JP4107081B2 - 射出成形体 - Google Patents
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Description
【発明の技術分野】
本発明は、特定の環状オレフィン系共重合体を含む材料からなる射出成形体に関する。詳しくは、本発明は、特定の環状オレフィン系共重合体を含む材料からなり、透明性に優れ、各種光学部品に好適に利用できる射出成形体に関する。
【0002】
【発明の技術的背景】
ノルボルネン系樹脂、シクロオレフィン系樹脂などの環状オレフィン系樹脂は、透明性に優れ、低吸水性であって、耐熱性が良好で高温条件下での使用も可能であるため、OA機器、光記憶装置、カメラ、光記録媒体などの光学部品の原料として使用されている。
【0003】
このような光学部品に使用される環状オレフィン系樹脂としては、ノルボルネン系化合物やシクロオレフィン系化合物などを開環(共)重合した後、主鎖構造中の炭素−炭素二重結合部分を水素添加することにより得られた樹脂が知られている(たとえば、特許文献1、特許文献2および特許文献3)。また、ノルボルネン系化合物とエチレン等のα−オレフィンとの付加共重合によっても、同様な効果を有する環状オレフィン系樹脂が得られている(たとえば、特許文献4、特許文献5および特許文献6)。
これらのうち、ノルボルネン系化合物開環(共)重合体の水素添加物の場合、複屈折性の低い材料を設計することが可能である。このようなノルボルネン系化合物開環(共)重合体の水素添加物は、ノルボルネン系化合物とエチレン等α−オレフィンとの付加共重合体とは異なり、完全に非晶性であるため、特に光学的特性の要求される用途において、従来使用されていたガラスの代替として使用されている。
【0004】
しかしながら、近年の光学機器の高機能化や高性能化に伴って、各種機器に使用される光学部品にはより高度な光学特性が求められるようになり、特に光学歪みに対する要求が大幅に高くなってきているため、ノルボルネン系開環(共)重合体の水素添加物を用いても、要求性状を充分に満たすことが困難な場合が生じてきている。
また、低複屈折性のノルボルネン系開環(共)重合体を得るための原料であるノルボルネン系の単量体は、共重合性に劣る場合があり工業的に満足できる生産性が得られにくいという問題があり、また、特殊な単量体を使用するためコストが高いという問題がある。
さらに、このような開環(共)重合型の環状オレフィン系樹脂では、水素添加により主鎖構造中の炭素−炭素二重結合を完全に無くすことは困難であり、通常その分子構造中に数10〜数100ppm程度の二重結合が残存するため、光学部品として用いた場合、成形時の熱履歴、経時変化、光源からの熱あるいは紫外光などにより、変色する場合があるという問題があった。
【0005】
【特許文献1】
特開平1−132626号公報
【特許文献2】
特開平2−102221号公報
【特許文献3】
特開平2−133413号公報
【特許文献4】
特開昭60−168708号公報
【特許文献5】
特開昭61−115912号公報
【特許文献6】
特開昭61−120816号公報
【0006】
【発明の目的】
本発明は、上記のような問題点に鑑みてなされたものであって、従来公知の環状オレフィン系樹脂からなる射出成形体と同等の透明性および耐熱性を有し、生産性および経済性に優れて工業的に好適に製造でき、光学歪みが少なく、成形時の加熱溶融に係る熱履歴、光源などからの熱や紫外光による経時変化、使用時の温度および湿度などに起因する変色が生じにくく、二次加工性にも優れた射出成形体を提供することを目的としている。
【0007】
【発明の概要】
本発明の射出成形体は、
(A)下記一般式(1)で表される構造単位、および
(B)下記一般式(2)で表される構造単位
のみからなり、かつ、構造単位(B)の少なくとも一部が、アクリル酸トリシクロ[5.2.1.0 2,6 ]−デカ−8−イルから形成される構造単位である環状オレフィン系共重合体を含む成形用樹脂材料からなることを特徴としている。
【0008】
【化 7】
【0009】
(式(1)中、mおよびnは、それぞれ独立に0〜2の整数であり、R1、R2、R3およびR4は、それぞれ独立に水素原子;ハロゲン原子;酸素、窒素、イオウまたはケイ素を含む環構造への連結基を有していてもよい置換または非置換の炭素原子数1〜20の炭化水素基;または極性基を表す。)
【0010】
【化 8】
【0011】
(式(2)中、R5は、置換もしくは非置換の炭素原子数1〜20の炭化水素基または複素環式基を表す。なお、該炭化水素基または該複素環式基とカルボニル基との間に−(CH2)r−、−(C2H4O)r−、−(C3H6O)r−、もしくは−(C4H8O)r−(ただし、rは1〜5の整数を表す)で表される二価の連結基を有していてもよい。)
【0016】
本発明の射出成形体では、前記環状オレフィン系共重合体のゲルパーミエイションクロマトグラフィーにより測定したポリスチレン換算の数平均分子量が、5000〜1,000,000であることが好ましい。
【0017】
本発明の光学部品、光学用レンズ、光ディスクおよび導光板は、上記本発明の射出成形体からなる。
本発明の導光板は、液晶表示装置に用いるフロントライト導光板またはバックライト導光板であることが好ましい。
また、本発明の導光板は、集光機能、光拡散機能および反射機能から選ばれた少なくとも1種の機能を有することが好ましい。
【0018】
さらに、本発明の導光板は、上記本発明の射出成形体からなる基板と、集光機能、光拡散機能および反射機能から選ばれた少なくとも1種の機能を有するシートもしくはフィルムとを積層してなることも好ましい。
【0019】
【発明の具体的説明】
以下、本発明について具体的に説明する。
環状オレフィン系共重合体
本発明の射出成形体は、環状オレフィン系共重合体を含む成形用樹脂材料から形成されてなる。
【0020】
本発明で用いる環状オレフィン系共重合体は、(A)下記一般式(1)で表される構造単位、および(B)下記一般式(2)で表される構造単位を有し、かつ、一般式(1)で表される構造単位同士が隣接していない環状オレフィン系共重合体である。
【0021】
【化 13】
【0022】
(式(1)中、mおよびnは、それぞれ独立に0〜2の整数であり、R1、R2、R3およびR4は、それぞれ独立に水素原子;ハロゲン原子;酸素、窒素、イオウまたはケイ素を含む環構造への連結基を有していてもよい置換または非置換の炭素原子数1〜20の炭化水素基;または極性基を表す。)
【0023】
【化 14】
【0024】
(式(2)中、R5は、置換もしくは非置換の炭素原子数1〜20の炭化水素基または複素環式基を表す。なお、該炭化水素基または該複素環式基とカルボニル基との間に−(CH2)r−、−(C2H4O)r−、−(C3H6O)r−、もしくは−(C4H8O)r−(ただし、rは1〜5の整数を表す)で表される二価の連結基を有していてもよい。)
このような環状オレフィン系共重合体は、共重合により上記構造単位(A)を形成する単量体(以下、環状オレフィン系単量体という)と、上記構造単位(B)を形成する単量体(以下、アクリル系単量体という)とを含む単量体混合物を、ルイス酸の存在下で、ラジカル反応により共重合させる工程を含む方法により、好ましく製造することができる。
【0025】
<環状オレフィン系単量体>
共重合により上記構造単位(A)を形成する単量体である環状オレフィン系単量体としては、下記一般式(7)で表される環状オレフィン系単量体が挙げられる。
【0026】
【化 15】
【0027】
上記式(7)中、m、nおよびR1〜R4は、上記一般式(1)と同様である。すなわち、mおよびnは、それぞれ独立に0〜2の整数であり、R1、R2、R3およびR4は、それぞれ独立に水素原子;ハロゲン原子;酸素、窒素、イオウまたはケイ素を含む環構造への連結基を有していてもよい置換または非置換の炭素原子数1〜20の炭化水素基;または極性基を表す。
【0028】
上記式(7)で表される環状オレフィン系単量体において、ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子および臭素原子が挙げられる。
炭素原子数1〜20の炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基等のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基等のアリール基;メチルフェニル基、エチルフェニル基、イソプロピルフェニル基等のアルカリール基;ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基;等が挙げられる。これらの炭化水素基の水素原子は置換されていてもよく、置換基としては、例えばフッ素、塩素、臭素等のハロゲン原子、シアノ基、フェニルスルホニル基等が挙げられる。
【0029】
また、上記の置換または非置換の炭化水素基は、直接環構造に結合していてもよいし、または、酸素、窒素、イオウまたはケイ素を含む連結基(linkage)を介して環構造に結合していてもよい。該連結基としては、例えば、カルボニル基(−C(=O)−)、カルボニルオキシ基(−C(=O)O−)、オキシカルボニル基(−OC(=O)−)、スルホニル基(−SO2−)、エーテル結合(−O−)、チオエーテル結合(−S−)、イミノ基(−NH−)、アミド結合(−NHCO−,−CONH−)、シロキサン結合(−OSi(R2)−)(式中、Rはメチル、エチル等のアルキル基)等が挙げられ、これらの複数を含む連結基であってもよい。
【0030】
さらに具体的には、上記連結基がエーテル結合(−O−)である場合の環構造への置換基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基、t−ブトキシ基等のアルコキシル基、ペンタフルオロプロポキシ基、ヘプタフルオロプロポキシ基等のハロゲン置換アルコキシル基などが挙げられる。上記連結基がカルボニルオキシ基(−C(=O)O−)である場合の環構造への置換基としては、例えば、アセトキシ基、プロピオニルオキシ基、ベンゾイルオキシ基等が挙げられる。上記連結基がオキシカルボニル基(−OC(=O)−)である場合の環構造への置換基としては、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、トリフルオロエトキシカルボニル基等のアルキロキシカルボニル基;および、例えばフェノキシカルボニル基、ナフチルオキシカルボニル基、フルオレニルオキシカルボニル基、ビフェニリルオキシカルボニル基等が挙げられる。上記連結基がシロキサン結合(−OSi(R2)−)(式中、Rはメチル、エチル等のアルキル基)である場合の環構造への置換基としては、例えば、トリメチルシロキシ基、トリエチルシロキシ基等が挙げられる。
【0031】
極性基としては、例えば、水酸基、シアノ基(−CN)、アミド基(−CONH2)、アミノ基(−NH2)、カルボキシル基、イミド環含有基;トリメチルシリル基、トリエチルシリル基等のトリオルガノシリル基;トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基等のトリアルコキシシリル基等が挙げられる。
このような環状オレフィン系単量体の具体例としては、特に限定されるものではないが、たとえば、以下に示すものを挙げることができる。
ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,6−ジメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−ブチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−イソブチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−プロピルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−イソプロピルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−メトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−メチル−5−メトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−メチル−5−エトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−メチル−5−プロポキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−メチル−5−イソプロポキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−メチル−5−ブトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−シアノビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−フェニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−メチル−5−フェニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−(4−メチルフェニル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−(4−エチルフェニル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−(4−イソプロピルフェニル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−フルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−フルオロメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−トリフルオロメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−ペンタフルオロエチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5−ジフルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,6−ジフルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5−ビス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,6−ビス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−メチル−5−トリフルオロメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5,6−トリフルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5,6−トリス(フルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5,6,6−テトラフルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5,6,6−テトラキス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5−ジフルオロ−6,6−ビス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,6−ジフルオロ−5,6−ビス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5,6−トリフルオロ−6−トリフルオロメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−フルオロ−5−ペンタフルオロエチル−6,6−ビス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,6−ジフルオロ−5−ヘプタフルオロ−iso−プロピル−6−トリフルオロメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−クロロ−5,6,6−トリフルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,6−ジクロロ−5,6−ビス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5,6−トリフルオロ−6−トリフルオロメトキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5,6−トリフルオロ−6−ヘプタフルオロプロポキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
トリシクロ[5.2.1.02,6 ]−8−デセン、
テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−メチルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−エチルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−n−プロピルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−メトキシカルボニル[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−エトキシカルボニル[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−n−ブトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−メチル−8−メトキシカルボニル[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−メチル−8−エトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−メチル−8−n−プロポキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−メチル−8−イソプロポキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10−3−ドデセン、
8−メチル−8−n−ブトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−フェニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−メチル−8−フェニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−フルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−フルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−ジフルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−トリフルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−ペンタフルオロエチルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8,8−ジフルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8,9−ジフルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8,8−ビス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8,9−ビス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−メチル−8−トリフルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8,8,9−トリフルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8,8,9−トリス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8,8,9,9−テトラフルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8,8,9,9−テトラキス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8,8−ジフルオロ−9,9−ビス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8,9−ジフルオロ−8,9−ビス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8,8,9−トリフルオロ−9−トリフルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8,8,9−トリフルオロ−9−トリフルオロメトキシテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8,8,9−トリフルオロ−9−ペンタフルオロプロポキシテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−フルオロ−8−ペンタフルオロエチル−9,9−ビス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8,9−ジフルオロ−8−ヘプタフルオロiso−プロピル−9−トリフルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−クロロ−8,9,9−トリフルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8,9−ジクロロ−8,9−ビス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−(2,2,2−トリフルオロエトキシカルボニル)テトラシクロ[4.4.0.12,5 17,10]−3−ドデセン、
8−メチル−8−(2,2,2−トリフルオロエトキシカルボニル)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
これらは1種単独でも2種以上組み合わせても使用することができる。
【0032】
これらの単量体のうち、
ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,6−ジメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−n−プロピルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−イソプロピルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−n−ブチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−イソブチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−フェニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−メチル−5−フェニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−ベンジルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−(メチルフェニル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−(エチルフェニル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−(イソプロピルフェニル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
トリシクロ[5.2.1.02,6 ]−8−デセン、
テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−メチルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−エチルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−プロピルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン
など、mまたはnが0または1であって(m+n)が0または1であり、R1〜R4が水素原子または炭素原子数1〜10の炭化水素基であるものが、得られる共重合体の吸水性を低くすることができるのでより好ましい。
【0033】
さらに、これらの単量体のうち、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、トリシクロ[5.2.1.02,6]−8−デセンが、特に好ましく、これらの単量体を用いると高分子量且つ強靱な環状オレフィン系共重合体が得られる。
【0034】
また、構造単位(A)を形成する環状オレフィン系単量体として、一般式(7)において、mおよびnが0であり、R1もしくはR2とR3もしくはR4とが直接結合して2重結合を含有する5員環を形成し、1分子中に2つの2重結合を有する化合物、たとえば、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−3,8−ジエンなどを用いてもよい。この場合、6員環側の2重結合が反応し5員環側の2重結合が残存するが、5員環側のこの2重結合は水素添加される必要があり、その結果、耐候性、熱安定、透明性に優れる本発明の環状オレフィン系共重合体が得られる。
【0035】
<アクリル系単量体>
共重合により上記一般式(2)で表される構造単位(B)を形成する単量体であるアクリル系単量体としては、特に限定されるものではないが、たとえば、メチルアクリレート等の炭素数1〜20の直鎖状、分岐状および環状アルキルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート等の炭素数1〜20の複素環基含有アクリレート、ベンジルアクリレート等の炭素数1〜20の芳香族環基含有アクリレート、下記一般式(8)〜(11)で表される炭素数1〜20の多環炭化水素基含有アクリレート等が挙げられる。また、これらは1種単独でも2種以上組み合わせても使用することができる。
【0036】
また、上記構造単位(B)としては、前記一般式(2)で表される構造単位の少なくとも一部が、下記一般式(3)〜(6)のいずれかで表される構造単位から選ばれる1種以上であることも好ましい。
【0037】
【化 16】
【0038】
【化 17】
【0039】
【化 18】
【0040】
【化 19】
【0041】
(式(3)〜(6)中、mおよびnは、それぞれ独立に0〜2の整数であり、
Xは、共重合体主鎖側からみて単結合であるか、または、−(CH2)r−、−(C2H4O)r−、−(C3H6O)r−、もしくは−(C4H8O)r−(前記式中、rは1〜5の整数を表す)で表される二価の連結基を表し、
R'およびR"は水素原子であり、R6、R7、R8およびR9は独立に水素原子またはメチル基であるが、但し、R'およびR"、R6〜R9のいずれか1つの基は前記Xにより置き換えられており、
R10〜R15はそれぞれ独立に水素原子;ハロゲン原子;酸素、窒素、イオウもしくはケイ素を含む連結基を介して結合していてもよい置換もしくは非置換の炭素原子数1〜20の炭化水素基;または極性基を表す。)
このような一般式(3)〜(6)で表される構造単位を形成するアクリル系単量体としては、下記一般式(8)〜(11)で表されるアクリル系単量体が挙げられる。
【0042】
【化 20】
【0043】
【化 21】
【0044】
【化 22】
【0045】
【化 23】
【0046】
上記式(8)〜(11)中、R'、R"、R6〜R15、m、nおよびxは、それぞれ、一般式(3)〜(6)に関しての定義のとおりである。
本発明では、これらのアクリル系単量体のうち、上記一般式(8)〜(11)で表される炭素数1〜20の多環炭化水素基含有アクリレートから選ばれた少なくとも1種を、アクリル系単量体の少なくとも一部に使用した場合には、吸湿(水)性と他素材との親和性のバランスが特に優れた環状オレフィン系樹脂が得られ、係る樹脂を原料とした射出成形体も吸湿(水)性と他素材との親和性のバランスに特に優れたものとなるので好ましい。
【0047】
上記一般式(8)〜(11)で表されるアクリル系単量体としては、特に限定されるものではないが、たとえば以下に示すものが挙げられる。また、これらは1種単独でも2種以上組み合わせても使用することができる。
【0048】
【化 24】
【0049】
【化 25】
【0050】
【化 26】
【0051】
【化 27】
【0052】
【化 28】
【0053】
【化 29】
【0054】
【化 30】
【0055】
なお、一般式(5)および/または(6)で表される分子内に環状オレフィン性2重結合を有する単量体を用いる場合、この環状オレフィン性2重結合は、アクリロイル基に比してラジカル重合反応性に乏しいため、重合反応後に共重合体分子内に残存する。必要に応じて、この環状オレフィン性2重結合を水素添加することが射出成形体としたときの耐熱性および耐候性を向上させる点から好ましい場合がある。
【0056】
上記アクリル系単量体の具体例のうち、アクリル酸トリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−8−イル、アクリル酸トリシクロ[5.2.1.02,6]−デカ−3−イル、アクリル酸トリシクロ[5.2.1.02,6]−デカ−4−イル、アクリル酸トリシクロ[5.2.1.02,6]−デカ−10−イル、アクリル酸トリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−8−メチル、アクリル酸トリシクロ[5.2.1.02,6]−デカ−3−メチル、アクリル酸トリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−8−オキシエチル、アクリル酸トリシクロ[5.2.1.02,6]−デカ−3−オキシエチル、アクリル酸トリシクロ[5.2.1.02,6]−デカ−4−オキシエチル、アクリル酸トリシクロ[5.2.1.02,6]−デカ−10−オキシエチルを用いることが好ましい。
【0057】
特に、アクリル酸トリシクロ[5.2.1.02,6]−デカ−8−イルが、低吸湿(水)性および耐熱性により優れた環状オレフィン系共重合体が得られるので好ましい。
<環状オレフィン系共重合体>
本発明で用いる環状オレフィン系共重合体において、上記構造単位(A)と、上記構造単位(B)との含有割合は、構造単位(A)と(B)の合計を100モル%としたとき、通常、構造単位(A)が30〜50モル%、構造単位(B)が70〜50モル%であり、好ましくは構造単位(A)が40〜50モル%、構造単位(B)が60〜50モル%でり、特に好ましくは構造単位が(A)45〜50モル%、構造単位(B)が55〜50モル%である。構造単位(A)が30モル%未満であると、耐熱性や吸水性に問題が生じる場合がある。
【0058】
また、構造単位(A)を得るための上記環状オレフィン系単量体どうしはラジカル反応により単独重合しないため、構造単位(A)を50モル%以上入れようとすると、ラジカル重合以外の方法を用いなければならず、上記アクリル系単量体の反応率が低下し、得られる共重合体の収率が低下して生産性に問題が生じることがある。
【0059】
上記環状オレフィン系単量体および上記アクリル系単量体をラジカル重合法で共重合するにあたり、ルイス酸を使用すると、アクリル系単量体の電子吸引性が高まり、アクリル系単量体の単独重合体の生成を抑制でき、また、環状オレフィン系単量体の反応性が向上するため、共重合反応の速度が向上して反応時間を短縮することができ、生産性上好ましい。
【0060】
共重合に使用するルイス酸としては、たとえば、三塩化アルミニウム、エチルアルミニウムジクロリド、エチルアルミニウムセスキクロリド、エチルアルミニウムクロリド、エトキシアルミニウムジクロリド、トリエチルアルミニウム、三沃化アルミニウム、三臭化アルミニウム、五塩化アンチモン、トリエチルアルミニウム、テトラエトキシジリコニウム、テトラt−ブトキシジリコニウム、テトラアセチルアセトンジリコニウム、四塩化スズ、三塩化アンチモン、三塩化鉄、四塩化チタン、二塩化亜鉛、二塩化水銀、二塩化カドミウム、三フッ化ホウ素、三塩化ホウ素、三臭化ホウ素、三沃化ホウ素および、これらのルイス酸と水との反応物などが挙げられる。これらは1種単独でも2種以上組合わせても使用することができる。
【0061】
これらのルイス酸のうち、エチルアルミニウムジクロリド、エチルアルミニウムセスキクロリド、トリエチルアルミニウム、三塩化アルミニウムを用いると、アクリル系単量体の単独重合体の生成が効果的に抑制できるため、交互共重合反応が促進され好ましい。特にエチルアルミニウムジクロリドを用いると、高分子量の強靭な環状オレフィン系共重合体が得られることから好ましい。
【0062】
ルイス酸の使用量は、アクリル系単量体の総量を100モルとしたとき、通常、0.1〜100モルであり、好ましくは0.5〜50モル、より好ましくは1〜20モルである。ルイス酸の使用量が0.1モル未満であると、アクリル系単量体の単独重合体が副生し、得られる環状オレフィン系共重合体の成形品が白濁したり、光学的に不均一になるなどの欠陥を生じることがあるので好ましくない。また、ルイス酸使用量が100モルを超えるとルイス酸の除去工程が困難となり好ましくない。
【0063】
本発明に使用する環状オレフィン系共重合体の合成にあたっては、本発明の効果を損なわない範囲において、上記の環状オレフィン系単量体およびアクリル系単量体以外の、共重合可能な単量体(以下、「共重合性単量体」という。)を併用してもよい。
かかる共重合性単量体としては、例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸トリデシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸イソステアリル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸2−テトラヒドロフルフリル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸2−エトキシエチル、メタクリル酸4−メトキシブチル、メタクリル酸メトキシジエチレングリコール、メタクリル酸2−ブトキシエチル、メタクリル酸フェノキシエチル、メタクリル酸ベンジル、メタリル酸フェノキシエチル、メタリル酸フェノキシポリエチレン、メタリル酸ノニルフェノールエチレンオキサイド付加物、メタリル酸2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルなどのメタクリル酸エステル、スチレン、α―メチルスチレンなどの芳香族ビニル化合物などが挙げられる。
【0064】
また、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−プロピルマレイミド、N−イソプロピルマレイミド、N−ブチルマレイミド、N−イソブチルマレイミド、N−t−ブチルマレイミド、N−ペンチルマレイミド、N−ヘキシルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−ヘプチルマレイミド、N−オクチルマレイミド、N−ノニルマレイミド、N−デシルマレイミド、N−ウンデシルマレイミド、N−ドデシルマレイミド、N−トリデシルマレイミド、N−テトラデシルマレイミド、N−ペンタデシルマレイミド、N−ヘキサデシルマレイミド、N−ヘプタデシルマレイミド、N−オクタデシルマレイミド、N−ノナデシルマレイミド、N−エイコシルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−ベンジルマレイミドなども挙げることができる。
【0065】
さらに、式:R16OCOCH=CHCOOR17(式中、R16およびR17は独立に炭素原子数1〜20のアルキル基である)で示されるフマル酸エステルまたはマレイン酸エステル類が挙げられ、前記R16、R17としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、t−ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、2−エチルヘキシル基、3,5,5−トリメチルヘキシル基などが挙げられる。これらの基のうち、メチル基、エチル基、イソプロピル基、イソブチル基、t−ブチル基、イソペンチル基、t−ペンチル基、シクロヘキシル基、2−エチルヘキシル基が好ましい。特に、イソプロピル基、イソブチル基、t−ブチル基、イソペンチル基、t−ペンチル基、シクロヘキシル基が好ましい。これら嵩高い置換基を有する共重合性単量体を用いると、重合の停止反応速度が小さくなり、より高分子量の環状オレフィン系共重合体が得られることから好ましい。
【0066】
また、アルキルオレフィン化合物も共重合性単量体として使用できる。具体的には、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン、1−トリデセン、1−テトラデセン、1−ペンタデセン、1−ヘキサデセン、1−ヘプタデセン、1−オクタデセン、1−ノナデセン、1−エイコセン、1−ヘンエイコセン、1−ドデセン、イソブテン、2−メチル−1−ブテン、2−メチル−1−ペンテン、2−メチル−1−ヘキセン、2−メチル−1−ヘプテン、2−メチル−1−オクテン、2−メチル−1−ノネン、2−メチル−1−デセン、2−メチル−1−ウンデセン、2−メチル−1−ドデセン、2−メチル−1−トリデセン、2−メチル−1−テトラデセン、2−メチル−1−ペンタデセン、2−メチル−1−ヘキサデセン、2−メチル−1−ヘプタデセン、2−メチル−1−オクタデセン、2−メチル−1−ノナデセン、2−メチル−1−エイコセン、2−メチル−1−ヘンエイコセン、2−メチル−1−ドデセン、2−エチル−1−ブテン、2−エチル−1−ペンテン、2−エチル−1−ヘキセン、2−エチル−1−ヘプテン、2−エチル−1−オクテン、2−エチル−1−ノネン、2−エチル−1−デセン、2−エチル−1−ウンデセン、2−エチル−1−ドデセン、2−エチル−1−トリデセン、2−エチル−1−テトラデセン、2−エチル−1−ペンタデセン、2−エチル−1−ヘキサデセン、2−エチル−1−ヘプタデセン、2−エチル−1−オクタデセン、2−エチル−1−ノナデセン、2−エチル−1−エイコセン、2−エチル−1−ヘンエイコセン、2−エチル−1−ドデセン、2−プロピル−1−ペンテン、2−プロピル−1−ヘキセン、2−プロピル−1−ヘプテン、2−プロピル−1−オクテン、2−プロピル−1−ノネン、2−プロピル−1−デセン、2−プロピル−1−ウンデセン、2−プロピル−1−ドデセン、2−プロピル−1−トリデセン、2−プロピル−1−テトラデセン、2−プロピル−1−ペンタデセン、2−プロピル−1−ヘキサデセン、2−プロピル−1−ヘプタデセン、2−プロピル−1−オクタデセン、2−プロピル−1−ノナデセン、2−プロピル−1−エイコセン、2−プロピル−1−ヘンエイコセン、2−プロピル−1−ドデセンなどを挙げることができる。
【0067】
これらのうち、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、イソブテン、2−メチル−1−ブテン、2−メチル−1−ペンテン、2−メチル−1−ヘキセン、2−メチル−1−ヘプテン、2−メチル−1−オクテン、2−エチル−1−ブテン、2−エチル−1−ペンテン、2−エチル−1−ヘキセン、2−エチル−1−ヘプテン、2−エチル−1−オクテン、2−プロピル−1−ペンテン、2−プロピル−1−ヘキセン、2−プロピル−1−ヘプテン、2−プロピル−1−オクテンが好ましい。特に、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、イソブテン、2−メチル−1−ブテン、2−メチル−1−ペンテン、2−メチル−1−ヘキセン、2−エチル−1−ブテン、2−エチル−1−ペンテン、2−エチル−1−ヘキセン、2−プロピル−1−ペンテン、2−プロピル−1−ヘキセンが好ましい。特に好ましくはアリール水素を持たないイソブテンである。これらの共重合性単量体を用いると高分子量の環状オレフィン系共重合体が収率良く得られる。
【0068】
アルコキシル基含有アルキルオレフィンも共重合性単量体として使用できる。具体的には、メトキシエチレン、エトキシエチレン、プロポキシエチレン、イソプロポキシエチレン、ブチロキシエチレン、イソブチロキシエチレン、ペンチロキシエチレン、ヘキシロキシエチレン、へプチロキシエチレン、オクチロキシエチレン、ノニロキシエチレン、デシロキシエチレン、ウンデシロキシエチレン、ドデシロキシエチレン、トリデシロキシエチレン、テトラデシロキシエチレン、ペンタデシロキシエチレン、ヘキサデシロキシエチレン、ヘプタデシロキシエチレン、オクタデシロキシエチレン、ノナデシロキシエチレン、エイコシロキシエチレン、2−メトキシプロピレン、2−エトキシプロピレン、2−プロポキシプロピレン、2−イソプロポキシプロピレン、2−ブチロキシプロピレン、2−イソブチロキシプロピレン、2−ペンチロキシプロピレン、2−ヘキシロキシプロピレン、2−へプチロキシプロピレン、2−オクチロキシプロピレン、2−ノニロキシプロピレン、2−デシロキシプロピレン、2−ウンデシロキシプロピレン、2−ドデシロキシプロピレン、2−トリデシロキシプロピレン、2−テトラデシロキシプロピレン、2−ペンタデシロキシプロピレン、2−ヘキサデシロキシプロピレン、2−ヘプタデシロキシプロピレン、2−オクタデシロキシプロピレン、2−ノナデシロキシプロピレン、2−エイコシロキシプロピレン、2−メトキシ−1−ブテン、2−エトキシ−1−ブテン、2−プロポキシ−1−ブテン、2−イソプロポキシ−1−ブテン、2−ブチロキシ−1−ブテン、2−イソブチロキシ−1−ブテン、2−ペンチロキシ−1−ブテン、2−ヘキシロキシ−1−ブテン、2−へプチロキシ−1−ブテン、2−オクチロキシ−1−ブテン、2−ノニロキシ−1−ブテン、2−デシロキシ−1−ブテン、2−ウンデシロキシ−1−ブテン、2−ドデシロキシ−1−ブテン、2−トリデシロキシ−1−ブテン、2−テトラデシロキシ−1−ブテン、2−ペンタデシロキシ−1−ブテン、2−ヘキサデシロキシ−1−ブテン、2−ヘプタデシロキシ−1−ブテン、2−オクタデシロキシ−1−ブテン、2−ノナデシロキシ−1−ブテン、2−エイコシロキシ−1−ブテン、2−メトキシ−2−ブテン、2−エトキシ−2−ブテン、2−プロポキシ−2−ブテン、2−イソプロポキシ−2−ブテン、2−ブチロキシ−2−ブテン、2−イソブチロキシ−2−ブテン、2−ペンチロキシ−2−ブテン、2−ヘキシロキシ−2−ブテン、2−へプチロキシ−2−ブテン、2−オクチロキシ−2−ブテン、2−ノニロキシ−2−ブテン、2−デシロキシ−2−ブテン、2−ウンデシロキシ−2−ブテン、2−ドデシロキシ−2−ブテン、2−トリデシロキシ−2−ブテン、2−テトラデシロキシ−2−ブテン、2−ペンタデシロキシ−2−ブテン、2−ヘキサデシロキシ−2−ブテン、2−ヘプタデシロキシ−2−ブテン、2−オクタデシロキシ−2−ブテン、2−ノナデシロキシ−2−ブテン、2−エイコシロキシ−2−ブテンなどが挙げられる。
【0069】
これらのうち、メトキシエチレン、エトキシエチレン、プロポキシエチレン、イソプロポキシエチレン、ブチロキシエチレン、イソブチロキシエチレン、2−メトキシプロピレン、2−エトキシプロピレン、2−プロポキシプロピレン、2−イソプロポキシプロピレン、2−ブチロキシプロピレン、2−イソブチロキシプロピレン、2−メトキシ−2−ブテン、2−エトキシ−2−ブテン、2−プロポキシ−2−ブテン、2−イソプロポキシ−2−ブテン、2−ブチロキシ−2−ブテン、2−イソブチロキシ−2−ブテンが好ましい。特に、メトキシエチレン、エトキシエチレン、プロポキシエチレン、イソプロポキシエチレン、ブチロキシエチレン、イソブチロキシエチレンが好ましい。これらの単量体を用いると高分子量の環状オレフィン系共重合体が収率良く得られる。
【0070】
本発明に使用する環状オレフィン系共重合体の合成においては、公知のフリーラジカルを発生する有機過酸化物やアゾビス系のラジカル開始剤を用いることができる。
有機過酸化物の具体例としては、ジセチルパーオキサイド、ジベンゾイルパーオキサイド、ジイソブチロイルパーオキサイド、ジ(2,4-ジクロロベンゾイル)パーオキサイド、ジ(3,5,5-トリメチルヘキサノイル)パーオキサイド、ジオクタノイルパーオキサオド、ジラウロイルパーオキサイド、ジステアロイルパーオキサイド、ビス[4-(m-トルオイル)ベンゾイル]パーオキサイド、などのジアシルパーオキサイド類;
メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、メチルシクロヘキサノンパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキサイドなどのケトンパーオキサイド類;
過酸化水素、t-ブチルハイドロパーオキサイド、α-クメンハイドロパーオキサイド、p-メンタンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、1,1,3,3-テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、t-ヘキシルハイドロパーオキサイドなどのハイドロパーオキサイド類;
ジ-t-ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ジラウリルパーオキサイド、α,α'-ビス(t-ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、2,5-ジメチル-2,5-ビス(t-ブチルパーオキシ)ヘキサン、t-ブチルクミルパーオキサイド、2,5-ジメチル-2,5-ビス(t-ブチルパーオキシ)ヘキシン-3などのジアルキルパーオキサイド類;
t-ブチルパーオキシアセテート、t-ブチルパーオキシピバレート、t-ヘキシルパーオキシピバレート、1,1,3,3-テトラメチルブチルパーオキシ2-エチルヘキサノエート、2,5-ジメチル-2,5-ビス(2-エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン、1-シクロヘキシル-1-メチルエチルパーオキシ2-エチルヘキサノエート、t-ヘキシルパーオキシ2-エチルヘキサノエート、t-ブチルパーオキシ2-エチルヘキサノエート、t-ブチルパーオキシイソブチレート、t-ブチルパーオキシマレエート、t-ブチルパーオキシ3,5,5-トリメチルヘキサノエート、t-ブチルパーオキシラウレート、2,5-ジメチル-2,5-ビス(m-トルオイルパーオキシ)ヘキサン、α,α'-ビス(ネオデカノイルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、クミルパーオキシネオデカノエート、1,1,3,3-テトラメチルブチルパーオキシネオデカノエート、1-シクロヘキシル-1-メチルエチルパーオキシネオデカノエート、t-ヘキシルパーオキシネオデカノエート、t-ブチルパーオキシネオドデカノエート、t-ブチルパーオキシベンゾエート、t-ヘキシルパーオキシベンゾエート、ビス(t-ブチルパーオキシ)イソフタレート、2,5-ジメチル-2,5-ビス(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t-ブチルパーオキシm-トルオイルベンゾエート、3,3',4,4'-テトラ(t-ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノンなどのパーオキシエステル類;
1,1-ビス(t-ヘキシルパーオキシ)3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、1,1-ビス(t-ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)シクロドデカン、2,2-ビス(t-ブチルパーオキシ)ブタン、n-ブチル4,4-ビス(t-ブチルパーオキシ)バレレート、2,2-ビス(4,4-ジ-t-ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパンなどのパーオキシケタール類;
t-ヘキシルパーオキシイソプロピルカーボネート、t-ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、t-ブチルパーオキシ2-エチルヘキシルカーボネート、t-ブチルパーオキシアリルカーボネート、ジ-n-プロピルパーオキシカーボネート、ジソプロピルパーオキシカーボネート、ビス(4-t-ブチルシクロヘキシル)パーオキシカーボネート、ジ-2-エトキシエチルパーオキシカーボネート、ジ-2-エチルヘキシルパーオキシカーボネート、ジ-2-メトキシブチルパーオキシカーボネート、ジ(3-メチル-3-メトキシブチル)パーオキシカーボネートなどのパーオキシカーボネート類、その他、t-ブチルトリメチルシリルパーオキサイドなどが挙げられる。
【0071】
アゾビス系ラジカル重合開始剤の具体例としては、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスイソバレロニトリル、2,2'-アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2'-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2'-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)、1,1'-アゾビス(シクロヘキサン-1-カルボニトリル)、2-(カルバモイルアゾ)イソブチロニトリル、2,2'-アゾビス[2-メチル-N-[1,1-ビス(ヒドロキシメチル)-2-ヒドロキシエチル]プロピオンアミド]、2,2'-アゾビス[2-メチル-N-[2-(1-ヒドロキシブチル)]プロピオンアミド]、2,2'-アゾビス[2-メチル-N-(2-ヒドロキシエチル)-プロピオンアミド]、2,2'-アゾビス[N-(2-プロペニル)-2-メチルプロピオンアミド]、2,2'-アゾビス(N-ブチル-2-メチルプロピオンアミド)、2,2'-アゾビス(N-シクロヘキシル-2-メチルプロピオンアミド)、2,2'-アゾビス[2-(5-メチル-2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]ジハイドロクロライド、2,2'-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]ジハイドロクロライド、2,2'-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]ジサルフェート・ジハイドレート、2,2'-アゾビス[2-(3,4,5,6-テトラヒドロピリミジン-2-イル)プロパン]ジハイドロクロライド、2,2'-アゾビス[2-[1-(2-ヒドロキシエチル)-2-イミダゾリン-2-イル]プロパン]ジハイドロクロライド、2,2'-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]、2,2'-アゾビス(2-メチルプロピオンアミジン)ジハイドロクロライド、2,2'-アゾビス[N-(2-カルボキシエチル)-2-メチル-プロピオンアミジン]、2,2'-アゾビス(2-メチルプロピオンアミドキシム)、ジメチル2,2'-アゾビスブチレート、4,4'-アゾビス(4-シアノペンタノイックアシッド)、2,2'-アゾビス(2,4,4-トリメチルペンタン)などが挙げられる。
【0072】
これらの過酸化物およびアゾ系ラジカル開始剤のうち、好ましくは、10時間の半減期温度が70℃以下のアゾビスイソブチロニトリル、アゾビスイソバレロニトリル、2,2'-アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル)などか好ましい。
また、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウムなどの過硫酸塩類もラジカル重合開始剤として用いることができる。
【0073】
これらのラジカル開始剤は、単独で用いてもよいし、複数を組み合わせて用いてもよい。
ラジカル開始剤の使用量は、全単量体合計量100モルに対して、0.01〜5モル、好ましくは0.01〜1モル、より好ましくは0.05〜0.1モルである。開始剤量が0.01モル未満だと単量体の反応率が低くなり生産上好ましくない。また、5モルを超えると得られる環状オレフィン系共重合体の分子量が小さくなり、靱性が低下することから好ましくない。
【0074】
また、必要に応じて一分子中に少なくとも二つ以上のラジカル重合性基を有する架橋剤を使用することで強靱且つ高分子量の環状オレフィン系共重合体が得られる。
架橋剤の具体例としては、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-へキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリオキシエチル(メタ)アクリレート、トリス(2-ヒドキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート、ビス(ヒドロキシメチル)トリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのエチレンオキサイドまたはプロピレンオキサイドの付加体であるジオールのジ(メタ)アクリレート、水添ビスフェノールAのエチレンオキサイドまたはプロピレンオキサイドの付加体であるジオールのジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのジグリシジルエーテルにヒドロキシ(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートを付加させたエポキシ(メタ)アクリレート、ポリオキシアルキレン化ビスフェノールAのジ(メタ)アクリレート、p-またはm-ジビニルベンゼン、トリエチレングリコールジビニルエーテル、N,N'−1,6−ヘキサンジマレイミド、 N,N'−1,3−ベンゼンジマレイミド、 N,N'−1,4−ベンゼンジマレイミド、などが挙げられる。
【0075】
1分子中に2つ以上のラジカル重合性基を有するモノマーの市販品としては、例えば、KAYARAD−DPHA、KAYARAD R−604、DPCA−20、−30、−60、−120、HX−620、D−310、D−330(以上、日本化薬(株)製)ユピマーUV SA1002、SA2007(以上、三菱化学(株)製)、ビスコート #195、#230、#215、#260、#335HP、#295、#300、#700(大阪有機化学工業(株)製)、ライトアクリレート 4EG−A、9EG−A、NP−A、DCP−A、BP−4EA、BP−4PA、PE−3A、PE−4A、DPE−6A(以上、共栄社化学(株)製)、アロニックス M−208、M−210、M−215、M−220、M−240、M−305、M−309、M−315、M−325(以上、東亜合成(株)製)などが挙げられる。
【0076】
これらの架橋剤は、単独で用いてもよいし、複数を組み合わせて用いてもよい。
架橋剤の使用量は全単量体に対して10モル%以下であり、好ましくは5モル%以下である。特に好ましくは使用しない方が好ましい。架橋剤の使用量が10モル%を超えると不溶部が生成し、得られる環状オレフィン系共重合体の成形等が困難となる。
【0077】
本発明に使用する環状オレフィン系共重合体を製造するには、公知の塊状重合法、溶液重合法、乳化重合法、または懸濁重合法のいずれをも採用することができるが、ルイス酸を使用する場合には、塊状重合法または溶液重合法を採用するのが好ましい。特に、分子量の制御がしやすい点で、溶液重合法が好ましい。
溶液重合法に用いられる溶媒としては、メタノール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、乳酸エチル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ブチルセロソルブ、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、アセトニトリルなどが挙げられる。これらの溶媒は、単独でまたは二種以上を組み合わせて使用することができる。
【0078】
また、溶媒の使用量は全単量体を100重量部としたとき、500〜10重量部、好ましくは200〜10重量部、特に好ましくは100〜10重量部である。500重量部を超えると高分子量の環状オレフィン系共重合体が得られないことがあり、靭性が低下し好ましくない。
本発明に使用する環状オレフィン系共重合体を製造するに際し、分子量を調整するために連鎖移動剤を使用することができる。連鎖移動剤の具体例としては、オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、n−ヘキサデシルメルカプタン、n−テトラデシルメルカプタン、t−テトラデシルメルカプタンなどのメルカプタン類、テトラエチルチウラムスルフィド、四塩化炭素、臭化エチレン、ペンタンフェニルエタンなどの炭化水素類、またはアクロレイン、メタクロレイン、アリルアルコール、2−エチルヘキシルチオグリコール、α−メチルスチレンダイマーなどが挙げられる。
【0079】
これらの連鎖移動剤は、一種単独で使用することも、あるいは二種以上を組み合わせて用いることもできる。
連鎖移動剤の使用量は、全単量体を100重量部としたとき、5重量部以下、好ましくは1重量部以下、特に好ましくは用いない。連鎖移動剤が5重量部を超えて用いると高分子量の環状オレフィン系共重合体が得られないことがあり好ましくない。
【0080】
重合に際しては、予め真空脱気または窒素置換等により、系外に酸素を除外しておくことが適当である。通常、重合温度は−50〜200℃の範囲、重合時間は1〜100時間の範囲が好ましく、重合の暴走の防止、生産性の両面から、重合温度は40〜150℃の範囲、重合時間は1〜50時間の範囲がより好ましい。また、必要に応じて重合中ないし反応率が90%を越えた重合後期に昇温して、反応を完結してもよい。
【0081】
なお、ルイス酸を使用して本発明の環状オレフィン系共重合体を合成する場合、重合温度は0〜70℃、好ましくは20〜50℃である。かかる温度にすることで、得られる環状オレフィン系共重合体の分子量が大きくなり、強靱な樹脂となる。
また、環状オレフィン系単量体として、トリシクロ[5.2.1.02,6 ]デカ−3,8−ジエン等の環状オレフィン性2重結合を有する単量体を用いる場合は、水素添加触媒を用いて共重合体中のかかるオレフィン性2重結合を水素添加することが必要である。
【0082】
上記の場合でなくとも、本発明の環状オレフィン系共重合体の構造単位中にオレフィン性2重結合が残存する場合、必要に応じて水素添加触媒を用いて前記オレフィン性2重結合を水素添加してもよい。水素添加した方が耐熱性や耐久性が向上し好ましい場合がある。
水素添加反応は、通常の方法、すなわち、オレフィン性2重結合を有する環状オレフィン系共重合体の溶液に水素添加触媒を添加し、これに常圧〜300気圧、好ましくは3〜200気圧の水素ガスを0〜200℃、好ましくは20〜180℃で作用させることによって行われる。
【0083】
水素添加触媒としては、通常のオレフィン性化合物の水素添加反応に用いられるものを使用することができる。この水素添加触媒としては、不均一系触媒および均一系触媒が公知である。
不均一系触媒としては、パラジウム、白金、ニッケル、ロジウム、ルテニウムなどの貴金属触媒物質を、カーボン、シリカ、アルミナ、チタニアなどの担体に担持させた固体触媒を挙げることができる。また、均一系触媒としては、ナフテン酸ニッケル/トリエチルアルミニウム、ニッケルアセチルアセトナート/トリエチルアルミニウム、オクテン酸コバルト/n−ブチルリチウム、チタノセンジクロリド/ジエチルアルミニウムモノクロリド、酢酸ロジウム、クロロトリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム、ジクロロトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム、クロロヒドロカルボニルトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム、ジクロロカルボニルトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウムなどを挙げることができる。触媒の形態は粉末でも粒状でもよい。
【0084】
これらの水素添加触媒は、環状オレフィン系共重合体:水素添加触媒(重量比)が、1:1×10-6〜1:2となる割合で使用される。
このように、水素添加することにより得られる水素添加重合体は優れた熱安定性を有するものとなり、成形加工時や製品としての使用時の加熱によってはその特性が劣化することはない。ここに、水素添加率は、通常50%以上、好ましく80%以上、更に好ましくは95%以上である。
【0085】
本発明に使用する環状オレフィン系共重合体は、反応系から公知の方法により残存単量体、溶媒を除去して単離される。また、使用したルイス酸等の金属化合物は、必要に応じて塩化水素、硫酸、リン酸等の無機酸、乳酸、酢酸、p−トルエンスルホン酸、リン酸エステル類等の有機酸を使用して除去される。
本発明に使用する環状オレフィン系共重合体のガラス転移温度(Tg)は80〜300℃であり、好ましくは140〜200℃である。Tgが80℃未満であると耐熱性が不十分であり、自動車車載用等蓄熱しやすい部分に用いると熱変形し所望の特性を発現できなくなることがあり好ましくない。また、Tgが300℃を超えると成形が困難である等好ましくない。
【0086】
本発明に使用する環状オレフィン系共重合体の全光線透過率は、JIS K 7105(測定法A)に準拠して測定した値が80%以上(試料厚:3mm)であることが好ましい。全光線透過率が80%未満であると、光の損失が大きく所望の特性を発現できないことがあり好ましくない。
本発明に使用する環状オレフィン系共重合体は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定したポリスチレン換算の数平均分子量が5,000〜1,000,000であることが好ましい。好ましくは、30,000〜1,000,000、さらに好ましくは50,000〜500,000である。数平均分子量が5,000未満であると、共重合体の靱性が不十分であり成形物の強度に問題が生じることがある。また、数平均分子量が1,000,000を超えると溶融粘度が高くなり成形が困難になることがある。
【0087】
本発明に使用する環状オレフィン系共重合体は、その応力光学係数(CR)の絶対値が1,000以下であることが好ましく、さらに好ましくは600以下が望ましい。かかるCR値の環状オレフィン系共重合体を用いることにより、成形品を作成した際、光学的な歪みが極めて小さい光学レンズや光学フィルムなどの光学部品を得ることができる。
【0088】
なお、ここでCR値とは種々の文献(Polymer Journal,Vol.27,No.9,pp943-950(1995)、日本レオロジー学会誌、Vol.19,No.2,pp93−97(1991))に記載された公知のものであり、ポリマーの流動状態での応力による位相差の発生程度を表し、射出成形時において高度に応力がかかった場合でも、光学歪みのない成形品を得ることができるというメリットがある。
【0089】
本発明に使用する環状オレフィン系共重合体中に含まれる残留金属やハロゲンイオンの量は、100ppm以下、好ましくは、50ppm、特に好ましくは1ppm以下であることが望ましい。前記含有量が、100ppmを越えると成形品作成時にシルバーストリークスなどの外観不良や黄変などが生じる等の問題が生じることがある。これら残留金属やハロゲン含有量は金属化合物の定量は、例えば、原子吸光法など公知の方法で可能である。
【0090】
また、成形時のシルバーストリークの発生を抑えることができ、高歩留まりで製品を得ることが可能とするために、本発明に使用する環状オレフィン系共重合体中には、ゲルが含まれていないことが当然に好ましい。仮に、ゲルが含まれている場合であっても、その許容される含有量は、環状オレフィン系共重合体10gに対して、多くとも10個以下、好ましくは5個以下、特に好ましくは2個以下、最も好ましくは0個であるのが望ましい。ゲル含有量が上記10個以上であると、成形時にシルバーストリークを発生しやすくなるとの問題がある。
【0091】
ゲルの測定は、25℃の温度で、本発明に使用する環状オレフィン系共重合体を溶解できる溶媒を使用して、濃度1%になるように溶解し、この溶液を孔径0.5μmのメンブレンフィルター[アドバンテック東洋(株)製]を用いてろ過し、ろ過後に溶液の3倍量の溶媒をろ過してからろ過後のフィルターを乾燥した後、電気加熱炉にて260℃、30分の条件で焼成し、茶色に変色したゲル量をカウントすることにより行うことができる。
【0092】
さらに、本発明に使用する環状オレフィン系共重合体中には、透明欠陥のほか、光学材料とした場合に、視覚欠陥、視覚異常あるいは動作異常の原因となる異物が、可能な限り少なく、実質上存在しないことが好ましく、環状オレフィン系共重合体10gに対して、50μm以上の異物が0個、好ましくは30μm以上の異物が0個、特に好ましくは20μm以上の異物が0個であるのが望ましい。
【0093】
異物量の測定は、本発明に使用する環状オレフィン系共重合体10gを0.5μmのフィルターで6時間以上循環濾過したクリーンな溶媒に溶解し、0.1μmのメンブレンフィルターで濾過し、捕集された溶媒不溶物を捕集し、さらに実体顕微鏡にて20μm以上の異物個数を計数することにより行うことができる。
成形用樹脂材料
本発明で用いる成形用樹脂材料は、上記環状オレフィン系重合体を含むものであって、上記環状オレフィン系共重合体のみであってもよく、本発明の効果を損なわない範囲で上記環状オレフィン系共重合体と、他の成分とを含有してもよい。
【0094】
本発明で用いる成形用樹脂材料は、本発明の効果を損なわない範囲において酸化防止剤等を含むこともできる。
添加できる酸化防止剤の具体例としては、例えば、以下の化合物を挙げることができるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、4,4'−チオビス−(6−t−ブチル−3−メチルフェノール)、1,1'−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、3,9−ビス−[2−〔3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ〕−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキスピロ[5,5']ウンデカン、2,2'−ジオキシ−3,3'−ジ−t−ブチル−5,5'−ジメチルフェニルメタン、2,2'−ジオキシ−3,3'−t−ブチル−5,5'−ジエチルフェニルメタン、2,2'−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、2,5−ジ−t−ブチルヒドロキノン、テトラキス〔メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼンなどのフェノール系酸化防止剤;
トリス(4−メトキシ−3,5−ジフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−t−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4'−ビフェニレンジホスファイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチル−5−メチルフェニル)−4,4'−ビフェニレンジホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−クミルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトなどのリン系酸化防止剤など。本発明ではこれらの酸化防止剤が好適に使用可能であり、これらの酸化防止剤の1種または2種以上を添加することができる。
【0095】
本発明で使用する成形用樹脂材料には、これらの酸化防止剤のうち、テトラキス〔メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼンおよびトリス(2,4−t−ブチルフェニル)ホスファイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチル−5−メチルフェニル)−4,4'−ビフェニレンジホスファイト、ビス(2,4−ジ−クミルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトを使用することが特に好ましい。
【0096】
これにより、シクロオレフィン系付加重合体の熱安定性および酸化安定性を向上させることができ、例えば射出成形法による成形に伴う熱劣化を効果的に抑制することができる。
酸化防止剤は、環状オレフィン系共重合体100重量部に対して、通常その総量で、0.01〜5重量部、好ましくは0.1〜3重量部添加されることが好ましい。酸化防止剤の添加量が過少である場合には、射出法による成形時における熱安定性付与の効果が不十分であり、一方、当該添加量が過多である場合には、射出成形体表面におけるブリードアウトにより外観や光学特性の低下を招く可能性がある。
【0097】
また、本発明に使用する成形用樹脂材料は、本発明の効果を損なわない範囲においてその他の添加剤を含むこともできる。他の添加剤の具体例としては、例えば紫外線吸収剤、離型剤、難燃剤、抗菌剤、木粉、カップリング剤、石油樹脂、可塑剤、着色剤、滑剤、帯電防止剤、シリコーンオイル、発泡剤、粘着付与剤などの公知の添加剤を挙げることができ、これらは適宜配合することができる。
【0098】
紫外線吸収剤の具体例としては、たとえば2−(2'−ヒドロキシ−5'−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3'−t−ブチル−5'−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3',5'−ジ−t−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−〔2'−ヒドロキシ−3'−(3" ,4" ,5" ,6" −テトラヒドロフタルイミドメチル)5'−メチルフェニル〕ベンゾトリアゾール、2,2'−メチレンビス〔4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−[(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]〕、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノール、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2'−ジヒドロキシ−4,4'−メトキシベンゾフェノン、[(4−メチルフェニル)メチレン]プロパンジオイックアシッド ジメチルエステル、[(4−t−ブチルフェニル)メチレン]プロパンジオイックアシッド ジメチルエステル、[(4−メトキシフェニル)メチレン]プロパンジオイックアシッド ジメチルエステル、[(4−エチルフェニル)メチレン]プロパンジオイックアシッド ジエチルエステル、[(4−ブロモフェニル)メチレン]プロパンジオイックアシッド ビス(4−メチルフェニル)エステル、[{4−(フェノキシ)フェニル}メチレン]プロパンジオイックアシッド エチルフェニルエステル、[(4−ブロモフェニル)メチレン]プロパンジオイックアシッド ジエチルエステル、[(4−ブロモフェニル)メチレン]プロパンジオイックアシッド ビス(2,4−ジメチルフェニル)エステル、[(4−メトキシフェニル)メチレン]プロパンジオイックアシッド ビス(2,4−ジメチルフェニル)エステル、[(4−シクロヘキシルフェニル)メチレン]プロパンジオイックアシッド ジメチルエステル、[(4−イソプロピルフェニル)メチレン]プロパンジオイックアシッド ジメチルエステルを挙げることができる。
【0099】
離型剤の例としては、パラフィンオイル類、シリコーンオイル類、フッ素系化合物、アルカリ金属−脂肪酸化合物、アルカリ土類金属−脂肪酸化合物、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリスチレン、アルキルスルホン酸の金属塩、高級脂肪酸、脂肪酸−アミド化合物、グリセリン−脂肪酸エステル類、ポリグリセリン−脂肪酸エステル類など公知の物が使用可能である。
【0100】
これらの中でも、耐熱性との観点から、アルキルスルホン酸の金属塩、グリセリン脂肪酸エステル類あるいはポリグリセリン−脂肪酸エステル類が好ましく使用される。
また、本発明で用いる成形用樹脂材料としては、2種類以上の環状オレフィン系共重合体あるいはその組成物をブレンドして使用することも可能である。ブレンドはペレットの状態で混合、溶液の状態で混合押出、熱可塑式の混合機、例えば押出機などで混合することができる。
【0101】
本発明で用いる成形用樹脂材料は、成形用樹脂材料中に含まれている水分、溶存する例えば酸素ガス、残溶剤などの揮発成分を除去するために、乾燥処理を行うことが好ましい。
成形用樹脂材料の乾燥処理は、例えば熱風乾燥機、除湿乾燥機、真空乾燥機、流動層乾燥機、不活性ガス循環式乾燥機などを用いることができるが、真空乾燥機や窒素あるいはアルゴンといった各種不活性ガスを循環する方式の乾燥機を用いることが好ましい。この場合には、ペレット中の溶存酸素ガス濃度を高い効率で除去することが可能であることから、例えば、得られる射出成形体に焼けなどの点状欠陥の発生を効率的に抑制することができる。真空乾燥機は好ましくは真空度が100kPa以下、さらに好ましくは10kPa以下、温度が好ましくは60℃以上、さらに好ましくは80℃以上で運転することが好ましい。また不活性ガス循環式乾燥機の場合、不活性ガスの純度が好ましくは98容積%以上、さらに好ましくは99容積%以上であり、温度は好ましくは80℃以上、特に好ましくは100℃以上である。不活性ガスは公知の膜分離法や多孔体の吸着・脱着を利用した圧力振動法などで得ることが可能である。乾燥時間は少なくとも1時間以上であることが好ましく、2〜6時間の範囲とすることが特に好ましい。
【0102】
また、成形を行う成形用樹脂材料の揮発成分は、好ましくは8500ppm以下、さらに好ましくは2000ppm以下であることが好ましい。この場合には、得られる射出成形体における色相の悪化を効率的に抑制することができる。
成形用樹脂材料の乾燥は、樹脂材料がペレットへ造粒された後ならば特に乾燥時期は限定されないが、成形直前に乾燥処理を行うことが好ましい。成形直前でない時期に乾燥を行う場合は、乾燥後に水分や酸素などの透過性の低い、金属製の容器あるいは製袋中で真空あるいは脱水処理をおこなった不活性ガス雰囲気中で保存することが好ましい。
【0103】
本発明で用いる、上述の環状オレフィン系共重合体を含む成形用樹脂材料は、成形用樹脂材料と同種の材料からなる微粒子(以下、「切り粉」という。)の含量が少ないことが好ましい。すなわち、30μm未満の切り粉含量は10ppm以下、好ましくは8ppm以下、さらに好ましくは6ppm以下であるのが望ましい。切り粉含量が10ppm以上の場合、成形品中にシルバーストリークスや光線がゆらぐ部分が発生する場合がある。
【0104】
この様な切り粉は通常、透明樹脂表面に物理的な力により付着しており、異物を除去した純水でペレット表面から洗い流すこと、あるいは静電気を取り除いた後フィルターにて異物を除去したエアーにて洗浄することによりペレットより分離することが可能であり、水洗処理を行うことが好ましい方法である。また、除去された切り粉の重量を計量することにより含量を測定することが可能である。
【0105】
具体的には、ペレット1kgをブフナー漏斗に投入し、濾過水で洗浄し、ペレット表面から切り粉を洗い流す。漏斗下部より捕集した水をNo.2濾紙を用いて濾過し、濾紙状に捕集された切り粉の重量を測定し、切り粉含有量を算出できる。
本発明で用いる成形用樹脂材料は、透明性あるいは耐熱性などの性能を損なわない限り、公知の他の重合体との組成物であってもよい。本発明で使用可能な重合体としては、スチレン系樹脂、オレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、エステル系樹脂、開環環状オレフィン樹脂などの樹脂類、スチレン系エラストマー、α−オレフィン系エラストマー、水添ジエン系エラストマーなどのエラストマー類、C5ないしC9等の留分を熱重合、場合によって水素添加されたことにより得られる石油樹脂類などが挙げられる。
【0106】
また、本発明で用いる成形用樹脂材料には、各種の用途に適した特性を備えるものとするために、例えば機械的性質を向上させる目的で、例えばガラス繊維、炭素繊維、金属繊維、金属フレーク、ガラスビーズ、ミルドファイバー、カオリン、硫酸バリウム、黒鉛、二硫化モリブデン、酸化マグネシウム、酸化亜鉛ウイスカー、チタン酸カリウムウイスカーなどの充填材の1種または2種以上を混合することができる。
【0107】
射出成形体
環状オレフィン系共重合体を含む上述の成形用樹脂材料から、射出成形体を成形するためには、種々の公知の射出成形機を用いることができる。
射出成形体を成形するための射出成形機は、例えば射出成形機を構成する射出装置がインライン方式あるいはプリプラ方式のいずれの構造を有するものであってもよく、射出成形機を構成する型締め装置が直圧式あるいはトグル式のいずれの構造を有するものであってもよく、また、射出装置と型締め装置とが横形あるいは縦形のいずれの方式で配列されているものであってもよく、さらに、駆動方式が油圧式、電動式あるいはハイブリッド式のものであってもよい。
【0108】
また、射出成形機における型締め機構としては、射出圧縮またはコア圧縮などのいずれの手法も用いることができる。
さらに、射出成形機として、金型のキャビティー内を減圧にして成形を行う機構を有するものを用いることもできる。金型のキャビティー内を減圧にして射出成形を行う場合、揮発分や熱加工により劣化した成分が金型内に残留する量が極度に低減することができるので、射出成形体の品質向上や金型メンテナンス間隔の長期化へ寄与するので好ましい方法である。
【0109】
このような射出成形機を用いた成形加工においては、シリンダー径および型締め力は成形すべき射出成形体の形状に応じて適宜に決定されるが、一般に、成形すべき射出成形体の投影面積が大きいほど型締め力を大きく、射出成形体の容量が大きい場合はシリンダー径を大きくすることが好ましい。
また、成形加工を行う成形条件としては、用いられる射出成形機の種類、成形すべき射出成形体の形状などに応じて異なるが、一般に、射出成形体が薄肉形状の場合には高速低圧成形条件で成形加工が行われ、射出成形体が厚肉形状の場合には低速高圧成形条件で成形加工が行われる。
【0110】
射出成形機を用いた成形加工における樹脂温度は、環状オレフィン系共重合体のガラス転移温度をTgとすると、(Tg+100)〜(Tg+280)℃の範囲とすること好ましく、金型温度は、(Tg)〜(Tg−70)℃の範囲とすることが好ましい。
射出成形機を用いた成形加工においては、射出成形体を射出成形機にて安定的に射出成形する手法、すなわち、加工時の熱履歴やせん断による環状オレフィン共重合体の劣化を極力低減する手法として、シリンダーおよび/またはホッパー内を減圧にするかあるいは窒素やアルゴンなどの不活性ガスを充満させるなどの方法を用いることが好ましい。
【0111】
また、他の環状オレフィン系重合体、有機重合体あるいは無機物などと多層成形、2色成形、インサート成形などを行うことも可能である。
射出成形機に取り付けられる射出成形用金型としては、公知の鋼材よりなるものを使用することができ、目的に応じて、その表面が例えばクロム系、チタン系、ホウ素系、炭素系の材料などでコーティングされてなるものであってもよい。
【0112】
成形すべき射出成形体の表面に対してパターン等を形成する必要のある場合には、金型の内表面にニッケルなどの軟質鋼材層を形成し、その軟質鋼材層を切削することによって目的のパターンに対応するパターン形状を形成する手法、金型の内表面に電気鋳造法により目的のパターンに対応するパターン形状を形成する手法、金型の内表面にエッチング処理を行うことによって目的のパターンに対応するパターン形状を形成する手法、金型の内表面にサンドブラスト等により目的のパターンに対応するパターン形状を形成する手法あるいはスタンパーを使用することによって目的のパターンに対応するパターン形状を形成する手法などを用いることが可能である。
【0113】
金型の組構造としては、成形すべき射出成形体やゲートあるいはスプルーおよび取り数に応じて、2枚割れ構造、3枚割れ構造などや金型を構成する部品に関して入れ子構造にするなど適宜可能である。
金型における突き出し機構は、ピンなどを使用する方法、コア全体で突き出す方法、エアー等で浮き上がらせる方法など公知の方法を用いることができる。また、取り出しを容易にするためキャビティー端部をスライドコア構造とすることも可能である。また突き出し用のエジャクターはバネで自動的に戻る構造にしても良く、またエジェクターの動作をスムーズにするためベアリング構造を採用することも可能である。
【0114】
金型の温調は、通常水、高圧水、オイル媒体、電気ヒータ、電磁加熱など公知の方法を用いることが可能である。
また、金型におけるゲート形状は、特に限定されるものではなく、形成すべき射出成形体の形状などに応じて、ダイレクトゲート、フィルムゲート、ファンゲート、ピンゲート、サブマリンゲートなど公知のものから適宜なものを選択することができる。材料の光学あるいは力学的な歪みを低減するためには、フィルムゲートあるいはファンゲートの形状を用いることが好ましく、また、歪みを分散させるために、ゲートの途中に絞りを設けた形状を採用することも好ましい。さらに、ホットランナーなど公知のランナーを使用することも可能である。
【0115】
以上のようにして成形された射出成形体に対しては、公知の二次加工を行うことができる。
二次加工の例としては、例えば反射防止加工、ハードコート加工、アルミ蒸着加工、接着加工、熱融着加工、超音波融着加工、電磁融着加工、コロナ放電加工、切削、表面パターン圧着、表面切削、塗装、パターン印刷などが挙げられる。
【0116】
本発明の射出成形体は、優れた透明性および耐久性を有するものであることから、その特性を活かして、例えば光ディスク、光学レンズ、光学機器の構成要素である光学部品、導光板などとして好適に用いることができる。
また、本発明の射出成形体の使用用途は、光ディスク、光学レンズなどに限定されるものではなく、例えばライトガイド、表面保護板、液晶基板、EL基板等のディスプレイ用部品、回折格子、プリズム、光導波路、光半導体封止、CCDキャップ、ミラー部品などとしても用いることができる。
【0117】
本発明の射出成形体は特に短波長光線の透過性に優れる。本発明において。短波長とは350nm以上450nm以下、好ましくは390nm以上410nm以下の波長を示す。また、本発明の射出成形体は透過性に優れる。透過性は、板厚1mmの射出成形品を分光光度計で測定した場合に、上記波長の中心波長である400nmの光線透過率が90%以上、好ましくは91%以上であるのが望ましい。
【0118】
光学用レンズ
本発明の光学用レンズは、上記本発明の射出成形体からなる。本発明の光学用レンズとしては、例えばピックアップレンズ、fθレンズ、フレネルレンズ、撮像レンズ、ファインダーレンズ、CCDカメラレンズなどのOA機器、電気・電子機器、家庭用電化機器およびカメラよりなる群の光学機器における光学系ユニットを構成する要素として好適に用いられる。
【0119】
具体的には、例えばレーザープリンターや、コンパクトディスク、DVDなどの記録または再生に用いられるレーザー光学系用光学部品、カメラのレンズとして好適に用いられる。
光学用レンズを成形するための成形条件においては、金型温度は、(Tg)〜(Tg−40)℃の範囲とすることが好ましい。
【0120】
光学用レンズは、設計された特性を得るためには面の転写が非常に重要である。光学用レンズへの要求品質は近年、高精細化にともなうレンズ性能の向上から、レンズの面精度の向上やレンズ面内の複屈折の低減への要求も高くなっており、射出成形での金型への面転写性や射出成形で発生する光学歪みが低いことが好ましい。例えば、ピックアップレンズで複屈折が大きい場合はスポット形状が変形してしまい記録や再生を正確に行うことができなくなりる場合があり、また面精度が悪い場合も同様に正確に記録や再生ができなくなる場合がある。さらに、レーザー光学系用光学部品では高精細化のための短波長レーザーが用いられるようになってきており、この波長帯の光線透過率が高いことも求められている。
【0121】
このため、本発明の光学用レンズでは、金型の温度を、通常の光学部品に係る金型温度よりも高めに設定し、面の転写性を上げることが好ましい。
なお、金型温度を上げると、成形サイクル時間が長くなるので、面の転写が厳しくない用途の場合には、なるべく金型温度を下げるようにするのが望ましい。
本発明の光学用レンズは、光学用レンズ用の射出成形体の表面に、反射防止膜が形成されてなるものであってもよい。反射防止膜は、公知の乾式の形成方法あるいは湿式の形成方法によって形成することができる。
【0122】
また、反射防止膜は、乾式の形成方法によって形成される無機コート層の単独あるいは多層体、湿式の形成方法によって形成される有機コート層の単独あるいは多層体、更に、無機コートと有機コートが組み合わされたものであってもよい。
ここで乾式の反射防止加工は例えば特開平4-89821号公報、特開平9-120001号公報に開示されているノルボルネン系樹脂表面に無機化合物をコーティングする方法が採用できる。反射防止加工に用いる無機化合物としては、公知のシリコン、チタン、ゲルマニウム、アルミニウム、タンタル、ジルコニウムなどの酸化物、窒化物、フッ化物などが用いられる。コーティング方法は特に規定されないが、公知のPVD,CVD等の手法が用いられ、一般的には真空蒸着、スパッタリングといった手法が用いられる。ここで、コーティング層は1層でも良いが、通常良好な反射防止特性を得るため、2層以上の多層構造が好ましく使用される。なお1層あたりの厚みも特に限定されないが、通常10〜500nmの範囲で積層される。
【0123】
湿式の反射防止加工は、例えば特開平9-120002号公報で開示されているように公知の有機化合物を、刷毛塗り、ロールコーティング、ディッピング、スピンコーティング、吹き付けなどの方法で、フロントライト表面に塗布することにより行われる。
本発明において、効率良く反射防止を行うには、使用する有機化合物の屈折率が1.45以下であることが好ましく、例えば、フッ化ビニリデン/ヘキサフルオロプロピレン重合体、テトラフルオロエチレン/フッ化ビニリデン/ヘキサフルオロプロピレン三元共重合体、パーフルオロアルキルエーテル系共重合体、含フッ素メタクリレート重合体などを用いることができる。これら有機物は熱硬化、UV硬化、電子線硬化などの方法で硬化させることができる。
【0124】
光ディスク
本発明に係る光ディスクは、上記本発明の射出成形体からなるものであって、その用途が限定されるものではないが、例えばCD、MD、DVD、MO、CD−R、CD−RW、DVD−Rなどの記録媒体などとして好適に用いられる。
特に好適には射出圧縮成形によって得られた光ディスク基板は、その後、記録層あるいはレーザー光線を反射するための金属層を、蒸着法、スパッタ法などの公知の方法によって形成し、さらに必要に応じて保護層を設けて完成される。具体的には、情報ピットに対応する凹凸を有するスタンパーをセットした金型内に、前記光学用材料を射出成形して得られた光ディスク基板に、反射率の高い金属、例えばNi、Al、Auなどをコーティングし、さらに、これを保護するために公知のアクリル系などの紫外線硬化樹脂などを塗布、硬化させ、レーザー光の反射を利用して情報を読み出すCD、LDなどの再生専用ディスク、同じく1μm以下の案内溝の付いた光ディスク基板に、シアニン系やフタロシアニン系の有機色素を塗布したものにレーザー光を照射して記録する追記型のCD−R、DVD−R、また記録媒体としてAs−Te−Ge系のようにレーザー光照射による非晶−結晶の相変化からくる光反射率、光透過率の変化を利用したり、Tb−Fe−Coに代表されるアモルファス希土類・遷移金属合金膜のように、レーザー光照射による磁化反転を利用したりする書き換え型ディスクなどとすることができる。
【0125】
本発明の光ディスクは、音楽用の媒体とした場合そのその音質、情報記録用の媒体とした場合その記録密度や信頼性を確保するため複屈折が極力小さいことが好ましい。
通常、光ディスクには、情報を記録するために1μm程度の大きさのピット(微少な凹部)が設けられており、異物が存在すると係るピットがつぶれてしまい情報の書き込みや読み取りに問題が生じるため、光ディスク用の成形用樹脂材料には、通常の光学部品に使用する成形用樹脂材料よりも厳しい異物管理が求められている。具体的には、光ディスクを成形するための成形用樹脂材料においては、当該成形用樹脂材料を構成する環状オレフィン系重合体中における異物の含有量が、少なくとも10μm以上の異物が0個/10g、好ましくは5μm以上の異物が0個/10g、特に好ましくは2μm以上の異物が0個/10gであることが好ましい。
【0126】
光ディスクは、その厚みが1.2mmもしくは0.6mmでかつ直径が通常13cmと非常に扁平な成形品であるため、樹脂の流動性が充分に確保されないと係る成形品が得られにくい。このため、光ディスクに係る成形条件は、通常の光学部品の成形条件と比べて、成形する際の樹脂温度を高めに設定することが望ましい。なお、通常の光学部品の成形条件においては、樹脂温度を上げると、樹脂が熱劣化しやすくなるため、樹脂温度をなるべく低く設定するのが望ましい。
【0127】
また、光ディスクを成形するための成形条件においては、樹脂温度は、環状オレフィン系重合体のガラス転移温度をTgとすると、(Tg+100)〜(Tg+280)℃の範囲とすることが好ましい。
導光板
本発明の導光板は、上記本発明の射出成形体からなる。本発明の導光板は、各種表示装置の照明を行うための装置であり、特に液晶ディスプレイの照明装置として好適に用いることができる。
【0128】
本発明の導光板は透過型、半透過型、反射型の公知の液晶表示パネルの照明用として使用されるもので、透過型および半透過型の液晶表示パネル用にはパネルの背面から照明を行うバックライト導光板、反射型の液晶表示装置にはパネルの前面から照明を行うフロントライト導光板が用いられる。
これらの導光板は通常平板あるいはくさび形状の板状で、厚みが0.4〜10mm程度の板状のものであり、サイドエッジ面より冷陰極管やLEDなど公知の光源やライトガイドシステムなどを使用して入光し照明装置として使用する。
【0129】
バックライト導光板は、通常1〜4インチの小型で携帯電話やパーソナルデジタルアシスタンス(PDA)などの携帯情報端末や4〜10インチ程度のカーナビゲーションシステムやモバイル情報端末、10〜14インチのノートパソコン、さらには14インチ以上のデスクトップ型パーソナルコンピューターやテレビ受像器の表示用途に使用される。
【0130】
フロントライト導光板は、通常1〜8インチ程度の小型で、反射型液晶と組み合わせることにより、総合的に低消費電力の表示装置として、携帯電話やPDAなどの携帯情報端末として近年広く使われており、この分野において主流となりつつある方式の導光板である。
通常、フロントライト導光板、バックライト導光板はともに、その少なくとも片面に、光の反射および/または屈折のための凹凸面を形成する。凹凸面の形状は、例えば、特開平5-341133号公報、特開平11-250715号公報、特開2000-347041号公報、特開2000-314882号公報、特開2001-35227号公報で開示されている、通常半球、半楕円球、非球面形状、円錐、楕円錐、円錐台、V溝、四角溝、丸溝、プリズム形状、あるいはこれらの凹凸を組み合わせたものが一般に広く用いられている。さらに、これらの凹凸形状は、成形時に金型、スタンパー、ダイスあるいはロールなどに予め形成しておいたものを転写させる方法や公知の熱あるいは紫外線などで硬化性の有機材料を印刷し硬化する、また表面を公知の方法で切削するなど公知の方法を使用することができる。
【0131】
また、これらの凹凸形状は基板と一体で成形することも可能であり、基板とこれら凹凸形状を形成したものを別々に成形し積層することも可能である。
本発明の導光板は、さらに目的と用途に応じて、ライトガイド、拡散板、偏光板、反射板、タッチパネル、表面保護板などの部品を組み合わせて公知の方式の液晶表示装置とすることができる。これらの部品も本発明の環状オレフィン共重合体を使用することも可能である。
【0132】
また、本発明の導光板を射出成形により製造する成形条件としては、一般に導光板は、薄肉形状であることから高速低圧条件で成形加工が行うことが好ましく、例えばシリンダー径28mmのインライン式射出成形機で製造する場合、好ましい射出速度は50mm/sec〜150mm/sec、保圧はピーク圧力の2/3〜1/3程度の圧力で0.3〜1.5sec程かけた後、さらに低い圧力で数秒かけるのが好ましい。
【0133】
樹脂温度は、本発明に記した環状オレフィン系共重合体のガラス転移温度をTgとすると、本発明に記した環状オレフィン系共重合体分解温度を超えない範囲で、(Tg+100℃)〜(Tg+280)℃の範囲とすることが好ましく、金型温度はTg〜(Tg−70℃)の範囲で設定することが好ましい。
射出成形機に取り付けられている導光板用の射出成形用金型としては、公知の鋼材よりなるものを使用することができ、金型の耐久性などの観点からステンレス系の材料を使用することが好ましい。さらには目的に応じて、その表面が例えば、クロム系、チタン系、ホウ素系、炭素系の材料などでコーティング処理を施しても良い。
【0134】
また、本発明の導光板は、単層体であってもよく、また、2層あるいはそれ以上の多層から構成された積層型導光板であってもよい。本発明の導光板を積層型とすることによって、導光板に拡散、反射、偏光、色差補償などの機能を付与することもできる。
導光板が積層型導光板である場合には、少なくとも1層が、本発明に係る射出成形体から構成される。この場合、積層型導光板の全ての層が、本発明に係る環状オレフィン系共重合体を含む成形用樹脂材料からなる射出成形体で構成されるのが好ましいが、射出成形以外の方法で得られた層を有していてもよく、また、その他の材料からなる層を有していてもよい。
【0135】
積層型導光板は、熱融着、超音波融着、高周波融着などの融着法、紫外線、熱、放射線などで硬化する公知の接着剤を利用して、各層を接着する方法により得ることができる。融着あるいは接着される面は、公知のプライマーを塗布しても良く、コロナ放電処理、プラズマ処理などを行ってもよい。また、積層型導光板は、多層成形、2色成形、インサート成形などにより得てもよい。
【0136】
本発明に係る成形用樹脂材料から、射出成形以外の方法で得られた層としては、公知の溶融押出し法あるいは溶液流延法により作成したシートあるいはフィルムからなる層が挙げられる。
ここで、溶融押出法とは、押出機の先端に取り付けたシートあるいはフィルム用のダイスより薄肉の溶融体を押しだし、各種ロールやベルトなどにより冷却・固化させることによりシートまたはフィルムを得る方法である。溶融押出法に用いる押出機は特に限定されず公知のものが使用可能であり、通常単軸あるいは二軸の押出機が使用され、好ましくは単軸の押出機が使用される。また、二軸の押出機を使用した場合、本発明に記した環状オレフィン系共重合体溶液あるいはその濃縮液を脱溶し、直接シートまたはフィルムを加工することが可能である。押出機のシリンダー径は通常10〜100mmである。スクリューは公知のものが用いられ、例えば単軸の場合、フルフライト、サブフライトを組み合わせたもの、ダルメージを組み込んだもの、スクリューピッチあるいは溝深さがが同一スクリュー中で変わるものが挙げられる。二軸の場合、2条あるいは3条のスクリュー、異方向あるいは同方向回転、スクリューパーツが自由に組み合わされる方式の場合、スクリューパーツの形状を、スクリュー式、逆送りスクリュー、パドル式スクリュー、ヘリカルパドル式スクリューなどより自由に選択し組み込むことが可能である。押出機は1台で運転することも可能であるが、押出機を2台以上連結させたもの、連続式およびバッチ式のニーダーと組み合わせたものを使用しても構わない。
【0137】
溶融押出法においては、導光板を押出機にて安定的に製造し得る手法として、上記射出成形法と同様、シリンダおよび/またはホッパー内を減圧にするあるいは窒素やアルゴンなどの不活性ガスを充満させるなどの方法を用いることも好ましいものである。さらには、押出機のシリンダーあるいはダイスを真空に引く方法、窒素などの不活性ガスで充満する方法などを採用することも好ましい。
【0138】
また、溶液流延法とは、本発明の熱可塑性樹脂組成物を、本発明の熱可塑性樹脂組成物を可溶な溶媒に溶解し、その溶液をシート状に伸展させ、公知の方法で溶媒を分離させる方法であり、例えば特開平5-148413号公報などで開示されている方法で製造することができる。溶液流延法に用いる溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族化合物、酢酸ブチル、テトラヒドロフランジメトキシエタン、クロロホルム、二塩化メチレン、メチルエチルケトンなど一般に溶媒として用いられるものが挙げられる。溶液流延を行う方法としては、上記溶液を一定幅のダイスより金属ドラム、スチールベルト、ポリエステルフィルム、テフロン(R)ベルトなどの上に押しだし、温度、時間をかけて乾燥する。また、スプレー、ハケ、ロール、スピンコート、ディッピングなどで溶液を塗布し、温度、時間を任意にかけることにより目的厚みのシートを製造することができる。
【0139】
シート形状は、通常均一厚みの長尺状であるが、ダイの形状をテーパー状あるいはこれが連続となった形状となっていても良い。
上述のシートに反射あるいは拡散の機能を付与する場合には、熱プレス、エンボス加工、パターン印刷、機械的切削法、エッチング法など公知の方法を採用することが可能である。目的の大きさへ切削加工する場合、これらの機能付与加工を行う前でも良く、加工後でもよい。
【0140】
また、本発明に係る導光板が、環状オレフィン系共重合体を含む成形用樹脂材料以外の、その他の材料からなる層を有している場合、その他の材料としては、有機系重合体、無機物質など特に限定される物ではないが、透明性を有するもの、具体的には3mm厚みの全光線透過率が90%のものが使用可能である。また、有機系重合体である場合には、耐熱性の観点からこの透明性樹脂のガラス転移温度は100℃以上であることが好ましい。具体的には、公知の、開環重合水素添加環状オレフィン系重合体、付加重合型環状オレフィン系重合体、脂肪族系オレフィン樹脂、メタクリル重合体、ポリカーボネート系樹脂、ソーダガラスや石英ガラスなど公知のガラスなどが使用可能である。
【0141】
また、積層体の組み合わせは、両面あるいは片面が平面である基材が、本発明に係る特定の環状オレフィン系共重合体を含む成形用樹脂材料であってもよく、拡散、反射あるいは屈折などの機能をもったパターンを形成した層が、本発明に係る成形用樹脂材料から形成されてもよく、基材と機能層の双方が、本発明に係る成形用樹脂材料から形成されてもよい。
【0142】
導光板が積層体である場合、積層、パターン付与、目的の大きさへの切削の順番は特に限定されない。
本発明の導光板がフロントライト導光板である場合には、公知の方法でその表面に反射防止コート処理を施すことが求められる。本発明の導光板に於いて反射防止加工は公知の乾式あるいは湿式の各方法が使用可能である。ここで乾式の反射防止加工は例えば特開平4-89821号公報、特開平9-120001号公報に開示されているノルボルネン系樹脂表面に無機化合物をコーティングする方法が採用できる。反射防止加工に用いる無機化合物としては、公知のシリコン、チタン、ゲルマニウム、アルミニウム、タンタル、ジルコニウムなどの酸化物、窒化物、フッ化物などが用いられる。コーティング方法は特に規定されないが、公知のPVD,CVD等の手法が用いられ、一般的には真空蒸着、スパッタリングといった手法が用いられる。ここで、コーティング層は1層でも良いが、通常良好な反射防止特性を得るため、2層以上の多層構造が好ましく使用される。なお1層あたりの厚みも特に限定されないが、通常10〜500nmの範囲で積層される。
【0143】
湿式の反射防止加工は、例えば特開平9-120002号公報で開示されているように公知の有機化合物を、刷毛塗り、ロールコーティング、ディッピング、スピンコーティング、吹き付けなどの方法で、フロントライト表面に塗布することにより行われる。
本発明において、効率良く反射防止を行うには、使用する有機化合物の屈折率が1.45以下であることが好ましく、例えば、フッ化ビニリデン/ヘキサフルオロプロピレン重合体、テトラフルオロエチレン/フッ化ビニリデン/ヘキサフルオロプロピレン三元共重合体、パーフルオロアルキルエーテル系共重合体、含フッ素メタクリレート重合体などを用いることができる。これら有機物は熱硬化、UV硬化、電子線硬化などの方法で硬化させることができる。
【0144】
これら反射防止処理は、無機コート層の単独あるいは多層体、有機コート層の単独あるいは多層体、さらに無機コートと有機コートが組み合わされたものであってもよい。
本発明の導光板は、光学特性や他素材との密着性・接着性に優れ、耐熱性や耐湿性等の耐久性にも優れ、さらに、優れた二次加工性を有する。このような本発明の導光板は、ディスプレイ表示板の照明装置である導光板などの用途に広く用いることができる。
【0145】
【発明の効果】
本発明の射出成形体は、特定の環状オレフィン系共重合体を含む成形用樹脂材料から得られ、射出成形法によって成形加工する際にも当該成形用樹脂材料に熱劣化が生じることがなく、環状オレフィン系共重合体が本来有する優れた光学特性、密着性および耐久性などを有するとともに、優れた成形性および二次加工性を有し、かつ、短波長側の光線透過性や耐光性にも優れるため、光学部品などの用途に広く用いることができる。
【0146】
また、本発明の射出成形体は、各種の光学部品に好適に用いることができ、当該射出成形体よりなる光学部品、光ディスク、光学用レンズならびに導光板は、優れた透明性、低複屈折および低光学歪みと共に、高温および/または高湿条件下における優れた耐久性や耐光性と、優れた光学特性を有する。
【0147】
【実施例】
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
<測定方法・評価方法>
以下の調製例において、樹脂(共重合体)の各性状の測定および評価は下記の方法により行った。
・反応率の測定:
事前に計量したアルミホイルに重合後の溶液を1.0g採取して、220℃のホットプレート上で30分間加熱して揮発分を揮発させ、固形分濃度を求めた。次いで、下式に従い単量体のコンバージョンを測定した。
{固形分濃度×溶液の総重量−(仕込みルイス酸の重量+仕込みラジカル開始剤の重量)}/仕込み単量体の重量 ×100(%)
・数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)の測定:
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(トーソー社製)HLC8220(ポリスチレン換算)により測定した。
・ガラス転移温度(Tg):
示差走査熱量計(セイコーインスツルメンツ社製)DSC6200を用いて昇温速度20℃/minで測定した。
・共重合体組成:
共重合体300mg、クロムアセチルアセトナート100mgを重水素化クロロホルム3.3gに溶解。13C―NMR、または1H―NMR(Bruker社製、AVANCE500、500MHz)により求めた。
【0148】
13C―NMRによる測定条件:inversegate−decoupling法、フリップ角30度、パルス間隔1.6秒。
1H―NMRによる測定条件:non−decoupling法、フリップ角30度、パルス間隔8秒。
上記いずれの方法においても、積分値により共重合組成を算出した。
・残留アルミニウム量:
共重合体2.000gを秤量し、30mlの磁性るつぼに入れ、1時間かけて430℃まで昇温後、同温度を30分保持した。その後、30分かけて600℃まで昇温し、同温度を1時間保持したのちに、室温にまで除冷した。マイクロピペットにて濃塩酸(和光純薬工業製、超微量分析用塩酸)2mlを量り取り、るつぼに添加し、100℃で30分間加熱した。次いで、同試料に水(和光純薬工業製の超純水)を加え5mlとした。その後、濾過(定量分析用ろ紙、5A)を行い、得られたろ液中に含まれる残留アルミニウム量を、誘導結合型プラズマ発光分析(セイコー電子工業(株)製 誘導結合プラズマ発光分光分析装置:PS7700)により、定量分析した。
・残留塩素イオン:
共重合体1.00gをトルエン10mlに溶解した後、水(和光純薬工業製の超純水)13mlを加え1時間激しく攪拌した。水中に抽出された塩素イオン量をイオンクロマト法(Dionex社製:QIC)により定量した。
・ゲル
共重合体10gを溶媒(トルエン)に溶解し、0.1μmのメンブレンフィルターで濾過し、さらに、そのメンブレンフィルターをマッフル炉中で260℃、3時間加熱し炭化させ、炭化により生じた着色粒子について、実体顕微鏡にて計数しゲル個数とした。
・応力光学係数(C R ):
公知の方法(Polymer Journal,Vol.27,No.9,pp943-950(1995))により測定した。
【0149】
すなわち、本発明で得られた環状オレフィン系共重合体をプレス成形により0.5×5×50mmの大きさに加工した試験片を4個作成し、試験片にそれぞれ10〜300gの範囲の異なる荷重をかけ、試験片のTg+20℃程度の加熱炉中に入れ30分程度放置してそれぞれ延伸させた。その後、荷重をかけた状態で加熱炉を室温まで徐冷し、延伸された試験片の位相差をそれぞれ測定した。
【0150】
位相差はKOBRA−21ADH(王子計測機器社製)を用いて測定した。下記式に従い、それぞれの試験片について応力(σ)と複屈折(ΔN)を求め、σ−ΔNプロットの傾きからCRを求めた。
式:σ=F/(d・w)
(F:荷重、d:延伸後の試験片厚み、w:延伸後の試験片幅)
式:ΔN=Re/d
(Re:位相差、d:延伸後の試験片厚み)
式:CR=ΔN/σ (単位:Br=10-12Pa-1)
・透明性(全光線透過率の測定):
射出成形機によって、透明性を評価するための試験片(厚さ3mm)を作製し、JIS K 7105(測定法A)に準じて全光線透過率を測定した。
【0151】
射出成形は以下の条件で行った。射出成形機「SG75M−S」(住友重機製:シリンダー径28mm、型締め力75ton)を用いて、樹脂温度300℃、金型温度130℃、射出速度100mm/sec、ホッパーおよびシリンダーを窒素シールした条件で射出成形することにより成形した。なお、成形材料は予め真空乾燥機にて、100℃、4時間の条件で乾燥を行い、射出成形はホッパーとシリンダーを窒素で充満した条件下で行った。
・耐水性(吸水率の測定):
上記射出成形条件によって、耐水性を評価するための試験片(3mm×40mm×80mm)を作成した。この試験片を真空乾燥機中で120℃で6時間乾燥して重量W0 を測定し、23℃の水中に24時間浸漬した後の重量W1 を測定し、下記の数式により吸水率を算出した。
【0152】
吸水率(%)={(W1 −W0 )/W0 }×100
・曲げ特性(曲げ強度、曲げ弾性率)
上記射出成形条件によって、曲げ特性を評価するためのシート(100mm×100mm×1.5mm)を作成し、このシートからレーザー切断機を用いて試験片を作成して、JIS K 7203に準じて測定した。
・複屈折性(射出成形品の光学歪みの測定):
上記射出成形条件によって、複屈折性を評価するための試験片(幅60mm、長さ80mm、厚さ1mmの短冊状射出成形体)を成形した。成形品ゲート中央部の位相差をKOBRA−21ADH(王子計測機器社製)を用いて測定した。
【0153】
【調製例1】
(樹脂Aの調製)
窒素置換した10リットルのセパラブルフラスコに、窒素気流下にて脱水したアクリル酸トリシクロ[5.2.1.02.6]デカ−8−イル(DCA)(5モル、1030g)、脱水トルエン(605g)、24.7重量%−エチルアルミニウムジクロリド(EADC)の脱水トルエン溶液383g(EADC:0.75モル、94.5g)の順で加え、室温で30分攪拌を行った。その後、この溶液に75重量%−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン(NB)の脱水トルエン溶液627g(NB:5モル、470g)、2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(和光純薬製、V−65)(0.025モル、6.2g)を加え、30℃で10時間攪拌した(反応液の全モノマー重量/トルエン重量比=0.7)。固形分より求めた単量体のコンバージョンは100%であった。
【0154】
反応後、トルエン4957gを加え均一なポリマー溶液に希釈した(希釈液の仕込みモノマー重量/トルエン重量比=4)。得られた反応混合物からEADCを除去するため、EADCの1.2倍モルの乳酸(0.9モル、81g)とメタノール3905gを加え(メタノール重量/トルエン重量比=0.65)60℃で1時間攪拌した。6時間静置後、反応混合液は二層に分離した。上層を取り除き、再度、仕込みモノマー重量/トルエン重量比=4として、EADCの0.6倍モルの乳酸(0.45モル、41g)を加え、メタノール3905gを加えて60℃で1時間攪拌した。この下層を採取し、メタノールにて再沈精製を行った。80℃にて真空乾燥して、白色粉末状の共重合体を得た(1367g、収率=91%)。得られた白色粉末を造粒してペレットを得た。ペレットを樹脂Aとする。
【0155】
樹脂Aのポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)=230,000,数平均得分子量(Mn)=69,800,分子量分布(Mw/Mn)=3.30であった。ガラス転移温度(Tg)は174℃であった。NMR積分値より算出したポリマー組成は、NB単位/DCA単位=44.9/55.1(モル%)であった。
【0156】
樹脂Aの物性値を以下に示す。
CR=−236Br、全光線透過率:92%、吸水率:0.15%、曲げ強度:82MPa、曲げ弾性率:3750MPa、降伏点変位:11.25mm。曲げ試験においても成形品が折れることなく靭性も極めて優れるものであった。また、成形品の位相差は1.5nmであり、複屈折性も良好であった。
【0157】
なお、樹脂Aの残留アルミニウム量=0.2ppm、塩素イオン量=0.12ppm、ゲル=0個であった。
【0158】
【調製例2】
(樹脂Bの調製)
調製例1において、DCA(5モル、1030g)をDCA(2.5モル、515g)およびアクリル酸メチル(MA)(2.5モル、215g)に、ラジカル開始剤を2,2'−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)(和光純薬製、V−70)(0.0625モル、1.93g)に変更したこと以外は、調製例1と同様に重合を行った。固形分より求めた単量体のコンバージョンは100%であった。精製、乾燥して、白色粉末状の共重合体を得た(1140g、収率=95%)。得られた白色粉末を造粒してペレットを得た。ペレットを樹脂Bとする。
【0159】
樹脂Bのポリスチレン換算のMw=395,000,Mn=197,000,分子量分布(Mw/Mn)=2.00であった。ガラス転移温度(Tg)は159℃であった。NMR解析により、ポリマー組成は、NB単位/DCA単位/MA単位=46.4/22.1/31.5(モル%)であった。NB単位/全アクリレート単位=46.4/53.6(モル%)であった。
【0160】
樹脂Bの物性値を以下に示す。
CR=−11Br、全光線透過率:93%、吸水率:0.28%、曲げ強度:87MPa、曲げ弾性率:4220MPa、降伏点変位:13.23mm。曲げ試験においても成形品が折れることなく靭性も極めて優れるものであった。また、成形品の位相差は1.2nmであり、複屈折性も良好であった。
【0161】
なお、樹脂Bの残留アルミニウム量=0.18ppm、塩素イオン量=0.10ppm、ゲル=0個であった。
【0162】
【調製例3】
(樹脂Cの調製)
調製例2において、MA(2.5モル、215g)をアクリル酸シクロヘキシル(CHA)(2.5モル、386g)に変更した以外は、参考例2と同様に重合を行った。固形分より求めた単量体のコンバージョンは100%であった。精製、乾燥して、白色粉末状の共重合体を得た(1303g、収率=95%)。得られた白色粉末を造粒してペレットを得た。ペレットを樹脂Cとする。
【0163】
樹脂Cのポリスチレン換算のMw=229,000,Mn=79,700,分子量分布(Mw/Mn)=2.87であった。ガラス転移温度(Tg)は153℃であった。NMR解析により、算出したポリマー組成はNB単位/DCA単位/CHA単位=48.0/26.7/25.3(モル%)、NB単位/全アクリレート単位=48.0/52.0(モル%)であった。
【0164】
樹脂Cの物性値を以下に示す。
CR=−35Br、全光線透過率:93%、吸水率:0.19%、曲げ強度:85MPa、曲げ弾性率:4124MPa、降伏点変位:12.02mm。曲げ試験においても成形品が折れることなく靭性も極めて優れるものであった。また、成形品の位相差は1.2nmであり、複屈折性も良好であった。
【0165】
なお、樹脂Cの残留アルミニウム量=0.23ppm、塩素イオン量=0.12ppm、ゲル=0個であった。
【0166】
【調製例4】
(樹脂Dの調製)
調製例2において、NBの変わりにトリシクロ[5.2.1.02,6 ]−8−デセン(TCD)(5モル、670g)を用いた以外は、調製例2と同様に重合を行った。固形分より求めた単量体のコンバージョンは100%であった。精製、乾燥して、白色粉末状の共重合体を得た(1316g、収率=94%)。得られた白色粉末を造粒してペレットを得た。ペレットを樹脂Dとする。
【0167】
樹脂Dのポリスチレン換算のMw=211,000,Mn=60,000,分子量分布(Mw/Mn)=3.52であった。ガラス転移温度(Tg)は170℃であった。1H−NMRによる解析により、算出したポリマー組成はTCD単位/DCA単位/MA単位=43.4/29.4/27.2(モル%)、TCD単位/全アクリレート単位=43.4/56.6(モル%)であった。
【0168】
樹脂Dの物性値を以下に示す。
CR=−12Br、全光線透過率:93%、吸水率:0.11%、曲げ強度:88MPa、曲げ弾性率:4024MPa、降伏点変位:11.28mm。曲げ試験においても成形品が折れることなく靭性も極めて優れるものであった。また、成形品の位相差は1.2nmであり、複屈折性も良好であった。
【0169】
なお、樹脂Dの残留アルミニウム量=0.18ppm、塩素イオン量=0.10ppm、ゲル=0個であった。
<その他の成形材料>
以下の実施例および比較例においては、成形用樹脂材料として、上記調製例で得た樹脂の他、必要に応じて以下の樹脂をも用いた。
樹脂E:ノルボルネン系開環重合体の水素添加物
アートンF4520(JSR株式会社製)
樹脂F:ポリメチルメタクリレート樹脂
デルペット80NH(旭化成株式会社製)
樹脂G:ポリカーボネート樹脂
パンライトAD5503(帝人化成株式会社製)
<乾燥処理>
上記樹脂A〜Gは、ペレット中あるいはペレット表面の水分、ペレット中で溶存している酸素および残留揮発成分を除去するために、各種射出成形体の作成に先立ってそれぞれ真空乾燥処理を行った。乾燥温度および時間は樹脂A〜Eが100℃、4時間、樹脂Fが80℃、4時間、樹脂Gが120℃、6時間である。乾燥後の成形材料は窒素でシールされたアルミニウム製の袋で保存した。これらの乾燥およびアルミニウム製の袋への投入はクラス1000のクリーンルーム内で行った。
【0170】
【実施例1〜4、比較例1〜3】
(成形板の製造)
乾燥処理を行った表1に示す種類の成形用樹脂材料を用い、射出成形機「SG75M−S」(住友重機製:シリンダー径28mm、型締め力75ton)を用いて、表1に示す成形温度条件で射出成形を行い、幅30mm、長さ230mm、厚さ3mmの板状(以下、形状Aともいう)の射出成形体と、幅60mm、長さ80mm、厚さ1mmの薄板状(以下、形状Bともいう)の射出成形体とを得た。得られた成形板の性状を表1にあわせて示す。
【0171】
なお、得られた成形板の各性状は以下のようにして評価した。
・色相
成形された形状Aの射出成形体を、下記(1)〜(3)の条件で処理したサンプルの各々に対して、一端面より冷陰極管を用いて光を入光し、当該サンプルの他端面からの出光された光に係る色相を色彩色差計「CS100」(ミノルタ製)にて測定した。
【0172】
条件(1):射出成形後、24時間、室温で放置
条件(2):設定温度100℃の恒温槽中に500時間放置
条件(3):設定温度60℃、設定湿度95RH%の恒温恒湿槽中に500時間放置
・光線透過率
成形された形状Bの射出成形体の各々について、分光光度計「U−3310」(日立計測器サービス株式会社製)を用い、波長別の光線透過率を測定した。
・耐光性
成形された形状Bの射出成形体の各々を、スガ試験機(株)製「紫外線フェードメーターU48」の試験槽内にセットし、ブラックパネル温度63℃の条件で紫外線カーボンアーク光を500時間照射した。これを、先述の光線透過率の測定機を用いて光線透過率を測定し、照射試験前の光線透過率(%)と照射試験後の光線透過率(%)の差(%)で耐光性を評価した。
・光学歪み
複屈折測定装置「KOBRA−21ADH」(王子計測(株)製)を用いて内面、ゲートから20mm、反ゲートから20mmの残留位相差を測定した。
・密着性
成形された形状Bの射出成形体の片面に、10-4Torrの真空下で、140nmの膜厚でSiO2 を蒸着させ、さらにTiO2 を120nmの膜厚で、最外層にSiO2 を170nmの膜厚で蒸着をそれぞれ行うことによって反射防止膜を形成し、密着性評価用サンプルとした。
【0173】
このサンプルを85℃のギアオーブン中に300時間放置した後、反射防止膜側に1mm×1mmのマス目100個をカッターナイフで刻み、セロハンテープ剥離試験を行った。セロハンテープ剥離試験の結果を、剥離された目の数が0のものを「○」、剥離された目の数が1〜10個のものを「△」、剥離された目の数が10個を超えるものを「×」と評価した。
【0174】
【表1】
【0175】
以上の結果から、実施例1〜4に係る射出成形体は、成形加工の熱履歴や高温および/高湿度、または紫外光に起因する着色や光線透過率の低下が抑制され、しかも短波長側の光線透過率に優れ、光学歪みが小さく、優れた二次加工性を有するものであることが確認された。
【0176】
【実施例5〜8、比較例4,5】
(光ディスク用基板の製造)
乾燥処理を行った表2に示す種類の成形用樹脂材料を用い、射出成形機「DISK 5」(住友重機製:シリンダー径28mm、型締め力60ton)を用いて、樹脂温度360℃、金型温度130℃、射出速度120mm/sec、射出圧縮使用の条件で射出成形することにより、直径130mm、厚さ1.2mmであって、その一面に溝が形成された光ディスク用基板を成形した。得られたそれぞれの光ディスク用基板について、成形性、および複屈折を評価した。結果を表2にあわせて示す。
【0177】
なお、成形性および複屈折は以下のようにして評価した。
・成形性
成形された光ディスク用基板の各々を、走査型電子顕微鏡(SEM)にて観察し、溝深さやエッジの形成性から判断し、溝転写に欠陥がなくエッジがシャープなものを「5」、溝転写に欠陥がないもののエッジのシャープ性にかけるものを「4」、溝転写に欠陥がある部分が若干生じているものを「3」、溝転写に欠陥がある部分が多数発生し、エッジのシャープ性にかけるものを「2」、溝転写が殆どしておらずエッジ形成も殆どされていないものを「1」とする5段階評価を行った。
・複屈折
成形された光ディスク用基板の各々を、日本電子光学(株)製、複屈折自動測定装置を用い、半径50mmにおいて測定点数8点で波長633nmにおけるレタデーション(nm)を垂直入射のシングルパスで測定し、その複屈折の平均値(nm)を求めた。
【0178】
【表2】
【0179】
以上の結果から、実施例5〜8で作成した光ディスク用基板は、所望の形状に成形されており、しかも低複屈折性に優れたものであることが確認された。
また、実施例5〜8で作成した光ディスク用基板について、実施例1〜4と同様にして色相、耐熱・耐湿性・耐光性および他材料への密着性の評価を行ったところ、成形加工に起因する着色が抑制され、しかも高温および/または高湿下における優れた耐久性を有することが確認された。
【0180】
【実施例9〜12、比較例6〜8】
(光学用レンズの製造)
乾燥処理を行った表3に示す種類の成形用樹脂材料を用い、射出成形機「SG75M−S」(住友重機製:シリンダー径28mm、型締め力75ton)を用いて、成形温度を表3に示す条件とし、射出速度が2mm/sec、1段目の保圧条件がピーク圧力で1sec、2段目の保圧条件がピーク圧力の4/5倍の圧力で60sec、冷却時間が120secの成形条件で射出成形することにより、図1に示す形状の光学用レンズをそれぞれ成形した。
【0181】
得られた光学用レンズについて、成形性、耐熱・耐湿性、光学歪みおよび他材料への密着性を評価した。結果を表3にあわせて示す。
なお、各項目の評価は以下のようにして行った。
・成形性
成形された光学用レンズの面精度を示すRMS値を、レーザー干渉計(富士写真光機株式会社製)にて測定し、RMS値が0.03λ以下のものを「○」、RMS値が0.03λを超え0.05λ未満のものを「△」、RMS値が0.05λ以上のものを「×」と評価した。
・耐熱・耐湿性
成形された光学用レンズを、下記(1)および(2)の条件でそれぞれ処理し、処理後のRMS値を前述と同様に測定し、処理前のサンプルに対する処理後のサンプルのRMS値を求め、RMS値の変化割合(形状変化)を評価した。評価については、変化がないものを「○」、変化割合が3%未満であるものを「△」、変化割合が3%以上であるものを「×」と評価した。
【0182】
条件(1):設定温度100℃の恒温槽中に500時間放置
条件(2):設定温度60℃、設定湿度95RH%の恒温恒湿槽中に500時間放置
・光学歪み試験
成形された光学用レンズ(1)〜光学用レンズ(7)の各々について、歪検査器「LSM−501」((株)ルケオ社製)を用いてセナルモン法により、ゲート付近の歪みを光路差によって評価した。
・密着性試験
成形された光学用レンズの片面に、10-4Torrの真空下で、140nmの膜厚でSiO2 を蒸着させ、さらにTiO2 を120nmの膜厚で、最外層にSiO2 を170nmの膜厚でそれぞれ蒸着させることによって、光学用レンズ表面に反射防止膜を形成密着性評価用サンプルとした。
【0183】
このサンプルの、下記条件(1)および(2)について、85℃のギアオーブン中に300時間放置した後、反射防止膜側に1mm×1mmのマス目100個をカッターナイフで刻み、セロハンテープ剥離試験を行った。セロハンテープ剥離試験の結果を、剥離された目の数が0のものを「○」、剥離された目の数が1〜10個のものを「△」、剥離された目の数が10個を超えるものを「×」と評価した。
【0184】
条件(1):反射防止膜形成直後
条件(2):100℃の環境下で1時間放置
【0185】
【表3】
【0186】
以上の結果から、実施例9〜12に係る光学用レンズは、低光学歪みであり、優れた光学特性を有すると共に、高温および/または高湿下においても形状保持性に優れ、しかも優れた二次加工性を有するものであることが確認された。
<接着剤>
反応容器に、蒸留水250部を仕込み、当該反応容器にアクリル酸ブチル90部と、2−ヒドロキシエチルメタクリレート8部と、ジビニルベンゼン2部と、オレイン酸カリウム0.1部とを添加した。これをテフロン(R)(登録商標)製攪拌羽根により、攪拌した。当該反応容器内を窒素置換した後、この系を50℃まで昇温し、過硫酸カリウム0.2部を添加して重合を開始した。2時間経過後、過硫酸カリウム0.1部を更に添加し、この系を80℃まで昇温し、1時間にわたり重合反応を継続させて重合体分散液を得た。次いで、エバポレーターを用いて、固形分濃度が70%になるまでこの重合体分散液を濃縮することにより、アクリル酸エステル系重合体の水系分散体からなる接着剤を得た。
【0187】
このようにして得られた接着剤を、必要に応じて以下の実施例および比較例において用いた。
【0188】
【実施例13】
(フロントライト導光板の製造)
乾燥処理を行った樹脂Aを、射出成形機「SG75M−S」(住友重機製:シリンダー径28mm、型締め力75ton)および、厚みが連続的に変化し2面の内片面を鏡面、片面をニッケルメッキ層にプリズムを刻んだ駒を搭載した金型を用いて、表4に示す条件にて図2に示す形状のフロントライト導光板の成形を行った(製造方法1)。
【0189】
次いで、成形された導光板の鏡面に、10-4Torrの真空下で、SiO2を蒸着させ、さらにTiO2を120nmの膜厚で、最外層にSiO2を170nmで蒸着をそれぞれ行う乾式法によって、反射防止膜を形成し、フロントライト導光板を得た。
得られたフロントライト導光板の性状を表4にあわせて示す。
【0190】
【実施例14〜16、比較例9〜11】
(フロントライト導光板の製造)
実施例13において、樹脂Aを用いる代わりに、乾燥処理を行った表4に示す種類の樹脂を用い、樹脂温度および金型温度を表4に示す条件としたことの他は、実施例13と同様の製造方法1により、フロントライト導光板の成形を行った。
【0191】
次いで、成形された導光板の鏡面に、実施例13と同様の乾式法によって、反射防止膜を形成し、フロントライト導光板を得た。
得られたフロントライト導光板の性状を表4にあわせて示す。
【0192】
【実施例17】
(フロントライト導光板の製造)
実施例13において、樹脂Aを用いる代わりに、乾燥処理を行った表4に示す種類の樹脂(樹脂C)を用い、樹脂温度および金型温度を表4に示す条件としたことの他は、実施例13と同様の製造方法1により、フロントライト導光板の成形を行った。
【0193】
一方、フッ化ビニリデン70部と、ヘキサフルオロプロピレン30部とを共重合反応することによって数平均分子量4.5×104の重合体を得、この重合体70部と、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート30部とを溶剤であるメチルイソブチルケトン2500部に加えて1時間攪拌混合することによって調製した濃度4%の塗料を調製した。この塗料を、成形された導光板の各々の片面にディッピングにて塗布した後、60℃に加湿して溶剤を充分に蒸発させ、これに電子線照射装置を用いて3Mardの染料となるように電子線を照射することにより硬化処理を行う湿式法により、反射防止膜を形成し、フロントライト導光板を得た。
【0194】
得られたフロントライト導光板の性状を表4にあわせて示す。
【0195】
【実施例18】
(フロントライト導光板の製造)
乾燥処理を行った樹脂Cを、射出成形機「SG75M−S」(住友重機製:シリンダー径28mm、型締め力75ton)および、2面の内片面を鏡面、片面をニッケルメッキ層にプリズムを刻んだ駒を搭載した金型を用いて、表4に示す条件にて図3に示す形状のフロントライト導光板の成形を行った(製造方法2)。
【0196】
次いで、成形された導光板の鏡面側に、10-4Torrの真空下で、SiO2を蒸着させ、さらにTiO2を120nmの膜厚で、最外層にSiO2を170nmで蒸着をそれぞれ行う乾式法によって、反射防止膜を形成し、フロントライト導光板を得た。
得られたフロントライト導光板の性状を表4にあわせて示す。
【0197】
なお、フロントライト導光板の性状評価は、以下のようにして行った。
<フロントライト導光板の評価方法>
下記の項目について、上記の方法で作成されたフロントライト導光板の評価を行った。
・光学歪み試験
複屈折測定装置「KOBRA−21ADH」(王子計測(株)製)を用いて内面、ゲートから20mm、反ゲートから20mmの残留位相差を測定した。
・成形性試験
成形された導光板の各々におけるプリズム辺の直線性を、タリサーフ(テーラーホブソン社製)を用いて測定し、金型におけるプリズムの形状を基準としたときの形状転写性が95%以上のものを「◎」、形状転写性が85%以上で95%未満のものを「○」、形状転写性が70%以上で85%未満のものを「△」、形状転写性が70%未満のものを「×」と評価した。
・密着性試験
成形された導光板の平滑な表面上に反射防止膜を形成したサンプルを、85℃のギアオーブン中に300時間放置した後、反射防止膜側に1mm×1mmの升目100個をカッターナイフで刻み、セロハンテープ剥離試験を行った。セロハンテープ剥離試験の結果を、剥離された目の数が0個のものを「○」、剥離された目の数が1〜10個のものを「△」、剥離された目の数が10個を超えるものを「×」と評価した。
【0198】
条件(1):反射防止膜形成直後
条件(2):100℃の環境下で1時間放置
・色相試験
成形された導光板の入光面より冷陰極管を用いて光を入光し、当該入光面中央部から30mmおよび50mmの部分から出光された光に係わる色相を色彩色差計「CS100」(ミノルタ製)にてx、y、zの測定を行い、JIS K7105に基づき黄色度YIを算出した。
【0199】
なお、入光面中央部から30mmの部分での値を「中央部」、入光面中央部から50mmの部分での値を「下端部」と示す。
・耐熱・耐湿性試験
形成された導光板を、下記(1)または(2)の条件で処理し、導光板の中央部において、処理前のサンプルに対する処理後のサンプルの形状転写性および色彩色差計の測定値の変化割合を測定した。形状転写性の値の変化割合については、変化がないものを「○」、変化割合が3%未満であるものを「△」、変化割合が3%以上であるものを「×」と評価した。
【0200】
色彩色差計の測定値の変化割合を「色相変化」として、処理前のYI値を基準とした処理後のYI値の増減量の割合が、5%未満のものを「○」、5%以上10%未満のものを「△」、10%以上のものを「×」とした。
条件(1):設定温度100℃の恒温槽中に500時間放置
条件(2):設定温度60℃、設定湿度95RH%の恒温恒湿槽中に500時間放置
・輝度の評価
形成された導光板の ▲1▼輝度均一性、▲2▼耐熱、湿熱処理前後の輝度変化を測定した。
【0201】
輝度は端面から入光した導光板の面内を格子状に9点設定した測定点における輝度を輝度計(ミノルタ製LC-100)を使用して測定を行った。
▲1▼輝度均一性は面内の輝度の最大値に対する最小値の比で評価した。この比が0.95以上を「◎」、0.95未満0.90以上を「○」、0.90未満0.85以上を「△」、0.80未満を「×」とした。
【0202】
▲2▼輝度変化は下記に示す条件で処理した前後の平均輝度の変化率で変化率が1%未満を「○」、1%以上10%未満を「△」、10%以上を「×」と評価した。
条件(1):設定温度100℃の恒温槽中に500時間放置
条件(2):設定温度60℃、設定湿度95RH%の恒温恒湿槽中に500時間放置
【0203】
【表4】
【0204】
【実施例19】
(積層型フロントライト導光板の製造)
乾燥処理を行った樹脂Bを、射出成形機「SG75M−S」(住友重機製:シリンダー径28mm、型締め力75ton)および、平面が鏡面で形成された金型を用いて図5に示す形状のフロントライト導光板の基板を成形した。
【0205】
また、乾燥処理を行った樹脂Bを、90mmベント付き押出機(ジーエムエンジニアリング製、GM90-32V)にて溶融し、ギアポンプ(ノルマグ製MSDP240)を用いて、650mm幅コートハンガー台より、吐出量120kg/hrにて膜状に押し出した。このシートをオイル温調ユニットにて加熱されたキャストドラムを有する片面ベルト式ロールに導き、4m/minの周速度のロールにて艶だし加工を行った。さらにシート厚みが0.2mmとなるように張力制御ユニットによりシート張力を制御しながらシートを引き取った。さらにこのシートを、レーザー切断機をもちいて60×80mmの大きさに切断し、図4に示すプリズムシートを熱プレスにより作成した。
【0206】
次いで、射出成形により得られた導光板基板とプリズムシートとを積層した。積層にあたり、まず上述の接着剤を、離型フィルム「バイナシート」(藤森工業社製)の表面に、バーコーターを用いて塗布し、厚さ6μmの塗膜を形成し、この塗膜を80℃で2分間乾燥することにより、転写フィルムを作製した。次いで、当該転写フィルムの乾燥塗膜を基板面に転写し、さらにプリズムシートを張り合わせ、積層フロントライト導光板を得た。(製造方法4)
さらに、成形された導光板の鏡面側に、10-4Torrの真空下で、SiO2を蒸着させ、さらにTiO2を120nmの膜厚で、最外層にSiO2を170nmで蒸着をそれぞれ行う乾式法によって反射防止処理を行い、反射防止膜を形成した。
【0207】
得られた積層フロントライト導光板の性状を表5に示す。
【0208】
【比較例12〜14】
(積層型フロントライト導光板の製造)
実施例19において、樹脂Bの代わりに、乾燥処理を行った表5に示す種類の樹脂を用いたことのほかは、実施例19と同様にして積層フロントライト導光板を形成し、反射防止処理を行った。
【0209】
得られた積層フロントライト導光板の性状を表5に示す。
【0210】
【実施例20】
(積層型フロントライト導光板の製造)
乾燥処理を行った樹脂Bを、90mmベント付き押出機(ジーエムエンジニアリング製、GM90-32V)にて溶融し、ギアポンプ(ノルマグ製MSDP240)を用いて、650mm幅コートハンガー台より、吐出量120kg/hrにて膜状に押し出した。このシートをオイル温調ユニットにて加熱されたキャストドラムを有する片面ベルト式ロールに導き、4m/minの周速度のロールにて艶だし加工を行った。さらにシート厚みが0.6mmとなるように張力制御ユニットによりシート張力を制御しながらシートを引き取った。さらにこのシートを、レーザー切断機をもちいて60×80mmの大きさに切断し、導光板基板とした。
【0211】
さらに乾燥処理を行った樹脂Bを用いて、射出成形機「SG75M−S」(住友重機製:シリンダー径28mm、型締め力75ton)および、平面が鏡面で形成された金型を用いて図4に示す形状のフロントライト導光板のプリズムシートを成形した。
次いで、得られた導光板基板とプリズムシートとを積層した。これらの積層は実施例19と同様にして行い、積層フロントライト導光板を得た。(製造方法5)
さらに、成形された導光板の鏡面側に、実施例19と同様にして乾式法によって反射防止処理を行い、反射防止膜を形成した。
【0212】
得られた積層フロントライト導光板の性状を表5に示す。
【0213】
【表5】
【0214】
【実施例21〜24、比較例15〜17】
(バックライト導光板の製造)
乾燥処理を行った、表6に示す種類の樹脂を成形材料として用いて、射出成形機「ROBOSHOTα150iA」(ファナック社製:シリンダー径32mm、型締め力150ton)および、250mm×180mmの大きさで、幅が入光側1.2mm、出光側が0.8mmで(長辺側の厚み側が入光面)、2面の内片面を鏡面、片面に深さ10μm、幅10μmの断面が正三角形の形状のプリズムを長辺と並行に50μm毎に刻んだ、に示すニッケルメッキ層にパターンを刻んだ駒を搭載した金型を用いて、表6に示す条件にてバックライト導光板の成形を行った。(製造方法1)
得られたバックライト導光板の性状を表6にあわせて示す。
【0215】
【実施例25、26】
(バックライト導光板の製造)
乾燥処理を行った、表6に示す種類の樹脂を成形材料として用いて、
射出成形機「ROBOSHOTα150iA」(ファナック社製:シリンダー径32mm、型締め力150ton)および、250mm×180mmの大きさで、幅が入光側1.2mm、出光側が0.8mmで(長辺側の厚み側が入光面)の大きさの鏡面からなる平面を使用した金型を用いて、表6に示す条件にてくさび形板を成形した。さらに、片表面に半径0.1mm高さ0.07mmからなる円錐形のパターンを0.5mm間隔の格子状に下記紫外線硬化型の有機組成物を用いて印刷・硬化しバックライト導光板の成形を行った。(製造方法2)
<紫外線硬化型有機組成物>
エポキシアクリレート 60wt%
(共栄社油脂化学工業製 エポキシエステル3002A)
トリメチロールプロパントリアクリレート 25wt%
(東亜合成化学工業製 アロニックスM−309)
アクリル酸 15wt%
(大阪有機化学工業製)
光開始剤 4重量部
(チバスペシャリティーケミカル製 イルガキュアー184)
得られたバックライト導光板の性状を表6にあわせて示す。
【0216】
なお、上記バックライト導光板の性状評価は、以下のようにして行った。
<バックライト導光板の評価方法>
下記の項目について、上記の方法で作成されたバックライト導光板の評価を行った。
・光学歪み試験
複屈折測定装置「KOBRA−21ADH」(王子計測(株)製)を用いて内面の残留位相差の最大値と最小値を測定した。
・色相試験
成形された導光板の入光面より冷陰極管を用いて光を入光し、当該入光面中央部から60mmおよび100mmの部分から出光された光に係わる色相を色彩色差計「CS100」(ミノルタ製)にてx、y、zの測定を行い、JIS K7105に基づき黄色度YIを算出した。
【0217】
なお、表6においては、入光面中央部から60mmの部分を「中央部」、入光面中央部から100mmの部分を「下端部」と示す。
・耐熱・耐湿性試験
成形されたを、下記(1)または(2)の条件で処理し、処理前のサンプルに対する処理後のサンプルのそりの値および色彩色差計の測定値の変化割合を測定した。そりの値の変化割合については、変化がないものを「○」、変化割合が3%未満であるものを「△」、変化割合が3%以上であるものを「×」と評価した。
【0218】
色彩色差計の測定値の変化割合を「色相変化」として、処理前のYI値を基準とした処理後のYI値の増減量の割合が、5%未満のものを「○」、5%以上10%未満のものを「△」、10%以上のものを「×」とした。
条件(1):設定温度100℃の恒温槽中に500時間放置
条件(2):設定温度60℃、設定湿度95RH%の恒温恒湿槽中に500時間放置
・輝度の評価
形成された導光板の▲1▼輝度均一性、▲2▼耐熱、湿熱処理前後の輝度変化を測定した。
【0219】
輝度は端面から入光した導光板の面内を格子状に9点設定した測定点における輝度を輝度計(ミノルタ製LC−100)を使用して測定を行った。
▲1▼輝度均一性は面内の輝度の最大値に対する最小値の比で評価した。この日が0.90以上を「◎」、0.90未満0.80以上を「○」、0.80未満0.70以上を「△」、0.70未満を「×」とした。
【0220】
▲2▼輝度変化は下記に示す条件で処理した前後の平均輝度の変化率で変化率が5%未満を「○」、5%以上10%未満を「△」、10%以上を「×」と評価した。
条件(1):設定温度100℃の恒温槽中に500時間放置
条件(2):設定温度60℃、設定湿度95RH%の恒温恒湿槽中に500時間放置
【0221】
【表6】
【0222】
上記実施例および比較例より、本発明の実施例13〜26の導光板は、優れた光学特性を有するとともに、成形加工に起因する着色が抑制され、高温および/または高湿度下においても優れた耐久性を示し、しかも優れた二次加工性を有することが確認された。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、実施例9〜12、比較例6〜8の光学用レンズの概略図である。
【図2】図2は、実施例13〜17、比較例9〜11のフロントライト導光板の概略図である。
【図3】図3は、実施例18のフロントライト導光板の概略図である。
【図4】図4は、実施例19、20、比較例12〜14のプリズムシートの概略図である。
【図5】図5は、実施例19のフロントライト導光板の基板の概略図である。
Claims (9)
- (A)下記一般式(1)で表される構造単位、および
(B)下記一般式(2)で表される構造単位
のみからなり、かつ、構造単位(B)の少なくとも一部が、アクリル酸トリシクロ[5.2.1.0 2,6 ]−デカ−8−イルから形成される構造単位である環状オレフィン系共重合体を含む成形用樹脂材料からなることを特徴とする射出成形体。
- 前記環状オレフィン系共重合体のゲルパーミエイションクロマトグラフィーにより測定したポリスチレン換算の数平均分子量が、5000〜1,000,000であることを特徴とする請求項1に記載の射出成形体。
- 請求項1または請求項2に記載の射出成形体からなることを特徴とする光学部品。
- 請求項1または請求項2に記載の射出成形体からなることを特徴とする光学用レンズ。
- 請求項1または請求項2に記載の射出成形体からなることを特徴とする光ディスク。
- 請求項1または請求項2に記載の射出成形体からなることを特徴とする導光板。
- 導光板が、液晶表示装置に用いるフロントライト導光板またはバックライト導光板であることを特徴とする請求項6に記載の導光板。
- 導光板が、集光機能、光拡散機能および反射機能から選ばれた少なくとも1種の機能を有することを特徴とする請求項6または請求項7に記載の導光板。
- 請求項1または請求項2に記載の射出成形体からなる基板と、集光機能、光拡散機能および反射機能から選ばれた少なくとも1種の機能を有するシートもしくはフィルムとを積層してなることを特徴とする導光板。
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