JP2005263995A - ノルボルネン系開環重合体 - Google Patents

ノルボルネン系開環重合体 Download PDF

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Naoyuki Kawashima
直之 川島
Yoshikazu Miyamoto
佳和 宮本
Soichi Yoshida
宗一 吉田
Nobuyuki Miyaki
伸行 宮木
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  • Polyoxymethylene Polymers And Polymers With Carbon-To-Carbon Bonds (AREA)

Abstract

【課題】
優れた透明性、耐水性及び耐熱性を有し、正の複屈折性を示し、複屈折の絶対値が極めて大きく、かつ位相差の波長依存性も大きいノルボルネン系開環重合体を提供する。
【解決手段】
式:
【化1】
Figure 2005263995

[式中、aは0〜2の整数であり、Xは−CH=CH−及び/又は−CHCH−であり、R〜Rの残余の基は独立に水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、極性基等を表し、但し、R〜Rの少なくとも1つは下記式(1−1)及び/又は(1−2)で表される基である]
で表される構造単位を有し、複数あるXは同一又は異なるノルボルネン系開環重合体。
【化2】
Figure 2005263995

(1−1)
【化3】
Figure 2005263995

(1−2)
[式中、R〜R23は、独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、極性基等を表し、bは1〜5の整数であり、c及びdは独立に0〜3の整数であり、eは1〜5の整数であり、fは0又は1である]
【選択図】 なし

Description

本発明は、優れた透明性、耐水性(低吸水性)および耐熱性を有するノルボルネン系開環重合体であって、正の複屈折性を示し、特に複屈折の絶対値が極めて大きく、かつ位相差の波長依存性も大きいノルボルネン系開環重合体に関する。
なお、本明細書において、複屈折との用語は通常の意味で用いられる。また、複屈折の値(これを、Δnとする)とは、重合体から成形されたフィルムを一軸延伸し、重合体分子鎖を一方向に配向させた延伸フィルムにおいて、延伸方向をx軸、これに対して面内垂直方向をy軸とし、x軸方向の屈折率をn、Y軸方向の屈折率をnとして、下記式:
Δn=n−n
で定義される正〜負の値であり、その絶対値は入射光の波長によって異なる。
そして、正(または、負)の複屈折性とは、前記Δnが正(または、負)である場合の上記延伸フィルムの性質を意味する。
次に、位相差(Retardation、これをReとする)とは、下記式:
Re=Δn×d (式中、dは、透過光の光路長であり、通常、上記延伸フィルムの厚さである。)
で定義される正〜負の値であり、その絶対値は入射光の波長によって異なる。
そして、位相差の波長依存性とは、前記Reの値と入射光の波長との相関性を意味し、「位相差の波長依存性が大きい」とは、短波長の入射光に対するReの絶対値と、長波長の入射光に対するReの絶対値との差異が大きいことを意味する。
従来、透明樹脂は、自動車部品、照明機器、電気部品等の分野において、通常要求される透明性の材料として用いられており、特に最近では、高度な光学的性質が要求される光学材料としての応用も検討されつつある。このような用途に用いられる一般的な透明樹脂としては、アクリル系樹脂やポリカーボネート系樹脂が知られている。しかし、これらの樹脂は、透明性、耐熱性および耐水性の全ての特性を十分に満たすものではなかった。これに対して、透明性、耐水性および耐熱性に優れ、かつ複屈折の値が小さい環状オレフィン系樹脂が、各種光学材料用の透明樹脂として数多く提案され、偏光板保護フィルム、透明導電性基板、位相差フィルム等として実際に利用されている(特許文献1〜9参照)。
また、環に結合した、芳香族カルボニルオキシ基を有するノルボルネン系単量体を開環重合し、必要に応じてオレフィン性不飽和結合に水素添加することにより得られる環状オレフィン系樹脂であって、入射光の波長が長くなるに従って複屈折の絶対値が大きくなるという特性を有するものも提案されている(特許文献10、11)。
しかし、光学機器の機能の高度化や用途の広範化に伴い、特に複屈折の絶対値が大きく、また、位相差の波長依存性が大きい等の光学的性質を積極的に利用する場合もあり、従来の環状オレフィン系樹脂では対応が困難となっている。この他にも、種々の要求に応じ、複屈折の値の正負、その絶対値の大小、位相差の波長依存性の大小等、更に多様な光学的特性を有する樹脂の開発が望まれている。
特開平1−132625号公報 特開平1−132626号公報 特開平2−133413号公報 特開平4−245202号公報 特開平5−2108号公報 特開平5−64865号公報 特開平5−212828号公報 特開平6−51117号公報 特開平7−77608号公報 特開2003−255102号公報 特開2003−321535号公報
本発明は、優れた透明性、耐水性(低吸水性)および耐熱性を有するノルボルネン系開環重合体であって、正の複屈折性を示し、特に複屈折の絶対値が極めて大きく、かつ位相差の波長依存性も大きいノルボルネン系開環重合体を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成するため、鋭意検討を進めた結果、ノルボルネン系骨格を有する脂環式不飽和化合物であって、芳香族カルボニルオキシ基がメチレン基(−CH−)等のアルキレン基を介して環に結合している構造を有する単量体を、開環重合して得られる重合体が、極めて大きな複屈折の絶対値を示すことを見出し、該知見に基づいて本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、下記一般式(1):
Figure 2005263995

(1)
[式中、aは0〜2の整数であり、Xは式:−CH=CH−で表される基または式:−CHCH−で表される基であり、R〜Rは、独立に、水素原子;ハロゲン原子;酸素原子、硫黄原子、窒素原子もしくはケイ素原子を含む連結基を有してもよい、置換もしくは非置換の炭素原子数1〜30の炭化水素基;または極性基を表し、但し、R〜Rの少なくとも1つは下記一般式(1−1)で表される芳香環を有する基および一般式(1−2)で表される芳香環を有する基からなる群から選ばれる基である。]
で表される構造単位(1)を有し、複数存在するXは同一または異なるノルボルネン系開環重合体を提供する。
Figure 2005263995

(1−1)
[式中、R〜R15は、独立に、水素原子;ハロゲン原子;酸素原子、硫黄原子、窒素原子またはケイ素原子を含む連結基を有してもよい、置換または非置換の炭素原子数1〜30の炭化水素基;または極性基を表し、bは1〜5の整数であり、cおよびdは独立に0〜3の整数であり、但し、c=d=0の場合は、RとR11、および/またはR15とR11は相互に結合して炭素環または複素環(これらの炭素環または複素環は単環構造でもよいし、他の環が縮合して多環構造を形成してもよい。)を形成してもよい。]
Figure 2005263995

(1−2)
[式中、R16〜R23は、独立に、水素原子;ハロゲン原子;酸素原子、硫黄原子、窒素原子またはケイ素原子を含む連結基を有してもよい、置換または非置換の炭素原子数1〜30の炭化水素基;または極性基を表し、eは1〜5の整数であり、fは0または1である。]
本発明の開環重合体は、透明性、耐水性および耐熱性に優れるとともに、正の複屈折性を示し、特に複屈折の絶対値が極めて大きく、かつ位相差の波長依存性も大きいものである。そして、使用する単量体の種類、共重合比等を設定することにより、前記絶対値および波長依存性を調整することができる。
更に、本発明の開環重合体を他種の透明樹脂、例えば、負の複屈折性を示す環状オレフィン系重合体等と組み合わせ、その組成を設定することにより、所望の複屈折性および位相差の波長依存性を有する組成物を得ることが可能である。従って、特に複屈折を積極的に活用する光学フィルム、光学部品等を得るために有用であり、例えば、光ディスク、光磁気ディスク、光学レンズ(fθレンズ、ピックアップレンズ、レーザープリンター用レンズ、カメラ用レンズ等)、眼鏡レンズ、光学フィルム(ディスプレイ用フィルム、位相差フィルム、偏光フィルム、透明導電フィルム、光ピックアップフィルム等)、液晶配向膜、光学シート、光ファイバー、導光板、光拡散板、光カード、光ミラー等の材料や、IC、LSIもしくはLED用封止材等として好適に使用できる。
以下、本発明について具体的に説明する。
<ノルボルネン系開環重合体>
本発明のノルボルネン系開環重合体は、上記構造単位(1)を必須の構造単位として含むが、必要に応じて、下記一般式(2):
Figure 2005263995

(2)
[式中、gおよびhは独立に0または1であり、但し、これらの少なくとも一方は1であり、iおよびjは独立に0〜2の整数であり、Yは式:−CH=CH−で表される基または式:−CHCH−で表される基であり、R24〜R33は、独立に、水素原子;ハロゲン原子;前記一般式(1−1)で表される芳香環を有する基および一般式(1−2)で表される芳香環を有する基以外の、酸素原子、硫黄原子、窒素原子もしくはケイ素原子を含む連結基を有してもよい、置換もしくは非置換の炭素原子数1〜30の炭化水素基;または極性基を表し、R30とR31、および/またはR32とR33は一体化して2価炭化水素基を形成してもよく、R30またはR31と、R32またはR33とは相互に結合して炭素環または複素環(これらの炭素環または複素環は単環構造でもよいし、他の環が縮合して多環構造を形成してもよい。)を形成してもよい。]。
一般式(1)、一般式(1−1)、一般式(1−2)および一般式(2)において、R〜R33で表される、水素原子;ハロゲン原子;酸素原子、硫黄原子、窒素原子またはケイ素原子を含む連結基を有してもよい、置換または非置換の炭素原子数1〜30の炭化水素基;および極性基について説明する。
ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子および臭素原子が挙げられる。
炭素原子数1〜30の炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;ビニル基、アリル基等のアルケニル基;エチリデン基、プロピリデン基等のアルキリデン基;フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基等の芳香族基等が挙げられる。これらの基中の炭素原子に結合した水素原子は、例えば、フッ素、塩素、臭素等のハロゲン原子、フェニルスルホニル基、シアノ基等で置換されていてもよい。
上記の置換または非置換の炭化水素基は直接環構造に結合していてもよいし、或いは連結基を介して結合していてもよい。前記連結基としては、例えば、炭素原子数1〜10の2価炭化水素基(例えば、−(CH−(式中、mは1〜10の整数)で表されるアルキレン基);酸素原子、窒素原子、硫黄原子またはケイ素原子を含む連結基(例えば、カルボニル基(−CO−)、カルボニルオキシ基(−COO−)、スルホニル基(−SO−)、スルホニルオキシ基(−SO−O−)、エーテル結合(−O−)、チオエーテル結合(−S−)、イミノ基(−NH−)、アミド結合(−NHCO−)、シロキサン結合(−Si(R)O−)(式中、Rはメチル基、エチル基等のアルキル基である);或いはこれらの2種以上が組み合わさって連なったものが挙げられる。
極性基としては、例えば、水酸基、炭素原子数1〜10のアルコキシ基、アルキルカルボニルオキシ基、アリールカルボニルオキシ基、アルコキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、シアノ基、アミド基、イミノ基(=NH)、トリオルガノシロキシ基、トリオルガノシリル基、アミノ基、アシル基、アルコキシシリル基、スルフィノ基(−SOH)、カルボキシル基等が挙げられる。
更に具体的には、上記アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基等が挙げられ;アルキルカルボニルオキシ基としては、例えば、アセトキシ基、プロピオニルオキシ基等が挙げられ;アリールカルボニルオキシ基としては、例えば、ベンゾイルオキシ基等が挙げられ;アルコキシカルボニル基としては、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等が挙げられ;アリーロキシカルボニル基としては、例えば、フェノキシカルボニル基、ナフチルオキシカルボニル基、フルオレニルオキシカルボニル基、ビフェニリルオキシカルボニル基等が挙げられ;トリオルガノシロキシ基としては、例えば、トリメチルシロキシ基、トリエチルシロキシ基等が挙げられ;トリオルガノシリル基としては、例えば、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基等が挙げられ;アミノ基としては、例えば、第1級アミノ基等が挙げられ;アルコキシシリル基としては、例えば、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基等が挙げられる。
本発明のノルボルネン系開環重合体は、下記一般式(3):
Figure 2005263995

(3)
[式中、aおよびR〜Rは、前記一般式(1)に関して定義のとおりである。]
で表されるノルボルネン系単量体(以下、「単量体(1)」という。)を、必要に応じて、下記一般式(4):
Figure 2005263995

(4)
[式中、g、h、i、jおよびR24〜R33は、前記一般式(2)に関して定義のとおりである。]
で表されるノルボルネン系単量体(以下、「単量体(2)」という。)とともに、更に必要に応じて前記単量体(2)と他の共重合可能な単量体とともに、開環重合もしくは共重合し、次いで必要に応じて上記構造単位中の式:−CH=CH−で表されるオレフィン性不飽和結合を水素添加することにより得ることができる。
なお、以下、特段の断りがない限り、単量体(1)の開環重合体、単量体(1)と単量体(2)等との共重合体、およびこれらの水素添加物を区別することなく「ノルボルネン系開環重合体」と総称する。
<単量体(1)>
上記単量体(1)としては、その製造が容易であることから、
(A)上記一般式(3)中のR〜Rのうちのいずれか一つだけが、上記一般式(1−1)で表される芳香環を有する基、または上記一般式(1−2)で表される芳香環を有する基であること、並びに
(B)上記一般式(1−1)で表される芳香環を有する基中のb、上記一般式(1−2)で表される芳香環を有する基中のe、もしくは前記bおよびe、が1であること、
のうち少なくとも一つの要件を満たすものが好ましく、これらの両方の要件を満たすものが更に好ましい。
以下に、単量体(1)の具体例を以下に示すが、これらの具体例に限定されるものではない。
Figure 2005263995

5−(ベンゾイルオキシメチル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
Figure 2005263995

5−[2−(ベンゾイルオキシ)エチル]−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
Figure 2005263995

5−(ベンゾイルオキシメチル)−5−メチル-ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
Figure 2005263995

5−(ベンゾイルオキシメチル)−6−メチル-ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
Figure 2005263995

6-(ベンゾイルオキシメチル)−1−メチル-ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
Figure 2005263995

5−(ビフェニル−4−イル−カルボニルオキシメチル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
Figure 2005263995

5−(4’−メトキシビフェニル−4−イル−カルボニルオキシメチル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
Figure 2005263995

5−(ナフタレン−1−イル−カルボニルオキシメチル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
Figure 2005263995

5−(ナフタレン−2−イル−カルボニルオキシメチル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
Figure 2005263995

5−(アントラセン−9−イル−カルボニルオキシメチル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
Figure 2005263995

5−(フルオレン−9−イル−カルボニルオキシメチル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
Figure 2005263995

8−(ベンゾイルオキシメチル)−テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン
Figure 2005263995

8−(ビフェニル−4−イル−カルボニルオキシメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン
Figure 2005263995

8−(ナフタレン−1−イル−カルボニルオキシメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン
Figure 2005263995

8−(ナフタレン−2−イル−カルボニルオキシメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン
Figure 2005263995

8−(フルオレン−9−イル−カルボニルオキシメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン
上記単量体(1)は、1種単独でも2種以上を組み合わせても使用することができる。
<単量体(2)>
上記一般式(4)で表される単量体(2)のうち、得られる重合体の耐熱性、溶解性および他種の基材との密着性・接着性等のバランスを良好とすることができることから、上記一般式(4)中のR30〜R33のうち少なくとも1つが、式:−(CHCOOR34(ここで、R34は炭素原子数1〜20の1価炭化水素基であり、nは0〜10の整数である。)で表される基である単量体が好ましい。
上記R34で表される炭素原子数1〜20の1価炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等のアルキル基、フェニル基等のアリール基、ベンジル基等のアラルキル基が挙げられる。中でも好ましくは、メチル基、エチル基およびフェニル基であり、特に好ましくは、メチル基およびエチル基である。
以下に、上記式:−(CHCOOR34で表される基を有する単量体を含め、単量体(2)の具体例を以下に示すが、これらの具体例に限定されるものではない。
なお、以下、Meはメチル基を、Etはエチル基を、Prはn−プロピル基を、Prはイソプロピル基を、Buはn−ブチル基を、また、Phはフェニル基を意味する。
Figure 2005263995

ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
Figure 2005263995

トリシクロ[5.2.1.02,6 ]−8−デセン
Figure 2005263995

テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン
Figure 2005263995

2,10−ジメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン
Figure 2005263995

2,9−ジメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン
Figure 2005263995

ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]−4−ペンタデセン
Figure 2005263995

ペンタシクロ[7.4.0.12,5.18,11.07,12]−3−ペンタデセン
Figure 2005263995

トリシクロ[4.4.0.12,5]−3−ウンデセン
Figure 2005263995

7−メチルトリシクロ[4.4.0.12,5]−3−ウンデセン
Figure 2005263995

5−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
Figure 2005263995

1−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
Figure 2005263995

7−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
Figure 2005263995

5−エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
Figure 2005263995

5−メトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
Figure 2005263995

5−エトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
Figure 2005263995

5−メチル−5−メトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
Figure 2005263995

5−メチル−5−エトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
Figure 2005263995

5−シアノビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
Figure 2005263995

8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン
Figure 2005263995

8−エトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン
Figure 2005263995

8−n−プロポキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン
Figure 2005263995

8−イソプロポキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン
Figure 2005263995

8−n−ブトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン
Figure 2005263995

8−フェノキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン
Figure 2005263995

8−(1−ナフトキシ)カルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン
Figure 2005263995

8−(2−ナフトキシ)カルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン
Figure 2005263995

8−(4−フェニルフェノキシ)カルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン
Figure 2005263995

8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン
Figure 2005263995

8−メチル−8−エトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン
Figure 2005263995

8−メチル−8−n−プロポキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン
Figure 2005263995

8−メチル−8−イソプロポキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン
Figure 2005263995

8−メチル−8−n−ブトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン
Figure 2005263995

8−メチル−8−フェノキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン
Figure 2005263995

8−メチル−8−(1−ナフトキシ)カルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン
Figure 2005263995

8−メチル−8−(2−ナフトキシ)カルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン
Figure 2005263995

8−メチル−8−(4−フェニルフェノキシ)カルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン
Figure 2005263995

ペンタシクロ[8.4.0.12,5.19,12.08,13]−3−ヘキサデセン
Figure 2005263995

ヘプタシクロ[8.7.0.13,6.110,17.112,15.02,7.011,16]−4−エイコセン
Figure 2005263995

ヘプタシクロ[8.8.0.14,7.111,18.113,16.03,8.012,17]−5−ヘンエイコセン
Figure 2005263995

5−エチリデンビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
Figure 2005263995

8−エチリデンテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン
Figure 2005263995

5−フェニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
Figure 2005263995

8−フェニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン
Figure 2005263995

5−n−ブチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
Figure 2005263995

5−n−ヘキシルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
Figure 2005263995

5−シクロヘキシルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
Figure 2005263995

5−n−オクチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
Figure 2005263995

5−n−デシルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
Figure 2005263995

5−イソプロピルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
Figure 2005263995

5−(ナフタレン−1−イル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
Figure 2005263995

5−(ナフタレン−2−イル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
Figure 2005263995

5−(ナフタレン−2−イル)−5−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
Figure 2005263995

5−(ビフェニル−4−イル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
Figure 2005263995

5−(ビフェニル−4−イル)−5−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
Figure 2005263995

5−アミノメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
Figure 2005263995

5−トリメトキシシリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
Figure 2005263995

5−トリエトキシシリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
Figure 2005263995

5−トリ−n−プロポキシシリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
Figure 2005263995

5−トリ−n−ブトキシシリルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
Figure 2005263995

5−クロロメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
Figure 2005263995

5−ヒドロキシメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
Figure 2005263995

5−(3−シクロヘセニル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
Figure 2005263995

5−フルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
Figure 2005263995

5−フルオロメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
Figure 2005263995

5−トリフルオロメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
Figure 2005263995

5−ペンタフルオロエチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
Figure 2005263995

5,5−ジフルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
Figure 2005263995

5,6−ジフルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
Figure 2005263995

5,5−ビス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
Figure 2005263995

5,6−ビス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
Figure 2005263995

5,5,6−トリフルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
Figure 2005263995

5,5,6,6−テトラフルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
Figure 2005263995

5,5,6,6−テトラキス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
Figure 2005263995

5,6−ジフルオロ−5,6−ビス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
Figure 2005263995

8−フルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン
Figure 2005263995

8−フルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン
Figure 2005263995

8−トリフルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン
Figure 2005263995

8−ペンタフルオロエチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン
Figure 2005263995

8,8−ジフルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン
Figure 2005263995

8,9−ジフルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン
Figure 2005263995

8,8−ビス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン
Figure 2005263995

8,9−ビス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン
Figure 2005263995

8,8,9−トリフルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン
Figure 2005263995

8,8,9,9−テトラフルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン
Figure 2005263995

8,8,9,9−テトラキス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン
Figure 2005263995

8,9−ジフルオロ−8,9−ビス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン
これらの中でも、その製造が容易であることから、5−メチル−5−メトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メチル−5−エトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−エトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−メチル−8−エトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−メチル−8−n−プロポキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−メチル−8−イソプロポキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、および8−メチル−8−n−ブトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセンが好ましい。
更に、得られるノルボルネン系開環重合体の耐熱性を向上させることができることから、8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−メチル−8−エトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−メチル−8−n−プロポキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−メチル−8−イソプロポキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、および8−メチル−8−n−ブトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセンが特に好ましい。
上記単量体(2)は、1種単独でも2種以上を組み合わせても使用することができる。
更に、本発明の効果を損なわない範囲で、単量体(1)および単量体(2)とともに、必要に応じて使用することのできる他の共重合可能な単量体としては、例えば、シクロブテン、シクロペンテン、シクロオクテン、シクロドデセン等の環状オレフィン;1,4−シクロオクタジエン、ジシクロペンタジエン、シクロドデカトリエン等の非共役環状ポリエンが挙げられる。前記共重合可能な単量体は、1種単独でも2種以上を組み合わせても使用することができる。
また、上記開環重合を、ポリブタジエン、ポリイソプレン、スチレン−ブタジエン、エチレン−非共役ジエン重合体、単量体(1)および単量体(2)以外のノルボルネン系単量体の開環重合体の未水素添加物等の存在下で行ってもよい。
<単量体の使用割合等>
本発明において、上記のとおり、ノルボルネン系開環重合体は、上記単量体(1)の1種の単独重合体であっても、また、他の単量体との共重合体であっても差し支えない。上記単量体(1)の2種以上の組み合わせを開環共重合させる場合には、特にその量比には制限がない。
本発明のノルボルネン系開環重合体が、単量体(1)と単量体(2)等との共重合体である場合に、これらの単量体の使用割合、即ち、共重合比は、得られる共重合体が、所望の複屈折の絶対値の大きさおよび/または位相差の波長依存性を示すように、必要に応じて適宜設定乃至調整されるものであり、一義的に定められるものではないが、全単量体に対して単量体(1)の占める割合が2モル%以上とすることが好ましく、より好ましくは5モル%以上、更に好ましくは10モル%以上とするのがよい。前記単量体(1)の占める割合が2モル%以上であれば、本発明のノルボルネン系開環重合体が大きな複屈折の絶対値や位相差の波長依存性を有する等の光学的特性を容易に発現させることができる。
なお、単量体(1)および単量体(2)以外の共重合可能な単量体も使用する場合には、得られる共重合体の複屈折の絶対値の大きさや位相差の波長依存性を容易に調整することができることから、全単量体に対して前記共重合可能な単量体の占める割合が30モル%以下とすることが好ましく、より好ましくは20モル%以下とするのがよい。
<重合>
以下、重合条件を更に説明する。
・開環重合触媒
本発明に用いられる開環重合用の触媒としては、例えば、
(I)Olefin Metathesis and Metathesis Polymerization(K.J.IVIN, J.C.MOL, Academic Press 1997)に記載されている触媒が好ましく用いられる。このような触媒としては、例えば、(a)W、Mo、Re、VおよびTiの化合物から選ばれた少なくとも1種と、(b)アルカリ金属元素(例えば、Li、Na、K)、アルカリ土類金属元素(例えば、Mg、Ca)、第12族元素(例えば、Zn、Cd、Hg)、第13族元素(例えば、B、Al)、第14族元素(例えば、Si、Sn、Pd)等の化合物であって、少なくとも1つの当該元素−炭素結合または当該元素−水素結合を有するものから選ばれた少なくとも1種との組み合わせからなるメタセシス触媒が挙げられる。該触媒の活性を高めるために、後述の(c)添加剤が添加されたものであってもよい。
上記(a)成分の具体例としては、例えば、WCl、MoCl、ReOCl、VOCl、TiCl等の特開平1−240517号公報に記載の化合物を挙げることができる。これらは1種単独でも2種以上を組み合わせても使用することができる。
上記(b)成分の具体例としては、例えば、n−CLi、(CAl、(CAlCl、(C1.5AlCl1.5、(C)AlCl、メチルアルモキサン、LiH等の特開平1−240517号公報に記載の化合物を挙げることができる。これらは1種単独でも2種以上を組み合わせても使用することができる。
上記(c)成分の添加剤としては、例えば、アルコール類、アルデヒド類、ケトン類、アミン類等を好適に用いることができ、更に、特開平1−240517号公報に記載の化合物を使用することができる。これらは1種単独でも2種以上を組み合わせても使用することができる。
上記(a)成分等を組み合わせてなるメタセシス触媒の使用量は、上記(a)成分と、全単量体(単量体(1)、単量体(2)および他の共重合可能な単量体。以下、同じ)との、「(a)成分:全単量体」のモル比が、通常、1:500〜1:500,000となる範囲、好ましくは1:1,000〜1:100,000となる範囲である。更に、上記(a)成分と(b)成分との割合は、「(a):(b)」の金属原子(モル)比が、通常、1:1〜1:50、好ましくは1:2〜1:30の範囲である。このメタセシス触媒に上記(c)添加剤を添加する場合、(a)成分と(c)成分との割合は、「(c):(a)」のモル比が、通常0.005:1〜15:1、好ましくは0.05:1〜7:1の範囲である。
また、その他の触媒として、
(II)周期表第4族〜第8族の遷移金属−カルベン錯体やメタラシクロブタン錯体等からなるメタセシス触媒を用いることができる。
上記触媒(II)の具体例としては、例えば、W(=N−2,6−C Pr)(=CHBu)(OBu)、Mo(=N−2,6−C Pr)(=CHBu)(OBu)、Ru(=CHCH=CPh)(PPhCl、Ru(=CHPh)[P(C11Cl等が挙げられる。これらは1種単独でも2種以上を組み合わせても使用することができる。
上記触媒(II)の使用量は、「触媒(II):全単量体」のモル比が、通常1:500〜1:50,000となる範囲、好ましくは1:100〜1:10,000となる範囲である。
なお、上記触媒(I)と(II)とを組み合わせて用いても差し支えない。
・分子量調節剤
開環重合体の分子量の調節は、重合温度、触媒の種類、溶媒の種類等を調整することによっても行うことができるが、本発明においては、分子量調節剤を反応系に共存させることにより調節することが好ましい。分子量調節剤としては、例えば、エチレン、プロペン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン等のα−オレフィン類およびスチレンが好ましく、これらのうち、1−ブテンおよび1−ヘキセンが特に好ましい。これらの分子量調節剤は、1種単独でも2種以上を組み合わせても使用することができる。この分子量調節剤の使用量は、全単量体1モル当り、通常、0.005〜0.6モル、好ましくは0.02〜0.5モルである。
・開環重合反応用溶媒
開環重合反応において用いられる溶媒(即ち、単量体、メタセシス触媒、分子量調節剤等を溶解する溶媒)としては、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン等のアルカン類;シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、デカリン、ノルボルナン等のシクロアルカン類;ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、クメン等の芳香族炭化水素;クロロブタン、ブロムヘキサン、塩化メチレン、ジクロロエタン、ヘキサメチレンジブロミド、クロロベンゼン、クロロホルム、テトラクロロエチレン等のハロゲン化アルカン、ハロゲン化アリール等の化合物;酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸iso−ブチル、プロピオン酸メチル等の飽和カルボン酸エステル類;ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン等のエーテル類が挙げられ、これらの中では芳香族炭化水素が好ましい。これらは1種単独でも2種以上を組み合わせても使用することができる。この開環重合反応用溶媒の使用量は、「溶媒:全単量体」の重量比が、通常、1:1〜10:1となる量であり、好ましくは1:1〜5:1となる量である。
<水素添加反応>
上記開環重合により得られるノルボルネン系開環重合体は、構造単位(1)中のXと、場合により有する構造単位(2)中のYとが、式:−CH=CH−で表されるオレフィン性不飽和基の構造を有するものである。この開環重合体は、そのまま使用することができる。
前記開環重合体の耐熱安定性をより向上させるために、上記オレフィン性不飽和基を水素添加して式:−CHCH−で表される基に変換させ、水素添加された開環重合体(水素添加物)として得ることが好ましい。但し、本発明でいう水素添加物とは、上記オレフィン性不飽和基が水素添加されたものに限られ、前記開環重合体に含まれている、単量体(1)、単量体(2)等の構造に由来するベンゼン環等の芳香環骨格中の環内共役二重結合は、実質的に水素添加されていないものであることが特に好ましい。
なお、水素添加率(即ち、開環重合体が構造単位(1)を有し構造単位(2)を有しない場合にはXが、また開環重合体が構造単位(1)と構造単位(2)とを有する場合にはXとYとが、式:−CHCH−で表される基に変換される割合)は、複数存在する上記Xの、もしくはXおよびYの合計の40モル%以上、好ましくは50モル%以上、更に好ましくは60モル%以上である。この水素添加率が高いほど、高温条件下における着色や劣化の発生が抑制されるので好ましい。
水素添加反応は、上記芳香環骨格中の環内共役二重結合が実質的に水素添加されない条件で行われる必要がある。例えば、開環重合体の溶液に水素添加反応触媒を添加し、これに、通常、常圧〜300気圧、好ましくは3〜200気圧の水素ガスを加えて、通常、0〜200℃、好ましくは50〜200℃で反応させることによって行われる。
水素添加反応触媒としては、通常のオレフィン性化合物の水素添加反応に用いられるものを使用することができ、不均一系触媒および均一系触媒が公知である。不均一系触媒としては、例えば、パラジウム、白金、ニッケル、ロジウム、ルテニウム等の貴金属触媒物質を、カーボン、シリカ、アルミナ、チタニア等の担体に担持させた固体触媒が挙げられる。均一系触媒としては、例えば、ナフテン酸ニッケル/トリエチルアルミニウム、ニッケルアセチルアセトナート/トリエチルアルミニウム、オクテン酸コバルト/n−ブチルリチウム、チタノセンジクロリド/ジエチルアルミニウムモノクロリド、酢酸ロジウム、クロロトリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム、ジクロロトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム、クロロヒドロカルボニルトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム、ジクロロカルボニルトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム等が挙げられる。これら触媒の形態は粉末状でも粒状でもよい。また、この水素添加反応触媒は、1種単独でも2種以上を組み合わせても使用することができる。
これらの水素添加反応触媒は、上記芳香環骨格中の環内共役二重結合が実質的に水素添加されないようにするために、その添加量を調整する必要があり、「開環重合体:水素添加反応触媒」の重量比が、通常、1:1×10−6〜1:2となる割合で使用される。
本発明のノルボルネン系開環重合体のウッベローデ型粘度計を用いて、クロロホルム中(試料濃度:0.5g/dL)、30℃で測定される対数粘度(ηinh)は、通常、0.2〜5.0、好ましくは0.3〜4.0、更に好ましくは0.35〜2.0である。また、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC、テトラヒドロフラン溶媒、ポリスチレン換算値)による分子量の測定では、前記開環重合体の数平均分子量(Mn)は、通常、1000〜50万、好ましくは2000〜30万、更に好ましくは5000〜30万であり、重量平均分子量(Mw)は、通常、5000〜200万、好ましくは1万〜100万、更に好ましくは3万〜50万である。
上記対数粘度(ηinh)が0.2未満であるか、数平均分子量(Mn)が1000未満であるか、或いは、重量平均分子量(Mw)が5000未満であると、本発明のノルボルネン系開環重合体から得られる成形物の強度が著しく低下する場合がある。一方、対数粘度(ηinh) が5.0以上であるか、数平均分子量(Mn)が50万以上であるか、或いは、重量平均分子量(Mw)が200万以上であると、前記開環重合体の溶融粘度または溶液粘度が高くなりすぎて、所望の成形品を得ることが困難になる場合がある。
本発明のノルボルネン系開環重合体には、公知の各種添加剤を添加することができる。この添加剤としては、例えば、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、2,5−ジ−t−ブチルヒドロキノン、ペンタエリスリトール・テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドキシフェニル)プロピオネート]、4,4’−チオビス−(6−t−ブチル−3−メチルフェノール)、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、オクタデシル・3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、3,3’,3”,5,5’,5”−ヘキサ−t−ブチル−a,a’,a”−(メシチレン−2,4,6−トリイル)トリ−p−クレゾール等のフェノール系、ヒドロキノン系酸化防止剤;トリス(4−メトキシ−3,5−ジフェニル)ホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト等のリン系酸化防止剤が挙げられる。これらの酸化防止剤の1種または2種以上を添加することにより、開環重合体の耐酸化劣化性を向上することができる。また、例えば、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−[(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]]等の紫外線吸収剤を添加することによって耐光性を向上することもできる。更に、加工性を向上させる目的で滑剤等の添加剤を添加することもできる。これらの添加剤は、1種単独でも2種以上を組み合わせても使用することができる。
本発明のノルボルネン系開環重合体は、例えば、単量体(1)(および単量体(2))が有する置換基の構造・種類、共重合比等を設定することにより、得られる重合体フィルム等の複屈折の絶対値や位相差の波長依存性を調整することができる。また、本発明のノルボルネン系開環重合体と公知の環状オレフィン系樹脂等とを適宜配合することによっても、得られる樹脂組成物から成形された重合体フィルム等の複屈折の値の正負、複屈折の絶対値や位相差の波長依存性を調整することができる。
以下、実施例を用いて本発明を更に具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。以下、特段の断りがない限り、「部」は重量部を、「%」は重量%を意味する。また、室温とは25℃である。
実施例および比較例中に記載の各種測定値、評価等は、以下のとおりして測定乃至評価したものである。
〔測定・評価方法〕
・1.ガラス転移温度(Tg)
示差走査熱量計(セイコーインスツルメンツ社製、商品名:DSC6200)を用いて、昇温速度を毎分20℃とし、窒素気流下でガラス転移温度(Tg)を測定した。
・2.重量平均分子量および分子量分布
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC、東ソー株式会社製、商品名:HLC-8020)を用い、溶媒としてテトラヒドロフラン(THF)を用いて、ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)および分子量分布(Mw/Mn)を測定した。なお、前記Mnは数平均分子量である。
・3.重合体分子構造
超伝導核磁気共鳴吸収装置(NMR、Bruker社製、商品名:AVANCE500)を用い、重水素化クロロホルム中でH−NMRおよび13C−NMRを測定した。更に、赤外分光光度計(IR、日本分光社製、商品名:FT/IR−420)を用いて、赤外線(IR)吸収スペクトルを測定した。得られたデータから、分子構造を同定した。
・4.位相差、複屈折評価
開環重合体のトルエン乃至塩化メチレン溶液(濃度:25%)を平滑なガラス板上にキャストし、乾燥後、厚さ100μm、残留溶媒0.5〜0.8%の無色透明なフィルムを得た。このフィルムのガラス転移温度(Tg)と等しい温度で、1.2〜2.0倍に一軸延伸した。この延伸フィルムの位相差および複屈折の値を、レターデーション測定器(王子計測機器製、商品名:KOBRA21DH)を用いて測定した。
・5.吸水率測定
ASTM D570に準拠し、上記「位相差、複屈折評価」に記載の方法で作成した延伸前のフィルムを23℃の水中に1週間浸漬して、その前後の重量変化から吸水率を求めた。
〔合成例1〕
・5−(ビフェニル−4−イル−カルボニルオキシメチル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エンの合成
Figure 2005263995
フラスコに取り付けられた滴下ロートに、ビフェニル−4−イル−カルボン酸クロリド(50.0g、0.23mol)およびテトラヒドロフラン(250mL)の溶液を入れ、フラスコ中に5−ヒドロキシメチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン(28.7g、0.23mol)およびピリジン(54.8g、0.69mol)を加えた。フラスコ内をスターラーでよく攪拌しながら、氷冷下で滴下ロート中の前記溶液を1時間かけてフラスコ内に滴下した。滴下終了後、室温まで昇温し、更に1時間反応させた。その後、生成した塩を濾別し、減圧蒸留により溶媒を除去して、濾液を100mL程度まで濃縮した。この濃縮した溶液を酢酸エチル400mLで希釈し、300mLの蒸留水で3回洗浄した。洗浄後の溶液に無水硫酸マグネシウムを加え12時間放置することにより脱水させた後、硫酸マグネシウムを濾別した。次に、減圧蒸留により溶媒を除去して、濾液を濃縮し、カラムクロマトグラフィー[充填剤:アルミナ(1kg)、展開溶媒:酢酸エチル/n−ヘキサン=2/1(wt/wt)]によって精製した後、減圧乾燥することにより、白色固体50g(収率71%)を得た。
〔合成例2〕
・5−(ナフタレン−1−イル−カルボニルオキシメチル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エンの合成
Figure 2005263995
フラスコに取り付けられた滴下ロートに、ナフタレン−1−イル−カルボン酸クロリド(50.0g、0.26mol)およびテトラヒドロフラン(100mL)の溶液を入れ、フラスコ中に5−ヒドロキシメチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン(32.6g、0.26mol)、ピリジン(62.6g、0.79mol)、およびテトラヒドロフラン(100mL)を加えた。フラスコ内をスターラーでよく攪拌しながら、氷冷下にて滴下ロート中の溶液を1時間かけてフラスコ内に滴下した。滴下終了後、室温にまで昇温し、更に1時間反応させた。その後、生成した塩を濾別し、減圧蒸留により溶媒を除去して、濾液を100mL程度まで濃縮した。この濃縮した溶液を酢酸エチル300mLで希釈し、300mLの3%塩酸で2回、300mLの蒸留水で2回洗浄した。洗浄後の溶液に無水硫酸マグネシウムを加え12時間放置することにより脱水させた後、硫酸マグネシウムを濾別した。次に、減圧蒸留により溶媒を除去して、濾液を濃縮し、カラムクロマトグラフィー[充填剤:アルミナ(500g)、展開溶媒:トルエン]によって精製した後、n−ヘキサン中で2回再結晶を行い、更に減圧乾燥することにより、白色固体57.1g(収率78%)を得た。
〔合成例3〕
・5−(ナフタレン−2−イル−カルボニルオキシメチル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エンの合成
Figure 2005263995
フラスコに取り付けられた滴下ロートに、ナフタレン−2−イル−カルボン酸クロリド(50.0g、0.26mol)およびテトラヒドロフラン(100mL)の溶液を入れ、フラスコ中に5-ヒドロキシメチル-ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン(32.6g、0.26mol)、ピリジン(62.6g、0.79mol)、およびテトラヒドロフラン(100mL)を加えた。フラスコ内をスターラーでよく攪拌しながら、氷冷下にて滴下ロート中の溶液を1時間かけてフラスコ内に滴下した。滴下終了後、室温にまで昇温し、更に1時間反応させた。その後、生成した塩を濾別し、減圧蒸留により溶媒を除去して、濾液を100mL程度まで濃縮した。この濃縮した溶液を酢酸エチル300mLで希釈し、300mLの3%塩酸で2回、300mLの蒸留水で2回洗浄した。洗浄後の溶液に無水硫酸マグネシウムを加え12時間放置することにより脱水させた後、硫酸マグネシウムを濾別した。次に、減圧蒸留により溶媒を除去して、濾液を濃縮し、カラムクロマトグラフィー[充填剤:アルミナ(500g)、展開溶媒:トルエン]を用いて精製した後、減圧乾燥することにより、無色の粘性液体59.0g(収率81%)を得た。
<開環重合体とその水素添加物の合成>
〔実施例1〕
単量体(1)として5−(ビフェニル−4−イル−カルボニルオキシメチル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン 40g、分子量調節剤として1−へキセン 0.55g、およびトルエン 80.0gを窒素置換した反応容器に仕込み、80℃に加熱した。これにトリエチルアルミニウム(0.6mol/L)のトルエン溶液 0.34mL、およびメタノール変性WClトルエン溶液(0.025mol/L) 1.05mLを加え、80℃で3時間反応させることにより開環重合体を得た。ここで得られた開環重合体溶液をオートクレーブ内に収容し、更にトルエンを680g加えた。水素添加反応触媒であるRuHCl(CO)[P(Cを0.02g添加し、水素ガス圧を9〜10MPaとし、160〜165℃の温度で、3時間反応させた。反応終了後、得られた生成物を多量のイソプロパノール中で沈殿させることにより水素添加物を得た[重量平均分子量(Mw)=2.9x10、分子量分布(Mw/Mn)=5.17、対数粘度(ηinh)=1.10、ガラス転移温度(Tg)=81.5℃、収量17g(収率43%)]。NMR測定により求めたこの水素添加物の水素添加率は89.0%であり、単量体の構造中に含まれる芳香環骨格中の環内共役二重結合が水素添加されずに残存している割合(以下、芳香環残存率という)は100%であった。得られた開環重合体の水素添加物の赤外線(IR)吸収スペクトルを図1に示し、H−NMRスペクトルを図2に示す。
〔実施例2〕
単量体(1)として5−(ナフタレン−1−イル−カルボニルオキシメチル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン 20g、分子量調節剤として1−へキセン 0.30g、およびトルエン 40.0gを窒素置換した反応容器に仕込み、80℃に加熱した。これにトリエチルアルミニウム(0.6mol/L)のトルエン溶液 0.094mL、メタノール変性WClトルエン溶液(0.025mol/L) 0.287mLを加え、80℃で6分間反応させることにより開環重合体を得た。ここで得られた開環重合体溶液をオートクレーブ内に収容し、更にトルエンを520g加えた。水素添加反応触媒であるRuHCl(CO)[P(Cを0.01g添加し、水素ガス圧を9〜10MPaとし、160〜165℃の温度で、3時間反応させた。反応終了後、得られた生成物を多量のイソプロパノール中で沈殿させることにより水素添加物を得た[重量平均分子量(Mw)=4.3x10、分子量分布(Mw/Mn)=2.89、対数粘度(ηinh)=1.27、ガラス転移温度(Tg)=62.4℃、収量8.6g(収率43%)]。NMR測定により求めたこの水素添加物の水素添加率は96.4%であり、芳香環残存率は100%であった。得られた開環重合体の水素添加物の赤外線(IR)吸収スペクトルを図3に示し、H−NMRスペクトルを図4に示す。
〔実施例3〕
単量体(1)として5−(ナフタレン−2−イル−カルボニルオキシメチル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン 20g、分子量調節剤として1−へキセン 0.60g、およびトルエン 40.0gを窒素置換した反応容器に仕込み、80℃に加熱した。これにトリエチルアルミニウム(0.6mol/L)のトルエン溶液 0.094mL、メタノール変性WClトルエン溶液(0.025mol/L) 0.287mLを加え、80℃で1時間反応させることにより開環重合体を得た。ここで得られた開環重合体溶液をオートクレーブ内に収容し、更にトルエンを520g加えた。水素添加反応触媒であるRuHCl(CO)[P(Cを0.01g添加し、水素ガス圧を9〜10MPaとし、160〜165℃の温度で、3時間反応させた。反応終了後、得られた生成物を多量のメタノール中で沈殿させることにより水素添加物を得た[重量平均分子量(Mw)=2.8x10、分子量分布(Mw/Mn)=4.33、対数粘度(ηinh)=1.03、ガラス転移温度(Tg)=63.2℃、収量8.2g(収率41%)]。NMR測定により求めたこの水素添加物の水素添加率は92.8%であり、芳香環残存率は100%であった。得られた開環重合体の水素添加物の赤外線(IR)吸収スペクトルを図5に示し、H−NMRスペクトルを図6に示す。
〔実施例4〕
単量体(1)として5−(ビフェニル−4−イル−カルボニルオキシメチル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン 5g、単量体(2)として下記構造式:
Figure 2005263995

で表される8−メトキシカルボニル−8−メチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン 45g、分子量調節剤として1−へキセン 2.12g、およびトルエン 100gを窒素置換した反応容器に仕込み、80℃に加熱した。これにトリエチルアルミニウム(0.6mol/L)のトルエン溶液 1.47mL、メタノール変性WClトルエン溶液(0.025mol/L) 4.48mLを加え、80℃で3時間反応させることにより開環重合体を得た。ここで得られた開環重合体溶液をオートクレーブ内に収容し、更にトルエン 100gを加えた。水素添加反応触媒であるRuHCl(CO)[P(C 0.02gを添加し、水素ガス圧を9〜10MPaとし、160〜165℃の温度で、3時間反応させた。反応終了後多量のイソプロパノール中で沈殿させることにより水素添加物を得た[重量平均分子量(Mw)=1.3x10、分子量分布(Mw/Mn)=4.74、対数粘度(ηinh)=0.89、ガラス転移温度(Tg)=159.0℃]。NMR測定により求めたこの水素添加物の水素添加率は99.0%以上であり、芳香環残存率は100%であった。得られた開環重合体の水素添加物の赤外線(IR)吸収スペクトルを図7に示し、H−NMRスペクトルを図8に示す。
〔比較例1〕
単量体(2)として8−メトキシカルボニル−8−メチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン 50gに、分子量調節剤として1−へキセン 3.6g、およびトルエン 100gを窒素置換した反応容器に仕込み、80℃に加熱した。これにトリエチルアルミニウム(0.6mol/L)のトルエン溶液 0.09mL、およびメタノール変性WClトルエン溶液(0.025モル/L) 0.29mlを加え、80℃で3時間反応させることにより開環重合体を得た。次いで、上記実施例1と同じにして水素添加反応を行い、対応する水素添加物を得た[ガラス転移温度(Tg)=167℃、重量平均分子量(Mw)=5.6x10、分子量分布(Mw/Mn)=3.2、収量45g(収率90%)]。NMR測定により求めたこの水素添加物の水素添加率は99.0%以上であった。
〔比較例2〕
下記構造式:
Figure 2005263995

で表される5−(ビフェニル−4−イル−カルボニルオキシ)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン 14gに、分子量調節剤として1−へキセン 0.2g、およびトルエン 28gを窒素置換した反応容器に仕込み、80℃に加熱した。これにトリエチルアルミニウム(0.6mol/L)のトルエン溶液 0.17mL、およびメタノール変性WClトルエン溶液(0.025モル/L) 0.38mLを加え、80℃で3時間反応させることにより開環重合体を得た。次いで、上記実施例1と同じにして水素添加反応を行い、対応する水素添加物を得た[ガラス転移温度(Tg)=97.5℃、重量平均分子量(Mw)=10.3x10、分子量分布(Mw/Mn)=2.1、収量45g(収率90%)]。NMR測定により求めたこの水素添加物の水素添加率は99.0%以上であり、芳香環残存率は100%であった。
[複屈折および位相差]
実施例1〜4および比較例1〜2で得られた開環重合体の水素添加物を溶媒キャスト法で成形して得たフィルムを、各重合体のガラス転移温度(Tg)と等しい温度で1.7倍に一軸延伸した後にレターデーション(Re、位相差)を測定し、フィルムの厚さ(d=80μm)に基づいて、複屈折の値を算出した。測定波長550nmでの複屈折:Δn550(=Re550/d)の値を表1に示す。さらに、位相差の波長依存性について評価した。測定波長480nmおよび750nmでのレターデーション(Re480,Re750)を測定し、測定波長550nmでのレターデーション(Re550)との比を求めた。その結果を表1に示す。
Figure 2005263995
〔評価〕
実施例1〜4で得られた開環重合体の延伸フィルムは、比較例1〜2のものに比べて、同じ延伸倍率でも複屈折の絶対値が大きいことが明らかである。
実施例1〜4のものと比較例2のものとを比較すると、両者の開環重合体は、いずれもビフェニル−4−イル−カルボニルオキシ基等の芳香族カルボニルオキシ基を含む構造単位を有しているにもかかわらず、前記芳香族カルボニルオキシ基がメチレン連結基(−CH−)を介して主鎖構造に結合している実施例1〜4で得られた開環重合体の延伸フィルムの場合には、複屈折の値が「正」であるのに対して、前記芳香族カルボニルオキシ基が(メチレン連結基を介さず)直接主鎖構造に結合している比較例2のものの場合には、複屈折の値が「負」であるという顕著な違いが認められた。
次に、表1に記載の実施例1〜4の数値からみて、本発明の開環重合体の延伸フィルムの複屈折の絶対値の大きさは、上記式(1−1)および式(1−2)で表される芳香族カルボニルオキシアルキレン基の構造の選択、および共重合比の設定により調整できることが明らかである。
更に、実施例1〜4(および比較例2)のものと、比較例1のものとを比較すると、実施例1〜4(および比較例2)で得られた、ビフェニル−4−イル−カルボニルオキシ基等の芳香族カルボニルオキシ基を含む構造単位を有する開環重合体の延伸フィルムは、位相差の波長依存性([Re480/Re550]−[Re750/Re550]の差)が顕著に大きいのに対して、比較例1で得られた、前記芳香族カルボニルオキシ基を含まない従来公知のノルボルネン系開環重合体の場合には、位相差の波長依存性が極めて小さいことが明らかとされた。
実施例1で得られた開環重合体の水素添加物の赤外線(IR)吸収スペクトルである。 実施例1で得られた開環重合体の水素添加物のH−NMRスペクトルである。 実施例2で得られた開環重合体の水素添加物の赤外線(IR)吸収スペクトルである。 実施例2で得られた開環重合体の水素添加物のH−NMRスペクトルである。 実施例3で得られた開環重合体の水素添加物の赤外線(IR)吸収スペクトルである。 実施例3で得られた開環重合体の水素添加物のH−NMRスペクトルである。 実施例4で得られた開環重合体の水素添加物の赤外線(IR)吸収スペクトルである。 実施例4で得られた開環重合体の水素添加物のH−NMRスペクトルである。

Claims (5)

  1. 下記一般式(1):
    Figure 2005263995

    (1)
    [式中、aは0〜2の整数であり、Xは式:−CH=CH−で表される基または式:−CHCH−で表される基であり、R〜Rは、独立に、水素原子;ハロゲン原子;酸素原子、硫黄原子、窒素原子もしくはケイ素原子を含む連結基を有してもよい、置換もしくは非置換の炭素原子数1〜30の炭化水素基;または極性基を表し、但し、R〜Rの少なくとも1つは下記一般式(1−1)で表される芳香環を有する基および一般式(1−2)で表される芳香環を有する基からなる群から選ばれる基である。]
    で表される構造単位(1)を有し、複数存在するXは同一または異なるノルボルネン系開環重合体。
    Figure 2005263995

    (1−1)
    [式中、R〜R15は、独立に、水素原子;ハロゲン原子;酸素原子、硫黄原子、窒素原子またはケイ素原子を含む連結基を有してもよい、置換または非置換の炭素原子数1〜30の炭化水素基;または極性基を表し、bは1〜5の整数であり、cおよびdは独立に0〜3の整数であり、但し、c=d=0の場合は、RとR11、および/またはR15とR11は相互に結合して炭素環または複素環(これらの炭素環または複素環は単環構造でもよいし、他の環が縮合して多環構造を形成してもよい。)を形成してもよい。]
    Figure 2005263995

    (1−2)
    [式中、R16〜R23は、独立に、水素原子;ハロゲン原子;酸素原子、硫黄原子、窒素原子またはケイ素原子を含む連結基を有してもよい、置換または非置換の炭素原子数1〜30の炭化水素基;または極性基を表し、eは1〜5の整数であり、fは0または1である。]
  2. 複数存在する前記Xの40モル%以上が式:−CHCH−で表される基である請求項1に記載のノルボルネン系開環重合体。
  3. 前記bおよび/または前記eが1である請求項1または2に記載のノルボルネン系開環重合体。
  4. さらに、下記一般式(2):
    Figure 2005263995

    (2)
    [式中、gおよびhは独立に0または1であり、但し、これらの少なくとも一方は1であり、iおよびjは独立に0〜2の整数であり、Yは式:−CH=CH−で表される基または式:−CHCH−で表される基であり、R24〜R33は、独立に、水素原子;ハロゲン原子;前記一般式(1−1)で表される芳香環を有する基および一般式(1−2)で表される芳香環を有する基以外の、酸素原子、硫黄原子、窒素原子もしくはケイ素原子を含む連結基を有してもよい、置換もしくは非置換の炭素原子数1〜30の炭化水素基;または極性基を表し、R30とR31、および/またはR32とR33は一体化して2価炭化水素基を形成してもよく、R30またはR31と、R32またはR33とは相互に結合して炭素環または複素環(これらの炭素環または複素環は単環構造でもよいし、他の環が縮合して多環構造を形成してもよい。)を形成してもよい。]。
    で表される構造単位(2)を有し、複数存在するYは同一または異なる請求項1〜3のいずれか一項に記載のノルボルネン系開環重合体。
  5. 複数存在する前記Xおよび前記Yの合計の40モル%以上が式:−CHCH−で表される基である請求項4に記載のノルボルネン系開環重合体。
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