JP2009194130A - 静電気対策部品 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、引出電極を構成する第1の電極の発熱および損傷を低減させることができ、かつ第2の電極のギャップ幅を狭くかつ精度良く形成でき、これにより、静電気の繰り返し印加に対して耐性があり、かつ静電気対策部品にかかるピーク電圧が低く静電気放電(ESD)の抑制特性が安定している静電気対策部品を提供することを目的とするものである。
【解決手段】本発明の静電気対策部品は、絶縁基板1の上面に設けられた一対の第1の電極2を比抵抗が小さい材料を用いて膜厚の厚い状態に構成し、かつ前記一対の第1の電極2間に位置して第2の電極3を設け、さらにこの第2の電極3を高融点金属からなる薄膜を積層した積層膜で構成するとともに、この第2の電極3にギャップ4を形成したものである。
【選択図】図1
【解決手段】本発明の静電気対策部品は、絶縁基板1の上面に設けられた一対の第1の電極2を比抵抗が小さい材料を用いて膜厚の厚い状態に構成し、かつ前記一対の第1の電極2間に位置して第2の電極3を設け、さらにこの第2の電極3を高融点金属からなる薄膜を積層した積層膜で構成するとともに、この第2の電極3にギャップ4を形成したものである。
【選択図】図1
Description
本発明は電子機器を静電気から保護する静電気対策部品に関するものである。
近年、携帯電話等の電子機器の小型化、高性能化が急速に進み、それに伴い電子機器に用いられる電子部品の小型化も急速に進んでいる。しかしながら、その反面、この小型化に伴って電子機器や電子部品の耐電圧は低下するもので、これにより、人体と電子機器の端子が接触した時に発生する静電気パルスによって機器内部の電気回路が損傷するのが増えてきている。これは静電気パルスによって1ナノ秒以下の立ち上がり速度でかつ数百〜数キロボルトという高電圧が機器内部の電気回路に印加されるからである。
従来から、このような静電気パルスへの対策として、静電気が入るラインとグランド間に対策部品を設ける方法がとられているが、近年では信号ラインの伝送速度が数百Mbps以上といった高速化が進んでおり、前記した対策部品の浮遊容量が大きい場合には信号品質が劣るため、より小さい方が好ましく、したがって、数百Mbps以上の伝送速度になると1pF以下の低静電容量の対策部品が必要になってくるものである。
このような高速伝送ラインでの静電気対策として、従来においては、対向する一対の引出電極間に形成されたギャップと引出電極の一部を過電圧保護材料層で覆うタイプの静電気対策部品が提案されている。
なお、この出願の発明に関する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献1が知られている。
特表2002−538601号公報
上記した対向する一対の引出電極間に形成されたギャップと引出電極の一部を過電圧保護材料層で覆うタイプの静電気対策部品における特性発現のメカニズムは、対向する一対の引出電極間のギャップに静電気による過電圧が印加された際に、対向する一対の引出電極間のギャップに位置する過電圧保護材料層中に散在する導電粒子間あるいは半導体粒子間に放電電流のようなものが流れ、それを電流としてグランドにバイパスさせるというものである。このタイプの従来の静電気対策部品では、静電気印加を繰り返し実施することにより、静電気をグランドにバイパスさせる特性が劣化する。静電気印加を繰り返した後に、静電気対策部品をX線透過顕微鏡などの非破壊分析手法で観察すると、対向する一対の引出電極間のギャップ長が、初期状態と比較して拡大していることがわかる。これは、静電気印加時に流れる電流により対向する一対の引出電極が発熱し、その熱によって一対の引出電極自身が損傷を受けるためであると考えられる。
上記した一対の引出電極自身の損傷を低減するには、2つの手法が考えられる。第1の手法は、一対の引出電極を低抵抗化して発熱を抑制する方法であり、また、第2の手法は、一対の引出電極に高融点材料を使用して熱による損傷を抑制する方法である。
第1の手法では、まず、一対の引出電極の膜厚を厚くする方法が考えられる。しかしながら、引出電極の膜厚を厚くした場合は、対向する一対の引出電極間のギャップを狭くかつ精度良く形成することが困難となるものである。一方、膜厚を固定した上で低抵抗化するためには、電極材料として比抵抗の小さいものを選択する必要がある。比抵抗の小さい電極材料の代表的なものとしては、金、銀、銅、アルミニウムがある。ところが、これらの比抵抗の差は1%未満に過ぎず、材料変更による抵抗低減効果は上記の損傷レベルを抑制できるほどには大きくない。
また、第2の手法では、タングステンやモリブデンといった高融点金属を用いることが考えられる。このタングステンやモリブデンは、比抵抗が小さいため、損傷抑制効果は大きいものである。しかしながら、これらは表面が酸化しやすいために、1ミクロン以下の薄い膜厚では、抵抗値が極めて大きくなり発熱量が増大するものである。これを防ぐために膜厚を厚くした場合には、前述したものと同様の理由により高精度のギャップの形成が困難になるものである。
本発明は上記従来の課題を解決するもので、引出電極を構成する第1の電極の発熱および損傷を低減させることができ、かつ第2の電極のギャップ幅を狭くかつ精度良く形成でき、これにより、静電気の繰り返し印加に対して耐性があり、かつ静電気対策部品にかかるピーク電圧が低く静電気放電(ESD)の抑制特性が安定している静電気対策部品を提供することを目的とするものである。
上記目的を達成するためには、本発明は以下の構成を有するものである。
本発明の請求項1に記載の発明は、絶縁基板と、この絶縁基板の上面に設けられた一対の第1の電極と、この一対の第1の電極間に位置するギャップと、このギャップを覆う過電圧保護材料層とを備え、前記一対の第1の電極を比抵抗が小さい材料を用いて膜厚の厚い状態に構成し、かつ前記一対の第1の電極間に位置して第2の電極を設け、さらにこの第2の電極を高融点金属からなる薄膜を積層した積層膜で構成するとともに、この第2の電極に前記ギャップを形成したもので、この構成によれば、一対の第1の電極を比抵抗が小さい材料を用いて膜厚の厚い状態に構成しているため、引出電極を構成する一対の第1の電極自体の抵抗を低減させることができ、これにより、静電気の印加時に流れる電流による発熱を抑制することができ、また、前記一対の第1の電極間に位置して第2の電極を設け、さらにこの第2の電極を高融点金属からなる薄膜を積層した積層膜で構成するとともに、この第2の電極に前記ギャップを形成しているため、静電気印加による電極の損傷を抑制しながら、第2の電極に10μm程度の狭いギャップを確実に精度良く形成することが可能となり、これにより、静電気の繰り返し印加に対して耐性があり、かつ静電気対策部品にかかるピーク電圧が低く静電気放電(ESD)の抑制特性が安定している静電気対策部品を得ることができるという作用効果を有するものである。
本発明の請求項2に記載の発明は、特に、第1の電極を金を主成分とする材料で構成するとともに、第2の電極を第1のチタン薄膜、タングステン薄膜、第2のチタン薄膜の順に積層した積層膜で構成したもので、この構成によれば、引出電極を構成する第1の電極を金を主成分とする材料で構成しているため、腐食されにくく耐硫化特性に優れたものを得ることができ、また、第2の電極を第1のチタン薄膜、タングステン薄膜、第2のチタン薄膜の順に積層した積層膜で構成しているため、タングステン薄膜の下部に位置する第1のチタン薄膜がタングステン薄膜の結晶性向上と抵抗値低減ならびに絶縁基板との密着性向上に寄与し、さらにタングステン薄膜の上部に位置する第2のチタン薄膜がタングステン薄膜の酸化を抑制するため、第2の電極は抵抗値が低く、かつ耐熱性に優れ、しかも酸化しにくい薄膜となり、そのため、この第2の電極にギャップを形成する場合、比較的低い出力のレーザーで第2の電極を切削することが可能となり、これにより、静電気対策部品にかかるピーク電圧が低く静電気放電(ESD)の抑制特性が安定している静電気対策部品を得ることができるという作用効果を有するものである。
以上のように本発明の静電気対策部品は、絶縁基板と、この絶縁基板の上面に設けられた一対の第1の電極と、この一対の第1の電極間に位置するギャップと、このギャップを覆う過電圧保護材料層とを備え、前記一対の第1の電極を比抵抗が小さい材料を用いて膜厚の厚い状態に構成し、かつ前記一対の第1の電極間に位置して第2の電極を設け、さらにこの第2の電極を高融点金属からなる薄膜を積層した積層膜で構成するとともに、この第2の電極に前記ギャップを形成したもので、一対の第1の電極を比抵抗が小さい材料を用いて膜厚の厚い状態に構成しているため、引出電極を構成する一対の第1の電極自体の抵抗を低減させることができ、これにより、静電気の印加時に流れる電流による発熱を抑制することができ、また、前記一対の第1の電極間に位置して第2の電極を設け、さらにこの第2の電極を高融点金属からなる薄膜を積層した積層膜で構成するとともに、この第2の電極に前記ギャップを形成しているため、静電気印加による電極の損傷を抑制しながら、第2の電極に10μm程度の狭いギャップを確実に精度良く形成することが可能となり、これにより、静電気の繰り返し印加に対して耐性があり、かつ静電気対策部品にかかるピーク電圧が低く静電気放電(ESD)の抑制特性が安定している静電気対策部品を得ることができるという優れた効果を奏するものである。
以下、本発明の一実施の形態における静電気対策部品について、図面を参照しながら説明する。
図1は本発明の一実施の形態における静電気対策部品の断面図を示したもので、1は絶縁基板、2は引出電極を構成する一対の第1の電極、3は第2の電極、4はギャップ、5は再上面電極、6は裏面電極、7は過電圧保護材料層、8は中間層、9は保護樹脂層、10は端面電極、11はニッケルめっき層、12は錫めっき層である。ここで第2の電極3は、第1のチタン薄膜3a、タングステン薄膜3b、第2のチタン薄膜3cを積層した3層構造となっているものである。
上記図1に示すように、本発明の一実施の形態における静電気対策部品は、アルミナ等の誘電率が50以下、好ましくは10以下の低誘電率材料を用いた絶縁基板1の上面に引出電極を構成する一対の第1の電極2を形成するとともに、この一対の第1の電極2間に位置して、高融点金属からなる薄膜を積層した積層膜で構成される第2の電極3を形成し、そして、この第2の電極3の中央部をレーザーで切断してギャップ4を形成し、その後、前記一対の第1の電極2の上に一対の再上面電極5を形成し、さらに前記絶縁基板1の裏面に一対の裏面電極6を形成し、その後、前記ギャップ4と第2の電極3の一部を覆うように少なくとも金属粉とシリコーン系樹脂からなる過電圧保護材料層7を設け、そしてまた、この過電圧保護材料層7の上に、少なくとも一種類以上の絶縁体粉とシリコーン系樹脂からなる中間層8を形成し、その後、この中間層8の上に、この中間層8を完全に覆うとともに、前記再上面電極5の一部を覆うように保護樹脂層9を形成し、さらにその後、前記絶縁基板1の両端部に前記一対の第1の電極2、再上面電極5および裏面電極6と電気的に接続される端面電極10を形成し、そして最後に、前記端面電極10の上に、バレルめっき法を用いてニッケルめっき層11と錫めっき層12を形成することによって構成しているものである。
次に、本発明の一実施の形態における静電気対策部品の製造方法について説明する。
図2(a)〜(d)、図3(a)〜(d)、図4(a)〜(e)、図5(a)〜(d)および図6(a)(b)は本発明の一実施の形態における静電気対策部品の製造方法を示す製造工程図であり、以下、この製造方法について説明する。なお、図2〜図5における(a)(c)および図6(a)は個片状の基板の断面図を示し、また図2(b)(d)、図3(b)(d)、図4(d)(e)、図5(b)(d)および図6(b)は個片状の基板の上面図を、図4(b)は個片状の基板の裏面図をそれぞれ示しているものである。
まず、図2(a)(b)に示すように、アルミナ等の誘電率が50以下、好ましくは10以下の低誘電率材料を900〜1300℃で焼成することにより得られる絶縁基板1を準備し、そしてこの絶縁基板1の上面に引出電極を構成する一対の第1の電極2を形成する。この図2(a)(b)には、静電気対策部品の個片サイズである長辺がL(mm)で短辺がW(mm)の矩形状の絶縁基板1が示されているもので、以下の製造工程の説明でもこの個片サイズの絶縁基板1を用いて説明しているが、実際の製造工程では、この個片サイズの絶縁基板1を多数個縦横に得ることができるシート状の絶縁基板を用いて、後述する端面電極の形成工程前に短冊状または個片状に分割するものである。
上記した第1の電極2は、図2(b)に示すようなパターンで、例えば金を主成分とする比抵抗の小さい材料を配置することにより形成する。この場合、金からなる導体ペーストをスクリーン印刷法により帯状に印刷し、そして850℃で45分間焼成することにより第1の電極2を形成することが、他の金系材料、例えば金系スパッタ等を選択するよりも生産性やコストの面から好ましいものである。なお、この第1の電極2の焼成後の厚みは2μm程度の比較的厚い状態に構成している。また、この第1の電極2は絶縁基板1の長辺側に余白を残して印刷しているものである。なお、引出電極を構成する一対の第1の電極2は金を主成分とする材料で構成するという表現をしているが、これは、金を用いて第1の電極2を構成した場合、何らかの不純物が混入している可能性があることを考慮して表現しているものであった、合金を意味するものではない。
次に、図2(c)(d)に示すように、前記一対の第1の電極2間に位置して、高融点金属からなる薄膜を積層した積層膜で構成される第2の電極3を形成する。この第2の電極3は、第1のチタン薄膜3aとタングステン薄膜3bと第2のチタン薄膜3cを順次スパッタリングすることにより、薄膜を3層積層して形成しているものである。なお、このスパッタリングはインライン方式のDCスパッタ装置を使用し、そして出力3KW、アルゴンガス圧0.5〜4.5mmTorrの成膜条件により30〜60分間成膜を行った。また、第2の電極3の幅Aは図2(d)に示すように第1の電極2の幅Bより大きくしているものである。
次に、図3(a)(b)に示すように、第2の電極3の略中央部をUVレーザーを用いて切断することにより、幅約10μmのギャップ4を形成する。ここで第2の電極3は、高融点金属材料をスパッタリングすることにより薄膜状態に形成されているため、その厚みは薄いもので、第1のチタン薄膜3aが約0.1μm、タングステン薄膜3bが約0.7μm、第2のチタン薄膜3cが約0.1μmであり、この場合、薄膜を3層積層した場合でも、金を主成分とする第1の電極2の厚みよりも薄いものである。したがって、比較的低い出力である0.2Wの出力のUVレーザーを用いてギャップ4を確実に精度良く形成することが可能となるものである。また、UVレーザーを用いて第2の電極3を物理的に切削することによってギャップ4を形成しているため、フォトリソプロセスによって引出電極を構成する第1の電極2にギャップを形成する場合とは異なり、第1の電極2を構成する金系の有機物ペースト中に含まれるガラスフリットがエッチング終了後にギャップの近傍に残存して耐湿性を悪化させることもなく、これにより、絶縁特性の劣化を防止することができるものである。
次に、図3(c)(d)に示すように、一対の第1の電極2の一部を覆うように、樹脂銀ペーストからなる一対の再上面電極5をスクリーン印刷法を用いて3〜20μmの厚みで印刷し、かつ100〜200℃で5〜15分間乾燥させることにより形成する。
次に、図4(a)(b)に示すように、絶縁基板1の裏面に、樹脂銀ペーストからなる一対の裏面電極6をスクリーン印刷法を用いて3〜20μmの厚みで印刷し、かつ100〜200℃で5〜15分間乾燥させることにより形成する。ここで裏面電極6は、絶縁基板1の短辺側を跨ぐ部分の幅を他の部分よりも狭くしているもので、すなわち、シート状の絶縁基板の個片領域に着目した場合、その両端部をT字型に形成しているものである。このような構成にすれば、一次分割ラインに相当する絶縁基板1の短辺側に沿ってダイシングを行うことにより短冊状基板に分割した際にバリが発生しにくいという効果が得られるものである。
次に、図4(c)(d)に示すように、ギャップ4と第2の電極3の一部を覆うように過電圧保護材料ペーストをスクリーン印刷法を用いて5〜50μmの厚みで印刷し、かつ150℃で5〜15分間乾燥させることにより過電圧保護材料層7を形成する。この過電圧保護材料層7を構成する過電圧保護材料ペーストは、平均粒径が0.3〜10μmで球状のNi,Al,Ag,Pd,Cu等のいずれかからなる金属粉とメチルシリコーン等のシリコーン系樹脂の混合物に適当な有機溶剤を加え、これらを3本ロールミルにより混練・分散させることによって作製するものである。
次に、図4(c)(e)に示すように、中間層用ペーストをスクリーン印刷法を用いて5〜50μmの厚みで前記過電圧保護材料層7を覆うように、とりわけギャップ4の上部に位置する過電圧保護材料層7とほぼ同じ大きさで完全に覆うように印刷し、かつ150℃で5〜15分間乾燥させることにより中間層8を形成する。この中間層8を形成する中間層用ペーストは、平均粒径が0.3〜10μmのAl2O3,SiO2,MgOあるいはこれらの複合酸化物等からなる絶縁体粉とメチルシリコーン等のシリコーン系樹脂の混合物に適当な有機溶剤を加え、これらを3本ロールミルにより混練・分散させることによって作製した。なお、ここでは十分な静電気耐量を得るために、過電圧保護材料層7と中間層8の乾燥後の厚みの和は30μm以上としている。なお、過電圧保護材料層7の厚みが十分厚く、静電気耐量が所望の条件を満たす場合は、中間層8は必ずしも形成する必要がないものである。
次に、図5(a)(b)に示すように、前記中間層8を完全に覆い、かつ両端に一対の第1の電極2と再上面電極5の端部が残った状態となるように、エポキシ樹脂、フェノール樹脂等からなる保護樹脂ペーストをスクリーン印刷法を用いて印刷し、かつ150℃で5〜15分間乾燥させ、その後、150〜200℃で15〜60分間硬化させることにより、保護樹脂層9を形成する。この場合、保護樹脂層9の乾燥後の厚みは15〜35μmとする。このように前記中間層8および過電圧保護材料層7を保護樹脂層9で完全に覆うようにすることにより、静電気パルス印加時に生じる最外層に位置する保護樹脂層9の絶縁劣化を防ぐことができるものである。
次に、図5(c)(d)に示すように、一次分割ラインに相当する絶縁基板1の短辺側に沿ってダイシングすることによって得られた短冊状基板の端面に、樹脂銀ペーストを塗布することによって第1の電極2、再上面電極5および裏面電極6と電気的に接続される端面電極10を形成する。
最後に、図6(a)(b)に示すように、二次分割ラインに相当する絶縁基板1の長辺側に沿って分割することによって得られた個片状基板の端面に、バレルめっき法を用いてニッケルめっき層11と錫めっき層12を形成すれば、本発明の一実施の形態における静電気対策部品を得ることができるものである。
上記製造方法によって製造された本発明の一実施の形態における静電気対策部品は、通常使用時(定格電圧下)においては、対向する第2の電極3に形成したギャップ4を覆う過電圧保護材料層7のシリコーン系樹脂が絶縁性を有するため、電気的にオープンになっている。しかしながら、静電気パルス等の高電圧が印加された場合には、過電圧保護材料層7中のシリコーン系樹脂を介して存在する金属粒子間で放電電流が生じてインピーダンスが著しく減少するため、本発明の一実施の形態における静電気対策部品はその現象を利用して静電気パルス、サージ等の異常電圧をグランドにバイパスさせるものである。
次に、上記のように構成した本発明の一実施の形態における静電気対策部品について、以下に示すような試験を実施した。図7に示すように、本発明の一実施の形態における静電気対策部品13の一方の端子をグランド14に接地するとともに、他方の端子から引き出した静電気パルス印加部15に静電気試験ガン16を接触させて静電気パルスを印加した。静電気試験の条件は放電抵抗を330Ω、放電容量を150pF、印加電圧を8kVとした。
図8は、図7に示す静電気試験の試験結果を示したグラフである。このグラフにおいて、横軸は静電気パルスを印加した繰り返し回数を示し、また縦軸はその際のピーク電圧を示す。なお、ピーク電圧の増加は電極の劣化を表すものである。
この図8は、(1)第1の電極2:レジネート金で構成した静電気対策部品(従来品)、(2)第1の電極2:金のギャップ幅50μmと第2の電極3:チタンのスパッタ膜厚0.7μmとを組み合わせた静電気対策部品、(3)第1の電極2:金のギャップ幅50μmと第2の電極3:タングステンのスパッタ膜厚0.7μmとを組み合わせた静電気対策部品、(4)第1の電極2:金のギャップ幅50μmと第2の電極3:チタンのスパッタ膜厚0.1μm、タングステンのスパッタ膜厚0.7μm、チタンのスパッタ膜厚0.1μmの薄膜3層を積層した積層膜とを組み合わせた静電気対策部品のそれぞれの試験結果を示したものである。
上記図8からも明らかなように、(2)の第1の電極2:金のギャップ幅50μmと第2の電極3:チタンのスパッタ膜厚0.7μmとを組み合わせた静電気対策部品は、チタンの室温での比抵抗が47.8μΩcmと高いため、第2の電極3の抵抗値も高くなり、そのため、繰り返し回数の初期においてピーク電圧が従来品に比べて高くなっているものである。この場合、チタンの融点は1725℃と高く、耐熱性に優れていることが予想されるが、上記したように比抵抗が高いため、高電圧の静電気パルスが印加された際に発生する熱量も多くなり、このため、繰り返し回数10回以上におけるピーク電圧も従来品とほとんど変わらず、繰り返し耐量も低いものと考えられる。一方、(3)の第1の電極2:金のギャップ幅50μmと第2の電極3:タングステンのスパッタ膜厚0.7μmとを組み合わせた静電気対策部品においては、タングステンの比抵抗が室温で5.6μΩcmと低く、かつ融点が3382℃と高いため、繰り返し回数の初期におけるピーク電圧は従来品と同等レベルであるが、繰り返し回数100回前後におけるピーク電圧は、タングステンが金に比べて耐熱性に優れているため、従来品に比べて低く、繰り返し耐量に優れているものである。しかしながら、繰り返し回数がさらに増えて1000回になると、従来品と同様に1000V以上のピーク電圧でも静電気対策部品が動作しなくなるもので、このことからも、静電気パルスが1000回以上繰り返し印加される極めて厳しい環境においては、電子回路を静電気から保護することが困難となるものである。
これに対し、本発明の一実施の形態における(4)第1の電極2:金のギャップ幅50μmと第2の電極3:チタンのスパッタ膜厚0.1μm、タングステンのスパッタ膜厚0.7μm、チタンのスパッタ膜厚0.1μmの薄膜3層を積層した積層膜とを組み合わせた静電気対策部品においては、繰り返し回数1〜1000回のすべての範囲において、従来品よりも低いピーク電圧で静電気対策部品が動作するもので、静電気パルスが繰り返し印加される厳しい環境においても、電子回路を静電気から保護する効果が極めて高いものである。この理由は、以下のように考えられる。
一般に、タングステンのスパッタ膜は、結晶格子間にスパッタ時のアルゴン粒子が取り込まれることや、膜厚の薄い領域では格子欠陥が多く結晶性が低くなることによって、膜質がバルクのタングステンに比べて劣っており、このため、スパッタ膜のタングステンはバルクのタングステンに比べて比抵抗が高くなるものである。そこで、第1のチタン薄膜をタングステン薄膜の下地に使用することによって、タングステン薄膜の結晶性を向上させる(抵抗値を低くする)ことができ、さらに、第2のチタン薄膜をタングステン薄膜の上に形成することによって、タングステン薄膜の酸化反応の進行を抑制して抵抗値が上昇するのを抑えることができるため、ギャップを形成する第2の電極3の抵抗値も低くなり、かつ耐熱性も高くすることができるものである。このように、第2の電極3を第1のチタン薄膜3a、タングステン薄膜3b、第2のチタン薄膜3cを積層した3層構造で構成することにより、繰り返し回数1〜1000回のすべての範囲において従来品よりも低いピーク電圧で静電気対策部品を動作させることができるため、電子回路を静電気から保護する効果が極めて高いものである。
なお、上記本発明の一実施の形態においては、引出電極を構成する一対の第1の電極2を金を主成分とする材料で構成するとともに、この一対の第1の電極2間に位置して設けられる第2の電極3を第1のチタン薄膜3a、タングステン薄膜3b、第2のチタン薄膜3cを積層した3層構造で構成したものについて説明したが、3層構造薄膜の中間に用いる薄膜材料はタングステン薄膜に限定されるものではなく、これ以外の融点が高く抵抗値の低い他の金属からなる薄膜、例えばモリブデン薄膜やタンタル薄膜を用いてもよく、そしてまた、上記3層構造薄膜の最上部に用いる薄膜材料はチタン薄膜に限定されるものではなく、3層構造の中間に用いられる薄膜の酸化防止効果を有する他の金属からなる薄膜、例えばニッケル薄膜を用いてもよいものであり、したがって、このような構成にした場合においても、上記した本発明の一実施の形態と同様の効果が得られるものである。
また、上記本発明の一実施の形態においては、第1の電極2の一部に重なるように再上面電極5を形成しているため、錫めっき層12と保護樹脂層9の隙間から流入する実装時のはんだが第1の電極2と直接接するということはなくなり、そしてはんだは再上面電極5と接するため、第1の電極2にはんだ食われ現象が生じて抵抗値が上昇し静電気抑制効果が低下するということもなく、静電気抑制効果が安定している静電気対策部品が得られるものである。
そしてまた、上記本発明の一実施の形態においては、絶縁基板1上に金レジネートペーストを印刷して焼成することにより第1の電極2を形成し、その後、第2の電極3をスパッタで形成する製造方法について説明したが、この順序を逆にして、絶縁基板1上に、まず、第2の電極3をスパッタで形成し、その後、金レジネートペーストを印刷して焼成することにより第1の電極2を形成するようにしてもよいものである。この場合は、図9の断面図で示したような静電気対策部品が得られるものである。なお、この図9においては、上記本発明の一実施の形態と同じ構成部品については、同一番号を付して、その説明は省略しているものである。
本発明に係る静電気対策部品は、引出電極を構成する第1の電極の発熱および損傷を低減させることができ、かつ第2の電極のギャップ幅を狭くかつ精度良く形成でき、これにより、静電気の繰り返し印加に対して耐性があり、かつ静電気対策部品にかかるピーク電圧が低く静電気放電(ESD)の抑制特性が安定しているという効果を有するものであり、特に電子機器を静電気から保護する微小サイズの静電気対策部品に適用することにより有用となるものである。
1 絶縁基板
2 第1の電極
3 第2の電極
3a 第1のチタン薄膜
3b タングステン薄膜
3c 第2のチタン薄膜
4 ギャップ
7 過電圧保護材料層
2 第1の電極
3 第2の電極
3a 第1のチタン薄膜
3b タングステン薄膜
3c 第2のチタン薄膜
4 ギャップ
7 過電圧保護材料層
Claims (2)
- 絶縁基板と、この絶縁基板の上面に設けられた一対の第1の電極と、この一対の第1の電極間に位置するギャップと、このギャップを覆う過電圧保護材料層とを備え、前記一対の第1の電極を比抵抗が小さい材料を用いて膜厚の厚い状態に構成し、かつ前記一対の第1の電極間に位置して第2の電極を設け、さらにこの第2の電極を高融点金属からなる薄膜を積層した積層膜で構成するとともに、この第2の電極に前記ギャップを形成した静電気対策部品。
- 第1の電極を金を主成分とする材料で構成するとともに、第2の電極を第1のチタン薄膜、タングステン薄膜、第2のチタン薄膜の順に積層した積層膜で構成した請求項1記載の静電気対策部品。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008032858A JP2009194130A (ja) | 2008-02-14 | 2008-02-14 | 静電気対策部品 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2008032858A JP2009194130A (ja) | 2008-02-14 | 2008-02-14 | 静電気対策部品 |
Publications (1)
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JP2009194130A true JP2009194130A (ja) | 2009-08-27 |
Family
ID=41075899
Family Applications (1)
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JP2008032858A Pending JP2009194130A (ja) | 2008-02-14 | 2008-02-14 | 静電気対策部品 |
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Country | Link |
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JP (1) | JP2009194130A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010147229A (ja) * | 2008-12-18 | 2010-07-01 | Tdk Corp | 静電気対策素子及びその複合電子部品 |
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2008
- 2008-02-14 JP JP2008032858A patent/JP2009194130A/ja active Pending
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JP2010147229A (ja) * | 2008-12-18 | 2010-07-01 | Tdk Corp | 静電気対策素子及びその複合電子部品 |
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