JPWO2010122732A1 - サージ吸収素子 - Google Patents

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Abstract

サージ吸収素子は、第1電極と、第2電極と、セラミック層とを有する。第2電極は第1電極に対向して設けられている。セラミック層は電圧非直線性特性を示す複数の結晶粒子で構成された多結晶体組織を有し、少なくとも一部が第1電極と第2電極に接している。セラミック層は内部に空隙を有し、この空隙における複数の結晶粒子の表出表面で表面放電を発現することで、第1電極と第2電極との間が通電される。

Description

本発明は電圧非直線性特性を示すセラミック層を有するサージ吸収素子に関する。
ICやLSI等の半導体デバイスは静電気放電(以下、ESDと称する)により破壊や特性低下が起こる。特に最近の半導体デバイスでは動作の高速化に伴い配線パターンが微細になっており、ESDに対する対策が重要になっている。このようなESD対策として、半導体デバイスの入出力端子のラインとグランドとの間にサージ吸収素子が取り付けられている。サージ吸収素子は静電気放電による高電圧(以下、ESD電圧と称する)のサージをバイパスさせて半導体デバイスを保護することができる。
図11に示すようにサージ吸収素子は、セラミック層41と、1対の内部電極42、43と、セラミック絶縁体44と、外部電極45、46とを有する。バリスタ特性を有するセラミック層41はZnOを主成分とする。内部電極42、43は互いに対向し、セラミック層41を挟み込んでいる。このようにしてバリスタ部が設けられている。セラミック絶縁体44はバリスタ部を被覆している。外部電極45、46はセラミック絶縁体44の両端に形成されている。内部電極42、43の一端はそれぞれセラミック絶縁体44の両端から露出し、外部電極45、46にそれぞれ電気的に接続されている。このようなサージ吸収素子は例えば、特許文献1に開示されている。
従来のサージ吸収素子を特に高速信号ラインに用いる場合、セラミック層41の静電容量成分によって高速信号の波形歪み等の品質劣化を引き起こす。そのためESD対策には極めて小さい静電容量のサージ吸収素子が用いられている。
サージ吸収素子の静電容量を小さくするためには、内部電極42、43がセラミック層41を介して互いに重なり合う領域を小さくする必要がある。このようにすると、静電気放電等の高電圧のサージが印加された場合、内部電極42、43が重なり合う領域での面積当りの電流密度が高くなる。そのため、バリスタ特性の低下やセラミック層41の破壊が生じ、抑制電圧の低電圧化が難しく、また静電気への耐性が低下する。
特開平11−3809号公報
本発明は、抑制電圧を低下したサージ吸収素子である。本発明のサージ吸収素子は、第1電極と、第2電極と、セラミック層とを有する。第2電極は第1電極に対向して設けられている。セラミック層は電圧非直線性特性を示す複数の結晶粒子で構成された多結晶体組織を有し、少なくとも一部が第1電極と第2電極に接している。セラミック層は内部に空隙を有し、この空隙における複数の結晶粒子の表出表面で表面放電を発現することで、第1電極と第2電極との間が通電される。この構成により抑制電圧を低くすることができる。
図1は本発明の実施の形態におけるサージ吸収素子の断面図である。 図2は図1に示すサージ吸収素子の製造に用いるセラミックグリーン体の透視図である。 図3は図1に示すサージ吸収素子の製造手順を示す斜視図である。 図4は本発明の実施の形態における他のサージ吸収素子の断面図である。 図5は抑制電圧の測定方法を示す模式図である。 図6は本発明の実施の形態におけるサージ吸収素子と比較するための他のサージ吸収素子の断面図である。 図7Aは静電気放電イミュニティ試験におけるサージ吸収素子がない場合のパルス波形図である。 図7Bは本発明の実施の形態におけるサージ吸収素子を用いた静電気放電イミュニティ試験におけるパルス波形図である。 図8は本発明の実施の形態における他のサージ吸収素子を用いた静電気放電イミュニティ試験におけるパルス波形図である。 図9は本発明の実施の形態におけるサージ吸収素子と比較するための他のサージ吸収素子を用いた静電気放電イミュニティ試験におけるパルス波形図である。 図10は本発明の実施の形態における他のサージ吸収素子の断面図である。 図11は従来のサージ吸収素子の断面図である。
図1は本発明の実施の形態におけるサージ吸収素子の断面図である。サージ吸収素子10は、外部電極22、23をセラミック積層体21の両端部の表面に設けたセラミック積層電子部品である。
セラミック積層体21には外層となるセラミック絶縁体20が設けられている。セラミック絶縁体20の内部にはセラミック層11と、第1電極である電極12と、第2電極である電極13とが設けられている。略一定厚みのセラミック層11は電圧非直線性特性を示す。内部電極である電極12、13の少なくとも一部はセラミック層11に接している。電極13は電極12に対向して設けられている。
セラミック層11と電極12、13とは積層されてバリスタ部18を形成しており、バリスタ部18はセラミック積層体21に埋め込まれている。電極12、13は略一定厚みを有するシート状の薄膜であり、PdやAg−Pd合金又はPtの金属材料が好適に用いられる。電極12、13はセラミック層11からセラミック積層体21の対向する2つの端面に向かってそれぞれ引き出され、セラミック積層体21の端面で外部電極22、23とそれぞれ電気的に接続されている。
シート状の電極12の主面12A、電極13の主面13Aの少なくとも一部は積層方向においてセラミック層11を挟み込んでいる。電極12と電極13とが互いに重なり合う領域を以降、ギャップ領域17と称する。ギャップ領域17における電極12、13はセラミック層11の積層面に当接し、電極12、13間は所定間隔で略平行に設けられている。このようにサージ吸収素子10は電極12、13と、セラミック層11とを有し、セラミック層11の少なくとも一部は電極12、13に接している。
サージ吸収素子10の公称外形寸法が長さ2.0mm×幅1.25mm×高さ1.25mm以下である場合、ギャップ領域17における電極12、13間の間隔は2μm〜50μmとすることが好ましい。すなわちセラミック層11の厚みは2μm〜50μmとすることが好ましい。このような小形・薄型のチップサージ吸収素子で良好なサージ吸収特性を実現することができる。また電極12、13の厚みは3μm以上とすることが好ましい。このような厚さとすることにより放電による電極12、13の焼失を防止し静電気への耐性を向上することができる。
セラミック層11は電圧に依存する非直線抵抗組成物であるバリスタ材料からなる。具体的には電圧非直線性特性を示す複数の結晶粒子で構成された多結晶体組織を有する。このような結晶粒子は例えばZnOを主成分とする。複数の結晶粒子で構成された多結晶体組織は電極12、13間で連接する構造を有している。
またセラミック層11は内部に空隙14を有する多孔質構造である。ESD電圧が印加されると電極12、13における空隙14と接触する部分が放電の起点となってセラミック層11の内部の空隙14内に放電が発現しESDのサージ電流の通電経路が形成されると考えられる。より詳細には、セラミック層11の内部の通電経路は、バリスタ材料の結晶粒子における空隙14に接する表面を、結晶粒界を介して伝わる表面放電が発現することによって形成されると考えられる。すなわち、空隙14における結晶粒子の表出表面24で表面放電を発現することで電極12と電極13との間が通電されると考えられる。この表面放電によって気体放電に比べ低いESD電圧からESD吸収が生じて抑制電圧を低電圧にすることができると考えられる。
バリスタ材料はZnOの他に副成分としてSr、Ca、Ba、Co、Cr、Mn、Al等のZnOの融点以上を有する元素を含有することが好ましく、熱的安定性に優れ静電気への耐性が向上する。なおセラミック絶縁体20の比誘電率はセラミック層11より小さいことが好ましい。これによりサージ吸収素子10の浮遊容量を低減でき静電容量を小さくすることができる。
上述のようにセラミック層11の内部で、空隙14における結晶粒子の表出表面24で表面放電を発現するためには、具体的には次の条件を満たす必要がある。
まずセラミック層11の空隙率が25体積%以上、92体積%以下であるか、あるいは空隙14は電極12、13間を連通する貫通空隙を含むかの少なくともいずれかを満たす。
セラミック層11の空隙率が25体積%以上、92体積%以下であれば、ESD電圧が印加されたときの抑制電圧が低くなり、結晶粒子の表出表面24で表面放電を発現しやすくなると考えられる。ここで空隙率はセラミック層11の体積に占める空隙14の体積総和の割合を示す。
一般的なサージ吸収素子では、バリスタ材料の空隙率は約10体積%、もしくはそれ以下である。これに対しセラミック層11の空隙率は25体積%〜92体積%と高い。そのためESDによりバリスタ材料が劣化して低抵抗化しても、この劣化の拡大が生じ難くなる。その結果、上記一般的なサージ吸収素子に比べて静電気への耐性が向上する。なおセラミック層11の空隙率はより好ましくは55体積%以上、92体積%以下であり、さらに好ましくは64体積%以上、87体積%以下である。このように空隙率の範囲を限定すると抑制電圧を著しく低電圧にでき、さらに静電気への耐性を高めることができる。なお、空隙率が92体積%を超えるとセラミック層11の多結晶体組織を電極12、13間で連接させることが困難になりセラミック層11の内部で表面放電による通電経路が形成できない。
空隙14が電極12、13間を連通する貫通空隙を含む場合、電極12、13間で連続した表面放電が生じ易く抑制電圧を著しく低くできる。また表面放電によりバリスタ材料への電気的負荷が低減されてESD電圧によるバリスタ材料の組織破損が生じにくくなる。そのため静電気への耐性が向上する。
電極12、13間を連通する貫通空隙は、空孔同士が立体的に交錯して繋がっている3次元網目構造、直線状または屈曲状の貫通孔の少なくとも何れかを有している。
なお電極12、13間を連通する空隙14がない場合、セラミック層11の内部の近接する2つの空隙14の間のバリスタ材料を電気的印加により破壊し除去して、これらの空隙14間に貫通孔を形成する。あるいは空隙14の間のバリスタ材料を電気的に破壊し低抵抗体を形成する。この貫通孔または低抵抗体を介してセラミック層11の内部の空隙14内で表面放電による通電経路が容易に形成される。そのため抑制電圧を安定化することができる。この低抵抗体の抵抗値は破壊前の高抵抗状態での結晶粒子間の抵抗値の1/3以下が好ましい。
セラミック層11のギャップ領域17における積層面では、空隙14の複数の開口面15、16がシート状の電極12、13の主面12A、13Aに塞がれている。そのため開口面15、16と接触する電極12、13の主面12A、13Aの平面部分が放電の起点となってセラミック層11の内部に放電が生じる。その結果、ESDによる電極12、13内の電流密度の集中が低減され、放電による電極12、13の焼損磨耗が低減される。そのため、一対の電極の端面同士が近接して端面間で放電ギャップを有する構造のサージ吸収素子に比べて、ESD電圧が繰返し印加されても、抑制電圧の増加を低減できる。
もう1つの条件として、次の少なくともいずれかを満たす必要がある。
(1)ZnOを主成分とする結晶粒子の結晶粒界に、p型半導体であるペロブスカイト構造の固溶体が存在する。
(2)ZnOを主成分とする結晶粒子の結晶粒界に、組成式ABOで表されるペロブスカイト構造の固溶体が存在する。ここでAサイトはアルカリ土類金属のSr、Ca、Baの少なくとも一種であり、Bサイトは遷移金属のCo、Mn、Crの少なくとも一種である。
結晶粒界をこのいずれかで構成することによって、結晶粒子の表出表面24において比較的低いESD電圧で表面放電が生じやすい。そのため抑制電圧を低電圧にすることができる。また熱的安定性に優れるため静電気への耐性を高くすることができる。
なお上記(2)の場合、副成分であるAサイトがSr、Ca、Baの少なくとも一種で、BサイトがCo、Mn、Crの少なくとも一種とするペロブスカイト構造の固溶体の含有量は、主成分のZnOと副成分との総量に対し0.3mol%以上、15mol%以下であることが好ましい、より好ましくは0.3mol%以上、10mol%以下であり、抑制電圧の低電圧化ができかつ静電気への耐性を向上することができる。
以上のように、セラミック層11の空隙率が25体積%以上、92体積%以下であるか、あるいは空隙14は電極12、13間を連通する貫通空隙を含むかの少なくともいずれかを満たす。そして結晶粒界に上記いずれかのペロブスカイト構造の固溶体を形成する。この2つの条件を満たすことで、空隙14における結晶粒子の表出表面24で表面放電が発現され、電極12と電極13との間が通電されると考えられる。
次にサージ吸収素子10の製造方法について、図2、図3を参照しながら説明する。図2は本実施の形態におけるセラミックグリーン体の透視図、図3はこの積層グリーンシートの製造手順を示す斜視図である。
まず電圧非直線性特性を発現するセラミック粉体と、有機バインダーと、溶剤と、より好ましくはさらに樹脂粒子30とを均一に混合する。このようにしてセラミックスラリー又はセラミックペーストを調製する。またセラミックスラリー又はセラミックペーストに可塑剤等を含有させてもよい。
樹脂粒子30は約600℃以下で熱分解が完了する高分子材料で形成されている。好ましくは熱可塑性樹脂が用いられる。樹脂粒子30は球状又は楕球状の形状の少なくともいずれかを用いることができ、真球状としてもよい。球状又は楕球状の形状は例えば粒子数の95%以上において最長径aと最短径bの比a/bの値が1.25以下であるものが挙げられる。
次に図3に示すように外層グリーンシート32Aの上に導電ペーストをスクリーン印刷法等により塗布・乾燥して所定形状の薄膜の導電基体33を形成する。後述する焼成後に外層グリーンシート32Aはセラミック絶縁体20となり、導電基体33は電極13となる。
次に外層グリーンシート32Aと導電基体33との上にセラミックグリーン体31と外層グリーンシート32Bとを形成する。その後、セラミックグリーン体31の上に導電ペーストを用いて導電基体34を形成する。続いて外層グリーンシート32Cを積層する。後述する焼成後に外層グリーンシート32B、外層グリーンシート32Cはセラミック絶縁体20となり、導電基体34は電極12となる。またセラミックグリーン体31はセラミック層11となる。
セラミックグリーン体31は図2に示すように樹脂粒子30を複数個含有している。セラミックグリーン体31はセラミックスラリーをドクターブレード法・リバースロールコーター法等で成形するか、又はセラミックペーストをスクリーン印刷・グラビア印刷等で成形することにより導電基体33の上に形成される。
なお、外層グリーンシート32Bを用いずに外層グリーンシート32Aと導電基体33との上にセラミックグリーン体31を形成した後、セラミックグリーン体31と外層グリーンシート32A上に導電基体34を形成してもよい。
このようにセラミックグリーン体31と導電基体33、34とを接触させて一体に形成する。セラミックグリーン体31と導電基体33、34とは焼成後にバリスタ部を形成する。
続いて有機バインダーや樹脂粒子30が焼失可能な温度に昇温してこの積層体を熱処理することにより、セラミックグリーン体31に含まれる有機バインダーと樹脂粒子30を分解・除去して空隙14を有するセラミック層11を形成する。
このようにセラミックスラリー又はセラミックペーストに複数個の樹脂粒子30を含有することにより、セラミック層11の結晶粒子が連接して空隙14に接する構造を形成し易くなる。その結果、抑制電圧を低くすることができる。
また樹脂粒子30を用いることによりギャップ領域17の電極12、13の主面12A、13Aに分散して空隙14の開口面15、16が形成される。そのため、ESDによる電極12、13内の電流密度の集中を低減することができ放電による電極12、13の焼損磨耗を防止し抑制電圧を低くすることができる。
セラミックスラリー又はセラミックペーストに含有された樹脂粒子30の、セラミック粉体と樹脂粒子との体積の総和に対する体積比率は10体積%以上、80体積%以下であることが好ましい。これにより抑制電圧を著しく低くすることができる。
また樹脂粒子30の平均粒子径は、セラミック粉体の平均粒子径より大きいことが好ましい。これによりセラミック層11の結晶粒子が連接して空隙14に接する構造をより形成し易くなり抑制電圧を低電圧化することができる。また樹脂粒子30の平均粒子径はセラミック層11の厚み以下であることが好ましい。ここで平均粒子径は粒度分布測定装置で測定した累積分布50%(D50)の値である。
このようにセラミックグリーン体31と電極12、13となる導電基体33、34とを接触させて一体に形成した後、有機バインダーおよび樹脂粒子30を消失させて空隙14を形成する。このようにして図1の構造を形成でき、電極12、13における空隙14の開口面15、16に接する部分が放電の起点となって空隙14内の表面を沿う放電経路を形成できる。そのため抑制電圧を著しく小さくすることができる。
続いて空隙14が形成された熱処理後の積層体をチップ化した後、さらに焼成して電圧非直線性特性を示すセラミック層11を有するセラミック積層体21を形成する。
次に銀、銅等の導電粒子を含有するペーストをセラミック積層体21の両端部に塗布した後、焼き付けて下地電極を形成する。この下地電極の上に錫等のメッキを施して外部電極22、23を形成する。以上のようにしてサージ吸収素子10が完成する。
なお本実施の形態による他の例として、図4に示すような構造のサージ吸収素子110を挙げることができる。サージ吸収素子110は、支持基体となるセラミック絶縁体120と、シート状の電極112、113と、セラミック層111と、絶縁性樹脂121と、外部電極122、123とを有する。電極112、113はセラミック絶縁体120の平面上にギャップ領域117を設けて積層され、ギャップ領域117においてセラミック層111の少なくとも一部が電極112、113に挟み込まれてバリスタ部を形成している。
絶縁性樹脂121はセラミック絶縁体120の上面側に設けられ、バリスタ部を被覆している。外部電極122、123はセラミック絶縁体120の両端に設けられ、電極112、113とそれぞれ電気的に接続されている。
図示していないが、セラミック層111は図1に示すセラミック層11と同様の構造を有する。すなわち、セラミック層111は電圧非直線性特性を示す複数の結晶粒子で構成された多結晶体組織を有する。そしてセラミック層111の空隙率が25体積%以上、92体積%以下であるか、セラミック層111は電極112と電極113との間を連通する貫通空隙を有するか、の少なくとも一方である。さらに複数の結晶粒子はZnOを主成分とし、複数の結晶粒子の結晶粒界にp型半導体であるペロブスカイト構造の固溶体が存在する。または複数の結晶粒子はZnOを主成分とし、複数の結晶粒子の結晶粒界に組成式ABOで表されるペロブスカイト構造の固溶体が存在する。AサイトはSr、Ca、Baの少なくとも一種であり、BサイトはCo、Mn、Crの少なくとも一種である。
このようにバリスタ部をセラミック絶縁体以外に絶縁性樹脂121で覆っても、同様の効果を奏する。
以下、図1に示したサージ吸収素子10の具体的な例を用いて本実施の形態の効果を説明する。
(実施例1〜実施例7)
まずセラミック層11の出発原料として、主成分であるZnOと副成分であるSrCOとCoの酸化物粉末を準備する。そしてセラミック層11の組成が(ZnO)0.97・(SrCoO0.03の組成比になるように出発原料を秤量する。
これらの出発原料粉末をポリエチレン製ボールミルに入れ、安定化ジルコニア製の玉石および純水を加え約20時間混合した後、脱水乾燥し乾燥粉末を調製する。次にこの乾燥粉末を高純度アルミナ質のルツボに入れて約750℃にて2時間仮焼し仮焼粉末を調製する。さらにこの仮焼粉末及び安定化ジルコニア製の玉石と純水とをポリエチレン製ボールミルに入れ約20時間粉砕した後、脱水乾燥して平均粒子径が0.7μmのZnOを主成分とするセラミック粉体を調製する。
次にこのセラミック粉体と、樹脂粒子30と、有機バインダーと、可塑剤と、溶剤とを混合してセラミックペーストを調製する。樹脂粒子30として、平均粒子径が2μmの真球状のアクリル樹脂を用いる。すなわちセラミック粉体の平均粒径に対する樹脂粒子30の平均粒径の比は2.85である。有機バインダーとしてはアルキッド樹脂を用い、可塑剤としてはフタル酸エステルを用いる。有機バインダーは液状又は低粘性状で含有されている。溶剤としてはアクリル樹脂を膨潤させない又は膨潤作用が小さい材料を用いる。
実施例1〜実施例7のセラミックペースト中の樹脂粒子30の含有量は、体積比率でそれぞれ50体積%、10体積%、20体積%、40体積%、70体積%、80体積%、5体積%とする。なお、セラミック粉体と樹脂粒子30との体積の総和に対する有機バインダーの体積の総和の比を一定にして有機バインダーを配合する。この配合を重量比で表すと例えば、実施例1のセラミックペーストは、セラミック粉体と樹脂粒子30との総和100重量部に対し有機バインダーを30重量部、可塑剤を8重量部、溶剤を25重量部配合する。
続いて図3に示す外層グリーンシート32A、32B、32Cと導電基体33、34を形成する導電ペーストを準備する。外層グリーンシートはアルミナ粒子とホウケイ酸ガラスを含有する低温同時焼成セラミックス(LTCC)シートであり焼成後の比誘電率は約10である。導電ペーストはAg/Pdが70/30の重量比であるAg−Pd合金の粉末と有機バインダーとセラミックペーストと同じ溶媒とを混合して調製する。
次に外層グリーンシート32Aの上に導電ペーストをスクリーン印刷法により塗布・乾燥して厚さ5μm〜10μmの所定のパターンの薄膜の導電基体33を積層する。さらに外層グリーンシート32Bを外層グリーンシート32Aと導電基材33上に積層する。続いてスクリーン印刷法によりセラミックペーストを外層グリーンシート32Bの矩形状の貫通孔に充填させるように塗布・乾燥して溶剤を蒸発させてセラミックグリーン体31を導電基体33上に積層する。
次にセラミックグリーン体31の外表面である積層面35上に導電ペーストをスクリーン印刷法により塗布・乾燥して導電基体34を積層しセラミックグリーン体31を介して導電基体33と導電基体34とを重ねる。
続いて外層グリーンシート32Cを導電基体34上に積層した後、圧着して積層グリーンシートを形成し、この積層グリーンシートを個片に切断しグリーンチップを作製する。
次に大気中で一定の速度で昇温させ500℃で5時間保持してグリーンチップに熱処理を施す。この熱処理により脱バインダーを行うと共にセラミックグリーン体31に含有する樹脂粒子30を分解・除去し空隙14を形成する。この熱処理は、400℃〜600℃で、この温度の保持時間を1時間〜10時間の範囲で調整して行う。
次に空隙14が形成されたグリーンチップを耐熱性のジルコニアのサヤに入れる。そして焼成温度900℃〜1100℃の酸素雰囲気中で保持時間30分〜5時間の範囲で焼成温度・保持時間を調整して焼成する。このようにして厚さ7μmのセラミック層11を有する長さ0.6mm×幅0.3mm×高さ0.3mmのセラミック積層体21を形成する。このとき電極11、12のギャップ領域17の、積層面に沿う断面は長さ100μm×幅100μmの矩形形状である。またセラミック層11の結晶粒界にはSrCoOの固溶体が存在し、結晶粒界はp型半導体となっている。このような固溶体の存在は高分解能透過型電子顕微鏡(HRTEM)等で確認できる。また結晶粒界がp型半導体であることは走査型非線形誘電率顕微鏡(SNDM)等で確認できる。
さらにセラミック積層体21の両端部に、銀ペーストを塗布・乾燥した後、600℃〜800℃の温度で銀ペーストを焼き付ける。次に焼き付けた銀ペーストの表面にニッケル層と錫層を電気めっきで順次形成して外部電極22、23を形成し、図1に示すサージ吸収素子10を作製する。
(実施例8〜実施例10)
実施例8〜実施例10では、実施例1のセラミックペーストに樹脂粒子を含有させずに有機バインダーの含有量を変えて実施例1のセラミック粉体及び有機バインダーと可塑剤と溶剤とを混合したセラミックペーストを用いる。これ以外は実施例1と同様にサージ吸収素子10を作製する。
(比較例1)
比較例1では、実施例8〜実施例10と同様にセラミックペーストに樹脂粒子を含有させない。そして実施例9より有機バインダーの含有量を少なくして実施例9のセラミック粉体及び有機バインダーと可塑剤と溶剤とを混合したセラミックペーストを用いる。これ以外は実施例9と同様にサージ吸収素子を作製する。
(比較例2)
比較例2のサージ吸収素子では、図6に示すように電極12、13に電気的に接続する外部電極22、23をセラミック積層体52の両端に設ける。電極12、13間の間隔7μmのギャップ領域において対向する電極12、13の主面間の全体に空洞51が形成されている。空洞51はセラミック絶縁体20に覆われて放電ギャップを構成している。すなわち、比較例2ではセラミック粉体を含有させないで実施例1の樹脂粒子30及び有機バインダーと可塑剤と溶剤とを混合したセラミックペーストを用いた以外は実施例1と同様にサージ吸収素子を作製する。
次に実施例1〜10及び比較例1の各試料についてセラミック層11における電極13、14間を連通する貫通空隙の有無を調べる。具体的にはクロスセクションポリッシャ(CP)法で電極13、14間のセラミック層11をArイオン研磨し、その研磨断面を観察することで評価する。
また実施例1〜10及び比較例1〜2の各試料のサージ吸収素子について静電容量及び抑制電圧、静電気への耐性の電気特性を評価する。
静電容量は各試料10個について測定周波数1MHz、測定電圧1Vrms、無DCバイアスで測定し平均値を求める。抑制電圧については各試料10個について2kV、8kV、12kVの3水準のESD電圧を順次印加したときの抑制電圧を測定し各ESD電圧での平均値を求める。
抑制電圧はIEC61000−4−2に準じる静電気放電イミュニティ試験に基づき図5に示す測定装置にて評価する。測定装置では評価基板に搭載された評価試料のサージ吸収素子10が、ライン82とGND83の間に接続される。そして静電気シミュレータに接続される放電ガン84から所定のESD電圧を有する静電気パルスがサージ吸収素子10の前段側のライン82に出力される。サージ吸収素子10が動作すると静電気パルスはGND83へとバイパスされて吸収され、その結果、サージ吸収素子10の後段側のライン82のパルス成分は抑制される。この後段側のパルス波形をオシロスコープ85で観測してパルス波形のピーク電圧値を抑制電圧とする。静電気シミュレータは充電容量が150pFと放電抵抗が330Ωであり、オシロスコープ85は50Ω系で観測する。
図7A〜図9はESD電圧8kVの静電気放電イミュニティ試験において、オシロスコープ85で観測したパルス波形図である。横軸は時間(nsec)、縦軸は電圧(V)を示している。図7Aはサージ吸収素子10を取り付けない場合のパルス波形図であり、図7Bは実施例1、図8は実施例8、図9は比較例1のパルス波形図をそれぞれ示している。
静電気への耐性はESD繰返し試験を各試料10個について行って評価する。ESD繰返し試験では前述の静電気放電イミュニティ試験に準じるESD電圧印加を繰返し行う。すなわち、抑制電圧を評価する静電気シミュレータを用いて放電ガン84から12kVのESD電圧の静電気パルスをサージ吸収素子10に繰り返して印加し、サージ吸収素子10の絶縁抵抗値が100kΩ以下になったときのESD電圧の印加の繰り返し回数の平均値を求める。この結果を(表1)に示す。
Figure 2010122732
(表1)に示すように、実施例1〜実施例6のように樹脂粒子30の体積比率が10体積%〜80体積%のセラミックペーストを用いた場合、セラミック層11の空隙率は55体積%〜92体積%となる。この場合、電極13、14間を連通する貫通空隙がセラミック層11の内部に存在している。
一方、空隙率が5体積%の比較例1には電極13、14間を連通する貫通空隙がセラミック層内にない。また実施例7〜実施例10のように樹脂粒子30の体積比率が0体積%〜5体積%のセラミックペーストを用いた場合、セラミック層11の空隙率は25体積%〜55体積%となる。ただし、これらの試料のセラミック層11にも電極13、14間を連通する貫通空隙がない。
またセラミック層の空隙率が51体積%〜92体積%である実施例1〜実施例9では、空隙率が5体積%の比較例1や100体積%の比較例2に比べ、ESD電圧8kVのとき抑制電圧が著しく低くなっている。さらにESD電圧を12kVに高めても抑制電圧の増加が小さい。このように実施例1〜実施例9は優れたESD吸収特性を示す。
また空隙率が25体積%の実施例10でも、ESD電圧が2kVのときには抑制電圧が低くなっている。
特に、貫通空隙が形成されている実施例1〜実施例6では、ESD電圧が2kVでの抑制電圧に対するESD電圧が12kVでの抑制電圧の比が1.10以下となっている。このように他の試料に比較しESD電圧が12kVでの抑制電圧の増加が極めて小さくなっている。またESD繰返し試験においても静電気への耐性が優れていることがわかる。特に空隙率が64体積%〜87体積%の場合(実施例1、3〜5)、静電気への耐性が著しく改善されている。
空隙率が同じで、貫通空隙がない実施例7と貫通空隙がある実施例2とを比較すると、ESD電圧が2kVでの抑制電圧は実施例7が216Vに対し実施例2は168Vである。このように貫通空隙がある実施例2の抑制電圧がより低くなっている。さらにESD電圧が8kVでの抑制電圧は実施例7が372Vに大きく上がっているのに対し実施例2では178Vである。このように貫通空隙がある実施例2の抑制電圧の増加は極めて小さくなっている。また実施例2ではESD電圧が12kVの抑制電圧が179Vであり、ESD電圧が2kVに対するESD電圧が12kVの抑制電圧の比が1.07となっている。すなわち、ESD電圧が12kVでもESD電圧が2kVの場合とほぼ同様な抑制電圧が得られている。また静電気への耐性については実施例7が350回であるが実施例2は716回であり、静電気への耐性が著しく向上されている。
比較例1の場合はESD電圧が印加されるとバリスタ材料の電圧非直線性特性によってESD吸収が生じる。そのため、例えばESD電圧8kVの抑制電圧は684Vとなり実施例の表面放電によるESD吸収に比べ抑制電圧が高くなっている。またESD電圧が高くなるとバリスタ材料の組織に損傷が生じやすく静電気への耐性が極めて小さい。
比較例2では放電ギャップ中の気体放電によってESD吸収が生じる。そのため、抑制電圧はESD電圧8kV、12kVでそれぞれ1046V、1320Vとなり実施例に比べ著しく高くなっている。
このような違いは、セラミック層の内部の空隙における結晶粒子の表出表面での表面放電の有無によるものと考えられる。すなわち、実施例1〜実施例10ではセラミック層11の内部の空隙における結晶粒子の表出表面で表面放電が発現していると考えられる。
また比較例1の静電容量は0.60pFであるのに対し、実施例1〜実施例10では0.04pF〜0.43pFと小さくなっている。そのため高周波信号の伝送特性への影響をより小さくできる。このように実施例1〜実施例10では静電容量を小さくしつつ抑制電圧を著しく低くすることができ、さらに静電気への耐性を改善することができる。また空隙率が64体積%〜92体積%のように高くなるとさらに静電容量を小さくすることができる。
さらに、静電気放電イミュニティ試験での波形を見ると、サージ吸収素子のない図7Aに示す波形は最初のピークで最大値のピークAと、ピークAに続いて高い値のピークBとを有している。
これに対し、実施例1の図7B、実施例8の図8では、ピークAに対応するタイミングで最大のピークC、ピークDがそれぞれ発生しているが、図7AのピークBに対して相似性がある波形が見られない。すなわち、ピークBに対応する時間にはピークC、ピークDの次に高いピークが見られない。このような波形となるのはセラミック層11の内部の空隙14で表面放電が生じているためと考えられる。
一方、比較例1の図9は図7Aとの相似性が比較的高く、ピークAに対応するタイミングで最初に発生するピークEと、ピークBに対応する時間でピークEの次に高い値のピークFが現れている。
(実施例11、実施例12)
実施例11、実施例12では、実施例1とは平均粒径が異なるアクリル樹脂製の樹脂粒子30を用いた以外は実施例1と同様にサージ吸収素子を作製する。実施例11、実施例12の樹脂粒子30の平均粒子径はそれぞれ4.0μm、6.0μmである。すなわち、セラミック粉体の平均粒径に対する樹脂粒子30の平均粒子径の比はそれぞれ5.71、8.57である。またセラミック粉体と樹脂粒子30の総和に対する樹脂粒子30の体積比率は50体積%とする。以下、実施例1〜10と同様に評価する。その結果を実施例1の結果と合わせて(表2)に示す。
Figure 2010122732
(表2)から明らかなように、樹脂粒子30の平均粒子径が4.0μm、6.0μmの場合でも貫通空隙が形成され、静電容量、抑制電圧、静電気への耐性について平均粒径が2.0μmの場合とほぼ同等の特性を示している。このようにセラミック粉体の平均粒子径0.7μmに対する樹脂粒子30の平均粒子径の比が2.8以上、8.6以下の場合、貫通空隙を形成でき、セラミック層11の空隙率が同じであればほぼ同等の電気特性を得ることができる。
(実施例13)
実施例13のサージ吸収素子210のセラミック層25は、図10に示すようにギャップ領域17におけるセラミック層25の中央において、積層面に沿う断面が円形状で厚み方向に直線状に連通する貫通空隙26を1つ有する。実施例13では比較例1の樹脂粒子30を含有しないセラミックペーストを用いたセラミックグリーン体に円板状のアクリル樹脂フィルムを埋め込んでセラミックグリーン体を形成している。これ以外は、実施例1と同様にサージ吸収素子210を作製し、グリーンチップの焼成時にアクリル樹脂フィルムを消失させて連通する貫通空隙26を形成している。
セラミック層25の組成は(ZnO)0.97・(SrCoO0.03であり、ギャップ領域17におけるセラミック層25(長さ100μm×幅100μm×厚み7μm)の体積に対し貫通空隙26は15体積%の空隙率である。また、ギャップ領域17における貫通空隙26以外の部分において、セラミック層25は貫通空隙を有さず、空隙率は4体積%である。
次にサージ吸収素子210の電気特性を上記の比較例1と合わせて(表3)に示す。
Figure 2010122732
(表3)に示すように比較例1と比べ実施例13では抑制電圧が低くなり静電気への耐性が向上している。これは電極12、13と貫通空隙26とが接する貫通空隙26の周縁を放電起点として貫通空隙26で表面放電が生じることによる効果と考えられる。このように、貫通空隙26が形成されていればセラミック層25の空隙率が25体積%に満たなくても抑制電圧を低くし、静電気への耐性を向上することができる。
(実施例14〜38及び比較例3)
まず出発原料として主成分であるZnO及び副成分となるSrCOとCaCOとBaCOの各炭酸化物の粉末とCo、MnO、Crの各酸化物粉末を準備する。そしてセラミック層11に含有する副成分が(表4)に示す組成比になるように出発原料を秤量する。
例えば実施例14〜実施例20では副成分のSrCoOの含有量をx×100mol%とすると、セラミック層11の組成は(ZnO)(1−x)・(SrCoOと表される。
実施例14〜実施例38のセラミック層11の結晶粒界には固溶体が存在し、結晶粒界はp型半導体となっている。この固溶体は実施例14〜実施例20ではSrCoO、実施例21〜実施例26ではCaCoO、実施例27〜実施例32ではBaCoOである。このような固溶体の存在は高分解能透過型電子顕微鏡(HRTEM)で確認できる。また結晶粒界がp型半導体であることは走査型非線形誘電率顕微鏡(SNDM)で確認できる。以下、実施例33〜実施例38についても、副成分として表示したペロブスカイト構造の固溶体がセラミック層11の結晶粒界に存在している。なお比較例3のセラミック層はZnOのみからなる。
次に実施例14〜実施例38および比較例3について、出発原料が異なる以外は実施例3と同様にしてサージ吸収素子を作製する。このときセラミックペースト中の樹脂粒子30の含有量は20体積%として、セラミック層の空隙率を64体積%にする。またセラミック層の内部には電極13、14間を連通する貫通空隙が存在している。実施例14〜実施例38および比較例3の結果を上記の比較例1と合わせて(表4)に示す。
Figure 2010122732
(表4)に示すように実施例14〜実施例19、実施例21〜実施例25、実施例27〜実施例31では、副成分のSrCoO、CaCoO、BaCoOの含有量は0.3mol%〜10mol%の範囲である。これらの場合、ESD電圧が2kV〜12kVにおいて比較例1に比べて抑制電圧が著しく低くなり、静電気への耐性も著しく改善されている。
実施例20、実施例26、実施例32では、副成分のSrCoO、CaCoO、BaCoOの含有量が15mol%である。これらの場合でも、ESD電圧が2kVにおいて比較例1に比べて抑制電圧が小さくなっており、静電気への耐性が改善されている。
なお副成分のSrCoO、CaCoO、BaCoOの含有量が0.3mol%〜15mol%の場合、セラミック層の内部の空隙14における結晶粒子の表出表面で表面放電が発現している。
また実施例14〜実施例32では、比較例1に比べて静電容量が小さくなっている。
以上のように副成分のSrCoO、CaCoO、BaCoOの含有量が0.3mol%〜15mol%の場合、セラミック層を貫通する空隙で表面放電が生じ抑制電圧の低電圧化と静電気への耐性の向上ができる。
また実施例33〜実施例38の副成分は含有量を1mol%としてSrCoO、CaCoO、BaCoOのBサイトのCoをMn、Crで置換したものに相当する。BサイトがMn、Crの場合もCoの場合と同様に抑制電圧が低下し、静電気への耐性が向上している。
なお、以上の実施例では、Aサイト、Bサイトは単独元素であるが、AサイトはSr、Ca、Baの少なくとも1種、BサイトはCo、Mn、Crの少なくとも1種とすることができる。AサイトのSr、Ca、BaのグループとBサイトのCo、Mn、Crのグループでは、各グループ内の元素は同じイオン化数をとることができイオン半径が近い。そのため相互に置換固溶したペロブスカイト構造の化合物を形成できる。したがって、おおよそ上述の元素の混合比に対応した電気的特性が得られる。
本発明のサージ吸収素子は抑制電圧を低電圧にできる効果を有し、各種電子機器における静電気対策に有用である。
10,110,210 サージ吸収素子
11,25,111 セラミック層
12,13,112,113 電極
12A,13A 主面
14 空隙
15,16 開口面
17,117 ギャップ領域
18 バリスタ部
20,120 セラミック絶縁体
21,52 セラミック積層体
22,23,122,123 外部電極
24 表出表面
26 貫通空隙
30 樹脂粒子
31 セラミックグリーン体
32A,32B,32C 外層グリーンシート
33,34 導電基体
35 積層面
51 空洞
82 ライン
83 GND
84 放電ガン
85 オシロスコープ
121 絶縁性樹脂
次に実施例1〜10及び比較例1の各試料についてセラミック層11における電極12、13間を連通する貫通空隙の有無を調べる。具体的にはクロスセクションポリッシャ(CP)法で電極12、13間のセラミック層11をArイオン研磨し、その研磨断面を観察することで評価する。
(表1)に示すように、実施例1〜実施例6のように樹脂粒子30の体積比率が10体積%〜80体積%のセラミックペーストを用いた場合、セラミック層11の空隙率は55体積%〜92体積%となる。この場合、電極12、13間を連通する貫通空隙がセラミック層11の内部に存在している。
一方、空隙率が5体積%の比較例1には電極12、13間を連通する貫通空隙がセラミック層内にない。また実施例7〜実施例10のように樹脂粒子30の体積比率が0体積%〜5体積%のセラミックペーストを用いた場合、セラミック層11の空隙率は25体積%〜55体積%となる。ただし、これらの試料のセラミック層11にも電極12、13間を連通する貫通空隙がない。
次に実施例14〜実施例38および比較例3について、出発原料が異なる以外は実施例3と同様にしてサージ吸収素子を作製する。このときセラミックペースト中の樹脂粒子30の含有量は20体積%として、セラミック層の空隙率を64体積%にする。またセラミック層の内部には電極12、13間を連通する貫通空隙が存在している。実施例14〜実施例38および比較例3の結果を上記の比較例1と合わせて(表4)に示す。
なお、以上の実施例では、Aサイト、Bサイトは単独元素であるが、AサイトはSr、Ca、Baの少なくとも1種、BサイトはCo、Mn、Crの少なくとも1種とすることができる。AサイトのSr、Ca、BaのグループとBサイトのCo、Mn、Crのグループでは、各グループ内の元素は同じイオン価数をとることができイオン半径が近い。そのため相互に置換固溶したペロブスカイト構造の化合物を形成できる。したがって、おおよそ上述の元素の混合比に対応した電気的特性が得られる。

Claims (7)

  1. 第1電極と、
    前記第1電極に対向して設けられた第2電極と、
    少なくとも一部が前記第1電極と前記第2電極に接し、電圧非直線性特性を示す複数の結晶粒子で構成された多結晶体組織を有するセラミック層と、を備え、
    前記セラミック層は内部に空隙を有し、前記空隙における前記複数の結晶粒子の表出表面で表面放電を発現することで前記第1電極と前記第2電極との間が通電されるサージ吸収素子。
  2. 前記セラミック層の空隙率が25体積%以上、92体積%以下であるか、
    前記セラミック層は前記第1電極と前記第2電極との間を連通する貫通空隙を有するか、の少なくとも一方であり、
    前記複数の結晶粒子はZnOを主成分とし、前記複数の結晶粒子の結晶粒界にp型半導体であるペロブスカイト構造の固溶体が存在する、
    請求項1記載のサージ吸収素子。
  3. 前記セラミック層の空隙率が25体積%以上、92体積%以下であるか、
    前記セラミック層は前記第1電極と前記第2電極との間を連通する貫通空隙を有するか、の少なくとも一方であり、
    前記複数の結晶粒子はZnOを主成分とし、前記複数の結晶粒子の結晶粒界に組成式ABOで表されるペロブスカイト構造の固溶体が存在し、AサイトはSr、Ca、Baの少なくとも一種であり、BサイトはCo、Mn、Crの少なくとも一種である、
    請求項1記載のサージ吸収素子。
  4. 前記ペロブスカイト構造の固溶体の含有量は前記ZnOと前記ペロブスカイト構造の固溶体との総量に対し0.3mol%以上、15mol%以下である、
    請求項3記載のサージ吸収素子。
  5. 前記第1、第2電極は主面を有するシート状であり、前記第1、第2電極はそれぞれの主面の少なくとも一部が間隔を設けて重なり合うギャップ領域を形成し、前記セラミック層は前記ギャップ領域において前記第1、第2電極に少なくとも一部が挟み込まれた、
    請求項1記載のサージ吸収素子。
  6. 第1電極と、
    前記第1電極に対向して設けられた第2電極と、
    少なくとも一部が前記第1電極と前記第2電極に接し、電圧非直線性特性を示す複数の結晶粒子で構成された多結晶体組織を有するセラミック層と、を備え、
    前記セラミック層の空隙率が25体積%以上、92体積%以下であるか、
    前記セラミック層は前記第1電極と前記第2電極との間を連通する貫通空隙を有するか、の少なくとも一方であり、
    前記複数の結晶粒子はZnOを主成分とし、前記複数の結晶粒子の結晶粒界に組成式ABOで表されるペロブスカイト構造の固溶体が存在し、AサイトはSr、Ca、Baの少なくとも一種であり、BサイトはCo、Mn、Crの少なくとも一種である、
    サージ吸収素子。
  7. 前記ペロブスカイト構造の固溶体の含有量は前記ZnOと前記ペロブスカイト構造の固溶体との総量に対し0.3mol%以上、15mol%以下である、
    請求項6記載のサージ吸収素子。
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