JP4010287B2 - 脂肪族ポリエステル組成物及びその成形体 - Google Patents

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Description

本発明は、脂肪族ポリエステル組成物、並びにそれを溶融成形して結晶化せしめた成形体に関する。
ポリ乳酸等の脂肪族ポリエステルは、微生物や酵素の働きにより分解する性質、いわゆる生分解性を示し、その生分解生成物は人体に無害な乳酸等の成分と二酸化炭素と水になることから、医療用材料や汎用樹脂の代替物として注目されている。このような脂肪族ポリエステルは結晶性樹脂であるが、その結晶化速度は一般的に小さく、実際には非晶性樹脂に近い挙動を示す。すなわち、ガラス転移温度付近で急激に且つ極度に軟化するため(通常、弾性率1/100未満)、耐熱性、成形性、離型性等の点で十分な特性を得ることが困難であった。
このような問題点を改善するために、特開平10−87975号公報(特許文献1)には、ポリ乳酸系樹脂(ポリLラクチド)にアミド系化合物(例えば、トリメシン酸トリス(t−ブチルアミド)、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジアニリド、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジシクロヘキシルアミド、N,N’−ジベンゾイル−1,4−ジアミノシクロヘキサン、N,N’−ジシクロヘキサンカルボニル−1,5−ジアミノナフタレン)を配合することにより結晶化が改善され、金型離型性が向上することが記載されている。
しかしながら、特開平10−87975号公報記載の方法であっても、結晶化の速度は未だ十分なものではなく、射出成形等の成形方法によって十分に結晶性を有する脂肪族ポリエステルを得ることは困難であった。
特開平10−87975号公報
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、結晶化速度が十分に大きく、射出成形等の成形方法によって結晶性が十分に高いポリ乳酸等の脂肪族ポリエステルを得ることを可能とする脂肪族ポリエステル組成物、並びにそれを溶融成形して結晶化せしめた成形体を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、芳香環に側鎖として置換カルバモイル基とカルボキシル基(又はカルボキシアルキル基)との双方を有しておりかつ前者の数が後者の数以上である芳香族アミド化合物を核剤として添加することにより、脂肪族ポリエステルの結晶化速度及び結晶化度が驚くべきことに向上することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の脂肪族ポリエステル組成物は、脂肪族ポリエステルと、下記一般式(1):
Figure 0004010287
[式中、R1は芳香環を示し、Xは−CONH−又は−NHCO−を示し、R2は同一でも異なっていてもよく、それぞれ炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、炭素数3〜20のシクロアルキル基、炭素数3〜20のシクロアルケニル基、及び芳香環からなる群から選択される少なくとも一つの基を示し、mは0〜4の整数を示し、a及びbはそれぞれ下記条件式(2)及び(3):
1≦a≦b (2)
2≦(a+b)≦(R1に結合可能な側鎖の数の最大値) (3)
の条件を満たす整数を示す。]
で表される芳香族アミド化合物とを含有することを特徴とするものである。
また、本発明の成形体は、脂肪族ポリエステルと、下記一般式(1):
Figure 0004010287
[式中、R1は芳香環を示し、Xは−CONH−又は−NHCO−を示し、R2は同一でも異なっていてもよく、それぞれ炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、炭素数3〜20のシクロアルキル基、炭素数3〜20のシクロアルケニル基、及び芳香環からなる群から選択される少なくとも一つの基を示し、mは0〜4の整数を示し、a及びbはそれぞれ下記条件式(2)及び(3):
1≦a≦b (2)
2≦(a+b)≦(R1に結合可能な側鎖の数の最大値) (3)
の条件を満たす整数を示す。]
で表される芳香族アミド化合物とを含有する脂肪族ポリエステル組成物を溶融成形して結晶化せしめたものであることを特徴とするものである。
上記本発明にかかる前記芳香族アミド化合物としては、前記一般式(1)におけるR1はフェニル基、Xは−CONH−、R2は同一でも異なっていてもよくそれぞれ炭素数3〜12のアルキル基及び炭素数3〜12のシクロアルキル基からなる群から選択される少なくとも一つの基、mは0、aは1、bは2であるものが好ましい。
以上説明したように、本発明によれば、結晶化速度が十分に大きく、射出成形等の成形方法によって結晶性が十分に高いポリ乳酸等の脂肪族ポリエステルを得ることが可能な脂肪族ポリエステル組成物が提供され、その脂肪族ポリエステル組成物を溶融成形して結晶化せしめることにより結晶化速度が大きく、かつ結晶化度の高い成形体を得ることが可能となる。

以下、本発明をその好適な実施形態に即して詳細に説明する。
本発明のポリ乳酸樹脂組成物は、脂肪族ポリエステルと、前記一般式(1)で表される芳香族アミド化合物とを含有することを特徴とするものである。
先ず、本発明にかかる脂肪族ポリエステルについて説明する。本発明において用いられる脂肪族ポリエステルは、微生物や酵素等によって分解若しくは低分子量化されるものであり、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ(3−ヒドロキシ酪酸)、ポリ(4−ヒドロキシ酪酸)、ポリ(4−ヒドロキシ吉草酸)、ポリカプロラクトン等の開環重付加系脂肪族ポリエステル、並びに、ポリエステルカーボネート、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート、ポリヘキサメチレンサクシネート、ポリエチレンアジペート、ポリブチレンアジペート、ポリヘキサメチレンアジペート、ポリエチレンオキサレート、ポリブチレンオキサレート、ポリヘキサメチレンオキサレート、ポリエチレンセバケート、ポリブチレンセバケート等の重縮合反応系脂肪族ポリエステルが挙げられ、中でもポリ乳酸、ポリグリコール酸等のポリ(α−ヒドロキシ酸)が好ましく、ポリ乳酸が特に好ましい。
本発明において用いられる脂肪族ポリエステルの分子量(重量平均分子量)は、10000〜400000程度であることが好ましい。分子量が上記下限未満では得られる成形体の強度が不十分となる傾向にあり、他方、上記上限を超えると得られる成形体の加工性が低下する傾向にある。
本発明において用いられる脂肪族ポリエステルは、前記脂肪族ポリエステルを単独で用いてもよいが、それらの2種以上のブレンド物若しくは共重合物であってもよい。このような脂肪族ポリエステルの共重合物としては、乳酸と乳酸以外のヒドロキシ酸とのコポリマーや、ポリブチレンサクシネートアジペート等が挙げられる。また、共重合体の配列様式は、ランダム共重合体、交互共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体のいずれであってもよい。
また、脂肪族ポリエステルのブレンド物としては、例えばポリ乳酸をベースとするポリ乳酸系樹脂が好ましく、ポリ乳酸にブレンドされる他の樹脂としては、ポリ乳酸以外の前記脂肪族ポリエステル;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等の芳香族ポリエステル;ナイロン6、ナイロン6,6、ナイロン6,9、ナイロン6,10、ナイロン6,12、ナイロン11、ナイロン12等のポリアミド;天然ゴム等が挙げられる。このようなポリ乳酸系樹脂におけるポリ乳酸以外の樹脂の比率は、60重量%以下であることが好ましく、30重量%以下であることがより好ましい。他の樹脂の比率が上記上限を超えると、得られる成形体における結晶化速度の向上が得られにくくなる傾向にある。
本発明にかかる脂肪族ポリエステルとして特に好ましいポリ乳酸は、一般的に式: H-[O-CH(CH3)-C(O)]n-OH により表わされ、ガラス転移点が58℃程度の結晶性ポリマーである。このようなポリ乳酸は本発明により特に結晶化速度及び結晶化度が向上することから本発明において用いる脂肪族ポリエステルとして好適である。
このようなポリ乳酸の重量平均分子量は特に制限されないが、好ましくは10,000以上であり、より好ましくは50,000以上であり、さらに好ましくは100,000以上である。ポリ乳酸の重量平均分子量が前記下限値未満であると、強度、弾性率等の機械物性が不十分となる傾向にある。また、ポリ乳酸の重量平均分子量は、成形時の流動性の点から400,000以下であることが好ましい。
ポリ乳酸の合成方法は特に制限されず、D−乳酸、L−乳酸の直接重合でもよく、乳酸の環状2量体であるD−ラクチド、L−ラクチド、meso−ラクチドの開環重合であってもよい。得られたポリマーがL−乳酸単位とD−乳酸単位の双方からなっている場合、一方の含有割合が85mol%以上であることが好ましく、90mol%以上であることがより好ましく、95mol%以上であることがさらに好ましく、98mol%以上であることが特に好ましい。D−乳酸単位{下記式(2)}、L−乳酸単位{下記式(3)}の双方が85mol%未満であると、立体規則性の低下により結晶化が阻害され、本発明により得られる効果が十分に発現しない傾向にある。
Figure 0004010287
Figure 0004010287
L−乳酸単位とD−乳酸単位の比率が異なる複数のPLA(ポリ乳酸)同士を任意の割合でブレンドされたものを用いても良い。
さらに、本発明にかかるポリ乳酸においては、乳酸又はラクチドに加えて、グリコリド、カプロラクトン等の他の重合性単量体を更に重合させて共重合体としてもよい。また、他の重合性単量体の単独重合により得られるポリマーをポリ乳酸とブレンドしてもよい。なお、他の重合性単量体に由来する重合鎖がポリマー全量に占める割合は、モノマー換算で50mol%以下であることが好ましい。
次に、本発明にかかる核剤(結晶促進剤)について説明する。すなわち、本発明の脂肪族ポリエステル組成物においては、上記の脂肪族ポリエステルと共に、下記一般式(1):
Figure 0004010287
で表される芳香族アミド化合物が含有される。
ここで、上式中のR1は芳香族アミド化合物の中心骨格であり、フェニル基、ナフチル基、アントリル基等の芳香環であり、好ましくはフェニル基である。
また、上式中の−X−R2のうち、Xは−CONH−又は−NHCO−(好ましくは−CONH−)である。また、R2は、同一でも異なっていてもよく、それぞれ炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、炭素数3〜20のシクロアルキル基、炭素数3〜20のシクロアルケニル基、及び芳香環からなる群から選択される少なくとも一つの基であり、炭素数3〜12のアルキル基及び炭素数3〜12のシクロアルキル基からなる群から選択される少なくとも一つの基であることが好ましく、中でも直鎖状又は分岐鎖状プロピル基、直鎖状又は分岐鎖状ブチル基、直鎖状又は分岐鎖状ペンチル基、直鎖状又は分岐鎖状ヘキシル基、直鎖状又は分岐鎖状ヘプチル基、直鎖状又は分岐鎖状オクチル基、直鎖状又は分岐鎖状ノニル基、直鎖状又は分岐鎖状デシル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基、シクロデシル基がより好ましい。
さらに、上式中の−(CH2m−COOHはカルボキシル基(mは0)又はカルボキシアルキル基(mは1〜4の整数)であり、好ましくはカルボキシル基である。
そして、本発明において使用する芳香族アミド化合物においては、芳香環に側鎖として前記−X−R2基と前記カルボキシル基(又はカルボキシアルキル基)との双方が結合しており、しかも前記−X−R2基の数(b)が前記カルボキシル基(又はカルボキシアルキル基)の数(a)以上であることが必要である。すなわち、上式中のa及びbはそれぞれ下記条件式(2)及び(3):
1≦a≦b(より好ましくは1≦a<b) (2)
2≦(a+b)≦(R1に結合可能な側鎖の数の最大値) (3)
の条件を満たす整数であることが必要である。
なお、R1に結合可能な側鎖の数の最大値とは、芳香環R1の種類に応じて決定され、例えばフェニル基であれば6、ナフチル基であれば8、アントリル基であれば10となる。
上式中のa及びbは上記式(2)及び(3)の条件を満たすものであればよいが、例えばトリメシン酸誘導体(R1がフェニル基、a+bが3)の場合は、側鎖は1,3,5の位置に結合しており、aが1、bが2であるものが好ましく、具体的にはトリメシン酸ビス(アルキルアミド)やトリメシン酸ビス(シクロアルキルアミド)が挙げられる。
本発明の脂肪族ポリエステル組成物における上記芳香族アミド化合物の含有量は、脂肪族ポリエステルと芳香族アミド化合物との混合物中、0.001〜10重量%が好ましく、0.01〜5重量%がより好ましく、0.1〜3重量%が特に好ましい。芳香族アミド化合物の含有量が上記下限未満では得られる成形体における結晶化速度の向上の程度が減少する傾向にある。他方、芳香族アミド化合物の含有量が上記上限を超えると、芳香族アミド化合物による可塑剤的作用が強く発現するようになり、核剤がブリードアウトして成形体の外観が低下したり、芳香族アミドが大きな凝集体を形成して衝撃強度などの力学特性が低下する傾向にある。
さらに、本発明の脂肪族ポリエステル組成物においては、その特性を損なわない限りにおいて、充填剤{タルク、クレイ、層状粘土鉱物(好ましくは有機オニウム塩で有機化された層状粘土鉱物)等}、可塑剤、顔料、安定剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、難燃剤、離型剤、滑剤、染料、抗菌剤、末端封止剤等の添加剤を更に添加してもよい。このような添加剤の含有量は、本発明の脂肪族ポリエステル組成物中において、20重量%以下であることが好ましい。
なお、上記の脂肪族ポリエステルと芳香族アミド化合物とを混合して本発明の脂肪族ポリエステル組成物を得る方法は特に制限されず、例えば、クロロホルム等の溶媒を用いて両者を混合した後に溶媒を除去する方法や、両者を160〜250℃程度の温度に加熱して溶融混合する方法であってもよい。
次に、本発明の成形体について説明する。すなわち、本発明の成形体は、前述の本発明の脂肪族ポリエステル組成物を溶融成形して結晶化せしめたものである。
本発明の成形体を製造するに際し、脂肪族ポリエステル組成物を溶融する際の温度は160〜250℃であることが好ましい。この温度が上記下限未満であると、脂肪族ポリエステル組成物の溶融が不十分となり、諸成分が均一に分散しにくくなる傾向がある。他方、この温度が上記上限を超えると、脂肪族ポリエステルの分子量が低下して得られる成形体の物性が損なわれる傾向がある。
また、上記溶融温度における保持時間は、0.1〜30分であることが好ましい。この保持時間が上記下限未満であると、得られる成形体における脂肪族ポリエステルの溶融が不十分となる傾向があり、他方、この保持時間が上記上限を超えると、脂肪族ポリエステルの分子量が低下して得られる成形体の物性が損なわれる傾向がある。
さらに、溶融した脂肪族ポリエステル組成物を結晶化せしめる際の条件としては、20〜160℃の冷却終了温度まで冷却することが好ましい。この冷却終了温度が上記下限未満、あるいはこの冷却終了温度が上記上限を超えると、得られる成形体における脂肪族ポリエステルの結晶化が不十分となる傾向がある。
また、本発明の成形体を製造するに際し、その成形方法は特に制限されず、射出成形、押出成形、ブロー成形、インフレーション成形、異形押出成形、射出ブロー成形、真空圧空成形、紡糸等のいずれにも好適に使用することができる。そして、本発明の脂肪族ポリエステル組成物によれば十分に大きい結晶化速度が達成されるため、例えば射出成形に供した場合であっても結晶性が十分に高い脂肪族ポリエステルを得ることが可能となる。
なお、このように本発明の脂肪族ポリエステル組成物における芳香族アミド化合物の結晶化促進効果は、例えば以下のDSC測定により評価することができる。すなわち、先ず、試料(脂肪族ポリエステル組成物)の一部(5〜10mg)を200℃まで昇温し、5分間保持して溶融させた後、20℃/minの冷却速度で70℃まで冷却し、その際の脂肪族ポリエステルの結晶化温度(結晶化ピーク温度)及び結晶化に基づく発熱量(結晶化エンタルピー)を求める。そして、このようにしてDSC測定により求めた冷却過程における結晶化ピークが高温側で観測されるほど結晶化速度が大きいとみなすことができ、冷却過程における結晶化に基づく発熱量が大きいほど結晶化度が高いことになる。上記測定において結晶化速度が大きく、結晶化度が高いほど結晶化促進効果が高いことになる。
本発明の成形体の形状、厚み等は特に制限されず、射出成形品、押出成形品、圧縮成形品、ブロー成形品、シート、フィルム、糸、ファブリック等のいずれでもよい。より具体的には、バンパー、ラジエーターグリル、サイドモール、ガーニッシュ、ホイールカバー、エアロパーツ、インストルメントパネル、ドアトリム、シートファブリック、ドアハンドル、フロアマット等の自動車部品、家電製品のハウジング、製品包装用フィルム、防水シート、各種容器、ボトル等が挙げられる。また、本発明の成形体をシートとして使用する場合には、紙又は他のポリマーシートと積層し、多層構造の積層体として使用してもよい。
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
ポリLラクチド(PLLA:トヨタ自動車社製、#5400、重量平均分子量14万、光学純度99%)1.0g及びトリメシン酸ビス(tert-ブチルアミド)0.01gを10mlのクロロホルムを用いて攪拌しながら混合した。得られた混合物をシャーレに垂らし、常圧乾燥及び減圧乾燥によりクロロホルムを除去し、脂肪族ポリエステル組成物(ポリ乳酸組成物)のフィルムを作製した。得られたフィルムを試料として前述のDSC測定を行い、得られた結果(結晶化ピーク温度及び結晶化エンタルピー)を表1に示す。
[実施例2]
実施例1におけるトリメシン酸ビス(tert-ブチルアミド)をトリメシン酸ビス(sec-ブチルアミド)0.01gに変えた以外は実施例1と同様にして脂肪族ポリエステル組成物のフィルムを作製し、得られたフィルムを試料として上記のDSC測定を行った。得られた結果を表1に示す。
[実施例3]
実施例1におけるトリメシン酸ビス(tert-ブチルアミド)をトリメシン酸ビス(オクチルアミド)0.01gに変えた以外は実施例1と同様にして脂肪族ポリエステル組成物のフィルムを作製し、得られたフィルムを試料として上記のDSC測定を行った。得られた結果を表1に示す。
[実施例4]
実施例1におけるトリメシン酸ビス(tert-ブチルアミド)をトリメシン酸ビス(シクロヘキシルアミド)0.01gに変えた以外は実施例1と同様にして脂肪族ポリエステル組成物のフィルムを作製し、得られたフィルムを試料として上記のDSC測定を行った。得られた結果を表1に示す。
[比較例1]
実施例1におけるトリメシン酸ビス(tert-ブチルアミド)を添加しなかった以外は実施例1と同様にして脂肪族ポリエステル組成物のフィルムを作製し、得られたフィルムを試料として上記のDSC測定を行った。得られた結果を表1に示す。
[比較例2〜6]
実施例1におけるトリメシン酸ビス(tert-ブチルアミド)を、
(比較例2)トリメシン酸トリス(tert-ブチルアミド)0.01g、
(比較例3)イソフタル酸ビス(tert-ブチルアミド)0.01g、
(比較例4)トリメシン酸モノ(tert-ブチルアミド)0.01g、
(比較例5)トリメシン酸メチルエステルビス(tert-ブチルアミド)0.01g、
(比較例6)トリメシン酸エチルエステルビス(tert-ブチルアミド)0.01g、
にそれぞれ変えた以外は実施例1と同様にして脂肪族ポリエステル組成物のフィルムを作製し、得られたフィルムを試料として上記のDSC測定を行った。得られた結果を表1に示す。
Figure 0004010287
表1に示した結果から明らかなように、本発明の脂肪族ポリエステル組成物を用いた場合(実施例1〜4)はいずれも、得られた成形体において結晶化速度が大きく、結晶化度向上効果も優れたものであった。
一方、芳香族アミド化合物を添加しなかった比較例1においては、冷却過程でピークが観測されておらず、結晶化が進行していなかった。また、側鎖が全てアルキルカルバモイル基である芳香族アミド化合物を核剤として添加した場合(比較例2、3)、並びにカルボキシル基がエステル化している芳香族アミド化合物を核剤として添加した場合(比較例5、6)においても、冷却過程でピークが観測されておらず、結晶化が進行していなかった。さらに、側鎖として置換カルバモイル基及びカルボキシル基を有しているものの、置換カルバモイル基の数よりカルボキシル基の数の方が多い芳香族アミド化合物を核剤として添加した場合(比較例4)は、得られた成形体における結晶化速度及び結晶化度が劣ったものであった。

Claims (4)

  1. 脂肪族ポリエステルと、下記一般式(1):
    Figure 0004010287
    [式中、R1は芳香環を示し、Xは−CONH−又は−NHCO−を示し、R2は同一でも異なっていてもよく、それぞれ炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、炭素数3〜20のシクロアルキル基、炭素数3〜20のシクロアルケニル基、及び芳香環からなる群から選択される少なくとも一つの基を示し、mは0〜4の整数を示し、a及びbはそれぞれ下記条件式(2)及び(3):
    1≦a≦b (2)
    2≦(a+b)≦(R1に結合可能な側鎖の数の最大値) (3)
    の条件を満たす整数を示す。]
    で表される芳香族アミド化合物とを含有することを特徴とする脂肪族ポリエステル組成物。
  2. 前記一般式(1)における、R1はフェニル基、Xは−CONH−、R2は同一でも異なっていてもよくそれぞれ炭素数3〜12のアルキル基及び炭素数3〜12のシクロアルキル基からなる群から選択される少なくとも一つの基、mは0、aは1、bは2であることを特徴とする請求項1記載の脂肪族ポリエステル組成物。
  3. 脂肪族ポリエステルと、下記一般式(1):
    Figure 0004010287
    [式中、R1は芳香環を示し、Xは−CONH−又は−NHCO−を示し、R2は同一でも異なっていてもよく、それぞれ炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、炭素数3〜20のシクロアルキル基、炭素数3〜20のシクロアルケニル基、及び芳香環からなる群から選択される少なくとも一つの基を示し、mは0〜4の整数を示し、a及びbはそれぞれ下記条件式(2)及び(3):
    1≦a≦b (2)
    2≦(a+b)≦(R1に結合可能な側鎖の数の最大値) (3)
    の条件を満たす整数を示す。]
    で表される芳香族アミド化合物とを含有する脂肪族ポリエステル組成物を溶融成形して結晶化せしめたものであることを特徴とする成形体。
  4. 前記一般式(1)における、R1はフェニル基、Xは−CONH−、R2は同一でも異なっていてもよくそれぞれ炭素数3〜12のアルキル基及び炭素数3〜12のシクロアルキル基からなる群から選択される少なくとも一つの基、mは0、aは1、bは2であることを特徴とする請求項3記載の成形体。
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