JP5304244B2 - 環状オレフィン系開環共重合体およびその用途 - Google Patents

環状オレフィン系開環共重合体およびその用途 Download PDF

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Description

本発明は、環状オレフィン系開環共重合体とその用途に関する。詳しくは、本発明は、特定の環状オレフィン系構造単位を含む新規な共重合体と、該共重合体から得られる光学部材、フィルム、正の波長依存性を有する延伸フィルム、該延伸フィルムを用いた偏光板ならびに液晶表示装置に関する。
環状オレフィン系樹脂は、透明性、耐熱性、耐湿性などに優れることから、光学フィルムなどの用途に好適に用いられる。近年、環状オレフィン系樹脂からなるフィルムは、複屈折が比較的小さいことにより、偏光板保護フィルム、液晶基板材料などへの利用が期待されており、また、位相差安定性を有することより、位相差フィルムなどの光学補償フィルムなどへの利用が期待されている。
例えば、特許文献1〜4には、環状オレフィン系樹脂のフィルムを用いた位相差板が記載されている。また、特許文献5および6には、環状オレフィン系樹脂のフィルムを、偏光板の保護フィルムに使用することが記載されており、環状オレフィン系樹脂フィルムを用いた偏光板を液晶ディスプレイ用途に用いることが記載されている。
これらの従来技術において、環状オレフィン系樹脂からなる位相差フィルムは、延伸配向により、透過光に位相差(複屈折)を与える機能が付与されているが、透過光の波長による位相差(複屈折)の絶対値の変化については、あまり問題とされていなかった。
しかしながら現在では、特に液晶ディスプレイや光ディスク用ピックアップなどの用途では、可視光領域全域(400〜800nm)などの広範な波長領域において、透過光の波長による透過光の位相差(複屈折)をコントロールすることが実際に求められてきている。
そして、透過光が長波長になるに従い、透過光の位相差(複屈折)が大きくなる逆波長分散性の延伸フィルムおよびその樹脂の開発が行われている。
しかしながら、環状オレフィン系樹脂を用いたフィルムであって、透過光が長波長になるに従い、透過光の位相差(複屈折)が小さくなる(正分散)ような延伸フィルムおよびその樹脂の開発は、ほとんど検討、報告されておらず、成型加工まで含めて押し出し成型によるフィルム化が可能な樹脂は知られていない。
このため従来、正の波長分散性を有するフィルムの利用が求められる場合には、環状オレフィン系以外の材料を用いる必要があった。例えば、ポリカーボネートフィルムやポリイミドポリマーコーティング等の薄膜は、位相差の波長分散性が正であることが公知であるものの、光弾性係数が非常に高く、吸水性、加工性の点で環状オレフィン系樹脂に比べ大きく劣り、光学フィルムとして使用する場合、品質上大きな課題として考えられていた。
このような状況において、環状オレフィン系樹脂からなり、広範な波長領域において、透過光の波長による透過光の位相差(複屈折)をコントロールでき、加工特性にも優れた単層の光学フィルムの出現が望まれており、また、このような光学フィルムを製造し得る樹脂の出現が求められている。
一方、本願出願人は、光学材料に好適な環状オレフィン系の重合体について研究の結果、特定の環状オレフィン系単量体の開環共重合体が、透明性および耐熱性に優れ、しかも溶剤に対する溶解性が高いことを見出している(特許文献7参照)。
本発明者は、このような状況を鑑みて鋭意研究した結果、特定の新規なノルボルネン系開環共重合体およびその水素添加物が、重合組成および単量体の置換基の設計により、加工性に優れ、位相差フィルムを形成した場合には複屈折(位相差)の大きさを制御できるのみならず、波長分散性をもコントロールし得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
特開平4−245202号公報 特開平4−36120号公報 特開平5−2108号公報 特開平5−64865号公報 特開平5−212828号公報 特開平6−51117号公報 特開2003−165828号公報
本発明は、耐熱性や加工性に優れるとともに、透明性に優れ、光学フィルム用途に好適に使用でき、位相差フィルムを形成した場合には複屈折(位相差)の大きさおよび波長依存性をもコントロールできるような新規なノルボルネン系開環共重合体、該共重合体から得られる光学部材、光学フィルムとして好適に用いられるフィルム、正の波長分散性を有する延伸フィルム、該延伸フィルムを用いた偏光板ならびに液晶表示装置を提供することを課題とする。
本発明の環状オレフィン系開環共重合体は、
下記式(1)で表される構造単位(1)と、
下記式(2)で表される構造単位(2)および下記式(3)で表される構造単位(3)よりなる群から選ばれる少なくとも2種の構造単位と
を有することを特徴としている。
Figure 0005304244
(式(1)中、aおよびbは0または1を表し、R1〜R6および複数のR7は、それぞれ独立に、水素原子;ハロゲン原子;酸素原子、硫黄原子、窒素原子もしくはケイ素原子を含む連結基を有してもよい、置換もしくは非置換の炭素原子数1〜30の炭化水素基;または極性基を表す。Xは−CH=CH−または−CH2CH2−を表す。)
Figure 0005304244
(式(2)中、aは0または1を表し、R1〜R4は、それぞれ独立に、水素原子;ハロゲン原子;酸素原子、硫黄原子、窒素原子もしくはケイ素原子を含む連結基を有してもよい、置換もしくは非置換の炭素原子数1〜30の炭化水素基;または極性基を表す。Xは、−CH=CH−または−CH2CH2−を表し、複数存在するXは同一でも異なっていてもよい。)
Figure 0005304244
(式(3)中、aは0または1を表し、R1およびR2は、それぞれ独立に、水素原子;ハロゲン原子;酸素原子、硫黄原子、窒素原子もしくはケイ素原子を含む連結基を有してもよい、置換もしくは非置換の炭素原子数1〜30の炭化水素基;または極性基を表す。Xは、−CH=CH−または−CH2CH2−を表し、複数存在するXは同一でも異なっていてもよい。Yは、−CH=CH−、−CH2CH2−、または、
Figure 0005304244
を表す。)
このような本発明の環状オレフィン系開環共重合体は、前記式(1)、(2)および(3)中の複数存在するXの合計を100mol%として、Xの80mol%以上が−CH2CH2−で表される基であることが好ましい。
本発明の環状オレフィン系開環共重合体は、前記構造単位(1)、(2)および(3)の合計量100モル%中に、構造単位(1)を5〜50mol%含むことが好ましい。
本発明の環状オレフィン系開環共重合体は、前記式(2)中のR1およびR2が水素原子であり、R3が水素原子またはメチル基であり、R4が水素原子、アルコキシカルボニル基またはフェニル基である、構造単位(2)を有することが好ましい。
本発明の環状オレフィン系開環共重合体は、下記式(2−1)〜(2−5)で表される構造単位から選ばれる少なくとも1種の構造単位(2)を有することが好ましい。
Figure 0005304244
Figure 0005304244
(式(2−1)〜(2−5)中、Xは一般式(2)で定義のとおり。)
本発明の環状オレフィン系開環共重合体は、下記式(3−1)〜(3−3)で表される構造単位から選ばれる少なくとも1種の構造単位(3)を有することが好ましい。
Figure 0005304244
Figure 0005304244
(式(3−1)〜(3−3)中、Xは一般式(3)で定義のとおり。)
本発明の環状オレフィン系開環共重合体は、日本工業規格K7121に従って測定した補外ガラス転移開始温度が、110〜170℃であることが好ましく、また、ウッベローデ型粘度計を用いて、クロロホルム中、試料濃度0.5g/dL、温度30℃で測定した対数粘度が、0.4〜0.8dL/gであることも好ましい。
本発明の光学部品は、前記本発明の環状オレフィン系開環共重合体を成型して得られる。
本発明のフィルムは、前記本発明の環状オレフィン系開環共重合体をキャスト法または押出し法により製膜して得られる。
本発明の延伸フィルムは、前記本発明の環状オレフィン系開環共重合体をキャスト法または押出し法により製膜し、延伸してなる。
このような本発明の延伸フィルムは、下記式(a)、(b)および(c)の光学特性を満たすことが好ましい。
Re550>0 …(a)
Re450/Re550>1.022 …(b)
Re650/Re550<0.990 …(c)
(上記式(a)〜(c)中、Re450、Re550、Re650は、それぞれ、波長450nm、550nm、650nmにおけるフィルム面内の位相差を示す。)
本発明の偏光板または液晶表示装置は、前記本発明の延伸フィルムを含むことを特徴としている。
本発明によれば、耐熱性や加工性に優れるとともに、透明性に優れ、光学フィルム用途に好適に使用でき、位相差フィルムを形成した場合には複屈折(位相差)の大きさおよび波長分散性をもコントロールできるような新規なノルボルネン系開環共重合体、該共重合体から得られる光学部材、光学フィルムとして好適に用いられるフィルム、正の波長分散性を有し、位相差フィルムとして好適に用いることができる延伸フィルム、該延伸フィルムを用いた偏光板ならびに液晶表示装置を提供することができる。
本発明に係る環状オレフィン系開環共重合体は、光学材料として非常に有用であり、光ディスク、光磁気ディスク、光学レンズ(Fθレンズ、ピックアップレンズ、レーザープリンター用レンズ、カメラレンズ等)、眼鏡レンズ、光学フィルム/シート(ディスプレイ用フィルム、位相差フィルム、偏光フィルム、偏光板保護フィルム、拡散フィルム、反射防止フィルム、液晶基板、EL基板、電子ペーパー用基板、タッチパネル基板、PDP前面板等)、透明導電性フィルム用基板、光ファイバー、導光板、光カード、光ミラー、IC、LSI、LED封止材等、非常に高精度の光学設計が必要とされている光学材料への応用が可能である。
特に本発明に係る環状オレフィン系開環共重合体は、光学フィルムの用途に用いることができ、キャスト法または押出し法により製膜したフィルム、それを延伸した延伸フィルムの製造に適している。延伸フィルムは、位相差フィルムとして好適であり、偏光板や液晶表示装置などの用途に好適に用いることができる。
図1は、実施例1で得た開環共重合体水素添加物(D)の赤外吸収(IR)スペクトルを示す。 図2は、実施例1で得た開環共重合体水素添加物(D)の1H−NMRスペクトルを示す。
以下、本発明について具体的に説明する。
本明細書において、複屈折との用語は通常の意味で用いられる。また、複屈折の値(これを、Δnとする)とは、重合体から成形されたフィルムを一軸、二軸、Z軸延伸し、重合体分子鎖を一方向に配向させた延伸フィルムにおいて、延伸方向(二軸延伸においては延伸倍率の大きい方向、Z軸延伸においては収縮方向)をx軸、これに対して面内垂直方向をy軸とし、x軸方向の屈折率をnx、y軸方向の屈折率をnyとした場合に、下記式:
Δn=nx−ny
で定義される正ないし負の値であり、その絶対値は入射光の波長によって異なる。
そして、正(または、負)の複屈折性とは、前記Δnが正(または、負)である場合の上記延伸フィルムの性質を意味する。
次に、位相差(Retardation、これをReとする)とは、下記式:
Re=Δn×d (式中、dは、透過光の光路長(nm)であり、通常、上記延伸フィルムの厚さである。)で定義される正〜負の値であり、その絶対値は入射光の波長によって異なる。また、「位相差が1/4λ」とは入射光波長(λ)の1/4に相当する位相差を発現することを意味する。
位相差の波長分散性とは、前記Reの値と入射光の波長との相関性を意味し、「位相差の波長分散性が大きい」とは、短波長の入射光に対するReの絶対値と、長波長の入射光に対するReの絶対値との差異が大きいことを意味する。また、「逆波長分散性」とは入射光波長が長波長になるに従い、位相差が大きくなる特性を意味し、「正の波長分散性」とは入射光波長が短波長になるに従い、位相差が大きくなる特性を意味する。
<環状オレフィン系開環共重合体>
本発明の環状オレフィン系開環共重合体は、前記式(1)で表される構造単位(1)を必須の構成単位として含有するとともに、前記式(2)で表される構造単位(2)および前記式(3)で表される構造単位(3)よりなる群から選ばれる少なくとも2種の構造単位を必須の構造単位として含有する。本発明の環状オレフィン系開環共重合体は、これらの構造単位(1)と、構造単位(2)および/または(3)のみから構成されていてもよいし、さらにこれら以外の構造単位を有していてもよい。
ここで、前記式(1)におけるR1〜R7並びに前記式(2)および(3)におけるR1〜R4で表される、水素原子;ハロゲン原子;酸素原子、硫黄原子、窒素原子もしくはケイ素原子を含む連結基を有してもよい、置換もしくは非置換の炭素原子数1〜30の炭化水素基;または極性基について説明する。
ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子および臭素原子が挙げられる。
炭素原子数1〜30の炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;ビニル基、アリル基等のアルケニル基;エチリデン基、プロピリデン基等のアルキリデン基;フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基等の芳香族基等が挙げられる。これらの基中の炭素原子に結合した水素原子は、例えば、フッ素、塩素、臭素等のハロゲン原子、フェニルスルホニル基、シアノ基等で置換されていてもよい。
上記の置換または非置換の炭化水素基は直接環構造に結合していてもよいし、或いは連結基を介して結合していてもよい。前記連結基としては、例えば、炭素原子数1〜10の2価炭化水素基(例えば、−(CH2m−(式中、mは1〜10の整数)で表されるアルキレン基);酸素原子、窒素原子、硫黄原子またはケイ素原子を含む連結基(例えば、カルボニル基(−CO−)、カルボニルオキシ基(−COO−)、スルホニル基(−SO2−)、スルホニルオキシ基(−SO2−O−)、エーテル結合(−O−)、チオエーテル結合(−S−)、イミノ基(−NH−)、アミド結合(−NHCO−)、シロキサン結合(−Si(R)2O−)(式中、Rはメチル基、エチル基等のアルキル基である);或いはこれらの2種以上が組み合わさって連なったものが挙げられる。
極性基としては、例えば、水酸基、炭素原子数1〜10のアルコキシ基、アルキルカルボニルオキシ基、アリールカルボニルオキシ基、アルコキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、シアノ基、ニトロ基、アミド基、イミノ基(=NH)、トリオルガノシロキシ基、トリオルガノシリル基、アミノ基、アシル基、アルコキシシリル基、スルフィノ基(−SO2H)、カルボキシル基等が挙げられる。
更に具体的には、上記アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基等が挙げられ;アルキルカルボニルオキシ基としては、例えば、アセトキシ基、プロピオニルオキシ基等が挙げられ;アリールカルボニルオキシ基としては、例えば、ベンゾイルオキシ基等が挙げられ;アルコキシカルボニル基としては、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等が挙げられ;アリーロキシカルボニル基としては、例えば、フェノキシカルボニル基、ナフチルオキシカルボニル基、フルオレニルオキシカルボニル基、ビフェニリルオキシカルボニル基等が挙げられ;トリオルガノシロキシ基としては、例えば、トリメチルシロキシ基、トリエチルシロキシ基等が挙げられ;トリオルガノシリル基としては、例えば、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基等が挙げられ;アミノ基としては、例えば、第1級アミノ基等が挙げられ;アルコキシシリル基としては、例えば、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基等が挙げられる。
本発明の環状オレフィン系開環共重合体において、構造単位(2)としては、前記式(2)中のaが0または1であり、aが0のときR1およびR2が水素原子であり、R3が水素原子またはメチル基であり、R4が水素原子、アルコキシカルボニル基またはフェニル基である構造単位が好ましい。このような構造単位(2)としては、下記式(2−1)〜(2−5)で表される構造単位が特に好ましい。
Figure 0005304244
Figure 0005304244
Figure 0005304244
上記式(2−1)〜(2−5)中、Xは一般式(2)で定義のとおりであって、−CH=CH−または−CH2CH2−を表し、複数存在するXは同一でも異なっていてもよい。
また、本発明の環状オレフィン系開環共重合体において、構造単位(3)としては、前記式(3)中のaが0または1であり、aが1のときR1およびR2が水素原子である構造単位であることが好ましく、aが0である構造単位であることがより好ましい。このような構造単位(3)としては、下記式(3−1)、(3−2)、および(3−3)で表される構造単位が挙げられる。
Figure 0005304244
Figure 0005304244
上記式(3−1)〜(3−3)中、Xは一般式(3)で定義のとおりであって、−CH=CH−または−CH2CH2−を表し、複数存在するXは同一でも異なっていてもよい。
本発明の環状オレフィン系開環共重合体では、上記のように構成単位(1)、(2)および(3)中のXは、−CH=CH−または−CH2CH2−であって、複数存在するXは同一でも異なっていてもよい。すなわち本発明の環状オレフィン系開環共重合体は、構造単位(1)、(2)および(3)を形成し得る環状オレフィン系単量体を開環共重合した共重合体であってもよく、さらに水素添加したものであってもよい。環状オレフィン系単量体を共重合しただけの共重合体は、Xが−CH=CH−で表されるオレフィン性不飽和基の状態であるが、耐熱安定性の観点から、このような不飽和基が水素添加されて、前記Xが−CH2CH2−で表される基に転換された基であることが好ましい。本発明の環状オレフィン系共重合体においては、構造単位(1)、(2)および(3)中のXの合計を100mol%として、通常80mol%以上、好ましくは90mol%以上、より好ましくは95mol%以上が、−CH2CH2−であることが望ましい。Xが−CH2CH2−である割合が高いほど、すなわち共重合体の水素転化率が高いほど、安定な共重合体となり、熱、酸素による着色や劣化が抑制されるため好ましい。
また、構造単位(3)は、式(3)中のYが、−CH=CH−、−CH2CH2−、または、
Figure 0005304244
で表される構造単位であり、好ましくは、−CH2CH2−、または、
Figure 0005304244
で表される構造単位である。
本発明の環状オレフィン系開環共重合体は、前記構造単位(1)を必須の構造単位として有するとともに、前記構造単位(2)および(3)よりなる群から選ばれる少なくとも2種の構造単位を有する。すなわち、前記構造単位(1)の1種以上とともに、前記構造単位(2)を2種以上有していてもよく、前記構造単位(3)を2種以上有していてもよく、前記構造単位(2)の1種以上と前記構造単位(3)の1種以上とを有していてもよい。
本発明の環状オレフィン系開環共重合体は、前記構造単位(1)、(2)および(3)の合計量100モル%中、構造単位(1)の割合が5〜50mol%の範囲であることが好ましく、構造単位(1)の割合が7〜50mol%の範囲であることがさらに好ましい。構造単位(1)の割合が高いほど位相差発現性が高くなるものの、50mol%より高い場合は、得られるポリマーの一般的な有機溶剤に対しての溶解性が著しく低下し、フィルムの透明性も著しく低下する。一方、構造単位(1)の割合が5mol%より少ない場合においては、得られるポリマーから得られた延伸フィルムにおける正の波長分散性の発現効果が著しく低下する場合がある。
本発明の環状オレフィン系開環共重合体は、全構造単位中、前記構造単位(1)、(2)および(3)の合計が70モル%以上、好ましくは80モル%以上であることが望ましい。構造単位(1)、(2)および(3)以外の構造単位としては、後述する単量体(1)、(2)、(3)以外の環状オレフィン系単量体を開環重合して形成される構造単位が挙げられる。
本発明の環状オレフィン系開環共重合体は、日本工業規格(JIS)K7121に従って測定した補外ガラス転移開始温度が、好ましくは110〜170℃、より好ましくは115〜165℃、さらに好ましくは120〜160℃であって、充分な耐熱性を有するとともに、押出し成形等の溶融成形も可能な優れた成形性を有する。
また、本発明の環状オレフィン系開環共重合体は、ウッベローデ型粘度計を用いて、クロロホルム中、試料濃度0.5g/dL、温度30℃で測定した対数粘度が、好ましくは0.4〜0.80dL/g、より好ましくは0.42〜0.70dL/g、さらに好ましくは0.42〜0.65dL/gである。また、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC、テトラヒドロフラン溶媒、ポリスチレン換算値)による平均分子量の測定では、前記開環重合体の数平均分子量(Mn)が、通常、1000〜50万、好ましくは2000〜30万、更に好ましくは5000〜30万であり、重量平均分子量(Mw)は、通常、5000〜200万、好ましくは1万〜100万、更に好ましくは3万〜50万である。
上記対数粘度(ηinh)が0.4未満であるか、数平均分子量(Mn)が1000未満であるか、或いは、重量平均分子量(Mw)が5000未満であると、本発明のノルボルネン系開環重合体から得られる成形物の強度が著しく低下する場合がある。一方、対数粘度(ηinh) が0.81以上であるか、数平均分子量(Mn)が50万以上であるか、或いは、重量平均分子量(Mw)が200万以上であると、前記開環重合体の溶融粘度または溶液粘度が高くなるために、所望のシート、フィルム、光学部品などの成形品を得ることが困難になる場合がある。
<環状オレフィン系開環共重合体の製造方法>
このような本発明の環状オレフィン系開環共重合体は、例えば以下のようにして製造することができる。
開環共重合
・単量体
本発明の環状オレフィン系開環共重合体は、下記式(1m)で表される単量体(1m)と、下記式(2m)で表される単量体(2m)および下記式(3m)で表される単量体(3m)から選ばれる少なくとも2種の単量体とを含む単量体組成物を、開環共重合し、所望により水素添加することにより製造することができる。
Figure 0005304244
(式(1m)中、a、bおよびR〜Rは式(1)に関して定義のとおりである。)
Figure 0005304244
Figure 0005304244
(式(2m)および(3m)中、a、YおよびR1〜R4は式(2)または(3)に関して定義のとおりである。)
本発明の環状オレフィン系開環重合体の構成単位(1)は単量体(1m)から、構造単位(2)は単量体(2m)から、構造単位(3)は単量体(3m)からそれぞれ誘導されるものである。
構造単位(1)を誘導する単量体(1m)は、アセナフチレンまたはその誘導体とシクロペンタジエンまたはその誘導体とを原料として、ディールス・アルダー型反応を行うことに製造することができる。このような単量体(1m)としては、例えば以下のようなものが挙げられる。
Figure 0005304244
Figure 0005304244
Figure 0005304244
単量体(1m)としては、これらのうち特に
Figure 0005304244
が入手しやすく、補外ガラス転移温度もコントロールしやすいため好ましい。また、上記化合物のノルボルネン環およびアセナフテン環との相互立体配置は、エンド体、エキソ体、またエンド−エキソ体混合物でもよく、特に限定されるものではない。
構造単位(2)を誘導する単量体(2m)としては、例えば、以下のようなものを挙げることができる。
ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
Figure 0005304244
5−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
Figure 0005304244
5−エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
Figure 0005304244
5−ブチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
Figure 0005304244
5−フェニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
Figure 0005304244
5−(ビフェニル−4−イル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
Figure 0005304244
5−(ナフタレン−2−イル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
Figure 0005304244
5−(ナフタレン−1−イル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
Figure 0005304244
5−シクロヘキシルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
Figure 0005304244
5−(シクロヘキセン−4−イル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
Figure 0005304244
5−メトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
Figure 0005304244
5−エトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
Figure 0005304244
5−ブトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
Figure 0005304244
5−シアノビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
Figure 0005304244
5−メチル−5−メトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
Figure 0005304244
5−メチル−5−エトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
Figure 0005304244
5−メチル−5−フェノキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
Figure 0005304244
5−フルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
Figure 0005304244
5−トリフルオロメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
Figure 0005304244
テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン
Figure 0005304244
8−フェニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン
Figure 0005304244
8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン
Figure 0005304244
8−エトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン
Figure 0005304244
8−n−プロポキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン
Figure 0005304244
8−イソプロポキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン
Figure 0005304244
8−n−ブトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン
Figure 0005304244
8−フェノキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン
Figure 0005304244
8−(1−ナフトキシ)カルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン
Figure 0005304244
8−(2−ナフトキシ)カルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン
Figure 0005304244
8−(4−フェニルフェノキシ)カルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン
Figure 0005304244
8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン
Figure 0005304244
8−メチル−8−エトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン
Figure 0005304244
8−メチル−8−n−プロポキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン
Figure 0005304244
8−メチル−8−イソプロポキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン
Figure 0005304244
8−メチル−8−n−ブトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン
Figure 0005304244
8−メチル−8−フェノキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン
Figure 0005304244
8−メチル−8−(1−ナフトキシ)カルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン
Figure 0005304244
8−メチル−8−(2−ナフトキシ)カルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン
Figure 0005304244
8−メチル−8−(4−フェニルフェノキシ)カルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン
Figure 0005304244
8−フルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン
Figure 0005304244
8−フルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン
Figure 0005304244
8−トリフルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン
Figure 0005304244
8−ペンタフルオロエチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン
Figure 0005304244
8,8−ジフルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン
Figure 0005304244
8,8−ビス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン
Figure 0005304244
単量体(2m)としては、これらのうち、前記式(2m)中のR1およびR2が水素原子であり、R3が水素原子またはメチル基であり、R4が水素原子、アルコキシカルボニル基またはフェニル基である化合物が好ましく、これらのうち特に、
Figure 0005304244
で表される化合物から選ばれる少なくとも1種が好ましく用いられる。
構造単位(3)を誘導する単量体(3m)としては、例えば、以下のようなものを挙げることができる。
ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]−4−ペンタデセン
Figure 0005304244
トリシクロ[5.2.1.02,6 ]−8−デセン
Figure 0005304244
トリシクロ[5.2.1.02,6 ]−デカ−3,8−ジエン
Figure 0005304244
Figure 0005304244
Figure 0005304244
単量体(3m)としては、これらのうち特に
Figure 0005304244
であることが好ましい。
本発明に係る環状オレフィン系開環共重合体を製造するに当たっては、単量体(1m)と、単量体(2m)および単量体(3m)から選ばれる2種の単量体とを用いることが好ましい。単量体(2m)および(3m)から選ばれる単量体が1種類の場合では、ポリマー物性(ガラス転移温度)とフィルム光学特性(位相差発現性)との両立が困難である。単量体(1m)と、単量体(2m)および単量体(3m)から選ばれる1種の単量体との共重合体でもガラス転移温度、すなわち加工性のコントロールは可能であるが、これら2種のモノマーの共重合系では、所望のガラス転移温度となる共重合組成比とした際にその光学特性が決定されることとなり、ガラス転移温度と光学特性とを同時にコントロールすることが困難である。従って、単量体(2m)および単量体(3m)から選ばれる2種の単量体を用いることが好ましく、かつこれら2種の単量体の単独重合体のガラス転移温度はそれぞれ異なることが好ましい。単量体(1m)と、単量体(2m)および単量体(3m)から選ばれる2種の単量体を用いることにより、単量体(1m)の含率で位相差の波長分散性、単量体(2m)および単量体(3m)から選ばれる2種の単量体の含率によってガラス転移温度をコントロールすることが可能となる。
単量体組成物中の単量体(1m)、単量体(2m)および単量体(3m)の合計量を100mol%として、単量体(1m)が5〜50mol%の範囲であるのが好ましく、10〜50mol%の範囲であるのがより好ましい。単量体(1m)をこのような共重合比で用いることにより、得られる本発明の環状オレフィン系開環共重合体が有する屈折率の異方性や波長分散性などの光学的特性、およびガラス転移温度などの物理的特性を問題なく容易にコントロールすることができる。
単量体組成物は、上述の単量体(1m)、単量体(2m)および単量体(3m)の他に、本発明の目的を損なわない範囲で、その他の共重合可能な単量体を含有していてもよい。共重合可能な単量体としては、例えば、シクロブテン、シクロペンテン、シクロオクテン、シクロドデセン等の環状オレフィン;1,4−シクロオクタジエン、シクロドデカトリエン等の非共役環状ポリエンが挙げられる。前記共重合可能な単量体は、1種単独でも2種以上を組み合わせても使用することができる。本発明では、単量体組成物中の共重合可能な単量体は、30モル%以下であるのが好ましく、20モル%以下であるのがより好ましい。
・開環重合触媒
本発明の環状オレフィン系開環共重合体を製造するのに好適に用いることのできる、開環重合用の触媒としては、例えば、
(I)Olefin Metathesis and Metathesis Polymerization(K.J.IVIN, J.C.MOL, Academic Press 1997)に記載されている触媒が好ましく用いられる。このような触媒としては、例えば、(a)W、Mo、Re、VおよびTiの化合物から選ばれた少なくとも1種と、(b)アルカリ金属元素(例えば、Li、Na、K)、アルカリ土類金属元素(例えば、Mg、Ca)、第12族元素(例えば、Zn、Cd、Hg)、第13族元素(例えば、B、Al)、第14族元素(例えば、Si、Sn、Pd)等の化合物であって、少なくとも1つの当該元素−炭素結合または当該元素−水素結合を有するものから選ばれた少なくとも1種との組み合わせからなるメタセシス触媒が挙げられる。該触媒の活性を高めるために、後述の(c)添加剤が添加されたものであってもよい。
上記(a)成分の具体例としては、WCl6、MoCl5、ReOCl3、VOCl3、TiCl4等の特開平1−240517号公報に記載の化合物が挙げられる。これらは1種単独でも2種以上を組み合わせても使用することができる。
上記(b)成分の具体例としては、n−C49Li、(C253Al、(C252AlCl、(C251.5AlCl1.5、(C25)AlCl2、メチルアルモキサン、LiH等の特開平1−240517号公報に記載の化合物が挙げられる。これらは1種単独でも2種以上を組み合わせても使用することができる。
上記(c)成分の添加剤としては、アルコール類、アルデヒド類、ケトン類、アミン類等を好適に用いることができ、更に、特開平1−240517号公報に記載の化合物を使用することができる。これらは1種単独でも2種以上を組み合わせても使用することができる。
上記(a)成分等を組み合わせてなるメタセシス触媒の使用量は、上記(a)成分と、全単量体(上述した単量体(1m)、(2m)、(3m)および他の共重合可能な単量体の総計、以下同じ)との、「(a)成分:全単量体」のモル比が、通常、1:500〜1:500,000となる範囲、好ましくは1:1,000〜1:100,000となる範囲である。更に、上記(a)成分と(b)成分との割合は、「(a):(b)」の金属原子(モル)比が、通常、1:1〜1:50、好ましくは1:2〜1:30の範囲である。このメタセシス触媒に上記(c)添加剤を添加する場合、(a)成分と(c)成分との割合は、「(c):(a)」のモル比が、通常0.005:1〜15:1、好ましくは0.05:1〜7:1の範囲である。
また、その他の触媒として、
(II)周期表第4族〜第8族の遷移金属−カルベン錯体やメタラシクロブタン錯体等からなるメタセシス触媒を用いることができる。
上記触媒(II)の具体例としては、W(=N−2,6−C63 iPr2)(=CHtBu)(OtBu)2、Mo(=N−2,6−C63 iPr2)(=CHtBu)(OtBu)2、Ru(=CHCH=CPh2)(PPh32Cl2、Ru(=CHPh2)[P(C61132Cl2等が挙げられる。これらは1種単独でも2種以上を組み合わせても使用することができる。
上記触媒(II)の使用量は、「触媒(II):全単量体」のモル比が、通常1:500〜1:50,000となる範囲、好ましくは1:100〜1:10,000となる範囲である。
なお、上記触媒(I)と(II)とを組み合わせて用いても差し支えない。
・分子量調節剤
本発明に係る環状オレフィン系開環共重合体の分子量の調節は、重合温度、触媒の種類、溶媒の種類等を調整することによっても行うことができるが、分子量調節剤を開環共重合の反応系に共存させることにより調節することが好ましい。分子量調節剤としては、例えば、エチレン、プロペン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン等のα−オレフィン類およびスチレンが好まく、これらのうち、1−ブテンおよび1−ヘキセンが特に好ましい。これらの分子量調節剤は、1種単独でも2種以上を組み合わせても使用することができる。この分子量調節剤の使用量は、全単量体1モル当たり、通常、0.005〜0.6モル、好ましくは0.02〜0.5モルである。
・開環重合反応溶媒
開環共重合反応において用いられる溶媒(すなわち、単量体、開環重合触媒、分子量調節剤等を溶解する溶媒)としては、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン等のアルカン類;シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、デカリン、ノルボルナン等のシクロアルカン類;ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、クメン等の芳香族炭化水素;クロロブタン、ブロムヘキサン、塩化メチレン、ジクロロエタン、ヘキサメチレンジブロミド、クロロベンゼン、クロロホルム、テトラクロロエチレン等のハロゲン化アルカン、ハロゲン化アリール等の化合物;酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、プロピオン酸メチル等の飽和カルボン酸エステル類;ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン等のエーテル類が挙げられ、これらの中では芳香族炭化水素が好ましい。これらは1種単独でも2種以上を組み合わせても使用することができる。この開環重合反応用溶媒の使用量は、「溶媒:全単量体」の重量比が、通常、1:1〜10:1となる量であり、好ましくは1:1〜5:1となる量であるのが望ましい。
・開環重合反応温度
開環共重合反応は、通常発熱反応であり、重合反応中に反応温度を必ずしも一定に保つ必要はないが、重合開始時の温度、すなわち触媒を添加する時のモノマー溶液の温度を制御することが好ましい。触媒を添加する時のモノマー溶液の温度は、30〜200℃が好ましく、より好ましくは50℃〜180℃である。30℃未満の場合は重合体の収率が低下することがあり、200℃を超える場合は分子量コントロールが困難になることがある。
水素添加
上記開環共重合により得られる環状オレフィン系開環共重合体は、構造単位(1)〜(3)中のXが、式:−CH=CH−で表されるオレフィン性不飽和基の構造を有するものである。この開環重合体は、そのまま使用することができるが、耐熱安定性をより向上させるために、上記オレフィン性不飽和基を水素添加して式:−CH2−CH2−で表される基に変換させ、水素添加された開環重合体(水素添加物)として得ることが好ましい。ただし、本発明でいう水素添加物とは、開環共重合により生じる前記オレフィン性不飽和基が水素添加されたものであって、単量体構造に由来するベンゼン環などの芳香環骨格中の環内共役二重結合は、実質的に水素添加されていないものであることが好ましい。
本発明の環状オレフィン系開環共重合体の水素添加率、すなわち構造単位(1)〜(3)中のXが、式:−CH2−CH2−で表される基に変換される割合は、複数存在する上記Xの合計の80モル%以上、好ましくは85モル%以上、更に好ましくは90モル%以上である。この水素添加率が高いほど、環状オレフィン系共重合体の高温条件下における着色や劣化の発生が抑制されるので好ましい。
水素添加反応は、上記芳香環骨格中の環内共役二重結合が実質的に水素添加されない条件で行われるのが望ましい。例えば、開環重合体の溶液に水素添加反応触媒を添加し、これに、通常、常圧〜300気圧、好ましくは3〜200気圧の水素ガスを加えて、通常、0〜200℃、好ましくは50〜200℃で反応させることによって行うことができる。
水素添加反応触媒としては、通常のオレフィン性化合物の水素添加反応に用いられるものを使用することができ、不均一系触媒および均一系触媒が公知である。不均一系触媒としては、例えば、パラジウム、白金、ニッケル、ロジウム、ルテニウム等の貴金属触媒物質を、カーボン、シリカ、アルミナ、チタニア等の担体に担持させた固体触媒が挙げられる。均一系触媒としては、例えば、ナフテン酸ニッケル/トリエチルアルミニウム、ニッケルアセチルアセトナート/トリエチルアルミニウム、オクテン酸コバルト/n−ブチルリチウム、チタノセンジクロリド/ジエチルアルミニウムモノクロリド、酢酸ロジウム、クロロトリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム、ジクロロトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム、クロロヒドロカルボニルトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム、ジクロロカルボニルトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム等が挙げられる。これら触媒の形態は粉末状でも粒状でもよい。また、この水素添加反応触媒は、1種単独でも2種以上を組み合わせても使用することができる。
これらの水素添加反応触媒は、上記芳香環骨格中の環内共役二重結合が実質的に水素添加されないようにするために、その添加量を調整する必要があり、「開環共重合体:水素添加反応触媒」の重量比が、通常、1:1×10-6〜1:2となる割合で使用される。
<環状オレフィン系共重合体の成形>
本発明の環状オレフィン系開環共重合体は、成形性に優れ、押出し成形および射出成形などの溶融成形、溶液流延法(キャスト法)による成形のいずれによっても好適に所望の形状に成形することができる。
本発明の環状オレフィン系開環共重合体の物理的物性値は、共重合組成比や分子量調節剤の使用量によりコントロールすることができるが、本発明の環状オレフィン共重合体の特性を失わない範囲で各種添加剤を添加してもよい。また、本発明の環状オレフィン系開環重合体には、これ以外の目的でも、公知の各種添加剤を添加することができる。
添加剤としては、例えば、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,2'−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、2,5−ジ−t−ブチルヒドロキノン、ペンタエリスリトール・テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドキシフェニル)プロピオネート]、4,4'−チオビス−(6−t−ブチル−3−メチルフェノール)、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、オクタデシル・3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、3,3’,3”,5,5’,5”−ヘキサ−t−ブチル−a,a’,a”−(メシチレン−2,4,6−トリイル)トリ−p−クレゾール等のフェノール系、ヒドロキノン系酸化防止剤;トリス(4−メトキシ−3,5−ジフェニル)ホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト等のリン系酸化防止剤が挙げられる。これらの酸化防止剤の1種または2種以上を添加することにより、開環共重合体の耐酸化劣化性を向上することができる。また、例えば、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−[(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]]等の紫外線吸収剤を添加することによって耐光性を向上することもできる。更に、加工性を向上させる目的で滑剤等の添加剤を添加することもできる。これらの添加剤は、1種単独でも2種以上を組み合わせても使用することができる。
本発明の環状オレフィン系開環重合体は、所望の形状に成形することができるが、光学特性に優れるため、各種光学材料の用途に有用である。なかでも、フィルムまたはシート(本発明ではこれらを総称してフィルムという)への成形が好ましく、各種光学フィルムの用途に好適に使用することができる。
・光学フィルム
本発明の環状オレフィン系開環重合体は、単量体(1m)の置換基R1〜R7、単量体(2m)、単量体(3m)の置換基R1〜R4の構造・種類、共重合組成比などを設定することにより、得られるフィルムなどの成形品の複屈折の絶対値や位相差の波長分散性を調製することができる。また、本発明の環状オレフィン系開環重合体と公知の環状オレフィン系樹脂等とを適宜配合することによっても、得られる樹脂組成物から成形された重合体フィルム等の複屈折の絶対値や位相差の波長分散性を調整することができる。
本発明の環状オレフィン系開環重合体を選択して用いると、複屈折の絶対値の大小、位相差の波長分散性の大小等を容易にコントロールできるため、本発明の共重合体から得られたフィルムは光学補償フィルムとして好適に利用できる。このため、本発明の環状オレフィン系開環共重合体またはそれを含む組成物を、キャスト法または押し出し法により製膜して、光学フィルムとすることが好ましい。さらに、上記光学フィルムは延伸加工によりその性能を十分に発現することから、自由幅一軸延伸(縦延伸)、幅拘束一軸延伸(横延伸)、逐次二軸延伸、同時二軸延伸または光学フィルムに収縮性フィルムを延伸時または延伸後に貼付してフィルム厚み方向の屈折率を調整するいわゆるZ軸配向(Z軸延伸)を行って延伸フィルムとすることが好ましい。
本発明の光学フィルムは、押出し成形またはキャスト成形により製膜したフィルムでは優れた透明性を示すため、各種保護フィルムなどとして好適に用いることができる。また、製膜して得たフィルムをさらに延伸した延伸フィルムでは、独自の波長分散性を有するため、位相差板や液晶表示装置を構成するフィルムとして好適に用いることができる。
本発明の環状オレフィン系開環共重合体あるいはそれを含む樹脂組成物から製膜して得られたフィルムを、延伸して得られたフィルム、特に自由幅一軸延伸して得られたフィルムは、共重合体の種類および樹脂組成を選択することによって、可視光領域において、透過する波長が大きくなるほど位相差Reが小さくなる、正の波長分散性を有するフィルムとすることができる。このようなフィルムは位相差フィルムとして好適に用いることができ、大型液晶テレビやモニターなどの偏光板や液晶表示装置を構成するフィルムとして好適である。
本発明の延伸フィルムは、好ましくは、下記式(a)、(b)および(c)の光学特性を同時に満たすことができる。
Re550>0 …(a)
Re450/Re550>1.022 …(b)
Re650/Re550<0.990 …(c)
(上記式(a)〜(c)中、Re450、Re550、Re650は、それぞれ、波長450nm、550nm、650nmにおけるフィルム面内の位相差(nm)を示す。)
特に、本発明の環状オレフィン系開環共重合体からなる光学フィルムを1〜150Kgf/cm2の応力で熱延伸して得られる自由幅一軸延伸フィルムは、好ましくは下記光学特性(a’)、(b’)、(c’)および(d)を同時に満足することができる。
(a’)0nm≦Re550≦1000nm
(b’)1.022<Re450/Re550≦1.200
(c’)0.900≦Re650/Re550<0.990
(d)10000nm≦d≦300000nm
(上記式中、Re450、Re550、Re650は、それぞれ波長450nm、550nm、650nmにおけるフィルム面内の位相差Reを示し、Re=(nx−ny)×dで表される。ここで、nxおよびnyは延伸方向をx軸、これに対してフィルム面内垂直方向をy軸としたときのx軸方向およびy軸方向の屈折率をそれぞれ表し、dはフィルムの厚み(nm)を表す。)
本発明に係る延伸フィルムが、上記(a’)、(b’)、(c’)および(d)の光学特性を同時に満たす場合には、各種仕様のモニター、テレビ、またはモバイル機器等の光学補償材料として特に好適に使用できる。
[実施例]
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、以下において、「部」及び「%」は、特に断りのない限り「重量部」および「重量%」を意味する。また、室温とは約25℃である。
本発明における各種物性値の測定方法を以下に示す。
・ガラス転移温度(Tg)
示差走査熱量計(セイコーインスツルメンツ社製、商品名:DSC6200)を用いて、日本工業規格K7121に従って補外ガラス転移開始温度を求めた。以下、単にガラス転移温度(Tg)という。
・重量平均分子量および分子量分布
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC、東ソー株式会社製、商品名:HLC-8020)を用い、溶媒としてテトラヒドロフラン(THF)を用いて、ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)および分子量分布(Mw/Mn)を測定した。なお、前記Mnは数平均分子量である。
・重合体分子構造
超伝導核磁気共鳴吸収装置(NMR、Bruker社製、商品名:AVANCE500)を用い、重水素化クロロホルム中で1H−NMRを測定し、共重合組成比および水素添加率を算出した。
・位相差、複屈折の評価
開環重合体のトルエンないし塩化メチレン溶液(濃度:25%)を平滑なガラス板上にキャストし、乾燥後、厚さ94〜140μm、残留溶媒0.5〜0.8%の無色透明なフィルムを得た。このフィルムの補外ガラス転移温度(Tg)よりも5、10、15℃高い温度で、2.0倍に一軸延伸した。この延伸フィルムの位相差および複屈折の値を、レターデーション測定器(王子計測機器製、商品名:KOBRA21DH)を用いて測定した。
・対数粘度
ウッベローデ型粘度計を用いて、クロロホルム中、試料濃度0.5g/dL、温度30℃で測定した。
[実施例1]
環状オレフィン系単量体(1m)として、下記式(A)で表される1,2−(2H、3H−[1,3]エピシクロペンタ)−1、2−ジヒドロアセナフチレン2.00g、環状オレフィン系単量体(2m)として下記式(B)で表される8−メトキシカルボニル−8−メチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン16.00g、および下記式(C)で表されるビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン2.00g、および重合溶媒としてトルエン40gを窒素置換した反応容器に仕込み、さらに分子量調整剤として1−ヘキセンを2.09g加え、80℃に加熱した。
Figure 0005304244
この反応系に、触媒として、トリエチルアルミニウムのトルエン溶液(濃度0.6モル/L)0.13mLおよびメタノール変性WCl6トルエン溶液(濃度0.025モル/L)0.40mLを加え、3時間反応させた後に、メタノール水により重合を停止させた。引き続き重合溶液の全量を、2Lオートクレーブに移液し、さらにトルエン40g、および、水素添加触媒として、全単量体の仕込み量に対して500ppmとなる量のRuHCl(CO)[P(C6533 を添加し、水素ガス圧が9〜10MPa、温度が160〜165℃の条件で、3時間の水素添加反応を行った。反応終了後、反応溶液を多量のメタノール溶液に加えて沈殿させ、100℃の真空乾燥機で12時間乾燥させることにより、環状オレフィン系開環共重合体水素添加物を得た(以下、この環状オレフィン系開環共重合体水素添加物を「開環共重合体水素添加物(D)」とする。)。得られた水素添加物(D)は、重量平均分子量(Mw)=73600、分子量分布(Mw/Mn)=6.00であり、対数粘度(ηinh)=0.54、補外ガラス転移開始温度(Tg)=139.0℃であった。NMR測定により求めたこの水素添加物(D)の水素添加率は99.7%以上であり、芳香環残存率は100%であった。得られた開環共重合体水素添加物(D)のIRスペクトルおよび1H−NMRスペクトルを図1、2に示す。
得られた開環重合体水素添加物(D)2.8gを塩化メチレン28gに溶解し、減圧濾過(ろ剤:ADVANTEC製GA200)した溶液を平滑な硝子製シャーレ(サイズ:内径146mm×深さ30mm)にキャストした。このフィルムを浴槽から剥離後、100℃の真空乾燥機で12時間乾燥して厚さ96μmのフィルムを得た。得られたフィルム中の残留溶媒量は500ppmであった。
このフィルムを幅10mm×長さ70mmに切り出し、恒温槽を備えた引っ張り試験機で加熱延伸して延伸フィルムを作成した。154、149、144℃において220%/分の速度で2倍に延伸した。得られたフィルムの膜厚はそれぞれ85、72、67μmであり、位相差を測定したところR550=393、464、666nmであった。ここでR550は、波長550nmにおける位相差を表す。詳細な結果を表1に示す。
[比較例1]
単量体(A)および(C)を使用せず、単量体(B)100gおよび分子量調節剤として1−へキセン4.6gを使用したこと以外は実施例1と同様にして開環重合反応、水素添加反応、水素添加体回収および乾燥を行い、重量平均分子量(Mw)=135,000、分子量分布(Mw/Mn)=3.06、対数粘度(ηinh)=0.78、補外ガラス転移開始温度(Tg)=167.0℃の開環重合水添体を得た。NMR測定により求めたこの水素添加体の水素添加率は99.8%以上であった。得られた開環重合水添体を実施例1と同様に製膜して140μmのフィルムを得た。得られたフィルム中の残留溶媒量は530ppmであった。
このフィルムを幅10mm×長さ70mmに切り出し、恒温槽を備えた引っ張り試験機で加熱延伸して延伸フィルムを作成した。177℃において220%/分の速度で2倍に延伸した。得られたフィルムの膜厚は100μmであり、位相差を測定したところそれぞれR450=396、R550=388、R650=384nmであった。
[比較例2]
単量体(A)2.00gおよび(B)10.00gを使用し、分子量調節剤として1−へキセン1.09gを使用したこと以外は実施例1と同様にして開環重合反応、水素添加反応、水素添加体回収および乾燥を行い、重量平均分子量(Mw)=115600、分子量分布(Mw/Mn)=3.52、対数粘度(ηinh)=0.70、補外ガラス転移温度(Tg)=175.0℃の開環重合水添体を得た。NMR測定により求めたこの水素添加体の水素添加率は99.8%以上であった。得られた開環重合水添体を実施例1と同様に製膜して140μmのフィルムを得た。得られたフィルム中の残留溶媒量は530ppmであった。
このフィルムを幅10mm×長さ70mmに切り出し、恒温槽を備えた引っ張り試験機で加熱延伸して延伸フィルムを作成した。185℃において220%/分の速度で2倍に延伸した。得られたフィルムの膜厚は100μmであり、位相差を測定したところR450=510、R550=490、R650=480nmであった。
結果をまとめて表1に示した。
Figure 0005304244
表1に示されるように、単量体Aを共重合成分とする開環共重合体水素添加物から得られた実施例1の延伸フィルムでは、従来のノルボルネン系樹脂では達成されていない短波長ほど位相差が顕著に大きくなり、長波長ほど位相差が顕著に小さくなる「正の波長分散性」を示し、さらに単量体Cを共重合成分とすることで補外ガラス転移開始温度が低くなることに起因して、延伸温度(加工温度)を低くしても、比較例1、2と同等の応力で延伸処理を行うことができ、同等の光学特性を発現することができる。また、延伸温度が低いために、加工時の熱劣化、変色を低減することが可能になる。また、補外ガラス転移開始温度が低いため、比較例1、2の重合体と異なり、溶融押出法によっても成形することが可能になる。このように、本発明の環状オレフィン系開環共重合体が、加工性および強度に優れ、且つそれから得られる延伸フィルムが顕著に「正の波長分散性」を有することが示されている。このような波長分散性および加工性の両立は、用いる単量体の種類およびその組成比を変えることにより調節することができる。
産業上の利用の可能性
本発明に係る環状オレフィン系開環共重合体は、光学材料として非常に有用であり、光ディスク、光磁気ディスク、光学レンズ(Fθレンズ、ピックアップレンズ、レーザープリンター用レンズ、カメラレンズ等)、眼鏡レンズ、光学フィルム/シート(ディスプレイ用フィルム、位相差フィルム、偏光フィルム、偏光板保護フィルム、拡散フィルム、反射防止フィルム、液晶基板、EL基板、電子ペーパー用基板、タッチパネル基板、PDP前面板等)、透明導電性フィルム用基板、光ファイバー、導光板、光カード、光ミラー、IC、LSI、LED封止材等、非常に高精度の光学設計が必要とされている光学材料への応用が可能である。
本発明のフィルムは、光学フィルムとして有用であり、押出し成形またはキャスト成形により製膜した未延伸のフィルムでは優れた透明性を示すため、各種保護フィルムなどとして好適に用いることができ、また、延伸フィルムでは、独自の波長分散性を示すため、位相差板や液晶表示装置を構成するフィルムとして好適に用いることができる。

Claims (11)

  1. 下記式(1)で表される構造単位(1)と、
    下記式(2−1)および(2−3)で表される構造単位
    を有することを特徴とする環状オレフィン系開環共重合体;
    Figure 0005304244
    (式(1)中、aおよびbは0または1を表し、R1〜R6および複数のR7は、それぞれ独立に、水素原子;ハロゲン原子;酸素原子、硫黄原子、窒素原子もしくはケイ素原子を含む連結基を有してもよい、置換もしくは非置換の炭素原子数1〜30の炭化水素基;または極性基を表す。Xは−CH=CH−または−CH2CH2−を表す。複数存在するXは同一でも異なっていてもよい。)
    Figure 0005304244
    Figure 0005304244
    (式(2−1)および(2−3)中、Xは、−CH=CH−または−CH 2 CH 2 −を表し、複数存在するXは同一でも異なっていてもよい。)
  2. 前記式(1)、(2−1)および(2−3)中の複数存在するXの合計を100mol%として、Xの80mol%以上が−CH2CH2−で表される基であることを特徴とする請求項1に記載の環状オレフィン系開環共重合体。
  3. 前記構造単位(1)、(2−1)および(2−3)の合計量100モル%中に、構造単位(1)を5〜50mol%含むことを特徴とする請求項1または2に記載の環状オレフィン系開環共重合体。
  4. 日本工業規格K7121に従って測定した補外ガラス転移開始温度が、110〜170℃であることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の環状オレフィン系開環共重合体。
  5. ウッベローデ型粘度計を用いて、クロロホルム中、試料濃度0.5g/dL、温度30℃で測定した対数粘度が、0.4〜0.8dL/gであることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の環状オレフィン系開環共重合体。
  6. 請求項1〜のいずれかに記載の環状オレフィン系開環共重合体を成型して得られる光学部品。
  7. 請求項1〜のいずれかに記載の環状オレフィン系開環共重合体をキャスト法または押出し法により製膜して得られることを特徴とするフィルム。
  8. 請求項1〜のいずれかに記載の環状オレフィン系開環共重合体をキャスト法または押出し法により製膜し、延伸してなることを特徴とする延伸フィルム。
  9. 請求項に記載の延伸フィルムが、下記式(a)、(b)および(c)の光学特性を満たすことを特徴とする延伸フィルム;
    Re550>0 …(a)
    Re450/Re550>1.022 …(b)
    Re650/Re550<0.990 …(c)
    (上記式(a)〜(c)中、Re450、Re550、Re650は、それぞれ、波長450nm、550nm、650nmにおけるフィルム面内の位相差を示す。)。
  10. 請求項8または9に記載の延伸フィルムを含むことを特徴とする偏光板。
  11. 請求項8または9に記載の延伸フィルムを含むことを特徴とする液晶表示装置。
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