JP4647917B2 - ポリ乳酸樹脂組成物及びその成形体 - Google Patents

ポリ乳酸樹脂組成物及びその成形体 Download PDF

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本発明は、ポリ乳酸樹脂組成物、並びにそれを溶融成形して結晶化せしめた成形体に関する。
ポリ乳酸は、微生物や酵素の働きにより分解する性質、いわゆる生分解性を示し、その生分解物は人体に無害な乳酸や二酸化炭素と水になることから、医療用材料や汎用樹脂の代替物として注目されている。このようなポリ乳酸は結晶性樹脂であるが、その結晶化速度は小さく、実際には非晶性樹脂に近い挙動を示す。すなわち、ガラス転移温度付近で急激に且つ極度に軟化するため(通常、弾性率1/100未満)、耐熱性、成形性、離型性等の点で十分な特性を得ることが困難であった。
このような問題点を改善するために、特開平10−87975号公報(特許文献1)には、ポリ乳酸系樹脂(ポリLラクチド)にアミド系化合物(例えば、トリメシン酸トリス(t−ブチルアミド)、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジアニリド、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジシクロヘキシルアミド、N,N’−ジベンゾイル−1,4−ジアミノシクロヘキサン、N,N’−ジシクロヘキサンカルボニル−1,5−ジアミノナフタレン)を配合することにより結晶化が改善され、金型離型性が向上することが記載されている。
また、特開平9−25400号公報(特許文献2)には、ポリL乳酸(PLLA)とポリD乳酸(PDLA)とを溶融ブレンドして成形することにより、それぞれを単体で用いた場合に比べて結晶化が促進されることが記載されている。
一方、特開2002−356543号公報(特許文献3)には、L乳酸単位からなるセグメントとD乳酸単位からなるセグメントにより構成されるポリ乳酸ステレオブロック共重合体が高融点を有するステレオコンプレックスを形成可能であることが記載されている。
特開平10−87975号公報 特開平9−25400号公報 特開2002−356543号公報
しかしながら、特開平10−87975号公報記載の方法であっても、結晶化の速度は未だ十分なものではなく、射出成形等の成形方法によって十分に結晶性を有するポリ乳酸を得ることは困難であった。
また、特開平9−25400号公報記載の方法であっても、結晶化速度の向上には限界があり、射出成形等の成形方法によって十分に結晶性を有するポリ乳酸を得ることは未だ困難であった。また、ポリL乳酸とポリD乳酸とのステレオコンプレックス結晶の出現により溶融成形時の冷却時間を短縮できる可能性が示唆されているものの、実際に特開平9−25400号公報記載の方法により得られた結晶体はその大半がホモ結晶であり、ステレオコンプレックス結晶の割合は小さいものであった。
さらに、特開2002−356543号公報記載の方法であっても、上述したポリL乳酸及びポリD乳酸のブレンド体と同様に結晶化速度が小さく、大きな結晶化速度と十分な結晶性とを同時に達成できるポリ乳酸ステレオブロック共重合体は未だ得られていない。
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、ステレオコンプレックス結晶を生成可能なポリ乳酸に対し、選択的にステレオコンプレックス結晶化せしめ、その結晶化速度を向上させることを目的とする。さらに、射出成形等の成形方法によって十分に結晶性を有しかつステレオコンプレックス結晶比率の高いポリ乳酸の成形体を得ることを可能とするポリ乳酸樹脂組成物、並びにそれを溶融成形して結晶化せしめた成形体を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、ポリL乳酸とポリD乳酸とを単にブレンドして結晶化させてもステレオコンプレックス結晶が高比率の成形体を得ることはできないのに対し、特定の構造を有する芳香族アミド化合物を結晶促進剤として添加することによりステレオコンプレックス結晶化速度とステレオコンプレックス結晶化選択性との双方が驚くべきことに向上することを見出した。さらに、本発明者らは鋭意研究を重ねた結果、ポリ乳酸ステレオブロック共重合体においても上述した特定の構造を有する芳香族アミド化合物を結晶促進剤として添加することにより、ステレオコンプレックス結晶化速度が驚くべきことに向上するとともに、十分な結晶性が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明のポリ乳酸樹脂組成物は、ステレオコンプレックス結晶を生成可能なポリ乳酸成分と、下記一般式(1):
Figure 0004647917
[式中、Xは−CONH−又は−NHCO−を示し、Rは炭素数3〜20の分岐鎖状アルキル基を示し、mは1〜6の整数を示す。]
で表される芳香族アミド化合物とを含有することを特徴とするものである。
また、本発明の成形体は、ステレオコンプレックス結晶を生成可能なポリ乳酸成分と、下記一般式(1):
Figure 0004647917
[式中、Xは−CONH−又は−NHCO−を示し、Rは炭素数3〜20の分岐鎖状アルキル基を示し、mは1〜6の整数を示す。]
で表される芳香族アミド化合物とを含有するポリ乳酸樹脂組成物を溶融成形して結晶化せしめたものであることを特徴とするものである。
ここで、「ステレオコンプレックス結晶を生成可能なポリ乳酸成分」とは、立体構造が異なるポリ乳酸同士の混合物(例えば、ポリL乳酸とポリD乳酸とのブレンド体)、あるいはL−乳酸単位からなるセグメントとD−乳酸単位からなるセグメントにより構成されるポリ乳酸ステレオブロック共重合体、他のポリマーとの混合物/共重合体など、乳酸を基本骨格とするポリマーであれば、純物質でもそれらの混合物でも構わない。
本発明にかかるステレオコンプレックス結晶を生成可能なポリ乳酸成分は、大きな結晶化速度と十分な結晶性とを有する成形体を得る観点から、結晶化した時に広角X線回折法に基づくX線回折スペクトルにおいてブラッグ角(2θ)11.3〜12.3°、20.1〜21.1°及び23.3〜24.3°に回折ピークを有していることが好ましい。
このようなX線回折スペクトルを有するポリ乳酸成分に対して、特定の構造を有する芳香族アミド化合物を結晶促進剤として添加することにより、ステレオコンプレックス結晶化速度とステレオコンプレックス結晶化選択性との双方が顕著に向上することを、本発明者らは見出した。
なお、結晶化したポリ乳酸成分を広角X線回折法により測定したX線回折スペクトルにおいて、上述の回折ピーク(2θ=11.3〜12.3°、20.1〜21.1°及び23.3〜24.3°)が観測されれば、他の回折ピーク、例えば、ポリ乳酸のホモ結晶に特有な回折ピーク(2θ=14.1〜15.1°、15.9〜16.9°、18.3〜19.3°及び21.6〜22.6°)が観測されてもよい。
ここで、上述の「X線回折スペクトル」は、以下の条件で測定されるスペクトルを示す。
X線源 :CuKα、
フィルター:Ni、
X線回折装置:RINT2200((株)リガク製)、
ステップ :0.01°、
スキャンスピード:2.0°/min。
また、上述のX線回折スペクトルを測定する際のポリ乳酸成分試料の結晶化方法は特に限定されないが、例えば、以下の1)〜4)の結晶化方法が挙げられる。
1)ポリ乳酸樹脂を溶媒に溶解した後、溶媒をキャストし結晶化させる方法。
2)ポリ乳酸樹脂を加熱溶融した後、溶融状態から室温付近までゆっくり冷却して結晶化させる方法。
3)ポリ乳酸樹脂を加熱溶融した後、溶融状態から所定の温度まで冷却し、その温度で結晶化させる方法。
4)ポリ乳酸樹脂を加熱溶融した後、溶融状態で室温まで冷却し、次いで、所定の温度で結晶化させる方法。
本発明にかかるポリ乳酸成分としては、ポリL乳酸及びポリD乳酸のブレンド体、L−乳酸単位からなるセグメント及びD−乳酸単位からなるセグメントを有するポリ乳酸共重合体が好ましい。
上記本発明にかかる前記芳香族アミド化合物としては、トリメシン酸トリス(sec-ブチルアミド)及び/又はトリメシン酸トリス(iso-ブチルアミド)が好ましい。
また、本発明者らは、芳香族アミド化合物としてトリメシン酸トリス(sec−ブチルアミド)を使用すると、ステレオコンプレックス結晶比率が高く、結晶性の高いポリ乳酸の成形体が更に容易かつ確実に得られるとの知見を得ている。ポリL乳酸及びポリD乳酸のブレンド体においては、上述の芳香族アミド化合物と組み合わせることで、ブレンド体に占めるポリL乳酸及びポリD乳酸の含有比率が異なる場合であっても選択的なステレオコンプレックス結晶化が可能であり、ステレオコンプレックス結晶の比率の高いポリ乳酸の成形体が得られることを、本発明者らは確認している(後述の参考例12,13,実施例14〜17,参考例18,19参照)。
また、上記本発明のポリ乳酸樹脂組成物により得られる上記本発明の成形体としては、下式(i)から求めたステレオコンプレックス結晶比率が80%以上であるものが好ましい。
ステレオコンプレックス結晶比率(%)={B/(AZ+B)}×100 …(i)
[式中、AはDSC測定により求めたホモ結晶融解ピークの融解吸熱量(ΔHm, homo)を示し、BはDSC測定により求めたステレオコンプレックス結晶融解ピークの融解吸熱量(ΔHm, stereo)を示し、Zはブレンド体の全質量に占めるポリL乳酸の割合をC、ポリD乳酸の割合Dとしたときに、含有量の少ないポリ乳酸の割合を2倍した値を示す。但し、C+D=1である。]
このように高い比率でステレオコンプレックス結晶を含有していれば、成形体の耐熱性、成形性、離型性等をより一層向上させることができる。
なお、「ステレオコンプレックス結晶」とは、以下のように定義される。すなわち、ポリL乳酸及びポリD乳酸のブレンド体においては、ポリL乳酸分子とポリD乳酸分子とがラセミ結晶構造となっている共晶体をいう。そして、ポリL乳酸のホモ結晶やポリD乳酸のホモ結晶の融点(DSC測定による融解ピーク)が一般に160〜180℃であるのに対して、上述したブレンド体及びポリ乳酸共重合体のステレオコンプレックス結晶の融点(DSC測定による融解ピーク)は一般に190〜240℃である。
本発明によれば、ステレオコンプレックス結晶を生成可能なポリ乳酸に対し、選択的にステレオコンプレックス結晶化せしめ、その結晶化速度が十分に大きく、射出成形等の成形方法によって十分に結晶性を有しかつステレオコンプレックス結晶比率の高いポリ乳酸の成形体を得ることを可能なポリ乳酸樹脂組成物が提供され、そのポリ乳酸樹脂組成物を溶融成形して結晶化せしめることによりステレオコンプレックス結晶比率が高く結晶性の高い成形体を得ることが可能となる。
以下、本発明をその好適な実施形態に即して詳細に説明する。
本発明のポリ乳酸樹脂組成物は、ステレオコンプレックス結晶を生成可能なポリ乳酸成分と、前記一般式(1)で表される芳香族アミド化合物とを含有することを特徴とするものである。そして、ポリ乳酸成分としては、結晶化した時に広角X線回折法に基づくX線回折スペクトルにおいてブラッグ角(2θ)が11.3〜12.3°、20.1〜21.1°及び23.3〜24.3°に回折ピークを有し、かつ、ポリL乳酸及びポリD乳酸のブレンド体、又はL−乳酸単位からなるセグメント及びD−乳酸単位からなるセグメントを有するステレオブロック共重合体が好適である。
先ず、本発明にかかるブレンド体を構成するポリL乳酸及びポリD乳酸について説明する。このようなポリL乳酸は下記一般式(2):
Figure 0004647917
[式中、nは整数を示す。]
で表される繰り返し単位を有するポリマーであり、他方、ポリD乳酸は下記一般式(3):
Figure 0004647917
[式中、nは整数を示す。]
で表される繰り返し単位を有するポリマーであり、両者は鏡像関係にある。
ポリL乳酸及びポリD乳酸の重合方法は特に制限されず、L−乳酸又はD−乳酸の直接重合でもよく、乳酸の環状2量体であるL−ラクチド又はD−ラクチドの開環重合であってもよい。
また、ポリL乳酸及びポリD乳酸の光学純度はそれぞれ90mol%以上であることが好ましく、95mol%以上であることがより好ましく、98mol%以上であることがさらに好ましい。ポリL乳酸及びポリD乳酸の光学純度が上記下限未満であると、立体規則性の低下により結晶化が阻害され、本発明により得られる効果が十分に発現しない傾向にある。
さらに、ポリL乳酸及びポリD乳酸の重量平均分子量は特に制限されないが、それぞれ好ましくは10,000以上であり、より好ましくは50,000以上であり、さらに好ましくは100,000以上である。ポリL乳酸及びポリD乳酸の重量平均分子量が前記下限未満であると、強度、弾性率等の機械物性が不十分となる傾向にある。また、ポリL乳酸及びポリD乳酸の重量平均分子量は、それぞれ400,000以下であることが好ましい。この重量平均分子量を超えると、成形加工性が不十分となる傾向にある。なお、本発明における重量平均分子量とは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)による標準ポリスチレン換算の重量平均分子量をいう。
またさらに、ポリL乳酸とポリD乳酸とのブレンド比率は、1〜99質量%:99〜1質量%が好ましく、10〜90質量%:90〜10質量%がより好ましく、30〜70質量%:70〜30質量%が特に好ましい。ポリL乳酸とポリD乳酸との含有割合の差が大き過ぎると、得られる成形体におけるステレオコンプレックス結晶の含有割合が減少し、結晶化速度の向上の程度が減少する傾向にある。また、ポリL乳酸とポリD乳酸とのブレンド体としては、結晶化した時に広角X線回折法に基づくX線回折スペクトルにおいてステレオコンプレックス結晶に特有な回折ピーク(2θ=11.3〜12.3°、20.1〜21.1°及び23.3〜24.3°)を有する比率のブレンド体とすることが好ましい。
さらにまた、ポリL乳酸とポリD乳酸とのブレンド体を形成する方法は特に制限されず、例えば、クロロホルム等の溶媒を用いて両者を混合した後に溶媒を除去する方法や、両者を160〜260℃程度の温度に加熱して溶融混合する方法であってもよい。
次に、本発明にかかるポリ乳酸ステレオブロック共重合体ついて説明する。このようなポリ乳酸共重合体は、下記一般式(4):
Figure 0004647917
で表されるL−乳酸単位からなるセグメント(以下、「第1のセグメント」という)と、下記一般式(5);
Figure 0004647917
で表されるD−乳酸単位からなるセグメント(以下、「第2のセグメント」という)とを有する。
また、上述したポリ乳酸共重合体としては、第1のセグメントと第2のセグメントとが交互に化学結合した共重合体であればよく、第1のセグメント及び第2のセグメントの鎖長や比率は特に限定されるものではない。そして、後述する重合反応により得られたポリ乳酸共重合体の中から、結晶化した時に広角X線回折法に基づくX線回折スペクトルにおいてステレオコンプレックス結晶に特有な回折ピーク(2θ=11.3〜12.3°、20.1〜21.1°及び23.3〜24.3°)を有するポリ乳酸共重合体を選択することが好ましい。
また、上述したポリ乳酸共重合体としては、ステレオコンプレックス結晶を生成しやすい点で直鎖状に結合したポリ乳酸ブロック共重合体が好ましい、なお、かかるポリ乳酸共重合体は、その構造中にグラフト構造や星型構造を有していてよい。
このようなポリ乳酸ブロック共重合体は、ラクチド法により合成可能であり、例えば、L−乳酸又はD−乳酸を出発原料として乳酸環状2量体であるL−ラクチド又はD−ラクチドを得、次いで、光学活性の異なる一方のラクチドの開環重合を行う第1の工程と、光学活性の異なる他方のラクチドの開環重合を行う第2の工程とを順次行うことによりブロック共重合体を合成することができる。この場合、L−ラクチド又はD−ラクチドを出発原料として開環重合を行ってもよい。また、金属有機酸塩(例えば、オクチル酸スズ)等の触媒を用いることにより重合反応を促進することが可能である。
また、上述の重合反応により得られるポリ乳酸共重合体の重量平均分子量は特に制限されないが、それぞれ好ましくは10,000以上であり、より好ましくは50,000以上であり、さらに好ましくは100,000以上である。ポリ乳酸共重合体の重量平均分子量が前記下限未満であると、強度、弾性率等の機械物性が不十分となる傾向にある。また、ポリ乳酸共重合体の重量平均分子量は、400,000以下であることが好ましい。この重量平均分子量を超えると、成形加工性が不十分となる傾向にある。
次に、本発明にかかる結晶促進剤について説明する。すなわち、本発明のポリ乳酸樹脂組成物においては、上記のポリL乳酸とポリD乳酸とのブレンド体やポリ乳酸共重合体等のポリ乳酸成分と共に下記一般式(1):
Figure 0004647917
で表される芳香族アミド化合物が含有される。
ここで、上式中、Xは−CONH−又は−NHCO−を示す。また、Rは炭素数3〜20(好ましくは炭素数3〜6)の分岐鎖状アルキル基を示し、特に好ましくはsec-ブチル基又はiso-ブチル基である。さらに、上式中のmは1〜6の整数を示し、好ましくは3である。
本発明においては、このような特定の構造を有する芳香族アミド化合物を結晶促進剤として添加することにより、ステレオコンプレックス結晶化速度とステレオコンプレックス結晶化選択性との双方が顕著に向上し、トリメシン酸トリス(sec-ブチルアミド)及び/又はトリメシン酸トリス(iso-ブチルアミド)を用いた場合に特に優れた効果が達成される。
上記芳香族アミド化合物によってこのような効果が奏される理由は定かではないが、本発明者らは以下のように推察する。すなわち、先ず、ポリマーの結晶促進剤に求められる要件としては、
1)ポリマーが結晶化する前段階ではポリマーと親和性が高くポリマーへの分散性がよいこと、
2)ポリマーの結晶化時には不溶となり核となること、
が挙げられる。それに対して、上記芳香族アミド化合物においては、アミド基を有することで結晶化の前段階におけるポリ乳酸成分との高い親和性が達成され、また、自身がアミド基の水素結合で結晶化すること並びに芳香環同士でスタッキングすることによってポリ乳酸成分が結晶化する際には不溶物となると考えられる。
さらに、ポリ乳酸のホモ結晶とステレオコンプレックス結晶とはそれぞれ構成するポリ乳酸分子のヘリックス形態が異なる(ホモ結晶:103ヘリックス、ステレオコンプレックス結晶:31ヘリックス)ため、これらの分子を集める(結晶化させる)のに適した結晶促進剤の分子構造も異なると考えられる。この点に関する明確な相関は未だ判明していないが、例えば芳香族アミド化合物における基本骨格と置換基によりそれ自身の結晶構造が異なるために結晶成長を促すのに適したポリ乳酸のヘリックス形態も異なり、上記本発明にかかる芳香族アミド化合物によればステレオコンプレックス結晶のみの生成が特異的に向上するようになったと考えられる。
本発明のポリ乳酸樹脂組成物における上記芳香族アミド化合物の含有量は、ポリ乳酸成分と芳香族アミド化合物との混合物中、0.05〜10質量%が好ましく、0.1〜8質量%がより好ましく、0.1〜5質量%が特に好ましい。芳香族アミド化合物の含有量が上記下限未満では得られる成形体におけるステレオコンプレックス結晶の含有割合が減少し、結晶化速度の向上の程度が減少する傾向にある。他方、芳香族アミド化合物の含有量が上記上限を超えると、芳香族アミド化合物による可塑剤的作用が強く発現するようになり、剛性が低下する傾向にあり、また、核剤がブリードアウトして成形体の外観が低下する傾向にある。
さらに、本発明のポリ乳酸樹脂組成物においては、その特性を損なわない限りにおいて、充填剤{タルク、層状粘土鉱物(好ましくは有機オニウム塩で有機化された層状粘土鉱物)等}、可塑剤、顔料、安定剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、難燃剤、離型剤、滑剤、染料、抗菌剤、末端封止剤等の添加剤を更に添加してもよい。このような添加剤の含有量は、本発明のポリ乳酸樹脂組成物中において、20質量%以下であることが好ましい。
次に、本発明の成形体について説明する。すなわち、本発明の成形体は、前述の本発明のポリ乳酸樹脂組成物を溶融成形して結晶化せしめたものである。
本発明の成形体を製造するに際し、ポリ乳酸樹脂組成物を溶融する際の温度は160〜260℃であることが好ましい。この温度が上記下限未満であると、ポリ乳酸樹脂組成物の溶融が不十分となり、諸成分が均一に分散しにくくなる傾向がある。他方、この温度が上記上限を超えると、ポリ乳酸の分子量が低下して得られる成形体の物性が損なわれる傾向がある。
また、上記溶融温度における保持時間は、0.1〜30分であることが好ましい。この保持時間が上記下限未満であると、得られる成形体におけるポリ乳酸の結晶化が不十分となる傾向があり、他方、この保持時間が上記上限を超えると、ポリ乳酸の分子量が低下して得られる成形体の物性が損なわれる傾向がある。
さらに、溶融したポリ乳酸樹脂組成物を結晶化せしめる方法としては、溶融状態から30〜160℃の温度まで冷却し、10秒から30分間、その温度で保持する方法が好ましい。保持時間が上記下限未満であると、得られる成形体における結晶化が不十分となる傾向があり、他方、保持時間が上記上限を超えると、成形体を得るのに長時間が必要となり、実用上好ましくない傾向がある。
また、本発明の成形体を製造するに際し、その成形方法は特に制限されず、射出成形、押出成形、ブロー成形、インフレーション成形、異形押出成形、射出ブロー成形、真空圧空成形、紡糸等のいずれにも好適に使用することができる。そして、本発明のポリ乳酸樹脂組成物によれば十分に大きい結晶化速度が達成されるため、例えば射出成形に供した場合であっても十分に結晶性を有しかつステレオコンプレックス結晶比率の高いポリ乳酸の成形体を得ること可能となる。
このように本発明のポリ乳酸樹脂組成物により得られる上記本発明の成形体としては、下式(i)から求めたステレオコンプレックス結晶比率が80%以上であるものが好ましく、85%以上であるものがより好ましく、90%以上であるものがさらに好ましく、95%以上であるものが特に好ましい。得られる成形体における結晶部分のうち、ステレオコンプレックス結晶の割合が高いほど成形品の耐熱性が向上する傾向にある。なお、下記式(i)中、AはDSC測定により求めたホモ結晶融解ピークの融解吸熱量(ΔHm, homo)を示し、BはDSC測定により求めたステレオコンプレックス結晶融解ピークの融解吸熱量(ΔHm, stereo)を示し、Zはブレンド体の全質量に占めるポリL乳酸の割合をC、ポリD乳酸の割合Dとしたときに、含有量の少ないポリ乳酸の割合を2倍した値を示す。但し、C+D=1である。
ステレオコンプレックス結晶比率(%)={B/(AZ+B)}×100 …(i)
なお、上記DSCによる結晶化挙動の評価は、具体的には以下の方法によるものである。すなわち、先ず、試料(ポリ乳酸樹脂組成物)の一部(5〜10mg)を255℃まで昇温し、5分間保持して溶融させた後、20℃/minの冷却速度で30℃まで冷却し、その際のポリ乳酸の結晶化温度(Tc, cool)及び結晶化に基づく発熱量(ΔHc, cool)を求める。次いで、前記冷却後、試料を10℃/minの昇温速度で255℃まで再昇温し、その際のポリ乳酸の結晶化温度(Tc, hot)、結晶化に基づく発熱量(ΔHc, hot)、ピークトップが160℃〜180℃に現れるホモ結晶融解ピークの融解温度(Tm, homo)とその融解吸熱量(ΔHm, homo)、並びにピークトップが190℃〜230℃に現れるステレオコンプレックス結晶融解ピークの融解温度(Tm, stereo)とその融解吸熱量(ΔHm, stereo)を求める。そして、このようにしてDSC測定により求めたホモ結晶融解ピークの融解吸熱量(ΔHm, homo)とステレオコンプレックス結晶融解ピークの融解吸熱量(ΔHm, stereo)と、ブレンド体に占めるポリL乳酸及びポリD乳酸の比率とから、ステレオコンプレックス結晶比率を上記(i)式に基づいて算出する。なお、結晶化温度及び融解温度は何れもピークトップの温度とする。また、冷却過程における結晶化ピークが高温側で観測されるほど結晶化速度が大きいことになり、冷却過程における結晶化に基づく発熱量が大きいほど結晶化度向上効果が高いことになる。なお、上記方法は、ポリL乳酸とポリD乳酸とのブレンド体について説明したが、上述したポリ乳酸共重合体においても同様の方法により、DSCによる結晶化挙動の評価を行うことができる。
本発明の成形体の形状、厚み等は特に制限されず、射出成形品、押出成形品、圧縮成形品、ブロー成形品、シート、フィルム、糸、ファブリック等のいずれでもよい。より具体的には、バンパー、ラジエーターグリル、サイドモール、ガーニッシュ、ホイールカバー、エアロパーツ、インストルメントパネル、ドアトリム、シートファブリック、ドアハンドル、フロアマット等の自動車部品、家電製品のハウジング、製品包装用フィルム、防水シート、各種容器、ボトル等が挙げられる。また、本発明の成形体をシートとして使用する場合には、紙又は他のポリマーシートと積層し、多層構造の積層体として使用してもよい。
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
ポリL乳酸(PLLA:トヨタ自動車社製、#5400、重量平均分子量14万、光学純度99%)0.5g、ポリD乳酸(PDLA:Purac社製、PURASORB PD、重量平均分子量12万、光学純度99%)0.5g及びトリメシン酸トリス(sec-ブチルアミド)0.01gを10mLのクロロホルムを用いて攪拌しながら混合した。得られた混合物をシャーレに垂らし、常圧乾燥及び減圧乾燥によりクロロホルムを除去し、ポリ乳酸樹脂組成物のフィルムを作製した。得られたフィルムを試料として上記のDSC測定を行い、得られた結果を表1及び図1に示す。
実施例1のポリL乳酸及びポリD乳酸のブレンド体(質量比1:1)をクロロホルムに溶解した後、室温でクロロホルムを蒸発させ試料を調製した。この試料を用いて広角X線回折法に基づくX線回折スペクトルの測定を行った。測定結果を図4に示す。X線回折スペクトルにおいて、11.8°、20.6°及び23.8°(2θ)にステレオコンプレックス結晶に特有の回折ピークのみが観測されることが確認された。なお、図中、「S」はステレオコンプレックス結晶に由来する回折ピークを意味する。
[実施例2]
実施例1におけるトリメシン酸トリス(sec-ブチルアミド)をトリメシン酸トリス(is o-ブチルアミド)0.01gに代えた以外は実施例1と同様にしてポリ乳酸樹脂組成物のフィルムを作製し、得られたフィルムを試料として上記のDSC測定を行った。得られた結果を表1に示す。
[実施例11]
L−ラクチド100g、1,12-ドデカンジオール3g、及びオクチル酸スズ100mgを反応容器に入れた後、反応容器内を10−3mmHgまで減圧した。続いて、十分攪拌しながら徐々に温度を上昇させ、150℃で3時間保持した。反応生成物をクロロホルムに溶解し、メタノールに滴下して重量平均分子量が2.3万のポリL乳酸(以下、「PLLA」という)を得た。
次いで、D−ラクチド40g、得られたPLLA 80gを窒素雰囲気下、200℃で均一に溶解させた。室温まで放冷後、オクチル酸スズ40mgを加え、150℃で3時間反応させた。反応生成物をヘキサフルオロイソプロパノールに溶解し、メタノールに滴下して重量平均分子量が5.4万のポリ乳酸ブロック共重合体(以下、「PDLA-PLLA-PDLA」という)を得た。
次いで、L−ラクチド20g、得られたPDLA-PLLA-PDLA 80gを窒素雰囲気下、220℃で均一に溶解させた。オクチル酸スズ20mgを反応容器に入れ、150℃で3時間反応させた。反応生成物をヘキサフルオロイソプロパノールに溶解し、メタノールに滴下して重量平均分子量が8.1万のポリ乳酸ブロック共重合体(以下、「PLLA-PDLA-PLLA-PDLA-PLLA」という)を得た。
次いで、D−ラクチド10g、得られたPLLA-PDLA-PLLA-PDLA-PLLA 80gを窒素雰囲気下、240℃で均一に溶解させた。室温まで放冷後、オクチル酸スズ10mgを加え、150℃で3時間反応させた。反応生成物をヘキサフルオロイソプロパノールに溶解し、メタノールに滴下して重量平均分子量が11.5万のポリ乳酸ブロック共重合体(以下、「PDLA-PLLA-PDLA-PLLA-PDLA-PLLA-PDLA」という)を得た。
上述のようにして得られたポリ乳酸共重合体を実施例1と同様の方法により試料を調製した後、この試料を用いて広角X線回折法に基づくX線回折スペクトルの測定を行った。測定結果を図5に示す。X線回折スペクトルにおいて、11.8°、20.6°及び23.8°(2θ)にステレオコンプレックス結晶に特有の回折ピークのみが観測されたことから、上述のポリ乳酸共重合体はステレオコンプレックス結晶を生成し得ることが確認された。なお、図中、「S」はステレオコンプレックス結晶に由来する回折ピークを意味する。
次いで、得られたPDLA-PLLA-PDLA-PLLA-PDLA-PLLA-PDLA 1.0g、トリメシン酸トリス(sec-ブチルアミド)0.01gに10mLのヘキサフルオロイソプロパノールを加え攪拌しながら混合した。得られた混合物をシャーレに垂らし、常圧乾燥及び減圧乾燥により溶媒を除去し、ポリ乳酸樹脂組成物のフィルムを作製した。得られたフィルムを試料として上記のDSC測定を行った。得られた結果を表2に示す。
参考例12]
実施例1におけるポリL乳酸を0.9g、ポリD乳酸を0.1gに代え、ポリL乳酸とポリD乳酸とのブレンド体を実施例1と同様の方法により試料を調製した後、広角X線回折法に基づくX線回折スペクトルの測定を行った。測定結果を図6に示す。X線回折スペクトルにおいて、11.8°、20.6°及び23.8°(2θ)にステレオコンプレックス結晶に特有の回折ピークと、ポリ乳酸のホモ結晶に特有な回折ピーク(2θ=14.7°、16.4°、18.7°及び22.1°)とが観測された。このことから、上述のブレンド体はステレオコンプレックス結晶を生成し得ることが確認された。なお、図中、「S」は上記と同義であり、「H」はポリ乳酸のホモ結晶に由来する回折ピークを意味する。
次いで、このブレンド体を実施例1と同様にしてポリ乳酸樹脂組成物のフィルムを作製し、得られたフィルムを試料として上記のDSC測定を行った。得られた結果を表2に示す。
参考例13]
実施例1におけるポリL乳酸を0.8g、ポリD乳酸を0.2gに代えた以外は実施例1と同様にしてポリ乳酸樹脂組成物のフィルムを作製し、得られたフィルムを試料として上記のDSC測定を行った。得られた結果を表2に示す。
[実施例14]
実施例1におけるポリL乳酸を0.7g、ポリD乳酸を0.3gに代えた以外は実施例1と同様にしてポリ乳酸樹脂組成物のフィルムを作製し、得られたフィルムを試料として上記のDSC測定を行った。得られた結果を表2に示す。
[実施例15]
実施例1におけるポリL乳酸を0.6g、ポリD乳酸を0.4gに代えた以外は実施例1と同様にしてポリ乳酸樹脂組成物のフィルムを作製し、得られたフィルムを試料として上記のDSC測定を行った。得られた結果を表2に示す。
[実施例16]
実施例1におけるポリL乳酸を0.4g、ポリD乳酸を0.6gに代えた以外は実施例1と同様にしてポリ乳酸樹脂組成物のフィルムを作製し、得られたフィルムを試料として上記のDSC測定を行った。得られた結果を表2に示す。
[実施例17]
実施例1におけるポリL乳酸を0.3g、ポリD乳酸を0.7gに代えた以外は実施例1と同様にしてポリ乳酸樹脂組成物のフィルムを作製し、得られたフィルムを試料として上記のDSC測定を行った。得られた結果を表2に示す。
参考例18]
実施例1におけるポリL乳酸を0.2g、ポリD乳酸を0.8gに代えた以外は実施例1と同様にしてポリ乳酸樹脂組成物のフィルムを作製し、得られたフィルムを試料として上記のDSC測定を行った。得られた結果を表2に示す。
参考例19]
実施例1におけるポリL乳酸を0.1g、ポリD乳酸を0.9gに代えた以外は実施例1と同様にしてポリ乳酸樹脂組成物のフィルムを作製し、得られたフィルムを試料として上記のDSC測定を行った。得られた結果を表2に示す。
[比較例1]
実施例1におけるトリメシン酸トリス(sec-ブチルアミド)を添加しなかった以外は実施例1と同様にしてポリ乳酸樹脂組成物のフィルムを作製し、得られたフィルムを試料として上記のDSC測定を行った。得られた結果を表1及び図2に示す。
[比較例2]
実施例1におけるトリメシン酸トリス(sec-ブチルアミド)をエチレンビス-12-ヒドロキシステアリン酸アミド0.01gに代えた以外は実施例1と同様にしてポリ乳酸樹脂組成物のフィルムを作製し、得られたフィルムを試料として上記のDSC測定を行った。得られた結果を表1及び図3に示す。
[比較例3〜10]
実施例1におけるトリメシン酸トリス(sec-ブチルアミド)を、
(比較例3)トリメシン酸トリス(n-ブチルアミド)0.01g、
(比較例4)トリメシン酸トリス(n-オクチルアミド)0.01g、
(比較例5)トリメシン酸トリス(n-オクタデシルアミド)0.01g、
(比較例6)2,6ナフタレンジカルボン酸ジn-ブチルアミド0.01g、
(比較例7)2,6ナフタレンジカルボン酸ジtert-ブチルアミド0.01g、
(比較例8)2,6ナフタレンジカルボン酸ジiso-ブチルアミド0.01g、
(比較例9)2,6ナフタレンジカルボン酸ジsec-ブチルアミド0.01g、
(比較例10)2,6ナフタレンジカルボン酸ジシクロヘキシルアミド0.01g、
にそれぞれ代えた以外は実施例1と同様にしてポリ乳酸樹脂組成物のフィルムを作製し、得られたフィルムを試料として上記のDSC測定を行った。得られた結果を表1に示す。
[比較例11]
実施例1におけるポリL乳酸を0.9g、ポリD乳酸を0.1gに代え、さらにトリメシン酸トリス(sec-ブチルアミド)を添加しなかった以外は実施例1と同様にしてポリ乳酸樹脂組成物のフィルムを作製し、得られたフィルムを試料として上記のDSC測定を行った。得られた結果を表2に示す。
[比較例12]
実施例1におけるポリL乳酸を0.8g、ポリD乳酸を0.2gに代え、さらにトリメシン酸トリス(sec-ブチルアミド)を添加しなかった以外は実施例1と同様にしてポリ乳酸樹脂組成物のフィルムを作製し、得られたフィルムを試料として上記のDSC測定を行った。得られた結果を表2に示す。
[比較例13]
実施例1におけるポリL乳酸を0.7g、ポリD乳酸を0.3gに代え、さらにトリメシン酸トリス(sec-ブチルアミド)を添加しなかった以外は実施例1と同様にしてポリ乳酸樹脂組成物のフィルムを作製し、得られたフィルムを試料として上記のDSC測定を行った。得られた結果を表2に示す。
[比較例14]
実施例1におけるポリL乳酸を0.6g、ポリD乳酸を0.4gに代え、さらにトリメシン酸トリス(sec-ブチルアミド)を添加しなかった以外は実施例1と同様にしてポリ乳酸樹脂組成物のフィルムを作製し、得られたフィルムを試料として上記のDSC測定を行った。得られた結果を表2に示す。
Figure 0004647917
表1及び図1に示した結果から明らかなように、本発明のポリ乳酸樹脂組成物を用いた場合は、ステレオコンプレックス結晶のみが生成しており、その結晶化速度及び結晶化度向上効果も優れたものであった。一方、結晶促進剤を添加しなかった比較例1においては、冷却過程でピークが観測されておらず、結晶化が進行していなかった。また、本発明にかかる芳香族アミド化合物以外のものを結晶促進剤として添加した場合(比較例2〜10)はいずれも、ステレオコンプレックス結晶の比率が低く、結晶化速度及び結晶化度向上効果も劣ったものであった。なお、表1中、「ステレオ結晶比率」とはステレオコンプレックス結晶比率を意味する。
Figure 0004647917
表2に示した結果から明らかなように、ポリL乳酸及びポリD乳酸のブレンド比率を参考例12,13,実施例14〜17,参考例18,19のように変化させても、ステレオコンプレックス結晶比率が極めて高く、しかも十分な結晶化速度を有するポリ乳酸が得られた。また、ポリ乳酸ステレオブロック共重合体を用いた場合においては、ステレオコンプレックス結晶のみが生成しており、その結晶化速度も十分に大きなものであった。以上の結果から、上述のポリ乳酸樹脂組成物を用いることにより、十分な結晶性を有し、ステレオコンプレックス結晶比率の高いポリ乳酸が得られることが確認された。一方、結晶促進剤を添加しなかった比較例11〜14においては、ステレオコンプレックス結晶の比率が低く、結晶化速度も劣ったものであった。なお、表2中、「ステレオ結晶比率」とはステレオコンプレックス結晶比率を意味する。
[参考例1]
ポリL乳酸を実施例1と同様の方法により試料を調製した後、この試料を用いて広角X線回折法によりX線回折スペクトルの測定を行った。測定結果を図7に示す。X線回折スペクトルにおいて、ポリ乳酸のホモ結晶に特有な回折ピークのみが観測され、ステレオコンプレックス結晶に特有の回折ピークが観測されないことが確認された。なお、図中、「H」は上記と同義である。
実施例1において得られたポリ乳酸樹脂組成物のフィルムを試料としてDSC測定を行った結果を示すグラフである。 比較例1において得られたポリ乳酸樹脂組成物のフィルムを試料としてDSC測定を行った結果を示すグラフである。 比較例2において得られたポリ乳酸樹脂組成物のフィルムを試料としてDSC測定を行った結果を示すグラフである。 実施例1のポリ乳酸成分のX線回折スペクトルを示すグラフである。 実施例11のポリ乳酸成分のX線回折スペクトルを示すグラフである。 参考例12のポリ乳酸成分のX線回折スペクトルを示すグラフである。 参考例1のポリ乳酸のX線回折スペクトルを示すグラフである。

Claims (9)

  1. ステレオコンプレックス結晶を生成可能なポリ乳酸成分と、下記一般式(1):
    Figure 0004647917
    [式中、Xは−CONH−又は−NHCO−を示し、Rは炭素数3〜20の分岐鎖状アルキル基を示し、mは1〜6の整数を示す。]
    で表される芳香族アミド化合物とを含有し、
    前記芳香族アミド化合物の含有量が、0.05〜10質量%であり、
    前記ポリ乳酸成分が、ポリL乳酸及びポリD乳酸のブレンド体であり、
    前記ポリL乳酸及びポリD乳酸のブレンド体は、ポリL乳酸とポリD乳酸とのブレンド比率が、30〜70質量%:70〜30質量%であり、かつ、
    前記ポリL乳酸及びポリD乳酸の光学純度が、それぞれ90mol%以上であることを特徴とするポリ乳酸樹脂組成物。
  2. ステレオコンプレックス結晶を生成可能なポリ乳酸成分と、下記一般式(1):
    Figure 0004647917
    [式中、Xは−CONH−又は−NHCO−を示し、Rは炭素数3〜20の分岐鎖状アルキル基を示し、mは1〜6の整数を示す。]
    で表される芳香族アミド化合物とを含有し、
    前記芳香族アミド化合物の含有量が、0.05〜10質量%であり、
    前記ポリ乳酸成分が、L−乳酸単位からなるセグメント及びD−乳酸単位からなるセグメントを有するポリ乳酸ブロック共重合体であることを特徴とするポリ乳酸樹脂組成物。
  3. 前記ポリ乳酸成分は、結晶化した時に広角X線回折法に基づくX線回折スペクトルにおいてブラッグ角(2θ)11.3〜12.3°、20.1〜21.1°及び23.3〜24.3°に回折ピークを有していることを特徴とする、請求項1又は2に記載のポリ乳酸樹脂組成物。
  4. 前記芳香族アミド化合物が、トリメシン酸トリス(sec−ブチルアミド)及び/又はトリメシン酸トリス(iso−ブチルアミド)であることを特徴とする、請求項1〜の何れか一項に記載のポリ乳酸樹脂組成物。
  5. ステレオコンプレックス結晶を生成可能なポリ乳酸成分と、下記一般式(1):
    Figure 0004647917
    [式中、Xは−CONH−又は−NHCO−を示し、Rは炭素数3〜20の分岐鎖状アル
    キル基を示し、mは1〜6の整数を示す。]
    で表される芳香族アミド化合物とを含有するポリ乳酸樹脂組成物を溶融成形して結晶化せしめたものであり、
    前記ポリ乳酸樹脂組成物中、前記芳香族アミド化合物の含有量が、0.05〜10質量%であり、
    前記ポリ乳酸成分が、ポリL乳酸及びポリD乳酸のブレンド体であり、
    前記ポリL乳酸及びポリD乳酸のブレンド体は、ポリL乳酸とポリD乳酸とのブレンド比率が、30〜70質量%:70〜30質量%であり、かつ、
    前記ポリL乳酸及びポリD乳酸の光学純度が、それぞれ90mol%以上であることを特徴とする成形体。
  6. 下式(i)から求めたステレオコンプレックス結晶比率が80%以上であることを特徴とする請求項に記載の成形体。
    ステレオコンプレックス結晶比率(%)={B/(AZ+B)}×100…(i)
    [式中、AはDSC測定により求めたホモ結晶融解ピークの融解吸熱量(ΔHm,homo)を示し、BはDSC測定により求めたステレオコンプレックス結晶融解ピークの融解吸熱量(ΔHm,stereo)を示し、Zはブレンド体の全質量に占めるポリL乳酸の割合をC、ポリD乳酸の割合Dとしたときに、含有量の少ないポリ乳酸の割合を2倍した値を示す。但し、C+D=1である。]
  7. ステレオコンプレックス結晶を生成可能なポリ乳酸成分と、下記一般式(1):
    Figure 0004647917
    [式中、Xは−CONH−又は−NHCO−を示し、Rは炭素数3〜20の分岐鎖状アルキル基を示し、mは1〜6の整数を示す。]
    で表される芳香族アミド化合物とを含有するポリ乳酸樹脂組成物を溶融成形して結晶化せしめたものであり、
    前記ポリ乳酸樹脂組成物中、前記芳香族アミド化合物の含有量が、0.05〜10質量%であり、
    前記ポリ乳酸成分が、L−乳酸単位からなるセグメント及びD−乳酸単位からなるセグメントを有するポリ乳酸ブロック共重合体であることを特徴とする成形体。
  8. 前記ポリ乳酸成分は、結晶化した時に広角X線回折法に基づくX線回折スペクトルにおいてブラッグ角(2θ)11.3〜12.3°、20.1〜21.1°及び23.3〜24.3°に回折ピークを有していることを特徴とする、請求項5〜7の何れか一項に記載の成形体。
  9. 前記芳香族アミド化合物が、トリメシン酸トリス(sec−ブチルアミド)及び/又はトリメシン酸トリス(iso−ブチルアミド)であることを特徴とする請求項5〜8の何れか一項に記載の成形体。
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