール。
  3. 基板上に双方向性光導波路を形成し、
    前記光導波路の折返し構造の端面と前記基板の端面との間に段差を形成し、前記光導波路の折返し構造の端面を前記段差により前記基板の端面に対して位置がずれた位置に形成し、
    前記光導波路の折返し構造の端面をエッチングにより形成し、前記基板の端面をダイシングにより形成することを特徴とする双方向光送受信モジュールの製造方法。
  4. 前記光導波路の折返し構造の端面に、送信光波長を反射し且つ受信光波長を透過させる誘電体多層膜を形成する請求項3に記載の双方向光送受信モジュールの製造方法。
  5. 基板を分離しない程度にエッチング加工を施して光導波路の折り返し構造の端面を形成し、当該端面に誘電体多層膜を形成する請求項4に記載の双方向光送受信モジュールの製造方法。
  6. 前記基板を傾けた状態で原料フローを堆積させて前記誘電体多層膜を形成する請求項5に記載の双方向光送受信モジュールの製造方法。
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