JP5376749B2 - ポリ乳酸フィルム - Google Patents

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Description

本発明は、ポリ乳酸からなり耐熱性に優れたフィルムの製造方法に関する。
近年、地球環境保護の目的から、自然環境下で分解される生分解性ポリマーが注目され、世界中で研究されている。生分解性ポリマーとして、ポリヒドロキシブチレート、ポリカプロラクトン、脂肪族ポリエステル、ポリ乳酸等が知られ、これらは溶融成形が可能であり、汎用性ポリマーとしても期待されている。これらの中でポリ乳酸は、その原料である乳酸あるいはラクチドが、天然物から製造することが可能であり汎用性ポリマーとして利用も検討されつつある。なかでもポリ乳酸は、透明性が高く、強靭であるが、水の存在下では容易に、加水分解でき、さらに廃棄後には環境を汚染することなく分解するので、環境への負荷が少ない。
ポリ乳酸の樹脂加工品、繊維、フィルムなどへの展開が近年盛んに検討されている。ポリ乳酸の未延伸フィルムあるいはシートは強度、伸度が低く、耐衝撃性に劣るため、実用化が困難であった。そこで、一軸あるいは二軸延伸により分子配向を促進し、ポリ乳酸の脆性を向上させ、工業用あるいは農業用マルチフィルム、パッケージング用途などの分野で実用化に至ったものもある。しかしながらポリ乳酸の融点は150〜170℃の範囲にあり、延伸フィルムを熱固定する際に比較的低温での処理を行わざるを得ないばかりか、得られたフィルムの耐熱性が低いという問題があった。
一方で、L―乳酸単位のみからなるポリL―乳酸(以下、PLLAと略すことがある)とD―乳酸単位のみからなるポリD―乳酸(以下、PDLAと略すことがある)を溶液あるいは溶融状態で混合することにより、ステレオコンプレックスが形成されることが報告されている(特許文献1および非特許文献1)。このステレオコンプレックスポリ乳酸はPLLAやPDLAに比べて、高融点、高結晶性を示し、耐加水分解性、耐溶剤性に優れることが知られている。すでにこのステレオコンプレックスポリ乳酸を繊維などに利用することが検討されている。特許文献1においてステレオコンプレックスポリ乳酸の塩化メチレンキャストフィルムの報告があるが、溶媒を用いない溶融製膜法によるステレオコンプレックスポリ乳酸フィルムの作製についてはこれまでに報告されていない。
特開昭63−241024号公報 Macromolecules,24,5651(1991)
本発明の目的は、ポリ乳酸からなり、熱収縮率が低く、耐熱性に優れたフィルムの製造方法を提供することにある。
本発明者は、ポリL―乳酸とポリD―乳酸との混合物を溶融押出してフィルムを製造する際に、所定の光学純度を有するポリL―乳酸とポリD―乳酸を用い、所定の温度で溶融製膜した後、所定の延伸温度、延伸倍率で二軸延伸、熱固定することにより、ステレオコンプレックス結晶に由来する単一の融解ピークを有する低熱収縮率のフィルムが得られることを見出し、本発明を完成した。
発明は、L―乳酸単位90〜99モル%とD−乳酸単位および/または乳酸以外の共重合成分単位1〜10モル%とにより構成され、重量平均分子量が5万〜50万のポリL−乳酸(L成分)と、D―乳酸単位90〜99モル%とL−乳酸単位および/または共重合成分単位1〜10モル%とにより構成され、重量平均分子量が5万〜50万のポリD−乳酸(D成分)とを、L成分/D成分=90/10〜10/90の重量比で、245〜300℃にて溶融混合した後、製膜し(但し、プレス成形により製膜する場合を除く)、Tg〜Tg+30℃の温度、延伸倍率が縦横方向ともに2〜4倍の範囲で二軸延伸した後、150℃以上で熱固定することからなる、ステレオコンプレックス結晶を含有し、150℃における熱収縮率が1.5%以下で、重量平均分子量が5万〜20万であり、示差走査熱量計(DSC)測定において、昇温過程における融解ピークのうち、195℃以上の融解ピークの割合が90%以上である二軸延伸フィルムの製造方法である。
本発明により得られるフィルムは、二軸延伸および熱固定によりステレオコンプレックス結晶を発現させているので、熱収縮率が低く、耐熱性に優れている。また本発明の製造方法によれば、製膜したフィルムを二軸延伸後、熱固定することでステレオコンプレックス結晶を含有するフィルムを得ることができる。
以下に本発明について詳細に説明をする。
<フィルム>
ポリL―乳酸は、L―乳酸単位90〜99モル%とD−乳酸単位および/または乳酸以外の共重合成分単位1〜10モル%とにより構成される。L―乳酸単位は、好ましくは95〜99モル%、より好ましくは97〜99モル%である。このときD―乳酸単位および/または乳酸以外の共重合成分は、好ましくは1〜5モル%、より好ましくは1〜3モル%である。またポリL―乳酸は、結晶性を有しておりその融点が150〜190℃であることが好ましく、さらには160〜190℃であることがより好ましい。これらの範囲に入るポリエステルであれば、より高融点のステレオコンプレックス結晶を形成し、且つ、結晶化度をあげることが出来る。ポリL―乳酸は、その重量平均分子量が5万〜50万、好ましくは10万〜20万である。
ポリD―乳酸は、D―乳酸単位90〜99モル%とL−乳酸単位および/または乳酸以外の共重合成分単位1〜10モル%とにより構成される。このD―乳酸単位は、好ましくは95〜99モル%、より好ましくは97〜99モル%である。このときL―乳酸単位および/または乳酸以外の共重合成分は、好ましくは1〜5モル%、より好ましくは1〜3モル%である。ポリD―乳酸は、その重量平均分子量が5万〜50万、好ましくは10万〜20万である。
ポリL―乳酸およびポリD―乳酸の共重合成分としては、特に指定するものではないが、例えば、グリコール酸、カプロラクトン、ブチロラクトン、プロピオラクトンなどのヒドロキシカルボン酸類、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,2−プロパンジオール、1,4−プロパンジオール、1,5−プロパンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、デカンジオール、ドデカンジオール、炭素数が2から30の脂肪族ジオール類、コハク酸、マレイン酸、アジピン酸、炭素数2から30の脂肪族ジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ヒドロキシ安息香酸、ヒドロキノンなど芳香族ジオール、芳香族ジカルボン酸などから選ばれる1種以上のモノマーを選ぶことが出来る。
本発明に用いるポリL―乳酸およびポリD―乳酸は、例えばそれぞれの乳酸を直接脱水縮合する方法で製造したり、それぞれの乳酸を一度脱水環化してラクチドとした後に開環重合する方法で製造することができる。これらの製造方法において用いる触媒は、ポリL―乳酸やポリD―乳酸が所定の特性を有するように重合させることが出来るものであれば、いずれも用いることができるが、オクチル酸スズ、塩化スズ、スズのアルコキシドなどの2価のスズ化合物、酸化スズ、酸化ブチルスズ、酸化エチルスズなど4価のスズ化合物、金属スズ、亜鉛化合物、アルミニウム化合物、カルシウム化合物、ランタニド化合物などを例示することが出来る。
本発明によれば、延伸工程および熱処理工程における条件を適切に設定することにより、150℃、30分間におけるフィルムの熱収縮率を1.5%以下にすることができる。本発明においてフィルムの融点は200℃以上であり、融点が150℃〜170℃であるPLLAフィルムにおいて実行困難な150℃以上のより高温での熱固定が安定にできるため、150℃における熱収縮率を低く抑えることができる。150℃における熱収縮率が1.5%以下であれば、フィルムの熱的な寸法安定性に優れ、耐熱性を維持することができる。またフィルムを二次加工したり、長期保管しておく際のフィルムの収縮、劣化、波打ち、カール等の不具合を最小限にとどめることができる。
フィルムの重量平均分子量は5〜20万であり、フィルムの機械的特性を考慮すると8万〜20万が好ましく、さらには10万から20万が好ましい。
本発明により得られるフィルムは、示差走査熱量計(DSC)測定の昇温過程において、ポリL−乳酸とポリD−乳酸から形成されるステレオコンプレックス結晶に由来する融解ピークを有する。本発明のフィルムのDSC測定において、融解ピークはこのステレオコンプレックス結晶に由来する195℃以上の融解ピークが90%以上である。
ステレオコンプレックス結晶を有するポリ乳酸においては、成分、組成比および製造条件に応じて、通常は低温結晶融解相(A)と高温結晶融解相(B)の少なくとも2つの吸熱ピークを示すことが知られている。本発明により得られるフィルムには、(A)は10%より少なく、(B)は90%以上観察される。また(A)がまったく観察されず、(B)の単一融解ピークのみが見られる場合もあり、このときフィルムの結晶形態はステレオコンプレックスのみとなる。(A)が10%以上、つまり(B)の割合が90%を下回ると、フィルムの物性面において低温結晶融解相の寄与が大きくなり、150℃以上の高温での熱固定を行った際に部分的な融解によりフィルムが激しくたわんだり、穴あきが発生し、均一で良好なフィルムを得ることが困難となる場合がある。また、高温結晶融解相(B)の融解開始温度は180℃以上であり、好ましくは190℃以上である。フィルムの厚さは、好ましくは5〜50μmである。
<フィルムの製造方法>
ィルムは、ポリL−乳酸(L成分)と、ポリD−乳酸(D成分)とを、L成分/D成分=90/10〜10/90の重量比で、245〜300℃にて溶融混合した後、製膜し、Tg〜Tg+30℃の温度、延伸倍率が縦横方向ともに2〜4倍の範囲で二軸延伸した後、150℃以上で熱固定することにより製造することができる。
即ち本発明のフィルムは、
(1)L成分とD成分とを、L成分/D成分=90/10〜10/90の重量比で、245〜300℃にて溶融混合した後、製膜し未延伸フィルムを得る工程、
(2)未延伸フィルムをTg〜Tg+30℃の温度、延伸倍率が縦横方向ともに2〜4倍の範囲で二軸延伸した後、150℃以上で熱固定を行う工程、
により製造することができる。
ポリL―乳酸、ポリD―乳酸は、フィルムの項で説明したとおりであるが、さらにはポリL乳酸およびポリD乳酸は、ラクチド含有量がそれぞれ400ppm以下であることが好ましい。ラクチド含有量がそれぞれ400ppm以下であると、製膜性が向上し好ましい。ラクチド法によって得られるポリ乳酸中に含有するラクチドは溶融押出時に気化して気泡の原因になることがあるため、ラクチド量を400ppm以下に抑えることが好ましい。ポリL―乳酸およびポリD―乳酸中のラクチドは、溶媒洗浄または真空高温乾燥することにより低減することができる。
ポリL―乳酸およびポリD―乳酸は、水分率が100ppm以下が好ましく、より好ましくは50ppm以下、さらに好ましくは10ppmである。ポリL―乳酸およびポリD―乳酸中の水分は、減圧乾燥することで低減することができる。水分率が高いとポリL―乳酸とポリD―乳酸の加水分解が促進され、分子量が著しく低下し、製膜が困難になるばかりでなく、得られたフィルムの物性が低下する。
(溶融混合)
ポリL―乳酸(L成分)とポリD―乳酸(D成分)との重量比は、L成分/D成分が90/10〜10/90であり、ステレオコンプレックス結晶を発現させる観点からすれば、好ましくはL成分/D成分=60/40〜40/60、より好ましくは55/45〜45/55である。
溶融混合は、ポリL−乳酸とポリD−乳酸を上記重量比で共存させ245℃〜300℃の温度領域にて行う。溶融温度は好ましくは260〜290℃である。この温度において混合を行った場合、ステレオコンプレックス結晶がホモ結晶に優先して生成する。300℃を超えると、分解反応を抑制するのが難しくなるので好ましくない。溶融混合の時間は特に限定されるものではないが、0.2〜60分、好ましくは1〜10分である。
溶融混合は、溶融押出機で行うことができる。溶融押出機としては、プレッシャーメルター型や1軸あるいは2軸エクストルーダー型など通常の溶融押出機を使用することができる。ただし、ステレオコンプレックス結晶の形成にあたっては、ポリL―乳酸とポリD―乳酸を十分に混合することが重要であり、その観点からすれば、1軸あるいは2軸エクストルーダー型が好ましい。混ざり具合をよくするために、ポリマー流路中に静止混練機を組み込むことが好ましい。またポリL―乳酸とポリD―乳酸とのチップブレンド物を混練機にて溶融した後、チップ化した、予備混練されたチップを用いることもできる。
(製膜)
製膜は、溶融混合物をダイから押し出し、未延伸フィルムを得る工程である。未延伸フィルムはTダイから押し出されたあと、金属ロール上に巻き取られることが好ましい。フィルムと金属ロールとの密着を防ぎ、溶融直後のフィルムをクエンチするために、金属ロールは冷却水などにより十分に冷却されていることが好ましい。
(二軸延伸)
延伸は、Tg〜Tg+30℃の温度で行う。延伸温度がTg+30℃を超えると予熱時または延伸初期にポリ乳酸の結晶が生成するため延伸性の低下につながる。未延伸フィルムをTg〜Tg+30℃に予熱した後、二軸延伸を行うことが好ましい。延伸方法は、同時二軸延伸法のほかに逐次延伸法が挙げられるが、後者の場合、一軸目の延伸によりポリ乳酸の結晶が発現してしまい、二軸目の延伸が困難になる場合がある。従って延伸は、クリップでフィルム四方を把持して同時二軸延伸を行うことが好ましい。また延伸後に縦または幅方向の弛緩処理を施すことも可能である。延伸倍率は、縦横方向とも2〜4倍である。縦方向と横方向の延伸倍率は等しいことが好ましい。
(熱固定)
熱固定は150℃以上で行う。150℃以上にて熱固定を行う理由は、フィルムの項で述べたとおり、熱収縮率を低く抑え、フィルムの寸法安定性を高めるためであり、好ましくは160℃以上、より好ましくは180℃以上である。熱固定は、延伸フィルムをクリップで把持した状態もしくは延伸フィルムをクリップから外し、別途金属枠に挟み行うことができる。
特に、二軸延伸法により製造されるフィルムの好ましい製造方法の例を以下に示すが、製造方法はこれに限定されるものではない。真空乾燥機にて80℃〜150℃にて5時間以上乾燥を行ったポリL−乳酸およびポリD−乳酸の樹脂チップをドライブレンドし、溶融製膜機のフィーダーに供給する。チップ供給時の吸水を防ぎ、水分率を低く維持するためにもフィーダー部位は不活性ガスにより置換されていることが好ましい。フィードされたポリL−乳酸およびポリD−乳酸は、二軸混練機にて245〜300℃で十分に溶融混練され、ギアポンプにより計量され、押出部位に供給される。供給されたポリマーはリップの厚さ0.1〜3mmのTダイより押し出され、表面温度20〜40℃の金属冷却ロール上に巻き取られる。次いで、バッチ式延伸機内に未延伸フィルム片の四方をクリップで把持し、延伸温度Tg〜Tg+30℃に装置内を加温後、数分間保持する。十分に装置内の加温が行われたところで、延伸倍率2〜倍に同時二軸延伸を行う。得られた延伸フィルムを金属枠二枚に挟み四辺をクリップで固定し、150℃以上にて10秒〜300秒熱固定を行い、フィルムが十分に冷却したのを待ち、金属枠から外す。以上のような製造方法を採用することで、上記(1)および(2)の工程を経て本発明のフィルムを製造することができる。

以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例に何等限定を受けるものではない。また実施例中における各値は下記の方法で求めた。
(1)還元粘度:
ポリマー0.04gを10mLのテトラクロロエタン/フェノール(容量比1/1)に溶解し、35℃における還元粘度(mL/g)を測定した。
(2)水分率
水分率は得られたチップをカールフィッシャー水分率計(三菱化学 CA−100 気化装置つき)を用いて測定した。
(3)重量平均分子量
フィルムの重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC):ショーデックス製GPC−11を使用し、ポリ乳酸50mgを5mlのクロロホルムに溶解させ、40℃のクロロホルムにて展開した。重量平均分子量(Mw)、はポリスチレン換算値として算出した。
(4)示差走査熱量計測定
DSCを用いて、窒素雰囲気下、昇温速度20℃/分で測定し、結晶化点(Tc)、融点(Tm)および融解エンタルピー(ΔHm)を求めた。
195℃以上の融解ピークの割合(%)は、195℃以上(高温)の融解ピーク面積と140〜180℃(低温)融解ピーク面積から以下の式により算出した。
195以上(%)=A195以上/(A195以上+A140〜180)×100
195以上:195℃以上の融解ピークの割合
195以上:195℃以上の融解ピーク面積
140〜180:140〜180℃の融解ピーク面積
(5)熱収縮率
標点を記したポリ乳酸フィルム片を耐熱性を有するポリイミドフィルム2枚の間に軽く挟み、固定しない状態で150℃のオーブン内に30分間静置し、下記式に基づいて熱収縮率を計算した。
150(%)=((L1−L2)/L1)x100
L1:加熱処理前の標点間の距離
L2:加熱処理後の標点間の距離
(製造例1:ポリマーAの製造)
L−ラクチド(株式会社武蔵野化学研究所製)48.75gとD−ラクチド(株式会社武蔵野化学研究所製)1.25gをフラスコに加え、系内を窒素置換した後、ステアリルアルコール0.05g、触媒としてオクチル酸スズ25mgを加え、190℃、2時間、重合を行いポリマーを製造した。このポリマーを7%5N塩酸のアセトン溶液で洗浄し、触媒を除去し、ポリマーAを得た。得られたポリマーAの還元粘度は1.27(mL/g)、重量平均分子量13万であった。融点(Tm)は158℃であった。結晶化点(Tc)は117℃であった。
(製造例2:ポリマーAの製造)
原料にL−ラクチド(株式会社武蔵野化学研究所)50.0gを用いた以外は製造例1と同様な操作を行い、ポリマーAを製造した。ポリマーAの還元粘度は1.69、重量平均分子量20万であった。融点(Tm)は176℃であった。結晶化点(Tc)は121℃であった。
(製造例3:ポリマーBの製造)
原料にL−ラクチド(株式会社武蔵野化学研究所)1.25gとD−ラクチド(株式会社武蔵野化学研究所)48.75gを用いた以外は製造例1と同様な操作を行い、ポリマーBを製造した。ポリマーBの還元粘度は1.30、重量平均分子量14万であった。融点(Tm)は155℃であった。結晶化点(Tc)は121℃であった。
(製造例4:ポリマーBの製造)
原料にD−ラクチド(株式会社武蔵野化学研究所)50.0gを用いた以外は製造例1と同様な操作を行い、ポリマーBを製造した。ポリマーBの還元粘度は1.69、重量平均分子量20万であった。融点(Tm)は175℃であった。結晶化点(Tc)は121℃であった。
(実施例1)
ポリマーAおよびポリマーBのチップを、ポリマーA/ポリマーB=50/50の割合でチップブレンドした後、80℃で16時間減圧乾燥し、水分率は85ppmであった。
このチップを2軸ルーダー付溶融製膜機を用い、260℃で溶融し、幅150mm、厚さ0.2mmのTダイで口金温度230℃にてフィルム状に押し出した。30℃に冷却したドラム上にキャストして未延伸フィルムを作製した。この未延伸フィルムの厚みは170μmであった。次いで、この未延伸フィルムをバッチ式延伸機を用いて、予熱温度80℃にて縦横3.5倍に二軸延伸した。さらに延伸フィルムを熱風乾燥機にて180℃で1分間熱固定を行った。
得られたフィルムの重量平均分子量は10万、厚みは15μmであり、150℃における熱収縮率は1.4%であった。また示差走査熱量計(DSC)測定において、ポリL乳酸およびポリD乳酸からなるステレオコンプレックス結晶の単一融解ピークを示し、融点が203℃であった。このDSCチャートを図1に示す。
(実施例2)
ポリマーA/ポリマーB=50/50の割合のチップブレンドを準備し、溶融製膜機内の温度を280℃として製膜すること以外は実施例1と同様の方法で延伸・熱固定フィルムを作製した。得られたフィルムの重量平均分子量は11万、厚みは13μmであり、150℃における熱収縮率は1.5%であった。また示差走査熱量計(DSC)測定において、ポリL乳酸およびポリD乳酸からなるステレオコンプレックス結晶の単一融解ピークを示し、融点が205℃であった。
参考例3)
ポリマーAを2軸ルーダー付溶融製膜機を用い、260℃で溶融し、幅150mm、厚さ0.2mmのTダイで口金温度230℃にてフィルム状に押し出した。30℃に冷却したドラム上にキャストして未延伸フィルムを作製した。この未延伸フィルムの厚みは150μmであった。次いで、この未延伸フィルムをバッチ式延伸機を用いて、予熱温度75℃にて縦横3.0倍に二軸延伸した。さらに延伸フィルムを熱風乾燥機にて150℃で1分間熱固定を行った。
得られたフィルムの重量平均分子量は12万、厚みは13μmであり、150℃における熱収縮率は3.6%であった。またこのフィルムは示差走査熱量計(DSC)測定において、ポリL―乳酸結晶の単一融解ピークを示し、融点が170℃であった。
(比較例1)
ポリマーA/ポリマーB=50/50の割合のチップブレンドを準備し、溶融製膜機内の温度を240℃として製膜すること以外は実施例1と同様の方法で延伸フィルムを作製した。この延伸フィルムを熱風乾燥機にて180℃で1分間熱固定を行ったところ、フィルムの一部にたわみが発生し、均一なフィルムを作製することはできなかった。得られたフィルムの重量平均分子量は11万であり、DSC測定における195℃以上の融解ピークの割合(%)は89%であった。また低温結晶融解相の融点は155℃、高温結晶融解相の融点は205℃であった。
(比較例2)
ポリマーA/ポリマーBの代わりにポリマーA/ポリマーB=50/50の割合のチップブレンドを準備したこと以外は実施例1と同様の方法で延伸フィルムを作製した。この延伸フィルムを熱風乾燥機にて180℃で1分間熱固定を行ったところ、たわみが激しく発生し、均一なフィルムを作製することはできなかった。得られたフィルムの重量平均分子量は9万であり、DSC測定における195℃以上の融解ピークの割合(%)は70%であった。また低温結晶融解相の融点は170℃、高温結晶融解相の融点は220℃であった。
実施例1〜参考例3、比較例1および2の結果を表1に示す。
Figure 0005376749
本発明により得られるフィルムは、工業用、農業用、パッケージング用のフィルムとして利用することができる。


実施例1で得られたフィルムのDSCチャートである。

Claims (1)

  1. L―乳酸単位90〜99モル%とD−乳酸単位および/または乳酸以外の共重合成分単位1〜10モル%とにより構成され、重量平均分子量が5万〜50万のポリL−乳酸(L成分)と、D―乳酸単位90〜99モル%とL−乳酸単位および/または共重合成分単位1〜10モル%とにより構成され、重量平均分子量が5万〜50万のポリD−乳酸(D成分)とを、L成分/D成分=90/10〜10/90の重量比で、245〜300℃にて溶融混合した後、製膜し(但し、プレス成形により製膜する場合を除く)、Tg〜Tg+30℃の温度、延伸倍率が縦横方向ともに2〜4倍の範囲で二軸延伸した後、150℃以上で熱固定することからなる、ステレオコンプレックス結晶を含有し、150℃における熱収縮率が1.5%以下で、重量平均分子量が5万〜20万であり、示差走査熱量計(DSC)測定において、昇温過程における融解ピークのうち、195℃以上の融解ピークの割合が90%以上である二軸延伸フィルムの製造方法。
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