JP2000258644A - 光合分波器、およびその形成方法 - Google Patents

光合分波器、およびその形成方法

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JP2000258644A
JP2000258644A JP5742699A JP5742699A JP2000258644A JP 2000258644 A JP2000258644 A JP 2000258644A JP 5742699 A JP5742699 A JP 5742699A JP 5742699 A JP5742699 A JP 5742699A JP 2000258644 A JP2000258644 A JP 2000258644A
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liquid crystal
demultiplexer
optical
optical multiplexer
cholesteric liquid
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Masatoshi Kagawa
昌俊 賀川
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Oki Electric Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 光合分波器の形成に要する時間を短縮する。 【解決手段】 光合分波器11(31)の選択波長反射
フィルタ27をコレステリック液晶を含む液晶含有体で
構成する。この光合分波器によれば、溝25に注入され
たコレステリック液晶の螺旋軸が特定の方向に配向して
いれば、第1光導波路21および第2光導波路23を光
学的に接続するような波長選択的反射が実現できる。そ
のため、従来の光合分波器では誘電体多層膜フィルタの
反射方向を調節するのに必要であった時間を要するアラ
イメントを行う必要が無くなる。また、特にダイシング
によって溝を形成すると、特別な配向処理も行う必要も
無くなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、選択波長反射フ
ィルタにコレステリック液晶を用いる光合分波器、およ
びその形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、光伝送システムで伝達できる
情報量を向上させるために、波長多重方式による光通信
が行われている。例えば、パッシブダブルスター方式
(PDS方式)によるシングルモード光通信が提案され
ている。PDS方式による一般家庭向けの光通信では、
1.3μm波長帯域および1.55μm波長帯域の光が
利用される。それら二つの波長帯域のうち、1.3μm
波長帯域は双方向通信、例えば電話などに用いられ、
1.55μm波長帯域は単方向通信、例えばケーブルテ
レビなどに用いられる。このように、一本の光ファイバ
ーに複数の波長の光信号を伝搬させる波長多重化通信が
行われている。そして、それら波長多重光信号は、各家
庭に設置された光合分波器などで波長に応じて分波され
てもとの単一波長帯域の信号となる。そのような光合分
波器(光送受信モジュール)として、誘電体多層膜フィ
ルタを用いたものが、文献I(特開平8−190026
号公報)に開示されている。
【0003】図12(A)は、文献Iに開示されている
光合分波器を概略的に示した斜視図である。上述したP
DS方式による光通信では、1.3μm波長帯域および
1.55μm波長帯域の光信号が共通ポート101から
入力される。この場合、これらの光信号は、第1光導波
路103を伝搬し、この第1光導波路103を横切るよ
うに設けられた誘電体多層膜フィルタ105によって波
長選択的に反射される。PDS方式では、1.55μm
波長帯域の光信号は、反射されて第2光導波路107を
伝搬して1.55μm出力ポート109より出力され
る。一方、1.3μm波長帯域の光信号は、誘電体多層
膜フィルタ105を透過して第1光導波路103に沿っ
て伝搬し、1.3μm出力ポート111から出力され
る。更に、このPDS方式に用いられる光合分波器は、
双方向通信に用いられる1.3μm波長帯域の光信号を
入力するための1.3μm入力ポート113と第3光導
波路115とを有している。この第3光導波路115
は、第1光導波路103からY分岐する構造となってい
る。この1.3μm入力ポート113に入力された1.
3μm波長帯域の光信号は、第3光導波路115から第
1光導波路103に入射して、共通ポート101から出
力される。以上の説明例のように、光合分波器117
は、波長多重光信号をその波長に応じて分波するために
用いられていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上述の従来
構成の光合分波器によれば、第1光導波路の途中に溝2
09が設けられている。この溝209は、光信号を波長
選択的に反射する誘電体多層膜フィルタ105を挿入す
るための溝である。誘電体多層膜フィルタ105は、
1.55μmの光信号を第1光導波路103から第2光
導波路107へ損失無く反射させることが要求される。
そのため、通常、誘電体多層膜フィルタ105を溝20
9に挿入し固定する前にアライメントが行われていた。
【0005】図12(B)は、このアライメントの様子
を示す図である。図に示すように、このアライメント
は、光導波方向x軸に垂直で互いに直交する2軸(y軸
およびz軸)の周りにフィルタ105を回転させて行
う。実際のアライメントでは、共通ポート101に一定
強度の光を入射させつつ、2軸の周囲における回転操作
を行って、1.55μm出力ポート109からの光の出
力強度の変化を測定し、この出力強度が最大となるよう
に誘電体多層膜フィルタ105の角度を調節していた。
そして、このような角度調節が施されたのち、誘電体多
層膜フィルタ105は接着剤などで溝209に固着され
ていた。
【0006】このように、誘電体多層膜フィルタ105
のアライメントは、上述のような方法で行う必要があっ
たため、非常に時間を要した。そのため、製造コストの
増加などが生じた。
【0007】したがって、従来より、誘電体多層膜フィ
ルタのアライメントに要する時間を短縮し、引いては生
産コストの低下を図ることのできる光合分波器の出現が
望まれていた。
【0008】
【課題を解決するための手段】そこで、この発明の光合
分波器によれば、基板と、この基板の上側に設けられた
第1入出力ポート、第2入出力ポートおよび第3入出力
ポートと、これら第1入出力ポートおよび第2入出力ポ
ート間に形成された第1光導波路と、この第1光導波路
の中途の分岐点および第3入出力ポート間に設けられた
第2光導波路と、この分岐点の近傍で第1光導波路を横
切るように設けられた溝と、この溝に第1光導波路およ
び第2光導波路を光反射作用によって光学的に結合する
ための選択波長反射フィルタとを具えた光合分波器であ
って、この選択波長反射フィルタを、所定の方向に螺旋
軸が配向したコレステリック液晶を含む液晶含有体で構
成してあることを特徴とする。
【0009】なお、この出願において、コレステリック
液晶とは、コレステリック環を有しているものに限らず
螺旋構造(ねじれ構造)を有している液晶を意味する。
したがって、このコレステリック液晶にはコレステリッ
ク環を有していないカイラルネマティック液晶も含まれ
る。また、ネマティック液晶をコレステリック液晶に混
入させたものや、不斉炭素などを有するカイラル構造の
分子をネマティック液晶に所望量混入させた液晶など
も、それらを構成する分子が螺旋状に配向する液晶であ
る限り、この定義によるコレステリック液晶の範疇に含
まれる。一般に、分子内に不斉炭素原子等を有しかつ液
晶相を形成するのに都合の良い幾何学的な分子構造をも
つ化合物はコレステリック液晶となり得る。また、コレ
ステリック液晶は、一つの層内で一方向に液晶分子が配
向して、かつ、それぞれの層が各層間でその配向方向を
僅かに変えながら実質的に平行に重なる多層構造を形成
する。見方を変えると、コレステリック液晶は、この層
に垂直な方向を螺旋軸として、各層の液晶分子が一定長
さの間隔(以下、螺旋ピッチと称することもある。)で
元の方向に配向した周期的な螺旋構造を形成する。この
ような螺旋構造となっているので、コレステリック液晶
は、螺旋ピッチと同程度の波長の光を反射する。そし
て、光の入射角が変化すると、その光の感じる螺旋ピッ
チが変化するため、コレステリック液晶によって反射さ
れる光の波長は変化する。よって、上述した所定の方向
とは、第1光導波路および第2光導波路をこのような反
射によって光学的に結合(接続)できる方向を意味す
る。
【0010】また、液晶含有体は、コレステリック液晶
を含むため、コレステリック液晶分子による螺旋構造を
内部に有する。液晶含有体は、任意成分として配向剤や
紫外線硬化剤を含む場合があってよい。典型的には液晶
含有体はコレステリック液晶のみからなる。
【0011】この構成によれば、光合分波器の選択波長
反射フィルタがコレステリック液晶を含む液晶含有体で
構成されているため、この液晶含有体中に螺旋状の分子
構造が形成できる。そのため、詳細は後述するが、螺旋
状の分子構造すなわち屈折率の周期的変化が生じる。よ
って、この選択波長反射フィルタは、入射した光信号を
波長選択的に反射できる。また、この液晶含有体で構成
した選択波長反射フィルタは、螺旋軸を所定の方向に配
向させるだけで従来の選択波長反射フィルタと同様に機
能する。コレステリック液晶の螺旋軸を所定の方向に配
向させるには、従来周知の配向処理、例えば配向剤の塗
布、ラビング処理または配向剤の混合を行えばよい。こ
のようにこの光合分波器によれば、誘電体多層膜フィル
タを用いる従来構成では不可欠であったアライメントを
行う必要がない。したがって、製造工程に要する時間を
従来必要であったアライメントに要する時間だけ短縮で
き、引いては生産コストを低下させることができる。
【0012】また、好ましくは、この光合分波器に、溝
を境界として第2光導波路の無い側で第1光導波路から
Y分岐した第3光導波路を設け、この第3光導波路の一
端を第4入出力ポートとしてもよい。すなわち、この光
合分波器は、従来構成の光合分波器と同様の導波路構造
を有していても良い。
【0013】また、この発明の実施に当たり、より好適
には、前述の溝を、ダイシングによって形成した溝とす
るのが良い。
【0014】従来でも、誘電体多層膜フィルタを挿入す
るための溝を形成する場合、その簡便さからダイシング
が用いられてきた。しかし、ダイシングを用いて第1光
導波路を横切る溝を形成する場合、第1光導波路に挟ま
れた溝の二つの壁面には、このダイシングに起因して荒
れが生じる。それら壁面に荒れが生じると、第1光導波
路を伝搬してきた光は、それらの壁面の荒れにより散乱
される。このように誘電体多層膜フィルタ挿入用の溝を
形成するためにダイシングを用いると、その溝壁面に荒
れが生じていた。従来では一般的に、このような荒れは
光の損失を増大させる原因と考えられてきた。そして例
えば、エッチング等によって溝を形成することにより、
溝内の荒れを低減することなどが提案されてきた。
【0015】しかしながら、上述の構成によれば、前述
の溝をダイシングによって形成した溝としている。この
構成では、溝の壁面の荒れが液晶分子の配向に利用でき
る点に着目して、壁面の荒れによってコレステリック液
晶の螺旋軸の配向を行っている。よって、従来周知の配
向処理を特に行う必要がなく、コレステリック液晶分子
を所定の方向に配向させることができる。したがって、
更に光合分波器の製造に要する時間が短縮できる。しか
も、光合分波器の製造コストも低下できる。
【0016】また、この発明の液晶含有体は、流動性を
有する液晶含有体であっても、或いはコレステリック液
晶分子の配向が保持された液晶含有体(第1液晶含有
体)であってもよい。なお、第1液晶含有体とは、コレ
ステリック液晶分子の配向が保持された液晶含有体を意
味する。
【0017】例えば、前述の液晶含有体を流動性を有す
る液晶含有体とし、および、前述の溝の近傍に前述の選
択波長反射フィルタの温度を制御するための温度制御手
段を設けるのが良い。
【0018】このようにすれば、選択波長反射フィルタ
の近傍に温度制御手段が設けられているため、液晶含有
体の温度が制御できる。コレステリック液晶の螺旋ピッ
チは温度によって変化する。そのような螺旋ピッチの温
度依存性を利用すると、選択波長反射フィルタの反射波
長が可変にできる。よって、上述の第1入出力ポートか
ら入力された波長多重化された光に対して、第3入出力
ポートに出力される光の波長が任意に変化できる。した
がって、第3入出力ポートに出力される光信号の波長を
変化できる光合分波器が得られる。なお、流動性を有す
る液晶含有体とは、螺旋軸の配向を保持する処理を行っ
ていない液晶含有体、すなわち螺旋軸の配向が専ら分子
間の引力と斥力によって維持されている液晶含有体を意
味する。この構成では、特に流動性を有する液晶含有体
で構成してあるため、その反射波長帯域の可変幅が広く
できる。
【0019】また、上述の液晶含有体を液晶分子の配向
が保持された第1液晶含有体とするのが好適である。こ
のようにすれば、上述とは逆に、選択反射波長の温度依
存性が小さくできる。したがって、使用環境の温度変化
に対して反射波長の変動の少ない光合分波器が得られ
る。
【0020】具体的には、この第1液晶含有体は、硬化
した紫外線硬化剤を含むことによって配向を保持してい
てもよい。このようにすれば、第1液晶含有体中のコレ
ステリック液晶分子は紫外線硬化剤の分子間のネットワ
ークによって配向が保持された状態となる。よって選択
反射波長の温度依存性が小さくできる。
【0021】或いは、この第1液晶含有体は、硬化した
紫外線硬化性コレステリック液晶を含むことによって配
向を保持していてもよい。このようにすれば、第1液晶
含有体中の紫外線硬化性コレステリック液晶分子の分子
間の結合によって配向が保持された状態となる。
【0022】また、この発明の光合分波器の形成方法に
よれば、基板の上側に第1入出力ポートおよび第2入出
力ポートを両端とする第1光導波路と、第1光導波路の
中途の分岐点から該第1入出力ポートの側に分岐して第
3入出力ポートを一端とする第2光導波路とを形成する
第1工程と、この分岐点の近傍に前述の第1光導波路を
横断する溝をダイシングによって形成する第2工程と、
この溝にコレステリック液晶を含む混合液を注入して、
選択波長反射フィルタを形成する第3工程とを具え、前
述のダイシングによって溝の前述した第1光導波路に挟
まれる壁面に生じた荒れを利用して、前述のコレステリ
ック液晶の螺旋軸を所定の方向に配向させることを特徴
とする。
【0023】この構成によれば、基板の上に形成された
第1光導波路を横断する溝をダイシングによって形成し
ているため、溝内の第1光導波路に挟まれる二つの壁面
に荒れが生じる。この荒れを有する溝にコレステリック
液晶を注入すると、この荒れに起因してコレステリック
液晶の螺旋軸が配向する。そのため、この構成によれ
ば、誘電体多層膜フィルタを用いる従来構成のようなア
ライメントを行う必要が無く、また、螺旋軸を所定の方
向に配向させるため特別な配向処理も行う必要が無い。
よって、光合分波器の製造工程に要する時間を短縮で
き、引いては光合分波器の製造コストが低減できる。こ
のとき、典型的には螺旋軸が二つの壁面に対して実質的
に垂直に配向する。
【0024】また、この形成方法の発明の実施に当た
り、より好適には、前述の第3工程を、前述の溝にコレ
ステリック液晶および紫外線硬化剤の混合液を注入した
のち、この混合液に紫外線を照射して硬化させる工程と
するのが良い。このようにすれば、コレステリック液晶
を、その構成分子の配向が保持された状態で硬化させる
ことができる。したがって、選択反射波長の温度依存性
を少なくすることができる。
【0025】また、この形成方法の発明の実施に当た
り、より好適には、前述の第3工程を、前述の溝に紫外
線硬化性コレステリック液晶を注入したのち、この紫外
線硬化性コレステリック液晶に紫外線を照射して硬化さ
せる工程とするのが良い。前述のコレステリック液晶と
紫外線硬化剤とを混合した構成の場合には、フィルタ内
において、コレステリック液晶と紫外線硬化剤との屈折
率の不一致により、光の散乱が無視できない場合があ
る。しかし、この構成によれば、そのような屈折率の不
一致が無くなるため、ほぼ均一な屈折率分布が実現でき
る。
【0026】また、この形成方法の発明の実施に当た
り、より好適には、前述の紫外線の照射を、前述の混合
液、または、前述の紫外線硬化性コレステリック液晶の
温度を所定の温度に保ちつつ行うのが良い。このように
すれば、上述したコレステリック液晶および紫外線硬化
剤の混合液、または、上述した紫外線硬化性コレステリ
ック液晶を紫外線で硬化させるとき、それらの温度を所
定の温度に保ちつつ行うため、所望の選択反射波長とな
る螺旋ピッチを有する選択波長反射フィルタが得られ
る。
【0027】
【発明の実施の形態】以下、各図を参照して、この発明
の実施の形態につき説明する。なお、図中、各構成成分
の大きさ、形状および配置関係は、この発明が理解でき
る程度に概略的に示してあるに過ぎない。また、以下に
説明する数値的条件も単なる例示にすぎないことを理解
されたい。また、各図において同様の構成成分について
は同一の番号を付して示し、その重複する説明を省略す
ることがある。
【0028】図1(A)および図1(B)は、この発明
の実施の形態の光合分波器を概略的に示した斜視図であ
る。先ず、図1を参照して、この実施の形態の光合分波
器11および31につき説明する。なお、図1(A)お
よび図1(B)において図を分かりやすくするため、重
なり関係によってクラッド29の影になる部分は二点鎖
線または破線で示されている。
【0029】図1(A)に示す光合分波器11は、基板
13と、この基板13の上側に設けられた第1入出力ポ
ート15、第2入出力ポート17および第3入出力ポー
ト19と、この第1入出力ポート15および第2入出力
ポート17を両端とする第1光導波路21と、この第1
光導波路21の中途の分岐点22から第1入出力ポート
15のある側に鋭角に分岐してかつ第3入出力ポート1
9を一端とする第2光導波路23と、この分岐点22の
近傍で第1光導波路21を横断するように設けられた溝
25と、この溝25に第1光導波路21および第2光導
波路23を選択波長反射フィルタ27の反射によって光
学的に結合する選択波長反射フィルタ27とを具えてい
る。なお、特に図示例の光合分波器11では、基板13
上にクラッド29が設けられていて、第1光導波路21
および第2光導波路23がこのクラッド29に埋め込ま
れており、および、このクラッド29の表面から内部に
渡って溝25が設けられている。そして、この溝25は
第1光導波路を横断するように設けられている。また、
図示例の光合分波器11は全体で直方体を形成してお
り、第1入出力ポート15および第3入出力ポート19
は、クラッドの一方の側面に設けられており、第2入出
力ポートは、この側面と対向する他方の側面に設けられ
ている。
【0030】図1(A)に示す光合分波器11の第1入
出力ポート15に波長多重光信号を入力すると、この波
長多重光信号のうちの特定波長の光信号は、第1光導波
路21の中途に設けられた選択波長反射フィルタ27で
反射される。この特定波長の光信号は第2光導波路23
に入力されるため第3入出力ポート19から出力され
る。一方、この特定波長以外の光信号は、選択波長反射
フィルタ27を透過してそのまま第1光導波路21を伝
搬して第2入出力ポート17から出力される。この光合
分波器11は、一入力二出力の光分波器または二入力一
出力の光合波器として用いられる。
【0031】一方、図1(B)に示す光合分波器31
は、図1(A)に示す光合分波器11の変形例である。
図1(B)に示す光合分波器31は、図1(A)に示す
光合分波器11において、溝25を境として第2光導波
路23の無い側で第1光導波路21からY分岐する第3
光導波路33を更に具える。この第3光導波路33は、
第4入出力ポート35を一端としている。図1(B)に
示す光合分波器31の光導波路(すなわち、第1光導波
路21、第2光導波路23および第3光導波路33)の
構成は、従来構成で述べた光合分波器の光導波路(第1
光導波路103、第2光導波路107および第3光導波
路115(図12(A)参照))の構成と同様である。
なお、特に図示例の光合分波器31では、上述と同様
に、第1光導波路21、第2光導波路23および第3光
導波路33がクラッド29に埋め込まれており、およ
び、このクラッド29の表面から内部に渡って溝25が
設けられている。
【0032】図1(B)に示す光合分波器31の第1入
出力ポート15に波長多重光信号が入射すると、波長多
重光信号のうち特定波長の光信号は、第1光導波路21
中途に設けられた選択波長反射フィルタ27で反射され
て、第2光導波路23に入射して第3入出力ポート19
から出力される。一方、この特定波長以外の光信号は、
選択波長反射フィルタ27を透過して、Y分岐点32か
らY分岐する第1光導波路21および第3光導波路33
の双方の導波路から出力される。しかし、通常は第2入
出力ポート17および第4入出力ポート35の一方を出
力ポート、他方を入力ポートとして用いる。例えば、第
2入出力ポート17からの出力を利用して、および第4
入出力ポート35を入力ポートとして用いる。そこで、
第4入出力ポート35から別の光信号を入力すると、そ
の光信号は第3光導波路33を伝搬して選択波長反射フ
ィルタ27を透過したのち第1入出力ポート15から出
力される。典型的には、この光合分波器31は、第2入
出力ポート17の側にフォトダイオード等の受光素子を
接続して、および、第4入出力ポート35の側にレーザ
ーダイオード等の発光素子を接続することにより、従来
構成と同様の光信号の送受信を行うための光送受信モジ
ュールとして用いられる。このような光送受信モジュー
ルは、ONU(Optical Network Un
it)として利用される。
【0033】また、特に図1の各図に示す二つの光合分
波器11および31は、プレーナ型光波回路(Plan
ar Lightwave Circuit:PLC)
として示してある。また、光合分波器11および31
は、埋込型の光導波路で構成してあるが、リッジ型光導
波路または表面拡散型光導波路で構成しても良い。
【0034】また、選択波長反射フィルタ27は、配向
方向を維持した状態でかつ流動性を有する液晶含有体で
構成されていても、配向方向を維持した状態でかつ配向
保持された液晶含有体で構成されていても良い。流動性
を有する液晶含有体とする場合、図1の各図に示す光合
分波器11および31は、溝25に液晶含有体を封止す
るための封止板を有する(図示せず)。
【0035】この発明の特徴は、図1(A)または図1
(B)に示す光合分波器11または31の選択波長反射
フィルタ27を、所定の方向に螺旋軸が配向したコレス
テリック液晶を含む液晶含有体で構成することにある。
そこで、以下では選択波長反射フィルタ27につき説明
する。
【0036】図2(A)は、図1(A)および図1
(B)の各図に示す二つの光合分波器11および31に
共通の選択波長反射フィルタ27の近傍のみを拡大して
概略的に示す斜方図である。また、図2(B)および図
2(C)は、図1(A)および図1(B)の各図に示す
二つの光合分波器11および31の選択波長反射フィル
タ27の近傍のみを拡大して概略的に示すそれぞれ上面
図(基板13の延在方向に垂直な方向から見た図)およ
び側面図(溝25の延在方向および基板13の延在方向
のそれぞれに垂直な方向であって、第1光導波路21の
第2入出力ポート17が右側となる方向から見た図)で
ある。図2(B)に示すように、選択波長反射フィルタ
27は、分岐点22の近傍にあり第1光導波路21を横
断する溝25の内壁に沿う形状を有する液晶含有体で構
成される。この選択波長反射フィルタ27は、この選択
波長反射フィルタ27での反射によって第1光導波路2
1および第2光導波路23を光学的に結合する。
【0037】また、図2(B)に示すように、溝25は
第1光導波路21によって挟まれる二つの平行壁面39
aおよび39bを有しており、この各平行壁面39aお
よび39bが第1光導波路21および第2光導波路23
のなす鋭角2φの二等分線の方向εに実質的に平行な法
線ηを有している。この溝25は図示例に限定されない
が、この実施の形態ではこの溝25を用いて説明する。
なお、溝25は分岐点22の近傍に設けられているが、
この溝25の位置は、従来構成の誘電体多層膜フィルタ
用の溝の位置と同様に、第1光導波路21および第2光
導波路23の各光導波路の中心線がそれぞれ交差する点
が、溝25内の点となるような位置とすればよい。
【0038】この溝25中の液晶含有体によって第1光
導波路21および第2光導波路23を光学的に結合する
には、例えば、この液晶含有体中の螺旋軸の方向を、二
つの平行壁面39aおよび39bに実質的に垂直な方向
とすれば良い。したがって、以下では螺旋軸を二つの平
行壁面39aおよび39bに垂直に配向させる場合につ
き説明する。もちろん、このとき液晶含有体中の全ての
コレステリック液晶を二つの平行壁面39aおよび39
bに平行に配向させる必要はなく、少なくともバルクで
の液晶ダイレクタが平行壁面39aおよび39bに平行
になればよい。
【0039】続いて、図3(A)を参照して液晶含有体
中の螺旋構造につき説明する。図3(A)は、コレステ
リック液晶の配向の状態を模式的に示した図である。図
中、コレステリック液晶分子41を棒状の円筒形で示
す。既に説明したように、コレステリック液晶では液晶
分子が一つの層内で同一の方向に配向しており、かつ、
各層の液晶分子の配向方向が各層間で一定の僅かな角度
だけ変化する。この層に垂直な方向をコレステリック液
晶の螺旋軸γの方向と称する。すなわち、局所的な模式
図である図3(A)に示すように、コレステリック液晶
分子41は、螺旋軸γに垂直な面内においてその螺旋軸
γの周りに僅かに角度を変えつつ配列する。なお、周期
的に同一方向に配向するコレステリック液晶分子41の
間隔は、一般的に螺旋ピッチPと称される。
【0040】コレステリック液晶は、その螺旋軸γの方
向に周期的に変化する屈折率を有するため、螺旋軸γに
ほぼ平行に入射した光はもとより、螺旋軸γの方向に進
行方向の成分を有する光を、波長選択的に反射する。こ
の現象はコレステリック液晶の選択光散乱と呼ばれる。
【0041】図3(B)は、コレステリック液晶が溝2
5内の二つの平行壁面39aおよび39bにその螺旋軸
γを垂直に配向した様子を模式的に示した図である。図
中、コイル状の表示が螺旋状に配向したコレステリック
液晶を示す。
【0042】いま、図3(B)に示すように、この螺旋
軸γに平行に波長多重光信号が入射した場合について考
える。ここで螺旋ピッチをP、および螺旋軸γに垂直で
かつ互いに直交する二つの方向の液晶含有体中の屈折率
をn‖およびn⊥とおくと、選択波長反射フィルタ27
で最大の反射率となる波長λ0 は次の(1) 式で与えられ
る。ただし、n0 =((n‖2 +n⊥2 )/2)1/2
ある。
【0043】λ0 =n0 ・P …(1) また、反射光の波長バンド幅Δλは、次の(2) 式で与え
られる。ただし、Δn=n‖−n⊥である。
【0044】Δλ=Δn・P …(2) (1) 式に示すように、この選択波長反射フィルタ27は
螺旋ピッチPと同程度の長さの波長を選択的に反射でき
る。(1) 式から所望の反射波長に対して適切な螺旋ピッ
チPを有するコレステリック液晶を選択して用いれば、
所望の反射波長を有する選択波長反射フィルタ27が得
られる。また、(2) 式を利用して所望のバンド幅が設定
できる。また、光通信に一般的に用いられる赤外領域に
おいて、これら選択反射波長および反射波長バンド幅は
それぞれ実用に即した値に設定できる。
【0045】なお、このような波長選択性は、選択波長
反射フィルタ27が、流動性を有する液晶含有体からな
る場合、或いは液晶分子の配向が保持された液晶含有体
すなわち第1液晶含有体からなる場合のいずれの場合に
も発現する。
【0046】また、赤外領域における実用的な波長選択
性を有するコレステリック液晶として、例えば、3フェ
ニルプロピオネート(3−phenylpropion
ate)およびノナノエート(nonanoate)を
混合したコレステリルエステル系混合液晶であるコレス
テリック液晶がある。或いは、赤外領域における実用的
な波長選択性を有するコレステリック液晶として、例え
ば、液晶(メルク(株)製、商品番号:ZLI−113
2)に、例えば次に示すカイラル構造を有する第1のカ
イラル分子および第2のカイラル分子を混入したコレス
テリック液晶を用いても良い。なお、この第1のカイラ
ル分子および第2のカイラル分子は、次の(A)式およ
び(B)式で表される。
【0047】
【化1】
【0048】また、所望の螺旋ピッチPは、周知の如
く、コレステリック液晶としての液晶材料およびそれら
の混合比を調節することによって得られる。もちろん、
前述のコレステリック液晶の定義からネマティック液晶
を混入させたコレステリック液晶もこの出願のコレステ
リック液晶であるため、ネマティック液晶等を混入する
ことによってコレステリック液晶の螺旋ピッチPを調節
しても良い。
【0049】続いて、以上説明した光合分波器11およ
び31の形成方法につき図4を参照して説明する。図4
は、実施の形態の光合分波器31の形成方法の説明に供
する図であって、その代表的な工程における様子を上面
および側面から概略的に示す図である。なお、光合分波
器11および31は光導波路のパターニング以外の工程
を同様にして形成できるため、以下では光合分波器31
の形成方法を例として説明する。また、この例では、液
晶含有体の配向保持を行わないが、もちろん、後述する
第3または第4の形成方法と同様に配向保持を行っても
良い。また、バルクのコレステリック液晶分子を二つの
平行壁面39aおよび39bに平行に配向させるための
方法としては、従来周知の幾つかの方法を用いることが
できる。
【0050】(第1の形成方法)図4は、光合分波器3
1の形成方法の主な工程を、隣り合う図で同一工程の様
子を模式的に示す上面図および側面図である。この第1
の形成方法では、溝25をダイシングによって形成す
る。なお、図4では、図を分かりやすくするために、重
なり関係によって基板13またはクラッド29の影にな
る部分を、図1と同様に二点鎖線または破線で示してあ
る。
【0051】この光合分波器31を形成するには、先ず
第1工程として、基板13の上側に、第1入出力ポート
15および第2入出力ポート17を両端とする第1光導
波路21と、第1光導波路21の中途にある分岐点22
から第1入出力ポート15の側に分岐して第3入出力ポ
ート19を一端とする第2光導波路23と、分岐点22
を境に第2光導波路23の無い側で第1光導波路21か
らY分岐して第4入出力ポート35を一端とする第3光
導波路33とを形成する(図4(A))。第1工程は、
例えば次のように実施する。CVD法を用いて、先ず基
板13の上にクラッド29の下側部分を形成する。そし
てクラッド29の下側部分の上に、各光導波路各光導波
路(第1光導波路21、第2光導波路23および第3光
導波路33)を、CVD法による堆積とRIE法による
エッチングを利用して形成する。その後、クラッド29
の下側部分および各光導波路21、23および33を覆
うようにクラッド29の上側部分を形成する。この第1
工程によって、基板13の上にクラッド29で保護され
た各光導波路21、23および33が形成される。この
図示例では、光の伝搬する部分(すなわち各光導波路2
1、23および33)がクラッド29に埋め込まれた埋
込型光導波路が形成されている。また、この基板13と
して例えば石英系や高分子系等の基板が利用できる。ま
た、各光導波路21、23および33と、クラッド29
とは、石英ガラスすなわち酸化シリコンで構成するのが
好適である。また、酸化シリコンで構成する場合、有機
オキシシランを堆積ガスとしたCVD法を用いるのが良
い。また、有機材料を用いて光導波路21、23および
33と、クラッド29とを形成しても良い。
【0052】ここで述べたRIE法を用いて各光導波路
21、23および33を形成する方法以外にも、例えば
従来周知の固相拡散法やイオンプレーティング法によっ
て、クラッド29中に高い屈折率の領域(すなわち、光
導波路)を形成しても良い。
【0053】続いて、第2工程として、クラッド29の
表面側からクラッド29に対してダイシングを行って、
分岐点22の近傍に第1光導波路21を横断する溝25
を形成する(図4(B))。図10にこのときの溝25
の近傍の様子を模式的に例示する。図10に示すよう
に、溝25の対向する平行壁面39aおよび39bの表
面には、ダイシングによる荒れが生じている。この荒れ
とは、平行壁面39aおよび39bのそれぞれの面内で
ランダムに形成された凹凸である。なお、図10は、第
1入出力ポート15が左側および第2入出力ポート17
が右側になる方向から見た側面図である。
【0054】この溝25はクラッド29の表面に少なく
とも第1光導波路21を横断するように設けられてい
る。なお、溝25は基板13に達する程度の深さで形成
しても良いし(図10参照)、或いは達しない程度の深
さで形成しても良い。また、基板13の両端に達しない
溝を形成しても、或いは基板の端から端までの溝を形成
したのち両端を樹脂等で封じても良い。図示例では溝2
5を直方体としたが、実際は溝25の底面はなだらかな
円弧の一部をなすことがある。
【0055】次に、第3工程として、溝25にコレステ
リック液晶を注入して、選択波長反射フィルタ27を形
成する(図4(C))。もちろん、このコレステリック
液晶は、コレステリック液晶に配向処理または配向保持
等の目的で含ませる物質を含む混合液であっても良い。
ここで、第2工程でのダイシングによって二つの平行壁
面39aおよび39bには荒れが生じているため、溝2
5に注入されたコレステリック液晶の螺旋軸は、二つの
平行壁面39aおよび39bに対して実質的に垂直に配
向する。このように溝25をダイシングによって形成す
ると、配向処理を行う必要がない。
【0056】上述したダイシングには、通常用いられて
いる回転型のダイヤモンドブレード等を用いることがで
きる。このとき二つの平行壁面39aおよび39bに
は、サンドペーパ表面の凹凸のごとき凹凸、すなわち壁
面のあらゆる面内方向に等方的な凹凸が形成されている
と考えられる。この出願に係る発明者等によれば、例え
ばこの荒れによる凹凸の高さおよび周期が共に数十nm
程度であれば、コレステリック液晶の螺旋軸は界面に垂
直に配向すると考えられる。
【0057】また、コレステリック液晶分子の配向保持
を行わない場合、第4工程として、任意好適な材料から
なる封止板43によって流動性を有するコレステリック
液晶を封止する(図4(D))。例えば、封止板43を
溝25に載置したのち、この封止板43をエポキシ系樹
脂や紫外線硬化性樹脂等で固定する。このとき液晶に有
害な紫外線を透過しない封止板43を用いるのが好適で
ある。このような封止板43として、例えばポリカーボ
ネート板がある。また、コレステリック液晶の配向を保
持する場合、この第4工程を行う必要はない。なお、コ
レステリック液晶の配向を保持する形態の詳細について
は第1の実施の形態にて後述する。
【0058】以上のような光合分波器31の形成方法に
よれば、選択波長反射フィルタ27を液晶含有体で構成
することにより、従来構成の誘電体多層膜フィルタのア
ライメントを行う必要が無い。そのため、製造工程に要
する時間を短縮でき、引いては製造コストが低減でき
る。ここでは特に、溝25をダイシングによって形成し
ているため、特別な配向処理を行うことなく螺旋軸を所
定の方向に配向させることができる。したがって、製造
工程に要する時間を短縮でき、引いては製造コストが低
減できる。
【0059】(第2の形成方法)続いて、第1の形成方
法と同じく図4を参照して、光合分波器31の第2の形
成方法につき説明する。なお、ここでは、溝25をエッ
チングによって形成する形態を説明する。
【0060】第1工程は、第1の形成方法における第1
工程と同様の手順で実施できる(図4(A))。
【0061】そして、この第2の形成方法では、第2工
程として、分岐点22の近傍に第1光導波路21を横断
する溝25をエッチングによって形成する(図4
(B))。具体的には、この第2工程では、クラッド2
9の上側に従来周知のフォトリソグラフィ法を用いてエ
ッチングマスクを形成したのち異方性エッチングを行っ
て、クラッド29の表面に溝25を形成する。
【0062】続いて、第3工程として、溝25にコレス
テリック液晶を含む混合液を注入する(図4(C))。
このとき、第1の形成方法とは異なり、コレステリック
液晶の螺旋軸を平行壁面39aおよび39bに垂直に配
向させるために配向処理を行う必要がある。例えば、第
2工程と第3工程とを行う間に、溝25の内壁に配向剤
を塗布したのち溝25の平行壁面39aおよび39bに
ラビング処理を行えばよい。このように従来周知の配向
処理を行うことによってもコレステリック液晶の螺旋軸
を所定の方向に配向させることができる。
【0063】こののち、コレステリック液晶の配向保持
を行わない場合、第4工程を行う(図4(D))。この
第4工程は、第1の形成方法の第4工程と同様の手順で
実施できる。
【0064】以上のような光合分波器31の形成方法に
よれば、選択波長反射フィルタ27を液晶含有体で構成
しているため、従来構成の誘電体多層膜フィルタのよう
にアライメントを行う必要が無い。そのため、製造工程
に要する時間を短縮でき、引いては製造コストが低減で
きる。
【0065】(第1の実施の形態)次に、第1の実施の
形態として、上述の実施の形態の光合分波器11および
31の液晶含有体が、配向保持された液晶含有体すなわ
ち第1液晶含有体である形態につき説明する。なお、以
下、液晶含有体の配向を保持する点以外は上述の実施の
形態と同じとできるため、重複する記載は省略する。
【0066】上述の実施の形態では、光合分波器11お
よび31における液晶含有体が、流動性を有する液晶含
有体としても、或いはコレステリック液晶の配向が保持
された第1の液晶含有体としても良いと述べた。いずれ
の場合であっても選択波長反射フィルタ27が実現でき
る。
【0067】しかし、例えば液晶含有体が流動性を有す
る液晶含有体で構成された選択波長反射フィルタ27で
は、選択反射波長の温度依存性が大きいため、光合分波
器11または31が用いられる環境によっては実用的で
ない場合がある。なぜなら、コレステリック液晶の螺旋
ピッチPは温度依存性を有しており、この螺旋ピッチP
が変化すると先の(1) 式に示したように選択反射波長が
変化するためである。このような温度依存性を抑制する
には、液晶含有体中のコレステリック液晶分子の配向を
保持させればよい。すなわち、図1(A)および図1
(B)に示す選択波長反射フィルタ27を構成する液晶
含有体を、コレステリック液晶の配向が保持された第1
液晶含有体とするのがよい。配向保持をすると、コレス
テリック液晶の螺旋ピッチPの温度変化幅が小さくなる
ため、温度依存性を抑制することができる。
【0068】コレステリック液晶の配向保持は、例え
ば、以下に示す第3の形成方法または第4の形成方法を
行うことにより実現される。第3の形成方法によれば、
第1液晶含有体は、硬化した紫外線硬化剤を含むことに
よって配向を保持する。このようにすれば、第1液晶含
有体中のコレステリック液晶分子は紫外線硬化剤の分子
間のネットワークによって配向が保持された状態とな
る。よって選択反射波長の温度依存性が小さくできる。
また、第4の形成方法によれば、第1液晶含有体は、硬
化した紫外線硬化性コレステリック液晶を含むことによ
って配向を保持する。このようにすれば、第1液晶含有
体中の紫外線硬化性コレステリック液晶分子の分子間の
化学結合によって配向が保持された状態となる。
【0069】続いて、配向保持を行う第3および第4の
形成方法につき図を参照して説明する。この第3および
第4の形成方法は、液晶の硬化を行う点以外について実
施の形態にて示した第1の形成方法(或いは第2の形成
方法)をそのまま用いることができるため、重複する記
載を省略することがある。
【0070】(第3の形成方法)図5は、光合分波器3
1の形成方法の主な工程を模式的に示した斜方図であ
る。この第3の形成方法では、溝25をダイシングによ
って形成する。なお、図5は、図4と同様に、重なり関
係によって基板13またはクラッド29の影になる部分
は二点鎖線または破線で示されている。
【0071】この第3の形成方法では、図5を参照し
て、コレステリック液晶と紫外線硬化剤(ここでは紫外
線硬化樹脂)との混合液を用いて選択波長反射フィルタ
27を形成する形態を説明する。
【0072】先ず、第1工程および第2工程として、上
述した第1または第2の形成方法にて説明した第1工程
および第2工程を行う(図5(A)および図5
(B))。
【0073】次に、第3工程として、溝25にコレステ
リック液晶と、紫外線硬化剤としての紫外線硬化樹脂と
の混合液を注入したのち、この混合液に紫外線を照射す
る((図5(C))。この紫外線硬化樹脂が硬化するこ
とにより、コレステリック液晶の配向が保持された第1
液晶含有体で構成される選択波長反射フィルタ27を有
する光合分波器31が形成される(図5(D))。
【0074】このように、コレステリック液晶および紫
外線硬化樹脂の混合液を注入したのち、この混合液に紫
外線を照射すると、コレステリック液晶に混合された紫
外線硬化樹脂は、硬化して層構造の各所で網目状のネッ
トワーク(架橋)を形成する。このネットワークによっ
てコレステリック液晶の配向が保持できる。よって、螺
旋ピッチPの温度依存性を小さくできるため、選択反射
波長の温度依存性が小さくなる。
【0075】また、第3工程における紫外線照射は、こ
の混合液の温度を所定の温度に保ちつつ行うのが好適で
ある。すなわち、溝25内の混合液中の螺旋ピッチPが
所望の選択反射波長に対応する値となるように((1) 式
参照)、この混合液を一定かつ均一な温度に保持しつ
つ、紫外線照射を行うのが好適である。このようにする
と、選択反射波長がより正確に設定できる。また、この
紫外線は、少なくとも紫外線硬化樹脂を硬化させること
のできる程度の波長および強度を有し、かつ、コレステ
リック液晶に悪影響を及ぼさない程度の波長および強度
を有しているのが好ましい。
【0076】また、紫外線硬化樹脂は、実用上差し支え
ない光透過率(特に赤外領域での光透過率)を有してい
ればよい。また、硬化の際、コレステリック液晶の螺旋
ピッチに影響を及ぼさない程度の少ない発熱を伴う紫外
線硬化樹脂を用いるのが好適である。このような紫外線
硬化樹脂として、例えばカプロラクトン変性ヒドロキシ
ビバリン酸エスネオペンチルグリコールジアクリレート
等が利用できる。また、コレステリック液晶として、前
述の実施の形態と同様のコレステリック液晶が利用でき
る。
【0077】(第4の形成方法)上述の第3の形成方法
では、第1液晶含有体は、硬化した紫外線硬化樹脂を含
むことによって配向を保持している。すなわち、硬化し
た紫外線硬化樹脂の分子間のネットワークによって、コ
レステリック液晶の螺旋ピッチPの温度依存変化幅を小
さくしている。しかしながら、このような光合分波器で
は、コレステリック液晶と、硬化した紫外線硬化樹脂と
の各屈折率の不一致による光散乱が無視できない場合が
ある。
【0078】そこで、この第4の形成方法では、紫外線
硬化性コレステリック液晶(紫外線キュアラブルコレス
テリック液晶とも称される。)を用いて選択波長反射フ
ィルタを形成する形態を説明する。
【0079】先ず、第1工程および第2工程として、上
述した第1または第2の形成方法にて説明した第1工程
および第2工程を行う(図5(A)および図5
(B))。
【0080】次に、第3工程として、溝25に紫外線硬
化性コレステリック液晶を注入したのち、この紫外線硬
化性コレステリック液晶に紫外線を照射する(図5
(C))。この紫外線硬化性コレステリック液晶が硬化
することにより、コレステリック液晶の配向が保持され
た第1液晶含有体で構成される選択波長反射フィルタ2
7を有する光合分波器31が形成される(図5
(D))。このとき、紫外線硬化性コレステリック液晶
は、硬化前の螺旋構造を保持したまま硬化する。よっ
て、螺旋ピッチPの温度依存性を小さくできるため、選
択反射波長の温度依存性が小さくなる。
【0081】また、第3工程における紫外線照射は、こ
の紫外線硬化性コレステリック液晶の温度を所定の温度
に保ちつつ行うのが好適である。すなわち、溝25内の
紫外線硬化性コレステリック液晶の螺旋ピッチPが所望
の選択反射波長に対応する値となるように((1) 式参
照)、この紫外線硬化性コレステリック液晶を一定の温
度かつ均一な温度に保持しつつ、紫外線照射を行うのが
好適である。このようにすると、選択反射波長がより正
確に設定できる。また、この紫外線は、少なくとも紫外
線硬化性コレステリック液晶を硬化させることのできる
程度の波長および強度を有し、かつ、このコレステリッ
ク液晶に悪影響を及ぼさない程度の波長および強度を有
しているのが好ましい。
【0082】また、この紫外線硬化性コレステリック液
晶として、赤外領域における実用的な波長選択性を有す
る、下記の第1の液晶および第2の液晶を混合したコレ
ステリック液晶が利用できる。またこれ以外にも、紫外
線硬化性コレステリック液晶として、市販のものを用い
ることができる。なお、この第1の液晶および第2の液
晶とは、下記の(C)式および(D)式で表される液晶
である。
【0083】
【化2】
【0084】以上説明した第1の実施の形態の光合分波
器31によれば、選択波長反射フィルタ27を構成する
液晶含有体を、コレステリック液晶の配向を保持させた
第1液晶含有体としているため、選択反射波長の温度依
存性が小さくできる。また、特に、第4の形成方法によ
る光合分波器31によれば、第1液晶含有体が硬化した
紫外線硬化性コレステリック液晶を含むことによって配
向を保持している。そのため、第3の形成方法にて説明
した紫外線硬化樹脂を用いる場合に問題となっていた第
1液晶含有体中の屈折率の不一致が生じない。よって、
光散乱すなわち挿入損失の少ない光合分波器が実現でき
る。
【0085】(第2の実施の形態)ここで、第2の実施
の形態として、実施の形態にて説明した光合分波器11
および31の変形例としての光合分波器51につき説明
する。なお、ここでは特に、光合分波器11の変形例と
して説明する。図6は、第2の実施の形態の光合分波器
51を概略的に示した斜方図である。
【0086】第1の実施の形態にて説明した光合分波器
11または31によれば、選択反射波長の温度依存性の
小さい選択波長反射フィルタが実現できたが、この第2
の実施の形態では、選択反射波長の温度依存性を積極的
に利用することにより、選択反射波長を可変とした光合
分波器51につき説明する。
【0087】図6に示すように、この光合分波器51
は、実施の形態にて説明した光合分波器11の溝25の
近傍に、選択波長反射フィルタ27の温度を制御するた
めの温度制御手段としての、ヒータ電極53を更に設け
た構造となっている。また、この選択波長反射フィルタ
27は、所定の方向に螺旋軸が配向したコレステリック
液晶を含む液晶含有体であって、流動性を有する液晶含
有体で構成されている。
【0088】図6に示すヒータ電極53は、U字状の形
状をなしており、溝25の近傍で選択波長反射フィルタ
27を三方から囲むように設けられている。ヒータ電極
53は、高電気抵抗でかつ高い耐久性を有する金属材料
で形成するのが望ましい。例えば、このような金属材料
としてニクロム等がある。また、ヒータ電極53の両端
は、出力電圧を可変制御できる駆動装置55に接続す
る。なお、このヒータ電極53は、選択波長反射フィル
タ27を均一に加熱できるように選択波長反射フィルタ
27の近傍に設けるのがよい。
【0089】また、この基板13がクラッド29と同一
の材料であると、ヒータ電極53による加熱の際に基板
13およびクラッド29の熱膨張による応力の発生が緩
和できるため好適である。また、この基板13を放熱性
の優れた材料で形成するのが好ましい。
【0090】また、ヒータ電極53による選択波長反射
フィルタ27の温度制御範囲は、光導波路に熱応力等に
よる悪影響を及ぼさない程度の範囲とするのが望まし
い。そのため、所望の選択反射波長、所望の反射波長幅
および所望の温度依存波長変化量が得られるように、予
め、コレステリック液晶の選択、または、その他の螺旋
ピッチの制御ができる物質のコレステリック液晶への混
入などにより、螺旋ピッチおよびその温度変化量を調節
しておけばよい。
【0091】この光合分波器51の第1入出力ポート1
5に複数の波長からなる光信号λ1〜光信号λn が入力
された場合につき説明する。この場合、光合分波器51
は、選択波長反射フィルタの選択反射波長の光信号(例
えば光信号λi とする。)を第3入出力ポート19から
出力して、かつ、それ以外の光信号λ1 〜λi-1 および
λi+1 〜λn を第2入出力ポート17から出力する。こ
の光合分波器51では、選択反射波長が可変であるた
め、駆動装置55の出力電圧を制御することによって光
信号λi の波長を可変とできる。
【0092】(第5の形成方法)続いて、図7を参照し
て、このような光合分波器51の形成方法(第5の形成
方法と称する。)につき説明する。図7は、ヒータ電極
53を有する光合分波器51の代表的な形成工程を概略
的に示した図である。
【0093】この第5の形成方法では、先ず、第1工程
として、上述した第1の形成方法にて説明した第1工程
を行う(図7(A))。ただし、導波路構造は、Y分岐
しない構造とした。そののち第2工程として、上述した
第2または第3の形成方法にて説明した第2工程を行う
(図7(B))。
【0094】続いて電極形成工程として、溝25の近傍
にヒータ電極53を形成する(図7(C))。例えば、
このヒータ電極53は、スパッタリング等によりクラッ
ド29の表面に金属薄膜をパターン形成する。なお、こ
の電極形成工程は、第2工程の前後のいずれに行っても
良い。すなわち溝25を形成したのちヒータ電極53を
形成しても、或いはヒータ電極53を形成したのち溝2
5を形成してもよい。
【0095】溝25およびヒータ電極53を形成した
後、第3工程として、この溝25にコレステリック液晶
を注入する(図7(D))。この第3工程は、前述した
第1の形成方法にて説明した第3工程と同様にして実施
できる。
【0096】この第3工程に続いて、封止板43によっ
て流動性を有するコレステリック液晶を封止する第4工
程を行う(図7(E))。この第4工程は、前述の第1
の形成方法にて説明した第4工程と同様に行える。
【0097】以上説明したように、第2の実施の形態の
光合分波器51によれば、コレステリック液晶の螺旋ピ
ッチPの温度依存性を利用して、選択反射波長が可変で
ある合分波器51が実現できる。また、以上では図1
(A)の光合分波器11にヒータ電極を形成した形態に
つき説明したが、図1(B)の光合分波器31に同様の
ヒータ電極を形成してもよい。
【0098】図8は、後述する実施例にて行った選択波
長反射フィルタの選択反射波長の温度依存性に関する測
定結果を概略的に示した図である。詳細は実施例にて後
述するが、第2の実施の形態の一例である第4の実施例
の光合分波器51では、選択波長反射フィルタの温度が
20℃から40℃まで変化すると、選択反射波長は2.
2μmから1.0μmまで単調減少する(図8参照)。
このように、ヒータ電極53を形成するという工程のみ
で、赤外領域で充分な波長可変帯域を有する光合分波器
が得られる。
【0099】例えば、図6に示す光合分波器51は、A
DM(Add−Drop Multiplexing)
用の光合分波器として用いることができる。ADMは、
WDM(Wavelength−Division M
ultiplexing)において選択された波長を入
出力するシステムとして利用されている。
【0100】
【実施例】以下、第1〜第4の各実施例により、この発
明をさらに詳細に説明する。第1〜第4の各実施例で
は、この出願に係る発明者等が実際に行った光合分波器
の形成の過程を説明した後、各光合分波器についての説
明をする。なお、以下に説明する光合分波器の、各部の
構成や、使用材料およびその他の形成条件、数値的な条
件等は、この発明の範囲内の一例に過ぎない。したがっ
て、この発明はこれら条件に何ら限定されるものではな
い。また、以下の各実施例では、溝をダイシングによっ
て形成した溝としている。
【0101】(第1の実施例)この第1の実施例では、
図9および図4を参照して、選択波長反射フィルタを流
動性を有するコレステリック液晶で形成した例につき説
明する。図9は、図4(A)に示す光合分波器31の光
導波路を形成する工程の詳細な過程を示した図である。
すなわち、ここでは図4(A)の工程の詳細な過程とし
ての図9(A)〜(D)を行ったのち、図4(B)〜
(D)の各工程を行う。なお、この第1の実施例では、
第1光導波路がY分岐する光合分波器31(図1(B)
参照)を形成した。
【0102】基板13としてシリコン基板を用意した
(図9(A))。第1工程として、先ず、この基板上に
有機オキシシランの一つであるテトラエトキシシラン
(Tetraethoxysilane、Si(OC2
54 、以下TEOSと略称することもある。)ガス
をガスソースに用いた常圧CVD法によって、酸化シリ
コンからなる下部クラッド57を形成した。なお、この
ときTEOSガスと共にフッ素含有ガスを導入したた
め、この下部クラッド57はフッ素ドープされて屈折率
が若干低下した。引き続いて、下部クラッド57の上
に、TEOSガスをガスソースに用いた常圧CVD法に
よって、コア(すなわち光導波路21、23および3
3)となる酸化シリコン膜59を形成した(図9
(B))。コアとなる酸化シリコン膜59を形成したの
ち、この酸化シリコン膜59の表面にレジストを塗布し
た。続いて、フォトリソグラフィにより、コアとなる酸
化シリコン膜59上のレジストのパターニングを行っ
た。そののち、RIE法を用いて、エッチングガスに好
適な電界および圧力を加えることにより、コアとなる酸
化シリコン膜59がレジストパターンに被覆された領域
を残してエッチングされた(図9(C))。この領域が
第1〜第3光導波路21、23および33となる。続い
て、レジストパターンを除去した後、再びTEOSガス
をガスソースに用いた常圧CVD法によって、第1〜第
3光導波路21、23および33および下部クラッド5
7を覆うように酸化シリコン膜からなる上部クラッド6
1を形成した(図9(D))。このときの堆積条件は下
部クラッド57の形成時と同様とした。
【0103】以上の第1工程で、シリコン基板の上に下
部クラッド57および上部クラッド61で保護された第
1〜第3光導波路21、23および33が形成された。
図に示すように、これら第1〜第3光導波路21、23
および33は埋込導波路となっている。
【0104】第1工程を行った後、第2工程として、上
部クラッドの表面に溝25をダイシングによって形成し
た(図4(B))。この溝25は、基板13に達する深
さとなるように形成した。このダイシングは、回転型の
円形ダイヤモンドブレードを用いて、冷却水によって温
度上昇を抑制しつつ行った。なお、ここでは、ダイヤモ
ンドブレード((株)DISCO製、商品番号:PIA
851)を用いた。
【0105】以上の第2工程で、幅が約18μmで深さ
が約20μmの溝25が形成された。なお、クラッド
(下部クラッド57および上部クラッド61)の一部お
よび第1光導波路21のこの溝25によって切断される
二つの平行壁面には、平行壁面39aおよび39bのそ
れぞれの面内でランダムに発生する凹凸が形成された。
なお、この凹凸の高さおよび周期は、数十nm程度であ
ると考えられる。
【0106】第2工程に続く第3工程として、この溝2
5に、3フェニルプロピオネートとノナノエートとを混
合したコレステリック液晶を注入した。このとき、溝2
5内の二つの平行壁面に凹凸が形成されているため、注
入されたコレステリック液晶の螺旋軸は、この二つの平
行壁面に垂直となるように配向した。このコレステリッ
ク液晶の30℃における選択反射波長の中心波長は、
1.5μmとなる。この第3工程で、コレステリック液
晶で構成される選択波長反射フィルタ27が形成され
た。
【0107】この実施例では、第3工程にて注入したコ
レステリック液晶の配向保持を行わないため、コレステ
リック液晶は流動性を有する。そのため、第4工程で
は、流動性を有するコレステリック液晶を封止するため
の封止板43として厚さ0.1mmのポリカーボネート
板を用意する。その後、溝25を完全に覆うように載置
したポリカーボネート板43を紫外線硬化樹脂によって
強固に固定した。この第4工程で、流動性を有するコレ
ステリック液晶が封止された。なお、この紫外線硬化樹
脂を硬化させるために照射する紫外線は、このポリカー
ボネート板を透過しないため、溝25中のコレステリッ
ク液晶に悪影響を及ぼさない。
【0108】以上の工程によって形成された光合分波器
31によれば、第3工程および第4工程に要する時間は
十数分であった。
【0109】一方、誘電体多層膜フィルタを用いる従来
構成の光合分波器の形成において、この第1の実施例の
形成工程の第3工程および第4工程に該当するのは、溝
への誘電体多層膜フィルタの挿入、誘電体多層膜フィル
タのアライメントおよび誘電体多層膜フィルタの固着の
工程である。この出願に係る発明者等の過去の知見およ
び経験によれば、従来構成の光合分波器を形成する際、
フィルタの挿入、そのアライメントおよびその固着に要
する時間は、約60分である。よって、この第1の実施
例の第1工程および第2工程を従来構成の光合分波器に
も共通に行われる工程と考えると、光合分波器全体の製
造に要する時間が飛躍的に短縮されたことになる。
【0110】また、文献Iによれば、従来構成の光合分
波器では、波長1.55μmの光信号による共通ポート
101から1.55μm出力ポート109への挿入損失
は、シングルモード光ファイバとの接続損失を含めて
1.5dBである。また、波長1.55μmの光信号に
よる共通ポート101から1.55μm出力ポート10
9への反射減衰率は38dBである。波長1.3μmの
光信号による共通ポート101から1.3μm出力ポー
ト111への挿入損失は3.8dBである。
【0111】一方、この第1の実施例の光合分波器によ
れば、波長1.55μmの光信号による第1入出力ポー
ト15から第3入出力ポート19への挿入損失は、シン
グルモード光ファイバとの接続損失まで含めて、1.7
dBであった。また、波長1.55μmの光信号による
第1入出力ポート15から第3入出力ポート19への反
射減衰率は33dBであった。波長1.3μmの光信号
による第1入出力ポート15から第2入出力ポート17
への挿入損失は3.8dBであった。
【0112】第1の実施例の光合分波器31と従来構成
の光合分波器117との各損失を比較すると、両者の損
失には実用上の差異が無いことが理解できる。
【0113】(第2の実施例)第2の実施例では、図9
および図5を参照して、選択波長反射フィルタを紫外線
硬化樹脂とコレステリック液晶とで形成した例につき説
明する。なお、第2実施例では、第1光導波路がY分岐
する光合分波器(図1(B)参照)を形成した。以下、
図9(A)〜(D)および図5(B)〜(D)を参照し
て、光合分波器31を形成する。
【0114】この第2の実施例の第1工程は、上述した
第1の実施例の第1工程にて説明した第1工程と同様に
行った(図9(A)〜(D))。また、第2工程も同様
のダイシング法を用いて同様に行った(図5(B))。
【0115】続いて、第3工程として、この溝25に第
1の実施例と同じく、3フェニルプロピオネートおよび
ノナノエートを混合したコレステリック液晶と、紫外線
硬化樹脂としてのカプロラクトン変性ヒドロキシビバリ
ン酸エスネオペンチルグリコールジアクリレートとの混
合液を注入した。このとき、溝内の二つの平行壁面に凹
凸が形成されているため、注入されたコレステリック液
晶の螺旋軸は、この二つの平行壁面に垂直となるように
配向した。混合液を注入した基板13を含む下地をホッ
トプレート上に置いて一定温度に保持しつつ、上方から
Hgランプ(365nm、405nm)を照射すること
により、混合液中の紫外線硬化樹脂を硬化させた(図5
(C))。以上の第3工程で、コレステリック液晶で構
成される選択波長反射フィルタ27が形成された(図5
(D))。
【0116】以上の工程によって形成された光合分波器
31によれば、第3工程に要する時間は十数分であっ
た。第1の実施例にて説明したように、従来構成の工程
である、フィルタの挿入、そのアライメントおよびその
固着に要する時間は、約60分である。よって、この第
2の実施例の第1工程および第2工程を従来構成の光合
分波器にも共通に行われる工程と考えると、光合分波器
全体の製造に要する時間が飛躍的に短縮されたことにな
る。
【0117】また、第1の実施例の光合分波器31では
選択反射波長の温度依存性が約3nm/℃であったのに
対して、この第2の実施例の光合分波器31によれば、
温度依存性が0.05nm/℃となった。このように大
幅に温度依存性が低減できるため、使用される環境の温
度変化に対して選択反射波長の変動の抑制された光合分
波器31が実現できた。
【0118】また、この第2の実施例の光合分波器31
によれば、波長1.55μmの光信号による第1入出力
ポート15から第3入出力ポート19への挿入損失は、
シングルモード光ファイバとの接続損失まで含めて、
2.1dBであった。また、波長1.55μmの光信号
による第1入出力ポート15から第3入出力ポート19
への反射減衰率は39dBであった。波長1.3μmの
光信号による第1入出力ポート15から第2入出力ポー
ト17への挿入損失は4.1dBであった。
【0119】第2の実施例の光合分波器31と従来構成
の光合分波器117との各損失を比較すると、両者の損
失には実用上の差異が無いことが理解できる。
【0120】(第3の実施例)第3の実施例では、図9
および図5を参照して、選択波長反射フィルタを紫外線
硬化樹脂とコレステリック液晶とで形成した例につき説
明する。なお、第2実施例では、第1光導波路がY分岐
する光合分波器(図1(B)参照)を形成した。以下、
図9(A)〜(D)および図5(B)〜(D)を参照し
て、光合分波器31を形成する。
【0121】この第3の実施例の第1工程は、上述した
第1の実施例の第1工程にて説明した第1工程と同様に
行った(図9(A)〜(D))。また、第2工程も同様
のダイシング法を用いて同様に行った(図5(B))。
【0122】続いて、第3工程として、この溝25に紫
外線硬化性のコレステリック液晶としての前述した第1
および第2の液晶(大日本インク社製)の混合液を注入
した。このとき、溝内の二つの平行壁面に凹凸が形成さ
れているため、注入されたコレステリック液晶の螺旋軸
は、この二つの平行壁面に垂直となるように配向した。
混合液を注入した基板13を含む下地をホットプレート
上に置いて一定温度に保持しつつ、上方からHgランプ
(365nm、405nm)を照射することにより、こ
の第1の液晶および第2の液晶の構造式(C),(D)
の左端に位置するCH2 が紫外線によって解離して第1
の液晶および第2の液晶が結合する。このように第1の
液晶および第2の液晶の結合によってコレステリック液
晶の配向が保持された(図5(C))。以上の第3工程
で、コレステリック液晶で構成される選択波長反射フィ
ルタ27が形成された(図5(D))。
【0123】以上の工程によって形成された光合分波器
31によれば、第3工程に要する時間は十数分であっ
た。第1の実施例にて説明したように、従来構成の工程
である、フィルタの挿入、そのアライメントおよびその
固着に要する時間は、約60分である。よって、この第
3の実施例の第1工程および第2工程を従来構成の光合
分波器にも共通に行われる工程と考えると、光合分波器
全体の製造に要する時間が飛躍的に短縮されたことにな
る。
【0124】また、第1の実施例の光合分波器31では
選択反射波長の温度依存性が約3nm/℃であったのに
対して、この第3の実施例の光合分波器31によれば、
温度依存性が0.07nm/℃となった。このように大
幅に温度依存性が低減できるため、使用される環境の温
度変化に対して選択反射波長の変動の抑制された光合分
波器31が実現できた。
【0125】また、第2の実施例の光合分波器31では
コレステリック液晶と紫外線硬化樹脂との屈折率の差に
よる光散乱があるため損失が僅かにあった。しかしなが
ら、この第3の実施例によれば、選択波長反射フィルタ
27内で均一な屈折率が得られるため、そのような損失
が低減できた。実際に、この第3の実施例の光合分波器
31によれば、波長1.55μmの光信号による第1入
出力ポート15から第3入出力ポート19への挿入損失
は、シングルモード光ファイバとの接続損失まで含め
て、1.9dBであった。また、波長1.55μmの光
信号による第1入出力ポート15から第3入出力ポート
19への反射減衰率は36dBであった。波長1.3μ
mの光信号による第1入出力ポート15から第2入出力
ポート17への挿入損失は3.9dBであった。
【0126】第3の実施例の光合分波器31を従来構成
の光合分波器117との各損失を比較すると、両者の損
失には実用上の差異が無いことが理解できる。
【0127】(第4の実施例)この第4の実施例では、
図9および図7を参照して、第2の実施の形態にて説明
した流動性を有するコレステリック液晶で構成した選択
波長反射フィルタおよびヒータ電極を有する光合分波器
51の形成例につき説明する。なお、実施例1〜3では
Y分岐する光導波路構造を有する光合分波器31(図1
(B)参照)と同じ導波路構造のものについて説明した
が、この実施例4では図1(A)に示す光合分波器11
と同じ導波路構造のものにつき説明する。
【0128】この第4の実施例の第1工程は、上述した
第1の実施例の第1工程にて説明した第1工程と同様に
行った(図9(A)〜(D))。ただし、導波路構造は
第1光導波路21がY分岐しない構造として形成した。
また、第2工程も同様のダイシング法を用いて同様に行
った(図7(B))。
【0129】続いて、電極形成工程として、溝25の近
傍に、スパッタリングによってニクロム(NiCr)薄
膜からなるヒータ電極53を形成した(図7(C))。
【0130】次に、第3工程として、この溝25に、3
フェニルプロピオネートとノナノエートとを混合したコ
レステリック液晶を注入し(図7(D))た。このと
き、溝25内の二つの平行壁面に凹凸が形成されている
ため、注入されたコレステリック液晶の螺旋軸は、この
二つの平行壁面に垂直となるように配向した。この第3
工程で、コレステリック液晶で構成される選択波長反射
フィルタ27が形成された。
【0131】この第3工程に続いて、封止板43によっ
て流動性を有するコレステリック液晶を封止する第4工
程を行う(図7(E))。この第4工程は、前述の第1
の形成方法にて説明した第4工程と同様に行える。
【0132】以上のように形成した光合分波器51によ
れば、出力電圧の可変制御ができる駆動回路からの出力
をヒータ電極53に入力することにより、選択反射波長
が可変となる。
【0133】図11は、選択波長反射フィルタ27の温
度変化に対する選択反射波長の変化を測定するための測
定系を概略的に示した図である。図11に示す測定系を
用いて、この第4の実施例にて形成した光合分波器51
の選択反射波長の温度依存性に関する測定につき以下に
説明する。
【0134】図11に示すように、光合分波器51の第
1入出力ポート15および第3入出力ポート19に、そ
れぞれシングルモード光ファイバ63aおよび63bの
一端を接続した。そして、それらの他端をそれぞれ水銀
キセノンランプ65および分光器67に接続した。この
分光器67はPbSからなる光導電素子68に接続され
ている。また、選択波長反射フィルタ27に密着するよ
うに取り付けた熱伝対69はディジタルメータ71に接
続されている。
【0135】この測定系において、駆動装置55の出力
電圧を変化させて選択波長反射フィルタ27の加熱温度
を、熱伝対69による温度で20℃から40℃まで変化
させた。このとき、水銀キセノンランプ65の出力波長
のうち、光導電素子68で検出される選択反射波長は変
化した。測定結果は、加熱温度および選択反射波長で言
うと、20℃で約2.2μm、25℃で約1.7μm、
30℃で約1.3μm、35℃で約1.1μm、およ
び、40℃で約1.0μmであった。図8にこの結果を
示す。図8に示すように、この第4の実施例の光合分波
器51では、選択波長反射フィルタ27の温度が20℃
から40℃まで変化すると、選択反射波長は2.2μm
から1.0μmまで単調減少する。このように、ヒータ
電極53を形成するという簡単な工程を付加するだけ
で、赤外領域で充分な波長可変帯域を有する光合分波器
51が得られる。
【0136】また、以上の工程によって形成された光合
分波器51によれば、第3工程および第4工程に要する
時間は、ヒータ電極53の形成のためのスパッタを付加
するだけであるので、第1〜第3の実施例に比べても遜
色はない。
【0137】この第4の実施例の光合分波器によれば、
第1の実施例にて説明した光合分波器31と同程度の損
失を有していた。すなわち、波長1.55μmの光信号
による第1入出力ポート15から第3入出力ポート19
への挿入損失は、シングルモード光ファイバとの接続損
失まで含めて、1.7dBであった。また、波長1.5
5μmの光信号による第1入出力ポート15から第3入
出力ポート19への反射減衰率は33dBであった。波
長1.3μmの光信号による第1入出力ポート15から
第2入出力ポート17への挿入損失は3.8dBであっ
た。
【0138】第4の実施例の光合分波器51の各損失
は、従来構成の光合分波器117の各損失に比べて実用
上の差異が無いことが理解できる。
【0139】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、この発
明の光合分波器によれば、基板と、この基板の上側に設
けられた第1入出力ポート、第2入出力ポートおよび第
3入出力ポートと、この第1入出力ポートおよびこの第
2入出力ポート間に形成された第1光導波路と、この第
1光導波路の中途の分岐点および第3入出力ポート間に
形成された第2光導波路と、この分岐点の近傍で前述の
第1光導波路を横切るように設けられた溝と、この溝に
第1光導波路および第2光導波路間を光反射作用によっ
て光学的に結合するための選択波長反射フィルタとを具
える光合分波器であって、前述の選択波長反射フィルタ
を、所定の方向に螺旋軸が配向したコレステリック液晶
を含む液晶含有体で構成してある。
【0140】このような螺旋状の分子構造を有する液晶
含有体に入射した光は波長選択的に反射される。よっ
て、この液晶含有体で構成される選択波長反射フィルタ
は、従来の誘電体多層膜フィルタと同様に機能する。し
たがって、この構成によれば、従来構成では不可欠であ
った誘電体多層膜フィルタのアライメントを行う必要が
無く、溝中のコレステリック液晶の螺旋軸を所定の方向
に配向させるだけで選択波長反射フィルタが形成でき
る。したがって、光合分波器の製造工程に要する時間を
従来必要であったアライメントに要する時間だけ短縮で
き、引いては光合分波器の生産コストを低下させること
ができる。
【0141】また、この溝をダイシングによって形成し
た溝とすると、第1光導波路に挟まれた二つの壁面には
ダイシングによる荒れが生じる。このようにすれば、こ
の二つの壁面の荒れによるコレステリック液晶の螺旋軸
の配向が可能となる。したがって、螺旋軸の配向をさせ
るために従来周知の配向処理を特に行う必要がない。ゆ
えに、更に製造に要する時間が短縮できる。しかも製造
コストも低下できる。
【0142】また、この発明の光合分波器の形成方法に
よれば、基板の上側に第1入出力ポートおよび第2入出
力ポートを両端とする第1光導波路と、この第1光導波
路の中途の分岐点から第1入出力ポートの側に分岐して
第3入出力ポートを一端とする第2光導波路とを形成す
る第1工程と、この分岐点の近傍に前述の第1光導波路
を横断する溝をダイシングによって形成する第2工程
と、この溝にコレステリック液晶を含む混合液を注入し
て、選択波長反射フィルタを形成する第3工程とを具
え、前述のダイシングによって溝の前述した第1光導波
路に挟まれる壁面に生じた荒れを利用して、前述のコレ
ステリック液晶の螺旋軸を所定の方向に配向させてい
る。
【0143】この形成方法によれば、基板の上に形成さ
れた第1光導波路を横断する溝をダイシングによって形
成しているため、溝内の第1光導波路に挟まれる二つの
壁面に荒れが生じる。この荒れを有する溝にコレステリ
ック液晶を注入すると、この荒れに起因してコレステリ
ック液晶の螺旋軸が配向する。そのため、この構成で
は、誘電体多層膜フィルタを用いる従来構成のようなア
ライメントを行う必要が無く、また螺旋軸を所定の方向
に配向させるため特別な配向処理も行う必要が無い。よ
って、製造工程に要する時間を短縮でき、引いては製造
コストが低減できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態の光合分波器を概略的に示す斜方図
である。
【図2】実施の形態の光合分波器の選択波長反射フィル
タの近傍のみを拡大して概略的に示す斜方図、上面図お
よび側面図である。
【図3】液晶含有体中のコレステリック液晶分子の配向
の様子の説明に供する図である。
【図4】実施の形態の光合分波器の形成方法の説明に供
する図であって、その代表的な工程における様子を上面
および側面から概略的に示す図である。
【図5】第1の実施の形態の光合分波器の形成方法の説
明に供する図であって、その代表的な工程における様子
を上面および側面から概略的に示す図である。
【図6】第2の実施の形態の光合分波器を概略的に示す
図である。
【図7】第2の実施の形態の光合分波器の形成方法の説
明に供する図であって、その代表的な工程における様子
を上面および側面から概略的に示す図である。
【図8】第4の実施例にて行った選択波長反射フィルタ
の選択反射波長の温度依存性に関する測定結果を概略的
に示すグラフである。
【図9】各実施例の光合分波器の光導波路構造を形成す
る工程の詳細な過程における様子を上面および側面から
概略的に示す図であり、図4(B)、図5(B)または
図7(B)へ続く図である。
【図10】実施の形態の光合分波器の溝25の近傍の様
子を模式的に示す図である。
【図11】選択波長反射フィルタの温度に対する選択反
射波長の変化を測定するための測定系を概略的に示した
図である。
【図12】従来構成の光合分波器の説明に供する図であ
る。
【符号の説明】 11、31、51:光合分波器 13:基板 15:第1入出力ポート 17:第2入出力ポート 19:第3入出力ポート 21:第1光導波路 22:分岐点 23:第2光導波路 25:溝 27:選択波長反射フィルタ 29:クラッド 33:第3光導波路 35:第4入出力ポート 39a、39b:二つの平行壁面 41:コレステリック液晶分子 43:封止板 53:ヒータ電極 55:駆動装置 57:下部クラッド 59:コアとなる酸化シリコン膜 61:上部クラッド 63a、63b:シングルモード光ファイバ 65:水銀キセノンランプ 67:分光器 68:光導電素子 69:熱伝対 71:ディジタルメータ

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板と、該基板の上側に設けられた第1
    入出力ポート、第2入出力ポートおよび第3入出力ポー
    トと、該第1入出力ポートおよび該第2入出力ポート間
    に形成された第1光導波路と、該第1光導波路の中途の
    分岐点および前記第3入出力ポート間に形成された第2
    光導波路と、該分岐点の近傍で前記第1光導波路を横切
    るように設けられた溝と、該溝に前記第1光導波路およ
    び第2光導波路間を光反射作用によって光学的に結合す
    るための選択波長反射フィルタとを具える光合分波器に
    おいて、 前記選択波長反射フィルタを、所定の方向に螺旋軸が配
    向したコレステリック液晶を含む液晶含有体で構成して
    あることを特徴とする光合分波器。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の光合分波器において、 前記溝を、ダイシングによって形成した溝としたことを
    特徴とする光合分波器。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載の光合分波器において、 前記液晶含有体が流動性を有することを特徴とする光合
    分波器。
  4. 【請求項4】 請求項3に記載の光合分波器において、 前記溝の近傍に、前記選択波長反射フィルタの温度を制
    御するための温度制御手段を設けたことを特徴とする光
    合分波器。
  5. 【請求項5】 請求項1に記載の光合分波器において、 前記液晶含有体を、前記コレステリック液晶の配向が保
    持された第1液晶含有体としたことを特徴とする光合分
    波器。
  6. 【請求項6】 請求項5に記載の光合分波器において、 前記第1液晶含有体は、硬化した紫外線硬化剤を含むこ
    とによって前記配向を保持していることを特徴とする光
    合分波器。
  7. 【請求項7】 請求項5に記載の光合分波器において、 前記第1液晶含有体は、硬化した紫外線硬化性コレステ
    リック液晶を含むことによって前記配向を保持している
    ことを特徴とする光合分波器。
  8. 【請求項8】 基板の上側に第1入出力ポートおよび第
    2入出力ポートを両端とする第1光導波路と、該第1光
    導波路の中途の分岐点から該第1入出力ポートの側に分
    岐して第3入出力ポートを一端とする第2光導波路とを
    形成する第1工程と、 該分岐点の近傍に前記第1光導波路を横断する溝をダイ
    シングによって形成する第2工程と、 該溝にコレステリック液晶を含む混合液を注入して、選
    択波長反射フィルタを形成する第3工程と、 前記溝の前記第1光導波路に挟まれる壁面に、前記ダイ
    シングによって形成された荒れを利用して、前記コレス
    テリック液晶の螺旋軸を所定の方向に配向させることを
    特徴とする光合分波器の形成方法。
  9. 【請求項9】 請求項8に記載の光合分波器の形成方法
    において、 前記第3工程を、前記溝に前記コレステリック液晶およ
    び紫外線硬化剤の混合液を注入したのち、該混合液に紫
    外線を照射して硬化させる工程としたことを特徴とする
    光合分波器の形成方法。
  10. 【請求項10】 請求項8に記載の光合分波器の形成方
    法において、 前記第3工程を、前記溝に紫外線硬化性コレステリック
    液晶を注入したのち、該紫外線硬化性コレステリック液
    晶に紫外線を照射して硬化させる工程としたことを特徴
    とする光合分波器の形成方法。
  11. 【請求項11】 請求項9または10に記載の光合分波
    器の形成方法において、 前記紫外線の照射を、前記混合液、または前記紫外線硬
    化性コレステリック液晶の温度を所定の温度に保ちつつ
    行うことを特徴とする光合分波器の形成方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN110927856A (zh) * 2019-12-12 2020-03-27 华南师范大学 液晶光涡旋解复用器及制作方法

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