JPWO2009035127A1 - フィルム - Google Patents

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Abstract

本発明の目的は、外力による複屈折の変化が小さく、加熱時の寸法安定性が良好で、熱応力による複屈折の変化が小さいフィルムを提供することにある。本発明は、ポリL−乳酸とポリD−乳酸とからなるポリ乳酸(A成分)およびアクリル系樹脂(B成分)を含有し、示差走査熱量計(DSC)測定で190℃以上に結晶融解ピークを有する樹脂組成物よりなるフィルムである。

Description

本発明は、偏光板保護フィルムや位相差フィルム等の光学フィルムに適したフィルムに関する。
近年、地球環境保全の見地から、自然環境下で分解される生分解性ポリマーが注目されており、様々な生分解性ポリマーが開発されている。なかでも、ポリ乳酸は、透明性が良好で、溶融成形可能であり、バイオマスを原料とし微生物を利用した発酵法により、経済的に製造できるようになり光学材料としての利用が期待されている。
また最近、例えばディスプレイ市場の拡大に伴い、画像をより鮮明に見たいという要求が高まっており、単なる透明性に加え、より高度な光学特性が付与された材料が求められている。
一般にポリマーは分子主鎖方向とそれに垂直な方向とで屈折率が異なるため複屈折を生じる。用途によっては、複屈折を厳密にコントロールすることが求められており、液晶の偏光板に用いられる偏光板保護フィルムの場合は、複屈折が小さいことが求められる。
偏光板保護フィルムとして、これまでトリアセチルセルロース(TAC)フィルムが多く用いられて来た。近年、大型液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ等の各種ディスプレイが普及するのに伴い、必要なフィルムも大型化し、複屈折の変動の分布を小さくする必要性が大きくなって来た。このため外力による複屈折の変化が小さく、加熱時の寸法安定性が良好で、熱応力による複屈折の変化が小さい材料が求められている。即ち、光弾性係数が低く、熱収縮率が低い光学材料が求められている。
光弾性係数の低い光学材料としては、前述のTACやメタクリル酸メチルの単独重合体(PMMA)が知られている。また、アモルファスポリオレフィン(APO)が知られている(非特許文献1)。しかしながら、これらの材料では、まだ外力による複屈折変化が大きいかあるいは極性等が低すぎる問題がある。
さらに光弾性係数が低い光学材料として、アクリル系樹脂とポリ乳酸とよりなる材料が提案されている。この材料よりなるフィルムの光弾性係数は−13×10−12/Paを超え12×10−12/Pa未満程度である(特許文献1)。しかしこの材料は、加熱による熱収縮が大きく、偏光板保護フィルムとして使用すると発生する熱応力のため複屈折率差が変化する欠点がある。従って、光弾性係数が低く外部応力による複屈折率差の変化が少なく、加熱時の寸法安定性が良好で、熱応力の発生が抑制された材料の開発が待たれている。
化学総説、No.39、1998(学会出版センター発行) 特開2006−227090号公報
従って本発明の目的は、外力による複屈折の変化が小さく、加熱時の寸法安定性が良好で、熱応力による複屈折の変化が小さいフィルムを提供することにある。
本発明者は、ポリ乳酸(A成分)およびアクリル系樹脂(B成分)を含有する樹脂組成物よりなるフィルムにおいて、A成分として示差走査熱量計(DSC)測定で190℃以上に結晶融解ピークを有するステレオコンプレックスポリ乳酸を用いると、複屈折が小さく、外部応力による複屈折の変化が小さく、加熱による寸法変化が小さく、熱応力による複屈折の熱変動が少ないフィルムが得られることを見出し、本発明を完成した。
即ち、本発明の目的は、下記により達成することができる。
(1) ポリL−乳酸とポリD−乳酸とからなるポリ乳酸(A成分)およびアクリル系樹脂(B成分)を含有し、示差走査熱量計(DSC)測定で190℃以上に結晶融解ピークを有する樹脂組成物よりなるフィルム。
(2) ポリ乳酸(A成分)とアクリル系樹脂(B成分)との割合が重量比(A成分/B成分)で90/10〜50/50の範囲である上記(1)に記載のフィルム。
(3) 光弾性係数の絶対値が10×10−12/Pa未満である上記(1)または(2)に記載のフィルム。
(4) 下記式(ii)で定義されるフィルムの面方向の位相差(Re)と、下記式(iii)で定義される厚み方向の位相差(Rth)が、共に10nm以下である上記(1)〜(3)のいずれか一項に記載のフィルム。
Re=(nx−ny)×d (ii)
Rth=((nx+ny)/2−nz)×d (iii)
(但し、nxは、長手方向の屈折率を表す。nyは幅方向の屈折率を表す。nzは厚み方向の屈折率を表す。dは厚み(nm)を表す。)
(5) 下記式(i)で定義されるステレオ化度(S)が80%以上である上記(1)〜(4)のいずれか一項に記載のフィルム。
S(%)=〔ΔHms/(ΔHmh+ΔHms)〕×100 (i)
(但し、ΔHmsはステレオコンプレックス相ポリ乳酸の結晶融解エンタルピー(J/g)を表す。ΔHmhはホモ相ポリ乳酸の結晶融解エンタルピー(J/g)を表す。)
(6) 90℃、5時間処理時の縦方向および横方向の収縮率が、共に5%以下である上記(1)〜(5)のいずれか一項に記載のフィルム。
(7) 動的粘弾性(DMA)測定による貯蔵弾性率E’が、常温(25℃)から150℃の温度範囲で極小値を発現することがなく且つ0.5×10Paより大きい値を有する上記(1)〜(6)のいずれか一項に記載のフィルム。
(8) 下記式(iv)で定義されるステレオ結晶化度(K)が10〜60%である上記(1)〜(7)のいずれか一項に記載のフィルム。
K=(ΔHms−△Hc)/142 (iv)
(但し、ΔHmsはステレオコンプレックス相ポリ乳酸の結晶融解エンタルピー(J/g)を表す。ΔHcはポリ乳酸結晶化エンタルピー(J/g)を表す。142(J/g)はステレオコンプレックスポリ乳酸結晶の平衡融解エンタルピーを表す。)
(9) 上記(1)〜(8)のいずれか一項に記載のフィルムからなる偏光板保護フィルム。
(10) 上記(1)〜(9)のいずれか一項に記載のフィルムからなる位相差フィルム。
以下、本発明について具体的に説明する。
本発明のフィルムは、ポリL−乳酸とポリD−乳酸からなるポリ乳酸(A成分)とアクリル系樹脂(B成分)を必須成分とし、示差走査熱量計(DSC)測定により190℃以上に結晶融解ピークを有する樹脂組成物を用いて成形されて得られるものである。190℃以上に現れる結晶融解ピークは、ステレオコンプレックス相(以下コンプレックス相と略称することがある)ポリ乳酸の結晶融解ピークである。
〈ポリ乳酸:A成分〉
ポリ乳酸(A成分)は、ポリL−乳酸とポリD−乳酸から形成されるステレオコンプレックスポリ乳酸を含む。ポリL−乳酸、ポリD−乳酸は、下記式(1)で表されるL−乳酸単位またはD−乳酸単位から実質的になる。
Figure 2009035127
なお、「実質的に」とは、当該成分が、全成分を基準として好ましくは75モル%以上、より好ましくは90モル%、さらに好ましくは95モル%以上を占めていることをいう。
ポリL−乳酸中のL−乳酸単位の含有量は、好ましくは90〜100モル%、より好ましくは95〜100モル%、さらに好ましくは97.5〜100モル%である。高融点を実現するためには99〜100モル%である。他の単位としては、D−乳酸単位、乳酸以外の単位が挙げられる。他の単位の含有量は、好ましくは0〜10モル%、より好ましくは0〜5モル%、さらに好ましくは0〜2モル%である。
ポリD−乳酸のD−乳酸単位の含有量は、好ましくは90〜100モル%、より好ましくは95〜100モル%、さらに好ましくは97.5〜100モル%である。高融点を実現するためには99〜100モル%である。他の単位としては、D−乳酸単位、乳酸以外の単位が挙げられる。他の単位の含有量は、好ましくは0〜10モル%、より好ましくは0〜5モル%、さらに好ましくは0〜2モル%である。
乳酸以外の単位として、2個以上のエステル結合形成可能な官能基を持つジカルボン酸、多価アルコール、ヒドロキシカルボン酸、ラクトン等由来の単位およびこれら種々の構成成分からなる各種ポリエステル、各種ポリエーテル、各種ポリカーボネート等由来の単位が例示される。
ジカルボン酸としては、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、テレフタル酸、イソフタル酸等が挙げられる。多価アルコールとしてはエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、グリセリン、ソルビタン、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等の脂肪族多価アルコール類あるいはビスフェノールおよびこれらにエチレンオキシドが付加させたもの等の芳香族多価アルコール等が挙げられる。ヒドロキシカルボン酸としては、グリコール酸、ヒドロキシ酪酸、p−オキシ安息香酸等が挙げられる。ラクトンとしては、グリコリド、ε−カプロラクトン、β−プロピオラクトン、δ−ブチロラクトン、β−またはγ−ブチロラクトン、ピバロラクトン、δ−バレロラクトン等が挙げられる。
ポリL−乳酸およびポリD−乳酸の重量平均分子量は、樹脂組成物の機械物性および成形性を両立させるため、好ましくは10万〜50万、より好ましくは11万〜35万、さらに好ましくは12万〜25万の範囲である。
ポリL−乳酸およびポリD−乳酸は、従来公知の方法で製造することができる。例えば、L−またはD−ラクチドを金属含有触媒の存在下加熱し、開環重合により製造することができる。また、金属含有触媒を含有する低分子量のポリ乳酸を結晶化させた後、減圧下または加圧化、不活性ガス気流下の存在下、あるいは非存在下、加熱.固相重合させ製造することもできる。さらに、有機溶媒の存在/非存在下で、乳酸を脱水縮合させる直接重合法で製造することができる。
重合反応は、従来公知の反応容器で実施可能であり、例えばヘリカルリボン翼等、高粘度用攪拌翼を備えた縦型反応器あるいは横型反応器を単独、または並列して使用することができる。また、回分式あるいは連続式あるいは半回分式のいずれでも良いし、これらを組み合わせてもよい。
重合開始剤としてアルコールを用いてもよい。かかるアルコールとしては、ポリ乳酸の重合を阻害せず不揮発性であることが好ましく、例えばデカノール、ドデカノール、テトラデカノール、ヘキサデカノール、オクタデカノール等を好適に用いることができる。
固相重合法では、前述した開環重合法や乳酸の直接重合法によって得られた比較的低分子量(おおよそ15〜203程度)のポリ乳酸をプレポリマーとして使用する。プレポリマーは、そのガラス転移温度以上融点未満の温度範囲で予め結晶化させることが、樹脂ペレット融着防止の面から好ましい。結晶化させたプレポリマーは固定された縦型或いは横型反応容器、またはタンブラーやキルンの様に容器自身が回転する反応容器(ロータリーキルン等)中に充填され、プレポリマーのガラス転移温度以上融点未満の温度範囲に加熱される。重合温度は、重合の進行に伴い段階的に昇温させても何ら問題はない。また、固相重合中に生成する水を効率的に除去する目的で前記反応容器類の内部を減圧することや、加熱された不活性ガス気流を流通する方法も好適に併用される。
ポリ乳酸の重合時に使用された金属含有触媒は、使用に先立ち従来公知の失活剤で不活性化しておくことが、ポリ乳酸(A成分)および樹脂組成物の熱、水分に対する安定性を向上できるため好ましい。
かかる失活剤としてはイミノ基を有し且つ重合金属触媒に配位し得るキレート配位子の群からなる有機リガンドが挙げられる。
またジヒドリドオキソリン(I)酸、ジヒドリドテトラオキソ二リン(II,II)酸、ヒドリドトリオキソリン(III)酸、ジヒドリドペンタオキソ二リン(III)酸、ヒドリドペンタオキソ二(II,IV)酸、ドデカオキソ六リン(III)酸、ヒドリドオクタオキソ三リン(III,IV,IV)酸、オクタオキソ三リン(IV,III,IV)酸、ヒドリドヘキサオキソ二リン(III,V)酸、ヘキサオキソ二リン(IV)酸、デカオキソ四リン(IV)酸、ヘンデカオキソ四リン(IV)酸、エネアオキソ三リン(V,IV,IV)酸等の酸価数5以下の低酸化数リン酸が挙げられる。
また、式xHO・yPで表され、x/y=3のオルトリン酸、2>x/y>1であり、縮合度より二リン酸、三リン酸、四リン酸、五リン酸等と称せられるポリリン酸およびこれらの混合物が挙げられる。
また、x/y=1で表されるメタリン酸、なかでもトリメタリン酸、テトラメタリン酸、1>x/y>0で表され、五酸化リン構造の一部を残した網目構造を有するウルトラリン酸(これらを総称してメタリン酸系化合物と呼ぶことがある。)が挙げられる。またこれらの酸の酸性塩、一価、多価のアルコール類、あるいはポリアルキレングリコール類の部分エステル、完全エステル、ホスホノ置換低級脂肪族カルボン酸誘導体等が挙げられる。
触媒失活能の観点から、式xHO・yPで表され、x/y=3のオルトリン酸が好ましい。また2>x/y>1であり、縮合度より二リン酸、三リン酸、四リン酸、五リン酸等と称せられるポリリン酸およびこれらの混合物が好ましい。またx/y=1で表されるメタリン酸、なかでもトリメタリン酸、テトラメタリン酸が好ましい。また1>x/y>0で表され、五酸化リン構造の一部を残した網目構造を有するウルトラリン酸(これらを総称してメタリン酸系化合物と呼ぶことがある。)が好ましい。またこれらの酸の酸性塩、一価、多価のアルコール類、あるいはポリアルキレングリコール類の部分エステルリンオキソ酸あるいはこれらの酸性エステル類、ホスホノ置換低級脂肪族カルボン酸誘導体が好適に使用される。
メタリン酸系化合物は、3〜200程度のリン酸単位が縮合した環状のメタリン酸あるいは立体網目状構造を有するウルトラ領域メタリン酸あるいはそれらの(アルカル金属塩、アルカリ土類金属塩、オニウム塩)を包含する。なかでも環状メタリン酸ナトリウムやウルトラ領域メタリン酸ナトリウム、ホスホノ置換低級脂肪族カルボン酸誘導体のジヘキシルホスホノエチルアセテート(以下DHPAと略称することがある)等が好適に使用される。
ポリ乳酸(A成分)においてポリL−乳酸とポリD−乳酸との重量比は、90:10から10:90である。ポリ乳酸(A成分)のステレオ化度(S)、ステレオ結晶化度(K)の向上およびコンプレックス相ポリ乳酸の結晶融解温度を高めるためには、重量比は75:25から25:75であることが好ましく、さらに好ましくは60:40から40:60の範囲であり、できるだけ50:50に近い範囲が好適に選択される。
ポリ乳酸(A成分)の重量平均分子量は、10万〜50万の範囲が樹脂組成物の成形性、物性を両立させる点より好適に選択される。より好ましくは10万〜30万、さらに好ましくは11万〜25万の範囲が好適に選択される。
重量平均分子量は溶離液にクロロホルムを用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定による標準ポリスチレン換算の重量平均分子量値である。
さらに本発明で用いるポリ乳酸(A成分)は、DSC測定において、結晶融解ピーク強度より下記式(i)で定義されるステレオ化度(S)が好ましくは80%以上である。即ち、ポリ乳酸(A成分)はステレオコンプレックス相が高度に形成されていることが好ましい。
S(%)=〔ΔHms/(ΔHmh+ΔHms)〕×100 (i)
式中、ΔHmsはステレオコンプレックス相ポリ乳酸の結晶融解エンタルピーを表す。ΔHmhはホモ相ポリ乳酸の結晶融解エンタルピーを表す。DSC測定において190℃以上に表われる結晶融解ピークは、ステレオコンプレックス相ポリ乳酸の融解に帰属される結晶融解ピークであり、190℃未満に表われる結晶融解ピークは、ホモ相ポリ乳酸の融解に帰属される結晶融解ピークである。ステレオ化度(S)は熱処理過程において最終的に生成するステレオコンプレックスポリ乳酸結晶の割合を示すパラメーターである。
ポリ乳酸(A成分)がかかる範囲のステレオ化度(S)を有することにより、本発明のフィルムの寸法安定性、高温機械物性等を高いものとすることができる。
(結晶融解温度)
ポリ乳酸(A成分)の結晶融解温度は、好ましくは190〜250℃、より好ましくは200〜220℃の範囲である。結晶融解エンタルピーは、好ましくは20J/g以上、より好ましくは30J/g以上である。
(ポリ乳酸(A成分)の製造)
ポリ乳酸(A成分)は、ポリL−乳酸とポリD−乳酸とを所定の重量比で共存、接触させることにより製造することができる。
接触は、溶媒の存在下で行うことができる。溶媒は、ポリL−乳酸とポリD−乳酸が溶解するものであれば、特に限定されるものではないが、例えば、クロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタン、テトラクロロエタン、フェノール、テトラヒドロフラン、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、ブチロラクトン、トリオキサン、ヘキサフルオロイソプロパノール等の単独あるいは2種以上混合したものが好ましい。
また混合は、溶媒の非存在下で行うことができる。即ち、ポリL−乳酸とポリD−乳酸とを所定量混合した後に溶融混練する方法、いずれか一方を溶融させた後に残る一方を加えて混練する方法を採用することができる。
あるいは、接触が化学結合によりなされることも可能である。たとえばポリL−乳酸セグメントとポリD−乳酸セグメントが結合しているブロック重合体のポリ乳酸もコンプレックス相が高度に形成されやすく、かかるステレオブロックポリ乳酸も本発明で好適に用いることが出来る。
このようなブロック重合体は、たとえば、逐次開環重合によって製造する方法や、ポリL−乳酸とポリD−乳酸を重合しておいてあとで鎖交換反応や鎖延長剤で結合する方法、ポリL−乳酸とポリD−乳酸を重合しておいてブレンド後固相重合して鎖延長する方法、立体選択開環重合触媒を用いてラセミラクチドから製造する方法等上記の基本的構成を持つブロック共重合体であれば製造法によらず、用いることができる。
しかしながら、逐次開環重合によって得られる高融点のステレオブロック重合体、固相重合法によって得られる重合体を用いることが製造の容易さからより好ましい。
本発明で用いるポリ乳酸(A成分)には、本発明の趣旨に反しない範囲において、コンプレックス相の形成を安定的且つ高度に進めるために特定の添加物を添加することが好ましい。
(I)例えば、ステレオ化促進剤として下記式(2)または(3)で表されるリン酸金属塩を添加する手法が挙げられる。
Figure 2009035127
式(2)中、R11は水素原子または炭素原子数1〜4のアルキル基を表し、R12、R13はそれぞれ独立に、水素原子、または炭素原子数1〜12のアルキル基を表し、Mはアルカリ金属原子、アルカリ土類金属原子、亜鉛原子またはアルミニウム原子を表し、pは1または2を表し、qはMがアルカリ金属原子、アルカリ土類金属原子、亜鉛原子のときは0を、アルミニウム原子の時は1または2を表す。
Figure 2009035127
式(3)中R14、R15およびR16は各々独立に、水素原子または炭素原子数1〜12のアルキル基を表し、Mはアルカリ金属原子、アルカリ土類金属原子、亜鉛原子またはアルミニウム原子を表し、pは1または2を表し、qはMがアルカリ金属原子、アルカリ土類金属原子、亜鉛原子のときは0を、アルミニウム原子の時は1または2を表す。
式(2)または(3)で表されるリン酸金属塩のM、Mは、Na、K、Al、Mg、Ca、Liが好ましく、特に、K、Na、Al、LiなかでもLi、Alが最も好適に用いることができる。
(II)また、エポキシ基、オキサゾリン基、オキサジン基、イソシアネート基、ケテン基およびカルボジイミド基(以下、特定官能基と呼ぶことがある)からなる群より選らばれる基を分子中少なくとも1個有する化合物をブロック形成剤として添加する方法が挙げられる。
リン酸金属塩の含有量は、ポリ乳酸(A成分)に対して、好ましくは10ppm〜2重量%、より好ましくは50ppm〜0.5重量%、さらに好ましくは100ppm〜0.3重量%である。少なすぎる場合には、ステレオ化度を向上する効果が小さく、多すぎると樹脂自体を劣化させるので好ましくない。
さらに所望により、本発明の趣旨に反しない範囲において、リン酸金属塩の作用を強化するため、結晶化核剤を併用することができる。結晶化核剤としては、珪酸カルシウム、タルク、カオリナイト、モンモリロナイトが好ましい。リン酸金属塩の作用を強化させる結晶化核剤の含有量は、ポリ乳酸(A成分)100重量部あたり、好ましくは0.05〜5重量部、より好ましくは0.06〜2重量部、さらに好ましくは0.06〜1重量部の範囲である。
本発明においてブロック形成剤は、特定官能基がポリ乳酸(A成分)の分子末端と反応して、部分的にポリL−乳酸ユニットとポリD−乳酸ユニットとを連結しブロック化ポリ乳酸を形成、ステレオコンプレックス相形成を促進させる。ブロック形成剤として、ポリエステルのカルボキシル基封止剤として知られているものを使用することができる。なかでも、ポリ乳酸および本発明の樹脂組成物の色調、熱分解性、耐加水分解性等に与える影響よりカルボジイミド化合物が好ましい。ブロック形成剤の使用量は、ポリ乳酸(A成分)100重量部あたり、好ましくは0.001〜5重量部、より好ましくは0.01〜3重量部である。この範囲を超えて多量に適用すると得られる樹脂色相を悪化、あるいは可塑化がおこる懸念が大きくなり好ましくない。また0.001重量部未満の使用量であるとその効果はほとんど認められず工業的な意義は小さい。
上記(I)および(II)の手法は単独に適用することも可能であるが、組み合わせて適用する方法がポリ乳酸(A成分)のコンプレックス相形成をより一層効果的に促進できるために好ましい。
ポリ乳酸(A成分)のカルボキシル基濃度は、好ましくは10eq/ton以下、より好ましくは2eq/ton以下、さらに好ましくは1eq/ton以下の範囲である。カルボキシル基濃度がこの範囲内にある時には、ポリ乳酸(A成分)および樹脂組成物の溶融安定性、耐湿熱安定性等の物性も良好なものとすることができる。ポリ乳酸(A成分)のカルボキシル基濃度を10eq/ton以下にするには、ポリエステル組成物で公知のカルボキシル末端基濃度の低減方法を好適に適用することができる。具体的には、耐湿熱性改善剤等の末端封止剤を添加する方法または末端封止剤を添加せず、アルコール、アミンによってエステルまたはアミド化する方法を採用することができる。
耐湿熱性改善剤としては、前述した特定官能基を有するカルボキシル基封止剤が好適に適用できる。中でも、特定官能基がカルボジイミド基であるカルボジイミド化合物がカルボキシル基を効果的に封止できるとともに、ポリ乳酸さらに本発明の樹脂組成物の色相、コンプレックス相の形成促進、耐湿熱性等の観点より好ましく選択される。
本発明においてポリ乳酸(A成分)には、ブロック形成剤と耐湿熱性改善剤とを兼ねて特定官能基を有する化合物を含有させることが好ましい。かかる化合物としてカルボジイミド化合物が好ましい。カルボジイミド化合物の配合量はポリ乳酸(A成分)100重量部あたり、好ましくは0.001〜5重量部の範囲である。0.001重量部より少ないとブロック形成剤としてもまたカルボキシル基封止剤としてもその機能を発揮することが不満足である。またこの範囲を超えて多量に適用すると剤の分解等の好ましくない副反応により樹脂色相の悪化あるいは可塑化がおこる懸念が大きくなり好ましくない。
本発明において特定官能基を有する化合物としてはカルボジイミド化合物を主たる成分として選択し、その他の化合物はカルボジイミド化合物の作用を補完、強化するために好適に選択される。
本発明で適用可能な特定官能基を有する化合物としては例えば以下の化合物が例示され、カルボジイミド化合物としては、例えばジシクロヘキシルカルボジイミド、ジイソプロピルカルボジイミド、ジイソブチルカルボジイミド、ジオクチルカルボジイミド、オクチルデシルカルボジイミド、ジ−t−ブチルカルボジイミド、ジベンジルカルボジイミド、ジフェニルカルボジイミド、N−オクタデシル−N’−フェニルカルボジイミド、N−ベンジル−N’−フェニルカルボジイミド、N−ベンジル−N’−トリルカルボジイミド、ジ−o−トルイルカルボジイミド、ジ−p−トルイルカルボジイミド、ビス(p−アミノフェニル)カルボジイミド、ビス(p−クロロフェニル)カルボジイミド、ビス(o−クロロフェニル)カルボジイミド、ビス(o−エチルフェニル)カルボジイミド、ビス(p−エチルフェニル)カルボジイミド、ビス(o−イソプロピルフェニル)カルボジイミド、ビス(p−イソプロピルフェニル)カルボジイミド、ビス(o−イソブチルフェニル)カルボジイミド、ビス(p−イソブチルフェニル)カルボジイミド、ビス(2,5−ジクロロフェニル)カルボジイミド、ビス(2,6−ジメチルフェニル)カルボジイミド、ビス(2,6−ジエチルフェニル)カルボジイミド、ビス(2−エチル−6−イソプロピルフェニル)カルボジイミド、ビス(2−ブチル−6−イソプロピルフェニル)カルボジイミド、ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)カルボジイミド、ビス(2,6−ジ−t−ブチルフェニル)カルボジイミド、ビス(2,4,6−トリメチルフェニル)カルボジイミド、ビス(2,4,6−トリイソプロピルフェニル)カルボジイミド、ビス(2,4,6−トリブチルフェニル)カルボジイミド、ジβナフチルカルボジイミド、N−トリル−N’−シクロヘキシルカルボジイミド、N−トリル−N’−フェニルカルボジイミド、p−フェニレンビス(o−トルイルカルボジイミド)、p−フェニレンビス(シクロヘキシルカルボジイミド、p−フェニレンンビス(p−クロロフェニルカルボジイミド)、2,6,2’,6’−テトライソプロピルジフェニルカルボジイミド、ヘキサメチレンビス(シクロヘキシルカルボジイミド)、エチレンビス(フェニルカルボジイミド)、エチレンビス(シクロヘキシルカルボジイミド)、等のモノまたはポリカルボジイミド化合物が例示される。
なかでも反応性、安定性の観点からビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)カルボジイミド、2,6,2’,6’−テトライソプロピルジフェニルカルボジイミドが好ましい。
またこれらのうち工業的に入手可能なジシクロヘキシルカルボジイミド、ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)カルボジイミドが好適に使用できる。
さらに上記ポリカルボジイミド化合物として市販のポリカルボジイミド化合物は、合成する必要もなく好適に使用することができ、かかる市販のポリカルボジイミド化合物としては例えば日清紡(株)より市販されている「カルボジライト」の商品名で販売されている「カルボジライト」LA−1、あるいはHMV−8CA等を例示することができる。
本発明で用いることのできるエポキシ化合物としては、グリシジルエーテル化合物、グリシジルエステル化合物、グリシジルアミン化合物、グリシジルイミド化合物、グリシジルアミド化合物、脂環式エポキシ化合物を好ましく使用することができる。かかる剤を配合することで、機械的特性、成型性、耐熱性、耐久性に優れたポリ乳酸樹脂組成物および成型品を得ることができる。
グリシジルエーテル化合物の例としては例えば、ステアリルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、エチレンオキシドラウリルアルコールグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングルコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリテトラメチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセロールトリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル、その他ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン等のビスフェノール類とエピクロルヒドリンとの縮合反応で得られるビスフェノールAジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂等を挙げることができ、なかでもビスフェノールAジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂が好ましい。
グリシジルエステル化合物の例としては例えば安息香酸グリシジルエステル、ステアリン酸グリシジルエステル、パーサティック酸グリシジルエステル、テレフタル酸ジグリシジルエステル、フタル酸ジグリシジルエステル、シクロヘキサンジカルボン酸ジグリシジルエステル、アジピン酸ジグリシジルエステル、コハク酸ジグリシジルエステル、ドデカンジオン酸ジグリシジルエステル、ピロメリット酸テトラグリシジルエステル等が挙げられ、なかでも安息香酸グリシジルエステル、バーサティック酸グリシジルエステルが好ましい。
グリシジルアミン化合物の例としては例えば、テトラグリシジルアミンジフェニルメタン、トリグリシジル−p−アミノフェノール、ジグリシジルアニリン、ジグリシジルトルイジン、テトラグリシジルメタキシレンジアミン、トリグリシジルイソシアヌレート等が挙げられる。
グリシジルイミド、グリシジルアミド化合物として、N−グリシジルフタルイミド、N−グリシジル−4,5−ジメチルフタルイミド、N−グリシジル−3,6−ジメチルフタルイミド、N−グリシジルサクシンイミド、N−グリシジル−1,2,3,4−テトラヒドロフタルイミド、N−グリシジルマレインイミド、N−グリシジルベンズアミド、N−グリシジルステアリルアミド等が挙げられる。なかでもN−グリシジルフタルイミドが好ましい。
脂環式エポキシ化合物としては、3,4−エポキシシクロヘキシル−3,4−シクロヘキシルカルボキシレート、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、ビニルシクロヘキセンジエポキシド、N−メチル−4,5−エポキシシクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸イミド、N−フェニル−4,5−エポキシシクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸イミド等が挙げられる。
その他のエポキシ化合物として、エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油、エポキシ化鯨油等のエポキシ変性脂肪酸グリセリド、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂等を用いることができる。
本発明で用いるカルボキシ基封止剤として用いることができるオキサゾリン化合物として、2−メトキシ−2−オキサゾリン、2−ブトキシ−2−オキサゾリン、2−ステアリルオキシ−2−オキサゾリン、2−シクロヘキシルオキシ−2−オキサゾリン、2−アリルオキシ−2−オキサゾリン、2−ベンジルオキシ−2−オキサゾリン、2−p−フェニルフェノキシ−2−オキサゾリン、2−メチル−2−オキサゾリン、2−シクロヘキシル−2−オキサゾリン、2−メタアリル−2−オキサゾリン、2−クロチル−2−オキサゾリン、2−フェニル−2−オキサゾリン、2−o−エチルフェニル−2−オキサゾリン、2−o−プロピルフェニル−2−オキサゾリン、2−p−フェニルフェニル−2−オキサゾリン、2,2’−ビス(2−オキサゾリン)、2,2’−ビス(4−メチル−2−オキサゾリン)2,2’−ビス(4−ブチル−2−オキサゾリン)、2,2’−m−フェニレンビス(2−オキサゾリン)、2,2’−p−フェニレンビス(4−メチル−2−オキサゾリン)、2,2’−p−フェニレンビス(4,4’−メチル−2−オキサゾリン)、2,2’−エチレンビス(2−オキサゾリン)、2,2’−テトラメチレンビス(2−オキサゾリン)、2,2’−ヘキサメチレンビス(2−オキサゾリン)、2,2’−エチレンビス(4−メチル−2−オキサゾリン)、2,2’−テトラメチレンビス(4,4’−ジメチル−2−オキサゾリン)、2,2’−シクロヘキシレンビス(2−オキサゾリン)、2,2’−ジフェニレンビス(4−メチル−2−オキサゾリン)等が挙げられる。さらに上記化合物をモノマー単位として含むポリオキサゾリン化合物等も挙げられる。
本発明で用いることができるオキサジン化合物として、2−メトキシ−5,6−ジヒドロ−4H−1,3−オキサジン、2−ヘキシルオキシ−5,6−ジヒドロ−4H−1,3−オキサジン、2−デシルオキシ−5,6−ジヒドロ−4H−1,3−オキサジン、2−シクロヘキシルオキシ−5,6−ジヒドロ−4H−1,3−オキサジン、2−アリルオキシ−5,6−ジヒドロ−4H−1,3−オキサジン、2−クロチルオキシ−5,6−ジヒドロ−4H−1,3−オキサジン等が挙げられる。
さらに2,2’−ビス(5,6−ジヒドロ−4H−1,3−オキサジン)、2,2’−メチレンビス(5,6−ジヒドロ−4H−1,3−オキサジン)、2,2’−エチレンビス(5,6−ジヒドロ−4H−1,3−オキサジン)、2,2’−ヘキサメチレンビス(5,6−ジヒドロ−4H−1,3−オキサジン)、2,2’−p−フェニレンビス(5,6−ジヒドロ−4H−1,3−オキサジン)、2,2’−P,P’−ジフェニレンビス(5,6−ジヒドロ−4H−1,3−オキサジン)等が挙げられる。さらに上記した化合物をモノマー単位として含むポリオキサジン化合物等が挙げられる。
上記オキサゾリン化合物やオキサジン化合物のなかでは2,2’−m−フェニレンビス(2−オキサゾリン)や2,2’−p−フェニレンビス(2−オキサゾリン)が好ましいものとして挙げられる。
本発明で用いることができるイソシアネート化合物として、芳香族、脂肪族、脂環式イソシアネート化合物およびこれらの混合物が挙げられる。
モノイソシアネート化合物としてはたとえばフェニルイソシアネート、トリルイソシアネート、ジメチルフェニルイソシアネート、シクロヘキシルイソシアネート、ブチルイソシアネート、ナフチルイソシアネート等が挙げられる。
ジイソシアネートとしては、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、(2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート)混合物、シクロヘキサン−4,4’−ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、イソフォロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、2,6−ジイソプロピルフェニル−1,4−ジイソシアネート等が挙げられる。
これらのイソシアネート化合物のなかでは4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、フェニルイソシアネート等の芳香族イソシアネートが好ましい。
本発明で用いることができるケテン化合物として、芳香族、脂肪族、脂環式ケテン化合物およびこれらの混合物が挙げられる。具体的には、ジフェニルケテン、ビス(2,6−ジ−t−ブチルフェニル)ケテン、ビス(2,6−ジ−イソプロピルフェニル)ケテン、ジシクロヘキシルケテン等を例示することができる。これらのケテン化合物のなかではジフェニルケテン、ビス(2,6−ジ−t−ブチルフェニル)ケテン、ビス(2,6−ジ−イソプロピルフェニル)ケテン等の芳香族ケテンが好ましい。
上記ブロック形成剤、耐湿熱性改善剤は1種または2種以上の化合物を適宜選択して使用することができる。耐湿熱性改善剤によりブロック構造の形成を促進するとともにカルボキシル基末端や、酸性低分子化合物の一部の封止を行うことも、好適な実施態様の一つとして例示される。
ポリ乳酸(A成分)のラクチド含有量は、好ましくは0〜1,000ppm、より好ましくは0〜500ppm、さらに好ましくは0〜200ppm、特に好ましくは0〜100ppmの範囲である。ラクチド含有量がこの範囲にあることにより、フィルム製膜工程の設備汚れ、フィルムの表面欠点などの原因物の発生を抑制することができる。
ラクチド含有量をかかる範囲に低減させるには、ポリL−乳酸およびポリD−乳酸の重合時点からポリ乳酸(A成分)製造の終了までの任意の段階において、従来公知のラクチド軽減処理法を単独であるいはこれらを組み合わせて実施することによって達成することが可能である。
〈アクリル系樹脂:B成分〉
アクリル系樹脂(B成分)は、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸t−ブチルシクロヘキシル、メタクリル酸メチル等のメタクリル酸エステル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸2−エチルヘキシル等のアクリル酸エステルより選ばれる1種以上の単量体を重合したものである。これらの単量体は、単独でまたは2種以上混合して用いることができる。なかでも、メタクリル酸メチルの単独重合体または他の単量体との共重合体が好ましい。
メタクリル酸メチルと共重合可能な単量体としては、他のメタリル酸アルキルエステル類、アクリル酸アルキルエステル類、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル化合物類、アクリロニトリル、メタクリルニトリル等のシアン化ビニル類、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等のマレイミド類、無水マレイン酸等の不飽和カルボン酸無水物類、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸等の不飽和酸類が挙げられる。これらメタクリル酸メチルと共重合可能な単量体の中でも、特にアクリル酸アルキルエステル類は耐熱分解性に優れる。またアクリル酸アルキルエステル類を共重合させて得られるメタクリル系樹脂は成形加工時の流動性が高く好ましい。
メタクリル酸メチルにアクリル酸アルキルエステル類を共重合させる場合のアクリル酸アルキルエステル類の使用量は、耐熱分解性の観点から0.1重量%以上であることが好ましく、耐熱性の観点から15重量%以下であることが好ましい。0.2重量%以上14重量%以下であることがさらに好ましく、1重量%以上12重量%以下であることがとりわけ好ましい。
このアクリル酸アルキルエステル類の中でも、特にアクリル酸メチルおよびアクリル酸エチルは、それを少量メタクリル酸メチルと共重合させても上記改良効果は著しく最も好ましい。上記メタクリル酸メチルと共重合可能な単量体は一種または二種以上組み合わせて使用することもできる。
アクリル系樹脂(B成分)の重量平均分子量は、好ましくは5万〜20万である。重量平均分子量は成形品の強度の観点から5万以上が好ましく、成形加工性、流動性の観点から20万以下が好ましい。さらに好ましい範囲は7万〜15万である。また、本発明においてはアイソタクチックポリメタクリル酸エステルとシンジオタクチックポリメタクリル酸エステルを同時に用いることもできる。
アクリル系樹脂を製造する方法として、例えばキャスト重合、塊状重合、懸濁重合、溶液重合、乳化重合、アニオン重合等の一般に行われている重合方法を用いることができる。光学用途としては微小な異物の混入は出来るだけ避けることが好ましく、この観点からは懸濁剤や乳化剤を用いない塊状重合や溶液重合が望ましい。溶液重合を行う場合には、単量体の混合物をトルエン、エチルベンゼン、キシレン等の芳香族炭化水素の溶媒に溶解して調整した溶液を用いることができる。塊状重合により重合させる場合には、通常行われるように加熱により生じる遊離ラジカルや電離性放射線照射により重合を開始させることができる。
重合反応に用いられる開始剤としては、一般にラジカル重合において用いられる任意の開始剤を使用することができ、例えばアゾビスイソブチルニトリル等のアゾ化合物、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート等の有機過酸化物が用いられる。また、特に90℃以上の高温下で重合を行わせる場合には、溶液重合が一般的であるので、10時間半減期温度が80℃以上でかつ用いる有機溶媒に可溶である過酸化物、アゾビス開始剤等が好ましい。具体的には1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、シクロヘキサンパーオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、1,1−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニトリル)、2−(カルバモイルアゾ)イソブチロニトリル等を挙げることができる。これらの開始剤は0.005〜5重量%の範囲で用いられる。
重合反応に必要に応じて用いられる分子量調節剤は、一般的なラジカル重合において用いる任意のものが使用される。例えば、ブチルメルカプタン、オクチルメルカプタン、ドデシルメルカプタン、チオグリコール酸2−エチルヘキシル等のメルカプタン化合物が特に好ましいものとして挙げられる。これらの分子量調節剤は、重合度が上記の範囲内に制御されるような濃度範囲で添加される。
〈樹脂組成物〉
樹脂組成物において、ポリ乳酸(A成分)とアクリル系樹脂(B成分)との割合は重量比(A成分/B成分)で、90/10〜30/70で設定することができるが、好ましくは90/10〜50/50、より好ましくは80/20〜50/50、さらに好ましくは70/30〜50/50の範囲である。
樹脂組成物は、DSC測定において前述したステレオ化度が80%以上であることが好ましい。ステレオ化度が80%以上であると、フィルムの90℃における熱収縮率を低下させることができる。樹脂組成物のステレオ化度は、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上、特に好ましくは、ステレオ化度が100%である。
樹脂組成物は、加水分解抑制剤を加えることにより、ポリ乳酸(A成分)の加水分解による分子量低下を抑えることが可能となり、例えば強度低下等を抑えることができる。加水分解抑制剤としては、ポリ乳酸の末端官能基であるカルボン酸および水酸基との反応性を有する化合物、例えば前述の特定官能基を有する化合物が好適に適用され、なかでもカルボジイミド化合物が好適に選択される。
このときポリ乳酸(A成分)、アクリル系樹脂(B成分)の合計量を基準にしてカルボジイミド化合物が0.001〜5重量%含有されることが好ましい。カルボジイミド化合物の量がかかる範囲を満足することにより樹脂組成物の水分に対する安定性、耐加水分解安定性を好適に高めることができるからである。
かかる観点よりカルボジイミド化合物の含有割合はより好ましくは0.01〜5重量%、さらに好ましくは0.1〜4重量%の範囲が選択される。この範囲より少量に過ぎるとカルボジイミド化合物適用の効果が有効に認められない。またこの範囲を超えて多量に適用すると、耐加水分解安定性の更なる向上は期待されず、逆に樹脂組成物色相が悪化する等の好ましくない現象が発生する懸念がある。
樹脂組成物のL−およびまたはD−ラクチドの合計含有量は、ポリ乳酸(A成分)およびアクリル系樹脂(B成分)の合計量を基準にして、好ましくは0〜1,000ppm、より好ましくは0〜200ppm、さらに好ましくは0〜100ppmの範囲である。ラクチドの含有量は少ないほうが樹脂組成物の色相、安定性等の物性の観点より好ましいが、過剰に減少操作を適用しても、更なる物性の向上は期待されずまたコスト面よりも好ましくない場合が発生する。
樹脂組成物のカルボキシル基濃度は、ポリ乳酸(A成分)およびアクリル系樹脂(B成分)の合計量を基準にして、好ましくは0〜30当量/ton、より好ましくは0〜10当量/ton、さらに好ましくは0〜5当量/tonの範囲、特に好ましくは0〜1当量/tonの範囲である。カルボキシル基濃度の低減は前述のカルボキシル基濃度の低減された、ポリ乳酸(A成分)を使用することにより、容易に達成できるが、樹脂組成物に前述のカルボジイミド化合物をはじめとする、特定官能基を保有する剤を適用することにより達成できる。
また樹脂組成物は、ポリ乳酸(A成分)およびアクリル系樹脂(B成分)以外の他の重合体を、本発明の目的を損なわない範囲で含有することができる。他の重合体として、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリスチレン、スチレンアクリロニトリル共重合体等のスチレン系樹脂、ポリアミド、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエステル、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリアセタール等の熱可塑性樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂等が挙げられる。これらは1種以上を含有させることができる。
さらに樹脂組成物には、本発明の効果を著しく損なわない範囲内で、各種目的に応じて任意の添加剤を配合することができる。添加剤の種類は、樹脂やゴム状重合体の配合に一般的に用いられるものであれば特に制限はない。添加剤として、無機充填剤や、酸化鉄等の顔料が挙げられる。またステアリン酸、ベヘニン酸、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、エチレンビスステアロアミド等の滑剤や、離型剤が挙げられる。またパラフィン系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイル、芳香族系プロセスオイル、パラフィン、有機ポリシロキサン、ミネラルオイル等の軟化剤・可塑剤が挙げられる。ヒンダードフェノール系酸化防止剤、りん系熱安定剤等の酸化防止剤、ヒンダードアミン系光安定剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、難燃剤、帯電防止剤が挙げられる。また有機繊維、ガラス繊維、炭素繊維、金属ウィスカ等の補強剤、着色剤、静電密着改良剤が挙げられる。またこれらの混合物が挙げられる。
樹脂組成物は、公知の方法で製造することができる。例えば単軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、ブラベンダー、各種ニーダー等の溶融混練機を用いて、ポリ乳酸(A成分)およびアクリル系樹脂(B成分)、必要に応じて耐加水分解抑制剤や上記その他の成分を添加して溶融混練して樹脂組成物を製造することができる。
〈フィルムの製造〉
また、得られた樹脂組成物を製膜するには、押し出し成形、キャスト成形等の成形手法を用いることができる。例えば、Tダイ、円形ダイ等が装着された押出機等を用いて、製膜することができる。
押し出し成形により未延伸フィルムを得る場合は、事前にポリ乳酸(A成分)およびアクリル系樹脂(B成分)を溶融混練した材料を用いることもできれば、押し出し成形時に溶融混練を経て成形することもできる。未延伸フィルムは、溶融フィルムを冷却ドラム上に押し出しついで該フィルムを回転する冷却ドラムに密着させ冷却することによって製造することができる。このとき溶融フィルムにはスルホン酸四級ホスホニウム塩等の静電密着剤を配合し、電極よりフィルム溶融面に非接触的に電荷を容易に印加し、それによってフィルムを、回転する冷却ドラムに密着させることにより表面欠陥の少ない未延伸フィルムを得ることができる。
また、ポリ乳酸(A成分)およびアクリル系樹脂(B成分)に共通な溶媒、例えばクロロホルム、二塩化メチレン等の溶媒を用いて、ポリ乳酸(A成分)およびアクリル系樹脂(B成分)を溶解後、キャスト乾燥固化することにより未延伸フィルムをキャスト成形もすることができる。
(延伸)
未延伸フィルムは機械的流れ方向(MD)に一軸延伸、機械的流れ方向に直交する方向(TD)に一軸延伸することができる。またロール延伸とテンター延伸の逐次2軸延伸法、テンター延伸による同時2軸延伸法、チューブラー延伸による2軸延伸法等によって延伸することにより2軸延伸フィルムを製造することができる。
延伸倍率は少なくともどちらか一方向に、好ましくは0.1%以上1,000%以下、好ましくは0.2%以上600%以下、さらに好ましくは0.3%以上300%以下である。延伸倍率をこの範囲にすることにより、複屈折率、耐熱性、強度の観点で好ましい延伸フィルムが得られる。
延伸倍率は、面積延伸倍率(縦倍率×横倍率)で、好ましくは1〜15、より好ましくは1.01〜10、さらに好ましくは1.1〜5、特に好ましくは1.1〜3の範囲である。
フィルムの結晶化度を10%以上とするために熱処理をする場合には、縦倍率あるいは横倍率は、いずれも1倍超、つまり延伸されている状態であることが必須であり、未延伸フィルム(延伸倍率1倍以下)は、例えばエレクトロニクス用光学フィルム(2006年)電気、電子材料研究会編中記載の耐熱性評価、さらに該評価を発展させた本発明の耐熱性評価(90℃、5時間の熱処理)により透明性が低下することがあり、光学フィルムとして致命的となる。
延伸温度は、樹脂組成物のガラス転移温度(Tg)から結晶化温度(Tc)の範囲が好適に選択される。さらにRe、Rthの抑制のためTgより高温で、出来るだけTcに近いがポリ乳酸(A成分)の結晶化が進まない温度範囲がより好適に採用される。
Tgより低い温度では分子鎖が固定されているので、延伸操作を好適に進めることが困難であるとともにRe、Rthを各々20nm以下にすることが困難であり、またTc以上ではポリ乳酸(A成分)の結晶化が進み、この場合も延伸工程を良好に進行させることが困難となる。
従って延伸温度としては、Tg〜Tcの裾野にかけてのポリ乳酸の結晶化が進行しにくい温度範囲、例えばTgから結晶化温度(Tc)を選択することが本発明のフィルムの光学的等方性を実現するために好適である。
本発明において、フィルム物性、延伸工程安定化の両立の観点より、延伸温度はTg+5℃からTc℃、より好ましくはTg+10℃からTc℃、さらに好ましくはTg+20℃からTc℃の温度範囲が好適に設定される。延伸温度の上限値に関しては、フィルム物性と延伸工程安定化が相反する挙動をとるので、装置特性を勘案して、適宜設定すべきである。
(熱処理)
延伸フィルムは、樹脂組成物の結晶化温度(Tc)からコンプレックス相ポリ乳酸の結晶融解開始温度(Tm*)の温度範囲で熱処理することが好ましい。この熱処理により、コンプレックス相ポリ乳酸の結晶化を進め、熱収縮率を好適に低下させるとともに、動的粘弾性(DMA)測定で貯蔵弾性率E´が常温(25℃)から150℃の温度範囲において極小値を発現することなく、0.5×10Paより大きな値を保つことができる。
結晶性樹脂であるポリ乳酸に非晶性であるアクリル系樹脂をブレンドした場合、得られた組成物の結晶化温度Tcが高温側にシフトするため、融点が結晶化温度Tc付近のホモポリ乳酸では結晶化温度で延伸フィルムの融解が始まり結晶化させることは困難であったが、融点が結晶化温度を超えるステレオコンプレックスポリ乳酸はアクリル系樹脂をブレンドした場合でも、得られた組成物を高温で熱処理することが可能であるため延伸フィルムを結晶化させることが可能となる。
結晶化温度(Tc)、コンプレックス相ポリ乳酸の結晶融解開始温度(Tm*)はポリ乳酸(A成分)とアクリル系樹脂(B成分)との割合により変動する。
熱処理温度は、好ましくは90〜Tm*(℃)、より好ましくは150〜(Tm*−10)(℃)、さらに好ましくは160〜(Tm*−20)(℃)である。
熱処理は1秒から30分の範囲で実施することが好ましい。熱処理温度が高いときは相対的に短い時間で、熱固定処理温度が低いときは相対的に長い時間の熱処理を要する。例えばTcが140℃のフィルムでは、140℃では、少なくとも30秒必要であるが、150℃では10秒の熱処理で、フィルムの90℃、5時間での熱収縮率を5%未満とすることができる。
かくして得られたフィルムには、所望により従来公知の方法で、表面活性化処理、たとえばプラズマ処理、アミン処理、コロナ処理を施すことも可能である。
〈フィルムの特性〉
(厚み)
本発明のフィルムの厚みは、好ましくは1〜300μm、より好ましくは10μm以上、さらに好ましくは20〜150μmである。取扱い時のシワになり易さ(シワ防止)の観点から10μm以上であることが好ましい。また透明性の観点から200μm以下であることが好ましい。
(光弾性係数)
本発明のフィルムの光弾性係数の絶対値は、好ましくは10×10−12/Pa未満、より好ましくは8×10−12/Pa未満、さらに好ましくは5×10−12/Pa未満、特に好ましくは3×10−12/Pa未満である。
光弾性係数(CR)に関しては、種々の文献に記載があり(例えば、非特許文献1等参照)、下式により定義される値である。光弾性係数の値がゼロに近いほど外力による複屈折の変化が小さいことを示しており、各用途において設計された複屈折の変化が小さいことを意味する。
CR=Δn/σR
Δn=nx−ny
但し、CRは光弾性係数、σRは伸張応力、Δnは複屈折率差、nxは伸張方向の屈折率、nyは伸張方向と直角方向の屈折率を表す。
(面方向の位相差(Re)と厚み方向の位相差(Rth))
本発明のフィルムの面方向の位相差(Re)と厚み方向の位相差(Rth)は、複屈折率差Δnと厚みd(nm)の積であり、ReとRthはそれぞれ下記式(ii)および(iii)で定義される。
Re=(nx−ny)×d (ii)
Rth=((nx+ny)/2−nz)×d (iii)
nxは、長手方向の屈折率を表す。nyは幅方向の屈折率を表す。nzは厚み方向の屈折率を表す。dは厚み(nm)を表す。
本発明のフィルムのReおよびRthは共に、好ましくは10nm以下、より好ましくは5nm以下、さらに4nm以下である。ReやRthの値がこの範囲にある材料は押し出し成形、キャスト成形における成形起因の配向による位相差斑が発生し難いため好ましい。
(ステレオ化度:S)
本発明フィルムは、DSC測定において190℃以上のコンプレックス相ポリ乳酸の結晶融解ピークを有する。
さらに本発明のフィルムは、DSC測定の結晶融解ピーク強度より下記式(i)で定義されるステレオ化度(S)が好ましくは80%以上、より好ましくは90〜100%、さらに好ましくは97〜100%、特に好ましくは100%である。即ち本発明のフィルムは、ステレオコンプレックス相が高度に形成されていることが好ましい。
S(%)=〔ΔHms/(ΔHmh+ΔHms)〕×100 (i)
ΔHmsはステレオコンプレックス相ポリ乳酸の結晶融解エンタルピー(J/g)を表す。ΔHmhはホモ相ポリ乳酸の結晶融解エンタルピー(J/g)を表す。ステレオ化度(S)は熱処理過程において最終的に生成するステレオコンプレックスポリ乳酸結晶の割合を示すパラメーターである。
本発明では、DSC測定において190℃以上に現れる結晶融解ピークは、ステレオコンプレックス相ポリ乳酸の融解に帰属される結晶融解ピークであり、190℃未満に現れる結晶融解ピークは、ホモ相ポリ乳酸の融解に帰属される結晶融解ピークである。
(収縮率)
本発明のフィルムは、90℃、5時間処理時の縦方向(MD)の収縮率および横方向(TD)の収縮率が、共に好ましくは5%以下、より好ましくは4%以下である。
(貯蔵弾性率:E’)
本発明のフィルムは、動的粘弾性(DMA)測定による貯蔵弾性率(E’)が、常温(25℃)から150℃の温度範囲で極小値を発現することがなく且つ0.5×10Paより大きい値を有することが好ましい。
本発明フィルムは、例えば、偏光フィルムの製造工程で必要とされる150℃程度の温度範囲に加熱されたときも、E´が極小値を示すことがないため寸法安定性が良好である。またE´が0.5×10Paより大きい値を有するため、外力により変形が起こりにくく、位相差の変動が発生しにくく、さらに偏光フィルムの製造工程において良好な加工性を発揮することができる。
(ステレオ結晶化度:K)
本発明のフィルムは、下記式(iv)で定義されるステレオ結晶化度(K)が、好ましくは10〜60%、より好ましくは25〜60%、さらに好ましくは30〜55%、特に好ましくは35〜55%である。
K=(ΔHms−△Hc)/142 (iv)
但し、ΔHmsはステレオコンプレックス相ポリ乳酸の結晶融解エンタルピー(J/g)を表す。ΔHcはポリ乳酸結晶化エンタルピー(J/g)を表す。142(J/g)はステレオコンプレックスポリ乳酸結晶の平衡融解エンタルピーを表す。
〈偏光板保護フィルム〉
本発明のフィルムは、偏光板保護フィルムとして有用である。偏光板保護フィルムとは、偏光板の構成部材として用いられ、偏光フィルム(例えば、高重合度のPVAベースフィルムにポリヨウ素等の二色性色素または二色性染料を含浸・吸着させたもの)の両面もしくは片面に貼り合わせて、偏光フィルムの強度向上、熱・水分からの保護、品質劣化防止等の目的で使用されるフィルムである。
本発明のフィルムからなる偏光板保護フィルムは、偏光板の構成部材として、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイ、フィールドエミッションディスプレイ、リアプロジェクションテレビ等のディスプレイに用いることができる。本発明のフィルムからなる偏光板保護フィルムは、必要に応じて、例えば反射防止処理、透明導電処理、電磁波遮蔽処理、ガスバリア処理、防汚処理等の表面機能化処理をすることもできる。
〈位相差フィルム〉
また本発明のフィルムは、位相差フィルムとして有用である。本発明のフィルムからなる位相差フィルムは、ステレオコンプレックスポリ乳酸とアクリル系樹脂のブレンド比率を変えることで発現する位相差をコントロールすることができ、ステレオコンプレックスポリ乳酸が50重量%を超え、アクリル系樹脂が50重量%未満の場合は長手方向に強い複屈折率を得ることができ、逆の場合は幅方向に強い複屈折率を得ることができる。さらに、必要な位相差によって適正なブレンド比に変えることが可能で、さらに延伸することによって位相差をコントロールすることができ、液晶パネルディスプレイの位相差板として好適に用いることができる。
以下、本発明を実施例により、更に具体的に説明するが、本発明はこれによりなんら限定を受けるものでは無い。(I)評価法および(II)原材料を説明する。
(I)評価法
本発明および実施例で用いた評価法を説明する。
(1)分子量:
ポリマーの重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定、標準ポリスチレンに換算した。
GPC測定機器は、
検出器;(株)島津製作所示差屈折計RID−6A
カラム;東ソ−(株)TSKgelG3000HXL、TSKgelG4000HXL,TSKgelG5000HXLとTSKguardcokumnHXL−Lを直列に接続したもの、あるいは東ソ−(株)TSKgelG2000HXL、TSKgelG3000HXLとTSKguardcokumnHXL−Lを直列に接続したものを使用した。
クロロホルムを溶離液とし温度40℃、流速1.0ml/minにて、濃度1mg/ml(1%ヘキサフルオロイソプロパノールを含むクロロホルム)の試料を10μl注入し測定した。
(2)ラクチド含有量:
試料をヘキサフルオロイソプロパノールに溶解し、13C−NMR法により定量した。
(3)カルボジイミド化合物含有量:
ニコレ(株)製MAGJA−750フーリエ変換赤外分光光度計により樹脂特性吸収とカルボジイミド特性吸収の比較により、含有量を測定した。
(4)カルボキシル基濃度:
試料を精製o−クレゾールに溶解、窒素気流下溶解、ブロモクレゾールブルーを指示薬とし、0.05規定水酸化カリウムのエタノール溶液で滴定した。
(5)ステレオ化度(S)、結晶融解温度:
本発明において、ステレオ化度(S)、ステレオコンプレクスポリ乳酸の結晶融解温度は、DSC(TAインストルメント社製TA−2920)を用いて結晶融解温度、結晶融解エンタルピーを測定し、その結晶融解エンタルピーから下記式(i)に従って求めた。
S(%)=[ΔHms/(ΔHmh+ΔHms)]×100 (i)
(但し、ΔHmsはコンプレックス相の結晶融解エンタルピー、ΔHmhはホモ相ポリ乳酸の結晶融解エンタルピー)
(6)フィルム熱収縮率:
ASTM D1204に準じ、90℃、5時間処理した後、室温(25℃)に戻し、長さ変化より熱収縮率をもとめ、更にヘーズの値を求めた。
(7)光弾性係数:
Polymer Engineering and Science 1999,39,2349−2357に詳細に記載された複屈折測定装置を用いた。レーザー光の経路にフィルムの引っ張り装置を配置し、23℃で伸張応力をかけながら複屈折を測定した。伸張時の歪速度は50%/分(チャック間:10mm、チャック移動速度:5mm/分)、試験片幅は8mmで測定を行った。複屈折率差(Δn)と伸張応力(σR)との関係から、最小二乗近似によりその直線の傾きをもとめ光弾性係数(CR)を計算した。
CR=Δn/σR
Δn=nx−ny
(CR:光弾性係数、σR:伸張応力、Δn:複屈折率差、nx:伸張方向の屈折率、ny:伸張方向と垂直な屈折率)
(8)全光線透過率:
ASTM D1003に準拠し測定を行った。
(9)偏光板耐久性
90℃×5時間熱処理した後に室温(25℃)に戻し、フィルムの耐久性を以下の基準で評価した。
○:10回折り曲げても割れない。
△:2回折り曲げても割れない。
×:折り曲げると割れる。
(10)ヘーズの測定
日本電色(株)製 Hazemeter MDH2000を使用し、40μmフィルムを使用し、JIS K7105−1981の6.4に準拠して測定した。
ヘーズが1.6%を超えると透明性不良と判断。ヘーズが0〜1.6%の時、フィルムとして使用可能と判断、また1%以下の時は光学用フィルムに使用可能な透明性と判断した。
(11)ステレオ結晶化度(K)の測定方法
DSC(TAインストルメント社製TA−2920)を用いて結晶融解エンタルピーを求めた。
K=(ΔHms−△Hc)/142 (iv)
ΔHms:ステレオコンプレックス相ポリ乳酸の結晶融解エンタルピー(J/g)。
ΔHc:ポリ乳酸結晶化エンタルピー(J/g)。
142(J/g)はステレオコンプレックスポリ乳酸結晶の平衡融解エンタルピー。
(12)ガラス転移温度の測定方法
DSC(TAインストルメント社製TA−2920)を用いて求めた。
(13)面内位相差(Re)、厚み方向位相差(Rth)
長手方向の屈折率(nx)および幅方向の屈折率(ny)は分光エリプソメーター(日本分光(株)製M−150)で測定した。
フィルムの面方向の位相差(Re)と、厚み方向の位相差(Rth)は、
長手方向の屈折率(nx)、幅方向の屈折率(ny)、厚み(d:nm)から下記式(ii)および(iii)より求めた。
Re=(nx−ny)×d (ii)
Rth=((nx+ny)/2−nz)×d (iii)
(14)動的粘弾性(DMA)の測定
試料(短冊状、フィルム幅4mm、チャック間20mm)を用いて下記装置を用いて測定した。
測定装置: TAインスツルメント社製RSA−III
測定モード:自動テンション、自動ひずみ制御法
測定温度範囲:20から200℃
昇温速度:3℃/min
測定周波数:1Hz
DMA物性(極小値有無)
なし:室温(25℃)から150℃の温度範囲に極小値発現しない
あり:室温(25℃)から150℃の温度範囲に極小値発現。
(15)フィルム形態安定性の評価
50cm×50cmのフィルムを100℃のステンレス板上、30分間静置した後、表面の凹凸の生成状況を判定した。
×:1mm以上の凹凸が発生し、目視で表面が明らかに波打っていると認識できるレベル。
△:0.2以上1mm未満の凹凸が発生し、目視で表面が波打っていると認識できるレベル。
○:0.2mm未満での凹凸であり、目視では殆ど平面とみなせるレベル。
(II)実施例1〜12、比較例1〜4で用いた原材料
ポリ乳酸(A成分)およびアクリル酸系樹脂(B成分)は、製造例1〜3の方法で調製した。
製造例1−1〈ポリL−乳酸(PLLA1)の製造〉
Lラクチド((株)武蔵野化学研究所製、光学純度100%)100重量部に対し、オクチル酸スズを0.005重量部加え、窒素雰囲気下、攪拌翼のついた反応機にて180℃で2時間反応し、オクチル酸スズに対し1.2倍当量のリン酸を添加しその後、13.3Paで残存するラクチドを減圧除去し、チップ化し、ポリL−乳酸(PLLA1)を得た。
得られたL−乳酸(PLLA1)の重量平均分子量は15.2万、ガラス転移点(Tg)は55℃、融点は175℃、カルボキシル基含有量は14eq/ton、ラクチド含有は350ppmであった。
製造例1−2〈ポリD−乳酸(PDLA1)の製造〉
製造例1−1のL−ラクチドをD−ラクチド((株)武蔵野化学研究所製、光学純度100%)に変更し、他は同じ条件で重合を行い、ポリD−乳酸(PDLA1)を得た。
得られたポリD−乳酸(PDLA1)の重量平均分子量(Mw)は15.1万、ガラス転移点(Tg)は55℃、融点は175℃、カルボキシル基含有量は15eq/ton、ラクチド含有量は450ppmであった。結果をまとめて表1に示す。
Figure 2009035127
製造例2−1〜2−3〈ポリ乳酸(A1〜A3)の製造〉
製造例1−1で得られたポリL−乳酸とポリD−乳酸とを各50重量部およびリン酸金属塩((株)ADEKA製「アデカスタブ」NA−71:0.3重量部)を、2軸混練装置の第一供給口より供給、シリンダー温度230℃で溶融混練した。さらに日清紡(株)製「カルボジライト」LA−1を、ポリL−乳酸とポリD−乳酸との合計量100重量部あたり1重量部、第二供給口より供給し、ベント圧13.3Paで真空排気しながら溶融混練した。その後、水槽中にストランドを吐出し、チップカッターにてチップ化してポリ乳酸A1〜A3を得た。得られたポリ乳酸A1〜A3の重量平均分子量(Mw)、カルボキシル基濃度、ラクチド含有量、ステレオ化度(S)、ステレオ結晶化度、ガラス転移温度(Tg)、結晶融解温度をまとめて表2に示す。
Figure 2009035127
アクリル系樹脂(B成分):
三菱レイヨン(株)製「アクリペット」VH001を用い、以下、B1と表記した。
実施例1〜5
製造例2の操作で得られたポリ乳酸(A成分)とアクリル系樹脂(B1)を表3中記載の量比で混合し、ポリ乳酸(A成分)とアクリル系樹脂(B1)の合計100重量部あたり、3,5−ジカルボキシベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム0.5重量部をヘンシェルミキサーで混合した。その後、110℃で5時間乾燥した後、2軸押出機にてシリンダー温度、230℃で溶融混練し、ダイ温度、220℃で210μmのフィルム状に溶融押し出し、白金コート線状電極を用い、静電キャスト法によって鏡面冷却ドラム表面に密着、固化させ未延伸フィルムを得た。
得られた未延伸フィルムを、100℃で、縦方向に1.1〜1.5倍、横方向に1.1〜2.0倍延伸した。次に140〜160℃で熱固定を行い厚さ約40μmの二軸延伸フィルムを得た。樹脂組成物およびフィルムの製造条件、フィルムの物性を表3に示す。
比較例1〜4
表3中記載の種類、量比のポリ乳酸成分およびアクリル系樹脂の混合物、あるいは単独成分を実施例1と同様にして、押し出し、延伸、フィルム化した。熱処理温度は、120〜150℃で行なった。結果を表4に記載する。
Figure 2009035127
なお参考のため市販のTACフィルムのOFOHIGHTECHFILM GMBH製の「TACPHAN」の物性は全光線透過率;92%以上、光弾性率:15×10−12/Pa、90℃熱収縮率は0.1%であった。
以上の結果より容易に理解されるごとく、本発明のフィルムは、透明性良好で、光弾性率が小さく、熱収縮率も小さいフィルムであるのに対し、比較例のフィルムおよびTACフィルムはいずれかの物性において未達成である。
実施例6〜8
ポリ乳酸(A3)とアクリル系樹脂(B1)の量比を変更し、実施例3と同様の条件でフィルム化、延伸、熱処理を行って、二軸延伸フィルムを得た結果を表4に示す。
実施例9
実施例3において、縦横延伸倍率を1.1倍にした結果を表4に記載する。
実施例10〜12
ポリ乳酸(A3)を表2中に記載の樹脂に変更して、実施例3と同様の条件でフィルム化、延伸、熱処理を行って、二軸延伸フィルムを得た結果を表4に示す。
Figure 2009035127
Figure 2009035127
(III)実施例13〜21で用いた原材料
(1)ポリ乳酸(A成分):
以下製造例によるPLLA2およびPDLA2よりポリ乳酸(A4)を製造、使用した。
(2)アクリル系樹脂(B成分):
三菱レイヨン(株)製「アクリペット」VH001(B1)を用いた。
製造例1−3〈ポリL−乳酸(PLLA2)の製造〉
Lラクチド((株)武蔵野化学研究所製、光学純度100%)100重量部に対し、オクチル酸スズ0.005重量部加え、窒素雰囲気下、攪拌翼のついた反応機にて、180℃で2時間反応し、オクチル酸スズに対し触媒失活剤として、1.2倍当量のリン酸を添加した。その後、13.3Paで残存するラクチドを除去し、チップ化し、ポリL−乳酸(PLLA2)を得た。得られたポリL−乳酸(PLLA2)の重量平均分子量(Mw)は17.1万、ガラス転移点(Tg)は55℃、融点は175℃、カルボキシル基含有量は13eq/ton、ラクチド含有は330ppmであった。
製造例1−4〈ポリD−乳酸(PDLA2)の製造〉
製造例1−3のL−ラクチドをD−ラクチド((株)武蔵野化学研究所製、光学純度100%)に変更し、他は同じ条件で重合を行い、ポリD−乳酸(PDLA2)を得た。得られたポリD−乳酸(PDLA2)の重量平均分子量は17.1万、ガラス転移点(Tg)は55℃、融点は175℃、カルボキシル基含有量は15eq/ton、ラクチド含有量は350ppmであった。結果をまとめて表5に示す。
Figure 2009035127
製造例2−4〈ポリ乳酸(A4)の製造〉
製造例1−3および1−4で製造したPLLA2とPDLA2の表6中に記載の量比の混合物100重量部およびステレオ化促進剤としてリン酸エステル金属塩((株)ADEKA製「アデカスタブ」NA−71)0.1重量部をブレンダーで均一に混合した。その後、110℃で5時間真空乾燥し、2軸混練装置の第一供給口より、シリンダー温度230℃、ベント圧13.3Paで真空排気しながら、滞留時間2分で溶融混練した。次に、水槽中にストランドを押し出し、ストランドカッターにてチップ化してポリ乳酸(A4)を得た。得られたポリ乳酸(A4)の重量平均分子量(Mw)、ステレオ化度、結晶融解温度を表6に示す。
Figure 2009035127
実施例13〜15
製造例2−4で得られたポリ乳酸(A4)とアクリル系樹脂(B1)を表7中記載の量比で混合した後、110℃で5時間熱風乾燥した。次いで、押出機にてシリンダー温度230℃で溶融混練し、ダイ温度、230℃で約50μmのフィルム状に溶融押し出し、鏡面冷却ドラム表面に密着、固化させ未延伸フィルムを得た。未延伸フィルムのTcは、各々115℃、122℃、138℃、Tm*は215℃であった。未延伸フィルムは延伸温度Tg+10℃で、縦横方向に1.05〜1.1倍延伸、さらに110〜180℃で熱固定を行い、厚さ約40μmの二軸延伸フィルムとした。得られたフィルムのDMA特性、形態安定性およびその他の結果を表7中に示す。
Figure 2009035127
実施例16〜18
表8中に記載の種類、量比のポリ乳酸(A成分)とアクリル系樹脂(B成分)の混合樹脂を、110℃で5時間熱風乾燥した後、押出機にてシリンダー温度、230℃で溶融混練し、ダイ温度230℃で50〜200μmのフィルム状に溶融押し出し、鏡面冷却ドラム表面に密着、固化させ未延伸フィルムを得た。
得られた未延伸フィルムのTcは138℃、Tmは215℃であった。未延伸フィルムを延伸温度Tg+10℃で、縦横方向に表8記載の条件で延伸し、さらに140℃で熱固定を行い、厚さ40〜80μmの二軸延伸フィルムとした。
表8から容易に理解されるごとく、DMA物性が本発明の条件を満たすとき、形態安定性が良好であり、光学特性も良好であることが理解される。
Figure 2009035127
実施例19〜21
表9中に記載の種類、量比のポリ乳酸(A成分)とアクリル系樹脂(B成分)の混合樹脂を、110℃で5時間熱風乾燥した後、押出機にてシリンダー温度、230℃で溶融混練し、ダイ温度230℃で約50〜200μmのフィルム状に溶融押し出し、鏡面冷却ドラム表面に密着、固化させ未延伸フィルムを得た。
未延伸フィルムのTcは115〜138℃、Tmは215℃であった。未延伸フィルムを延伸温度Tg+10℃で、縦横方向に表9記載の条件で延伸し、さらに110〜140℃で熱固定を行い、厚さ約40μmの2軸延伸フィルムとした。
表9から容易に理解されるごとく、DMA物性が本発明の条件を満たすとき、形態安定性が良好であり、光学特性も良好であることが理解される。
Figure 2009035127
発明の効果
本発明のフィルムは、外力による複屈折の変化が小さく、加熱時の寸法安定性が良好で、熱応力による複屈折の変化が小さい。そのため本発明のフィルムは、ディスプレイ等に用いられる偏光板保護フィルムとなる。
また本発明のフィルムは、ポリ乳酸(A成分)とアクリル系樹脂(B成分)とのブレンド比率を変更することで位相差を制御することができ、安定した位相差の位相差フィルムとなる。
本発明のフィルムは偏光板保護フィルムに用いることができる。本発明のフィルムは偏光板の構成部材として液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイ、フィールドエミッションディスプレイ、リアプロジェクションテレビ等のディスプレイに用いることができる。
また本発明のフィルムは、位相差を安定に再現することができ、光弾性係数が小さいので、位相差フィルムとして好適に用いることができる。本発明のフィルムは、IPS(In Plane Swiching)方式等の液晶ディスプレイに用いることができる。

Claims (10)

  1. ポリL−乳酸とポリD−乳酸とからなるポリ乳酸(A成分)およびアクリル系樹脂(B成分)を含有し、示差走査熱量計(DSC)測定で190℃以上に結晶融解ピークを有する樹脂組成物よりなるフィルム。
  2. ポリ乳酸(A成分)とアクリル系樹脂(B成分)との割合が重量比(A成分/B成分)で90/10〜50/50の範囲である請求項1に記載のフィルム。
  3. 光弾性係数の絶対値が10×10−12/Pa未満である請求項1または2に記載のフィルム。
  4. 下記式(ii)で定義されるフィルムの面方向の位相差(Re)と、下記式(iii)で定義される厚み方向の位相差(Rth)が、共に10nm以下である請求項1〜3のいずれか一項に記載のフィルム。
    Re=(nx−ny)×d (ii)
    Rth=((nx+ny)/2−nz)×d (iii)
    (但し、nxは、長手方向の屈折率を表す。nyは幅方向の屈折率を表す。nzは厚み方向の屈折率を表す。dは厚み(nm)を表す。)
  5. 下記式(i)で定義されるステレオ化度(S)が80%以上である請求項1〜4の何れか一項に記載のフィルム。
    S(%)=〔ΔHms/(ΔHmh+ΔHms)〕×100 (i)
    (但し、ΔHmsはステレオコンプレックス相ポリ乳酸の結晶融解エンタルピー(J/g)を表す。ΔHmhはホモ相ポリ乳酸の結晶融解エンタルピー(J/g)を表す。)
  6. 90℃、5時間処理時の縦方向および横方向の収縮率が、共に5%以下である請求項1〜5の何れか一項に記載のフィルム。
  7. 動的粘弾性(DMA)測定による貯蔵弾性率E’が、常温(25℃)から150℃の温度範囲で極小値を発現することがなく且つ0.5×10Paより大きい値を有する請求項1〜6の何れか一項に記載のフィルム。
  8. 下記式(iv)で定義されるステレオ結晶化度(K)が10〜60%である請求項1〜7の何れか一項に記載のフィルム。
    K=(ΔHms−△Hc)/142 (iv)
    (但し、ΔHmsはステレオコンプレックス相ポリ乳酸の結晶融解エンタルピー(J/g)を表す。ΔHcはポリ乳酸結晶化エンタルピー(J/g)を表す。142(J/g)はステレオコンプレックスポリ乳酸結晶の平衡融解エンタルピーを表す。)
  9. 請求項1〜8のいずれか一項に記載のフィルムからなる偏光板保護フィルム。
  10. 請求項1〜9のいずれか一項に記載のフィルムからなる位相差フィルム。
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