JPWO2009084382A1 - 射出成形体および重合体組成物 - Google Patents

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Abstract

[課題]透明性に優れ、レンズ、導光板、拡散板、透明プラスチック基板、マイクロレンズおよび光ディスク基板などの光学部品製造に適した射出成形体および射出成形体用重合体組成物を提供する。[解決手段]式(1)〜(4)の中から選ばれる少なくとも一種の繰り返し単位1〜50モル%と、スチレン由来の繰り返し単位50〜99モル%(ただし、全繰り返し単位の合計を100モル%とする)とを含み、かつゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定したポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)が、1,000〜50,000であるスチレン系重合体(A)と、環状オレフィン系(共)重合体(B)とを含有する重合体組成物からなる射出成形体。

Description

本発明は、スチレン系共重合体と環状オレフィン系(共)重合体とを含有する重合体組成物からなる射出成形体に関する。詳しくは、本発明はスチレン系共重合体と環状オレフィン系(共)重合体とを含有する重合体組成物からなる射出成形体であって、レンズ、導光板、拡散板、透明プラスチック基板、マイクロレンズおよび光ディスク基板などの光学部品に好適な射出成形体に関する。
従来、ガラスが使用されてきた光学部品も生産性、耐衝撃性および軽量性に優れるプラスチックへの代替が進んでいる。例えば、デジタルカメラ用レンズ、携帯電話用レンズ、CDおよびブルーレイ用ピックアップレンズおよびマイクロレンズに代表される光学レンズ、ディスク等の基板、導光板ならびにプリズムシート等へもポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチルおよび環状オレフィン系樹脂の利用が進んでいる。しかしながら、ポリカーボネートは複屈折が大きく、ポリメタクリル酸メチルは耐熱性が低く、吸水性が高いといった問題があった。
環状オレフィン系樹脂は、ガラス転移温度および光線透過率が高く、しかも屈折率の異方性が小さいため従来の光学用樹脂に比べ低複屈折性を示すなどの特徴を有しており、耐熱性、透明性および光学特性に優れた熱可塑性樹脂として注目されている。そしてこのような特徴を利用して、例えば、光ディスク、光学レンズ、光ファイバー、透明プラスチック基盤および低誘電材料などの電子・光学材料ならびに光半導体封止などの封止材料などの分野において、環状オレフィン系樹脂を応用することが検討されている。
しかしながら、環状オレフィン系樹脂は透明性、低吸水性および低複屈折性に優れるもののレンズ用途においては屈折率が光学用ガラスに比べて低いため、薄型化または軽量化の要求に対して充分に応えられていないのが現状である。従って、前述の環状オレフィン系樹脂の特徴に加え高屈折性を兼ね備えた環状オレフィン系樹脂の開発が強く望まれている。
一般に樹脂の屈折率は、芳香族環、ハロゲン原子または硫黄原子の含有率を高めることで向上することが知られており、環状オレフィン系樹脂への芳香族環、ハロゲン原子および硫黄原子の導入またはこれらを含有する異種重合体とのブレンドが有望である。例えば、特許文献1には、芳香族環を含有するノルボルネン誘導体の開環重合体が高屈折率であることが示されている。また、特許文献2〜4には、屈折率に関する言及はないものの、環状オレフィン系樹脂とスチレン系樹脂とのブレンドが提案されている。しかしながら、前者の芳香族環含有ノルボルネン系開環重合体は、使用する単量体の製造や開環重合触媒が高価であるため、コスト高になりがちになるという問題があり、他方後者のスチレン系樹脂ブレンドはほとんどの場合、射出成形温度に該当する200〜300℃の高温下において相分離が生じるため、透明な射出成形体を得るのが非常に困難であった。さらに、相分離させずに透明性を維持しようとするとスチレン系樹脂の添加量が制限され、所望の光学特性が得られないという問題があった。
このため、相分離を抑え、高温下の成形方法を用いても透明な光学部品を容易に得ることができる重合体組成物、およびその重合体組成物を主成分とする、透明性の高いレンズ等の光学部品の出現が強く望まれていた。
特許第3291857号公報 特許第3775052号公報 特開2006−188555号公報 特開2001−337222号公報
本発明は、特定のスチレン系共重合体および環状オレフィン系(共)重合体を含有する重合体組成物からなる射出成形体であって、屈折率が高く、透明性に優れた射出成形体を提供することを課題とする。また、本発明は、射出成形体を形成する際、高温で加熱しても相分離しない重合体組成物を提供することを課題とする。
本発明者らは、従来技術における上記問題を解決して、屈折率が高く、透明性に優れた射出成形体および該射出成形体を提供することができる重合体組成物について鋭意研究し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明には以下の事項が含まれる。
〔1〕下記式(1)〜(4)の中から選ばれる少なくとも一種の繰り返し単位1〜50モル%と、スチレン由来の繰り返し単位50〜99モル%(ただし、全繰り返し単位の合計を100モル%とする)とを含み、かつゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定したポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)が、1,000〜50,000であるスチレン系重合体(A)と、環状オレフィン系(共)重合体(B)とを含有する重合体組成物からなり、全光線透過率が80%以上であることを特徴とする射出成形体。
Figure 2009084382
式(2)中、R1は水素原子、ハロゲン原子、極性基または酸素原子、硫黄原子、窒素原子もしくは珪素原子を含む連結基を有してもよい置換もしくは非置換の炭素原子数1〜30の炭化水素基を示し、式(3)中、R2〜R3は各々独立に水素原子、ハロゲン原子、極性基または酸素原子、硫黄原子、窒素原子もしくは珪素原子を含む連結基を有してもよい置換もしくは非置換の炭素原子数1〜30の炭化水素基を示す。
〔2〕レンズであることを特徴とする〔1〕に記載の射出成形体。
〔3〕前記スチレン系重合体(A)および環状オレフィン系(共)重合体(B)の組成比が、重量比で(A)/(B)=90/10〜3/97であることを特徴とする〔1〕または〔2〕に記載の射出成形体。
〔4〕前記環状オレフィン系(共)重合体(B)が、下記式(5)で表される繰り返し単位を有することを特徴とする〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の射出成形体。
Figure 2009084382
式(5)中、aおよびbは各々独立に0または1を示し、cおよびdは各々独立に0〜2の整数を示す。Xは−CH=CH−または−CH2CH2−である。R4〜R13は各々独立に水素原子;ハロゲン原子;酸素原子、硫黄原子、窒素原子もしくはケイ素原子を含む連結基を有してもよい置換もしくは非置換の炭素原子数1〜30の炭化水素基;または極性基を示す。R9およびR10ならびにR11およびR12は各々一体化して2価の炭化水素基を形成してもよく、R9およびR10ならびにR11およびR12は各々相互に結合して炭素環または複素環を形成してもよく、該炭素環または複素環は単環でも多環であってもよい。
〔6〕下記式(1)〜(4)の中から選ばれる少なくとも一種の繰り返し単位1〜50モル%と、スチレン由来の繰り返し単位50〜99モル%(ただし、全繰り返し単位の合計を100モル%とする)とを含むスチレン系重合体(A)と、環状オレフィン系(共)重合体(B)とを含有することを特徴とする重合体組成物。
Figure 2009084382
式(2)中、R1は水素原子、ハロゲン原子、極性基、炭素原子数1〜30の炭化水素基、または酸素原子、硫黄原子、窒素原子もしくは珪素原子を含む連結基を有する炭素原子数1〜30の炭化水素基を示し、式(3)中、R2〜R3は各々独立に水素原子、ハロゲン原子、極性基、炭素原子数1〜30の炭化水素基または酸素原子、硫黄原子、窒素原子もしくは珪素原子を含む連結基を有する炭素原子数1〜30の炭化水素基を示す。
本発明によれば、屈折率が高く、透明性に優れた射出成形体を提供することができる。
本発明の重合体組成物は、特定のスチレン系共重合体を含有するため、射出成形体を成形する際、高温で加熱しても相分離しない。
本発明の射出成形体は、下記式(1)〜(4)の中から選ばれる少なくとも一種の繰り返し単位1〜50モル%と、スチレン由来の繰り返し単位50〜99モル%(ただし、全繰り返し単位の合計を100モル%とする)とを含み、かつゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定したポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)が、1,000〜50,000であるスチレン系重合体(A)と、環状オレフィン系(共)重合体(B)とを含有する重合体組成物からなり、全光線透過率が80%以上であることを特徴としている。
Figure 2009084382
式(2)中、R1は水素原子、ハロゲン原子、極性基、炭素原子数1〜30の炭化水素基または酸素原子、硫黄原子、窒素原子もしくは珪素原子を含む連結基を有する炭素原子数1〜30の炭化水素基を示し、式(3)中、R2〜R3は各々独立に水素原子、ハロゲン原子、極性基、炭素原子数1〜30の炭化水素基または酸素原子、硫黄原子、窒素原子もしくは珪素原子を含む連結基を有する炭素原子数1〜30の炭化水素基を示す。
以下、本発明について詳細に説明する。
〔スチレン系共重合体(A)〕
本発明で用いられるスチレン系共重合体(A)は、前記式(1)〜(4)の中から選ばれる少なくとも一種の繰り返し単位を1〜50%、好ましくは2〜45モル%、より好ましくは5〜40モル%と、スチレン由来の繰り返し単位を50〜99モル%、好ましくは55〜98モル%、より好ましくは60〜95モル%とを含有する。ただし、前記式(1)〜(4)の中から選ばれる少なくとも一種の繰り返し単位とスチレン由来の繰り返し単位との合計は100モル%である。上記数値範囲内であると、本発明の重合体組成物に含有されるスチレン系共重合体(A)と、環状オレフィン系(共)重合体(B)との双方が良好な溶解性を示す溶媒が存在することに加え、高温下においても相分離することなく透明性を保持できる。
前記式(2)〜(3)において、ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子および臭素原子が挙げられる。
極性基としては、例えば、水酸基、炭素原子数1〜10のアルコキシ基、カルボニルオキシ基、アルコキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、シアノ基、アミド基、イミド基、トリオルガノシロキシ基、トリオルガノシリル基、アミノ基、アシル基、アルコキシシリル基、スルホニル基およびカルボキシル基など挙げられる。前記アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基およびエトキシ基等;カルボニルオキシ基としては、例えば、アセトキシ基およびプロピオニルオキシ基等のアルキルカルボニルオキシ基ならびにベンゾイルオキシ基等のアリールカルボニルオキシ基;アルコキシカルボニル基としては、例えば、メトキシカルボニル基およびエトキシカルボニル基等;アリーロキシカルボニル基としては、例えば、フェノキシカルボニル基、ナフチルオキシカルボニル基、フルオレニルオキシカルボニル基およびビフェニリルオキシカルボニル基等;トリオルガノシロキシ基としては、例えば、トリメチルシロキシ基およびトリエチルシロキシ基等;トリオルガノシリル基としては、例えば、トリメチルシリル基およびトリエチルシリル基等;アミノ基としては、例えば、第1級アミノ基;アルコキシシリル基としては、例えば、トリメトキシシリル基およびトリエトキシシリル基等が挙げられる。
炭素原子数1〜30の炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基およびプロピル基等のアルキル基;シクロペンチル基およびシクロヘキシル基等のシクロアルキル基;ビニル基、アリル基およびプロペニル基等のアルケニル基が挙げられる。
また、上記の炭化水素基は、直接結合していてもよいし、あるいは連結基を介して結合していてもよい。連結基としては、例えば、炭素原子数1〜10の2価の炭化水素基(例えば、−(CH2)m−(式中、mは1〜10の整数)で表されるアルキレン基);酸素、窒素、イオウまたはケイ素を含む連結基(例えば、カルボニル基(−CO−)、オキシカルボニル基(−O(CO)−)、カルボニルオキシ基(−COO−)、スルホン基(−SO2−)、エーテル結合(−O−)、チオエーテル結合(−S−)、イミノ基(−NH−)、アミド結合(−NHCO−)およびシロキサン結合(−OSi−)等が挙げられ、これらを複数含む連結基であってもよい。
本発明で用いられるスチレン系共重合体(A)は、スチレンと、上記式(1)〜(4)で表される繰り返し単位を形成し得る単量体(以下、それぞれ「単量体(1)〜(4)」ともいう)とを共重合反応して得ることができる。
単量体(1)としては、例えば、無水マレイン酸;
単量体(2)としては、例えば、マレイミド、N-フェニルマレイミド、N-メチルマレイミド、N-エチルマレイミド、N-ブチルマレイミドおよびN-シクロヘキシルマレイミド等のマレイミド類;
単量体(3)としては、例えば、フマル酸、フマル酸ジメチル、フマル酸ジエチル、フマル酸ジプロピル、フマル酸ジブチル、フマル酸モノメチル、フマル酸モノエチル、フマル酸モノプロピルおよびフマル酸モノブチル等のフマル酸誘導体;マレイン酸、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジプロピル、マレイン酸ジブチル、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、マレイン酸モノプロピルおよびマレイン酸モノブチル等のマレイン酸誘導体;
単量体(4)としては、例えば、イタコン酸無水物等が挙げられる。
これらの単量体のなかでも入手のしやすさや環状オレフィン系(共)重合体(B)との相溶性の点から、好ましくは、無水マレイン酸、単量体(3)として例示した化合物、イタコン酸無水物が挙げられ、さらに好ましくは、無水マレイン酸、単量体(3)として例示した化合物が挙げられ、特に好ましくは、無水マレイン酸が挙げられる。これらの単量体は1種単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。
上記式(2)または(3)で表される構造単位は、単量体(2)または(3)を共重合することで導入してもよいし、無水マレイン酸を共重合した後にイミド化、加水分解、加アルコール分解およびエステル化等の高分子反応を行って誘導してもよい。
また、本発明で用いられるスチレン系重合体(A)は、共重合可能な他の繰り返し単位をさらに有していてもよい。そのような繰り返し単位を形成し得る単量体としては、α―メチルスチレン、m−メチルスチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、エチレン、プロピレン、イソブテン、1,3−ブタジエン、1,3−シクロヘキサジエンおよびアクリロニトリル等が挙げられる。これらの単量体は1種または複数種を用いてスチレンおよび単量体(1)〜(4)と共に共重合することができる。これらの単量体の使用量は、本発明の効果を損なわない限り制限されないが、全繰り返し単位の合計100モル%中、通常30モル%未満、好ましくは25モル%未満、より好ましくは20モル%未満である。
共重合反応は、重合開始剤の存在下で、上記単量体を、塊状重合法、溶液重合法、沈殿重合法、乳化重合法、懸濁重合法または塊状−懸濁重合法などの従来公知の方法で反応させることにより行われる。
重合開始剤としては、ラジカル重合開始剤、カチオン重合開始剤、アニオン重合開始剤、配位重合触媒等を用いるのが好ましく、ラジカル重合開始剤を用いるのが特に好ましい。
ラジカル重合開始剤としては、フリーラジカルを発生する公知の有機過酸化物、またはアゾ系のラジカル重合開始剤を用いることができる。
有機過酸化物としては、ジアセチルパーオキサイド、ジベンゾイルパーオキサイド、ジイソブチロイルパーオキサイド、ジ(2,4−ジクロロベンゾイル)パーオキサイド、ジ(3,5,5−トリメチルヘキサノイル)パーオキサイド、ジオクタノイルパーオキサオド、ジラウロイルパーオキサイド、ジステアロイルパーオキサイドおよびビス{4−(m−トルオイル)ベンゾイル}パーオキサイドなどのジアシルパーオキサイド類;
メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、メチルシクロヘキサノンパーオキサイドおよびアセチルアセトンパーオキサイドなどのケトンパーオキサイド類;
過酸化水素、t−ブチルハイドロパーオキサイド、α−クメンハイドロパーオキサイド、p−メンタンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイドおよびt−ヘキシルハイドロパーオキサイドなどのハイドロパーオキサイド類;
ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ジラウリルパーオキサイド、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルクミルパーオキサイドおよび2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3などのジアルキルパーオキサイド類;
t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシピバレート、t−ヘキシルパーオキシピバレート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(2−エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、t−ヘキシルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシマレエート、t−ブチルパーオキシ3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシラウレート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(m−トルオイルパーオキシ)ヘキサン、α,α’−ビス(ネオデカノイルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、クミルパーオキシネオデカノエート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシネオデカノエート、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルパーオキシネオデカノエート、t−ヘキシルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシネオドデカノエート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ヘキシルパーオキシベンゾエート、ビス(t−ブチルパーオキシ)イソフタレート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシm−トルオイルベンゾエートおよび3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノンなどのパーオキシエステル類;
1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロドデカン、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、n−ブチル4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)ピバレートおよび2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパンなどのパーオキシケタール類;
t−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキシルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシアリルモノカーボネートなどのパーオキシモノカーボネート類;
ジ−s−ブチルパーオキシジカーボネート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシエチルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジ−2−メトキシブチルパーオキシジカーボネートおよびジ(3−メチル−3−メトキシブチル)パーオキシジカーボネートなどのパーオキシジカーボネート類;
その他、t−ブチルトリメチルシリルパーオキサイドなどが挙げられる。
アゾ系ラジカル重合開始剤としては、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスイソバレロニトリル、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2−(カルバモイルアゾ)イソブチロニトリル、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−{1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル}プロピオンアミド]、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−{2−(1−ヒドロキシブチル)}プロピオンアミド]、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−プロピオンアミド]、2,2’−アゾビス[N−(2−プロペニル)−2−メチルプロピオンアミド]、2,2’−アゾビス(N−ブチル−2−メチルプロピオンアミド)、2,2’−アゾビス(N−シクロヘキシル−2−メチルプロピオンアミド)、2,2’−アゾビス[2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジハイドロクロライド、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジハイドロクロライド、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジサルフェート・ジハイドレート、2,2’−アゾビス[2−(3,4,5,6−テトラヒドロピリミジン−2−イル)プロパン]ジハイドロクロライド、2,2’−アゾビス[2−{1−(2−ヒドロキシエチル)−2−イミダゾリン−2−イル}プロパン]ジハイドロクロライド、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)ジハイドロクロライド、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチル−プロピオンアミジン]、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミドキシム)、ジメチル2,2’−アゾビスブチレート、4,4’−アゾビス(4−シアノペンタノイックアシッド)および2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)等が挙げられる。
カチオン重合開始剤としては、塩酸、硫酸、p-トルエンスルホン酸およびリン酸等のブレンステッド酸;三フッ化ホウ素錯体、三塩化アルミニウム、エチルアルミニウムジクロリド、四塩化チタン、チタンテトライソプロポキシドおよび塩化タングステン等のルイス酸が挙げられる。
アニオン重合開始剤としては、ブチルリチウムおよびフェニルリチウム等の有機リチウム類;リチウムアミドおよびナトリウムアミド等の金属アミド類;エチルマグネシウムブロマイドおよびフェニルマグネシウムクロライド等のグリニャール試薬;ナトリウムメトキシドおよびナトリウムエトキシド等の金属アルコキシド等が挙げられる。
本発明において、重合開始剤の使用量は、前記全単量体の合計100mol%中、通常0.01〜10mol%、好ましくは0.03〜8mol%、より好ましくは0.05〜5mol%である。
溶液重合を行う際に使用される溶媒としては、スチレン、単量体(1)〜(4)および得られるスチレン系重合体(A)を溶解するものであれば特に限定されないが、シクロヘキサン等の炭化水素系;トルエン等の芳香族炭化水素系;メチルエチルケトンおよびメチルイソブチルケトン等のケトン系;酢酸エチルおよび酢酸ブチル等のエステル系の溶媒が好ましい。溶媒の使用量は、単量体全量に対し、0.1〜3倍(重量比)の量であるのが好ましい。
ラジカル重合を用いる場合には、所望の分子量を有する重合体を得るために、必要に応じて連鎖移動剤を添加することができる。連鎖移動剤としては、従来公知の連鎖移動剤を特に制限されずに使用することができるが、具体的には、ドデカンチオール、メルカプトエタノール、メルカプトプロパノール、メルカプト酢酸およびメルカプトプロピオン酸等が使用される。これらの連鎖移動剤は単独で使用してもよいし、複数種を混合して使用してもよい。
重合反応時間は、通常1〜30時間、好ましくは3〜20時間であり、重合反応温度は、使用するラジカル開始剤の種類に依存するため、特に限定されないが、通常40〜180℃、好ましくは50〜120℃である。
重合反応後、精製することによりスチレン系重合体(A)が得られる。精製には、従来公知の方法を用いることができる。単量体(1)〜(4)が揮発性を有する場合には、使用した溶媒や残留する単量体を、後述する脱溶方法を用いて除去すれば充分であるが、必要に応じて、溶剤を用いた洗浄や抽出精製を行う。例えば、得られた反応物溶液をトルエンまたはテトラヒドロフラン等の良溶媒で希釈した後、メタノール、水またはこれらの混合溶液中に加えて重合体を適度に凝集させ、抽出処理する方法が用いられる。抽出処理の際、反応溶媒として使用した溶媒および希釈のために添加した溶媒を合計した溶媒(良溶媒)量と重合体との重量比(良溶媒/重合体)は、通常0.5/1〜6/1、好ましくは0.7/1〜4/1である。また、抽出に使用するメタノール、水またはこれらの混合溶液等の貧溶媒の使用量は重量比(貧溶媒/前記良溶媒)で、通常0.3〜5、好ましくは0.5〜3である。抽出温度としては、通常40〜120℃、好ましくは50〜100℃である。
抽出後、溶液を冷却して軽重層に分離させ、遠心分離機等で軽層を除去する。これらの抽出操作を1〜10回繰り返した後、重液を濃縮してデボラティライザー(devolatilizer)や押出し機等の脱溶媒装置で脱溶媒する。脱溶媒時の温度は通常150〜350℃、好ましくは200〜350℃、真空度は通常0.1〜50mmHg、好ましくは1〜40mmHgである。また、脱溶媒前に希釈して循環濾過を実施してもよい。濾過の際、濾剤の孔径は0.1〜100μmのものを単独で使用してもよいし、孔径の異なるフィルターを段階的に複数設置してもよい。脱溶媒後の溶融ポリマーを濾過することにより精製してもよい。この際のポリマーフィルターの孔径は0.1〜100μmであるのが望ましい。
このようにして得られたスチレン系共重合体(A)は、30℃のクロロホルム溶液(濃度0.5g/dL)中で測定した対数粘度[η]が、0.01〜0.5dL/gであることが好ましい。
また、スチレン系重合体(A)のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定されるポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は、通常1,000〜50,000、好ましくは1,100〜40,000、より好ましくは1,200〜30,000であり、分子量分布(Mw/Mn)は、通常1.0〜10.0、好ましくは1.1〜8.0、より好ましくは1.2〜6.0である。重量平均分子量(Mw)が小さすぎると、得られるレンズなどの成形品の強度が低くなることがあり、重量平均分子量(Mw)が大きすぎると、環状オレフィン系重合体との相溶性が悪化し、得られる射出成形体の透明性が低下することがある。
〔環状オレフィン系(共)重合体(B)〕
本発明で用いられる環状オレフィン系(共)重合体(B)は、下記式(6)で表される単量体(以下、「単量体(6)」ともいう。)から導かれる繰り返し単位を有する(共)重合体であり、具体的には、単量体(6)を開環重合して得られる重合体、単量体(6)およびその他の共重合性単量体を開環重合して得られる重合体(以下、これらの重合体を「開環(共)重合体」という。)、該開環(共)重合体の水素添加物(以下単に「水素添加物」という。)、単量体(6)を付加重合して得られる重合体ならびに単量体(6)および不飽和二重結合含有単量体を付加重合して得られる重合体(以下「付加(共)重合体」という。)である。これらは単独でまたは2種以上組み合わせて用いてもよい。これらのうち、開環(共)重合体およびその水素添加物、すなわち、上記式(5)で表される繰り返し単位を有する重合体が好ましい。
Figure 2009084382
式(6)中、aおよびbは各々独立に0または1を示し、cおよびdは各々独立に0〜2の整数を示す。R4〜R13は各々独立に水素原子;ハロゲン原子;炭素原子数1〜30の炭化水素基;酸素原子、硫黄原子、窒素原子もしくはケイ素原子を含む連結基を有する炭素原子数1〜30の炭化水素基;または極性基を示す。R9およびR10ならびにR11およびR12は各々一体化して2価の炭化水素基を形成してもよく、R9およびR10ならびにR11およびR12は各々相互に結合して炭素環または複素環を形成してもよく、該炭素環または複素環は単環でも多環であってもよい。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子および臭素原子が挙げられる。
炭素原子数1〜30の炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基およびプロピル基等のアルキル基;シクロペンチル基およびシクロヘキシル基等のシクロアルキル基;ビニル基、アリル基およびプロペニル基等のアルケニル基などが挙げられる。
また、上記の炭化水素基は直接環構造に結合していてもよいし、あるいは連結基を介して結合していてもよい。連結基としては、例えば、炭素原子数1〜10の2価の炭化水素基(例えば、−(CH2)m−(式中、mは1〜10の整数)で表されるアルキレン基);酸素、窒素、硫黄またはケイ素を含む連結基(例えば、カルボニル基(−CO−)、オキシカルボニル基(−O(CO)−)、カルボニルオキシ基(−COO−)、スルホン基(−SO2−)、エーテル結合(−O−)、チオエーテル結合(−S−)、イミノ基(−NH−)、アミド結合(−NHCO−)およびシロキサン結合(−OSi−))等が挙げられ、これらを複数含む連結基であってもよい。
極性基としては、例えば、水酸基、炭素原子数1〜10のアルコキシ基、カルボニルオキシ基、アルコキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、シアノ基、アミド基、イミド基、トリオルガノシロキシ基、トリオルガノシリル基、アミノ基、アシル基、アルコキシシリル基、スルホニル基およびカルボキシル基など挙げられる。さらに具体的には、上記アルコキシ基としては、メトキシ基およびエトキシ基等;カルボニルオキシ基としては、アセトキシ基およびプロピオニルオキシ基等のアルキルカルボニルオキシ基ならびにベンゾイルオキシ基等のアリールカルボニルオキシ基;アルコキシカルボニル基としては、メトキシカルボニル基およびエトキシカルボニル基等;アリーロキシカルボニル基としては、フェノキシカルボニル基、ナフチルオキシカルボニル基、フルオレニルオキシカルボニル基およびビフェニリルオキシカルボニル基等;トリオルガノシロキシ基としては、トリメチルシロキシ基およびトリエチルシロキシ基等;トリオルガノシリル基としては、トリメチルシリル基およびトリエチルシリル基等;アミノ基としては、第1級アミノ基;アルコキシシリル基としては、トリメトキシシリル基およびトリエトキシシリル基等が挙げられる。
単量体(6)の具体例としては、次のような化合物が挙げられる。
ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、トリシクロ[4.3.0.12,5]−3−デセン、トリシクロ[5.2.1.02,6 ]−デカ−3,8−ジエン、トリシクロ[4.4.0.12,5]−3−ウンデセン、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]−4−ペンタデセン、ペンタシクロ[7.4.0.12,5.19,12.08,13]−3−ペンタデセン、5−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メチル−5−メトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−シアノビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−メトキシカルボニル−8−メチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−エトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−n−プロポキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−イソプロポキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−n−ブトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−フェノキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−(1−ナフトキシ)カルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−(2−ナフトキシ)カルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−〈4−フェニルフェノキシ〉カルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−メチル−8−エトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−メチル−8−n−プロポキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−メチル−8−イソプロポキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−メチル−8−n−ブトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−メチル−8−フェノキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−メチル−8−(1−ナフトキシ)カルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−メチル−8−(2−ナフトキシ)カルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−メチル−8−〈4−フェニルフェノキシ〉カルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、ペンタシクロ[8.4.0.12,5.19,12.08,13]−3−ヘキサデセン、ヘプタシクロ[8.7.0.13,6.110,17.112,15.02,7.011,16]−4−エイコセン、ヘプタシクロ[8.8.0.14,7.111,18.113,16.03,8.012,17]−5−ヘンエイコセン、5−エチリデンビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、8−エチリデンテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、5−フェニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−フェニル−5―メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、8−フェニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、5−n−ブチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−n−ヘキシルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−シクロヘキシルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−(2−シクロヘキセニル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−n−オクチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−n−デシルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−イソプロピルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−(1−ナフチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−(2−ナフチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−(2−ナフチル)−5−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−(4−ビフェニル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−(4−ビフェニル)−5−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−アミノメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−トリメトキシシリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−トリエトキシシリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−トリn-プロポキシシリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−トリn-ブトキシシリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−クロロメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ヒドロキシメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−シクロヘキセニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−フルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−フルオロメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−トリフルオロメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,5−ジフルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ジフルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,5−ビス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ビス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メチル−5−トリフルオロメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,5,6−トリフルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,5,6,6−テトラフルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、8−フルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−フルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−トリフルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8,8−ジフルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、スピロ[フルオレン−9,8'−トリシクロ[4.3.0.12.5][3]デセン]
などを挙げることができる。
単量体(6)は、単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
これらの単量体(6)のうち、上記式(6)におけるR9〜R12のうちの少なくとも1つが、下記式(I)
−(CH2nCOOR14 (I)
(式(I)中、nは通常、0または1〜5の整数、R14は炭素数1〜15の炭化水素基である。)で表される特定の極性基であるときに、得られる射出成形体の耐熱性と耐湿(水)性とが良好なバランスを保ち、スチレン系重合体(A)との良好な相溶性を示すため、特に好ましい。
上記式(I)において、nの値が小さいほど、また、R14の炭素数が小さいほど、得られる重合体組成物のガラス転移温度が高くなり、耐熱性が向上する点で好ましい。すなわち、nは通常、0または1〜5の整数であるが、好ましくは0または1であり、また、R14は通常、炭素数1〜15の炭化水素基であるが、好ましくは炭素数1〜4のアルキル基である。
さらに、上記式(6)において、上記式(I)で表される極性基が結合した炭素原子にさらにアルキル基が結合している上記単量体は、得られる射出成形体の耐熱性と耐湿(水)性とが良好なバランスを保つため好ましい。このアルキル基の炭素数は1〜5であることが好ましく、さらに好ましくは1〜2、特に好ましくは1である。
式(I)で表される特定の極性基を有する単量体のうち、8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ〔4.4.0.12,5.17,10〕−3−ドデセン、8−メチル−8−エトキシカルボニルテトラシクロ〔4.4.0.12,5.17,10〕−3−ドデセン、8−メチル−8−ブトキシカルボニルテトラシクロ〔4.4.0.12,5.17,10〕−3−ドデセンおよび8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ〔4.4.0.12,5.17,10〕−3−ドデセンと5−メチル−5−メトキシカルボニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エンとの併用は、得られる射出成形体が耐熱性に優れるため好ましく、特に、8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ〔4.4.0.12,5.17,10〕−3−ドデセンおよび8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ〔4.4.0.12,5.17,10〕−3−ドデセンと5−メチル−5−メトキシカルボニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エンとの併用は、スチレン系重合体(A)との相溶性に優れた環状オレフィン系(共)重合体(B)が得られるため好ましい。
式(I)で表される特定の極性基を有する単量体に由来する繰り返し単位は、環状オレフィン系(共)重合体(B)中の全繰り返し単位の合計100モル%中、通常3〜100モル%、さらに好ましくは30〜100モル%、特に好ましくは40〜100モル%含まれる。式(I)で表される特定の極性基を有する単量体に由来する繰り返し単位を前記範囲で含まれていると、スチレン系共重合体との相溶性と得られる射出成形体の屈折率とのバランスに優れるので好ましい。
単量体(6)として、式(I)で表される特定の極性基を有する単量体以外の好ましい例としては、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、トリシクロ[5.2.1.02,6 ]−デカ−3,8−ジエン、5−エチリデンビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−フェニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−nブチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エンおよび5−デシルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン等が挙げられる。これらの中でも、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エンおよびトリシクロ[5.2.1.02,6 ]−デカ−3,8−ジエンが特に好ましい。前記式(I)で表される特定の極性基を有する単量体と共に、これらの単量体を共重合する場合には、これらの単量体に由来する繰り返し単位の含有量は、環状オレフィン系(共)重合体(B)中の繰り返し単位の合計100モル%中、通常5モル%以上、好ましくは7〜70モル%、より好ましくは10〜60モル%である。これらの単量体に由来する繰り返し単位が前記範囲で含まれていると、得られる射出成形体の屈折率やスチレン系共重合体との相溶性とのバランスに優れるので特に好ましい。
本発明で用いられる環状オレフィン系(共)重合体(B)の合成においては、上記単量体(6)に加えて他の共重合性単量体を用いてもよい。
他の共重合性単量体として、例えば、シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘプテンおよびシクロオクテンなどのシクロオレフィンを挙げることができる。シクロオレフィンの炭素数は4〜20が好ましく、さらに好ましくは4〜12である。
さらに、ポリブタジエン、ポリイソプレン、スチレン−ブタジエン共重合体およびエチレン−非共役ジエン共重合体などの主鎖に炭素−炭素間二重結合を含む不飽和炭化水素系ポリマーなどが挙げられる。この場合、得られる射出成形体は、耐衝撃性が向上する。
<開環(共)重合体>
本発明において、開環(共)重合体は、開環重合触媒の存在下、必要に応じて分子量調節剤および開環重合用溶媒を用いて、上記単量体(6)の1種以上、および必要に応じて他の共重合性単量体を、従来公知の方法で開環(共)重合させることにより得ることができる。
また、単量体(6)と他の共重合性単量体とを共重合させる場合、単量体(6)と他の共重合性単量体との合計100重量中%、単量体(6)を通常50重量%以上、好ましくは60重量%以上、より好ましくは70重量%以上、かつ100重量%以下、他の共重合性単量体を、0重量%以上、通常50重量%以下、好ましくは40重量%以下、より好ましくは30重量%以下の割合で使用することが望ましい。
本発明で用いられる開環(共)重合体としては、単量体(6)の単独重合体、または2種以上の単量体(6)の共重合体が最も好ましい。
本発明で用いられる開環重合用の触媒としては、Olefin Metathesis and Metathesis Polymerization(K.J.IVIN,J.C.MOL, Academic Press 1997)に記載されている触媒が好ましく用いられる。
このような触媒としては、例えば、(a)W、Mo、Re、VおよびTiの化合物から選ばれる少なくとも1種と、(b)Li、Na、K、Mg、Ca、Zn、Cd、Hg、B、Al、Si、Sn、Pbなどの化合物であって、1以上の当該元素−炭素結合あるいは当該元素−水素結合を有するものから選ばれる少なくとも1種との組合せからなるメタセシス重合触媒が挙げられる。この触媒は、触媒の活性を高めるために、後述の添加剤(c)が添加されたものであってもよい。また、その他の触媒として(d)助触媒を用いない周期表第4族〜8族遷移金属−カルベン錯体やメタラシクロブタン錯体などからなるメタセシス触媒が挙げられる。
上記(a)成分として適当なW、Mo、Re、VおよびTiの化合物の代表例としては、WCl6、MoCl5、ReOCl3、VOCl3、TiCl4など特開平1−240517号公報に記載の化合物を挙げることができる。
上記(b)成分としては、n−C49Li、(C253Al、(C252AlCl、(C251.5AlCl1.5、(C25)AlCl2、メチルアルモキサン、LiHなど特開平1−240517号公報に記載の化合物を挙げることができる。
添加剤である(c)成分の代表例としては、アルコール類、アルデヒド類、ケトン類およびアミン類などを好適に用いることができ、さらに特開平1−240517号公報に示される化合物を使用することができる。
上記助触媒(d)の代表例としては、W(=N−2,6−C63 iPr2)(=CH tBu)(O tBu)2、Mo(=N−2,6−C63 iPr2)(=CH tBu)(O tBu)2、Ru(=CHCH=CPh2)(PPh3)2Cl2、Ru(=CHPh)(PC611)2Cl2などが挙げられる。
メタセシス触媒の使用量は、上記(a)成分と、全単量体(単量体(6)の全量および他の共重合可能な単量体。以下、同じ)とのモル比で「(a)成分:全単量体」が、通常1:500〜1:500,000、好ましくは1:1,000〜1:100,000の範囲であるのが好ましい。(a)成分と(b)成分との割合は、金属原子比で「(a):(b)」が1:1〜1:100、好ましくは1:2〜1:50の範囲であるのが好ましい。また、このメタセシス触媒に上記(c)添加剤を添加する場合、(a)成分と(c)成分との割合は、モル比で「(c):(a)」が通常0.005:1〜15:1、好ましくは0.05:1〜7:1の範囲であるのが望ましい。また、助触媒(d)の使用量は、(d)成分と全単量体とのモル比で「(d)成分:全単量体」が、通常1:50〜1:100,000、好ましくは1:100〜1:50,000の範囲であるのが好ましい。
開環(共)重合体の分子量の調節は重合温度ならびに触媒および溶媒の種類を変えることによっても行うことができるが、本発明においては、分子量調節剤を反応系に共存させることにより調節することが好ましい。ここに、好適な分子量調節剤としては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネンおよび1−デセンなどのα−オレフィン類、スチレンおよびビニルトルエンなどのスチレン類ならびにアリル酢酸およびアリルベンゼンなどアリル化合物類を挙げることができ、これらのうち、1−ブテン、1−ヘキセンおよび1−オクテンが特に好ましい。これらの分子量調節剤は、単独であるいは2種以上を混合して用いることができる。分子量調節剤の使用量は、開環(共)重合反応に供される全単量体1モルに対して通常0.001〜0.6モル、好ましくは0.02〜0.5モルであるのが好ましい。
開環重合反応において用いられる溶媒、すなわち、ノルボルネン系単量体、メタセシス触媒および分子量調節剤を溶解する溶媒としては、例えば、石油エーテル、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナンおよびデカンなどの炭化水素類;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、デカリンおよびノルボルナンなどの環状炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、クメンおよびクロロベンゼンなどの芳香族炭化水素類;ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロブタン、クロロホルムおよびテトラクロロエチレンなどのハロゲン化炭化水素類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチルおよびプロピオン酸メチルなどのエステル類;ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタンおよびジオキサンなどのエーテル類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドおよびN−メチルピロリドンなどが挙げられる。これらのうち、芳香族炭化水素類が特に好ましい。これらは単独であるいは複数種を混合して用いることができる。
溶媒の使用量は、重量比で「溶媒:全単量体(重量比)」が、通常0.5:1〜20:1、好ましくは0.5:1〜10:1であるのが好ましい。
水素添加物
本発明において、環状オレフィン系(共)重合体(B)は、開環(共)重合体をさらに水素添加した水素添加物として用いることが好ましい。開環(共)重合体では、式(5)で表される繰り返し単位中のXが、いずれも、式:−CH=CH−で表されるオレフィン性不飽和基の状態である。かかる開環(共)重合体は、そのまま使用することもできるが、耐熱安定性の観点から、上記のオレフィン性不飽和基が水素添加されて前記Xが−CH2−CH2−で表される基に転換された水素添加物であることが好ましい。ただし、本発明でいう水素添加物とは、上記のオレフィン性不飽和基が水素添加されたものであり、開環(共)重合体にある芳香族置換基は実質的には水素添加されていない。
なお、水素添加は、上記繰り返し単位(5)におけるXの90モル%以上、好ましくは95%以上、さらに好ましくは97%以上であるのが好ましい。水素添加率が高いほど、熱による着色や劣化が抑制される。また、上記繰り返し単位(5)中に、Xおよび芳香族環の炭素−炭素不飽和結合を除くオレフィン性不飽和結合が存在する場合には、上記繰り返し単位(5)におけるXと同様に、その90モル%以上、好ましくは95%以上、さらに好ましくは97%以上が水素添加されていることが好ましい。
水素添加反応は、単量体(6)に基づく側鎖の芳香環が実質的に水素添加されない条件下に行う必要がある。すなわち、開環(共)重合体の溶液に水素添加触媒を添加し、これに通常、常圧〜30MPa、好ましくは2〜20MPa、さらに好ましくは3〜18MPaで水素を作用させることによって行う。
水素添加触媒としては、通常のオレフィン性化合物の水素添加反応に用いられるものを使用することができる。この水素添加触媒としては、公知の不均一系触媒および均一系触媒をいずれも用いることができる。不均一系触媒としては、パラジウム、白金、ニッケル、ロジウムおよびルテニウムなどの貴金属触媒物質を、カーボン、シリカ、アルミナおよびチタニアなどの担体に担持させた固体触媒を挙げることができる。均一系触媒としては、ナフテン酸ニッケル/トリエチルアルミニウム、ビス(アセチルアセトナト)ニッケル(II)/トリエチルアルミニウム、オクテン酸コバルト/n−ブチルリチウム、チタノセンジクロリド/ジエチルアルミニウムモノクロリド、酢酸ロジウム、クロロトリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム、ジクロロトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム、クロロヒドロカルボニルトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウムおよびジクロロカルボニルトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウムなどを挙げることができる。触媒の形態は粉末でも粒状でもよい。また、この水素添加反応触媒は、1種単独でも2種以上を組み合わせても使用することができる。
これらの水素添加触媒は、単量体(6)もしくは他の単量体に基づく側鎖の芳香環が実質的に水素添加されないようにするために、その添加量を調節する必要があるが、通常は、「開環(共)重合体:水素添加触媒(重量比)」が、1:1×10-6〜1:2となる割合で使用するのが望ましい。
開環(共)重合体および水素添加物は、そのまま用いてもよいが、精製してから用いるほうが好ましい。開環(共)重合体および水素添加物の精製方法としてはスチレン系共重合体(A)と同様の方法を採用することができる。
<付加(共)重合体>
本発明では、環状オレフィン系(共)重合体(B)として、開環(共)重合体およびその水素添加物の他に、単量体(6)および不飽和二重結合含有単量体を付加重合して得られた付加(共)重合体を使用することができる。付加(共)重合体は、公知の方法により得ることができる。付加(共)重合体は、単量体(6)および不飽和二重結合含有単量体の合計100重量%中、上記単量体(6)を通常50〜90重量%、好ましくは60〜90重量%、より好ましくは70〜90重量%、不飽和二重結合含有単量体を通常10〜50重量%、好ましくは10〜40重量%、より好ましくは10〜30重量%の割合で重合させることが望ましい。
不飽和二重結合含有単量体としては、例えば、エチレン、プロピレンおよびブテンなどの炭素数2〜12、好ましくは炭素数2〜8のオレフィン系化合物を挙げることができる。
付加(共)重合反応に用いられる触媒としては、バナジウム化合物と有機アルミニウム化合物とからなる触媒が挙げられる。バナジウム化合物としては、VO(OR)abまたはV(OR)cd(ただし、Rは炭化水素基、0≦a≦3、0≦b≦3、2≦a+b≦3、0≦c≦4、0≦d≦4、3≦c+d≦4)で表されるバナジウム化合物、あるいはこれらの電子供与体付加物が挙げられる。電子供与体としてはアルコール、フェノール類、ケトン、アルデヒド、カルボン酸、有機酸または無機酸のエステル、エーテル、酸アミド、酸無水物およびアルコキシシラン等の含酸素電子供与体、アンモニア、アミン、ニトリルおよびイソシアナート等の含窒素電子供与体などが挙げられる。有機アルミニウム化合物としては、アルミニウム−炭素結合またはアルミニウム−水素結合を少なくとも1つ有する化合物から選ばれた少なくとも1種の有機アルミニウム化合物が挙げられる。上記触媒におけるバナジウム化合物と有機アルミニウム化合物との割合は、バナジウム原子に対するアルミニウム原子の比(Al/V)で、通常2以上、好ましくは2〜50、特に好ましくは3〜20である。
付加(共)重合に用いられる溶媒としては、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナンおよびデカン等の炭化水素類;シクロヘキサンおよびメチルシクロヘキサン等の環状炭化水素類;ベンゼン、トルエンおよびキシレン等の芳香族炭化水素類およびそのハロゲン誘導体類が挙げられる。これらのうち、シクロヘキサンおよびメチルシクロヘキサンが好ましい。
精製方法としては、上記スチレン系共重合体(A)と同様の方法を採用することができる。
<環状オレフィン系(共)重合体(B)>
本発明で用いられる環状オレフィン系(共)重合体(B)は、30℃のクロロベンゼン溶液(濃度0.5g/dL)中で測定した対数粘度[η]が、0.3〜1.0dL/gであることが好ましい。また、環状オレフィン系(共)重合体(B)のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定されるポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)は、通常5,000〜100,000、好ましくは8,000〜80,000、さらに好ましくは10,000〜50,000であり、重量平均分子量(Mw)は、通常10,000〜500,000、好ましくは20,000〜300,000、さらに好ましくは30,000〜200,000であり、分子量分布(Mw/Mn)は、通常1.5〜10、好ましくは2〜8、さらに好ましくは2〜6であることが望ましい。分子量が小さすぎると、得られる射出成形体などの強度が低くなることがある。分子量が大きすぎると、溶液粘度が高くなりすぎて本発明に係る重合体組成物の生産性や加工性が悪化することがある。
環状オレフィン系(共)重合体(B)のガラス転移温度(Tg)は、通常80〜200℃であり、好ましくは90〜190℃、さらに好ましくは100〜180℃である。Tgが低すぎると、熱変形温度が低くなるため、耐熱性に問題が生じるおそれがあり、また、得られる射出成形体の温度による光学特性の変化が大きくなるという問題が生じることがある。一方、Tgが高すぎると、加工温度を高くする必要があり、これにより重合体組成物が熱劣化することがある。
〔重合体組成物〕
本発明で用いられる重合体組成物は、スチレン系共重合体(A)と環状オレフィン系(共)重合体(B)との組成比((A)/(B))が質量比で、通常90/10〜3/97、好ましくは80/20〜5/95、さらに好ましくは70/30〜8/92の範囲である。スチレン系共重合体(A)の配合量が上記範囲にあると、射出成形体の強度が充分なものとなり、また、300℃の高温加熱時でも相溶状態が維持され、製膜後、透明性の高い射出成形体が得られる。スチレン系共重合体(A)の配合量が3質量%未満になると、所望の屈折率および/または複屈折が得られないことがある。また、スチレン系共重合体(A)の配合量が90質量%を超えると、強度が弱く所望の成形物が得られないことがある。
本発明で用いられる重合体組成物には、さらに任意成分として炭化水素樹脂、耐熱劣化性および耐光性の改良のために添加剤として、酸化防止剤、紫外線吸収剤等を添加してもよい。
炭化水素樹脂としては、C5系樹脂、C9系樹脂、C5系/C9系混合樹脂、シクロペンタジエン系樹脂、オレフィン/ビニル置換芳香族系化合物の共重合体系樹脂、シクロペンタジエン系化合物/ビニル置換芳香族系化合物の共重合体系樹脂、これらの樹脂の水素添加物およびビニル置換芳香族系樹脂の水素添加物などが挙げられる。炭化水素樹脂の含有量は、環状オレフィン系重合体(B)100重量部に対して、通常1〜50重量部、好ましくは5〜30重量部である。
酸化防止剤としては、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,2'−ジオキシ−3,3'−ジ−t−ブチル−5,5'−ジメチルジフェニルメタン、テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、ステアリル−β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2'−ジオキシ−3,3'−ジ−t−ブチル−5,5'−ジエチルフェニルメタン、3,9−ビス[1,1−ジメチル−2−(β−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ)エチル]、2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)オクチルホスファイトが挙げられる。
紫外線吸収剤としては、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−(2H−ベンゾトリアゾール-2-イル)-4,6-ビス(1-メチル-1-フェニルエチル)フェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール-2-イル)-4,6-ジ-t-ペンチルフェノール、2-ベンゾトリアゾール-2-イル4,6-ジ-t-ブチルフェノール、2,2'-メチレンビス〔4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)-6-[(2H−ベンゾトリアゾール-2-イル)フェノール]〕などが挙げられる。
これらの添加剤の含有量は、スチレン系共重合体(A)および環状オレフィン系(共)重合体(B)の合計100重量部に対して、通常0.01〜10重量部、好ましくは0.03〜5重量部である。
さらに、加工性を向上させる目的で滑剤などの添加剤、色相改良の目的で染料または蛍光増白剤を添加することもできる。
本発明で用いられる重合体組成物は、例えば、下記(i)〜(iii)の方法により得ることができる。
(i)スチレン系共重合体(A)と環状オレフィン系(共)重合体(B)と任意成分とを、二軸押出機またはロール混練機などを用いて混合する方法。
(ii)環状オレフィン系(共)重合体(B)を適当な溶媒に溶解した溶液に、スチレン系共重合体(A)および任意成分を添加し、適当な攪拌機を用いて混合する方法。
(iii)スチレン系共重合体(A)またはその溶液と、環状オレフィン系(共)重合体(B)またはその溶液と、任意成分とを混合し、デボラティライザーや押出し機等を用いて脱溶媒し混合する方法。
この際に使用する溶媒としては、スチレン系共重合体(A)または環状オレフィン系(共)重合体(B)の重合に通常使用される溶媒を用いることができる。上記方法により得られる重合体組成物は、高分子量の重合体を含有するため、射出成形により強度に優れたレンズ等の各種光学部品を成形することができる。
また、上記(ii)、(iii)などで得られる重合体組成物溶液を、押出機に導入し、押出機内で該重合体組成物溶液中の揮発分を除去した後、射出成形体を得ることもできる。
〔射出成形体〕
本発明の射出成形体は、面精度に優れ、板状、プリズム状またはレンズ状の光学部品として用いることができる。射出成形体の「全光線透過率」は、通常80〜95%、好ましくは85〜95%、より好ましくは90〜95%である。なお、全光線透過率の測定は、例えば、市販されている(株)村上色彩技術研究所製HM−150型ヘーズメーター、Gardner社製ヘイズ−光線透過率測定機(Haze−Gard Plus型)などを用いて測定することができる。また、射出成形体の「ヘイズ」は、通常0.1〜2%、好ましくは0.1〜1%、より好ましくは0.1〜0.5%である。ヘイズの測定は、上記全光線透過率と同様の機器を用いて行うことができる。
射出成形に用いられる射出成形機は、特に限定されないが、例えば、シリンダーの方式としてはインライン方式およびプリプラ方式;駆動方式としては油圧式、電動式およびハイブリッド式;型締め方式としては直圧式およびトグル式;射出方向としては横型および縦型のものが用いられる。また、型締め方式は射出圧縮できるものでもよい。シリンダー径および型締め力は目的の射出成形体の形状により決まるが、一般に射出成形体の投影面積が大きい場合は型締め力を大きくすることが好ましく、射出成形体の容量が大きい場合はシリンダー径の大きくすることが好ましい。
シリンダーがインライン式の場合、圧縮比、長さ/直径の比およびサブフライトの有無などのスクリュー形状は適宜選択でき、スクリュー表面には、クロム系、チタン系、窒化物系および炭素系など、公知のコーティングを施してもよい。また、計量や射出動作の安定性を向上させるためにスクリューの回転や圧力を制御する機構などを設けてもよい。また、シリンダー内や重合体組成物を貯蔵するホッパー内を減圧にしたり、シリンダーおよびホッパーを窒素などの不活性ガスでシールしたりすることは、射出成形体が安定に得られるという観点から好ましい。
射出成形の際、射出成形体のソリの低減や安定した連続成形のために、金型装置のキャビティー内を減圧する方法または射出圧縮方法が好適に用いられる。
金型装置のキャビティー内を減圧して射出成形する場合、減圧度は、ゲージ圧で、好ましくは−0.08MPa以下、さらに好ましくは−0.09MPa以下、特に好ましくは−0.1MPa以下である。上記範囲を超えると、減圧度が不足し、光透過性および光拡散性に優れた射出成形体を得られないことがある。
上記範囲の減圧度は、公知の方法、例えば、真空ポンプを使用して達成される。減圧する際には、キャビティー周囲やエジェクター機構部などに、Oリングなどの公知のシール材を使用することが好ましく、射出成形体に不純物が混入しないなどの範囲で真空用のグリースなどを使用してもよい。また、真空ポンプ等の減圧装置と接続するための吸引口は、金型装置内の任意の場所に設ければよいが、通常、エジェクター機構部、スプルーおよびランナーの端部、入れ子構造部などに設けられる。また、真空吸引シーケンスは、金型装置の開閉に併せて電磁バルブなどで制御してもよく、常時運転してもよく、溶融樹脂の充填時に金型装置のキャビティー内を所望の減圧度にできる方法であれば特に制限されない。
金型装置のキャビティー内を減圧して射出成形する場合、キャビティーを閉じ減圧になった状態で溶融樹脂を射出するため、通常、射出遅延時間を設定する。射出遅延時間は、使用する真空ポンプの能力およびキャビティーサイズに依存するが、通常0.5〜3秒程度である。
一方、射出圧縮成形方法では、キャビティー間隔を射出成形体の厚みの1.5〜20倍に設定し、その隙間に溶融樹脂を射出し、シリンダー側で測定される樹脂の圧力を200〜2,000kgf/cm2の範囲に保持しながら、金型装置内の射出成形体面を圧縮し、キャビティーの間隔を狭くすればよい。
また、金型装置のコアを射出成形体の厚みの1.1〜10倍に設定して可動状態とし、そこに溶融樹脂を射出して、射出開始あるいは射出終了後から、可動側コアを平均速度0.01〜1mm/secで圧縮してもよい。
これらの射出圧縮成形方法には、公知の成形機が用いられる。
射出成形のその他の条件は、特に限定されるものではないが、通常、シリンダー温度が260〜350℃、金型装置温度は、本発明に係る重合体組成物のガラス転移温度Tgに基づいて、通常Tg−1〜Tg−40℃、好ましくはTg−5〜Tg−30℃の範囲である。また、射出速度は、本発明の射出成形体の大きさや成形機のシリンダーサイズにより異なるが、例えば、シリンダー径が28mmの場合、通常80mm/sec以上、好ましくは90〜250mm/secである。保圧については、射出成形体の形状が保持できる程度の最小圧・時間に適宜調整することが好ましい。
〔実施例〕
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
なお、以下の実施例および比較例において、「部」および「%」は、特に断りのない限り、「重量部」および「重量%」を意味する。
以下の実施例および比較例における各種測定および評価方法は下記の通りである。
[重合反応率]
アルミニウム製容器中に秤量した重合反応溶液を300℃に熱したホットプレートで恒量となるまで加熱して残留モノマーおよび溶媒を除去して残留した重合体重量を計測し、理論上の重合体生成量との比から反応率を求めた。
[重量平均分子量(Mw)および分子量分布(Mw/Mn)]
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(東ソー(株)製HLC−8220GPC、カラム;東ソー(株)製ガードカラムHXL−H、TSK gel G7000HXL、TSK gel GMHXL2本およびTSK gel G2000HXLを順次連結、溶媒;テトラヒドロフラン、流速;1mL/min、サンプル濃度;0.7〜0.8重量%、注入量;70μL、測定温度;40℃、検出器;RI、標準物質;東ソー(株)製TSKスタンダードポリスチレン)を用い、重量平均分子量(Mw)および分子量分布(Mw/Mn)を測定した。
[対数粘度]
ウッベローデ型粘度計を用いて、クロロホルム中、試料濃度0.5g/dL、温度30℃で測定した。
[重合体分子構造]
超伝導核磁気共鳴吸収装置(NMR、Bruker社製、商品名:AVANCE500)を用い、重水素化クロロホルム中で1H−NMRを測定し、共重合組成比および水素添加率を計算した。
[ガラス転移温度(Tg)]
示差走査熱量計(セイコーインスツルメンツ社製、商品名:DSC6200)を用いて、日本工業規格K7121に従って補外ガラス転移開始温度(以下単に「ガラス転移温度(Tg)」という。)を求めた。
[屈折率]
メトリコン社製PC−2010型プリズムカプラを用いて、射出成形体の任意の5箇所の屈折率を測定し、最大値および最小値を除く3点の平均値を採用した。光源には408nm、633nmおよび830nmのレーザー光源を用い、得られた屈折率からコーシーの式を用いた回帰計算により589nmにおける屈折率を計算した。
[ヘイズ(Haze)]
(株)村上色彩技術研究所製HM−150型ヘーズメーターを用いて、射出成形体の任意の3箇所のヘイズを測定して、その平均値を採用した。
[全光線透過率]
(株)村上色彩技術研究所製HM−150型ヘーズメーターを用いて、射出成形体の任意の3箇所の全光線透過率を測定して、その平均値を採用した。
[加熱下における相溶性の評価]
(株)神藤金属工業所製シントー式SFA−37型加熱&冷却二段成形機を用いて、300℃の加熱下で射出成形体のヘイズを測定した。
<合成例1(B−1)>
単量体として下記式(X)で示される8−メトキシカルボニル−8−メチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン100g、分子量調節剤として1−へキセン3.6g、およびトルエン200gを窒素置換した反応容器に仕込み、80℃に加熱した。これにトリエチルアルミニウム(0.6mol/L)のトルエン溶液0.21mLおよびメタノール変性WCl6トルエン溶液(0.025モル/L)0.86mLを加え、80℃で1時間反応させて開環重合体を得た。次いで、得られた開環重合体溶液に、水素添加反応触媒であるRuHCl(CO)[P(C6533を0.04g添加し、水素ガス圧を9〜10MPaとし、160〜165℃の温度で、3時間反応させた。反応終了後、得られた生成物を多量のメタノール中に沈殿させることにより水素添加物(以下「環状オレフィン系重合体(B−1)」または単に「B−1」という。)を収量90g(収率90%)で得た。
得られた環状オレフィン系(共)重合体(B−1)は、ガラス転移温度(Tg)=167℃、重量平均分子量(Mw)=14.4×104、分子量分布(Mw/Mn)=5.0、対数粘度=0.79dL/g、NMR測定による水素添加率は99.0%以上であった。
Figure 2009084382
<合成例2(B−2)>
前記式(X)で示される8−メトキシカルボニル−8−メチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン585g(2.518mol)、下記式(Y)で示される5−メチル−5−メトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン315g(1.895mol)、分子量調節剤として1−へキセン35.2g(0.419mol)、およびトルエン1350gを窒素置換した反応容器に仕込み、80℃に加熱した。これにトリエチルアルミニウムのトルエン溶液(トリエチルアルミニウム濃度0.61mol/L)4.70mL、メタノール変性WCl6のトルエン溶液(メタノール変性WCl6濃度0.025mol/L)17.65mLを加え、80℃、1時間反応させて共重合体を得た。
Figure 2009084382
得られた重合体溶液370gをオートクレーブに入れ、さらにトルエンを80g加えた。次いで、水素添加反応触媒としてRuH(OCOCH3)(CO)[P(C6532を0.032g添加後、水素ガスをゲージ圧が10MPaになるように導入し、圧力を10MPaに保持したまま160〜165℃に加熱して3時間反応を行った。反応終了後、得られた生成物を多量のメタノール中に沈殿させることにより水素添加体を回収し、真空乾燥機で100℃、12時間乾燥した。
得られた水素添加体(以下「環状オレフィン系共重合体(B−2)」または単に「B−2」という。)は、収率90%、重量平均分子量(Mw)=74,395、分子量分布(Mw/Mn)=3.86、ガラス転移温度(Tg)=140℃、NMR測定による水素添加率は99.0%以上であった。
NMRにより求めた単量体(X)および単量体(Y)由来の構造単位含有率(共重合組成比)はそれぞれ66mol%および34mol%であった。
<合成例3(A−1)>
スチレン135g(1.296mmol)、トルエン67.5gおよび1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)0.708g(2.9mmol)を窒素置換した反応容器に仕込み、30℃に温度調節した。2℃/分の速度で90℃まで昇温し、一方、昇温を開始すると同時にシリンジポンプを用いて別途調製した無水マレイン酸の15重量%トルエン溶液100g(無水マレイン酸15g、0.153molを含む)を20g/時間の初速度で反応溶液中に滴下開始した。滴下開始から1時間毎に反応率を求め、その反応率と無水マレイン酸溶液の滴下率が一致するように滴下速度を徐々に減じて合計17時間の反応を行った。ここで滴下率とは、次式で定義する値である。
Figure 2009084382
2時間反応後の反応率は26.6%であり、滴下率は26.8%、9時間反応後の反応率は66.2%であり、滴下率は69.5%、17時間反応後の反応率は88.4%であり滴下率は87.6%であった。17時間反応後の反応溶液をトルエンで希釈した後、多量のメタノール中に注ぎ込み、析出したポリマーを回収して真空乾燥した。
得られたスチレン/無水マレイン酸ランダム共重合体(以下「スチレン系重合体(A−1)」または単に「A−1」という。)は、収率85%、重量平均分子量(Mw)=12.5万、分子量分布(Mw/Mn)=1.96、ガラス転移温度(Tg)=119℃であった。
[実施例1]
<重合体組成物の製造>
合成例1で得た環状オレフィン系重合体(B−1)2.4kgと、スチレン/無水マレイン酸共重合体(サートマー社製SMA EF−80;重量平均分子量(Mw)=9600;無水マレイン酸由来の構造単位≒10重量%)0.6kgとをブレンドした後、二軸押出機(TEM−37BS、東芝機械製)を用いて溶融混合し、ペレット状の重合体組成物を得た。シリンダー温度は280℃、軸回転速度は100rpm、押出速度は10〜20kg/時間であった。
得られたペレットの外観は透明であり、ガラス転移温度(Tg)は138℃であった。
<射出成形体の評価>
重合体組成物を100℃で4時間真空乾燥し、窒素雰囲気下で常圧に戻した後、窒素を封入したアルミニウム製の袋に密封して保管した。重合体組成物を、幅60mm、長さ80mm、厚み1mmの平板、1個取りの金型を用いて、射出成形機(ファナック社製α2000iB、シリンダー径25mm、型締め100ton)により射出成形を行い、板状の射出成形体を得た。
射出成形の条件としては、シリンダー温度305℃、金型温度は金型パーティング面の実温で100℃、射出速度は120mm/秒とした。
得られた射出成形体の屈折率は1.5280(589nm、27℃)であった。305℃の加熱下においても透明性は維持され、射出成形体のヘイズは0.3%、全光線透過率は91%と透明であった。
結果を表1に示す。
[実施例2]
<重合体組成物の製造>
合成例2で得た環状オレフィン系共重合体(B−2)1.75kgと、スチレン/無水マレイン酸共重合体(サートマー社製SMA EF−80)0.75kgとをブレンドした後、二軸押出機(TEM−37BS、東芝機械製)を用いて溶融混合し、ペレット状の重合体組成物を得た。シリンダー温度は260℃、軸回転速度は100rpm、押出速度は10〜20kg/時間であった。
得られたペレットの外観は透明であり、ガラス転移温度(Tg)は110℃であった。
<射出成形体の評価>
重合体組成物を100℃で4時間真空乾燥し、窒素雰囲気下で常圧に戻した後、窒素を封入したアルミニウム製の袋に密封して保管した。重合体組成物を、幅60mm、長さ80mm、厚み1mmの平板、1個取りの金型を用いて、射出成形機(ファナック社製α2000iB、シリンダー径25mm、型締め100ton)により射出成形を行い、板状の射出成形体を得た。
射出成形の条件としては、シリンダー温度290℃、金型温度は金型パーティング面の実温で80℃、射出速度は120mm/秒とした。
得られた射出成形体の屈折率は1.5389(589nm、27℃)であった。290℃の加熱下においても透明性は維持され、射出成形体のヘイズは0.4%、全光線透過率は91%と透明であった。
結果を表1に示す。
[比較例1]
<重合体組成物の製造>
合成例1で得た環状オレフィン系重合体(B−1)3.0kgを、二軸押出機(TEM−37BS、東芝機械製)を用いて溶融混合し、ペレット状の重合体組成物を得た。シリンダー温度は300℃、軸回転速度は100rpm、押出速度は10〜20kg/時間であった。
得られたペレットの外観は透明であり、ガラス転移温度(Tg)は167℃であった。
<射出成形体の評価>
重合体組成物を100℃で4時間真空乾燥し、窒素雰囲気下で常圧に戻した後、窒素を封入したアルミニウム製の袋に密封して保管した。重合体組成物を、幅60mm、長さ80mm、厚み1mmの平板、1個取りの金型を用いて、射出成形機(ファナック社製α2000iB、シリンダー径25mm、型締め100ton)により射出成形を行い、板状の射出成形体を得た。
射出成形の条件としては、シリンダー温度320℃、金型温度は金型パーティング面の実温で100℃、射出速度は120mm/秒とした。
得られた射出成形体の屈折率は1.5120(589nm、27℃)であった。全光線透過率は93%と透明であった。305℃の加熱下においても透明性は維持され、射出成形体のヘイズは0.3%、全光線透過率は91%と透明であった。
結果を表1に示す。
[比較例2]
<重合体組成物の製造>
合成例1で得た環状オレフィン系重合体(B−1)2.0kgと、合成例3で得たスチレン系重合体(A−1)0.5kgとを二軸押出機(TEM−37BS、東芝機械製)を用いて溶融混合し、ペレット状の重合体組成物を得た。シリンダー温度は280℃、軸回転速度は100rpm、押出速度は10〜20kg/時間であった。
得られたペレットの外観は不透明であり、明らかに相分離していた。
ガラス転移温度(Tg)は167℃および119℃に観測された。
結果を表1に示す。
[比較例3]
<重合体組成物の製造>
合成例1で得た環状オレフィン系重合体(B−1)2.4kgと、スチレン/無水マレイン酸共重合体(Nova Chemicals社製ダイラークD232;重量平均分子量(Mw)200,000;無水マレイン酸由来の構造単位≒10重量%)0.6kgとを、二軸押出機(TEM−37BS、東芝機械製)を用いて溶融混合し、ペレット状の重合体組成物を得た。シリンダー温度は280℃、軸回転速度は100rpm、押出速度は10〜20kg/時間であった。
得られたペレットの外観は白色であり、明らかに相分離していた。
ガラス転移温度(Tg)は167℃および121℃に観測された。
結果を表1に示す。
[比較例4]
<重合体組成物の製造>
合成例1で得た環状オレフィン系重合体(B−1)2.00kgと、ポリスチレン(三洋化成工業(株)製ST−95;重量平均分子量(Mw)5,000)0.5kgとを、二軸押出機(TEM−37BS、東芝機械製)を用いて溶融混合し、ペレット状の重合体組成物を得た。シリンダー温度は280℃、軸回転速度は100rpm、押出速度は10〜20kg/時間であった。
得られたペレットの外観は白色であり、明らかに相分離していた。
結果を表1に示す。
Figure 2009084382
本発明の射出成形体は、屈折率が高く、透明性に優れているため、光学材料・光学部品として好適に用いることができる。また、本発明の重合体組成物は、高温で加熱しても相分離しないことから、射出成形に好適である。

Claims (5)

  1. 下記式(1)〜(4)の中から選ばれる少なくとも一種の繰り返し単位1〜50モル%と、スチレン由来の繰り返し単位50〜99モル%(ただし、全繰り返し単位の合計を100モル%とする)とを含み、かつゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定したポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)が、1,000〜50,000であるスチレン系重合体(A)と、
    環状オレフィン系(共)重合体(B)と
    を含有する重合体組成物からなり、全光線透過率が80%以上であることを特徴とする射出成形体。
    Figure 2009084382
    (式(2)中、R1は水素原子、ハロゲン原子、極性基、炭素原子数1〜30の炭化水素基、または酸素原子、硫黄原子、窒素原子もしくは珪素原子を含む連結基を有する炭素原子数1〜30の炭化水素基を示し、式(3)中、R2〜R3は各々独立に水素原子、ハロゲン原子、極性基、炭素原子数1〜30の炭化水素基、または酸素原子、硫黄原子、窒素原子もしくは珪素原子を含む連結基を有する炭素原子数1〜30の炭化水素基を示す。)
  2. レンズであることを特徴とする請求項1に記載の射出成形体。
  3. 前記スチレン系重合体(A)および環状オレフィン系(共)重合体(B)の組成比が、重量比で(A)/(B)=90/10〜3/97であることを特徴とする請求項1または2に記載の射出成形体。
  4. 前記環状オレフィン系(共)重合体(B)が、下記式(5)で表される繰り返し単位を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の射出成形体。
    Figure 2009084382
    (式(5)中、aおよびbは各々独立に0または1を示し、cおよびdは各々独立に0〜2の整数を示す。Xは−CH=CH−または−CH2CH2−である。R4〜R13は各々独立に水素原子;ハロゲン原子;炭素原子数1〜30の炭化水素基;酸素原子、硫黄原子、窒素原子もしくはケイ素原子を含む連結基を有する炭素原子数1〜30の炭化水素基;または極性基を示す。R9およびR10ならびにR11およびR12は各々一体化して2価の炭化水素基を形成してもよく、R9およびR10ならびにR11およびR12は各々相互に結合して炭素環または複素環を形成してもよく、該炭素環または複素環は単環でも多環であってもよい。)
  5. 下記式(1)〜(4)の中から選ばれる少なくとも一種の繰り返し単位1〜50モル%と、スチレン由来の繰り返し単位50〜99モル%(ただし、全繰り返し単位の合計を100モル%とする)とを含み、かつゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定したポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)が、1,000〜50,000であるスチレン系重合体(A)と、
    環状オレフィン系(共)重合体(B)と
    を含有することを特徴とする重合体組成物。
    Figure 2009084382
    (式(2)中、R1は水素原子、ハロゲン原子、極性基、炭素原子数1〜30の炭化水素基、または酸素原子、硫黄原子、窒素原子もしくは珪素原子を含む連結基を有する炭素原子数1〜30の炭化水素基を示し、式(3)中、R2〜R3は各々独立に水素原子、ハロゲン原子、極性基、炭素原子数1〜30の炭化水素基、または酸素原子、硫黄原子、窒素原子もしくは珪素原子を含む連結基を有する炭素原子数1〜30の炭化水素基を示す。)
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