JPWO2009069270A1 - 静電気対策部品およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

静電気対策部品は、内部に空洞部を有するセラミック素体と、空洞部を介して対向する2つの放電用電極とを備える。放電用電極はタングステンを80重量パーセント以上含有する金属よりなる。放電用電極でのタングステンの全量に対して酸素と結合したタングステンの量が2.0原子%以下である。この静電気対策部品は、高電圧の静電気を繰り返し放電用電極に印加してもショートの恐れが少なく、高い信頼性を有する。

Description

本発明は、静電気を吸収するための静電気対策部品に関する。
近年、携帯電話など電子機器の小型化、高性能化の要望に応えるため、ICのさらなる微細化、高集積化が進んでいるが、一方で耐電圧が低下している。人体と電子機器の端子などが接触したときに発生する静電気放電サージのようにエネルギの小さいサージでも、ICの破壊や誤動作が発生する。
対策として、静電気が侵入してくる配線とグランド間に静電気対策部品を設け、静電気をバイパスさせICに印加される高電圧を抑える方法が行われている。静電気対策部品は、通常の状態では高い抵抗値を有して電気を流さないが、静電気などの高圧が印加されると抵抗値が低くなり電気を流す特性を有する。このような特性を有する静電気対策部品としては、ツェナーダイオード、積層チップバリスタ、ギャップ放電素子などが知られている。
特許文献1、2は従来の静電気対策部品であるギャップ放電素子を開示している。ギャップ放電素子は、空洞部を有するセラミック素体と、セラミック素体に埋設された一対の放電用電極と、放電用電極にそれぞれ接続された端子電極とを備える。放電用電極は空洞部を介して対向している。放電用電極間は通常はオープン状態であるが、静電気などの高電圧が印加されると空洞部内において放電用電極間で放電し電流が流れる。
ギャップ放電素子は、ツェナーダイオード、積層チップバリスタ等の他の静電気対策部品と比較して寄生静電容量値が根本的に小さい。大きな寄生静電容量値を有する静電気対策部品が信号ラインに接続されると、信号が高い周波数を有する場合には信号品質を劣化させるので、静電気対策部品の寄生静電容量値は低い方が望ましい。したがって、ギャップ放電素子はそのような信号ラインに接続することができる。また、放電が起こる空洞部は空気であり何も存在しないので、高電圧の静電気が印加されてもセラミック素子が破壊されず、他の静電気対策部品と比較して有利である。
しかし、一対の放電用電極が所定の間隔を空けて空洞部を介して露出している。空洞部内の温度は静電気の放電時に瞬間的に2500℃以上の高温に達することもある。静電気が連続して繰り返し印加されると放電用電極が溶けてショートする恐れがある。
特開平1−102884号公報 特開平11−265808号公報
静電気対策部品は、内部に空洞部を有するセラミック素体と、空洞部を介して対向する2つの放電用電極とを備える。放電用電極はタングステンを80重量パーセント以上含有する金属よりなる。放電用電極でのタングステンの全量に対して酸素と結合したタングステンの量が2.0原子%以下である。
この静電気対策部品は、高電圧の静電気を繰り返し放電用電極に印加してもショートの恐れが少なく、高い信頼性を有する。
図1Aは本発明の実施の形態1における静電気対策部品の斜視図である。 図1Bは図1Aに示す静電気対策部品の線1B−1Bにおける断面図である。 図2Aは実施の形態1における静電気対策部品の製造方法を示す断面図である。 図2Bは実施の形態1における静電気対策部品の製造方法を示す断面図である。 図2Cは実施の形態1における静電気対策部品の製造方法を示す断面図である。 図2Dは実施の形態1における静電気対策部品の製造方法を示す断面図である。 図2Eは実施の形態1における静電気対策部品の製造方法を示す断面図である。 図3Aは実施の形態1における静電気対策部品の他の製造方法を示す平面図である。 図3Bは図3Aに示す静電気対策部品の線3B−3Bにおける断面図である。 図4は実施の形態1における静電気対策部品のさらに他の製造方法を示す断面図である。 図5は実施の形態1における静電気対策部品の静電放電試験の試験回路図である。 図6は実施の形態1における静電気対策部品の静電放電試験での電圧を示す。 図7は実施の形態1における静電気対策部品の放電用電極の材料を示す。 図8は実施の形態1における静電気対策部品を形成するための樹脂層の樹脂ペーストを示す。 図9は実施の形態1における静電気対策部品の空洞部のサイズと放電用電極が対向する面積を示す。 図10Aは実施の形態1における静電気対策部品の特性を示す。 図10Bは実施の形態1における静電気対策部品の特性を示す。 図11Aは本発明の実施の形態2における静電気対策部品の特性を示す。 図11Bは本発明の実施の形態2における静電気対策部品の特性を示す。 図12は実施の形態2における静電気対策部品に印加される静電気パルスの電圧と抑制ピーク電圧の関係を示す。
符号の説明
101 セラミック素体
102 空洞部
103 放電用電極(第1の放電用電極)
104 放電用電極(第2の放電用電極)
105 端子電極(第1の端子電極)
106 端子電極(第2の端子電極)
111 静電気対策部品
301 グリーンシート(第1のグリーンシート)
302 金属層(第1の金属層)
303 樹脂層
303C 樹脂ビーズ
303D ペースト状樹脂
304 グリーンシート(第3のグリーンシート)
305 グリーンシート(第4のグリーンシート)
306 金属層(第2の金属層)
307 グリーンシート(第2のグリーンシート)
308 未焼結積層体
310 グリーンシート(第3のグリーンシート)
310E 開口部
311 未焼結積層体
312 未焼結積層体
(実施の形態1)
図1Aは本発明の実施の形態1における静電気対策部品111の斜視図である。図1Bは図1Aに示す静電気対策部品111の線1B−1Bにおける断面図である。静電気対策部品111は、セラミック素体101と、セラミック素体101に埋設された放電用電極103、104と、放電用電極103、104にそれぞれ接続された端子電極105、106とを備えている。端子電極105、106はセラミック素体101の互いに反対側の端部101A、101Bにそれぞれ設けられている。セラミック素体101内には空洞部102が設けられている。放電用電極103、104は空洞部102に露出し、空洞部102を介して所定の距離D101だけ離れて互いに対向している。すなわち、放電用電極103、104は空洞部102を介して互いに対向している。
セラミック素体101は、アルミナ、フォルステライト、ステアタイト、ムライト、コージライトのうちから選ばれる少なくとも一つのセラミック組成物を主成分として含有するセラミック絶縁体よりなることが望ましい。これらの絶縁体は、比誘電率が15以下と低く、放電用電極103、104間の寄生容量値を低減できる。
放電用電極103、104は、タングステンを80重量パーセント以上含有する金属で形成されており、タングステンの全量に対して酸素と結合したタングステンの量が1.8原子%以下である。タングステンの全量に対する酸素と結合したタングステンの量は0原子%であることが好ましいが、現実では0原子%より大きい場合が多い。放電用電極103、104の互いに対向している部分103A、104Aの面積である対向面積は0.01mm以上で1.0mm以下であり、放電用電極103、104の部分103A、104A間の距離D101は5μm以上で16μm以下である。
次に、静電気対策部品111の製造方法について説明する。図2Aから図2Eは静電気対策部品111の製造方法を示す断面図である。
まず、図2Aに示すように、セラミックペーストを用いてドクターブレード法により約50μmの厚みを有するセラミック絶縁体よりなるグリーンシート301を作製する。その後、図2Aに示すように、グリーンシート301の上面301Aの部分301Dを露出させるように、グリーンシート301の上面301Aの部分301C上に、導電性ペーストでスクリーン印刷により金属層302を形成する。
次に、図2Bに示すように、金属層302の上面302Aの部分302Dを露出させるように、金属層302の上面302Aの部分302C上に、樹脂ペーストを塗布して樹脂層303を形成する。樹脂層303を形成する樹脂ペーストは、固形の樹脂ビーズ303Cと、ペースト状樹脂303Dよりなる。また、図2Bに示すように、金属層302の上面302Aの部分302D上にセラミック絶縁体であるセラミックペーストよりなるグリーンシート304を形成し、グリーンシート301の上面301Aの部分301D上にセラミック絶縁体であるセラミックペーストよりなるグリーンシート305を形成する。
次に、図2Cに示すように、グリーンシート304の上面304Aを露出させるように、樹脂層303の上面303A上とグリーンシート305の上面305A上とに導電性ペーストでスクリーン印刷により金属層306を形成する。
次に、図2Dに示すように、グリーンシート304の上面304A上と金属層306の上面306A上とに、セラミック絶縁体であるセラミックペーストでグリーンシート307を形成し、未焼結積層体308を形成する。
次に、未焼結積層体308を切断して複数の個片に分離する。分離された未焼結積層体308の個片を、0.2体積%以上の水素を含有する窒素水素混合雰囲気中で焼成する。未焼結積層体308を焼成している間に、水素は金属層302、306の表面の酸化物を還元する。この焼成により、図2Eに示すように、グリーンシート301、304、305、307よりなるセラミック素体101と、金属層302、306よりなる放電用電極103、104とを備えた焼結積層体309が得られる。この焼成で樹脂層303が揮発して、セラミック素体101内の空洞部102を形成する。これにより、放電用電極103、104は空洞部102に露出して所定の距離D101だけ離れて互いに対向する。焼成後に、セラミック素体101の外形寸法が1.6mm×0.8mm×0.8mmとなるようにグリーンシートを設計し、放電用電極103、104のセラミック素体101の互いに反対側の端部101A、101Bに露出する。
最後に、図1Bに示すように、放電用電極103、104に接触するように、セラミック素体101の端部101A、101Bに銅ペーストを塗布して800℃の窒素雰囲気中で焼き付けて端子電極105、106を形成する。
上記製造方法において、グリーンシート301、307を形成するためのセラミックペーストは、前述のセラミック組成物の粉末とバインダ樹脂、可塑剤を溶剤によって混合して作製される。また、樹脂層303を形成するための樹脂ペーストは、固形の樹脂ビーズ303Cと、ペースト状樹脂303Dを混練して作製される。樹脂ビーズ303Cはアクリルビーズであり、ペースト状樹脂303Dはアクリル系樹脂である。アクリル系樹脂が他の樹脂と比較して低温で分解しやすいので、空洞部102周辺のセラミック素体101に欠陥が発生しにくい。アクリル系樹脂の代わりに、他の低温で分解しやすい樹脂で樹脂ペーストを形成してもよい。
金属層302、306を形成する導電性ペーストはタングステンを80重量%以上含有する金属よりなる。
グリーンシート304、305を形成するセラミックペーストは、グリーンシート301、307を形成するセラミックペーストと同様に、セラミック組成物の粉末とバインダ樹脂と可塑剤と溶剤とを混合して作製される。ただし、グリーンシート304、305を形成するセラミックペーストのバインダ樹脂の含有率を、グリーンシート301、307を形成するセラミックペーストより大きくする。これにより、セラミック素体1を構成するグリーンシート301、304、305、307のデラミネーションを防止することができる。また、樹脂層303とグリーンシート304、305を形成する順序は特に限定されず、どの順序でも同じ効果を有する。
図3Aは静電気対策部品111の他の製造方法を示す平面図と断面図であり、1枚のグリーンシート310を備えた未焼結積層体311を示す。図3Bは未焼結積層体311の線3B−3Bにおける断面図である。図3Aと図3Bにおいて、図2Aから図2Eに示す部分と同じ部分には同じ参照番号を付し、その説明を省略する。未焼結積層体311は、図2Dに示す未焼結積層体308のグリーンシート304、305の代わりにグリーンシート310を備える。グリーンシート310には樹脂層303が入る開口部310Eが形成されている。グリーンシート310はグリーンシート304、305と同じ材料よりなり、金属層302の上面302Aの部分302D上と、グリーンシート301の上面301Aの部分301D上とに形成される。金属層306は樹脂層303の上面303A上と、グリーンシート301の上面301Aの部分301Dの真上方のグリーンシート310の上面310Aの部分310C上とに形成される。グリーンシート307は、金属層306の上面306A上と、金属層302の上面302Aの部分302Dの真上方のグリーンシート310の上面310Aの部分310D上とに形成される。グリーンシート310を形成するセラミックペーストのバインダ樹脂の含有率を、グリーンシート301、307を形成するセラミックペーストより大きくする。これにより、セラミック素体1を構成するグリーンシート301、307、310のデラミネーションを防止することができる。
グリーンシート304、305が無い場合には、樹脂層303で段差が形成されて、金属層306を形成するための導電性ペーストを高精度にスクリーン印刷で塗布することができず、焼成後にセラミック素体1に欠陥が発生する場合がある。グリーンシート304、305によりその段差をなくすことができ、導電ペーストを高精度に塗布して金属層306を形成することができる。図4は静電気対策部品111のさらに他の製造方法を示す断面図であり、実施の形態1における他の未焼結積層体312を示す。図4において、図2Aから図2Eに示す部分と同じ部分には同じ参照番号を付し、その説明を省略する。空洞部102が薄く、空洞部102を形成するための樹脂層303が薄い場合には、グリーンシート304、305を形成する必要は無い。この場合には、金属層306は樹脂層303の上面303A上とグリーンシート301の上面301Aの部分301D上とに形成され、グリーンシート307は金属層302の上面302Aの部分302C上と金属層306の上面306A上とに形成される。
次に、静電気対策部品111のサンプルを作製し、それらのサンプルに対してIEC−6100−4−2規格(4〜20kV−150pF−330Ω)で静電気放電試験を行った。図5は静電気対策部品の静電気放電試験の試験回路である。デジタルオシロスコープ113は静電気対策部品111と並列に接続されている。静電気放電ガン112から静電気パルスを静電気対策部品111に直接印加した。その静電気パルスにより静電気対策部品111の空洞部102を介して放電用電極103、104間で放電して導通する、すなわち動作すると、静電気による電流の大部分はグランドへ流れる。放電用電極103、104間で放電して導通する電圧が静電気対策部品111の放電開始電圧である。デジタルオシロスコープ113により、静電気対策部品111で抑制された電圧を観測できる。観測した電圧を図6に示す。静電気パルスが印加される直後には高いピーク電圧が観測され、その後すぐに電圧は減衰する。このピーク電圧が抑制ピーク電圧である。すなわち、静電気対策部品111は印加された静電気パルスの電圧を抑制ピーク電圧に抑制している。抑制ピーク電圧が低いほど静電気対策部品は放電しやすく、優れている。
放電用電極103、104の表面の状態を評価するために、セラミック素体101の上面から放電用電極103、104の表面が露出するよう研磨した。X線光電子分光(XPS)分析法を用いて、露出した放電用電極103、104の表面をX線源Al−Kα、光電子取出角45゜、分析領域100μmφ、電圧25.9Wの条件で測定し、放電用電極103、104の表面において、酸素が結合しているタングステンの量と酸素が結合していないタングステンの量を検出し、検出したそれらの量からタングステンの酸化物の量を算出した。
また、上述の静電気放電試験を8kV−150pF−330Ωの条件で行い、静電気パルスを1000回まで繰り返して印加し、静電気対策部品111の絶縁抵抗値の変化を測定した。
図7は、静電気対策部品111のサンプルの金属層302、306(放電用電極103、104)の材料M1〜M5を示す。図8は、静電気対策部品111のサンプルの空洞部102を形成するための樹脂層303の樹脂ペーストR1〜R9の樹脂ビーズの直径と含有率を示す。樹脂ビーズはアクリルよりなる。図9は、静電気対策部品111のサンプルの空洞部102の長さと幅と、放電用電極103、104が対向する面積S101の組み合わせP1〜P5を示す。図10は、図7〜図9に示す放電用電極103、104と樹脂ペーストで形成されたサンプルの特性を示す。
図10は各サンプルでの、未焼結積層体308を焼成する焼成雰囲気ATM101〜ATM104と、空洞部102の高さすなわち放電用電極103、104間の距離D101(μm)と、放電用電極103、104間の静電容量値C101(pF)と、印加された静電気パルスの電圧Vp(kV)に対する抑制ピーク電圧Vpeak(V)と、放電用電極103、104の表面の金属酸化物の量A101(原子%)と、静電気放電(ESD)の回数に対する放電用電極103、104間の絶縁抵抗R101(Ω)とを示す。絶縁抵抗R101での「SC」は放電用電極103、104間のショートを示す。サンプルの未焼結積層体308を焼成雰囲気ATM101〜ATM104において、1250℃、2時間保持し焼成した。焼成雰囲気ATM104は窒素100体積%、水素0%である。焼成雰囲気ATM102は窒素99.9体積%、水素0.1体積%である。焼成雰囲気ATM103は窒素99.8体積%、水素0.2体積%である。焼成雰囲気ATM104は窒素99.0体積%、水素1.0体積%である。
サンプル1〜4は焼成雰囲気のみが互いに異なる。窒素100%、水素0%の焼成雰囲気ATM101で焼成したサンプル1は、電極103、104間でESDは発生するものの、電極103、104の表面において、酸素と結合したタングステンの量がタングステンの全量に対して6原子%も存在している。電極103、104の表面に酸化物が存在していると、表面での抵抗値が大きくなりESDが発生しにくくなる。したがって、サンプル1の放電開始電圧は8kVと高く、高電圧の静電気印加に対する抑制ピーク電圧が非常に高い。水素0.2体積%以上の焼成雰囲気で焼成されたサンプル3、4では、放電用電極103、104表面の酸素と結合したタングステンの量は2原子%を下回るようになり、放電開始電圧、抑制ピーク電圧はいずれも低く優れた特性を有する。焼成雰囲気の水素の濃度が大きい場合には、セラミック素体組成物が焼成時に還元されて絶縁性を失って半導体化する。そのセラミック組成物の種類や焼成温度によって焼成雰囲気中での水素の濃度の上限は変化するので、その上限は適宜決定する。
サンプル5〜8は放電用電極103、104の材料のみが互いに異なる。タングステンに銅を混合すると両者は合金化し、電極103、104の導電率の向上とともに融点は低下する。放電用電極103、104を構成する金属中のタングステン量が80重量%以上であるサンプル5、6では、ESDを1000回繰り返しても電極103、104間がショートしない。タングステン70重量%の電極103、104を有するサンプル7ではESDを500回繰り返すとショートした。白金よりなる電極103、104を有するサンプル8ではわずか50回のESDで電極103、104間がショートしている。ESDの際に空洞部102や電極103、104の温度は2500〜3000℃にまで上昇する。放電用電極103、104の融点がこの温度以上であれば、ESDを繰り返しても電極103、104はショートしない。
サンプル9〜12は放電用電極103、104が対向する対向面積S101のみが互いに異なる。対向面積S101が大きいサンプルではESDの繰り返しにより絶縁抵抗値が低下し、対向面積S101が小さいサンプルでは抑制ピーク電圧、放電開始電圧が高い。
対向面積S101が1.0mmより大きいサンプル11では、ESDを1000回繰り返した後の絶縁抵抗値が10Ω台と、ショートはしないものの低くなるので、対向面積S101は1.0mm以下であることが好ましい。また対向面積S101が0.01mmよりも小さいサンプル12では4kVの静電気でESDが発生しないので、対向面積S101は0.01mm以上が好ましい。
サンプル13〜20は空洞部102を形成する樹脂ペーストが異なる。樹脂ペースト中の樹脂ビーズの直径と含有率が変わると空洞部102の高さすなわち電極103、104間の距離D101が変わる。距離D101が小さくなると、ESDの繰り返しによって絶縁抵抗値が低下する。距離D101が5μmより小さいサンプル13、14では電極103、104間でショートはしないものの絶縁抵抗値は1×10Ω〜1×10Ωと低くなる。一方、距離D101が大きくなると、ESDが起こりにくくなり、抑制ピーク電圧が高くなる。距離D101が20μmを超えるサンプル19、20の抑制ピーク電圧は6kVの静電気に対して900V以上と高くなる。空洞部102の高さ、すなわち電極103、104間の距離D101は5〜20μmの範囲が好ましい。距離D101が16μmを超える20μmであるサンプル18では、抑制ピーク電圧は低いものの、4kVの静電気ではESDが発生しない。したがって、電極103、104間の距離D101は5〜16μmの範囲がより好ましい。
なお、抑制ピーク電圧をさらに低くするために、セラミック素体101に別の回路を形成しても良い。例えば、セラミック素体101にファインラインをパターニングしインダクタを形成しても良い。また、セラミック素体101の表面に抵抗ペーストを塗布、印刷することにより抵抗を形成してもよい。
未焼結積層体308を焼成する際の焼成雰囲気に含まれる水素は、放電用電極103、104の表面の酸化物を還元する。水素の代わりに、焼成雰囲気は放電用電極103、104(金属層302、306)の表面の酸化物を還元する一酸化炭素や亜硫酸ガス等の他の還元性ガスを含有してもよい。
(実施の形態2)
実施の形態2における静電気対策部品は、図1Aと図1Bに示す実施の形態1における静電気対策部品111と同じ構造を有する。実施の形態2における静電気対策部品では、放電用電極103、104はタングステンを80重量パーセント以上含有する金属で形成されており、タングステンの全量に対する酸素と結合したタングステンの量が2.0原子%以下である。タングステンの全量に対する酸素と結合したタングステンの量は0原子%であることが好ましいが、現実では0原子%より大きい場合が多い。
実施の形態2における静電気対策部品は、図2A〜図2Eに示す実施の形態1における静電気対策部品111の製造方法により製造できる。実施の形態2における静電気対策部品では、図2Dに示す未焼結積層体308は金属層302、306の表面の酸化物を還元する還元性ガスを含有する窒素雰囲気で焼成される。実施の形態2では還元性ガスとして水素を用いるが、他の還元性ガスを用いてもよい。
焼成後に、セラミック素体101の外形寸法が2.0mm×1.2mm×0.8mmとなるようにグリーンシートが設計されている。
次に、実施の形態2における静電気対策部品のサンプルを作製し、実施の形態1と同様に、図5に示す静電試験回路で、それらのサンプルに対してIEC−6100−4−2規格(4〜20kV−150pF−330Ω)で静電気放電試験を行った。また、実施の形態1と同様に、放電用電極103、104の表面において、酸素が結合しているタングステンの量と酸素が結合していないタングステンの量を検出し、検出したそれらの量からタングステンの酸化物の量を算出した。
また、上述の静電気放電試験を8kV−150pF−330Ωの条件で行い、静電気パルスを1000回まで繰り返して印加し、実施の形態2における静電気対策部品の絶縁抵抗値の変化を測定した。
図11は、図7に示す材料M1〜M5で形成されて、互いに異なる焼成雰囲気中で焼成された焼結積層体309を備えた実施の形態2における静電気対策部品のサンプルの特性を示す。
図11は各サンプルでの、未焼結積層体308を焼成する焼成雰囲気ATM101〜ATM104と、電極103、104が対向する対向面積S101(mm)と、空洞部102の高さすなわち放電用電極103、104間の距離D101(μm)と、放電用電極103、104間の静電容量値C101(pF)と、印加された静電気パルスの電圧Vp(kV)に対する抑制ピーク電圧Vpeak(V)と、放電用電極103、104の表面の金属酸化物の量A101(原子%)と、静電気放電(ESD)の回数に対する放電用電極103、104間の絶縁抵抗R101(Ω)を示す。絶縁抵抗R101での「SC」は放電用電極103、104間のショートを示す。サンプルの未焼結積層体308を焼成雰囲気ATM101〜ATM104において、1250℃、2時間保持し焼成した。焼成雰囲気ATM104は窒素100体積%、水素0%である。焼成雰囲気ATM102は窒素99.9体積%、水素0.1体積%である。焼成雰囲気ATM103は窒素99.8体積%、水素0.2体積%である。焼成雰囲気ATM104は窒素99.0体積%、水素1.0体積%である。
サンプル21〜24は焼成雰囲気のみが互いに異なる。窒素100%、水素0%の焼成雰囲気ATM101で焼成したサンプル21は、電極103、104間でESDは発生するものの、電極103、104の表面において、酸素と結合したタングステンの量がタングステンの全量に対して6原子%も存在している。X線光電子分光(XPS)分析法では、電極103、104の表面からわずか数nmの厚みの部分を分析しているに過ぎないので、電極全体の電気抵抗値にはほとんど影響しない。電極103、104の表面に酸化物が存在していると、表面での抵抗値が大きくなりESDが発生しにくくなる。したがって、サンプル21の放電開始電圧は15kVと高く、高電圧の静電気印加に対する抑制ピーク電圧が非常に高い。水素0.2体積%以上の焼成雰囲気で焼成されたサンプル23、24では、放電用電極103、104表面の酸素と結合したタングステンの量は2原子%を下回るようになり、放電開始電圧、抑制ピーク電圧はいずれも低く優れた特性を有する。焼成雰囲気の水素の濃度の上限はセラミックが焼成時に還元されない濃度であれば良く、特に限定しない。
サンプル25〜28は1.0mmの大きな対向面積を有すること以外にはサンプル21〜24とそれぞれ同じである。サンプル25〜28でも、サンプル21〜24と同様に、放電用電極103、104表面の酸素と結合したタングステンの量は2原子%を下回ると、放電開始電圧、抑制ピーク電圧はいずれも低く優れた特性を有する。
サンプル29〜32は放電用電極103、104の材料のみが互いに異なる。タングステンに銅を混合すると両者は合金化し、電極103、104の導電率の向上とともに融点は低下する。放電用電極103、104を構成する金属中のタングステン量が80重量%以上であるサンプル29、30では、ESDを1000回繰り返しても電極103、104間がショートしない。タングステン70重量%の電極103、104を有するサンプル31ではESDを500回繰り返すとショートした。白金よりなる電極103、104を有するサンプル32ではわずか50回のESDで電極103、104間がショートしている。ESDの際に空洞部102や電極103、104の温度は2500〜3000℃にまで上昇する。放電用電極103、104の融点がこの温度以上であれば、ESDを繰り返しても電極103、104はショートしない。
図12は、サンプル21〜24に印加された静電気パルスの電圧Vpに対する抑制ピーク電圧Vpeakを示す。図12に示すように、放電用電極103、104の表面をXPS分析法で測定した、酸素が結合しているタングステンの割合によって、放電開始電圧と抑制ピーク電圧が変わる。図12に示すように、酸素と結合したタングステンの量がそれぞれ2.0原子%、1.2原子%であるサンプル23、24が低い放電開始電圧と低い抑制ピーク電圧を示した。電極103、104の表面での酸化物の前述の作用を考慮すると、酸素と結合したタングステンの量が2.0原子%以下であれば、静電気対策部品は同様な効果を有すると考えられる。
なお、実施の形態1、2において、「上面」「真上方」等の方向を示す用語はグリーンシートや金属層や樹脂層等の静電気対策部品の構成部材の位置に依存する相対的な方向を示し、上下方向等の絶対的な方向を示すものではない。
本発明による静電気対策部品は、高電圧の静電気を繰り返し放電用電極に印加してもショートの恐れが少なく、高い信頼性を有するので、静電気対策が要求される各種機器、デバイスに有用である。
本発明は、静電気を吸収するための静電気対策部品に関する。
近年、携帯電話など電子機器の小型化、高性能化の要望に応えるため、ICのさらなる微細化、高集積化が進んでいるが、一方で耐電圧が低下している。人体と電子機器の端子などが接触したときに発生する静電気放電サージのようにエネルギの小さいサージでも、ICの破壊や誤動作が発生する。
対策として、静電気が侵入してくる配線とグランド間に静電気対策部品を設け、静電気をバイパスさせICに印加される高電圧を抑える方法が行われている。静電気対策部品は、通常の状態では高い抵抗値を有して電気を流さないが、静電気などの高圧が印加されると抵抗値が低くなり電気を流す特性を有する。このような特性を有する静電気対策部品としては、ツェナーダイオード、積層チップバリスタ、ギャップ放電素子などが知られている。
特許文献1、2は従来の静電気対策部品であるギャップ放電素子を開示している。ギャップ放電素子は、空洞部を有するセラミック素体と、セラミック素体に埋設された一対の放電用電極と、放電用電極にそれぞれ接続された端子電極とを備える。放電用電極は空洞部を介して対向している。放電用電極間は通常はオープン状態であるが、静電気などの高電圧が印加されると空洞部内において放電用電極間で放電し電流が流れる。
ギャップ放電素子は、ツェナーダイオード、積層チップバリスタ等の他の静電気対策部品と比較して寄生静電容量値が根本的に小さい。大きな寄生静電容量値を有する静電気対策部品が信号ラインに接続されると、信号が高い周波数を有する場合には信号品質を劣化させるので、静電気対策部品の寄生静電容量値は低い方が望ましい。したがって、ギャップ放電素子はそのような信号ラインに接続することができる。また、放電が起こる空洞部は空気であり何も存在しないので、高電圧の静電気が印加されてもセラミック素子が破壊されず、他の静電気対策部品と比較して有利である。
しかし、一対の放電用電極が所定の間隔を空けて空洞部を介して露出している。空洞部内の温度は静電気の放電時に瞬間的に2500℃以上の高温に達することもある。静電気が連続して繰り返し印加されると放電用電極が溶けてショートする恐れがある。
特開平1−102884号公報 特開平11−265808号公報
静電気対策部品は、内部に空洞部を有するセラミック素体と、空洞部を介して対向する2つの放電用電極とを備える。放電用電極はタングステンを80重量パーセント以上含有する金属よりなる。放電用電極でのタングステンの全量に対して酸素と結合したタングステンの量が2.0原子%以下である。
この静電気対策部品は、高電圧の静電気を繰り返し放電用電極に印加してもショートの恐れが少なく、高い信頼性を有する。
本発明の実施の形態1における静電気対策部品の斜視図 図1Aに示す静電気対策部品の線1B−1Bにおける断面図 実施の形態1における静電気対策部品の製造方法を示す断面図 実施の形態1における静電気対策部品の製造方法を示す断面図 実施の形態1における静電気対策部品の製造方法を示す断面図 実施の形態1における静電気対策部品の製造方法を示す断面図 実施の形態1における静電気対策部品の製造方法を示す断面図 実施の形態1における静電気対策部品の他の製造方法を示す平面図 図3Aに示す静電気対策部品の線3B−3Bにおける断面図 実施の形態1における静電気対策部品のさらに他の製造方法を示す断面図 実施の形態1における静電気対策部品の静電放電試験の試験回路図 実施の形態1における静電気対策部品の静電放電試験での電圧を示す図 実施の形態1における静電気対策部品の放電用電極の材料を示す図 実施の形態1における静電気対策部品を形成するための樹脂層の樹脂ペーストを示す図 実施の形態1における静電気対策部品の空洞部のサイズと放電用電極が対向する面積を示す図 実施の形態1における静電気対策部品の特性を示す図 実施の形態1における静電気対策部品の特性を示す図 本発明の実施の形態2における静電気対策部品の特性を示す図 本発明の実施の形態2における静電気対策部品の特性を示す図 実施の形態2における静電気対策部品に印加される静電気パルスの電圧と抑制ピーク電圧の関係を示す図
(実施の形態1)
図1Aは本発明の実施の形態1における静電気対策部品111の斜視図である。図1Bは図1Aに示す静電気対策部品111の線1B−1Bにおける断面図である。静電気対策部品111は、セラミック素体101と、セラミック素体101に埋設された放電用電極103、104と、放電用電極103、104にそれぞれ接続された端子電極105、106とを備えている。端子電極105、106はセラミック素体101の互いに反対側の端部101A、101Bにそれぞれ設けられている。セラミック素体101内には空洞部102が設けられている。放電用電極103、104は空洞部102に露出し、空洞部102を介して所定の距離D101だけ離れて互いに対向している。すなわち、放電用電極103、104は空洞部102を介して互いに対向している。
セラミック素体101は、アルミナ、フォルステライト、ステアタイト、ムライト、コージライトのうちから選ばれる少なくとも一つのセラミック組成物を主成分として含有するセラミック絶縁体よりなることが望ましい。これらの絶縁体は、比誘電率が15以下と低く、放電用電極103、104間の寄生容量値を低減できる。
放電用電極103、104は、タングステンを80重量パーセント以上含有する金属で形成されており、タングステンの全量に対して酸素と結合したタングステンの量が1.8原子%以下である。タングステンの全量に対する酸素と結合したタングステンの量は0原子%であることが好ましいが、現実では0原子%より大きい場合が多い。放電用電極103、104の互いに対向している部分103A、104Aの面積である対向面積は0.01mm以上で1.0mm以下であり、放電用電極103、104の部分103A、104A間の距離D101は5μm以上で16μm以下である。
次に、静電気対策部品111の製造方法について説明する。図2Aから図2Eは静電気対策部品111の製造方法を示す断面図である。
まず、図2Aに示すように、セラミックペーストを用いてドクターブレード法により約50μmの厚みを有するセラミック絶縁体よりなるグリーンシート301を作製する。その後、図2Aに示すように、グリーンシート301の上面301Aの部分301Dを露出させるように、グリーンシート301の上面301Aの部分301C上に、導電性ペーストでスクリーン印刷により金属層302を形成する。
次に、図2Bに示すように、金属層302の上面302Aの部分302Dを露出させるように、金属層302の上面302Aの部分302C上に、樹脂ペーストを塗布して樹脂層303を形成する。樹脂層303を形成する樹脂ペーストは、固形の樹脂ビーズ303Cと、ペースト状樹脂303Dよりなる。また、図2Bに示すように、金属層302の上面302Aの部分302D上にセラミック絶縁体であるセラミックペーストよりなるグリーンシート304を形成し、グリーンシート301の上面301Aの部分301D上にセラミック絶縁体であるセラミックペーストよりなるグリーンシート305を形成する。
次に、図2Cに示すように、グリーンシート304の上面304Aを露出させるように、樹脂層303の上面303A上とグリーンシート305の上面305A上とに導電性ペーストでスクリーン印刷により金属層306を形成する。
次に、図2Dに示すように、グリーンシート304の上面304A上と金属層306の上面306A上とに、セラミック絶縁体であるセラミックペーストでグリーンシート307を形成し、未焼結積層体308を形成する。
次に、未焼結積層体308を切断して複数の個片に分離する。分離された未焼結積層体308の個片を、0.2体積%以上の水素を含有する窒素水素混合雰囲気中で焼成する。未焼結積層体308を焼成している間に、水素は金属層302、306の表面の酸化物を還元する。この焼成により、図2Eに示すように、グリーンシート301、304、305、307よりなるセラミック素体101と、金属層302、306よりなる放電用電極103、104とを備えた焼結積層体309が得られる。この焼成で樹脂層303が揮発して、セラミック素体101内の空洞部102を形成する。これにより、放電用電極103、104は空洞部102に露出して所定の距離D101だけ離れて互いに対向する。焼成後に、セラミック素体101の外形寸法が1.6mm×0.8mm×0.8mmとなるようにグリーンシートを設計し、放電用電極103、104のセラミック素体101の互いに反対側の端部101A、101Bに露出する。
最後に、図1Bに示すように、放電用電極103、104に接触するように、セラミック素体101の端部101A、101Bに銅ペーストを塗布して800℃の窒素雰囲気中で焼き付けて端子電極105、106を形成する。
上記製造方法において、グリーンシート301、307を形成するためのセラミックペーストは、前述のセラミック組成物の粉末とバインダ樹脂、可塑剤を溶剤によって混合して作製される。また、樹脂層303を形成するための樹脂ペーストは、固形の樹脂ビーズ303Cと、ペースト状樹脂303Dを混練して作製される。樹脂ビーズ303Cはアクリルビーズであり、ペースト状樹脂303Dはアクリル系樹脂である。アクリル系樹脂が他の樹脂と比較して低温で分解しやすいので、空洞部102周辺のセラミック素体101に欠陥が発生しにくい。アクリル系樹脂の代わりに、他の低温で分解しやすい樹脂で樹脂ペーストを形成してもよい。
金属層302、306を形成する導電性ペーストはタングステンを80重量%以上含有する金属よりなる。
グリーンシート304、305を形成するセラミックペーストは、グリーンシート301、307を形成するセラミックペーストと同様に、セラミック組成物の粉末とバインダ樹脂と可塑剤と溶剤とを混合して作製される。ただし、グリーンシート304、305を形成するセラミックペーストのバインダ樹脂の含有率を、グリーンシート301、307を形成するセラミックペーストより大きくする。これにより、セラミック素体1を構成するグリーンシート301、304、305、307のデラミネーションを防止することができる。また、樹脂層303とグリーンシート304、305を形成する順序は特に限定されず、どの順序でも同じ効果を有する。
図3Aは静電気対策部品111の他の製造方法を示す平面図と断面図であり、1枚のグリーンシート310を備えた未焼結積層体311を示す。図3Bは未焼結積層体311の線3B−3Bにおける断面図である。図3Aと図3Bにおいて、図2Aから図2Eに示す部分と同じ部分には同じ参照番号を付し、その説明を省略する。未焼結積層体311は、図2Dに示す未焼結積層体308のグリーンシート304、305の代わりにグリーンシート310を備える。グリーンシート310には樹脂層303が入る開口部310Eが形成されている。グリーンシート310はグリーンシート304、305と同じ材料よりなり、金属層302の上面302Aの部分302D上と、グリーンシート301の上面301Aの部分301D上とに形成される。金属層306は樹脂層303の上面303A上と、グリーンシート301の上面301Aの部分301Dの真上方のグリーンシート310の上面310Aの部分310C上とに形成される。グリーンシート307は、金属層306の上面306A上と、金属層302の上面302Aの部分302Dの真上方のグリーンシート310の上面310Aの部分310D上とに形成される。グリーンシート310を形成するセラミックペーストのバインダ樹脂の含有率を、グリーンシート301、307を形成するセラミックペーストより大きくする。これにより、セラミック素体1を構成するグリーンシート301、307、310のデラミネーションを防止することができる。
グリーンシート304、305が無い場合には、樹脂層303で段差が形成されて、金属層306を形成するための導電性ペーストを高精度にスクリーン印刷で塗布することができず、焼成後にセラミック素体1に欠陥が発生する場合がある。グリーンシート304、305によりその段差をなくすことができ、導電ペーストを高精度に塗布して金属層306を形成することができる。図4は静電気対策部品111のさらに他の製造方法を示す断面図であり、実施の形態1における他の未焼結積層体312を示す。図4において、図2Aから図2Eに示す部分と同じ部分には同じ参照番号を付し、その説明を省略する。空洞部102が薄く、空洞部102を形成するための樹脂層303が薄い場合には、グリーンシート304、305を形成する必要は無い。この場合には、金属層306は樹脂層303の上面303A上とグリーンシート301の上面301Aの部分301D上とに形成され、グリーンシート307は金属層302の上面302Aの部分302C上と金属層306の上面306A上とに形成される。
次に、静電気対策部品111のサンプルを作製し、それらのサンプルに対してIEC−6100−4−2規格(4〜20kV−150pF−330Ω)で静電気放電試験を行った。図5は静電気対策部品の静電気放電試験の試験回路である。デジタルオシロスコープ113は静電気対策部品111と並列に接続されている。静電気放電ガン112から静電気パルスを静電気対策部品111に直接印加した。その静電気パルスにより静電気対策部品111の空洞部102を介して放電用電極103、104間で放電して導通する、すなわち動作すると、静電気による電流の大部分はグランドへ流れる。放電用電極103、104間で放電して導通する電圧が静電気対策部品111の放電開始電圧である。デジタルオシロスコープ113により、静電気対策部品111で抑制された電圧を観測できる。観測した電圧を図6に示す。静電気パルスが印加される直後には高いピーク電圧が観測され、その後すぐに電圧は減衰する。このピーク電圧が抑制ピーク電圧である。すなわち、静電気対策部品111は印加された静電気パルスの電圧を抑制ピーク電圧に抑制している。抑制ピーク電圧が低いほど静電気対策部品は放電しやすく、優れている。
放電用電極103、104の表面の状態を評価するために、セラミック素体101の上面から放電用電極103、104の表面が露出するよう研磨した。X線光電子分光(XPS)分析法を用いて、露出した放電用電極103、104の表面をX線源Al−Kα、光電子取出角45゜、分析領域100μmφ、電圧25.9Wの条件で測定し、放電用電極103、104の表面において、酸素が結合しているタングステンの量と酸素が結合していないタングステンの量を検出し、検出したそれらの量からタングステンの酸化物の量を算出した。
また、上述の静電気放電試験を8kV−150pF−330Ωの条件で行い、静電気パルスを1000回まで繰り返して印加し、静電気対策部品111の絶縁抵抗値の変化を測定した。
図7は、静電気対策部品111のサンプルの金属層302、306(放電用電極103、104)の材料M1〜M5を示す。図8は、静電気対策部品111のサンプルの空洞部102を形成するための樹脂層303の樹脂ペーストR1〜R9の樹脂ビーズの直径と含有率を示す。樹脂ビーズはアクリルよりなる。図9は、静電気対策部品111のサンプルの空洞部102の長さと幅と、放電用電極103、104が対向する面積S101の組み合わせP1〜P5を示す。図10は、図7〜図9に示す放電用電極103、104と樹脂ペーストで形成されたサンプルの特性を示す。
図10は各サンプルでの、未焼結積層体308を焼成する焼成雰囲気ATM101〜ATM104と、空洞部102の高さすなわち放電用電極103、104間の距離D101(μm)と、放電用電極103、104間の静電容量値C101(pF)と、印加された静電気パルスの電圧Vp(kV)に対する抑制ピーク電圧Vpeak(V)と、放電用電極103、104の表面の金属酸化物の量A101(原子%)と、静電気放電(ESD)の回数に対する放電用電極103、104間の絶縁抵抗R101(Ω)とを示す。絶縁抵抗R101での「SC」は放電用電極103、104間のショートを示す。サンプルの未焼結積層体308を焼成雰囲気ATM101〜ATM104において、1250℃、2時間保持し焼成した。焼成雰囲気ATM104は窒素100体積%、水素0%である。焼成雰囲気ATM102は窒素99.9体積%、水素0.1体積%である。焼成雰囲気ATM103は窒素99.8体積%、水素0.2体積%である。焼成雰囲気ATM104は窒素99.0体積%、水素1.0体積%である。
サンプル1〜4は焼成雰囲気のみが互いに異なる。窒素100%、水素0%の焼成雰囲気ATM101で焼成したサンプル1は、電極103、104間でESDは発生するものの、電極103、104の表面において、酸素と結合したタングステンの量がタングステンの全量に対して6原子%も存在している。電極103、104の表面に酸化物が存在していると、表面での抵抗値が大きくなりESDが発生しにくくなる。したがって、サンプル1の放電開始電圧は8kVと高く、高電圧の静電気印加に対する抑制ピーク電圧が非常に高い。水素0.2体積%以上の焼成雰囲気で焼成されたサンプル3、4では、放電用電極103、104表面の酸素と結合したタングステンの量は2原子%を下回るようになり、放電開始電圧、抑制ピーク電圧はいずれも低く優れた特性を有する。焼成雰囲気の水素の濃度が大きい場合には、セラミック素体組成物が焼成時に還元されて絶縁性を失って半導体化する。そのセラミック組成物の種類や焼成温度によって焼成雰囲気中での水素の濃度の上限は変化するので、その上限は適宜決定する。
サンプル5〜8は放電用電極103、104の材料のみが互いに異なる。タングステンに銅を混合すると両者は合金化し、電極103、104の導電率の向上とともに融点は低下する。放電用電極103、104を構成する金属中のタングステン量が80重量%以上であるサンプル5、6では、ESDを1000回繰り返しても電極103、104間がショートしない。タングステン70重量%の電極103、104を有するサンプル7ではESDを500回繰り返すとショートした。白金よりなる電極103、104を有するサンプル8ではわずか50回のESDで電極103、104間がショートしている。ESDの際に空洞部102や電極103、104の温度は2500〜3000℃にまで上昇する。放電用電極103、104の融点がこの温度以上であれば、ESDを繰り返しても電極103、104はショートしない。
サンプル9〜12は放電用電極103、104が対向する対向面積S101のみが互いに異なる。対向面積S101が大きいサンプルではESDの繰り返しにより絶縁抵抗値が低下し、対向面積S101が小さいサンプルでは抑制ピーク電圧、放電開始電圧が高い。
対向面積S101が1.0mmより大きいサンプル11では、ESDを1000回繰り返した後の絶縁抵抗値が10Ω台と、ショートはしないものの低くなるので、対向面積S101は1.0mm以下であることが好ましい。また対向面積S101が0.01mmよりも小さいサンプル12では4kVの静電気でESDが発生しないので、対向面積S101は0.01mm以上が好ましい。
サンプル13〜20は空洞部102を形成する樹脂ペーストが異なる。樹脂ペースト中の樹脂ビーズの直径と含有率が変わると空洞部102の高さすなわち電極103、104間の距離D101が変わる。距離D101が小さくなると、ESDの繰り返しによって絶縁抵抗値が低下する。距離D101が5μmより小さいサンプル13、14では電極103、104間でショートはしないものの絶縁抵抗値は1×10Ω〜1×10Ωと低くなる。一方、距離D101が大きくなると、ESDが起こりにくくなり、抑制ピーク電圧が高くなる。距離D101が20μmを超えるサンプル19、20の抑制ピーク電圧は6kVの静電気に対して900V以上と高くなる。空洞部102の高さ、すなわち電極103、104間の距離D101は5〜20μmの範囲が好ましい。距離D101が16μmを超える20μmであるサンプル18では、抑制ピーク電圧は低いものの、4kVの静電気ではESDが発生しない。したがって、電極103、104間の距離D101は5〜16μmの範囲がより好ましい。
なお、抑制ピーク電圧をさらに低くするために、セラミック素体101に別の回路を形成しても良い。例えば、セラミック素体101にファインラインをパターニングしインダクタを形成しても良い。また、セラミック素体101の表面に抵抗ペーストを塗布、印刷することにより抵抗を形成してもよい。
未焼結積層体308を焼成する際の焼成雰囲気に含まれる水素は、放電用電極103、104の表面の酸化物を還元する。水素の代わりに、焼成雰囲気は放電用電極103、104(金属層302、306)の表面の酸化物を還元する一酸化炭素や亜硫酸ガス等の他の還元性ガスを含有してもよい。
(実施の形態2)
実施の形態2における静電気対策部品は、図1Aと図1Bに示す実施の形態1における静電気対策部品111と同じ構造を有する。実施の形態2における静電気対策部品では、放電用電極103、104はタングステンを80重量パーセント以上含有する金属で形成されており、タングステンの全量に対する酸素と結合したタングステンの量が2.0原子%以下である。タングステンの全量に対する酸素と結合したタングステンの量は0原子%であることが好ましいが、現実では0原子%より大きい場合が多い。
実施の形態2における静電気対策部品は、図2A〜図2Eに示す実施の形態1における静電気対策部品111の製造方法により製造できる。実施の形態2における静電気対策部品では、図2Dに示す未焼結積層体308は金属層302、306の表面の酸化物を還元する還元性ガスを含有する窒素雰囲気で焼成される。実施の形態2では還元性ガスとして水素を用いるが、他の還元性ガスを用いてもよい。
焼成後に、セラミック素体101の外形寸法が2.0mm×1.2mm×0.8mmとなるようにグリーンシートが設計されている。
次に、実施の形態2における静電気対策部品のサンプルを作製し、実施の形態1と同様に、図5に示す静電試験回路で、それらのサンプルに対してIEC−6100−4−2規格(4〜20kV−150pF−330Ω)で静電気放電試験を行った。また、実施の形態1と同様に、放電用電極103、104の表面において、酸素が結合しているタングステンの量と酸素が結合していないタングステンの量を検出し、検出したそれらの量からタングステンの酸化物の量を算出した。
また、上述の静電気放電試験を8kV−150pF−330Ωの条件で行い、静電気パルスを1000回まで繰り返して印加し、実施の形態2における静電気対策部品の絶縁抵抗値の変化を測定した。
図11は、図7に示す材料M1〜M5で形成されて、互いに異なる焼成雰囲気中で焼成された焼結積層体309を備えた実施の形態2における静電気対策部品のサンプルの特性を示す。
図11は各サンプルでの、未焼結積層体308を焼成する焼成雰囲気ATM101〜ATM104と、電極103、104が対向する対向面積S101(mm)と、空洞部102の高さすなわち放電用電極103、104間の距離D101(μm)と、放電用電極103、104間の静電容量値C101(pF)と、印加された静電気パルスの電圧Vp(kV)に対する抑制ピーク電圧Vpeak(V)と、放電用電極103、104の表面の金属酸化物の量A101(原子%)と、静電気放電(ESD)の回数に対する放電用電極103、104間の絶縁抵抗R101(Ω)を示す。絶縁抵抗R101での「SC」は放電用電極103、104間のショートを示す。サンプルの未焼結積層体308を焼成雰囲気ATM101〜ATM104において、1250℃、2時間保持し焼成した。焼成雰囲気ATM104は窒素100体積%、水素0%である。焼成雰囲気ATM102は窒素99.9体積%、水素0.1体積%である。焼成雰囲気ATM103は窒素99.8体積%、水素0.2体積%である。焼成雰囲気ATM104は窒素99.0体積%、水素1.0体積%である。
サンプル21〜24は焼成雰囲気のみが互いに異なる。窒素100%、水素0%の焼成雰囲気ATM101で焼成したサンプル21は、電極103、104間でESDは発生するものの、電極103、104の表面において、酸素と結合したタングステンの量がタングステンの全量に対して6原子%も存在している。X線光電子分光(XPS)分析法では、電極103、104の表面からわずか数nmの厚みの部分を分析しているに過ぎないので、電極全体の電気抵抗値にはほとんど影響しない。電極103、104の表面に酸化物が存在していると、表面での抵抗値が大きくなりESDが発生しにくくなる。したがって、サンプル21の放電開始電圧は15kVと高く、高電圧の静電気印加に対する抑制ピーク電圧が非常に高い。水素0.2体積%以上の焼成雰囲気で焼成されたサンプル23、24では、放電用電極103、104表面の酸素と結合したタングステンの量は2原子%を下回るようになり、放電開始電圧、抑制ピーク電圧はいずれも低く優れた特性を有する。焼成雰囲気の水素の濃度の上限はセラミックが焼成時に還元されない濃度であれば良く、特に限定しない。
サンプル25〜28は1.0mmの大きな対向面積を有すること以外にはサンプル21〜24とそれぞれ同じである。サンプル25〜28でも、サンプル21〜24と同様に、放電用電極103、104表面の酸素と結合したタングステンの量は2原子%を下回ると、放電開始電圧、抑制ピーク電圧はいずれも低く優れた特性を有する。
サンプル29〜32は放電用電極103、104の材料のみが互いに異なる。タングステンに銅を混合すると両者は合金化し、電極103、104の導電率の向上とともに融点は低下する。放電用電極103、104を構成する金属中のタングステン量が80重量%以上であるサンプル29、30では、ESDを1000回繰り返しても電極103、104間がショートしない。タングステン70重量%の電極103、104を有するサンプル31ではESDを500回繰り返すとショートした。白金よりなる電極103、104を有するサンプル32ではわずか50回のESDで電極103、104間がショートしている。ESDの際に空洞部102や電極103、104の温度は2500〜3000℃にまで上昇する。放電用電極103、104の融点がこの温度以上であれば、ESDを繰り返しても電極103、104はショートしない。
図12は、サンプル21〜24に印加された静電気パルスの電圧Vpに対する抑制ピーク電圧Vpeakを示す。図12に示すように、放電用電極103、104の表面をXPS分析法で測定した、酸素が結合しているタングステンの割合によって、放電開始電圧と抑制ピーク電圧が変わる。図12に示すように、酸素と結合したタングステンの量がそれぞれ2.0原子%、1.2原子%であるサンプル23、24が低い放電開始電圧と低い抑制ピーク電圧を示した。電極103、104の表面での酸化物の前述の作用を考慮すると、酸素と結合したタングステンの量が2.0原子%以下であれば、静電気対策部品は同様な効果を有すると考えられる。
なお、実施の形態1、2において、「上面」「真上方」等の方向を示す用語はグリーンシートや金属層や樹脂層等の静電気対策部品の構成部材の位置に依存する相対的な方向を示し、上下方向等の絶対的な方向を示すものではない。
本発明による静電気対策部品は、高電圧の静電気を繰り返し放電用電極に印加してもショートの恐れが少なく、高い信頼性を有するので、静電気対策が要求される各種機器、デバイスに有用である。
101 セラミック素体
102 空洞部
103 放電用電極(第1の放電用電極)
104 放電用電極(第2の放電用電極)
105 端子電極(第1の端子電極)
106 端子電極(第2の端子電極)
111 静電気対策部品
301 グリーンシート(第1のグリーンシート)
302 金属層(第1の金属層)
303 樹脂層
303C 樹脂ビーズ
303D ペースト状樹脂
304 グリーンシート(第3のグリーンシート)
305 グリーンシート(第4のグリーンシート)
306 金属層(第2の金属層)
307 グリーンシート(第2のグリーンシート)
308 未焼結積層体
310 グリーンシート(第3のグリーンシート)
310E 開口部
311 未焼結積層体
312 未焼結積層体

Claims (13)

  1. 内部に空洞部を有するセラミック素体と、
    前記空洞部に露出する部分を有して、前記セラミック素体に埋設された第1の放電用電極と、
    前記空洞部に露出してかつ前記第1の放電用電極の前記部分と所定の距離だけ離れて対向する部分を有して、前記セラミック素体に埋設された第2の放電用電極と、
    を備え、
    前記第1の放電用電極と前記第2の放電用電極は、タングステンを80重量パーセント以上含有する金属よりなり、
    前記第1の放電用電極と前記第2の放電用電極でのタングステンの全量に対して酸素と結合したタングステンの量が2.0原子%以下である、静電気対策部品。
  2. 前記第1の放電用電極と前記第2の放電用電極でのタングステンの全量に対して酸素と結合したタングステンの量が1.8原子%以下であり、
    前記第1の放電用電極の前記部分の面積と前記第2の放電用電極の前記部分の面積は0.01mm以上で1.0mm以下であり、
    前記所定の距離は5μm以上で16μm以下である、請求項1に記載の静電気対策部品。
  3. 前記第1の放電用電極と接続された第1の端子電極と、
    前記第2の放電用電極と接続された第2の端子電極と、
    をさらに備えた、請求項1に記載の静電気対策部品。
  4. 前記セラミック素体は、アルミナ、フォルステライト、ステアタイト、ムライト、コージライトのうちから選ばれる少なくとも一つのセラミック組成物を含有する、請求項1に記載の静電気対策部品。
  5. セラミック絶縁体からなる第1のグリーンシートの上面に、タングステンを80重量%以上含有する第1の金属層を形成するステップと、
    前記第1の金属層の上面に、樹脂ビーズとペースト状樹脂とを含有する樹脂層を形成するステップと、
    前記樹脂層の上面に、タングステンを80重量%以上含有する第2の金属層を形成するステップと、
    前記第2の金属層の上面に、セラミック絶縁体からなる第2のグリーンシートを形成するステップと、
    を含む、未焼結積層体を形成するステップと、
    還元性ガスを含有する窒素雰囲気で前記未焼結積層体を焼成するステップと、
    を含み、
    前記未焼結積層体を焼成するステップは、
    前記第1のグリーンシートと前記第2のグリーンシートとを焼結させてかつ前記樹脂ペーストを揮発させることにより、内部に空洞部を有するセラミック素体を形成するステップと、
    前記第1の金属層を焼成して、前記空洞部に露出する部分を有する第1の放電用電極層を形成するステップと、
    前記第2の金属層を焼成して、前記空洞部に露出してかつ前記第1の放電用電極の前記部分に所定の距離だけ離れて対向する部分を有する第2の放電用電極層を形成するステップと、
    を含む、静電気対策部品の製造方法。
  6. 前記窒素雰囲気は0.2体積%以上の前記還元性ガスを含有する、請求項5に記載の静電気対策部品の製造方法。
  7. 前記第1の放電用電極の前記部分の面積と前記第2の放電用電極の前記部分の面積は0.01mm以上で1.0mm以下であり、
    前記所定の距離は5μm以上で16μm以下である、請求項5に記載の静電気対策部品の製造方法。
  8. 前記還元性ガスは水素である、請求項5に記載の静電気対策部品の製造方法。
  9. 前記第1のグリーンシートの前記上面に前記第1の金属層を形成するステップは、前記第1のグリーンシートの前記上面の第1の部分が露出するように、前記第1のグリーンシートの前記上面の第2の部分上に前記第1の金属層を形成するステップを含み、
    前記第1の金属層の前記上面に前記樹脂層を形成するステップは、前記第1の金属層の前記上面の第1の部分が露出するように、前記第1の金属層の前記上面の第2の部分上に前記樹脂層を形成するステップを含み、
    前記未焼結積層体を形成するステップは、
    前記第1の金属層の前記上面の前記第1の部分上に、セラミック絶縁体からなる第3のグリーンシートを形成するステップと、
    前記第1のグリーンシートの前記上面の前記第1の部分上に、セラミック絶縁体からなる第4のグリーンシートを形成するステップと、
    をさらに含み、
    前記樹脂層の前記上面に前記第2の金属層を形成するステップは、前記樹脂層の前記上面と前記第4のグリーンシートの上面に前記第2の金属層を形成するステップを含み、
    前記第2の金属層の前記上面に前記第2のグリーンシートを形成するステップは、前記第2の金属層の前記上面と前記第3のグリーンシートの上面に前記第2のグリーンシートを形成するステップを含む、請求項5に記載の静電気対策部品の製造方法。
  10. 前記第1のグリーンシートはバインダ樹脂を含有し、
    前記第2のグリーンシートはバインダ樹脂を含有し、
    前記第3のグリーンシートは、前記第1のグリーンシートの前記バインダ樹脂の含有率と前記第2のグリーンシートの前記バインダ樹脂の含有率より大きい含有率でバインダ樹脂を含有し、
    前記第4のグリーンシートは、前記第1のグリーンシートの前記バインダ樹脂の含有率と前記第2のグリーンシートの前記バインダ樹脂の含有率より大きい含有率でバインダ樹脂を含有する、請求項9に記載の静電気対策部品の製造方法。
  11. 前記第1のグリーンシートの前記上面に前記第1の金属層を形成するステップは、前記第1のグリーンシートの前記上面の第1の部分が露出するように、前記第1のグリーンシートの前記上面の第2の部分上に前記第1の金属層を形成するステップを含み、
    前記第1の金属層の前記上面に前記樹脂層を形成するステップは、前記第1の金属層の前記上面の第1の部分が露出するように、前記第1の金属層の前記上面の第2の部分上に前記樹脂層を形成するステップを含み、
    前記未焼結積層体を形成するステップは、
    開口部を有する、セラミック絶縁体よりなる第3のグリーンシートを準備するステップと、
    前記開口部に前記樹脂層が位置するように、前記第1の金属層の前記上面の前記第1の部分上と、前記第1のグリーンシートの前記上面の前記第1の部分上とに前記第3のグリーンシートを形成するステップと、
    をさらに含み、
    前記樹脂層の前記上面に前記第2の金属層を形成するステップは、前記樹脂層の前記上面と前記第3のグリーンシートの上面の第1の部分上に前記第2の金属層を形成するステップを含み、
    前記第2の金属層の前記上面に前記第2のグリーンシートを形成するステップは、前記第2の金属層の前記上面と前記第3のグリーンシートの前記上面の第2の部分上に前記第2のグリーンシートを形成するステップを含む、請求項5に記載の静電気対策部品の製造方法。
  12. 前記第1のグリーンシートはバインダ樹脂を含有し、
    前記第2のグリーンシートはバインダ樹脂を含有し、
    前記第3のグリーンシートは、前記第1のグリーンシートの前記バインダ樹脂の含有率と前記第2のグリーンシートの前記バインダ樹脂の含有率より大きい含有率でバインダ樹脂を含有する、請求項11に記載の静電気対策部品の製造方法。
  13. 前記樹脂ビーズと前記ペースト状樹脂はアクリル系樹脂よりなる、請求項5に記載の静電気対策部品の製造方法。
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